JP5980346B2 - 医療用包帯製品に使用する編み基材、および包帯製品 - Google Patents

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Description

本発明は、概ね、整形外科用の薬物に関するものであり、特に、縦編み(経編み)の二層ファブリック基材を含む医療用包帯製品および材料に関するものである。ここに開示された基材材料(基材物質)は、先行技術には見られない新規な構造的特徴の結果として、高い強度を達成するものである。
身体部位の固定を必要とする、骨折のような傷害の治療に使用する医療用包帯は、一般に、ファブリックまたはスクリム(scrim)材のストリップ(細長な片)から形成され、そのファブリックまたはスクリム材は、当該ストリップが身体部位に巻き付けられた後で剛構造に硬化する物質を含浸している。この手順を実施するのに伝統的に使用されている硬化性物質は、焼き石膏(plaster of paris)である。
従来の実務(処置)は、最初に木綿布などの保護被覆を四肢(手や足)に適用し、次いでその被覆及び四肢を、適用前に素早く水にひたすことで濡らされた、焼き石膏を含浸した織布で包むことにより、傷付いた四肢の上にギブス包帯(cast)又は副木(splint)を組み上げることだった。このやり方(処置)は依然として広く行われているが、いくつかの重大な不都合がある。例えば、上述のような適用手順は、面倒で、時間がかかり、いくらか複数のコンポーネント(部品)を必要とし、且つ、かなりの技量を必要とする。
焼き石膏方式のギブス包帯又は副木の従来型適用手順についての上記欠点(不都合)を緩和するために、一体式の添え木材料が考案され、例えば、米国特許第3900024号、米国特許第3923049号および米国特許第4235228号に開示されている。これらの特許はいずれも、複数層の焼き石膏含浸布を備えた詰め物材料(padding material)について記述する。
ギブス及び添え木の構成技術の重大な進歩が、米国特許第4411262号および米国特許第4502479号に開示されている。これらの特許に開示されたギブス構成材は、湿気硬化型樹脂を含浸した、グラスファイバー(fiberglass)のごとき、複数の柔軟なファブリック層から形成された基材(substrate)を組み込んだ包帯材料を備えている。これらの包帯材料は、使用時まで、湿気が無く、湿気不浸透性のパッケージに包まれている。焼き石膏と比較して、これらの製品は、たいへん軽量であり、高い強度対重量比を有し、相対的に多孔性であり空気流がギブス構成材を通り抜けることを許容するものである。しかしながら、単一のファブリック層から形成されるものの、強くて、且つ、従来の多層基材で吸収される量と対比できる量の湿気硬化型樹脂を含浸するに十分な吸収性があるというような基材を組み込んだ湿気硬化システムについては、提供されるには至っていない。
本件出願人によって所有されているものの中でも、米国特許第4770299号および米国特許第5003970号は、ロール形態の合成包帯製品を開示しており、その包帯製品は、必要時に包帯製品を所望の長さに分配する一方で、後の使用のために残された長さの製品をシール(密封)する能力を有するものである。同様(類似)の製品もまた、単回使用で湿気不浸透性の包装材に密封された事前カット長にて、販売されている。
従来の焼き石膏方式のギブス・添え木製品も、ごく最近の湿気硬化型樹脂方式のギブス・添え木製品も、ある種の不利益(不都合)を有している。すなわち、焼き石膏方式のギブス品は、嵩張って、重くて、適用が困難である。また、たとえ湿気硬化型樹脂方式の包帯製品が、軽量で、丈夫で、相対的に適用が容易であったとしても、かかる製品は、多層のファブリックを精緻に揃えられた層の長いスタック(積層物)に注意深く組み立てる必要性のために、相対的に製造コストが高止まりしたままである。
本発明は、焼き石膏システムと湿気硬化型樹脂システムのそれぞれの欠点を回避しつつ、これら両システムの利点を結合させている。多層の樹脂含浸基材層を採用する先行技術の樹脂システムとは異なり、本発明の樹脂システムは、単層の縦編み(経編み)生地の利点を有する。本願に記載された一般的なタイプの基材は公知のものであり、例えば、本出願人に付与された米国特許第7972288号、米国特許第7960603号および米国特許第7854712号に開示されている。このユニークな基材生地は、連続したインレイ・ステッチ(inlaid stitch)を採用する。このことは、より軽量ではあるが多層基材の吸収能力を保持するダブル・ニットの編地を結果的に実現する。単層のダブル・ニット編地を基材に使用することは更に、他の合成ギブス製品と比べて製造及び労働コストを低減する結果となる。例えば、先行技術の多層基材の組み立ては、基材の被覆ファブリック層を手作業で配置することを必要とし、これは時間がかかる工程である。ファブリック層が分離しないことを確実にするためには、これらの層は、基材の全長に沿って1つ以上の縫い目(seam)を走らせて一緒に縫い合わさなければならない。ただ一つの層を有する基材を使用することは、これらの大きな労働力を要する層積み及び縫い合わせ工程を省いて、製造の費用効率がより高い包帯製品を生み出す結果となる。
多層基材構造を除外(回避)することはまた、先行技術の硬化型基材に存在した、粗くて平らでない(でこぼこの)エッジ(縁部)を取り除くことにつながる。そのようなほころびたエッジは、多層基材を持った先行技術の包帯製品では当たり前のことであり、その基材の樹脂が最終的な硬化に至った後に顕在化(顕現)する。これらの粗いエッジは、包帯が最終的にあてがわれた患者の皮膚に炎症や損傷を生じさせる。
これとは対照的に、本発明の基材は、平らでない多層ファブリック層ではなくてむしろ、単層のダブル編みファブリックを使用することの結果として生じる均一な側部エッジを有する。この新規な構造は、従来製品よりも軽量だが、ずっと強く且つ生産効率がよいところの湿気硬化可能な基材を有する医療用包帯製品を結果的に生み出す。注意深い(丁寧な)構築、並びに、テクニカルな内面と外面との間のユニークで直観に反した関係、及び、そのテクニカルな内外面間の空間は、快適で容易な適用および大変高い剛性の両面で、基材の品質の更なる向上をもたらす。基材のより迅速な硬化は、先行技術の添え木およびギブス製品で定格化された硬化(性能)を保ちつつも、剛性についてのより現実的で主観的(自覚的)な印象を提供する。
米国特許第3900024号 米国特許第3923049号 米国特許第4235228号 米国特許第4411262号 米国特許第4502479号 米国特許第4770299号 米国特許第5003970号 米国特許第7972288号 米国特許第7960603号 米国特許第7854712号
1つの態様(1つの観点)において、医療用包帯製品、及び、医療用包帯製品に使用する基材の実施形態が開示されている。
別の態様(別の観点)において、湿気にさらされた際に基材を硬化させる湿気硬化型樹脂を多量に吸収できて、剛性のある自己支持的構造を形成することができる単層のダブル編みファブリック(double-knitted fabric,ダブル編み地)から形成された基材を含む医療用包帯製品が開示されている。
前述の及びその他の態様(観点)を達成するために、編み地層(knitted fabric layer)を備えた基材が開示されている。
その編み地層は、主要な上面および反対側の主要な下面(即ち「トップ面」および「ボトム面」)を有している。また、その編み地層は、間隔を隔てたエッジ(縁部)と、
少なくとも一本のヤーン糸(yarn)が、当該基材の幅に沿って前記主要な上面から前記主要な下面までの間隔を横切って、且つ、前記主要な上面と前記主要な下面との間の間隔を横切った前後往復パターンで延びるように編まれた複数の相互接続された編み地ヤーン糸であって、単一の、一体化した分離不能な三次元構造を形成するところの複数の相互接続された編み地ヤーン糸と、を含んでいる。
そして、前記少なくとも一本のヤーン糸は、当該基材の上面及び下面の両方に連続パターンを提供すべく、非隣接ニードル位置間にて連続コースでの前後往復パターンで延びている。
更なる実施形態では、間隔(針床間隔)が7.1mm〜8mmである。
更なる実施形態では、基材の総厚みが4.75mm〜4.90mmであってもよい。
更なる実施形態では、反応システム(reactive system)が基材内に含浸され又は基材上にコート(被覆)されてもよく、その反応システムは、実質的に湿気無しの条件に維持されるときには安定しているが、湿気に晒されたときには硬化し、前記三次元構造と協働して剛性のある自己支持的な構造を形成する。
更なる実施形態では、ソフトで柔軟性のあるラッピング(wrapping,包装材料)が前記基材をその長手方向に沿って包み込み、基材と患者との間にクッション性を付与する。
更なる実施形態では、医療用包帯製品が開示されており、その医療用包帯製品は、湿気の浸入を防止すべくシール可能な湿気不浸透性の材料から形成された包囲物(enclosure)と、その包囲物内に位置決めされ、且つ使用するまで湿気の浸入に抗して包囲物内にシールされている医療用包帯材料(medical bandage material)とを備える。
医療用包帯材料は、主要な上面および主要な下面を有する編み地層を備えた基材を含んでもよい。前記編み地層は、間隔を隔てたエッジ(縁部)と、
少なくとも一本のヤーン糸が、当該基材の幅に沿って前記主要な上面から前記主要な下面までの間隔を横切って、且つ、前記主要な上面と前記主要な下面との間の間隔を横切った前後往復パターンで延びるように編まれて、単一の、一体化した分離不能な三次元構造を形成するところの複数の相互接続された編み地ヤーン糸と、を含んでおり、
前記少なくとも一本のヤーン糸は、当該基材の上面及び下面の両方に連続パターンを提供すべく、非隣接ニードル位置間にて連続コースでの前後往復パターンで延びており、
ここでは、間隔(針床間隔)が7.1mm〜8mmであり、基材の総厚みが4.75mm〜4.90mmである。
反応システムが基材内に含浸され又は基材上にコート(被覆)されてもよく、その反応システムは、実質的に湿気無しの条件に維持されるときには安定しているが、湿気に晒されたときには硬化し、前記三次元構造と協働して剛性のある自己支持的な構造を形成するものである。
基材は、クッション性のラッピング内に包まれてもよい。
医療用包帯製品は、所定の医療用途に適した長さを有してもよい。医療用包帯製品は、湿気の浸入を防止すべくシール可能な湿気不浸透性の材料から形成された包囲物(enclosure)を具備してもよい。医療用包帯材料は、前記包囲物内に位置決めされ、且つ、使用するまで湿気の浸入に抗して前記包囲物内にシールされる。
更なる実施形態では、所定の医療用途に適した所定長さで分配されるべく、ロール形態で提供される医療用包帯製品が開示されている。医療用包帯製品は、湿気不浸透性材料から形成され且つ湿気の浸入を防止すべくシール可能な細長な(長尺な)スリーブを含む。そのスリーブとほぼ同じ長さの長尺な医療用包帯材料は、スリーブの長さに沿った単一長で当該スリーブ内に位置決めされ、使用するまで湿気の浸入に抗してその中にシールされる。医療用包帯材料は、三次元構造を形成する複数の相互接続編み地層を有するところの単一一体化編み地シートから形成された基材を含む。反応システムが、基材内に含浸され、又は基材上にコート(被覆)される。その反応システムは、実質的に湿気無しの条件に維持されるときには安定しているが、十分な湿気に晒されたときには硬化し、前記三次元構造と協働して剛性のある自己支持的な構造を形成する。医療用包帯材料の使用時に基材と患者との間に介在するクッション性のバリヤーを提供するために、ソフトで柔軟性のある保護ラッピングが基材をその長手方向に沿って包み込む。医療用包帯材料は、スリーブから所望の使用長で分配されるべく包囲物(enclosure)内に位置決めされ、スリーブは、湿気が前記包囲物に浸入するのを防止すべく再シールされるよう適合されている。内外表面間のギャップ(間隔)は、先行技術製品を越えて増加しており、逆(counter)は、直観的には、基材の厚みの中への水分浸透速度の増加のためにより迅速な硬化をもたらす。
本発明の追加の特徴、態様および利点は、以下に続く詳細な説明で述べられるであろうし、部分的には、その説明から当業者には自明であろうし、あるいはここに述べられた発明を実施することで認識されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、本発明の様々な態様を示すものであり、特許請求されているような発明の性質や特徴を理解するための概観ないしフレームワークを提供するよう意図されたものである、と理解されるべきである。添付の図面は、本発明の更なる理解をもたらすべく含まれており、この明細書の一部に組み込まれ、明細書の一部を構成する。
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様および利点は、添付の図面を参照しつつ以下に述べる発明の詳細な説明を読み解くときに、より良く理解されることになる。
図1は、本発明の一実施形態に従う医療用包帯製品の斜視図である。 図2は、図1に示す医療用包帯製品の切欠き破断状態の斜視図である。 図3は、図1の3−3線に沿った断面図である。 図4は、本発明の別の好ましい実施形態に従う医療用包帯製品の斜視図である。 図5は、図4に従う医療用包帯材料の一定長さの切欠き斜視図である。 図6は、本発明に従う医療用包帯材料を形成するために使用されるステッチパターンを示したステッチ図である。 図7は、本発明に従う医療用包帯材料を適用する第1のステップを示す。 図8は、医療用包帯材料を適用する第2のステップを示す。
図面を具体的に参照すると、本発明に従う医療用包帯製品は、概ね図1に参照番号10で示されている。医療用包帯製品10は、表裏整合状態で配置され且つ対向エッジ(対向縁部)14,15に沿ってヒートシールされた2枚のラミネートシート12,13から形成される湿気不浸透性(湿気非透過性)のパッケージ11を含む。図2及び図3に示すように、包帯製品10はまた、使用時まで前記パッケージ11内に無湿気条件に維持される医療用包帯20を含む。
医療用包帯20は、所定のサイズ及びタイプの身体部位に使用されるべく採寸された「プレカット(事前カット)」タイプの包帯である。その包帯20は、ポリプロピレン、又は他の適切な疎水性繊維のような、ソフトで柔軟な不織繊維から形成されたクッション性のラッピング乃至カバー22内に包み込まれた基材(substrate)21を含んでいる。基材21をカバー(ラッピング)22内に包むことは、当該包帯20の適用後に、患者の皮膚と基材21との間にクッション性の保護層を提供することになる。以下に更に十分に説明されるように、基材21は、編まれた、相対的にオープンなファブリック(例えばグラスファイバー)の単層から形成されている。
パッケージ11は、外側層、中間層および内側層を含む。外側層は、好ましくは、引き裂き抵抗性のあるプラスチックフィルムから形成されている。中間層は、好ましくはアルミホイル(aluminum foil)から形成され、パッケージ11内にある間、包帯20を保護するための湿気抵抗性バリヤーとして働く。内側層は、好ましくは、パッケージ11の内部を湿気に対ししっかりとヒートシールするのに適した熱可塑性を有するプラスチックフィルムから形成されている。
図4を参照すると、本発明の別の好ましい実施形態に従う医療用包帯製品が、概ね参照番号30で示されている。包帯製品30は、例えば24フィート(約7.32m)のような便利な長さで売られてもよく、コイル形態にロール巻きされて適切なディスペンサー(dispenser)31内に配置されてもよい。ディスペンサー31には、低位のコーナー部に形成されたスロット(溝)32が設けられており、包帯製品30をディスペンサー31から方向Dに分配するために、そのスロットを介して、包帯製品30の端部33が伸びている。
図5を参照すると、包帯製品30は、ホイル製スリーブ36内に無湿気条件でパックされた長尺な医療用包帯材料35を含む。そのスリーブ36は、表裏整合状態に配置されると共に開口端38を有するチューブを形成すべく対抗するサイドエッジ37A,37Bに沿ってヒートシールされるところの、ラミネートされる2枚の長尺なホイルシート(foil sheet)36A,36Bから形成されている。シート36A,36Bの各々は、同じ素材で形成されており、パッケージ11と同じコンポーネントを含む。包帯材料35は、図3を参照して上述したカバー(ラッピング)22と同じ材料で形成されたチューブ状のラッピング40によって囲まれた基材39を含む。基材39をラッピング40内に包むことは、包帯材料35の適用後に患者の皮膚を基材39から保護すると共に衝撃を緩和する。
基材39は、基材21を形成するのに使用されたのと同一のグラスファイバーのような、単層の相対的にオープンな編み地から形成されている。基材21又は39は、代わりに、ポリエステルから形成されてもよい。
図6を参照すると、基材21と基材39の両方を形成するために使用されるファブリック(生地)の好ましい構造が示されている。本発明の構造は、好ましくは、3つのガイドバー(案内バー)を採用するたて編機(warp knitting machine)の上で編まれる。これらのガイドバーは、図6に示すステッチ図にそれぞれ、フロント側ガイドバー、中間ガイドバー、及び、バック側ガイドバーとして示されている。典型例として基材21を取り上げると、図6は、基材21を形成するために使用される好ましいステッチパターンを示している。3つのヤーン糸(yarn)21A,21B及び21Cが用いられる。ヤーン糸21Aは、フロント側ガイドバーに糸通しされ、ナンバー(0-2/2-4)で示されるような連続的コースで非隣接ニードルに対して前後往復運動をしている。ヤーン糸21B,21Cは、それぞれ中間及びバック側ガイドバーに糸通しされ、それぞれ、ナンバー(0-0/4-4/8-8/4-4)及びナンバー(68/0-2)で示されるような同様の往復運動をしている。
ヤーン糸21A,21B及び21Cは、それぞれのフロント側、中間およびパック側のガイドバー上にて編まれ、適量の樹脂を吸収するに十分なウエイトの三次元ファブリックを生み出す結果となる。
出願人によって製造され使用されている本発明の単層グラスファイバー基材は、良好な結果を提供する。しかしながら、樹脂の幾分ゆっくりしたセット時間(硬化時間)は、より低い剛性値という主観的だが必ずしも正当ではない印象をもたらす。
単層編み基材についての知覚(感じ方)及び主観的分析を改善するために、可能な限り物理的な改変(変更)を少なくしつつ、例えば同種の樹脂及びニット構造(編み構造)を維持しつつ、基材が最適硬度に固まるまでの時間を改善することを目指して、製品試験が行われた。
樹脂のセット時間は、水分が編み基材の構造内に入り込むレート(速度)と密接に関連することが分かっており、この点を考慮して、基材製品の他の優れた品質に悪影響を与えるような変化を避けつつ、樹脂をより早くセット(硬化)させるために、水分吸収率を改善する方向を目指して、試験(テスト及び試み)が行われた。
試験(テスト及び試み)の結果、驚いたことに、トップ層(上層)とボトム層(下層)との間の針床間隔(needle bed gap)を開けることが、求められているような改善をもたらすことが最終的に判明した。
針床間隔が決定的な要因であることが分かるや、最も望ましい針床間隔を決定する試験が行われ、その結果は、それを湿らせた後4分時点での(提示された)剛性の結果が本発明の編み基材製品に適用可能な剛性値よりも40%より良いものである、というものであった。
試験は、現在使用中の商用の樹脂、並びに、カムズ(Comez、商標)編機で編まれたG75グラスヤーン糸(glass yarn)およびテクスチャード加工のグラスヤーン糸を含んだ。
編機の針床間隔は、現在の6.5mmから8.0mm以上に調節された。幅あたりのうね(wales)及び端(ends)の数は、以下の二つの表に従って設定された。
Figure 0005980346
Figure 0005980346
1センチメートルあたりのコース(数) 7.80
目標重さ 75mm=124.3グラム+/−0.5
素材は、38%,40%および42%の樹脂レベルでの三つの樹脂含有量にて、30フィート長で各サイズ60ロールを用いて、編まれた。
25mm,100mmおよび150mm幅のグラスファイバー編み素材の追加の32ロールが通過(又は経過)試験のために準備され、安定性の検討が、75mm幅ファブリックについて25℃、40℃および55℃で行われた。
編み基材は、100mmスラブ(slab, 平板)強度三点曲げ装置を用いた、インストロン(Instron、商標)引張強度試験機でテストされた。
6mmの針床間隔で製造された先行技術の基材は、インストロン試験機での4分剛性値を0.6kg/cmと示した。これとは対照的に、針床間隔を8mmに増大したものは、インストロン試験機での4分剛性値を0.9kg/cmと示した。
更には、7.1mmから8mmまでの針床間隔は、インストロン試験機での4分剛性値を0.9kg/cmと示すことが判明した。8mmよりも大きい針床間隔は、剛性値が減少することを示しており、かくして、7.1mmと8mmとの間の範囲が湿らせ後4分時点での最適剛性となること、7.3mmの針床間隔が最も好ましいことを確立した。
基材21及び39はそれぞれ、反応システムを含浸され又はコート(被覆)される。その反応システムは、実質的に湿気無し条件に維持されるときは安定なままであるが、十分な湿度に晒されると固まって、硬直した(剛性のある)自己支持構造を形成する。編機から取り外されたとき、弛緩した基材の名目上の厚さ(nominal thickness)は、4.75mm〜4.90mmである。ギャップ(間隔)の総厚みに対する比は、約71%である。
反応システムの代表的な処方は、以下に示すとおりである。
[代表的な処方]
イソネート(Isonate)143L、即ち、ポリイソシアネート 50.0%
Mondur CD 又はRubinate XI168 Pluracol P1010 ポリオール 46.6%
DC-200 シリコーン消泡剤 0.30%
塩化ベンゾイル安定剤 0.10%
タンキャット(Thancat) DM-70 触媒 3.0%
合計 100%
反応システムのパラメータ、製造の仕方および適用する変数についての完全な議論は、先に参照した米国特許第4411262号に見つけられる。反応システムを含浸した後の基材21又は39のウエイト(重さ)は、好ましくは、3144g/mであり、好ましい範囲は、2490〜4534g/mである。硬化プロセスを行った後、含浸基材21又は39の仕上げのウエイト(重さ)は、好ましくは、3168g/mであり、好ましい範囲は、3000〜4600g/mである。
図7及び図8を参照すると、本発明の医療用包帯材料の準備および適用が図示されている。図示の添え木は、後部短形足添え木(posterior short leg splint)としてよく知られたものであり、所定長の医療用包帯35を、ふくらはぎに沿い、アキレス腱およびかかとを越えて、足の上に渡って成形することで形成される。図7に示すように、先ず、適度な長さの湿らされた医療用包帯材料35が、固定されるべき身体部位の形状に形を整えられる。包帯材料35が身体部位の形状に整えられると、包帯材料35は、図8に示すように、従来の伸縮性の包帯“B”で包まれる。
医療用包帯製品30の医療用包帯材料35が、後部短形足添え木としての用途で図7及び図8に示されているけれども、医療用包帯製品10,30及び60は、一箇所以上の身体部位の固定が必要とされるどのような適切な医療的処置に使用されてもよい。
湿気硬化型可塑性素材から形成された医療用包帯製品および医療用包帯材料、そのような改良型の医療用包帯を構成する方法、並びに、改良型の包帯製品を構成し適用する方法が、上に述べられた。本発明の様々な詳細は、その範囲を逸脱することなく変更されてもよい。更に、本発明の好ましい実施形態および本発明を実施するためのベストモードに関する前述の説明は、例示の目的で提供されたものであり、特許請求の範囲に定義される発明を限定する目的ではない。
図6中、
Front Guide Bar フロント側ガイドバー
Middle Guide Bar 中間ガイドバー
Back Guide Bar バック側ガイドバー
各図中、
10 医療用包帯製品
11 パッケージ(包囲物)
20 医療用包帯(材料)
21 基材
22 ラッピング
30 医療用包帯製品
35 医療用包帯材料
36 スリーブ(包囲物)
39 基材
40 ラッピング

Claims (16)

  1. 医療用包帯製品の製造方法であって、
    当該医療用包帯製品は、
    (a) 湿気の浸入を防止すべくシール可能な湿気不浸透性の材料から形成された包囲物と、
    (b) 前記包囲物内に位置決めされ、且つ、使用するまで湿気の浸入に抗して前記包囲物内にシールされている医療用包帯材料と、
    を備えており、
    前記医療用包帯材料は、
    (i) 主要な上面および主要な下面を有する編み地層を備えた基材と、
    (ii) 前記基材内に含浸され又は前記基材上にコートされる反応システムであって、実質的に湿気無しの条件に維持されるときには安定しているが、湿気に晒されたときには硬化し、前記基材の編み地層と協働して剛性のある自己支持的な構造を形成する、反応システムと、
    (iii) 前記基材をその長手方向に沿って包むクッション性のラッピングと、
    を備えてなるものであり、
    前記編み地層は、編機上にて編まれるものであり、
    前記編み地層は、間隔を隔てたエッジと、
    少なくとも一本のヤーン糸が、当該基材の幅に沿って前記主要な上面から前記主要な下面までの間隔を横切って、且つ、前記主要な上面と前記主要な下面との間の間隔を横切った前後往復パターンで延びるように編まれて、単一の、一体化した分離不能な三次元構造を形成するところの複数の相互接続された編み地ヤーン糸と、を含み、
    前記少なくとも一本のヤーン糸は、当該基材の上面及び下面の両方に連続パターンを提供すべく、非隣接ニードル位置間にて連続コースでの前後往復パターンで延びており、
    編機で編むときの針床間隔が7.1mm〜8mmに設定され、この針床間隔は、7.1mm〜8mmの範囲を外れた針床間隔で作られた基材よりも大きな基材剛性を達成するものであり、
    編機から取り外されたとき、弛緩した当該基材の総厚みが4.75mm〜4.90mmである、ことを特徴とする医療用包帯製品の製造方法
  2. 前記クッション性のラッピングは、不織繊維から構成されている、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  3. 前記クッション性のラッピングは、ポリプロピレンから構成されている、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  4. 前記クッション性のラッピングは、疎水性繊維から構成されている、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  5. 前記基材は、グラスファイバー(fiberglass)から構成されている、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  6. 前記基材は、ポリエステルから構成されている、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  7. 前記編み地層は、3本のガイドバーおよび3本のヤーン糸を用いて、たて編機上にて編まれたものである、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  8. 第1のヤーン糸は、フロント側ガイドバーに糸通しされ、連続したコースで非隣接ニードルに対し前後往復しており、
    第2及び第3のヤーン糸は、それぞれ中間ガイドバー及びバック側ガイドバーに糸通しされ、同様に前後往復している、請求項7に記載の医療用包帯製品の製造方法
  9. 第1、第2および第3のヤーン糸は、それぞれフロント側ガイドバー、中間ガイドバー及びバック側ガイドバー上にて連続的に編まれる、請求項7に記載の医療用包帯製品の製造方法
  10. 前記針床間隔が7.3mmである、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  11. 前記針床間隔と総厚みとの比が71%である、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  12. 前記反応システムを含浸した後の前記基材の重さが、2490〜4534g/mである、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  13. 含浸後の基材の仕上げ重さが、3000〜4600g/mである、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  14. 前記基材は、インストロン(商標)引張強度試験機での4分剛性値が0.9kg/cmである、請求項1に記載の医療用包帯製品の製造方法
  15. 主要な上面および主要な下面を有する編み地層を備えた基材の製造方法であって、
    前記編み地層は、編機上にて編まれるものであり、
    前記編み地層は、間隔を隔てたエッジと、
    少なくとも一本のヤーン糸が、当該基材の幅に沿って前記主要な上面から前記主要な下面までの間隔を横切って、且つ、前記主要な上面と前記主要な下面との間の間隔を横切った前後往復パターンで延びるように編まれて、単一の、一体化した分離不能な三次元構造を形成するところの複数の相互接続された編み地ヤーン糸と、を含み、
    前記少なくとも一本のヤーン糸は、当該基材の上面及び下面の両方に連続パターンを提供すべく、非隣接ニードル位置間にて連続コースでの前後往復パターンで延びており、
    編機で編むときの針床間隔が7.1mm〜8mmに設定され、この針床間隔は、7.1mm〜8mmの範囲を外れた針床間隔で作られた基材よりも大きな基材剛性を達成するものであり、
    編機から取り外されたとき、弛緩した当該基材の総厚みが4.75mm〜4.90mmである、ことを特徴とする基材の製造方法
  16. 前記基材は、インストロン(商標)引張強度試験機での4分剛性値が0.9kg/cmである、請求項15に記載の基材の製造方法
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