JP6177615B2 - 潤滑油性状解析方法及び解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに摺動する二つ物体の摺動面に供給された又は該摺動面に保持されている潤滑油の膜厚を始めとする潤滑油の性状を、X線を利用して測定し解析する潤滑油性状解析方法及び解析装置に関する。
自動車等の輸送機器や各種工作機器など様々な分野において、例えば軸体と軸受(ベアリング)、ピストンとシリンダなど、固体である二つの物体が接しながら運動する摺動構造が広く利用されている。そうした二つの物体間の摺動面における摩擦を小さくして滑動性を高めるとともに摺動する物体自体の摩耗を軽減するために、摺動面には潤滑油や潤滑剤が供給されるのが一般的である。或る二物体の表面が滑らかに加工されておりそれら二物体が巨視的に見れば接している場合であっても、通常、それら物体の表面にはごく微細な凹凸がある。そのため、微視的に見ればそれら二物体の接触部位にはごく微細な間隙があるから、摺動面に供給された潤滑油や潤滑剤はそうしたごく微細な間隙に存在する。したがって、微視的には、互いに摺動している二つの物体はごく薄い潤滑油や潤滑剤の膜層を挟んで接触していると捉えることができる。
なお、一般に、潤滑剤にはいわゆる油でないものもあるが、本明細書では、機能に着目し「潤滑油」は「潤滑剤」を含むものとする。
摺動面を挟んだ二つの物体の摩擦や摩耗は、該摺動面に存在する潤滑油の膜厚や粘性などの性状に大きく依存する。また、摺動面における潤滑油の性状は、摺動速度や二物体の接触圧などの影響を受ける。したがって、特に、高速に摺動する二つの物体における摩擦摩耗特性の測定や潤滑油の特性測定などのトライボロジー(Tribology)分野に係る研究、試験、評価を的確に行うには、実際の摺動動作時における潤滑油膜のその場計測(in-situ計測)が重要である。
従来、摺動部材の摩擦摩耗特性を測定する手法として、回転駆動される一方の試料であるディスク体の平坦な表面に他方の試料である円柱ピン形状の試験片を押し付けるピンオンディスク方式がよく知られている(特許文献1参照)。しかしながら、ピンオンディスク方式では、試験片とディスク体との接触圧を変化させるとディスク体の傾斜や変形などのために該ディスク体と試験片との接触部位の空間的位置が微妙に変化するため、こうした接触部位を光やX線などを用いて非接触で観察・計測しようとした場合、正確な観察や計測に支障をきたすという問題があった。
これに対し、本願発明者は、互いに摺動する二つの物体の間の接触部位における摩擦摩耗による試料表面状態の変化や摩擦摩耗特性を計測するための新規な摩擦摩耗試験装置を特許文献2において提案している。この摩擦摩耗試験装置では、互いに平行に配置した二本の軸にそれぞれ取り付けた円盤状又は円柱状の試料の側周面を接触させ、一方の軸を回転駆動することで二つの試料を互いに摺動させる。そして、この二つの接触部位つまり摺動面に対して略平行化されたX線を照射し、接触部位の狭い間隙を通り抜けたX線をX線検出器により検出し、そのX線強度などから接触部位の間隙の大きさなどを求めるようにしている。
このような構成によれば、一方の試料を他方の試料に対して押圧する圧力(荷重)が変化しても、円盤状又は円柱状の試料や軸の傾きや変形が生じにくいので、両試料の接触部位は空間的に移動せず、常に正確な計測が可能となるという利点がある。しかしながら、特許文献2には、摺動面を通り抜けてきたX線をどのように検出し、間隙の大きさ等の情報を求めるのかという点については開示されていない。
一方、本願発明者は、二つの物体間のごく微小な間隙の大きさや表面形状を、X線を用いて測定する方法及び装置を特許文献3において提案している。特許文献3に記載の測定方法及び装置では、二つの物体の接触部位に対し、該接触部位の接平面に対する角度が全反射臨界角以下である入射角度で以てX線を照射する。このX線の照射を受けて、接触部位から透過X線や回折・散乱X線、特性X線等が出射されるから、これを2次元X線検出器によりイメージとして検出する。そして、2次元X線強度分布画像上の所定の画素のX線強度の積算値に基づいて接触部位の微小間隙の大きさを求めている。
また、本願発明者らは、微小な観察対象領域を可視化する方法及び装置を特許文献4において提案している。この方法及び装置によれば、観察対象領域に比べて大きな発光面を有するX線源を用い、且つ観察対象領域を通過したX線を検出する2次元X線検出器として画素サイズ(1個の微小X線検出素子の受光面のサイズ)が大きいX線検出器を用いても、観察対象領域についての明瞭な2次元画像を得ることができる。
特許文献3中にも記載されているように、該文献3に記載の測定方法及び装置は、二つの物体が静止状態ではなく互いに摺動している状態であっても、その摺動面(接触部位)が移動しなければ適用が可能である。また、特許文献4に記載の可視化方法及び装置を、特許文献3に記載の測定方法及び装置に採用することも可能である。したがって、これら特許文献3、4に記載の計測技術を特許文献2に記載の摩擦摩耗試験装置に適用して、摺動面における微小間隙の大きさを計測することは原理的には可能である。しかしながら、単に摺動面の微小間隙の大きさを計測するのではなく、そうした微小間隙に存在する潤滑油膜の厚さを計測したりその状態を把握したりするには、次のような困難さがある。
即ち、摺動面に存在する潤滑油には、該潤滑油を挟む二物体から大きな圧力が掛かる。また、摺動速度が高いと摺動面はかなり高温となり、潤滑油も高温になる。通常時とは大きく相違するそうした圧力や温度の条件の下では、潤滑油の粘性(流動性)、膠着性などの性状が可逆的に変化することが推測される。特に、ナノレベルのオーダーの膜厚では、分子の配列状況も膜厚に影響すると考えられるため、特に、潤滑油膜に掛かる単位面積当たりの圧力が重要な要素となると考えられる。また、潤滑油膜を挟んで二つの物体が高い圧力で互いに押し付けられる場合には、それら物体の対向面の表面粗さ自体が微妙に変化し、それが潤滑油の膜厚に影響を及ぼすことも考えられる。したがって、摺動面における潤滑油の膜厚を正確に解析するには、上記のような潤滑油の膜厚に影響を与えると予想される様々な要素をin-situ計測することが重要であるが、こうした計測は困難である。
特開2006−234700号公報 特開2012−117989号公報 特開2012−117988号公報 特開2012−118018号公報
以上のように、互いに摺動している二物体の間の摺動面における潤滑油膜の厚さを様々な接触圧、摺動速度、摺動面粗さなどの条件の下で精度良く解析することは、上記のような従来の技術を以てしても容易ではない。そのため、トライボロジー分野では、特に摺動面における潤滑油膜の厚さやその組成、或いはそのほかの各種性状を高い精度で且つ容易に解析可能な方法及び装置が強く望まれている。
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、互いに摺動している二つの物体の摺動面に供給される又は保持される潤滑油(又は潤滑剤)の膜厚を、非接触で非破壊的に且つリアルタイムで計測することができる潤滑油性状解析方法及び解析装置を提供することである。
また本発明の他の目的は、摺動面における潤滑油の膜厚のみならず、互いに摺動する二物体の接触面積や接触形状、さらに摺動時における潤滑油の組成など、潤滑油膜厚や潤滑油の性状に関連する情報を併せて取得し、摺動面における潤滑油についてのより詳細な解析を行うことができる潤滑油性状解析方法及び解析装置を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る潤滑油性状解析方法は、互いに摺動する二つの物体の間の摺動面に供給される又は保持される潤滑油の性状を解析する潤滑油性状解析方法であって、
側周面の少なくとも一部が円環形状である第1摺動体と、該第1摺動体の中心軸と平行な中心軸を有し、側周面の少なくとも一部が円環形状である第2摺動体とを、円環形状である側周面同士を潤滑油を挟んで接触させるとともに、少なくとも前記第1摺動体をその中心軸を中心に回転駆動させ、
前記第1摺動体と前記第2摺動体とが接触する摺動面を含む平面上に配置されたX線源から、該摺動面に対してX線を照射し、
前記摺動面を挟んで前記X線源と反対側であって該X線源及び該摺動面と一直線上に配置された、複数の微小X線検出素子が2次元的に配置されてなる2次元X線検出器を用い、
前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に沿った方向に並んだ第1状態で、前記摺動面を通過したX線及び該面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得するとともに、
前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に直交する方向に並んだ第2状態で、前記摺動面を通過したX線及び該面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得し、
前記第1、第2なる二つの状態における2次元X線強度分布情報に基づいて前記摺動面における潤滑油の性状を推定することを特徴としている。
また上記課題を解決するためになされた本発明に係る潤滑油性状解析装置は、上記潤滑油性状解析方法を実施するための装置であり、互いに摺動する二つの物体の間の摺動面に供給される又は保持される潤滑油の性状を解析する潤滑油性状解析装置において、
a)中心軸を中心に回転駆動される側周面の少なくとも一部が円環形状である第1摺動体と、
b)該第1摺動体の中心軸と平行な中心軸を有し、側周面の少なくとも一部が円環形状であって該側周面が潤滑油を挟んで前記第1摺動体の側周面に接する第2摺動体と、
c)前記第1摺動体と前記第2摺動体とが接触する摺動面を含む平面上に配置され、該摺動面に対してX線を照射するX線源と、
d)前記X線源及び前記摺動面と一直線上であって該摺動面を挟んで該X線源と反対側に配置された、複数の微小X線検出素子が2次元的に配置されてなる2次元X線検出器と、
e)前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に沿った方向に並んだ第1状態と、前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に直交する方向に並んだ第2状態と、を切り替える配置切替え部と、
を備え、前記第1状態において前記摺動面を通過したX線及び前記平面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得するとともに、前記第2状態において前記摺動面を通過したX線及び前記平面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得し、前記第1、第2なる二つの状態における2次元X線強度分布情報に基づいて、それぞれ前記摺動面における潤滑油の性状を推定するようにしたことを特徴としている。
なお、本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置では、特にサブミクロンオーダー、ナノオーダーのごく微小の間隙に存在する潤滑油の膜厚などの性状を解析するため、特許文献4に開示されている測定原理や2次元X線強度分布に基づく可視化手法を利用することができる。
本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置において、第1摺動体と第2摺動体とは互いに押し付けられた状態で摺動するが、このとき、それら摺動体や回転軸の傾きや変形が起こりにくく、それ故に回転振れも生じにくい。そのため、接触圧等の条件が変わっても、測定したい摺動面の空間的な位置は変化しない。なお、各摺動体の側周面は曲面であるが、第1摺動体と第2摺動体とが強く接触するとそれぞれの表面は微視的に弾性変形するので、摺動面では両摺動体は略平面で接する。したがって、摺動面は略平面であるとみなすことができる。
このような摺動面に対しX線源からX線が照射されると、その一部は摺動面に存在する微小間隙に存在する潤滑油を通過して反対側に現れる。このときに現れるX線には、二つの摺動体の表面における散乱や回折を生じずに純粋に間隙を通り抜けてくるX線(以下「直線的通過X線」という)と、摺動体の表面で散乱や回折を生じて摺動面の厚さ方向(つまりは潤滑油膜の厚さ方向)に拡がりながら出射してくるX線(以下「摺動面散乱X線」という)とがあるが、いずれにしても、2次元X線検出器の検出面において、摺動面における潤滑油の性状を解析する上で有意な情報を含むX線が到達する範囲はかなり限られ、それ以外の部分で微小X線検出素子から何らかの検出信号が得られてもそれは無為な情報である。そこで、本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置では、上述したような有意な情報を含むX線による検出信号のみを取り出すために、摺動面を通過したX線と、摺動面に沿ってそのすぐ外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線とが到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行う。
ただし、摺動面散乱X線の発生状況は互いに接触している摺動体表面の粗さに大きく依存する。通常、第1摺動体と第2摺動体の対向面が鏡面状態である等、微小凹凸が殆どない場合には散乱は生じにくいため、摺動面の厚さ方向(つまりは潤滑油膜の厚さ方向)に拡がるX線は主として回折X線であり、その量は比較的少ない。これに対し、第1摺動体と第2摺動体の対向面における凹凸が大きい場合には、摺動面を通過する際のX線の散乱が多く、摺動面の厚さ方向の散乱X線の拡がりは大きく量も多くなる。また、直線的通過X線は摺動面における潤滑油膜の厚さを直接反映した情報を含むのに対し、摺動面散乱X線はむしろ摺動体の表面状態を反映した情報を含み、その点で、直線的通過X線と摺動面散乱X線とはかなり性質の異なるX線である。
そこで、上述したような視野制限を行う場合に、例えば摺動体の表面粗さの状況等に応じて、検出信号を有効として扱う微小X線検出素子の範囲を変更するとよい。
具体的には一実施態様として、摺動面の厚さ方向に、該摺動面における第1摺動体と第2摺動体との間の間隙を直線的に通過したX線が到達する範囲を有効として扱う視野制限を行うとよい。これにより、各摺動体の対向面が鏡面状態であるような場合に、摺動面における潤滑油膜の厚さを直接的に反映した情報を得て、精度よく潤滑油膜厚を推定することができる。
一方、他の実施態様として、摺動面の厚さ方向に、該摺動面における第1摺動体と第2摺動体との間の間隙を直線的に通過したX線が到達する範囲、及び該摺動面で散乱又は回折して厚さ方向に広がるX線が到達する範囲の少なくとも一部、を有効として扱う視野制限を行ってもよい。これにより、摺動面散乱X線の状況を把握し、それに基づいて微小凹凸の高さを推定することで、これを反映させた潤滑油膜厚を推定することができる。
また本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置では、摺動面に対し一方向だけでなく、互いに直交する二方向について同様にして2次元X線強度分布を取得する。この二方向は、摺動面における摺動方向とこれに直交する方向の二方向である。それら二方向でそれぞれ得られる2次元X線強度分布は同じ摺動面における潤滑油の性状に関する情報を含むが、X線の通過経路が相違するので、摺動面の拡がり方向における潤滑油の性状の2次元的な分布情報を推定することができる。それによって、例えば摺動面における潤滑油の平均的な膜厚だけでなく、潤滑油膜厚の2次元分布の解析も可能である。
また本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置では、2次元X線検出器の検出面上で、摺動面を通過したX線が到達する相対的にX線強度が低い領域と、摺動面の外側の第1摺動体と第2摺動体とが接触していない両者の間の空間を通過したX線が到達する相対的にX線強度が高い領域との境界を求め、二つの境界の間隔から第1摺動体と第2摺動体とが接触する摺動面の幅を求めるようにするとよい。
上述したように、摺動面における摺動方向とこれに直交する方向の二方向とでそれぞれ摺動面の幅が求まれば、これによって摺動面をX線が通過する際の通過長が判明する。X線が潤滑油中を通過する際に吸収を受けるため、間隙の大きさ、つまりは潤滑油膜の厚さが同一でも通過長が長いほど2次元X線検出器で得られるX線強度は低くなる。したがって、2次元X線検出器で得られた2次元X線強度分布に、さらに上記のように求まった摺動面の幅についての情報を加えることで、潤滑油膜の厚さの推定精度を向上させることができる。
また、摺動面における摺動方向とこれに直交する方向の二方向とでそれぞれ摺動面の幅が求まれば、第1摺動体と第2摺動体とが接触する略平面である摺動面の面積を推定することが可能である。この接触面積は両摺動体が互いに押し付けられる圧力に依存する。また、接触面積は、摺動速度、つまりは摺動体の回転速度や潤滑油の挙動にも依存する。換言すれば、接触面積から単位面積当たりの圧力を推定し、それを利用してより正確な潤滑油の膜厚を導出することも可能である。
なお、本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置において、上記のように摺動面における摺動方向とこれに直交する方向の二方向の測定を簡便に行うためには、位置が固定されたX線源及び2次元X線検出器に対して、第1摺動体と第2摺動体とをそれぞれ保持する試料保持部を回動させて向きを変更する構造とし、該試料保持部を略90°回動させることにより、X線源、2次元X線検出器、及び摺動面の配置を第1状態と第2状態とで切り替える構成とするとよい。
この構成によれば、高価であるX線源と2次元X線検出器とを一組のみ用意し、試料保持部を回動させるだけで、摺動面における摺動方向とこれに直交する方向との切り替えを行うことができる。したがって、装置のコストを抑えるのに有利である。
また本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置ではさらに、X線源から前記摺動面に照射されるX線に対応して該摺動面又はその一部から出射される特性X線を選択して、前記2次元X線検出器と干渉しない位置に配置した特性X線検出器により検出し、該特性X線検出器による検出信号に基づいて摺動面における潤滑油の組成を解析することが好ましい。
第1摺動体と第2摺動体との摺動面にX線を照射すると、摺動面からは潤滑油に含まれる元素に特有の特性X線も出射する。この特性X線をエネルギー分散型X線検出器等の特性X線検出器により検出してその検出信号を解析すれば、潤滑油に含まれる元素組成を調べることができる。両摺動体の摺動動作時にin-situ計測により潤滑油の組成が判明するので、例えば摺動速度を非常に高速にしたときの極限状態の潤滑油の組成変化などを求めることができる。ただし、X線源からのX線は摺動面だけでなく第1、第2摺動体が接触していない部分の潤滑油にも当たるから、摺動面における潤滑油の組成を正確に解析するには、摺動面又はその一部から出射される特性X線を選択的に特性X線検出器に導入する必要がある。そのためには、特性X線検出器に導入される特性X線の入射角度を制限するためのノズルやマルチキャピラリX線レンズなどを利用することができる。
また同様の目的を達成するために、本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置では、前記X線源から前記摺動面に照射されるX線に対応して少なくとも該摺動面又はその一部から出射される特性X線を、前記2次元X線検出器に代えて配置した又は前記摺動面と前記2次元X線検出器との間に一時的に配置した特性X線検出器により検出し、該特性X線検出器による検出信号に基づいて摺動面における潤滑油の組成を解析するようにしてもよい。
本発明に係る潤滑油性状解析方法及び装置によれば、互いに摺動する二つの物体の間の摺動面に供給された又は保持されている潤滑油のごく薄い膜厚を、実際に摺動動作を行っている状況下で精度よく測定することができる。また本発明に係る潤滑油性状解析方法及び解析装置によれば、摺動面における潤滑油の膜厚のみならず、例えば摺動速度を上げたときの極限状態における潤滑油の組成など、膜厚以外の潤滑油の性状に関する情報も得ることができる。それにより、摺動面における潤滑油の状態を的確に把握することが可能となる。
本発明の一実施例である潤滑油性状解析装置の概略構成図。 本実施例の潤滑油性状解析装置における摺動試験部の構成図。 本実施例の潤滑油性状解析装置における測定方向切替え状態を示す概略上面図。 二つの摺動体の摺動面を摺動方向に直交する方向から見た図。 二つの摺動体の摺動面の概念図。 略楕円形状である摺動面の長径及び短径の推定の概念図。 摺動面を通過したX線を2次元X線検出器で検出した実測例を示す図。 摺動体の表面粗さの相違による通過X線の挙動の相違の説明図。 潤滑油膜厚方向の視野制限の説明図。 2次元X線検出器と特性X線検出器を併設した構成の一例の概略構成図。 2次元X線検出器と特性X線検出器を併設した構成の他の例の概略構成図。 摺動体に加えた圧力と中心限定視野制限範囲C内で得られるX線強度値との関係の実測例を示す図。 摺動面における線速度を変化させたときの圧力と中心限定視野制限範囲C内で得られるX線強度値との関係の実測例(a)、及び、X線強度値を求める範囲を中心近傍視野制限範囲Dに広げたときの圧力とX線強度値との関係の実測例(b)を示す図。 摺動面及びその近傍を通過したX線により得られるX線強度分布像と接触部の薄い層(即ち潤滑油膜層)のみの水平方向のX線強度プロファイルの実測例を示す図。 摺動面及びその近傍を通過したX線により得られるX線強度分布像と接触部の薄い層(即ち潤滑油膜層)のみの水平方向のX線強度プロファイルの実測例を示す図。 摺動線速度一定の条件下での圧力と接触幅との関係の実測例を示す図。
以下、本発明の一実施例である潤滑油性状解析装置について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施例である潤滑油性状解析装置の概略構成図、図2は図1中の摺動試験部20の部分的な詳細構成図、図3は測定方向切替え状態を示す概略上面図である。
図1に示すように、本実施例の潤滑油性状解析装置1の主要な構成要素は、剛性テーブル2上に載置された除振機能付精密作業台3の上に設置されている。X線の漏洩を防止するとともに外部からの干渉を回避するために、主要構成要素全体を被覆するように剛性テーブル2上にはX線遮蔽箱4が設置され、このX線遮蔽箱4には、その内部の温度調節を行うための温調部5と、測定実行中であることを周囲に報知するためのX線警告灯6が設けられている。もちろん、これらはX線を扱う測定装置に一般的なものである。
除振機能付精密作業台3上には、マイクロフォーカスX線源10と、該X線源10から出射されたX線の中で略平行(図1においてはX軸方向に略平行)であるX線束を取り出すアパーチャ部12と、二つの摺動体25、28を互いに摺動させる摺動試験部20と、2次元X線検出器30と、が設置されている。X線源10は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸にそれぞれ沿った方向に位置調整可能である3軸調整ステージ11上に配置されている。摺動試験部20は、X軸、Y軸、Z軸の3軸にそれぞれ沿った方向に高精度に位置調整可能である3軸調整ステージ21、及びZ軸を中心とする回転方向Rに略90°回動可能である回動ステージ29上に配置されている。
摺動試験部20において、モータ等を含む回転駆動部26により回転駆動される駆動軸27には略円盤形状の第1摺動体28が固定されている。この第1摺動体28は駆動軸27と同じ速度で回転し、その回転速度は所定範囲内で任意に設定可能である。駆動軸27と平行に延伸し、且つ所定間隔離間してZ軸方向に同じ位置に設けられた従動軸24には、略円盤状の第2摺動体25が固定されている。従動軸24は加圧機構22によりZ軸方向、つまり従動軸24の中心軸と駆動軸27の中心軸との両方に直交する方向に移動可能となっている。これは図2中に白抜矢印で示す押圧方向及びそれと反対方向である。即ち、加圧機構22は、駆動軸27に対して従動軸24を平行に保ちつつ、第2摺動体25の側周面が第1摺動体28の側周面に押し付けられるように従動軸24を移動させて所定の圧力を加える。それにより、第2摺動体25の側周面と第1摺動体28の側周面とが接触し、両者の間に摩擦が生じる。測定対象である潤滑油は両摺動体28、25が接触する摺動面に供給され、両摺動体28、25の間にごく薄い皮膜を形成する。ここでは、解析対象である摺動面における潤滑油の膜厚は、数十nm程度ときわめて薄い場合も想定している。
従動軸24は回転自在であるが、回転制止状態とすることも可能である。従動軸24が回転自在である場合には、上述したように第1摺動体28と第2摺動体25とが接触すると、第1摺動体28の回転駆動力を受けて第2摺動体25も回転する(図2参照)。一方、従動軸24が回転制止状態とされた場合には、第1摺動体28と第2摺動体25とが接触しても第2摺動体25は回転せず、第2摺動体25の側周面の特定箇所が常に第1摺動体28の側周面に接触しながら第1摺動体28のみが回転する。いずれにしても、後述するように、第1摺動体28と第2摺動体25とが接触した部位が摺動面となり、該摺動面に潤滑油は保持される。
加圧機構22にはロードセル23が付設されており、このロードセル23は第2摺動体25が第1摺動体28に押し付けられたときにその圧力を計測し電気信号として出力する。さらにまた、図示しないが、摺動試験部20には、第2摺動体25と第1摺動体28とが共に金属等の導電体であって両者が接触した状態であるときに両者の間の電気抵抗を計測するための接触電気抵抗検出器が設けられている。
2次元X線検出器30は、X軸、Y軸、Z軸の3軸にそれぞれ沿った方向に位置調整可能である3軸調整ステージ31上に配置されている。この2次元X線検出器30は多数の微小X線検出素子が2次元状に配置された検出面を有し、該検出面に入射したX線像に対する2次元X線強度分布を示す検出信号(電気信号)を素子毎、つまり画素毎に生成可能である。さらに、この2次元X線検出器30は、特許文献4に開示されているように、画素毎にX線フォトンの検出回数を計数し、その計数値に応じた2次元データを生成する演算部を含む。したがって、この2次元X線検出器30からは、検出器面上の各画素に入射したX線フォトンの数に応じたデータ値の2次元分布である2次元データが出力され、これがX線遮蔽箱4の外側に設けられた信号処理部8に入力される。
信号処理部8は典型的にはパーソナルコンピュータ等により具現化される。信号処理部8は受け取った2次元データに基づいて、特許文献4に詳しく記載されている重心検出などの画像処理を実施して、指定された視野制限範囲内の可視化データを生成する。また、信号処理部8は、その可視化データに基づいて、摺動面の間隙の大きさを求めるとともに、後述するように例えば摺動面の幅やさらに摺動面の面積(接触面積)などを算出し、そうした情報に基づいて摺動面における潤滑油の膜厚など、潤滑油の性状に関する情報を精度よく求める。この結果は例えばパーソナルコンピュータのモニタである出力部9により出力される。
なお、X線源10は除振機能付精密作業台3上で3軸調整ステージ11により位置が調整された後固定されるのに対し、摺動試験部20及び2次元X線検出器30はそれぞれ、除振機能付精密作業台3上にX軸方向に延伸して配設されたガイドレール7に沿って可動自在であり、それによって、X線源10と摺動試験部20との間の距離、摺動試験部20と2次元X線検出器30との間の距離が適宜調整できるようになっている。
さらにまた、摺動試験部20は回動ステージ29によりZ軸を中心とする回転方向Rに略90°回動可能となっている。図3(a)、(b)に示すように、X線源10及び2次元X線検出器30の位置を固定し、回動ステージ29により摺動試験部20を第1位置と略90°回転させた第2位置とで切り替えると、第1摺動体28と第2摺動体25とが接触している摺動面に対してX線が通過する方向が互いに直交するように切り替わる。即ち、図3(b)に示す状態では、X線源10から照射されたX線は第1摺動体28及び第2摺動体25の摺動方向に通過し、図3(a)に示す状態では、X線は摺動方向に直交する方向に通過する。このように、本実施例の潤滑油性状解析装置では、1組のX線源10及び2次元X線検出器30を用い回動ステージ29により摺動試験部20の向きを変えるだけで、摺動面に対するX線の通過方向が互いに異なる2種類の測定を実施することができる。
次に、本実施例の潤滑油性状解析装置において摺動面に保持されている潤滑油の膜厚などの性状を測定するための動作を説明する。
図4は、第2摺動体25が第1摺動体28に適宜の圧力で押し付けられている状態における摺動面を摺動方向に直交する方向から見た概略図である。通常、第1摺動体28と第2摺動体25とが強く押し付けられている部分ではその表面はそれぞれ弾性変形する。そのため、摺動面はそれぞれ弾性変形した摺動体28、25同士が平面で接しているとみることができる。したがって、図4に示すように摺動方向に直交する方向から摺動面を見たとき、第1摺動体28と第2摺動体25とが略平面で接している領域P1が摺動面に相当し、その前後の領域P2、P3では、第1摺動体28と第2摺動体25とが接せず、領域P1から遠ざかるに従い空隙が広がる。微視的に見れば、摺動体28、25が接している領域P1においてもごく微小な間隙があり、摺動面に供給された(又は保持されている)潤滑油はその微小間隙に存在している。したがって、一般的にはこの摺動面における潤滑油膜の厚さは微小間隙の大きさと実質的に同じであるが、間隙がごく狭く、圧力が高い状態では、膜厚は単位面積当たりの圧力等にも依存するため、そうした要素も加味した詳細な解析が必要となる。
図5は第1摺動体28と第2摺動体25とが略平面で接している摺動面の概念図である。図2(b)に示したように、第1摺動体28の側周面は駆動軸27に平行な面が直線的であるのに対し、第2摺動体25の側周面は駆動軸27(及び従動軸24)に平行な面が曲線的である。そのため、両摺動体28、25が互いに押し付け合って弾性変形状態で接すると、その摺動面A(A’)は図5に示すように略楕円形状となる。その略楕円形状の摺動面A又はA’の面積は圧力が大きいほど広くなるが、相似形状(つまりは長径と短径との比率が一定)のまま接触面積が変化するとは限らない。
もちろん、摺動体28、25が接触している摺動面A(又はA’)の面積と全体の圧力とには相関があり、全体的な圧力はロードセル23による検出信号より求まるから、接触面積が判明すれば、単位面積当たりの圧力を計算することができる。この単位面積当たりの圧力は、摺動面A(又はA’)における潤滑油膜厚に影響するから、摺動面A(又はA’)の面積は潤滑油膜厚を導出する上で重要な情報である。
本実施例の潤滑油性状解析装置では、上述したように、回動ステージ29により摺動試験部20を略90°回動させることで、摺動面に対し摺動方向に通過したX線の2次元X線強度分布と、摺動面に対し摺動方向と直交する方向に通過したX線の2次元X線強度分布とを得ることができる。それにより、略楕円形状である摺動面A(又はA’)の長径及び短径をそれぞれ推定することができる。図6は摺動面の長径及び短径の推定の概念図である。
図6において、符号30Aは図3(a)の状態における2次元X線検出器の位置、符号30Bは図3(b)の状態における2次元X線検出器の位置を示す。2次元X線検出器が符号30Aの位置にある状態で摺動方向と直交する方向にX線が照射されると、摺動面Aの長径にほぼ相当する接触幅(図4中の領域P1に相当)ではX線強度は略一定となる。厳密にいえば、接触幅両端に近づくほど潤滑油による吸収や摺動体25、28表面での散乱などが減るため、それだけX線強度は大きくなり、この変化は潤滑油の膜厚を算出する上では重要な情報であるものの、その変化は相対的に小さい。一方、上述したように、摺動面Aの外側では両摺動体25、28の間の空隙が急に大きくなるため、X線強度は急に大きくなる。したがって、X線強度分布においてその強度が大きく(且つ急峻に)変化する二つの境界を見い出し、その二つの境界の距離を計測すれば、摺動面Aの長径にほぼ相当する接触幅を得ることができる。
また、2次元X線検出器が符号30Bの位置にある状態で摺動方向にX線が照射されると、摺動面Aの短径にほぼ相当する接触幅でX線強度は略一定となる。したがって、上記と同様にしてX線強度分布においてその強度が大きく変化する二つの境界を見い出し、その二つの境界の距離を計測すれば、摺動面Aの短径にほぼ相当する接触幅が得られる。
図7は、摺動面に対して摺動方向と直交する方向にX線を照射し、通過してきたX線を2次元X線検出器で検出して可視化した実測例を示す図である。ここでは、図中、Bで示す横方向に広い矩形状の範囲に存在する微小X線検出素子で得られたX線強度を用いて、図中下に示すX線強度分布を求めている。この実測結果から、X線強度分布において強度が大きく変化する境界をみつけ、接触幅を求めることができることが確認できる。このようにして、二つの摺動体28、25が接している略楕円形状の摺動面の長径及び短径をそれぞれ測定することができるから、それに基づいて摺動面の面積を求めることが可能である。
本実施例の潤滑油性状解析装置では、例えば図3(a)に示すように2次元X線検出器30が配置された状態で、X線源10からX線を出射させると、アパーチャ部12を通過したほぼ平行X線束であるとみなせるX線が二つの摺動体28、25が接触した摺動面に照射される。上述したように、二つの摺動体28、25の間には潤滑油の皮膜が存在するごく狭い間隙があるから、照射されたX線の一部はその間隙を通り抜けて2次元X線検出器30の検出面に到達する。このときに検出面上に形成される像を可視化すると、例えば図7に示したようになる。摺動面の微小間隙を通過して来たX線の強度は小さいものの、例えば所定時間内に得られたX線強度を所定時間に亘り積算することで充分な感度を確保することができる。
特許文献3に記載されているように、二つの物体の間に形成される間隙のサイズがサブミクロンからナノレベルのごく小さいものであるときに、その間隙を通過して来るX線や散乱・回折するX線は理論的計算により定量することができる。したがって、逆に、或る微小間隙を通過して来るX線の強度が分かりさえすれば、その間隙のサイズ、つまりは潤滑油の膜厚の概略値を推算することができる。ただし、特許文献3では、間隙のサイズに応じた回折強度パターンを考慮していたが、実際に測定された強度パターンは、この回折強度パターンと摺動体の表面粗さに大きく依存する散乱による強度パターンとが混合されたものであることに注意する必要がある。
即ち、摺動体25、28の表面粗さは様々であり、例えば表面が高度に鏡面処理されたような物体であれば表面の凹凸は殆どない。一方、表面処理されていないような物体であれば、表面の微小な凹凸は比較的大きい。このように摺動体25、28の表面状態が異なると、摺動面を通過した後のX線の挙動はかなり相違する。図8は巨視的には略平行であるとみなせる二つの物体の表面粗さの相違によるX線の挙動の相違を示す概念図である。なお、厳密にいうと、二つの物体の間隙に入射してくるX線は平行X線束だけではなく、斜め方向に或る角度を以て入射してくるX線もあるが、実際には、二つの物体の間隙の大きさに比べて、X線源10と摺動面との間の距離は格段に長いので、入射して来るX線束が平行X線束であるとみなしても差し支えない。
図8(a)に示すように、二つの物体の対向する面に微小凹凸がない場合には、物質表面と略平行に入射して来たX線は微小凹凸に当たらないため、ほぼ全てが直進して間隙を通り抜ける。厳密には、入射X線は完全な平行X線ではないため、及び、物体表面に凹凸が全くないということはないため、間隙に入射したX線の一部は散乱を生じる。また微小凹凸の有無に拘わらず、出口端では回折が生じる。しかしながら、そうした散乱や回折は全体でみればそれほど多くなく、摺動面散乱X線の拡がりは小さい。これに対し、図8(b)に示すように、物体表面の微小凹凸が比較的大きい場合には、物質表面と略平行に入射して来たX線の一部は微小凹凸に当たって反射・散乱する。そのため、摺動面散乱X線は大きく拡がることになる。即ち、微小凹凸が殆どない場合には、間隙をほぼそのまま通過して来る直線的通過X線は摺動面の間隙の大きさをかなり正確に反映しているのに対し、微小凹凸が比較的大きい場合には、直線的通過X線の強度のほかに、微小凹凸の状況を反映した摺動面散乱X線の強度を考慮して摺動面の間隙の大きさを算出することが必要となる。
そこで本実施例の潤滑油性状解析装置では、2次元X線検出器30で得られた2次元データを信号処理部8で処理して可視化データを生成する際に、実質的なX線撮像の視野制限を行うようにしている。図9は潤滑油膜厚方向の視野制限の説明図である。図中、Cは主として摺動面通過X線のみを選択的に検出するための中心限定視野制限の範囲を示し、Dは摺動面通過X線と摺動面散乱X線の大部分を共に検出するための中心近傍視野制限の範囲を示す。なお、図7や後述の図9に示すように、中心限定視野制限範囲C、中心近傍視野制限範囲Dは摺動面の厚さ方向(Z軸方向)に大きさが相違するが、その範囲の幅は基本的に同一であり、摺動面の幅よりも充分に狭くなるように定められる。
摺動体28、25の表面粗さが予め判っている場合には、中心限定視野制限範囲C又は中心近傍視野制限範囲Dのいずれかの視野制限を設定して可視化データを生成すればよいが、通常、摺動体の表面粗さは事前には不明である。そこで、視野制限範囲を中心限定視野制限範囲Cと中心近傍視野制限範囲Dとで切り替えてそれぞれ可視化データを生成し、両画像の差異が小さければ、摺動面散乱X線は少なく、つまりは表面の微小凹凸が殆どないと判断できる。逆に、両画像の差異が大きければ、摺動面散乱X線は多く、つまりは表面の微小凹凸が比較的大きいと判断できる。このようにして、摺動体28、25の表面粗さの状況も判定可能である。
このようにして、信号処理部8は、図3(a)に示すように2次元X線検出器30が配置された状態で、信号処理部8において摺動面の厚さ方向及び幅方向に視野制限を行って摺動面付近の範囲に対応した可視化データを取得し、また別途、摺動面の境界が判明するように幅方向の視野制限を摺動面の外側にまで広げた可視化データを取得する。また、図3(b)に示すように2次元X線検出器30が配置された状態でも同様に、摺動面の厚さ方向及び幅方向に視野制限を行って摺動面付近の範囲に対応した可視化データを取得し、また別途、摺動面の境界が判明するように幅方向の視野制限を摺動面の外側にまで広げた可視化データを取得する。さらにまた、信号処理部8はロードセル23からそのときの圧力の計測値を取得する。信号処理部8は上述のように視野制限の下で得られた可視化データに基づき、間隙の大きさを求めるとともに、摺動面の接触面積を計算し、その接触面積と全体の圧力とから求まる単位面積当たりの圧力を反映させて、摺動面における潤滑油の膜厚を精度よく推算する。そして、その結果を出力部9に出力する。
図12は、図3(a)に示した状態、つまりX線を摺動体25、28の軸方向に通過させた状態における、加圧機構22から加える圧力と中心限定視野制限範囲C内で得られるX線強度値との関係の実測例である。円盤状の摺動体28の周面における速度、つまりは摺動面における線速度は0.17[m/s]一定である。該図から、圧力が増加するに従い、X線強度値が下がっていることが判る。これは、両摺動体25、28の間隙、即ち潤滑油膜厚の変化を示していると考えられる。ただし、圧力が大きいと、つまりは接触面積が広がるとX線強度値のばらつきが大きくなる傾向にあり、正確な解析には接触面積の変化の把握が必要である。
図13(a)は、図3(a)に示した状態において摺動面における線速度を変化させたときの圧力と中心限定視野制限範囲C内で得られるX線強度値との関係の実測例であり、図13(b)は、X線強度値を求める範囲を中心近傍視野制限範囲Dに広げたときの圧力とX線強度値との関係の実測例である。ここで、圧力範囲は図12における圧力範囲よりも1桁低くなっており、比較的低い圧力範囲での結果である。
図13(a)から判るように、X線強度を求める範囲を中心限定視野制限範囲Cとした場合には、圧力や摺動線速度によるX線強度値の相違は殆どない。また、図12の結果からみれば、圧力が増加するに従い、潤滑油膜厚の変化に伴ったX線強度値の低下がみられる筈であるが、図13(a)ではそうした傾向はみられない。これに対し、図13(b)から判るように、X線強度を求める範囲を中心近傍視野制限範囲Dに広げた場合には、圧力や摺動線速度によるX線強度値の相違が顕著であり、圧力の増加に伴うX線強度値の低下傾向が観測される。これは、圧力や摺動線速度によっては、潤滑油膜厚に関する情報を得るのに中心限定視野制限範囲Cは適切ではなく、中心近傍視野制限範囲Dを用いたX線強度測定が必要となることを意味している。即ち、視野制限範囲を適切に切り換えたX線強度測定が重要であるといえる。
図14及び図15はいずれも、図3(a)に示した状態における摺動面及びその近傍を通過したX線により得られるX線強度分布像と水平方向のX線強度プロファイルの実測例である。圧力はともに1[kg]であるが、摺動線速度は図14では0.26[m/s]、図15では1.3[m/s]である。図中、Aは摺動面の接触幅を示しており、圧力が同一であるにも拘わらず、摺動線速度が相違するだけで接触幅Aが相違していることが判る。接触幅が異なることは接触面積が変化することを意味し、接触面積が変われば単位面積当たりの圧力も変化する。したがって、これにより摺動線速度と単位面積当たりの圧力との関係を求めることができる。なお、図14、図15で求まる接触幅は略楕円形状の長径に相当するものであるが、X線の通過方向を変更して短径も同様に実測することで、より正確に接触面形状の解析を行うことができる。
また、図16は、摺動線速度が1[m/s]であるときの圧力と接触幅Aとの関係実測例である。圧力が増加するに伴い接触幅Aは増加しているが、接触幅の増加率は飽和する傾向にある。上述したように、X線の通過方向を変更して短径に相当する接触幅の圧力に対する変化も同様に実測することで、例えば、長径方向と短径方向とで圧力の増加に対する長さの増加の傾向が相違する場合であっても、圧力に対する接触面形状の変化を正確に把握することができる。
また、以上のようにして求めた、摺動線速度や単位面積当たりの圧力と接触面積との関係に、中心限定視野制限範囲C内のX線強度の変化や中心近傍視野制限範囲D内のX線強度の変化などの情報を併せて、従来は行えなかった、摺動線速度、単位当たり圧力、潤滑油膜厚の関係等の解析を行うことが可能となる。
また、X線の照射を受けた物体からは特性X線も放出されるから、2次元X線検出器30とは別にエネルギー分散型X線検出器等の特性X線検出器を設置して潤滑油から出射される特性X線を検出して解析することにより、摺動動作時における潤滑油の組成を解析することもできる。
図10は2次元X線検出器30と特性X線検出器300を併設した場合の要部概略構成図である。特性X線検出器300は、摺動面と2次元X線検出器30とが載る略平面上であって2次元X線検出器30と干渉しない位置に設置される。ただし、摺動面以外の例えば両摺動体28、25が接することなく対面している間隙に存在している潤滑油から出射された特性X線が特性X線検出器300に入射すると、高速摺動時における極限状態の潤滑油の組成を正確に解析することができない。そこで、図10の構成例では、入口端面が狭い筒状であって特性X線検出器300の検出面に近づくに伴いテーパ状に拡がる円錐状壁面を有するノズル301を、特性X線検出器300の手前に配設している。このノズル301により、摺動面でない領域から到来するX線を除去し、摺動面の例えば中心限定視野制限範囲Cから出射する特性X線のみを集めて特性X線検出器300に導入することができる。なお、図中に点線で示すように、特性X線検出器300の位置を移動させたり或いは回動させたりすることで、摺動面ではなく、二つの摺動体28、25が接しない空間にある潤滑油から発せられる特性X線を検出することも可能である。これにより、摺動面における極限状態の潤滑油とそうでない通常の潤滑油との組成の変化などを簡単に解析することができる。
図11はノズル301に代えてマルチキャピラリX線レンズ302を用いた構成例である。多数の細管状のキャピラリを束ねた構造であるマルチキャピラリX線レンズ302は、ごく狭い範囲から出射されたX線を効率良く収集して輸送するのに好適である。したがって、図11に示す構成とすることで、特性X線の検出感度を向上させ、組成推定を一層容易にすることができる。
また、図10、図11の構成では、2次元X線検出器30と干渉しない位置に特性X線検出器300を配置していたが、摺動面を通過してきたX線と、摺動面の潤滑油から2次的に発せられた特性X線とを同時並行的に検出するのでなければ、移動機構により2次元X線検出器30の代わりに特性X線検出器を配置したり、2次元X線検出器30と摺動面との間の軸上に特性X線検出器を挿入したりしてもよい。この場合でも、摺動面の潤滑油から発せられた特性X線を選択的に検出できるように、ノズルやマルチキャピラリX線レンズなどの視野制限機構を設けることが好ましい。
なお、上記実施例は本発明の一例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正又は追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…潤滑油性状解析装置
2…剛性テーブル
3…除振機能付精密作業台
4…X線遮蔽箱
5…温調部
6…X線警告灯
7…ガイドレール
8…信号処理部
9…出力部
10…マイクロフォーカスX線源
11…3軸調整ステージ
12…アパーチャ部
20…摺動試験部
21…3軸調整ステージ
22…加圧機構
23…ロードセル
24…従動軸
25…第2摺動体
26…回転駆動部
27…駆動軸
28…第1摺動体
29…回動ステージ
30…2次元X線検出器
31…3軸調整ステージ
300…特性X線検出器

Claims (14)

  1. 互いに摺動する二つの物体の間の摺動面に供給される又は保持される潤滑油の性状を解析する潤滑油性状解析方法であって、
    側周面の少なくとも一部が円環形状である第1摺動体と、該第1摺動体の中心軸と平行な中心軸を有し、側周面の少なくとも一部が円環形状である第2摺動体とを、円環形状である側周面同士を潤滑油を挟んで接触させるとともに、少なくとも前記第1摺動体をその中心軸を中心に回転駆動させ、
    前記第1摺動体と前記第2摺動体とが接触する摺動面を含む平面上に配置されたX線源から、該摺動面に対してX線を照射し、
    前記摺動面を挟んで前記X線源と反対側であって該X線源及び該摺動面と一直線上に配置された、複数の微小X線検出素子が2次元的に配置されてなる2次元X線検出器を用い、
    前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に沿った方向に並んだ第1状態で、前記摺動面を通過したX線及び該面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得するとともに、
    前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に直交する方向に並んだ第2状態で、前記摺動面を通過したX線及び該面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得し、
    前記第1、第2なる二つの状態における2次元X線強度分布情報に基づいて前記摺動面における潤滑油の性状を推定することを特徴とする潤滑油性状解析方法。
  2. 請求項1に記載の潤滑油性状解析方法であって、
    前記視野制限は、前記摺動面の厚さ方向に、該摺動面における第1摺動体と第2摺動体との間の間隙を直線的に通過したX線が到達する範囲を有効として扱うものであることを特徴とする潤滑油性状解析方法。
  3. 請求項1に記載の潤滑油性状解析方法であって、
    前記視野制限は、前記摺動面の厚さ方向に、該摺動面における第1摺動体と第2摺動体との間の間隙を直線的に通過したX線が到達する範囲、及び該摺動面で散乱又は回折して厚さ方向に広がるX線が到達する範囲の少なくとも一部、を有効として扱うものであることを特徴とする潤滑油性状解析方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の潤滑油性状解析方法であって、
    前記2次元X線検出器の検出面上で、前記摺動面を通過したX線が到達する相対的にX線強度が低い領域と、前記摺動面の外側の前記第1摺動体と前記第2摺動体とが接触していない両者の間の空間を通過したX線が到達する相対的にX線強度が高い領域との境界を求め、二つの境界の間隔から第1摺動体と第2摺動体とが接触する摺動面の幅を求めることを特徴とする潤滑油性状解析方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の潤滑油性状解析方法であって、
    前記X線源及び前記2次元X線検出器に対して、前記第1摺動体と前記第2摺動体とをそれぞれ保持する試料保持部を回動させて向きを変更する構造とし、該試料保持部を略90°回動させることにより、前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面の配置を前記第1状態と前記第2状態とで切り替えることを特徴とする潤滑油性状解析方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油性状解析方法であって、
    前記X線源から前記摺動面に照射されるX線に対応して該摺動面又はその一部から出射される特性X線を選択して、前記2次元X線検出器と干渉しない位置に配置した特性X線検出器により検出し、該特性X線検出器による検出信号に基づいて摺動面における潤滑油の組成を解析することを特徴とする潤滑油性状解析方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の潤滑油性状解析方法であって、
    前記X線源から前記摺動面に照射されるX線に対応して少なくとも該摺動面又はその一部から出射される特性X線を、前記2次元X線検出器に代えて配置した又は前記摺動面と前記2次元X線検出器との間に一時的に配置した特性X線検出器により検出し、該特性X線検出器による検出信号に基づいて摺動面における潤滑油の組成を解析することを特徴とする潤滑油性状解析方法。
  8. 互いに摺動する二つの物体の間の摺動面に供給される又は保持される潤滑油の性状を解析する潤滑油性状解析装置において、
    a)中心軸を中心に回転駆動される側周面の少なくとも一部が円環形状である第1摺動体と、
    b)該第1摺動体の中心軸と平行な中心軸を有し、側周面の少なくとも一部が円環形状であって該側周面が潤滑油を挟んで前記第1摺動体の側周面に接する第2摺動体と、
    c)前記第1摺動体と前記第2摺動体とが接触する摺動面を含む平面上に配置され、該摺動面に対してX線を照射するX線源と、
    d)前記X線源及び前記摺動面と一直線上であって該摺動面を挟んで該X線源と反対側に配置された、複数の微小X線検出素子が2次元的に配置されてなる2次元X線検出器と、
    e)前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に沿った方向に並んだ第1状態と、前記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面を含む平面上でそれらが前記第1摺動体の回転駆動軸に直交する方向に並んだ第2状態と、を切り替える配置切替え部と、
    を備え、前記第1状態において前記摺動面を通過したX線及び前記平面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得するとともに、前記第2状態において前記摺動面を通過したX線及び前記平面に沿ってその外側に拡がる第1摺動体と第2摺動体との間の空間を通過したX線が到達する微小X線検出素子のみの検出信号を有効として扱う視野制限を行って2次元X線強度分布を取得し、前記第1、第2なる二つの状態における2次元X線強度分布情報に基づいて、それぞれ前記摺動面における潤滑油の性状を推定するようにしたことを特徴とする潤滑油性状解析装置。
  9. 請求項8に記載の潤滑油性状解析装置であって、
    前記視野制限は、前記摺動面の厚さ方向に、該摺動面における第1摺動体と第2摺動体との間の間隙を直線的に通過したX線が到達する範囲を有効として扱うものであることを特徴とする潤滑油性状解析装置。
  10. 請求項8に記載の潤滑油性状解析装置であって、
    前記視野制限は、前記摺動面の厚さ方向に、該摺動面における第1摺動体と第2摺動体との間の間隙を直線的に通過したX線が到達する範囲、及び該摺動面で散乱又は回折して厚さ方向に広がるX線が到達する範囲の少なくとも一部、を有効として扱うものであることを特徴とする潤滑油性状解析装置。
  11. 請求項8〜10のいずれかに記載の潤滑油性状解析装置であって、
    前記2次元X線検出器の検出面上で、前記摺動面を通過したX線が到達する相対的にX線強度が低い領域と、前記摺動面の外側の前記第1摺動体及び前記第2摺動体が接触していない両者の間の空間を通過したX線が到達する相対的にX線強度が高い領域との境界を求め、二つの境界の間隔から第1摺動体と第2摺動体とが接触する摺動面の幅を求める信号処理部をさらに備えることを特徴とする潤滑油性状解析装置。
  12. 請求項8〜11のいずれかに記載の潤滑油性状解析装置であって、前記配置切替え部は、
    前記第1摺動体と前記第2摺動体とをそれぞれ保持する試料保持部と、
    前記X線源及び前記2次元X線検出器に対し前記試料保持部を回動させる回動機構と、
    を備え、前記回動機構により前記試料保持部を略90°回動させることによって、記X線源、前記2次元X線検出器、及び前記摺動面の配置を前記第1状態と前記第2状態とで切り替えることを特徴とする潤滑油性状解析装置。
  13. 請求項8〜12のいずれかに記載の潤滑油性状解析装置であって、
    前記X線源から前記摺動面に照射されるX線に対応して該摺動面又はその一部から出射される特性X線を選択して検出する特性X線検出器を、前記2次元X線検出器と干渉しない位置に備えることを特徴とする潤滑油性状解析装置。
  14. 請求項8〜12のいずれかに記載の潤滑油性状解析装置であって、
    前記X線源から前記摺動面に照射されるX線に対応して少なくとも該摺動面又はその一部から出射される特性X線を検出する特性X線検出器を、前記2次元X線検出器に代えて又は前記摺動面と前記2次元X線検出器との間に一時的に備えることを特徴とする潤滑油性状解析装置。
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