図1は、測定システム1の構成を示すシステム構成図である。測定システム1は、アクセスポイント10、測定サーバ20及び無線端末30を備える。アクセスポイント10は、測定サーバ20及び無線端末30と通信する。アクセスポイント10は、測定サーバ20との間では有線通信によって通信する。アクセスポイント10は、無線端末30との間では無線通信によって通信する。測定サーバ20は、無線端末30から送信されたデータをアクセスポイント10を介して受信することによって、アクセスポイント10と無線端末30との間の通信環境を表す指標を取得する。通信環境を表す指標を取得する事によって、通信環境の測定が行われる。以下、測定システム1の詳細について説明する。
アクセスポイント10は、無線通信装置との間で無線通信を行う。アクセスポイント10は、無線通信装置と他の通信装置(有線通信装置又は無線通信装置)との間で通信を中継する。アクセスポイント10は、例えば無線LAN(Local Area Network)の基地局であってもよいし、移動通信システム(例えば3Gシステム)の基地局であってもよいし、他の中継装置であってもよい。測定システム1において、アクセスポイント10の無線通信の通信環境が測定の対象である。
測定サーバ20は、アクセスポイント10と有線通信経路で接続される情報処理装置である。測定サーバ20は、操作者40によって操作される。測定サーバ20は、アクセスポイント10を介して無線端末30と通信することによって、アクセスポイント10の通信環境の指標を取得する。
なお、アクセスポイント10と測定サーバ20との間の通信路は、有線通信に限られず、無線通信によって構成されてもよい。ただし、アクセスポイント10と無線端末30との間の通信環境の指標をより精度良く取得するためには、アクセスポイント10と測定サーバ20との間の通信経路は安定かつ高速な通信経路であることが望ましい。
図2は、測定サーバ20の機能構成を表す概略ブロック図である。測定サーバ20は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備える。測定サーバ20は、測定プログラムを実行することによって、通信部21、表示部22、入力部23、設定情報記憶部24及び制御部25を備える装置として機能する。なお、測定サーバ20の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。測定プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。測定プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
通信部21は、ネットワークインタフェースである。通信部21は、有線LANやUSB(Universal Serial Bus)等の通信ケーブルを介して他の装置と通信する。本実施形態では、通信部21は、通信ケーブルを介してアクセスポイント10と接続される。なお、通信部21とアクセスポイント10との間に他の中継装置が配置されてもよい。
表示部22は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部22は、画像表示装置を測定サーバ20に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、表示部22は、画像表示装置に表示される映像の信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に信号を出力する。
入力部23は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部23は、操作者40の指示を測定サーバ20に入力する際に操作者40によって操作される。入力部23は、入力装置を測定サーバ20に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部23は、入力装置において操作者40の入力に応じ生成された入力信号を測定サーバ20に入力する。
設定情報記憶部24は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。設定情報記憶部24は、測定サーバ20がアクセスポイント10の通信環境を測定するに際して必要となる情報(以下、「設定情報」という。)を記憶する。設定情報は、例えば自装置(測定サーバ20)のIPアドレス、無線端末30のIPアドレス、トラフィックの方向を示す情報を含む。
制御部25は、CPUが測定プログラムを実行することによって、測定部251及び子機制御部252として機能する。
測定部251は、無線端末30から送信されて通信部21によって受信されるデータ(測定用データ)に基づいて、通信環境の指標を取得する。例えば、測定部251は、受信された測定用データのトラフィック総量、スループット(Mbit/sec)等の値を取得する。測定サーバ20とアクセスポイント10との間の通信環境が、アクセスポイント10と無線端末30との間の通信環境よりも充分に高速である場合、取得される指標は、アクセスポイント10と無線端末30との間の通信環境を示す指標として捉えることができる。
子機制御部252は、測定部251が通信環境の測定を行うに際して、無線端末30との間で必要となる処理を行う。子機制御部252は、例えば無線端末30に対し制御信号を送信する。無線端末30は、子機制御部252によって送信される制御信号に基づいて動作する。
無線端末30は、アクセスポイント10と無線通信経路で接続される情報処理装置である。無線端末30は、アクセスポイント10を介して測定サーバ20と通信する。例えば、無線端末30は、測定サーバ20から送信される制御信号に応じて、所定のデータを測定サーバ20に送信する。
図3は、無線端末30の機能構成を表す概略ブロック図である。無線端末30は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。無線端末30は、測定プログラムを実行することによって、通信部31、表示部32、入力部33、設定情報記憶部34及び制御部35を備える装置として機能する。なお、無線端末30の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。測定プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。測定プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
通信部31は、ネットワークインタフェースである。通信部31は、電波を送信及び受信することによって他の装置と無線通信する。本実施形態では、通信部31は、無線通信経路によってアクセスポイント10と接続される。なお、通信部31とアクセスポイント10との間に他の無線中継装置が配置されてもよい。
表示部32は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置である。表示部32は、画像表示装置を無線端末30に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、表示部32は、画像表示装置に表示される映像の信号を生成し、自身に接続されている無線端末30に信号を出力する。
入力部33は、キーボード、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の既存の入力装置を用いて構成される。入力部33は、操作者40の指示を無線端末30に入力する際に操作者40によって操作される。入力部33は、入力装置を無線端末30に接続するためのインタフェースであっても良い。この場合、入力部33は、入力装置において操作者40の入力に応じ生成された入力信号を無線端末30に入力する。
制御部35は、CPUがプログラムを実行することによって、測定部351として機能する。
測定部351は、測定サーバ20から送信されて通信部31によって受信された制御信号に応じて、通信環境の指標を取得するために必要となる処理を行う。例えば、測定部351は、所定のデータ(測定用データ)を、アクセスポイント10を介して測定サーバ20に送信する。
図4は、測定サーバ20の表示部22に表示される測定画面の具体例を示す図である。測定画面には、親機画面表示部220、子機画面表示部221、実行ボタン222、停止ボタン223、下りチェックボックス224及び上りチェックボックス225が表示される。
親機画面表示部220には、親機(測定サーバ20)の測定部251によって取得された情報が表示される。親機画面表示部220には、例えば一般的な測定ツール(例えばiperf)を用いて通信環境の測定を行った際に親機の画面に表示される画面が表示される。
子機画面表示部221には、子機(無線端末30)の測定部351によって取得された情報が表示される。子機画面表示部221には、例えば一般的な測定ツール(例えばiperf)を用いて通信環境の測定を行った際に子機の画面に表示される画面が表示される。
実行ボタン222は、測定開始指示を測定サーバ20に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、測定を開始する際に、入力部23を操作することによって実行ボタン222を押下する。実行ボタン222が押下されると、測定部251が通信環境の測定を開始する。
停止ボタン223は、測定停止指示を測定サーバ20に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、測定を停止する際に、入力部23を操作することによって停止ボタン223を押下する。停止ボタン223が押下されると、測定部251が通信環境の測定を停止する。
下りチェックボックス224は、測定の対象となる無線通信の方向を下り方向に設定する際に押下されるボタンである。操作者40は、測定の対象となる無線通信の方向を下り方向に設定する際に、入力部23を操作することによって下りチェックボックス224を押下する。下りチェックボックス224が押下されると、子機制御部252は、測定の対象となる無線通信の方向を下り方向に設定する。測定の対象となる無線通信の方向は、測定サーバ20と無線端末30との間の送受信の関係を示す。測定サーバ20によって送信された測定用データが無線端末30によって受信されることによって測定が行われる場合、下り方向の通信環境の指標が取得される。測定の対象となる無線通信の方向が下り方向に設定されている場合、下りチェックボックス224は、選択されていることを示す表示態様で表示される。
上りチェックボックス225は、測定の対象となる無線通信の方向を上り方向に設定する際に押下されるボタンである。操作者40は、測定の対象となる無線通信の方向を上り方向に設定する際に、入力部23を操作することによって上りチェックボックス225を押下する。上りチェックボックス225が押下されると、子機制御部252は、測定の対象となる無線通信の方向を上り方向に設定する。測定の対象となる無線通信の方向は、測定サーバ20と無線端末30との間の送受信の関係を示す。無線端末30によって送信された測定用データが測定サーバ20によって受信されることによって測定が行われる場合、上り方向の通信環境の指標が取得される。測定の対象となる無線通信の方向が上り方向に設定されている場合、上りチェックボックス225は、選択されていることを示す表示態様で表示される。
操作者40は、下りチェックボックス224及び上りチェックボックス225の表示態様を参照することによって、どちらの方向の通信環境の指標が取得されるのか判断することができる。
以下、測定システム1の処理の流れについて、複数のシーケンスチャートを用いて説明する。以下の説明では、測定システム1がiperfを用いて実装されていることを前提として説明する。ただし、測定システム1の実装に用いられる測定ツールはiperfである必要は無く、既存の他の測定ツールであってもよいし、独自に作成された測定ツールであってもよい。
図5は、測定システム1における接続処理の例を示すシーケンスチャートである。まず、測定サーバ20及び無線端末30が起動される(ステップS001及びS002)。具体的には、測定サーバ20及び無線端末30において、測定プログラムが起動される。このとき、両方の装置を操作者40が操作してもよい。次に、測定サーバ20の子機制御部252は、予め設定情報記憶部24に登録されている無線端末30のIPアドレス宛に、接続要求を送信する(ステップS003)。無線端末30の測定部351は、自装置宛の接続要求を受信すると、接続要求の送信元である測定サーバ20に対して接続応答を送信する(ステップS004)。このような処理によって、測定サーバ20と無線端末30との間の通信路が接続される。
その後、なんらかの事象による影響を受けて測定サーバ20と無線端末30との間の通信路が切断した場合(ステップS005)、測定サーバ20の子機制御部252は、後述する接続維持処理によって切断を検知する。この場合、測定サーバ20の子機制御部252は、予め設定情報記憶部24に登録されている無線端末30のIPアドレス宛に、接続要求を送信する(ステップS006)。無線端末30の測定部351は、自装置宛の接続要求を受信すると、接続要求の送信元である測定サーバ20に対して接続応答を送信する(ステップS007)。このような処理によって、操作者40の操作を必要とすることなく、測定サーバ20と無線端末30との間の通信路が再び接続される。
図6は、測定システム1における上り方向の測定処理の例を示すシーケンスチャートである。図6に示される処理は、既に図5に示される接続処理によって通信路が接続されていることが前提となっている。
まず、操作者40が測定サーバ20の入力部23を操作することによって、上り方向の測定処理を実行するための設定を行う。例えば、操作者40は、上りチェックボックス225が選択された状態となるように、上りチェックボックス225を押下する。上りチェックボックス225が選択された状態で測定開始指示が入力されると、測定システム1は上り方向の測定処理を開始する。
操作者40は、測定サーバ20の入力部23を操作することによって、測定開始指示を測定サーバ20に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部23を操作して実行ボタン222を押下することによって行われる。測定サーバ20の測定部251は、測定開始指示の入力を受け付けると(ステップS101)、受付開始コマンドを実行する(ステップS102)。受付開始コマンドは、例えば“iperf −s”という文字列によって表されるコマンドである。受付開始コマンドの実行により、測定部251は受付状態に遷移する。
また、測定開始指示の入力の受け付けに応じて、子機制御部252は、通信路が接続されている子機(無線端末30)に対し、通信開始指示を送信する(ステップS103)。通信開始指示は、通信路が接続されている一方の機器(図6では測定サーバ20)から他方の機器(図6では無線端末30)に対して通信開始コマンドを実行することを指示するための情報である。通信開始指示は、例えば“IAC CMD (通信開始コマンド) CAI”という文字列によって表される。上記指示の(通信開始コマンド)の部分には、無線端末30において実行されるべき通信開始コマンドを示す文字列が入る。なお、上述した“IAC CMD”は、Iperfの制御フレームのヘッダとして追加したコマンドの略称である。測定サーバ20は、“IAC CMD”という文字列を含むコマンドを送信すると、無線端末30との間で互いにトラフィックを送受信できる状態に遷移する。無線端末30は、“IAC CMD”という文字列を含むコマンドを受信すると、測定サーバ20との間で互いにトラフィックを送受信できる状態に遷移する。測定システム1は、“IAC CMD”というコマンドを用いて上述した状態の遷移を行うことによって、測定処理を実現している。
無線端末30の測定部351は、通信開始指示を受信すると、受信された通信開始指示に応じて通信開始コマンドを実行する。通信開始コマンドは、通信路が接続されている他方の機器に対する測定用データの送信を開始するためのコマンドである。通信開始コマンドは、例えば“iperf −c (測定サーバ20のIPアドレス)”という文字列によって表されるコマンドである。上記コマンドの(測定サーバ20のIPアドレス)の部分には、通信路が接続されている他方の機器(図6の場合、測定サーバ20)のIPアドレスを示す文字列が入る。測定部351は、通信開始コマンドの実行に応じて、測定用データを測定サーバ20に送信する(ステップS105)。測定部351は、測定用データの送信に応じて、表示部32に表示される内容を更新する(ステップS106)。例えば、測定部351は、送信された測定用データのトラフィック量(以下、「送信トラフィック量」という。)の表示を最新の情報に更新する。
測定サーバ20の測定部251は、測定用データを受信すると、測定用データの受信に応じて、表示部22の親機画面表示部220に表示される内容を更新する(ステップS107)。例えば、測定部251は、受信された測定用データのトラフィック量(以下、「受信トラフィック量」という。)の表示を最新の情報に更新する。
無線端末30の測定部351は、ステップS106において更新された後の画面に関する情報(以下、「表示データ」という。)を、測定サーバ20に送信する(ステップS108)。表示データは、例えば画面の更新によって新たに表示されることになった文字列を表すデータであってもよい。表示データは、例えば更新された後の画面に表示されている全ての文字列を表すデータであってもよい。
測定サーバ20の測定部251は、表示データを受信すると、表示データの内容に応じて表示部22の子機画面表示部221に表示される内容を更新する(ステップS109)。例えば、測定部251は、受信された表示データに含まれる送信トラフィック量の表示を最新の情報に更新する。
その後、所定のタイミングまでステップS105〜ステップS109の処理が繰り返し実行される。所定のタイミングとは、通信開始コマンドにおいて指定されたタイミングであってもよいし、測定停止指示が操作者40によって入力されるタイミングであってもよいし、他のタイミングであってもよい。例えば、通信開始コマンドにおいて測定用データの送信の時間(例えば10秒間)が指定された場合、指定された時間が経過するまでステップS105〜ステップS109の処理が繰り返し実行される。また、通信開始コマンドにおいて測定用データの送信の時間が指定されていない場合、予め設定されているデフォルトの時間(例えば10秒間)が経過するまでステップS105〜ステップS109の処理が繰り返し実行されてもよい。
操作者40は、測定サーバ20の待ち受け状態を停止させる際に、測定サーバ20の入力部23を操作することによって、測定停止指示を測定サーバ20に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部23を操作して停止ボタン223を押下することによって行われる。測定サーバ20の測定部251は、測定停止指示の入力を受け付けると(ステップS110)、受付停止コマンドを実行する(ステップS111)。受付停止コマンドは、例えばコントロールボタン(CTRL)及びCボタン(C)の二つのボタンが同時に押下されることによって入力されるコマンドである。受付停止コマンドの実行により、測定部251は受付状態から待機状態に遷移する。
また、測定停止指示の入力の受け付けに応じて、子機制御部252は、通信路が接続されている子機(無線端末30)に対し、通信停止指示を送信する(ステップS112)。通信停止指示は、通信路が接続されている一方の機器(図6では測定サーバ20)から他方の機器(図6では無線端末30)に対して通信停止コマンドを実行することを指示するための情報である。通信停止指示は、例えば“IAC SIG CAI”という文字列によって表される。SIGは、測定プログラム(例えばiperf)の停止を指示するための文字列である。
無線端末30の測定部351は、通信停止指示を受信すると、受信された通信停止指示に応じて通信停止コマンドを実行する。通信停止コマンドは、測定プログラムの動作を停止するためのコマンドである。
図7は、測定システム1における下り方向の測定処理の例を示すシーケンスチャートである。図7に示される処理は、既に図5に示される接続処理によって通信路が接続されていることが前提となっている。
まず、操作者40が測定サーバ20の入力部23を操作することによって、下り方向の測定処理を実行するための設定を行う。例えば、操作者40は、下りチェックボックス224が選択された状態となるように、下りチェックボックス224を押下する。下りチェックボックス224が選択された状態で測定開始指示が入力されると、測定システム1は下り方向の測定処理を開始する。
操作者40は、測定サーバ20の入力部23を操作することによって、測定開始指示を測定サーバ20に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部23を操作して実行ボタン222を押下することによって行われる。測定サーバ20の子機制御部252は、測定開始指示の入力を受け付けると(ステップS201)、通信路が接続されている子機(無線端末30)に対し、受付開始指示を送信する(ステップS202)。受付開始指示は、通信路が接続されている一方の機器(図7では測定サーバ20)から他方の機器(図7では無線端末30)に対して受付開始コマンドを実行することを指示するための情報である。受付開始指示は、例えば“IAC CMD (受付開始コマンド) CAI”という文字列によって表される。上記指示の(受付開始コマンド)の部分には、無線端末30において実行されるべき受付開始コマンドを示す文字列が入る。
無線端末30の測定部351は、受付開始指示を受信すると、受信された受付開始指示に応じて受付開始コマンドを実行する(ステップS203)。受付開始コマンドは、通信路が接続されている他方の機器からの測定用データの受信を開始するためのコマンドである。受付開始コマンドは、例えば“iperf −s”という文字列によって表されるコマンドである。
測定サーバ20の測定部251は、ステップS201における測定開始指示の入力の受け付けに応じて、通信開始コマンドを実行する(ステップS204)。通信開始コマンドは、例えば“iperf −c (無線端末30のIPアドレス)”という文字列によって表されるコマンドである。なお、通信開始コマンドは、受付開始指示が送信されてから所定の時間が経過した後に実行されることが望ましい。このように構成されることによって、無線端末30において受付状態への遷移が完了する前に測定用データが送信されてしまうことを防止することが可能となる。
測定部251は、通信開始コマンドの実行に応じて、測定用データを無線端末30に送信する(ステップS205)。測定部251は、測定用データの送信に応じて、表示部22の親機画面表示部220に表示される内容を更新する(ステップS206)。例えば、測定部251は、送信トラフィック量の表示を最新の情報に更新する。
無線端末30の測定部351は、測定用データを受信すると、測定用データの受信に応じて、表示部32に表示される内容を更新する(ステップS207)。例えば、測定部351は、受信トラフィック量の表示を最新の情報に更新する。
無線端末30の測定部351は、ステップS207において更新された後の画面に関する表示データを、測定サーバ20に送信する(ステップS208)。
測定サーバ20の測定部251は、表示データを受信すると、表示データの内容に応じて表示部22の子機画面表示部221に表示される内容を更新する(ステップS209)。例えば、測定部251は、受信された表示データに含まれる受信トラフィック量の表示を最新の情報に更新する。
その後、所定のタイミングまでステップS205〜ステップS209の処理が繰り返し実行される。所定のタイミングとは、通信開始コマンドにおいて指定されたタイミングであってもよいし、測定停止指示が操作者40によって入力されるタイミングであってもよいし、他のタイミングであってもよい。例えば、通信開始コマンドにおいて測定用データの送信の時間(例えば10秒間)が指定された場合、指定された時間が経過するまでステップS205〜ステップS209の処理が繰り返し実行される。また、通信開始コマンドにおいて測定用データの送信の時間が指定されていない場合、予め設定されているデフォルトの時間(例えば10秒間)が経過するまでステップS205〜ステップS209の処理が繰り返し実行されてもよい。
操作者40は、測定サーバ20の測定プログラムを停止させる際に、測定サーバ20の入力部23を操作することによって、測定停止指示を測定サーバ20に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部23を操作して停止ボタン223を押下することによって行われる。測定サーバ20の測定部251は、測定停止指示の入力を受け付けると(ステップS210)、通信停止コマンドを実行する(ステップS211)。通信停止コマンドは、例えばコントロールボタン(CTRL)及びCボタン(C)の二つのボタンが同時に押下されることによって入力されるコマンドである。通信停止コマンドの実行により、制御部25によって実行されていた測定プログラムが停止する。
また、測定停止指示の入力の受け付けに応じて、子機制御部252は、通信路が接続されている子機(無線端末30)に対し、受付停止指示を送信する(ステップS212)。受付停止指示は、通信路が接続されている一方の機器(図7では測定サーバ20)から他方の機器(図7では無線端末30)に対して受付停止コマンドを実行することを指示するための情報である。受付停止指示は、例えば“IAC SIG CAI”という文字列によって表される。SIGは、測定プログラム(例えばiperf)の停止を指示するための文字列である。
無線端末30の測定部351は、受付停止指示を受信すると、受信された受付停止指示に応じて受付停止コマンドを実行する。受付停止コマンドは、測定プログラムの動作を停止するためのコマンドである。
図8は、測定システム1における上り方向の設定がなされている場合の接続維持処理の例を示すシーケンスチャートである。図8に示される処理は、既に図5に示される接続処理によって通信路が接続されていること前提となっている。
まず、測定サーバ20の測定部251は、通信路が接続されている子機(無線端末30)に対し、接続維持要求を送信する(ステップS301)。子機(無線端末30)は、接続維持要求を受信すると、接続維持要求の送信元である親機(測定サーバ20)に対し、接続維持応答を送信する(ステップS302)。子機制御部252は、接続維持要求の送信を所定のタイミングで繰り返し実行する。例えば、所定の周期が到来する度に、子機制御部252は繰り返し接続維持要求を送信してもよい。
もし、接続維持要求の送信から所定の時間が経過しても接続維持応答が受信されない場合は、子機制御部252は、子機(無線端末30)との間の通信経路が切断されたと判定する。この場合、子機制御部252は、図5に示される接続要求を送信することによって、子機との間の通信経路を再接続する。
測定サーバ20の子機制御部252は、測定開始指示の入力が受け付けられると(ステップS101)、接続維持要求の送信を停止する。子機制御部252は、測定開始指示の入力が受け付けられると、受付停止コマンドが実行されるまで、接続維持要求を送信しない。受付停止コマンドが実行されると(ステップS111)、子機制御部252は、接続維持要求の送信を再開する。この後、子機制御部252は、所定のタイミングで接続維持要求を繰り返し送信する。このように構成されることにより、通信環境の測定が行われている最中に、接続維持要求及び接続維持応答の送受信が通信環境に影響を与えてしまうことを防止できる。そのため、より精度良く通信環境の測定を行うことが可能となる。
図9は、測定システム1における下り方向の設定がなされている場合の接続維持処理の例を示すシーケンスチャートである。下り方向の設定がなされている場合も、上り方向の設定がなされている場合と同様に、測定開始指示の入力が受け付けられてから(ステップS201)、通信停止コマンドが実行されるまで(ステップS211)、子機制御部252は接続維持要求の送信を停止する。一方、測定開始指示の入力が受け付けられるまでの間は、子機制御部252は、繰り返し接続維持要求を送信する(ステップS301)。
図10は、測定システム1における受信強度測定処理の例を示すシーケンスチャートである。図10に示される処理は、既に図5に示される接続処理によって通信路が接続されていることが前提となっている。
まず、操作者40は、測定サーバ20の入力部23を操作することによって、受信強度測定開始指示を測定サーバ20に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部23を操作して受信強度測定開始ボタン(不図示)を押下することによって行われる。測定サーバ20の子機制御部252は、受信強度測定開始指示の入力を受け付けると(ステップS401)、通信路が接続されている子機(無線端末30)に対し、受信強度測定開始通知を送信する(ステップS402)。受信強度測定開始通知は、通信路が接続されている一方の機器(図10では測定サーバ20)から他方の機器(図10では無線端末30)に対して、受信強度測定を開始することを通知するための情報である。受信強度測定開始通知は、例えば“IAC RDDI STA CAI”という文字列によって表される。
また、受信強度測定開始指示の入力の受け付けに応じて、子機制御部252は、通信路が接続されている子機(無線端末30)に対し、受信強度測定要求を送信する(ステップS403)。受信強度測定要求は、通信路が接続されている一方の機器(図10では測定サーバ20)から他方の機器(図10では無線端末30)に対して受信強度の測定及び通知を実行することを指示するための情報である。受信強度測定要求は、例えば“IAC RSSI REQ CAI”という文字列によって表される。
無線端末30の測定部351は、受信強度測定要求を受信すると、受信された受信強度測定要求に応じて、その時点における自装置(無線端末30)の受信強度を取得する。この受信強度は、無線端末30がアクセスポイント10から受信している無線信号の受信強度を表す。測定部351は、取得された受信強度の値を表す情報(受信強度測定応答)を測定サーバ20に送信する(ステップS405)。測定部351は、受信強度測定応答の送信に応じて、表示部32に表示される内容を更新する(ステップS406)。例えば、測定部351は、受信強度を表す値の表示を最新の値に更新する。
測定サーバ20の子機制御部252は、受信強度測定応答を受信すると、受信強度測定応答の受信に応じて、表示部22の子機画面表示部221に表示される内容を更新する(ステップS407)。例えば、子機制御部252は、受信された受信強度の値の表示を最新の値に更新する。
その後、所定のタイミングまでステップS403〜ステップS407の処理が繰り返し実行される。所定のタイミングとは、受信強度測定開始指示において指定されたタイミングであってもよいし、受信強度測定停止指示が操作者40によって入力されるタイミングであってもよいし、他のタイミングであってもよい。例えば、受信強度測定開始指示において受信強度測定の時間(例えば10秒間)が指定された場合、指定された時間が経過するまでステップS403〜ステップS407の処理が繰り返し実行される。また、受信強度測定開始指示において受信強度測定の時間が指定されていない場合、予め設定されているデフォルトの時間(例えば10秒間)が経過するまでステップS403〜ステップS407の処理が繰り返し実行されてもよい。
ステップS403〜ステップS407に示される処理は、一般的に受信強度の測定が行われる際の周期よりも短い周期で繰り返し実行されてもよい。たとえば、一般的に受信強度の測定が行われる際の周期が10秒間である場合、本実施形態におけるステップS403〜ステップS407の処理は3秒間の周期で繰り返し実行されてもよい。このように構成されることによって、所定回数(例えば60回)の測定値の統計値(例えば平均値)を測定結果として取得する場合に、より短い時間で測定結果を取得することが可能となる。そのため、短時間での受信強度の変化を精度良く測定することが可能となる。
操作者40が、測定サーバ20の入力部23を操作することによって受信強度測定停止指示を測定サーバ20に入力すると、測定サーバ20の子機制御部252は入力を受け付ける(ステップS408)。測定サーバ20の子機制御部252は、測定停止指示の入力を受け付けると、受信強度測定停止通知を無線端末30に送信する。受信強度測定停止通知には、測定値の統計値(測定結果)が含まれる。無線端末30は、受信強度測定停止通知を受信すると、測定結果を表示部32に表示する。
図11は、無線端末30が操作される場合の測定システム1の構成を示すシステム構成図である。図11では、図1と異なり、測定サーバ20ではなく無線端末30が操作者40によって操作される。この場合、測定サーバ20は操作者によって操作される必要が無い。以下に示す図12及び図13のシーケンスチャートは、図11に示されるように無線端末30が操作者40によって操作されることが前提となっている。
図12は、無線端末30の表示部32に表示される測定画面の具体例を示す図である。測定画面には、結果表示部321、DOWNボタン322、UPボタン323、STOPボタン324、RSSIボタン325、CLEARボタン326及びSAVEボタン327が表示される。
結果表示部321には、無線端末30の測定部351によって取得された情報が表示される。結果表示部321には、例えば一般的な測定ツール(例えばiperf)を用いて通信環境の測定を行った際に得られる測定結果を示す情報が表示される。結果表示部321に表示される情報が、上述した子機画面表示部221に表示されてもよい。
DOWNボタン322は、下り方向の測定処理の開始指示を無線端末30に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、下り方向の測定処理を開始する際に、入力部33を操作することによってDOWNボタン322を押下する。DOWNボタン322が押下されると、測定部351が下り方向の通信環境の測定を開始する。
UPボタン323は、上り方向の測定処理の開始指示を無線端末30に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、上り方向の測定処理を開始する際に、入力部33を操作することによってUPボタン323を押下する。UPボタン323が押下されると、測定部351が上り方向の通信環境の測定を開始する。
STOPボタン324は、測定停止指示を無線端末30に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、上り方向の測定又は下り方向の測定を停止する際に、入力部33を操作することによってSTOPボタン324を押下する。STOPボタン324が押下されると、測定部351が通信環境の測定を停止する。
RSSIボタン325は、受信強度測定処理の開始指示を無線端末30に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、受信強度の測定処理を開始する際に、入力部33を操作することによってRSSIボタン325を押下する。RSSIボタン325が押下されると、測定部351が受信強度の測定を開始する。
CLEARボタン326は、結果表示部321の表示を初期状態に戻すことを無線端末30に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、結果表示部321に表示されている情報を画面から消したい場合に、CLEARボタン325を押下する。CLEARボタン325が押下されると、測定部351は、結果表示部321に表示されている情報を画面から消す。
SAVEボタン327は、結果表示部321に表示された測定結果の情報を無線端末30の記憶装置に記録することを無線端末30に対して指示する際に押下されるボタンである。操作者40は、結果表示部321に表示された測定結果の情報を記録したい場合に、SAVEボタン327を押下する。SAVEボタン327が押下されると、測定部351は、結果表示部321に表示された測定結果の情報を、所定の記録装置に日時等の付加情報とともに記録する。
図13は、測定システム1における上り方向の設定がなされている場合の遠隔測定処理の例を示すシーケンスチャートである。図13に示される処理は、既に図5に示される接続処理によって通信路が接続されていること前提となっている。
まず、操作者40が無線端末30の入力部33を操作することによって、遠隔測定開始指示を無線端末30に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部33を操作して遠隔測定実行ボタンを押下することによって行われる。無線端末30の測定部351は、遠隔測定開始指示の入力を受け付けると(ステップS501)、通信路が接続されている他方の装置(図13の場合は測定サーバ20)に対し、遠隔測定開始要求を送信する(ステップS502)。遠隔測定開始要求は、例えば“IAC REMOTE UP CAI”という文字列によって表される。
測定サーバ20の子機制御部252は、遠隔測定開始要求を受信すると、測定部251に対し受付開始コマンドの実行を指示する。測定部251は、この指示に応じて、受付開始コマンドを実行する(ステップS102)。この後、測定部251は、ステップS103〜ステップS109の処理を実行する。このとき、ステップS105〜ステップS109の処理は、図6に示された処理と同様に繰り返し実行される。
操作者40は、測定サーバ20の待ち受け状態を停止させる際に、無線端末30の入力部33を操作することによって、遠隔測定停止指示を無線端末30に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部33を操作して遠隔測定停止ボタンを押下することによって行われる。無線端末30の測定部351は、遠隔測定停止指示の入力を受け付けると(ステップS503)、通信路が接続されている他方の装置(図13の場合は測定サーバ20)に対し、遠隔測定停止要求を送信する(ステップS504)。遠隔測定停止要求は、例えば“IAC REMOTE STOP CAI”という文字列によって表される。
測定サーバ20の子機制御部252は、遠隔測定停止要求を受信すると、受付停止コマンドを実行する(ステップS111)。この後、ステップS112及びステップS113の処理が実行される。
図14は、測定システム1における下り方向の設定がなされている場合の遠隔測定処理の例を示すシーケンスチャートである。図14に示される処理は、既に図5に示される接続処理によって通信路が接続されていること前提となっている。
まず、操作者40が無線端末30の入力部33を操作することによって、遠隔測定開始指示を無線端末30に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部33を操作して遠隔測定実行ボタンを押下することによって行われる。無線端末30の測定部351は、遠隔測定開始指示の入力を受け付けると(ステップS501)、通信路が接続されている他方の装置(図14の場合は測定サーバ20)に対し、遠隔測定開始要求を送信する(ステップS502)。遠隔測定開始要求は、例えば“IAC REMOTE DOWN CAI”という文字列によって表される。
測定サーバ20の子機制御部252は、遠隔測定開始要求を受信すると、測定部251に対し受付開始指示の送信及び通信開始コマンドの実行を指示する。測定部251は、この指示に応じて、受付開始指示を無線端末30に送信し(ステップS202)、通信開始コマンドを実行する(ステップS204)。無線端末30の測定部351は、受付開始指示の受信に応じて受付開始コマンドを実行する(ステップS203)。この後、測定サーバ20の測定部251は、ステップS205〜ステップS209の処理を実行する。このとき、ステップS205〜ステップS209の処理は、図7に示された処理と同様に繰り返し実行される。
操作者40は、測定サーバ20の測定プログラムを停止させる際に、無線端末30の入力部33を操作することによって、遠隔測定停止指示を無線端末30に入力する。この入力は、例えば操作者40が入力部33を操作して遠隔測定停止ボタンを押下することによって行われる。無線端末30の測定部351は、遠隔測定停止指示の入力を受け付けると(ステップS503)、通信路が接続されている他方の装置(図14の場合は測定サーバ20)に対し、遠隔測定停止要求を送信する(ステップS504)。遠隔測定停止要求は、例えば“IAC REMOTE STOP CAI”という文字列によって表される。
測定サーバ20の子機制御部252は、遠隔測定停止要求を受信すると、通信停止コマンドを実行する(ステップS211)。この後、ステップS212及びステップS213の処理が実行される。
このように構成された測定システム1によれば、アクセスポイント10(無線アクセスポイント)の通信環境を測定するための労力を低減することが可能となる。以下、このような効果の詳細について説明する。測定システム1では、測定サーバ20又は無線端末30のどちらか一方のみを操作者40が操作すれば、アクセスポイント10の通信環境の指標を取得することが可能となる。すなわち、操作者40が測定サーバ20を操作する際には、図6又は図7に示される処理が実行されることによって、無線端末30を操作することなく測定サーバ20において通信環境の指標を取得することが可能となる。また、操作者40が無線端末30を操作する際には、図13又は図14に示される処理が実行されることによって、測定サーバ20を操作することなく無線端末30において通信環境の指標を取得することが可能となる。また、通信環境の指標として、無線端末30における受信強度を取得する際には、図10に示される処理が実行されることによって、測定サーバ20を操作することなく無線端末30において通信環境の指標を取得することが可能となる。
また、たとえ測定サーバ20と無線端末30との間の通信路が切断されてしまった場合であっても、図5に示される処理が実行されることによって、操作者40が操作することなく通信路が再接続される。このようなことによっても、通信環境を測定するための労力を低減することが可能となる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。