<液面レベル計1>
図1は、本発明の実施の形態によるレベル計の一構成例を示した斜視図であり、ガイドパルス方式の液面レベル計1が示されている。この液面レベル計1は、ロッド状のプローブ20に沿ってパルス信号を伝送させる液面レベル計測装置であり、表示部11、操作部12、ケーブル接続部13及びタンク取付部14が設けられた本体部10と、プローブ20により構成されている。
表示部11には、液面レベルの計測結果や設定内容が表示される。操作部12は、測定条件などを入力するための入力部である。表示部11及び操作部12は、円柱形状の本体部10の上面に設けられている。
ケーブル接続部13は、本体部10へ電源を供給するための電源線と、計測結果を示す出力信号を伝送するための信号線とを含む伝送ケーブルを着脱可能に接続するコネクタ部である。このケーブル接続部13は、本体部10の周面上に設けられている。
タンク取付部14は、貯留タンク等に液面レベル計1を取り付ける際に使用され、本体部10の主要部よりも径の小さな円柱形状の台座部であり、ネジ山が形成されている。このタンク取付部14は、本体部10の下部に設けられている。
プローブ20は、パルス信号を用いて液面レベルを測定するための測定素子であり、パルス信号を伝送する途中に液面が存在すれば、液面の位置で反射パルスが生成される。例えば、プローブ20は、上端を入出力端とし、下端を開放端とする直線状の導電性プローブであり、入出力端に送信パルスが入力され、その反射パルスを入出力端から出力する。
このプローブ20は、タンク取付部14の下面から突出するように、本体部10に取り付けられている。また、プローブ20は、本体部10に対し着脱可能に取り付けられ、プローブ長PLを変更することができる。プローブ長PLは、プローブ20の長さであり、入出力端と開放端との距離に相当する。
液面レベル計1は、送信パルスを本体部10からプローブ20の上端、すなわち、入出力端に入力したときから、液面による反射パルスがプローブ20の入出力端から本体部10に入力されるまでの時間間隔に基づいて、液面レベルを計測する。液面レベルは、繰り返し計測され、その計測結果が表示部11に表示される。
この液面レベル計1では、ミリメートル(mm)表示モードとパーセント(%)表示モードとのいずれか一方を任意に選択することができる。mm表示モードは、プローブ20の下端から液面までの距離を求め、液面レベルとして表示する動作モードである。%表示モードは、プローブ20の上端を上端値とし、下端を基準値とする距離の相対値を求め、液面の相対レベルとして表示する動作モードである。
<本体部10>
図2は、図1の本体部10の構成例を示した図であり、表示部11及び操作部12が示されている。この表示部11は、メイン表示部111、単位表示灯112〜114、スタビリティ警報灯115及び判定表示灯116により構成される。
メイン表示部111は、液面レベルの測定結果や測定条件の設定値を数値で表示するための表示装置である。このメイン表示部111は、5桁の7セグメントLED(発光ダイオード)により構成されている。
単位表示灯112〜114は、測定結果の表示単位を表示するためのLEDインジケータである。単位表示灯112は、mm表示モードが選択されている場合に点灯する。単位表示灯113は、%表示モードが選択されている場合に点灯する。単位表示灯114は、スケーリング機能が選択されている場合に点灯する。
スケーリング機能は、プローブ20上の2つの位置をユーザに任意に指定させ、これらの位置を示す入力値に対し、実際に表示させる出力値を任意に指定させる表示変換機能である。スケーリング機能が選択されている場合、液面の高さを示す表示値は、プローブ20の下端から液面までの距離を示す測定値を、ユーザが指定した入力値及び出力値の2つの組合せにより定められる1次変換によって変換することにより、求められる。
スタビリティ警報灯115は、測定環境が適切であるか否かを表示するためのLEDインジケータであり、測定環境が良くない場合に点灯する。例えば、後述する測定安定度が、所定の閾値以下の場合に測定環境が良くないと判断され、スタビリティ警報灯115が点灯されるようにしても良い。判定表示灯116は、判定結果を表示するためのLEDインジケータであり、判定出力用の4つの出力端子ごとに設けられている。
操作部12は、アップボタン121、ダウンボタン122及びモード切替ボタン123により構成される。アップボタン121及びダウンボタン122は、測定条件を入力するための操作キーである。アップボタン121は、入力値をインクリメントするのに用いられ、ダウンボタン122は、入力値をデクリメントするのに用いられる。
モード切替ボタン123は、動作モードを切り替えるための操作キーであり、測定モード、初期設定モード、基本設定モード及び詳細設定モードのいずれかに動作モードを切り替えるのに用いられる。測定モードでは、液面の高さを示す表示値がメイン表示部111に表示され、閾値判定の結果を示す出力信号が出力端子から出力される。
各設定モードは、プローブ長PL、表示単位、判定出力用の閾値、スケーリング用の入出力値、オフセット値といったパラメータの値を測定条件として設定するための動作モードである。
図3は、図1の液面レベル計1の使用態様の一例を示した断面図であり、液面レベル計1を貯留タンク2に取り付けた場合が示されている。この液面レベル計1は、貯留タンク2の上板に設けられた貫通穴に取り付けられている。
本体部10は、プローブ20が水平面と交差するように配置される。例えば、本体部10は、プローブ20が貯留タンク2内の液面3に対し垂直となるように配置される。液面レベルの計測は、プローブ20の下端、すなわち、開放端22が液面下にある場合、プローブ20の上端、すなわち、入出力端21と液面3との距離Lを求めることにより行われる。
本体部10は、送信パルス4を所定のパルス繰返周期で生成し、プローブ20の入出力端21に入力する。送信パルス4は、入出力端21から開放端22へ光の速さCで伝送される。開放端22が液面3よりも下側にあれば、プローブ20上の液面3の位置において、送信パルス4から反射パルス5が形成される。送信パルス4の一部は、液面3の位置における反射パルス5の形成後もそのまま液面下へ伝送され、開放端22において反射パルスを形成する。
反射パルス5は、空気と液体との誘電率の差に応じた信号強度で形成され、入出力端21へ光の速さCで伝送される。本体部10は、送信パルス4を入出力端21に入力した時から、液面3による反射パルス5が入出力端21から本体部10に入力されるまでの時間間隔TKに基づいて、距離Lを算出する。距離Lは、L=TK×C×(1/2)により求めることができる。
液面レベルは、開放端22から液面3までの距離ELであり、開放端22が基準値ゼロに相当する。この液面レベルは、プローブ長PLを用いて、EL=PL−Lにより求められる。
また、貯留タンク2の底面に対する開放端22の高さHOをオフセット値として指定することにより、液面レベルの測定値をオフセット値だけオフセットさせて表示することができる。このオフセット処理では、貯留タンク2の底面に対する液面3の高さEHがEH=EL+HOにより求められる。
この液面レベル計1では、%表示が表示単位として選択されている場合、プローブ20の入出力端21を上端値とし、開放端22を基準値とする距離の相対値が液面3の相対レベルとしてメイン表示部111に表示される。
また、開放端22の高さHOに相当する相対レベルの基準値を指定することにより、入出力端21に満水時の液面3の高さに相当する上端値を対応づけた距離の相対値によって、液面3の高さが表示される。つまり、ユーザが開放端22に対応づける基準値を指定することにより、プローブ20の上端に満水時の液面3の高さに相当する上端値を対応づけた距離の相対値によって、液面3の高さが適切に表示され、貯留タンク2内に収容されている液体の実際の収容量を容易に認識することができる。
図4は、図1の液面レベル計1の構成例を示したブロック図である。この液面レベル計1は、表示部11、操作部12、タンク取付部14、プローブ20、基準発振器31、送信パルス生成回路32、入出力部33、局部発振器34、サンプリングパルス生成回路35、サンプリングホールド回路36、アンプ37、ADC38、CPU39、DAC40及び信号出力部41により構成される。
通常、送信パルス4は、数MHz程度の周波数からなるクロック信号を用いて生成され、パルス繰返周期は、数百ns程度である。一方、送信パルス4と反射パルス5との時間間隔TKは、極めて短く、プローブ20の長さ1mm当たりの往復時間は、数ps程度である。このため、送信パルス4と反射パルス5とをそのまま時間軸上で比較して、時間間隔TKや距離Lを求めることは難易度が高い。そこで、パルス繰返間隔が送信パルス4とは僅かに異なるサンプリングパルスSPを用いて、送信パルス4や反射パルス5を時間伸張させる処理が行われる。つまり、時間伸張された送信パルス4と反射パルス5との信号波形を比較することによって、液面レベルが計測される。
基準発振器31は、送信パルス用の基準信号を生成し、送信パルス生成回路32へ出力する高周波信号生成部である。例えば、周波数19.2MHzのクロック信号が基準信号として生成される。送信パルス生成回路32は、基準信号に基づいて、送信パルス4を生成し、入出力部33へ出力する。送信パルス4は、パルス繰返周期PT1で繰り返し生成される。
具体的には、分周器(図示せず)を用いて基準信号が分周され、その分周信号を波形整形することにより、パルス幅の短い送信パルス4が得られる。上記分周信号の周波数は、2.4MHzであり、パルス繰返周期PT1は、416.7nsである。
入出力部33は、送信パルス生成回路32から入力された送信パルス4をプローブ20及びサンプリングホールド回路36へ出力し、プローブ20から反射パルス5が入力される信号結合部であり、例えば、分岐端子により構成される。この入出力部33にプローブ20から入力された反射パルス5は、サンプリングホールド回路36へ出力される。
局部発振器34は、サンプリングパルス用の参照信号を生成し、サンプリングパルス生成回路35へ出力する高周波信号生成部である。例えば、周波数が基準信号とは僅かに異なるクロック信号が参照信号として生成される。局部発振器34には、電圧レベルによって発振周波数を調整することができるVCO(電圧制御発振器)が用いられる。
サンプリングパルス生成回路35は、参照信号に基づいて、サンプリングパルスSPを生成し、サンプリングホールド回路36へ出力する。サンプリングパルスSPは、パルス繰返周期PT2で繰り返し生成される。
具体的には、分周器(図示せず)を用いて参照信号が分周され、その分周信号を波形整形することにより、パルス幅の短いサンプリングパルスSPが得られる。例えば、上記分周信号の周波数は、(2.4MHz−16Hz)であり、パルス繰返周期PT2は、(416.7ns+2.8ps)である。
一般に、パルス信号は、比較的に短い期間に出力される信号であり、その波形は任意であり、矩形、三角形、その他の形状であっても良い。送信パルス4やサンプリングパルスSPは、電流又は電圧レベルといった信号レベルがゼロレベルから立ち上がり、短期間に立ち下がる信号である。
サンプリングホールド回路36は、入出力信号を時間伸張した伸張信号を生成し、アンプ37へ出力する伸張信号生成部である。伸張信号は、サンプリングパルスSPをトリガーとして、入出力部33における入出力信号をサンプリングし、次のサンプリングパルスSPによって入出力信号を新たにサンプリングするまで、サンプリング値を保持することにより、生成される。
この伸張信号は、パルス繰返周期PT1及びPT2の差ΔTに応じて、時間軸方向に伸張される。時間軸方向の伸張率は、パルス繰返周期PT1及びPT2の差ΔTと、パルス繰返周期PT1又はPT2のいずれか一方との比により規定される。例えば、時間軸方向の伸張率rは、(送信パルスの周波数)/{(送信パルスの周波数)−(サンプリングパルスの周波数)}=2.4MHz/16Hz=150×103である。
アンプ37は、サンプリングホールド回路36からの伸張信号を増幅し、ADC38へ出力する増幅回路である。ADC(アナログ−デジタルコンバータ)38は、アナログ信号をデジタル信号に変換する変換素子であり、増幅後の伸張信号をデジタルデータ化してCPU39へ出力する。
CPU39は、操作部12からの入力信号に基づいて表示部11及び信号出力部41を制御し、また、伸張信号の波形を解析することにより、プローブ20の入出力端21から液面3までの距離Lを求め、測定値ELや表示値を生成する。表示部11には、表示値や、所定の判定結果、例えば、液面3の高さEHが所定の高さに到達したか否かの判定結果が表示される。信号出力部41は、測定値ELや判定結果を示す出力信号を生成し、外部機器へ出力するための出力回路である。
このCPU39は、送信パルス4のパルス繰返周期PT1とサンプリングパルスSPのパルス繰返周期PT2との差ΔTが一定に保持されるように、パルス繰返周期PT2を制御する。DAC(デジタル−アナログコンバータ)40は、デジタル信号をアナログ信号に変換する変換素子であり、CPU39からのVCO制御信号をアナログ信号に変換して局部発振器34へ出力する。
液面レベル計1では、送信パルス4及びサンプリングパルスSPのパルス繰返周期の差ΔTを利用して、入出力信号を時間伸張した伸張信号が生成される。プローブ20の入出力端21から液面3までの距離Lは、この様な伸張信号に基づいて、送信パルス4が液面3からの反射パルス5として戻るまでの伝播時間を求めることによって得られる。送信パルス4は、一定の周期で繰り返し生成される信号であり、また、液面3による反射パルス5も送信パルス4と同じ周期で繰り返し生成される信号である。
<送信パルス4と反射パルス5,6>
図5は、図4の伸張信号の波形の一例を示した図であり、信号レベルの時間変化が示されている。入出力部33では、送信パルス4、液面3による反射パルス5、入出力端21による反射パルス6が入出力される。送信パルス4は、入出力部33に対し一定のパルス繰返周期PT1ごとに繰り返し入力され、プローブ20及びサンプリングホールド回路36へ出力される。
サンプリングホールド回路36へ出力される送信パルス4は、プローブ20へ出力される送信パルス4に比べればその信号強度が極めて小さい。一方、サンプリングホールド回路36へ出力される送信パルス4は、反射パルス5,6に比べればその信号強度が十分に大きい。この例では、その様な送信パルス4が時刻t1及びt4において観測されている。送信パルス4のピークレベルはa1である。
ガイドプローブ20のタンク取付部14は、プローブハウジングと呼ばれる同軸構造により構成される。このため、タンク取付部14の出口、すなわち、入出力端21付近において反射パルス6が生成される。この入出力端21による反射パルス6は、信号レベルが送信パルス4と同極性であり、送信パルス4に比べれば、その信号強度は小さい。この例では、その様な反射パルス6が時刻t2において観測されている。
プローブ20の途中に液面3が存在する場合、液面3の位置において反射パルス5が生成される。この反射パルス5は、信号レベルが送信パルス4とは逆極性であり、反射パルス6に比べれば、その信号強度は小さい。反射パルス5は、液面3の位置がダイナミカルに変化しなければ、入出力部33において送信パルス4と同じ周期で繰り返し入出力される。この例では、時刻t3において、ピークレベルがa2の反射パルス5が観測されている。
伸張信号における送信パルス4や反射パルス5の識別は、伸張信号の波形からピーク点を検出し、ピーク点の信号レベルを閾値b1,b2と比較することにより行われる。すなわち、送信パルス4は、ピーク点の信号レベルを所定の閾値b1と比較することによって検出される。また、反射パルス5は、ピーク点の信号レベルを閾値b1よりも絶対値の小さい所定の閾値b2と比較することによって検出される。
一方、反射パルス6は、ピーク強度、パルス幅、時間軸上の位置によって特定することができる。例えば、入出力部33及び入出力端21間の配線長から、送信パルス4に対する反射パルス6の時間軸上の位置を推定することによって、反射パルス6を特定することができる。
送信パルス4や反射パルス6に対する反射パルス5の時間軸上の位置は、測定対象の液体の種類が変わったとしても、一定である。
そこで、例えば、入出力端21と液面3との距離Lは、反射パルス6と反射パルス5との時間間隔TK1から求められる。この時間間隔TK1は、送信パルス4が入出力端21から液面3へ出力されたときから、反射パルス5が液面3から入出力端21に入力されるまでの伝播時間に相当し、ピーク点間の時間間隔(t3−t2)により求められる。距離Lは、伸張率rを用いて、L=TK1×(1/r)×C×(1/2)により求めることができる。ここで、パルス繰返周期PT1をr倍したものは、時間間隔TK1に比べて十分に長いことから、次の送信パルス4が反射パルス5,6の検出に影響を与えることはない。
ただし、入出力端21及び液面3間の距離Lは、送信パルス4と反射パルス5との時間間隔に基づいて求めても良い。この場合、距離Lは、送信パルス4及び反射パルス5の時間間隔と、入出力部33及び入出力端21間の往復時間に相当する時間長との差分から求められる。
<オフセット処理>
図6は、図4の液面レベル計1が液面レベルの測定値esから表示値hjを求める際に使用する1次変換の一例を示した図である。図中の(a)には、%表示モードが選択されている場合のオフセット処理が示され、(b)には、mm表示モードが選択されている場合のオフセット処理が示されている。
測定値esは、es=PL−Lにより求められ、上限値はPL(mm)、下限値は0mmである。%表示モードが選択されている場合、表示値hjは、プローブ20の上端を上端値とし、下端を基準値とする距離の相対値であり、上端値は100%、基準値は0%である。ただし、ゼロでないユーザ指定値YS1がオフセット値として指定されていれば、表示値hjは、測定値esの下限値がユーザ指定値YS1に変換されるように、測定値esを相対値に変換することによって求められる。
具体的には、プローブ長PLを用いた1次変換式hj=YS1+(es/PL)×(100−YS1)により、測定値esから表示値hjが求められる。ユーザ指定値YS1は、%表示モードにおけるオフセット値として、0%以上100%以下の範囲内で任意の値を指定することができる。
mm表示モードが選択されている場合には、測定値esがそのまま表示値hjとして表示される。つまり、この場合、表示値hjの上限値はPL(mm)、下限値は0mmである。ただし、ゼロmmでないユーザ指定値YS1が指定されていれば、表示値hjは、測定値esにユーザ指定値YS1を加算することによって求められる。すなわち、表示値hjは、hj=es+YS1により求められる。
<スケーリング処理>
図7は、図4の液面レベル計1が液面レベルの測定値esから表示値hjを求める際に使用する1次変換の他の一例を示した図であり、ユーザが任意に指定した入力値及び出力値の2つの組合せに基づくスケーリング処理が示されている。
スケーリング処理では、プローブ20上の位置を示す入力値x1,x2に対し、出力値YS11,YS12をそれぞれ対応づける1次変換式を用いて、測定値esが表示値hjに変換される。入力値x1,x2は、プローブ20の下端からの距離を示すパラメータとして任意に指定することができる。また、出力値YS11,YS12は、ユーザ指定値であり、任意の値を指定することができる。
図8は、図4の液面レベル計1の動作の一例を模式的に示した説明図であり、距離Lの測定によって得られた液面3の高さが%表示される様子が示されている。図中の(a)には、デフォルト状態における表示値が示され、(b)には、オフセット処理が実行される場合が示され、(c)には、ゼロシフト処理が実行される場合が示されている。
デフォルト状態では、オフセット値=0であり、プローブ20の上端を上端値100%とし、下端を基準値0%とする距離の相対値が表示値hjとして求められ、この表示値hjによって液面3の高さが表示される。この例では、表示値hj=10%が表示されている。相対レベルの上端値100%は、満水時の液面3の高さに相当する固定値である。
これに対し、ゼロでないオフセット値がユーザ指定値YSとして指定されれば、オフセット処理が実行され、プローブ20の上端を上端値100%とし、下端を基準値YS(%)とする距離の相対値が表示値hjとして求められる。この例では、YS=20%が指定され、表示値hj=28%が表示されている。
ユーザがプローブ20の下端に対応づける基準値をユーザ指定値YSとして指定することにより、プローブ20の上端に満水時の液面3の高さに相当する上端値を対応づけた距離の相対値によって、液面3の高さを表示することができる。このため、プローブ20の下端が貯留タンク2の底面から離間している場合であっても、貯留タンク2内に収容されている液体の実際の収容量を容易に認識することができる。
さらに、所定の操作を行うことにより、表示値をゼロシフトさせるゼロシフト処理が実行されれば、プローブ20の上端を上端値100%とし、現在の液面3の高さを基準値YS(%)とする距離の相対値によって、液面3の高さが表示される。
ゼロシフト処理は、現在の液面3の高さがゼロ高さを示すように、表示値をシフトさせる処理である。このゼロシフト処理では、%表示モードが選択されている場合、プローブ20の上端を上端値100%とし、現在の液面3の高さを基準値0%とする距離の相対値によって、液面3の高さが表示される。
ただし、ゼロでないオフセット値が指定されていれば、プローブ20の上端を上端値100%とし、現在の液面3の高さを基準値YS(%)として、距離の相対値が求められる。この例では、表示値hj=20%が表示されている。
この様に、液面3が所望の高さに到達したタイミングでゼロシフト処理の実行を指示することにより、プローブ20の上端に満水時の液面3の高さに相当する上端値を対応づけた距離の相対値によって、液面3の高さを適切に表示することができる。
図9は、図4の液面レベル計1の動作の一例を示したブロック図であり、測定モード50、初期設定モード51、基本設定モード52及び詳細設定モード53間の遷移が示されている。測定モード50は、距離Lを繰り返し測定して測定値esを求め、液面3の高さを示す表示値hjに変換してメイン表示部111に表示し、或いは、閾値判定の結果を示す出力信号を出力端子から出力する動作モードである。
測定モード50では、所定の操作を行うことにより、ゼロシフト処理を実行し、或いは、測定安定度をメイン表示部111に表示することができる。ゼロシフト処理では、%表示モードが選択されている場合、プローブ長PLが100%を示し、現在の測定値が0%を示すように、測定値esが表示値hjに変換される。
また、mm表示モードが選択されている場合には、現在の測定値が0mmを示すように、測定値esに一定値を加算して表示値hjが求められる。この様なゼロシフト処理は、アップボタン121を長押しすることにより、実行することができる。また、アップボタン121及びダウンボタン122を両方同時に長押しすることにより、ゼロシフト処理の実行状態を解除し、ゼロシフト処理の実行前の状態へ復帰させることができる。
測定安定度は、プローブ20の近傍に存在する障害物やプローブ20に付着した異物が計測結果に与える影響を数値化したパラメータであり、液面3による反射パルス5と、障害物や付着物による反射パルスとの強度比に基づいて求められる。この様な測定安定度は、ダウンボタン122を長押しすることにより、表示させることができる。
初期設定モード51、基本設定モード52及び詳細設定モード53は、測定条件を規定するパラメータの値を設定するための動作モードである。例えば、各設定モードでは、距離Lの測定は繰り返し行われが、閾値判定の結果を示す出力信号は出力されない。
初期設定モード51では、プローブ長や表示単位を設定することができる。基本設定モード52では、出力数や判定出力用の閾値を設定することができる。詳細設定モード53では、出力方法の選択、スタビリティ警報の設定、スケーリング機能の選択、オフセット値の設定を行うことができる。
測定モード50から初期設定モード51へは、モード切替ボタン123を押下しながらダウンボタン122を所定回数押下することによって移行させることができる。また、測定モード50から基本設定モード52へは、モード切替ボタン123を長押しすることによって移行させることができる。
また、基本設定モード52から測定モード50や詳細設定モード53へは、モード切替ボタン123を押下することによって移行させることができる。また、初期設定モード51や詳細設定モード53から測定モード50へは、モード切替ボタン123を押下することによって移行させることができる。
図10は、図4の液面レベル計1の動作の一例を示した図であり、各設定モードにおいて設定可能なパラメータごとに、メイン表示部111の表示態様が示されている。図中の(a)には、初期設定モードが選択されている場合が示され、(b)には、基本設定モードが選択されている場合が示され、(c)には、詳細設定モードが選択されている場合が示されている。
初期設定モード51では、プローブ長及び表示単位が設定される。プローブ長の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、入力値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「プローブ長」と、入力値「1000」が交互に表示されている。入力値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。
表示単位の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、選択値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「単位」と、選択値「mm」が交互に表示されている。選択値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。プローブ長の設定状態と表示単位の設定状態とは、モード切替ボタン123を押下することにより、切り替えることができる。
基本設定モード52では、出力数及び判定値が設定される。出力数は、閾値判定の結果を出力するのに使用する出力端子の数であり、1以上4以下の整数値を任意に指定することができる。出力数の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、選択値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「出力数」と、選択値「2」が交互に表示されている。選択値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。
判定値は、出力判定用の閾値であり、2以上の出力数が指定されていれば、判定出力に指定された出力端子ごとに設定することができる。判定値の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、入力値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「判定値」と、入力値「0」が交互に表示されている。入力値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。出力数の設定状態と判定値の設定状態とは、モード切替ボタン123を押下することにより、切り替えることができる。
詳細設定モード53では、出力方法、スタビリティ警報、スケーリング機能及びオフセット値が設定される。出力方法は、判定値を用いた出力判定の方法であり、ヒステリシスモードやウインドウモードを選択することができる。
ヒステリシスモードは、2つの判定値H1,H2を用いたヒステリシス動作により出力判定を行う測定モードである。ウインドウモードは、測定値が2つの判定値W1,W2の間にあるか否かによって出力判定を行う測定モードである。
出力方法は、判定出力に指定された出力端子ごとに設定することができる。出力方法の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、選択値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「出力1」と、選択値「H」が交互に表示されている。選択値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。
スタビリティ警報は、測定安定度が一定値以下になった場合に、エラー出力を行う機能であり、デフォルト状態では非選択である。スタビリティ警報の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、選択値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「スタビリティ警報」と、選択値「OFF」が交互に表示されている。選択値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。
スケーリング機能は、プローブ20上の位置を示す2つの入力値と、入力値に対応させる表示値を示す2つの出力値とをユーザに任意に指定させて表示値を変換する機能であり、デフォルト状態では非選択である。
スケーリング機能の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、選択値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「スケーリング」と、選択値「OFF」が交互に表示されている。選択値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。
オフセット値は、オフセット処理に用いるユーザ指定値YSであり、デフォルト状態では、ゼロレベルが指定されている。オフセット値の設定時には、パラメータ名を示す文字列と、入力値が交互に表示される。この例では、パラメータ名「オフセット」と、入力値「0」が交互に表示されている。入力値は、アップボタン121又はダウンボタン122を押下することにより、変更することができる。出力方法の設定状態、スタビリティ警報の設定状態、スケーリング機能の設定状態及びオフセット値の設定状態は、モード切替ボタン123を押下することにより、切り替えることができる。
<CPU39>
図11は、図4のCPU39内の機能構成の一例を示したブロック図である。このCPU39は、ピーク点検出部101、距離測定部102、界面レベル算出部103、ユーザ指定部104、相対レベル算出部105、レベル表示部106、公差処理部107及び参照距離取込部108により構成される。
ピーク点検出部101は、伸張信号の波形に基づいて、信号強度のピーク点を検出し、その検出結果を距離測定部102へ出力する。すなわち、ピーク強度が所定の判定閾値K1を越えるピーク点を検出することにより、ノイズの影響を除去することができる。このピーク点検出は、所定の時間間隔で繰り返し行われる。
距離測定部102は、液面3による反射パルス5の伝播時間に基づいて、液面3までの距離Lを測定する。具体的には、ピーク点検出によって抽出されたピーク点の中から、ピーク強度に基づいて、送信パルス4及び液面3による反射パルス5を検出する。そして、伸張信号に含まれる送信パルス4と反射パルス5との時間間隔TK2、或いは、反射パルス6と反射パルス5との時間間隔TK1に基づいて、プローブ20の入出力端21から液面3までの距離Lを測定し、その測定結果を界面レベル算出部103及び相対レベル算出部105へ出力する。
界面レベル算出部103は、プローブ20の長さ、すなわち、プローブ長PLと、距離Lの測定結果とに基づいて、プローブ20の開放端22から液面3までの距離ELを液面レベルとして算出し、測定値esを生成する。
ユーザ指定部104は、ユーザが任意の値を液面レベル又は相対レベルのオフセット値として指定するためのオフセット値入力手段であり、所定のユーザ操作に基づいて、ユーザ指定値YSを生成する。相対レベル算出部105は、距離Lの測定結果に基づいて、プローブ20上の所定位置を基準値とし、入出力端21を上端値とする距離の相対値を液面3の相対レベルとして算出する。
この相対レベル算出部105は、開放端22にユーザ指定値YSを対応づけ、ユーザ指定値YSを基準値として相対レベルが算出される。つまり、%表示モード用のオフセット値は、相対レベルの基準値として指定される。
レベル表示部106は、液面レベル及び相対レベルのいずれか一方を切替可能に表示するための表示データを生成し、メイン表示部111へ出力する。すなわち、%表示モードが選択されている場合、入出力端21を上端値とし、開放端22をユーザ指定値YSとする液面3の相対レベルが表示値hjとして表示される。また、mm表示モードが選択されている場合には、液面レベルの測定値esにユーザ指定値YSを加算した値が表示値hjとして表示される。公差処理部107は、表示値hjを判定値と比較し、その比較結果に基づいて、オン状態又はオフ状態の2値からなる判定信号を生成する。
参照距離取込部108は、ユーザによる取込指示に基づいて、距離測定部102により測定された距離Lを参照距離SLとして取り込む。参照距離SLは、アップボタン121の押下操作に基づいて取り込まれ、ゼロシフト処理が実行される。相対レベル算出部105は、参照距離SLが取り込まれ、ゼロシフト処理が実行されれば、参照距離SLに相当するプローブ20上の位置をユーザ指定値YSとし、入出力端21を上端値とする距離の相対値を液面3の相対レベルとして算出する。
レベル表示部106は、開放端22を基準値とする液面3の第1相対レベルと、参照距離SLを基準値とする液面3の第2相対レベルとのいずれか一方を切替可能に表示し、或いは、第1及び第2相対レベルの両方を同時に表示する。
ゼロシフト処理の実行状態は、ユーザによる所定の解除操作に基づいて解除され、開放端22をユーザ指定値YSに対応づける動作モード、すなわち、ゼロシフト処理の実行前の動作モードへ復帰する。
本実施の形態によれば、ユーザがプローブ20の下端に対応づける基準値を指定することにより、プローブ20の上端に満水時の液面3の高さに相当する上端値を対応づけた距離の相対値によって液面3の高さを表示することができる。
この様にプローブ20の上端に満水時の液面3の高さを対応づけた距離の相対値によって液面3の高さを表示することにより、プローブ20の下端が貯留タンク2の底面から離間している場合であっても、液体の実際の収容量を容易に識別することができる。
また、液面3が所望の高さに到達したタイミングで距離Lの取り込みを指示し、液面3の実際の高さに対応づける基準値をユーザが指定することにより、プローブ20の上端に満水時の液面3の高さに相当する上端値を対応づけた距離の相対値によって液面3の高さを適切に表示することができる。さらに、所定の解除操作を行うことにより、取込指示によって取り込んだ参照距離SLを基準値に対応づける動作モードを解除して、取込指示の前の動作モードへ復帰させることができる。
なお、本実施の形態では、液面3の高さを示す表示値hjが%表示され、或いは、mm表示される場合の例について説明したが、本発明は液面レベルの表示態様をこれに限定するものではない。例えば、貯留タンク2内に収容されている液体の体積を表示値hjとして表示するような構成であっても良い。特に、%表示モード時に、貯留タンク2の容積に対する液体の体積の相対値を表示値hjとして表示するものにも本発明は適用することができる。
また、本実施の形態では、液面レベル又は相対レベルのいずれか一方が切替可能に表示される場合の例について説明したが、本発明は、液面レベルや相対レベルの表示態様をこれに限定するものではない。例えば、液面レベル及び相対レベルの両方を同時に表示するような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、プローブ20の開放端22にユーザ指定値YSを対応づけて液面3の相対レベルが算出される場合の例について説明したが、本発明は相対レベルの基準値を対応づけるプローブ20上の位置をこれに限定するものではない。例えば、開放端22から所定距離だけ離間したプローブ20上の位置にユーザ指定値YSを対応づけて液面3の相対レベルを算出するような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、プローブ20の上端から液面3までの距離Lを下端からの距離を示す測定値esに変換し、さらに、測定値esを表示値hjに変換して表示する場合の例について説明したが、本発明は、表示値hjを求める方法をこれに限定するものではない。例えば、プローブ長PLと距離Lとから直接に表示値hjを求めるような構成であっても良い。
また、本実施の形態では、液面レベルを計測する液面レベル計1について説明したが、本発明は、液面や粉体面等の界面レベルを計測するレベル計全般に適用することができる。