本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関する物理チャネルとキャリア・アグリゲーション、ランダムアクセス手順について説明する。
(1)物理チャネル
EUTRA及びAdvanced EUTRAで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルは、基地局装置から移動局装置へ送信される下りリンクにおける下りリンクチャネルと、移動局装置から基地局装置へ送信される上りリンクにおける上りリンクチャネルとが存在する。物理チャネルは、EUTRA、及びAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りの物理セル識別子(PCI:Physical Cell Identify)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルの物理セルIDを特定する。
物理報知情報チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報):System Information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンク共用チャネルを用いてレイヤ3メッセージで送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI:Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI:Tracking Area Identifier)などが通知される。
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク制御チャネル、または下りリンク共用チャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell−specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
下りリンク制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報の通知や、送信電力増減の指示、ランダムアクセス手順開始の指示などの目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバコマンドなど)を送受信する前に自局宛の下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラントと呼ばれる無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
下りリンク共用チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
上りリンク共用チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。物理ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、上りリンク制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求に物理ランダムアクセスチャネルを用いる。送信タイミング調整情報(TAコマンド)を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間(送信タイミングタイマーの値)を設定し、有効時間中(送信タイミングタイマー計時中)は送信タイミング調整状態、有効期間外(送信タイミングタイマー満了時あるいは送信タイミングタイマー計時停止時)は、送信タイミング非調整状態として上りリンクの状態を管理する。基地局装置は、移動局装置に対して個別プリアンブル系列(Dedicated preamble)を割り当てて、ランダムアクセス手順を開始させることも可能である。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
(2)キャリア・アグリゲーション
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域のセル(コンポーネントキャリア)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数帯域のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置は100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数帯域であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数帯域であってもよい。例えば、使用可能な周波数帯域が800MHz帯域、2.4GHz帯域、3.4GHz帯域である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯域、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯域、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯域で送信されていてもよい。
また、同一周波数帯域、例えば2.4GHz帯域内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々異なっていても良い。
また、1つの下りリンクのコンポーネントキャリアと1つの上りリンクのコンポーネントキャリアを組み合わせて1つのセルを構成する。尚、1つの下りリンクコンポーネントキャリアのみでも1つのセルを構成できる。基地局装置は、移動局装置の通信能力や通信条件にあった複数のセルを割り当て、割り当てた複数のセルを介して移動局装置と通信を行なうことができる。尚、移動局装置に割り当てられる複数のセルは、1つのセルをプライマリセルとし、それ以外のセルをセカンダリセルとしている。現状のAdvanced EUTRAでは、プライマリセルには、上りリンク制御チャネルPUCCHを割り当てや、ランダムアクセスチャネルRACHへのアクセス許可など特別な機能を設定している。
具体的なキャリア・アグリゲーションの動作として、基地局装置は移動局装置に対するコンポーネントキャリア(セカンダリセル)の追加やパラメータの修正、解放を移動局装置に通知することができる。前記通知には典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)が用いられる。例えば、基地局装置は移動局装置に対するコンポーネントキャリアの追加およびパラメータの修正を行う場合、セカンダリセル番号(sCellIndex)とそのセカンダリセル番号に対するパラメータとして、物理セル識別子やキャリア周波数情報、無線リソースに関するパラメータの設定情報などを移動局装置に通知し、通知された移動局装置は通知されたセカンダリセル番号のセカンダリセルが自局に既に設定されている場合は当該セカンダリセルのパラメータの修正とみなし、通知されたセカンダリセル番号が設定されていない場合はセカンダリセルの追加とみなす。また、セルの解放を行う場合、セカンダリセル番号が基地局装置から移動局装置に通知され、移動局装置は通知されたセカンダリセル番号のセカンダリセル情報を解放する。
また、移動局装置の消費電力低減およびリソース利用効率化のために、セルには活性状態(Activate状態)と不活性状態(Deactivate状態)の2つの状態が定義されている。割り当て直後(追加直後)のセカンダリセルは不活性状態であり、移動局装置は前記不活性状態のセカンダリセルでは下りリンクの受信処理を行わず(または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報を無視し)、上りリンクの送信処理も行わない。移動局装置は、不活性状態にあるセカンダリセルに対して基地局装置から活性化(Activate)が指示されることで、当該セカンダリセルを活性状態として、前記活性状態のセカンダリセルに対する下りリンクの受信処理を開始し(または、下りリンク制御チャネルで指示された無線リソース割り当て情報に従って動作し)、さらに、上りリンクの同期状態が確立されていれば送信処理を行うことができる。また、移動局装置は、活性状態にあるセカンダリセルに対して基地局装置から不活性化(Deactivate)が指示されることで、当該セカンダリセルを不活性状態とする。なお、プライマリセルは常に活性状態である。
さらに、上りリンクコンポーネントキャリアで移動局装置が送信する際の送信電力調整には、下りリンクコンポーネントキャリアの受信品質(基地局装置から送信された無線信号の電力が移動局装置で受信されるまでに減衰した量を示すパスロス値など)が用いられる。プライマリセルの送信電力調整には、当該プライマリセルの下りリンクの受信品質が用いられる。一方、セカンダリセルの送信電力調整には、プライマリセルか当該セカンダリセルの下りリンクの受信品質のいずれか一方に基づく。セカンダリセルの送信電力調整のために、プライマリセルと当該セカンダリセルの何れの下りリンクの受信品質を利用するかは、報知情報あるいは移動局装置毎に個別のレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)によって、基地局装置から移動局装置へ通知される。
しかし、移動局装置が、複数のセルを使用して基地局装置と通信を行なう場合、リレー局装置やリピータ(Repeater)などを介して基地局装置へ接続する場合がある。このような場合、移動局装置での下りリンクコンポーネントキャリアの受信タイミングと、上りリンクコンポーネントキャリア毎の基地局装置への送信タイミングの両方または一方がセル毎(あるいは1つ以上のセルを束ねたセルグループ毎)に異なり、更に各セルの上りリンクコンポーネントキャリア毎(あるいはセルグループの上りリンクコンポーネントキャリア毎)に基地局装置への送信タイミングが異なることとなる。そのため、移動局装置は、セル(あるいはセルグループ)毎に送信タイミングや送信電力の調整を行ない、同期状態を管理する必要がある。また、前記セルグループは同一の送信タイミング調整情報(TAコマンド)でタイミングを調整できるため、TAグループと称してもよい。
[本発明の通信ネットワーク構成の例]
図6は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数帯域(Band1〜4)を同時に用いて基地局装置2と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置2が各周波数帯域に対応する送信器21〜24(及び図示しない受信器)を備えており、各周波数帯域の制御を一つの基地局装置2で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。ただし、複数の周波数帯域が連続する周波数帯域であるなどの理由で、基地局装置2が一つの送信装置で複数の周波数帯域の送信を行なう構成であっても構わない。基地局装置2の送信装置によって制御される各周波数帯域の通信可能範囲はセルとしてみなされ、空間的に同一のエリアに存在する。このとき、各周波数帯域がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。また、移動局装置1は受信器14〜17(及び図示しない送信器)を用いて基地局装置2と通信を行うことが制御の簡略化の観点から好適であるが、一つの受信装置で複数の周波数帯域の受信を行なう構成であっても構わない。上りリンクの通信についても同様の構成が可能である。
ただし、後述する記載において、基地局装置2が形成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明するが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。なお、移動局装置1は、図示するようにリレー局装置(またはリピータ)を介して基地局装置2と無線接続されても良い。
また、図7は本発明の実施形態に係る無線通信構成の一例を示す図である。図7において、移動局装置1に対して割り当てられる周波数f1、f2のセルと周波数f3、f4のセルは送受信タイミングが異なることが想定される。そのため、基地局装置2および移動局装置1は、周波数f1、f2のセルを一つのセルグループ、周波数f3、f4のセルをもう一つのセルグループとして管理する。ここでは2つのセルグループとして管理する例を示したが、もちろん3つ以上のセルグループとして管理してもよい。
(3)ランダムアクセス手順
ランダムアクセス手順には、競合ベースランダムアクセス(Contention based Random Access)と非競合ベースランダムアクセス(Non−Contention based Random Access)の2つのアクセス手順がある。
競合ベースランダムアクセスは、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセス手順であり、基地局装置と接続(通信)していない状態からの初期アクセス時や、基地局装置と接続中であるが上りリンク同期が調整されていない状態で移動局装置に上りリンクデータ送信が発生した場合のスケジューリングリクエストなどに行われる。
また、非競合ベースランダムアクセスは、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセス手順であり、基地局装置と移動局装置が接続中であるが上りリンクの同期が調整されていない場合に、迅速に移動局装置と基地局装置との間の上りリンク同期をとるために用いられ、主にハンドオーバや移動局装置の送信タイミングが有効でない場合等の特別な場合に基地局装置から指示されて移動局装置がランダムアクセス手順を開始する(非特許文献1)。非競合ベースランダムアクセスは、RRC層のメッセージまたは下りリンク制御チャネルPDCCHの制御データにより指示される。
図8を用いて、従来のAdvanced EUTRAにおけるキャリア・アグリゲーション時の下りリンク制御チャネルPDCCHを用いた非競合ベースランダムアクセス手順を説明する。まず、基地局装置は、ランダムアクセス手順に必要な情報を下りリンク制御情報(DCI:Downlink Control Information)として、プライマリセルの下りリンク制御チャネルPDCCHを用いて、移動局装置に通知する(メッセージ0、ステップS81)。ランダムアクセス手順のためのDCIは既定のフォーマット(Format1A)で通知され、ランダムアクセスプリアンブル送信リソース割り当て情報(PRACH Mask Index)およびプリアンブル番号(Preamble Index)が含まれる。
自局宛の前記DCIが含まれるPDCCHを受信した移動局装置は、指定されたプリアンブル番号に対応するランダムアクセスプリアンブルをプライマリセルに割り当てられた上りリンクリソースを用いて送信する(メッセージ1、ステップS82)。
基地局装置は、移動局装置からのランダムアクセスプリアンブルを検出すると、ランダムアクセスプリアンブルから移動局装置と基地局装置との間の送信タイミングのずれ量を算出し、下りリンク制御チャネルPDCCHに前記ランダムアクセスプリアンブルを送信した移動局装置宛の応答(ランダムアクセスレスポンス)を示すためのランダムアクセスレスポンス識別情報(RA−RNTI:Random Access−Radio Network Temporary Identity)を配置し、下りリンク共用チャネルPDSCHに、前記タイミングのずれ量に基づいた送信タイミング調整情報、スケジューリング情報、および受信したランダムアクセスプリアンブルの識別子情報を含んだランダムアクセスレスポンスメッセージを送信する(メッセージ2、ステップS83)。
移動局装置は、下りリンク制御チャネルPDCCHにRA−RNTIがあることを検出すると、下りリンク共用チャネルPDSCHに配置されたランダムアクセスレスポンスメッセージの中身を確認し、送信したランダムアクセスプリアンブルの情報が含まれている場合、ランダムアクセスレスポンスメッセージに含まれる送信タイミング調整情報から上りリンクの送信タイミングを調整する。移動局装置は、送信タイミング調整情報を受信した場合に、受信した送信タイミング調整情報が有効である場合は送信タイミングタイマーをスタート(あるいは再始動)する。なお、この送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となる。送信タイミングが有効の間、移動局装置は、基地局装置へのデータ送信が可能であり、送信タイミングが無効の場合、ランダムアクセスプリアンブルの送信のみが可能である。また、送信タイミング調整情報が有効な期間を上りリンク同期状態と言い、送信タイミングが有効でない期間を上りリンク非同期状態とも言う。
ランダムアクセス手順完了以降の上りリンクの送信タイミングの更新は、例えば、基地局装置が移動局装置から送信される上りリンク参照信号(測定用参照信号、または、復調用参照信号)を測定して、送信タイミング調整情報を算出し、算出した送信タイミング調整情報含む送信タイミングメッセージを移動局装置に通知することで行なわれる。移動局装置は、基地局装置から通知された送信タイミング調整情報から上りリンクの送信タイミングを調整すると送信タイミングタイマーを再始動する。なお、基地局装置も移動局装置と同じ送信タイミングタイマーを保持しており、送信タイミングメッセージを送信した場合に送信タイミングタイマーをスタート、または、再始動する。このようにすることで、基地局装置と移動局装置で上りリンク同期状態を管理する。送信タイミングタイマーが満了すると調整した送信タイミングは無効となり、移動局装置は、ランダムアクセスプリアンブルの送信以外の上りリンク送信を停止する。
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判定される場合には、その詳細な説明を省略する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る移動局装置1の一例を示すブロック図である。本移動局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104、制御部105、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109、上位レイヤ110、無線送信設定部111から構成される。
受信に先立ち、上位レイヤ110は、移動局装置制御情報を制御部105に出力する。制御部105は、受信に関する移動局装置制御情報を受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103へ適切に出力する。受信制御情報は、受信スケジュール情報として、復調情報、復号化情報、受信周波数帯域の情報、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
受信部101は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、後述する基地局装置2から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部102へ出力する。復調部102は、受信信号を復調して復号部103へ出力する。復号部103は、受信制御情報に基づき復調された信号を正しく復号し、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ110へ出力する。上位レイヤ110は、下りリンク制御データにコンポーネントキャリアの追加、修正または解放などの情報や、割り当てられたコンポーネントキャリア(あるいは上りリンクと下りリンクのコンポーネントキャリアを合わせたセル)の活性化/不活性化情報が含まれる場合はコンポーネントキャリア管理部104に当該情報を通知し、コンポーネントキャリア管理部104は、通知された内容に基づき、自局に既に割り当てられたセカンダリセル番号のコンポーネントキャリア(セル)のパラメータ修正や解放を行ったり、あるいは新たなセカンダリセル番号のコンポーネントキャリア(セル)のパラメータを記憶したり、各セカンダリセルの活性/不活性状態の記憶を行ったりする。また、割り当てられた複数のセカンダリセルが異なる送受信タイミングを持つ場合には、同一の送受信タイミングとなる1つ以上のセルによって構成されるセルグループの情報を記憶する。前記セルグループの情報には、セルグループ毎の送受信タイミング、送信タイミングタイマー計時状況などの情報が含まれる。なお、コンポーネントキャリアの活性化/不活性化情報は、上位レイヤ110を介さずに復号部103からコンポーネントキャリア管理部104に通知されてもよい。
また、送信に先立ち、上位レイヤ110は、制御部105へ移動局装置制御情報を出力する。制御部105は、送信に関する移動局装置制御情報を送信制御情報として、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に出力する。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
上位レイヤ310は、符号部107へ上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データを上りリンクチャネルに応じて適切に出力する。符号部107は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部108に出力する。変調部108は、符号部107で符号化された信号の変調を行なう。また、変調部108は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。
送信部109は、変調部108から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信器から送信する。
また、復号部103で復号した信号に、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後にも適用するセルグループを示す情報が含まれていた場合、前記情報は上位レイヤ110を通じて(あるいは復号部103から直接)コンポーネントキャリア管理部104およびランダムアクセス処理部106に通知される。ランダムアクセス処理部106は、通知された情報と、コンポーネントキャリア管理部104から取得した各コンポーネントキャリア情報に基づき、ハンドオーバ後のランダムアクセス手順の要否を判断する。
また、ハンドオーバ後、コンポーネントキャリア管理部104は、ハンドオーバ前の送信タイミングを適用するセルグループに対して、活性状態とする処理を行う。また、前記セルグループに属するセルにおいては、送信タイミングタイマーが計時中であれば、ランダムアクセス手順を行わずに上りリンク送信を行うことが可能である。あるいは、ハンドオーバ後は不活性状態としつつ、送信タイミングタイマーの計時を継続してもよい。後者の場合、基地局装置2から前記セルグループの活性化を指示する信号を復調部103で復調した場合に、該当するセルを活性状態にする処理を行い、活性状態となったセルに対してはランダムアクセス手順を行わずに上りリンク送信を行う。前記送信タイミングタイマーは、移動局装置に対して1つのみが用意されていても、セルグループ毎に用意されていてもよい。
上りリンク制御データが配置される上りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(無線リソース制御メッセージ;RRCメッセージ)を構成する。移動局装置1のRRC部は上位レイヤ110の一部として存在する。また、ランダムアクセス処理部106は、移動局装置1のデータリンク層を管理するMAC(Medium Access Control)の一部として存在する。図1において、その他の移動局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
図2は、本発明の実施形態による基地局装置2の一例を示すブロック図である。本基地局装置2は、受信部201、復調部202、復号部203、制御部204、符号部205、変調部206、送信部207、ネットワーク信号処理部208、上位レイヤ209から構成される。
上位レイヤ209は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部205へ出力する。符号部205は、入力された各データを符号化し、変調部206へ出力する。変調部206は、符号化された信号の変調を行なう。また、変調部206は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。送信部207は、変調部206から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を図示しない1つ以上の送信器から既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンク共用チャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
また、受信部201は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信器を通じて、移動局装置1から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部202へ出力する。復調部202はデジタル信号を復調し、復号部203へ出力する。復号部203は、復調された信号を復号し、上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ209へ出力する。
上位レイヤ209は、これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報を制御部204へ出力する。制御部204は、送信に関連する基地局装置制御情報は送信制御情報として、符号部205、変調部206、送信部207の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報は受信制御情報として、受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に出力する。
一方、ネットワーク信号処理部208は、複数の基地局装置2間(または制御局装置(MME)、ゲートウェイ装置(Gateway)、MCE)と基地局装置2との間の制御メッセージの送信または受信を行う。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。制御メッセージは、S1インターフェースやX2インターフェースやM1インターフェースやM2インターフェースと呼ばれる論理インターフェース上でやり取りされる。
また、基地局装置2のRRC部は、上位レイヤ209の一部として存在する。図2において、その他の基地局装置2の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
続いて、本実施形態の通信システムにおけるハンドオーバ手順について、図3を用いて説明を行なう。なお、本実施形態では移動局装置1がハンドオーバによりハンドオーバ前の基地局装置(Source eNB)とハンドオーバ後の基地局装置(Target eNB)が異なる場合のセルに移る例を説明するが、これに限らず、同一基地局装置内のセル間の移動、特にプライマリセルの変更に適用することができる。
図3において、まず第1の基地局装置は、第2の基地局装置に対して移動局装置のハンドオーバ要求メッセージ(HANDOVER REQUEST)を通知する(ステップS31)。前記ハンドオーバ要求メッセージには、移動局装置の通信能力に関する情報やネットワークリソースの割り当て情報、無線リソースの割り当て情報(セカンダリセルの割り当て情報など)が含まれる。ステップS31によってハンドオーバ要求メッセージを受け取った第2の基地局装置は、ハンドオーバを承認する場合、第1の基地局装置に対してハンドオーバ要求承認メッセージ(HANDOVER REQUEST ACK)を通知する(ステップS32)。ハンドオーバ要求承認メッセージには、(変更の必要がある場合)セカンダリセルの割り当て情報と前記セルのセルグループ情報、前記セルグループに対するハンドオーバ後の送信タイミング設定についての情報が含まれる。前記ハンドオーバ要求承認メッセージを受け取った第1の基地局装置は移動局装置に対して、前記送信タイミング設定についての情報を含むRRC接続再設定メッセージ(RRCConfigurationReconfiguration)を通知し、ハンドオーバを移動局装置に指示する(ステップS33)。
前記RRC接続再設定メッセージを受け取った移動局装置は、前記メッセージに含まれる送信タイミング設定についての情報に基づいて、ハンドオーバ先のセルの同期状態を設定する(ステップS34)。移動局装置は、ハンドオーバ後のプライマリセルが属するセルグループの送信タイミングがハンドオーバ前の同セルグループの送信タイミングを適用するように指示されているかを判断する。プライマリセルがハンドオーバ前の送信タイミングを適用するように指示されたセルグループのセルでない場合、移動局装置は、従来と同様、ハンドオーバ先のプライマリセルに対して非競合ベースランダムアクセスを行い(ステップS35)、ハンドオーバ先のセルへの接続が成功すると、接続が成功したセルにおいて、RRC接続再設定完了メッセージ(RRCConfigurationReconfigurationComplete)を通知する(ステップS36)。RRC接続再設定完了メッセージを受け取った第2の基地局装置は第1の基地局装置に対してハンドオーバ完了(HANDOVER COMPLETE)を通知する(ステップS37)。ここで、ステップS34において、ハンドオーバ後のプライマリセルが属するセルグループの送信タイミングがハンドオーバ前の前記セルグループの送信タイミングを適用するように指示されたセルグループのセルである場合、移動局装置は、ステップS35のランダムアクセス処理を行わず、ステップS36のRRC接続再設定完了メッセージ通知を行う。ただし、移動局装置にRRC接続再設定完了メッセージ通知のための上りリンクリソースの割り当てがない場合には、ランダムアクセス手順により、上りリンクリソース割り当て要求を行う必要がある。
また、ステップS34において、移動局装置は、前記送信タイミング設定についての情報に基づいて、プライマリセルの属するセルグループ以外のセルグループに対しても、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するように指示されたセルグループでは、当該セルグループのセルは活性状態あるいはハンドオーバ前のセル状態(活性状態か不活性状態)を維持し、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するように指示されなかったセルグループでは、当該セルグループのセルはハンドオーバ後、従来と同様不活性状態とする。
第2の基地局装置は、ハンドオーバ完了後、移動局装置のセル状態およびセル同期状態に基づき、移動局装置に対するリソースの割り当てを行う。すなわち、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するように指示したセルグループのセルに対して移動局装置へのリソースを割り当てる際には、セルが活性状態であれば通常の割り当てを行い、セルが不活性状態であれば活性化を指示し、ランダムアクセス手順を実行させることなく上りリンクリソースの割り当てを行うようにする。
あるいは、ハンドオーバ後はプライマリセル以外のセルは不活性状態に遷移させつつ、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するように指示されたセルグループのセルに対しては、送信タイミングタイマーの計時を継続するようにしてもよい。この場合、移動局装置は、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するように指示されたセルグループのセルを活性化するメッセージを基地局装置から受信したときに、当該セルを活性状態とし、ランダムアクセス手順を行うことなく上りリンク送信が行える。
上述のように、移動局装置は、ハンドオーバの際に、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するか否かのセルグループ毎の情報を受け取ることで、前記情報に基づきハンドオーバ後のセル状態(活性状態か不活性状態)およびセル同期状態(ランダムアクセス手順の必要性の有無)を設定でき、基地局装置も前記情報に基づき当該移動局装置に対するリソースの割り当て、ランダムアクセス手順指示の必要性の有無を判断することができるため、不必要な活性化指示やランダムアクセス手順などを省くことができ、効率的なリソース利用、同期状態の管理が可能となる。
本実施形態において、前記ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するか否かのセルグループ毎の情報は、送信タイミングタイマーの計時を継続するか否かの情報としてもよいし、ランダムアクセス手順を必要とするか否かの情報としてもよい。また、前記情報はセル毎あるいはセルグループ毎に1ビットの情報としてRRC接続再設定メッセージに含めることが考えられる。
さらに、本実施形態ではステップS33において、RRC接続再設定メッセージにMCI(Mobiilty Control Info)が含まれる場合を想定しているが、MCIが含まれない場合(ハンドオーバではなくセルのパラメータ変更によるプライマリセル変更である場合)に適用することも可能である。例えば、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するように指示されたセルグループのセルへのプライマリセル変更である場合、あるいは送信タイミングタイマー計時中のセカンダリセルをプライマリセルとする場合に、移動局装置が、ステップS35のランダムアクセス処理を行わず、ステップS36のRRC接続再設定完了メッセージ通知を行うようにすればよい。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。
本実施形態に用いる移動局装置1と基地局装置2の構成は、第1の実施形態における、図1と図2とそれぞれ同じ構成で良いため説明を省略する。
第1の実施形態では、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するセルグループの情報が第1の基地局装置から通知される例を示したが、本実施形態では、ハンドオーバ後に活性状態とするセルあるいはセルグループが通知される例を示す。すなわち、本実施形態では、移動局装置1の復号部103で復号した信号にハンドオーバ後に活性状態とするセルあるいはセルグループの情報が含まれていた場合、前記情報は上位レイヤ110を通じて(あるいは復号部103から直接)コンポーネントキャリア管理部104に通知される。ハンドオーバ後、ランダムアクセス処理部106は、コンポーネントキャリア管理部104から取得した各セルの状態に基づき、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するか否かを判断する。
本実施形態の通信システムにおけるハンドオーバ手順について、図4を用いて説明を行う。なお、本実施形態ではハンドオーバ元の基地局装置(Source eNB)とハンドオーバ先の基地局装置(Target eNB)が同一の場合の例(プライマリセルの変更時の動作に好適な例)を説明するが、これに限らず、異なる基地局装置間のセル間の移動に適用することができる。
図4において、基地局装置は、移動局装置に対してハンドオーバ後のセル状態を示す情報を含むRRC接続再設定メッセージ(RRCConfigurationReconfiguration)を通知し、ハンドオーバを移動局装置に指示する(ステップS41)。
前記RRC接続再設定メッセージを受け取った移動局装置は、前記メッセージに含まれるハンドオーバ後のセル状態を示す情報に基づいて、ハンドオーバ先のセルおよび当該セルのセル状態を設定する(ステップS42)。移動局装置は、ハンドオーバ先のプライマリセルあるいはプライマリセルの属するセルグループが、前記情報によって活性状態とされているかを判断する。ハンドオーバ先のプライマリセルがあるいはプライマリセルが属するセルグループが不活性状態とされている場合、移動局装置は、従来と同様、ハンドオーバ先のプライマリセルに対して非競合ベースランダムアクセスを行い(ステップS43)、ハンドオーバ先のセルへの接続が成功すると、接続が成功したセルにおいて、RRC接続再設定完了メッセージ(RRCConfigurationReconfigurationComplete)を通知する(ステップS44)。ここで、ステップS42において、ハンドオーバ先のプライマリセルあるいはプライマリセルの属するセルグループが活性状態とされている場合、移動局装置は、前記プライマリセルが属するセルグループに対するハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用し、ステップS43のランダムアクセス処理を行わず、ステップS44のRRC接続再設定完了メッセージ通知を行う。ただし、移動局装置にRRC接続再設定完了メッセージ通知のための上りリンクリソースの割り当てがない場合には、ランダムアクセス手順により、上りリンクリソース割り当て要求を行う必要がある。
また、ステップS42において、移動局装置は、RRC接続再設定メッセージで通知されたハンドオーバ後のセル状態(活性状態か不活性状態)についての情報に基づいて、プライマリセル以外のセルやセルグループに対してもセル状態を設定する。また、移動局装置は、前記情報により活性状態に設定したセルあるいはセルグループに対して、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するように設定し、不活性状態に設定したセルあるいはセルグループに対してはハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後に適用しないように設定する。
基地局装置は、ハンドオーバ完了後、移動局装置に設定したセル状態に基づき、移動局装置に対するリソースの割り当てを行う。すなわち、活性状態を指示したセルあるいはセルグループに対して移動局装置のリソースを割り当てる際には、ランダムアクセス手順を実行させることなくリソースの割り当てを行うようにする。
上述のように、移動局装置は、ハンドオーバの際に、ハンドオーバ後のセル状態の設定情報を受け取ることで、前記情報に基づきハンドオーバ後のセル状態およびセル同期状態(ランダムアクセス手順の必要性の有無)を設定でき、基地局装置も前記情報に基づき当該移動局装置に対するリソースの割り当て、ランダムアクセス手順指示の必要性の有無を判断することができるため、不必要な活性化指示やランダムアクセス手順などを省くことができ、効率的なリソース利用、同期状態の管理が可能となる。
本実施形態において、前記ハンドオーバ後のセル状態の設定情報は、セル毎あるいはセルグループ毎に1ビットの情報としてRRC接続再設定メッセージに含めることが考えられる。
さらに、本実施形態ではステップS41において、RRC接続再設定メッセージにMCIが含まれる場合を想定しているが、MCIが含まれない場合(ハンドオーバではなくセルのパラメータ変更によるプライマリセル変更である場合)に適用することも可能である。例えば、活性状態を指示されたセルあるいはセルグループ内のセルへのプライマリセル変更である場合、移動局装置が、ステップS43のランダムアクセス処理を行わず、ステップS44のRRC接続再設定完了メッセージ通知を行うようにすればよい。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について以下に説明する。
本実施形態に用いる移動局装置1と基地局装置2の構成は、第1の実施形態における、図1と図2とそれぞれ同じ構成で良いため説明を省略する。
第1の実施形態では、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するセルグループの情報が第1の基地局装置から通知される例を示したが、本実施形態では、ハンドオーバ時に、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用するセルグループのセルのみが移動局装置に割り当てられる例を示す。すなわち、本実施形態では、移動局装置1の復号部103で復号した信号にハンドオーバ後のセル割り当て情報が含まれていた場合、前記情報は上位レイヤ110を通じて(あるいは復号部103から直接)コンポーネントキャリア管理部104に通知される。ハンドオーバ後、ランダムアクセス処理部106は、コンポーネントキャリア管理部104から取得したすべてのセルに対して、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用する。
本実施形態の通信システムにおけるハンドオーバ手順について、図5を用いて説明を行なう。なお、本実施形態ではハンドオーバ元の基地局装置(Source eNB)とハンドオーバ先の基地局装置(Target eNB)が同一の場合の例(プライマリセルの変更時の動作に好適な例)を説明するが、これに限らず、異なる基地局装置間のセル間の移動に適用することができる。
図5において、基地局装置は、移動局装置に対してハンドオーバ後にハンドオーバ前の送信タイミングを適用するセルグループのみを割り当てる情報を含むRRC接続再設定メッセージ(RRCConfigurationReconfiguration)を通知し、ハンドオーバを移動局装置に指示する(ステップS51)。
前記RRC接続再設定メッセージを受け取った移動局装置は、前記メッセージに含まれるセルの割り当て情報に基づいて、ハンドオーバ先のセルおよびセル状態を設定する(ステップS52)。移動局装置は、すべてのセルグループに対して各セルグループのハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用し、ランダムアクセス処理を行わず、接続したハンドオーバ先のセルおいて、RRC接続再設定完了メッセージ(RRCConfigurationReconfigurationComplete)を通知する(ステップS53)。
ハンドオーバ時、移動局装置は割り当てられたセルグループすべてにおいてハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用する。このとき、移動局装置は、ハンドオーバ後にすべてのセカンダリセルを従来のように不活性状態に遷移させてもよく、活性状態を維持するようにしてもよい。また、基地局装置はセル状態およびセルの同期状態に基づき、移動局装置に対してリソースの割り当てを行う。すなわち、ハンドオーバ時に移動局装置に割り当てたセルに対してリソースを割り当てる場合、前記セルに対しては、ハンドオーバ前の送信タイミングをハンドオーバ後も適用しているため、ランダムアクセス手順を行わずに上りリンク送信を行うことができる。また、ランダムアクセス手順の実行が必要なセルあるいはセルグループはハンドオーバ後にRRC接続再設定メッセージによって割り当てを行うようにする。すなわち、ハンドオーバ時に割り当てられたセルグループに属さないセルがハンドオーバ後に割り当てられる場合、上りリンク送信を行うためには、ランダムアクセス手順を行い、送信タイミングを調整する必要がある。
上述のように、移動局装置は、ハンドオーバの際に、ハンドオーバ後にハンドオーバ前の送信タイミングを適用できるセルグループのセルのみが割り当てられることで、送信タイミングの設定に関して複雑な処理を行う必要がなくなり、効率的なリソース利用、同期状態の管理が可能となる。
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。
また、上記実施形態ではRRC接続再設定メッセージにMCIを含む場合と含まない場合で同様の処理を行うことができることを述べたが、これに限らずMCIを含む場合は従来のハンドオーバを行い、MCIを含まない場合にのみ本願技術の処理を行うようにしてもよい。この場合、RRC接続再設定メッセージに送信タイミング設定に関する情報を明示的に含めず、ハンドオーバ前に同期状態であるセルグループはハンドオーバ後も同じ送信タイミングであると暗に設定してもよい。
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置及び基地局装置を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置及び基地局装置の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置や基地局装置の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上記各実施形態に用いた移動局装置および基地局装置の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。