[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態の無線通信システムの構成を示す図である。本実施形態の無線通信システムは、基地局1、端局2、および収集制御装置3を含む。基地局および端局は複数あり、図1中では、基地局1(1−1〜1−2)、端局2(2−1〜2−3)で表している。本実施形態の無線通信システムにおいては、時分割多重方式でデータが伝送される。なお以下では、実施形態の無線通信システムでは、模擬戦闘訓練を行う例を用いて説明する。例えば、模擬戦闘訓練で用いられる無線通信システムにおいては、一つの基地局が同報通信した通信データを受信する端局の数が4000以上になることもある。
基地局1は、有線回線により収集制御装置3と接続されるとともに、端局2との間で無線信号の送受信を行なう。端局2は、例えば、ユーザが携帯することができる移動端末装置であり、基地局1との間で無線信号を送受信する。また、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されるGPS電波を受信して自機の位置を算出する機能を有している。収集制御装置3は、有線回線により基地局1と接続されており、基地局1を介して端局2の位置管理や通信の制御等を行う。なお、収集制御装置3は基地局1と一体化され、基地局1内部に備えることができる。
図2は、本実施形態にかかる基地局1および端局2の構成例を示す図である。
図2において、基地局1は、送受信部11と、制御部12と、インタフェース部(IF部)13と、GPS受信部14とを有する。送受信部11は、無線アンテナを利用して、無線信号を送受信する。送受信部11は、後述する制御部12の指示によりダウンリンクデータを端局2へ送信する。また、端局2から送信されるアップリンクデータを受信する。なお、送受信部11は、一体化せずに送信部と受信部として分離して設けることもできる。
受信したアップリンクデータは、制御部12に出力される。制御部12は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを備え、基地局1内の送受信部11、インタフェース部(IF部)13、GPS受信部14等を制御する。制御部12は、収集制御装置3から受信するダウンリンクデータを解釈し、ダウンリンクデータからタイムチャートを生成するとともに、端局2に送信するダウンリンクデータを生成する。そして、生成したタイムチャートに基づいて端局にダウンリンクデータを送信する。メモリは、揮発性メモリ、あるいは不揮発性メモリであり、制御プログラム、制御パラメータ、基地局1を識別する局番号、基地局1に対して割り当てられるタイムスロットの番号などを格納する。インタフェース部(IF部)13は収集制御装置3と通信を行なうために用いられるものであり、光ファイバなどの有線回線により、収集制御装置3と接続されている。GPS受信部14は、基地局1の位置を求めるための部位であり、複数のGPS衛星から送信されるGPS電波を受信してGPS受信部の座標情報を生成する。また、GPS受信部14により算出した座標情報は、制御部12に出力される。
図2において、端局2は、送受信部21と、制御部22と、GPS受信部23とを有する。送受信部21は、無線アンテナを利用して、無線信号を送受信する。送受信部21は、後述する制御部22の指示によりアップリンクデータを基地局1へ送信する。また、基地局1から送信されるダウンリンクデータを受信する。受信したダウンリンクデータは、制御部22に出力される。なお、端局2が有する送受信部21は、一体化せずに送信部と受信部に分離して設けることもできる。
制御部22は、CPUおよびメモリを備え、端局2内の送受信部21、GPS受信部23等を制御する。また、ダウンリンクデータを解釈し、生成したタイムチャートに基づき通信処理を行う。さらに、ダウンリンクデータに付された一連番号に応じて、データの保存、削除等を制御する機能を有する。
GPS受信部23は、端局2の位置を求めるための部位であり、複数のGPS衛星から送信されるGPS電波を受信してGPS受信部の座標情報を生成する。また、GPS受信部23により生成された座標情報は、制御部22に出力される。端局2は、さらに、電源部27および火器インタフェース26、接続箱24と接続される。電源部44は、例えばリチウムイオンバッテリを内蔵し、端局2に電力を供給する。接続箱24には、図2に示す例においては、受光器25および火器インタフェース26が接続される。なお、受光器25および火器インタフェース26については後で説明する。
図3は、本実施形態にかかる収集制御装置3の構成例を表す図である。図3において、収集制御装置3は、データ収集処理部31とデータ蓄積処理部32から構成されている。データ収集処理部31は、基地局1と接続されており、所定のタイミングで基地局1から送信されたデータを収集する。データ収集処理部31には、インタフェース部(IF部)311と、アップリンクデータ受信部312と、データチェック部313と、ダウンリンクデータ送信部314が備えられている。インタフェース部(IF部)311は各基地局1と通信するために用いられるものであり、光ファイバなどの有線回線により各基地局1と接続されている。アップリンクデータ受信部312は、インタフェース部(IF部)311を介して、各基地局1によって送信されたアップリンクデータを受信する。データチェック部313は、アップリンクデータを解釈し、各基地局1から受信したアップリンクデータが重複するか判定する。重複する場合は、重複したデータを削除する機能を有する。ダウンリンクデータ送信部314は、後述するデータ蓄積処理部32により出力されたデータをインタフェース部(IF部)311を介して、基地局1にダウンリンクデータとして送信する。ネットワーク制御部315は、ネットワーク制御部328を介してデータ蓄積処理部32と接続する。
データ蓄積処理部32は、データ収集処理部31で集めたデータを、データベースとして蓄積するとともに、蓄積したデータから必要なデータを抽出し、抽出したデータをもとにダウンリンクデータの多重度を変更する。データ蓄積処理部32には、データ蓄積部325と、受信割合算出部326と、多重化制御部327 と、ネットワーク制御部328と、ダウンリンクデータ生成部329が備えられている。データ蓄積部325は、基地局1から送信されるアップリンクデータを蓄積する。受信割合算出部326は、端局数から予測される受信データ数と実際に受信したアップリンクデータの数から受信割合を算出する機能を有する。多重化制御部327 は、受信割合に応じたダウンリンクデータ送信の多重度を制御する機能を有する。ダウンリンクデータ生成部329は、操作端末4により入力された設定データの内容を参酌する。そして、設定データの内容に基づいてダウンリンクデータを生成する。ネットワーク制御部328は、ネットワーク制御部315を介してデータ収集処理部31と接続する。また、ネットワーク制御部328は、操作端末4と接続する。なお、操作端末4は、収集制御装置3に有しても良い。
図4は、図1の実施形態の無線通信システムの構成における、基地局1、端局2、収集制御装置3によるデータ転送のシーケンス図の一例である。なお、基地局1−1の無線エリア内には端局2−1が位置しており、基地局1−2の無線エリア内には、端局2−2、端局2−3が位置しているものとする。図4に示す無線通信システムでは、端局2−1は、アップリンクデータ(U1)を基地局1−1へ送信し、端局2−2、2−3は、アップリンクデータ(U2、U3)を基地局1−2へそれぞれ送信する。そして、基地局1−1、基地局1−2は、各端局から送信される情報を収集して、収集制御装置3に転送する。収集制御装置3は、データを蓄積、分析する。そして全端局数に対する端局からのアップリンクデータ受信数の割合に応じて、基地局が端局へ送信するダウンリンクデータの多重度を設定し、また変化させる。収集制御装置3によって設定された多重度に基づいて、基地局1−1は、ダウンリンクデータ(D1)を端局2−1へ送信し、基地局1−2は、ダウンリンクデータ(D2)を端局2−2、端局2−3へ送信する。そして、端局2−1、端局2−2、端局2−3は、ダウンリンクデータを受信し、受信したデータの内容に基づき動作を行う。なお、各端局は同一データを受信した場合は、重複したデータを削除する。
図5は、基地局1、端局2によるデータ転送を説明するタイムチャートの一例である。
ここでは、複数の基地局、複数の端局を備える構成についての基地局1、端局2のそれぞれの処理のシーケンスを示す。
第一の実施形態の無線通信システムにおいては、基地局1は、予め決められたタイムスロットを利用して、端局2へダウンリンクデータを送信する。基地局1から送信されるダウンリンクデータは、例えば、システム制御データa、位置補正データb、制御データc、送信許可データd、受信確認データeである。
システム制御データaは、端局2に対する指示を含み、定期的に送信される。なお、システム制御データaについては、後で詳しく説明する。位置補正データbは、基地局1に設置したGPS基準局が受信したGPS電波に基づいて、端局2の位置情報を補正する指示を含む。この位置補正データbにより、例えば、基地局1を基準位置とするディファレンシャルGPSを実現する。なお、GPS基準局は、必ずしも基地局1に設置しなくてもよく、収集制御装置3に設置してもよい。制御データcについては、後で詳細に説明する。送信許可データdは、後述する送信予約データfを送信した端局2に対して使用可能なタイムスロット(端局スロット)を通知する情報を含む。受信確認データeは、後述する訓練データhを送信した端局2に対してデータを受信したことを通知する情報を含む。
端局2は、基地局1に対してアップリンクデータ(送信予約データf、位置データg、訓練データh)を送信する。送信予約データfは、訓練データhを送信するタイムスロットを予約するためのリクエストを含む。なお、送信予約データfは、各端局に対して予め割り当てられている短いタイムスロットを利用して送信される。位置データgは、GPS受信部23から得られる端局2の位置情報を含む。位置データgは、各端局に予め割り当てられているタイムスロット(端局スロット)を利用して定期的に送信される。位置データgについては、後で詳細に説明する。訓練データhは、基地局1からの要求に応じて生成される情報、および、消耗等のイベントの発生を契機として、端局2が自発的に基地局1へ通知する情報を含む。なお、端局2は、訓練データhを送信する際には、送信予約データfを利用して基地局1に端局スロットを要求する。そして、端局2は、送信許可データdで通知された端局スロットを使用して訓練データhを送信する。
図6は、複数の基地局から複数の端局へのダウンリンクデータの送信を説明するタイムチャートの一例である。図6において、基地局1−1、1−2、1−3、に対して予め決められたタイムスロット(基地局スロット)が割り当てられている。そして、基地局1−1、1−2、1−3は、割り当てられた基地局スロットごとに、タイムラインをずらしてダウンリンクデータを送信する。したがって、基地局1−1は、自分の基地局スロットを利用して、端局へダウンリンクデータを送信する。そして、基地局1−2は、基地局1−1とは異なる自分の基地局スロットを利用して、端局にダウンリンクデータを送信する。さらに、基地局1−3は、基地局1−1、基地局1−2とは異なる自分の基地局スロットを利用して、端局へダウンリンクデータを送信する。
図7は、複数の端局(端局2−1、端局2−2)における基地局から端局へのダウンリンクデータの受信と、端局から基地局へのアップリンクデータ送信のタイムチャートの一例である。図7において、端局2によって受信されたダウンリンクデータは、システム制御データa、位置補正データb、制御データc、送信許可データd、受信確認データeを有する。また、端局2によって送信されたアップリンクデータは、送信予約データf、位置データg、訓練データhを有する。
システム制御データaが、端局2−1、端局2−2によって受信されると、送信予約データfが、各端局に対して予め割り当てられているタイムスロットを利用して基地局1へ送信される。なお、送信予約データfは、基地局1からの要求に応じて生成される情報、および、消耗等のイベントの発生を契機とした端局2が自発的に基地局1へ通知する情報が存在する場合のみ送信される。
位置補正データb、制御データc、受信確認データeが、端局2−1、端局2−2によって受信されると、位置補正データbを基に補正された各端局の位置データgが、端局2−1、端局2−2に対して予め割り当てられているタイムスロットを利用して基地局1へ送信される。送信許可データdが、端局2−1、端局2−2によって受信された場合においては、各端局に対して送信許可データdで指示されるタイムスロットを利用して、各端局は訓練データhを基地局1へ送信する。
図8は、システム制御データaのデータ内容50の一例を示す図である。図8において、データ種別ID51として、システム制御データaの種別を識別するコードが書き込まれる。基地局スロット番号52は、各基地局に対して割り当てられているタイムスロットを示す情報である。動作モード指示53は、端局2の動作モードを指示する。時刻情報54は、現在の日付および時刻を表す。
図9は、制御データcのデータ内容60の一例を示す図である。図9において、データ種別ID61として、制御データcの種別を識別するコードが書き込まれる。一連番号62は、制御データに付された一連番号である。制御データ分類63は、制圧指示、弾着指示、損耗指示などの端局2に対して通知すべき各種指示を含み、模擬戦闘訓練における動作の制限を指示するものである。制圧指示は、砲弾が身近に落下している状況で、機関銃や小銃で攻撃することはできない状況を指示するものであり、この指示がある状況では攻撃することができない、あるいは攻撃無効とする。また、弾着指示は、榴弾砲や迫撃砲等の砲弾の弾着を指示する情報であり、弾着点の近くでは、下記で説明する損耗や、上記で説明した制圧の原因となる。損耗指示は、例えば、人員の場合、死亡、重傷といった状態を指示する。なお、車両の場合においては、大破、中破といった破壊状態を指示する。日時時刻情報64は、現在の日付および時刻を表す。有効期間情報65は、制御データの有効期間を指示する。
図10は、位置データgのデータ内容70の一例を示す図である。図10において、端局ID71は、各々の端局に与えられた個別の識別子である。N座標72は、南北方向の座標を示す。E座標73は、東西方向の座標を示す。H座標74は、高度の座標を示す。端局ステータス75は、端局の状態、位置情報の信頼性等を表す。なお、N、E、Hの座標は3次元的な位置を示すものなので、他の座標系を用いることも可能である。
図11は、多重度を変化させた場合の基地局のタイムチャートの一例である。収集制御装置3は、全端局数に対する端局からのアップリンクデータ受信数の割合に応じて、基地局1から端局2へのダウンリンクデータの多重度を変化させる。つまり、同一のデータを、複数回のスロットでダウンリンクする割合を変化させる。
多重度の低い場合においては、異なるデータを多くダウンリンクすることができる。制御データcとして、1サイクル目で、データ1、2の制御データが送信され、2サイクル目で、データ3、4の制御データが送信され、3サイクル目で、データ5、6の制御データが送信されている。
多重度を高めた場合においては、同一データを数多くダウンリンクすることとなる。制御データcとして、1サイクル目で、データ1、2の制御データが送信され、2サイクル目で、データ1、3の制御データが送信され、3サイクル目で、データ2、4の制御データが送信されることにより、同一の制御データが複数回送信されている。なお、制御データの多重度を高めた送信方法は、この例に限定されるものでなく、第一サイクルで、データ1、2の制御データを送信し、2サイクル目で、データ1、2の制御データを送信し、3サイクル目で、データ3、4の制御データを送信するなど、各種の多重化のやり方が可能である。
図12は、収集制御装置3のデータ送受信動作を説明するフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS1において、受信動作が開始される。
ステップS2において、ダウンリンクデータ生成部329は、ネットワーク制御部328を介して、操作端末4からユーザの指示に応じた設定データを受信する。
ステップS3において、データ収集処理部31は、あらかじめ定めてあるシーケンスタイムチャートを生成する。そして、データ処理部31は、タイムチャートにしたがって、ダウンリンクデータ生成の要求をデータ蓄積部32に出力する。
ステップS4において、ダウンリンクデータ生成部329は、受信した設定データに基づいてダウンリンクデータを作成する。
ステップS5において、ダウンリンク送信部314は、ダウンリンクデータ生成部329で作成されたダウンリンクデータを、インタフェース部(IF部)311を介して基地局1に送信する。
ステップS6において、アップリンクデータ受信部はインタフェース部(IF部)311を介して基地局1からのアップリンクデータを受信する。
ステップS7において、データチェック部313は、アップリンクデータから端局2の位置データgを抽出する。このとき、受信データの端局ID71が参照され、各端局ごとの位置データgを判別する。なお、受信したデータ中に同一の端局IDが複数存在する場合は、そのデータは一つだけ残し、他は削除する。また、抽出された位置データgは、端局IDと対応づけてデータ蓄積部325に記憶される。
ステップS8において、受信割合算出部326は、全端局数に対する端局からの位置データgの受信数(ただし、同一の端局IDについては重複分を削除した受信数)の割合に応じた受信割合を算出する。
ステップS9において、多重化制御部327は、第一の閾値と受信割合を比較する。受信割合が第一の閾値未満の場合は、ステップS10に移行する(ステップS9−yes)。一方、受信割合が第一の閾値未満でない場合は、ステップS11に移行する(ステップS9−no)。
ステップS10において、多重化制御部327は、送信データの多重度を増大させる。そして、ステップS13に移行する。
ステップS11において、多重化制御部327は、第二の閾値と受信割合を比較する。受信割合が第二の閾値以上の場合は、ステップS12へ移行する(ステップS11−yes)。一方、受信割合が第二の閾値以上でない場合は、ステップS13へ移行する(ステップS11−no)。なお、第二の閾値は、第一の閾値より大きいものとする。
ステップS12において、多重化制御部327は、送信データの多重度を縮小させる。そして、ステップS13に移行する。
ステップS13において、ダウンリンクデータ生成部329は、多重化制御部327の指示した多重度で基地局へ送信するダウンリンクデータを作成する。ステップS13の処理の完了後にステップS5に戻る。
図13は、基地局1のデータ送受信動作を示すフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS101において、受信動作が開始される。
ステップS102において、制御部12は、収集制御装置3より出力されたシステム制御データaを、インタフェース部(IF部)13を介して受信する。このとき、受信データのデータ種別ID51が参照され、システム制御データaの種別が判別される。
ステップS103において、制御部12は、システム制御データaに設定されている基地局スロット番号52を参照する。そして、参照したスロット番号を基に自分の基地局タイムチャートを生成する。
ステップS104において、送受信部11は、制御部12の指示に応じ、端局に対してシステム制御データaを送信する。
ステップS105において、送受信部11は、端局2からの送信予約データfを受信する。そして、その送信予約データfを制御部12に出力する。
ステップS106において、制御部12は、送受信部11からの送信予約データfを受信したかを判別する。このとき、送信予約データfの受信があったときはステップS107へ移行する(ステップS106−yes)。一方、送信予約データfの受信がなかったときはステップS108へ移行する(ステップS106−no)。
ステップS107において、制御部12は、収集制御装置3に対してインタフェース部(IF部)13を介して送信予約データfを送信する。
ステップS108において、制御部12は、インタフェース部(IF部)13を介して収集制御装置3から制御データcを受け付ける。そして、送受信部11にそのデータを送信する指示を出す。
ステップS109において、送受信部11は、制御部12からの指示に応じて、端局へ制御データcを送信する。
ステップS110において、制御部12は、収集制御装置3からインタフェース部(IF部)13を介して送信許可データdを受け付ける。そして、送受信部11にそのデータを送信する指示を出す。
ステップS111において、送受信部11は、制御部12からの指示に応じ、端局へ送信許可データdを送信する。
ステップS112において、送受信部11は、端局2から訓練データhを受信する。そして、その訓練データhを制御部12に出力する。
ステップS113において、制御部12は、インタフェース部(IF部)を介して収集制御装置3へ訓練データhを送信する。
ステップS114において、送受信部11は、端局へ制御データcを送信する。
ステップS115において、送受信部11は、端局の位置データgを受信する。そして、その位置データgを制御部12に出力する。
ステップS116において、制御部12は、位置データgを、インタフェース部(IF部)13を介して収集制御装置3へ送信する。
ステップS117において、制御部12は、収集制御装置3からインタフェース部(IF部)13を介して受信確認データeを受信する。そして、送受信部11にそのデータを送信する指示を出す。ステップS118において、送信部11は、制御部12の指示に応じ、端局へ受信確認データeを送信する。ステップS118の処理の完了後にステップS102に戻る。
なお、ステップS115からステップS116は、端局の数に対応して複数回行われる。
図14は、端局2のデータ送受信動作を示すフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS201において、受信動作が開始される。すなわち、受信部21および制御部22は、無線信号の受信を開始する。
ステップS202では、制御部22は、受信データがシステム制御データaであるか否かをチェックする。そして、受信データのデータ種別ID51が参照され、システム制御データaが判別される。このとき、受信データがシステム制御データaであれば、ステップS203へ移行する(ステップS202−yes)。一方、受信データがシステム制御データaでなければ、ステップS202へ戻る(ステップS202−no)。
ステップS203において、制御部22は、端局タイムチャートに基づく処理を開始する。このとき、制御部22は、受信したシステム制御データaに含まれている動作モード指示53を参照し、システム制御データaの種別を判別する。
ステップS204において、制御部22は、受光器25、火器インタフェース26から戦闘員の損耗状態等を表す端局情報の出力を受信する。このとき、戦闘員の損耗状態等を表す端局情報の変化があった場合には、ステップS205へ進む(ステップS204−yes)。一方、戦闘員の損耗状態等を表す端局情報の変化がない場合には、ステップS206へ進む(ステップS204−no)。
ステップS205において、制御部22は、送受信部21に送信予約データfを基地局に対して送信するように指示する。そして、送受信部21は、送信予約データfを基地局に送信する。
ステップS206において、送受信部21および制御部22は、制御データcを受信する。このとき、受信データのデータ種別ID61が参照され、制御データcの種類が判別される。
ステップS207では、制御部22は、受信データの一連番号62を参照する。
ステップS208では、制御部22は、受信データの一連番号62に抜けがあるか否かを判断する。抜けがある場合は、ステップS209に進み(ステップS208−yes)、制御部22は、その抜けていた一連番号62を保存し、ステップS210に進む。
ステップS208で受信データの一連番号62に抜けがないと判断された場合には(ステップS208−no)、ステップS210に進む。
ステップS210では、受信データの一連番号62に重複があるか否かを判断する。重複がある場合はステップS211に進み(ステップS210−yes)、制御部22は、重複する制御データcを削除してステップS212に進む。ステップS210で重複がないと判断された場合はステップS212に進む(ステップS210−no)。
ステップS212では、基地局送信モードに係る各種端末処理を行う。ステップS212の処理の完了後にステップS201に戻る。
なお、ステップS206からステップS211は、制御データの数に対して複数回行われる。
次に、第一の実施形態の無線通信システムを使用して実施されるシステムとして、模擬戦闘訓練を行う例について説明する。
実施形態の無線通信システムは、特に限定されるものではないが、例えば、基地局1が各端局から送信される情報(図5では、位置データg、訓練データh)を収集して、収集制御装置に転送する。収集制御装置3は、基地局1から転送されたデータを蓄積、分析する処理を実行する。
模擬戦闘訓練では、各戦闘員がそれぞれ端局2を携帯する。また、各端局2には、それぞれ、図2に示すように、受光器42および火器インタフェース26が接続されている。受光器25は、戦闘員の着用するジャケットもしくはベルト等によって、所定箇所(例えば、頭部、背中、腕、脚など)に設けられる。受光器42は擬似的な火器としてのレーザ銃から出力されるレーザ光線を検知する。受光器がレーザ光線を検知すると、制御部は、戦闘員が「撃たれた」と判断する。また、火器インタフェース26は、レーザ銃に接続されている。そして、戦闘員がレーザ銃を使用すると、制御部は、戦闘員が火器を使用したと判断する。
端局2は、戦闘員の位置、戦闘員の損耗状態などを基地局1に通知する。例えば、戦闘員の位置は、GPS受信部23からの座標情報をもとに、図5に示す位置データgを用いて基地局1に通知される。また、戦闘員の損耗状態を表す情報は、受光器25、火器インタフェース26からの入力信号に基づいて作成され、図5に示す訓練データhを利用して基地局1に通知される。
基地局1は、各端局2から送信される情報を収集し、収集制御装置3に送信する。収集制御装置3は、収集した情報を整理して蓄積する。そして、収集制御装置3は、蓄積した情報に基づいて作戦、展開、戦闘状況を出力する。戦闘員は出力された結果をもとに戦闘訓練の練度の向上を図ることができる。無線通信システムが備える基地局の数は、訓練地域全体に電波が到達するように、訓練地域の広さおよび電波通達性の状況等に応じて決定される。訓練に参加する戦闘員は、例えば、数十〜数千人である。
また、訓練では、戦闘車両および屋内戦闘訓練用の建物が使用される。これらの戦闘車両および建物の中には、基地局1またはGPS衛星からの電波が届かないものもある。すなわち、これらの戦闘車両および建物は、電波シールド領域に相当する。各戦闘車両および建物には、それぞれ、中継局が設置される。また、各戦闘車両および建物に端局2を設置してもよい。この場合、端局2は、戦闘車両の位置、戦闘車両および建物の状態(正常、小破、大破など)を基地局1に通知する。これにより、模擬戦闘の状況がより精確に確認できる。
なお、この訓練システムでは、数台の基地局1に対して、数十〜数千個の端局から構成される。すなわち、1対多の無線データ通信システムが構築される。また、システム全体でリアルタイム性が要求される。このため、各基地局1から端局2へのダウンリンクデータは、基本的に、無線エリア内のすべての端局に放送される。このとき、基地局から各端局へのダウンリンクデータ(例えば、図5に示すシステム制御データa、または制御データc)により、動作モードの指示、位置データgの送信周期の指示などが通知される。また、ダウンリンクデータは、模擬砲弾の落下位置、破裂高さ等の情報も送信することができる。
端局2は、自局の位置および防御状況(装甲車の内部など)などに基づいて、当該端局を携帯している戦闘員の被害状況を判断するようにしてもよい。車両と戦闘員との模擬戦闘、あるいは戦闘員同士の模擬戦闘において、レーザ光線が使用される。このとき、例えば、端局2に接続された受光器42にレーザ光線が入射され、戦闘員の損耗状態が変化すると、その状態変化がアップリンクデータとして基地局1に自動的に送信される。そして、収集制御装置3は、各端局からのアップリンクデータに基づいて各戦闘員の位置および状態を把握し、訓練状況を精確に認識する。
このように、端局からのアップリンクの状況を確認しながら、ダウンリンクの多重化を制御することで、全体の通信量の増加を避けることができ、輻輳を防ぎつつダウンリンクデータを配信することができる。また、端局は、受信するダウンリンクデータの抜けを減少させることができ、基地局からの動作指示に従った動作をすることができる。
ここで、端局2が、屋内、地下街等に位置する場合には、基地局1からの電波を受信することができない。そこで、実施形態の無線通信システムは、このような状況を回避するために、中継局を備えることも可能である。中継局は、基地局1と無線通信が可能であり、且つ、端局2と無線通信が可能な位置に設けられる。すなわち、中継局は、外部アンテナを介して基地局1との間で無線信号を送受信し、内部アンテナを介して端局2との間で無線信号を送受信する。
[第二の実施形態]
次に図15及び図16を基に第二の実施形態を説明する。上述した第一の実施形態では、所定の閾値と全端局数に対する端局からのアップリンクデータ受信数の割合とを比較し、基地局1から端局2へのダウンリンクデータの多重度を変化させた。第二の実施形態では、収集制御装置3は多重度変換テーブルを備え、多重化制御部327はテーブルを用いて多重度を変化できるようにしている。
図15に多重度変換テーブル80の一例を示す。多重度変換テーブルは、正常な位置データの受信割合と複数の設定値(設定1、設定2、設定3、設定4)とを対応付けて格納する。設定値は、多重化の状態を規定するものであり、ダウンリンクデータを送信する基地局スロットあたりの同一データを含む割合を示している。そして、多重化制御部327は、多重度変換テーブル80を参照し、多重度を変化させる。例えば、設定値の中から設定1が選択された場合において、全端局数に対する端局からのアップリンクデータ受信数の割合が95パーセントであった場合には、多重化制御部327は、多重度変換テーブル80の多重化の状態1.5を参照する。そして、多重化制御部327は、参照された多重化の状態により、多重度を変化させる。この場合は、ダウンリンクデータを送信する基地局スロット3回の内に2回において同一のデータを送信する。なお、本実施の形態では、多重度変換テーブルは、4つの設定値を保有しているが、保有する設定値の数はそれに限られるものでない。また、テーブルに登録されている値はこの実施例の値に限られない。
なお、変換テーブルに変えて、変換式を用いることも可能である。変換式の一例を下式(1)示す。なお、Nは多重度パラメータであり、複数の設定値で、任意にパラメータを変更することができる。そしてこの場合において、多重化制御部327は、全端局数に対する端局からのアップリンクデータ受信数の割合(正常受信割合)から多重度を算出し、その算出された多重度に基づいてダウンリンクの多重化を制御する。
図16は、第二の実施の形態における、収集制御装置3のデータ送受信動作を示すフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS301において、受信動作が開始される。
ステップS302において、ダウンリンクデータ生成部329は、ネットワーク制御部328を介して、操作端末4からユーザの指示に応じた設定データを受信する。
ステップS303において、データ収集処理部31はシーケンスタイムチャート生成する。
ステップS304において、ダウンリンクデータ生成部329は、受信した設定データに基づいてダウンリンクデータを作成する。
ステップS305において、ダウンリンク送信部314は、作成されたダウンリンクデータを、インタフェース部(IF部)311を介して基地局1に送信する。
ステップS306において、アップリンクデータ受信部はインタフェース部(IF部)311を介して基地局1からのアップリンクデータを受信する。
ステップS307において、データチェック部313は、アップリンクデータから端局2の位置データgを抽出する。このとき、受信データの端局ID71が参照され、各端局ごとの位置データgを判別する。なお、同一の端局IDが複数存在する場合は、そのデータは一つだけ残し、他は削除する。また、抽出された位置データgは、端局IDと対応づけてデータ蓄積部325に記憶される。
ステップS308において、受信割合算出部326は、全端局数に対する端局からの位置データgの受信数(ただし、同一の端局IDについては重複分を削除した受信数)の割合に応じた受信割合を算出する。
ステップS309において、多重化制御部327は、多重度変換テーブル80を参照する。
ステップS310において、多重化制御部327は、参照した多重度変換テーブル80に基づいて全端局数に対する端局からの位置データの受信数の割合に応じた多重度の状態に制御する。
ステップS311において、ダウンリンクデータ生成部329は、多重化制御部327の指示した多重度で基地局へ送信するダウンリンクデータを作成する。ステップS311の処理の完了後にステップS305に戻る。
このように、収集制御装置3は多重度変換テーブルを備え、このテーブルを用いて多重度を切り換えることで、使用するネットワークの通信の通達性等を考慮して多重度の値を変更することができる。これにより、通信の通達性を考慮したきめ細かい多重度の変換が可能となる。端局は、受信するダウンリンクデータの抜けを減少させることができ、基地局からの動作指示に従った動作をすることができる。
[第三の実施形態]
次に図17から図20を基に第三の実施形態を説明する。第三の実施形態では、基地局は、基地局内部にダウンリンクデータを蓄積している。そして、端局がダウンリンクデータの抜けを検出した場合、通常であれば端局の状態を送信しているスロットを用いて、その抜けたデータを基地局に対して再送依頼できるようにしている。そして、再送依頼を受けた基地局は、蓄積したダウンリンクデータから再送依頼を受けたデータを読み出し、再送依頼を考慮して端局へダウンリンクデータを送信する。
図17は、基地局1、端局2のダウンリンクデータ(制御データ)の再送依頼のタイミングについて説明する図である。端局2はダウンリンクデータ(制御データ)の抜けを検出した場合、端局2は、端局スロット(具体的には第一の実施形態において、端局2が訓練データhを送信していたスロット)を用いて、抜けている一連番号についてのデータの再送を依頼するアップリンクデータ(再送依頼データ)を送信する。
基地局1は端局2からのアップリンクデータを受信し、基地局内部に蓄積しているダウンリンクデータから再送依頼を受けた一連番号についてのダウンリンクデータを取り出す。そして、基地局は、ダウンリンクデータの枠の空いている基地局スロットで一連番号についてのダウンリンクデータを送信する。端局2は、基地局1からのダウンリンクデータを受信し、抜けていた一連番号についてのダウンリンクデータであるか確認する。抜けていたダウンリンクデータであれば、これを適用する。
図18は、再送依頼データのデータ内容90の一例を示す図である。図18において、端局ID91としては、各端局に与えられた個別の識別子である。発生時刻92は、端局がデータの抜けを検出した時刻である。再送データ開始番号93は、再送を依頼する制御データcの一連番号62の最初の番号である。再送データ終了番号94は、再送データを依頼する制御データcの一連番号62の最後の番号である。端局ステータス95は、端局の状態、位置情報の信頼性等を表す。なお、再送依頼データのデータ内容90において、再送データ開始番号93および再送データ終了番号94を有する理由として、制御データcの一連番号62が、例えば1−10のように、ある範囲を有しているためである。なお、制御データcの一連番号62が、特定の番号のみ通知している場合は、その番号を通知すればよい。
図19は、第三の実施の形態における、基地局1のデータ送受信動作を示すフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS401において、受信動作が開始される。
ステップS402において、制御部12は、収集制御装置3より出力されたシステム制御データaを、インタフェース部(IF部)13を介して受信する。このとき、受信データのデータ種別ID51が参照され、システム制御データaの種別が判別される。
ステップS403において、制御部12は、システム制御データaに設定されている基地局スロット番号52を参照する。そして、参照したスロット番号を基にシステム制御データを受信し、端局タイムチャートを生成する。
ステップS404において、送受信部11は、制御部12の指示に応じ、端局に対してシステム制御データaを送信する。
ステップS405において、送受信部11は、端局2からの送信予約データfを受信する。そして、その送信予約データfを制御部12に出力する。
ステップS406において、制御部12は、送受信部11からの送信予約データfを受信したかを判別する。このとき、送信予約データfの受信があったときはステップS407へ移行する(ステップS406−yes)。一方、送信予約データfの受信がなかったときはステップS108へ移行する(ステップS406−no)。
ステップS407において、制御部12は、収集制御装置3に対してインタフェース部(IF部)13を介して送信予約データfを送信する。
ステップS408において、制御部12は、インタフェース部(IF部)13を介して収集制御装置3から制御データcを受け付ける。そして、送受信部11にそのデータを送信する指示を出す。
ステップS409において、送受信部11は、制御部12からの指示に応じて、端局へ制御データcを送信する。
ステップS410において、制御部12は、収集制御装置3からインタフェース部(IF部)13を介して送信許可データdを受け付ける。そして、送受信部11にそのデータを送信する指示を出す。
ステップS411において、送受信部11は、制御部12からの指示に応じ、端局へ送信許可データdを送信する。
ステップS412において、送受信部12は、端局2からの訓練データhあるいは、再送依頼データを受信する。そして、受信したデータを制御部11に出力する。
ステップS413において、制御部12は、送受信部11からの再送依頼を受信する。このとき、再送依頼の受信があったときはステップS414へ移行する(ステップS413−yes)。一方で、再送依頼の受信がなかったときは、ステップS415へ移行する(ステップS413−no)。
ステップS414において、制御部12は、再送依頼のあった制御データcの一連番号を記憶する。このとき、再送データ開始番号93および、再送データ終了番号94が参照される。そして、ステップS416に移行する。
ステップS415において、制御部12は、インタフェース部(IF部)13を介して収集制御装置3へ訓練データhを送信する。
ステップS416において、制御部12は、基地局スロットに空きを検出した場合は、ステップS417へ移行する(ステップS416−yes)。一方で、基地局スロットに空を検出できなかった場合は、ステップS418へ移行する(ステップS416−no)。
ステップS417において、制御部12は、基地局内部に蓄積してあるダウンリンクデータから再送依頼を受けた一連番号の制御データcを読み出し、再送データとして付加する。
ステップS418において、送受信部11は、端局へ制御データcを送信する。
ステップS419において、送受信部11は、端局の位置データgを受信する。そして、その位置データgを制御部12に出力する。
ステップS420において、制御部12は、位置データgを、インタフェース部(IF部)13を介して収集制御装置3へ送信する。
ステップS421において、制御部12は、収集制御装置3からインタフェース部(IF部)13を介して受信確認データeを受信する。そして、送受信部11にそのデータを送信する指示を出す。
ステップS422において、送信部11は、制御部12の指示に応じ、端局へ受信確認データeを送信する。ステップS422の処理の完了後にステップS402に戻る。
なお、ステップS419からステップS420は、端局の数に対応して複数回行われる。
図20は、第三の実施の形態における、端局2のデータ送受信動作を示すフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS501において、受信動作が開始される。すなわち、受信部21および制御部22は、無線信号の受信を開始する。
ステップS502では、制御部22は、受信データがシステム制御データaであるか否かをチェックする。そして、受信データのデータ種別ID51が参照され、システム制御データaが判別される。このとき、受信データがシステム制御データaであれば、ステップS503へ移行する(ステップS502−yes)。一方、受信データがシステム制御データaでなければ、ステップS502へ戻る(ステップS502−no)。
ステップS503において、制御部22は、端局タイムチャートに基づく処理を開始する。このとき、制御部22は、受信したシステム制御データaに含まれている動作モード指示53を参照し、システム制御データaの種別を判別する。
ステップS504において、制御部22は、受光器25、火器インタフェース26から戦闘員の損耗状態等を表す端局情報の出力を受信する。このとき、戦闘員の損耗状態等を表す端局情報の変化があった場合には、ステップS505へ進む(ステップS504−yes)。一方、戦闘員の損耗状態等を表す端局情報の変化がない場合には、ステップS506へ進む(ステップS504−no)。
ステップS505において、制御部22は、送受信部21に送信予約データfを基地局に対して送信するように指示する。そして、送受信部21は、送信予約データfを基地局に送信する。
ステップS506において、送受信部21および制御部22は、制御データcを受信する。このとき、受信データのデータ種別ID61が参照され、制御データcの種類が判別される。
ステップS507では、制御部22は、受信データの一連番号62を確認する。
ステップS508では、制御部22は、受信データの一連番号62に抜けがあるか否かを判断する。抜けがある場合は、ステップS509に進み(ステップS508−yes)、制御部22は、その抜けていた一連番号62を保存し、ステップS510に進む。
ステップS508で受信データの一連番号62に抜けがないと判断された場合には(ステップS508−no)、ステップS510に進む。
ステップS510では、受信データの一連番号62に重複があるか否かを判断する。重複がある場合はステップS511に進み(ステップS510−yes)、制御部22は、重複する制御データcを削除してステップS512に進む。ステップS510で重複がないと判断された場合はステップS512に進む(ステップS510−no)。
ステップS512では、基地局送信モードに係る各種端末処理を行う。
ステップS513において、制御データcを受信した制御部21は、受信データの一連番号62を参照する。そして、一連番号62に抜けがあった場合は、制御部22は、送受信部21に基地局に対して再送依頼データを送信するように指示する。送受信部21は、制御部22の指示に応じ、基地局1へ再送依頼データの送信を行う。ステップS513の処理の完了後にステップS501に戻る。
なお、ステップS506からステップS511は、端局の数に対応して複数回行われる。
このように、特定の端局の通達状況が悪い場合には、多重度を増加させて、通信系全体のパフォーマンスを低下させるよりも、再送処理を加えた方が、全体として効率が向上する。これにより、端局は、受信するダウンリンクデータの抜けを減少させることができ、基地局からの動作指示に従った動作をすることができる。
本実施例では、基地局でダウンリンクデータを蓄積し、多重化処理を行う。このため、収集制御装置によらないで再送処理を実現できる。システムの構成をシンプルにすることができ、システムの低価格化が可能である。また、全体としてコンパクトに構成できる。さらに、収集制御装置と基地局の間のダウンリンクデータ量を削減することができるメリットがある。また、本実施例においては、基地局毎に通信している端局が異なっている場合に、各基地局で異なるダウンリンクデータを送信することが可能である。端局からの再送処理依頼の受信は各基地局で異なる場合がある。この場合、それぞれの基地局は、それぞれの端局の要求に従った異なる再送データを送信する。このように処理することで、複数基地局を利用した無線システム全体としては多くのダウンリンクデータを通信することができる。同じ時間内により多くのデータを送信でき、システムの効率を向上させることができる。
[第四の実施形態]
次に図21を基に第四の実施形態を説明する。上述した第三の実施形態では、端局がダウンリンクデータの抜けを検出した場合、その抜けたデータの再送を基地局に対して再送依頼できるようにしたが、第四の実施形態では、端局から再送依頼を受けた基地局は、その再送依頼についてのデータを収集制御装置に転送するようにしている。なお、データ蓄積部325は、基地局1から送信された再送依頼データを蓄積する。また、受信割合算出部326は、データの内容を解釈し、データの内容によりデータを並びかえる機能を有する。多重化制御部327は、受信割合算出部326により並び替えられたデータに基づいて、制御データの再生性をする指示を出す。ダウンリンクデータ生成部329は、多重化制御部327の指示に応じて、制御データの再生成をする機能を有する。
図21は、第四の実施の形態における、収集制御装置3のデータ送受信動作を示すフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS601において、受信動作が開始される。
ステップS602において、ダウンリンクデータ生成部329は、ネットワーク制御部328を介して、操作端末4からユーザの指示に応じた設定データを受信する。
ステップS603において、データ収集処理部31はシーケンスタイムチャート生成する。そして、データ処理部31は、タイムチャートにしたがって、ダウンリンクデータ生成の要求をデータ蓄積部32に出力する。
ステップS604において、ダウンリンクデータ生成部329は、受信した設定データに基づいてダウンリンクデータを作成する。
ステップS605において、ダウンリンク送信部314は、作成されたダウンリンクデータを、インタフェース部(IF部)311を介して基地局1に送信する。
ステップS606において、アップリンクデータ受信部312は、インタフェース部(IF部)311を介して基地局1から送信された再送依頼データを受信する。
ステップS607において、データチェック部313は、再送依頼データの重複をチェックする。このとき、再送データ開始番号93、再送データ終了番号94が参照される。
ステップS608において、データ蓄積部325は、再送依頼にあった再送依頼データを集積する。
ステップS609において、データ蓄積処理部32は設定データを解釈する。設定データには、データの並べ替え方についての情報が含まれている。そして、データ蓄積処理部32は、受信割合算出部326に対して、解釈された設定データに基づき、データ蓄積部325からデータを読み出し、データを並び替えるように指示を出す。端局2から再送依頼の多いデータ順にデータを並びかえる場合はステップS612に移行する(ステップS609−yes)。一方で、再送依頼の多いデータ順にデータを並びかえない場合には、ステップS610に移行し、各端局がデータの抜けを検出した時間が古いデータからデータを並びかえる(ステップS609−no)。
ステップS610において、受信割合算出部326は、端局2から再送依頼がおこなわれたデータについて各端局がデータの抜けを検出した時間が古いデータから並びかえる。このとき、再送依頼データの発生時刻92が参照され、時間的に古いデータが判別される。
ステップS611においてダウンリンクデータ生成部329は、多重化制御部327の指示により制御データcの再生成をする。このとき、収集制御装置内部に蓄積してあるダウンリンクデータから再送依頼を受けた一連番号についての制御データcを読み出し、再送データとして付加する。そして、ステップS614に移行する。
ステップS612において受信割合算出部326は、端局2からの再送依頼の多いデータ順にデータを並びかえる。このとき、再送データ開始番号93、再送データ終了番号94が参照される。
ステップS613において、ダウンリンクデータ生成部329は、多重化制御部327の指示により制御データcの再生成をする。このとき、収集制御装置内部に蓄積してあるダウンリンクデータから再送依頼を受けた一連番号についての制御データcを読み出し、再送データとして付加する。
ステップS614において、ダウンリンクデータ生成部329は、再送データを含むダウンリンクデータを作成する。ステップS614の処理の完了後にステップS605に戻る。
これにより、多くの端局から、さまざまな再送依頼が出ている場合は、多重度を変更することが可能である。つまり、再送依頼のデータを確認して、再送依頼の種類が多い場合は、多重度の変更をすることができる。これにより、端局は、受信するダウンリンクデータの抜けを減少させることができ、基地局からの動作指示に従った動作をすることができる。
[第五の実施形態]
次に図22を基に第五の実施形態を説明する。第五の実施形態では、電波通達範囲の外側に端局が位置する場合や、バッテリ切れ等により、複数回に渡って基地局にアップリンクデータ、あるいは再送依頼データを送信しない端局については、アップリンクデータについての多重化変更の割合の算出時において対象外としている。
図22は、収集制御装置3のデータ送受信動作を示すフローチャートの一例である。なお、このフローチャートでは、データの送受信に直接係わらない動作については省略されている。
ステップS701において、受信動作が開始される。
ステップS702において、ダウンリンクデータ生成部329は、ネットワーク制御部328を介し、操作端末4からユーザの指示に応じた設定データを受信する。
ステップS703において、データ収集処理部31はシーケンスタイムチャート生成する。
ステップS704において、ダウンリンクデータ生成部329は、受信した設定データに基づいてダウンリンクデータを作成する。
ステップS705において、ダウンリンク送信部314は、作成されたダウンリンクデータを、インタフェース部(IF部)311を介して基地局1に送信する。
ステップS706において、データチェック部313は、アップリンクデータから端局の位置データgを抽出する。そして、ステップS707において、位置データgの重複チェックを行う。このとき、受信データの端局ID91が参照され、位置データgの重複が判別され、重複する位置データgは削除される。
ステップS708において、データ蓄積部325は、位置データgの集積をする。
ステップS709において、受信割合算出部326は、アップリンクデータを連続して複数回送信していない端局を抽出する。このとき、受信データの端局ID91をもとに、アップリンクデータを送信していない端局を検出する。なお回数は任意に定めることができる。
ステップS710において、受信割合算出部326は、抽出した端局の数を全端局数から除外し、全端局数に対する端局からの位置データの受信数の割合を算出する。
ステップS711において、多重化制御部327は、多重度変換テーブル80を参照する。
ステップS712において、多重化制御部327は、多重度変換テーブル80に基づき、全端局数に対する端局からの位置データの受信数の割合に応じた多重度の状態に制御する。
ステップS713において、ダウンリンクデータ生成部329は、多重化制御部327の指示した多重度で基地局へ送信するダウンリンクデータを作成する。そして、ステップS713の処理の完了後にステップS705に戻る。
このように、複数回に渡って基地局にアップリンクデータ、あるいは再送依頼データを送信しない端局については、多重化変更の割合の算出時において対象外とする。これにより、全体の通信のレートを低下させる特定の端局による悪影響を低減することができる。