JP6025793B2 - 親和性を改変した単純ヘルペスウイルス(hsv)、その使用および調製法 - Google Patents
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Description
本発明は、改変単純ヘルペスウイルス(HSV)、改変HSVの使用、薬学的調製物および改変HSVを調製する方法に関する。
腫瘍の治療における新分野は腫瘍溶解性ウイルス療法であり、その療法では複製可能なウイルスが腫瘍細胞に感染し、腫瘍の細胞から細胞へ伝播してこれらを破壊する。二種のそのような腫瘍は、ヒトのような動物を苦しめる乳がんおよび卵巣がんである。約30%のヒト乳腺腫瘍、および一部の卵巣腫瘍は極めて悪性かつ転移性である。
公知技術の難点を少なくとも部分的に解消するように設計されている、と同時に、簡単に使える、改変HSVを提供することが本発明の目的である。
[請求項1001]
罹患細胞において発現されるが非罹患細胞において実質的に発現されない所与の受容体と特定の条件において結合できる異種ペプチドリガンドを有する、糖タンパク質エンベロープを含む改変単純ヘルペスウイルス(HSV)であって、該糖タンパク質エンベロープが、受容体ネクチン1/HveCと相互作用する該改変HSVの能力を低減させるように改変されている、改変HSV。
[請求項1002]
前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を低減させるように改変されている、請求項1001記載の改変HSV。
[請求項1003]
前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を実質的に取り除くように改変されている、請求項1001または1002記載の改変HSV。
[請求項1004]
前記ペプチドリガンドがHSVの前記糖タンパク質エンベロープのgD (糖タンパク質D)に挿入され、gDの一部分が欠失している、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1005]
HSVの前記糖タンパク質エンベロープのgDの一部分が欠失し;
該欠失部分が一方の端である1〜8に対応する位置と他方の端である38〜55に対応する位置との間に及ぶ部分、一方の端である40〜61に対応する位置と他方の端である210〜218に対応する位置との間に及ぶ部分からなる群より選択される、
前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1006]
前記欠失部分が、一方の端である40〜61に対応する位置と他方の端である210〜218に対応する位置との間に及ぶ、請求項1005記載の改変HSV。
[請求項1007]
前記欠失部分が、一方の端である61に対応する位置と他方の端である218に対応する位置との間に及ぶ、請求項1006記載の改変HSV。
[請求項1008]
前記欠失部分が、一方の端である1〜8に対応する位置と他方の端である38〜55に対応する位置との間に及ぶ、請求項1005記載の改変HSV。
[請求項1009]
前記欠失部分が、一方の端である6に対応する位置と他方の端である38に対応する位置との間に及ぶ、請求項1008記載の改変HSV。
[請求項1010]
前記ペプチドリガンドが前記欠失部分の代わりに挿入される、請求項1004〜1009のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1011]
前記ペプチドリガンドおよびgDが融合タンパク質を形成する、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1012]
gDがSEQ ID NO:1に対して少なくとも80%の相同性を有する、請求項1004〜1011のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1013]
前記所与の受容体が、受容体HER2/ErbB2に対して少なくとも90%の相同性を有する、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1014]
前記所与の受容体がHER2/ErbB2である、請求項1013記載の改変HSV。
[請求項1015]
前記ペプチドリガンドが、EGFR1、EGFR3、PMSA、CEA、GD2、VEGFR1および2からなる群において選択される前記所与の受容体と特定の条件において結合できる、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1016]
前記ペプチドリガンドが一本鎖抗体であり、かつ特に、少なくとも300個のアミノ酸からなる、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1017]
前記一本鎖抗体が、第一のドメイン(VL)および第二のドメイン(VH)および第一のリンカー(L1)を含み、該第一のリンカーが、該第一および第二のドメイン(VL、VH)の間に位置してこれらを連結し、かつ該第一および第二のドメイン(VL、VH)を適切な相対位置につけることができ、該第一および第二のドメイン(VL、VH)が、前記所与の受容体と特定の条件において結合するように設計されている、請求項1016記載の改変HSV。
[請求項1018]
前記一本鎖抗体が第二のリンカー(L2)を含み、前記第二のドメイン(VH)が前記第一および第二のリンカー(L1、L2)の間に位置してこれらを連結する、請求項1017記載の改変HSV。
[請求項1019]
前記一本鎖抗体が第三のリンカー(L3)を含み、前記第一のドメイン(VL)が前記第一および該第三のリンカー(L1、L3)の間に位置してこれらを連結する、請求項1017または1018記載の改変HSV。
[請求項1020]
前記第一のドメイン(VL)が少なくとも100個のアミノ酸、特に117個以下のアミノ酸からなり、前記第二のドメイン(VH)が少なくとも110個のアミノ酸、特に130個以下のアミノ酸からなり、前記第一のリンカー(L1)が少なくとも12個のアミノ酸、特に30個以下のアミノ酸からなる、請求項1017〜1019のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1021]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2に対して少なくとも80%の相同性、特に同一性を有し、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3に対して少なくとも80%の相同性、特に同一性を有する、請求項1017〜1020のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1022]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2に対して少なくとも90%の相同性、特に同一性を有し、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3に対して少なくとも90%の相同性、特に同一性を有する、請求項1021記載の改変HSV。
[請求項1023]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2に対して少なくとも95%の相同性を有し、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3に対して少なくとも95%の相同性を有する、請求項1022記載の改変HSV。
[請求項1024]
前記第一のドメイン(VL)がSEQ ID NO:2からなり、前記第二のドメイン(VH)がSEQ ID NO:3からなる、請求項1023記載の改変HSV。
[請求項1025]
前記第一のリンカー(L1)がSEQ ID NO:4に対して少なくとも50%の相同性を有する、請求項1017〜1024のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1026]
前記第一のリンカー(L1)がSEQ ID NO:4に対して少なくとも80%の相同性を有する、請求項1025記載の改変HSV。
[請求項1027]
前記第二のリンカー(L2)がSEQ ID NO:5に対して少なくとも50%の相同性を有する、請求項1017〜1026のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1028]
前記第三のリンカー(L3)が少なくとも2個かつ8個以下のアミノ酸からなる、請求項1017〜1027のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1029]
前記第三のリンカー(L3)が、SEQ ID NO:6に対して少なくとも50%の相同性を有するペプチド配列;SEQ ID NO:7に対して少なくとも50%の相同性を有するペプチド配列からなる群において選択される、請求項1017〜1028のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1030]
得られる改変gDが、SEQ ID NO:10に対して少なくとも70%の相同性、特に同一性を有する配列;SEQ ID NO:9に対して少なくとも70%の相同性、特に同一性を有する配列からなる群において選択されるように、前記ペプチドリガンドが前記糖タンパク質エンベロープのgD (糖タンパク質D)に挿入されかつgDの一部分が欠失している、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1031]
前記改変gDが、SEQ ID NO:10に対して少なくとも80%の相同性を有する配列;SEQ ID NO:9に対して少なくとも80%の相同性を有する配列からなる群において選択される、請求項1030記載の改変HSV。
[請求項1032]
前記改変gDが、SEQ ID NO:10に対して少なくとも100%の相同性、特に同一性を有する配列;SEQ ID NO:9に対して少なくとも100%の相同性、特に同一性を有する配列からなる群において選択される、請求項1030記載の改変HSV。
[請求項1033]
前記改変gDが、SEQ ID NO:10に対して前記の割合の相同性を有する配列からなる、請求項1030〜1032のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1034]
前記改変gDが、SEQ ID NO:9に対して前記の割合の相同性を有する配列からなる、請求項1030〜1032のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1035]
前記改変gDが、コンセンサス配列Asn-X-Serおよび/またはAsn-X-ThrでN-グリコシル化され、かつ場合により、一つまたは複数のSer残基および/またはThr残基でO-グリコシル化される、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1036]
マーカーを含む、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1037]
医薬として用いるための、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1038]
腫瘍性疾患を治療するための、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1039]
卵巣腫瘍を治療するための、前記請求項のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1040]
乳腺腫瘍を治療するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1041]
前立腺腫瘍、結腸腫瘍、黒色腫および神経芽細胞腫からなる群より選択される疾患を治療するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1042]
腫瘍、特に卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、結腸腫瘍、黒色腫および神経芽細胞腫からなる群より選択される腫瘍の転移を治療するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSV。
[請求項1043]
哺乳類における腫瘍の治療用の医薬を製造するための請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1044]
哺乳類における卵巣腫瘍の治療用の医薬を製造するための請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1045]
哺乳類における乳腺腫瘍の治療用の医薬を製造するための請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1046]
前立腺腫瘍、結腸腫瘍、頭頸部がん、胃腫瘍、唾液腺腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、血管新生(neoangiogenic)組織、特に腫瘍の血管新生組織からなる群より選択される疾患の治療用の医薬を製造するための、請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
[請求項1047]
生理学的状態を可視化するための、請求項1036記載の改変HSVの使用。
[請求項1048]
請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVおよび少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的調製物。
[請求項1049]
請求項1001〜1035のいずれか一項記載の改変HSVの有効量の投与を含む、腫瘍を治療する方法。
[請求項1050]
前記腫瘍が以下の群より選択される、請求項1049記載の方法: 胃腫瘍、唾液腺腫瘍、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、頭頸部がん、結腸腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、および血管新生組織、特に腫瘍の血管新生組織。
[請求項1051]
挿入段階を含む、請求項1001〜1036のいずれか一項記載の改変HSVを調製する方法であって、該段階の際に、リガンドをコードするヌクレオチド配列が、得られる改変HSVがそのエンベロープ上に該リガンドを発現するように該HSVのDNAに挿入される、方法。
[請求項1052]
欠失段階を含み、該段階の際に前記DNAの一部分が欠失する、請求項1051記載の方法。
[請求項1053]
前記挿入段階の前に判定段階を含み、該段階の際に前記リガンド、特に一本鎖抗体が同定される、請求項1051または1052記載の方法。
[請求項1054]
前記判定段階の際にリガンド、特に一本鎖抗体が得られ、かつ、前記罹患細胞において発現される受容体の少なくとも一つと結合するその能力が試験される、請求項1053記載の方法。
本発明の第一の局面によれば、罹患細胞において発現されるが非罹患細胞において実質的に(またはほとんど)発現されない所与の受容体と特定の条件において結合できる異種ペプチドリガンドを有する、糖タンパク質エンベロープを含んだ改変単純ヘルペスウイルス(HSV)が提供される。糖タンパク質エンベロープは、受容体ネクチン1/HveCと特定の条件において結合する改変HSVの能力を(HSV野生型に対して)低減させるように改変されている。有利には、受容体ネクチン1/HveCと特定の条件において結合する改変HSVの能力は、実質的に取り除かれる。
A) HSV-BACからのgDの欠失
gDマイナスのウイルスを作出するため、細菌において「ETクローニング」手順を行った(Muyrers, J. P., Y. Zhang, G. Testa、およびA. F. Stewart. 1999. Rapid modification of bacterial artificial chromosomes by ET-recombination. Nucleic Acids Res 27:1555-7)。gD ORFに隣接する60 ntの配列を5'末端に含んだプライマー:
を用いて、二つのFRT部位が側方に位置したカナマイシン耐性カセットをプラスミドpFRT-2からPCR増幅した。pFRT-2は、pCP15に由来するカナマイシン耐性をpCP16のNsiI部位へ挿入し、テトラサイクリン耐性遺伝子を置き換えることによって構築された Cherepanov, P. P., and W. Wackernagel. 1995. Gene disruption in Escherichia coli: TcR and KmR cassettes with the option of Flp-catalyzed excision of the antibiotic-resistance determinant. Gene 158:9-14。PCR産物を、Yebac102 HSV-BAC Tanaka, M., H. Kagawa, Y. Yamanashi, T. Sata, and Y. Kawaguchi. 2003. Construction of an excisable bacterial artificial chromosome containing a full-length infectious clone of herpes simplex virus type 1: viruses reconstituted from the clone exhibit wild-type properties in vitro and in vivo. J Virol 77:1382-91を内部に持ち、かつpKD46プラスミドからラムダファージRed-βおよびRed-γリコンビナーゼを一過的に発現するDH10B大腸菌(E. coli) (Stratagene)にエレクトロポレートした Datsenko, K. A., and B. L. Wanner. 2000. One-step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K-12 using PCR products. Proc Natl Acad Sci U S A 97:6640-5。二種の抗生物質25 μg/mlのカナマイシン(PCR産物に含まれるマーカー)および20 μg/mlのクロラムフェニコール(HSV-BAC配列中に含まれるマーカー)を含有するプレート上で組み換えクローンを選択して、カナマイシン耐性カセットによるgDコード配列の置換を確実とした。カナマイシンカセットを除去するため、陽性クローンに、FRT配列を標的にする酵母FLPリコンビナーゼを発現するプラスミドpCP20 (Cherepanov, P. P., and W. Wackernagel. 1995. Gene disruption in Escherichia coli: TcR and KmR cassettes with the option of Flp-catalyzed excision of the antibiotic-resistance determinant. Gene 158:9-14)をエレクトロポレートした。最後に、コロニーをカナマイシンマーカーの喪失について、およびクロラムフェニコール耐性についてアッセイした。102gD- FRTと名付けた、得られたgDマイナスのHSV-BACゲノムをサザンブロット、PCR、配列決定によって調べ、R6においてのみプラークを形成し、他の細胞株においては形成しない能力について調べた。
HSV-BAC組み換え体の遺伝子操作における第二段階は、レポーター遺伝子EGFPまたはLacZの挿入であり、したがってgDminus-EGFP-HSV-BACまたはgDminus-LacZ-HSV-BACを作出することであった。本発明者らはレポーター遺伝子挿入の部位としてpBeloBAC配列それ自体を選択したが、その結果、マーカー遺伝子を、必要なら、CreリコンビナーゼによってBAC配列とともに欠失することができる(図1A)。EGFPのコード配列に続くウシ成長ホルモン(BGH)由来ポリアデニル化シグナルをプライマー
でpCMS-EGFP (Clontech)からPCR増幅し、HSV a27プロモーターの下流にクローニングした。a27-EGFPカセットを二つの700 bp配列間に挿入し、プラスミドpBeloBac11 (GenBankアクセッション番号: U51113)からPCR増幅した。上述の二つの700 bp配列をpBeloBac11-up
およびpBeloBac11-down
と名付けた。得られた構築体において、生じたa27-EGFPカセットはpBeloBac11のnt 1897と1898 (当初の座標)との間に挿入された。カセットa27-EGFPに加えてpBeloBac11隣接配列を細菌内での相同組み換えのためシャトルベクターpST76KSR Adler, H., M. Messerle, M. Wagner, and U. H. Koszinowski. 2000. Cloning and mutagenesis of the murine gammaherpesvirus 68 genome as an infectious bacterial artificial chromosome. J Virol 74:6964-74にサブクローニングした。LacZ挿入の場合、本発明者らは同じ戦略にしたがい、a27-LacZカセットを既に含んだプラスミドにpBeloBac11-upおよびpBeloBac11-down配列をクローニングした。全てのプラスミドにおいて正確を期すために関連する挿入断片および隣接領域を配列決定した。
pS31と名前を付けたgDシャトルベクター(図10)はgDのaa残基番号24と25の間に挿入されたscHER2L (scFv anti HER2に加えて9-aaのセリングリシンリンカー)、それに加えてV34S置換を保有する(図1B, b)。これを以下のように構築した。まず初めに、gDのaa残基番号24と25の間に挿入されたscHER2Lを保有する構築体pLM13 (図8)の中に部位特異的突然変異誘発法によってV34S置換を導入し、pLM31 (図9)を作出した。突然変異誘発はプライマー
およびその逆鎖によりStratagene Quickchange IIキット(Stratagene)を用いて行った。変異体クローンのスクリーニングを簡略化するために、プライマーには表示したサイレントな制限部位が含まれた。次に、突然変異誘発されたgD+scHER2に加えてgDゲノムの上流および下流隣接配列(各およそ500 bp)を含んだカセットを、pST76KSRシャトルベクターに移入して、大腸菌内での相同組み換えを可能にした。
pS39 (図11)を構築するため、プライマー
およびその逆鎖を用いて、pS31にクローニングされたgDにD215G、R222N、F223Iの置換を加えた(図1B, c)。
pS113シャトルベクター(図13)は、aa残基番号6〜38が欠失しかつscHER2L [scFv anti HER2に引き続き、配列
によってコードされる11 aaのセリン・グリシンリンカー: SSGGGSGSGGS (SEQ ID NO:5)]と置き換えられた、gDを含む(図1B, d)。この構築体を作出するため、EcoRIおよびBamHI制限部位をpLM5 (図7)中のgD ORFに連続的に導入した。変異原性プライマー
をそれぞれ用いて、EcoRI制限部位をタンパク質配列のアミノ酸位置6-8に挿入し、BamHI制限部位をタンパク質配列のアミノ酸位置37-39に挿入した。EcoRI部位の挿入によって置換D6EおよびA7Nが導入される。scHER2Lをプライマー
によりpS2019a Sidhu, S. S., B. Li, Y. Chen, F. A. Fellouse, C. Eigenbrot, and G. Fun. 2004. Phage-displayed antibody libraries of synthetic heavy chain complementarity determining regions. J Mol Biol 338:299-310から増幅した。この構築体をpLM113 (図12)と名付けた。最終のシャトルプラスミドpS113は、ゲノム隣接配列(NruI-PmeI断片)とともに遺伝子操作gDをpST76KSR (図13)にサブクローニングすることによって構築した。
pS249シャトルベクターは、aa残基番号61-218が欠失しかつgD aa残基番号61〜218の代わりにLscHER2L [配列
によってコードされる上流8 aa: HSSGGGSG (SEQ ID NO:7); 配列
によってコードされる下流12 aa: SSGGGSGSGGSG (SEQ ID NO:8)のセリン・グリシンリンカーが側方に位置したscFv anti HER2]で置き換えられた、gDを含む(図1B, e)。二つの500 bpの上流および下流ゲノム隣接配列が側方に位置した、pcDNA3.1(-) (Invitrogen)にクローニングされているgD ORFを含んだプラスミドpLM5 (図7)に対して突然変異誘発およびクローニングを行った Menotti, L., A. Cerretani, and G. Campadelli-Fiume. 2006. A herpes simplex virus recombinant that exhibits a single-chain antibody to HER2/neu enters cells through the mammary tumor receptor, independently of the gD receptors. J Virol 80:5531-9。まず初めに、変異原性プライマー
を用いることにより、それぞれ、成熟gDのアミノ酸番号61-62および218-219に代えてコード配列に二つのNdeI部位を挿入した。次に、サイレントなBamHI部位を含んだ二つのリン酸化オリゴ
をアニーニングし、NdeI部位へ連結することにより、9 aaのセリン・グリシンリンカーを挿入した。scHER2をプライマー
によりpS2019a Sidhu, S. S., B. Li, Y. Chen, F. A. Fellouse, C. Eigenbrot, and G. Fuh. 2004. Phage-displayed antibody libraries of synthetic heavy chain complementarity determining regions. J Mol Biol 338:299-310から増幅し、セリン・グリシンリンカーのBamHI部位へ挿入した。全挿入断片長は801 bpからなり、267 aa残基をコードする。この構築体をpLM249と名付けた。最後に、遺伝子操作されたgDΔ61-218+LscHER2Lに加えてgDゲノム上流および下流隣接配列(pLM249からのNruI-PmeI断片)を含んだカセットを、大腸菌内での相同組み換えのためpST76KSRシャトルベクターのSmaIにサブクローニングし、pS249 (図14)を作出した。全てのプラスミドにおいて正確を期すために関連する挿入断片および隣接領域を配列決定した。
大腸菌内で組み換えゲノムを作出するために適用した手順は、少し変更を加えるだけで、本質的には報告の通りとした O'Connor, M., M. Peifer, and W. Bender. 1989. Construction of large DNA segments in Escherichia coli. Science 244:1307-12; Messerle, M., I. Crnkovic, W. Hammerschmidt, H. Ziegler, and U. H. Koszinowski. 1997. Cloning and mutagenesis of a herpesvirus genome as an infectious bacterial artificial chromosome. Proc Natl Acad Sci U S A 94:14759-63; Borst, E. M., G. Hahn, U. H. Koszinowski, and M. Messerle. 1999. Cloning of the human cytomegalovirus (HCMV) genome as an infectious bacterial artificial chromosome in Escherichia coli: a new approach for construction of HCMV mutants. J Virol 73:8320-9。手短に言えば、関連のgDマイナスHSV-BACゲノムを内部に持つエレクトロコンピテントなDH10B大腸菌(Stratagene)に0.2 cmのエレクトロポレーションキュベット(Bio-Rad)中にて200 O、25 μF、2.5 kVでシャトルベクターをエレクトロポレートし、25 μg/mlのカナマイシン(Kana) (シャトルベクターのマーカー)および20 μg/mlのクロラムフェニコール(Cam) (BACのマーカー Tanaka, M., H. Kagawa, Y. Yamanashi, T. Sata, and Y. Kawaguchi. 2003. Construction of an excisable bacterial artificial chromosome containing a full-length infectious clone of herpes simplex virus type 1: viruses reconstituted from the clone exhibit wild-type properties in vitro and in vivo. J Virol 77:1382-91)を含有するLB寒天上にプレーティングし、30℃で終夜(o/n)インキュベートして、シャトルベクターからのRecAの発現を可能にした。クローンを43℃でLB+Kana+Cam上に再プレーティングして、共組み換え体を内部に持つクローン(非組み換えシャトルベクターによって判定された温度感受性「小型コロニー」の表現型と比べて、大型コロニーとして見える)の特定を可能にした。その後、クローンを30℃でLB+Cam上にプレーティングすることにより共組み換え体を分離させ、分離されたHSV-BACを含むクローンを、10%スクロースを補充したLB+Camプレート上で選択した。最後に、クローンをカナマイシン(Kana)耐性の喪失について、およびコロニーPCRにより所望の挿入断片の存在について調べた。
第一世代の組み換え体R-LM11およびR-LM11Lは、gDのaa残基番号24と25の間に挿入されたscHER2を保有していた Menotti, L., A. Cerretani, and G. Campadelli-Fiume. 2006. A herpes simplex virus recombinant that exhibits a single-chain antibody to HER2/neu enters cells through the mammary tumor receptor, independently of the gD receptors. J Virol 80:5531-9。この挿入は、HVEMからの侵入が妨害されるようにN末端を変化させた。ネクチン1からの侵入は維持された Menotti, L., A. Cerretani, and G. Campadelli-Fiume. 2006. A herpes simplex virus recombinant that exhibits a single-chain antibody to HER2/neu enters cells through the mammary tumor receptor, independently of the gD receptors. J Virol 80:5531-9。ネクチン1脱標的化組み換え体を作出しようとする最初の試みは、gD-scHER2におけるV34S突然変異の挿入にあった(図1b)。IL13再標的化gDに導入されると、V34S置換はネクチン1を介した侵入を強力に低減した Zhou, G., and B. Roizman. 2006. Construction and properties of a herpes simplex virus 1 designed to enter cells solely via the IL-13alpha2 receptor. Proc Natl Acad Sci USA 103:5508-13。組み換え体LM31-BAC DNAは、大腸菌内での相同組み換えによって作出された。レシピエントゲノムはgDminus-LacZ-HSV-BACであった。R-LM31組み換えウイルスは、gD補完的なR6細胞におけるLM31-BAC DNAのトランスフェクションによって得られた。R-LM31親和性をヒトもしくはマウスネクチン1、またはヒトHER2を発現するJ細胞においてアッセイし、β-ガラクトシダーゼ活性としてモニターした。図2A〜Dに示される通り、R-LM31組み換え体はJ-ネクチン1細胞に感染し(ヒトまたはマウス受容体のいずれかを介して) (Cocchi, F., L. Menotti, P. Mirandola, M. Lopez, and G. Campadelli-Fiume. 1998. The ectodomain of a novel member of the immunoglobulin superfamily related to the poliovirus receptor has the attibutes of a bonafide receptor for herpes simplex viruses 1 and 2 in human cells. J Virol 72:9992-10002); ゆえにそれはネクチン1から脱標的化されなかった。この結果から、V34S置換の影響は、gDに存在する挿入断片に応じて変化することが示唆される。
SKOV3細胞にm.o.i 10 pfu/細胞でR-LM5 (R-LM5のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:1であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:35によって発現される)、R-LM13 (R-LM13のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:42であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:43によって発現される)、R-LM31 (R-LM31のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:38であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:39によって発現される)、R-LM39 (R-LM39のgDのペプチド配列はSEQ ID NO:40であり、その前駆体はヌクレオチド配列SEQ ID NO:41によって発現される)、R-LM113 (SEQ ID NO:9)およびR-LM249を感染させた。24時間後に、感染細胞の溶解物をSDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜(Amersham)に転写し、細胞外ドメインのgD C末端部分に対するMAb BD80、引き続きペルオキシダーゼ結合抗マウスIgGおよび増強化学発光でのウエスタンブロッティングによって可視化した(図2E)。R-LM31およびR-LM39組み換え体において、scHER2Lの存在は、wt-gDを保有するR-LM5と比べて、R-LM13原型ウイルスと同じく、より緩徐な移動をもたらす。R-LM113組み換え体において、キメラgDの電気泳動移動度はR-LM13-31-39組み換え体のそれとは区別できない。R-LM249組み換え体において、LscHER2LによるgDの158 aa残基の置き換えは、wt gDとR-LM113のgD (ここではgDの6〜38 aa残基がscHER2Lに置き換えられている)の中間への移動をもたらす。R-LM113は、図2で認められるシグナルを得るのにR-LM5またはR-LM249と比べて、対応するレーンにR-LM5またはR-LM249の10倍多く溶解物を負荷する必要があることから、より少なくgDを産生する。このより低いgD産生は、gD N末端に欠失を保有するウイルスについて既に報告されている Zhou, G., and B. Roizman. 2006. Construction and properties of a herpes simplex virus 1 designed to enter cells solely via the IL-13alpha2 receptor. Proc Natl Acad Sci USA 103:5508-13。
齧歯類、サルまたはヒト由来の一連の細胞株の単層を漸増m.o.iで感染させ、EGFPレポーター遺伝子発現(Clontech)を蛍光光度計によって24時間後に測定した。Zeiss Axioplan蛍光顕微鏡に接続されたKodakカメラでデジタル画像を撮影した。R-LM113およびR-LM249はJ-HER2細胞に感染したが、唯一の受容体としてヒトネクチン1またはマウスネクチン1を発現するJ細胞には感染しなかった(図3)。マウスネクチン1からの脱標的化は、L細胞およびNIH-3T3細胞に感染できないことによって確認された。ヒト細胞は、それらが高いレベルでHER2を発現していれば、R-LM113およびR-LM249に対して感受性が高かった(SKOV3)。HER2陰性細胞、例えばHEp-2 ATCC # CCL-23, I-143 tk- (Post, L. E., and Roizman, B. (1981). A generalized technique for deletion of specific genes in large genomes: alpha gene 22 of herpes simplex virus 1 is not essential for growth. Cell 25(1), 227-32.)およびRH4 (横紋筋肉腫)細胞 Ricci, C., L. Landuzzi, I. Rossi, C. De Giovanni, G. Nicoletti, A. Astolfi, S. Pupa, S. Menard, K. Scotlandi, P. Nanni, and P. L. Lollini. 2000. Expression of HER/erbB family of receptor tyrosine kinases and induction of differentiation by glial growth factor 2 in human rhabdomyosarcoma cells. Int J Cancer 87:29-36は、無視できるレベルで感染された。興味深いことに、R-LM113およびR-LM249は、HER2のラット相同分子種(neu-NT)を発現するTT12.E2マウス細胞株に感染できなかったことから、ヒトHER2に特異的であった De Giovanni, C., G. Nicoletti, L. Landuzzi, A. Astolfi, S. Croci, A. Comes, S. Ferrini, R. Meazza, M. Iezzi, E. Di Carlo, P. Musiani, F. Cavallo, P. Nanni, and P. L. Lollini. 2004. Immunoprevention of HER-2/neu transgenic mammary carcinoma through an interleukin 12-engineered allogeneic cell vaccine. Cancer Res 64:4001-9。
12ウェルプレート中で増殖されたJ、J-hネクチン1、J-HVEM、J-HER2、SKOV3、I-143 tk-およびHEp-2細胞に、図4に示したウイルスをm.o.i. 1 pfu/細胞にて37℃で90分間感染させた。ウイルス吸着の後、接種材料を除去し、非侵入ウイルスを酸洗浄(40 mMクエン酸、10 mM KCl、135 mM NaCl [pH 3])によって不活性化した Brunetti, C. R., R. L. Burke, B. Hoflack, T. Ludwig, K. S. Dingwell, and D. C. Johnson. 1995. Role of mannose-6-phosphate receptors in herpes simplex virus entry into cells and cell-to-cell transmission. J Virol 69:3517-28。同型(replicate)培養物を感染から表示の時間(3、24、48時間)後に凍結した。(細胞内に加えて細胞外)ウイルス子孫をSKOV3細胞において力価測定した。
96ウェルプレート中で増殖されたSKOV3細胞を、血清不含DMEMで希釈された漸増濃度の抗体(ネクチン1に対するR1.302、HER2に対するハーセプチンまたはマウス免疫グロブリン)とともに氷上で2時間、次いでm.o.i 2 pfu/細胞(SKOV3細胞中で力価測定した場合)のウイルス接種材料とともに氷上でさらに90分間インキュベートした。ウイルス吸着の後、非付着ウイルスを除去し、2.5% FBSを補充した氷冷RPMI+Glutamaxで細胞を2回洗浄した。細胞に同じ濃度の抗体またはIgGを含有する培地を重層し、37℃に素早く移し、16時間インキュベートした。Victorプレートリーダー(Perkin Elmer)を用いEGFP蛍光強度として感染を定量化した。100%の値は抗体の非存在下にて、ウイルスに感染した細胞で得られたデータを表す。
本発明者らは、R-LM113およびR-LM249がHER2をウイルス感染のためだけでなく、細胞間伝播のためにも用いるかどうかを求めた。10 μg/mlのハーセプチン(HER2に対するMAb Genentech)の添加有りまたは無しで、SKOV3細胞に表示したウイルスの連続希釈液を感染させ、1%シープラーク・アガロースを含有する培地を重層した。Zeiss蛍光顕微鏡を用いて蛍光プラークをモニターし、1サンプルあたり5プラークの写真を感染から48時間後に撮影した。プラークの領域をPhotoshop Histogramツールで測定した。図6に示されるように、ハーセプチンにR-LM113感染およびR-LM249感染SKOV3の単層を曝露することで、プラークサイズが縮小した(図6中、-ハーセプチンはハーセプチンのない場合を示し; +ハーセプチンはハーセプチンのある場合を示す)。R-LM5ウイルスのプラークサイズならびに他の脱標的化ウイルス(R-LM13およびR-LM39)のプラークサイズは、ハーセプチンによって減少しなかった。
本発明者らは、R-LM113およびR-LM249がHSV-1親ウイルスの細胞毒性活性を維持するかどうかを求めた。SKOV3細胞を12ウェルプレートに播種し(細胞4×105個/ウェル)、翌日、m.o.i. 3 pfu/細胞のR-LM5、R-LM116またはR-LM249で感染させた。3日後、感染細胞をトリプシン処理し、生存細胞および非生存細胞の数をエリスロシンB排除アッセイ法によって判定した。手短に言えば、細胞をPBS中0.04%のエリスロシンB (Sigma)と1:1混合し、血球計に添加し、カウントした。非生存細胞は染色剤を取り込み、色が赤く見える。非生存細胞数を全細胞数(赤色に加えて無色)の割合として報告した。単層から引き離され、感染サンプルの上清中に存在する細胞を集め、同じようにカウントした。非感染細胞の同型ウェルを対照として含めた。図16に示されるように、非感染細胞と比べて全細胞数が低いことから、ウイルス感染は細胞が分裂するのをほぼ阻止する。さらに、感染されていない同型培養物に対して感染培養物における非生存細胞の割合が高いことから、感染は細胞に細胞毒性を引き起こす。R-LM113およびR-LM249組み換え体の感染の影響は、野生型gDを保有するR-LM5ウイルスのそれと同等であり、ウイルスの再標的化および脱標的化が組み換え体の細胞毒性に影響を与えなかったことを示唆している。
Claims (27)
- 異種ペプチドリガンドを有する、糖タンパク質エンベロープを含む改変単純ヘルペスウイルス(HSV)であって、該糖タンパク質エンベロープが、受容体ネクチン1/HveCと相互作用する該改変HSVの能力を低減させるように改変されており、アミノ酸残基番号1〜8のいずれかで始まりアミノ酸残基38〜55のいずれかで終わるか、またはアミノ酸残基番号40〜61のいずれかで始まりアミノ酸残基210〜218のいずれかで終わる、HSVの該糖タンパク質エンベロープの糖タンパク質Dの欠失部分が、該異種ペプチドリガンドに置き換わっており、
ここで、前記アミノ酸残基の位置はSEQ ID NO:1に対応する、
改変HSV。 - 該異種ペプチドリガンドが、罹患細胞において発現されるが非罹患細胞において発現されない所与の受容体と特定の条件において結合できる異種ペプチドリガンドである、請求項1記載の改変HSV。
- 該異種ペプチドリガンドが、サイトカイン、増殖因子またはモノクローナル抗体誘導体である、請求項1または2記載の改変HSV。
- 前記モノクローナル抗体誘導体が、単一のV型ドメインを有する、請求項3記載の改変HSV。
- 前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を低減させるように改変されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の改変HSV。
- 前記糖タンパク質エンベロープが、受容体HVEM/HveAおよびネクチン1/HveCと相互作用する前記改変HSVの能力を取り除くように改変されている、請求項1〜5のいずれか一項記載の改変HSV。
- 前記欠失部分が6位と38位の間であるか、または前記欠失部分が61位と218位の間である、請求項1〜6のいずれか一項記載の改変HSV。
- 該異種ペプチドリガンドおよび糖タンパク質Dが融合タンパク質を形成する、請求項1〜7のいずれか一項記載の改変HSV。
- 糖タンパク質Dのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項1〜8のいずれか一項記載の改変HSV。
- 前記所与の受容体のアミノ酸配列が、受容体HER2/ErbB2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項2〜9のいずれか一項記載の改変HSV。
- 前記所与の受容体がHER2/ErbB2である、請求項10記載の改変HSV。
- 該異種ペプチドリガンドが、EGFR1、EGFR3、PSMA、CEA、GD2、VEGFR1および2からなる群において選択される前記所与の受容体と特定の条件において結合できる、請求項2〜11のいずれか一項記載の改変HSV。
- 該異種ペプチドリガンドが少なくとも300個のアミノ酸からなる、請求項1〜12のいずれか一項記載の改変HSV。
- 該異種ペプチドリガンドが、糖タンパク質Dに含まれるIg折り畳み部分を置き換えている、請求項1〜13のいずれか一項記載の改変HSV。
- 改変糖タンパク質Dが、コンセンサス配列Asn-X-Serおよび/またはAsn-X-ThrでN-グリコシル化され、かつ、一つまたは複数のSer残基および/またはThr残基でO-グリコシル化される、請求項1〜14のいずれか一項記載の改変HSV。
- マーカーを含む、請求項1〜15のいずれか一項記載の改変HSV。
- 医薬として用いるための、請求項1〜16のいずれか一項記載の改変HSV。
- 腫瘍性疾患を治療するための、請求項1〜17のいずれか一項記載の改変HSV。
- 卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、結腸腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、頭頸部がん、胃腫瘍、および唾液腺腫瘍を治療するための、請求項18記載の改変HSV。
- 血管新生(neoangiogenic)組織を治療するための、請求項1〜19のいずれか一項記載の改変HSV。
- 腫瘍の転移を治療するための、請求項18記載の改変HSV。
- 生理学的状態を可視化するための薬学的調製物の製造における、請求項16記載の改変HSVの使用。
- 請求項1〜15のいずれか一項記載の改変HSVおよび少なくとも1種類の薬学的に許容される賦形剤を含む、薬学的調製物。
- 腫瘍を治療するための薬学的調製物の製造における、請求項1〜15のいずれか一項記載の改変HSVの使用。
- 前記腫瘍が以下の群より選択される、請求項24記載の使用: 胃腫瘍、唾液腺腫瘍、卵巣腫瘍、乳腺腫瘍、前立腺腫瘍、頭頸部がん、結腸腫瘍、黒色腫、神経芽細胞腫、および血管新生組織。
- 挿入段階を含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の改変HSVを調製する方法であって、該段階の際に、該異種ペプチドリガンドをコードするヌクレオチド配列が、得られる改変HSVがそのエンベロープ上に該リガンドを発現するように該HSVのDNAに挿入される、方法。
- 欠失段階を含み、該段階の際に前記DNAの一部分が欠失する、請求項26記載の方法。
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