以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図3を参照して、本発明の一実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10について説明する。図1はレンズホルダ駆動装置10の外観斜視図である。図2はレンズホルダ駆動装置10の部分縦断面図である。図3はレンズホルダ駆動装置10を示す分解斜視図である。
ここでは、図1乃至図3に示されるように、直交座標系(X,Y,Z)を使用している。図1乃至図3に図示した状態では、直交座標系(X,Y,Z)において、X軸方向は前後方向(奥行方向)であり、Y軸方向は左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は上下方向(高さ方向)である。そして、図1乃至図3に示す例においては、上下方向Zがレンズの光軸O方向である。尚、本第2の実施の形態において、X軸方向(前後方向)は第1の方向とも呼ばれ、Y軸方向(左右方向)は第2の方向とも呼ばれる。
但し、実際の使用状況においては、光軸O方向、すなわち、Z軸方向が前後方向となる。換言すれば、Z軸の上方向が前方向となり、Z軸の下方向が後方向となる。
図示のレンズホルダ駆動装置10は、後述するオートフォーカス用レンズ駆動部20と、携帯端末用の小型カメラで静止画像の撮影時にこのオートフォーカス用レンズ駆動部20に生じた手振れ(振動)を補正する手振れ補正部(後述する)とを含み、像ブレのない画像を撮影できるようにした装置である。レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、オートフォーカス用レンズ駆動部20を、光軸Oに直交し、かつ互いに直交する第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)に移動させることにより、手振れを補正する。
換言すれば、図示のレンズホルダ駆動装置10は、レンズホルダ24が光軸O及び光軸Oに直交し、かつ互いに直交する第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)に移動するレンズホルダ移動部(後述する)と、このレンズホルダ移動部から光軸O方向に離間した配置された固定部材(後述する)とを有する。
オートフォーカス用レンズ駆動部20は、レンズバレル12(図33参照)を光軸Oに沿って移動させるためのものである。オートフォーカス用レンズ駆動部20の底部から半径方向外側へ離間して、ベース14が配置されている。このベース14の下部(後部)には、図示はしないが、センサ基板72(図33参照)上に配置された撮像素子(センサ)76(図33参照)が搭載される。この撮像素子76は、レンズバレル12により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する。撮像素子76は、例えば、CCD(charge coupled device)型イメージセンサ、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。したがって、レンズバレル12と、オートフォーカス用レンズ駆動部20と、センサ基板72と、撮像素子76との組み合わせによって、カメラモジュール70(図33参照)が構成される。
ベース14は、外形が四角形で内部に円形開口14aをもつリング形状をしている。
レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、ベース14の四隅部で一端が固定された4本のサスペンションワイヤ16と、後述するオートフォーカス用レンズ駆動部20の永久磁石28と後述するように対向して配置された手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18とを有する。
4本のサスペンションワイヤ16は、光軸Oに沿って延在し、オートフォーカス用レンズ駆動部20(レンズホルダ移動部)全体を、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yに揺動可能に支持する。4本のサスペンションワイヤ16の他端は、上記オートフォーカス用レンズ駆動部20の上端部に後述するように固定される。
このように、4本のサスペンションワイヤ16は、ベース14に対してオートフォーカス用レンズ駆動部20(レンズホルダ移動部)を、第1の方向X及び第2の方向Yに揺動可能に支持する支持部材として働く。
レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、後述するように、永久磁石28と対向して離間して配置された1枚の四角リング形状のコイル基板40を備える。このコイル基板40は、後述するフレキシブルプリント基板(FPC)44を間に挟んで、ベース14上に取り付けられる。このコイル基板40に上記手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18が形成されている。
次に、図3を参照して、オートフォーカス用レンズ駆動部20について説明する。尚、オートフォーカス用レンズ駆動部20は、AFユニットとも呼ばれる。
オートフォーカス用レンズ駆動部20は、レンズバレル12を保持するための筒状部240を有するレンズホルダ24と、このレンズホルダ24に筒状部240の周囲に位置するように固定されたフォーカスコイル26と、フォーカスコイル26と対向してフォーカスコイル26の外側に配置された永久磁石28を保持するマグネットホルダ30と、マグネットホルダ30の光軸O方向の第1及び第2の端30a、30bにそれぞれ取り付けられた、第1及び第2の板バネ32、34とを備える。第1及び第2の板バネ32、34は、総称して弾性部材(32,34)と呼ばれる。
また、フォーカスコイル26と永久磁石28とマグネットホルダ30との組み合わせによって、上記レンズホルダ移動部(26;28;30)が構成される。換言すれば、レンズホルダ移動部(26;28;30)は、オートフォーカス用レンズ駆動部20から、レンズホルダ24と弾性部材(32,34)とスペーサ36(後述する)とを省いたものである。
第1及び第2の板バネ32、34は、レンズホルダ24を径方向に位置決めした状態で光軸O方向に変位可能に支持する。図示の例では、第1の板バネ32は上側板バネと呼ばれ、第2の板バネ34は下側板バネと呼ばれる。
また、前述したように、実際の使用状況においては、Z軸方向(光軸O方向)の上方向が前方向、Z軸方向(光軸O方向)の下方向が後方向となる。したがって、上側板バネ32は前側スプリングとも呼ばれ、下側板バネ34は後側スプリングとも呼ばれる。
マグネットホルダ30は略八角筒状をしている。すなわち、マグネットホルダ30は、八角筒形状の外筒部302と、この外筒部302の上端(前端、第1の端)30aに設けられた四角形の上側リング状端部304と、外筒部302の下端(後端、第2の端)30bに設けられた八角形の下側リング状端部306を有する。上側リング状端部304は、四隅で、各隅で2つずつ、上方へ突出する8つの上側突起304aを持つ。下側リング状端部306は、四隅で下方へ突出する4つの下側突起306aを持つ。
フォーカスコイル26は、八角筒状のマグネットホルダ30の形状に合わせた、八角筒状をしている。永久磁石28は、マグネットホルダ30の八角筒形状の外筒部302に、第1の方向(前後方向)Xおよび第2の方向(左右方向)Yで互いに離間して配置された、4片の矩形状の永久磁石片282から成る。これら4片の永久磁石片282は、フォーカスコイル26と間隔を置いて配置される。図示の実施の形態では、各永久磁石片282は、内周端側がN極に着磁され、外周端側がS極に着磁されている。
上側板バネ(前側スプリング)32はレンズホルダ24における光軸O方向上側(前側)に配置され、下側板バネ(後側スプリング)34はレンズホルダ24における光軸O方向下側(後側)に配置される。
上側板バネ(前側スプリング)32は、レンズホルダ24の上端部に後述のように取り付けられる上側内周側端部322と、マグネットホルダ30の上側リング状端部304に後述のように取り付けられる上側外周側端部324とを有する。上側内周側端部322と上側外周側端部324との間には、複数本の上側腕部326が設けられている。すなわち、複数本の腕部326は、上側内周側端部322と上側外周側端部324とを繋いでいる。
レンズホルダ24の筒状部240は、その上端に、四隅で上方へ突出する4つの上側突起240aを持つ。上側内周側端部322は、これら4つの上側突起240aがそれぞれ圧入(装入)される4つの上側穴322aを持つ。すなわち、レンズホルダ24の筒状部240の4つの上側突起240aは、それぞれ、上側板バネ32の上側内周側端部322の4つの上側穴322aに圧入(装入)される。
一方、上側外周側端部324は、マグネットホルダ30の8つの上側突起304aがそれぞれ装入される8つの上側穴324aを持つ。すなわち、マグネットホルダ30の8つの上側突起304aは、それぞれ、上側外周側端部324の8つの上側穴324aに装入される。
上側板バネ(前側スプリング)32は、上側外周側端部324の四隅で半径方向外側へ延出する4つの弧状の延出部328を更に有する。これら4つの弧状の延出部328は、それぞれ、上記4本のサスペンションワイヤ16の他端が挿入(嵌入)される4つのワイヤ固定用穴328aを持つ。尚、各弧状の延出部328の詳しい構造については、後で図19を参照して、更に詳細に説明する。
下側板バネ(後側スプリング)34は、レンズホルダ24の下端部に後述のように取り付けられる下側内周側端部342と、マグネットホルダ30の下側リング状端部306に後述するように取り付けられる下側外周側端部344とを有する。下側内周側端部342と上側外周側端部344との間には、複数本の下側腕部346が設けられている。すなわち、複数本の下側腕部346は、下側内周側端部342と下側外周側端部344とを繋いでいる。
下側板バネ34の下部には、実質的に同一の外形を持つスペーサ36が配置される。詳述すると、スペーサ36は、下側板バネ34の下側外周側端部344と実質的に同一の形状を持つ外リング部364と、下側板バネ34の下側内周側端部342および下側腕部346とを覆うような形状を持つ内リング部362とを有する。
レンズホルダ24の筒状部240は、その下端に、四隅で下方へ突出する4つの下側突起(図示せず)を持つ。下側内周側端部342は、これら4つの下側突起がそれぞれ圧入(装入)される4つの下側穴342aを持つ。すなわち、レンズホルダ24の筒状部240の4つの下側突起は、それぞれ、下側板バネ34の下側内周側端部342の4つの下側穴342aに圧入(装入)される。
一方、下側板バネ34の下側外周側端部344は、マグネットホルダ30の4つの下側突起306aがそれぞれ装入される4つの下側穴344aを持つ。スペーサ36の外リング部364も、それら4つの下側穴344aと対応する位置に、マグネットホルダ30の4つの下側突起306aがそれぞれ圧力される4つの下側穴364aを持つ。すなわち、マグネットホルダ30の4つの下側突起306aは、それぞれ、下側板バネ34の下側外周側端部344の4つの下側穴344aを介して、スペーサ36の外リング部364の4つの下側穴364aに圧入され、その先端で熱溶着される。
図2から明らかなように、マグネットホルダ30の4つの下側突起306aは、コイル基板40に向かって近づくように突出している。換言すれば、これら4つの下側突起306aとコイル基板40との間の隙間は、それ以外の領域の隙間(すなわち、スペーサ36とコイル基板40との間の隙間)と比較して、狭くなっていることがわかる。
上側板バネ32と下側板バネ34とから成る弾性部材(32,34)は、レンズホルダ24を光軸O方向にのみ移動可能に案内する案内手段として働く。上側板バネ32および下側板バネ34の各々は、ベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等のバネ材から成る。
レンズホルダ24の筒状部240の内周壁には雌ネジ(図示せず)が切られている。一方、レンズバレル12の外周壁には、上記雌ネジに螺合される雄ネジが切られている。従って、レンズバレル12をレンズホルダ24に装着するには、レンズバレル12をレンズホルダ24の筒状部240に対して光軸O周りに回転して光軸O方向に沿って螺合することにより、レンズバレル12をレンズホルダ24内に収容し、接着剤などによって互いに接合する。
後述するように、フォーカスコイル26にオートフォーカス(AF)電流を流すことで、永久磁石28の磁界とフォーカスコイル26に流れるAF電流による磁界との相互作用によって、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向に位置調整することが可能である。
上述したように、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20は、レンズホルダ24、フォーカスコイル26、永久磁石28、マグネットホルダ30、上側板バネ32、下側板バネ34、およびスペーサ36から構成される。
次に、図3を参照して、レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部について更に詳細に説明する。
レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、前述したように、ベース14の四隅部で一端が固定された4本のサスペンションワイヤ16と、上記オートフォーカスレンズ用駆動部20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の永久磁石28と対向して配置された手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18とを有する。
4本のサスペンションワイヤ16は、光軸Oに沿って延在し、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yに揺動可能に支持する。4本のサスペンションワイヤ16の他端は、上記オートフォーカス用レンズ駆動部20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の上端部に固定されている。
詳述すると、前述したように、上側板バネ32の4つの弧状の延出部328は、それぞれ、4本のサスペンションワイヤ16の他端が挿入(嵌入)される4つのワイヤ固定用穴328aを持つ(図3参照)。これら4つのワイヤ固定用穴328aに、4本のサスペンションワイヤ16の他端を挿入(嵌入)し、接着剤やはんだ等で固定する。
尚、図示の例では、各弧上の延出部328はL字状をしているが、これに限定されないのは勿論である。
4本のサスペンションワイヤ16のうちの2本は、フォーカスコイル26に給電するためにも使用される。
上述したように、永久磁石28は、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yで互いに対向して配置された、4片の永久磁石片282から成る。
レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、4片の永久磁石片282とベース14との間に挿入されて、離間して配置された1枚のリング状コイル基板40を備える。コイル基板40は、その四隅に、4本のサスペンションワイヤ16を挿通するための貫通穴40aを持つ。この1枚のコイル基板40にレンズホルダ移動部(26;28;30)を駆動するための上記手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18が形成されている。
ベース14と、コイル基板40と、手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18と、フレキシブルプリント基板(FPC)44との組み合わせは、オートフォーカス用レンズ駆動部20(レンズホルダ移動部(26;28;30))から光軸O方向に離間して配置された固定部材(14、40、18、44)として働く。
ここでは、4片の永久磁石片282において、光軸Oに対して、それぞれ、前側、後側、左側、及び右側に配置された永久磁石片を、それぞれ、前側永久磁石片282f、後側永久磁石片282b、左側永久磁石片282l、および右側永久磁石片282rと呼ぶことにする。
図4をも参照して、コイル基板40には、手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18として、4つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f、18b、18lおよび18rが形成されている。
第1の方向(前後方向)Xで互いに対向して配置された2つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18fおよび18bは、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))を第1の方向(前後方向)Xに移動(揺動)させるためのものである。このような2つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18fおよび18bは、第1方向アクチュエータと呼ばれる。尚、ここでは、光軸Oに関して前側にある手振れ補正用コイル部18fを「前側手振れ補正用コイル部」と呼び、光軸Oに関して後側にある手振れ補正用コイル部18bを「後側手振れ補正用コイル部」と呼ぶことにする。
一方、第2の方向(左右方向)Yで互いに対向して配置された2つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18lおよび18rは、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))を第2の方向(左右方向)Yに移動(揺動)させるためのものである。このような2つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18lおよび18rは、第2方向アクチュエータと呼ばれる。尚、ここでは、光軸Oに関して左側にある手振れ補正用コイル部18lを「左側手振れ補正用コイル部」と呼び、光軸Oに関して右側にある手振れ補正用コイル部18rを「右側手振れ補正用コイル部」と呼ぶことにする。
図4に示されるように、図示の手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18において、前側手振れ補正用コイル部18fおよび左側手振れ補正用コイル部18lは、それぞれ、対向する前側永久磁石片282fおよび左側永久磁石片282lの長手方向の中央で分離するように、2つのコイル部分に分割されている。すなわち、前側手振れ補正用コイル部18fは、左寄りコイル部分18flと右寄りコイル部分18frとから構成されている。同様に、左側手振れ補正用コイル部18lは、前寄りコイル部分18lfと後寄りコイル部分18lbとから構成されている。
換言すれば、前側手振れ補正用コイル部18fおよび左側手振れ補正用コイル部18lの各々は、2つのループ部分から構成されているのに対して、後側手振れ補正用コイル部18bおよび右側手振れ補正用コイル部18rの各々は、1つのループ部分から構成されている。
このように、4つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f、18b、18lおよび18rのうち、第1の方向X及び第2の方向に配置された特定の2つの手振れ補正コイル部18fおよび18lの各々は、対向する永久磁石片282fおよび282lの長手方向の中央で分離するように、2つのコイル部分18fl、18frおよび18lf、18lbに分割されている。
このように構成された4つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f、18b、18l、および18rは、永久磁石28と協働して、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体をX軸方向(第1の方向)およびY軸方向(第2の方向)に駆動するためのものである。また、手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f、18b、18l、および18rと永久磁石28との組合せは、ボイスコイルモータ(VCM)として働く。
このように、図示のレンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))に収容されたレンズバレル12そのものを、第1の方向(前後方向)X及び第2の方向(左右方向)Yに移動させることにより、手振れを補正する。したがって、レンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、「バレルシフト方式」の手振れ補正部と呼ばれる。
レンズホルダ駆動装置10は、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20を覆うシールドカバー42を更に備える。シールドカバー42は、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20の外周側面を覆う四角筒部422と、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20の上面を覆う上側端部424とを有する。上側端部424は光軸Oと同心の円形開口424aを持つ。
図示のレンズホルダ駆動装置10の手振れ補正部は、ベース14に対するオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出するための位置検出手段50を更に備えている。図示の位置検出手段50は、ベース14上に取り付けられた2つのホール素子50f、50lから成る磁気式位置検出手段から構成されている。これら2つのホール素子50f、50lは、後述するように、4片の永久磁石片282の中の2片とそれぞれ離間して対向配置されている。図2に示されるように、各ホール素子50f、50lは、永久磁石片282におけるN極からS極への方向を横切るように配置されている。
図示の例において、一方のホール素子50fは、光軸Oに対して第1の方向(前後方向)Xの前側に配置されているので、前側ホール素子と呼ばれる。他方のホール素子50lは、光軸Oに対して第2の方向(左右方向)Yの左側に配置されているので、左側ホール素子と呼ばれる。
前側ホール素子50fは、分割された2つのコイル部分18fl、18frを持つ前側手振れ補正用コイル部18fの、2つのコイル部分18fl、18frの分離した場所で、ベース14上に配置されている。同様に、左側ホール素子50lは、分割された2つのコイル部分18lf、18lbを持つ左側手振れ補正用コイル部18lの、2つのコイル部分18lf、18lbの分離した場所で、ベース14上に配置されている。
このように、2つのホール素子50fおよび50lは、分割された2つのコイル部分18fl、18frおよび18lf、18lbを持つ特定の2つの手振れ補正用コイル部18fおよび18lの、2つのコイル部分18fl、18frおよび18lf、18lbの分離した場所で、ベース14上に配置されている。
前側ホール素子50fは、それと対向する前側永久磁石片282fの磁力を検出することにより、第1の方向(前後方向)Xの移動(揺動)に伴う第1の位置を検出する。左側ホール素子50lは、それと対向する左側永久磁石片282lの磁力を検出することにより、第2の方向(左右方向)Yの移動(揺動)に伴う第2の位置を検出する。
図5乃至図7を参照して、本発明の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10の理解を容易にするために、関連のレンズホルダ駆動装置に使用される関連の磁気回路とホール素子との間の関係について説明する。図示の関連の磁気回路とホール素子との間の関係は、前述した特許文献2に開示されたものとの同様の構成(関係)を有する。図5は関連の磁気回路とホール素子との間の関係を示す斜視図であり、図6は関連の磁気回路とホール素子との間の関係を示す縦断面図であり、図7はAFユニット20を前後方向Xに変位した場合の、関連の磁気回路とホール素子との間の関係を示す縦断面図である。
関連の磁気回路と、本実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10に使用される磁気回路との間の相違点は、関連の磁気回路では、手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18’を構成する4つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f’、18b’、18l’および18r’に、2つのループ部分に分割したものがないことである。すなわち、関連の磁気回路では、4つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f’、18b’、18l’および18r’の各々が、1つのループ部分のみから構成されていることである。
前述したように、4片の永久磁石片282f、282b、282l、および282rは内側をN極に、外側をS極に着磁してある。図5に示す矢印Bは、これら永久磁石片によって発生される磁束の方向を示している。
次に、図5を参照して、関連の磁気回路を使用して、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向に位置調整する場合の動作について説明する。
例えば、フォーカスコイル26に、反時計回りにAF電流を流すとする。この場合、フレミングの左手規則に従って、フォーカスコイル26には、上方向の電磁力が作用する。その結果、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向の上方へ移動させることができる。
逆に、フォーカスコイル26に時計回りにAF電流を流すことにより、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向の下方へ移動させることができる。
次に、図5乃至図7を参照して、関連の磁気回路を使用して、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を、第1の方向(前後方向)Xまたは第2の方向(左右方向)Yに移動させる場合の動作について説明する。
最初に、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を、第1の方向(前後方向)Xの後側に移動させる場合の動作について説明する。この場合、図5に示されるように、前側手振れ補正用コイル部18f’には、矢印IIS1で示されるような、反時計回りに第1の手振れ補正(IS)電流を流し、後側手振れ補正用コイル部18b’には、矢印IIS2で示されるような、時計回りに第2の手振れ補正(IS)電流を流す。
この場合、フレミングの左手規則に従って、前側手振れ補正用コイル部18f’には前方向の電磁力が作用し、後側手振れ補正用コイル部18b’にも前方向の電磁力が作用する。しかしながら、これら手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f’および18b’は、ベース14に固定されているので、その反作用として、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体には、図6の矢印FIS1およびFIS2で示されるような、後方向の電磁力が作用する。その結果、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を後方向へ移動させることができる。
逆に、前側手振れ補正用コイル部18f’に時計回りに第1のIS電流を流し、後側手振れ補正用コイル部18b’に反時計回りに第2のIS電流を流すことにより、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を前方向へ移動させることができる。
一方、左側手振れ補正用コイル部18l’に反時計回りに第3のIS電流を流し、右側手振れ補正用コイル部18r’に時計回りに第4のIS電流を流すことにより、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を右方向へ移動させることができる。
また、左側手振れ補正用コイル部18l’に時計回りに第3のIS電流を流し、右側手振れ補正用コイル部18r’に反時計回りに第4のIS電流を流すことにより、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を左方向へ移動させることができる。
このようにして、カメラの手振れを補正することができる。
次に、図5乃至図7に加えて、図8乃至図10をも参照して、関連の磁気回路を使用した関連のレンズ駆動装置における問題点について、詳細に説明する。
前述したように、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を後方向へ移動させるために、図5に示されるように、前側手振れ補正用コイル部18f’に、矢印IIS1で示されるような、反時計回りに第1のIS電流を流し、後側手振れ補正用コイル部18b’に、矢印IIS2で示されるような、時計回りに第2のIS)電流を流した場合を例に挙げて説明する。
この場合、図7に示されるように、前側手振れ補正用コイル部18f’に流される第1のIS電流IIS1により発生する磁界BI1と、移動した前側永久磁石片282fにより発生する磁界Bとが同位相になっていることが分かる。磁界Bの磁束密度をaで表わし、磁界BI1の磁束密度をbで表わすとする。したがって、前側ホール素子50fは、磁界Bの磁束密度aと磁界BI1の磁束密度bとの、トータルの磁束密度(a+b)を検出することになる。
ここで、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出するためには、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とが同位相になっていることが必要であることに注意されたい。
図8は、関連の磁気回路における、前側ホール素子50fの周波数特性を示す図である。図8において、横軸は周波数(Frequency)(Hz)を表わし、左側縦軸はゲイン(Gain)(dB)を表わし、右側縦軸は位相(Phase)(deg)を表わす。また、図8において、実線はゲイン特性を示し、一点鎖線は位相特性を示す。
図8にから分かるように、前側ホール素子50fの周波数特性は、領域Iと、領域IIと、領域IIIとに分けられる。領域Iは、アクチュエータの一次共振以下の帯域で、周波数が低い領域である。領域IIは、アクチュエータの一次共振以上の帯域で、周波数が中間の領域である。領域IIIは、アクチュエータの一次共振以上の帯域で、周波数が高い領域である。
図9は、領域I、領域II、および領域IIIにおける、前側永久磁石片282fにより発生する磁界Bの磁束密度a、前側手振れ補正用コイル部18f’に流される第1のIS電流IIS1により発生する磁界BI1の磁束密度b、および前側ホール素子50fで検出されるトータルでの磁束密度(a+b)の大きさと位相関係を示す図である。図10は、図9の関係を表にした図である。
図9および図10から次のことが分かる。
領域Iである一次共振以下の帯域では、磁界Bの磁束密度aの大きさ|a|は、磁界BI1の磁束密度bの大きさ|b|より大きく(|a|>|b|)、磁界Bの磁束密度a、磁界BI1の磁束密度b、およびトータルでの磁束密度(a+b)が同位相となっている。したがって、領域Iにおいては、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができる。
一方、アクチュエータの一次共振以上では、前側永久磁石片282fの動きが、前側手振れ補正用コイル部18f’に流される第1のIS電流IIS1の位相と180°ずれる為、逆位相となる。
領域IIである一次共振以上の帯域では、磁界Bの磁束密度aの大きさ|a|は、磁界BI1の磁束密度bの大きさ|b|より大きい(|a|>|b|)ので、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とが同位相となっている。したがって、領域IIにおいては、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができる。
しかしながら、領域IIIである一次共振以上の帯域では、磁界Bの磁束密度aの大きさ|a|が、磁界BI1の磁束密度bの大きさ|b|よりも小さく(|a|<|b|)なってしまう。その為、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とが逆位相となる。その結果、領域IIIにおいては、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができなくなる。すなわち、ホール素子の出力は共振点をもつ。
したがって、コイルの1つのループ部分の間(中)にホール素子を配置すると、一次共振以上の領域IIIにおいて、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができないことが分かる。換言すれば、ホース素子50f、50lは、それぞれ、手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f’、18l’に流した電流によって発生する磁界に起因する悪影響を受けることになる。
次に、図11乃至図14を参照して、本発明の実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10に使用される本実施の形態に係る磁気回路とホール素子との間の関係について説明する。図11は本実施の形態に係る磁気回路とホール素子との間の関係を示す斜視図であり、図12は本実施の形態に係る磁気回路とホール素子との間の関係を示す縦断面図であり、図13はAFユニット20(レンズホルダ移動部(26;28;30))を前後方向Xに変位した場合の、本実施の形態に係る磁気回路とホール素子との間の関係を示す縦断面図であり、図14は、図13の線XIV―XIVでの断面図である。
前述したように、4片の永久磁石片282f、282b、282l、および282rは内側をN極に、外側をS極に着磁してある。図11に示す矢印Bは、これら永久磁石片によって発生される磁束の方向を示している。
次に、図11を参照して、本実施の形態に係る磁気回路を使用して、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向に位置調整する場合の動作について説明する。
例えば、フォーカスコイル26に、反時計回りにAF電流を流すとする。この場合、フレミングの左手規則に従って、フォーカスコイル26には、上方向の電磁力が作用する。その結果、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向の上方へ移動させることができる。
逆に、フォーカスコイル26に時計回りにAF電流を流すことにより、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向の下方へ移動させることができる。
次に、図11乃至図14を参照して、本実施の形態に係る磁気回路を使用して、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ駆動部(26;28;30))全体を、第1の方向(前後方向)Xまたは第2の方向(左右方向)Yに移動させる場合の動作について説明する。
最初に、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を、第1の方向(前後方向)Xの後側に移動させる場合の動作について説明する。この場合、図11に示されるように、前側手振れ補正用コイル部18fの2つのコイル部分18fl、18frの各々には、矢印IIS1で示されるような、反時計回りに第1の手振れ補正(IS)電流を流し、後側手振れ補正用コイル部18bには、矢印IIS2で示されるような、時計回りに第2の手振れ補正(IS)電流を流す。
この場合、フレミングの左手規則に従って、前側手振れ補正用コイル部18fには前方向の電磁力が作用し、後側手振れ補正用コイル部18bにも前方向の電磁力が作用する。しかしながら、これら手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18fおよび18bは、ベース14に固定されているので、その反作用として、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体には、図12の矢印FIS1およびFIS2で示されるような、後方向の電磁力が作用する。その結果、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を後方向へ移動させることができる。
逆に、前側手振れ補正用コイル部18fの2つのコイル部分18fl、18frの各々に時計回りに第1のIS電流を流し、後側手振れ補正用コイル部18bに反時計回りに第2のIS電流を流すことにより、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を前方向へ移動させることができる。
一方、左側手振れ補正用コイル部18lの2つのコイル部分18lf、18lbの各々に反時計回りに第3のIS電流を流し、右側手振れ補正用コイル部18rに時計回りに第4のIS電流を流すことにより、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を右方向へ移動させることができる。
また、左側手振れ補正用コイル部18lの2つのコイル部分18lf、18lbの各々に時計回りに第3のIS電流を流し、右側手振れ補正用コイル部18rに反時計回りに第4のIS電流を流すことにより、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を左方向へ移動させることができる。
このようにして、カメラの手振れを補正することができる。
次に、図11乃至図14に加えて、図15乃至図17をも参照して、本実施の形態に係る磁気回路を使用したレンズホルダ駆動装置10における利点について、詳細に説明する。
前述したように、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を後方向へ移動させるために、図11に示されるように、前側手振れ補正用コイル部18fの2つのコイル部分18fl、18frの各々に、矢印IIS1で示されるような、反時計回りに第1のIS電流を流し、後側手振れ補正用コイル部18bに、矢印IIS2で示されるような、時計回りに第2のIS電流を流した場合を例に挙げて説明する。
この場合、図13および図14に示されるように、前側手振れ補正用コイル部18fに流される第1のIS電流IIS1により発生する磁界BI1と、移動した前側永久磁石片282fにより発生する磁界Bとが逆位相になっていることが分かる。磁界Bの磁束密度をaで表わし、磁界BI1の磁束密度をbで表わすとする。したがって、前側ホール素子50fは、磁界Bの磁束密度aと磁界BI1の磁束密度bとの、トータルの磁束密度(a+b)を検出することになる。
前述したように、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出するためには、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とが同位相になっていることが必要であることに注意されたい。
図15は、本実施の形態に係る磁気回路における、前側ホール素子50fの周波数特性を示す図である。図15において、横軸は周波数(Frequency)(Hz)を表わし、左側縦軸はゲイン(Gain)(dB)を表わし、右側縦軸は位相(Phase)(deg)を表わす。また、図15において、実線はゲイン特性を示し、一点鎖線は位相特性を示す。
図15から分かるように、前側ホール素子50fの周波数特性は、周波数の低い方から順に、領域Iと、領域IIと、領域IIIとに分けられる。領域Iは、アクチュエータの一次共振以下の帯域で、周波数が低い領域である。領域IIは、アクチュエータの一次共振以上の帯域で、周波数が中間の領域である。領域IIIは、アクチュエータの一次共振以上の帯域で、周波数が高い領域である。
図16は、領域I、領域II、および領域IIIにおける、前側永久磁石片282fにより発生する磁界Bの磁束密度a、前側手振れ補正用コイル部18fに流される第1のIS電流IIS1により発生する磁界BI1の磁束密度b、および前側ホール素子50fで検出されるトータルでの磁束密度(a+b)の大きさと位相関係を示す図である。図17は、図16の関係を表にした図である。
図16および図17から次のことが分かる。
領域Iである一次共振以下の帯域では、磁界Bの磁束密度aの大きさ|a|は、磁界BI1の磁束密度bの大きさ|b|より大きく(|a|>|b|)、磁界Bの磁束密度aと磁界BI1の磁束密度bとは逆位相となっているが、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とが同位相となっている。したがって、領域Iにおいては、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができる。
一方、アクチュエータの一次共振以上では、前側永久磁石片282fの動きが、前側手振れ補正用コイル部18fに流される第1のIS電流IIS1と同位相となる。
領域IIである一次共振以上の帯域では、磁界Bの磁束密度aの大きさ|a|は、磁界BI1の磁束密度bの大きさ|b|より大きい(|a|>|b|)ので、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とが同位相となっている。したがって、領域IIにおいては、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができる。
一方、領域IIIである一次共振以上の帯域では、磁界Bの磁束密度aの大きさ|a|が、磁界BI1の磁束密度bの大きさ|b|よりも小さく(|a|<|b|)なる。しかしながら、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とが同位相であるので、磁界Bの磁束密度aとトータルでの磁束密度(a+b)とも同位相となる。その結果、領域IIIにおいても、前側ホール素子50fによってオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができる。すなわち、ホール素子の出力に共振は発生しない。
したがって、コイルの2つのループ部分の間にホール素子を配置することによって、全ての周波数範囲において、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の位置を検出することができることが分かる。換言すれば、ホール素子50f、50lは、それぞれ、手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f、18lに流した電流によって発生する磁界に起因する悪影響を受けるのを避けることができる。
図18は、磁気回路における、永久磁石28の1片の永久磁石片282と、その周囲に配置されるフォーカスコイル26および手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18との配置関係を示した断面図である。
永久磁石片282の高さに対して、フォーカスコイル26の高さが低くなっている。これにより、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向に位置調整する場合のストロークを大きくすることができる。
また、永久磁石片282の半径方向のエッジが、手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18の半径方向のコイル断面幅に入るように、永久磁石片282と手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18とが配置されている。これにより、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を光軸Oに対して直交する方向へ移動させる駆動力の感度を高めることができる。
ところで、このような構成のレンズホルダ駆動装置10では、落下衝撃等によって、4本のサスペンションワイヤ16に伸張する方向の力がかかって、4本のサスペンションワイヤ16が破断する虞があるが、本実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10では、後述するような、4本のサスペンションワイヤ16の破断を防止する破断防止部材を備えている。
図19および図20を参照して、本実施の形態に係る破断防止部材について詳細に説明する。図19は、サスペンションワイヤ16の他端を上側板バネ32に固定する部分を拡大して示す部分斜視図であり、図20は、その固定する部分の部分断面図である。
前述したように、上側板バネ32は、上側外周側端部324の四隅で半径方向外側へ延出する4つの弧状の延出部328(図19では、1つの弧状の延出部328のみを図示している)を有する。これら4つの弧状の延出部328は、その先端部に、それぞれ、上記4本のサスペンションワイヤ16の他端が挿入(嵌入)される4つのワイヤ固定用穴328a(図3参照)を持つ。これら4つのワイヤ固定用穴328aに4本のサスペンションワイヤ16の他端を挿入して、はんだ60付け又は接着剤(図示せず)により固定している。
したがって、4つの弧状の延出部328は、4本のサスペンションワイヤ16の他端を固定するワイヤ固定部として働く。
このような構成のレンズホルダ駆動装置10では、落下衝撃等により、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))にベース14から離れる方向の力が加わっても、4本のサスペンションワイヤ16の他端が上側板バネ32の4つの弧状の延出部328に固定された状態で、その4つの弧状の延出部328が弾性変形しつつオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))が上昇することになる。
その結果、4本のサスペンションワイヤ16が破断するのを防止することができる。したがって、4つの弧状の延出部328は、4本のサスペンションワイヤ16の破断を防止する破断防止部材として働く。
一方、図19に示されるように、マグネットホルダ30は、上側リング状端部304の四隅で上方へ突出する4つの上側ストッパ308(図19では、1つの上側ストッパ308のみ図示する)を有する。各上側ストッパ308は、上側板バネ32の上側外周側端部324と各弧状の延出部328との間に形成された開口32aから突出している。
換言すれば、4つの上側ストッパ308は、マグネットホルダ30からシールドカバー42の内壁面へ向けて突出している。
これら4つの上側ストッパ308により、図2に示されるように、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の上方向への移動が規制される。換言すれば、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))が上方向へ移動する際に、4つの弧状の延出部328が弾性変形するが、当該4つの弧状の延出部328が折れ曲がる前および4本のサスペンションワイヤ16に破断する力がかかる前に、マグネットホルダ30の4つの上側ストッパ308がシールドカバー42の上側端部424の内壁面と当接する。
すなわち、4つの上側ストッパ308は、4本のサスペンションワイヤ16の破断防止を補助する破断防止補助部材として働く。
なお、図2に示されるように、固定部材(14、40、18、44)とオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))との間には、クリアランス(隙間)がほとんどない。したがって、たとえ落下衝撃等により、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))にベース14へ近づく方向の力が加わっても、直ちにオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))が固定部材(14、40、18、44)の上面に当接するので、4本のサスペンションワイヤ16は撓むものの塑性変形することはない。
図2乃至図4に加えて図21をも参照して、ベース14とコイル基板40との間に配置されるフレキシブルプリント基板(FPC)44とその搭載方法について説明する。図21は、コイル基板40とフレキシブルプリント基板(FPC)44とを組み合せたものを、裏面側から見た斜視図である。
図3に示されるように、ベース14は、その円形開口14a近傍の半径方向外側の対角線上に、上方へ突出する4つの位置決め突起142を持つ。一方、図4に示されるように、コイル基板40は、これら4つの位置決め突起142がそれぞれ装入される4つの位置決め穴部40bを持つ。図21に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)44も、これら4つの位置決め穴部40bと対応する位置に、4つの位置決め穴部44aを持つ。したがって、ベース14の4つの位置決め突起142は、それぞれ、フレキシブルプリント基板(FPC)44の4つの位置決め穴部44aを介して、コイル基板40の4つの位置決め穴部40bに装入される。
図21に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)44の裏面には、2つのホール素子50f、50lが搭載されている。一方、図2に示されるように、ベース14には、これら2つのホール素子50f、50lが嵌入される穴14bが形成されている。
また、図4に示されるように、コイル基板40には、その中央部にある円形開口40cに沿って、4つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f、18b、18l、および18rへ電流を供給するための6つのランド18aが形成されている。一方、図21に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)44には、これら6つのランド18aとそれぞれ対応する位置に6つの切欠き部44bが形成されている。したがって、これら6つの切欠き部44bに半田ペーストを載せ、半田リフローすることによって、フレキシブルプリント基板(FPC)44の内部配線(図示せず)とコイル基板40の6つのランド18aとを電気的に接続することができる。
尚、図21に示されるように、フレキシブルプリント基板(FPC)44の裏面には制御部46が搭載されている。制御部46は、フォーカスコイル16に流す電流を制御したり、2つのホール素子50f、50lで検出された位置検出信号に基づいて、図示しない2つの方向ジャイロに基づいて検出された揺れを相殺するように、4つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18f、18b、18l、および18rへ流す電流を制御する。
図22及び図23を参照して、フォーカスコイル26への給電方法について説明する。図22は、シールドカバー42を省いた状態のレンズホルダ駆動装置10の平面図である。図23は、図22における、フォーカスコイル26を構成した線材の末端部の絡げ部分を拡大して示す部分拡大斜視図である。
図22に示されるように、レンズホルダ24は、その上端で左右方向Yに互いに離れる方向(半径方向外側)に突設した第1及び第2の突起部241及び242を持つ。図示の例では、第1の突起部241は、右側へ突出しているので、右側突起部と呼ばれ、第2の突起部242は、左側へ突出しているので、左側突起部と呼ばれる。
一方、フォーカスコイル26を構成した線材は、第1及び第2の末端部261及び262を持つ。図23に示されるように、フォーカスコイル26の線材の第1の末端部261は、レンズホルダ24の第1の突起部(右側突出部)241に絡げられている。同様に、フォーカスコイル26の線材の第2の末端部262は、レンズホルダ24の第2の突起部(左側突起部)242に絡げられている。したがって、第1及び第2の末端部261及び262は、それぞれ、第1及び第2の絡げ部分とも呼ばれる。
一方、図22に示されるように、第1の板バネ(上側板バネ)32は、互いに電気的に絶縁された第1及び第2の板バネ片32−1及び32−2から構成されている。第1及び第2の板バネ片32−1及び32−2は、レンズの光軸Oを中心に回転対称の形状をしている。第1の板バネ片32−1は、マグネットホルダ30の第1の端(上端)上で、実質的に後側および右側に配置されており、第2の板バネ片32−2は、マグネットホルダ30の第1の端(上端)上で、実質的に前側および左側に配置されている。
第1の板バネ片32−1の右側にある上側内周側端部322は、レンズホルダ24の第1の突起部(右側突出部)241と対応する位置で、右方(半径方向外側)へ突設した第1のU字状端子部322−1を持つ。同様に、第2の板バネ片32−2の左側にある上側内周側端部322は、レンズホルダ24の第2の突起部(左側突出部)242と対応する位置で、左方(半径方向外側)へ突設した第2のU字状端子部322−2を持つ。第1のU字状端子部322−1は右側U字状端子部とも呼ばれ、第2のU字状端子部322−2は左側U字状端子部と呼ばれる。
第1のU字状端子部(右側U字状端子部)322−1は、レンズホルダ24の第1の突起部(右側突出部)241で、フォーカスコイル26の第1の末端部(第1の絡げ部分)261とはんだ(図示せず)で電気的に接続される。同様に、第2のU字状端子部(左側U字状端子部)322−2は、レンズホルダ24の第2の突起部(左側突出部)242で、フォーカスコイル26の第2の末端部(第2の絡げ部分)262とはんだ(図示せず)で電気的に接続される。
また、前述したように、4本のサスペンションワイヤ16の内、2本のサスペンションワイヤ16(図22の例では、右奥と左前)の他端は、ワイヤ固定用穴328aを通して、はんだ60で弧状の延出部328に固定される。残りの2本のサスペンションワイヤ16(図22の例では、左奥と右前)の他端は、ワイヤ固定穴328aを通して、接着剤62で弧状の延出部328に固定される。
したがって、右奥の1本のサスペンションワイヤ16は、第1の板バネ(上側板バネ)32の第1の板バネ片32−1及び第1のU字状端子部(右側U字状端子部)322−1を介して、フォーカスコイル26の第1の末端部(第1の絡げ部分)261と電気的に接続される。同様に、左前の1本のサスペンションワイヤ16は、第1の板バネ(上側板バネ)32の第2の板バネ片32−2及び第2のU字状端子部(左側U字状端子部)322−2を介して、フォーカスコイル26の第2の末端部(第2の絡げ部分)262と電気的に接続される。
このようにして、サスペンションワイヤ16から第1の板バネ32を介してフォーカスコイル26への給電が行われる。
次に、レンズホルダ駆動装置10の組み立て方法について説明する。
先ず、レンズホルダ24、フォーカスコイル26、永久磁石28、マグネットホルダ30、上側板バネ32、下側板バネ34、およびスペーサ36を組み合せることによって、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20を製造する。
一方、図21に示されるような、上述した半田リフローによって、コイル基板40とフレキシブルプリント基板(FPC)44との組み立て体を作製する。その組み立て体を、4本のサスペンションワイヤ16の一端が固定されたベース14上に搭載する。
そして、上記オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20を、上記組み立て体を介してベース14上に搭載し、4本のサスペンションワイヤ16の他端をワイヤ固定用穴328aを通して、はんだ60や接着剤62で弧状の延出部328に固定する。
また、第1の板バネ(上側板バネ)32の第1及び第2のU字状端子部322−1及び322−2を、はんだで、それぞれ、フォーカスコイル26の第1及び第2の末端部261及び262に接続する。
最後に、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20を覆うようにシールドカバー42を被せて、シールドカバー42の下端をベース14に固定する。
このように、レンズホルダ駆動装置10を容易に組み立てることが可能である。
尚、このようにして組み立てられたレンズホルダ駆動装置10の寸法は、11mm×11mm×4.2mmである。
図24乃至図27を参照して、レンズホルダ駆動装置10における、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))の光軸O方向での不要共振を抑制するためのダンパ材65の取り付け方法およびその配置位置について説明する。
図24は、シールドカバー42を省いた状態のレンズホルダ駆動装置10を示す部分正面図である。図25は、図24に示したレンズホルダ駆動装置10を斜め上方から見た部分斜視図である。図26は、ダンパ材65が無い場合のレンズホルダ駆動装置10の部分断面図であり、図27は、ダンパ材65が有る場合のレンズホルダ駆動装置10の部分断面図である。
図示の例では、ダンパ材65は、4本のサスペンションワイヤ16を囲むように、マグネットホルダ30と弾性部材である第1の板バネ32との間に配置されている。詳述すると、マグネットホルダ30(レンズホルダ移動部(26;28;30))は、4つのワイヤ固定部328に近接した位置で、4本のサスペンションワイヤ16を離間して囲むように、マグネットホルダ30(レンズホルダ移動部(26;28;30))の四隅で半径方向外側へ延出する4つの延出部310を有する。ダンパ材65は、4本のサスペンションワイヤ16の各々を囲むように、4つの延出部310と4つのワイヤ固定部328との間に配設されている。ダンパ材65は、ディスペンサを使用して、4つの延出部310と4つのワイヤ固定部328との間の隙間に、図27に示されるように、容易に塗布される。
図示の例では、ダンパ材65として、スリーボンド社製TB3168Eである、90Pa・sの粘性を持つ、紫外線硬化性シリコーンゲルを使用している。
したがって、上述したように、マグネットホルダ30の4つの延出部310と4つのワイヤ固定部328との間の隙間にダンパ材65を塗布した後、それらダンパ材65に紫外線を照射してダンパ材65を硬化させる。
図28及び図29を参照して、ダンパ材65が無い場合(従来例)とダンパ材65が有る場合(第1の実施の形態)との周波数特性について説明する。図28は、ダンパ材65が無い場合の関連のレンズホルダ駆動装置のオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20の光軸に垂直な方向(X/Y)における周波数特性を示し、図29はダンパ材65が有る場合の本実施の形態によるレンズホルダ駆動装置10のオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20の光軸に垂直な方向(X/Y)における周波数特性を示す。図28及び図29の各々において、横軸は周波数[Hz]を示し、縦軸は利得[dB]を示す。
図28から明らかように、ダンパ材65が無い関連のレンズホルダ駆動装置では、約400Hzの周波数においてオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20の不要共振(高次の共振モード)が発生していることが分かる。
これに対して、図29から明らかなように、ダンパ材65が有る本実施の形態によるレンズホルダ駆動装置10では、そのような不要共振(高次の共振モード)の発生が抑えられていることが分かる。
したがって、本実施の形態によるレンズホルダ駆動装置10では、手振れ補正の安定した制御動作を行うことが可能となる。
また、ダンパ材65は、手振れ補正側の可動部であるオートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))を支えるように配置されているので、レンズホルダ駆動装置10の落下時に、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))への衝撃を緩和できるという効果もある。
上述したような、本発明の実施の形態によるレンズホルダ駆動装置10では、次に述べるような効果を奏する。
第1に、2つのホール素子50fおよび50lを、特定の2つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18fおよび18lの、2つのコイル部分18fl、18frおよび18lf、18lbの分離した場所で、ベース14上に配置したので、2つのホール素子50fおよび50lが、特定の2つの手振れ補正用コイル部(駆動用コイル部)18fおよび18lに流した電流によって発生する磁界に起因する悪影響を避けることができる。
第2に、破断防止部材328を備えているので、4本のサスペンションワイヤ16が破断するのを防止することができ、レンズホルダ駆動装置10の耐衝撃性を高めることが可能になる。
第3に、コイル基板40に形成された複数のランド18aと対応する位置に、フレキシブルプリント基板(FPC)44に切欠き部44bを形成したので、半田リフローにより、フレキシブルプリント基板(FPC)44の内部配線とコイル基板40の複数のランド18aとを電気的に接続することができる。
第4に、永久磁石片282の高さに対してフォーカスコイル26の高さを低くしたので、レンズホルダ24(レンズバレル12)を光軸O方向に位置調整する場合のストロークを大きくすることができる。
第5に、永久磁石片282の半径方向のエッジが手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18の半径方向のコイル断面幅に入るように、永久磁石片282と手振れ補正用コイル(駆動用コイル)18とを配置したので、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20(レンズホルダ移動部(26;28;30))全体を光軸Oに対して直交する方向へ移動させる駆動力の感度を高めることができる。
第6に、サスペンションワイヤ16を囲むように、マグネットホルダ30と弾性部材32との間にダンパ材65を配設したので、オートフォーカス用レンズ駆動部(AFユニット)20の不要な共振を抑えることができ、安定した動作を行うことができる。
第7に、各サスペンションワイヤ16を囲むように、マグネットホルダ30の延出部310と第1の板バネ32のワイヤ固定部328との間にダンパ材65を配設したので、落下/振動時に、ダンパ材65が移動したり、破断したり、劣化するのを防止することができる。
第8に、ワイヤ固定部328に近接した位置で、各サスペンションワイヤ16を離間して囲むように延出部310を設けているので、適量なダンパ材65を容易に塗布することが可能となる。
[変形例]
次に、本実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10の変形例について説明する。
上述した本実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10では、マグネットホルダ30(レンズホルダ移動部(26;28;30))の四隅で、ダンパ材65を4箇所に設けているが、ダンパ材65の個数やその配置位置は、本発明にとって重要ではなく、少なくとも1本のサスペンションワイヤ16を囲むように、マグネットホルダ30(レンズホルダ移動部(26;28;30))と弾性部材32との間にダンパ材65が配設されていることが重要である。
例えば、図30に示されるような、第1の変形例に係るレンズホルダ駆動装置10のように、ダンパ材65を1箇所にのみ設けても良い。また、図31に示されるような、第2の変形例に係るレンズホルダ駆動装置10のように、ダンパ材65を2箇所に設けても良い。
このように、ダンパ材65を1箇所や多数箇所に設けても、上記本実施の形態と同様の効果が得られる。
また、上記本実施の形態に係るレンズホルダ駆動装置10では、ダンパ材65として、赤外線硬化性シリコーンゲルを使用しているが、ダンパ材65の材料はそれに限定されず、ダンパ効果のある材料であればどのようなものを使用してもよい。
図32および図33を参照して、上述したレンズホルダ駆動装置10を備えたカメラモジュール70について説明する。図32はカメラモジュール70の外観斜視図であり、図33はカメラモジュール70を示す分解斜視図である。
図示のカメラモジュール70は、レンズホルダ駆動装置10の他に、レンズホルダ24に装着される(保持される)レンズバレル12と、撮像素子(センサ)76が搭載されたセンサ基板72と、このセンサ基板72とベース14との間に配置され、赤外線カットフィルタ78を保持するための保持部材74と、を備えている。
図34は、カメラモジュール70を搭載したカメラ付き携帯端末80の外観を示す斜視図である。図示のカメラ付き携帯端末80は、カメラ付き携帯電話機であって、折りたたまれた状態を示している。カメラ付き携帯端末80の所定の位置にカメラモジュール70が取り付けられている。このような構成により、使用者は、カメラ付き携帯端末80を用いて撮影することができる。
尚、本例では、カメラ付き携帯端末80としてカメラ付き携帯電話機の場合を例に挙げて示しているが、カメラ付き携帯端末は、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット形パソコン、携帯型ゲーム機、Webカメラ、車載用カメラであってもよい。
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、上述した実施の形態では、固定部材に対してオートフォーカス用レンズ駆動部20(レンズホルダ移動部(26;28;30))を揺動可能に支持する支持部材として、4本のサスペンションワイヤ16を用いているが、サスペンションワイヤ16の本数は、4本に限定されず、複数本あればよい。また、上述した実施の形態では、ダンパ材65が塗布され、レンズホルダ移動部(26;28;30)に取り付けられる弾性部材として、レンズホルダ24を径方向に位置決めした状態で光軸O方向に変位可能に支持する第1の板バネ32を兼用しているが、この第1の板バネ32とは別体に、サスペンションワイヤ16の破断防止専用のバネ部材を用いてもよいのは勿論である。