JP5967699B2 - 遺伝子発現解析による大腸がんの病型分類に基づく抗癌剤応答性及び予後の予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、本発明者によって初めて、教師なし階層クラスター解析により分類された4つのクラスター間の分子生物学的および臨床病理組織学的特徴における相違に基づき、大腸癌組織又は大腸癌細胞の抗がん剤及び抗EGFR抗体に対する応答性を予測する方法、及びそれらの方法に使用し得るキット等に関する。
大腸癌は肺癌、乳癌および前立腺癌とともに、近年、罹患数の増加が顕著な癌のひとつである。「地域がん登録」研究班の全国がん罹患率に基づき行われた将来予測によると、2020年の罹患者数は15.4万人に達し、最も罹患数が多い癌になると推測されている1。一方、切除不能進行再発大腸癌の予後は、この20年で著しく改善してきた。生存期間の中央値は1990年代には14.2ヵ月であったものが2000年には18.0ヵ月、2006年には29.3ヵ月になったと報告されている2。2000年頃の生存期間の延長は積極的な肝転移切除の導入によるものであり、それ以後の延びは薬物療法の進歩の結果であるとされる。特に2000年以降の生存期間の延長は著しく、薬物療法の進歩がめざましいことを示している。大腸癌に対する薬物療法のキードラッグは、オキサリプラチン (oxaliplatin: l-OHP)、塩酸イリノテカン (irinotecan: CPT-11)、5-FU、S-1、カペシタビン (capecitabine)、ロイコボリン (leucovorin: LV)である。これらの薬剤を併用した標準化学療法としてl-OHPを含んだレジメンのFOLFOX (l-OHP+5-FU+ロイコボリン)3やCapeOX (カペシタビン+オキザリプラチン)4、CPT-11を含んだレジメンのFOLFIRI (イリノテカン+5-FU+ロイコボリン)5やIRIS (S-1+イリノテカン)6がある。さらにVEGFに対するモノクローナル抗体であるベバシズマブやEGFRに対するモノクローナル抗体のセツキシマブやパニツムマブなどの分子標的治療薬が導入されるようになった。
大腸癌の発がんメカニズムは遺伝子、染色体不安定性およびエピジェネティクスの視点から、染色体不安定性 (CIN: chromosomal instability)、マイクロサテライト不安定性 (MSI: microsatellite instability)およびCpG island methylator phenotype (CIMP)の3つに分類され、それぞれ大腸癌の約60%、約15%および約20%に認められる7。CINは染色体の異数性や構造異常が特徴である8。MSIは、マイクロサテライトの1〜数塩基の繰り返し配列で繰り返し数に変化が生じるものであり、その原因はミスマッチ修復遺伝子の発現抑制や変異である。MSIはBAT25、BAT26、D2S123、D5S346およびD17S250の繰り返し配列の不安定性の視点から、MSS (stable)、MSI-L (low)、MSI-H (high)に分類される9。CIMPではプロモーター領域のCpG部位でメチル化が起こることにより種々の遺伝子の転写が抑制される10, 11。KRAS、APC、TP53など個々の癌関連遺伝子の変異の蓄積は、これらの発がん機構の過程に生じると考えられている。
大腸癌ではEGFRシグナル伝達経路、Wnt-β-カテニンシグナル伝達経路、TGF-βシグナル伝達経路など細胞増殖制御に関わる複数のシグナル伝達経路が活性化している12。EGFRのリガンドとしてEGF、EREG、AREG、TGFA、HBEGF、BTCおよびEPGNがある13。さらにEGFRシグナルの伝達経路の下流には、Ras/Raf/MAPK経路およびPI3K/Akt経路があり、このうち、Ras/Raf/MAPK経路は主に細胞増殖、運動などの制御を担う14。一方、PI3K/Akt経路は主に抗アポトーシスや生存に関わる複数のシグナル伝達経路を制御し、主に細胞生存への役割を担う。
大腸癌においては約40%の頻度でKRAS遺伝子の活性型変異が検出される。そのうち約90%がコドン12および13に認められるが、コドン61など他の部位にも低頻度に認められる。コドン12、13および61以外の変異は下流へのシグナルの影響は小さいとされる15。KRAS遺伝子の活性型変異は大腸癌以外でも肺癌、膵癌など多くの癌に高頻度に見つかり、発癌過程において重要な役割を担っている16。すなわち、KRAS遺伝子に活性型変異が起きると、K-RasのGTPase活性が低下し、K-RasのGTP結合型がGDP結合型に対して優位になるため、下流への細胞増殖シグナルが恒常的に持続する17。K-Rasの下流に位置するB-Rafはセリン・スレオニンキナーゼであり、N-末端側にRas結合部位、C-末端側にキナーゼ部位が存在する。B-Rafには活性化したK-Rasが直接結合し、そのキナーゼ活性によりシグナルをMEKとその下流に伝達する。
BRAF遺伝子変異は甲状腺癌、悪性黒色腫、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌などで報告され18、その80%以上はキナーゼ部位の1アミノ酸置換を生ずる活性型変異V600Eである19。一方、PI3KはRasや受容体型チロシンキナーゼにより活性化されるキナーゼであり、その下流のAkt経路の活性化を介して細胞死を抑制する。PI3Kの触媒サブユニットのp110をコードするPIK3CA遺伝子には乳癌、子宮癌、大腸癌、頭頸部癌などで比較的高頻度にエクソン9と20のミスセンス変異が認められるため、KRAS変異同様に発がん過程において重要な役割を担うと考えられる20-22
大腸癌の分子標的治療薬として、ベバシズマブ、セツキシマブおよびパニツムマブの3薬が承認され、既に臨床に導入されている。ベバシズマブは、血管内皮成長因子 (vascular endothelial growth factor : VEGF)に対するヒト化モノクローナル抗体である。VEGFRにそのリガンドのVEGFが結合すると、血管内皮の増殖・遊走作用、未成熟な内皮細胞の生存、血管透過性の亢進が起こる。ベバシズマブは、このVEGFに結合してその作用を中和し、その結果、腫瘍の血管新生の阻害と腫瘍血管透過性の改善による腫瘍内間質圧の低下をもたらすと考えられている23。l-OHPやCPT-11を含むレジメンにベバシズマブを併用すると治療効果に上乗せ効果があることが報告されている24, 25。セツキシマブとパニツムマブはEGFRに対するモノクローナル抗体で、セツキシマブはヒト/マウスのキメラ型、パニツムマブは完全ヒト型モノクローナル抗体である。これらの抗体薬がEGFRに結合するとEGFRの下流へのシグナル伝達が阻害され抗腫瘍効果を発揮すると考えられている26-28。しかし、前述のようにEGFRの下流のKRAS遺伝子に変異がある場合、EGFRを阻害しても下流へのシグナル伝達が阻害されず、抗EGFR抗体薬は無効であることが基礎および臨床研究で明らかにされている。このため、抗EGFR抗体薬はKRAS遺伝子が野生型の症例に限り投与が推奨されている29, 30。しかし、KRAS遺伝子に変異がない場合においても抗EGFR抗体が有効なのは一部であり、KRAS変異以外にも抗EGFR抗体の感受性に関連する因子が存在すると考えられる。その具体例として、前述のようにKRAS遺伝子の下流に位置するPIK3CA遺伝子変異やPTENの欠失などが挙げられる。さらに、これらの遺伝子に変異を認めない場合でも、FOLFOXやFOLFIRI療法などの化学療法に抵抗性となった症例における抗EGFR抗体薬の奏効率は、抗EGFR抗体単独治療の場合では12〜17%であり、抗癌剤を併用した場合でも約40%と報告されている31。また、EGFRのリガンドをコードしている遺伝子であるEREGとAREGの発現亢進が、抗EGFR抗体薬の有効性に相関することが報告されている32。この研究では、抗EGFR抗体薬は、EGFR経路の活性化がリガンド依存性である場合に有効であり、KRAS遺伝子変異などによってリガンド非依存性にEGFR経路の活性化起こっている場合には無効であると報告している。
近年、大腸癌研究ではマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析により、抗癌剤感受性および予後の予測をするバイオマーカーを探索する研究が行われている33, 34。さらに以前では解析が困難であった、ホルマリン固定パラフィン包埋 (Formalin-Fixed Paraffin-Embedded : FFPE)組織から抽出したRNAを用いてDNAマイクロアレイ解析を行う網羅的遺伝子発現解析も可能になった35, 36。FFPE組織は、病理部門を有する世界中のほとんどの医療機関において、病理組織学的診断のために保存されており、日常臨床で入手および保管が容易である為に、多数の症例の長期観察データを後ろ向きに解析することが出来る利点がある。
網羅的遺伝子発現解析に基づくバイオマーカーの開発は、乳癌において最も研究が進んでいる。van’t Veerらは70遺伝子の発現プロファイルにより早期乳癌の再発を予測することが可能であることを示し、この研究の応用開発によりMammaPrint(登録商標)が開発され実用化されている37。また、教師なしクラスター解析を用いた網羅的遺伝子発現解析により、乳癌は5つのサブタイプ (luminal A、luminal B、HER2 enrich、basal likeおよびnormal like)に分類されることが示され、乳癌のheterogeneityを遺伝子発現プロファイルの視点から示した38。これらのサブタイプが乳癌の臨床病理組織学的特徴や臨床像と良く対応するため、乳癌の分子生物学的背景の理解が大きく進歩した。
これまでに、大腸癌患者の抗EGFR抗体の応答性を予測する方法として、Kras遺伝子の変異の有無を確認することやEGFR遺伝子のコピー数で判断する技術が開発されている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、既に照会したように、Kras遺伝子に変異がない場合においても抗EGFR抗体が有効なのは一部であり、KRAS変異以外にも抗EGFR抗体の感受性に関連する因子が存在すると考えられる。
更に、患者から得たサンプルの遺伝子発現プロファイルからp53遺伝子の変異の有無を検出する方法(特許文献3)や、遺伝子発現プロファイルをクラスター解析することで急性骨髄性白血病の分類、診断、予後を決定する技術(特許文献4)が開発されている。
特表2008-536493号公報 特表2008-535508号公報 特許第4370409号 特表2007-527238号公報
網羅的遺伝子発現解析により大腸癌がいくつかのサブグループに分類され、heterogeneityが説明され、そのサブグループが臨床病理組織学的特徴と対応が見られていれば、大腸癌に対する分子生物学的理解が深まるとともに、治療法選択のバイオマーカーの開発や、それぞれの分子生物学的特徴に応じた新規分子標的薬の開発につながると期待される。
本発明者は、上記の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、切除不能進行再発大腸癌のFFPE組織を用いて、網羅的遺伝子発現解析と大腸癌発がんに関連する遺伝子の変異解析およびMLH1タンパク質の免疫組織染色を統合的に解析することにより、大腸癌のheterogeneityの存在と、その分子生物学的特徴を明らかにすることに成功した。
即ち、本発明者によって初めて、教師なし階層クラスター解析の結果、大腸癌が2軸よって分けられる4つのクラスター (A1、A2、B1およびB2)に分類され、各クラスター間において分子生物学的及び臨床病理組織学的特徴に差が認められることが明らかとなった。また、クラスターAとBを分ける発がん経路としてEGFR経路の活性化様式の違いがあることが示され、更に、クラスター1と2ではl-OHP、CPT-11および5-FUなどの古典的抗がん剤の併用療法の感受性が異なっていた。更に、各クラスター間に抗EGFR抗体に対する感受性(予後)に有意な差が見出された。本発明は、これらの新規な知見に基づき成されたものである。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、以下のとおりである。
すなわち、本発明の第一の態様は以下のとおりである。
(1)被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞から得た検体におけるクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子の発現量を測定する工程と、
(2)前記発現量から得られた各クラスターの個別発現プロファイルと、予め求めた各クラスターの平均発現プロファイルとの間の相関係数を求める工程、及び
(3)クラスターA又はクラスターBのいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに、及び、クラスター1又はクラスター2のいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに当該検体を帰属させる工程からなり、
抗EGFR抗体投薬治療において、クラスターA2 に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間はクラスターB2に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間に比べて長いという基準に基づき、大腸癌患者の抗EGFR抗体に対する応答性を予測する方法。
更に、本発明の第2の態様は以下の通りである。
(1)被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞から得た検体におけるクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子の発現量を測定する工程と、
(2)前記発現量から得られた各クラスターの個別発現プロファイルと、予め求めた各クラスターの平均発現プロファイルとの間の相関係数を求める工程、及び
(3)クラスターA又はクラスターBのいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに、及び、クラスター1又はクラスター2のいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに当該検体を帰属させる工程からなり、
オキサリプラチン (oxaliplatin: l-OHP)を含む1次治療において、クラスターB1に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間はクラスターA2に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間に比べて長いという基準に基づき、大腸癌患者の抗癌剤に対する応答性を予測する方法。
本発明の第三の態様は以下の通りである。
(1)被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞から得た検体におけるクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子の発現量を測定する工程と、
(2)前記発現量から得られた各クラスターの個別発現プロファイルと、予め求めた各クラスターの平均発現プロファイルとの間の相関係数を求める工程、及び
(3)クラスターA又はクラスターBのいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに、及び、クラスター1又はクラスター2のいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに当該検体を帰属させる工程からなり、
オキサリプラチン (oxaliplatin: l-OHP)を含む1次治療において、クラスター1に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間はクラスター2に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間に比べて長いという基準に基づき、大腸癌患者の抗癌剤に対する応答性を予測する方法。
本発明の第四の態様として、クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子に含まれる各遺伝子の少なくとも一部の塩基配列から成るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に用いることが出来るキット。
本発明によって、教師なし階層クラスター解析の結果、大腸癌は2軸よって分けられる4つのクラスター (A1、A2、B1およびB2)に分類されることが分かった。各クラスター間において分子生物学的および臨床病理組織学的特徴に差が認められた。更に、各クラスター間において、l-OHP、CPT-11および5-FUなどの古典的抗がん剤を含む1次の治療における当該薬剤に対する応答性(感受性)が異なっていることが確認された。更に、抗EGFR抗体薬による治療においても、各クラスター間において、抗EGFR抗体薬に対する感受性に優位な差が見られることが実証され た。これらの結果から、乳癌と同様に大腸癌においてもheterogeneityの存在が示唆された。
クラスター (A1、A2、B1およびB2)間における全生存期間の比較。(a)全サンプル、(b)KRAS野生型サンプル、(c)KRAS変異型サンプル。 クラスター (AとB、1と2)間における全生存期間の比較。(a)全サンプル、(b)KRAS野生型サンプル、(c)KRAS変異型サンプル。 クラスター間のl-OHPを含む1次治療に対するPFSの比較。(a) クラスター (A1、A2、B1およびB2)間の比較、(b) クラスター (AとB、1と2)間の比較。 クラスター間のCPT-11を含む1次治療に対するPFSの比較。(a) クラスター (A1、A2、B1およびB2)間の比較、(b) クラスター (AとB、1と2)間の比較。 クラスター間のl-OHPまたはCPT-11を含む1次治療に対するPFSの比較。(a) クラスター (A1、A2、B1およびB2)間の比較、(b) クラスター (AとB、1と2)間の比較。 クラスター(A1、A2、B1およびB2)間の抗EGFR抗体薬に対するPFSの比較。 (a) 全症例、(b) KRAS野生型症例。 クラスター(AとB、1と2)間の抗EGFR抗体薬に対するPFSの比較。 (a) 全症例、(b) KRAS野生型症例。 全サンプルの教師なしクラスター解析と樹形図。
本発明の第一〜第三の態様である予測方法においては、被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞から得た各検体に関して、クラスターAを特徴づける2,899個の遺伝子(「クラスターA遺伝子」という)、クラスターBを特徴づける3,115個の遺伝子(「クラスターB遺伝子」という)、クラスター1を特徴づける471個の遺伝子(「クラスター1遺伝子」という)、及び、クラスター2を特徴づける1,703個の遺伝子(「クラスター2遺伝子」という))の発現量を測定することによって得られた各クラスターの個別発現プロファイルと、予め求めた各クラスターの平均発現プロファイルとの間の相関係数を求め、その後、クラスターA又はクラスターBのいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに、及び、クラスター1又はクラスター2のいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに当該検体を帰属させることによって、各検体をA1, A2, B1 及びB2の4つのクラスターのいずれかに帰属させる。その後、症例背景又は臨床経緯における統計解析により得られる各クラスター間の傾向の相違に基づく基準に従い、l-OHP、CPT-11及び5-FUなどの古典的抗がん剤を含む1次の治療における当該薬剤、若しくは、抗EGFR抗体薬による治療における抗EGFR抗体に対する応答性(感受性)を予測するものである
各クラスターの平均発現プロファイルは、本明細書中で詳述されているように、一定数の検体(学習セット)を用いて、教師なし階層クラスター解析において各クラスターに分類された検体(サンプル)の各々について其々のクラスターを特徴づける遺伝子のマイクロアレイ解析における発現のシグナル値からなる発現プロファイルを求め、更にそれらシグナル値の平均値から当該クラスターを特徴付ける発現プロファイルとして求めることができる。
更に、本発明の各予測方法においては、クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子又はクラスター2遺伝子の各遺伝子集団に含まれるすべての遺伝子の発現量を測定する必要はない。即ち、本明細書中の実施例に記載されているように、例えば、各クラスター遺伝子の中から、其々、任意の3個(3種類)の遺伝子セット(10パターン)、5個(5種類)の遺伝子セット(10パターン)、10個(10種類)の遺伝子セット(5パターン)、及び、20個(20種類)の遺伝子セット(5パターン)を無作為に選択し、これらの任意に選択された遺伝子のマイクロアレイ解析における発現のシグナル値の平均値に基づく発現プロファイルを上記の各クラスターを特徴付ける平均発現プロファイルとして使用することによっても、全遺伝子で行った場合と同様の高い精度で正確な予測が可能であることが確認されている。
従って、本発明の各予測方法は、クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子中の各遺伝子集団から、夫々任意に選択した、3個、5個、10個又は20個以上の遺伝子からなる遺伝子セットを使用することによって実施することも出来る。好ましくは、該遺伝子セットは、少なくとも本明細書の表8〜12において具体的に記載された遺伝子セットの各パターンに含まれる全ての遺伝子(夫々、3個、5個、10個又は20個)を含む。迅速性、及び経済性等の点では、このように、各遺伝子集団から、夫々任意に選択した遺伝子セットを使用することが好ましい。
本発明方法において検体として使用される、被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞の属性・種類等に特に制限はない。通常、手術によって大腸癌患者である被験者から切除された大腸癌組織又は大腸癌細胞を使用する。又、入手容易性及び利便性等の観点から、ホルマリン固定パラフィン包埋 (Formalin-Fixed Paraffin-Embedded : FFPE)組織であることが好ましい。
遺伝子の発現とは、遺伝子自身がもつ情報をRNA又はタンパク質という機能を有する遺伝子産物を産生することである。従って、遺伝子の発現量は、遺伝子から転写されたmRNA、又は該mRNAから翻訳されたタンパク質の量を測定することによって行うことが出来る。本発明方法においてこのような、腫瘍組織/腫瘍細胞における遺伝子の発現量は、当業者に公知の任意の方法・手段で測定することが出来る。
例えば、発現されたmRNA量の測定としては、DNAマイクロアレイ(又は、DNAチップ)、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ、ノーザンブロッティング(ノーザンハイブリダイゼーション)、インサイチューハイブリダイゼーション、RNA分解酵素プロテクションアッセイ、及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)等を用いることが出来る。一方、タンパク質量の測定としては、ウェスタンブロッティング、ELISAアッセイ、タンパク質アレイ、免疫組織染色、及びイーストツーハイブリッド(Yeast Two Hybrid)等を挙げることができる。
本発明方法にあっては、遺伝子の発現量を該遺伝子から転写されたRNAをDNAマイクロアレイにより測定することが好ましい。発現レベルの解析はDNAマイクロアレイの測定におけるシグナル強度の比較によって行う。これには「検査試料中の遺伝子の発現強度」対「対照試料中の遺伝子の発現強度」の比率行列を生成させるのが最善である。
遺伝子発現プロファイルは、様々な方法で表示することができる。最も一般的な方法は、列が検査試料を、そして行が遺伝子をそれぞれ示すグラフィカル・デンドグラム(graphical dendogram)に、比率行列を配列させる方法である。データは、類似の発現プロファイルを示す遺伝子が互いに近接するように配列される。各遺伝子の発現比率は色で視覚化される。たとえば1未満の比率(下方調節を示す)はスペクトルの青色部分に、また1を超える(上方調節を示す)比率はスペクトルの赤色部分に、それぞれ現れるようにしてもよい。そうしたデータ表示には商業上利用可能なコンピュータソフトウェアたとえばSilicon Genetics, Inc.の“GENESPRING”、およびPartek, Inc.の“DISCOVERY”や“INFER”などを利用できる。
従って、本発明のキットは、腫瘍組織/腫瘍細胞における遺伝子及び/又は該遺伝子がコードするタンパク質の発現量を測定する方法・手段に応じて、適当な構成をとることが出来る。例えば、本発明キットに含まれるクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子に含まれる各遺伝子の少なくとも一部の塩基配列から成るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの長さは数十塩基対とすること出来る。これら各遺伝子の全配列は、例えば、各遺伝子に付与された「EntrezGeneID」及び「GeneSymbol」に基づき、「National Center for Biotechnology Information (NCBI), U.S. National Library of Medicine 8600 Rockville Pike, Bethesda MD, 20894 USA」のデータベース等の各種のデータベースから容易に入手でき、更に、それらの具体的な部分(塩基配列)はこれらの情報に基き、又は当業者が適宜、選択・設計し調製することが出来る。
上記の各遺伝子又の少なくとも一部の塩基配列の具体例としては、例えば、アジレントテクノロジー社のeArray (https://earray.chem.agilent.com/earray/)のサイトからダウンロードすることができる、各遺伝子の全配列の一部(60塩基配列)を挙げることが出来る。
上記の各遺伝子又はそれらの少なくとも一部の塩基配列はDNAチップ又はノーザンブロッティングにおけるプロ−ブ、PCRにおけるプライマー等の形態で使用することが出来る。更に、必要に応じて、ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドは当業者に公知の放射性物質、蛍光物質、色素等の適当な標識物質によって標識されていても良い。
上記キットには、その構成・使用目的などに応じて、当業者に公知の他の要素又は成分、例えば、各種試薬、酵素、緩衝液、反応プレート(容器)等が含まれる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。又、特に記載のない場合には、以下の実施例は当業者に公知の標準的な方法で行われ、又、本明細書中に引用された文献の記載内容は本明細書の開示内容の一部を構成するものである。
[研究材料および研究方法]
1.研究対象
研究対象は2005年から2010年までに切除不能進行再発大腸癌の診断でがん薬物療法を施行した症例100例である。このうち、90症例を学習セット、10症例を検証セットとして用いた。対象症例は原発巣が切除され、そのFFPE組織が入手可能であることを条件とした。東北大学医学部医学系研究科倫理委員会で承認を受けた「大腸癌の分子診断法に関する研究」(承認番号2008-238)に基づいてインフォームド・コンセントを得た。また、同じく承認を受けた「大腸癌における治療法選択のための分子マーカー開発に関する研究」(承認番号2005-218)の対象症例でヒトゲノム遺伝子解析について包括的同意が得られている症例で、患者の死亡などにより本研究の同意が得られない症例はB群検体として本研究の対象患者に含めた。
2.大腸癌FFPE組織の採取
手術にて切除された100症例の大腸癌原発巣のFFPE組織を収集し、連結可能匿名化を行った。FFPE組織を、ミクロトームを用いて組織染色用に3μm、RNAまたはDNA抽出用に5μmまたは10μmの厚さに薄切し、病理組織診断用のスライドグラスに貼り付けた。
3.マクロダイセクション
上記スライドグラス1枚をHE染色し、顕微鏡で腫瘍部分を確認後、未染標本から腫瘍部分を採取した。RNA抽出用として5μmを4枚または10μmを2枚、DNA抽出用として5μmを2枚または10μmを1枚用いた。
4.核酸抽出
マクロダイセクションで採取したFFPE組織からAbsolutely RNA FFPE Kit (Agilent Technologies 社)を用いて、1検体当たり0.5〜10μgのRNAを抽出した。また、QIAamp DNA FFPE Tissue Kit (QIAGEN 社)を用いて、1検体当たり5〜20μgのDNAを抽出した。
5.DNAシークエンス法による遺伝子変異解析
TP53遺伝子のエクソン5、6、7および8、KRAS遺伝子のコドン12、13および61、BRAF遺伝子のコドン600、PIK3CA遺伝子のエクソン9および20に対してDNAダイレクトシークエンス法による遺伝子変異解析を行った。PCRによるDNAの増幅にはTaKaRa EX Taq (タカラバイオ株式会社)を使用した。TP53のPCRプライマーとPCR条件は表1と表2の通りである。その他の遺伝子は添田ら39が報告した方法で解析した。
6.MLH1タンパク質の免疫組織染色 (IHC; immunohistochemistry)
MLH1タンパク質のIHCは、anti-MLH1 monoclonal antibody (BD bioscience)を用いて東北大学病院病理部で行われた。MLH1はリンパ球などの正常細胞の核が染色されるため、これをポジティブコントロールとして、腫瘍細胞の核が染色されない場合を陰性と診断することとし、病理専門医が診断した。
7.マイクロアレイ
(1) 全トランスクリプトーム増幅
TransPlex(登録商標)Complete Whole Transcriptome Amplification Kit (Sigma-Aldrich 社)を用いて、抽出したRNA 150〜300ngをcDNAに逆転写し、PCRで増幅した。QIAquick PCR Purification Kit (QIAGEN 社)を用いて増幅したcDNAを精製した。その結果、6〜15μgのcDNAが得られた。
(2) cDNA標識
Genomic DNA ULS Labeling Kit (Agilent Technologies 社)を用いて、増幅したcDNAを蛍光標識した。cDNA 1.5μgをヌクレアーゼフリー水で溶解して16.5μlとし、ULSTM-CyTM3 Reagent を1.5μl、10×Labeling Solutionを2μl加えて、総量を20μlにした。この反応液を85℃で30分間インキュベーションし、氷上で冷却した。KREApureTM purification column (Genomic DNA ULS Labeling Kitの付属品)で未標識の蛍光色素を除去した。吸光度計を用いて、標識されたcDNAの蛍光色素の取り込み効率を測定し、マイクロアレイへのハイブリダイゼーションに適切な1.5〜3.0%の範囲にあることを確認した。
(3) マイクロアレイのハイブリダイゼーション・洗浄・蛍光シグナルの画像化とシグナルの数値化
Gene Expression Hybridization Kit (Agilent Technologies 社)を用いてハイブリダイゼーションを行った。標識されたcDNA 19μlに100×Blocking Agentを1.1μl、ヌクレアーゼフリー水を7.9μl、2×HI-RPMを55μl加えて、95℃で3分間インキュベーションし、氷上で冷却した。反応液にAgilent CGH-Block (Genomic DNA ULS Labeling Kitの試薬)を27μl加え、総量を110μlとした。そのうち100μlをWhole Human Genome Oligo Microarray Kit (4×44K) (Agilent Technologies 社)にハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーションオーブンを65℃に設定し、10rpmで回転させながら17時間のハイブリダイゼーションを行ったのちに、マイクロアレイをGene Expression Wash Pack (Agilent Technologies 社)のWash Buffer 1で1分間、37℃に加温したWash Buffer 2で1分間洗浄した。Agilent DNA マイクロアレイスキャナ(Agilent Technologies 社)を使用して洗浄したマイクロアレイを画像化した。Agilent Feature Extraction ソフトウェア (Agilent Technologies 社)を使用してマイクロアレイの画像を数値化した。
8.網羅的遺伝子発現解析
GeneSpring version 11.5.1 (Agilent Technologies 社)を使用して遺伝子発現のデータ解析を行った。各サンプルのシグナル分布を75パーセンタイルでそろえ、遺伝子発現データの標準化を行った40。その後、各遺伝子のシグナルの中央値が0になるようにベースラインシフトを行った。シグナルがスキャナーで検出できない遺伝子は解析対象から除外した。この結果、44,000遺伝子から40,914遺伝子が採用された。さらにサンプル間でシグナル値変化の大きい遺伝子、すなわちシグナル値のばらつきが大きい遺伝子を抽出するため、シグナル分布の標準偏差が1.0以上となる遺伝子を採用した。結果、40,914遺伝子から25,454遺伝子が抽出された。以後、この25,454遺伝子を統計学的解析の対象とした。教師なし階層クラスター解析は、類似度をピアソン相関係数、クラスター間の距離を最遠距離法に設定して行われた。
9.統計解析
症例背景および臨床経過の統計解析にはマイクロソフトエクセルとそのアドインソフトStatMate IV(株式会社アトムス)を使用した。症例背景において有意差検定のためにカイ二乗検定を行った。生存曲線はKaplan-Meier法で作成され、Logrank法にて差の検定を行った。
10.腫瘍縮小効果
腫瘍縮小効果の判定にはRECIST ver1.0 (Response Evaluation Criteria in Solid Tumors; 固形癌の治療効果判定基準)を用い、完全奏効 (Complete Response ; CR)、部分奏効 (Partial Response ; PR)、安定 (Stable Disease ; SD)、増悪 (Progression Disease ; PD)で評価した。奏効率 (Response Rate ; RR)はCRとPR症例の合計を全症例数で割ることで算出された。
11.無増悪生存期間 (Progression Free Survival ; PFS)
治療を開始した日から、画像診断または臨床的に増悪と判定した日までの期間を無増悪生存期間とした。
12.全生存期間 (Overall Survival ; OS)
転移性大腸癌または切除不能進行再発大腸癌として、1次治療を開始した日から、患者が死亡した日までの期間を全生存期間とした。
13.抗がん剤又は抗EGFR抗体薬を含むレジュメ
l-OHP及びCPT-11などの古典的抗がん剤又は抗EGFR抗体薬を含む治療は表3〜7に示されるレジュメに従って実施した。
[結果]
1.網羅的遺伝子発現データの教師なしクラスター解析
大腸癌細胞又は組織由来の25,454遺伝子を対象とした網羅的遺伝子発現データを用いて教師なしクラスター解析を行った結果、大腸癌は階層的に大きく2つのクラスターに分けられ、それぞれクラスターAとBと名付けた。そして、さらにそれぞれが2つに分かれ、計4つサブグループを形成し、クラスターA1、A2、B1およびB2と名付けた (図8)。
5. 遺伝子セットによるクラスター予測の正確性について
マイクロアレイ解析の結果に基づき、以下に示されるように、クラスターAとBを分ける6,014遺伝子 (クラスターAを特徴づける2,899遺伝子(「クラスターA遺伝子」という)+クラスターBを特徴づける3,115遺伝子(「クラスターB遺伝子」という))と、クラスター1と2を分ける2,174遺伝子 (クラスター1を特徴づける471遺伝子(「クラスター1遺伝子」という)+クラスター2を特徴づける1,703遺伝子(「クラスター2遺伝子」という))を抽出した 。
次に、90症例の学習セットを用いて、教師なし階層クラスター解析においてクラスターAに分類された検体(サンプル)の各々について上記のクラスターAを特徴づける遺伝子(2,899遺伝子)のマイクロアレイ解析における発現のシグナル値からなる発現プロファイル(「クラスターA個別発現プロファイル」という)を求め、更にそれらシグナル値の平均値からクラスターAを特徴付ける発現プロファイル(「クラスターA平均発現プロファイル」という)を求めた。同様に、クラスターB、クラスター1及びクラスター2に分類されたサンプルについても、各クラスターを特徴づける遺伝子(夫々、3,155遺伝子、471遺伝子、及び1,703遺伝子) のマイクロアレイ解析における発現のシグナル値から、各クラスターに属する個々の遺伝子の個別発現プロファイルを求め、それらシグナル値の平均値から、各クラスターの平均発現プロファイルを求めた。
各サンプルについて、こうして得られたクラスターAの平均発現プロファイルと当該サンプルのクラスターA個別発現プロファイル、クラスターBの平均発現プロファイルと当該サンプルのクラスターB個別発現プロファイルとのピアソン相関係数を各々計算し、相関係数のより大きいクラスターに当該サンプルを分類した。クラスター1と2についても同様に行った。その結果、クラスターA(44症例)とクラスターB(46症例)、クラスター1(42症例)とクラスター2(48症例)に分類した結果、学習セットの90症例はクラスターA1、クラスターA2、クラスターB1およびクラスターB2の4つのサブグループに分類されるので、これをもとに患者背景、分子生物学的背景および臨床経過について再度まとめ直した。
同様に、検証セットの10例について、学習セットより得られた平均的なクラスターA、B、1及び2を特徴づける上記の全遺伝子セットを用いて、検証セットの10例を4つのクラスターに分類した。
従って、図1〜図7に示された各クラスターへの分類は、以上の結果に基づくものである。
次に、上記の各クラスターを特徴づける遺伝子(クラスターA: 2,899遺伝子、クラスターB: 3,115遺伝子、クラスター1: 471遺伝子、クラスター2: 1,703遺伝子)の集団より無作為に、3種類(10パターン)、5種類(10パターン)、10種類(5パターン)及び20種類(5パターン)の遺伝子(表8〜表12)を選択し、これら選択した遺伝子セットの発現シグナル値からなる各クラスターの平均発現プロファイル及び当該サンプルの個別発現プロファイルに基づき、全遺伝子を使用した時と同じクラスターに分類されるかを検証した結果、その頑健性を証明された。
即ち、各クラスターの遺伝子集団から無作為に選択された3種類〜20種類より成る各遺伝子セットについての各クラスターの平均発現プロファイル及び当該サンプルの個別発現プロファイルに基づき各々ピアソン相関係数を算出し分類を行っても、各クラスターの遺伝子集団に属する全ての遺伝子を使用して分類した場合と比較し、学習セットでは83〜96%、検証セットでは70〜100%の高い精度で同じクラスターに分類されることが示された (表13)。従って、少なくとも本明細書の表8〜12において具体的に記載された遺伝子セットの各パターンに含まれる全ての遺伝子(夫々、3個、5個、10個又は20個)を含む遺伝子セットの遺伝子のマイクロアレイ解析における発現のシグナル値の平均値に基づく発現プロファイルを上記の各クラスターを特徴付ける平均発現プロファイルとして使用することによっても、全遺伝子で行った場合と同様の高い精度で正確な予測が可能であることが確認された。
尚、表14〜19には、個別発現プロファイルの実測値の例として、3種類〜20種類より成る各遺伝子セットの中から選択した一つのパターンにおける検証セット(各2例)についての実際の発現シグナル値を示した。
3.クラスター間の症例背景の比較
対象患者90人の年齢は36-84歳 (中央値: 64歳)であり、性別は男性57名 (63%)、女性33名 (37%)であった。原発巣は直腸が33人 (37%)と最も多かった。臨床病期はIV期が48人 (53%)と最も多く、次いでIII期が33人 (37%)であった (表103)。各クラスターにおける患者背景について、性別、年齢、原発巣、未分化組織の有無、病期で比較した。クラスターA2は病期において他のクラスターと比較し有意に早期症例が多く認められた (p=0.02)。性別、年齢、原発巣および未分化組織の有無では有意差を認めなかった。また、クラスター間での治療内容には有意差を認めなかった。
4.クラスター間の分子生物学的背景の比較
分子生物学的背景として、大腸癌の発がんにおいて重要とされるKRAS、BRAF、PI3CAおよびTP53遺伝子の変異を解析した40。また、散発性大腸癌のMSI-HのほとんどはMLH1のプロモーターのメチル化による発現消失が原因とされるため、MLH1の免疫組織染色をMSIの評価のスクリーニングとして代用した41。クラスターA2はKRAS遺伝子野生型症例が有意に多く、クラスターB2はKRAS遺伝子変異型症例が有意に多く認められた (p<0.01) (表103)。BRAF、PIK3CA、TP53遺伝子の変異およびMLH1の発現にはクラスター間に有意差を認めなかった。
5.クラスター間の臨床像の比較
クラスター間のOSを比較した。まず、クラスターA1、A2、B1およびB2を比較した場合、全症例を対象とした解析では、有意差を認めなかった (図1a)。KRAS変異の有無による、抗EGFR抗体薬の治療効果のOSへの影響を除くため、KRAS変異の有無に分けて全生存期間の解析を行った。しかし、KRAS野生型、KRAS変異型ともにクラスター間ではOSに有意差を認めなかった (図1b,c)。さらに、クラスターAとB、クラスター1と2で比較してもOSに有意差を認めなかった (図2a,b,c)。
l-OHPを含む1次治療のPFSを比較すると、クラスターB1はA2と比較してPFSが長いことが認められた (p=0.048) (図3a)。また、クラスター1は2よりPFSが長いことが認められた (p=0.017) (図3b)。
CPT-11を含む1次治療のPFSを比較すると、有意差はないもののクラスターAはBよりPFSが長い傾向を認めた (p=0.13) (図4a,b)。
l-OHPまたはCPT-11を含む1次治療のPFSを比較すると、クラスターA1はB2と比較し、有意差は認めないもののクラスターA1で延長する傾向を認めた(P=0.15)(図5a)。また、クラスター1は2と比較し、有意差は認めないもののクラスター1で延長する傾向を認めた(P=0.15)。(図5b)
抗EGFR抗体薬の治療効果について検討を行った。KRAS変異型症例への抗EGFR抗体薬の投薬は本邦でKRAS変異解析が保険適応になる以前に臨床試験として行われている42。全症例のPFSをクラスター間で比較するとクラスターA2はB2よりも有意にPFSが延長した (p=0.01) (図6a)。KRAS野生型の症例で抗EGFR抗体の治療効果を比較したところ、有意差を認めないが、クラスターA2はB2よりPFSが延長する傾向を認めた (p=0.07) (図6b)。また、クラスターAとB、クラスター1と2で比較するとPFSに差を認めなかった (図7a, b)。
尚、本発明のクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及び、クラスター2遺伝子の種類及びそれら各遺伝子の発現平均値を表20〜表102に示す。尚、各遺伝子は、National Center for Biotechnology Information (NCBI), U.S. National Library of Medicine 8600 Rockville Pike, Bethesda MD, 20894 USA」のデータベースにおける、「EntrezGeneID」及び「GeneSymbol」で特定される。



本発明は抗癌剤及び抗EGFR抗体薬の治療対象患者を、それらに対する応答性に関してより精度良く選別し有効率の向上をもたらすことから、患者の負担軽減と医療費の無駄の削減に貢献することが期待される有用な技術である。
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Claims (11)

  1. (1)被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞から得た検体におけるクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子の発現量を測定する工程と、
    (2)前記発現量から得られた各クラスターの個別発現プロファイルと、予め求めた各クラスターの平均発現プロファイルとの間の相関係数を求める工程、及び
    (3)クラスターA又はクラスターBのいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに、及び、クラスター1又はクラスター2のいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに当該検体を帰属させる工程からなり、
    抗EGFR抗体投薬治療において、クラスターA2 に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間はクラスターB2に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間に比べて長いという基準に基づき、大腸癌患者の抗EGFR抗体に対する応答性を予測する方法。
  2. (1)被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞から得た検体におけるクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子の発現量を測定する工程と、
    (2)前記発現量から得られた各クラスターの個別発現プロファイルと、予め求めた各クラスターの平均発現プロファイルとの間の相関係数を求める工程、及び
    (3)クラスターA又はクラスターBのいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに、及び、クラスター1又はクラスター2のいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに当該検体を帰属させる工程からなり、
    オキサリプラチン (oxaliplatin: l-OHP)を含む1次治療において、クラスターB1に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間はクラスターA2に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間に比べて長いという基準に基づき、大腸癌患者の抗癌剤に対する応答性を予測する方法。
  3. (1)被験者の大腸癌組織又は大腸癌細胞から得た検体におけるクラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子の発現量を測定する工程と、
    (2)前記発現量から得られた各クラスターの個別発現プロファイルと、予め求めた各クラスターの平均発現プロファイルとの間の相関係数を求める工程、及び
    (3)クラスターA又はクラスターBのいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに、及び、クラスター1又はクラスター2のいずれかの平均発現プロファイルとの間の相関係数が大きい方のクラスターに当該検体を帰属させる工程からなり、
    オキサリプラチン (oxaliplatin: l-OHP)を含む1次治療において、クラスター1に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間はクラスター2に属する検体を提供した被験者の無憎悪生存期間に比べて長いという基準に基づき、大腸癌患者の抗癌剤に対する応答性を予測する方法。
  4. クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子に代えて、それらの各遺伝子集団から、夫々任意に選択した3個以上の遺伝子からなる遺伝子セットを使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子に代えて、それらの各遺伝子集団から、夫々任意に選択した5個以上の遺伝子からなる遺伝子セットを使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子に代えて、それらの各遺伝子集団から、夫々任意に選択した10個以上の遺伝子からなる遺伝子セットを使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子に代えて、それらの各遺伝子集団から、夫々任意に選択した20個以上の遺伝子からなる遺伝子セットを使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  8. 検体がホルマリン固定パラフィン包埋 (Formalin-Fixed Paraffin-Embedded : FFPE)組織である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 遺伝子の発現量を該遺伝子から転写されたRNAをDNAマイクロアレイにより測定する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. クラスターA遺伝子、クラスターB遺伝子、クラスター1遺伝子、及びクラスター2遺伝子の各遺伝子集団に含まれる全ての遺伝子について、各遺伝子の塩基配列の少なくとも一部、又は、
    これら各遺伝子集団の夫々から任意に選択した、3個、5個、10個若しくは20個から成る各遺伝子セットに含まれる全ての遺伝子について、各遺伝子の塩基配列の少なくとも一部、
    から成るポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に用いるためのキット。
  11. ポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドが標識されていることを特徴とする、請求項10記載のキット。
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