JP5960523B2 - 加工澱粉と溶出制御剤からなる固形製剤 - Google Patents

加工澱粉と溶出制御剤からなる固形製剤 Download PDF

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Description

本発明は、加工澱粉と1種以上の溶出制御剤、及び、活性成分を含む固形製剤に関する。特に、医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の用途において、活性成分の溶出を徐放性に制御する固形製剤に関するものであり、より詳細には、イオン強度値やpH、アルコール濃度等の生体内環境や、胃腸管滞留時間の変動、胃腸管運動による影響も小さく、溶解度の極めて低い活性成分に対しても活性成分の溶出を徐放性に制御可能な固形製剤に関するものである。
医薬用途における徐放性固形製剤は、活性成分の血中濃度をコントロールすることにより、投与回数が減少し服用性が改善できること;生体内の消失半減期の短い活性成分の持続性が改善できること;血中最小濃度と副作用発現濃度幅の狭い活性成分の副作用を低減できること等から有用性の高い製剤である。活性成分の溶出を徐放性に制御する方法としては、活性成分を溶出制御基剤とともに均一に分散させて圧縮成形する方法が、安定した溶出制御性に加え構造や製造プロセスがシンプルであり開発速度も速いことから実用化の点で多く用いられている(マトリクスシステム)。溶出制御基剤には親水性の溶出制御基剤、親油性の溶出制御基剤、不活性の溶出制御基剤(熱可塑性ポリマー類に属する)等が利用されている。
親水性の溶出制御基剤の例としては、特許文献1等に記載されているように、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース誘導体が知られている。これらは、pHの影響を受けることなく活性成分を徐放性に制御できることや、経時安定性に優れる等の特徴を有しているが、イオン強度値の大きい溶液中ではイオン強度を作る溶質と水和を競合する。そのためゲル化が不十分となり、マトリクスの形状を維持できずに崩壊してしまう性質を有する。胃腸管でのイオン強度値はその領域のみならず、摂取した食物によっても異なり、約0.01〜約0.2の範囲で変動することが知られている。このため、セルロース誘導体は胃腸管の変動するイオン強度環境では、中程度以上のイオン強度で水和が抑制されマトリクスが崩壊してしまう問題も有していた。マトリクスの崩壊によって残りの活性成分の急激な溶出が生じる、いわゆる用量ダンピングが生じると、血中濃度が急激に上昇する。その結果、血中最小濃度と副作用発現濃度幅の狭い活性成分の効力次第では死に至る可能性もある。医薬品分野における徐放性固形製剤はイオン強度が変動する胃腸管環境の中でも正確な溶出制御を提供する必要がある。そのため、変動するイオン強度の溶液中、特にイオン強度が高い溶液中で安定した溶出制御性を有する徐放性固形製剤が求められている。
用量ダンピングを回避する手段としては、特許文献2、3にヒドロキシプロピルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロースの親水性ポリマーと共に前糊化澱粉を併用する技術が記載されている。しかし特許文献2で使用されている前糊化澱粉(好適な形態はドラム乾燥したワキシートウモロコシ澱粉)はそれ自体に徐放効果がなく、前糊化澱粉以外の徐放性基剤によりはじめて徐放化が達成されるものであった。また、前糊化澱粉は徐放性基剤を補助する効果しかないことから基剤と助剤の両方が必要で、それらの添加量が多く必要となり製剤が大型化するという問題があった。またイオン強度の高い溶液中の薬物溶出性は、イオン強度の低い溶液中でのそれと比較して、最大で50%以上も促進され十分な効果であるとは言い難い。特許文献3には、前糊化澱粉の0.8の固体率(solid fraction)での錠剤引張強度が0.15kN/cmである記載がある。しかし、上限の記載はなく、これらの特許文献の実施例で用いられている前糊化澱粉の引張り強度は0.220〜0.323kN/cmであるのに対して本発明の加工澱粉の引張り強度は0.7〜1.5kN/cmであり明らかに異なる。特許文献3では、前糊化澱粉をヒドロキシプロピルメチルセルロースと組合せることによって徐放性としているが、引張り強度が0.15kN/cm以上の澱粉が単独で徐放性を発現することについては記載も示唆もなく、またこれまで引張り強度が0.323kN/cmを超える澱粉は知られていなかった。さらに特許文献3では、澱粉の主な役割は結合剤であると考えられており、本発明の加工澱粉が溶出制御剤としての主な機能を果たすのに対して、その配合目的も異なる。
特許文献4には、本発明と同様、保水量が400%以上であり、ゲル押込み荷重値が200g以上であり、水溶性成分量が40〜95重量%であり、崩壊時間が5時間以上であり、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上であり、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上であり、かつ平均粒径が20μm以上50μm未満である加工澱粉と親水性高分子助剤(好ましい例としてポリエチレングリコール)や親水性助剤(好ましい例としてソルビトール)を併用する技術についての記載があり、イオン強度値やpH等の生体内環境、圧縮成形時の圧縮力、活性成分の種類や含量に影響を受けず、胃腸管滞留時間の変動も小さく、活性成分の溶出を0次溶出や2以上の段階、或いは時限溶出に制御可能であると述べている。しかし該加工澱粉単独、及び、該加工澱粉と特許文献4に具体的に列挙された親水性高分子や親水性助剤との併用では、溶解度の極めて低い活性成分を用いた場合やアルコール混合溶液中では用量ダンピングが発生し安定な徐放性を維持できない。また特許文献4に、該加工澱粉はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの親水性の溶出制御基剤と併用しても良いとの記載があるが、具体的な配合例はなく、またこれらの併用によって該加工澱粉単独での問題(溶解度の極めて低い活性成分を用いた場合やアルコール混合溶液中での用量ダンピング)を解決できることを示唆する内容の記載もない。
以上のように、イオン強度やpH等の生体内環境、アルコール濃度の影響を受けず、胃腸管滞留時間の変動も小さく、溶解度の極めて低い活性成分を用いても安定した徐放性に制御可能な固形製剤は、従来技術においては見当たらないのが現状であり、このような固形製剤が望まれていた。
米国特許第6296873号明細書 特表2002−541090号公報 特開2009−185051号公報 国際公開第2007/055329号パンフレット
本発明は、こうした実情の下に、イオン強度値やpH、アルコール濃度等の生体内環境や、胃腸管滞留時間の変動、胃腸管運動による影響も小さく、溶解度の極めて低い活性成分に対しても活性成分の溶出を徐放性に制御可能な固形製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の条件で製造した加工澱粉と特定の群から選択される溶出制御基剤を特定の重量配合比率で併用することにより、上記加工澱粉、もしくは上記溶出制御剤がそれぞれ本来有する徐放能力を損なうことなく、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)保水量が約400%以上であり、ゲル押込み荷重値が約200g以上であり、水溶性成分量が約40〜95重量%であり、崩壊時間が約5時間以上であり、目開き75μmの篩いを通過する粒子が約90重量%以上であり、目開き32μmの篩いを通過する粒子が約20重量%以上であり、かつ平均粒径が約20μm以上50μm未満である加工澱粉と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンの混合物、メタアクリル酸コポリマーからなる群より選択される溶出制御剤と、1種類以上の活性成分を含有した固形製剤であり、前記加工澱粉と前記溶出制御剤をそれぞれ95:5〜10:90の重量配合比率で含有することを特徴とする固形製剤。
(2)前記加工澱粉が、目開き75μmの篩いを通過する粒子が約98重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が約40重量%以上のものである、(1)に記載の固形製剤。
(3)前記加工澱粉の膨潤度が約6cm3/g以上10cm3/g以下である(1)又は(2)に記載の固形製剤。
(4)前記加工澱粉が、安息角45°以下であり、かつ見かけ比容積が1.4cm3/g以上3.6cm3/g以下のものである(1)〜(3)のいずれかに記載の固形製剤。
(5)前記加工澱粉のゲル体積が約100mm以上700mm以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の固形製剤。
(6)前記溶出制御剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイドである(1)〜(5)のいずれかに記載の固形製剤。
(7)前記加工澱粉と前記溶出制御剤との重量配合比率が90:10〜20:80である(1)〜(6)のいずれかに記載の固形製剤。
(8)前記加工澱粉と前記溶出制御剤との重量配合比率が87.5:12.5〜25:75である(1)〜(7)のいずれかに記載の固形製剤。
(9)前記の1種類以上の活性成分が医薬品薬効成分である(1)〜(8)のいずれかに記載の固形製剤。
(10)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンの混合物、メタアクリル酸コポリマーからなる群より選択される溶出制御剤を含む固形製剤において、pH1.2〜6.8、イオン強度0.14〜0.4、アルコール濃度0〜40体積%の試験液での溶出率の差を20%以内に調整することが可能である、保水量が400%以上であり、ゲル押込み荷重値が200g以上であり、水溶性成分量が40〜95重量%であり、崩壊時間が5時間以上であり、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上であり、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上であり、かつ平均粒径が20μm以上50μm未満である加工澱粉からなる溶出安定化剤。
本発明によれば、0.39以内のイオン強度やpH1.2〜6.8、0〜40体積%アルコール等の生体内環境に影響を受けず、生体内で想定されうるあらゆる液性での溶出率の差が±20%の範囲内を維持する徐放性固形製剤を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の加工澱粉(以下、単に「特定の加工澱粉」ということもある。)は、保水量が約400%以上であり、ゲル押込み荷重値が約200g以上であり、水溶性成分量が約40〜95重量%であり、崩壊時間が約5時間以上であり、目開き75μmの篩いを通過する粒子が約90重量%以上であり、目開き32μmの篩いを通過する粒子が約20重量%以上であり、かつ平均粒径が約20μm以上50μm未満の加工澱粉を含有する必要がある。この特定の加工澱粉は、活性成分の徐放性を担保するための溶出制御基剤として機能する。また、本発明に用いる加工澱粉は、澱粉質原料を物理的処理のみで加工した澱粉のことであり、特許文献WO2007/055329(特許文献4)に開示されているものを含む。
まず、この特性を有する特定の加工澱粉について説明する。この特定の加工澱粉は、保水量が約400%以上である必要がある。より好ましくは500%以上、特に好ましくは700%以上である。ここで保水量とは、乾燥した加工澱粉1gを20℃±5℃の純水に分散し遠心分離(2000G、10分)した後に澱粉が保持する純水量で定義する。保水量が400%以上で加工澱粉が水和してゲルを形成するため固形製剤が崩壊しにくくなり、かつ活性成分の拡散速度が保たれて十分な徐放性を発現しやすくなる。保水量が高いほどゲル形成能が高くなり、高いイオン強度下でもゲルが破壊されないので好ましいが、最大値は澱粉原料の特性に依存しせいぜい3000%までである。
また、特定の加工澱粉は、ゲル押込み荷重値が約200g以上である必要がある。ゲル押込み荷重値とは、加工澱粉0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を20℃±5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、0.1mm/secの速度で3mm直径の円柱状アダプターを押込んだ時の最大荷重で定義する。ここで、最大荷重とはゲル層の破断がある場合は破断時の荷重値、破断がない場合はアダプターがゲル化した円柱状成形体に5mm進入するまでに示した最大の荷重値とする。ゲル押込み荷重値が200g以上で、加工澱粉が形成するゲル層内での活性成分の拡散が速くなりすぎず十分な徐放性を発現しやすくなる。ゲル押込み荷重値が高いほど徐放能が高くなり好ましいが、せいぜい3000g程度である。
また、特定の加工澱粉は、水溶性成分量が約40〜95重量%の範囲にある必要がある。水溶性成分量は、以下の計算によって得られる値として定義される。すなわち、加工澱粉1gに20℃±5℃の純水99gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ;得られた分散液の40cmを50cmの遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離し;この上澄液30cmを秤量瓶に入れ;110℃で一定重量になるまで乾燥して水溶性成分の乾燥重量(g)を求める。さらに、加工澱粉1gを110℃で一定重量になるまで乾燥して加工澱粉の絶乾重量(g)を求める。これらの値と下式(1)により求めた値で定義する。

水溶性成分量(重量%)=(乾燥重量(g)×100÷30)÷
澱粉1gの絶乾重量(g)×100・・・(1)
水溶性成分量は、加工澱粉が加熱処理により糊化し水溶性となった糊成分の量を表す値である。水溶性成分量が40重量%以上で、水和速度が確保されて遅くなりすぎることがなく、徐放性固形製剤が溶媒と接した後すぐに多量の活性成分が溶出してしまうような現象が生じにくい。水溶性成分量が95重量%以下で、固形製剤の強度が確保され、十分な徐放性が得られやすくなる。また、胃腸管の機械的運動による負荷に耐えうるため過度に侵食されることなく溶出速度が一定範囲に確保される。
また本発明の機能性澱粉粉末は崩壊時間が約5時間以上である必要がある。崩壊時間とは澱粉粉末0.2gを50Mpaで圧縮して得られる直径0.8cmの円柱状成型体の試験液中での崩壊時間で定義する。ここで、試験液は第16改正日本薬局方の9.41(259ページ)に記載の第2液(pH6.8)であり、崩壊時間は第16改正日本薬局方の崩壊試験法に準じ、補助盤を使用して行う。崩壊時間が5時間未満であると十分な徐放性が得られない。所望の徐放性の程度に応じて上限値は決まるがせいぜい240時間程度である。
また、特定の加工澱粉は、目開き75μmの篩いを通過する粒子が約90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が約20重量%以上、且つ、平均粒径が約20μm以上50μm未満である必要がある。好ましくは、目開き75μmの篩いを通過する粒子が95重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が30重量%以上であり、特に好ましくは、目開き75μmの篩いを通過する粒子が98重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が40重量%以上である。特定の加工澱粉は、粒子が小さい方が膨潤性が小さく、ゲル強度も強い。そのため、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上、且つ、平均粒径が50μm未満であれば、澱粉粒子、及び該澱粉粒子からなる固形製剤の膨潤性が比較的小さい範囲に留まる。さらには、固形製剤からの活性成分の溶出が圧縮成形圧により変動しにくくなる。
また、特定の加工澱粉は、膨潤度が約6cm/g以上10cm/g以下であることが好ましい。加工澱粉の膨潤度は、加工澱粉1.0gを20±5℃の純水に分散させて100cmの沈降管に移し、全量を100cmとし、16時間放置した後、上下に分かれた下層の容積V(cm)と加工澱粉1.0gの乾燥重量(g)を測定し、下式(2)より求めた値と定義する。

加工澱粉の膨潤度(cm/g)=V(cm)/加工澱粉の乾燥重量(g)
・・・(2)
加工澱粉の膨潤度が6cm/gより大きいと、水和してゲルを形成するため活性成分の溶出を徐放性に制御しやすくなる。一方で、加工澱粉の膨潤度が10cm/gを超えると、該加工澱粉の膨潤に起因して固形製剤が膨潤してしまう。その結果、活性成分の溶出速度が遅延したり、或いは膨潤力に耐えられず固形製剤が崩壊してドーズダンピングを起こしてしまうので好ましくない。加工澱粉の膨潤度が6cm/g以上10cm/g以下の範囲で、活性成分が安定に徐放されやすくなるので好ましい。
特定の加工澱粉は、安息角が約45°以下であることが好ましい。好ましくは安息角が43°以下である。また、特定の加工澱粉は見かけ比容積が約1.4cm/g以上3.3cm/g以下であることが好ましい。安息角が45°以下で、かつ見かけ比容積が1.4〜3.6cm/gの範囲にある加工澱粉は、活性成分との混合性、分散性に優れるため、均一なゲルマトリクスを形成することができ、安定な徐放性としやすいので好ましい。
特定の加工澱粉はゲル体積が約100mm以上700mm以下であることが好ましい。ゲル体積とは、処方粉末0.18gを120MPaで圧縮して得られる直径0.8cmの円柱状成形体を用いて、第16改正日本薬局方に記載の溶出試験法(回転バスケット法100rpm、水900cm、試験液温度37±0.5℃)に準拠する方法で溶出試験を行った際に、4時間後の円柱状成形体を取り出してMRIを用いて算出されるゲル体積量と定義する。該円柱状成形体のゲル化速度が遅いか、該円柱状成形体表面のゲル層が浸食されやすいと、上記ゲル体積が小さくなる。ゲル体積が100mm以下になると、固形製剤表面のゲル層が十分に形成されず、活性成分を安定に徐放できない。一方、該円柱状成形体が過剰に膨潤すると、上記ゲル体積が大きくなる。ゲル体積が700mm以上になると、活性成分の溶出速度が遅延したり、固形製剤が外部からのシアを過剰に受けて崩壊してしまうので好ましくない。ゲル体積が100mm以上700mm以下の範囲で、活性成分が安定に徐放されやすくなるので好ましい。より好ましくは、200mm以上650mm以下であり、さらに好ましくは300mm以上600mm以下である。
次に、上述の特定の加工澱粉の製法について説明する。該加工澱粉は特許文献WO2007/055329(特許文献4)に開示された方法で製造することができる。特定の加工澱粉は、例えば澱粉質原料を水存在下60℃以上100℃未満で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程;次いで該膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程;及び得られた乾燥粉末を粉砕して粒度を調整する工程等により製造される。或いは、減圧下、100〜130℃で加熱処理された澱粉質原料を、さらに水存在下60〜150℃で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程;次いで膨潤させた粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程;及び得られた乾燥粉末を粉砕して粒度を調整する工程等により製造される。なお、澱粉粒子の外部に存在するアミロース、アミロペクチンとは、加熱処理による膨潤により外殻構造が崩壊した澱粉に由来する、澱粉粒子の外部に溶出されたアミロースとアミロペクチンである。また、澱粉質原料についての水存在下とは、澱粉質原料と水とが存在した状態であって、水分が40重量%以上である状態をいう。
製造に用いることができる澱粉質原料は、コメ、モチゴメ、トウモロコシ、モチトウモロコシ、アミロトウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、サトイモ、リョクトウ、バレイショ、ユリ、カタクリ、チューリップ、カンナ、エンドウ、シワエンドウ、クリ、クズ、ヤマノイモ、カンショ、ソラマメ、インゲンマメ、サゴ、タピオカ(キャッサバ)、ワラビ、ハス、ヒシ等の天然澱粉、老化澱粉、架橋澱粉等が例示される。澱粉質物質を含有するものであれば特に制限されないが、粒子の膨潤性が高く保水量を高く制御しやすいという観点からバレイショが好ましい。澱粉質原料は、上記のうち1種を使用してもよいし、2種以上を混合したものを使用することも自由である。また澱粉質原料の粒子の大きさは膨潤しやすさの観点から大きいほどよい。
澱粉質原料は、糊化開始温度が高くなり、粒子の膨潤性が高まるという観点から、例えば特開平4−130102号公報や特開平7−25902号公報に記載されているように、澱粉質原料に減圧下100℃〜130℃で加熱処理する等の、湿熱処理を施したものであればさらに良い。減圧条件は、700mmHg以下を維持できればよく、好ましくは10mmHg以上600mmHg以下である。
例えば、特開平4−130102号公報には、(1)減圧ラインと加圧蒸気ラインとの両方を付設し、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器に澱粉を入れ、減圧とした後、蒸気導入による加圧加熱を行い、あるいはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後冷却する湿熱処理方法;(2)(1)の方法に加えて、缶内温度を少なくとも120℃以上とすることで、水懸濁液を加熱した時、澱粉粒子の膨潤が認められるが実質的に粘度を示さず、α−アミラーゼ吸着能が著しく高い澱粉を製造する湿熱処理方法;(3)(1)または(2)の方法に加えて、加熱後減圧にして冷却する湿熱処理方法、が開示されている。これらの湿熱処理方法のいずれを用いてもよい。
また、特開平7−25902号公報には、(4)澱粉質系穀粒を湿熱処理して得られる湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法において、耐圧容器内に充填した澱粉質系穀粒を減圧する第1工程と、減圧後、蒸気を導入して加熱、加圧する第2工程を、少なくとも1回繰り返す湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法;(5)(4)の製造方法の第2工程において、加熱を80℃以上で、かつ5分〜5時間行う製造方法、が開示されている。これらの方法のいずれを用いてもよい。
これらの方法により、澱粉質原料を減圧下で湿熱処理された澱粉は、高温加熱により、粒子の内部が中空状で、粒子の外殻部の結晶性が増したものである。このような澱粉は、光学顕微鏡の偏光像に見られる偏光十字模様が、生澱粉よりも弱く、非複屈折性粒子が減少しているという特徴を有する。また中空部はアミロースやアミロペクチンの結晶状態がほぐれた構造になっていると思われ、α−アミラーゼによる消化性が生澱粉よりも増しているという特徴を有する。そのため、特定の加工澱粉として用いるのに適している。
また、澱粉質原料を湿熱処理するに際し、澱粉乳液を50〜95℃へ加温していく過程における澱粉乳液の粘度が、5%濃度に調整した場合に400ブラベンダーユニット(BU)以下の値であり、さらに好ましくは300BU以下である。かつ95℃で30分間保持した時の最大粘度が1000BU以下であることは好ましい。加熱処理により澱粉粒子を膨潤させる程度を調整しやすくするためである。
澱粉質原料の加熱の方法は、公知の方法であれば特に制限されない。例えば水存在下の澱粉質原料を、ジャケット付リアクターに入れてジャケットに蒸気を導入して加熱する方法;水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法;ドラム乾燥機の液溜め部で加熱する方法;噴霧乾燥時に蒸気を澱粉スラリーに供給しながら糊化と噴霧とを同時に行う方法等が挙げられる。澱粉粒子の加熱時間の観点から水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法が好ましい。加熱温度は、上記の種々の方法で澱粉を糊化した後の液温度が、90〜150℃であればよく、好ましくは90〜130℃、さらに好ましくは95〜130℃である。
乾燥方法は特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥及び溶剤置換による乾燥などが挙げられる。工業的には噴霧乾燥、ドラム乾燥が好ましい。また、乾燥時の液固形分は0.5重量%〜60重量%程度とするのが好ましい。0.5重量%以上で生産性が良くなり、60重量%以下で粘度が高くなりすぎず、収率が確保されて好ましい。さらには、1〜30重量%がより好ましく、1〜20重量%がさらに好ましい。
粉砕方法は特に制限はないが、例えば、コーンクラッシャー、ダブルロールクラッシャー、ハンマーミル、ボールミル、ロッドミル、ピン型ミル、ジェット型ミルなどが挙げられる。粉砕不足や過粉砕を避ける目的で、上記粉砕機と分級機を兼ねそろえた閉回路粉砕方式を取るのが好ましい。
目開き75μmの篩いを通過する粒子が約90重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が約20重量%以上、且つ平均粒径が約20μm以上50μm未満となるように粒度調整された、保水量が約400%以上、ゲル押込み荷重が約200g以上、水溶性成分量が約40〜95重量%の加工澱粉は、粒度未調整のものに比べて膨潤度が小さく、ゲル押込み荷重値が高いのが特徴である。また、加工澱粉は、見かけ比容積が約1.4〜3.6cm/gの範囲にあることが好ましいが、該加工澱粉の見かけ比容積は、乾燥工程における液濃度の大小にも影響され、また、スプレードライ乾燥工程においてアトマイザーの回転数にも影響される。そのため、見かけ比容積を上記の好ましい範囲とするには、これらの値を適宜調整すればよい。
本発明の固形製剤は、上記の特定の加工澱粉と特定の群より選択される溶出制御剤を併用する必要がある。当該溶出制御剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンの混合物、メタアクリル酸コポリマーからなる群より選択される。
ここで、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とは、セルロースのメチル及びヒドロキシプロピルの混合エーテルである。ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とはセルロースのヒドロキシプロピルエーテルである。ポリエチレンオキサイド(PEO)とは、HO−(CHCHO)n−CHCHOHで表わされる高分子量のものである。キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物に用いられるキサンタンガムとは、炭水化物をキサントモナス属菌を用いて発酵させ、精製した後乾燥し粉砕したもので、主としてD−グルコース,D−マンノース,D−グルクロン酸のナトリウム,カリウム及びカルシウム塩からなる多糖類である。ローカストビーンガムとは、豆科イナゴマメの種子から得られる多糖類であり、D−マンノースを主鎖に、D−ガラクトースを側鎖に持つガラクトマンナンガムの1種である。キサンタンガムとローカストビーンガムの質量比は、1:3〜3:1の範囲で使用される。これらの溶出制御剤は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の効果を妨げない限りにおいて、親油性の溶出制御基剤(例えば水素化したヒマシ油やステアリン、パルミチンなどのグリセリド類、セチルアルコールなどの高級アルコール類、ステアリン酸等の脂肪酸類、プロピレングリコールモノステアレートなどの脂肪酸エステル類等);不活性の溶出制御基剤(例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、酢酸ビニル/塩化ビニルのコポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、シリコーン、エチルセルロース、ポリスチレン等)等を使用することができる。
前記加工澱粉と前記溶出制御剤との重量配合比率は95:5〜10:90である。好ましくは90:10〜20:80である。さらに好ましくは87.5:12.5〜25:75であり、特に好ましくは75:25〜50:50である。
固形製剤における、前記加工澱粉と前記溶出制御剤を合わせた含有量は、約5.0〜99.9重量%である必要がある。前期加工澱粉と前記溶出制御剤の合計含有量が5重量%以上で活性成分の溶出を徐放性に制御しやすくなる。前記加工澱粉と前記溶出制御剤の合計含有量は、活性成分の種類や量によって適宜最適な量を選択することができるが、99.9重量%以上とすると活性成分の含有量が少なくなり十分な薬効を付与しにくくなるため上限はせいぜい99.9重量%とするのがよい。より好ましくは10〜99.9重量%であり、特に好ましくは20〜99.9重量%である。
本発明の固形製剤では、さらに、水への溶解度が20±5℃において約0.1〜5.0g/cmであり、かつ分子量が約1000以下である親水性助剤を併用することが好ましい。溶出制御基剤に親水性助剤を配合することにより、固形製剤内部へ水を浸入させ、特定の加工澱粉の水和を促進し、緻密なゲル層を形成させることができる。そのため、安定した溶出としやすくなり好ましい。親水性助剤の水への溶解度は、好ましくは0.2〜5.0g/cm、より好ましくは0.4〜5.0g/cmである。親水性助剤の水への溶解度が0.1g/cm以上であれば、マトリクス中に分散している水への溶解性の低い成分の作用にも係わらず、固形製剤内部への水の浸入が可能となる。その結果、緻密なゲル層が形成されて、固形製剤自体の膨潤力による亀裂や分割が生じ難くなるため好ましい。また、親水性助剤の水への溶解度が5.0g/cm以下であれば、固形製剤の吸水量が適度な範囲に留まって過剰吸水とならずに、固形製剤の強度が確保され、胃腸管の機械的運動による負荷に耐えうる。そのため、溶出速度が安定に保たれやすく好ましい。
本発明の固形製剤への前記水溶性助剤の配合は、特に、活性成分の水への溶解度が0.0001〜10mg/cmの範囲にあるときに好ましい。活性成分の水への溶解度が上記範囲にある時、固形製剤内部への水の進入が遅くなる傾向にある。このような場合において、前記親水性助剤を配合することで、水の進入を促進し、緻密なゲル層が形成するので好ましい。水への溶解度が、0.0001〜10mg/cmである活性成分としては、例えば医薬品分野においては第16改正日本薬局方に記載されている、水に溶けにくい医薬品(溶質1gを溶かすに要する溶媒量が100〜1000cm);水に極めて溶けにくい医薬品(溶質1gを溶かすに要する溶媒量が1000〜10000cm);水にほとんど溶けない医薬品(溶質1gを溶かすに要する溶媒量が10000cm以上)等を挙げることができる。
水への溶解度が0.1〜5.0g/cmで、分子量が1000以下の親水性助剤としては、親水性で比較的低分子量の有機物または無機塩等が挙げられる。具体的には、ソルビトールやマンニトール等の糖アルコール類;白糖や無水マルトース、スクロース、フルクトース、デキストラン、ブトウ糖などの糖類;ポリオキシエチレン硬化ひまし油やポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル等の界面活性剤;塩化ナトリウムや塩化マグネシウム等の塩類;クエン酸や酒石酸等の有機酸;グリシンやアラニン等のアミノ酸類;メグルミン等のアミノ糖類から選択される1種以上を用いることができる。親水性助剤として特に好ましいものとして、ソルビトールやスクロース等が挙げられる。
このように、特定の加工澱粉と特定の群より選択される溶出制御基剤を特定の重量配合比率で併用して得られた固形製剤は、上記加工澱粉、もしくは上記溶出制御剤がそれぞれ本来有する徐放能力を損なうことなく、体内のイオン強度やアルコール濃度に影響されにくく、体内で想定されうるあらゆる液性においても活性成分を安定に徐放性に制御でき、溶解度の極めて低い活性成分を用いても安定した徐放性とすることができる。
活性成分の溶出率は次のようにして求める。重量0.18g、直径0.8cm、圧縮成形圧120〜160MPaの条件で静圧プレスを用いて成形した固形製剤を用い、第16改正日本薬局方に記載の溶出試験法(回転パドル法)に準拠する方法で溶出試験を行う。試験液として、水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2。以下、「第1液」と記載する。)と第2液(pH6.8。以下、「第2液」と記載する。)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40、組成:リン酸水素二ナトリウム173.9mM、クエン酸13.1mMのもの。以下、「Mc液」と記載する。)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液(以下、「20%EtOH液」と記載する。)と40%エタノールと60%第1液の混合液(以下、「40%EtOH液」と記載する。)を用い、試験液900cm、パドル回転数50rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で溶出試験を行う。
本発明において徐放性がpH、イオン強度及びアルコール濃度に影響されにくいとは、生体内で変動するpH、イオン強度、アルコール濃度の範囲において溶出性が変わらないことをいう。具体的には、pHが1.2〜6.8の範囲、イオン強度が0.14〜0.4の範囲、アルコール濃度が0〜40体積%の範囲で溶出率の差が20%以下となる。この範囲で、いわゆる用量ダンピングが生じず、活性成分の溶出を徐放性に制御可能となる。溶出率の差は好ましくは15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。
pH、イオン強度、アルコール濃度による溶出率の差は、基準となる試験液とpH、イオン強度、アルコール濃度の異なる試験液間の溶出率の差として、次のようにして求める。
<溶出率1> 重量0.18g、直径0.8cm、圧縮成形圧120〜160MPaの条件で静圧プレスを用いて成形した活性成分を含有する固形製剤を用い、第16改正日本薬局方に記載の溶出試験法(回転パドル法)に準拠する方法で溶出試験を行う。まず、水を試験液に用い、試験液900cm、パドル回転数50rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で溶出試験を行う。既定した経過時間毎の各時点において、活性成分の溶出率を求める。これを溶出率1とする。
<溶出率2> また、日本薬局方記載の第1液(pH1.2)を試験液に用い、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率2とする。
<溶出率3> また、日本薬局方記載の第2液(pH6.8)を試験液に用い、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率3とする。
<溶出率4> また、Mc液(pH7.2、イオン強度0.40)を試験液とし、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率4とする。
<溶出率5> また、20%EtOH液(アルコール濃度20体積%)を試験液とし、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率5とする。
<溶出率6> また、40%EtOH液(アルコール濃度40体積%)を試験液とし、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率6とする。
水を試験液として用いたときの溶出率1を基準として、各時点における溶出率1と溶出率2〜6の差の中で、2時間後,9時間後の時点での溶出率の差を試験液間の溶出率の差として定義する。
pH,イオン強度,アルコール濃度の異なる試験液間の溶出率の差が20%以下であれば、胃腸管の領域や摂取した食物の影響を受けて変動するpHやイオン強度、アルコール濃度の違いによる活性成分の溶出速度の変動が小さい範囲に留まる。その結果、正確な活性成分の溶出制御を行うことが可能となる。
次に、活性成分とは、固形製剤が投与された体内等の周辺環境に対して、化学的または生物学的に望ましい影響を与える成分をいう。例えば、医薬品薬効成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、界面活性剤等をいう。活性成分は、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状等のいずれの性状でもよいし、粉末、細粒、顆粒等のいずれの形態でもよい。活性成分は、それ単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。活性成分としては、徐放性に対する要求性能が厳しい医薬品薬効成分とするのが最も好ましい。
医薬品薬効成分としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の固形製剤は、(a)4〜8時間以下のオーダーの短い半減期を持ち、通例の調製物中で投与される時に1日に数回に分けた用量で摂取しなければならないか、または(b)狭い治療指数を持つか、または(c)全胃腸管にわたり十分に吸収される必要があるか、または(d)治療に効果的な用量が比較的少量である等の、何れか1つ又は2つ以上の特徴を有する1種以上の医薬品薬効成分を製剤化するために特に有用である。以下に、固形製剤で用いることのできる医薬品薬効成分について例示するが、これらに限定されるものではない。
鎮痛および抗炎症性薬剤(NSAID、フェンタニール、インドメタシン、イブプロフェン、エトキシベンツアミド、ケトプロフェン、ナブメトン(nabumetone)、パラセタモール、ピロキシカム、トラマドール、セロコキシブ(celecoxib)およびロフェコキシブ(rofecoxib)のようなCOX−2インヒビター);
抗不整脈剤(プロカインアミド、キニジン、ベラパミル);
抗細菌および抗原生動物剤(アモキシリン、アンピシリン、ベンザチン ペニシリン、ベンジルペニシリン、セファクロール、セファドロキシル、セフプロジル(cefprozil)、セフロキシム アキセチル(cefuroxime axetil)、セファレキシン、クロラムフェニコール、クロロキン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン(clarithromycin)、クラブラン酸、クリンダマイシン、ドキシサイクリン(doxyxyclin)、エリスロマイシン、フルクロキサシリン(flucloxacillin) ナトリウム、ハロファントリン(halofantrine)、イソニアジド、硫酸カナマイシン、リンコマイシン、メフロキン、ミノサイクリン、ナフシリン ナトリウム、ナリジクス酸、ネオマイシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン(ofloxacin)、オキサシリン、フェノキシメチル-ペニシリン カリウム、ピリメタミン-スルファドキシム、ストレプトマイシン);
抗凝固剤(ワルファリン);
抗鬱剤(アミトリプチリン、アモキサピン、ブトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン(dothiepin)、ドキセピン、フルオキセチン、レボキセチン(reboxetine)、アミネプチン(amineptine)、セレジリン、ジェピロン、イミプラミン、炭酸リチウム、ミアンセリン、ミルナシプラン(milnacipran)、ノルトリプチリン、パロキセチン(paroxetine)、セルトラリン(sertraline);3−[2−[3,4−ジヒドロベンゾフラン[3,2−c]ピリジン−2(1H)−イル]エチル]−2−メチル−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン);
抗糖尿病剤(グリベンクラミド(glibenclamide)、メトホルミン);
抗癲癇剤(カルマバゼピン、クロナゼパム、エトスクシミド、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン、レベチラセタム(lavetiracetam)、フェノバルビトン(phenobarbitone)、フェニトイン、プリミドン、チアガビン(tiagabine)、トピラメート(topiramate)、バルプロミド(valpromide)、ビガバトリン);
抗菌剤(アンホテリシン、クロトリマゾール、エコナゾール、フルコナゾール(fluconazole)、フルシトシン、グリセオフルビン、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール、硝酸ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン(terbinafine)、ボリコナゾール(voriconazole));
抗ヒスタミン剤(アステミゾール、シンナリジン(cinnarizine)、シプロヘプタジン、デカルボエトキシロラタジン(decarboethoxyloratadine)、フェキソフェナジン(fexofenadine)、フルナリジン、レボカバスチン(levocabastine)、ロラタジン(loratadine)、ノルアステミゾール(norastemizole)、オキサトミド(oxatomide)、プロメタジン、テルフェナジン);
抗高血圧剤(カプトプリルエナラプリル、ケンタセリン、リジノプリル、ミノキシジル、プラゾシン、ラミプリル(ramipril)、レセルピン、テラゾシン);
抗ムスカリン作用剤(硫酸アトロピン、ヒオスシン);
抗腫瘍剤および代謝拮抗物質(シスプラチン、カルボプラチンのような白金化合物;パクリタキセル、ドセタキセル(docetaxel)のようなタキサン(taxane);カンプトテシン(camptothecin)、イリノテカン(irinotecan)、トポテカン(topotecan)のようなテカン(tecan);ビンブラスチン、ビンデシン、ビンクリスチン、ビノレルビン(vinorelbine)のようなビンカ アルカロイド;5−フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、ジェムシタビン(gemcitabine)、メルカプトプリン、チオグアニン、クラドリビン(cladribine)、メトトレキセートのようなヌクレオシド誘導体および葉酸アンタゴニスト;ナイトロジェン マスタード、例えばシクロホスファミド、クロラムブシル(chlorambucil)、クロルメチン(chlormethine)、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン(melphalan)、あるいはニトロソウレア、例えばカルムスチン、ロムスチンのようなアルキル化剤、あるいは他のアルキル化剤、例えばブスルファン、ダルカルバジン、プロカルバジン、チオテパ;ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン(idarubicin)、エピルビシン(epirubicin)、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシンのような抗生物質;トラスツズマブ(trastuzumab)のようなHER 2抗体;エトポシド、テニポシド(teniposide)のようなポドフィロトキシン誘導体;ファルネシル トランスフェラーゼ インヒビター;ミトザントロンのようなアントラキノン誘導体);
抗偏頭痛剤(アルニジタン(alniditan)、ナラトリプタン(naratriptan)、スマトリプタン(sumatriptan));
抗パーキンソン剤(ブロモクリプチン メシレート(bromocryptine mesylate)レボトバ、セレジリン);
抗精神性、催眠性および鎮静剤(アルプラゾラム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、クロルプロマジン(chlorpromazine)クロザピン、ジアゼパム、フルペチキソール、フルフェナジン、フルラゼパム、9−ヒドロキシリスペリドン(hydroxyrisperidone)、ロラゼパム、マザペルチン(mazapertine)、オランザピン(olanzapine)、オキサゼパム、ピモジド、ピパンペロン、ピラセタム(piracetam)、プロマジン、リスペリドン(risperidone)、セルホテル(selfotel)、セロクエル(seroquel)、セルチンドール(sertindole)、スルピリド、テマゼパム、チオチキセン、トリアゾラム、トリフルペリドール、ジプラシドン(ziprasidone)、ゾルピデム);
抗発作剤(ルベルゾール(lubeluzole)、ルベルゾール オキシド(lubeluzole oxide)、リルゾール(riluzole)、アプチガネル(aptiganel)、エリプロジル(eliprodil)、レマセミド(remacemide));
鎮咳剤(デキストロメトルファン、レボドロプロピジン(laevodropropizine));
抗ウイルス剤(アシクロビル、ガンシクロビル、ロビリド(loviride)、チビラピン(tivirapine)、ジドブジン、ラミブジン(lamivudine)、ジドブジン+ラミブジン、ジダノシン(didanosine)、ザルシタビン(zalcitabine)、スタブジン(stavudine)、アバカビル(abacavir)、ロピナビル(lopinavir)、アンプレナビル(amprenavir)、ネビラピン(nevirapine)、エファビレンズ(efavirenz)、デラビルジン(delavirdine)、インジナビル(indinavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、リトナビル(ritonavir)、サキナビル(saquinavir)、アデホビル(adefovir)、ヒドロキシウレア);
ベータ-アドレナリン作用性受容体剤(アテノロール、カルベディロール、メトプロロール、ネビボロール(nebivolol)、プロパノルオール);
心変力性剤(アムリノン、ジギトキシン、ジゴキシン、ミルリノン);
コルチコステロイド(ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメゾン、ブデソニド(budesonide)、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン);
殺菌剤(クロルヘキシジン);
利尿剤(アセタゾラミド、フルセミド(frusemide)、ヒドロクロロチアジド、イソソルビド);
酵素;
精油(アネトール、アニス油、キャラウェイ、カルダモン、カシア油、シネオール、シナモン油、クローブ油、コリアンダー油、脱メントール化(dementholised)ミント油、ディル油、ユーカリ油、オイゲノール、ジンジャー、レモン油、からし油、ネロリ油、ナツメグ油、オレンジ油、ペパーミント、セージ、スペアミント、テルピネオール、タイム);
胃腸薬(シメチジン、シサプリド(cisapride)、クレボプリド(clebopride)、ジフェノキシラート、ドンペリドン、ファモチジン、ランソプラゾール(lansoprazole)、ロペルアミド(loperamide)、ロペルアミド オキシド(loperamide oxide)、メサラジン(mesalazine)、メトクロプラミド(metoclopramide)、モサプリド(mosapride)、ニザチジン、ノルシスアプリド(norcisapride)、オルサラジン(olsalazine)、オメプラゾール、パントプラゾール(pantoprazole)、ペルプラゾール(perprazole)、プルカロプリド(prucalopride)、ラベプラゾール(rabeprazole)、ラニチジン、リドグレル(ridogrel)、スルファサラジン(suphasalazine));
止血剤(アミノカプロン酸);
脂質調節剤(アトルバスチン(atorvastine)、セバスタチン、プラバスタチン、プロブコール、シンバスタチン);
局所麻酔剤(ベンゾカイン、リグノカイン(lignocaine));
オピオイド鎮痛剤(ブプレノルフィン、コデイン、デキストロモルアミド、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、モルフィネ);
副交感神経作用性および抗痴呆剤(AIT−082、エプタスチグミン(eptastigmine)、ガランタミン、メトリホナート、ミラメリン(milameline)、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、タクリン、ドネペジル(donepezil)、リバスチグミン(rivastigmine)、サブコメリン(sabcomeline)、タルサクリジン(talsaclidine)、キサノメリン(xanomeline)、メマンチン(memantine)、ラザベミド(lazabemide));
ペプチドおよびタンパク質(抗体、ベカルプレルミン(becaplermine)、シクロスポリン、エリスロポエチン、免疫グロブリン、インスリン);
性ホルモン(卵胞ホルモン:抱合卵胞ホルモン、エチニルエストラジオール、メストラノール、エストラジオール、エストリオール、エストロン;プロゲステロン;酢酸クロマジン、酢酸シプロテン、17-デアセチル ノルゲスチメート(deacetyl norgestimate)、デソゲストレル(desogestrel)、ジエノゲスト(dienogest)、ジドロゲステロン、エチノジオール(ethynodiol) ジアセテート、ゲストデン(gestodene)、3−ケト デソゲストレル(keto desogestrel)、レボノルゲストレル(levonorgestrel)、リネストレノール、酢酸メトキシプロゲステロン、メゲステロール、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、ノルエチノドレル、ノルゲスチメート(norgestimate)、ノルゲストレル、ノルゲストリエノン(norgestrienone)、プロゲステロン、酢酸キンゲスタノール);
刺激剤(シルデナフィル(sildenafil));
血管拡張剤(アムロジピン、ブフロメジル(buflomedil)、亜硝酸アミル、ジルチアゼム、ジピリダモール、三硝酸グリセリル、イソソルビドジニトレート、リドフラジン、モルシドミン(molsidomine)、ニサルジピン、ニフェジピン、オキシペンチフィリン(oxpentifylline)、三硝酸ペンタエリスリトール);
上記の物質のN−オキシド、上記の物質の医薬的に許容され得る酸または塩基付加塩、および上記の物質の立体化学異性体。
本発明における固形製剤には、活性成分の他に、必要に応じて結合剤、崩壊剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤等の他の成分を含有しても構わない。また他の成分は希釈剤として使用してもよい。
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、トレハロース等の糖類;マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコマンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類;結晶セルロース(例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製、セオラス(登録商標))、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類;アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類;ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類;リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等が挙げられる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
結合剤として使用できる結晶セルロースとしては、圧縮成形性に優れるものが好ましい。圧縮成形性に優れる結晶セルロースを使用することにより、低打圧で打錠できるため打圧で失活する活性成分の活性維持が可能であり、顆粒含有錠にすることができ、少量添加で硬度を付与できる。そのため、嵩高い活性成分の錠剤化や多種類の活性成分を含む薬剤の錠剤化が可能である。従って、場合によっては小型化でき、液状成分の担持性に優れ、打錠障害を抑制できる等の利点がある。商業的に入手可能である圧縮成形性に優れる結晶セルロースとしては、「セオラス」UF−711、KG−802、KG−1000(旭化成ケミカルズ株式会社製)等が利用できる。
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類;結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類;クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等が挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類を挙げることができる。それ単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等が挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
ここで、水への溶解度が0.0001〜100mg/cmの範囲にある活性成分に対しては、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の臼杵への付着を防止できる点で、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。また、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の流動性確保、および圧縮成形物の破断荷重を増強できる点で、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。なかでも、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軟質無水ケイ酸から選択される1種以上と、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとの組み合わせを用いると、打錠粉末の臼杵への付着防止、打錠粉末の流動性確保、圧縮成形物の破断荷重の増強を同時に満たすことができるので好ましい。また、水への溶解度が100〜100000mg/cmの範囲にある活性成分に対しては、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の臼杵への付着を防止できる点で、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。また、溶出性への影響が少なく、打錠粉末の流動性確保、および圧縮成形物の破断荷重を増強できる点で、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸から選ばれる1種以上を用いるのが好ましい。なかでも、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、軽質無水ケイ酸から選択される1種以上と、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとの組み合わせを用いると、打錠粉末の臼杵への付着防止、打錠粉末の流動性確保、圧縮成形物の破断荷重の増強を同時に満たすことができるので好ましい。
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィリンナトリウム、酸化チタン、リボフラビンなどを挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等を挙げることができる。上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の固形製剤は、医薬品分野で通常行われる固形製剤の圧縮成形による製造法の何れを用いても製造することができる。例えば、活性成分と、特定の加工澱粉及び溶出制御剤と、必要により結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分を均一に混合した後に打錠する直接粉末圧縮法を用いることができる。他の例では、活性成分と特定の加工澱粉及び溶出制御剤、必要により結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分とを湿式造粒、或いは乾式造粒し、得られた顆粒に必要により溶出制御基剤や結合剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色料、甘味剤等の成分を加えて打錠する湿式造粒打錠法や乾式造粒打錠法により製造することができる。
固形製剤とするための圧縮成形機としては、例えば、静圧プレス機、シングルパンチ打錠機、ロータリー打錠機、多層錠剤成形機、有核打錠等の圧縮機を使用でき、特に制限されない。
また、本発明の効果を損なわない限り、固形製剤それ自体に、活性成分の溶出性の制御や味のマスキングや防湿等の目的でコーティングが施されていてもよい。コーティング剤としては、例えばセルロース系コーティング剤(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等);アクリルポリマー系コーティング剤(オイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等);シェラック、シリコン樹脂等から選択される1種以上を用いることができる。これらのコーティング剤の使用方法は公知の方法を用いることができる。コーティング剤は有機溶媒に溶解しても、水に懸濁させて用いてもよい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例、比較例における各試験法、及び物性の測定方法は以下の通りである。
(1)溶出試験 パドル法
溶出試験(パドル法)は、第16改正日本薬局方に記載の溶出試験法(パドル法)に準拠する方法で、試験液として、水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2。以下、「第1液」と記載する。)と第2液(pH6.8。以下、「第2液」と記載する。)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40、組成:リン酸水素二ナトリウム173.9mM、クエン酸13.1mMのもの。以下、「Mc液」と記載する。)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液(以下、「20%EtOH液」と記載する。)と40%エタノールと60%第1液の混合液(以下、「40%EtOH液」と記載する。)を用い、試験液900cm、パドル回転数50rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で溶出試験を行う。
(2)粒度分布 32μmより小さい粒子数
JIS篩の目開き32μmを利用し、測定試料5gを5分間エアージェットシーブで篩分した時、篩を通過する測定試料の重量百分率より求める。
(3)粒度分布 75μmより小さい粒子数
JIS篩の目開き75μmを利用し、測定試料10gを5分間エアージェットシーブで篩分した時、篩を通過する測定試料の重量百分率より求める。
(4)粒度分布 平均粒経(μm)
JIS篩目開き500μm、300μm、250μm、212μm、150μm篩を用い、測定試料20gを15分間ロータップ式篩振盪機(平工作所製シーブシェーカーA型)で篩分する。次に、150μm篩を篩過した測定試料5gを、JIS篩目開き75μmを用い、5分間エアージェットシーブで篩分する。更に、150μm篩を篩過した測定試料5gを、JIS篩目開き32μmを用い、5分間エアージェットシーブで篩分する。各篩の篩上重量百分率[%]を求め、累積重量百分率が50%の時の粒子径として求める。
(5)水溶性成分量(%)
加工澱粉1gに20℃±5℃の純水99gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ、得られた分散液の40cmを50cmの遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離する。この上澄液30cmを秤量瓶に入れ、110℃で一定重量になるまで乾燥して乾燥重量(g)を測定する。また、澱粉1gを110℃で一定重量になるまで乾燥して絶乾重量(g)を測定する。これらの測定値及び下式(3)により求めた値を水溶性成分量と定義する。

水溶性成分(%)=(乾燥重量×100÷30)÷絶乾重量×100 ・・・(3)
(6)保水量
乾燥した加工澱粉W0(g)(約1g)を、約15cmの20℃±5℃の純水が入った50cm遠沈管へ少しずつ入れ、かき混ぜながら透明〜半透明になるまで純水に分散させる。50cm沈降管の7割程度になるよう20℃±5℃の純水を追加して遠心分離(2000G、10分)する。遠心分離終了後すぐに分離した上層を切り捨てた後、下層に残る重量W(g)(澱粉+澱粉が保持する純水量)から下式(4)により保水量を求める。

保水量(%)=100×(W−W0)/W0・・・・(4)
(7)崩壊時間(hr)
崩壊時間は、加工澱粉0.2gを50MPaで圧縮して得られる直径0.8cmの円柱
状成型体の試験液中での崩壊時間で定義される。試験液は第16改正日本薬局方259ペ
ージに記載の第2液(pH6.8)であり、崩壊試験は第16改正日本薬局方の崩壊試験
法に準じ、補助盤を使用して行う。
(8)ゲル押込み荷重値(g)
ゲル押込み荷重は、加工澱粉0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13c
mの円柱状成型体を純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、レオメーター(RHEONER、RE−33005、YAMADEN製)を使用し、0.1mm/secの速度で3m
m円柱状のアダプターを押込んだ時の最大荷重と定義する。最大荷重とはゲル層の破断が
あれば破断時の、破断がなければアダプターがゲル化した円柱状成型体に5mm侵入する
までに示した最大の荷重値とする。5個の値の平均値で算出する。
(9)ゲル体積(mm
ゲル体積は、加工澱粉と結晶セルロース(「セオラス」KG−802、旭化成ケミカルズ株式会社製)とアセトアミノフェン(コヴィディエンジャパン株式会社製)とを60/30/10の重量比になるように均一に混合した処方粉末0.18gを、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮して得られる直径0.8cmの円柱状成形体を用いて、第16改正日本薬局方に記載の溶出試験法(回転バスケット法100rpm、水900cm、試験液温度37±0.5℃)に準拠する方法で溶出試験を行い、4時間後の円柱状成形体を取り出してMRI(卓上型MRI Pharma Sence)を用いて算出する。MRI測定は、パルスシーケンス:SEMS、画像スライス厚:2mm、TR:1000ms、TE:10msの条件にて15時間行ない、得られたMRI画像中のコントラストの違いにより、ゲル層部分(黄、赤、緑色)と水が浸透していない部分(紺、紫、黒色)に区別して、ゲル層部分の体積をゲル体積として算出する。
(10)加工澱粉の膨潤度(cm/g)
加工澱粉1.0gを20±5℃の純水に分散させて100cmの沈降管に移し、全量を100cmとし、16時間放置する。その後、上下に分かれた下層の容積V(cm)と加工澱粉1.0gの乾燥重量(g)を測定し、下式(5)より算出する。
加工澱粉の膨潤度(cm/g)=V/加工澱粉の乾燥重量・・・・・(5)
(11)安息角(°)
杉原式安息角測定器(薬剤学27、p.260、1965年)を使用して求める。
(12)見かけ比容積(g/cm
スコットボリュームメーター(筒井理化学機器株式会社)を用いて測定する。粉体試料を定量フィーダーを用いて2−3分かけて測定容器内に粉体があふれるまで流下させる。次いで容器の上部に堆積した過剰量の粉体をすり落とし、また、容器の側面に付着した試料を除去する。その後、容器に疎充填された粉体重量を量る。測定容器の容積を容器に疎充填された粉体重量で除した値を見かけ比容積とする。
(13)pH、イオン強度、アルコール濃度の異なる試験液間の溶出率の差
基準となる試験液とpH、イオン強度、アルコール濃度の異なる試験液間の溶出率の差として、次のようにして求める。
<溶出率1> 重量0.18g、直径0.8cm、圧縮成形圧120〜160MPaの条件で静圧プレスを用いて成形した活性成分を含有する固形製剤を用い、第16改正日本薬局方に記載の溶出試験法(回転パドル法)に準拠する方法で溶出試験を行う。まず、水を試験液に用い、試験液900cm、パドル回転数50rpm、試験液温度37±0.5℃の条件で溶出試験を行う。既定した経過時間毎の各時点において、活性成分の溶出率を求める。これを溶出率1とする。
<溶出率2> また、日本薬局方記載の第1液(pH1.2)を試験液に用い、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率2とする。
<溶出率3> また、日本薬局方記載の第2液(pH6.8)を試験液に用い、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率3とする。
<溶出率4> また、Mc液(pH7.2、イオン強度0.40)を試験液とし、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率4とする。
<溶出率5> また、20%EtOH液(アルコール濃度20体積%)を試験液とし、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率5とする。
<溶出率6> また、40%EtOH液(アルコール濃度40体積%)を試験液とし、上記と同様にして各時点の溶出率を求め、これを溶出率6とする。
上記のように、水を試験液として用いたときの溶出率1を基準として、各時点における溶出率1と溶出率2〜6の差の中で、2時間後,9時間後の時点での溶出率の差を試験液間の溶出率の差として定義する。例えば、水(基準)を試験液としたときの2時間後の溶出率が40%であり、第1液を試験液としたときの2時間後の溶出率が45%であるとき、両者の溶出率の差を「+5%」と表す。
(14)溶出試験結果の判定
水を試験液として用いた溶出試験で得られた溶出率を基準とし、2時間後,9時間後の時点での試験液間の溶出率の差が全て±10%以内であれば○、1つでも±10%より大きく±20%以内であれば△、1つでも±20%より大きければ×と判定する。
[製造例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)した。次いで、加圧蒸気(125℃)にて20分湿熱処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を5%濃度に調整した場合の粘度は、220ブラベンダーユニット(BU)であった。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度100℃)し、噴霧乾燥した。その後、分級機を内蔵したピン型ミルを用いて粉砕・分級処理を行い、本発明の加工澱粉Aを得た。加工澱粉Aの基礎物性を表1に示した。
[実施例1]
アセトアミノフェン(水への溶解度15.8mg/ml、マリンクロット社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/36/4/10/35/5の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率は90:10である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表2に示す。
[実施例2]
加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比以外は全て実施例1と同様にし、加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを30/10(加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率は75:25)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[実施例3]
加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比以外は全て実施例1と同様にし、加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを20/20(加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率は50:50)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[実施例4]
加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比以外は全て実施例1と同様にし、加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを8/32(加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率は20:80)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
実施例1〜4について、加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。さらに、加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率が75:25〜50:50の範囲では溶出率の差が±10%以内となり、より優れた製剤となることが分かる。
[実施例5]
アセトアミノフェン(水への溶解度15.8mg/ml、マリンクロット社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/高粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/30/10/10/35/5の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量配合比率は75:25である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表2に示す。
[実施例6]
加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量比以外は全て実施例5と同様にし、加工澱粉A/高粘度ヒドロキシプロピルセルロースとを20/20(加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量配合比率は50:50)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[実施例7]
加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量比以外は全て実施例5と同様にし、加工澱粉A/高粘度ヒドロキシプロピルセルロースとを10/30(加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量配合比率は25:75)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
実施例5〜7について、加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。さらに、加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量配合比率が75:25〜50:50の範囲では溶出率の差が±10%以内となり、より優れた製剤となることが分かる。
[実施例8]
アセトアミノフェン(水への溶解度15.8mg/ml、マリンクロット社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/ポリエチレンオキサイド(アルコックス E−240、明成化学工業株式会社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/30/10/10/35/5の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aとポリエチレンオキサイドの重量配合比率は75:25である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表2に示す。
[実施例9]
加工澱粉Aとポリエチレンオキサイドの重量比以外は全て実施例8と同様にし、加工澱粉A/ポリエチレンオキサイドとを20/20(加工澱粉Aとポリエチレンオキサイドの重量配合比率は50:50)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[実施例10]
加工澱粉Aとポリエチレンオキサイドの重量比以外は全て実施例8と同様にし、加工澱粉A/ポリエチレンオキサイドとを10/30(加工澱粉Aとポリエチレンオキサイドの重量配合比率は25:75)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
実施例8〜10について、加工澱粉Aとポリエチレンオキサイドの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。さらに、加工澱粉Aとポリエチレンオキサイドの比率が75:25〜50:50の範囲では溶出率の差が±10%以内となり、より優れた製剤となることが分かる。
[実施例11]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)をメチルセルロース(METHOCEL、ダウケミカル社製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[実施例12]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)をヒドロキシエチルセルロース(ダイセル化学製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[実施例13]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)(20重量%分)をキサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)10重量%、ローカストビーンガム(三栄源エフ・エフ・アイ社製)10重量%とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。
溶出試験結果を表2に示す。得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[実施例14]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)をポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンの混合物(コリドンSR、バスフ製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[実施例15]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)をオイドラギットRSPO(デグサ製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[製造例2]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)した。次いで、加圧蒸気(120℃)にて20分湿熱処理したものを原料とし、固形分濃度7.5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を5%濃度に調整した場合の粘度は、380ブラベンダーユニット(BU)であった。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度100℃)し、噴霧乾燥した。その後、分級機を内蔵したピン型ミルを用いて粉砕・分級処理を行い、本発明の加工澱粉Bを得た。加工澱粉Bの基礎物性を表1に示した。
[実施例16]
加工澱粉Aを加工澱粉Bとする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[比較例1]
アセトアミノフェン(水への溶解度15.8mg/ml、マリンクロット社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/40/10/35/5の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて120MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例2]
加工澱粉Aをヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K100、ダウケミカル社製)とする以外は比較例1と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例3]
加工澱粉Aをヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)とする以外は比較例1と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例4]
加工澱粉Aをヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K100M、ダウケミカル社製)とする以外は比較例1と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例5]
加工澱粉Aを高粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)とする以外は比較例1と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。
溶出試験結果を表2に示す。
[比較例6]
加工澱粉Aをポリエチレンオキサイド(POLYOX、ダウケミカル社製)とする以外は比較例1と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
比較例1〜6で得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性との溶出率の差が±20%以上となる液性があり、溶出制御剤単独添加では全ての液性で±20%以内の溶出率の差とはならない事が分かる。
[比較例7]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)をポリエチレングリコール6000:マクロゴール6000(三洋化成工業株式会社製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例8]
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)をソルビトールSP(興和創薬社製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
比較例7〜8で得られた固形製剤は、どちらも基準となる水の2時間後、9時間後の溶出率が大幅に促進され、加工澱粉A単独添加での溶出性を損なう結果となり、徐放性を示さなかった。
[比較例9]
加工澱粉Aをバレイショα化澱粉(マツノリンM、松谷化学製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例10]
加工澱粉Aをコーンα化澱粉(三和澱粉工業株式会社製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例11]
加工澱粉Aをハイアミロースコーンα化澱粉(三和澱粉工業株式会社製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例12]
加工澱粉Aをワキシーコーンα化澱粉(三和澱粉工業株式会社製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例13]
加工澱粉Aを部分α化澱粉(PCS、三和澱粉工業株式会社製)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
[比較例14]
加工澱粉Aを部分α化澱粉(Starch1500)とする以外は実施例3と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表2に示す。
比較例9〜14で得られた固形製剤は、基準となる水の2時間後、9時間後の溶出率が大幅に促進され、ヒドロキシプロピルメチルセルロース単独添加での溶出性を損なう結果となり、徐放性を示さなかった。
Figure 0005960523
Figure 0005960523
[実施例17]
エテンザミド(水への溶解度0.97mg/ml、エトキシベンツアミドA、エーピーアイコーポレーション社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/30/10/10/35/5の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの比率は75:25である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて160MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表3に示す。
[実施例18]
加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比以外は全て実施例17と同様にし、加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを20/20(加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率は50:50)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
実施例17〜18で加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[実施例19]
エテンザミド(水への溶解度0.97mg/ml、エトキシベンツアミドA、エーピーアイコーポレーション社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)と、親水性助剤であるソルビトール(興和創薬社製)とを10/30/10/10/15/5/20の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースとソルビトールの比率は50:17:33である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて160MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表3に示す。
[実施例20]
加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比以外は全て上記と同様にし、加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを20/20(加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースとソルビトールの重量配合比率は33:33:33)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
実施例19〜20で加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が実施例17及び18の時よりもさらに小さく±10%以内となり、親水性助剤を加える事でpH・イオン強度・エタノール濃度の影響を受けずさらに優れた固形製剤とすることが出来る。
[実施例21]
エテンザミド(水への溶解度0.97mg/ml、エトキシベンツアミドA、エーピーアイコーポレーション社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/高粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/30/10/10/35/5の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの比率は75:25である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて160MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。
[実施例22]
加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量比以外は全て上記と同様にし、加工澱粉A/高粘度ヒドロキシプロピルセルロースとを20/20(加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量配合比率は50:50)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
実施例21〜22で加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[実施例23]
エテンザミド(水への溶解度0.97mg/ml、エトキシベンツアミドA、エーピーアイコーポレーション社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/高粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)と、親水性助剤であるソルビトール(興和創薬社製)とを10/30/10/10/15/5/20の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースとソルビトールの重量配合比率は50:17:33である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて160MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表3に示す。
[実施例24]
加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量比以外は全て上記と同様にし、加工澱粉A/高粘度ヒドロキシプロピルセルロースとを20/20(加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースとソルビトールの重量配合比率は33:33:33)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
実施例23〜24で加工澱粉Aと高粘度ヒドロキシプロピルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が実施例21及び22の時よりもさらに小さく±10%以内となり、親水性助剤を加える事でpH・イオン強度・エタノール濃度の影響を受けずさらに優れた固形製剤とすることが出来る。
[比較例15]
エテンザミド(水への溶解度0.97mg/ml、エトキシベンツアミドA、エーピーアイコーポレーション社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/40/10/35/5の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて160MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表3に示す。
[比較例16]
加工澱粉Aをヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)とする以外は比較例15と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
[比較例17]
加工澱粉Aを高粘度ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)とする以外は比較例15と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。
溶出試験結果を表3に示す。
[比較例18]
加工澱粉Aをポリエチレンオキサイド(POLYOX、ダウケミカル社製)とする以外は比較例15と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表3に示す。
比較例15〜18で得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性との溶出率の差が±20%以上となる液性があり、溶出制御剤単独添加では全ての液性で±20%以内の溶出率の差とはならない事が分かる。
Figure 0005960523
[実施例25]
ニフェジピン(水への溶解度0.01mg/ml、東京化成工業株式会社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/30/10/10/35/5の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率は75:25である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて140MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表4に示す。
[実施例26]
加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比以外は全て実施例25と同様にし、加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを20/20(加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量配合比率は50:50)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表4に示す。
実施例25〜26で加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が±20%以内であり、pH・イオン強度・エタノール濃度の影響がなく優れた製剤であることが分かる。
[実施例27]
ニフェジピン(水への溶解度0.01mg/ml、東京化成工業株式会社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)と、親水性助剤であるソルビトール(興和創薬社製)とを10/30/10/10/15/5/20の重量比になるように均一に混合する。この時の加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースとソルビトールの重量配合比率は50:17:33である。混合した処方粉末を、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて140MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表4に示す。
[実施例28]
加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比以外は全て上記と同様にし、加工澱粉A/ヒドロキシプロピルメチルセルロースとを20/20(加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースとソルビトールの重量配合比率は33:33:33)に配合比率を変えた処方で固形製剤を作成し、溶出試験を行った。溶出試験結果を表4に示す。
実施例27〜28で加工澱粉Aとヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量比を変えた固形製剤は、全て基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性の溶出率との差が実施例17及び18の時よりもさらに小さく±10%以内となり、親水性助剤を加える事でpH・イオン強度・エタノール濃度の影響を受けずさらに優れた固形製剤とすることが出来る。
[比較例19]
ニフェジピン(水への溶解度0.01mg/ml、東京化成工業株式会社製)/製造例1で得られた加工澱粉A/結晶セルロース「セオラス」KG−802(旭化成ケミカルズ製)/スーパータブ(DMV社製)/クラウンタルク(松村産業社製)とを10/40/10/35/5の重量比になるように均一に混合し、静圧プレス(MODEL−1321DW CREEP/アイコーエンジニアリング株式会社製)を用いて140MPaの圧力で圧縮し、直径0.8cm、重量0.18gの固形製剤とし、溶出試験を行った。試験液は水と日本薬局方記載の第1液(pH1.2)と第2液(pH6.8)とMcilvaine液(pH7.2、イオン強度0.40)と20体積%エタノールと80体積%第1液の混合液と40%エタノールと60%第1液の混合液を使用した。溶出試験結果を表4に示す。
[比較例20]
製造例1で得られた加工澱粉Aをヒドロキシプロピルメチルセルロース(METHOCEL−K4M、ダウケミカル社製)とする以外は比較例19と同様に操作し、処方粉末を固形製剤とし、溶出試験を行った。溶出試験結果を表4に示す。
比較例19〜20で得られた固形製剤は、基準とする水の2時間後、9時間後の時点での溶出率とその他の液性との溶出率の差が±20%以上となる液性があり、溶出制御剤単独添加では全ての液性で±20%以内の溶出率の差とはならない事が分かる。
Figure 0005960523
本発明の固形製剤は、加工澱粉と1種以上の溶出制御剤、及び活性成分を含み、該溶出制御剤が本来有する徐放能力を損なうことなく、イオン強度やpH、アルコール濃度等の生体内環境や、胃腸管滞留時間の変動、胃腸管運動による影響も小さく、溶解度の極めて低い活性成分に対しても活性成分の溶出を徐放性に制御可能な固形製剤として、医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の用途で用いられる。

Claims (10)

  1. 保水量が400%以上であり、ゲル押込み荷重値が200g以上であり、水溶性成分量が40〜95重量%であり、崩壊時間が5時間以上であり、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上であり、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上であり、かつ平均粒径が20μm以上50μm未満である加工澱粉と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンの混合物、メタアクリル酸コポリマーからなる群より選択される溶出制御剤と、1種類以上の活性成分を含有した固形製剤であり、前記加工澱粉と前記溶出制御剤をそれぞれ95:5〜10:90の重量配合比率で含有することを特徴とする固形製剤。
  2. 前記加工澱粉が、目開き75μmの篩いを通過する粒子が98重量%以上、目開き32μmの篩いを通過する粒子が40重量%以上のものである請求項1に記載の固形製剤。
  3. 前記加工澱粉の膨潤度が6cm3/g以上10cm3/g以下である請求項1又は2に記載の固形製剤。
  4. 前記加工澱粉が、安息角45°以下であり、かつ見かけ比容積が1.4cm3/g以上3.6cm3/g以下のものである請求項1〜3のいずれかに記載の固形製剤。
  5. 前記加工澱粉のゲル体積が100mm以上700mm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の固形製剤。
  6. 前記溶出制御剤がヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイドである、請求項1〜5のいずれかに記載の固形製剤。
  7. 前記加工澱粉と前記溶出制御剤との重量配合比率が90:10〜20:80である請求項1〜6のいずれかに記載の固形製剤。
  8. 前記加工澱粉と前記溶出制御剤との重量配合比率が87.5:12.5〜25:75である請求項1〜7のいずれかに記載の固形製剤。
  9. 前記の1種類以上の活性成分が医薬品薬効成分である請求項1〜8のいずれかに記載の固形製剤。
  10. ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガムとローカストビーンガムの混合物、ポリビニルアセテートとポリビニルピロリドンの混合物、メタアクリル酸コポリマーからなる群より選択される溶出制御剤を含む固形製剤において、水を試験液として用いたときの溶出率を基準として、pH1.2〜6.8、イオン強度0.14〜0.4、アルコール濃度0〜40体積%の試験液での溶出率の差を20%以内に調整することが可能である、保水量が400%以上であり、ゲル押込み荷重値が200g以上であり、水溶性成分量が40〜95重量%であり、崩壊時間が5時間以上であり、目開き75μmの篩いを通過する粒子が90重量%以上であり、目開き32μmの篩いを通過する粒子が20重量%以上であり、かつ平均粒径が20μm以上50μm未満である加工澱粉からなる溶出安定化剤。
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