JP5937039B2 - 日射計 - Google Patents

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Description

本発明は日射計に係り、特に太陽熱利用給湯システムの運転制御用として好適な日射計に関する。
近年、再生可能エネルギー利用促進の有効な手段として、太陽熱利用給湯システムが注目されている。太陽熱利用給湯システムは、屋上、屋根上、ベランダ等に設置した集熱パネル内部の熱媒に太陽光を集熱し、熱媒ポンプにより貯湯タンクにお湯として蓄え、給湯、暖房等需要に供するものである。
従来の太陽熱利用給湯システムでは集熱効率向上のために、熱媒ポンプの起動停止を頻繁に繰り返す制御を行っているが、繰り返し回数が増すほど熱媒ポンプの消費電力が大きくなり、システム効率低下を招くという問題がある。
システム効率向上のためには熱媒ポンプの効率的駆動制御が求められるが、このためには日射状態をリアルタイムで検知できる日射計を用いることが有効となる。
日射量の測定は、輻射を熱、電気等に変換して測定することによって行われ、光電素子やサーモパイル(熱電堆)を用いて日射量を電気信号に変換する方式が一般的である。このうち、光電素子を用いた日射計として例えば特許文献1の技術が、太陽電池を用いたものとして例えば特許文献2が、熱電対を用いたものとして例えば特許文献3が、それぞれ提案されている。
特開平6−94518号公報 特開2004−45259号公報 特開2005−77215号公報
しかしながら上記各方式の日射計は高精度ではあるが、必ずしも正確な日射量計測を必要としない太陽熱利用給湯システムに要求される計測器としてはオーバースペックである。また、これらはいずれも高価であることから、システムの普及促進の阻害要因となる。
このため、より簡易で太陽熱利用給湯システムに適した精度の日射計が求められている。
本発明は上記課題を解決するためのものであって、簡易な構成で目的合理性に即した日射計を提供するものである。本発明は以下の内容を要旨とする。すなわち、本発明に係る日射計は、
(1)日射状態判定のための日射計であって、
外殻体と、外殻体内側表面に密着させて配置した断熱部材と、外殻体内側に配置した第一の温度センサ及び第二の温度センサと、を備えて成り、
外殻体は、底板部と、受光板部と、背面板部と、を備え、これらで囲まれる内側空間の通気を確保するように構成され、
受光板部は、高熱伝導性を有する金属材料により構成され、かつ、水平面に対して所定の傾斜角度θを以て配置され、
第一の温度センサは、受光板部の内側表面に密着して配置され、
第二の温度センサは、外殻体内側空間の断熱部材のさらに内側に配置され、かつ、
日射状態に対応する、第一の温度センサ及び第二の温度センサの検出値を出力可能に構成した、ことを特徴とする。
本発明において、日射状態とは天気の状態を、例えば、快晴、晴れ時々曇り、薄曇り、完全曇り のように分類したときの、各状態をいう。
(2)上記発明において、前記受光板部の傾斜角度θを冬季の太陽光入射角度に設定したことを特徴とする。
太陽熱利用給湯システムの集熱パネルは、通常、冬季の太陽光入射角度に合わせて取り付け角度を設定しており、傾斜角度θをこれに対応させることにより、集熱パネルの集熱判定が可能となる。
(3)上記各発明において、前記受光板部の外側表面の、前記第一の温度センサ位置に該当する位置周囲に、黒色処理を施して成ることを特徴とする。
本発明において、黒色処理とは塗装、テープ貼付等により受光板部表面該当箇所を黒色にすることをいう。
また、本発明に係る日射状態判定装置は、
(4)前記第一の温度センサと前記第二の温度センサとの温度差と、日射状態との相関関係を表す関係テーブルを備え、上記各発明に係る日射計の各温度センサ検出値及び該関係テーブルに基づいて、現在の日射状態を判定可能に構成したことを特徴とする。
また、本発明に係る太陽熱利用給湯システムは、
(5)熱媒を用いて太陽熱を集熱して、熱媒ポンプを介して貯湯タンクにお湯として蓄熱する太陽熱利用給湯システムであって、
上記各発明に係る日射計の各温度センサ検出値に基づいて、熱媒ポンプの起動・停止制御を可能に構成したことを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成で、日射状態をリアルタイムに判定できるという効果がある。
また、本発明の日射計を太陽熱利用給湯システムに適用することにより、日射状態に対応して熱媒ポンプの運転、停止制御が可能になるという効果がある。
第一の実施形態に係る日射状態判定装置10の全体構成を示す図である。 日射計本体1の詳細構成を示す図である。 日射計本体1の側面図である。 市販日射計を用いた日射状態−電圧値Vjの測定結果を概念的に示す図である。 判定テーブルの内容を概念的に示す図である。 第二の実施形態に係る太陽熱利用給湯システム20の構成を示す図である。 太陽熱利用給湯システム20の貯湯制御及び給湯制御フローを示す図である。 市販日射計電圧値と本発明に係る日射計のセンサー間温度差の測定結果を示す図である。 本発明に係る日射計の内側空間温度(センサS2温度)と大気温度の測定結果を比較した図である。
以下、本発明に係る日射計1の実施形態について、図1乃至9を参照してさらに詳細に説明する。なお、重複を避けるため各図において同一構成には同一符号を用いて示している。また、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
<第一の実施形態>
図1を参照して、本実施形態に係る日射状態判定装置10は、日射状態により生じる各部温度差を計測する日射計本体(請求項の日射計に該当)1と、検知した温度差に基づいて日射状態を判定する判定部2と、を備えて構成されている。
(日射計本体1の構成)
図2,3を参照して、日射計本体1は、外殻体3と、外殻体3の各側面の内側面に貼付される断熱部材4と、外殻体3の内側面と断熱部材4の間に配置される温度センサS1,断熱部材4により囲まれる内側空間3hに配置される温度センサS2と、により構成されている。
外殻体3は、金属薄板を短辺方向に平行な2箇所3d、3eで内側に折り込むことにより、底板部3a、受光板部3b、背面板部3cを備えて、略中空三角柱を横倒しした形状に構成されている。金属薄板材料としては高熱伝導性の金属、例えばアルミニウム、銅板等を好適に用いることができる。
底板部3aは、本体1を平面上に載置するための部位であり、中央には温度センサS1,S2の信号線3k、3mを通すための貫通孔3fが設けられている。
受光板部3bは、底板部3aの一端側3dから所定の傾斜角度θで取り付けられている。傾斜角度θは、後述の集熱パネルの取り付け角度と同一角度(40〜60°)となるように設定されている。通常、集熱パネルの取り付け角度は、冬季の太陽光入射角度に合わせている。
受光板部3bの中央には太陽光吸収を黒体に近づけるため、黒色塗装を施した黒色塗装部3gが設けられている。なお、黒色塗装部3gは塗装に替えて黒色テープ等を貼付して構成してもよい。
受光板部3bの黒色塗装部3gの裏側位置には、内側表面に密着させて温度センサS1が取り付けられている。これにより、受光板部3bの日射による温度変化を速やかに検知可能に構成されている。
また、断熱部材4の内側空間3hの中央部近傍には温度センサS2が配設されており、大気温度と見做せる温度を検知可能に構成されている。温度センサS1,S2としてはサーミスタを好適に用いることができる。温度センサS1,S2の検知値は信号線3k、3mを介して判定部2に出力される。
背面板部3cは、受光板部3bの上端側3eから斜め下方向に取り付けられており、反射光等の回り込み等による温度センサS2への影響、及び、内側空間3hへの雨の降り込みを防止するように構成されている。
背面板部3cの下端部と底板部3aとの間には隙間3nが設けられており、左右の開口部3i、3jとともに内側空間3hの通気を確保して、温度センサS2が外気温度と見做せる温度を検知可能に構成されている。
(判定部2の構成)
判定部2は、入力部2a、演算部2b、出力部2c、メモリ部2dを主要構成として備え、温度センサS1,S2の検出値に基づいて日射状態を判定し、外部からの要求に応じて判定結果の出力を可能とするように構成されている。判定部2はCPU、RAM、ROM、外部メモリ,クロックを主要構成として備えたマイコンにより実装可能である。
(日射状態判定テーブル)
判定部2は、両センサ間温度差ΔTに基づいて日射状態を判定する天気判定テーブルAを備えている。表1に判定テーブルAの内容を概念的にしめす。
Figure 0005937039
天気判定テーブルは、市販日射計を用いて以下の手順により予め作成することができる。
(a)市販日射計を用いた日射状態−電圧値Vjの測定
最初に、日射状態を4分類(快晴、晴れ時々曇り、薄曇り、完全曇り(j=1〜4))する。次に、市販の日射計を直射日光が当たる位置に置き、各日射状態と判断したときの出力電圧を実測し、各日射状態と電圧値の回帰式L1を求める(図4参照)。さらに回帰式L1に基づいて、各日射状態の境界電圧値Vj(j=1〜3)を求める)。
(b)電圧値Vj−日射計1のセンサ温度差ΔTjの相関関係把握
次に、市販の日射計と本発明の日射計1を室内に並置して、自然光(デイライト)に近いスペクトルを有するフォトハロゲンランプを照射して、市販日射計の電圧値が境界電圧値Vjとなるよう設定する。このときの日射計1のセンサS1,S2の検出温度T1、T2を測定し、さらに境界温度差αjを求める(図5参照)。以上のステップにより、日射状態と温度差ΔTj=T1−T2の関係を表す天気判定テーブル(表1)を求めることができる。
(日射状態判定装置10の使用態様)
受光板部3bに直射日光が当たるように日射計本体1を置き、判定部2による日射状態出力値を用いることにより、例えばアクチュエータの作動制御に利用することができる。
なお、本実施形態では、判定部を備えた日射状態判定装置の例を示したが、日射計自体は温度センサのみを備えて外部装置が判定部を備える構成としてもよい。
かかる構成とすることにより、日射計自体は日射状態に対応するセンサ抵抗値変化を出力し、これに基づいて当該外部装置が日射状態を判定する態様とすることもできる(第二の実施形態参照)。
なお、本実施形態では外殻体3を一体の高熱伝導性金属薄板により構成する例を示したが、受光板部のみ高熱伝導性金属材料とし、他の部位についてはこれ以外の材料を用いる態様とすることもできる。
<第二の実施形態>
次に、本発明に係る日射計を太陽熱利用給湯システムの運転制御に適用する形態について説明する。図6を参照して太陽熱利用給湯システム20は、住宅の屋根上に設置され太陽熱を集熱する集熱パネル21と、集熱した太陽熱を温水として蓄熱する貯湯タンク22と、貯湯タンク22内の温水温度が低いときに加温して給湯するための補助給湯器23と、日射状態を検知する日射計本体1と、システムの運転制御を司る制御部24と、を主要構成として備えている。
本実施形態において、日射計本体1は判定部を持たず、センサS1,S2の抵抗値変化を制御部24に出力するように構成されている。また、制御部24は上述の日射状態判定テーブルTを格納しており、日射計1の出力に基づいて日射状態を判定し、さらに後述する運転制御を指令するように構成されている。
貯湯タンク22には給水配管24aを介して水道水が貯水される。また、貯湯タンク22は内部に熱交換器22aを備えており、熱媒配管21a内を流れる熱媒とタンク内の貯水との熱交換により、集熱パネル21で集熱した太陽熱を貯湯タンク22内に温水として蓄熱可能に構成されている。
補助給湯器23は熱交換部23a,バーナ23b、制御部23cを備えている。補助給湯器23には温水配管24bを介して貯湯タンク22内の温水が導入されるように構成されている。温水配管24bの給湯器入口には温度センサS3が配設されており、後述するように出湯要求温度Tdと温度センサS3の検知温度(給湯器入口温度)Tiとを比較して、燃焼加熱制御を行うように構成されている。なお、補助給湯器23には給水配管が接続されているが、説明簡単化のため同図では図示を省略している。
太陽熱利用給湯システム20は以上のように構成されており、次に図7を参照して制御部24の指令により行われる貯湯制御及び給湯制御フローについて説明する。
日中時間帯には集熱パネル21により太陽熱集熱が行われる(S101)。この間、制御部24はテーブルTに基づいて熱媒ポンプ15の駆動・停止判定を行う。具体的には、日射計1の両センサ温度差ΔTがα2以上の場合には(S102においてY)、蓄熱可能と判定して熱媒ポンプ15を駆動させる(S103)。これにより太陽熱が貯湯タンク22内にお湯として蓄熱される(S104)。S102においてN、すなわちΔT<α2の場合には、集熱不足と判定され、熱媒ポンプ25は停止状態となる。
一方、給湯器23の制御部23cはこの間、以下の運転制御を行う。給湯栓(図示せず)の開栓を検知したときは(S105)、温度センサS3による給湯器入口温度Tiが出湯要求温度Td以上の場合には(S106においてY)、水道水を加えて出湯要求温度Tdに合わせて給湯する(S107)。また、入口温度Tiが出湯要求温度Tdに達していない場合には、出湯要求温度まで加熱昇温して給湯する(S108)。
(b)電圧値Vj−日射計1のセンサ温度差ΔTjの相関関係把握
図8は、市販の日射計(英弘精機株式会社製 ソーラーエース(ISOセカンドグラス日射計)MS−602)と本発明の日射計を並置して、フォトハロゲンランプ(岩崎電気株式会社製 アイランド・フラッド散光形デイライトカラー用 PRF−500WD)を用いて、市販日射計の電圧値を各日射状態に対応する電圧値となるように照射したときの、本発明の日射計のセンサS1,S2の検出温度T1、T2を測定した結果を示したものである。日射状態と電圧値又は温度差(ΔT=T1−T2)の間に相関関係があることが分かる。なお、予め上記市販日射計により、各日射状態(上述のj=1〜4)のときの電圧値を求めてある。
また図9は、このときの内側空間温度T2と外気温度Toを比較したものであり、両者はほぼ同一であることが分かる。このことから、内側空間温度T2を以て外気温度とみなすことができる。
以上の実測データより、本発明による日射状態判定の妥当性が証明された。
本発明は太陽熱利用給湯システムの日射計としてのみならず、これと同等の精度で日射状態判定を必要とする分野に広く利用可能である。
1・・・・日射計本体
2・・・・判定部
3・・・・外殻体
3a・・・底板部
3b・・・受光板部
3c・・・背面板部
3g・・・黒色塗装部
4・・・・断熱部材
10・・・日射状態判定装置
20・・・太陽熱利用給湯システム
21・・・集熱パネル
22・・・貯湯タンク
23・・・補助給湯器
25・・・熱媒ポンプ
S1、S2、S3・・・温度センサ

Claims (5)

  1. 日射状態判定のための日射計であって、
    外殻体と、外殻体内側表面に密着させて配置した断熱部材と、外殻体内側に配置した第一の温度センサ及び第二の温度センサと、を備えて成り、
    外殻体は、底板部と、受光板部と、背面板部と、を備え、これらで囲まれる内側空間の通気を確保するように構成され、
    受光板部は、高熱伝導性を有する金属材料により構成され、かつ、水平面に対して所定の傾斜角度θを以て配置され、
    第一の温度センサは、受光板部の内側表面に密着して配置され、
    第二の温度センサは、外殻体内側空間の断熱部材のさらに内側に配置され、かつ、
    日射状態に対応する、第一の温度センサ及び第二の温度センサの検出値を出力可能に構成した、
    ことを特徴とする日射計。
  2. 前記受光板部の傾斜角度θを、冬季の太陽光入射角度に設定したことを特徴とする請求項1に記載の日射計。
  3. 前記受光板部の外側表面の、前記第一の温度センサ位置に該当する位置周囲に、黒色塗装処理を施して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の日射計。
  4. 前記第一の温度センサと前記第二の温度センサとの温度差と、日射状態との相関関係を表す関係テーブルを備え、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の日射計の各温度センサ検出値及び該関係テーブルに基づいて、現在の日射状態を判定可能に構成したことを特徴とする日射状態判定装置。
  5. 熱媒を用いて集熱した太陽熱を、熱媒ポンプを介して貯湯タンクにお湯として蓄熱する太陽熱利用給湯システムであって、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の日射計の各温度センサ検出値に基づいて、熱媒ポンプの起動・停止制御を可能に構成したことを特徴とする太陽熱集熱システム。
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