JP5936999B2 - 生体情報計測装置 - Google Patents

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  • Measurement Of The Respiration, Hearing Ability, Form, And Blood Characteristics Of Living Organisms (AREA)

Description

本発明は、生体の血流変化、血中酸素濃度、酸素飽和度、グルコース濃度、血糖値、脈拍、その他の様々な生体の代謝に応じて、生体内の光伝播が伝播する光の波長により異なる変化を生ずる性質に着目して生体内部の情報を計測する生体情報計測装置に関する。
近年、生体内部を簡便に無侵襲により計測できる装置として、生体表面に配置された光源から生体内部に光を出射し、生体内部を散乱・吸収されながら伝播して再び生体表面に到達した反射光を受光することにより、生体内部の情報を計測する装置が積極的に提案されている。例えば、下記特許文献1には、スペクトラム拡散変調を用いて光を出射し、生体内部を伝播した光をスペクトラム逆拡散復調して生体内部の情報を計測する生体情報測定装置が開示されている。
この従来の生体情報測定装置は、擬似雑音系列を用いてスペクトラム拡散変調した近赤外光を出射する光出射部と、受光したスペクトラム拡散変調された近赤外光に対応する電気的な信号をスペクトラム拡散復調して検出信号を出力する光検出部とを備えている。そして、この生体情報測定装置によれば、高速かつ高S/N比を確保した状態で生体情報を正確に計測することができる。
ところで、このような光出射部と光検出部とを用いて生体情報を正確に計測するためには、被験体(例えば、被験者の頭部等)に対して、計測を通して光出射部と光検出部とを一定の位置に接触させて維持することや、別機会の計測においても前回の計測と同一位置に光出射部と光検出部とを接触させることが重要である。このため、上述したように、生体内部を伝播した光を用いて生体情報を計測する際には、一般に、光出射部及び光検出部を所定の配置により被験体に保持して接触させるホルダが用いられる。
しかし、被験体である被験者の頭部等の形状は、例えば、年齢差や、男女差、個人差によって異なる。このため、被験者の頭部等の大きさや形に対して使用するホルダが対応していない状態では、被験体(被験者の頭部等)に対するホルダの固定が十分できない状況が生じ得る。そして、このように、ホルダが被験体(被験者の頭部等)に対してしっかりと固定して装着できない場合には、ホルダに一体的に組み付けられている光出射部及び光検出部が被験体に対して相対的に移動し、光出射部及び光検出部を所定の配置により被験体の一定の位置に接触させて維持することができない。その結果、計測対象位置での正確な計測が不能となる。又、ホルダを被験体(被験者の頭部等)にしっかりと固定するために強い力により装着しようとすれば、光出射部及び光検出部を一定の位置に接触させて維持することは可能となる。しかし、被験体が被験者の頭部等である場合には、ホルダを強い力によって装着することに伴って、被験者が強い圧迫感を覚えて長時間の計測が難しくなる場合がある。
このようなホルダ、より詳しくは、光出射部及び光検出部の被験体(特に、被験者の頭部)への固定に関し、例えば、下記特許文献2には、被験体の形状に合わせることが容易であり、被験体からの情報量が多くなる光生体測定装置及びホルダが開示されている。この従来の光生体測定装置及びホルダでは、2つのホルダ部品のそれぞれに形成された穴を重ね、その重ねられた穴に挿入されたソケットをナットにより取り付けることによって複数のホルダ部品を連結し、網状体を形成するようになっている。そして、この従来の光生体測定装置及びホルダでは、ソケットに送光プローブ又は受光プローブが装着されるようになっており、ソケットとナットのネジ締めの調整によって、複数個のホルダ部品を結合した部分での測定対象物表面の接平面内の角度が任意に調整できるようになっている。又、この従来の光生体測定装置及びホルダでは、ホルダ部品が可撓性を有しているため、頭部の曲率に合わせてホルダを変形させて装着できるようにもなっている。
更に、例えば、下記特許文献3には、光照射/光検出モジュールが頭皮に確実に密着し、被験者に過剰な圧迫感を与えない生体光計測用頭部装着式ホルダが開示されている。この従来の生体光計測用頭部装着式ホルダでは、光照射モジュール及び光検出モジュールが、それぞれ先端に被験者の頭皮と接触する接触部を有し先端部を露出させて導光路が形成されているコンタクタと、コンタクタが下方に取り付けられたパッケージとを有するようになっている。そして、コンタクタはパッケージの下部に弾性体を介して固定され、パッケージはホルダに設けられた挿入穴の内部上壁に弾性体と粘弾性体の直列構造を介して固定されるようになっている。
特開2002−248104号公報 特開2004−313741号公報 特開2009−45281号公報
ところで、上記特許文献2に記載された光生体測定装置では、ホルダを構成するソケットに対して送光プローブ又は受光プローブをネジ止めによって組み付けるようになっている。又、上記特許文献3に記載された生体光計測用頭部装着式ホルダでは、コンタクタを弾性体を介してパッケージに固定し、更に、このパッケージを弾性体と粘弾性体の直列構造を介してホルダに固定する必要がある。このような上記従来の装置及びホルダにおいては、計測の目的に応じて、例えば、送光プローブ又は受光プローブや、コンタクタを着脱して配置を変更しようとする場合、容易かつ迅速な着脱が難しくなる可能性がある。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の光出射部及び光検出部の容易かつ迅速な着脱を可能とする生体情報計測装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、少なくとも2つの異なる特定波長を有する近赤外光を発光する光源を有していて、所定の駆動信号に基づいて前記光源を発光させて前記異なる特定波長を有する近赤外光を生体内部に出射する光出射部と、前記光出射部から出射されて前記生体内部を伝播した近赤外光を受光する受光器を有していて、前記受光器によって受光して検出した近赤外光の光強度に対応して生体の代謝に関連する電気的な検出信号を出力する光検出部と、前記光出射部と前記光検出部の作動を統括的に制御し、前記光検出部から出力された電気的な検出信号に基づいて生体情報を算出する制御部と、 前記光出射部の前記光源及び前記光検出部の前記受光器を保持するための複数の貫通孔が形成された板状のパレット部材を有し、前記パレット部材によって保持された前記光源及び前記受光器を生体の所定位置に装着するホルダとを備え、生体内部を伝播させた光を検出し、この検出した光の有する生体情報を計測する生体情報計測装置において、前記光源は、円筒状のケース本体、及び、前記ケース本体に収容されて特定波長を有する近赤外光を発光する発光素子を有し、前記受光器は、円筒状のケース本体、及び、前記ケース本体に収容されて前記光出射部から出射されて前記生体内部を伝播した近赤外光を受光して電気的な検出信号に変換する光電変換素子を有し、前記ホルダは、さらに、前記パレット部材に形成された複数の貫通孔にそれぞれ組み付けられ、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体を先端側からそれぞれ挿通させるガイド部材を有し、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体の先端側と反対側に、前記ガイド部材から抜け出ないようにするための、前記ガイド部材の内径よりも大きな大径部分をそれぞれ設けるとともに、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体の先端側の外周面上に、周方向に所定の間隔を有する複数の係合突起をそれぞれ設けておき、さらに、前記ホルダの前記パレット部材に対して前記光源及び前記受光器を着脱可能に組み付ける機構であって、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体をそれぞれ挿通可能に円環状にそれぞれ形成され、内周面側に、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体にそれぞれ設けた係合突起を軸方向への変位に伴って挿通させる溝部をそれぞれ有するリング部材と、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体をそれぞれ挿通させるとともに、前記リング部材と前記ガイド部材の間に組み付けられて、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体を前記ガイド部材にそれぞれ挿通させた状態で、前記リング部材の前記溝部前記係合突起を軸方向への変位に伴って挿通させた後に前記リング部材が回動されて前記係合突起と前記リング部材における前記溝部以外の部分とが係合したとき、前記リング部材と前記パレット部材の間で圧縮状態となるコイルバネを含んで構成されたラッチ機構とを備えることにある。
この場合、前記リング部材に前記コイルバネを保持する保持部を形成し、前記リング部材に対して前記コイルバネを一体的に組み付けると良い。
又、これらの場合、前記光源及び前記受光器は、前記ホルダの前記パレット部材に対して、それぞれ交互にマトリックス状に配置されて組み付けられると良い。
又、これらの場合、前記光源のケース本体の少なくとも内部導電性を有して接地され、前記光源は、さらに、少なくとも内部に導電性を有して前記ケース本体に組み付けられるケースキャップと、前記特定波長に対する光学的透過性を有するとともに電気伝導性を有して前記ケース本体に電気的に接続されて光を出射する窓部とを備え、前記受光器のケース本体の少なくとも内部導電性を有して接地され、前記受光器は、さらに、少なくとも内部に導電性を有して前記ケース本体に組み付けられるケースキャップと、前記光出射部から出射される特定波長に対する光学的透過性を有するとともに電気伝導性を有して前記ケース本体に電気的に接続されて光を入射する窓部と、前記ケース本体内に収容されて前記光電変換素子から出力される電気的な検出信号を増幅するとともに前記光電変換素子の出力インピーダンスよりも小さな出力インピーダンスにより前記増幅した電気的な検出信号を出力する増幅回路とを備えていると良い。この場合、前記光源及び前記受光器のケース本体の内部及び前記ケースキャップの内部は、ストライクメッキしたニッケル(Ni)層とこのニッケル(Ni)層上に無電解メッキした銅(Cu)層又は金(Au)層とからなる薄膜導電層が形成され、前記光源及び前記受光器の窓部は、インジウム−錫酸化物(ITO),亜鉛酸化物(ZnO)またはニオブ酸化物(NbO)を主成分とする透明導電膜が形成されて、前記光源の前記薄膜導電層と前記透明導電膜とが電気的に接続されるとともに、前記受光器の前記薄膜導電層と前記透明導電膜とが電気的に接続されると良い。
そして、これらの場合、前記光出射部は、被験者の頭部に前記特定波長を有する近赤外光を出射し、前記光検出部は、前記被験者の頭部を伝播した近赤外光を受光して前記電気的な検出信号を出力し、前記制御部は、前記被験者の脳内における活動に関する生体情報を算出すると良く、前記制御部が算出する前記脳内における活動に関する生体情報は、前記被験者の頭部の血管中における酸素と結合した酸素化ヘモグロビン濃度長変化および酸素と結合していない還元ヘモグロビン濃度長変化を表す情報とに基づいて算出されると良い。
又、これらの場合、前記光出射部は、前記所定の駆動信号をスペクトラム拡散変調するスペクトラム拡散変調手段を有し、前記光検出部は、前記電気的な検出信号をスペクトラム逆拡散して復調する復調手段を有すると良く、この場合には、前記光出射部のスペクトラム拡散変調手段が、前記所定の駆動信号をスペクトラム拡散変調するための拡散符号系列を第1の周波数により生成する拡散符号系列生成手段と、同拡散符号系列生成手段によって生成された拡散符号系列を用いて前記所定の駆動信号をスペクトラム拡散して一次変調信号を出力する第1変調手段と、前記第1の周波数の2倍となる第2の周波数を用いて前記第1変調手段によって出力された前記一次変調信号を変調して二次変調信号を出力する第2変調手段とを有し、前記光検出部の復調手段が、前記電気的な検出信号の信号帯域のうち、直流及び直流近傍の周波数における信号成分、及び、前記第2の周波数以上の信号成分を除去して出力する信号成分除去手段と、前記近赤外光が前記被験者の頭部の内部を伝播することに伴う遅延を加味した前記第2の周波数の2倍となる第3の周波数を用いて前記信号成分除去手段によって出力された電気的な検出信号をデジタル信号に変換する信号変換手段と、前記近赤外光を前記被験者の頭部の内部で伝播させることに伴う遅延を加味した前記第2の周波数を用いて前記信号変換手段によって変換されたデジタル信号を復調して一次復調信号を出力する第1復調手段と、前記近赤外光を前記被験者の頭部の内部で伝播させることに伴う遅延を加味した前記拡散符号系列を用いて前記一次復調信号をスペクトラム逆拡散して二次復調信号を出力する第2復調手段とを有すると良い。そして、この場合には、前記第2の周波数を、前記光検出部が前記被験者の頭部の内部を伝播した近赤外光を有効に検出可能な有効検出帯域幅と一致させると良い。
又、前記光出射部は、所定の時間間隔を有して供給される前記所定の駆動信号を取得し、前記光源が前記取得した所定の駆動信号に基づいて順次発光して、前記異なる特定波長を有する近赤外光を前記所定の時間間隔を有して順次出射すると良い。
更に、前記光出射部が、前記所定の駆動信号を周波数分割多重変調して変調信号を生成する周波数分割多重変調手段を有し、前記光検出部が、前記電気的な検出信号を周波数分割多重復調する復調手段を有すると良い。
これらによれば、リング部材とコイルバネとを含んで構成されるラッチ機構を用いて、パレット部材に光源及び受光器を極めて容易に着脱することができる。より具体的には、パレット部材に形成された複数の貫通孔にそれぞれ組み付けられたガイド部材に対して光源及び受光器のケース本体をそれぞれ挿通させた状態で、ラッチ機構のリング部材を回動させて光源及び受光器のケース本体にそれぞれ形成された係合突起とを係合させ、ホルダのパレット部材に対して光源及び受光器を組み付けることができる。これにより、例えば、計測の目的に応じて光源及び受光器の配置を変更する必要が生じた場合であっても、ラッチ機構のリング部材を、例えば、溝部と係合突起とを合わせるように回動操作してすることのみでラッチ機構とともに光源及び受光器をパレット部材に組み付けたガイド部材から取り外す(脱する)ことができ、パレット部材の複数の貫通孔にそれぞれ組み付けられたガイド部材に挿通した光源及び受光器のケース本体に上述したようにラッチ機構を取り付けることのみでラッチ機構とともに光源及び受光器をパレット部材に取り付ける(着する)ことができる。従って、光源及び受光器をパレット部材に対して極めて容易にかつ迅速に着脱することができる。
また、ラッチ機構を用いてパレット部材に組み付けたガイド部材に対して光源及び受光器のケース本体を取り付けることにより、ラッチ機構を構成するコイルバネが光源及び受光器の軸方向への変位量を調整することができる。これにより、光源及び受光器の被験者の頭部(頭皮)に対する良好な接触状態を維持することができる。
ここで、生体情報計測装置においては、光出射部は、電磁的にシールドされた状態で、例えば、スペクトラム拡散変調した駆動信号、または、所定の短い時間間隔有して供給された所定の駆動信号、あるいは、周波数分割多重変調した駆動信号に基づき、光源を発光させて複数の特定波長を有する近赤外光を被験者の頭部の内部に向けて出射することができる。一方、光検出部は、電磁的にシールドされた状態で生体内部を伝播した近赤外光を受光し、この受光した近赤外光すなわち被験者の頭部の内部の伝播に伴って減衰した極微弱な近赤外光の光強度(光量)に対応して生体情報に関連する電気的な検出信号を低インピーダンスにより出力することができる。ここで、光出射部が所定の駆動信号をスペクトラム拡散変調または周波数分割多重変量した駆動信号(変調信号)に基づいて光源を発光させて複数の特定波長を有する近赤外光を生体内部に向けて出射する場合には、光検出部は、電気的な検出信号をスペクトラム逆拡散復調または周波数分割多重変調することができる。そして、電気的な検出信号に基づいて、生体情報、例えば、被験者の頭部の血管中における酸素化ヘモグロビン濃度長変化および還元ヘモグロビン濃度長変化や、酸素化ヘモグロビン濃度長変化および還元ヘモグロビン濃度長変化の和として算出できるトータルヘモグロビン濃度長変化、血流に伴って変化する脈波、あるいは、酸素飽和度などを算出することができる。
尚、これらの場合、光源及び受光器を保持して生体である被験者の頭部における所定位置に装着するためのホルダを、複数の光源及び受光器をそれぞれ保持するための複数の貫通孔が形成されていて、平均化された頭部の曲面形状に合わせた三次元曲面を有するように成形される硬質かつ薄板状のパレット部材と、被験者の頭部を形成する頭蓋骨における前頭骨の位置に対応して周状に配置される第1部分と、頭蓋骨における後頭骨の位置に対応して周状に配置される第2部分と、頭蓋骨における側頭骨の位置に対応して配置されて第1部分と第2部分とを互いに接続する接続部分とからなり、被験者の頭部に対して周状に固定される紐状のベルト部材と、ベルト部材に設けられていて、被験者の頭部の周長に合わせてベルト部材の周長を調整する周長調整機構と、パレット部材とベルト部材とを伸縮して連結する紐状の連結部材とを含んで構成することができる。
そして、この場合、パレット部材を、複数の光源及び受光器を装着する被験者の頭部の部位ごとに対応して成形されるものであり、頭部の部位ごとに異なる平均化された頭部の曲面形状に合わせた三次元曲面を有するように成形することができる
又、これらの場合、ベルト部材の接続部分は、被験者の耳部の耳介の後部を迂回するように形成された曲線を有して、第1部分と第2部分とを互いに接続することができる。又、パレット部材には、連結部材との連結位置近傍に、連結部材との連結状態を微調整するための調整部が形成することができる。更に、周長調整機構は、紐状に形成されたベルト部材の両端に位置するそれぞれの第2部分を互いに重ねて連結するとともに、互いに重ねた第2部分を相対的に逆方向にスライドさせてベルト部材の周長を被験者の頭部の周長に合わせて調整することができ、具体的に、周長調整機構は、ベルト部材の互いに重ねた第2部分を相対的に逆方向にスライドさせるために回動操作される調整ダイヤルを有することができる。
これらによれば、ホルダのパレット部材が頭部の曲面形状に合わせた三次元曲面を有するように成形されるため、生体である被験者の頭部の前頭葉、後頭葉、側頭葉、頭頂葉等に対応した計測領域(頭皮)に対して、保持する複数の光源及び受光器を全て適切に接触させることができる。
又、ホルダのベルト部材が第1部分、第2部分及び接続部分を有することにより、被験者の頭部を形成する頭蓋骨を基準にした所定の周位置に対してベルト部材をしっかりと固定することができる。従って、このベルト部材と連結部材を介して接続されるパレット部材を被験者の頭部、より具体的には、所定の計測領域に対してしっかりと位置ずれを生じることなく固定することができる。又、ベルト部材を被験者の頭蓋骨を基準として固定することができるため、例えば、別機会の計測に際してホルダを装着する場合であっても、前回の計測時の装着位置とほぼ同一位置にホルダすなわちベルト部材を装着することができる。従って、このベルト部材に接続されるパレット部材、より詳しくは、パレット部材に保持される光源及び受光器を被験者の頭部における計測領域に対して再現性良く、又、極めて精度良く配置することができる。
ここで、ベルト部材の接続部分を、被験者の耳部の耳介の後部を迂回するように形成された曲線を有して形成することができる。これにより、被験者の頭部にベルト部材を装着する際には、位置決めしやすくなり、その結果、パレット部材に保持される光源及び受光器を被験者の頭部における計測領域に対して再現性良く、又、極めて精度良く配置することができる。
又、ホルダが周長調整機構を有することにより、被験者の頭部に対して、ベルト部材を装着する際には、被験者の頭部の周長に合わせた周長に調整することができて、しっかりと固定することができる。ここで、周長調整機構は、互いに重ねた第2部分を相対的に逆方向にスライドさせるために回動操作される調整ダイヤルを有することができ、これにより、極めて容易にベルト部材の周長を被験者の頭部の周長に合わせて調整することができる。
更に、ホルダの連結部材が伸縮してパレット部材とベルト部材とを連結することにより、被験者の個人差を吸収してパレット部材をベルト部材にしっかりと連結することができる。従って、パレット部材を被験者の頭部、より具体的には、所定の計測領域に対してしっかりと位置ずれを生じることなく固定することができる。
このように、光源及び受光器を被験者の頭部における所定の計測領域に対してしっかりと位置ずれを生じることなく固定することができるホルダを用いた生体情報計測装置では、光源が所定位置から正確に特定波長を有する近赤外光を計測領域内に出射することができ、受光器が所定位置にて正確に計測領域内を伝播した特定波長を有する近赤外光を検出することができる。
本発明の実施形態及び変形例に共通の生体情報計測装置の概略を示すブロック図である。 図1の光出射部の構成を概略的に示すブロック図である。 図2の光源の構成を示す概略的な断面図である。 図1の光検出部の構成を概略的に示すブロック図である。 図4の受光器の構成を示す概略的な断面図である。 図4の増幅器の概略的な電気回路図である。 図1のコントローラの構成を概略的に示すブロック図である。 図1のホルダの構成を示す概略的な図である。 図8の周長調整機構の構成を示す概略的な図である。 図8のホルダの装着変更例を示す概略的な図である。 図8のパレット部材に形成された貫通孔に組み付けられるガイド部材の構成を示す概略的な断面図である。 図1のラッチ機構の構成を示す概略的な断面図である。 図8のホルダにおけるパレット部材、ラッチ機構、及び、光源又は受光器の組み付け状態を説明するための概略的な一部断面図である。 生体情報計測装置を脳内における生体情報の計測に適用した場合における光出射部の光源と光検出部の受光器の配置を一部抜き出して示した図である。 ランバート・ベールの法則を説明するための概略的な図である。 酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの波長に対する分子吸光係数の変化を概略的に示したグラフである。 頭部内部における光の散乱状態を概略的に示した断面図である。 頭部内部における光の反射状態を、(a)は反射位置までの距離が短い場合、(b)は反射位置までの距離が長い場合について概略的に示した断面図である。 本発明の変形例に係る光源の出射窓及び受光器の入射窓の構成を示す概略的な図である。 本発明の変形例に係り、受光器の入射窓に光学フィルダを設けた構成を示す概略的な断面図である。 酸素飽和度の差に応じた波長に対する分子吸光係数の変化を概略的に示したグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る生体情報計測装置Sの構成を概略的に示したブロック図である。生体情報計測装置Sは、図1に示すように、特定波長を有する光を発生する複数の光出射部1と、光出射部1から出射された光が生体の内部を反射しながら伝播した後の光を検出する複数の光検出部2とを備えている。又、生体情報計測装置Sは、CPU、ROM、RAM、タイマ等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とし、光出射部1及び光検出部2の作動を統括的に制御するとともに生体の代謝に関連する生体情報を算出して出力するコントローラ3と、算出された生体情報を所定の態様により表示する表示部4とを備えている。更に、本実施形態における生体情報計測装置Sは、被験体である被験者の頭部に対して、複数の光出射部1(より詳しくは、後述する光源16)及び複数の光検出部2(より詳しくは、後述する受光器21)を保持して適切に装着するためのホルダ5と、このホルダ5に対して光出射部1(より詳しくは、後述する光源16)及び光検出部2(より詳しくは、後述する受光器21)を組み付けるためのラッチ機構6とを備えている。
複数の光出射部1は、それぞれ、異なる特定波長を有する光を発生させる。尚、以下の説明においては、例示的に1つの光出射部1が2つの特定波長を有する光を発生するように構成して実施する。しかしながら、光出射部1が出射する光の特定波長の数についてはこれに限定されるものではなく1つの特定波長を有する光を発生するように実施したり、3つ以上の特定波長を有する光を発生するように実施することが可能である。特に、光出射部1から出射される特定波長の数を多数化することにより、後述するように得られる生体情報の定量性を充分に確保することができる。
本実施形態における複数の光出射部1は、特定波長を有する光をスペクトラム拡散変調して出射するようになっている。このため、各光出射部1は、図2に示すように、拡散符号系列として、例えば、65536ビット長の「+1」と「−1」からなるPN(Pseudorandom Noise)系列を発生させるための拡散符号系列発生器11を備えている。この拡散符号系列発生器11は、例えば、アダマール系列やM系列、或いは、ゴールド符号系列をPN系列として発生する。
尚、上述したアダマール系列、M系列、或いは、ゴールド符号系列は、一般的なスペクトラム拡散変調に用いられるものと同様であるため、その発生方法に関する詳細な説明は省略するが、以下に簡単に説明しておく。アダマール系列は、「+1」と「−1」からなるアダマール行列の各行又は各列を取り出して得られる系列である。M系列は、「0」又は「+1」の状態を記憶する1ビットのレジスタをn段並べたシフトレジスタを用い、同シフトレジスタの中間から帰還した値と最終段における値との排他的論理和を初段に接続することにより得られる2値系列である。ただし、この2値系列をPN系列とするためには、レベル変換を行い、値「0」を「−1」に変換する。ゴールド符号系列は、基本的には、2種類のM系列を用意し、これらを加算して得られる符号系列である。このため、ゴールド符号系列は、M系列に比して、格段に系列数を増やすことができる行列である。そして、これらの系列の特徴として、異なる系列は互いに直交する性質を有しており、積和演算を行うことによって「0」すなわち自己以外には相関が「0」となることを挙げることができる。
この拡散符号系列発生器11は、コントローラ3に設けられた後述のクロックジェネレータ32から供給されるクロック周波数2fを入力する。そして、入力したクロック周波数2fに基づき、拡散符号系列発生器11は、PN系列の生成周波数、言い換えれば、PN系列の最小発生間隔に相当するチップレートがf以下となるPN系列を発生させる。
このように、拡散符号系列発生器11の発生したPN系列は、コントローラ3に出力されるとともに、第1乗算器12に出力される。第1乗算器12は、ベースバンド出力器13によって出力される直流信号と、拡散符号系列発生器11から供給されるPN系列との積を取り、直流信号をスペクトラム拡散変調する。尚、以下の説明においては、このスペクトラム拡散変調された直流信号を一次変調信号と称呼する。
この一次変調信号は、第2乗算器14に出力される。第2乗算器14は、一次変調信号を入力するとともに、コントローラ3のクロックジェネレータ32から供給されるクロック周波数2fを入力する。そして、第2乗算器14は、入力した一次変調信号をクロック周波数2fで変調する。このように、一次変調信号をクロック周波数2fで変調することにより、この変調された一次変調信号は、周波数fにおける信号強度が最も強くなる。尚、以下の説明においては、この変調された一次変調信号を二次変調信号と称呼する。
このように、第2乗算器14によって変調された二次変調信号は、光源ドライバ15に出力される。光源ドライバ15は、二次変調信号に基づいて、光源16に所定の駆動電圧を供給し、光源16を駆動(発光)させるものである。光源16は、図3に示すように、ケース16a内に収容された発光素子16bと、発光素子16bによる光を出射する出射窓16cとを備えている。
ケース16aは、絶縁性に優れた非導電性材料、例えば、ABS等の樹脂材料から形成されており、円筒状のケース本体16a1とケースキャップ16a2とから構成されている。ケース本体16a1は発光素子16bを収容するものであり、ケースキャップ16a2は収容された発光素子16bを、例えば、螺着によりケース本体16a1内に密封するものである。又、ケース本体16a1及びケースキャップ16a2の内周側と、ケース本体16a1とケースキャップ16a2の接触部分(螺着部分)とには、例えば、無電解メッキ法により、導電性に優れた金属材料の薄膜導電層16a3が形成される。ここで、薄膜導電層16a3は、例えば、ストライクメッキしたニッケル(Ni)層と、このニッケル(Ni)層上に無電解メッキした約10μm程度の厚みを有する銅(Cu)層又は金(Au)層とから形成されると良い。尚、内周側に形成された導電性に優れる薄膜導電層16a3は、図示を省略する電極等を介して接地される。
発光素子16bは、例えば、半導体レーザや発光ダイオードであり、図示を省略するアノード電極とカソード電極とが接続されている。そして、発光素子16bは、600〜1500nmの波長範囲のうちの特定波長を有する近赤外光(以下、被変調光という)を発光する。ここで、以下の説明においては、光源16を構成する発光素子16bは、例えば、840nmの特定波長を有する被変調光、及び、例えば、770nmの特定波長を有する被変調光を発光するものとして説明する。尚、この場合、発光素子16bが一つの特定波長のみを発光する場合には、光源16を二つ以上の発光素子16bから構成して実施することや、光出射部1が二つ以上の光源16を有するように構成して実施可能であることは言うまでもない。
出射窓16cは、発光素子16bによる特定波長を有する被変調光を光学的に透過する透明基材16c1(例えば、石英(コルツ)や光学的に透明な透明樹脂等)と、透明基材16c1の少なくとも一面側に形成された透明導電膜16c2とから構成されている。ここで、透明導電膜16c2の形成材料は、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)、又は、NbO(Niobium Oxide)のうちから選択して採用すると良い。そして、透明導電膜16c2は、透明基材16c1に対して、例えば、周知の蒸着法等を用いて形成することができ、その形成膜厚としては、例えば、100nm程度とされている。尚、このように、出射窓16cを透明基材16c1及び透明導電膜16c2から形成することに代えて、例えば、ITO、ZnO、NbOのバルク材料を薄片化して出射窓16cを形成することも可能である。更に、透明導電膜16c2は、少なくとも、ケース16aの薄膜導電層16a3に対して、導電性接着剤(例えば、シルバーペースト等)やハンダ等の金属封止材を用いて、或いは、図示しない内部緩衝材の圧迫圧によって電気的に接続されている。
光検出部2は、図4に示すように、生体内部を反射しながら伝播した極微弱な被変調光を検出し、同検出した被変調光が有する生体情報に関連する電気的な生体情報信号を出力するものである。このため、光検出部2は、光出射部1から出射されて生体中を伝播した被変調光を受光する受光器21を備えている。受光器21は、図5に示すように、ケース21a内に収容された光電変換素子21bと、光電変換素子21bに対して生体内を伝播した被変調光を透過させる入射窓21cとを備えている。
ケース21aも、光出射部1のケース16aと同様に、絶縁性に優れた非導電性材料、例えば、ABS等の樹脂材料から形成されており、円筒状のケース本体21a1とケースキャップ21a2とから構成されている。ケース本体21a1は、光電変換素子21bを収容するものであり、ケースキャップ21a2は収容された光電変換素子21bを、例えば、螺着によりケース本体21a1内に密封するものである。又、ケース本体21a1及びケースキャップ21a2の内周側と、ケース本体21a1とケースキャップ21a2の接触部分(螺着部分)とにも、例えば、無電解メッキ法により、導電性に優れた金属材料の薄膜導電層21a3が形成される。ここで、薄膜導電層21a3は、例えば、ストライクメッキしたニッケル(Ni)層と、このニッケル(Ni)層上に無電解メッキした約10μm程度の厚みを有する銅(Cu)層又は金(Au)層とから形成されると良い。尚、薄膜導電層21a3においても、図示を省略する電極等を介して接地される。
光電変換素子21bは、例えば、Si(シリコン)又はInGaAs(インジウムガリウムヒ素)等の半導体を主要構成部品とするPINフォトダイオードやアバランシェフォトダイオードであり、その有効検出帯域幅が2fに設定されている。そして、光電変換素子21bは、後述するように、ケース本体21a1内に一体的に収容された増幅器22に対して電気的に接続されている。
入射窓21cは、光電変換素子21bに対して特定波長を有する被変調光を光学的に透過する透明基材21c1(例えば、石英(コルツ)や光学的に透明な透明樹脂等)と、透明基材21c1の少なくとも一面側に形成された透明導電膜21c2とから構成されている。そして、透明導電膜21c2は、ケース21aに形成された薄膜導電層21a3に対して、導電性接着剤(例えば、シルバーペースト等)やハンダ等の金属封止材を用いて電気的に接続されている。ここで、透明導電膜21c2の形成材料も、ケース21aの薄膜導電層21a3と同様に、ITO、ZnO、NbOのうちから選択して採用すると良い。又、透明導電膜21c2の形成に関しても、透明導電膜16c2と同様に、例えば、周知の蒸着法等を用いて形成することができ、その形成膜厚としては、例えば、100nm程度とされている。尚、透明導電膜21c2の膜厚に関しては、これに限定されるものではなく、より大きな膜厚(例えば、500nm程度)を形成して実施することも可能である。更に、この透明導電膜21c2も、ITO、ZnO、NbOのバルク材料を薄片化して入射窓21cを形成することが可能である。
尚、本実施形態においては、光電変換素子21bとしてPINフォトダイオードやアバランシェフォトダイオードを用いて実施するが、例えば、CCDやCMOS等の光電変換素子を用いて二次元的な光学情報を取得することも可能である。この場合には、CCDやCMOS等の表面に透明基材21c1に対応する透明な絶縁層を形成するとともにこの絶縁層を介して透明導電膜21c2を形成し、この透明導電膜21c2を接地された薄膜導電層21a3に電気的に接続するようにすると良い。
増幅器22は、図5に示すように、受光器21のケース21a(ケース本体21a1)内に収容されて、受光器21(より詳しくは、光電変換素子21b)から出力された電気的な検出信号(アナログ信号)の強度を増幅する増幅回路(低雑音アンプ)である。このため、増幅器22は、図6に示すように、オペアンプ22aと、増幅した電気的な検出信号(アナログ信号)を出力する信号出力端子22bとを備えている。尚、信号出力端子22bの周囲には、詳細な図示を省略するが、絶縁性のあるガラスや非導電性樹脂等によって電気的な短絡が防止されている。又、信号出力端子22bは、例えば、同軸ケーブルに接続されるようになっており、この同軸ケーブルの外周金属層は受光器21のケース21a内に形成された薄膜導電層21a3に電気的に接続されるようになっている。
オペアンプ22aは、入力インピーダンスが極めて高く(例えば、40MΩ程度)、出力インピーダンスが低い(例えば、150Ω程度)特性を有しており、プラスの電源端子22a1とマイナスの電源端子22a2に接続されている。ところで、受光器21の光電変換素子21bは、被変調光を検出する際にゼロ又は逆バイアスされるため、その出力インピーダンスはメガオームに近い大きな値となる。そして、このように出力インピーダンスが高い状態においては、微弱な電磁波すなわち雑音電界(ノイズ)によって誘起される電流が大きな雑音電圧を生じさせるため、増幅器22を介することなく電気的な検出信号(アナログ信号)を出力する場合には、出力される電気的な検出信号(アナログ信号)のS/N比を悪化させる。従って、出力インピーダンスが低い状態とすれば雑音電界(ノイズ)の影響は小さくなるため、出力インピーダンスの小さなすなわち低インピーダンスのオペアンプ22aを介して電気的な検出信号(アナログ信号)を出力することにより、S/N比の悪化を防止して良質な検出信号を出力することができる。
又、増幅器22を薄膜導電層21a3の接地されたケース21a内に収容することにより、増幅器22から出力される電気的な検出信号(アナログ信号)に対する外界の雑音電界(ノイズ)の影響を効果的に遮断することができる。これによっても、増幅器22(より詳しくは、オペアンプ22a)を介して出力される電気的な検出信号(アナログ信号)におけるS/N比の悪化を防止して良質な検出信号を出力することができる。そして、このように、増幅器23が増幅した電気的な検出信号(アナログ信号)は、信号出力端子22bを介して、ローパスフィルタ(LPF)23に出力される。
LPF23は、例えば、ナイキストの第1基準を満たして符号間干渉を防ぐインパルス応答波形を実現するナイキストフィルタ等であり、そのカットオフ周波数が2fに設定されている。これにより、LPF23は、増幅器22から入力した検出信号(アナログ信号)のうち、その周波数が2fよりも大きな信号成分を除去(カット)してADコンバータ24に出力する。
ADコンバータ24は、LPF23を通過した電気的な検出信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換するものである。具体的には、ADコンバータ24は、コントローラ3のクロックジェネレータ32から後述のディレイ33によって適宜遅延されたクロック周波数4fを入力し、サンプリング周波数4fで電気的な検出信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。ここで、受光器21の有効検出帯域幅2fの2倍のサンプリング周波数4fによってADコンバータ24がデジタル変換処理を実行することにより、一般に広く知られた標本化定理(サンプリング定理やナイキストの定理との言われる)が成立する。
すなわち、標本化定理によれば、目的の信号を正確に再現するためには、目的の信号の周波数の少なくとも2倍以上のサンプリング周波数を用いてサンプリングする必要がある。ここで、標本化定理における「目的の信号」は、受光器21が受光する生体内を伝播した被変調光の強度に対応して増幅器22から出力される「電気的な検出信号(アナログ信号)」である。又、標本化定理における「目的の信号の周波数」は、受光器21の有効検出帯域幅(或いは、LPF23のカットオフ周波数)と一致する2fであるため、サンプリング周波数を4fとすることにより、ADコンバータ24によるデジタル変換処理において標本化定理が成立する。言い換えれば、受光器21の有効検出帯域幅2f(或いは、LPF23のカットオフ周波数)に一致する被変調光が有する情報(すなわち、アナログの検出信号)は、情報欠落等を生じることなく正確にデジタル信号に変換される。
このように、ADコンバータ24は、サンプリング周波数4fで電気的な検出信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換すると、同変換したデジタル信号を第1乗算器25に出力する。第1乗算器25は、変換されたデジタル信号を入力するとともに、コントローラ3のクロックジェネレータ32からディレイ33を介することによって遅延して供給されるクロック周波数2fを入力する。そして、第1乗算器25は、クロックジェネレータ32から入力したクロック周波数2fを用いてデジタル信号を復調する。尚、以下の説明においては、第1乗算器25によって復調された信号を一次復調信号と称呼する。このようにデジタル信号を復調すると、第1乗算器25は、一次復調信号を第2乗算器26に出力する。
第2乗算器26は、第1乗算器25から入力した一次復調信号と、コントローラ3のディレイ33を介して光出射部1の拡散符号系列発生器11から遅延して供給されたPN系列との積を取る。このように、PN系列を取得することにより、第2乗算器26は、後に詳述するように、複数の光出射部1のうちの特定の光出射部1の光源16から出射された被変調光に対応する一次復調信号をスペクトラム逆拡散して復調することができる。そして、第2乗算器26は、スペクトラム逆拡散によって復調した電気的な検出信号(デジタル信号)すなわち二次復調信号を累算器27に出力する。
累算器27は、供給された二次復調信号に対して、光出射部1の拡散符号系列発生器11が発生したPN系列を1周期以上に渡り加算する。そして、累算器27は、特定の光出射部1(より具体的には、特定の光出射部1の光源16)から出射されて生体中で減衰した極微弱の被変調光、言い換えれば、生体情報を含む被変調光の強度に対応する生体情報信号をコントローラ3に出力する。ここで、図4に示すように、第2乗算器26及び累算器27は、光出射部1から出射される特定波長の数に合わせて複数(本実施形態においては1つの光出射部1あたり2つ、複数の受光可能な光出射部1が存在する場合には存在する各光出射部1の数を乗算した数)設けられる。これにより、生体中を伝播した各被変調光の強度に対応する生体情報信号を同時に得ることができる。
コントローラ3は、図7に示すように、CPU、ROM、RAM、タイマ等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とする制御部31を備えている。又、コントローラ3には、上述したように光出射部1及び光検出部2の作動を制御するために、クロックジェネレータ32とディレイ33とが設けられている。クロックジェネレータ32は、上述したように、光検出部2を構成する受光器21の有効検出帯域幅に一致する、第1の周波数としての周波数fの2倍となる第2の周波数としてのクロック周波数2fと、このクロック周波数2fの2倍となるクロック周波数4fとを光出射部1及び光検出部2に供給するものである。ディレイ33は、後述する各光出射部1の各拡散符号系列発生器11が発生して光検出部2に供給するPN系列及びクロックジェネレータ32が光検出部2に供給するクロック周波数4f又はクロック周波数2fを適宜遅延させるものである。ここで、この場合、光出射部1から光検出部2に向けて伝播する光の経路ごとに遅延特性が異なる可能性があるため、ディレイ33を各光検出部2ごとに設けて実施することにより、生体情報をより正確に得ることができる。
更に、コントローラ3は、算出した生体情報を表すデータを表示部4に出力する。表示部4は、例えば、液晶ディスプレイ等から構成されており、コントローラ3から供給されたデータに基づき、所定の態様によって生体情報を表示する。
ホルダ5は、図8に概略的に示すように、パレット部材51と、ベルト部材52と、連結部材53と、ガイド部材54とを備えている。パレット部材51は、図8に示すように、硬質かつ薄板状の樹脂材料(例えば、ABS樹脂等)から形成されるものであって、実験的に実測された複数の人間の頭部の曲面形状(曲率)を平均化して(数値化して)得られる頭部の曲面形状(曲率)に合わせて、三次元曲面を有して成形されている。そして、パレット部材51は、上述した光出射部1及び光検出部2を保持するための貫通孔51aが複数形成されている。更に、パレット部材51は、被験者の頭部Tに対して装着される際に連結部材53との連結位置の微調整を可能とする複数の小径の貫通孔からなる調整部51bが形成されている。ここで、パレット部材51は、例えば、前頭部用、側頭部用、後頭部用、及び、頭頂部用や、頭頂部から側頭部用等が成形されている。これにより、生体情報計測装置Sを用いて生体情報を計測するときには、生体情報を計測する頭部の計測領域に合わせて、前頭部用、側頭部用、後頭部用、及び、頭頂部用や、頭頂部から側頭部用等のパレット部材51を単独で或いは組み合わせて選択的に用いることができる。
ベルト部材52は、図8に概略的に片側のみを示すように、被験者の頭部Tに対して周状に固定されてホルダ5、より具体的には、パレット部材51を頭部Tに装着するものである。このため、ベルト部材52は、可撓性を有する樹脂材料から紐状に形成されていて、頭部T、より詳しくは、頭部Tを形成する頭蓋骨における前頭骨に対応して周状に配置される第1部分52aと、頭蓋骨における後頭骨に対応して周状に配置される第2部分52bと、第1部分52aと第2部分52bとを接続して被験者の耳を迂回する曲線を有して頭蓋骨における側頭骨に対応して配置される接続部分52cとから構成される。そして、紐状のベルト部材52の両端部に形成される第2部分52bは、周長調整機構52dによって連結される。周長調整機構52dは、図9に概略的に示すように、一方(一端側)の第2部分52bに形成された長孔状のスライド部52c1と他方(他端側)の第2部分52bに形成された長孔状のスライド部52c1とを互いに重ねた状態により、相対的に逆方向にスライドさせる調整ダイヤル52d1を備えている。これにより、ベルト部材52を被験者の頭部Tに配置し、周長調整機構52dの調整ダイヤル52d1を回転させてスライド部52c1を互いに相対的に逆方向にスライドさせることにより、ベルト部材52の周長を被験者の頭部Tの周長に合わせて任意に変更することができ、ベルト部材52を被験者の頭部Tに対してしっかりと固定することができる。
尚、本実施形態においては、図8に概略的に示すように、ベルト部材52における第1部分52a、第2部分52b及び接続部分52cとが一体化された紐状として実施する。しかし、第1部分52a、第2部分52b及び接続部分52cを個々に分割しておき、それぞれを、例えば、バックル等の連結材を用いて接続して実施することも可能である。この場合には、計測領域に合わせて、例えば、図10に示すように、前頭部を計測するために第1部分52aを省略して前頭部用のパレット部材51と接続部分52cとを直接的に接続して実施したり、後頭部を計測するために第2部分52bを省略して後頭部用のパレット部材51と接続部分52cとを直接的に接続して実施したりすることが可能となる。又、本実施形態においては、ベルト部材52の周長を調整するために調整ダイヤル52d1を備えた周長調整機構52dを設け、第2部分52bのスライド部52c1が互いにスライドできる範囲内での周長調整を可能として実施する。この場合、予め、例えば、平均的な子供の頭部の周長に合わせたベルト部材52、平均的な成人女性の頭部の周長に合わせたベルト部材52、平均的な成人男性の頭部の周長に合わせたベルト部材52を用意しておく。そして、第2部分52b、すなわち、ベルト部材52の両端に、例えば、弾性材料から成形されるゴムバンド等を引っ掛けることにより、個人差による頭部の周長差を吸収するように実施することも可能である。
連結部材53は、伸縮可能な紐状に形成されており、パレット部材51とベルト部材52とを連結するものである。これにより、連結部材53は、パレット部材51とベルト部材52との間の距離を調整することができるようになっている。ここで、計測領域(例えば、前頭部や後頭部)によっては、連結部材53がパレット部材51とベルト部材52とを連結することに代えて、例えば、図10に示すように、ベルト部材52の接続部分52c同士を、被験者の頭部の頭頂部を介して連結することも可能である。この場合には、例えば、連結部材53の長さを長くすることによってベルト部材52を被験者の頭部Tに対して下方に下げることができ、逆に、連結部材53の長さを短くすることによってベルト部材52を被験者の頭部Tに対して上方に上げることができる。
ガイド部材54は、図11に概略的に示すように、パレット部材51に形成された貫通孔51aに組み付けられて、被験者の頭部Tに対して予め決定された適切な状態(頭部Tにおける予め設定された基準点に向けた配置方向や頭皮に対する接触状態等)により光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21をラッチ機構6とによってパレット部材51に固定するためのものである。このため、ガイド部材54は、光源16のケース16a及び受光器21のケース21aを挿通させるとともに後述するラッチ機構6のバネ61と当接するガイド部材本体54aと、ガイド部材本体54aに形成されたネジ部分と螺着して、ガイド部材本体54aをパレット部材51に固定するためのガイド部材ナット54bとから構成される。
ラッチ機構6は、光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21をホルダ5に対して自由に着脱するためのものである。このため、ラッチ機構6は、図12に示すように、リング部材としてのラッチリング61とコイルバネ62とを備えている。ラッチリング61は、樹脂材料(例えば、ABS樹脂等)から光源16のケース16a及び受光器21のケース21aを挿通可能な円環状に形成されている。そして、ラッチリング61には、ケース16a,21aのケース本体16a1,21a1の外周面上にて周方向に所定の間隔を有して形成された複数の係合突起16a4,21a4(図3及び図5を参照)に対応してその内周面側に形成されて、係合突起16a4,21a4を軸線方向にて挿通させる溝部61aが形成されている。又、ラッチリング61には、コイルバネ62の一端部側と一体的に係合する係合部61bが形成されている。コイルバネ62は、図13に示すように、ラッチリング61とホルダ5のガイド部材54(より詳しくは、ガイド部材54のガイド部材本体54aの下面)との間に配置されていて、被験者の頭部Tに対してホルダ5のパレット部材51を装着した際に、ガイド部材54に挿通された光源16及び受光器21を頭部の頭皮に向けて付勢するものである。
次に、上記のように構成した生体情報計測装置Sの作動について説明する。尚、以下の説明においては、被験者の頭部T、より詳しくは、脳内における血流変化を観察する場合を例示して説明する。
生体の動脈及び静脈を流れる血液(以下、それぞれ、動脈血及び静脈血と称呼する。)は、酸素と結合したヘモグロビン(以下、このヘモグロビンを酸素化ヘモグロビンと称呼する。)と酸素と結合していないヘモグロビン(以下、このヘモグロビンを還元ヘモグロビンと称呼する。)とを含んでいる。そして、動脈血及び静脈血におけるこれら酸素化ヘモグロビンの量と還元ヘモグロビンの量は、生体の活動によって変化するものである。ここで、酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンによる近赤外光の吸光度合いの差を算出することによって、生体の活動に伴う変化すなわち血流変化を観察することができる。従って、生体情報計測装置Sのコントローラ3は、被験者の脳内を伝播した被変調光の強度に対応する生体情報信号を用いて、後述するように脳内における動脈血中と静脈血中の酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyを生体情報として算出する。
このため、本実施形態において生体情報計測装置Sを作動させる際には、図8に示したように、被験者の頭部Tにおいて、計測領域として、例えば、頭頂部から側頭部周辺位置に対して複数の光出射部1の光源16及び複数の光検出部2の受光器21が組み付けられたホルダ5のパレット部材51を固定して装着する。以下、このホルダ5の装着を説明する。
例えば、生体情報計測装置Sを操作するオペレータは、まず、図13に示すように、ホルダ5のパレット部材51に対して光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21を組み付ける。具体的に、オペレータは、パレット部材51の貫通孔51aに予め固定されているガイド部材54に対して、任意の配置により、ガイド部材54のガイド部材ナット54b側から光源16又は受光器21を挿入する。このとき、光源16のケース16aを構成するケース本体16a1の大径部分(ケースキャップ16a2の外径と一致)及び受光器21のケース21aを構成するケース本体21a1の大径部分(ケースキャップ21a2の外径と一致)はガイド部材54の内径よりも大きいため、光源16及び受光器21が挿通してパレット部材51のガイド部材54から抜けてしまうことがない。
続いて、オペレータは、ラッチリング61とコイルバネ62とが一体化されたラッチ機構6を、ガイド部材54を挿通させた光源16及び受光器21に取り付け、光源16及び受光器21をパレット部材51に組み付ける。このとき、オペレータは、ラッチリング61に形成された溝部61aを、光源16のケース本体16a1及び受光器21のケース本体21a1に形成された係合突起16a4,21a4に合わせ、コイルバネ62を先頭にしてケース16a及びケース21aの軸線方向に押し込む。そして、オペレータは、ラッチリング61の溝部61aに対して係合突起16a4,21a4が相対的に通過した位置にてラッチリング61を回動させて、ラッチリング61の下面側と係合突起16a4,21a4の上面側とを係合させる。これにより、ラッチ機構6は、コイルバネ62を若干圧縮した状態で、光源16及び受光器21をホルダ5のパレット部材51に対して軸線方向への変位を可能にして組み付ける。
ここで、上述したように、光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21は、ラッチ機構6によってホルダ5のパレット部材51に予め取り付けられたガイド部材54に対して極めて容易にかつ迅速に固定することができる。従って、計測目的に合わせて、パレット部材51に対して光源16及び受光器21を自由に着脱して配置することができ、例えば、マトリック状やドーナツ状に配置する等、種々の配置を極めて容易に実現することができる。又、後述するように、光検出部2の受光器21は複数の光出射部1の光源16から特定の(任意の)光出射部1を確実に特定することができる。このため、ホルダ5のパレット部材51に予め取り付けられているガイド部材54に対して、光出射部1の光源16と光検出部2の受光器21とが近接するように(隣り合うように)配置したり、光源16と受光器21とが離間するように配置して固定し、生体情報を計測することが可能である。これにより、被験体である脳の異なる深さの生体情報を計測することができる。
次に、オペレータは、図8に示したように、複数の光出射部1の光源16及び複数の光検出部2の受光器21を組み付けたパレット部材51を被験者の頭頂部から側頭部周辺に固定するため、ベルト部材52の接続部分52cが被験者の耳を迂回するように、ベルト部材52の第1部分52aを前頭骨に対応させて配置するとともにベルト部材52の第2部分52bを後頭骨に対応させて配置する。そして、ベルト部材52の第2部分52bに設けられた周長調整機構52dの調整ダイヤル52d1を回転してベルト部材52の周長を調整し、被験者の頭部Tの所定位置に対してベルト部材52を固定する。又、被験者の頭頂部から側頭部周辺にパレット部材51を当てた状態で、パレット部材51とベルト部材52とを連結する連結部材53の長さを、図13に概略的に示すように、パレット部材51に取り付けられた光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21が押し返された状態、より詳しくは、ラッチ機構6のコイルバネ62が所定量だけ押し縮められて、ガイド部材54のガイド部材ナット54bの上面とケース本体16a1,21a1の大径部分の下面との間に所定の隙間が生じる状態を維持してパレット部材51の下面と頭皮との間が所定の距離となるように、調整する。これにより、ホルダ5、言い換えれば、パレット部材51に一体的に固定された光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21を、被験者の頭部Tに対して周状にしっかりと固定されたベルト部材52を用いて、正確な計測位置に極めて容易にかつ迅速に固定することができる。
このように、被験者の頭部Tにおける計測位置にホルダ5を固定すると、オペレータは、図示しない入力装置を操作して生体情報計測装置Sを作動させる。具体的に説明すると、コントローラ3の制御部31が、図14に概略的に示すように、光出射部a〜f及び光検出部A〜Fを作動させる。
まず、光出射部a〜fによる光の出射について説明する。生体情報計測装置Sの作動が開始されると、コントローラ3の制御部31は、光出射部a〜fに対して、例えば、840nmと770nmの特定波長を有する被変調光を発生(発光)させるために、ベースバンド出力器13を作動させる。これにより、光出射部a〜fの各光源16は、それぞれ、840nmと770nmの特定波長を有する被変調光の発光を同時に開始する。
すなわち、光出射部a〜fにおいては、それぞれの拡散符号系列発生器11が、例えば、PN系列としてゴールド符号系列を発生する。そして、拡散符号系列発生器11は、発生したPN系列をコントローラ3の制御部31に対して出力するとともに、第1乗算器12に出力する。これにより、第1乗算器12は、ベースバンド出力器13から供給された直流信号(ベースバンド信号)とPN系列との積を取り、直流信号をスペクトラム拡散変調する。
続いて、スペクトラム拡散変調された一次変調信号は、第2乗算器14に出力される。そして、第2乗算器14がクロックジェネレータ32から供給されたクロック周波数2fを用いて一次変調信号を更に変調した二次変調信号を光源ドライバ15に供給することにより、各光出射部a〜fの光源16は、それぞれ、特定波長を有する被変調光を出射する。
ここで、上述したように、光源16においては、接地された薄膜導電層16c3を有するケース16a(ケース本体16a1)内に発光素子16bが収容されており、ケース16a(ケース本体16a1)の薄膜導電層16a3に電気的に接続された出射窓16cを通過して被変調光が出射される。これにより、発光素子16bが発光動作する際に発生する電磁波すなわち雑音電界(ノイズ)は、ケース16a(より詳しくは、薄膜導電層16a3)の導電性により外部に漏洩することが防止されるとともに、出射窓16cの透明導電膜16c2が薄膜導電層16a3に電気的に接続されることによって外部に漏洩することが防止される。すなわち、各光出射部a〜fの光源16は、特定波長を有する被変調光を出射するものの、発光動作に伴って発生する雑音電界(ノイズ)が外部に漏洩することを効果的に防止することができる。これにより、発生した雑音電界(ノイズ)が、例えば、生体(人体)を介して光検出部A〜Fに伝播し、受光器21による反射光の検出に悪影響を与えることを防止することができる。従って、光検出部A〜Fによる被変調光の検出精度を飛躍的に向上させることができ、その結果、生体情報の計測精度を大幅に向上させることができる。
又、光源16は、上述したように、計測位置に対応してしっかりと頭部Tに固定されたホルダ5のパレット部材51に対して進退可能に組み付けられている。更に、光源16は、図13に示したように、ラッチ機構6のコイルバネ62による付勢力により、出射窓16cが被験者の頭部Tの頭皮に対して押し付けられている。これにより、出射窓16cを介して発光素子16bから発光された被変調光は、例えば、頭髪等の影響を受けることなく、頭皮に対して直接的に出射される。従って、光出射部a〜fは、被験者の頭部T、より詳しくは、頭蓋骨内の脳に向けて被変調光を効率良く出射することができ、その結果、生体情報の計測精度を大幅に向上させることができる。
このように、各光出射部a〜fの光源16からに出射された被変調光は、被験体である頭部Tの頭蓋骨を透過して、脳の表面各部、例えば、パレット部材51が頭部Tの頭頂部から側頭部にかけて固定されたときには頭頂葉及び側頭葉周辺に入射し、脳内を乱反射しながら、言い換えれば、減衰しながら伝播する。尚、以下の説明においては、乱反射により減衰しながら伝播した被変調光を反射光と称呼する。そして、各光出射部a〜fの光源16から出射された2つの被変調光すなわち反射光は、再び頭部Tの頭蓋骨を透過し、頭部Tの外表面(頭皮)に到達する。
次に、光検出部A〜Fによる反射光の検出について説明する。頭部Tの頭皮に到着したそれぞれの反射光は、光検出部A〜Fにより検出される。すなわち、光検出部A〜Fにおいては、各受光器21が頭皮に到達した反射光を全て受光し、この受光した反射光に応じて電気的な検出信号(アナログ信号)を時系列的に増幅器22に出力する。そして、増幅器22は入力した電気的な検出信号を増幅し、LPF23はこの増幅された検出信号を通過させることにより周波数が2fよりも大きな信号成分をカットする。
ここで、上述したように、受光器21においては、接地された薄膜導電層21a3の形成されたケース本体21a1内に光電変換素子21bが収容されており、反射光が薄膜導電層21a3と電気的に接続された入射窓21cを透過して入射する。これにより、例えば、被験者の動作に伴い発生する筋電位による雑音電界(ノイズ)や光検出部A〜Fの外界に存在する雑音電界(ノイズ)は、ケース21a(より詳しくは、ケース本体21a1に形成された薄膜導電層21a3)の導電性により内部への伝播が遮断されるとともに、入射窓21cの透明導電膜21c2が薄膜導電層21a3に電気的に接続されることにより内部への伝播が遮断される。又、増幅器22も受光器21のケース21a内に収容されるため、増幅器22に伝播する外部の雑音電界(ノイズ)も遮断される。
又、受光器21から出力される電気的な検出信号(アナログ信号)は、低インピーダンスの増幅器22によって増幅され、信号出力端子22bを介して出力されるため、出力される電気的な検出信号(アナログ信号)に対して、外部に存在する雑音電界(ノイズ)が加わる(乗る)ことを防止することができる。更に、増幅器22の信号出力端子22bには同軸ケーブルが接続されているため、信号出力端子22bを介してLPF23に出力される電気的な検出信号(アナログ信号)に対して、外部に存在する雑音電界(ノイズ)が加わる(乗る)ことも防止できる。従って、光検出部A〜Fによる反射光の検出精度を飛躍的に向上させることができ、その結果、生体情報の計測精度を大幅に向上させることができる。
又、受光器21は、上述したように、計測位置に対応してしっかりと頭部Tに固定されたホルダ5のパレット部材51に対して進退可能に組み付けられている。更に、受光器21は、図13に示したように、ラッチ機構6のコイルバネ62による付勢力によって、入射窓21cが被験体である頭部Tの頭皮に対して押し付けられている。これにより、入射窓21cを介して光電変換素子21bによって受光された微弱な反射光は、例えば、頭髪等の影響を受けることなく、頭皮から直接的に受光される。従って、光検出部A〜Fは、被験体である頭部T、より詳しくは、頭蓋骨内の脳内を伝播した反射光を効率良く受光することができ、その結果、生体情報の計測精度を大幅に向上させることができる。
続いて、ADコンバータ24は、LPF23を通過した電気的な検出信号(アナログ信号)をサンプリング周波数4fでデジタル変換処理する。そして、このデジタル変換処理された電気的な検出信号(デジタル信号)は第1乗算器25に出力され、第1乗算器25は、入力した電気的な検出信号(デジタル信号)をクロック周波数2fを用いて復調し、この復調した検出信号すなわち一次復調信号を第2乗算器26に出力する。このように復調処理することにより、一次復調信号は、受光器21の有効検出帯域幅2fの全体を使った信号となる。言い換えれば、受光器21によって受光し得る反射光(被変調光)が有する情報、例えば、頭頂葉及び側頭葉周辺を伝播した被変調光の減衰状態(すなわち、反射光の光強度)を欠落させることなく、正確にデジタル信号化した一次復調信号を第2乗算器26に出力することができる。
ところで、各光検出部A〜Fには、光出射部a〜fの各光源16が出射したそれぞれの被変調光が反射光として到達する。例えば、図14に示すように、ホルダ5のパレット部材51に組み付けられた光検出部Aには、周囲に組み付けられた光出射部a,b,c,dから出射された被変調光は言うまでもなく、光出射部e,fから出射された被変調光も反射光として到達する。このような状況において、コントローラ3の制御部31は、光検出部Aに到達した反射光のうち、例えば、光出射部a,b,c,dから出射された被変調光の反射光に対応する生体情報信号のみが得られるように、光検出部Aを制御する。この制御部31による制御を具体的に説明する。
コントローラ3の制御部31は、上述したように、各光出射部a〜fの拡散符号系列発生器11からPN系列を取得する。一方、光検出部Aの第2乗算器26は、コントローラ3の制御部31を介して、光出射部a〜fの拡散符号系列発生器11が発生したPN系列を取得する。このとき、制御部31は、ディレイ33を介して、光出射部a,b,c,dの各拡散符号系列発生器11が発生した異なるPN系列を光検出部Aの対応する第2乗算器26に供給する。
これにより、各第2乗算器26は、第1乗算器25から出力された一次復調信号とコントローラ3の制御部31から供給されたPN系列との積を取り、言い換えれば、スペクトラム逆拡散し、得られた二次復調信号をそれぞれの累算器27に出力する。そして、各累算器27は、出力された二次復調信号をPN系列の1周期以上に渡り加算する。このように、出射された被変調光に対応する第2乗算器26と累算器27とによる積和処理により、二次復調信号と供給されたPN系列との相関を取ることができ、光出射部a,b,c,dのそれぞれから出射された複数の被変調光の反射光に対応した複数の生体情報信号を同時に出力することができる。
すなわち、上述したように、PN系列に関しては、異なる系列が互いに直交する性質、言い換えれば、異なる系列同士の積の値が「0」となる性質を有している。このため、コントローラ3の制御部31が、ある第2乗算器26に対して、例えば、光出射部aの対応する拡散符号系列発生器11によるPN系列を供給した場合には、第1乗算器25から出力された一次復調信号のうち、光出射部aから出射された特定の被変調光に対応する一次復調信号以外の一次復調信号と光出射部aのPN系列との積の値は「0」となる。このため、累算器27によってPN系列の1周期以上に渡り加算される二次復調信号も「0」となり、相関は「0」となる。
従って、コントローラ3の制御部31から供給されたPN系列を有しない(又は、一致しない)二次復調信号、言い換えれば、生体情報信号は、選択的に排除され、特定の第2乗算器26及び累算器27からは光出射部aから出射された特定の被変調光の反射光に対応する生体情報信号のみがコントローラ3の制御部31に出力される。同様に、コントローラ3の制御部31が他の第2乗算器26に対して、例えば、光出射部aの他方に対応する拡散符号系列発生器11によるPN系列を供給することによって、これらの第2乗算器26及び累算器27からは光出射部aから出射された他方の特定の被変調光の反射光に対応する生体情報信号が同時にコントローラ3の制御部31に出力される。更に、同様にして、コントローラ3の制御部31から第2乗算器26に対して他の光出射部b,c,dのPN系列がそれぞれ供給された場合には、光出射部b,c,dから出射された複数の被変調光の反射光に対応するそれぞれの生体情報信号が同時にコントローラ3の制御部31に出力される。
ここで、光検出部Aは光出射部a〜dによって出射された被変調光の反射光を検出するため、光検出部Aと光出射部a、光検出部Aと光出射部b、光検出部Aと光出射部c、光検出部Aと光出射部dの4つのチャンネルが形成されている。これにより、光検出部Aは、光出射部a〜fから出射された特定波長を有する被変調光のうち、光出射部a〜dによって出射された被変調光の反射光に対応する生体情報信号をコントローラ3の制御部31に出力する。尚、光検出部B〜Fについても、光検出部Aと同様にして、コントローラ3の制御部31によって制御されることにより、光出射部a〜fのうちの特定の光出射部から出射された被変調光の反射光に対応する生体情報信号を複数同時に出力する。
このように光検出部A〜Fから生体情報信号が出力されると、コントローラ3の制御部31は、出力された生体情報信号を用いて、頭部Tの脳内(例えば、頭頂葉及び側頭葉周辺)における酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyを算出する。尚、以下に酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyの算出を具体的に説明するが、この算出方法自体については、本発明の特徴とする部分ではない。すなわち、酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyは生体情報計測装置Sによって計測可能な生体情報として例示的に示すものである。このため、酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyの算出方法については従来から周知の種々の方法を採用することができ、以下の説明は計算方法を限定することを意図するものではない。
上述したように、動脈血及び静脈血における酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンは、異なる吸光特性によって近赤外光を吸光する。この酸素化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンにおける近赤外光の吸光特性は、一般的にランバート・ベール(Lambert-Beer)の法則に従って、下記式1で表すことができる。
−log10(R(λ)/Ro(λ))=εoxy(λ)×Coxy×d+εdeoxy(λ)×Cdeoxy×d+α(λ)+S(λ) …式1
ただし、前記式1中のR(λ)、Ro(λ)及びdは、図15に概略的に示すように、それぞれ、波長λの検出光量、波長λの出射光量及び検出領域の光路長を表すものである。又、前記式1中のεoxy(λ)は、波長λに対する酸素化ヘモグロビンの分子吸光係数を表し、εdeoxy(λ)は、波長λに対する還元ヘモグロビンの分子吸光係数を表すものである。又、前記式1中のCoxyは、酸素化ヘモグロビンの濃度を表し、Cdeoxyは、還元ヘモグロビンの濃度を表すものである。更に、前記式1中のα(λ)は、血液中のヘモグロビン以外の色素(例えば、細胞中のミトコンドリアでの酸素の需供を反映するチトクロームaa33等)の光吸収による減衰量を表し、S(λ)は、生体組織の光散乱による減衰量を表すものである。
このように、前記式1に従えば、840nmの波長を有する近赤外光と770nmの波長を有する近赤外光とを用いた場合における酸素化ヘモグロビン濃度Coxyと還元ヘモグロビン濃度Cdeoxyを計算することができる。従って、これら酸素化ヘモグロビン濃度Coxyと還元ヘモグロビン濃度Cdeoxyとの比Coxy/Cdeoxyを計算することにより、血流変化を計算することができる。
又、例えば、脳内に存在する毛細血管について、血流変化前の吸光特性を前記式1に従って表せば、血流変化後の吸光特性は下記式2に示すように表すことができる。
−log10(growthR(λ)/Ro(λ))=εoxy(λ)×growthCoxy×d+εdeoxy(λ)×growthCdeoxy×d+growthα(λ)+S(λ) …式2
ただし、前記式2中のgrowthR(λ)、growthCoxy、growthCdeoxy及びgrowthα(λ)は、心拍動を伴う血流変化によって増加又は減少変化した値を表すものであって、それぞれ、血流変化後の検出光量、血流変化後の酸素化ヘモグロビンの濃度、血流変化後の還元ヘモグロビンの濃度及び血流変化後のヘモグロビン以外の色素の光吸収による減衰量を表すものである。
ここで、血液中のヘモグロビンの光吸収量は、ヘモグロビン以外の色素の光吸収量に比して極めて大きいため、前記式1中のα(λ)をα(λ)=growthα(λ)とすることができる。これにより、前記式2から前記式1を差し引けば、下記式3が成立する。
−log10(growthR(λ)/R(λ))=εoxy(λ)×ΔCoxy+εdeoxy(λ)×ΔCdeoxy …式3
ここで、前記式3中のΔCoxy及びΔCdeoxyは、それぞれ、下記式4及び式5によって表されるものである。
ΔCoxy=(growthCoxy−Coxy)×d …式4
ΔCdeoxy=(growthCdeoxy−Cdeoxy)×d …式5
そして、図16にてヘモグロビンの光吸光スペクトルを概略的に示すように、吸光特性のコントラスト比が明確となる特定波長としてλ=770nmや840nmの近赤外光を用いて計測した結果に基づいて前記式3を解くことにより、ディメンジョンとして光路長を含む酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxy、或いは、トータルヘモグロビン濃度長変化(ΔCoxy+ΔCdeoxy)を相対的に計算することができる。
そして、コントローラ3の制御部31は、酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyすなわち生体情報を算出し、この算出した生体情報を表示部4に出力する。そして、表示部4は、制御部31によって算出されて出力された生体情報に基づいて、脳内の血流変化を表示する。
この場合、上述したように、生体情報計測装置Sにおいては、光検出部2がPN系列を用いることによって受光した反射光がどの光出射部1から出射された被変調光に基づくものかを識別することができるため、ホルダ5のパレット部材51に対して光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21を任意の配置により複数組み付けることができる。すなわち、生体情報計測装置Sにおいては、ホルダ5のパレット部材51に組み付けられたある光検出部2の受光器21の周辺に複数の光出射部1の光源16を密に配置して組み付けてもクロストークを発生させることがなく、光検出部2は特定の光出射部1から出射された被変調光の反射光のみを選択的に検出することができる。このため、複数の光検出部2が、それぞれ、特定の光出射部1から出射された被変調光の反射光のみを選択的に検出すれば、図17に示すように、頭部Tの内部に出射された被変調光が脳表層にて反射する部位が密となって、言い換えれば、計測の解像度を高めて、計測対象範囲を面状に捉えることができる。これにより、表示部4が面状に捉えられた計測領域における生体情報に基づいて、例えば、血流変化を二次元的に表示することにより、脳の活動に伴う血流の変化を詳細に観察することができる。
又、生体情報計測装置Sにおいては、光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21を、ラッチ機構6を利用してホルダ5のパレット5に対して容易にかつ迅速に着脱することができる。このため、光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21のうちの少なくとも一方のパレット部材51に対する組み付け位置を適宜変更することにより、上述したように深さ方向を加えて、脳の活動に伴う血流変化を三次元的に観察することもできる。以下、このことを具体的に説明する。
一般に、光は、所定の角度を有して出射された場合、反射物までの距離に応じて、反射光の到達位置が変化する。すなわち、ある出射点(出射位置)から所定の角度により光を入射させた状況において、反射物までの距離が短い場合、言い換えれば、反射位置が浅い場合には、反射光の到達位置は出射点(出射位置)に近い位置となる傾向を有する。一方、反射物までの距離が長い場合、言い換えれば、反射位置が深い場合には、反射光の到達位置は出射点(出射位置)から遠い位置となる傾向を有する。尚、上述したように頭部Tの内部に被変調光を出射した場合には、頭部Tの内部にて被変調光が乱反射するためその厳密な光路は特定できないものの、概ね上記傾向を有する。
このため、生体情報計測装置Sを利用した計測に際して、オペレータは、光出射部1の光源16と光検出部2の受光器21との配置距離が変化するように、ホルダ5のパレット部材51に対して光源16及び受光器21のいずれかを着脱することによって、脳の深さ方向の血流の変化を計測することができる。以下、図18を用いて具体的に説明する。
今、脳表層、具体的には、大脳皮質のやや表面側における浅い位置の血流変化を計測する場合を例示的に考える。この場合においては、図18(a)に概略的に示すように、頭部Tの表面と大脳皮質の表面側との距離が短い、言い換えれば、頭部Tの頭皮から大脳皮質の表面までは浅い。このため、オペレータは、例えば、ある光検出部2の受光器21に対して光出射部1の光源16が近づくように、すなわち、光検出部Aの受光器21と光出射部a,cの光源16との間の距離が短くなるようにホルダ5のパレット部材51に組み付ける。これにより、光検出部Aの受光器21は、接近して配置された特定の光出射部a,cの光源16から出射されて大脳皮質の表面側を伝播して反射された被変調光すなわち反射光を受光し、受光した反射光の強度に応じた生体情報信号をコントローラ3の制御部31に出力する。
従って、オペレータは、比較的浅い計測領域である脳表層の表面側における血流変化を計測するときには、光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21が互いに接近するように、ラッチ機構6を用いて極めて容易にかつ迅速にパレット部材51に対して光源16及び受光器21を着脱して組み替えることができる。そして、このように、光源16及び受光器21を互いに接近させることにより、コントローラ3の制御部31が脳表層の表面側における(浅い位置における)酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyすなわち生体情報を算出することができる。
次に、大脳皮質のやや奥側における比較的深い位置の血流変化を計測する場合を例示的に考える。この場合においては、図18(b)に概略的に示すように、頭部Tの表面と大脳皮質の奥側との距離が長い、言い換えれば、頭部Tの頭皮から大脳皮質の奥側までは深い。このため、オペレータは、例えば、ある光検出部2の受光器21から光出射部1の光源16が離れるように、すなわち、光検出部Aの受光器21と光出射部a,cの光源16との間の距離が長くなるようにホルダ5のパレット部材51に組み付ける。これにより、光検出部Aの受光器21は、離間して配置された特定の光出射部a,cの光源16から出射されて大脳皮質の奥側を伝播して反射された被変調光すなわち反射光を受光し、受光した反射光の強度に応じた生体情報信号をコントローラ3の制御部31に出力する。
従って、オペレータは、比較的深い計測領域である脳表層の奥側における血流変化を計測するときには、光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21が互いに離間するように、ラッチ機構6を用いて極めて容易にかつ迅速にパレット部材51に対して光源16及び受光器21を着脱して組み替えることができる。そして、このように、光源16及び受光器21を互いに離間させることにより、コントローラ3の制御部31が脳表層の奥側における(深い位置における)酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyすなわち生体情報を算出することができる。
そして、このようにコントローラ3の制御部31が、大脳皮質の表面側と大脳皮質の奥側のそれぞれの生体情報、すなわち、酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyを算出することにより、脳における深さ方向の血流変化を合成することができる。これにより、表示部4は、制御部31によって算出されて出力された生体情報信号に基づいて、三次元的な脳内の血流変化を表示することができる。従って、脳の活動に伴う血流の変化を詳細に観察することができる。
尚、上述したように、光検出部2は、各光出射部1の拡散符号系列発生器11が発生したPN系列を用いることにより、特定の光出射部1から出射された被変調光の反射光を選択的に受光し、この反射光に対応する生体情報信号をコントローラ3の制御部31に出力することができる。従って、例えば、脳の活動に伴う血流の変化を三次元的に観察する状況において、図14に示したようにホルダ5のパレット部材51に光出射部1の光源16及び光検出部2の受光器21が交互にマトリックス状に配置されて組み付けられている場合には、上述したように光源16及び受光器21の配置を組み替えることに代えて、光検出部2が計測領域の深さに応じて受光する特定の光出射部1を変更するように実施することも可能である。
具体的に、上述した例示に従って大脳皮質の表面側における血流の変化を計測する場合には、コントローラ3の制御部31は、例えば、図14に示した光検出部Aの受光器21に対して距離が短い光出射部a〜dのそれぞれの光源16によって出射された被変調光の反射光を受光するように制御する。一方、大脳皮質のやや奥側における血流の変化を計測する場合には、コントローラ3の制御部31は、例えば、図14に示した光検出部Aの受光器21に対して距離が長い光出射部e,fのそれぞれの光源16によって出射された被変調光の反射光を受光するように制御する。
すなわち、制御部31は、光出射部a〜fにおけるそれぞれの拡散符号系列発生器11が発生したPN系列を取得する。そして、制御部31は、計測領域の深さに応じて、取得したそれぞれのPN系列を光検出部Aの第2乗算器26に供給する。これにより、光検出部Aは、光出射部a〜fの光源16から出射された被変調光の反射光を選択的に受光してこの反射光に対応する生体情報信号を出力することができる。従って、このように出力された生体情報信号に基づいて、表示部4は、三次元的な脳内における血流の変化を表示することができ、脳の活動に伴う血流の変化を詳細に観察することができる。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態の生体情報計測装置Sによれば、パレット部材51、ベルト部材52、連結部材53を含んで構成されるホルダ5を用いて、素子としての光源16及び受光器21を被験者の頭部Tにおける所定位置にて位置ずれを生じさせることなくしっかりと装着することができる。又、ラッチリング61とコイルバネ62とを含んで構成されるラッチ機構6を用いて、パレット部材51に光源16及び受光器21を極めて容易にかつ迅速に着脱することができる。これにより、光源16が所定位置から正確に特定波長を有する近赤外光を計測領域内に出射することができ、受光器21が所定位置にて正確に計測領域内を伝播した特定波長を有する近赤外光を検出することができる。
この場合、被験者の頭部Tを伝播することによって減衰した極微弱な反射光(被変調光)であっても、光検出部2の受光器21は、ケース21a(より詳しくは、ケース本体21a1及びケースキャップ21a2に形成された薄膜導電層21a3)、及び、入射窓21cによって電磁シールドされるため、例えば、生体に発生する筋電位等による雑音電界(ノイズ)の影響を排除して、反射光(被変調光)を検出することができる。又、増幅器22が受光器21のケース21a内に収容されるため、増幅器22に伝播する雑音電界(ノイズ)も遮断される。更に、増幅器22はオペアンプを備えて低インピーダンスにより電気的な検出信号(アナログ信号)を出力することができる。このため、出力される電気的な検出信号(アナログ信号)に対して、外部に存在する雑音電界(ノイズ)が加わる(乗る)ことを防止して、良好な信号出力性能(良好なS/N比)を確保することができる。これにより、コントローラ3の制御部31は、極めて正確に生体情報を計測(算出)することができる。
更に、光出射部1の光源16もケース16a(より詳しくは、ケース本体16a1及びケースキャップ16a2に形成された薄膜導電層16a3)、及び、出射窓16cによって電磁シールドすることができる。従って、光源16の発光素子16bの作動に伴って発生する雑音電界(ノイズ)の放出(放射)を防止することができ、光検出部2の受光器21による極微弱な反射光の検出に対する影響を大幅に低減することができる。これによっても、コントローラ3の制御部31は極めて正確に生体情報を計測(算出)することができる。
上記実施形態においては、光出射部1における光源16の出射窓16c及び光検出部2における受光器21の入射窓21cを、平板状の透明基材16c1,21c1と、これら透明基材16c1,21c1の少なくとも一面側に形成された透明導電膜16c2,21c2とから構成して実施した。この場合、より効率良く被変調光を出射し、より反射光の検出精度を高めるために、図19に示すように、透明基材16c1,21c1を所定の曲率半径を有する曲面形状(例えば、レンズ形状や半球状等)に形成し、この曲面形状に形成した透明基材16c1,21c1の少なくとも一面側に透明導電膜16c2,21c2を形成するように変形して実施することも可能である。このように、光源16の出射窓16cを曲面形状(例えば、レンズ形状)にすることにより、ホルダ5のパレット部材51を介して被験者の頭部Tに装着した際には、ラッチ機構6のコイルバネ62の付勢力によって出射窓16cを被験者の頭皮に対して若干沈み込ませた状態で被変調光を出射することが可能となり、頭髪を避けて頭部Tの内部に被変調光を効率良く出射することができる。
又、受光器21の入射窓21cを曲面形状(例えば、レンズ形状)とすることにより、ホルダ5のパレット部材51を介して被験者の頭部Tに装着した際には、ラッチ機構6のコイルバネ62の付勢力によって入射窓21cを被験者の頭皮に対して若干沈み込ませた状態で反射光を受光することが可能となり、頭髪を避けて頭部Tの内部に反射光を受光することができる。更に、曲面形状(例えば、レンズ形状)の入射窓21cを頭皮に対して若干沈み込ませた状態で反射光を受光することを可能とすることにより、極微弱な反射光を効率良く集光したり平行光化することができ、光電変換素子21bに入射する反射光の光強度を高めることができる。その結果、反射光の光強度に対応する生体情報信号のS/N比を高めることができて計測精度を向上させることができ、より正確な生体情報を得ることができる。
又、特に、受光器21の入射窓21cにおいては、より反射光の検出精度を向上させるために、図20に示すように、光学フィルタ21c3を設けて実施することも可能である。ここで、光学フィルタ21c3は、反射光の特定波長のみを透過させる光学的な特性を有するものであり、例えば、カラーフィルタや、短波長の光を除去するカットフィルタ、或いは、異なる屈折率を有する誘電体層を積層した帯域透過フィルタ等を採用することができる。
このように、受光器21の入射窓21cに光学フィルタ21c3を設けることにより、計測環境に存在する外光(例えば、照明の光等)が入射窓21cを介して光電変換素子21bに入射することを確実に遮断することができる。その結果、外光の入射に伴うノイズ(雑音)成分を除去することができて、反射光の光強度に対応する生体情報信号のS/N比を高めることができる。従って、計測精度を向上させることができ、より正確な生体情報を得ることができる。尚、上述した実施形態における受光器21の入射窓21cのように、平板状の透明基材21c1に光学フィルタ21c3を設けて実施可能であることは言うまでもない。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態及び変形例においては、電磁シールドされて増幅器22を一体的に収容した受光器21を、生体中を伝播した極微弱な反射光を検出して電気的な検出信号を低インピーダンス化して出力する生体情報計測装置Sに適用して実施した。このように、電磁シールドされて増幅器21を一体的に収容した受光器21は、外界の電磁波を遮断して極微弱な光を精度よく検出して良好な検出信号を出力することができる。このため、このような受光器21を他の計測対象や他の計測環境での計測に利用して、極微弱な光を検出させることはもちろん可能である。
又、上記実施形態及び変形例においては、光が生体内を伝播することによって大きく減衰すること及び生体情報の計測解像度を高めることを考慮して、ベースバンド信号をスペクトラム拡散及びクロック周波数2fで変調した二次変調信号に基づき、各光出射部1における光源16の発光タイミングを同時にして被変調光を発光するように実施した。これに対して、計測対象や計測環境に応じて、各光出射部1における光源16の発光タイミングを所定の短い時間間隔で異ならせて、近赤外光等の光をパルス発光するように実施することも可能である。
この場合、光出射部1は、上記実施形態及び変形例に比して、拡散符号系列発生器11、第1乗算器12及び第2乗算器14が省略されて、ベースベンド出力器13、光源ドライバ15及び光源16から構成される。そして、コントローラ3の制御部31は、所定のタイミングによりベースバンド出力器13を作動させることにより、光源ドライバ15が光源16を駆動(発光)させる。
又、この場合においては、光出射部1の変更に伴って、光検出部2も変更される。すなわち、光検出部2においては、上記実施形態及び変形例における光検出部2の第1乗算器25、第2乗算器26及び累算器27が省略されて、受光器21、増幅器22、LPF23及びADコンバータ24から構成される。このように、光出射部1の光源16の発光タイミングを所定の短い時間間隔で異ならせて、近赤外光等の光をパルス発光するように実施した場合であっても、上記実施形態及び変形例と同様の効果が期待できる。
又、上記実施形態及び変形例においては、光出射部1がベースバンド信号をスペクトラム拡散及びクロック周波数2fで変調した二次変調信号を生成し、2つの被変調光が互いに干渉することなく出射されるように実施した。これに対して、ベースバンド出力器13からのベースバンド信号を周波数分割多重(Frequency Division Multiplexer:FDM)変調することによって変調信号を生成し、2つの被変調光の干渉を防止するように実施することも可能である。
この場合においては、上記実施形態及び変形例における光出射部1から拡散符号系列発生器11、第1乗算器12及び第2乗算器14が省略されて、周波数分割多重変調器が設けられる。又、この場合においては、上記実施形態及び変形例における光検出部2の第1乗算器25、第2乗算器26及び累算器27が省略されて、周波数分割多重復調器が設けられる。尚、周波数分割多重変調器及び周波数分割多重復調器の作動については、従来から広く知られている方法を適用して変調処理及び復調処理することが可能であるため、その詳細な説明については省略する。そして、このように、周波数分割多重変調することによって変調信号を生成して被変調光を発光するように実施した場合であっても、上記実施形態及び変形例と同様の効果が期待できる。
又、上記実施形態及び変形例においては、各光出射部1の光源16がスペクトラム拡散変調された二次変調信号に基づいて同時に発光するように実施した。この場合、スペクトラム拡散変調された二次変調信号に基づいて、光源ドライバ15が光源16を順次発光させるように実施可能であることは言うまでもない。
又、上記実施形態及び変形例においては、生体内の血液の吸光特性を利用して、生体情報計測装置Sが頭部Tの脳内における酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyを生体情報として計測(算出)し、脳内の血流変化を観察するように実施した。しかしながら、光出射部1の光源16が発生する近赤外光の特定波長を適宜変更することにより、他の吸光特性、例えば、生体の密度、水分や、血中のグルコース濃度(血糖値)、脂質量、或いは、脈拍等の変化に伴う吸光特定、例えば、酸素飽和度等を計測可能であることは言うまでもない。
尚、以下に、酸素飽和度SO2を計測(算出)する場合を例示して簡単に説明しておく。上記実施形態及び変形例においては、前記式4及び式5を用いて酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyを計測(算出)することができ、これによってトータルヘモグロビン濃度長変化(ΔCoxy+ΔCdeoxy)を計測(算出)することができる。そして、これらの各値を算出することにより、下記式6によって表される相対的な酸素飽和度SO2を計測(算出)することができる。
SO2=ΔCoxy/(ΔCoxy+ΔCdeoxy) …式6
ところで、上記のように算出される酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyは、前記式4及び式5から明らかなように、光路長dを含んで計算されるものである。一般に、生体内部に入射した光の光路長は、上述したように、乱反射等の影響によって厳密に測定又は算出することが難しい。従って、前記式4及び式5における光路長dは相対量として用いられており、酸素化ヘモグロビン濃度長変化ΔCoxy及び還元ヘモグロビン濃度長変化ΔCdeoxyを用いた前記式6により算出される酸素飽和度SO2も相対量となる。
この場合、下記に示す各式に従って酸素飽和度SO2を算出することにより、相対量を含むことなく、脈動成分中の酸素飽和度SO2、言い換えれば、動脈又は細動脈中の酸素飽和度SO2を算出することができる。尚、この酸素飽和度の算出方法については、例えば、特開昭63−111837号公報に開示されて従来から広く知られている算出方法であるため、その詳細な説明を省略する。
生体内の赤外減光度は、下記式7に従って算出することができる。
−log(I1/I0)=E×C×e+A …式7
ただし、前記式7中のI1は細動脈を透過した透過光の光量を表し、I0は入射光の光量を表す。又、前記式7中のEはヘモグロビンの吸光係数を表し、Cは血中ヘモグロビン血液濃度を表し、eは血液層の厚さ(前記式4,5における光路長dに相当)を表し、Aは組織層の減光度を表す。ここで、前記式7は、生体内を透過した赤外線光の減光度を算出するものであるが、反射した赤外線光であっても同様の特性を示すことが知られている。
脈動により血液層の厚さeがΔeだけ変化したとすると、赤外減光度の変化は下記式8に従って計算することができる。
−(log(I1/I0)−log(I2/I0))=E×C×e−E×C×(e−Δe) …式8
前記式8を整理すると、下記式9に示すようになる。
−log(I2/I1)=E×C×Δe …式9
ただし、前記式8及び式9中のI2は血液層の厚さの変化後における透過光の光量を表す。
次に、透過光の光量I1を有する赤外線光の波長をλ1、透過光の光量I2を有する赤外線光の波長をλ2として、時刻t1,t2におけるλ1の各透過光の光量をI11,I21、λ2の各透過光の光量をI12,I22とすると、前記式9に従って、各時刻における赤外減光度の変化は、下記式10及び式11のように示すことができる。
−log(I21/I11)=E1×C×Δe …式10
−log(I22/I12)=E2×C×Δe …式11
ただし、前記式10中の −log(I21/I11)=E1×C×Δe …式10
−log(I22/I12)=E2×C×Δe …式11
ただし、前記式10中のE1は、波長λ1の赤外線光に対するヘモグロビンの吸光係数を表し、前記式11中のE2は、波長λ2の赤外線光に対するヘモグロビンの吸光係数を表す。そして、前記式11を前記式10で除算すると、血液層の厚さ変化Δeを消去した下記式12が成立する。
log(I12/I22)/log(I11/I21)=E2/E1 …式12
したがって、前記式12を変形すれば、下記式13が成立する。
E2=E1×log(I12/I22)/log(I11/I21) …式13
ここで、図21に示す酸素飽和度に応じたヘモグロビンの光吸光スペクトルを参照して、ヘモグロビンの吸光係数E1に対応する吸光波長として805nmを選択すると、酸素飽和度SO2=0%と酸素飽和度SO2=100%の曲線の交点を得る。これにより、吸光係数E1は、酸素飽和度の影響を受けない値となる。そして、ヘモグロビンの吸光係数E2に対応する吸光波長として、例えば、750nmを選択するとともに、酸素飽和度SO2=0%のときのヘモグロビンの吸光係数をEp、酸素飽和度SO2=100%のときのヘモグロビンの吸光係数をE0とすると、現在の酸素飽和度SO2は下記式14に従って算出できる。
SO2=(E2−Ep)/(E0−Ep) …式14
これにより、前記式14に従って計算される酸素飽和度SO2は、相対量を含むことなく計算されるため、実際の酸素飽和度を得ることができる。従って、例えば、医師による診断において、より正確な酸素飽和度SO2を提供することができる。
更に、上記実施形態及び変形例においては、ケース16a内に発光素子16bを収容した光源16及びケース21a内に光電変換素子21bを収容した受光器21をホルダ5のパレット部材51に組み付けて実施した。この場合、例えば、所定のケース内に各種素子、例えば、圧電素子や熱電素子、撮像素子等を収容し、これらケースに収容された各種素子をホルダ5のパレット部材51に対して組み付けて実施することも可能である。この場合、各種素子を収容したケースを、ラッチ機構6を用いてホルダ5のパレット部材51に組み付け可能であることは言うまでもない。
このように、発光素子16bや光電変換素子21b以外の各種素子をホルダ5のパレット部材51に組み付ける場合であっても、被験体である頭部Tの計測領域に対してパレット部材51をしっかりと固定することができるため、各種素子を用いた計測や検温、撮像をより正確に行うことが可能となる。又、ラッチ機構6を用いることにより、各種素子を収容したケースのパレット部材51に対する着脱を極めて容易とすることができるため、正確かつ迅速な計測や検温、撮像が可能となる。
1…光出射部、11…拡散符号系列発生器、12…第1乗算器、13…ベースバンド出力器、14…第2乗算器、15…光源ドライバ、16…光源、16a…ケース、16a1…ケース本体、16a2…ケースキャップ、16a3…薄膜導電層、16a4…係合突起、16b…発光素子、16c…出射窓、16c1…透明基材、16c2…透明導電膜、2…光検出部、21…受光器、21a…ケース、21a1…ケース本体、21a2…ケースキャップ、21a3…薄膜導電層、21a4…係合突起、21b…光電変換素子、21c…入射窓、21c1…透明基材、21c2…透明導電膜、22…増幅器、23…LPF、24…ADコンバータ、25…第1乗算器、26…第2乗算器、27…累算器、3…コントローラ、31…制御部、32…クロックジェネレータ、33…ディレイ、4…表示部、5…ホルダ、51…パレット部材、51a…貫通孔、51b…調整部、52…ベルト部材、52a…第1部分、52b…第2部分、52c…接続部分、52c1…スライド部分、52d…周長調整機構、52d1…調整ダイヤル、53…連結部材、54…ガイド部材、54a…ガイド部材本体、54b…ガイド部材ナット、6…ラッチ機構、61…ラッチリング、61a…溝部、62…コイルバネ、S…生体情報計測装置

Claims (12)

  1. なくとも2つの異なる特定波長を有する近赤外光を発光する光源を有していて、所定の駆動信号に基づいて前記光源を発光させて前記異なる特定波長を有する近赤外光を生体内部に出射する光出射部と、
    前記光出射部から出射されて前記生体内部を伝播した近赤外光を受光する受光器を有していて、前記受光器によって受光して検出した近赤外光の光強度に対応して生体の代謝に関連する電気的な検出信号を出力する光検出部と、
    前記光出射部と前記光検出部の作動を統括的に制御し、前記光検出部から出力された電気的な検出信号に基づいて生体情報を算出する制御部と、
    前記光出射部の前記光源及び前記光検出部の前記受光器を保持するための複数の貫通孔が形成された板状のパレット部材を有し、前記パレット部材によって保持された前記光源及び前記受光器を生体の所定位置に装着するホルダとを備え、
    生体内部を伝播させた光を検出し、この検出した光の有する生体情報を計測する生体情報計測装置において、
    前記光源は、円筒状のケース本体、及び、前記ケース本体に収容されて特定波長を有する近赤外光を発光する発光素子を有し、
    前記受光器は、円筒状のケース本体、及び、前記ケース本体に収容されて前記光出射部から出射されて前記生体内部を伝播した近赤外光を受光して電気的な検出信号に変換する光電変換素子を有し、
    前記ホルダは、さらに、前記パレット部材に形成された複数の貫通孔にそれぞれ組み付けられ、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体を先端側からそれぞれ挿通させるガイド部材を有し、
    前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体の先端側と反対側に、前記ガイド部材から抜け出ないようにするための、前記ガイド部材の内径よりも大きな大径部分をそれぞれ設けるとともに、
    前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体の先端側の外周面上に、周方向に所定の間隔を有する複数の係合突起をそれぞれ設けておき、さらに、
    前記ホルダの前記パレット部材に対して前記光源及び前記受光器を着脱可能に組み付ける機構であって、
    前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体をそれぞれ挿通可能に円環状にそれぞれ形成され、内周面側に、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体にそれぞれ設けた係合突起を軸方向への変位に伴って挿通させる溝部をそれぞれ有するリング部材と、
    前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体をそれぞれ挿通させるとともに、前記リング部材と前記ガイド部材の間に組み付けられて、前記光源のケース本体及び前記受光器のケース本体を前記ガイド部材にそれぞれ挿通させた状態で、前記リング部材の前記溝部前記係合突起を軸方向への変位に伴って挿通させた後に前記リング部材が回動されて前記係合突起と前記リング部材における前記溝部以外の部分とが係合したとき、前記リング部材と前記パレット部材の間で圧縮状態となるコイルバネを含んで構成されたラッチ機構とを備えたことを特徴とする生体情報計測装置。
  2. 請求項1に記載した生体情報計測装置において、
    前記リング部材に前記コイルバネを保持する保持部を形成し、前記リング部材に対して前記コイルバネを一体的に組み付けたことを特徴とする生体情報計測装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載した生体情報計測装置において、
    前記光源及び前記受光器は、前記ホルダの前記パレット部材に対して、それぞれ交互にマトリックス状に配置されて組み付けられることを特徴とする生体情報計測装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した生体情報計測装置において、
    前記光源のケース本体の少なくとも内部導電性を有して接地され
    前記光源は、さらに、少なくとも内部に導電性を有して前記ケース本体に組み付けられるケースキャップと、前記特定波長に対する光学的透過性を有するとともに電気伝導性を有して前記ケース本体に電気的に接続されて光を出射する窓部とを備え、
    前記受光器のケース本体の少なくとも内部導電性を有して接地され
    前記受光器は、さらに、少なくとも内部に導電性を有して前記ケース本体に組み付けられるケースキャップと、前記光出射部から出射される特定波長に対する光学的透過性を有するとともに電気伝導性を有して前記ケース本体に電気的に接続されて光を入射する窓部と、前記ケース本体内に収容されて前記光電変換素子から出力される電気的な検出信号を増幅するとともに前記光電変換素子の出力インピーダンスよりも小さな出力インピーダンスにより前記増幅した電気的な検出信号を出力する増幅回路とを備えていることを特徴とする生体情報計測装置。
  5. 請求項4に記載した生体情報計測装置において、
    前記光源及び前記受光器のケース本体の内部及び前記ケースキャップの内部は、ストライクメッキしたニッケル(Ni)層とこのニッケル(Ni)層上に無電解メッキした銅(Cu)層又は金(Au)層とからなる薄膜導電層が形成され、
    前記光源及び前記受光器の窓部は、インジウム−錫酸化物(ITO),亜鉛酸化物(ZnO)またはニオブ酸化物(NbO)を主成分とする透明導電膜が形成されて、
    前記光源の前記薄膜導電層と前記透明導電膜とが電気的に接続されるとともに、前記受光器の前記薄膜導電層と前記透明導電膜とが電気的に接続されることを特徴とする生体情報計測装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか一つに記載した生体情報計測装置において、
    前記光出射部は、被験者の頭部に前記特定波長を有する近赤外光を出射し、
    前記光検出部は、前記被験者の頭部を伝播した近赤外光を受光して前記電気的な検出信号を出力し、
    前記制御部は、前記被験者の脳内における活動に関する生体情報を算出することを特徴とする生体情報計測装置。
  7. 請求項6に記載した生体情報計測装置において、
    前記制御部が算出する前記脳内における活動に関する生体情報は、
    前記被験者の頭部の血管中における酸素と結合した酸素化ヘモグロビン濃度長変化および酸素と結合していない還元ヘモグロビン濃度長変化を表す情報とに基づいて算出されることを特徴とする生体情報計測装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか一つに記載した生体情報計測装置において、
    前記光出射部は、
    前記所定の駆動信号をスペクトラム拡散変調するスペクトラム拡散変調手段を有し、
    前記光検出部は、
    前記電気的な検出信号をスペクトラム逆拡散して復調する復調手段を有することを特徴とする生体情報計測装置。
  9. 請求項8に記載した生体情報計測装置において、
    前記光出射部のスペクトラム拡散変調手段は、
    前記所定の駆動信号をスペクトラム拡散変調するための拡散符号系列を第1の周波数により生成する拡散符号系列生成手段と、同拡散符号系列生成手段によって生成された拡散符号系列を用いて前記所定の駆動信号をスペクトラム拡散して一次変調信号を出力する第1変調手段と、前記第1の周波数の2倍となる第2の周波数を用いて前記第1変調手段によって出力された前記一次変調信号を変調して二次変調信号を出力する第2変調手段とを有し、
    前記光検出部の復調手段は、
    前記電気的な検出信号の信号帯域のうち、直流及び直流近傍の周波数における信号成分、及び、前記第2の周波数以上の信号成分を除去して出力する信号成分除去手段と、前記近赤外光が前記被験者の頭部の内部を伝播することに伴う遅延を加味した前記第2の周波数の2倍となる第3の周波数を用いて前記信号成分除去手段によって出力された電気的な検出信号をデジタル信号に変換する信号変換手段と、前記近赤外光を前記被験者の頭部の内部で伝播させることに伴う遅延を加味した前記第2の周波数を用いて前記信号変換手段によって変換されたデジタル信号を復調して一次復調信号を出力する第1復調手段と、前記近赤外光を前記被験者の頭部の内部で伝播させることに伴う遅延を加味した前記拡散符号系列を用いて前記一次復調信号をスペクトラム逆拡散して二次復調信号を出力する第2復調手段とを有することを特徴とする生体情報計測装置。
  10. 請求項9に記載した生体情報計測装置において、
    前記第2の周波数を、前記光検出部が前記被験者の頭部の内部を伝播した近赤外光を有効に検出可能な有効検出帯域幅と一致させたことを特徴とする生体情報計測装置。
  11. 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか一つに記載した生体情報計測装置において、
    前記光出射部は、
    所定の時間間隔を有して供給される前記所定の駆動信号を取得し、前記光源が前記取得した所定の駆動信号に基づいて順次発光して、前記異なる特定波長を有する近赤外光を前記所定の時間間隔を有して順次出射することを特徴とする生体情報計測装置。
  12. 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか一つに記載した生体情報計測装置において、
    前記光出射部は、
    前記所定の駆動信号を周波数分割多重変調して変調信号を生成する周波数分割多重変調手段を有し、
    前記光検出部は、
    前記電気的な検出信号を周波数分割多重復調する復調手段を有することを特徴とする生体情報計測装置。
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