本実施形態に係る遊技機の正面模式図である。
本実施形態に係る遊技機の内部構造模式図である。
本実施形態に係る遊技機の制御回路系のブロック図である。
ドラム部を制御する制御回路系のブロック図である。
ドラム部の構成ブロック図である。
ドラムの図柄配置表である。
ドラム部の構成ブロック図である。
ドラム部の構成ブロック図である。
各信号の関係を示すタイミングチャートである。
左ドラムの模式図である。
左ドラム、窓部及び図柄位置データとの関係を示す模式図である。
図柄の組合せ表示判定図である。
表示演出装置の構成ブロック図である。
演出パターンテーブルの記憶状態を示す概念図である。
一般的な抽選テーブルの概念図である。
図柄の組合せと獲得メダル枚数との関係を示した配当表である。
回胴式遊技機の主要動作処理手順を示すフローチャートである。
チャンスゾーンの動作に関するフローチャートである。
ポイント加算に関する内部データの説明図である。
内部データとボーリングとの対応関係を示す表である。
セットポイントの算出式を示す表である。
第1〜第3セットのポイントの抽選範囲に関する遷移図である。
ポイント抽選テーブルPT1の概念図である。
ポイント抽選テーブルPT2の概念図である。
第4セットのポイントの抽選範囲に関する遷移図である。
最終ポイント確定までの全体的な処理に関するフローチャートである。
最終ポイントと判定結果の対応関係などを示す表である。
遊技者の操作と演出パターンデータの関係を示す説明図である。
チャンスゾーンの演出やポイント加算の流れを示す説明図である。
ポイント加算の具体例を示す説明図である。
キャラクタごとのポイント抽選テーブルの変更内容を示す表である。
ポイント抽選テーブルの変更例を示す表である。
ポイント加算の変形例に関する説明図である。
チャンスゾーンの演出やポイント加算の流れを示す別の説明図である。
本発明の実施形態に係る遊技機について、メダルを遊技媒体とする回胴式遊技機を例に挙げて以下に説明する。
なお以下の説明おける「リプレイ(Replay)」とは、パチスロ(回胴式遊技機)において、次のプレイがベットを行わずに遊技可能となる絵柄の組み合わせのことをいう。パチスロの検定規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)上の呼称は再遊技(さいゆうぎ)である。また「リプレイ役」は、複数のリプレイ役1〜リプレイ役nが同時に内部当選するグループリプレイ役の場合もあり、その何れか一つのリプレイ役が最優先で(ボーナス役)よりも優先的に)作動するようになっている。すなわち、「再遊技」とは、遊技メダル等の投入(貯留装置に係るボタンその他の装置の操作により遊技メダルを遊技の用に供することを含む。)をすることによらずに行うことができる遊技をいう。
また「作動」とは、再遊技に係る図柄又は役物連続作動装置等に係る図柄の組合せが、有効ライン上に表示された状態を含んだ文言であり、遊技媒体が払出される小役における「入賞」と同義である。従って、本明細書では、再遊技の「入賞」やボーナス役の「入賞」と便宜的に使用することもある。
図1は、本実施形態に係る遊技機1(回胴式遊技機)の正面模式図である。図1において(A)は遊技機1の本体の全体図を示し、(B)は表示LEDブロック4の部分の拡大図を示している。
本図に示す遊技機1は、一般に「パチスロ機」と称される遊技機であり、遊技機1の本体は、回転ドラム(ドラム部2)を内蔵する筐体1aと前扉1bに大別される。
前扉1bは、回胴式遊技機の顔とも言うべき主要部であり、高級感を出すために各種のメッキを樹脂素材に付加することにより、外観に華やかさや重厚感が与えられる。前扉1bの前面には、上下2枚の透明パネル22(上透明パネル22aおよび下透明パネル22b)が嵌めこまれており、各種のデザインが施される。
上透明パネル22aの後方には、ゲーム状況に応じて各種演出を行う表示演出装置11(又は、映像ディスプレイ装置)がビス止め固定される。下透明パネル22bには、デザインシート22cが貼りつけられることにより、窓部3(図柄表示窓)が形成される。下透明パネル22bの下部22d(図1(A)破線部参照)には、表示LEDブロック4(発光表示装置4)が取り付けられる。
表示LEDブロック4は、図1(B)に示すように、複数のLED[Light Emitting Diode]を含む表示LED群で構成される。具体的に説明すると表示LEDブロック4には、投入枚数LED4a、メダル貯留枚数表示LED4b、メダル払出枚数表示LED4c、メダル投入表示LED4d、リプレイ表示LED4e、および打止め及びエラー表示LED4fが設けられている。
投入枚数LED4aは、遊技を行うためにメダル投入部5から又はマックスベットボタン8や1ベットボタン(図示せず)によって投入された遊技メダル又はクレジットの枚数を表示する。
メダル貯留枚数表示LED4bは、遊技メダルのクレジット数(貯留枚数)を例えば所定最大数50枚の範囲で表示する。また、貯留メダルの精算時における払い出し演出表示を行う。
メダル払出枚数表示LED4cは、入賞時に払出メダルの枚数を表示する。また、出玉率の段階設定値及び打止め中やエラー発生時のエラーコードを表示する。
メダル投入表示LED4dは、遊技メダルの投入可能時に点灯する。
リプレイ表示LED4eは、変動表示ゲームにおいてリプレイが作動すると点灯する。
打止め及びエラー表示LED4fは、打止め時及び重大なトラブル(例えば、ドアオープン以外のトラブル)が発生した場合に点灯する。
また図1に示すように遊技機1は、ドラム部2、メダル投入部5、精算ボタン6、十字キー7、マックスベットボタン8、スタートレバー9、停止ボタン部10、表示演出装置11、スピーカ部12、遊技状態表示LED部13、スペシャルボタン14、受け皿15、メダル払出口16、ドア鍵穴19、および返却ボタン20を備えている。
ドラム部2(リールドラムユニット)は、筐体1aに内蔵されており、左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cの3つのドラム及びモータや電気回路などで構成される。それぞれの各ドラムの内部には、回胴部図柄表示LED(図示せず)が設けられており、各種演出に応じて発光(点灯や点滅)又は消灯するようになっている。つまり、各ドラムが一列に上から下へ複数の図柄を表示する図柄列であり、この場合には、3つの図柄列(複数列)を変動させる変動表示ゲームを開始するようになっている。なお、各ドラムに替えて、液晶表示装置などを用いて図柄を表示する場合も、複数個の図柄が配置された図柄列を変動させる変動表示ゲームである。ドラム部2の外周に貼り付けられているリールテープ上の図柄が、透明な窓部3を通して目視できるようになっている。
メダル投入部5は、変動表示ゲームを開始させるために必要な遊技メダル(遊技媒体であり、「コイン」や単に「メダル」という場合もある)を投入するメダル投入口が設けられている。なお、メダル投入部5の両サイドには左光透過部5a及び右光透過部5bが設けられており、下側左右に取り付けられた複数の光源(例えば、LED)からの光によって、メダルが投入不能な場合には赤色(第一の色)で、一方、メダルが投入可能であって遊技用に加算表示されるときには青色(第二の色)で、メダル貯留装置に加算表示されるときには緑色(第三の色)で点灯する。但し、メダルが投入不能な場合には、消灯としてもよい。
メダル投入口から投入されたメダルは、メダル選別装置(又は、「セレクター」とも言う。図示せず)によってカウントされ、正常に投入されたメダルの数を加算して表示LEDブロック4の投入枚数LED4a又はメダル貯留枚数表示LED4bに表示するようになっている。
精算ボタン6は、メダル貯留装置(図示せず)の起動と解除、及び投入メダルと貯留メダル(クレジット)の払出し精算時に操作される。
十字キー7は、上下左右に配置された4つのスイッチ及び中央部の決定ボタンで構成されている。上と下または左と右のスイッチが同時に押せないようになっている。上下左右操作や決定操作により遊技の履歴情報を見たり、役の組み合わせ図柄表や配当表を表示演出装置11に表示したりする際に操作される。十字キー7の近傍に1ベットボタン(図示せず)が設けられており、遊技を行うためにメダル貯留装置の貯留メダルを1枚投入するときに使用する。なお、1ベットボタンを設けない場合もある。
マックスベットボタン8(MAXベットボタン)は、遊技を行うためにメダル貯留装置の貯留メダルを最大数である3枚投入するときや、ボーナスゲーム時など遊技状態に応じて規定された最大投入枚数(1枚〜3枚)を投入するときに使用する。なお、マックスベットボタン8の内部には、LEDが設けられており、マックスベットボタン8が操作可能な状態のときに点灯するようになっている。
スタートレバー9(回胴回転始動装置の一部)は、遊技を行うために必要な所定数の遊技メダルを投入後、ドラム部2を一斉に回転(始動)させるときに使用する。スタートレバー9の周囲には、遊技開始表示LEDが設けられており、スタート操作が可能な状態のときに点灯するようになっている。また、スタートレバー9は、出玉率の段階設定を行う場合、段階値1〜6(又は、1,3,5,7の4段階跳び番号など)の中から、選択された所望の設定値を確定させるときに使用する。
停止ボタン部10(同義の名称として、「停止スイッチ」ともいう。)は、回転しているドラム部2を停止させるときに使用する。この停止ボタン部10は、左停止ボタン10a、中停止ボタン10b及び右停止ボタン10cの3つのボタン群(なお、4つの場合も稀にある。)で構成され、ドラム部2が回転中に停止ボタン部10を操作することにより、それぞれのボタンに対応する左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cを停止させることができる。なお、左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cの3つのドラムの回転が所定速度(約80回転/分)に達して、停止ボタン部10が操作可能になった時には、停止ボタン10a、停止ボタン10b及び停止ボタン10cに内蔵されているLEDが点灯するようになっている。また、左停止ボタン10a、中停止ボタン10b及び右停止ボタン10cを3つの方向入力手段として用いる場合には、それぞれ順に左方向、上方向、右方向入力に対応させることができる。
表示演出装置11は、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)又は有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)などのFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)からなり、回胴遊技に関する各種映像演出や所要の情報の告知等が行えるようになっている。なお、専用眼鏡を使用するか否かに拘わらず、最近では立体表示可能な表示演出装置が安価に製造されるようになっており、テンパイ状態(リーチ状態)や大当り状態で7図柄等の演出映像が飛び出す3D表示装置を採用した遊技機が主流となりつつある。
スピーカ部12は、左上スピーカ12a、右上スピーカ12b、左下スピーカ12c及び右下スピーカ12dの4つのスピーカで構成され、各種演出に応じた効果音や段階設定値の変更中、又は前扉1bが開いている状態やトラブル発生時に警告音を発生する。なお、重大なトラブル(セレクターエラー、ホッパーエラーやRAMエラー。但し、ドアオープンは含まない。)が発生した場合には、警告音と共にエラー表示LED4fが点灯する。
遊技状態表示LED部13は、表示演出装置11の上部に設けられた上部状態表示LED13a(トップランプともいう)及び両側面に設けられた左上状態表示LED13bと右上状態表示LED13c、左中状態表示LED13dと右中状態表示LED13e、及び左下状態表示LED13f、右下状態表示LED13gと中下状態表示LED13hで構成され、各種の光演出を効果的に行うことができる。また、段階設定値の変更中又は前扉1bが開いている状態やトラブル発生時において、警告表示として点滅を繰り返す。
この遊技状態表示LED部13(13a〜13h)は、前扉1bの外周を略一周するように配置されているので、遊技者に対して、カラフルな光が途切れることなく、外周淵部をグルグル回るような光演出を効果的に行うことが可能となる。特に、前扉1bの上部中央位置(遊技機本体前面の上部中央位置)に設けられた上部状態表示LED13aは、トップランプと称されており、内部当選又は入賞したレア小役に対応する固有の色で発光して、遊技者に入賞役などを報知して期待感を煽る光演出の中心的役割を成している。
スペシャルボタン14は、表示演出装置11に表示される各種ゲームやその映像演出に応じて要求される情報(例えば、パワーレベルゲージの上昇、ボーナス成立図柄の表示、戦闘機の機銃操作や爆弾投下又は登場人物の移動方向やパワーアップ等の入力情報)を、遊技者自身が1回操作又は連打して入力する際に用いられる。
受け皿15は、メダル払出装置18(図2参照)から払い出された遊技メダルがメダル払出口16より排出され、その数量として数百枚程度まで受けることができる。
ドア鍵穴19は、ドアキーにより前扉1bを開けるときや、打ち止め状態(メダル式遊技の為の操作を不能にした状態)の解除及びエラーによる遊技中止の解除の際に使用される。
返却ボタン20(正式には、「投入メダル詰まり返却ボタン」と言う)は、メダル投入部5に投入された遊技メダルが通過する遊技メダルセレクター(図示せず)に詰まった遊技メダルをメダル払出口16から返却する時に使用する。
図2は、遊技機1の内部構造模式図である。
筐体1aの中央部には、ドラム部2とその下にメダル払出装置18(メダルホッパー18)が配置されている。
筐体1aの右上部には反射板17が設けられ、前扉1bの対応位置にはフォトセンサが設けられている。前扉1bが閉じた状態では、フォトセンサから出射されたLED光が反射板17によって反射され、フォトトランジスタによって検出される一方、開いた状態では、反射光が検出されない。これにより、前扉1bの開閉状態を検知することができる。
また図2に示すように遊技機1には、電源部21、設定用キースイッチ21a、エラー解除スイッチ21b、電源スイッチ21c、鍵穴21dが設けられている。
電源部21は、電源スイッチ21cをオン状態にすると、各回路ブロックに電源が供給され、初期チェックや初期設定の後、変動表示ゲームを行うことができるようになる。
設定用キースイッチ21a(設定変更許可スイッチともいう)は、出玉率の段階設定操作や段階設定値の確認を行うときに使用する。操作キーを鍵穴21dに差し込んで回転させることにより、OFFからONの状態又は逆のONからOFFの状態にすることができる。
エラー解除スイッチ21bは、出玉率の段階設定を行う時やエラーによる遊技の中止を解除する時に使用する。出玉率の段階設定値は、メダル払出枚数表示LED4cによって表示され、エラー解除スイッチ21bを押すたびに値が+1されて、「6」表示の次には「1」に戻り、ターンアラウンド表示する。
図3は、遊技機1の制御回路系のブロック図である。
制御回路系は、概ねメインブロック(主基板:破線で囲っていない部分)及びサブブロック(副基板:破線で囲った部分)に大別され、メインブロックは遊技結果に関する制御を行うのに対して、サブブロックは遊技経過や内部抽せん結果の告知・表示など遊技者の関心や興味を惹く様々な演出に関する制御を司る。なお、サブブロックは、アシスト機能の発動時において、小役入賞(入賞させることを目的とする小役の入賞)又は転落リプレイ回避の停止操作手順(停止ボタン部10の操作順序や操作タイミング)を告知する。
主制御部100は、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載した一体型のワンチップマイコン(例えば、エルイーテック社製のLEM50A−P)であり、所定のデータテーブル領域や装置全体の制御手順を記述した制御プログラムを記憶するROM101と、カウンタやレジスタ等が形成され制御に必要な情報を一時的に記憶するRAM102(RWM:リライタブルメモリともいう。また、内蔵だけではなく、外付けRAMも含む。)、各種レジスタ、カウンタ等が設けられている。このRAM102は、後述するように、電源スイッチ21cをオフ状態にしても又は電源コードを抜いても、電源コネクタを経由して常時供給されるRAMバックアップ用電源によって、記憶する全ての制御データは保持されるが、電源コネクタそのものが抜かれると、電力が供給されなくなるので制御データは消去(オールクリア又は0にリセット)又は無意味な情報となる。
主制御部100には、I/0ポート(図示せず)やデータバスを介して、スタートSWセンサ110(スタート・スイッチ・センサ110)、3つの停止ボタンセンサ120、メダル検出センサ130、ベットボタンセンサ140及び段階設定部150が接続されており、主制御部100はこれらからの入力信号を受信可能に構成されている。
また、主制御部100には、I/0ポート(図示せず)やデータバスを介して、ドラム部2、メダル払出装置18及び表示LEDブロック4が接続されており、主制御部100は入出力信号の送受信によって、これらの各種装置を制御可能に構成されている。
この主制御部100は、遊技者のスタートレバー9の操作に伴って、内蔵する乱数列発生部103で継続して発生させている乱数(0〜65535の値)の1つを抽出することにより内部抽選を実行し、複数個(通常は、20個又は21個)の図柄が描かれた3列(複数列)の図柄列であるドラム部2(左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2c)を回転させることにより図柄変動表示ゲームを開始する。例えば、この乱数抽選でベル、チェリー、スイカ又はプラム等の配当のある小役の何れかが内部当選(又は、複数の小役が同時に内部当選)し、遊技者が停止ボタン部10の停止操作を行うと、主制御部100は操作順に従ってドラム部2を、抽選結果に基づく所定位置に個々に停止させる。その結果、窓部3に設定される有効ライン上のいずれかに、所定の図柄が並んで表示されれば入賞となる。但し、有効ラインは5つに限らず、メダルの投入枚数に応じて変わっても良く、設計仕様や遊技状態に応じて適宜1又は複数に増減されても良い。
主制御部100には、I/0ポート(図示せず)やデータバスを介して、副制御部160が接続されており、サブブロックの各種制御に必要な制御データ(例えば、コイン投入データ、抽選結果や当選状況データ、段階設定値データ、段階設定部150のスイッチ操作状態を示すデータなど)を副制御部160に出力する。
この副制御部160は、主制御部100と同様に、CPUを内蔵したマイクロプロセッサを搭載する一体型のワンチップマイコンであり、サブブロック全体の制御手順を記述した制御プログラムを記憶するROM161と、カウンタ、タイマーやレジスタ等が形成され主制御部100から受信した制御に必要な情報を一時的に記憶するRAM162などが設けられている。このROM161には、複数のBGM(バック・グランド・ミュージック)データが記憶されており、特にボーナスゲーム中において、遊技者の気持ちを高揚させる為に、特別にアレンジされたBGMが演出場面に応じて適宜選択及び演奏される。なお、主制御部100と副制御部160を別個に設ける必要はなく、1つの制御部とすることも可能である。
副制御部160には、I/0ポート(図示せず)やデータバスを介して、表示演出装置11、スピーカ部12、遊技状態表示LED部13、十字キーセンサ111、スペシャルボタンセンサ112、および扉異常信号出力装置113が接続されている。副制御部160はこれら各装置からの入力信号を受付けることに加え、必要なデータや信号を出力して各種制御を行うことが可能である。
副制御部160は、スタートレバー9の開始操作に伴って、主制御部100が抽出した乱数を用いて内部抽選を実行し、大当り、再遊技、各種小役又はハズレの結果通知を受信すると、遊技者に抽選結果を通知する以前に、表示演出装置11やスピーカ部12、遊技状態表示LED部13に演出を行うか否かの演出抽選を行う。副制御部160は、演出抽選で当選すると、後述するROM11c(図13参照)に記憶する複数の演出映像の中から、表示する演出映像を選択して表示パネル11eに出力する。
特に、副制御部160は、ATボーナス遊技中に、押し順小役(第一小役及び複数個の押し順規定小役中の複数一部)が内部当選した場合、当選中の第一小役図柄(例えば、ベル図柄)を有効ライン上に揃えるためのアシスト情報(補助情報)を表示演出装置11に表示する。これにより遊技者は、第一小役を容易に入賞させることが可能になる。
十字キーセンサ111は、十字キー7が操作されることにより、上下左右の4方向に対応する方向信号及び中央部の決定ボタン操作信号を出力し、副制御部160はこの方向信号を受信して、方向信号に応じた各種映像演出や当選告知等を表示演出装置11に表示し、更にスピーカ部12から効果音を発生させる。また、副制御部160は、十字キーセンサ111からの信号に基づき、役の組み合わせ図柄、小役表や配当表を表示演出装置11に表示する。
スペシャルボタンセンサ112は、スペシャルボタン14が操作された時にON信号(例えば、HIGH信号)を、それ以外の時にOFF信号(例えば、LOW信号)を出力し、副制御部160はこのON信号を受信したタイミングやパルスを受信した回数(連打と呼ばれている。)に応じて、各種ゲーム及びその映像演出や当選告知等を表示演出装置11に表示する。
扉異常信号出力装置113は、扉の開閉状態を検出して副制御部160に制御信号を出力する装置であり、主電源がONの状態においては前扉1bの開閉に応じてON/OFF信号を出力する一方、主電源がOFFの状態においては副電源(バックアップ電池)から供給される電力によって駆動され、主電源断時の前扉1bの異常開閉を検出及び記憶し、その後、主電源がONとなった場合でも、主電源断時の異常開閉を副制御部160に通知する。これにより副制御部160は、前扉1bが閉まっていて全く異常がないように見えても、主電源が入れられた時に警告音を発生させるので、遊技ホールの管理者は異常事態を認識し、遊技機1のチェックや点検等の適切な処置を施すことができる。
メダル検出センサ130は、メダル通過センサと近接センサ(図示せず)で構成され、メダル投入口5から投入されたメダル数に応じた数のパルス信号を出力する。主制御部100は、このパルス信号を受信し、及びパルス信号の立ち上りや立ち下りにおけるカウンター論理処理を実行して、表示LEDブロック4中の投入枚数LED4a又はメダル貯留枚数表示LED4bにパルス数に応じた数だけ増加した投入枚数又はクレジット数を表示させるように制御する。
ベットボタン検出センサ140は、1ベットボタンの操作に応じてパルス信号を出力する1ベットボタン検出センサ、及びマックスベットボタン8の操作に応じてパルス信号を出力するマックスベットボタン検出センサの2つで構成され、主制御部100の2つのポートへ別々に接続されている(詳細図示せず)。主制御部100は、得られたパルス信号に対応するように投入枚数LED4aの枚数表示を制御する。
また、遊技者が所定数のメダルを投入後、スタートレバー9を操作すると、スタートSWセンサ110はスタート信号を出力し、主制御部100はこのスタート信号の受信を契機として乱数抽選等を行って変動表示ゲームを開始するとともに、ドラム部2に駆動パルス信号を出力するようになっている。なお、この1回のスタートレバー9の操作によって行われる遊技が1ゲームの変動表示ゲームとなっており、遊技者はボーナスゲーム(ビッグボーナス又はレギュラーボーナス)を獲得してメダルを増やすことを目的に遊技を繰り返す。なお、ボーナスゲームとは、例えば第一種特別役物(RB)、第一種特別役物連続作動(RBB)又は第二種特別役物連続作動(CBB)を意味する。
そして、主制御部100は、変動表示ゲーム中に停止ボタン10a、10b及び10cが操作されると、対応する回転ドラムの回転を個々に停止させ、所定の入賞役が成立(各回転ドラムの図柄が予め定めた所定の組み合わせで表示されると入賞となる。)してメダルの払い出しを行う場合、その払出し枚数を表示LEDブロック4中のメダル払出枚数表示LED4cに表示して、これをクレジット数に加えてメダル貯留枚数表示LED4bに表示させる。なお、精算ボタン6によって払い出し操作が行われた場合やクレジット数が例えば最大数の50枚を超えた場合には、主制御部100はメダル払出装置18を駆動制御し、必要数のメダルをメダル払出口16から排出させて受け皿15に蓄積させる。
さらに、主制御部100は、再遊技や小役、特にボーナスが内部当選した場合には、副制御部160に内部当選等に関する制御データ(イベントデータ)を出力する。そして、副制御部160は、主制御部100から制御データを受け取ると、遊技状態表示LED部13の点灯制御、スピーカ部12から効果音を発生させるための音声合成LSI(図示せず)の制御、及び表示演出装置11の表示画面内におけるキャラクタや背景映像の表示制御等の各種演出動作を行うように構成されている。
段階設定部150は、後述する出玉率の段階設定操作を行うことにより、ホール側は、新装オープンでのメダル大量放出や収益改善のための回収状況に応じて、段階値1〜6(又は、飛び番号の1,3,5,7等)の中から所望の設定値を選択することができる。
主制御部100には、打ち止め設定部(図示せず)が接続されておりであり、オン(又は「1」)であれば、ボーナスゲームが終了後、投入枚数LED4a及びメダル貯留枚数表示LED4bに表示しているメダルの合計を強制的に払い出し、変動表示ゲームを行う為の操作を不能状態(打ち止め状態)にして、スピーカ部12から警告音を発生させる。なお、最近では、この打ち止め設定部を設けないスロットマシンも多数ある。
図4は、ドラム部を制御する制御回路系のブロック図である。
ドラム部2は、左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cの3つのドラムを回転制御するためのステップモータ30a、30b及び30cを備えており、主制御部100からの駆動パルス信号に応答して各ステップモータ30a、30b及び30cが駆動され、駆動パルス信号を3相に同時に供給し続けると、吸引力が発生して急停止するようになっている。
このステップモータ30a、30b及び30cは、4相1−2励磁方式でステップ数が252ステップ/回転(1.43度/ステップ)であり、主制御部100が駆動パルス信号を504パルス入力すると丁度1回転する。主制御部100は、各ドラムに1つ設けられたフォトインタラプタからなる回胴センサ31a、31b及び31cから、それぞれのインデックス信号(基準信号又は基準位置信号)が1パルス返ってくるので、各ドラムの位置を正確に把握することができる。つまり、1つの入力パルスによる分解能は0.714(度/パルス)ということである。なお、更に分解能を上げる場合には、入力パルスから次の入力パルスまでの時間と回転速度を管理することにより回転位置を細かく把握できる。
図5は、ドラム部の構成ブロック図である。
ステップモータ30a(図示せず)、30b(図示せず)及び30cの各回転軸には、厚肉の円盤状回転体である左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cの中心部がそれぞれ連結されており、図示した矢印の方向(即ち、上から下方向)に回転する。また、各ドラムの外周部には複数種類の図柄が配置された左回胴帯32a、中回胴帯32b及び右回胴帯32cが貼り付けられており、変動表示ゲームにおいて同一図柄(予め決められた所定図柄)が有効ライン上に並んで窓部3に表示されれば役が成立(入賞又は作動)となる。なお、同図の星マーク、+マーク、プラムマーク(黒丸マーク)や三角マークは便宜的に示したものであり、実際とは異なっており、7図柄、バー図柄、ベル図柄、スイカ図柄やチェリー図柄等が一般に用いられる。また、一般に、回胴帯はリールテープと呼ばれている。
ステップモータ30a、30b及び30cのそれぞれに対して、回胴センサ31a、31b及び31c(図示せず)が設けられており、ステップモータの1回転毎に各回胴センサからインデックス信号が1パルス返ってくるようになっている。主制御部100は、このインデックス信号と、出力した駆動パルス信号の数により、基準位置(例えば、窓部3の最下位置)にある図柄番号と回転角度(24分割/図柄)を常に把握している。
図6は、ドラムの図柄配置表である。
左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2cのそれぞれには、左ドラム図柄、中ドラム図柄及び右ドラム図柄が描かれた回胴帯(図示せず)が、各ドラムの外周部において一周するように張り付けられている。
各回胴帯には、例示したように、それぞれ異なった並びの図柄が21個描かれており、ボーナスが作動するビッグボーナス図柄の「赤7」や「青7」、各種小役入賞図柄のチェリー、スイカ、ベル、及び再遊技が作動するリプレイが付されている。なお、捨て図柄は有効ライン上に停止しても如何なる役をも構成せず、遊技者に目立たないように、例えば薄い灰色で丸の中に「N」が印刷されている。
図7は、ドラム部の構成ブロック図であり、図7(A)及び図7(B)は右ドラム2cが引込制御される状態を時系列的に示している。
主制御部100は、変動表示ゲームのスタート信号を受信し、抽選結果が当選となって役が内部当選した場合には、有効ライン上にその役の図柄を可能な限り引き込む為の引込制御を行う。
例えば、ビッグボーナス役が内部当選し、停止した左ドラム2aと中ドラム2bの右斜め下の有効ライン上に図柄「7、7」が揃っている所謂リーチ状態(又はテンパイ状態)で、この有効ラインから4コマ上以内に図柄「7」が位置する場合(即ち、有効ライン上の図柄を含めて5コマ以内に位置する場合)、右停止ボタン10cが停止操作されたとき(図7(A)参照)、主制御部100は、図柄「7」を強制的に有効ライン上に引き込んで「7、7、7」の組み合せとなるように揃える引込制御を行う(図7(B)参照)。
一方、抽選によりいずれかの役が内部当選しているとしても、役に対応する所定の図柄が有効ライン上に表示されなければ遊技者に有利な状態とはならない。例えば、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム)は、図7(B)のように表示されなければ作動しないようになっている。なお、この引込制御は、右ドラム2cだけではなく、左ドラム2aや中ドラム2bのいずれの図柄に対しても行うようになっている。主制御部100は、乱数抽選結果(内部当選やハズレ)に応じて、各ドラムの停止位置を決定する停止テーブルを参照して、事前に仮想停止操作図柄コマ位置に対する滑りコマ数を順次計算して、第一停止操作用の滑りコマ数テーブルを完成させる。そして、実際に停止ボタン部が停止操作された場合に、主制御部100は、基準位置にある図柄番号に対応する滑りコマ数だけ、該当するリールドラムを移動させ、その後に停止させるように停止制御を行う。つまり、第一停止操作位置は合計63コマ位置(21コマ×3リール)あり、その全てのコマ位置に対する滑りコマ数を、滑りコマ数テーブルとして事前に作成するのである。
図7の例では、テンパイ状態において、右ドラム2cの図柄「7」が丁度4コマだけ上にあり、引込制御の対象となって有効ライン上に並ぶことになる。但し、この引込制御は4コマに限定されるものではなく、設計仕様又は法規制に適応させるように、引き込みコマ数をソフト制御で増減させることが可能である。なお、副制御部160は、一般遊技で乱数抽選結果が当選である場合、引込制御により所定の組み合わせで図柄が表示されるように、回転ドラムの回転を停止させる為の補助情報(操作順序や操作タイミングなどのアシスト情報:AT情報)を表示演出装置11や音声で通知するのである。
図8は、ドラム部の構成ブロック図であり、図8(A)及び図8(B)は右ドラム2cが回避制御(又は蹴飛ばし制御)される状態を時系列的に示している。
主制御部100は、変動表示ゲームのスタート信号を受信し、抽選結果がハズレとなって役が不成立の場合(全ての役が内部当選していない場合)には、有効ライン上に入賞又は作動役(ボーナス、小役、リプレイ)の図柄を揃えないための回避制御を行う。
例えば、ビッグボーナス役が内部当選しておらず、停止した左ドラム2aと中ドラム2bの右斜め下の有効ライン上に図柄「7、7」が揃っているリーチ状態(テンパイ状態)において、遊技者が「目押し」により、この有効ラインから1コマ以内に図柄「7」が位置する状態で、停止ボタン10cが操作されたとき(例えば、「ビタ押し」と呼ばれている。図8(A)参照)、主制御部100は、有効ライン上に「7、7、7」が揃わないように図柄「7」を少なくとも一つ先まで移動させて強制的にハズレとする回避制御を行う(図8(B)参照)。なお、この回避制御は、右ドラム2cだけではなく、左ドラム2aや中ドラム2bのいずれの図柄に対しても行っている。また、不当選の小役図柄が入賞しないように、回避制御を行うようになっている。これらの引込制御や回避制御(蹴飛し制御)は、主制御部100が内部当選状況に従った停止テーブルを参照して事前に作成した滑りコマ数テーブルに基づく停止制御や、必要に応じてプログラムによるコントロール制御にて行われる。
図9は、インデックス信号、図柄位置データ(コマデータ)、駆動パルス信号及び停止ボタンセンサ信号との関係を示すタイミングチャートである。
図9(A)は、各回胴センサ31a、31b及び31cから出力されるインデックス信号を示しており、T1が0.751秒(つまり、79.9回転/分)で一定となるように主制御部100により制御される。
図9(B)は回転ドラムの図柄位置データ及び図9(C)は駆動パルス信号を示している。
図柄位置データは駆動パルス信号を分周することにより生成され、駆動パルス信号が24パルス毎にデータが1減算される。つまり、インデックス信号を基準とし、そこから駆動パルス信号が1パルス〜24パルスの範囲で図柄位置データは「21」、駆動パルス信号が25パルス〜48パルスの範囲で図柄位置データは「20」、駆動パルス信号が49パルス〜72パルスの範囲で図柄位置データは「19」、…、駆動パルス信号が481パルス〜504パルスの範囲で図柄位置データは「1」となり、図柄位置データは21〜1をターンアラウンドする。つまり、図柄位置データは「1」の次に「21」に戻る。
駆動パルス信号は、回転ドラムを一定方向に回転させるためにモータコイルに入力される規定パターンの駆動パルスであり、図から分かるようにパターン0〜7の8つのパターン番号がある。この駆動パルス信号としてパターン番号0〜7をモータコイル1相〜4相に3度繰り返して加えると(つまり、24パルス入力すると)、1図柄(1コマ)分だけ回転ドラムが上から下へ回転する。
特に、ステップモータに入力する駆動パルスの入力パルス相データとは、回転ドラムを1コマ駆動させる0〜23の5ビットのデータであり、パターン番号0〜7はその下位3ビットの相データであって、パターン番号に対応する駆動パルスがモータコイル1相〜4相に実際に加わる。従って、ワークRAM(RAM102)にパターン番号のみを記憶した場合でも、入力パルス相データを記憶する相データ記憶手段に該当する。
図9(D)は、各停止ボタンが操作されたときに出力される停止ボタンセンサ信号を示している。この図の場合には、主制御部100は、停止ボタンセンサ信号の立ち上がり時点において、図柄位置データ「11」及び入力パルス相データ「10」(又は、パターン番号「2」)を認識する。
図10は、ドラム部に含まれる左ドラム2aの模式図である。
図10(A)に示す通り、この左ドラム2aは矢印の方向(上から下方向)へ回転しており、実線で示した3つの窓部3の上段、中段又は下段の何れかにチェリー図柄が停止すると入賞となって、所定数の遊技メダルが払い出される。なお、図10(A)は、窓部3の上段にチェリー図柄が停止した状態を示している。
主制御部100は、遊技者により変動表示ゲームの開始操作が行われると、内部抽選を行い、その結果、上段チェリー(チェリー1)が当選した場合には、停止ボタンが操作された位置(タイミング)により、チェリー図柄の引込制御(図7参照)又は回避制御(図8参照)を行う。
図10(B)は、引込制御の可能な範囲を示しており、主制御部100は、チェリー図柄が上段丁度の位置からその4コマ上の位置において停止ボタン10aが操作されると、窓部3の上段にチェリー図柄を停止させる(ビタ図柄が上段位置にあると仮定)。なお、実際には停止までに約36ms必要なのでその分だけ上に位置するが、説明の都合上このように記している。また、停止操作から190ms以内に停止することが規定されているので、4コマ滑らない場合もある。図10(A)に示す1〜4、及びチェリー図柄と重なった0のデータが滑りコマ数を示しており、主制御部100は、当選役、停止制御テーブル及び得点情報に基づいて停止演算処理し、遊技者が何時どのタイミングで停止ボタン部10を操作しても直ちに停止制御できるように、滑りコマ数テーブルを作成する。
一方、図10(C)及び図10(D)は回避制御等が行われる範囲を示しており、主制御部100は、上段チェリーが当選した場合であっても、チェリー図柄が上段位置から4コマより上の位置(つまり、図10(A)の4よりも上の位置)又は上段位置を少しでも過ぎた位置において停止ボタン10aが操作されると、上段位置の一つ上又は下段位置の一つ下にチェリー図柄を停止させハズレとする。つまり、中段チェリー(チェリー2)又は下段チェリー(チェリー3)が当選していないので、チェリー図柄を強制的に窓部3の外に停止させなければならないのである。
図11は、左ドラム2a、窓部3及び図柄位置データとの関係を示す模式図である。
図11(A)及び図11(B)に示す通り、左ドラム2a上のチェリー図柄はコマ番号8及びコマ番号19であるから(図8参照)、上段チェリーが内部当選している場合、窓部3の最下段位置を計測基準とすると、主制御部100は図柄位置データ「14」及び入力パルス相データ「0」〜図柄位置データ「11」及び入力パルス相データ「23」、又は、図柄位置データ「4」及び入力パルス相データ「0」〜図柄位置データ「1」及び入力パルス相データ「23」の範囲で停止ボタン10aが操作されるとチェリー図柄を上段に停止させて入賞とする。つまり、適当に停止ボタン10aを操作しても10/21の確率で入賞するだけではなく、当選告知を行うと熟練者であれば目押しを行って100%に近い確率で入賞させることができる。
図12は、図柄の組合せ表示判定図である。
主制御部100は、ドラム部2が3個すべて停止したときに、遊技メダルの投入枚数に応じた有効ライン上で入賞及び作動に係る図柄の組合せ表示判定を行う。例えば、遊技メダルを3枚投入し、左ドラム2aの2枚払い出しのチェリー図柄が窓部3に表示された場合には、上段であれば4枚(2枚×2ライン:第2ライン及び第4ライン)、中段であれば2枚(2枚×1ライン:第1ライン)および下段であれば4枚(2枚×2ライン:第3ライン及び第5ライン)の遊技メダルを払い出す。ただし、この有効ラインは従来から採用されてきた一般的なものであり、後述するように最近では1ラインだけのものや変則ラインも多く存在する。
また、8枚払い出しのベル図柄が窓部3の有効ライン上に揃って表示された場合、中段のみであれば8枚(8枚×1ライン:第1ライン)および上段と右斜め下であれば15枚(8枚×2ラインであるがMAX15枚:第2ライン及び第4ライン)の遊技メダルを払い出す。つまり、入賞の種類に応じて規定されている配当数の遊技媒体を、入賞分だけ合計して払い出すようになっているが、一度の払い出しの最大枚数は15枚である。
図13は、表示演出装置の構成ブロック図である。
表示演出装置11は、副制御部160から演出コマンドを受信したり、必要な情報を送信したりする送受信部11a、表示演出制御部11b(ROM11c及びRAM11dを含む)、及びLCDや有機EL、LED等の表示パネル11eを備えている。なお、この図の場合、表示演出制御部11bにROM11cを別途設けているが、映像データの全てをROM161に記憶するようにしても問題はない。従って、ROM11cは、ROM161の一部と考えてよい。
図14は、演出パターンテーブルであり、演出コマンドとROMに格納されている演出パターンデータとの関係を対応付けている。
演出コマンドは、1バイト長のモードデータと1バイト長のイベントデータからなり、演出内容である演出パターンデータ(動画が主であるが、静止画もある。)と対応付けて記憶されている。
副制御部160は、主制御部100から各種制御に必要な制御データ(特に、乱数抽選結果の大当り、小当り、再遊技又はハズレを示す各種データが含まれている。)を受信すると、乱数抽選の結果を通知する以前に、制御データに応じた適切な演出コマンドを表示演出装置11側に送信し、送受信部11aがこの演出コマンドを受信して表示演出制御部11bに送信する。
表示演出制御部11bは、演出コマンドを受け取ると、演出コマンドに対応する演出パターンデータをROM11cから読み出してRAM11dにデータ展開し、表示パネル11eに送信することにより、演出コマンドに応じた演出画像を表示画面上に表示するように構成されている。
図15は、一般的な抽選テーブルの概念図である。
抽選テーブルは、ROM101の所定のエリアに格納されており、当選役と乱数抽選に使用する置数との関係を規定している。
遊技機1の場合、主制御部100が乱数値を発生させる。この乱数値は周期的に0〜65535(m7)の全ての値を一周期(約6.5ms)に必ず一度だけランダムに発生するようになっている。図18(A)は、ハズレ確率が高い通常状態(非RT状態)で用いる抽選テーブルであり、スタートレバー9が操作されたタイミングに合わせて、主制御部100が内部抽選をしたときに、乱数値が0〜m1の範囲であればビッグボーナス(BB)が当選となる。即ち、この内部抽選とは、スタート操作時に乱数値を1つだけピックアップ(抽出)し、抽選テーブルと比較して、当選役を決定することである。
同様に、乱数値がm1+1〜m2の範囲でレギュラーボーナス(RB)、乱数値がm2+1〜m3の範囲でチェリー、乱数値がm3+1〜m4の範囲でスイカ、乱数値がm4+1〜m5の範囲でベル及び乱数値がm5+1〜m6の範囲でリプレイが当選となる一方、乱数値がm6+1〜m7の範囲でハズレとなる。
通常、これらのm1〜m7の数値は、法規制(風営法)やゲーム性を考慮して適宜設定されるのであるが、BB当選確率は「1/400」程度、RB当選確率は「1/300」程度、チェリー及びスイカの当選確率は「1/50」程度、ベルの当選確率は「1/6」程度及びリプレイの当選確率は1/7.3となっている。なお、BBやRBは、単独で当選するが、レア役と同時に当選することもある。
一方、図15(B)は、高確率再遊技状態(RT状態)で用いる抽選テーブルであり、リプレイタイムではリプレイの当選範囲がαだけ広がるのに対して、ハズレとなる範囲がαだけ狭くなることにより、リプレイの当選確率を「1/2」程度とする。これにより、3枚配当に相当するリプレイ当選の確率が大幅に上がる一方、ハズレとなる確率が下がるので、リプレイタイムにおいては結果的に遊技メダルの払い出し期待値が大幅に向上又は増大することになる。また、主制御部100が、このα値を増減させることにより、リプレイタイムの期待値を所望のものに設定できる。
抽選テーブルの詳細図は省略するが、出玉率の段階設定値1〜6及び投入メダル数(規定数)に対応した6つの抽選テーブル1、抽選テーブル2…抽選テーブル6があり、主制御部は段階設定部150により設定された段階設定値及び投入メダル数に応じて抽選テーブルを選択し、変動表示ゲームにおいてボーナスゲームや複数の小役の内部抽選を実行する。なお、内部抽選でボーナスゲームが当選する期待値は、一般に抽選テーブル1<抽選テーブル2<…<抽選テーブル6となっているので、遊技者は高設定台を追い求めるのである。但し、3枚専用機であれば、メダル数1枚の抽選テーブルは不要である。
図16は、図柄の組合せと獲得メダル枚数との関係を示した配当表である。
BB(ビッグボーナス)とは、「赤7」のBB図柄が有効ライン上に揃った場合の役名であり、内部当選すると、対応するフラグエリアにフラグ1を立て、この図柄が揃うと獲得メダル数は0で、ビッグボーナスゲーム(BBゲーム:役物連続作動装置の作動)に突入し、360枚を超える払い出しで終了する。
RB(レギュラーボーナス)とは、「青7」のRB図柄が有効ライン上に揃った場合の役名であり、内部当選すると、対応するフラグエリアにフラグ1を立て、この図柄が揃うと獲得メダル数は0で、レギュラーボーナスゲーム(RBゲーム:役物連続作動装置の作動)に突入し、120枚を超える払い出しで終了する。なお、これらの役物連続作動装置は、第一種特別役物又は第二種特別役物の何れでもよく、設計仕様に応じて適宜選択される。
チェリー図柄が左ドラムの有効ライン上に停止した場合には、有効ライン1本につき1枚のメダルが獲得される。例えば、有効ラインが図12の表示判定図であれば、左ドラムの中段に停止すれば1枚であるが、上段又は下段であれば有効ラインは2本となり、払い出しは合計2枚となる。スイカ図柄が有効ライン上に揃った場合には、5枚のメダルが獲得される。ベル図柄が有効ライン上に揃った場合には、8枚のメダルが獲得される。
リプレイ役が内部当選すると、対応するフラグエリアにフラグ1を立て、何れかのリプレイ作動図柄が有効ライン上に必ず揃う(リプレイ役入賞ともいう)。リプレイ作動図柄が表示されると、メダルの獲得がない再遊技が作動し、遊技者のスタートレバー9の操作により再遊技を行ってフラグを下げる(即ち、0とする)。つまり、次回のゲームはメダルを投入することなく行うことができる。なお、フラグを下げるタイミングは任意である。
次に、遊技機1の基本動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。
まず、遊技機1が工場出荷された状態では、デフォルトとして、出玉率の段階設定操作が行われた場合の警告モードは「オン状態」、打ち止め設定部180(打ち止め設定スイッチ)は「オフ」で、且つ段階設定値は最低の「1」が設定されているものと仮定する。
遊技ホール側は、遊技者にプレイさせる前に、前扉1bを開けて電源スイッチ21cをオン状態にすると、各回路ブロックに電源が供給され、主制御部100は後述するステップS100で初期チェック(ハードウェアの異常チェック等)や初期設定(例えば、打ち止め設定フラグ「1」、ROM101が記憶する段階設定値「1」及び制御データの初期値をRAM102に書き込む)を実行し、副制御部160は警告モードを「オン状態」にセットし、前扉1bが閉められると変動表示ゲームを行うことができるようになる。
この状態で遊技ホール側は、この設定状態でグランドオープンや新装開店又はイベントの為に、出玉率の設定変更を行おうとしていると仮定する。
図17は、遊技機1の主要動作処理手順を示すフローチャートである。
遊技ホールの従業員は、前扉1bを開けて電源スイッチ21cを一旦オフ状態にし、設定変更キーを設定用キースイッチ21aに差し込んで右に回してON状態(図2の設定用キースイッチ拡大図参照)にし、再び電源スイッチ21cをオン状態にする。これにより各回路ブロックに電源が供給され、ステップS100で初期チェックや初期設定が実行された後、主制御部100はステップS110で設定用キースイッチ21aがON状態であるか否かを判断する。
主制御部100は、設定用キースイッチ21aがON状態でなければ、ステップS130へ移行する一方、ON状態であれば、ステップS120で設定変更サブルーチンを呼び出す(設定変更モードへ移行する)。
ステップS120の設定変更モードにおいて、遊技ホール側が遊技者にプレイさせる前に出玉率が最高の段階設定値「6」を入力し、スタートレバー9を一度叩き設定値を確定させ、設定用キースイッチ21aをOFF状態にすると、主制御部100はステップS100に戻り、設定値を「6」に設定するとともに、再度ハードウェアの初期チェックと初期設定等の必要な処理を行う。
また、主制御部100は、ステップS100で初期画面の表示設定を行う為に、副制御部160に制御データを出力すると、副制御部160は、例えば演出コマンドとして($Y0$01)を表示演出装置11に送信する。その結果、表示パネル11eには、スタート画面として、「通常の演出パターン1」が表示される。
主制御部100は、段階設定値の変更後にステップS130に移行すると、ドアオープンやホッパーエラー、セレクターエラー等の異常発生のチェックを行い、異常があればステップS140に移行して異常処理の後に再度ステップS100に戻る一方、異常がなければ、ステップS150に移行する。特に、主制御部100は、異常チェックとして、ワークRAM領域に記憶している段階設定値のデータが0〜5(メダル払出枚数表示LED4cに表示される段階設定値は各々1〜6に対応する)の範囲内にあるか否かを確認し、段階設定値が所定の範囲内になければ、表示演出装置11、スピーカ部12及び遊技状態表示LED部13により警告(「EE」エラーの文字表示、発光及び警告音)を発生させてエラー処理(ステップS140の異常処理)を行わせる。
主制御部100は、ステップS150に移行すると、メダル検出センサ130又はベットボタンセンサ140により、遊技者が遊技に必要な数量の遊技メダルを投入したか否かを判断し、所定数だけ投入した場合には、ステップS160に移行する一方、投入していなければステップS130に戻り、メダル投入操作があるまで各ステップをループしながら待機する。
主制御部100は、ステップS160に移行すると、遊技者がスタートレバーを操作して、変動表示ゲームを開始させたか否か確認し、開始させた場合には、ステップS170に移行する一方、開始させていなければステップS130に戻り、開始操作があるまで各ステップをループしながら待機する。
主制御部100は、ステップS170で変動表示ゲームのメイン処理を実行し、スタート信号の受信タイミングに合わせて乱数抽選を行い、ピックアップ(抽出)した乱数値と現在の内部状態(RT又は非RT)の抽選テーブルとを比較して、内部当選したか否かを判断する(図15の説明参照)。
主制御部100は、副制御部160に抽選結果コマンドとゲームスタート信号を送信するとともに、ドラム部2を一斉に回転させて、左ドラム2a、中ドラム2b及び右ドラム2c上に表示された複数の図柄を所定速度で変動させる変動表示ゲームを開始する。
主制御部100は、図9及び図10で説明した通り、遊技者が停止ボタン部10の左停止ボタン10a、中停止ボタン10b又は右停止ボタン10cを操作して各図柄列(回胴帯)を停止させた場合、有効ライン上に内部当選役に応じた図柄を揃えるための引込制御や、逆に図柄を揃わせないための回避制御を行う。また副制御部160は、主制御部100から抽選結果コマンドとゲームスタート信号を受信すると、表示演出装置11やスピーカ部12、遊技状態表示LED部13に演出表示等を行うか否かの演出抽選を行い、大当り(ボーナス当選)や小役、リプレイ又はハズレの抽選結果を停止ボタン部10の操作に応じて遊技者に告知する。なお、主制御部100は、滑りコマ数テーブルを参照して停止制御を実行する。
主制御部100は、一般遊技の各変動表示ゲームにおいて、所定の図柄が窓部3の有効ライン上に並んで表示されれば役の成立とする。このとき主制御部100は、ROM161に記憶されている配当表(図19参照)に従って、クレジットとして加算し、貯留上限値を超える配当については、遊技メダルをメダル払出装置18から払い出し、メダル払出口16より排出する。
なお、赤7が3つ揃ったビッグボーナスゲーム(BBゲーム)においては、役物連続作動装置が作動して、獲得枚数が360枚を超えたことを契機にして、BBゲームモードを終了する。また、青7図柄が3つ揃ったレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)においては、役物連続作動装置が作動して、獲得枚数が120枚を超えたことを契機にして、RBゲームモードを終了する。
そして、主制御部100は、ステップS170のゲームメイン処理を終了すると、ステップS130に戻り、順次処理を繰り返す。このようにして変動表示ゲームが繰り返される中、所定小役の当選などの条件が満たされたことを契機として、遊技機1の遊技状態が随時変動する。遊技状態としては、通常状態、実ボーナス(BBゲームやRBゲーム)、チャンスゾーン(CZ)、および疑似ボーナスなどの各状態がある。副制御部160は、遊技状態ごとに異なる演出パターンデータを表示し、現在の遊技状態を遊技者に示唆する。
疑似ボーナスは、アシスト機能が発動する特別遊技であり、疑似ボーナスの放出によりアシストボーナスが開始される。疑似ボーナスでは、一般的なART(アシスト・リプレイ・タイム)又はAT(アシスト・タイム)等のように遊技機1によるアシスト(例えば押し順小役当選時での押し順の指示等)が行われる。これにより遊技者は多くの遊技メダル等を獲得することが出来るため、遊技者にとって有利な遊技状態となる。
チャンスゾーンは、疑似ボーナスのストック(以下、単に「ストック」と称することがある)の獲得などが可能となる遊技状態であり、ここでストック数(疑似ボーナスを放出できる回数)を稼ぐことが出来ると、疑似ボーナスで遊技できる機会がその分増えるため、遊技者にとって非常に有利となる。チャンスゾーンで出来るだけ多くのストック数を稼ぐことは、遊技者にとって最大の関心事の一つである。
チャンスゾーンでは、これまでに説明した変動表示ゲーム(以下、単に「ゲーム」と略記することがある)に加え、チャンスゾーンに特有な動作が実行されることになる。以下、チャンスゾーンの遊技状態における遊技機1の動作等について説明する。
図18は、チャンスゾーンに特有な動作の概略を示すフローチャートである。なお本フローチャートにおける括弧内に示す処理は、演出に関する処理を示している。また当該フローチャートの左側には、各処理が行われる際の消費ゲーム数を示している。
チャンスゾーンに突入すると、副制御部160は最初の1ゲーム目でタイトル表示を行う(ステップS210)。タイトル表示は、チャンスゾーンでの演出の一環であり、後に続く演出のタイトルを表示する処理である。遊技者はこの表示を見てチャンスゾーンに突入したことを知り、興奮度が一気に高まることになる。
その後の5〜9ゲームにおいて、主制御部100は、ポイントの抽選・加算の処理を実行する(ステップS220)。すなわち主制御部100は、ゲームごとにポイントの抽選を繰返し実行し、当選したポイントを逐次加算して最終ポイントを確定させる。ステップS220の処理が行われるゲーム中、副制御部160は、1ゲームを1投に対応付けたボーリングの演出(ボーリングで敵を倒すミッションを遂行する演出であり、詳しくは後述する)を実行し、遊技者の気分を大いに高揚させる。なお、演出上のボーリングは4フレーム制で行われる。そのためトータルのゲーム数は、5ゲーム(1〜3フレーム目がストライクで1投だけとなり、4フレーム目で2投となるケース)から9ゲーム(1〜3フレーム目で2投となり、4フレーム目で3投となるケース)の間で変動する。
次に主制御部100は、確定した最終ポイントが所定の合格ライン(本実施形態では、一例として20ポイントとする)に達しているか否かを判定する(ステップS230)。最終ポイントが合格ラインに達していれば(ステップS230のYES)、主制御部100によってストック加算抽選(ステップS240)が実施されるが、最終ポイントが合格ラインに達していなければ(ステップS230のNO)、ストック加算抽選は行われない。ストック加算抽選が実施されると、当選した加算数の分だけ疑似ボーナスのストック数が加算されることになる。この抽選は、最終ポイントが高いほど有利な条件で行われることになる(図27を参照)。
なお副制御部160は、ステップS230の判定処理がなされたことを受け、ボーリングの演出が終了した次の1ゲームで判定結果の表示を行う(ステップS240またはS250)。すなわち副制御部160は、最終ポイントが合格ラインに達していれば、良い結果が得られた(ストック加算抽選が実行される)ことが遊技者へ伝わるように、敵を倒すミッションに成功した表示を行う。一方で副制御部160は、最終ポイントが合格ラインに達していなければ、良い結果が得られなかった(ストック加算抽選が実行されない)ことが遊技者へ伝わるように、敵を倒すミッションに失敗した表示を行う。チャンスゾーンの終了後は、ストック状態に応じてそのまま疑似ボーナスが放出されるようにしても良く、更に別の条件を満たすまで疑似ボーナスが放出されないようにしても良い。
次に、ポイントの抽選・加算の処理(ステップS220)の内容について、より詳細に説明する。ステップS220の処理では、並行してボーリングの演出を行うことに合わせ、ボーリングのルールに準じた手順でポイントが加算される。
ボーリングのルールは広く知られているが、まず当該ルールについて簡潔に説明する。ボーリングでは各フレーム原則として2投まで許されており、1フレームごとに最初に10本のピンが立てられる。1投目では10本のピンが立った状態で投球がなされ、2投目では残りのピン(1投目で倒れなかったピン)が立った状態で投球がなされる。現在のフレームの投球で倒したピンの本数の合計が、そのフレームの基礎スコアとなる。
各フレームの1投目で10本のピンを倒した場合は「ストライク」となり、最終フレームの場合を除き、そのフレームでの投球は完了する。このとき、前のフレームのスコアに、現在のフレームの基礎スコア「10」と、その次の2投で倒したピンの本数とを加算したものが、現在のフレームのスコアとなる。2投目で10本のピンを倒した場合は「スペア」となる。このとき、前のフレームのスコアに、現在のフレームの基礎スコア「10」と、その次の1投で倒したピンの本数とを加算したものが、現在のフレームのスコアとなる。このようにストライクやスペアを出すと、そのフレームのスコアに特別な加算が行われる。2投目でも10本のピンを倒せなかった場合は、前のフレームのスコアに、現在のフレームの基礎スコアを加算したものが、現在のフレームのスコアとなる。このようなルールによるスコアの加算は、最終フレームの直前のフレームまで繰返される。
最終フレームでは、ストライクやスペアを取ってもスコアへの特別な加算は無いが、2投目までに10本以上のピンを倒すと3投目が認められる。すなわち、1投目で10本のピンを倒せば新たに10本のピンが立てられて残り2投(2投目と3投目)が可能となり、2投目で10本のピンを倒せば新たに10本のピンが立てられて残り1投(3投目)が可能となる。1投目で10本のピンを倒し、2投目でも10本のピンを倒すと、新たに10本のピンが立てられて3投目が可能である。そして前のフレームのスコアに、最終フレームで倒したピンの本数の合計を加算したものが、最終フレームのスコア(すなわち今回のボーリングでの最終スコア)となる。
このようなボーリングのルールに準じたポイント加算を実施するため、遊技機1では、1ゲームが実際のボーリングの1投に対応付けられ、各ゲームで当選するポイントが、その投球で倒すピンの本数に対応付けられる。その他、最終フレームを第10フレームではなく第4フレームとする(4フレーム制とする)点を除き、ポイント加算は、ボーリングでのスコアのカウントと同様に進められる。これにより、遊技機1の内部で行われるポイントの加算と、遊技者へ見せるボーリングの演出とを、密接にリンクさせることが可能である。
上記のポイント加算手順を実現するため、主制御部100は、図19に示すような内部データ(各種のポイントおよびフラグのデータ)を記憶保持する。図19において、P(f#g)は、第fセットのgゲーム目のポイントを示し、P(f)は、第fセットのセットポイントを示し、P(SUM)は、最終ポイント(=最終セットのセットポイント)を示す。またFst(f)は、fセット目のストライクフラグを示し、Fsp(f)は、fセット目のスペアフラグを示す。
図20は、遊技機1の内部データとボーリングとの対応関係を示している。本図に示すように、第fセット(「fセット目」と称することもある)は、ボーリングでの第fフレーム(「fフレーム目」と称することもある)に対応する。内部データの「セット」は、ボーリングの「フレーム」に対応するように便宜的に設けた概念である。第gゲーム(「gゲーム目」と称することもある)は、ボーリングでの第g投(「g投目」と称することもある)に対応する。ポイントP(f#g)は、ボーリングにおける第fフレームのg投目で倒したピンの本数に対応する。セットポイントP(f)は、ボーリングでのfフレーム目のスコアに対応する。最終ポイントP(SUM)は、ボーリングでの最終スコアに対応する。
ストライクフラグFst(f)は、初期値が「0」であり、第fセットの1ゲーム目のポイントが10であったときに「1」に更新される。ストライクフラグFst(f)が「1」である状況は、ボーリングに置き換えると、fフレーム目でストライクを取った状況に相当する。
スペアフラグFsp(f)は、初期値が「0」であり、第fセットの1ゲーム目と2ゲーム目のポイント合計が10であったときに「1」に更新される。スペアフラグFsp(f)が「1」である状況は、ボーリングに置き換えると、fフレーム目でスペアを取った状況に相当する。
ポイントP(f#g)は、第fセットのgゲーム目でポイントが当選したときに、その値に決定されることになる。なお各セットについて、当該セット内のゲームで取得されたポイントの合計は、「基礎ポイント」として算出される。例えば、第2セット1ゲーム目のポイントが5であり、2ゲーム目のポイントが3である場合には、第2セットの基礎ポイントは8(=5+3)となる。
セットポイントP(f)は、図21に示す式に従って算出される。すなわち、ストライクフラグFst(f)が「1」であるときには、第f−1セットのセットポイントP(f−1)に、第fセットの基礎ポイントである「10」と、次の2ゲーム分(第f+1セットの1ゲーム目およびその次のゲーム)のポイントとを加算した値に算出される。スペアフラグFsp(f)が「1」であるときには、第f−1セットのセットポイントP(f−1)に、第fセットの基礎ポイントである「10」と、次の1ゲーム分(第f+1セットの1ゲーム目)のポイントとを加算した値に算出される。これら何れのフラグも「0」であるときには、第f−1セットのセットポイントP(f−1)に、第fセットの基礎ポイントを加算した値に算出される。なおここではP(0)=0とする。最終ポイントP(SUM)(=P(4))については、第3セットのセットポイントP(3)に第4セットの基礎ポイントを加算した値に決定される(各フラグが「0」の場合と同様である)。
次に、各ゲームでのポイントの抽選範囲(当選する可能性のあるポイントの範囲)について説明する。
図22は、第1〜第3セットのポイントの抽選範囲に関する遷移図である。本図に示すように何れのセットでも、1ゲーム目のポイントP(f#1)は、0〜10の範囲で抽選される(ステップS500)。これは、実際のボーリングでは各フレームの最初に必ず10本のピンが立っており、1投目で倒れるピンの本数が0〜10本の何れかであることに整合させたものである。
より詳細に説明すると、主制御部100は、図23に例示するポイント抽選テーブルPT1の情報を有するとともに、ゲームごとに0〜Vmax(例えば65535)の範囲で乱数を発生させるようになっている。この乱数を発生させる手段は、役の抽選を行うための乱数列発生部103(図3を参照)と共通であっても良く、これとは別の乱数発生手段が用いられても良い。
ポイント抽選テーブルPT1は、先述したベルやチェリーなどの当選役ごとに、発生した乱数値とポイントとの関係を規定している。例えば、当選役が「ベル」であったとき、発生した乱数値が0〜w1の範囲内である場合はポイント「0」が当選し、w1+1〜w2の範囲内である場合はポイント「1」が当選することになる。なお図23では説明の簡略化のため、当選役としてベル、リプレイ、スイカ、およびチェリーしか示されていないが、実際のポイント抽選テーブルPT1には、他のあらゆる当選役についての情報が含まれる。
ポイント抽選テーブルPT1では、図23に示すように0〜Vmaxの範囲が11分割され、それぞれに0〜10の何れかのポイントが重複しないように割り当てられている。そのためポイント抽選テーブルPT1を用いれば、必ず0〜10の何れかのポイントが当選することになる。また図23に示すw1〜w10、x1〜x10、y1〜y10、およびz1〜z10の各値は、各ポイントが図23のカッコ内に示す確率で当選するように決められている。例えば、当選役「ベル」については、75%の確率でポイント「0」が当選するようにw1が決められており、5%の確率でポイント「1」が当選するようにw2が決められている。図23に示す例では、ベル、リプレイ、スイカ、チェリーと当選役の価値が上がるに連れて、高いポイントが当選し易くなっている。
図22の説明に戻り、1ゲーム目のポイントP(f#1)の抽選の後、P(f#1)が10であった場合には、次のセットへ移行して(fを1だけ増やして)、同様に1ゲーム目のポイントP(f#1)の抽選が行われる。これは、実際のボーリングでストライクが出ると、その次の投球は次のフレームの1投目となることに整合させたものである。一方、P(f#1)が10以外の場合には、同じセットでの2ゲーム目のポイントP(f#2)が、0〜10−P(f#1)の範囲で抽選される(ステップS510)。これは、実際のボーリングの2投目の前には、1投目では倒れなかったピンだけが立っており、2投目で倒れるピンの本数が0〜10−P(f#1)本の何れかとなることに整合させたものである。
このように2ゲーム目のポイントP(f#2)の抽選範囲は、1ゲーム目のポイントP(f#1)によって変動する。例えば、1ゲーム目のポイントが3であった場合には、当該抽選範囲は0〜7となり、1ゲーム目のポイントが6であった場合には、当該抽選範囲は0〜4となる。この点を考慮して、主制御部100は、あらゆる抽選範囲のパターンに対応できるように、複数のポイント抽選テーブルを有している。2ゲーム目のポイントP(f#2)の抽選後は、次のセットへ移行して(fを1だけ増やして)、1ゲーム目のポイントP(f#1)の抽選が行われる。
図24は、抽選範囲が0〜4の場合に対応したポイント抽選テーブルPT2を例示している。ポイント抽選テーブルPT2では、0〜Vmaxの範囲が5分割され、それぞれに0〜4の何れかのポイントが重複しないように割り当てられている。そのためポイント抽選テーブルPT2を用いれば、必ず0〜4の何れかのポイントが当選することになる。なお図24に示すw11〜w14、x11〜x14、y11〜y14、およびz11〜z14の各値は、各ポイントが図24のカッコ内に示す確率で当選するように決められている。
最終フレームである4セット目に限り、実際のボーリングのルールと整合させるため、図25に示すようにポイントの抽選範囲が遷移する。1ゲーム目のポイントP(4#1)については、他のセットと同様に0〜10の範囲で抽選される(ステップS600)。その後、1ゲーム目のポイントP(4#1)が10であった場合には、2ゲーム目のポイントP(4#2)が0〜10の範囲で抽選される(ステップS610)。この2ゲーム目のポイントP(4#2)も10となった場合には、次に3ゲーム目のポイントP(4#3)が0〜10の範囲で抽選され(ステップS620)、10とならなかった場合には、3ゲーム目のポイントP(4#3)が0〜10−P(4#2)の範囲で抽選される(ステップS630)。
一方、1ゲーム目のポイントP(4#1)が10ではなかった場合には、他のセットと同様に、2ゲーム目のポイントP(4#2)が0〜10−P(4#1)の範囲で抽選される(ステップS640)。このポイントP(4#2)が10であった場合には、次に3ゲーム目のポイントP(4#3)が0〜10の範囲で抽選される(ステップS620)。しかしこのポイントP(4#2)が10ではなかった場合には、3ゲーム目の抽選は行われない。つまりこの場合、4セット目は2ゲームだけで終了する。
ステップS220(図18を参照)で行われる最終ポイント確定までの全体的な処理の流れについて、図26に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお当該フローチャートの左側には、各処理が行われる際の消費ゲーム数を示している。
まず1セット目からスタートし、主制御部100は、1ゲーム目のポイント抽選を行う(ステップS310)。当選したポイントが10ポイントに到達していれば(ステップS320のYES)、主制御部100は、1セット目のストライクフラグを「1」とし(ステップS330)、次のセットへ移行する(ステップS370)。
1ゲーム目で10ポイントに到達していなければ(ステップS320のNO)、次に2ゲーム目のポイント抽選を行う(ステップS340)。その結果、1ゲーム目と2ゲーム目の当選ポイントの合計が10ポイントに到達していれば(ステップS350のYes)、主制御部100は、1セット目のスペアフラグを「1」とし(ステップS360)、次のセットへ移行する(ステップS370)。
1ゲーム目と2ゲーム目の当選ポイントの合計が10ポイントに到達していなければ(ステップS350のNO)、主制御部100は、上記何れのフラグも「1」とはせずに次のセットへ移行する(ステップS370)。ステップS310〜S370の処理は、1セット目から3セット目までの各セットについて順に行われる。
4セット目に移行すると(ステップS380のYES)、主制御部100は、1ゲーム目のポイント抽選と2ゲーム目のポイント抽選を、それぞれ順に実行する(ステップS390、S400)。その結果、それぞれの当選ポイントの合計が10ポイント以上であれば(ステップS410のYES)、主制御部100は更に3ゲーム目のポイント抽選を実行し(ステップS420)、最終ポイントを確定させる(ステップS430)。ステップS430の処理後、今回のポイントの抽選・加算(ステップS220)は終了する。
一方、上記それぞれの当選ポイントの合計が10ポイント未満であれば(ステップS410のNO)、主制御部100は、3ゲーム目のポイント抽選を実行することなく最終ポイントを確定させ、今回のポイントの抽選・加算(ステップS220)を終了させる。以上に説明した一連の処理により、ボーリングのルールに準じた手順でポイントを逐次加算することができ、ボーリングの最終スコアに相当する最終ポイントを得ることが出来る。
次に、最終ポイントに基づいた結果判定(図18のステップS230を参照)の処理に関して、より詳細に説明する。
図27は、最終ポイントと判定結果の対応関係などを示している。本図に示すように合格ラインは20ポイントに設定されており、最終ポイントが20ポイント未満であるときは「失敗」(ストック加算抽選が行われない)と判定され、20ポイント以上であるときは「成功」(ストック加算抽選が行われる)と判定される。
更に「成功」と判定された場合であっても、図27の右側に示すように、最終ポイントが高いほど有利となるように(多くの疑似ボーナスが加算され易くなるように)ストック加算抽選が行われる。例えば、最終ポイントが20〜39であった場合には、疑似ボーナスが1個以上は確実に加算されるように抽選が行われ、最終ポイントが40〜59であった場合には、疑似ボーナスが2個以上は確実に加算されるように抽選が行われる。なおストック加算抽選の手法としては、例えばポイント抽選の場合と同様に、乱数発生手段を利用した抽選の手法等が採用され得る。
このように、最終ポイントが合格ラインに達するとストック加算抽選が行われるようになり、その中でも最終ポイントが高いほど、高い加算数が当選し易くなる。すなわち本実施形態の遊技機1は、最終ポイントが高いほど遊技者に有利となるように、遊技に関する特典(ストック加算抽選の条件の向上)を付与する。そのため遊技者は、高い最終ポイントを得ることを切望することになる。
次に、チャンスゾーンに入ったときの遊技機1の演出について説明する。
図28は、チャンスゾーンにおける遊技機の操作と演出パターンデータの関係を示している。本図に示す演出パターンデータ(各種の演出シーン)は、図14に示したチャンスゾーンの演出パターン0、1、・・・の一部に該当する。チャンスゾーンにおいても、先述した変動表示ゲームが行われることには変わりなく、遊技者はゲームごとに、スタートレバー9を操作した後に3個の各停止ボタン(10a〜10c)を操作することになる。以下の説明では、ゲーム中にN番目に操作される停止ボタンを、「N番目の停止ボタン」と称することがある。
図28に示すように、チャンスゾーンでは1ゲームごとに、スタートレバー9、1番目の停止ボタン、および3番目の停止ボタンが操作される各タイミングで、表示される演出パターンデータが逐次更新される。これにより、1ゲームごとに3パターンの演出シーンを順に表示させることが可能である。また、遊技者が行う操作に応じて演出シーンが更新されるため、遊技者は、演出の進行に積極的に関わっている感覚を得ることが出来る。
なお本実施形態では、演出シーンを更新する契機として1番目と3番目の停止ボタンを利用しているが、この代わりに(或いはこれに加えて)、2番目の停止ボタンを利用するようにしてもよい。例えば、3番目の停止ボタンが操作されるタイミングの代わりに、2番目の停止ボタンが操作されるタイミングで、演出シーンが更新されるようにすることも可能である。但しこの場合には、遊技者が各停止ボタン(10a〜10c)を立て続けに素早く操作すると、1番目の停止ボタンの操作を契機に表示される演出シーンの表示時間は、極めて短くなってしまう。本実施形態ではこのような状況下でも、1番目の停止ボタンの操作を契機に表示される演出シーンは3番目の停止ボタンが操作されるまで表示されるため、表示時間を比較的長く確保することができ、当該演出シーンが遊技者に見過ごされ難くなっている。
チャンスゾーンに突入した直後のゲームで行われるタイトル表示(図18のステップS210を参照)では、副制御部160は、敵キャラ(敵のキャラクタ)が現れるシーンT1、4人のヒロイン(味方のキャラクタ)同士が相談するシーンT2、および、ボーリングのボールを持ったヒロインが「このボールで敵を一掃しよう」と発言するシーンT3を順に表示させる。この演出により、これからボーリングで敵を倒していくというミッションが始まることが、遊技者に十分伝わることとなる。
その後、ボーリングのルールに準じたポイントの抽選・加算(図18のステップS220を参照)が行われることに対応して、副制御部160は、ボーリングの演出シーンを表示させる。最初のゲームは第1セットの1ゲーム目であり、ボーリングでは第1フレームの1投目に対応することから、第1フレームを担当するヒロインAが1投目を行うシーンA1、ボールが転がるシーンA2、および現在のゲームで当選したポイント分のピン(ピンに見立てた敵)が倒れるシーンA3が順に表示される。この演出により、現在のゲームで得られたポイントの量が倒したピンの本数で表現され、遊技者の興味が大いに引き付けられる。
第1セットの1ゲーム目以降も、副制御部160は、第fセットのgゲーム目を第fフレームのg投目に対応させ、上記と同様にしてボーリングの演出シーンを逐次表示させる。この際、第1フレームでは投球するプレイヤとしてヒロインAを登場させていたが、第2フレームではヒロインBを登場させ、第3フレームではヒロインCを登場させ、第4フレームではヒロインDを登場させる。このように、フレームごとに登場するヒロイン(担当するプレイヤ)を交代させることで、4人のヒロインが協力してミッションを遂行する様子を演出することが出来る。ボーリングのスコア(各投球のスコアや各フレームのスコア)は、適宜表示されるようにしても良く、表示されないようにしても良い。
なお、第4フレームの2投目でスペア(又はストライク)が出たものの、これまでのポイントが未だ合格ラインに達していない場合、次の3投目は判定結果の明暗を分ける重大な場面となる。そこでこの3投目については特別に、例えばヒロイン全員が一緒になって投球する演出シーンを表示することで、遊技者の感情移入を効果的に誘うことが可能である。
倒れるべきピンの本数はそのときのゲームで得られるポイントによって変動するため、シーンA3などのピンが倒れるシーンは、何れのポイントにも対応出来るように(ポイントと倒れるピンの本数を一致させ得るように)複数パターンが用意されている。またシーンA1などのヒロインが投球を行うシーンや、シーンA2などのボールが転がるシーンについても、例えばそのときのゲームで得られるポイントに応じて切替え可能となるように、複数パターンが用意されても良い。
またボーリングの演出では、実際のボーリングで起こり得る現象を細かく再現することで、よりリアルな演出が可能となる。例えば、1本もピンが倒れない場合は、実際のボーリングではボールがガターの溝へ嵌ったことになるため、この様子を表す演出シーンを用いれば良い。また逆に、演出の面白みを増すため、実際のボーリングでは殆ど起こり得ない現象が演出されるようにしても良い。例えば、投げたボールが一度ガターの溝に嵌った後、溝に落ちていた小石に当たってボールが飛出し、そのボールがピンに当たるといった演出シーンが適宜用いられても良い。
一連のポイントの抽選・加算の処理が終了した後、最終ポイントが合格ラインに達した場合には、ストック加算抽選(図18のステップS240を参照)が行われることに対応して、副制御部160は、成功の結果表示を行う。具体的には、ヒロイン全員がボールを投げるシーンR1、敵キャラがボールを受け止めるシーンR2、およびボールの勢いに負けて敵キャラが吹き飛ばされるシーンR3が順に表示される。これにより遊技者は、ミッション成功によって良い結果が得られた(ストック加算抽選が実行される)ことを実感することが出来る。
一方で、最終ポイントが合格ラインに達しなかった場合には、そのことを遊技者に示唆するため、副制御部160は失敗の結果表示を行う(図18のステップS250を参照)。具体的には、ヒロイン全員がボールを投げるシーンS1、敵キャラがボールを受け止めるシーンS2、および敵キャラがボールを弾き飛ばすシーンS3(何れも不図示)が順に表示される。これにより遊技者は、ミッション失敗によって良い結果が得らなかった(ストック加算抽選が実行されない)ことを実感することが出来る。なお上記のシーンS1およびS2は、成功時に用いられるシーンR1およびR2と同じであっても良い。
図29は、チャンスゾーンでの演出およびポイントの加算の流れを模式的に示している。チャンスゾーンでは、白抜きの数字で示した順にゲームが進行し、タイトル表示→ボーリングのミッション遂行→結果表示の順に演出が進められる(但しストライクの発生時など、一部のゲームが省略されることもある)。一方、この演出の流れと連動するように各ゲームで得られたポイントが逐次加算され、最終ポイントP(SUM)が求められる。
また各セットのセットポイントは、前のセットのセットポイントに現在のセット内のゲームで取得されたポイントの合計(基礎ポイント)を加算した値が基本とされる。但し、基礎ポイントが「10」に達したとき、すなわちストライクフラグFst(f)又はスペアフラグFsp(f)が「1」のときは、特別に次の1又は2ゲームのポイント(特別ポイント)が更に加算される。これにより、何れかのゲームにおいて基礎ポイントが「10」に達するという条件(特別加算条件)が満たされた場合、その次の1又は2ゲームで取得されるポイントが、最終ポイントP(SUM)に割増しして加算されることになる。
例えば図30に示すように各ゲームでポイントが得られる場合、1セット目と2セット目で「ストライク」に対応する特別加算条件が満たされ、3セット目で「スペア」に対応する特別加算条件が満たされる。そのため、第2セット1ゲーム目のポイント「10」が第1セットのセットポイントに特別加算され、第3セット1ゲーム目のポイント「6」が第1セットと第2セットのセットポイントに特別加算され、第3セット2ゲーム目のポイント「4」が第2セットのセットポイントに特別加算され、第4セット1ゲーム目のポイント「7」が第3セットのセットポイントに特別加算される。また第4セットのセットポイントが、最終ポイントP(SUM)となる。
このような特別加算により、第2セット1ゲーム目のポイント「10」が2倍に割増しされ、第3セット1ゲーム目のポイント「6」が3倍に割増しされ、第3セット2ゲーム目のポイント「4」が2倍に割増しされ、第4セット1ゲーム目のポイント「7」が2倍に割増しされて、最終ポイントP(SUM)に加算されることになる。その結果、各ゲームのポイントを単に累積加算すれば10+10+6+4+7+2=39となるが、割増しによって増加した分である10+6×2+4+7=33が更に加算され、最終ポイントは72となる。
このように、何れかのゲームにおいて特別加算条件が満たされると、将来的に取得されるポイントが最終ポイントに割増しして加算され、その分、遊技者にとって有利な特典(ストック加算抽選の条件)が得られることになる。これにより遊技機1は、遊技者の興味を非常に引き付け易くなっている。
例えば、一般的なポイントの加算手法が採用された機種では、初期の段階でポイントが伸びないと最終的にも高ポイントとなる可能性は低くなるため、遊技者の興味が途中で薄れてしまうことが懸念される。しかし本実施形態の遊技機1によれば、仮に初期の段階でポイントが伸びなくても、途中で特別加算条件を満たすことにより将来的に得られるポイントの価値を増大させ、最終ポイントを大きく伸ばすことが可能である。そのため遊技者は、途中で飽きることなく逆転の可能性を期待することができ、高揚感を維持することになる。その結果、遊技機1は、チャンスゾーンで遊技者の興味をより引き付けることが可能であり、遊技者にとって魅力的な機種となる。
なおボーリングのルール自体は広く知られているが、本実施形態のように、ボーリングに特有なスコアの加算手法を1ゲームごとのポイントの加算手法に応用し、取得済みのポイントに応じた演出表示が行われるようにして、更に、最終ポイントに応じて特典が付与されるように遊技機を構成することは非常に斬新な発想である。このような構成を採用した遊技機1は、ボーリングの魅力が活かされた従来には無い遊技機である。
以上、本実施形態の遊技機1について説明したが、遊技機の内部処理の効率化、遊技機の魅力や面白さの向上、或いはその他の観点から、種々の変形を加えることが可能である。本実施形態の幾つかの変形例について、以下に説明する。
(1)本実施形態では、4フレーム制(フレーム数が4)のボーリングを演出するようにしているが、種々の事情によりフレーム数を3以下としても良く、逆に5以上としても良い。出来るだけ正式なボーリングの流れを再現するためには、正規のルールに従ってフレーム数を10とすれば良い。また演出の都合上、各フレームでの投球数やピンの本数などを、正式なボーリングのルールから逸脱させても構わない。更に、本実施形態に準じたポイントの加算手法を採用しつつも、ボーリングとは異なる演出が行われるようにしても構わない。
(2)本実施形態では、内部データとしてのポイントの値とボーリングのスコアの値との比率を1:1としていたが、遊技機1における内部処理の都合等を考慮して、異なる比率としても構わない。一例としては当該比率を10:1(つまり、1本のピンが10ポイントに相当する)としておき、例えばあるゲームで60ポイントが得られると、6本のピンが倒れる演出を行うようにしても良い。なお64ポイントのように端数が出た場合は、端数を切り上げて7本のピンが倒れるようにしても良く、端数を切り下げて6本のピンが倒れるようにしても良い。
(3)実際のボーリングでは、1投目の後に2〜4本程度のピンが残ったときは、いわゆる「スプリット」となっている可能性がある。この場合にはピン同士の距離が大きくなるため、スペアを取るのが特に難しくなる。そこでこのようなスプリットを、演出上で再現するようにしても良い。例えば主制御部100は、各セットの1ゲーム目のポイントが6〜8となったとき(1投目で倒れずに残るピンが2〜4本となるとき)に、スプリットか否かの抽選を実施する。スプリットが当選すると、主制御部100は次の2ゲーム目において、スペアとなるポイントが通常より当選し難くなるポイント抽選テーブル(そのようなポイントの当選確率を低くしたポイント抽選テーブル)を用いて、ポイントの抽選を実行する。更に副制御部160は、スプリットの状態を表す演出シーンを表示させ、スペアが取り難くなっていることを遊技者に示唆する。このようにスプリットの要素を取り入れると、ボーリングの演出のリアリティをより向上させることが出来る。
(4)実際のボーリングでは、ストライクが3回連続すると「ターキー」と呼ばれ、相当なハイスコアが期待できる。そこでボーリングの演出上、第1フレームと第2フレームでストライクが出た場合には、次の第3フレームの開始時に、「ターキーチャンス」や「ストライクを取れればボーナスのストック確定!?」といったフレーズを表示させ、遊技者の高揚感を更に煽るようにしても良い。なおフレーム数を多くした場合には、ターキーの成功後もストライクが出る度に「フォース」、「フィフス」、・・・と続くようにフレーズを表示すれば良い。
(5)遊技者の期待感を最後まで維持させるため、実際のボーリングには無いような一発逆転のルールを適宜採用しても良い。例えば、第4セットの1ゲーム目(演出上は第4フレームの1投目)の終了段階で累計ポイント(演出上は累計スコア)が10未満である場合、所定の確率で一発逆転イベントが当選する抽選を実施して、これが当選した場合には、無条件でストック加算抽選が行われるようにしても良い。一発逆転イベントの演出としては、例えば、失敗の結果表示(図18のステップS250を参照)を行った後のゲームで、奇跡的に復活したことを表す復活告知のシーンが表示されるようにすれば良い。
(6)本実施形態では、ボーリングの演出としてフレームごとに異なるヒロイン(キャラクタ)を登場させていたが、更に、各ヒロインに個性を持たせるようにポイントの当選確率が変更されるようにしても良い。ポイントの当選確率の変更は、ポイント抽選テーブル(図23や図24を参照)の内容を変更することによって実現可能である。
図31は、ポイント抽選テーブルの変更内容とこれによって得られる演出効果を、ヒロインの種類ごとに例示している。また図32は、図31に示す変更内容を具現化した場合の各ポイントの当選確率を、当選役「スイカ」の場合を例に挙げて示している。この例では、ヒロインBを標準(つまり、図23や図24に示すポイント抽選テーブルが適用される)として、他のヒロインに対応するポイント抽選テーブルが変更される。図32の括弧内の値は、標準値からの変化量を示している。
ヒロインAについては、1ゲーム目のみポイント「10」の当選確率が上がるように、かつ、各ゲームでポイント「0」の当選確率が上がるように、ポイント抽選テーブルが変更される。これによって図32に示すように、ポイント「0」の当選確率が標準値に比べて増大し、ポイント「10」の当選確率も標準値に比べて増大する。このようなポイント抽選テーブルの変更により、「ヒロインAの投球時には、ストライクが出易いがガターも出易い」という演出効果が得られる。これによりヒロインAについては、「一か八かの勝負をする性格」といった個性が演出される。
ヒロインCについては、各ゲームで当選するポイントの期待値が下がるように、かつ、2ゲーム目で計10ポイントに達することになるポイントの当選確率が上がるように、ポイント抽選テーブルが変更される。これによって図32に示すように、当選するポイントの期待値(図32の下部を参照)が標準の値に比べて減少する。なお図示を省略するが、2ゲーム目で用いられるポイント抽選テーブルに限り、計10ポイントに達することになるポイントの当選確率は標準値より増大する。このようなポイント抽選テーブルの変更により、「ヒロインCの投球時には、スコアを伸ばし難いがスペアは出易い」という演出効果が得られる。これによりヒロインCについては、「あまり実力は無いがスペアを取るのは得意」といった個性が演出される。
ヒロインDについては、各ゲームで当選するポイントの期待値が上がるように、かつ、各ゲームでポイント「0」の当選確率が下がるように、ポイント抽選テーブルが変更される。これによって図32に示すように、当選するポイントの期待値(図32の下部を参照)が標準の値に比べて増大し、ポイント「0」の当選確率が減少する。このようなポイント抽選テーブルの変更により、「ヒロインDの投球時には、スコアを伸ばし易くガターは出難い」という演出効果が得られる。これによりヒロインDについては、「手堅くスコアを伸ばす実力者」といった個性が演出される。なおこの例のように、最終フレームで比較的ポイントを伸ばし易くすることで、遊技者に最後まで一発逆転の期待を持たせ、出来るだけ長く興味を引き付けることが可能である。
ヒロインBについては、ポイント抽選テーブルの変更は行われない。これにより、ヒロインBについては標準的な演出効果が得られ、そのまま標準的な個性が演出される。各ヒロイン(キャラクタ)についてどのような演出効果を狙い、どのようにポイント抽選テーブルを変更するか等は、種々の事情に鑑みて自由に決定され得ることは言うまでもない。
上述のように本変形例は、ゲームごとにポイントの抽選を行って当選したポイントを取得するものであって、該抽選におけるポイントの当選確率をセットごとに変更する。更にボーリングの投球を行うキャラクタの表示を含んだ演出表示を行うものであって、該キャラクタをセットごとに変更する。ポイントの当選確率と登場するヒロインをセットごとに変更することで、あたかもヒロインそれぞれが独自の個性を持つように演出することができ、遊技者の興味をより一層引き付けることが可能である。
(7)ボーリングの演出が始まる前のタイトル表示が行われるゲーム(図18のステップS210を参照)においても、既にチャンスゾーンに入っていることを考慮し、ポイントの抽選が実施されるようにしても良い。この場合、当該抽選で当選したポイントP(0)は、第1セットの1ゲーム目のポイントに加算されるようにしても良く(図33の処理Xを参照)、最終ポイントに直接加算されるようにしても良い。このようにすれば、ポイントを出来るだけ多く稼ぎたいと願う遊技者を、より満足させることが可能となる。
(8)最終ポイントが合格ラインに達したときに与えられる特典の内容は、ストック加算抽選の代わりに(或いはこれに加えて)、別の内容としても構わない。遊技者にとって有利となる何らかの特典とすれば、これを獲得しようとする遊技者のモチベーションを引き出すことが出来る。また、最終ポイントが高くなるほど、特典の内容が遊技者にとってより有利となるようにすれば、更に上を目指す遊技者をより一層熱くさせることが出来る。
(9)本実施形態では、1セット(最終セットを除く)内のゲームで取得可能なポイントの上限は、1フレーム内で倒す可能性のあるピンの本数に合わせて「10」としていた。この点、当該上限を無くして、1セット内のゲームで「10」を超えるポイントを取得可能としても良い。但し「10」を超えたポイントについては、倒れるピンの本数で表現できないため次のセットへ繰り越して(図33の処理Yを参照)、その1ゲーム目で得られるポイントへ加算されるようにする。このようにすれば、1ゲーム目のポイントに関わらず、2ゲーム目のポイントが0〜10の何れとなっても不都合は生じないので、1ゲーム目と2ゲーム目で共通のポイント抽選テーブルPT1(図23を参照)を用いることも可能となる。なお、「10」を超えたポイントについては破棄されず、最終ポイントに反映されるため、遊技者がポイントを損したと不満に感じることはない。
(10)ボーリングの演出が行われるゲーム数は、既に説明した通り、ポイントの取得状況によって5ゲーム(1〜3フレーム目がストライクで1投だけとなり、4フレーム目で2投となるケース)から9ゲーム(1〜3フレーム目で2投となり、4フレーム目で3投となるケース)の間で変動する。しかし余りに少ないゲーム数でボーリングの演出が終わってしまうと、遊技者にとって興ざめとなってしまう虞がある。
そこで、もし7ゲーム以下でボーリングの演出が終わる状況となった場合には、第4セット(第4フレーム)と同様のポイント抽選を行うセットを5セット目として追加し、特別な最終フレーム(第5フレーム)の演出が行われるようにしても良い。このようにすれば、余りに少ないゲーム数でボーリングの演出が終わってしまうことはなく、遊技者が興ざめとなる事態は抑えられる。なお、5セット目のボーリングの演出として、副制御部160は、4人のヒロイン全員が一緒に投球を行う演出シーンを表示させる。この演出により、遊技者はボーリングのミッション遂行がクライマックスに入ったと感じ、高揚感が更に高まることとなる。
図34は、本変形例におけるチャンスゾーンの演出およびポイント加算の流れを、図29に倣って模式的に示している。なお、本図に破線で示す第5セット(第5フレーム)の内容は、第1〜第4フレームのゲーム数が7以下であった場合に限り追加される。このように第5セットが追加される場合は、第4セットのセットポイントP(4)の代わりに、第5セットのセットポイントP(5)が最終ポイントP(SUM)とみなされる。このように本変形例では、原則としては規定回数(4回)のセットで取得されるポイントを加算したものが最終ポイントP(SUM)とされるが、この規定回数のセットに含まれるゲーム数が所定数「7」以下である場合に、該規定回数が増やされる。
(総括)
以上に説明した通り遊技機1は、遊技用のゲーム(変動表示ゲーム)を繰返し実行する遊技機であって、ゲームごとにポイントを取得するポイント取得手段と、取得済みのポイントに応じた演出を行う演出手段と、取得済みの各ポイントを加算した最終ポイントP(SUM)に応じて、前記遊技に関する特典(ストック加算抽選)を付与する特典付与手段と、を備えている。更に遊技機1は、何れかのゲームにおいて所定の特別加算条件が満たされた場合(そのゲームを含むセットでの基礎ポイントが規定値「10」に達した場合)、その次のゲーム以降で取得されるポイントの少なくとも一部を、最終ポイントP(SUM)に割増しして加算するようになっている。そのため遊技機1は、チャンスゾーンで遊技者の興味をより引き付けることが可能である。
なお上記実施形態の説明は、基本的に全ての点で例示であり、制限的なものではないと考えられるべきである。また上述した実施形態ならびに各種変形例の内容は、技術的な矛盾の無い限り、適宜組み合わせて実施することが可能である。更に、上記実施形態では遊技機として回胴式遊技機を例に挙げたが、本発明は弾球式遊技機(パチンコ機)など他の遊技機についても適用可能である。