JP6025793B2 - 親和性を改変した単純ヘルペスウイルス(hsv)、その使用および調製法 - Google Patents

親和性を改変した単純ヘルペスウイルス(hsv)、その使用および調製法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、改変単純ヘルペスウイルス(HSV)、改変HSVの使用、薬学的調製物および改変HSVを調製する方法に関する。
背景
腫瘍の治療における新分野は腫瘍溶解性ウイルス療法であり、その療法では複製可能なウイルスが腫瘍細胞に感染し、腫瘍の細胞から細胞へ伝播してこれらを破壊する。二種のそのような腫瘍は、ヒトのような動物を苦しめる乳がんおよび卵巣がんである。約30%のヒト乳腺腫瘍、および一部の卵巣腫瘍は極めて悪性かつ転移性である。
これらの腫瘍はその高い悪性度および転移能が、上皮増殖因子受容体のファミリーに属する、HER2という名の、特異的な細胞表面分子受容体の発現に起因し、外科手術または外科手術および放射線療法もしくは化学療法(chemiotherapy)の組み合わせで一般に治療される。
HSVは哺乳類細胞に対する病原ウイルスである[HSV-1は、例えばEjercito, P. M., et al. (1968). J Gen Virol 2:357(非特許文献1)に記述されており、そのゲノムはアクセッション番号NC-001806 (GenBank)を有する]。
HSVは多段階プロセスによって細胞に侵入する。第一の段階は、糖タンパク質gBおよびgCとの相互作用が媒介する、細胞表面への付着である(Laquerre S., Argnani R., Anderson D. B., Zucchini S., Manservigi R., Glorioso J. C. (1998), J. Virol. 72 (7): 6119-30(非特許文献2))。これに続いてウイルス粒子エンベロープ糖タンパク質D (gD)とその侵入受容体: ネクチン1/HveC、HVEM/HveAおよびヘパラン硫酸のO-連結硫酸化部分の一つとのさらに特異的な相互作用が起こる(Spear P. G., Eisenberg R.J., Cohen G. H., (2000) Virology 275:1-9(非特許文献3)) (Campadelli-Fiume G., Cocchi F., Menotti L., Lopez M. (2000) Reviews in Medical Virology, 10:305-319(非特許文献4)) (Campadelli-Fiume G. et al. (2007) Rev. Med. Virol., 17:313-326(非特許文献5)) (受容体に対するGenBankコードは以下の通り: nectin1 alpha AF060231, nectin1 beta AF110314, HVEM U70321)。
ここ数年、主に悪性神経膠腫を治療するための腫瘍溶解剤として遺伝子操作HSVを用いるという試みが行われてきた。野生型ウイルスは病毒性であり、さまざまな細胞および組織を標的とし、破壊するので、候補の腫瘍溶解性HSVは高度に弱毒化されてきた。臨床試験に至ったウイルスは、その複製を、二つのHSV遺伝子、すなわち感染細胞におけるタンパク質合成の遮断を防ぐことを役割とするICP34.5タンパク質をコードする、gammal 43.5遺伝子、およびリボヌクレオチド・レダクターゼの大サブユニットをコードするUL39遺伝子の欠失によって分裂腫瘍細胞に依存させてある。これらのウイルスは、分裂細胞中でさえも、複製する能力の低さ、つまり二つの負の効果をもたらす特徴によって損なわれる。第一に、そのようなウイルスの腫瘍への投与は、腫瘍それ自体の細胞から細胞へ伝播できる子孫ウイルスを大量に産生することができず、かくして任意の所与の治療用量のウイルスに対する反応を増幅することができない。第二に、ウイルスが増殖困難であり、臨床応用に必要とされる量のウイルスを得るのに大規模(108〜109のプラーク形成単位 PFU/ml)で産生することがほとんどできない。さらに、HSVに対する天然受容体の一つを有している任意の細胞に結合するウイルスの能力が保存されていることで、ウイルスを最も必要としている腫瘍組織に対するウイルスが減り、腫瘍細胞の死滅による治療効果が小さくなり、非がん組織および細胞の不要な感染を、アポトーシスによるそれらの死を含めて、もたらす可能性がある。本発明者らは、たとえこれらのウイルスが腫瘍特異的な受容体に再標的化されても、それらがなお、高度に弱毒化されることに言及する。
最近になって、特異的な受容体に再標的化されたHSVは、それらが高い複製能および細胞間伝播能を維持しながらも、破壊される必要のある細胞に感染できるように遺伝子操作されている。そのようなウイルスは腫瘍細胞間に伝播する優れた能力を有するが、それらは依然として非がん組織および細胞に不必要に感染する。
国際公開公報第2004/033639号(特許文献1)を有する特許出願は、その内容を本明細書に完全に含めるが、糖タンパク質エンベロープ上に天然サイトカインを発現する組み換えHSVについて開示している。腫瘍を治療するためにこの種の組み換えHSVの使用が提唱されているが、重要なことに、標的化される受容体は、gDに容易に挿入できるような小さいサイズの天然リガンドを有し、にもかかわらず、提唱された組み換えHSVは、受容体ネクチン1/HveCおよびHVEM/HveAと相互作用できることに留意されたい。具体的には、ネクチン1/HveCとは全く結合できないが罹患細胞の受容体(HER2/ErbB2のような)と結合できる組み換えHSVを生じうる突然変異について、国際公開公報第2004/033639号(特許文献1)では特定されていない。
したがって、破壊される必要のある細胞を選択的に標的化するウイルス治療剤に対する当技術分野における必要性が依然として存在するということになる。特に、天然リガンドを持たず、がん細胞などの罹患細胞において過剰発現されるまたは選択的に発現される受容体を標的化するウイルス治療剤に対する必要性が存在する。
国際公開公報第2004/033639号
Ejercito, P. M., et al. (1968). J Gen Virol 2:357 Laquerre S., Argnani R., Anderson D. B., Zucchini S., Manservigi R., Glorioso J. C. (1998), J. Virol. 72 (7): 6119-30 Spear P. G., Eisenberg R.J., Cohen G. H., (2000) Virology 275:1-9 Campadelli-Fiume G., Cocchi F., Menotti L., Lopez M. (2000) Reviews in Medical Virology, 10:305-319 Campadelli-Fiume G. et al. (2007) Rev. Med. Virol., 17:313-326
概要
公知技術の難点を少なくとも部分的に解消するように設計されている、と同時に、簡単に使える、改変HSVを提供することが本発明の目的である。
本発明のさらなる目的は、上記の改変HSVの使用、薬学的調製物、および改変HSVを調製する方法を提供することである。
本文の全体を通じて参照される全ての参考文献(例えば、特許、特許出願、刊行物、GenBank配列、および他の出版物)は、特に断りのない限り、開示の完全性のため全体が本明細書に組み入れられる(参照により組み入れられる)。
以下の用語は、明示的に逆のことが指定されない限り、以下に示した意味を有する。
本明細書において用いられる場合、「一本鎖抗体」(scFv)は、「適宜称される」一本鎖抗体(すなわちリンカーにより連結された二つのドメインを有する)または他の類似の抗体誘導体(例えば単一のV型ドメイン)を指す。有利には、「一本鎖抗体」は「適宜称される」一本鎖抗体である。「適宜称される」一本鎖抗体の非限定的な例は、scHER2 (以下の報告例において開示される)である。
本明細書において用いられる場合、二つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の「同一性の割合」または「%同一性」は、最適に整列された二つの配列中の対応する位置において同一のアミノ酸またはヌクレオチド残基の割合を指す。
二つのアミノ酸またはヌクレオチド配列の「同一性の割合」を確定するため、配列を整列させる。最適なアライメントを持つように、ギャップ(欠失または挿入-これらは配列の末端に位置してもよい)が可能である。アミノ酸またはヌクレオチド残基を比較する。第一の配列中のある位置が第二の配列中の対応位置を占有する同じアミノ酸またはヌクレオチド残基によって占有されている場合、それらの分子はその位置で同一である。二つの配列間の「同一性の割合」は、それらの配列が共有する同一位置の数の関数[すなわち、%同一性 = (同一位置の数/合計位置の数)×100]である。
有利な態様によれば、配列は同じ長さ(同数のアミノ酸残基またはヌクレオチド)を有する。
有利には、比較される配列はギャップを持たない。
同一性の割合は、数学的アルゴリズムを用いて得ることができる。二つの配列を比較するために用いられる数学的アルゴリズムの非限定的な例は、Karlin and Altschul [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 5873-5877]によって修正されたKarlin and Altschul [Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 (1990) 2264-2268]のアルゴリズムである。
一つまたは複数のギャップの存在下においてもアライメントを得るために、ギャップごとに比較的高いペナルティーを与え、さらなるアミノ酸またはヌクレオチド残基ごとに低いペナルティーを与える方法を用いることが可能である(そのようなさらなるアミノ酸またはヌクレオチド残基はギャップの伸長と定義される)。高いペナルティーは、明らかに、より少ない数のギャップで最適なアライメントをもたらす。
そのようなタイプのアライメントを作出するように設計されたプログラム(ソフトウェア)の一例は、Altschul, et al., Nucleic Acids Res. 25 (1997) 3389-3402に開示されているようにBLASTプログラムである。このため、BLASTnおよびBLASTpプログラムをデフォルトパラメータで用いることができる。BLASTプログラムでは、マトリックスBLOSUM62が通常用いられる。
最適なアライメントを得るためのプログラムの有利かつ非限定的な例は、GCG Winsconsin Bestfitパッケージ(University of Winsconsin, USA; Devereux et al., 1984, Nucleic Acids Research 12:387)である。同じくこの場合にも、デフォルトパラメータ(ギャップごとに-12のペナルティーおよび伸長ごとに-4のペナルティーを与える)が用いられる。
本明細書において用いられる場合、二つのアミノ酸またはヌクレオチド配列間の「相同性の割合」または「%相同性」は、二つの最適に整列された配列中の対応する位置において相同のアミノ酸またはヌクレオチド残基の割合を指す。
二つの配列間の「相同性の割合」は、計算のなかで同一位置だけでなく相同位置も考慮されるという事実を除けば、「同一性の割合」の判定に関して上述したことと実質的に同一の方法で確定される。
ヌクレオチド配列に関する限り、二つの相同位置は二つの異なるヌクレオチドを有する可能性があるが、このような二つのヌクレオチドは、各コドンの範囲内で同一のアミノ酸をコードする。
アミノ酸配列に関する限り、二つの相同位置は二つの同一または相同のアミノ酸を有する。相同のアミノ酸残基は類似の化学・物理的特性、例えば、同じ群に属するアミノ酸: 芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基性アミノ酸(Lys、Arg、His)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、Val)、ヒドロキシル基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、短い側鎖を有するアミノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)を有する。そのような相同のアミノ酸間での置換は、タンパク質表現型を変化させない(アミノ酸同類置換)と予想される。
この技術分野における同類置換の具体例は、いくつかの参考文献に開示されている[例えばBowie et al., Science, 247:1306-1310 (1990)]。
最適なアライメントならびに/または相同性および/もしくは同一性の割合の確定に関するプログラムおよび/または論文のさらなる例は、例えばUS2008003202、US2007093443、WO2006048777、WO2007149406に引用されている。
本明細書において用いられる場合、「対応する位置」は、アライメントが行われた後に、参照配列の所与の位置に対応する(直面する)アミノ酸またはヌクレオチド配列の位置を指す。
例えば、SEQ ID NO:1を有するgDの所与の位置に対応する位置は、SEQ ID NO:1を関心対象のペプチド配列と整列させて特定することができる。アライメントは手作業で、または同一性の割合の判定に関して上記に開示されるように得ることができる。
本明細書において用いられる場合、「裸のポリペプチド鎖」は、翻訳後に修飾されまたは別の形で化学的に修飾されているのではなく、共有結合的に連結されたアミノ酸だけを含有しているポリペプチドを指す。
本明細書において用いられる場合、「受容体と特定の条件において結合できるリガンド」は、分子生物学的技術を用いてHSVに挿入された場合に、該リガンドが結合するように設計された該受容体との相互作用によって、HSVが細胞内に侵入することを可能にするリガンドを指す。特に、HSVは、これがリガンドを含有しており、その受容体と相互作用して、以下の報告例5において開示される試験または(異なる受容体での)類似の試験に合格できる場合に、リガンドは受容体と特定の条件において結合できる。
本明細書において用いられる場合、「受容体と相互作用するHSV (特に改変HSV)の能力」は、その受容体との相互作用によって細胞内に侵入するHSVの能力を指す。特に、同じくこの場合にも、この能力は、以下の報告例5において開示される試験または(異なる受容体に対する)類似の試験を用いて評価される。
[請求項1001]
罹患細胞において発現されるが非罹患細胞において実質的に発現されない所与の受容体と特定の条件において結合できる異種ペプチドリガンドを有する、糖タンパク質エンベロープを含む改変単純ヘルペスウイルス(HSV)であって、該糖タンパク質エンベロープが、受容体ネクチン1/HveCと相互作用する該改変HSVの能力を低減させるように改変されている、改変HSV。
[請求項1002]
前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を低減させるように改変されている、請求項1001記載の改変HSV。
[請求項1003]
前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を実質的に取り除くように改変されている、請求項1001または1002記載の改変HSV。
[請求項1004]
前記ペプチドリガンドがHSVの前記糖タンパク質エンベロープのgD (糖タンパク質D)に挿入され、gDの一部分が欠失している、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1005]
HSVの前記糖タンパク質エンベロープのgDの一部分が欠失し;
該欠失部分が一方の端である1〜8に対応する位置と他方の端である38〜55に対応する位置との間に及ぶ部分、一方の端である40〜61に対応する位置と他方の端である210〜218に対応する位置との間に及ぶ部分からなる群より選択される、
前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1006]
前記欠失部分が、一方の端である40〜61に対応する位置と他方の端である210〜218に対応する位置との間に及ぶ、請求項1005記載の改変HSV。
[請求項1007]
前記欠失部分が、一方の端である61に対応する位置と他方の端である218に対応する位置との間に及ぶ、請求項1006記載の改変HSV。
[請求項1008]
前記欠失部分が、一方の端である1〜8に対応する位置と他方の端である38〜55に対応する位置との間に及ぶ、請求項1005記載の改変HSV。
[請求項1009]
前記欠失部分が、一方の端である6に対応する位置と他方の端である38に対応する位置との間に及ぶ、請求項1008記載の改変HSV。
[請求項1010]
前記ペプチドリガンドが前記欠失部分の代わりに挿入される、請求項1004〜1009のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1011]
前記ペプチドリガンドおよびgDが融合タンパク質を形成する、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1012]
gDがSEQ ID NO:1に対して少なくとも80%の相同性を有する、請求項1004〜1011のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1013]
前記所与の受容体が、受容体HER2/ErbB2に対して少なくとも90%の相同性を有する、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1014]
前記所与の受容体がHER2/ErbB2である、請求項1013記載の改変HSV。
[請求項1015]
前記ペプチドリガンドが、EGFR1、EGFR3、PMSA、CEA、GD2、VEGFR1および2からなる群において選択される前記所与の受容体と特定の条件において結合できる、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1016]
前記ペプチドリガンドが一本鎖抗体であり、かつ特に、少なくとも300個のアミノ酸からなる、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1017]
前記一本鎖抗体が、第一のドメイン(VL)および第二のドメイン(VH)および第一のリンカー(L1)を含み、該第一のリンカーが、該第一および第二のドメイン(VL、VH)の間に位置してこれらを連結し、かつ該第一および第二のドメイン(VL、VH)を適切な相対位置につけることができ、該第一および第二のドメイン(VL、VH)が、前記所与の受容体と特定の条件において結合するように設計されている、請求項1016記載の改変HSV。
[請求項1018]
前記一本鎖抗体が第二のリンカー(L2)を含み、前記第二のドメイン(VH)が前記第一および第二のリンカー(L1、L2)の間に位置してこれらを連結する、請求項1017記載の改変HSV。
[請求項1019]
前記一本鎖抗体が第三のリンカー(L3)を含み、前記第一のドメイン(VL)が前記第一および該第三のリンカー(L1、L3)の間に位置してこれらを連結する、請求項1017または1018記載の改変HSV。
[請求項1020]
前記第一のドメイン(VL)が少なくとも100個のアミノ酸、特に117個以下のアミノ酸からなり、前記第二のドメイン(VH)が少なくとも110個のアミノ酸、特に130個以下のアミノ酸からなり、前記第一のリンカー(L1)が少なくとも12個のアミノ酸、特に30個以下のアミノ酸からなる、請求項1017〜1019のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1021]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2に対して少なくとも80%の相同性、特に同一性を有し、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3に対して少なくとも80%の相同性、特に同一性を有する、請求項1017〜1020のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1022]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2に対して少なくとも90%の相同性、特に同一性を有し、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3に対して少なくとも90%の相同性、特に同一性を有する、請求項1021記載の改変HSV。
[請求項1023]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%の相同性を有し、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%の相同性を有する、請求項1022記載の改変HSV。
[請求項1024]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2からなり、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3からなる、請求項1023記載の改変HSV。
[請求項1025]
前記第一のリンカー(L1)がSEQ ID NO:4に対して少なくとも50%の相同性を有する、請求項1017〜1024のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1026]
前記第一のリンカー(L1)がSEQ ID NO:4に対して少なくとも80%の相同性を有する、請求項1025記載の改変HSV。
[請求項1027]
前記第二のリンカー(L2)がSEQ ID NO:5に対して少なくとも50%の相同性を有する、請求項1017〜1026のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1028]
前記第三のリンカー(L3)が少なくとも2個かつ8個以下のアミノ酸からなる、請求項1017〜1027のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1029]
前記第三のリンカー(L3)が、SEQ ID NO:6に対して少なくとも50%の相同性を有するペプチド配列;SEQ ID NO:7に対して少なくとも50%の相同性を有するペプチド配列からなる群において選択される、請求項1017〜1028のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1030]
得られる改変gDが、SEQ ID NO:10に対して少なくとも70%の相同性、特に同一性を有する配列;SEQ ID NO:9に対して少なくとも70%の相同性、特に同一性を有する配列からなる群において選択されるように、前記ペプチドリガンドが前記糖タンパク質エンベロープのgD (糖タンパク質D)に挿入されかつgDの一部分が欠失している、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1031]
前記改変gDが、SEQ ID NO:10に対して少なくとも80%の相同性を有する配列;SEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の相同性を有する配列からなる群において選択される、請求項1030記載の改変HSV。
[請求項1032]
前記改変gDが、SEQ ID NO:10に対して少なくとも100%の相同性、特に同一性を有する配列;SEQ ID NO:9に対して少なくとも100%の相同性、特に同一性を有する配列からなる群において選択される、請求項1030記載の改変HSV。
[請求項1033]
前記改変gDが、SEQ ID NO:10に対して前記の割合の相同性を有する配列からなる、請求項1030〜1032のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1034]
前記改変gDが、SEQ ID NO:9に対して前記の割合の相同性を有する配列からなる、請求項1030〜1032のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1035]
前記改変gDが、コンセンサス配列Asn-X-Serおよび/またはAsn-X-ThrでN-グリコシル化され、かつ場合により、一つまたは複数のSer残基および/またはThr残基でO-グリコシル化される、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1036]
マーカーを含む、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1037]
医薬として用いるための、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1038]
腫瘍性疾患を治療するための、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1039]
卵巣腫瘍を治療するための、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1040]
乳腺腫瘍を治療するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1041]
前立腺腫瘍、結腸腫瘍、黒色腫および神経芽細胞腫からなる群より選択される疾患を治療するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1042]
腫瘍、特に卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、結腸腫瘍、黒色腫および神経芽細胞腫からなる群より選択される腫瘍の転移を治療するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1043]
哺乳類における腫瘍の治療用の医薬を製造するための請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1044]
哺乳類における卵巣腫瘍の治療用の医薬を製造するための請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1045]
哺乳類における乳腺腫瘍の治療用の医薬を製造するための請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1046]
前立腺腫瘍、結腸腫瘍、頭頸部がん、胃腫瘍、唾液腺腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、血管新生(neoangiogenic)組織、特に腫瘍の血管新生組織からなる群より選択される疾患の治療用の医薬を製造するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1047]
生理学的状態を可視化するための、請求項1036記載の改変HSVの使用。
[請求項1048]
請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVおよび少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的調製物。
[請求項1049]
請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの有効量の投与を含む、腫瘍を治療する方法。
[請求項1050]
前記腫瘍が以下の群より選択される、請求項1049記載の方法: 胃腫瘍、唾液腺腫瘍、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、頭頸部がん、結腸腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、および血管新生組織、特に腫瘍の血管新生組織。
[請求項1051]
挿入段階を含む、請求項1001〜1036のいずれか一項記載の改変HSVを調製する方法であって、該段階の際に、リガンドをコードするヌクレオチド配列が、得られる改変HSVがそのエンベロープ上に該リガンドを発現するように該HSVのDNAに挿入される、方法。
[請求項1052]
欠失段階を含み、該段階の際に前記DNAの一部分が欠失する、請求項1051記載の方法。
[請求項1053]
前記挿入段階の前に判定段階を含み、該段階の際に前記リガンド、特に一本鎖抗体が同定される、請求項1051または1052記載の方法。
[請求項1054]
前記判定段階の際にリガンド、特に一本鎖抗体が得られ、かつ、前記罹患細胞において発現される受容体の少なくとも一つと結合するその能力が試験される、請求項1053記載の方法。
本発明の非限定的な態様を添付の図面に関連して例として記述する。
図1Aは、本明細書において記述される組み換えHSV-BACゲノムの略図を示す。gDminus-EGFP-HSV-BACの骨格を例として示す。gDminus-EGFP-HSV-BACの骨格を示す。HSV-BACは、UL3とUL4の間に挿入されたpBeloBAC11配列を保有するpYEbac102 Tanaka, M., H. Kagawa, Y. Yamanashi, T. Sata, and Y. Kawaguchi. 2003. Construction of an excisable bacterial artificial chromosome containing a full-length infectious clone of herpes simplex virus type 1: viruses reconstituted from the clone exhibit wild-type properties in vitro and in vivo. J Virol 77:1382-91. [Tanaka, 2003 #672]に由来する。gDminus-EGFP-HSV-BACにおいて、レポーターカセット(a27-EGFP)はBAC配列に挿入される。gDminus-LacZ-HSV-BACは同じ構造を有するが、EGFPの代わりにLacZを保有する。図1Bは、wt-gD (a)およびgDキメラタンパク質: (b) アミノ酸残基番号34に置換を保有する組み換えR-LM31のgD; (c) アミノ酸残基番号34、215、222および223に変異を保有する組み換えR-LM39のgD; (d) アミノ酸残基番号6〜38の代わりにscHER2Lを保有する組み換えR-LM113のgD; (e) アミノ酸残基番号61〜218の代わりにLscHER2Lを保有する組み換えR-LM249のgDの直線的マップの略図を示す。太字体の数字は各断片のアミノ酸残基の長さを示す。標準体の数字はwt-gD座標(coordinate)に基づくアミノ酸残基を指す。L, リンカー。TM, gDの膜貫通ドメイン。VHおよびVL, 抗HER2/neu抗体4D5の重鎖および軽鎖可変ドメイン。Δ, 欠失。棒は一定の縮尺で描かれている。 組み換えウイルスR-LM31はネクチン1受容体から脱標的化されないことを示す。10 PFU/細胞のR-LM31に曝露された、受容体陰性のJ細胞(A)、ならびにヒトHER2およびヒトまたはマウスネクチン1をそれぞれ発現するJ-HER2 (B)、J-hネクチン1 (C)およびJ-mネクチン1 (D)の顕微鏡写真。感染から16時間後にインサイチューX-gal染色によりβ-ガラクトシダーゼ活性として感染をモニターした。E. R-LM5、R-LM13、R-LM31、R-LM39、R-LM113およびR-LM249組み換えウイルスを感染させたSKOV3細胞において発現されたwt gDおよびキメラgDの電気泳動移動度。感染細胞の溶解物をSDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に転写し、増強化学発光によって可視化した。左側の数字は分子量マーカーの移動位置を表す(キロダルトン単位)。矢印はwt gDまたはキメラgDの見かけ上の電気泳動移動度を示す。下から上に、R-LM5組み換えウイルスによって発現された野生型gD (wt-gD)、R-LM249組み換えウイルスによって発現されたgD (Δ61-218)-LscHER2L、R-LM113組み換えウイルスによって発現されたgD (Δ6-38)-scHER2L。R-LM13、R-LM31およびR-LM39によって発現されたgD-scHER2Lの移動は、gD(Δ6-38)-scHER2Lのそれと区別できない。 R-LM113およびR-LM249組み換えウイルスによる一連の細胞株の感染を示す。表示した細胞株の単層に5 PFU/細胞で感染させ、EGFPレポーター遺伝子の発現を蛍光光度計によって24時間後に測定した。左側の数字は任意単位のEGFP強度を示す。 R-LM39、R-LM113およびR-LM249組み換え体のグラフならびに対照ウイルスR-LM5およびR-LM13のグラフを示す。(A〜G) J (A)、J-ネクチン1 (B)、J-HVEM (C)、J-HER2 (D)、SKOV3 (E)、I-143 tk- (F)、またはHEp-2 (G)細胞の同型培養物に組み換えウイルスR-LM5 (■)、R-LM13 (●)、R-LM39 (Δ)、R-LM113 (×)またはR-LM249 (▲)を1 PFU/細胞で感染させた。子孫ウイルスを感染から3、24および48時間後に回収し、SKOV3細胞において力価測定した。 HER2に対する抗体(ハーセプチン)またはネクチン1に対する抗体(R1.302)によるR-LM39 (A)、R-LM113 (B)またはR-LM249 (C)でのSKOV3細胞の感染の遮断を示す。SKOV3細胞を表示濃度のハーセプチン(Δ)、R1.302 (○)もしくはハーセプチンに加えてR1.302の組み合わせ(●)由来精製IgGまたは無関係のマウスIgG (×)とともに4℃で2時間プレインキュベートした。ウイルスを抗体含有培地に加え、4℃で90分間細胞に吸着させた。EGFP発現として16時間後に感染をモニターした。100パーセントは、未処理ウイルスに感染した培養物におけるEGFPの読み出しを示す。 図16Aは、ハーセプチンによる細胞間の伝播の阻害を示す。表示したウイルスの連続希釈液を感染させたSKOV3細胞に1%シープラーク・アガロース ± 10 μg/mlのハーセプチンを含有する培地を重層した。個々のプラークを48時間の時点で写真撮影し、プラーク領域をPhotoshop Histogramツールプログラムによって測定し、ピクセル×103として表現した。各ウイルスごとに、4つまたは5つのプラークの領域を測定した。ヒストグラムは平均; エラーバー、標準偏差を表す。図6Bは、図6Aに関して参照された代表的なプラークを示す。 プラスミドpLM5のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpLM13 (成熟gDのaa 24と25の間にscHER2L)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpLM31 (V34S置換を導入するためにpLM13の突然変異誘発によって得られた)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpS31 (pST76KSRのSmaIへのpLM31からのNruI-PmeI断片のサブクローニングによって得られたシャトルプラスミド)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpS39 (プライマーgD_215G-222N-223I_PvuIでのpS31の突然変異誘発によって得られたシャトルプラスミド)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpLM113 (成熟タンパク質のaa 6〜38がscHER2Lで置き換えられたgDをコードする配列を保有する)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpS113 (pST76KSRのSmaIへのpLM113からのNruI-PmeI断片のサブクローニングによって得られたシャトルプラスミド)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpLM249 (リンカーが側方に位置したscHER2で成熟タンパク質のaa 61-218が置き換えられたgDをコードする配列を保有する)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 プラスミドpS249 (pST76KSRのSmaIへのpLM249からのNruI-PmeI断片のサブクローニングによって得られたシャトルプラスミド)のマップを示す。下線を引いた太字斜体の数字は最終の完成プラスミドにおける座標を示し; 標準体の数字はオリジナルのベクターおよび断片における座標を示す。 R-LM5対照ウイルスと比べてR-LM113およびR-LM249組み換え体の細胞毒性活性を示す。ヒストグラムは全細胞数を表す(y軸: 細胞数×104)。感染細胞の各サンプルごとに、細胞の接着(a)画分も脱離(d)画分もともにカウントした。ヒストグラムの陰影部分は非生存細胞の画分(エリスロシンB陽性)を表し、対応する値をヒストグラムの上の百分率値に示してある。NI, 非感染対照細胞。
例示的態様の説明
本発明の第一の局面によれば、罹患細胞において発現されるが非罹患細胞において実質的に(またはほとんど)発現されない所与の受容体と特定の条件において結合できる異種ペプチドリガンドを有する、糖タンパク質エンベロープを含んだ改変単純ヘルペスウイルス(HSV)が提供される。糖タンパク質エンベロープは、受容体ネクチン1/HveCと特定の条件において結合する改変HSVの能力を(HSV野生型に対して)低減させるように改変されている。有利には、受容体ネクチン1/HveCと特定の条件において結合する改変HSVの能力は、実質的に取り除かれる。
いくつかの好ましい態様によれば、受容体HVEM/HveAと特定の条件において結合する改変HSVの能力は低減され、有利には、実質的に取り除かれる。
例示的態様は、ヘルペスウイルス(Herpesviridae)科の一員である例示的なウイルスHSV-1を用いて開示される。
HSV-1およびHSV-2は単純ヘルペスウイルスである。本発明の主題はヘルペスウイルス科の任意の成員にまで及び、例のなかで開示される例示的な態様に限定されない。多くのHSVは当技術分野において公知である。そのようなウイルスは一つまたは複数の突然変異遺伝子を含むことができる。異種遺伝子を含有する組み換えウイルス、ならびにこのようなウイルスを作出および使用する方法の例は、US5599691に記述されている。異種遺伝子には、マーカータンパク質を発現する感染細胞の検出を可能にする(赤色もしくは緑色蛍光タンパク質またはその変異形、ルシフェラーゼあるいはβ-ガラクトシダーゼのような)マーカータンパク質をコードする遺伝子が含まれる。
本明細書における改変HSVは、野生型ウイルスの感染性の関連部分を維持しているという利点をもたらした。
具体的な態様によれば、ペプチドリガンドはHSVの糖タンパク質エンベロープのgD (糖タンパク質D)に挿入される。gDの一部分は欠失している。有利には、ペプチドリガンドは、特に、ペプチドリガンドおよびgDが融合タンパク質を形成するように、欠失部分の代わりに挿入される。
通常、(成熟)野生型gDはペプチド配列SEQ ID NO:1を有する。
野生型gDは、ペプチド配列SEQ ID NO:34を有する前駆体に由来する。
上述の前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:35によってコードされる。
本発明のいくつかの態様によれば、gDはこれが改変される前には、SEQ ID NO:1に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%または100%の相同性、有利には同一性を有する。
いくつかの態様によれば、一方の端である40〜61に対応する位置と他方の端である210〜218に対応する位置との間に及ぶ部分が欠失している。有利には、欠失部分は一方の端である61に対応する位置と他方の端である218に対応する位置との間に及ぶ。
本明細書において、改変または未改変ペプチド配列の座位(位置)は、SEQ ID NO:1によって特定される未改変(成熟)野生型gDの対応位置におけるアミノ酸残基のアミノ酸付番に関連して特定される。対応位置は、未改変残基を整列させることによって特定することができる(上記参照)。例えば、本発明者らは以下に、野生型gD (SEQ ID NO:1)およびその前駆体(SEQ ID NO:34)の配列の付番について報告する。
Figure 0006025793
いくつかの態様によれば、欠失部分は一方の端である1〜8に対応する位置と他方の端である38〜55に対応する位置との間に及ぶ。有利には、欠失部分は一方の端である6に対応する位置と他方の端である38に対応する位置との間にある。
上述のペプチドリガンドは当技術分野において公知の任意のタイプの適当なリガンド、例えばサイトカイン、増殖因子、モノクローナル抗体の誘導体または、有利には、一本鎖抗体である。
いくつかの具体的な態様によれば、ペプチドリガンドは、受容体HER2/ErbB2に対して少なくとも70%、80%、90%、95%または100%の相同性、有利には同一性を有する所与の受容体と特定の条件において結合できる。
HER2/ErbB2は、例えば、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、胃腫瘍および唾液腺腫瘍細胞において過剰発現され(Hynes N. E. and H. A. Lane. 「ERBB receptors and cancer: the complexity of targeted inhibitors.」 Nat Rev Cancer (2005) 5: 341; Holbro, T. & Hynes, N. E. ErbB receptors: directing key signaling networks throughout life. Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 44, 195-217 (2004); Hynes, N. E. & Stern, D. F. The biology of erbB-2/neu/HER-2 and its role in cancer. Biochim. Biophys. Acta 1198, 165-184 (1994))、かつ非悪性組織において非常に低いレベルで発現される(Yamamoto et al; Nature. 1986 Jan 16-22;319 (6050) :230-4) (Press M. F et al., Oncogene (1990) 5: 953)受容体である。
他の態様によれば、ペプチドリガンドは、EGFR1 (上皮増殖因子受容体1) [Carpenter, G. (1992). Receptor tyrosine kinase substrates: src homology domains and signal transduction. Faseb J 6(14), 3283-9]、EGFR3 [Hynes, N. E., and Lane, H. A. (2005). ERBB receptors and cancer: the complexity of targeted inhibitors. Nat Rev Cancer 5(5), 341-54]、PMSA (前立腺膜に関連する抗原)、CEA (がん胎児性抗原)、GD2 (神経芽細胞腫においておよび黒色腫において発現されるジシアロガングリオシド)、新脈管構造において発現されるVEGF (血管内皮増殖因子)受容体1および2 [Carmeliet, P. (2005). VEGF as a key mediator of angiogenesis in cancer. Oncology 69 Suppl 3, 4-10]からなる群において選択される所与の受容体に対して少なくとも70%、80%、90%、95%または100%の相同性、有利には同一性を有する所与の受容体と特定の条件において結合できる。
重要なことに、上述の受容体のいくつかに対する、天然のリガンド、例えばEGF、VEGFが公知であることに留意されたい。当技術分野の状況において、罹患細胞において発現される受容体を標的にするモノクローナル抗体および一本鎖抗体が公知である。例えば、J591、J415 e J533が作出されている(公開番号US20030007974を有する特許出願を参照のこと)。EGFR1に対する一本鎖抗体(Nakamura, T., Peng, K. W., Vongpunsawad, S., Harvey, M., Mizuguchi, H., Hayakawa, T., Cattaneo, R., and Russell, S. J. (2004). Antibody-targeted cell fusion. Nat Biotechnol 22(3), 331-6)、EGFR3に対する一本鎖抗体(Horak, E., Heitner, T., Robinson, M. K., Simmons, H. H., Garrison, J., Russeva, M., Furmanova, P., Lou, J., Zhou, Y., Yuan, Q. A., Weiner, L. M., Adams, G. P., and Marks, J. D. (2005). Isolation of scFvs to in vitro produced extracellular domains of EGFR family members. Cancer Biother Radiopharm 20(6), 603-13)、VEGFR2/KDRに対する一本鎖抗体(A7 scFv, Boldicke, T., Tesar, M., Griesel, C, Rohde, M., Grone, H. J., Waltenberger, J., Kollet, O., Lapidot, T., Yayon, A., and Weich, H. (2001). Anti-VEGFR-2 scFvs for cell isolation. Single-chain antibodies recognizing the human vascular endothelial growth factor receptor-2 (VEGFR-2/flk-1) on the surface of primary endothelial cells and preselected CD34+ cells from cord blood. Stem Cells 19(1), 24-36)が記述されている。
CEAに対する一本鎖抗体が調製されている: とりわけ、scFv MFE23 (これはChowdhury et al, Retargeting Retrovirus, 2004 Mol. Ther. 9:85, Imaging, Mayer A., Clin. Cancer. Res. 6 (5): 1711 (2000)に、および公開番号US20020090709を有する特許出願に開示された)、ならびにscFv T84.66 (これはHu, Cancer Research (1996) 56:3055; Olafsen T. et al., Protein Eng. Des. Sel. (2004) 17:21; Wong Y.J. et al., Clin. Cancer Res. (2004) 10:5014; Kenanova V. et al., Cancer Res. (2005) 65:622; US20030171551に開示された)。GD2に対するモノクローナル抗体MAb 3F8 (US20040116379、US20040115688、US6716422、Kushner B. H. et al., (2001) 19:4189、Tur M. K. et al., Int. J. Molec. Med. (2001) 8:579、US20040180386)および一本鎖抗体scFv 14.18も当技術分野において公知である。
いくつかの具体的な態様によれば、リガンドは、scFv J591、scFv MFE23、MAb 3F8、scFv T84.66およびscFv 14.18からなる群において選択されるリガンドと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、100%の相同性(有利には同一性)を有する。
いくつかの態様によれば、リガンドは、少なくとも300個のアミノ酸; 有利には少なくとも320個、360個または240個のアミノ酸からなる。
有利には、リガンドは、第一のドメイン(VL)および第二のドメイン(VH)および第一のリンカー(L1)を含み、該第一のリンカーは、該第一および第二のドメイン(VL、VH)を連結し、かつ該第一および第二のドメイン(VL、VH)を適切な相対位置につけることができ、該第一および第二のドメイン(VL、VH)は、所与の受容体と結合するように設計されている。
リガンドは第二のリンカー(L2)および/または第三のリンカー(L3)をさらに含む。第二のドメイン(VH)は第一および第二のリンカー(L1、L2)の間に位置してこれらを連結する。第一のドメイン(VL)は第一および第三のリンカー(L1、L3)の間に位置してこれらを連結する。
第一のドメイン(VL)は少なくとも100個のアミノ酸、有利には117個以下のアミノ酸からなる。第二のドメイン(VH)は少なくとも110個のアミノ酸、有利には130個以下のアミノ酸からなる。第一のリンカー(L1)は少なくとも12個のアミノ酸、有利には30個以下のアミノ酸からなる。
いくつかの態様によれば、第一のドメイン(VL)はSEQ ID NO:2に対して少なくとも80%、90%、95%、98%、100%の相同性、有利には同一性を有する。
Figure 0006025793
いくつかの態様によれば、第一のドメイン(VL)はSEQ ID NO:3に対して少なくとも80%、90%、95%、98%または100%の相同性、有利には同一性を有する。
Figure 0006025793
いくつかの態様によれば、第一のリンカー(L1)はSEQ ID NO:4に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または100%の相同性、有利には同一性を有する。
Figure 0006025793
いくつかの態様によれば、第二のリンカー(L2)はSEQ ID NO:5またはSEQ ID NO:8に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%または100%の相同性、有利には同一性を有する。
Figure 0006025793
いくつかの態様によれば、第三のリンカー(L3)は少なくとも2個、かつ有利には、8個以下のアミノ酸からなる。第三のリンカー(L3)はSEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:7に対して少なくとも50%、60%、70%、80%、90%または100%の相同性、有利には同一性を有する。
Figure 0006025793
いくつかの特定の態様によれば、得られる改変gD(糖タンパク質D)がSEQ ID NO:10またはSEQ ID NO:9に対して少なくとも70%、80%、90%、95%、98%または100%の相同性、有利には同一性を有するように、ペプチドリガンドは糖タンパク質エンベロープのgD に挿入され、gDの一部分が欠失している。
Figure 0006025793
SEQ ID NO:10およびSEQ ID NO:9の前駆体は、それぞれSEQ ID NO:36およびSEQ ID NO:37によって発現されることができる。
本明細書において開示されるペプチド配列、特に改変gDは、翻訳後に変えられてもよい。可能な変化はグリコシル化、ペグ化(pegylation)、アルブミン化(albumination)、ファルネシル化(farnysylation)、カルボキシル化、ヒドロキシル化、リン酸化を含むが、これらに限定されることはない。
この点において、野生型gDは、特定のコンセンサス配列(Asn-X-Serおよび/またはAsn-X-Thr)ごとにN-連結オリゴ糖が付加され(Sodora, D. L., G. H. Cohen, and R. J. Eisenberg. 1989. Influence of asparagine-linked oligosaccharides on antigenicity, processing, and cell surface expression of herpes simplex virus type 1 glycoprotein D. J Virol 63:5184-93)、一つまたは複数のSerおよび/またはThr残基の位置でO-連結オリゴ糖が付加されうることに留意されたい。有利には、同様に改変gDおよび/またはリガンドもそのような修飾を含む。
驚いたことに、本発明による改変HSVは、wt gDがHVEMとの相互作用に関与するという点で、アミノ酸番号7-32の配列は必ずしも欠失しなかったが、ネクチン1と相互作用する能力を失うばかりか、HVEMと相互作用する能力も失い、それゆえ、天然受容体のHVEMからもネクチン1からも脱標的化されることが実験的に分かった。
この点において、ZhouおよびRoizman (WO2004/033639)によって記述されている努力に反して、使用されるリガンド(この場合にはscFv)は、gDのN末端の位置に挿入されるのではなく、除去できない残基を含んだgDの二つの部分(すなわちアミノ酸残基番号60までのN末端および218から末端までの領域)の間に挿入されることに留意されたい。改変HSVの特定の特徴は、これらの部分が単一のポリペプチド鎖の中でともに連結され、特に、この場合、同時に二つの機能を果たす、つまり(i) 標的化される受容体に対する新しいリガンドを提供する(ゆえに組み換えウイルスの親和性を選択の受容体に向ける)、および(ii) wt-gDでは、ポリペプチド61-218に含まれるIg折り畳み部分に位置する足場機能を提供する、scFvによって、ともに連結され保持されるということである。
異種リガンドによって標的化される受容体を発現する細胞に特異的に付着し、進入する標的化ウイルスの能力をおそらく改善するさらなる改変には、非特異的HSV受容体ヘパラン硫酸との結合を可能にする糖タンパク質gB (アミノ酸残基番号68-77)およびgC (アミノ酸残基番号136-152)における特異的配列の除去が含まれる。そのような配列、またはその伸長物を、選択の細胞上に組み換えウイルスをさらに濃縮するために、選択の異種リガンドと置き換えることができる。
さらなる実施は、感染細胞からすぐ近くの隣接細胞へのウイルスの広がりにかなり有利に働く変異の、ウイルスゲノムにおける導入にある。そのような効果を及ぼす突然変異が公知である。典型的には、それらは感染細胞にすぐ近くの細胞と合胞体(または多核細胞)を形成させるので、合胞体(syn)変異と称される。そのような変異の例は、gK中に位置するA40VおよびgB中に位置するR858H、T813I、R796Cである。
本発明のさらなる局面によれば、有利には、腫瘍、特に卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、結腸腫瘍、胃腫瘍、唾液腺腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、頭頸部がん、血管新生(neoangiogenic)組織、特に腫瘍の血管新生組織、および/またはそれらの転移を治療するための、医薬として用いる上記に定義された改変HSVが提供される。有利には、上記に定義された改変HSVは卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、胃腫瘍、唾液腺腫瘍およびそれらの転移を治療するために用いられる。有利には、上記に定義された改変HSVは卵巣腫瘍、乳腺腫瘍およびそれらの転移の治療で用いるために提供される。
この点において、上述の改変HSVが腫瘍転移を治療するために特に有用であることを指摘するのは重要である。これは、いったん改変HSVが投与されると、それが拡散し、自律的に転移がんに感染するという事実によるものである。
改変HSVは任意の公知の手段によって被験体に投与することができる。特に、改変HSVは腫瘍の領域に直接的にか、あるいは、全身的に、例えば転移が検出されたところにまたは腫瘍が直接到達できないところに、投与することができる。
改変HSVを含有する薬学的調製物には、被験体、特にヒトまたは他の哺乳類に損傷を与えうる不純物が実質的にない。薬学的調製物は、有利には、一つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む。
改変HSVはあらゆる公知のタイプの投与のために、特に、経口もしくは非経口投与または直腸投与のためにあるいは吸入またはガス注入(口と鼻の両方による)のために設計された形態で処方することができる。非経口用の処方が有利である。
経口投与の場合、薬学的調製物は、例えば、薬学的見地から結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンもしくはメチルセルロース); 増量剤(例えばラクトース、微結晶性セルロースもしくはリン酸水素カルシウム); 添加物(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ); 崩壊剤(例えばジャガイモデンプン); および/または滑沢剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)として許容される賦形剤により公知の方法を用いて調製される錠剤またはカプセルの形態であることができる。錠剤は公知の方法でコーティングすることができる。経口投与用の液体調製物は、例えば、シロップ状の液体もしくは懸濁液の形態を持ってもよく、またはそれらは、使用前に水にもしくは別の液体に溶解されうる乾燥製品の形態であることができる。これらの調製物は、懸濁化剤(例えばソルビトール、セルロース誘導体、食用水添脂); 乳化剤(例えばレシチンもしくはアカシア); 非水性液体(例えばアーモンド油、油性エステル、エチルアルコールもしくは分画植物油); および/または保存料(例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、ソルビン酸またはアスコルビン酸)のような薬学的に許容される添加物により公知の方法で調製することができる。調製物は、適切な場合には、緩衝塩、着色剤、芳香剤および/または甘味剤を含有することもできる。
経口投与用の調製物は、活性化合物の制御放出を与えるように、公知の方法で処方することができる。
改変HSVは、注射または持続投与による非経口投与のために、公知の方法で、処方することができる。注射用の処方は単回用量の形態でも、例えばアンプル中でもまたは保存料を含有する複数回用量容器中でもよい。調製物は懸濁液の形態でも、水性もしくは油性液体中でもよく、それは分散剤および安定剤のような処方成分を含有してもよい。あるいは、活性化合物は使用直前に、適当な液体、例えば滅菌水に溶解される粉末形態でもよい。
改変HSVは、坐薬としての直腸投与または注腸のために処方されてもよく、例えば、カカオ脂または他の油脂のような、公知のタイプの坐薬用の賦形剤を含有してもよい。
改変HSVはまた、持続放出を有する調製物として、公知の方法で処方することもできる。持続放出を有するこれらの調製物は、(例えば皮下の、もしくは筋肉内の)インプラントを用いてまたは筋肉内注射を用いて投与することができる。したがって、例えば、改変HSVは、適当な重合体材料もしくは疎水性材料(例えば乳濁液もしくは油脂)またはイオン交換を有する樹脂、あるいは比較的難溶性の誘導体、例えば比較的難溶性の塩などで処方することができる。
鼻腔内投与の場合、改変HSVは(公知の)装置を用いて、例えば適当な担体とともに粉末形状で、投与のために処方することができる。
改変HSVの投与量はプラーク形成単位(pfu)数と定義することができる。投与量の例としては103、104、105、106、107、108、109、1010または1011 pfuが挙げられる。
治療される被験体は任意の哺乳類、例えばヒトであることができる。治療できる動物の他の例は、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ウマのような家畜; ネコおよびイヌのようなペット; ウサギ、マウス、ラットである。
場合によっては、改変HSVをさらなる処置である化学療法、免疫療法、放射線療法および/または他のタイプの処置とともに投与することが可能である。
特に、改変HSVは、例えばエンドスタチン(EntreMED)、SU5416、SU6668 (Sugen, San Francisco)、タリドマイド、COL-3 (Collagenex, Newton PA)、AG3340 (Agouron, LaJolla, CA)、マリマスタット(British Biotech)、ネオバスタット(Aeterna, Quebec)、BMS-275291 (Bristol-Myers Squibb)のような血管形成の阻害剤と組み合わせて用いることができる。
本発明のさらなる局面によれば、生理学的状態を可視化するための、有利には腫瘍転移を特定するための改変HSVの使用が提供される。したがって、本明細書において生理学的状態を可視化するための組成物を調製するための改変HSVの使用が提供される。そのような組成物は、それを被験体に投与できるように公知の方法を用いて調製することができる。
有利には、可視化は卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、結腸腫瘍、胃腫瘍、唾液腺腫瘍、黒色腫、頭頸部がん、血管新生組織、特に腫瘍の血管新生組織、および神経芽細胞腫ならびに/またはそれらの転移; 有利には、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、胃腫瘍、唾液腺腫瘍およびそれらの転移; 特に、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍およびそれらの転移を対象にすることができる。
生理学的状態の可視化は、PETまたはSPECTのような高感受性の検出技術を用いて遺伝子チミジンキナーゼ(TK)の発現の撮像により得ることができる(Sharma et al, Molecular imaging of gene expression and protein function in vivo with PET and SPECT, J. Magn. Reson. Imaging., 16 (4) : 336-51, 2002) (Vries et al., Scintgraphic Imaging of HSV Gene Therapy, Curr. Pharm. Des., 8 (16): 1435-50, 2002) (Vries et al., Positron Emission Tomography: measurement of transgene expression, Methods, 27(3) :234, 2002)。
あるいは、非必須タンパク質(例えばUsll)およびインビボで特定できるレポータータンパク質(例えば赤色もしくは緑色蛍光タンパク質またはその変異形、ルシフェラーゼあるいはβ-ガラクトシダーゼ)を融合することが可能である。
ルシフェラーゼが用いられる場合、その存在は適当な発光性または発色性基質を用いて強調することができる。レポータータンパク質はチミジンキナーゼに融合することができる(Soling et al., Intercellular localization of Herpes simplex virus of the type 1 thymidine kinase fused to different fluorescent proteins depends on choice of fluorescent tag, FEBS Lett., 527 (1-3): 153, 2002)。
本発明のさらなる局面によれば、上記に定義の改変HSVを調製する方法が提供される。この方法は挿入段階を含み、該段階の際にペプチドリガンドをコードするヌクレオチド配列が、得られた改変HSVがそのエンベロープ上にペプチドリガンドを発現するように、HSVのDNAに挿入される。
有利には、HSVのDNAは、改変HSVのgDコード配列がSEQ ID NO:36またはSEQ ID NO:37、特にSEQ ID NO:37に対して少なくとも70%、80%、90%、95%または100%の相同性、有利には同一性を有するように操作される。
挿入の前に、適当なリガンド、有利には一本鎖抗体を、罹患細胞において発現される少なくとも一つの受容体と結合するその能力について試験するための公知の技術を用いて特定することができる。
本発明のさらなる特徴は、いくつかの単に例示的かつ非限定的な例に関する以下の記述によって明らかになるであろう。
実施例1- HER2/Neuに対する一本鎖抗体で置換された欠失を保有しているかつレポーター遺伝子としてEGFPを保有している遺伝子改変gDを発現するHSVの構築
A) HSV-BACからのgDの欠失
gDマイナスのウイルスを作出するため、細菌において「ETクローニング」手順を行った(Muyrers, J. P., Y. Zhang, G. Testa、およびA. F. Stewart. 1999. Rapid modification of bacterial artificial chromosomes by ET-recombination. Nucleic Acids Res 27:1555-7)。gD ORFに隣接する60 ntの配列を5'末端に含んだプライマー:
Figure 0006025793
を用いて、二つのFRT部位が側方に位置したカナマイシン耐性カセットをプラスミドpFRT-2からPCR増幅した。pFRT-2は、pCP15に由来するカナマイシン耐性をpCP16のNsiI部位へ挿入し、テトラサイクリン耐性遺伝子を置き換えることによって構築された Cherepanov, P. P., and W. Wackernagel. 1995. Gene disruption in Escherichia coli: TcR and KmR cassettes with the option of Flp-catalyzed excision of the antibiotic-resistance determinant. Gene 158:9-14。PCR産物を、Yebac102 HSV-BAC Tanaka, M., H. Kagawa, Y. Yamanashi, T. Sata, and Y. Kawaguchi. 2003. Construction of an excisable bacterial artificial chromosome containing a full-length infectious clone of herpes simplex virus type 1: viruses reconstituted from the clone exhibit wild-type properties in vitro and in vivo. J Virol 77:1382-91を内部に持ち、かつpKD46プラスミドからラムダファージRed-βおよびRed-γリコンビナーゼを一過的に発現するDH10B大腸菌(E. coli) (Stratagene)にエレクトロポレートした Datsenko, K. A., and B. L. Wanner. 2000. One-step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K-12 using PCR products. Proc Natl Acad Sci U S A 97:6640-5。二種の抗生物質25 μg/mlのカナマイシン(PCR産物に含まれるマーカー)および20 μg/mlのクロラムフェニコール(HSV-BAC配列中に含まれるマーカー)を含有するプレート上で組み換えクローンを選択して、カナマイシン耐性カセットによるgDコード配列の置換を確実とした。カナマイシンカセットを除去するため、陽性クローンに、FRT配列を標的にする酵母FLPリコンビナーゼを発現するプラスミドpCP20 (Cherepanov, P. P., and W. Wackernagel. 1995. Gene disruption in Escherichia coli: TcR and KmR cassettes with the option of Flp-catalyzed excision of the antibiotic-resistance determinant. Gene 158:9-14)をエレクトロポレートした。最後に、コロニーをカナマイシンマーカーの喪失について、およびクロラムフェニコール耐性についてアッセイした。102gD- FRTと名付けた、得られたgDマイナスのHSV-BACゲノムをサザンブロット、PCR、配列決定によって調べ、R6においてのみプラークを形成し、他の細胞株においては形成しない能力について調べた。
B) EGFP (強化緑色蛍光タンパク質)またはLacZレポーター遺伝子の102gD- FRT HSV-BACへの遺伝子操作
HSV-BAC組み換え体の遺伝子操作における第二段階は、レポーター遺伝子EGFPまたはLacZの挿入であり、したがってgDminus-EGFP-HSV-BACまたはgDminus-LacZ-HSV-BACを作出することであった。本発明者らはレポーター遺伝子挿入の部位としてpBeloBAC配列それ自体を選択したが、その結果、マーカー遺伝子を、必要なら、CreリコンビナーゼによってBAC配列とともに欠失することができる(図1A)。EGFPのコード配列に続くウシ成長ホルモン(BGH)由来ポリアデニル化シグナルをプライマー
Figure 0006025793
でpCMS-EGFP (Clontech)からPCR増幅し、HSV a27プロモーターの下流にクローニングした。a27-EGFPカセットを二つの700 bp配列間に挿入し、プラスミドpBeloBac11 (GenBankアクセッション番号: U51113)からPCR増幅した。上述の二つの700 bp配列をpBeloBac11-up
Figure 0006025793
およびpBeloBac11-down
Figure 0006025793
と名付けた。得られた構築体において、生じたa27-EGFPカセットはpBeloBac11のnt 1897と1898 (当初の座標)との間に挿入された。カセットa27-EGFPに加えてpBeloBac11隣接配列を細菌内での相同組み換えのためシャトルベクターpST76KSR Adler, H., M. Messerle, M. Wagner, and U. H. Koszinowski. 2000. Cloning and mutagenesis of the murine gammaherpesvirus 68 genome as an infectious bacterial artificial chromosome. J Virol 74:6964-74にサブクローニングした。LacZ挿入の場合、本発明者らは同じ戦略にしたがい、a27-LacZカセットを既に含んだプラスミドにpBeloBac11-upおよびpBeloBac11-down配列をクローニングした。全てのプラスミドにおいて正確を期すために関連する挿入断片および隣接領域を配列決定した。
C) gDマイナスのBACへのキメラgDの挿入のためのシャトルベクターの構築
pS31と名前を付けたgDシャトルベクター(図10)はgDのaa残基番号24と25の間に挿入されたscHER2L (scFv anti HER2に加えて9-aaのセリングリシンリンカー)、それに加えてV34S置換を保有する(図1B, b)。これを以下のように構築した。まず初めに、gDのaa残基番号24と25の間に挿入されたscHER2Lを保有する構築体pLM13 (図8)の中に部位特異的突然変異誘発法によってV34S置換を導入し、pLM31 (図9)を作出した。突然変異誘発はプライマー
Figure 0006025793
およびその逆鎖によりStratagene Quickchange IIキット(Stratagene)を用いて行った。変異体クローンのスクリーニングを簡略化するために、プライマーには表示したサイレントな制限部位が含まれた。次に、突然変異誘発されたgD+scHER2に加えてgDゲノムの上流および下流隣接配列(各およそ500 bp)を含んだカセットを、pST76KSRシャトルベクターに移入して、大腸菌内での相同組み換えを可能にした。
pS39 (図11)を構築するため、プライマー
Figure 0006025793
およびその逆鎖を用いて、pS31にクローニングされたgDにD215G、R222N、F223Iの置換を加えた(図1B, c)。
pS113シャトルベクター(図13)は、aa残基番号6〜38が欠失しかつscHER2L [scFv anti HER2に引き続き、配列
Figure 0006025793
によってコードされる11 aaのセリン・グリシンリンカー: SSGGGSGSGGS (SEQ ID NO:5)]と置き換えられた、gDを含む(図1B, d)。この構築体を作出するため、EcoRIおよびBamHI制限部位をpLM5 (図7)中のgD ORFに連続的に導入した。変異原性プライマー
Figure 0006025793
をそれぞれ用いて、EcoRI制限部位をタンパク質配列のアミノ酸位置6-8に挿入し、BamHI制限部位をタンパク質配列のアミノ酸位置37-39に挿入した。EcoRI部位の挿入によって置換D6EおよびA7Nが導入される。scHER2Lをプライマー
Figure 0006025793
によりpS2019a Sidhu, S. S., B. Li, Y. Chen, F. A. Fellouse, C. Eigenbrot, and G. Fun. 2004. Phage-displayed antibody libraries of synthetic heavy chain complementarity determining regions. J Mol Biol 338:299-310から増幅した。この構築体をpLM113 (図12)と名付けた。最終のシャトルプラスミドpS113は、ゲノム隣接配列(NruI-PmeI断片)とともに遺伝子操作gDをpST76KSR (図13)にサブクローニングすることによって構築した。
pS249シャトルベクターは、aa残基番号61-218が欠失しかつgD aa残基番号61〜218の代わりにLscHER2L [配列
Figure 0006025793
によってコードされる上流8 aa: HSSGGGSG (SEQ ID NO:7); 配列
Figure 0006025793
によってコードされる下流12 aa: SSGGGSGSGGSG (SEQ ID NO:8)のセリン・グリシンリンカーが側方に位置したscFv anti HER2]で置き換えられた、gDを含む(図1B, e)。二つの500 bpの上流および下流ゲノム隣接配列が側方に位置した、pcDNA3.1(-) (Invitrogen)にクローニングされているgD ORFを含んだプラスミドpLM5 (図7)に対して突然変異誘発およびクローニングを行った Menotti, L., A. Cerretani, and G. Campadelli-Fiume. 2006. A herpes simplex virus recombinant that exhibits a single-chain antibody to HER2/neu enters cells through the mammary tumor receptor, independently of the gD receptors. J Virol 80:5531-9。まず初めに、変異原性プライマー
Figure 0006025793
を用いることにより、それぞれ、成熟gDのアミノ酸番号61-62および218-219に代えてコード配列に二つのNdeI部位を挿入した。次に、サイレントなBamHI部位を含んだ二つのリン酸化オリゴ
Figure 0006025793
をアニーニングし、NdeI部位へ連結することにより、9 aaのセリン・グリシンリンカーを挿入した。scHER2をプライマー
Figure 0006025793
によりpS2019a Sidhu, S. S., B. Li, Y. Chen, F. A. Fellouse, C. Eigenbrot, and G. Fuh. 2004. Phage-displayed antibody libraries of synthetic heavy chain complementarity determining regions. J Mol Biol 338:299-310から増幅し、セリン・グリシンリンカーのBamHI部位へ挿入した。全挿入断片長は801 bpからなり、267 aa残基をコードする。この構築体をpLM249と名付けた。最後に、遺伝子操作されたgDΔ61-218+LscHER2Lに加えてgDゲノム上流および下流隣接配列(pLM249からのNruI-PmeI断片)を含んだカセットを、大腸菌内での相同組み換えのためpST76KSRシャトルベクターのSmaIにサブクローニングし、pS249 (図14)を作出した。全てのプラスミドにおいて正確を期すために関連する挿入断片および隣接領域を配列決定した。
D) 細菌内での二段階置換による組み換えゲノムの作出
大腸菌内で組み換えゲノムを作出するために適用した手順は、少し変更を加えるだけで、本質的には報告の通りとした O'Connor, M., M. Peifer, and W. Bender. 1989. Construction of large DNA segments in Escherichia coli. Science 244:1307-12; Messerle, M., I. Crnkovic, W. Hammerschmidt, H. Ziegler, and U. H. Koszinowski. 1997. Cloning and mutagenesis of a herpesvirus genome as an infectious bacterial artificial chromosome. Proc Natl Acad Sci U S A 94:14759-63; Borst, E. M., G. Hahn, U. H. Koszinowski, and M. Messerle. 1999. Cloning of the human cytomegalovirus (HCMV) genome as an infectious bacterial artificial chromosome in Escherichia coli: a new approach for construction of HCMV mutants. J Virol 73:8320-9。手短に言えば、関連のgDマイナスHSV-BACゲノムを内部に持つエレクトロコンピテントなDH10B大腸菌(Stratagene)に0.2 cmのエレクトロポレーションキュベット(Bio-Rad)中にて200 O、25 μF、2.5 kVでシャトルベクターをエレクトロポレートし、25 μg/mlのカナマイシン(Kana) (シャトルベクターのマーカー)および20 μg/mlのクロラムフェニコール(Cam) (BACのマーカー Tanaka, M., H. Kagawa, Y. Yamanashi, T. Sata, and Y. Kawaguchi. 2003. Construction of an excisable bacterial artificial chromosome containing a full-length infectious clone of herpes simplex virus type 1: viruses reconstituted from the clone exhibit wild-type properties in vitro and in vivo. J Virol 77:1382-91)を含有するLB寒天上にプレーティングし、30℃で終夜(o/n)インキュベートして、シャトルベクターからのRecAの発現を可能にした。クローンを43℃でLB+Kana+Cam上に再プレーティングして、共組み換え体を内部に持つクローン(非組み換えシャトルベクターによって判定された温度感受性「小型コロニー」の表現型と比べて、大型コロニーとして見える)の特定を可能にした。その後、クローンを30℃でLB+Cam上にプレーティングすることにより共組み換え体を分離させ、分離されたHSV-BACを含むクローンを、10%スクロースを補充したLB+Camプレート上で選択した。最後に、クローンをカナマイシン(Kana)耐性の喪失について、およびコロニーPCRにより所望の挿入断片の存在について調べた。
102gD- FRT HSV-BACと適切なシャトルベクターとの間の組み換えによって、BAC配列の中に挿入されたa27プロモーター-EGFP (またはa27プロモーター-LacZ)カセットを含む、gDminus-EGFP-HSV-BACまたはgDminus-LacZ-HSV-BAC DNAが生じた(図1A)。gD補完的なR6細胞におけるBAC DNAのトランスフェクションにより、ウイルスが再構成された。
gDminus-HSV-BACを、遺伝子操作gDを含む組み換え体の作出用のレシピエントとして用いた。組み換え体のゲノムをPCRおよび配列決定によって調べた。ウイルスは、R6細胞へのBAC-DNAのトランスフェクション Zhou, G., V. Galvan, G. Campadelli-Fiume, and B. Roizman. 2000. Glycoprotein D or J delivered in trans blocks apoptosis in SK-N-SH cells induced by a herpes simplex virus 1 mutant lacking intact genes expressing both glycoproteins. J Virol 74:11782-91、引き続きBHK (ベビーハムスター腎臓)細胞における単回の継代と、その後のJ-HER2細胞 Menotti, L., A. Cerretani, and G. Campadelli-Fiume. 2006. A herpes simplex virus recombinant that exhibits a single-chain antibody to HER2/neu enters cells through the mammary tumor receptor, independently of the gD receptors. J Virol 80:5531-9またはSKOV3 (ATCC# HTB-77)細胞における増殖によって再構成された。ウイルスストックをJ-HER2またはSKOV3細胞中で増殖させ、11回以上の継代の間、連続的に継代した。ウイルスの力価をSKOV3細胞において判定した。
実施例2- gDにV34S置換を保有するR-LM31組み換え体による感染アッセイ
第一世代の組み換え体R-LM11およびR-LM11Lは、gDのaa残基番号24と25の間に挿入されたscHER2を保有していた Menotti, L., A. Cerretani, and G. Campadelli-Fiume. 2006. A herpes simplex virus recombinant that exhibits a single-chain antibody to HER2/neu enters cells through the mammary tumor receptor, independently of the gD receptors. J Virol 80:5531-9。この挿入は、HVEMからの侵入が妨害されるようにN末端を変化させた。ネクチン1からの侵入は維持された Menotti, L., A. Cerretani, and G. Campadelli-Fiume. 2006. A herpes simplex virus recombinant that exhibits a single-chain antibody to HER2/neu enters cells through the mammary tumor receptor, independently of the gD receptors. J Virol 80:5531-9。ネクチン1脱標的化組み換え体を作出しようとする最初の試みは、gD-scHER2におけるV34S突然変異の挿入にあった(図1b)。IL13再標的化gDに導入されると、V34S置換はネクチン1を介した侵入を強力に低減した Zhou, G., and B. Roizman. 2006. Construction and properties of a herpes simplex virus 1 designed to enter cells solely via the IL-13alpha2 receptor. Proc Natl Acad Sci USA 103:5508-13。組み換え体LM31-BAC DNAは、大腸菌内での相同組み換えによって作出された。レシピエントゲノムはgDminus-LacZ-HSV-BACであった。R-LM31組み換えウイルスは、gD補完的なR6細胞におけるLM31-BAC DNAのトランスフェクションによって得られた。R-LM31親和性をヒトもしくはマウスネクチン1、またはヒトHER2を発現するJ細胞においてアッセイし、β-ガラクトシダーゼ活性としてモニターした。図2A〜Dに示される通り、R-LM31組み換え体はJ-ネクチン1細胞に感染し(ヒトまたはマウス受容体のいずれかを介して) (Cocchi, F., L. Menotti, P. Mirandola, M. Lopez, and G. Campadelli-Fiume. 1998. The ectodomain of a novel member of the immunoglobulin superfamily related to the poliovirus receptor has the attibutes of a bonafide receptor for herpes simplex viruses 1 and 2 in human cells. J Virol 72:9992-10002); ゆえにそれはネクチン1から脱標的化されなかった。この結果から、V34S置換の影響は、gDに存在する挿入断片に応じて変化することが示唆される。
実施例3- SKOV3細胞において発現されたwt gDおよびキメラgDの電気泳動移動度
SKOV3細胞にm.o.i 10 pfu/細胞でR-LM5 (R-LM5のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:1であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:35によって発現される)、R-LM13 (R-LM13のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:42であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:43によって発現される)、R-LM31 (R-LM31のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:38であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:39によって発現される)、R-LM39 (R-LM39のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:40であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:41によって発現される)、R-LM113 (SEQ ID NO:9)およびR-LM249を感染させた。24時間後に、感染細胞の溶解物をSDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜(Amersham)に転写し、細胞外ドメインのgD C末端部分に対するMAb BD80、引き続きペルオキシダーゼ結合抗マウスIgGおよび増強化学発光でのウエスタンブロッティングによって可視化した(図2E)。R-LM31およびR-LM39組み換え体において、scHER2Lの存在は、wt-gDを保有するR-LM5と比べて、R-LM13原型ウイルスと同じく、より緩徐な移動をもたらす。R-LM113組み換え体において、キメラgDの電気泳動移動度はR-LM13-31-39組み換え体のそれとは区別できない。R-LM249組み換え体において、LscHER2LによるgDの158 aa残基の置き換えは、wt gDとR-LM113のgD (ここではgDの6〜38 aa残基がscHER2Lに置き換えられている)の中間への移動をもたらす。R-LM113は、図2で認められるシグナルを得るのにR-LM5またはR-LM249と比べて、対応するレーンにR-LM5またはR-LM249の10倍多く溶解物を負荷する必要があることから、より少なくgDを産生する。このより低いgD産生は、gD N末端に欠失を保有するウイルスについて既に報告されている Zhou, G., and B. Roizman. 2006. Construction and properties of a herpes simplex virus 1 designed to enter cells solely via the IL-13alpha2 receptor. Proc Natl Acad Sci USA 103:5508-13。
実施例4- R-LM113およびR-LM249による一連の細胞株の感染
齧歯類、サルまたはヒト由来の一連の細胞株の単層を漸増m.o.iで感染させ、EGFPレポーター遺伝子発現(Clontech)を蛍光光度計によって24時間後に測定した。Zeiss Axioplan蛍光顕微鏡に接続されたKodakカメラでデジタル画像を撮影した。R-LM113およびR-LM249はJ-HER2細胞に感染したが、唯一の受容体としてヒトネクチン1またはマウスネクチン1を発現するJ細胞には感染しなかった(図3)。マウスネクチン1からの脱標的化は、L細胞およびNIH-3T3細胞に感染できないことによって確認された。ヒト細胞は、それらが高いレベルでHER2を発現していれば、R-LM113およびR-LM249に対して感受性が高かった(SKOV3)。HER2陰性細胞、例えばHEp-2 ATCC # CCL-23, I-143 tk- (Post, L. E., and Roizman, B. (1981). A generalized technique for deletion of specific genes in large genomes: alpha gene 22 of herpes simplex virus 1 is not essential for growth. Cell 25(1), 227-32.)およびRH4 (横紋筋肉腫)細胞 Ricci, C., L. Landuzzi, I. Rossi, C. De Giovanni, G. Nicoletti, A. Astolfi, S. Pupa, S. Menard, K. Scotlandi, P. Nanni, and P. L. Lollini. 2000. Expression of HER/erbB family of receptor tyrosine kinases and induction of differentiation by glial growth factor 2 in human rhabdomyosarcoma cells. Int J Cancer 87:29-36は、無視できるレベルで感染された。興味深いことに、R-LM113およびR-LM249は、HER2のラット相同分子種(neu-NT)を発現するTT12.E2マウス細胞株に感染できなかったことから、ヒトHER2に特異的であった De Giovanni, C., G. Nicoletti, L. Landuzzi, A. Astolfi, S. Croci, A. Comes, S. Ferrini, R. Meazza, M. Iezzi, E. Di Carlo, P. Musiani, F. Cavallo, P. Nanni, and P. L. Lollini. 2004. Immunoprevention of HER-2/neu transgenic mammary carcinoma through an interleukin 12-engineered allogeneic cell vaccine. Cancer Res 64:4001-9。
実施例5- ウイルス複製アッセイ法
12ウェルプレート中で増殖されたJ、J-hネクチン1、J-HVEM、J-HER2、SKOV3、I-143 tk-およびHEp-2細胞に、図4に示したウイルスをm.o.i. 1 pfu/細胞にて37℃で90分間感染させた。ウイルス吸着の後、接種材料を除去し、非侵入ウイルスを酸洗浄(40 mMクエン酸、10 mM KCl、135 mM NaCl [pH 3])によって不活性化した Brunetti, C. R., R. L. Burke, B. Hoflack, T. Ludwig, K. S. Dingwell, and D. C. Johnson. 1995. Role of mannose-6-phosphate receptors in herpes simplex virus entry into cells and cell-to-cell transmission. J Virol 69:3517-28。同型(replicate)培養物を感染から表示の時間(3、24、48時間)後に凍結した。(細胞内に加えて細胞外)ウイルス子孫をSKOV3細胞において力価測定した。
R-LM39、R-LM113およびR-LM249の増殖を、組み換えウイルスR-LM5 (野生型gDをコードする)およびR-LM13 (さらには突然変異または欠失のないキメラgD-scHER2Lをコードする)と比較した。(i) R-LM39がJ-HVEM細胞中で増殖できなかったが、J-HER2細胞中でおよびJ-ネクチン1細胞中で複製したことは、それが受容体としてHER2もネクチン1もともに使用できることを意味していた(図4B、C、D)。したがってR-LM39は、ヒト細胞株SKOV3細胞 (ネクチン1もHER2もともに発現する)、I-143 tk-細胞およびHEp-2細胞 (ネクチン1を発現する)中で複製した(図4E、F、G)。(ii) R-LM113はR-LM249およびR-LM5よりも良好に、J-HER2細胞中で効率的に増殖した(図4D)。SKOV3細胞において、R-LM113およびR-LM249は対照ウイルスR-LM5の力価よりも1〜1.5桁だけ低い力価まで複製した(図4E)。(iii) R-LM113およびR-LM249は、それがJ-ネクチン1細胞においておよびJ-HVEM細胞において増殖できないこと、ならびにヒトI-143 tk-およびHEp-2において102-103-104 pfu/mlよりも高い力価まで増殖できないことによって評価した場合、ネクチン1からもHVEMからも脱標的化された(図4B、C、F、G)。
実施例6- 抗体によるウイルス感染の阻害
96ウェルプレート中で増殖されたSKOV3細胞を、血清不含DMEMで希釈された漸増濃度の抗体(ネクチン1に対するR1.302、HER2に対するハーセプチンまたはマウス免疫グロブリン)とともに氷上で2時間、次いでm.o.i 2 pfu/細胞(SKOV3細胞中で力価測定した場合)のウイルス接種材料とともに氷上でさらに90分間インキュベートした。ウイルス吸着の後、非付着ウイルスを除去し、2.5% FBSを補充した氷冷RPMI+Glutamaxで細胞を2回洗浄した。細胞に同じ濃度の抗体またはIgGを含有する培地を重層し、37℃に素早く移し、16時間インキュベートした。Victorプレートリーダー(Perkin Elmer)を用いEGFP蛍光強度として感染を定量化した。100%の値は抗体の非存在下にて、ウイルスに感染した細胞で得られたデータを表す。
受容体の用法がハーセプチン、MAb R1.302またはこれら二抗体の混合物を用いたウイルス遮断実験において確認された。図5中の結果は、R-LM39が単独で投与されたハーセプチンまたはR1.302によって遮断されたのではなく、二抗体の組み合わせによってのみ遮断されたことを示す(図5A)。この結果は、R-LM39が受容体として二者択一的にネクチン1またはHER2を使用できることを意味し、ネクチン1からの脱標的化での不足をさらに実証している。逆に、R-LM113およびR-LM249はハーセプチンによって遮断された(図5BおよびC)。ハーセプチンに加えてMAb R1.302の組み合わせは、ハーセプチン単独と同じ阻害を及ぼし、MAb R1.302は効果がなかった。R-LM113またはR-LM249感染はハーセプチン単独で阻害されたが、MAb R1.302単独では効果がなかった。本発明者らは、図4に示される結果にしたがって、R-LM113およびR-LM249がHER2受容体を通じてのみ細胞に侵入できると結論付ける。
実施例7- ハーセプチンによるR-LM113およびR-LM249プラーク形成の阻害
本発明者らは、R-LM113およびR-LM249がHER2をウイルス感染のためだけでなく、細胞間伝播のためにも用いるかどうかを求めた。10 μg/mlのハーセプチン(HER2に対するMAb Genentech)の添加有りまたは無しで、SKOV3細胞に表示したウイルスの連続希釈液を感染させ、1%シープラーク・アガロースを含有する培地を重層した。Zeiss蛍光顕微鏡を用いて蛍光プラークをモニターし、1サンプルあたり5プラークの写真を感染から48時間後に撮影した。プラークの領域をPhotoshop Histogramツールで測定した。図6に示されるように、ハーセプチンにR-LM113感染およびR-LM249感染SKOV3の単層を曝露することで、プラークサイズが縮小した(図6中、-ハーセプチンはハーセプチンのない場合を示し; +ハーセプチンはハーセプチンのある場合を示す)。R-LM5ウイルスのプラークサイズならびに他の脱標的化ウイルス(R-LM13およびR-LM39)のプラークサイズは、ハーセプチンによって減少しなかった。
実施例8- 組み換えウイルスの細胞毒性活性
本発明者らは、R-LM113およびR-LM249がHSV-1親ウイルスの細胞毒性活性を維持するかどうかを求めた。SKOV3細胞を12ウェルプレートに播種し(細胞4×105個/ウェル)、翌日、m.o.i. 3 pfu/細胞のR-LM5、R-LM116またはR-LM249で感染させた。3日後、感染細胞をトリプシン処理し、生存細胞および非生存細胞の数をエリスロシンB排除アッセイ法によって判定した。手短に言えば、細胞をPBS中0.04%のエリスロシンB (Sigma)と1:1混合し、血球計に添加し、カウントした。非生存細胞は染色剤を取り込み、色が赤く見える。非生存細胞数を全細胞数(赤色に加えて無色)の割合として報告した。単層から引き離され、感染サンプルの上清中に存在する細胞を集め、同じようにカウントした。非感染細胞の同型ウェルを対照として含めた。図16に示されるように、非感染細胞と比べて全細胞数が低いことから、ウイルス感染は細胞が分裂するのをほぼ阻止する。さらに、感染されていない同型培養物に対して感染培養物における非生存細胞の割合が高いことから、感染は細胞に細胞毒性を引き起こす。R-LM113およびR-LM249組み換え体の感染の影響は、野生型gDを保有するR-LM5ウイルスのそれと同等であり、ウイルスの再標的化および脱標的化が組み換え体の細胞毒性に影響を与えなかったことを示唆している。

Claims (27)

  1. 異種ペプチドリガンドを有する、糖タンパク質エンベロープを含む改変単純ヘルペスウイルス(HSV)であって、該糖タンパク質エンベロープが、受容体ネクチン1/HveCと相互作用する該改変HSVの能力を低減させるように改変されており、アミノ酸残基番号1〜8のいずれかで始まりアミノ酸残基38〜55のいずれかで終わるか、またはアミノ酸残基番号40〜61のいずれかで始まりアミノ酸残基210〜218のいずれかで終わる、HSVの該糖タンパク質エンベロープの糖タンパク質Dの欠失部分が、該異種ペプチドリガンドに置き換わっており、
    ここで、前記アミノ酸残基の位置はSEQ ID NO:1に対応する、
    改変HSV。
  2. 異種ペプチドリガンドが、罹患細胞において発現されるが非罹患細胞において発現されない所与の受容体と特定の条件において結合できる異種ペプチドリガンドである、請求項1記載の改変HSV。
  3. 異種ペプチドリガンドが、サイトカイン、増殖因子またはモノクローナル抗体誘導体である、請求項1または2記載の改変HSV。
  4. 前記モノクローナル抗体誘導体が、単一のV型ドメインを有する、請求項3記載の改変HSV。
  5. 前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を低減させるように改変されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の改変HSV。
  6. 前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を取り除くように改変されている、請求項1〜5のいずれか一項記載の改変HSV。
  7. 前記欠失部分が6位と38位の間であるか、または前記欠失部分が61位と218位の間である、請求項1〜6のいずれか一項記載の改変HSV。
  8. 該異種ペプチドリガンドおよび糖タンパク質Dが融合タンパク質を形成する、請求項1〜7のいずれか一項記載の改変HSV。
  9. 糖タンパク質Dのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項1〜8のいずれか一項記載の改変HSV。
  10. 前記所与の受容体のアミノ酸配列が、受容体HER2/ErbB2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項2〜9のいずれか一項記載の改変HSV。
  11. 前記所与の受容体がHER2/ErbB2である、請求項10記載の改変HSV。
  12. 該異種ペプチドリガンドが、EGFR1、EGFR3、PSMA、CEA、GD2、VEGFR1および2からなる群において選択される前記所与の受容体と特定の条件において結合できる、請求項2〜11のいずれか一項記載の改変HSV。
  13. 該異種ペプチドリガンドが少なくとも300個のアミノ酸からなる、請求項1〜12のいずれか一項記載の改変HSV。
  14. 異種ペプチドリガンドが、糖タンパク質Dに含まれるIg折り畳み部分を置き換えている、請求項1〜13のいずれか一項記載の改変HSV。
  15. 改変糖タンパク質Dが、コンセンサス配列Asn-X-Serおよび/またはAsn-X-ThrでN-グリコシル化され、かつ、一つまたは複数のSer残基および/またはThr残基でO-グリコシル化される、請求項1〜14のいずれか一項記載の改変HSV。
  16. マーカーを含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の改変HSV。
  17. 医薬として用いるための、請求項1〜16のいずれか一項記載の改変HSV。
  18. 腫瘍性疾患を治療するための、請求項1〜17のいずれか一項記載の改変HSV。
  19. 卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、結腸腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、頭頸部がん、胃腫瘍、および唾液腺腫瘍を治療するための、請求項18記載の改変HSV。
  20. 血管新生(neoangiogenic)組織を治療するための、請求項1〜19のいずれか一項記載の改変HSV。
  21. 腫瘍の転移を治療するための、請求項18記載の改変HSV。
  22. 生理学的状態を可視化するための薬学的調製物の製造における、請求項16記載の改変HSVの使用。
  23. 請求項1〜15のいずれか一項記載の改変HSVおよび少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的調製物。
  24. 腫瘍を治療するための薬学的調製物の製造における、請求項1〜15のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
  25. 前記腫瘍が以下の群より選択される、請求項24記載の使用: 胃腫瘍、唾液腺腫瘍、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、頭頸部がん、結腸腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、および血管新生組織。
  26. 挿入段階を含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の改変HSVを調製する方法であって、該段階の際に、該異種ペプチドリガンドをコードするヌクレオチド配列が、得られる改変HSVがそのエンベロープ上に該リガンドを発現するように該HSVのDNAに挿入される、方法。
  27. 欠失段階を含み、該段階の際に前記DNAの一部分が欠失する、請求項26記載の方法。
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