[1.パチンコ機の全体構造]
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1乃至図7を参照して実施形態に係るパチンコ機の全体について説明する。図1は実施形態に係るパチンコ機の外枠に対して本体枠を開放し、本体枠に対して扉枠を開放した状態を示す斜視図であり、図2はパチンコ機の正面図であり、図3はパチンコ機の側面図であり、図4はパチンコ機の平面図であり、図5はパチンコ機の背面図であり、図6はパチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の後方から見た分解斜視図であり、図7はパチンコ機を構成する外枠、本体枠、遊技盤、扉枠の前方から見た分解斜視図である。
図1乃至図7に示すように、本実施形態に係るパチンコ機1は、遊技ホールの島(図示しない)に設置される外枠2と、外枠2に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4を装着し得る本体枠3と、本体枠3に開閉自在に軸支され且つ遊技盤4に形成されて球が打ち込まれる遊技領域605を遊技者が視認し得る遊技窓101とその遊技窓101の下方に配置され且つ遊技の結果によって払出される球を貯留する貯留皿としての皿ユニット300とを備えた扉枠5と、を備えて構成されている。
外枠2には、その下方前方に装飾カバー板15を補強するカバー補強金具14が固着されている。また、本体枠3には、上記したように遊技盤4が着脱自在に装着し得る他に、その裏面下部に打球発射装置650(図5参照)と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板等が一纏めに設けられている基板ユニット1100が取付けられ、本体枠3の後面開口580(図6を参照)を覆うカバー体1250が着脱自在に設けられている。更に、扉枠5には、上記した皿ユニット300の他に、遊技窓101を閉塞するようにガラスユニット450と、ハンドル装置400とが設けられている。なお、扉枠5と本体枠3とが正面から見て略同じ方形の大きさであり、正面から本体枠3が視認できないようになっている。以下、パチンコ機1を構成する部材について詳細に説明する。
[1−1.外枠]
外枠2について、主として図8乃至図16を参照して説明する。図8は、外枠2の正面斜視図であり、図9は、同外枠2の正面から見た分解斜視図であり、図10は、同外枠2の正面図であり、図11は、同外枠2の背面図であり、図12は、図10のB−B断面図(A)と図12(A)のC−C断面図(B)、D−D断面図(C)、E−E断面図(D)である。また、図13は本体枠の上軸支金具と外枠の上支持金具との脱着構造を説明するための斜視図であり、図14は外枠の上支持金具の裏面に設けられるロック部材の取付状態を示す分解斜視図(A)と下方から見た斜視図(B)である。更に、図15は軸支ピンとロック部材との関係を説明するための上支持金具部分の裏面図であり、図16はロック部材の作用を説明するための上支持金具部分の裏面図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態に係る外枠2は、横方向へ延びる上下の上枠板10及び下枠板11と、縦(上下)方向へ延びる左右の側枠板12,13とを、夫々の端部を連結するための連結部材19で連結することによって方形状に組み付けられている。具体的には、連結部材19は、中央と左右とに段差のある表彰台状に形成され、突出した中央の部分が上枠板10及び下枠板11の両端部中央に形成された係合切欠部20に嵌合され、一段下がった左右の部分の平面に上枠板10の裏面と下枠板11の上面とが当接し且つ一段下がった左右の部分の一側面に側枠板12,13の内側面が当接するようになっている。
そして、その状態で、上枠板10の係合切欠部20の両側方及び下枠板11の係合切欠部20の両側方に夫々形成される挿通穴21と連結部材19の一段下がった左右の部分の平面に形成される複数(図示の場合2個)の連結穴22(図9の上枠板10と側枠板12とを連結する連結部材19に表示するが、他の連結部材19にも存在する)とを一致させて上方又は下方から複数(図示の場合2本)の連結ビス23で止着し、更に、側枠板12,13の上下端部分に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴24と連結部材19の一段下がった左右の部分の側面に形成される複数(図示の場合3個)の連結穴25とを一致させて側方外側から複数(図示の場合3本)の連結ビス26,27で止着することにより、上下の上枠板10及び下枠板11と左右の側枠板12,13とが強固に連結固定される。ただし、3本の連結ビス26,27のうち、1本の連結ビス27は、側枠板12,13と連結部材19とを連結するものではなく、上枠板10及び下枠板11と連結部材19とを側方から直接連結するものである。
外枠2を構成する上枠板10と下枠板11、及び側枠板12,13のうち、上枠板10と下枠板11とは従来と同じ木製であり、側枠板12,13は、軽量金属、例えば、アルミニュウム合金の押出し成型板により構成されている。上枠板10及び下枠板11を従来と同じ木製で構成した理由は、パチンコ機1を遊技場に列設される島に設置する場合に、島の垂直面に対し所定の角度をつけて固定する作業を行う必要があるが、そのような作業は上枠板10及び下枠板11と島とに釘を打ち付けて行われるため、釘を打ち易くするためである。一方、側枠板12,13をアルミニュウム合金の押出し成型板により構成した理由は、従来の木製に比べ強度を維持しつつ肉厚を薄く形成することができるため、側枠板12,13の内側に隣接する本体枠3の側面壁540〜543(図69を参照)の正面から見たときの左右幅を広くすることができる。このため左右方向の寸法の大きな遊技盤4を本体枠3に装着することができることになり、結果的に遊技盤4の遊技領域605を大きく形成することができるからである。
なお、側枠板12,13をアルミニュウム合金の平板で構成すると、充分な剛性が確保できないため、図12(C)に示すように、側枠板12(側枠板13も全く同じ構造である。)の後方部分内側にリブによって後方が開放した空間部28(側枠板13の空間部28は図11に表示)を形成して後方部分の肉厚h1が厚くなるように引き抜き成型されている。もちろん、この肉厚h1は、従来の木製の肉厚と同等若しくは若干薄い寸法となっている。
また、図12(B),(D)に示すように、側枠板12の空間部28の前方には、連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる溝部29(側枠板13の溝部29は図8に表示)が形成されている。側枠板12の溝部29から前端部までは、図12(B)〜(D)に示すように、その内側面が連結部材19の一段下がった左右の部分の他方の部分が当接する平板状をなすものであるが、その平板部に材料軽減のための浅い凹部が形成されている。更に、溝部29が形成される反対側の面(外側面)には、図8及び図12(B)に示すように、上支持金具45の垂下片部53が挿入される凹部30(側枠板13の凹部30は図9に表示)が形成されている。
そして、上記のように形成される軸支側の側枠板12には、連結部材19を取付けるための構成以外に、その上部に上支持金具45の垂下片部53を側枠板12の外側に止着ビス32で止着するための取付穴31が穿設されると共に、その下部に下支持金具66の垂直当接片72に形成される取付穴69と一致させて止着ビス34で止着するための取付穴33が穿設されている。また、取付穴33の下部であって側枠板12の前方部分に側枠板12とカバー補強金具14とを止着ビス36で止着するための取付穴35が形成されている。
一方、開放側の側枠部13には、連結部材19を取付けるための構成以外に、その上部に閉鎖用突起38を取付ネジ39で取付けるための取付穴37が穿設され、その下部に閉鎖用突起41を取付ネジ42で取付けるための取付穴40が穿設されると共に、さらに最下方に側枠板13とカバー補強金具14とを止着ビス44で止着するための取付穴43が形成されている。
なお、この閉鎖用突起38,41は、外枠2に対して本体枠3を閉じる際に、本体枠3の開放側辺に沿って取付けられる錠装置1000のフック部1054,1065(図121を参照)と係合するものであり、後に詳述するように錠装置1000のシリンダ錠1010に鍵を差し込んで一方に回動することにより、フック部1054,1065と閉鎖用突起38,41との係合が外れて本体枠3を外枠2に対して開放することができるものである。
また、下枠板11と左右の側枠板12,13の下部前面に固定されるカバー補強金具14は、閉止時においてその上面に本体枠3が載置されるものであり、カバー補強金具14の表面及び側面は、装飾カバー板15によって被覆されている。なお、外枠2の装飾カバー板15の開放側の上面には、本体枠3の閉止時に本体枠3をスムーズに案内するための案内板18が交換可能に装着されている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支する構造として、上枠板10と側枠板12とを連結する機能も兼用する上支持金具45とカバー補強金具14の一側上面に沿って取付けられる下支持金具66とが設けられている。上支持金具45には、前方に突出している支持突出片46に支持突出片46の側方から先端中央部に向かって屈曲して形成された支持鉤穴47が形成されており、この支持鉤穴47に本体枠3の後述する上軸支金具503の軸支ピン504(図71を参照)が着脱自在に係合されるようになっている。
また、下支持金具66も前方に突出した形状に形成されているが、この突出した部分に上向きに支持突起68が突設され、この支持突起68に本体枠3の後述する枠支持板506(図72を参照)に形成される支持穴が挿入される。したがって、外枠2に本体枠3を支持するためには、下支持金具66の支持突起68に本体枠3の枠支持板506に形成される支持穴を係合させた後、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504を支持鉤穴47に掛け止めることにより簡単に開閉自在に軸支することができる。
また、上支持金具45は、上枠板10の軸支側の上面及び前面に凹状に形成される取付段部49に装着されるものであるが、その装着に際し、上支持金具45に形成される複数(図示の場合2個)の取付穴48と取付段部49に穿設される複数(図示の場合2個)の取付穴50とを一致させて取付ビス51を上方から差し込み、上枠板10の裏面から押し当てられる挟持板52に止着することにより上支持金具45が上枠板10に堅固に固定される。
また、上支持金具45の外側側方には、側枠板12の外側に当接する垂下片部53があり、その垂下片部53にも取付穴が穿設され、この取付穴と取付穴31とを止着ビス32で止着することにより、上支持金具45と側枠板12とを固定すると共に、上枠板10と側枠板12とを上支持金具45を介して連結している。
一方、下支持金具66は、前述したように側枠板12の取付穴33と垂直当接片72の取付穴69とを一致させた状態で止着ビス34で止着し、さらに、下支持金具66の水平面の中程に穿設される取付穴70に取付ネジ71を差し込むことにより、装飾カバー板15を介してカバー補強金具14の上面に止着されるものである。
上記のように構成される外枠2において、その構成部材である上枠板10と下枠板11と側枠板12,13とを連結部材19で連結することにより、連結部材19が側枠板12,13の内面に密着して止着されると共に連結部材19と上枠板10及び下枠板11が係合した状態で止着されるので、その組み付け強度が高く頑丈な方形状の枠組みとすることができる。上記した連結部材19と上枠板10及び下枠板11との係合状態に加え、連結部材19の側枠板12,13への取付けに際し、溝部29に連結部材19の一段下がった左右の部分の一方の部分が嵌め込まれる構造であるため、連結部材19の側枠板12,13への取付けが強固となり、これによっても方形状の枠組みの強度を向上することができると共にその位置決めを正確に行うことができる。
また、連結部材19によって上枠板10、下枠板11、側枠板12,13を連結した後、上支持金具45を所定の位置に取付けたときに、図10及び図11に示すように、各枠板10,11,12,13の外側面(外周面)から外側に突出する部材は存在しないので、パチンコ機1を図示しないパチンコ島台に設置する際に、隣接する装置(例えば、隣接する玉貸器)と密着して取付けることができる。また、下支持金具66を取付けたときにも、カバー補強金具14の上面と下支持金具66の上面とが略同一平面となるようになっている。
ところで、本体枠3を開閉自在に軸支するための上支持金具45の裏面には、図14に示すようにロック部材80が回動自在に軸支されている。より詳細に説明すると、図14(A)に示すように、上支持金具45の支持突出片46は、先端部が円弧状の平板として形成されると共に支持突出片46の外側縁に沿って直角に折り曲げられた垂下壁46aが形成される。この垂下壁46aにより、上支持金具45の支持突出片46の強度を向上させることができると共に、正面から見たときに次に説明するロック部材80が視認できないようにして外観を良くし、更に、次に説明するロック部材80の弾性片80cの先端当接部が当接する部位として利用したりロック部材80が支持突出片46から外側に飛び出さないように停止部として利用している。また、支持突出片46に形成される支持鉤穴47は、垂下壁46aが形成されない反対側の側方から内側にやや向ってさらに先端中央部に向かって傾斜状となるように屈曲して形成されている。そして、支持鉤穴47の傾斜状穴部の溝寸法は、軸支ピン504の直径よりもやや大きな寸法に形成されている。
また、上記した垂下壁46aは、支持鉤穴47の前方の入口端部から支持突出片46及び上支持金具45の外側縁に沿って直角に折り曲げられて形成されていると共に、支持鉤穴47の前方の入口端部の部分で内側に向って折り曲げられて停止垂下部47aとなっている。また、支持突出片46の略中央に取付穴46bが穿設され、取付穴46bにロック部材80がリベット81によって回転自在に軸支されている。ロック部材80は、合成樹脂によって成型されるものであり、ストッパー部80aと操作部80bとがL字状に形成され、また操作部80bと反対側に円弧状の弾性片80cが一体的に延設されている。そして、ストッパー部80aと操作部80bとがなすL字状の基部にリベット81が挿通される取付穴80dが形成されている。しかして、ロック部材80がリベット81によって取付穴46bに取付けられて支持突出片46の裏面に回転自在に固定した状態においては、図14(B)に示すように、弾性片80cの先端当接部が垂下壁46aの内側面と当接しており、ストッパー部80aが支持鉤穴47の傾斜状穴部を閉塞するようになっている。また、このときストッパー部80aの先端部分は、支持鉤穴47の傾斜状穴部の先頭空間部分を閉塞した状態となっていない。即ち、通常の状態で支持鉤穴47の先頭空間部分には、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504が挿入される空間が形成されている。
ところで、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の先端空間部分に挿入されてストッパー部80aの先端側方が入口端部の停止垂下部47aに対向している状態(この状態ではストッパー部80aの先端側方と停止垂下部47aとの間に僅かな隙間があり当接した状態となっていない)である通常の軸支状態においては、屈曲して形成される支持鉤穴47の傾斜状穴部の先端空間部分に位置する軸支ピン504とストッパー部80aの先端面80eとの夫々の中心が斜め方向にずれて対向した状態となっている。そして、この通常の軸支状態においては、重量のある本体枠3を軸支している軸支ピン504が支持鉤穴47の先端部分に当接した状態となっているので、軸支ピン504からストッパー部80aの先端面80eへの負荷がほとんどかかっていないため、ロック部材80の弾性片80cに対し負荷がかかっていない状態となっている。また、図15(A)に示すように、ストッパー部80aの先端面80eが操作部80bを操作して回動したときにロック部材80がスムーズに回動するように円弧状に形成されている。図示の場合、この円弧状先端面80eの円弧中心は、リベット81の中心(ロック部材80の回転中心)である。
このため、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面80eに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン504と円弧状の先端面80eとの当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面80eの円弧の法線方向)と、軸支ピン504と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けたときに、分力F1の方向がリベット81の中心(ロック部材80の回転中心)を向くため、ロック部材80のストッパー部80aの先端部が支持突出片46から外れる方向(図示の時計方向)に回転させるモーメントが働かず、軸支ピン504がロック部材80のストッパー部80aの先端部と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との間に挟持された状態を保持する。このため、通常の軸支状態でもあるいは軸支ピン504の作用力がロック部材80にかかった状態でも、ロック部材80の弾性片80cに常時負荷がかからず、合成樹脂で一体形成される弾性片80cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン504の支持鉤穴47からの脱落を防止することができる。なお、仮に無理な力がかかってロック部材80のストッパー部80aの先端部が支持突出片46から外れる方向(図示の時計方向)に回転させられても、ストッパー部80aの先端部の一側方が停止垂下部47aに当接してそれ以上外れる方向に回転しないので、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることはない。
また、図15(A)に示す実施形態においては、ストッパー部80aの円弧状先端面80eの円弧中心がリベット81の中心(ロック部材80の回転中心)であることにより、軸支ピン504に対し支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向の作用力Fがかかってもロック部材80に回転モーメントが生じないものについて説明したが、図15(B)に示すように、ストッパー部80aの円弧状先端面80fの曲率半径をさらに小さくし、且つロック部材80のリベット81による軸支位置を支持突出片46の内側にした場合に、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって円弧状の先端面80fに当接したとき、その作用力Fを、軸支ピン504と円弧状の先端面80fとの当接部分に作用する分力F1(円弧状先端面80fの円弧の法線方向)と、軸支ピン504と支持鉤穴47の傾斜状穴部の一側内面との当接部分に作用する分力F2と、に分けた場合において、分力F1によって回転モーメントが働いてロック部材80を図示の矢印方向(時計回転方向)に回転させるが、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもないし、ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることもない。
つまり、図15(A)及び図15(B)に示す実施形態から理解することができる点は、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面80e,80fに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン504と先端面80e,80fとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材80を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材80をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材80の回転中心(リベット81により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもない。なお、ストッパー部80aの先端面の形状が円弧状でなくても、上記した分力F1の作用により回転モーメントが生じない位置又はロック部材80をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材80の回転中心(リベット81により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることはないし、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもないという点を本出願人は確認している。
上記のように構成されるロック部材80の作用について図16を参照して説明する。外枠2に本体枠3を開閉自在に軸支する前提として、本体枠3の枠支持板506(図71を参照)に形成される支持穴(図示しない)に下支持金具66の支持突起68が挿通されていることが必要である。そのような前提において、図16(A)に示すように、本体枠3の上軸支金具503の軸支ピン504をロック部材80のストッパー部80aの側面に当接させて押し込むことにより、図16(B)に示すように、ロック部材80が弾性片80cを変形させながら反時計方向に回動させるので、軸支ピン504を支持鉤穴47に挿入することができる。そして、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の先頭空間部分に到達すると、図16(C)に示すように、軸支ピン504とストッパー部80aの先端側面とが当接しなくなるためロック部材80が弾性片80cの弾性力に付勢されて時計方向に回動し、ロック部材80のストッパー部80aが再度通常の状態に戻って支持鉤穴47の入口部分を閉塞すると同時に、ストッパー部80aの先端部分が軸支ピン504と対向して軸支ピン504が支持鉤穴47から抜け落ちないようになっている。そして、この状態は、図16(D)に示すように、本体枠3が完全に閉じられた状態でもあるいは本体枠3の通常の開閉動作中も保持される。次いで、軸支ピン504を支持鉤穴47から取り外すためには、図16(E)に示すように、指を支持突出片46の裏面に差し入れてロック部材80の操作部80bを反時計方向に回動することにより、ロック部材80が弾性片80cの弾性力に抗して回動し、ストッパー部80aの先端部分が支持鉤穴47から退避した状態となるため、軸支ピン504を支持鉤穴47から取り出すことができる。その後、本体枠3を持ち上げて、枠支持板506に形成される支持穴と下支持金具66の支持突起68との係合を解除することにより、本体枠3を外枠2から取り外すことができる。
上記したように、第二実施形態に係る外枠2の上支持金具45に設けられるロック部材80は、ストッパー部80aと操作部80bと弾性片80cとが合成樹脂によって一体的に形成されているので、上支持金具45の裏面に極めて簡単に取付けることができると共に、極めて簡単な構造であるため故障も少なく且つ製造コストの低減を計ることができる。また、軸支ピン504が支持鉤穴47の傾斜状穴部の傾斜に沿って抜ける方向に作用力Fがかかって先端面80e,80fに当接したとき、その作用力Fの軸支ピン504と先端面80e,80fとの当接部分に作用する分力F1によってロック部材80を回転させる回転モーメントが生じない位置若しくはロック部材80をその先端部が支持突出片46の外側に向って回転させる回転モーメントが生ずる位置にロック部材80の回転中心(リベット81により固定される軸)を位置させることにより、常時ロック部材80の弾性片80cに対しても負荷がかかることはなく、合成樹脂で一体形成される弾性片80cのクリープによる塑性変形を防止し、長期間に亘って軸支ピン504の支持鉤穴47からの脱落を防止することができると共に、ロック部材80が回転してもストッパー部80aの先端一側方が停止垂下部47aに当接するだけであるため、ロック部材80が支持突出片46の外側にはみ出ることもない。
[1−2.扉枠の全体構成]
次に、上記した本体枠3の前面側に開閉自在に設けられる扉枠5について、図17乃至図22を参照して説明する。図17は、扉枠の正面図であり、図18は、扉枠の背面図である。また、図19は、扉枠を右前方から見た斜視図であり、図20は、扉枠を左前方から見た斜視図である。図21は、扉枠の正面から見た分解斜視図であり、図22は、扉枠の背面から見た分解斜視図である。
図17、図18、図21及び図22に示すように、扉枠5は、外形が縦長の矩形状に形成され内周形状が縦長の多角形状とされた遊技窓101を有する扉枠ベースユニット100と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の上部に取付けられる横長のトップランプ電飾ユニット200と、扉枠ベースユニット100の前面で遊技窓101の下部に取付けられる皿ユニット300と、扉枠ベースユニット100の後側に遊技窓101を閉鎖するように取付けられるガラスユニット450と、ガラスユニット450の後側下部を被覆するように扉枠ベースユニット100の後側に取付けられる防犯カバー470とを備えている。この扉枠5における扉枠ベースユニット100には、詳細な説明は後述するが、遊技窓101の左右両側にサイドスピーカ電飾ユニット120を備えており、このサイドスピーカ電飾ユニット120、トップランプ電飾ユニット200、及び皿ユニット300によって、遊技窓101の外周が囲まれた形態となっている。また、扉枠5には、皿ユニット300の正面視左側(開放側)に遊技球の打込操作をするためのハンドル装置400が備えられている。
[1−2A.扉枠ベースユニット]
続いて、扉枠5における扉枠ベースユニット100について、主に図23乃至図31を参照して説明する。図23(A)は扉枠ベースユニットの正面斜視図であり、(B)は扉枠ベースユニットの背面斜視図である。図24は、扉枠ベースユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図25は、扉枠ベースユニットを分解して後ろから見た分解斜視図である。また、図26は、扉枠ベースユニットにおけるサイドスピーカ電飾ユニットの左ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図27は、図26を後ろから見た分解斜視図である。図28は、扉枠ベースユニットにおけるサイドスピーカ電飾ユニットの右ユニットを分解して前から見た分解斜視図であり、図29は、図28を後ろから見た分解斜視図である。更に、図30は、扉枠ベースユニットにおける球送りユニットを分解して示す分解斜視図である。また、図31(A)は扉枠ベースユニットにおけるジョイントユニットの部分を拡大して示す斜視図であり、(B)はジョイントユニットを分解して示す分解斜視図である。
図示するように、扉枠ベースユニット100は、外形が縦長の矩形状に形成されると共に、前後方向に貫通し内周が縦長で多角形状に形成された遊技窓101を有した扉枠ベース本体110と、扉枠ベース本体110の前側で遊技窓101の左右両側に固定されるサイドスピーカ電飾ユニット120と、扉枠ベース本体110の後側に固定される金属製で枠状の補強板金140と、補強板金140の後側に固定される横長の装着台160と、装着台160に固定され皿ユニット300から供給される遊技球を一つずつ打球発射装置650へ送る球送りユニット170と、扉枠ベース本体110の後側で補強板金140及び装着台160を介して固定される球送りユニット170の略下側に配置され、ハンドル装置400における操作ハンドル部410の回転操作を打球発射装置650へ伝達させるジョイントユニット180とを主に備えている。
また、扉枠ベースユニット100は、扉枠ベース本体110の前側で遊技窓101の左下側に固定される左下装飾基板190と、扉枠ベース本体110における皿ユニット300の球抜き経路393と対応する位置に形成された球抜き経路開口112を閉鎖する球抜き経路カバー191と、扉枠ベース本体110の後側で遊技窓101よりも下側に固定される扉装飾駆動基板192と、扉装飾駆動基板192を後方から覆う扉装飾駆動基板カバー193と、扉枠ベース本体110の後側でジョイントユニット180の直上に固定されるハンドル中継端子板194と、遊技窓101の下側で扉枠ベース本体110の後側に形成され左下装飾基板190やハンドル中継端子板194からの配線等を収容可能な配線収容溝110bを後側から閉鎖する配線カバー195と、遊技窓101の左右上部に夫々配置され扉枠ベース本体110の後側に回動可能に軸支される止めレバー196とを備えている。
本例の扉枠ベースユニット100は、合成樹脂からなる矩形状の扉枠ベース本体110の後側に、金属板金をリベット等で組立てた補強板金140が固定されることで、全体の剛性が高められていると共に、トップランプ電飾ユニット200や皿ユニット300等を充分に支持することができる強度を有している。
また、扉枠ベースユニット100における左下装飾基板190は、その前面に複数のLED190aが実装されており、後述する皿ユニット300の左端部を発光装飾させることができるようになっている。一方、扉装飾駆動基板192は、扉枠5に設けられる電飾部品や電気部品(各基板等に実装されたLEDやランプ、スピーカ121,391、ハンドル装置400の操作ハンドル部410内に設けられるスイッチ、貸球ユニット301、操作ボタンユニット370等)からの配線が集約して接続され、その扉装飾駆動基板192からの配線が本体枠3の裏面に取付けられる基板ユニット1100に組み込まれる扉中継基板1102等を介しての賞球払出制御基板1186や遊技盤4に取付けられる主制御基板ボックス624の主制御基板4100(図166を参照)に接続されている。
[1−2A−1.扉枠ベース本体]
まず、扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110は、図24及び図25等に示すように、合成樹脂によって縦長の額縁状に形成されており、前後方向に貫通し内形が縦長で多角形状の遊技窓101が全体的に上方へオフセットするような形態で形成されている。この扉枠ベース本体110は、遊技窓101によって形成される上辺、及び左右の側辺の幅が、後述する補強板金140の上側補強板金141、軸支側補強板金142、及び開放側補強板金143の幅と略同じ幅とされており、正面視における扉枠ベース本体の大きさに対して、遊技窓101が可及的に大きく形成されている。従って、扉枠5の後側に配置される遊技盤4のより広い範囲を遊技者側から視認できるようになっており、従来のパチンコ機よりも広い遊技領域を容易に形成することができるようになっている。
また、扉枠ベース本体110における遊技窓101よりも下方には、軸支側(正面視で左側)の上部に皿ユニット300の賞球連絡樋343が貫通する賞球通過口111と、賞球通過口111の下方で皿ユニット300における球抜き経路393と対応する位置に形成された球抜き経路開口112と、開放側(正面視で右側)の上部に球送りユニット170を装着するための球送り開口113と、球送り開口113のさらに開放側寄りに後述するシリンダ錠1010が挿通する錠穴114と、球送り開口113の下側でハンドル装置400のカム416が挿通可能なカム挿入開口115とが、扉枠ベース本体110を貫通するように夫々形成されている。
更に、扉枠ベース本体110には、遊技窓101の下端の左右両側に詳細は後述するが防犯カバー470の装着弾性片473を装着するための装着開口部116と、装着開口部116の夫々左右外側に配置され後述するサイドスピーカ電飾ユニット120における左右下側のサイドスピーカ121の後端を逃がすためのスピーカ用開口117とが、貫通するように夫々形成されている。
また、扉枠ベース本体110の後側には、遊技窓101の内周に略沿って前側へ凹みガラスユニット450の前面外周縁が当接可能なガラスユニット支持段部110aと、遊技窓101の下側で下側補強板金144の前面と略対応する位置に前側へ凹んで形成され配線を収容可能な配線収容溝110bと、カム挿入開口115が開口し前側へ向かって凹みジョイントユニット180を取付けるためのジョイントユニット装着凹部110cとを備えている。
更に、扉枠ベース本体110の後側には、その下辺から後方へ所定量突出する扉枠突片110d,110eが形成されており、これら扉枠突片110d,110eが、後述する本体枠3の係合溝584,585内に挿入されることで、扉枠5が本体枠3に対して位置決め係止されるようになっている。なお、扉枠突片110dの後方への突出量は、扉枠突片110eの突出量よりも大きくなるように形成されている。
また、扉枠ベース本体110には、図示するように、その前面上部に、トップランプ電飾ユニット200を固定するための前方へ突出した複数の取付ボス110hが備えられていると共に、その後面に、止めレバー196を回転可能に軸支するための止めレバー取付部110iが備えられている。また、その他に、扉枠ベース本体110には、サイドスピーカ電飾ユニット120、補強板金140、装着台160、皿ユニット300等を固定するための取付ボスや、取付穴が適宜位置に多数形成されている。
[1−2A−2.サイドスピーカ電飾ユニット]
続いて、扉枠ベースユニット100におけるサイドスピーカ電飾ユニット120は、扉枠5の前面で遊技窓101の左右両側を電飾(発光装飾)すると共に、遊技窓101の四隅に配置された四つのサイドスピーカ121によって所定の音楽や効果音等を遊技者に対して発することができるものであり、遊技窓の101の軸支側(正面視で左側)に配置される左サイドスピーカ電飾ユニット120Lと、遊技窓101の開放側(正面視で右側)に配置される右サイドスピーカ電飾ユニット120Rとを備えている。このサイドスピーカ電飾ユニット120は、左右のユニット夫々に、縦長の電飾部122と、電飾部122の上下に夫々配置されサイドスピーカ121を有する音響部130とを備え、略左右が対称の構成となっている。
詳述すると、サイドスピーカ電飾ユニット120の電飾部122は、図26乃至図29に分解して示すように、縦長の半円柱状で透明なサイド電飾レンズ123と、サイド電飾レンズ123の後側に配置されサイド電飾レンズ123と共に円柱を構成する透明なサイド電飾リフレクタ124と、サイド電飾リフレクタ124の後側に配置されるサイド電飾ベース125と、サイド電飾ベース125の後側に固定されるサイド装飾基板126と、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124の上端及び下端を夫々前側から包み込むように形成されサイド電飾ベース125に取付けられることでサイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124を支持するサイド電飾フラッシュカバー127と、サイド電飾フラッシュカバー127のフラッシュ開口127aを後側から閉鎖する透光性を有したフラッシュレンズ128と、フラッシュレンズ128の後側に配置されサイド電飾ベース125の前面に支持されるフラッシュ基板129とを備えている。
このサイドスピーカ電飾ユニット120の電飾部122は、サイド電飾基板126の前面に、上下方向に所定間隔で様々な色に発光可能な複数のカラーLED126aと、複数のLED126aの上下に高輝度の白色LED126bとが夫々実装されている。また、サイド電飾リフレクタ124及びサイド電飾ベース125におけるサイド電飾基板126のLED126a,126bと対応する位置には、夫々前後方向に貫通する開口部124a,125aが形成されており、サイド装飾基板126に実装されたLED126a,126bからの光が、サイド電飾ベース125の開口部125a、及びサイド電飾リフレクタ124の開口部124aを通して前方へ照射することができるようになっている。
また、電飾部122では、サイド電飾レンズ123とサイド電飾リフレクタ124の透明な円柱内の内側に、サイド電飾レンズ123の内周全体とサイド電飾リフレクタ124の内周の一部にかかるように断面略U字状のサイドレンズシート123aが配置されている。このサイドレンズシート123aは、透過光や反射光を、パール状或いは彩光状に見せる公知の光学シートにより形成されおり、遊技者側から見ると、このサイドレンズシート123aによって、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124により形成された透明な円柱(パイプ)内に、あたかも蛍光管(蛍光管)が配置されたような外観を呈することができるようになっている。
更に、電飾部122では、サイド電飾リフレクタ124に、サイド装飾基板126の複数のLED126aと対応して形成された複数の開口部124aを、上下方向に三つのグループに分割する分割壁124bを備えており、この分割壁124bによって所定のLED126aからの光が他のグループへ進入するのを抑制するようにしている。つまり、分割壁124bによって、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124によって形成される蛍光管を上中下の三つに明確に分割することができるようになっている。従って、サイド装飾基板126に実装された複数のLED126aを適宜発光させることで、蛍光管を全体的あるいは部分的に発光させたり、上中下の各部分毎に様々な色に発光させたりすることができるようになっている。
また、サイド電飾リフレクタ124には、サイド装飾基板126における上下のLED126bと対応した位置に、前側から凹んだレンズ凹部124cが形成されており、このレンズ凹部124cに前側から半円形状のサブレンズ122a(図28及び図29を参照)が挿入されるようになっている。本例の電飾部122は、このサブレンズ122a及びLED126bにより、LED126aを発光させる前に、LED126bのみを強く発光させることで、サイド電飾レンズ123及びサイド電飾リフレクタ124によって形成される蛍光管をあたかも本物の蛍光灯のように、両端のみが光ってから点灯するような発光演出をすることができるようになっている。
更に、電飾部122は、サイド電飾フラッシュカバー127の後側に支持されるフラッシュ基板129の前面に強い光を発光可能なフラッシュライト129a(例えば、超高輝度白色LED等)が取付けられており、このフラッシュライト129aを発光させることで、閃光(フラッシュ)を遊技者側へ照射させることができるようになっている。
サイドスピーカ電飾ユニット120の音響部130は、最前部に配置され略円形のスピーカ開口131aを有したスピーカ飾り131と、スピーカ飾り131のスピーカ開口131aを後側から閉鎖するパンチングメタルからなる略円盤状のスピーカカバー132と、スピーカカバー132の後側に配置されスピーカ飾り131と協働してスピーカカバーを狭持し円形のスピーカ前支持口133aを有した飾りスペーサ133と、飾りスペーサ133のスピーカ前支持口133aを後側から閉鎖するように配置されるサイドスピーカ121と、サイドスピーカ121の外周に後側から嵌合するスピーカ嵌合口134aを有した裏押え部材134とを主に備えている。
この音響部130は、図示するように、スピーカ飾り131や飾りスペーサ133、及び裏押え部材134の形状が、取付けられる位置に応じて異なる形状とされている。具体的には、図26及び図27に示すように、正面視で左上の音響部130では、スピーカ飾り131が円筒状に形成された上で左側から外方へ延び出す装飾部131bを有し、飾りスペーサ133がスピーカ飾り131内へ挿入可能な円筒状とされると共に、裏押え部材134にはスピーカ飾り131の装飾部131bと組になる裏押え装飾部134bが形成されている。なお、左上の音響部130には、裏押え部材134の裏押え装飾部134bの上部に配置され補強板金140における上軸支部146の軸ピン145よりも下側を覆うヒンジカバー135を更に備えている。また、正面視で左下の音響部130では、スピーカ飾り131が装飾部131bを有した板状に形成されると共に、飾りスペーサ133がスピーカ飾り131の装飾部131bと組になるスペーサ装飾部133bを有した板状に形成され、裏押え部材134がリング状に形成されている。
一方、図28及び図29に示すように、正面視で右上の音響部130では、スピーカ飾り131が円筒状に形成されると共に、飾りスペーサ133と裏押え部材134とがスピーカ飾り131内へ挿入可能な円筒状に形成されている。また、正面視で右下の音響部130では、スピーカ飾り131が円環状に形成された上で、飾りスペーサ133がスピーカ飾り131の後面と当接するスペーサ装飾部133bを有した平板状に形成されると共に、裏押え部材134がリング状に形成されている。なお、右下の音響部130では、裏押え部材134の更に後側に、裏押え部材134を前側から挿通固定可能な貫通する裏押え部材固定口136aを有した飾りベース136を更に備えている。
本例のサイドスピーカ電飾ユニット120における四つのサイドスピーカ121は、図示するように、遊技窓101の上下左右の四隅に配置されており、蓋然的に、遊技する遊技者の頭部に対しても上下左右の位置に配置されるようになっているので、各サイドスピーカ121に対して独立した音響信号(例えば、2chステレオ信号、4chステレオ信号、後述する下部スピーカ391を加えた2.1chサラウンド信号或いは4.1chサラウンド信号、等)を送ることで、従来よりも臨場感のある音響効果(音響演出)を提示することができるようになっている。なお、本例のサイドスピーカ121は、主に中音域から高音域を担当し、下部スピーカ391は、低音域を担当するものとなっている。
[1−2A−3.補強板金]
次に、扉枠ベースユニット100における補強板金140は、主に図24及び図25に示すように、扉枠ベース本体110の上辺部裏面に沿って取付けられる上側補強板金141と、扉枠ベース本体110の軸支側辺部裏面に沿って取付けられる軸支側補強板金142と、扉枠ベース本体110の開放側辺部裏面に沿って取付けられる開放側補強板金143と、扉枠ベース本体110の遊技窓101の下辺裏面に沿って取付けられる下側補強板金144と、が相互にビス等で締着されて方形状に形成されている。
この補強板金140は、図24に示すように、軸支側補強板金142の上下端部に、その上面に上下方向に摺動自在に設けられる軸ピン145を有する上軸支部146と、その下面に軸ピン147(図18を参照)を有する下軸支部148と、が一体的に形成されている。そして、上下の軸ピン145,147が本体枠3の軸支側上下に形成される上軸支金具503及び下軸支金具509に軸支されることにより、扉枠5が本体枠3に対して開閉自在に設けられるものである。
また、補強板金140の下側補強板金144は、所定幅を有して扉枠ベース本体110の横幅寸法と略同じ長さに形成され、その長辺の両端縁のうち下方長辺端縁が後方に向って折曲した下折曲突片149となっており(図25を参照)、上方長辺端縁の両側部が後方に向って折曲した上折曲突片150となっているものの、その両側部の上折曲突片150に挟まれる部分が垂直方向に延設される垂直折曲突片151となっている。下折曲突片149の突出量はあまり大きくなく、この下折曲突片149が溝部や凹部と係合して凹凸係合をなすものではなく、強度を高めるために形成されているのに対し、両側部の上折曲突片150の突出量は下折曲突片149の突出量よりもやや大きく下方からの不正具の侵入を多少防止するが、むしろ、本実施形態における下側補強板金144の構成で最も特徴的な構成は、垂直折曲突片151である。
この垂直折曲突片151は、その上端縁形状が後述するガラスユニット450のユニット枠451の下端形状に合致するように凹状に形成され、ガラスユニット450を扉枠5の裏面側に固定したときに、垂直折曲突片151の上端片がガラスユニット450のユニット枠451における幅方向(前後方向)の略中央の外周に沿って形成される係合溝451cに係合するようになっている。なお、下側補強板金144には、扉枠ベース本体110に形成された賞球通過口111の底面を除く外周を保護する賞球通過口被覆部152が形成されている。
また、補強板金140の開放側補強板金143には、上側補強板金141と下側補強板金144との間の長辺の両側に、後方へ向かって屈曲された開放側外折曲突片153及び開放側内折曲突片154が夫々形成されており、開放側外折曲突片153よりも開放側内折曲突片154の方が後方へ長く延び出したように形成されている。また、上側補強板金141には、その長辺の両側に後方へ向かって屈曲された屈曲突片155,156が夫々形成されている。更に、軸支側補強板金142には、その長辺の外側端に後方へ延び出した軸支側L字状折曲突片157が形成されている。また、開放側補強板金143の後側下部には、後述する錠装置1000の扉枠用フック部1041と当接するフックカバー158が取付けられている。
[1−2A−4.装着台・球送りユニット]
次に、扉枠ベースユニット100における装着台160及び球送りユニット170について説明する。まず、装着台160は、図18、図24、及び図25に示すように、扉枠ベースユニット100の板部裏面の上半分を覆うように取付けられ、防犯カバー470と同様に透明な合成樹脂によって前方が開放した横長直方体状に形成されている。この装着台160は、発射レール515から発射された球をスムーズに遊技盤4に導くために、扉枠5を閉めたときに装着台160の後面と本体枠3の板部511とによって発射レール515を挟持するように形成されており、装着台160の後面に球飛送誘導面161が形成されている。ところで、本実施形態に係る装着台160には、その軸支側上部に下側補強板金144に形成される賞球通過口被覆部152の後方突出部を貫通させる賞球通過口用開口162が形成されており、その開放側下部に球送りユニット170を取付ける球送りユニット取付凹部163が形成されている。この球送りユニット取付凹部163から斜め方向の領域が球飛送誘導面161となっている。
また、装着台160の中程下部には、後述する球抜き経路カバー191、扉装飾駆動基板192及び扉装飾駆動基板カバー193を取り外す際に指を入れることができる蓋用切欠き164が形成されていると共に、装着台160の上辺の一部には、垂直に立設される立壁165が形成されている。この立壁165は、図18に示すように、防犯カバー470を取付けたときに、防犯カバー470の前面と当接して防犯カバー470の下部が前方に移動しないように規制するためのものである。
更に、この装着台160には、上述した球飛送誘導面161の下方から賞球通過口用開口162にかけて斜め状に後方へ向かって突設された防犯突片166を備えている。この防犯突片166は、前述したように、本体枠3の板部511に形成される防犯空間586との間で、扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
一方、球送りユニット170は、図30に示すように、球送りユニット取付凹部163に固定される箱状の本体部171と、本体部171の支持軸171aに回動可能に軸支された球送り部材172と、球送り部材172の球受部を上方へ回動させると共に回転可能に球送り部材172に軸支された錘173とを備えている。この球送りユニット170は、球送り部材172が後述する打球発射装置650の打球槌687の往復動差に対応して揺動することで、皿ユニット300の第三傾斜面311cの流下端にある球を、本体部171に形成された打球供給口171bを通して発射レール515の発射位置に1個ずつ供給するものである。
なお、図中の符号174は、Eリングであり、本体部171の支持軸171aから球送り部材172が抜けるのを防止したり、球送り部材172から錘173が抜けるのを防止したりするものである。
[1−2A−5.ジョイントユニット]
続いて、扉枠ベースユニット100におけるジョイントユニット180について説明する。ジョイントユニット180は、図31に示すように、扉枠ベース本体110のジョイントユニット装着凹部110cの内部に収納されて横方向にスライド可能なスライド体182と、スライド体182が収納された状態でジョイントユニット装着凹部110cの前面を被覆するカバー体184とから構成されている。
扉枠ベース本体110のジョイントユニット装着凹部110cは、前面が開放した直方体の箱状に形成され、その後面にカム挿入開口115が開設されている。また、ジョイントユニット装着凹部110cの一つの略対角線状に位置する隅部には、ジョイントユニット180のカバー体184を固定するための一対の取付穴110fが形成されている。更に、ジョイントユニット装着凹部110cの内側面の上辺及び底辺には、スライド体182の上下辺の外側面と当接してスライド体182がスムーズに移動できるようにするための円弧状の当接凸部110g(図31(B)では下辺の当接凸部110gだけを図示し、上辺の当接凸部110gは図示省略されている。)が突設されている。
一方、ジョイントユニット180のスライド体182は、ジョイントユニット装着凹部110cとカバー体184とによって形成される空間内に左右方向に移動可能に収納されるように、ジョイントユニット装着凹部110cよりも小さな後面が開放した直方体の箱状に形成され、その後面壁には、後方へ所定量突出し略水平方向に並んで配置された二つの案内突起182aと、背面視で右側の案内突起182aの下側に配置され後方へ突出する板状のスライド突片183と、二つの案内突起182aの間でスライド突片183よりも背面視で左側に後述するハンドル装置400の配線通し筒部428が貫通するように穿設された矩形状の筒部材貫通開口182bとを備えている。このスライド体182のスライド突片183は、スライド時の進行方向(背面視で右方向)が斜めにカットされた傾斜辺183aとなっている。また、スライド体182の前面壁には、ハンドル装置400における回転軸415の先端部に固定されるカム416が収納されるカム係合凹部182cがリブによってコ字形状に形成されている。そして、カム係合凹部182cを形成するリブの一部の垂直部分がカム係合凹部182c内に突出するように円弧状のリブとして形成され、その部分がカム416と当接するカム当接部182dとなっている。
また、ジョイントユニット180のカバー体184は、前面が開放した直方体の箱状に形成され、その前面にスライド体182の前面に突設される円筒ボス状の案内突起182aが挿入されてスライド体182の移動を案内する横長穴状の2つの案内横穴194aと、スライド体182の前面に突設されるスライド突片183が挿通される挿通横穴184bと、操作ハンドル部410の後握り部材413の後端に取付けられてカム挿入開口115から挿入される配線通し筒部428の後端部が臨む配線開口184cと、ジョイントユニット装着凹部110cの取付穴110fと対応する位置から外方へ突出するように形成された取付穴184dとを備えている。この取付穴184dを介してジョイントユニット装着凹部110cの取付穴110fへ所定のビス(図示しない)を止着することで、カバー体184をジョイントユニット装着凹部110cに取付けることができるようになっている。
ジョイントユニット180のスライド体182とカバー体184とをジョイントユニット装着凹部110cに組み付けるには、ジョイントユニット装着凹部110cにスライド体182を収納し、その状態でカバー体184を前方から被覆する。被覆する際には、案内突起182aが案内横穴194aに、スライド突片183が挿通横穴184bに、夫々挿通するようにする。そして、被覆した後には、取付穴184dを介して取付穴110fにビスで螺着することにより、スライド体182を内部に収納した状態となってジョイントユニット180の組み付けが終了する。
[1−2B.トップランプ電飾ユニット]
次に、扉枠5におけるトップランプ電飾ユニット200について、主に図32乃至図39を参照して説明する。図32(A)はトップランプ電飾ユニットの正面斜視図であり、(B)はトップランプ電飾ユニットの背面斜視図であり、図33はトップランプ電飾ユニットを斜め前下から示す斜視図である。図34(A)はトップランプ電飾ユニットを主な構成毎に分解して前から示す分解斜視図であり、(B)は(A)を後から示す分解斜視図である。また、図35はトップランプ電飾ユニットにおけるトップランプリフレクタユニットを分解してトップランプベースと共に前から示す分解斜視図であり、図36は図35を後から示す分解斜視図である。更に、図37はトップランプ電飾ユニットにおける左回転灯を分解して示す分解斜視図であり、図38はトップランプ電飾ユニットにおける右回転灯を分解して示す分解斜視図であり、また、図39はトップランプ電飾ユニットにおける中央回転灯を分解して示す分解斜視図である。
本実施形態の扉枠5におけるトップランプ電飾ユニット200は、図33にも示すように、左右方向に並んだ三つの回転灯244,264,284(所謂、パトライト(登録商標))を備えており、それら回転灯244,264,284の大きさは正面視で左側から順に大きなものが配置されている。このトップランプ電飾ユニット200は、横長で箱状のトップランプベース210と、トップランプベース210の前面に固定されると共にトップランプベース210を挟んで扉枠べースユニット100の前面上部に固定されるトップランプリフレクタユニット220と、トップランプリフレクタユニット220の前面に取付けられる左回転灯ユニット240、右回転灯ユニット260、及び中央回転灯ユニット280と、左回転灯ユニット240、右回転灯ユニット260、及び中央回転灯ユニット280の前面を夫々覆いトップランプリフレクタユニット220に取付けられる回転灯カバー201,202,203と、トップランプリフレクタユニットの略中央下面を覆うリフレクタインナ204と、を主に備えている(図34を参照)。
また、トップランプ電飾ユニット200には、トップランプベース210の前側右に固定されるトップランプ電源基板205と、トップランプベース210の後側に固定される二つのトップランプ装飾駆動基板206とを更に備えている。このトップランプ電源基板205は、トップランプ電飾ユニット200内の各基板224,226,231やLED244a,266a,231a、各回転灯ユニット240,260,280のモータ245,265,285や各基板248,268,288,296のLED、後述するガラスユニット450のLED453a等へ電源基板1136(後述する)からの電源を中継して供給するためのものである。また、トップランプ装飾駆動基板206は、トップランプリフレクタユニット220内のLEDや、中央回転灯ユニット280内のLED、及び各回転灯ユニット240,260,280のモータ245,265,285等の発光や駆動を、後述する周辺基板4010(周辺制御基板4140)からの制御信号に基いて駆動させるためのものである。
[1−2B−1.トップランプベース]
次に、トップランプ電飾ユニット200におけるトップランプベース210は、図35及び図36に示すように、上面及び左右側面が扉枠ベースユニット100の上辺及び左右側辺と略沿った形状とされると共に、下面が扉枠ベースユニット100の遊技窓101と略沿った形状とされ、横長で前後方向の中間で仕切られたような箱状に形成されている。このトップランプベース210は、その外周沿った位置に、後側から扉枠ベース本体110の取付ボス110hが挿通されると共に、前側からトップランプリフレクタユニット220から後方へ突出する取付ボス221iの後端が嵌合して夫々を位置決めし、所定のビスが挿通可能な挿通孔を有した略筒状の取付ボス部211を複数備えている。この取付ボス部211に対して、後方から扉枠ベースユニット100の取付ボス110hの先端を挿入すると共に、前方からトップランプリフレクタユニット220の取付ボス221iの後端を挿入し、扉枠ベースユニット100の後側から所定のビスをトップランプリフレクタユニット220の取付ボス221iへ止着することで、トップランプベース210(トップランプ電飾ユニット200)が扉枠ベースユニット100に取付固定されるようになっている。
また、トップランプベース210には、トップランプリフレクタユニット220から後方へ突出する固定ボス221jの後端が嵌合し所定のビスが通過可能な挿通孔を有した複数の固定ボス部212が備えられている。この固定ボス部212を介して後側からトップランプリフレクタユニット220の固定ボス221jへ所定のビスを止着することで、トップランプベース210とトップランプリフレクタユニット220とを互いに組付けることができるようになっている。
更に、トップランプベース210には、正面視で右側端部付近に、トップランプ電源基板205の接続コネクタ205aが挿通可能なコネクタ開口部213を備えており、このコネクタ開口部213を介してコネクタ205aがトップランプベース210の後側から臨むようになっている。また、トップランプベース210の後側の左右には、夫々基板取付部214が備えられており、この基板取付部214にトップランプ装飾駆動基板206が取付けられるようになっている。
[1−2B−2.トップランプリフレクタユニット]
続いて、トップランプ電飾ユニット200におけるトップランプリフレクタユニット220について説明する。本実施形態のトップランプリフレクタユニット220は、図35及び図36にも示すように、トップランプベース210を前方から被覆可能とされ後側が開放された箱状のリフレクタベース221を備えている。このリフレクタベース221は、前面に三つの回転灯244,264,284が並んで取付けられる、中央の回転灯284と左右の回転灯244,264との間が、前方へ大きく突出する筒状の円筒部221aと、円筒部221aから下方へ垂下すると共に下方へ向かうに従って後方へ傾斜する傾斜部221bとによって仕切られている。このリフレクタベース221は、円筒部221aには略円形の開口部が形成されていると共に、傾斜部221bには上下方向に三つ並んだ矩形状の開口部が形成されている(図33を参照)。また、リフレクタベース210には、左右両端に前方へ突出する縦長の膨出部221eを備えており、この膨出部221eの前面に縦長に開口する矩形状のスリット221fが形成されている。このリフレクタベース211は、図示するように、二つの円筒部221a及び傾斜部221bと、二つの膨出部221eによって、三つの回転灯244,264,284の取付位置が後方へ凹んだような形状となっている。
また、リフレクタベース221は、二つの円筒部221a及び傾斜部221bとの間(中央の回転灯284が配置される位置)が、後方へ凹んだ緩やかな湾曲面形状とされていると共に、二つの円筒部221a及び傾斜部221bとの間に、左右方向略中央を挟んだ左右に正面視で略台形状に貫通するレンズ開口部221gが形成されている。更に、リフレクタベース221には、各回転灯244,264,284を備えた各回転灯ユニット240,260,280の回転灯ユニットベース241,261,281の前端が後側から通過可能な回転灯取付口221hが形成されている。また、リフレクタベース221には、トップランプベース210の取付ボス部211と嵌合する後方へ突出した複数の取付ボス221iと、トップランプベース210の固定ボス部212と嵌合し後方へ突出した複数の固定ボス221jとを備えている。なお、詳細な図示は省略するが、リフレクタベース221には、トップランプベース210を介さずに、扉枠ベースユニット100へ直接取付けられる取付ボス221kも備えられている。
ところで、トップランプリフレクタユニット220は、リフレクタベース221の他に、リフレクタベース221の後側で左右方向略中央に固定される一対のトップインナレンズ222と、トップインナレンズ222の後側でリフレクタベース221のレンズ開口部221gと対応した位置に配置される一対のレンズシート223と、レンズシート223の後側に配置され前面に複数のカラーLED224aが実装された一対のリフレクタ装飾基板224と、リフレクタベース210における円筒部221a内に後側から挿入され開口部221cを閉鎖する透明な丸レンズ225と、丸レンズ225及びトップインナレンズ222を挟んでリフレクタベース210の円筒部221a及び傾斜部221bの後側に配置され前面にLED226aが実装された一対の仕切装飾基板226とを備えている。
このトップインナレンズ222は、透明な樹脂により形成されており、リフレクタベース221のレンズ開口部221gを閉鎖する略台形で湾曲面状の湾曲レンズ部222aと、リフレクタベース221における傾斜部221bの三つの開口部221dを閉鎖する仕切レンズ部222bと、丸レンズ225の後端と当接する丸レンズ支持部222cとを備えている。なお、湾曲レンズ部222aの上下辺には鋸状の拡散レンズ部222dが形成されており、湾曲レンズ部222aとは異なる態様で発光することができると共に、発光していない時でも前側からの光を乱反射させることができるようになっている。
また、トップインナレンズ222には、拡散レンズ部222dの後側から後方へ板状に突出する突出片222eと、上下の突出片に挟まれ湾曲レンズ部222aの後側にレンズシート223を支持する支持凹部222fとが形成されている。なお、図示するように、リフレクタ装飾基板224では複数のLED224aが、トップインナレンズ222の突出片222eと対応した位置に列設されていると共に、トップインナレンズ222の湾曲面レンズ部222aと対応した位置にも分散配置されている。これにより、トップインナレンズ222の湾曲レンズ部222aと拡散レンズ部222dとでは、夫々異なる態様で発光させることができるようになっている。
なお、レンズシート223は、リフレクタ装飾基板224に実装されたLED224aからの透過光や、他の光源等からの反射光を、パール状或いは彩光状に見せる公知の光学シートとされている。また、仕切装飾基板226に実装されたLED226aは、超高輝度LEDとされており、強い閃光を発することができるようになっている。
更に、トップランプリフレクタユニット220には、リフレクタベース221の左右の膨出部221eに形成された縦長のスリット221fを閉鎖するトップサイドレンズ227と、トップサイドレンズ227の上端を前側から固定するトップサイドレンズ押え228と、トップサイドレンズ227及びリフレクタベース221の後側に配置されるレンズシート229と、リフレクタベース221の後側に固定されることでレンズシート229を狭持するトップサイド基板ベース230と、トップサイド基板ベース230に固定されレンズシート229を介して前方のトップサイドレンズ227へ光を照射可能なカラーLED231aが前面に実装されたトップサイド基板231とを更に備えている。
このトップサイドレンズ221は、透明な樹脂により平面視でく字状に形成されると共に、上下の端部に夫々係止片227a,227bが形成されており、下端の係止片227bをリフレクタベース221におけるスリット221fの下端と係止させた上で、上端の係止片227aをトップサイドレンズ押え228により押えることで、リフレクタベース221に取付けられるようになっている。また、トップサイドレンズ221の後側に配されるレンズシート229は、上記のレンズシート223と同様の光学シートで形成されていると共に、図示するように、湾曲状に形成されており、リフレクタベース221に取付けられることで、トップサイドレンズ227の後側に、あたかも円柱状の蛍光管が配置されているような外観を呈することができるようになっている。
また、トップサイド基板ベース230は、図示するように、縦長の矩形枠状に形成され、その枠内を通して後側に固定されるトップサイド基板231のLED231aからの光が、レンズシート229及びトップサイドレンズ227を介して前面へ光を照射することができるようになっている。
[1−2B−3.回転灯ユニット]
次に、トップランプ電飾ユニット200における三つの回転灯ユニット240,260,280について説明する。まず、左回転灯ユニット240は、図37に示すように、上下方向に貫通する円形状の開口241aを有し、その開口241aがリフレクタベース221の回転灯取付口221hから前側へ突出した位置となるようにリフレクタベース221の後側に固定される回転灯ユニットベース241と、回転灯ユニットベース241の開口241aと同軸上に配置され回転灯ユニットベース241の上面に固定される略円環状の回転部ベース242と、回転部ベース242と同軸上に配置され回転部ベース242の上面に摺動回転可能に載置される回転灯ベースギア243と、回転灯ベースギア243から垂下するようにその下面に固定される回転灯244と、回転灯ベースギア243の軸線と略平行でリフレクタベース221の回転灯取付口221hよりも後側の軸線上に配置され回転軸245aが回転灯ユニットベース241の上面から上方へ突出するように回転灯ユニットベース241の下面に固定される左回転灯モータ245と、左回転灯モータ245の回転軸245aに固定され回転灯ベースギア243と噛合する伝達ギア246と、回転灯ベースギア243の全体及び伝達ギア246の一部を上方から覆うと共に回転灯ベースギア243を回転部ベース242と協働して軸支し、回転灯ユニットベース241に固定される回転部ホルダ247と、回転灯ベースギア243と同軸上で回転部ホルダ247の下面に固定され、下方の回転灯244へ向かって発光可能な高輝度カラーLED(図示は省略)を有した左回転灯基板248と、を備えている。
また、左回転灯ユニット240は、回転部ホルダ247を上方から覆う回転灯ユニットカバー249と、回転灯244の回転位置を検出する左回転位置検出センサ250と、左回転位置検出センサ250が実装された左回転位置検出基板251と、を更に備えている。
この左回転灯ユニット240の回転灯ユニットベース241は、その上面に開口241aの内周に略沿って形成された取付段部241bと、開口241aよりも後側の位置で下方へ向かって垂下しリフレクタベース211の後側に取付けられる取付部241cと、開口241aの後側に配置され左回転灯モータ245を固定するモータ固定部241dとを備えており、この取付段部241b内に上方から回転部ベース242が嵌合するようになっている。また、回転部ベース242には、回転灯ユニットベース241の開口241aと同軸上で小径の軸支口242aと、回転灯ベースギア243の外周よりも外側となる上面の所定位置に左回転位置検出基板251の下端を支持する基板支持部242bと、基板支持部242bよりも後方に配置され左回転灯基板248及び左回転位置検出基板251に接続される配線を係止する配線係止部242cとを備えている。
また、回転灯ベースギア243は、外径が回転部ベース242の軸支口242aよりも大径の円環状の平歯車とされ、下面から下方へ向かって延び回転部ベース242の軸支口242a内に挿通可能な円筒状のギア軸筒(図示は省略)と、ギア軸筒よりも小径で上下方向に貫通する軸支穴243aと、下面の外周から半径方向外方へ突出した回転位置検出片243bとを備えている。この回転灯ベースギア243の軸筒の外径は、回転部ベース242の軸支口242aの内径よりも若干小径とされており、軸支口242a内へ挿入されることで、回転灯ベースギア243が軸支口242aと略同軸上に回転することができるようになっている。また、左回転灯ユニット240では、回転灯ベースギア243の回転位置検出片243bを、左回転位置検出センサ250で検出することで、回転灯244の回転位置を検出することができるようになっている。
更に、回転部ホルダ247は、図示は省略するが、回転部ベース242の軸支口242aと同軸上となる位置に下方へ突出し回転灯ベースギア243の軸支穴243a内へ挿通可能な円筒状のホルダ軸筒が形成されている。このホルダ軸筒の外径は、回転灯ベースギア243の軸支穴243aよりも若干小径とされており、ホルダ軸筒を回転灯ベースギア243の軸支穴243aへ挿入することで、回転灯ベースギア243をホルダ軸筒と略同軸上に回転させることができるようになっている。つまり、本例の左回転灯ユニット240では、回転部ベース242の軸支口242a、回転灯ベースギア243のギア軸筒及び軸支穴243a、回転部ホルダ247のホルダ軸筒によって、回転灯ベースギア243が回転可能に軸支されている。なお、回転部ホルダ247のホルダ軸筒の下端に、左回転灯基板248が固定されるようになっている。また、回転部ホルダ247には、図示は省略するが、その下面の回転部ベース242の基板支持部242bと対応する位置に、左回転位置検出基板251の上端を支持する基板支持部が形成されており、左回転位置検出基板251が回転部ベース242と回転部ホルダ247とで狭持固定されるようになっている。
また、左回転灯ユニット240の回転灯244は、図示するように、回転灯ベースギア243の下側に配置される透明な円盤状の回転灯レンズ252と、回転灯レンズ252の下側に配置され回転灯ベースギア243の下面に固定されるリフレクタ253と、リフレクタ253を覆うリフレクタカバー254とで構成されている。この回転灯244のリフレクタ253は、表面に金属光沢を有したメッキ処理が施されており、円盤状のベース部253aと、ベース部253aの中央に穿設された開口部253bと、ベース部253aの下面から下方へ垂下する湾曲状の反射部253cと、ベース部253aの上面から上方へ延びだし上端が回転灯ベースギア243と当接可能な複数の取付ボス253dと、を備えている。
この回転灯244は、リフレクタ253の開口部253bから回転灯レンズ252の下面が臨むようになっていると共に、回転灯レンズ252にはリフレクタ253の取付ボス253dを挿通可能な挿通孔252aが形成されており、挿通孔252aに取付ボス253dを挿通させた上で、取付ボス253dを回転灯ベースギア243へ固定することで、回転灯レンズ252が回転灯ベースギア243とリフレクタ253との間に狭持固定されるようになっている。また、回転灯244のリフレクタカバー254は、平面視で略正八角形状とされ、上方が開放された箱状となっていると共に、リフレクタ253における反射部253cの内面側と対向する側面に開口部254aが形成されている。
続いて、右回転灯ユニット260は、図38に示すように、上下方向に貫通する円形状の開口261aを有し、その開口261aがリフレクタベース221の左側の回転灯取付口221hから前側へ突出した位置となるようにリフレクタベース221の後側に固定される回転灯ユニットベース261と、回転灯ユニットベース261の開口261aと同軸上に配置され回転灯ユニットベース261の上面に固定される略円環状の回転部ベース262と、回転部ベース262と同軸上に配置され回転部ベース262の上面に摺動回転可能に載置される回転灯ベースギア263と、回転灯ベースギア263から垂下するようにその下面に固定される回転灯264と、回転灯ベースギア263の軸線と略平行でリフレクタベース221の回転灯取付口221hよりも後側の軸線上に配置され回転軸265aが回転灯ユニットベース261の上面から上方へ突出するように回転灯ユニットベース261の下面に固定される右回転灯モータ265と、右回転灯モータ265の回転軸265aに固定され回転灯ベースギア263と噛合する伝達ギア266と、回転灯ベースギア263の全体及び伝達ギア266の一部を上方から覆うと共に回転灯ベースギア263を回転部ベース262と協働して軸支し、回転灯ユニットベース261に固定される回転部ホルダ267と、回転灯ベースギア263と同軸上で回転部ホルダ267の下面に固定され、下方の回転灯264へ向かって発光可能な高輝度カラーLED(図示は省略)を有した右回転灯基板268と、を備えている。
また、右回転灯ユニット260は、回転部ホルダ267を上方から覆う回転灯ユニットカバー269と、回転灯264の回転位置を検出する右回転位置検出センサ270と、右回転位置検出センサ270が実装された右回転位置検出基板271と、を更に備えている。
この右回転灯ユニット260の回転灯ユニットベース261は、その上面に開口261aの内周に略沿って形成された取付段部261bと、開口261aよりも後側の位置で下方へ向かって垂下しリフレクタベース211の後側に取付けられる取付部261cと、開口261aの後側に配置され右回転灯モータ265を固定するモータ固定部261dとを備えており、この取付段部261b内に上方から回転部ベース262が嵌合するようになっている。また、回転部ベース262には、回転灯ユニットベース261の開口261aと同軸上で小径の軸支口262aと、回転灯ベースギア263の外周よりも外側となる上面の所定位置に右回転位置検出基板271の下端を支持する基板支持部262bと、基板支持部262bよりも後方に配置され右回転灯基板268及び右回転位置検出基板271に接続される配線を係止する配線係止部262cとを備えている。
また、回転灯ベースギア263は、外径が回転部ベース262の軸支口262aよりも大径の円環状の平歯車とされ、下面から下方へ向かって延び回転部ベース262の軸支口262a内に挿通可能な円筒状のギア軸筒(図示は省略)と、ギア軸筒よりも小径で上下方向に貫通する軸支穴263aと、下面の外周から半径方向外方へ突出した回転位置検出片263bとを備えている。この回転灯ベースギア263の軸筒の外径は、回転部ベース262の軸支口262aの内径よりも若干小径とされており、軸支口262a内へ挿入されることで、回転灯ベースギア263が軸支口262aと略同軸上に回転することができるようになっている。また、右回転灯ユニット260では、回転灯ベースギア263の回転位置検出片263bを、右回転位置検出センサ270で検出することで、回転灯264の回転位置を検出することができるようになっている。
更に、回転部ホルダ267は、図示は省略するが、回転部ベース262の軸支口262aと同軸上となる位置に下方へ突出し回転灯ベースギア263の軸支穴263a内へ挿通可能な円筒状のホルダ軸筒が形成されている。このホルダ軸筒の外径は、回転灯ベースギア263の軸支穴263aよりも若干小径とされており、ホルダ軸筒を回転灯ベースギア263の軸支穴263aへ挿入することで、回転灯ベースギア263をホルダ軸筒と略同軸上に回転させることができるようになっている。つまり、本例の右回転灯ユニット260では、回転部ベース262の軸支口262a、回転灯ベースギア263のギア軸筒及び軸支穴263a、回転部ホルダ267のホルダ軸筒によって、回転灯ベースギア263が回転可能に軸支されている。なお、回転部ホルダ267のホルダ軸筒の下端に、右回転灯基板268が固定されるようになっている。また、回転部ホルダ267には、図示は省略するが、その下面の回転部ベース262の基板支持部262bと対応する位置に、右回転位置検出基板271の上端を支持する基板支持部が形成されており、右回転位置検出基板271が回転部ベース262と回転部ホルダ267とで狭持固定されるようになっている。
また、右回転灯ユニット260の回転灯264は、図示するように、左回転灯ユニット240の回転灯244よりも全体的に大きく、回転灯ベースギア263の下側に配置される透明な円盤状の回転灯レンズ272と、回転灯レンズ272の下側に配置され回転灯ベースギア263の下面に固定されるリフレクタ273と、リフレクタ273を覆うリフレクタカバー274とで構成されている。この回転灯264のリフレクタ273は、表面に金属光沢を有したメッキ処理が施されており、円盤状のベース部273aと、ベース部273aの中央に穿設された開口部273bと、ベース部273aの下面から下方へ垂下する湾曲状の反射部273cと、ベース部273aの上面から上方へ延びだし上端が回転灯ベースギア263と当接可能な複数の取付ボス273dと、を備えている。
この回転灯264は、リフレクタ273の開口部273bから回転灯レンズ272の下面が臨むようになっていると共に、回転灯レンズ272にはリフレクタ273の取付ボス273dを挿通可能な挿通孔272aが形成されており、挿通孔272aに取付ボス273dを挿通させた上で、取付ボス273dを回転灯ベースギア263へ固定することで、回転灯レンズ272が回転灯ベースギア263とリフレクタ273との間に狭持固定されるようになっている。また、回転灯264のリフレクタカバー274は、平面視で略正八角形状とされ、上方が開放された箱状となっていると共に、リフレクタ273における反射部273cの内面側と対向する側面に開口部274aが形成されている。
次に、中央回転灯ユニット280は、図39に示すように、上下方向に貫通する円形状の開口281aを有し、その開口281aがリフレクタベース221の左右方向中央の回転灯取付口221hから前側へ突出した位置となるようにリフレクタベース221の後側に固定される回転灯ユニットベース281と、回転灯ユニットベース281の開口281aと同軸上に配置され回転灯ユニットベース281の上面に固定される略円環状の回転部ベース282と、回転部ベース282と同軸上に配置され回転部ベース282の上面に摺動回転可能に載置される回転灯ベースギア283と、回転灯ベースギア283から垂下するようにその下面に固定される回転灯284と、回転灯ベースギア283の軸線と略平行でリフレクタベース221の回転灯取付口221hよりも後側の軸線上に配置され回転軸285aが回転灯ユニットベース281の上面から上方へ突出するように回転灯ユニットベース281の下面に固定される中央回転灯モータ285と、中央回転灯モータ285の回転軸285aに固定され回転灯ベースギア283と噛合する伝達ギア286と、回転灯ベースギア283の全体及び伝達ギア286の一部を上方から覆うと共に回転灯ベースギア283を回転部ベース282と協働して軸支し、回転灯ユニットベース281に固定される回転部ホルダ287と、回転灯ベースギア283と同軸上で回転部ホルダ287の下面に固定され、下方の回転灯284へ向かって発光可能な高輝度カラーLED(図示は省略)を有した中央回転灯基板288と、を備えている。
また、中央回転灯ユニット280は、回転部ホルダ287を上方から覆う回転灯ユニットカバー289と、回転灯284の回転位置を検出する中央回転位置検出センサ290と、中央回転位置検出センサ290が実装された中央回転位置検出基板291と、を更に備えている。
この中央回転灯ユニット280の回転灯ユニットベース281は、その上面に開口281aの内周に略沿って形成された取付段部281bと、開口281aよりも後側の位置で下方へ向かって垂下しリフレクタベース211の後側に取付けられる取付部281cと、開口281aの後側に配置され中央回転灯モータ285を固定するモータ固定部281dとを備えており、この取付段部281b内に上方から回転部ベース282が嵌合するようになっている。また、回転部ベース282には、回転灯ユニットベース281の開口281aと同軸上で小径の軸支口282aと、回転灯ベースギア283の外周よりも外側となる上面の所定位置に中央回転位置検出基板291の下端を支持する基板支持部282bと、基板支持部282bよりも後方に配置され中央回転灯基板288及び中央回転位置検出基板291に接続される配線を係止する配線係止部282cとを備えている。
また、回転灯ベースギア283は、外径が回転部ベース282の軸支口282aよりも大径の円環状の平歯車とされ、下面から下方へ向かって延び回転部ベース282の軸支口282a内に挿通可能な円筒状のギア軸筒(図示は省略)と、ギア軸筒よりも小径で上下方向に貫通する軸支穴283aと、下面の外周から半径方向外方へ突出した回転位置検出片283bとを備えている。この回転灯ベースギア283の軸筒の外径は、回転部ベース282の軸支口282aの内径よりも若干小径とされており、軸支口282a内へ挿入されることで、回転灯ベースギア283が軸支口282aと略同軸上に回転することができるようになっている。また、中央回転灯ユニット280では、回転灯ベースギア283の回転位置検出片283bを、中央回転位置検出センサ290で検出することで、回転灯284の回転位置を検出することができるようになっている。
更に、回転部ホルダ287は、図示は省略するが、回転部ベース282の軸支口282aと同軸上となる位置に下方へ突出し回転灯ベースギア283の軸支穴283a内へ挿通可能な円筒状のホルダ軸筒が形成されている。このホルダ軸筒の外径は、回転灯ベースギア283の軸支穴283aよりも若干小径とされており、ホルダ軸筒を回転灯ベースギア283の軸支穴283aへ挿入することで、回転灯ベースギア283をホルダ軸筒と略同軸上に回転させることができるようになっている。つまり、本例の中央回転灯ユニット280では、回転部ベース282の軸支口282a、回転灯ベースギア283のギア軸筒及び軸支穴283a、回転部ホルダ287のホルダ軸筒によって、回転灯ベースギア283が回転可能に軸支されている。なお、回転部ホルダ287のホルダ軸筒の下端に、中央回転灯基板288が固定されるようになっている。また、回転部ホルダ287には、図示は省略するが、その下面の回転部ベース282の基板支持部282bと対応する位置に、中央回転位置検出基板291の上端を支持する基板支持部が形成されており、中央回転位置検出基板291が回転部ベース282と回転部ホルダ287とで狭持固定されるようになっている。
また、中央回転体ユニット280の回転灯294は、図示するように、その大きさが左回転灯ユニット240の回転灯244と、右回転灯ユニット260の回転灯264との中間の大きさとされ、回転灯ベースギア283の下側に配置される透明な円盤状の回転灯レンズ292と、回転灯レンズ292の下側に配置され回転灯ベースギア283の下面に固定されるリフレクタ293と、リフレクタ293を覆うリフレクタカバー294とで構成されている。この回転灯284のリフレクタ293は、表面に金属光沢を有したメッキ処理が施されており、円盤状のベース部293aと、ベース部293aの中央に穿設された開口部293bと、ベース部293aの下面から下方へ垂下する湾曲状の反射部293cと、ベース部293aの上面から上方へ延びだし上端が回転灯ベースギア283と当接可能な複数の取付ボス293dと、を備えている。
この回転灯284は、リフレクタ293の開口部293bから回転灯レンズ292の下面が臨むようになっていると共に、回転灯レンズ292にはリフレクタ293の取付ボス293dを挿通可能な挿通孔292aが形成されており、挿通孔292aに取付ボス293dを挿通させた上で、取付ボス293dを回転灯ベースギア283へ固定することで、回転灯レンズ292が回転灯ベースギア283とリフレクタ293との間に狭持固定されるようになっている。また、回転灯284のリフレクタカバー294は、平面視で略正八角形状とされ、上方が開放された箱状となっていると共に、リフレクタ293における反射部293cの内面側と対向する側面に開口部294aが形成されている。
ところで、本実施形態の中央回転灯ユニット280は、図示するように、回転部ホルダ287と回転灯ユニットカバー289との間に、回転灯ユニットカバー289の前側の三つの側面に形成された複数の切欠き部289a内へ後側から挿入される複数の突出部295aを有したカバーレンズ295と、カバーレンズ295の後側に配置され表面に複数のカラーLED296aが実装されたカバー装飾基板296とを更に備えている。これらカバーレンズ295及びカバー装飾基板296は、回転部ホルダ287の前端に形成された溝状のレンズ支持部287a及び基板支持部287bに夫々下端が支持されると共に、回転灯ユニットカバー289に形成された図示しない溝状のレンズ支持部及び基板支持部に夫々上端が支持されることで取付けられるようになっている。本例では、カバー装飾基板296のLEDを発光させることで、中央回転灯ユニット280の回転灯ユニットカバー289の前端を発光装飾させることができるようになっている。
[1−2C.皿ユニット]
次に、扉枠5における皿ユニット300について、主に図40乃至図63を参照して説明する。図40は皿ユニットの正面斜視図であり、図41は皿ユニットの背面斜視図であり、図42は皿ユニットの平面図である。図43は、図42におけるA−A断面図である。図44は皿ユニットの皿奥板を取外した状態で示す背面図であり、図45は皿ユニットの皿奥板及び貸球ユニットを取外した状態で後から示す斜視図である。また、図46は皿ユニットを主な構成部品毎に分解して前から示す分解斜視図であり、図47は図46を後ろから示す分解斜視図である。また、図48は皿ユニットにおける皿ユニット本体を分解して前から示す分解斜視図であり、図49は図48を後ろから示す分解斜視図である。更に、図50は皿ユニットにおける第一球抜き機構を示す背面図であり、図51は皿ユニットにおける第二球抜き機構を後から示す斜視図である。また、図52は皿ユニットにおける操作ボタンユニットを分解して示す分解斜視図であり、図53は皿ユニットにおける操作ボタンユニットの操作ボタンユニット基板を取外した状態の底面図であり、図54は皿ユニットにおける操作ボタンユニットのメインボタンを下から示す底面斜視図であり、図55は皿ユニットにおける操作ボタンユニットのメインボタンを分解して示す分解斜視図である。
また、図56は扉枠に取付けられたハンドル装置の断面図であり、図57はハンドル装置を構成する操作ハンドル部とジョイントユニットとの関係を示す斜視図であり、図58はハンドル装置における操作ハンドル部の分解斜視図である。更に、図59は操作ハンドル部とジョイントユニットの動作を説明するための動作図であり、図60はハンドル装置と本体枠に設けられる打球発射装置との関係を示す斜視図であり、図61はハンドル装置と打球発射装置とを連結する状態を説明するための断面図である。更に、図62(A)は皿ユニット内での遊技球の流れを示す説明図であり、(B)は皿ユニット内での第二球抜き口と遊技球の流れとの関係を示す説明図である。また、図63は、皿ユニットにおける横長の球流入口と貯留皿との関係を示す説明図である。
本実施形態の扉枠5における皿ユニット300は、後述する賞球ユニット800から払出され遊技球を貯留することができると共に、貯留した遊技球を球送りユニット170を介して後述する打球発射装置650へ供給することができるものである。この皿ユニット300は、図46及び図47にも示すように、上方及び後方が開放され所定量の遊技球を貯留可能な貯留皿311を有した皿体310と、皿体310の前面を覆う皿ユニット本体320と、皿ユニット本体320及び皿体310の後面を覆う板状の皿奥板340と、皿体310の貯留皿311に貯留された遊技球を全て排出可能な第一球抜き機構350と、皿体310の貯留皿に貯留された遊技球の一部残して排出可能な第二球抜き機構360と、パチンコ機1に隣接して設置された図示しない球貸し機(CRユニットとも称す)を作動させる貸球ユニット301と、皿体310の上面に固定され遊技状態(遊技状況)によって遊技者が操作可能な操作ボタンユニット370と、皿体310の下側で皿ユニット本体320と皿奥板340との間に配置され扉枠ベースユニット100におけるサイドスピーカ電飾ユニット120のサイドスピーカ121よりも大型の下部スピーカ391を有した下部スピーカユニット390と、皿ユニット本体320の正面視右下隅に配置されるハンドルベース303と、ハンドルベース303に支持され遊技球の打込操作をするためのハンドル装置400とを主に備えている。なお、符号302は、後述する皿ユニット本体320における皿電飾基板336と接続される電気配線を覆う配線カバーである。また、図示するように、皿奥板340の正面視で左側には、皿ユニット本体320の左端を発光装飾させる左下装飾基板190が配置されている。
この皿ユニット300における貸球ユニット301は、図示するように、左右方向の略中央で皿奥板340の上辺に固定されており、貸球ボタン301aと、貸球ボタン301aの横に配置された返却ボタン301bと、貸球ボタン301aと返却ボタン301bとの間に配置され球貸し機に現金やプリペイドカードの残数を表示する貸出残表示器(図示せず)と、を備えている。この貸球ユニット301は、パチンコ機1に隣接して設けられた球貸し機に対して現金やプリペイドカードを投入した上で、貸球ボタン301aを押すと、所定数の遊技球を皿ユニット300の貯留皿311内へ貸出す(払出す)ことができると共に、返却ボタン301bを押すと貸出された分の残りを引いた上で投入した現金の残金やプリペイドカードが返却されるようになっている。
また、皿ユニット300における操作ボタンユニット370のメインボタン371及び二つのサブボタン372は、遊技盤4に設けられる液晶表示装置1400等で行われる遊技内容(遊技演出)に遊技者が参加する際に操作するものである。
[1−2C−1.皿体]
まず、皿ユニット300における皿体310は、図示するように、平面視で左端から全体の略2/3を占め上方及び後方に開放された所定深さの貯留皿311と、貯留皿311内の底部の所定位置に配置され上下方向に貫通する第二球抜き口312と、貯留皿312の右端から貯留皿311と連続し第三傾斜面311cの下流側に配置されると共に遊技球が流通可能とされ遊技球を第二球抜き口312の略直下まで誘導可能な第一球抜き経路313(図44及び図47を参照)と、貯留皿311の右側で略菱形状に上方へ開放し操作ボタンユニット370を装着可能な操作ボタンユニット装着凹部314と、操作ボタンユニット装着凹部314の後側で略円形状に開口し第一球抜き機構350の第一球抜きボタン351が装着される第一球抜きボタン装着口315と、第一球抜きボタン装着口315の略直下に配置され第一球抜き機構350を支持する第一球抜き機構支持部316と、を主に備えている。
この皿体310における貯留皿311は、皿奥板340の球流入口341の前面に配置され平面視で右側及び前側へ向かって低くなる第一傾斜面311aと、第一傾斜面311aの右側端部の後部と連続し右側及び後側へ向かって低くなる第二傾斜面311bと、第二傾斜面311bの右側端部と連続し奥皿板340の球供給口342へ向かって低くなる第三傾斜面311cと、第一傾斜面311aの右側端部の前部及び第二傾斜面311bの前側端部と連続し右側及び第二傾斜面311bへ向かって低くなる第四傾斜面311dと、第四傾斜面311dの右側端部と連続し第四傾斜面311dへ向かって低くなる第五傾斜面311eと、を備えている(図42及び図43等を参照)。
また、貯留皿311には、第五傾斜面311eの後側端部から上方へ立上り遊技球が越境不能とされた仕切壁311fと、仕切壁311fと第三傾斜面311cとの間に配置され第三傾斜面311cへ向かって低くなる第六傾斜面311gとを更に備えている。なお、第二球抜き口312は、第一傾斜面311aと第二傾斜面311bとの間に配置されている。また、第二球抜き口312は、通常は第二球抜き機構360の第二球抜きシャッター364により閉鎖された状態となっている。
本実施形態の貯留皿311では、図示するように平面視で、第一傾斜面311aは、貯留皿311の大きさの略半分を占める大きさの四角形状(台形状)とされていると共に、第二傾斜面311bは、左右方向の長さが貯留皿311の長さの約1/4で前後方向の奥行きが第三傾斜面311cへ向かって狭くなるような変五角形状とされ、更に、第三傾斜面311cは、前後方向の奥行きが遊技球の外径よりも若干大きい横長の区形状とされている。また、第四傾斜面311dは、左右方向の長さが第二傾斜面311bと略同じ長さで第二傾斜面311bへ向かうに従って長さが短くなる四角形状(台形状)とされている。更に、第五傾斜面311eは、その後側端部が左端部から右方向へ第三傾斜面311cと略平行に所定距離延びた上で後方の第三傾斜面311cへ向かって斜めに延びた後に仕切壁311fを挟んで第三傾斜面311cに沿って延びると共に、前側端部(右側端部)が後側端部の右端部へ向かって右方向へ向かうに従って後方へ向かうように延び、全体として逆へ字状に形成されており、仕切壁311fが第五傾斜面311eの後側端部に沿って形成されている。
また、この貯留皿311は、図示するように、第一傾斜面311aの左側端部と前側端部、第四傾斜面311dの前側端部、及び第五傾斜面の前側端部(右側端部)から上方へ立上る外周壁311hを備えており、この外周壁311hにより貯留皿311が皿体310の上面から下方へ所定量凹んだ形態となっている。また、貯留皿311の外周壁311hは、第一傾斜面311a、第四傾斜面311d、及び第五傾斜面311eの前側端部では右方向へ向かうに従って前方へ向かうような緩い円弧状に形成されており、球流入口341から第一傾斜面311a上へ流入した遊技球が、外周壁311hにおける球流入口341と対向する位置と当接すると、第五傾斜面311eの方向へ反射して第五傾斜面311d上へ流通するようになっている。また、第五傾斜面311eは、球流入口341から貯留皿311内へ流入してきた遊技球が登坂可能な緩斜面とされており、第五傾斜面311eの右端部まで登坂した後に、その向きを変えて第四傾斜面311dの方向(左方向)へ流下するようになっている。つまり、本例の貯留皿311は、球流入口341から流入した遊技球を、一旦第五傾斜面311eへ迂回させてから球供給口342への供給路となる第三傾斜面311cへ流入させるようになっている。
また、貯留皿311における第六傾斜面311gは、他の傾斜面311a〜311eと比較して傾斜角度が急になっており、その下流側となる第三傾斜面311c上で複数の遊技球を球供給口342へ向かって左右方向へ一列に整列させ易くすることができるようになっている。なお、第三傾斜面311cには、ステンレス製のレール体304が装着されるようになっており、流通する遊技球による耐摩耗性を向上させるようにしていると共に、遊技球に帯電した静電気を除去することができるようになっている。
更に、貯留皿311の第三傾斜面311cは、図44及び図47に示すように、その右側端部が、斜め右下へ潜り込んだ上で下方へ垂下し後側が開放された溝状に形成されていると共に第一球抜き経路313と連続するように形成されており、第一球抜き経路313と連続することで左右方向に対して折り返すような流路が形成されている。この第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分は、第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356により流路が閉鎖されるようになっており、この第一球抜きスライド356に望むように皿奥板340の球供給口342が開口している。これにより、第三傾斜面311cを流下してきた遊技球が、第一球抜きスライド356により流下を遮られることで、球供給口342側へと流通するようになっている。
なお、皿体310における第一球抜き機構支持部316には、第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の横(正面視で右側、図44では左側)に第一球抜きスライド356が左右方向へスライド可能に挿入配置されるスライド溝316a、スライド溝316aを挟んで第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の反対側には後述する第一球抜きバネ357の下端部を係止する鉤部316bとが形成されている。
[1−2C−2.皿ユニット本体]
次に、皿ユニット300における皿ユニット本体320は、図48及び図49に示すように、皿ユニット300の前面を構成し皿体310と下部スピーカユニット390の前面を被覆し上方及び後方が開放された箱状の本体部321を備えている。この本体部321は、正面視で左側の約3/4が前方へ膨出したような形態となっており、この膨出した部分の内側(後側)に下部スピーカユニット390が収容されるようになっている。また、本体部321には、その膨出した部分の前面の中央右寄りで下部スピーカユニット390の下部スピーカ391と対応する位置に貫通するように形成されたスピーカ用開口321aと、スピーカ用開口321aの左側に形成されたダミー開口321bと、ダミー開口321bの左側に形成された第二球抜きボタン用開口321cとが夫々貫通するように形成されている。更に、本体部321には、右下隅部にハンドルベース303を取付けるための楕円形状のハンドルベース取付口321dと、ハンドルベース取付口321dの上側に配置され後述するシリンダ錠1010が臨む錠用開口321eと、ハンドルベース取付口dの左側で前側へ膨出した部分の右側面に開口する区形状のダクト用開口321fと、左右方向の略中央下部に開口する区形状の球排出口321gと、を備えている。
また、皿ユニット300における皿ユニット本体320には、本体部321のスピーカ用開口321aとダミー開口321bとを前側から覆う前面裏板322と、前面裏板322のスピーカ用開口322aを通して本体部321のスピーカ用開口321aと対応する前面に配置されパンチングメタルからなり四隅が切り落とされた板状の右カバー323と、右カバー323の前面の略中央に配置され右カバー323よりも小型で表面に金属光沢のメッキ処理が施された板状の右飾りベース324と、右飾りベース324の前面の略中央に配置され右飾りベース324よりも小型で板状の右飾り325と、前面裏板322における本体部321のダミー開口321bと対応する前面に配置されパンチングメタルからなり四隅が切落とされた板状の左カバー326と、左カバー326の前面の略中央に配置され左カバー326よりも小型で表面に金属光沢のメッキ処理が施された板状の左飾りベース327と、左飾りベース327の前面の略中央に配置され左飾りベース327よりも小型で板状の左飾り328と、本体部321のスピーカ用開口321a、ダミー開口321b、及び第二球抜きボタン用開口321cの周縁を装飾する枠状の前面本体329と、を主に備えている。この皿ユニット本体320における前面裏板322には、本体部321のスピーカ用開口321aへ望むように貫通する複数の透孔322aが形成されており、これら透孔322a及び右飾りベース323のパンチング孔(図示は省略)を介して下部スピーカ391からの音を外部へ良好に伝達させることができるようになっている。
また、本例の皿ユニット本体320は、左下装飾基板190の前側で本体部321の左端に固定される本体左飾りベース330と、本体左飾りベース330の前面に固定され表面に金属光沢のメッキ処理が施された本体左飾り331と、を更に備えている。この本体左飾りベース330は、透光性を有しており、本体左飾りベース330の後側に配置される左下装飾基板190のLED190aによって発光装飾させることができるようになっている。
更に、皿ユニット本体320は、本体部321のダクト用開口321fを覆うパンチングメタルからなる板状のダクト用カバーと、ダクト用カバーが表面から臨むようなダクト用切欠き部333aが形成され、本体部321における前側へ膨出した部分の右側面全体を覆うと共に表面に金属光沢のメッキ処理を施した本体右飾り333と、を更に備えている。
また、皿ユニット本体320は、本体部321の上縁に沿って配置され上下方向に貫通する横長のスリット334aを複数有し、表面に金属光沢のメッキ処理が施された本体上飾り334と、本体上飾り334の下側で本体部321内に配置され、本体上飾り334のスリット334a内へ挿入される導光部335aを有した上飾りレンズ335と、上飾りレンズ335の下側に配置され上面に複数のカラーLED336aが実装された皿電飾基板336と、を備えている。この皿電飾基板336のLED336aを適宜発光させることで、上飾りレンズ335を介して本体上飾り334、つまり、皿ユニット本体320の上縁を発光装飾させることができるようになっている。
[1−2C−3.皿奥板]
続いて、皿ユニット300における皿奥板340は、図46及び図47等に示すように、全体が横長の板状に形成され、正面視で左上隅部に配置され横長の区形状で前後方向に貫通する球流入口341と、球流入口341よりも右下方向へ所定距離はなれて配置され遊技球が通過可能な区形状で貫通する球供給口342と、球流入口341と連通し後方へ延出する角筒状の賞球連絡樋343と、を主に備えている。この皿奥板340の球流入口341は、図43等に示すように、皿体310の貯留皿311内へ向かって開口すると共に、左右方向の長さが貯留皿311の第一傾斜面311aの長さと略同じ長さとされている。また、球供給口342は、貯留皿311における第三傾斜面331cの右端で第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356と対応した位置に配置されている。また、賞球連絡樋343は、球流入口341に対して正面視で左端に偏った位置に配置されていると共に、左右方向の長さが球流入口341の長さに対して約半分の長さとされ、後端が扉枠ベース本体110の賞球通過口111を貫通して後述する満タンユニット900における前方誘導通路920の流下端(前端)の出口921と連通するようになっている。
また、皿奥板340は、賞球連絡樋343の前端が球流入口341に対して後方へ所定量控えた位置に配置されており、球流入口341と賞球連絡樋343との間に、球流入口341の左右方向全長に亘って延び遊技球が流通可能な棚部344を更に有している。この棚部344により賞球連絡樋343を流通してきた遊技球を、貯留皿311の第二球抜き口312よりも下流側へ流入させることができるようになっている。
更に、奥皿板340は、後述する下部スピーカユニット390の球抜き経路393と対応し略L字状に貫通した球抜き経路用開口345と、球抜き経路用開口345の正面視左上で球流入口341(皿体310における第二球抜き口312)の下側に配置され、後述する第二球抜き機構360のラッチユニット366の後端が挿通される区形状に貫通したラッチ用開口346と、正面視で右上隅部に配置され略区形状に貫通する配線挿通口347と、球流入口341と配線挿通口346との間で奥皿板340の上辺に配置され貸球ユニット301を取付けるための貸球ユニット取付部348と、を備えている。
[1−2C−4.第一球抜き機構]
次に、皿ユニット300における第一球抜き機構350は、図44、図45及び図50等に示すように、遊技者が押圧操作する第一球抜きボタン351と、第一球抜きボタン351を上下方向へスライド可能に支持すると共に皿体310の第一球抜きボタン装着口315に対して下側から挿入される第一球抜きボタンベース352と、第一球抜きボタンベース352の上部に皿体310を挟んで第一球抜きボタン351が上方へ突出するように固定される第一球抜きボタン装飾体353と、第一球抜きボタン装飾体353と第一球抜きボタンベース352とで支持された第一球抜きボタン351の下端の正面視で右側(図50では左側)となる皿体311の第一球抜き機構支持部316の位置に支持される回動軸354と、回動軸354に回動可能に軸支され一端側が第一球抜きボタン351の下端部と当接すると共に他端側が下方へ延出した逆L字状の第一球抜きクランク355と、第一球抜きクランク355の他端側の下端と当接可能とされると共に皿体311の第一球抜き機構支持部316に略左右方向へスライド可能に支持され、皿体310の第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分を閉鎖可能な第一球抜きスライド356と、第一球抜きクランク355が所定方向へ回動するように付勢する第一球抜きバネ357と、を備えている。
この第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356は、皿体310における第一球抜き機構支持部316のスライド溝316a内に挿入配置されることで左右方向へスライドすることができるようになっていると共に、その状態で、第一球抜きクランク355が回動することで第一球抜きクランク355の他端側の下端によって左右方向へスライドさせられるようになっている。この第一球抜きスライド356は、左右方向へスライドすることで先端部が皿体310の第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の流路内に対して進退することができるようになっており、境界部分へ前進して流路を閉鎖すると第三傾斜面311cを流通してきた遊技球を球供給口342へ供給することができ、境界部分から後退して流路を開放すると第三傾斜面311cを流通してきた遊技球を第一球抜き経路313側へ供給(排出)することができるようになっている。
また、第一球抜きクランク355には、回動軸354を挟んで第一球抜きボタン351の下端部と当接する一端側とは反対側に第一球抜きバネ357の上端部を係止する鉤部355aが形成されている。この第一球抜きバネ357は、その上端部を第一球抜きクランク355の鉤部355aに係止すると共に、下端部を皿体310における第一球抜き機構支持部316の鉤部316bに係止することで、第一球抜きクランク355を、第一球抜きスライド356が第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分を閉鎖する位置、及び第一球抜きボタン351が最も上昇した位置となる方向へ回動するように付勢することができるようになっている。
この第一球抜き機構350は、遊技者によって第一球抜きボタン351が押圧されると、第一球抜きボタン351の下端部と当接する当接ピン355bを介して、第一球抜きクランク355が第一球抜きバネ357の付勢力に抗してその一端側が下方へ移動する方向へ回動すると共に、その他端側が第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分から遠ざかる方向へ移動する。そして、第一球抜きスライド356が第一球抜きクランク355の下端と共に第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分から遠ざかる方向へと移動し、第一球抜きスライド356の先端が境界部分の流路内から後退して第三傾斜面311cと第一球抜き経路313とが連通した状態となり、第三傾斜面311cつまり貯留皿311内の全ての遊技球を、第一球抜き経路313を介して外部へ排出することができるようになっている。
なお、第一球抜きボタン351の押圧を解除すると、第一球抜きバネ357の付勢力により第一球抜きクランク355が回動して、第一球抜きボタン351が上昇すると共に、第一球抜きスライド356の先端が第三傾斜面311cと第一球抜き経路313との境界部分の流路内へ前進してその流路を閉鎖し、第三傾斜面311c上(貯留皿311内)の遊技球を、球供給口342を介して打球発射装置650へ供給することができるようになっている。
[1−2C−5.第二球抜き機構]
続いて、皿ユニット300における第二球抜き機構360は、図51等に示すように、皿ユニット本体320における本体部321の第二球抜きボタン用開口321cから前方へ向かって突出する第二球抜きボタン361と、第二球抜きボタン361が先端に嵌合固定され後述する下部スピーカユニット390によって前後方向へスライド可能に支持された第二球抜きスライド362と、第二球抜きスライド362の前後方向の移動を伝達し下部スピーカユニット390により左右方向へ延びる軸回りに回動可能に軸支された棒状の第二球抜きクランク363と、第二球抜きクランク363の回動により皿体310における第二球抜き口312を閉鎖する閉位置と第二球抜き口312を開放する開位置との間で上下方向へ延びる軸周りに回動可能とされた第二球抜きシャッター364と、第二球抜きシャッター364を第二球抜き口312が閉鎖される閉位置へ付勢する第二球抜きバネ365と、第二球抜きバネ365の付勢力に抗して第二球抜きシャッター364を開位置へ保持可能なラッチユニット366と、第二球抜きシャッター364の下面を摺動可能に支持すると共に第二球抜き口312と対応した開口部367aを有し、皿体310の下側に固定される第二球抜きベース367と、第二球抜きスライド362の後端を摺動可能に保持すると共にラッチユニット366を支持し、後述する下部スピーカユニット390のスピーカボックス392と協同して第二球抜きクランク363を回動可能に軸支する第二球抜き機構支持体368(図44及び図47を参照)と、を備えている。
この第二球抜き機構360の第二球抜きスライド362には、その後端部に上方へ開放され第二球抜きクランク363の下端部が挿入される伝達溝362aと、後端部から後方へ突出しラッチユニット366の係合爪366aと係合可能な係合突起362bとを備えている。また、第二球抜きクランク363は、略上下方向へ延びた棒状の部材とされ、その下端部が第二球抜きスライド362の伝達溝362a内へ上方から挿入されると共に、上下方向の略中間部分で下部スピーカユニット390のスピーカボックス392により回動可能に軸支されている。而して、第二球抜きスライド362が前後方向へスライドすると、その伝達溝362aのスライドに伴って第二球抜きクランク363の下端部が移動し、第二球抜きクランク363が回動すると共に、第二球抜きクランク363の上端部が下端部とは反対方向へ移動するようになっている。
また、第二球抜きシャッター364は、図示するように、第二球抜きスライド362よりも上方に配置され、皿体310の第二球抜き口312及び第二球抜きベース367の開口部367aを閉鎖可能な平面視略半円形状(D字状)で板状の閉鎖部364aと、閉鎖部364aから左右方向の一方(正面視で左方向、図51では右方向)へ延びる棒状の棹部364bとを備えており、全体として略P字状に形成されている。また、この第二球抜きシャッター364は、棹部364bの先端が皿体310と第二球抜きベース367とによって上下方向へ延びる軸周りに回動可能に軸支されていると共に、棹部364bの後側で左右方向の略中間部分に、第二球抜きクランク363の上端部が当接するようになっている。更に、第二球抜きシャッター364における棹部364bの後側基端部分に第二球抜きバネ365の前端部が係止されるようになっている。なお、図示は省略するが、第二球抜きバネ365の後端部は、皿体310の下面から下方へ垂下する係止ボスに係止されるようになっており、第二球抜きバネ365により、第二球抜きシャッター364の閉鎖部364aが第二球抜き口312を閉鎖する閉位置(図51に示す位置)となるように付勢されている。
また、第二球抜き機構360の第二球抜きベース367は、開口部367aと第二球抜きシャッター364を軸支する位置との間に、第二球抜きクランク363の上端部が通過可能な前後方向へ延びるスリット367bを備えており、このスリット367bを介して第二球抜きベース367の下側で軸支された第二球抜きクランク363の上端部が、第二球抜きベース367の上面に配置された第二球抜きシャッター364の棹部364bと当接することができるようになっている。なお、第二球抜きベース367は、図示するように、浅い皿状に形成されており、皿体310とで第二球抜きシャッター364を収容する収容空間を形成することができるようになっている。また、第二球抜きシャッター364を収容する収容空間の高さは、遊技球の外径よりも小さく低い高さとされており、第二球抜きシャッター364が回動して第二球抜き口312が開状態となっても、皿体310と第二球抜きベース367との間に遊技球が進入しないようになっている。
本実施形態の第二球抜き機構360は、遊技者が皿ユニット本体320の前面から前方へ突出する第二球抜きボタン361を押すと、第二球抜きスライド362が後方へスライドすると共に、第二球抜きスライド362の伝達溝362aに案内されて第二球抜きクランク363の下端部が後方へと移動するように第二球抜きクランク363が回動する。そして、第二球抜きクランク363が回動することでその上端部が下端部とは反対方向の前方へ移動することとなり、第二球抜きクランク363の上端部と当接する第二球抜きシャッター364が、第二球抜きバネ365の付勢力に抗して棹部364bの先端を中心として閉鎖部364aが前方へ移動するように回動する。このようにして閉鎖部364aが前方へ移動して皿体310の第二球抜き口312及び第二球抜きベース367の開口部367aが開放されると、貯留皿311における第二球抜き口312よりも上流側に貯留された遊技球が第二球抜き口312を通って皿ユニット300の下方外部へ排出されることとなる。
なお、本例の第二球抜き機構360には、ラッチユニット366を備えており、第二球抜きボタン361を押して第二球抜きスライド362の後端の係合突起362bがラッチユニット366における一対の係合爪366aの間に当接すると、一対の係合爪366aが係合突起362bを挟むように閉じて係合し、第二球抜きバネ365の付勢力に抗して第二球抜きボタン361が押された状態、つまり、第二球抜きシャッター364の閉鎖部364aにより第二球抜き口312が開いた(開放され)位置に保持することができるようになっている。この状態で、第二球抜きボタン361を押すと、ラッチユニット366の一対の係合爪366aが開いて、係合突起362bとの係合が解除され、第二球抜きバネ365の付勢力により第二球抜きシャッター364の閉鎖部364aが第二球抜き口312を閉鎖する位置へと復帰できるようになっている。
[1−2C−6.操作ボタンユニット]
次に、皿ユニット300における操作ボタンユニット370は、図52乃至図55等に示すように、皿ユニット300における皿体310の操作ボタン装着凹部314に対して上方から装着固定されるものであり、平面視で正方形の四隅を切落とした八角形状のメインボタン371と、メインボタン371の左右両側に夫々対称に配置され平面視でホームベース形状の左サブボタン372L及び右サブボタン372Rからなる一対のサブボタン372と、メインボタン371とサブボタン372を上下方向へ摺動可能に保持すると共に皿体310の操作ボタン装着凹部314内へ挿入される操作ボタンユニットベース373と、操作ボタンユニットベース373の上面を装飾する板状の操作ボタンユニット装飾部材374と、操作ボタンユニットベース373の下側に固定され操作ボタンユニット370を発光装飾させるカラーLED375aが上面に複数実装された操作ボタンユニット基板375と、を備えている。
また、操作ボタンユニット370には、メインボタン371の操作を検出するメインボタンセンサ376と、左サブボタン372Lの操作を検出する左サブボタンセンサ377Lと、右サブボタン372Rの操作を検出する右サブボタンセンサ377Rと、を更に備えている。これらメインボタンセンサ376、左サブボタンセンサ377L及び右サブボタンセンサ377Lは、夫々発光部と受光部とを備えたフォトセンサとされており、操作ボタンユニット基板375の所定位置に夫々固定されている。
この操作ボタンユニット370における操作ボタンユニットベース373には、図示するように、平面視で略菱形形状とされ、メインボタン371を上方から収容可能なメインボタン収容凹部373aと、メインボタン収容部373aの内周面に形成されメインボタン371を上下方向へ案内するために上方が開放された上下方向へ延びる複数の案内溝373bと、メインボタン収容凹部373aの底面に形成された略円形状の開口部373cと、メインボタン収容凹部373aの外周に沿って所定幅で開口し下側に配置された操作ボタンユニット基板375のLED375aからの光を上面側へ導く複数の導光用開口部373dと、サブボタン372を上方から収容可能な一対のサブボタン収容凹部373eと、長軸の対角線上隅部に形成されたネジ挿通孔373fと、操作ボタンユニットベース373の上面を形成する板状の天板部373gと、天板部373gの外周に沿って下面から下方へ外周を囲うように垂下する板状の側壁部373hと、を主に備えている。
この操作ボタンユニットベース373は、天板部373gと側壁部373hとにより、下面が開放された箱状に形成されており、この天板部373gの所定位置に、メインボタン収容凹部373a、複数(ここでは、八個)の導光用開口部373d、二つのサブボタン収容凹部373e、及び二つのネジ挿通孔373fが夫々開口している。また、操作ボタンユニットベース373は、メインボタン収容凹部373aは、案内溝373bが形成されていないところの厚さが肉厚に形成されており、内壁面と底面の強度・剛性が高められていると共に、メインボタン収容凹部373aの外周に形成された各導光用開口部373dが、夫々上下方向に長い筒状に形成されており、これら筒状の導光用開口部373dの外周壁によってもメインボタン収容凹部373aが補強されている(図53を参照)。
また、メインボタン371は、図54及び図55に示すように、メインボタン371の上面を形成し透光性を有したメインボタンレンズ371aと、メインボタンレンズ371aを支持し上下が開放された筒状のメインボタンベース371bと、メインボタンベース371bの下側に配置される振動体371cと、振動体371cを包み込むと共にメインボタンベース371bの下側に取付ビス371dを介して固定される振動体ホルダ371eと、を備えている。なお、図示は省略するが、メインボタン371には、上端がメインボタンベース371aの下側側面に当接すると共に、下端が操作ボタンユニットベース373におけるメインボタン収容凹部373aの底面と当接し、メインボタン371が上昇するように付勢するメインボタンバネを備えている。
このメインボタン371におけるメインボタンレンズ371aは、平面視が八角形状で下面が開放された箱状に形成され、表面側が滑らかな形状とされているのに対して、裏面側には複数の小レンズ部が形成されており、操作ボタンユニット基板375のLED375aからの光を広く拡散させて、メインボタン371の表面全体が略均一に発光装飾させることができるようになっている。
また、メインボタンベース371bは、図示するように、上端側の外形がメインボタンレンズ371と同様の八角形状とされているのに対して、上下方向の略中間部から下端側が下方へ窄まる円錐形状とされており、下端部が操作ユニットボタンベース373におけるメインボタン収容凹部373aの底面に形成された開口部373cから下方へ延出して操作ボタンユニット基板375の中央に配置されたLED375a群の直上に位置することができるようになっている。また、メインボタンベース371bには、対向する二辺から下方へ延出するメイン係止爪371fと、操作ボタンユニットベース373の案内溝373b内へ挿入される上下方向に延びた複数の案内凸条371gと、を備えている。このメインボタンベース371bのメイン係止爪371fが、操作ボタンユニットベース373におけるメインボタン収容凹部373a内の係止部(図示は省略する)に係止されることで、メインボタン371がメインボタンバネの付勢力によりメインボタン収容凹部373aから抜け出るのを防止することができるようになっている。
更に、メインボタンベース371bは、一方のメイン係止爪371fの内側に、振動体ホルダ371e及び取付ビス371dを介して振動体371cを取付けられるようになっていると共に、振動体371cを取付ける部位の内側に、メインボタンセンサ376によって検出される検出片371h(図54を参照)が形成されている。
本例のメインボタン371は、メインボタンバネの付勢力に抗してメインボタン371を下方へ押すと、メインボタンベース371bの検出片371hがメインボタンセンサ376の発光部と受光部との間に進入してその操作がメインボタンセンサ376により検出されるようになっている。また、メインボタン371は、メインボタンセンサ376により操作が検出されると、振動体371cが作動するようになっており、振動体371cの作動によってメインボタン371が振動することで、遊技者に対してメインボタン371の操作が受付けられていることを認識させることができると共に、メインボタン371の振動により遊技者を驚かせることができるようになっている。なお、操作ボタンユニット基板375には、実装されたLED375aからの光によってメインボタンセンサ376が誤作動するのを防止するための遮光板375bが取付けられている。
また、操作ボタンユニット370のサブボタン372は、平面視が略二等辺直角三角形状で透光性を有したサブボタンレンズ372aと、サブボタンレンズ372aを平面視がホームベース状の上面に支持し操作ボタンユニットベース373におけるサブボタン収容凹部373e内へ上方から収容されるサブボタンベース372bと、サブボタンベース372bとサブボタン収容凹部373eの底面との間でサブボタンレンズ372aの下方に配置されサブボタンベース372bを上昇させる方向へ付勢するサブボタンバネ372cと、を備えている。このサブボタン372のサブボタンベース372aには、サブボタンバネ372cを挟んた前後に下方へ垂下するサブ係止爪372dと、ホームベース状の長辺から下方へ垂下する板状の案内壁部372eと、案内壁部372eの下端から更に下方へ延出する検出片372fと、を備えている。
このサブボタン372は、サブ係止爪372dが、操作ボタンユニットベース373におけるサブボタン収容凹部373e内の係止部(図示は省略する)に係止されるようになっており、サブ係止爪372dが係止部に係止されることで、サブボタン372がサブボタンバネ372cの付勢力によりサブボタン収容凹部373eから抜け出るのを防止することができるようになっている。また、サブボタン372は、サブボタンバネ372cの付勢力に抗して下方へ押されると、サブボタンベース372bの検出片372fがサブボタンセンサ377の発光部と受光部との間に進入してサブボタン372の操作がサブボタンセンサ377により検出されるようになっている。
更に、操作ボタンユニット370の操作ボタンユニット装飾部材374は、図示するように、平面視形状が略菱形で板状に形成されており、メインボタン371のメインボタンレンズ371a及び二つのサブボタン372のサブボタンレンズ372aが通過可能な開口部374aが形成されていると共に、操作ボタンユニットベース373の導光用開口部373dと対応する位置に透光性を有した装飾部材レンズ374bが備えられている。また、長軸の対角線上隅部には、図示しない取付ビスが上方から挿通可能な取付孔374cが穿設されており、この取付孔374c及び操作ボタンユニットベース373のネジ挿通孔373fを介して所定の取付ビスにより操作ボタンユニット370が皿体310へ取付固定されるようになっている。なお、本例では、操作ボタンユニット装飾部材374の上面には、二つの取付孔374cを隠すネジ隠し378が貼付けられるようになっている。
本実施形態の操作ボタンユニット370は、上述したように、操作ボタンユニットベース373が、メインボタン収容凹部373a、導光用開口部373d、及び側壁部373hによって三重の筒状に形成されており、強度及び剛性が高められているので、メインボタン371等を叩いたりして強く操作されても、操作ボタンユニット370が破損し難くなっている。また、操作ボタンユニット370は、皿体310の操作ボタン装着凹部314に対して上方から装着固定されるようになっており、万が一、操作ボタンユニット370が破損したり不具合が発生したりした場合でも、皿体310の上方から簡単に着脱して交換することができるようになっている。更に、操作ボタンユニット370は、皿体310を介してその下側が後述する下部スピーカユニット390のスピーカボックス392に支持(載置)されているので、メインボタン371等からの耐衝撃性や耐荷重性が更に高められており、操作ボタンユニット370のみならず皿ユニット300全体が破損し難くなっている。
[1−2C−7.下部スピーカユニット]
続いて、皿ユニット300における下部スピーカユニット390は、図46及び図47に示すように、扉枠ベースユニット100におけるサイドスピーカ電飾ユニット120のサイドスピーカ121よりも大径の下部スピーカ391と、下部スピーカ391を正面視における前面右寄りの位置で、皿ユニット本体320における本体部321のスピーカ用開口321aの後側となる位置に保持する箱状のスピーカボックス392と、を主に備えている。本実施形態の下部スピーカユニット390は、スピーカボックス392の内部空間が開放口392aを通して外部へ開放されたバスレフ型スピーカとされており、下部スピーカ391のスピーカ径に対してより重低音を発することができるようになっている。
このスピーカボックス392の開放口392aは、皿ユニット本体320における本体部321のダクト用開口321fに望む位置に形成されており、下部スピーカ391の振動によりスピーカボックス392内を出入りする空気の流れが、ダクト用開口321fを介して出入りするようになっている。また、下部スピーカ391の駆動(振動)によりダクト用開口321fを介して出入りする空気の流れは、ハンドル装置400における操作ハンドル部410の握り部材412,413を通るように形成されており、操作ハンドル部410を操作する遊技者の手に下部スピーカ391からの空気の流れ(風)を当てることができ、遊技者に対してこれまでにない感触を与えて、楽しませることができるようになっている。なお、下部スピーカ391に対して、人間の可聴帯域よりも低い周波数の音響信号を送ることで、ダクト用開口321fから風だけを遊技者に当てることができ、メインボタン371の振動体371cと合わせて、これまでの遊技機にない触感演出を楽しませることができるようになっている。
また、スピーカボックス392には、その後面に、皿体310の第一球抜き経路313及び第二球抜き口312の下流に配置され、第一球抜き経路313及び第二球抜き口312を流通してきた遊技球を、スピーカボックス392の左右方向略中央の下部に誘導する球抜き経路393を備えている。この球抜き経路393は、後方が開放された略L字状に形成されており、皿ユニット300における奥皿板340の球抜き経路用開口345を介して扉枠ベースユニット100における扉枠ベース本体110の球抜き経路用開口111を閉鎖する球抜き経路カバー191によって後側が閉鎖されるようになっている。また、球抜き経路393を流通した遊技球は、皿ユニット本体320における本体部321の球排出口321gから、皿ユニット300の下方へ排出されるようになっている。
更に、スピーカボックス392には、正面視で左側上部に第二球抜き機構360の第二球抜きスライド362の前端を前後方向へ摺動可能に保持する第二球抜きスライド保持孔394と、第二球抜きスライド保持孔394の後側に配置され第二球抜き機構360の第二球抜き機構支持体368を支持する第二球抜き機構支持部395と、を備えている。これら、第二球抜きスライド保持孔394及び第二球抜き機構支持部395によって、第二球抜き機構360を所定位置に支持することができるようになっている。
[1−2C−8.ハンドル装置]
次に、皿ユニット300におけるハンドル装置400は、図56乃至図58等に示すように、扉枠5の開放側下部前面に設けられる操作ハンドル部410と、操作ハンドル部410に対応する扉枠5の裏面に組み付けられて操作ハンドル部410の回動操作に応じて回転する回転軸415と連携され且つ回転軸415の回転運動をスライド運動に変化させるジョイントユニット180と、から構成されている。
まず、操作ハンドル部410は、扉枠5における皿ユニット300の皿ユニット本体320における本体部321のハンドルベース取付口321dから前方へ突出するように取付けられる円筒状のハンドルベース303のハンドル支持筒部303aに挿入固定される。このハンドル支持筒部303aは、パチンコ機1の上方から見た平面視で外側(右側)に向くように傾斜して形成されているため、ハンドル支持筒部303aに挿入固定される操作ハンドル部410も平面視で外側に傾斜(換言するならば、パチンコ機1の前面垂直面に直交する線に対してその先端部がパチンコ機1の外側に向かうように傾斜している。)して扉枠5に取付固定されることになる。このように、操作ハンドル部410を平面視で外側に向けて傾斜させることにより、遊技者が操作ハンドル部410を握り易く、回動動作に違和感がなく回動操作が行いやすいという利点がある。そして、本実施形態においては、後述するように、操作ハンドル部410を傾斜設置しても、操作ハンドル部410の回転軸415の回転運動がスムーズに伝達されて打球発射装置650の弾発力を調整することができる構造が採用されている。なお、操作ハンドル部410のハンドル支持筒部303aへの挿入後、ハンドル支持筒部303aと操作ハンドル部410(正確には、後握り部材413)とをビス等で連結して操作ハンドル部410がハンドル支持筒部303aから引き抜きできないようになっている。
また、操作ハンドル部410は、図58に示すように、前握り部材412と、後握り部材413と、前握り部材412と後握り部材413との間で回動自在に軸支される回動操作部材414と、回動操作部材414にその一端部が固定される直線円柱状の回転軸415と、回転軸415の他端部に固定されるカム416と、から構成されている。後握り部材413は、ハンドル支持筒部303aに嵌合される小径部と小径部の前方の大径部とが一体的に形成され、その中心に回転軸415が貫通される軸貫通穴418が形成されている。回転軸415が軸貫通穴418に挿通される際には、軸受ブッシュ417が軸貫通穴418の後端に嵌めこまれ、その軸受ブッシュ417に回転軸415が挿通される。一方、軸受ブッシュ417を介して軸貫通穴418に貫通された回転軸415は、後握り部材413の前面側に固定される固定軸受部材423の軸受穴424を貫通して回動操作部材414の中心に形成される軸嵌合穴426に嵌合される。
また、後握り部材413の前面側には、タッチセンサ420、発射停止スイッチ422を固定するための突起や取付穴(共に図示しない)が設けられると共に、単発ボタン421が揺動自在に支持される揺動ピン(図示しない)が形成され、それらの突起や取付穴及び揺動ピンにタッチセンサ420、発射停止スイッチ422及び単発ボタン421が取付けられている。そして、それらが取付けられた状態でタッチセンサ420や発射停止スイッチ422からの配線が纏められて後握り部材413の軸貫通穴418の側方に形成される配線通し穴419を有した配線通し筒部428及び配線開口184c(図31を参照)から扉枠5の裏面に導き出され、ハンドル中継端子板194(図24及び図25を参照)に接続されるようになっている。このハンドル中継端子板194からの配線は、上述した下補強板36に沿って取付けられており、後述する払出制御基板1186に電気的に接続されるようになっている。また、固定軸受部材423と回動操作部材414との間には、付勢スプリング425が回転軸415に周設されるように設けられ、この付勢スプリング425が回動操作部材414を常に元の位置に復帰させるようになっている。更に、回動操作部材414の軸嵌合穴426の外側にはスイッチ接触凸部427が突設され、回動操作部材414が付勢スプリング425の付勢力により元位置にある場合に、スイッチ接触凸部427が発射停止スイッチ422のアクチュエータに接触して発射停止スイッチ422をOFFとし、回動操作部材414が遊技者によって回動操作されるとスイッチ接触凸部427が発射停止スイッチ422のアクチュエータと離れてONとする。また、発射停止スイッチ422がONとなっている状態で単発ボタン421が揺動可能になるので、単発ボタン421を押圧することにより、発射停止スイッチ422のアクチュエータをOFF操作することができるようになっている。
なお、回動操作部材414の外周表面には、導電性のメッキが施されており、遊技者が回動操作部材414に接触することによりタッチセンサ420が接触を検出するようになっている。そして、遊技者が回動操作部材414を回動して発射停止スイッチ422がONとなり且つタッチセンサ420が接触を検出しているときに打球発射装置650の後述する発射モータ695(図91を参照)が回転駆動されるようになっている。
また、回転軸415の先端に固定されるカム416は、勾玉状に形成され、回転軸415の回転にしたがって後述するジョイントユニット180のスライド体182(図31及び図59を参照)のカム当接部182dを押圧して一方向にスライドさせるようになっている。そして、本実施形態においては、この回転軸415の先端に固定されるカム416とジョイントユニット180のスライド体182との連携構造によって前述したような操作ハンドル部410の平面視での傾斜状取付けが可能となっている。
上述したように、操作ハンドル部410を扉枠5の前面側からハンドルベース303のハンドル支持筒部303aに挿通支持し、ジョイントユニット180を扉枠5の裏面側からジョイントユニット装着凹部110cに取付けることにより、図56に示すように、回転軸415の先端部に固定されるカム416がスライド体182のカム係合凹部182cに収納されるようになっている。この場合、操作ハンドル部410が平面視で傾斜状に取付けられることにより、カム416も扉枠5の垂直面に対して傾斜状となっているが、カム係合凹部182cが前後方向に所定の空間幅を有しているので、傾斜したカム416の全体をカム係合凹部182cの空間内に収納できるようになっている。また、その収納状態は、図59(A)に示すように、カム416の回転中心がカム当接部182dの側方に位置し、勾玉状のカム416の先端がカム係合凹部182cの下方空間内に位置するようになっている。
上述した状態で操作ハンドル部410の回動操作部材414を遊技者が回動操作すると、回転軸415が回動し、それにつれてカム416も回転するので、図59(B)に示すように、カム係合凹部182cのカム当接部182dとカム416の一側外形面(回転前方の外形面)との当接によってスライド体182が一方向(図59の場合には、図示の右側方向)にスライド移動する。つまり、回転軸415の回転運動がスライド体182のスライド運動に変換される。このため、図59(A)に示す初期状態(回動前)におけるカム416の回転中心とスライド体182のスライド突片183の進行方向の端辺との距離S1が、カム416の最大限の回転によって距離S1よりも大きな距離S2となる。つまり、スライド体182のスライド突片183が「S2−S1」の距離だけスライドすることになる。そして、ジョイントユニット180のスライド突片183のスライド移動が、図57、図60、図61に示すように、打球発射装置650のスライド部材710に伝達されて打球発射装置650の付勢バネ684(図91を参照)の張力を調節し、もって打球槌687の付勢力の強弱を調整して遊技者の望む打球の弾発力を得ることができる。なお、ハンドル装置400と打球発射装置650との関係については、打球発射装置650についての説明の後で詳細に説明する。
なお、操作ハンドル部410の内部から配線通し穴419、配線通し筒部428及び配線開口184cを通って扉枠5の裏面に導出された配線は、扉枠5の裏面下辺に沿って軸支側に引き回され、その後、本体枠3の裏面側に取付けられる基板ユニット1100に集約して取付けられる払出制御基板1186の操作ハンドル用端子1194(図132を参照)に接続されるようになっている。
[1−2C−9.皿ユニットの作用効果]
続いて、本実施形態の皿ユニット300の貯留皿311内における遊技球の流れについて図62及び図63を主に参照して説明する。本例では、後述する賞球ユニット800から払出された遊技球が、満タンユニット900、奥皿板340の賞球連絡樋343を介して球流入口341から貯留皿311内へ流入するようになっており、球流入口341から流入した遊技球が、初めに第一傾斜面311aへと流入するようになっている。この第一傾斜面311aは、前側及び正面視右側が低くなるように形成されており、球流入口341から第一傾斜面311aへ流入した遊技球は、第一傾斜面311aの傾斜に沿って貯留皿311の前側外周を囲う外周壁311hの球流入口341と略対向する位置と当接することとなる。外周壁311hのこの位置は、球流入口341が形成された皿裏板340の面に対して曲線状に傾斜しており、外周壁311hに当接した遊技球は、正面視で右方向へ反射するようになっている。
そして、球流入口341から貯留皿311内へ流入して外周壁311hで右方向へ反射した遊技球は、第四傾斜面311dを越えて第五傾斜面311eへと進入する。この第五傾斜面311eは、正面視で左側、つまり、第四傾斜面311d側が低くなると共に、その傾斜角度が第一傾斜面311aから進入してきた遊技球が登坂可能な緩い斜度とされており、第四傾斜面311dを越えて第一傾斜面311aから進入してきた遊技球が、第五傾斜面311eを上りながら第五傾斜面311eの上部(平面視で右側端部)へと流通することとなる。また、この第五傾斜面311eは、前側から右側端部を巡って後側までが外周壁311hと仕切壁311fとによって仕切られており、第五傾斜面311eへ進入した遊技球は、その周りを囲う外周壁311h及び仕切壁311fに略沿うように第五傾斜面311e内を巡って第五傾斜面311eの左側に配置された第四傾斜面311d側へ戻るようになっている。
第五傾斜面311eから第四傾斜面311dへ進入した遊技球は、第四傾斜面311dの傾斜に従って第四傾斜面311dの後側にある第二傾斜面311bへと流通し、更に、第二傾斜面311bから右側の第三傾斜面311cへと進入して、第三傾斜面311cの下流端に配置された皿裏板340の球供給口342から球発射装置650へと供給されるようになっている。つまり、球供給口341から貯留皿311内へ流入した遊技球は、第一傾斜面311aから第二傾斜面311bを介して直接第三傾斜面311cへ向わずに、第一傾斜面311aから第四傾斜面311dを介して第五傾斜面311eへ一旦進入した上で、第四傾斜面311e及び第二傾斜面311bを介して第三傾斜面311cへ至るようになっており、球流入口341から流入した遊技球を迂回させることができるようになっている。
これにより、貯留皿311の全体を有効に使って複数の遊技球を貯留することができ、従来のパチンコ機のように貯留の少ない状態で貯留され遊技球が球流入口341を塞いでしまうことで、満タンユニット900の満タンスイッチ916が作動して、遊技球の払出しが停止してしまったり、球発射装置650での遊技球の発射動作が停止してしまったりして遊技が中断してしまうのを良好に防止することができるようになっている。
ところで、本例の皿ユニット300の貯留皿311に多くの遊技球が貯留されることで球流入口341が貯留された遊技球によって閉鎖されて、皿裏板340の賞球連絡樋343と賞球ユニット800との間に配置された満タンユニット900内で遊技球が滞留すると、満タンユニット900の満タンスイッチ916が作動して、賞球ユニット800からの遊技球の払出しを停止したり、球発射装置650での遊技球の発射動作を停止したりするようになっており、特に球発射装置650の発射動作が停止されると遊技を中断せざる負えなくなるので、遊技者は、貯留皿311に貯留された遊技球が適宜の量となったら第一球抜きボタン351や第二球抜きボタン361を操作して、貯留皿311から遊技球を皿ユニット300の下方に配置した容器(例えば、ドル箱)へ排出する必要がある。なお、本例では、満タンスイッチ916が作動すると、貯留皿311内が満タンである旨を遊技者に案内してから球発射装置650の発射動作を停止させるようになっている。
この貯留皿311内から遊技球を排出するには、皿ユニット300の上面に配置された第一球抜きボタン351を操作する(押す)と、第一球抜き機構350の第一球抜きスライド356がスライドして、第三傾斜面311cの下流端と第一球抜き経路313との間の閉鎖を解除し、第三傾斜面311cの遊技球を第一球抜き経路313へと流下させ、球抜き経路393を介して球排出口321gから皿ユニット300の下方へと排出することができるようになっている。この第一球抜きボタン351の操作により、貯留皿311における最も低い位置となる第三傾斜面311cの下流端から遊技球を抜くことができるので、貯留皿311内から全ての遊技球を排出することができるようになっている。しかしながら、第一球抜きボタン351の操作による球抜きでは、第三傾斜面311cにおいて遊技球が一列に整列されるので、球抜きに時間がかかる問題がある。
そこで、皿ユニット300の前面左側に配置された第二球抜きボタン361を操作する(押す)と、第二球抜き機構360の第二球抜きシャッター364が移動して貯留皿311内の第二球抜き口312が開放され、貯留皿311内における第二球抜き口312よりも上流側の遊技球が第二球抜き口312を通り、球抜き経路393を介して球排出口321gから皿ユニット300の下方へと排出することができるようになっている(図62(B)を参照)。この第二球抜き口312は、図示するように、遊技球の外径よりも数倍大きい開口とされており、一度に多くの遊技球を素早く排出することができるようになっている。従って、第一球抜きボタン351と第二球抜きボタン361の二つのボタンの存在により、遊技者に対して球抜きにかける時間の長短を選択させることができるようになっている。また、遊技中に大当りとなった場合に皿ユニット300に大量の球が払出されることになり、これを放置して遊技を継続すると皿ユニット300の上流側に設けられる満タンスイッチ916(図111を参照)の機能が作動して払出動作が停止されたり弾発動作が停止されて大当り中であるにもかかわらず遊技球の打球動作が停止して遊技が継続できなくなったりする虞れがあり、このような場合に、第二球抜きボタン361の操作を行うことにより、皿ユニット300に貯留されつつある球を球抜すると同時に発射位置への球の供給を維持して大当り中の遊技を継続することができるようになっている。
また、本例の皿ユニット300では、第二球抜きボタン361を操作すると、第二球抜き機構360のラッチユニット366により、第二球抜きシャッター364が開位置で保持され、第二球抜き口312が開いたままの状態とすることができるようになっている。この状態で第二球抜き口312よりも上流側の遊技球が排出されて、第一傾斜面311a上の遊技球が殆どなくなると、球流入口341から流入する遊技球は、上述したように、外周壁311hで反射して第五傾斜面311eの方向へ流通しようとし、第四傾斜面311dや第五傾斜面311e、及び第二球抜き口312よりも下流側の第二傾斜面311bや第三傾斜面311c上に遊技球が供給されるようになっている。従って、球発射装置650の発射動作により第三傾斜面311c上の遊技球が消費されても、球流入口341から貯留皿311内へ遊技球が流入して来る限り、第二傾斜面311b、第四傾斜面311d、及び第五傾斜面311eを介して第三傾斜面311cへ遊技球が供給されると共に、遊技球の発射動作を停止させて流入してきた遊技球が多くなれば第二球抜き口312から輩出されることとなるので、第二球抜き口312を開放したままでも、常に貯留皿311内に一定量の遊技球を確保して、遊技を継続させることができるようになっている。つまり、大当り遊技中等の遊技球の払出しが連続するような状態でも、貯留皿311内の遊技球の量を気にすることなく遊技を続けることができるようになっている。
本例の皿ユニット300では、皿体310の貯留皿311は、図63等に示すように、その底面が第一傾斜面311a、第二傾斜面311b、第三傾斜面311cが連続して正面視で右方向(球供給口342)へ向うに従って低くなるようになっているのに対して、皿奥板340の球流入口341は、略水平に左右方向へ長く延びた矩形状とされているので、蓋然的に、貯留皿311の底面と球流入口341の底辺との間に段差が形成されるようになっていると共に、その段差が正面視右方向へ向うほど大きくなるようになっている。この貯留皿311の底面と球流入口341の底辺との間の段差は、球流入口341の左端では殆ど段差がない状態となっており、球流入口341の右端では遊技球の外径よりも若干高い段差となっている。これにより、賞球連絡樋343を介して前後方向へ略真直ぐに流入してきた遊技球は、主に段差の少ない球流入口341の中央寄りも左側の部分を通って貯留皿311内へ流入することとなるので、段差の少ない分、球流入口341から貯留皿311へ落下する遊技球の位置エネルギー(落下エネルギー)も小さく、貯留皿311へ与える負荷を軽減させて貯留皿311が破損するのを防止することができるようになっている。
ところで、貯留皿311内での遊技球の貯留量が多くなって第一傾斜面311a上にも多くの遊技球が貯留されるようになると、賞球連絡樋343を介して球流入口341から貯留皿311内へ流入する遊技球が、貯留皿311内に貯留された遊技球を横から押すような形となり、各遊技球に横方向の力が作用することで遊技球同士が押し合った状態となる。その状態で、球供給口342を介して貯留皿311(第三傾斜面311c)内の遊技球が消費されると、第三傾斜面311cの上流付近(第二傾斜面311b)で遊技球の流路の幅が狭くなると、遊技球同士が押し合って遊技球の流動性が低下し球詰りが発生する場合があるが、本例では、上述したように、球流入口341が左右方向へ延びた矩形状とされているので、賞球連絡樋343からの遊技球が棚部344を通って第二傾斜面311bへ直接流入し、第三傾斜面311cへ遊技球を供給することができるようになっている(図62(B)を参照)。
また、球流入口341の左右方向中央よりも右側の部分は、球流入口341の下辺が貯留皿311の底面に対して遊技球の外径よりも高くなっているので、棚部344を介して貯留皿311内へ流入する遊技球が、貯留皿311内に貯留された遊技球の上側に流入することとなり、遊技球同士が横方向へ押し合うのを抑制して遊技球の流動性が低下すのを防止することができると共に、上から流入する遊技球により下側の遊技球(特に皿奥板340の前面と当接した遊技球)は横方向への移動が促され、自然と球詰りを解消させることができるようになっている(図63を参照)。
このように、本例の貯留皿300は、貯留皿311内に貯留された遊技球の量が多くなっても、賞球ユニット800から払出された遊技球を、横長の球流入口341の棚部344を介して貯留皿311内に貯留された遊技球の上側へ流入させるようにしているので、貯留皿311内で遊技球の球詰りが発生するのを良好に防止することができ、貯留皿311内の遊技球を気にすることなく遊技を継続させて遊技者の興趣が低下するのを抑制することができるようになっている。
[1−2D.ガラスユニット]
次に、扉枠5におけるガラスユニット450について、主に図64乃至図66を参照して説明する。図64はガラスユニットの正面斜視図であり、図65はガラスユニットを分解して前から示す分解斜視図であり、図66は図65を後から示す分解斜視図である。このガラスユニット450は、図示するように、遊技窓101よりも大きな開口を有し合成樹脂で成型した環状で縦長八角形状のユニット枠451と、ユニット枠451の開口の前後端を夫々閉鎖する二枚の透明なガラス板452と、二枚のガラス板452の間でユニット枠451の内周に添って配置される帯状のガラス装飾基板453と、を備えている。
このガラスユニット450におけるユニット枠451は、後方側が開放されガラス装飾基板453が挿入される基板挿入溝451aと、基板挿入溝451aからユニット枠451の内周側へ向って開口する複数の開口部451bと、ユニット枠451の前後方向略中央の外周に形成された係止溝451cと、正面視で左側上端より左方向へ突出する端子板支持部451dと、上下方向中央に対して上寄りの外周位置から左右方向へ夫々突出する止め片451eと、下辺の両端から左右方向外方へ夫々突出する係止突起451fと、を備えている。
また、ガラスユニット450におけるガラス装飾基板453は、帯状で可撓性を有しており、表面側(ユニット枠451の内面側)にユニット枠451の開口部451bと対応する位置に複数のカラーLED453aが実装されており、ガラス装飾基板453をユニット枠451の基板挿入溝451a内へ挿入すると、LED453aが開口部451bを介してユニット枠451の内面側へ臨むようになっている。
更に、ガラスユニット450は、ガラス装飾基板と接続されユニット枠451の端子板支持部451dに支持されるガラス装飾中継端子板454と、ガラス装飾中継端子板454にガラス装飾基板453の端部を固定する基板押え455と、ガラス装飾中継端子板454を支持したユニット枠451の端子板支持部451dを覆う端子板ホルダ456と、を更に備えている。
このガラスユニット450は、ユニット枠451の基板挿入溝451a内にガラス装飾基板453が挿入された状態で、ユニット枠451の前後にガラス板452が夫々接着固定されている。そして、このガラスユニット450は、ユニット枠451の外周下辺に形成された係合溝451cが補強板金140の垂直折曲突片151と係合すると共に、ユニット枠451の外周縁と止め片451e及び係止突起451fとが扉枠ベース本体110のガラスユニット支持段部110a内に後側から嵌合された上で、止めレバー196により扉枠5に対して脱着可能に取付けられるようになっている。
また、ガラスユニット450は、ガラス装飾基板453のLED453aを適宜発光させることで、二つのガラス板452の間を発光装飾させることができるようになっており、これまでのパチンコ機とは異なる雰囲気(ムードのある)の遊技窓101を有したパチンコ機1とすることができるようになっている。
[1−2E.防犯カバー]
続いて、扉枠5における防犯カバー470について、主に図21及び図22を参照して説明する。この防犯カバー470は、上記したガラスユニット450の下部裏面を被覆して遊技盤4への不正具の侵入を防ぐ防犯機能が付与されたものであり、図示するように、透明な合成樹脂によって左右の補強板金142,143の間のガラスユニット450の下方部を覆うような平板状に形成され、その上辺部が遊技盤4の内レール603の下方円弧面に沿った円弧状の当接凹部471として形成されていると共に、その当接凹部471に沿って後方に向って防犯後突片474が突設されている。また、防犯カバー470を取付けた状態で軸支側裏面には、防犯後端部突片475が斜め状に突設形成されている。一方、防犯カバー470の前面には、防犯カバー470を取付けた状態でガラスユニット450におけるユニット枠451の下方形状に沿った防犯前突片472が突設されると共に、下部両端にU字状に形成される装着弾性片473が前方に向けて突設形成されている。
上記のように構成される防犯カバー470は、装着弾性片473を扉枠ベースユニット100に形成される装着開口部116に装着することにより、扉枠5の裏面側に着脱自在に取付けられる。そして、取付けた状態では、図示は省略するが、防犯前突片472がガラスユニット450のユニット枠451の後方下片面と対面するようになっている。また、防犯前突片472の前端は、垂直折曲突片151と当接している。また、防犯後突片474及び防犯後端部突片475は、後方へ突出した状態となっているが、扉枠5を閉じたときに、防犯後突片474の軸支側の半分は、遊技盤4に固定される内レール603の下側面に侵入して対面した状態となるが、防犯後突片474の開放側の半分は、前構成部材601の内レール603に形成されたレール防犯溝607に挿入された状態となり、また、防犯後端部突片475は、本体枠3の軸支側に形成される防犯突起608の上面に沿って重合状の位置となる(図76を参照)。
而して、防犯カバー470を取付けて扉枠5を閉じた状態においては、前述した扉枠突片110dと係合溝584,585とによる防犯構造、及び後述する防犯突片166と防犯空間586とによる防犯構造に加えて、ガラスユニット450の下方から不正具を侵入させようとしても、防犯前突片472とユニット枠451との重合により、防犯カバー470の前面下方方向からの不正具の侵入が防止され、防犯後突片474と前構成部材601を構成する内レール603との重合により、防犯カバー470の後面下方方向からの不正具の侵入が防止される。特に、扉枠5の軸支側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、防犯突起608と防犯後端部突片475との重合構造によって外レール602への不正具の侵入が阻止され、さらに内レール603と防犯後突片474との重合構造によって遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができるようになっている。
また、同様に、扉枠5の開放側の斜め下方からの不正具の侵入に対しては、前述した開放側補強板金143の二重の折曲突片153,154による防犯構造に加えて、レール防犯溝607と防犯後突片474との凹凸係合によりさらに遊技盤4の遊技領域605への不正具の侵入を阻止することができる。なお、防犯カバー470の裏面側の防犯後突片474と防犯後端部突片475との間の垂直面は、扉枠5を閉じた状態で外レール602と内レール603とで形成される打球の誘導通路の前面下方部分を覆うものであるため、誘導通路部分を飛送若しくは逆送する打球のガラス板452への衝突を防止する機能も有している。
[1−3.本体枠]
次に、パチンコ機1における本体枠3について、図67乃至図75を参照して説明する。図67は、部品を取付ける前の本体枠主体500の正面図であり、図68は、部品を取付ける前の本体枠主体500の背面図であり、図69は、部品を取付ける前の本体枠主体500の側面図であり、図70は、部品を取付ける前の本体枠主体500の背面から見た斜視図であり、図71は、部品を取付けた本体枠3の前方から見た斜視図であり、図72は、部品を取付けた本体枠3を外枠2に軸支した状態を前方から見た斜視図であり、図73は、部品を取付けた本体枠3の背面図であり、図74は、部品を取付けた本体枠3の背面から見た斜視図であり、図75は、パチンコ機1の中程(主制御基板ボックス624部分)の水平線で切断したパチンコ機の断面平面図である。
本実施形態の本体枠3は、遊技盤4が前面側から着脱自在に装着し得ると共に、打球発射装置650と、賞球を払い出すための賞球タンク720とタンクレール部材740と球通路ユニット770と賞球ユニット800と満タンユニット900と、外枠2に対する本体枠3の施錠及び本体枠3に対する扉枠5の施錠を行う錠装置1000と、遊技盤4を除く扉枠5や本体枠3に設けられる電気的部品を制御するための各種の制御基板や電源基板1136等が一纏めに設けられている基板ユニット1100と、後面開口580を覆うカバー体1250と、等の各種の部品が装着される本体枠主体500を備えている。
まず、上記した各種の部品が装着される本体枠主体500及び各種の部品が装着された本体枠3について説明する。図67において、本体枠主体500の一側上下には、本体枠3を外枠2に開閉軸支するための上軸支金具503及び下軸支金具509(共に図71を参照)を取付けるための軸支金具取付段部501,502が形成され、この軸支金具取付段部501,502に上軸支金具503及び下軸支金具509を取付けた状態では、本体枠主体500の上辺及び側辺が上軸支金具503の上辺及び側辺と略同一平面状となり、本体枠主体500の下辺及び側辺が下軸支金具509の下辺及び側辺と略同一平面状となっている(図73を参照)。ここで、上軸支金具503と下軸支金具509について図71と図73を参照して説明する。上軸支金具503は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその上端辺が前方に突出し、その前方に突出した上面に軸支ピン504が立設固定され、その軸支ピン504の側方に扉軸支穴505が穿設されている。
一方、下軸支金具509は、本体枠主体500の裏面に取付部を有すると共にその下端辺及びやや上部に2つの支持板506,507が一体的に突設されている。下方に位置する支持板506は、本体枠3を外枠2の下支持金具66に支持するための枠支持板506を構成するものであり、上方に位置する支持板507は、扉枠5の下軸支部148を本体枠3に支持するための扉支持板507を構成するものである。このため、枠支持板506に外枠2の下支持金具66の支持突起68を挿入するための軸支穴(図示しない)が形成され、扉支持板507に扉枠5の下軸支部148に突設される軸ピン147を挿入するための軸支穴508が穿設されている。
ところで、本体枠主体500は、正面から見た場合に、長方形状に形成され、その上部の約3/4が遊技盤4を設置するための遊技盤設置凹部510(図71を参照)となっており、その遊技盤設置凹部510の下方のやや奥まった領域が板部511となっている。また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部及び前面開放側辺部は、扉枠5の裏面と対面するように所定幅を有して形成されており、前面上辺部には、横方向に平行状に突設される突起によって上部防犯二重溝581が形成され、正面から見て右側の前面開放側辺部には、外側に側部防犯溝582が形成されると共に内側に後端が第一側面壁540に接続される傾斜面となっている内壁によって形成される防犯凹部583が形成され、正面から見て左側の前面軸支側辺部は、前面上辺部や前面開放側辺部と異なり扉枠5の裏面と対面する所定幅を有するように形成されていないが、本体枠主体500の前面軸支側辺部が前面上辺部や前面開放側面部に比べて前方への突出量が多い軸支辺部587(図110を参照)となっている。
より詳細に説明すると、前面上辺部に形成される上部防犯二重溝581は、扉枠5の上辺部裏面に取付固定される上側補強板金141の両長辺端を後方に向って折曲される折曲突片155,156が夫々挿入されるようになっているものである。また、前面開放側辺部に形成される側部防犯溝582及び防犯凹部583は、扉枠5の開放部裏面に取付固定される開放側補強板金143の両長辺端を後方に向って折曲される開放側外折曲突片153及び開放側内折曲突片154が夫々挿入されるようになっているものである。更に、前面軸支側辺部の軸支辺部587には、扉枠5の軸支側裏面に取付固定される軸支側補強板金142の軸支側L字状折曲突片157の先端部が当接するようになっている。
そして、上記した構造によって扉枠5と本体枠3との当接面の隙間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を防止することができ、特に、最も不正行為が行われやすい開放側辺部や次いで不正行為が行われやすい上辺部における不正行為の防止をはかることができる構造となっている。もちろん、軸支側における軸支側補強板金142と軸支側L字状折曲突片157との当接による不正行為の防止も充分に機能するが、多くの場合、軸支側は、頑丈な支持金具45,66と軸支金具503,509とで本体枠3と扉枠5とが連結されているため、上辺部及び開放側辺部に比べて本体枠3と扉枠5との間に隙間が作り難い。このため、本実施形態においては、二重の防犯構造ではなく、一重の防犯構造としている。これらの点については、後に詳述する。
また、遊技盤設置凹部510を囲む前面側の前面上辺部、前面開放側辺部、及び前面軸支側辺部には、上記した構成以外に前面開放側辺部の上部、中間部、下部に本体枠3の開放側裏面に取付けられる後述する錠装置1000に設けられる扉用フック部1041(図121を参照)を貫通させて前方に飛び出させるための扉用フック穴549が開設されており、また、前面軸支側辺部の内側面に遊技盤4に形成される位置決め凹部611と係合するための盤位置決め突起576が設けられている。更に、前面軸支側辺部の盤位置決め突起576のやや下方位置の内側前方面に、扉枠5を閉じた状態で軸支側補強板金142の軸支側L字状折曲突片157の先端が挿入される上下2つの規制突起577が突設されている。この規制突起577の作用については前述した通りである。また、図67に示すように、開放側の平面部分と遊技盤設置凹部510との境目の上下に遊技盤4に設けられる遊技盤止め具614の端部が係合される盤止め具挿入穴578が形成されている。
次に、板部511の構成について図67乃至図72を参照して説明する。板部511の上面は、遊技盤4を載置するための遊技盤載置部512となっており、その遊技盤載置部512の略中央に遊技盤4を載置したときに、遊技盤4に形成されるアウト口606(図76を参照)の下面を支持する通路支持突起513が突設されている。また、図67に示すように、板部511の前面の中央部から開放側の端部に向かってレール取付ボス514が所定間隔を置いて突設され、このレール取付ボス514に発射レール515(図71を参照)がビス止め固定されている。また、発射レール515の先端位置に対応する板部511の前面には、レール接続部材516が突設され、遊技盤設置凹部510に遊技盤4が設置されたときに、遊技盤4の内レール603の下流端である接続通路部609(図76を参照)と隣接するようになっている。
また、レール接続部材516の側方位置(発射レール515と反対側の位置)には、遊技盤4の下部を固定するための楕円形状の遊技盤固定具519(図71を参照)の上端部を取付けるための固定具取付ボス517が突設され、その斜め下方にストッパー518が突設されている。即ち、遊技盤固定具519は、固定具取付ボス517を中心にして回転自在に設けられ、遊技盤載置部512に遊技盤4が載置された状態で時計方向に回動して遊技盤固定具519を遊技盤4の前面に押圧して遊技盤4を固定するものである。また、遊技盤を取り外す場合には、遊技盤固定具519を反時計方向に回して取り外すことにより、簡単に行うことができる。この場合、遊技盤固定具519はストッパー518により反時計方向の余分な回転ができないようになっている。
また、板部511の開放側下部は、手前側に膨出状に突設された(裏面から見れば凹状となっている)直方体状の発射装置取付部520が形成されており、この発射装置取付部520に本体枠主体500の裏面から打球発射装置650が固定されている。この点については、後に詳述する。上記した発射装置取付部520の前面壁部分には、前述したジョイントユニット180のスライド突片183と連携されるスライド部材710(図95を参照)が収納されるハンドル連結窓522が形成され、そのハンドル連結窓522の隣接する位置に打球槌687の軸受689(図91を参照)の端面が臨む軸用穴523が開設されている。また、発射装置取付部520の上壁部分には、打球発射装置650の打球槌687が上方に突出するための槌貫通開口521が切欠形成され、その槌貫通開口521の斜め上方の板部511の前面に錠装置1000のシリンダ錠1010が貫通するシリンダ錠貫通穴526が開設されている。
一方、板部511の裏面には、図68に示すように、軸支側の上部から板部511の中央部分に向けて延設された後下方に向かう球抜排出通路524が形成されている。この球抜排出通路524は、後述する球抜接続通路880(図71を参照)から排出される球をパチンコ機1の下方から島の内部に排出するためのものである。また、上述した発射装置取付部520の上方には、円柱状の案内突起525が後方に向かって突設され、この案内突起525に後述する基板ユニット1100の案内孔1212(図128を参照)が差し込まれて基板ユニット1100の取付けを容易にしている。また、基板ユニット1100をビスで取付けるための取付穴部527が板部511の左右上下に形成され、この取付穴部527に基板ユニット1100の取付片1122を対応させてビスで止着する。また、発射装置取付部520の凹状の内部には、打球発射装置650を取付けるための発射装置取付ボス529が後方に向かって突設され、更に、開放側の最下端部には、図70に示すように、本体枠3を外枠2に対して閉じる際に、装飾カバー板15の上面に当接しながら本体枠3の閉止動作を案内するために先端が先細状で縦長形状の案内突片528が後方に向かって突設されている。
板部511には、以上説明した構成以外に、図70に示すように、軸支側の端部上面に球抜排出通路524の上流端の開口である球抜接続開口530が形成されている。この球抜接続開口530に球抜接続通路880の下流端が接続されるようになっている。また、球抜接続開口530に隣接する部分は、後に詳述する満タンユニット900(図71を参照)を載置するための満タンユニット載置部531が板部511と直交するように水平状に形成され、その満タンユニット載置部531の前方部分に満タンユニット900の係合片924(図111を参照)と係合するユニット係合溝532が形成されている。更に、図71に示すように、満タンユニット載置部531の前方の板部511の前面には、扉枠5の開放時に満タンユニット900の出口921から排出される賞球を堰き止める出口開閉装置579が設けられている。
この出口開閉装置579については、詳細に説明しないが、扉枠5が閉じているときには、扉枠5の裏面に当接するレバーによって開閉板が下降した状態となっているが、扉板5が開放されるとレバーへの当接がなくなるため開閉板が上昇して出口921を閉塞するものである。このため、扉枠5の開放時においても満タンユニット900内に貯留された賞球が出口921から零れ落ちることがない。また、図71に示すように、板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている。この締結連杆534は、本体枠3からの遊技盤4の取り外しを防止するための機構である。
次に、遊技盤設置凹部510の構成について説明する。遊技盤設置凹部510は、軸支側の内側面及び上記した上辺部及び開放側の鍔面部から後方へ周設される第一側面壁540と、第一側面壁540から後方に周設される第二側面壁541と、第二側面壁541から後方に周設される第三側面壁542と、第三側面壁542から後方に周設される第四側面壁543、とにより、本体枠3の左右側辺及び上辺の後方部分が囲まれた凹状に形成されているものである。
なお、第一側面壁540〜第四側面壁543は、背面から見て上辺及び右辺(軸支側の辺)が段差をもって後方に真っ直ぐに延長されるように形成されるのに対し、左辺(開放側の辺)が第一側面壁540から第四側面壁543に向かうにしたがって内側に傾斜する段差状(図75を参照)に形成される。これは、左辺(開放側の辺)の第一側面壁540から第四側面壁543までを後方に真っ直ぐ形成したときに、本体枠3を開放する際に、第四側面壁543の最後端部が外枠2の側枠板13の内面と当接してスムーズに開放できない場合があるため、開放側の第一側壁面540から第四側面壁543までが内側傾斜状とすることによりスムーズに開放することができるようにしたものである。
また、それと同時に開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取付けられるが、その取付けを第一側面壁540の後端辺に設けられる錠取付穴547(図117を参照)を利用して行うため、その錠取付穴547を形成するためにも開放側の第一側面壁540から第四側面壁543を傾斜段差状に形成したものである。更に、第一側面壁540〜第四側面壁543の段差の寸法も、第一側面壁540と第二側面壁541との段差は、後述する遊技盤4の裏面の周辺と当接する必要があるため、ある程度大きな段差をもって形成されるが、それ以外の段差は、極めて小さな段差となっている。もちろん、第二側面壁541〜第四側面壁543までは段差を形成することなく連続的に形成してもよい。
そして、上記した側面壁540〜543は、図69に示すように、夫々奥行き幅寸法d1,d2,d3,d4を有するように形成され、本実施形態の場合、d1+d2+d3+d4=約135mmとなっている。特に、第一側面壁540の幅寸法d1は、遊技盤4の厚みに相当し、残りの第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間に遊技盤4に設けられる各種の遊技装置の後方突出部分が収納されるようになっている。
つまり、第一側面壁540は、遊技盤4の厚さと略同じ奥行寸法を有する前側面壁を構成し、第二側面壁541〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部裏面と当接する段差部を有して第一側面壁540から後方に向かって略第一側面壁540と平行状に延設され且つ遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁を構成するものである。特に、本実施形態の場合には、図4に示すように、第二側面壁541〜第四側面壁543のすべての部位の後方への突出量が、本体枠3の裏面側上部に固定される賞球タンク720の球を貯留する貯留部728の後面壁722と略同じ位置となるように形成されている。
これにより、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4の略全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。
また、図68及び図70に示すように、第四側面壁543の後端辺からは背面から見てその左辺(開放側)、上辺及び右辺(軸支側)に、開放側後面壁544、上後面壁545及び後面壁としての軸支側後面壁546が夫々パチンコ機の正面と平行となるように内側に向かって突設されている。軸支側後面壁546は、その前面が平板状(図67を参照)となっており、その後面に球払出機構を構成する後述の球通路ユニット770と賞球ユニット800とが着脱自在に取付けられるようになっている。従って、軸支側後面壁546の内側への突出幅寸法は、球通路ユニット770と賞球ユニット800とを取付ける幅があれば充分である。
また、上後面壁545は、その前面が平板状(図67を参照)となっており、その後面に後述するタンクレール部材740が取付けられるため、その下端辺が傾斜状に形成されている。従って、上後面壁545の内側への突出幅は、傾斜状に取付けられるタンクレール部材740の高さ幅寸法があれば充分である。更に、開放側後面壁544には、その前面が平板状(図67を参照)となっており、その後面に後述するカバー体1250を軸支するカバー体支持筒部575が形成されている。したがって、開放側後面壁544の内側への突出幅寸法は、カバー体支持筒部575を形成する幅寸法があれば充分である。
上述したように、第四側面壁543の後端辺から内側に向かって突設される開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の前面が平板状に形成され、この平板状部分が遊技盤4の周辺部に対応するものであるため、上記したように、遊技盤4の周辺部に対応する位置まで第二側面壁541と第三側面壁542と第四側面壁543とによって形成される空間の大きさが確保されているので、例えば、遊技盤4の略全域を液晶表示画面が占めるような遊技装置が取付けられている場合においても、そのような遊技装置の後方突出部分を楽に収納することができるものである。なお、開放側後面壁544、上後面壁545及び軸支側後面壁546の内側は、後面開口580となっており、この後面開口580が後述するカバー体1250によって開閉自在に閉塞されるようになっている。
次に、遊技盤設置凹部510の更に詳細な構成について説明すると、前述したように、開放側の平面部分には、錠装置1000の扉枠用フック部1041が貫通する扉用フック穴549が上中下の3箇所開設されているが、その上下の扉用フック穴549のさらに上中下に錠装置1000の後述する係止突起1004が係合される錠係止穴548(図68を参照)が形成されている。また、開放側の第一側面壁540に沿って錠装置1000が取付けられるが、その取付けをビスで行うための錠取付穴547(図68を参照)が第一側面壁540の後端部の上部と中程に形成されている。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003とシリンダ錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させてビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取付けられるようになっている。
また、図70に示すように、第一側面壁540の上辺前方の左右には、本体枠3を外枠2に対して閉止する際に、外枠2の上枠板10の内周面と当接する案内円弧突起552が突設され、第一側面壁540の後端辺中央に後述する賞球タンク720の切欠部729と連通する逃げ凹部551が形成され、第一側面壁540と第二側面壁541と接続する垂直面にタンク取付溝550が形成されている。そして、このタンク取付溝550に賞球タンク720の取付鍔部733を取付けたときには、図74に示すように、賞球タンク720の切欠部729が逃げ凹部551と連通して賞球タンク720内に貯留された球の球圧が増加したときに圧抜きして球詰まりが発生しないように機能する。また、賞球タンク720を本体枠3に取付けたときには、平面視で賞球タンク720の正面側から見て奥側の後面壁722と第四側面壁543の後端辺が略一致(図4を参照)するようになっている。なお、上記した案内円弧突起552は、本体枠3の上辺を外枠2の上枠板10の内周面と当接させることにより、本体枠3を持ち上げて本体枠3の下辺と装飾カバー板15との間に隙間を形成し、その隙間から不正器具を挿入するような不正行為を防止するためのものである。
また、前述した上後面壁545には、タンクレール部材740を取付けるためのレール係止溝553が後面開口580の開口縁に沿って形成されており、また、第四側面壁543と上後面壁545の屈曲部にレール係止溝554が形成されている。そして、これらレール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750(図99を参照)を係止させることにより、タンクレール部材740を本体枠3に取付けることができる。また、タンクレール部材740を取付けたときの下流側に対応する上後面壁545の上部には、レール掛止弾性片555が形成され、レール係止溝553,554にタンクレール部材740の係止突片749,750を係止させて、タンクレール部材740を本体枠3に取付けたときに、その係止状態が外れないようにレール掛止弾性片555がタンクレール部材740の下流側上端の上から当接するようになっている。
このタンクレール部材740を取り外すときには、レール掛止弾性片555を後方へ押圧しておいてからレール係止溝553,554と係止突片749,750との係止状態を解除すべくタンクレール部材740を上方に持ち上げればよい。また、レール掛止弾性片555の側方に逃げ穴556が穿設され、レール掛止弾性片555の下方にアース線接続具557(図110等を参照)形成されている。逃げ穴556は、タンクレール部材740に設けられる整列歯車747の軸ピン748の端部を逃がすために穿設されるものであり、また、アース線接続具557は、タンクレール部材740の内部に貼着される金属製の導電板(図示しない)に接触していると共に、電源基板1136に設けられるアース用コネクタに接続される配線が接続されるものである。
また、軸支側後面壁546には、図68及び図70に示すように、軸支側後面壁546の左右両端に垂直状の立壁560を立設し、その立壁560の間に球通路ユニット770と賞球ユニット800とが取付けられる。また、左右の立壁560の間の最上流部から中流部よりやや上方まで賞球案内突起561が屈曲状に突設されている。この賞球案内突起561は、軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように後方に向かって突設され、後述する球通路ユニット770を取付けたときに、球通路ユニット770の球落下通路772(図104を参照)に対応するもので、賞球を一列状に誘導するものである。また、賞球案内突起561の左右には、球通路ユニット770をビスで止着するための通路ユニット取付ボス562、及び位置決めするための位置決めピン574が突設されると共に、後述する球切れスイッチ778(図104を参照)に対面するスイッチ対応突起563が突設されている。通路ユニット取付ボス562及び位置決めピン574については、後に詳述する。
更に、左右の立壁560の中流部から下流部にかけて賞球ユニット800の係合部としての鉤状係合部824(図106を参照)と係合する係止部としての係合突片565と、賞球ユニット800のボタン挿通係合穴821(図106を参照)と係合するロック用弾性爪564と、が形成されると共に、賞球ユニット800のスプロケット807の回転軸808(図106を参照)の端部が受入れられる逃げ穴566が形成されている。また、軸支側後面壁546の下方には、払出モータ用逃げ開口部572が形成されており、この払出モータ用逃げ開口部572に賞球ユニット800の駆動モータとしての払出モータ815が臨むようになっている(図71を参照)。そして、賞球ユニット800は、軸支側後面壁546の裏面最下端に形成される係止溝573のその下端を係止して係合突片565及びロック用弾性爪564によって軸支側後面壁546に着脱自在に取付けられるようになっている。この着脱自在の構成については、後に詳述する。
また、軸支側後面壁546の開放側の端部には、そのカバー体1250の開放側の端辺が入り込むカバー体当接溝567が形成されていると共に、カバー体当接溝567の下方に施錠壁569が突設されている。カバー体当接溝567には、カバー体1250の止め穴1253(図74及び図139を参照)に対応する止め穴568が形成されており、これら止め穴1253,568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができるようになっている。また、施錠壁569には、平面視U字状の施錠用突出鉤片570が突設され、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570をカバー体1250に形成される貫通穴1254(図74を参照)を貫通させ、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
以上、遊技盤設置凹部510及び板部511とからなる本体枠主体500の構成について説明してきたが、上記に説明した以外に、板部511の最下端辺部に、扉枠5を閉じたときに、扉枠ベース本体110の下辺を後方に向けて折曲した扉枠突片110d,110e(図25を参照)が挿入される係合溝584,585(図67を参照)が形成されている。係合溝584は、前述した発射装置取付部520の下方に形成される溝であり、係合溝585は、係合溝584の一端から軸支側に向って形成される溝である。なお、係合溝585に対応する扉枠突片110dは、係合溝584に対応する扉枠突片110eの突出量よりも大きくなるように後方に向って突設されている。ただし、開放端下部には、突出量の多い扉枠突片110dが僅かに形成されている。そして、上記した扉枠突片110d,110eと係合溝584,585とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における外側の突条及び係合部を構成するものである。
上記のように板部511には、発射レール515や出口開閉装置579が設けられ且つレール接続部材516や発射装置取付部520が突設形成されているが、発射装置取付部520及び発射レール515の板部511における配置位置が開放側に偏り、しかもそれらが板部511の表面よりも突出して形成されている。このため、扉枠5を閉じた状態において、発射装置取付部520及び発射レール515が配置される板部511の略中央部から開放側にいたる領域は、扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面とが密着した状態となるため、前述した扉枠突片110dと係合溝585との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具を扉枠5の裏面と発射装置取付部520及び発射レール515の前面との間をさらに上手にすり抜けさせて遊技盤4の表面側若しくは遊技盤4の裏面側に到達させることは極めて困難である。
一方、発射装置取付部520及び発射レール515が配置されない板部511の略中央部から軸支側にいたる領域は、板部511の表面に突出した部分がないため、扉枠5を閉じた状態において、扉枠5の裏面と板部511の前面との間に空間586が生じてしまう。このため、前述した扉枠突片110dと係合溝584との隙間を上手にすり抜けてきたピアノ線等の不正具が扉枠5の裏面と板部511の前面との間の空間586を簡単にすり抜けてしまうことができるため、この空間586を不正具が上方に向ってすり抜けないように、扉枠5の裏面下部に取付けられる装着台160には、扉枠5を閉じた状態で空間586に侵入する防犯突片166が形成されている。この防犯突片166は、板部511の略中程から軸支側端部までいたるように装着台160に形成されている。したがって、発射レール515及び遊技盤4に取付けられる外レール602の下方空間は、装着台160に突設される防犯突片166を受入れる防犯空間586を構成している。そして、この防犯突片166と防犯空間586とが扉枠5と本体枠3との下側辺部における内側の突条及び係合部を構成するものである。
本体枠3は、上記したように、遊技盤4、打球発射装置650、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、満タンユニット900、錠装置1000、基板ユニット1100及びカバー体1250が取付けられるが、以下、これらを順次説明する。
[1−3A.遊技盤の概略構成]
遊技盤4の概略構成について図76乃至図89を参照して説明する。図76は、遊技盤4の正面から見た斜視図であり、図77は、遊技盤4の正面図であり、図78は、遊技盤4の背面図であり、図79は、遊技盤4の平面図であり、図80は、遊技盤4に形成される取り外し防止機構部分の拡大斜視図であり、図81は、遊技盤4の取り外し防止機構に対する本体枠側の構造を示す本体枠3の部分斜視図である。また、図82は、遊技盤における前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダを組立てた状態で縦方向に切断して示す断面図であり、図83は、遊技盤を主に構成する前構成部材、遊技パネル、及びパネルホルダ等を分解して斜め前から見た分解斜視図であり、図84は、図83を斜め後から見た分解斜視図である。更に、図85は、盤用基板ホルダに主制御基板ボックスを固定した状態で斜め後から示す斜視図である。図86は、図85を盤用基板ホルダ、ドロワホルダ、及び主制御基板ボックスに分解して斜め後から示す分解斜視図である。また、図87は遊技盤における機能表示ユニットの分解斜視図の概略図である。更に、図88は機能表示シールの概略図であり、図89は遊技窓を介して遊技盤の機能表示シールを見た部分図である。
本実施形態の遊技盤4は、図示するように、透明板状の遊技パネル600と、遊技パネル600を保持し外形が略正方形状のパネルホルダ630と、パネルホルダ630を介して遊技パネル600の前面に遊技領域605を囲むように取付けられる前構成部材601と、前構成部材601の後側に固定される機能表示ユニット640(図87等を参照)と、から構成されている。遊技パネル600の表面には、遊技領域605に各種の遊技装置や多数の障害釘(いずれも図示省略)が植立されている。そして、それらの遊技装置や障害釘が設けられた後に前構成部材601がパネルホルダ630の前面に取付けられるが、その前構成部材601は、遊技領域605の外周を囲むように内部が円形の空洞状に形成され且つ外形がパネルホルダ630の外形に沿った形状に形成されており、その下辺中程から上辺の中心を過ぎた斜め上方までの円弧面が外レール602として形成され、その外レール602の終端に設けられる衝止部620の下部位置から上辺の衝止部620の対称の逆流防止部材604が設けられる位置までが内レール603として形成されている。外レール602は、その始端部に発射レール515の延長状に設けられたレール接続部材516に連接する接続通路部609が斜め状に形成されており、その接続通路部609に隣接してファール口610が形成されている。また、ファール口610の上流端から衝止部620までの外レール602には、金属製のレールが密着して取付けられている。
なお、衝止部620は、勢いよく外レール602を滑走してきた打球が衝突したときに、その衝突した打球を遊技領域605の内側に反発させるようにゴムや合成樹脂の弾性体が設けられるものであり、逆流防止部材604は、一端発射されて遊技領域605の内側に取り入れられた打球が再度外レール602に逆流しないように防止するものである。更に、外レール602の下部一側には、金属製のレールの一部に沿うように防犯突起608が突設されている。この防犯突起608は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー470に突設される防犯後端部突片475と上下方向に重複して本体枠3と扉枠5の軸支側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を防止するものである。
また、内レール603の下部中央には、アウト口606が設けられ、そのアウト口606から逆流防止部材604までの内レール603と外レール602との間は、発射された打球が遊技領域605まで誘導される誘導通路を構成するものであるが、遊技領域605に到達せずに外レール602を逆流した打球はファール口610に取り込まれて後述する満タンユニット900のファール球入口923に導かれて再度皿ユニット300に排出されるようになっている。なお、遊技領域605は、実質的に内レール603によって囲まれる領域である。また、内レール603のアウト口606から衝止部620に向かう途中の前構成部材601には、レール防犯溝607が形成されている。このレール防犯溝607は、扉枠5が閉じられた状態で前述したように防犯カバー470に突設される防犯後突片474の一部が侵入するように溝状に形成されており、このレール防犯溝607と防犯後突片474との凹凸係合により、上下方向に重複して本体枠3と扉枠5における開放側の隙間の中程よりやや下方から挿入されるピアノ線等の不正具の侵入を最終的に防止するものである。
ところで、遊技盤4の一側には、本体枠3に形成される盤位置決め突起576に嵌合する位置決め凹部611が形成され、遊技盤4の他側には、本体枠3に形成される盤止め具挿入穴578に挿入される遊技盤止め具614が設けられている。遊技盤止め具614は、押し込み固定したときにその端部が盤止め具挿入穴578に挿入されるようになっている。而して、遊技盤4を本体枠3に固定するためには、本体枠3の前面側から位置決め凹部611が盤位置決め突起576に嵌合するように斜め方向から差し込んだ後、遊技盤4の全体を本体枠3の第一側面壁540に押し込み、その状態でフリーな状態となっている遊技盤止め具614を押し込み固定してその端部を盤止め具挿入穴578に挿入して固定する。その後、遊技盤固定具519を回動して遊技盤4の下部前面を固定する。これによって遊技盤4を本体枠3に簡単に装着することができる。遊技盤4を取り外すには、上記の手順と逆の手順で取り外せばよい。
また、本実施形態における遊技盤4は、遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを極めて簡単に防止する構成を有している。即ち、図76及び図80に示すように、遊技盤4の下方の通路用切欠部613と反対側の下端部に遊技盤4の前後に貫通する取付用切欠部616を形成し(正確には、前構成部材601に取付用切欠部616が形成されている。)、その取付用切欠部616の下部に水平方向に締結バー617を掛け渡し固定する。締結バー617には、その略中央に締結バンド619を掛け止めるための帯溝状の締結部618が形成されている。一方、本体枠3に設けられる取り外し防止機構としては、前述したように、本体枠3下方の板部511の上端辺にそって形成される遊技盤載置部512であって発射レール515の発射部の上方に対応する位置に上下方向に貫通する締結穴533を形成し、その締結穴533の前方部分に締結バンド619を掛け止めるための締結連杆534が差し渡されている(図81を参照)。
上記のように構成される遊技盤4を本体枠3の遊技盤設置凹部510に収納配置したときには、図80に示すように、締結バー617が遊技盤載置部512に当接して載置した状態になると共に、締結部618と締結連杆534とが一致した状態となる。そして、その状態で締結部618と締結連杆534との一致している部分に対して、締結バー617の上方から一般的に市販されている締結バンド619の先端を取付用切欠部616に差し込んで下方に向けて締結穴533に差し込み前方に導き、その先端を締結バンド619の締結具部分に係合させる。そして、締結バンド619の締結具より前方に飛び出した不必要な先端部分を切断しておく。このようにすれば、締結バンド619を切断しない限り、遊技盤止め具614と遊技盤固定具519等の固定を解除しても、遊技盤4を本体枠3から取り外すことができない。締結バンド619を切断すれば、遊技盤4を本体枠3から取り外すことはできるものの、例えば、締結バンド619をパチンコ店独特のものを使用することにより、異なる締結バンドが締結されていれば、遊技盤4を取り外して何らかの不正行為を行われたことが容易に理解することができるものである。このように極めて簡単な取り外し防止機構により遊技盤4の本体枠3からの不正な取り外しを防止することができる。
また、遊技盤4の外形形状は、その上部左右に切欠部612が形成され、また、ファール口610の側方斜め下に後述する満タンユニット900の前方誘導通路920部分の一部が挿入される通路用切欠部613が形成されている。また、前構成部材601の下方左右には、証明確認用の証紙を貼付する証紙貼付部615が設けられている。更に、前構成部材601の下方右り証紙貼付部615の上側には、機能表示シール649が貼付けられている。
一方、遊技盤4の裏面には、遊技領域605に設けられる各種の遊技装置(例えば、一般入賞口2004,2101、始動口2001,2002、大入賞口2003、等)に入賞した球を下流側に整列して誘導することができる裏箱621の裏面に遊技領域605の略中央に配置される表示装置としての液晶表示装置1400(図151等を参照)の表示を制御する液晶制御基板3181及び周辺制御基板4140が収納される周辺基板ボックス622が取付けられている。
更に、遊技盤4の裏面には、裏箱621の下方に盤用基板ホルダ623が固定されている。この盤用基板ホルダ623は、その前方に裏箱621によって整列誘導された入賞球を集めるように空間部(この空間部は、前後方向の幅が裏箱621の幅よりも比較的広いものとして形成されている。)が形成され、その空間部の底面に落下口629(図75を参照)が形成されている。この落下口629は、アウト口606の後面部分で合流して後述する基板ユニット1100に形成されるアウト球通路1119(図128を参照)に連通するものである。
また、盤用基板ホルダ623には、その裏面に遊技動作を制御する主制御基板4100を収納する主制御基板ボックス624と、後述する基板ユニット1100に設けられる払出制御基板1186や電源基板1136等と接続するための中継端子板625と、が取付けられている。中継端子板625には、遊技盤4を本体枠3に装着するだけで自動的に基板ユニット1100に設けられているドロワコネクタ1200,1202と接続されるドロワコネクタ626,627が備えられている。
更に、盤用基板ホルダ623には、ドロワコネクタ626,627の間から中継端子板625を貫通するように後方に向かって突出する接合案内突起628が形成されている。この接合案内突起628は、後に詳述するように遊技盤4を本体枠3に装着する作業を行ったときに、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627とが自然に接続されるように基板ユニット1100の枠用基板ホルダ1101に形成される接合案内孔1213に挿入される(図128を参照)ものである。なお、これらドロワコネクタの接続については、後に詳述する。
[1−3A−1.前構成部材・遊技パネル・パネルホルダ・パネル裏板]
続いて、遊技盤4における遊技パネル600の保持構造について、主に図82乃至図84を参照して詳細に説明する。本実施形態の遊技盤4は、図示するように、遊技領域605と対応する大きさの透明な合成樹脂からなる板状の遊技パネル600と、遊技パネル600を前方から着脱可能に保持する合成樹脂からなる枠状のパネルホルダ630と、パネルホルダ630の前側に配置され遊技領域605の外周を区画形成すると共に遊技領域605内に遊技球を案内する案内する外レール602及び内レール603を備えた前構成部材601と、パネルホルダ630の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内に配置される板状のパネル裏板635とを主に備えている。
この前構成部材601は、図示するように、その後面側に、後方へ突出する複数の位置決めボス601a及び位置決め突起601bが備えられている。これら位置決めボス601a及び位置決め突起601bは、詳細は後述するが、後側に配置されるパネルホルダ630や盤用基板ホルダ623、及び遊技パネル600と位置決めできるようになっている。
遊技盤4における遊技パネル600は、その外形が遊技領域605よりも若干大きい多角形状とされており、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂等の透明な合成樹脂板により形成されている。なお、遊技パネル600の板厚は、パネルホルダ630よりも薄く、図示しない障害釘を植設しても十分に保持可能な必要最低限の厚さ(8〜10mm)とされている。
この遊技パネル600には、外周近傍に配置され前後方向に貫通する丸孔からなる複数の嵌合孔600aと、左下部の外周近傍に配置され前後方向に貫通し上下方向に延びる長孔600bが夫々備えられている。これら嵌合孔600a及び長孔600bは、遊技領域605よりも外側に配置されており、パネルホルダ630との位置決めを行うものである。また、遊技パネル600には、その上辺の両端と下辺の両端に、前側が窪んだ段状の係合段部600cが夫々備えられている。この係合段部600cは、遊技パネル600の板厚の略半分を切欠いた形態とされると共に、嵌合孔600a及び長孔600bと同様に、遊技領域605よりも外側に配置されており、遊技パネル600をパネルホルダ630へ係合固定するためのものである。
また、遊技パネル600には、所定位置に内レール固定孔600dが複数備えられている。この内レール固定孔600dに内レール603の後側から突出する位置決め突起601bを嵌合固定させることで、内レール603を所定の位置に固定することができるようになっている。
更に、遊技パネル600には、センター役物2300、及びアタッカユニット2000等が備えられるように内形が所定形状で前後方向に貫通する開口部600eが複数形成されている(図159及び図160を参照)と共に、それらを固定するための固定孔が適宜位置に形成されている。なお、これら開口部600eは、遊技パネル600の上下左右方向の外周に対して貫通しないような形状となっており、遊技パネル600の外周が繋がっているので、開口部600eによって遊技パネル600の強度が低下するのを抑制するようになっている。
遊技盤4におけるパネルホルダ630は、遊技パネル600を包含する大きさで外形が略四角形状とされ、従来のパチンコ機の遊技盤における木製合板からなる部材(例えば、遊技盤ベース等)の厚さと略同じ厚さ(本例では、約20mm)とされた熱可塑性合成樹脂からなるものである。このパネルホルダ630には、遊技パネル600を着脱可能に保持し前面側から後方側に向かって凹んだ保持段部630aと、保持段部630aの内側において略遊技領域605と同等の大きさで前後方向に貫通する貫通口630bとを主に備えている。
パネルホルダ630の保持段部630aは、前面からの深さが遊技パネル600の厚さと略同じ深さとされており、保持段部630a内に保持された遊技パネル600の前面がパネルホルダ630の前面と略同一面となるようになっている。また、この保持段部630aは、その前側内周面が、遊技パネル600の外周面に対して所定量のクリアランスC(図82を参照)が形成される大きさとされている。このクリアランスCにより、温度変化や経時変化により相対的に遊技パネル600が伸縮しても、その伸縮を吸収できるようになっている。なお、クリアランスC内にゴム等の弾性部材を詰めても良い。
また、パネルホルダ630には、保持段部630aに保持される遊技パネル600に形成された嵌合孔600a及び長孔600bと対応する位置に配置され、保持段部630aの前面から前方に向かって延び、遊技パネル600の嵌合孔600a及び長孔600bに嵌合及び挿通可能な複数の突出ピン630cを備えている。これらの突出ピン630cを遊技パネル600の嵌合孔600a及び長孔600bに嵌合及び挿通することで、パネルホルダ630と遊技パネル600とを互いに位置決めすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ630には、遊技パネル600の係合段部600cと対応する位置に、係合段部600cと係合する係合爪630d及び係合片630eを供えている。詳述すると、甲82及び図82に示すように、係合爪630dは、パネルホルダ630の上側の保持段部630aに配置されており、遊技パネル600における上側の係合段部600cと対応し、保持段部630aの前面から前方に向かって突出し係合段部600cと弾性係合するようになっている。この係合爪630dは、その先端がパネルホルダ630の前面から突出しない大きさとされている。一方、係合片630eは、パネルホルダ630の下側の保持段部630aに配置され、遊技パネル600における下側の係合段部600cと対応し、保持段部630aの前面との間に遊技パネル600の係合段部600cが挿入可能な大きさの所定の隙間を形成した状態で、パネルホルダ630の前面に沿って上側(中心側)に向かって所定量延びる形態とされている。これら係合爪630d及び係合片630eに遊技パネル600の係合段部600cを係合させることで、遊技パネル600がパネルホルダ630に対して着脱可能に保持されるようになっている。
また、パネルホルダ630には、前構成部材601に備えられた位置決めボス601aを挿通可能な前後方向に貫通するボス挿通孔630fを備えており、このボス挿通孔630fに前構成部材601の位置決めボス601aを挿通することで、パネルホルダ630と前構成部材601とが互いに位置決めされるようになっている。
このパネルホルダ630には、図82及び図84に示すように、その後面側に、上下方向の中央やや下方より下側と外周縁を残すように前側に所定量窪んだ形態の取付支持部630gが備えられている。この取付支持部630gにより、パネルホルダ630の後面は、下端より所定高さまでの所定範囲より上側で、後面側外周部が後方に突出したような状態で窪んだ形態となると共に、その窪み量(深さ)が、取付支持部630gに取付固定される裏ユニット2000の裏箱621のフランジ状の固定部621a(図155を参照)を収容できる深さ(本例では、約2.5mmとされており、1〜3mmの間とすることが望ましい)とされている。この取付支持部630gに所定の部材を取付固定することで、その固定部621aがパネルホルダ630よりも後側に突出するのを防止することができ、パネルホルダ630すなわち遊技盤4をパチンコ機1の遊技盤設置凹部510内に確実に設置装着できるようになっている。
また、パネルホルダ630の後面側には、下端より所定高さまでの所定範囲内で取付支持部630gが形成された位置より下側に形成され、前側に向かって窪み、パネル裏板635を収容可能な収容凹部630hと、この収容凹部630h内に前後方向に貫通するように配置されパネル裏板635に形成された係止爪635cを係止可能な係止部630iとを更に備えている。この収容凹部630hは、パネル裏板635の係止爪635cを係止部630iに係止させることでパネル裏板635を着脱可能に収容すると共に、収容されたパネル裏板635の後面が、パネルホルダ630の後面と略同一面となるように形成されている。
更に、パネルホルダ630には、図82及び図84に示すように、後面側の取付支持部630g内及び収容凹部630hよりも上側に配置され所定のビスを螺合可能な複数の取付孔630jが所定配列で配置されている。また、パネルホルダ630には、取付孔630jと対応するように配置される複数の位置決め孔630kが備えられている。この位置決め孔630kは、取付孔630jを用いて取付固定される部材に形成された位置決め突起(例えば、裏箱621における前面のフランジ状に形成された固定部621aから前方へ突出する位置決め突起(図示は省略する))が挿入されるものである。なお、本例では、位置決め孔630kは、背面視略矩形状(角孔状)の止り孔とされている。
なお、取付孔630jに対して、その孔の内径が大径のものと小径のものとを混在させるようにして、取付固定する所定の部材の大きさや重量等に応じて、適宜径の取付孔630jを用いるようにしても良い。
更に、パネルホルダ630には、少なくとも下端から所定高さまでの所定範囲では後面側に開口する複数の肉抜き部630lが形成されており、肉抜き部630lによりパネルホルダ630の重量が軽減されるようになっている。図83に示すように、収容凹部630hの前側、つまり、パネルホルダ630の前面側の下端から所定高さまでの所定範囲内には、これらの肉抜き部630lが形成されておらず、その範囲内では、パネルホルダ630の前面が略平らな面となるようになっているので、その前面に配置される前構成部材601の接続通路部609の後面が略平らな面となり、打球発射装置650から発射された遊技球が、滑らかに案内されるようになっている。また、このパネルホルダ630は、図示するように、肉抜き部630lが形成されることで、取付孔630j等がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネルホルダ630の強度を維持したりするために、格子状のリブが形成された状態となっている。
なお、このパネルホルダ630には、障害釘植設装置(図示しない)や、組立治具等の位置決め手段に対応した位置決め部630mが形成されており、障害釘植設装置に遊技パネル600を保持した状態でセットできるようになっている。また、パネルホルダ630の下部には、前構成部材601のアウト口606と連通する開口630nと、前構成部材601のファール口610と連通する連通孔630oとが更に備えられている。
次に、パネル裏板635は、パネルホルダ630の後面側で下端から所定高さまでの所定範囲内の肉抜き部630lを覆うように配置されると共に、パネルホルダ630の収容凹部630hに後面同士が略同一面となるように収容可能とされ、平面状の後面に所定配列で配置され所定のビスを螺合可能な複数のビス孔635aと、ビス孔635aと対応するように配置される複数の位置決め孔635bと、パネルホルダ630の係止部630iに係止可能な係止爪635cと、前面側から貫通しないように陥没する減量用の凹陥部635dとを備えている。
なお、このパネル裏板635におけるビス孔635a及び位置決め孔635bは、パネルホルダ630における取付孔630j及び位置決め孔630kと略同じ構成とされている。また、このパネル裏板635もパネルホルダ630と同様に、凹陥部635dにより、ビス孔635a及び位置決め孔635b等が形成された部分がボス状に形成されると共に、それらを支持したりパネル裏板635の強度を維持したりするために、格子状のリブが形成された状態となっている。更に、パネル裏板635には、パネルホルダ630の開口630n、連通孔630o、及びボス挿通孔630fと対応した位置に前後方向に貫通する開口635eが備えられている。
このパネル裏板635は、パネルホルダ630の収容凹部630hに収容させると共に、パネル裏板635の係止爪635cをパネルホルダ630の係止部630iに係止させることで、パネルホルダ630と一体となり、その状態では、パネル裏板635の後面が、パネルホルダ630の後面と略同一面となる。このようにパネルホルダ630とパネル裏板635とを一体化することで、パネルホルダ630の後面側には、貫通口630bの外周側で略全周に亘って所定配列で取付孔630j、ビス孔635a等からなる取付孔と、位置決め孔630k及び635bが配置されることとなり、それら取付孔の存在により、所定の部材を任意の位置に取付固定できるようになっている。
上述したように、本例における遊技パネル600の保持構造によると、前方からパネルホルダ630の保持段部630a内へ遊技パネル600を嵌合挿入して、係合爪630d及び係合片630eと、係合段部600cとを係合させることで、パネルホルダ630に遊技パネル600を保持させることができると共に、遊技パネル600とパネルホルダ630の前面側が略面一となるようになっており、従来より用いられている障害釘植設装置を改造等しなくても遊技パネル600をパネルホルダ630に保持した状態で従前の障害釘植設装置にセットすることが可能となり、障害釘の植設にかかるコストが増加するのを抑制することができるようになっている。
また、遊技領域605を有した遊技盤4を、遊技パネル600、パネルホルダ630、及び前構成部材601に分割するようにしているので、パチンコ機1の機種によって障害釘や入賞口等の位置が変化する遊技パネル600を交換パーツとすると共に、パネルホルダ630及び前構成部材601を共通パーツとすることができ、パネルホルダ630や前構成部材601等をリサイクル可能とすることができると共に遊技パネル600のみを交換するだけで種々の機種に対応可能な遊技盤4を備えたパチンコ機1とすることができるようになっている。
更に、パネルホルダ630に予め複数の取付孔630jが所定配列で備えられているので、機種に応じてパネルホルダ630の後面側に取付固定される裏ユニット2000や盤用基板ホルダ623等の種々の所定の部材の取付固定位置が異なる位置となっていても、各種部材の固定部を取付孔630jの位置と対応させるように設計することで、パネルホルダ630を機種に依存しないパチンコ機1の共通パーツとすることができるようになっている。
なお、本実施形態では、遊技盤4において、遊技領域605の後面を形成する透明な遊技パネル600をパネルホルダ630で保持した形態のものを示したが、従来のパチンコ機と同様に、遊技パネル600をパネルホルダ630と一体とすると共に、ベニア板等の木製合板により形成するようにしても良い。
[1−3A−2.盤用基板ホルダ]
続いて、遊技盤4における盤用基板ホルダ623の詳細な構成について、主に図85及び図86を参考にして説明する。この盤用基板ホルダ623は、パネルホルダ630の後側に取付固定されるものであり、図示するように、前方及び上方が開放された箱状とされ、その底部が左右方向の略中央で前側に向かって低くなるように傾斜しており、遊技パネル600の後側に排出された遊技球を受け取った上で、左右方向の略中央から下方へ排出することができるようになっている。この盤用基板ホルダ623の後面には、主制御基板ボックス624を取付けるための主制御基板ボックス取付部623aが形成されていると共に、主制御基板ボックス取付部623aの横(背面視で右側)に主制御基板ボックス624に備えられた封止部624aと対応する被封止部623bが形成されている。また、盤用基板ホルダ623の後面には、中継端子板625及びドロワコネクタ626,627を支持するドロワホルダ636が固定されている。
本例の主制御基板ボックス624は、盤用基板ホルダ623の後面の主制御基板ボックス取付部623aに支持されると共に、主制御基板ボックス624の封止部624aが主制御基板ボックス取付部623aの横の被封止部623bへ封止されるようになっている。そして、この状態で主制御基板ボックス624を盤用基板ホルダ623から取り外す場合、主制御基板ボックス取付部623aの被封止部623bに開封痕が残るようになっており、主制御基板ボックス624が不正に取り外されたか否かが目視で判るようになっている。
[1−3A−3.機能表示ユニット]
まず、本実施形態のパチンコ機1における機能表示ユニットは、図87に示すように、機能表示基板640a、カバー部材640bを備えいる。この機能表示基板640aは、図示するように、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12を備えおり、セグメント表示器SEG1には第一特別図柄表示器641が割り当てられ、セグメントSEG2には第二特別図柄表示器642が割り当てられている。セグメント表示器SEG1,SEG2は、英数字及び図形等を表示することができるようになっており、これらの英数字及び図形等を特別図柄として表示することによって、後述するアタッカユニット2000の第一始動口2001に遊技球が入賞すると、セグメント表示器SEG1が所定の特別図柄を変動表示し、第二始動口2002に遊技球が入賞すると、セグメント表示器SEG2が所定の特別図柄を変動表示するようになっている。
また、LED1には第一特別図柄記憶ランプ643a、LED2には第一特別図柄記憶ランプ643bが夫々割り当てられ、LED3には第二特別図柄記憶ランプ644a、LED4には第二特別図柄記憶ランプ644bが夫々割り当てられている。第一始動口2001へ入賞した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入賞した遊技球の球数を保留数として第一特別図柄記憶表示器643が点灯又は点滅するようになっている。具体的には、保留球(始動記憶)が1球のときには第一特別図柄記憶ランプ643aが点灯して第一特別図柄記憶ランプ643bが消灯し、保留球が2球のときには第一特別図柄記憶表示器643がともに点灯し、保留球が3球のときには第一特別図柄記憶ランプ643aが点滅して第一特別図柄記憶ランプ643bが点灯し、保留球が4球のときには第一特別図柄記憶表示器643がともに点滅する。一方、第二始動口2002へ入賞した遊技球は、特別図柄の変動表示で使用されないときには、入賞した遊技球の球数を保留数として第二特別図柄記憶表示器644が点灯又は点滅するようになっている。具体的には、保留球(始動記憶)が1球のときには第二特別図柄記憶ランプ644aが点灯して第二特別図柄記憶ランプ644bが消灯し、保留球が2球のときには第二特別図柄記憶表示器644がともに点灯し、保留球が3球のときには第二特別図柄記憶ランプ644aが点滅して第二特別図柄記憶ランプ644bが点灯し、保留球が4球のときには第二特別図柄記憶表示器644がともに点滅する。
更に、LED5には普通図柄表示器645が割り当てられている。LED5は赤色/緑色/橙色を点灯することができるLEDであり、これらの赤色/緑色/橙色を組み合わせて点灯することもできるようになっている。LED5は、その点灯する色を普通図柄として表示することによって、後述するゲート部材2200のゲート2201を遊技球が通過すると、所定の普通図柄が変動表示するようになっている。
また、LED6〜LED9には普通図柄記憶表示器646が夫々割り当てられている。ゲート2201を通過した遊技球は、普通図柄の変動表示で使用されないとき(普通図柄表示器645にて普通図柄の変動表示を実行しているとき及び羽根2337を開閉動作させているときにゲート2201を通過したことにより即座に普通図柄の変動表示に使用されない遊技球)には、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶表示器646が点灯するようになっている。具体的には、保留球が1球のときには普通図柄記憶ランプ646aが点灯して普通図柄記憶ランプ646b〜646dが消灯し、保留球が2球のときには普通図柄記憶ランプ646a,646bが点灯して普通図柄記憶ランプ646c,646dが消灯し、保留球が3球のときには普通図柄記憶ランプ646a〜646cが点灯して普通図柄記憶ランプ646bが消灯し、保留球が4球のときには普通図柄記憶表示器646がすべて点灯する。
また、LED10には遊技状態表示器647が割り当てられている。LED10は赤色/緑色/橙色を点灯することができるLEDであり、これらの赤色/緑色/橙色を組み合わせて点灯することもできるようになっている。LED10は、その点灯する色を遊技状態として表示することによって、遊技状態が確率変動又は小当りが生じている旨を報知するようになっている。
更に、LED11には第1セキュリティランプ648a、LED12には第2セキュリティランプ648bが夫々割り当てられている。これらのセキュリティランプは、遊技機に何らかのセキュリティ異常が発生したことを報知するようになっている。
このように、機能表示基板640aに実装された、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12は、第一特別図柄表示器641、第二特別図柄表示器642、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648が夫々割り当てられており、各種機能表示を行う、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12、つまり第一特別図柄表示器641、第二特別図柄表示器642、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、セキュリティ648が機能表示基板640aに集約された構成になっている。また、これらのLED1〜LEDは、遊技機の仕様によって異なる機能が割り当てられても良く、例えば、大当たりに当選した場合に、大入賞口2003が開放される回数(ラウンド数)を報知するラウンド表示ランプが割り当てられても良い。
また、第一特別図柄表示器641及び第二特別図柄表示器642は、大当たり遊技状態を特別図柄として夫々変動表示するため、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648と区別して、それらに割り当てられるLED1〜LED12と異なるセグメント表示器SEG1,SEG2を用いて、英数字及び図形等を特別図柄として変動表示している。
なお、普通図柄記憶表示器646に割り当てられるLED6〜LED9の数と、セキュリティ表示器648に割り当てられるLED11,LED12の数と、の和が固定値6となっている。
ところで、機能表示基板640aは、カバー部材640bに図示しないネジで固定され、カバー部材640bが遊技盤4の前構成部材601の裏面から図示しないネジで取付けられるようになっている。前構成部材601には、機能表示基板640aのセグメントSEG1,SEG2に対応する位置にセグメント表示器用開口601cが形成されており、これらのセグメント表示器SEG1,SEG2が表示する内容を視認できるようになっている。
また、前構成部材601には、図87にも示すように、機能表示基板640aのLED1〜LED12に対応する位置にLED用挿通孔601dが夫々設けられており、カバー部材640bを前構成部材601の裏面に取付ける際に、LED1〜LED12が遊技盤4と干渉しないようになっている。これらのLED用挿通孔601dは、LED1〜LED12の点灯又は点滅した光が隣接するLEDの点灯又は点滅した光と誤認されないように円筒状に形成されている。なお、セグメント表示器SEG1,SEG2が表示する内容、LED1〜LED12が点灯又は点滅して表示する内容は、後述する機能表示シール649に印刷されている。前構成部材601には、機能表示シール649を貼り付ける機能表示シール貼付部601eが形成されている。なお、機能表示シール貼付部601eには凹部601fが形成されている。この凹部601fにマイナスドライバ等の工具を挿入して貼り付けた機能表示シール649を剥がし易くしている。ここで、機能表示シール649を剥がし易くするために機能表示シール649に突出部を設けることも考えられるが、扉枠5を本体枠3から開閉する際に、その突出部が何らかの原因によって引っ張られて機能表示シール649が機能表示シール貼付部601eから剥がれるおそれがある。そこで本実施形態では、機能表示シール貼付部601eに凹部601fを形成することによって、扉枠5を本体枠3から開閉する際に、機能表示シール649が機能表示シール貼付部601eから剥がれないようにしている。
[1−3A−4.機能表示シール]
次に、遊技機4における機能表示シール649は、図88に示すように、その表面に機能表示ごとにグループGrp1〜Grp3にグループ化等されて印刷されており、遊技盤4の非遊技領域である前構成部材601に形成された機能表示シール貼付部601eに貼り付けられている。
グループGrp1は、図88に示すように、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643から構成されており、これらの第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643を視認できる実線SL1で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されている。実線SL1で囲まれた領域は、第一特別図柄表示器641による表示や第一特別図柄記憶表示器643による点灯又は点滅を視認できるように、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643と対応する位置が透明となっている。グループGrp1では、第一始動口2001への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を表示する。例えば、第一始動口2001へ始動入賞すると、第一特別図柄表示器641が所定の特別図柄を変動表示したり、入賞した遊技球の球数を保留数として第一特別図柄記憶表示器643が点灯又は点滅したりする。このように、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643を1つのグループGrp1にグループ化することによって、これらの第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643が第一始動口2001への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL1で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されたグループGrp1を目視することによって第一始動口2001への遊技球の始動入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
一方、グループGrp2は、図88に示すように、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644から構成されており、これらの第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644を視認できる実線SL2で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されている。実線SL2で囲まれた領域は、第二特別図柄表示器642による表示や第二特別図柄記憶表示器644による点灯又は点滅を視認できるように、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644と対応する位置が透明となっている。このグループGrp2では、第二始動口2002への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を表示する。例えば、第二始動口2002へ遊技球が始動入賞すると、第二特別図柄表示器642が所定の特別図柄を変動表示したり、入賞した遊技球の球数を保留数として第二特別図柄記憶表示器644が点灯又は点滅したりする。このように、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644を1つのグループGrp2にグループ化することによって、これらの第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644が第二始動口2002への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL2で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されたグループGrp2を目視することによって第二始動口2002への遊技球の入賞による特別図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
また、グループGrp3は、図88に示すように、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646から構成されており、これらの普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646を視認できる実線SL3で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されている。実線SL3で囲まれた領域は、普通図柄表示器645による点灯や普通図柄記憶表示器646による点灯を視認できるように、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646と対応する位置が透明となっている。普通図柄表示器645は、上述したように、羽根2337の開閉の有無を所定の普通図柄として変動表示し、羽根2337が閉状態から開状態となると、遊技球が第二始動口2002へ入賞し易くなる。このため、普通図柄表示器645には、第一特別図柄表示器641、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄表示器642、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648と見分けが付くように星印が印刷されている。このグループGrp3では、ゲート2201に関する各種情報を表示することもできるようになっている。例えば、ゲート2201を遊技球が通過すると、普通図柄表示器645が所定の普通図柄を変動表示したり、通過した遊技球の球数を保留数として普通図柄記憶表示器646が点灯したりする。このように、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646を1つのグループGrp3にグループ化することによって、これらの普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646が普通図柄の変動表示に関する各種情報を示していることを遊技者に伝えることができる。これにより、遊技者は、実線SL3で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されたグループGrp3を目視することによって普通図柄の変動表示に関する各種情報を容易に確認することができる。
更に、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648と対応する位置には、図88に示すように、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648が視認できる実線SL4〜SL6で夫々囲まれた状態で区画されて印刷されている。実線SL4〜SL6で囲まれた領域は、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648による点灯を視認できるように、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648と対応する位置が透明となっている。
なお、本実施形態では、上述したように、グループGrp1〜グループGrp3は実線SL1〜SL6で囲まれた状態で区画されて機能表示シール649に印刷されており、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648と対応する位置は遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648が視認できる実線SL4〜SL6で夫々囲まれた状態で区画されて印刷されている。
このように、機能表示シール649は、図87に示した機能表示基板640aに集約して実装された、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12の機能がグループGrp1〜Grp3等のようにグループ化されてその内容が印刷されており、区画されている。また普通図柄表示器645等には星印が印刷されており、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12が表示する内容が、機能表示シール649に集約して印刷されても、それらの意味を容易に理解することができるようになっている。
このような機能と印刷された内容との対応関係が、図88に示すように、シール管理番号649aとして機能表示シール649に印刷されている。このシール管理番号649aは、図88及び図89に示すように、扉枠5を本体枠3に閉じた際に、遊技窓101を介して遊技窓101から視認し難い位置に印刷されており、遊技者に必要ではない情報を伝えないようになっている。また、機能表示シール貼付部601eに設けた凹部601fも、図88及び図89に示すように、扉枠5を本体枠3に閉じた際に、遊技窓101を介して視認し難い位置に形成されており、凹部601fを遊技者に視認し難くしている。
また、シール管理番号649aは、パチンコ機1を製造するメーカの作業者が、パチンコ機1を組み立てる際に、誤って別仕様の機能表示シールを取付ける作業ミスを防止するためのものである。また、シール管理番号649aは機能表示シール649の在庫管理にも用いられており、グループGrp1〜グループGrp3等の態様がシール管理番号649aに紐付けされて管理されている。これにより、シール管理番号649aを調べると、シール管理番号649aに対応する機能表示シール649の在庫が分かるようになっている。
ここで、近年のパチンコ機は、そのライフサイクルの短縮化にともないパチンコ機の開発期間も短くなってきている。このため、本実施形態では、例えば、大入賞口2003が閉鎖状態から開放状態となる回数(ラウンド)が2回、15回である旨を点灯して報知する2ラウンド表示ランプ、15ラウンド表示ランプを追加する場合、始動口の数を2つから1つに減らす場合等によるパチンコ機1の仕様変更には、共通の機能表示基板640aを使用することで対応することができるようになっている。このようなパチンコ機1の仕様変更にともない機能表示シールに印刷する内容も変更するため、上述した、セグメント表示器SEG1,SEG2、LED1〜LED12の機能と、機能表示シールに印刷された内容と、の対応関係を、シール管理番号として機能表示シールに印刷している。これにより、例えばパチンコ機1の製造元では、ラインの作業者が遊技盤4に機能表示シール649を貼り付ける前に、パチンコ機1の仕様と機能表示シール649とが対応しているか否かを、シール管理番号649aを目視することによって確認することができ、パチンコ機1の仕様に対応しない機能表示シール649が貼り付けられるのを防止することができる。なお、機能表示シール649はシールであり、接着剤などを機能表示シール649の裏面等に塗る作業工程がなく、生産性の向上に寄与している。
[1−3B.打球発射装置]
次に、打球発射装置650について図90乃至図95を参照して説明する。図90は、打球発射装置650の全体の斜視図(A),発射モータ部分を取り外した状態の斜視図(B)であり、図91は、打球発射装置650の分解斜視図であり、図92は、打球発射装置650と発射レール515との関係を示す正面図(A),発射モータ部分の斜視図(B)であり、図93は、操作ハンドル部410を操作していない状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図94は、操作ハンドル部410を操作している状態における打球発射装置650と発射レール515との関係を示す背面図であり、図95は、打球発射装置650に設けられるスライド部材710の平面図(A),正面図(B),正面から見た斜視図(C),正面図(B)のA−A断面図(D)である。
打球発射装置650は、発射ベース枠651に打球槌687を回動自在に軸支すると共に、その打球槌687に往復回動を付与する発射モータ695を発射ベース枠651に取付け、さらに打球槌687に復帰する付勢力を付与する付勢バネ684の付勢力を調節するスライド杆677及びスライド部材710が発射ベース枠651に設けられることにより構成される。
より詳細に説明すると、図91に示すように、発射ベース枠651は、合成樹脂によって横長な長方形状に成型されるものであり、その略中心に打球槌687の軸受689が嵌合される軸受筒652が形成され、その上部及び側方に打球槌687の発射原点位置を規制するゴムストッパー部材653,654が取付け固定されている。即ち、ゴムストッパー部材653,654は、打球槌687が付勢バネ684の付勢力により発射原点位置に戻ったときに打球槌687の衝撃を受け止めるものである。また、発射ベース枠651の後方(発射レール515の下方に対応する部位の反対側)の上方に横長細溝状のスライド案内孔655が形成され、そのスライド案内孔655の下方にスライド部材収納空間656が形成されている。
このスライド案内孔655は、後述するスライド杆677の後端上部に突設される案内係止片678が挿入されてスライド杆677のスライド移動を案内するものであり、スライド部材収納空間656には、スライド部材710が左右方向に移動可能に収納されるものである。なお、スライド杆677の前方部分のスライド案内は、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682によって発射ベース枠651に形成される止め穴662に止着される案内ブッシュ681を貫通させることにより行われる。また、スライド部材収納空間656の底面には、図92に示すように、長方形状の連結開口664が形成されている。
また、発射ベース枠651の上辺の前方部分には、発射ベース枠651の本体に対して庇部が形成されており、軸受筒652の上方の庇部に作動片用開口657が穿設されている。この作動片用開口657には、扉枠5の皿ユニット300の下流側の打球供給口171b(図18を参照)に臨んで設けられている球送り部材172(図18を参照)の錘173と当接する作動片658が作動片用開口657の開口縁の後方上部に突設されている取付部660に止めピン659によって揺動自在に設けられるものである。作動片658は、「て」字状に形成され、その上辺の後端部が止めピン659によって軸支され、その軸支部から下方の円弧部に打球槌687と一体的に回動するベース板690に突設される作動片当接部693と当接し、打球槌687の往復動作に連動して上辺部が球送り部材172を揺動させ、球送り部材172の揺動動作により打球供給口171bから流出する打球を1個ずつ発射レール515の発射位置に供給するようになっている。
更に、発射ベース枠651には、発射モータ695を内蔵するモータカバー694を止着するためのモータ取付ボス661が後方下部に2箇所と前方上部に1箇所の合計3箇所に突設されていると共に、スライド部材収納空間656の下部後方にスライド杆677をスライドさせるためにスライド部材710と連結される揺動片672の下端の軸穴673が挿入される揺動片用ボス663が突設されている。
上記した発射ベース枠651には、打球発射装置650の剛性を高めるために金属プレート665が略密着するように取付けられている。このため、金属プレート665には、軸受筒652、下方のゴムストッパー部材653、スライド案内孔655、案内ブッシュ681、及び揺動片用ボス663に夫々対応する貫通孔666,667,668,669,671が形成されていると共に、スライド部材710の連結凸部712が貫通する横長楕円状の貫通孔670も貫通されている。上記のように構成される金属プレート665は、スライド部材710をスライド部材収納空間656に収納した後、夫々の貫通孔666〜671がそれに対応する部材652,653,655,681,712,663を貫通あるいは一致させるように発射ベース枠651に密着させてビス止めすることにより発射ベース枠651に固定されるものである。
金属プレート665が取付けられた発射ベース枠651の揺動片用ボス663の先端部分が貫通孔671から頭を出しているが、その頭の部分に揺動片672の軸穴673が挿通されて、揺動片672が下端を中心にして揺動自在に軸支される。揺動片672は、図91に示すように、縦長杆状に形成され、その下端に軸穴673が形成され、その中程にスライド部材710の連結凸部712が挿入されるやや縦長穴形状の連結穴674が形成されている。そして、その連結穴674より上方の前方面がスライド杆677の一端(後端)と当接する当接部675となっている。しかして、揺動片672を揺動片用ボス663に挿通し、且つ貫通孔670から頭を出しているスライド部材710の連結凸部712に連結穴674を挿入してワッシャ付きピン676を連結凸部712に止着することにより、揺動片672が発射ベース枠651に取付けられる。そして、取付けられた揺動片672は、スライド部材710のスライドに伴って下端を中心にしてその上方部分が揺動するようになっている。
また、金属プレート665の上部前面には、横長杆状のスライド杆677が左右方向にスライド可能に取付けられる。即ち、スライド杆677の後方上部に突設されるL字状の案内係止片678を金属プレート665の貫通孔668に貫通係合させ、スライド杆677の前方に形成される案内長孔680に止めネジ682を有する案内ブッシュ681を貫通させて止めネジ682を止め穴662に止着する。上記した案内係止片678と貫通孔668、及び案内長孔680と案内ブッシュ681とにより、スライド杆677が金属プレート665を介して発射ベース枠651にスライド可能に装着される。また、スライド杆677には、その一端(後端)に上述した揺動片672の当接部675と当接する被当接部679が形成され、その他端(前端)に付勢バネ684の一端の係止輪685を掛け止めるためのバネ係止部683が突設されている。
金属プレート665が取付けられた発射ベース枠651の軸受筒652が貫通孔666から突出しているが、その軸受筒652には、打球槌687の軸受689が抜け落ちないように嵌合されている。軸受689の軸には、打球槌687の下端部が固着されると共に同時にベース板690が固着される。ベース板690には、その前方裏面側に作動片658と当接する作動片当接部693が突設され、その前方前面に付勢バネ684の他端の係止輪686を掛け止めるためのバネ係止部692が突設され、さらにその後方前面に発射モータ695のモータカム697と係脱するモータ当接突片691が突設されている。打球槌687の上端には、合成樹脂製の槌先688が固着されており、この槌先688が発射レール515の下端部とその上方に固着される発射位置ストッパー702とによって形成される発射位置に突入するように臨んでいる。
一方、発射ベース枠651の前述したモータ取付ボス661には、モータカバー694に収納された発射モータ695が取付けられる。より具体的には、図92(B)に示すように、モータカバー694は、内部に発射モータ695を収納するように形成された円筒部と、円筒部の前方に拡大してモータ取付ボス661に取付けるための取付固定穴699が形成される取付部と、が一体的に形成され、円筒部の内部に収納される発射モータ695のモータ軸696の先端に逆回転防止カム698とモータカム697とが固定されている。
この逆回転防止カム698の外周には、多数の逆歯が形成されており、ストッパー片取付ボス701に揺動自在に固定されるストッパー片700(図93を参照)と係合して発射モータ695の逆方向の回転を防止している。これは、モータカム697が逆方向に回転してモータカム697とモータ当接突片691とが噛み合って打球発射装置650が駆動できなくなる故障が発生しないように防止するためである。また、モータカム697は、勾玉状に形成されており、発射モータ695の回転に伴いモータ当接突片691と係脱しながら打球槌687を往復動作させる。なお、モータカバー694をモータ取付ボス661に取付けたときには、図90(A)に示すように、打球発射装置650の主たる構成が後面から見て被覆されたような状態となっている。
ところで、前述したスライド部材収納空間656に収納されてスライド移動するスライド部材710は、図95に示すように、後方が開放した直方体状に形成され、その前面に楕円形状の楕円凸部711が突設され、更に、楕円凸部711の後方位置に円形状の連結凸部712が突設されている。また、上面及び下面には、スライド部材収納空間656内をスライドし易いように断面円弧状のスライド用当接突部713がその両端に突設されている。一方、直方体状に形成されるスライド部材710の空間は、扉枠5の裏面下部に設けられるジョイントユニット180のスライド突片183が挿入される挿入空間714となっている。
そして、この挿入空間714は、スライド方向前方の側壁手前側に第一傾斜面715が形成されると共に、その第一傾斜面715のやや後方寄りに上面及び下面の内側から内部に向かって突設され且つ相互の先端間に所定の間隔が形成される挟持片716が形成されている。挟持片716の手前側にも奥に向かって側方視でハ字状に傾斜する第二傾斜面717も形成されている。しかして、スライド突片183が挿入空間714に挿入された状態では、図95(B)に示すように、スライド突片183の傾斜辺183a側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態となっている。なお、スライド部材710の挿入空間714の側方に空間部718が形成されているが、この空間部718は、特に機能を奏しているわけではない。
而して、上記のように構成されるスライド部材710は、スライド部材収納空間656に収納された状態で、図92(A)に示すように、スライド部材収納空間656の底面に形成される楕円形状の連結開口664に挿入空間714が臨むように形成されていると共に、スライド部材710がスライド部材収納空間656の一方の空間内壁に当接した状態(図92(A)では左の空間内壁に当接しているように図示されているが、通常の状態では右の空間内壁に当接した状態となっている。)となっている。
そこで、まず、スライド部材710と打球発射装置650の付勢バネ684の強弱を調整する関係について説明すると、スライド部材710がスライド部材収納空間656の内部の初期位置(図92(A)において右の空間内壁に当接した位置)にあるときには、図93に示すように、スライド部材710の連結凸部712に連結された揺動片672が略垂直状態となっている。このため、揺動片672と当接しているスライド杆677も付勢バネ684の付勢力により一方向(図93において左側方向)に付勢された状態で揺動片672の当接部675とスライド杆677の被当接部679とが当接した状態となっている。この状態では、付勢バネ684が張力されていないので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動しても、打球槌687の復帰力も弱く、発射位置にある打球が弾発されても遊技盤4の遊技領域605に到達することはない。
一方、スライド部材収納空間656の内部をスライド部材710が初期位置から他方方向に移動したとき(図92(A)において左の空間内壁方向に向かって移動したとき)、図94に示すように、揺動片672が下端の軸穴673を軸として揺動して傾動するため、当接部675と被当接部679との当接によりスライド杆677が他方向(図94において右側方向)に向かってスライド移動する。すると、スライド杆677のバネ係止部683に係止されている付勢バネ684も張力されて伸びた状態となる。この状態では、付勢バネ684が張力されているので、打球槌687が発射モータ695の回転に従動して往復回動したときの打球槌687の復帰力が強くなり、発射位置にある打球が強く弾発されて遊技盤4の遊技領域605に到達する。そして、この打球の弾発力の強弱は、スライド部材710のスライド部材収納空間656内でのスライド量に応じて調整することができる。
上記したように、スライド部材710を移動させることにより、打球発射装置650による弾発力を調整することができるが、このスライド部材710の移動は、前述したハンドル装置400の操作ハンドル部410の回動操作部材414の回動操作に応じて移動するジョイントユニット180のスライド体182の移動と連動するようになっている。この点について図60等を参照して説明する。
前述したように、ハンドル装置400の操作ハンドル部410の回動操作部材414を回転させることにより、回転軸415の先端に固着される勾玉状のカム416も回転するため、ジョイントユニット180のスライド体182がジョイントユニット装着凹部110cの内部を一方向に向かってスライド移動する。このため、スライド体182の前面に突設されるスライド突片183も同じ方向にスライド移動することになる。スライド体182のスライド突片183は、扉枠5を本体枠3に対して閉じた状態では、本体枠5の発射装置取付部520に形成される連結開口664を貫通してスライド部材710の挿入空間714に挿入されるようになっている。この場合の挿入状態は、前述したようにスライド突片183の傾斜辺183a側の一端辺がスライド方向前方の側壁に当接した状態で且つ上下の挟持片716の間に挿入された状態である。したがって、スライド突片183が一方向に向かってスライド移動すると、スライド部材710も同一方向に向かってスライド移動することになる。このとき、前述したように、スライド部材710のスライド移動に伴ってスライド杆677もスライド移動するので、付勢バネ684の付勢力を調整することができる。つまり、ハンドル装置400の回動操作部材414を回動操作することにより、打球発射装置650の打球の弾発力を調整することができるものである。
ところで、本実施形態においては、ハンドル装置400が扉枠5に設けられ、打球発射装置650が本体枠3に設けられているので、扉枠5を開閉する毎にハンドル装置400のスライド突片183と打球発射装置650のスライド部材710とが連携したり離れたりすることになる。しかし、本実施形態においては、上述したように、本体枠3に対して扉枠5を閉じることにより、スライド突片183がスライド部材710の挿入空間714に自動的に挿入されてハンドル装置400と打球発射装置650とが連携され、逆に、本体枠3に対して扉枠5を開放することにより、スライド突片183が挿入空間714から離れてハンドル装置400と打球発射装置650とを分離することができるので、極めて簡単に扉枠5の開閉に伴ってハンドル装置400と打球発射装置650との連携・分離を行うことができる。特に、スライド突片183が挿入空間714に挿入される際には、スライド突片183の位置が上下方向に多少ずれていても、挿入空間714内に突設される挟持片716の第二傾斜面717によってスライド突片183がスムーズに挟持位置に挿入されるようになっている。
また、時として、操作ハンドル部410の回動操作部材414に遊技者が詰め物を詰めてある程度回動した位置で固定している場合があるが、遊技場の店員がその詰め物を知らずに扉枠5を開閉する場合がある。このような場合でも、扉枠5を開放する場合には、単にスライド突片183が挿入空間714から離れるだけであるので問題はないが、扉枠5を閉める場合に、スライド突片183の位置が多少一方向にずれた状態となっているものの、スライド突片183の傾斜辺183aとスライド部材710の第一傾斜面715との協働作用により、扉枠5の閉止動作に伴ってスライド部材710を一方向に移動させながら最終的にスライド突片183とスライド部材710とが係合するようになっている。つまり、本実施形態においては、操作ハンドル部410の回動操作部材414がどのような回動位置で固定されていても、操作ハンドル装置400と打球発射装置650との連携を行うことができるものである。
[1−3C.賞球タンク]
次に、本体枠3の裏面上部に取付けられる賞球タンク720について、主として図96を参照して説明する。図96は、賞球タンク720の斜視図(A)、平面図(B)、側面図(C)である。賞球タンク720は、前述したように、本体枠3の裏面上部に形成されるタンク取付溝550(図70を参照)に着脱自在に取付けられるものである。しかして、賞球タンク720は、長方形状の箱状に形成され、パチンコ機1の正面側から見て、その前面壁721に切欠部729が形成され、その底面が上流側壁724から下流側壁723に向かって傾斜する第一傾斜底面726と前面壁721から次に説明する排出口730に向かって傾斜する第二傾斜底面727とによって貯留部728が形成されている。
また、その第二傾斜底面727の傾斜下端に排出口730が形成されるが、この排出口730は、パチンコ機1の正面側から見て賞球タンク720の後面壁722よりも外側に突出するように下流側壁723と後面壁722とをコ字状に連結する排出口突出壁725に囲まれるように形成されている。また、賞球タンク720の前面壁721の両端外側には、タンク取付溝550と係合する取付鍔部733が形成されていると共に、賞球タンク720の底面の裏面側に本体枠3の第四側面壁543に載置当接する載置当接片731,732が突設され、さらに、賞球タンク720の上流側の後面壁722の下部に後述する球ならし部材744を取付けるための球ならし取付軸735が突設されている。また、排出口730を除く賞球タンク720の後面壁722及び上流側壁724には、球の跳ね飛びを防止するための溢れ防止部材734が着脱自在に取付けられるようになっている。
上記のように構成される賞球タンク720においては、本体枠3のタンク取付溝550に対して取付鍔部733を上方から差し込むように取付け、載置当接片731,732を本体枠3の第四側面壁543に当接させる。これによって、賞球タンク720が本体枠3の裏面側上部に載置して取付けられるが、この取付けられた状態においては、図74に示すように、前面壁721の切欠部729を介して貯留部728と本体枠3の裏面に形成された逃げ凹部551とが連通し、また、図4に示すように、排出口730が次に説明するタンクレール部材740の上流端部に臨むようになっている。したがって、賞球タンク720において、球を貯留する貯留部728(第一傾斜底面726及び第二傾斜底面727に対応する貯留空間部分)の前後方向の幅は、本体枠3の第二側面壁541〜第四側面壁543までの前後方向の幅と略同じとなるように形成されると共に、それらの側面壁541〜543までの上部に載置されるようになっている。
また、前述したように、本体枠3の第一側面壁540〜第四側面壁543は、遊技盤4の周辺部の後方突出空間を覆うように深く形成されているので、その側面壁541〜543の上部に載置される賞球タンク720の貯留部の深さは、従来の貯留タンクにくらべて浅く形成されているものの、賞球が貯留されて重量が増加しても賞球タンク720の全体を本体枠3の側面壁542〜543で支持しているので、傾斜底面726,727が変形することなく貯留された球をスムーズに排出口730に導くことができる。また、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているため、貯留部728に貯留された球の流れが第二傾斜底面727から外側に向かって流れるように構成されている。このため、従来のように傾斜底面の一部に開口を設けて排出口としていた賞球タンクに比べて、排出口近傍の貯留部に球詰まり解消のための球崩し突部を突出形成することなく球詰まりが発生し難い構造とすることができる。
そして、本実施形態においては、前述したように、遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に賞球タンク720の貯留部が載置された状態で、しかも、賞球タンク720の排出口730が貯留部の後面壁722よりも外側に突出して設けられているため、タンクレール部材740が賞球タンク720の貯留部の外側(パチンコ機1の正面から見て奥側)に位置して、タンクレール部材740と賞球タンク720の貯留部728とが上下方向に重複しない位置となっているので、遊技盤4の裏面に設けられる遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上辺を本体枠3の上辺に近い位置で後方に向って突出させることができ、これにより、遊技装置の後方突出部が遊技盤4の上辺部で突出していても後側面壁541〜543の内部に楽に収納することができる。
更に、賞球タンク720の貯留部728が遊技装置の後方突出部を収納する後側面壁541〜543の上部外側に載置されているか否かに関係なく、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているという構成だけで従来の賞球タンクにはない独特の効果を奏するものである。これについて図97を参考にして説明する。図97は、従来の賞球タンク(A),(B)と本実施形態に係る賞球タンク(C)との排出口部分における球の圧力状態を示す平面図である。図において、通常時、賞球タンク720に貯留される球は、賞球タンク720の貯留部に貯留されて滞留した状態となっている。この場合、従来の賞球タンクのように貯留部の傾斜底面の一部を開口して排出口730Aを形成している場合、例えば、図97(A)に示すように、球崩し突部736Aと反対側に排出口730Aが形成された賞球タンクや、図97(B)に示すように、球崩し突部736Bに隣接して排出口730Bが形成されている場合には、排出口730A,730Bの部分では、貯留された球の圧力とその圧力に基く賞球タンクの側壁からの反作用により、常に排出口730A,730B部分に四方から球圧がかかった状態となっている。
このため、たまたま球の重合具合によって球同士の圧力が釣り合い、下流側の球が流れ出ても、排出口730A,730B部分で球噛み状態が発生し球詰まりが発生することがあった。これに対し、本実施形態に係る賞球タンク720では、排出口730が賞球タンク720の後面壁722から外側に外れた位置に設けられているので、図97(C)に示すように、排出口730部分における貯留された球の圧力は、貯留部から排出口730方向に向かう作用力とその反作用だけの二方向からの圧力であり、従来のように四方から圧力を受けるわけではない。このため、下流側の球が流れ出ても、排出口730部分における球噛み状態が発生し難く、球詰まりが発生しないという優れた効果を奏することができる。
[1−3D.タンクレール部材]
続いて、上記した賞球タンク720の下方に配置されるタンクレール部材740について主として図98乃至図100を参照して説明する。図98は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の背面側から見た斜視図であり、図99は、賞球タンク720、タンクレール部材740、球通路ユニット770、賞球ユニット800、及び満タンユニット900の関係を示すパチンコ機1の正面側から見た斜視図であり、図100は、タンクレール部材740の下流部と球通路ユニット770の上流部との関係を示す断面図(A)と平面図(B)である。
タンクレール部材740は、前述したように、本体枠3の上後面壁545のレール係止溝553,554(図70を参照)に着脱自在に取付けられるものである。そのため、タンクレール部材740には、その後面側の側面の左右辺及び下辺にレール係止溝553に上から差し込まれる複数の係止突片749が突設されると共に、その後面側側面の上辺中央にレール係止溝554に上から掛け止められる鉤状の係止突片750が突設されている。しかして、タンクレール部材740は、上面が開放した傾斜樋状に形成され、その上流端上面が賞球タンク720の排出口730に臨み、その下流端下面が後に詳述する球通路ユニット770に臨んでいる。また、タンクレール部材740の内部は、図4に示すように仕切壁741によって球が2列に整列して流下する通路742となっている。
なお、通路742の底面は、細溝が切り欠けられており、通路742を球と一緒に転動する異物がその細溝から下方に落下するようになっている。また、通路742の側壁には、静電気を除去するための金属板(図示しない)が貼付されており、この金属板の下流端が前述したアース線接続具557(図68を参照)に接続されている。このため、タンクレール部材740を流下する球に帯電していた静電気が金属板からアース線接続具557を介して電源基板1136のアース用コネクタを経て外部にアースされるようになっている。
また、タンクレール部材740の中流域のやや下流側に重錘を有する卵形状の球ならし部材744が揺動自在に設けられている。この球ならし部材744は、前述した賞球タンク720の球ならし取付軸735に揺動自在に軸支されるものであり、タンクレール部材740における2列の夫々の通路742内に向かって垂下され、各通路742を流下する球が上下方向に複数段で流下してきたときに1段となるように整流するものである。また、球ならし部材744の設置位置より下流側のタンクレール部材740の上面が球押え板745によって被覆されている。この球押え板745は、球ならし部材744によって1段とならなかった球を強制的に1段とするように傾斜円弧状に形成されるものである。
更に、タンクレール部材740の下流端部には、夫々の通路742に臨んで一対の整列歯車747が軸ピン748によって回転自在に軸支されている。この整列歯車747は、外周に複数の歯が形成され、一対の整列歯車747における歯のピッチが半ピッチずつずれるようにして軸ピン748に固定されている。このため、タンクレール部材740の各通路742を流下してきた球の上部が整列歯車747の歯と噛み合いながら下流側に流下するときに2列の通路742の球が交互に1つずつ送られることになる。この場合、図100に示すように、各通路742を流れてきた球は、整列歯車747と噛み合いながら2列の通路742の下部に形成される傾斜面743に沿って中央方向に誘導され、その誘導中に次に説明する球通路ユニット770の球落下通路772の上端入口773に2列の通路742からの球を交互に一列状にして落下するようになっている。なお、整列歯車747は、その上面を円弧状の歯車カバー746によって被覆されている。
[1−3E.球通路ユニット]
次に、上記したタンクレール部材740から一列状に落下される球を賞球ユニット800に導くための球通路ユニット770について、主に図101乃至図105を参照して説明する。図101は、本体枠3と球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す分解斜視図であり、図102は、球通路ユニット770及び賞球ユニット800との関係を示す背面図であり、図103は、球通路ユニット770の背面から見た斜視図であり、図104は、球通路ユニット770の正面図であり、図105は、球通路ユニット770と賞球ユニット800との連結構造を説明するための側面図である。なお、図102及び図103において、賞球ユニット800部分は、ギヤカバー866、アルミ放熱板841、ユニットサブ板825が削除され、ユニットベース体801に形成された球通路部分をわかりやすく描いたものである。ただし、ギヤ等については、球通路との関係を理解し易くするため、一点鎖線で示してある。
本例の球通路ユニット770は、略長方形状の板材の裏面(背面から見える面を表面という。)に屈曲した一対の屈曲通路壁771によって球落下通路772が形成されている。この球落下通路772は、図100(A)に示すように、その上流が前後方向(背面から見て奥行方向)に屈曲する前後屈曲通路部772aと、前後屈曲通路部772aに連通して左右方向(背面から見て左右方向)に屈曲する左右屈曲通路部772bと、左右屈曲通路部772bに連通して略垂直状となっている垂直通路部772cとからなっている。
この前後屈曲通路部772aは、図100(A)に示すように、上述したタンクレール部材740から落下する上端入口773の位置が前述したように2列の通路742の略中央であるため、本体枠3の上後面壁545及び軸支側後面壁546の表面から背面側に離れた位置となっているので、前後屈曲通路部772aと軸支側後面壁546に突設される賞球案内突起561とによって球落下通路772を軸支側後面壁546の表面に近い位置とするように前後方向に屈曲するものである。また、左右屈曲通路部772bは、図104に示すように、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球の勢いを弱めるために球通路ユニット770の略横幅一杯にコ字状に屈曲して形成されるものである。
更に、垂直通路部772cも略垂直状に形成されているものの若干緩やかに湾曲して形成され、その垂直通路部772cを構成する一方の屈曲通路壁771に切欠部775が形成され、その切欠部775に上端が支軸777によって軸支される球切れ検出片776が揺動自在に取付けられている。この球切れ検出片776の側方には、球切れスイッチ778が取付けられ、球切れスイッチ778のアクチュエータ779が球切れ検出片776に当接している。球切れ検出片776及び球切れスイッチ778によって垂直通路部772cでの球切れを検出する球切れ検出機構が構成されている。
しかして、垂直通路部772cに球が存在しているときには、垂直通路部772cに存在する球によって球切れ検出片776が押圧されてアクチュエータ779を押して球切れスイッチ778をONとするが、垂直通路部772cに球詰まりや球欠乏により球が存在しなくなると球切れ検出片776が垂直通路部772c内に向かって揺動するので、アクチュエータ779が球切れスイッチ778をOFFとする。球切れスイッチ778がOFFになると、後述する賞球ユニット800の払出モータ815の回転が停止して賞球の払出が停止されるようになっている。
なお、切欠部775の下端部には、球切れ検出片776の通路部と反対側への過剰な揺動を防止するためにストッパー突起780が形成されており、また、球通路ユニット770の球切れ検出片776に対応する垂直通路部772cに球詰まり用挿入溝781が形成されている。この球詰まり用挿入溝781は、球詰まり等で球切れ検出片776の揺動動作が行われ難い場合に、球通路ユニット770の後面側からピンを差し込んで球切れ検出片776部分の球詰まりの解消を図るために設けられるものである。更に、球切れ検出片776に対面する他方の屈曲通路壁771は、若干球切れ検出片776側に向かって膨出状に形成されている。これは、垂直通路部772cに球が存在しているときに確実に球切れ検出片776を押圧して球切れスイッチ778をONにするためである。
また、球通路ユニット770には、上記した球落下通路772を避けた位置に止め穴782と位置決めボス783とが形成されている。位置決めボス783は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される位置決めピン574に係合されるものであり、止め穴782は、同様に軸支側後面壁546に形成される通路ユニット取付ボス562に対応するものである。しかして、球通路ユニット770を本体枠3に取付けるには、図101に示すように、位置決めボス783を位置決めピン574に係合させながら通路ユニット取付ボス562と止め穴782とを一致させ、その状態で止め穴782からビス784を螺着することにより行うことができる。更に、球通路ユニット770には、その一側中程にカバー体1250の係合片と係合するカバー体係合溝785が形成されていると共に、下部に賞球ユニット800と連結するための連結蓋部材786が回動自在に設けられている。
連結蓋部材786は、図103に示すように、長方形状の板材の裏面に円弧状に突設される一対の通路壁790を突設することにより構成されており、球通路ユニット770の下部表面の左右両端部に突設される軸支部としての支持突片787に、連結蓋部材786の両端部から延びる支持片788の先端に突設される回転軸部としての突起軸789を嵌合することにより回動自在に軸支されるものである。また、連結蓋部材786は、閉じることにより球通路ユニット770の下方に延長されて通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通した状態(図105(B)に示す状態)と、開放することにより通路壁790によって形成される通路と球落下通路772の下流端部とが連通しない状態(図105(A)に示す状態)と、に回動し得るが、開放した状態から閉じた状態に移行する際に、連結蓋部材786の支持片788を案内する案内突起791が球通路ユニット770の後面下端部に突設されている。
而して、球通路ユニット770を本体枠3の軸支側後面壁546に固定した状態で、しかも、後述するように賞球ユニット800を同じく軸支側後面壁546に装着した状態(図105(A)に示す状態)で、連結蓋部材786を閉じて賞球ユニット800に設けられる係止弾性爪820によってその後面を係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772と賞球ユニット800の屈曲通路803とを通路壁790にて連通して、球通路ユニット770の球落下通路772を落下する球を賞球ユニット800の屈曲通路803に導くことができるものである。このように球通路ユニット770に回動自在な連結蓋部材786を設けた理由は、後述するように賞球ユニット800を本体枠3に対して着脱自在に装着し易くすることと、その着脱自在に装着したことに起因して球通路ユニット770と賞球ユニット800との間に形成される空間が球のスムーズな落下を阻害しないようにするためである。
また、球通路ユニット770に突設される一対の屈曲通路壁771の間に本体枠3の軸支側後面壁546にその突出高さが下流側に向かって徐々に低くなるように突設される賞球案内突起561を挿入することで、球落下通路772の上端入口773がタンクレール部材740の2列の通路742の略中央下部に位置するように、球落下通路772の上流部を背面からみて前後方向に屈曲する前後屈曲通路部772aとして形成する。これにより、一対の整列歯車747によって2列で流下する球を交互に1個ずつ賞球ユニット800側に送り出す構成において、球落下通路772を通して球を1個ずつスムーズに賞球ユニット800に送り出すことができる。また、この構成によれば、複数の部材の組立体から球落下通路772を構成する必要がないため、球落下通路772を構成する部品点数を削減することができると共に、球落下通路772の組み付け作業性を向上することができる。
また、タンクレール部材740から前後屈曲通路部772aを落下してきた球は、左右屈曲通路部772bを通過することでその勢いを弱め、その後、垂直通路部772cを通って賞球ユニット800に送られる。また、勢いが弱められた状態で球が送り込まれる垂直通路部772cには、球切れを検出するための球切れ検出機構(球切れ検出片776及び球切れスイッチ778)が設けられる。これにより、球落下通路772での球切れ、言い換えれば賞球ユニット800に供給する球が切れたこと(球切れ)を確実に検出することができる。
[1−3F.賞球ユニット]
次に、上記した球通路ユニット770の下流側に配置される賞球ユニット800について、主に図106乃至図109を参照して説明する。図106は、賞球ユニット800の背面側から見た分解斜視図であり、図107は、払出モータ815と払出部材としてのスプロケット807との関係を説明するための背面図であり、図108は、賞球ユニット800の通路と駆動関係を説明するための背面図であり、図109は、図108のA−A断面図である。
図106において、賞球ユニット800は、一対の屈曲通路壁802によって球通路を構成する屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成されるユニットベース体801と、ユニットベース体801の後面を覆うユニットサブ板825と、ユニットサブ板825の上部表面(後面側)に取付けられる賞球ユニット内中継端子板830と、ユニットサブ板825の略中央表面領域(後面側領域)に設けられるギヤ群843,844,847及び検出円盤850(回転伝達部材)を被覆するギヤカバー866とから構成されている。以下、これらの構成を順次説明する。
ユニットベース体801は、略長方形状の板状(この板部分を「底面」という場合がある。)に形成され、その板状のユニットサブ板825側に向かって突設される一対の屈曲通路壁802によって屈曲通路803が形成されている。屈曲通路壁802は、ユニットベース体801の上部中央から下流側の略中程まで球の直径よりもやや大きな間隔で突設されるが、その中程から下流側に大きく左右に分かれて中程から下流端までユニットベース体801の両端辺の側壁を兼ねている。また、中程の屈曲通路壁802が大きく左右に分かれた部分は、球送り回転体としてのスプロケット807が配置される振分空間805を構成し、その振分空間805の下部からユニットベース体801の下流端までに左右に分かれた屈曲通路壁802の対をなすように通路区画壁809が突設形成されている。
つまり、中程から下流側の左右の屈曲通路壁802と通路区画壁809とによって振分空間805から左右に2つの通路が構成されることなり、一方の通路が賞球通路810を構成し、他方の通路が球抜通路811を構成している。なお、通路区画壁809も左右に大きく分かれており、その分かれた通路区画壁809の内側に払出モータ815を収納するモータ収納空間814が形成されている。即ち、払出モータ815は、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)を避けた位置であって、その球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納固定される。なお、屈曲通路803は、通路803内に停留する球のスプロケット807への圧力を弱めるために蛇行状に形成されて振分空間805に到達しているが、その振分空間805の上流側の底面に楕円形状の開口804が形成されている。この開口804は、屈曲通路803内に入った小さなゴミ等を貯留するもので、賞球ユニット800を本体枠3から取り外したときに溜まったゴミ等を取り出すことができるようになっている。
また、上記した振分空間805には、外周に球が嵌り合う複数(図示の場合は、3つ)の凹部が形成された払出部材としてのスプロケット807が回転自在に配置されるが、このスプロケット807が固定される回転軸808の他端を軸支する軸受筒806が振分空間805の底面に形成されている。また、振分空間805の底部を構成する通路区画壁809の上端部は、スプロケット807の回転円弧に沿った凹円弧状に形成され、その一方に形成される賞球通路810の上流部には、計数スイッチ812が着脱自在に装着されている。
この計数スイッチ812は、先端部に球が通過する円形状の通過穴が形成された直方体状の磁気センサからなり、その後端部の形状と合致するスイッチ嵌合凹部865を屈曲通路壁802で形成することにより、簡単に着脱自在に取付けられるものである。なお、計数スイッチ812からの配線(図示しない)は、後述する賞球ユニット内中継端子板830に接続されるようになっている。更に、賞球通路810を構成する屈曲通路壁802の下流側には、ユニットサブ板825と一体的に形成される通路蓋板部859に形成される係止部860と係合する係止爪813が複数形成されている。ただし、複数の係止爪813のうち、通路蓋板部859の下端の一方の係止部860と係合する係止爪813は、通路区画壁809側に形成されている。
また、ユニットベース体801の下方であって賞球通路810と球抜通路811との間には、払出モータ815を収納する円形状のモータ収納空間814が形成されるが、このモータ収納空間814の内部に払出モータ815の円筒状本体が収納されるようになっている。ただし、払出モータ815は、その前面に形成される一対の取付片816によってユニットサブ板825の下方に取付けられるアルミ放熱板841の裏面側にビス817で固着されるようになっている。そして、払出モータ815がユニットサブ板825のアルミ放熱板841に取付けられた状態で、払出モータ815のモータ軸818は、アルミ放熱板841に穿設された軸挿通穴842を貫通して第一ギヤ843が固着されるようになっている。
また、ユニットサブ板825及びアルミ放熱板841でユニットベース体801の後面側を被覆することにより、上記した屈曲通路803、賞球通路810、及び球抜通路811が形成される奥行幅方向の空間内に払出モータ815の円筒状本体部分も収納配置されることになる。そして、払出モータ815を収納するモータ収納空間814と前述したスプロケット807が配置される振分空間805とが、上下方向の極めて近い位置関係に形成されているため、ユニットベース体801の上下方向の長さを短くすることができ、結果的に賞球ユニット800のコンパクト化を図ることができる。
更に、ユニットベース体801には、上記した球抜通路811の最下端に球抜きされた球を賞球ユニット800の裏面側に誘導する誘導突片819が突設され、この誘導突片819に誘導された球が後述する球抜接続通路880に誘導されて最終的にパチンコ機1の外部(島台の下方に設けられる回収樋)に放出されるようになっている。また、ユニットベース体801の上部には、前述した球通路ユニット770の連結蓋部材786を係止する係止弾性爪820が突設されると共に、賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に着脱自在に取付けるためのボタン挿通係合穴821及び鉤状係合部824と、ユニットベース体801とユニットサブ板825を挟持した状態でギヤカバー866とを連結するための取付ボス823が設けられている。
このボタン挿通係合穴821には、ユニットベース体801の上部一側に設けられて棒状の着脱ボタン822が奥行幅方向に摺動自在に取付けられるものであり、後述するように、その前方先端が本体枠3の軸支側後面壁546に形成されるロック用弾性爪564に対応している。また、ボタン挿通係合穴821の後端面は、図101に示すように、ロック用弾性爪564の先端部が入り込むように凹状となっている。また、鉤状係合部824は、本体枠3の軸支側後面壁546に形成される係合突片565と係合するもので、賞球ユニット800を軸支側後面壁546に押し当てて下方に押下げることにより、鉤状係合部824と係合突片565とが係合するものである。そして、その係合状態においてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合するので、賞球ユニット800の上方向の移動ができないようになっている。
なお、鉤状係合部824は、ユニットベース体801の上部左右に形成されている。また、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結するための取付ボス823は、後面側に向かって長く突設され、ユニットサブ板825に穿設される貫通穴858を貫通した後、ギヤカバー866の取付穴867に対応させ、そのギヤカバー866の表面からネジ868を螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持した状態でユニットベース体801とギヤカバー866とを連結している。
上記したユニットベース体801を被覆するユニットサブ板825の構成について説明すると、ユニットサブ板825は、ユニットベース体801の屈曲通路803部分と振分空間805部分と賞球通路810部分とを覆う合成樹脂製の板材に払出モータ815が取付けられると共に球抜通路811の下流部分とを覆うアルミ放熱板841を取付けることにより構成されている。そして、ユニットサブ板825の合成樹脂板部の表側(後面側)には、賞球ユニット内中継端子板830を取付けるための中継基板領域826が上部に形成され、その下方に複数のギヤ843,844,847や検出円盤850が取付けられるギヤ領域840が形成されている。
この中継基板領域826は、略正方形状に形成され、その正方形状に沿って賞球ユニット内中継端子板830を載置する載置リブ827が突設され、その一側垂直辺の上下に後述する基板カバー835の係合突起836と係合する係合溝部828が形成され、その他側垂直辺の中央に基板カバー835の係止突部837と係合する係止爪部829が形成されている。また、中継基板領域826には、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴834と賞球ユニット内中継端子板830をビス(図示しない)で止着するための取付ボス部832が形成されている。
上記した中継基板領域826に取付けられる賞球ユニット内中継端子板830は、賞球ユニット800に設けられる上述した計数スイッチ812、払出モータ815、及び後述する回転角スイッチ855からの配線と、後述する払出制御基板1186(図71及び図126を参照)からの配線とを中継するもので、そのために複数のコネクタが設けられると共に、着脱ボタン822が挿通されるボタン挿通穴833と取付ボス部832に対応する取付穴831とが穿設されている。しかして、賞球ユニット内中継端子板830を中継基板領域826の載置リブ827に載置した状態で取付穴831と取付ボス部832とを合致させて図示しないビスで止着することにより賞球ユニット内中継端子板830をユニットサブ板825の表面(後面)に止着することができる。
また、上記のように取付けられる賞球ユニット内中継端子板830は、基板カバー835によって被覆される。基板カバー835は、略正方形状の前面側が開放したボックス状に形成され、その一側垂直辺の上下基部に係合突起836と他側垂直辺の略中央側面に係止突部837が形成されている。また、基板カバー835の正方形状の垂直面には、ボタン開口838と接続開口部839とが形成されている。しかして、基板カバー835の係合突起836を中継基板領域826の係合溝部828に差し込んで係合した後、係止突部837と係止爪部829とを係合させることにより、簡単に基板カバー835で賞球ユニット内中継端子板830を被覆することができる。逆に、取り外す場合には、係止爪部829を弾性変形させて係止突部837との係合を解除すると共に基板カバー835を斜め手前側に引いて係合突起836と係合溝部828との係合を解除することができる。なお、基板カバー835を被覆した状態では、ボタン挿通係合穴821に係合されている着脱ボタン822の頭部がボタン挿通穴833,834を挿通してボタン開口838から外部に僅かに臨んでいる。また、賞球ユニット内中継端子板830に接続された配線は、接続開口部839から外部に引き出されるようになっている。
次に、ユニットサブ板825に形成されるギヤ領域840に設けられるギヤ843,844,847、及び検出円盤850について説明する。前述したように、払出モータ815のモータ軸818の先端は、ユニットサブ板825のアルミ放熱板841に穿設される軸挿通穴842を貫通してユニットサブ板825の表面(後面側)に突出しており、その突出した部分に第一ギヤ843(駆動ギヤ)が固着されている。第一ギヤ843の上方には、第一ギヤ843と噛合する第二ギヤ844(回転伝達ギヤ)がギヤカバー866の裏面(前面側)に一端が圧入され且つアルミ放熱板841に穿設される軸穴846に他端が支持される軸845に回転自在に設けられ、その第二ギヤ844の上方には、第二ギヤ844と噛合する第三ギヤ847(回転伝達ギヤ)がユニットサブ板825に形成される軸穴849に圧入された軸848に回転自在に設けられている。更に、第三ギヤ847の上方には、第三ギヤ847と噛合するギヤ部852(従動ギヤ)を有する検出円盤850がスプロケット807を軸支する回転軸808に回転自在に設けられている。
なお、図109に示すように、モータ軸818の先端部がギヤカバー866に形成される受穴に遊嵌されている。また、回転軸808は、その一端がユニットベース体801に形成される軸受筒806に圧入されて支持され、その他端がギヤカバー866に形成される軸受穴に支持されるものであるが、ギヤ領域840の中央よりやや下方に形成された軸貫通穴864を貫通して振分空間805においてスプロケット807を回転自在に軸支し、ユニットサブ板825とギヤカバー866とによって形成される空間において検出円盤850を回転自在に軸支している。ただし、図109に示すように、スプロケット807の後端部が検出円盤850の中心前面部と係合した状態となっているので、スプロケット807と検出円盤850とは、回転軸808を中心として一体的に回転するようになっている。したがって、払出モータ815が回転駆動すると、その回転が第一ギヤ843、第二ギヤ844、第三ギヤ847、検出円盤850のギヤ部852を介してスプロケット807を回転するように伝達される。
この検出円盤850の外周は、ギヤ部852の円よりも一回り大きく形成されており、そのギヤ部852よりも外側に突出している外周部分には、スプロケット807の凹部と同じ数(図示の場合には、3個)の検出切欠851が形成されている。この検出切欠851は、ユニットサブ板825の表面に形成される基板取付部857に挟持支持されるセンサ基板854に設けられる投受光方式の回転角スイッチ855(回転位置検出手段)によって検出されるものである。そして、回転角スイッチ855は、払出動作時において所定のインターバル時間内に検出切欠851の検出個数を検出することにより、スプロケット807が正常に回転しているか否かを監視するためのものである。仮に、回転角スイッチ855により、異常回転が検出されたとき(多くは、スプロケット807による球噛み状態)には、スプロケット807を所定回数正逆回転させて異常状態(例えば、球噛み状態)を解消するものである。なお、実際に払いだされた球の個数は、前述した賞球通路810に設けられる計数スイッチ812によって検出して計数のために使用している。なお、図109に示すように、センサ基板854の他端辺もギヤカバー866に形成される基板取付部に挟持されるようになっている。
上述したように、ギヤ領域840に設けられる複数のギヤのうち、第二ギヤ844だけがギヤカバー866側に圧入される回転軸845に回転自在に設けられているところ、ギヤ領域840を覆うギヤカバー866には、ユニットベース体801に突設されてユニットサブ板825の貫通穴858を貫通する取付ボス823の先端部に対応する位置に穿設される取付穴867が形成されている。そして、ギヤカバー866側に設けられる第二ギヤ844の歯とユニットサブ板825側に設けられる第一ギヤ843及び第三ギヤ847の歯とを噛み合わせながら、取付穴867と取付ボス823とを一致させた状態でギヤカバー866の後面からネジ868で螺着することにより、ユニットサブ板825を挟持する状態でユニットベース体801とギヤカバー866とが一体的に固定される。また、ギヤカバー866の一側側面には、賞球ユニット内中継端子板830に接続される配線(例えば、賞球ユニット内中継端子板830と後述する払出制御基板1186とを接続する配線等)を掛け留めて纏める配線処理片869が突設されている。
以上、賞球ユニット800の構成について説明してきたが、ユニットベース体801とユニットサブ板825と賞球ユニット内中継端子板830と基板カバー835とギヤカバー866とを組み付けた状態においては、図109に示すように、払い出すべき球が導かれる屈曲通路803の下方位置に払出モータ815の円筒状の本体部分が収納されるように位置する。また、ユニットベース体801には、球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)内に配置されたスプロケット807と、球通路を避けた位置であって球通路の奥行き幅寸法内に形成されるモータ収納空間814に収納された払出モータ815と、を設け、ユニットサブ板825には、その非閉塞面側に沿って払出モータ815のモータ軸818の回転をスプロケット807の回転軸808に伝達する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)を設け、しかも、払出モータ815と屈曲通路803の振分空間805に配置される払出部材としてのスプロケット807とをユニットサブ板825の後面のギヤ領域840に設けられる複数のギヤ843,844,847,850(852)によって回転駆動するように連結した構造となっている。即ち、ユニットベース体801とユニットサブ板825との間に形成される球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)の奥行き幅内にスプロケット807と払出モータ815とを収納し、しかも、スプロケット807と払出モータ815とを連結する回転伝達部材(第一ギヤ843、第二,3ギヤ844,847、及び検出円盤850のギヤ部852)をユニットサブ板825の非閉塞面側の所定幅内に沿って設けたので、球通路の外側に払出モータやスプロケットの一部を配置したものに比べて、賞球ユニット800を薄型化することができる。
また、このような賞球ユニット800は、賞球ユニット800内の球通路(屈曲通路803、賞球通路810、球抜通路811)が一条の通路形状で形成されることにより、より一層の薄型化が図られている。即ち、従来のように、払出モータ815を賞球ユニットの前面側又は後面側又は側方側に突出させるものと異なり、本体枠3の軸支側後面壁546の後面側に取付けたときに、賞球ユニット800のいずれの部分もさらに後方に向かって突出することがない構造とすることができる。なお、図109において、払出モータ815の前端部分がユニットベース体801の後面よりも僅かに突出して構成されているが、この突出部分は、図71に示すように、軸支側後面壁546の下方の払出モータ用逃げ開口部572から本体枠3の前方部分に臨むようになっているため、結果的にその突出寸法から軸支側後面壁546の板厚寸法を差し引いた寸法だけ突出する程度となり、軸支側後面壁546よりも前方に向かう突出量は僅かなものとなっている。また、このような構成をとることにより、本実施形態では、賞球ユニット800が取付けられる本体枠3の軸支側後面壁546と遊技盤4の裏面との間に、遊技盤4に設けられる遊技装置の後方突出部分を収納する収納空間を奥行き幅方向で大きくとることができる。
更に、上記のように構成される賞球ユニット800を本体枠3の軸支側後面壁546に取付けるためには、図101に示すように、鉤状係合部824と係合突片565とを対応させて位置合わせした後、賞球ユニット800の下端を係止溝573に掛け止め且つ鉤状係合部824と係合突片565とを係合させるために賞球ユニット800を軸支側後面壁546に密着させたまま下方に押下げる。このとき、賞球ユニット800の下端部と係止溝573とが係合し且つ鉤状係合部824と係合突片565とが係合しているので、取付自体は完了しているが、賞球ユニット800を上方に移動させることにより簡単に上記の夫々の係合状態が解除されてしまうため、これを防止するために、ロック用弾性爪564がボタン挿通係合穴821に係合するようになっている。
つまり、ロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821とが係合することにより、取付状態で賞球ユニット800の上方への移動を防止している。このように、賞球ユニット800を取付けた後に、球通路ユニット770の連結蓋部材786を前述したように回動して係止弾性爪820で係止することにより、球通路ユニット770の球落下通路772下流端と賞球ユニット800の屈曲通路803の上流端とを一対の通路壁790によって構成される通路を介して連通化することができる。また、賞球ユニット800を取付けた状態では、賞球通路810の下流端と後に詳述する満タンユニット900の賞球入口927とが接続され、球抜通路811の下流端が球抜接続通路880の上流端と接続される。
一方、賞球ユニット800を取り外すときは、係止弾性爪820による係合を解除して連結蓋部材786を手前側に回動し、その後、着脱ボタン822を押圧してロック用弾性爪564を前面側に移動させてロック用弾性爪564とボタン挿通係合穴821との係合を解除させ、その後着脱ボタン822を押圧したままの状態で賞球ユニット800を上方に引き上げて賞球ユニット800の下端部と係止溝573との係合及び鉤状係合部824と係合突片565との係合を解除して賞球ユニット800を手前側に引き出すことにより、賞球ユニット800を簡単に取り外すことができる。
[1−3G.満タンユニット]
続いて、上記した賞球ユニット800の下流側に配置される満タンユニット900について、主として図110乃至図116を参照して説明する。図110は、賞球ユニット800と満タンユニット900との関係を示す斜視図であり、図111は、満タンユニット900の斜視図であり、図112は、満タンユニット900の正面から見た分解斜視図であり、図113は、満タンユニット900の背面から見た分解斜視図であり、図114は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す一部破断斜視図であり、図115は、満タンユニット900に設けられる底面揺動板907部分で切断した横断面図であり、図116は、満タンユニット900とファール口610との関係を示す断面図である。
満タンユニット900は、前述したように本体枠3の満タンユニット載置部531に載置固定されるものであり、図112に示すように、上面が開放したボックス状に形成されるボックス主体901と、ボックス主体901の上面を覆う蓋体926とから構成されている。ボックス主体901は、賞球通路810の下流端から流入した球が内部をジグザグ状に誘導されて出口921から排出されるようになっている。このため、その上流部に蓋体926に形成される賞球入口927から流入した球を一端から他端に向かって側方に誘導する側方誘導通路902が形成されている。側方誘導通路902の賞球入口927の直下の一端部には、球を側方に向かって誘導するように凹円弧状に形成される側方誘導受部903が設けられ、側方誘導通路902の他端内面に側方誘導通路902を流れてきた球の衝撃を受け止めて球を下流側に誘導する緩衝部材904が設けられている。
また、側方誘導通路902の他端内面に設けられる緩衝部材904に衝突した球は、向きを下流側に変えた後、側方誘導通路902の球の流れと逆方向に流れるように誘導される逆側方誘導通路905が形成されている。逆側方誘導通路905を流れた球は、その後、前方に向かって形成される前方誘導通路920に導かれて前方誘導通路920の流下端に形成される出口921から前述した皿ユニット300の賞球連絡樋343に導かれる。
ところで、逆側方誘導通路905の上流側の底面には、その底面の全域に亘って開口する底面開口906が形成され、その底面開口906を底面揺動板907が揺動自在に閉塞している。底面開口906は、上面が開放された略正方形の凹状に形成され、その内部の正面から見て前後方向の側壁に一対の軸支突起911が突設されている。また、底面開口906の凹状の底面にバネ913の下端を位置決めするための円形状のバネ載置凹部912が形成されている。一方、底面開口906を閉塞する底面揺動板907は、略正方形状に形成され、その裏面下流側に正面から見て軸支突起911に嵌合することにより軸支される半円形状の軸受部908が突設形成されている。
また、底面揺動板907の裏面中央には、図115に示すように、バネ913の上端が係止されるバネ係止突起910が下方に向かって突設されている。したがって、底面揺動板907は、バネ913の付勢力によりその上流側が常に上方へ揺動された方向に付勢されている。そして、バネ913は、通常の賞球の払出個数(例えば、15個)が一度に底面揺動板907上に載置したときでも底面揺動板907が下方に揺動せず、賞球の払出個数以上の所定個数の球が底面揺動板907上に載置したときに下方に揺動するようなバネ係数を有するバネ部材によって形成されている。更に、底面揺動板907の上流側に検出突片909が前方に向かって突出されている。この検出突片909は、底面揺動板907の軸受部908を軸支突起911に嵌合軸支したときに、連通孔929を貫通して次に説明するスイッチ収納空間914に位置するようになっている。
また、逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側には、満タンスイッチ916を収納するためのスイッチ収納空間914が一体的に形成されている。スイッチ収納空間914に満タンスイッチ916を取付けるために、スイッチ収納空間914の上部であって逆側方誘導通路905の上流端部の側壁の外側面にスイッチ取付部918が形成され、そのスイッチ取付部918に満タンスイッチ916を保持するスイッチホルダ915の取付片917がネジ919によって止着されている。満タンスイッチ916は、投光器と受光器とからなるスイッチとして構成され、その受光器と投光器との間を検出突片909が上下に揺動することによりON・OFFを検出するものである。
更に、逆側方誘導通路905の下流側の一側方にファール球通路922が形成されている。ファール球通路922は、その上流側のファール球入口923が図114に示すように、前述したファール口610に連通し、その下流側が前方誘導通路920の上流側に連通するように屈曲して形成されている。このため、ファール口610に取り入れられたファール球は、ファール球入口923から屈曲したファール球通路922を通って前方誘導通路920に導かれ、さらに出口921及び賞球連絡樋343を通って皿ユニット300に戻される。
また、ボックス主体901には、出口921の両側方とファール球入口923の一側方に満タンユニット載置部531に形成されるユニット係合溝532に係合される係合片924が突設されると共に、蓋体926に形成される掛止片928と係合する掛止突起925が形成されている。この掛止突起925は、ボックス主体901の左右後方の側壁上部に適宜形成されている。
一方、蓋体926は、ボックス主体901の側方誘導通路902、逆側方誘導通路905、前方誘導通路920、及びファール球通路922の上面を覆うような板形状に形成され、側方誘導通路902に上流端に対応する位置に正方形状の賞球入口927が開口されている。また、蓋体926の周囲には、ボックス主体901の掛止突起925と係合するための掛止片928が下方に向かって突設されている。
上記のように構成される満タンユニット900においては、図110に示すように、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球が賞球入口927から側方誘導通路902の上流側に入って側方誘導受部903によって側方に向かって誘導されて緩衝部材904に衝突する。緩衝部材904に衝突した球は、そのまま下流側に向かって逆側方誘導通路905を側方誘導通路902の誘導方向と逆方向に誘導されて前方誘導通路920に導かれ、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋343を通って皿ユニット300に導かれる。また、ファール球入口923から入ったファール球も屈曲したファール球通路922によって球の勢いを弱められて前方誘導通路920に合流し、前方誘導通路920の出口921から賞球連絡樋343を通って皿ユニット300に導かれる。
そして、通常時、満タンユニット900内を球が自然に流れているときには、側方誘導通路902から逆側方誘導通路905に球が移動する際に、底面揺動板907に落下するが、通常の賞球の払出個数程度では、バネ913の弾発力が強いので、底面揺動板907が揺動することがなく、図115の実線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間に入ってスイッチが導通しない状態(OFF)となっている。これに対し、皿ユニット300に賞球が貯留されて満タンユニット900内にも球が充満してきたときには、前方誘導通路920及び逆側方誘導通路905の上流側の全域に形成される底面揺動板907上に貯留された球の圧力により底面揺動板907がバネ913の付勢力に抗して下方に揺動し、図115の二点鎖線で示すように、検出突片909が投受光方式の満タンスイッチ916の投光器と受光器との間から外れてスイッチが導通した状態(ON)となる。満タンスイッチ916がONすると、賞球ユニット800の払出モータ815の回転駆動が停止(所定個数の賞球を払出している最中にON信号が導出された場合には、その所定個数の賞球が払出されてから停止)するようになっている。
上記したように、満タンユニット900においては、球が流下する通路(図示の場合には、逆側方誘導通路905)の通路底面の幅と略同じ幅の底面揺動板907によって満タンスイッチ916を作動させるようにすると共に、通常時の球の流れによって揺動せずある程度の球が載置したときに底面揺動板907揺動するように付勢部材(バネ913)で付勢したので、従来のように一部の通路の底面等に球が載置したことにより球詰まりを検出するものに比べて、その一部の通路部分における球の載置が球詰まりによって検出されない事態を確実に防止することができる。このことは、球の満タンを確実に検出することができるものである。
また、本実施形態に係る満タンユニット900においては、本体枠3の満タンユニット載置部531に着脱自在に取付けるものであるため、従来のように、満タン装置を本体枠に形成された払出通路の内部に組み付けるものに比べて、本体枠に満タン構造のための通路を形成する必要がない。また、満タンユニット900の内部をジグザグ状の通路とすることにより、賞球ユニット800の賞球通路810から払出された球の勢いを弱めながら皿ユニット300に誘導することができるので、払い出された賞球が皿ユニット300から外に飛び出すこともない。更に、本実施形態に係る満タンユニット900は、ファール球を導くファール球通路922が賞球を払い出す前方誘導通路920の途中に球の勢いを弱めて合流するようになっているので、賞球の流れを阻害することなくファール球を合流させることができる。
[1−4.錠装置]
次に、本体枠3の開放側の裏側端辺に沿って垂直方向に取付けられる錠装置1000について主として図117乃至図125を参照して説明する。図117は、錠装置1000と本体枠3との関係を示す背面斜視図であり、図118は、錠装置1000の本体枠3への掛け止め構造を示す拡大側方断面図であり、図119は、パチンコ機1の縦方向中央よりやや下方の位置で水平方向に切断した一部断面図であり、図120は、錠装置1000と本体枠3の側壁540,541との詳細な関係を示す拡大断面図であり、図121は、錠装置1000の側面図(A)、前面側から見た斜視図(B)であり、図122は、錠装置1000の背面側から見た斜視図(A)、錠装置1000のコ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の斜視図(B),(C)であり、図123は、錠装置1000の分解斜視図であり、図124は、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050の作用を説明するための正面図であり、図125は、不正防止部材1023,1032の作用を説明するための正面図である。
錠装置1000は、本体枠3の開放側の第一側面壁540に沿って本体枠3の略上端から下端にかけて取付けられるものであり、図117に示すように、本体枠3の外周側辺と第一側面壁540の立ち上がり部との間の上下端近い部分及び中程に形成される複数(図示の場合、3個)の錠係止穴548と、第一側面壁540の垂直面の上部と中程に切り欠けられて形成される錠取付穴547とシリンダ錠貫通穴526の上部近傍に形成される錠取付穴547と、によって次に説明する錠装置1000のコ字状基体1001が支持固定されるものである。そこで、以下、錠装置1000の構造について詳細に説明する。
図121乃至図123に示すように、錠装置1000は、断面コ字状に形成される錠基体としてのコ字状基体1001と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040と、コ字状基体1001内に摺動自在に設けられる本体枠用摺動杆1050と、本体枠用摺動杆1050の摺動を不正に行うことができないようにコ字状基体1001の下部に取付けられる不正防止部材1023,1032と、からなる。
コ字状基体1001は、金属を断面コ字状となるように折り曲げ、その内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設けるものであるが、その横幅寸法は従来の断面L字状に成形された基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いものとなっている。これは、前述したように遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしたため、側面壁540と本体枠3の外周辺との間の寸法が極めて小さくなっていることにより、本実施形態に係る錠装置1000の横幅寸法を小さく形成して錠装置1000を本体枠3の裏側に取付けることができるような取付構造として改良したためである。そして、コ字状基体1001の断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態の不正防止構造となっている。
まず、コ字状基体1001の開放側と反対の閉塞側上下に本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065が貫通される長方形状のフック貫通開口1002が開設されると共に、閉塞側であって第一側面壁540と密着する側面1001b(図123を参照)上部と中程に水平方向にビス止め部1003が突設され、更に、開放側の第一側面壁540と密着しない側面1001a(図123を参照)の上端部及び中間部と、開放側の両側面1001a,1001bの下端部に係止突起1004が突設形成されている。
このビス止め部1003と係止突起1004は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取付けるためのものであり、係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ(図118を参照)、その状態でビス止め部1003と錠取付穴547とが一致するため、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができる。なお、錠装置1000のビスによる取付けは、上部と中程のビス止め部1003だけではなく、後述する錠取付片1008に形成されるビス止め部1003とシリンダ錠貫通穴526の上方近傍に形成される錠取付穴547とを対応させて図示しないビスで止着することにより、錠装置1000の下方も取付けられるようになっている。
また、その取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中の2箇所に形成されたビス止め部1003及びコ字状基体1001の開放側(前方部)に形成されたビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定し且つ錠装置1000の下方部をビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
換言すると、錠装置1000を極めて横幅寸法の薄いコ字状基体1001に集約して構成した場合でも、錠装置1000の前方部と後方部との係止及び固定により、錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造(固定構造でもよい)を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
また、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bの上部、中程、下部に挿通穴1005が形成され、コ字状基体1001に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納した状態で挿通穴1005にリベット1006を差込んでかしめることにより、コ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取付けることができる。即ち、扉枠用摺動杆1040の上中下の3箇所に形成されるリベット用長穴1042と本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に夫々1つずつ形成されるリベット用長穴1055,1061にリベット1006を貫通させることにより、扉枠用摺動杆1040が上方に移動できるようにし、本体枠用摺動杆1050が下方に移動できるようになっている。したがって、図122(B)に示すように本体枠用摺動杆1050のリベット用長穴1055,1061の下端部にリベット1006が貫通しており、図122(C)に示すように扉枠用摺動杆1040のリベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通している。
更に、コ字状基体1001の下方部には、その閉塞側面に不正防止切欠部1007が形成されると共に、その開放側の本体枠3の第一側面壁540と密着する側面1001bの前端部にシリンダ錠1010を取付けるための錠取付片1008が側方に向かって突設され、更に、第一側面壁540と密着する側面1001bに挿入縦開口1020、バネ係止片1021、及び逃げ横穴1022が夫々形成されている。不正防止切欠部1007は、後に説明する第一不正防止部材1023のストッパー片部1027が進退するようになっている。この点については、後に詳述する。また、錠取付片1008は、錠装置1000を本体枠3の裏面に取付けた状態で、遊技盤設置凹部510の下端辺よりも下方の位置となるようにコ字状基体1001の側面1001bの前端部から側方に向かって突設されるが、この錠取付片1008には、シリンダ錠1010が貫通する錠挿通穴1009が形成されると共にシリンダ錠1010の錠取付基板1011に形成される取付穴1013をビス1012で取付けるための取付穴1014が上下2箇所に穿設され、更に、錠装置1000の下部を本体枠3の裏面に取付けるためのビス止め部1003が穿設されている。
また、挿入縦開口1020は、シリンダ錠1010に固定される係合カム1016の第一係合突片1017及び第二係合突片1018がシリンダ錠1010の回動時に侵入するための開口であり、バネ係止片1021は、不正防止部材1023,1032に設けられるバネ1035が係止されるものであり、逃げ横穴1022は、連結ピン1034の移動の邪魔をしないように逃げ穴を構成するものである。この点については後に詳述する。
上記した錠取付片1008に取付けられるシリンダ錠1010について説明すると、シリンダ錠1010は、錠取付基板1011の前方に円筒状のシリンダ錠本体が固定され、そのシリンダ錠本体の錠軸1015が錠取付基板1011より後面に出ており、その錠軸1015の後端に係合カム1016がビス1019によって固定されている。係合カム1016は、ブーメラン形状に形成され、その一端辺が回動時に本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合する第一係合突片1017となっており、その他端辺が回動時に扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合する第二係合突片1018となっている。そして、上記のように構成されるシリンダ錠1010は、円筒状のシリンダ錠本体部分を錠挿通穴1009に挿通して錠取付基板1011の上下2箇所に形成される取付穴1013と錠取付片1008の取付穴1014とを一致させてビス1012で螺着することにより、シリンダ錠1010をコ字状基体1001に固定することができる。
次に、コ字状基体1001に取付けられる不正防止部材1023,1032,について図123を参照して説明する。不正防止部材1023,1032は、シリンダ錠1010を正式な鍵で回動せずに、例えばピアノ線や針金等で不正に本体枠用摺動杆1050を下降させることを防止するためのものである。しかして、不正防止部材1023,1032は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結した構造となっている。第一不正防止部材1023は、上端の揺動軸穴1025を中心にして揺動自在に構成される縦長の板状に形成され、その揺動軸穴1025を前述したコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を摺動自在に取付けるための挿通穴1005及びリベット1006のうち、最下方の挿通穴1005及びリベット1006によって取付けられる。
また、第一不正防止部材1023には、その板状面に挿入縦開口1020と重複する縦長な突片挿入穴1026が開設され、この突片挿入穴1026に第二係合突片1018が挿入し得るようになっている。つまり、突片挿入穴1026と挿入縦開口1020を第二係合突片1018が貫通することにより、コ字状基体1001の内部に設けられる扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045と第二係合突片1018とが係合するようになっている。また、第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026の開設位置の斜め上方の外形線が傾斜部1024となっている。この傾斜部1024は、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017の後面側と当接するもので、係合カム1016の回動時に第一係合突片1017と傾斜部1024とが当接することにより第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として揺動(図125(B)において時計回転方向)するようになっている。
更に、第一不正防止部材1023には、突片挿入穴1026の斜め下方の外形線上にストッパー片部1027が突設され、そのストッパー片部1027の下方に規制突片1031が突設され、規制突片1031の前方部にピン穴1029と連結穴1030とが上下に形成されている。ストッパー片部1027は、本体枠用摺動杆1050の施錠時に不正防止切欠部1007及び本体枠用摺動杆1050の係合切欠部1066に侵入係合して本体枠用摺動杆1050が不正に摺動しないようにするものである。また、規制突片1031は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とはバネ1035によって連結されるが、そのバネ1035で連結されたときに第二不正防止部材1032の付勢方向への移動を規制するものである。ピン穴1029は、ガイドピン1028が固定されるものであり、ガイドピン1028が第一不正防止部材1023の裏面側からピン穴1029に固定された状態で、そのガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端部に形成される横長状開口部に係合させることにより、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001の側面1001bに沿って案内するものである。更に、連結穴1030は、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結するためのものである。
上記した第一不正防止部材1023に連結される第二不正防止部材1032は、逆「て」字状の板材で形成され、その上部一端に連結穴1033が形成され、その上部他端にバネ係止穴1036が穿設され、下方端部に当接部1037が設けられている。連結穴1033は、第一不正防止部材1023の連結穴1030と一致させて連結ピン1034で連結するためのものであり、バネ係止穴1036は、一端がコ字状基体1001のバネ係止片1021に係止されるバネ1035の他端を係止するものである。また、当接部1037は、本体枠3の閉鎖時に外枠2の内側下部に固定される閉鎖用突起41と当接するものである。なお、上記した第一不正防止部材1023及び第二不正防止部材1032の作用については、後に詳述する。
次に、コ字状基体1001の内部に摺動自在に設けられる扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050について説明する。まず、扉枠用摺動杆1040は、縦長の金属製の板状部材から構成され、その一側縦辺の上中下の3箇所に扉枠用フック部1041が前方に向かって一体的に突設されている。この扉枠用フック部1041は、コ字状基体1001内に収納したときに、その開放側から前方に突出しているもので、錠装置1000を本体枠3の裏面に固定したときに、本体枠3に形成される扉用フック穴549(図67及び図68を参照)から前方に突出し、扉枠5の裏面に形成されるフックカバー158(図18を参照)に係止するものである。なお、扉枠用フック部1041は、下向きの係合爪形状となっているため、扉枠用摺動杆1040を上昇させることにより扉枠用フック部1041とフックカバー158との係止状態を解除することができる。
また、扉枠用摺動杆1040の上中下の側面中央に、リベット1006が挿通される縦長のリベット用長穴1042が形成され、リベット用長穴1042のうちの最上部のリベット用長穴1042の下方及び扉枠用摺動杆1040の最下端にガイド突起1043が突設されている。リベット用長穴1042は、コ字状基体1001の挿通穴1005に挿通されるリベット1006が貫通されるものであり、しかも、このリベット1006が扉枠用摺動杆1040の上昇動作を邪魔しないように縦長に形成されている。そして、通常状態においては、リベット用長穴1042の上端部にリベット1006が貫通当接した状態となっている。また、ガイド突起1043は、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051及び下フック部材1052に形成される突片移動穴1056,1064に挿通されるものであり、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の摺動動作を案内するようになっている。
また、扉枠用摺動杆1040の上端部にスプリングフック部1046が形成され、このスプリングフック部1046にスプリング1048の一端が係止され、そのスプリング1048の他端が本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051に形成されるスプリングフック部1057に係止される。これにより、扉枠用摺動杆1040が下方向に、本体枠用摺動杆1050が上方向に、夫々相互に付勢されている。扉枠用摺動杆1040の中程には、当接弾性片1047が凸状に形成されている。この当接弾性片1047は、扉枠用摺動杆1040の一側側面からプレスで打ち出して凸状に形成したものであり、コ字状基体1001の内側面に当接して内部で扉枠用摺動杆1040がガタつかないようにするものである。
更に、扉枠用摺動杆1040の下方部分の側面には、共に縦長な遊び穴1044と上昇係合穴1045とが形成されている。遊び穴1044は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第一係合突片1017の先端部が移動しえる空間を構成するものである。また、上昇係合穴1045は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって扉枠用摺動杆1040が上昇するように係合するためのものである。なお、扉枠用摺動杆1040の縦辺下部後方には、不正防止切欠部1007よりも上下方向に大きな切欠である逃げ切欠部1049が形成されている。この逃げ切欠部1049は、第一不正防止部材1023のストッパー片部1027を確実に不正防止切欠部1007及び係合切欠部1066に係合させるために邪魔しないように形成されるものである。
一方、本体枠用摺動杆1050は、金属板製の上フック部材1051と、金属板製の下フック部材1052と、上フック部材1051と下フック部材1052とを連結する連結線杆1052と、から構成されている。つまり、本体枠用摺動杆1050は、従来のように1つの金属製の縦長板で構成されているわけではなく、フック部1054,1065を有する上フック部材1051と下フック部材1052とを金属製の板材をプレスで形成し、その金属製の上フック部材1051と下フック部材1052とを細い金属製の連結線杆1053で連結したものである。このため、狭いコ字状基体1001の空間に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを効率よく収納することができる。
ところで、上フック部材1051には、その上端部に後方に向かってフック部1054が突設され、その板面部にリベット用長穴1055と突片移動穴1056とが形成され、また、その前方の縦辺下端部にスプリングフック部1057と連結穴1058とが形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1059が形成されている。フック部1054は、コ字状基体1001の上方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の上部に設けられる閉鎖用突起38に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。
このリベット用長穴1055は、扉枠用摺動杆1040の上部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1055にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1055の最下端部を貫通した状態となっている。これにより、上フック部材1051が下方に向かって移動することができるようになっている。突片移動穴1056は、前述したように扉枠用摺動杆1040の上方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。スプリングフック部1057は、前述したようにスプリング1048の他端が係止されるものである。また、連結穴1058は、連結線杆1053の上端が折り曲げられて挿入されるものである。更に、当接部1059は、コ字状基体1001に収納されたときに、コ字状基体1001の内部側壁に当接して上フック部材1051の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
一方、下フック部材1052には、その下端部に後方に向かってフック部1065が突設され、その板面部の上方から下方にかけてリベット用長穴1061と下降係合穴1062と遊び穴1063と突片移動穴1064とが順次形成され、また、その前方の縦辺上端部に連結穴1060が、その後方の縦辺下部に係合切欠部1066が夫々形成され、さらに、その上辺及び下辺に当接部1067が形成されている。フック部1065は、コ字状基体1001の下方のフック貫通開口1002を貫通して外枠2の開放側内側の下部に設けられる閉鎖用突起41に係合するもので上向きに係止爪部が形成されている。リベット用長穴1061は、扉枠用摺動杆1040の下部に形成されるリベット用長穴1042に対応するものであり、このリベット用長穴1061にリベット1006が貫通された通常の状態では、リベット1006がリベット用長穴1061の最下端部を貫通した状態となっている。
これにより、下フック部材1052が下方に向かって移動することができるようになっている。下降係合穴1062は、係合カム1016の第一係合突片1017が差し込まれて回動するときに、その回動動作によって本体枠用摺動杆1050が下降するように係合するためのものである。また、遊び穴1063は、係合カム1016の第二係合突片1018が差し込まれて回動するときに、その回動動作の邪魔にならないように第二係合突片1018の先端部が移動し得る空間を構成するものである。突片移動穴1064は、前述したように扉枠用摺動杆1040の下方のガイド突片1043が挿入されて、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050との相互の移動を案内するようになっている。また、連結穴1060は、連結線杆1053の下端が折り曲げられて挿入されるものである。更に当接部1067は、コ字状基体1001に収納されたときに、このコ字状基体1001の内部側壁に当接して下フック部材1052の摺動動作においてガタつきがなくスムーズに行われるようにするためのものである。
以上、錠装置1000を構成する各部材について説明してきたが、この錠装置1000を組み付けるには、本体枠用摺動杆1050の上フック部材1051と下フック部材1052とを連結線杆1053で連結し、その状態で扉枠用摺動杆1040のガイド突片1043を上フック部材1051と下フック部材1052の突片移動穴1056,1064に挿入すると共に、相互のリベット長穴1042とリベット用長穴1055,1061を位置合わせして重ね合わせ、その重ね合わせた状態で上フック部材1051のフック部1054と下フック部材1052のフック部1065とをコ字状基体1001のフック貫通開口1002に貫通させながら扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001のコ字状の空間に挿入する。その後、挿通穴1005からリベット1006を差し込む。
この際、リベット1006がリベット用長穴1055,1061、1042を貫通するように差し込む。ただし、最下端のリベット1006を差し込むときには、第一不正防止部材1023の揺動軸穴1025にもリベット1006を差し込んで第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に同時に取付ける必要がある。なお、第一不正防止部材1023をコ字状基体1001に取付ける前に、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とを連結ピン1034で連結し且つガイドピン1028をピン穴1029に図示しないビスで止着しておき、さらにガイドピン1028を挿入縦開口1020の最下端の開口部に挿入しておく必要がある。
更に、リベット1006で扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050をコ字状基体1001内に収納固定した状態で、スプリング1048をスプリングフック部1046,1057相互間に掛け渡し、扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを相互に反対方向に付勢し、さらに、バネ1035をバネ係止片(穴)1021,1036に掛け渡して第二不正防止部材1032が規制突片1031に当接した状態とする。その後、錠取付片1008の錠挿通穴1009にシリンダ錠1010の円筒状本体部分を挿入してシリンダ錠1010をビス1012で取付穴1014に固定する。なお、このとき係合カム1016の第一係合突片1017の先端部が傾斜部1024の外側で且つ挿入縦開口1020に僅かに挿入し、係合カム1016の第二係合突片1018の先端部が第一不正防止部材1023の突片挿入穴1026及び挿入縦開口1020に僅かに挿入した状態となるようにシリンダ錠1010を錠取付片1008に取付ける。
上記のようにして組み付けた錠装置1000を本体枠3の裏面に取付けるためには、前述したように、扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041を本体枠3に形成される扉用フック穴549に差し込みながら、鉤型に突出する係止突起1004を本体枠3の錠係止穴548に差し込んで上方に移動させ、その状態で水平方向に突出したビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547に一致させ、その一致した穴に図示しないビスを螺着することにより、図117に示すように、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定することができる。特に、本実施形態の場合には、前方部の係止構造を構成する係止突起1004がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着しない側面1001aに突設形成される一方、後方部の固定構造を構成するビス止め部1003及びビス止め部1003がコ字状基体1001の第一側面壁540と密着する側面1001bから水平方向に突設形成される構造であるため、前方部の係止構造が第一側面壁540と密着する側面1001bに形成される場合に比べて、ガタ付きが生じないように錠装置1000を本体枠3に固定することができるものである。
ところで、本体枠3の裏面に取付けられた錠装置1000の作用について図124及び図125を参照して説明する。まず、図124を参照して本体枠3の開閉動作と扉枠5の開閉動作について説明する。本体枠3が外枠2に対して閉じ且つ扉枠5が本体枠3に対して閉じている状態においては、図124(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止し且つ扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041と扉枠5のフックカバー158とが係止した状態となっている。その状態でシリンダ錠1010に図面示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図124(B)に示すように、第一係合突片1017の先端が本体枠用摺動杆1050の下降係合穴1062に係合してスプリング1048の付勢力に抗して下フック部材1052を下方に押下げ、これと連結されている連結線杆1053と上フック部材1051も押下げられて下降する。このため、外枠2の閉鎖用突起38,41と本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065とが係止状態が解除されるため、本体枠3を前面側に引くことにより本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を閉じる場合には、フック部1054,1065がスプリング1048の付勢力により上昇した状態(図124(A)に示す状態と同じ上昇した位置)となっているが、フック部1054,1065の上辺が外側に向かって下り傾斜しているため、強制的に本体枠3を外枠2に対して押圧することにより、フック部1054,1065の上辺傾斜部が閉鎖用突起38,41の下端部と当接するので、本体枠用摺動杆1050が下方に下降し、遂には、フック部1054,1065の上向き爪部と閉鎖用突起38,41とが再度係止した状態となって本体枠用摺動杆1050が上昇して係止状態に戻る。
一方、シリンダ錠1010に図示しない鍵を差し込んで係合カム1016の第二係合突片1018が挿入縦開口1020内に侵入する方向に回動すると、図124(C)に示すように、第二係合突片1018の先端が扉枠用摺動杆1040の上昇係合穴1045に係合してスプリング1048の付勢力に抗して扉枠用摺動杆1040を上方に押し上げ上昇する。このため、扉枠5のフックカバー158と扉枠用摺動杆1040の扉枠用フック部1041とが係止状態が解除されるため、扉枠5を前面側に引くことにより扉枠5を本体枠3に対して開放することができる。
なお、扉枠5を閉じる場合には、扉枠用フック部1041がスプリング1048の付勢力により下降した状態(図124(A)に示す状態と同じ下降した位置)となっているが、扉枠用フック部1041の下辺が外側に向かって上り傾斜しているため、強制的に扉枠5を本体枠3に対して押圧することにより、扉枠用フック部1041の下辺傾斜部がフックカバー158の上端部と当接するので、扉枠用摺動杆1040が上方に上昇し、遂には、扉枠用フック部1041の下向き爪部とフックカバー158とが再度係止した状態となって扉枠用摺動杆1040が下降して係止状態に戻る。なお、本実施形態における扉枠用摺動杆1040は、コ字状基体1001の全長と略同じ長さに形成されると共に、そのコ字状基体1001が本体枠3の縦方向の側面の略全長に亘って取付けられ、しかも、扉枠5との係止部である扉枠用フック部1041が扉枠用摺動杆1040の上端部、中央部、下端部の3箇所に形成されているため、扉枠5と本体枠3の縦方向の全長における施錠が確実に行われ、扉枠5と本体枠3との間を無理やりこじ開けてその間からピアノ線等の不正具を挿入する不正行為を行うことができないという利点もある。
上記したように、本実施形態に係る錠装置1000は、シリンダ錠1010に差し込んだ鍵を一方向に回動することにより、外枠2に対する本体枠3の施錠を解除し、他方向に回動することにより、本体枠3に対する扉枠5の施錠を解除することができる。この場合、シリンダ錠1010に鍵を差し込むことなく本体枠用摺動杆1050のフック部1054,1065にピアノ線等を引っ掛けてこれを下降させる不正行為が行われることがあるが、本実施形態においては、このような不正行為を行うことができないようになっている。このような不正行為を防止する構造の第一番目が第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とから構成されるロック機構であり、第二番目の不正防止構造がコ字状基体1001の閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050が収納される構造である。
まず、第一番目の不正防止構造であるロック機構の作用について図125を参照して説明する。まず、外枠2と本体枠3とが閉じている状態においては、図125(A)に示すように、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが当接した状態となっている。この状態においては、バネ1035の付勢力により第一不正防止部材1023が反時計方向に回動してストッパー片部1027が不正防止切欠部1007内に侵入し、ストッパー片部1027が不正防止切欠部1007に対応する位置にある本体枠用摺動杆1050の下フック部材1052に形成される係合切欠部1066と係合した状態となっている。このため、本体枠用摺動杆1050にピアノ線等を引っ掛けて引き降ろそうとしても、ストッパー片部1027と係合切欠部1066とが係合しているので、本体枠用摺動杆1050を不正に下方に引き降ろすこと(解錠すること)が不能となり、本体枠3を開放するという不正行為を行うことができない。
一方、シリンダ錠1010に鍵を差し込んで正規に本体枠3を開錠する場合には、図125(B)に示すように、鍵を回動させることにより係合カム1016の第一係合突片1017が挿入縦開口1020内に侵入するように回動される。この第一係合突片1017の回動時に、第一不正防止部材1023の傾斜部1024と第一係合突片1017の側面とが当接するため、第一不正防止部材1023が揺動軸穴1025を中心として図示の時計回転方向に回転を始め、ストッパー片部1027も不正防止切欠部1007から退避するように移動する。このため、ストッパー片部1027と係合切欠部1066との係合が解除された状態となる。このとき、第二不正防止部材1032は、バネ1035を伸ばして当接部1037が後退した位置となっている。この状態でさらに係合カム1016を回動させて第一係合突片1017も回動させると、第一係合突片1017の先端が下フック部材1052の下降係合穴1062に係合して本体枠用摺動杆1050の全体を下降させるので、フック部1054,1065と外枠2の閉鎖用突起38,41との係止状態が解除されて本体枠3を外枠2に対して開放することができる。
なお、本体枠3を外枠2に対して閉じるときには、第二不正防止部材1032は、規制突片1031に当接した状態となっているため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032との位置関係は、図125(A)に示す状態と略同じ位置関係になっている。この状態で本体枠3を閉めると、外枠2の閉鎖用突起41と第二不正防止部材1032の当接部1037とが正面から当接し、最終的に図125(A)に示す状態となる。このため、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠3を閉じるときに邪魔になることはない。また、本実施形態においては、第一不正防止部材1023と第二不正防止部材1032とが本体枠用摺動杆1050の下降動作だけが不正に行われないように防止しているのは、本体枠用摺動杆1050を不正に開放すれば、解放後に扉枠用摺動杆1040を手動で簡単に開けることができることと、ピアノ線等で摺動杆を上昇させる不正行為は事実上行い難いという理由により、本体枠用摺動杆1050に対する不正操作ができないように工夫されている。
また、上記した第一番目の不正防止構造であるロック機構であっても、第一不正防止部材1023をピアノ線等で揺動させることにより、ロック機構の機能を無力化することも不可能ではない。そこで、万一ロック機構のロック機能が不正な行為により無力化される場合を想定すると、本実施形態においては、錠装置1000が本体枠3に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001の閉鎖空間に収納されて完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んでコ字状基体1001の閉鎖空間の内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げようとしても、コ字状基体1001の両側面1001a,1001bによって不正具の閉鎖空間への侵入が阻止されるため、不正行為を簡単に行うことができない構造となっている。
以上、詳述したように、本実施形態に係る錠装置1000は、その横幅寸法が従来のL字状基体に集約される錠装置に比べて極めて薄いコ字状基体1001の内部に扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とを摺動可能に設け且つ錠装置1000を操作するためのシリンダ錠1010のコ字状基体1001への取付位置を遊技盤の下端辺よりも下方となる位置としたので、遊技盤4の左右方向及び上下方向の大きさを極めて大きくすると共に、本体枠3の側面壁540〜543で囲まれる空間を大きくしても、錠装置1000を本体枠3の裏側に強固に取付けることができる。そして、断面コ字状の開放側が本体枠3の裏面に対面するように取付けられるため、錠装置1000が本体枠3に取付けられた状態では、内部に設けられる扉枠用摺動杆1040と本体枠用摺動杆1050とが、夫々のフック部1041、1054,1065を除いてコ字状基体1001に完全に被覆された状態となっているので、ピアノ線等を差し込んで内部に設けられる本体枠用摺動杆1050を引き下げる等の不正行為を簡単に行うことができない。
また、錠装置1000の取付けに際し、コ字状基体1001の開放側(前方部)の上中下の3箇所に形成される係止突起1004を錠係止穴548に差し込んで位置決め係止し、コ字状基体1001の閉塞側(後方部)の上中下の3箇所に形成されたビス止め部1003及びビス止め部1003を錠取付穴547にビスで固定する構造であるため、錠装置1000の前方部を係止突起1004と錠係止穴548で係止し、錠装置1000の後方部をビス止め部1003及びビス止め部1003と錠取付穴547で固定するので、極めて簡単な構造で錠装置1000を本体枠3に強固に固定することができるものである。
なお、上記した実施形態においては、コ字状基体1001の下方部をビス止めする構造として錠取付片1008に形成されたビス止め部1003と本体枠3のシリンダ錠貫通穴526の上部近傍に形成した錠取付穴547とを螺着する構造としたが、これに代えて、シリンダ錠1010を錠取付片1008に取付けるビス1012を利用して、ビス1012の先端が錠取付片1008を貫通して螺着される錠取付穴をシリンダ錠貫通穴526の上下に形成する構造でも良い。また、コ字状基体1001の下方部をビス止めしなくても、錠装置1000の後方部のビス止め部1003と錠取付穴547との固定だけでも、錠装置1000を本体枠3の裏面に強固に固定されることを確認している。
また、上記した実施形態においては、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を左右の側面1001a,1001bを有するコ字状基体1001で完全に被覆するものとしたが、例えば、扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を第一側面壁540に密着しない反対側の側面1001aに摺動自在にリベット等で装着し、第一側面壁540に密着する側面1001bを省略したL字状基体(錠基体)とし、そのL字状基体(錠基体)の側面1001aと第一側面壁540とによって形成される閉鎖空間に扉枠用摺動杆1040及び本体枠用摺動杆1050を収納する構造としてもよい。この場合でも、実施形態と同じような取付構造及び不正防止構造とすることができる。
[1−5.基板ユニット]
次に、本体枠3の裏面下部に取付けられる基板ユニット1100について、主として図126乃至図134を参照して説明する。図126は、基板ユニットを背面側から見た斜視図であり、図127は、基板ユニットの背面側から見た分解斜視図であり、図128は、基板ユニットを前面側から見た斜視図であり、図129は、基板ユニットの前面側から見た分解斜視図であり、図130は、基板ユニットの主体をなす枠用基板ホルダの前面側から見た正面図であり、図131は、枠用基板ホルダの背面図であり、図132は、基板ユニットの背面図であり、図133は、払出制御基板ボックス及び端子基板ボックスを取り外した状態の基板ユニットの背面図であり、図134は、基板ユニットに設けられる各基板の接続関係を示す平面図であり、図135は、基板ユニットと遊技盤との電気的な接続を示す概略図であり、図136は、払出制御基板と基板ユニットとの配線等を示すパチンコ機の背面図の一部であり、図137は、図138の断面図の断面箇所を説明するための遊技盤(ただし、この遊技盤は、図76乃至図80に示す取り外し防止機構を組み込んだ遊技盤である。)の正面図であり、図138は、図137のC−C断面図である。
基板ユニット1100は、本体枠3の裏面下部に複数形成されるホルダ用の取付穴部527(図68及び図70を参照)に取付けられるものであり、図126及び図127に示すように、合成樹脂成形された枠用基板ホルダ1101に、扉中継基板1102、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、払出制御基板ボックス1105、主ドロワ中継基板1107、及び副ドロワ中継基板1108の各種基板を取付けることにより構成されている。上記の基板のうち、扉中継基板1102、電源基板ボックス1103、端子基板ボックス1104、及び払出制御基板ボックス1105は、枠用基板ホルダ1101の後面側に前後方向に重複して取付けられ、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108は、枠用基板ホルダ1101の前面側に取付けられるものである。後述するように、電源基板1136は+34V、+18V及び+9Vを作成して供給するため極めて高温な熱源となっており、電源基板1136から発せられた熱が上昇する。このため、払出制御基板1186を収納する払出制御基板ボックス1105を電源基板ボックス1103の上面に重複して取付けることによって、その上昇する熱を受けずに済むようになっている。なお、払出制御基板ボックス1105の裏面には、電源基板1136等からの電磁波の影響を防止すると共に電源基板1136から発せられる熱を放熱するために金属製のシールド放熱板1106が取付けられ、また、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108は、基板カバー1109に被覆されて取付けられている。以下、基板ユニット1100を構成する各部材について詳細に説明する。
なお、本実施形態におけるシールド放熱板1106は、特に、電源基板ボックス1103の上面から熱が発せられた熱を外部(外気)に放熱するために、図127及び図129に示すように、シールド放熱板1106の板面が凹凸状の凹凸面1106aとして形成されている。シールド放熱板1106によって払出制御基板1186に伝達される熱を小さく抑えることができる。凹凸面1106aによって外部(外気)との接触面積を増加させて放熱効果を高めるものである。また、凹凸面1106aは、設置したときに熱が放熱し易いように垂直状若しくは傾斜状に形成することが望ましい。もちろん、シールド放熱板1106に凹凸面1106aを形成しても電磁波に対するシールド効果が損なわれることはない。シールド放熱板1106は電源基板1136等からの電磁波の影響を防止する。これにより、電磁波によるノイズの影響を抑えることができるため、ノイズの影響による払出制御基板ボックス1105に収納された払出制御基板1186の誤動作を防止することができる。また、このシールド放熱板1106のシールド放熱機能は、電源基板ボックス1103と払出制御基板ボックス1105との間だけではなく、枠用基板ホルダ1101に他の複数の基板ボックスが重複して取付けられる場合には、その下側に位置する基板ボックスと上側に位置する基板ボックスとの間に、本実施形態と同じシールド放熱板1106を設けることによっても奏されるものである。
まず、枠用基板ホルダ1101は、横長状に合成樹脂で成形され、図127及び図130に示すように、その後面側一側部(図130において右側部)に配線用開口1124が形成され、配線用開口1124の内側に扉中継基板1102を取付けるための中継基板用凹部1110が形成されている。この中継基板用凹部1110は、略正方形状の扉中継基板1102の外形に合致するように正方形状の凹部として形成され、この中継基板用凹部1110内の上下辺には、扉中継基板1102の裏面を支える当接突部1113が突設されると共に、中継基板用凹部1110に扉中継基板1102を収納した状態で扉中継基板1102の一側縦辺の表面と係止する止め爪1111が形成されている。また、中継基板用凹部1110の外側寄りの上下には、電源基板ボックス1103の一端辺に形成される係合係止穴1135に係合されて図示しないビスで止着するための取付ボス1112が突設されている。
また、枠用基板ホルダ1101の後面側において、上記した中継基板用凹部1110よりも中央寄りに内部に通す配線を係止して纏めるための2つの配線処理片1114が形成されている。この配線処理片1114は、垂直面に対して側方から見たときにL字状に突出形成されるもので、その垂直面とL字状突片との間に配線を掛け止めるようになっている。更に、枠用基板ホルダ1101の中継基板用凹部1110の上部から略中央よりやや他端側に近い部分までが電源基板ボックス1103を取付けるための領域(次に説明する右側の低い領域)となっており、その上下辺に電源基板ボックス1103の裏面と当接する当接突部1115が突設されている。したがって、この電源基板ボックス取付領域に電源基板ボックス1103を当接突部1115に当接するように取付けた状態では、電源基板ボックス1103の裏面と枠用基板ホルダ1101の垂直面との間に空間が形成され、この空間内に基板相互を接続する配線が収納されることになり、この収納された配線を係止して纏めるものが2つの配線処理片1114である。
なお、電源基板ボックス1103を取付ける領域の他端辺から枠用基板ホルダ1101の他端辺(図130において左側辺)までは、後方への突出量が大きく形成されている。つまり、枠用基板ホルダ1101は、背面から見たときに、中央よりやや左側の位置で左側が高く右側が低い段差状に形成されており、その右側の低い領域が電源基板ボックス1103を取付けるための領域(以下、「電源基板ボックス取付領域」という場合がある。)となっている。そして、この電源基板ボックス取付領域の他端辺側には、電源基板ボックス1103の他端辺上下に突設される挿入突起1134が挿入される挿入口1115aが形成されている。このため、電源基板ボックス1103を取付けるためには、挿入突起1134を挿入口1115aに差し込んだ後、電源基板ボックス1103の一端辺上下に形成される係合係止穴1135を取付ボス1112に上から差し込んで図示しないビスで止着することにより、電源基板ボックス1103を枠用基板ホルダ1101に固定することができる。
更に、枠用基板ホルダ1101の背面側において、上記した段差状の高い領域は、払出制御基板ボックス1105を取付けるための領域(以下、「払出制御基板ボックス取付領域」という場合がある。)の一部を構成するものであり、この段差状の高い領域の一部には、横L字状の凹状の配線引き廻し空間1116が形成されている。この配線引き廻し空間1116の底面には、配線用開口1121(図129乃至図132を参照)が形成されており、電源基板ボックス取付領域内の2つの配線処理片1114に掛け止められた配線を配線引き廻し空間1116及び配線用開口1121から枠用基板ホルダ1101の前面側に引き出すようになっている。また、払出制御基板ボックス取付領域の他端側(図127の左端部側)には、払出制御基板ボックス1105の係合弾性片1184が係合するための係止突部1117が突設形成されている。
次に、枠用基板ホルダ1101の前面側の構成について説明すると、図128、図129、図131に示すように、枠用基板ホルダ1101の前面側の略中央には、アウト球通路1119が逆さL字状に形成されている。このアウト球通路1119は、前述したアウト口606(図78を参照)、球抜排出通路524(図68を参照)の下流側、及び落下口629(図75を参照)と対応するように上方が幅広く形成され、下流側が球を列状に排出するように幅狭く形成されている。したがって、基板ユニット1100を本体枠3に取付けたときには、図71に示すように、アウト球通路1119の幅広上流部がアウト口606の下面を支持する通路支持突起513の後方に位置するようになっている。そして、アウト球通路1119の下流端からアウト球や入賞球、あるいは球抜き球がパチンコ機の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって放出されるものである。
また、枠用基板ホルダ1101の前面側であって払出制御基板ボックス取付領域に対応する前面側には、その上方領域に主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継基板1108とを横方向に所定間隔を空けて並列状に取付けるドロワ取付領域1120が形成されている。ドロワ取付領域1120には、夫々の中継基板1107,1108に形成された支持穴1204,1205が貫通されて各中継基板1107,1108を支持するためのドロワ取付ボス1118が突設されると共に、夫々の中継基板1107,1108の中間位置の上下に接合案内孔1126と案内孔1125が穿設されている。この接合案内孔1126は、図138に示すように、遊技盤4を本体枠3に装着する作業に伴って、基板ユニット1100側に設けられるドロワコネクタ1200,1202(ホルダ側コネクタ)と遊技盤4側に設けられるドロワコネクタ626,627(遊技盤側コネクタ)とが自然に接続されるように遊技盤4の盤用基板ホルダ623に形成される接合案内突起628(図78を参照)が挿入されるものである。一方、案内孔1125は、基板ユニット1100を本体枠3に取付ける際に、本体枠3に突設される案内突起525(図68及び図70を参照)が挿入されるもので、基板ユニット1100の位置決めを行うと共に装着作業の容易化を図っているものである。また、枠用基板ホルダ1101の左右両辺及び下辺には、基板ユニット1100を本体枠3に取付けるための取付片1122が外側に向かって突設され、取付片1122を本体枠3の取付穴部527(図68を参照)に対応させて図示しないビスで止着することにより、基板ユニット1100が本体枠3の背面下部に取付けられる。なお、取付穴部527は、図70に示すように、取付片1122の外形形状に合致する外周壁を有して形成されている。更に、枠用基板ホルダ1101の他端側(図128の右側)側壁の外側に、配線を係止するための配線掛止片1123が突設形成されている。
枠用基板ホルダ1101の構成は、概ね上記した通りであるが、そのような構成を有する枠用基板ホルダ1101に取付けられる各種の基板の構成について説明する。まず、枠用基板ホルダ1101の後面側の中継基板用凹部1110に装着される扉中継基板1102について説明すると、扉中継基板1102には、図127に示すように、多ピンコネクタ形式の内部接続端子1130と扉枠用接続端子1131とが設けられている。扉枠用接続端子1131は、枠用基板ホルダ1101にすべての基板を取付けた状態においても、図132に示すように、背面から見て外部から視認できるようになっており、扉枠5に設けられるランプ及びLEDからなる電飾部品やスピーカ等の扉枠用配線1212(図134を参照)が配線用開口1124を通って扉枠用接続端子1131に接続されるものである。また、内部接続端子1130は、副ドロワ中継基板1108に設けられる扉枠用コネクタ1203に内部配線1213(図134を参照)によって接続されるものである。ただし、この内部配線1213は、前述した配線処理片1114及び配線引き廻し空間1116、配線用開口1124を敷設されるように枠用基板ホルダ1101の内部に設けられている。
また、枠用基板ホルダ1101の後面側の電源基板ボックス取付領域に取付けられる電源基板ボックス1103は、電源基板1136(図133を参照)を固定するボックス主体1132と、ボックス主体1132を被覆するカバー体1133と、から構成されている。ボックス主体1132には、その一端部の上下に取付ボス1112と係合する係合係止穴1135が一体的に形成され、その他端部の上下に挿入口1115aに挿入される挿入突起1134が一体的に形成されている。また、電源基板1136のカバー体1133に被覆されない部分(図133の右側部と左下部)には、図133に示すように、電源スイッチ1137と電源線コネクタ1138とCRユニット電源コネクタ1139とアース用コネクタ1140と払出制御基板用電源コネクタ1141とが設けられている。電源スイッチ1137は、パチンコ機1の全ての電気機器に電源を供給するためのスイッチであり、パチンコ機1を使用する際にONとするものである。また、電源線コネクタ1138は、島内に供給されている交流24V(AC24V)の電源用配線からの電源配線を接続したり、パチンコ機1に帯電したノイズ等を外部にフレームグランドとしてアースしたりするためのコネクタである。CRユニット電源コネクタ1139は、パチンコ機1に隣接されるカード式球貸器(図示しない;一般的に、CRユニットと言われている。)への電源を供給したりするためのコネクタである。アース用コネクタ1140は、パチンコ機1に設けられる帯電防止用の種々のアース線が電気的に接続されており、パチンコ機1に侵入したノイズ等を、電源線コネクタ1138を介して、外部にアースするためのコネクタである。具体的には、扉枠5(補強板211〜214)からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドとしてアース用コネクタ1140aと電気的に接続され、タンクレール部材740を流下する球からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ1140bと電気的に接続され、賞球ユニット800からのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドFG1としてアース用コネクタ1140cと電気的に接続され、CRユニットからのノイズ等を除去するアース線がフレームグランドとしてアース用コネクタ1140dと電気的に接続されている。これらのフレームグランドは、電源線コネクタ1138のフレームグランドと電気的に接続されており、このフレームグランドを介して、パチンコ機1の外部にアースされる。更に、払出制御基板用電源コネクタ1141には、図134に示すように、電源供給用配線1214が接続され、電源供給用配線1214が払出制御基板1186の電源用端子1192に接続されている。そして、この電源供給用配線1214により、払出制御基板1186を介して他の制御基板(例えば、周辺基板ボックス622に収納される液晶制御基板3181や主制御基板ボックス624に収納される主制御基板4100)等に電源を供給するようになっている。なお、電源供給用配線1214は、払出制御基板用電源コネクタ1141から配線引き廻し空間1116に導かれ払出制御基板ボックス1105の裏面から後方に引き出されて電源用端子1192に接続されるようになっている。つまり、この電源供給用配線1214も枠用基板ホルダ1101の内部に敷設された状態となっている。
ところで、電源基板ボックス1103のカバー体1133の後面は、図127に示すように、段差状に形成され、その段差の高い領域が端子基板ボックス1104を取付けるための取付領域1142となっており、段差の低い領域が払出制御基板ボックス1105を取付けるための取付領域1143となっている。取付領域1143は、枠用基板ホルダ1101の前述した払出制御基板ボックス取付領域と一緒になって横長の払出制御基板ボックス1105を取付けるための取付領域を構成するものである。なお、上記した段差部の略中央には、払出制御基板ボックス1105の後述する係合片1182(図129を参照)が係合挿入される係合穴1146が形成されている。
端子基板ボックス1104を取付けるための取付領域1142を構成するカバー体1133には、端子基板ボックス1104の裏面側に形成される位置決めピン1148及び係合片部1147と夫々位置決め若しくは係合する位置決め穴1145及び取付係合穴1144が形成されている。係合片部1147は、断面L字状に形成される一方、取付係合穴1144は、幅広部と幅狭部とが連続する穴状に形成されているので、係合片部1147を取付係合穴1144の幅広部に挿入した後、一方向(図示の場合は、枠用基板ホルダ1101の中央方向)にスライド移動させることにより、L字状の係合片部1147と取付係合穴1144の幅狭部とが係合するようになっている。なお、端子基板ボックス1104の他側辺の下部に掛止片1149が突設され、端子基板ボックス1104がカバー体1133にスライド移動係合されたときに、掛止片1149が払出制御基板ボックス1105のボックス主体1180の一部と係合するようになっている。なお、この係合は、少し力を入れて端子基板ボックス1104を非係合方向にスライド移動させることにより、簡単に外れる程度の係合状態である。
また、端子基板ボックス1104には、図132に示すように、複数の外部情報端子1151と払出制御基板用端子1156とが設けられる外部端子板1150aと、度数表示器用端子1152と電源アース端子1153とCRユニット用端子1154と払出制御基板用端子1155とが設けられるCRユニット端子板1150bと、の2つの基板が上下方向に並列状に収納されている。外部端子板1150aに設けられる複数の外部情報端子1151は、大当り情報出力信号や始動口入賞情報出力信号等のパチンコ機1の管理に必要な各種の情報信号を外部(例えば、遊技場に設置してある管理コンピュータ(ホールコンピュータ))に導出するためのコネクタであり、それらの情報信号は、主として主制御基板ボックス624に収納されている主制御基板4100から後に詳述する主ドロワ中継コネクタ1200を介して払出制御基板1186に伝送され、さらに払出制御基板1186に設けられる外部端子板用端子1188と払出制御基板用端子1156との接続により、最終的に複数の外部情報端子1151の夫々に伝達される。CRユニット端子板1150bの度数表示器用端子1152は、パチンコ機1の、例えば皿ユニット300に設けられるプリペイドカードの残度数表示器、貸球スイッチ、及び返却スイッチとの配線が接続されるものである。また、電源アース端子1153は、2つのコネクタから構成され、一方のコネクタ(図132の左側)には電源基板1136のCRユニット電源コネクタ1139からの配線が接続され、他方のコネクタには電源基板1136の複数のアース用コネクタ1140のうちの1つのアース用コネクタ1140からの配線が接続されるものである。更に、CRユニット用端子1154は、図示しないCRユニットからの配線が接続されるものであり、払出制御基板1186のCRユニット端子板用端子1189と払出制御基板用端子1155とが接続されることにより、払出制御基板1186とCRユニットとが接続されることになる。
上記したように、端子基板ボックス1104は、主制御基板ボックス624に収納される主制御基板4100からの遊技情報を外部に導出する外部端子板1150aと、払出制御基板1186とCRユニットとの接続を中継するCRユニット端子板1150bと、の両方の基板を収納するものであり、これらは従来別々の基板ボックスに収納されてパチンコ機1の裏面に別々の位置に設けられていたが、本実施形態においては、1つの端子基板ボックス1104に纏めて枠用基板ホルダ1101に装着したものである。このため、特に、本実施形態の場合、主制御基板4100と外部端子板1150aとを直接配線で接続することなく、払出制御基板1186を介して接続した独特な構成を有するものとなっている。
次に、枠用基板ホルダ1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される取付領域1143とにわたって取付けえる払出制御基板ボックス1105について、主として図127、図129及び図132を参照して説明する。払出制御基板ボックス1105は、横長の長方形状の払出制御基板1186が図示しないビス等で固定されるボックス主体1180と、ボックス主体1180に取付けられて払出制御基板1186の表面を覆うカバー体1181と、から構成されている。ボックス主体1180とカバー体1181とは、その一側辺(図132の右側辺)を係合させ、その他側辺(図132の左側辺)に分離切断部1183でカシメ固定している。これによってボックス主体1180とカバー体1181とを分離するためには、分離切断部1183を切断しないと分離できないようになっている。ただし、分離切断部1183におけるカシメ固定は、複数箇所(図示の場合は、1〜4の数字で示す4箇所)のうち、いずれかをカシメ部材でカシメれば良く、例えば、検査等で分離する必要がある場合には、3回まで行うことができる。もちろん、不正に分離した場合には、切断した痕跡が残ることになるので、不正行為があったか否かを直ちに知ることができる。また、ボックス主体1180の一側短辺中央には、電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される係合穴1146に差し込まれる係合片1182が突設形成され、他側短辺下部には、枠用基板ホルダ1101に形成される係止突部1117に弾性係合する係合弾性片1184が形成されている。したがって、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101に取付けるには、係合片1182を係合穴1146に差し込んだ後、係合弾性片1184を係止突部1117に係合させることにより、簡単に取付けることができる。そして、枠用基板ホルダ1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される取付領域1143とにわたって払出制御基板ボックス1105を取付けた状態においては、それらの取付領域1143内に払出制御基板ボックス1105が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。逆に、取り外す場合には、係合弾性片1184を弾性方向と逆方向に押圧して係合弾性片1184と係止突部1117との係合を外して払出制御基板ボックス1105を引き上げながら、係合穴1146から係合片1182を引き抜くことにより、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101から外すことができる。
また、上記したボックス主体1180とカバー体1181とによって被覆される払出制御基板1186には、その一側部(図132の右側部)に扉枠開放スイッチ用端子1185a、本体枠開放スイッチ用端子1185b、賞球ユニット用端子1187、外部端子板用端子1188、CRユニット端子板用端子1189、操作ハンドル用端子1194、エラーLED表示器4130、エラー解除スイッチ4131、及び球抜きスイッチ4132が設けられ、その他側下部(図132の左側部)に満タンスイッチ用端子1190、検査用出力端子1191、電源用端子1192、発射モータ用端子1193、及び内部接続端子1195が設けられている。
扉枠開放スイッチ用端子1185aは、扉枠5が本体枠3から開放されたことを検出する扉枠開放スイッチ4133からの配線が接続されるコネクタである。本体枠開放スイッチ用端子1185bは、本体枠3が外枠2から開放されたことを検出する本体枠開放スイッチ4134からの配線が接続されるコネクタである。賞球ユニット用端子1187は、前述した賞球ユニット800の中継基板480からの配線が接続される多ピンコネクタである。外部端子板用端子1188は、前述したように外部端子板1150aの払出制御基板用端子1156に接続される多ピンコネクタである。CRユニット端子板用端子1189は、前述したようにCRユニット端子板1150bの払出制御基板用端子1155に接続される多ピンコネクタである。満タンスイッチ用端子1190は、満タンユニット900の満タンスイッチ916からの配線が接続されるコネクタである。エラーLED表示器4130は、CRユニット接続異常等のパチンコ機の状態を表示する。エラー解除スイッチ4131は、操作されるとエラーLED表示器4130に表示されているエラーに応じた解除方法の案内がサイドスピーカ121や下部スピーカ391から流れる。球抜きスイッチ4132は、操作されると賞球タンク720及びタンクレール部材740に貯留された球を排出開始する(球抜き開始する)。検査用出力端子1191は、払出制御基板1186を検査する際に検査機器に接続するためのコネクタであり、検査用の各種の出力信号を出力するための端子である。電源用端子1192は、前述したように電源基板1136の払出制御基板用電源コネクタ1141に電源供給用配線1214によって接続されるコネクタである。発射モータ用端子1193は、打球発射装置650の発射モータ695からの配線が接続されるコネクタである。操作ハンドル用端子1194は、ハンドル装置400の操作ハンドル部410の内部に設けられるタッチセンサ420及び発射停止スイッチ422からの配線が接続されるコネクタである。内部接続端子1195は、主ドロワ中継基板1107に設けられる払出制御基板用コネクタ1201に信号電源配線1215によって接続されるコネクタである。
なお、エラー解除スイッチ4131の左方近傍には、図132に示すように、抵抗R1194a〜R1194dが配置されている。これらの抵抗R1194a〜R1194dは、操作ハンドル用端子1194に入力された各種検出信号に扉枠5(図18に示した補強板211〜214)からのノイズ等が侵入した際に、グランド(GND)が不安定にならないようにするものであり、その詳細な説明は後述する。
次に、枠用基板ホルダ1101の前面側に形成されるドロワ取付領域1120に取付ける主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継基板1108について説明する。図129に示すように、主ドロワ中継基板1107には、遊技盤4の裏面側に取付けられる中継端子板625に設けられる主ドロワコネクタ626(遊技盤側コネクタ:図78を参照)と接続される主ドロワ中継コネクタ1200(ホルダ側コネクタ)と、払出制御基板1186の内部接続端子1195と信号電源配線1215を介して接続される払出制御基板用コネクタ1201とが上下に設けられている。また、副ドロワ中継基板1108には、遊技盤4の裏面側に取付けられる中継端子板625に設けられる副ドロワコネクタ627(遊技盤側コネクタ:図78を参照)と接続される副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダ側コネクタ)と、扉中継基板1102の内部接続端子1130と内部配線1213を介して接続される扉枠用コネクタ1203とが上下に設けられている。また、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108には、各基板の左右両側に支持穴1204,1205が穿設され、支持穴1204,1205をドロワ取付領域1120に突設されるドロワ取付ボス1118に差し込むことにより、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108をドロワ取付領域1120内に位置決め支持され、その後、基板カバー1109で被覆することにより、堅固に固定される。
ところで、基板カバー1109には、主ドロワ中継基板1107に設けられる主ドロワ中継コネクタ1200及び払出制御基板用コネクタ1201と、副ドロワ中継基板1108に設けられる副ドロワ中継コネクタ1202及び扉枠用コネクタ1203とが基板カバー1109の外側に突出するための長方形状のコネクタ用開口1206,1207,1208,1209が開設され、また、基板カバー1109の裏面側に、ドロワ取付ボス1118の先端部が挿通されるピン挿通穴1210(図127を参照)が形成されると共に、左右両端に基板カバー1109を枠用基板ホルダ1101に図示しないビスで止着するための止め穴1211が形成されている。このため、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108の支持穴1204,1205をドロワ取付領域1120に突設されるドロワ取付ボス1118に差し込み、ドロワ取付ボス1118の先端部をピン挿通穴1210に挿通しながら基板カバー1109で被覆し、止め穴1211に図示しないビスで止着することにより、主ドロワ中継基板1107及び副ドロワ中継基板1108をドロワ取付領域1120内に堅固に固定することができる。
以上、基板ユニット1100の構成について説明してきたが、本実施形態の場合には、パチンコ機1を駆動制御するために必要な各種の基板のうち、遊技盤4の変更に伴って交換される主制御基板4100及び液晶制御基板3181以外の基板である扉中継基板1102、電源基板ボックス1103に収納された電源基板1136、端子基板ボックス1104に収納された外部端子基板1150、払出制御基板ボックス1105に収納された払出制御基板1186を、枠用基板ホルダ1101に予め組み付けてユニット化し、その組み付けてユニット化した基板ユニット1100を本体枠3の背面側下部に取付けるだけの簡単な作業によって、従来別々に本体枠3の背面側に取付けていた各種の基板取付作業に比べ、作業能率を向上することができる。また、この場合、基板ユニット1100にユニット化される各基板同士の配線も枠用基板ホルダ1101の内部に収めることができるので、基板同士を接続する配線が乱雑に入り乱れることがなく、整然と敷設することができる。
また、本実施形態においては、基板ユニット1100の前面に主ドロワ中継コネクタ1200(ホルダ側コネクタ)を有する主ドロワ中継基板1107と副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダ側コネクタ)を有する副ドロワ中継基板1108とが設けられているので、図138に示すように、本体枠3に遊技盤4をその前面側から装着する作業に伴って、遊技盤4の裏面側に設けられる中継端子板625の主ドロワコネクタ626と副ドロワコネクタ627(遊技盤側コネクタ)が夫々対応する主ドロワ中継コネクタ1200と副ドロワ中継コネクタ1202(ホルダ側コネクタ)とに接続されるので、遊技盤4の装着と基板間の接続とを同時に行うことができる。このため、遊技盤4の交換作業を手際よく行うことができる。
更に、本実施形態においては、基板ユニット1100を本体枠3の裏面に固定した後に、本体枠3に設けられる各種の電気機器との配線の接続作業が必要な払出制御基板ボックス1105と、外部のCRユニットや管理コンピュータとの接続作業が必要な端子基板ボックス1104と、を基板ユニット1100の最も後方の視認し易い位置に並列状に配置する一方、外部との接続作業の必要性が少ない電源基板ボックス1103や扉中継基板1102を内部に配置しているので、複数の基板を前後方向に効率よく重複配置することができ、基板ユニット1100の大きさを最小限に設計することができる。ただし、内部に配置される電源基板ボックス1103や扉中継基板1102においても、外部に接続される端子部分は、すべて外部から視認できるようになっているので、それらの接続作業が手探りになるという問題はない。
[1−5A−1.基板ユニットと遊技盤との電気的な接続(ドロワコネクタによる接続)]
次に、基板ユニット1100と遊技盤4との電気的な接続について図135を参照して説明する。上述したように、遊技盤4側にはドロワコネクタ626,627が設けられ、基板ユニット1100側にはドロワコネクタ1200,1202が設けられている。図135(a)に示すように、遊技盤4側のドロワコネクタ626,627を基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202に挿入することで電気的に接続することができる。遊技盤4側のドロワコネクタ626,627は、図135(b)に示すように、ターミナル626a,627aを備えており、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202は、図135(c)に示すように、コンタクト1200a,1202aを備えている。遊技盤4側のドロワコネクタ626,627を基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202に挿入すると、図135(c)に示すように、ターミナル626a,627aがコンタクト1200a,1202aを押し下げコンタクト1200a,1202aが変位する。この変位によって発生したコンタクト1200a,1202aの反発力は、ターミナル626a,627aを強く接触することで電気的な導通状態となる。これにより、遊技盤4側のドロワコネクタ626,627と、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202と、には、各種制御基板相互による(例えば、主制御基板4100と払出制御基板1186とによる)各種制御信号を伝える制御信号ラインが形成される。また遊技盤4側のドロワコネクタ626と、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200と、には、さらに、電源基板1136によって作成された各種電圧を供給する電圧供給ラインが形成される。このように、遊技盤4を本体枠3に着脱自在に装着することで、遊技盤4側のドロワコネクタ626,627と、基板ユニット1100側のドロワコネクタ1200,1202と、による制御信号ライン及び電圧供給ラインが接離自在に接続することができる。
なお、本実施形態におけるターミナル626a,627a及びコンタクト1200a,1202aは、ベローズタイプのものを採用している。ピンタイプのものでは作業時にうっかりピンに触れて曲げてしまうおそれがあるが、ベローズタイプのものではそのおそれがない。また、ターミナル626a,627a及びコンタクト1200a,1202aのメッキには摩擦係数の小さい金メッキを採用している。これにより、遊技盤4の着脱時のすべり良さ(嵌合の良さ)が確保されている。
ここで、遊技盤4を本体枠3に取付けるときに、図133に示した電源スイッチ1137を入れたままの状態で、その作業を行うと、ターミナル626aとコンタクト1200aとの接点、具体的には、各種電圧供給ライン用接点では大電流(後述する突入電流)が流れるため溶着することとなる。この溶着した状態のまま、遊技盤4を本体枠3に無理に押し込んで取付けようとすると、コンタクト1200aが折れ曲がって壊れたり、その遊技盤4を本体枠から取り外すときに、コンタクト1200aがドロワコネクタ1200から剥がれて破損したりして、ドロワコネクタ1200が使用できなくなる。
また、ターミナル626aとコンタクト1200aとが溶着すると、コネクタの破損にともない、各種制御基板が誤動作したり、各種制御基板に実装された電子部品が破損したりするおそれもある。そこで、本実施形態では、溶着を防止する回路を後述する主制御基板4100に設けて対応している。その詳細な説明については後述する。
[1−5A−2.賞球ユニットとの配線等]
次に、払出制御基板ボックス1105に収納された払出制御基板1186と賞球ユニット800との配線等について図136を参照して説明する。賞球ユニット内中継端子板830には、上述したように、計数スイッチ用コネクタ830a、払出モータ用コネクタ830b、回転角スイッチ用コネクタ830c、球切れスイッチ用コネクタ830d、アース用コネクタ830e、及び払出制御基板用コネクタ830fが設けられている。
計数スイッチ用コネクタ830aは計数スイッチ812からの配線が接続され、払出モータ用コネクタ830bは払出モータ815からの配線が接続され、回転角スイッチ用コネクタ830cは回転角スイッチ855からの配線が接続され、球切れスイッチ用コネクタ830dは球通路ユニット770の球切れスイッチ778からの配線が接続され、アース用コネクタ830eは払出モータ815からのアース線が接続されている。払出制御基板用コネクタ830fは払出制御基板1186の賞球ユニット用端子1187と配線(ハーネス)により接続されている。
球切れスイッチ778からの配線及び回転角スイッチ855からの配線を除いた、計数スイッチ812からの配線、払出モータ815からの配線、払出モータ815からのアース線、及び賞球ユニット用端子1187とのハーネスは、配線処理片869により掛け留めてまとめられている。
島から供給された球は、上述したように、賞球タンク720及びタンクレール部材740に貯留され、球通路ユニット770に取り込まれ、賞球ユニット800に導かれる。球は、互いにこすれ合って帯電すると、静電放電してノイズを発生する。このため、賞球ユニット800はノイズの影響を受けやすり環境下にある。
上述したように、賞球ユニット800のセンサ基板854には回転角スイッチ855が設けられており、この回転角スイッチ855からの検出信号は、球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。また、上述した、払出制御用コネクタ480fと賞球ユニット用端子1187とを接続するハーネス、つまり賞球ユニット800と払出制御基板1186とを接続するハーネスも球の静電放電によるノイズの影響を受けやすい。
[1−6.カバー体]
次に、カバー体1250について、図5、図70及び図74等を参照して説明する。カバー体1250は、本体枠3の後面開口580を覆うものであり、その一側の上中下の3箇所に本体枠3の背面一側に形成されるカバー体支持筒部575に上方から挿入される軸支ピン1251が形成され、その他側の略中央に球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785と係合する係合片1252が形成されている。しかして、カバー体1250の軸支ピン1251をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1250を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1252をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1250を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる各種部品の背面を保護することができる。なお、開放する場合には、係合片1252とカバー体係合溝785との係合を解除すればよい。
また、図示の場合のカバー体1250においては、開放側の係合片1252の上下に止め穴1253が形成され、また、本体枠3の施錠壁569に突設される施錠用突出鉤片570を貫通させる貫通穴1254が形成され、更に詳細に図示しないが、次に説明する第二実施形態に係るカバー体1270と同じように、接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブが形成されている。これら接続操作用開口1255、立壁、当接突起、補強リブは、第二実施形態に係るカバー体1300の接続操作用開口1303、立壁1304、当接突起1305、補強リブと同じ位置に設けられて同じ機能を奏するものである。そして、カバー体1250を閉じた状態で、カバー体1250の止め穴1253と本体枠3側の止め穴568とを一致させて図示しないビスで止着することにより、カバー体1250によって本体枠3の後面開口580を閉塞固定することができる。そして、本体枠3に対してカバー体1250を閉じた状態で施錠用突出鉤片570がカバー体1250の貫通穴1254を貫通しているので、例えば、南京錠等の錠を施錠用突出鉤片570に掛け止めることにより、南京錠の鍵を有する責任者しかカバー体1250を開放することができないようにすることができる。
[1−6A.カバー体の他の実施形態]
上記した図5及び図74に示したカバー体1250(以下、「第一実施形態に係るカバー体1250」という。)は、図5からも明らかなように、遊技盤4の裏面下部に取付けられる主制御基板ボックス624を除いた遊技盤4の裏面を覆うように形成されているが、これを主制御基板ボックス624を含む遊技盤4の裏面の全体を覆うカバー体としても良い。このようなカバー体1300(以下、「第二実施形態に係るカバー体1300」という。)を取付けたパチンコ機について、図139乃至図150を参照して説明する。図139は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体を開放した状態の背面から見た斜視図であり、図140は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機の側面図であり、図141は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体の開放側から見た斜視図であり、図142は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機であってカバー体の軸支側から見た斜視図であり、図143は、第二実施形態に係るカバー体を取付けたパチンコ機の背面図であり、図144は、第二実施形態に係るカバー体を取り外した状態のパチンコ機の背面図であり、図145は、第二実施形態に係るカバー体の下辺部と重合当接する払出制御基板ボックスの斜視図であり、図146は、第二実施形態に係るカバー体の内側から見た斜視図であり、図147は、第二実施形態に係るカバー体に設けられるシリンダ錠の作用を説明するための背面図であり、図148は、図143のA−A断面図であり、図149は、図143のB−B断面図であり、図150は、図143のC−C断面図である。なお、図139乃至図150において、それ以前の図面に表示される構成と同じ機能を奏する構成には、同一の符号を付してある。
この第二実施形態に係るカバー体1300が取付けられるパチンコ機1の外枠2Aは、図139及び図140に示すように、前述した第二実施形態に係る外枠2Aであり、扉枠5に設けられる皿ユニット300の形状も若干異なるものである。更に、本体枠3の構成も軸支側後面壁546の開放端側に形成される後述する止め穴568、施錠穴569a及び案内孔569bを有する施錠壁569の点(図144を参照)、及び後側面壁を構成する第三側面壁542及び第四側面壁543の切欠部221の位置が下方まで延設されている点(図140を参照)で相違し、また、払出制御基板ボックス1105の構成においても、カバー体1181に当接低段面1181aが形成される点(図145を参照)で相違するだけである。ただし、図139及び図144に表示される主制御基板ボックス624は、図78に示される実施形態と同様に遊技盤4の裏面下部に取付けられる盤用基板ホルダ623に取付けられるものであり、図139及び図144においては、遊技盤4の図示が省略されている。
そこで、まず、図146を参照して第二実施形態に係るカバー体1300について説明する。カバー体1300は、やや縦長長方形状の周辺の側壁が立ち上がった皿状に合成樹脂によって形成され(側壁部や長方形板部の上半分には、多数の空気穴が形成されている。)、その縦辺一側の側壁に本体枠3に形成されるカバー体支持筒部575に挿入されて軸支される複数(図示の場合には4個)の軸支ピン1301が一体的に形成され、その縦辺他側の側壁のやや上部寄りに球通路ユニット770に形成されるカバー体係合溝785に係合する係合片1302が一体的に形成されている。この軸支ピン1301と係合片1302は、第一実施形態に係るカバー体1250と同様に、カバー体1300の軸支ピン1301をカバー体支持筒部575に差し込むことにより、カバー体1300を本体枠3に開閉自在に軸支し、係合片1302をカバー体係合溝785に係止することにより、カバー体1300を本体枠3に閉じた状態とすることができ、遊技盤4に設けられる主制御基板ボックス624を含む各種部品の背面を保護することができるものである。そして、この第二実施形態に係るカバー体1300が第一実施形態に係るカバー体1250と異なる点は、ただ単に開閉自在に設けられるだけではなく、閉じた状態で不正に開放することができないようにシリンダ錠1309が設けられる点と、主制御基板ボックス624の裏面まで覆ってしまうため、主制御基板ボックス624に外部に露出して設けられるRAMクリアスイッチ624aと検査機器が接続される試験用端子624b,624cとに対応する位置に接続操作用開口1303が設けられている点と、カバー体1300の下辺の側壁の先端辺が閉じた状態で払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の表面に当接する点である。そこで、これらの第二実施形態に係るカバー体1300の特徴的な構成について以下説明する。
まず、接続操作用開口1303について説明すると、接続操作用開口1303は、カバー体1300の下辺の当接下辺側壁1306の上部に長方形状に形成されており、その大きさは、図143に示すように主制御基板ボックス624に外部に露出して設けられるRAMクリアスイッチ624aと検査機器が接続される試験用端子624b,624cとが臨む大きさに開設されている。また、接続操作用開口1303の内側には、閉じた状態で主制御基板ボックス624の外周面に当接する立壁1304と当接突起1305とが突設されている。立壁1304は、接続操作用開口1303の左右開口縁に沿って比較的高く形成され、当接突起1305は、接続操作用開口1303の上開口縁から一側開口縁に沿って比較的低く突設形成されており、これらの立壁1304と当接突起1305は、図148及び図149に示すように、主制御基板ボックス624の外周面(主制御基板ボックス624に収納される主制御基板4100の表面を含む)との間に隙間が生じないようにして接続操作用開口1303から不正具を差し込んで主制御基板ボックス624に対して不正な行為が行えないようにしている。
次に、カバー体1300の下辺に形成される当接下辺側壁1306について説明すると、カバー体1300を本体枠3に対して閉じたときに、当接下辺側壁1306は、図149及び図150に示すように、枠用基板ホルダ1101に取付けられる払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部分に当接するようになっている。このため、第二実施形態に係るカバー体1300が取付けられるパチンコ機1の枠用基板ホルダ1101に装着される払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部には、図145に示すように、表面より一段と低く形成される当接低段面1181aが形成されている。しかして、枠用基板ホルダ1101に取付けられる払出制御基板ボックス1105は、図144に示すように、枠用基板ホルダ1101の払出制御基板ボックス取付領域と電源基板ボックス1103のカバー体1133に形成される取付領域1143とにわたって取付けられた状態において、それらの取付領域1143内に払出制御基板ボックス1105が収納された状態となり左右方向にも上下方向にも移動できないように固定された状態となっている。このため、払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上面の一部である当接低段面1181aがカバー体1300の当接下辺側壁1306によって当接被覆されることによって、カバー体1300を開放しない限り、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101から取り外すことができない構成となっている。
次に、シリンダ錠1309に関連する構成について説明する。図146において、カバー体1300の下方側の下方寄りにシリンダ錠1309を貫通するための楕円形状の錠穴1308が開設されている。この錠穴1308にシリンダ錠1309の断面楕円状のネジ部1310が貫通され、この貫通したネジ部1310に内側からナット1312が螺着されることによりシリンダ錠1309が錠穴1308に固定される。また、シリンダ錠1309には、ネジ部1310の中心から錠軸1311がカバー体1300の内側に向かって突設され、その錠軸1311を楕円形状の施錠片1313の下方部に穿設されるネジ穴1314に貫通させてナット1315で締着することにより、施錠片1313をシリンダ錠1309の後端部に固着している。この構成により、シリンダ錠1309に鍵(遊技場の管理責任者等が所持している)を差し込んで回動することにより施錠片1313を90度の範囲で回動することができるようになっている。また、錠穴1308の下部には、カバー体1300を閉じる際に、開閉を案内するための案内突起1316が内側に向かって突設されている。更に、カバー体1300の開放側の上方部であって係合片1302の上下にネジを螺着するためのネジ止め穴1307が形成されている。
一方、上記したネジ止め穴1307、施錠片1313、及び案内突起1316に対応するように、本体枠3側には、止め穴568、施錠穴569a、及び案内孔569bが形成されている。この構成について図144を参照して説明すると、本体枠3の前述した軸支側後面壁546には、前述したようにカバー体当接溝567が形成されているが、このカバー体当接溝567の上下部(球通路ユニット770のカバー体係合溝785を挟んだ上下)にネジ止め穴1307に対応する止め穴568が形成されている。更に、本体枠3の軸支側後面壁546の下方部には、図147に示すように、施錠壁569が本体枠3の縦中心線方向に向かって延設されており、その施錠壁569の上下に施錠穴569aと案内孔569bとが開設されている。施錠穴569aは、楕円形状に形成されて施錠片1313が貫通するようになっていると共に、施錠穴569aの前面側周囲の施錠壁569は、補強用のリブが突設されている。
しかして、カバー体1300を開放状態から閉止状態に回動させることにより、図147(A)に示すように、案内突起1316が案内孔569bに挿入されつつ、シリンダ錠1309の施錠片1313が施錠穴569aを貫通した状態となる。その状態でシリンダ錠1309に鍵を差し込んで回動することにより、図147(B)に示すように、施錠片1313が90度回転し、施錠片1313の一端部が施錠壁569の前面側と係合する。このため、カバー体1300が本体枠3に対して施錠されることになる。また、シリンダ錠1309によるカバー体1300の施錠は、カバー体1300の下方部であるため、カバー体1300の上方部を本体枠3に固定するために、閉じた状態で合致しているネジ止め穴1307と止め穴568に図示しないネジを螺着することにより、カバー体1300の上方部も本体枠3に固定される。なお、カバー体1300の上方部にもシリンダ錠を設けて、上下でシリンダ錠によってカバー体1300を本体枠3に施錠しても良い。
また、第二実施形態に係るカバー体1300は、図140に示すように、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク720の最後端部(本実施形態の場合には、排出口730の後面壁)、及びタンクレール部材740の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっている。このため、パチンコ機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっているため、パチンコ機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ機1の背面において、相手方のパチンコ機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができるものである。この点は、第一実施形態に係るカバー体1250を使用したパチンコ機1においても、図3に示すように同一の効果を奏するものである。
なお、上記した第二実施形態において、カバー体1300の閉止状態を上方のネジと下方のシリンダ錠1309との両方で行った理由は、第一の理由として、カバー体1300が第一実施形態に係るカバー体1250に比べて被覆面積が縦方向に大きくなっているため、カバー体1300の中央だけで閉止状態を保持すると上下部分が熱によって変形するおそれがあるため、上下の2箇所で閉止状態を保持する構成にしたこと。第二の理由として、前述したようにカバー体1300の当接下辺側壁1306によって払出制御基板ボックス1105の上辺部に当接するようにしたので、特に、カバー体1300の下辺部をこじ開けることができないようにカバー体1300の下方部の閉止状態を強固に維持することが必要であり、結果的にカバー体1300の上方部も閉止せざるを得ないこと。そして、この第二の理由により、特に下辺部の閉止状態を維持するためにシリンダ錠1309等の施錠装置(シリンダ錠に限らず、遊技場の管理者しか解錠できない施錠装置であれば良い。)を用いることが望ましい。
以上、第二実施形態に係るカバー体1300について説明してきたが、この第二実施形態に係るカバー体1300は、カバー体1300を本体枠3に対して閉じたときに、カバー体1300の下辺部である当接下辺側壁1306が枠用基板ホルダ1101に取付けられる払出制御基板ボックス1105のカバー体1181の上辺部分に当接被覆するようになっているため、カバー体1300を開放しない限り、払出制御基板ボックス1105を枠用基板ホルダ1101から取り外すことができない構成となっている。そして、カバー体1300がシリンダ錠1309によって施錠されるため、カバー体1300に被覆される主制御基板ボックス624に対する不正行為はもちろん、カバー体1300に被覆されない払出制御基板ボックス1105に対する不正行為も防止することができる。また、カバー体1300を閉じた状態で且つシリンダ錠1309を施錠した状態であっても、カバー体1300に接続操作用開口1303が開設されているため、試験用の試験用端子624b,624cに検査機器を接続したり、あるいはソフトウエア等が暴走して復旧する際に、RAMクリアスイッチ624aを操作したりすることができる。そして、この接続操作用開口1303の内側には、立壁1304や当接突起1305が形成されて主制御基板ボックス624との間に隙間が生じないようにされているので、接続操作用開口1303からピアノ線等を挿入して遊技盤4の裏面に対する不正行為を防止することができる。
更に、第二実施形態に係るカバー体1300は、閉じた状態で、その背面側が賞球タンク720の最後端部、及びタンクレール部材740の後端壁と側方から見たときに同一垂直面となっているため、パチンコ機1の背面から見たときに、背面側の上部から下方までに凹凸がなく、きわめてスッキリした形状となっており、パチンコ機1を運搬するときに全体の厚みが均一で把握し易いため、積み込みや重ね合わせ作業が行いやすく、また、実際に遊技場の島台に設置する際も、背向列設されるパチンコ機1の背面において、相手方のパチンコ機の背面に突出する配線等を気にすることなく、きわめてスムーズに設置することができる。
[2.遊技盤の詳細構成]
続いて、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4の構成について、主に図151乃至図156を参照して説明する。図151は、遊技盤の正面図であり、図152は、遊技盤を斜め右前から見た斜視図であり、図153は、遊技盤を斜め左前から見た斜視図であり、図154は、遊技盤を斜め左後から見た斜視図であり、図155は、遊技盤を主な構成部材毎に分解して斜め前から見た斜視図であり、図156は、分解したものを斜め後から見た斜視図である。
図示するように、本実施形態のパチンコ機1における遊技盤4は、外レール602及び内レール603を有し、遊技球が打ち込まれる遊技領域605の外周を区画形成する枠状の前構成部材601と、前構成部材601の後側で遊技領域605を閉鎖するように配置された遊技パネル600と、遊技領域605の外側でアウト口606よりも右側の前構成部材601下部に配置された機能表示ユニット640と、遊技領域605内の左右方向略中央でアウト口606の上側に配置され遊技パネル600の前面に支持されるアタッカユニット2000と、アタッカユニット2000の左側で遊技領域605の外周に沿って配置され遊技パネル600の前面に支持されるサイド装飾部材2100と、遊技領域605内の上下方向中央からやや上寄り右側に配置され遊技パネル600の前面に支持されるゲート部材2200と、遊技領域605の略中央部分に配置され遊技パネル600に支持される枠状のセンター役物2300と、遊技パネル600の後側に取付けられる裏ユニット3000と、裏ユニット3000の後側に遊技パネル600及びセンター役物2300の枠内を通して遊技者側から視認可能に取付けられ所定の演出画像を表示可能な演出表示手段としての液晶表示装置1400と、を主に備えている。以下、遊技パネル600に装着された各装置の構成について詳細に説明する。センター役物2300は、枠状装飾体とも呼べる。
[2−1.アタッカユニット]
まず、図157及び図158を参照し、アタッカユニット2000について説明する。図157は、遊技パネルに装着される各装置を、部材毎に分解して斜め前から見た斜視図であり、図158は、アタッカユニットを斜め前から見た斜視図である。本例のアタッカユニット2000は、遊技パネル600における左右方向中央の下部に形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものである。このアタッカユニット2000は、遊技領域605内へ打ち込まれた遊技球が受入可能とされた複数の受入口(入賞口)を有している。具体的には、左右方向の略中央に配置された第一始動口2001と、第一始動口2001の右側に配置され左右方向へ大きく延びた矩形状の大入賞口2003と、大入賞口2003の右側及び第一始動口2001の左側にそれぞれ配置された三個の一般入賞口2004と、を備えている。
第一始動口2001は、上側が開放されており遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。大入賞口2003は、その開口を閉鎖可能な横長矩形状の開閉部材2006によって開閉可能とされている。この開閉部材2006は、下辺が回動可能に軸支されており、略垂直な状態では大入賞口2003を閉鎖して遊技球を受入不能とし、上辺が前側へ傾斜するように回動すると(図158に示す状態)、大入賞口2003を開放して遊技球を受入可能とするようになっている。この開閉部材2006は、通常の遊技状態では大入賞口2003を閉鎖した状態となっており、第一始動口2001や後述する第二始動口2002へ遊技球が受入れられる(始動入賞する)ことで抽選される特別抽選結果に応じて(特別抽選結果が「大当り」又は「小当り」の時に)アタッカソレノイド2016(図220参照)の駆動により開閉するようになっている。なお、一般入賞口2004は、図示するように、上向きに開放されており、遊技球が常時受入(入賞)可能となっている。
[2−2.サイド装飾部材]
図157及び図159を参照し、サイド装飾部材2100について説明する。図159は、サイド装飾部材を斜め前から見た斜視図である。サイド装飾部材2100は、遊技パネル600における左右方向中央から左寄りの下部で、アタッカユニット2000が挿入固定される開口部600eよりも左側に形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものである。また、サイド装飾部材2100の前面側(遊技者側)には、光透過性(半透明)の窓部を有する装飾部2103が設けられており、その後方に配置された発光装飾基板(図示しない)からの光により発光装飾することが可能になっている。
[2−3.ゲート部材]
図157に示すように、ゲート部材2200は、遊技パネル600における左右方向中央よりも右側で上下方向中央からやや上寄りの位置に形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものである。このゲート部材2200は、遊技球が一つのみ通過可能な幅のゲート2201を有しており、そのゲート2201内に配置されたゲートセンサ2202によりゲート2201を通過した遊技球を検出することができるようになっている。
[2−4.センター役物]
次に、図157、及び図160〜図182を参照し、センター役物2300の構成について詳細に説明する。図160は、センター役物を斜め前から見た斜視図であり、図161は、センター役物を主な部材毎に分解して斜め前から見た斜視図であり、図162は、センター役物のフレーム部材を分解して斜め前から見た斜視図であり、図163は、センター役物の台板を斜め前から見た斜視図であり、図164は、センター役物の始動口ユニットを斜め前から見た斜視図であり、図165は、始動口ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図166は、始動口ユニットの駆動機構部を分解して斜め前から見た斜視図であり、図167は、駆動機構部の要部を斜め後から見た斜視図である。
また、図168は、サブ液晶ユニットを斜め前から見た斜視図であり、図169は、サブ液晶ユニットの装着状態を右側から見た側面図であり、図170は、サブ液晶ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図171は、第一役物ユニット及び第二役物ユニットによってサブ液晶ユニットの前方を遮蔽した状態を示す正面図であり、図172は、サブ液晶ユニットの前方が開放された状態を示す正面図である。
さらに、図173は、第一役物ユニットを斜め前から見た斜視図であり、図174は、第一役物ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図175は、第一役物ユニットの右可動部ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図176は、第二役物ユニットを斜め前から見た斜視図であり、図177は、第二役物ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図178は、第二役物ユニットの可動部ユニットを示す右側面図であり、図179は、駆動部ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図180は、第二役物ユニットの可動部を分解して斜め前から見た斜視図であり、図181は、駆動部を斜め後から見た斜視図であり、図182は、サブ液晶ユニットに対する可動部ユニットの動作を示す右側面図である。
図157に示すように、センター役物2300は、遊技パネル600の略中央を貫通するように大きく形成された開口部600eに対して、前側から挿入された上で、遊技パネル600の前面に固定されるものであり、図示するように、遊技領域605の大半を占める大きさで枠状に形成されている。なお、このセンター役物2300の右側の外周面と遊技領域605の外周との間に前述のゲート部材2200が配置されている。
図160及び図161に示すように、センター役物2300は、枠状の装飾枠ユニット2310と、その右下に配設され第二始動口2002を有する始動口ユニット2330と、装飾枠ユニット2310の裏面上部に装着され開口窓2310aを通して視認可能なサブ液晶ユニット2350と、装飾枠ユニット2310の後側に配置され開口窓2310aを通して視認可能な左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379を有する枠状の第一役物ユニット2370と、第一役物ユニット2370の背面側を閉鎖する透明な保護板2360と、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379と協働してサブ液晶ユニット2350の表示画面を遮蔽することが可能な第二役物ユニット2400と、を具備して構成されている。
図162に示すように、装飾枠ユニット2310は、枠状の台板2311と、台板2311の前面または裏側に配設された複数の装飾部材2309とを備えている。台板2311は、図163に示すように、略円環状の形状を呈しており、下部内周面には後述するワープ通路を通って台板2311の内側に進入した遊技球を左右方向に転動させることが可能な下段転動面2311aが形成されている。また、下段転動面2311aの下側には、第一役物ユニット2370の下部に形成されたチャンス口2372a(図173参照)に入球した遊技球をセンター役物2300の下方の遊技領域605に放出するチャンス出口2311bが前後方向に貫通して設けられている。また、台板2311の右下には始動口ユニット2330を装着するための台座部2311cが右斜め下方に突出して設けられており、台座部2311cの中央より上側の部分には、始動口ユニット2330の第二始動口2002に入賞した遊技球を後方に導く通路2311dが前後方向に貫通して形成されている。また、台板2311の上部には、円弧状の上部台板2322(図162参照)が左上方に突出して設けられている。
図162に示すように、台板2311に配設された装飾部材2309は、台板2311の上部前面に配置された中央前飾り2312と、下段転動面2311aの下方(台板2311の裏側)に配置された棚裏左飾り2313及び棚裏右飾り2314と、台板2311の左側前面に配置された青色の左青飾り2315と、その上側に配置された左上覆い飾り2316と、後述するワープ通路の下部前側に配置されたワープ通路飾り2317と、台板2311の右下前面に配置された棚右飾り2318と、台板2311の右上前面に配置された右上部飾り2319と、棚右飾り2318の上側に配置された右上青飾り2320とを備えて構成されており、棚裏左飾り2313及び棚裏右飾り2314以外の飾り部材は、遊技パネル600の前面よりも遊技者側に突出して設けられている。つまり、ワープ通路以外の部分から装飾枠ユニット2310内に遊技球が進入しないように構成されている。なお、右上青飾り2320の右側の側面には、センター役物2300よりも右側の遊技領域605を転動する遊技球が入球可能な第二アウト口606aが設けられており、この第二アウト口606aに入球した遊技球は、遊技領域605の下端に設けられたアウト口606と同様、遊技領域605から排出されるようになっている。また、ワープ通路飾り2317の上側には、センター役物2300の左側の遊技領域605を転動する遊技球が入球可能なワープ入口2321が配設されており、左側から入球した遊技球を後方に誘導する構成となっている。
また、装飾枠ユニット2310には、それぞれの装飾部材2309を発光装飾するために、円弧状に配置された複数のレンズ2323と、レンズ2323の後方に配置され光を放射する左LED基板2324、右上LED基板2325、及び上LED基板2326とが設けられている。また、右上LED基板2325の後側には、これらの発光基板への駆動信号を中継する中継基板2327が配設されている。また、この他、反射板2328や拡散シート2329等も設けられており、装飾部材2309全体から光が放射されるようになっている。
次に、始動口ユニット2330について詳細に説明する。図164及び図165に示すように、始動口ユニット2330は、台板2311(図163参照)の台座部2311cに装着されており、右側に開口した第二始動口2002を有する前飾り2331を備えている。第二始動口2002は、一つの羽根2337によって開閉可能となっており、羽根2337が略垂直に立上った状態では羽根2337によって第二始動口2002へ遊技球が受入不能となるのに対して、羽根2337が右方向(時計方向)へ拡開した状態(図164参照)では第二始動口2002へ遊技球が受入可能となるようになっている。つまり、第二始動口2002は羽根2337によって開閉可能な可変入賞口となっている。なお、羽根2337の前面には羽根飾り2338が設けられている。
また、前飾り2331の後側には飾りベース2332が設けられている。この飾りベース2332には、光透過性の赤レンズ2334、ベース拡散シート2335、及びレンズ拡散シート2336が備えられており、その後側に配置されたLED基板2333から放射された光を前飾り2331に照射させることで、前飾り2331において発光装飾がなされるようになっている。LED基板2333の後側には、第二アウト口606a(図160参照)に入球した遊技球を導くとともに、羽根2337を駆動するための駆動機構部2339が、台座部2311cを挟んで設けられている。この駆動機構部2339は、図166に示すように、第二アウト口606aに入球した遊技球の通路2340aを形成するアウト玉通路ベース2340と、通路2340aの前面を閉鎖するアウト玉通路カバー2341とを備えている。また、アウト玉通路ベース2340の後側には、ソレノイドベース2342及びソレノイド板金2343によって取付けられた始動口ソレノイド2344と、始動口ソレノイド2344の動作を羽根2337に伝達する伝達部2345とが設けられている。なお、伝達部2345は、図167に示すように、始動口ソレノイド2344のプランジャー2344aに接続され、一端側が回動可能に支持されたクランク2345aと、クランク2345aの他端側に連結されたリンク2345bと、回転可能に支持されるとともにリンク2345bによって回転力が付与される羽根シャフト2345cとを備えて構成されており、羽根シャフト2345cの先端に取着された羽根2337を所定範囲内で回動させることが可能になっている。なお、図166に示すように、伝達部2345の後側及び下側は裏カバー2346によって覆われ、始動口ソレノイド2344の左側は下飾り2348によって覆われている。
また、駆動機構部2339の前面下部には、基板カバー2347aが垂設されるとともに、基板カバー2347aの裏面に中継基板2347bが配設されている。また、アウト玉通路ベース2340の前方には第二始動口センサ2349が配設されており、第二始動口2002に入賞した遊技球を検出することが可能になっている。
次にサブ液晶ユニット2350について詳細に説明する。図168〜図170に示すように、サブ液晶ユニット2350は、矩形枠状のフレーム部2351a、及びその上端から左右方向に延出され台板2311の裏面上部に取付けられる支持棒部2351bからなる液晶ホルダー2351と、フレーム部2351a内に後側から収容され開口窓2351cを通して視認可能な略直方体形状の液晶本体2352と、フレーム部2351aの裏面に配置され液晶本体2352の背面側を支持する液晶カバー2353と、液晶本体2352の下部を支持する液晶留め具2354と、を備えて構成されている。また、液晶ホルダー2351の前面下部には飾り2355が設けられ、液晶カバー2353の裏面には液晶本体2352への駆動信号を中継する中継基板2356が設けられている。なお、サブ液晶ユニット2350は、図169に示すように、液晶本体2352の表示画面(サブ液晶画面PNS)が斜め下方(遊技者側)を向くように、傾斜して配設されている。
図171及び図172に示すように、このサブ液晶ユニット2350のサブ液晶画面PNSは、第一役物ユニット2370の左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379と、第二役物ユニット2400の可動部ユニット2401とによって遮蔽されるようになっている。つまり、図171のように、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379と可動部ユニット2401とをサブ液晶ユニット2350の前方で集合させた状態では、サブ液晶画面PNSが遮蔽されて遊技者側から視認できないようになり、一方、図172のように、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379と可動部ユニット2401とを互いに分離させた状態では、サブ液晶画面PNSの前方が開放され遊技者側から視認できるようになっている。次に、これらの第一役物ユニット2370及び第二役物ユニット2400について詳細に説明する。
第一役物ユニット2370は、図173及び図174に示すように、透明の合成樹脂部材からなる枠状のリアーカバー2371を備えており、リアーカバー2371の前面には、下部に配置された棚上段2372と、棚上段2372の左斜め上に配置されたワープ通路2374と、ワープ通路2374の上側に配置された左飾り2375と、棚上段2372の右斜め上に配置された右飾り2376とが設けられている。ここで、棚上段2372には、ワープ通路2374を通って第一役物ユニット2370の内側に進入した遊技球を左右方向に転動させることが可能な上段転動面2372bと、上段転動面2372bよりも前側に位置し一段低くなった略円弧形状の中段転動面2372cとが形成されている。すなわち、棚上段2372は、いわゆるステージを形成している。なお、中段転動面2372cは、その前側に配置された台板2311(図163参照)の下段転動面2311aよりも高くなっており、上段転動面2372bまたは中段転動面2372cで転動した後の遊技球を下段転動面2311aへ流下させることが可能になっている。また、中断転動面2372cの奥側の壁部分には遊技球が入球可能なチャンス口2372aが設けられており、このチャンス口2372aに入球した遊技球は、台板2311のチャンス出口2311bから放出されるようになっている。また、棚上段2372の裏面側には、棚上段2372に向かって光を照射するLED基板2373が配設されており、棚上段2372を発光装飾することが可能になっている。ワープ通路2374は、ワープ入口2321(図161参照)に連通しており、ワープ入口2321に入球した遊技球を上段転動面2372bの左端側から送り込むように構成されている。
また、リアーカバー2371の上部には、前方に突出する略円弧筒状のガイド部2371aが左右に対峙して形成されており、一対のガイド部2371aによって、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379が、それぞれリアーカバー2371の内周縁に沿って円弧状に摺動するように支持されている。また、リアーカバー2371の上部には、平板状の保護板部2371bが形成されており、サブ液晶画面PNSを前方から覆うことで液晶本体2352を保護している。
リアーカバー2371の右側上部に配置された右可動部ユニット2379は、図175に示すように、リアーカバー2371の中心側に向かって先端の尖った前飾り2384と、前飾り2384の後側の設けられた裏カバー2387と、裏カバー2387の内部に収容されたレンズ2385及び拡散シート2386と、裏カバー2387の下側に配設された下部材2389と、裏カバー2387の裏面に取付けられたLED基板2390と、を備えて構成されている。つまり、裏カバー2387には、複数の開口(図示しない)が設けられており、LED基板2390から放射した光が拡散シート2386及びレンズ2385を通って前飾り2384に照射することで、前飾り2384を発光装飾させることが可能となっている。また、裏カバー2387の外周面には円弧状のラック2387aが形成されるとともに、その内側には前後方向に突出する軸部2387bが形成されている。特に、軸部2387bにおける後方延出部分は、リアーカバー2371(図174参照)の上部に形成されたガイド部2371a内に嵌挿されるとともに、プッシュ2388によって前後方向の移動が規制されている。つまり、右可動部ユニット2379は、裏カバー2387の軸部2387bがガイド部2371aの内周面に沿って摺動することにより、円弧状に移動するように支持されている。なお、左可動部ユニット2378は、右可動部ユニット2379と対称な形状となっているが、構成は同一であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
また、図174に示すように、リアーカバー2371におけるガイド部2371aの外側には、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379のラック2387aに噛合するとともに、軸方向を前後方向として回転可能に支持されたギア2381が設けられており、これらのギア2381は、それぞれリアーカバー2371の上部裏面に固定されたモータ2380に連結されている。つまり、モータ2380を動作させると、ギア2381を介して裏カバー2387のラック2387aに動力が伝達され、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379を個々に移動させることが可能になっている。なお、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379における前飾り2384は、内側の側面が下り勾配の斜面となっており、遮蔽位置(上側停止位置)に移動すると、サブ液晶ユニット2350におけるサブ液晶画面PNSの下側角部付近を遮蔽するようになっている(図171参照)。また、これらの内側面の上部は、内側に向かって突出しており、正面視「く」字形の形状となっている。
一方、第二役物ユニット2400は、図176及び図177に示すように、サブ液晶ユニット2350(図182参照)の前方である出現位置(図182では二点鎖線で示す)と、サブ液晶ユニット2350の上方である後退位置(図182では実線で示す)との間で回動可能に支持された可動部ユニット2401と、可動部ユニット2401の駆動機構を収容するとともに後退位置に移動した可動部ユニット2401の後半部分を収容可能なモータカバー2402と、可動部ユニット2401の駆動機構である駆動部2403と、モータカバー2402の後側に配設され駆動部2403への駆動信号を中継する中継基板2404と、を備えて構成されている。
さらに詳しく説明すると、可動部ユニット2401は、図178及び図179に示すように、全体的に扁平な形状であり、前面(後退位置では上面となる)に装飾面2406aを有する前飾り2406と、前飾り2406用の嵌込凹部2407aが前面に形成された飾り枠2407と、飾り枠2407の後側(後退位置では下側となる)に配置された基板カバー2410とを備え、飾り枠2407と基板カバー2410との間には、飾り枠2407に向かって光を照射するLED基板2409と、LED基板2409から放射された光が周囲から漏れないように光の放射方向を制限するリフレクタ2408とが設けられている。
また、基板カバー2410の裏面2410aには、一対のアーム2411が配設されている。これらのアーム2411は、図178に示すように、裏面2410aにおける上端部分(後退位置では後端部分)に取付けられた取付部2411aと、裏面2410aに対して垂直に延出された第一腕部2411bと、第一腕部2411bに連続するとともに第一腕部2411bに対して屈曲して「く字形」の形状を呈する第二腕部2411cと、第二腕部2411cの先端(下端)から内方に向かって突出した回転軸部2411dと、を備えて構成されている。なお、回転軸部2411dの中心には左右方向に貫通する貫通孔が設けられており、後述する駆動部2403のピン2420(図180参照)が挿入されるようになっている。また、第一腕部2411b及び第二腕部2411cとの境界部分(すなわち屈曲部分)には外方向に突出する係合軸2411eが形成され、第二腕部2411cには左右方向に貫通する長孔2411fが第二腕部2411cに沿って形成されている。
一方、駆動部2403は、図180及び図181に示すように、モータホルダ2415と、モータホルダ2415に取付けられたモータ2416と、モータ2416の回転軸に軸部2417を介して連結されたギア2418と、ギア2418の中心から偏心した位置に設けられた透孔2418aに嵌入されたピン2419と、モータホルダ2415の下部に設けられた筒状部2415aを通して配設された長尺のピン2420と、を備えて構成されている。ここで、ピン2419は、アーム2411の長孔2411fに挿入されており、ピン2420は、アーム2411の回転軸部2411d及びプッシュ2421を貫通してモータカバー2402(図177)の両側面に設けられた孔部2402aに内側から挿入されている。これにより、モータ2416が動作すると、ギア2418が回転し、ギア2418に偏心して設けられたピン2419によって、アーム2411(アーム2411を含む可動部ユニット2401全体)が、ピン2420を中心に回動するようになっている。なお、アーム2411に形成された係合軸2411eが、モータカバー2402(図177)の両側面に設けられた円弧状の長孔2402b(孔部2402aを中心とする円弧状の長孔)に内側から挿入されており、これによりアーム2411を滑らかに回動させるとともに、アーム2411の回動範囲が規制されるようになっている。なお、ギア2418には、外方向に突出する突片2418bが設けられており、フォトセンサ2422によって突片2418bの位置を検出することにより、可動部ユニット2401が出現位置(原点位置)であることを把握することが可能になっている。
ところで、可動装飾体を備えた一般のパチンコ機として、可動装飾体を遊技パネルの後方に配設し、センターフレームの開口窓を通して視認可能となる出現位置と、センターフレームの開口窓の外方(例えば上方)であって遊技パネルによって遮蔽されて見えなくなる退避位置との間で可動装飾体を昇降させるものが従来から知られている。ところがこれによれば、センターフレームの外側の遊技パネルに、可動装飾体を遮蔽または退避させるための大きなスペースを確保する必要があり、ひいては遊技パネルの開口部、及びそれに嵌挿されたセンターフレームの大きさが相対的に小さくなり、例えばセンターフレームの開口窓を通して多彩な演出を視認させることが困難となる。
これに対し、本例の第二役物ユニット2400は、可動部ユニット2401が扁平な形状に形成されるとともに、可動部ユニット2401の裏面2410aからアーム2411が延出され、そのアーム2411の端部側に形成された回転軸部2411dを中心として円弧に沿って移動する(すなわち回動する)ように構成されている。このため、可動部ユニット2401の大きさが比較的大きくても、後退位置まで移動させる(図182の実線参照)と、可動部ユニット2401は前後方向に長いものとなり、比較的薄い面である可動部ユニット2401の下面(先端面)部分が遊技パネル600と対向するようになる。したがって、可動部ユニット2401を遮蔽するのに必要な領域を大幅に減らすことが可能になる。
また、可動部ユニット2401は、出現位置(図182の二点鎖線参照)から後退位置に移動する際、装飾面2406aが前方を向いた状態から上方を向いた状態に、すなわち可動部ユニット2401が垂設状態から横たわるように変化する。したがって、装飾面2406aに対する遊技者の視角(すなわち装飾面2406aを見る角度)が相対的に漸次変化することとなり、視覚的な興趣を高めることが可能になっている。
また、可動部ユニット2401の裏面2410aから延出された一対のアーム2411は、可動部ユニット2401が後退位置の際には可動部ユニット2401の後端側に位置し、出現位置の際には、移動方向側(後退位置側)の端部に位置するため、可動部ユニット2401の回動中、アーム2411は可動部ユニット2401に遮蔽されて遊技者側から見え難くなり、ひいてはアーム2411が露出することによる見栄えの低下を抑制することが可能になっている。
また、可動部ユニット2401の装飾面2406aの形状は、可動部ユニット2401の移動軌跡に沿った湾曲形状となっている。このため、可動部ユニット2401の移動(回動)が装飾面2406aの形状に合致した動きとなり、可動部ユニット2401の回動動作に対して不自然さを喚起させることがなくなっている。
ところで、後退位置において可動部ユニット2401を水平状態に配置するものでは、可動部ユニット2401の裏面2410aや、裏面2410aから延出されたアーム2411が、遊技者側から見えてしまう場合があり、これによれば、後退位置における可動部ユニット2401の見栄えを損ねる虞がある。これに対し、本例によれば、可動部ユニット2401は、後退位置で装飾面2406aが見えるように傾斜して配置されるため、可動部ユニット2401の裏面2410aやアーム2411を見え難くすることが可能である。特に、可動部ユニット2401の装飾面2406aは湾曲面状に形成されているため、傾斜した状態でも装飾面2406aの形状や模様を比較的明瞭に視認させることができ、装飾効果を保つことが可能である。
また、サブ液晶画面PNSが斜め下方を向いていることから、可動部ユニット2401を出現位置に移動させる際、可動部ユニット2401の装飾面2406aもサブ液晶画面PNSに合わせて斜め下方に向けることが可能になり(図182の二点鎖線参照)、ひいては、後退位置と出現位置との間における可動部ユニット2401の回動範囲を大きくすることが可能になっている。すなわち、可動部ユニット2401の動きが大きくなり、可動部ユニット2401を移動する際のインパクトを高めることが可能になっている。
また、アーム2411の回転軸部2411dは、サブ液晶ユニット2350の後方に配置されている。このため、可動部ユニット2401の位置が出現位置または後退位置のいずれであっても、可動部ユニット2401をサブ液晶ユニット2350に接近させることが可能になる。したがって、可動部ユニット2401の配設に必要なスペースの確保が一層容易になるとともに、可動部ユニット2401とサブ液晶ユニット2350との一体感がさらに高められている。
また、アーム2411は略「く」字形の形状を呈しており、可動部ユニット2401の裏面2410aから略垂直に延出された第一腕部2411bと、第一腕部2411bに対して屈曲した第二腕部2411cとを備えて構成されているため、サブ液晶ユニット2350を回避して配設することが可能である。つまり、サブ液晶ユニット2350に干渉することなく可動部ユニット2401を回動させることが可能になっている。
また、サブ液晶画面PNSは、可動部ユニット2401と左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379との協働によって遮蔽されるため、サブ液晶ユニット2350が比較的大きい場合でも、確実に遮蔽することが可能になる。特に、サブ液晶ユニット2350の前面を開放する際、可動部ユニット2401と、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379とは、互いに異なる方向に移動することから、サブ液晶ユニット2350の前方に形成された一つの遮蔽壁が分散するようなイメージを喚起させることができ、視覚的な面白さをさらに高めることが可能である。
特に、可動部ユニット2401は左右側面が外側にはり出した正面視五角形の形状を呈しており、出現位置では、はり出した部分が、左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379における「く」字形の側面と嵌め合わせられるように接合する(図171参照)ようになっている。このため、可動部ユニット2401と左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379とが一体的に形成されているイメージを喚起させることができる。したがって、サブ液晶ユニット2350の前方を開放する際には、これら複数の部材が分散されるという想定外の動作によって遊技者に驚きを与えることができ、インパクトをさらに高めることが可能である。
次に、図183〜図219を参照し、裏ユニット3000の構成について詳細に説明する。図183は、裏ユニットを斜め前から見た斜視図であり、図184は、裏ユニットを分解して斜め前から見た斜視図である。また、図185は、裏ユニットのシャッタ型役物を斜め前から見た斜視図であり、図186は、シャッタ型役物を分解して斜め前から見た斜視図であり、図187は、シャッタ型役物の左内シャッターを分解して斜め前から見た斜視図であり、図188は、左内シャッターを斜め後から見た斜視図、及びその要部拡大図であり、図189は、左内シャッターの装飾板を斜め前から見た斜視図、及びその要部拡大図であり、図190は、シャッタ型役物の右内シャッターを斜め前から見た斜視図であり、図191は、シャッタ型役物の左外シャッターを分解して斜め前から見た斜視図であり、図192は、シャッタ型役物の右外シャッターを斜め前から見た斜視図であり、図193は、シャッタ型役物の駆動部を分解して斜め前から見た斜視図であり、図194は、シャッタ型役物において、各シャッターを開放した状態を斜め前から見た斜視図である。
また、図195は、下側役物ユニットを斜め前から見た斜視図であり、図196は、下側役物ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図197は、下側役物ユニットの下駆動部ユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図198は、下駆動部ユニットの振分演出装置を分解して斜め前から見た斜視図であり、図199は、振分演出装置の振分部を分解して斜め前から見た斜視図であり、図200は、振分演出装置の揺動駆動部を斜め前から見た斜視図であり、図201は、揺動駆動部を斜め後から見た斜視図であり、図202は、下駆動部ユニットの昇降機構を分解して斜め前から見た斜視図であり、図203は、昇降機構を分解して斜め後から見た斜視図であり、図204は、振分演出装置に遊技球を供給する状態を示す下駆動部ユニットの正面図であり、図205は、振分演出装置を上昇させた状態を示す下駆動部ユニットの正面図であり、図206は、振分演出装置の振分部を左に傾斜させた状態を示す下駆動部ユニットの正面図であり、図207は、振分演出装置の振分部を右に傾斜させた状態を示す下駆動部ユニットの正面図であり、図208は、下側役物ユニットの遊技媒体供給機構を斜め前から見た斜視図であり、図209は、遊技媒体供給機構を分解して斜め前から見た斜視図であり、図210は、遊技媒体供給機構を分解して斜め後から見た斜視図であり、図211は、下側役物ユニットの通路形成ユニットを斜め前から見た斜視図であり、図212は、通路形成ユニットを斜め後から見た斜視図であり、図213は、通路形成ユニットのリターン通路による動作を示す斜視図であり、図214は、通路形成ユニットの排出通路による動作を示す斜視図である。
また、図215は、裏箱ユニットにおけるその他の構成を斜め前から見た斜視図であり、図216は、その他の構成を分解して斜め前から見た斜視図であり、図217は、横飾りユニットを分解して斜め前から見た斜視図であり、図218は、横飾りユニットの可動装飾部を分解して斜め前から見た斜視図であり、図219は、横ベース部材を分解して斜め前から見た斜視図である。
図183及び図184に示すように、裏ユニット3000は、遊技パネル600の後側に取付けられており、主に、遊技パネル600から所定距離後側へ離れた位置に液晶表示装置1400を支持する裏箱3001と、裏箱3001内において、液晶表示装置1400の前方に配置されるシャッタ型役物3002と、液晶表示装置1400の前方下側に配置される下側役物ユニット3003と、液晶表示装置1400の前方左側及び前方右側に配置される横飾りユニット3004と、を備えて構成されている。
裏箱3001は、図184に示すように、前側が開放された箱状に形成され、前端に外方へ突出するフランジ状の固定部3001aが複数個備えられており、この固定部3001aを介して遊技パネル600の後側に固定されるようになっている。また、裏箱3001は、後壁3001bの略中央に矩形状の開口3001cが形成されており、この開口3001cを通して、後側に支持される液晶表示装置1400を視認させることが可能になっている。さらに、裏箱3001には、シャッタ型役物3002や下側役物ユニット3003、及び各基板等を取付固定するための取付部が適宜位置に形成されている。
シャッタ型役物3002について詳細に説明する。シャッタ型役物3002は液晶表示装置1400の前方に配置された引き戸状の役物であり、液晶表示装置1400の前方を閉鎖した状態(図183参照)と開放した状態(図194参照)とに切り替えることが可能になっている。
図185及び図186に示すように、シャッタ型役物3002は、4枚のシャッター、すなわち左内シャッター3010、右内シャッター3030、左外シャッター3050、及び右外シャッター3070と、これらのシャッターの上方に配設され各シャッターを個々に可動させる駆動部3090と、各シャッターを摺動可能に支持する下部支持部3110と、を備えて構成されている。
左内シャッター3010は、図186及び図187に示すように、透明な合成樹脂部材からなる正面視略長方形の装飾板3011と、装飾板3011の上部及び下部に分離して配設された上側電飾体3012及び下側電飾体3013と、を備えている。
ところで、上記のように、遮蔽部材である左内シャッター3010を、透明な装飾板3011と、その表面または裏面に配設された電飾体3012,3013とで構成すれば、遮蔽部材によって液晶表示装置1400の前方が遮蔽された状態でも、電飾体3012,3013と液晶表示装置1400の表示画面とを前後方向に重ねて視認させることができ、立体的で臨場感のある演出を楽しませることが可能になる。ところが、遮蔽部材として透明の装飾板3011を用いたものでは、上側電飾体3012及び下側電飾体3013を分離して設けることが困難となる。なぜなら、上側電飾体3012と下側電飾体3013とを電気的に接続するための電線が必要となるが、装飾板3011として光透過性のものを用いた場合には、たとえ電線を装飾板3011の裏側に配線した場合でも、装飾板3011を通して遊技者側から電線が視認可能となり、見栄えを損ねる虞があるからである。
これに対し本例では、電線として帯状のフラットケーブル3014(図189の二点鎖線参照)が用いられ、そのフラットケーブル3014が装飾板3011の左側面に沿って配線されている。このため、遊技者に対してフラットケーブル3014の厚み部分(すなわち側面)が向き合うこととなり、しかも、その厚み部分が装飾板3011の左縁と重なることから、遊技者側から見て極めて目立ち難いものとなっている。したがって、電線による見栄えの低下を抑えることが可能になる。特に、フラットケーブル3014の幅が、装飾板3011の厚み(すなわち側面の幅)よりも短くなっており、フラットケーブル3014における幅方向の端部が装飾板3011の前面から前方にはみ出さないようになっている。
また、上側電飾体3012及び下側電飾体3013は、装飾板3011の左縁部に接するように配置されており、これにより、左側面に沿って配線されたフラットケーブル3014を、装飾板3011の表面や裏面を通さずに、上側電飾体3012及び下側電飾体3013に接続することが可能になっている。
また、上側電飾体3012及び下側電飾体3013は、装飾板3011の裏面に配設された上LED基板3015及び下LED基板3016を備えており、上LED基板3015と下LED基板3016とがフラットケーブル3014によって接続されている。特に、フラットケーブル3014は、上LED基板3015及び下LED基板3016の裏側の面に連結されている(図188参照)。これにより、フラットケーブル3014が上LED基板3015及び下LED基板3016のどの部分に接続されても、接続部分のフラットケーブル3014を遮蔽することが可能である。なお、上LED基板3015及び下LED基板3016の前方の装飾板3011には、乱反射面3018aが形成されており、上LED基板3015及び下LED基板3016から放射された光が拡散され、表面を略均一に発光装飾させることが可能となっている。また、これによれば、上LED基板3015及び下LED基板3016の外観も不明瞭となり、発光装飾による演出効果を高めることが可能となっている。
また、図188に示すように、装飾板3011の裏面には、上LED基板3015及び下LED基板3016を収容するための凹部3017が形成されており、装飾板3011の内部から光が放射されるようになっている。つまり、装飾板3011自体が光っているように見せることが可能になっている。さらに、上LED基板3015及び下LED基板3016に対応する装飾板3011の表面には、遊技者側に向かって突出した突条部3018が形成されるとともに、その突条部3018を囲う上側枠状装飾体3019及び下側枠状装飾体3020が設けられている。このため、装飾板3011の板厚が比較的薄い場合でも、裏面側に上LED基板3015及び下LED基板3016を収容するための凹部3017を形成することが可能になり、また、上側枠状装飾体3019及び下側枠状装飾体3020によって、発光部分を強調し発光演出による演出効果を高めることが可能となっている。
ところで、フラットケーブル3014を装飾板3011の左側面に沿って配線した場合、左側面から上側電飾体3012及び下側電飾体3013に向って延出される部分(折れ曲がる部分)では、フラットケーブル3014における表面の向きが変化することから、フラットケーブル3014は捻れた状態となる。このため、捻れた部分においてフラットケーブル3014が目立ってしまう虞がある。これに対し本例では、図188に示すように、上側枠状装飾体3019及び下側枠状装飾体3020の端部が装飾板3011の左側面よりも外方に突出しており、その突出部分によって、フラットケーブル3014の捻れた部分が遮蔽されている。
ところで、フラットケーブル3014が装飾板3011の左側面から離れると、フラットケーブル3014が浮いた状態となり、目立ってしまう虞がある。これに対し、本例では、図189に示すように、装飾板3011の左側面にフラットケーブル3014を保持するための溝形成部3021が形成されている。この溝形成部3021は、装飾板3011と一体に形成されており、装飾板3011の側面との間に溝状の隙間Sを形成することで、隙間Sにフラットケーブル3014を挿入するだけでフラットケーブル3014を保持することが可能となっている。ところで、溝形成部3021によって形成された隙間Sにフラットケーブル3014を挿入する構成を採用した場合、フフラットケーブル3014の端部側の部分を隙間S内から外部に引き出す必要があるが、装飾板3011の前方や後方に向かって引き出すようにすると、その部分でフラットケーブル3014が捻れることとなり、ひいてはフラットケーブル3014を収容するために比較的大きな幅の隙間Sが必要となる。ところが、隙間Sの幅が大きくなると、フラットケーブル3014を安定して保持することが困難になるとともに、フラットケーブル3014の外観が目立ってしまう虞がある。これに対し本例では、フラットケーブル3014の引出し口3021aが溝の両端に形成されているため、フラットケーブル3014を真直ぐ引出すことが可能となり、ひいては隙間Sの幅をフラットケーブル3014の厚みに合わせた最小限の大きさに設定することが可能になっている。また、フラットケーブル3014が挿入される隙間Sは、表面側が開放され裏面側が閉鎖されている。このため、隙間Sに対して前方からフラットケーブル3014を挿入させることが可能になり、装飾板3011を組付けた後にフラットケーブル3014を配線する際、前方から配線作業を行うことが可能である。また、隙間Sの裏面側は閉鎖されており、フラットケーブル3014を押込むだけでフラットケーブル3014を正しい位置に配線することが可能になっている。
また、図187に示すように、装飾板3011の上側には上ホルダ3022を介して、ラック3023が長手方向を左右水平方向として配設されている。また、上ホルダ3022の裏面には、左内シャッター3010の上方から上側電飾体3012に電気を供給するためのケーブル(図示しない)を支持するためのケーブル押え3024が設けられている。なお、上側電飾体3012は、装飾板3011の上端に接するように形成されており、これにより外部から上側電飾体3012に接続されるケーブルも遊技者側から視認されないようになっている。また、装飾板3011の下部には下ホルダ3025を介して一対の下部ローラ3026が軸方向を鉛直方向として回転可能に設けられている。
一方、右内シャッター3030は、左内シャッター3010の右側に配設されるとともに、左内シャッター3010に対して側面を突合せることが可能となっている。なお、右内シャッター3030の構成は、左内シャッター3010と同様であり、図190に示すように、透明の装飾板3031と、装飾板3031の上下に分離して配設された上側電飾体3032及び下側電飾体3033と、上側電飾体3032及び下側電飾体3033を電気的に接続するフラットケーブル3034とを備えて構成されている。また、上側電飾体3032及び下側電飾体3033は、装飾板3011の裏面に配設された上LED基板及び下LED基板(いずれも図示しない)を備えている。また、上LED基板及び下LED基板の前方の装飾板3031には、乱反射面3038aを有する突条部3038が形成されるとともに、その突条部3038を囲う上側枠状装飾体3039及び下側枠状装飾体3040が設けられている。なお、上側電飾体3032及び下側電飾体3033は、左内シャッター3010と右内シャッター3030とが突合せられた際に、左内シャッター3010の装飾板3011に設けられた上側電飾体3012及び下側電飾体3013に対してそれぞれ一連の模様を形成するように構成されている。
また、右内シャッター3030の上側には上ホルダ3042を介して、ラック3043が長手方向を左右水平方向として配設されている。また、上ホルダ3042の裏面には、左内シャッター3040の上方から上側電飾体3032に電気を供給するためのケーブル(図示しない)を支持するためのケーブル押え(図示しない)が設けられている。また、装飾板3031の下部には下ホルダ3045を介して一対の下部ローラ3046が回転可能に設けられている。
なお、右内シャッター3030の装飾板3031にも左内シャッター3010の装飾板3011と同じようにフラットケーブル3034を保持するための溝形成部3041が形成されているが、装飾板3031においては装飾板3011とは反対側の側面である右側面に形成されている。つまり、右側に配設された装飾板3031では、フラットケーブル3034が右側面に沿って配線され、左側に配設された装飾板3011では、フラットケーブル3014が左側面に沿って配線されている。このため、左右の装飾板3011,3031同士が突合わせられても、フラットケーブル3014,3034が一対の装飾板3011,3031の間に挟まれることを防止でき、ひいてはフラットケーブル3014,3034の破損を防止することが可能になっている。
一方、左外シャッター3050は、左内シャッター3010の左側に配置されるとともに、左内シャッター3010に対して引き違い可能に設けられている。なお、左外シャッター3050の構成は左内シャッター3010と類似しているが、電飾体が1つである点が異なっており、これに伴いフラットケーブル3014に相当する電線、及び溝形成部3021に相当する構成が不要となっている。具体的には、図191に示すように、透明の装飾板3051と、装飾板3051に設けられたジグザグ状の電飾体3052とを備えている。電飾体3052は、装飾板3051の裏面側の凹部3057に収容されたLED基板3055と、装飾板3051の表面から突出する突条部3058及びその周囲に設けられた枠状装飾体3059とから構成されている。また、装飾板3051の上側には、上側前カバー3061及び上ホルダ3062と、左右水平方向に延びるラック3063とが設けられている。なお、LED基板3055には、左外シャッター3050の上方から電力を供給するためのケーブル(図示しない)が接続されており、上側前カバー3061の前面に取付けられたケーブル押え3064によってケーブルが支持されている。さらに、装飾板3051の下部には、下ホルダ3065を介して一対の下部ローラ3066が設けられている。
ところで、装飾板3051は、左内シャッター3010及び左外シャッター3050が閉鎖位置のとき、左内シャッター3010の装飾板3011に対して連続的な仕切り面を形成するとともに、装飾板3051の端部が、フラットケーブル3014が配線された装飾板3011の側面部分(溝形成部3021)の前方に重なるように配置されている。このため、フラットケーブル3014を装飾板3051によって遮蔽することが可能となる。なお、装飾板3051も透明であるため、装飾板3051を通してフラットケーブル3014が視認されるようになるが、装飾板3051を介することでフラットケーブル3014の外観が不明瞭となり、フラットケーブル3014を一層目立たないようにすることが可能となっている。
一方、右外シャッター3070は、右内シャッター3030の右側に配置されるとともに、右内シャッター3030に対して引き違い可能に設けられている。なお、右外シャッター3070の構成は、左外シャッター3050と同様であり、線対称な形状となっている。つまり、図192に示すように、透明の装飾板3071と、装飾板3071に設けられたジグザグ状の電飾体3072とを備え、電飾体3072は、装飾板3071の裏面側の凹部(図示しない)に収容されたLED基板(図示しない)と、装飾板3071の表面から突出する突条部3078及びその周囲に設けられた枠状装飾体3079とから構成されている。また、装飾板3071の上側には、上側前カバー3081及び上ホルダ3082と、左右水平方向に延びるラック3083とが設けられている。また、上側前カバー3061の前面に、LED基板に接続されたケーブルを支持するケーブル押え3084が設けられている。さらに、装飾板3071の下部には、下ホルダ3085を介して一対の下部ローラ3086が設けられている。
一方、図186及び図193に示すように、駆動部3090は、左内シャッター3010、右内シャッター3030、左外シャッター3050、及び右外シャッター3070を個々に駆動させるように構成されている。詳しく説明すると、上下に重ねられたガイド下部3091及びガイド上部3092によって、各シャッター3010,3030,3050,3070(以下、「各シャッター3010等」と称す)の上部に設けられたラック3023,3043,3063,3083が左右方向に摺動可能に支持されており、ガイド上部3092の上側には、それぞれのラック3023,3043,3063,3083を左右に直線運動させるための機構が配設されている。具体的には、ガイド上部3092の上面左側には、箱状の左側モータベース3093と、左側モータベース3093に取付けられ左内シャッター3010に動力を付与する左内モータ3094と、左側モータベース3093に取付けられ左外シャッター3050に動力を付与する左外モータ3095とが配設されている。また、左内モータ3094及び左外モータ3095には、歯車3096が連結され、左内シャッター3010のラック3023及び左外シャッター3050のラック3063に噛合されたピニオン3097に回転力が伝達されるようになっている。なお、ピニオン3097はガイド上部3092及びガイド下部3091を貫通してラック3023,3063に噛合されている。また、左側モータベース3093の開放側の面は蓋体3098によって閉鎖されている。
ガイド上部3092の上面右側には、二つの右側モータベース3099と、右側モータベース3099に取付けられ右内シャッター3030に動力を付与する右内モータ3100と、右側モータベース3099に取付けられ右外シャッター3070に動力を付与する右外モータ3101とが配設されている。また、右内モータ3100及び右外モータ3101には、歯車3102が連結され、右内シャッター3030のラック3043及び右外シャッター3070のラック3083に噛合されたピニオン3103に回転力が伝達されるようになっている。また、右側モータベース3099の開放側の面は蓋体3104によって閉鎖されている。
また、ガイド上部3092の四隅近傍には、各シャッター3010等の開放状態(原点位置)を検出する4つのフォトセンサ3105が設けられている。
一方、図186に示すように、各シャッター3010等の下部を支持する下部支持部3110は、中支持部3111と、中支持部3111の前面左側に配設された左前支持部3112と、中支持部3111の前面右側に配置された右前支持部3113と、中支持部3111の後面に配置された後支持部3114とから構成されている。左前支持部3112と中支持部3111との間には、左外シャッター3050の下部ローラ3066が挿入され、右前支持部3113と中支持部3111との間には、右外シャッター3070の下部ローラ3086が挿入されるようになっており、左外シャッター3050及び右外シャッター3070を閉鎖位置(図185参照)と、開放位置(図194参照)との間で摺動可能に支持している。また、後支持部3114と中支持部3111との間には、左内シャッター3010の下部ローラ3026と、右内シャッター3030の下部ローラ3046とが挿入されるようになっており、左内シャッター3010及び右内シャッター3030が互いに突合わされた閉鎖位置(図185参照)と、互いに離間した開放位置(図194参照)との間で摺動可能に支持している。
このように、各シャッター3010等は、開放位置と閉鎖位置との間で左右方向に移動するとともに、引き戸状に構成されているため、閉鎖位置では装飾板3011等を通してその後方の液晶表示装置1400を視認することが可能となり、開放位置では装飾板3011等を介することなく、液晶表示装置1400を視認することが可能になる。したがって、各シャッター3010等の動作に注目させることができるとともに、演出効果を大幅に高めることが可能となる。特に、閉鎖位置では、複数の電飾体と液晶表示装置1400dに表示される演出画像とを重ねて視認させることができ、立体的で臨場感の高い演出を行うことが可能である。
次に、下側役物ユニット3003について詳細に説明する。下側役物ユニット3003は図183に示すように、シャッタ型役物3002の前側下方に配置されており、遊技領域605とは区画された演出領域において、遊技球を用いた振分演出を行うことが可能となっている。この下側役物ユニット3003は、図195及び図196に示すように、遊技球の振分演出を行う下駆動部ユニット3120と、遊技球を貯留するとともに下駆動部ユニット3120の誘導部材3131(後述する)に遊技球を供給する遊技媒体供給機構3121と、下駆動部ユニット3120から流出された遊技球を回収して遊技媒体供給機構3121に戻す通路等を形成する通路形成ユニット3122とに、大別することができる。
まず、下駆動部ユニット3120は、図197に示すように、供給された遊技球を左右方向に振分ける振分演出装置3125と、振分演出装置3125を上下方向に摺動可能に支持するとともに、振分演出装置3125を上側停止位置(出願位置とも呼ぶ)と下側停止位置(待機位置とも呼ぶ)との間で昇降させる昇降機構3126とから構成されている。振分演出装置3125は、図198に示すように、中心部分に設けられたピン3138(図199参照)を軸として左右方向に揺動する振分部3130と、振分部3130を揺動させるとともに振分けられた遊技球を案内する揺動駆動部3145と、を備えて構成されている。なお、図198では、説明の便宜上、揺動駆動部3145の前面に配設された飾り部3146を外した状態を示している。
振分部3130は、図198及び図199に示すように、上部に誘導部材3131を備える擬似棚部3132と、擬似棚部3132の前面で且つ誘導部材3131の下側に配設された装飾部材である上側装飾部3133と、上側装飾部3133の下側に配設された装飾部材である下側装飾部3137とを備えて構成されている。誘導部材3131の上面には、遊技球を左右方向に転動可能な円弧状の転動面3131aが形成されており、振分部3130が左右のいずれか一方に向かって傾斜した際、転動面3131aに沿って遊技球を流下させることが可能となっている。なお、誘導部材3131の前面には、上側装飾部3133の飾り枠3136が配置されており、転動面3131aから前方に遊技球が逸脱しないようになっている。また、擬似棚部3132の下部は、左右方向の中央部分が下方に向かって突出した形状となっており、その下端部分には、前後方向に貫通した円筒状の作用部3132aが形成され、ピン3139が嵌挿されている。また、擬似棚部3132における左右方向の中央で作用部3132aの上方位置には前後方向に突出する筒状の軸部3132bが形成されており、ピン3138を介して揺動駆動部3145(図200参照)の中心軸3151aに連結されている。つまり、擬似棚部3132は、軸部3132bを中心に揺動可能に支持されており、作用部3132aに力を作用させることで、時計方向または反時計方向に回動させることが可能となっている。また、擬似棚部3132の裏面には、複数のブッシュ3140及びブッシュ押え3141が設けられており、ベース部材3150(図200参照)の後板3151の左右両側に形成された円弧状の案内部3151bに嵌挿されることにより、擬似棚部3132を円滑に揺動させるとともに、揺動範囲(回動角度)を制限することが可能になっている。
上側装飾部3133は、装飾文字を象った前飾り3135とその裏側に設けられた飾り枠3136とを備え、その内部に前飾り3135に向かって光を照射するLED基板及びレンズ(いずれも図示しない)が収容されている。また、下側装飾部3137はキャラクタの外観を模した形状を呈している。
図200及び図201に示すように、揺動駆動部3145は、ベース部材3150と、ベース部材3150の左側に配設された左側ラック3160と、ベース部材3150の右側に配設された右側ラック3161と、ベース部材3150の裏面下部に配設された左中継基板3163及び右中継基板3164と、ベース部材3150の前面下部よりもやや上側に配設され擬似棚部3132の誘導部材3131に向かって光を照射する左LED基板3165及び右LED基板3166と、を備えて構成されている。また、ベース部材3150には、後板3151の中心位置に前述した中心軸3151aが前方に突出して形成されているとともに、その中心軸3151aを中心とした円周上に一対の案内部3151bが対峙して形成されている。また、案内部3151bの左右方向外側には、複数の壁部3152が前方に向かって突設されており、これらの壁部3152によって、後板3151の左端側には第一搬送通路3153が形成され、後板3151の右端側には第二搬送通路3154が形成されている。第一搬送通路3153には、右側(内側)に向かって開口した第1流入口3153aが上端部分に形成されており、第一搬送通路3153の下端部分は右側(内側)に略直角に屈曲した形状となっている。なお、第一搬送通路3153の前面は大部分が飾り部3146(図198参照)によって閉鎖されており、下端部分のみが開放されている。つまり、下端部分に第一流出口3153bが形成され、第1流入口3153aに入球し第一搬送通路3153によって案内された遊技球が、第一流出口3153bから前方に流出するようになっている。なお、第1流入口3153aは、前述した擬似棚部3132が反時計方向に回動した際に、擬似棚部3132の誘導部材3131の左端に連通する高さに形成されている。
また、第二搬送通路3154は、上下方向に形成された略直線状の通路であり、上端部分には、左側(内側)に向かって開口した第2流入口3154a、が形成され、下端部分には、前方に向かって開口した第二流出口3154bが形成されている。また、第二搬送通路3154の前面部分も飾り部3146(図198参照)によって閉鎖されている。つまり、第2流入口3154a、に入球し第二搬送通路3154によって案内された遊技球が、第二流出口3154bから前方に流出するようになっている。なお、第2流入口3154a、は、擬似棚部3132が時計方向に回動した際に、擬似棚部3132の誘導部材3131の右端に連通する高さに形成されている。また、第二流出口3154bは、第一搬送通路3153の第一流出口3153bよりも高い位置に形成されている。
また、ベース部材3150の下部には、擬似棚部3132(図199参照)の作動部3132aに回転力を付与するための揺動機構3170が設けられている。この揺動機構3170は、後板3151の裏面下部に配置され回転軸の軸方向を前後方向するモータ3171と、モータ3171の回転軸、及び擬似棚部3132に装着されたピン3139(図199参照)を連結するリンク3172とを備えており、モータ3171の回転方向を変化させることにより、擬似棚部3132の回動方向を切り替えることが可能になっている。なお、ベース部材3150の下部前面には、配線を支持するためのフレキ押え3174が設けられている。ここで、揺動機構3170は、擬似棚部3132を動作させるための駆動手段であると言える。
一方、昇降機構3126は、図202及び図203に示すように、モータベース3127を備えている。モータベース3127は、略平板状の後板3127aと、その左側に形成され揺動駆動部3145(図197参照)の左側ラック3160を摺動可能に支持する左側摺動部3127bと、後板3127aの右側に形成され揺動駆動部3145の右側ラック3161を摺動可能に支持する右側摺動部3127cと、左側摺動部3127bの左側に形成された左側モータ収容部3127dと、右側摺動部3127cの右側に形成された右側モータ収容部3127eと、を備えている。また、後板3127aの裏面には左側中継基板3128a及び右側中継基板3128bが配設されており、左側モータ収容部3127dに収容された左側モータ3176、及び右側モータ収容部3127eに収容された右側モータ3177への駆動信号が中継されるようになっている。なお、左側モータ収容部3127dは左側モータカバー3176bによって覆われており、右側モータ収容部3127eは右側モータカバー3177bによって覆われている。また、左側モータ3176には歯車3176aが連結されており、この歯車3176aは左側摺動部3127b内に突出して配設されるとともに揺動駆動部3145における左側ラック3160に噛合されている。また、同様に、右側モータ3177にも歯車(図示しない)が連結されており、この歯車は右側摺動部3127c内に突出して配設されるとともに揺動駆動部3145における右側ラック3161に噛合されている。このため、左側モータ3176及び右側モータ3177を同時に回転させると、歯車3176aを介して動力が伝達され、左側ラック3160及び右側ラック3161を上下方向に直進運動させること、すなわち振分演出装置3125を真直ぐ昇降させることが可能になっている。
また、モータベース3127における左側摺動部3127bの上側には、後述する遊技媒体供給機構3121(図196参照)から供給された遊技球を振分演出装置3125の誘導部材3131(詳しくは遊技球案内通路3155)へ案内する案内通路部3178が設けられている。なお、左側摺動部3127b、右側摺動部3127c、及び案内通路部3178の前面はガイドカバー3179によって閉鎖されている。
このように構成することにより、振分演出装置3125によって振分演出を行う際、遊技者側からの視認が困難となる下側停止位置(図204参照)から、遊技者が容易に視認することが可能になる上側停止位置(図205参照)に振分演出装置3125を上昇させることが可能となり、上側停止位置で遊技球Kを左右方向に振り分けることが可能となる。つまり、図206に示すように、振分部3130を反時計方向に回動させると、誘導部材3131によって遊技球Kは左側に転動し、第1流入口3153aに入球することが可能となる。第1流入口3153aに入球した遊技球Kは第一搬送通路3153を通ってその下端の第一流出口3153bから流出される。一方、図207に示すように、振分部3130を時計方向に回動させると、遊技球は誘導部材3131によって右側に転動し、第2流入口3154a、に入球することが可能となる。第2流入口3154a、に入球した遊技球Kは、第二搬送通路3154を通ってその下端の第二流出口3154bから流出される。なお、第一流出口3153bまたは第二流出口3154bから流出した遊技球は、リターン通路3211a(図213参照)によって遊技媒体供給機構3121に戻されるが、これに関する詳細については後述する。
一方、図208〜図210に示すように、遊技媒体供給機構3121は、所定個数の遊技球を貯留するとともに、振分演出の際、振分演出装置3125の誘導部材3131に遊技球を供給するものであり、ベース上部3181及びベース下部3182からなる扁平な箱状のベース体3180と、遊技球を上方に向かって案内する略円筒状の通路形成部材としての筒状誘導部3183と、筒状誘導部3183内に配設され遊技球を上昇させるスクリュー3190と、スクリュー3190を、軸方向を鉛直方向として回転させる駆動機構3199と、を備えて構成されている。筒状誘導部3183は、ベース上部3181上に立設されており、断面略半円弧状の前壁形成部3184と、その後側に配置された断面略半円弧状の後壁形成部3186とによって構成されている。なお、後壁形成部3186の下部には後方に向かって開口した流入口3187が形成されており、リターン通路3211a(図213参照)に連通した下部通路部3197を介して遊技球が筒状誘導部3183に入球するようになっている。また、前壁形成部3184の上部には前方に向かって開口した放出口3185が形成されており、スクリュー3190によって搬送された遊技球が放出口3185から放出されるようになっている。なお、放出口3185から放出された遊技球は、上部通路部3195を介して案内通路部3178(図202参照)に送られるようになっている。また、上部通路部3195及び下部通路部3197内には、遊技球の通過を検出する通過センサ3196,3198がそれぞれ設けられている。
スクリュー3190は、円柱状であり下端に径の大きな係合部3191aが形成された軸部3191と、軸部3191の周囲にらせん状に形成された螺旋部3192と、軸部3191の上側に配設された回転板3193とから構成されており、係合部3191aがベース上部3181の開口3181aに挿通された状態で立設されている。なお、回転板3193に形成された切欠3193aは、スクリュー3190の回転位置を検出するためのものである。
駆動機構3199は、ベース上部3181に搭載されたモータ3200と、ベース体3180の内部に配置され、モータ3200の回転軸に連結されたモータ歯車3201と、モータ歯車3201に噛合された中間歯車3202と、中間歯車3202に噛合されるとともに、スクリュー3190の係合部3191aに係合する突起部3203aを有する連結歯車3203と、を備えて構成されている。なお、突起部3203a及び係合部3191aは嵌合された状態で連結ピン3204によって連結されている。
これにより、モータ3200の回転が、モータ歯車3201、中間歯車3202、及び連結歯車3203を介してスクリュー3190に伝達され、スクリュー3190を一定方向に回転させること、すなわち流入口3187に流入した遊技球を放出口3185に向かって搬送することが可能になっている。
ところで、上記のように振分演出装置3125を上側停止位置まで上昇させてから振分演出を行うものでは、振分演出装置3125の誘導部材3131に遊技球を供給するために、遊技球を上側停止位置に相当する高さまで持ち上げなければならず、ひいては遊技媒体供給機構3121の高さ、すなわち上下方向の大きさが大型化し、配置スペースを確保することが困難になる虞がある。なお、遊技媒体供給機構3121の底部の位置を高くすることによって小型化を図ることも考えられるが、遊技媒体供給機構3121の底部付近の流入口3187にはリターン通路3211aが連通され遊技球をその部位まで流下させる必要があることから、遊技媒体供給機構3121の底部はある程度下方に位置させなければならず、ひいては上記の構成による小型化は困難である。
これに対し本例の構成によれば、振分演出装置3125が上昇し始める前に(すなわち下側停止位置に停止している状態で(図204参照))、遊技球が誘導部材3131上に供給されるようになっている。このため、遊技球を持ち上げる高さを比較的低くすることができ、遊技媒体供給機構3121を小型化することが可能になっている。また、遊技球が誘導部材3131上に供給されても、振分演出装置3125が上側停止位置に達するまでは、誘導部材3131上での遊技球の転動が規制されるようになっており、これにより上側停止位置に達する前、すなわち振分演出装置3125が遊技者に視認可能となる前に、遊技球が振り分けられることを防止できるようになっている。
特に本例では、誘導部材3131の転動面3131aが略円弧状に形成されており、上側停止位置に達するまで、誘導部材3131が略水平状態に保持されるようになっている。このため、誘導部材3131の転動面3131aに遊技球が供給されると、転動面3131aの中で最も低い位置である左右方向の中央部分に遊技球が案内され、その位置に停留するようになる。したがって、振分演出装置3125の上昇中に、転動面3131aから遊技球が逸脱すること、すなわち遊技球が振り分けられてしまうことを確実に防止することが可能である。
また、本例では誘導部材3131に対して遊技球を左端部側から送り込むため、誘導部材3131の上方から送り込むものに比べ、遊技球の供給位置が低くなり、ひいては遊技媒体供給機構3121の高さがさらに低くなっている。なお、誘導部材3131が略円弧状の転動面3131aを備えることにより、誘導部材3131の端部側から遊技球を送り込んだ場合でも、遊技球を誘導部材3131の中央位置に導き制動させることが可能である。
また、遊技媒体供給機構3121から放出された遊技球は、遊技球案内通路3155(図200参照)を通って誘導部材3131の端部側に案内されるようになっている。そして、この遊技球案内通路3155は、振分演出装置3125と一体的に上下動することから、振分演出装置3125の停止位置が多少変位していても、遊技球を円滑に送り込むことが可能となる。例えば、振分演出装置3125の誘導部材3131に遊技球が送り込まれる前に振分演出装置3125が上昇し始めることがあっても、遊技球が遊技球案内通路3155に供給されていれば、その後、誘導部材3131上に送り込むことが可能である。
また、振分演出装置3125の誘導部材3131は、下側停止位置のとき第一役物ユニット2370(図174参照)における棚上段2372の転動面(所謂ステージ)の後方に位置するように配置されている。このため、誘導部材3131がステージの一部であるというイメージを喚起させることができ、ステージに対するインパクトを高めることが可能になっている。なお、棚上段2372と誘導部材3131との間には透明な保護板2360(図161参照)が設けられており、棚上段2372が配置された遊技領域605と、誘導部材3131が配置された演出領域とを確実に区画し、演出領域に遊技球が飛び込まないようになっている。
一方、図211及び図212に示すように、通路形成ユニット3122は、下駆動部ユニット3120(図196参照)の前方を覆うカバー部材3210と、カバー部材3210の裏面上部に配設されたリターン通路形成部材3211とを備えて構成されている。リターン通路形成部材3211は、図212及び図213に示すように、内部にリターン通路3211aを備えており、振分演出装置3125によって振り分けられた遊技球を遊技媒体供給機構3121の流入口3187に向かって流下させることを可能としている。具体的には、リターン通路形成部材3211には、斜めに配置された直線状部3212と、その直線状部3212から上方に突出する左側突出部3215及び右側突出部3216とが形成されており、左側突出部3215には、振分演出装置3125が上側停止位置に移動した際、第一搬送通路3153の第一流出口3153bに連通する第一連通口3215aが設けられ、右側突出部3216には、振分演出装置3125が上側停止位置に移動した際、第二搬送通路3154の第二流出口3154bに連通する第二連通口3216aが設けられている。つまり、第1流入口3153a及び第2流入口3154a、に振分けられた遊技球が、共通のリターン通路3211aに送られるようになっている。
このように、振分演出装置3125に遊技球を供給する遊技媒体供給機構3121と、振分演出装置3125で振分けられた遊技球を遊技媒体供給機構3121に戻すリターン通路3211aとを組合わせることにより、遊技球の循環経路Jが構成されており、これにより遊技球を循環させながら振分演出を繰返し行うことが可能になっている。ところが、循環経路J内に封入された遊技球を用いて振分演出を繰り返し行うものでは、使用に伴って遊技球の表面に汚れが付着したり、遊技球の表面が錆びたりした場合には、遊技球の見栄えが悪くなり、演出効果を害する虞がある。特に、振分演出装置3125で行われる演出は、遊技球の挙動を注目させるものであるため、その汚れや錆びは目立つものとなり、視覚的な興趣を低下させる要因となる。また、遊技球を封入する作業は、遊技機の製造時に行われるため、出荷後の輸送中に、遊技球が循環経路J内で転動し、遊技球同士の衝突または循環経路J内の部材への衝突によって、比較的大きな音が発生する場合もある。
これに対し本例では、遊技領域605で使用した遊技球が取入れられ、その遊技球が循環経路Jに対して補給されるようになっている。具体的には、第二始動口2002に入賞した遊技球が補給通路3220を介してリターン通路3211aの上流端である補給口3213に送られるようになっている。なお、第二始動口2002は、リターン通路3211aの上流端よりも高い位置に配設されているため、第二始動口2002に入賞した遊技球をリターン通路3211aに向かって自然に流下させることが可能である。このように、第二始動口2002に入賞した遊技球を補給通路3220によって循環経路Jに補給することから、循環経路J内に遊技球を予め封入する必要がなくなり、輸送中における衝突音の発生や衝突による破損を防止することが可能となる。特に、補給通路3220を通ってリターン通路3211aに送られ、リターン通路3211aを利用して遊技媒体供給機構3121に補給されるため、第二始動口2002が遊技媒体供給機構3121から離れた位置に配置されているにも拘らず、補給通路3220の長さを比較的短くすることができ、全体の構成を簡単にすることが可能となっている。
ところで、第二始動口2002に入賞した遊技球が補給通路3220を通ってリターン通路3211aに送られるものでは、第二始動口2002に遊技球が入賞する毎に循環経路J内の遊技球の個数が増えることとなるが、遊技媒体供給機構3121に貯留可能な遊技球の個数には限度があることから、その個数を越えると、リターン通路3211a内に遊技球が貯留されていき、遊技球を循環させることが困難となる。なお、第二始動口2002に入賞した遊技球をリターン通路3211aと排出路(図示しない)とに振り分ける機構をさらに備え、遊技球の補給が必要な場合にだけリターン通路3211a側に送るように構成することも考えられるが、これによれば、リターン通路3211aと排出路とを切り替えるための通路切替機構が別途必要となり、全体の構成が複雑になるとともに大型化することから好ましくない。
これに対し、本例では、遊技媒体供給機構3121とリターン通路3211aとの間にオーバーフロー機構が備えられている。具体的には、遊技媒体供給機構3121の流入口3187とリターン通路3211aとの間に下部通路部3197(図213参照)が配設されているが、この下部通路部3197は、底面が後方に向かって下り勾配となっているとともに、前面側には放出口3197aが設けられている。つまり、遊技媒体供給機構3121の流入口3187付近に貯留される遊技球の個数が許容個数以内の場合には、下部通路部3197に入球した遊技球は、下部通路部3197の底面の傾斜に従って流入口3187側に送られるが、貯留される遊技球の個数が許容個数を越えると、下部通路部3197の前面の放出口3197aから溢れて排出されるようになっている。このため、リターン通路3211a内に多くの遊技球が貯留されることを防止できるとともに、通路切替機構等を設けることなく第二始動口2002及びリターン通路3211aを、補給通路3220によって直接連通させることが可能となる。放出口3197aから放出された遊技球は、アウト球通路1119に転動し、アウト球通路1119の下流端、すなわち、遊技機の後面下方からパチンコ機1の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって排出される。すなわち、補給通路3220と、循環経路Jを含む遊技媒体供給機構3121は、第二始動口2002に受け入れられた遊技球が遊技球排出機構としてのアウト球通路1119から排出されることを妨げて所定数の遊技球を貯留する遊技球貯留機構であると言える。
また、本例では、循環経路J内の遊技球は、所定のタイミングで排出されるようになっている。具体的には、図212及び図214に示すように、カバー部材3210の裏面下部に排出通路3218が設けられており、排出通路3218の連通口3219が、振分演出装置3125が下側停止位置に移動した場合に、第一搬送通路3153の第一流出口3153bに連通するように構成されている。また、振分演出装置3125が下側停止位置の際に、所定のタイミングで(例えばパチンコ機1への電源投入直後)、遊技媒体供給機構3121が制御され、振分演出装置3125の誘導部材3131上に遊技球を供給するようになっている。特に、この際、図214に示すように、振分演出装置3125の振分部3130が反時計方向に回動され、遊技球が第1流入口3153aに入球するようになっている。これにより、下側停止位置の振分演出装置3125に対して遊技球を供給することにより、循環経路J内の遊技球を排出させることが可能になる。このように、第一流出口3153bに連通する通路(リターン通路3211a及び排出通路3218)が振分演出装置3125の高さに応じて切り替えられるため、各通路を切り替えるための複雑な構成が不要となり、全体的に小型化することが可能となる。特に、遊技球を排出する際、誘導部材3131上の遊技球は第1流入口3153aに向かって誘導されるため、遊技球の排出経路が特定され、第二搬送通路3154に対する排出通路は不要となる。したがって、排出機構を小型化及び簡素化することが可能である。排出通路3218から排出された遊技球は、アウト球通路1119に転動し、アウト球通路1119の下流端、すなわち、遊技機の後面下方からパチンコ機1の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって排出される。
次に、横飾りユニット3004について説明する。図215及び図216に示すように、横飾りユニット3004は、裏箱3001の左側及び右側にそれぞれ配設されており、発光装飾を行うとともに一部分が可動するようになっている。図217及び図218を基に詳しく説明すると、横飾りユニット3004は、飾りベース3250とその後側に配置された可動装飾部3251と、可動装飾部3251の上側及び下側に配置された上側電飾部3253及び下側電飾部3254と、を備えて構成されている。飾りベース3250は、上側電飾部3253及び下側電飾部3254を支持する電飾支持部3250a,3250bを上下に備えるともに、これらの電飾支持部3250a,3250bの間に切欠3250cが形成されている。上側電飾部3253及び下側電飾部3254は、レンズ及びLED基板(いずれも図示しない)を内部に有しており、発光装飾させることが可能になっている。
一方、可動装飾部3251は、裏ベース3256と、裏ベース3256に配設されたソレノイド3257と、軸方向を鉛直方向として回転可能に支持されるとともにソレノイド3257のプランジャ3258によって駆動されるリンク3260と、裏ベース3256の突片3256aに回転可能に支持されるとともにピン3259及び軸部3262を介してリンク3260に連結された中飾り3261とを備えている。また、中飾り3261の内部には中レンズ3265、及びLED基板3266が配設され、中飾り3261の側面を通して赤レンズ3263及び青レンズ3264が設けられている。つまり、ソレノイド3257を動作させることによりリンク3260を介して中飾り3261を回動させることが可能となっており、中飾り3261の正面(中レンズ3265の点灯状態)を視認可能な状態と、中飾り3261の側面(赤レンズ3263及び青レンズ3264の点灯状態)を視認可能な状態とに切り替えることが可能になっている。
また、図215に示すように、横飾りユニット3004の後側には、一対の横ベース部材3240が配設されている。裏箱3001の右側に配置された横ベース部材3240は、図219に示すように、カバー部材3270と、カバー部材3270の右下に配置され第二始動口2002に入賞した遊技球をリターン通路3211aに補給する補給通路3220と、カバー部材3270の上部に配置された右上LED基板3273及び上部飾り3276と、カバー部材3270の前面中央部分に配置された大型の右側LED基板3274及び小型の右下LED基板3275と、を備えて構成されている。また、カバー部材3270には、磁石等を用いた不正な行為を検出するための磁気センサ3277が埋設されている。
また、図216に示すように、裏箱3001の後側には、横ベース部材3240への駆動信号を中継する左中継基板3241及び右中継基板3242と、液晶表示装置1400を支持する液晶ガイド3243と、各装飾基板に実装されたLEDを駆動するランプ駆動基板3245と、遊技パネル600への信号を中継するパネル中継基板3247と、抵抗基板3248とが取付けられている。なお、ランプ駆動基板3245は、基板ケース3246に収容された状態で設けられている。
[3.主基板・周辺基板]
続いて、パチンコ機1の各種制御を行う制御基板について、図220を参照して説明する。図220は主基板及び周辺基板のブロック図である。パチンコ機1の制御構成は、図示するように、主基板4000のグループ及び周辺基板4010のグループから構成されており、これら2つのグループにより各種制御が分担されている。主基板4000のグループは、遊技動作(遊技の進行)を制御する主制御基板4100と、遊技球の払出し等を制御する払出制御基板1186と、を備えて構成されている。また、周辺基板4010のグループは、主制御基板4100からのコマンドに基いて遊技中の各種演出を制御する周辺制御基板4140と、周辺制御基板4140からのコマンドに基いて液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350での演出画像の表示を制御する液晶制御基板3181と、を備えている。
[3−1.主制御基板]
遊技の進行を制御する主制御基板4100は、図220に示すように、マイクロプロセッサとしての主制御MPU4100aと、入出力デバイス(I/Oデバイス)としての主制御I/Oポート4100bと、上述したRAMクリアスイッチ624aと、を備えている。主制御MPU4100aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵される他に、その動作(システム)を監視するウォッチドックタイマや不正を防止するための機能等も内蔵されている。
主制御MPU4100aは、第一始動口2001へ受入れられた遊技球を検出する第一始動口センサ2011、第二始動口2002へ受入れられた遊技球を検出する第二始動口センサ2349、及び一部の一般入賞口センサ2014からの検出信号が夫々主制御I/Oポート4100bを介して入力されたり、ゲートセンサ2202、一般入賞口センサ2014、カウントセンサ2013及び裏ユニット3000に取付けられた磁気センサ3277からの検出信号が、遊技盤4に取付けられたパネル中継基板3247、そして主制御I/Oポート4100bを介して入力されたりする。主制御MPU4100aは、これらの検出信号に基いて、主制御I/Oポート4100bそしてパネル中継基板3247を介して始動口ソレノイド2344、アタッカソレノイド2016、及び大入賞口ソレノイド2315への駆動信号を出力したり、主制御I/Oポート4100b、パネル中継基板3247、そして、機能表示基板640aを介して第一特別図柄表示器641、第二特別図柄表示器642、第一特別図柄記憶表示器643、第二特別図柄記憶表示器644、普通図柄表示器645、普通図柄記憶表示器646、遊技状態表示器647、セキュリティ表示器648、センター役物2300の保留状態表示部3152に駆動信号を出力したりする。
また主制御MPU4100aは、遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払出しに関する各種コマンド等を、上述した主ドロワ中継基板1107を介して払出制御基板1186に送信したり、この払出制御基板1186からのパチンコ機1の状態に関する各種コマンド等を、主ドロワ中継基板1107を介して受信したりする。更に主制御MPU4100aは、遊技演出の制御に関する各種コマンド及びパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを、主制御I/Oポート4100bを介して後述する周辺基板4010の周辺制御基板4140に送信したりする(主制御基板4100と周辺制御基板4140との基板間は図示しないハーネスより電気的に接続されている)。なお、主制御MPU4100aは、その詳細な説明は後述するが、払出制御基板1186からパチンコ機1の状態に関する各種コマンドを受信すると、これらの各種コマンドを整形して周辺制御基板4140に送信する。
主制御基板4100には、その詳細な説明は後述するが、電源基板1136から各種電圧が供給されている。この電源基板1136は、電源遮断時にでも所定時間、主制御基板4100に電力を供給するバックアップ電源としての電気二重層キャパシタ(以下、単に「キャパシタ」と記載する。)を備えている。このキャパシタにより主制御MPU4100aは、電源遮断時にでも電源断時処理において各種情報をその内蔵するRAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した各種情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ624aが操作されると、内蔵するRAMから消去(クリア)されるようになっている。このRAMクリアスイッチ624aの操作信号(検出信号)は、主ドロワ中継基板1107を介して払出制御基板1186にも出力されるようになっている。
また、主制御基板4100には、停電監視回路が設けられている。この停電監視回路は、電源基板1136から供給される各種電圧の低下を監視しており、それらの電圧が停電予告電圧以下となると、停電予告として停電予告信号を出力するようになっている。この停電予告信号は、主制御I/Oポート4100bを介して主制御MPU4100aに入力される他に図示しないハーネスを介して払出制御基板1186等にも伝達されている。
[3−2.払出制御基板]
遊技球の払出し等を制御する払出制御基板1186は、図220に示すように、払出しに関する各種制御を行う払出制御部4110と、上述した発射モータ695の発射制御を行う発射制御部4120と、上述した、エラーLED表示器4130と、エラー解除スイッチ4131と、球抜きスイッチ4132と、を備えて構成されている。
払出制御基板1186における払出しに関する各種制御を行う払出制御部4110は、図220に示すように、マイクロプロセッサとしての払出制御MPU4110aと、I/Oデバイスとしての払出制御I/Oポート4110bと、払出制御MPU4110aが正常に動作しているか否かを監視する外部ウォッチドックタイマ4110c(以下、「外部WDT4110c」と記載する。)と、上述した払出モータ815に駆動信号を出力する払出モータ駆動回路4110dと、を備えて構成されている。払出制御MPU4110aには、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、が内蔵される他に、不正を防止するため機能等も内蔵されている。
払出制御MPU4110aは、その詳細な説明は後述するが、主制御基板4100からの遊技に関する各種情報(遊技情報)及び払出しに関する各種コマンドを受信したり、主制御基板4100からのRAMクリアスイッチ624aの操作信号(検出信号)が入力されたりする他に、満タンスイッチ916からの検出信号が入力されたり、球切れスイッチ778、計数スイッチ812及び回転角スイッチ855からの検出信号が賞球ユニット内中継端子板830を介して入力されたりする。
また払出制御MPU4110aは、主制御基板4100からの払出しに関する各種コマンドを受信すると、その受信した払出しに関する各種コマンドに基いて払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815に駆動信号を出力したり、球抜きスイッチ4132が操作されると、この操作信号(検出信号)に基いて上述した、賞球タンク720及びタンクレール部材740に貯留された遊技球を排出する(球抜きする)ために払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815に駆動信号を出力したり、図示しないCRユニット(球貸し機)からの貸球要求信号がCRユニット端子板1150bを介して入力されると、この貸球要求信号に基いて払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815に駆動信号を出力したり、満タンスイッチ916からの検出信号が入力されると、この検出信号に基いて払出モータ駆動回路4110dから払出モータ815への駆動信号を停止して払出モータ815を停止したりする。
更に払出制御MPU4110aは、パチンコ機1の状態をエラーLED表示器4130に表示したり、その状態を示す各種コマンドを主制御基板4100に送信したり、計数スイッチ812からの検出信号が入力されると、この検出信号に基いて、実際に払出した遊技球の球数を外部端子板1150aに出力したりする。この外部端子板1150aは、遊技場(ホール)に設置されたホールコンピュータと電気的に接続されている。このホールコンピュータは、パチンコ機1が払出した遊技球の球数やパチンコ機1の遊技情報等を把握することにより遊技者の遊技を監視している。
一方、払出制御基板1186における発射モータ695の発射制御を行う発射制御部4120は、図220に示すように、各種信号が入力される入力回路4120aと、定時間毎にクロック信号を出力する発信回路4120bと、このクロック信号に基いて発射モータ695の回転速度を決定する基準パルスを出力する発射制御回路4120cと、この発射制御回路4120cからの基準パルスに基いて発射モータ695に駆動信号を出力する発射モータ駆動回路4120dと、を備えて構成されている。発射制御回路4120cは、発信回路4120bからのクロック信号に基いて、1分当たり約99.95個の遊技球が遊技領域605に向けて発射されるよう発射モータ695の回転速度を制御している。つまり、上述した打球槌687の可動を制御している。
なお、上述したハンドル装置460(操作ハンドル部410)には、上述したように、タッチセンサ420、発射停止スイッチ422が内蔵されており、操作ハンドル部410の回動操作部材464に触れるとタッチセンサ420により検出され、単発ボタン421を操作すると発射停止スイッチ422により検出される。これらの検出信号は、その詳細な説明は後述するが、上述したハンドル中継端子板194を介して入力回路4120aに入力されている。また、CRユニットがCRユニット端子板1150bに電気的に接続されると、CR接続信号がCRユニット端子板1150bを介して入力回路4120aに入力される。
この払出制御基板1186には、電源基板1136から各種電圧が主制御基板4100と同様に供給されている。この電源基板1136は、電源遮断時にでも所定時間、払出制御基板1186に電力を供給するキャパシタを備えている。このキャパシタにより払出制御MPU4110aは電源遮断時にでも払出しに関する各種の払出情報をその内蔵するRAMに記憶することができるようになっている。なお、記憶した払出情報は、電源投入時に主制御基板4100のRAMクリアスイッチ624aが操作されると、その内容が内蔵するRAMから消去(クリア)されるようになっている。
[3−3.周辺制御基板]
周辺基板4010における演出制御を行う周辺制御基板4140は、図220に示すように、マイクロプロセッサとしての周辺制御MPU4140aと、各種処理プログラムや各種コマンドを記憶する周辺制御ROM4140bと、高音質の演奏を行う音源IC4140cと、この音源IC4140cが参照する音楽及び効果音等の音情報が記憶されている音ROM4140dと、を備えて構成されている。
周辺制御MPU4140aは、パラレル入出力ポート、シリアル入出力ポート及びウォッチドックタイマ(WDT)等の各種入出力ポートを内蔵しており、主制御基板4100から各種コマンドを受信すると、この各種コマンドに基いて、扉枠5に備えられた各装飾基板のLEDに点灯信号又は点滅信号を出力する扉枠側点灯点滅コマンドをランプ駆動基板3167に出力したり、遊技盤4に備えられた各発光装飾基板3606のLEDに点灯信号又は点滅信号を出力する遊技盤側点灯点滅コマンドをランプ駆動基板3167に出力したり、扉枠5に備えられたトップランプ電飾ユニット200の左回転灯モータ245、右回転灯モータ265、及び中央回転灯モータ285に回転駆動信号を出力する扉枠側モータ駆動コマンドをモータ駆動基板3013aに出力したり、遊技盤4に備えられた左右駆動用モータ3042、駆動モータ3061、駆動用モータ3108、駆動モータ3112、及び駆動モータ3200に回転駆動信号を出力する遊技盤側モータ駆動コマンドをモータ駆動基板3013aに出力したり、音ROM4140dから抽出する音情報を示す制御信号(音コマンド)を音源IC4140cに出力したり、液晶表示装置1400またはサブ液晶ユニット2350に表示させる画面を示す表示コマンドを液晶制御基板3181に出力したりする。
周辺制御MPU4140aから液晶制御基板3181に出力される表示コマンドはシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレート(単位時間あたりに送信できるデータの大きさ)として19.2キロ(k)ビーピーエス(bits per second、以下、「bps」と記載する)が設定されている。一方、周辺制御MPU4140aからランプ駆動基板3167やモータ駆動基板3013aに出力される、初期データ、扉枠側点灯点滅コマンド、遊技盤側点灯点滅コマンド、扉枠側モータ駆動コマンド、遊技盤側モータ駆動コマンド、表示コマンドと異なる複数のシリアル入出力ポートにより行われ、本実施形態では、ビットレートとして250kbpsが設定されている。
このランプ駆動基板3167は、受信した扉枠側点灯点滅コマンドに基いて点灯信号又は点滅信号を、副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5に備えられた各装飾基板126,190,206,224,225,296等のLEDに出力したり、受信した遊技盤側点灯点滅コマンドに基いて点灯信号又は点滅信号を遊技盤4に備えられた各発光装飾基板3606や、扉枠5のガラスユニット450におけるガラス装飾基板453のLED453aに出力したりする。一方、モータ駆動基板3013aは、受信した扉枠側モータ駆動コマンドに基いて回転駆動信号を、副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5に備えられた左回転灯モータ245、右回転灯モータ265、及び中央回転灯モータ285に出力したり、受信した遊技盤側モータ駆動コマンドに基いて回転駆動信号を遊技盤4に備えられた各種モータ2380,2416,3094,3095,3100,3101,3171,3176,3177,3200に出力したりする。
また、周辺制御MPU4140aは、遊技盤4の第一役物ユニット2370、第二役物ユニット2400、シャッタ型役物3002、及び下側役物ユニット3003の可動位置を夫々検出する位置検出センサ(フォトセンサ2382,2422,3105等)からの検出信号が、モータ駆動基板3013aを介して夫々入力されており、これらの検出信号に基いて原位置を把握している。また、周辺制御MPU4140aは、扉枠5の回転灯244,264,284の回転位置を夫々検出する左回転位置検出センサ250、右回転位置検出センサ270、中央回転位置検出センサ290からの検出信号が、副ドロワ中継基板108及びモータ駆動基板3013aを介して夫々入力されており、これらの検出信号に基いて各回転灯224,264,284の回転位置を把握している。更に周辺制御MPU4140aは、液晶制御基板3181が正常動作している旨を伝える信号(動作信号)が液晶制御基板3181から入力されたり、扉枠5における皿ユニット300に備えられた操作ボタンユニット370のメインボタン371やサブボタン372の操作を検出するメインボタンセンサ376やサブボタンセンサ378からの操作検出信号が、副ドロワ中継基板1108及びランプ駆動基板3167を介して入力されたりする。なお、メインボタン371には、振動体371cが備えられており、この振動体371cに対して副ドロワ中継基板1108及びランプ駆動基板3167を介して周辺制御MPU4140aから駆動信号が送られるようになっている。
音源IC4140cは、周辺制御MPU4140aから出力された音コマンドに基いて音ROM4140dから音情報を抽出し、ランプ駆動基板3167、そして副ドロワ中継基板1108を介して扉枠5のサイドスピーカ121や下部スピーカ391から各種演出に合わせた音楽及び効果音等が流れるよう制御を行う。
なお、周辺制御基板4140は、図示しない、外部ウォッチドックタイマ(外部WDT)も備えており、周辺制御MPU4140aは、その内蔵されたウォッチドックタイマ(内蔵WDT)と外部WDTとを併用して周辺制御MPU4140aのシステムが暴走していないかを診断している。
[3−4.液晶制御基板]
次に、周辺基板4010における液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350の描画制御を行う液晶制御基板3181は、図示するように、マイクロプロセッサとしての液晶制御MPU4150aと、各種処理プログラム、各種コマンド及び各種データを記憶する液晶制御ROM4150bと、上述した液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350を表示制御するVDP(Video Display Processorの略)4150cと、液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350に表示される画面の各種データを記憶するキャラROM4150dと、このキャラROM4150dに記憶されている各種データが転送されてコピーされるキャラRAM4150eと、を備えている。
この液晶制御MPU4150aは、パラレル入出力ポート、シリアル入出力ポート等を内蔵しており、周辺制御基板4140から上述した表示コマンドを受信すると、その詳細な説明は後述するが、受信した表示コマンドに基いてVDP4150cを制御して液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350の描画制御を行う。なお、液晶制御MPU4150aは、正常に動作していると、上述したように、その旨を伝える動作信号を周辺制御基板4140に出力する。
液晶制御ROM4150bは、液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350に描画する画面を生成するための各種プログラムの他に、表示コマンドに対応するスケジュールデータ、表示コマンドに対応する非常駐領域転送スケジュールデータ等を複数記憶している。スケジュールデータは、画面の構成を規定する画面データが時系列に配列されて構成されており、液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350に描画する画面の順序が規定されている。非常駐領域転送スケジュールデータは、キャラROM4150dに記憶されている各種データをキャラRAM4150eの後述する非常駐領域に転送する際に、その順序を規定する非常駐領域転送データが時系列に配列されて構成されている。この非常駐領域転送データは、スケジュールデータの進行に従って液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350に描画される画面データを、前もって、キャラROM4150dからキャラRAM4150eの非常駐領域に各種データを転送する順序が規定されている。
液晶制御MPU4150aは、周辺制御基板4140から表示コマンドを受信すると、この表示コマンドに対応するスケジュールデータを抽出し、この抽出したスケジュールデータの先頭の画面データを液晶制御ROM4150bから抽出してVDP4150cに出力する。そして液晶制御MPU4150aは、先頭の画面データに続く画面データを抽出してVDP4150cに出力する。このように、液晶制御MPU4150aは、スケジュールデータに時系列に配列された画面データを、先頭の画面データから1つずつ、液晶制御ROM4150bから抽出してVDP4150cに出力する。
VDP4150cは、液晶制御MPU4150aから出力された画面データが入力されると、この入力された画面データに基いてキャラRAM4150eから後述するスプライトデータを抽出して液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350に表示する描画データを生成し、この生成した描画データを液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350に出力する。なお、VDP4150cは、ラインバッファ方式が採用されている。この「ラインバッファ方式」とは、液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350の左右方向を描画する1ライン分の描画データをラインバッファに保持し、このラインバッファに保持した1ライン分の描画データを液晶表示装置1400に出力する方式である。
キャラROM4150dは、極めて多くのスプライトデータを記憶しており、その容量が大きくなっている。キャラROM4150dの容量が大きくなると、つまり液晶表示装置1400に描画するスプライトの数が多くなると、キャラROM4150dのアクセス速度が無視できなくなり、液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350に描画する速度に影響することとなる。そこで、本実施形態では、アクセス速度の速いキャラRAM4150eに、キャラROM4150dに記憶されているスプライトデータを転送してコピーし、このキャラRAM4150eからスプライトデータを抽出している。スプライトデータは、スプライトをビットマップ形式に展開する前のデータである基データであり、圧縮された状態でキャラROM4150dに記憶されている。ここで、「スプライト」とは、液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350にまとまった単位として表示されるイメージである。例えば、液晶表示装置1400またはサブ液晶ユニット2350に種々の人物を表示させる場合には夫々の人物を描くためのデータを「スプライト」と呼ぶ。これにより、液晶表示装置1400またはサブ液晶ユニット2350に複数人の人物を表示させる場合には複数のスプライトを用いることとなる。また人物のほかに、背景を構成する家、山、道路等もスプライトであり、背景全体を1つのスプライトとすることもできる。これらのスプライトは、画面に配置される位置やスプライト同士が重なる場合の上下関係(以下、「スプライトの重ね合わせの順序」と記載する。)が設定されて液晶表示装置1400またはサブ液晶ユニット2350に表示される。なお、スプライトは縦横夫々64画素の矩形領域を複数張り合わせて構成されている。この矩形領域を描くためのデータを「キャラクタ」と呼ぶ。小さなスプライトの場合には1つのキャラクタを用いて表現することができるし、人物など比較的大きいスプライトの場合には、例えば横2×縦3などで配置した合計6個のキャラクタを用いて表現することができる。背景のように更に大きいスプライトの場合には更に多数のキャラクタを用いて表現することができる。このように、キャラクタの数及び配置は、スプライトごとに任意に指定することができるようになっている。
液晶表示装置1400は、左右方向に800画素、上下方向に600画素(SVGA)を有しており、液晶表示装置1400の左から右に向かって順次、画素に沿った一方向に画素ごとの表示状態を設定する主走査と、その一方向と交差する方向に主走査を繰り返し行う副走査と、によって駆動されるようになっている。液晶表示装置1400は、液晶制御基板3181から出力された1ライン分の描画データが入力されると、液晶ドライブ回路1315bは、この1ライン分の描画データに基いて、主走査として液晶表示装置1400の左から右に向かって順次、1ライン分の画素に夫々出力する。そして1ライン分の出力が完了すると、副走査として直下のラインに移行し、同様に次ライン分の描画データが入力されると、この次ライン分の描画データに基いて、主走査として液晶表示装置1400の左から右に向かって順次、1ライン分の画素に夫々出力する。
また、液晶表示装置1400は、インバータ基板3017aによって点灯されるバックライト(冷陰極管)が内蔵されている。
このように、本実施形態のパチンコ機1によれば、下側役物ユニット3003では、振分演出装置3125が上昇し始める前に、遊技球が誘導部材3131上に供給されるようになっているため、遊技球を持ち上げる高さを比較的低くすることができ、遊技媒体供給機構3121を小型化することができる。また、遊技球が誘導部材3131上に供給されても、振分演出装置3125が上側停止位置に達するまでは、誘導部材3131上での遊技球の転動が規制されるため、上側停止位置に達する前、すなわち振分演出装置3125が遊技者に視認可能となる前に、遊技球が振り分けられることを防止できる。
特に、誘導部材3131の転動面3131aが略円弧状に形成されており、上側停止位置に達するまで、誘導部材3131が略水平状態に保持されるようになっているため、誘導部材3131の転動面3131aに遊技球が供給されると、転動面3131aの中で最も低い位置である左右方向の中央部分に遊技球を案内し、その位置で停留させることができる。したがって、振分演出装置3125の上昇中に、転動面3131aから遊技球が逸脱すること、すなわち遊技球が振り分けられてしまうことを確実に防止できる。
また、誘導部材3131に対して遊技球を端部側から送り込むため、誘導部材3131の上方から送り込むものに比べ、遊技球の供給位置が低くなり、ひいては遊技媒体供給機構3121の高さをさらに低くすることができる。なお、誘導部材3131が略円弧状の転動面3131aを備えることにより、誘導部材3131の端部側から遊技球を送り込んだ場合でも、遊技球を誘導部材3131の中央位置に導き制動させることができる。
また、遊技媒体供給機構3121から放出された遊技球は、遊技球案内通路3155を通って誘導部材3131の端部側に案内されるが、この遊技球案内通路3155は、振分演出装置3125と一体的に移動することから、振分演出装置3125の停止位置が多少変位していても、遊技球を円滑に送り込むことができる。
また、振分演出装置3125の前面に上側装飾部3133及び下側装飾部3137が設けられているため、振分演出装置3125の意匠性を高めることができる。特に、隠れて見えなかった上側装飾部3133及び下側装飾部3137が振分演出の際に出現するため、視覚的な面白さを高めるとともに、振分演出に対する期待感を高めることができる。
また、振分演出装置3125の誘導部材3131は、下側停止位置のときステージ(棚上段2372)の後方に配置され視認可能となっているため、誘導部材3131がステージの一部であるというイメージを喚起させることができ、ステージに対するインパクトを高めることが可能になる。
また、誘導部材3131を含む擬似棚部3132を揺動可能に支持するベース部材3150には、左右両側に左側ラック3160及び右側ラック3161が設けられており、それぞれのラック3160,3161には左側モータ3176及び右側モータ3177によって回転力が付与される歯車3176aが噛合されているため、一対のモータ3176、3177を駆動すると、ラック3160,3161を上下方向に移動させる力が作用し、擬似棚部3132をベース部材3150とともに昇降させることができる。このように振分演出装置3125の左右両側に昇降手段を配置したことにより、振分演出装置3125を円滑に移動させることができるとともに、擬似棚部3132を可動(例えば揺動)させるためのスペースを確保することが可能になる。
さらに、遊技媒体供給機構3121では、スクリュー3190を一定方向に回転させることにより、筒状誘導部3183の下側(流入口3187)から入球した遊技球を、スクリュー3190によって上昇させ、筒状誘導部3183の上側(放出口3185)から放出させることができる。このようにスクリュー3190によって遊技球を搬送するため、比較的簡単な構成で遊技球を持ち上げることができるとともに、遊技機に電力が供給されていない状態でも筒状誘導部3183内の所定位置に遊技球を貯留させることができる。
以上、好適な実施形態を挙げて説明したが、実施形態は、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、第1流入口3153a及び第2流入口3154a、に遊技球を振り分けるものを示したが、さらに多くの流入口に対して振り分けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、振分演出装置3125を下側停止位置から上側停止位置に上昇させる際、誘導部材3131を水平状態に維持することにより遊技球の転動を規制するものを示したが、誘導部材3131を所定の回動範囲内で小刻みに繰り返し揺動させることにより転動を規制してもよい。
[5.主制御基板の機能的な構成について]
図221は、主制御基板における機能的な構成を示すブロック図である。まず、本実施形態のパチンコ機1における主制御基板4100での遊技演出制御に係る機能的な構成について、図201等を参考に説明する。なお、遊技球の払出しに係る機能的な構成については省略する。本実施形態の主制御基板4100では、図示しないROMに予め格納された所定のプログラムを主制御MPU4100aによって実行することで各種の遊技制御や演出制御等が具現化されるようになっている。この主制御基板4100には、ゲートセンサ2202から遊技球の検出信号が入力されると、普通図柄に対する抽選結果となる所定の普通乱数を発生させる普通乱数発生手段4200と、発生した普通乱数を所定の条件に応じて一時的に記憶する普通図柄保留記憶手段4202と、処理対象の普通乱数と対応する普通図柄変動パターンを、主制御基板4100のROMに格納された所定の普通図柄変動パターンテーブルから選択する普通図柄変動パターン選択手段4204と、選択された普通図柄変動パターンに基づいて普通図柄表示器645の普通図柄を変動表示させる普通図柄表示制御手段4206と、普通図柄表示制御手段4206によって普通図柄表示器645に表示された普通乱数に基づく抽選結果(普通抽選結果)が当選であると始動口ソレノイド2344を駆動して羽根2337を拡開させる始動口開閉制御手段4208と、普通図柄保留記憶手段4202に保留記憶された普通乱数の数を記憶数として普通図柄記憶表示器646に表示させる普通図柄記憶数表示制御手段4210とを備えている。
上述の普通図柄保留記憶手段4202は、普通図柄表示制御手段4206によって普通図柄が変動表示中に、ゲートセンサ2202からの遊技球の検出信号を契機として発生した普通乱数を所定数(例えば、4つ)まで記憶すると共に、普通図柄の変動表示が可能となるまで記憶した普通乱数の実行を保留するものである。
また、主制御基板4100は、第一特別乱数発生手段4212と、第一特別図柄保留記憶手段4214と、第一特別図柄変動パターン選択手段4216と、第一特別図柄表示制御手段4218と、第一特別図柄記憶数表示制御手段4220とを備えている。第一特別乱数発生手段4212は、第一始動口2001への始動入賞により第一始動口センサ2011で検出された検出信号に基づいて第一特別図柄に対する第一特別抽選結果となる所定の第一特別乱数を発生させる。第一特別図柄保留記憶手段4214は、第一特別乱数発生手段4212において発生した第一特別乱数および第一特別乱数の発生と共に取得される各種データ(例えば、後述する図柄乱数、リーチ判定用乱数、第一変動パターン用乱数、第二変動パターン用乱数、変動タイプ乱数)を所定の条件に応じて一時的に記憶する。以下では、第一始動口2001への始動入賞に基づいて発生・取得される一グループのデータ(例えば、第一特別乱数、図柄乱数、リーチ判定用乱数、第一変動パターン用乱数、第二変動パターン用乱数、変動タイプ乱数)を第一特別図柄抽選単位データとも呼ぶ。第一特別図柄変動パターン選択手段4216は、一つの第一特別図柄抽選単位データに基づく第一特別図柄変動パターンを、主制御基板4100のROMに予め記憶された所定の特別図柄変動表示パターンテーブルから選択する。第一特別図柄表示制御手段4218は、第一特別図柄変動パターン選択手段4216で選択された第一特別図柄変動パターンに基づいて第一特別図柄表示器641の第一特別図柄を変動表示させる。第一特別図柄記憶数表示制御手段4220は、第一特別図柄保留記憶手段4214で保留記憶された第一特別図柄抽選単位データの数(以下、第一特別図柄保留数と呼ぶ。)を記憶数として第一特別図柄記憶表示器643に表示させる。
さらに、主制御基板4100は、第二特別乱数発生手段4222と、第二特別図柄保留記憶手段4224と、第二特別図柄変動パターン選択手段4226と、第二特別図柄表示制御手段4228と、第二特別図柄記憶数表示制御手段4230とを備えている。第二特別乱数発生手段4222は、第二始動口2002への始動入賞により第二始動口センサ2349で検出された検出信号に基づいて第二特別図柄に対する第二特別抽選結果となる所定の第二特別乱数を発生させる。第二特別図柄保留記憶手段4224は、第二特別乱数発生手段4222において発生した第二特別乱数および第二特別乱数の発生と共に取得される各種データ(例えば、後述する図柄乱数、リーチ判定用乱数、第一変動パターン用乱数、第二変動パターン用、変動タイプ乱数)を所定の条件に応じて一時的に記憶する。以下では、第二始動口2002への始動入賞に基づいて発生・取得される一グループのデータ(例えば、第二特別乱数、図柄乱数、リーチ判定用乱数、第一変動パターン用乱数、第二変動パターン用乱数、変動タイプ乱数)を第二特別図柄抽選単位データとも呼ぶ。第二特別図柄変動パターン選択手段4226は、一つの第二特別図柄抽選単位データに基づく第二特別図柄変動パターンを、主制御基板4100のROMに予め記憶された所定の特別図柄変動表示パターンテーブルから選択する。第二特別図柄表示制御手段4228は、第二特別図柄変動パターン選択手段4226で選択された第二特別図柄変動パターンに基づいて第二特別図柄表示器642の第二特別図柄を変動表示させる。第二特別図柄記憶数表示制御手段4230は、第二特別図柄保留記憶手段4224で保留記憶された第二特別図柄抽選単位データの数(以下、第二特別図柄保留数と呼ぶ。)を記憶数として第二特別図柄記憶表示器644に表示させる。
これら第一特別図柄保留記憶手段4214及び第二特別図柄保留記憶手段4224は、第一及び第二特別図柄表示制御手段4218,4228によって第一及び第二特別図柄が変動表示中等の新たに特別図柄を変動表示させることができない時に、第一及び第二始動口2001、2002への始動入賞に基づく第一及び第二特別図柄抽選単位データをそれぞれ所定数(例えば、それぞれ4つ)まで記憶すると共に、特別図柄の変動表示が可能となるまで記憶した第一及び第二特別図柄抽選単位データの実行を保留するものである。
なお、主制御基板4100には、第一特別図柄保留記憶手段4214と第二特別図柄保留記憶手段4224で保留された第一及び第二特別図柄抽選単位データを、始動口2001,2002への始動入賞タイミングに拘わらず、後述するように第一特別図柄抽選単位データよりも優先保留消化手段4231を備えており、この優先保留消化手段4231によって第二特別図柄抽選単位データ、つまり、第二始動口2002に係る抽選結果の保留が優先して実行(消化)されるようになっている。
また、主制御基板4100には、第一特別図柄抽選単位データに基づく抽選結果(第一特別抽選結果)や第二特別図柄抽選単位データに基づく抽選結果(第二特別抽選結果)に従って後述する大当たり遊技、または、小当たり遊技を実行させる有利遊技状態発生手段4232と、有利遊技状態発生手段4232からの指示に基づいて大入賞口2003を閉鎖する開閉部材2006を所定パターンで開閉するようにアタッカソレノイド2016の駆動制御をする大入賞口開閉制御手段4234とを備えている。
また、主制御基板4100は、パチンコ機1の遊技状態がいずれの遊技状態であるかを判断し、当該判断した遊技状態に基づいて遊技状態を制御する遊技状態制御手段4236を更に備えている。
更に、主制御基板4100には、第一特別図柄抽選単位データ、第二特別図柄抽選単位データに基づいて、演出コマンド等の所定の制御用のコマンドを生成するコマンド生成手段4238と、コマンド生成手段4238で生成されたコマンドを周辺制御基板4140へ送信するコマンド送信手段4240と、直前の大当たりからの変動回数を記憶する変動回数カウンタ4242を備えている。
[6.遊技内容]
本実施形態のパチンコ機1における遊技内容について、具体的に説明する。本実施形態のパチンコ機1は、扉枠5の右下に配置された操作ハンドル部410を遊技者が回転操作することで、皿ユニット300の貯留皿311に貯留された遊技球が、遊技パネル600の前面に配置された遊技領域605内の上部へと打ち込まれて、遊技球による遊技が開始されるようになっている。また、遊技領域605内には、適宜位置に所定のゲージ配列で複数の障害釘が遊技パネル600の前面に植設されており、遊技球がその障害釘に当接することで、遊技球の流下速度が抑制されると共に、遊技球に様々な動きが付与されて、その動きを楽しませられるようになっている。遊技領域605内の上部へ打ち込まれた遊技球は、その打込強さによってセンター役物2300の左側或いは右側の遊技領域605内を流下することとなる。なお、遊技球の打込強さは、操作ハンドル部410の回転量によって調整することができるようになっており、時計回りの方向へ回転させるほど強く打ち込むことができるようになっている。
ここで、遊技球を比較的弱く打ち出すことにより、センター役物2300の左側の遊技領域605に遊技球を流下させる遊技を左打ち遊技と呼ぶ。一方、遊技球を比較的強く打ち出すことにより、センター役物2300の右側の遊技領域605に遊技球を流下させる遊技を右打ち遊技と呼ぶ。左打ち遊技と右打ち遊技は、遊技者が操作ハンドル部410の回転量を調整することによって切り替えることができる。
センター役物2300の上部へ打ち込まれた遊技球が、センター役物2300の右側の領域へと誘導され、センター役物2300の右側に配置されたゲート2201に進入してゲートセンサ2202により検出されると、その検出信号に基いて主制御基板4100では、普通抽選結果としての普通乱数が発生する。そして、その普通乱数に基いて、機能表示ユニット640における普通図柄表示器645の普通図柄が変動表示(一つのLEDからなる普通図柄表示器645が、赤色、緑色、橙色に交互に発光)され、所定時間(例えば、2秒〜30秒の間)経過後に抽出され普通乱数(普通抽選結果)に基いた普通図柄が停止表示(普通図柄表示器645が赤色又は緑色の何れかに発光)される。この普通図柄の変動表示は、所定の普通図柄変動パターン選択テーブルから選択された普通図柄変動パターンに基いて行われるようになっている。
詳しくは、抽選された普通乱数が「普通当り」乱数の場合、当りを示唆する普通図柄で停止表示(普通図柄表示器645が緑色に発光)され、抽選された普通乱数が「普通ハズレ」乱数の場合、ハズレを示唆する普通図柄で停止表示(普通図柄表示器645が赤色に発光)されるようになっている。そして、当りを示唆する普通図柄が停止表示されると、第二始動口2002を閉鎖する羽根2337が所定時間拡開して、第二始動口2002へ遊技球が入賞できるようになっている。
ところで、本例では、普通図柄表示器645において普通図柄が変動表示中に、ゲートセンサ2202で遊技球の通過が検出されると、変動中の普通図柄停止して先に発生・抽出された普通乱数の結果が確定するまでの間、ゲートセンサ2202からの検出信号に基いて抽出された普通乱数(普通図柄変動パターンを含む)を一時的に記憶してその表示を保留するようになっており、その記憶された普通乱数の数(保留数とも言う)を、普通図柄記憶表示器646で表示するようになっている。この普通図柄記憶表示器646は、四つのLEDからなっており、点灯する各LEDの数によって記憶数を示唆するようになっており、本例では、四つまで記憶して表示するようになっている。なお、記憶数が四つを越えた場合は、ゲートセンサ2202の検出信号に基いて抽出された普通乱数が破棄されるようになっている。
また、遊技領域605内へ打ち込まれセンター役物2300の左側を流下した遊技球は、サイド装飾部材2100によってセンター役物2300の下側で遊技領域605の中央側へ寄せられるようになっている。そして、センター役物2300の下方に配置された一般入賞口2004に遊技球が入賞して、一般入賞口センサ2014に検出されると、その検出信号に基いて主制御基板4100では払出制御基板1186に対して所定の払出コマンドを送信し、その払出コマンドに応じて払出制御基板1186が賞球ユニット800の払出モータ815を制御して所定数(例えば、10個)の遊技球が、貯留皿311へ払出されるようになっている。
なお、遊技領域605内へ打ち込まれた遊技球が、一般入賞口2004、第一始動口2001、第二始動口2002、及び大入賞口2003の何れにも入賞しなかった場合、遊技領域605の左右方向中央下端に設けられてアウト口606から、アウト球通路1119に転動し、アウト球通路1119の下流端、すなわち、遊技機の後面下方からパチンコ機1の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって排出されるようになっている。なお、打ち込まれた遊技球が、センター役物2300の右側の領域へと誘導された場合には、第二始動口2002の上側に配置された第二アウト口606aに入球し、遊技盤4の後側下方へ排出される場合もある。また、遊技球が、一般入賞口2004、第一始動口2001、及び大入賞口2003の何れに入賞しても、入賞した遊技球は、遊技領域605内へ戻されること無くアウト球通路1119に転動し、アウト球通路1119の下流端、すなわち、遊技機の後面下方からパチンコ機1の外部(一般的に、島の回収樋)に向かって排出されるようになっている。また、第二始動口2002に入賞した遊技球は、補給通路3220を通って下側役物ユニット3003のリターン通路3211aに送られるようになっている。
一方、センター役物2300の左側を流下する遊技球が、センター役物2300の左側側面に開口するワープ入口2321へ進入すると、センター役物2300の第一役物ユニット2370における後側の上段転動面2372bへと供給されるようになっている。そして、上段転動面2372b上へ供給された遊技球は、上段転動面2372b上を左右方向へ転動して、前方へと放出されて中段転動面2372c上へと供給される。この中段転動面2372cでも遊技球が左右方向へ転動して、前方へと放出されて下段転動面2311aへと供給される。そして、下段転動面2311a上でも遊技球が左右方向に転動してアタッカユニット2000の上方の遊技領域605内へ放出される。なお、中段転動面2372cへ供給された遊技球が、中央後方のチャンス口2372aへ進入すると、アタッカユニット2000における第一始動口2001の直上に配置されたチャンス出口2311bから遊技領域605内へ放出され、遊技球が高い確率で第一始動口2001へと受入れられるようになっている。そして、遊技球が第一始動口2001に受入れられて第一始動口センサ2011に検出されると、主制御基板4100等を介して賞球ユニット800から所定数(例えば、3個)の遊技球が、貯留皿311へ払出されるようになっている。
ところで、遊技球がゲート2201へ進入してゲートセンサ2202により検出されて普通抽選結果として「普通当り」が抽選されると、上述したように、第二始動口2002を閉鎖する羽根2337が所定時間拡開して入賞可能となり、その入賞可能となった時に、遊技球が第二始動口2002へ受入れられて第二始動口センサ2349に検出されると、主制御基板4100等を介して賞球ユニット800から所定数(例えば、4個)の遊技球が、貯留皿311へ払出されるようになっている。
また、主制御基板4100では、これら第一始動口2001、第二始動口2002に遊技球が入賞して、第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2349に検出されると、第一始動口2001では第一特別図柄抽選単位データの発生・抽出が、第二始動口2002では第二特別図柄抽選単位データの発生・抽出が夫々行われる。そして、抽出された第一特別図柄抽選単位データに基いて、機能表示ユニット640の対応する第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642に表示された特別図柄の変動表示が開始された後に、抽出された特別乱数と対応する特別図柄が特別抽選結果として停止表示されるようになっている。これら第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642において、「大当り」を示唆する態様で特別図柄が停止表示されると、アタッカユニット2000の開閉部材2006が、所定のパターンで開閉動作する特別有利遊技状態(例えば、大当り遊技)が発生し、その間に大入賞口2003へ遊技球を入賞させることで、より多くの遊技球を獲得できるようになっている。
なお、これら第一始動口2001、第二始動口2002においても、ゲート2201への遊技球の進入による普通図柄の変動表示と同様に、第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642において特別図柄が変動表示中、又は、特別有利遊技状態としての大当り遊技中等の特別図柄を変動表示さることができない時に、始動口2001,2002へ遊技球が入賞して第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2349で検出されると、特別図柄の変動表示が可能となるまでの間、第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2349からの検出信号に基いて抽出された第一特別図柄抽選単位データや第二特別図柄抽選単位データを記憶してその表示を保留するようになっており、その記憶された特別乱数の数を、第一特別図柄記憶表示器643や第二特別図柄記憶表示器644において表示するようになっている。これら第一特別図柄記憶表示器643や第二特別図柄記憶表示器644は、夫々二つのLEDからなっており、消灯・点灯・点滅する各LEDの発光状態の組合せによって記憶数を示唆するようになっており、本例では、夫々四つまで記憶して表示するようになっている。なお、記憶数が四つを越えた場合は、抽出された特別乱数が破棄されるようになっている。また、優先保留消化手段4231によって、第二特別図柄保留記憶手段4224で記憶(保留)された第二特別図柄抽選単位データが、第一特別図柄保留記憶手段4214で記憶された第一特別図柄抽選単位データよりも優先して実行(消化)されるようになっている。つまり、第二始動口2002に係る抽選結果の保留が、第一始動口2001に係る抽選結果の保留よりも優先して実行(消化)されるようになっている。
また、主制御基板4100では、第一始動口センサ2011の検出に基いて抽出された第一特別図柄抽選単位データを、後述する判定テーブルと照合することで、その第一特別図柄抽選単位データが、「ハズレ」、「小当たり」、「大当たり」の何れであるかが判別されると共に、「大当たり」について、「大当たりA」、「大当たりB」、「大当たりC」、「大当たりD」、「大当たりE」の何れかであるかも判別されるようになっている。
同様に、主制御基板4100では、第二始動口センサ2349の検出に基いて抽出された第二特別図柄抽選単位データを、後述する判定テーブルと照合することで、その第二特別図柄抽選単位データが、「ハズレ」、「大当たり」の何れであるかが判別されるようになっている。なお、本実施形態では、後述するように第二特別図柄抽選単位データに基づく「大当たり」は、「大当たりA」の1種類しかない。
そして、第一始動口2001への遊技球の始動入賞を契機として抽出された第一特別図柄抽選単位データに基づく抽選結果(特別抽選結果)が、「小当たり」の場合、主制御基板4100は、小当たり遊技を実行する。小当たり遊技では、主制御基板4100は、有利遊技状態発生手段4232によってアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、短時間開閉パターンで複数回(本実施形態では、11回)繰り返すようになっている。短時間開閉パターンは、所定短時間(例えば、0.05秒〜0.6秒の間経過、或いは、所定個数(例えば、2個)の遊技球が大入賞口2003に入賞の何れかの条件が充足すると開閉部材2006を閉状態とするパターンである。すなわち、小当たり遊技では、タイミング良く、開閉部材2006に遊技球が入賞した場合に、少量(例えば、数個〜数十個)の賞球が付与され得るが、実質的には特典としての多量の賞球は遊技者に付与されない。
一方、特別抽選結果が、「大当たりA」の場合、主制御基板4100は、長開放大当たり遊技を実行する。長開放大当たり遊技では、主制御基板4100は、有利遊技状態発生手段4232によってアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、長時間開閉パターンで複数回(本実施形態では、11回)繰り返すようになっている。長時間開閉パターンは、開閉部材2006を閉状態から開状態とした後に、所定長時間(例えば、26秒〜33秒)経過、或いは、所定個数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口2003に入賞の何れかの条件が充足すると開閉部材2006を閉状態に戻すパターンである。長時間開閉パターンにおいて、開閉部材2006が開状態とされる時間は、短時間開閉パターンにおいて、開閉部材2006が開状態とされる時間より十分に長い。すなわち、長開放大当たり遊技では、特典として多量の賞球(本実施形態では、約1200個)が実質的に遊技者に付与される。
また、特別抽選結果が、「大当たりC」「大当たりD」の場合、主制御基板4100は、短開放大当たり遊技を実行する。短開放大当たり遊技では、主制御基板4100は、有利遊技状態発生手段4232によってアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、上述した短時間開閉パターンで複数回(本実施形態では、11回)繰返すようになっている。すなわち、短開放大当たり遊技では、タイミング良く、開閉部材2006に遊技球が入賞した場合に、少量(例えば、数個〜数十個)の賞球が付与され得るが、実質的には特典としての多量の賞球は遊技者に付与されない。
また、特別抽選結果が、「大当たりB」の場合、主制御基板4100は、長開放後短開放大当たり遊技を実行する。長開放後短開放大当たり遊技では、主制御基板4100は、有利遊技状態発生手段4232によってアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、上述した長時間開閉パターンで複数回(本実施形態では、5回)繰返した後、上述した短時間開閉パターンで複数回(本実施形態では、6回)繰り返すようになっている。すなわち、長開放後短開放大当たり遊技では、最初の5回の長時間開閉パターンの間は、特典として多量の賞球が実質的に遊技者に付与されるが、残りの6回の短時間開閉パターンの間は、特典として多量の賞球が実質的に遊技者に付与されない。この結果、大当たりBに当選したことに基づく大当たり遊技において遊技者が得られる賞球の数(本実施形態では、約500個)は、大当たりAに当選したことに基づく大当たり遊技において遊技者が得られる賞球の数(本実施形態では、約1200個)より少ない。したがって、遊技者にとっては、大当たりAは、大当たりBより価値の高い大当たりである。
また、特別抽選結果が、「大当たりE」の場合、主制御基板4100は、短開放後長開放大当たり遊技を実行する。短開放後長開放大当たり遊技では、主制御基板4100は、有利遊技状態発生手段4232によってアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、上述した短時間開閉パターンで複数回(本実施形態では、11回)繰返した後、上述した長時間開閉パターンで複数回(本実施形態では、11回)繰り返すようになっている。すなわち、短開放後長開放大当たり遊技では、短時間開閉パターンの間は、賞球が実質的に遊技者に付与されないが、長時間開閉パターンの間は、特典として多量の賞球(例えば、約1200個)が実質的に遊技者に付与される。
なお、上述した「小当たり」の場合に行われる開閉部材2006の動作と、「大当たりC」および「大当たりD」の場合に行われる開閉部材2006の動作とは、同一とされ、遊技者は、特別抽選結果が「小当たり」、「大当たりC」、「大当たりD」のいずれであるかを開閉部材2006の開閉動作だけでは判断できない。また、「小当たり」、「大当たりC」および「大当たりD」の場合に行われる開閉部材2006の動作と、「大当たりE」の場合に行われる開閉部材2006の短時間開閉パターンでの動作は、同一とされている。この結果、遊技者は、特別抽選結果が「小当たり」「大当たりC」「大当たりD」のいずれかあるか、「大当たりE」であるかを、開閉部材2006が短時間開閉パターンで動作している間には判断できない。すなわち、遊技者は、開閉部材2006が短時間開閉パターンで動作した後、長時間開閉パターンで動作し始めたときに、特別抽選結果が「大当たりE」であることを開閉部材2006の動作から認識できる。そして、遊技者は、開閉部材2006が短時間開閉パターンで動作した後、長時間開閉パターンで動作しないときに、特別抽選結果が「小当たり」「大当たりC」「大当たりD」のいずれかあることを開閉部材2006の動作から認識できる。
なお、所定ラウンド数の終了後に、「大当たり」については、大当たり種別に基づいて、遊技状態制御手段4236によって乱数判定テーブルを高確率時短テーブル等と交換する処理が行われる。なお、上述した「小当たり」の場合に行われる開閉部材2006の動作と、「大当たりC」および「大当たりD」の場合に行われる開閉部材2006の動作とは、完全に同一でなくても良いが、遊技者が区別することが困難な程度に近似していることが好ましい。同様に、また、「小当たり」、「大当たりC」および「大当たりD」の場合に行われる開閉部材2006の動作と、「大当たりE」の場合に行われる開閉部材2006の短時間開閉パターンでの動作は、完全に同一でなくても良いが、遊技者が区別することが困難な程度に近似していることが好ましい。
この結果、特別抽選結果が「小当たり」、「大当たりC」、「大当たりD」、「大当たりE」である場合に、遊技者に、最も利益の大きい「大当たりE」であって欲しいと願い、「大当たりE」でないなら、「大当たりE」の次に利益の大きい「大当たりC」か「大当たりD」であって欲しいと願いながら、当該変動を見守らせ、その後の変動でのどきどき感を高めることが、パチンコ機1の一つの遊技性となっている。また、上述のとおり本実施形態のパチンコ機1では、全ての大当たり遊技の開閉部材2006の開閉回数(ラウンド数)が同一(11回)として、ラウンド表示ランプを設けていない。この結果、特別抽選結果が「小当たり」、「大当たりC」、「大当たりD」、「大当たりE」であるかをより遊技者が識別困難として、上述した遊技性を向上させている。
ここで、本実施形態では、パチンコ機1は複数種類の遊技状態を取り得る。パチンコ機1の外観から遊技の状態を把握可能な外部遊技状態として、外部通常遊技状態(ノーマル遊技状態)およびこの外部通常遊技状態よりも遊技者に有利となる外部有利遊技状態(チャンス遊技状態)のいずれかの遊技状態に制御される。
外部通常遊技状態は、開放延長機能(羽根2337の開放時間が通常時より長くなる機能)および時短機能(普通図柄および特別図柄の変動時間が短くなる機能)が作動しない遊技状態であって、羽根2337が後述の促進態様に制御されない遊技状態である。即ち、上述のとおり、羽根2337は、普通抽選結果が当選であったことを契機として開閉動作するものであり、これによって第二始動口2002への遊技球の入賞を可能とするものであるが、当該羽根2337が動作するときの動作態様としては、第1の動作態様(平常態様)と、該第1の動作態様よりも遊技者に有利な第2の動作態様(促進態様)とが用意されている。
本実施形態では、開放延長機能および時短機能が作動しない遊技状態では、第1の動作態様として、普通抽選結果が当選となる確率が2%、普通図柄の変動時間が10sec、羽根2337が1回の開放当たりの開放時間0.18secで1回の当選につき1回開放されるように設定される。また、開放延長機能および時短機能が作動する遊技状態では、第2の動作態様として、普通抽選結果が当選となる確率が99.6%、普通図柄の変動時間が0.5sec、羽根2337が1回の開放当たりの開放時間0.95secで1回の当選につき3回開放されるように設定される。
そして外部通常遊技状態では、上記羽根2337が動作するときの動作態様として上記第1の動作態様(通常態様)が採用されることとなる。上述のとおり、この第1の動作態様は、第2の動作態様と比べると、上記第二始動口2002への遊技球の入賞が促進され難い態様である。
一方、外部有利遊技状態は、開放延長機能および時短機能が作動する遊技状態であって、羽根2337が動作するときの動作態様として上記第2の動作態様(促進態様)が採用される遊技状態である。ここで、「促進態様」とは、第二始動口2002への遊技球の入賞が促進される態様である。
なお、「促進態様」では、普通抽選結果が当選となる確率のアップ、抽選時間の短縮(普通図柄の変動時間の短縮)および羽根2337の開放時間アップの三つの態様のうち、いずれか一つまたは二つのみを行うことによって促進態様としても良く、三つ全てを行うことによって促進態様としても良い。
また、パチンコ機1の遊技状態は、外観から把握することが困難な内部的に制御される遊技状態もある。本実施形態では、確変機能(所謂確率変動機能)が作動する遊技状態と当該確変機能が作動しない遊技状態とがそれに相当する。
確変機能が作動しない場合、第一特別抽選結果および第二特別抽選結果が大当たりに当選する確率が所定の低確率(第1の確率:本実施形態では、約1/400)に設定される。一方、確変機能が作動する場合、第一特別抽選結果および第二特別抽選結果が大当たりに当選する確率が第1の確率よりも少なくとも2倍以上の所定の高確率(第2の確率:本実施形態では、第1の確率に対して10倍とされた第2の確率(約1/40))に設定される。このように、確変機能が作動する場合に、確変機能が作動しない場合と比べて大当たりへの当選確率を少なくとも2倍以上とするのは、確変機能が作動したときに、確変機能が作動しない場合と比べて特別図柄の変動回数が少ない段階で大当たりに当選しうるようにすることで、興趣の低下の抑制を図るためである。
本実施形態では、確変機能が作動していない外部通常遊技状態を「外部通常遊技状態A」と称し、確変機能が作動している外部通常遊技状態を「外部通常遊技状態B」と称す。確変機能が作動している外部有利遊技状態を「外部有利遊技状態B」と称する。また、本実施形態では、確変機能が作動していない外部有利遊技状態は設定されていないが、確変機能が作動していない外部有利遊技状態を設定しても良い。
なお、本実施形態では、右打ち遊技を行った場合にゲート2201および第二始動口2002に遊技球を入球可能であり、左打ち遊技を行った場合にはゲート2201および第二始動口2002に遊技球を入球し難い構成とされている。また、本実施形態では、左打ち遊技を行った場合に第一始動口2001に遊技球を入球可能であり、右打ち遊技を行った場合には第一始動口2001に遊技球を入球し難い構成とされている。このため、外部有利遊技状態Bでは、右打ち遊技を行うことが遊技者にとって有利であり、外部通常遊技状態A、Bでは、左打ち遊技を行うことが遊技者にとって有利であるように構成されている。
また、いずれかの遊技状態から遊技者にとってより有利な遊技状態への変更は、特別抽選結果が大当たりとなったことに基づいて条件装置が作動した場合にのみ行われる。なお、上記3つの遊技状態(外部通常遊技状態A、外部通常遊技状態B、外部有利遊技状態B)のうち、遊技者にとって最も有利な遊技状態は外部有利遊技状態Bであり、遊技者にとっても最も不利な遊技状態は外部通常遊技状態Aである。従って、外部通常遊技状態Aから他の遊技状態(外部通常遊技状態B、外部有利遊技状態B)への変更は、条件装置が作動しない限り行われない。条件装置は大当たりに当選した場合に限り作動する。
本実施形態のパチンコ機1では、大当たりA〜大当たりEのいずれに当選した場合であっても、遊技状態制御手段4236によって大当たり遊技後に確変機能が作動する。一方、確変機能が作動した後に、第一特別図柄抽選単位データに基づく抽選および第二特別図柄抽選単位データに基づく抽選の合計抽選回数が大当たりになることなく所定数(具体的には、74)に達すると、遊技状態制御手段4236によって確変機能の作動が停止させられる。すなわち、本実施形態のパチンコ機1は、大当たり後、確変突入率100%、回数切り確変の仕様を持ついわゆるST機である。
なお、本実施形態のパチンコ機1では、大当たりA、B、C、Eのいずれかに当選した場合には、大当たり遊技後に遊技状態制御手段4236によって、羽根2337の動作態様が促進態様に設定される。一方、促進態様に設定された後に、第一特別図柄抽選単位データに基づく抽選および第二特別図柄抽選単位データに基づく抽選の合計抽選回数が大当たりになることなく所定数(具体的には、75)に達すると、遊技状態制御手段4236によって羽根2337の動作態様が促進態様から通常態様に変更される。
したがって、本実施形態のパチンコ機1では、大当たりA、B、C、Eのいずれかに当選すると、大当たり遊技後の特別抽選(第一または第二特別図柄抽選単位データに基づく抽選)の回数が所定数に達するまでは、外部有利遊技状態Bに設定される。さらに、本実施形態のパチンコ機1では、当該大当たり遊技後の特別抽選回数が所定数に達した後は、外部通常遊技状態Aに設定される。
具体的には、本実施形態のパチンコ機1では、大当たりA、B、C、Eのいずれかに当選すると、大当たりの種別に応じた大当たり遊技が行われた後、さらに、大当たりに当選しない限りにおいて、1回目から74回目までの特別抽選は、外部有利遊技状態Bで行われる、75回目以降の特別抽選は、外部通常遊技状態Aで行われる。
一方、本実施形態のパチンコ機1では、大当たりDに当選した場合には、羽根2337の動作態様が促進態様に設定されることなく、通常態様に維持される。したがって、外部通常遊技状態Aにおいて、大当たりDに当選した場合、大当たり遊技が行われた後、外部通常遊技状態Bになり(いわゆる潜伏確変状態)、その後、大当たりに当選することなく74回の特別抽選をへると、外部通常遊技状態Bから外部通常遊技状態Aに戻る。
[7.制御処理]
次に、パチンコ機1の遊技進行に応じて主基板4000で実行される種々の制御処理について、図222〜図241を参照して説明する。
[メインシステム処理について]
まず、図222に基づいて説明する。図222は、主基板4000の主制御基板4100に搭載される主制御MPU4100aが実行するメインシステム処理の一例を示すフローチャートである。
図222に示すように、パチンコ機1へ電源が供給されると、主制御MPU4100a(図220参照)は、電源投入時処理を実行する(ステップS10)。この電源投入時処理では、まず、主制御MPU4100aのRAMに記憶されているバックアップデータが正常であるか(停電発生時の設定値となっているか)否かを判別する。即ち、この実施形態の主制御MPU4100aのRAM(データメモリ)は、電力の常時供給によって各種の制御データがバックアップされるバックアップ領域を有している。そして、パチンコ機1は、電力供給の停止に際しては、上記主制御MPU4100aのRAMの処理領域に記憶されている各種の制御データを上記バックアップ領域に一時退避させる処理を行うとともに、電源復帰時にこの一時退避されたデータを当該主制御MPU4100aのRAMの処理領域に読み出すことで、電源遮断時から継続性のある遊技を実行可能としている。
したがって、この電源投入時処理(ステップS10)では、バックアップデータ(バックアップ領域内のデータ)が正常であれば、主制御MPU4100aのRAMに記憶されているバックアップデータに従って電力供給の停止時の状態に戻す処理(復電時処理)を実行する。一方、バックアップデータが異常であれば、主制御MPU4100aのRAMに記憶されているバックアップデータは消去される。そしてその後、主制御MPU4100aのRAMの処理領域には、例えば大当たりの当選確率や、現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。また、製品化されてから最初の電源投入時も、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる。
なお、電源投入時処理において書き込まれた現在の遊技状態は、周辺制御基板4140にコマンド送信され、これに基づいて液晶表示装置1400の表示が制御される。このように、停電時における現在の遊技状態を主制御基板4100の主制御MPU4100aのRAMに記憶し、現在の遊技状態を復電後に周辺制御基板4140に送信することで、停電した場合であっても、内部的な遊技状態と液晶表示装置1400に表示される遊技状態とを一致させることができる(周辺制御基板4140では停電時の遊技状態が記憶されない)。ところで、現在の遊技状態については、液晶表示装置1400の装飾図柄1153および特別図柄対応図柄の変動を特別図柄の変動に同調させるために、特別図柄の変動を開始するタイミングで、後述する変動パターンについての情報をコマンド送信している。そして、当該コマンドを送信した直後に、現在の遊技情報についてのコマンドを、その都度、主制御基板4100から周辺制御基板4140に送信している。これにより、周辺制御基板4140でも、現在の遊技状態を常に把握できるようになっている。
ただし、この電源投入時処理(ステップS10)では、主制御MPU4100aのRAMに記憶されているバックアップデータの消去を指示するRAMクリアスイッチ624aがオンであるか否かの判断も行われる。即ち、このRAMクリアスイッチ624aがオンであったときも、主制御MPU4100aのRAMに記憶されているバックアップデータは消去される。また併せて、主制御MPU4100aのRAMの処理領域には、例えば大当たりの当選確率や、現在の遊技状態を示す制御データなど、遊技進行に必要な各種の制御データが各々の初期パラメータをもって書き込まれることとなる(初期化処理)。なお、こうした初期化処理が行われた状態では(イニシャル時では)、大当たりの当選確率を示す制御データは、第1の確率を示すようになり、現在の遊技状態を示す制御データは、羽根2337が第1の動作態様で動作し、確変機能が作動しない遊技状態である「外部通常遊技状態A」を示すようになる。
また、電源投入時処理(ステップS10)では、このような初期化処理を実行したときに主制御基板4100(図220参照)が起動したことを示す電源投入コマンドを、周辺制御基板4140(図220参照)に送信可能な状態にセットする処理も実行される。電源投入コマンドは、主制御基板4100が起動したことを周辺制御基板4140に通知するものである。なお、遊技店の閉店時等にパチンコ機1への電力供給を停止した場合(電源を落とした場合)にも主制御MPU4100aのRAMにバックアップデータが記憶され、再びパチンコ機1への電力供給を開始したときには電源投入時処理が実行される。
電源投入時処理(ステップS10)が終了すると、主制御MPU4100aは、遊技用の各処理を繰り返し実行するループ処理を開始する。このループ処理の開始時には、主制御MPU4100aは、まず、停電予告信号が検知されているか否かを判断する(ステップS20)。なお、この実施形態では、パチンコ機1にて使用する電源電圧は、電源基板395によって生成される。即ち、パチンコ機1に搭載される複数種類の装置はそれぞれ異なる電源電圧で動作するため、外部電源からパチンコ機1に供給される電源電圧を電源基板にて所定の電源電圧に変換した後、各装置に電源を供給している。そして、停電が発生し、外部電源から電源基板に供給される電源電圧が所定の電源電圧以下となると、電源基板から主制御基板4100に電源電圧の供給が停止することを示す停電予告信号が送信される。そして、ステップS20で主制御基板4100にて停電予告信号を検知すると、電源断発生時処理を実行する(ステップS40)。
この電源断発生時処理は、停電後に電源基板に供給される電源電圧(本実施形態では24V)が復旧(以下「復電」と称する)した場合に、遊技機の動作を停電前の状態から開始するために停電発生時の状態を主制御MPU4100aのRAMのバックアップ領域にデータを一時退避させる処理である。処理内容は後述するが、本実施形態においては、図示する通り、電源断発生時処理は、割込処理ではなく、ループの開始直後に停電予告信号の検知有無に応じて実行される分岐処理としてメインシステム処理(主制御処理)内に組み込まれている。
ステップS20で停電予告信号が検知されていない場合(ステップS20:NO)、即ち、外部電源からの電力が正常に供給されている場合には、遊技にて用いられる乱数を更新する非当落乱数更新処理を行う(ステップS30)。なお、非当落乱数更新処理にて更新される乱数については後述する。
[電源断発生処理について]
図223は、電源断発生時処理の一例を示すフローチャートである。上述したように、電源断発生時処理(ステップS40)は、メインシステム処理において、停電予告信号が検出された時に(ステップS20:YES)実行される処理である。主制御MPU4100aは、まず、割込処理が実行されないように割込禁止設定を行う(ステップS42)。そして、主制御MPU4100aのRAMの処理領域におけるチェックサムを算出し、この算出結果と各種の遊技データを主制御MPU4100aのRAMのバックアップ領域に記憶する(ステップS44)。このチェックサムは、復電時に停電前の主制御MPU4100aのRAMの内容が適正に保持されているか否かをチェックするために使用される。
次いで、主制御MPU4100aは、主制御MPU4100aのRAMの所定領域に設けられたバックアップフラグに、電源断発生時処理が行われたことを示す規定値を設定する(ステップS46)。以上の処理を終えると、主制御MPU4100aは、主制御MPU4100aのRAMへのアクセスを禁止し(ステップS48)、無限ループに入って電力供給の停止に備える。ところで、この処理では、ごく短時間の停電等(以下「瞬停」と称する)により電源電圧が不安定になって電源断発生時処理が開始されてしまうと、実際には電源電圧は停止されないため、無限ループから復帰することができなくなるおそれがある。かかる弊害を回避するため、本実施形態の主制御MPU4100aには、ウォッチドックタイマが設けられており、所定時間、ウォッチドックタイマが更新されないとリセットがかかるように構成されている。ウォッチドックタイマは、正常に処理が行われている間は定期的に更新されるが、電源断発生時処理に入ると、更新が行われなくなる。その結果、瞬停によって電源断発生時処理に入り、図223の無限ループに入った場合でも所定期間経過後にリセットがかかり、電源投入時と同じプロセスで主制御MPU4100aが起動することになる。
なお、主制御MPU4100aのRAMのバックアップ領域に代えて、書き換え可能な不揮発性メモリ(EEPROMなど)を備えるようにしてもよい。この場合、データをバックアップさせるために常時の電力供給を必要としない、といったメリットがある。
若しくは、上記主制御MPU4100aのRAMの全領域を、電力の常時供給によってデータがバックアップされるバックアップ領域としてもよい。この場合、電源遮断時において、主制御MPU4100aのRAMの特定領域に記憶されているデータをその他の領域に退避させる必要がなくなる。また、電源復帰時にも、退避データを処理領域に読み出す必要がなくなるため、これらの処理に要する負荷が軽減されるようになる。
[タイマ割込処理について]
図224は、タイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、メインシステム処理の実行中に主基板4000の主制御基板4100に搭載される主制御MPU4100aにより4ms毎にタイマ割込処理が実行される。タイマ割込処理において、主制御MPU4100aは、レジスタの待機処理を実行した後(ステップS50)、ステップS60からステップS270の処理を実行する。
ステップS60のセンサ監視処理では、上述した各種のセンサ(ゲートセンサ2202、第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2349、カウントセンサ2014等)の検出信号を監視する処理を実行する。
ステップS70の当落乱数更新処理では、遊技で用いられる乱数を更新する処理を実行する。なお、この実施形態では、当落乱数更新処理にて更新される乱数と、上述した非当落乱数更新処理にて更新される乱数と、は異なる。乱数については後述するが、当落乱数更新処理にて更新される乱数を非当落乱数更新処理でも更新するようにしてもよい。
また、ステップS80の払出制御処理では、センサ監視処理(ステップS60)にて検出された信号に基づいて払出制御基板1186に遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを送信する。
ステップS90Hの普通図柄・普通電動役物制御処理では、センサ監視処理処理(ステップS60)にてゲートセンサ2202から検出された信号に基づいて普通図柄表示器645に関わる制御処理を実行するとともに、羽根2337の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS100の特別図柄・特別電動役物制御処理では、特別図柄の変動開始から当たり遊技の開始までの一連の処理を実行するとともに、特別電動役物としてのアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉制御を行うための処理を実行する。
ステップS260の出力データ設定処理では、特別図柄・特別電動役物制御処理(ステップS100)等において定まる情報に基づいて、主制御基板4100から周辺制御基板4140に送信するコマンドを生成する処理を実行する。
ステップS270のコマンド送信処理では、出力データ設定処理(ステップS260)において設定されたコマンドを周辺制御基板4140に送信する処理が行われる。ステップS60からステップS270の処理を実行すると、レジスタ復帰処理(ステップS280)を実行して、タイマ割込処理を終了する。
ここで、上述した非当落乱数更新処理(ステップS30)および当落乱数更新処理(ステップS70)において主制御MPU4100aにより更新される各種乱数について説明する。
本実施形態において、遊技にて用いられる各種乱数として、上述した特別乱数(第一特別乱数および第二特別乱数)、普通乱数に加えて、図柄乱数、リーチ判定用乱数(より厳密には、高期待演出判定用乱数)、第一変動パターン用乱数、第二変動パターン用乱数、変動タイプ乱数等がある。
特別乱数は、特別電動役物小当たり制御処理(大当たり遊技)または特別電動役物小当たり制御処理(小当たり遊技)を発生させるか否かの判定に用いられる乱数である。すなわち、第一特別乱数は、第一特別抽選結果が「大当たり」、「小当たり」、「ハズレ」のいずれであるかの判定に用いられ、第二特別乱数は、第二特別抽選結果が「大当たり」、「ハズレ」のいずれであるかの判定に用いられる。すなわち、第二特別乱数に基づく第二特別抽選結果には、「小当たり」は存在しない。図柄乱数は、「大当たり」であると判定されたときに、大当たりの種別(大当たりA〜大当たりE)の判定に用いられる乱数である。第一、第二特別抽選結果が「大当たり」、「小当たり」、「ハズレ」のいずれであるかの判定および大当たりの種別の判定は、「大当たり」、「小当たり」、および、各大当たりの種別の当選値が記述された当たり判定テーブルに基づいて行われる。当たり判定テーブルの一例を表1に示す。本実施形態では、第一、第二特別乱数は、0〜799のいずれかの値を取り、図柄乱数は、0〜199のいずれかの値を取る。
表1から解るように、本実施形態では、第一特別乱数に基づく抽選と第二特別乱数に基づく抽選のいずれが行われた場合であっても大当たりへの当選確率は同じである。具体的には、上述のとおり確変機能が作動しない場合、第一特別抽選結果および第二特別抽選結果が大当たりに当選する確率は、共に約1/400に設定されている。一方、確変機能が作動する場合、第一特別抽選結果および第二特別抽選結果が大当たりに当選する確率は、共に約1/40)に設定されている。これに限らず、例えば、第一特別乱数に基づく抽選の大当たり当選確率と、第一特別乱数に基づく抽選の大当たり当選確率と、が異なるようにしても良い。
本実施形態では、第一特別乱数に基づく抽選にて大当たりに当選した場合と、第二特別乱数に基づく抽選にて大当たりに当選した場合とで、各大当たり種別の選択率が異なっている。例えば、第一特別乱数に基づく抽選にて大当たりに当選した場合に、図柄乱数に基づいて抽選される各大当たり種別の選択率は、上掲した表1に示す第一特別図柄に関する図柄乱数の振り分けから計算できるとおり、「大当たりA」が25%、「大当たりB」が25%、「大当たりC」が4%、「大当たりD」が42、「大当たりE」が4%とされる。また、例えば、第二特別乱数に基づく抽選にて大当たりに当選した場合に、図柄乱数の値に拘わらず、「大当たりA」が100%となる。これに限らず、第一特別乱数に基づく抽選にて大当たりに当選した場合と、第二特別乱数に基づく抽選にて大当たりに当選した場合とで、各大当たり種別の選択率に差異を設けなくても良い。
普通乱数は、羽根2337を開放状態に制御するか否かの判定に用いられる乱数である。普通乱数は、本実施形態では0〜250の値を取り、普通乱数の当選値は、外部通常遊技状態の場合には246〜250に設定され、外部有利遊技状態の場合には1〜250に設定される。リーチ判定用乱数は、特別抽選結果が「ハズレ」である場合(「大当たり」でも「小当たり」でもない場合)に、リーチ演出などの高期待演出を行うか否かの判定(高期待演出抽選)に用いられる乱数である。リーチ判定用乱数は、本実施形態では0〜200の値を取り、リーチ判定用乱数の当選値は、第一特別図柄における抽選では0〜10に設定され、第二特別図柄における抽選では0〜9に設定される。第一変動パターン用乱数、第二変動パターン用乱数は、第一、第二抽選結果に対応して第一特別図柄表示器641および第二特別図柄表示器642に表示する特別図柄の変動パターンの決定、および、第一、第二抽選結果に対応して液晶表示装置1400やサブ液晶ユニット2350に表示される演出画像および装飾図柄の変動パターンを決定するために用いられる乱数である。本実施形態では、第一変動パターン用乱数は、0〜99の値を取り、第二変動パターン用乱数は、0〜199の値を取る。したがって、第1変動パターンと第二変動パターン用乱数の組合せの数は、100×200=20000通りとなる。変動タイプ乱数は、変動パターンのタイプ(後述するように、本実施形態では、通常、2連、3連、4連、5連の5種類の変動タイプがある。)を決定するために陥られる乱数である。本実施形態では、変動タイプ乱数は、0〜199の値(総数200)を取る。
なお、液晶表示装置1400にて表示制御される演出画像および装飾図柄の変動パターンは、第一、第二変動パターン乱数により決定しても良く、周辺基板4010の周辺制御基板4140に搭載される周辺制御MPU4140aまたは液晶制御基板4150に搭載される液晶制御MPU4150a(いずれも図220参照)により決定するようにしてもよい。また、変動パターン乱数は必須ではなく、リーチ判定用乱数を用いて特別図柄の変動パターンを決定するようにしても良い。
これらの乱数のうち、当落乱数更新処理では、特別乱数、図柄乱数、および、普通乱数の更新を行う。ここで、特別乱数、図柄乱数、普通乱数は一定のタイミングとして4ms毎に更新される。こうすることにより、それぞれの乱数における所定期間における確率(「大当たり」または「小当たり」を発生させると判定される確率、羽根2337を開放状態に制御すると判定される確率)を一定にして、狙い打ち等により確率に偏りが発生することを防止している。この結果、狙い打ち等を行う特定の遊技者が、他の遊技者と比べて有利な状態となることを抑制し、遊技者間の不公平を抑制できる。
一方、非当落乱数更新処理では、「大当たり」または「小当たり」の発生および普通図柄の表示結果に関わらないリーチ判定用乱数、並びに、変動パターン乱数の更新を行う。なお、主制御基板4100で更新される乱数は、上記したものに限られず、非当落乱数更新処理では、特別乱数を更新するカウンタが1周したときに次にカウントを開始させる特別乱数の初期値を決定するための初期値決定乱数等の更新も行う。
なお、本実施形態においては、特別乱数を取得するための手段として、第一特別乱数を発生させる第一特別乱数発生手段4212および第二特別乱数を発生させる第二特別乱数発生手段4222の2つの手段を設けているが、これを一つのみ設けた構成としてもよい。
[特別図柄・特別電動役物制御処理について]
次に、図225に基づいて特別図柄・特別電動役物制御処理について説明する。図225は、特別図柄・特別電動役物制御処理の一例を示すフローチャートである。
この特別図柄・特別電動役物制御処理では、まず、第一・第二始動口入賞処理(ステップS110)を行う。具体的には後述するが、第一始動口2001、第二始動口2002に遊技球が受け入れられたか否か判別し、これに基づいて一連の処理を行う。第一・第二始動口入賞処理(ステップS110)を行うと、次に、処理フラグを確認し、処理フラグに対応する処理を行う(ステップS120〜ステップS230)。
第一・第二始動口入賞処理(ステップS110)を終えると、先ず、処理フラグが0であるか否かを判断し(ステップS120)、処理フラグが0であれば(ステップS120:YES)、変動開始処理(ステップS130)を実行する。変動開始処理(ステップS130)では、特別図柄の変動表示を開始するための設定を行う。詳しくは後述するが、「大当たり」または「小当たり」に当選したか否かの判断を行い、処理フラグを「1」に更新する。一方、ステップS120において処理フラグが0でなければ(ステップS120:NO)ステップS140に進む。
ステップS140に進むと、処理フラグが1であるか否かを判断する(ステップS140)。処理フラグが1であれば(ステップS140:YES)、変動パターン設定処理(ステップS150)を実行する。この変動パターン設定処理では、第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642に表示される特別図柄および液晶表示装置1400に表示される装飾図柄および演出の変動パターンを決定し、当該変動パターンに対応して設定される変動時間(第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642のいずれかにおいて特別図柄の変動表示を開始してから停止表示するまでの時間)をタイマにセットし、処理フラグを「2」に更新する。一方、ステップS140において処理フラグが1でなければ(ステップS140:NO)、ステップS170に進む。
ステップS170に進むと、処理フラグが2であるか否かを判断する(ステップS170)。処理フラグが2であれば(ステップS170:YES)変動中処理(ステップS180)を実行する。この変動中処理では、変動パターン設定処理(ステップS150)で設定された変動時間をタイマにより監視し、タイムアウトしたことに基づいて第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642における特別図柄の変動表示を停止させる。このとき、変動開始処理(ステップS130)にて「大当たり」とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「3」に更新し、「小当たり」とする判定がなされていれば、処理選択フラグを「4」に更新し、大当たりおよび小当たりとする判定のいずれもなされていなければ(ハズレ)処理選択フラグを「0」に更新する。一方、ステップS170において処理フラグが2でなければ(ステップS170:NO)、ステップS190に進む。
ステップS190に進むと、処理フラグが3かどうか判断する(ステップS190)。処理フラグが3であれば(ステップS190:YES)大当たり遊技開始処理(ステップS200)を実行する。この大当たり遊技開始処理では、大当たり種別(大当たりA〜大当たりE)を判断し、その大当たり種別に応じてアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉動作を制御するためのラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数をセットし、処理フラグを「5」に更新する。一方、ステップS190において処理フラグが3でなければ(ステップS190:NO)、ステップS210に進む。
ステップS210に進むと、処理フラグが4かどうか判断する(ステップS210)。処理フラグが4であれば(ステップS210:YES)、小当たり成立時処理(ステップS220)を実行する。この小当たり成立時処理では、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開放動作を制御するための開放回数および開放時間をセットし、処理フラグを「6」に更新する。一方、処理フラグが4でなければ(ステップS210:NO)、ステップS230に進む。
ステップS230に進むと、処理フラグが5かどうか判断する(ステップS230)。処理フラグが5であれば(ステップS230:YES)、特別電動役物大当たり制御処理(ステップS240)を実行する。この特別電動役物大当たり制御処理では、大当たり遊技開始処理(ステップS200)においてセットしたラウンド回数、開放時間および遊技球の入賞制限個数に基づいてアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉動作を制御し、大当たり遊技が終了する場合には、確率変動機能を作動させるか否かおよび羽根2337の動作態様を促進態様とするか否かを判断させるとともに処理フラグを「0」に更新する処理を行う。
一方、ステップS230において処理フラグが5でなければ(ステップS230:NO)、特別電動役物小当たり制御処理(ステップS250)を実行する。この特別電動役物小当たり制御処理(ステップS250)では、小当たり成立時処理(ステップS220)においてセットした開放回数、開放時間および制限個数に基づいて、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉動作を制御し(小当たり遊技の実行)、特別電動役物小当たり制御処理が終了する場合には、処理フラグを「0」に更新する処理を行う。なお、特別電動役物小当たり制御処理において行われる小当たり遊技は、大当たり遊技のように条件装置の作動を伴う遊技ではないものの、上述したとおり、大当たり遊技の一種である短開放大当たり遊技と極似する遊技である。
ステップS130からステップS250の各種処理のいずれかを実行すると特別図柄・特別電動役物制御処理を終了する。
[第一・第二始動口入賞処理について]
次に、第一・第二始動口入賞処理について図226に基づいて説明する。図226は、第一・第二始動口入賞処理の一例を示すフローチャートである。
第一・第二始動口入賞処理では、主制御MPU4100aは、先ず、第二始動口2002に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1101)。具体的には、第二始動口センサ2349による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第二始動口センサ2349による遊技球の検知があれば、第二始動口2002に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1101:YES)。第二始動口センサ2349による遊技球の検知がなければ、第二始動口2002に遊技球が入賞していない(ステップS1101:NO)と判断する。
ステップS1101において第二始動口2002に遊技球が入賞したと判断したときには、第二特別図柄抽選単位データを取得する。そして、第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1102)。
ステップS1101において第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が上限の4未満であると判断すると(ステップS1102:YES)、主制御MPU4100aは、第二保留記憶処理を行い(ステップS1103)、その後、ステップS1104に進む。第二保留記憶処理では、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得した第二特別図柄抽選単位データを第二特別図柄保留記憶手段4224に記憶する処理が主として行われる。
第二保留記憶処理が行われると、主制御MPU4100aは、第二特別図柄先行処理を実行する(ステップS1104)。
図227は、第二特別図柄先行処理の処理ステップを示すフローチャートである。第二特別図柄先行処理は、先のステップS1103において取得した第二特別図柄抽選単位データ(処理対象の第二特別図柄抽選単位データ)の契機となった第二始動口2002への遊技球の入賞(ステップS1101)を通知する入賞通知コマンドを周辺制御基板4140に送信する処理である。
第二特別図柄先行処理が開始されると、主制御MPU4100aは、先行判定条件を満たすか否かを判断する(ステップS11041)。第二特別図柄について先行判定を行うか否かの先行判定条件は、遊技状態が外部有利遊技状態Bであるか否かである。すなわち、第二特別図柄についての先行判定は、外部有利遊技状態Bである場合にのみ実行され、その他の遊技状態、例えば、外部通常遊技状態A、Bには実行されない。本実施形態の遊技機1では、原則として第二特別図柄に関する特別抽選(第二特別抽選)に契機となる第二始動口2002には、外部有利遊技状態B時(右打ち遊技推奨時)における入賞がほとんどであり、他の遊技状態における入賞はほとんどない。このため、外部通常遊技状態A、Bにおいては、第二特別図柄について保留が蓄積することがほとんどなく、第二特別図柄についての先行判定に基づく演出(いわゆる先読み演出)が効果的なものにならないからである。
主制御MPU4100aは、先行判定条件を満たしていないと判断すると(ステップS11041:NO)、第1種入賞通知コマンドを周辺制御基板4140に送信して(ステップS11042)、第二特別図柄先行処理を終了する。第1種入賞通知コマンドは、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが何番目の保留記憶として記憶されたかを示すコマンドである。
例えば、本実施形態では、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが、第二特別図柄保留数が「0」であって、第一特別図柄および第二特別図柄のいずれかが変動(以下、単に変動状態と呼ぶ)中であるときに、入賞した遊技球に基づく第二特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6302」とされる。また、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが、第二特別図柄保留数が「1」であるときに、入賞した遊技球に基づく第二特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6303」とされる。また、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが、第二特別図柄保留数が「2」であるときに、入賞した遊技球に基づく第二特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6304」とされる。また、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが、第二特別図柄保留数が「3」であるときに、入賞した遊技球に基づく第二特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6305」とされる。なお、コマンド「6301」は、第二特別図柄保留数が「0」になったときに、主制御MPU4100aから周辺制御MPU4140aに送信される。
一方、主制御MPU4100aは、先行判定条件を満たしていると判断すると(ステップS11041:YES)、処理対象の第二特別図柄抽選単位データに基づいて先行判定処理を実行する(ステップS11043)。
第二特別図柄抽選単位データに基づく先行判定処理は、後述する変動開始処理、変動パターン設定処理において行われる処理対象の第二特別図柄抽選単位データに基づく大当たり抽選、演出抽選(変動パターンの決定)の一部または全部を、後述する変動開始処理、変動パターン設定処理の開始に先立って、処理対象の第二特別図柄抽選単位データの取得契機となった第二始動口2002への遊技球の入賞直後に実行する処理である。
第二特別図柄抽選単位データに基づく先行判定処理では、先行判定結果として、例えば、「リーチ無しハズレ」、「低期待リーチハズレ」、「中期待リーチハズレ」、「高期待リーチハズレ」、「大当たりA」のいすれかであると判定する。本処理において「リーチ無しハズレ」であると判定された第二特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第二特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第二特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「ハズレ」となることになる。
本処理において「低期待リーチハズレ」であると判定された第二特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第二特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第二特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「当たり」となり、比較的大当たり期待度の低いリーチ演出に対応する変動パターンが選択されることになる。
本処理において「中期待リーチハズレ」であると判定された第二特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第二特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第二特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「当たり」となり、大当たり期待度が中程度のリーチ演出に対応する変動パターンが選択されることになる。
本処理において「高期待リーチハズレ」であると判定された第二特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第二特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第二特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「当たり」となり、比較的大当たり期待度の高いリーチ演出に対応する変動パターンが選択されることになる。
本処理において「大当たりA」であると判定された第二特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第二特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第二特別抽選結果は「大当たりA」となることになる。
先行判定処理を終えると、主制御MPU4100aは、先行判定処理の処理結果に応じて、第2種入賞通知コマンドを周辺制御基板4140に送信して(ステップS11044)、第二特別図柄先行処理を終了する。ここで、第2種入賞通知コマンドは、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが何番目の保留記憶として記憶されたかを示すコマンドであると同時に、先行判定処理における判定結果を示すコマンドである。なお、上述した第1種入賞通知コマンドは、第2種入賞通知コマンドとは異なり、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが何番目の保留記憶として記憶されたかのみを示し、先行判定処理における判定結果は示していない。
以上の説明から解るように、第二始動口2002に遊技球が入賞する度に、当該入賞の検出直後に、第1種入賞通知コマンドまたは第2種入賞通知コマンドのいずれかが主制御MPU4100aから周辺制御基板4140に送信される。このうち、第二特別図柄に関する先行判定処理の処理結果を示す第2種入賞通知コマンドの送信は、外部有利遊技状態Bに遊技機がある場合における入賞に限って行われる。従って、実質的に、第二特別図柄について、第2種入賞通知コマンドが送信されるのは、大当たり遊技後から所定回数の変動に亘って行われる回数切り確変遊技(右打ち遊技)が行われている最中ということになる。
主制御MPU4100aが、ステップS1101において第二始動口2002に遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1101:NO)、および、ステップS1102において第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1102:NO)、および、上記第二特別図柄先行処理が終了したときは、いずれもステップS1105に進む。
ステップS1105では、主制御MPU4100aは、第一始動口2001に遊技球が入賞したか否かを判断する(ステップS1105)。具体的には、第一始動口センサ2011による遊技球検知の有無を確認する。このとき、第一始動口センサ2011によって遊技球が検知された場合には第一始動口2001に遊技球が入賞したと判断する(ステップS1105:YES)。第一始動口センサ2011による遊技球の検知がなければ、第一始動口2001に遊技球が入賞していない(ステップS1105:NO)と判断する。
ステップS1105において第一始動口2001に遊技球が入賞したと判断したときには、第一特別図柄抽選単位データを取得し、第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が上限値である4未満であるか否かを判断する(ステップS1106)。
ステップS1106において第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が上限の4未満であると判別すると(ステップS1106:YES)、主制御MPU4100aは、第一保留記憶処理を行う(ステップS1107)。第一保留記憶処理では、第一始動口2001に遊技球が入賞したことによって取得した第一特別図柄抽選単位データを第一特別図柄保留記憶手段4214に記憶する処理が主として行われる。なお、第二始動口2002に遊技球が入賞したことによって取得した第二特別図柄抽選単位データと同様に、第一始動口2001に遊技球が入賞したことによって取得した第一特別図柄抽選単位データは、第一特別図柄保留記憶手段4214に記憶される。第一保留記憶処理が行われると、主制御MPU4100aは、第一特別図柄先行処理を実行する(ステップS1108)。
図228は、第一特別図柄先行処理の処理ステップを示すフローチャートである。第一特別図柄先行処理は、先のステップS1106において取得した第一特別図柄抽選単位データ(処理対象の第一特別図柄抽選単位データ)の契機となった第一始動口2001への遊技球の入賞(ステップS1105)を通知する入賞通知コマンドを周辺制御基板4140に送信する処理である。
第一特別図柄先行処理が開始されると、主制御MPU4100aは、先行判定条件を満たすか否かを判断する(ステップS11081)。第一特別図柄について先行判定を行うか否かの先行判定条件は、遊技状態が外部通常遊技状態A、Bのいずれかであるか否かである。すなわち、第一特別図柄についての先行判定は、外部通常遊技状態A、Bである場合に実行され、その他の遊技状態、例えば、外部有利遊技状態Bである場合には実行されない。本実施形態の遊技機1では、原則として第一特別図柄に関する特別抽選(第二特別抽選)に契機となる第一始動口2001には、外部通常遊技状態A、B時(左打ち遊技推奨時)における入賞がほとんどであり、外部有利遊技状態Bにおける入賞はほとんどない。このため、外部有利遊技状態Bにおいては、第一特別図柄について保留が蓄積することがほとんどなく、第一特別図柄についての先行判定に基づく演出(いわゆる先読み演出)が効果的なものにならないからである。
主制御MPU4100aは、先行判定条件を満たしていないと判断すると(ステップS11081:NO)、第1種入賞通知コマンドを周辺制御基板4140に送信して(ステップS11082)、第二特別図柄先行処理を終了する。第1種入賞通知コマンドは、処理対象の第一特別図柄抽選単位データが何番目の保留記憶として記憶されたかを示すコマンドである。
例えば、本実施形態では、処理対象の第一特別図柄抽選単位データが、第一特別図柄保留数が「0」であって、かつ、変動状態であるときに、入賞した遊技球に基づく第一特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6202」とされる。
また、処理対象の第一特別図柄抽選単位データが、第一特別図柄保留数が「1」であるときに、入賞した遊技球に基づく第一特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6203」とされる。また、処理対象の第一特別図柄抽選単位データが、第一特別図柄保留数が「2」であるときに入賞した遊技球に基づく第一特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6204」とされる。また、処理対象の第一特別図柄抽選単位データが、第一特別図柄保留数が「3」であるときに入賞した遊技球に基づく第一特別図柄抽選単位データである場合、第1種入賞通知コマンドは「6205」とされる。なお、コマンド「6201」は、第一特別図柄保留数が「0」になったときに、主制御MPU4100aから周辺制御MPU4140aに送信される。
処理対象が第一特別図柄抽選単位データである場合に送信される入賞通知コマンドは、第一始動口2001への遊技球の入賞に基づいて、当該入賞直後に主制御MPU4100aから周辺制御基板4140に送信されるコマンドであるとも言える。また、処理対象が第二特別図柄抽選単位データである場合に送信される入賞通知コマンドは、第二始動口2002への遊技球の入賞に基づいて、当該入賞直後に主制御MPU4100aから周辺制御基板4140に送信されるコマンドであるとも言える。
一方、主制御MPU4100aは、先行判定条件を満たしていると判断すると(ステップS11081:NO)、処理対象の第一特別図柄抽選単位データに基づいて先行判定処理を実行する(ステップS11083)。
第一特別図柄抽選単位データに基づく先行判定処理は、後述する変動開始処理、変動パターン設定処理において行われる処理対象の第一特別図柄抽選単位データに基づく大当たり抽選、演出抽選(変動パターンの決定)の一部または全部を、後述する変動開始処理、変動パターン設定処理の開始に先立って、処理対象の第一特別図柄抽選単位データの取得契機となった第一始動口2001への遊技球の入賞直後に実行する処理である。
第一特別図柄抽選単位データに基づく先行判定処理では、先行判定結果として、例えば、「リーチ無しハズレ」、「低期待リーチハズレ」、「中期待リーチハズレ」、「高期待リーチハズレ」、「大当たりA」、「大当たりB」、「大当たりC」、「大当たりD」、「大当たりE」、「小当たり」のいすれかであると判定する。本処理において「リーチ無しハズレ」であると判定された第一特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第一特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第一特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「ハズレ」となることになる。
本処理において「低期待リーチハズレ」であると判定された第一特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第一特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第一特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「当たり」となり、比較的大当たり期待度の低いリーチ演出に対応する変動パターンが選択されることになる。
本処理において「中期待リーチハズレ」であると判定された第一特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第一特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第一特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「当たり」となり、大当たり期待度が中程度のリーチ演出に対応する変動パターンが選択されることになる。
本処理において「高期待リーチハズレ」であると判定された第一特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第一特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第一特別抽選結果は「ハズレ」となり、リーチ抽選結果は「当たり」となり、比較的大当たり期待度の高いリーチ演出に対応する変動パターンが選択されることになる。
本処理において「大当たりA」〜「大当たりE」であると判定された第一特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第一特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第一特別抽選結果はそれぞれ「大当たりA」〜「大当たりE」となることになる。
本処理において「小当たり」であると判定された第一特別図柄抽選単位データは、後に変動開始処理、変動パターン設定処理において当該第一特別図柄抽選単位データが処理対象となった場合に、第一特別抽選結果は「小当たり」となることになる。
先行判定処理を終えると、主制御MPU4100aは、先行判定処理の処理結果に応じて、第2種入賞通知コマンドを周辺制御基板4140に送信して(ステップS11084)、第一特別図柄先行処理を終了する。ここで、第2種入賞通知コマンドは、処理対象の第一特別図柄抽選単位データが何番目の保留記憶として記憶されたかを示すコマンドであると同時に、先行判定処理における判定結果を示すコマンドである。なお、上述した第1種入賞通知コマンドは、第2種入賞通知コマンドとは異なり、処理対象の第二特別図柄抽選単位データが何番目の保留記憶として記憶されたかのみを示し、先行判定処理における判定結果は示していない。
以上の説明から解るように、第一始動口2001に遊技球が入賞する度に、当該入賞の検出直後に、第1種入賞通知コマンドまたは第2種入賞通知コマンドのいずれかが主制御MPU4100aから周辺制御基板4140に送信される。このうち、第一特別図柄に関する先行判定処理の処理結果を示す第2種入賞通知コマンドの送信は、外部通常遊技状態A、Bのいずれかに遊技機がある場合における入賞に限って行われる。従って、実質的に、第一特別図柄について、第2種入賞通知コマンドが送信されるのは、左打ち遊技が行われている最中ということになる。
第1種入賞通知コマンドまたは第2種入賞通知コマンドを受信した周辺制御基板4140の周辺制御MPU4140aは、当該受信直後に、入賞通知コマンドに基づき、後述する液晶表示装置1400の保留表示領域の保留表示を制御する。すなわち、周辺制御MPU4140aは、入賞通知コマンドの上から2桁目の値が「2」である場合には、当該入賞通知コマンドが第一始動口2001への入賞(第一特別図柄抽選単位データの取得)に基づくコマンドであると認識し、入賞通知コマンドの上から2桁目の値が「3」である場合には、当該入賞通知コマンドが第二始動口2002への入賞(第二特別図柄抽選単位データの取得)に基づくコマンドであると認識する。また、周辺制御MPU4140aは、入賞通知コマンドの下から一桁目の値に基づいて表示すべき保留表示の数を認識する。
具体的には、例えば、第1種入賞通知コマンドを例に説明すると、第1種入賞通知コマンドが「6202」である場合には、第一特別図柄について1つの保留記憶がある旨を保留表示する。また、周辺制御MPU4140aは、第1種入賞通知コマンドが「6203」である場合には、第一特別図柄について2つの保留記憶がある旨を保留表示する。また、周辺制御MPU4140aは、第1種入賞通知コマンドが「6204」である場合には、第一特別図柄について3つの保留記憶がある旨を保留表示し、第1種入賞通知コマンドが「6205」である場合には、第一特別図柄について4つの保留記憶がある旨を保留表示する。
また、第1種入賞通知コマンドが「6302」である場合には、第二特別図柄について1つの保留記憶がある旨を保留表示する。また、周辺制御MPU4140aは、第1種入賞通知コマンドが「6303」である場合には、第二特別図柄について2つの保留記憶がある旨を保留表示する。また、周辺制御MPU4140aは、第1種入賞通知コマンドが「6304」である場合には、第二特別図柄について3つの保留記憶がある旨を保留表示し、第1種入賞通知コマンドが「6305」である場合には、第二特別図柄について4つの保留記憶がある旨を保留表示する。第2種入賞通知コマンドが受信された場合においても、第1種入賞通知コマンドが受信された場合と同様にして、第2種入賞通知コマンドの上から2桁目の値と下一桁目の値とに基づいて、周辺制御MPU4140aにおいて、液晶表示装置1400の保留表示の制御が行われる。
一方で、第2種入賞通知コマンドを受信した周辺制御基板4140の周辺制御MPU4140aは、受信された第2種入賞通知コマンドに基づき、当該第2種入賞通知コマンドに対応する特別図柄抽選単位データについて、当該特別図柄抽選単位データが保留されているにも拘わらず、事前に当該特別図柄抽選単位データに基づく抽選結果(特別抽選結果やリーチ抽選結果を含む)を大まかに認識することができる。そして、周辺制御MPU4140aは、第2種入賞通知コマンドによって認識した抽選結果を用いることにより、ある特別図柄抽選単位データが保留されているにも拘わらず、事前に当該特別図柄抽選単位データに基づく抽選結果を反映した演出(いわゆる先読み演出)を行うことができる。先読み演出の詳細については後述する。
図226に戻って説明を続ける。主制御MPU4100aが、ステップS1105において第一始動口2001に遊技球が入賞していないと判断したとき(ステップS1105:NO)、および、ステップS1106において第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が上限値の4に達していると判断したとき(ステップS1106:NO)、および、第一特別図柄先行処理を終えたときは、いずれも第一・第二始動口入賞処理を終了する。
以上説明した第一・第二始動口入賞処理の第一特別図柄先行処理によれば、第1特別図柄については、外部通常遊技状態Aおよび外部通常遊技状態Bにおいて、変動状態であって、かつ、第一特別図柄抽選単位データの保留記憶数が1〜3である場合に第一始動口2001に遊技球が入賞した場合には、入賞直後に先行判定処理を行って先行判定結果を周辺制御基板4140に入賞毎に送信する。先行判定結果は、上述のとおり、第一特別図柄抽選単位データが変動開始時に特別抽選およびリーチ抽選の対象となったときの結果を予め示すものである。そして、実際に先読み演出を行うか否かの判定およびどのような先読み演出を行うかは、周辺制御基板4140に委ねられている。また、第二特別図柄については、外部通有利遊技状態Aおよび外部有利遊技状態Bにおいて、変動状態であって、かつ、第二特別図柄抽選単位データの保留記憶数が1〜3である場合に第二始動口2002に遊技球が入賞した場合には、入賞直後に先行判定処理を行って先行判定結果を周辺制御基板4140に入賞毎に送信する。そして、実際に先読み演出を行うか否かの判定およびどのような先読み演出を行うかは、周辺制御基板4140に委ねられている。
従来は、主制御MPU4100aにおいて、先行判定処理を行うと共に、先読み演出を行うか否かの判定を行い、先読み演出を行うと判定した場合に先読み演出を指示するコマンドを周辺制御基板4140に送信していた。そして、周辺制御基板4140において先読み演出を指示するコマンドを受信した場合に、当該コマンドに従って周辺制御基板4140が先読み演出を行っていた。そして、複数種類の先読み演出を用意する場合には、先読み演出の種類についても主制御MPU4100aにおいて判定して、先読み演出をその種類を指定して指示するコマンドを周辺制御基板4140に送信する必要もあった。このため、開発途中において、先読み演出の実行頻度の変更、先読み演出の種類の追加、先読み演出が行われた場合の大当たり期待度の変更など、先読み演出の仕様を変更する場合には、周辺制御MPU4140aの制御プログラムのみならず、主制御MPU4100aの制御プログラムについても変更を余儀なくされ、開発期間の長期化、開発作業の複雑化を引き起こすおそれがあった。
しかしながら、本実施形態によれば、上述のとおり、主制御MPU4100aでは、特別抽選およびリーチ抽選の結果を先行判定して、その結果を、周辺制御基板4140に送信するのみであり、実際に先読み演出を行うか否かの判定およびどのような先読み演出を行うかは、周辺制御基板4140に委ねられている。このため、開発途中において、先読み演出の実行頻度の変更、先読み演出の種類の追加、先読み演出が行われた場合の大当たり期待度の変更など、先読み演出の仕様を変更する場合には、周辺制御MPU4140aの制御プログラムのみを変更すれば良いため、開発期間の長期化、開発作業の容易化を実現できる。
なお、ステップS1102において、第二始動口2002に遊技球が入賞したときに第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が上限値であるとき、ステップS1101で取得した第二特別図柄抽選単位データを破棄する。同様に、ステップS1105において、第一始動口2001に遊技球が入賞したときに第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が上限値であるとき、ステップS1104で取得した第一特別図柄抽選単位データを破棄する。
なお、第二始動口2002に遊技球が入賞したと判断したとき、第二特別図柄抽選単位データの取得は、必ずしもステップS1101で行う必要はなく、ステップS1101〜ステップS1103の間で行えばよい。例えば、ステップS1101で第二特別図柄抽選単位データを取得せずに、ステップS1102で第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が上限値未満であることを判定した後に第二特別図柄抽選単位データを取得してもよいし、ステップS1103の第二保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
同様に、第一始動口2001に遊技球が入賞したと判定したとき、第一特別図柄抽選単位データの取得は、必ずしもステップS1105で行う必要はなく、ステップS1105〜ステップS1107の間で行えばよい。例えば、ステップS1105で第一特別図柄抽選単位データを取得せずに、ステップS1106で第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が上限値未満であることを判別した後に第一特別図柄抽選単位データを取得してもよいし、ステップS1107の第一保留記憶処理で取得するようにしてもよい。
このように、本実施形態では、第二始動口2002への入賞処理(ステップS1101〜ステップS1104)を実行したのちに、第一始動口2001への入賞処理(ステップS1105〜1108)を実行している。ただし、これに代えて、第一始動口2001への入賞処理を実行したのちに、第二始動口2002への入賞処理を実行する態様であっても良い。
[変動開始処理について]
次に、変動開始処理について図229に基づいて説明する。図229は、変動開始処理の一例を示すフローチャートである。
処理選択フラグが「0」のときに実行される変動開始処理(ステップS130)では、主制御MPU4100aは、先ず、第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が0であるか否かを判断する(ステップS1301)。
第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が0でなければ(ステップS1301:NO)、主制御MPU4100aは、処理対象の第二特別図柄抽選単位データを第二特別図柄保留記憶手段4224から取得する(ステップS1302)。上述したように第二特別図柄抽選単位データは、第二特別図柄保留記憶手段4224に4つまで記憶順序が特定できるように記憶されており、記憶された順序で処理対象とされる。
一方、第二特別図柄保留記憶手段4224の保留数が0である場合には(ステップS1301:YES)、主制御MPU4100aは、第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が0であるか否かを判断する(ステップS1303)。
第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が0でなければ(ステップS1303:NO)、主制御MPU4100aは、処理対象の第一特別図柄抽選単位データを第一特別図柄保留記憶手段4214から取得する(ステップS1304)。上述したように第一特別図柄抽選単位データは、第一特別図柄保留記憶手段4214に4つまで記憶順序が特定できるように記憶されており、記憶された順序で処理対象とされる。
以上の説明から解るように、特別図柄抽選単位データは、所定の始動条件が成立するまでの間は、特別図柄保留記憶手段4214,4224に記憶(保留)され、所定の始動条件が成立したときに処理対象とされる(その後に大当たり抽選等の対象とされる)ことが解る。本実施形態では、第二特別図柄抽選単位データについての始動条件は、変動開始処理がなされた時点で、当該第二特別図柄抽選単位データより先に保留された他の第二特別図柄抽選単位データがないことである。また、第一特別図柄抽選単位データについての始動条件は、変動開始処理がなされた時点で、保留されている第二特別図柄抽選単位データがないこと、かつ、当該第一特別図柄抽選単位データより先に保留された他の第一特別図柄抽選単位データがないことである。
一方、第一特別図柄保留記憶手段4214の保留数が0である場合には(ステップS1303:YES)、主制御MPU4100aは、変動開始処理を終了する。
主制御MPU4100aは、第二特別図柄抽選単位データ、または、第一特別図柄抽選単位データを取得すると、取得された特別図柄抽選単位データに対応する変動(すなわち、本変動開始処理により開始される変動:対象変動とも呼ぶ)が、遊技状態変更回の変動か否かを判断する(ステップS1305)。遊技状態変更回の変動は、直前の大当たりから数えて75回目の変動である。主制御MPU4100aは、変動回数カウンタ4242を参照して、対象変動が遊技状態変更回の変動であるか否かを判断する。
主制御MPU4100aは、対象変動が遊技状態変更回であると判断すると(ステップS1305:YES)、遊技状態を変更する(ステップS1306)。対象変動が、直前の大当たりから数えて75回目の変動である場合には、主制御MPU4100aは、遊技状態を外部有利遊技状態Bから外部通常遊技状態Aに変更する。すなわち、主制御MPU4100aは、羽根2337の動作態様を促進態様から通常態様に変更し、確変機能の動作を停止する。
主制御MPU4100aは、対象変動が遊技状態変更回でないと判断した場合(ステップS1305:NO)、あるいは、ステップS1306にて遊技状態を変更すると、ステップS1307に処理を進める。
ステップS1307では、主制御MPU4100aは、確変機能が作動している遊技状態(外部通常遊技状態Bまたは外部有利遊技状態B)であるか否かを判断する。ここで、確変機能が作動している遊技状態であれば(ステップS1307:YES)、当たり判定テーブルのうち高確率時の当たり判定テーブルが選択される(ステップS1308)。
一方、ステップS1305において確変機能が未作動であれば(ステップS1307:NO)、当たり判定テーブルのうち通常時の当たり判定テーブルが選択される(ステップS1309)。
そして、ステップS1308またはステップS1309において選択された判定テーブルと、処理対象の特別図柄抽選単位データ(第一特別図柄抽選単位データまたは第二特別図柄抽選単位データ)に含まれる特別乱数(第一特別乱数または第二特別乱数)と、に基づいて、主制御MPU4100aは、大当たりか否かを判定する(ステップS1310)。
主制御MPU4100aは、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる特別乱数が大当たりであると判定すると(ステップS1310:YES)、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる図柄乱数に基づいて大当たりの種別を判定する(ステップS1311)。その後、大当たりの種別に応じたフラグをON状態にする(ステップS1312)。具体的には、主制御MPU4100aは、大当たりの種別が大当たりAであれば大当たりAフラグをON状態にし、大当たりの種別が大当たりBであれば大当たりBフラグをON状態にし、大当たりの種別が大当たりCであれば大当たりCフラグをON状態にし、大当たりの種別が大当たりDであれば大当たりDフラグをON状態にし、大当たりの種別が大当たりEであれば大当たりEフラグをON状態にする。その後、主制御MPU4100aは、処理フラグを「1」に更新し(ステップS1315)、変動開始処理を終了する。
一方、主制御MPU4100aは、ステップS1310における大当たり判定にて大当たりでないと判定すると(ステップS1310:NO)、表1に示す判定テーブルと、処理対象の特別図柄抽選単位データ(第一特別図柄抽選単位データまたは第二特別図柄抽選単位データ)に含まれる特別乱数(第一特別乱数または第二特別乱数)とに基づいて、小当たりか否かを判定する(ステップS1313)。主制御MPU4100aは、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる特別乱数が小当たりであると判定すると(ステップS1313:YES)、小当たりフラグをON状態にして(ステップS1314)、ステップS1315に進み、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。また、主制御MPU4100aは、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる特別乱数が小当たりでないと判定すると(ステップS1313:NO)、ステップS1313に進み、処理フラグを「1」に更新し、変動開始処理を終了する。
[変動パターン設定処理について]
次に、変動パターン設定処理について図230に基づいて説明する。図230は、変動パターン設定処理の一例を示すフローチャートである。
変動パターン設定処理は、特別図柄抽選結果(大当たり、小当たり、ハズレ)に応じて変動パターンを設定する処理である。この処理では、先ず、複数種類の大当たりのうちいずれかの大当たりフラグがON状態であるか否か、または、小当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1510)。ここで大当たりフラグまたは小当たりフラグがON状態であると(ステップS1510:YES)、当たり変動パターンテーブル設定処理を行い(ステップS1520)、その後、変動パターン決定処理を行う(ステップS1560)。この変動パターン設定処理では、詳細は後述するが、当たり変動パターンテーブル設定処理にて設定されたテーブルに基づいて変動パターンが決定される。
ステップS1510において大当たりフラグおよび小当たりフラグのいずれもONでなければ(ステップS1510:NO)、大当たりへの当選の期待度が高い高期待演出(例えば、リーチ演出)を行うべきか否かを判断する(ステップS1530)。ここで、大当たりへの当選の期待度が高い高期待演出を行うべきであると判断されると(ステップS1530:YES)、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理を行い(ステップS1540)、その後、変動パターン決定処理を行う(ステップS1560)。この変動パターン設定処理では、詳細は後述するが、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理にて設定された変動パターンテーブルに基づいて変動パターンが決定される。
一方、ステップS1530において大当たりへの当選の期待度が高い高期待演出を行うべきでないと判断されると(ステップS1530:NO)、低期待外れ変動パターンテーブル設定処理を行い(ステップS1550)、その後、変動パターン決定処理を行う(ステップS1560)。この変動パターン設定処理では、詳細は後述するが、低期待外れ当たり変動パターンテーブル設定処理にて設定された変動パターンテーブルに基づいて変動パターンが決定されるとともに決定された変動パターンについて変動タイプが決定される。
なお、高期待演出を行うべきか否かの判断は、上述したリーチ判定用乱数が高期待演出抽選に当選していれば高期待演出を行うと判断され、高期待演出抽選に落選していれば高期待演出を行わないと判断される。高期待演出抽選は、特別抽選結果がハズレである場合に、図柄の変動が開始されるに際して、取得された処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれるリーチ判定用乱数を用いて行われる。ここで、高期待演出抽選に当選する確率は外部通常遊技状態であるか外部有利遊技状態であるか否かによって異なっていても良い。さらに、第一特別図柄保留数や第二特別図柄保留数によっても高期待演出抽選に当選する確率が異なっていても良い。例えば、外部通常遊技状態の場合であって且つ当該変動が第一特別図柄の変動であるとき、第一特別図柄保留数が0であれば10.5分の1、第一特別図柄保留数が1であれば12分の1、第一特別図柄保留数が2であれば13.5分の1、第一特別図柄保留数が3であれば15分の1としても良い。また、外部通常遊技状態の場合)であって且つ当該変動が第二特別図柄の変動であるとき、高期待演出抽選に当選する確率は、第二特別図柄保留数が0であれば10.5分の1、第二特別図柄保留数が1であれば12分の1、第二特別図柄保留数が2であれば13.5分の1、第二特別図柄保留数が3であれば15分の1としても良い。また、外部有利遊技状態の場合は、第一特別図柄保留数および第二特別図柄保留数に拘らず、高期待演出抽選に当選する確率は常に14分の1としても良い。
次いで、ステップS1560において変動パターンが決定されると、当該決定された変動パターンと変動タイプとの組合せを表す値を選択値としてセットし(ステップS1570)、当該変動パターンと変動タイプとの組合せに対応する変動時間値をタイマにセットする(ステップS1580)。例えば、変動時間値は、変動パターンと変動タイプとの組合せ毎に予め設定されている。その後、処理フラグを「2」に更新(ステップS1590)し、変動パターン設定処理を終了する。
なお、この変動パターン設定処理において設定された変動パターンに基づいて、第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642において、複数のLEDが所定の点灯パターンで点灯される。
[当たり変動パターンテーブル設定処理について]
次に、図231、図232に基づいて当たり変動パターンテーブル設定処理について説明する。図231は、当たり変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図232は、当たり変動パターンテーブル設定処理において、設定されるテーブルの振り分けを示す表である。
図231の当たり変動パターンテーブル設定処理において、主制御MPU4100aは、先ず、遊技状態を認識する(ステップS15201)。遊技状態は、上述のとおり外部通常遊技状態Aと、外部通常遊技状態Bと、外部有利遊技状態Bの3種類がある。例えば、遊技状態は、主制御MPU4100aにおいてフラグで管理されており、外部通常遊技状態Aフラグと、外部通常遊技状態Bフラグと、外部有利遊技状態Bフラグのいずれか一つのフラグがオン状態とされている。主制御MPU4100aは、オン状態となっているフラグを認識することにより、遊技状態を認識する。次いで、主制御MPU4100aは、当たり種別を認識する(ステップS15202)。当たり種別は、上述したように主制御MPU4100aにおいてフラグで管理されている。例えば、主制御MPU4100aは、大当たりAフラグ、大当たりBフラグ、大当たりCフラグ、大当たりDフラグ、大当たりEフラグ、小当たりフラグのいずれのフラグがオン状態となっているかを認識することにより、大当たりA〜E、小当たりのいずれの当たりであるかを認識する。次いで、主制御MPU4100aは、遊技状態と、当たり種別と、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる第一変動パターン用乱数と、さらには、変動回数カウンタ4242の値に基づいて当たり変動パターン設定テーブルを選択し(ステップS15203)、当たり変動パターンテーブル設定処理を終了する。
本実施形態では、当たり変動パターンテーブルには、図232に示されるように、A〜Nの14種類がある。遊技状態と、当たり種別と、第一変動パターン用乱数の組合せに、当たり変動パターンテーブルA〜Jのいずれかが対応付けられている。そして、大当たり後所定回(本実施形態では70回)までの変動については、さらに、別の特別テーブルK〜Nが対応付けられている。なお、大当たり後70回目までの変動については、特別テーブルK〜Nが優先して選択される。そして、本実施形態のパチンコ機1は、大当たり遊技後、必ず74回に亘って外部有利遊技状態Bに制御されるいわゆる回数切り確変仕様の機械であるので、大当たり後の外部有利遊技状態Bのうち、1回目から70回目までの変動では、特別テーブルK〜Nが選択され、71回目から74回目までの変動では、テーブルG〜Jが選択されることになる。
例えば、図232に示されるように、遊技状態が外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bで、かつ、当たり種別が大当たりAである場合、総数100(0〜99)の第一変動パターン用乱数のうち、52個の値が当たり変動パターンテーブルAに対応付けられており、30個の値が当たり変動パターンテーブルBに対応付けられており、18個の値が当たり変動パターンテーブルCに対応付けられている。したがって、遊技状態が外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bで、かつ、当たり種別が大当たりAである場合には、当たり変動パターンテーブル設定処理において、100分の52の確率で当たり変動パターンテーブルAが選択され、100分の30の確率で当たり変動パターンテーブルBが選択され、100分の18の確率で当たり変動パターンテーブルCが選択される。そして、遊技状態が外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bで、当たり種別が大当たりAである場合には、当たり変動パターンテーブル設定処理において、当たり変動パターンテーブルA〜C以外のテーブルが選択されることはない。
[高期待外れ変動パターンテーブル設定処理について]
次に、図233および図234に基づいて高期待外れ変動パターンテーブル設定処理について説明する。図233は、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図234は、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理において、設定されるテーブルの振り分けを示す表である。
図233の高期待外れ変動パターンテーブル設定処理において、主制御MPU4100aは、先ず、遊技状態を認識する(ステップS15401)。例えば、遊技状態は、主制御MPU4100aにおいてフラグで管理されており、外部通常遊技状態Aフラグと、外部通常遊技状態Bフラグと、外部有利遊技状態Bフラグのいずれか一つのフラグがオン状態とされている。主制御MPU4100aは、オン状態となっているフラグを認識することにより、遊技状態を認識する。次いで、主制御MPU4100aは、遊技状態と、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる第一変動パターン用乱数と、変動回数カウンタ4242の値に基づいて高期待外れ変動パターン設定テーブルを選択し(ステップS15402)、高期待外れ変動パターンテーブル設定処理を終了する。
本実施形態では、高期待外れ変動パターンテーブルには、図234に示されるように、O〜Sの5種類がある。遊技状態と、第一変動パターン用乱数の組合せに、高期待外れ変動パターンテーブルO〜Rのいずれかが対応付けられている。そして、大当たり後所定回(本実施形態では70回)までの変動については、さらに、別の特別テーブルSが対応付けられている。なお、大当たり後70回目までの変動については、特別テーブルSが優先して選択される。そして、本実施形態のパチンコ機1は、大当たり遊技後、必ず74回に亘って外部有利遊技状態Bに制御されるいわゆる回数切り確変仕様の機械であるので、大当たり後の外部有利遊技状態Bのうち、1回目から70回目までの変動では、特別テーブルSが選択され、71回目から74回目までの変動では、テーブルRが選択されることになる。
例えば、図234に示されるように、遊技状態が外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bである場合、総数100(0〜99)の第一変動パターン用乱数のうち、93個の値(例えば、本実施形態では0〜92)が高期待外れ変動パターンテーブルOに対応付けられており、5個の値(例えば、本実施形態では93〜97)が高期待外れ変動パターンテーブルPに対応付けられており、2個の値(例えば、本実施形態では98、99)が高期待外れ変動パターンテーブルQに対応付けられている。
[低期待外れ変動パターンテーブル設定処理について]
次に、図235および図236に基づいて低期待外れ変動パターンテーブル設定処理について説明する。図235は、低期待外れ変動パターンテーブル設定処理の一例を示すフローチャートである。図236は、低期待外れ変動パターンテーブル設定処理において、設定されるテーブルの振り分けを示す表である。
図235の低期待外れ変動パターンテーブル設定処理において、主制御MPU4100aは、先ず、遊技状態を認識する(ステップS15501)。例えば、遊技状態は、主制御MPU4100aにおいてフラグで管理されており、外部通常遊技状態Aフラグと、外部通常遊技状態Bフラグと、外部有利遊技状態Bフラグのいずれか一つのフラグがオン状態とされている。主制御MPU4100aは、オン状態となっているフラグを認識することにより、遊技状態を認識する。次いで、主制御MPU4100aは、処理対象の特別図柄抽選単位データの属する特別図柄(第一特別図柄または第二特別図柄)において処理対象の特別図柄抽選単位データを除く未処理の特別図柄抽選単位データの数、すなわち、残りの保留数を認識する(ステップS15502)。例えば、処理対象の特別図柄抽選単位データを取得したときその特別図柄の保留数が4であれば、残りの保留数は3となる。また、処理対象の特別図柄抽選単位データを取得したときその特別図柄の保留数が3であれば、残りの保留数は2となる。主制御MPU4100aは、遊技状態と、処理対象の特別図柄抽選単位データの属する特別図柄の残りの保留数と、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる第一変動パターン用乱数とに基づいて低期待外れ変動パターン設定テーブルを選択し(ステップS15503)、低期待外れ変動パターンテーブル設定処理を終了する。
本実施形態では、低期待外れ変動パターンテーブルには、図236に示されるように、T〜Zの7種類がある。処理対象の特別図柄の種別(第一特別図柄または第二特別図柄)と、遊技状態と、処理対象の特別図柄の残り保留数と、第一変動パターン用乱数の組合せに、低期待外れ変動パターンテーブルT〜W、Zのいずれかが対応付けられている。そして、大当たり後所定回(本実施形態では70回)までの変動については、さらに、別の特別テーブルYが対応付けられている。なお、大当たり後70回目までの変動については、特別テーブルYが優先して選択される。そして、本実施形態のパチンコ機1は、大当たり遊技後、必ず74回に亘って外部有利遊技状態Bに制御されるいわゆる回数切り確変仕様の機械であるので、大当たり後の外部有利遊技状態Bのうち、1回目から70回目までの変動では、特別テーブルX、Yが選択され、71回目から74回目までの変動では、テーブルZが選択されることになる。
例えば、図236に示されるように、処理対象の特別図柄が第一特別図柄であり、かつ、遊技状態が外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bである場合、第一特別図柄の残り保留数0、1、2、3に応じて、総数100(0〜99)の第一変動パターン用乱数の全てがそれぞれ低期待外れ変動パターンテーブルT、U、V、Wに対応付けられている。したがって、処理対象の特別図柄が第一特別図柄であり、かつ、遊技状態が外部通常遊技状態Aまたは外部通常遊技状態Bである場合には、第一特別図柄の残り保留数0、1、2、3に応じて、低期待外れ変動パターンテーブル設定処理において、100%の確率で低期待外れ変動パターンテーブルT、U、V、Wがそれぞれ選択され、他の低期待外れ変動パターンテーブルが選択されることはない。
なお、低期待外れ変動パターンテーブル設定処理において、残りの保留数が多いときに選択される低期待外れ変動パターンテーブルには、全般的に残りの保留数が少ないときに選択される低期待外れ変動パターンテーブルと比較して、特別図柄の変動時間の短い変動パターンが記述されており、保留の状態とされている抽選処理の処理数が少ないときよりも多いときのほうが短い時間にて特別図柄の変動表示が行われる。
次に、ステップS1560の変動パターン決定処理について説明する。この変動パターン設定処理では、ステップS1520の当たり変動パターンテーブル設定処理、ステップS1540の高期待外れ変動パターン設定処理またはステップS1550の低期待外れ変動パターン設定処理で設定された変動パターンテーブルに基づいて、変動パターンが決定される。以下、設定された変動パターンテーブル毎に、変動パターン決定処理について説明する。図237は、当たり変動パターンテーブル設定処理において選択され得る当たり変動パターンテーブルA〜Cに基づいて決定される変動パターンの一覧表である。図238は、当たり変動パターンテーブル設定処理において選択され得る当たり変動パターンテーブルD〜Nに基づいて決定される変動パターンの一覧表である。図239は、高期待外れ変動パターン設定処理において選択され得る高期待外れ変動パターンテーブルO〜Sに基づいて決定される変動パターンの一覧表である。図240は、低期待外れ変動パターン設定処理において選択され得る低期待外れ変動パターンテーブルT〜Zに基づいて決定される変動パターンの一覧表である。図237〜図240には、各変動パターンテーブルに基づいて決定される変動パターンの振り分けが併せて示されている。
各変動パターンテーブルA〜Zは、総数200(0〜199)の第二変動パターン用乱数と、各変動パターンとを対応付けている。そして、主制御MPU4100aは、設定された変動パターンテーブルにおいて、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる第二変動パターン用乱数と対応付けられている変動パターンを、処理対象の特別図柄抽選単位データに対応する変動における変動パターンに決定する。また、主制御MPU4100aは、変動パターンが決定されると、処理対象の特別図柄抽選単位データに含まれる変動タイプ乱数に基づいて、変動パターン毎に変動タイプを決定する。変動タイプは、後述するように、通常、2連、3連、4連、5連の5種類があり、図237〜図240には、変動パターン毎の変動タイプの振り分けが併せて示されている。
例えば、設定された変動パターンテーブルがAの場合、図237に示すように、番号4、5、7、8、9、10、12、14、15、17、18、20、22、24、25、27、28、36、37のうちいずれかの変動パターンに、それぞれ、200分の3、200分の20、200分の4、200分の5、200分の6、200分の25、200分の30、200分の3、200分の15、200分の3、200分の12、200分の12、200分の23、200分の1、200分の10、200分の2、200分の13、200分の3、200分の10の確率で決定されることとなる。
また、例えば、図237に示すように、番号20の変動パターン(実写リーチA当たり)が選択された場合、変動タイプは、200分の60の確率で「通常」に、200分の30の確率で「2連」に、200分の90の確率で「3連」に、200分の15の確率で「4連」に、200分の5の確率で「5連」にそれぞれ決定される。
なお、図240に示される変動パターンテーブルT〜Zに基づいて決定される変動パターンの変動タイプは、100%の確率で「通常」に決定されるので、図240において変動タイプの振り分けは図示していない。
なお、こうして変動パターンおよび対応する変動タイプが決定されると、該決定された変動パターンおよび変動タイプに対応したコマンド(情報)と、当該変動に対応する特別図柄抽選単位データの抽選結果(ハズレ、大当たりA、大当たりB、大当たりC、大当たりD、大当たりE)を示すコマンド(情報)とが当該主制御基板4100から上記周辺基板4010に送信され、該周辺基板4010内の周辺制御MPU4140aによる演出抽選などの処理に供される。すなわち、液晶表示装置1400に表示される装飾図柄の変動表示や演出表示(連続演出や、リーチ演出など)は、実際には、この周辺基板4010内にて上記主制御基板4100から送信されるコマンドに応じて決定されるようになっている。この意味では、上記液晶表示装置1400に表示される装飾図柄の変動表示や演出表示にかかる制御は、主制御基板4100と周辺基板4010とによって協働して行われている(表示制御手段)。
なお、以上の説明から解るように、本実施形態のパチンコ機1では、変動パターンテーブル設定処理において、外部有利遊技状態Bで行われる大当たり後74回の変動のうち、1〜70回までの変動と71〜74回までの変動では、異なるテーブルが設定される。この結果、1〜70回までの変動と71〜74回までの変動とでは、全く異なる演出表示が実行される。なお、大当たり後、遊技状態Bで行われる変動の回数は、74回に限られるものではなく、様々な回数に設定しても良い。また、1〜70回までの変動と71〜74回までの変動とで異なるテーブルを設定しているが、これに限られず、1〜66までの変動と67〜74回までの変動とで異なるテーブルを設定するなど、様々な回数に設定しても良い。また、一つのパチンコ機において、テーブルを変更するテーブル変更回を可変としても良い。
[変動中処理について]
次に、図241に基づいて、変動中処理について説明する。図241は、変動中処理の一例を示すフローチャートである。変動中処理では、先ず、特別図柄が変動中であるか否かを判断する(ステップS1801)。ここで、第一特別図柄表示器641および第二特別図柄表示器642のいずれかが変動中であれば変動中であると判断される。特別図柄が変動中でなければ(ステップS1801:NO)、そのまま、変動中処理を終了する。
ステップS1801において特別図柄が変動中であると判断すると(ステップS1801:YES)、ステップS1802に進み、変動時間が終了しているか否かを判断する。具体的には、変動パターン設定処理においてタイマにセットした変動時間が経過したか否かを判断する。ここで、変動時間が経過していなければ、そのまま、変動中処理を終了する(ステップS1802:NO)。変動時間が経過すると(ステップS1802:YES)、変動回数カウンタ4242をインクリメントして(ステップS1803)、特別図柄の変動を停止する(ステップS1804)。即ち、第一特別図柄表示器641または第二特別図柄表示器642のうち変動中の表示器において、第一特別抽選結果または第二特別抽選結果を導出表示する。
特別図柄の変動を停止すると(ステップS1804)、複数の大当たり種別のうちいずれかの大当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1805)。即ち、今回の変動が停止して抽選結果が導出された結果、いずれかの大当たり遊技を開始するか否を判断する。いずれかの大当たりフラグがON状態であると(ステップS1805:YES)、処理フラグを「3」に更新し(ステップS1806)、変動中処理を終了する。いずれの大当たりフラグもON状態でなければ(ステップS1805:NO)、次に小当たりフラグがON状態であるか否かを判断する(ステップS1807)。即ち、今回の変動が停止して抽選結果が導出された結果、特別電動役物小当たり制御処理を開始するか否かを判断する。小当たりフラグがON状態であると(ステップS1807:YES)、処理フラグを「4」に更新し(ステップS1808)、変動中処理を終了する。小当たりフラグがON状態でなければ(ステップS1807:NO)、処理フラグを「0」に更新し(ステップS1809)、変動中処理を終了する。
[大当たり遊技開始処理について]
次に、図242に基づいて、大当たり遊技開始処理について説明する。図242は、大当たり遊技開始処理の一例を示すフローチャートである。この大当たり遊技開始処理では、主制御MPU4100aは、先ず、確率変動機能が作動中であるか否かを判断する(ステップS2001)。大当たり遊技が実行されているときは確変機能を作動させないため、主制御MPU4100aは、確変機能が作動している場合には、確変機能の作動を停止して(ステップS2002)、ステップS2003に進む。一方、ステップS2001において確変機能が作動していないと判断すると(ステップS2001:NO)、主制御MPU4100aは、ステップS2002をスキップしてステップS2003に進む。
ステップS2003では、主制御MPU4100aは、開閉部材2006の羽根2337の動作態様が促進態様であるか否かを判断する。大当たり遊技が実行されているときは開閉部材2006の羽根2337の動作態様を平常態様とするため、主制御MPU4100aは、羽根2337の動作態様が促進態様である場合には、羽根2337の動作態様を平常態様に変更して(ステップS2004)、ステップS2005に進む。一方、ステップS2003において羽根2337の動作態様が平常態様である場合には(ステップS2003:NO)、主制御MPU4100aは、ステップS2004をスキップしてステップS2005に進む。
ステップS2005では、主制御MPU4100aは、大当たりフラグを参照して大当たり種別を認識し、大当たり種別に応じてアタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉パターンをセットする。例えば、大当たり種別が「大当たりA」である場合、上述した長時間開閉パターンを実現するため、ラウンド回数(例えば11ラウンド)、1ラウンド当たりのアタッカユニット2000の開閉部材2006の最大開放時間(例えば、26秒〜33秒)および最大入賞数(例えば、10球)をセットする。また、そして、その後、ステップS2006に進んで処理フラグを「5」に更新し、大当たり遊技開始処理を終了する。
[小当たり成立時処理について]
次に、図243に基づいて、小当たり成立時処理について説明する。図243は、小当たり成立時処理の一例を示すフローチャートである。この小当たり成立時処理では、先ず、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉パターンを小当たり用の開閉パターン(本実施形態では、上述したように短時間開閉パターン)にセットする。具体的には、短時間開閉パターンを実現するため、ラウンド回数(例えば15ラウンド)、1回当たりのアタッカユニット2000の開閉部材2006の開放時間(例えば、0.05秒〜0.6秒の間)および最大入賞数(例えば、2球)をセットする(ステップS2201)。その後、処理フラグを「6」に更新して小当たり成立時処理を終了する(ステップS2202)。
[特別電動役物大当たり制御処理]
次に、図244に基づいて、特別電動役物大当たり制御処理について説明する。図244は、特別電動役物大当たり制御処理の一例を示すフローチャートである。特別電動役物大当たり制御処理においては、主制御MPU4100aは、先ず、アタッカユニット2000の開閉部材2006が開放中であるか否かを判断する(ステップS2401)。アタッカユニット2000の開閉部材2006が開放中であれば(ステップS2401:YES)、主制御MPU4100aは、予めセットされたアタッカユニット2000の開閉部材2006の最大開放時間が経過したか否かを判断する(ステップS2402)。具体的には、主制御MPU4100aは、ステップS2005においてセットされた最大開放時間が経過したか否かを判断する。アタッカユニット2000の開閉部材2006の最大開放時間が経過したと判断すると(ステップS2402:YES)、アタッカユニット2000の開閉部材2006を閉鎖して(ステップS2404)、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。
ステップS2402においてアタッカユニット2000の開閉部材2006の開放時間が経過していなければ(ステップS2402:NO)、主制御MPU4100aは、予めセットされた最大入賞数の遊技球がアタッカユニット2000の大入賞口2003に受け入れられたか否かを判断する(ステップS2403)。具体的には、主制御MPU4100aは、カウントセンサ2014によるカウント値が、ステップS2005においてセットされた最大入賞数に達したか否かを判断する。アタッカユニット2000の大入賞口2003に最大入賞数の遊技球が受け入れられたと判断すると(ステップS2403:YES)、主制御MPU4100aは、ステップS2404に進み、アタッカユニット2000の開閉部材2006を閉鎖して特別電動役物大当たり制御処理を終了する。一方、アタッカユニット2000の大入賞口2003に最大入賞数の遊技球が受け入れられていなければ(ステップ2403:NO)、そのまま特別電動役物大当たり制御処理を終了する。
開閉部材が開放中でなければ(ステップS2401:NO)、主制御MPU4100aは、予めセットされたラウンド数に達したか否かを判断する(ステップS2405)。具体的には、主制御MPU4100aは、ステップS2005においてセットされたラウンド数に達したか否かを判断する。ここで、予めセットされたラウンド数に達していれば(ステップS2405:YES)、主制御MPU4100aは、ステップS2408に進み、大当たりフラグ(大当たりAフラグ、大当たりBフラグ、大当たりCフラグ、大当たりDフラグ、大当たりEフラグのうちON状態となっているフラグ)をOFFにする。一方、予めセットされたラウンド数に達していなければ(ステップS2405:NO)、主制御MPU4100aは、ラウンド間時間(ラウンド間のインターバル)が経過しているか否かを判断する(ステップS2406)。主制御MPU4100aは、ラウンド間時間が経過していないと判断すると(ステップS2406:NO)、そのまま特別電動役物大当たり制御処理を終了する。ラウンド間時間が経過したと判断すると(ステップS2406:YES)、主制御MPU4100aは、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開放処理を行い(ステップS2407)、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。
ステップS2408において大当たりフラグをOFFにしたのち、主制御MPU4100aは、確変機能の作動処理を行う(ステップS2409)。本実施形態のパチンコ機1では、大当たり後に必ず確変機能が作動する、いわゆる大当たり後確変突入率100%の仕様であるので、大当たり遊技後に本ステップにより必ず確変機能の作動処理が行われる。
主制御MPU4100aは、確変機能を作動させると、第二始動口2002を開閉する羽根2337の動作態様を平常態様から促進態様に変更するか否かを判断する(ステップS2410)。本実施形態では、具体的には、主制御MPU4100aは、大当たり遊技の発生の原因となった大当たりの種別が大当たりA、B、C、Eである場合には、当該大当たりに当選した際の遊技状態に拘わらず羽根2337の動作態様を平常態様から促進態様に変更すると判断する。大当たり遊技の発生の原因となった大当たりの種別が大当たりDである場合には、主制御MPU4100aは、当該大当たりに当選した際の遊技状態が外部通常遊技状態Aであれば、羽根2337の動作態様を平常態様から促進態様に変更しないと判断し、外部通常遊技状態A以外の遊技状態であれば、羽根2337の動作態様を平常態様から促進態様に変更すると判断する。すなわち、本実施形態の遊技機は、大当たりA、B、C、Eに当選した場合には、必ず大当たり遊技後に外部有利遊技状態Bに移行する。そして、本実施形態の遊技機は、大当たりDに当選した場合には、当該当選時の遊技状態が外部通常遊技状態Aである場合に限り大当たり遊技後に外部通常遊技状態B(いわゆる潜伏確変)に移行し、当該当選時の遊技状態が外部通常遊技状態A以外である場合には外部有利遊技状態Bに移行する。
主制御MPU4100aは、羽根2337の動作態様を平常態様から促進態様に変更すると判断すると(ステップS2410:YES)、羽根2337の動作態様を平常態様から促進態様に変更する(ステップS2411)。その後、変動回数カウンタ4242を初期値(0)にリセット(ステップS2412)し、処理フラグを「0」に更新し(ステップS2413)、特別役物大当たり制御処理を終了する。一方、主制御MPU4100aは、羽根2337の動作態様を平常態様から促進態様に変更しないと判断すると、ステップS2411をスキップして、変動回数カウンタ4242を初期値(0)にリセット(ステップS2412)し、処理フラグを「0」に更新し(ステップS2415)、特別電動役物大当たり制御処理を終了する。
[特別電動役物小当たり制御処理]
次に、図245に基づいて、特別電動役物小当たり制御処理について説明する。図245は、特別電動役物小当たり制御処理の一例を示すフローチャートである。特別電動役物小当たり制御処理では、先ず、主制御MPU4100aは、アタッカユニット2000の開閉部材2006が開放中であるか否かを判断する(ステップS2501)。主制御MPU4100aは、アタッカユニット2000の開閉部材2006が開放中であると判断すると(ステップS2501:YES)、ステップS2201において予めセットされた開放時間が経過しているか否かを判断し(ステップS2502)、開放時間が経過していれば(ステップS2502:YES)、主制御MPU4100aは、アタッカユニット2000の開閉部材2006を閉鎖して(ステップS2504)、特別電動役物小当たり制御処理を終了する。
一方、ステップS2502において、開放時間が経過していなければ(ステップS2502:NO)、ステップS2201においてセットされた最大入賞数の遊技球がアタッカユニット2000の大入賞口2003に入賞したか否かを判断する(ステップS2503)。最大入賞数の遊技球がアタッカユニット2000の大入賞口2003に入賞していれば(ステップS2503:YES)、アタッカユニット2000の開閉部材2006を閉鎖して(ステップS2504)、特別電動役物小当たり制御処理を終了する。一方、最大入賞数の遊技球がアタッカユニット2000の大入賞口2003に入賞していなければ(ステップS2503:NO)、そのまま、特別電動役物小当たり制御処理を終了する。
上述のステップ2501において、開閉部材が開放中でなければ(ステップS2501:NO)、主制御MPU4100aは、ステップS2201において予めセットされたラウンド数に達したか否かを判断する(ステップS2505)。ここで、予めセットされたラウンド数に達していれば(ステップS2505:YES)、主制御MPU4100aは、小当たりフラグをOFF状態にし(ステップS2508)、処理フラグを「0」に更新して(ステップS2509)、特別電動役物小当たり制御処理を終了する。
一方、上述のステップS2505において、予めセットされたラウンド数に達していなければ(ステップS2505:NO)、主制御MPU4100aは、所定のラウンド間時間(ラウンド間のインターバル)が経過しているか否かを判断する(ステップS2506)。主制御MPU4100aは、ラウンド間時間が経過していないと判断すると(ステップS2506:NO)、そのまま特別電動役物小当たり制御処理を終了する。ラウンド間時間が経過したと判断すると(ステップS2506:YES)、主制御MPU4100aは、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開放処理を行い(ステップS2507)、特別電動役物小当たり制御処理を終了する。
[装飾図柄の変動表示等を含む演出表示について]
ところで、本実施形態のパチンコ機1では、第一始動口2001や第二始動口センサ2349への遊技球の始動入賞を契機として抽出された第一、第二特別図柄抽選単位データに応じて(特別抽選結果に応じて)、機能表示ユニット640の第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642が変動表示される他に、液晶表示装置1400において、特別乱数(特別抽選結果)に応じた演出画像が表示されるようになっている。演出画像の一例としては、液晶表示装置1400において、複数の異なる装飾図柄からなる一連の図柄列が複数列(例えば、三列)表示された状態で各装飾図柄列の変動表示が開始され、その後に、順次停止表示され、最終的に全ての装飾図柄列が停止表示されると、停止表示された装飾図柄の組合せによって、当該変動における特別抽選結果が遊技者側に示唆されるようになっている。つまり、始動入賞による特別抽選結果に応じて、複数の装飾図柄列が変動表示された後に特別抽選結果を示唆するように停止表示される演出画像が表示されるようになっている。なお、第一及び第二特別図柄表示器641、642の特別図柄よりも、液晶表示装置1400に表示される装飾図柄の方が大きく見易いため、一般的に遊技者は液晶表示装置1400に表示された装飾図柄に注目することとなる。
また、液晶表示装置1400には、始動入賞に係る演出表示だけでなく、「大当り」遊技中に表示される「大当り遊技演出画像」も表示可能とされている。なお、これらの演出は、液晶表示装置1400だけではなく、サブ液晶ユニット2350においても行われるようになっている。つまり、互いに関連する二つの演出を液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350で同時に表示させることにより、視覚的な面白みがあり、臨場感の高い演出を行うことが可能になっている。
なお、第一特別図柄表示器641や第二特別図柄表示器642での特別図柄の変動表示は、主制御基板4100によって直接制御されるようになっているのに対して(図220を参照)、液晶表示装置1400及びサブ液晶ユニット2350での図柄の変動表示は、主制御基板4100から周辺制御基板4140へ送信される抽選結果に係るコマンドに基づいて周辺制御基板4140及び液晶制御基板3181によって制御されるようになっている。これにより、特に遊技者が注目する液晶表示装置1400での図柄の変動表示を周辺制御基板4140等で制御するようにしているので、主制御基板4100から送信されてくる抽選結果に係る或る一つのコマンドに対して、複数の図柄の変動パターンを予め用意して液晶表示装置1400における図柄の変動パターンをより多くすることができる。また、「大当り」遊技中等に表示される「大当り遊技演出画像」等も周辺制御基板4140等で制御されるようになっており、様々なパターンの演出画像が予め用意されている。これにより、主制御基板4100における演算処理の負荷を高めることなく表示される演出画像の表示パターンを増やすことができ、遊技者をより楽しませて飽きられ難いパチンコ機1とすることができるようになっている。
なお、本実施形態におけるパチンコ機1における演出画像の表示形態について説明する。図246は、第1の表示形態時におけるパチンコ機1の正面図である。第1の表示形態は、サブ液晶ユニット2350が、可動部ユニット2401、第一役物ユニット2370、左可動部ユニット2378によって覆い隠されている。このため、第1の表示形態では、遊技者は、液晶表示装置1400の表示画面(以下、メイン液晶画面PNMとも呼ぶ。)を視認できるものの、サブ液晶ユニット2350の表示画面(以下、サブ液晶画面PNSとも呼ぶ。)を視認できない。
図247は、第2の表示形態時におけるパチンコ機1の正面図である。第2の表示形態では、遊技者は、液晶表示装置1400のメイン液晶画面PNMと、サブ液晶ユニット2350のサブ液晶画面PNSを両方視認することができる。第1の表示形態から第2の表示形態に移行する際には、第一役物ユニット2370の左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379を下方に移動させるとともに、第二役物ユニット2400の可動部ユニット2401を斜め後方に回動させることで、サブ液晶画面PNSが視認できない状態(図246参照)から、視認可能な状態(図247参照)へ切り替えるようになっている。これにより、機械的な演出と、画像による演出とを組み合わせて、立体的で臨場感のある演出を行わせることが可能である。特に、サブ液晶ユニット2350の前面を開放する際には、可動部ユニット2401と左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379とは、互いに異なる方向に移動することから、サブ液晶ユニット2350の前方に形成された一つの遮蔽壁が分散するようなイメージを喚起させることができ、視覚的な面白さをさらに高めることが可能である。
図248は、シャッター型役物が閉状態となっている状態のパチンコ機1の正面図である。なお、図246では、シャッター型役物が完全に開状態となっている。シャッタ型役物3002は、可動されるようになっており、4枚のシャッター3010,3030,3050,3070が液晶表示装置1400の前方で開閉されるようになっている。特に、各シャッター3010,3030,3050,3070は、透明の装飾板3011,3031,3051,3071に、電飾体3012,3013,3032,3033,3053,3072が配設されているため、液晶表示装置1400の前方が遮蔽された状態でも、各電飾体とメイン液晶画面PNMとを前後方向に重ねて視認させることができ、立体的な演出を楽しませることが可能になる。
図249は、振分演出装置3125が演出位置(上側停止位置)まで上昇した状態のパチンコ機1の正面図である。本パチンコ機1における大当たり遊技中には、図249に示すように、振分演出装置3125が演出位置(上側停止位置)まで上昇し、遊技球を用いた振分演出が行われる場合がある。当該振分演出の詳細については後述する。
[演出表示の具体例]
[通常モード]
図250は、通常モードにおけるメイン液晶画面PNMと、サブ液晶画面PNSの内容の一例を示す図である。通常モードは、外部通常遊技状態A、Bにおける遊技モードである。図250に示す例では、特別図柄の変動中に最も高い頻度で表示される演出表示内容の一例を示している。
図250に示す例では、本実施形態のパチンコ機1は、上述した第1の表示形態となっている。すなわち、サブ液晶画面PNSは、可動部ユニット2401、第一役物ユニット2370、左可動部ユニット2378によって覆い隠されている。以下の図面では、サブ液晶画面PNSが、可動部ユニット2401、第一役物ユニット2370、左可動部ユニット2378によって覆い隠されている状態を、サブ液晶画面PNSの枠の中に「閉」の文字を記載することによって表している。この状態では、遊技者は、サブ液晶画面PNSに表示されている画像を視認することができないとともに、サブ液晶画面PNSの存在を視認することもできない。以下では、特にサブ液晶画面PNSについて図示しない場合、サブ液晶画面PNSは、サブ液晶画面PNSが、可動部ユニット2401、第一役物ユニット2370、左可動部ユニット2378によって覆い隠されているものとする。
通常モードでは、ほとんどの場合、第1の表示形態で演出が表示され、メイン液晶画面PNMに演出画像を表示することによって演出が進行する。例えば、通常モードでは、背景画像HKBを背景として、装飾図柄の図柄列群が表示される。図柄列群は、3列の図柄列1153a、1153b、1153cで構成されている。遊技者から見て左側に表示される図柄列を左図柄列1153a、遊技者から見て真ん中に表示される図柄列を中図柄列1153b、遊技者から見て右側に表示される図柄列を右図柄列1153cと呼ぶ。本実施形態では、装飾図柄の各図柄列1153a〜1153cには、0〜9の複数の装飾図柄が順に配列されて変動表示または停止表示される。特別図柄の変動中には、メイン液晶画面PNMにおいて、各図柄列1153a、1153b、1153cにおいて、それぞれ、装飾図柄を変動表示させた後、各図柄列1153a、1153b、1153cの図柄停止位置にそれぞれ一つの装飾図柄を停止表示される。そして、各図柄列1153a、1153b、1153cの図柄停止位置された装飾図柄の組み合わせで当該変動に対応する特別抽選結果を遊技者に通知する。例えば、特別抽選結果が、大当たりA、Bであることを通知する装飾図柄の組み合わせは、いわゆるゾロ目(各図柄列の停止図柄が同一の装飾図柄となること)とされる。
また、メイン液晶画面PNMの下側領域の中央部には、水晶を示す水晶画像FCRが表示されており、水晶画像FCRの左右には、特別図柄抽選単位データの保留を表す保留表示が表示可能とされている。本実施形態のパチンコ機1では、水晶画像FCRの左側に第一特別図柄抽選単位データの保留を表す保留表示HR1が表示され、水晶画像FCRの右側に第二特別図柄抽選単位データの保留を表す保留表示HR2が表示される。遊技者は、保留表示の数によって、現在の第一特別図柄保留数、および、第二特別図柄保留数を認識することが可能である。図250の例では、第一特別図柄保留数および第二特別図柄保留数がそれぞれ「2」である状態が示されている。
本実施形態のパチンコ機1では、第一特別図柄保留数最大値は、「4」であるので、水晶画像FCRの左側には最大で4つまで保留表示HR1が表示されうる。また、第二特別図柄保留数最大値は、「4」であるので、水晶画像FCRの右側には最大で4つまで保留表示HR2が表示されうる。
水晶画像FCRに近い側の保留表示HR1ほど、先に消化される第一特別図柄抽選単位データの保留を表している。「消化」されるとは、所定の始動条件が成立して、保留されていた特別図柄抽選単位データが上述した変動開始処理において処理対象とされることを意味している。保留表示HR1に対応する第一特別図柄抽選単位データが消化されると、当該保留表示HR1が水晶画像FCRの中に取り込まれる様が表示されて、当該保留表示HR1は消去される。複数の保留表示HR1が表示されているときに、一つの保留表示HR1が消去されると、残りの保留表示HR1が水晶画像FCRに近い位置に順次に移動表示される。また、特別図柄の変動中に、新たに、第一特別図柄抽選単位データが保留された場合には、既に表示されている保留表示HR1の左どなりに、新たな保留表示HR1が追加表示される。
同様にして、水晶画像FCRに近い側の保留表示HR2ほど、先に消化される第二特別図柄抽選単位データの保留を表している。保留表示HR2に対応する第二特別図柄抽選単位データが消化されると、当該保留表示HR2が水晶画像FCRの中に取り込まれる様が表示されて、当該保留表示HR2は消去される。複数の保留表示HR2が表示されているときに、一つの保留表示HR2が消去されると、残りの保留表示HR2が水晶画像FCRに近い位置に順次に移動表示される。また、特別図柄の変動中に、新たに、第二特別図柄抽選単位データが保留された場合には、既に表示されている保留表示HR2の右どなりに、新たな保留表示HR2が追加表示される。
本装飾図柄1157は、第一特別図柄表示器641および第二特別図柄表示器642に表示される特別図柄に対応して変動および停止表示される。本実施形態では、本装飾図柄1157は、図250に示すように、2つの小さな円形画像が横方向に並んだ構成とされている。本装飾図柄1157は、遊技機において遊技が行われている最中は、常にメイン液晶画面PNMのの同じ位置に表示されているが、本明細書では、図の煩雑を避けるため、以降の図面では、その図示を省略する。なお、本装飾図柄1157は、図250では図を見やすくするため大きく表示しているが、実際には極めて小さく、例えば、本装飾図柄1157を構成する円形画像は数ピクセルから15ピクセル程度の大きさである。このため、本装飾図柄1157は、表示されていても、遊技者にほとんど意識されることはなく、メイン液晶画面PNM上に表示されている演出画像の妨げには、実質的になり得ない。
[保留先読み演出]
本実施形態のパチンコ機1では、上述した保留表示を用いて保留表示に対応する特別図柄抽選単位データが変動開始処理にて処理対象とされて大当たり抽選に供された場合に大当たりとなる期待度(大当たり期待度とも呼ぶ)を示す保留先読み演出が行われる。この保留先読み演出について説明する。図251は保留表示処理の処理ステップを示すフローチャートである。保留表示処理は、周辺制御MPU4140aが、主制御基板4100の主制御MPU4100aから上述した入賞通知コマンド(第1種入賞通知コマンドまたは第2種入賞通知コマンド)を受信したときに開始される。保留表示処理は、周辺制御MPU4140aが行う他の処理、例えば、特別図柄の変動中に行われる液晶表示装置1400等を用いた演出を制御する変動中演出処理(後述)を妨げることなく、並列して実行される。
保留表示処理が開始されると、周辺制御MPU4140aは、受信した入賞通知コマンドが第2種入賞通知コマンドか否かを判断する(ステップS501)。入賞通知コマンドが先行判定結果を示さない第1種入賞通知コマンドである場合には、周辺制御MPU4140aは、受信した入賞通知コマンドが第2種入賞通知コマンドでないと判断して(ステップS501:NO)、通常保留表示を行う(ステップS507)。
図252は、メイン液晶画面PNMに表示される保留表示の部分の一例を示す図である。図252に示す細い六角形の画像が本実施形態のパチンコ機1における通常保留表示HR1である。通常保留表示は、当該保留表示に対応する特別図柄抽選単位データが変動開始処理において処理対象とされた場合における大当たり期待度を示唆しない保留表示である。通常保留表示HR1は、最も出現頻度が高いため、最も低い大当たり期待度を示唆する保留表示であるとも言える。
受信した入賞通知コマンドが第2種入賞通知コマンドであると判断すると(ステップS501:YES)、主制御MPU4100aは特別保留表示を行うか否かを決定する特別保留表示抽選を行う(ステップS502)。特別保留表示は、当該保留表示に対応する特別図柄抽選単位データが変動開始処理において処理対象とされた場合における大当たり期待度を示唆する保留表示である。特別保留表示抽選は、第2種入賞通知コマンドに示された先行判定結果に応じて異なる当選確率で行われる。例えば、第2種入賞通知コマンドに示された先行判定結果が「リーチ無しハズレ」である場合には、極めて低い当選確率で特別保留表示抽選を行うこととし、第2種入賞通知コマンドに示された先行判定結果が「高期待リーチハズレ」や「大当たりのいずれか」である場合には、比較的高い確率のモード移行抽選を行うこととする。こうすることで、特別保留表示が、比較的大当たり期待度が高いときに行われやすくしている。
特別保留表示抽選の結果が当選でない場合には(ステップS503:NO)、周辺制御MPU4140aは、通常保留表示を行う(ステップS507)。一方、特別保留表示抽選の結果が当選である場合には(ステップS503:YES)、周辺制御MPU4140aは、ボタン保留表示とするか否かを決定する(ステップS504)。例えば、特別保留表示を行う場合の70%は、ボタン保留表示としないこととし、30%は、ボタン保留表示とすることとしても良い。
周辺制御MPU4140aは、ボタン保留とするか否かを決定すると、特別保留表示の種別を決定する(ステップS505)。図253は、特別保留表示の種別について説明する図である。例えば、特別保留表示として、4種類の画像が用意されている。第1の特別保留表示HR1Uは、通常保留表示と同じ細い六角形の画像に、所定の色の装飾を施した画像である。第2の特別保留表示HR1Vは、アルファベットのSが付されたエンブレムを表した画像である。第3の特別保留表示HR1Wは、銀色の宝石を表した画像である。第4の特別保留表示HR1Xは、金色の宝石を表した画像である。この4種類の特別保留表示は、特別図柄抽選単位データが保留されていることを示すとともに、当該保留表示に対応する特別図柄抽選単位データが変動開始処理において処理対象とされた場合における大当たり期待度を示唆しており、本実施形態では、図253に示すように、第1の特別保留表示HR1U、第2の特別保留表示HR1V、第3の特別保留表示HR1W、第4の特別保留表示HR1Xの順に大当たり期待度が高いことを表している。例えば、第1の特別保留表示HR1Uの大当たり期待度は10%、第2の特別保留表示HR1Vの大当たり期待度は30%、第3の特別保留表示HR1Wの大当たり期待度は50%、第4の特別保留表示HR1Xの大当たり期待度は70%となるように、設定される。このような大当たり期待度の設定は、周辺制御MPU4140aが、主制御MPU4100aから受け取った第2種入賞通知コマンドに示されている先行判定結果に基づいて、所定の振り分けテーブルを用いて特別保留表示の種別を決定することによって実現される。
特別保留表示の種別が決定されると、周辺制御MPU4140aは、特別保留表示を表示する(ステップS506)。ここで、ステップS504において、ボタン保留表示を行うと決定されている場合には、周辺制御MPU4140aは、ステップS505において決定された特別保留表示を表示することなく、図252(A)の左端に示すボタン保留表示HRBを表示する。一方で、ステップS504において、ボタン保留表示を行わないと決定されている場合には、周辺制御MPU4140aは、ステップS505において決定された特別保留表示を表示する。ボタン保留表示HRBは、通常保留表示HR1の画像に本実施形態における操作受け付け手段としての操作ボタンユニット370の画像BTN1(ボタン画像)を重ねた画像である。ボタン保留表示HRBは、保留表示を操作受け付け手段の操作を遊技者に促す表示(ボタン画像BTN1)と関連付けた表示態様であると言える。
ボタン保留表示HRBが表示された変動において、遊技者が操作受け付け手段としてのメインボタン371を押下すると、図252(B)に示すように、周辺制御MPU4140aは、ボタン保留表示HRBを、ステップS505において決定された特別保留表示に変更する。図252(B)の例では、ボタン保留表示HRBが、第4の特別保留表示HR1Xに変更されている。一方、ボタン保留表示HRBが表示された変動において、遊技者が操作受け付け手段としての操作ボタンユニット370のメインボタン371を押下しない場合には、ステップS505において決定された特別保留表示に変更されずに、先に表示された保留表示に対応する特別図柄抽選単位データが消化されても、ボタン保留表示HRBのまま移動していく(図252(C))。
そして、ボタン保留表示HRBが表示された変動後の変動中であっても、ボタン保留表示HRBに対応する特別図柄抽選単位データが消化されて、ボタン保留表示が消去される前であれば、いつでも遊技者がメインボタン371を押下したタイミングで、図252(D)に示すように、周辺制御MPU4140aは、ボタン保留表示HRBを、ステップS505において決定された特別保留表示に変更する。すなわち、遊技者がメインボタン371を押下しない限り、ボタン保留表示HRBが表示された変動後、ボタン保留表示HRBに対応する特別図柄抽選単位データが消化される直前の変動まで、複数回の変動に亘ってボタン保留表示HRBは表示され続けうる。そして、ボタン保留表示HRBが表示されている間は、いつでも遊技者は好みのタイミングにてメインボタン371を押下して、ボタン保留表示HRBを、ステップS505において決定された特別保留表示に変更させることができる。
すなわち、ボタン保留表示HRBに対応するメインボタン371の押下を受け付ける有効期間は、ボタン保留表示HRBが表示されてから、ボタン保留表示HRBに対応する特別図柄抽選単位データが消化されて、ボタン保留表示HRBが消去されるまでである。当該有効期間がどの程度残っているかは、保留が順次に消化されて行くに連れてボタン保留表示HRBが、順次に水晶画像FCRに近づいていく様を見れば、遊技者は理解できるので、水晶画像FCRおよび水晶画像FCRの横に並んだ保留表示(通常保留表示HR1やボタン保留表示HRB)は、ボタン保留表示HRBに対応するメインボタン371の押下を受け付ける有効期間を遊技者に示唆する操作有効期間示唆表示であると言える。
次に、第一特別図柄保留記憶手段4214または第二特別図柄保留記憶手段4224に記憶されている特別図柄抽選単位データについて始動条件が成立したときに、主制御基板4100aから送信されてくる変動中演出コマンド(変動パターンを示すコマンドを含む)を周辺制御MPU4140aが受信したときに、周辺制御MPU4140aが実行する変動中演出処理について説明する。図254は、変動中演出処理の処理ステップを示すフローチャートである。
変動中演出処理が開始されると、周辺制御MPU4140aは、変動中演出コマンドを解析して(ステップS701)、変動中演出の内容を決定する(ステップS702)。具体的には、装飾図柄の変動態様や、リーチの有無や種別、チャンスアップキャラクタの表示の有無、後述する変動中ボタン表示演出を行うか否か、最終的に停止させる装飾図柄などを、変動中演出コマンドによって特定される変動パターンなどに基づいて決定する。周辺制御MPU4140aは、変動中演出の内容を決定すると、決定した内容の変動中演出を実行する(ステップS703)。具体的には、演出導出手段(液晶表示装置1400やサブ液晶ユニット2350、シャッタ型役物3002、下側役物ユニット3003、その他のランプ類やスピーカ121等)を制御して変動中演出を実行する。
この変動中演出処理と、保留表示処理は、互いに妨げあうことなく、主制御基板4100aから対応するコマンド(変動中演出処理の場合は変動中演出コマンド、保留表示処理の場合は入賞通知コマンド)を受信したタイミングでそれぞれ行われる。したがって、保留表示処理では、主制御MPU4100aにおいて取得された特別図柄抽選単位データのうちの第1の特別図柄抽選単位データより始動条件の成立が遅く特別図柄保留記憶手段4214、4224に保留される第2の特別図柄抽選単位データについて期待度示唆演出の導出(第1の特別保留表示HR1U等を表示すること)を、第1の特別図柄抽選単位データについての変動中演出の内容が決定されているか否かに拘わらず決定しうると言える。
そして、保留表示処理では、ボタン保留とする場合には、期待度示唆演出の導出(第1の特別保留表示HR1U等を表示すること)が決定しているにも拘わらず、周辺制御MPU4140aは、遊技者がメインボタン371を押下するまで、期待度示唆演出の導出を行わないので、当該導出を待機させていると言える。
また、周辺制御MPU4140aは、解除条件としてのメインボタン371の押下がなされたと判定された場合に、即時に、他の特別図柄抽選単位データ(上記第1の特別図柄抽選単位データ等)についての処理のいかんに関わらず、期待度示唆演出の導出(第1の特別保留表示HR1U等を表示すること)を行う。すなわち、解除条件としてのメインボタン371の押下がなされたと判定された場合には、他の特別図柄抽選単位データ(第1の特別図柄抽選単位データや、第1の抽選データより始動条件の成立が遅く第2特別図柄抽選単位データより始動条件が早い特別図柄抽選単位データ等)についての演出内容が決定しているか否か、および、これらの他の特別図柄抽選単位データについての変動中演出が実行(導出)されているか否かに拘わらず、期待度示唆演出の導出の待機を解除して期待度示唆演出の導出に導出させうると言える。
続いて、ボタン保留表示HRBが表示されているときの変動において、当該変動に対応する特別抽選に関する演出表示(変動中演出)において、ボタン保留表示HRBとは無関係に、操作ボタンユニット370の操作を遊技者に促す表示が表示された場合について、説明する。図255は、変動中において、当該変動に対応する特別抽選に関する演出表示の一例を示す図である。図255(A)では、保留されている特別図柄抽選単位データを示す保留表示としてボタン保留表示HRBが表示されていると共に、現在の変動に対応する特別抽選に関する演出表示(変動中演出)の一部として、操作ボタンユニット370の操作を遊技者に促す表示としてのボタン画像BTN2と、「リーチを選べ」という文字表示TL1と、「PUSH」という文字表示TL2とが表示されている。このボタン画像BTN2および文字表示TL1、TL2は、現在の変動に対応する特別抽選に関する演出として、3種類のリーチ(例えば、図255の例では、Aリーチ、Bリーチ、Cリーチ)の中から一のリーチを遊技者に選択させるために、操作ボタンユニット370を操作することを遊技者に促す表示である。すなわち、この変動中演出は、操作ボタンユニット370の操作(具体的にはメインボタン371の押下)を遊技者に促す表示を行い、メインボタン371の押下を遊技者から受け付けた場合に当該押下を受け付けなかった場合とは異なる内容の表示を行う操作分岐演出の一例である。
上述したように変動中演出処理と、保留表示処理は、互いに妨げあうことなく実行されるため、このように、ボタン保留表示HRBと、変動中演出に含まれるボタン受け付け演出のためのボタン画像BTN2の表示が同時になされることが起こりうる。
図255(A)に示す状態で、遊技者が操作ボタンユニット370のメインボタン371を押下すると、当該メインボタン371の押下は、ボタン保留表示HRBに対する応答としてのメインボタン371の押下とは扱われず、変動中演出の一部としてのボタン画像BTN2に対する応答としてのメインボタン371の押下と扱われる。すなわち、周辺制御MPU4140aは、当該メインボタン371の押下に対して、ボタン保留表示HRBを特殊保留表示に変更することをせず、3種類のリーチの中から一のリーチが選択される表示を行う(図255(B))。この例では、「Aリーチ」が選択されたことを示す文字表示TL3と、「Aリーチ」に対応するカットイン画像HCUとが表示されている。この結果、図255(A)に示す状態で、遊技者が操作ボタンユニット370のメインボタン371を押下しても、ボタン保留表示HRBは、そのまま維持される。
すなわち、変動中演出中におけるボタン画像BTN2の表示と、ボタン保留表示HRBが同時に行われた場合には、当該変動中にメインボタン371が押下が受け付けられた場合であっても期待度示唆演出の導出(第1の特別保留表示HR1U等を表示すること)を待機を解除するための解除条件を成立させない。
なお、本実施形態のパチンコ機1では、ボタン保留表示HRBと、変動中演出の一部としてのボタン画像BTN2が同時に表示された場合には、当該変動中に遊技者が多数回に亘ってメインボタン371を押下したとしても、当該変動中には、ボタン保留表示HRBは特殊保留表示に変更されない。すなわち、期待度示唆演出の導出(第1の特別保留表示HR1U等を表示すること)を当該変動の次の変動まで待機させる。そして、次回の変動に移った後に遊技者がメインボタン371を押下した場合に、周辺制御MPU4140aは、ボタン保留表示HRBを特殊保留表示に変更する。
以上説明したボタン保留表示HRBを用いた先読み演出によれば、主制御MPU4100aによる先行判定処理による先行判定結果を利用して、保留表示を大当たりとなる期待度を示唆する特殊保留表示とするかを判断して、保留表示を特殊保留表示とすると判断された場合に、保留表示を特殊保留表示とすることに先立って、ボタン保留表示HRBを表示する。そして、遊技者によるメインボタン371の押下操作を受け付けたときにボタン保留表示HRBを特殊保留表示に変更する。この結果、ボタン保留表示HRBを表示したタイミングからボタン保留表示HRBに対応する抽選情報が消化される(始動条件が成立する)までの間に、遊技者は好みのタイミングでメインボタン371を押下して、そのタイミングで特殊保留表示を表示させて、大当たり期待度を認識することができる。
例えば、遊技者は、実際の抽選処理が行われるまで大当たり期待度を知りたくない場合には、メインボタン371を押下しなければ良く、早く当たり期待度を知りたい場合には、メインボタン371を押下すれば良い。この結果、実際に液晶表示装置1400によって大当たりが報知されて当たりであることを遊技者が知るときより、どの程度前に大当たり期待度を知るかを、遊技者の好みで選択することができる。その結果、様々な遊技者に対して遊技の興趣を向上して、遊技意欲の低下を抑制することができる。
さらに、変動中演出にメインボタン371の操作を受け付ける操作分岐演出と、ボタン保留表示HRBとが同時に表示された場合において、メインボタン371の押下は、変動中演出における操作分岐演出のための操作として扱われるため、遊技者は、ボタン保留表示HRBを特殊保留表示に変更することなく、変動中演出における操作分岐演出を楽しむことができる。この結果、ボタン保留表示HRBを意図せず特殊保留表示に変更したり、逆に、ボタン保留表示HRBを特殊保留表示に変更したくないがために、変動中演出における操作分岐演出を十分に楽しむことができずに、遊技者の遊技意欲が減退することを抑制することができる。
さらには、ボタン保留表示HRBと、変動中演出の一部としてのボタン画像BTN2が同時に表示された場合には、当該変動中に遊技者が多数回に亘ってメインボタン371を押下したとしても、当該変動中には、ボタン保留表示HRBは特殊保留表示に変更することなく、次回以降の変動において遊技者がメインボタン371を押下した場合に、ボタン保留表示HRBを特殊保留表示に変更するので、例えば、変動中演出におけるボタン画像BTN2に反応して興奮した遊技者がメインボタン371を連打した場合においても、ボタン保留表示HRBを遊技者の意図に反して特殊保留表示に変更してしまうことを抑制することができる。この結果、遊技者に変動中演出を十分に楽しんでもらうことができるとともに、ボタン保留表示HRBを用いた演出も十分に楽しんでもらうことができ、遊技者の遊技意欲が減退することを抑制することができる。
なお、変動中演出の一部としてのボタン画像BTN2が表示された場合においてメインボタン371の押下を受け付ける有効期間は、変動中演出が間延びしないように比較的短く設定されるため、遊技者によっては有効時間内にメインボタン371を押下できず、その結果、メインボタン371の押下に対応して表示される変動中演出を見ることができないことが起こりうる。これに対して、ボタン保留表示HRBを表示する先読み演出では、メインボタン371の押下を受け付ける有効期間を複数の変動に亘る長時間にすることができるので、遊技者は余裕を持って、特殊保留表示による大当たり期待度の示唆という興味深い演出をみることができる。
また、保留中の特別図柄抽選単位データの抽選結果に関する期待度示唆演出を保留表示の表示領域で行うので、保留中の特別図柄抽選単位データの抽選結果に関する期待度示唆演出が表示されることによって、変動中演出の妨げになることを抑制することができる。すなわち、保留中の特別図柄抽選単位データの抽選結果に関する期待度示唆演出をメインボタン371が押下されたタイミングで導出する場合、このような期待度示唆演出が表示されるタイミングは遊技者に委ねられるので、仮にこのような期待度示唆演出をメイン液晶画面PNMの他の領域、例えば、中央付近に表示することとすると、変動中演出の妨げになってしまうおそれがあるが、変動中演出を妨げない位置に配置されている保留表示の表示領域で行うことで変動中演出の妨げになることを抑制することができる。
また、始動条件が成立した特別図柄抽選単位データに関する変動中演出のためのボタン画像BTN2と、保留中の特別図柄抽選単位データに関する期待度示唆演出のためのボタン保留表示HRBとが同時になされ得るので、遊技者は複数の変動で期待度の高い期待度示唆演出がなされる可能性を感じるので、一つの変動ではずれになっても過度に落胆することもなく、後の変動への期待を繋ぐことができる。また、保留中の特別図柄抽選単位データに関する期待度示唆演出の導出は、次の変動までおあずけにすることで、遊技者の期待感を長い期間に亘って維持することができる。
さらには、保留が順次に消化されて行くに連れてボタン保留表示HRBが、順次に水晶画像FCRに近づいていく様を見れば、遊技者は理解できる(ボタン保留表示HRBに対応するメインボタン371の押下を受け付ける有効期間が遊技者に示唆されている)ので、水晶画像FCRおよび水晶画像FCRの横に並んだ保留表示(通常保留表示HR1やボタン保留表示HRB)は、ボタン保留表示HRBがに対応するメインボタン371の押下を受け付ける有効期間を遊技者に示唆する操作有効期間示唆表示であると言える。
次に、本実施形態のパチンコ機1では実施されていない保留演出の変形例について説明する。下記に説明する以外の構成は本実施形態のパチンコ機1の構成と同一であるのでその説明を省略する。図256は、同時に複数のボタン保留表示HRBが表示される例を示す図である。図256では、図255に示す場合と同様に、ボタン保留表示HRBと、変動中演出に含まれるボタン受け付け演出のためのボタン画像BTN2の表示が同時になされた場合の変形例である。処理は、本実施形態のパチンコ機1と同様に、ボタン受け付け演出のためのボタン画像BTN2についてのメインボタン371の受け付けが優先され、ボタン保留表示HRBについてのメインボタン371の受け付けは、次の変動まで無効とされる。本変形例では、変動中演出に含まれるボタン受け付け演出のためのボタン画像BTN2が表示された時点で、ボタン保留表示HRBの表示態様を変更して、メインボタン371の受け付けが無効になっていることを遊技者に示唆している。具体的には、ボタン保留表示HRBのうえにボタン保留表示HRBについての受け付けが無効になっていることを示す受付無効マークMKUが表示されている。この受付無効マークMKUは、ボタン受け付け演出のためのボタン画像BTN2が表示された変動が終了し、次変動となってボタン保留表示HRBについてのメインボタン371の受け付けが有効とされたときに消去される。
この結果、遊技者は、メインボタン371を押下(操作)すれば、当該押下がボタン受け付け演出のためのボタン画像BTN2として扱われ、ボタン保留表示HRBに変わって期待度示唆演出の導出(第1の特別保留表示HR1U等を表示すること)は行われないことを理解できるので、複数のボタン表示がなされたことによる遊技者の困惑を抑制することができる。なお、メインボタン371の受け付けが無効になっていることを遊技者に示唆する表示態様としては、ボタン保留表示HRBにおけるボタン画像BTN1を小さく表示することでも良いし、ボタン保留表示HRBにおけるボタン画像BTN1を半透明に表示することでも良いし、ボタン保留表示HRBにおけるボタン画像BTN1を小さく、かつ、半透明に表示することでも良い。
ところで、本実施形態のパチンコ機1では、最大8個まで同時に表示される保留表示のうち複数がボタン保留表示HRBとすることが無いように制御されているが、同時に複数のボタン保留表示HRBとされても良い。下記に説明する以外の構成は本実施形態のパチンコ機1の構成と同一であるのでその説明を省略する。図257は、同時に複数のボタン保留表示HRBが表示される例を示す図である。
図257(A)に示す例では、第一特別図柄について消化順が2番目の保留表示と、4番目の保留表示とが、ボタン保留表示となっている。図257(A)において消化順が2番目の保留表示をボタン保留表示HRB3と呼び、4番目の保留表示をボタン保留表示HRB4と呼ぶ。この場合、先に消化されるボタン保留表示HRB1のためのメインボタン371の受け付けが優先される。すなわち、同時に2以上の保留表示がボタン保留表示となっている場合、最も消化順の早いボタン保留のためのメインボタン371の受け付けが有効となり、それ以外のボタン保留のためのメインボタン371の受け付けは無効となる。図257(A)に示すように、メインボタン371の受け付けが有効なボタン保留表示HRB3には、明瞭で大きなボタン画像BTNXが表示される。一方、メインボタン371の受け付けが無効なボタン保留表示HRB4には、小さく半透明なボタン画像BTNYが表示される。
そして、メインボタン371が押下され、ボタン保留表示HRB3が第1の特別保留表示HR1U等の期待度示唆表示に変更されると、当該変更がなされた次の変動から消化順の遅いボタン保留表示HRB4のためのメインボタン371の受け付けが有効となる。図示は省略するがボタン保留表示HRB4のためのメインボタン371の受け付けが有効となると、ボタン保留表示HRB2に表示されるボタン画像は、小さく半透明なボタン画像BTNYから明瞭で大きなボタン画像BTNXに変更される。
なお、ボタン保留表示が複数表示された場合、そのボタン保留表示の表示の契機となった遊技球の入賞順序に拘わらず、ボタン保留表示の消化順に従って、メインボタン371の受け付けが有効となる。例えば、図257(B)に示す例では、第一特別図柄について消化順が2番目の保留表示と、第二特別図柄について消化順が2番目の保留表示とが、ボタン保留表示となっている。図257(B)において第二特別図柄の消化順が2番目の保留表示をボタン保留表示HRB5と呼び、第一特別図柄の消化順が2番目の保留表示をボタン保留表示HRB6と呼ぶ。
ここで、第二特別図柄が第一特別図柄より優先的に消化される第二特別図柄優先消化の遊技機では、ボタン保留表示HRB5の方が消化順序が早いので、ボタン保留表示HRB5のためのメインボタン371の受け付けが有効となり、ボタン保留表示HRB6のためのメインボタン371の受け付けが無効となる。このため、図257(B)に示す例では、ボタン保留表示HRB5に表示されるボタン画像は、明瞭で大きなボタン画像BTNXとなっており、ボタン保留表示HRB6に表示される画像は小さく半透明なボタン画像BTNYとなっている。
この変形例によれば、複数の保留表示がボタン保留表示HRBになり得るので、遊技者は複数の変動で期待度の高い期待度示唆演出がなされる可能性を感じるので、一つの変動ではずれになっても過度に落胆することもなく、後の変動への期待を繋ぐことができる。また、保留中の特別図柄抽選単位データに関する期待度示唆演出の導出は、次の変動までおあずけにすることで、遊技者の期待感を長い期間に亘って維持することができる。また、メインボタン371の受け付けが有効になっているボタン保留表示HRBにおけるボタン画像と、無効になっているボタン保留表示HRBのボタン画像とで表示態様を変えているので、遊技者は、メインボタン371を押下すれば、どのボタン保留表示が大当たり期待度を示唆する特殊保留表示に変わるのかが容易に理解できるので、複数のボタン保留表示HRBがなされたことによる遊技者の困惑を抑制することができる。
次に、本実施形態のパチンコ機1では、実施されていないがメインボタン371を用いた保留演出の変形例としてボタンステップアップ保留演出について説明する。下記に説明する以外の構成は本実施形態のパチンコ機1の構成と同一であるのでその説明を省略する。図258は、ボタン保留ステップアップ演出について説明する図である。
ボタンステップアップ演出では、図251に示すフローチャートのステップS506において、ステップS505において特別保留表示の種別が決定しているにも拘わらず、通常保留表示HR1と、ボタン画像BTN7と、ボタンを連打することを遊技者に促すメッセージMSGとを表示する(図258(A))。
このとき、遊技者がメインボタン371を押下すると、ステップS505において高い大当たり期待度を示す特別保留表示を表示すると決定されていても、最初は、ステップS505において決定された特別保留表示より低い大当たり期待度を示す特別保留表示が表示される。そして、遊技者がメインボタン371を、さらに連打すると、最終的にステップS505において決定された特別保留表示が表示される。
図258を参照しながら、図251に示すステップS505において決定された特別保留表示が第4の特別保留表示HR1Xであった場合について説明する。図258(A)に示す状態において、遊技者がボタンを連打すると、図258(B)〜(D)に示すように、図258(A)では通常保留表示HR1であって保留表示が、第2の特別保留表示HR1V、第3の特別保留表示HR1W、第4の特別保留表示HR1Xというように変化していく。すなわち、低い大当たり期待度を示す特別保留表示から高い大当たり期待度を示す特別保留表示に、段階的に変化していく。例えば、メインボタン371が一度押下される度に、周辺制御MPU4140aが1/3の確率で当選する抽選を行い、当該抽選に当選する度に、一段階つずつ高い大当たり期待度を示す特別保留表示に変化させる制御を行う。そして、ステップS505において決定された特別保留表示が表示された時点で、メインボタン371の押下の受け付けを終了して、ボタンステップアップ演出を終了する。
なお、ボタンステップアップ演出のためのメインボタン371の有効期間は、ボタンステップアップ演出の対象となる保留表示HR1が表示されてから、当該保留表示HR1に対応する特別図柄抽選単位データについて始動条件が成立して変動開始処理(図229)の処理対象とされるまで(消化されるまで)の間である。また、特別図柄の複数回の変動を跨いで、メインボタン371を押下して保留表示のステップアップを行うことができるようにされている。
以上説明したボタンステップアップ演出によれば、上述した本実施形態にパチンコ機1のおけるボタン保留表示HRBを用いた演出の作用・効果に加えて、以下のような作用・効果を奏する。すなわち、特殊保留表示を、周辺制御MPU4140aで定めた多段階でステップアップ表示できる。この結果、遊技者の高揚感を任意の多段階で段階的に高めて遊技の興趣を向上することができる。例えば、従来は、保留が消化する度に期待度を示唆する保留表示を、段階的に高い期待度を示唆する保留表示とする(ステップアップさせる)技術が知られている。この場合は、最大で保留数の上限(例えば、4個)から1を引いた回数までしか、ステップアップさせることができないし、例えば、2個目の保留表示では、ステップアップさせられる段階は1段階に限られてしまう。一方で、本ボタンステップアップ演出によれば、このような制限なく多数段階のステップアップを実現できるので、遊技者の高揚感を任意の多数段階で段階的に高めて遊技の興趣を向上することができる。
また、保留表示をステップアップさせるタイミングは、対象となる保留表示HR1が表示されてから消化されるまでの複数変動に亘る期間のうち、遊技者の好みのタイミングで行える。このため、遊技者は、例えば、大当たりの期待できそうにない比較的つまらない演出が変動中演出として表示されている変動で、保留表示のステップアップを楽しむことができる。
次に、本実施形態のパチンコ機1では実施されていないが、メインボタン371を用いた保留演出の変形例として不特定保留演出について説明する。下記に説明する以外の構成は本実施形態のパチンコ機1の構成と同一であるのでその説明を省略する。図259は、不特定保留演出について説明する図である。
不特定保留演出では、図251で示す保留表示処理のステップS504においてボタン保留とすることが決定された場合であっても、当該保留表示をボタン保留表示HRBとして表示することなく、通常保留表示HR1として表示する。そして、抽選によって定められたタイミングでボタン画像BTN8を水晶画像FCRの上に表示する(図259(A)参照)。抽選によって定められるタイミングは、例えば、1)ボタン保留とすることが決定された保留表示(対象保留表示と呼ぶ)を行った直後、2)対象保留表示の次の保留表示を行った直後、3)対象保留表示の後に2回の保留表示を行った直後、3)対象保留表示の後に3回の保留表示を行った直後のいずれかのタイミングに振り分けられる。ただし、抽選によって定められたタイミングで既に対象保留表示に対応する保留が消化されてしまっている場合は、ボタン画像BTN8の表示は実行されない。
この結果、ボタン画像BTN8が表示されたときに(図259(A)参照)、複数の通常保留表示HR1が表示されている場合、複数の通常保留表示HR1のうちのどれが対象保留表示であるかは遊技者には解らなくない。ボタン画像BTN8は、表示されている通常保留表示HR1に関連付けられてはいることは遊技者が理解できるものの、どの通常保留表示HR1に関連付けられているかは、遊技者に理解できない表示態様で表示されていると言える。
ここで、遊技者がメインボタン371を押下すると、表示されている通常保留表示HR1のうち、対象保留表示が特別保留表示に変更される。図259(B)では、消化順番が2番目(図259(B)では右から2番目)の通常保留表示HR1が対象保留表示であり、当該対象保留表示が第3の特別保留表示HR1Wに変更表示された例を示している。
本変形例によれば、遊技者は、どの程度高い期待度を示唆する特別保留表示が出現するかにどきどきできるとともに、どの保留表示に対応する抽選について特別保留表示が出現するかについても興味を引かれながら、メインボタン371を押下することになる。この結果、遊技者に新鮮な高揚感を与えうるボタン演出を実現することができ、遊技意欲の低下をより効果的に抑制することができる。
次に、本実施形態のパチンコ機1では実施されていないが、メインボタン371、および、メインボタン371の左右に一つずつ設けられたサブボタン372とを用いた保留演出の変形例である特別保留探索演出について説明する。下記に説明する以外の構成は本実施形態のパチンコ機1の構成と同一であるのでその説明を省略する。図260は、特別保留探索演出について説明する図である。
特別保留探索演出では、上述した不特定保留演出と同様に、図251で示す保留表示処理のステップS504においてボタン保留とすることが決定された場合であっても、当該保留表示をボタン保留表示HRBとして表示することなく、通常保留表示HR1として表示する。そして、抽選によって定められたタイミングでボタン画像BTN9と、大当たり期待度を示唆する特別保留表示に変更されうる保留表示を探索することを促すメッセージMSG2を表示する(図260(A)参照)。また、複数の通常保留表示HR1のいずれかを選択するためのカーソルCSL2がいずれかの通常保留表示HR1を選択している状態で表示される。抽選によって定められるタイミングは、例えば、1)ボタン保留とすることが決定された保留表示(対象保留表示と呼ぶ)を行った直後、2)対象保留表示の次の保留表示を行った直後、3)対象保留表示の後に2回の保留表示を行った直後、3)対象保留表示の後に3回の保留表示を行った直後のいずれかのタイミングに振り分けられる。ただし、抽選によって定められたタイミングで既に対象保留表示に対応する保留が消化されてしまっている場合、および、対象保留表示一つのみが保留表示として表示されている場合には、ボタン画像BTN9およびメッセージMSG2の表示は実行されない。
この結果、ボタン画像BTN9、メッセージMSG2、カーソルCSL2が表示されたときに(図260(A)参照)、複数の通常保留表示HR1が表示されている場合、複数の通常保留表示HR1のうちのどれが対象保留表示であるかは遊技者から解らなくなる。ボタン画像BTN9は、表示されている通常保留表示HR1に関連付けられてはいることは遊技者が理解できるものの、どの通常保留表示HR1に関連付けられているかは、遊技者に理解できない表示態様で表示されていると言える。
ここで、遊技者が右側のサブボタン372を押下すると、カーソルCSL2は、現在選択されている通常保留表示HR1の右隣の通常保留表示HR1を選択した状態に移動する。一方、遊技者が左側のサブボタン372を押下すると、カーソルCSL2は、現在選択されている通常保留表示HR1の左隣の通常保留表示HR1を選択した状態に移動する。すなわち、遊技者は、サブボタン372を操作することにより、複数の通常保留表示HR1のうちの任意の一つを選択することができる。遊技者がメインボタン371を押下すると、メインボタン371の押下時に選択されている通常保留表示HR1が対象保留表示である場合には、対象保留表示が特別保留表示に変更される(図260(B))。図260(B)では、消化順番が2番目(図260(B)では右から2番目)の通常保留表示HR1が対象保留表示であり、当該対象保留表示が第3の特別保留表示HR1Wに変更表示された例を示している。
一方、メインボタン371の押下時に選択されている通常保留表示HR1が対象保留表示でない場合には、対象保留表示でない旨を示すハズレマークFANが当該通常保留表示HR1の近傍に表示される(図260(C))。遊技者が通常保留表示HR1を選択してメインボタン371を押下すること(選択確定と呼ぶ)が受け付けられる回数は、予め定められている。例えば、通常保留表示HR1が4個または3個表示されている場合は、選択確定が受け付けられる回数は2回に設定され、通常保留表示HR1が2個表示されている場合は、選択確定が受け付けられる回数は1回に設定されている。予め定められた回数分、対象保留表示ではない通常保留表示HR1を連続して選択確定すると、対象保留表示である通常保留表示HR1に、当該通常保留表示HR1が対象保留表示であった旨を遊技者に示す正解表示CANがなされる。しかしながら、当該対象保留表示が特別保留表示に変更されることはなく、遊技者は期待度示唆演出としての特別保留表示を見ることはできない。遊技者が対象保留表示である通常保留表示HR1を選択確定して、当該通常保留表示HR1が特別保留表示に変更された場合(図260(A))、または、遊技者が予め定められた回数分、対象保留表示ではない通常保留表示HR1を連続して選択確定して、正解表示CANが表示された場合(図260(D))、または、特別保留探索演出が開始された時点において表示されていた通常保留表示HR1のうちの一つが消化された場合(次変動に移行した場合)には、特別保留探索演出は終了される。
本変形例によれば、遊技者に、自らサブボタン372を操作させて対象保留表示を探索させるので、探索に成功した場合には遊技者は自らの手で期待度示唆演出を手繰り寄せたという優越感に浸ることができ、特に高い大当たり期待度を示す期待度示唆演出が表示された場合には、当該保留表示に対応する抽選で大当たりになったときの喜びが増大する。また、探索に失敗した場合には期待度示唆演出を表示させることが出来なかった悔しさを感じ、対象保留表示がどの程度の高い期待度を有するのかが気になり対象保留表示に対応する抽選の行方を、通常の抽選とは異なった感覚、例えば、当たるか否かに対するどきどき感が増大した感覚で見守ることとなる。この結果、遊技者に充実した感情で遊技を進めてもらうことができ、遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができる。特に、多数回(例えば、1000回)に亘って大当たりに当選することなく抽選が繰り返されていた場合(いわゆるハマリ)に、特別保留探索演出がなされると、離れかけていた遊技者の遊技への関心を強く引きつけ、遊技意欲の減退を効果的に抑制することができる。
次に、本実施形態のパチンコ機1では実施されていないが、メインボタン371を用いた保留演出の変形例である第1の位置別保留演出について説明する。下記に説明する以外の構成は本実施形態のパチンコ機1の構成と同一であるのでその説明を省略する。図261は、第1の位置別保留演出について説明する図である。第1の位置別保留演出では、ボタン保留表示HRB6が表示された場合に、遊技者のメインボタン371の押下に応じてボタン保留表示HRBに変わって表示されうる特別保留表示として、第5の特別保留表示HR1A(図261(A))と、第6の特別保留表示HR1B(図261(B))と、第7の特別保留表示HR1C(図261(C))とが用意されている。第5の特別保留表示HR1Aは、大当たり確定を示す特別保留表示、すなわち、大当たり期待度100%の特別保留表示であると同時に極めて低い頻度(例えば、1/5000)で出現するプレミア演出での大当たり確定を示す特別保留表示である。第6の特別保留表示HR1Bは、スーパーリーチ以上の演出の確定を示す特別保留表示である。第7の特別保留表示HR1Cは、リーチ以上の演出の確定を示す特別保留表示である。すなわち、第5の特別保留表示HR1A、第6の特別保留表示HR1B、第7の特別保留表示HR1Cは、大当たり期待度を示唆するとともに、当該特別保留表示に対応する変動で行われる変動演出の内容を示唆するものである。
ここで、ボタン保留表示HRB6が表示された場合に、遊技者のメインボタン371の押下に応じてボタン保留表示HRBに変わって表示されうる保留表示として上述した3つの特別保留演出以外に通常保留表示HR1を用意しても良い(いわゆるガセ)。
ここでプレミア演出とは出現した時点で大当たりが確定する演出であると定義することができ、一般的には上述のように出現確率が極めて低い演出である。また、スーパーリーチとは、例えば、変動開始時の画面においてリーチが成立した後に、最終停止図柄が確定停止するまでの間に、変動開始時の画面とは異なるリーチ成立後専用演出が行われる演出であると定義しうる。スーパーリーチとして、一般的には、複数種類のリーチ成立後専用演出が用意される。リーチは、複数の変動領域においてそれぞれ変動・停止表示される図柄のうち、最終停止図柄が一の変動領域で変動しており、かつ、他の変動領域においては図柄が停止している状態であって、最終停止図柄として特定の図柄が停止すれば、大当たりを報知する図柄の組み合わせが構成される状態であると定義することができる。リーチには、変動開始時の画面と略同一の画面にてリーチが成立した後、最終停止図柄も停止するノーマルリーチと、上述のスーパーリーチが含まれる。大当たり期待度は、スーパーリーチ>ノーマルリーチである。
第5の特別保留表示HR1A、第6の特別保留表示HR1B、第7の特別保留表示HR1Cが特別保留表示として決定される確率は、当然であるが、第5の特別保留表示HR1A<第6の特別保留表示HR1B<第7の特別保留表示HR1Cであり、特に第5の特別保留表示HR1Aが特別保留表示として決定される確率は、極めて低い(例えば、1/20000程度)。
第1の位置別保留演出の特徴は、ボタン保留表示HRB6の表示位置に応じて、表示される特別保留表示の種類が決まっていることである。具体的には、図251に示す保留表示処理におけるステップS504において、ボタン保留とすることに決定され、ステップS505において特別保留表示の種別が第5の特別保留表示HR1Aと決定された場合、第5の特別保留表示HR1Aは、消化順番が3番目の保留表示位置、すなわち、水晶画像FCRから見て左側に3番目の位置(以下、保留3の位置とも呼ぶ。)にボタン保留表示HRB6が表示されているとき(図261(D)に示す位置)に、メインボタン371が遊技者によって押下された場合に限って表示される。この場合、第5の特別保留表示HR1Aは、メインボタン371が一回押下された場合に表示されることとしても良いし、メインボタン371が押下される度に所定の確率(例えば、1/4)の抽選に当選した場合に表示されることしても良い。
同様にして、図251に示す保留表示処理におけるステップS504において、ボタン保留とすることに決定され、ステップS505において特別保留表示の種別が第6の特別保留表示HR1Bと決定された場合、第6の特別保留表示HR1Bは、消化順番が2番目の保留表示位置、すなわち、水晶画像FCRから見て左側に2番目の位置(以下、保留2の位置とも呼ぶ。)にボタン保留表示HRB6が表示されているとき(図261(E)に示す位置)に、メインボタン371が遊技者によって押下された場合に限って表示される。この場合、第6の特別保留表示HR1Bは、メインボタン371が一回押下された場合に表示されることとしても良いし、メインボタン371が押下される度に所定の確率(例えば、1/4)の抽選に当選した場合に表示されることしても良い。
そして、図251に示す保留表示処理におけるステップS504において、ボタン保留とすることに決定され、ステップS505において特別保留表示の種別が第7の特別保留表示HR1Cと決定された場合、第7の特別保留表示HR1Cは、消化順番が1番目の保留表示位置、すなわち、水晶画像FCRから見て左側に1番目の位置(以下、保留1の位置とも呼ぶ。)にボタン保留表示HRB6が表示されているとき(図261(F)に示す位置)に、メインボタン371が遊技者によって押下された場合に限って表示される。この場合、第6の特別保留表示HR1Bは、メインボタン371が一回押下された場合に表示されることとしても良いし、メインボタン371が押下される度に所定の確率(例えば、1/4)の抽選に当選した場合に表示されることしても良い。
また、上述したいわゆる「ガセ」(ボタン保留表示HRB6が表示されたにも拘わらず、HRBが特別保留表示に変更されず、通常保留表示HR1に変化してしまうパターン)が用意されている場合には、ボタン保留表示HRB6が保留1の位置にある位置に限って、通常保留表示HR1に変化するように構成されている。この場合、例えば、保留3の位置、および、保留2の位置において特別保留表示が表示されなかった場合に、保留1の位置においてガセとなる確率は比較的低く設定(例えば、20%)される。
すなわち、第1の位置別保留演出が行われた場合、ボタン保留表示HRB6が保留3の位置に表示されているときに、メインボタン371の押下に応じて表示されうるのは、第5の特別保留表示HR1Aのみであり、他の特別保留表示は表示され得ない。また、第1の位置別保留演出が行われた場合、ボタン保留表示HRB6が保留2の位置に表示されているときに、メインボタン371の押下に応じて表示されうるのは、第6の特別保留表示HR1Bのみであり、他の特別保留表示は表示され得ない。そして、第1の位置別保留演出が行われた場合、ボタン保留表示HRB6が保留1の位置に表示されているときに、メインボタン371の押下に応じて表示されうるのは、第7の特別保留表示HR1Cまたは通常保留表示HR1(ガセ)のみであり、他の特別保留表示は表示され得ない。
このため、第1の位置別保留演出のこのルールを知っている遊技者は、保留3の位置にボタン保留表示HRB6が表示されると、遊技者にとって最も価値が高いプレミア大当たり確定を示す第5の特別保留表示HR1Aの出現を祈って、メインボタン371を押下したり連打したりすることになる。この結果、極めて低い確率で出現する第5の特別保留表示HR1Aが表示された場合には、歓喜に包まれて、当該保留の消化を待つこととなる。一方、ボタン保留表示HRB6が保留3の位置にて第5の特別保留表示HR1Aに変更されなかった場合には、保留の消化の進行に合わせて、ボタン保留表示HRB6は保留2の位置に移動することになる。
すると、遊技者は、第5の特別保留表示HR1Aは出なかったが、スーパーリーチ演出の確定を示す第6の特別保留表示HR1Bは出現して欲しいと願いながら、メインボタン371を押下したり連打したりすることになる。この結果、第6の特別保留表示HR1Bが表示された場合には、遊技者は第5の特別保留表示HR1Aが表示された場合ほどではないものの、比較的大当たりが期待できることへの喜びを感じながら、当該保留の消化を待つこととなる。一方、ボタン保留表示HRB6が保留2の位置にて第6の特別保留表示HR1Bに変更されなかった場合には、保留の消化の進行に合わせて、ボタン保留表示HRB6は保留1の位置に移動することになる。
すると、遊技者は、せめてリーチくらいはかかって欲しい、ガセだけは勘弁して欲しいと思いながら、メインボタン371を押下したり連打することになる。この結果、第7の特別保留表示HR1Cが表示された場合には、リーチはとりあえず発生するのだと安心し、ひょっとすれば大当たりになることもあるかもしれないと思いながら、当該保留の消化を待つことになる。一方、通常保留表示HR1が表示された場合には、遊技者は、「なんだ「ガセ」か」とがっかりすることになる。
このようにボタン保留表示HRB6が特殊保留表示に変更されうる条件をボタン保留表示HRB6が表示されている保留位置に応じて異ならせることによって、複数の変動期間に亘って、一つの保留についての期待度に遊技者を一喜一憂させられるので、極めて長い期間に亘って高揚感、残念な気持ち、次への期待感などが混じり合った心理に遊技者を誘導しうる演出を実現することができる。したがって、遊技者の興趣を高め、遊技者を遊技にのめり込ませて遊技意欲の低下を抑制することができる。
なお、保留3の位置において表示されうる第5の特別保留表示HR1Aとして、対応する変動中演出にて表示されるプレミア演出の種類に応じて当該種類を示す複数種類の特別保留表示を用意しても良い。また、保留2の位置において表示されうる第6の特別保留表示HR1Bとして、対応する変動中演出にて表示されるスーパーリーチの種類に応じて当該種類を示す複数種類の特別保留表示を用意しても良い。こうすれば、特別保留表示の表示によって、変動中演出の内容まで遊技者が知ることができるので、例えば、保留2の位置において表示される特別保留表示によって、大当たり期待度が比較的高いスーパーリーチが変動中演出で行われるのか、大当たり期待度が比較的低いスーパーリーチが変動中演出が行われるのかを遊技者に前持って伝えることができるので、遊技者の感情をさらに大きく揺さぶり得る演出を実現することができる。
第1の位置別保留演出では、ボタン保留表示HRB6の表示位置が水晶画像FCRから遠い程、高い期待度を示唆する特別保留表示がなされる構成としているが、第1の位置別保留演出の変形例として、第1の位置別保留演出とは逆にボタン保留表示HRB6の表示位置が水晶画像FCRに近づくに連れて、高い期待度を示唆する特別保留表示がなされる第2の位置別保留演出について説明する。
具体的には、図251に示す保留表示処理におけるステップS504において、ボタン保留とすることに決定され、ステップS505において特別保留表示の種別が第5の特別保留表示HR1Aと決定された場合、第5の特別保留表示HR1Aは、消化順番が保留1の位置にボタン保留表示HRB6が表示されているとき(図261(F)に示す位置)に、メインボタン371が遊技者によって押下された場合に限って表示される。この場合、第5の特別保留表示HR1Aは、メインボタン371が一回押下された場合に表示されることとしても良いし、メインボタン371が押下される度に所定の確率(例えば、1/4)の抽選に当選した場合に表示されることしても良い。
同様にして、図251に示す保留表示処理におけるステップS504において、ボタン保留とすることに決定され、ステップS505において特別保留表示の種別が第6の特別保留表示HR1Bと決定された場合、第6の特別保留表示HR1Bは、保留2の位置にボタン保留表示HRB6が表示されているとき(図261(E)に示す位置)に、メインボタン371が遊技者によって押下された場合に限って表示される。この場合、第6の特別保留表示HR1Bは、メインボタン371が一回押下された場合に表示されることとしても良いし、メインボタン371が押下される度に所定の確率(例えば、1/4)の抽選に当選した場合に表示されることしても良い。
そして、図251に示す保留表示処理におけるステップS504において、ボタン保留とすることに決定され、ステップS505において特別保留表示の種別が第7の特別保留表示HR1Cと決定された場合、第7の特別保留表示HR1Cは、保留3の位置にボタン保留表示HRB6が表示されているとき(図261(D)に示す位置)に、メインボタン371が遊技者によって押下された場合に限って表示される。この場合、第6の特別保留表示HR1Bは、メインボタン371が一回押下された場合に表示されることとしても良いし、メインボタン371が押下される度に所定の確率(例えば、1/4)の抽選に当選した場合に表示されることしても良い。
また、上述したいわゆる「ガセ」(ボタン保留表示HRB6が表示されたにも拘わらず、HRBが特別保留表示に変更されず、通常保留表示HR1に変化してしまうパターン)が用意されていることが好ましい。この場合には、ボタン保留表示HRB6が保留1の位置にある位置に限って、通常保留表示HR1に変化するように構成されている。この場合、例えば、保留3の位置、および、保留2の位置において特別保留表示が表示されなかった場合に、保留1の位置においてガセとなる確率は比較的高く設定(例えば、80%)される。
すなわち、第2の位置別保留演出が行われた場合、ボタン保留表示HRB6が保留3の位置に表示されているときに、メインボタン371の押下に応じて表示されうるのは、第7の特別保留表示HR1Cのみであり、他の特別保留表示は表示され得ない。また、第2の位置別保留演出が行われた場合、ボタン保留表示HRB6が保留2の位置に表示されているときに、メインボタン371の押下に応じて表示されうるのは、第6の特別保留表示HR1Bのみであり、他の特別保留表示は表示され得ない。そして、第2の位置別保留演出が行われた場合、ボタン保留表示HRB6が保留1の位置に表示されているときに、メインボタン371の押下に応じて表示されうるのは、第5の特別保留表示HR1Aまたは通常保留表示HR1(ガセ)のみであり、他の特別保留表示は表示され得ない。
このため、第2の位置別保留演出のこのルールを知っている遊技者は、保留3の位置にボタン保留表示HRB6が表示されると、リーチがかかる程度の期待度示唆演出がでると心もとないな、と感じつつ、ここでは期待度示唆演出は出て欲しくないと思い、メインボタン371を押下したり連打することになる。この結果、第7の特別保留表示HR1Cが表示された場合には、あまり期待はできないことを残念に思いつつ、当該保留の消化を待つこととなる。一方、ボタン保留表示HRB6が保留3の位置にて第7の特別保留表示HR1Cに変更されなかった場合には、保留の消化の進行に合わせて、ボタン保留表示HRB6は保留2の位置に移動することになる。
すると、遊技者は、本当はプレミア演出の確定を示す第5の特別保留表示HR1Aが出て欲しいが、第5の特別保留表示HR1Aが出るのは極めてまれだから、ここでスーパーリーチ演出の確定を示す第6の特別保留表示HR1Bが出なければ、ガセになる確率が高いだろうから第6の特別保留表示HR1Bに出現して欲しいと願いながら、メインボタン371を押下したり連打したりすることになる。この結果、第6の特別保留表示HR1Bが表示された場合には、比較的大当たりが期待できることへの喜びを感じると共に、ガセでなくて良かったと安心しながら、当該保留の消化を待つこととなる。一方、ボタン保留表示HRB6が保留2の位置にて第6の特別保留表示HR1Bに変更されなかった場合には、保留の消化の進行に合わせて、ボタン保留表示HRB6は保留1の位置に移動することになる。
すると、遊技者は、ガセはやめてくれ、なんとか第5の特別保留表示HR1Aがでてくれと切に願いながら、メインボタン371を押下したり連打することになる。この結果、第5の特別保留表示HR1Aが表示された場合には、プレミア演出の確定に対して大きな喜びを感じ、歓喜に浸りながら当該保留の消化を待つことになる。一方、通常保留表示HR1が表示された場合には、遊技者は、「やっぱり「ガセ」か」とがっかりすることになる。
このようにボタン保留表示HRB6が特殊保留表示に変更されうる条件をボタン保留表示HRB6が表示されている保留位置に応じて異ならせることによって、複数の変動期間に亘って、一つの保留についての期待度に遊技者を一喜一憂させられるので、極めて長い期間に亘って高揚感、残念な気持ち、次への期待感などが混じり合った心理に遊技者を誘導しうる演出を実現することができる。したがって、遊技者の興趣を高め、遊技者を遊技にのめり込ませて遊技意欲の低下を抑制することができる。
また、第1の位置別保留演出と、第2の位置別保留演出では、上述したとおり、遊技者の感情の揺れ方が大きくことなるので、一つの遊技機において、第1の位置別保留演出と、第2の位置別保留演出の両方を実行しうることとしても良い。この場合には、遊技者が、第1の位置別保留演出と第2の位置別保留演出との区別がつくようにすることが好ましい。例えば、第1の位置別保留演出において表示されるボタン保留表示HRB6のボタン画像の色と、第2の位置別保留演出において表示されるボタン保留表示HRB6のボタン画像の色とを異ならせれば良い。こうすれば、複数の変動期間に亘って、遊技者を多様な心理に誘導することが可能な遊技機を実現することができる。
なお、第1の位置別保留演出と同様に、第2の位置別保留演出においても、保留1の位置において表示されうる第5の特別保留表示HR1Aとして、対応する変動中演出にて表示されるプレミア演出の種類に応じて当該種類を示す複数種類の特別保留表示を用意しても良い。また、保留2の位置において表示されうる第6の特別保留表示HR1Bとして、対応する変動中演出にて表示されるスーパーリーチの種類に応じて当該種類を示す複数種類の特別保留表示を用意しても良い。こうすれば、特別保留表示の表示によって、変動中演出の内容まで遊技者が知ることができるので、例えば、保留2の位置において表示される特別保留表示によって、大当たり期待度が比較的高いスーパーリーチが変動中演出で行われるのか、大当たり期待度が比較的低いスーパーリーチが変動中演出が行われるのかを遊技者に前持って伝えることができるので、遊技者の感情をさらに大きく揺さぶり得る演出を実現することができる。
次に、本実施形態のパチンコ機1では実施されていないが、メインボタン371を用いた保留演出の変形例である第3の位置別保留演出について説明する。下記に説明する以外の構成は本実施形態のパチンコ機1の構成と同一であるのでその説明を省略する。
第3の位置別保留演出の特徴は、ボタン保留表示HRBが表示されている表示位置によって、期待度示唆演出として表示される特殊保留表示が表す期待度の正確性が異なる点と、ボタン保留表示HRBが表示されている表示位置によって特殊保留表示が表示される確率が異なる点である。
具体的には、第3の位置別保留演出では、ボタン保留表示HRBが表示された場合に、遊技者のメインボタン371の押下に応じてボタン保留表示HRBに変わって表示されうる特別保留表示は、図253に示す第1の特別保留表示HR1U(大当たり期待度10%)、第2の特別保留表示HR1V(大当たり期待度30%)、第3の特別保留表示HR1W(大当たり期待度50%)、第4の特別保留表示HR1X(大当たり期待度70%)の4種類である。また、ボタン保留表示HRBが表示された場合に、遊技者がメインボタン371を押下したにも拘わらず、特別保留表示の表示を取りやめて、大当たり期待度を示唆しない通常保留表示HR1を表示するパターン(期待度示唆中止パターン)が用意されている。
具体的には、図251に示す保留表示処理におけるステップS504において、ボタン保留とすることが決定され、ステップS505において特別保留表示の種別が第3の特別保留表示HR1Wと決定されたとする。
この場合に、第3の位置別保留演出では、ボタン保留表示HRBが保留3の位置に表示されているときに、メインボタン371が遊技者によって押下された場合、ステップS505において特別保留表示の種別が第3の特別保留表示HR1Wと決定されているにも拘わらず、50%の確率で期待度示唆中止パターンが選択され、大当たり期待度の示唆が行われない。一方で、50%の確率で第3の特別保留表示HR1Wを表示する。
また、ボタン保留表示HRBが保留2の位置に表示されているときに、メインボタン371が遊技者によって押下された場合、ステップS505において特別保留表示の種別が第3の特別保留表示HR1Wと決定されているにも拘わらず、30%の確率で期待度示唆中止パターンが選択され、大当たり期待度の示唆が行われない。一方で、70%の確率で特別保留表示の表示が行われる。ただし、特別保留表示の表示が行われる際、80%の確率でステップS505において決定されているとおりに第3の特別保留表示HR1Wを表示するが、ステップS505において特別保留表示の種別が第3の特別保留表示HR1Wと決定されているにも拘わらず、10%の確率で第3の特別保留表示HR1Wに変えて、第3の特別保留表示HR1Wより大当たり期待度が高い第4の特別保留表示HR1Xを表示し、10%の確率で第3の特別保留表示HR1Wに変えて、第3の特別保留表示HR1Wより大当たり期待度が低い第2の特別保留表示HR1Vを表示する。
そして、ボタン保留表示HRBが保留1の位置に表示されているときに、メインボタン371が遊技者によって押下された場合、期待度示唆中止パターンは選択されず、100%の確率でなんらかの特別保留表示が表示される。ただし、特別保留表示の表示が行われる際、50%の確率でステップS505において決定されているとおりに第3の特別保留表示HR1Wを表示するが、ステップS505において特別保留表示の種別が第3の特別保留表示HR1Wと決定されているにも拘わらず、25%の確率で第3の特別保留表示HR1Wに変えて、第3の特別保留表示HR1Wより大当たり期待度が高い第4の特別保留表示HR1Xを表示し、25%の確率で第3の特別保留表示HR1Wに変えて、第3の特別保留表示HR1Wより大当たり期待度が低い第2の特別保留表示HR1Vを表示する。
すなわち、保留3の位置にボタン保留表示HRBが表示されているときにメインボタン371を遊技者が押下すると、期待度示唆がなされない確率が高い(ハイリスク)一方で、期待度示唆がなされる場合には、本来表示されるべき特別保留表示が必ず表示されるので、遊技者は正確な大当たり期待度を知ることができる(ハイリターン)。
そして、保留2の位置にボタン保留表示HRBが表示されているときにメインボタン371を遊技者が押下すると、期待度示唆がなされない確率は中程度である(ミドルリスク)一方で、期待度示唆がなされる場合には、本来表示されるべき特別保留表示とは異なる特別保留表示が中程度の確率で表示されるので、遊技者が知らされる大当たり期待度の正確性は、若干劣ることになる(ミドルリターン)。
さらには、保留1の位置にボタン保留表示HRBが表示されているときにメインボタン371を遊技者が押下すると、期待度示唆がなされないことは起こらない(ローリスク)一方で、なされる期待度示唆は、本来表示されるべき特別保留表示とは異なる特別保留表示が比較的高い確率で表示されるので、遊技者が知らされる大当たり期待度は不正確であることが多くなる(ローリターン)。
すなわち、遊技者は、保留3の位置にボタン保留表示HRBが表示されているときにメインボタン371を押せば、期待度示唆がなされないリスクは高いものの、正確な期待度示唆を得ることができるという、ハイリスクハイリターンな選択をするということになる。そして、保留2の位置にボタン保留表示HRBが表示されているときにメインボタン371を押せば、期待度示唆がなされないリスクは中程度であるが、得ることが期待度示唆の正確性が若干劣るという、ミドルリスクミドルリターンな選択をするということになる。さらに、保留1の位置にボタン保留表示HRBが表示されているときにメインボタン371を押せば、期待度示唆がなされないリスクはないが、得ることが期待度示唆の正確性が著しく劣るという、ローリスクローリターンな選択をするということになる。
本変形例によれば、遊技者は、ボタン保留表示HRBが表示された場合、ボタン保留表示HRBがどの位置に表示されているときにメインボタン371を押下するかについて悩むことになる。すなわち、遊技者は、多少不正確でも良いから確実に期待度示唆を得たいと考えて、メインボタン371をボタン保留表示HRBが保留1の位置にあるときに押下することもできるし、期待度示唆は得られなかった場合はあきらめるから正確な期待度示唆を得たいと考えてメインボタン371を保留3の位置にあるときに押下することもできる。この結果、遊技者にメインボタン371を今押すべきか押さないべきかということについて悩ませるという斬新な心理状況に遊技者を誘導することができる。この結果、遊技者を多様な心理状態に誘導可能な演出を実現して遊技の興趣を高めることができる。したがって、遊技意欲の減退を抑制することができる。
[振分演出装置を用いた演出]
[1.変動中演出]
続いて、振分演出装置3125を用いた演出について説明する。まず、特別図柄の変動中に行われる変動中演出の一つとして振分演出装置3125を用いて行われる演出である昇降演出について説明する。図262は、昇降演出について説明する説明図である。昇降演出は、比較的大当たり期待度の高い演出であり、例えば、大当たり期待度は、40%程度に設定されている。昇降演出を行うか否かは、主制御MPU4100aから受け取った変動パターンや特別抽選結果を示すコマンドに基づいて、周辺制御MPU4140aが所定の演出決定抽選を行うことによって決定する。演出決定抽選に当選した場合に昇降演出が行われ、当選しなかった場合に昇格演出は行われない。すなわち、周辺制御MPU4140aによって行われる演出決定抽選に当選することが、昇格演出の演出実行条件に相当する。
昇降演出は、上述した第1の表示形態(図246)において、すなわち、サブ液晶画面PNSを用いることなく、メイン液晶画面PNMのみを用いて行われる。これに代えて、第2の表示形態(図247)において、さらに、メイン液晶画面PNMに加えてサブ液晶画面PNSを用いて行われても良い。
昇降演出を行うと決定すると、周辺制御MPU4140aは、図262(A)に示すように、メイン液晶画面PNMの下部領域に岩石を表す画像HRK(岩石画像HRK)を表示する。この時点で、振分演出装置3125は、下側停止位置(図204参照)に待機している。下側停止位置は、上述のとおり、遊技者側から視認が困難な位置であり、液晶表示装置1400のメイン液晶画面PNMを遊技者が視認することを妨げない位置である。下側停止位置では、振分演出装置3125の誘導部材3131は、液晶表示装置1400の下方において略水平に保たれている。
その後、周辺制御MPU4140aは、昇降機構3126を制御して、可動演出装置として振分演出装置3125を上側停止位置(図205参照)に上昇させる(図262(B))。このとき、振分演出装置3125は、誘導部材3131を略水平に保ったまま上昇する。周辺制御MPU4140aは、振分演出装置3125の上側の誘導部材3131によって岩石が持ち上げられた様を表現するように、振分演出装置3125の上昇と連動してメイン液晶画面PNMに表示された岩石画像HRKを上方に移動させる。
周辺制御MPU4140aは、振分演出装置3125を上昇させるとともに、メイン液晶画面PNMに、大当たり期待度が高い演出であることを示すメッセージM2を表示しても良い。図262(B)の例では、「SUPER CHANCE」というメッセージTL4が表示されている。
このとき、振分演出装置3125がメイン液晶画面PNMの前方にあるため、保留表示HR1、水晶画像FCR、本装飾図柄1157が表示されている領域(図250参照)が、見えなくなる。昇降演出中は、保留表示HR1、水晶画像FCRは、メイン液晶画面PNMから消去され、本装飾図柄1157は、図262(B)に示すように、振分演出装置3125により遊技者の視認が妨げられない位置、本実施形態では、メイン液晶画面PNMの左右方向の中央、かつ、上下方向の上端近傍に表示される。
なお、本昇降演出では、振分演出装置3125を上昇させる際に、周辺制御MPU4140aは、上述した遊技媒体供給機構3121を動作させない。このため、上昇する振分演出装置3125の誘導部材3131上には、遊技球は乗せられない。
周辺制御MPU4140aは、振分演出装置3125を上側停止位置から下側停止位置まで降下させて昇降演出終了させる。
本実施形態のパチンコ機1では、上述した昇降演出を行った後にスーパーリーチなど比較的大当たり期待度の高い演出が表示された後、メイン液晶画面PNMにおいて大当たりを表す装飾図柄の組み合わせが表示されて遊技者に大当たりが通知される、あるいは、ハズレを表す装飾図柄の組み合わせが表示されて遊技者にハズレが通知される。
以上説明した昇降演出では、いわゆるステージとして機能する棚上段2372の転動面(図174参照)の一部であるかのように配置された誘導部材3131が、メイン液晶画面PNMの前方まで上昇とともに、遊技者に視認困難にされていた振分演出装置3125の下側装飾部3137や上側装飾部3133が、メイン液晶画面PNMの前方にて遊技者に視認可能になるので、遊技者に驚きを与えうる演出を実現することができる。
さらに、メイン液晶画面PNMに表示された岩石画像HRKが、振分演出装置3125の上昇に連動して上昇するように移動表示されるので迫力があり、遊技者に大きな大当たり期待度を感じさせる演出を実現することが可能である。
ここで、本実施形態のパチンコ機1では行っていないが、振分演出装置3125を下側停止位置まで降下させて昇降演出を終了させる際に、以下に説明する昇降演出終了処理を実行しても良い。図263は、昇降演出終了処理の処理ステップを示すフローチャートである。昇降演出を終了する際、周辺制御MPU4140aは、昇降機構3126を制御して振分演出装置3125を下側停止位置(図204参照)まで降下させる(ステップS601)。
そして、周辺制御MPU4140aは、正常に(不具合なく)下側停止位置まで振分演出装置3125の降下が完了した否かを判定する(ステップS602)。具体的には、下側役物ユニット3003に備えられた振分演出装置3125の位置が原位置、すなわち、下側停止位置にあるか否かを検出するフォトセンサ2382からの検出信号を受け取ることにより、周辺制御MPU4140aは、振分演出装置3125が下側停止位置にあるか否かを認識することができる。周辺制御MPU4140aは、昇降機構3126により振分演出装置3125を降下させる制御を開始してから所定時間以内に振分演出装置3125が下側停止位置にあることを検出した場合には、振分演出装置3125が正常に下側停止位置まで降下したと判定する。一方、周辺制御MPU4140aは、昇降機構3126により振分演出装置3125を降下させる制御を開始してから所定時間以内に振分演出装置3125が下側停止位置にあることを検出できない場合には、振分演出装置3125が不具合等により下側停止位置まで降下していないと判定する。
周辺制御MPU4140aは、振分演出装置3125の降下が正常に完了したと判断すると(ステップS602:YES)、昇降演出終了処理を終了する。一方で、周辺制御MPU4140aは、振分演出装置3125の降下が正常に完了していないと判断すると(ステップS602:NO)、周辺制御MPU4140aは、サブ液晶ユニット2350を露出させて、サブ液晶画面PNSを遊技者が視認可能な状態にする。具体的には、第一役物ユニット2370の左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379を下方に移動させるとともに、第二役物ユニット2400の可動部ユニット2401を斜め後方に回動させることで、サブ液晶ユニット2350が遊技者から視認できないように隠蔽された状態(図246参照)から、サブ液晶ユニット2350が遊技者に視認可能なように露出した状態(図247参照)へ切り替える。以上の説明から解るように、第一役物ユニット2370の左可動部ユニット2378および右可動部ユニット2379および第二役物ユニット2400の可動部ユニット2401は、サブ液晶ユニット2350を遊技者から隠蔽する隠蔽位置と、前記別表示手段を遊技者が視認可能とする露出位置とに移動制御可能な隠蔽露出切換部材と呼べる。
サブ液晶ユニット2350を露出させると、周辺制御MPU4140aは、遊技者に視認可能となったサブ液晶ユニット2350のサブ液晶画面PNSに、保留表示HR1を水晶画像FCRとともに表示して(ステップS605)、昇降演出終了処理を終了する。この時、保留表示HR1と共に、本装飾図柄1157をサブ液晶画面PNSに表示することとしても良い。なお、本ステップにて行われたサブ液晶画面PNSにおける保留表示HR1等の表示は、不具合等が解消して振分演出装置3125が下側停止位置にあることが検出されるまで継続される。
図264は、昇降演出の実行した際に、下側役物ユニット3003の昇降機構3126の不具合により、振分演出装置3125が下側停止位置まで正常に降下しなかった様を示す図である。図264の例では、昇降演出が行われた変動の後の変動が行われている場面である。図264に示すように、振分演出装置3125が下側停止位置まで正常に降下しなかった場合には、振分演出装置3125によって、本来遊技者に視認されるはずの演出画像の一部が振分演出装置3125に妨げられて視認されないおそれがある。図264の例では、正常時には遊技者に視認されるべき、メイン液晶画面PNMの下部領域が、振分演出装置3125に妨げられて遊技者が視認できない状態になっている。メイン液晶画面PNMの下部領域には、図250に示すように、通常モードでは、水晶画像FCR、保留表示HR1、本装飾図柄1157が表示されているが、これらの演出画像が図264に示す例では、遊技者に視認できない。
ところが、上述した昇降演出終了処理によれば、本来ならばメイン液晶画面PNMの下部領域に表示される水晶画像FCR、保留表示HR1、本装飾図柄1157が、図264に示すように、サブ液晶画面PNSに表示されるので、遊技者は支障なく遊技を続行することができる。すなわち、可動演出装置が不具合等により待機位置にあるべきときに待機位置にないことによって遊技者が演出画像を楽しめずに遊技の興趣が損なわれることを抑制することができる。具体的には、保留表示を用いた先読み演出等が行われる遊技機では、保留表示が遊技者に視認できないと、遊技機の先読み演出を楽しむことができないが、サブ液晶画面PNSにおいて同様な保留表示を行うことによって、遊技者は、可動演出装置が不具合等により待機位置にあるべきときに待機位置にない場合であっても、保留先読み演出を十分に楽しむことができる。
さらには、隠蔽されていたサブ液晶画面PNSを、左可動部ユニット2378、右可動部ユニット2379、可動部ユニット2401を動作させて露出させたうえで、サブ液晶画面PNSに水晶画像FCR、保留表示HR1、本装飾図柄1157の表示を行うので、遊技者に不具合の発生を気づかれにくいという利点がある。左可動部ユニット2378、右可動部ユニット2379、可動部ユニット2401のような可動役物が動作して、隠蔽されていたものが露出されると、遊技者は、なにか演出が行われていると感じ易く、不具合の発生とは認識し難いからである。
[2.大当たり遊技中の演出]
続いて、第一特別抽選結果が大当たりA、あるいは、大当たりBであった場合に、その後に行われる大当たり遊技中に行われる振分演出装置3125を用いた演出について説明する。大当たりAあるいは大当たりBに当選した場合には、その変動の最後に装飾図柄のゾロ目がメイン液晶画面PNMに表示される。大当たりAに当選した場合には、ゾロ目で表示される装飾図柄が、奇数が付された装飾図柄である場合と、偶数が付された装飾図柄である場合とがある。一方、大当たりBに当選した場合、ゾロ目で表示される装飾図柄は、必ず、偶数が付された装飾図柄となる。したがって、偶数が付された装飾図柄のゾロ目によって、大当たりが遊技者に通知された場合には、その時点では、遊技者は、大当たりAに当選したのか、大当たりBに当選したのかを認識し難い。
上述したように、本実施形態では、大当たりAである場合の大当たり遊技では、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、長時間開閉パターンで11回繰り返すようになっている。一方、大当たりBである場合の大当たり遊技では、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、長時間開閉パターンで5回繰返した後、短時間開閉パターンで6回繰り返すようになっている。このため、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉を、長時間開閉パターンで5回繰返すまでは、遊技者は、アタッカユニット2000の開閉部材2006の動作を見て、当選した大当たりが大当たりAであるか大当たりBであるかを識別し難い。
ここで、本実施形態では、偶数が付された装飾図柄のゾロ目によって大当たりが遊技者に通知された場合には、5回目の長時間開閉パターンが終了するまでの間に、大当たりAであるか大当たりBであるかを遊技者に報知する演出(大当たり種別報知演出)が行われる。
大当たり種別報知演出により大当たりAであるか大当たりBであるかを遊技者に報知するまでは、周辺制御MPU4140aは、メイン液晶画面PNMおよびサブ液晶画面PNS等を含む演出実行手段において、大当たりAに当選したのか、大当たりBに当選したのか隠蔽するように演出を行う。例えば、大当たり種別報知演出により大当たりAであるか大当たりBであるかを遊技者に報知するまでは、大当たりAに当選したのか、大当たりBに当選したのかを遊技者が認識し難いように完全に同一の演出を行う。大当たりBより出玉が多いため、遊技者にとって大当たりBより価値の高い大当たりである。したがって、遊技者は、大当たりAであることが報知されることを願いながら、大当たり種別報知演出を見守ることとなる。
本実施形態では、複数種類の大当たり種別報知演出が用意されている。複数種類の大当たり種別報知演出のうちの一つが振分演出装置3125を用いて行われる演出である。その他の大当たり報知演出は、振分演出装置3125を用いずメイン液晶画面PNMの表示で行われる。
まず、1回目の長時間開閉パターンが行われている間(1ラウンド目の大当たり遊技が行われている間)に、大当たり種別報知演出の種別を遊技者に選択させる選択画面がメイン液晶画面PNMに表示される。図265は、選択画面の一例を示す図である。図265(A)の例では、「RED」という名の大当たり種別報知演出を表す画像SEL1と、「GREEN」という名の大当たり種別報知演出を表す画像SEL2の2種類がメイン液晶画面PNMに表示されている。遊技者は、操作受け付け手段としての操作ボタンユニット370のメインボタン371を操作してカーソルKSLを移動させて、いずれかの大当たり種別報知演出を選択することができる。
「GREEN」という名の大当たり種別報知演出が、振分演出装置3125を用いて行われる大当たり種別報知演出である。この演出は、振分演出装置3125とともに、遊技球貯留機構としての遊技媒体供給機構3121に貯留されている遊技球を用いて行う演出である。遊技媒体供給機構3121には、上述したように第二始動口2002に受け入れられた遊技球が貯留されるので、電源投入後に第二始動口2002に遊技球が入賞していない場合には、遊技媒体供給機構3121に遊技球が貯留されていない。遊技媒体供給機構3121に遊技球が貯留されていない場合には、振分演出装置3125を用いて行われる大当たり種別報知演出を行うことができない。このため、遊技媒体供給機構3121に遊技球が貯留されていない場合には、大当たり種別報知演出の選択画面として、図265(B)に示す選択画面が、図265(A)に示す選択画面に代えて、メイン液晶画面PNMに表示される。図265(B)に示す選択画面では、「GREEN」という名の大当たり種別報知演出が存在することは示唆されているものの、「GREEN」という名の大当たり種別報知演出を遊技者が選択することが許容されない。
なお、「RED」という名の大当たり種別報知演出は、振分演出装置3125を用いない大当たり種別報知演出であり、例えば、アタッカユニット2000の開閉部材2006に遊技球が入賞したことを契機に、大当たりAであるか大当たりBであるかの抽選が行われているかのような表示を行ったうえで、現在の大当たり遊技に対応する大当たりが大当たりAであるか、大当たりBであるかを報知する演出である。なお、上述のように、大当たり遊技の開始前の変動に対応する第一特別図柄に対応した抽選で、既に大当たりAであるか、大当たりBであるかは決定されているので、当該大当たり種別報知演出では実際に抽選が行われているわけではなく、現在、抽選が行われているかのように遊技者に見せるものである。
図265(A)に示す選択画面において、「GREEN」という名の大当たり種別報知演出が選択されると、周辺制御MPU4140aは、2〜5回目の長時間開閉パターンが行われている間(2〜5ラウンド目の大当たり遊技が行われている間)に、振分演出装置3125を用いた大当たり種別報知演出を行う。振分演出装置3125を用いた大当たり種別報知演出は、遊技者が「GREEN」という名の大当たり種別報知演出を選択したことを必要条件として行われる。
図266および図267は、振分演出装置3125を用いた大当たり種別報知演出について説明する図である。振分演出装置3125の詳細な構成は、図195〜図199等を参照して既に説明済みであるので、図266では、振分演出装置3125を簡略化した図で示している。振分演出装置3125を用いた大当たり種別報知演出が開始されると、まず、メイン液晶画面PNMに演出を盛り上げる背景画像HKCが表示されるとともに、メイン液晶画面PNMにおける高さ方向の中央部の右側、および、左側に、それぞれ、大当たり種別が大当たりAである期待度を示唆する表示がなされる。この時点では、振分演出装置3125は、下側停止位置(図204参照)に待機している。下側停止位置は、上述のとおり、遊技者側から視認が困難な位置であり、液晶表示装置1400のメイン液晶画面PNMを遊技者が視認することを妨げない位置である。図266(A)に示す例では、遊技者から見て左側に「CHANCE」というメッセージHMS1が表示され、右側に「SUPER CHANCE」というメッセージHMS2が表示される。右側がより大当たりAである期待度が大きいことを示唆する表示となっているが、左側がより大当たりAである期待度が大きいことを示唆する表示とされる場合や、右側も左側も同程度の期待度であることを示唆する表示とされる場合もある。
次に、遊技媒体供給機構3121が駆動され、遊技球が案内通路部3178(図213)、遊技球案内通路3155(図200)を通って、誘導部材3131の端部から誘導部材3131上に送られる。すなわち、振分演出装置3125の誘導部材3131は、遊技媒体供給機構3121から遊技球Kを受け取る。誘導部材3131は略水平に保たれているが、誘導部材3131の転動面3131a(図199)は、水平方向の中央部近傍が最も低く両端部が高い緩やかな円弧状に形成されている。このため、遊技媒体供給機構3121から受け取った遊技球Kは、誘導部材3131の水平方向の中央付近に配置される(図266(A))。
次に、昇降機構3126が駆動され、振分演出装置3125は、誘導部材3131に遊技球を乗せた状態で下側停止位置(図204参照)から上側停止位置(図205参照)まで上昇して、メイン液晶画面PNMの前方に移動する(図266(A))。したがって、誘導部材3131は遊技球Kとともに、下方から上方へ向かってメイン液晶画面PNMの前方に移動する。振分演出装置3125の上昇動作は、下側停止位置から上側停止位置まで一定速度で行われても良いし、途中で停止や減速を行いながら多段階で行われても良い。
次に、揺動機構3170のモータ3171(図201)を駆動させて、誘導部材3131を上部に備える振分部3130を回動させることにより、誘導部材3131を略水平な状態から右および/または左に傾斜させる傾斜動作を実行する。誘導部材3131を右傾斜(遊技者から見て右側の端部が低く左側の端部が高くなるような傾斜)させると、誘導部材3131上の遊技球Kは、遊技者から見て右側に転動する。一方、誘導部材3131を左傾斜(遊技者から見て左側の端部が低く右側の端部が高くなるような傾斜)させると、誘導部材3131上の遊技球Kは、遊技者から見て左側に転動する。
この傾斜動作には、複数種類のパターンがある。第1の傾斜動作は、まず、遊技球Kが誘導部材3131の両端から転落しない程度の小さな傾斜で、右傾斜と左傾斜を複数回行うことによって、誘導部材3131上の遊技球Kを誘導部材3131上で往復するように転動させ(図266(B))、その後、誘導部材3131を大きく右傾斜させることによって、遊技球Kを誘導部材3131の右端から転落させる動作である(図267)。
第2の傾斜動作は、まず、遊技球Kが誘導部材3131の両端から転落しない程度の小さな傾斜で、右傾斜と左傾斜を複数回行うことによって、誘導部材3131上の遊技球Kを誘導部材3131上で往復するように転動させ(図266(B))、その後、誘導部材3131を大きく左傾斜させることによって、遊技球Kを誘導部材3131の左端から転落させる動作である(図示省略)。
傾斜動作には、さらに、他のパターンを含んでも良いが、本実施形態では、最終的に誘導部材3131上の遊技球Kを誘導部材3131の右端から転落させる右転落パターンと、最終的に誘導部材3131上の遊技球Kを誘導部材3131の左端から転落させる左転落パターンのいずれかとされている。
傾斜動作を行って、遊技球Kを誘導部材3131から転落させた後に、周辺制御MPU4140aは、現在の大当たり遊技が大当たりAであるか、大当たりBであるかを遊技者に確定的に報知する。大当たりAであることの確定的な報知は、例えば、印象的な確定音をスピーカ121から出力するとともに、メイン液晶画面PNMに大当たりAであることを報知するメッセージを表示することによって行われる。大当たりBであることの確定的な報知は、例えば、メイン液晶画面PNMに大当たりBであることを報知するメッセージを表示することによって行われる。
ここで、メイン液晶画面PNMに右側がより大当たりAである期待度が大きいことを示唆する表示となっている状態で右転落パターンを行った場合には、右側がより大当たりAである期待度が大きいことを示唆する表示となっている状態で左転落パターンを行った場合より、大当たりAであることの期待度が大きくなるように、周辺制御MPU4140aは、傾斜動作のパターンを選択する。同様に、メイン液晶画面PNMに左側がより大当たりAである期待度が大きいことを示唆する表示となっている状態で左転落パターンを行った場合には、左側がより大当たりAである期待度が大きいことを示唆する表示となっている状態で右転落パターンを行った場合より、大当たりAであることの期待度が大きくなるように、周辺制御MPU4140aは、傾斜動作のパターンを選択する。すなわち、周辺制御MPU4140aは、大当たりAである期待度を示唆するように、左転落パターンおよび右転落パターンのいずれかを選択する。
なお、誘導部材3131から転落した遊技球Kが、振分演出装置3125の一部を構成する揺動駆動部3145(図200)の第1流入口3153aまたは第2流入口3154aに送られて、遊技球転動演出は完結する。すなわち、上述した遊技球転動演出は、メイン液晶画面PNMの前方にて完結するので、遊技者にとって、遊技球の転動する様が見やすくなっている。
なお、上述のように、大当たり遊技の開始前の変動に対応する第一特別図柄に対応した抽選で、既に大当たりAであるか、大当たりBであるかは決定されているので、振分演出装置3125を用いた大当たり種別報知演出では実際に遊技球Kが転落した方向で抽選が行われているわけではなく、既に大当たりAであるか、大当たりBであるかは決定されているにも拘わらず、現在、抽選が行われているかのように遊技者に見せるものである。
以上説明した大当たり遊技中に行われる振分演出装置3125を用いた演出によれば、振分演出装置3125は、遊技球貯留機構としての遊技媒体供給機構3121から遊技球を受け取り、メイン液晶画面PNMの前方に遊技媒体供給機構3121から受け取った遊技球と共に移動する。この結果、振分演出装置3125が単独でメイン液晶画面PNMの前方に移動してきた場合よりも、目新しさと驚きを持って振分演出装置の移動に見入る。この結果、遊技者の期待感を高めて、遊技者の退屈感を払拭して、遊技の単調さを抑制できる。
さらに、そのうえで、遊技球Kを複数種類のパターンで表示手段におけるメイン液晶画面PNMの前方に転動させる遊技球転動演出を実行する。この結果、振分演出装置3125を用いた演出のパターンを多様化することができる。特に、遊技球転動演出における遊技球の転動は、予め定められた演出であるという印象が薄く、不確定要素を含んでいるように、遊技者に感じさせることができるので、遊技者に演出の行く末を見守ろうとする意欲を高めることができ、遊技に熱中させることができる。また、メイン液晶画面PNMの前方において遊技球Kを転動させる遊技球転動演出を行うことで、遊技球転動演出を行うスペースを確保するために、メイン液晶画面PNMの配置が制限されることを抑制することができる。この結果、遊技者にとって多様で魅力的な演出を実現することができ、遊技の単調さを抑止して、遊技者の遊技意欲の減退を抑制することができる。
また、遊技媒体供給機構3121に遊技球が貯留されていない場合には、遊技者が遊技球転動演出を含む振分演出装置3125を用いた演出を選択することを許容しないので、遊技球転動演出を実行しようとしたにも拘わらず、用いる遊技球がなく、振分演出装置3125のみが動作してしまう不具合を抑制することができる。
また、大当たり種別報知演出の選択画面において、遊技媒体供給機構3121に遊技球が貯留されていない場合には、選択画像にて遊技球転動演出を含む演出パターンの存在を示唆するにも拘わらず、遊技者が当該演出パターンを選択することを許容しないので、遊技球転動演出を実行しようとしたにも拘わらず、用いる遊技球がなく、振分演出装置3125のみが動作してしまう不具合を抑制することができるとともに、当該演出パターンの存在は遊技者に示唆されるので、遊技者に当該演出パターンを見たいという誘因を起こさせ、遊技意欲の減退を抑制することができる。
さらには、誘導部材3131の転動面3131aが水平方向の中央部近傍が最も低く両端部が高い緩やかな円弧状に形成されているので、振分演出装置3125の上昇動作中や、小傾斜で傾斜動作を行っている際などに、意図と反して遊技球Kが誘導部材3131の両端から転落してしまうことを抑制することができる。
さらに、メイン液晶画面PNMに表示される期待度の表示と連動して、メイン液晶画面PNMの前方にて、遊技球転動演出を実行するので、さらに、メイン液晶画面PNMに表示される内容を複数種類用意することで、さらに、演出パターンを多様化できるので、遊技の単調さを解消して、遊技者の遊技意欲の減退を抑制することができる。
封入された遊技球を用いて遊技球転動演出を繰り返し行うものでは、使用に伴って遊技球の表面に汚れが付着したり、遊技球の表面が錆びたりした場合には、遊技球の見栄えが悪くなり、演出効果を害する虞がある。特に、振分演出装置3125で行われる遊技球転動演出は、遊技球の挙動を注目させるものであるため、その汚れや錆びは目立つものとなり、視覚的な興趣を低下させる要因となる。しかしながら、本実施形態では、図214を参照して説明したように、パチンコ機1の電源投入時等に、遊技媒体供給機構3121に貯留された遊技球を排出して、新たに第二始動口2002に受け入れられた遊技球を遊技媒体供給機構3121に貯留することができるため、遊技球転動演出に用いられる遊技球を常に入れ替えて、遊技球の見栄えの劣化を抑制でき、ひいては遊技球転動演出の見栄えの劣化を抑制することができる。
また、振分演出装置3125は、メイン液晶画面PNMを遊技者が視認することを妨げない位置に待機しつつ、変動中演出では、演出実行条件が満たされた場合に、メイン液晶画面PNMの前方に移動する上昇動作のみを用いて演出の一翼を担うが、大当たり遊技中の演出では、メイン液晶画面PNMの前方に移動する上昇動作に加えて、上昇動作とは異なる傾斜動作を、上昇動作後にメイン液晶画面PNMの前方にて実行する。すなわち、振分演出装置3125は、大当たり遊技中には、大当たり遊技特有の動作を行うので、遊技者に大当たりを引いて特典を獲得した喜びを増大させることができる。この結果、遊技の単調化を抑止して遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができる。
さらに、可動演出装置は、振分演出装置3125は、変動中演出では、誘導部材3131を略水平に保ったまま上方に移動することによって、メイン液晶画面PNMにおける岩石画像HRKの移動表示と連動して、振分演出装置3125によって岩石画像HRKが持ち上げられる様を表現する。その一方、大当たり遊技中の演出では、振分演出装置3125は、誘導部材3131を略水平に保ったまま上方に移動することによって、メイン液晶画面PNMの前方に移動した後、メイン液晶画面PNMの前方にて誘導部材3131を右または左に傾ける傾斜動作を行うことによって、大当たり遊技の種別が、価値の高い特典である大当たりAであるか、価値の低い大当たりBであるかを示唆しうる。この結果、変動中の演出と、大当たり遊技中の演出とでは、同じ振分演出装置3125を用いつつも全く趣きの異なる演出を実現できる。変動中の演出中は大当たり期待度を示唆することを目的として行われるのに対して、大当たり遊技中における演出は当たりの種別を示唆することを目的として行われる。これを、振分演出装置3125が同じ動きで行ったのでは、演出の単調化につながる上に、大当たり遊技を獲得した遊技者の喜びが半減してしまうが、本実施態様の遊技機では、そのような遊技意欲の低下要因をなくすことで遊技者の遊技意欲の低下を抑制することができる。
なお、本実施形態では、大当たり遊技中の遊技球転動演出は、出玉の多い大当たりAか、出玉の少ない大当たりBかを示唆する演出として用いられているが、例えば、大当たり遊技後に確変機能が作動しない通常大当たりと、大当たり遊技後に確変機能が作動する確変大当たりが存在するパチンコ機においては、大当り遊技中には、当該大当たりが、通常大当たりであるか、確変大当たりであるかを示唆する演出として用いられても良い。
[特殊モード]
上述した通常モードから、所定の条件が満たされると特殊モードに移行する場合がある。例えば、通常モードにおいて、「小当たり」、「大当たりD」のいずれかに当選した場合、小当たり遊技または大当たり遊技の終了後に、特殊モードに移行する場合がある。また、「小当たり」、「大当たりD」のいずれかに当選した後、所定変動回数以内(例えば、30変動以内など、確変動作が作動した場合に確変動作が継続する回数以内(本実施形態では74回以内)であることが好ましい。)に通常モードから特殊モードに移行する。以下では、特殊モードについて説明する。
図268は、特殊モードにおけるメイン液晶画面PNMと、サブ液晶画面PNSの内容の一例を示す図である。通常モードから特殊モードに移行するとき、周辺制御MPU4140aは、第一役物ユニット2370の左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379を下方に移動させるとともに、第二役物ユニット2400の可動部ユニット2401を斜め後方に回動させることで、第1の表示形態から第2の表示形態に移行する(図247参照)。すなわち、遊技者は、メイン液晶画面PNMに加えて、サブ液晶画面PNSが視認可能となる。
また、特殊モードに移行すると、周辺制御MPU4140aは、駆動部3090を制御して、メイン液晶画面PNMの前方にてシャッタ型役物3002を閉鎖した状態とする(図268)。すなわち、メイン液晶画面PNMの前方が、左内シャッター3010、左外シャッター3050、右内シャッター3030、右外シャッター3070によって覆われる。このとき、メイン液晶画面PNMの表示領域の全体に亘って、特別演出画像が表示される(図268では図の煩雑を避けるために図示は省略する。)。ここで、「メイン液晶画面PNMの全体に亘って特別演出が表示される」には、本装飾図柄1157のように極めて小さい画像であり、その表示が特別演出を実質的に妨げることが考えがたい画像がメイン液晶画面PNMに含まれていても、実質的に「メイン液晶画面PNMの全体に亘って特別演出が表示される」という概念に含まれる。実際、本実施形態においても図示は省略するが、特殊モードにおいて、装飾図柄や保留表示はメイン液晶画面PNMには表示されないが、本装飾図柄1157はメイン液晶画面PNMに表示されている。このため、厳密に言えば、本装飾図柄1157の表示領域を除くメイン液晶画面PNMの表示領域の全体に亘って特別演出画像が表示される。各シャッター3050、3010、3030、3070は、電飾体3012、3013、3052、3072を除き、上述の通り、透明板で構成されており、シャッタ型役物3002が閉鎖された状態でも透明板を介して特別演出画像を遊技者が視認可能である。特別演出画像は、通常モードにて表示されていた装飾図柄、水晶画像FCR、保留表示HR1を含んでいない。すなわち、メイン液晶画面PNMには、装飾図柄、水晶画像FCR、保留表示HR1が表示されることなく、特別演出画像が表示される。このようにメイン液晶画面PNMから、装飾図柄、水晶画像FCR、保留表示HR1が消去されるのは、メイン液晶画面PNMにおける特別演出画像を遊技者が視認することを妨げないためである。
特殊モードにて、遊技者が遊技球を打ち出して遊技を行い、遊技球が始動口2001、2002のいずれかに入球すると、特別図柄表示器641、642において特別図柄の変動表示および停止表示が行われるにも拘わらず、メイン液晶画面PNMでは、装飾図柄の変動表示および停止表示が行われることなく、特別演出画像による演出が行われ続ける。その代わり、特別図柄表示器641、642における特別図柄の変動表示および停止表示に対応して、サブ液晶画面PNSにて、装飾図柄の変動表示および停止表示が行われる。すなわち、通常モードにてメイン液晶画面PNMに表示されていた装飾図柄の変動表示および停止表示と同様に、サブ液晶画面PNSに、3列の図柄列、すなわち、左図柄列1153a、中図柄列1153b、右図柄列1153cが表示され、各図柄列1153a〜1153cにて、0〜9の複数の装飾図柄が順に配列されて変動表示または停止表示される(図268)。この結果、特殊モードでは、遊技者の注目は、メイン液晶画面PNMにおける特別演出画像とシャッタ型役物3002の開閉動作や電飾体の発光とを連動させた特別演出に主として集まる。一方で、遊技者は、特別図柄の抽選が行われていることをサブ液晶画面PNSにおいて装飾図柄の変動表示および停止表示がなされているのを視認することで確認することができる。
さらには、特殊モードでは、通常モードにおいてメイン液晶画面PNMに表示されていた水晶画像FCRおよび保留表示HR1も、サブ液晶画面PNSに表示される(図268)。サブ液晶画面PNSに表示される装飾図柄、水晶画像FCR、保留表示HR1は、通常モードにてメイン液晶画面PNMに表示されていた装飾図柄、水晶画像FCR、保留表示HR1より小さいがデザインは略同一である。すなわち、サブ液晶画面PNSに表示される装飾図柄、水晶画像FCR、保留表示HR1は、通常モードにてメイン液晶画面PNMに表示されていた装飾図柄、水晶画像FCR、保留表示HR1と略相似の関係になっている。この結果、特殊モードでは、遊技者の注目は、メイン液晶画面PNMにおける特別演出画像とシャッタ型役物3002の開閉動作や電飾体の発光とを連動させた特別演出に主として集まるものの、遊技者は、保留数や保留の消化状況をサブ液晶画面PNSにて確認することができる。
なお、例えば、保留表示が液晶パネルとは異なるランプ等で行われる遊技機では、サブ液晶画面に保留表示を表示することは行わず、装飾図柄の表示のみをサブ液晶画面に表示することとしても良い。
このように、通常モードから特殊モードに切り替わると、装飾図柄の変動表示および停止表示がなされる画面が、メイン液晶画面PNMからサブ液晶画面PNSに切り替わったように見える。そして、通常モードから特殊モードに切り替わると、水晶画像FCRの表示および保留表示がなされる画面が、メイン液晶画面PNMからサブ液晶画面PNSに切り替わったように見える。
一方で、特殊モードでは、メイン液晶画面PNMでは、シャッタ型役物3002を閉鎖状態にした状態を基本として、シャッタ型役物3002を構成する各シャッター3050、3010、3030、3070に設けられた電飾体3012、3013、3052、3072を発光させつつ特別演出を行う。図269は、特別演出について説明する説明図である。図269(A)〜(C)は、特別演出におけるシャッタ型役物3002(各シャッター3050、3010、3030、3070)の動作について説明する図であり、図269(D)〜(E)は、特別演出におけるメイン液晶画面PNMの表示内容について説明する図である。図269(A)〜(C)では、図の煩雑を避けるため、メイン液晶画面PNMの表示内容および各シャッター3050、3010、3030、3070の電飾体3012、3013、3052、3072については図示を省略している。逆に図269(D)〜(E)では、図の煩雑を避けるため、シャッタ型役物3002(各シャッター3050、3010、3030、3070)については図示を省略している。図269(A)〜(C)において、ハッチングされた領域OPWは、シャッタ型役物3002(各シャッター3050、3010、3030、3070)によって覆われていない領域、すなわち、遊技者がメイン液晶画面PNMを直視できる領域(以下、開領域OPW)とも呼ぶ。
この特別演出では、周辺制御MPU4140aは、例えば、各シャッター3050、3010、3030、3070を完全に閉じた状態に制御することを基本としつつ、時折、各シャッター3050、3010、3030、3070が半開きになった状態に制御する。例えば、図269(A)〜(C)に示すように、半開きになった状態は、半開きの程度、すなわち、開領域OPWの大きさが異なる複数種類の状態を取り得る。そして、開領域OPWの大きさによって、遊技状態が確変機能が作動している外部通常遊技状態B(いわゆる潜確状態)である可能性を示唆する。具体的には、開領域OPWの大きさが大きい状態に長時間に亘って制御されるほど、遊技状態が潜確状態である可能性が高いことを表す。
さらに、この特別演出では、周辺制御MPU4140aは、メイン液晶画面PNMにおいて遊技状態が確変機能が作動している外部通常遊技状態B(いわゆる潜確状態)である可能性を示唆する確変示唆画像としてシンボルマークSMMを表示する。具体的には、背景画像BGCにおいて、比較的ぼんやりとした状態でシンボルマークSMMを表示した状態を基本としつつ、時折、明瞭がシンボルマークSMMがメイン液晶画面PNMの奥側から前方に飛び出してくるように見えるように拡大表示されながら表示される。例えば、図269(D)〜(F)に示すように、拡大表示されて最終的に明瞭に表示されるシンボルマークSMMは、複数種類の大きさを取り得る。そして、シンボルマークSMMの大きさによって、遊技状態が潜確状態である可能性を示唆する。具体的には、大きなシンボルマークSMMが多数回に亘って表示されるほど、遊技状態が潜確状態である可能性が高いことを表す。
さらに、この特別演出では、周辺制御MPU4140aは、メイン液晶画面PNMに表示される背景画像BGCの色を複数種類に変化させうる。具体的には、例えば、背景画像BGCの色は、「青」「黄」「緑」「赤」の4種類とされうる。そして、背景画像BGCの色によって遊技状態が潜確状態である可能性を示唆する。具体的には、背景画像BGCの色は、「青」「黄」「緑」「赤」の順で遊技状態が潜確状態である可能性がより高いことを表す。
すなわち、周辺制御MPU4140aは、上述したシャッタ型役物3002の動作、シンボルマークSMMの表示、背景画像BGCの色の変化を同時に複数種類組み合わせて、あるいは、それぞれ、単独で行いつつ、遊技状態が潜確状態であるか否かを示唆する特別演出を実行する。
メイン液晶画面PNM全体に亘って表示された特別演出画像のうちの各シャッター3050、3010、3030、3070に覆われている領域の一部または全部は、あえて単色(黒色)などに制御されても良い。
この特別演出は、複数回の特別図柄の変動に亘って連続的に行われる。すなわち、複数回の特別図柄の変動・停止サイクルの区切りとは無関係に、比較的長時間に亘って行われる。このため、保留消化の時間効率を犠牲にすることなく、自由度の高い連続性のある演出、(例えば、物語性のある演出や、長時間に亘るあおりを含む演出など)を特別演出として行うことができる。
ところで、特殊モード中における抽選に対応する変動において、いわゆるスーパーリーチなどの大当たり期待度の高い変動パターンが選択された場合には、サブ液晶画面PNSにおいてリーチ状態(最終停止図柄(例えば、中図柄列1153bの装飾図柄)が変動表示されつつ、最終停止図柄を除く、図柄列において装飾図柄が停止表示された状態)が表示されたあと、メイン液晶画面PNMにおける特別演出の表示が中断される。そして、シャッタ型役物3002が開放状態にされた後、メイン液晶画面PNMにおいてスーパーリーチ演出が表示される。そして、当該変動が終了すると、再びシャッタ型役物3002が閉鎖状態になり、メイン液晶画面PNMにおいて特別演出が表示領域の全域に亘って行われ、サブ液晶画面PNSにおいて装飾図柄の変動・停止表示および保留表示HR1が行われる。
特殊モードは、所定の条件が成立すると終了され、上述した通常モードに戻る。所定の条件は、例えば、特殊モードの終了抽選に当選すること、予め定められた変動回数に亘って特殊モードに滞在したこと等がある。特殊モードから通常モードへ戻る際には、まず、サブ液晶画面PNSを遊技者が視認可能な状態から、サブ液晶画面PNSが遊技者に視認不可能な状態にされる。すなわち、第一役物ユニット2370の左可動部ユニット2378及び右可動部ユニット2379を上方に移動させるとともに、第二役物ユニット2400の可動部ユニット2401を斜め前方に回動させることで、サブ液晶ユニット2350を隠蔽する。そして、通常モードに戻った後の変動では、図250に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて装飾図柄の変動および停止が行われ、保留表示HR1および水晶画像FCRは、メイン液晶画面PNMの下部領域に表示される。
本実施形態における特殊モードでは、装飾図柄の変動表示および停止表示、水晶画像FCR、保留表示HR1はサブ液晶画面PNSに表示され、メイン液晶画面PNMでは装飾図柄の変動表示および停止表示、水晶画像FCR、保留表示HR1を行うことなく、上述した特別演出を行うので、遊技者は通常モードから特殊モードに移行した際に驚きを感じる。そして、メイン液晶画面PNMでなにか特別な演出が行われていると認識させることができ、特別演出への注目や期待感を高めることができる。
ところで、本実施形態のパチンコ機1では、外部通常遊技状態Aにて、「小当たり」に当選した場合と、「大当たりD」に当選した場合では、行われる演出およびアタッカユニット2000の動作は同一とされている。このため、遊技者は、「小当たり」に当選したのか、「大当たりD」に当選したのか認識し難い。しかし、上述のように、「小当たり」に当選した場合には、その後の遊技状態が確変機能が作動しない外部通常遊技状態Aのままで維持されるのに対して、「大当たりD」に当選した場合には、その後の遊技状態が確変機能が作動する外部通常遊技状態Bに制御される。このため、遊技者は、「小当たり」または「大当たりD」に当選した後において、遊技状態が、外部通常遊技状態Aであるのか、外部通常遊技状態Bであるのかについて大きな関心を持つ。そして、遊技者に、現在の遊技状態が、外部通常遊技状態Aであるのか、外部通常遊技状態Bであるのかについてどきどきさせたり、推測させたりすることが、本実施形態のパチンコ機1の遊技性の一つとなっている。このような遊技機では、遊技状態を示唆する演出の充実が遊技の興趣の向上に大きく貢献する。
従来のこのようなタイプの遊技機では、遊技者の関心は、変動に対応した抽選処理の抽選結果が大当たりとなるか否かに加えて、現在の遊技状態がなにであるかということにも向けられる。このため、変動に対応した抽選処理の抽選結果の大当たり期待度を示す演出に加えて、遊技状態を示唆する演出が液晶パネルなどの表示装置で行われている。しかしながら、様々な演出を同時に行うと表示装置の表示内容が煩雑になり、遊技者は、どの演出に注目すべきか把握しづらい場合があり、結果として、演出の意図が遊技者に十分に伝わらず、その結果、遊技の興趣を向上することは出来ず、遊技意欲の低下をもたらすおそれがあった。
その点、本実施形態における特殊モードでは、装飾図柄の変動表示および停止表示、水晶画像FCR、保留表示HR1をメイン液晶画面PNMに表示することなくメイン液晶画面PNMでは、外部通常遊技状態Bであるか、外部通常遊技状態Aであるかを示唆する特別演出の表示に特化して表示している。この結果、煩雑な印象を与えることなく、遊技者にインパクトのある特別演出を実現できる。したがって、遊技意欲の低下を抑制することができる。さらに、今まで大当たりか否かを示す装飾図柄の変動および停止の表示に関心を持っていた遊技者に対して、現在の遊技状態が外部通常遊技状態Aであるか遊技者にとってより有利な外部通常遊技状態Bであるかについても関心を持たせることができる。この結果、上述した本実施形態のパチンコ機1の遊技性を遊技者により楽しんでもらうことができる。また、小当たり、潜確(大当たりD)などを用いた遊技性は、初心者やお年寄りには理解されにくい面があるが、小当たり、潜確の直後など、遊技状態がなにであるかが遊技性のうえで重要な場面で、装飾図柄等をメイン液晶画面PNMに表示することなく、遊技状態の示唆演出である特別演出をメイン液晶画面PNMの全領域を使って行うことで、遊技者に今は遊技状態がどの遊技状態であるかが重要な場面であるということを知らせて、多少難解な遊技性を遊技者により理解してもらい、遊技機の遊技性をより楽しんでもらうことができる。
また、上述のような遊技性の遊技機では、小当たり、潜確の直後など、遊技者の関心が当該変動が大当たりになるか否かよりも遊技状態が確変機能が作動している遊技状態であるか否かにあるかに移りうると考えられるが、このようなときに、装飾図柄をメイン液晶画面PNMに表示することなく、遊技状態の示唆演出である特別演出をメイン液晶画面PNM全体を使って行うことによって、遊技者が関心を強く持つと思われる演出を大きなメイン液晶画面PNMで行い、遊技者の関心が比較的薄くなる装飾図柄をサブ液晶に移しているとも言える。すなわち、遊技者の関心を考慮して遊技者の関心の移り変わりに沿って遊技者の関心が高いことに関連する演出をメイン液晶画面PNMで集中的に行うように制御して遊技者の遊技意欲を維持することができる。
さらには、遊技状態が確変機能が作動している遊技状態であるか否かは、複数の変動に亘って遊技者の関心を集めることであり、遊技状態が確変機能が作動している遊技状態であるか否かを示唆する演出を複数の変動に亘る長時間演出で行うと、より多様で遊技者にとって興趣の高い演出を実現しうる。ここで、仮に特別演出が行われているメイン液晶画面PNMに特別図柄の変動・停止サイクルに対応した装飾図柄の変動・停止が表示されていると、連続性のある長時間に亘る演出を特別演出として表示したとしても装飾図柄の変動・停止サイクルのために、特別演出が細切れな演出であると遊技者に感じられ、特別演出がだいなしになるおそれがある。本実施形態では、装飾図柄の変動および停止をメイン液晶画面PNMに表示することなく、メイン液晶画面PNMにて特別演出を表示するので、複数回の特別図柄の変動に亘って連続的に行われる特別演出を一つの長時間演出であることをはっきり認識して楽しんでもらえることに加えて、遊技効率を犠牲にすることもない。
また、特殊モード中であり、装飾図柄の変動への関心が薄くなっているとはいえ、大当たり期待度が高い演出(スーパーリーチ等)が表示されるときは、大当たり期待度が高まり、変動中演出への期待度が遊技状態の示唆演出より高まりうるので、その場合には遊技状態の示唆演出に変えて当該大当たり期待度の高い演出をメイン液晶画面PNMに表示することとしている。この結果、より遊技者の関心の移り変わりに沿って強調すべき演出を変えていき遊技者の遊技意欲を維持可能な遊技機を提供できる。
一方で、メイン液晶画面PNMとは別体に設けられたサブ液晶画面PNSにおいて装飾図柄の変動表示および停止表示と保留表示HR1を行っているので、遊技の進行、すなわち、抽選の進行や、保留の消化についてはサブ液晶画面PNSにおいて確認ができるので、遊技者は、安心して遊技を進めることができる。
さらには、特別演出は、シャッタ型役物3002でメイン液晶画面PNMを覆った状態を基本として行われるので、メイン液晶画面PNMに装飾図柄や保留表示HR1が表示されると、シャッタ型役物3002の各シャッター3050、3010、3030、3070と装飾図柄や保留表示HR1が重なって視認されることになり、装飾図柄や保留表示HR1が見づらくなって遊技者に不快感を与える恐れがある。本実施形態のパチンコ機1では、特別演出が行われる特殊モードでは、装飾図柄や保留表示HR1の表示を、メイン液晶画面PNMとは別体に設けら得たサブ液晶画面PNSで行うので、そのような不都合を避けることができる。
ところで、本実施形態のパチンコ機1では行われていないが、特殊モードから通常モードに移行する際に、振分演出装置3125が下側停止位置にあるべきであるにも拘わらず、不具合等により下側停止位置にない場合(図264参照)には、サブ液晶画面PNSを隠蔽することなく、保留表示HR1、水晶画像FCRをサブ液晶画面PNSに表示し続けるように制御しても良い。振分演出装置3125が下側停止位置にあるべきであるにも拘わらず、不具合等により下側停止位置にない場合とは、例えば、特殊モード中に、上述した振分演出装置3125の昇降演出が実行され、当該昇降演出の終了時に振分演出装置3125を下側停止位置に降下させる際に、不具合により下側停止位置まで振分演出装置3125が戻り切らなかった場合である。不具合により下側停止位置まで振分演出装置3125が戻り切らなかった状態にあるか否かは、周辺制御MPU4140aがフォトセンサ2382からの信号を受け取ることにより振分演出装置3125が下側停止位置にあるか否かを検出することにより判定できる。
振分演出装置3125が下側停止位置まで正常に降下しなかった場合には、振分演出装置3125によって、本来遊技者に視認されるはずの演出画像の一部が振分演出装置3125に妨げられて視認されないおそれがある。具体的には、通常モードに戻った際に、図264に示すように、正常時には遊技者に視認されるべき、メイン液晶画面PNMの下部領域が、振分演出装置3125に妨げられて遊技者が視認できない状態になりうる。通常モードでは、メイン液晶画面PNMの下部領域には、図250に示すように、通常モードでは、水晶画像FCR、保留表示HR1、本装飾図柄1157が表示されているが、これらの演出画像が遊技者に視認できないおそれがある。
上述したように、特殊モードから通常モードに移行する際に、振分演出装置3125が下側停止位置にあるべきであるにも拘わらず、不具合等により下側停止位置にない場合には、サブ液晶画面PNSを隠蔽することなく、保留表示HR1、水晶画像FCRをサブ液晶画面PNSに表示し続けるように制御すれば、遊技者は支障なく遊技を続行することができる。すなわち、可動演出装置が不具合等により待機位置にあるべきときに待機位置にないことによって遊技者が演出画像を楽しめずに遊技の興趣が損なわれることを抑制することができる。具体的には、保留表示を用いた先読み演出等が行われる遊技機では、保留表示が遊技者に視認できないと、遊技機の先読み演出を楽しむことができないが、サブ液晶画面PNSにおいて同様な保留表示を行うことによって、遊技者は、可動演出装置が不具合等により待機位置にあるべきときに待機位置にない場合であっても、保留先読み演出を十分に楽しむことができる。さらに、今までサブ液晶画面PNSに表示されていた保留表示HR1、水晶画像FCRの表示がそのまま表示され続けるだけであるので、遊技者に不具合の発生を気づかれにくいという利点がある。
同様の思想により、例えば、シャッタ型役物3002が不具合により閉鎖状態から開状態に戻り切らなかったことにより、本来遊技者に視認されるべき演出画像の一部または全部が遊技者により視認され難い状態になった場合には、当該演出画像のうち、少なくともシャッタ型役物3002が開状態にないことによって遊技者による視認が妨げられ得る部分をサブ液晶画面PNSに表示しても良い。
[リーチ成立時の演出の一例]
図270は、本実施形態のパチンコ機1のリーチ成立時の演出の一例について説明するための図である。ここで説明する一例は、比較的大当たり期待度の高いリーチ演出に発展するリーチ成立演出である。従って、周辺制御MPU4140aは、主制御MPU4100aからのコマンドによって、比較的大当たり期待度の高いリーチ演出に対応した変動パターンの選択が通知された場合に、本リーチ成立演出を予め定められた確率で選択する。
本リーチ成立演出が開始されると、図270(A)に示すように、主人公キャラクタSPMの動画像がメイン液晶画面PNMの上下方向の中央部を左右の両端にまで延びる帯状領域に表示されるとともに、中図柄列1153bに装飾図柄が上方から下方に向かって変動表示される。このとき、荘厳なテーマ曲がスピーカ121から出力される。
ついで、所定のタイミングで所定の効果音とエフェクト画像ともに、中図柄列1153bに表示された装飾図柄が二つに分裂して、一方は左図柄列1153aに移動するとともに、他方は右図柄列1153cに移る(図270(B))。その後、左図柄列1153aにおいて装飾図柄が下方向に変動表示されるとともに、右図柄列1153cにおいて装飾図柄が上方向に変動表示される(図270(C))。
この後、左図柄列1153aにおける装飾図柄の移動方向と、右図柄列1153cにおける装飾図柄の移動方向が急激に逆転され、左図柄列1153aにおいて装飾図柄が上方向に移動表示され、右図柄列1153cにおいて装飾図柄が下方向に移動表示される(図270(D))。
その上で、同じ装飾図柄が左図柄列1153a、および、右図柄列1153cの両方で停止表示されてリーチが成立する(図270(E))。このリーチ成立時の演出の後、比較的、期待度の高いリーチ演出が実行される。この一連の図柄の動きは、テーマ曲のリズムに合わせて行われ、例えば、テーマ曲の前半のある小節の最初の強拍に合わせて、装飾図柄の分裂(図270(A)(B))が行われ、テーマ曲のある小節の最初の強拍に合わせて、リーチが成立する(図270(E))。
上述したリーチ成立時の演出に加えて、上述したリーチ成立時の演出と、図270(D)までは同一の演出であって、最終的に左図柄列1153aと、右図柄列1153cの両方に異なる種類の装飾図柄が停止表示されてリーチが成立しないリーチ非成立演出が存在する。リーチ非成立演出行われた後は、中図柄列1153bに装飾図柄が停止表示されて当該変動のはずれが通知される。
[擬似変動演出]
続いて、メイン液晶画面PNMで行われる擬似変動演出の例について説明する。この擬似変動演出は、装飾図柄の変動を行い、装飾図柄の変動を擬似的に終了させる擬似変動を複数回実行する演出である。ここで、「装飾図柄の変動を擬似的に終了させる」とは、例えば、装飾図柄の少なくとも一部を停止表示させる態様、若しくは、装飾図柄の変動中に装飾図柄を序々に透明化して、装飾図柄の変動が終了したように遊技者に認識させるような態様を含む。この擬似変動演出における擬似変動では、後述のバトル演出や後述の巻き戻し演出などの演出を行う場合がある。以下に、バトル演出、および、巻き戻し演出について説明する。
[バトル演出(バトル演出包含演出)]
続いて、メイン液晶画面PNMで行われるバトル演出(バトル演出包含演出)の例について説明する。周辺制御MPU4140aは、主制御MPU4100aから送信されてくる変動タイプおよび変動パターンに基づいて、所定の確率で、バトル演出を含む演出であるバトル演出包含演出を含む一つの演出表示パターンを決定(選択)する。以下では、バトル演出包含演出を含む演出表示パターンをバトル包含演出表示パターンとも呼ぶ。周辺制御MPU4140aは、このバトル包含演出表示パターンに基づいて、バトル演出包含演出をメイン液晶画面PNM上で実行する。バトル演出包含演出では、遊技者に好意的な演出表示をもたらす味方キャラクタと、味方キャラクタよりも遊技者に悪意的な演出表示をもたらす敵方キャラクタとによってバトル演出(攻防演出または対決演出)が行われ、その勝敗に基づいて、バトル演出が再び行われたり、リーチ演出に発展したり、演出を終了したりするようになっている。バトル演出包含演出において、一のバトル演出中に、一の擬似変動(または擬似連)を行う。
このバトル演出包含演出は、バトル演出を繰り返して最大3回のバトル演出を行う。従って、バトル演出包含演出は、1回目のバトル演出を含む後述のバトル演出1回目処理、2回目のバトル演出を含む後述のバトル演出2回目処理、および、3回目のバトル演出を含む後述のバトル演出3回目処理の3つの演出を実行し得る。すなわち、上記バトル包含演出表示パターンは、1回目のバトル演出を行った後、所定演出(後述の大当たりまたはハズレ報知演出など)を経て演出を終了するパターン(バトル演出1回目処理参照)、2回目のバトル演出を行った後、所定演出を経て演出を終了するパターン(バトル演出2回目処理参照)、および、3回目のバトル演出を行った後、所定演出を経て演出を終了するパターン(バトル演出3回目処理参照)など、複数のパターンを含む。バトル包含演出表示パターンにおいて、バトル演出1回目処理で終了するパターンは、周辺制御MPU4140aがバトル演出包含演出を選択した場合であって、主制御MPU4100aから送信されてくる変動タイプ(図238等参照)が「通常」の場合に選択され、バトル演出2回目処理で終了するパターンは、周辺制御MPU4140aがバトル演出包含演出を選択した場合であって変動タイプが「2連」の場合に選択され、バトル演出3回目処理で終了するパターンは、周辺制御MPU4140aがバトル演出包含演出を選択した場合であって変動タイプが「3連」の場合に選択される。図271〜図273は、本バトル演出包含演出のフローチャートを示している。具体的には、図271は、バトル演出1回目処理のフローチャートであり、図272は、バトル演出2回目処理のフローチャートであり、図273は、バトル演出3回目処理のフローチャートである。図274〜図280は、本バトル演出包含演出としてメイン液晶画面PNMに表示される動画像を構成するフレーム画像を示す図である。このバトル演出包含演出について、図271〜273のフローチャートに沿って説明していき、演出の具体例について図274〜図280を参照して説明する。なお、図274〜図280において、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cの装飾図柄が高速変動している場合には、その様子を縦の三本線で示している。
<バトル演出1回目処理>
このバトル演出包含演出(バトル演出1回目処理)では、まず、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cが高速変動後、突如、図274に示すように、敵方キャラクタCRA1が武器BKAと共に出現する敵方出現演出が行われる(図271:ステップS10H)。なお、各図柄列における装飾図柄は、数字を示しており、以下では、その数字と「図柄」とを組み合わせて各装飾図柄を呼ぶこととする。例えば、数字「7」の装飾図柄を7図柄とも呼ぶ。
この敵方出現演出では、図274に示すように、敵方キャラクタCRA1の他、これからバトル演出が実行されることを示す「BATTLE CHANCE」を表すタイトルTTL1と、敵方キャラクタCRA1の通称を表すタイトルTTL2と、「戦闘力」を表すTTL3と、敵方キャラクタCRA1の戦闘力を表す戦闘力パラメータPM1とが示される。戦闘力パラメータPM1は、敵方キャラクタCRA1の強さを表し、例えば、この数値が大きいほど、敵方キャラクタCRA1が強く、この数値が小さいほど、敵方キャラクタCRA1が弱いことを表す。この戦闘力パラメータPM1と、当該演出表示パターンとの関係については、後述する。
続いて、敵方出現演出後、図275に示すように、味方キャラクタCRA2と敵方キャラクタCRA1とが対峙しているように示され、どちらが攻撃側となるかを選択する様子を示す攻撃側選択演出が行われる(図271:ステップS20H)。
この攻撃側選択演出では、図275に示すように、味方キャラクタCRA2および敵方キャラクタCRA1の他、バトル演出に突入したことを示す「BATTLE MODE」を表すタイトルTTL4と、本バトル演出が1回目のバトル演出であることを示す「1st BATTLE」を表すタイトルTTL5とが示される。
攻撃側選択演出では、味方キャラクタCRA2と敵方キャラクタCRA1のどちらか一方が、攻撃側キャラクタとして選択される。
まず、以下では、攻撃側キャラクタとして、敵方キャラクタCRA1が選択された場合について説明する。攻撃側選択演出で、敵方キャラクタCRA1が攻撃側として選択されると、図276に示すように、敵方キャラクタCRA1が、味方キャラクタCRA2に攻撃をしかける敵方攻撃演出が行われる(図271:ステップS30H)。
この敵方攻撃演出では、図276に示すように、敵方キャラクタCRA1および武器BKAの他、敵方キャラクタCRA1の必殺技である「敵方Aビーム」を表すタイトルTTL6と、「危険度」を表すTTL7と、危険度を表す危険度パラメータPM2とが示される。危険度パラメータPM2は、詳しくは、敵方キャラクタCRA1の必殺技である敵方Aビームの危険度を表し、例えば、この数値が大きいほど、敵方キャラクタCRA1の攻撃(必殺技「敵方Aビーム」)の危険度が高く、味方キャラクタCRA2が倒れる可能性が高く、この数値が小さいほど、敵方キャラクタCRA1の攻撃(必殺技「敵方Aビーム」)の危険度が低く、味方キャラクタCRA2が倒れる可能性が低いことを表す。この危険度パラメータPM2と、演出表示パターンとの関係については、後述する。
敵方攻撃演出では、敵方キャラクタCRA1の攻撃が味方キャラクタCRA2にヒットする(あたる)場合(図271:ステップS40H)と、敵方キャラクタCRA1の攻撃を味方キャラクタCRA2が避ける場合(図271:ステップS90H)とがある。
味方キャラクタCRA2に敵方キャラクタCRA1の攻撃がヒットした場合(図271:ステップS40H)には、さらに、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃に耐える場合(図271:ステップS50H)と、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃によって倒れる場合(図271:ステップS70H)とがある。
味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃に耐えた場合(図271:ステップS50H)には、図277に示すように、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃に耐えた様子を示す味方忍耐演出を行う。この味方忍耐演出では、図277に示すように、味方キャラクタCRA2の他、「負けるわけにはいかない!」を表すタイトルTTL8が示される。この図277に示される画像は、特許請求項の範囲における次回擬似変動示唆画像に含まれる。
この味方忍耐演出が出現すれば、バトル演出がバトル演出がドロー(引き分け)となって、バトル演出継続確定となり、バトル演出2回目処理(図272)へと移行する(図271:ステップS60H)。
味方キャラクタCRA2に敵方キャラクタCRA1の攻撃がヒットした場合(図271:ステップS40H)であって、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃によって倒れた場合(図271:ステップS70H)には、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃によって倒れた様子を示す味方キャラ倒れ演出を行う。この味方キャラ倒れ演出を行った場合には、すぐに、はずれを示すハズレ図柄配列を報知するハズレ報知演出(図271:ステップS80H)を行って、このバトル演出包含演出(バトル演出1回目処理)を終了する場合と、倒れた味方キャラクタCRA2が復活する様子を示す復活演出を行う場合(図271:ステップS85H)とがある。復活演出では、味方キャラクタCRA2とは異なる味方キャラクタが呼びかける演出が行われた後、味方キャラクタCRA2がその呼びかけに応じるように復活する演出が行われる。この復活演出は、大当たりCを示唆する演出であり、復活演出後には、大当たりCを表す大当たりC図柄配列を停止し、大当たり報知演出(図271:ステップS87H)を行う。この演出後、大当たりCの大当たり遊技が行われる。このバトル演出包含演出終了後には、当該変動(当該バトル包含演出表示パターンに基づく演出)を終了し、次の変動へ移行する。なお、この復活演出は、味方キャラ倒れ演出を行った後、すぐに行う場合に限られず、味方キャラ倒れ演出を行った後、一旦、ハズレ報知演出を実行し、その後に行うようにしてもよい。
敵方キャラクタCRA1が、味方キャラクタCRA2に攻撃をしかける敵方攻撃演出が行われた場合(図271:ステップS30H)であって、敵方キャラクタCRA1の攻撃を味方キャラクタCRA2が避けた場合(図271:ステップS90H)には、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃を避けた様子を示す回避演出を行う。この回避演出が出現すれば、バトル演出がバトル演出がドロー(引き分け)となって、バトル演出継続確定となり、バトル演出2回目処理(図272)へと移行する(図271:ステップS100H)。
続いて、以下では、攻撃側選択演出において、攻撃側キャラクタとして、味方キャラクタCRA2が選択された場合について説明する。
攻撃側選択演出で、味方キャラクタCRA2が攻撃側として選択されると、図278に示すように、味方キャラクタCRA2が、敵方キャラクタCRA1に攻撃をしかける味方攻撃演出が行われる(図271:ステップS110H)。この味方攻撃演出では、図278に示すように、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1に向けてビームBM1を発射する演出を行う。
味方攻撃演出では、味方キャラクタCRA2の攻撃(ビームBM1)が必ずヒットする(図271:ステップS120H)。
味方攻撃演出で、味方キャラクタCRA2の攻撃がヒットした場合には、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃によって倒れる場合(図271:ステップS130H)と、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐える場合(図271:ステップS160H)とがある。
敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃によって倒れた場合(図271:ステップS130H)には、図279に示すように、敵方キャラクタCRA1が倒れたことによって、味方キャラクタCRA2の意気が揚がった様子を示す意気高揚演出が行われる。この意気高揚演出では、図279に示すように、味方キャラクタCRA2の他、今後の演出に期待を持たせる肯定的な文言である「次の事件も任せろ!」を表すタイトルTTL9が示され、左図柄列1153aおよび右図柄列1153cにおいて、装飾図柄(図279の例では、0図柄)が表示されてリーチ状態(リーチ成立)が示される(図271:ステップS140H)。そして、リーチ状態を示した後(リーチ成立後)、リーチ演出へと移行する(図271:ステップS150H)。この図279に示す画像は、特許請求の範囲における次回擬似変動否定画像に含まれる。
当該(今回の)バトル包含演出表示パターンがはずれ変動パターンに基づいているならば、このリーチ演出を行った後、ハズレ図柄配列を報知するハズレ報知演出(図271:ステップS152H)を行い、このバトル演出1回目処理を終了する。当該バトル包含演出表示パターンが大当たり変動パターンに基づいているならば、このリーチ演出を行った後、大当たり図柄配列を報知する大当たり報知演出(図271:ステップS153H)を行い、このバトル演出包含演出を終了する。なお、この大当たり報知演出後には、大当たりAまたは大当たりBの遊技が行われる。
味方攻撃演出で、味方キャラクタCRA2の攻撃がヒットした場合であって、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐えた場合(図271:ステップS160H)には、図280に示すように、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐えた様子を示す敵方忍耐演出を行う。この図280に示される画像は、特許請求の範囲における次回擬似変動示唆画像に含まれる。
この敵方忍耐演出が出現すれば、バトル演出がバトル演出がドロー(引き分け)となって、バトル演出継続確定となり、バトル演出2回目処理(図272)へと移行する(図271:ステップS170H)。
以上がバトル演出1回目処理のフローである。バトル演出1回目処理のフローにおいて、敵方攻撃演出を経由し味方キャラクタCRA2の攻撃が味方にヒットしても味方キャラクタCRA2が耐えた場合(図271:ステップS60H)、敵方攻撃演出を経由し味方キャラクタCRA2が攻撃を避けた場合(図271:ステップS100)、および、味方攻撃演出を経由して味方キャラクタCRA2の攻撃を受けた敵方キャラクタCRA1が耐えた場合(図271:ステップS170H)、すなわち、バトル演出がドローの場合には、引き続きバトル演出2回目処理に突入する。続いて、このバトル演出2回目処理について図272を参照して説明する。
<バトル演出2回目処理>
バトル演出2回目処理に突入すると、再度、攻撃側選択演出が行われる(図272:ステップS200H)。
まず、以下では、攻撃側キャラクタとして、敵方キャラクタCRA1が選択された場合について説明する。攻撃側選択演出で、敵方キャラクタCRA1が攻撃側として選択されると、上記敵方攻撃演出が行われる(図272:ステップS210H)。
敵方攻撃演出では、敵方キャラクタCRA1の攻撃が味方キャラクタCRA2にヒットする(あたる)場合(図272:ステップS220H)と、敵方キャラクタCRA1の攻撃を味方キャラクタCRA2が避ける場合(図272:ステップS280H)とがある。
味方キャラクタCRA2に敵方キャラクタCRA1の攻撃がヒットした場合(図272:ステップS220H)には、さらに、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃に耐える場合(図272:ステップS230H)と、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃によって倒れる場合(図272:ステップS250H)とがある。
味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃に耐えた場合(図272:ステップS230H)には、上記味方忍耐演出を行う。
この味方忍耐演出が出現すれば、バトル演出がバトル演出がドロー(引き分け)となって、バトル演出継続確定となり、バトル演出3回目処理(図273)へと移行する(図272:ステップS240H)。
味方キャラクタCRA2に敵方キャラクタCRA1の攻撃がヒットした場合(図272:ステップS220H)であって、味方キャラクタCRA2が敵方キャラクタCRA1の攻撃によって倒れた場合(図272:ステップS250H)には、上記味方キャラ倒れ演出を行う。この味方キャラ倒れ演出を行った場合には、すぐに、はずれを示すハズレ図柄配列を報知するハズレ報知演出(図272:ステップS260H)を行って、このバトル演出包含演出(バトル演出2回目処理)を終了する場合と、倒れた味方キャラクタCRA2が復活する様子を示す復活演出を行う場合(図272:ステップS270H)とがある。この復活演出では、味方キャラクタCRA2とは異なる味方キャラクタが呼びかける演出が行われた後、味方キャラクタCRA2がその呼びかけに応じるように復活する演出が行われる。この復活演出は、大当たりCを示唆する演出であり、復活演出後には、大当たりCを表す大当たりC図柄配列を停止し、大当たり報知演出(図272:ステップS277H)を行う。この演出後、大当たりCの大当たり遊技が行われる。このバトル演出包含演出終了後には、当該変動(当該バトル包含演出表示パターンに基づく演出)を終了し、次の変動へ移行する。なお、この復活演出は、味方キャラ倒れ演出を行った後、すぐに行う場合に限られず、味方キャラ倒れ演出を行った後、一旦、ハズレ報知演出を実行し、その後に行うようにしてもよい。
敵方キャラクタCRA1が、味方キャラクタCRA2に攻撃をしかける敵方攻撃演出が行われた場合(図272:ステップS210H)であって、敵方キャラクタCRA1の攻撃を味方キャラクタCRA2が避けた場合(図272:ステップS280H)には、上記回避演出を行う。この回避演出が出現すれば、バトル演出がバトル演出がドロー(引き分け)となって、バトル演出継続確定となり、バトル演出3回目処理(図273)へと移行する(図272:ステップS290H)。
続いて、以下では、攻撃側選択演出において、攻撃側キャラクタとして、味方キャラクタCRA2が選択された場合について説明する。
攻撃側選択演出で、味方キャラクタCRA2が攻撃側として選択されると、上記味方攻撃演出が行われる(図272:ステップS300H)。味方攻撃演出では、味方キャラクタCRA2の攻撃が必ずヒットする(図272:ステップS310H)。
味方攻撃演出で、味方キャラクタCRA2の攻撃がヒットした場合には、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃によって倒れる場合(図272:ステップS320H)と、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐える場合(図272:ステップS350H)とがある。
敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃によって倒れた場合(図272:ステップS320H)には、上記意気高揚演出が行われる。この意気高揚演出では、リーチ状態(リーチ成立)が示される(図272:ステップS330H)。そして、リーチ状態を示した後(リーチ成立後)、リーチ演出へと移行する(図272:ステップS340H)。
当該(今回の)バトル包含演出表示パターンがはずれ変動パターンに基づいているならば、このリーチ演出を行った後、ハズレ図柄配列を報知するハズレ報知演出(図272:ステップS342H)を行い、このバトル演出包含演出(バトル演出2回目処理)を終了する。当該バトル包含演出表示パターンが大当たり変動パターンに基づいているならば、このリーチ演出を行った後、大当たり図柄配列を報知する大当たり報知演出(図272:ステップS343H)を行い、このバトル演出包含演出を終了する。なお、この大当たり報知演出後には、大当たりAまたは大当たりBの遊技が行われる。
味方攻撃演出で、味方キャラクタCRA2の攻撃がヒットした場合であって、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐えた場合(図272:ステップS350H)には、上記敵方忍耐演出を行う。
この敵方忍耐演出が出現すれば、バトル演出がドロー(引き分け)となって、バトル演出継続確定となり、バトル演出3回目処理(図273)へと移行する(図272:ステップS360H)。
以上がバトル演出2回目処理のフローである。バトル演出2回目処理のフローにおいて、敵方攻撃演出を経由し味方キャラクタCRA2の攻撃が味方にヒットしても味方キャラクタCRA2が耐えた場合(図272:ステップS240H)、敵方攻撃演出を経由し味方キャラクタCRA2が攻撃を避けた場合(図272:ステップS290)、および、味方攻撃演出を経由して味方キャラクタCRA2の攻撃を受けた敵方キャラクタCRA1が耐えた場合(図272:ステップS360H)、すなわち、バトル演出がドローの場合には、バトル演出3回目処理に突入する。続いて、このバトル演出3回目処理について図273を参照して説明する。
<バトル演出3回目処理>
バトル演出3回目処理に突入すると、再度、攻撃側選択演出が行われる(図273:ステップS400H)。しかし、バトル演出3回目処理では、必ず攻撃側キャラクタが味方キャラクタCRA2となるように選択される。
攻撃側選択演出で、味方キャラクタCRA2が攻撃側として選択されると、上記味方攻撃演出が行われる(図273:ステップS410H)。味方攻撃演出では、味方キャラクタCRA2の攻撃が必ずヒットする(図273:ステップS420H)。
味方攻撃演出で、味方キャラクタCRA2の攻撃がヒットした場合には、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃によって倒れる場合(図273:ステップS430H)と、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐えた後、逃げる場合(図273:ステップS460H)とがある。
敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃によって倒れた場合(図273:ステップS430H)には、上記意気高揚演出が行われる。この意気高揚演出では、リーチ状態(リーチ成立)が示される(図273:ステップS440H)。そして、リーチ状態を示した後(リーチ成立後)、リーチ演出へと移行する(図273:ステップS450H)。
当該(今回の)バトル包含演出表示パターンがはずれ変動パターンに基づいているならば、このリーチ演出を行った後、ハズレ図柄配列を報知するハズレ報知演出(図273:ステップS453H)を行い、このバトル演出包含演出(バトル演出3回目処理)を終了する。当該バトル包含演出表示パターンが大当たり変動パターンに基づいているならば、このリーチ演出を行った後、大当たり図柄配列を報知する大当たり報知演出(図273:ステップS453H)を行い、このバトル演出包含演出(バトル演出3回目処理)を終了する。なお、この大当たり報知演出後には、大当たりAまたは大当たりBの遊技が行われる。
味方攻撃演出で、味方キャラクタCRA2の攻撃がヒットした場合であって、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐えた場合には、敵方キャラクタCRA1が味方キャラクタCRA2の攻撃に耐えた様子を示し、その後、敵方キャラクタCRA1が逃亡する逃亡演出を行う(図273:ステップS460H)。
この逃亡演出が出現した場合には、すぐに、はずれを示すハズレ図柄配列を報知するハズレ報知演出(図273:ステップS470H)を行って、このバトル演出包含演出(バトル演出3回目処理)を終了する場合と、逃亡した敵方キャラクタCRA1を捕捉することによって、味方キャラクタCRA2の勝利を示す復活演出を行う場合(図273:ステップS480H)とがある。この復活演出は、大当たりCを示唆する演出であり、復活演出後には、大当たりCを表す大当たりC図柄配列を停止し、大当たり報知演出(図273:ステップS487H)を行う。この演出後、大当たりCの大当たり遊技が行われる。このバトル演出包含演出終了後には、当該変動(当該バトル包含演出表示パターンに基づく演出)を終了し、次の変動へ移行する。なお、この復活演出は、逃亡演出を行った後、すぐに行う場合に限られず、逃亡演出を行った後、一旦、ハズレ報知演出を実行し、その後に行うようにしてもよい。
以上のように、バトル演出包含演出では、バトル演出と擬似変動とを連動させており、擬似変動(バトル演出)の継続を、上記ドロー演出(ステップS50Hにおける図277、ステップS160Hにおける図280等参照)で示唆し、一方で、擬似変動(バトル演出)の終了を、上記意気高揚演出(ステップS130Hにおける図279等)で示唆するようにしている。このようにすれば、擬似変動演出の継続の有無を、ありふれたやり方である図柄の停止表示態様で行う手法などとは別の手法である、「図柄とは異なる画像を用いて遊技者に示唆する手法」で実行することができ、遊技者が、擬似変動演出に対して退屈となることを抑制することができる。従って、擬似変動演出のマンネリ化を抑制し、新鮮味のある遊技演出を提供することができる。その結果、遊技者の遊技意欲が減退することを抑制することができ、遊技者の遊技離れを抑制することができる。
また、上記バトル演出包含演出では、バトル演出において味方キャラクタCRA2が倒れる演出(ステップS70H)、または、敵方キャラクタCRA1が逃げる演出(ステップS460H)(これらの演出は、味方キャラクタCRA2にとって不利な演出なので、以下では、不利表現演出とも呼ぶ)を行った場合には、大当たりへの期待度演出(リーチを成立やリーチ演出)を行うことなく、バトル演出包含演出を終了する。また、バトル演出包含演出において、バトル演出で、引き分け(ドロー)となる演出(ステップS50H等)(この演出は、味方キャラクタCRA2にとって中立的な演出なので、以下では、中立表現演出とも呼ぶ)を行った場合には、リーチを成立させることなく、すなわち、リーチ演出を行うことなく、バトル演出を一端終了するが、再びバトル演出を実行する。一方、バトル演出包含演出において、バトル演出において味方キャラクタCRA2の攻撃で敵方キャラクタCRA1が倒れる演出(ステップS130H、S430)(これらの演出は、味方キャラクタCRA2にとって有利な演出なので、以下では、有利表現演出とも呼ぶ)を行った場合には、続いてリーチを成立させ、リーチ演出を行う。この結果、バトル演出において有利表現演出が行われれば、リーチ演出が行われ、遊技者に期待感を付与することが可能となる。この場合、最初のバトル演出で有利表現演出が行われることもありうるのでリーチ演出(リーチ成立)の前の演出が短い演出であっても遊技者に十分な期待感を付与することが可能である。一方で、バトル演出において、中立表現演出が行われた場合には、再びバトル演出がなされるため、複数回に亘ってバトル演出がなされうる。また、多数回に亘ってバトル演出がなされたとしても不利表現演出が行われてしまえば、大当たりへの期待度演出はなされないので、遊技者は安心できない。この結果、長い期間に亘って遊技者に緊張感を与えることもできる。
すなわち、上記バトル演出包含演出では、リーチ演出(リーチ成立)前において、短い期間の演出であっても十分な大当たりへの期待感を遊技者に付与することも可能であるし、長い期間に亘って緊張感を与えた上で、リーチ演出を遊技者に付与することも可能である。さらには、バトル演出において不利表現演出がなされた場合には、遊技者に期待感を付与しないものの、リーチ演出を行うことなく演出を終了するので、期待感の持てない演出を長時間に亘って見せ続けて遊技を間延びしたものとすることもなく、メリハリのある遊技を実現可能である。以上のことより、遊技者が遊技意欲を損なうことを抑制することができる。
ここで、或る演出表示パターンに対応する大当たり期待度(以下では、演出表示パターン期待度とも呼ぶ)について説明する。この演出表示パターン期待度は、当該演出表示パターンに基づく演出表示を、遊技者が目にした時の大当たり期待度であり、以下のように特定される。すなわち、大当たり用の変動パターンに基づく大当たり用演出表示パターンが選択される確率XAと、当該大当たり用演出表示パターンと同じ種類の演出表示を規定するハズレ用演出表示パターンが選択される確率YAとに基づいて、以下の式で算出される。
大当たり期待度=XA/(XA+XB)
なお、「同じ種類の演出表示」は、同一の演出表示に限らず、装飾図柄の変動時間がほぼ同じであると共に、演出の主要部が同じである演出表示を含み、所定領域の色または模様の相違や所定キャラの登場など、いわゆるチャンスアップ演出が異なる演出表示も含む。従って、大当たり期待度は、当該演出表示パターンに基づく演出表示を遊技者が見た時の見かけ上の大当たりへの期待度であり、すなわち、当たりパターンと、当たりパターンと同じ種類の演出表示のハズレパターンとを実行可能な場合において、当たりパターンの実行確率(選択確率)とも言うことができる。
ところで、本実施形態において、周辺制御MPU4140aは、ドロー演出や意気高揚演出など装飾図柄とは異なる画像を用いて擬似変動の継続を示唆可能とした上記バトル演出包含演出とは異なり、装飾図柄のみを用いて擬似変動の継続や終了を示唆する通常擬似変動演出を実行し、その後、リーチ演出を実行する通常擬似変動演出表示パターンも実行可能な構成となっている。なお、この通常擬似変動演出表示パターンには、通常擬似変動演出を1回実行した後に、リーチ演出を実行するパターンL1と、通常擬似変動演出を複数回実行した後に、リーチ演出を実行するパターンL2とがあり、パターンL2の方が、パターンL2よりも大当たり期待度が高くなるように構成されている。従って、通常擬似変動演出がすぐに終わった場合には、その後の演出は、特典が付与される期待度が低い演出となる可能性が高い態様となっている。
そして、周辺制御MPU4140aは、バトル演出包含演出において、バトル演出1回目処理におけるリーチ演出、言い換えれば、1回目のバトル演出で有利表現演出を行った後のリーチ演出が、通常擬似変動演出を1回実行した後のリーチ演出よりも大当たり期待度が高くなるように構成されている。
このように、バトル演出における有利表現演出後に行われるリーチ演出が出現すれば、1回の通常擬似変動演出の後に行われるリーチ演出が出現した場合よりも大当たり期待度が高い構成となっている。従って、単に有利表現演出が行われれば、大当たり期待度の高いリーチ演出へと発展し、1回の通常擬似変動演出と同程度の短い演出であっても遊技者に大きな期待感を付与することが可能となり、遊技者が遊技意欲を損なうことを抑制することができる。
なお、周辺制御MPU4140aは、バトル演出包含演出において、バトル演出1回目処理に関わらず、バトル演出2回目処理、または、バトル演出3回目処理におけるリーチ演出が、通常擬似変動演出を1回実行した後のリーチ演出よりも大当たり期待度が高くなるように構成されていてもよい。また、周辺制御MPU4140aは、バトル演出包含演出における擬似変動と、通常擬似変動との擬似変動回数が同じ場合に、バトル演出包含演出の方が、擬似変動後におけるリーチ演出の大当たり期待度が高くなるように構成されていてもよい。この場合、例えば、周辺制御MPU4140aは、バトル演出包含演出において、バトル演出2回目処理におけるリーチ演出が、通常擬似変動演出を2回実行した後のリーチ演出よりも大当たり期待度が高くなるように構成され、バトル演出包含演出において、バトル演出3回目処理におけるリーチ演出が、通常擬似変動演出を3回実行した後のリーチ演出よりも大当たり期待度が高くなるように構成される。
また、周辺制御MPU4140aは、バトル演出が繰り返された回数が同じ場合について比較すると、有利表現演出(敵方キャラクターCRA1が倒れる演出)の後に大当たりへの期待度演出(リーチ成立やリーチ演出など)を経て大当たり(この場合、大当たりAまたは大当たりB)になる確率は、不利表現演出(味方キャラクタCRA2が倒れる演出や敵方キャラクタCRA1の逃亡演出)の後に復活演出がなされて大当たり(大当たりC)となる確率より高くなるように構成されている。
すなわち、周辺制御MPU4140aは、以下のように構成されている。
バトル演出1回目処理においてリーチ演出後に大当たり報知演出を行うバトル包含演出表示パターンZA1と、バトル演出1回目処理において復活演出後に大当たり報知演出を行うバトル包含演出表示パターンZA2と、バトル演出2回目処理においてリーチ演出後に大当たり報知演出を行うバトル包含演出表示パターンZB1と、バトル演出2回目処理において復活演出後に大当たり演出を行うバトル包含演出表示パターンZB2と、バトル演出3回目処理においてリーチ演出後に大当たり報知演出を行うバトル包含演出表示パターンZC1と、バトル演出3回目処理において復活演出後に大当たり報知演出を行うバトル包含演出表示パターンZC2と、をそれぞれ実行可能に構成されている。
また、バトル演出1回目処理においてバトル包含演出表示パターンZA1を選択(実行)する選択確率をXZA1とし、バトル演出1回目処理においてバトル包含演出表示パターンZA2を選択する選択確率をXZA2とし、バトル演出2回目処理においてバトル包含演出表示パターンZB1を選択する選択確率をXZB1とし、バトル演出2回目処理においてバトル包含演出表示パターンZB2を選択する選択確率をXZB2とし、バトル演出3回目処理においてバトル包含演出表示パターンZC1を選択する選択確率をXZC1とし、バトル演出3回目処理においてバトル包含演出表示パターンZC2を選択する選択確率をXZC2とする。
この場合、周辺制御MPU4140aは、選択確率XZA1が選択確率XZA2よりも高く、かつ、選択確率XZB1が選択確率XZB2よりも高く、かつ、選択確率XZC1が選択確率XZC2よりも高くなるように構成されている。
このようにすれば、バトル演出において有利表現演出がなされるほうが遊技者にとって有利であることを担保できる。従って、バトル演出における過程において、遊技者が常に有利表現演出となることを切望するようにし、遊技者が不利表現演出となることを望む矛盾を防止することができる。
また、上記周辺制御MPU4140aは、バトル演出において不利表現演出(ステップS70H、S250H、S460H)(味方キャラクタCRA2が倒れる演出、または、敵方キャラクタCRA1による逃亡演出)がなされたにも拘わらず、ハズレ報知演出に代えて、大当たりへの期待度演出を経ることなく大当たりを通知する復活演出(ステップS85H、S270H、S480H)を実行する確率は、当該不利表現演出に先立ってバトル演出が繰り返された回数が多くなるに連れて高くなるように構成されている。
すなわち、周辺制御MPU4140aは、以下のように構成されている。
バトル演出1回目処理において不利表現演出後に復活演出を行うバトル包含演出表示パターンYA1と、バトル演出1回目処理において不利表現演出後にそのままハズレ報知演出を行うバトル包含演出表示パターンYA2と、バトル演出2回目処理において不利表現演出後に復活演出を行うバトル包含演出表示パターンYB1と、バトル演出2回目処理において不利表現演出後にそのままハズレ報知演出を行うバトル包含演出表示パターンYB2と、バトル演出3回目処理において不利表現演出後に復活演出を行うバトル包含演出表示パターンYC1と、バトル演出3回目処理において不利表現演出後にそのままハズレ報知演出を行うバトル包含演出表示パターンYC2と、をそれぞれ実行可能に構成されている。
また、バトル包含演出表示パターンYA1を選択する確率をXYA1とし、バトル包含演出表示パターンYA2を選択する確率をXYA2とし、バトル包含演出表示パターンYB1を選択する確率をXYB1とし、バトル包含演出表示パターンYB2を選択する確率をXYB2とし、バトル包含演出表示パターンYC1を選択する確率をXYC1とし、バトル包含演出表示パターンYC2を選択する確率をXYC2とすると、バトル演出1回目処理の不利表現演出後において、ハズレ報知演出と復活演出のいずれかのうちの復活演出を実行する実行確率XX1、バトル演出2回目処理の不利表現演出後において、ハズレ報知演出と復活演出のいずれかのうちの復活演出を実行する実行確率XX2、および、バトル演出3回目処理の不利表現演出後において、ハズレ報知演出と復活演出のいずれかのうちの復活演出を実行する実行確率XX3は、下記の式で示すことができる。
XX1=XYA1/(XYA1+XYA2)
XX2=XYB1/(XYB1+XYB2)
XX3=XYC1/(XYC1+XYC2)
この場合、周辺制御MPU4140aは、実行確率XX3>実行確率XX2>実行確率XX1となるように構成されている。
このようにすれば、バトル演出が多数回に亘って繰り返されたあげくに、大当たりへの期待度演出(リーチ成立やリーチ演出)が実行されないことに対する遊技者の不満感や不快感をより好適に抑制することができる。したがって、遊技者の不満感や不快感を好適に抑制しつつも、多様性があり遊技者を飽きさせることのない演出を大当たりへの期待度演出の前に行われうる演出として実現することができる。さらには、バトル演出が多数回に亘って行われれば、たとえ、最後に不利表現演出がなされたとしても復活演出(大当たりC)に繋がる確率が高くなるので、遊技者はバトル演出が繰り返されることにも冗長感を感じることなく期待感を持つようになる。この結果、遊技者を飽きさせることなく遊技意欲の減退を抑制することができる。
周辺制御MPU4140aは、上記バトル演出を、バトル包含演出表示パターン(変動パターン)に基づいて実行する。ここで、周辺制御MPU4140aは、バトル包含演出表示パターンが比較的大当たり期待度が高いリーチ演出を有する場合には、バトル演出において、戦闘力パラメータPM1が、比較的低めに設定される可能性が高くなるように構成されている。また、周辺制御MPU4140aは、バトル包含演出表示パターンが比較的大当たり期待度が低いリーチ演出を有する場合には、バトル演出において、戦闘力パラメータPM1が、比較的高めに設定される可能性が高くなるように構成されている。さらに、周辺制御MPU4140aは、バトル包含演出表示パターンがリーチ演出を行わないパターンの場合(リーチが成立しないパターンの場合)には、バトル演出において、戦闘力パラメータPM1が、リーチ演出を有する演出表示パターンよりもさらに高めに設定される可能性が高くなるように構成されている。
例えば、比較的期待度が高いリーチ演出を有するバトル包含演出表示パターンAA1と、バトル包含演出表示パターンAA1が有するリーチ演出よりは大当たり期待度が低いリーチ演出を有するバトル包含演出表示パターンBB1と、リーチ演出を行わないパターンであるバトル包含演出表示パターンCC1とがあった場合において、これら演出表示パターンの大当たり期待度の高さは、バトル包含演出表示パターンAA1>バトル包含演出表示パターンBB1>バトル包含演出表示パターンCC1となる。従って、各演出表示パターンにおける戦闘力パラメータPM1の数値の高さは、バトル包含演出表示パターンCC1>バトル包含演出表示パターンBB1>バトル包含演出表示パターンAA1となるように設定される。
以上のようにすれば、戦闘力パラメータPM1が低ければ、リーチ演出への発展期待度が高まり、さらには、大当たり期待度が高まり、逆に、戦闘力パラメータPM1が高ければ、リーチ演出への発展期待度が低下し、大当たり期待度も低下する。
その結果、遊技者は、戦闘力パラメータPM1に注視するようになり、すなわち、バトル演出の最初を注視するようになり、戦闘力パラメータPM1をバロメータにして、バトル演出を楽しむことができる。従って、興趣性溢れる遊技機を提供することができ、遊技者が遊技意欲を損なうことを抑制することができる。
周辺制御MPU4140aは、上記バトル演出を、バトル包含演出表示パターン(変動パターン)に基づいて実行する。ここで、周辺制御MPU4140aは、バトル包含演出表示パターンがリーチ演出を有する場合には、バトル演出において、危険度パラメータPM2が、比較的低めに設定される可能性が高くなるように構成されている。また、周辺制御MPU4140aは、バトル包含演出表示パターンがリーチ演出を行わないパターンの場合(リーチが成立しないパターンの場合)には、バトル演出において、危険度パラメータPM2が、リーチ演出を有する演出表示パターンよりも高めに設定される可能性が高くなるように構成されている。
例えば、リーチ演出を有するバトル包含演出表示パターンAA2と、リーチ演出を行わないパターンであるバトル包含演出表示パターンCC2とがあった場合において、各演出表示パターンにおける危険度パラメータPM2の数値の高さは、バトル包含演出表示パターンCC2>バトル包含演出表示パターンAA2となるように設定される。
以上のようにすれば、危険度パラメータPM2が低ければ、ドロー(引き分け)となって、次回のバトル演出へ移行する期待度が高まり、すなわち、リーチ演出への発展期待度が高まり、逆に、危険度パラメータPM2が高ければ、ドロー(引き分け)とならず、当該変動が終了する可能性が高まり、すなわち、次回のバトル演出へ移行する期待度が低下し、リーチ演出への発展期待度が低下する。
その結果、遊技者は、危険度パラメータPM2に注視するようになり、危険度パラメータPM2を一つのバロメータにして、バトル演出を楽しむことができる。従って、興趣性溢れる遊技機を提供することができ、遊技者が遊技意欲を損なうことを抑制することができる。
なお、本実施形態において、バトル演出包含演出では、バトル演出を3回までしか行っていないが、本発明は、これに限られるものではない。例えば、バトル演出包含演出において、バトル演出を2回、または、4回以上実行するようにしてもよい。このようにしても上記バトル演出包含演出の効果を奏することができる。
[巻き戻し演出]
本実施形態では、擬似変動演出において、擬似変動を繰り返して最大5回の擬似変動を実行する場合がある。そして、この擬似変動演出における一の擬似変動において、巻き戻し演出を実行する場合があり、さらに、当該擬似変動演出中に複数回の擬似変動において、それぞれで巻き戻し演出を実行し得る。この巻き戻し演出を含む擬似変動には、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動またはストーリー巻き戻し演出包含擬似変動とがあり、これらの演出については後述で詳細を説明する。
周辺制御MPU4140aは、主制御MPU4100aから送信されてくる変動タイプおよび変動パターンに基づいて、所定の確率で、下記の図281に示すような擬似変動演出を含む一つの演出表示パターン(以下では、擬似変動包含演出表示パターンとも呼ぶ)を決定(選択)する。
図281は、本実施形態における擬似変動包含演出表示パターンの例を示す擬似変動包含演出表示パターンテーブルTKKを表す。図281に示す擬似変動包含演出表示パターンテーブルTKKの項目において、「パターン番号」とは、演出表示パターンの番号を示し、「1変動目」とは、1回目の擬似変動を示し、「2変動目」とは、2回目の擬似変動を示し、「3変動目」とは、3回目の擬似変動を示し、「4変動目」とは、4回目の擬似変動を示し、「5変動目」とは、5回目の擬似変動を示し、「大当たり期待度」とは、当該演出表示パターンの大当たり期待度を示し、「選択率」とは、周辺制御MPU4140aによって当該演出表示パターンが選択される確率を示している。また、図281において、「AN」とは、擬似変動がノーマルリーチから巻き戻し演出を行うノーマル巻き戻し演出包含擬似変動であることを示し、「S」とは、擬似変動が所定のストーリーに沿った演出(ストーリー演出)を伴う擬似変動を示すストーリー擬似変動であることを示し、「AS」とは、擬似変動がストーリー演出から巻き戻し演出を行う擬似変動を示すストーリー巻き戻し演出包含擬似変動であることを示す。例えば、図281において、パターン番号4の演出表示パターンは、擬似変動を2回行うパターンであり、1変動目(1回目の擬似変動)および2変動目(2回目の擬似変動)にそれぞれストーリー擬似変動Sを行うことを示す。また、パターン番号28の演出表示パターンでは、擬似変動を5回行うパターンであり、1変動目でノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANを行い、続いて、2変動目にストーリー擬似変動Sを行い、次の3変動目および4変動目にストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASをそれぞれ行い、最後の5変動目に再びストーリー擬似変動Sを行うことを示す。これら、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動AN、ストーリー擬似変動S、ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASについての詳細は、後述する。
擬似変動包含演出表示パターンにおいて、2変動目で終了するパターンは、周辺制御MPU4140aが擬似変動演出を選択した場合であって、主制御MPU4100aから送信されてくる変動タイプ(図239等参照)が「2連」の場合に選択され、3変動目で終了するパターンは、周辺制御MPU4140aが擬似変動演出を選択した場合であって、主制御MPU4100aから送信されてくる変動タイプが「3連」の場合に選択され、4変動目で終了するパターンは、周辺制御MPU4140aが擬似変動演出を選択した場合であって、主制御MPU4100aから送信されてくる変動タイプが「4連」の場合に選択され、5変動目で終了するパターンは、周辺制御MPU4140aが擬似変動演出を選択した場合であって、主制御MPU4100aから送信されてくる変動タイプが「5連」の場合に選択される。
周辺制御MPU4140aは、この擬似変動包含演出表示パターンに基づいて、擬似変動演出(ストーリー擬似変動S、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動AN、または、ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動AS)をメイン液晶画面PNMまたはサブ液晶画面PNSを用いて実行する。以下に、周辺制御MPU4140aが行う擬似変動演出における擬似変動を、ストーリー擬似変動S、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動AN、ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASの順に以下にそれぞれ説明する。
[ストーリー擬似変動Sの説明]
図282は、擬似変動演出におけるストーリー擬似変動Sを説明するための図である。ストーリー擬似変動Sでは、まず、メイン液晶画面PNMにおいて、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cの変動が開始される。この場合、サブ液晶画面PNSには、何も表示されていない。そして、図282(A)に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cが高速変動されつつ、タイトル画像TTL1が示され、サブ液晶画面PNS上において、鳥画像BRDが示される。タイトル画像TTL1は、「鳥だ」の文字を表現している。なお、図282において、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cの装飾図柄が高速変動している場合には、その様子を縦の三本線で示している。
続いて、図282(B)に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cの高速変動が継続されつつ、タイトル画像TTL1に代えてタイトル画像TTL2が示され、サブ液晶画面PNS上において、鳥画像BRDに代えて飛行機画像FLTが示される。タイトル画像TTL2は、「飛行機だ」の文字を表現している。
メイン液晶画面PNMおよびサブ液晶画面PNSにおいて、図282(B)のごとく表示された後、以下の図282(C)のごとく演出が進行するパターンSSAと、図282(D)に示すごとく演出が進行するパターンSSBとがある。
すなわち、パターンSSAでは、メイン液晶画面PNMおよびサブ液晶画面PNSにおいて、図282(B)のごとく表示された後、図282(C)に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cが停止して、それぞれで装飾図柄が停止表示される。図282(C)では、左図柄列1153aに装飾図柄「0」(以下では、装飾図柄F0とも呼ぶ)、中図柄列1153bに装飾図柄F1(以下では、装飾図柄F1とも呼ぶ)、右図柄列1153cに装飾図柄F1が停止表示されており、すなわち、装飾図柄が「011」の並びで停止表示されている。この並びは、チャンス目に該当し、擬似変動が継続することを示唆している。また、サブ液晶画面PNSにおいて、飛行機画像FLTに代えてタイトル画像TTL3が示される。タイトル画像TTL3は、「継続だ」の文字を表現しており、すなわち、擬似変動の継続を示唆している。このパターンSSAに移行すると、擬似変動の継続が確定する。従って、パターンSSAは、当該擬似変動が最後の場合には出現しない。
また、パターンSSBでは、メイン液晶画面PNMおよびサブ液晶画面PNSにおいて、図282(B)のごとく表示された後、図282(D)に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、左図柄列1153a、および、右図柄列1153cが停止して、それぞれで同じ装飾図柄が停止表示され、リーチ状態が形成される。図282(D)の例では、装飾図柄F0でリーチ状態が形成されている。また、サブ液晶画面PNSにおいて、飛行機画像FLTに代えてタイトル画像TTL4が示される。タイトル画像TTL4は、「リーチだ」の文字を表現しており、すなわち、リーチ状態となったことを示唆している。この擬似変動におけるパターンSSBに移行すると、リーチ状態となって、擬似変動の継続が否定され、その後、リーチ後演出に移行する。従って、パターンSSBは、当該擬似変動が最後の場合に出現する。図281に示すように、擬似変動の回数が少ない場合には、大当たり期待度が低くなるので、すなわち、パターンSSBが出現した場合には、大当たり期待度が低下する。従って、パターンSSBは、大当たり期待度が低い状態を示唆する低期待度示唆演出の一つである。なお、後述するストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASでは、パターンSSBと同内容の演出が行われた後に、擬似変動の継続が行われる場合がある。
[ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANの説明]
図283〜図287は、擬似変動演出におけるノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANを説明するための図である。詳しくは、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANとしてメイン液晶画面PNMおよびサブ液晶画面PNSに表示される動画像を構成するフレーム画像を示す図である。図283〜図287に示すフレーム画像を順番に見ることによって、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANを把握することができる。
ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANでは、まず、メイン液晶画面PNMにおいて、背景画像HKDを背景として、左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cが停止表示された状態から変動が開始される。そして、図283に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、左図柄列1153a、および、右図柄列1153cが停止して、それぞれで同じ装飾図柄が停止表示されて、リーチ状態が形成され、中図柄列1153bが高速変動状態から低速変動状態へ移行される。図283の例では、装飾図柄F0でリーチ状態が形成されており、中図柄列1153bには、装飾図柄「5」(以下では、装飾図柄F5とも呼ぶ)および装飾図柄「6」(以下では、装飾図柄F6とも呼ぶ)が示されている。この場合、サブ液晶画面PNSは、閉じられており遊技者から見えない状態となっている。背景画像HKDは、屋内の事務所風景を表しており、リーチ状態を形成する際の通常の背景の一つである。なお、この背景画像HKDとは、別に、大当たり期待度が高い、いわゆるチャンスアップ背景が別に存在する。すなわち、リーチ状態背景画像HKDが出現した場合には、チャンスアップ背景が出現した場合と比較して、大当たり期待度が低い。従って、背景画像HKDは、低期待度示唆演出の一つである。
続いて、図284に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、男性キャラクタCR8が画面中央付近に登場した様子を表示させる。また、サブ液晶画面PNSにおいて、地球を表す地球画像ETHを表示させて右回転させる演出を実行させる。地球画像ETHの周囲には、スピード線SPDが表示されている。
次に、図285に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、中図柄列1153bの装飾図柄を停止表示させると共に、男性キャラクタCR8に代えて、リワインド画像RWBを表示させる。また、サブ液晶画面PNSにおいて、地球画像ETHを拡大表示させる。リワインド画像RWBは、これまでの演出を巻き戻す巻き戻す演出の実行を示唆する画像である。
そして、図286に示すように、メイン液晶画面PNMにおいて、背景画像HKDに代えて背景画像HKEを表示させる。なお、図286では、背景画像HKEのみしか示されていないが、実際には、背景画像HKEを背景として、巻き戻し演出が実行される。背景画像HKEは、ビデオテープを巻き戻す際に現れる縦帯上の模様を表現した画像であり、巻き戻し演出が実行されていることを示唆している。ここで、巻き戻し演出について、説明する。
巻き戻し演出は、上述した演出、すなわち、メイン液晶画面PNMにおいて、(1)左図柄列1153a、中図柄列1153b、および、右図柄列1153cが停止表示された状態から変動が開始され、(2)続いて、リーチ状態が形成されて中図柄列1153bが高速変動状態から低速変動状態へ移行され、(3)続いて、男性キャラクタCR8が画面中央付近に登場した様子が表示され、(4)次に、中図柄列1153bの装飾図柄が停止表示されるまでの演出を、倍速程度で巻き戻しているかのように表示させ、最後に、図287に示すように、左図柄列1153a、中図柄列1153b、右図柄列1153cに、このノーマル巻き戻し演出包含擬似変動AN開始時に停止表示されていた装飾図柄(以下では、変動開始時停止図柄とも呼ぶ)をそれぞれ停止表示させる演出である。例えば、巻き戻し演出前(リーチ状態が形成される前)にチャンスアップキャラクタが右から左に横切る演出が行われていた場合には、同じチャンスアップキャラクタが左から右に横切る様が表示されることとなる。なお、図287に示す例では、左図柄列1153aに装飾図柄F1、中図柄列1153bに装飾図柄「2」(以下では、装飾図柄F2とも呼ぶ)、右図柄列1153cに装飾図柄「5」(以下では、装飾図柄F3とも呼ぶ)がそれぞれ停止表示されている。
また、この巻き戻し演出中では、サブ液晶画面PNSにおいて、地球画像ETHを逆回転(左回転)させる演出を実行すると共に、タイトルTTL10を表示させる。タイトルTTL10は、「REVERSE」の文字を表現しており、これも巻き戻し演出が行われていることを示唆している。そして、巻き戻し演出でメイン液晶画面PNMに変動開始時停止図柄が停止表示されると、サブ液晶画面PNSにおいて、地球画像ETHの回転が停止される。
[ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASの説明]
ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASでは、まず、ストーリー擬似変動SにおけるパターンSSBと同内容の演出が実行され(図282(A)、図282(B)および図282(D)参照)、リーチ状態が形成された後、続いて、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANと同内容の演出が実行される(図283〜図287参照)。すなわち、ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASは、冒頭部分でストーリー擬似変動SにおけるパターンSSBと同内容の演出が実行され、その後、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANと同内容の演出が実行されることとなる。
上記擬似変動演出におけるノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANまたはストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASでは、リーチ状態(図283参照)が形成された後、装飾図柄が停止状態から変動開始し、低期待度示唆演出(通常の背景である背景画像HKDを表示したり、ストーリー擬似変動SにおけるパターンSSBと同内容の演出を実行したりする演出)を実行し、リーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す上述の巻き戻し演出を実行することにより当該リーチ状態の成立がなされなかったかのようにして、図柄の変動開始時における図柄の停止状態を再現して、再び図柄を変動開始させるようにしている。このようにすれば、上記ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANまたはストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASによる演出を体験した遊技者は、リーチ状態成立前の演出として大当たりへの期待度が低い低期待度示唆演出がなされ、一旦リーチ状態が形成された場合であっても、巻き戻し演出が実行されて、当該リーチ状態の成立がなされなかったかのごとくリーチ状態成立前の演出が継続され得ることを認知しているので、リーチ状態が形成されたとしても、まだその時点では、リーチ状態成立前の演出が継続されて大当たり期待度の高い高期待度示唆演出が出現することを期待することができ、その結果、リーチ状態が形成された時点で当たりへの期待感が低減し、遊技意欲が減退することを抑制することができる。なお、低期待度示唆演出には、通常の背景である背景画像HKDを表示したり、ストーリー擬似変動SにおけるパターンSSBと同内容の演出を実行したりする演出の他、大当たり期待度が高くないチャンスアップ演出なども含む。
また、上記擬似変動演出が、N(1以上の整数)回の擬似変動を実行し、いずれの擬似変動でも巻き戻し演出が実行されない演出表示パターン(以下では、演出表示パターンXX1とも呼ぶ)によって実現される場合と、N回以上の擬似変動を実行し、N回目の擬似変動で巻き戻し演出が実行される演出表示パターンであって、N回目の擬似変動でリーチ状態を形成するまでは演出表示パターンXX1と同内容の演出を行うが、その後、巻き戻し演出を行って当該リーチ状態をなかったもののようにして、擬似変動を継続する演出表示パターン(以下では、演出表示パターンXX2とも呼ぶ)によって実現される場合とを比較すると、演出表示パターンXX2によって実現される場合の方が、演出表示パターンXX1によって実現される場合よりも大当たり期待度が高くなるように構成されている。
例えば、図281に示すように、パターン番号1の演出表示パターンで実現される擬似変動演出では、1回目の擬似変動でパターンSSAのストーリー擬似変動S(図282参照)が実行され、2回目の擬似変動でパターンSSBのストーリー擬似変動S(図282参照)が実行されてリーチ状態が形成された後リーチ後演出が行われるようになっている。一方で、パターン番号7の演出表示パターンで実現される擬似変動演出では、1回目の擬似変動でパターンSSAのストーリー擬似変動Sが実行され、2回目の擬似変動でストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASが実行される過程で、パターンSSBのストーリー擬似変動Sと同内容の演出が行われてリーチ状態が形成され、言い換えれば、パターン番号1の演出表示パターンで実現される擬似変動演出と同内容の演出が行われる。その後、巻き戻し演出を行って当該リーチ状態をなかったもののようにして、擬似変動を継続し、再度リーチ状態が形成され、リーチ後演出が行われるようになっている。そして、擬似変動演出が、パターン番号7の演出表示パターンで実現される場合には、パターン番号1の演出表示パターンで実現される場合よりも大当たり期待度が高くなるように構成されている。
上記構成とすれば、遊技者は、リーチ状態が形成された時点で、巻き戻し演出の実現を強く願うようになり、リーチ状態が形成された時点で大当たりへの期待感が低減することを強く抑制することができ、遊技意欲の減退をより抑制することが可能となる。また、上記構成とすれば、N回目(上記例では、2回目)の擬似変動を体験した遊技者は、仮に、N回目の擬似変動でリーチ状態が形成されたとしても、擬似変動が継続される可能性を認知しているので、遊技者が、リーチ状態が形成された時点で、その後の演出に対する期待感を喪失することを抑制することができ、遊技意欲が減退することを抑制することができる。さらに、上記構成とすれば、N回目まで演出が同じであった場合には、巻き戻し演出を含む一連の演出の出現がなされるか否かで大当たりへの期待度が大きく左右されることとなり、上記演出表示パターンXX1(例えば、バターン番号1の演出表示パターン)と演出表示パターンXX2(パターン番号2の演出表示パターン)を体験した遊技者は、リーチ状態が形成された時点で、巻き戻し演出の実現を切に願うようになる。従って、リーチ状態が形成された時点で大当たりへの期待感が低減することを強く抑制することができ、遊技意欲の減退をより抑制することが可能となる。
また、従来の擬似変動演出では、擬似変動時、リーチ状態となると、擬似変動を終了し、擬似変動とは異なる演出(例えば、リーチ後演出)に移行するので、従って、遊技者は、大当たり期待度が高いリーチ後演出実現のため、擬似変動演出中では、リーチ状態が成されないことを願っているが、擬似変動演出中に、比較的少ない回数の擬似変動でリーチ状態となってしまうと、その時点で、その後の演出に対して期待感をあまり持てず、遊技意欲が減退するおそれがあった。しかしながら、本実施形態の擬似変動演出では、擬似変動に、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANやストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASを含んでおり、擬似変動演出時に、比較的少ない回数の擬似変動で、リーチ状態が形成されたとしても、巻き戻し演出が実行されて、擬似変動が継続される場合がある。このようにすれば、リーチ状態が形成されたとしても、遊技者が、その時点で擬似変動の継続を諦めることを抑制することができ、リーチ状態が形成されたとしても、遊技者に、その後の展開に大当たりへの期待感を持たせることができ、その結果、遊技意欲が減退することを抑制することができる。
ところで、本実施形態の擬似変動演出に対する比較例として、例えば、下記のような擬似変動演出が考えられる。
比較例の擬似変動演出:
擬似変動において、リーチ状態が形成されたにも関わらず、変動中の図柄列を素早く所定の図柄で停止表示させて、擬似変動の継続を示す擬似変動演出。
一方、遊技機において、遊技者は、リーチ状態が形成されて、その後のリーチ後演出を楽しむことを大きな遊技目的としている。
しかしながら、上記比較例の擬似変動演出によれば、擬似変動において、リーチ状態が形成された後、擬似変動継続を、変動中の図柄列を所定の図柄で素早く停止表示させることにより表現しているので、リーチ状態形成後にすぐに変動中の図柄列が所定の図柄で停止表示されたことを見た遊技者は、擬似変動の継続どころか、当該演出表示パターンに基づく当該変動自体がすぐに終了してしまったと勘違いしてしまうおそれがあった。その結果、遊技者に、擬似変動の継続を認知させ、その後のリーチ後演出への期待感を増長させて、リーチ後演出を楽しませるという上記大きな遊技目的を達成するどころか、遊技者に大きな落胆を強いて、遊技者が多大なる不快感を持ち、遊技者の遊技意欲を著しく減退させるおそれがあった。
一方、本実施形態の擬似変動演出によれば、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANまたはストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASにおいて、リーチ状態が形成された後、装飾図柄が停止状態から変動開始し、低期待度示唆演出を実行し、リーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す巻き戻し演出を実行するようにしている。このようにすれば、リーチ状態が、巻き戻されて変動開始時の状態へ戻ったように遊技者に感じさせることができ、遊技者に対して、擬似変動継続を明確に表することができるので、当該擬似変動を終了して次の擬似変動への移行を遊技者に誤解させることなく連続的にスムーズに行うことができる。その結果、遊技者に対して、当該演出表示パターンに基づく当該変動におけるリーチ後演出が未だ行われておらず、リーチ後演出が今後に行われることを理解させつつ、擬似変動の継続を誤解させることなく認知させることができるので、遊技者が落胆し、大きな不快感を抱くことを抑制することができるどころか、上記大きな遊技目的をも達成することができる。また、リーチ状態が形成された後の巻き戻し演出時において、リワインド画像RWB等を表示したり、背景画像HKEを表示したり、サブ液晶画面PNSにおける地球画像ETHを反転させたりして巻き戻し演出(巻き戻し行為)が行われていることを遊技者にわかり易く報知するようにしている。このようにすれば、遊技者に対して、擬似変動継続をより明確に表することができるので、当該擬似変動を終了して次の擬似変動への移行を遊技者に誤解させることなく極めてスムーズに行うことができる。その結果、遊技者に対して、当該演出表示パターンに基づく当該変動におけるリーチ後演出が未だ行われておらず、リーチ後演出が今後に行われることをより理解させつつ、擬似変動の継続を誤解させることなくスムーズに認知させることができるので、遊技者が落胆し、大きな不快感を抱くことを抑制することができるどころか、上記大きな遊技目的をも達成することができる。
また、上記のような擬似変動演出では、一般的に、擬似変動は、続けば続くほど、すなわち、擬似変動回数が多いほど、大当たり期待度が高くなるように構成される(図281参照)。
しかしながら、本実施形態の擬似変動において、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANやストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASなど巻き戻し演出を行って擬似変動を継続させる場合では、実際には、擬似変動回数の増加により、大当たりへの期待度が増しているにもかかわらず、遊技者は、巻き戻し演出によって、擬似変動の回数まで元に戻ってしまったように感じて、大当たりへの期待度が低下したように錯覚し、大きく落胆するおそれがあった。
そこで、本実施形態では、周辺制御MPU4140aは、以下のような制御を実行するようにしている。
すなわち、上記実施形態の擬似変動演出中において、擬似変動回数が増える度に、遊技機上部に設置されているトップランプ電飾ユニット200の回転灯244,264,284を順次、点灯および回転させ、擬似変動の回数を遊技者に報知するようにしている。具体的には、擬似変動演出において、5回の擬似変動を行う場合を例にすると、まず、1回目の擬似変動が終了し、2回目の擬似変動が開始されると、回転灯244を点灯および回転させ、3回目の擬似変動が開始されると、回転灯244の回転および点灯を停止させると共に、回転灯264を点灯および回転させ、4回目の擬似変動が開始されると、回転灯264の点灯および回転を維持させつつ回転灯244も点灯および回転させて、回転灯244および回転灯264を同時に点灯および回転させ、5回目の擬似変動が開始されると、回転灯244および回転灯264の点灯および回転を維持させつつ回転灯284も点灯および回転させて、回転灯244、264、284を同時に点灯および回転させることによって、擬似変動の回数を遊技者に報知するようにしている。すなわち、回転灯244、264、284のいずれも点灯および回転させないことで、擬似変動が1回目の擬似変動であり、回転灯244のみを点灯および回転させることで、擬似変動が2回目の擬似変動であり、回転灯264のみを点灯および回転させることで、擬似変動が3回目の擬似変動であり、回転灯244および回転灯264の双方を点灯および回転させることで、擬似変動が4回目の擬似変動であり、回転灯244、264,284のすべての回転灯を点灯および回転させることで、擬似変動が5回目の擬似変動である旨を報知するようにしている。このようにすれば、擬似変動演出において、ノーマル巻き戻し演出包含擬似変動ANやストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASなど巻き戻し演出を伴う擬似変動を実行しても、当該擬似変動が1回の擬似変動であることを遊技者に明確に示すことができるので、巻き戻し演出の実行により、遊技者が落胆することを抑制することができるどころか、遊技者に対して擬似変動の回数増に伴って、その後の展開に大きな期待感を付与することができる。
また、本実施形態では、擬似変動演出において、図281に示すように、擬似変動が所定回数(図281の例では、5回)となる1つ前の擬似変動で、ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASを必ず行うようにしている。このようにすれば、ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASが出現すれば、遊技者に大当たりが近いと感じさせることができ、遊技者はストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASの出現を心待ちにするようになる。従って、興趣性の高い遊技を提供することができる。
さらに、本実施形態では、擬似変動演出において、図281に示すように、擬似変動が所定回数(図281の例では、5回)となる1つ前の擬似変動で、ストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASを必ず行うようにしている。そして、擬似変動が当該所定回数(図281の例では、5回)となった場合において、全回転演出など、リーチ状態を形成せずに大当たりを報知する演出に移行することも可能となっている。このようにすれば、擬似変動が当該所定回数(図281の例では、5回)となった場合において、全回転演出など、リーチ状態を形成せずに大当たりを報知する演出(以下では、リーチ無し演出とも呼ぶ)へ移行しても、その1つ前の擬似変動で行ったストーリー巻き戻し演出包含擬似変動ASにおいて、リーチ状態を形成しているので、遊技者は当該リーチ状態後の演出をリーチ後演出と捉えることが可能であり、リーチ後演出を楽しむことが可能である。
ところで、上述した本実施形態のパチンコ機1からは、以下の技術思想を抽出することができる。なお、以下の技術思想の用語に対応する具体例を括弧書き等で適宜説明するが、これは理解の容易のためであり、技術思想を表す用語を限定するものではない。
[技術思想1]
遊技機であって、
遊技球が所定領域を通過したことを検出する検出手段(第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2349)と、
前記検出手段による遊技球の検出に基づいて取得された当落乱数を用いて抽選を行う抽選手段と(図229のステップS1310を実行する主制御MPU4100a)、
前記抽選手段による前記抽選結果が当たりである場合に、遊技者に前記特典を付与する特典付与手段(図244:特別電動役物大当たり制御処理を行う主制御MPU4100a)と、
画像を表示可能であって、前記特典付与手段が前記遊技者に特典を付与する場合には、前記当たりを示す図柄配列を表示可能であり、前記抽選手段による前記抽選結果がはずれである場合には、はずれを示す図柄配列を表示可能な表示手段(液晶表示装置1400)と、
前記抽選を行うごとに、いずれもが前記表示手段に画像を表示する演出を含む複数種類の演出表示パターンの中から一の演出表示パターンを選択する演出表示パターン選択手段(主制御MPU4100aと周辺制御MPU4140a)と、
選択された前記演出表示パターンに基づいて、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段(周辺制御MPU4140a)と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記演出表示パターン選択手段によって選択された前記演出表示パターンを実現する手段として、
前記図柄を変動開始させる図柄変動開始手段と、
前記図柄変動開始手段によって前記図柄が変動開始された後、リーチ形成前の演出である、前記当たりへの期待度を示唆する期待度示唆演出を実行する期待度示唆演出実行手段と、
前記期待度示唆演出実行手段によって前記期待度示唆演出が実行された後、前記図柄を用いて前記リーチ状態を形成するリーチ形成手段と、
前記リーチ形成手段によって前記リーチ状態が形成された後に、前記リーチ状態を形成する図柄を含む前記図柄配列を報知する図柄配列報知手段と、
を含み、
前記期待度示唆演出実行手段は、
前記期待度示唆演出として、前記当たりへの期待度が高いことを示唆する高期待度示唆演出を実行可能な高期待度示唆演出手段と、
前記期待度示唆演出として、前記当たりへの期待度が前記高期待度示唆演出よりも低い低期待度示唆演出を実行可能な低期待度示唆演出手段と、
を含み、
前記図柄配列報知手段は、
前記演出表示パターン選択手段によって選択された第1演出表示パターンを実現するための手段であって、前記低期待度示唆演出手段により前記低期待度示唆演出が実行され、前記リーチ形成手段により前記リーチ状態が形成された後、前記図柄配列を報知する単純報知手段と、
前記演出表示パターン選択手段によって選択された第2演出表示パターンを実現するための手段であって、前記低期待度示唆演出手段により前記低期待度示唆演出が実行され、前記リーチ形成手段により前記リーチ状態が形成された後、前記図柄変動開始手段が前記図柄を変動開始してから、前記低期待度示唆演出手段が前記低期待度示唆演出を実行し、前記リーチ形成手段がリーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す巻き戻し演出を実行することによって当該リーチ状態の成立がなかったこととするかのようにして、前記図柄の変動開始時における前記図柄の停止状態を再現し、再び前記図柄を変動開始させて、その後、再びリーチ状態を形成し、前記図柄配列を報知する巻き戻し演出包含報知手段と、
を含み、前記巻き戻し演出包含報知手段が前記第2演出表示パターンを実現した場合には、前記単純報知手段が前記第1演出表示パターンを実現した場合と比較して、前記特典付与への期待度が高く構成されている、
遊技機。
上記構成の遊技機によれば、巻き戻し演出包含報知手段が第2演出表示パターンを実現することで、リーチ状態が形成された後、図柄を変動開始してから低期待度示唆演出を実行しリーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す巻き戻し演出を実行することにより当該リーチ状態の成立がなされなかったかのようにして、図柄の変動開始時における図柄の停止状態を再現して、再び図柄を変動開始させるようにしている。このようにすれば、上記第2演出表示パターンによる演出を体験した遊技者は、リーチ状態成立前の演出として当たりへの期待度が低い低期待度示唆演出がなされ、一旦リーチ状態が形成された場合であっても、巻き戻し演出が実行されて、当該リーチ状態の成立がなされなかったかのごとくリーチ状態成立前の演出が継続され得ることを認知しているので、リーチ状態が形成されたとしても、まだその時点では、リーチ状態成立前の演出が継続されて高期待度示唆演出が出現することを期待することができ、その結果、リーチ状態が形成された時点で当たりへの期待感が低減し、遊技意欲が減退することを抑制することができる。さらに、上記構成の遊技機によれば、第2演出表示パターンを実現した場合(すなわち、巻き戻し演出が実行された場合)には、第1演出表示パターンを実現した場合(すなわち、巻き戻し演出が実行されない場合)と比較して、特典付与への期待度が高く構成されている。このようにすれば、遊技者は、リーチ状態が形成された時点で、巻き戻し演出の実現を強く願うようになり、リーチ状態が形成された時点で当たりへの期待感が低減することを強く抑制することができ、遊技意欲の減退をより抑制することが可能となる。
[技術思想2]
遊技機であって、
遊技球が所定領域を通過したことを検出する検出手段(第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2349)と、
前記検出手段による遊技球の検出に基づいて取得された当落乱数を用いて抽選を行う抽選手段(図229のステップS1310を実行する主制御MPU4100a)と、
前記抽選手段による前記抽選結果が当たりである場合に、遊技者に前記特典を付与する特典付与手段(図244:特別電動役物大当たり制御処理を行う主制御MPU4100a)と、
画像を表示可能であって、前記特典付与手段が前記遊技者に特典を付与する場合には、前記当たりを示す図柄配列を表示可能であり、前記抽選手段による前記抽選結果がはずれである場合には、はずれを示す図柄配列を表示可能な表示手段(液晶表示装置1400)と、
前記抽選を行うごとに、いずれもが前記表示手段に画像を表示する演出を含む複数種類の演出表示パターンの中から一の演出表示パターンを選択する演出表示パターン選択手段(主制御MPU4100aと周辺制御MPU4140a)と、
選択された前記演出表示パターンに基づいて、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段(周辺制御MPU4140a)と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記演出表示パターン選択手段によって選択された前記演出表示パターンを実現する手段として、
前記図柄を変動開始させる図柄変動開始手段と、
前記図柄変動開始手段によって前記図柄が変動開始された後、リーチ形成前の演出である、前記当たりへの期待度を示唆する期待度示唆演出を実行する期待度示唆演出実行手段と、
前記期待度示唆演出実行手段によって前記期待度示唆演出が実行された後、前記図柄を用いて前記リーチ状態を形成するリーチ形成手段と、
前記リーチ形成手段によって前記リーチ状態が形成された後に、前記リーチ状態を形成する図柄を含む前記図柄配列を報知する図柄配列報知手段と、
を含み、
前記期待度示唆演出実行手段は、
前記期待度示唆演出として、前記当たりへの期待度が高いことを示唆する高期待度示唆演出を実行可能な高期待度示唆演出手段と、
前記期待度示唆演出として、前記当たりへの期待度が前記高期待度示唆演出よりも低い低期待度示唆演出を実行可能な低期待度示唆演出手段と、
を含み、
前記図柄配列報知手段は、
前記演出表示パターン選択手段によって選択された第1演出表示パターンを実現するための手段であって、前記図柄を変動させて、変動を終了させる単位変動を複数回実行可能であり、N(1以上の整数)回目の単位変動中において、前記低期待度示唆演出手段により前記低期待度示唆演出が実行され、前記リーチ形成手段により前記リーチ状態が形成された後、前記図柄配列を報知する単純報知手段と、
前記演出表示パターン選択手段によって選択された第2演出表示パターンを実現するための手段であって、前記単位変動を複数回実行可能であり、N回目の単位変動中において、前記低期待度示唆演出手段により前記低期待度示唆演出が実行され、前記リーチ形成手段により前記リーチ状態が形成された後、前記図柄変動開始手段が前記図柄を変動開始してから、前記低期待度示唆演出手段が前記低期待度示唆演出を実行し、前記リーチ形成手段がリーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す巻き戻し演出を実行することによって当該リーチ状態の成立がなかったこととするかのようにして、当該N回目の単位変動の変動開始時における前記図柄の停止状態を再現して、当該N回目の単位変動を終了させた後、再び前記図柄を変動開始させて前記単位変動を継続させ、その後、再びリーチ状態を形成して、前記図柄配列を報知する巻き戻し演出包含報知手段と、
を含み、前記巻き戻し演出包含報知手段が前記第2演出表示パターンを実現した場合には、前記単純報知手段が前記第1演出表示パターンを実現した場合と比較して、前記特典付与への期待度が高く構成されている、
遊技機。
上記構成の遊技機によれば、巻き戻し演出包含報知手段が第2演出表示パターンを実現することで、リーチ状態が形成された後、図柄を変動開始してから、低期待度示唆演出を実行し、リーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す巻き戻し演出を実行することによって当該リーチ状態の成立がなかったこととするかのようにして、図柄の変動開始時における図柄の停止状態を再現し、再び図柄を変動開始させるようにしている。このようにすれば、上記第2演出表示パターンによる演出を体験した遊技者は、リーチ状態成立前の演出として当たりへの期待度が低い低期待度示唆演出がなされ、一旦リーチ状態が形成された場合であっても、巻き戻し演出が実行されて、当該リーチ状態の成立がなされなかったかのようにリーチ状態成立前の演出が継続され得ることを認知しているので、リーチ状態が形成されたとしても、まだその時点では、リーチ状態成立前の演出が継続されて高期待度示唆演出が出現することを期待することができ、その結果、リーチ状態が形成された時点で当たりへの期待感が低減し、遊技意欲が減退することを抑制することができる。さらに、上記構成の遊技機によれば、第2演出表示パターンを実現した場合(すなわち、巻き戻し演出が実行された場合)には、第1演出表示パターンを実現した場合(すなわち、巻き戻し演出が実行されない場合)と比較して、特典付与への期待度が高く構成されている。このようにすれば、遊技者は、リーチ状態が形成された時点で、巻き戻し演出の実現を強く願うようになり、リーチ状態が形成された時点で当たりへの期待感が低減することを強く抑制することができ、遊技意欲の減退をより抑制することが可能となる。
さらに、上記構成の遊技機によれば、巻き戻し演出包含報知手段が第2演出表示パターンを実現することで、N回目の単位変動中において、リーチ状態が形成された後、巻き戻し演出を実行することによって当該リーチ状態の成立がなされなかったかのようにして、N回目の単位変動の変動開始時における図柄の停止状態を再現し、再び図柄を変動開始させて、単位変動の継続を実行するようにしている。すなわち、上記N回目の単位変動は、図柄の変動、リーチ状態形成、巻き戻し演出、および、単位変動開始時の図柄態様を再現、の一連の処理を一つの単位変動の態様とし、一旦、リーチ状態を形成し、その後、巻き戻し演出および単位変動開始時の図柄態様の再現を行うようにして単位変動の継続を実現するようにしている。このようにすれば、上記N回目の単位変動を体験した遊技者は、仮に、N回目の擬似変動でリーチ状態が形成されたとしても、単位変動が継続される可能性を認知しているので、遊技者が、リーチ状態が形成された時点で、その後の演出に対する期待感を喪失することを抑制することができ、遊技意欲が減退することを抑制することができる。
[技術思想3]
遊技機であって、
遊技球が所定領域を通過したことを検出する検出手段(第一始動口センサ2011、第二始動口センサ2349)と、
前記検出手段による遊技球の検出に基づいて取得された当落乱数を用いて抽選を行う抽選手段(図229のステップS1310を実行する主制御MPU4100a)と、
前記抽選手段による前記抽選結果が当たりである場合に、遊技者に前記特典を付与する特典付与手段(図244:特別電動役物大当たり制御処理を行う主制御MPU4100a)と、
画像を表示可能であって、前記特典付与手段が前記遊技者に特典を付与する場合には、前記当たりを示す図柄配列を表示可能であり、前記抽選手段による前記抽選結果がはずれである場合には、はずれを示す図柄配列を表示可能な表示手段(液晶表示装置1400)と、
前記抽選を行うごとに、いずれもが前記表示手段に画像を表示する演出を含む複数種類の演出表示パターンの中から一の演出表示パターンを選択する演出表示パターン選択手段(主制御MPU4100aと周辺制御MPU4140a)と、
選択された前記演出表示パターンに基づいて、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段(周辺制御MPU4140a)と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記演出表示パターン選択手段によって選択された前記演出表示パターンを実現する手段として、
前記図柄を変動開始させる図柄変動開始手段と、
前記図柄変動開始手段によって前記図柄が変動開始された後、リーチ形成前の演出である、前記当たりへの期待度を示唆する期待度示唆演出を実行する期待度示唆演出実行手段と、
前記期待度示唆演出実行手段によって前記期待度示唆演出が実行された後、前記図柄を用いて前記リーチ状態を形成するリーチ形成手段と、
前記リーチ形成手段によって前記リーチ状態が形成された後に、前記リーチ状態を形成する図柄を含む前記図柄配列を報知する図柄配列報知手段と、
を含み、
前記期待度示唆演出実行手段は、
前記期待度示唆演出として、前記当たりへの期待度が高いことを示唆する高期待度示唆演出を実行可能な高期待度示唆演出手段と、
前記期待度示唆演出として、前記当たりへの期待度が前記高期待度示唆演出よりも低い低期待度示唆演出を実行可能な低期待度示唆演出手段と、
を含み、
前記図柄配列報知手段は、
前記演出表示パターン選択手段によって選択された第1演出表示パターンを実現するための手段であって、前記図柄を変動させて、変動を終了させる単位変動を複数回実行可能であり、N(1以上の整数)回目の単位変動中において、前記低期待度示唆演出手段により前記低期待度示唆演出が実行され、前記リーチ形成手段により前記リーチ状態が形成された後、前記図柄配列を報知する単純報知手段と、
前記演出表示パターン選択手段によって選択された第2演出表示パターンを実現するための手段であって、前記単位変動を複数回実行可能であり、前記第1演出表示パターンと同様の演出を経て到達したN回目の単位変動中において、前記低期待度示唆演出手段により前記低期待度示唆演出が実行され、前記リーチ形成手段により前記リーチ状態が形成された後、前記図柄変動開始手段が前記図柄を変動開始してから、前記低期待度示唆演出手段が前記低期待度示唆演出を実行し、前記リーチ形成手段がリーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す巻き戻し演出を実行することによって当該リーチ状態の成立がなかったこととするかのようにして、当該N回目の単位変動の変動開始時における前記図柄の停止状態を再現して、当該N回目の単位変動を終了させた後、再び前記図柄を変動開始させて前記単位変動を継続させ、その後、再びリーチ状態を形成して、前記図柄配列を報知する巻き戻し演出包含報知手段と、
を含み、前記巻き戻し演出包含報知手段が前記第2演出表示パターンを実現した場合には、前記単純報知手段が前記第1演出表示パターンを実現した場合と比較して、前記特典付与への期待度が高く構成されている、
遊技機。
上記構成の遊技機によれば、巻き戻し演出包含報知手段が第2演出表示パターンを実現することで、リーチ状態が形成された後、図柄を変動開始してから、低期待度示唆演出を実行し、リーチ状態を形成するまでの一連の演出を巻き戻すように示す巻き戻し演出を実行することによって当該リーチ状態の成立がなかったこととするかのようにして、図柄の変動開始時における図柄の停止状態を再現し、再び図柄を変動開始させるようにしている。このようにすれば、上記第2演出表示パターンによる演出を体験した遊技者は、リーチ状態成立前の演出として当たりへの期待度が低い低期待度示唆演出がなされ、一旦リーチ状態が形成された場合であっても、巻き戻し演出が実行されて、当該リーチ状態の成立がなされなかったかのようにリーチ状態成立前の演出が継続され得ることを認知しているので、リーチ状態が形成されたとしても、まだその時点では、リーチ状態成立前の演出が継続されて高期待度示唆演出が出現することを期待することができ、その結果、リーチ状態が形成された時点で当たりへの期待感が低減し、遊技意欲が減退することを抑制することができる。さらに、上記構成の遊技機によれば、N回目の単位変動を行い、N回目の単位変動中において、低期待度示唆演出手段により低期待度示唆演出が実行され、リーチ形成手段によりリーチ状態が形成されるまでの演出は、第1演出表示パターンと第2演出表示パターンとも同様の内容(以下、同内容演出とも呼ぶ)となっており、そして、第2演出表示パターンは、同内容演出後、巻き戻し演出およびN回目の単位変動の変動開始時における図柄の停止状態を再現を行って、N回目の単位変動を終了させた後、再び図柄を変動開始させて単位変動を継続させるようにしているが、第1演出表示パターンは、同内容演出後、これら一連の演出(巻き戻し演出など)を含まない構成となっており、すなわち、第1演出表示パターンと第2演出表示パターンとの主な相違は、同内容演出後、巻き戻し演出などを含む一連の演出を行うか否かとなっている。そして、第2演出表示パターンを実現した場合には、第1演出表示パターンを実現した場合と比較して、特典付与への期待度が高く構成されている。このようにすれば、N回目まで演出が同じであった場合には、巻き戻し演出を含む一連の演出の出現がなされるか否かで当たりへの期待度が大きく左右されることとなり、上記第1演出表示パターンと第2演出表示パターンを体験した遊技者は、リーチ状態が形成された時点で、巻き戻し演出の実現を切に願うようになる。従って、リーチ状態が形成された時点で当たりへの期待感が低減することを強く抑制することができ、遊技意欲の減退をより抑制することが可能となる。
さらに、上記構成の遊技機によれば、巻き戻し演出包含報知手段が第2演出表示パターンを実現することで、N回目の単位変動中において、リーチ状態が形成された後、巻き戻し演出を実行することによって当該リーチ状態の成立がなされなかったかのようにして、N回目の単位変動の変動開始時における図柄の停止状態を再現し、再び図柄を変動開始させて、単位変動の継続を実行するようにしている。すなわち、上記N回目の単位変動は、図柄の変動、リーチ状態形成、巻き戻し演出、および、単位変動開始時の図柄態様を再現、の一連の処理を一つの単位変動の態様とし、一旦、リーチ状態を形成し、その後、巻き戻し演出および単位変動開始時の図柄態様の再現を行うようにして単位変動の継続を実現するようにしている。このようにすれば、上記N回目の単位変動を体験した遊技者は、仮に、リーチ状態が形成されたとしても、単位変動が継続される可能性を認知しているので、遊技者が、リーチ状態が形成された時点で、その後の演出に対する期待感を喪失することを抑制することができ、遊技意欲が減退することを抑制することができる。
[分岐リーチ演出]
図288〜図293は、メイン液晶画面PNMに表示される演出例(以下、「分岐リーチ演出」と呼ぶ)の説明図である。周辺基板4010(図220)は、主制御基板4100から送信されてくる変動タイプおよび変動パターンに基づいて、所定の確率で、分岐リーチ演出を含む演出表示パターンを決定(選択)して実現する。1つの演出表示パターンは、遊技者から見た演出の1つのパターンを表しており、特別図柄の1回の変動中に行われる演出を表している。図288〜図293は、それぞれ、メイン液晶画面PNMの表示内容(フレーム画像)を表している。
周辺基板4010は、分岐リーチ演出では、いわゆるリーチ状態を形成し、リーチ状態の形成に続いて、演出の複数の分岐先をそれぞれ表す複数の分岐先画像を利用した変動表示を行う。図288は、リーチ状態が形成された様子を示し、図289〜図292は、リーチ状態の形成に続く変動表示を示している。各図288〜図292は、図番が大きくなるにつれて時間的に後のフレーム画像を図示しており、図288〜図292を図番の順に見ていくことで、リーチ状態の形成と変動表示とを表す動画像の概要を把握できる。なお、図288〜図292において連続する2枚のフレーム画像の間には、数フレームから数十フレーム分の間隔があいている。
なお、分岐先画像は、図柄とは異なり、図柄列表示領域に停止表示済みの図柄と組み合わせて特別抽選結果を報知するものではない。後述するように、この分岐先画像が停止表示されると、特別抽選結果の報知の前に、停止表示された分岐先画像に対応付けられた演出(発展した演出。以下「発展演出」とも呼ぶ)が実現される。遊技者は、このように図柄とは異なる分岐先画像を視認することによって、図柄の代わりに分岐先画像が停止表示されたらどうなるのかという期待を抱くことになる。
分岐リーチ演出では、周辺基板4010は、左図柄列1153a、中図柄列1153b、右図柄列1153cのそれぞれの変動を開始し、そして、図288に示すように、リーチ状態が形成された様子をメイン液晶画面PNMに表示する。図中には、メイン液晶画面PNM上に配置された、左図柄列表示領域1153aAと、中図柄列表示領域1153bAと、右図柄列表示領域1153cAと、が示されている。各図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAは、各図柄列1153a、1153b、1153cの図柄が、それぞれ、表示され得る領域を示している。図288の表示例では、各図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAは、それぞれ、メイン液晶画面PNMの上辺から下辺まで伸びる縦長の長方形領域であり、左から順番に並んでいる。
図中の矢印は、図柄の移動を表している。図288の表示例では、各図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAにおいて、図柄が上から下に向かって移動表示される。ただし、左図柄列表示領域1153aAと右図柄列表示領域1153cAとには、上部から移動してきた図柄(ここでは、同じ0図柄Z0L、Z0R)が、それぞれ停止表示されている。中図柄列表示領域1153bAには、図柄が停止せずに上から下に向かって移動する様子が表示されている。
本演出例では、周辺基板4010は、複数(ここでは、3つ)の図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAに同じ図柄を停止表示させることによって、特別抽選結果が「大当たりA」あるいは「大当たりB」であることを遊技者に報知する。これらの抽選結果(大当たりA、B)は、以下のような大当たり遊技が特典として遊技者に付与される大当たりである。すなわち、アタッカユニット2000の開閉部材2006の開閉(開放)が複数回行われる大当たり遊技であって、1回目の開閉が、多数(例えば、10個)の遊技球が入賞することが十分に可能な長時間(例えば、30秒程度)に亘って行われる大当たり遊技が、特典として遊技者に付与される大当たりである。また、周辺基板4010は、複数の図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAの少なくとも1つにおいて、他の図柄列表示領域とは異なる図柄を停止表示させることによって、特別抽選結果が、「大当たりA」と「大当たりB」とを除いた他の結果であることを、遊技者に報知する。すなわち、複数の図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAのそれぞれに停止表示された図柄の組み合わせによって、特典(本演出例では、「大当たりA」あるいは「大当たりB」に伴う大当たり遊技)が付与されるか否かが報知される。また、周辺基板4010は、図288に示すように1つの図柄列表示領域(ここでは、中図柄列表示領域1153bA)において図柄の移動表示(変動表示)を継続し、残りの図柄列表示領域において同じ図柄を停止表示させることによって、「リーチ状態」を形成する。
次の図289は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を進行させた様子を示している。図289の表示例では、左図柄列表示領域1153aAと右図柄列表示領域1153cAとの大きさが、1つの図柄Z0Lの大きさとほぼ同じ大きさに変化(縮小)している。そして、それらの図柄列表示領域1153aA、1153cAが、メイン液晶画面PNMの上側に偏った位置(メイン液晶画面PNMの下辺よりも上辺に近い位置)に移動している。この演出例では、各図柄Z0L、Z0Rは、各図柄列表示領域1153aA、1153cA内において、それぞれ、遊技者が一見しただけでは分かり難い程度に小さく揺れ動いている。このように、各図柄Z0L、Z0Rは、ほぼ停止した状態に維持されている。このような態様の表示は、表示される図柄が他の図柄に変わることがない表示態様であるので、停止表示と呼ぶことができる。図柄Z0L、Z0Rの停止表示は、図289〜図292に亘って継続される。
また、図289の表示例では、周辺基板4010は、中図柄列表示領域1153bAを、メイン液晶画面PNMの全面を覆うように拡大させている。すなわち、中図柄列表示領域1153bAは、各図柄列表示領域1153aA、1153bAと重なっている。なお、拡大後の中図柄列表示領域1153bAは、メイン液晶画面PNMの全面を覆うほどの大きさよりも小さくてもよい。
また、周辺基板4010は、中図柄列表示領域1153bAの中央部分に、開始領域1153bASを形成している。周辺基板4010は、この開始領域1153bASに、演出の進行に伴って、新たに、図柄を表示させる代わりに分岐先画像を表示させる。新たに表示される分岐先画像は、この変動表示に続けて実現され得る演出(発展した演出)の候補を表している。図289の表示例では、開始領域1153bASに、第1分岐先画像ZACが新たに表示されている。なお、開始領域1153bASの輪郭線は、説明のために図289に示したものであり、実際には表示されない。
メイン液晶画面PNMの下部には、空を飛んでいる人物ZCRが表示されている。
次の図290は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を更に進行させた様子を示している。図290の表示例では、周辺基板4010は、第1分岐先画像ZACを拡大し、そして、第1分岐先画像ZACを、メイン液晶画面PNMの上辺に向かって移動させる。これにより、第1分岐先画像ZACは、中図柄列表示領域1153bA内における開始領域1153bASの外の領域に移動する。さらに、周辺基板4010は、開始領域1153bASにおいて、新たに、第2分岐先画像ZBCと、第3分岐先画像ZCCと、第4分岐先画像ZDCとを表示させている。
次の図291は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を更に進行させた様子を示している。図291の表示例では、周辺基板4010は、第1分岐先画像ZACを更に拡大し、そして、第1分岐先画像ZACを、メイン液晶画面PNMの上辺に向かって更に移動させる。また、周辺基板4010は、第3分岐先画像ZCCを拡大し、そして、第3分岐先画像ZCCを、メイン液晶画面PNMの右辺に向かって移動させる。また、周辺基板4010は、第4分岐先画像ZDCを拡大し、そして、第4分岐先画像ZDCを、メイン液晶画面PNMの下辺に向かって移動させる。また、周辺基板4010は、第2分岐先画像ZBCを拡大し、第2分岐先画像ZBCを、メイン液晶画面PNMの左辺に向かって移動させる。さらに、周辺基板4010は、開始領域1153bASにおいて、新たに、第1分岐先画像ZACと、第3分岐先画像ZCCと、第6分岐先画像ZFCと、第7分岐先画像ZGCとを表示させている。拡大された第2分岐先画像ZBCと第3分岐先画像ZCCと第4分岐先画像ZDCとは、開始領域1153bASの外の領域に移動している。
図289〜図291に示すように、周辺基板4010は、開始領域1153bASに新たに分岐先画像を表示させ、表示された分岐先画像の拡大と、開始領域1153bASからメイン液晶画面PNMの四方への分岐先画像の移動とを実行する。本演出例では、各分岐先画像は、直線的に移動する。そして、開始領域1153bASから見た移動方向が、メイン液晶画面PNMの縁の全周に亘るように、複数の分岐先画像が種々の方向に移動する。このような表示態様を観察した遊技者は、まるで分岐先画像が奥から手前に向かって流れてくるような奥行き感を覚える(人物ZCRが分岐先画像の中を飛んでいるように感じる)。その結果、演出を観察する楽しみを向上させることができる。
次の図292は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を更に進行させた様子を示している。図292の表示例では、周辺基板4010は、第2分岐先画像ZBCを更に拡大し、そして、第2分岐先画像ZBCを、メイン液晶画面PNMの左辺に向かって更に移動させる。これにより、第2分岐先画像ZBCの一部(左部分)は、メイン液晶画面PNMの外側にはみ出てしまって表示されずに、第2分岐先画像ZBCの残りの部分(右部分)が、メイン液晶画面PNMの左の縁に表示される。周辺基板4010が、変動表示を更に進行させた場合には、第2分岐先画像ZBCの全体が、メイン液晶画面PNMの外側にはみ出ることによって、第2分岐先画像ZBCの表示は、メイン液晶画面PNMから消去される。
周辺基板4010は、他の分岐先画像に対しても、同様に、拡大と移動を行う。その結果、図292の表示例では、メイン液晶画面PNMの右上部分に表示されていた第1分岐先画像ZACは、メイン液晶画面PNMから消去され、開始領域1153bASの右下に表示されていた第3分岐先画像ZCCは、その一部がメイン液晶画面PNMの右の縁に拡大して表示され、開始領域1153bASの下部に表示されていた第4分岐先画像ZDCは、メイン液晶画面PNMの下部分に拡大して表示され、開始領域1153bAS内に表示されていた第7分岐先画像ZGCは、メイン液晶画面PNMの下部分に拡大して表示され、開始領域1153bAS内に表示されていた第3分岐先画像ZCCは、メイン液晶画面PNMの左部分に拡大して表示され、開始領域1153bAS内に表示されていた第1分岐先画像ZACは、メイン液晶画面PNMの上の縁に拡大して表示され、開始領域1153bAS内に表示されていた第6分岐先画像ZFCは、メイン液晶画面PNMの右上部分に拡大して表示される。また、図292の表示例では、周辺基板4010は、開始領域1153bASに、第1分岐先画像ZACと、第4分岐先画像ZDCと、第5分岐先画像ZECとを新たに表示している。
以上のように、周辺基板4010は、複数の分岐先画像を利用した変動表示を行う。
周辺基板4010は、変動表示を開始してから所定時間が経過すると、変動表示を終了して、1つの分岐先画像を停止表示させる。
図293の表示例は、第1分岐先画像ZACが停止表示される場合を示している。図示するように、第1分岐先画像ZACは、メイン液晶画面PNMの中央部分に大きく表示されている。これにより、遊技者は、特別抽選結果は報知されずに、その代わりに、第1分岐先画像ZACによって表される何らかの演出が続くことを容易に想像することができる。第1分岐先画像ZACの表示の後、周辺基板4010は、第1分岐先画像ZACに対応付けられた所定の発展演出を実現する。発展演出では、周辺基板4010は、発展演出を表す動画像をメイン液晶画面PNMに表示する(図示省略)。そして、発展演出の完了に続いて、周辺基板4010は、複数の停止図柄の候補のうちの1つを停止表示させる。本演出例では、特別抽選結果が「大当たりA」あるいは「大当たりB」である場合には、大当たり図柄(ここでは、0図柄Z0C)が停止表示され、特別抽選結果が「大当たりA」と「大当たりB」とを除いた他の結果である場合には、ハズレ図柄(ここでは、0図柄Z0C以外の図柄)が停止表示される。そして、主制御基板4100と周辺基板4010とは、図柄変動のための演出を終了する。他の分岐先画像が停止表示される場合も、同様に、処理が行われる。
以上のように、本演出例によれば、図288〜図292に示すように、リーチ状態の形成に続いて、複数の分岐先画像(ここでは、第1分岐先画像ZAC〜第7分岐先画像ZGC)を利用した変動表示が行われる。この変動表示では、周辺基板4010は、複数の分岐先画像のそれぞれに対して、メイン液晶画面PNMに新たに分岐先画像を表示させ、表示された分岐先画像を拡大し、その拡大の後にその分岐先画像をメイン液晶画面PNMから消去するという一連の処理(出現拡大消去処理)を実行する。ここで、周辺基板4010は、複数の分岐先画像のうちの少なくとも一部の複数の分岐先画像のそれぞれに対して、出現拡大消去処理の開始タイミングが互いに異なるように、出現拡大消去処理を実行する(図289〜図292)。これにより、複数の分岐先画像のそれぞれが、互いに異なるタイミングで、現れては消える。そして、そのような出現拡大消去処理が、少なくとも一部の複数の分岐先画像に対して、不規則な順番で実行される。具体的には、図289の表示例では、第1分岐先画像ZACが新たに表示され、図290の表示例では、第2と第3と第4の分岐先画像ZBC、ZCC、ZDCが新たに表示されている。次の図291の表示例では、第6と第7の分岐先画像ZFC、ZGCに加えて、再び、第1と第3の分岐先画像ZAC、ZCCとが新たに表示されている。次の図292の表示例では、第1と第4と第5の分岐先画像ZAC、ZDC、ZECが新たに表示されている。このように、遊技者からは、新たに表示される分岐先画像の順番には、規則性が無いように見える。
これらにより、遊技者は、メイン液晶画面PNMを一見しただけでは、選択され得る分岐先画像の全てを確認したという確信を持ち難い。例えば、遊技者は、表示済みの分岐先画像に限らず、その時点では表示されていない他の分岐先画像も将来に表示されて選択され得るのではないかという期待感を抱き得る。従って、遊技者は、どのような分岐先画像が選択され得るのかを確認しようとして、複数の分岐先画像が現れては消える様子を、高い関心を持って観察することになる。このように、演出を観察する楽しみ(遊技者の抱き得る期待感)を、表示済みの分岐先画像(表示済みの選択肢)を対象とする範囲の外に広げることが可能となる、すなわち、将来の展開への期待感を遊技者に提供することができる。また、演出を観察する楽しさを、分岐先画像に対して出現拡大消去処理が行われている期間の全体に亘って、維持することもできる。これらにより、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
また、周辺基板4010は、複数の分岐先画像のそれぞれに対して、出現拡大消去処理を実行可能である。本演出例では、出現拡大消去処理は、メイン液晶画面PNM(より具体的には、中図柄列表示領域1153bA)内の一部の領域である開始領域1153bASに新たに分岐先画像を表示させ、その新たな表示の後に、表示された分岐先画像の、拡大と、開始領域1153bASから他の領域への移動とを行い、拡大と移動との後に、分岐先画像をメイン液晶画面PNM(より具体的には、中図柄列表示領域1153bA)から消去する、という一連の処理である(図289〜図292)。そして、図289〜図292に示すように、周辺基板4010は、複数の分岐先画像の少なくとも一部の複数の分岐先画像のそれぞれに対して、不規則な順番で、出現拡大消去処理の開始タイミングが互いに異なるように、出現拡大消去処理を実行する。これにより、図290〜図292に示すように、少なくとも一部の複数の分岐先画像が、互いに異なる大きさでメイン液晶画面PNM上に表示される。
ここで、開始領域1153bASには、拡大前の分岐先画像が表示されるので、図289〜図292に示すように、少なくとも一部の複数の分岐先画像を重ねずに表示することができる。これにより、遊技者は、多数の候補があることを容易に認識することができる。また、表示された分岐先画像は拡大されるので、遊技者は、分岐先画像の詳細を容易に把握することができる。特に、単なる図柄ではなく分岐先画像(例えば、第1分岐先画像ZAC)を認識した遊技者は、分岐先画像がどのような画像であるのかに興味を持っている。分岐先画像を拡大することによって、このような遊技者の興味に適切に応えることができる(図290〜図292)。ここで、拡大された分岐先画像は、開始領域1153bASから他の領域に移動されるので、開始領域1153bASに新たに表示される分岐先画像が、拡大された分岐先画像と重なってしまうことを抑制できる(図289〜図292)。これらにより、遊技者は、変動表示される多数の候補を、容易に、認識して把握できる。また、分岐先画像は、拡大の後に、メイン液晶画面PNM(具体的には、中図柄列表示領域1153bA)から消去されるので、他の新たに拡大された分岐先画像の表示を適切に行うことができる。これにより、遊技者は、異なる開始タイミングで次々と拡大される分岐先画像のそれぞれの詳細を容易に把握することができる。これらの結果、遊技者が演出を楽しむことが抑制される可能性を低減できるので、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。なお、変動表示において、一部の分岐先画像が、重なり合って表示されてもよい。
また、本演出例では、複数の分岐先画像のそれぞれは、発展した演出で表示される動画像の概要を表すダイジェスト画像である。例えば、図289〜図293に示す第1分岐先画像ZACは、機関車ZTCを表している。この第1分岐先画像ZACは、発展演出で表示される動画像の1シーンを表している。その結果、拡大された演出示唆画像ZAC(図292)を観察した遊技者は、発展演出がどのような演出であるのかを想像することが容易になるので、発展演出に対する期待感を向上することができる。特に、本演出例では、変動表示において、分岐先画像が、拡大される。その結果、分岐先画像として細かい描写を含む画像を採用しても、その内容を遊技者に把握させることができる。すなわち、分岐先画像として、細かい描写を含む画像を採用することができる。これにより、分岐先画像の表示によって、発展演出の概要を適切に遊技者に伝えることができる。
また、本演出例では、分岐先画像の移動が、開始領域から四方に向かって行われる。すなわち、メイン液晶画面PNMを有効に利用して、分岐先画像の拡大が行われる。これにより、遊技者は、ダイジェスト画像の細かい描写を、容易に把握することができる。特に、本演出例では、中図柄列表示領域1153bAが、メイン液晶画面PNMの全面を覆うように拡大される。その結果、メイン液晶画面PNMの全体を有効に利用して、分岐先画像を拡大することができる。これにより、より効果的に、ダイジェスト画像の細かい描写を拡大したものを、遊技者に提供することができる。
[分岐リーチ演出の変形例]
図294、図295は、分岐リーチ演出の変形例を示す説明図である。本実施形態のパチンコ機1は、この演出例(変形例)を、図288〜図293で説明した演出例の代わりに実現してよい。また、本実施形態のパチンコ機1は、この演出例(変形例)を含む演出表示パターンと、図288〜図293で説明した演出例を含む演出表示パターンとの両方を、実現可能であってもよい。
本演出例においても、周辺基板4010は、上述の図288〜図290と同様に、リーチ状態を形成し、続いて、変動表示を行う。図294は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を、図290の状態から更に進行させた状態を示している。図291の表示例との差異は、第2分岐先画像ZBCと第3分岐先画像ZCCとの拡大および移動が行われていない点である。これらの分岐先画像ZBC、ZCCは、図290の表示例と同じく、開始領域1153bAS内に拡大されずに表示されたままである。また、図291の表示例では、開始領域1153bAS内に、第1分岐先画像ZACと、第3分岐先画像ZCCと、第6分岐先画像ZFCと、第7分岐先画像ZGCが新たに表示されているが、図294の表示例では、開始領域1153bAS内に新たに表示される画像は、第6分岐先画像ZFCだけである。
図295は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を、図294の状態から更に進行させた状態を示している。この表示例では、図294の表示例と同様に、第2分岐先画像ZBCと第3分岐先画像ZCCとの拡大および移動が行われていない。第6分岐先画像ZFCは、図292の表示例と同様に、拡大され、そして、移動されている。また、開始領域1153bAS内には、新たに第7分岐先画像ZGCが表示されている。
周辺基板4010は、変動表示を開始してから所定時間が経過すると、変動表示を終了して、1つの分岐先画像を停止表示させる。本演出例では、周辺基板4010は、メイン液晶画面PNMに表示された複数の分岐先画像のうちの一部の分岐先画像のみに対して、拡大と移動とを行う。例えば、図294、図295の表示例においては、周辺基板4010は、開始領域1153bAS内に表示された第2分岐先画像ZBCと第3分岐先画像ZCCとに対しては、拡大も移動も行わずに、変動処理を終了する。そして、周辺基板4010は、開始領域1153bASに表示された後に拡大された分岐先画像の中から、停止表示させる分岐先画像を選択する。周辺基板4010は、分岐先画像を停止表示した後の処理を、図288〜図293で説明した演出例での処理と同様に進行させる。
本演出例によれば、分岐先画像がメイン液晶画面PNMに新たに表示されたからといって、その分岐先画像が必ずしも拡大されるとは限らないので、遊技者にとっては、複数の分岐先画像が表示された段階では、どの分岐先画像が拡大されるのかを特定することが難しい。従って、遊技者は、どの分岐先画像が拡大されるのかを確認しようとして、高い関心を持って演出を観察することになる。その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
なお、周辺基板4010は、一部の分岐先画像を拡大せずに残すか否かに拘わらずに、表示された複数の分岐先画像の少なくとも一部の複数の分岐先画像を、ランダムに決定された順番で拡大してもよい。こうすれば、分岐先画像がメイン液晶画面PNMに新たに表示された場合に、少なくとも一部の複数の分岐先画像は、ランダムに決定された順番で拡大されるので、遊技者は、どの分岐先画像が拡大されるのかを確認しようとして、高い関心を持って演出を観察することになる。その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
また、周辺基板4010は、複数の分岐先画像のうちの少なくとも一部の複数の分岐先画像を、予め準備された複数の画像の中からランダムに選択して、メイン液晶画面PNMでの表示に利用してもよい。例えば、周辺基板4010は、主制御基板4100から送信されてくる変動タイプおよび変動パターンに基づいて、変動表示に続けて停止表示される分岐先画像を決定してよい。このように、停止表示される分岐先画像が決定された後に、周辺基板4010は、停止表示されない複数の分岐先画像を、予め準備された複数の分岐先画像の中からランダムに(例えば、乱数に従って)選択してよい。
こうすれば、ランダムに選択された複数の分岐先画像がメイン液晶画面PNMに表示されるので、この演出が実現される毎に、表示される分岐先画像が異なり得る。その結果、遊技者は、この演出が実現される毎に、今回の演出では何の分岐先画像が表示されるのかを確認しようとして、高い関心を持って演出を観察することになる。その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
いずれの場合も、周辺基板4010は、変動表示の後に停止表示される分岐先画像を、メイン液晶画面PNMに新たに表示させた後に拡大してもよく、拡大しなくてもよい。また、周辺基板4010は、変動表示の後に停止表示される分岐先画像を、変動表示においてメイン液晶画面PNMに表示させた後、消去せずに停止表示させてもよい。
[分岐リーチ演出の変形例]
図296〜図298は、分岐リーチ演出の変形例を示す説明図である。本実施形態のパチンコ機1は、この演出例(変形例)を、上述の演出例(図288〜図293で説明した演出例、あるいは、図294、図295で説明した演出例)の代わりに実現してよい。また、本実施形態のパチンコ機1は、この演出例(変形例)を含む演出表示パターンと、図288〜図293で説明した演出例を含む演出表示パターンと、図294、図295で説明した演出例を含む演出表示パターンと、のうちの任意の複数の演出表示パターンを、実現可能であってもよい。
本演出例においても、周辺基板4010は、上述の図288〜図290と同様に、リーチ状態を形成し、続いて、変動表示を行う。図296は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を、図290の状態から更に進行させた状態を示している。図291の表示例との差異は、第3分岐先画像ZCCの代わりに、停止図柄の候補(ここでは、0図柄Z0C)が、開始領域1153bASに新たに表示されている点だけである。本演出例では、表示される停止図柄候補(ここでは、0図柄Z0C)は、大当たり図柄である。大当たり図柄は、特別抽選結果が「大当たりA」あるいは「大当たりB」であることを示す図柄である。
図297は、周辺基板4010が、中図柄列表示領域1153bAにおける変動表示を、図296の状態から更に進行させた状態を示している。図292に示す表示例との差異は、第3分岐先画像ZCCが拡大して表示される代わりに、停止図柄候補(ここでは、0図柄Z0C)が拡大して表示されている点だけである。
周辺基板4010は、停止図柄候補に対して、分岐先画像と同様に、出現拡大消去処理を実行する。これにより、変動演出においては、現れては消える種々の分岐先画像に混じって、停止図柄候補が現れて消える様子が表示される。
周辺基板4010は、変動表示を開始してから所定時間が経過すると、変動表示を終了して、1つの分岐先画像と1つの停止図柄候補とのいずれかを停止表示させる。図298の表示例は、図柄が停止表示された様子を示している。図柄(ここでは、0図柄Z0C)は、メイン液晶画面PNMの中央部分に大きく表示されている。このように、停止表示された図柄を観察することによって、遊技者は、特別抽選結果が「大当たりA」あるいは「大当たりB」であることを、容易に把握することができる。図柄(大当たり図柄)の停止表示の後、主制御基板4100は、上述した大当たり遊技を実行する。周辺基板4010は、主制御基板4100からの指示に従って、大当たり遊技のための演出を実現する。
1つの分岐先画像が停止表示される場合の処理は、図288〜図293で説明した演出例での処理と同じである。周辺基板4010は、図293の表示例のように分岐先画像を停止表示し、そして、発展演出を実現する。発展演出の完了に続いて、周辺基板4010は、図柄を停止表示する。
以上のように、本演出例では、変動表示で利用される画像(「候補画像」とも呼ぶ)として、分岐先画像に加えて、停止図柄の候補が利用される。すなわち、演出は、後に続く演出(発展演出)に加えて、図柄の停止表示に分岐し得る。図柄が停止表示される場合には、演出が後に続かずに、停止表示された図柄の組み合わせによって特別抽選結果が報知される。この結果、遊技者は、後に続く演出(発展した演出)の選択肢のみを対象として期待感を抱くわけにはいかず、演出が発展せずに図柄が停止表示される可能性も考慮した期待感を味わうことになる。これにより、分岐先として何があるのかを確認したいという遊技者の関心を高めることができるので、演出を観察する楽しみを向上し、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
また、本演出例では、変動表示に利用される停止図柄の候補として、大当たり図柄が利用されている。その結果、変動表示において大当たり図柄を見つけた遊技者は、分岐先画像が停止表示されなければ大当たりになるはず、という大きな期待感を抱くことができる。これにより、遊技の楽しみが抑制される可能性を大幅に低減できる。
なお、本演出例において、変動表示に利用される停止図柄の候補としては、大当たり図柄の代わりにハズレ図柄を採用してもよい。この場合には、変動表示においてハズレ図柄を見つけた遊技者は、分岐先画像が停止表示されなければハズレが確定するかもしれない、という緊張感を感じ得る。これにより、演出を退屈に感じてしまう可能性を低減することができる。
また、本演出例において、変動表示に利用される停止図柄の候補は、大当たり図柄とハズレ図柄との両方を含んでもよい、図299は、大当たり図柄とハズレ図柄との両方が変動表示に利用される場合の表示例を示している。この表示例では、大当たり図柄(ここでは、0図柄Z0C)と、ハズレ図柄(ここでは、1図柄Z1C)とが、変動表示で利用されている。周辺基板4010は、これらの停止図柄候補に対して、分岐先画像と同様に、出現拡大消去処理を実行する。これにより、変動演出においては、現れては消える種々の分岐先画像に混じって、大当たり図柄やハズレ図柄が現れて消える様子が表示される。
このように、大当たり図柄とハズレ図柄との両方を変動表示で利用すれば、変動表示の後の演出には、複数の演出表示(発展演出)のいずれかの実現に加えて、当たり図柄が停止表示される演出とハズレ図柄が停止表示される演出との両方が存在するので、変動表示を観察する遊技者は、どの演出表示(発展した演出)が実現されるのかという期待感のみならず、変動表示が終わった段階で演出が発展せずに当たりが報知されるのか、それとも、変動表示が終わった段階で演出が発展せずにハズレが報知されるのかという、演出表示(発展した演出)に対する期待感とは全く異なる種類の期待感を抱くことになる。このように、遊技者の抱き得る期待感が、演出表示(発展した演出)を対象とする範囲に留まらないので、遊技者の演出に対する興味を向上することができ、その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
なお、変動表示で利用される候補画像として、分岐先画像に加えて停止図柄の候補を利用するという構成を、図294、図295で説明した演出例に適用してもよい。この場合、周辺基板4010は、分岐先画像と停止図柄候補とを含む複数の候補画像のうちの少なくとも一部の複数の候補画像を、新たにメイン液晶画面PNMに表示させつつも、表示された複数の候補画像のうちの一部のみに対して拡大と消去とを実行してよい。また、周辺基板4010は、複数の候補画像(分岐先画像と停止図柄候補とを含む)のうちの少なくとも一部の複数の候補画像を、新たにメイン液晶画面PNMに表示させ、表示された複数の候補画像の少なくとも一部の複数の候補画像を、ランダムに決定された順番で拡大してもよい。
また、周辺基板4010は、複数の候補画像(分岐先画像と停止図柄候補とを含む)のうちの少なくとも一部の複数の候補画像を、予め準備された複数の画像の中からランダムに選択して、メイン液晶画面PNMでの表示に利用してもよい。例えば、周辺基板4010は、主制御基板4100から送信されてくる変動タイプおよび変動パターンに基づいて、変動表示に続けて停止表示される候補画像を決定してよい(停止表示される候補画像は、分岐先画像の場合もあり、図柄である場合もある)。このように、停止表示される候補画像が決定された後に、周辺基板4010は、停止表示されない複数の候補画像を、予め準備された複数の候補画像の中からランダムに(例えば、乱数に従って)選択してよい。ここで選択される候補画像には、種々の分岐先画像や、種々の停止図柄候補が含まれ得る。
いずれの場合も、周辺基板4010は、変動表示の後に停止表示される候補画像を、メイン液晶画面PNMに新たに表示させた後に拡大してもよく、拡大しなくてもよい。また、周辺基板4010は、変動表示の後に停止表示される候補画像を、変動表示においてメイン液晶画面PNMに表示させた後、消去せずに停止表示させてもよい。
なお、本演出例のように分岐先画像と停止図柄候補とが変動表示に利用される演出パターンとしては、以下の4つの演出パターンがあり得る。
パターンA)変動表示に続けて、分岐先画像は停止表示されずに、大当たり図柄が停止表示されるパターン
パターンB)変動表示に続けて、分岐先画像は停止表示されずに、ハズレ図柄が停止表示されるパターン
パターンC)変動表示に続けて、分岐先画像が停止表示され、発展演出が実現された後に、大当たり図柄が停止表示されるパターン
パターンD)変動表示に続けて、分岐先画像が停止表示され、発展演出が実現された後に、ハズレ図柄が停止表示されるパターン
ここで、分岐先画像が停止表示されずに図柄が停止表示される第1パターン(パターンAとパターンBとの全体)は、分岐先画像が停止表示されて発展演出が実現された後に図柄が停止表示される第2パターン(パターンCとパターンDとの全体)と比べて、特別抽選結果が大当たり(大当たりAあるいは大当たりB)である期待度(確率)が低いパターンであってよい。換言すれば、変動表示に続けて図柄が停止表示される場合の大当たりの確率(特別抽選結果が、大当たりAあるいは大当たりBである確率)は、変動表示に続けて分岐先画像が停止表示される場合の大当たりの確率(特別抽選結果が、大当たりAあるいは大当たりBである確率)よりも、低くて良い。こうすれば、分岐先画像が停止表示された場合に、遊技者は、大きな期待感を持って、続けて実現される発展演出を楽しむことができる。ただし、第1パターンでは、第2パターンと比べて、大当たりの確率が高くてもよい。この場合には、変動表示で図柄(特に大当たり図柄)を観察した遊技者は、大当たり図柄が停止表示されることを期待して、変動表示を楽しむことができる。また、分岐先画像が停止表示された場合であっても、遊技者は、続けて実現される発展演出を楽しむことができる。
なお、主制御基板4100と周辺基板4010とが演出のパターンを決定するために参照する設定データ(例えば、主制御基板4100に予め設定されている変動パターンテーブルや、周辺基板4010に予め設定されている種々のデータ)は、大当たりの確率(特別抽選結果が、大当たりAあるいは大当たりBである確率)が上述の通りとなるように、予め設定されて良い。
[出現拡大消去処理を利用する演出の変形例]
複数種類の分岐先(発展演出)が、第1分岐先と、第1分岐先と比べて大当たりの期待度(例えば、特別抽選結果が、大当たりAあるいは大当たりBである確率)の高い第2分岐先とを含んでもよい。そして、第2分岐先に対応付けられた分岐先画像が、大当たりの期待度が第1分岐先よりも高いことを表す表示(画像領域)を含んでもよい。例えば、第2分岐先の分岐先画像の輪郭が赤色で彩色されていてもよい。同様に、第1分岐先に対応付けられた分岐先画像が、大当たり期待度が第2分岐先よりも低いことを表す表示(画像領域)を含んでも良い。例えば、第1分岐先の分岐先画像の輪郭が青色で彩色されていてもよい。このように、分岐先画像が、期待度に応じて異なる色を表す部分を含んでも良い。より一般的には、分岐先画像が、期待度を表す部分を含んでも良い。例えば、分岐先画像の輪郭の態様(例えば、形状や色や模様)が、期待度に応じて、異なっていても良い。いずれの場合も、比較的期待度の高い分岐先画像を遊技者に観察させることによって、遊技者の期待感を向上させることができる。特に、少なくとも一部の複数の分岐先画像に対して、不規則な順番で、出現拡大消去処理を実行すれば、遊技者は、新たに表示される分岐先画像を予測することが困難である。これにより、分岐先画像に対して出現拡大消去処理が行われる演出を観察する遊技者は、「次の瞬間には、大当たりの期待度の高い第2分岐先の分岐先画像(以下「高期待分岐先画像」と呼ぶ)が表示されるかもしれない」という期待感を持ち続けることができる。遊技者は、このような期待感を、高期待分岐先画像が未だに表示されていない状態であっても、抱くことができる。また、第2分岐先の期待度が特に高い場合には(例えば、期待度が90%以上、あるいは、期待度が100%)、分岐先画像に対して出現拡大消去処理が行われている期間の全体に亘って、遊技者は、高期待分岐先画像が表示されて欲しい、という期待感を強く持ち続けることができる。このように、出現拡大消去処理が行われている期間の全体に亘って、演出を観察する楽しみが持続するので、遊技の楽しみが抑制される可能性を大幅に低減できる。
画像を表示可能な複数の表示画面を利用可能な場合には、周辺基板4010は、それらの複数の表示画面のうちの任意の表示画面を利用して、分岐リーチ演出を実現してよい。例えば、周辺基板4010は、メイン液晶画面PNMの代わりにサブ液晶画面PNSを利用して演出を実現してもよい。また、周辺基板4010は、メイン液晶画面PNMとサブ液晶画面PNSとの両方を利用して演出を実現してもよい。また、利用可能な表示画面の総数は1であってもよく、3以上であってもよい。
また、上述した分岐リーチ演出の演出例や変形例(図288〜図299で説明した演出例)では、図298の表示がなされた時点や、発展演出の後に図柄が停止表示された時点で、図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAの全ての図柄が確定する。リーチ状態(図288)を形成する停止図柄(ここでは、左図柄列表示領域1153aAの図柄と右図柄列表示領域1153cAの図柄)は、リーチ状態が形成された時点で確定している、ということができる。ただし、周辺基板4010は、図柄を停止表示した後に(例えば、図298の表示の後に)、改めて、図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAのそれぞれの図柄を表示し直すことによって、停止図柄が確定したことを遊技者に報知してもよい。発展演出が実現される場合も、同様に、周辺基板4010は、図柄列表示領域1153aA、1153bA、1153cAのそれぞれの図柄を、種々の態様で確定させてよい。
また、周辺基板4010は、上述のように複数の候補画像を利用して出現拡大消去処理を実行する演出表示を、リーチ状態が形成される前に実現してもよい。例えば、複数の分岐先が、それぞれ、複数のリーチ演出であってもよい。この場合には、周辺基板4010は、リーチ状態が形成される前に、複数の分岐先画像が現れては消える演出を実現し、続けて、1つの分岐先画像が選択された様子を表示し、表示された分岐先画像に対応するリーチ演出を実現してもよい。
[出現拡大消去処理を利用する演出に着目することによって抽出される態様(技術思想)]
本実施形態を、「出現拡大消去処理を利用する演出を実現する」という観点から見ることによって、以下のような態様(技術思想)を抽出することができる。
[態様1]
遊技機であって、
検出手段による遊技球の検出に応じて取得された乱数を用いて抽選を行う抽選手段と、
画像を表示可能な表示画面を有する表示手段と、
前記抽選のそれぞれに関して、前記表示手段を制御することによって前記表示画面上で演出表示を実現する表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記表示手段の制御の一部の種類のパターンの実現に利用される手段として、
演出表示の進行の途中において、複数の分岐先をそれぞれ表す複数の分岐先画像を含む複数の候補画像を前記表示手段に表示可能な候補画像表示手段と、
1つの分岐先画像が選択された様子を前記表示手段に表示可能な分岐先画像選択手段と、
前記選択された分岐先画像によって表される前記分岐先の演出表示を前記表示手段に実現させることが可能な分岐先演出実現手段と、
を含み、
前記候補画像表示手段は、
前記複数の候補画像のそれぞれに対して、前記表示画面に新たに前記候補画像を表示させ、前記新たな表示の後に、前記表示された候補画像の拡大を行い、前記拡大の後に、前記候補画像を前記表示画面から消去する、という一連の処理である出現拡大消去処理を実行可能であり、
前記複数の候補画像のうちの少なくとも一部の複数の候補画像のそれぞれに対して、不規則な順番で、前記出現拡大消去処理の開始タイミングが互いに異なるように、前記出現拡大消去処理を実行する、
遊技機。
この構成によれば、複数の候補画像のうちの少なくとも一部の複数の候補画像のそれぞれに対して、不規則な順番で(流動的に)、開始タイミングが互いに異なるように、出現拡大消去処理が実行される。これにより、複数の候補画像のそれぞれが、互いに異なるタイミングで、現れては消える。そして、そのような出現拡大消去処理が、少なくとも一部の複数の候補画像に対して、不規則な順番で実行される。これらにより、遊技者は、表示画面を一見しただけでは、選択され得る候補画像の全てを確認したという確信を持ち難い。例えば、遊技者は、表示済みの候補画像に限らず、その時点では表示されていない他の候補画像も将来に表示されて選択され得るのではないかという期待感を抱き得る。従って、遊技者は、どのような候補画像が選択され得るのかを確認しようとして、複数の候補画像が現れては消える様子を、高い関心を持って観察することになる。このように、演出を観察する楽しみ(遊技者の抱き得る期待感)を、表示済みの候補画像(表示済みの選択肢)を対象とする範囲の外に広げることが可能となる、すなわち、将来の展開への期待感を遊技者に提供することができる。また、演出を観察する楽しさを、候補画像に対して出現拡大消去処理が行われている期間の全体に亘って、維持することもできる。これらにより、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
ここで、複数の分岐先が、第1分岐先と、第1分岐先と比べて、抽選の結果が当たり(特定の特典が付与されることを表す抽選結果)である期待度の高い第2分岐先とを含んでもよい。そして、第2分岐先に対応付けられた分岐先画像が、期待度が第1分岐先よりも高いことを表す表示(画像領域)を含んでもよい。例えば、分岐先画像の輪郭が赤色で彩色されていてもよい。同様に、第1分岐先に対応付けられた分岐先画像が、期待度が第2分岐先よりも低いことを表す表示(画像領域)を含んでも良い。例えば、分岐先画像の輪郭が青色で彩色されていてもよい。
また、特定の特典としては、種々の特典を採用可能である。例えば、いわゆる大入賞口の開閉部材が、多数(例えば、10個)の遊技球が入賞することが十分に可能な長時間(例えば、30秒程度)、開放されることを含む大当たり遊技を採用してもよい。また、大当たり遊技としては、大入賞口の開閉部材が、上述の長時間、開放されることと、多数の遊技球が入賞することが困難な短時間(例えば、0.05秒〜0.6秒程度)、開放されることとの両方を含む遊技が採用される場合がある。このような場合には、特定の特典として、上記開放部材の1回目の開放が上述の長時間の開放である大当たり遊技を採用してもよい。また、そのような大当たり遊技に限らず、他の特典を採用してもよい。例えば、大当たり遊技後に確変機能が作動しない通常大当たりと、大当たり遊技後に確変機能が作動する確変大当たりが存在する遊技機においては、特定の特典として、確変大当たりを採用してもよい。
なお、「少なくとも一部の複数の候補画像のそれぞれに対して、不規則な順番で、出現拡大消去処理を実行する」とは、遊技者からは、出現拡大消去処理が実行される候補画像の順番には、各候補画像の内容に照らして、規則性がないように見えるように、候補画像に対して出現拡大消去処理を実行することを意味している。例えば、候補画像に、抽選の結果が当たり(特定の特典が付与されることを表す抽選結果)である期待度が対応付けられている場合には、その期待度の高い順および低い順のいずれとも異なる順番で、出現拡大消去処理が行われる候補画像を選択すればよい。出現拡大消去処理が行われる候補画像の順番が予め決められた順番であっても、遊技者からは、その順番には規則性がないように見えるならば、その順番は不規則であるということができる。
[態様2]
態様1に記載の遊技機であって、
前記候補画像表示手段は、
前記出現拡大消去処理として、前記表示画面内の一部の領域である開始領域に新たに前記候補画像を表示させ、前記新たな表示の後に、前記表示された候補画像の、拡大と、前記表示画面内における前記開始領域から他の領域への移動とを行い、前記拡大と前記移動との後に、前記候補画像を前記表示画面から消去する、という一連の処理を実行する、
遊技機。
この構成によれば、開始領域では、拡大前の候補画像が表示されるので、多数の候補画像を重ねずに同時に表示することができ、これにより、遊技者は、多数の候補があることを容易に認識することができる。また、表示された候補画像は拡大されるので、遊技者は、候補画像の詳細を容易に把握することができる。ここで、拡大された候補画像は、開始領域から他の領域に移動されるので、開始領域に新たに表示される候補画像が、拡大された候補画像と重なってしまうことを抑制できる。これらにより、遊技者は、表示される多数の候補を、容易に認識して把握できる。また、候補画像は、拡大の後に、表示画面から消去されるので、他の新たに拡大された候補画像の表示を適切に行うことができる。これにより、遊技者は、異なる開始タイミングで次々と拡大される候補画像のそれぞれの詳細を容易に把握することができる。これらの結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
なお、表示画面からの候補画像の消去の態様としては、種々の態様を採用可能である。例えば、表示画面の端部から表示画面の外へ移動するように候補画像を移動表示することによって、候補画像を徐々に表示画面から消去してもよい。また、表示画面に表示されていた候補画像を、表示画面の端部を通過させずに、表示画面から消去してもよい。
[態様3]
態様2に記載の遊技機であって、
前記候補画像表示手段は、
一部の候補画像を、前記開始領域から、前記表示画面の上辺に向かって移動させる処理と、
一部の候補画像を、前記開始領域から、前記表示画面の右辺に向かって移動させる処理と、
一部の候補画像を、前記開始領域から、前記表示画面の下辺に向かって移動させる処理と、
一部の候補画像を、前記開始領域から、前記表示画面の左辺に向かって移動させる処理と、
を並行して行うことによって、前記少なくとも一部の複数の候補画像のそれぞれに対する前記出現拡大消去処理を行う、
遊技機。
この構成によれば、候補画像の移動が、開始領域から四方に向かって行われるので、表示画面を有効に利用して、候補画像の拡大を行うことができる。また、この構成によれば、遊技者には、表示画面の奥から手前に向かって候補画像が流れてくるような興味深い感覚を提供することもできる。これにより、遊技者が演出を楽しむことが抑制される可能性を、更に低減することができる。
[態様4]
態様1ないし態様3に記載の遊技機であって、
前記表示手段は、前記表示画面に、複数の図柄表示領域を表示可能であり、
前記表示制御手段は、
前記複数の図柄表示領域のそれぞれにおいて図柄を変動表示させた後に、前記複数の図柄表示領域のうちの一部の図柄表示領域において図柄を停止表示させることによってリーチ状態を形成するリーチ形成手段を含み、
前記候補画像表示手段は、
前記リーチ形成手段によって前記リーチ状態が形成された後に、前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と組み合わせて特定の特典が付与されるか否かの報知に利用される図柄表示領域である特定の図柄表示領域において、前記複数の候補画像の変動表示を実現し、
前記複数の候補画像として、前記複数の分岐先画像に加えて、前記特定の図柄表示領域において停止表示され得る停止図柄の候補を表す図柄候補画像を用いて、前記変動表示を行い、
前記分岐先画像選択手段は、前記一部の種類のパターンのうちの特定のパターンである第1パターンを実現するために、前記変動表示に続いて、前記図柄候補画像を停止表示させる代わりに前記分岐先画像を停止表示させ、
前記分岐先演出実現手段は、前記第1パターンを実現するために、前記停止表示された前記分岐先画像に対応付けられた前記演出表示を前記表示手段に実現させ、前記演出表示の実現の後に、図柄を停止表示させることによって、前記リーチ状態を形成する図柄表示領域と前記特定の図柄表示領域とによる図柄の組み合わせである対象図柄組み合わせを報知し、
前記表示制御手段は、前記一部の種類のパターンのうちの前記第1パターンとは異なる別の特定のパターンである第2パターンを実現するための手段として、
前記変動表示に続いて、前記分岐先画像を停止表示させることなく前記図柄候補画像を停止表示させることによって、前記対象図柄組み合わせを報知する、演出見送図柄報知手段を含む、
遊技機。
この構成によれば、候補画像として、分岐先画像に加えて、図柄候補画像が利用される。すなわち、演出は、後に続く演出(発展した演出)に加えて、図柄候補画像の停止表示に分岐し得る。図柄候補画像が停止表示される場合には、演出が後に続かずに、対象図柄組み合わせが報知される。この結果、遊技者は、後に続く演出(発展した演出)の選択肢のみを対象として期待感を抱くわけにはいかず、演出が発展せずに図柄が停止表示される可能性も考慮した期待感を味わうことになる。これにより、分岐先として何があるのかを確認したいという遊技者の関心を高めることができるので、演出を観察する楽しみを向上し、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
特に、上述の種々の態様(態様1〜3)、あるいは、後述する種々の態様(態様7〜9)のように、分岐先画像の表示が固定的ではなく流動的であるように(不規則に)見える演出が実現される場合には、分岐先画像に図柄候補画像を追加することの効果は、以下に説明するように、とても顕著になる。すなわち、分岐先画像の表示が流動的であるように見えるので、遊技者は、他にどのような分岐先があるのかに強い関心を持つ。ここで、表示される複数の分岐先画像の中に、全く種類の異なる図柄候補画像が混じっていることを観察すると、遊技者は、「他にどんな種類のものが登場するのだろうか?」という、これまでにない期待感も強く感じることになる。その結果、演出を観察する楽しみを、より効果的に、向上することができる。
また、1つの図柄表示領域は、1つの停止図柄の停止表示のための変動表示に利用される領域(変動する図柄が表示され得る領域)を示している。ここで、図柄表示領域は、表示画面における少なくとも一部の任意の領域であってよい。例えば、図柄表示領域は、表示画面における所定の一部の領域であってよい。また、或る図柄表示領域上に、他の図柄表示領域が重ねられてもよい。この場合には、或る図柄表示領域の図柄上に、他の図柄表示領域の図柄が重ねて表示され得る。このように、或る図柄表示領域上に他の図柄表示領域が重ねられる場合には、或る図柄表示領域が、表示画面の全体に広がっていても良い。この場合も、表示手段は、複数の図柄表示領域を表示している、ということができる。また、図柄表示領域が、演出の進行に応じて、動的に変化してもよい。例えば、演出の進行に応じて、或る図柄表示領域が徐々に拡大してもよい。逆に、演出の進行に応じて、或る図柄表示領域が徐々に縮小してもよい。
なお、複数の図柄表示領域のそれぞれにおける変動表示の開始から、リーチ状態の形成を経て、複数の分岐先画像に加えて図柄候補画像を用いた変動表示までの演出は、第1パターンと第2パターンとの間で、厳密に一致している必要はない。遊技者から見て、第1パターンと第2パターンとの識別が困難であれば、演出に差異があってもよい。
なお、特定の特典としては、上述の態様1で説明したように、種々の特典を採用可能である。
[態様5]
態様4に記載の遊技機であって、
前記候補画像表示手段は、前記複数の分岐先画像に加えて、前記抽選結果が、前記特定の特典が付与されることを表す当たりであることを示す当たり図柄を表す当たり図柄候補画像と、前記抽選結果が前記当たりではないことを示すハズレ図柄を表すハズレ図柄候補画像と、を用いて前記変動表示を行う、
遊技機。
この構成によれば、変動表示の後の演出には、複数の演出表示のいずれかの実現に加えて、当たり図柄が停止表示される演出とハズレ図柄が停止表示される演出との両方が存在するので、変動表示を観察する遊技者は、どの演出表示(発展した演出)が実現されるのかという期待感のみならず、変動表示が終わった段階で演出が発展せずに当たりが報知されるのか、それとも、変動表示が終わった段階で演出が発展せずにハズレが報知されるのかという、演出表示(発展した演出)に対する期待感とは全く異なる種類の期待感を抱くことになる。このように、遊技者の抱き得る期待感が、演出表示(発展した演出)を対象とする範囲に留まらないので、遊技者の演出に対する興味を向上することができ、その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
[態様6]
態様1ないし態様5のいずれかに記載の遊技機であって、
前記分岐先は、前記表示手段に動画像を表示する演出表示である動画演出表示を含み、
前記候補画像表示手段は、前記動画演出表示を表す前記分岐先画像として、前記動画像の概要を表す画像であるダイジェスト画像を追加する、
遊技機。
この構成によれば、分岐先画像として、動画演出表示で表示される動画像の概要を表す画像であるダイジェスト画像が表示されるので、遊技者は、分岐先画像を観察することによって、どのような動画演出表示が実現され得るかを把握することができる。ここで、ダイジェスト画像には、動画像に登場する種々の登場対象(例えば、人物や汽車等)が細かく描かれ得る。候補画像表示手段は、表示されたダイジェスト画像(分岐先画像)を拡大するので、遊技者は、ダイジェスト画像の細かい描写を容易に把握することができる。これらにより、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減できる。このように、分岐先画像としてダイジェスト画像が利用される場合には、分岐先画像(ダイジェスト画像)の拡大は、遊技者によるダイジェスト画像の細かい描写の把握に大きく貢献する。特に、上述のように、分岐先画像の移動が、開始領域から四方に向かって行われる場合には、表示画面を有効に利用して、分岐先画像の拡大が行われるので、遊技者によるダイジェスト画像の細かい描写の把握に大きく貢献する。従って、表示画面を有効に利用する分岐先画像の拡大は、遊技者が演出を楽しむことが抑制される可能性を低減するという効果を顕著なものにする。
なお、ダイジェスト画像としては、動画像の概要を表す任意の画像を採用可能である。例えば、動画像の1シーンを表す画像をダイジェスト画像として採用してもよい。こうすれば、ダイジェスト画像を観察する遊技者に、動画演出表示の概要を容易に知らせることができる。また、動画像の1シーンに限らず、動画像に登場する対象を表す画像をダイジェスト画像として採用してもよい。ここで、ダイジェスト画像が、動画演出表示に固有な対象(他の演出には登場しない対象)を表すことが好ましい。こうすれば、ダイジェスト画像を観察する遊技者に、動画演出表示に登場する対象を容易に知らせることができる。また、動画演出表示における、抽選結果が当たりの場合に限って実現されるシーンを表す画像を、ダイジェスト画像として採用してもよい。このようなダイジェスト画像が変動表示で表示されると、当たりへの期待感も向上するので、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減する効果が顕著である。一般には、動画演出表示で表示される動画像を特定する任意の画像をダイジェスト画像として採用することができる。
[態様7]
態様1ないし態様6のいずれかに記載の遊技機であって、
前記候補画像表示手段は、
前記複数の候補画像のうちの少なくとも一部の複数の候補画像を、新たに前記表示画面に表示させつつも、前記表示された複数の候補画像のうちの一部のみに対して前記拡大と前記消去とを実行する、
遊技機。
この構成によれば、候補画像が表示画面に新たに表示されたからといって、その候補画像が必ずしも拡大されるとは限らないので、遊技者にとっては、複数の候補画像が表示された段階では、どの候補画像が拡大されるのかを特定することが難しい。従って、遊技者は、どの候補画像が拡大されるのかを確認しようとして、高い関心を持って演出を観察することになる。その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
[態様8]
態様1ないし態様7のいずれかに記載の遊技機であって、
前記候補画像表示手段は、
前記複数の候補画像のうちの少なくとも一部の複数の候補画像を、新たに前記表示画面に表示させ、前記表示された複数の候補画像の少なくとも一部の複数の候補画像を、ランダムに決定された順番で拡大する、
遊技機。
この構成によれば、候補画像が表示画面に新たに表示された場合に、少なくとも一部の複数の候補画像は、ランダムに決定された順番で拡大されるので、遊技者は、どの候補画像が拡大されるのかを確認しようとして、高い関心を持って演出を観察することになる。その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
[態様9]
態様1ないし態様8のいずれかに記載の遊技機であって、
前記候補画像表示手段は、
前記複数の候補画像のうちの少なくとも一部の複数の候補画像を、予め準備された複数の画像の中からランダムに選択して、前記表示画面での表示に利用する、
遊技機。
この構成によれば、ランダムに選択された複数の候補画像が表示画面に表示されるので、この演出が実現される毎に、表示される候補画像が異なり得る。その結果、遊技者は、この演出が実現される毎に、今回の演出では何の候補画像が表示されるのかを確認しようとして、高い関心を持って演出を観察することになる。その結果、遊技の楽しみが抑制される可能性を低減することができる。
以上、「出現拡大消去処理を利用する演出を実現する」という観点から抽出された態様について説明したが、この観点からは、これらの態様に限らず、他の種々の態様を抽出可能である。また、上述の種々の態様あるいは態様の一部の構成を、他の態様と組み合わせてもよい。また、抽出された態様あるいは態様の一部の構成は、他の種々の演出例(あるいは、種々の演出例を実現するという観点から抽出される態様)に適用してもよい。
以上、実施形態に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、上記実施形態では、遊技機としてパチンコ機1を示したが、パチンコ機以外の遊技機、例えば、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等であっても、本発明は適用されうる。なお、パチスロ機への本発明の適用を考え、上記各構成にある「遊技球」を「遊技媒体」としてもよい。
パチンコ機とは、遊技者が遊技機に投入する媒体である遊技球等の投入媒体と、遊技者が行う実質的な遊技に用いられる媒体である遊技媒体とを同一のものとした遊技機であり、投入された例えば遊技球等の媒体を用いて遊技が行われるタイプの遊技機の一種である。具体的には、「操作ハンドルの操作に対応して遊技球を発射する発射装置と、多数の障害釘、センター役物、表示手段等の適宜の機器が組み込まれたり、始動入賞口、大入賞口、通過口、到達口等の遊技球が入球する適宜の入球口が設けられた遊技領域と、発射装置から遊技領域に遊技球を導くレールと、遊技領域に導かれた遊技球の入球口への入球に応じたり、複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて、所定数の遊技球を賞球として払い出す払出手段とを備えるもの」である。
なお、パチンコ機としては、種々のタイプのものがあり、一般に「デジパチ」と称されるものに代表される「入球口への入球状態を検出する入球状態検出手段(即ち、遊技状態検出手段)と、入球状態検出手段によって入球が検出されると所定の抽選を行う抽選手段と、抽選手段の抽選結果に応じて特別図柄を変動させると共に変動を停止させる特別図柄表示手段とを備えたもの」や「加えて、特別図柄の変動中に、複数の装飾図柄からなる装飾図柄列を変動表示させるとともに、所定のタイミングでキャラクタ等を出現させる演出画像表示手段をさらに備えるもの」、一般に「複合機」と称されるものに代表される「役物内での遊技球の振分けによって抽選を行う抽選手段と始動口に入賞することによって抽選を行う抽選手段とを備えたもの」、一般に「アレパチ」と称されるものに代表される「例えば16個等の所定個数の遊技球により1ゲームが行われ、1ゲームにおける複数の入球口への遊技球の入球態様に応じて所定個数の遊技球の払出しを行うもの」等を例示することができる。
一方、パチスロ機とは、遊技媒体であるメダルを投入し、メダルの投入後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させると共に、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させる、といった実質的な遊技を行うものであり、停止操作機能付きのスロットマシンである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合わせが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
また、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機とは、複数個(例えば5個)の遊技球を1単位の投入媒体とし、投入媒体を投入した後、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に応じて複数の図柄からなる図柄列を変動表示させるとともに、その後、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に応じて図柄列の変動を停止させるものである。なお、所定時間が経過しても停止用操作手段が操作されない場合には、所定時間経過したことに応じて図柄列の変動を停止させるものであってもよい。そして、図柄列の変動停止時における図柄の組合せが特定の条件を満たす場合に、満たされた条件に応じて所定個数のメダルを払い出したり、遊技者が多量のメダルを獲得することができるように、遊技者に有利な特別有利状態を発生させたりするものである。
また、パチスロ機や、パチンコ機とパチスロ機とを融合させた遊技機等のように、投入する媒体によっては実質的な遊技が行われない遊技機では、一見、遊技媒体が存在しないかのように思われるが、このような遊技機であっても、遊技内容の全体において、遊技球やその他の適宜の物品を用いて行われる遊技を含ませることが想定できる。よって、このような遊技機であっても、遊技媒体を用いて遊技が行われる遊技機の対象とすることができる。
また、上述の実施形態における演出表示装置は、液晶表示装置であることが好ましいが、必ずしも液晶表示装置に限られない。EL表示装置、プラズマ表示装置およびCRT等の表示装置等であってもよい。