JP6048949B2 - 同種間での移植心臓、移植血管、または移植腎臓の生着を維持するために用いられる薬剤 - Google Patents

同種間での移植心臓、移植血管、または移植腎臓の生着を維持するために用いられる薬剤 Download PDF

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Description

本発明は、同種間での移植心臓、移植血管、または移植腎臓の生着を維持するために用いられる薬剤に関する。
ドナーの固形臓器をレシピエント(ドナーから臓器を受け取る者)に移植すると拒絶反応が起こる。たとえば、心移植、血管移植、腎臓移植の場合、移植された心臓や血管、腎臓は、一時的には生着しているものの、次第に剥離などが見られるようになる。そのため、移植医療分野においては、このような拒絶反応を抑制するために、様々な免疫抑制剤が開発されている。
たとえば、特許文献1には、IL−6阻害剤(たとえば、IL−6受容体を認識する抗体)を有効成分として含有する、心移植における急性拒絶反応などに用いられる、細胞傷害性T細胞の誘導抑制剤が開示されている(特許請求の範囲など)。
ところで、DNAM−1は、CD226とも称され、分子量65kDaの免疫グロブリンスーパーファミリーに属する接着分子である。ヒトおよびマウスともにCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞、NK細胞、マクロファージ、樹状細胞など、種々の免疫細胞に発現している。
非特許文献1では、DNAM−1は巨核球・血小板にも発現しており、その機能としては、血小板の凝集などの活性化や血管内皮細胞への接着などが示唆されているものの、DNAM−1の機能は、依然として未解明である。
再表2007/058194
Kojima, H., H. Kanada, S. Shimizu, E. Kasama, K. Shibuya, H. Nakauchi, T. Nagasawa, & A. Shibuya. "CD226 mediates platelet and megakaryocytic cell adhesion to vascular endothelial cells" J. Biol.Chem., 278:36748-36753,2003.
本発明は、同種間での移植心臓、移植血管、または移植腎臓の生着を長期間に亘って維持できる、新規の薬剤を提供することを目的とする。
本発明者は、DNAM−1の機能について検討した結果、以下のような知見を得た。
1)心臓、血管、腎臓の同種移植において、DNAM−1分子遺伝子欠損マウスをレシピエントとした際に、野生型マウスをレシピエントとした場合と比較すると、移植した心臓、血管、腎臓の生着期間が延長すること、
2)また野生型マウスにDNAM−1に対する中和抗体(TX42)を投与しておくと、心臓、血管の生着期間が延長すること、
3)CD8+細胞上のDNAM−1が臓器移植拒絶に働くこと、
4)さらにDNAM−1がメモリーCD8+T細胞の誘導を促進し、急性拒絶のみならず慢性拒絶にも働いていること。
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、具体的には以下のとおりである。
[1]DNAM−1中和抗体を有効成分として含む、同種間での移植心臓、移植血管、または移植腎臓の生着を維持するために用いられる薬剤。
[2]前記DNAM−1中和抗体が、TX42である、[1]に記載の薬剤。
[3]さらに、免疫抑制剤を含む、[1]または[2]に記載の薬剤。
[4]前記免疫抑制剤が、FK506(タクロリムス)である、[3]に記載の薬剤。
本発明の薬剤によれば、DNAM−1の機能を阻害することで、同種間での移植心臓、移植血管、または移植腎臓の生着を長期間に亘って維持できる。
図1(A)〜(D)は、試験例Aで得られた結果を示す図面である。 図2-1(A)および(B)は、試験例Bで得られた結果を示す図面である。 図2-2(C)は、試験例Bで得られた結果を示す図面である。 図3-1(A)および(B)は、試験例Cで得られた結果を示す図面である。 図3-2(C)は、試験例Cで得られた結果を示す図面である。 図4-1(A)は、試験例Dで得られた結果を示す図面である。 図4-2(B)は、試験例Dで得られた結果を示す図面である。
本発明に係る薬剤について、以下詳細に説明する。
1.本発明の薬剤
本発明に係る薬剤は、同種間での移植心臓、移植血管、または移植腎臓の生着を維持するために使用され、有効成分としてDNAM−1に対する中和抗体(a)を含み、必要に応じて、各種任意成分を含んでいてもよい。
本発明の薬剤に有効成分として含まれる中和抗体(a)は、DNAM−1に対する抗体であって、DNAM−1の機能を喪失乃至低下させる限り特に限定されない。また、中和抗体(a)は、たとえば、TX42モノクローナル抗体などのモノクローナル抗体であってもよいし、ポリクローナル抗体であってもよい。
また、生着延長効果が向上するという観点からは、本発明の薬剤は、FK506(タクロリムス)などの免疫抑制剤を含んでいることが好ましい。
本発明の薬剤は、必要に応じて、薬学的に許容され得る担体を含んでいてもよい。
薬学的に許容され得る担体とは、本発明の目的に反しないものである限り特に限定されず、たとえば、水性希釈剤や非水性希釈剤等の希釈剤、抗酸化剤(亜硫酸塩など)等の安定剤・保存剤、リン酸塩類等の緩衝剤、界面活性剤等の乳化剤、着色剤、粘稠剤、リドカインなどの局所麻酔剤、グリコール類などの溶解補助剤、塩化ナトリウムやグリセリン等の等張化剤あるいはその他の添加剤等が挙げられる。
本発明の薬剤は、剤形が注射剤である場合、所望の粘度や含有成分の濃度になるように希釈剤を含み、中和抗体(a)が希釈剤に溶解または分散されていることが好ましい。このような希釈剤としては、生理食塩水または市販の注射用蒸留水等の水性希釈剤、ポリエチレングリコール、エタノール等のアルコール類等の非水性希釈剤が挙げられる。
なお、剤形が注射剤である場合、フィルターによる濾過滅菌されてもよいし、殺菌剤の配合等により無菌化されてもよく、注射剤として使用する場合、用時調製の形態としてもよい。たとえば、凍結乾燥法などによって中和抗体(a)を含む固体剤を調製し、使用前に希釈剤に溶解または分散させて使用することができる。
2.本発明の薬剤の用途・使用方法
本発明の薬剤は、同種間(すなわち、ドナーとレシピエントとが同種類の哺乳類)の心移植、血管移植、腎移植後に生じる拒絶反応を抑制させ、移植された心臓や血管、腎臓の生着期間を延長するために使用される。
ここで、本発明の薬剤の投与形態は、たとえば静脈内注射、動脈内注射、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射、腹腔内注射等の注射投与などが挙げられるが、生着延長効果が向上するという観点からは、静脈内注射が好ましい。なお、本発明の薬剤の投与回数は、特に限定されないが、たとえば、1日あたり1回〜数回である。
また、本発明の薬剤の投与量は、患者の年齢、性別、体重及び症状、必要とされる治療効果の程度、投与方法、処理時間、あるいは中和抗体(a)の含有量などにより異なり、適宜調整されてもよい。生着延長効果を一層向上させるという観点からは、本発明の薬剤には、投与されるヒトまたは動物1kgあたり中和抗体(a)の投与量が通常0.1〜1,000mg、好ましくは1〜100mg、より好ましくは5〜20mgになるように製剤化されている。
以下、本発明を、実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
[実施例で使用したマウス]
(i)C57BL/6(H−2b)野生型マウス(WTマウス)
(ii)C57BL/6(H−2b)DNAM−1ノックアウトマウス(DNAM−1 KOマウス)
なお、DNAM−1欠損マウスは、DNAM−1遺伝子の第エクソン2、3を欠損している。
(iii)CB6F1マウス
BALB/cマウスと上記C57BL/6(H−2b)野生型マウス(WTマウス)との交配で得られたマウスを、「CB6F1マウス」とした。
また、各試験群間における生存率の統計学的有意差は、ログランク試験で評価した。また、増殖アッセイでは、Student’s t検定で評価した。P値<0.05を、有意なものとみなした。
[試験例A:マウス心移植拒絶に対する抗DNAM−1の効果]
1.実施例A1
C57BL/6(H−2b)野生型マウス(野生型マウス、WTマウス)またはC57BL/6(H−2b)DNAM−1ノックアウトマウス(DNAM-1 KOマウス)をレシピエントとし、BALB/C(H−2d)野生型マウス(WTマウス)をドナーマウスとして用い、マウス心移植試験(異所性心移植試験)を実施した。
具体的には、まず、摘出したドナーマウスの心臓の上行大動脈および肺動脈を、それぞれ、レシピエントマウスの腹部大動脈および下大静脈に端側吻合して、ドナーマウスの心臓をレシピエントマウスに移植した。移植した翌日、触診にてレシピエントマウスの移植心臓の拍動を観察し、該移植心臓の拍動が停止した日を拒絶日として移植心の生存率を評価した。
図1(A)に示されるように、シピエントマウスがKOマウスである場合、DNAM−1 WTマウスである場合よりも、有意に生存期間が長いことが示される。すなわち、レシピエントの免疫細胞に発現するDNAM−1が同種心移植拒絶に重要な役割を担うことが理解される。
2.実施例A2
レシピエントマウスとしてC57BL/6(H−2b)WTマウス、ドナーマウスとしてBALB/C(H−2d)野生型マウス(WTマウス)の心臓を用いて、実施例A1と同様にして、マウス心移植試験(異所性心移植試験)を実施した。レシピエントマウスに、移植前(移植日数:0日)、移植日数3日目、6日目、9日目および12日目において、DNAM−1の中和抗体である「TX42」またはコントロール抗体(ラットIgG)を、0.25mg/レシピエントマウスの投与量になるように、腹腔内注射で投与し、実施例A1と同様にして移植心の生存率を評価した。
さらに、移植後0日(すなわち移植前)、移植日数1日目、2日目、3日目、5日目、7日目および9日目において、DNAM−1の中和抗体である「TX42」、DNAM−1の中和抗体である「10E5」(eBioscience社製)またはコントロール抗体(ラットIgG)を、0.1mg/レシピエントマウスの投与量になるように、腹腔内注射で投与し、実施例1と同様にして移植心の生存率を評価した。
得られた結果を図1(B)に示す。図1(B)に示されるように、投与抗体が、「TX42」または「10E5」である場合において、コントロール抗体である場合に比べて、有意に移植心の生存期間が長かった。すなわち、レシピエントの免疫細胞に発現するDNAM−1の機能を抑制することで、同種心移植拒絶を抑制できることが理解される。
3.実施例A3
ドナーマウスとして、CB6F1マウス(雄または雌)を用い、抗体をレシピエントに腹腔内注射で投与した日時を、移植後0日(すなわち移植前)、3日目、6日目、9日目および12日目としたことを除いては、実施例A2と同様にして、マウス心移植(異所性心移植)および抗体を投与し、移植心の生存率を評価した。
得られた結果を図1(C)に示す。図1(C)に示されるように、投与抗体が、「TX42」である場合は、コントロール抗体である場合に比べて、有意に移植心臓の生存期間が長かった。すなわち、レシピエントの免疫細胞に発現するDNAM−1の機能を抑制することで、同種心移植拒絶を抑制することができることが理解できる。
4.実施例A4
免疫抑制剤である「FK506」(Sigma社製)を、移植後0日から6日目にかけて連続的に、0.1mg/マウス体重1kgの投与量になるように、腹腔内注射で投与したことを除いては、実施例A3と同様にして、マウス心移植(異所性心移植)を実施するとともに、抗体を投与し、移植心の生存率を評価した。
得られた結果を図1(D)に示す。図1(D)に示されるように、「TX42」と「FK506」との両方を投与した場合、コントロール抗体とFK506とを投与した場合に比べて、有意に移植心臓の生存期間が長かった。すなわち、免疫抑制剤に抗DNAM−1中和抗体を加えることで、より強力に同種心移植拒絶を抑制できることが理解される。
[試験例B:マウス血管移植拒絶に対する抗DNAM−1の効果]
1.実施例B1
C57BL/6(H−2b)WTマウスまたはDNAM−1 KOマウスをレシピエントとし、BALB/c(H−2d)マウスをドナーマウスとして用い、マウス血管移植試験を実施した。
具体的には、摘出したドナーマウスの腹部大動脈を、それぞれ、レシピエントマウスの腹部大動脈に端端吻合して、ドナーマウスの腹部大動脈をレシピエントマウスに移植した。
また、移植後0日目、12日目および20日目において、免疫抑制剤「FK506」を、0または0.1mg/マウス体重1kgの投与量で、皮下注射で投与した。
移植42日後にレシピエントマウスから採血およびドナーマウス由来の移植片を回収して、下記基準に基づいて、アロ抗原特異的抗体価を測定し、病理解析を実施した。
[病理解析]
回収された移植片を、10%ホルマリン緩衝液で固定し、パラフィンで包埋した後、切片を作成し、HE(ヘマトキシリン・エオシン)で染色した。染色された切片を顕微鏡観察に供し、血管内膜部分の面積(mm2)を算出して、肥厚の程度を比較した。
[アロ抗原特異的抗体価]
レシピエントから採血して得られた血漿を用いて抗アロ抗体価を測定した。
具体的には、BALB/cマウス由来の脾細胞(細胞数:1.5×105)に、PBS/2% FBSで希釈した血漿を全量25μlになるように加え、氷上で30分インキュベートした。次いで、PBS/2% FBSで洗浄した後、2次抗体として、FITC−結合型抗マウスIgG1、IgG2aまたはIgG2b(何れも、BD Biosciences社製)を用いて氷上で30分染色した。染色後、再度PBS/2% FBSで洗浄した後、2次抗体が細胞表面上に結合した細胞数をフローサイトメーター(FACSCalibur、日本BD社製)で測定した。そして、アロ抗原特異的抗体価を、異なる希釈率で上記血漿を加えたときの各2次抗体の陽性細胞の割合(%)として算出した。
図2−1(A)および(B)に示されるように、レシピエントマウスが、DNAM−1 KOマウスである場合より、WTマウスである場合の方が、有意に移植血管の内膜の肥厚の程度が大きかった。また、図2−2(C)に示されるように、免疫抑制剤を投与すると、同種抗原に対するIgG1抗体の産生も、レシピエントマウスが、DNAM−1 KOマウスである場合より、WTマウスである場合の方が、高いことが分かる。
これらの結果から、レシピエントの免疫細胞に発現するDNAM−1が同種血管移植拒絶に重要な役割を担うことが理解される。
[試験例C:同種抗原に対するメモリーT細胞の誘導におけるDNAM−1の役割]
1.実施例C1
C57BL/6(H−2b)WTマウスまたはDNAM−1 KOマウスをレシピエントとし、BALB/cマウス由来の皮膚を移植した。
移植から6週間経過後に、ドナーマウスとしてCB6F1マウスまたはBALB/cマウス由来の心臓の上行大動脈および肺動脈を、それぞれ、レシピエントマウスの腹部大動脈および下大静脈に端側吻合して、ドナーマウスの心臓をレシピエントマウスに移植した。
移植した翌日、触診にてレシピエントマウスの移植心臓の拍動を観察し、該移植心臓の拍動が停止した日を拒絶日として移植心の生存率を評価した。結果を図3−1(A)に示す。
図3−1(A)に示されるように、移植心の生存期間は、ドナーマウスがCB6F1マウスである時、レシピエントマウスがDNAM−1 KOマウスである場合、WTマウスである場合に比べて、有意に延長した。
2.実施例C2
実施例3Aで得られたBALB/cマウス由来の皮膚が移植されて6週間経過後のWTマウスまたはDNAM−1 KOマウスから、脾臓CD8+T細胞を調製した。調製されたCD8+T細胞を、免疫不全マウスであるRag1遺伝子欠損マウス移入して、レシピエントマウスを作製した。
また、皮膚移植をしなかったWTまたはKOのC57BL/6マウスの脾臓CD8+T細胞を調製し、調製されたナイーブCD8+T細胞を、免疫不全マウスであるRag1遺伝子欠損マウス移入して、コントロール用レシピエントマウスを作製した。
これらのレシピエントマウスに、BALB/cマウス由来の心臓の上行大動脈および肺動脈を、それぞれ、レシピエントマウスの腹部大動脈および下大静脈に端側吻合して、ドナーマウスの心臓をレシピエントマウスに移植した。
移植した翌日、触診にてレシピエントマウスの移植心臓の拍動を観察し、該移植心臓の拍動が停止した日を拒絶日として移植心の生存率を評価した。レシピエントマウスとしてWTマウスと、ドナーマウスとしてWTマウスおよびDNAM−1 KOマウスとを用いて得られた結果を図3−2(C)に示す。
図3−2(C)に示されるように、皮膚移植を受けた野生型C57BL/6マウスCD8+T細胞を移入したRag1遺伝子欠損マウスでは、皮膚移植を受けたKO C57BL/6マウスCD8+T細胞を移入したRag1遺伝子欠損マウスよりも有意に移植心の生存期間が短かった。すなわち、DNAM−1は同種抗原特異的メモリーCD8+T細胞の誘導に重要な役割を担うことが理解される。
3.実施例C3
DNAM−1 遺伝子欠損C57BL/6マウスまたは野生型C57BL/6マウスに、BALB/cマウス由来の皮膚を移植し、移植後6週間後に、各マウスの脾臓からCD4+T細胞およびCD8+T細胞を調製した。コントロールとして、皮膚移植をしなかった野生型C57BL/6マウスの脾臓CD4+T細胞およびCD8+T細胞を調製した。
これらのT細胞に、同系マウス(C57BL/6マウス)、または同種マウス(BALB/cまたはC3H)からの脾細胞を加えて刺激し、T細胞の増殖を解析した。
図3−2(C)に示されるように、同系マウス(C57BL/6)の刺激ではCD4+T細胞およびCD8+T細胞の両方ともほとんど増殖しなかったが、BALB/cマウスの脾細胞で刺激した野生型CD4+T細胞およびCD8+T細胞では、二次刺激をしない野生型CD4+T細胞およびCD8+T細胞に比べて有意に増殖が亢進した。しかし、DNAM−1遺伝子欠損C57BL/6マウスからのCD4+T細胞およびCD8+T細胞は、BALB/cマウスの脾細胞で刺激しても増殖の亢進がみられなかった。以上の結果から、DNAM−1は同種抗原特異的メモリーCD8+T細胞の誘導に重要な役割を担うことが理解される。
[試験例D:同種腎移植拒絶におけるDNAM−1の役割]
1.実施例D1
C57BL/6(H−2b)WTマウスまたはDNAM−1 KOマウス、またはBALB/cマウスをレシピエントとし、BALB/cマウス由来の腎臓を移植した。具体的には、ドナーの右腎臓を摘出し、このとき、腎動脈、腎静脈と一緒に腹部大動脈、後大静脈の一部も含めて摘出し、大動脈、大静脈の端を吻合口とした。また尿管も一緒に摘出した。次に、レシピエントの右腎を腎動脈、腎静脈、尿管で結紮し取り除き、代わりに摘出したドナー腎を移植した。摘出腎の大動脈、大静脈をそれぞれレシピエントの腹部大動脈、下大静脈に端側吻合し、尿管はレシピエントの膀胱内に挿入固定した。血液を再潅流後、レシピエントの左腎を腎動脈、腎静脈、尿管で結紮して取り除き、移植腎のみとした。
移植後42日目に採血して血清中クレアチニン、BUN値およびドナー特異的抗体量を測定した。また、移植腎を摘出し重量変化も測定して評価した。移植をしないナイーブC57BL/6(H−2b)WTマウスのCre、BUN、腎重量をコントロールとして同様に測定した。
図4−1(A)で示されるように、ナイーブC57BL/6(H−2b)WTマウス、および同系移植を受けたBALB/cマウス(Synコントロール)のCre、BUN、腎重量に比較し、同種移植を受けたC57BL/6(H−2b)WTマウスまたはDNAM−1 KOマウスのCre、BUN、腎重量はより高値を示した。しかし、C57BL/6(H−2b)WTマウスとDNAM−1 KOマウスとで比較すると、WTマウスの方がKOマウスより有意に高かった。
一方、同様に移植6週間後のこれらのマウスの血清中のアロ抗原特異的抗体を測定した。
図4−2(B)で示されるように、ナイーブC57BL/6(H−2b)WTマウス、および同系移植を受けたBALB/cマウスのアロ抗原特異的抗体に比較し、同種移植を受けたC57BL/6(H−2b)WTマウスまたはDNAM−1 KOマウスのドナー特異的抗体(DSA)は高値を示した。しかし、C57BL/6(H−2b)WTマウスとDNAM−1 KOマウスとで比較すると、WTマウスの方がKOマウスより、より高値を示す傾向がみられた。
以上の結果から、DNAM−1は同種腎移植拒絶に働くことが理解される。

Claims (4)

  1. DNAM−1中和抗体を有効成分として含む、同種間での心臓、血管または腎臓の移植後の急性拒絶および慢性拒絶を抑制し、移植された心臓、血管まは腎臓の生着を維持するために用いられる薬剤。
  2. 前記DNAM−1中和抗体が、TX42である、請求項1に記載の薬剤。
  3. さらに、免疫抑制剤を含む、請求項1または2に記載の薬剤。
  4. 前記免疫抑制剤が、FK506(タクロリムス)である、請求項3に記載の薬剤。
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