まず、TDD適用時に送受信ポイント毎にDLとULの送信比率を時間領域で動的に変動する場合(Dynamic TDD)について説明する。図2Aに示す無線通信システムは、同一オペレータにおける複数の送受信ポイント(ここでは、無線基地局#1、#2)と、各無線基地局#1、#2と通信するユーザ端末#1、#2とを含んで構成されている。
図2Aにおいて、無線基地局#1とユーザ端末#1との間、及び無線基地局#2とユーザ端末#2との間では、時間分割複信(TDD)により無線通信が行われる。例えば、図2Bに示すように無線基地局#1がDL/UL構成1、無線基地局#2がDL/UL構成2を適用する場合を想定する。
この場合、サブフレーム3、8において、無線基地局#1はUL伝送を行い、無線基地局#2はDL伝送を行う。すなわち、同一時間領域/同一周波数領域において、無線基地局#2からユーザ端末#2に下りリンク信号が送信され、ユーザ端末#1から無線基地局#1に上りリンク信号が送信される。
そのため、無線基地局#2からユーザ端末#2に送信される下りリンク信号は、ユーザ端末#1から無線基地局#1に送信される上りリンク信号への干渉(無線基地局#1と無線基地局#2間の干渉1)となるおそれがある。また、ユーザ端末#1から無線基地局#1に送信される上りリンク信号は、無線基地局#2からユーザ端末#2に送信される下り信号への干渉(ユーザ端末#1とユーザ端末#2間の干渉2)となるおそれがある(図2A参照)。
その結果、サブフレーム3、8において、無線基地局#1の受信品質、ユーザ端末#2の受信品質が低下するおそれがある。通常、無線基地局からユーザ端末に送信される下りリンク信号の送信電力の方が、ユーザ端末から無線基地局に送信される上りリンク信号の送信電力より大きくなる。そのため、無線基地局から送信される下りリンク信号が、ユーザ端末から送信される上りリンク信号(例えば、上り制御信号)に対して及ぼす干渉(図2Aにおける干渉1)の影響が特に大きくなる。
このように、隣接する無線基地局間で異なるDL/UL構成を適用する場合、DLサブフレームとULサブフレームが重複すると、上り制御チャネル(PUCCH)に対する下りリンク信号の干渉(無線基地局間の干渉)の影響が大きくなり、通信品質が劣化するおそれがある。
なお、上述した例において、無線基地局#1とユーザ端末#1が使用する周波数キャリア(以下、周波数キャリア#1と呼ぶ)と無線基地局#2とユーザ端末#2が使用する周波数キャリア(以下、周波数キャリア#2と呼ぶ)とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。周波数キャリア#1と周波数キャリア#2が異なっている場合、かかる干渉の影響は、周波数キャリア#1と周波数キャリア#2が同じである場合に比べて小さくなる。
これは、周波数キャリア#1と周波数キャリア#2が異なっている場合、信号そのものが干渉を引き起こすのではなく、信号を送信する際に、隣接帯域に発生する不要発射(Unwanted emissions)が干渉を引き起こすためである。また、送信側の不要発射だけでなく、干渉を受信する無線基地局あるいはユーザ端末の隣接チャネルの選択性(Adjacent Channel Selectivity)やブロッキング特性も、通信品質の劣化につながる。
一般に、かかるUnwanted emissionsや隣接チャネルの選択性/ブロッキング特性による影響は、周波数キャリア#1と周波数キャリア#2が隣接する場合に、周波数キャリア#1と周波数キャリア#2が同じである場合の干渉と比べて、30dBほど小さいと考えられている。また、周波数キャリア#1と周波数キャリア#2の周波数間隔が大きくなればなるほど、かかる干渉の影響は小さくなる。これらの干渉の影響は、3GPP, TS36.101やTS36.104に記載されている、ユーザ端末や無線基地局のUnwanted emissionsに関する規定や隣接チャネルの選択性/ブロッキング特性に関する規定から類推することが可能である。
したがって、地理的に隣接する無線基地局間の干渉を低減するために、隣接する送受信ポイント間で互いに異なる周波数キャリア(RBs)を適用する方法が考えられる。例えば、図3に示すように、複数のスモールセルが設けられた構成において、隣接スモールセル間で周波数方向に直交する周波数キャリア(以下、単に「キャリア」とも記す)を適用する。
つまり、各スモールセルは、隣接するスモールセルと周波数が異なる無線リソースを用いてダイナミックTDDを行う。これにより、隣接する無線基地局間の干渉を低減することが可能となる。しかし、図3の場合、各スモールセルにおいて利用しない周波数キャリア(無線リソース)が生じるため、無線リソースの利用効率が低減するおそれがある。
ダイナミックTDDにおける他の干渉低減方法として、Half Duplex FDDのメカニズムを利用すること(Half Duplex FDD like)が考えられる。この場合、図4に示すように上りリンク伝送に利用するUL用キャリアと下りリンク伝送に利用するDL用キャリアが周波数方向で直交するようにキャリアの割当てを行う。そして、1送信時間間隔(例えば、1サブフレーム)において、1ユーザ端末に対してUL用キャリアとDL用キャリアのいずれか一方の伝送方向を用いて信号の送受信を行う。
図4では、同一オペレータの無線基地局は、DL用キャリア(図4のキャリア#0)及びUL用キャリア(図4のキャリア#1)を利用して通信を行う。そのため、図3と比較して無線リソースの利用効率を向上することができる。また、1ユーザ端末に対するUL伝送とDL伝送が、異なるキャリア且つ異なるサブフレームで行われる。つまり、各ユーザ端末は、UL伝送とDL伝送を同時(同一のサブフレーム)で行わない。
一方で、各無線基地局(例えば、各スモール基地局)は、異なるユーザ端末に対してUL伝送とDL伝送を同時に行うことができる。したがって、ユーザ端末はHalf Duplex動作を行い、無線基地局はFull Duplex動作を行う。このように、Half Duplex FDDのメカニズムを利用することにより、ユーザ端末の構成を簡略化できる(デュプレクサが不要)と共に、従来のTDD用のユーザ端末も利用することができる。また、図3の場合と比較して、無線リソースの利用効率を向上することができる。
また、将来の無線通信システムとして、スモール基地局とマクロ基地局のカバレッジが重複するように構成されたHetNet環境において、スモール基地局がHalf Duplex FDDのメカニズムを利用することが考えられる。Half Duplex FDDをスタンドアローン(stand-alone)とする場合、スモール基地局のスケジューラは、ユーザ端末がMIB、SIBやページング信号等の共通信号/チャネルを受信することを考慮して、パケットのスケジューリング制御を行う必要がある。
具体的には、ユーザ端末がMIB、SIBやページング信号等の共通信号/チャネルを受信すると想定されるサブフレームにおいては、ULの送信が発生しないようにパケットのスケジューリング制御を行う必要がある。なお、スタンドアローンとして動作するスモール基地局は、ある一定のリソース領域を、MIB、SIBやページング信号等の共通信号/チャネルの送信用の領域として固定的に利用する必要がある。
一方で、ユーザ端末がマクロ基地局及びスモール基地局の双方に接続する構成である場合(dual connectivity)、マクロ基地局から、スモール基地局に関するセル固有信号やチャネル等をユーザ端末に対して送信することが可能となる。そのため、スモール基地局からユーザ端末にセル固有信号等の送信を行わない構成とすることができる。ここで、dual connectivityとは、具体的には、Intra-eNB Carrier Aggregationであってもよいし、Inter-eNB Carrier Aggregationであってもよい。また、かかるセル固有信号やチャネル等とは、例えば、上述したMIB、SIBやページング信号等である。
さらに、スモールセルにおいて、ニューキャリアタイプ(NCT:New Carrier Type)を適用する場合、NCTでは固定帯域を必要としない構成を取ることが可能であり、DL伝送とUL伝送の帯域幅(DL/UL bandwidth)を柔軟に調整することができる。
一般に、無線基地局が、セル固有の信号やチャネルである、パイロット信号や同期信号、MIB、SIBやページング信号をユーザ端末に対して送信するためには、DLやULのシステム帯域幅は固定されている必要がある。これは、以下の理由による。ユーザ端末は、無線基地局とのコネクションが構築されていないアイドル状態においても、かかるセル固有の信号やチャネルを受信する必要がある。この場合、予め決められた時間リソース、周波数リソースで、かかるセル固有の信号やチャネルが送信されなければならない。このように予め決められた時間リソース、周波数リソースでかかるセル固有の信号やチャネルが送信される場合は、必然的に、システム帯域幅が固定されることになる。すなわち、ニューキャリアタイプにおいて、かかるセル固有の信号やチャネルを取り除くと、DL伝送とUL伝送の帯域幅を柔軟に調整することが可能となる。
ところで、将来の通信システムでは、ある周波数帯域(例えば、3.5GHz帯)において、複数のオペレータ(通信事業者)が、周波数が異なるキャリアを利用して移動通信サービスを提供することが考えられる。ここで、かかる複数のオペレータが、Dynamic TDDのメカニズムを利用することが考えられる。オペレータが異なる無線基地局同士は、同一オペレータの隣接無線基地局同士よりカバレッジの重複領域が大きくなることが想定される(図5参照)。また、極端な場合、あるオペレータの無線基地局は、別のオペレータの無線基地局と同じ場所、例えば、同じ鉄塔に位置する場合がある。
したがって、異なるオペレータがそれぞれ利用するキャリア間(特に、伝送方向が異なる隣接キャリア間)で干渉が生じ、通信品質の特性が劣化するおそれがある。すなわち、従来のTDDにおいて、各オペレータがUL用のタイムスロットとDL用のタイムスロットを動的に切り替える場合やDL用タイムスロットとUL用タイムスロットの割当て比率を動的に変化させる場合には、伝送方向が異なるタイミングにおいて、隣接キャリア間の干渉の影響が大きくなる。なお、かかる干渉においては、上述した、隣接帯域に発生する不要発射や、受信側の隣接チャネルの選択性やブロッキング特性が、干渉の原因となる。
また、Dynamic TDDではなく、従来のFDDのメカニズムを利用することも考えられるが、その場合、異なるオペレータがそれぞれ利用するキャリア間の干渉は存在しないが、動的にDL用のリソースとUL用のリソースを変動させるということはできなかった。すなわち、従来のFDDのメカニズムでは、周波数方向のリソースを動的に変動させることができないという課題があった。
そこで、本発明者は、上述したHalf Duplex FDDのメカニズムを利用しつつ、他のオペレータの送受信ポイント(無線基地局)から受ける干渉を考慮して、異なるオペレータ間の隣接キャリアの割当てを制御することにより、干渉の影響を抑制できることを着想した。具体的には、異なるオペレータ間で隣接するキャリアの伝送方向が同一(same direction)となるようにUL用キャリア及びDL用キャリアの割当てを制御する。なお、異なるオペレータ間で隣接するキャリアとは、例えば、第1のオペレータが割当てる第1キャリアと、第2のオペレータが割当てる第2キャリアとが、周波数方向において他のキャリアを介さずに隣接することをいう。
以下に、本実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、キャリアの割当てを行うオペレータが3つの場合を例に挙げて説明するが、本実施の形態が適用できるオペレータ数等はこれらに限られない。
(第1の態様)
図6にHalf Duplex FDDのメカニズムを利用した第1の態様のキャリアの割当てを示す。図6では、ある送受信タイミング(サブフレーム)に、各オペレータ(Operator#1〜Operator#3)において設定されるUL用キャリア及びDL用キャリアの一例を示している。
各オペレータの送受信ポイント(無線基地局)は、図4に示すように、上りリンク伝送に利用するUL用キャリアと下りリンク伝送に利用するDL用キャリアが周波数方向で直交するようにキャリアの割当てを行う。
具体的には、ある周波数帯域(例えば、3.5GHz帯)において、オペレータ#1は、低周波数領域側に2つのDLキャリアと1つのULキャリアを設定する。オペレータ#2は、中間周波数領域に1つのDLキャリアと2つのULキャリアを設定する。オペレータ#3は、高周波数領域側に1つのDLキャリアと1つのULキャリアを設定する。つまり、周波数方向に対してオペレータ毎に分類してキャリアの割当てを行う。なお、各オペレータが設定するキャリアの数、帯域幅、位置、順序等はこれに限られない。例えば、各キャリアの帯域幅は一定である必要はない。
さらに、異なるオペレータ間で隣接するキャリアが同じ伝送方向(same direction)となるように、キャリアの割当てを行う。例えば、図6では、オペレータ#1とオペレータ#2が適用するキャリアの中で、オペレータ間で隣接するキャリアに対してUL用キャリアを適用する。また、オペレータ#2とオペレータ#3が適用するキャリアの中で、オペレータ間で隣接するキャリアに対してDL用キャリアを適用する。
また、各オペレータは、図7に示すように、UL用キャリアとDL用キャリアの帯域幅やキャリア数を制御することにより、周波数方向のリソース割当て比率を動的に変動させてもよい。例えば、各オペレータは、図7A〜図7Cに示すように、DL伝送とUL伝送のトラヒックの量に応じて、DL伝送とUL伝送のための帯域幅を動的に変動させてもよい。具体的に、図7Aには、DL伝送のトラヒックとUL伝送のトラヒックが概略同等の場合のキャリアの帯域幅の一例を示している。図7Bには、DL伝送のトラヒックがUL伝送のトラヒックと比較して多い場合のキャリアの帯域幅の一例を示している。図7Cには、DL伝送のトラヒックがUL伝送のトラヒックと比較して少ない場合のキャリアの帯域幅の一例を示している。
あるいは、各オペレータは、図7D〜図7Fに示すように、DL伝送とUL伝送のためのキャリア数を動的に変動させてもよい。具体的に、図7Dには、DL伝送のトラヒックとUL伝送のトラヒックが概略同等の場合に設定するUL用キャリア数とDL用キャリア数の一例を示している。図7Eには、DL伝送のトラヒックがUL伝送のトラヒックと比較して多い場合に設定するUL用キャリア数とDL用キャリア数の一例を示している。図7Fには、DL伝送のトラヒックがUL伝送のトラヒックと比較して少ない場合に設定するUL用キャリア数とDL用キャリア数の一例を示している。
あるいは、各オペレータは、DL伝送とUL伝送のトラヒックの量に応じて、DL伝送とUL伝送のための帯域幅及びキャリア数の両方を変動させてもよい。なお、かかるDL伝送とUL伝送のための帯域幅やキャリア数の調整、制御は、より一般的に、DL伝送とUL伝送のための周波数方向のリソース制御と呼ばれてもよい。あるいは、かかるDL伝送とUL伝送のための帯域幅やキャリア数の調整、制御は、より一般的に、DL伝送とUL伝送に関する、周波数方向のリソース割当て比率の制御と呼ばれてもよい。
なお、各オペレータは、UL用キャリアとDL用キャリアの帯域幅やキャリア数を動的に変動させる場合にも、異なるオペレータ間で隣接するキャリアに対してキャリアの伝送方向が同一となるにようにキャリアの帯域幅や数を制御する。
このように、異なるオペレータ間で隣接するキャリアの伝送方向を同じ(same direction)とすることにより、オペレータ間の干渉(ACI:Adjacent Channel Interference)を低減することが可能となる。その結果、各オペレータがDL伝送とUL伝送に関する、周波数方向のリソース割当て比率を動的に変化させる場合であっても、他のオペレータの送受信ポイントから受ける干渉を低減することができる。
なお、第1の態様では、少なくとも異なるオペレータ間の隣接するキャリアの伝送方向が同じであればよく、同一オペレータ内でのDL伝送とUL伝送に関する、周波数方向のリソース割当て比率は各オペレータが独自に決定することができる。図6に示す場合、オペレータ#1の3つのキャリアのうち、オペレータ2のキャリアと隣接するキャリアを当該隣接キャリアと同じ伝送方向に制御すればよく、オペレータ2のキャリアと隣接するキャリアの帯域幅は適宜設定することができる。また、オペレータ2のキャリアと隣接するキャリア以外のキャリアの伝送方向や帯域幅は適宜設定することができる。
また、異なるオペレータの隣接キャリア間のギャップは、所定条件を満たすように設定すればよい。所定条件としては、ACIR(Adjacent Channel Interference Ratio)の規定に従ってギャップを設定することができ、例えば、ACIR値(ACIR values)として30dBを満たすように設定する。より具体的には、通常のFDD、もしくは、時間同期が実現されているTDDの場合のギャップが設定されてもよい。例えば、図8に示すように、Transmission Bandwidth Configuration(NRB)の観点で規定されているギャップのみが設定されればよい(3GPP TS36.101 V11.3.0, Figure 5.6-1参照)。なお、図8は、チャネルバンド幅(Channel bandwidth)と送信バンド幅の構成(Transmission Bandwidth Configuration)の関係を示しており、Channel bandwidthの範囲内に送信帯域幅が規定される。すなわち、Channel Bandwidthという観点で見た場合には、隣接キャリア間のギャップは不要である。
また、同一オペレータ内でのキャリア間のギャップは各オペレータが独自に決定することができる。各オペレータは、各オペレータが制御するユーザ端末同士、あるいは、無線基地局同士の干渉、あるいは、無線基地局内の自干渉の影響を考慮してギャップを決定すればよい。なお、無線基地局内の自干渉とは、無線基地局の送信信号が、当該無線基地局の受信器に与える干渉のことを意味する。一般的に、無線基地局の送信ポイントと受信ポイントのIsolationは十分に確保されているが、ギャップの大きさが小さい場合、かかるIsolationを確保することが困難になると考えられる。よって、オペレータは、かかるIsolationの困難性を考慮して、前記ギャップの大きさを決定してもよい。
また、上述したように、異なるオペレータ間で隣接するキャリアの伝送方向を同一に制御するのであれば、各オペレータが設定するキャリアの数、帯域幅、位置、順序等はこれに限られない。例えば、各オペレータは、図9に示すようにキャリアの割当てを行うこともできる。
図9では、ある周波数帯域(例えば、3.5GHz帯)において、オペレータ#1が低周波数領域側に2つのDLキャリアと1つのULキャリアを設定する。また、オペレータ#2が中間周波数領域に2つのDLキャリアと4つのULキャリアを設定する。また、オペレータ#3が高周波数領域側に1つのDLキャリアと1つのULキャリアを設定する。さらに、オペレータ#1とオペレータ#2が適用するキャリアの中で、オペレータ間で隣接するキャリアに対してULキャリアを適用する。また、オペレータ#2とオペレータ#3が適用するキャリアの中で、オペレータ間で隣接するキャリアに対してULキャリアを適用する。
(第2の態様)
図10にHalf Duplex FDDのメカニズムを利用した第2の態様におけるキャリアの割当てを示す。図10は、ある送受信タイミング(サブフレーム)に、各オペレータにおいて設定されるUL用キャリア及びDL用キャリアの割当ての一例を示している。
第2の態様では、上記図6、図9に示すように周波数領域をオペレータ毎に分類してキャリアを設定するのではなく、キャリアの伝送方向の種別(UL又はDL)に応じて設定する場合を示している(図10参照)。つまり、各オペレータの無線基地局は、DL用キャリアを他のオペレータのDL用キャリアと隣接するように割当て、UL用キャリアを他のオペレータのUL用キャリアと隣接するように割当てる。この場合、各オペレータの無線基地局は、低周波数領域側にDL用キャリア又はUL用キャリアの一方を設定し、高周波数領域側にDLキャリア又はULキャリアの他方を設定する。
図10では、ある周波数帯域(例えば、3.5GHz帯)において、オペレータ#1は、低周波数領域側に2つのDLキャリア、高周波数領域側に1つのULキャリアを設定する。オペレータ#2は、低周波数領域側に1つのDLキャリア、高周波数領域側に1つのULキャリアを設定する。オペレータ#3は、低周波数領域側に1つのDLキャリア、高周波数領域側に1つのULキャリアを設定する。つまり、オペレータ#1〜#3のDLキャリアを低周波数領域側に集約して割当て、オペレータ#1〜#3のULキャリアを高周波数領域側に集約して割当てる。
このように、各オペレータのDL用キャリアとUL用キャリアをそれぞれ集約して割当てることにより、異なるオペレータ間で隣接するキャリアの伝送方向を同一(same direction)とすることができる。これにより、オペレータ間の干渉(ACI:Adjacent Channel Interference)を低減することが可能となる。
また、第2の態様では、同一オペレータ内でのDL用キャリアとUL用キャリアの周波数方向のリソース割当て比率は各オペレータ間で異なっていてもよい。例えば、図10に示すように、オペレータ#1のみが2つのDL用キャリアを設定することが可能である。
また、図10において、伝送方向が異なるキャリア(DL用キャリアとUL用キャリアキャリア)間のギャップは、所定条件を満たすように設定する。所定条件としては、例えば、上述したACIRの規定に従ってギャップを設定することができる。より具体的には、通常のFDD、もしくは、時間同期が実現されているTDDの場合のギャップが設定されてもよい。例えば、上記図8に示すように、Transmission Bandwidth Configurationの観点で規定されているギャップのみが設定されればよい(3GPP TS36.101 V11.3.0, Figure 5.6-1参照)。すなわち、Channel Bandwidthという観点で見た場合には、隣接キャリア間のギャップは不要である。
なお、伝送方向が同一のキャリアであって異なるオペレーション間で隣接するキャリア間のギャップは、伝送方向が異なる隣接キャリア間のギャップより小さく設定してもよい。この場合、伝送方向の種別に応じて異なるオペレータ間のキャリアを集約して割当てることにより、無線リソースの利用効率を向上することができる。
(第3の態様)
図11にHalf Duplex FDDのメカニズムを利用した第3の態様におけるキャリアの割当てを示す。図11は、ある送受信タイミング(サブフレーム)に、各オペレータにおいて設定されるUL用キャリア、DL用キャリア及び端末間通信用キャリアの割当ての一例を示している。
第3の態様では、DL用キャリアとUL用キャリアの間に端末間通信(D2D)に用いる周波数(キャリア又はリソースブロック)を割当てる。この場合、各ユーザ端末は、D2D用のキャリア周波数領域)を利用して端末間通信を行う。
端末間通信(D2D)は、その性質上、通常のユーザ端末と無線基地局間の通信で定義される「DL伝送/UL伝送」といった違いが存在しない。すなわち、端末間通信(D2D)では、「伝送方向が異なる」という概念すら存在せず、常に、上述した伝送方向が異なることによる生じる干渉問題が発生することになる。一方、端末間通信(D2D)は、ユーザ端末と無線基地局間通信と比較して送信電力が低いため、かかる干渉は、それほど大きな問題にならないと考えられる。言い換えれば、端末間通信(D2D)においては、かかる干渉が問題にならないような送信電力で通信が行われるように制御を行うことが一般的である。
よって、D2D用キャリアを伝送方向が異なる2つのキャリアの間(特に、異なるオペレータ間で隣接するDL用キャリアとUL用キャリアの間)に設けることにより、オペレータ間の干渉を抑制することができる。また、伝送方向が異なるキャリア間のギャップ領域をD2D用キャリアとして利用することができるため、無線リソースの利用効率を向上することができる。
例えば、各オペレータが低周波数領域側にDL用キャリアを設定し、高周波数領域側にUL用キャリアを設定する場合(上記図10参照)、DL用キャリアのグループとUL用キャリアのグループの間に端末間通信(D2D)用キャリアを割当てる(図11A参照)。DL用キャリアとUL用キャリア間に割当てられるD2D用のキャリアは送信電力が低いため、D2D用のキャリアで行われる通信が、DL用キャリアやUL用キャリアに及ぼす干渉の影響を低減することが可能となる。また、D2D用のキャリアは、DL用キャリアとUL用キャリアの干渉という観点では、ガードバンドとみなすことが可能となり、DL用キャリアからUL用キャリアに対する干渉(あるいは、その逆方向の干渉)の影響を低減することができる。
なお、図11Bに示すように、D2D用のキャリアの割当は、上記第1の態様における、あるオペレータ内(例えば、オペレータ#1)のDL用キャリアとUL用キャリアの間に設定されてもよい。DL用キャリアとUL用キャリアの間にD2D用のキャリアを設定する場合、図11Aの場合と同様に、伝送方向が異なるキャリア間の干渉を低減すると共に無線リソースの利用効率を向上することができるという効果を奏する。
(第4の態様)
第4の態様では、各オペレータの送受信ポイント(無線基地局)がDL用キャリア及びUL用キャリアの割当て情報をユーザ端末に通知する方法について説明する。
各オペレータの送受信ポイントは、ユーザ端末に対してRRCシグナリングを用いてDL用キャリア及びUL用キャリアを指定することができる。具体的には、DL用キャリア及びUL用キャリアの割当て情報を、RRCコネクション再構成(RRC CONNECTION RECONFIGURATION)のタイミングで、ユーザ端末に通知することができる。RRCコネクション再構成には、CSI−RS構成(CSI-RS-Config)等の通知情報が含まれる。なお、各オペレータが適用するキャリアの位置は、あらかじめ決められていてもよいし、所定条件に基づいて動的又は準静的に変更する構成であってもよい。例えば、他のオペレータのキャリアから受ける干渉を考慮して、当該他のオペレータのキャリアに隣接するキャリアの伝送方向を変更することが可能である。
以下に、DL用キャリア及びUL用キャリアの割当て情報を、RRCコネクション再構成のタイミングで、ユーザ端末に通知する場合について図12を参照して説明する。まず、ユーザ端末UEは無線基地局eNBに対して、RACH preambleを送信する。無線基地局eNBは、RACH preambleを受信したときに、ユーザ端末UEに対して、RACH responseを送信する。次いで、ユーザ端末UEは、無線基地局eNBに対して、RRC CONNECTION REQUEST(Message 3)を送信する。無線基地局eNBは、RRC CONNECTION REQUEST(Message 3)を受信したときに、ユーザ端末UEに対して、RRC CONNECTION SETUP(Message 4)を送信する。
ユーザ端末UEは、RRC CONNECTION SETUP(Message 4)を受信すると、無線基地局eNBに対して、RRC CONNECTION SETUP COMPLETEを送信する。無線基地局eNBは、RRC CONNECTION SETUP COMPLETEを受信すると、移動管理ノードMMEに対して、INITIAL UE MESSAGEを送信する。これにより、ユーザ端末UEと移動管理ノードMMEとの間で、AuthenticationやNAS security procedureが行われる。その後、移動管理ノードMMEは、無線基地局eNBに対して、INITIAL CONTEXT SETUP REQUESTを送信する。
なお、INITIAL CONTEXT SETUP REQUESTにUE CAPABILITYが含まれていない場合、無線基地局eNBは、ユーザ端末UEに対して、UE CAPABILITY ENQUIRYを送信する。ユーザ端末UEは、UE CAPABILITY ENQUIRYを受信したとき、無線基地局eNBに対して、ユーザ能力情報(UE CAPABILITY INFORMATION)を送信する。
そして、無線基地局eNBは、移動管理ノードMMEに対して、UE CAPABILITY INFO INDICATIONを送信する。次いで、無線基地局eNBは、ユーザ端末UEに対して、SECURITY MODE COMMANDを送信する。その後、無線基地局eNBは、ユーザ端末UEに対して、UL用キャリア及びDL用キャリアを指定する情報を含むRRC CONNECTION RECONFIGURATIONを送信する。
また、UL用キャリア及びDL用キャリアの指定方法としては、MIB、SIBを用いてもよいし、下り制御チャネル(PDCCH、EPDCCH)を用いてもよい。なお、下り制御チャネルを利用する場合には、あらかじめUL用キャリア及びDL用キャリアの割当て候補を上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)でユーザ端末に通知し、複数の候補の中から下り制御情報(DCI)で動的に指定する構成とすることができる。
また、各オペレータの無線基地局は、在圏するユーザ端末情報や、トラフィック量(traffic load)、DLキャリア−ULキャリア間の干渉量等に基づいて、UL用キャリアとUL用キャリアの指定位置を変更する構成としてもよい。
なお、マクロ基地局とスモール基地局を含むHetNetを適用する場合には、通信形態(Half Duplex FDDがスタンドアローンであるか否か)に応じて、ユーザ端末に、上述したDL用キャリア及びUL用キャリアの割当て情報を通知する主体(マクロ基地局、又は、スモール基地局)を変更することが好ましい。
例えば、マクロ基地局とスモール基地局を含むHetNetにおいて、ユーザ端末が、マクロ基地局およびスモール基地局とdual connectivityを用いて通信を行い、かつ、スモール基地局がHalf Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を行う場合を想定する。すなわち、スモール基地局はスタンドアローンで動作しない場合を想定する。この場合、dual connectivity(Intra-eNB Carrier Aggregation、又は、Inter-eNB Carrier Aggregation)が適用されるため、マクロ基地局から上述のRRCシグナリングを用いてユーザ端末に通知することができる。つまり、マクロ基地局はHalf Duplex FDDの構成(Configuration)を通知する基地局として機能し、スモール基地局はHalf Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を実行する基地局として機能する。
一方で、スモール基地局がスタンドアローンで動作する場合には、スモール基地局が独立して動作し、当該スモール基地局からセル固有の信号やチャネルである、パイロット信号や同期信号、MIB、SIBやページング信号をユーザ端末に送信する。したがって、スモール基地局のスケジューラは、ユーザ端末がMIB、SIBやページング信号等の共通信号/チャネルを受信することを考慮して、パケットのスケジューリング制御を行う。つまり、スモール基地局は、Half Duplex FDDの構成(Configuration)を通知すると共に、Half Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を実行する基地局として機能する。以下に、各通信形態について具体的に説明する。
マクロ基地局とスモール基地局を含むHetNet環境下において、dual connectivity(例えば、CA)を適用する場合、Half Duplex FDDのメカニズムを利用したシステムの運用はSCell(例えば、スモールセル(3.5GHz帯))で行うことが考えられる。SCellは、二次的なCell、あるいは、サブのCellと呼ばれてもよい。この場合、RRCシグナリングはPCell(例えば、マクロセル(2GHz帯))で行うことができる。PCellは、メインのCellと呼ばれてもよい。
この場合、上述したように所定の情報についてはマクロ基地局からRRCシグナリングを利用してユーザ端末に通知し、その他の情報をスモール基地局から下り制御チャネル(例えば、EPDCCH)を用いて通知することにより、UL用キャリア及びDL用キャリアの周波数リソースを指定することができる。また、この場合、RRCシグナリングをマクロ基地局から送信すると共に、マクロ基地局の制御下のもとで、下り制御チャネルをスモール基地局から送信することができる。
具体的には、マクロ基地局からRRCシグナリングを用いて、PRACHの配置場所、EPDCCHの配置場所、DLのパイロット信号(PSS/SSS、CRS、ディスカバリシグナルの少なくとも一つ)の配置場所を指定する。また、PDCCHのFalse alarmを考慮して、ULで送信可能な周波数リソース(又は、ULで送信不可能な周波数リソース)についても、RRCシグナリングを用いてユーザ端末に通知してもよい。
次に、無線基地局(例えば、マクロ基地局とスモール基地局を含むHetNetにおけるスモール基地局)がスタンドアローンでHalf Duplex FDD likeの運用を行う場合を説明する。
スタンドアローンの無線基地局の場合、セル固有の信号やチャネルは、システムとして予め決められた領域(システム固有領域)で送信される(図13A)。例えば、下りリンク同期信号、報知情報は、システム帯域の中であらかじめ決定された所定の配置場所(システム固有帯域)で送信を行うことが考えられる。このようなスタンドアローンの無線基地局でHalf Duplex FDD likeの運用を行う場合、例えば、下りリンクのセル固有信号やチャネルが送信される領域を下りリンク専用無線リソースとして予め設定しておくことで、図13で示すように上りリンクの無線リソースとして使用しないようにすることが考えられる。
例えば、DL伝送のトラヒックがUL伝送のトラヒックと比較して少ない場合に、UL用キャリアの帯域幅(又はUL用キャリア数)を増加させる場合であっても、下りリンク用のシステム固有領域にUL用キャリアを割当てない構成とする(図13B、C参照)。同様に、上りリンク伝送においても、上りリンク専用無線リソースを予め設定しておくことで、下りリンクの無線リソースとして使用しないようにしてもよい。
以上のように、第4の態様で示した方法は、上記第1の態様〜第3の態様に適宜適用することができる。
(無線通信システムの構成)
図14は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。なお、図14に示す無線通信システムは、例えば、LTEシステム或いは、SUPER 3Gが包含されるシステムである。この無線通信システムでは、LTEシステムのシステム帯域幅を1単位とする複数の基本周波数ブロック(コンポーネントキャリア)を一体としたキャリアアグリゲーション(CA)が適用することができる。また、この無線通信システムは、IMT−Advancedと呼ばれても良いし、4G、FRA(Future Radio Access)と呼ばれても良い。
図14に示す無線通信システム1は、マクロセルC1を形成する無線基地局11と、マクロセルC1内に配置され、マクロセルC1よりも狭いスモールセルC2を形成する無線基地局12a及び12bとを備えている。また、マクロセルC1及び各スモールセルC2には、ユーザ端末20が配置されている。ユーザ端末20は、無線基地局11及び無線基地局12の双方に接続すること(dual connectivity)ができる。なお、図14は、同一オペレータが運用する無線通信システムを示しており、他のオペレータも同様の構成で運用することができる。
また、以下の説明では、無線基地局11(マクロ基地局)と無線基地局12(スモール基地局)を含むHetNetにおいて、スモール基地局がHalf Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を行う際に、スモール基地局がスタンドアローンで動作しない場合を想定して説明する。つまり、dual connectivity(Intra-eNB Carrier Aggregation、又は、Inter-eNB Carrier Aggregation)が適用され、マクロ基地局はHalf Duplex FDDの構成(Configuration)を通知する基地局として機能し、スモール基地局はHalf Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を実行する基地局として機能する場合を示す。もちろん、本実施の形態は、これに限られず上述したようにスモール基地局がスタンドアローンで動作することも可能である。
ユーザ端末20と無線基地局11との間は、相対的に低い周波数帯域(例えば、2GHz)で帯域幅が狭いキャリア(既存キャリア、Legacy carrier等と呼ばれる)を用いて通信が行なわれる。一方、ユーザ端末20と無線基地局12との間は、相対的に高い周波数帯域(例えば、3.5GHz等)で帯域幅が広いキャリアが用いられてもよいし、無線基地局11との間と同じキャリアが用いられてもよい。ユーザ端末20と無線基地局12間のキャリアタイプとしてニューキャリアタイプ(NCT)を利用してもよい。無線基地局11及び各無線基地局12は、有線接続(Optical fiber、X2インターフェース等)又は無線接続されている。
無線基地局11及び各無線基地局12は、それぞれ上位局装置30に接続され、上位局装置30を介してコアネットワーク40に接続される。なお、上位局装置30には、例えば、アクセスゲートウェイ装置、無線ネットワークコントローラ(RNC)、モビリティマネジメントエンティティ(MME)等が含まれるが、これに限定されるものではない。また、各無線基地局12は、無線基地局11を介して上位局装置に接続されてもよい。
なお、無線基地局11は、相対的に広いカバレッジを有する無線基地局であり、eNodeB、マクロ基地局、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。また、無線基地局12は、局所的なカバレッジを有する無線基地局であり、スモール基地局、ピコ基地局、フェムト基地局、Home eNodeB、RRH(Remote Radio Head)、マイクロ基地局、送信ポイントなどと呼ばれてもよい。以下、無線基地局11及び12を区別しない場合は、無線基地局10と総称する。各ユーザ端末20は、LTE、LTE−Aなどの各種通信方式に対応した端末であり、移動通信端末だけでなく固定通信端末を含んでよい。
なお、スモール基地局とマクロ基地局がOptical fiberで接続され、スモール基地局がマクロ基地局に接続しているRRH(Remote Radio Head)である場合で、かつ、ユーザ端末がスモール基地局とマクロ基地局と同時にコネクションを構築する場合には、ユーザ端末20とマクロ基地局、及び、スモール基地局との間で、Intra-eNB Carrier Aggregationが適用される。また、スモール基地局が、マクロ基地局に接続しているRemote Radio Headではなく、1つの無線基地局である場合で、かつ、ユーザ端末が、スモール基地局とマクロ基地局と同時にコネクションを構築する場合には、ユーザ端末20とマクロ基地局、及び、スモール基地局との間で、Inter-eNB Carrier Aggregationが適用される。
無線通信システムにおいては、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDMA(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMAは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、システム帯域幅を端末毎に1つ又は連続したリソースブロックからなる帯域に分割し、複数の端末が互いに異なる帯域を用いることで、端末間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
ここで、図14に示す無線通信システムで用いられる通信チャネルについて説明する。下りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有されるPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)と、下りL1/L2制御チャネル(PDCCH、PCFICH、PHICH、拡張PDCCH)とを有する。PDSCHにより、ユーザデータ及び上位制御情報が伝送される。PDCCH(Physical Downlink Control Channel)により、PDSCHおよびPUSCHのスケジューリング情報等が伝送される。PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)により、PDCCHに用いるOFDMシンボル数が伝送される。PHICH(Physical Hybrid-ARQ Indicator Channel)により、PUSCHに対するHARQのACK/NACKが伝送される。また、拡張PDCCH(EPDCCH)により、PDSCH及びPUSCHのスケジューリング情報等が伝送されてもよい。このEPDCCHは、PDSCH(下り共有データチャネル)と周波数分割多重される。
上りリンクの通信チャネルは、各ユーザ端末20で共有される上りデータチャネルとしてのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)と、上りリンクの制御チャネルであるPUCCH(Physical Uplink Control Channel)とを有する。このPUSCHにより、ユーザデータや上位制御情報が伝送される。また、PUCCHにより、下りリンクの無線品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、ACK/NACK等が伝送される。
図15は、本実施の形態に係る無線基地局10(無線基地局11及び12を含む)の全体構成図である。無線基地局10は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ101と、アンプ部102と、送受信部103と、ベースバンド信号処理部104と、呼処理部105と、伝送路インターフェース106とを備えている。
下りリンクにより無線基地局10からユーザ端末20に送信されるユーザデータは、上位局装置30から伝送路インターフェース106を介してベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、PDCPレイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御の送信処理などのRLCレイヤの送信処理、MAC(Medium Access Control)再送制御、例えば、HARQの送信処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理が行われて各送受信部203に転送される。また、下りリンクの制御チャネルの信号に関しても、チャネル符号化や逆高速フーリエ変換等の送信処理が行われて、各送受信部103に転送される。
また、ベースバンド信号処理部104は、報知チャネルにより、ユーザ端末20に対して、当該セルにおける通信のための制御情報を通知する。当該セルにおける通信のための情報には、例えば、上りリンク又は下りリンクにおけるシステム帯域幅等が含まれる。また、無線基地局12がHalf Duplex FDDのメカニズムを利用して通信を行う場合には、無線基地局11が報知チャネルを用いてUL用キャリア及びDL用キャリアの割当て情報をユーザ端末に通知することも可能である。
各送受信部103は、ベースバンド信号処理部104からアンテナ毎にプリコーディングして出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。アンプ部102は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ101により送信する。なお、無線基地局12がHalf Duplex FDDのメカニズムを利用する場合、当該無線基地局12(スモール基地局)の送受信部103は、1送信時間間隔(1サブフレーム)において、1ユーザ端末に対してUL用キャリアとDL用キャリアのいずれか一方の伝送方向を用いて信号の送受信を行う。
この場合、無線基地局11(マクロ基地局)送受信部103は、UL用キャリア及びDL用キャリアの割当て情報等を送信する送信部として機能することができる。また、マクロ基地局は、スモール基地局が割当てを行うUL用キャリアとDL用キャリアを制御することができる。
一方、上りリンクによりユーザ端末20から無線基地局10に送信されるデータについては、各送受信アンテナ101で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部102で増幅され、各送受信部103で周波数変換されてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部104に入力される。
ベースバンド信号処理部104では、入力されたベースバンド信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ、PDCPレイヤの受信処理がなされ、伝送路インターフェース106を介して上位局装置30に転送される。呼処理部105は、通信チャネルの設定や解放等の呼処理や、無線基地局10の状態管理や、無線リソースの管理を行う。
このように、Half Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を行うスモール基地局がスタンドアローンで動作しない場合、マクロ基地局の送受信部103がユーザ端末にHalf Duplexの構成を通知し、スモール基地局がHalf Duplex FDD likeの通信を実行する。この場合、スモール基地局におけるUL用キャリア及びDL用キャリアの割当てをマクロ基地局側で制御する構成とすることができる。
一方で、Half Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を行うスモール基地局がスタンドアローンで動作する場合、スモール基地局の送信部103は、セル固有の信号やチャネルである、パイロット信号や同期信号、MIB、SIBやページング信号をユーザ端末に送信する。この場合、スモール基地局のベースバンド処理部は、上記図13に示したように、下りリンクのセル固有信号やチャネルが送信される領域を下りリンク専用無線リソースとして予め設定することができる。上りリンクについても同様である。
図16は、本実施の形態に係る無線基地局10が有するベースバンド信号処理部104及び一部の上位レイヤの機能構成図である。なお、図16においては、下りリンク(送信)用の機能構成を主に示しているが、無線基地局10は、上りリンク(受信)用の機能構成を備えてもよい。
図16に示すように、無線基地局10は、上位レイヤ制御情報生成部300、データ生成部301、チャネル符号化部302、変調部303、マッピング部304、下り制御情報生成部305、チャネル符号化部307、変調部308、制御チャネル多重部309、インタリーブ部310、測定用参照信号生成部311、IFFT部312、マッピング部313、復調用参照信号生成部314、ウェイト乗算部315、CP挿入部316、スケジューリング部317を具備する。
上位レイヤ制御情報生成部300は、ユーザ端末20毎に上位レイヤ制御情報を生成する。また、上位レイヤ制御情報は、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング)される制御情報であり、例えば、UL用キャリア及びDL用キャリアの割当て情報等を含む。
一例として、ユーザ端末20が無線基地局11及び無線基地局12の双方に接続し(dual connectivity)、無線基地局12がSCellとしてHalf Duplex FDDのメカニズムを利用した通信を行う場合を想定する。この場合、UL用キャリア及びDL用キャリアを含むRRCシグナリングは、PCellとして機能する無線基地局11(マクロ基地局)から送信することができる。一方で、Half Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を行うスモール基地局がスタンドアローンで動作する場合には、無線基地局12(スモール基地局)から送信することができる。
データ生成部301は、ユーザ端末20毎に下りユーザデータを生成する。データ生成部301で生成された下りユーザデータと上位レイヤ制御情報生成部300で生成された上位レイヤ制御情報とは、PDSCHで伝送される下りデータとして、チャネル符号化部302に入力される。チャネル符号化部302は、各ユーザ端末20に対する下りデータを、各ユーザ端末20からのフィードバック情報に基づいて決定された符号化率に従ってチャネル符号化する。変調部303は、チャネル符号化された下りデータを各ユーザ端末20からのフィードバック情報に基づいて決定された変調方式に従って変調する。マッピング部304は、スケジューリング部317からの指示に従って、変調された下りデータをマッピングする。
下り制御情報生成部305は、ユーザ端末20毎に、下り制御情報(DCI)を生成する。下り制御情報には、PDSCH割当情報(DL asingnment)、PUSCH割当情報(UL grant)などが含まれる。下り制御情報生成部305は、ユーザ端末との通信形態に応じて、所定のDCIフォーマットを用いて下り制御情報を生成する。なお、UL用キャリア及びDL用キャリアの割当て情報を下り制御情報を用いてユーザ端末に通知する場合には、下り制御情報生成部305は、スケジューリング部317からの情報に基づいて割当て情報を生成する。
下り制御情報生成部305で生成された下り制御情報は、PDCCH又は拡張PDCCHで伝送される下り制御情報として、チャネル符号化部307に入力される。チャネル符号化部307は、入力された下り制御情報を、後述するスケジューリング部317から指示された符号化率に従ってチャネル符号化する。変調部308は、チャネル符号化された下り制御情報をスケジューリング部317から指示された変調方式に従って変調する。
ここで、PDCCHで伝送される下り制御情報は、変調部308から制御チャネル多重部309に入力されて多重される。制御チャネル多重部309で多重された下り制御情報は、インタリーブ部310においてインタリーブされる。インタリーブされた下り制御情報は、測定用参照信号生成部311で生成された測定用参照信号(CSI−RS、CRSなど)とともに、IFFT部312に入力される。
一方、拡張PDCCHで伝送される下り制御情報は、変調部308からマッピング部313に入力される。マッピング部313は、後述するスケジューリング部317からの指示に従って、下り制御情報をマッピングする。
マッピングされた下り制御情報は、PDSCHで伝送される下りデータ(すなわち、マッピング部304でマッピングされた下りデータ)と、復調用参照信号生成部314で生成された復調用参照信号(DM−RS)とともに、ウェイト乗算部315に入力される。ウェイト乗算部315は、PDCSHで伝送される下りデータ、拡張PDCCHで伝送される下り制御情報、復調用参照信号に対して、ユーザ端末20固有のプリコーディングウェイトを乗算し、プリコーディングを行う。プリコーディングされた送信データは、IFFT部312に入力され、逆高速フーリエ変換により周波数領域の信号から時系列の信号に変換される。IFFT部312からの出力信号には、CP挿入部316によりガードインターバルとして機能するサイクリックプリフィクス(CP)が挿入され、送受信部103に出力される。
スケジューリング部317は、PDSCHで伝送される下りユーザデータ、拡張PDCCHで伝送される下り制御情報、PDCCHで伝送される下り制御情報のスケジューリングを行う。具体的に、スケジューリング部317は、上位局装置30からの指示情報や各ユーザ端末20からのフィードバック情報(例えば、CQI(Channel Quality Indicator)、RI(Rank Indicator)などを含むCSI(Channel State Information)など)に基づいて、無線リソースの割り当てを行う。
例えば、Half Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を行うスモール基地局がスタンドアローンで動作せず、ユーザ端末がスモール基地局及びマクロ基地局の双方に接続する場合(dual connectivity)を想定する。スモール基地局がRRH(Remote Radio Head)として機能する場合(Intra-eNB Carrier Aggregation)、スモール基地局が割当てるUL用キャリア及びDL用キャリアを、マクロ基地局のスケジューリング部317で制御することができる。この場合、スモール基地局はマクロ基地局からの情報に基づいてUL用キャリア及びDL用キャリアの割当てを制御することができる。
また、スモール基地局が、マクロ基地局に接続しているRemote Radio Headではなく、1つの無線基地局である場合(Inter-eNB Carrier Aggregation)、スモール基地局が割当てるUL用キャリア及びDL用キャリアを、スモール基地局のスケジューリング部317で制御することができる。なお、上述したように、RRCシグナリングは、マクロ基地局の送受信部103を介して行うことができる。
一方で、Half Duplex FDDのメカニズムを用いて通信を行うスモール基地局がスタンドアローンで動作する場合、スモール基地局が割当てを行うUL用キャリア及びDL用キャリアは、スモール基地局のスケジューリング部317で制御することができる。
このように、通信形態に応じて、各無線基地局のスケジューリング部317は、UL用キャリアとDL用キャリアの割当てを制御する割当て制御部として機能する。例えば、スケジューリング部317は、割当てを行うキャリアの中で他のオペレータが利用するキャリアと隣接するキャリアに対して、他のオペレータのキャリアと伝送方向が同一となるようにキャリアの割当てを制御する(上記第1、第2の態様)。
また、スケジューリング部317は、他のオペレータが利用するキャリアに対して所定のギャップを設けるようにキャリアの割当てを制御する。また、スケジューリング部317は、端末間通信(D2D)用のキャリアを介してDL用キャリアとUL用キャリアの割当てを行ってもよい(上記第3の態様)。また、スケジューリング部317は、上記図7に示したように、同一オペレータ内におけるDL用キャリアとUL用キャリアの周波数方向のリソース割当て比率を動的に変化させてもよい。
図17は、本実施の形態に係るユーザ端末20の全体構成図である。ユーザ端末20は、MIMO伝送のための複数の送受信アンテナ201と、アンプ部202と、送受信部(受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、アプリケーション部205とを備えている。
下りリンクのデータについては、複数の送受信アンテナ201で受信された無線周波数信号がそれぞれアンプ部202で増幅され、送受信部203で周波数変換されてベースバンド信号に変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部204でFFT処理や、誤り訂正復号、再送制御の受信処理等がなされる。この下りリンクのデータの内、下りリンクのユーザデータは、アプリケーション部205に転送される。アプリケーション部205は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理等を行う。また、下りリンクのデータの内、報知情報もアプリケーション部205に転送される。
一方、上りリンクのユーザデータについては、アプリケーション部205からベースバンド信号処理部204に入力される。ベースバンド信号処理部204では、再送制御(H−ARQ (Hybrid ARQ))の送信処理や、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理等が行われて各送受信部203に転送される。送受信部203は、ベースバンド信号処理部204から出力されたベースバンド信号を無線周波数帯に変換する。その後、アンプ部202は、周波数変換された無線周波数信号を増幅して送受信アンテナ201により送信する。
送受信部203は、無線基地局から通知されるUL用キャリア及びDL用キャリアの割当て情報等を受信する受信部として機能する。
図18は、ユーザ端末20が有するベースバンド信号処理部104の機能構成図である。ユーザ端末20は、下りリンク(受信)用の機能構成として、CP除去部401、FFT部402、デマッピング部403、デインタリーブ部404、PDCCH復調部405、割当てキャリア判断部406、PDSCH復調部407、チャネル推定部408を具備する。
無線基地局10から受信データとして受信された下り信号は、CP除去部401でサイクリックプリフィクス(CP)が除去される。CPが除去された下り信号は、FFT部402へ入力される。FFT部402は、下り信号を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)して時間領域の信号から周波数領域の信号に変換し、デマッピング部403へ入力する。デマッピング部403は、下り信号をデマッピングする。なお、デマッピング部403によるデマッピング処理は、アプリケーション部205から入力される上位レイヤ制御情報に基づいて行われる。デマッピング部403から出力された下り制御情報は、デインタリーブ部404でデインタリーブされる。
PDCCH復調部405は、後述するチャネル推定部408によるチャネル推定結果に基づいて、デインタリーブ部404から出力された下り制御情報(DCI)のブラインド復号、復調、チャネル復号などを行う。
割当てキャリア判断部406は、無線基地局12がHalf Duplex FDDのメカニズムを利用する場合に、無線基地局11又は無線基地局12から受信したUL用キャリア及びDL用キャリアの割当て情報に基づいて、割当てられたキャリアを判断する。これにより、DL用キャリアとUL用キャリアの周波数方向のリソース割当て比率を動的に変化する場合であっても、ユーザ端末は利用するキャリアを特定することができる。
なお、図18では、割当てキャリア判断部406は、RRCシグナリングを介して受信したキャリア割当て情報に基づいて割当てキャリアを判断する場合を示しているが、これに限られない。キャリア割当て情報が下り制御情報に含まれる場合には、PDCCH復調部405から出力される情報に基づいて割当てキャリアを判断することができる。あるいは、割当てキャリア判断部406は、かかるRRCシグナリングと下り制御情報の両方に基づいて割当てキャリアを判断してもよい。
PDSCH復調部407は、チャネル推定部408によるチャネル推定結果に基づいて、デマッピング部403から出力された下りデータの復調、チャネル復号などを行う。具体的には、PDSCH復調部407は、PDCCH復調部405で復調された下り制御情報に基づいて自端末に割り当てられたPDSCHを復調し、自端末宛ての下りデータ(下りユーザデータ及び上位レイヤ制御情報)を取得する。
チャネル推定部408は、復調用参照信号(DM−RS)、測定用参照信号(CRS、CSI−RS)などを用いてチャネル推定を行う。チャネル推定部408は、測定用参照信号(CRS、CSI−RS)によるチャネル推定結果をPDCCH復調部405に出力する。一方、チャネル推定部408は、復調用参照信号(DM−RS)によるチャネル推定結果をPDSCH復調部407に出力する。
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。例えば、上述した複数の態様を適宜組み合わせて適用することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。