以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下、実施形態においては、計測対象物体を(金属材で構成される)プレス板金とし、基準物体を検具(検査用型)とし、プレス板金と検査用型との間の隙間を計測する場合を例に挙げて説明する。勿論、これ以外の物体間の隙間を計測するようにしても構わない。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係わる計測装置の概要を示す図である。
計測装置は、物体間の隙間の計測を行なう。本実施形態においては、計測装置は、検査用型120にスペーサを介してクランプされたプレス板金110と、当該検査用型120との間の隙間を計測する。より具体的には、計測装置は、検査用型120の面上からプレス板金110への垂直方向に沿った隙間の距離の計測を行なう。なお、ここでは、隙間の距離として、10.0mmまでの隙間を計測対象とする場合について説明する。
ここで、計測装置は、センサユニット10と処理ユニット30とを具備して構成されており、これらユニット間は、コード13を介して接続されている。
センサユニット10は、隙間の計測に際して当該隙間に接地される。センサユニット10は、その外観構成として、支持部11と筐体部12とを具備して構成される。なお、詳細については後述するが、センサユニット10の内部には、光源やカメラが設けられる。
筐体部12には、コード13やボタン14が設けられる。コード13は、映像信号や電力の授受に使用され、ボタン14は、ユーザからの撮影指示の入力に使用される。なお、コード13やボタン14の配置位置は、あくまで一例であり、筐体部12におけるどの位置に設けられていても良い。また、ボタン14は、筐体部12上ではなく、例えば、コード等(又は無線)を介して外部ボタンとして設けられていても良い。
支持部11は、棒状の形状を有し、筐体部12から所定方向に沿って延伸して構成される。プレス板金110と当該検査用型120との間の隙間の計測に際しては、接地部11aが検査用型120に対して接地されるとともに、また、支持部11の側面がプレス板金110の縁部(切口)に接地される。
支持部11は、例えば、その延伸方向(矢印C方向)に沿って2cmの長さを有しており、筐体部12は、長手方向(矢印C方向)に沿って7cmの長さを有し、短手方向及び幅方向に沿って3cmの長さを有して構成される。すなわち、センサユニット10は、ユーザが片手で持って取り回しの利く寸法(及び重量)で実現される。
なお、ここに例示したセンサユニット10の寸法は、あくまで一例であり、計測対象となる物体の形状や大きさ等に合わせて適宜変更できるものである。上述した通り、本実施形態においては、10.0mmまでの隙間を計測対象としているため、支持部11の延伸方向の長さは1cm以上とすることが必要とされる。また、本実施形態に係わるセンサユニット10に搭載される(小型)カメラの特性によれば、カメラと隙間との距離を3〜4cmまで近付けられるが、それ以上近付けようとすると、フォーカスの調整可能範囲を越え、ピンボケの画となる。そのため、撮影画像上において、隙間の影と板金切口の境界との輝度値の変化が急峻でなくなり、境界位置を画素単位で特定することが困難になることから、本実施形態に係わるセンサユニット10の寸法は、上記例示した大きさとなる。
また、センサユニット10の寸法を考える上では、下記点に留意する必要がある。
1.分解能の観点からは、センサユニット10の内部のカメラは、計測したい隙間に近接させる方が望ましい。近接させることにより、隙間1mm当たりの画素数が増すためである。
2.一方で、カメラの近接には限界がある。近接させすぎると画がピンボケになり、撮影画像上で板金の影領域から板金切口下端に遷移する境界位置の特定が困難になる。
3.センサユニット10の取り回しの観点からは、センサユニット10全体の寸法は、隙間より大きく、且つ手で持てる範囲内で小さいほど良い。小さければ取り回す際、プレス板金110を検査用型120に固定するクランプのアーム等、プレス板金の上面にある障害物との接触を避け易いためである。
4.スライド式のアダプタ装着(後述する図14及び図15参照)を考えると、センサユニット10(筐体部)は、当該アダプタ装置をスライドさせる長手方向にある程度長いほうが良い。
処理ユニット30は、例えば、パーソナルコンピュータや専用の装置(隙間の計測結果に基づく演算等を行なう装置)等で実現され、センサユニット10からの映像信号(複数の連続する画像(フレーム))に基づく演算処理や、計測結果の表示等を行なう。処理ユニット30は、コード13を介してセンサユニット10と接続されており、コード13を介してセンサユニット10から映像信号を受信し、また、コード13を介してセンサユニット10に向けて電力供給を行なう。
ここで、センサユニット10の内部には、図2に示すように、光源21と、撮像装置(以下、カメラと呼ぶ)22とが設けられる。
ここで、本実施形態においては、支持部11に対してカメラ22の位置を固定する場合について説明する。詳細については後述するが、本実施形態においては、カメラ22で撮影された撮影画像上の検査用型120からプレス板金110の切口(の下端)までの支持部11の延伸方向(軸線方向)に沿った距離と、実際の距離との関係を変換テーブル(後述する図4参照)で保持する。そのため、支持部11とカメラ22との位置関係が変化すれば、当該変換テーブルを作り直さなければならない。従って、カメラ22と支持部11との位置関係を固定にすれば、変換テーブルの作成の必要回数を最小限にすることができる。
一方、カメラ22と光源21との位置関係は、変換テーブルに保持される情報とは独立して変更することができる。隙間の影とプレス板金の切口(の下端)との境界とにおける輝度値の差を識別可能にするため、光源21は、隙間の影領域sが必要十分に暗く、プレス板金110の切口が必要十分に明るく照らせるような位置及び方向に設ければ良い。例えば、光源21は、プレス板金110の切口に直接向けて当該領域を照射するように設置すれば良い。或いは、外光が増減しても上記照明条件を安定して保つために、光源21でカメラ22の視野範囲全域を照射し、カメラ22に入射する光量を光源21が照射する光で支配するように光源21を設けても良い。この場合、検査用型120で反射した間接光が板金切口を明るく照らすことになる。
プレス板金110と検査用型120との間の隙間の計測に際しては、検査用型120に対して支持部11の接地部11aを接地させるとともに、支持部11の延伸方向(矢印C方向)に沿った側面をプレス板金110の縁部に接地させる。
支持部11は、検査用型120(面)に対して垂直に立てる必要がある。図1等に示される形態の支持部11を採用した場合には、一般に、ユーザの目視で支持部11が垂直に立てられることになるが、支持部11の接地部11aにおける接地面積を増やしたり、また、センサユニット10へアダプタ装置(後述する図14及び図15参照)を装着したりすることで触覚によって垂直をとり易くすることもできる。なお、計測手段自体には備わっていない目視や触覚等といった手段で垂直をとる必要性は、従来技術であるテーパーゲージで隙間を計測する場合にも同様のことがいえる。
ここで、ユーザは、検査用型120に対して支持部11が垂直になるようにセンサユニット10を固定し、その状態で、センサユニット10に設けられたボタン14を押下する。すると、光源21から光が発せられ、その照射光がプレス板金110の切口及び検査用型120を含む領域を照射する。なお、ボタン14を押下したときのみ光源21を点灯させるようにした場合、省電力の観点から望ましいが、これに限られない。例えば、光源21を常時点灯しながらカメラ22で常時撮影しておき、ボタン14を純粋に計測のトリガとしてのみ用いるようにしても良い。
ここで、検査用型120において、プレス板金110の下側に位置する領域は、そのほとんどの領域に照射光が届かず影領域(図中sの範囲)となる。そのため、カメラ22により撮影された撮影画像上においては、プレス板金110の切口の下端と、影領域とでコントラストが増し、プレス板金110の切口の下側のエッジを検出し易くなる。そこで、本実施形態においては、この原理を利用してプレス板金110と当該検査用型120との間の隙間の計測を行なう。
この計測原理について詳述する。図3は、図1に示す処理ユニット30の表示器(後述する表示部32)に表示される画面(計測画面)50の一例を示す図である。
計測画面50には、表示領域40と、輝度値表示領域51と、操作領域52〜59とが設けられる。表示領域40には、上記説明したセンサユニット10のカメラ22により撮影された画像が表示される。この場合、表示領域40には、図2に示す計測時にカメラ22により撮影された画像が表示されている。なお、このような画像の表示は、隙間の計測やキャリブレーションを行なう上では必須ではない。本実施形態では、デモンストレーション及び動作説明のために、このような画像を表示する場合について説明する。
表示領域40には、検査用型領域42と、影領域43と、板金下端領域44と、板金上端領域45と、板金領域46と、隙間領域47と、支持部領域48とが表示されている。この他、表示領域40には、第1のライン61、第2のライン62、輝度ライン63、接触ライン64、等も表示されている。なお、板金下端領域44は、図2に示すプレス板金110の切口の下端に対応し、板金上端領域45は、図2に示すプレス板金110の切口の上端に対応する。接触ライン64は、撮影画像上で支持部11が写っている領域に表示される。また、影領域43は、図2に示す影領域sに対応する。なお、影領域43と隙間領域47とが一致しないのは、図2に示すように、プレス板金110の切口直下の付近は、影領域sとならないためである。
なお、カメラ22として垂直画素数よりも水平画素数の方が大きいカメラ(通常のカメラ)を用いる場合、支持部11の延伸方向が、カメラ撮影像上の水平方向に一致するように撮影した方が分解能の点で有利である。本実施形態では、この点を考慮して、カメラを半時計回りに90度回転させており、表示領域40内の左側が下(検査用型120側)、右側が上(プレス板金110側)となるようにしている。
輝度値表示領域51には、表示領域40内の輝度ライン63に沿った輝度値の波形が示される。輝度値表示領域51には、例えば、カメラ22により撮影された時間的に連続する画像(例えば、7フレーム)に対して、フレーム間メディアンフィルタリングでノイズ除去を行なった後、当該輝度ライン63を中心とする複数ライン(例えば、5ライン)の平均を採った値が表示される。
輝度値表示領域51の輝度値を参照すると、板金下端領域44と影領域43との境界に対応する輝度値は、谷(暗い部分)から山(明るい部分)への急激な遷移を起こしている。そのため、このような急激な輝度値の変化を検出することでプレス板金110の切口の下端を検出できることになる。
また、輝度値表示領域51の輝度値を参照すると、検査用型領域42と影領域43との間の境界においても輝度値の急激な変化が生じている。ここで、輝度値表示領域51に例示されている輝度値の波形に対し、当該領域に向かって左から右に至る向きにX軸をとったとき、Xの増加に対して検査用型領域42から影領域43に至る波形は、減少カーブを描いている。これに対し、影領域43から板金下端領域44に至る波形は、急峻な増加カーブを描いている。このような違いが生じるのは、輝度ライン63上を検査用型120からプレス板金110に向かって辿った場合、前者が影領域への進入であり、後者が影領域からの脱出であるためである。このことから、検査用型領域42と影領域43との間の境界がプレス板金110の切口の下端でないことを機械的に判定できる。
また更に、増加カーブであっても急峻でないか、或いは増加カーブ且つ急峻であっても増加量が小さければ(増加手前の谷底に対して増加直後の山の高さが小さければ)、プレス板金110の切口の下端でないとして機械的に判定できる。すなわち、適当な大きさのXの増分ΔXあたりの輝度値の増分をΔYとしたとき、ΔY/ΔXが十分に大きければ、プレス板金110の切口の下端である可能性が高い。そうでなければ、プレス板金110の切口の下端である可能性が低い。本実施形態においては、エッジ検出パラメータの調整欄54の閾値項目に対してその判定基準となる値を(ユーザが)入力し、プレス板金110の切口の下端の誤検出を抑える。勿論、これ以外の方法を用いてプレス板金110の切口の下端の誤検出を抑制するようにしても良い。
続いて、操作領域52〜59について説明する。操作領域には、隙間サイズの表示欄52と、計測ライン位置の調整欄53と、エッジ検出パラメータの調整欄54と、表示領域40上に画像の表示を行なうか否かを選択するためのチェックボックス55と、キャリブレーションの実行を指示するキャリブレーションボタン56と、カーソル位置の調整欄57と、変換テーブルの保存を指示する保存ボタン58と、処理のキャンセルを指示するキャンセルボタン59とが設けられる。
隙間サイズの表示欄52には、隙間領域47の(支持部11の延伸方向に沿った)サイズ(すなわち、隙間の距離)がmmを単位として表示される。また、第1のライン61から第2のライン62までの画素数も表示される。なお、この画素数の表示は、必ずしも行なう必要はなく、ここでは、デモンストレーション及び動作説明を目的として示している。
計測ライン位置の調整欄53には、輝度ライン63及び接触ライン64の位置を調整するための項目が基本項目及び接触位置項目としてそれぞれ設けられている。この場合、Y座標値を調整することでこれらラインの位置の調整が行なわれる。
エッジ検出パラメータの調整欄54には、板金下端領域44と影領域43との境界をエッジとして検出するための条件を入力する入力項目が、閾値項目、フレーム数項目、ライン数項目として設けられている。閾値項目には、上述したプレス板金110の切口の下端か否かを判定するための閾値(この場合、20)が設定され、ここに設定された閾値を越える輝度値の変化があった場合に、上記境界がエッジとして検出されることになる。
また、本実施形態では、この判定の前処理として輝度値の波形を整えるためのフィルタリングを2段階行なっている。より具体的には、直近の過去mフレームの画像を使ってノイズ除去を目的とした第1のフィルタリングを行ない、その後更に、輝度ライン63を中心とするnラインの輝度を使って安定化を目的とした第2のフィルタリングを行なっている。これにより、より誤検知に対するマージンを確保する措置をとっている。ここで、m及びnはそれぞれ、エッジ検出パラメータの調整欄54のフレーム数項目(この場合、7フレーム)及びライン数項目(この場合、5ライン)への(ユーザの)入力によってその値が決められる。上記以外にも、判定精度を高めるために、使用するカメラ22や映像信号の伝送路の特性に応じた対応を適宜行なえば良い。
カーソル位置の表示欄57には、カーソル位置の表示を行なうための項目が、第1〜第4のライン項目としてそれぞれ設けられている。本実施形態では、第1のライン61及び第2のライン62が表示領域40上に表示されており、それらの水平位置が、それぞれ第1のライン項目及び第2のライン項目に数値で表示される。なお、これら数値の手動入力による調整は不要である。また、この場合、第3のライン項目及び第4のライン項目は使用していない。
第1のライン〜第4のラインは、表示領域40上において、垂直方向(輝度ライン63と直交する方向)に表示され、当該ラインに対応して設けられた項目では、X座標値の確認が行なえる。第1のライン61は、検査用型領域42上の所定位置(基準位置)に表示され、この位置は、後述するキャリブレーションにより決められる。第2のライン62は、輝度値に基づいて検出された板金下端領域44と影領域43との境界位置に表示される。
なお、本実施形態においては、カーソル位置の表示欄57では、第1〜第4のラインのX座標値を表示する機能のみを有している場合を説明しているが、これに限られない。例えば、カーソル位置の表示欄57に表示された値を調整できるように、カーソル位置の表示欄57に設けられる各項目(第1〜第4のライン項目)を入出力項目として実現しても良い。
ここで、処理ユニット30には、図4に示す変換テーブル130が保持されている。なお、当該テーブル130に規定された情報は、後述するキャリブレーションにより設定される。
変換テーブル130には、撮影画像上の検査用型120(より詳細には、基準位置)から各位置までの(カメラ22で撮影した)撮影画像上での画素単位の距離を、実際の距離に変換するための情報が規定される。このような情報を保持しているのは、撮影画像上のX方向に沿った各位置毎に、撮影画像上における距離と実際の距離とがイコールでないためである。また、そればかりか、両者の間に非線形の対応関係が生じるためである。
この点について更に説明すると、撮影画像には、撮像系(カメラ22)の一点透視変換による歪み(更に、レンズの歪みも重畳される)が存在する。そのため、撮影画像上から計測された距離と、実際の距離との間に非線形の対応関係が生じることになる。なお、この図4に示す単調増加カーブを描く曲線は、撮影画像上における位置をXとし、それに対応する物理的距離(高さ)をDとして、組(X,D)の実例を多数集めて処理するか、或いは組(X,D)の代表的な複数個の実例から近似曲線を導くなどして得ることができる。本実施形態では、後者の方式に則り、3次の多項式近似により得ている。
ここで、例えば、板金下端領域44と影領域43との境界がX座標値:341で検出された場合について考えてみる。この場合、実際の隙間の距離は、当該X座標値に対応するY座標値が0.9であるので、0.9mmとなる。なお、この場合、基準位置(図3に示す第1のライン61)は、X座標値:324となっている。
次に、図5(a)及び図5(b)を用いて、センサユニット10のキャリブレーションについて説明する。なお、キャリブレーションは、変換テーブル130の内容を作成することを目的として行なう。
キャリブレーションは、図5(a)に示すように、センサユニット10がケース(キャリブレーション冶具)70に格納された状態で行なわれる。ケース70は、センサユニット10の支持部11を少なくとも格納できるように構成されている。
ここで、ケース内部の側面73及び底面72には、図5(b)に示すように、調整パターン74(74a、74b)が形成されている。調整パターン74(74a、74b)は、例えば、複数の平行線(調整ライン)を含んで構成されており、複数の調整ラインは、例えば、1mm周期の等間隔で形成されている。なお、側面73に形成される調整パターン74aと、底面72に形成される調整パターン74bとは、例えば、異なる色の調整ラインを用いて形成される。また、ここでは、底面72にも、調整パターン74bが形成されている場合を例に挙げて説明しているが、実施形態1においては、底面72の調整パターン74bは必須ではない。
上述した調整パターン74をカメラ22により撮影することでキャリブレーションが行なわれる。より具体的には、センサユニット10がケース70に格納されると、ケース内部の底面(第1の面)72に対して支持部11の接地部11aが接地するとともに、支持部11の延伸方向に沿った面がケース内部の側面(第2の面)73に接地する。この状態でキャリブレーションが行なわれる。すなわち、ケース70に格納された状態でキャリブレーションが行われるため、キャリブレーション時には、照明光の外乱等の影響を受け難くい。
キャリブレーションは、センサユニット10をケース70に格納した後、図3に示す計測画面50が表示された状態で、ユーザによりキャリブレーションボタン56が押下されると開始する。
図6は、図1に示す処理ユニット30の表示器(後述する表示部32)に表示される画面(キャリブレーション画面)80の一例を示す図である。なお、キャリブレーション画面80は、図3で説明した計測画面50と基本的に同じ画面構成を有しており、相違点としては、表示領域40に表示される画像が異なる。そのため、ここでは、画面各部の説明については省略する。
表示領域40には、上述したケース内部をカメラ22により撮影した画像が表示される。この場合、表示領域40には、底面領域81及び側面領域82が表示されている。上述した通り、実施形態1においては、底面領域81のキャリブレーション結果は、必要ないため、底面領域81に対応する表示領域40内の表示及び輝度値表示領域51の表示はなくても良い。
ここで、ケース70内部の側面73及び底面72に形成された調整パターン74は、輝度ライン63に沿って計測された輝度値に基づいて検出される。すなわち、輝度値表示領域51の輝度値を参照すると、調整ライン上から検出された輝度値は、谷となっており、これを検出することで調整ラインの検出が行なえる。
ここで、上述した図3に示す計測画面50では、輝度値の急峻な増加をもってプレス板金110の切口の下端を検出していたのに対して、キャリブレーション画面80では、単純に閾値を越える深さを持つ輝度の谷の位置をもって調整ラインを複数同時に検出する。こうすることで、プレス板金110の切口の現物を用いて、様々な高さを作りつつ計測を繰り返して調整を行なう代わりに、黒色等の単線で様々な高さに引いた調整パターンの計測を1回行なうことでキャリブレーションを実現できる。但し、調整パターンの態様を変える場合には、別の適切な検出方法に変更することも考えられる。
ここで、処理ユニット30においては、撮影画像上から検出した調整ラインの間隔と、調整ラインの実際の間隔(この場合、1mm)とに基づいて、図4で説明した変換テーブルを更新(作成を含む)する。
また、キャリブレーション処理によって、処理ユニット30においては、底面領域81と側面領域82との境界(側面73に形成される調整パターン74aの始点)を基準位置65(図3に示す第1のライン61に対応)として保持する。
ここで、図7を用いて、図1に示す計測装置における各ユニットの機能的な構成の一例について説明する。
センサユニット10には、その機能的な構成として、ボタン14と、光源21と、カメラ22とが具備される。なお、ボタン14、光源21及びカメラ22は、上記図2を用いて説明したため、その説明については省略する。
処理ユニット30には、その機能的な構成として、操作部31と、表示部32と、電源部33と、制御部34と、IF(Interface)部35と、記憶部36とが具備される。
操作部31は、例えば、キーボードやマウス等で構成され、ユーザからの指示を処理ユニット内に入力する。表示部32は、例えば、ディスプレイ等で構成され、各種情報の表示を行なう。
電源部33は、処理ユニット30の各構成に電力供給を行なう他、センサユニット10へも電力供給を行なう。
制御部34は、例えば、CPU、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memor)などのメモリ等で構成され、処理ユニット30における処理を統括制御する。処理ユニット30における各種処理は、CPU(Central Processing Unit)がメモリをワーク領域として記憶部36に記憶されたプログラムを読み込み実行することで実施される。
IF部35は、例えば、ネットワークカードやUSB(Universal Serial Bus)、その他、外部通信インターフェース等で構成され、処理ユニット30と他装置(この場合、センサユニット)との間の通信を制御する通信インターフェースとして機能する。処理ユニット30は、IF部35を介して、センサユニット10から映像データを受信する。
記憶部36は、HDD(Hard Disk Drive)等で実現され、各種データを記憶する。記憶部36には、例えば、オペレーティングシステムやアプリケーション等の各種プログラムの他、変換テーブル130が保持される。
ここで、制御部34には、その機能的な構成として、画像取得部140と、画像処理部141と、隙間算出部145と、キャリブレーション処理部146と、表示処理部147とが具備される。なお、制御部34上のこれら構成は、例えば、CPUがメモリをワーク領域として記憶部36に記憶されたプログラムを読み込み実行することで実現される。
画像取得部140は、センサユニット10からの撮影指示に対応して映像信号(複数の連続する画像)から画像(撮影画像)を取得する。
画像処理部141は、画像取得部140により取得された撮影画像に対して各種画像処理を行なう機能を有し、輝度値取得部142と、境界検出部143と、調整パターン検出部144とを具備して構成される。
輝度値取得部142は、撮影画像から輝度ライン63に沿った輝度値を取得する。
境界検出部143は、図3に示す板金下端領域44と影領域43との間の境界(図3に示す第2のライン62に対応)を検出する。この境界の検出は、上記図3のエッジ検出パラメータの調整欄54に設定された情報(閾値、フレーム数、ライン数)に基づいて行なわれる。
調整パターン検出部144は、キャリブレーション時に輝度値取得部142により取得された輝度値に基づいて調整パターン74(調整ライン)の検出を行なう。
隙間算出部145は、境界検出部143により検出された情報に基づいて(実際の)隙間の距離を算出する。この算出は、記憶部36に保持された変換テーブル130を用いて行なわれる。
キャリブレーション処理部146は、調整パターン検出部144により検出された調整パターン74(調整ライン)に基づいてキャリブレーションを行なう。これにより、変換テーブル130や基準位置65が更新される。
表示処理部147は、各種情報を表示部32に表示させる。例えば、図3に示す計測画面や図6に示すキャリブレーション画面等の表示部32への表示を制御する。
次に、図8及び図9を用いて、図1に示す計測装置の処理の流れの一例について説明する。まず、図8を用いて、物体間の隙間(ここでは、検査用型(検具)120にスペーサを介してクランプされたプレス板金110と当該検査用型120との間の隙間)を計測する際の処理の流れについて説明する。
この処理は、検査用型120に対して支持部11の接地部11aが接地されるとともに、支持部11の延伸方向に沿った面がプレス板金110の切口に接地された状態で、ユーザによりセンサユニット10に設けられたボタン14が押下されると開始する。
このボタン14の押下に伴って、処理ユニット30は、センサユニット10から撮影指示を受信する(S101でYES)。すると、処理ユニット30は、画像取得部140において、当該ボタン押下時点の映像信号を撮影画像として取得する(S102)。そして、輝度値取得部142において、輝度ライン63に沿った撮影画像上の輝度値を演算し取得する(S103)。
輝度値の取得が済むと、処理ユニット30は、境界検出部143において、当該輝度値に基づいてプレス板金110の切口の下端領域44と影領域43との間の境界を検出する(S104)。上述した通り、この検出は、所定の閾値を越える変化のある輝度値を検出することにより行なう。
続いて、処理ユニット30は、隙間算出部145において、S104の処理で検出された境界と変換テーブル130とに基づいて隙間の距離の算出を行なう(S105)。より具体的には、S102の処理で取得した撮影画像上における境界の位置に基づいて変換テーブル130を参照し、撮影画像上の基準位置から境界までの距離を、実際の隙間の距離に変換する。
最後に、処理ユニット30は、表示処理部147において、図3で説明した計測画面上に、S105の処理で算出された隙間の距離(算出結果)を表示させる(S106)。
続いて、図9を用いて、キャリブレーションを行なう際の処理の流れについて説明する。
この処理は、センサユニット10がケース70に格納された状態で、ユーザにより図3に示す計測画面50からキャリブレーションボタン56が押下されると開始する。
キャリブレーションボタン56の押下(すなわち、キャリブレーション開始指示)に伴って(S201でYES)、処理ユニット30は、画像取得部140において、当該ボタン押下時点の映像信号を撮影画像として取得する(S202)。そして、輝度値取得部142において、輝度ライン63に沿った撮影画像上の輝度値を演算し取得する(S203)。
輝度値の取得が済むと、処理ユニット30は、調整パターン検出部144において、S202の処理で取得した撮影画像上から調整パターン74(調整ライン)を検出する(S204)。上述した通り、この検出は、所定の閾値を越える深さを持つ輝度の谷を検出することにより行なう。
続いて、処理ユニット30は、キャリブレーション処理部146において、撮影画像上における調整ラインの画素単位の位置と、調整ラインの底面72からの実際の高さとに基づいて変換テーブル130を更新する(S205)。より具体的には、処理ユニット30は、実際の調整ラインの間隔を予め保持しており、その間隔の情報と、底面72から数えた調整ラインの本数とに基づいて、個々の調整ライン毎に底面72からの実際の高さDを求める。そして、撮影画像上から検出した調整ラインの画素単位の位置Xとの組(X,D)を調整ライン毎に記憶して多項式近似する等して変換テーブル130を更新する。また、処理ユニット30は、キャリブレーション処理部146において、撮影画像上における調整ラインのうち、高さD=0であるものの画素単位の位置に基づいて基準位置65を更新する(S206)。
以上説明したように本実施形態によれば、プレス板金110と検査用型120との隙間を撮影した撮影画像上からプレス板金110の切口の下端領域44と影領域43との間の境界を検出し、当該検出した境界に基づいて隙間の計測を行なう。そのため、物体間の隙間の形状に拘わらず、隙間の計測を行なえる。
すなわち、物体間に隙間ゲージ等を差し込む必要がなく、計測対象となる物体にセンサユニット10を接地させるだけで隙間の計測を行なえるため、隙間(縁部、穴部)に奥行きがない場合であっても、隙間の計測を行なえる。また、物体間に差し込まれた隙間ゲージ等の目盛りを肉眼によって読み取る必要もなくなるため、隙間の計測結果の読み取りも正確に行なえる。
また更に、計測対象となる物体にセンサユニット10を接地させるだけで隙間を計測できるとともに、計測結果の読み取りも簡単に行なえるため、隙間の計測に要する作業時間も短縮できる。また、支持部11を当てた位置の隙間の距離を計測できることから、ユーザは、ものさしを当てる感覚で隙間の距離を計測できる。
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2においては、支持部11の延伸方向(矢印C方向)に沿って支持部11上に目盛りを形成するようにした場合について説明する。
図10に示すように、実施形態2に係わるセンサユニット10の支持部11には、目盛りが等間隔に形成されている。なお、支持部11は、例えば、透明(光を透過する)部材で構成されても良い。
実施形態2においては、支持部11の接地部11aを検査用型120に対して接地させるとともに、目盛りが形成された支持部11の側面をプレス板金110の切口に接地させた状態で隙間の計測を行なう。
このような構成の場合、プレス板金110の切口の下端と影領域との境界と、支持部11に形成された目盛りとに基づいて実際の隙間の距離の計測を行なうことができる。なお、実施形態2においては、変換テーブル130は使用しない。
処理ユニット30においては、目盛りの間隔の情報と、撮影画像上の上記境界及び目盛りの情報とに基づいて、実際の隙間の距離の計測を行なう。より具体的には、撮影画像から検知されたプレス板金110の切口の下端と支持部11との交点が、支持部11に形成された目盛りの下からn番目とn+1番目との間であれば、検査用型120に対するプレス板金110の切口の下端の高さは、
a(n−1)+b mm〜a・n+b mm
の間となる。
ここで、bは支持部11に形成された目盛りのうち、最も下の目盛りの高さ(単位mm)を示し、aは目盛りの周期(単位mm)を示す。目盛り周期a mmを越える分解能を得るには、人間がものさしで長さを測るときに最小目盛りの1/10まで読むがごとく、撮影画像上においてプレス板金110の切口の下端が、下からn番目とn+1番目との間であれば、それら2目盛りに対応する高さの線形補間等により目盛りと目盛りとの間にある切口下端の位置を求めれば良い。
ここで、図11を用いて、実施形態2に係わる計測装置の処理の流れの一例について説明する。ここでは、物体間の隙間(ここでは、検査用型(検具)120にスペーサを介してクランプされたプレス板金110と当該検査用型120との間の隙間)を計測する際の処理の流れについて説明する。
実施形態2においても、上述した実施形態1を説明した図8のS101〜S104と同様の処理が行なわれる(S301〜S304)。これにより、プレス板金110の切口の下端領域44と影領域43との間の境界の検出が行なわれる。
境界の検出が済むと、処理ユニット30は、画像処理部141において、S302の処理で取得した撮影画像上のうち、支持部11の目盛りを含む領域を取得する(S304)。支持部11の目盛りを含む領域は、例えば、支持部11の目盛りを含む画像パターンを予め保持しておき、当該画像パターンを用いたパターン認識に基づいて取得しても良いし、また、図3に示す計測画面上からの当該領域を指定するユーザ指示に基づいて取得しても良い。その他、このような領域を取得できるのであれば、どのような手法を用いても良い。
続いて、処理ユニット30は、隙間算出部145において、S304の処理で検出した境界と、S305の処理で取得した領域の情報とに基づいて隙間の距離の算出を行なう(S306)。より具体的には、隙間に沿った支持部11の目盛りの情報に基づいて隙間の距離の算出を行なう。例えば、目盛りの実際の間隔が1mmであり、撮影画像上で境界に対応する目盛りの値が、目盛り2つ分であれば、実際の隙間の距離は、2mmになる。
最後に、処理ユニット30は、表示処理部147において、図3で説明した計測画面上に、S306の処理で算出された隙間の距離(算出結果)を表示させる(S307)。
以上説明したように実施形態2によれば、上述した実施形態1と同様に、物体間の隙間の形状に拘わらず、物体間の隙間の計測を行なうことができる。また、キャリブレーションが必要なくなる。
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3においては、プレス板金110と検査用型120との間の(検査用型120の面に対して)垂直方向に沿った隙間の計測に加えて、プレス板金110と検査用型120との水平方向に沿った距離(すなわち、検査用型120の面に沿ったずれ)を計測する場合について説明する。
ここで、検査用型120には、図12(a)に示すように、プレス板金110の外形及び穴の縁部に沿ってデザインライン91が形成されている。デザインライン91は、プレス板金110の設計形状そのものを表す。また、設計形状の外側には、デザインライン91に沿って所定の距離関係(例えば、3mm)を有してトリムライン92が形成されている。
実施形態3においては、プレス板金110の縁部(切口)とトリムライン92との水平方向に沿った距離を計測することにより、間接的に、デザインライン91からプレス板金110の縁部までの水平方向に沿ったずれを計測する。
なお、デザインライン91からの距離を直接計測しないのは、プレス板金110の縁部がデザインライン91より外にはみ出す場合には、デザインライン91自体を上から直接視認できないためである。なお、従来の技術においても、このような場合には、トリムライン92を介した間接的な計測とならざるを得ない。
計測に際しては、図12(b)に示すように(上述した実施形態1と同様)、検査用型120に対して支持部11の接地部11aを接地させるとともに、支持部11の延伸方向(矢印C方向)に沿った面をプレス板金110の切口に接地させる。この状態で、ユーザは、センサユニット10に設けられたボタン14を押下する。
その後、上述した実施形態1と同様に、プレス板金110の切口の下端領域44と影領域43との間の境界の検出が行なわれる。このとき、処理ユニット30は、画像処理部141において、更にトリムライン92の検出も行なう。トリムライン92の検出は、例えば、上記キャリブレーションにおける調整ラインの検出時と同じように輝度値の谷に基づいて行なえば良い。
そして、上述した実施形態1と同様に上記検出した境界に基づいて隙間の距離を算出するとともに、基準位置65からトリムライン92までの距離の算出も行なう。
この算出結果を、デザインライン91から基準位置65までの距離へ換算する際には、下記式を用いれば良い。下記式では、デザインライン91とトリムライン92との距離関係が3mmである場合を示している。
(デザインライン91から基準位置65までの距離)
=3mm−(基準位置65からトリムライン92までの距離)
上述した記載によれば、撮影画像から画像処理で検出する必要があるのは、デザインライン91とトリムライン92とのうち、トリムライン92のみであることが分かる。
ここで、プレス板金110の縁部がデザインライン91より内側である場合には、カメラ22の視野内にデザインライン91とトリムライン92との両方が含まれる。このとき、これらラインの取り違えを防ぐ手法としては、例えば、予め両者を相違する色で描いておき、画像処理(特定色の検出又は除外)でトリムライン92を検出するようにすれば良い。また、既存の検査用型等であってラインの色を後から変えられない場合は、プレス板金110の縁部から十分に外側を起点として、当該起点からプレス板金110に向かってラインの輝度パターンを探索し、最初に見つかったラインをトリムライン92とみなせば良い。
続いて、図13を用いて、実施形態3に係わる計測装置の機能的な構成の一例について説明する。
実施形態3においては、画像処理部141内に、撮影画像上の輝度値に基づいてトリムライン92を検出するトリムライン検出部148が新たに設けられる。また、制御部34内には、基準位置65からトリムライン92までの距離を算出する水平距離算出部149が新たに設けられる。
ここで、この水平距離の算出方法について簡単に説明する。上記図5で説明した通り、ケース70の底面72にも調整パターン74b(複数の等間隔の調整ライン)が形成されているため、キャリブレーション時には、検査用型領域42上の水平方向に沿った距離の調整も行なえる。
なお、ケース70の底面72の調整パターンは、側面73の調整パターンと異なる色の調整ラインを用いて形成されているため、撮影画像上において、底面72と側面73とに形成された調整パターンは、色に基づくフィルタリングを行なうことで区別することができる。また、ケース70の底面72には調整パターンを一切形成せずに、側面73にのみ調整パターンを形成するようにして底面72と側面73との調整パターンの混同を防ぐようにしても良い。この場合、側面73と底面72とが入れ替われるように回転可能にケース70を構成し、水平方向に沿った距離の調整に際しては、側面73に形成された調整パターンを底面72の調整パターンとして用いるようにすれば良い。
ここで、処理ユニット30においては、センサユニット10により撮影された撮影画像の検査用型領域42上における距離と、実際の距離との対応関係を取得することができる。この対応関係の情報は、隙間の計測用の変換テーブル130とは別に用意した変換テーブルに規定しておけば良い。これにより、検査用型領域42の基準位置65からトリムライン92までの距離を算出することができる。また更に、トリムライン92とデザインライン91との間の実際の距離を予め保持しておくようにすれば、当該実際の距離と、計測した距離とを比較することで、プレス板金110と検査用型120との水平方向に沿ったずれも計測することができる。
以上説明したように実施形態3によれば、上述した実施形態1の構成に加えて更に、プレス板金110と検査用型120との水平方向に沿った距離の計測も行なえる。
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。実施形態4においては、センサユニット10に対してアダプタ100を設けた構成について説明する。ここでは、アダプタ100の構成として、2通り例を挙げて説明する。
まず、図14を用いて、1つ目のアダプタ100の構成について説明する。図14(a)には、アダプタ100が装着されたセンサユニット10の概要図(図1の矢印A方向から見た図及び図1の矢印B方向から見た図)が示される。図14(b)には、アダプタ100がプレス板金110側にスライドされた場合のセンサユニット10の概要図(図1の矢印A方向から見た図)が示される。
アダプタ100は、センサユニット10によるプレス板金110と検査用型120との間の隙間の計測に際して、センサユニット10の計測姿勢を安定させる役割を果たす。すなわち、検査用型120に対して支持部11が垂直になるように安定して固定する。
アダプタ100は、センサユニット10(筐体部12)に着脱可能に装着され、センサユニット10の筐体部12の長手方向(矢印C方向)に沿ってスライド可能(移動可能)に構成される。
隙間の計測に際して、アダプタ100は、図14(b)に示すように、プレス板金110側に向かってスライドされる。これにより、アダプタ接地部101がプレス板金110に接地する。
ここで、アダプタ接地部101は、例えば、磁石(ネオジム)で構成されており、アダプタ接地部101がプレス板金110に接地すると、当該接地部101とプレス板金110とが磁力により引き付け合う。また、センサユニット10の支持部11にも、磁石(ネオジム)11bが設けられている。そのため、隙間の計測に際しては、支持部11に設けられる磁石11b及びアダプタ接地部101に設けられる磁石により2点が接地した状態で計測を行なえるため、更に安定した状態で計測を行なえることになる。
なお、上述した構成では、アダプタ接地部101が磁石で構成される場合について説明したが、必ずしも磁石で構成される必要はない。アダプタ接地部101は、例えば、ゴム等を材料とした部材で構成されていても良い。
また、支持部11に対しても磁石が設けられる場合について説明したが、支持部11に対して必ずしも磁石を設ける必要もない。
また更に、図14(b)の符号103に示すアダプタ100における所定面は、不透明(照明光を不透過)にしても良い。この場合、図14(b)の矢印D方向からの照明光等による外乱の影響を抑制できるため、隙間の計測をより精度良く行なえることになる。
続いて、図15を用いて、2つ目のアダプタ100の構成について説明する。図15(a)には、アダプタ100が装着されたセンサユニット10の概要図(図1の矢印A方向から見た図)が示される。図15(b)には、アダプタ100がプレス板金110側にスライドされた場合のセンサユニット10の概要図(図1の矢印A方向から見た図)が示される。
図15に示すアダプタ100は、上述した図14と同様に、センサユニット10(筐体部12)に着脱可能に装着され、センサユニット10の筐体部12の長手方向(矢印C方向)に沿ってスライド可能に構成される。
隙間の計測に際して、アダプタ100は、図15(b)に示すように、矢印C方向に向かってスライドされる。これにより、アダプタ接地部104が検査用型120に接地する。すなわち、隙間の計測に際してアダプタ100がプレス板金110側にスライドされた場合、図14に示すアダプタ100では、アダプタ接地部101がプレス板金110に接地する状態となっていたが、図15に示すアダプタ100では、アダプタ接地部104が検査用型120に接地する状態となる。この図15に示すアダプタ100を用いた場合においても、図14に示すアダプタ100を用いた場合と同様に、2点が接地した状態で計測を行なえるため、更に安定した状態で計測を行なえることになる。
なお、図15に示すアダプタ100の支持部11に対しても、磁石が設けられる場合について説明したが、支持部11に対して必ずしも磁石を設ける必要はない。
また、図15に示すアダプタ100のアダプタ接地部104は、例えば、ゴム等を材料とした部材で構成されても良い。また更に、図15に示すアダプタ100においても、図15(b)の符号103に示すアダプタ100における所定面を、不透明(照明光を不透過)にしても良い。この場合にも、図15(b)の矢印D方向からの照明光等による外乱の影響を抑制できるため、隙間の計測をより精度良く行なえることになる。
また、図14及び図15を用いて説明した構成を組み合わせても良い。すなわち、アダプタ100は、アダプタ接地部101及びアダプタ接地部104の両方を有する構成であっても良い。
以上説明したように実施形態4によれば、隙間の計測時に安定した状態で計測を行なえることになるので、隙間の計測をより精度良く行なえる。
(実施形態5)
次に、実施形態5について説明する。ここで、支持部11がカメラ22の視野を遮ることを起因として、カメラ22により撮影された撮影画像から接触ライン64に沿った隙間の距離を直接計測できない場合がある。そこで、実施形態5においては、接触ライン64に沿った隙間の距離を間接的に計測する手法について説明する。
図16は、計測画面50の一例を示す図である。なお、図16に示す計測画面は、実施形態1を説明した図3の計測画面と同様であり、詳細な画面の構成についての説明は省略する。
ここで、表示領域40には、複数(3本)の輝度ライン(63a、63b、63c)が表示されている。複数(3本)の輝度ライン(63a、63b、63c)それぞれに対応して、上述した変換テーブル130も予め設けられているものとする。すなわち、実施形態5においては、輝度ラインと変換テーブルとがそれぞれ対となって予め設けられている。
ここで、輝度ライン63a、63b及び63cは、垂直方向に沿って接触ライン64の両側にそれぞれ配置しておく。その上で、実施形態1における輝度ライン63のときと同様にして、輝度ラインと変換テーブルとの対毎に個別にキャリブレーションを施し、変換テーブルの内容を決定しておく。
こうすることで、接触ライン64近傍の3ラインを独立してそれぞれ用いて、プレス板金110下端位置を検出でき、隙間の距離、すなわち、検査用型120の面に対するプレス板金下端の物理的な高さHを3点取得できることになる。
プレス板金110下端位置の撮影画像上でのY座標は、輝度ライン63a〜63cの垂直位置として与えられる。結果として、上記YとHの対(Y、H)が3サンプル得られ、それらを2次の多項式近似すれば、Yの関数H(Y)が得られる。このH(Y)に、接触ライン64のY座標を与えれば、接触ライン64における隙間の高さが内挿され算出される。
以上説明したように実施形態5によれば、実施形態1の効果に加えて更に、隙間の距離の計測時の位置決めを迅速に行なえるとともに、計測精度を向上させるられる。
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。以下、いくつか変形例について説明する。
(変形例1)
図17(a)に示すように、センサユニット10に更に、電源部23、処理部24及び表示部25を設けても良い。電源部23は、センサユニット10の各構成部に電力供給を行なう。処理部24は、各種演算等を行なう。処理部(CPU、ROM、RAMを含む)24には、上記図7で説明した制御部34に設けられる構成が実現される。表示部25は、物体間の隙間の計測結果を表示する。
すなわち、この図17(a)に示す構成によれば、センサユニット10単体(すなわち、センサユニット単体で計測装置を実現)で隙間の計測からその計測結果の表示までを行なえることになる。
(変形例2)
図17(b)に示すように、センサユニット10に電源部23及び無線通信部26を設けるとともに、処理ユニット30に無線通信部37を設けるようにしても良い。電源部23は、センサユニット10の各構成部に電力供給を行なう。無線通信部26及び37は、センサユニット10及び処理ユニット30間で行なわれる各種情報を無線通信する。
この図17(b)に示す構成によれば、コード13が不要となり、隙間の計測時にコード13の影響を受けずに計測を行なえるため、利便性が高まることになる。
(変形例3)
図18(a)に示すように、センサユニット10にミラー(例えば、表面鏡)27を設けるようにしても良い。すなわち、計測対象からカメラ22に至る光路をミラー27で折り返す構成を筐体部12に持たせても良い。ミラーとして表面鏡27を用いた場合、2重反射を防ぐことができる。
この場合、図中E方向に沿ったセンサユニット10の筐体部12のサイズを短くできるため、センサユニット10の小型化が図れることになる。
また、図18(b)に示すように、遮蔽材28を設け、カメラ22に光源21からの光が入らないようにしても良い。この場合、光源21からの光による影響をより少なくして撮影を行なえることになる。その他、光源21を複数設けるなどしても良い。
(変形例4)
上述した説明に加えて、支持部11の形状について更に説明する。図19(a)〜図19(e)に示すように、支持部11は種々の形状で実現することができる。なお、図19(a)〜図19(e)には、センサユニット10を図1の矢印A方向から見た図及び図1の矢印B方向から見た図がそれぞれ示されている。
図19(a)に示す構成では、支持部11は、例えば、ピアノ線のような形状で実現される場合を示している。この場合、検査用型120が波打った形状であってとしても、隙間の計測を行なえることになる。
図19(b)及び図19(c)に示す構成では、支持部11の接地部11aにおいて、水平な形状を有する接地部材11cが追加されている。より具体的には、図19(b)の構成では、接地部材11cは、矢印B方向及び矢印A方向に沿って支持部11よりも所定の長さ分、接地面積が増えるように広く形成されている。図19(c)の構成では、支持部11及び接地部材11cは、矢印A方向に沿った支持部11の長さよりも、矢印B方向に沿って所定の長さ分、接地面積が増えるように広く形成されている。また、接地部材11cは、矢印A方向に沿って支持部11よりも所定の長さ分、接地面積が増えるように広く形成されている。
この図19(b)及び図19(c)に示す構成では、矢印B方向及び矢印A方向に対するぶれを抑制できるため、検査用型120に対して支持部11を垂直に固定し易くなる。
図19(d)及び図19(e)に示す構成では、支持部11の接地部11aにおいて、水平な形状を有する接地部材11cが追加されている。より具体的には、図19(d)の構成では、接地部材11cは、矢印B方向に沿って支持部11よりも所定の長さ分、接地面積が増えるように広く形成されている。図19(e)の構成では、支持部11及び接地部材11cは、矢印A方向に沿った支持部11及び接地部材11cの長さよりも、矢印B方向に沿って所定の長さ分、接地面積が増えるように広く形成されている。
この図19(d)及び図19(e)に示す構成では、矢印B方向に対するぶれを抑制できるため、検査用型120に対して支持部11を垂直に固定し易くなる。
(変形例5)
ボタン押下中(又はボタン押下後の所定時間)の間に、隙間の計測を繰り返し行ない、その計測結果のうち、最小値を実際の隙間の距離として採用するようにしても良い。この場合、図20に示すように、ボタン14押下中の間、ユーザは、例えば、センサユニット10を矢印F方向に傾け、検査用型120に対する支持部11の角度を変化させる。
このように構成した場合、検査用型120に対して支持部11が垂直な状態となった時点の計測値(隙間の距離)を上記構成よりもより確実に取得できる。
(変形例6)
上述した説明では、ボタン14が押下された時点で隙間の距離の計測を行なう場合について説明したが、これに限られない。ボタン14の押下は、ユーザによるボタン14の押圧により行なわれるため、ボタン14の押下とともにセンサユニット10がぶれてしまい、検査用型120に対して支持部11が垂直な状態とならない可能性がある。
そのため、ボタン14が押下される直前の撮影画像に基づいて隙間の距離の計測を行なうようにしても良い。この場合、処理ユニット30においては、センサユニット10から取得した映像信号を順次保存しておき、ボタン14の押下を検出すると、当該押下直前の撮影画像に基づいて隙間の距離の計測を行なうようにすれば良い。
(変形例7)
上述した説明では、ボタン14の押下に伴って隙間の距離の計測を行なう場合について説明したが、これに限られない。このボタン14は省略しても良い。
上述した通り、センサユニット10(支持部11)が正しく接地した場合には、隙間の影領域sと、光源21によって照らされた検査用型120の面とがともにカメラ22の撮影画像上に映ることになる(図2及び図3参照)。
一方、センサユニット10が空中にある(すなわち、接地されていない)間は、正しく接地されたときに得られるような(プレス板金110の切口の下端と影領域sと間の)コントラストは得られない。特に、カメラ22のフォーカスが、支持部11の先端部で合うように調整されている場合、遠景がピンボケになることから、画像に極端なコントラスト差が現れない。
また、検査用型120は、特定の色(緑、水色、黄色等)で塗られている場合が多く、例えば、カメラ22の視野が、図3のような横倒しである場合には、接地したときに限り、第1のライン61よりも、図中左側の広い領域が当該特定の色で占められることが期待できる。
これらのことを利用して、検査用型120及びプレス板金110の切口へのセンサユニット10(支持部11)の接地を判定するとともに、当該接地を判定した後、隙間の距離の計測値が予め定められた時間(所定時間)に渡って一定となった場合に、その値を隙間の距離として取得するようにしても良い。
このように構成することで、センサユニット10の構成からボタン14を省略することができる。この場合、ユーザは、センサユニット10を計測したい隙間部位に接地させ、一定時間保持すれば、自動的に計測を行なえることになる。なお、計測が済んだ時点でアラーム音を鳴動させたり、また、ランプを点灯(点滅を含む)させたりするようにしても良い。
(変形例8)
上述した説明では、板金下端領域44と影領域43との境界を検出する場合について説明したが、これに限られない。例えば、プレス板金110の縁部における各部の厚さを正確に把握でき、且つプレス板金110の切口が暗く保たれ、影領域と見分けが付かない場合には、板金上端領域45と影領域43との境界に基づいて実際の隙間の距離を算出し、当該算出した距離からプレス板金110の厚さを減算することで最終的な隙間の距離を求めるようにしても良い。
(変形例9)
上述した説明では、計測対象物体をプレス板金とし、基準物体を検具(検査用型)とし、プレス板金と検査用型との間の隙間を計測する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。計測対象物体としては、板状の計測面を少なくとも有する物体であれば良く、また、基準物体としては、支持部11を垂直に固定することができる程度の平面性のある基準面を少なくとも有する物体であれば良い。