JP6186063B1 - 脱水装置及び脱水方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、その脱水方式については、下記特許文献3〜5に示されているように、排出されたスラリーを一旦貯留槽に入れて懸濁物質を沈降分離させ、沈殿した懸濁物質のスラッジを取り出して、フィルタープレスに代表される加圧脱水方式、ベルトフィルターなどによる真空脱水方式又は回転ドラムを用いた遠心脱水方式などで懸濁物質をケーキ化する。
しかしながら、特許文献3〜5における実施例の各図からも明らかなように、サイクロン式ろ過機の据付面積は小さいものの、ろ過後のスラリーの貯留槽の設置面積が相対的にかなり大きなものとなる。
また、沈殿した懸濁物質の掻き出し機構や脱水ろ過ベルト機構、更には脱水装置まで含んだ一般的なろ過・脱水システム全体でみると、サイクロン式ろ過機以外の装置の設置規模が圧倒的に大きくなっている。
なお、本発明は、サイクロン式ろ過機への対応だけでなく、スラリーの貯留層などで分離されたスラッジ状の懸濁物質を取り込んで脱水・ケーキ化するような用途への適用も可能とする。
本願の請求項1の発明は、直管と多数の孔が穿設されたテーパー管とが上下に同軸状に連結し、前記テーパー管部分の内面にろ布を被着させると共に、前記テーパー管部分の下端開口部に外向きフランジを設けたろ過管と、下部を開口させた箱体であり、上部では前記ろ過管の上端開口部の周囲を封止し、下部の開口端に設けた外向きフランジと前記ろ過管の前記外向きフランジとの間が環状シール部材で周回封止されて、前記ろ過管の外周空間を包囲するハウジングと、前記ろ過管の上端開口部に前記ハウジングの外側へ向けて連結されている連結管と、前記ろ過管の下側を密閉/開放する蓋体であり、前記ろ過管の前記外向きフランジと対向する領域には環状シール部材が取り付けられ、前記ろ過管の前記テーパー管部分の下端開口部に対向する領域には通水層を介してろ布が展着されている下蓋と、前記下蓋を回動又は移動させることにより前記ろ過管の下側を開閉せしめ、その閉状態においては前記下蓋を前記ろ過管の下側に押圧させてロックする下蓋開閉手段とを具備し、前記連結管の上端に、スラリー状乃至スラッジ状の被脱水物を前記ろ過管内へ投入する際に開放され、前記被脱水物の脱水処理時に閉鎖される第1のバルブを設けると共に、前記連結管の管内に第2のバルブで開閉される第1の送気管と第3のバルブで開閉される第1の排水・排気管を連通させ、前記ハウジングが包囲した前記ろ過管の外周空間における前記ろ過管の前記外向きフランジの近傍に第4のバルブで開閉される第2の排水・排気管を連通させ、前記下蓋の前記通水層に第5のバルブで開閉される第3の排水・排気管と第6のバルブで開閉される第2の送気管を連通させたことを特徴とする脱水装置に係る。
また、本願の請求項2の発明は、前記請求項1の発明に係るろ過管を、「多数の孔が穿設されたテーパー管の内面にろ布を被着させると共に、前記テーパー管の下端開口部に外向きフランジを設けたろ過管」としたものであり、直管部分が存在しないため、「下蓋」の記載において、請求項1の発明で「前記ろ過管の前記テーパー管部分の下端開口部」となっている記載は、「前記ろ過管の下端開口部」となる。
これらの発明によれば、各バルブを適宜開閉制御することにより、ろ過管内に取り込まれたスラリー状乃至スラッジ状の被脱水物に対して、上側から下側へ、下側から上側へ、上側から側方(テーパー面)へ、下側から側方(テーパー面)へ、それぞれ強制通気することが可能である。
したがって、ろ布を介して水分を外部へ排出しながら被脱水物の内部に微細な通気路を縦横に形成することができ、被脱水物を効率的に脱水・乾燥してケーキ化できる。
また、ろ過管は逆漏斗上の管体又はテーパー管自体の形態をなしていることから、被脱水物のケーキは下蓋開閉手段が下蓋を開放するだけでろ過管から容易に剥離して下方へ落下する。
前記請求項1及び請求項2の発明ではハウジングによってろ過管の外周空間が密封されているが、この請求項3及び請求項4の発明では、ハウジングの外向きフランジがろ過管の外向きフランジを内嵌させているだけであってシールがなされていないため、そのままでは完全な密封包囲が実現できていない。
しかし、下蓋開閉手段によって下蓋がろ過管の下側に押圧・ロックせしめられた状態では、下蓋側の環状シール部材によって嵌合境界部が封止されるため、通気脱水を実行する際には、ろ過管の外周空間は密封されていることになる。
換言すれば、前記請求項1及び請求項2の発明では2つの環状シール部材が必要になるのに対して、この請求項3及び請求項4の発明では下蓋側に単一の環状シール部材を取り付けておくだけで足りる。
この発明によれば、ろ過管内の被脱水物に対して側方(テーパー面)から下側への強制通気も可能になり、通気脱水の効率を向上させると共に、テーパー面でのケーキの剥離条件を良好にする上で有効である。
この発明によれば、第1乃至第5の通気手順を実行することにより、前記請求項1の発明においても説明したように、ろ過管内の被脱水物に対してそれぞれ異なる方向と経路による通気脱水を行って、被脱水物をより効率的にケーキ化できる。
なお、第5の通気手順で第5のバルブの開閉を繰り返させているのは、振動的な強制通気によって脱水が進行してケーキ化した被脱水物と下蓋側のろ布との剥離を良好にするためである。
前記請求項5の脱水装置では、前記ハウジングの包囲空間に対して第7のバルブで開閉される第3の送気管を連通させており、この請求項7の発明においては、被脱水物の取込手順とケーキ排出手順は前記請求項6の場合と同様であるが、第7のバルブの制御と同バルブを用いた第3の送気管による通気手順が加わっている。すなわち、第7のバルブは第6の通気手順においてのみ開放され、他の通気手順では閉鎖されており、第6の通気手順でろ過管内の被脱水物に対して側方(テーパー面)から下側への振動的な強制通気を行うようになっている。
通気脱水の効果をさらに促進すると共に、第5の通気手順で被脱水物のケーキと下蓋のろ布との剥離が良好になっているのに加えて、テーパー面のろ布との剥離が良くなり、ケーキの安定的な自然落下に資することになる。
第1の通気手順の実行段階では、被脱水物に多くの水分が含まれているため、後の通気手順よりも通気過程での脱離水が多く、またこの手順では、被脱水物がスラリー状であった場合にはスラッジ状態まで脱水して、その内部に細かい通気路を形成することになるため、第1の通気手順の実行時間の目安として前記条件を採用することが望ましい。
また、本発明では、下側へ拡がったテーパー部の内側に錐台状のケーキが形成され、また通気脱水の過程でろ過管のテーパー部や下蓋に展着されているろ布とケーキとの良好な剥離性を実現できることから、下蓋を開放するだけでケーキはろ過管内に付着することなく確実に落下させることができる。
なお、本発明の脱水装置は、簡単な構成で据付面積も小さいことからサイクロン式ろ過機に直結させて利用するのに適しているが、沈降ろ過方式の貯留槽から沈殿した懸濁物質のスラッジ乃至スラリーを直接受け入れて脱水・ケーキ化するような利用も可能である。
先ず、図1は、懸濁液原水をサイクロンろ過機で濃縮したスラリーを本発明の脱水装置で脱水・ケーキ化するろ過・脱水システムのフローシートであり、1はサイクロンろ過機、2は脱水装置本体、3は懸濁液を貯留した原水槽、4は撹拌機である。
また、同図において、V1,V2,V4,V9,V10,V11,V12,V13,V14,V16,V17はグローブバルブ、V3,V6,V7,V8,V15はゲートバルブ、V5はコックバルブ、C1,C2,C3はチェックバルブ、RVは減圧バルブ、Pはポンプ、F1,F2は流量計、M1,M2,M3は圧力計であり、実線で示す管路は水系管路を、点線で示す管路は空気系管路である。
同図において、21は逆漏斗状の形態をなしたろ過管であり、直管(円管)22と多数の孔23aが穿設されているテーパー管23とが上下に同軸状に連結されている。
また、テーパー管23の内壁面にはろ布24が被着されていると共に、テーパー管23の下端の開口部には外向きフランジ25が、直管22の上端の開口部にも外向きフランジ26がそれぞれ付設されている。
また、ろ過管21の外向きフランジ25はハウジング31の外向きフランジ34に対して内嵌した状態でその外向きフランジ34へネジ止めされている。
一方、ろ過管21の直管22に付設されている外向きフランジ26は環状シール部材36を介してハウジング31の端板33の下側面に押圧せしめられ、その結果、ろ過管21における直管22の上側開口部の周囲がハウジング31との関係で周回封止されている。
なお、連結管41はろ過管21に連通していればよく、ろ過管21における直管22の部分がハウジング31の外側まで延長されて連結管41を構成するような形態であってもよい。
また、この連結管41の上側端部にはコックバルブV5の取り付け用の外向きフランジ42が設けられており、この実施例においては、サイクロンろ過機1の下側に設けた外向きフランジ1aと前記外向きフランジ42の間にコックバルブV5を介装してボルトで挟着固定してある。
この下蓋51におけるろ過管21の外向きフランジ25とハウジング31の外向きフランジ34とで構成される環状の下側面に対向する領域(少なくとも各外向きフランジ25,34の嵌合境界部を含む)には環状シール部材52が取り付けられていると共に、ろ過管21の下側(テーパー管23の下端開口部)に対向する領域には、金網で構成した通水層53を介してろ布54が展着されている。
ただし、この実施例では、環状シール部材52が下蓋51に対してねじ止めされているが、ろ布54の周縁部分は環状シール部材52によって下蓋51に挟圧固定されている。
先ず、下蓋51とハウジング31の外向きフランジ34とが外周部分の一箇所でヒンジ機構61によって連結されており、これによって下蓋51はヒンジ軸を中心に回動自在に支持されている。
すなわち、ろ過管21の外向きフランジ25とハウジング31の外向きフランジ34との間にシール部材が施されていなくとも、下蓋51側の環状シール部材52だけで完全な密封が実現できている。
具体的には、ハウジング31の外向きフランジ34における前記ヒンジ機構61の位置とは反対側の外周面に係合レバー機構62が付設されている。
この係合レバー機構62は、フック環63で下蓋51側の対応位置に形成されている係合突起64を引っ掛けて、レバー65を立てることにより下蓋51を上側へ強力に引き寄せ、ヒンジ機構61を支点として下蓋51全体がろ過管21の下側に押圧せしめられた状態でロックさせる。
なお、この係合レバー機構62と係合突起64は、下蓋51の押圧力が十分でない場合には、図2に示すような位置だけでなく、周方向へ均等になるように複数個設けるようにしてもよい。
ただし、以下では、V1〜V17について、グローブ/ゲート/コックの種別に関わりなく単に“バルブ”という。
(1) 連結管41の上側端部にバルブV5が取り付けられており、脱水装置本体2がそのコックバルブV5を介してサイクロンろ過機1の下側開口部に直結せしめられていることは上記のとおりである。
(2) 連結管41に対しては側方から接続管71が連通せしめられており、その接続管71に対しては、バルブV9で開閉される送気管72と、バルブV13で開閉される排水・排気管73(図2では図示せず)が二股接続されている。なお、この実施例では接続管71に対する二股接続になっているが、送気管72と排水・排気管73がそれぞれ独立に連結管41に連通している方式であってもよい。
(3) バルブV11で開閉される排水・排気管74が、ハウジング31が包囲しているろ過管21の外周空間37における外向きフランジ25の近傍に連通するように、ハウジング31の円筒32に貫設されている。
(4) 下蓋51の下面側から通水層53へ接続管75が連通せしめられており、その接続管75に対しては、バルブV14で開閉される排水・排気管76と、バルブV12で開閉される送気管77が二股接続されている。なお、この実施例では接続管75に対する二股接続になっているが、排水・排気管76と送気管77がそれぞれ独立に通水層53に連通している方式であってもよい。
(5) バルブV10で開閉される送気管78が、ハウジング31が包囲したろ過管21の外周空間37に連通するように、ハウジング31の円筒32に貫設されている。
先ず、攪拌機4の運転を開始させてポンプPを起動させる(S1,S2)。
そして、バルブV1,V2,V3,V4,V5,V11,V14を全開状態にして、サイクロンろ過機1と脱水装置2による循環運転が開始され、適宜、流量計F1の計測値を確認してバルブV2によりサイクロンろ過機1への懸濁液の流入流量が調整される(S3)。
なお、この段階における他のバルブの開閉設定については、V8が全開状態、V16,V17はそれぞれメータM1,M2に合せて調整された開状態、V6,V7,V9,V10,V12,V13は閉状態とされている。
また、スラリーは下蓋51のろ布54によってもろ過されて、その脱離水は通水層53から接続管75と排水・排気管76を通じて原水槽3へ戻される(S3)。
したがって、テーパー管23のろ布24と下蓋51のろ布54で囲まれた室内には、ろ過による懸濁物質の濃縮スラリーが生成されて残留することになる(S3)。
したがって、この実施例に係るろ過・脱水システムでは、循環運転が継続的になされることによって、脱水装置本体2のろ過管21には懸濁物質の濃縮スラリーが蓄積されてゆくと共に、原水槽3の懸濁液の量は減少してゆくため、システムが連続運転している状態では、適宜原水槽3の液量を確認しながら原水を供給してゆく。
これは、サイクロンろ過機1においてシリンダ内の中心軸付近を上昇するクリーン液は懸濁物質を遠心分離した後の液体であるが、懸濁物質が完全に除去されている訳ではなく、フィルター12のろ布が細かい懸濁物質で目詰まりしてゆくからである
そのため、この実施例では、流量計F2からろ過水の排水量を確認し、それが所定流量以下になった場合に逆洗手順を実行させる(S4→S5)。
先ず、ポンプPが停止されてサイクロンろ過機1への原水の供給が停止され、バルブV4を閉鎖すると共に、バルブ6を全開させることで、前記循環運転の状態ではろ過水の排水に用いた排出口13を逆洗のための通気口として用い、圧縮エアーを前記排出口13からシリンダ内へ吹き込む(S5-1,2)。
この段階では、バルブV5、V11及びV14は全開状態のままであり、バルブV7、V9、V13、V10及びV12は閉状態になっているため、圧縮エアーによって、サイクロンろ過機1のシリンダ内に充満している懸濁液と内壁面にあるスラリーは脱水装置本体2側へ強制的に下降せしめられ、脱水装置本体2では、押し込まれた懸濁液をテーパー管23のろ布24と下蓋51のろ布54でろ過し、ろ過後の脱離水はそれぞれ排水・排気管74,76を通じて原水槽3へ戻され、濃縮スラリーがテーパー管23のろ布24と下蓋51のろ布54で囲われた室に残留することは前記循環運転の状態と同様である。
なお、この段階で濃縮スラリーは未だ前記室に充満している訳ではなく、スペース的に余裕があることから、テーパー管23の上側区間におけるろ過により、排水・排気管74,76を通じた脱離水の戻しは比較的円滑に行える。
そして、その過程において、圧縮エアーはフィルター12のろ布を前記循環運転状態での水の流れとは逆方向へ流通し、ろ布に付着している細かい懸濁物質をフィルター12の内側から脱落させて逆洗が実行されることになる。
バルブV5とバルブV6が閉鎖されるとサイクロンろ過機1のシリンダは密閉状態となるが、圧縮エアーによる高圧が残存しているために、それまで閉鎖されていたバルブ15を除々に開放することにより、圧力計M1又はM2の値を確認しながらシリンダ内の圧力を大気圧まで戻す(S5-6)。
ポンプPの再起動があると、サイクロンろ過機1のシリンダには原水供給口11を通じて原水槽3から懸濁液が流入し、再びシリンダ内が下側から懸濁液で満たされてゆき、懸濁液の螺旋状の旋回流が形成される。
したがって、この実施例では、流量計F2の流量値が所定値以上になると、閉鎖していたバルブV5を全開状態へ戻してサイクロンろ過機1のシリンダと脱水装置本体2のろ過管21とを再び連通させる(S5-9→S5-10)。
以上の一連の逆洗手順により、サイクロンろ過機1のフィルター12の目詰まりは解消されて、円滑にもとの循環運転状態へ移行する。
このようにして、前記循環運転を行いながら、サイクロンろ過機1からのろ過水の排水量を流量計F2で確認して、所定流量以下になったときに逆洗手順を実行させる動作を繰り返していると、当然に脱水装置本体2のろ過管21内で懸濁物質の濃縮スラリーが増大してゆき、テーパー管23の内部に充満するような状態になる。
この実施例では、その脱離水の減少傾向を原水槽3側で確認し、その水量が所定以下になると脱水手順を実行する(S7→S8)。
なお、前記確認は、目視確認によることとしても良いが、排水・排気管74に流量計を設けておき、流量が所定値以下になったときに脱水手順へ移行させるようにしてもよい。
先ず、実質的な脱水手順へ移行する前に、この実施例では予め前記逆洗手順(図4)のステップS5-1からステップS5-7までを実行する(S8-1)。
すなわち、圧縮エアーにより、サイクロンろ過機1のフィルター12を逆洗しておくと共に、サイクロンろ過機1のシリンダと脱水装置本体2のろ過管21の中にある懸濁液を脱水装置本体2側で強制的にろ過して排水させる。
そして、この時点では、前記のようにテーパー管23のろ布24と下蓋51のろ布54で囲われた室に懸濁物質のスラリーが充満した状態になっている。
(A) バルブV10,V11,V12,V13を閉鎖した状態でバルブV9,V14を全開とし、図6に示すように、テーパー管23の内部のスラリーに対して圧縮エアーを上側から入れて下側へ通気させる(S8-2)。
この実施例では、脱水手順の前に逆洗手順のS5-1からS5-7を実行しているため、ある程度の脱水が行われてスラリー乃至スラッジの状態にあるが、その中に含まれている水分が下蓋51のろ布54から通水層53へ押し出されると共に、内部に細かい通気路網を生成させる。
したがって、通気時間としては、バルブV14を配置した排水・排気管76から水が吐出しなくなるまでの時間を目安とする(S8-3)。
前記通気手順(A)で脱水は相当程度に進行しており、懸濁物質はほぼスラッジ状態にあるが、この通気手順は前記と逆方向の通気であり、内部にさらなる通気路網を生成させながら、水分を奪い去って含水率を低下させる。
したがって、懸濁物質に対応した通気時間が設定されており、その所定時間が経過することにより次の通気手順に移行する(S8-5)。
この手順では、前記通気手順(A)(B)により含水率の低下したスラッジの内部にさらに側方への通気路網を生成させ、特に前記通気手順(A)(B)では残留しがちなテーパー管23の内壁面近傍の水分をろ布24から孔23aを通じてろ過管21の外周空間37へ排出させる。
したがって、前記通気手順(B)と同様に、懸濁物質に対応して設定された所定時間が経過することにより次の通気手順に移行する(S8-7)。
この手順は、テーパー管23の内部のスラッジに対する圧縮エアーの入れ方が前記通気手順(C)の場合と上下逆になっているだけで、スラッジの内部にさらに側方への通気路網を生成させながら水分を奪ってケーキ化・乾燥を進行させる。
したがって、通気時間はテーパー管23の内部で所要含水率のケーキが得られる程度の通気時間に設定され、その時間の経過により次の通気手順へ移行する(S8-9)。
この手順での通気方向については前記通気手順(A)の場合と同一であるが、前記通気手順(A)〜(D)でケーキ化した懸濁物質は下蓋51のろ布54に付着して剥離性が悪くなっていることが多いため、バルブ14の開/閉によって振動的通気状態とすることにより付着部分に多数の細かい亀裂を生じさせて前記剥離性を良好なものにしておく。
したがって、バルブ14の開/閉の繰り返し回数や時間は懸濁物質とろ布54の選択条件によって定められ、その所定時間の経過によりケーキ80の排出手順へ移行する(S8-11)。
具体的には、係合レバー機構62のレバー65を側方へ倒すと、下蓋51側の係合突起64に対するフック環63の係止が解除され、下蓋51がヒンジ機構61の軸を中心に回転してろ過管21の下側が開放される。
この場合、テーパー管23の内壁面が下側に拡がった傾斜面であり、前記通気手順(E)により下蓋51のろ布54とテーパー管23の内部のケーキ80との間の剥離性は良好なものになっているため、図11に示すように、ケーキ80は下蓋51に付着することなく自重で自然落下する。
前記のように、テーパー管23が下開きの傾斜面になっているため、通常は下蓋51が開放されるとケーキ80はその自重によって自然落下するが、懸濁物質やろ布24の条件によっては付着力が大きくなることもあり、円滑に落下しないような場合もある。
この問題については、図12に示すように、バルブV9,V11,V12,V13を閉鎖した状態でバルブV14を全開とし、バルブ10の開/閉を所定回数繰り返すようにした通気手順(F)を実行し、ケーキ80とテーパー管23のろ布24との剥離性を高めることで解消できる。
なお、この通気手順(F)は、前記通気手順(E)の前又は後のいずれに実行してもよい。
そして、ヒンジ機構91の軸92はハウジング31の外向きフランジ34側に形成されている軸受け部34aによって軸支されていると共に、下蓋51はヒンジ機構91の軸92と一体で回動し、且つその軸92がウォームホィール93の軸として電動モータ94で駆動されるウォーム95によって回動せしめられるウォーム減速駆動方式になっている。
なお、カム機構97は、ヒンジ機構91の位置を基準として、周方向を均等に分割した複数位置に設けるようにしてもよい。
図13(B)は、下蓋51がろ過管21の下側を閉鎖して押圧・ロックをかけた状態を示し、エアシリンダ96がロッド98を突き出すとカム97aが回転し、カム97aの先端部分で下蓋51の周縁部を係合して外向きフランジ34側へ押圧・ロックさせている。
図13(C)は、下蓋51の押圧・ロックが解除された状態を示し、エアシリンダ96がロッド98を後退させてカム97aを逆回転させ、カム97aの先端部分が下蓋51の周縁部から解除されている。
図14(A)は、一連の通気手順が終了した後のケーキ80の排出段階(図5:S8-12)において、エアシリンダを原動力とする押圧力で下蓋51がろ過管21の下側に押圧・ロックされていた状態から、エアシリンダを給気/排気を切り換えて押圧力を解除させることにより下蓋51を一定距離だけ下降させた段階を示す。
図14(B)は、前記状態から電動モータを駆動させて水平搬送機構によって下蓋51を水平方向へ移動させた段階を示す。
図14(C)は、電動モータの駆動を継続させて下蓋51をさらに大きく水平方向へ移動させ、ろ過管21の下側を開放させる位置まで搬送した段階を示す。
この場合、ケーキ80の下面と下蓋51側のろ布54とは予め前記通気手順(E)によって剥離性が良好なものになっているため、下蓋51の移動が妨げられるようなことはない。
そして、図14(C)の段階に至ると、ケーキ80は下蓋51の上面からずれて下方へ自然落下する。
ただし、図15において、図2と同様の符号が付されている部材・要素については、同一の部材・要素を示すものとし、ろ過管100以外については同一構成になっている。
また、このろ過管100の下端と下端には外向きフランジ103,104がそれぞれ付設されており、ハウジング31との間でシール機構を構成するようになっていることは上記実施例のろ過管21の場合と同様である。
ただし、通気手順(図5)を実行して下蓋51を開放する段階で、ケーキ81の量が上記実施例よりも多くなると共にテーパー部分の角度が浅くなるため、ろ過管100のろ布102とケーキ81の剥離性が悪くなる可能性がある。
この問題については、上記の通気手順(F)を実行して予めろ布102とケーキ81の剥離性を良くしておくことが有効である。
下蓋51はケーキ80,81の排出時以外はろ過管21,100の下側に押圧・ロックされているため機能的には上記実施例の封止方式で問題はなく、むしろ単一の環状シール部材52だけで足りるという有利性はある。
しかし、ろ過管21,100の外向きフランジ25,103とハウジング31の外向きフランジ34との間を他の環状シール部材で独立に封止しておくという一般的な方式であってもよく、その場合には、下蓋51の環状シール部材52はろ過管21,100の外向きフランジ25,103とハウジング31の外向きフランジ34との嵌合境界部を覆う必要がなく、ろ過管21,100の外向きフランジ25,103と下蓋51の間だけを周回封止すればよい。
サイクロンろ過機1と各脱水装置2a,2bとの連通/遮断は各脱水装置2a,2bのバルブV5の開/閉によって行えるため、一方の脱水装置2a又は2bがサイクロンろ過機1と連通した循環運転手順(逆洗手順も含む)を実行してろ過管21内にスラリーを蓄積させてゆく過程で、他方の脱水装置2b又は2aがサイクロンろ過機1と遮断した状態で脱水手順を実行してスラリーをケーキ化するようにすれば、ろ過・脱水システムの合理的な運用が可能になり、稼動効率を大幅に向上させることができる。
なお、この利用形態における各脱水装置2a,2bの下蓋51の開閉とロックについては、エアシリンダ111a,111bのロッドと下蓋51側に設けたスライダ・クランク機構112a,112bによって行うようになっている。
Claims (8)
- 直管と多数の孔が穿設されたテーパー管とが上下に同軸状に連結し、前記テーパー管部分の内面にろ布を被着させると共に、前記テーパー管部分の下端開口部に外向きフランジを設けたろ過管と、
下部を開口させた箱体であり、上部では前記ろ過管の上端開口部の周囲を封止し、下部の開口端に設けた外向きフランジと前記ろ過管の前記外向きフランジとの間が環状シール部材で周回封止されて、前記ろ過管の外周空間を包囲するハウジングと、
前記ろ過管の上端開口部に前記ハウジングの外側へ向けて連結されている連結管と、
前記ろ過管の下側を密閉/開放する蓋体であり、前記ろ過管の前記外向きフランジと対向する領域には環状シール部材が取り付けられ、前記ろ過管の前記テーパー管部分の下端開口部に対向する領域には通水層を介してろ布が展着されている下蓋と、
前記下蓋を回動又は移動させることにより前記ろ過管の下側を開閉せしめ、その閉状態においては前記下蓋を前記ろ過管の下側に押圧させてロックする下蓋開閉手段とを具備し、
前記連結管の上端に、スラリー状乃至スラッジ状の被脱水物を前記ろ過管内へ投入する際に開放され、前記被脱水物の脱水処理時に閉鎖される第1のバルブを設けると共に、
前記連結管の管内に第2のバルブで開閉される第1の送気管と第3のバルブで開閉される第1の排水・排気管を連通させ、
前記ハウジングが包囲した前記ろ過管の外周空間における前記ろ過管の前記外向きフランジの近傍に第4のバルブで開閉される第2の排水・排気管を連通させ、
前記下蓋の前記通水層に第5のバルブで開閉される第3の排水・排気管と第6のバルブで開閉される第2の送気管を連通させた
ことを特徴とする脱水装置。 - 多数の孔が穿設されたテーパー管の内面にろ布を被着させると共に、前記テーパー管の下端開口部に外向きフランジを設けたろ過管と、
下部を開口させた箱体であり、上部では前記ろ過管の上端開口部の周囲を封止し、下部の開口端に設けた外向きフランジと前記ろ過管の前記外向きフランジとの間が環状シール部材で周回封止されて、前記ろ過管の外周空間を包囲するハウジングと、
前記ろ過管の上端開口部に前記ハウジングの外側へ向けて連結されている連結管と、
前記ろ過管の下側を密閉/開放する蓋体であり、前記ろ過管の前記外向きフランジと対向する領域には環状シール部材が取り付けられ、前記ろ過管の下端開口部に対向する領域には通水層を介してろ布が展着されている下蓋と、
前記下蓋を回動又は移動させることにより前記ろ過管の下側を開閉せしめ、その閉状態においては前記下蓋を前記ろ過管の下側に押圧させてロックする下蓋開閉手段とを具備し、
前記連結管の上端に、スラリー状乃至スラッジ状の被脱水物を前記ろ過管内へ投入する際に開放され、前記被脱水物の脱水処理時に閉鎖される第1のバルブを設けると共に、
前記連結管の管内に第2のバルブで開閉される第1の送気管と第3のバルブで開閉される第1の排水・排気管を連通させ、
前記ハウジングが包囲した前記ろ過管の外周空間における前記ろ過管の前記外向きフランジの近傍に第4のバルブで開閉される第2の排水・排気管を連通させ、
前記下蓋の前記通水層に第5のバルブで開閉される第3の排水・排気管と第6のバルブで開閉される第2の送気管を連通させた
ことを特徴とする脱水装置。 - 直管と多数の孔が穿設されたテーパー管とが上下に同軸状に連結し、前記テーパー管部分の内面にろ布を被着させると共に、前記テーパー管部分の下端開口部に外向きフランジを設けたろ過管と、
下部を開口させた箱体であり、上部では前記ろ過管の上端開口部の周囲を封止し、下部の開口端に設けた外向きフランジで前記ろ過管の前記外向きフランジを内嵌固定することにより、前記ろ過管の外周空間を包囲するハウジングと、
前記ろ過管の上端開口部に前記ハウジングの外側へ向けて連結されている連結管と、
前記ろ過管の下側を密閉/開放する蓋体であり、前記ろ過管の前記外向きフランジと前記ハウジングの前記外向きフランジとの嵌合境界部に対向する領域には環状シール部材が取り付けられ、前記ろ過管の前記テーパー管部分の下端開口部と対向する領域には通水層を介してろ布が展着されている下蓋と、
前記下蓋を回動又は移動させることにより前記ろ過管の下側を開閉せしめ、その閉状態においては前記下蓋を前記ろ過管の下側に押圧させてロックする下蓋開閉手段とを具備し、
前記連結管の上端に、スラリー状乃至スラッジ状の被脱水物を前記ろ過管内へ投入する際に開放され、前記被脱水物の脱水処理時に閉鎖される第1のバルブを設けると共に、
前記連結管の管内に第2のバルブで開閉される第1の送気管と第3のバルブで開閉される第1の排水・排気管を連通させ、
前記ハウジングが包囲した前記ろ過管の外周空間における前記ろ過管の前記外向きフランジの近傍に第4のバルブで開閉される第2の排水・排気管を連通させ、
前記下蓋の前記通水層に第5のバルブで開閉される第3の排水・排気管と第6のバルブで開閉される第2の送気管を連通させた
ことを特徴とする脱水装置。 - 多数の孔が穿設されたテーパー管の内面にろ布を被着させると共に、前記テーパー管の下端開口部に外向きフランジを設けたろ過管と、
下部を開口させた箱体であり、上部では前記ろ過管の上端開口部の周囲を封止し、下部の開口端に設けた外向きフランジで前記ろ過管の前記外向きフランジを内嵌固定することにより、前記ろ過管の外周空間を包囲するハウジングと、
前記ろ過管の上端開口部に前記ハウジングの外側へ向けて連結されている連結管と、
前記ろ過管の下側を密閉/開放する蓋体であり、前記ろ過管の前記外向きフランジと前記ハウジングの前記外向きフランジとの嵌合境界部に対向する領域には環状シール部材が取り付けられ、前記ろ過管の前記テーパー管の下端開口部と対向する領域には通水層を介してろ布が展着されている下蓋と、
前記下蓋を回動又は移動させることにより前記ろ過管の下側を開閉せしめ、その閉状態においては前記下蓋を前記ろ過管の下側に押圧させてロックする下蓋開閉手段とを具備し、
前記連結管の上端に、スラリー状乃至スラッジ状の被脱水物を前記ろ過管内へ投入する際に開放され、前記被脱水物の脱水処理時に閉鎖される第1のバルブを設けると共に、
前記連結管の管内に第2のバルブで開閉される第1の送気管と第3のバルブで開閉される第1の排水・排気管を連通させ、
前記ハウジングが包囲した前記ろ過管の外周空間における前記ろ過管の前記外向きフランジの近傍に第4のバルブで開閉される第2の排水・排気管を連通させ、
前記下蓋の前記通水層に第5のバルブで開閉される第3の排水・排気管と第6のバルブで開閉される第2の送気管を連通させた
ことを特徴とする脱水装置。 - 前記ハウジングが包囲した前記ろ過管の外周空間に対して第7のバルブで開閉される第3の送気管を連通させた請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の脱水装置。
- 請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の脱水装置において、
前記下蓋開閉手段で前記下蓋を前記ろ過管の下側に押圧させてロックし、前記第1のバルブを開放させた状態で、スラリー状乃至スラッジ状の前記被脱水物を前記連結管から前記ろ過管内に取り込み、その取り込み後に前記第1のバルブを閉鎖する被脱水物の取込手順と、
前記第3、第4及び第6のバルブを閉鎖した状態で、前記第2及び第5のバルブを開放し、エアーを前記第1の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第3の排水・排気管へ強制通気させる第1の通気手順と、
前記第2、第4及び第5のバルブを閉鎖した状態で、前記第3及び第6のバルブを開放し、エアーを前記第2の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第1の排水・排気管へ強制通気させる第2の通気手順と、
前記第3、第5及び第6のバルブを閉鎖した状態で、前記第2及び第4のバルブを開放し、エアーを前記第1の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第2の排水・排気管へ強制通気させる第3の通気手順と、
前記第2、第3及び第5のバルブを閉鎖した状態で、前記第4及び第6のバルブを開放し、エアーを前記第2の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第2の排水・排気管へ強制通気させる第4の通気手順と、
前記第3、第4及び第6のバルブを閉鎖した状態で、前記第2のバルブを開放すると共に前記第5のバルブの開閉を連続的に所定回数繰り返し、エアーを前記第1の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第3の排水・排気管へ振動的に強制通気させる第5の通気手順と、
前記下蓋開閉手段で前記下蓋を前記ろ過管の下側を開放させて、前記ろ過管内にある前記被脱水物の脱水後のケーキを下方へ落下させるケーキ排出手順と
を有することを特徴とする脱水方法。 - 請求項5に記載の脱水装置において、
前記下蓋開閉手段で前記下蓋を前記ろ過管の下側に押圧させてロックし、前記第1のバルブを開放させた状態で、スラリー状乃至スラッジ状の前記被脱水物を前記連結管から前記ろ過管内に取り込み、その取り込み後に前記第1のバルブを閉鎖する被脱水物の取込手順と、
前記第3、第4、第6及び第7のバルブを閉鎖した状態で、前記第2及び第5のバルブを開放し、エアーを前記第1の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第3の排水・排気管へ強制通気させる第1の通気手順と、
前記第2、第4、第5及び第7のバルブを閉鎖した状態で、前記第3及び第6のバルブを開放し、エアーを前記第2の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第1の排水・排気管へ強制通気させる第2の通気手順と、
前記第3、第5、第6及び第7のバルブを閉鎖した状態で、前記第2及び第4のバルブを開放し、エアーを前記第1の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第2の排水・排気管へ強制通気させる第3の通気手順と、
前記第2、第3、第5及び第7のバルブを閉鎖した状態で、前記第4及び第6のバルブを開放し、エアーを前記第2の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第2の排水・排気管へ強制通気させる第4の通気手順と、
前記第3、第4、第6及び第7のバルブを閉鎖した状態で、前記第2のバルブを開放すると共に前記第5のバルブの開閉を連続的に所定回数繰り返し、エアーを前記第1の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第3の排水・排気管へ振動的に強制通気させる第5の通気手順と、
前記第4の通気手順と第5の通気手順の間又は前記第5の通気手順の後に実行され、前記第2、第3、第4及び第6のバルブを閉鎖した状態で、第5のバルブを開放すると共に前記第7のバルブの開閉を連続的に所定回数繰り返し、エアーを前記第3の送気管から前記ろ過管内の前記被脱水物内を通じて前記第3の排水・排気管へ振動的に強制通気させる第6の通気手順と、
前記下蓋開閉手段で前記下蓋を前記ろ過管の下側を開放させて、前記ろ過管内にある前記被脱水物の脱水後のケーキを下方へ落下させるケーキ排出手順と
を有することを特徴とする脱水方法。 - 請求項6又は請求項7の脱水方法における前記第1の通気手順において、前記第3の排水・排気管から水の吐出がなくなったことを、前記第2の通気手順への移行条件とした脱水方法。
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