JP5909114B2 - 破壊力学パラメータ測定方法 - Google Patents
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Description
例えば航空機の構造部材では、複数枚の樹脂基複合材を貼り合わせ、部材の板厚を厚くしている。このように複数枚の樹脂基複合材を貼り合わせる際に異物が混入すると、強度低下を招き、損傷の起点となる。このため、航空機ではこのような損傷をある程度で許容する設計が行われている。その場合、複合材の層間破壊靭性を用いて強度設計を行い、許容可能な損傷の寸法を決めることがある。
図1は、第1実施形態に係る破壊力学パラメータ測定方法に使用する供試体の概略図である。図1(a)は側面図であり、図1(b)は平面図である。
図1の供試体1は、第1部材2と第2部材3とが接着された形状となっている。第1部材2及び第2部材3は、例えば炭素繊維やガラス繊維などの繊維をエポキシ樹脂などで固定した繊維強化樹脂シート(プリプレグ)を複数積層させて構成される樹脂基複合材や、金属板とされる。第1部材2と第2部材3とは、接着剤等により接着されていても良いし、第1部材2及び第2部材3を積層させたのち同時に硬化されて接着されていても良い。
本実施形態では、第2部材3は、短辺が第1の方向と交差する方向になるように配置される。第2部材3の短辺は、図1(b)のように第1の方向と略垂直であることが好ましい。但し、本実施形態はこれに限定されず、平面で見たときに第2部材3が図1(b)の配置に対して回転しているように配置されていても良い。
このように、第2部材3が中心軸で対称になるように配置され、第2部材3の短辺が第1の方向と略垂直であるように配置されると、後述する破壊力学パラメータの算出が容易となる。
図1では、第1部材2の短辺と第2部材3との短辺とは同じ長さにしたが、第2部材3の短辺は第1部材2の短辺よりも小さくしても良い。
図1(b)では、欠陥4は第2部材3の傾斜形状に加工された辺のうち一方の辺、つまり、第1部材2と第2部材3との接触面の第2部材3の短辺側の一方に設けられている。欠陥4は、図1(b)のように第2部材3の短辺方向全体に導入されていることが好ましいが、第2部材の長辺側端部で欠陥4が導入されずに第1部材2と第2部材3とが接着されていても良い。
図2(a)の欠陥4は、欠陥4の周囲の第1部材2と第2部材3とが接着されるように設けられている。欠陥4の形状は特に限定されず、正方形、長方形などであっても良い。
図2(b)の欠陥4は、接触面の中央部分で第1の方向に略垂直な方向に延在し、第1部材2の長辺側に位置する端部側で第1部材2と第2部材3との接触面を貫通するように設けられている。
図2(c)の欠陥4は、接触面の中央部分で第1部材2の長辺方向(第1の方向に略平行な方向)に延在し、第1部材2の両端部(第2部材3の加工された辺)で第1部材2と第2部材3との接触面を貫通するように設けられている。
図3の供試体1では、第2部材3に切欠き加工が施されていない。このため、第1の方向と交わる第2部材3の一対の辺(短辺)は、第1部材2に対して垂直になるように加工されている。
(1)供試体パラメータの設定
図1または図3の供試体1のパラメータを設定する。ここで設定されるパラメータは、第1部材2の厚さt1、第2部材3の厚さt2、第1部材2の弾性率E1、第2部材3の弾性率E2、第2部材3の長さW、第2部材3の傾斜部分の幅L、及び、欠陥4の長さaである。第2部材3の長さWは、第1部材と接触する平面部分において、第1の方向に略平行な辺の長さである。欠陥4の長さaは、第1の方向に略平行な方向の長さである。傾斜部分の幅Lは、第1の方向に略平行な方向の幅である。
任意の数値とされる供試体パラメータが与えられた図1または図3の供試体1の破壊力学パラメータが、FEM解析により算出される。
図4は、図1の供試体に負荷が付与される状況を説明する概略図である。供試体1の第1部材2の第1の方向の両端が、掴み治具5によって挟まれる。このとき、第2部材3は掴み治具5に接触させない。
FEM解析で得られた破壊力学パラメータGI、GIIから、各引張負荷でのモードI及びモードIIの混合比率が算出される。本実施形態では、混合比率はGI/GIIと定義される。算出される混合比率の値は、0から∞の間の値になる。
(1’)強度測定
図1または図3に示される供試体1が作製される。供試体1の作製では、第1部材2と第2部材3の間に層間剥離を挿入した後に第1部材2と第2部材3とを接着する。接着する方法は、第1部材と第2部材とをエポキシ系接着材などで接着する。あるいは、第1部材及び第2部材を樹脂基複合材とした場合にはプリプレグを同時に硬化成形する。但し、欠陥4が導入される部分では、第1部材2と第2部材3とを接着させない。なお、層間剥離は、JIS K 7086に倣い、テフロンフィルム等で模擬する。
なお、モードIのみのGI、及び、モードIIのみのGIIは、JIS K7086で取得する。
図7は、第2実施形態に係る破壊力学パラメータ測定方法を説明する概略図である。図7(a)は側面図であり、図7(b)は平面図である。図7の供試体1は、図1と同一形状であるが、図3と同じ供試体としても良い。
図9は、第3実施形態に係る破壊力学パラメータ測定方法を説明する概略図である。図9は供試体10の側面図である。第3実施形態の供試体10は、図1と同一形状の2つの成形体の第1部材12a,12b同士を接触させた形状である。本実施形態では、第1部材12a,12b同士は、接着されていても良いし、接着されていなくても良い。第1部材12a,12bと第2部材13a,13bとの間には、それぞれ欠陥14a,14bが導入されている。欠陥14a,14bは同じ側に導入されている。
第3実施形態では、図3と同一形状の成形体を適用することもできる。
図10は、第4実施形態に係る破壊力学パラメータ測定方法を説明する概略図である。図10は供試体20の側面図である。第4実施形態の供試体20は、第1部材22の両面に、同一形状の2つの第2部材23a,23bが接着される。第1部材22と第2部材23aとの間に導入される欠陥24aと、第1部材22と第2部材23bとの間に導入される欠陥24bとは、同じ側に形成されている。
図10では第2部材の一対の辺は傾斜形状に加工されているが、図3のように垂直になるように加工されていても良い。
2,12a,12b,22 第1部材
3,13a,13b,23a,23b 第2部材
4,14a,14b,24a,24b 欠陥
5,15,25 掴み治具
6 第1押え治具
7 第2押え治具
8 ボルト
Claims (5)
- 第1の方向に延在する板状の第1部材と、該第1部材よりも小さく、対向する一対の辺が垂直または傾斜形状に加工された板状の第2部材とを有し、前記第1部材と前記第2部材との接触面に所定の大きさの欠陥が導入されるように、前記第1部材の一方の平面部分に前記第2部材の一方の平面部分を前記一対の辺が前記第1の方向と交差する方向に配置して接着された成形体を供試体とし、
前記供試体の供試体パラメータとして、前記第1部材の厚さと、前記第2部材の厚さと、前記第1部材の弾性率と、前記第2部材の弾性率と、前記第1部材と接着される前記第2部材の前記平面部分の前記第1の方向に延在する一対の辺の長さと、前記第1の方向での前記欠陥の幅と、前記傾斜形状の前記第1の方向での幅とが任意の値に設定される供試体パラメータ設定工程と、
前記設定された供試体パラメータを有する前記供試体における前記第1部材の前記第1の方向の両端部を掴み治具で挟み、該掴み治具を介し、前記供試体に対して前記第1の方向に所定の引張負荷が与えられる場合に、前記欠陥でのモードIの破壊力学パラメータGI及びモードIIの破壊力学パラメータGIIが、FEM解析を用いて算出される破壊力学パラメータ算出工程と、
前記破壊力学パラメータ算出工程で算出された破壊力学パラメータから、前記設定された供試体パラメータ及び前記負荷での前記モードIと前記モードIIとの破壊力学パラメータの混合比率GI/GIIが算出される混合比率算出工程とを備える破壊力学パラメータ測定方法。 - 前記設定された供試体パラメータを有する前記供試体における前記第1部材の前記第1の方向の両端部を掴み治具で挟み、該掴み治具を介し、前記供試体に対して前記第1の方向に引張負荷が与えられた場合に、前記欠陥から破壊が開始した時の前記引張負荷の値が取得される層間剥離強度測定工程とを更に備え、
前記破壊力学パラメータ算出工程において、前記強度測定工程で取得された前記引張負荷の値を用いて、前記欠陥から破壊が開始した時の前記モードIの破壊力学パラメータGId及び前記モードIIの破壊力学パラメータGIIdが算出され、
前記混合比率算出工程において、前記算出された破壊力学パラメータから、前記欠陥から破壊が開始した時の前記混合比率GId/GIIdが算出される請求項1に記載の破壊力学パラメータ測定方法。 - 前記供試体の前記第2部材が設けられる側の面上に、前記第2部材の形状に倣った形状を有する第1押え治具が設置され、
前記供試体の前記第1押え治具が設置された面と反対側の面上に、前記第1部材の形状に倣った第2の押え治具が設置される請求項1または請求項2に記載の破壊力学パラメータ測定方法。 - 前記第1部材の他方の平面部分同士を接触させた同一の形状を有する2つの前記成形体を前記供試体とした請求項1または請求項2に記載の破壊力学パラメータ測定方法。
- 前記成形体の前記第1部材の他方の平面部分に、前記第2部材と同一形状の別の第2部材を接着させた成形体を前記供試体とした請求項1または請求項2に記載の破壊力学パラメータ測定方法。
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