JP6170004B2 - 蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子および生体分子測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リポソーム内部の物質と選択的に分子相互作用を行う分子をリポソーム内に輸送する分子輸送素子およびその作製方法に関する。
リポソームは、脂質二分子膜(LBL)により形成される球状構造の分子複合体である。リポソームを基本構造とする生体関連の分子複合体(以下、リポソーム類と称する)には、細胞のほか、細胞から放出されるエキソソーム、およびエンベロープを有するウイルスなどがあげられる。通常、これらの生体関連の分子複合体においては、脂質二分子膜に内包される空間に、種々の分子およびこの複合体が包含されている。包含されている分子およびこの複合体は、各生体分子複合体が機能するため、もしくは、自己複製するために必要なものとなっている。例えば、細胞においては、遺伝情報を含有する核などが存在している。また、エキソソームやウイルスには、RNAなどが存在する。
リポソーム類に内包される空間に存在する物質の種類や濃度、およびこれらの時間的変化を追跡することは、生体関連の分子複合体の活動状態を把握するために、非常に有用である。例えば、ヒトのエキソソーム中に存在するマイクロRNA(miRNA)は、遺伝情報は含んでいないが、体内の代謝や疾病に関連して濃度が増減する特定配列を有するmiRNAの存在が報告されている。このため、この特定配列を有するmiRNAを検出することで、これまで早期診断が困難であった疾病の発見や正確な診断を行うことが可能となると考えられている(非特許文献1参照)。
従来、リポソーム類の内部空間に存在する物質の種類の特定や濃度の特定では、対象となるリポソーム類を、薬剤などを用いて破壊し、内部の物質を抽出・生成していた。例えば、miRNAなどの核酸分子は、抽出・精製した状態の試料を用い、同じ配列をもつ塩基を複製することが容易であり、この複製により濃度を上昇させて測定感度を向上させる分析方法が一般的である。これらの技術においては、高性能な抽出・精製装置を用いて目的の物質だけを取り出して分析することが可能であり、また目的の物質の複製を合成して物質の濃度を上昇させることができる。このため、最終段階の物質の同定や定量の工程においては、妨害物質の影響をほとんど受けることなく、信頼性の高い結果が得られることが特徴である(非特許文献2参照)。
新飯田 俊平、「新たな核酸創薬への期待―マイクロRNA 研究の最近の動向―」、科学技術動向、24−33頁、2011年、7・8月号。 塚原 隆充、「PCR 技術講座3 進化するPCR 検査法― 検査精度・検査料金・採材法をキーワードに―」、JASV会報、No.5、5−7頁、2006年。 上野 祐子、古川 一暁、「グラフェン誘導体表面に構築したオンチップ型FRETアプタセンサ」、信学技報、Vol.113、No.351、73−78頁、2013年。 W. S. Hummers et al. , "Preparation of Graphitic Oxide", J. Am. Chem. Soc. , vol.80, no.6, p.1339, 1958. Dan S. Tawfik et al. , "Man-made cell-like compartments for molecular evolution ",Nature Biotechnology, vol.16, pp.652-656, 1998.
ところで、リポソーム類の内部空間に存在する物質は、RNAに代表されるように、外部環境下では分解酵素との接触によって容易に壊れてしまう脆弱なものが多い。このため、上述した内部の物質を抽出・精製したのちに分析を行う方法においては、最終段階の物質の同定や定量の工程の前に、変性や分解が起こらないことが非常に重要となる。例えば、抽出・精製条件の設定には、非常に注意を要する。このように、上述したリポソーム類に内包される空間に存在する物質の分析では、操作が煩雑で多くの時間を必要とし、加えて、高度な熟練を必要とし、容易に実施できないという問題があった。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、リポソーム類に内包される空間に存在する物質の分析を、より容易に実施できるようにすることを目的とする。
本発明に係る生体分子測定方法は、炭素材料の小片からなる基部と、検出対象となる生体分子と特異的に結合して一端が基部に固定された生体分子検出用分子と、生体分子検出用分子の他端に結合した蛍光色素分子とを備える分子輸送素子を用意する第1ステップと、生体分子を内包するリポソームが含まれている溶液中に分子輸送素子を加える第2ステップと、分子輸送素子を加えた溶液中で分子輸送素子の蛍光色素分子による蛍光を検出する第3ステップとを備える。基部は、グラフェン,グラフェン誘導体,およびカーボンナノチューブのいずれかから構成する。
上記生体分子測定方法において、第3ステップで検出する蛍光は、第2ステップで、リポソームに侵入した分子輸送素子の部分に固定されている生体分子検出用分子と、リポソームが内包する生体分子との結合により、蛍光色素分子が基部より離間したことにより発光した蛍光である。
上記生体分子測定方法において、生体分子検出用分子の一端に結合した接着分子を備え、生体分子検出用分子は、接着分子により基部に固定されているようにしてもよい。
また、本発明に係る蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子は、炭素材料の小片からなる基部と、検出対象となる生体分子と特異的に結合して一端が基部に固定された生体分子検出用分子と、生体分子検出用分子の他端に結合した蛍光色素分子とを備え、基部は、グラフェン,グラフェン誘導体,およびカーボンナノチューブのいずれかから構成されている。
上記蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子において、生体分子検出用分子の一端に結合した接着分子を備え、生体分子検出用分子は、接着分子により基部に固定されているようにしてもよい。
以上説明したことにより、本発明によれば、リポソーム類に内包される空間に存在する物質の分析が、より容易に実施できるようになるという優れた効果が得られる。
図1は、本発明の実施の形態における生体分子測定方法を説明するフローチャートである。 図2は、リポソーム101の構成例を示す構成図である。 図3は、本発明の実施の形態における蛍光色素分子が結合した生体分子検出 用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子の構成を示す構成図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における生体分子測定方法を説明するフローチャートである。
まず、ステップS101で、蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子を作製(用意)する。分子輸送素子は、炭素材料の小片からなる基部と、検出対象となる生体分子と特異的に結合して一端が基部に固定された生体分子検出用分子と、生体分子検出用分子の他端に結合した蛍光色素分子とを備える。また、基部は、グラフェン,グラフェン誘導体,およびカーボンナノチューブのいずれかから構成する。なお、生体分子は、RNA,DNAなどの生体関連の分子および分子複合体を含む。
例えば、基板は、大きさが約0.1μmから100μm四方の酸化グラフェンの小片であればよい。また、蛍光色素分子は、6−carboxyfluorescein(FAM)を用いることができる。また、生体分子検出用分子の一端に接着分子を結合させ、基部に固定するようにしてもよい。例えば、ピレン酪酸,ピレンブタジエン酸などが接着分子として用いることができる。
次に、ステップS102で、生体分子を内包するリポソーム(リポソーム類)が含まれている溶液中に分子輸送素子を加える。例えば、複数の分子輸送素子が分散している溶液を、対象とするリポソームが分散している検体溶液に混合すればよい。この後、ステップS103で、分子輸送素子を加えた溶液中で分子輸送素子の蛍光色素分子による蛍光を検出する。例えば、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いた観察により、蛍光像を確認すればよい。
図2に示すように、リポソーム(リポソーム類)101は、脂質二分子膜102から構成され、また、RNAなどの生体分子103を内包する。このように構成されたリポソーム101の脂質二分子膜102を、リポソーム101を破壊することなく、分子輸送素子201が貫通して侵入する。分子輸送素子201は、少なくとも一部が、リポソーム101に侵入可能な大きさとされていればよい。
上述したステップS103で検出する蛍光は、ステップS102で、リポソーム101に侵入した分子輸送素子201の部分に固定されている生体分子検出用分子と、リポソーム101が内包する生体分子103との結合により、蛍光色素分子が基部より離間したことにより発光した蛍光である。
上述した発光について図3を用いて説明する。分子輸送素子201は、図3に示すように、例えば、酸化グラフェンの小片からなる基部202と、基部202に一端が固定された生体分子検出用分子203と、生体分子検出用分子203の他端に結合した蛍光色素分子204とを備える。生体分子検出用分子203は、基部202に引き寄せられるため、図3の(a)に示すように、蛍光色素分子204も基202に近づいた状態となる。この状態では、炭素材料である酸化グラフェンが励起エネルギー吸収物質であるため、クエンチングにより消光状態となる。
上述した状態に対し、生体分子検出用分子203の近傍に、生体分子検出用分子203と特異的に結合する生体分子211が存在すると、図3の(b)に示すように、生体分子検出用分子203は生体分子211と結合して複合体を形成する。このとき、生体分子検出用分子203の一端は、基部202に固定されており、生体分子検出用分子203は、基部202より離脱することはない。しかし、生体分子211との複合体を形成することにより、生体分子検出用分子203の他端は、ここに結合している蛍光色素分子204とともに、基部202より離間していく。このように、距離が遠くなるのに従って基部202による消光効率が著しく低下し、蛍光色素分子204の励起発光(蛍光)が観測されるようになる。
上述したように、リポソームを構成する脂質二分子膜を貫通し、一部分もしくは全体がリポソームの内部に侵入し、また、侵入にともなってリポソームを破壊しない分子輸送素子を用いるようにしたところに本発明の特徴がある。分子輸送素子は、リポソーム内部の物質(生体物質)と選択的に分子相互作用を行う生体分子検出用分子を備える。
リポソームを構成する脂質二分子膜を貫通することができる分子輸送素子は、原子1〜数個程度の厚さからなるシート状の炭素材料からなる基部より構成すればよい。このようなシート状の物質として、例えばグラフェンおよびその誘導体を用いることができる。ここで、グラフェン誘導体とは、グラフェン骨格の一部を化学的に変化させたものであり、酸化グラフェン、酸化グラフェン還元体、ボロンまたは窒素で炭素を置換したグラフェン、五員環を含むグラフェンなどがある。また、上述した基部として、原子数個程度の径からなる棒状のカーボンナノチューブを用いるようにしてもよい。
分子輸送素子(基部)の大きさは、例えば、数μm程度と、対象とするリポソームと同程度、または、リポソームより小さければよい。また、基部が、炭素材料から構成されていれば、はじかれるなどのことがなく、リポソームに侵入することができる。
これらの炭素材料からなる基部は、表面にDNAなどの小分子を搭載可能であることが知られている。アプタマー機能を有するDNAや、miRNAと相補的配列を有するDNAなどの生体分子検出用分子を用いれば、リポソーム内部の生体分子と選択的に分子相互作用を行うことが可能となる(非特許文献3参照)。基部の薄いまたは鋭利な端面形状を利用して脂質二分子膜を貫通させてもよいし、基部表面にDNAなどの小分子を搭載していることを利用し、リポソーム表面に付着している機能分子との相互作用によって脂質二分子膜を貫通させてもよい。
以下、実施例を用いてより詳細に説明する。
[実施例1]
以下では、分子輸送素子を構成する基部を、炭素原子1個程度の厚さからなる酸化グラフェンから構成し、リポソーム内部の物質と選択的に分子相互作用を行う生体分子を、100塩基以下程度のDNA鎖から構成した場合について説明する。
はじめに、分子輸送素子の作製について説明する。酸化グラフェンは、例えばグラファイトを化学的に酸化することで形成したものである。例えば非特許文献4に示される合成法により得られる。この酸化グラフェンを、純水に加えて撹拌することで、酸化グラフェンが分散した分散溶液を得る(第1製造工程)。この分散溶液中には、大きさが約1μmから100μm四方の様々な酸化グラフェンの小片が混在している。この分散溶液中の物質は、原子間力顕微鏡観察およびラマン分光分析から、単層の酸化グラフェンの小片(膜片)が主要成分であることが確認されている。
次に、遠心分離法により、上述した分散溶液から酸化グラフェンを沈殿させて分離する(第2製造工程)。
次に、酸化グラフェンの沈殿物に、DNA鎖を化学修飾(酸化グラフェンに固定)するための接着分子(リンカー)となる、ピレン酪酸スクシンイミドエステルの5mMジメチルホルムアミド溶液を混合し、ふたたび酸化グラフェンを分散溶液として、室温で撹拌しながら1時間反応させる(第3製造工程)。
次に、遠心分離法により、ピレン酪酸スクシンイミドエステルが吸着した酸化グラフェンを沈殿させ、上澄みを取り除いて未反応のピレン酪酸スクシンイミドエステルを除去する(第4製造工程)。
また、別途、蛍光色素分子を結合させた生体分子検出用分子を用意する。3’末端に蛍光色素分子(FAM)を、5’末端にアミノ基を導入したDNA鎖を合成し、100μM水溶液としておく(第5製造工程)。
次に、第5製造工程で作成したDNA鎖の水溶液と、ピレン酪酸が吸着した酸化グラフェンの沈殿物とを混合し、ふたたび酸化グラフェンを分散溶液として、室温で撹拌しながら1時間反応させ、ピレン酪酸とDNA鎖の間にペプチド結合を形成させ、共有結合により固定する(第6製造工程)。これにより、酸化グラフェンの小片(基部)の表面に、ピレン酪酸をリンカーとしてDNA鎖(生体分子検出用分子)の一端が固定される。DNA鎖の他端には、蛍光色素分子が結合している。
次に、反応後の酸化グラフェンを沈殿させ、上澄みを取り除いて未反応のDNA鎖を除去する(第7製造工程)。これに水を加えて再び分散溶液とし、分子輸送素子の水分散溶液を得る(第8製造工程)。
なお、分子輸送素子の大きさを約1μm以下程度とするためには、第8製造工程の後、超音波処理により粉砕すればよい(第9製造工程)。超音波を照射する処理時間により、分子輸送素子を100nm程度まで細かくすることが可能である。第1製造工程の直後に、酸化グラフェンを超音波処理により粉砕して微細化すると、遠心分離法によって沈殿させることが困難になるため、第2製造工程より後の工程を進めることが困難となる。従って、より微細な分子輸送素子を得るためには、上述したように、第8製造工程の後で微細化するとよい。
以上の工程によって作製した分子輸送素子の動作確認は、以下のように行った。まず、検体として、上述したDNAと相補鎖を形成する配列を有するRNAを内包するリポソームを用意した。このリポソームは、直径10μm以下であり、分散溶液として用意する。この分散溶液を対象試料とし、ここに、上述した分子輸送素子の分散溶液を混合し、作用させればよい。
比較対象試料として、上述のDNAと相補鎖を形成しない、塩基数が同程度の別配列のRNAを内包した、直径10μm以下程度のリポソームの分散溶液を用意した。この、比較対象試料に対しても、上記分子輸送素子を含む分散溶液を混合して作用させた。
上述したようなRNAを内包したリポソームは、例えば既報の方法により、得ることができる(非特許文献5参照)。またリポソームを形成する脂質分子の一部をローダミンなどの蛍光分子でラベル化しておけば、蛍光イメージ観察によりリポソームの位置および大きさを確認することができる。
上述した試料および比較対象試料と、分子輸送素子を分散した溶液との混合は、高分子材料などの樹脂から構成した流路を有するチップを用いて行えばよい。高分子材料としては、PDMS(poly dimethylsiloxane)を基本骨格に有する材料を用いることができる。PDMSは、合成が簡単であるほか、ガラスやシリコン上の酸化膜に対して良好な密着が得られるという理由から好ましい。
このような高分子材料製の流路は、シート状の高分子の片側表面に、所望とする数の流路形成用溝を形成し、ここに、ガラスやシリコン基板の主表面を貼り付ければよい。基板により閉鎖された溝で、流路が形成できる。流路形成用溝の一端および他端に貫通する孔部を高分子のシートに設ければ、基板に貼り付けて流路を形成した後で、導入口および排出口として用いることができる。なお、高分子のシートを貫通する流路形成用溝を形成した場合、シートの一方の面をガラスやシリコン基板の主表面に貼り付けると、上部が開放した溝状の流路となる。この場合、上述したような導入口および排出口を設ける必要はない。
ここでは、3本の流路形成用溝を形成したPDMSシートを、ガラス基板に貼り付け、3本の流路を備える流路チップを用いた。この流路チップの第1流路には、分子輸送素子を分散した溶液に試料溶液を混合した溶液を導入する。また、流路チップの第2流路には、分子輸送素子を分散した溶液に比較対象試料を混合した溶液を導入する。また、流路チップの第3流路には、分子輸送素子を分散した溶液に水を混合した溶液を導入する。
上述した3本の流路の蛍光イメージを、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いて、同時に観察した。まずローダミンの赤色蛍光により、直径10μm以下程度のリポソームが、第1流路および第2流路に導入されていることを確認した。次に、FAMの緑色蛍光は、第2流路および第3流路においては、強度が非常に微弱であった。
これらに対し、第1流路においては、リポソームの膜内部において、FAMの蛍光強度の増加が観測された。これは、分子輸送素子がリポソーム膜を貫通もしくは内部に侵入し、搭載されているDNAがリポソーム内部のRNAと分子選択的に相補鎖を形成したことによりDNAの立体構造が変化し、3末端に導入したFAMが、酸化グラフェンへのエネルギー移動を起こさない程度に遠い距離に移動して発光したことで説明できる。
上述したことにより、本発明による蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子が、リポソームを構成する脂質膜を貫通して内部に侵入することが示された。この分子輸送素子を用いて、リポソーム内部の物質(生体物質)と選択的に分子相互作用を行う分子(生体分子検出用分子)を輸送することにより、標的とする物質の変性や分解が起こりにくい最適条件に保たれているリポソーム類の内部空間の環境下において、直接物質の検出や化学反応を起こすことが可能となる。このように、本発明によれば、リポソーム類を破壊することなどの複雑な処理をする必要が無く、リポソーム類に内包される空間に存在する物質の分析が、より容易に実施できるようになる。
リポソーム内部に内包されるRNAとしては、例えば疾病特異的に発現上昇するmiRNAなどを対象とすることができる。例えば、がん特異的に発現上昇するmiRNAが、非特許文献1の図表5に示されている。これを対象とすることで、本発明により、疾病マーカの検出が可能となる。
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。例えば、蛍光色素分子や接着分子が結合している生体分子検出用分子の端部に、更に、核酸やペプチドが配列した分子が結合していてもよい。
また、接着分子としては、ピレン酪酸やピレンブタジエン酸などピレンが骨格に含まれているもや、ベンゼンおよび多環芳香族分子(ナフタレン,アントラセン,テトラセン,ペンタセン,フェナントレン,ピレン,ペリレン,コロネン)などを用いることができる。また、接着分子を生体分子検出用分子と結合させる官能基(分子)は、ブタジエン酸や、「−COOH」および「−(CH2nCOOH」がある。なお、nは、好ましくは2〜10の範囲がよい。
101…リポソーム、102…脂質二分子膜、103…生体分子、201…分子輸送素子、202…基部、203…生体分子検出用分子、204…蛍光色素分子、211…生体分子。

Claims (5)

  1. 炭素材料の小片からなる基部と、
    検出対象となる生体分子と特異的に結合して一端が前記基部に固定された生体分子検出用分子と、
    前記生体分子検出用分子の他端に結合した蛍光色素分子と
    を備える分子輸送素子を用意する第1ステップと、
    生体分子を内包するリポソームが含まれている溶液中に前記分子輸送素子を加える第2ステップと、
    前記分子輸送素子を加えた前記溶液中で前記分子輸送素子の前記蛍光色素分子による蛍光を検出する第3ステップと
    を備え、
    前記基部は、グラフェン,グラフェン誘導体,およびカーボンナノチューブのいずれかから構成することを特徴とする生体分子測定方法。
  2. 請求項1記載の生体分子測定方法において、
    前記第3ステップで検出する蛍光は、
    前記第2ステップで、前記リポソームに侵入した前記分子輸送素子の部分に固定されている前記生体分子検出用分子と、前記リポソームが内包する前記生体分子との結合により、前記蛍光色素分子が前記基部より離間したことにより発光した蛍光である
    ことを特徴とする生体分子測定方法。
  3. 請求項1または2記載の生体分子測定方法において、
    前記生体分子検出用分子の一端に結合した接着分子を備え、
    前記生体分子検出用分子は、前記接着分子により前記基部に固定されている
    ことを特徴とする生体分子測定方法。
  4. 炭素材料の小片からなる基部と、
    検出対象となる生体分子と特異的に結合して一端が前記基部に固定された生体分子検出用分子と、
    前記生体分子検出用分子の他端に結合した蛍光色素分子と
    を備え、
    前記基部は、グラフェン,グラフェン誘導体,およびカーボンナノチューブのいずれかから構成されていることを特徴とする蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子。
  5. 請求項4記載の蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子において、
    前記生体分子検出用分子の一端に結合した接着分子を備え、
    前記生体分子検出用分子は、前記接着分子により前記基部に固定されている
    ことを特徴とする蛍光色素分子が結合した生体分子検出用分子をリポソームの内部に輸送する分子輸送素子。
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