JP6086351B6 - 空気噴射式の電気抵抗溶接電極 - Google Patents

空気噴射式の電気抵抗溶接電極 Download PDF

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この発明は、電極から突き出た位置決め用のガイドピンが押し下げられると、それと同時に空気噴射がなされて、スパッタを確実に排除できる空気噴射式の電気抵抗溶接電極に関している。
特許第2903149号公報、特許第3326491号公報および特許第3716369号公報には、電極本体の小径孔から突き出て相手方部品の位置決めをする小径部と、電極本体に設けた大径孔内に摺動可能な状態で挿入される大径部から成るガイドピンが記載されている。
特許第2903149号公報 特許第3326491号公報 特許第3716369号公報
最初に、従来技術の構造について説明する。
上記特許文献に記載されている技術は、図6に記載されている。円筒状の電極本体60は、鋼板部品61が載置されるキャップ部材62と、主要部材をなす本体部63によって構成されている。キャップ部材62と本体部63はねじ部64において強固に一体化されている。
ガイドピン65は、キャップ部材62から突き出て鋼板部品61やプロジェクションナット71の位置決めをする断面円形の小径部66と、摺動動作をしてガイドピン65に進退動作を行わせる断面円形の大径部67によって構成されている。キャップ部材62に設けた断面円形の小径孔68内を小径部66が貫通し、小径孔68と小径部66との間に、例えば、0.6mm位の通気空隙69が形成されている。電極本体60に設けた断面円形の大径孔70に、大径部67が摺動可能な状態で挿入されている。
鋼板部品61には下孔72が開けられ、ここを小径部66が貫通し、鋼板部品61と電極本体60の相対位置が設定される。また、ねじ部64における締め付けによって、キャップ部材62の下面と本体部63の上面が強く圧接される。この圧接を確保するために、本体部63の端面と大径孔70の内端面73との間に、わずかな間隔の空隙C1がねじ部64の締め代として存置してある。さらに、小径部66の先端側は、先端に向かって直径が次第に小さくなるテーパ部74とされ、この部分が相対的にプロジェクションナット71のねじ孔に進入するようになっている。
小径部66は、ステンレス鋼のような耐熱性、耐摩耗性に優れた金属材料で作られており、大径部67は、ポリテトラフルオロエチレン(商品名=テフロン(登録商標))のような耐熱性、耐摩耗性に優れた合成樹脂材料で作られている。小径部66と一体にボルト75が小径部66と同軸状態で設けられ、このボルト75を大径部67の下側に突き出して、そこに固定ナット76をねじ合わせて、小径部66と大径部67の一体化がなされている。
大径孔70の内端面、すなわちキャップ部材62の下面の中央部に、小径孔68が開口しており、その周囲の平面部分が静止着座面77とされている。一方、大径部67の平坦な端面が可動着座面78とされている。大径部67の下面と大径孔70の底面との間に、圧縮コイルスプリング79が配置してあり、これの張力によって可動着座面78が静止着座面77に密着し、この状態が閉弁状態である。
なお、可動着座面78が静止着座面77に着座している状態を閉弁と呼称し、可動着座面78が静止着座面77から離れている状態を開弁と呼称する。また、可動着座面78と静止着座面77の部分を、開閉弁と呼称する。
大径孔70の下部に、空気管80が開口しており、ここから大径孔70内に圧縮空気が供給されている。この圧縮空気は、常時、供給されている。圧縮空気を開閉弁に導くために、大径部67に空気通路81が設けてある。ここでの空気通路81は、図6(C)に示すように、大径部67の円筒面を軸線方向に平たく削り取って形成したもので、90度間隔で4箇所に形成してある。
電極本体60と同軸状態で進退動作をする可動電極82が配置してあり、その端面中央部に小径部66のテーパ部74を受入れる受入孔83が設けてある。
つぎに、従来技術の動作について説明する。
図6(A)に示す状態は、圧縮コイルスプリング79によって開閉弁が閉じていて、キャップ部材62から突き出ている小径部66が鋼板部品61の下孔72を貫通しており、同時に、鋼板部品61に溶接されるプロジェクションナット71が、テーパ部74で支持されている。この状態では、プロジェクションナット71の溶着用突起84と鋼板部品61の表面との間に空間C2が存在している。そして、大径孔70に導入されている圧縮空気は開閉弁(静止着座面77、可動着座面78)が閉じているので、流通しない状態となっている。したがって、空気通路81の空気圧は、空気管80からの圧縮空気と同じ値になっている。
ここで、可動電極82が進出すると、テーパ部74の先端部が相対的に受入孔83内に進入し、同時に、可動電極82の下端面がプロジェクションナット71の上面に密着する。さらに可動電極82が進出すると、圧縮コイルスプリング79の張力に抗してガイドピン65が押し下げられ、可動着座面78が静止着座面77から離れて、開閉弁が開く。これによって、圧縮空気が開閉弁から通気空隙69を通過し、外部に放出される。可動電極82の進出で溶着用突起84が鋼板部品61に加圧されると、溶接電流が通電されて、プロジェクションナット71が鋼板部品61に溶接される。圧縮空気は、溶着用突起84が鋼板部品61に溶着される箇所へ向かって流れ、冷却やスパッタの除去がなされる。
つぎに、従来技術の問題点を説明する。
可動電極82の進出で、ガイドピン65が押し下げられると、大径部67の端面すなわち可動着座面78と、大径孔70の内端面すなわち静止着座面77との間に、図6(B)に示すような空間85が形成される。空間85内の圧力は、その容積がガイドピン65の押し下げ長さの増大にともなって増加してゆくので、空間85に空気通路81から圧縮空気が補充されても、圧力は低下し、大気圧を下回る状態になる。
このような圧力低下を図6(D)に示す圧力線図で説明する。実線が空間85の内圧を示しており、閉弁時の空気通路81の圧力は、空気管80から供給された圧縮空気の圧力を維持しており、この圧力はP1で示されている。
ついで、開弁が開始されると、拡大されつつある空間85の圧力は急激に低下し、大気圧を下回る状態になる。空間85は、実質的にゼロの状態から急激に形成されるので、容積の増大率は理論的には無限大となる。この低圧状態は開閉弁が全開付近で最大値となる。その後、圧縮空気が空気通路81から空間85に補充されるので、空間85内の圧力が大気圧よりも高い値に復帰して、通気空隙69から空気噴射が開始される。この噴射開始時点は、開弁開始から時間T1(黒点図示)を経過した時点である。それからさらに圧縮空気が供給され続けると、圧力P2の圧力値で噴射が続行され、冷却促進やスパッタなどの不純物除去がなされる。なお、噴射開始時点T1は、圧縮空気の圧力、空気通路81や通気空隙69の流路抵抗などで遅速が生じるが、空間85の圧力が大気圧を上回った辺りから噴射が開始される。
上述の動作において、つぎのような問題点がある。すなわち、空間85が急激に形成されることによって、空気噴射の開始時点がT1のように遅れる。T1時点よりも早い時期に溶接電流の通電がなされると、スパッタ発生後に空気噴射がなされるので、スパッタ進入を確実に防止することができない。また、T1とほぼ同じ時期に溶接電流の通電がなされても、やはり完全なスパッタ除去ができない。
さらに、十分な空気噴射が開始されてから、溶接電流の通電がなされると、スパッタ排除にとっては好都合であるが、逆に、溶接時間が長期化されて、生産性の点で不経済になる。また、空気噴射量も増大するので、圧縮空気消費量も不経済なものとなる。
本発明は、上記の問題点を解決するために提供されたもので、蓄圧室の容積を増大し、開閉弁の閉弁性を向上し、空気噴射開始時点の最適化によって、スパッタの的確な除去がなされる空気噴射式の電気抵抗溶接電極の提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、ガイドピンに、少なくとも電極本体に設けた小径孔から突き出て相手方部品の位置決めをする小径部と、電極本体に設けた大径孔内に摺動可能な状態で挿入される大径部が形成され、小径孔と小径部との間に通気空隙を形成し、大径孔の内端面に小径孔が開口している静止着座面を形成し、大径部の端面に静止着座面に着座する環状の可動着座面を形成し、大径孔の内径を部分的に拡大した拡径部の内面と大径部の外面との間の空間によって蓄圧室を構成し、大径部の端面角部に切欠き部を設けることによって可動着座面の半径方向の長さを短くするとともに、蓄圧室の容積を拡大し、大径孔に導入した圧縮空気を蓄圧室に導く空気通路を大径部に設けたことを特徴とする空気噴射式の電気抵抗溶接電極である。
小径孔から突き出て相手方部品の位置決めをしている小径部が押し下げられると、静止着座面に密着していた可動着座面が開弁状態になり、圧縮空気は大径部の空気通路を経て蓄圧室に流入し、その後、可動着座面と静止着座面間の隙間を通過して、小径孔と小径部との間の通気空隙から相手方部品に吹き付けられる。この吹きつけ流によって、溶着部から飛散するスパッタを相手方部品から遠ざかる方向へ排除し、スパッタが小径孔と小径部との間の通気空隙に進入することができない状態となる。
上記の空気噴射の動作においては、つぎのような現象が展開される。すなわち、切欠き部を設けることにより、蓄圧室の容積が拡大され、開弁ストロークの増大に伴う蓄圧室の容積増大率を小さくすることができ、開弁量増大とともに進行する蓄圧室の圧力低下が最少化される。このため、ガイドピンが最も多く押し下げられた状態であっても、蓄圧室の圧力が大気圧よりも高く維持され、開弁と同時に空気噴射が開始されて、溶接電流通電時に飛散するスパッタが、小径孔と小径部との間の通気空隙に進入することが防止される。
また、小径孔から突き出て相手方部品の位置決めをする小径部が押し下げられてから、相手方部品が鋼板部品などの部材に加圧され、その後、溶接電流の通電がなされる。空気噴射は、小径部の押し下げ開始時点から開始され、その後から溶接電流の通電やスパッタ飛散がなされる。したがって、スパッタ飛散の開始前から空気噴射がなされているので、既に形成されている空気流に向かってスパッタが飛散することとなり、スパッタは空気流で押し返されたような状態になって、小径孔と小径部との間の通気空隙に進入することが防止できる。
切欠き部を設けることにより、開弁後に静止着座面と可動着座面の間に形成される流路長さが短くできるので、流路抵抗を低減させることができ、小径部周囲からの空気噴射が短時間で可能となり、流路長さの短縮により噴射空気の圧力損失を少なくすることができる。さらに、大径部の端面角部に切欠き部を設けることによって可動着座面の半径方向の長さが短くなるので、可動着座面の面積が小さくなり、これによって可動着座面の着座面圧が大きくなる。したがって、開閉弁の閉弁圧力が高くなって、確実な空気遮断が実現する。
請求項2記載の発明は、前記空気通路が蓄圧室の空間に直接開口している請求項1記載の空気噴射式の電気抵抗溶接電極である。
空気通路が蓄圧室の空間に直接開口しているので、蓄圧室の圧力を供給された圧縮空気の圧力と同じ値に設定することができ、開弁と同時に空気噴射がなされることにとって好都合である。
請求項3記載の発明は、前記静止着座面が形成される部材と、可動着座面が形成される部材が合成樹脂材料で構成されている請求項1または請求項2記載の空気噴射式の電気抵抗溶接電極である。
着座面が柔軟になるので、微細な凹凸があっても凹凸が押し潰された状態になり、気密性の良好な閉弁動作が確保できる。また、微細な鉄屑のような不純物が両着座面間に紛れ込んでも、不純物が着座面にめり込んだ状態になって、気密性の良好な閉弁がえられる。
電極の断面図である。 蓄圧室の断面図である。 大径部の平面図である。 他の事例を示す断面図である。 さらに他の事例を示す断面図である。 従来技術を示す断面図と圧力線図である。
つぎに、本発明の空気噴射式の電気抵抗溶接電極を実施するための形態を説明する。
図1〜図5は、本発明の実施例を示す。
最初に、電極の主要な構成を説明する。
円筒状の電極本体1は、銅合金材料で作られており、鋼板部品2が載置されるキャップ部材3と、主要部材をなす本体部4によって構成されている。キャップ部材3と本体部4はねじ部5において強固に一体化されている。
ガイドピン6は、キャップ部材3から突き出て鋼板部品2やプロジェクションナット7の位置決めをする断面円形の小径部8と、摺動動作をしてガイドピン6に進退動作を行わせる断面円形の大径部9によって構成されている。キャップ部材3に設けた断面円形の小径孔10内を小径部8が貫通し、小径孔10と小径部8との間に、通気空隙11が形成されている。この通気空隙11は、0.6mmである。電極本体1に設けた断面円形の大径孔12に、大径部9が摺動可能な状態で挿入されている。
プロジェクションナット7は、平面的にみると正方形であり、その中央部にねじ孔が開けられ、片側の四隅に溶着用突起14が形成された、一般的なタイプである。各部寸法は、正方形の一辺が8mm、ねじ孔内径が4mm、ねじ孔の長さ方向の厚さ寸法が6mmである。
キャップ部材3の奥に、ポリテトラフルオロエチレン(商品名=テフロン(登録商標))のような耐熱性、耐摩耗性に優れた合成樹脂材料で作られた円盤状の断熱部材13が配置してある。この断熱部材13の中央部にも前記小径孔10と同軸の小径孔が開けられ、これにも符号10が付されている。したがって、小径孔10は、1つの部材に開けられていたり、断熱部材13がある場合は、図示のように複数の部材に開けられていたりする。
鋼板部品2には下孔15が開けられ、ここを小径部8が貫通し、鋼板部品2と電極本体1の相対位置が設定される。小径部8の先端側は、先端に向かって直径が次第に小さくなるテーパ部16とされ、この部分が相対的にプロジェクションナット7のねじ孔に進入するようになっている。
小径部8は、ステンレス鋼のような耐熱性、耐摩耗性に優れた金属材料で作られており、大径部9は、ポリテトラフルオロエチレン(商品名=テフロン)のような耐熱性、耐摩耗性に優れた合成樹脂材料で作られている。小径部8と大径部9を一体化する手段としては、小径部8を大径部9に圧入したり、ボルト・ナットで締め付けたり種々なものが採用できる。ここでは、後者のボルト・ナットで締め付けるタイプである。小径部8と一体にボルト17が小径部8と同軸状態で設けられ、このボルト17を大径部9の下側に突き出して、そこに固定ナット18をねじ合わせて、小径部8と大径部9の一体化がなされている。
大径孔12の下部に、空気管23が開口しており、ここから大径孔12内に圧縮空気が供給されている。この圧縮空気は、常時、供給されている。圧縮空気を開閉弁に導くために、大径部9に空気通路24が設けてある。ここでの空気通路24は、図1(D)に示すように、大径部9の円筒面を軸線方向に平たく削り取って形成したもので、90度間隔で4箇所に形成してある。
溶接電流が通電されるとスパッタが飛散する。このスパッタは後述の動作で通気空隙11には進入しないのであるが、何らかの原因で通気空隙11に進入した場合に備えて、半径方向に形成した排出通路27が設けてある。
つぎに、開閉弁について説明する。
大径孔12の内端面、すなわち断熱部材13の下面の中央部に、小径孔10が開口しており、その周囲の平面部分が静止着座面19とされている。一方、大径部9の平坦な端面が環状の可動着座面20とされている。大径部9の下面と大径孔12の底部の間に、圧縮コイルスプリング21が配置してあり、これの張力によって可動着座面20が静止着座面19に密着し、この状態が閉弁状態である。後述のように、切欠き部31が形成されているので、図3において符号Wで示す直径方向の着座幅は1.5mmである。なお、圧縮コイルスプリング19に換えて、圧縮空気の圧力で上記密着を行うようにすることも可能である。
なお、可動着座面20が静止着座面19に着座している状態を閉弁と呼称し、可動着座面20が静止着座面19から離れている状態を開弁と呼称する。また、可動着座面20と静止着座面19の部分を、開閉弁と呼称する。
電極本体1と同軸状態で進退動作をする可動電極25が配置してあり、その端面中央部に小径部8のテーパ部16を受入れる受入孔26が設けてある。
つぎに、蓄圧室について説明する。
大径孔12の内径を部分的に拡大した拡径部の内面28と、大径部9の外面29との間の空間によって蓄圧室30が形成してある。圧縮空気を空気通路24から蓄圧室30に導くために、前記空気通路24は蓄圧室30の空間に直接開口している。
大径部9の端面、すなわち可動着座面20の角部を切欠くことによって、可動着座面20の半径方向の長さを短くするとともに、蓄圧室30の容積を拡大している。ここでの切欠き形状はテーパ型であり、図1、図2および図3に示されている。切欠き部は符号31で示してある。
内面28を有する拡径部の内径は25mm、外面29を有する大径部9の外径は18mm、蓄圧室30の電極軸線方向の長さは10mm、切欠き部31のテーパ角度は45度、切欠かれた部分の電極軸線方向および電極直径方向の長さは5mm、小径部8の直径は5mmである。この寸法における蓄圧室30の容積は、切欠き部分の増量分を含めて2940mmである。この内、切欠き部分が576mmの容積を占めている。なお、空気通路24の容積も蓄圧室30の容積に加算されるのであるが、ここではわずかな値なので省略してある。切欠き部分によって蓄圧室30の容積は、約24%増大している。
つぎに、動作について説明する。
図1(A)に示す状態は、圧縮コイルスプリング21によって開閉弁が閉じていて、キャップ部材3から突き出ている小径部8が鋼板部品2の下孔15を貫通しており、同時に、鋼板部品2に溶接されるプロジェクションナット7が、テーパ部16で支持されている。この状態では、プロジェクションナット7の溶着用突起14と鋼板部品2の表面との間に空間C2が存在している。このC2は、2mmである。そして、大径孔12に導入されている圧縮空気は開閉弁(静止着座面19、可動着座面20)が閉じているので、流通しない状態となっている。したがって、空気通路24の空気圧は、空気管23からの圧縮空気と同じ値になっている。圧縮空気の圧力は、2Kgf/cmである。
ここで、可動電極25が進出すると、テーパ部16の先端部が相対的に受入孔26内に進入し、同時に、可動電極25の下端面がプロジェクションナット7の上面に密着する。さらに可動電極25が進出すると、圧縮コイルスプリング21の張力に抗してガイドピン6が押し下げられ、可動着座面20が静止着座面19から離れて、開閉弁が開く。これによって、圧縮空気が開閉弁から通気空隙11を通過し、外部に放出される。可動電極25の進出で溶着用突起14が鋼板部品2に加圧されると、溶接電流が通電されて、プロジェクションナット7が鋼板部品2に溶接される。溶着用突起14が溶融しきるまではプロジェクションナット7の下面と鋼板部品2の表面との間に空隙が存在するので、圧縮空気はこの空隙を通過して、溶着用突起14が鋼板部品2に溶着される箇所へ向かって流れ、冷却やスパッタの除去がなされる。
つぎに、蓄圧室の容積変化について説明する。
上記のように、ガイドピン6が押し下げられていないときには、空間C2が存置されている。ガイドピン6の押し下げ空間は2mmであるから、押し下げストローク2mmによる蓄圧室30の容積増大量は、図2(B)に鎖線で示す領域の容積となる。すなわち、この増大空間32は、330mmである。前述の蓄圧室30の容積2940mmが約11%増大し、3270mmとなる。
図6(D)の鎖線は、本実施例における圧縮空気の圧力変化を示している。P1は、空気管23から供給された圧縮空気の圧力である。可動電極25の動作でガイドピン6の押し下げが開始されると、開閉弁の開弁が開始されるのと同時に、蓄圧室30の容積が拡大し始めるので、蓄圧室30の容積増大と空気通路24からの圧縮空気供給が複合して、蓄圧室30の圧力はP3まで低下する。この圧力P3は大気圧よりも高い値であるから、開閉弁の開き始めと同時に圧縮空気は通気空隙11を経て狭くなりつつある空間C2を放射状に高速で流れる。ガイドピン6が2mm押し下げられて増大空間32が最大値になると、圧縮空気の継続的供給によって蓄圧室30の圧力はP2に上昇し、P2で空気噴射が継続される。
このような空気噴射は、開閉弁の全開状態で継続され、その途上で溶接電流の通電がなされて、溶着用突起14が鋼板部品2に溶着する。溶着の過渡期にはスパッタが飛散するが、通気空隙11からの高速空気流がプロジェクションナット7の下面に衝突して放射状に形成されているので、発生したスパッタは溶着用突起14の溶着部から遠ざかる方向に飛散させられる。
上記のように、テーパ角度45度で、5mmの切欠き部31が形成されているとき、2mmの押し下げストロークによって、蓄圧室30の容積2940mmが約11%増大し、3270mmとなっている。もし、切欠き部31がなければ、増大空間32は470mmとなる。蓄圧室30の容積2364mmに増大空間470mmが加算されて約20%増大し、2834mmとなる。つまり、切欠き部31が形成されていないときには、蓄圧室30の容積が少なくなり、押し下げストローク2mmにおける蓄圧室30の容積増大率は約20%となり、押し下げストローク時の蓄圧室30の圧力低下が大きく現れることとなる。換言すると、切欠き部31を設けた場合の方が、蓄圧室30の容積増大率が小さくなり、押し下げストロークにともなう蓄圧室30の圧力低下が少なくなる。
つぎに、変型例について説明する。
図4は、変型例を示す。ここでの切欠き部31は大径部9の上部周縁部を段状に切欠いたもので、段部34が形成されている。そして、ここでの空気通路24は、大径部9に開けた小径の孔であり、蓄圧室30に直接開口している。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の実例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
さらに、他の変型例について説明する。
図5は、その変型例を示す。ここでは本体部4の拡径部の内面28に雌ねじを形成し、ここにキャップ部材3をねじ込んだ形式である。そのためのねじ部が符号35で示されている。したがって、キャップ部材3の下面が静止着座面19とされている。それ以外の構成は、図示されていない部分も含めて先の各実例と同じであり、同様な機能の部材には同一の符号が記載してある。
以上に説明した実施例の作用効果は、つぎのとおりである。
小径孔10から突き出て相手方部品である鋼板部品2やプロジェクションナット7の位置決めをしている小径部8が押し下げられると、静止着座面19に密着していた可動着座面20が開弁状態になり、圧縮空気は大径部9の空気通路24を経て蓄圧室30に流入し、その後、可動着座面20と静止着座面間19の隙間を通過して、小径孔10と小径部8との間の通気空隙11から相手方部品に吹き付けられる。この吹きつけ流によって、溶着部から飛散するスパッタをプロジェクションナット7から遠ざかる方向へ排除し、スパッタが通気空隙11に進入することができない状態となる。
上記の空気噴射の動作においては、つぎのような現象が展開される。すなわち、切欠き部31を設けることにより、蓄圧室30の容積が拡大され、開弁ストロークの増大に伴う蓄圧室30の容積増大率を小さくすることができ、開弁量増大とともに進行する蓄圧室30の圧力低下が最少化される。このため、ガイドピン6が最も多く押し下げられた状態であっても、蓄圧室30の圧力が大気圧よりも高く維持され、開弁と同時に空気噴射が開始されて、溶接電流通電時に飛散するスパッタが、通気空隙11に進入することが防止される。
また、小径孔10から突き出てプロジェクションナット7の位置決めをする小径部8が押し下げられてから、プロジェクションナット7が鋼板部品2に加圧され、その後、溶接電流の通電がなされる。空気噴射は、小径部8の押し下げ開始時点から開始され、その後から溶接電流の通電やスパッタ飛散がなされる。したがって、スパッタ飛散の開始前から空気噴射がなされているので、既に形成されている空気流に向かってスパッタが飛散することとなり、スパッタは空気流で押し返されたような状態になって、小径孔10と小径部8との間の通気空隙11に進入することが防止できる。
切欠き部31を設けることにより、開弁後に静止着座面19と可動着座面20の間に形成される流路長さが短くできるので、流路抵抗を低減させることができ、小径部8の周囲からの空気噴射が短時間で可能となり、流路長さの短縮により噴射空気の圧力損失を少なくすることができる。さらに、大径部9の端面角部に切欠き部31を設けることによって可動着座面20の半径方向の長さが短くなるので、可動着座面20の面積が小さくなり、これによって可動着座面20の着座面圧が大きくなる。したがって、開閉弁の閉弁圧力が高くなって、確実な空気遮断が実現する。
前記空気通路24が蓄圧室30の空間に直接開口している。
空気通路24が蓄圧室30の空間に直接開口しているので、蓄圧室30の圧力を供給された圧縮空気の圧力と同じ値に設定することができ、開弁と同時に空気噴射がなされることにとって好都合である。
前記静止着座面19が形成される断熱部材13と、可動着座面20が形成される部材が合成樹脂材料で構成されている。
着座面が柔軟になるので、微細な凹凸があっても凹凸が押し潰された状態になり、気密性の良好な閉弁動作が確保できる。また、微細な鉄屑のような不純物が両着座面間に紛れ込んでも、不純物が着座面にめり込んだ状態になって、気密性の良好な閉弁がえられる。
上述のように、本発明の電極によれば、蓄圧室の容積を増大し、開閉弁の閉弁性を向上し、空気噴射開始時点の最適化によって、スパッタの的確な除去がなされる。したがって、自動車の車体溶接工程や、家庭電化製品の板金溶接工程などの広い産業分野で利用できる。
1 電極本体
2 鋼板部品
3 キャップ部材
4 本体部
6 ガイドピン
7 プロジェクションナット
8 小径部
9 大径部
10 小径孔
11 通気空隙
12 大径孔
19 静止着座面
20 可動着座面
24 空気通路
25 可動電極
28 拡径部の内面
29 大径部の外面
30 蓄圧室
31 切欠き部
32 増大空間
C2 空間

Claims (3)

  1. ガイドピンに、少なくとも電極本体に設けた小径孔から突き出て相手方部品の位置決めをする小径部と、電極本体に設けた大径孔内に摺動可能な状態で挿入される大径部が形成され、小径孔と小径部との間に通気空隙を形成し、大径孔の内端面に小径孔が開口している静止着座面を形成し、大径部の端面に静止着座面に着座する環状の可動着座面を形成し、大径孔の内径を部分的に拡大した拡径部の内面と大径部の外面との間の空間によって蓄圧室を構成し、大径部の端面角部に切欠き部を設けることによって可動着座面の半径方向の長さを短くするとともに、蓄圧室の容積を拡大し、大径孔に導入した圧縮空気を蓄圧室に導く空気通路を大径部に設けたことを特徴とする空気噴射式の電気抵抗溶接電極。
  2. 前記空気通路が蓄圧室の空間に直接開口している請求項1記載の空気噴射式の電気抵抗溶接電極。
  3. 前記静止着座面が形成される部材と、可動着座面が形成される部材が合成樹脂材料で構成されている請求項1または請求項2記載の空気噴射式の電気抵抗溶接電極。
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