本実施形態の血圧推定装置によれば、血圧計測部は、生体の血圧を計測する。このとき、血圧計測部は、第1の周期毎の血圧を計測する。言い換えれば、血圧計測部は、第1の周期毎に、血圧を計測する。より具体的には、血圧計測部は、第1のタイミングで血圧を計測する。その後、血圧計測部は、当該第1タイミングを起点として第1の周期に応じた期間が経過した第2のタイミングで、再度血圧を計測する。以降、血圧計測部は、同様の動作を繰り返す。
血流計測部は、生体の血流量を計測する。このとき、血流計測部は、第2の周期毎の血流量を計測する。言い換えれば、血流計測部は、第2の周期毎に、血流量を計測する。より具体的には、血流計測部は、第3のタイミングで血流量を計測する。その後、血流計測部は、当該第3タイミングを起点として第2の周期に応じた期間が経過した第4のタイミングで、再度血流量を計測する。以降、血流計測部は、同様の動作を繰り返す。
ここで、血流計測部が血流量を計測する第2の周期は、血圧計測部が血圧を計測する第1の周期よりも短い。つまり、血流計測部が血流量を計測する頻度は、血圧計測部が血圧を計測する頻度よりも高くなる。言い換えれば、ある期間中に血流計測部が血流量を計測する回数は、当該ある期間中に血圧計測部が血圧を計測する回数よりも多くなる。
血圧推定部は、血圧計測部が計測した血圧(つまり、第1の周期毎の血圧)及び血流計測部が計測した血流量(つまり、第2の周期毎の血流量)に基づいて、第3の周期毎の血圧を推定する。言い換えれば、血圧推定部は、第1の周期毎に血圧計測部が計測した血圧及び第2の周期毎に血流計測部が計測した血流量に基づいて、第3の周期毎に血圧を推定する。
ここで、血圧推定部が血圧を推定する第3の周期は、血圧計測部が血圧を計測する第1の周期よりも短い。つまり、血圧推定部が血圧を推定する頻度は、血圧計測部が血圧を計測する頻度よりも高くなる。言い換えれば、ある期間中に血圧推定部が血圧を推定する回数は、当該ある期間中に血圧計測部が血圧を計測する回数よりも多くなる。従って、血圧推定部は、例えば、血圧計測部が血圧を計測していない時刻における血圧を推定することができる。尚、後に詳述するように、血圧推定部が血圧を推定する第3の周期は、血流計測部が血流量を計測する第2の周期と同一になってもよい。
以上説明したように、本実施形態の血圧推定装置は、血圧計測部が計測した血圧(つまり、第1の周期毎の血圧であって、相対的に離散的な血圧)及び血流計測部が計測した血流量(つまり、第2の周期毎の血流量であって、相対的に連続的な血流量)に基づいて、第3の周期毎の血圧(つまり、相対的に連続的な血圧)を推定することができる。言い換えれば、本実施形態の血圧推定装置は、血圧計測部が離散的に計測した血圧及び血流計測部が連続的に計測した血流量に基づいて、血圧を連続的に推定することができる。更に、言い換えれば、本実施形態の血圧推定装置は、第1の周期毎に血圧計測部が計測した血圧及び第2の周期毎に血流計測部が計測した血流量に基づいて、第3の周期毎に血圧を推定する(つまり、相対的に連続的に血圧を推定する)ことができる。
尚、上述した特許文献1から特許文献4に開示された装置は、いずれも、連続的な血流量を用いて連続的な血圧を推定する手法は何ら開示されていない。しかるに、本実施形態の血圧推定装置は、レーザドップラ血流計等を用いて比較的容易に計測することができる連続的な血流量を用いて連続的な血圧を推定することができる。従って、本実施形態の血圧推定装置は、比較的容易に、連続的な血圧を推定することができる。
尚、本実施形態での「第1の周期」は、常に固定された値であってもよいし、適宜変更される値であってもよい。つまり、本実施形態での「第1の周期」は、主として、周期的に又は非周期的に同一の動作(本実施形態では言えば、血圧の計測)が繰り返し行われる場合の各動作の周期を示す趣旨である。「第2の周期」及び「第3の周期」についても同様である。
この態様によれば、血圧推定部は、基準時刻の血圧及び基準時刻の血流量に対する所望時刻の血流量の比率若しくは変化率に基づいて、所望時刻の血圧を推定することができる。というのも、血圧の時間的変化と血流量の時間的変化との間には、一定の相関が存在することが多い。このため、血圧は、血流量が変化する態様と同様の態様で変化する可能性が高い。従って、この態様によれば、血圧推定部は、血圧を好適に推定することができる。
例えば、血圧推定部は、基準時刻の血流量に対する所望時刻の血流量の比率と基準時刻の血圧との乗算値を、所望時刻の血圧として取り扱ってもよい。或いは、例えば、血圧推定部は、基準時刻の血圧に対して、基準時刻の血流量に対する所望時刻の血流量の変化率と基準時刻の血圧との乗算値を加えることで得られる値を、所望時刻の血圧として取り扱ってもよい。
この態様によれば、血圧推定部は、基準時刻の血圧及び基準時刻の血流量に対する所望時刻の血流量の比率若しくは変化率のみならず、当該比率又は当該変化率の重み付けの度合いを示す反映係数にも基づいて、所望時刻の血圧を推定することができる。というのも、生体の個人差によって、血圧の時間的変化と血流量の時間的変化との間の相関が変動することがあるからである。このため、血圧推定部は、このような個人差を吸収する又は補償するように反映係数を調整することで、生体の個人差を考慮しながら(例えば、このような個人差を吸収する又は補償しながら)、血圧を好適に推定することができる。
また、この個人差を特定可能な情報の一例である反映係数は、血圧計測部による血圧の計測毎に又は血圧推定部による血圧の推定毎に、履歴(例えば、履歴を示すデータベース)として、例えば記憶部によって記憶されてもよい。特に、反映係数が生体の個人差を特定可能な情報であることを考慮すれば、反映係数は、生体毎に区別可能な態様で(例えば、生体と紐づけられるの態様で)記憶されていてもよい。この場合、血圧推定部は、次回に血圧を推定する際には、記憶部に記憶されている反映係数を用いることで、血圧の推定精度の向上につなげることも可能である。
尚、記憶部による反映係数の記憶は、特に、後述するように反映係数が補正される(つまり、反映係数が適宜更新される)場合に行われることが好ましい。但し、記憶部による反映係数の記憶は、反映係数が補正されない(つまり、反映係数が固定値を有する)場合に行われてもよい。この場合には、記憶部は、固定値である反映係数(つまり、デフォールトとしての反映係数)を記憶してもよい。
この態様によれば、血圧推定部は、血圧の推定の度に反映係数に応じた重み付け(例えば、現在の血圧又は将来の血圧の推定に対して影響を及ぼす重み付け)を行うことに加えて又は代えて、推定期間内に推定された一連の血圧に対して、反映係数に応じた重み付け(つまり、過去に推定済みの血圧に対して影響を及ぼす重み付け)を事後的にまとめて行うことができる。
この態様によれば、血圧推定部は、血圧計測部が計測した血圧と血圧推定部が推定した血圧との間の誤差を吸収する又は補償するように、重み付けを行う反映係数を補正することができる。例えば、血圧推定部は、血圧計測部が計測した血圧と血圧推定部が推定した血圧との間の差分(特に、差分の絶対値)がゼロになるように、反映係数を補正してもよい。その結果、血圧推定部は、より好適に血圧を推定することができる。
この態様によれば、この個人差を特定可能な情報の一例である反映係数は、血圧計測部による血圧の計測毎に又は血圧推定部による血圧の推定毎に、履歴(例えば、履歴を示すデータベース)として、例えば記録部等によって記憶されてもよい。この場合、血圧推定部は、次回に血圧を推定する際には、記憶部に記憶されている反映係数を用いることで、血圧の推定精度の向上につなげることも可能である。
尚、上述したように、反映係数が生体の個人差を特定可能な情報であることを考慮すれば、反映係数は、生体毎に区別可能な態様で(例えば、生体と紐づけられる態様で)記憶されていてもよい。加えて、この態様では、反映係数は、時間の経過と共に適宜補正される可能性が高い。従って、反映係数は、時間毎に区別可能な態様で(言い換えれば、時間と紐づけられる態様で)記憶されていてもよい。
この態様によれば、血圧推定部は、推定期間内に推定された一連の血圧に対して、所定のフィルタリング処理(つまり、過去に推定済みの血圧に対して影響を及ぼすフィルタリング処理)をまとめて又は事後的に行うことができる。
この態様によれば、血圧推定部は、基準時刻の血流量に対する所望時刻の血流量の比率若しくは変化率に代えて、基準時刻から所定時間だけ過去に遡った時刻の血流量に対する所望時刻から所定時間だけ過去に遡った時刻の血流量の比率若しくは変化率に基づいて、所望時刻の血圧を推定することができる。というのも、生体の個人差によって、血圧の時間的変化と血流量の時間的変化との間の相関が変動することがあるからである。より具体的には、生体の個人差によって、血流量の変化が血圧の変化として現れるまでの時間が変動することがあるからである。このため、この態様によれば、血圧推定部は、生体の個人差を考慮しながら(例えば、このような個人差を吸収する又は補償しながら)、血圧を好適に推定することができる。
この態様によれば、血圧推定部は、基準時刻の血流量に対する所望時刻の血流量の比率若しくは変化率に代えて、基準時刻を基準に定まる所定期間内の血流量の平均値に対する所望時刻を基準に定まる所定期間内の血流量の平均値の比率若しくは変化率に基づいて、所望時刻の血圧を推定することができる。このため、血圧推定部は、血流量に含まれる脈動や生体依存の揺らぎの影響を排除しながら、血圧を好適に推定することができる。
この態様によれば、血圧推定部は、血圧が所定条件を満たす場合(例えば、血圧を推定することが好ましい場合)に血圧を推定することができる。言い換えれば、血圧推定部は、血圧が所定条件を満たさない場合(例えば、血圧を推定しなくともよい場合)に血圧を推定しなくともよい。従って、血圧推定部が常に血圧を推定し続ける比較例の血圧推定装置と比較して、血圧推定装置の消費電力が低減される。
この態様によれば、血流計測部は、血圧が所定条件を満たす場合(例えば、血圧を推定することが好ましい場合)に血流量を計測することができる。言い換えれば、血流計測部は、血圧が所定条件を満たさない場合(例えば、血圧を推定しなくともよい場合)に血流量を計測しなくともよい。従って、血流計測部が常に血流量を計測し続ける比較例の血圧推定装置と比較して、血圧推定装置の消費電力が低減される。
この態様によれば、血圧計測部は、自動的に第1の周期毎の血圧を計測することができる。尚、血圧計測部は、例えば、計測者の手動での作業を伴う血圧計(例えば、カフを腕に巻きつけると共に当該カフを介して腕を加圧する非侵襲型の血圧計)を備えていることが多い。このような場合であっても、血圧計測部は、タイマ部が設定するタイミングに応じて、計測者がタイミングを図ることなく(或いは、計測者が手動で作業を行うことなく)、自動的に第1の周期毎の血圧を計測することができる。
この態様によれば、タイマ手段は、血圧計測部が計測する血圧に応じて、血圧計測部が血圧を計測するタイミングを好適に設定することができる。例えば、タイマ手段は、血圧が所定条件を満たす場合(例えば、血圧を推定することが好ましい場合)に、相対的に高頻度に血圧が計測されるように、血圧計測部が血圧を計測するタイミングを設定することができる。他方で、例えば、タイマ手段は、血圧が所定条件を満たさない場合(例えば、血圧を推定しなくともよい場合)に、相対的に低頻度に血圧が計測されるように、血圧計測部が血圧を計測するタイミングを設定することができる。
以上説明したように、本実施形態の血圧推定装置は、血圧計測手段と、血流計測手段と、血圧推定手段とを備える。本実施形態の血圧推定装置は、血圧計測工程と、血流計測工程と、血圧推定工程とを備える。従って、血圧を好適に推定することができる。
以下、図面を参照しながら、血圧推定装置の実施例について説明する。
(1)第1実施例
はじめに、図1から図6を参照しながら、第1実施例の血圧推定装置1について説明を進める。
(1−1)血圧推定装置の構成
はじめに、図1を参照しながら、第1実施例の血圧推定装置1の構成について説明する。図1は、第1実施例の血圧推定装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、第1実施例の血圧推定装置1は、血圧計測部11と、血流計測部12と、制御部13とを備えている。
血圧計測部11は、生体(例えば、人間や動物等)の血圧BPm(n:但し、nは時刻を示す変数)を計測する。血圧計測部11は、例えば、非侵襲型の血圧計(例えば、カフを腕に巻きつけると共に当該カフを介して腕を加圧することで血圧BPm(n)を計測する血圧計)であってもよい。但し、血圧計測部11は、血圧BPm(n)を何らかの手法で計測することができる限りは、どのような構成を有していてもよい。
血流計測部12は、生体の血流量(つまり、血管内を流れる血液の流量)BF(n)を計測する。このような血流計測部12として、例えば、レーザドップラ血流計が用いられてもよい。但し、血流計測部12は、血流量BF(n)を何らかの手法で計測することができる限りは、どのような構成を有していてもよい。以下、説明の便宜上、血流計測部12がレーザドップラ血流計である場合を例にあげて説明を進める。
血流計測部12は、レーザ素子121と、受光素子122と、増幅器123と、A/D(Analogue to Digital)コンバータ124と、演算回路125とを備えている。
レーザ素子121は、生体に対してレーザ光を照射する。このとき、レーザ素子121は、生体内の血管に対してレーザ光を照射することが好ましい。特に、レーザ素子121は、耳朶の血管に対してレーザ光を照射することが好ましい。但し、レーザ素子121は、それ以外の箇所の結果に対してレーザ光を照射してもよい。
受光素子122は、生体からのレーザ光の反射光と生体からのレーザ光LBの散乱光との相互干渉によって生ずるビート信号光を受光する。受光素子122は、受光したビート信号光を電気信号に変換することで得られる検出電流を生成する。
増幅器123は、受光素子122から出力される検出電流を、電圧信号に変換した上で増幅する。
A/Dコンバータ124は、増幅器123の出力(つまり、受光素子122が受光したビート信号光に応じた電圧信号)に対してA/D変換処理(つまり、量子化処理)を行う。その結果、A/Dコンバータ124は、受光素子122が受光したビート信号光に応じた電圧信号のサンプル値(つまり、量子化された電圧信号)を、演算回路125に出力する。
演算回路125は、A/Dコンバータ124の出力(つまり、受光素子122が受光したビート信号光に応じた電圧信号のサンプル値)に対して、FFT(Fast Fourier Transform)を用いた周波数解析を行う。その結果、演算回路125は、血流量BF(n)を算出する。
制御部13は、血圧推定装置1を制御するための中央制御装置(例えば、CPU:Central Processing Unit)である。制御部13は、その内部に物理的に実現される処理回路として又はその内部に論理的に実現される処理ブロックとして、基準血圧保存部131と、血流量保存部132と、血圧推定部133と、出力部134とを備えている。
基準血圧保存部131は、血圧推定部133が血圧BPc(n)を推定する際に用いられる基準血圧BP(s)を保存するメモリである。尚、基準血圧BP(s)は、例えば、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)である。特に、基準血圧BP(s)は、例えば、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)のうちの最新の血圧BPm(n)であってもよい。より具体的には、基準血圧BP(s)は、例えば、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)のうちの最新の時刻(基準時刻s)に計測した血圧BPm(s)であってもよい。
血流量保存部132は、血流計測部12が計測した血流量BF(n)を保存するメモリである。尚、血流量保存部132は、一定期間以内に血流計測部12が計測した血流量BF(n)を保存することが好ましい。或いは、血流量保存部132は、血流計測部12が計測した全ての血流量BF(n)を保存してもよい。
尚、基準血圧保存部131は、血流保存部132と物理的に独立していてもよい。或いは、基準血圧保存部131及び血流保存部132は、単一のメモリから構成されていてもよい。
血圧推定部133は、基準血圧保存部131に保存されている基準血圧BP(s)及び血流量保存部132に保存されている血流量BF(n)に基づいて、血圧BPc(n)を推定する。例えば、血圧推定部133は、所望時刻tの時点での血圧BPc(t)を推定する。特に、血圧推定部133は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測していない所望時刻tの時点での血圧BPc(t)を推定することができる。言い換えれば、血圧推定部133は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測する周期よりも短い周期で、血圧BPc(n)を推定することができる。更に言い換えれば、血圧推定部133は、血圧計測部11が離散的に計測した血圧BPm(n)に基づいて、生体の血圧BPc(n)を連続的に推定することができる。
出力部134は、血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)を、血圧推定装置1の外部の機器に対して出力する。例えば、出力部134は、血圧推定部133が連続的に推定した血圧BPc(n)を、血圧推定装置1の外部の機器に対して連続的に出力する。
尚、以下では、説明の便宜上、血圧計測部11が計測した血圧BP(n)を、“血圧BPm(n)”と称し、血圧推定部133が推定した血圧BP(n)を、“血圧BPc(n)”と称することで、両者を区別する。但し、両者を特段区別する必要がない場合には、単に“血圧BP(n)”と称して説明を進める。
(1−2)血圧推定装置の動作
続いて、図2及び図3を参照して、第1実施例の血圧推定装置1の動作の流れについて説明する。図2は、第1実施例の血圧推定装置1の動作の流れを示すフローチャートである。図3は、第1実施例の血圧推定装置1によって計測された血圧BP(n)及び血流量BF(n)を示すグラフである。
図2に示すように、血流計測部12は、生体の血流量BF(n)を計測する(ステップS11)。尚、血流計測部12による生体の血流量BF(n)の計測は、血圧推定装置1による血圧BP(n)の推定動作が終了するまで継続して行われる(ステップS15)。
具体的には、まず、レーザ素子121は、生体に対してレーザ光を照射する。
その後、受光素子122は、生体からのレーザ光の散乱光の相互干渉(より具体的には、移動する散乱体である血球によって散乱された散乱光と静止している組織によって散乱された散乱光との相互干渉)によって生ずるビート信号光を受光する。具体的には、レーザ光が生体に照射されると、生体内の血管の内部の血液の流れ(即ち、散乱体である赤血球の移動)に起因した散乱光が発生する。この散乱光の周波数は、元のレーザ光の周波数と比較して、血液の移動速度に対応したレーザドップラ作用によって変化している。受光素子122は、このような散乱光の相互干渉により生ずるビート信号光(いわゆる、周波数差分信号)を受光する。尚、ビート信号光を生じさせる散乱光として、生体に照射されたレーザ光の透過光に相当する前方散乱光が用いられてもよい。
その後、受光素子122は、受光したビート信号光を電気信号に変換することで得られる検出電流を生成する。受光素子122は、生成した検出電流を、増幅器123に出力する。増幅器123は、受光素子122から出力される検出電流(つまり、受光素子122が受光したビート信号光に応じた検出電流)を、電圧信号に変換した上で増幅する。増幅器は、電圧信号をA/Dコンバータ124に出力する。
その後、A/Dコンバータ124は、増幅器123の出力(つまり、受光素子122が受光したビート信号光に応じた電圧信号)に対してA/D変換処理(つまり、量子化処理)を行う。その結果、A/Dコンバータ124は、受光素子122が受光したビート信号光に応じた電圧信号のサンプル値(つまり、量子化された電圧信号)を、演算回路125に出力する。具体的には、例えば、A/Dコンバータ124は、A/Dコンバータ124のサンプリング周期をTaとすると、周期Ta毎に、受光素子122が受光したビート信号光に応じた電圧信号のサンプル値(つまり、量子化された電圧信号)を出力する。
その後、演算回路125は、A/Dコンバータ124の出力(つまり、受光素子122が受光したビート信号光に応じた電圧信号のサンプル値)に対して、FFT(Fast Fourier Transform)を用いた周波数解析を行う。その結果、演算回路125は、血流量BF(n)を算出する。具体的には、例えば、演算回路125は、ビート信号光に応じた電圧信号のサンプル値に対してFFTを行う。演算回路125は、当該FFTを行うことで得られるパワースペクトルと周波数ベクトルとの乗算結果である1次モーメントを用いて、血流量BF(n)を算出する。尚、FFTを用いた周波数解析による血流量BF(n)の算出方法については、公知の方法(例えば、特許第3313841号公報に開示された方法等)が用いられてもよいため、詳細な説明を省略する。演算回路125は、算出した血流量BF(n)を、制御部13(特に、血流量保存部132)に出力する。その結果、血流量保存部132は、血流計測部12が計測した血流量BF(n)を保存する。
ステップS11での血流量BF(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する(ステップS12)。尚、血圧計測部11による生体の血圧BPm(n)の計測は、血圧推定装置1による血圧BPc(n)の推定動作が終了するまで継続して行われる(ステップS15)。
特に、血圧計測部11は、一定時間毎に(例えば、20分毎に)血圧BPm(n)を計測する。例えば、計測者が一定時間毎に血圧計測部11を操作する(例えば、カフを生体の腕に巻きつけると共に、当該カフを介して生体の腕を圧迫する)ことで、一定時間毎に血圧BPm(n)が計測される。
ここで、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測する周期は、血流計測部12が血流量BF(n)を計測する周期よりも長い。例えば、血圧計測部11は、20分毎に血圧BPm(n)を計測する一方で、血流計測部12は、20分よりも短い周期毎に(例えば、数十ミリ秒から数十秒毎に)血流量BF(n)を計測してもよい。尚、血圧計測部11が非侵襲型の血圧計であり且つ血流計測部12がレーザドップラ血流計である場合には、血圧BPm(n)の計測の手間等の関係上、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測する周期は、血流計測部12が血流量BF(n)を計測する周期よりも長くなることが多い。
その後、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)は、制御部13(特に、基準血圧保存部131)に出力される。その結果、基準血圧保存部131は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存する(ステップS13)。尚、第1実施例では、基準血圧保存部131は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を新たに計測する都度、当該新たに計測された血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存することが好ましい。但し、基準血圧保存部131は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を新たに計測した場合であっても、当該新たに計測された血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存しなくともよい。言い換えれば、基準血圧保存部131は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を新たに計測した場合であっても、従前から保存されていた基準血圧BP(s)をそのまま保存し続けてもよい。
ステップS11での血流量BF(n)の計測及びステップS12での血圧BPm(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧推定部133は、血圧BPc(n)を推定する(ステップS14)。例えば、血圧推定部133は、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定する。尚、血圧推定部133による血圧BPc(n)の推定は、血圧推定装置1による血圧BPc(n)の推定動作が終了するまで継続して行われる(ステップS15)。
例えば、血圧推定部133は、基準血圧保存部131に保存されている基準時刻sの基準血圧BP(s)、並びに血流保存部132に保存されている基準時刻sの血流量BF(s)及び所望時刻tの血流量BF(t)に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定する。
このとき、血圧推定部133は、血流計測部12が血流量BF(n)を計測する都度、当該血流量BF(n)が計測された時刻の血圧BPc(n)を推定してもよい。つまり、血圧推定部133は、血流計測部12が血流量BF(n)を計測する周期と同様の周期で、血圧BPc(n)を推定してもよい。或いは、血圧推定部133は、血流計測部12が血流量BF(n)を計測する周期とは異なる周期で、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。但し、血圧推定部133は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測する周期よりも短い周期で、血圧BPc(n)を推定することが好ましい。言い換えれば、血圧推定部133は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測する頻度よりも高い頻度で、血圧BPc(n)を推定することが好ましい。
具体的には、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)に対する所望時刻tの血流量BF(t)の比率Aと基準時刻sの基準血圧BP(s)との乗算値を、所望時刻tの血圧BPc(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BP(t)=BPc(s)×A=BP(s)×(BF(t)/BF(s))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BP(t)を推定してもよい。例えば、「n=20分」という時刻に血圧計測部11が計測した血圧BPm(20)が基準血圧BP(s)となる場合には、所望時刻tの血圧BPc(t)は、BPm(20)×(BF(t)/BF(20))となる。
或いは、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)に対する所望時刻tの血流量BF(t)の変化率Bと基準時刻sの基準血圧BP(s)との乗算値を基準時刻sの基準血圧BP(s)に対して加算することで得られる値を、所望時刻tの血圧BPc(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BPc(t)=BP(s)+BP(s)×B=BP(s)+BP(s)×((BF(t)−BF(s))/BF(s))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BP(t)を推定してもよい。例えば、「n=20分」という時刻に血圧計測部11が計測した血圧BPm(20)が基準血圧BP(s)となる場合には、所望時刻tの血圧BPc(t)は、BPm(20)+BPm(20)×((BF(t)−BF(20))/BF(20))となる。
尚、上述の説明では、BPc(t)=BP(s)×((BF(t)/BF(s))という数式と、BPc(t)=BP(s)+BP(s)×((BF(t)−BF(s))/BF(s))という数式とを例示している。しかしながら、これら2つの式は、展開することで実質的には同一の式となる。
尚、所望時刻tは、少なくとも血流計測部12が血流量BF(n)を計測したことがある時刻であることが好ましい。但し、所望時刻tは、血流計測部12が血流量BF(n)を計測したことがない時刻であってもよい。この場合、所望時刻tに最も近い時刻に血流計測部が計測した血流量BF(n)が、所望時刻tの血流量BF(t)として用いられてもよい。或いは、血流計測部が計測した血流量BF(n)を結ぶことで得られる近似線又は近似式から算出又は推定される所望時刻tの血流量BF(t)が用いられてもよい。
より具体的に、図3に示すグラフを用いて説明する。図3の1段目のグラフは、血流計測部12が計測した血流量BF(n)を示している(尚、参考のために、計測した血流量BF(n)を結ぶ近似線も合わせて記載されている)。図3の2段目のグラフは、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を示している(尚、参考のために、計測した血圧BP(n)を結ぶ近似線も合わせて記載されている)。図3の3段目のグラフは、血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)を示している(尚、参考のために、推定した血圧BPc(n)を結ぶ近似線も合わせて記載されている)。尚、図3は、「n=20分」という時刻に血圧計測部11が計測した血圧BPm(20)が基準血圧BP(s)となる例を示している。
図3に示すように、上述した態様で血圧推定部133が所望時刻tの血圧BPc(t)を推定すると、当該推定された血圧BPc(t)は、血流計測部12が計測した血流量BF(n)と同様の態様で変化することが分かる。というのも、生体の血圧BP(n)と生体の血流量BF(n)との間には、一定の相関が存在するからである。従って、血圧推定部133は、基準時刻sの基準血圧BP(s)並びに基準時刻sの血流量BF(s)及び所望時刻tの血流量BF(t)に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を好適に推定することができる。
特に、血圧推定部133は、血圧BPm(n)よりも高頻度に計測される血流量BF(n)に基づいて血圧BPc(n)を推定している。従って、血圧計測部11が所望時刻tに血圧BPm(t)を計測していなかったとしても、血圧推定部133は、当該所望時刻tの血圧BPc(t)を好適に推定することができる。つまり、第1実施例では、血圧推定部133は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測する周期よりも短い周期で、血圧BPc(n)を推定することができる。言い換えれば、血圧推定部133は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測する頻度よりも高い頻度で、血圧BPc(n)を推定することができる。更に言い換えれば、血圧推定部133は、血圧計測部11が離散的に計測した血圧BPm(n)に基づいて、血圧BPc(n)を連続的に推定することができる。
このように、第1実施例の血圧推定装置1は、生体の血圧BPc(n)を好適に推定することができる。
(1−3)第1変形例
上述の説明では、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)及び所望時刻tの血流量BF(t)に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定している。しかしながら、第1変形例では、血圧推定部133は、基準時刻sよりも過去の時刻s’の血流量BF(s’)及び所望時刻tよりも過去の時刻t’の血流量BF(t’)に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。このような第1変形例について、図4を参照しながら説明する。図4は、基準時刻sよりも過去の時刻s’の血流量BF(s’)及び所望時刻tよりも過去の時刻t’の血流量BF(t’)に基づいて所望時刻tの血圧BPc(t)を推定する血圧推定装置1の動作に関連する血圧BP(n)及び血流量BF(n)を示すグラフである。
図4に示すように、血圧推定部133は、基準時刻s(図4では、s=20)よりも所定時間Δt1だけ過去の時刻s−Δt1の血流量BF(s−Δt1)及び所望時刻tよりも所定時間Δt1だけ過去の時刻t−Δt1の血流量BF(t−Δt1)に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。
より具体的には、血圧推定部133は、血流量BF(s−Δt1)に対する血流量BF(t−Δt1)の比率Aと基準時刻sの基準血圧BP(s)との乗算値を、所望時刻tの血圧BP(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BPc(t)=BP(s)×A=BP(s)×(BF(t−Δt1)/BF(s−Δt1))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BP(t)を推定してもよい。例えば、「n=20分」という時刻に血圧計測部11が計測した血圧BPm(20)が基準血圧BP(s)となる場合には、所望時刻tの血圧BPc(t)は、BPm(20)×(BF(t−Δt1)/BF(20−Δt1))となる。
或いは、血圧推定部133は、血流量BF(s−Δt1)に対する血流量BF(t−Δt1)の変化率Bと基準時刻sの基準血圧BP(s)との乗算値を基準時刻sの基準血圧BP(s)に対して加算することで得られる値を、所望時刻tの血圧BPc(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BPc(t)=BP(s)+BP(s)×B=BP(s)+BP(s)×((BF(t−Δt1)−BF(s−Δt1))/BF(s−Δt1))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。例えば、「n=20分」という時刻に血圧計測部11が計測した血圧BPm(20)が基準血圧BP(s)となる場合には、所望時刻tの血圧BPc(t)は、BPm(20)+BPm(20)×((BF(t−Δt1)−BF(20−Δt1))/BF(20−Δt1))となる。
このとき、例えば、血流量BF(n)の変化が血圧BP(n)の変化として現れるまでに要する時間が相対的に長い生体が血圧BPc(n)の推定の対象となっている場合には、血圧推定部133は、上述したΔt1に相対的に大きな値を設定することが好ましい。一方で、血流量BF(n)の変化が血圧BP(n)の変化として現れるまでに要する時間が相対的に短い生体が血圧BPc(n)の推定の対象となっている場合には、血圧推定部133は、上述したΔt1に相対的に小さい値を設定することが好ましい。その結果、血圧推定部133は、生体の個人差の影響(例えば、血圧BP(n)の時間的変化と血流量BF(n)の時間的変化との間の相関の、個人差に起因した変動)が存在していたとしても、当該個人差の影響を吸収する又は補償した上で、所望時刻tの血圧BPc(t)を好適に推定することができる。
(1−4)第2変形例
上述の説明では、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)及び所望時刻tの血流量BF(t)に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定している。しかしながら、第2変形例では、血圧推定部133は、基準時刻sを基準に定まる所定期間中の血流量BF(n)の平均値及び所望時刻tを基準に定まる所定期間中の血流量BF(n)の平均値に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。このような第2変形例について、図5を参照しながら説明する。図5は、基準時刻sを基準に定まる所定期間中の血流量BF(n)の平均値及び所望時刻tを基準に定まる所定期間中の血流量BF(n)の平均値に基づいて所望時刻tの血圧BPc(t)を推定する血圧推定装置1の動作に関連する血流量及び血圧を示すグラフである。
図5に示すように、血圧推定部133は、基準時刻s(図5では、s=20)から所定時間Δt2だけ過去に至るまでの期間(s−Δt2〜s)の血流量BF(n)の平均値Ave(1)及び所望時刻tから所定時間Δt2だけ過去に至るまでの期間(t−Δt2〜t)の血流量BF(n)の平均値Ave(2)に基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。
より具体的には、血圧推定部133は、平均値Ave(1))に対する平均値Ave(2)の比率Aと基準時刻sの基準血圧BP(s)との乗算値を、所望時刻tの血圧BPc(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BP(t)=BP(s)×A=BP(s)×(Ave(2)/Ave(1))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。例えば、「n=20分」という時刻に血圧計測部11が計測した血圧BPm(20)が基準血圧BP(s)となる場合には、所望時刻tの血圧BPc(t)は、BPm(20)×(Ave(1)/Ave(2))となる。
或いは、血圧推定部133は、平均値Ave(1)に対する平均値Ave(2)の変化率Bと基準時刻sの基準血圧BP(s)との乗算値を基準時刻sの基準血圧BP(s)に対して加算することで得られる値を、所望時刻tの血圧BPc(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BPc(t)=BP(s)+BP(s)×B=BP(s)+BP(s)×((Ave(1)−Ave(2))/Ave(1))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。例えば、「n=20分」という時刻に血圧計測部11が計測した血圧BPm(20)が基準血圧BP(s)となる場合には、所望時刻tの血圧BPc(t)は、BPm(20)+BP(20)×((Ave(1)−Ave(2))/Ave(1))となる。
このような第2変形例によれば、血圧推定部133は、血流計測部12が計測した血流量BF(n)に脈動や生体依存の揺らぎの影響が存在していたとしても、当該脈動や生体依存の揺らぎの影響を吸収する又は補償した上で、所望時刻tの血圧BPc(t)を好適に推定することができる。
(1−5)第3変形例
上述の説明では、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)に対する所望時刻tの血流量BF(t)の比率A又は変化率Bに基づいて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定している。しかしながら、第3変形例では、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)に対する所望時刻tの血流量BF(t)の比率A又は変化率Bに対して所定の重み付け係数αに応じた重み付け処理を行ってもよい。具体的には、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)に対する所望時刻tの血流量BF(t)の比率A又は変化率Bに対して、重み付け係数を掛け合わせてもよい。
より具体的には、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)に対する所望時刻tの血流量BF(t)の比率Aと重み付け係数αとの乗算値を、基準時刻sの基準血圧BP(s)に対して掛け合わせることで得られる値を、所望時刻tの血圧BPc(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BPc(t)=BP(s)×(α×A)=BP(s)×α×(BF(t)/BF(s))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BP(t)を推定してもよい。
或いは、血圧推定部133は、基準時刻sの血流量BF(s)に対する所望時刻tの血流量BF(t)の変化率Bと重み付け係数αとの乗算値を、基準時刻sの基準血圧BP(s)とに掛け合わせ、且つ当該掛け合わせによって得られる値を基準時刻sの基準血圧BP(s)に対して加算することで得られる値を、所望時刻tの血圧BPc(t)として取り扱ってもよい。つまり、血圧推定部133は、BPc(t)=BP(s)+BP(s)×(α×B)=BP(s)+BP(s)×α×((BF(t)−BF(s))/BF(s))という数式を用いて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。
尚、いずれの数式も、重み付け係数αが1となる場合には、上述した第1実施例で用いた数式と一致する。
このとき、例えば、血流量BF(n)の変化が血圧BP(n)の変化として相対的に現れにくい生体が血圧BP(n)の推定の対象となっている場合には、血圧推定部133は、上述した重み付け係数αに相対的に小さな値を設定することが好ましい。一方で、血流量BF(n)の変化が血圧BP(n)の変化として相対的に現れやすい生体が血圧BP(n)の推定の対象となっている場合には、血圧推定部133は、上述した重み付け係数αに相対的に大きな値を設定することが好ましい。このような第3変形例によれば、血圧推定部133は、生体の個人差の影響(例えば、血圧BP(n)の時間的変化と血流量BF(n)の時間的変化との間の相関の、個人差に起因した変動)が存在していたとしても、当該個人差の影響を吸収する又は補償した上で、所望時刻tの血圧BPc(t)を好適に推定することができる。
(1−6)第4変形例
第4変形例では、血圧推定部133は、上述した重み付け係数αを適宜調整(言い換えれば、変更)してもよい。以下、重み付け係数αを適宜調整する動作について、図6を参照しながら説明する。図6は、重み付け係数αを適宜調整する第1実施例の血圧推定装置1の動作の流れを示すフローチャートである。尚、図2に示す動作と同一の動作については、同一のステップ番号を付して、その詳細な説明を省略する。
図6に示すように、第4変形例においても、第1実施例と同様に、血流計測部12は、生体の血流量BF(n)を計測する(ステップS11)。また、第4変形例においても、第1実施例と同様に、ステップS11での血流量BF(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する(ステップS12)。また、第4変形例においても、第1実施例と同様に、ステップS11での血流量BF(n)の計測及びステップS12での血圧BPm(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧推定部133は、血圧BPc(n)を推定する(ステップS14)。
第4変形例では特に、血圧計測部11は、ステップS12で血圧BPm(n)を計測した後に、基準血圧BP(s)が基準血圧保存部131に既に保存されているか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16の判定の結果、基準血圧BP(s)が基準血圧保存部131に保存されていると判定される場合には(ステップS16:Yes)、血圧推定部133は、基準時刻sの基準血圧BPm(s)と血圧推定部133が推定した基準時刻sの血圧BPc(s)とに基づいて、重み付け係数αを更新する(ステップS17)。具体的には、血圧推定部133は、血圧計測部11が計測した新基準時刻sの基準血圧BPm(s)と血圧推定部133が推定した基準時刻sの血圧BPc(s)との間の差分(特に、差分の絶対値)が小さくなるように、重み付け係数αを更新する。特に、血圧推定部133は、基準時刻sの基準血圧BPm(s)と血圧推定部133が推定した基準時刻sの血圧BPc(s)との間の差分(特に、差分の絶対値)がゼロになるように、重み付け係数αを更新してもよい。
他方で、ステップS16の判定の結果、基準血圧BP(s)が基準血圧保存部131に保存されていないと判定される場合には(ステップS16:No)、血圧推定部133は、重み付け係数αを更新しなくともよい。
その後、制御部13が備える基準血圧保存部131は、ステップS12で血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存する(ステップS13)。
このような第4変形例によれば、血圧推定部133は、血圧計測部11が実際に計測した血圧BPm(n)と血圧推定部133が実際に推定した血圧BPc(n)との間の誤差が小さくなる又はなくなるように、重み付け係数αを更新することができる。従って、血圧推定部133は、更新後の重み付け係数αを用いることで、所望時刻tの血圧BPc(t)をより高精度に推定することができる。
尚、血圧推定装置1は、血圧BPm(n)の計測若しくは血圧BPc(n)の推定又は重み付け係数αの更新毎に、重み付け係数αを、履歴(例えば、データベース)として保存しておいてもよい。例えば、メモリである基準血圧保存部131が、基準血圧BP(s)に加えて、重み付け係数αを保存しておいてもよい。特に、重み付け係数αが生体の個人差を特定可能な情報であることを考慮すれば、重み付け係数αは、生体毎に区別可能な態様で(例えば、生体を個別に識別するための生体IDと重み付け係数αとが紐づけられたレコードを含むデータベースの態様で)保存されていてもよい。加えて、重み付け係数αは、時間の経過と共に適宜調整される。従って、重み付け係数αは、時間毎に区別可能な態様で(言い換えれば、生体IDと時間の経過に伴って更新されてきた一連の重み付け係数αとが紐づけられたレコードを含むデータベースの態様で)記憶されていてもよい。
重み付け係数αが履歴として保存される場合には、血圧推定部133は、履歴として保存されている重み付け係数αを用いて、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定してもよい。その結果、血圧推定部133は、所望時刻tの血圧BPc(t)をより高精度に且つ比較的容易に推定することができる。
(2)第2実施例
続いて、図7から図10を参照しながら、第2実施例の血圧推定装置2について説明を進める。尚、以下の説明では、第1実施例の血圧推定装置1と同一の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
(2−1)血圧推定装置の構成
はじめに、図7を参照しながら、第2実施例の血圧推定装置2の構成について説明する。図7は、第2実施例の血圧推定装置2の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、第2実施例の血圧推定装置2は、第1実施例の血圧推定装置1と同様に、血圧計測部11と、血流計測部12とを備えている。
第2実施例の血圧推定装置2は更に、制御部23を備えている。第2実施例の制御部23は、第1実施例の制御部13と比較して、基準血圧保存部131に代えて血圧保存部231を備えているという点で異なっている。第2実施例の制御部23が備えるその他の構成要素は、第1実施例の制御部12が備えるその他の構成要素と同一であってもよい。
血圧保存部231は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)及び血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)を保存するメモリである。尚、第2実施例では、説明の便宜上、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を“計測血圧BPm(n)”と称し、血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)を“推定血圧BPc(n)”と称する。尚、血圧保存部231は、血圧計測部11が計測した計測血圧BPm(n)の全てを保存してもよいし、血圧計測部11が計測した計測血圧BPm(n)のうちの一部(例えば、最新の計測血圧BP(n))を選択的に保存してもよい。同様に、血圧保存部231は、血圧推定部133が推定した推定血圧BPc(n)の全てを保存してもよいし、血圧推定部133が推定した推定血圧BPc(n)のうちの一部を選択的に保存してもよい。
尚、血圧保存部231は、血流保存部132と物理的に独立していてもよい。或いは、血圧保存部231及び血流保存部132は、単一のメモリから構成されていてもよい。
(2−2)血圧推定装置の動作
続いて、図8を参照して、第2実施例の血圧推定装置2の動作の流れについて説明する。図8は、第2実施例の血圧推定装置2の動作の流れを示すフローチャートである。
図8に示すように、第2実施例においても、第1実施例と同様に、血流計測部12は、生体の血流量BF(n)を計測する(ステップS11)。
また、第2実施例においても、第1実施例と同様に、ステップS11での血流量BF(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する(ステップS12)。
その後、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)は、制御部23(特に、血圧保存部231)に出力される。その結果、血圧保存部231は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、計測血圧BPm(n)として保存する(ステップS21)。
ステップS11での血流量BF(n)の計測及びステップS12での血圧BPm(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧推定部133は、血圧保存部231に保存されている計測血圧BPm(n)及び推定血圧BPc(n)のいずれか一つを、基準血圧BP(s)に設定する(ステップS22)。つまり、第2実施例では、血圧計測部11が計測した計測血圧BPm(n)のみならず、血圧推定部133が推定した推定血圧BPc(n)が基準血圧BP(s)となることがある。
その後、第2実施例においても、第1実施例と同様に、血圧推定部133は、血圧BPc(n)を推定する(ステップS14)。但し、第2実施例では、血圧BPc(n)を推定する際に用いられる基準血圧BP(s)は、ステップS22で設定された基準血圧BP(s)である。
その後、血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)は、血圧保存部231に出力される。血圧保存部231は、血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)を、推定血圧BPc(n)として保存する(ステップS23)。
以上説明したように、第2実施例の血圧推定装置2は、第1実施例の血圧推定装置1が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
加えて、第2実施例の血圧推定装置2は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)及び血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)を保存することができる。このため、血圧推定部133は、血圧計測部11が計測した計測血圧BPm(n)のみならず、血圧推定部133が推定した推定血圧BPc(n)をも、基準血圧BP(s)として用いることができる。
(2−3)第1変形例
第1変形例では、血圧推定部133は、血圧推定部133が推定した推定血圧BPc(n)が血圧保存部231に保存されることを利用して、推定血圧BPc(n)を一定期間推定した後に、当該一定期間の推定血圧BPc(n)に対して、事後的にまとめて所定のフィルタリング処理等を行ってもよい。或いは、第1実施例の第3変形例で説明した重み付け係数αを用いる場合には、血圧推定部133は、推定血圧BPc(n)を一定期間推定した後に、当該一定期間の推定血圧BPc(n)に対して、事後的にまとめて重み付け係数αの反映を行ってもよい。この場合の動作について、図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、第2実施例の血圧推定装置2の動作の第1変形例の流れを示すフローチャートである。図10は、第2実施例の血圧推定装置2の動作の第1変形例に関連する血圧及び血流量を示すグラフである。
図9に示すように、第1変形例においても、第2実施例と同様に、血流計測部12は、生体の血流量BF(n)を計測する(ステップS11)。
また、第1変形例においても、第2実施例と同様に、ステップS11での血流量BF(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する(ステップS12)。
また、第1変形例においても、第2実施例と同様に、ステップS11での血流量BF(n)の計測及びステップS12での血圧BPm(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧推定部133は、血圧保存部231に保存されている計測血圧BPm(n)及び推定血圧BPc(n)のいずれか一つを、基準血圧BP(s)に設定する(ステップS22)。その後、血圧推定部133は、血圧BPc(n)を推定する(ステップS14)。その後、血圧保存部231は、血圧推定部133が推定した血圧BPc(n)を、推定血圧BP(n)として保存する(ステップS23)。
第1変形例においても、第2実施例と同様に、血圧計測部11は、ステップS12で血圧BPm(n)を計測した後に、基準血圧BP(s)が基準血圧保存部131に既に保存されているか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16の判定の結果、基準血圧BP(s)が基準血圧保存部131に保存されていると判定される場合には(ステップS16:Yes)、血圧推定部133は、血圧計測部11が計測した基準時刻sの基準血圧BPm(s)と血圧推定部133が推定した基準時刻sの血圧BPc(s)とに基づいて、重み付け係数αを更新する(ステップS17)。
第1変形例では特に、血圧推定部133は、更新後の重み付け係数αを用いて、過去に推定済みの血圧BPc(n)を更新する(ステップS24)。言い換えれば、血圧推定部133は、更新後の重み付け係数αを用いて、血圧保存部231に保存されている推定血圧BPc(n)を更新する(ステップS24)。例えば、血圧推定部133は、更新前の重み付け係数αを用いて推定された血圧BPc(n)を、更新後の重み付け係数αを用いて推定された血圧BPc(n)に置き換える。
他方で、ステップS16の判定の結果、基準血圧BP(s)が基準血圧保存部131に保存されていないと判定される場合には(ステップS16:No)、血圧推定部133は、重み付け係数αを更新しなくともよい。加えて、血圧推定部133は、過去に推定済みの血圧BP(n)を更新しなくともよい。
その後、血圧保存部231は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、計測血圧BPm(n)として保存する(ステップS21)。
第1変形例では更に、血圧推定装置2による推定血圧BPc(n)の推定動作が終了すると判定された場合には(ステップS15:Yes)、出力部134は、補正された推定血圧BPc(n)を出力する必要があるか否かを判定する(ステップS25)。例えば、出力部134は、ユーザからの指示又は要求を監視することで、補正された推定血圧BPc(n)を出力する必要があるか否かを判定してもよい。
ステップS25の判定の結果、補正された血圧BP(n)を出力する必要があると判定される場合には(ステップS25:Yes)、血圧推定部133は、これまでに推定した血圧BP(n)に対して所定の補正処理を施す(ステップS26)。言い換えれば、血圧推定部133は、血圧保存部231が保存している推定血圧BP(n)に対して所定の補正処理を施す(ステップS26)。
具体的には、血圧推定部133は、血圧保存部231が保存している推定血圧BPc(n)及び計測血圧BPm(n)に基づいて、事後的に再度重み付け係数αを更新してもよい。その後、血圧推定部133は、事後的に更新した重み付け係数αを用いて、血圧保存部231に保存されている推定血圧BPc(n)を更新してもよい。
或いは、血圧推定部133は、血圧保存部231が保存している推定血圧BPc(n)に対して、所定のフィルタリング処理を施してもよい。所定のフィルタリング処理として、例えば、推定血圧BPc(n)をより一層見やすい形式に変換する処理や、推定異常である可能性が高い推定血圧BPc(n)の影響を小さくする又はなくすための処理や、任意のノイズ(例えば、特定の周波数のノイズ)を小さくする又はなくすための処理等が一例としてあげられる。例えば、血圧推定部133は、所望時刻tの推定血圧BPc(t)を、BPc(t)=B1×(BPc(t−1)+B2×BPc(t−2)+・・・+Bk×BPc(t−k)という数式(但し、B1〜Bkは任意の定数)を用いて、所望時刻tの推定血圧BPc(t)を更新してもよい。
他方で、ステップS25の判定の結果、補正された推定血圧BPc(n)を出力する必要がないと判定される場合には(ステップS25:No)、出力部134は、血圧推定部133が推定した推定血圧BPc(n)をそのまま出力する(ステップS27)。言い換えれば、出力部134は、血圧保存部231が保存している推定血圧BPc(n)をそのまま出力する(ステップS27)。
(3)第3実施例
続いて、図11から図12を参照しながら、第3実施例の血圧推定装置3について説明を進める。尚、以下の説明では、第1実施例の血圧推定装置1から第2実施例の血圧推定装置2と同一の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
(3−1)血圧推定装置の構成
はじめに、図11を参照しながら、第3実施例の血圧推定装置3の構成について説明する。図11は、第3実施例の血圧推定装置3の構成を示すブロック図である。
図11に示すように、第3実施例の血圧推定装置3は、第1実施例の血圧推定装置1と同様に、血圧計測部11と、血流計測部12とを備えている。
第3実施例の血圧推定装置3は更に、制御部33を備えている。第3実施例の制御部33は、第1実施例の制御部13と比較して、計測指示部335を更に備えているという点で異なっている。第3実施例の制御部33が備えるその他の構成要素は、第1実施例の制御部13が備えるその他の構成要素と同一であってもよい。
計測指示部335は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たす場合に血流計測部12が血流量BF(n)を計測するように、血流計測部12を制御してもよい。言い換えれば、計測指示部335は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たしていない場合に血流計測部12が血流量BF(n)を計測しないように、血流計測部12を制御してもよい。
血流計測部12を制御することに加えて又は代えて、計測指示部335は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たす場合に血圧推定部133が血圧BP(n)を推定するように、血圧推定部133を制御してもよい。言い換えれば、計測指示部335は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たしていない場合に血圧推定部133が血圧BPc(n)を推定しないように、血圧推定部133を制御してもよい。
(3−2)血圧推定装置の動作
続いて、図12を参照して、第3実施例の血圧推定装置3の動作の流れについて説明する。図12は、第3実施例の血圧推定装置3の動作の流れを示すフローチャートである。
図12に示すように、第3実施例においても、第1実施例と同様に、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する(ステップS12)。また、基準血圧保存部131は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存する(ステップS13)。
第3実施例では特に、計測指示部335は、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が、所定条件を満たすか否かを判定する(ステップS31)。例えば、計測指示部335は、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が、継続的な監視を必要とする値(例えば、正常値ではない値や、正常値ではあるものの注意を要する値等)であるか否かを判定してもよい。ステップS12で計測された血圧BPm(n)が継続的な監視を必要とする値である場合には、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が所定条件を満たすと判定されてもよい。他方で、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が継続的な監視を必要とする値でない場合には、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が所定条件を満たさないと判定されてもよい。或いは、計測指示部335は、ステップS12で計測された血圧BPm(n)がその他の所望値ないしは所定値であるか否か又は所定範囲に収まるか否かを判定することで、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が所定条件を満たすと判定してもよい。
ステップS31の判定の結果、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が所定条件を満たさないと判定される場合には(ステップS31:No)、ステップS12、ステップS13及びステップS31の動作が繰り返される。つまり、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する。基準血圧保存部131は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存する。計測指示部335は、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が、所定条件を満たすか否かを判定する。
加えて、この場合には、計測指示部335は、血流計測部12が血流量BF(n)を計測しないように、血流計測部12を制御してもよい。その結果、血流計測部12は、血流量BF(n)を計測しなくともよい。また、計測指示部335は、血流計測部12を制御することに加えて又は代えて、血圧推定部133が血圧BPc(n)を推定しないように、血圧推定部133を制御してもよい。その結果、血圧推定部133は、血圧BPc(n)を推定しなくともよい。
他方で、ステップS31の判定の結果、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が所定条件を満たすと判定される場合には(ステップS31:Yes)、計測指示部335は、血流計測部12が血流量BF(n)を計測するように、血流計測部12を制御してもよい。その結果、血流計測部12は、血流量BF(n)を計測する(ステップS11)。また、計測指示部335は、血流計測部12を制御することに加えて又は代えて、血圧推定部133が血圧BPc(n)を推定するように、血圧推定部133を制御する。その結果、血圧推定部133は、血圧BPc(n)を推定する(ステップS14)。
加えて、ステップS12で計測された血圧BPm(n)が所定条件を満たすと判定される場合にも、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測することが好ましい。血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測した場合には、計測指示部335は、新たに計測された血圧BPm(n)が、所定条件を満たすか否かを判定することが好ましい。
以上説明したように、第3実施例の血圧推定装置3は、第1実施例の血圧推定装置1が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
加えて、第3実施例の血圧推定装置3は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たす場合に、血流量BF(n)の計測及び血圧BPc(n)の推定を行う。言い換えれば、第3実施例の血圧推定装置3は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たさない場合に、血流量BF(n)の計測及び血圧BPc(n)の推定を行わなくともよい。このため、血流量BF(n)の計測及び血圧BPc(n)の推定を常に行う比較例の血圧推定装置と比較して、血圧推定装置3の消費電力が低減される。
(4)第4実施例
続いて、図13から図14を参照しながら、第4実施例の血圧推定装置4について説明を進める。尚、以下の説明では、第1実施例の血圧推定装置1から第3実施例の血圧推定装置3と同一の構成及び動作については、同一の参照符号及びステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
(4−1)血圧推定装置の構成
はじめに、図13を参照しながら、第4実施例の血圧推定装置4の構成について説明する。図13は、第4実施例の血圧推定装置4の構成を示すブロック図である。
図13に示すように、第4実施例の血圧推定装置4は、第1実施例の血圧推定装置1と同様に、血圧計測部11と、血流計測部12とを備えている。
第4実施例の血圧推定装置4は更に、制御部43を備えている。第4実施例の制御部43は、第1実施例の制御部13と比較して、タイマ部436を更に備えているという点で異なっている。第4実施例の制御部43が備えるその他の構成要素は、第1実施例の制御部12が備えるその他の構成要素と同一であってもよい。
タイマ部436は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミングを設定する。加えて、タイマ部436は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミングが到来した場合には、血圧BPm(n)を計測するように血圧計測部11を制御する。
(4−2)血圧推定装置の動作
続いて、図14を参照して、第4実施例の血圧推定装置4の動作の流れについて説明する。図14は、第4実施例の血圧推定装置4の動作の流れを示すフローチャートである。
図14に示すように、タイマ部436は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミングを設定する(ステップS41)。例えば、タイマ部436は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミングとして、周期(例えば、20分という周期)を設定してもよい。タイマ部436は、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミングとして、時刻そのもの(例えば、20分、40分、60分・・・という時刻)を設定してもよい。
その後、第4実施例においても、第1実施例と同様に、血流計測部12は、生体の血流量BF(n)を計測する(ステップS11)。加えて、第4実施例においても、第1実施例と同様に、血圧推定部133は、所望時刻tの血圧BPc(t)を推定する(ステップS14)。
また、第4実施例においても、第1実施例と同様に、ステップS11での血流量BF(n)の計測に続いて若しくは相前後して又は並行して、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する(ステップS12)。加えて、基準血圧保存部131は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存する(ステップS13)。
その後、第4実施例では、タイマ部436は、現在のタイミングが、ステップS41で設定したタイミング(つまり、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミング)であるか否かを判定する(ステップS42)。言い換えれば、タイマ部436は、ステップS41で設定したタイミング(つまり、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミング)が到来したか否かを判定する(ステップS42)。
ステップS42の判定の結果、現在のタイミングがステップS41で設定したタイミング(つまり、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミング)であると判定される場合には(ステップS42:Yes)、ステップS12及びステップS13の動作が再度行われる。つまり、血圧計測部11は、生体の血圧BPm(n)を計測する(ステップS12)。加えて、基準血圧保存部131は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存する(ステップS13)。
他方で、ステップS42の判定の結果、現在のタイミングがステップS41で設定したタイミング(つまり、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミング)でないと判定される場合には(ステップS42:No)、ステップS12及びステップS13の動作が行われなくともよい。つまり、血圧計測部11は、ステップS41で設定したタイミング(つまり、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミング)が再度到来するまでは、生体の血圧BPm(n)を計測しなくともよい。加えて、基準血圧保存部131は、ステップS41で設定したタイミング(つまり、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミング)が再度到来するまでは、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)を、基準血圧BP(s)として保存しなくともよい。
以上説明したように、第4実施例の血圧推定装置4は、第1実施例の血圧推定装置1が享受することができる各種効果と同様の効果を好適に享受することができる。
加えて、第4実施例の血圧推定装置4は、タイマ部436の動作により、所望のタイミングで自動的に血圧BPm(n)を計測することができる。このため、第4実施例の血圧推定装置4は、計測者がタイミングを図ることなく(或いは、計測者が手動で作業を行うことなく)、自動的に血圧BPm(n)を計測することができる。
尚、タイマ部436は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たすか否かに応じて、設定するタイミングを変えてもよい。例えば、タイマ部436は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たす(例えば、継続的な監視を必要とする値である)場合に、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミングとして、相対的に短い周期を設定してもよい。その結果、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たす場合に、血圧計測部11は、相対的に高い頻度で血圧BPm(n)を計測する。他方で、タイマ部436は、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たさない(例えば、継続的な監視を必要とする値でない)場合に、血圧計測部11が血圧BPm(n)を計測するタイミングとして、相対的に長い周期を設定してもよい。その結果、血圧計測部11が計測した血圧BPm(n)が所定条件を満たさない場合に、血圧計測部11は、相対的に低い頻度で血圧BPm(n)を計測する。これにより、血圧計測部11は、血圧BPm(n)が継続的な監視を必要とする値か否かに応じた好適な頻度で、血圧BPm(n)を計測することができる。
尚、第1実施例から第4実施例で説明した各構成の一部を適宜組み合わせてもよい。この場合であっても、第1実施例から第4実施例で説明した各構成の一部を適宜組み合わせることで得られる血圧推定装置は、上述した各種効果を好適に享受することができる。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取るこのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う血圧推定装置及び方法もまた本発明の技術思想に含まれる。