JP6093828B1 - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

【課題】吸収性物品のフィット性を向上させる。【解決手段】互いに直交する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液体吸収性繊維を有する吸収体と、厚さ方向の肌側から吸収体を覆う液透過性シートとを有する吸収性物品であって、吸収体は、厚さ方向の肌側に折れ曲がるように誘導するための、長手方向に沿った線状誘導部を、幅方向の中央部に有し、線状誘導部は、少なくとも非肌側に凹部を備えており、吸収体の肌側及び非肌側の少なくとも一方に複数の点状凹部が設けられており、線状誘導部の幅方向の中央において、吸収性物品の肌側面から線状誘導部までの距離は、吸収性物品の非肌側面から線状誘導部までの距離より小さく、複数の点状凹部は、幅方向の一方側に、長手方向に沿った第１列、及び幅方向において第１列に隣接する第２列を形成し、幅方向の他方側にも第１列及び第２列を形成し、第１列に属する点状凹部の縁と、第２列に属する点状凹部の縁との幅方向の距離は、吸収性物品の厚さ方向の長さの２倍より小さい。【選択図】図９

Description

本発明は、吸収性物品に関する。

経血等の排泄液を吸収する吸収性物品として生理用ナプキンが知られている。この生理用ナプキンは、互いに直交する長手方向と幅方向と厚さ方向を有し、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとの間に、液体吸収性繊維を主材とする吸収体（吸収性コア）を有している。

このような生理用ナプキンの例として、特許文献１には、吸収体の幅方向中央部が肌面側に隆起するように折れ曲がることで、使用者の膣口等（会陰部）に良好にフィットする吸収性物品が記載されている。このとき、吸収体の幅方向中央は肌面側に隆起するように折り曲げ、幅方向外側については、非肌面側に湾曲させて、使用者の身体に沿わせることが好ましい。

特開２０１２−１５７４５９号

しかし、特許文献１に記載された吸収性物品を用いると、吸収体の幅方向中央部が非肌面側に隆起してしまったり、吸収体の幅方向外側の湾曲は幅方向外側に設けられた長手方向に沿った圧搾部を起点として生じやすく、吸収性物品の形状が使用者の身体の形状に合わない部分で湾曲してしまったりするため、使用者が違和感を感じたり、排泄液が漏れてしまう恐れを生じていた。

本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、使用者の身体に応じた形状の吸収性物品により、吸収性物品のフィット性を向上させることにある。

上記目的を達成するための主たる発明は、
互いに直交する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液体吸収性繊維を有する吸収体と、前記厚さ方向の肌側から前記吸収体を覆う液透過性シートとを有する吸収性物品であって、前記吸収体は、前記厚さ方向の肌側に折れ曲がるように誘導するための、前記長手方向に沿った線状誘導部を、前記幅方向の中央部に有し、前記線状誘導部は、少なくとも非肌側に凹部を備えており、前記吸収体の肌側及び非肌側の少なくとも一方に複数の点状凹部が設けられており、前記線状誘導部の前記幅方向の中央において、前記吸収性物品の肌側面から前記線状誘導部までの距離は、前記吸収性物品の非肌側面から前記線状誘導部までの距離より小さく、前記複数の点状凹部は、前記幅方向の一方側に、前記長手方向に沿った第１列、及び前記幅方向において前記第１列に隣接する第２列を形成し、前記幅方向の他方側にも前記第１列及び前記第２列を形成し、前記第１列に属する前記点状凹部の縁と、前記第２列に属する前記点状凹部の縁との前記幅方向の距離は、前記吸収性物品の前記厚さ方向の長さの２倍より小さいことを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。

本発明によれば、幅方向の中央部に設けた線状誘導部の吸収性物品の肌側面から線状誘導部までの距離を、吸収性物品の非肌側面から線状誘導部までの距離より小さくし、複数の点状凹部が幅方向の一方側及び他方側に、それぞれ、長手方向に沿った第１列、及び幅方向において第１列に隣接する第２列を形成し、第１列に属する点状凹部の縁と第２列に属する点状凹部の縁との幅方向の距離を、吸収性物品の厚さ方向の長さの２倍よりそれぞれ小さくすることで、幅方向の中央部を線状誘導部によって肌面側に隆起しやすくするとともに、線状誘導部の幅方向両側は、点状凹部の列のいずれかの身体の形状に応じた部分で非肌面側に湾曲しやすくなり、吸収性物品のフィット性を向上させることができる。

図１は、生理用ナプキン１を厚さ方向の肌側から見た正面図である。 図２は、ナプキン１を厚さ方向の非肌側から見た平面図である。 図３は、図１中のＡ−Ａ矢視で示す概略断面である。 図４は、吸収体１０を厚さ方向の非肌側から見た平面図である。 図５Ａは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分の吸収体１０に吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を形成した概略断面図である。図５Ｂは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分の吸収体１０に線状誘導部１５を形成した概略断面図である。図５Ｃは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分の吸収体１０にトップシート２０及びバックシート３０を積層した概略断面図である。図５Ｄは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分のナプキン１に本体点状圧搾部ＥＤ２０を形成した概略断面図である。 図６Ａは、ナプキン１の使用態様について説明する図である。図６Ｂは、ナプキン１の形状変化について説明する図である。 図７Ａは、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と変形対象領域Ｚとを説明する図である。図７Ｂは、本実施形態の吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と変形対象領域Ｚとを説明する図である。図７Ｃは、本実施形態の理想的な吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と変形対象領域Ｚの状態を説明する図である。 図８は、図５Ｄにおける吸収体点状圧搾部ＥＤ１０及び線状誘導部１５の概略断面図である。 図９Ａは、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の配置について説明する図である。図９Ｂは、本体点状圧搾部ＥＤ２０の配置について説明する図である。 図１０は、吸収体１０の厚さ方向における肌側から見た吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の模式図である。 図１１は、線状誘導部１５、及び線状圧搾部ＥＬと接着部４０ｃ、４０ｗとの関係を表す図である。

本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、液体吸収性繊維を有する吸収体と、前記厚さ方向の肌側から前記吸収体を覆う液透過性シートとを有する吸収性物品であって、前記吸収体は、前記厚さ方向の肌側に折れ曲がるように誘導するための、前記長手方向に沿った線状誘導部を、前記幅方向の中央部に有し、前記線状誘導部は、少なくとも非肌側に凹部を備えており、前記吸収体の肌側及び非肌側の少なくとも一方に複数の点状凹部が設けられており、前記線状誘導部の前記幅方向の中央において、前記吸収性物品の肌側面から前記線状誘導部までの距離は、前記吸収性物品の非肌側面から前記線状誘導部までの距離より小さく、前記複数の点状凹部は、前記幅方向の一方側に、前記長手方向に沿った第１列、及び前記幅方向において前記第１列に隣接する第２列を形成し、前記幅方向の他方側にも前記第１列及び前記第２列を形成し、前記第１列に属する前記点状凹部の縁と、前記第２列に属する前記点状凹部の縁との前記幅方向の距離は、前記吸収性物品の前記厚さ方向の長さの２倍より小さいことを特徴とする吸収性物品である。

このような吸収性物品によれば、幅方向の中央部に設けた線状誘導部の吸収性物品の肌側面から線状誘導部までの距離を、吸収性物品の非肌側面から線状誘導部までの距離より小さくし、複数の点状凹部が幅方向の一方側及び他方側に、それぞれ、長手方向に沿った第１列、及び幅方向において第１列に隣接する第２列を形成し、第１列に属する点状凹部の縁と第２列に属する点状凹部の縁との幅方向の距離を、吸収性物品の厚さ方向の長さの２倍よりそれぞれ小さくすることで、幅方向の中央部を線状誘導部によって肌面側に隆起しやすくするとともに、線状誘導部の幅方向両側は、点状凹部の列のいずれかの身体の形状に応じた部分で非肌面側に湾曲しやすくなり、吸収性物品のフィット性を向上させることができる。

かかる吸収性物品において、前記線状誘導部の中央部の前記厚さ方向における中央位置は、前記点状凹部の中央部の前記厚さ方向における中央位置より、前記厚さ方向において肌側に位置することが望ましい。

このような吸収性物品によれば、使用時に股から吸収性物品の幅方向内側に向かって力が加えられたとき、吸収性物品の線状誘導部の中央部の厚さ方向における中央位置を、点状凹部の中央部の厚さ方向における中央位置より、厚さ方向において肌側に設けることで、線状誘導部が点状凹部より先に肌側に向かって折れ曲がり、使用者の膣口によりフィットさせることができる。

かかる吸収性物品において、前記点状凹部についての前記中央位置の方が、前記線状誘導部についての前記中央位置よりも前記吸収性物品の前記厚さ方向における中央位置に近いことが望ましい。

このような吸収性物品によれば、点状凹部についての中央位置の方を、線状誘導部についての中央位置よりも吸収性物品の厚さ方向における中央位置に近くに設けることで、使用時に股から吸収性物品の幅方向内側に向かって力が加えられたとき、まず線状誘導部が肌側に折れ曲がり、その後点状凹部が変位することになるため、より使用者の身体にフィットさせることができる。

かかる吸収性物品において、前記厚さ方向の非肌側から前記吸収体を覆う液不透過性シートと、前記液不透過性シートから前記幅方向の外側に突出して設けられたウイング部と、を有し、前記ウイング部の前記厚さ方向の非肌側には、前記ウイング部を下着に固定するためのウイング接着部が設けられており、前記線状誘導部の前記長手方向の長さは、前記ウイング接着部の前記長手方向の長さより長いことが望ましい。

このような吸収性物品によれば、線状誘導部の長手方向の長さをウイング接着部の長手方向の長さより長くすることで、線状誘導部の肌側への折り曲げ形状を維持しやすくできる。

かかる吸収性物品において、前記幅方向において、前記幅方向に隣接する前記点状凹部同士の縁の間隔は、前記点状凹部の長さよりも短いことが望ましい。

このような吸収性物品によれば、幅方向において、隣接する点状凹部同士の縁との間隔を点状凹部の長さより短くすることで、隣接する点状凹部同士の縁との間隔が点状凹部の長さ以下の場合よりも、非肌側に湾曲する起点となる点状凹部を多く設けることができ、使用者の身体によりフィットさせることができる。

かかる吸収性物品において、前記幅方向において、前記幅方向に隣接する前記点状凹部同士の中心の間隔が均等であることが望ましい。

このような吸収性物品によれば、幅方向に隣接する点状凹部同士の中心の間隔を均等にすることで、吸収体の剛性を一定にしやすくなり、線状誘導部による肌側に折れ曲がる形状や点状凹部による非肌側に湾曲する形状を維持しやすくなる。

かかる吸収性物品において、前記厚さ方向の非肌側から前記吸収体を覆う液不透過性シートを有し、前記液不透過性シートは、前記厚さ方向の非肌側に、接着剤が塗布された領域である本体接着部を有し、複数の前記点状凹部のうち、前記幅方向の最も外側に形成された点状凹部は、前記本体接着部の前記幅方向の外側端より、前記幅方向の外側に設けられていることが望ましい。

このような吸収性物品によれば、点状凹部を、本体接着部より幅方向の外側にも設けることで、吸収体の幅方向において、下着に固定されている領域よりも点状凹部が形成されている領域が広くなり、吸収体の剛性を向上させることができる。

かかる吸収性物品において、前記厚さ方向の非肌側から前記吸収体を覆う液不透過性シートを有し、前記液不透過性シートは、前記厚さ方向の非肌側に、接着剤が塗布された領域である本体接着部を有し、前記吸収体と前記液透過性シートは、前記長手方向に沿った線状凹部により接合されており、前記吸収性物品の前記長手方向における中央部において、前記線状凹部は、前記本体接着部の前記幅方向の外側端より前記幅方向の外側に設けられていることが望ましい。

このような吸収性物品によれば、幅方向において、線状凹部を本体接着部より外側に設けることで、使用時の幅方向内側へ力が加えられることによる線状凹部を起点に非肌側に湾曲する恐れを軽減し、点状凹部を起点に非肌側に湾曲させることができるため、吸収性物品をよりフィットさせることができる。

かかる吸収性物品において、前記吸収体は、吸収性コアと、前記吸収性コアよりも肌側に設けられたシート部材とを有し、複数の前記点状凹部は、前記吸収体と前記液透過性シートとを接合している複数の本体点状凹部、及び前記吸収性コアと前記シート部材とを接合している複数の吸収体点状凹部を有し、前記幅方向において、前記幅方向に隣り合う前記吸収体点状凹部同士の中心の間隔は、前記幅方向に隣り合う前記本体点状凹部同士の中心の間隔よりも狭いことが望ましい。

このような吸収性物品によれば、隣接する本体点状凹部同士の中心の間隔より隣接する吸収体点状凹部同士の中心の間隔を狭くすることにより、吸収体の単位面積当たりの吸収体点状凹部の数が多くなり、吸収体の剛性がより向上させることができる一方、本体点状凹部の数が比較的少なくすることで、吸収性物品を外観的にすっきりとした印象を与えることができる。

かかる吸収性物品において、複数の前記吸収体点状凹部は、前記厚さ方向において、肌側から最も凹んだ部分が前記液透過性シートと所定距離だけ離間している前記吸収体点状凹部を有することが望ましい。

このような吸収性物品によれば、複数の吸収体点状凹部が、厚さ方向において、最も凹んだ部分が液透過性シートと所定距離だけ離間している吸収体点状凹部を有することで、液体を吸収した吸収体と液透過性シートとが接触していない部分が設けられ、液透過性シートの表面の液体によるべたつきを軽減させることができる。

＝＝＝第１実施形態＝＝＝
＜生理用ナプキン１の基本的構成＞
本実施形態に係る吸収性物品の一例として生理用ナプキン１（以下、「ナプキン１」という。）について説明する。なお、以下の説明では、吸収性物品の例として生理用ナプキンについて説明するが、本実施形態の吸収性物品には、所謂おりものシート（例えば、パンティーライナー）等も含まれており、生理用ナプキンに限定されるものではない。

図１は、生理用ナプキン１を厚さ方向の肌側から見た正面図である。図２は、ナプキン１を厚さ方向の非肌側から見た平面図である。図３は、図１中のＡ−Ａ矢視で示す概略断面である。また、以下の説明では、ナプキン１の製品長手方向に沿った「長手方向」と、ナプキン１の製品短手方向に沿って長手方向と直交する「幅方向」と、長手方向及び幅方向とそれぞれ直交する「厚さ方向」と定義する。長手方向は、ナプキン１の使用時において使用者の腹側となる「前側」と、使用者の背側となる「後側」とを有する。厚さ方向は、ナプキン１の着用時に着用者の肌と当接する側（図３において上側）である「肌側」（「上側」ともいう。）と、その反対側（図３において下側）である「非肌側」（「下側」ともいう。）とを有する。また、図中のＸ−Ｘ線は幅方向における中心線、Ｙ−Ｙ線は厚さ方向における中心線である。

ナプキン１は、平面視縦長形状のシート状部材であり、液透過性のトップシート２０と、液吸収性の吸収体１０と、液不透過性のバックシート３０とが厚さ方向の肌側から非肌側へと順に積層されている（図３参照）。そして、これら各部材２０、１０、３０は、それぞれ厚さ方向に隣接する部材と、ホットメルト接着剤等の接着剤ＨＭＡで接合されている。

トップシート２０及びバックシート３０の平面形状は同形状であり、その平面サイズは、吸収体１０の平面サイズよりも大きい。そして、図１及び図２に示すように、両シート２０、３０の外周縁部２０ｅ、３０ｅ同士が接着又は溶着で接合されることにより、両シート２０、３０同士の間に吸収体１０が保持される。また、ナプキン１を下着（不図示）に載置固定する際に供される固定部となる、トップシート２０及びバックシート３０の長手方向の略中央部が幅方向の外側に延出したウイング部２０ｗ、３０ｗが形成されている。

吸収体１０は、吸収性コア１１と肌側シート１２と非肌側シート１３とを有する。吸収性コア１１は、経血等の液体（排泄液）を吸収して保持する部材である。吸収性コア１１は、液体吸収性繊維であるセルロース系吸収性繊維と、熱可塑性樹脂繊維とを有し、これらの繊維同士が互いに混合した状態で、図１の破線で示されるように平面視縦長形状に成形されている。例えば、液体吸収性繊維としてはパルプ繊維等が使用され、熱可塑性樹脂繊維としては、鞘がポリエチレン（ＰＥ）で芯がポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）の所謂鞘芯構造の複合繊維等が使用される。なお、この液体吸収性繊維としてレーヨン繊維を用いてもよく、熱可塑性樹脂繊維としてポリプロピレン（ＰＰ）の単独繊維や、ＰＥの単独繊維を用いてもよい。また、高吸収性ポリマー（所謂ＳＡＰ）等の液体吸収性粒状物を液体吸収性繊維に加えてもよい。

肌側シート１２は、吸収性コア１１と平面形状が略同形のシート部材であり、吸収性コア１１の肌側面を覆うようにして接着剤ＨＭＡによって接合されている（図３）。肌側シート１２は、エアスルー不織布等の不織布やティッシュペーパー等の、液透過性に優れた柔軟なシートが用いられる。非肌側シート１３は、吸収性コア１１と平面形状が略同形のシート部材であり、吸収性コア１１の非肌側面を覆うようにして接着剤ＨＭＡによって接合されている（図３）。非肌側シート１３は、ＳＭＳ（スパンボンド／メルトブローン／スパンボンド）不織布等の不織布やティッシュペーパー等の柔軟なシートが用いられる。

図４は、吸収体１０を厚さ方向の非肌側から見た平面図である。吸収体１０には、図４に示されるように、複数の吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が設けられており、吸収体１０の剛性が高められている。図４において、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の平面形状は楕円形であり、千鳥状の配置パターンとされているが、何等これに限らない。また、吸収体１０は、厚さ３ｍｍ以下、望ましくは２ｍｍ以下となる、所謂薄型の吸収体である。さらに、吸収体１０には、幅方向中央部に長手方向に沿った線状誘導部１５が形成されている。線状誘導部１５は、吸収体１０の長手方向全長に亘って一直線に形成された圧搾部であり、これにより吸収体１０が線状誘導部１５を起点として厚さ方向の肌側に折れ曲がるように誘導される。吸収体点状圧搾部ＥＤ１０、線状誘導部１５の詳細については、後述する。

トップシート２０は、ナプキン１の使用時において使用者の肌と当接する部材であり、経血等の液体を厚さ方向の肌側から非肌側に透過させ、吸収体に移動させる。トップシート２０は、エアスルー不織布等の適宜な不織布の液透過性の柔軟なシートが用いられる。

図１に示すように、トップシート２０の肌側面には、肌側から複数の圧搾部（線状圧搾部ＥＬ２０と、本体点状圧搾部ＥＤ２０）が形成されており、これにより、トップシート２０と吸収体１０とが一緒に厚さ方向に圧搾されて接合一体化されている。線状圧搾部ＥＬ２０は、吸収体１０の外周縁部に沿って複数連なって形成されていて、全体として長手方向に長い略環状をなしている。一方、本体点状圧搾部ＥＤ２０は楕円形であり、線状圧搾部ＥＬ２０がトップシート２０上に区画する略閉じた領域内に離散的に形成されている。本実施形態において、本体点状圧搾部ＥＤ２０は、楕円形とされているが、何等これに限らない。本体点状圧搾部ＥＤの詳細については後述する。

バックシート３０は、ナプキン１の使用時においてトップシート２０を透過して吸収体１０によって吸収された液体が下着等の着衣側（非肌側）に染み出すことを抑制する。バックシート３０は、ポリエチレン（ＰＥ）等の適宜な樹脂フィルムの液不透過性の柔軟なシートが用いられる。

図２に示すように、バックシート３０の非肌面側には、ナプキン１の使用時にナプキン１を下着等に貼付して固定するための接着部（ウイング接着部４０ｗ、本体接着部４０ｃ）が設けられている。ウイング接着部４０ｗは、バックシート３０のウイング部３０ｗの非肌面側に略矩形状に形成される１対の接着部である。本体接着部４０ｃは、１対のウイング接着部４０ｗの幅方向の間の部分に、例えば、図２のように、バックシート３０と吸収体１０とが重複する部分で長手方向に沿った複数の帯状の領域に適宜な接着剤ＨＭＡを塗布することにより形成されている。ナプキン１を使用する際は、本体接着部３０ｃを下着の股下部（クロッチ部）内側に貼付した状態で下着ごとナプキン１を装着することで、使用者の身体に対して吸収体１０の位置がずれないようにする。同様に、ウイング接着部４０ｗは、ウイング部３０ｗの領域に適宜な接着剤ＨＭＡを塗布して、例えば略矩形状に形成される。ナプキン１を使用する際は、ウイング部３０ｗ（２０ｗ）を非肌側に折り曲げて、ウイング接着部４０ｗを下着の股下部外側に貼付するようにしてナプキン１が固定され、使用時の位置ずれ等を抑制する。

＜点状圧搾部ＥＤ１０、ＥＤ２０、及び線状誘導部１５の形成について＞
続いて、点状圧搾部ＥＤ１０、ＥＤ２０及び線状誘導部１５の形成について説明する。本実施形態において、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０及び本体点状圧搾部ＥＤ２０は、それぞれ点状の圧搾部であり、いずれも「点状圧搾部」である。なお、ここでいう「点状」は、或る点の周囲に形成される領域を含むものであり、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０及び本体点状圧搾部２０は、所定の形状及び面積を有する。また、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０は、肌側又は非肌側から厚さ方向に圧搾することによって設けられ、少なくとも肌側又は非肌側が凹んだ点状の凹部（点状凹部）である。

線状誘導部１５は、長手方向に沿った線状の圧搾部であり、吸収体１０の幅方向の中央線の両側に形成される領域を含むものであり、略矩形状で、所定の面積を有する。また、線状誘導部１５は、非肌側から厚さ方向に圧搾することによって設けられた少なくとも非肌側が凹んだ線状の凹部である。

図５Ａ〜図５Ｄは、点状圧搾部ＥＤ１０、ＥＤ２０、及び線状誘導部１５の形成について説明した図である。図５Ａは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分の吸収体１０に吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を形成した概略断面図である。図５Ｂは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分の吸収体１０に線状誘導部１５を形成した概略断面図である。図５Ｃは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分の吸収体１０にトップシート２０及びバックシート３０を積層した概略断面図である。図５Ｄは、図１中のＢ−Ｂ矢視で示す部分のナプキン１に本体点状圧搾部ＥＤ２０を形成した概略断面図である。なお、図５Ａ、図５Ｂ、図５Ｃ中のｙ−ｙ線は厚さ方向における吸収体１０の中心線であり、図５Ｄ中のＹ−Ｙは、厚さ方向におけるナプキン１の中心線である。

まず、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を形成する。加工前の吸収体１０は、その全域に亘って厚みｔ１０を有している。加工前の吸収体１０に、非肌側シート１３と吸収性コア１１と肌側シート１２とを厚さ方向に一緒に圧搾（エンボス加工）することで吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が形成される。本実施形態においては、複数の突部を有する凸ローラー（不図示）と、表面が平らなアンビルローラー（不図示）との間のロール間隙に吸収体１０を通して、吸収体１０の非肌側から圧搾加工を行うことにより吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が形成される。

図５Ａに示すように、吸収体点状圧搾部１０を圧搾加工した吸収体１０は、圧搾された領域ｂと、圧搾されていない領域ａとを有する。領域ａの幅方向における中央は、厚さ方向においてｔ１０、又はｔ１０に近い厚みを有している。一方、領域ｂは、厚さ方向の肌側及び非肌側のそれぞれから凹んだ吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が形成される。このとき、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の幅方向における中央を中央ｂｃとすると、中央ｂｃの厚さ方向についての長さ、つまり、領域ｂの中央ｂｃにおける吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の上面ＥＤ１０ｔと下面ＥＤ１０ｂとの距離ｔＥＤ１０は、ｔ１０より小さい（ｔ１０＞ｔＥＤ１０）。このとき、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０は、吸収体１０の厚さ方向における略中央部に位置する。また、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０（領域ｂ）は、圧搾加工によって液体吸収性繊維が押し潰されて、領域ａより液体吸収性繊維の密度が高くなる。

続いて、線状誘導部１５を形成する。線状誘導部１５は、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を形成した吸収体１０について、幅方向の中央部を賦型・圧搾することで形成する。本実施形態においては、吸収体１０の肌側に設けられ、凸部を有する凸ローラー（不図示）と、凸ローラーの凸部に対向する位置に凹部（溝部）を有する、吸収体１０の非肌側に設けられた凹ローラー（不図示）を用いて、凸ローラーと凹ローラーとの間のロール間隙に吸収体１０を通すことにより線状誘導部１５が形成される。

図５Ｂに示すように、線状誘誘導部１５を賦型・圧搾加工した吸収体１０は、新たに線状誘導部１５が形成された領域ｃを有する。領域ｃは、厚さ方向の肌側及び非肌側のそれぞれから凹んでおり、線状誘導部１５の幅方向における中央を中央ｃｃとすると、中央ｃｃの厚さ方向における厚み、つまり、領域ｃの中央ｃｃにおける線状誘導部１５の上面１５ｔと下面１５ｂとの距離ｔ１５が、ｔ１０より小さい。このとき、図５Ｂに示すように、厚さ方向において、線状誘導部１５は、より肌側に位置している。また、線状誘導部１５は（領域ｃ）は、圧搾加工によって液体吸収性繊維が押し潰されて、領域ａより液体吸収性繊維の密度が高くなる。

なお、線状誘導部１５を形成するための圧搾は、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を形成するための圧搾より小さな加圧で行うことが好ましい。これにより、ｔＥＤ１０は、ｔ１５より小さくなり（ｔＥＤ１０＜ｔ１５）、また、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の中央ｂｃにおける液体吸収性繊維の密度は、線状誘導部１５の中央ｃｃにおける液体吸収性繊維の密度より高くなり、全体として領域ｂの方が領域ｃより液体吸収性繊維の密度が高くなる。

ただし、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を形成した部分に、さらに線状誘導部１５を形成した場合、つまり、吸収体１０の中央部に位置する領域ｂに線状誘導部１５を形成した場合は、線状誘導部１５のｔ１５はより小さくなり、液体吸収性繊維の密度がより高くなる。

続いて、図５Ｃに示すように吸収体１０の肌側からトップシート２０を積層し、接着剤ＨＭＡにより固着する。なお、図５Ｃ、図５Ｄにおいて接着剤ＨＭＡは省略されている。

そして、本体点状圧搾部ＥＤ２０を形成する。トップシート２０の上からトップシート２０と吸収体１０を厚さ方向に一緒に圧搾して本体点状圧搾部ＥＤ２０が形成される。本実施形態においては、複数の突部を有する凸ローラー（不図示）と、表面が平らなアンビルローラー（不図示）との間のロール間隙にナプキン１を通して、ナプキン１の肌側から圧搾加工を行っている（図５Ｄ）。本体点状圧搾部ＥＤ２０の形成後、非肌側からバックシート３０が積層され、接着剤ＨＭＡで固着されることによりナプキン１が形成される。

図５Ｄに示すように、本体点状圧搾部ＥＤ２０を圧搾加工したナプキン１は、新たに本体点状圧搾部ＥＤ２０が形成された領域ｄを有する。領域ｄは、厚さ方向の肌側及び非肌側のそれぞれから凹んでおり、本体点状圧搾部ＥＤ２０の幅方向における中央を中央ｄｃとすると、中央ｄｃの厚さ方向における厚み、つまり、領域ｄの中央ｄｃにおける本体点状圧搾部ＥＤ２０の上面ＥＤ２０ｔと下面ＥＤ２０ｂとの距離ｔＥＤ２０が、ｔ１０より小さい。このとき、本体点状圧搾部ＥＤ２０は、ナプキン１の厚さ方向における略中央部に位置する。また、本体点状圧搾部ＥＤ２０（領域ｄ）は、圧搾加工によって液体吸収性繊維が押し潰されて、領域ａより液体吸収性繊維の密度は高くなる。

なお、本体点状圧搾部ＥＤ２０を形成するための圧搾は、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を形成するための圧搾より大きな加圧で行うことが好ましい。これにより、ｔＥＤ１０は、ｔＥＤ２０より大きくなる（ｔＥＤ１０＞ｔＥＤ２０）。

図５Ｄにおいて、複数の吸収体点状圧搾部ＥＤ１０うち、一部の吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の上から、さらに本体点状圧搾部ＥＤ２０を形成することにしたが、これに限られない。吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と本体点状圧搾部ＥＤ２０は、それぞれ任意の位置に設けてよく、これらの点状圧搾部ＥＤ１０、ＥＤ２０が同じ位置に形成されても、別々の位置に設けられてもよい。

吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と本体点状圧搾部ＥＤ２０が同じ位置に形成された場合、ｔＥＤ２０はより小さくなり、液体吸収性繊維の密度はより高くなる。

吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と本体点状圧搾部ＥＤ２０が同じ位置に形成されていない場合、つまり吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の上から本体点状圧搾部ＥＤ２０が圧搾されなかった場合は、図５Ｄに示すように空間Ｓが形成される。この空間Ｓは、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の上面ＥＤ１０ｔとトップシート２０とが所定距離だけ離れており、上面ＥＤ１０ｔとトップシート２０との間に空間Ｓを形成している。この空間Ｓにより、吸収体１０とトップシート２０とが接触しない部分が設けられ、液体が吸収された吸収体１０と肌側に位置するトップシート２０とが直接接触しなくなり、液体によるべたつきを軽減することができ、使用者の肌が感じる不快感を軽減させることができる。

＜ナプキン１の使用時について＞
以下、ナプキン１の使用時の態様について説明する。図６は、ナプキン１の使用態様について説明する図である。図６Ｂは、ナプキン１の形状変化について説明する図である。

使用者がナプキン１を装着する際には、ナプキン１を下着の股下部（クロッチ部）に固定した状態で、下着を使用者の股間２０１Ｋ側に引き上げる動作を行う。このとき、図６の状態Ａで表されるようにナプキン１は、吸収体１０の線状誘導部１５に沿って肌側に突出するように折れ曲がる。そして、ナプキン１が使用者の股間２０１Ｋに装着された状態では、図６の状態Ｂで表されるように、線状誘導部１５に沿って肌側に突出した部分（図５Ｄにおける領域ｃ）が、膣口等の排泄口２０１Ｈｅが存在する隙間に接しやすくなる。これにより、使用者に良好なフィット性を感じさせやすくなると共に、経血等の排泄液を漏れなく吸収体１０に吸収させ易くすることができる。

また、使用者の装着時における動きに伴いナプキン１の形状は変化する。図６Ｂの上図は、ナプキン１の使用前の状態、図６Ｂの中図は、通常の装着時のナプキン１の状態、図６Ｂの下図は、ナプキン１が最も折り畳まれた状態を示している。図６Ｂの上図の状態のナプキン１を使用者が装着し、使用者の股からナプキン１の幅方向の内側に向かって力を加えると、図６Ｂの中図のように線状誘導部１５が肌側に突出し、線状誘導部１５より幅方向の外側の所定の部分を起点に非肌側に湾曲する形状（「Ｗ」に似た形状）に変化する。そして、使用者の股から幅方向内側への力が最も強くなると、ナプキン１は、図６Ｂの下図のように非肌側への湾曲部が折り畳まれた形状となる。このように変化し得るナプキン１は、排泄液の漏れ防止や装着感の向上など、使用者の身体の形状に応じて変形することが望まれている。

＜ナプキン１のフィット性について＞
続いてナプキン１のフィット性について説明する。図８は、図５Ｄにおける吸収体点状圧搾部ＥＤ１０及び線状誘導部１５の概略断面図である。図９Ａは、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の配置について説明する図である。図９Ｂは、本体点状圧搾部ＥＤ２０の配置について説明する図である。図１０は、吸収体１０の厚さ方向における肌側から見た吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の模式図である。

図８に示すように、線状誘導部１５の幅方向における中央ｃｃにおいて、ナプキン１の肌側面から線状誘導部１５までの距離は、ナプキン１の非肌側面から線状誘導部１５までの距離より小さい。つまり、領域ｃの中央ｃｃにおいて、トップシート２０の上面から線状誘導部の上面１５ｔまでの距離をＬ１、バックシート３０の下面から線状誘導部１５の下面１５ｂまでの距離をＬ２とすると、Ｌ１はＬ２より小さい（Ｌ１＜Ｌ２）。これにより、領域ａより厚みが薄い線状誘導部１５が、より肌側に位置するため、使用者が装着しようとする際に、線状誘導部１５を起点に非肌側に突出する恐れを軽減し、線状誘導部１５を起点としてより肌側に隆起しやすくすることができる。

また、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の幅方向の中央部（領域ｂの中央部）における厚さ方向の中央位置を点ｂＥＤ１０とし、線状誘導部１５の幅方向の中央部（領域ｃの中央部）における厚さ方向の中央位置を点ｃ１５とすると、点ｃ１５は、点ｂＥＤ１０より肌側に位置することが好ましい。

また、このとき、点ｂＥＤ１０は、点ｃ１５よりナプキン１の厚さ方向における中央Ｙ−Ｙに近いことがより好ましい。本実施形態においては、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０は、厚さ方向において、ナプキン１の厚さ方向のほぼ中央部に設けられており、幅方向からの力に対して比較的安定な構造を有する。そのため、使用者の股から幅方向の内側に対して力が加えられると、まず、より不安定な位置に設けられている線状誘導部１５が肌側に隆起し、その後さらに幅方向からの力が加えられると、線状圧搾部１５より安定な構造の吸収体点状圧搾部１０を起点に非肌側へ湾曲する。これにより、装着する際には、まず線状誘導部１５が使用者の膣口にフィットし、次に、装着している間は、使用者の身体の形状に応じて線状誘導部１５の両側それぞれの吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の内の１つの列を起点に非肌側へ湾曲させ、使用者の身体に応じたナプキン１に変形させることができる。

図４、図９Ａに示すように、吸収体１０の全領域に亘って吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が形成されることで、吸収体１０の厚さが３ｍｍ以下に抑えられ、剛性が確保される。また、ナプキン１の使用時において吸収体１０が経血等の排泄液を吸収した場合であっても、吸収体１０が厚さ方向に膨張することが抑制される。また、図１、図９Ｂに示すように、本体点状圧搾部ＥＤ２０を離散的に設け、トップシート２０と吸収体１０とをより強く接合して、使用時等にトップシート２０と吸収体１０との剥離を抑制している。

また、幅方向及び長手方向に隣接する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０同士の中心の間隔を均等に設けることが好ましい。これにより、吸収体１０の剛性を一定にしやすくしている。

なお、このとき、幅方向において、隣接する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０同士の中心の間隔ｓ１０を、隣接する本体点状圧搾部ＥＤ２０同士の中心の間隔ｓ２０より狭くすることが好ましい。これにより、吸収体１０の単位面積あたりの圧搾部（ＥＤ１０）の数が多くなり、吸収体１０の剛性をより向上させることができる。また、ナプキン１の外観から視認できる本体点状圧搾部ＥＤ２０の数を吸収体点状圧搾部ＥＤ１０より少なくすることで、ナプキン１の外観上の印象をよりすっきりとさせることができる。

吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と本体点状圧搾部ＥＤ２０とを同じ位置に形成すると、より強固に圧搾することが可能である。一方、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と本体点状圧搾部ＥＤ２０とを異なる位置に形成することで、前述のように吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の上面ＥＤ１０ｔとトップシート２０との間の空間ｓを設けることができる。幅方向において、隣接する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０同士の中心の間隔ｓ１０を、隣接する本体点状圧搾部ＥＤ２０同士の中心の間隔ｓ２０より狭くして、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の数を本体点状圧搾部ＥＤ２０の数より多く形成することで、空間ｓをより多く形成することができ、使用者の肌に接するトップシート２０のべたつきをより軽減させることができる。

また、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０は、図１０に示すように、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の長手方向の長さをＷｍ１、幅方向の長さをＷｍ２とすると、Ｗｍ１が、Ｗｍ２より長い楕円形の形状である（Ｗｍ１＞Ｗｍ２）。また、幅方向における、隣接する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０同士の縁の間隔を間隔Ｗｂとすると、間隔Ｗｂは、吸収体点状圧搾部ＥＤの幅方向の長さ（Ｗｍ２）より短いことが好ましい（Ｗｂ＜Ｗｍ２）。これにより、非肌側に湾曲する起点となる吸収体点状圧搾部ＥＤ１０をより多く形成することができ、ナプキン１の変形の起点となり得る部分が多く形成されるため、使用者の身体によりフィットさせることができる。

さらに、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０は、長手方向に沿った列Ｌ（Ｌ２０１、Ｌ２０２、・・・）を線状誘導部１５の両側にそれぞれ形成している（図４、図９Ａ、図１０参照）。図９Ａ及び図１０に示すように、この列Ｌ２０１に属する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の縁と、列Ｌ２０１に隣接する列Ｌ２０２に属する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の縁との幅方向における距離は間隔Ｗｂであり、間隔Ｗｂはナプキン１の厚みｔの２倍より小さい（Ｗｂ＜２×ｔ）。このナプキン１の厚みｔは、使用状態におけるナプキン１の厚みであり、包装状態から取り出して、三つ折りを開いて１時間経過したときの厚みをいう。なお、この厚みｔは、ミツトヨ（株）製のダイアルシックネスゲージＩＤ−Ｃ１０１２Ｃ又はそれと同等のものを使用し、接触子の面積を２０ｃｍ^２、接触圧を３ｇｆ／ｃｍ^２（２９４Ｎ／ｍ^２）に設定して測定することができる。

この間隔Ｗｂと厚みｔとの関係は、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が非肌側に湾曲するための起点となる点であることに起因している。使用者が着用中に股からナプキン１の幅方向の内側に力を加えたとき、理想的なナプキン１の変形は、図６Ｂの中図及び下図に示すように、図中の点Ｋを起点に非肌側に湾曲して、折れ曲がるものである。この変形が起こる領域は、図６Ｂの上図のように、幅方向において、点Ｋを中心とした２ｔの範囲であり、この範囲を変形対象領域Ｚという。

図７Ａは、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と変形対象領域Ｚとを説明する図である。図７Ｂは、本実施形態の吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と変形対象領域Ｚとを説明する図である。図７Ｃは、本実施形態の理想的な吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と変形対象領域Ｚの状態を説明する図である。

図７Ａに示す吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と変形対象領域Ｚとの関係は、幅方向に隣接する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０同士の縁の間隔Ｗｂが２ｔより大きいため（Ｗｂ＞２ｔ）、変形対象領域Ｚと吸収体点状圧搾部ＥＤ１０とが重ならない状態が生じる。この場合、装着中、使用者の股から幅方向の内側へ向かう力が加えられると、本来ならば変形対象領域Ｚ内で長手方向に沿って折れ曲がることで使用者の身体の形状にフィットさせたいところ、変形対象領域Ｚより幅方向の外側の列Ｌで折れ曲がってしまったり、変形対象領域Ｚ内で蛇行して折れ曲がってしまったりして、使用者の身体の形状に沿わないナプキン１の変形が発生する恐れがある。

一方、図７Ｂに示すように、本実施形態においては、幅方向に隣接する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０同士の縁の間隔Ｗｂを２ｔより小さくすることで（Ｗｂ＜２ｔ）、変形の起点となる列Ｌを構成する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の少なくとも一部に変形対象領域Ｚが入っている。そのため、装着中、使用者の股から幅方向の内側へ向かう力が加えられると、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の少なくとも一部が変形対象領域Ｚをオーバーラップした状態となり、このオーバーラップしている吸収体点状圧搾部ＥＤ１０によって形成される列Ｌの１つに沿ってナプキン１が長手方向に沿って折れ曲がることになる。このとき、ナプキン１は、変形対象領域Ｚ内に最も近い列Ｌに沿って変形し、特に変形対象領域Ｚの幅方向中心により近い列Ｌで変形する。このように、変形対象領域Ｚにより近い位置で変形し、列Ｌに沿った直線状に折れ曲がるため、身体の形状に応じてナプキン１を変形させることができる。

この間隔Ｗｂと変形対象領域Ｚとの相対位置関係は、使用者の身体の形状等によって異なる。しかし、本実施形態のように、幅方向に隣接する吸収体点状圧搾部ＥＤ１０同士の縁の間隔Ｗｂを２ｔより小さくすると（Ｗｂ＜２ｔ）、常に間隔Ｗｂと変形対象領域Ｚの少なくとも一部をオーバーラップさせることができる。なお、使用者の身体の形状等によっては、例えば図７Ｃに示すように、変形対象領域Ｚの幅方向の中央と列Ｌ（吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の幅方向の中央）とが同じ位置である場合も生じ得る。この場合、ナプキン１は、変形対象領域Ｚの幅方向の中央で非肌側に折れ曲がり、使用者の身体の形状に応じた理想的なナプキン１の形状、所謂「Ｗ」形状を維持することができる。

続いて、線状誘導部１５の平面視についての構成を説明する。図１１は、線状誘導部１５、及び線状圧搾部ＥＬと接着部４０ｃ、４０ｗとの関係を表す図である。

図１１に示すように、線状誘導部１５の長手方向の長さを、ウイング接着部４０ｗの長手方向の長さより長くすることが好ましい。これにより、線状誘導部１５の肌側へ突出した形状を維持しやすくしている。

また、本体接着部４０ｃは、ナプキン１の長手方向中央部において、線状圧搾部ＥＬ２０との間（幅方向の間）の領域に設けることが好ましい。もし、ナプキン１の長手方向の中央部において、線状圧搾部ＥＬ２０を本体接着部４０ｃの幅方向の外側端より、幅方向の内側に形成すると、使用者の身体の形状に応じた部分で非肌側に湾曲するのではなく、線状圧搾部ＥＬ２０で折れ曲がってしまったり、使用者の身体の形状に全く沿わない形状になってしまったりする。しかし、線状圧搾部ＥＬ２０を、ナプキン１の長手方向の中央部において、本体接着部４０ｃの幅方向の外側端より、幅方向外側に設けることで、本体接着部４０ｃの領域は、装着時に下着に密着して、ナプキン１と下着が一体的に変形するため、身体に応じた変形をしやすい部分となり、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０で非肌側に湾曲しやすくなる。そのため、ナプキン１は、線状圧搾部ＥＬ２０を起点に非肌側に湾曲することを軽減させ、本体接着部４０ｃの領域内の吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を起点に非肌側に湾曲させやすくする。

また、前述のとおり、吸収体１０には全域に亘って吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が設けられているため、幅方向において、本体接着部４０ｃの外側端より外側に吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が設けられていることがより好ましい。これにより、下着に固定されている領域よりも吸収体点状圧搾部ＥＤ１０が形成されている領域の方が広くなっており、吸収体の剛性をより向上させることができる。

＝＝＝その他の実施の形態＝＝＝
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。

上述の実施形態においては、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０及び本体点状圧搾部ＥＤ２０を楕円形状としたが、これに限られない。円形やひし形等、適宜変形することができる。点状圧搾部ＥＤ１０、ＥＤ２０の形状や面積、間隔等を適宜調整することで、非肌側への湾曲のしやすさを調整することができる。

上述の実施形態においては、列Ｌ（吸収体点状圧搾部ＥＤ１０）を複数列設けたが、線状誘導部１５の幅方向にそれぞれ少なくとも２列ずつ有するものであればよい。この吸収体点状圧搾部ＥＤ１０は非肌側へ湾曲する起点となりうる部分であるため、使用者の身体の形状に応じたナプキン１の変形を可能とする吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を予め定めたものであってもよい。但し、列Ｌ（吸収体点状圧搾部ＥＤ１０）を複数列形成することにより、より多くの使用者の身体に応じたナプキン１を可能とする。

また、上述の実施形態においては、長手方向に沿った吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の列を非肌側へ湾曲する起点としたが、長手方向に沿った本体点状圧搾部ＥＤ２０の列を設けたり、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０及び本体点状圧搾部ＥＤ２０の両方によって列を形成して非肌側へ湾曲する起点としてもよい。製造過程や外観等により点状圧搾部ＥＤ１０、ＥＤ２０を適宜形成することができる。

さらに、上述の実施形態においては、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０（点状凹部）により形成された列Ｌを起点にナプキン１を湾曲することにしたが、これに限られない。本体点状圧搾部ＥＤ２０（点状凹部）から成る列Ｌを起点にしてもよい。また、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と本体点状圧搾部ＥＤ２０とを組合せて列Ｌを形成して、ナプキン１が湾曲する起点としてもよい。

なお、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と本体点状圧搾部ＥＤ２０の数についても、必ずしも吸収体点状圧搾部ＥＤ１０の方が多い必要はなく、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０を吸収体１０の全域に形成しなくてもよい。また、本体点状圧搾部ＥＤ２０が、吸収体点状圧搾部ＥＤ１０と同数、又は吸収体点状圧搾部ＥＤ１０より多くてもよい。いずれも湾曲の起点になり得る部分に点状圧搾部（ＥＤ１０、ＥＤ２０）を設けることで、ナプキン１のフィット性を向上させることができる。

１ 生理用ナプキン（ナプキン）、
１０ 吸収体、
１１ 吸収性コア、
１２ 肌側シート（シート部材）、１３ 非肌側シート、
１５ 線状誘導部、
１５ｔ 上面、１５ｂ 下面、
２０ トップシート（液透過性シート）、
２０ｔ 上面、２０ｅ 外周縁部、２０ｗ ウイング部、
３０ バックシート（液不透過性シート）、
３０ｂ 下面、３０ｅ 外周縁部、３０ｗ ウイング部、
４０ｃ 本体接着部、４０ｗウイング接着部、
２０１Ｋ 股間、２０１Ｈｅ 排泄口、
ＥＤ１０ 吸収体点状圧搾部（点状凹部、吸収体点状凹部）、
ＥＤ１０ｔ 上面、ＥＤ１０ｂ 下面、
ＥＤ２０ 本体点状圧搾部（本体点状凹部）、
ＥＤ２０ｔ 上面、ＥＤ２０ｂ 下面、
ＥＬ２０ 線状圧搾部（線状凹部）、
Ｌ、Ｌ２０１、Ｌ２０２ 列
ＨＭＡ 接着剤、
Ｚ 変形対象領域

Claims (10)

1. 互いに直交する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有し、
   液体吸収性繊維を有する吸収体と、
   前記厚さ方向の肌側から前記吸収体を覆う液透過性シートとを有する吸収性物品であって、
   前記吸収体は、前記厚さ方向の肌側に折れ曲がるように誘導するための、前記長手方向に沿った線状誘導部を、前記幅方向の中央部に有し、
   前記線状誘導部は、少なくとも非肌側に凹部を備えており、
   前記吸収体の肌側及び非肌側の少なくとも一方に複数の点状凹部が設けられており、
   前記線状誘導部の前記幅方向の中央において、前記吸収性物品の肌側面から前記線状誘導部までの距離は、前記吸収性物品の非肌側面から前記線状誘導部までの距離より小さく、
   前記複数の点状凹部は、前記幅方向の一方側に、前記長手方向に沿った第１列、及び前記幅方向において前記第１列に隣接する第２列を形成し、前記幅方向の他方側にも前記第１列及び前記第２列を形成し、
   前記第１列に属する前記点状凹部の縁と、前記第２列に属する前記点状凹部の縁との前記幅方向の距離は、前記吸収性物品の前記厚さ方向の長さの２倍より小さいことを特徴とする吸収性物品。
2. 請求項１に記載の吸収性物品において、
   前記線状誘導部の中央部の前記厚さ方向における中央位置は、前記点状凹部の中央部の前記厚さ方向における中央位置より、前記厚さ方向において肌側に位置することを特徴とする吸収性物品。
3. 請求項２に記載の吸収性物品において、
   前記点状凹部についての前記中央位置の方が、前記線状誘導部についての前記中央位置よりも前記吸収性物品の前記厚さ方向における中央位置に近いことを特徴とする吸収性物品。
4. 請求項１から３のいずれか１項に記載の吸収性物品において、
   前記厚さ方向の非肌側から前記吸収体を覆う液不透過性シートと、
   前記液不透過性シートから前記幅方向の外側に突出して設けられたウイング部と、を有し、
   前記ウイング部の前記厚さ方向の非肌側には、前記ウイング部を下着に固定するためのウイング接着部が設けられており、
   前記線状誘導部の前記長手方向の長さは、前記ウイング接着部の前記長手方向の長さより長いことを特徴とする吸収性物品。
5. 請求項１から４のいずれか１項に記載の吸収性物品において、
   前記幅方向において、
   前記幅方向に隣接する前記点状凹部同士の縁の間隔は、前記点状凹部の長さよりも短いことを特徴とする吸収性物品。
6. 請求項１から５のいずれか１項に記載の吸収性物品において、
   前記幅方向において、
   前記幅方向に隣接する前記点状凹部同士の中心の間隔が均等であることを特徴とする吸収性物品。
7. 請求項１から６のいずれか１項に記載の吸収性物品において、
   前記厚さ方向の非肌側から前記吸収体を覆う液不透過性シートを有し、
   前記液不透過性シートは、前記厚さ方向の非肌側に、接着剤が塗布された領域である本体接着部を有し、
   複数の前記点状凹部のうち、前記幅方向の最も外側に形成された点状凹部は、前記本体接着部の前記幅方向の外側端より、前記幅方向の外側に設けられていることを特徴とする吸収性物品。
8. 請求項１から７のいずれか１項に記載の吸収性物品において、
   前記厚さ方向の非肌側から前記吸収体を覆う液不透過性シートを有し、
   前記液不透過性シートは、前記厚さ方向の非肌側に、接着剤が塗布された領域である本体接着部を有し、
   前記吸収体と前記液透過性シートは、前記長手方向に沿った線状凹部により接合されており、
   前記吸収性物品の前記長手方向における中央部において、前記線状凹部は、前記本体接着部の前記幅方向の外側端より前記幅方向の外側に設けられていることを特徴とする吸収性物品。
9. 請求項１から８のいずれか１項に記載の吸収性物品において、
   前記吸収体は、吸収性コアと、前記吸収性コアよりも肌側に設けられたシート部材とを有し、
   複数の前記点状凹部は、前記吸収体と前記液透過性シートとを接合している複数の本体点状凹部、及び前記吸収性コアと前記シート部材とを接合している複数の吸収体点状凹部を有し、
   前記幅方向において、
   前記幅方向に隣り合う前記吸収体点状凹部同士の中心の間隔は、前記幅方向に隣り合う前記本体点状凹部同士の中心の間隔よりも狭いことを特徴とする吸収性物品。
10. 請求項９に記載の吸収性物品において、
    複数の前記吸収体点状凹部は、前記厚さ方向において、肌側から最も凹んだ部分が前記液透過性シートと所定距離だけ離間している前記吸収体点状凹部を有することを特徴とする吸収性物品。

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