JP6098529B2 - 呼吸機能検査システム、呼吸機能検査システム用の呼吸経路 - Google Patents
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Description
[1.呼吸機能検査システム1の構成の説明]
本実施形態の呼吸機能検査システム1は、被検者が呼吸する際の吸気量のデータと、被検者の脈波から得られた胸腔内圧のデータとに基づいて、被検者の呼吸機能を検査する検査システムである。
流量センサ3は、呼吸器11の吸気経路13bを通過する被検者の吸気の流量を検出する。この流量センサ3としては、例えば差圧式や熱線式、超音波式等のガス流量を検知できる周知の流量センサを使用することができる。この流量センサ3からは、呼吸機能検査装置7に対して、吸気流量を示す電気信号(吸気量信号)が出力される。
脈波センサ5は、周知の発光素子(LED)や受光素子(PD)を備えた光学式のセンサであり、例えば被検者の指先に光を照射し、その反射光を利用して脈波(容積脈波)を検出することができる。この脈波センサ5からは、呼吸機能検査装置7に対して、脈波の状態を示す脈波信号が出力される。
呼吸機能検査装置7は、周知のマイクロコンピュータを中心とした電子制御装置であり、流量センサ3からの吸気信号や脈波センサ5からの脈波信号に基づいて、呼吸機能の検査や表示部9の制御を行う。また、呼吸機能検査装置7は、機能的に、吸気信号取得部7aと、脈波信号取得部7bと、吸気量算出部7cと、胸腔内圧推定部7dと、呼吸機能検知部7eと、を備えている。吸気信号取得部7aでは、流量センサ3からの単位時間当たり吸気量(即ちガス流量)を示す吸気量信号を取得(計測)する。脈波信号取得部7bは、脈波センサ5を駆動して、血管の脈動の状態を示す脈波信号を取得する。吸気量算出部7cでは、吸気量信号に基づいて、各呼吸の吸気の期間における吸気量を算出する。具体的には、吸気量信号から得られた吸気流量を積算して吸気量を求める。胸腔内圧推定部7dでは、脈波信号を解析して胸腔内圧を推定する。呼吸機能検知部7eでは、吸気量算出部7cによって算出された吸気量と胸腔内圧推定部7dによって推定された胸腔内圧とのデータに基づいて、呼吸機能を検査(判断)する。また、呼吸機能検知部7eは、後述する圧力取得ポート21のポート圧(口腔内圧)を利用して脈波による胸腔内圧を推定する。なお、図6は、圧力取得ポート21のポート圧(口腔内圧)を利用した脈波による胸腔内圧の推定結果を示すグラフである。
表示部9は、呼吸機能検査装置7によって得られた呼吸機能の検査結果を報知する装置であり、液晶等のディスプレイやスピーカ等を備えている。
次に、本発明が適用された呼吸器11の構成について説明する。
呼吸器11は、被検者の呼吸機能を検査するために被検者の呼気および吸気を通過させる機器であり、図3に示すように、呼吸器本体13と、マウスピース15と、フィルター17と、抵抗負荷部としての流路抵抗可変装置19と、を備えている。
マウスピース15は、被検者がくわえて呼気を呼吸器本体13に吹き込んだり吸気を吸い込んだりするのに用いられる装置であり、フィルター17を介して呼吸器本体13の前端側に取り付けられている。
また、流路抵抗可変装置19には、被検者の呼気が通過する呼気経路19aと被検者の吸気が通過する吸気経路19bとが形成されており、呼気経路19aの前端部と吸気経路19bの前端部が開放されるとともに、呼気経路19aの前端部と吸気経路19bの前端部が合流する略Y字形状になっており、呼吸器本体13へ取り付けられた際には呼吸器本体13の後端部に接続されている。なお、呼気経路19a内には、チェックバルブ19cが設けられており、このチェックバルブ19cによって、被検者の呼気などが呼気経路19a内を前端側(上流側)から後端側(下流側)へ向けて流れるのが許容される一方、反対方向への気体の流れが阻止される。また、吸気経路19b内には、前端側にチェックバルブ19dが設けられるとともに、後端側に抵抗負荷部としての流路抵抗切替器19eが設けられている。吸気経路19b内においては、チェックバルブ19dによって、被検者の吸気などが吸気経路19b内部を後端側(上流側)から先端側(下流側)へ向けて流れるのが許容される一方、反対方向への気体の流れが阻止される。また、流路抵抗切替器19eは、板状部材19fが吸気経路19bの長手方向に対して直交する軸19gを回転中心として回転可能に構成されており、吸気経路19b内においては、回転によって板状部材19fの姿勢を変化させることで吸気経路19bを狭めて吸気抵抗を負荷するようになっている。なお、板状部材19fについては、軸19gを回転させるなど手動で回転させるようにしてもよいし、吸気経路19bを狭めた状態か広げた状態の何れか一方に板状部材19fをしておいて、気体の流れを用いて板状部材19fを回転させるようにしてもよい。
次に、呼吸機能検査システム1を用いた呼吸機能の検査について説明する。
(1)呼吸機能検査システム1の校正
呼吸機能検査システム1を校正するには、図4に示すように、流路抵抗可変装置19の吸気経路19bを流路抵抗切替器19eによって狭めることで(第一抵抗負荷状態)、被検者が呼吸を行うときに気道にて呼吸を抑制する抵抗である気道抵抗よりも充分に大きな値の吸気抵抗(15cmH2O以上の抵抗)を負荷し、口腔内圧ならびに胸腔内圧(≒食道内圧)が低下した時の脈波に現れる呼吸性変動を測定する。なお、呼気経路19aにおいては、被検者が呼気を行うときに呼気を抑制する抵抗である呼気抵抗は気道抵抗よりも小さく保たれている(3cmH2O以下の抵抗)。この時、呼吸量は少ないので気道抵抗はほぼゼロとなり、口腔内圧≒胸腔内圧となる。そして、口腔内圧と脈波の呼吸性変動量の比から換算係数Cを求める。
次に、被検者の推定胸腔内圧Pおよび呼吸流量Vの測定を行う際には、図5に示すように、流路抵抗可変装置19の吸気経路19bを流路抵抗切替器19eによって広げることで(第二抵抗負荷状態)、気道抵抗よりも小さな値の吸気抵抗(3cmH2O以下の抵抗、本実施形態ではほぼゼロ(開放))を負荷する状態に切り替え、呼吸をした時の呼吸流量Vと脈波を測定し、上記(1)の呼吸機能検査システム1の校正時に求めた換算係数Cを用いて推定胸腔内圧Pを求める(次式参照)。
なお、呼気経路19aにおいては、上記(1)の呼吸機能検査システム1の校正時と同様に、被検者が呼気を行うときに呼気を抑制する抵抗である呼気抵抗は気道抵抗よりも小さく保たれている(3cmH2O以下の抵抗)。
上記(2)で求めた推定胸腔内圧Pおよび呼吸流量VからPV線図を描画し、V/Pの傾き(肺コンプライアンス)、面積等を求める。
呼吸量ならびに呼吸周期を変えてV/P等を求めることで、肺の呼吸周波数、呼吸流量毎の特性(肺コンプライアンス;肺の弾性係数)、仕事量等を評価する。
このように本実施形態の呼吸機能検査システム1によれば、被検者の吸気が通過する呼吸器11の吸気経路19b内においては、流路抵抗切替器19eの板状部材19fの姿勢を回転によって変化させることで吸気経路19bを狭めて吸気抵抗を負荷するようになっており、流量センサ3が呼吸器11の吸気経路13bを通過する被検者の吸気の流量を検出し、脈波センサ5が被検者の脈波を検出し、呼吸機能検査装置7が、流量センサ3からの吸気量信号や脈波センサ5からの脈波信号に基づいて推定した胸腔内圧信号によって呼吸機能の検査を行うので、従来技術のような食道内圧の測定を行わなくても、被検者の呼吸機能を検査することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
Claims (10)
- 被検者の呼吸機能を検査する呼吸機能検査システム(1)であって、
被検者の呼気が通過する呼気経路(19a)と被検者の吸気が通過する吸気経路(19b)とを有する呼吸経路(11)と、
前記吸気経路(19b)を通過する被検者の吸気の流量を検出する流量センサ(3)と、
被検者の脈波を検出する脈波センサ(5)と、
前記流量センサ(3)が検出した被検者の吸気の流量と前記脈波センサ(5)が検出した被検者の脈波とに基づいて被検者の呼吸機能を検査する呼吸機能検査部(7)と、を備え、
前記吸気経路(19b)には、被検者が吸気を行うときに吸気を抑制する抵抗である吸気抵抗を負荷する抵抗負荷部(19e)が設けられていること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項1に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記抵抗負荷部(19e)は、前記吸気経路(19b)を狭めることで前記吸気経路(19b)に前記吸気抵抗を負荷すること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項2に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記抵抗負荷部(19e)は、前記吸気経路(19b)を絞ることで前記吸気経路(19b)を狭めて前記吸気経路(19b)に前記吸気抵抗を負荷すること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項2に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記抵抗負荷部(19e)は、前記吸気経路(19b)内でその姿勢を変更可能な板状部材(19f)を有し、前記板状部材(19f)の姿勢を変化させることで前記吸気経路(19b)を狭めて前記吸気経路(19b)に前記吸気抵抗を負荷すること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項2に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記抵抗負荷部(19e)は、前記吸気経路(19b)を開閉する弁体(19d)を有し、前記弁体(19d)を駆動することで前記吸気経路(19b)を狭めて前記吸気経路(19b)に前記吸気抵抗を負荷すること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記吸気経路(19b)においては、前記抵抗負荷部(19e)が、被検者が呼吸を行うときに気道にて呼吸を抑制する抵抗である気道抵抗よりも充分に大きな値の前記吸気抵抗を負荷する第一抵抗負荷状態と、前記気道抵抗よりも小さな値の前記吸気抵抗を負荷する第二抵抗負荷状態との間で切替が可能であり、
前記呼気経路(19a)においては、被検者が呼気を行うときに呼気を抑制する抵抗である呼気抵抗は前記気道抵抗よりも小さく保たれていること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項6に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記吸気経路(19b)においては、前記抵抗負荷部(19e)が、前記第一抵抗負荷状態であるときには前記吸気抵抗として15cmH2O以上の抵抗を負荷し、一方、前記第二抵抗負荷状態であるときには前記吸気抵抗として3cmH2O以下の抵抗を負荷し、
前記呼気経路(19a)においては、前記呼気抵抗として3cmH2O以下の抵抗を負荷すること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項6または請求項7に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記吸気経路(19b)には、被検者の胸腔内圧および口腔内圧を計測するための圧力取得ポート(21)が設けられており、前記圧力取得ポート(21)は、前記抵抗負荷部(19e)が前記第一抵抗負荷状態であるときには胸腔内圧を計測するために利用可能であり、前記抵抗負荷部が前記第二抵抗負荷状態であるときには口腔内圧を計測するために利用可能であること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項8に記載の呼吸機能検査システム(1)において、
前記圧力取得ポート(21)は、前記吸気経路(19b)における前記流量センサ(3)が被検者の吸気流量を検出する箇所よりも下流側に設けられていること
を特徴とする呼吸機能検査システム(1)。 - 請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の呼吸機能検査システム(1)を構成する呼吸機能検査システム用の呼吸経路(11)。
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