JP5939661B2 - 色素増感型太陽電池用色素、当該色素を用いた光電変換素子、及び色素増感型太陽電池 - Google Patents

色素増感型太陽電池用色素、当該色素を用いた光電変換素子、及び色素増感型太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、色素増感型太陽電池の熱耐久性を向上させるための色素増感型太陽電池用色素、当該色素を用いた光電変換素子、及び色素増感型太陽電池に関する。
近年、石油や天然ガスなどの化石燃料の枯渇問題や温室効果ガスによる地球温暖化問題等を解決するために、クリーンで安全な自然エネルギーを活用する太陽光発電に注目が集まっており、光電変換素子の研究開発が活発に行われている。現在、シリコン光電変換素子はシリコン系太陽電池として実用化されているが、価格や材料供給等の制約から、普及拡大は困難であるとの見方がある。そこで、太陽電池の普及拡大に向けての取り組みとして、シリコン以外の材料を用いる太陽電池の研究開発が進められており、安価な原料と簡便なプロセスで製造される低価格の次世代太陽電池の候補として、色素増感型太陽電池が期待されている。
色素増感型太陽電池については、1991年にスイスのローザンヌ工科大学のグレッツェル教授らのグループが、ルテニウム色素を担持させた多孔質酸化チタン(TiO)電極と対極との間にヨウ素系電解液を封入した色素増感型太陽電池により、10%という高い変換効率が得られることを発表して以来、多大な関心が寄せられている。色素増感型太陽電池の特徴は、原料と製造面において低コストであることに加え、カラフル化といったデザイン性の高さや蛍光灯下での出力の高さが挙げられる。色素増感型太陽電池は植物の光合成に似た化学反応に基づいて発電する太陽電池であり、可視光の照射により、増感色素が光吸収して励起状態となり、励起された増感色素の電子は酸化チタン半導体の伝導帯へ注入され、注入された電子は外部回路を通って対極に移動し、移動した電子は電解液中のイオンによって運ばれて増感色素に戻り、このような過程が繰り返されることによって電気エネルギーが取り出される。
色素増感型太陽電池の普及拡大に向けた課題の1つとして、熱耐久性の向上が挙げられる。色素増感型太陽電池の劣化環境因子として温度が指摘されており、高温によって生じる電極での色素脱離現象が太陽電池特性低下の要因の1つとされている。従来、色素増感型太陽電池の熱耐久性を向上させるべく、数多くの努力がなされている。例えば、K19色素(Ru(4,4’−ジカルボン酸−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ビス(p−ヘキシルオキシスチリル)―2,2’―ビピリジン)(NCS)2)を増感色素として用い、電解液として、1―プロピルー3−メチルイミダゾリウムヨージド、ヨウ素、グアニジンチオシアネート及びN−メチルベンゾイミダゾールを含む3−メトキシプロピオニトリル溶液を採用し、多孔質TiO膜の表面に1−デシルホスホン酸を当該増感色素に共グラフト化させたナノ結晶TiO色素増感型太陽電池が、80℃で1000時間の熱応力後において8%以上の変換効率を示したことが報告されている(非特許文献1参照)。
また、配線保護層を強化した複層化配線保護層、及び水分の混入を避ける耐湿性パッケージを用いて作製された集電配線型イオン液体色素増感型太陽電池が、85℃、85%RH、1000時間といった、JISに定められる耐久性評価項目をクリアできることが報告されている(非特許文献2参照)。
色素増感型太陽電池に使用される増感色素を、多孔質TiO電極上で重合可能な架橋性オレフィン基を含むルテニウム色素に改良し、このルテニウム色素を含むアセトニトリル/tert−ブタノール混合溶液をフッ素ドープ酸化スズ(FTO)基板上のTiO層に塗布し、メタクリル酸とともに、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)溶液を加えて、紫外線照射により光共重合し、当該ルテニウム色素とメタクリル酸との架橋体を作製して多孔質TiO膜の表面に結合させ、また、ヨウ化リチウム、リチウム、及び4−tert−ブチルピリジンを含むアセトニトリル溶液にポリメタクリル酸粉末を加えて加熱ゲル化させたポリメタクリレート系ゲル電解質を電解液として用いて、これを電極間に封入し、シート状ホットメルトシーリング材により電解液の注入口を封止した色素増感型太陽電池が、架橋性オレフィン基を含まないN3色素(Ru(4,4’−ジカルボキシー2,2'−ビピリジン)(NCS))を用いたものよりも、5%以上の変換効率の向上と貯蔵寿命の長期化が達成され、耐久性が向上したことを報告する論文が発表されている(非特許文献3参照)。しかし、その耐久性試験はあくまで室温での劣化状況を報告するものであった
また、色素増感型太陽電池において、テトラシアノボレートアニオンと有機カチオンとをベースとしたイオン性液体を電解液として用いたところ、80℃における1000時間の熱履歴後に変換効率の初期値の90%超を保留したことが報告されている(特許文献1参照)。
Figure 0005939661
特表2009−527074号公報
上述したように、従来の色素増感型太陽電池の熱耐久性は85℃を限度としており、太陽電池製品として市販化するには、まだまだ不十分な熱耐久性であることから、熱安定性の向上は克服すべき課題の1つであった。
そこで、本発明は、こうした状況に鑑み、色素増感型太陽電池の熱耐久性を向上させるための色素増感型太陽電池用色素、当該色素を用いた光電変換素子、及び色素増感型太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、増感色素として、末端にビニル基を導入した長いアルキル基を持つ新規のルテニウム錯体色素を合成し、また、電解液として、アセトニトリルのような有機溶剤ではなく、熱耐久性の高いイオン性液体を用いて、従来の100〜120℃の範囲よりも高い温度の加熱処理を行うことで色素増感型太陽電池を作製したところ、その熱耐久性が従来の85℃から120℃にまで向上することを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、Ru(4,4’−ジ(−ノネニル)−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)(NCS)からなる色素増感型太陽電池用色素である。
また、本発明は、透明導電基板と、この透明導電基板上に形成された多孔質膜とを備えた光電変換素子であって、当該多孔質膜が上記色素増感型太陽電池用色素を吸着したTiO粒子で構成されている光電変換素子である。
さらに、本発明は、上記光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池である。
本発明によれば、高温環境下で生じる色素脱離が従来の色素に比べて大幅に抑制されるため、色素増感型太陽電池の熱耐久性が飛躍的に向上する。したがって、本発明は、色素増感型太陽電池の今後の普及拡大に多大なる貢献をする。
色素増感型太陽電池の開放電圧の経過時間に対する変化を示す図である。 色素増感型太陽電池の短絡電流密度の経過時間に対する変化を示す図である。 色素増感型太陽電池のフィルファクターの経過時間に対する変化を示す図である。 色素増感型太陽電池の変換効率の経過時間に対する変化を示す図である。 N719色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極の吸光度を示す図であり、横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す。 Z907色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極の吸光度を示す図であり、横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す。 SG1051色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極の吸光度を示す図であり、横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す。 125℃で加熱したSG1051色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極の吸光度を示す図であり、横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す。 250℃で加熱したSG1051色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極の吸光度を示す図であり、横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の色素増感型太陽電池用色素は、Ru(4,4’−ジ(−ノネニル)−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)(NCS)であり(以後、「SG1051色素」と略記する。)、以下の式で表される。
Figure 0005939661
色素増感型太陽電池用色素は電解液に囲まれているため、TiO電極の表面から脱離しやすいが、本発明の前記色素は、多孔質TiO表面に強く結合しているため、高温環境下で生じる色素脱離が少なく、したがって、熱耐久性に優れた色素増感型太陽電池を得ることが可能となる。また、本発明の色素は、後述する所定のイオン性液体からなる電解液と組み合わせ、さらに当該色素を電極に吸着させた後に所定の温度範囲で加熱することで、色素増感型太陽電池の熱耐久性をより一層向上させることが可能となる。
本発明の色素増感型太陽電池用色素の製造方法について説明する。本発明の色素増感型太陽電池用色素は、出発物質としてジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマーを用いて、4,4’―ジ(―ノネニル)―2,2’―ビピリジン、4,4’―ジカルボキシー2,2’―ビピリジン、チオシアン酸ナトリウムとの反応を順次行うことにより調製することができる。なお、当該色素の製造方法は、これに限定されるものではない。
4,4’―ジ(―ノネニル)―2,2’―ビピリジンは、例えば、次のようにして調製することができる。まず、nーブチルリチウムのヘキサン溶液をジイソプロピルアミンのテトラヒドロフラン溶液に0〜5℃で添加し、0.5〜1.0時間撹拌した後、これに4,4’―ジメチルー2,2’―ビピリジンのテトラヒドロフラン溶液を滴下する。滴下した後は、−70〜−60℃で3〜4時間撹拌する。次いで、9−ヨウ化ノネンのテトラヒドロフラン溶液を−78〜−60℃で添加して同温度で12〜15時間反応させる。その後、メタノールを用いて冷却し、得られた黄褐色の溶液を冷水中に注入して、ジエチルエーテルで抽出した後、ジエチルエーテルを蒸発させて、ヘキサンから再結晶することにより、4,4’―ジ(―ノネニル)―2,2’―ビピリジンが得られる。なお、9−ヨウ化ノネンは、アルコールをヨウ素化する公知技術を利用して作製すればよく、例えば、出発物質である9−ノネンー1−オールのジエチルエーテル/アセトニトリル混合溶液にトリフェニルホスフィン、イミダゾール、及びヨウ素を添加して、アルコールをヨウ素化することにより得られる。
次に、市販の[(p−シメン)RuCl(μ−Cl)]のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液に、4,4’―ジ(−ノネニル) ―2,2’―ビピリジンを添加し、アルゴン雰囲気下、50〜80℃で0.5〜2.0時間撹拌した後、これに市販の4,4’―ジカルボキシー2,2’―ビピリジンを添加して、100〜140℃で10〜20時間加熱攪拌し反応させる。次いで、この反応生成物に過剰のNHNCSを添加し、120〜140℃で2〜10時間反応させた後、溶媒であるDMF溶液をロータリーエバポレーターで蒸発させる。その後、余分なNHNCSを水で除去し、不溶性生成物を水、ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥させる。得られた粗生成物をメタノールに溶解し、ゲルろ過クロマトグラフィー(溶離液:メタノール等)等を行って精製する。こうして、熱耐久性に優れた色素増感型太陽電池の作製を可能とする、本発明の色素増感型太陽電池用色素であるRu(4,4’−ジ(−ノネニル)−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)(NCS)を得ることができる。
本発明の光電変換素子は、前述した色素を用いるものであり、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、電極基板上に透明導電膜を形成させた透明導電基板を用意する。電極基板は光透過性を有するものが好ましく、ガラス、セラミックス、プラスチック等からなる板、フィルムが挙げられる。
上記透明導電膜としては、酸化スズにフッ素をドープした膜(FTO膜)、酸化インジウムに少量の酸化スズを添加した膜(ITO膜)、酸化スズにアンチモンをドープした膜(ATO膜)、酸化スズ等が挙げられる。
透明導電基板は、電極基板の片面、両面又は全面に、透明導電膜をスプレー熱分解法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、加水分解法等で形成することにより作製される。
次に、透明導電基板の透明導電膜上に多孔質膜を作製する。多孔質膜としては、酸化チタン等からなるn型金属酸化物半導体膜が好ましく、特にTiOペーストを塗布して焼成することにより得られる多孔質TiO膜が好ましい。TiOペーストは、TiO粒子を水溶媒に添加混合して分散液を調製し、この分散液に増粘剤や分散剤等を加えて均一に混合することにより調製する。
次に、多孔質膜の形成方法を説明する。透明導電基板の透明導電膜上に、例えば、上記TiOペーストをドクターブレード法、スキージ法、スピンコート法、スクリーン印刷法、電着法、スプレー法等により塗布し乾燥した後に、電気炉に入れて大気中で300〜700℃に10〜60分間保持して焼成し、透明導電膜上に多孔質膜を形成する。この多孔質膜は透明導電基板及び色素とともに光電変換素子を構成する。焼成温度が300℃未満ではTiO粒子の焼結が不十分となるため、色素の吸着が阻害され、高い光電変換特性が得られなくなり、700℃を超えると透明導電基板に不具合が生じるおそれがある。また、焼成時間が10分未満では焼結が不十分となり、60分を超えると焼成による粒成長が進行し過ぎて比表面積が低下するおそれがある。
透明導電膜上の多孔質膜は、単層とするだけでなく、二層以上の多層構造とすることができる。例えば、多孔質膜を二層とする場合、透明導電基板の透明導電膜上に設ける一層目の膜として、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で一次粒子として5〜200nmのTiO粒子からなる透明層を形成させ、その上に平均粒径100〜600nmのTiO粒子からなる光散乱層を形成させる。このような二層構造のTiO膜を形成することにより、変換効率をより一層向上させることができる。
次に、透明導電膜上に多孔質膜を作製した透明導電基板を色素溶液に浸漬することにより、多孔質膜に色素を吸着させて固定化する。色素溶液は、本発明の色素をヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ノルマルブタノール等の脂肪族アルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン等の炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート類、ラクトン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、カプロラクタム類、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等のスルホン類などの単独溶媒又はこれらの混合溶媒に溶解することにより調製する。好ましくは脂肪族アルコール類、二トリル類が用いられる。色素溶液中の色素濃度は0.01mM以上であり、0.1〜10mMが好ましい。色素溶液への上記透明導電基板の浸漬は、10〜40℃で、1〜24時間程度行う。また、超音波振動を与え多孔質膜への色素吸着効率を向上させることができ、その場合は室温にて5〜60分の浸漬で行うこともできる。上記色素を吸着した多孔質膜表面は洗浄後、乾燥させる。これにより、光透過性を有する透明導電基板と、この透明導電基板上に形成された多孔質膜とを備えた光電変換素子であって、多孔質膜が、少なくとも本発明の色素を吸着したTiO粒子で構成された光電変換素子が得られる。
透明導電基板を色素溶液に浸漬して、本発明の色素を多孔質膜に吸着させた後、 120〜300℃、好ましくは150〜300℃の範囲で、0.5〜60分間の時間範囲で加熱処理を施すことによって、多孔質膜の少なくとも一部を、本発明の色素が相互に重合して得られる反応物で構成させることにより、熱耐久性をより一層向上させることができる。この加熱処理は、後述するように、色素増感型太陽電池を作製する際のメインシール、又はエンドシールの処理として行ってもよい。上記加熱処理によって、本発明の色素間の重合が進み、SG1051色素がより脱離しない状態になり、色素増感型太陽電池の特性低下の主要因である色素脱離が少なくなると考えられる。なお、本発明の色素は、多孔質膜上で重合させる場合に、重合開始剤を用いた重合反応は不要である。
本発明の光電変換素子は、本発明の色素が適度な長さを有する2つの末端ビニル官能基により、色素分子間あるいは色素とTiO粒子表面との結合の形成により、TiO粒子に強固に吸着しているため、高温環境下で生じる色素脱離が従来の色素に比べて大幅に低下することから熱耐久性に優れる。また、多孔質膜への吸着に重合開始剤を用いた重合反応が不要である色素を使用しているため、容易に作製することができる。さらに、光電変換素子の継続的使用により色素が脱着しても元の状態に戻すのに煩雑な工程を必要としない。したがって、本発明の光電変換素子は、色素増感型太陽電池等の光電変換素子として非常に有用である。
次に、上記光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池の製造方法を説明する。
まず、電極基板上に透明導電膜を形成した透明導電基板を用意し、この透明導電膜上に導電膜を形成することにより、対極を作製する。電極基板は光透過性を有するものが好ましく、ガラス、セラミックス、プラスチック等からなる板、フィルムが挙げられる。
上記透明導電膜としては、酸化スズにフッ素をドープした膜(FTO膜)、酸化インジウムに少量の酸化スズを添加した膜(ITO膜)、酸化スズにアンチモンをドープした膜(ATO膜)、酸化スズ等が挙げられる。
透明導電基板は、電極基板の片面、両面又は全面に、透明導電膜をスプレー熱分解法、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、加水分解法等で形成することにより作製される。
透明導電膜上に形成する導電膜としては、白金、カーボン等からなる薄膜が挙げられる。導電膜は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、加水分解法等により形成される。導電膜の厚みは数nmが一般的である。
次に、上記光電変換素子と対極とを所定の間隔をあけて対向させた状態で、封止材(メインシール材)を介して貼り合わせ、電極間に電解液を注入して電解質層を形成させ、最後に電解液の注入口を封止材(エンドシール材)で封止し、さらに必要に応じて、エンドシール材をガラス等からなるカバー材で封着する。これにより色素増感型太陽電池が作製される。メインシール材としては、ホットメルト材、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、ガラスフリットなどが挙げられる。本発明では、特にホットメルト材からなるメインシール材を用いて、温度120〜300℃、好ましくは150〜300℃の範囲で、0.5〜60分間の時間範囲で加熱して封止するのが、熱耐久性向上の点で好ましい。ホットメルト材からなるメインシール材の具体例としては、アイオノマー樹脂からなるホットメルトガスケット(Surlyn 1702、商品名、厚さ25μm、デュポン社製)、ポリエチレン系樹脂からなるホットメルトガスケット(Bynel、商品名、厚さ25μm、デュポン社製)が例示される。
上記光電変換素子と対極との間に封入する電解液は、リチウムイオンなどの陽イオンやヨウ素イオンなどの陰イオンからなる支持電解質と、ヨウ素−ヨウ素化合物や臭素−臭素化合物などの酸化還元対と、溶媒とを混合して調製される。当該溶媒としては、水、アルコール類、ニトリル類、エーテル類、エステル類、ケトン類、ラクトン類、複素環化合物類、アミド類、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、炭化水素などの単独溶媒又は混合溶媒が挙げられるが、本発明では、テトラアルキル系、ピリジニウム系、イミダゾリウム系のホウ酸塩、4級アンモニウム塩等のイオン性液体が好ましく、中でもイミダゾリウム系のホウ酸塩がより好ましい。特に1−エチルー3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート、が熱安定性向上の点から好ましい。イオン性液体は、正・負イオンのみからなる塩で、融点が低いため室温で液状であり揮発性がなく、時間経過に伴う色素増感型太陽電池の特性劣化を防止するのに有効である。特に好適な電解液の組成としては、0.2〜2Mの1−エチルー3−メチルイミダゾリウムヨージド、0.2〜2Mの1,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、0.1〜1Mのグアニジンチオシアネート、0.1〜1MのN−ブチルベンゾイミダゾール、0.05〜0.5Mのヨウ素を含む1−エチルー3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート溶液が例示される。この電解液は熱安定性に優れ、電極の変質等を生じにくい。
光電変換素子と対極とを貼り合わせた後、それらの間の空隙に電解液を注入するには、例えば、光電変換素子と対極のうちの少なくとも一方に貫通孔(注入口)を開けておき、この貫通孔を通じて電解液を注入し、注入後は貫通孔を封止材(エンドシール材)で封止する。その他、例えば、電解液に浸漬した状態で減圧させ、その後常圧に解放する方法が例示され、これにより光電変換素子と対極の間の空隙部分に電解液を容易に充填することができる。
電解液を注入した後、貫通孔(注入口)を封止する封止材(エンドシール材)の材料としては、ホットメルト材、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、ガラスフリットなどが挙げられる。
このような構造を有する色素増感型太陽電池では、本発明の色素が適度な長さを有する2つの末端ビニル官能基により、色素分子間あるいは色素とTiO粒子表面との結合の形成により、TiO粒子に強固に化学吸着しているため熱耐久性に優れる。また、多孔質膜への吸着に重合開始剤を用いた重合反応が不要である色素を使用しているため、比較的容易に作製することができる。また、光電変換素子の継続的使用により色素が脱着しても元の状態に戻すのに煩雑な工程を必要としない。
本発明の色素増感型太陽電池は、前述したサンドイッチ型構造だけでなく、複数集積させて、W型集積構造、Z型集積構造、モノリシック型集積構造などの任意の構造とすることができ、複数集積させることにより、出力を大きくすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[多孔質TiO電極の作製]
FTO膜付きの導電性ガラス基板であるFTOガラス基板(LOF Tec7、商品名、日本板硝子社製)を25mm×75mm角に切り出し、最超音波バスを使って50mMの塩酸で5分間、アセトンで5分間洗浄した後、再度、塩酸とアセトンで、それぞれ15分間ずつ洗浄した。洗浄が終わった後、水とエタノールで丁寧に洗い流し、乾燥させた後、18分間、UV−Oシステムにより残った有機物を処理した。そして、UV−O処理後のFTOガラス基板を40mMのTiCl水溶液の中に入れ、70℃で30分間保持した後、取り出して水とエタノールで洗い流すことにより、FTOガラス基板を作製した。
次に、FTOガラス基板の上に、スクリーン印刷によって、粒子サイズ20〜30nmのTiOのペースト(PST−30NRT、商品名、日揮触媒化成社製)を塗布し、乾燥・焼成して、透明層を形成した。この塗布、乾燥・焼成作業は、透明層の膜厚が最終的に9μmになるように3回にかけて行った。
次に、前記透明層の上に、粒子サイズ400nmのTiOのペースト(PST−400C、商品名、日揮触媒化成社製)をスクリーン印刷によって塗布し、乾燥・焼成して、膜厚4−5μmの光散乱層を形成させた。次に、こうして作製したTiO電極を電気炉に入れて、325℃で5分間、375℃で5分間、450℃で15分間、最後に500℃で15分間、乾燥、焼成させて、FTOガラス基板の上に2層からなる多孔質TiO膜を形成させた。電気炉からTiO電極を取り出した後、再度、40mMのTiCl水溶液の中にTiO電極を入れ、70℃で30分間保持した後、取り出して水とエタノールで洗い流した後、使用するまで50mMの塩酸に浸して保存した。使用する際に塩酸から取り出したTiO電極はエタノールで塩酸を洗い流してから、ヒートガンを用いて500℃で30分間焼成させた。80℃まで空冷した後、焼成したTiO電極を、0.3mMのSG1051色素を含むアセトニトリル・バレロニトリル(1:1)混合溶液に、室温で1時間浸漬させて色素の吸着を行った。色素吸着後、電極を溶液から引き上げ、未吸着の色素を除去するためにアセトニトリルで洗浄した。これにより、SG1051色素をTiO粒子に担持させた多孔質TiO電極を作製した。
[Pt対極の作製]
FTOガラス(LOF Tec7、商品名、日本板硝子社製、厚さmm)を12mm×12mm角の大きさに切り取った。ハンドドリル(U−hobby、商品名、浦和工業社製)でFTOガラスの1つの角から8mm×8mmの位置に直径1mmの貫通孔を開けた。この貫通孔を開けたFTOガラスからガラス片などのゴミを取り除くために水で10分間洗浄した。次に50mMの塩酸で5分間洗浄し、アセトンで洗い流した後にアセトンで5分間洗浄した。この洗浄の後、再び50mMの塩酸とアセトンでそれぞれ15分ずつ洗浄した。洗浄し終わったFTOガラスは水で丁寧に洗浄した後、使用するまで50mMの塩酸に浸して保存した。使用する際に塩酸から取り出したFTOガラスはクリーンボックスに置き、自然乾燥させた後、HPtCl溶液(1mlのエタノール中、2mgのPtを含む。)を1滴垂らしてFTOガラスに塗布し、ヒートガンを用いて400℃で15分間加熱して、PtをFTOガラスに0.5〜5nm被覆したPt対極を作製した。
[色素増感型太陽電池の作製]
前記多孔質TiO電極(サイズ:0.25cm)とPt対極を互いに向い合せ、それらの間に封止材(メインシール材)としてアイオノマー樹脂からなるホットメルトガスケット(Surlyn1702、商品名、厚さ25μm、デュポン社製)を挟み込み、これを温度250℃で1〜3分間加熱して、前記多孔質TiO電極とPt対極を接着した。前記封止材の幅は1mmとし、設けられた開口はTiO電極よりも2mm大きいサイズとした。
Pt対極の貫通孔は、ホットシーラーを用いて別の封止材を250℃で1〜3分間加熱して封止した。この封止後、針を用いて当該封止材に貫通孔を開けた。そして、この貫通孔に電解液を1滴垂らし、小さいヴァキュームチャンバーに置き、その電解液を逆真空移入によってセルの中に入れた。最後に、貫通孔をホットメルトアイオノマーにより、温度250℃で1〜3分間で封止し、さらにカバーガラスで封着して、サンドイッチ型の色素増感型太陽電池を作製した。
なお、後述する各測定のセットアップとして、接続部のTiO膜を取り除き、電気接触を良くするために、FTOガラスの外端を紙やすり又はフィルムで少し削った。はんだはFTO電極の両方に塗った。はんだの位置は、前記ガスケットの端から1mm外側、すなわち、TiO層の端から4mm外側とした。また、散乱光を減少させるために、ブラックプラスチックタイプのマスクを、組み立てたセルに貼った。セル反射防止フィルム(アークトップ、商品名、旭硝子社製)フィルタに貼った。
前記電解液には、0.75Mの1−エチルー3−メチルイミダゾリウムヨージド、0.75Mの1,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、0.2Mのグアニジンチオシアネート、0.2MのN−ブチルベンゾイミダゾール、0.1Mのヨウ素を含む1−エチルー3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート溶液を用いた。
[熱耐久性試験]
SG1051色素を使用して作製した上記色素増感型太陽電池を120℃の恒温炉(AS ONE)に入れ、当該太陽電池の光電特性(開放電圧(open circuit voltage)(V)、短絡電流密度(short circuit current density)(mA/cm)、フィルファクター(fill factor)、変換効率(efficiency)(%))の経時変化を調べることにより、色素増感型太陽電池の熱耐久性を評価した。変換効率(%)は、(開放電圧×短絡電流×フィルファクター)/入射光のエネルギーにより求めた。また、SG1051色素の代わりに、Z907色素(Ru(4,4’−ジカルボキシレート−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジノニル−2,2’−ビピリジン)(NCS))を用いて、前記と同様にして作製した色素増感型太陽電池を比較対照とした。これらの結果を図1〜図4に示す。図1は色素増感型太陽電池の開放電圧の経過時間に対する変化を示す図、図2は色素増感型太陽電池の短絡電流密度の経過時間に対する変化を示す図、図3は色素増感型太陽電池のフィルファクターの経過時間に対する変化を示す図、図4は色素増感型太陽電池の変換効率の経過時間に対する変化を示す図である。
[光電特性の測定]
色素増感型太陽電池の光電特性は、450Wキセノンランプの装備されたAM 1.5のソーラーシミュレーター(山下電装社製)を使用して、色素増感型太陽電池の電極間の負荷を変化させたときの電流値と電極間電圧をプロットして得られる電流−電圧曲線により測定した。擬似光とAM 1.5の誤差を2%以下に抑えるために、IRカットオフフィルター装備の参照Si光ダイオード(分光計器社製)を使用し、擬似光の出力は100mW/cmとした。電流−電圧曲線は、外部バイアスを色素増感型太陽電池に印加し、発生した光電流をデジタルソースメーター(ADCMT)で測定することによって作成した。電圧ステップは10mVに設定した。また、光電流の遅延時間は500msに設定した。
[光電特性の評価]
図1〜図4に示した結果からわかるように、加熱開始より約30時間後までは、Z907色素とSG1051色素をそれぞれ用いた色素増感型太陽電池は同様の光電特性を示しているが、200時間を超えると、Z907色素から作製した色素増感型太陽電池の性能が著しく低下することが判明した。また、SG1051色素においては、500時間程度ならば120℃でも動作することが判明した。これらの結果から、SG1051色素の方が、Z907色素よりも優れた熱耐久性を示すことが確認できた。120℃の高温環境下で、Z907色素は多孔質TiO膜から脱離しているが、SG1051色素は相互に重合することで、一部の色素が多孔質TiO膜から脱離しても色素同士で結合しているために、多孔質TiO膜から完全に脱離することがなかったと考えられる。
[色素の吸着力試験]
N719色素(RuL(NCS)・2TBA:L=2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート、TBA=テトラ−nーブチルアンモニウム) 、Z907色素、SG1051色素がそれぞれ担持された多孔質TiO電極について、後述するように、水酸化ナトリウム水溶液(又は水酸化ナトリウム水溶液及びアセトニトリル)による処理の前後の吸光度を測定して、各色素と多孔質TiO電極の吸着力の強さを比較検討した。TiO電極の吸光度測定は、吸光度測定器で波長(380−800nm)の単色光を照射し、その単色光に対する反射を測定することにより行った。
TiO電極の吸光度を測定して、吸光度が減少していれば、色素が脱離していることを示し、吸光度の変化の程度により、色素と多孔質TiO電極の吸着力の強さを比較することができる。なお、水酸化ナトリウムは色素をTiO表面から脱離することに有効な試薬である。
[N719色素の吸着力]
0.5mMのN719色素を含むアセトニトリル/tert−ブタノール(1:1(体積比))の混合溶液に、前述と同様にして作製した色素吸着前のTiO電極(1cm×1cm角)を20℃で24時間浸漬させることにより、N719色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極を作製した。その後、このTiO電極の吸光度を測定した。次に0.1Mの水酸化ナトリウム溶液に浸漬させた後、水で洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。水酸化ナトリウム溶液への浸漬は、30秒間行った。結果を図5に示す(横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す)。
[Z907色素の吸着力]
0.3mMのZ907色素を含むアセトニトリル/tert−ブタノール(1:1(体積比))の混合溶液に、前述と同様にして作製した色素吸着前のTiO電極(1cm×1cm角)を室温で20時間浸漬させることにより、Z907色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極を作製した。その後、このTiO電極の吸光度を測定した。次に0.1Mの水酸化ナトリウム溶液に浸漬させた後、水で洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。水酸化ナトリウム溶液への浸漬は、30秒間行った。結果を図6に示す(横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す)。
[SG1051色素の吸着力]
0.3mMのSG1051色素を含むアセトニトリル/tert−ブタノール(1:1(体積比))の混合溶液に、前述と同様にして作製した色素吸着前のTiO電極(1cm×1cm角)を室温で1時間浸漬させることにより、SG1051色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極を作製した。その後、このTiO電極の吸光度を測定した。次に0.1Mの水酸化ナトリウム溶液に浸漬させた後、水で洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。水酸化ナトリウム溶液への浸漬は、30秒間行った。さらに、水酸化ナトリウム溶液への当該浸漬後、アセトニトリルで洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。結果を図7に示す(横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す)。
[125℃で加熱したSG1051色素の吸着力]
0.3mMのSG1051色素を含むアセトニトリル/tert−ブタノール(1:1(体積比))の混合溶液に、前述と同様にして作製した色素吸着前のTiO電極(1cm×1cm角)を20℃で1時間浸漬させることにより、SG1051色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極を作製した。その後、このTiO電極を125℃で1分間加熱してTiO電極の吸光度を測定した。次に0.1Mの水酸化ナトリウム溶液に浸漬させた後、水で洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。水酸化ナトリウム溶液への浸漬は、30秒間行った。さらに、水酸化ナトリウム溶液への当該浸漬後、アセトニトリルで洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。結果を図8に示す(横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す)。
[250℃で加熱したSG1051色素の吸着力]
0.3mMのSG1051色素を含むアセトニトリル/tert−ブタノール(1:1(体積比))の混合溶液に、前述と同様にして作製した色素吸着前のTiO電極(1cm×1cm角)を室温で1時間浸漬させることにより、SG1051色素を多孔質TiO膜に担持させた多孔質TiO電極を作製した。その後、このTiO電極を250℃で1分間加熱してTiO電極の吸光度を測定した。次に0.1Mの水酸化ナトリウム溶液に浸漬させた後、水で洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。水酸化ナトリウム溶液への浸漬は、30秒間行った。さらに、水酸化ナトリウム溶液への当該浸漬後、アセトニトリルで洗浄し乾燥させたTiO電極の吸光度を測定した。結果を図9に示す(横軸は波長で単位はnm、縦軸は吸光度を表す)。
[色素吸着力の評価]
図5〜図9に示した結果から、SG1051色素は、N719色素やZ907色素とは異なり、水酸化ナトリウム溶液では脱離しないことがわかるが、その後さらに有機溶媒(アセトニトリル)で洗浄するとSG1051色素は脱離することが判明した。さらに、水酸化ナトリウム溶液及び有機溶媒(アセトニトリル)で洗浄する前に、一度250℃で加熱することでSG1051色素間の重合が進み、SG1051色素がより脱離しない状態になることが判明した。本発明のSG1051色素は、多孔質TiO電極に強く吸着されているため、色素増感型太陽電池の特性低下の主要因である色素脱離が少なく、したがって、色素増感型太陽電池の熱耐久性を向上させる色素として非常に有用であることが確認された。

Claims (5)

  1. 透明導電基板と、この透明導電基板上に形成された多孔質膜とを備えた光電変換素子であって、当該多孔質膜の少なくとも一部が、Ru(4,4’−ジ(8−ノネニル)−2,2’−ビピリジン)(4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジン)(NCS) 由来の構造単位のみを有する重合体を吸着したTiO粒子で構成されている光電変換素子。
  2. 請求項1に記載の光電変換素子を用いた色素増感型太陽電池。
  3. ヨウ素を含むイオン性液体を含む請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. イオン性液体が、1−エチルー3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートである請求項3に記載の色素増感型太陽電池。
  5. 電解液として、1−エチルー3−メチルイミダゾリウムヨージド、1,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、グアニジンチオシアネート、N−ブチルベンゾイミダゾール、ヨウ素を含む1−エチルー3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレート溶液を含む、請求項2に記載の色素増感型太陽電池。
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