JP6051004B2 - 音声認識装置、誤り修正モデル学習方法、及びプログラム - Google Patents
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この発明によれば、音声認識装置は、音声データが入力されると、現在格納している誤り修正モデルを用いて音声認識を行い、音声認識の結果得られた正解文候補をユーザ入力に従って修正する。音声認識装置は、正解単語列に含まれる各単語を音声データに基づいて時刻順に整列させ、正解文候補と正解単語列とから言語的な特徴を抽出する。音声認識装置は、抽出された言語的な特徴と、正解文候補及び整列された正解単語列それぞれの音響スコア及び言語スコアとに基づいて、誤り修正モデルに用いられる言語的な特徴の重みと複数の言語モデルの混合重みを統計的に算出し、現在格納している誤り修正モデル更新する。音声認識装置は、新たに入力された音声データを、更新された誤り修正モデルを用いて音声認識する。
これにより、音声認識装置は、誤り修正モデルを現在音声認識対象としている発話内容に適合させ、音声認識性能を改善することができる。
この発明によれば、音声認識装置は、正解文候補に含まれる認識誤りと、誤り修正モデルにより得られた正解文候補の音声認識のスコアとを用いて定められる評価関数により算出した評価値が、正解単語列の事後確率が最大であることを示す評価値、あるいは、正解文候補の期待される単語誤りが最も少ないことを示す評価値となるように言語的な特徴の重み及び言語モデルの混合重み決定し、誤り修正モデルを更新する。
これにより、音声認識装置は、言語的な特徴の重みと複数の言語モデルの混合重みを効率的に学習し、誤り修正モデルを更新することができる。
この発明によれば、音声認識装置は、新たな音声データが入力されるたびに誤り修正モデルを逐次更新する。
これにより、音声認識装置は、誤り修正モデルをリアルタイムで発話内容に適合させ、音声認識性能を改善することができる。
この発明によれば、音声認識装置は、言語的な特徴の重み及び言語モデルの混合重みを、正解文候補及び正解単語列に含まれる単語や音素などから得た言語的特徴に基づいて更新する。
これにより、音声認識装置は、現在の話題に応じて認識誤りを精度良く修正する誤り修正モデルを生成することができる。
音声認識の誤り傾向を反映した、いわゆる誤り修正モデルがすでに提案されている。この誤り修正モデルは、予め用意された大量の音声認識結果である学習データから静的に推定されることが多い。しかし、実際の音声認識では、学習データと音声認識対象が、その話題性において完全に適合することは多くはない。そのため、誤り修正モデルを利用した音声認識の性能は、必ずしも音声認識の対象となる発話の内容に対して最適とはいえない。誤り修正モデルにおいて言語モデルの誤り傾向を重み付けするモデルパラメータは学習データから静的に推定されるが、高い音声認識性能を目指すには、この静的に推定したモデルパラメータを評価対象の音声の認識結果を用いて逐次(オンライン)的に最適化する必要がある。
同図に示すように、本実施形態の音声認識装置は、入力音声を音声認識して発話の音声認識結果を逐次取得し、取得した音声認識結果とこの音声認識結果を修正して得られた正解単語列とを用いて、誤り修正モデルのモデルパラメータを推定する。このとき、本実施形態の音声認識装置は、誤り修正モデルのモデルパラメータに併せて混合モデル(混合言語モデル)の混合パラメータを同時に逐次推定するため、発話内容に適合した誤り修正モデルが得られる。よって、本実施形態の音声認識装置は、誤り修正モデルをその時の発話内容に逐次適合させて、入力音声の音声認識性能を改善することが可能となる。
このように、本実施形態の音声認識装置は、音声認識の誤りを修正する統計的な誤り修正モデルを逐次更新し、音声認識に適用する。
ベイズの定理によれば、音声入力xが与えられたとき、この音声入力xに対して尤もらしい単語列w^(「^」は、「ハット」を表す。)は、以下の式(1)により求めることができる。
また、P(x|w)は、単語列wに対する音響的な尤もらしさを示す尤度であり、そのスコア(音響スコア)は隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model、HMM)及びガウス混合分布(Gaussian Mixture Model,GMM)に代表される統計的音響モデル(以下、「音響モデル」と記載する。)に基づいて計算される。言い換えれば、ある音響特徴量が与えられたとき、複数の正解候補の単語それぞれに対する尤もらしさを表すスコアが音響スコアである。
(b)単語列wに含まれる連続しない単語2項組(u,v)の数
ある音声入力xに対して、音声認識結果whypおよび人手による修正結果(正解単語列)wrefが得られたとする。ここで、音声認識装置は、複数の音声認識結果を出力しても良く、その集合をWとする。音声認識では、ベイズの定理により事後確率が最大となる単語列を正解として出力する。従って、修正結果wrefの事後確率P(wref|x)は、集合Wに含まれる任意の音声認識結果whypの事後確率P(whyp|x)よりも大きくなる必要がある。
図2は、本発明の一実施形態による音声認識装置1の構成を示す機能ブロック図であり、発明と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。
音声認識装置1は、コンピュータ装置により実現され、同図に示すように、音声認識部11、誤り修正部12、整列部13、特徴量抽出部14、モデルパラメータ学習部15、音響モデル格納部21、言語モデル格納部22、及び誤り修正モデル格納部23を備えて構成される。
図3は、本実施形態による音声認識装置1の全体処理フローを示す図である。以下、同図に示す各ステップの処理について説明する。同図に示す処理を実行する前に、音声認識装置1の誤り修正モデル格納部23は、静的な学習データから決定した誤り修正モデルを初期値として格納しておく。ここでは、誤り修正モデルは、モデルパラメータΛの値を示すモデルパラメータデータD4と、混合パラメータΦの値を示す混合パラメータデータD5により表される。
音声認識部11は、入力音声データD1を音声認識し、各正解文候補の音響スコアを音響モデル格納部21に格納されている音響モデルから算出し、言語スコアを言語モデル格納部22に格納されている言語モデルから算出する。音声認識部11は、さらに各正解文候補の素性関数の値を算出すると、現在誤り修正モデル格納部23に格納されている誤り修正モデル(式(8)及び式(12))により、音声認識のスコアを算出する。音声認識部11は、算出されたスコアに従って尤もらしさの順に並べた複数の正解文候補whypを示す音声認識結果データD2を出力する。
誤り修正部12は、図示しない入力手段によりユーザが人手で入力した修正指示に従って、音声認識結果データD2が示す第1候補の正解文候補whypを正解単語列wrefに修正する。誤り修正部12は、修正により得られた正解単語列wrefを示す正解単語列データD3を整列部13に出力する。
図3において、整列部13は、正解単語列データD3と、入力音声データD1とを用いて、既存の技術により、正解単語列wrefを構成する各単語が発話された時刻を同定する。整列部13は、同定した各単語が発話された時刻の情報を正解単語列データD3に付加し、単語を発話された時刻順に整列する。
特徴量抽出部14は、音声認識結果データD2が示す各正解文候補whypの単語列と、正解単語列データD3が示す整列された正解単語列wrefの単語列とから、誤り修正モデルのパラメータ学習のために用いる言語的特徴に基づく素性関数を抽出する。素性関数のルールは、例えば、同一の発話内における連続する単語、単語を構成する音素、連続しない2単語以上の単語、音素間の共起関係、単語の構文的な情報または意味的な情報、などの言語的特徴である。
(b)単語列に連続しない単語2項組(u,v)が含まれる場合、その数を返す関数
(d)単語列に連続しない品詞2項組(c(u),c(v))が含まれる場合、その数を返す関数
(f)単語列に連続しない意味カテゴリ2項組(s(u),s(v))が含まれる場合、その数を返す関数
続いてモデルパラメータ学習部15は、誤り修正モデルのモデルパラメータΛと混合パラメータΦを学習する。
モデルパラメータ学習部15は、n=1を初期値とし、音声認識結果データD2が示す正解文候補whypとの中からn番目の正解文候補whypを選択する。
モデルパラメータ学習部15は、選択した正解文候補whypと、正解単語列データD3が示す正解単語列wrefの音響スコアと言語スコアを計算する。
具体的には、モデルパラメータ学習部15は、音響モデル格納部21に格納されている音響モデルを参照して、正解文候補whypの対数音響スコアh0(x,whyp)、及び正解単語列wrefの対数音響スコアh0(x,wref)を算出する。これらは、式(8)における対数音響スコアh0(x,w)である。なお、音響スコアの算出の際には、正解文候補whypや正解単語列wrefの各単語に付与された時刻情報により特定される入力音声データD1の部分が用いられる。
なお、正解単語列wrefの対数音響スコアh0(x,wref)及び対数言語スコアhn(whyp)は、最初のループのみで算出すればよい。
モデルパラメータ学習部15は、各正解文候補whypと正解単語列wrefのそれぞれから、特徴量抽出部14が定めた素性関数fiの値fi(whyp)、fi(wref)を算出する。さらに、モデルパラメータ学習部15は、各正解文候補whypを単語列wとし、ステップS51において計算した音響スコア及び言語スコアと、算出した素性関数の値を用いて、式(8)により事後確率P(whyp|x)を算出する。式(8)に用いるモデルパラメータΛと混合パラメータΦの値は、現在の誤り修正モデルに使用されている値である。なお、正解単語列wrefの素性関数fiの値fi(wref)は、最初のループのみで算出すればよい。
モデルパラメータ学習部15は、選択した正解文候補whypと、正解単語列wrefとを比較し、編集距離R(wref,whyp)を動的計画法に基づいて計算する。
モデルパラメータ学習部15は、音声認識結果データD2が示す正解文候補whypを全て選択したかを判断する。モデルパラメータ学習部15は、まだ未選択の正解文候補whypがあると判断した場合は、現在のnの値に1を加算してステップS50からの処理を繰り返し、全て選択済みであると判断した場合は、ステップS55の処理を実行する。
モデルパラメータ学習部15は、現在のモデルパラメータΛ及び混合パラメータΦの値を用いて、式(10)及び式(11)により、式(9)のモデルパラメータΛ、混合パラメータΦに関する勾配ΔΛ、ΔΦを求める。モデルパラメータ学習部15は、式(10)及び式(11)における編集距離R(wref,whyp)に、ステップS53において算出した値を用い、事後確率P(whyp|x)に、ステップS52において算出した値を用いる。また、モデルパラメータ学習部15は、対数言語スコアhn(whyp)、hn(w’)に、ステップS51において算出した対数言語スコアhn(whyp)及びhn(wref)の値を、素性関数fi(whyp)、fi(w’)に、ステップS52において算出したfi(whyp)及びfi(wref)の値を用いる。なお、モデルパラメータ学習部15は、言語スコアP(w’)を、ステップS52において算出した対数言語スコアhn(whyp)、hn(wref)の値を用いて式(6)により算出する。
モデルパラメータ学習部15は、ステップS55において求めた勾配ΔΛ、ΔΦを用いて、式(13)及び式(14)により、または、式(15)及び式(16)により、モデルパラメータΛ及び混合パラメータΦを更新する。なお、式(13)、式(14)における係数ηΛ、ηΦは、予め定めた値を用いる。
モデルパラメータ学習部15は、更新後のモデルパラメータΛの値を示すモデルパラメータデータD4と、更新後の混合パラメータΦの値を示す混合パラメータデータD5により、誤り修正モデル格納部23に現在格納されているモデルパラメータデータD4と混合パラメータデータD5を更新する。
本実施形態の音声認識装置1によれば、認識率を向上させたい話題の情報を、音声認識結果から逐次的に反映した誤り修正モデルが構成可能となる。これにより、学習データと発話内容のミスマッチを解消し、音声認識で用いる誤り修正モデルを発話内容に対して最適化し、従来よりも認識誤りを削減することができる。
また、本実施形態の音声認識装置1によれば、複数の言語モデルの混合パラメータを誤り修正モデルのモデルパラメータ推定と同時に行うため、従来よりも認識誤りを削減することができる。
なお、上述の音声認識装置1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、音声認識装置1の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
11 音声認識部
12 誤り修正部
13 整列部
14 特徴量抽出部
15 モデルパラメータ学習部
21 音響モデル格納部
22 言語モデル格納部
23 誤り修正モデル格納部
Claims (6)
- 複数の言語モデルを混合重みに従って混合した混合モデルに基づいて得られる言語スコアを、重み付けされた言語的な特徴により修正した値を用いて音声認識のスコアを算出する式である誤り修正モデルを格納する誤り修正モデル格納部と、
入力された音声データを前記誤り修正モデル格納部に格納されている前記誤り修正モデルを用いて音声認識し、音声認識の結果得られた正解文候補を出力する音声認識部と、
前記音声認識部から出力された前記正解文候補をユーザ入力に従って修正し、正解単語列を生成する誤り修正部と、
前記誤り修正部が生成した前記正解単語列に含まれる各単語を前記音声データに基づいて時刻順に整列させる整列部と、
前記正解文候補と前記整列された正解単語列とから言語的な特徴を抽出する特徴量抽出部と、
前記特徴量抽出部により抽出された前記言語的な特徴と、前記正解文候補及び前記整列された正解単語列の音響スコア及び言語スコアとに基づいて前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを統計的に算出し、前記誤り修正モデル格納部に格納されている前記誤り修正モデルを、算出した前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを用いた誤り修正モデルに更新するモデルパラメータ学習部と、
を備えることを特徴とする音声認識装置。 - 前記モデルパラメータ学習部は、前記正解単語列との比較により得られる前記正解文候補の認識誤りと、前記誤り修正モデルにより得られた前記正解文候補の音声認識のスコアとを用いて定められる評価関数によって算出した評価値に基づいて、前記正解単語列の事後確率が最大、あるいは、前記正解文候補の認識誤りが最小となるように前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを統計的に算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の音声認識装置。 - 前記モデルパラメータ学習部は、前記音声認識部が音声データの音声認識を行う度に前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを算出し、前記誤り修正モデル格納部に格納されている前記誤り修正モデルを、算出した前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを用いた誤り修正モデルに逐次更新する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音声認識装置。 - 前記特徴量抽出部は、連続する単語、単語を構成する音素、連続しない複数の単語、音素間の共起関係、単語の構文的な情報、または単語の意味的な情報に基づいて前記言語的な特徴を抽出する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の音声認識装置。 - 複数の言語モデルを混合重みに従って混合した混合モデルに基づいて得られる言語スコアを、重み付けされた言語的な特徴により修正した値を用いて音声認識のスコアを算出する式である誤り修正モデルを格納する誤り修正モデル格納過程と、
入力された音声データを前記誤り修正モデル格納過程において格納された前記誤り修正モデルを用いて音声認識し、音声認識の結果得られた正解文候補を出力する音声認識過程と、
前記音声認識過程において出力された前記正解文候補をユーザ入力に従って修正し、正解単語列を生成する誤り修正過程と、
前記誤り修正過程において生成された前記正解単語列に含まれる各単語を前記音声データに基づいて時刻順に整列させる整列過程と、
前記正解文候補と前記整列された正解単語列とから言語的な特徴を抽出する特徴量抽出過程と、
前記特徴量抽出過程において抽出された前記言語的な特徴と、前記正解文候補及び前記整列された正解単語列の音響スコア及び言語スコアとに基づいて前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを統計的に算出し、現在格納されている前記誤り修正モデルを、算出した前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを用いた誤り修正モデルに更新するモデルパラメータ学習過程と、
を有することを特徴とする誤り修正モデル学習方法。 - コンピュータを、
複数の言語モデルを混合重みに従って混合した混合モデルに基づいて得られる言語スコアを、重み付けされた言語的な特徴により修正した値を用いて音声認識のスコアを算出する式である誤り修正モデルを格納する誤り修正モデル格納手段と、
入力された音声データを前記誤り修正モデル格納手段に格納されている前記誤り修正モデルを用いて音声認識し、音声認識の結果得られた正解文候補を出力する音声認識手段と、
前記音声認識手段から出力された前記正解文候補をユーザ入力に従って修正し、正解単語列を生成する誤り修正手段と、
前記誤り修正手段が生成した前記正解単語列に含まれる各単語を前記音声データに基づいて時刻順に整列させる整列手段と、
前記正解文候補と前記整列された正解単語列とから言語的な特徴を抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段により抽出された前記言語的な特徴と、前記正解文候補及び前記整列された正解単語列の音響スコア及び言語スコアとに基づいて前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを統計的に算出し、前記誤り修正モデル格納手段に格納されている前記誤り修正モデルを、算出した前記言語的な特徴の重み及び前記言語モデルの混合重みを用いた誤り修正モデルに更新するモデルパラメータ学習手段と、
を具備する音声認識装置として機能させるためのプログラム。
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