以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、この発明の第1実施形態による消音器1の構成を示す縦断面図である。本実施形態による消音器1は、トランペット用の消音器である。図1は、消音器1をトランペットに装着した状態を示す。図1に示すように、消音器1は、胴部11と底部12とマイクロフォン差し込み穴33aを形成する差し込み口33とから構成される本体部10を有する。消音器1では、本体部10の差し込み口33が形成するマイクロフォン差し込み穴33aにマイクロフォン22が固定された棒状部材21が差し込まれる。そして、マイクロフォン差し込み穴33aを介して差し込まれる棒状部材21は、本体部10の内側に固定されている中空のパイプ31内に収容される。このように、マイクロフォン22が固定された棒状部材21をマイクロフォン差し込み穴33aに差し込むことにより、本体部10にマイクロフォン22を装着することができる。また、マイクロフォン差し込み穴33aからマイクロフォン22が固定された棒状部材21を引き出すことにより、本体部10からマイクロフォン22を取り外すことができる。すなわち、消音器1は、本体部10に対してマイクロフォン22を着脱可能にしたものである。そして、差し込み口33が形成するマイクロフォン差し込み穴33aは、本体部10に対してマイクロフォン22を着脱するマイクロフォン着脱手段として機能している。また、消音器1は、マイクロフォン22が固定された棒状部材21をパイプ31内において当該パイプ31の軸方向に摺動することができる。すなわち、消音器1は、本体部10内においてマイクロフォン22の位置を移動可能にしたものである。また、マイクロフォン22が固定された棒状部材21は、消音器1の内部構成要素であっても良いし外部構成要素であっても良い。すなわち、マイクロフォン22が固定された棒状部材21を本体部10と一緒に流通させても良いし、同棒状部材21を本体部10とは別個に流通させても良い。
以下、消音器1の構成を詳細に説明する。
胴部11は、胴部11の内側に空洞13を有する略円錐管形状の中空の管体である。この胴部11は、前端である大径側端11aから後端である小径側端11bに向かってトランペットのベル3の内壁に沿うようにして外径および内径が小さくなっている。ここで、管楽器(トランペット)におけるベル3とは、音量を増大させるために管楽器の管の径が徐々に広げられた呼気の排出口付近の部分のことを言う。後端である小径側端11bは開口している。小径側端11b近傍の胴部11の外側面には、胴部11の軸の周りに亙って柔軟な素材からなる取り付け部14が設けられている。消音器1は、後端である小径側端からトランペットのベル3内に挿入される。そして、取り付け部14を介して小径側端11b近傍の胴部11は、トランペットのベル3の内壁に固定される。
底部12は、皿状であり、皿の底の部分が消音器1の軸近傍に位置している。また、底部12の縁の部分は、胴部11の大径側端11aと接着剤等により接合されている。底部12は、胴部11の前端である大径側端11aを閉塞する閉塞部として機能し、大径側端11aは閉塞端となっている。また、底部12は、胴部11がトランペットのベル3の内壁に固定されたときにベル3の端面近傍に位置する。より詳細には、底部12と胴部11の接合部近傍がベル3の端面に位置し、底部12は、当該底部12が湾曲している分だけベル3の端面よりも外側(前方側)に突出する。
底部12の内壁には、一端が底部12の内壁近傍において開口されているU字パイプ16の他端が固定されている。底部12のU字パイプ16が固定されている部分には、貫通孔15が設けられている。U字パイプ16の内径および貫通孔15の径は、トランペットのマウスピースの最小内径と同径以上となっている。トランペットのマウスピースから吹き込まれトランペット内を通過し、消音器1の胴部11の小径側端11bから消音器1内の空洞13に導入された呼気は、U字パイプ16を通過し貫通孔15から消音器1の外部の空間に排出される。
底部12の中心には、底部12を貫通する略円筒形状の差し込み口33が設けられている。この差し込み口33により消音器1の内側の空間と外側の空間とを連通するマイクロフォン差し込み穴33aが形成される。すなわち、このマイクロフォン差し込み穴33aは、本体部10の前端を閉塞する閉塞部である底部12において開口している穴であって、棒状部材21を差し込むための穴である。マイクロフォン差し込み口33は、マイクロフォン22が固定された棒状部材21を消音器1外から消音器1内に導く入口としての役割を果たすとともに、底部12と棒状部材21との間の隙間を少なくし消音器1内の気密を保つ役割を果たす。
パイプ31は、円筒形状をなしている中空の管体である。パイプ31は、胴部11の内側に収容され、胴部11の軸に沿って配置されている。パイプ31の軸方向の長さは、胴部11の軸方向の長さよりも長くなっている。パイプ31の一端は、差し込み口33の内側端(すなわち本体部10の内側)に固定されている。このパイプ31の差し込み口33側の端部は開口しており、差し込み口33を介してパイプ31の内側の空間と消音器1の外側の空間とが連通している。パイプ31の内径は、差し込み口33の内径と略同径となっている。パイプ31の他端には、音程調節部34が固定されている。パイプ31の音程調節部34側の端部には、パイプ31の軸へ向かう方向に延びた爪部32が設けられている。パイプ31の音程調節部34側の端部における爪部32の内側には、パイプ31の内側の空間と消音器1をベル3に装着したときにおけるベル3内の空間とを連通させる開口部が形成される。パイプ31の側面には、パイプ31の内側の空間と外側の空間とを連通させる開口部35が設けられている。この開口部35を介してパイプ31の外側の空間からパイプ31の内側の空間へ音波が入射する。開口部35は、例えば、パイプ31の軸に沿った穴がパイプ31の軸の周りに沿って複数設けられたものであるが、音波が十分にパイプ31内に入射されるものであれば良く、この態様に限られない。
音程調節部34は、略円錐管形状の中空の管体である。音程調節部34は、内側にパイプ31を収容しており、本体部10の胴部11よりもベル3の後端側に配置されている。音程調節部34は、前端である大径側端34aから後端である小径側端34bに向かってベル3の内壁に沿うようにして外径および内径が小さくなっている。大径側端34aは開口しており、小径側端34bはパイプ31における本体部10の内側に固定される端の反対側の端に固定されて閉塞している。従って、音程調節部34は、本体部10がベル3に固定された状態において、ベル3の内壁に向けて張り出した外周面を有している。この音程調節部34は、消音器1を装着して吹奏したときの音程が消音器1を装着しないで吹奏したときの音程からずれるのを抑制するために設けられる。また、音程調節部34の大径側端34aと胴部11の小径側端11bとの間には間隙がある。この間隙は、ベル3内の呼気および音を消音器1内に導く消音器1の入り口として機能する。
マイクロフォンユニット20は、棒状部材21とマイクロフォン22とマイクロフォンカプセル23と信号線24とパッキン25とから構成されている。棒状部材21は、パイプ31の内径および差し込み口33の内径よりも若干小さな外径を有する細長い丸棒状の部材である。棒状部材21の軸方向の長さは、パイプ31の軸方向の長さよりも長くなっている。棒状部材21の先端には、マイクロフォンカプセル23が固定されている。マイクロフォンカプセル23は、棒状部材21の外径と同径以下の外径を有する円筒形の容器である。マイクロフォンカプセル23の中にはマイクロフォン22が格納されている。すなわち、マイクロフォン22は棒状部材21に固定されている。マイクロフォン22は、例えば、無指向性のマイクロフォンである。マイクロフォンカプセル23の正面は、マイクロフォン22が収音し易いように少なくとも一部が開口している。マイクロフォン22に接続された信号線24は、棒状部材21の内部を通り棒状部材21の根元からパッキン25を介して棒状部材21の外部に連続している。この信号線24は、ヘッドホンアンプなどの外部装置に接続される。
棒状部材21は、マイクロフォンカプセル23側から差し込み口33のマイクロフォン差し込み穴33aに差し込まれて、パイプ31内に収容される。図1は、マイクロフォンカプセル23が爪部32に当接するまで差し込まれた状態を示している。図1に示すように、マイクロフォンカプセル23が爪部32に当接すると、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部は、棒状部材21の先端に固定されているマイクロフォン22(より正確には、マイクロフォンカプセル23)により閉塞される。パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部が閉塞されると、音程調節部34が適切に機能する。また、棒状部材21は、パイプ31内に収容されている当該棒状部材21をその根元側方向(ベル3の前方)に引っ張ることでパイプ31から引き出される。
棒状部材21は、差し込み口33において消音器1内の空間の気密を確保しつつ、パイプ31の中でパイプ31の軸方向に摺動可能である。すなわち、パイプ31は、棒状部材21を支えて棒状部材21の姿勢を維持させるとともに、棒状部材21の移動をガイドする役割を果たす。このため、当該消音器1の消音機能を確保しつつ、棒状部材21の先端に固定されているマイクロフォン22をパイプ31の軸方向の各位置に連続的に移動させることができる。すなわち、マイクロフォン22を消音器1内における消音器1の軸方向(ベル3の軸方向)の隅から隅まで(具体的には差し込み口33から音程調節部34の小径側端34bまで)連続的に移動させることができる。そして、マイクロフォン22を移動した位置における音質の音を収音することができる。
以上が、消音器1の構成である。
次に、本実施形態による消音器1の動作について説明する。図1に示すように、マイクロフォンカプセル23がパイプ31の爪部32に当接するまで棒状部材21をパイプ31内に挿入した場合、マイクロフォン22は、音程調節部34の小径側端34bに配置される。この場合、マイクロフォン22は、主に、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部およびマイクロフォンカプセル23の正面の開口部を介してベル3内からマイクロフォン22に到達する音(すなわちベル3内からの直接音)を収音する。また、マイクロフォン22は、胴部11の小径側端11bと音程調節部34の大径側端34aとの間の間隙を介してベル3内から消音器1内に入り、胴部11の小径側端11bから胴部11内の空間13に入り、底部12の内壁で反射し、胴部11の小径側端11bと音程調節部34の大径側端34aとの間の間隙を介して消音器1内からベル3内に入り、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部およびマイクロフォンカプセル23の正面の開口部を介してベル3内からマイクロフォン22に到達する音(すなわち底部12の内壁で反射した間接音)も収音する。そして、マイクロフォン22の位置が底部12から離れているため、ベル3内からの直接音と底部12の内壁で反射した間接音との間に経路差が生じ当該直接音と間接音とが干渉する。
また、消音器1の入り口付近(胴部11の小径側端11bと音程調節部34の大径側端34aとの間の間隙付近)の空気をマスとし、消音器1内部の空気をバネとするヘルムホルツ共鳴が生じる。
図2〜4は、棒状部材21を摺動してマイクロフォン22の位置を変えたときの消音器1の構成を示す縦断面図である。図2は、マイクロフォン22を胴部11の小径側端11bの端面近傍に配置した状態を示し、図3は、マイクロフォン22を底部12近傍に配置した状態を示し、図4は、棒状部材21をパイプ31から引き出してマイクロフォン22を本体部10から取り外した状態を示す。
図2に示すように、マイクロフォン22を胴部11の小径側端11bの端面近傍に配置する場合、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部に当該開口部を閉塞するキャップ36を取り付けてから消音器1をトランペットに装着する。これは、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部を介してベル3内から消音器1内に呼気が導入されないようにするためである。このキャップ36を取り付けることにより、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部をマイクロフォン22により閉塞したとき(マイクロフォンカプセル23を爪部32に当接させたとき)の音程性能と同様の音程性能を維持することができる。なお、キャップ36は、当該キャップ36を失くさないように紐などにより消音器1に連結されていても良い。
図2に示す場合、マイクロフォン22は、胴部11の小径側端11bと音程調節部34の大径側端34aとの間の間隙を介してベル3内から消音器1内に入り、胴部11の小径側端11b近傍におけるパイプ31の開口部35を介してパイプ31内に入り、マイクロフォンカプセル23の正面の開口部を介してマイクロフォン22に到達する音(すなわちベル3内からの直接音)を収音する。また、マイクロフォン22は、胴部11の小径側端11bと音程調節部34の大径側端34aとの間の間隙を介してベル3内から消音器1内に入り、胴部11の小径側端11bから胴部11内の空間13に入り、底部12の内壁で反射し、胴部11の小径側端11b近傍におけるパイプ31の開口部を介してパイプ31内に入り、マイクロフォンカプセル23の正面の開口部を介してマイクロフォン22に到達する音(すなわち底部12の内壁で反射した間接音)も収音する。そして、これら直接音と間接音とが干渉する。また、図1の場合と同様にヘルムホルツ共鳴が生じる。
図3に示すように、マイクロフォン22を底部12近傍に配置する場合も、図2と同様にパイプ31の音程調節部34側の端部における開口部に当該開口部を閉塞するキャップ36を取り付ける。図3に示す場合、マイクロフォン22は、主に、胴部11の小径側端11bと音程調節部34の大径側端34aとの間の間隙を介してベル3内から消音器1内に入り、胴部11の小径側端11bから胴部11内の空間13に入り、底部12近傍のパイプ31の開口部35を介してパイプ31内に入り、マイクロフォンカプセル23の正面の開口部を介してマイクロフォン22に到達する音(すなわちベル3内からの直接音)を収音する。この場合、マイクロフォン22の位置が底部12近傍であるため、ベル3内からの直接音と底部12の内壁で反射する間接音との間の経路差が少なく、直接音と間接音との干渉の影響は少なくなる。
図4に示すように、マイクロフォン22を本体部10から取り外した場合、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部に当該開口部を閉塞するキャップ36を取り付ける。それとともに、マイクロフォン差し込み穴33aを閉塞するキャップ37を差し込み口33の外側の端部に取り付ける。これは、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部を介してベル3内から消音器1内に呼気が導入されないようにするとともに、マイクロフォン差し込み穴33aを介して消音器1内の呼気が消音器1外に排出されないようにするためである。これにより、マイクロフォン22が本体部10に装着されたとき(棒状部材21がマイクロフォン差し込み穴33aに差し込まれたとき)と同様な音程性能を維持することができる。従って、マイクロフォン差し込み穴33aから棒状部材21を引き出し、キャップ36および37を取り付けることで、消音器1をマイクロフォン22を有しない消音器1として機能させることができる。なお、キャップ37は、キャップ36と同様に当該キャップ37を失くさないように紐などにより消音器1に連結されていても良い。
図5は、マイクロフォン22をパイプ31の音程調節部34側端、胴部11の小径側端11b近傍および底部12近傍の各々の位置に移動させたときのシミュレーションによる各周波数特性を示す図である。また、図6は、マイクロフォン22をパイプ31の音程調節部34側端、胴部11の小径側端11b近傍および底部12近傍の各々の位置に移動させたときの実測による各周波数特性を示す図である。F10およびF11はマイクロフォン22を音程調節部34側端に配置したときを示し、F20およびF21はマイクロフォン22を胴部11の小径側端11b近傍に配置したときを示し、F30およびF31はマイクロフォン22を底部12近傍に配置したときを示す。
マイクロフォン22を音程調節部34側端に配置したとき(F10およびF11)、200Hz近傍の低域にヘルムホルツ共鳴によるディップが生じる。また、3000Hz近傍の高域に、直接音と間接音との干渉によるディップが生じる。また、2000Hz近傍の高域において音圧レベルの低下は起こっていない。従って、マイクロフォン22を音程調節部34側端に配置すると、こもった音にはなり難いが癖のある音質の音が得られる。
マイクロフォン22を胴部11の小径側端11b近傍に配置したとき(F20およびF21)、800Hz近傍の中域にヘルムホルツ共鳴によるディップが生じる。また、音程調節部34側端に配置したときに比べ2000Hz近傍の高域の音圧レベルが少し低下している。また、高域に直接音と間接音との干渉によるディップが生じる。このため、音程調節部34側端に配置したときの音質とは異なる癖があり少しこもったような音質の音が得られる。
マイクロフォン22を底部12近傍に配置したとき(F30およびF31)、低域から中域にかけてヘルムホルツ共鳴によるディップは生じていないが、2000Hz近傍の高域の音圧レベルが低下している。これは、消音器1の入り口(胴部11の小径側端11bと音程調節部34の大径側端34aとの間の間隙)が狭く、マイクロフォン22が配置されている底部12に向かって消音器1内の容積が拡大している影響といえる。また、直接音と間接音との干渉によるディップは、実用上問題のない高域に生じる。従って、癖は少ないがこもったような音質の音が得られる。
マイクロフォン22をパイプ31内における音程調節部34側端、胴部11の小径側端11b近傍および底部12近傍のうちのいずれかに配置した場合について説明したが、マイクロフォン22は、パイプ31の軸に沿ってパイプ31の音程調節部34側端と差し込み口33側端との間を連続的に移動することができるため、音程調節部34側端と差し込み口33側端との間の各々の位置における音質の音を自由に選んで収音することができるのは勿論である。このとき、マイクロフォン22の位置が差し込み口33側端(底部12近傍)に近いほどこもった音になり易く、音程調節部34側端に近いほど癖がある音になり易い。また、パイプ31の音程調節部34側の端部における開口部を塞ぐキャップ36は、パイプ31の音程調節部34側端を棒状部材21の先端のマイクロフォン22により閉塞するとき以外のときに取り付けられる。
このように、本実施形態による消音器1は、後端である小径側端11bが開口しており、小径側端11b側からベル3内に挿入される中空の本体部10を有しており、マイクロフォン22が固定された棒状部材21を差し込むためのマイクロフォン差し込み穴33aが前端である大径側端11aを閉塞する底部12において開口しており、本体部10の内側にマイクロフォン差し込み穴33aを介して差し込まれる棒状部材21を収容する中空のパイプ31が固定されている。そして、マイクロフォン差し込み穴33aは、本体部10に対してマイクロフォン22を着脱するマイクロフォン着脱手段として機能している。このため、棒状部材21をマイクロフォン差し込み穴33aに差し込むことで本体部10にマイクロフォン22を取り付けることができ、棒状部材21をマイクロフォン差し込み穴33aから引き出すことで本体部10からマイクロフォン22を取り外すことができる。すなわち、本体部10に対してマイクロフォン22を着脱することができる。このため、マイクロフォン22を使用しない場合、マイクロフォン22を取り外すことで、消音器1の重量を軽くすることができ、ユーザの負担を軽減することができる。従って、マイクロフォン22を使用するユーザとマイクロフォンを使用しないユーザの両方に対しても使用することができる。
また、棒状部材21をパイプ31の中で摺動させることにより、棒状部材21に固定されたマイクロフォン22をパイプ31の軸方向の各位置に連続的に移動させることができる。すなわち、消音器1内の底部12近傍から音程調節部34の小径側端34bまでマイクロフォン22を連続的に移動できる。これにより、消音器1の底部12近傍から音程調節部34の小径側端34bまで(消音器1の軸方向の隅から隅まで)の各位置における音質の音の中からユーザの用途や好みにより適切な音質の音を自由に選んで収音することができる。例えば、音質に癖があってもこもったような音質よりも中高域の音がはっきり聴こえる音質の音の方が用途や好みに合えば、音程調節部34側端近傍にマイクロフォン22を配置すれば良い。また、長時間の演奏で耳が疲労してきた場合、マイクロフォン22を音程調節部34側端近傍から底部12近傍に移動させて中高域の音圧レベルが小さい音にし、中高域の刺激を減らすような使い方をしても良い。また、マイクロフォン22の出力信号にエフェクトをかける場合、素直にエフェクトがかかるように、こもっていても癖の少ない音質の音を得たいときには、マイクロフォン22を底部12近傍に位置させるようにすれば良い。逆に、癖のある音質にエフェクトをかけて個性的な音質の音を得たいときには、音程調節部34側端により近い位置にマイクロフォン22を移動させれば良い。
<第2実施形態>
図7は、この発明の第2実施形態による消音器1Aの構成を示す縦断面図である。本実施形態による消音器1Aは、棒状部材21Aに複数個(図7では3個)のマイクロフォン22a、22bおよび22cを設けた点において第1実施形態による消音器1と異なる。
図7に示すように、マイクロフォン22a〜22cが格納されたマイクロフォンカプセル23a〜23cは、棒状部材21Aの先端と、棒状部材21Aの中央近傍と、棒状部材21Aの根元近傍の各々の位置に1個ずつ固定されている。このとき、棒状部材21Aの先端以外の位置に固定されているマイクロフォンカプセル23bおよび23cの正面の位置の棒状部材21Aには、マイクロフォン22bおよび22cが収音し易いように、マイクロフォンカプセル23bおよび23cの正面と棒状部材21Aの外部とを連通する開口部27aおよび27bが設けられている。そして、棒状部材21Aの先端のマイクロフォンカプセル23aがパイプ31の爪部32に当接するまで棒状部材21Aをパイプ31に挿入したとき、棒状部材21Aの先端のマイクロフォン22aは、音程調節部34の先端に位置し、棒状部材21Aの中央近傍のマイクロフォン22bは胴部11の小径側端11bの端面近傍に位置し、棒状部材21Aの根元近傍のマイクロフォン22cは、底部12近傍に位置する。すなわち、マイクロフォン22a〜22cは、消音器1A内において消音器1Aの軸方向(ベル3の軸方向)に各々配置されている。なお、図7では、マイクロフォン22a〜22cおよびマイクロフォン22a〜22cが格納されたマイクロフォンカプセル23a〜23cの数を各々3個としているが、2個であっても良いし、3よりも大きな個数であっても良い。また、複数のマイクロフォン22a〜22cの位置は図7に示す位置に限られない。
本実施形態による消音器1Aでは、マイクロフォン22a〜22cの各々の出力信号が信号線24を介してヘッドホンアンプなどの外部装置に送られる。ユーザは、外部装置を操作することにより、マイクロフォン22a〜22cの各々の出力信号の中から1の出力信号を選択することができる。例えば、棒状部材21Aの先端に設けられたマイクロフォン22aの出力信号と棒状部材21Aの中央近傍に設けられたマイクロフォン22bの出力信号と棒状部材21Aの根元近傍に設けられたマイクロフォン22cの出力信号との中から棒状部材21Aの中央近傍に設けられたマイクロフォン22bの出力信号のみを選択する、という具合である。これにより、棒状部材21Aを差し込み口33からベル3の前方に大きく突出させることなくパイプ31の軸方向の各位置における音質の音を自由に選ぶことができる。そして、ユーザは、選択した出力信号が示す音質の音をヘッドホンなどにより聴くことができる。また、複数のマイクロフォン22a〜22cの各々の出力信号の中から1の出力信号を選択するとともに、棒状部材21Aをパイプ31の中で摺動させても良い。これにより、パイプ31の軸方向の各位置における音質の音をさらに細かく選ぶことができる。
また、ユーザは、外部装置を操作することにより、複数のマイクロフォン22a〜22cの各々の出力信号の中から、2以上の出力信号を選択することもできる。この場合、選択した2以上の出力信号をミックスした出力信号が得られる。例えば、棒状部材21Aの先端に設けられたマイクロフォン22aの出力信号と棒状部材21Aの中央近傍に設けられたマイクロフォン22bの出力信号とを選択すると、それらマイクロフォン22aの出力信号とマイクロフォン22bの出力信号とをミックスした出力信号が得られる、という具合である。このとき、マイクロフォン22a〜22cの出力信号のミックス比率を変えることができるようにしても良い。これにより、棒状部材21Aを差し込み口33からベルの前方に大きく突出させることなく、音質のバリエーションを増やすことができる。また、マイクロフォン22a〜22cの出力信号をミックスするとともに、棒状部材21Aをパイプ31の中で摺動させても良い。これにより、音質のバリエーションをさらに増やすことができる。各マイクロフォン22a〜22cの出力信号をミックスするとき、位相差がある出力信号をミックスすると干渉により意図しない音質となる恐れがあるため、各マイクロフォン22a〜22cの出力信号にディレイなどの信号処理を施した後にミックスする、帯域毎に各マイクロフォン22a〜22cの出力信号を割り当てる、などの処理を行うとなお良い。
また、本実施形態においても、棒状部材21Aをマイクロフォン差し込み穴33aに差し込むことができ、また、棒状部材21Aをマイクロフォン差し込み穴33aから引き出すことができるのは、第1実施形態と同様である。マイクロフォン差し込み穴33aがマイクロフォン着脱手段として機能するからである。従って、本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を奏する。
なお、複数のマイクロフォン22a〜22cの各々の出力信号の選択を外部機器において行う態様について説明したが、複数のマイクロフォン22a〜22cの各々の出力信号の選択を行う手段を消音器1Aに設けても良い。
<他の実施形態>
以上、この発明の第1および第2実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
(1)上記各実施形態では、トランペット用の消音器1および1Aを例に説明したが、トランペット以外の管楽器に用いる消音器においても同様な消音器を設計することができるのは勿論である。
(2)上記各実施形態による消音器1および1Aは、底部12がベル3の端面近傍に位置し音程調節部34が設けられた消音器1および1Aのマイクロフォン22を着脱可能にしたものである。しかし、底部12がベル3の端面近傍にない消音器や音程調節部が設けられていない消音器のマイクロフォンを着脱可能にしても良い。図8は、音程調節部がなく底部がベル3の端面から前方に大きく突き出した消音器1Bにおいてマイクロフォンを着脱可能にした例を示す縦断面図である。この消音器1Bは、底部52の中心の差し込み口33から胴部51の軸に沿って胴部51の開口端51bまで達するパイプ31を有している。そして、マイクロフォン22が固定された棒状部材21を差し込み口33が形成するマイクロフォン差し込み穴33aに差し込むことができ、同棒状部材21を同マイクロフォン差し込み穴33aから引き出すことができる。また、棒状部材21をパイプ31の中で摺動させることで、マイクロフォン22をパイプ31の軸方向における差し込み口33側端と開口端51b側端との間の各位置に移動することができる。従って、第1実施形態と同様な効果を奏する。
(3)マイクロフォンユニット20に電源(電池)43および無線送信機42を含む電装部41を搭載しても良い。図9は、この変形例による消音器1Cの構成を示す縦断面図である。消音器1Cでは、電源43および無線送信機42を含む電装部41が棒状部材21の根元に設けられている。この態様では、ユーザが無線受信機とヘッドホンアンプを有する装置を携帯することにより、マイクロフォンユニット20とヘッドホンアンプとの間の信号線を省略することができる。また、マイクロフォン22を本体部10から取り外すと電装部41も必然に取り外すことができる。従って、よりユーザの利便性が向上する。
(4)消音器1および1Aの本体部10に電源(電池)43および無線送信機42を含む電装部41を搭載しても良い。図10は、この変形例による消音器1Dの構成を示す縦断面図である。消音器1Dでは、電源43および無線送信機42を含む電装部41が差し込み口33の外側端に固定されている。また、電装部41には、マイクロフォンユニット20からの信号線24が接続される。なお、電装部41は、本体部10と一体となっていても良いし、本体部10に対して着脱可能であっても良い。この態様では、マイクロフォンユニット20からの信号線24の長さを短くすることができる。また、電装部41をマイクロフォンユニット20に設けた場合に比べ、管楽器に近い位置に電装部41が位置するため、ユーザが消音器1Dを装着した管楽器を保持したときのバランスがベル3の端面よりも前方側に偏ることを少なくすることができる。従って、よりユーザの利便性が向上する。
(5)上記各実施形態による消音器1および1Aでは、棒状部材21をパイプ31の中で摺動することでマイクロフォン22を移動させていた。しかし、マイクロフォン22の移動はこの態様に限られない。例えば、棒状部材21の側面と、差し込み口33の内壁あるいはパイプ31の内壁との各々にネジ山を施し、棒状部材21をパイプ31の中で回転することにより棒状部材21をパイプ31の軸方向に移動させるようにしても良い。
(6)マイクロフォンユニット20の棒状部材21の側面には、目盛や目印となる表示を設けても良い。目印となる表示は、例えば、マイクロフォン22により得られる音質の種類により棒状部材21の側面の色を変えるなどが挙げられる。目盛や目印となる表示を設けることで、パイプ31の中で移動するマイクロフォン22の位置や得られる音質の種類などをより容易に把握することができる。また、目盛や目印となる表示が示す位置を覚えておくことで、マイクロフォン22の位置を変えてしまってもマイクロフォン22を再度元の位置に戻すことができる。
(7)上記各実施形態による消音器1および1Aは、パイプ31の音程調節部34側端に爪部32を設け、パイプ31内に挿入した棒状部材21が爪部32よりもさらにベル3の後端方向に摺動しないようにしていた。しかし、パイプ31の音程調節部34側端に爪部32を設けず、パイプ31内に挿入した棒状部材21の先端に固定されたマイクロフォン22をパイプ31の音程調節部34側端よりもさらにベル3の後端方向に位置させることができるようにしても良い。マイクロフォン22をパイプ31の音程調節部34側端よりもさらにベル3の後端方向に位置させると、ヘルムホルツ共鳴によるディップが減少し、直接音と間接音との干渉によるディップがより低域側にシフトした音質の音を収音することができる。
(8)上記各実施形態による消音器1および1Aは、消音器1および1Aの軸方向の長さと同程度の長さを有するパイプ31を有していた。しかし、パイプ31の長さは、消音器の軸方向の長さよりも短くても良いし、消音器の軸方向の長さよりも長くても良い。パイプ31は、棒状部材21および21Aを支えることができれば良いからである。例えば、音程調節部34を設けない消音器にパイプ31を設ける場合において、パイプ31の長さを消音器の軸方向の長さよりも短くする態様、あるいは長くする態様などが考えられる。パイプ31の長さを消音器の軸方向の長さよりも短くする場合、パイプ31の先端に爪部32を設けないようにすることが好ましい。マイクロフォン22および22a〜22cが固定された棒状部材21および21Aを差し込み口33に差し込んだときに、マイクロフォン22および22a〜22cがパイプ31の先端を越えて消音器の後端方向に移動するのを阻害しないようにするためである。
また、パイプ31を消音器に設けないようにしても良い。少なくとも、消音器の前端を閉塞する閉塞部(底部12)にマイクロフォン22および22a〜22cが固定された棒状部材21および21Aを差し込むためのマイクロフォン差し込み穴33aがあれば、消音器の本体部10に対してマイクロフォン22および22a〜22cを着脱可能にすることができるからである。また、差し込み口33が形成するマイクロフォン差し込み穴33aに棒状部材21および21Aを差し込むときの差し込み程度を調整することにより、マイクロフォン22および22a〜22cを消音器内の各位置に移動することができ、ユーザ毎の用途や好みに従った音質の音を収音することができるからである。パイプ31を消音器に設けない場合、差し込み口33の軸方向の長さを差し込み口33が棒状部材21および21Aを支えるのに十分な長さとすることが好ましい。差し込み口33を介して差し込まれる棒状部材21および21Aおよびマイクロフォン22および22a〜22cの消音器内における姿勢を維持するためである。
(9)上記各実施形態による消音器1および1Aでは、本体部10に対してマイクロフォン22および22a〜22cを着脱するマイクロフォン着脱手段としてマイクロフォン22および22a〜22cが固定された棒状部材21および21Aを差し込むためのマイクロフォン差し込み穴33aが本体部10に設けられていた。しかし、マイクロフォン着脱手段は、この態様に限られず、種々の態様としても良い。また、マイクロフォン着脱手段は、本体部10に設けられる態様に限られず、本体部10とは別個に設けられていても良い。例えば、マイクロフォン着脱手段を別の構成により実現するものとして図11に示す消音器1Eが考えられる。図11(A)は、この変形例における消音器1Eの構成を示す縦断面図であり、図11(B)は、同消音器1Eの後端側から一部を透視して見たときの同消音器1Eの構成を示す透視背面図である。
本体部10Eは、円錐管形状の胴部11Eと、胴部11Eの前端である大径側端11Eaを閉塞する底部12Eとから構成されている。胴部11Eの後端である小径側端11Ebは開口している。本実施形態における底部12は、第1および第2実施形態において設けられていたマイクロフォン差し込み穴33aを有しない。
マイクロフォンユニット20Eは、マイクロフォンカプセル23Eと、支持部材26Eとから構成されている。マイクロフォンカプセル23Eは、円筒形の容器である。マイクロフォンカプセル23Eには、マイクロフォンと、マイクロフォンの出力信号を無線により外部装置に送信する無線送信機と、無線送信機を動作させる電源(電池)とが格納されている(何れも図示略)。
本実施形態による消音器1Eでは、支持部材26Eがマイクロフォン着脱手段としての役割を果たす。支持部材26Eは、大径パイプ26Ea内に小径棒26Ebが挿入される入子状をなしている。支持部材26Eの大径パイプ26Ea内には、バネなどの弾性部材26Ecが格納されている。また、大径パイプ26Eaと小径棒26Ebは、大径パイプ26Eaから小径棒26Ebが分離しないように係合している。支持部材26Eは、通常時、大径パイプ26Ea内に格納されている弾性部材26Ecの付勢力により大径パイプ26Ea内から小径棒26Ebが押し出され、当該支持部材26Eの長さが最も長くなっている。この支持部材26Eは、弾性部材26Ecの付勢力に抗して小径棒26Ebを大径パイプ26Ea内に収容するように操作することにより、当該支持部材26Eの長さを短くすることができる。また、支持部材26Eは、マイクロフォンカプセル23Eの軸の周りに沿った方向の90度毎に配置されており、大径パイプ26Eaにおける小径棒26Eb側端の反対側の端がマイクロフォンカプセル23Eの側面に固定されている。すなわち、マイクロフォンは、支持部材26Eに固定されている。また、小径棒26Ebにおける大径側パイプ26Ea側端の反対側の端(支持部材26Eの先端)には、ウレタンやゴムなどの柔軟な素材からなる取り付け部26Edが固定されている。また、通常時、1の支持部材26Eの先端の取り付け部26Edから、当該支持部材26Eに対してマイクロフォンカプセル23Eの軸の周りに沿った方向における180度の位置に配置された支持部材26Eの先端の取り付け部26Edまでの距離は、胴部11Eの大径側端11Eaにおける内径よりも大きくなっている。また、弾性部材26Ecの付勢力に抗して支持部材26Eの長さを短くすることにより、同180度の位置に配置された取り付け部26Ed間の距離を、胴部11Eの小径側端11Ebにおける内径よりも小さくすることができる。
次に、消音器1Eにおけるマイクロフォンの着脱について説明する。消音器1Eにマイクロフォンを装着する場合は、まず、各支持部材26Eの小径棒26Ebを弾性部材26Ecの付勢力に抗して大径パイプ26Ea内に収容するように操作して、各支持部材26Eの長さを短くする。次に、開口している胴部11Eの小径側端11Ebを介して各支持部26Eの長さを短くしたマイクロフォンユニット20Eを胴部11Eの外部から胴部11E内に挿入する。このとき、マイクロフォンユニット20Eを挿入する程度を調整することにより、マイクロフォン(マイクロフォンカプセル23E)を胴部11Eの軸方向における各位置(具体的には底部12E近傍から小径側端11Ebまで)に配置することができる。次に、胴部11E内において各支持部26Eの軸が胴部11Eの軸に対して垂直になるようにマイクロフォンユニット20Eの姿勢を調整する。次に、各支持部材26Eにおいて、弾性部材26Ecの付勢力に抗するように小径棒26Ebに加えた力を抜くように操作する。このようにすると、各支持部材26Eにおける小径棒26Ebは、弾性部材26Ecにより大径パイプ26Eaから押し出される方向(すなわち、胴部11Eの軸から遠ざかる方向)に付勢されて、その方向に移動する。そして、弾性部材26Ecの付勢力により、各支持部材26Eの先端の取り付け部26Edが胴部11Eの内壁に押し付けられる。このようにして、支持部材26Eが胴部11Eの内壁に固定されることにより、本体部10Eに対してマイクロフォンが装着される。
一方、マイクロフォンを本体部10Eから取り外すときは、マイクロフォンを装着する操作と逆順の操作を行えば良い。すなわち、胴部11Eの内壁に固定されているマイクロフォンユニット20Eの各支持部材26Eの長さを短くするように操作し、マイクロフォンユニット20Eを胴部11Eの小径側端11Ebを介して胴部11E内から胴部11Eの外部に取り出すようにすれば良い。
このように、この変形例の消音器1Eでは、マイクロフォンが固定され、かつ、本体部10E(胴部11E)の軸から遠ざかる方向に付勢されて本体部10E(胴部11E)の内壁に当接する支持部材26Eをマイクロフォン着脱手段として機能させている。この態様では、支持部材26Eを付勢状態で胴部11Eの内壁に当接することにより、支持部材26Eに固定されたマイクロフォンを本体部10Eに装着することができ、支持部材26Eを付勢力に抗するように操作することにより、支持部材26Eに固定されたマイクロフォンを本体部10Eから取り外すことができる。従って、この態様においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。なお、消音器1Eの支持部材26Eは、大径パイプ26Eaと小径棒26Ebとが入子状をなし、大径パイプ26Ea内に弾性部材26Ecを有するものであったが、支持部材26Eはこの態様に限られない。支持部材26Eは、本体部10Eの軸から遠ざかる方向に付勢されて本体部10Eの内壁に当接するものであれば良いからである。
(10)上記各実施形態による消音器1および1Aのマイクロフォン22および22a〜22cは、無指向性のマイクロフォンであった。しかし、マイクロフォン22および22a〜22cの各々を指向性のマイクロフォンにしても良い。例えば、棒状部材21の先端にベル3の後端方向に向けて単一指向性のマイクロフォンを固定した場合、ベル3内からの直接音に対して底部12の内壁で反射した間接音の音圧レベルを低減させて収音することができると考えられる。従って、直接音と間接音の干渉の影響は減少し、底部12の内壁から離れた位置にマイクロフォンを配置するときの音質の癖を低減することができる。なお、この態様では、マイクロフォンカプセル23の正面だけでなく同背面にも開口部を設ける必要がある。このため、高湿度の消音器内での使用に耐え得るようにマイクロフォンカプセル23の防水対策を十分にすることが好ましい。
(11)上記各実施形態による消音器1および1Aは、本体部10に対してマイクロフォン22および22a〜22cを着脱可能であり、かつ、マイクロフォン22および22a〜22cを胴部11の軸方向に移動可能であった。しかし、消音器は、本体部10に対してマイクロフォン22および22a〜22cを着脱可能であるがマイクロフォン22および22a〜22cを胴部11の軸方向に移動不可能である態様であっても良いし、マイクロフォン22および22a〜22cを胴部11の軸方向に移動可能であるが本体部10に対してマイクロフォン22および22a〜22cを着脱不可能である態様であっても良い。
(12)上記第2実施形態による消音器1Aは、棒状部材21Aに複数のマイクロフォン22a〜22cを設けていた。しかし、複数のマイクロフォンをパイプ31に設けても良い。この態様では、本体部10に対してマイクロフォンを着脱不可能となるが、複数のマイクロフォンのうちいずれかのマイクロフォンを選択する、または複数のマイクロフォンの出力信号をミックスすることによりパイプ31の軸方向の各位置における音質の音を選ぶことができる。すなわち、マイクロフォンをパイプ31の軸方向に移動したときと同様な効果が得られる。