JP5996411B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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Description
従来では、対応点探索法により算出した各対応点についての距離の情報を、各対応点の座標(画像平面としての二次元空間上の座標)と対応づけて距離画像として保持し、この距離画像を用いて、画像内に存在する同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する処理(物体検出処理)を実行している。そして、この物体検出処理で得られた個々の物体の画素範囲の情報を用いて、撮像画像に基づき各物体の種別を認識する処理(物体認識処理)を実行している。
対応点探索は、ステレオ撮像により得られた2枚の撮像画像をそれぞれ基準画像と比較画像としたときに、基準画像上の或る画素ブロック(例えば4画素・4画素等の所定サイズ)に対応する画素ブロック(同一被写体が映し出されているとみなされる画素ブロック:対応点)を、比較画像上から探索する処理である。具体的には、基準画像上の画素ブロックに対する相関値が最も大となる画素ブロックを比較画像上より探索する処理である。
このように、対応点探索は、比較画像上で1画素ずつ画素ブロックをシフトさせながら相関値を求めていくので、比較的処理負担が大きい。
そこで、先に本出願人は、近距離物体についての対応点探索を縮小画像に基づき実行する手法を提案している(上記特許文献1を参照)。具体的に、上記特許文献1に記載の手法では、遠距離物体についての対応点探索を通常サイズの撮像画像(以下「通常画像」と表記)に基づき通常の探索幅で行い、近距離物体についての対応点探索を、通常画像の縦・横の画素数をそれぞれ1/2とした1/4縮小画像に基づき、前記通常の探索幅で行っている。
縮小画像では被写体のサイズも縮小されるので、上記のように縮小画像について通常の探索幅による対応点探索を行うと、探索範囲を広げたことと同等の作用が得られ、近距離物体についての対応点を検出できる。そして、対応点探索の最小単位である画素ブロックのサイズも、画像の縮小率に合わせて縮小化するので、その分、縮小画像に基づき行う対応点探索の処理負担は、通常画像に基づき行われる遠距離物体についての処理負担に対し、画像の縮小率の分だけ軽減できる。具体的に、画像の縮小率が上記のように1/2・1/2=1/4とされた場合には、近距離物体についての対応点探索に係る処理負担は、通常画像に基づく遠距離物体についての対応点探索に係る処理負担を「1」とすると、「1/4」に抑えられる。すなわち、遠距離物体から近距離物体までを検出するための対応点探索に係る処理負担は「1.25」である。
例えば、通常画像のみに基づき上記特許文献1に記載の手法と同じ距離範囲の物体の検出を可能とするためには、探索幅を上記通常の探索幅の倍に広げることになるが、このように探索幅を倍に広げた場合には対応点探索の処理負担は「2」となる。この点より、特許文献1に記載の手法によれば対応点探索に係る処理負担が大幅に軽減(1.25/2より凡そ62%の軽減)されることが分かる。
しかしながら、従来の画像処理装置では、縮小画像に基づく処理として、上記のような対応点探索の処理と共に、対応点探索の処理結果に基づく物体検出処理と、該物体検出処理で検出された物体の種別を認識する物体認識処理とを行っている。そして、この縮小画像についての一連の処理の結果を用いて、通常画像に基づく対応点探索処理、物体検出処理、物体認識処理の一連の処理を行って、近距離物体と遠距離物体とについての最終的な距離情報及び物体認識結果の情報を得ている。
このように従来の画像処理装置では、通常画像と縮小画像とについて全く同じ処理が並行して行われており、処理の無駄が生じている。
本発明は上記問題点に鑑み為されたものであり、対応点探索から物体認識処理までに要するトータルの処理負担の軽減を図ることを目的とする。
本発明によれば、従来の画像処理装置との比較で、小サイズの画像データに基づく処理が物体検出処理までに止められるので、小サイズの画像データに基づく物体認識処理が省略され、その分の処理負担が軽減される。
図1は、本発明に係る実施の形態としての画像処理装置を備え、車両1についての車両制御を行うためのシステム構成を模式的に示している。本システムは、車両1に対して設けられた撮像装置2、車外環境認識装置3、車両制御装置4、舵角センサ5、車速センサ6、アクチュエータ7、ディスプレイ8を備えて構成されている。
本システムでは、撮像装置2で得られた撮像画像に基づき、車外環境認識装置3が車両前方に存在する物体を認識する。そして本システムでは、車両制御装置4が、車外環境認識装置3で認識された物体との衝突を回避したり、先行車両としての物体との離間距離(車間距離)を安全とされる距離に保つ制御等を実行する。
また、車両制御装置4は、物体との衝突が想定される場合には、運転者の前方に配置されたディスプレイ8にその旨の警告表示が行われるように制御を行う。
なお車両制御装置4は、車外環境認識装置3と一体に形成することも可能である。
図2は、図1に示した撮像装置2の内部構成と、車外環境認識装置3の内部構成のうち物体認識までの画像処理に係る要部の構成とを抽出して示している。なお、図中では図1に示した車両制御装置4も併せて示している。
図示するように撮像装置2には、第1カメラ部20-1、第2カメラ部20-2、A/D変換器21-1、A/D変換器21-2、画像補正部22及びインターフェイス部(I/F部)23が設けられている。
第1カメラ部20-1、第2カメラ部20-2は、それぞれカメラ光学系と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えて構成され、前記カメラ光学系により前記撮像素子の撮像面に被写体像が結像され、該撮像素子によって受光光量に応じた電気信号が画素単位で得られる。
また、第1カメラ部20-1、第2カメラ部20-2の焦点距離はそれぞれ同値とされ、またフレーム周期は同期している。フレームレートは、例えば60fpsである。
第1カメラ部20-1の撮像素子で得られた電気信号はA/D変換器21-1に、第2カメラ部20-2の撮像素子で得られた電気信号はA/D変換器21-2に供給され、それぞれA/D変換が行われる。これにより、画素単位で所定階調による輝度値を表すデジタル画像信号(画像データ)が得られる。
画像補正部22は、第1撮像画像データ、第2撮像画像データのそれぞれに対し、第1カメラ部20-1、第2カメラ部20-2の取り付け位置の誤差に起因するずれの補正を例えばアフィン変換等を用いて行う。また画像補正部22は、第1撮像画像データ、第2撮像画像データのそれぞれに対しノイズの除去等を含む輝度値の補正も行う。
インターフェイス部31は、外部装置との間で各種のデータをやり取りするために設けられる。インターフェイス部23によって撮像装置2側から転送された第1撮像画像データ、第2撮像画像データは、インターフェイス部31によって受信される。このようにインターフェイス部31によって受信された第1撮像画像データ、第2撮像画像データは、バス32を介してメモリ部34に保持され、画像処理部33の処理に供される。
また、画像処理部33が行う後述する物体検出処理や物体認識処理で求まる物体までの距離の情報や物体の種別の情報は、インターフェイス部31を介して車両制御装置4に転送される。図1の説明からも理解されるように、車両制御装置4は、このように転送された距離や物体種別の情報に基づき前述した車両制御を実行する。
本実施の形態の場合、画像処理部33は、インターフェイス部31を介してメモリ部34に保持された第1撮像画像データ、第2撮像画像データに基づき、以下の処理を実行する。
先ず、メモリ部34に保持された第1撮像画像データ及び第2撮像画像データをそれぞれ所定の縮小率で縮小化して小サイズの第1撮像画像データ及び第2撮像画像データを得る画像縮小処理を実行する。この画像縮小処理により、メモリ部34には、通常の(縮小化前の)画サイズによる第1撮像画像データ及び第2撮像画像データと、小サイズの第1撮像画像データ及び第2撮像画像データとが保持される。なお、以下、通常の画サイズによる第1撮像画像データ及び第2撮像画像データについては「大サイズ画像」とも表記し、小サイズの第1撮像画像データ及び第2撮像画像データについては「小サイズ画像」とも表記する。
すなわち、大サイズ画像に基づき対応点探索法による測距を行って距離画像を生成する大画距離画像生成処理と、大画距離画像生成処理で得た距離画像に基づき同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する大画物体検出処理と、大画物体検出処理で検出した物体の種別を認識する大画物体認識処理とを実行する。
また、小サイズ画像に基づき対応点探索法による測距を行って距離画像を生成する小画距離画像生成処理と、小画距離画像生成処理で得た距離画像に基づき同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する小画物体検出処理とを実行する。
先ず、図3を参照して、大サイズ画像と小サイズ画像について説明する。図3Aは、大サイズ画像としての第1撮像画像データと第2撮像画像データの例を示し、図3Bは、画像縮小処理で得た小サイズ画像としての第1撮像画像データと第2撮像画像データの例を示している。
本例の場合、第1カメラ部20-1は、車両1の進行方向を向いた状態で左右を定義したときの右側に配置され、また第2カメラ部20-2は同定義に従った左側に配置されている。従って、基準画像Tは右目画像、比較画像Cは左目画像と換言できる。
画像縮小処理における画像の縮小率は任意であるが、本例では、基準画像T1、比較画像C1のそれぞれの水平画素数及び垂直画素数を1/2に縮小化して基準画像T2、比較画像C2を得る。この場合、画サイズは1/4に縮小化される(縮小率=1/4)。
なお、画像縮小の具体的な手法は特に限定されるべきものではないが、一例としては間引き処理を挙げることができる。
画像縮小処理で得た基準画像T2と比較画像C2は、メモリ部34に格納される。
続いて、大画距離画像生成処理部33Bが実行する大画距離画像生成処理と、小画距離画像生成処理部33Eが実行する小画距離画像生成処理とについて説明する。
先ず、大画距離画像生成処理と小画距離画像生成処理とで共通して行われる対応点探索処理と距離画像の生成処理について述べる。
なお、以下の説明では、基準画像Tにおける各画素の位置を座標(i,j)で表す。座標(i,j)は、基準画像Tの左下隅を原点とし、水平方向(横方向)をi座標軸、垂直方向(縦方向)をj座標軸とした場合の画素のi座標、j座標を表す。比較画像Cについては、基準画像Tの原点に予め対応づけられた画素を原点として同様にi座標、j座標を取る。
また、以下の説明では、画素ごとの輝度値を輝度値pで表し、基準画像Tにおける座標(i,j)で特定される画素の輝度値pを輝度値pTij、比較画像Cにおける座標(i,j)で特定される画素の輝度値pを輝度値pCijと表記する。
具体的には、比較画像Cを水平方向に延在する4画素幅の水平ラインに分割し、基準画像Tの1つの画素ブロックを取り出してそれに対応する比較画像Cの水平ライン上(エピポーラ線上)を1画素単位で順次水平方向(i方向)にシフトさせながら、基準画像Tの画素ブロックにおける16個の画素の輝度値pTijとそれに対応する比較画像Cにおける16個の画素の輝度値pCijとを取得する。そして、基準画像Tの輝度値pTijと比較画像Cの輝度値pCijとの差の絶対値をそれぞれ合計した下記[式1]で求められるシティブロック距離CBが最小となる水平ライン上の画素ブロックを、基準画像Tの画素ブロックに最も近い輝度値特性を有する比較画像C上の画素ブロック(対応点)として特定する。
CB=Σ|pTij−pCij| ・・・[式1]
このように特定した比較画像C上の画素ブロックと、もとの基準画像T上の画素ブロックとの座標のずれ量を算出し、そのずれ量を視差dpとして求める。視差dpの値は、検出された対応点ごとに求まり、距離画像生成処理では、視差dpの値を、その視差dpが検出された対応点の位置の情報と対応づけて保持する。
先ず、前提として、第1カメラ部20-1と第2カメラ部20-2との中央位置の真下に位置する道路面上の点を原点とし、車両1の車幅方向(水平方向)をX軸、車高方向をY軸、車長方向(距離方向)をZ軸とした三次元空間を定義する。
該三次元空間上において、視差dpが求められた対応点としての被写体が存在する位置の座標(X,Y,Z)は、視差dpが求められた対応点の画像上の座標を(ic,jc)とすると、算出された視差dpの値を用いて、下記の[式2]〜[式4]により求まる。
X=CD/2+Z・PW・(ic−IV) ・・・[式2]
Y=CH+Z・PW・(jc−JV) ・・・[式3]
Z=CD/(PW・(dp−DP)) ・・・[式4]
ただし、CDは第1カメラ部20-1と第2カメラ部20-2との配置間隔、PWは1画素当たりの視野角、CHは第1カメラ部20-1及び第2カメラ部20-2の取り付け高さ、IV、JVはそれぞれ車両1の正面における無限遠点の画像上のi座標、j座標、DPは消失点視差を表す。
視差dpが算出された対応点としての被写体までの距離(以下、「距離L」と表記)は、[式4]により、算出された視差dpの値とCD、PW、DPの値とを用いて算出できる。
このようなフィルタリング処理が行われる結果、視差dpは、通常、基準画像Tの水平方向に隣り合う画素間で輝度値pTijの差が大きないわゆるエッジ部分についてのみ有効な値を持つデータとなる。これに伴い、視差dpの算出結果から得られる距離画像としても、同様にエッジ部分についてのみ有効な値を持つデータとなる。
このように距離Lの値を画像上の位置の情報と対応づけた情報をi軸とj軸による二次元平面上に展開すると、各対応点(各被写体)までの実空間上における距離Lを画像上に表すものとなる。この意味で、上記のように距離Lの値を画像上の位置の情報と対応づけた情報のことを「距離画像」と呼んでいる。
図4は、大画距離画像生成処理で行う大サイズ画像に基づく対応点探索の様子(図4A)と、小画距離画像生成処理で行う小サイズ画像に基づく対応点探索の様子(図4B)とを模式的に示している。
図4A,図4Bを参照して分かるように、大サイズ画像に基づく対応点探索処理と小サイズ画像に基づく対応点探索処理とで探索幅SWは同じである。なお、探索幅SWとは、比較画像C上において行う、基準画像T上の或る1つの画素ブロックについての対応点探索の開始位置から終了位置までの幅を意味する。
従って、小サイズ画像について、同じ探索幅SWで対応点探索を行ったときは、3.6m未満の近距離物体についての対応点の検出が可能となり、例えば画像縮小率が前述の1/4であれば3.6m/2=1.8mの近距離物体まで対応点の検出ができる。
この点で、小サイズ画像に基づき行われる近距離物体についての対応点探索の処理負担は、大サイズ画像に基づき行われる対応点探索との比較で1/4に抑えることができる。
続いて、大画物体検出処理部33Cが実行する大画物体検出処理と、小画物体検出処理部33Fが実行する小画物体検出処理とについて説明する。
図5を参照して、大画物体検出処理と小画物体検出処理でそれぞれ行われる物体検出処理について説明する。大画物体検出処理では、大画距離画像生成処理で生成した距離画像を処理対象として以下で説明する物体検出処理を実行し、小画物体検出処理では、小画距離画像生成処理で生成した距離画像を処理対象として以下で説明する物体検出処理を実行する。
次に、代表距離が得られた度数最大となる各対応点について、近接する各対応点までの距離や方向などの関係性から、同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する。図5Cは、図5Aに示した画像内に存在する3つの先行車両がそれぞれグループG1、G2、G3としてグループ化されたことを模式的に表している。
このようにして、撮像画像内に存在する各物体が、その物体までの距離の情報も含めて検出される。
次に、大画物体認識処理部33Dが実行する大画物体認識処理について説明する。
大画物体認識処理は、大画物体検出処理による物体検出処理結果と大サイズ画像としての撮像画像データ(撮像元画像)とに基づき、大画物体検出処理で検出した物体の種別を認識する処理である。具体的には、検出物体が先行車両であるか、歩行者等の障害物であるか等、検出物体の種別を認識する処理である。
この物体認識処理は、例えば、認識したい物体の種別ごとにその物体の代表的な画像パターンを用意しておき、それらの画像パターンとのマッチングを行った結果に基づき行うことができる。或いは、例えば車両におけるブレーキランプなど、その物体に特徴的なパターンが存在するか否かを判別した結果から何れの物体種別に該当するかを認識する等の手法を採ることもできる。
物体認識処理の具体的な手法については様々な手法を採り得るものであり、特定の手法に限定されるべきではない。
続いて、大画距離画像生成部33Bが実行する近距離物体検出時の対応処理について説明する。
本実施の形態の場合、前述した大画距離画像生成処理では、先の小画物体検出処理で近距離物体が検出されたことに応じて、所定の探索範囲による対応点探索処理と、該所定の探索範囲から変更した探索範囲による対応点探索処理とを実行する。
このために、本実施の形態では、先の小画物体検出処理部33Fが実行する小画物体検出処理において、所定距離内の物体が検出されたか否かを判別する。本例では、前述したカメラパラメータの条件の下で、距離Lが3.6m未満の近距離物体が検出されたか否かを判別する。
近距離物体が検出されたと判別した場合には、大画距離画像生成処理において、現在処理対象としているフレームの次のフレームの基準画像T1及び比較画像C1に基づく対応点探索処理として、所定の探索範囲による対応点探索処理と、近距離物体が検出可能となるように変更した探索範囲による対応点探索処理とを実行する。
図中の画素ブロックRpは、比較画像C1上からその対応点を探索すべきとされた基準画像T1上の画素ブロックを意味する。
通常の対応点探索処理、すなわち近距離物体が検出されなかった場合に実行する対応点探索処理では、比較画像C1上で画素ブロックRpの座標と同一座標に位置する画素ブロックを探索開始位置(図中「Ss」と表記)として、一定の探索幅SWで対応点探索を行う。この通常の対応点探索処理によると、先のカメラパラメータと探索幅SW=128画素の設定の下では、距離Lが3.6m以上の物体についての対応点のみが正しく検出される。
これに対し、近距離物体が検出された場合には、上記による通常の対応点探索処理と共に、図のように通常の探索開始位置Ssからオフセットof分だけ水平方向にオフセットした位置Ss'から、一定の探索幅SWで対応点探索を行う。これにより、探索幅SWを拡大せずに、通常の探索範囲では適正に検出できない近距離物体を検出することができる。すなわち、通常の対応点探索との比較で処理負担を増大させることなく近距離物体の検出ができる。
本例の場合、オフセットofは、先のカメラパラメータと探索幅SW=128画素の設定の下で128画素に設定する。これにより、距離Lが3.6m未満の物体についての対応点を検出できる。
なお、確認のため述べておくと、ここで言う「探索範囲」とは、基準画像T上の或る1つの画素ブロック(「基準画素ブロック」と表記)の対応点を探索するにあたり、当該基準画素ブロックとのパターンマッチングを行う比較画像C上の範囲を意味する。
次に、図7のフローチャートを参照して、上記で説明した実施の形態の画像処理の一連の処理手順を説明する。
図中「対縮小画像処理」と示す処理は、先の画像縮小処理によって得た小サイズ画像としての基準画像T2と比較画像C2とに基づき実行する処理を表し、「対大画像処理」と示す処理は大サイズ画像としての基準画像T1と比較画像C1とに基づき実行する処理を表している。「対縮小画像処理」「対大画像処理」は並行処理として実行され、これらの処理はフレームごとに繰り返し実行される。
「対縮小画像処理」として、先ずCPU(画像処理部33のCPU)は、小サイズ画像としての基準画像T2と比較画像C2とに基づき対応点探索法により距離画像を生成する(ステップS101)。すなわち、基準画像T2と比較画像C2とに基づく対応点探索を探索幅SWにより行って対応点の検出及び対応点ごとの視差dpを求め、その結果から対応点ごとの実空間上における距離Lを算出し、対応点ごとの距離Lを画像上の位置と対応づけた距離画像を生成する。
次に、生成した距離画像に基づき、同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する(ステップS102)。なお、当該グループ化の具体的な処理内容については既に説明済みであるため重複説明は避ける。
一方、ステップS103において、近距離物体が検出されたと判別した場合は、ステップS105に進んでflag=1と設定する。
flagは、近距離物体の検出の有無を識別するためにCPUが管理する情報であり、「0」が近距離物体の検出無し、「1」が近距離物体の検出有りを表す。flagの初期値は「0」である。
ステップS104又はステップS105でflagの設定を行った後は、先のステップS101に戻る。
先ず、大サイズ画像としての基準画像T1と比較画像C1とに基づき対応点探索を行う(ステップS201)。すなわち、探索幅SWにより通常の探索範囲で対応点探索を行う。
次に、flag=1であるか否かを判別する(S202)。ステップS202において、flag=1であると判別した場合、すなわち近距離物体が検出されたと判別した場合は、ステップS203に進んで探索範囲を変更して再度大サイズ画像に基づく対応点探索を行い、ステップS204に進む。前述のように、本例における探索範囲の変更は、探索幅SWを通常時と同じとした上で、探索開始位置を通常の探索開始位置からオフセットof分だけ水平方向にオフセットさせることで実現する。
ステップS204においては、対応点ごとの視差dpを算出した結果に基づき距離画像を生成する。続くステップS205においては、生成した距離画像に基づき同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する。さらに、続くステップS206においては、グループ化の結果と撮像画像とに基づき物体認識処理を行い、先のステップS201に戻る。
以上の処理により、小サイズ画像に基づく物体検出処理で近距離物体が検出された場合は、大サイズ画像に基づき近距離物体と遠距離物体の双方の測距と、物体検出処理及び物体認識処理が行われる。
上記で説明したように、本実施の形態では、小サイズの画像データに基づく物体検出処理を行い、その結果、所定距離内の近距離物体が検出された場合に、大サイズの画像データに基づく物体検出処理において所定の探索範囲による対応点探索と、所定の探索範囲から変更された探索範囲による対応点探索とを行っている。そして、これら2度の対応点探索によって求まる遠距離物体と近距離物体の双方についての対応点の情報に基づき、物体検出処理と物体認識処理とを行っている。
小サイズの画像データに基づく処理が物体検出処理までに止められているので、従来の画像処理装置が小サイズの画像データに基づき行っていた物体認識処理が省略され、その分の処理負担が軽減される。従って、大サイズの画像データに基づく最終的な物体認識処理結果を得るまでに要するトータルの処理負担(対応点探索から物体認識処理までに要するトータルの処理負担)を軽減できる。
従って、通常の対応点探索時と同じ探索幅SWを設定しても、より近距離の物体を検出できる。また、本来必要とされる探索幅SWよりも狭い探索幅SWを設定しても、対応点の検出ができるので、対応点探索に係る処理負担を軽減できる。
なお、本発明は上記により説明した具体例に限定されるべきものではなく、多様な変形例が考えられる。
例えば、これまでの説明では、近距離物体が検出された場合に大サイズ画像について行う対応点探索の探索範囲の変更を、探索開始位置をオフセットさせて行う場合を例示したが、探索範囲の変更は、探索幅SWを拡大することで行ってもよい。
また、探索開始位置をオフセットさせる手法については、上記で例示したように探索幅SWを通常時と同じ幅に固定する必要性はなく、通常時と異なる探索幅SWを設定しても良い。
通常、対応点探索は基準画像T1内の全画素範囲を対象として行うが、このように対応点探索を行う画素範囲を近距離物体が検出された画素範囲に応じた範囲に限定すれば、処理負担を大幅に軽減できる。
Claims (3)
- ステレオ撮像により一対の画像データを得る撮像部と、
前記撮像部により得た前記一対の画像データに基づき、画サイズが大サイズの前記一対の画像データと画サイズが小サイズの前記一対の画像データとを得る大小画像取得部と、
前記大サイズの前記一対の画像データに基づき、対応点探索法による測距を行って距離画像を生成し、該距離画像に基づき、画像内の同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する大画物体検出部と、
前記大画物体検出部による物体検出処理結果と、前記大小画像取得部が取得した大サイズの前記画像データとに基づき、前記大画物体検出部が検出した物体の種別を認識する物体認識部と、
前記小サイズの前記一対の画像データに基づき、対応点探索法による測距を行って距離画像を生成し、該距離画像に基づき、画像内の同一物体とみなされる画素範囲をグループ化する小画物体検出部と、を備え、
前記大画物体検出部は、前記小画物体検出部によって所定距離内の物体が検出された場合に、所定の探索範囲による対応点探索と、該所定の探索範囲から変更した探索範囲による対応点探索とを実行し、これらの対応点探索で求まった各対応点の情報に基づき、前記距離画像の生成及び該距離画像に基づく前記グループ化を行う
画像処理装置。 - 前記大画物体検出部は、
前記所定の探索範囲から変更した探索範囲による対応点探索として、探索開始位置を前記所定の探索範囲による対応点探索時よりも水平方向にオフセットした探索を行う
請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記大画物体検出部は、
前記通常の探索範囲から変更した探索範囲による対応点探索を、前記小画物体検出部でグループ化した前記所定距離内の物体の画素範囲に限定して行う
請求項1又は請求項2の何れかに記載の画像処理装置。
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