JP6117647B2 - 航空機の燃料システム、航空機 - Google Patents
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Description
その通気経路として、左の主翼の長さ方向に延びる左通気経路と、右の主翼の長さ方向に延びる右通気経路とが設けられる。これらの左通気経路および右通気経路には、経路上の燃料タンクの内部に通じる通気口が設けられる。
このクロスフローの空気が燃料タンク内に供給されるために、燃料タンク内に供給されたNEAの窒素濃度が低下し、酸素濃度が上昇してしまう。
それを避けるために、NEAの供給能力を上げようとすると、抽気を多く必要とするためにエンジンへの吸気量が増えるので燃費が低下する。
本発明は、上記の課題に基づいて、ベンチレーション機能を備える航空機の燃料システムにあって、NEAの供給能力を上げることなく防爆性能を担保することを目的とする。
そして、少なくとも一部が胴体に位置し、左通気経路と通じる燃料タンクと、少なくとも一部が胴体に位置し、右通気経路と通じる燃料タンクとは、ガスを遮断する遮断壁により仕切られ、遮断壁により仕切られた燃料タンクは、燃料およびガスのうち燃料のみを通過させる燃料通過部を介して連通することを特徴とする。
ここで、各燃料タンクの形態としては、ウィングボックスの内部が隔壁により区画されたものの他、独立した壁体を有する筐体、容器状のものも含まれる。
遮断壁は、各燃料タンクの形態に応じて任意の形態に定めることができる。例えば、燃料タンクが筐体状に形成される場合は、遮断壁は、左右に隣り合う燃料タンクにおいて向き合う壁体によって構成することができる。
本発明によれば、外気が燃料タンク内に吹き込まないので、外気に含まれる酸素によって燃料タンク内のガスの窒素濃度が低くなることを避けられる。そのため、十分な防爆性能を得るのに足りる窒素濃度に燃料タンク内のガスが保たれる。
したがって、本発明によれば、NEA供給能力を上げる必要がないので、NEA供給能力を上げた場合に生じる燃費低下を回避しつつ、防爆性能を担保することができる。
仮に、燃料通過部が設けられていないものとすると、胴体に位置する左右の燃料タンクは、遮断壁を境に互いに独立した燃料の貯留空間を備える。そして、左の燃料タンク内の燃料を送り出す第1の燃料供給系統と、右の燃料タンク内の燃料を送り出す第2の燃料供給系統とが互いに独立して構成される。その場合、不具合が生じた燃料供給系統に接続された燃料タンク内の燃料が使えなくなる。
これに対して、本発明では、燃料通過部を設けることで、ガスは遮断し、燃料だけは遮断壁の両側の燃料タンクを行き来できるようにする。
燃料通過部を介して、胴体に位置する左右の燃料タンクは同一の貯留空間とみなすことができる。この貯留空間から、第1の燃料供給系統および第2の燃料供給系統の両方によって燃料を取り出すことができるので、それらの系統の一方に不具合が生じたとしても、他方の系統により、左右の燃料タンクからなる貯留空間の燃料を使い続けることができる。
その上、燃料通過部を介して連通された二つの燃料タンクを一つの燃料タンクとみなすことができるので、それらの燃料タンクの各々の燃料の量を個別に表示することが不要となり、コックピットのディスプレイ表示領域を有効に使用できる。
遮断壁の両側にフロートバルブを設けると、詳しくは図面を参照して後述するように、遮断壁により仕切られた左右の燃料タンク内の燃料を、同一の燃料路を通じて、必要に応じて往来させることができる。
本発明の航空機は、上述の燃料システムを備えることを特徴とする。
図1に示す航空機1には、複数の燃料タンクを有する燃料システム10が搭載される。燃料システム10は、防爆のために、空気に対して窒素が富化された窒素富化ガス(NEA)を燃料タンク内に供給するNEA供給システム20を備える。
まず、航空機1の基本構造を説明する。
航空機1は、胴体2と、胴体2から左右に延びる一対の主翼3,3とを備える。
主翼3は、スパー、スキン、ストリンガ、およびリブを備える。これらスパー、スキン、ストリンガ、およびリブが組み立てられることで、ウィングボックスWが構成される。ウィングボックスWは、主翼3,3の長さ方向のほぼ全体、および胴体2に亘り延在する。
燃料システム10は、ウィングボックスWの内部が区画されることで形成されたアウタータンク30L,30Rおよびインナータンク40L,40Rを燃料タンクとして備えるとともに、外気圧とタンク内圧とのバランスを図るために左通気経路10Lおよび右通気経路10Rを備える。
アウタータンク30Lは、左の主翼3に位置し、アウタータンク30Rは、右の主翼3に位置する。
インナータンク40Lは、胴体2の左半分に位置し、インナータンク40Rは、胴体2の右半分に位置する。
なお、インナータンク40L,40Rは、胴体2から主翼3の付け根部に亘って設けられるが、胴体2のみに設けることもできる。
サージタンク50Lは、左の主翼3の翼端部に設けられ、サージタンク50Rは、右の主翼3の翼端部に設けられる。サージタンク50Lは、アウタータンク30Lまたはインナータンク40Lから左通気経路10Lに過渡的に入り込んだ燃料を保留し、直ちに機外に燃料が漏れ出ることを防ぐために用意される。サージタンク50Rも、アウタータンク30R、インナータンク40R、および右通気経路10Rについて同様に機能する。
また、サージタンク50Rおよびアウタータンク30Rの間には隔壁15R1が位置し、アウタータンク30Rおよびインナータンク40Rの間には隔壁15R2が位置する。これらの隔壁15R1,15R2により、アウタータンク30Rの貯留空間が区画される。
中央壁15Cは、航空機1の胴体2を前後方向に貫くセンターライン上に位置する。
中央壁15Cには、図3(a)および(b)に示すように、厚み方向に貫通する燃料路16と、燃料路16を開閉するフロートバルブ12,12が設けられる。
燃料路16は、航空機1が航行中に通常とりうる姿勢のときに、インナータンク40L,40R内の下方に位置することが好ましい。
フロートバルブ12は、中央壁15Cを挟んで左右両側に設けられる。
燃料路16およびフロートバルブ12,12により、以下で説明するようにガスおよび燃料のうち燃料のみを通過させる燃料通過部が構成される。
フロート121は、タンク内の燃料の液面に応じて上下する。
レバー122は、燃料路16よりも上方で、中央壁15Cに回動可能に設けられており、フロート121の動きに連動する。
弁体123は、レバー122が回動されることで、燃料路16を閉塞し、または開放する。
このフロートバルブ12は、エンジンへの燃料供給系統などに利用される典型的なフロートバルブとは逆に、液面が上昇すると開き、液面が下降すると閉じる。
図3(a)に示すように、インナータンク40Lおよびインナータンク40Rの各々に、所定量以上の燃料が貯留されていると、左右両側のフロートバルブ12,12が開いている。そのとき、燃料路16を介して、インナータンク40Lからインナータンク40Rへ、あるいはインナータンク40Rからインナータンク40Lへと、燃料の往来が可能である。したがって、インナータンク40L内とインナータンク40R内とが一続きの貯留空間とされている。
図3(a)は、インナータンク40Lおよびインナータンク40Rの液面が一致する例を示すが、機体の姿勢が変化したり、燃料供給ポンプP2,P3による圧送量に差がある場合には、図3(b)に示すように、これらのタンク40L,40Rの液面に差が生じる。このとき、フロートバルブ12,12の開度は相違する。
図3(b)に示すように、左側に位置するフロートバルブ12Lが開いており、右側に位置するフロートバルブ12Rが閉じている場合は、液面が高い方のインナータンク40L内の燃料の圧力によって右のフロートバルブ12Rの弁体123が押されて開く。そのため、インナータンク40L内の燃料がインナータンク40R内へと移送される。
なお、右のフロートバルブ12Rの弁体123は閉じているため、右から左へと燃料が移送されることはない。
インナータンク40Lからインナータンク40Rへと燃料が移送されると、両タンク40L,40Rの液面は図3(a)に示すように一致する。
左通気経路10Lおよび右通気経路10Rを通じたベンチレーションにより、タンク内圧と外気圧との差圧によってタンクに過大な圧力が加わることを防ぐ。また、タンク内の燃料が消費された分だけ、タンク内に外気を導入することで、タンク内が負圧になるのを避けて燃料供給を維持する。
左通気経路10Lおよび右通気経路10Rは、中央壁15Cを隔てて左右独立して形成される。
左通気経路10Lは、サージタンク50Lに設けられて外気に通じる通気ダクト11と、アウタータンク30Lの内部に通じる通気口13と、インナータンク40Lの内部に通じる通気口14とを備える。
右通気経路10Rは、左通気経路10Lと同様に、サージタンク50Rに設けられて外気に通じる通気ダクト11と、アウタータンク30Rの内部に通じる通気口13と、インナータンク40Rの内部に通じる通気口14とを備える。
本実施形態の左通気経路10Lおよび右通気経路10Rは、航空機1が機首を上げた状態となる機体上昇時、および胴体2がほぼ水平となる巡航時に、各タンク内の上方に位置する。このため、通気口13,14はタンク内の燃料の液面よりも上方に位置するので、通気口13,14から各通気経路に燃料が入り難い。
機体の下降時は、左通気経路10Lおよび右通気経路10Rの位置が、上昇時および巡航時の位置よりも下がるが、それまでの航行による燃料消費によって各タンク内の燃料の貯留量が少ないために、通気口13,14の位置が燃料の液面よりも上に位置する。このため、やはり、通気口13,14から各通気経路10L,10Rに燃料が入り難い。
ここで、インナータンク40Lとインナータンク40Rとの間には中央壁15Cが存在する。この中央壁15Cにより、インナータンク40L内からインナータンク40R内へ、あるいはその逆へのガスの通過を遮断する。
そうした上で、中央壁15Cに燃料路16を設け、この燃料路16を通じて、インナータンク40L内からインナータンク40R内へ、あるいはその逆への燃料の通過を可能としている。
フロートバルブ12,12が開いているとき(図2および図3(a))、燃料路16がインナータンク40L,40Rに貯留された燃料によって満たされているため、燃料路16を通じてインナータンク40L内のガスとインナータンク40R内のガスとが往来することはできない。
また、フロートバルブ12,12が閉じていれば(図4)、それらの各々の弁体123により燃料路16が塞がれるために、やはり、燃料路16を通じてインナータンク40L内のガスとインナータンク40R内のガスとが往来することはできない。
逆に、燃料路16を通じてインナータンク40Rからインナータンク40Lへと向かうガスの流れは、右に位置するフロートバルブ12Rによって遮断される。
さらに、左のフロートバルブ12Lが開いており、右のフロートバルブ12が閉じている場合は(図3(b))、燃料路16がインナータンク40Lに貯留された燃料によって満たされているので、左から右へと向かうガスの流れが遮断される。また、右のフロートバルブ12Rの弁体123により燃料路16が塞がれているために、右から左へと向かうガスの流れも遮断される。
以上のように、インナータンク40L,40R内の燃料の貯留量や、両タンク40L,40Rの液面の相違によらず、燃料路16を介したガスの通過が常時遮断される。このため、左通気経路10Lと、右通気経路10Rとは、中央壁15Cを境界とする独立した通気系統として構成されている。
ストリンガ7を用いる場合、隣り合うストリンガ7,7の間をカバー部材8で覆うとともに、カバー部材8とリブ(図示せず)との間を必要に応じて板材やシーラント材で封止する。それによってスキン6、隣り合うストリンガ7,7、およびカバー部材8の内側に形成される通路77を左通気経路10lおよび右通気経路10Rとして利用する。
NEA供給システム20は、燃料タンクの内部にNEAを供給することにより、燃料の爆発を防止している。NEAの供給先として、全部の燃料タンク、または一部の燃料タンクを選択することができる。本実施形態ではインナータンク40L,40Rを選択する。
NEA供給システム20は、エンジン4からの抽気をインナータンク40L,40R内に導くためのガス配管21を備え、このガス配管21上に、開閉弁22、温調機構23、フィルタ24、空気分離モジュール(ASM)25、およびフローコントロールバルブ(FCV)26が順に配設されている。
なお、作図上、NEA供給システム20を胴体2の前半分に示すが、NEA供給システム20は、ウィングボックスW内の胴体2に対応する部分に設けることができる。
温調機構23は、ASM25を効率良く作動させるために、エンジン4からの抽気を冷却する。温調機構23には、熱交換器を用いることができる。その場合の冷却媒体としては、外気や、航空機1が装備する空調装置により得られる冷風を用いることができる。
ASM25は、中空糸高分子膜を主たる構成要素として備える。ASM25は、窒素ガスに比べて中空糸壁を数倍透過しやすい酸素ガスの特性を利用して抽気から酸素を分離し、NEAを得る。
なお、ASM25は任意に構成することができ、酸素吸着高分子膜を主たる構成要素として備えるものを用いることができる。
ASM25により得られたNEAは、FCV26を通過し、ガス配管21が通じるインナータンク40L,40Rの内部に供給される。FCV26の開閉は、制御部27によって制御される。
仮に、インナータンク40L,40Rの間に中央壁15Cがないとすると、左通気経路10Lおよび右通気経路10Rは、連続したインナータンク40L,40Rからなる同一空間に連通する。このため、左通気経路10Lから右通気経路10Rまで連続した通気系統が形成される。そうすると、飛行中、機体が気流に沿った姿勢でなく、気流の方向に対してずれた状態で進行するとき、通気口に氷または異物が付着しているとき、地上で駐機中に横風を受けたときなどに、左通気経路10Lの通気ダクト11から取り込まれた外気が右通気経路10Rの通気ダクト11へと吹き抜ける、あるいはその逆へと吹き抜ける、クロスフロー現象が生じうる。
このクロスフローの空気がインナータンク40L,40Rの内部に吹き込むと、その空気中の酸素のために、インナータンク40L,40R内のガスの窒素濃度が低下し、酸素濃度が上昇してしまう。
クロスフローの空気は、インナータンク40L,40R以外の燃料タンクであるアウタータンク30L,30R内にも流入する。したがって、アウタータンク30L,30R内にNEAが供給される場合でも、中央壁15Cによりクロスフローを封じることに意義があり、アウタータンク30L,30R内のガスを所定の窒素濃度に保つことができる。
以上から、本実施形態によれば、防爆性能を維持するために、NEA供給システム20によるNEA供給能力を上げる必要がないので、NEA供給能力を上げた場合に生じる燃費低下を回避しつつ、防爆性能を担保することができる。
インナータンク40L内の燃料は、燃料供給ポンプP2によりエンジン4に向けて供給され、インナータンク40R内の燃料は、燃料供給ポンプP3によりエンジン4に向けて供給される。
もし、燃料路16が設けられていないものとすると、インナータンク40L,40Rは、互いに独立した燃料の貯留空間を備える。そして、燃料供給ポンプP2によりインナータンク40L内の燃料をエンジンに向けて圧送する第1の燃料供給系統と、燃料供給ポンプP3によりインナータンク40R内の燃料をエンジンに向けて圧送する第2の燃料供給系統とが互いに独立して構成される。
そうすると、燃料供給ポンプP2,P3に故障が生じたり、配管が詰まったりしたときに、それらのポンプや配管を含む燃料供給系統に接続されたタンク内の燃料は使えなくなる。
燃料路16を介して、インナータンク40L,40Rは一つの貯留空間とみなすことができ、この貯留空間の燃料が、2つの燃料供給ポンプP2,P3によってエンジン4に供給される。
したがって、燃料供給ポンプP2を含む第1の燃料供給系統と、燃料供給ポンプP3を含む第2の燃料供給系統のいずれか一方に不具合が生じたとしても、他方の系統により、インナータンク40L,40Rからなる貯留空間の燃料を使い続けることができる。よって、冗長性を確保できる。
ここで、燃料路16およびフロートバルブ12,12を中央壁15Cの複数の箇所に設けることもできる。そうすると、複数箇所のうちいずれかの箇所で燃料路16の詰まりやフロートバルブ12,12の故障が生じたとしても、他の箇所の燃料路16およびフロートバルブ12,12によってインナータンク40L,40R間を燃料が往来できるので、第1、第2の燃料供給系統による冗長性を発揮させることができる。
したがって、機体の重心位置が左右方向にずれないようにする燃料移送のシステムを用意したり、そのシステムを作動させる操作がパイロットに要求されることもない。
インナータンク40L,40Rの液面に応じて燃料を行き来させるためには、燃料路16に電磁弁を設け、検出した液面に基づいて電磁弁の開閉を制御するようにしてもよいが、本実施形態のように、フロートバルブ12,12によって電気的な制御なしに燃料のみを通過させることを実現することに意義がある。フロートバルブ12は構造がシンプルであるために故障の可能性が低いので、信頼性向上に寄与できるうえ、電気系の故障によりタンク内の燃料の着火が起こるという危険性を排除することができる。
図6(a)に示す例では、燃料路16を塞ぐ弁体123がバネ124で押さえられる。弁体123およびバネ124がケース125に組み付けられることで、組付体19が構成される。本例では、燃料路16および組付体19によって燃料通過部が構成される。
バネ124が弁体123を押す力は、燃料が弁体123を押す力(燃料の圧力)よりも小さく、クロスフローの空気流が弁体123を押す力よりも大きく設定する。
組付体19は、図6(c)に示すように、中央壁15C上の位置をずらして中央壁15Cの右側と左側とに設けられる。右側の組付体19および左側の組付体19のために、中央壁15Cには2つの燃料流路が設けられる。右側の組付体19と左側の組付体19とは、ほぼ同じ高さに配置されることが好ましい。
図6(b)に示すように、インナータンク40R内の液面がインナータンク40L内の液面よりも高いときは、中央壁15Cの左側に設けられた組付体19が働く。インナータンク40R内の燃料が、組付体19の弁体123を押し開き、ケース125の開口を通りインナータンク40Lへと移送される。
以上のようにして、インナータンク40L内の燃料とインナータンク40R内の燃料とが燃料路16を通じて往来可能となっている。
配管31は、中央壁15Cを貫通する孔に通され、燃料路を形成する。配管31は両端で、インナータンク40L,40Rの底部に向けて屈曲する。
フロートバルブ12´は、中央壁15Cの左側に位置する配管31の端部と、中央壁15Cの右側に位置する配管31の端部との各々に設けられる。
フロートバルブ12´の弁体123は、配管31の端部の開口を開閉する。
フロートバルブ12´のレバー122は、配管31の端部に回動可能に設けられる。
フロートバルブ12´のフロート121は、弁体123にほぼ沿う方向に弁体123から離間し、レバー122により弁体123と連結される。
フロートバルブ12´は、弁体123およびフロート121が直線的な位置関係となるように組み付けられる。
フロートバルブ12´は、上述のフロートバルブ12と同様に、燃料の液面が上昇すると開き、液面が下降すると閉じる。
燃料システム10における燃料タンクは、任意に構成することができる。例えば、アウタータンク30L,30Rの各々が複数に分割されていてもよい。左通気経路10Lの経路上に位置する燃料タンクと、右通気経路10Rの経路上に位置する燃料タンクが設けられる限り、ウィングボックスWの内部を任意に区画することができる。
中央壁15Cは、胴体2を前後方向に貫くセンターラインに沿って設けることが好ましいが、左通気経路10Lの通気口14と、右通気経路10Rの通気口14との間の任意の位置に設けることができる。
さらに、上記実施形態のように、タンク30L,40L,40R,30Rの各々に対応する燃料供給ポンプP1〜P4を設けることは必須ではない。
例えば、インナータンク40Lからアウタータンク30Lへと燃料を移送するポンプを設けるとともに、インナータンク40Rからアウタータンク30Rへと燃料を移送するポンプを設けることにより、インナータンク40L,40Rに対応する燃料供給ポンプP2,P3を廃して、燃料の移送先であるアウタータンク30L,30Rに対応する燃料供給ポンプP1,P4のみを残すことができる。この場合には、インナータンク40L内の燃料がアウタータンク30Lを介して使われ、インナータンク40R内の燃料がアウタータンク30Rを介して使われる。この場合でも、インナータンク40L,40R内の燃料を燃料通過部を介して往来可能にしたことによる冗長性を発揮することができる。
2 胴体
3 主翼
4 エンジン
6 スキン
7 ストリンガ
8 カバー部材
10 燃料システム
10L 左通気経路
10R 右通気経路
11 通気ダクト
12,12´ フロートバルブ(燃料通過部)
13,14 通気口
15C 中央壁(遮断壁)
15L1,15L2,15R2,15R1 隔壁
16 燃料路(燃料通過部)
31 配管(燃料通過部)
19 組付体
20 NEA供給システム
21 ガス配管
22 開閉弁
23 温調機構
24 フィルタ
25 空気分離モジュール(ASM)
26 フローコントロールバルブ(FCV)
27 制御部
30L,30R アウタータンク(燃料タンク)
40L,40R インナータンク(燃料タンク)
50L,50R サージタンク
77 通路
121 フロート
122 レバー
123 弁体
124 バネ
125 ケース
P1〜P4 燃料供給ポンプ
W ウィングボックス
Claims (3)
- 航空機の燃料システムであって、
燃料を貯留する複数の燃料タンクと、
複数の前記燃料タンクのうち一部または全部の前記燃料タンク内に窒素富化ガスを供給する窒素富化ガス供給システムと、
左の主翼に設けられて外気と通じる通気ダクトから胴体へと延出し、経路上に位置する前記燃料タンク内と通じる左通気経路と、
右の主翼に設けられて外気と通じる通気ダクトから胴体へと延出し、経路上に位置する前記燃料タンク内と通じる右通気経路と、を備え、
少なくとも一部が前記胴体に位置し、前記左通気経路と通じる前記燃料タンクと、少なくとも一部が前記胴体に位置し、前記右通気経路と通じる前記燃料タンクとは、ガスを遮断する遮断壁により仕切られ、
前記遮断壁により仕切られた前記燃料タンクは、前記燃料および前記ガスのうち前記燃料のみを通過させる燃料通過部を介して連通する、
ことを特徴とする航空機の燃料システム。 - 前記燃料通過部は、
前記遮断壁を貫通する燃料路と、
前記遮断壁を挟んで両側に設けられるフロートバルブと、を備え、
前記フロートバルブの各々は、前記燃料の液面が上昇すると前記燃料路を開く、
ことを特徴とする請求項1に記載の航空機の燃料システム。 - 請求項1または請求項2に記載の航空機の燃料システムを備える、
ことを特徴とする航空機。
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