JP5904606B2 - 赤色の苞葉及び非機能性の小型杯状花序を伴うユーフォルビア属(Euphorbia)種間雑種植物体を作製するための方法 - Google Patents

赤色の苞葉及び非機能性の小型杯状花序を伴うユーフォルビア属(Euphorbia)種間雑種植物体を作製するための方法 Download PDF

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Description

[0002]本発明は、赤色の苞葉及び非機能性の小型杯状花序を有する、ユーフォルビア・プルケリマ(Euphorbia pulcherrima)×ユーフォルビア・コルナストラ(Euphorbia cornastra)の種間雑種植物体を作製するための方法、及びこの方法により作製される植物体に関する。本出願で引用される全ての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
[0003]本発明の分野は、園芸、植物育種、及び植物遺伝学に関する。
[0004]鑑賞植物の市場は大きく、多様であり、この市場においては、鑑賞者の充足及び関心を増大させるための新たな革新的生産物及び改善が常に要求されている。この市場で販売される人気のある1つの植物が、ポインセチア(ユーフォルビア・プルケリマ)である。ポインセチアは、その色彩豊かな苞葉(花を葉腋に抱く)でよく知られており、赤色、白色、ピンク色、紫色及び橙色などの色の範囲で生産されている。赤色が、最も人気の高い色であり、世界中の売上高の大半を占めている。
[0005]種間雑種は、2000年10月16日に出願された、Kobayashi、R.、「Euphorbia interspecific hybrid plant」、米国特許第6,515,20号;及び2006年9月28日に出願された、Bernuetz、A.、「Method of producing Euphorbia interspecific hybrid plants by cutting and then culturing the hybrid embryos」、米国特許出願公開第20060218679号において記載されている通り、ユーフォルビア・プルケリマ(2n=28)とユーフォルビア・コルナストラ(2n=28)との間で作製されている。それらの全体が本明細書に組み込まれる、前述された2つの参考文献で概括された方法から作製される植物体は、ユーフォルビア・プルケリマと比較すると、異なる外見及び一部の改善された特徴を有する。例えば、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの雑種植物体は、市販されるポインセチアと比較して、分枝能が高く、苞葉のサイズを小さくする傾向がある。ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの雑種植物体は常に、ピンク色の苞葉を有し、通例、ポインセチアの最も人気の高い栽培品種と比較して、栽培後性状が劣る。ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの市販されている栽培品種には、プリンセチア(PRINCETTIA)シリーズ(Bonza Botanicals,Pty Ltd、米国植物特許第PP23,296号;同第PP21,327号;同第PP21,326号;同第PP21,325号;同第PP21324号)及びドゥルセローザ(Dulce Rosa)(米国植物特許第PP15,849号)が含まれる。突然変異育種は、様々な色調のピンク色をもたらすことができ、栽培品種であるプリンセチアマックスホワイト(PRINCETTIA MaxWhite)(米国植物特許第PP23,296号)は、ピンク色の葉脈を伴う、白色〜極めて薄いピンク色の苞葉を有する。
[0006]市販されているユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ雑種は、ほとんど完全に雄性不稔性(一部の栽培品種では、時折、稔性葯を発生させることがある)であり、全てが雌性不稔性である。このようにこれらの植物体は繁殖できないという事実により、さらなる育種研究及び改善を行い得る範囲は限定されてしまう。
[0007]既に言及した文献において概括された方法は、市販可能な鑑賞用種間雑種であるE.プルケリマ(E.pulcherrima)×E.コルナストラ(E.cornastra)の植物体を開発するのには有用であったが、これらの方法により、(a)非機能性の小型杯状花序及び(b)赤色の花の苞葉を伴う種間雑種であるE.プルケリマ×E.コルナストラの植物体を開発することは不可能であった。
[0008]以下の実施形態及びそれらの態様は、例示的であることを意図するものであり、範囲を限定することを意図するものではない、システム、ツール及び方法と共に記載される。様々な実施形態において、上記の問題のうちの1又は複数が軽減又は解消され、一方で他の実施形態は、他の改善へ向けたものである。
[0009]第1の態様では、本発明は、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を作製するための方法であって、(a)二倍体の(2n=28)ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体であり、暗いピンク色の苞葉、ある量の稔性花粉を含有する偶発的な葯の生成、妥当な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性などの属性を好ましくは保有し得る、適切な雄性親の植物体を用意するステップと、(b)上記の(a)において記載した植物体の、栄養枝の先端部による挿し木を用意するステップと、(c)根の成長促進ホルモンを、栄養枝の先端部による挿し木の基部へと適用するステップと、(d)栄養枝の先端部による挿し木を繁殖させて、根を伴う挿し木を作製するステップと、(e)植物体の染色体数の四倍体(2n=56)への倍加を結果としてもたらす、コルヒチンなどの化学組成物で、根を伴う挿し木を処置するステップと、(f)選択された、染色体を倍加させたシュートを、顕花植物へと生育させるステップと、(g)結果として得られる、四倍体と推定されるFの雑種植物体の花粉の産生及び花粉の生存度を評価するステップと、(h)植物体の染色体数を、細胞学的解析を介して確認するステップと、(i)植物体を、継代の栄養繁殖を介して安定化させるステップとを含む方法を提供する。
[0010]本発明のさらなる態様は、2n=56の染色体を伴う四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の種間雑種植物体を提供することである。
[0011]本発明のさらなる態様は、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の種間雑種植物体の植物部位を提供することである。
[0012]本発明のさらなる態様は、染色体を倍加させる方法であって、コルヒチンを用いて、クローン増殖させた四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の種間雑種植物体又はその部位を作製する方法を提供することである。
[0013]第2の態様では、本発明は、四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を作製する方法であって、(a)二倍体の(2n=28)ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体であり、暗い赤色の苞葉、雄性稔性及び雌性稔性、良好な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性などの属性を好ましくは保有し得る、適切な雌性親の植物体を用意するステップと、(b)上記の(a)において記載した植物体の、栄養枝の先端部による挿し木を用意するステップと、(c)根の成長促進ホルモンを、栄養枝の先端部による挿し木の基部へと適用するステップと、(d)栄養枝の先端部による挿し木を繁殖させて、根を伴う挿し木を作製するステップと、(e)根を伴う挿し木を、植物体の染色体数の四倍体(2n=56)への倍加を結果としてもたらす、コルヒチンなどの化学組成物で処置するステップと、(f)選択された、染色体を倍加させたシュートを、顕花植物へと生育させるステップと、(g)結果として得られる、四倍体と推定されるFの雑種植物体の雌性稔性及び雄性稔性を評価するステップと、(h)植物体の染色体数を、細胞学的解析を介して確認するステップと、(i)植物体を、継代の栄養繁殖を介して安定化させるステップとを含む方法を提供する。
[0014]本発明のさらなる態様は、2n=56の染色体を伴う四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を提供することである。
[0015]本発明のさらなる態様は、四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体の植物部位を提供することである。
[0016]本発明のさらなる態様は、染色体を倍加させる方法であって、コルヒチンを用いて、クローン増殖させた四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体又はその部位を作製する方法を提供することである。
[0017]第3の態様では、本発明は、雌性親としての二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を、雄性親としての四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体と交雑させることにより、戻し交雑による非機能性の小型杯状花序を伴う三倍体の種間雑種植物体を作製する方法であって、(a)第1の植物体及び第2の植物体を栽培するステップであり、第1の植物体が、二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体であり、第2の植物体が、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体であり、第1の植物体が、暗い赤色の苞葉、雄性稔性及び雌性稔性、良好な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性などの属性を好ましくは保有するステップと、(b)生存可能な花粉を第2の植物体から採取して、第1の植物体の受容性の柱頭へと適用するステップと、(c)結果として得られた胚を分離し、in vitroの適切な培地上で栽培するステップと、(d)この胚の生育から結果として生じる三倍体の、染色体が2n=42の(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の種間雑種植物体を得るステップとを含む方法を提供する。
[0018]本発明のさらなる態様は、最終的な植物体を、非機能性の小型杯状花序及び他の所望される商業属性に基づく商業的有用性について選択することである。
[0019]戻し交雑による三倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の種間雑種植物体の植物部位とは、花、挿し木、種子、花粉、胚珠又は細胞である。次いで、植物体を、植物部位からクローン増殖させる。
[0020]本発明のさらなる態様は、本発明の戻し交雑による三倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の染色体数が、2n=42であることである。
[0021]本発明のさらなる態様は、本発明の戻し交雑による三倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体に、ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)を感染させることである。
[0022]第4の態様では、本発明は、雌性親としての四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を、雄性親としての四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体と戻し交雑させることにより、非機能性の小型杯状花序及び赤色の苞葉を伴う、四倍体の種間雑種植物体を作製する方法であって、(a)第1の植物体及び第2の植物体を栽培するステップであり、第1の植物体が、四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体であり、第2の植物体が、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体であり、(b)第1の植物体が、暗い赤色の苞葉、雄性稔性及び雌性稔性、良好な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性などの属性を好ましくは保有するステップと、(c)生存可能な花粉を第2の植物体から採取して、第1の植物体の受容性の柱頭へと適用するステップと、(d)結果として得られた胚を分離し、in vitroの適切な培地上で栽培するステップと、(e)この胚の生育から結果として生じる四倍体の、染色体が2n=56の(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの)戻し交雑による植物体を得るステップとを含む方法を提供する。
[0023]本発明のさらなる態様は、最終的な植物体を、非機能性の小型杯状花序、赤色の苞葉、及び他の所望される商業属性に基づく商業的有用性について選択することである。
[0024]戻し交雑による四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の種間雑種植物体の植物部位とは、花、挿し木、種子、花粉、胚珠、又は細胞である。次いで、植物体を、植物部位からクローン増殖させる。
[0025]本発明のさらなる態様は、本発明の戻し交雑による四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の染色体数が、2n=56であることである。
[0026]本発明のさらなる態様は、本発明の戻し交雑による四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体に、ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)を感染させることである。
[0027]本発明のさらなる態様は、第3及び第4の態様から展開される、戻し交雑による三倍体及び戻し交雑による四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を作製するための方法であって、(a)戻し交雑による三倍体又は戻し交雑による四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体の挿し木を得るステップであり、前記植物体が、二倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマの雌性親と、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体との交雑から作製されるステップと、(b)この挿し木を栽培して、戻し交雑による三倍体又は戻し交雑による四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を得るステップとを含む方法を提供することである。
[0028]本発明のさらなる態様は、戻し交雑による三倍体又は戻し交雑による四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を作製するための方法であって、植物ホルモン組成物を挿し木の基部へと適用して、根の形成を誘導し、植物体を作製することでさらに定義される方法を提供することである。
[0029]本発明のさらなる態様は、ユーフォルビア・プルケリマ又はユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の染色体数を改変して、体細胞の染色体数を、二倍体の2n=2x=28から、四倍体の2n=4x=56へと増大させるための方法であって、(a)植物を栽培するステップと、(b)抗有糸分裂剤を、前記植物体の成長点へと適用するステップと、(c)処置された成長点からシュートを出芽させるステップと、(d)このようにして発生させた、四倍体と推定されるシュートを選択するステップと、(e)前記シュートの染色体の相補体を、細胞学的核型分析を介して評価するステップと、(f)前記シュートを、植物体へと生育させるステップと、(g)染色体の安定性を点検するステップとを含む方法を提供することである。
[0030]上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、以下の説明を研究することにより、さらなる態様及び実施形態も明らかとなる。
[0031]以下の説明及び表では、多数の用語が用いられる。本明細書及び特許請求の範囲の明確で一貫した理解を提供するために、このような用語に与えられる範囲を含め、以下の定義が提示される。
[0032]脱落:杯状花序に関して、離層の形成後における、関連する付属器の脱離を包含する。
[0033]対立遺伝子:対立遺伝子とは、遺伝子の1又は複数の代替的形態のうちのいずれかであって、それらの全てが1つの形質又は特徴に関連する。二倍体の細胞又は生物では、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子が、相同染色体の対において、対応する遺伝子座を占有する。
[0034]アミプロホスメチル(APM):本明細書で用いられる、アミプロホスメチル(APM)とは、染色体の倍加を誘導するために、植物育種において用いられる化合物を指す。
[0035]雄蕊群:集合的に雄蕊と称する植物花の雄部位。
[0036]異質四倍体:本明細書で用いられる異質四倍体とは、各々が異なる種に由来する2つのゲノムについて二倍体である植物体を意味する。例えば、本発明の異質四倍体であるユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体は、2n=56の染色体を有する。
[0037]異質三倍体:本明細書で用いられる異質三倍体とは、染色体数が一倍体の3倍である三倍体の植物体を意味する。例えば、本発明の異質三倍体の植物体は、2n=42の染色体を有する。
[0038]異数性四倍体:本明細書で用いられる異数性四倍体とは、四倍体の植物体及び染色体数が一倍体の4倍を超えるか又は一倍体の4倍未満である任意の植物体を意味する。例えば、本発明の異数性四倍体のユーフォルビア属の植物体は、2n=56±いくつかの染色体を有する。
[0039]異数性三倍体:本明細書で用いられる異数性三倍体とは、三倍体の植物体及び染色体数が一倍体の3倍を超えるか又は一倍体の3倍未満である任意の植物体を意味する。例えば、本発明の異数性三倍体の植物体は、2n=42±いくつかの染色体を有する。
[0040]抗有糸分裂剤:本明細書で用いられる抗有糸分裂とは、有糸分裂(細胞分裂)を停止させることにより細胞の増殖を遮断するのに用いられる化合物又は化学物質であって、染色体の倍加を誘導するために、植物育種において用いられる化合物又は化学物質を指す。抗有糸分裂剤の例には、コルヒチン、トリフルラリン、オリザリン及びアミプロホスメチル(APM)が含まれるが、これらに限定されない。
[0041]無性繁殖/無性生殖:無性繁殖又は無性生殖とは、有性生殖された種子を除くあらゆる種類の植物体の繁殖を意味する。無性繁殖の例には、挿し木、接ぎ木、株分け、無配偶生殖、又は組織培養における再生が含まれるが、これらに限定されない。
[0042]戻し交雑:戻し交雑とは、育種家が、雑種の後代を、親植物のうちの1つへと繰り返し差し戻して交雑させる過程であって、例えば、第1世代の雑種Fを、F雑種の親遺伝子型のうちの1つと交雑させる過程である。
[0043]苞葉:有色であることが多い変形した葉構造であって、ユーフォルビア属の一部の種において杯状花序を葉腋に抱く葉構造。
[0044]細胞:本明細書で用いられる細胞には、分離されている場合であれ、組織培養物中の場合であれ、植物体内又は植物部位内に組み込まれている場合であれ、植物細胞が含まれる。
[0045]キメラ:キメラ又はキメラ植物体とは、2つ以上の遺伝子的に異なる細胞群からなる植物体である。遺伝子的な異質性は通例、突然変異に由来する。
[0046]染色体数:植物細胞により保有される染色体数。
[0047]染色体の安定性:本明細書で用いられる染色体の安定性とは、突然の変化若しくは変動又は極端な変化若しくは変動の下に置かれることのない染色体を指す。
[0048]コルヒチン:コルヒチンとは、イヌサフランから得られる淡黄色のアルカロイドC2225NOであって、染色体の倍加を誘導するために、植物育種において用いられるアルカロイドである。
[0049]交雑:植物体の雌花による受粉であって、これにより、花からの種子の生成を結果としてもたらす可能性がある受粉。
[0050]他家受粉:異なる植物体に由来する2つの配偶子の合一による受精。
[0051]挿し木:植物体から採取された茎、葉又は根など、植物体に由来する部位であって、移植又は接ぎ木などを介して、新たな植物体を繁殖させる部位。
[0052]杯状花序の直径:ミリメートル単位の直径であって、杯状花序のうちの最も幅の広い部位において横方向に測定される一次杯状花序又は二次杯状花序の直径。
[0053]杯状花序(cyathium)(複数形:cyathia)とは、ユーフォルビア属(ユーフォルビア(Euphorbiaceae)科)の植物体の花序を形成する、特殊な偽花(「疑似花」)の1種である。杯状花序は、植物体において生成する際、一次(第1の)、二次(第2の)、三次(第3の)などと記載される。
[0054]二倍体:二倍体(体細胞の染色体数である2n=2xにより表示される)とは、基本(一倍体の)染色体数(記号xにより表示される)が倍加されるように、各種類の染色体の1つの対(相同対)を有する体細胞又は植物体である。本文書の文脈において、二倍体とは、2n=28を意味する。
[0055]優性遺伝:特定の特徴又は形質の表現型が優性対立遺伝子により決定される遺伝方式を指す。
[0056]優性突然変異:優性突然変異の表現型は、ヘテロ接合の遺伝子型において目視可能である。
[0057]除雄する:植物体の雄性生殖器官の除去、或いは化学薬剤又は雄性不稔性を付与する細胞質若しくは核の遺伝因子による雄性生殖器官の不活化。
[0058]胚:前胚が胚及び胚柄へと分化した場合の受精又は単為生殖の後における幼齢の植物個体。
[0059]胚培養:in vitroの適切な培地上における、分離された植物胚の育成。
[0060]胚救出:本明細書で用いられる胚救出とは、植物育種家が、親植物では脆弱な場合もあり、未成熟した場合もあり、他の形で成熟した生存可能な種子へと発育しない場合もある胚を成長させようと試みるために用いる過程である。例えば、胚救出の1つの形態は、種子から胚珠を無菌的に取り出して、胚珠を人工的な培地に入れ、胚の成長及び植物体への生育を可能とすることを伴う胚珠培養である。
[0061]ユーフォルビア・コルナストラ:ユーフォルビア科に由来する植物種であって、部分的に栽培化されているが市販はされていない植物種。本文書の文脈では、別段に言明されない限り、ユーフォルビア・コルナストラの染色体数が、二倍体の2n=28である。
[0062]ユーフォルビア・プルケリマ:ユーフォルビア科に由来する植物種であって、栽培化されており、商業園芸において鑑賞植物として用いられている植物種である。本文書の文脈では、別段に言明されない限り、ユーフォルビア・プルケリマの染色体数は、二倍体の2n=28である。
[0063]ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ:雌性親としての二倍体のユーフォルビア・プルケリマと、雄性親としての二倍体のユーフォルビア・コルナストラとの種間雑種。結果として得られるFの種間雑種の染色体数は、二倍体の2n=28である。
[0064]F:「F」という記号は、第1世代であるF世代のメンバーの自殖又は自己交配から結果として生じる子孫を表示する。
[0065]微毛を伴う杯状花序:内部形質の肥大という特徴を保有する杯状花序であって、外側へ拡張し、杯状花序を開かせ、これに柔微毛を伴う外見をもたらす杯状花序。微毛を伴う杯状花序は通例、通常の杯状花序と比較して大幅に肥大しており、商業的に望ましい植物体の形質であるとは考えられない。
[0066]配偶子:接合子を形成する有性融合に関与し得る細胞又は核。
[0067]遺伝子:本明細書で用いられる遺伝子とは、核酸のセグメントを指す。遺伝子は、異なる種に由来する場合であれ、同じ種に由来する場合であれ、形質転換又は多様な育種法を用いて種のゲノムへと導入することができる。
[0068]遺伝子型:細胞又は生物の遺伝子構成を指す。
[0069]雌蕊群:植物体の花部位を生成させる胚珠。
[0070]半数体:半数体とは、染色体の相補体の各染色体の一方の代表だけを含有する細胞核であり、記号nにより表示される。半数体数(n)とは、半数体の細胞核内の染色体数である。配偶子とは、半数体の細胞である。
[0071]ヘテロ接合性:特定の遺伝子の遺伝子座の対応する対立遺伝子が異なる遺伝子構成を指す。
[0072]ホモ接合性:特定の遺伝子の遺伝子座の対応する対立遺伝子が同一である遺伝子構成を指す。
[0073]同系交配:遺伝子的に近縁の配偶子の融合による子孫の生成と定義される。
[0074]花序:主枝からなる茎に配置される花の群若しくはクラスター又は枝の配置。
[0075]種間交雑:種間交雑とは、各々が同じ属の異なる種に由来する2つの個体の有性の雑種形成を意味する。例えば、ユーフォルビア・プルケリマの植物体を、ユーフォルビア・コルナストラの植物体と交雑させることを意味する。
[0076]種間雑種:種間雑種とは、種間交雑又は2つの異なる種の間の交雑から結果として生じるF世代の植物体を意味する。
[0077]核型分析:本明細書で用いられる核型分析とは、染色された中期染色体を光学顕微鏡解析することによる染色体数及び構成の確認を意味する。細胞を採取し、分裂するように誘導し、次いで、中期(染色体が凝縮されており、したがって、目視可能な細胞分裂の相)で停止させる。染色体を、明色バンド及び暗色バンドのパターンを示す特定の色素で染色する。染色体の大きな変化は、核型分析を用いて検出することができる。
[0078]遺伝子座:遺伝子座は、例えば、除草剤忍容性、虫害抵抗性、病害抵抗性、花の呈色、花の形、植物体の丈高など、1又は複数の形質を付与する。形質は、例えば、品種のゲノムへと導入される自然発生の遺伝子により付与される場合もあり、戻し交雑、天然若しくは誘導性の突然変異、又は遺伝子形質転換法を介して導入されるトランス遺伝子により付与される場合もある。遺伝子座は、単一の染色体位置に組み込まれた1又は複数の対立遺伝子を含み得る。
[0079]M:M世代とは、突然変異原で処理された世代である。後続の世代を、M、M、Mなどと称する。
[0080]一倍体:一倍体の染色体数とは、単一の(非相同)セット内の染色体数(x)であり、半数体数(n)とは異なり得る。
[0081]突然変異:突然変異とは、細胞のゲノムのDNA配列内の変化であり、放射線又は化学物質などの突然変異原により引き起こされるほか、DNAの複製時に自発的に生じるエラーによっても引き起こされる。
[0082]非機能性の小型杯状花序:「非機能性の小型杯状花序」という語句は、横方向に測定される平均直径が3mm以下である杯状花序であって、機能的な雄蕊群及び雌蕊群を欠いているために性的能力を有さない杯状花序について記載する。
[0083]オリザリン:本明細書で用いられる、オリザリンとは、染色体の倍加を誘導するために、植物育種において用いられる化合物を指す。
[0084]異系交配(outbreeding):他殖配(outcrossing)としても知られており、遠縁の配偶子の融合による子孫の生成として説明される。異系交配とは、同系交配の反意語である。
[0085]胚珠培養:切り出された胚珠の、in vitroの適切な培地上における培養。
[0086]表現型:花の呈色、植物体のサイズなど、植物体の任意の観察可能な特徴又は形質を指す。
[0087]植物体:本明細書で用いられる植物体という用語は、そこから種子又は葯が採取される植物体を含め、未成熟又は成熟した全植物体に対する言及を包含する。また、植物体を生成させる種子又は胚も、植物体であると考えられる。
[0088]植物細胞:本明細書で用いられる植物細胞は、分離されている場合であれ、組織培養物中の場合であれ、植物体内又は植物部位内に組み込まれている場合であれ、植物細胞が含まれる。
[0089]草性:草性とは、植物体の全体的な生育表現型の目視による評価である。
[0090]植物ホルモン組成物:本明細書で用いられる植物ホルモン組成物とは、植物の生育を調節する化学物質を指す。例えば、インドール−3−酪酸、N−ベンジルアデニン、及びジベレリン酸を指す。
[0091]植物部位:本明細書で用いられる「植物部位」という用語は、プロトプラスト、葉、茎、根、根端、葯、雌蕊、種子、胚、花粉、胚珠、子葉、胚軸、杯状花序、苞葉、シュート、組織、葉柄、細胞、及び分裂組織細胞などを包含する。
[0092]PoiBI:特定のユーフォルビア属の種に感染し、感染した植物体の分枝を増大させる影響を及ぼすファイトプラズマである、ポインセチア分枝誘導ファイトプラズマの略記。
[0093]受粉:受粉とは、花粉を植物体内に移送し、これにより、受精及び有性生殖を可能とする過程である。
[0094]倍数体:2つを超える相同染色体の完全なセットを保有する植物個体。
[0095]栽培後:栽培後とは、温室栽培施設を離れた後の時間を意味する。
[0096]栽培後性状:栽培後性状とは、温室栽培施設を離れる時点からの植物の品質及びその後の品質の低下に関する。
[0097]後代:本明細書で用いられる後代には、ユーフォルビア・プルケリマの植物体の、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ系統に由来する植物体との交雑から作製されるFの植物体が含まれる。後代には、後続のF、F、F、F、F、F、F、F、及びF10世代の、親植物体と後代植物体との交雑腫がさらに含まれるがこれらに限定されない。
[0098]劣性遺伝:特定の特徴又は形質の表現型が劣性対立遺伝子により決定される遺伝方式を指す。
[0099]劣性突然変異:劣性突然変異の表現型は、ホモ接合性の遺伝子型だけにおいて目視可能である。
[0100]再生:植物体の、組織培養物からの発生を指す。
[0101]有性繁殖/有性生殖:植物体の、種子からの繁殖を指す。
[0102]体細胞:植物の胞子、配偶子、又はそれらの前駆体以外の任意の細胞。
[0103]四倍体:本明細書で用いられる四倍体とは、染色体数が一倍体の染色体数の4倍である細胞又は植物体を指し、体細胞では2n=4xで表される。本文書の文脈では、四倍体は2n=56を意味する。
[0104]トリフルラリン:本明細書で用いられるトリフルラリンとは、染色体の倍加を誘導するために、植物育種において用いられる化合物を指す。
[0105]三倍体:本明細書で用いられる三倍体とは、染色体数が一倍体の染色体数の3倍である細胞又は植物体を指し、体細胞では2n=3xで表される。本文書の文脈では、三倍体は2n=42を意味する。
[0106]品種:植物育種の当業者により用いられる植物品種とは、既知の最も階層の低い単一の植物学的分類群内の植物の群分けであって、所与の遺伝子型又は表現型の組合せから結果として生じる特徴の発現により定義することができ、前記特徴のうちの少なくとも1つの発現により他の任意の植物の群分けから識別することができ、変化させずに繁殖させるためのその適性に関する単位として考えられ得る、既知の最も階層の低い分類群内の植物の群分けを意味する(植物の新品種の保護に関する国際条約(International convention for the protection of new varieties of plants))。
四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の雑種植物体の発生
[0107]本発明は、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体であって、本明細書では、染色体数が2n=56であると定義される植物体を発生させるための方法を提供する。利用可能な先行技術では、Bernuetz,A.、「Studies on breeding dwarf poinsettias(Euphorbia pulcherrima Willd.)and the influence of infective agents」、シドニー大学への博士論文(2001)の著者がそれらの潜在的な発生及び使用について示唆している(243〜244ページ、271ページ)が、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体については報告されていない。
[0108]ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の四倍体は、好ましくは、抗有糸分裂剤を用いることにより発生させる。抗有糸分裂剤の例には、コルヒチン、トリフルラリン、オリザリン、アミプロホスメチル、及び(1又は複数の)他の倍数性誘導剤が含まれるがこれらに限定されない。四倍体は、天然で自発的に生じる場合もあり、コルヒチンなどの紡錘糸阻害剤を用いて誘導することもできる。コルヒチン誘導性の倍数体形成法は、1930年代から用いられている。コルヒチンは、チューブリンサブユニットの紡錘糸へのアセンブリーを阻害するため、染色体の移動が生じず、よって、有糸分裂の中期にある細胞が蓄積される。染色分体が分離されても紡錘体により分離された細胞へと分裂しないと、染色体数が倍加され、同質倍数体が創出される。育種を目的として倍数体を創出する場合は、配偶体の組織を発生させる頂端分裂組織層を倍加させる必要がある。倍加が成功する確率を最適化するように、多数の小型で活発に生育する分裂組織を処置する。通例では、コルヒチンを、組織及び種に応じて、0.1%〜2.0%の濃度で用いる。Poehlman,J.M.、「Breeding Field Crops」、University of Missouri、Holt,Rinehart and Winston Inc.(1966);Watts,L.、「Flower and Vegetable Plant Breeding」、Grower Books(1980);Callaway D.J.及びCallaway M.B.、「Breeding Ornamental Plants」、Timber Press Inc.(2000)において論じられている通り、当技術分野では、種子をコルヒチン又は他の紡錘糸阻害剤で処置するための方法がよく知られている。
[0109]倍数性の変化は、交雑能力、生殖性、細胞サイズ、及びヘテロ接合性に影響を及ぼす。これらの因子は、潜在的な利益のほか、植物育種における限界ももたらす。倍数性の操作は、複数の異なる倍数性の間における生殖細胞質の遺伝子移入のために用いられた。例えば、リリウム属(Lilium)の種間雑種のFにおける不稔性を克服するための四倍体の誘導に、コルヒチンが用いられた。4つのリリウム属種の近縁種群による雑種間の四倍体のレベルでの種間交雑が行われた。Van Tuyl,J.及びvan Holsteijn,H.、「Lily breeding research in the Netherlands」、Acta Horticulturae、414:35〜45(1996)を参照されたい。天然では二倍体であるブドレジャ・グロボーサ(Buddleja globosa)の四倍体の植物体が、コルヒチンによる処置を用いて作製され、天然の四倍体のブドレジャ・ダビディイー(Buddleja davidii)との交雑が施されて、花の黄色の呈色がブドレジャ・ダビディイーへと導入されている。Rose,J.、Kubba,J.、及びTobutt,K.、「Induction of tetraploids for breeding hardy ornamentals」、Acta Horticulturae、560:109〜112(2001)を参照されたい。花を全て黄色に呈色させたシクラメン・ペルシクム(Cyclamen persicum)の栽培品種は二倍体であり、花弁に「色斑」を有さない。コルヒチンによる処置を用いて、花を黄色に呈色させた四倍体のシクラメンを誘導した。四倍体の「色斑を伴う」栽培品種と交雑させた後も、分離のために、花を黄色に呈色させた「色斑を伴う」選択を種子により維持することはできなかった。Takamura,T.、Sugimura,T.、Tanaka,M.、及びKage,T.「Breeding of the yellow−flowered tetraploid cyclamen with “eye”」、Acta Horticulturae、454:119〜126(1998)を参照されたい。
[0110]本発明は、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の染色体数を改変して、染色体数が2n=56である四倍体の植物体を発生させる方法であって、(a)ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体を栽培するステップと、(b)抗有糸分裂剤を植物体の成長点へと適用するステップと、(c)シュートを処置された植物体の成長点から出芽させるステップと、(d)植物体からこのようにして発生した、四倍体と推定されるシュートを選択するステップと、(e)細胞学的核型分析を介して四倍体のシュートの染色体の相補体を評価するステップと、(f)四倍体のシュートを植物体へと生育させるステップと、(g)染色体の安定性を点検するステップとを含む方法を提供する。当業者は、四倍体性への誘導の結果、染色体数が予想される四倍体数より多いか又は少ない植物体がもたらされる可能性があることを認識し得、本明細書では、このような異数体の植物体は、異数性四倍体と定義される。
四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体の発生
[0111]本発明は、本明細書では染色体数が2n=56であると定義される、四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を発生させるための方法を提供する。
[0112]ポインセチアでは、四倍体の植物体が、ある植物体については自然発生の突然変異によるものとして報告され、他の植物体についてはコルヒチンの使用を介する誘導性のものとして報告されている。(Bernuetz,A.、247〜256ページ(2001);Ewart,L.C.及びWalker,D.E.、「Chromosome numbers in poinsettia」、The Journal of Heredity、51:203〜207(1960);Jacobsen,P.、「Poinsettia Plant “Pearl”」、米国植物特許第10,160号(1997);並びにStewart,R.、「Colchicine induced tetraploids in carnations and poinsettias」、American Society for Horticultural Science、57:408〜410(1951))。
[0113]しかし、四倍体の植物体の発生に成功することの困難性及び四倍体の植物体の発生に成功する可能性の程度は、適用される遺伝子型及び方法と共に変化する。例えば、Pickens,K.A.及びCheng,M.、「Effects of Colchicine and Oryzalin on Callus and Adventitious Shoot Formation of Euphorbia pulcherrima,‘Winter Rose’」、HortScience、41(7):1651〜1655(2006)の著者は、彼らの実験では四倍体の植物体が発生しなかったという事実について論じている。Bernuetz(2001)は、根を伴うポインセチアの挿し木を、0.1%〜0.3%の範囲のコルヒチン水溶液中で処置することにより、少数の四倍体のポインセチア植物体を発生させた。
[0114]当業者は、倍数体化剤が適用される方法の詳細及び処置される個別の遺伝子型により、予想外の帰結が結果としてもたらされることを認識し得る。驚くべきことに、本発明者は、ある範囲の遺伝子型の間で倍数体のポインセチアを作製する、簡単であるが高度に効率的な方法を発見した。
[0115]本発明は、ユーフォルビア・プルケリマの植物体の染色体数を改変して、染色体数が2n=56である四倍体の植物体を発生させる方法であって、(a)ユーフォルビア・プルケリマの植物体を栽培するステップと、(b)抗有糸分裂剤を植物体の成長点へと適用するステップと、(c)シュートを処置された植物体の成長点から出芽させるステップと、(d)植物体からこのようにして発生した、四倍体と推定されるシュートを選択するステップと、(e)細胞学的核型分析を介して四倍体のシュートの染色体の相補体を評価するステップと、(f)四倍体のシュートを植物体へと生育させるステップと、(g)染色体の安定性を点検するステップとを含む方法を提供する。当業者は、四倍体性の誘導の結果、染色体数が予想される四倍体数より多いか又は少ない植物体がもたらされる可能性がありを認識し得、本明細書では、このような異数体の植物体は異数性四倍体と定義される。
非機能性の小型杯状花序を伴う植物体(戻し交雑による三倍体の雑種)の発生
[0116]栽培後寿命は、鑑賞植物体において所望される鍵となる属性である。E.プルケリマ及びE.コルナストラによる雑種は、おそらくはそれらの杯状花序がかなり早く脱落するために、従来の最良のポインセチアの栽培品種と比較して栽培後寿命が短い後代を生成させ、鑑賞者の充足期間は短い(Bernuetz、243ページ、(2001))。ドゥルセローザは、その杯状花序サイズの大きさ及び比較的短い栽培後寿命で知られている(Dole,J.、Hammer,A.、及びBarrett,J.、National Poinsettia trials−New releases for 2006、Greenhouse Product News、2月号、22〜26ページ(2006))。したがって、杯状花序の保持の改善が、一部の公表された研究の焦点となっている。Bernuetz(2001)は、予備研究(データは示されていない)において、PoiBIに感染していない雑種植物体は収穫後期間が短く、この属性を改善すべきことについて言及した。植物体をPoiBIに感染させたところ、栽培後性状がわずかに改善された。Bernuetzは、E.プルケリマ×E.コルナストラのF(二倍体)雑種を、栽培後性状が優れたE.プルケリマ(二倍体)の植物体へと戻し交雑すれば、後代における栽培後性状が改善され得ることについて示唆したが、これをどのように実施し得るのかについては詳述せず、杯状花序の保持が改善され得ることを暗示した。利用可能な文献では、二倍体の戻し交雑が成功した証拠を見出すことができず、このような植物体が見られないことは、この種の交雑の成功率が低いか、雄性稔性のF(E.プルケリマ×E.コルナストラ)の後代が発生して用いられることがまれであるか、又はおそらく発生した後代が市販可能でなかったこと起因した可能性がある。
[0117]驚くべきことに、本発明者は、雌性親としての二倍体のE.プルケリマ植物体を、四倍体のE.プルケリマ×E.コルナストラのF雑種植物体と交雑させたところ、後代の多くは、杯状花序サイズが大幅に低減され、杯状花序の保持も実際に改善されることもなかったことを見出した。これらの杯状花序は小型で非機能性であり、このために、それらの小型のサイズを介して、植物体の栽培後性状を予想外に改善した。これらの小型で非機能性の杯状花序が脱落しても、製品の販売可能な外見に著明な影響が及ぶことはなかった。
[0118]ポインセチアでは、栽培後性状が、Nell,T.A.、Leonard,R.T.、Barrett,J.E.、「Production factors affect the postproduction performance of poinsettia−a review」、Acta Horticulturae、405:132〜137(1995);Nell,T.A.及びLeonard,R.T.、「Protecting poinsettias from postproduction losses」、GrowerTalks、7月号、98〜104ページ(1996);Embry,J.L.及びNothnagel,E.A.、「Leaf Senescence of Postproduction Poinsettias in Low−light Stress」、American Society for Horticultural Science、119(5):1006〜1013(1994);並びにLee,Y、Derbyshire,P.J.、Knox,P、及びAnne Kathrine Hvoslef−Eide,A.K.、「Sequential cell wall transformations in response to the induction of a pedicel abscission event in Euphorbia pulcherrima(poinsettia)」、The Plant Journal、54、993〜1003(2008)を含め多数の著者により探索されている。
[0119]ポインセチア又はユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ種間雑種についての植物体の栽培後劣化の徴候は通例、まず、杯状花序と、これらの杯状花序を葉腋に抱き、一次杯状花序が上方に付いた苞葉とが脱落し、これに続き、最も老化した下方の葉が一次杯状花序の下の苞葉にとどくまで上方へと順に脱落し、最後に、一次杯状花序の下の苞葉が脱落する。
[0120]本発明者は、驚くべきことに、本明細書で記載される方法を用いて、戻し交雑による非機能性の小型杯状花序を伴う三倍体の種間雑種植物体を発生させ、これにより、栽培後低下の第1相を事実上消失させ得ることを見出した。
[0121]小型の非機能性の杯状花序は、完全に成熟しても直径が約3mm未満であり、脱落すると乾燥し、鑑賞者には事実上感知できない極めて小さなサイズまでしぼむ。これらの杯状花序を葉腋に抱く苞葉は、驚くべきことに、脱落しない。
[0122]非機能性の小型杯状花序の別の予想外の鍵となる利益は、真菌であるボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)による感染に対するそれらの感受性が極めて低いことである。この一般的な温室真菌は、ポインセチア及びユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ種間雑種の杯状花序の葯及び蜜腺において増殖し、感染は、杯状花序の未熟状態での離脱を引き起こすことが多い。植物体の真菌による感染は、しばしば苞葉の脱落及び上方の苞葉枝の腐朽をもたらすことから、作物損失をもたらし、植物体を販売不可能とすることが多い。本発明の対象である植物体の小型の非機能性の杯状花序は、葯を保有しない。小型の非機能性の杯状花序はまた、杯状花序腺を大幅に退縮させ、蜜を産生しないことがしばしばである。これらの特徴のいずれもが、これにより、ボトリティス・シネレア感染及び作物損失の可能性を低減している。
[0123]本発明は、非機能性の小型杯状花序を伴う雑種である三倍体の植物体の生成を予想外に結果としてもたらした。本発明の方法では、種間交雑における雌性親としての二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を、「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」系統の雄性親と共に用いたが、ここで、前記交雑は、以下のステップ:(a)花粉を第2の植物から採取するステップ、(b)第1の植物の杯状花序にこの花粉を受粉するステップ、(c)受粉から結果として生じる胚を胚救出により分離するステップ、(d)胚をニュートリエント寒天培地上で培養するステップ、(e)この胚の生育から結果として生じる雑種の小植物体を得るステップ;及び(f)小植物体を温室の育成培地へと移植するステップを含み、小植物体は、成熟した三倍体の雑種植物体へと発育した。
[0124]四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を雄性親として用いることにより、雑種である後代は、非機能性の小型杯状花序を伴う後代の発生をもたらさなかった、二倍体の(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を雄性親として用いる場合と比較して、非機能性の小型杯状花序を予想外に保有した。
[0125]本発明のさらなる態様は、本発明の雑種植物体が、本明細書で定義される三倍体であって、染色体数が2n=42の三倍体であることである。
[0126]本発明のさらなる態様は、三倍体の雑種植物体を繁殖させることであり、(a)雌性親としての二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体と、雄性親としての「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」系統の植物体との交雑から作製される雑種植物体の挿し木を得るステップと、(b)この挿し木を栽培して、三倍体の雑種植物体を得るステップとを含む。
[0127]本発明のさらなる態様は、三倍体の雑種植物体を作製するための方法であって、植物ホルモン組成物を挿し木の基部へと適用して、四倍体の雑種植物体を作製するための根の形成を誘導することでさらに定義される方法を提供することである。
[0128]本発明のさらなる態様は、本発明の三倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ雑種植物体に、ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)を感染させることである。
[0129]上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、以下の例を研究することにより、さらなる態様及び実施形態も明らかとなる。
赤色の苞葉及び非機能性の小型杯状花序を伴う植物体(種間戻し交雑による四倍体の雑種)の発生
[0130]花き業界は、顕花植物の新たな異なる品種を開発しようと努力している。このような新規の品種を創出するための有効な方途は、花の呈色の操作を介する。花の呈色は、2種類の色素:フラボノイド及びカロテノイドに主に起因する。フラボノイドは、黄色〜赤色〜青色の範囲の色に寄与する。カロテノイドは、帯赤色〜橙色又は黄色の色合いを付与し、一般に黄色又は橙色の花における唯一の色素である。花の呈色に主要な寄与をなすフラボノイド分子はアントシアニンであり、アントシアニンは、シアニジン、デルフィニジン、ペツニジン、ペオニジン、マルビジン及びペラルゴニジンのグリコシル化誘導体であり、液胞内に局在化している。異なるアントシアニンは、呈色の顕著な差違をもたらし得る。花の呈色また、無色のフラボノイドとの共色素沈着、金属錯体化、グリコシル化、アシル化、メチル化、及び液胞のpHによっても影響される。Forkman,G.、「Flavonoids as flower pigments:the formation of the natural spectrum and its extension by genetic engineering」、Plant Breeding、106:1〜26(1991)を参照されたい。
[0131]本発明は、苞葉の赤色及びさらなる属性である非機能性の小型杯状花序を伴う種間戻し交雑による四倍体の植物体の作製を予想外に結果としてもたらした。本発明により作製される種間戻し交雑による四倍体の植物体の苞葉の赤色は、「Royal Horticultural Society Colour Chart」、2001に基づく色であるRHS N34A、N34B、42A、42B、42C、42D、43A、43B、43C、44A、44B、44C、44D、45A、45B、45C、45D、46A、46B、46C、46D、47A、47B、47C、47D、50A、53A、53B、53C、53Dの色として定義される。当業者は、苞葉の呈色の解釈が、生育温度、光の強度、栄養物の適用、有害生物及び病害に対する化学的処置、土壌の水分含量などを含めた多数の因子に起因して変化し得ることを認識し得る。
[0132]本発明の方法では、種間交雑における雌性親としての四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を、「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」系統の雄性親と共に用いたが、ここで、前記交雑は、以下のステップ:(a)花粉を第2の植物から採取するステップ、(b)第1の植物の杯状花序にこの花粉を受粉するステップ、(c)受粉から結果として生じる胚を胚救出により分離するステップ、(d)胚をニュートリエント寒天培地上で培養するステップ、(e)この胚の生育から結果として生じる小植物体を得るステップ;及び(f)小植物体を温室の育成培地へと移植するステップを含み、小植物体は、成熟した四倍体の植物体へと発育した。
[0133]本発明のさらなる態様は、本発明の雑種植物体が、本明細書で定義される四倍体であって、染色体数が2n=56の四倍体であることである。
[0134]本発明のさらなる態様は、四倍体の雑種植物体を繁殖させることであり、(a)雌性親としての四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体と、雄性親としての「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」系統の植物体との交雑から作製される植物体の挿し木を得るステップと、(b)この挿し木を栽培して、四倍体の雑種植物体を得るステップとを含む。
[0135]本発明のさらなる態様は、四倍体の雑種植物体を作製するための方法であって、植物ホルモン組成物を挿し木の基部へと適用して、四倍体の雑種植物体を作製するための根の形成を誘導することでさらに定義される方法を提供することである。
[0136]本発明のさらなる態様は、本発明の四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体に、ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)を感染させることである。
[0137]上記の例示的な態様及び実施形態に加えて、以下の例を研究することにより、さらなる態様及び実施形態も明らかとなるであろう。
[0138]E.プルケリマにおける苞葉呈色の遺伝についての遺伝学的特質はかなり単純であり、Stewart(1960)は、WHと称する単一の完全な優性遺伝子が、苞葉の赤色の原因となることを説明した。ホモ接合性のwhwhは、苞葉の白色を付与した。ある範囲の赤色及び白色の苞葉を伴う植物体が作製されたので、変更因子が存在する。後に、Stewart及びArisumi(1966)は、ホモ接合性の劣性形態にあり、WH遺伝子座において遺伝子型WH−−を有する場合は、pkと称する第2の独立の遺伝子座が、ポインセチアの苞葉の遺伝的なピンク色の原因となることを実証した。遺伝子型pkpkは、WH/−−(赤色)が確立される場合に形成されるアントシアニン色素の量を低減した。現在のところ、ポインセチア市場では、ピンク色の栽培品種は、全てキメラであり、遺伝的にピンク色なのではないと考えられている。
[0139]著者は、遺伝子構成がWHWH、WHwh又はwhwhである雌性親としてのポインセチアを、雄性親としてのE.コルナストラと交雑させると、後代は常にピンク色の色調を帯びることを予想外に発見した。10年間を超える期間にわたる育種における多数の交雑の組合せから発生した1,000体を超える植物体からは、白色及び赤色の植物体が作製されなかった。
[0140]著者はその後、苞葉が赤色の突然変異体を誘導することを目的として、選択されたいくつかのユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの栽培品種を、ガンマ放射線で処理して、突然変異を誘導することを試みた。驚くべきことに、数年間にわたり観察された数千個の突然変異体からは、苞葉が赤色の突然変異体が記録されなかった。
[0141]戻し交雑は、E.プルケリマとE.コルナストラとの雑種を、元の雌性親(E.プルケリマ)との交雑における雄性親として用いる、別の育種法である。E.プルケリマ×E.コルナストラの交雑に由来する大半の後代が雄性不稔性であるために、この経路は困難である。著者は、この方法を、少数のまれな雄性稔性のE.プルケリマ×E.コルナストラの雑種である植物体について試みたが、後代のうちのいずれもが、赤色の苞葉を呈示しなかった。
[0142]苞葉が赤色の種間雑種であるE.プルケリマ×E.コルナストラの植物体を発生させるための別の選択肢は、E.プルケリマ×E.コルナストラ雑種を、さらなる交雑における雌性親として使用することである。しかし、1,000体を超えて作製された実生に由来するいずれの植物体も、雌構造(花柱、柱頭、子房)を保有せず、完全な雌性不稔性であった。E.プルケリマとE.コルナストラとを交雑させることにより発生させたF雑種は、文献では雌性稔性を伴うことが記載されていない。現在の世界市場では、E.プルケリマ×E.コルナストラの栽培品種のいずれも、機能的な雌付属器(柱頭、花柱、子房)を有さない。葯をある程度保有する雑種を発生させるまれな機会には、花粉の生存度が極めて低いことが通例である。Kobayashi(2001)は、そのプログラムにおいて発生させたF雑種において、花粉の生存度が3〜18%であることについて報告した。これにより、それらの使用が雄性親だけに限界づけられる。
[0143]このために、本発明以前は、苞葉が赤色のE.プルケリマ×E.コルナストラの種間雑種の発生を、当業者に明白な方法により得ることは不可能であった。
ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)による感染
[0144]一実施形態では、自由分枝形成病原体を有する植物体を本発明の植物体に接ぎ木することにより、自由分枝形成病原体を本発明の植物体へと伝染させることができる。用いられる接ぎ穂は、自由分枝形成植物から本発明の植物体への、自由分枝形成病原体の伝染を結果としてもたらす任意の接ぎ穂であり得る。病原体を伝染させるのに用いられる接ぎ木法は、寄せ接ぎ木法であることが好ましい。寄せ接ぎ木法は、本発明の植物体及び自由分枝形成植物の両方において、茎の断面へと、好ましくは約10〜30mmの長さで、形成層に到達する程度に十分に深く切り込みを施すステップと、その後、自由分枝形成病原体の、自由分枝形成植物から本発明の植物体への移動が生じるまで、切込みを施された部位を互いと接触させるように維持するステップとを伴う。次いで、挿し木を栽植し、自由分枝形成特徴を有する植物体を、挿し木から生育させることができる。別の実施形態では、寄生性植物であるネナシカズラ(例えば、クスクタ(Cuscuta)属種)を用いて、自由分枝形成病原体を、本発明の植物体へと伝染させることができる。例えば、寄生性のネナシカズラを用いて、自由分枝形成病原体を、自由分枝形成植物から非自由分枝形成植物へと移動させることができる。寄生性のネナシカズラが、自由分枝形成病原体を有することが適切である。当技術分野では、病原体を伝染させるための寄生性のネナシカズラの使用が知られており、例えば、Lee,I−M.、Klopmeyer,M.、Bartoszyk,I.、Gunderson−Rindal,D.、Chou,T.、Thomson,K.、及びEisenreich,R.、「Phytoplasma induced free−branching in commercial poinsettia cultivars」、Nature Biotechnology、15:178〜182(1997)において記載されている。さらに別の実施形態では、自由分枝形成病原体を、バッタを介して伝染させることもできる。植物体の間で病原体を伝染させるためのバッタの使用が知られており、例えば、McCoy,R.、Caudwell,A.、Chang,C.、Chen,T.、Chiykowski,L、Cousin,M.、Dale,J.、de Leeuw,G.、Golino,D.、Hackett,K.、Kirkpatrick,B.、Marwitz,R.、Petzold,H.、Sinha,R.、Sugiura,M.、Whitcomb,R.、Yang,I.、Zhu,B.、Seemuller,E.、「Plant diseases associated with mycoplasma−like organisms」、The Mycoplasmas、5:545〜563(1989)において記載されている。
[0145]ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)は、ポインセチアモザイクウイルス(PnMV)及び/又はポインセチア潜在ウイルス(PnCV)などのウイルスと混合されて見出されることが多い。これらの病原体のうちの1又は複数を保有するポインセチアの植物体には、例えば、cv. V10 Amy redが含まれる。しかし、当業者には、自由分枝形成病原体を、事実上任意のユーフォルビア・プルケリマ又は選り抜きのユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの雑種へと移送することができ、次いで、感染した選り抜きのユーフォルビア属を用いて、自由分枝形成病原体を本発明の植物体へと伝染させ得ることが認識される。自由分枝形成病原体が選り抜きのユーフォルビア属又は本発明の植物体へと伝染したことの確認は、例えば、植物体の自由分枝形成特徴に言及するための形態学的検証など、当技術分野で知られた技法により達成することができる。加えて、又は代替的に、実際の自由分枝形成病原体は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)又はISEM(免疫電子顕微鏡法)など、よく知られた技法を用いて検出することができる。
[0146]本方法において用いるのに適する自由分枝形成ユーフォルビア属の植物体の例には、例えば、ユーフォルビア・プルケリマの品種であるフリーダム(Freedom)(米国植物特許第PP7,825号)、サクセスレッド(Success Red)(米国植物特許第PP8,773号)、レッドベルベット(Red Velvet)(米国植物特許第PP11,124号)、ピータースター(Peterstar)(米国植物特許第PP8,259号)、アネットヘッグダークレッド(Annette Hegg Dark Red)(米国植物特許第PP3,160号)、及びV−14グローリー(V−14 Glory)(米国植物特許第PP4,384号)が含まれる。また、以下の植物特許(米国植物特許第PP23,296号;同第PP21,327号;同第PP21,326号;同第PP21,325号;同第PP21324号)において記載されるプリンセチア品種も用いることができる。
[0147]以下の例は、本発明をさらに例示するために提供される。これらの例は、いかなる形であれ、添付の特許請求の範囲に示される限定を超えて本発明の範囲を限定するものとみなすべきものではない。本発明の精神及び範囲内にとどまりながら、多くの変化及び改変を施すことができる。
実施例1:雄性親として用いられる四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)雑種植物体の発生
[0148]本発明は、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の染色体数を改変して、体細胞の染色体数を二倍体から四倍体へと倍加させるための新たな方法を提供する。利用可能な先行技術では、四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体がかつて報告されたことはない。本発明の染色体数を改変するための方法は、まず、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体を栽培することで始まり、次いで、コルヒチン、トリフルラリン、オリザリン、又はアミプロホスメチル(APM)などの抗有糸分裂剤が、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の成長点へと適用された。次いで、四倍体のシュートを、処置されたユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の成長点から出芽させ、四倍体と推定されるシュートであって、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の成長点から発生したシュートを選択した。次いで、細胞学的核型分析を介して四倍体のシュートの染色体の相補体を評価し、次いで、解析された四倍体のシュートを植物体へと生育させた。新たなユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の染色体の安定性を点検し、新たな四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を選択及び維持した。
[0149]本発明の一態様は、これらに限定されるものではないが、暗いピンク色の苞葉、ある量の稔性花粉を含有する偶発的な葯の生成、妥当な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性を含めた、標的の形質を育種するのに有用な、適切な遺伝子的な特徴を伴うユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ系統の植物体を得るステップを伴った。ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体を得た後に、以下の方法を用いて、四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を発生させた。挿し木を栄養成長する母株から採取し、切断された基部を、2000ppmのインドール酪酸粉末中に浸漬し、次いで、オアシス(OASIS)ブランドの楔形育苗用資材へと栽植した。次いで、挿し木を、約20℃で維持される育苗ハウス内の間欠的な噴霧下に置いた。3週間後に、挿し木を温室条件へと馴致し、次いで、各植物体を、標準的な鉢植え用苗床ミックスで満たした直径15cmの植木鉢へと鉢植した。鉢植された植物体を、最低温度18℃温室内の長日性の光周期下に置き、開花を防止した。約3週間後、植物体にするコルヒチンを適用する準備が整った。コルヒチンを適用する前日、各植物体から頂端分裂組織を採取した。コルヒチンは、水溶性のゲルと共に、重量/容量0.1%〜3.0%のペーストとして調製した。どの濃度が処置された各系統に最適の結果をもたらすのかを決定し得るように、植物体を処置するのにある範囲のコルヒチン濃度を用いた。ペーストは、小型のブラシで芽に潤沢に適用し、24時間後に微粒子の水ミストを用いて洗い落とした。完了時に生成効率の測定を行い得るように、適用時に、塗布された植物体及び芽の数をカウントした。
[0150]その後の数週間にわたり、最良の慣行及び生育手順(Ecke,P.、Faust,J.、Williams,J.、及びHiggins,A.、「The Ecke Poinsettia Manual」、Ball Publishing(2004)において記載される)に従い、植物体を観察及び維持した。新たなシュートを、四倍体性の徴候について評価した。これらの徴候には、シュートの茎葉が通常より大きく、葉柄の直径が大きいことが含まれた。栄養成長の後、植物体を10時間の短日性光周期下で開花させた。約7〜9週間後、顕花植物が観察され、四倍体性を示す以下の特徴:杯状花序が大きく、杯状花序が稔性葯を伴い、苞葉及び葉が広く、長く、厚く、花粉の直径が大きいことについて、四倍体性の徴候が、対照と比較して認められた。開花するシュートであって、四倍体であると考えられたシュートを、栄養挿し木について既に記載されている通りに標識し、採取し、繁殖させた。
[0151]新鮮な四倍体と推定されるシュートが生成したら、挿し木を採取し、繁殖させた。これらの第2世代の植物体を、四倍体性の安定性及び均一性について、表現型に基づき持続的に評価した。次いで、核型分析を実施することにより、推定四倍体を確認又は廃棄した。確認の後、植物体を、さらに少なくとも2回にわたり繁殖させ、それらが安定的な四倍体であることを確保した。定期的に、植物体を、目視により、四倍体性の形態学的特徴について検証した。発生させたユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ系統の選択された四倍体に対して、染色体の計数を実施した。
[0152]四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体は、保有されることがしばしばである雄性稔性を発生させたが、雌蕊群が存在しないか又は大幅に低減されて非機能性であるために、常に雌性稔性を欠いた。雄性稔性は改善されたが、雌性稔性は改善されなかったために、これは、驚くべき結果であった。
[0153]表1は、第1欄にコルヒチンで処理されたユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体、第2欄に選択理由、第3欄に処置法、第4欄になされた選択の数を示し、第5欄に保持された植物体の数及びこれらの植物体の染色体数を示す。表1はまた、他の方法(自発的方法及びガンマ放射線処置を介する方法)により作製される2つの植物体も示す。
Figure 0005904606
実施例2:雌性親として用いられる四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体の発生
[0154]本発明は、ユーフォルビア・プルケリマの植物体の染色体数を改変して、体細胞の染色体数を二倍体から四倍体へと倍加させるための新たな方法を提供する。本発明の染色体数を改変するための方法は、まず、ユーフォルビア・プルケリマの植物体を栽培することで始まり、次いで、コルヒチン、トリフルラリン、オリザリン、又はアミプロホスメチル(APM)などの抗有糸分裂剤が、ユーフォルビア・プルケリマの植物体の成長点へと適用された。次いで、四倍体のシュートを、処置されたユーフォルビア・プルケリマの植物体の成長点から出芽させ、四倍体と推定されるシュートであって、ユーフォルビア・プルケリマの植物体の成長点から発生したシュートを選択した。次いで、細胞学的核型分析を介して四倍体のシュートの染色体の相補体を評価し、次いで、解析された四倍体のシュートを植物体へと生育させた。新たなユーフォルビア・プルケリマの植物体の染色体の安定性を点検し、新たな四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を選択及び維持した。
[0155]本発明の一態様は、これらに限定されるものではないが、暗い赤色の苞葉、雄性稔性及び雌性稔性、良好な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性を含めた標的の形質を育種するのに有用な、適切な遺伝子的な特徴を伴うユーフォルビア・プルケリマの植物体を得るステップを伴った。ユーフォルビア・プルケリマの植物体を得た後に、以下の方法を用いて、四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を発生させた。挿し木を栄養成長する母株から採取し、切断された基部を、2000ppmのインドール酪酸粉末中に浸漬し、次いで、オアシスブランドの楔形育苗用資材へと栽植した。次いで、挿し木を、約20℃で維持される育苗ハウス内の間欠的な噴霧下に置いた。3週間後に、挿し木を温室条件へと馴致し、次いで、各植物体を、標準的な鉢植え用苗床ミックスで満たした直径15cmの植木鉢へと鉢植した。鉢植された植物体を、最低温度18℃温室内の長日性の光周期下に置き、開花を防止した。約3週間後、植物体にするコルヒチンを適用する準備が整った。コルヒチンを適用する前日、各植物体から頂端分裂組織を採取した。コルヒチンは、水溶性のゲルと共に、重量/容量0.1%〜3.0%のペーストとして調製した。どの濃度が処置された各系統に最適の結果をもたらすのかを決定し得るように、植物体を処置するのにある範囲のコルヒチン濃度を用いた。ペーストは、小型のブラシで芽に潤沢に適用し、24時間後に微粒子の水ミストを用いて洗い落とした。完了時に生成効率の測定を行い得るように、適用時に、塗布された植物体及び芽の数をカウントした。
[0156]その後の数週間にわたり、最良の慣行及び生育手順(例えば、Eckeら(2004))に従い、植物体を観察及び維持した。新たなシュートを、四倍体性の徴候について評価した。これらの徴候には、シュートの茎葉が通常より大きく、葉柄の直径が大きいことが含まれた。栄養成長の後、植物体を10時間の短日性光周期下で開花させた。約7〜9週間後、顕花植物が観察され、以下の特徴:杯状花序が大きく、杯状花序が稔性葯を伴い、苞葉及び葉が広く、長く、厚く、葯の花粉の直径が大きいことについて、四倍体性の徴候が、対照と比較して認められた。開花するシュートであって、四倍体であると考えられたシュートを、栄養挿し木について既に記載されている通りに標識し、採取し、繁殖させた。
[0157]新鮮な四倍体と推定されるシュートが生成したら、挿し木を採取し、繁殖させた。これらの第2世代の植物体を、四倍体性の安定性及び均一性について、表現型に基づき持続的に評価した。次いで、核型分析を実施することにより、推定四倍体を確認又は廃棄した。確認の後、植物体を、さらに少なくとも2回にわたり繁殖させ、安定性を確保した。定期的に、植物体を、目視により、四倍体性の形態学的特徴について検証した。発生させたユーフォルビア・プルケリマ系統の選択された四倍体に対して、染色体の計数を実施した。表2は、第1欄にコルヒチンで処理された二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体、第2欄に選択理由、第3欄に処置法、第4欄になされた選択の数を示し、第5欄に保持された植物体の数及びこれらの植物体の染色体数を示す。
Figure 0005904606
実施例3:戻し交雑による三倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)雑種植物体であって、小型で非機能性の杯状花序を伴う雑種植物体を作製する雑種形成の方法
[0158]本発明の別の態様は、二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を、「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」系統の植物体と交雑させるステップを伴った。二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体は、暗い赤色の苞葉、雄性稔性及び雌性稔性、良好な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性など、所望される標的の形質のための育種において用いられる適切な特徴について選択した。次いで、花粉を、選択された「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」の植物体であって、雄性親として用いられる植物体から採取した。花粉は、ユーフォルビア・プルケリマの柱頭が受容性である場合に、小型のブラシを用いて、二倍体のユーフォルビア・プルケリマの雌植物体の柱頭へと適用した。用いられる親植物は、異系交配させ、自家受粉させなかったので、ユーフォルビア・プルケリマの杯状花序の除雄は要請されなかった。数週間後に、受粉しなかった対照を超える子房の腫脹により交雑の成功が認められた。腫脹した子房は、受粉の4週間後又は脱落の直前に収穫した。この時点以降、Bernuetz(2006)の胚救出法を使用して、PoiBIに感染させた三倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の雑種植物体を作製した。
[0159]明確性のために、この方法が本明細書に記載される。各子房には、無菌法を適用した。子房を、好ましくは無傷のまま、材料をカバリングするために添加される4%の次亜塩素酸ナトリウムと共に容器に入れた後で、1滴のTween 20洗浄剤を滴下した。容器を蓋で密閉し、5分間にわたり、1分間当たり1回ずつ振とうした。次いで、容器を空け、子房をオートクレーブ処理された蒸留水中で3回にわたりすすいだ。次いで、子房を取り出し、個別に解剖した。滅菌メスを用いて3つの子房室の各々を開裂させ、発生しつつある胚珠があれば取り出した。次いで、胚を、長手方向に2つの部位へと両断し、50mLのプラスチック製ねじ口型試験管内の適切な胚救出培地上に置いた。培地は、好ましくは、Murashige及びSkoog(1962)による塩(Murashige,T.及びSkoog,F、「A revised medium for rapid growth and bio assays with tobacco tissue cultures」、Physiologia Plantarum、15:473〜497(1962))、1g/lの活性炭、1g/lのカゼイン加水分解物、4%のスクロース、及び7g/lの寒天を含有した。培地を、pH5.8へと調整してから、1kg/m、121℃で17分間にわたるオートクレーブ処理を施した。解剖された胚を含有する試験管は、白色蛍光灯下、25℃±2℃の育成チャンバーに入れ、培養容器蓋のレベルにおいて約60〜70マイクロモルm−2−1の光強度を、16時間/日にわたり施した。発生しつつある胚を、上記で言及した再生培地又はMS基礎塩、0.3mg/lの6−ベンジルアミノプリン、1g/lのカゼイン加水分解物、40g/lのスクロース、及び7g/lの寒天を含有する増殖培地へと継代培養し、pHを5.8へと調整してから、オートクレーブ処理を施した。後続の継代培養は、約3〜4週間おきに、生育に応じていずれかの組成を有する新鮮な培地上で実施した。
[0160]in vitroにおいて発生した小植物体(一次植物)は、胚から直接出芽した再生小植物体を栽植することにより、又は発生したシュートを切断し、2000mg/lのIBA粉末中に浸漬することにより、フラスコから出してから、拡張型のオアシスの楔形育苗用資材に入れた。まず、定常的な水の噴霧を適用し、その後、小植物体が根を発生させてからは、徐々に低減して、馴致を容易とした。植物体は、Eckeら(2004)において記載される標準的な慣行下で生育させた。
[0161]市販可能な植物体であって、分枝が高度な植物体を作製するため、ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)を導入した。栄養挿し木を、新たな三倍体(E.プルケリマ×E.コルナストラ)の植物体から採取し、PoiBIに感染させたポインセチアの栽培品種へと寄せ接ぎ木した。寄せ接ぎ木は、両方の植物体の茎に対する、約20〜30mmの長さで、形成層へと切り込む程度に十分に深い垂直断面の切込みを伴い、次いで、切り込まれた2つの部位を互いに対面させ、接ぎ穂の結合体をパラフィルム(Parafilm)Mラボラトリーフィルムで密封した。次いで、挿し木を、水ミスト下で繁殖させた後、硬化させ、ポインセチアのための標準的な生成慣行に従い、植木鉢内で生成させた。十分な生育(例えば、10週間にわたる)が生じたら、PoiBIに感染した挿し木を、接ぎ木された三倍体(E.プルケリマ×E.コルナストラ)の植物体から採取し、次いで、これらの挿し木を用いて、栽培品種のPoiBI感染株を確立した。
実施例4:小型で非機能性の杯状花序及び赤色の苞葉を伴う、戻し交雑による四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を作製する雑種形成の方法
[0162]本発明の別の態様は、ユーフォルビア・プルケリマの四倍体の植物体を、「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」系統の植物体と交雑させるステップを伴った。四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体は、暗いピンク色の苞葉、ある量の稔性花粉を含有する偶発的な葯の生成、妥当な栽培後性状、枝折れに対する抵抗性、暗い緑色の茎葉、及びコンパクトな草性など、所望される標的の形質のための育種において用いられる適切な特徴について選択した。次いで、花粉を、選択された「四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)」の植物体であって、雄性親として用いられる植物体から採取した。花粉は、柱頭が受容性である場合に、小型のブラシを用いて、四倍体のユーフォルビア・プルケリマの雌植物体の柱頭へと適用した。用いられる親植物は、異系交配させ、自家受粉させなかったので、ユーフォルビア・プルケリマの杯状花序の除雄は要請されなかった。数週間後に、受粉しなかった対照を超える子房の腫脹により交雑の成功が認められた。腫脹した子房は、受粉の4週間後又は脱落の直前に収穫した。この時点以降、Bernuetz(2006)の胚救出法を使用して、PoiBIに感染させた新たな四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の雑種植物体を作製した(既に実施例3で概括した)。
実施例5:実施された交雑及び得られた結果についての説明
[0163]交雑は、実施例3及び4で記載した通りに実施した。交雑の結果を、以下の表3、4、及び5に表化する。表3は、小型の杯状花序(直径<3mm)を伴う三倍体の後代を作製するために、雌性親としての二倍体のユーフォルビア・プルケリマと、雄性親としての四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)とを用いて行われた他家受粉の結果を示す。表3の第1欄は、雌性親(二倍体のユーフォルビア・プルケリマ)を示し、第2欄は、雄性親の四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)を示し、第3欄は、直径が3mm未満の杯状花序を伴って作製された三倍体の植物体の数を示し、第4欄は、直径が3mmを超える杯状花序を伴って作製された三倍体の植物体の数を示し、第5欄は、作製された三倍体の植物体の苞葉の呈色を示す。表3では、苞葉の呈色について、発生した全ての三倍体の植物体がピンク色であり、多様な色調が、分類はされていないが、観察された。
Figure 0005904606
[0164]表3に示す通り、57例の異なる交雑の組合せを実施したところ、この交雑研究に由来する、直径が3mm未満の小型の杯状花序を伴う、三倍体の後代の百分率は、85/126=67.5%であった。三倍体の後代の苞葉は、100%がピンク色であった。また、一部の雄性稔性を保有する、まれな二倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの雄性親の植物体を用いる交雑も、雌性親としての二倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を用いて実施した。表4は、この交雑の結果を提示する。雄性稔性の二倍体の(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)の植物体を得て交雑を実施することは、それらが、Bernuetz(2006)及びKobayashi(2000)の方法を用いてまれに作製されるものであるために、極めて困難である。表4では、一部の雄性稔性を保有する、3つの二倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの雄性親の植物体を、二倍体のユーフォルビア・プルケリマの雌性親との15例の異なる組合せにおいて用いた。
[0165]表4は、雌性親としての二倍体のユーフォルビア・プルケリマと、雄性親としての二倍体の(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)とを用いて行われた他家受粉の結果を示す。表4の第1欄は、雌性親(二倍体のユーフォルビア・プルケリマ)を示し、第2欄は、雄性親二倍体の(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)を示し、第3欄は、直径が3mm未満の杯状花序を伴って作製された二倍体の植物体の数を示し、第4欄は、直径が3mmを超える杯状花序を伴って作製された二倍体の植物体の数を示し、第5欄は、作製された二倍体の植物体の苞葉の呈色を示す。表4の注記される場合には、一部の二倍体の植物体が、直径が3mm未満の杯状花序をある比率で生成させたが、また、杯状花序の直径が3mmを超える他の枝も生成させ、これらの植物体を不安定と注記した。
Figure 0005904606
[0166]表4に示す通り、二倍体の植物体のうちのいずれも、杯状花序の直径が3mm未満となることは一貫しておらず、ピンク色の苞葉が100%であった。表3及び表4からの結果は、本発明の方法が、小型の杯状花序を伴うユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体を発生させるための効率において優れている(67.5%対0%)ことを実証している。いずれの方法も、ピンク色の苞葉を伴う植物体を100%で発生させた。なお、表4における、杯状花序の直径が3mmを超える植物体は、杯状花序の直径が高度に多様なことが多く、杯状花序が同じ苞葉クラスター内で均一でないことが多いことが認められたが、これは、所望されない商業属性である。
[0167]交雑を四倍体のレベルで、すなわち、雌性親としての四倍体のユーフォルビア・プルケリマ及び雄性親としての四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)のレベルで実施する場合、発生した四倍体の後代の全てにおいて、小型の杯状花序を伴う植物体の比率が増大するだけでなく、赤色の苞葉の利益の付加も観察される。表5は、小型で非機能性の杯状花序及び赤色の苞葉を伴う四倍体の後代を作製するための、雌性親としての四倍体のユーフォルビア・プルケリマと、雄性親としての四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)とを用いて行われた他家受粉の結果を示す。表5の第1欄は、雌性親(四倍体のユーフォルビア・プルケリマ)を示し、第2欄は、雄性親の四倍体(ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ)を示し、第3欄は、直径が3mm未満の杯状花序を伴って作製された四倍体の植物体の数を示し、第4欄は、直径が3mmを超える杯状花序を伴って作製された四倍体の植物体の数を示し、第5欄は、作製された四倍体の植物体の苞葉の呈色を示す。
Figure 0005904606
[0168]表5に示す通り、46例の異なる交雑の組合せを実施したところ、この交雑研究に由来する、直径が3mm未満の小型の杯状花序を伴う、三倍体の後代の百分率は、97.8%であった。四倍体の後代の苞葉は、100%が赤色であった。杯状花序が中型又は大型である、低百分率(2.2%)の植物体は、まれな二倍体の花粉又は倍数体の種間雑種に固有の細胞学的環境が及ぼす通常と異なる他の影響であって、異数性四倍体の可能性が最も高い、おそらくは四倍体以外の植物体を発生させる影響に帰せられた。選択された植物体は、PoiBIに感染したユーフォルビア属へと接ぎ木して、PoiBIを導入した。数カ月間後に、PoiBIに感染した植物体を選択して、比較試験で生育させ、試験の終了時において測定を行い、杯状花序の直径、苞葉の呈色、及び染色体数を決定し、結果を表6に示す。同時に、温室内の天然の長日性の条件下で生育させた母株から採取された、7週齢の栄養枝からも植物体を繁殖させた。繁殖の後、植物体を、ポインセチアの育成に適する従来の鉢植え用ミックスで満たした15cmの植木鉢へと栽植した。植物体を3週間にわたり生育させ、次いで、頂端成長のうちの先端の1〜2cmを除去することにより摘芽した。植物体には、ポインセチアを育成するための標準的な苗床慣行(Eckeら(2004)を参照されたい)に従い細流灌漑及び施肥した。2週間後に、植物体を、開花及び発育を可能とする程度に十分に短日性である、天然の短日性の光周期下に置いた。短日性の光周期の開始から10週間後に、全て植物体は、完全に発育し、測定を行った。各植物体の幼齢苞葉の呈色及び成熟苞葉の呈色を決定するために、RHS(Royal Horticultural Society、2001)のカラーチャートを使用した。アクセッション番号1つ当たり3例ずつの植物体における3つの幼齢苞葉により測定を行った。測定はまた、アクセッション番号1つ当たり3例ずつの植物体における3つの成熟苞葉についても行った。杯状花序の直径は、ベニヤ製キャリパーで、各アクセッション番号に由来する3例ずつの植物体における3つの杯状花序(1次杯状花序又は2次杯状花序)の最も幅の広い断面を測定し、次いで、平均を導出することにより測定した。染色体数は、根端の細胞学的調製物により評価した。また、植物体の丈高、幅、及び枝数も記録したが、データは示さない。
[0169]表6は、新たな本発明の結果として発生した、選択された植物体、それらの親植物、及び市販可能な栽培品種についての表現型及び染色体の特徴づけを示す。表6の第1欄は、アクセッション番号を示し、第2欄は、植物体の種類を示し、第3欄は、系統を示し、第4欄は、観察される染色体数を示し、第5欄は、3例の植物体の幼齢苞葉において測定される、RHSによる幼齢苞葉の呈色を示し、第6欄は、幼齢苞葉の呈色についての記載を示し、第7欄は、3例の植物体の成熟苞葉において測定される、RHSによる成熟苞葉の呈色を示し、第8欄は、成熟苞葉の呈色についての記載を示し、第9欄は、各アクセッション番号の3連の植物体において測定される最大の3つの杯状花序について、杯状花序の直径の平均(9つの測定値の平均)を示す。上付き文字の「1」で印づけられた染色体数は、細胞学的に検証され、撮影されている。
Figure 0005904606
[0170]種間雑種の戻し交雑による実生はPoiBIを欠いているために、商業生産のためには、接ぎ木して、このファイトプラズマを導入することが必要である。PoiBIが、杯状花序の直径又は苞葉の呈色に著明な影響を及ぼしたかどうかを決定するために、3つのアクセッション番号を、既に言及された、PoiBI感染を伴う場合とこれを伴わない場合による試験に組み入れた。結果を表7に示す。表7の第1欄は、アクセッション番号を示し、第2欄は、PoiBIの感染状態(+=感染、−=非感染)を示し、第3欄は、植物体の種類を示し、第4欄は、系統を示し、第5欄は、染色体数を示し、第6欄は、3例の植物体の幼齢苞葉において測定される、RHSによる幼齢苞葉の呈色を示し、第7欄は、幼齢苞葉の呈色についての記載を示し、第8欄は、3例の植物体の成熟苞葉において測定される、RHSによる成熟苞葉の呈色を示し、第9欄は、成熟苞葉の呈色についての記載を示し、第10欄は、各アクセッション番号の3連の植物体において測定される最大の3つの杯状花序について、成熟杯状花序の直径の平均(9つの測定値の平均)を示す。
Figure 0005904606
[0171]表7に示す通り、PoiBI感染は、杯状花序の直径に著明には影響しなかった。
[0172]雄性親及び雌性親の両方の多様な倍数性を含め、他の多数の育種用交雑の組合せを実施して、新規のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ雑種植物体を試みて発生させた。表8は、試みられた交雑の組合せの結果、及び子孫交雑の種類に従う、親遺伝子による理論的な寄与、及び発生した植物体の記載を示す。表8の第1欄は、雌性親を示し、第2欄は、配偶子の染色体への雌性親の寄与を示し、第3欄は、雄性親を示し、第4欄は、配偶子の染色体への雄性親の寄与を示し、第5欄は、体細胞の染色体数(2n)を示し、第6欄は、ユーフォルビア・プルケリマの寄与パーセントを示し、第7欄は、ユーフォルビア・コルナストラの寄与パーセントを示し、第8欄は、後代についての記載を示し、第9欄は、注記を示す。
Figure 0005904606
[0173]本発明について記載する文脈における、“a”及び“an”及び“the”という用語並びに類似の指示詞の使用(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈における使用)は、本明細書で別段に示されるか、又は文脈により明確に否認されない限り、単数形及び複数形の両方を対象とするものと理解されたい。“comprising”、“having”、“including”、及び“containing”という用語は、別段に言及されない限り、オープンエンドな用語である(すなわち、「〜が含まれるがこれらに限定されない」を意味する)ものと理解されたい。本明細書で別段に示されない限り、本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内に収まる各個別の値を個別に指す簡略法として用いられることだけを意図するものであり、各個別の値は、本明細書で個別に列挙されたと仮定した場合と同様に本明細書に組み込まれる。例えば、範囲10〜15が開示される場合はまた、11、12、13、及び14も開示される。本明細書で別段に示されるか、又は文脈により別段に明確に否認されない限り、本明細書で記載される全ての方法は、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提示される任意の例及び全ての例又は例示的な言い回し(例えば、「など」)の使用は、本発明をよりよく例示することだけを意図するものであり、別段に主張されない限り、本発明の範囲に限定を付与するものではない。本明細書におけるいかなる言い回しも、本発明の実施に不可欠なものとして主張されていない要素を示すものと理解されるべきではない。
[0001][関連出願の相互参照]本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2013年3月18日に出願された米国特許仮出願第61/803,011号に基づく優先権の利益を主張する。

Claims (24)

  1. 雌性親としての二倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマ(Euphorbia pulcherrima)の植物体と、ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラ(Euphorbia cornastra)の種間雑種である四倍体の雄性親植物体との交雑から作製される、三倍体又は四倍体のユーフォルビア属の種間雑種植物体又はその植物部位。
  2. 前記植物部位が、プロトプラスト、葉、茎、根、根端、葯、雌蕊、種子、胚、花粉、胚珠、子葉、胚軸、杯状花序、苞葉、シュート、組織、葉柄、細胞、及び分裂組織細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の植物部位。
  3. 請求項1に記載の作製されたユーフォルビア属の種間雑種植物体からクローン増殖させた、種間雑種植物体又はその植物部位。
  4. 雌性親としての二倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体の染色体数が2n=28又は2n=56である、請求項1に記載の作製されたユーフォルビア属の種間雑種植物体。
  5. ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの種間雑種である四倍体の雄性親植物体の染色体数が2n=56である、請求項1に記載の作製されたユーフォルビア属の種間雑種植物体。
  6. 染色体数が2n=42、又は2n=56である、請求項1に記載の作製されたユーフォルビア属の種間雑種植物体。
  7. 非機能性の小型杯状花序を有する、請求項6に記載の作製されたユーフォルビア属の種間雑種植物体。
  8. 苞葉が赤色である、請求項6に記載の作製されたユーフォルビア属の種間雑種植物体。
  9. (a)雌性親としての二倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体を、雄性親としての四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体と交雑させるステップと、
    (b)前記交雑から胚を生成させるステップと、
    (c)前記胚を生育させて、種間戻し交雑による雑種植物体を得るステップと
    を含む、三倍体又は四倍体の種間雑種植物体を作製する方法。
  10. (a)第1の植物体及び第2の植物体を作製するステップであり、第1の植物体が、四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体であり、第2の植物体が、二倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体であるステップと、
    (b)前記第1の植物体から花粉を採取するステップと、
    (c)前記第2の植物体の花に前記花粉を受粉するステップと、
    (d)前記受粉から結果として生じる胚を、組織培養における胚救出により分離するステップと、
    (e)前記胚を生育させて、戻し交雑による種間雑種植物体を得るステップと
    をさらに含む、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項9に記載の方法により作製される、種間戻し交雑による三倍体又は四倍体の雑種植物体又はその部位。
  12. 請求項10に記載の方法により作製される、種間戻し交雑による三倍体又は四倍体の雑種植物体又はその部位。
  13. (a)雌性親としての二倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマの植物体と、雄性親としての四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体との交雑から作製される、種間戻し交雑による雑種植物体の挿し木を得るステップと、
    (b)前記挿し木を生育させて、間雑種植物体を得るステップと
    を含む、種間戻し交雑による三倍体又は四倍体の雑種植物体を作製する方法。
  14. 請求項13に記載の方法により作製される、種間戻し交雑による三倍体又は四倍体の雑種植物体。
  15. ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の染色体数を改変して、四倍体の植物体を作製する方法であって、
    (a)ユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体を生育させるステップと、
    (b)抗有糸分裂剤を、前記植物体へと適用するステップと、
    (c)前記植物体からシュートを出芽させるステップと、
    (d)四倍体のシュートを選択するステップと、
    (e)前記シュートの染色体の相補体を評価するステップと、
    (f)前記シュートを、植物体へと生育させるステップと、
    (g)前記植物体の染色体の安定性を点検するステップと
    を含む方法。
  16. 前記改変された染色体数が、四倍体の2n=56である、請求項15に記載の方法。
  17. 請求項15に記載の方法により作製される、四倍体の植物体。
  18. プロトプラスト、葉、茎、根、根端、葯、雌蕊、種子、胚、花粉、胚珠、子葉、胚軸、杯状花序、苞葉、シュート、組織、葉柄、細胞、及び分裂組織細胞からなる群から選択される、請求項17に記載の四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体の植物部位。
  19. 請求項18に記載の植物部位からクローン増殖させた、四倍体のユーフォルビア・プルケリマ×ユーフォルビア・コルナストラの植物体又はその部位。
  20. 三倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマとユーフォルビア・コルナストラとの種間雑種植物体を作製する方法であって、交雑の組合せが、雌性親としての二倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマと、雄性親としての四倍体のE.プルケリマ(E.pulchrrima)×E.コルナストラ(E.cornastra)の雑種植物体とを用いるステップを伴う方法。
  21. 非機能性の小型杯状花序を有する、三倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマとユーフォルビア・コルナストラとの種間雑種植物体。
  22. 杯状花序の直径が3mm以下である、請求項21に記載の植物体。
  23. 非機能性で小型の杯状花序及び赤色の苞葉を有する、三倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマとユーフォルビア・コルナストラとの種間雑種植物体。
  24. ポインセチア分枝誘導性ファイトプラズマ(PoiBI)を保有する、三倍体又は四倍体のユーフォルビア・プルケリマとユーフォルビア・コルナストラとの種間雑種植物体。
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