半導体製造装置のチャンバをメンテナンスした後の組み付け作業において不備があった場合には、チャンバ内において異常事象が生じる場合がある。
また、組み付け作業には不備がなくても、チャンバ内において異常事象が生じる場合がある。
かかる異常事象としては、例えば異常放電やチャンバ内の圧力異常等が挙げられる。
かかる異常事象は、極めて短時間で生じる場合もあり、異常事象を確実に検出することは必ずしも容易ではなかった。
[一実施形態]
一実施形態による半導体製造装置及びその異常検出方法並びにその半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法について図1乃至図6を用いて説明する。
(半導体製造装置)
まず、本実施形態による半導体製造装置について説明する。図1は、本実施形態による半導体製造装置を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態による半導体製造装置(スパッタリング装置)10は、成膜を行うためのチャンバ(真空チャンバ)12を有している。
チャンバ12内における上部には、バッキングプレート14が配されている。バッキングプレート14としては、例えば水冷式のバッキングプレートが用いられている。
バッキングプレート14の下面には、ターゲット(スパッタリングターゲット)16が取り付けられている。
バッキングプレート14は、ターゲット16を冷却する機能を有するとともに、スパッタリング電極(カソード、陰極)としても機能する。
チャンバ12内における下部には、半導体ウェハ(半導体基板)18を保持する載置台(台座、基板ホルダ)20が設けられている。載置台20は、アノード(陽極)としても機能する。
バッキングプレート14上には、磁場発生部(マグネット)22が設けられている。磁場発生部22は、回転磁場を発生するためのものである。
チャンバ12の内壁の内側には、シールド24が設けられている。シールド24とバッキングプレート14とは、絶縁体25により絶縁されている。
チャンバ12には、チャンバ12内にガスを供給するためのガス導入口26が形成されている。チャンバ12内に導入するガスとしては、例えば、アルゴン(Ar)ガスや窒素(N2)ガス等が挙げられる。ガス導入口26には配管28が接続されている。配管28及びガス導入口26を経由してチャンバ12内にガスが導入される。
また、チャンバ12には、排気を行うための排気口30が形成されている。排気口30は、配管(排気管)32を介して排気ポンプ(図示せず)に接続されている。
また、チャンバ12には、半導体ウェハ18の搬入や搬出を行うための開口34が形成されている。開閉機構35及び開口34を介して、半導体ウェハ18の搬入や搬出が行われる。
本実施形態による半導体製造装置10は、スパッタリング電力を供給する直流電源36と、スパッタリング電流及びスパッタリング電圧を測定する測定部38と、所定の処理を行う処理部40と、データ等を記憶する記憶部42と、表示部44とを更に有している。
直流電源(スパッタリング用直流電源)36は、スパッタリング電極14に電力を供給するためのものである。直流電源36は、スパッタリング電極14に例えば負の電圧を印加する。直流電源36は、後述する処理部40により定電力制御される。
測定部(電流/電圧測定部)38は、直流電源36からスパッタリング電極14に供給されるスパッタリング電流及びスパッタリング電圧をリアルタイムで順次測定するためのものである。測定部38は、スパッタリング電流を順次測定する電流計(図示せず)と、スパッタリング電圧を順次測定する電圧計(図示せず)とを有している。測定部38は、取得したスパッタリング電流のデータ及びスパッタリング電圧のデータを処理部40に出力する。
処理部40は、本実施形態による半導体製造装置10全体の制御を司るととともに、所定の処理を行うものである。処理部40には、図示しないコンピュータ、より具体的には、CPU(Central Processing Unit)が内蔵されている。
処理部40は、測定部38により順次取得されるスパッタリング電流Iのデータとスパッタリング電圧Vのデータとに基づいて、スパッタリング電力Pを順次算出する。スパッタリング電力Pは、スパッタリング電流Iとスパッタリング電圧Vとの積により求められる。
処理部40は、直流電源36からスパッタリング電極14に供給されるスパッタリング電力Pが一定になるように、直流電源36を制御する。即ち、処理部40は、直流電源36を定電力制御する。
処理部40には、記憶部42が接続されている。記憶部42としては、例えば、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disc Drive)等が用いられる。記憶部42には、処理部40に所定の処理を行わせるためのコンピュータプログラムがインストールされている。また、処理部40は、取得したデータ等を記憶部42に記憶させる。
処理部40には、表示部44が接続されている。表示部44としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)やLEDランプ等を用いることができる。表示部44は、本実施形態による半導体製造装置10の動作状態の情報や異常検出の情報等を表示する。
処理部40は、測定部38により測定されるスパッタリング電流Iを順次取得する。
また、処理部40は、順次取得されるスパッタリング電流Iに基づいて、単位時間当たりのスパッタリング電流Iの変化量(スパッタリング電流変化量)ΔIを順次算出する。処理部40は、例えば1秒当たりのスパッタリング電流変化量ΔIを例えば1秒毎に順次算出する。スパッタリング電流変化量ΔIは、異常時でなくても、ある程度の値を示す。スパッタリングが進行するに伴って、スパッタリングターゲット16が徐々に消耗し、スパッタリングターゲット16の抵抗値が変化するためである。スパッタリングターゲット16の材料によって消耗速度や抵抗値が異なるため、スパッタリング電流変化量ΔIは、スパッタリングターゲット16の材料によって様々である。
また、処理部40は、測定部38により測定されるスパッタリング電圧Vを順次取得する。
また、処理部40は、順次取得されるスパッタリング電圧Vに基づいて、単位時間当たりのスパッタリング電圧Vの変化量(スパッタリング電圧変化量)ΔVを順次算出する。処理部40は、例えば1秒当たりのスパッタリング電圧変化量ΔVを例えば1秒毎に順次算出する。スパッタリング電圧変化量ΔVは、異常時でなくても、ある程度の値を示す。スパッタリングが進行するに伴って、スパッタリングターゲット16が徐々に消耗し、スパッタリングターゲット16の抵抗値が変化するためである。スパッタリングターゲット16の材料によって消耗速度や抵抗値が異なるため、スパッタリング電圧変化量ΔVは、スパッタリングターゲット16の材料によって様々である。
ある時間におけるスパッタリング電流をI1、単位時間当たりのスパッタリング電流変化量をΔIとすると、時間tが経過した際におけるスパッタリング電流I2は以下のような式(1)で表される。
I2= ΔI×t + I1 ・・・(1)
また、ある時間におけるスパッタリング電圧をV1、単位時間当たりのスパッタリング電圧変化量をΔVとすると、時間tが経過した際におけるスパッタリング電流V2は以下のような式(2)で表される。
V2= ΔV×t + V1 ・・・(2)
また、スパッタリング電力Pは、例えば以下のような式(3)により表される。
P=I2×V2
=(ΔI×t+I1)(ΔV×t+V1)
=ΔI×ΔV×t2+(ΔI×V1+ΔV×I1)t+I1×V1 ・・・(3)
本実施形態では、上述したように定電力制御を行うため、スパッタリング電力Pは一定である。
従って、スパッタリング電力Pをtで微分すると、以下の式(4)が成立する。
dP/dt=d/dt{ΔI×ΔV×t2+(ΔI×V1+ΔV×I1)t+I1×V1} = 0 ・・・(4)
式(4)を変形すると、tは、以下のような式(5)で表される。
t=−0.5×(I/ΔI + V/ΔV) ・・・(5)
tをTと置き換えると、以下のような式(6)になる。
T=−0.5×(I/ΔI + V/ΔV) ・・・(6)
スパッタリング電流変化量ΔIに対するスパッタリング電流Iの比(I/ΔI)は、上記の式(6)の一部を構成するものであり、異常事象が生じた場合に著しく変化し得る値であると考えられる。従って、処理部40は、スパッタリング電流変化量ΔIに対するスパッタリング電流Iの比である第1の値(I/ΔI)を順次取得し、異常事象が生じたことを検出するために用いる。
また、スパッタリング電圧変化量ΔVに対するスパッタリング電圧Vの比(V/ΔV)も、上記の式(6)の一部を構成するものであり、異常事象が生じた場合に著しく変化し得る値であると考えられる。従って、処理部40は、スパッタリング電圧変化量ΔVに対するスパッタリング電圧Vの比である第2の値(V/ΔV)を順次取得し、異常事象が生じたことを検出するために用いる。
また、上記の式(6)により算出されるTの値、即ち、第1の値と第2の値との和に基づく値Tも、異常事象が生じた場合に著しく変化し得る値であると考えられる。従って、処理部40は、第3の値Tを順次取得し、異常事象が生じたことを検出するために用いる。
処理部40は、順次取得されるスパッタリング電流Iのデータ、スパッタリング電流変化量ΔIのデータ、スパッタリング電圧Vのデータ、スパッタリング電圧変化量ΔVのデータを、記憶部42に順次記憶させる。また、処理部40は、第1の値(I/ΔI)のデータ、第2の値(V/ΔV)のデータ及び第3の値Tのデータを、記憶部42に順次記憶させる。従って、記憶部42には、順次取得される複数のスパッタリング電流Iのデータ、及び、順次取得される複数のスパッタリング電流変化量ΔIのデータが蓄積される。また、記憶部42には、順次取得される複数のスパッタリング電圧Vのデータ、順次取得される複数のスパッタリング電圧変化量ΔVのデータが蓄積される。また、記憶部42には、順次取得される複数の第1の値(I/ΔI)のデータ、順次取得される複数の第2の値(V/ΔV)のデータ、及び、順次取得される複数の第3の値Tのデータが蓄積される。
スパッタリング電流I、スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧V、スパッタリング電圧変化量ΔV、第1の値(I/ΔI)、第2の値(V/ΔV)、第3の値Tは、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、スパッタリングの際に順次取得されるスパッタリング電流Iやスパッタリング電流変化量ΔIのデータは、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるもの毎に整理して、記憶部42に記憶される。また、スパッタリングの際に順次取得されるスパッタリング電圧Vのデータやスパッタリング電圧変化量ΔVのデータも、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるもの毎に整理して、記憶部42に記憶される。また、順次取得される複数の第1の値(I/ΔI)のデータや、順次取得される複数の第2の値(V/ΔV)のデータや、順次取得される複数の第3の値Tのデータも、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるもの毎に整理して、記憶部42に記憶される。
処理部40は、複数のスパッタリング電流Iのデータに基づいて、スパッタリング電流Iの平均値を算出する。本実施形態において、スパッタリング電流Iの平均値を算出するのは、スパッタリング電流Iの異常を検出するための基準として、スパッタリング電流Iの平均値を用いるためである。スパッタリング電流Iの平均値を算出する際には、記憶部42に記憶された複数のスパッタリング電流Iのデータを用いる。但し、上述したように、スパッタリング電流Iは、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、スパッタリング電流Iの平均値を算出する際には、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるものを用いることが好ましい。なお、スパッタリング電流Iの平均値を算出する際には、異常値と判定されたデータを除外して平均値を算出することが好ましい。算出されたスパッタリング電流Iの平均値のデータは、記憶部42に記憶される。
スパッタリングを行うことによりスパッタリング電流Iのデータが新たに取得された場合には、処理部40は、スパッタリング電流Iの平均値のデータを更新する。スパッタリング電流Iの平均値のデータを更新するタイミングは、例えば、当該スパッタリングが完了した後とする。この場合、当該スパッタリングにより取得された複数のスパッタリング電流Iのデータと、当該スパッタリングより前の過去のスパッタリングにおいて取得された複数のスパッタリング電流Iのデータとに基づいて、スパッタリング電流Iの平均値を算出する。
なお、スパッタリング電流Iの平均値のデータを更新するタイミングは、スパッタリングが完了した後に限定されるものではない。例えば、当該スパッタリングを行っている最中に、当該スパッタリングにおいて取得されたスパッタリング電流Iのデータを、スパッタリング電流Iの平均値に反映させてもよい。この場合、当該スパッタリングを開始してから当該算出時までに取得された当該スパッタリングにおけるスパッタリング電流Iのデータと、過去のスパッタリングにおける複数のスパッタリング電流Iのデータとに基づいて、スパッタリング電流Iの平均値を算出する。この場合には、スパッタリング電流Iの平均値のデータが、当該スパッタリングの最中に順次更新される。
処理部40は、複数のスパッタリング電流変化量ΔIのデータに基づいて、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を算出する。本実施形態において、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を算出するのは、スパッタリング電流変化量ΔIの異常を検出するための基準として、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を用いるためである。スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を算出する際には、記憶部42に記憶された複数のスパッタリング電流変化量ΔIのデータを用いる。但し、上述したように、スパッタリング電流変化量ΔIは、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を算出する際には、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるものを用いることが好ましい。なお、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を算出する際には、異常値と判定されたデータを除外して平均値を算出することが好ましい。算出されたスパッタリング電流変化量ΔIの平均値のデータは、記憶部42に記憶される。
スパッタリングを行うことによりスパッタリング電流変化量ΔIのデータが新たに取得された場合には、処理部40は、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値のデータを更新する。スパッタリング電流変化量ΔIの平均値のデータを更新するタイミングは、例えば、当該スパッタリングが完了した後とする。この場合、当該スパッタリングにより取得された複数のスパッタリング電流変化量ΔIのデータと、過去のスパッタリングにおいて取得された複数のスパッタリング電流変化量ΔIのデータとに基づいて、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を算出する。
なお、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値のデータを更新するタイミングは、スパッタリングが完了した後に限定されるものではない。例えば、当該スパッタリングを行っている最中に、当該スパッタリングにおいて取得されたスパッタリング電流変化量ΔIのデータを、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値に反映させてもよい。この場合、当該スパッタリングを開始してから当該算出時までに取得されたスパッタリング電流変化量ΔIのデータと、過去のスパッタリングにおける複数のスパッタリング電流変化量ΔIのデータとに基づいて、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値を算出する。この場合には、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値のデータが、当該スパッタリングの最中に順次更新される。
処理部40は、複数のスパッタリング電圧Vのデータに基づいて、スパッタリング電圧Vの平均値を算出する。本実施形態において、スパッタリング電圧Vの平均値を算出するのは、スパッタリング電圧Vの異常を検出するための基準として、スパッタリング電圧Vの平均値を用いるためである。スパッタリング電圧Vの平均値を算出する際には、記憶部42に記憶された複数のスパッタリング電圧Vのデータを用いる。但し、上述したように、スパッタリング電圧Vは、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、スパッタリング電圧Vの平均値を算出する際には、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるものを用いることが好ましい。なお、スパッタリング電圧Vの平均値を算出する際には、異常値と判定されたデータを除外して平均値を算出することが好ましい。算出されたスパッタリング電圧Vの平均値のデータは、記憶部42に記憶される。
スパッタリングを行うことによりスパッタリング電圧Vのデータが新たに取得された場合には、処理部40は、スパッタリング電圧Vの平均値のデータを更新する。スパッタリング電圧Vの平均値のデータを更新するタイミングは、例えば、当該スパッタリングが完了した後とする。この場合、当該スパッタリングにより取得された複数のスパッタリング電圧Vのデータと、当該スパッタリングより前の過去のスパッタリングにおいて取得された複数のスパッタリング電圧Vのデータとに基づいて、スパッタリング電圧Vの平均値を算出する。
なお、スパッタリング電圧Vの平均値のデータを更新するタイミングは、スパッタリングが完了した後に限定されるものではない。例えば、当該スパッタリングを行っている最中に、当該スパッタリングにおいて取得されたスパッタリング電圧Vのデータを、スパッタリング電圧Vの平均値に反映させてもよい。この場合、当該スパッタリングを開始してから当該算出時までに取得された当該スパッタリングにおけるスパッタリング電圧Vのデータと、過去のスパッタリングにおける複数のスパッタリング電圧Vのデータとに基づいて、スパッタリング電圧Vの平均値を算出する。この場合には、スパッタリング電圧Vの平均値のデータが、当該スパッタリングの最中に順次更新される。
処理部40は、複数のスパッタリング電圧変化量ΔVのデータに基づいて、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を算出する。本実施形態において、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を算出するのは、スパッタリング電圧変化量ΔVの異常を検出するための基準として、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を用いるためである。スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を算出する際には、記憶部42に記憶された複数のスパッタリング電圧変化量ΔVのデータを用いる。但し、上述したように、スパッタリング電圧変化量ΔVは、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を算出する際には、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるものを用いることが好ましい。なお、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を算出する際には、異常値と判定されたデータを除外して平均値を算出することが好ましい。算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVの平均値のデータは、記憶部42に記憶される。
スパッタリングを行うことによりスパッタリング電圧変化量ΔVのデータが新たに取得された場合には、処理部40は、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値のデータを更新する。スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値のデータを更新するタイミングは、例えば、当該スパッタリングが完了した後とする。この場合、当該スパッタリングにより取得された複数のスパッタリング電圧変化量ΔVのデータと、過去のスパッタリングにおいて取得された複数のスパッタリング電圧変化量ΔVのデータとに基づいて、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を算出する。
なお、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値のデータを更新するタイミングは、スパッタリングが完了した後に限定されるものではない。例えば、当該スパッタリングを行っている最中に、当該スパッタリングにおいて取得されたスパッタリング電圧変化量ΔVのデータを、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値に反映させてもよい。この場合、当該スパッタリングを開始してから当該算出時までに取得されたスパッタリング電圧変化量ΔVのデータと、過去のスパッタリングにおける複数のスパッタリング電圧変化量ΔVのデータとに基づいて、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を算出する。この場合には、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値のデータが、当該スパッタリングの最中に順次更新される。
処理部40は、複数の第1の値(I/ΔI)のデータに基づいて、第1の値(I/ΔI)の平均値を算出する。本実施形態において、第1の値(I/ΔI)の平均値を算出するのは、第1の値(I/ΔIの異常を検出するための基準として、第1の値(I/ΔI)の平均値を用いるためである。第1の値(I/ΔI)の平均値を算出する際には、記憶部42に記憶された複数の第1の値(I/ΔI)のデータを用いる。但し、上述したように、第1の値(I/ΔI)は、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、第1の値(I/ΔI)の平均値を算出する際には、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるものを用いることが好ましい。なお、第1の値(I/ΔI)の平均値を算出する際には、異常値と判定されたデータを除外して平均値を算出することが好ましい。算出された第1の値(I/ΔI)の平均値のデータは、記憶部42に記憶される。
スパッタリングを行うことにより第1の値(I/ΔI)のデータが新たに取得された場合には、処理部40は、第1の値(I/ΔI)の平均値のデータを更新する。第1の値(I/ΔI)の平均値のデータを更新するタイミングは、例えば、当該スパッタリングが完了した後とする。この場合、当該スパッタリングにより取得された複数の第1の値(I/ΔI)のデータと、当該スパッタリングより前の過去のスパッタリングにおいて取得された複数の第1の値(I/ΔI)のデータとに基づいて、第1の値(I/ΔI)の平均値を算出する。
なお、第1の値(I/ΔI)の平均値のデータを更新するタイミングは、スパッタリングが完了した後に限定されるものではない。例えば、当該スパッタリングを行っている最中に、当該スパッタリングにおいて取得された第1の値(I/ΔI)のデータを、第1の値(I/ΔI)の平均値に反映させてもよい。この場合、当該スパッタリングを開始してから当該算出時までに取得された当該スパッタリングにおける第1の値(I/ΔI)のデータと、過去のスパッタリングにおける複数の第1の値(I/ΔI)のデータとに基づいて、第1の値(I/ΔI)の平均値を算出する。この場合には、第1の値(I/ΔI)の平均値のデータが、当該スパッタリングの最中に順次更新される。
処理部40は、複数の第2の値(V/ΔV)のデータに基づいて、第2の値(V/Δ)の平均値を算出する。本実施形態において、第2の値(V/ΔV)の平均値を算出するのは、第2の値(V/ΔV)の異常を検出するための基準として、第2の値(V/ΔV)の平均値を用いるためである。第2の値(V/ΔV)の平均値を算出する際には、記憶部42に記憶された複数の第2の値(V/ΔV)のデータを用いる。但し、上述したように、第2の値(V/ΔV)は、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、第2の値(V/ΔV)の平均値を算出する際には、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるものを用いることが好ましい。なお、第2の値(V/ΔV)の平均値を算出する際には、異常値と判定されたデータを除外して平均値を算出することが好ましい。算出された第2の値(V/ΔV)の平均値のデータは、記憶部42に記憶される。
スパッタリングを行うことにより第2の値(V/ΔV)のデータが新たに取得された場合には、処理部40は、第2の値(V/ΔV)の平均値のデータを更新する。第2の値(V/ΔV)の平均値のデータを更新するタイミングは、例えば、当該スパッタリングが完了した後とする。この場合、当該スパッタリングにより取得された複数の第2の値(V/ΔV)のデータと、当該スパッタリングより前の過去のスパッタリングにおいて取得された複数の第2の値(V/ΔV)のデータとに基づいて、第2の値(V/ΔV)の平均値を算出する。
なお、第2の値(V/ΔV)の平均値のデータを更新するタイミングは、スパッタリングが完了した後に限定されるものではない。例えば、当該スパッタリングを行っている最中に、当該スパッタリングにおいて取得された第2の値(V/ΔV)のデータを、第2の値(V/ΔV)の平均値に反映させてもよい。この場合、当該スパッタリングを開始してから当該算出時までに取得された当該スパッタリングにおける第2の値(V/ΔV)のデータと、過去のスパッタリングにおける複数の第2の値(V/ΔV)のデータとに基づいて、第2の値(V/ΔV)の平均値を算出する。この場合には、第2の値(V/ΔV)の平均値のデータが、当該スパッタリングの最中に順次更新される。
処理部40は、複数の第3の値Tのデータに基づいて、第3の値Tの平均値を算出する。本実施形態において、第3の値Tの平均値を算出するのは、第3の値Tの異常を検出するための基準として、第3の値Tの平均値を用いるためである。第3の値Tの平均値を算出する際には、記憶部42に記憶された複数の第3の値Tのデータを用いる。但し、上述したように、第3の値Tは、ターゲットの種類、プロセス条件等によって異なる。従って、第3の値Tの平均値を算出する際には、ターゲットの種類やプロセス条件が同一であるものを用いることが好ましい。なお、第3の値Tの平均値を算出する際には、異常値と判定されたデータを除外して平均値を算出することが好ましい。算出された第3の値Tの平均値のデータは、記憶部42に記憶される。
スパッタリングを行うことにより第3の値Tのデータが新たに取得された場合には、処理部40は、第3の値Tの平均値のデータを更新する。第3の値Tの平均値のデータを更新するタイミングは、例えば、当該スパッタリングが完了した後とする。この場合、当該スパッタリングにより取得された複数の第3の値Tのデータと、当該スパッタリングより前の過去のスパッタリングにおいて取得された複数の第3の値Tのデータとに基づいて、第3の値Tの平均値を算出する。
なお、第3の値Tの平均値のデータを更新するタイミングは、スパッタリングが完了した後に限定されるものではない。例えば、当該スパッタリングを行っている最中に、当該スパッタリングにおいて取得された第3の値Tのデータを、第3の値Tの平均値に反映させてもよい。この場合、当該スパッタリングを開始してから当該算出時までに取得された当該スパッタリングにおける第3の値Tのデータと、過去のスパッタリングにおける複数の第3の値Tのデータとに基づいて、第3の値Tの平均値を算出する。この場合には、第3の値Tの平均値のデータが、当該スパッタリングの最中に順次更新される。
スパッタリングの際、処理部40は、順次測定されるスパッタリング電流Iが異常値か否かを判定する。測定されたスパッタリング電流Iが異常値に該当するか否かは、当該スパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電流Iの基準値としては、例えばスパッタリング電流Iの平均値を用いることができる。
処理部40は、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流Iの異常値は、スパッタリング電流Iの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流Iの異常値は、スパッタリング電流Iの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
処理部40は、スパッタリング電流Iが異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。かかる異常事象としては、例えば異常放電、チャンバ内圧力異常等が挙げられる。
スパッタリングの際には、半導体ウェハ18の温度上昇を抑制すべく、Arガス等を半導体ウェハ18の裏面に供給することにより、半導体ウェハ18の冷却が行われる。Arガス等のガス圧により半導体ウェハ18が載置台20上から吹き飛んだり、位置ずれしたりするのを防止すべく、半導体ウェハ18は静電チャック(ESC:ElectroStaticChuck)(図示せず)を用いて載置台20に固定される。静電チャックを用いた半導体ウェハ18の固定は、半導体ウェハ18の冷却効率の向上にも寄与する。静電チャック上にゴミが存在する場合には、かかるゴミが存在する箇所においてArガス等が通常より多くリークする。このような場合には、チャンバ12内の圧力が異常な状態となる事象であるチャンバ内圧力異常が生ずる場合がある。また、かかるゴミの存在により、半導体ウェハ18が浮いた状態となり、半導体ウェハ18の端面と載置台20との間で異常放電が生ずる場合もある。なお、異常放電は、静電チャック上にゴミが存在する場合に限定されるものではなく、様々な要因により起こり得る。
処理部40は、異常事象が生じたことを検出した場合には、その旨を記憶部42に記憶する。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。
スパッタリングの際、処理部40は、順次算出されるスパッタリング電流変化量ΔIが異常値か否かを判定する。算出されたスパッタリング電流変化量Δが異常値に該当するか否かは、当該スパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電流変化量ΔIの基準値としては、例えばスパッタリング電流変化量ΔIの平均値を用いることができる。
処理部40は、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流変化量ΔIの異常値は、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、取得されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流変化量ΔIの異常値は、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
処理部40は、スパッタリング電流変化量ΔIが異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。かかる異常事象としては、例えば異常放電、チャンバ内圧力異常等が挙げられる。処理部40は、異常事象が生じたことを検出した場合には、その旨を記憶部42に記憶する。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。
スパッタリングの際、処理部40は、順次測定されるスパッタリング電圧Vが異常値か否かを判定する。測定されたスパッタリング電圧Vが異常値に該当するか否かは、当該スパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電圧Vの基準値としては、例えばスパッタリング電圧Vの平均値を用いることができる。
処理部40は、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧Vの異常値は、スパッタリング電圧Vの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧Vの異常値は、スパッタリング電圧Vの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
処理部40は、スパッタリング電圧Vが異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。かかる異常事象としては、例えば異常放電、チャンバ内圧力異常等が挙げられる。処理部40は、異常事象が生じたことを検出した場合には、その旨を記憶部42に記憶する。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。
スパッタリングの際、処理部40は、順次算出されるスパッタリング電圧変化量ΔVが異常値か否かを判定する。算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが異常値に該当するか否かは、当該スパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値としては、例えばスパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を用いることができる。
処理部40は、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧変化量ΔVの異常値は、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧変化量ΔVの異常値は、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
処理部40は、スパッタリング電圧変化量ΔVが異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。かかる異常事象としては、例えば異常放電、チャンバ内圧力異常等が挙げられる。処理部40は、異常事象が生じたことを検出した場合には、その旨を記憶部42に記憶する。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。
スパッタリングの際、処理部40は、順次算出される第1の値(I/ΔI)が異常値か否かを判定する。算出された第1の値(I/ΔI)が異常値に該当するか否かは、当該第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値から乖離しているか否かにより判定される。第1の値(I/ΔI)の基準値としては、例えば第1の値(I/ΔI)の平均値を用いることができる。
処理部40は、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、第1の値(I/ΔI)の異常値は、第1の値(I/ΔI)の基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、第1の値(I/ΔI)の異常値は、第1の値(I/ΔI)の基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、取得された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
処理部40は、第1の値(I/ΔI)が異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。かかる異常事象としては、例えば異常放電、チャンバ内圧力異常等が挙げられる。処理部40は、異常事象が生じたことを検出した場合には、その旨を記憶部42に記憶する。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。
スパッタリングの際、処理部40は、順次算出される第2の値(V/ΔV)が異常値か否かを判定する。算出された第2の値(V/ΔV)が異常値に該当するか否かは、当該第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値から乖離しているか否かにより判定される。第2の値(V/ΔV)の基準値としては、例えば第2の値(V/ΔV)の平均値を用いることができる。
処理部40は、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、第2の値(V/ΔV)の異常値は、第2の値(V/ΔV)の基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、第2の値(V/ΔV)の異常値は、第2の値(V/ΔV)の基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、取得された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
処理部40は、第2の値(V/ΔV)が異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。かかる異常事象としては、例えば異常放電、チャンバ内圧力異常等が挙げられる。処理部40は、異常事象が生じたことを検出した場合には、その旨を記憶部42に記憶する。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。
スパッタリングの際、処理部40は、順次算出される第3の値Tが異常値か否かを判定する。算出された第3の値Tが異常値に該当するか否かは、当該第3の値Tが、第3の値Tの基準値から乖離しているか否かにより判定される。第3の値Tの基準値としては、例えば第3の値Tの平均値を用いることができる。
処理部40は、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、第3の値Tの異常値は、第3の値Tの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、第3の値Tの異常値は、第3の値Tの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、取得された第3の値Tが、第3の値Tの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
処理部40は、第3の値Tが異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。かかる異常事象としては、例えば異常放電、チャンバ内圧力異常等が挙げられる。処理部40は、異常事象が生じたことを検出した場合には、その旨を記憶部42に記憶する。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。
こうして、本実施形態による半導体製造装置10が形成されている。
このように、本実施形態によれば、スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧変化量ΔV、第1の値(I/ΔI)、第2の値(V/ΔV)、又は、第3の値Tが、異常値を示したことに基づいて、スパッタリング中に異常事象が生じたことを検出する。スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧変化量ΔV、第1の値(I/ΔI)、第2の値(V/ΔV)、又は、第3の値Tは、異常事象が生じた場合に著しく変化する可能性の高い。このため、本実施形態によれば、異常事象が生じたことをより確実に検出することが可能となる。
(半導体製造装置の異常検出方法及び半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体製造装置の異常検出方法及びその半導体製造装置を用いた半導体装置の製造方法について図2及び図3を用いて説明する。図2は、本実施形態による半導体製造装置の異常検出方法を示すフローチャートである。図3は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
まず、スパッタリングを開始する(ステップS1)。これにより、載置台20上に載置された半導体ウェハ18上への膜の堆積が開始される。図3(a)は、半導体ウェハ18上に膜を形成する前の状態を示している。半導体ウェハ18には、例えば、図示しないトランジスタ等や層間絶縁膜等が形成されている。
次に、スパッタリング電流Iとスパッタリング電圧Vとを測定部38により測定する(ステップS2)。測定により得られたスパッタリング電流Iのデータ及びスパッタリング電圧Vのデータは、上述したように、記憶部42に記憶される。
次に、測定により得られたスパッタリング電流Iのデータとスパッタリング電圧Vのデータとに基づいて、スパッタリング電力Pを算出する(ステップS3)。スパッタリング電力Pの算出は、上述したように、例えば処理部40により行われる。処理部40は、算出されたスパッタリング電力に基づいて、スパッタリング電源36を定電力制御する。
次に、測定により得られたスパッタリング電流Iのデータに基づいて、単位時間当たりのスパッタリング電流Iの変化量であるスパッタリング電流変化量ΔIを算出する(ステップS4)。スパッタリング電流変化量ΔIの算出は、上述したように、例えば処理部40により行われる。算出されたスパッタリング電流変化量ΔIのデータは、上述したように、記憶部42に記憶される。
次に、測定により得られたスパッタリング電圧Vのデータに基づいて、単位時間当たりのスパッタリング電圧Vの変化量であるスパッタリング電圧変化量ΔVを算出する(ステップS5)。スパッタリング電圧変化量ΔVの算出は、上述したように、例えば処理部40により行われる。算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVのデータは、上述したように、記憶部42に記憶される。
次に、スパッタリング電流Iとスパッタリング電流変化量ΔIとに基づいて、スパッタリング電流変化量ΔIに対するスパッタリング電流Iの比である第1の値(I/ΔI)を算出する(ステップS6)。第1の値(I/ΔI)の算出は、上述したように、例えば処理部40により行われる。算出された第1の値(I/ΔI)のデータは、上述したように、記憶部42に記憶される。
次に、スパッタリング電圧Vとスパッタリング電圧変化量ΔVとに基づいて、スパッタリング電圧変化量ΔVに対するスパッタリング電圧Vの比である第2の値(V/ΔV)を算出する(ステップS7)。第2の値(V/ΔV)の算出は、上述したように、例えば処理部40により行われる。算出された第2の値(V/ΔV)のデータは、上述したように、記憶部42に記憶される。
次に、第1の値(I/ΔI)と第2の値(V/ΔV)とに基づいて、第1の値(I/ΔI)と第2の値(V/ΔV)との和に基づく値である第3の値Tを算出する(ステップS8)。第3の値Tの算出は、上述した式(6)を用いて、上述したように、例えば処理部40により行われる。算出された第3の値Tのデータは、上述したように、記憶部42に記憶される。
次に、測定により得られたスパッタリング電流Iが異常値か否かを判定する(ステップS9)。測定により得られたスパッタリング電流Iが、異常値か否かの判定は、上述したようにして、例えば処理部40により行われる。測定されたスパッタリング電流Iが異常値に該当するか否かは、上述したように、当該スパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電流Iの基準値としては、例えばスパッタリング電流Iの平均値を用いることができる。処理部40は、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流Iの異常値は、スパッタリング電流Iの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流Iの異常値は、スパッタリング電流Iの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電流Iが、スパッタリング電流Iの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
また、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが異常値か否かを判定する(ステップS9)。算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、異常値か否かの判定は、上述したようにして、例えば処理部40により行われる。算出されたスパッタリング電流変化量Δが異常値に該当するか否かは、上述したように、当該スパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電流変化量ΔIの基準値としては、例えばスパッタリング電流変化量ΔIの平均値を用いることができる。処理部40は、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流変化量ΔIの異常値は、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、取得されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電流変化量ΔIの異常値は、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電流変化量ΔIが、スパッタリング電流変化量ΔIの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
また、測定により得られたスパッタリング電圧Vが異常値か否かを判定する(ステップS9)。測定により得られたスパッタリング電圧Vが、異常値か否かの判定は、上述したようにして、例えば処理部40により行われる。測定されたスパッタリング電圧Vが異常値に該当するか否かは、上述したように、当該スパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電圧Vの基準値としては、例えばスパッタリング電圧Vの平均値を用いることができる。処理部40は、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧Vの異常値は、スパッタリング電圧Vの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧Vの異常値は、スパッタリング電圧Vの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、測定により得られたスパッタリング電圧Vが、スパッタリング電圧Vの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
また、算出されたスパッタリング電圧変化量Δが異常値か否かを判定する(ステップS9)。算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、異常値か否かの判定は、上述したようにして、例えば処理部40により行われる。算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが異常値に該当するか否かは、上述したように、当該スパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値から乖離しているか否かにより判定される。スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値としては、例えばスパッタリング電圧変化量ΔVの平均値を用いることができる。処理部40は、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧変化量ΔVの異常値は、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、スパッタリング電圧変化量ΔVの異常値は、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出されたスパッタリング電圧変化量ΔVが、スパッタリング電圧変化量ΔVの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
また、算出された第1の値(I/ΔI)が異常値か否かを判定する(ステップS9)。算出された第1の値(I/ΔI)が、異常値か否かの判定は、上述したようにして、例えば処理部40により行われる。算出された第1の値(I/ΔI)が異常値に該当するか否かは、上述したように、当該第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値から乖離しているか否かにより判定される。第1の値(I/ΔI)の基準値としては、例えば第1の値(I/ΔI)の平均値を用いることができる。処理部40は、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、第1の値(I/ΔI)の異常値は、第1の値(I/ΔI)の基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、第1の値(I/ΔI)の異常値は、第1の値(I/ΔI)の基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、取得された第1の値(I/ΔI)が、第1の値(I/ΔI)の基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
また、算出された第2の値(V/ΔV)が異常値か否かを判定する(ステップS9)。算出された第2の値(V/ΔV)が、異常値か否かの判定は、上述したようにして、例えば処理部40により行われる。算出された第2の値(V/ΔV)が異常値に該当するか否かは、上述したように、当該第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値から乖離しているか否かにより判定される。第2の値(V/ΔV)の基準値としては、例えば第2の値(V/ΔV)の平均値を用いることができる。処理部40は、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、第2の値(V/ΔV)の異常値は、第2の値(V/ΔV)の基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、第2の値(V/ΔV)の異常値は、第2の値(V/ΔV)の基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、取得された第2の値(V/ΔV)が、第2の値(V/ΔV)の基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
また、算出された第3の値Tが異常値か否かを判定する(ステップS9)。算出された第3の値Tが、異常値か否かの判定は、上述したように、例えば処理部40により行われる。算出された第3の値Tが異常値に該当するか否かは、上述したように、当該第3の値Tが、第3の値Tの基準値から乖離しているか否かにより判定される。第3の値Tの基準値としては、例えば第3の値Tの平均値を用いることができる。即ち、処理部40は、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値に対して著しく小さい場合には、異常値と判定する。例えば、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値の10分の1以下の場合に、異常値と判定する。なお、第3の値Tの異常値は、第3の値Tの基準値の10分の1以下に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値に対して著しく大きい場合にも、異常値と判定する。例えば、算出された第3の値Tが、第3の値Tの基準値の10倍以上の場合に、異常値と判定する。なお、第3の値Tの異常値は、第3の値Tの基準値の10倍以上に限定されるものではなく、適宜設定し得る。また、処理部40は、取得された第3の値Tが、第3の値Tの基準値と異なる符号の場合に、異常値と判定する。
スパッタリング電流I、スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧V、スパッタリング電圧変化量ΔV、第1の値、第2の値、及び、第3の値のいずれかが異常値を示した場合には、処理部40は、異常事象が生じたと判定する。異常事象が生じたと判定した場合には、処理部40は、異常事象が生じた旨を表示部44に表示させる。また、処理部40は、異常事象が生じた旨を記憶部42に記憶する。異常事象が生じたと判定した場合には、処理部40は、スパッタリングの処理を終了させる(ステップS10)。
一方、スパッタリング電流I、スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧V、スパッタリング電圧変化量ΔV、及び、第1〜第3の値のいずれも異常値を示さない場合には、所定のスパッタリング時間に達したか否かを判断する(ステップS11)。所定のスパッタリング時間に達していない場合には、スパッタリングを継続し、上記のステップS2〜S9を繰り返す。所定のスパッタリング時間に達した場合には、処理部42はスパッタリングの処理を終了させる(ステップS10)。
こうして、スパッタリング法により半導体ウェハ18上に所望の膜19が堆積される(図3(b)参照)。
この後、必要に応じて、膜19のエッチング等が行われ、半導体装置が製造される。
図4は、アルミニウム(Al)膜を成膜した際の各種データを示す図である。Al膜を成膜する際には、ターゲットの材料としてAlを用いた。
なお、実際には、直流電源36からスパッタリング電極14に印加される電圧の極性は負である。しかし、慣例により、図4乃至図6においては、スパッタリング電流I、スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧V、スパッタリング電圧変化量ΔV、及び、Tの値の符号を反転して表記している。
図4(a)は、正常時のデータの例、即ち、正常例を示している。正常例1〜正常例4は、それぞれ別個の半導体ウェハにAl膜を成膜した際のデータである。図4(b)は、正常時のデータの平均値を示している。図4(c)は、異常事象が生じた際のデータ(その1)、即ち、異常例を示している。図4(c)に示す異常例1,2のデータは、異常放電が生じた際のものである。図4(d)は、異常事象が生じた際のデータ(その2)、即ち、異常例を示している。図4(d)に示す異常例3のデータは、半導体ウェハの破片等が残存している載置台20上に半導体ウェハ18が載置されたため、載置台20を冷却するためのArガスがチャンバ12内にリークし、チャンバ12内において圧力異常が生じた際のものである。
異常例1,2におけるスパッタリング電流変化量ΔI(図4(c)参照)の符号は、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値(図4(b)参照)の符号と異なっている。また、異常値1,2におけるスパッタリング電圧変化量ΔV(図4(c)参照)の符号は、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値(図4(b)参照)の符号と異なっている。この場合、本実施形態による半導体製造装置10は、スパッタリング電流変化量ΔIが異常値を示したと判定し、また、スパッタリング電圧変化量ΔVが異常値を示したと判定する。
このように、本実施形態による半導体製造装置10は、異常事象が生じたことを確実に検出し得る。
スパッタリング電流変化量ΔIの符号が、過去に取得したスパッタリング電流変化量ΔIの平均値の符号と異なるようになる一般的な要因は、異常放電であると考えられる。従って、スパッタリング電流変化量ΔIの符号が、過去に取得したスパッタリング電流変化量ΔIの平均値の符号と異なった場合には、処理部40は、異常放電が生じたと判定することが可能である。
スパッタリング電圧変化量ΔVの符号が、過去に取得したスパッタリング電圧変化量ΔVの平均値の符号と異なるようになる一般的な要因は、異常放電であると考えられる。従って、スパッタリング電流電圧量ΔVの符号が、過去に取得したスパッタリング電圧変化量ΔVの平均値の符号と異なった場合には、処理部40は、異常放電が生じたと判定することが可能である。
異常例3におけるスパッタリング電流変化量ΔI(図4(d)参照)は、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値(図4(b)参照)の10分の1以下になっている。また、異常例3におけるスパッタリング電圧変化量ΔV(図4(d)参照)は、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値(図4(b)参照)の10分の1以下になっている。また、異常例3における第3の値T(図4(d)参照)は、第3の値Tの平均値(図4(b)参照)の10倍以上になっている。この場合、本実施形態による半導体製造装置10は、スパッタリング電流変化量ΔIが異常値を示したと判定し、また、スパッタリング電圧変化量ΔVが異常値を示したと判定し、また、第3の値Tが異常値を示したと判定する。
このように、本実施形態による半導体製造装置10は、異常事象が生じたことを確実に検出し得る。
スパッタリング電流変化量ΔIが、過去に取得したスパッタリング電流変化量ΔIの平均値に対して著しく小さくなる一般的な要因は、チャンバ内圧力異常であると考えられる。従って、スパッタリング電流変化量ΔIが、過去に取得したスパッタリング電流変化量ΔIの平均値に対して著しく小さくなった場合には、処理部40は、チャンバ内圧力異常が生じたと判定することが可能である。
また、スパッタリング電圧変化量ΔVが、過去に取得したスパッタリング電圧変化量ΔVの平均値に対して著しく小さくなる一般的な要因は、チャンバ内圧力異常であると考えられる。従って、スパッタリング電流電圧量ΔVの符号が、過去に取得したスパッタリング電圧変化量ΔVの平均値に対して著しく小さくなった場合には、処理部40は、チャンバ内圧力異常が生じたと判定することが可能である。
図5は、窒化タンタル(TaN)膜を成膜した際の各種データを示す図である。TaN膜を成膜する際には、ターゲットの材料としてTaを用いた。
図5(a)は、正常時のデータの例、即ち、正常例を示している。正常例5,6は、それぞれ別個の半導体ウェハにTaN膜を成膜した際のデータである。図5(b)は、正常時のデータの平均値を示している。図5(c)は、異常事象が生じた際のデータ、即ち、異常例を示している。なお、図5(c)に示す異常例4のデータは、異常放電が生じた際のものである。
異常例4におけるスパッタリング電流変化量ΔI(図5(c)参照)の符号は、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値(図5(b)参照)の符号と異なっている。また、異常例4におけるスパッタリング電圧変化量ΔV(図5(c)参照)の符号は、スパッタリング電圧変化量ΔVの平均値(図5(b)参照)の符号と異なっている。この場合、本実施形態による半導体製造装置10は、スパッタリング電流変化量ΔIが異常値を示したと判定し、また、スパッタリング電圧変化量ΔVが異常値を示したと判定する。
このように、本実施形態による半導体製造装置10は、異常事象が生じたことを確実に検出し得る。
図6は、チタン(Ti)膜を成膜した際の各種データを示す図である。Ti膜を成膜する際には、ターゲットの材料としてTiを用いた。
図6(a)は、正常時のデータの例、即ち、正常例を示している。正常例7〜正常例10は、それぞれ別個の半導体ウェハにTi膜を成膜した際のデータである。図6(b)は、正常時のデータの平均値を示している。図6(c)は、異常事象が生じた際のデータ、即ち、異常例を示している。図6(c)に示す異常例5のデータは、半導体ウェハの破片等が残存している載置台20上に半導体ウェハ18が載置されたため、載置台20を冷却するためのArガスがチャンバ12内にリークし、チャンバ12内において圧力異常が生じた際のものである。
異常例5におけるスパッタリング電流変化量ΔI(図6(c)参照)は、スパッタリング電流変化量ΔIの平均値(図6(b)参照)の10分の1以下になっている。また、異常例5における第3の値T(図6(c)参照)の符号は、第3の値Tの平均値(図6(b)参照)の符号と異なっている。この場合、本実施形態による半導体製造装置10は、スパッタリング電流変化量ΔIが異常値を示したと判定し、また、第3の値Tが異常値を示したと判定する。
このように、本実施形態による半導体製造装置10は、異常事象が生じたことを確実に検出し得る。
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、スパッタリング電流I、スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧V、スパッタリング電圧変化量ΔV、第1の値(I/ΔI)、第2の値(V/ΔV)及び第3の値Tのデータについて、異常値か否かの判定を行った。しかし、異常値か否かの判断を、必ずしもこれら全てのデータについて行わなくてもよい。スパッタリング電流変化量ΔI、スパッタリング電圧変化量ΔV、第1の値(I/ΔI)、第2の値(V/ΔV)及び第3の値Tのうちの少なくともいずれかのデータについて、異常値か否かの判断を行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、上記式(6)のように、第1の値(I/ΔI)と第2の値(V/ΔV)との和に(−0.5)を乗じた値Tを算出したが、第1の値(I/ΔI)と第2の値(V/ΔV)との和に(−0.5)を乗じなくてもよい。即ち、以下の式(7)のように第3の値としてT′の値を算出するようにしてもよい。
T′=(I/ΔI + V/ΔV) ・・・(7)
このように、第1の値(I/ΔI)と第2の値(V/ΔV)との和に基づく第3の値T′を算出すればよい。
また、上記実施形態では、過去に取得した複数のデータの平均値を基準値として用いたが、これに限定されるものではない。例えば、過去に取得した複数のデータを統計的に処理する等により、基準値を設定してもよい。
また、基準値に範囲を設定してもよい(基準範囲)。そして、基準値の範囲(基準範囲)から外れた場合に、異常値と判定してもよい。例えば、正常と判定し得る範囲を基準範囲として設定し、取得されたデータが基準範囲の上限より大きい場合や、取得されたデータが基準範囲の下限より小さい場合や、取得されたデータの符号が基準範囲内の符号と異なる場合に、異常値と判定してもよい。
また、上記実施形態では、異常事象として、異常放電やチャンバ内の圧力異常等を検出する場合を例に説明したが、異常事象は、これらに限定されるものではない。例えば、ターゲットが消耗した場合等についても、異常事象として検出することが可能である。ターゲットが消耗した場合には、スパッタリング電流変化量ΔIやスパッタリング電圧変化量ΔV等が著しく小さくなるため、スパッタリング電流変化量ΔIやスパッタリング電圧変化量ΔV等が異常値となる。従って、スパッタリング電流変化量ΔIやスパッタリング電圧変化量ΔV等が異常値となったことに基づいて、ターゲットが消耗したという異常事象を検出することが可能である。
また、上記実施形態では、単位時間当たりのスパッタリング電流の変化量であるスパッタリング電流変化量ΔIを算出する際に、単位時間を1秒とする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。異常事象がスパッタリング電流変化量ΔIの値に顕在化しやすいように、単位時間を設定すればよい。
また、上記実施形態では、単位時間当たりのスパッタリング電圧の変化量であるスパッタリング電圧変化量ΔVを算出する際に、単位時間を1秒とする場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。異常事象がスパッタリング電圧変化量ΔVの値に顕在化しやすいように、単位時間を設定すればよい。
また、上記実施形態では、直流電源36を定電力制御する場合を例に説明したが、定電力制御の半導体製造装置に限定されるものではない。定電力制御の半導体製造装置でなくても、異常事象が生じた場合には、スパッタリング電流変化量ΔIやスパッタリング電圧変化量ΔVが著しく変動し場合があるからである。
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
スパッタリング用直流電源からスパッタリング電極に供給されるスパッタリング電流又はスパッタリング電圧を順次測定する測定部と、
前記スパッタリング電流の単位時間当たりの変化量であるスパッタリング電流変化量、前記スパッタリング電圧の単位時間当たりの変化量であるスパッタリング電圧変化量、前記スパッタリング電流を前記スパッタリング電流変化量で除算した値である第1の値、前記スパッタリング電圧を前記スパッタリング電圧変化量で除算した値である第2の値、又は、前記第1の値と前記第2の値との和に基づく第3の値が、異常値を示したことに基づいて、スパッタリングの際に異常事象が生じたことを検出する処理部と
を有することを特徴とする半導体製造装置。
(付記2)
付記1記載の半導体製造装置において、
前記スパッタリング電流変化量に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値と異なる符号の値であり、
前記スパッタリング電圧変化量に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値と異なる符号の値であり、
前記第1の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値と異なる符号の値であり、
前記第2の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値と異なる符号の値であり、
前記第3の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値と異なる符号の値である
ことを特徴とする半導体製造装置。
(付記3)
スパッタリング電流の単位時間当たりの変化量であるスパッタリング電流変化量、スパッタリング電圧の単位時間当たりの変化量であるスパッタリング電圧変化量、前記スパッタリング電流を前記スパッタリング電流変化量で除算した値である第1の値、前記スパッタリング電圧を前記スパッタリング電圧変化量で除算した値である第2の値、又は、前記第1の値と前記第2の値との和に基づく第3の値を算出するステップと、
前記スパッタリング電流変化量、前記スパッタリング電圧変化量、前記第1の値、前記第2の値又は前記第3の値が、異常値を示したことに基づいて、スパッタリングの際に異常事象が生じたことを検出するステップと
を有することを特徴とする半導体製造装置の異常検出方法。
(付記4)
付記3記載の半導体製造装置の異常検出方法において、
前記スパッタリング電流変化量に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値と異なる符号の値であり、
前記スパッタリング電圧変化量に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値と異なる符号の値であり、
前記第1の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値と異なる符号の値であり、
前記第2の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値と異なる符号の値であり、
前記第3の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値と異なる符号の値である
ことを特徴とする半導体製造装置の異常検出方法。
(付記5
スパッタリング電流又はスパッタリング電圧を順次測定しながら、基板上にスパッタリング法により第1の膜を成膜する工程を有し、
前記第1の膜を成膜する工程では、前記スパッタリング電流の単位時間当たりの変化量であるスパッタリング電流変化量、前記スパッタリング電圧の単位時間当たりの変化量であるスパッタリング電圧変化量、前記スパッタリング電流を前記スパッタリング電流変化量で除算した値である第1の値、前記スパッタリング電圧を前記スパッタリング電圧変化量で除算した値である第2の値、又は、前記第1の値と前記第2の値との和に基づく第3の値が、異常値を示したことに基づいて、異常事象が生じたことを検出する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記6)
付記5記載の半導体装置の製造方法において、
前記スパッタリング電流変化量に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電流変化量の平均値と異なる符号の値であり、
前記スパッタリング電圧変化量に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記スパッタリング電圧変化量の平均値と異なる符号の値であり、
前記第1の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第1の値の平均値と異なる符号の値であり、
前記第2の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第2の値の平均値と異なる符号の値であり、
前記第3の値に関する前記異常値は、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値の10分の1以下の値、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値の10倍以上の値、又は、過去に取得された複数の前記第3の値の平均値と異なる符号の値である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。