以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の一の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2及び図3はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図、図4はパチンコ機10の背面図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に対して前方に回動可能に取り付けられた遊技機主部12とを有する。外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技ホールに設置される。
外枠11の側方には図1に示すように、球貸装置(例えばCRユニット)Yが設けられている。球貸装置Yの前面側にはカード挿入口Hが設けられ、そのカード挿入口Hへのカードの挿入によりカードに記憶された金額に相当する数の遊技球の貸し出しを受けることができるようになっている。なお、遊技球の貸し出しを受ける上で球貸装置Yに挿入されるものはカードに限定されることはなく、現金であってもよく、また現金情報が記憶されたコインであってもよい。
遊技機主部12は、本体枠13と、その本体枠13の前方に配置される前扉枠14と、本体枠13の後方に配置される裏パックユニット15とを備えている。遊技機主部12のうち本体枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。詳細には、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として本体枠13が前方へ回動可能とされている。
本体枠13には、図2に示すように、前扉枠14が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、本体枠13には、図3に示すように、裏パックユニット15が回動可能に支持されており、正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1〜図3を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図5を参照する。図5は、前扉枠14の背面図である。
前扉枠14は本体枠13の前面側全体を覆うようにして設けられている。前扉枠14には後述する遊技領域のほぼ全域を前方から視認することができるようにした窓部21が形成されている。窓部21は、略楕円形状をなし、透明性を有するガラス22が嵌め込まれている。窓部21の周囲には、各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部23が設けられている。環状電飾部23では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部23の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部24が設けられ、さらにその左右側方には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部25が設けられている。また、左右の賞球ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部26が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部31と下側膨出部32とが上下に並設されている。上側膨出部31内側には上方に開口した上皿33が設けられており、下側膨出部32内側には同じく上方に開口した下皿34が設けられている。上皿33は、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導くための機能を有する。また、下皿34は、上皿33内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有する。
上記のように本パチンコ機10では、前扉枠14に対して窓部21、上皿33、及び下皿34が一体化されている。従来のパチンコ機においては、少なくとも窓部と下皿とがそれぞれ別ユニットとして設けられており、窓部が下皿に対して独立して回動可能となっていたため、パチンコ機の前面部には上記各ユニット間に境界が生じていた。この場合、当該境界から不正用治具などを挿入して行う不正行為が想定される。また、かかる不正行為を抑制すべく各ユニット間の境界に対して不正抑制構造を設けることもできるが、そうすると構成の複雑化を招いてしまう。さらに、パチンコ機の前面部において境界が生じるのは、デザイン上好ましくない。これに対して、上記のとおり前扉枠14に対して窓部21、上皿33及び下皿34が一体化されているので、窓部21と下皿34との間に境界が生じることはなく、上記不都合が抑制される。
上側膨出部31には、図1に示すように、球貸操作装置36が配設されている。球貸操作装置36には球貸ボタン37と、返却ボタン38と、度数表示部39とが設けられている。球貸装置Yにカード等を挿入した状態で、球貸操作装置36によって球貸し操作、カード返却操作及びカード度数の確認を行うことができる。すなわち、球貸ボタン37は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が払い出される。返却ボタン38は、球貸装置Yに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部39はカード等の残額情報を表示するものである。
下側膨出部32の右方には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2及び図5に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿33に通じる前扉側上皿通路51と、下皿34に通じる前扉側下皿通路52とが形成されている。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51と前扉側下皿通路52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿33に導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿34に導かれる。
通路形成ユニット50には、図5に示すように、前扉側下皿通路52を通る遊技球を検知するように満タン検知センサ59が設けられている。満タン検知センサ59は、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、満タン検知センサ59は磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、遊技球を検知することができるのであれば任意であり、例えば、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
満タン検知センサ59は後述する払出制御装置242に対して電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなく、遊技球を検知していない状態ではHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではLOWレベル信号を出力する構成としてもよく、また遊技球を検知している状態においてのみ電気信号を出力する構成としてもよい。
払出制御装置242では、満タン検知センサ59の検知結果に基づいて下皿34が満タン状態であるか否かを特定する。具体的には、満タン検知センサ59における遊技球の検知状態が予め定められた期間が経過するまで継続された場合には、下皿34が満タン状態であると特定する。払出制御装置242において下皿34が満タン状態であると特定された場合、払出装置224による遊技球の払出が停止される。これにより、下皿34が満タン状態となり、前扉側下皿通路52において満タン検知センサ59の位置まで遊技球が連なった場合には、それ以上の遊技球の払出が停止される。かかる払出の停止は、下皿34の満タン状態が解除され満タン検知センサ59にて遊技球が検知されなくなることに基づいて解除される。また、払出制御装置242において下皿34が満タン状態であると特定された場合、それに対応した報知処理が実行される。
前扉枠14の背面における回動基端側(図5の右側)には、その上端部及び下端部に突起軸61,62が設けられている。これら突起軸61,62は本体枠13に対する組付機構を構成する。また、前扉枠14の背面における回動先端側(図5の左側)には、図2に示すように、後方に延びる鉤金具63が上下方向に複数並設されている。これら鉤金具63は本体枠13に対する施錠機構を構成する。
次に、本体枠13について詳細に説明する。図6は本体枠13の正面図である。
本体枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース71を主体に構成されている。樹脂ベース71の前面における回動基端側(図6の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具72,73が取り付けられている。図示は省略するが、支持金具72,73には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、本体枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。
樹脂ベース71の前面における回動先端側(図6の右側)には、前扉枠14の背面に設けられた鉤金具63を挿入するための挿入孔74がそれぞれ設けられている。本パチンコ機10では、本体枠13や前扉枠14を施錠状態とするための施錠装置が本体枠13の背面側に隠れて配置される構成となっている。したがって、鉤金具63が挿入孔74を介して施錠装置に係止されることによって、前扉枠14が本体枠13に対して開放不能に施錠される。
樹脂ベース71の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠75が設置されている。シリンダ錠75は施錠装置に一体化されており、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを右に回すと本体枠13に対する前扉枠14の施錠が解かれるようになっている。なお、シリンダ錠75の鍵穴に差し込んだキーを左に回すと外枠11に対する本体枠13の施錠が解かれるようになっている。
樹脂ベース71の上部には、図2及び図6に示すように、前扉枠14が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する前扉枠開放スイッチ(前面体開放検知手段)78が設けられている。前扉枠開放スイッチ78は、樹脂ベース71の前面から出没可能なピンを有しており、本体枠13に対して前扉枠14を閉じた状態ではピンが押し込まれて前扉枠14の閉鎖が検知され、本体枠13に対して前扉枠14を開いた状態ではピンが突出位置に戻って前扉枠14の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、前扉枠開放スイッチ78は、前扉枠14が開放状態の場合に後述する主制御装置162に対して前扉枠開放信号を出力し、前扉枠14が閉鎖状態の場合には当該前扉枠開放信号の出力を停止する。但し、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、前扉枠14が開放状態の場合にHIレベル信号又はLOWレベル信号の一方を出力し、閉鎖状態の場合に他方を出力する構成としてもよい。
樹脂ベース71の中央部には略楕円形状の窓孔76が形成されている。樹脂ベース71には遊技盤81が着脱可能に取り付けられている。遊技盤81は合板よりなり、遊技盤81の前面に形成された遊技領域が樹脂ベース71の窓孔76を通じて本体枠13の前面側に露出した状態となっている。
ここで、遊技盤81の構成を図7に基づいて説明する。遊技盤81には、ルータ加工が施されることによって前後方向に貫通する大小複数の開口部が形成されている。各開口部には一般入賞口82,可変入賞装置83,上作動口84a,下作動口84b,スルーゲート85及び可変表示ユニット86等がそれぞれ設けられている。一般入賞口82は、遊技盤81の左側に2個及び遊技盤81の右側に1個の合計3個設けられている。一般入賞口82、可変入賞装置83及び作動口84a,84bに遊技球が入ると、それが後述する検知センサにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤81の最下部にはアウト口87が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口87を通って遊技領域から排出される。また、遊技盤81には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘88が植設されていると共に、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示ユニット86には、作動口84a,84bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置91が設けられている。また、可変表示ユニット86には、図柄表示装置91を囲むようにしてセンターフレーム92が配設されている。センターフレーム92の上部には、第1特定ランプ部93及び第2特定ランプ部94が設けられている。また、センターフレーム92の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部95,96が設けられている。下側の保留ランプ部95は、図柄表示装置91及び第1特定ランプ部93に対応しており、遊技球が作動口84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部95の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部96は、第2特定ランプ部94に対応しており、遊技球がスルーゲート85を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部96の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
図柄表示装置91は、液晶ディスプレイを備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置により表示内容が制御される。図柄表示装置91には、例えば左、中及び右に並べて図柄が表示され、これらの図柄が上下方向にスクロールされるようにして変動表示されるようになっている。そして、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示された場合には、特別遊技状態(以下、大当たりという)が発生することとなる。
第1特定ランプ部93では、作動口84a,84bへの入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には大当たりが発生する。また、第2特定ランプ部94では、遊技球のスルーゲート85への入賞をトリガとして所定の順序で発光色の切り替えが行われ、予め定められた色で停止表示された場合には下作動口84bに付随する電動役物89が所定時間だけ開放状態となる。
ちなみに、下作動口(抽選契機通過部又は抽選契機入球部)84bは、開閉式の入球補助装置(入球補助手段)又は開閉部材(開閉手段)としての電動役物89が開放状態(補助状態)の場合に入球が可能となる若しくは入球し易くなり、閉鎖状態(非補助状態)の場合に入球が不可となる若しくは入球しがたくなる。
可変入賞装置(特別入球装置又は特別入球手段)83は、開閉部材(開閉手段)としての開閉扉が通常は遊技球が入賞(入球)できない又は入賞(入球)しがたい閉鎖状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞(入球)しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置83の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として可変入賞装置83が繰り返し開放されるものが一般的である。
遊技盤81には、内レール部101と外レール部102とが取り付けられており、これら内レール部101と外レール部102とにより誘導レールが構成され、後述する遊技球発射機構から発射された遊技球が遊技領域の上部に案内されるようになっている。
遊技球発射機構110は、図6に示すように、樹脂ベース71における窓孔76の下方に取り付けられている。遊技球発射機構110は、電磁式のソレノイド111と、発射レール112と、球送り機構113とからなり、ソレノイド111への電気的な信号の入力により当該ソレノイド111の出力軸が伸縮方向に移動し、球送り機構113によって発射レール112上に置かれた遊技球を遊技領域に向けて打ち出す。
発射レール112と遊技盤81に取り付けられた内,外レール部101,102との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方には前扉枠14の通路形成ユニット50に形成されたファール球通路55が配設されている。したがって、仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域の上部に到達せずに、内,外レール部101,102によって構成される誘導レールを逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路55内に入る。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は下皿34に排出される。
樹脂ベース71において発射レール112の左方には、樹脂ベース71を前後方向に貫通させて通路形成部121が設けられている。通路形成部121には図3に示すように本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とが形成されている。本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている。
樹脂ベース71において通路形成部121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を開閉する開閉部材124が取り付けられている。開閉部材124はその下端に設けられた支軸125により前後方向に回動可能に支持されており、さらに本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する前方位置に付勢する図示しない付勢部材が設けられている。したがって、前扉枠14を本体枠13に対して開いた状態では開閉部材124が図示の如く起き上がり、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123を閉鎖する。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が防止できる。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により付勢力に抗して開閉部材124が押し開けられる。この状態では、本体側上皿通路122と前扉側上皿通路51とが連通し、さらに本体側下皿通路123と前扉側下皿通路52とが連通している。
次に、本体枠13の背面構成について説明する。図8は本体枠13の背面図である。
樹脂ベース71の背面における回動先端側(図8の左側)には、施錠装置131が設けられており、シリンダ錠75におけるキー操作に対して施錠装置131が連動し、本体枠13及び前扉枠14の解錠が行われる。
樹脂ベース71の背面における回動基端側(図8の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により本体枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース71の背面には、裏パックユニット15を本体枠13に締結するための被締結孔134が設けられている。
樹脂ベース71の背面には、係止金具135が複数設けられており、これら係止金具135によって上述したように樹脂ベース71に対して遊技盤81が取り付けられている。ここで、遊技盤81の背面の構成を説明する。図9は遊技盤81を後方より見た斜視図、図10は遊技盤81から主制御装置ユニット160を取り外した状態を示す背面図である。
遊技盤81の中央に配置される可変表示ユニット86には、センターフレーム92を背後から覆う合成樹脂製のフレームカバー141が後方に突出させて設けられており、フレームカバー141に対して後側から上述した図柄表示装置91が取り付けられるとともに、その図柄表示装置を駆動するための表示制御装置が取り付けられている(図示は省略)。これら図柄表示装置91及び表示制御装置は前後方向に重ねて配置され(図柄表示装置が前、表示制御装置が後)、さらにその後方に音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
遊技盤81の背面には、図10に示すように、可変表示ユニット86の下方に集合板ユニット150が設けられている。集合板ユニット150には、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための遊技球回収機構や、各種入賞口等への遊技球の入賞を検知するための入賞検知機構などが設けられている。
遊技球回収機構について説明すると、集合板ユニット150には、前記一般入賞口82、可変入賞装置83、作動口84a,84bの遊技盤開口部に対応して且つ下流側で1カ所に集合する回収通路151が形成されている。したがって、一般入賞口82等に入賞した遊技球は何れも回収通路151を介して遊技盤81の下方に集合する。遊技盤81の下方には後述する排出通路があり、回収通路151により遊技盤81の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口87も同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球もアウト口87を介して排出通路内に導出される。
入賞検知機構について説明すると、集合板ユニット150には、遊技盤81表側の各一般入賞口82と対応する位置にそれぞれ入賞口センサ152a〜152cが設けられている。また、可変入賞装置83と対応する位置にカウントセンサ153が設けられ、各作動口84a,84bに対応する位置にそれぞれ作動口センサ154a,154bが設けられている。また、集合板ユニット150外における可変表示ユニット86の右側には、スルーゲート85を通過する遊技球を検知するゲートセンサ155が設けられている。これら球検知センサ(遊技媒体検知手段)としてのセンサ152〜155により遊技球の入賞がそれぞれ検知される。これらセンサ152〜155は後述する主制御装置162に対して電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではLOWレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなく、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する構成としてもよく、また遊技球を検知している状態においてのみ電気信号を出力する構成としてもよい。
遊技盤81の背面には、集合板ユニット150を後側から覆うようにして主制御装置ユニット160が搭載されている。主制御装置ユニット160の構成について図11を用いて説明する。図11は主制御装置ユニット160の構成を示す斜視図である。
主制御装置ユニット160は、合成樹脂製の取付台161を有し、取付台161に主制御装置162が搭載されている。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。封印部164は、基板ボックス163の長辺部に5つ設けられ、そのうち少なくとも一つが用いられて封印処理が行われる。
封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、封印部164を構成する長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、5つの封印部164のうち、少なくとも一つの長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部と他の封印部との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の封印部の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163の一方の短辺部には、その側方に突出するようにして複数の結合片165が設けられている。これら結合片165は、取付台161に形成された複数の被結合片166と1対1で対応しており、結合片165と被結合片166とにより基板ボックス163と取付台161との間で封印処理が行われる。
次に、裏パックユニット15について説明する。図12は裏パックユニット15の正面図、図13は裏パックユニット15の分解斜視図である。
裏パックユニット15は、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤203、及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット86を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部端子板213が設けられている。外部端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置に対して各種信号が出力される。
ベース部211には、外部端子板213よりも外側に、本体枠13が開放されているか否か(又は閉鎖されているか否か)を検知する本体枠開放スイッチ(本体開放検知手段)217が設けられている。外枠11に対して本体枠13を閉じた状態では当該スイッチ217の金属接点が閉じて本体枠13の閉鎖が検知され、外枠11に対して本体枠13を開いた状態では金属接点が開いて本体枠13の開放が検知されるようになっている。
ちなみに、本体枠開放スイッチ217は、本体枠13が開放状態の場合に後述する主制御装置162に対して本体枠開放信号を出力し、本体枠13が閉鎖状態の場合には当該本体枠開放信号の出力を停止する。但し、信号の出力態様はこれに限定されることはなく、本体枠13が開放状態の場合にHIレベル信号又はLOWレベル信号の一方を出力し、閉鎖状態の場合に他方を出力する構成としてもよい。
また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を本体枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が本体枠13に対して回動可能に支持されている。また、ベース部211には、本体枠13に設けられた被締結孔134に対して締結するための締結具215が設けられており、当該締結具215を被締結孔134に嵌め込むことで本体枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。すなわち、裏パック201の最上部には上方に開口したタンク221が設けられており、タンク221には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク221の下方には下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。また、ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。
ケースレール223には、図12に示すように、当該ケースレール223内の通路を通じてタンク221から払出装置224まで連なった遊技球を検知するように球無検知センサ223aが設けられている。球無検知センサ223aは、磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、検知範囲内を遊技球が通過する際の磁界の変化が検知されて電気信号として出力される。なお、球無検知センサ223aは磁気検知タイプの近接センサに限定されることはなく、遊技球を検知することができるのであれば任意であり、例えば、フォトセンサやリミットセンサなどを用いてもよい。
球無検知センサ223aは後述する払出制御装置242に対して電気信号を出力する。具体的には、遊技球を検知していない状態ではLOWレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではHIレベル信号を出力する。なお、これに限定されることはなく、遊技球を検知していない状態ではHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している状態ではLOWレベル信号を出力する構成としてもよく、また遊技球を検知している状態においてのみ電気信号を出力する構成としてもよい。
払出制御装置242では、球無検知センサ223aの検知結果に基づいてタンク221が球無状態であるか否かを特定する。具体的には、予め定められた期間が経過するまで球無検知センサ223aにおける遊技球の非検知状態が継続された場合には、タンク221が球無状態であると特定する。払出制御装置242においてタンク221が球無状態であると特定された場合、払出装置224による遊技球の払出が停止される。これにより、タンク221が球無状態であるにも係らず、払出装置224が動作し続けることが防止される。かかる払出動作の停止は、タンク221の球無状態が解除され球無検知センサ223aにて遊技球が検知され出すことにより解除される。また、払出制御装置242においてタンク221が球無状態であると特定された場合、それに対応した報知処理が実行される。なお、タンク221において球詰まりが発生し、払出装置224側へ遊技球が流れていかない場合も球無状態であると特定される。
また、ケースレール223には、球抜き操作スイッチ223bが設けられている。例えば、タンク221に貯留されている遊技球のパチンコ機10外への排出に際して、ケースレール223にある遊技球も全て排出する場合に球抜き操作スイッチ223bが押され、ケースレール223及びその下流側に貯留されている遊技球の排出が可能となる。なお、球抜き操作スイッチ223bの設置箇所はケースレール223に限定されることはなく、例えば払出制御装置242に設置してもよい。
払出装置224では遊技球の払出が実行される。ここで、払出装置224の構成について図14を用いて説明する。図14は払出装置224内部に形成された通路構造を示す縦断面図である。なお、図14においては払出装置224内部を流下する遊技球を二点鎖線で示す。
払出装置224のハウジング251には、その上端にケースレール223から供給される遊技球を内部に取り込むための遊技球入口252が形成されており、さらに内部にこの遊技球入口252から入球した遊技球を通過させるための遊技球通路253が設けられている。
遊技球通路253はハウジング251の下端に形成された遊技球出口254に通じており、遊技球入口252から入球した遊技球は遊技球出口254に向けて1個ずつ流下する。遊技球通路253の中間部分には通路幅が左右に広がった収容部255が設けられており、同収容部255に回転体256が収容されている。回転体256はその中心が払出モータ257の出力軸257aに固定されている。
払出モータ257は、ステッピングモータにより構成されており、出力軸257aは所定方向(図14で見て時計回り方向(正転方向)又は反時計回り方向(逆転方向))に回転駆動される。出力軸257aは、1パルスの駆動信号を与えることにより1step進み、120パルスの駆動信号を与えることにより1回転するように設定されている。なお、払出モータ257はハウジング251内に収容されている。
回転体256の周縁には、180°間隔で2箇所に、凹部256aが形成されている。凹部256aは、曲面状となっておりその曲率は遊技球の曲率と同程度となっている。また、回転体256の周縁における凹部256a間の部位と収容部255の通路壁との間の距離が遊技球の直径寸法よりも短くなっているのに対して、凹部256aと収容部255の通路壁との間の距離は遊技球の直径寸法よりも長くなっている。これにより、遊技球通路253を流下してきた遊技球が回転体256の凹部256aに到達すると、当該遊技球は回転体256の回転に伴って下流側に導出される。
遊技球通路253には、収容部255よりも下流側の位置に略平板状をした払出球検知センサ258が設置されている。払出球検知センサ258は、周知の磁気検知タイプの近接センサにて構成されており、貫通孔を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する。この払出球検知センサ258により、払出装置224を介して払い出された遊技球の数が確認できるようになっている。
また、図示による説明は省略するが、上記遊技球通路253は入口側が2列となるように形成されているのに対して、出口側が1列となるように形成されている。そして、回転体256は、2列の入口側の通路に対して個別に設けられている。この場合、凹部256aは、一の通路についてそれぞれ180°間隔で形成されているが、一対の通路間では、その凹部256aの位置が相互に90°ずらして形成されている。したがって、上記のように入口側の通路が2列並設された構成であっても、各入口側の通路からは出口側の通路に対して1個の遊技球が交互に払い出される。その交互に払い出される遊技球の払出周期は、払出モータ257の駆動速度に応じて一定となる。そして、その1個ずつ交互に払い出される遊技球は、出口側の通路に設けられた払出球検知センサ258により検知される。
払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿33、下皿34又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部226が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51を介して上皿33に通じ、中央の開口部227が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52を介して下皿34に通じ、外側の開口部228が排出通路に通じるように形成されている。
払出機構部202には、裏パック基板229が設置されている。裏パック基板229には、例えば交流24ボルトの主電源が供給され、電源スイッチ229aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤203及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤203は、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路231が形成されており、当該排出通路231の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路231は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路151等から排出通路231に導出された遊技球は当該排出通路231を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源及び発射制御装置243と球貸用接続端子板249が搭載されている。これら払出制御装置242と電源及び発射制御装置243と球貸用接続端子板249は、払出制御装置242及び球貸用接続端子板249がパチンコ機10後方となり電源及び発射制御装置243がパチンコ機10前方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242は、無色透明の基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されている。なお、払出制御装置242から払出装置224への払出指令の信号は上述した裏パック基板229により中継される。また、払出制御装置242には状態復帰スイッチ245が設けられている。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。また、払出制御基板には7セグ表示器242aが搭載されており、本体枠13を外枠11に対して開放することで、基板ボックス244を通じて7セグ表示器242aの表示内容が視認可能となっている。
電源及び発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源及び発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電力が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源及び発射制御装置243にはRAM消去スイッチ247が設けられている。本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、RAM消去スイッチ247を押しながら電源を投入すると、RAMデータが初期化されるようになっている。
球貸用接続端子板249は、球貸装置Y、払出制御装置242及びパチンコ機10前面の球貸操作装置36に電気的に接続され、主として遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置242に出力するものである。
次に、パチンコ機10の電気的構成について、図15のブロック図に基づいて説明する。図15では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御装置162に設けられた主制御基板301には、主制御回路302と停電監視回路303(電断監視回路)とが内蔵されている。主制御回路302には、CPU311が搭載されている。
CPU311には、当該CPU311により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM312(不揮発性記憶手段)と、そのROM312内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM313(揮発性記憶手段)と、割込回路やタイマ回路、データ入出力回路などの各種回路が内蔵されている。なお、CPU311、ROM312及びRAM313の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。
RAM313は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源及び発射制御装置243に設けられた電源及び発射制御基板321から記憶保持用電力が供給されて情報が記憶保持される構成となっている。
CPU311には、入力ポート及び出力ポートがそれぞれ設けられている。CPU311の入力側には、主制御基板301に設けられた停電監視回路303、払出制御装置242に設けられた払出制御基板322及びその他センサ群などが接続されている。この場合に、停電監視回路303には電源及び発射制御基板321が接続されており、CPU311(主制御回路302)には停電監視回路303を介して電力が供給される。
一方、CPU311の出力側には、停電監視回路303、払出制御基板322及び中継端子板323が接続されている。払出制御基板322には、賞球コマンドなどといった各種コマンドが出力される。中継端子板323を介して主制御回路302から音声ランプ制御装置143に設けられた音声ランプ制御基板324に対して各種コマンドなどが出力される。
停電監視回路303は、主制御回路302と電源及び発射制御基板321とを中継し、また電源及び発射制御基板321から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視する。そして、この電圧が22ボルト未満になると電源遮断の発生と判断し、主制御回路302に停電信号を送信する。
払出制御基板322は、払出装置224により賞球などの払出制御を行うものである。演算装置であるCPU331は、そのCPU331により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM332と、ワークメモリ等として使用されるRAM333とを備えている。なお、CPU331、ROM332及びRAM333の一部又は全部をそれぞれ別のチップとして設けてもよい。
払出制御基板322のCPU331には、入出力ポートが設けられている。CPU331の入力側には、主制御回路302、電源及び発射制御基板321、及び裏パック基板229が接続されている。また、CPU331の出力側には、主制御回路302及び裏パック基板229が接続されている。
電源及び発射制御基板321は、電入時用電源部321aと発射制御部321bとを備えている。電入時用電源部321aは、例えば、遊技ホール等における商用電源(外部電源)に接続されている。そして、その商用電源から供給される外部電力に基づいて主制御回路302や払出制御基板322等に対して各々に必要な動作電力を生成するとともに、その生成した動作電力を二重線矢印で示す経路を通じて主制御回路302や払出制御基板322等に対して供給する。その概要としては、電入時用電源部321aは、裏パック基板229を介して供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種センサやモータ等を駆動するための+12V電力、ロジック用の+5V電力などを生成し、これら+12V電力、+5V電力を主制御回路302や払出制御基板322等に対して供給する。
発射制御部321bは、遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作にしたがって遊技球発射機構110の発射制御を担うものであり、遊技球発射機構110は所定の発射条件が整っている場合に駆動される。
また、電源及び発射制御基板321には、電断時用電源部321cが搭載されている。電断時用電源部321cはコンデンサからなり、パチンコ機10の電源がON状態の場合(外部電源からの電力供給が行われている場合)に電入時用電源部321aから供給される電力により充電される。また、パチンコ機10の電源がOFF状態の場合や商用電源における停電発生時といった電源遮断状態(外部電源からの電力供給が遮断されている場合)では、電断時用電源部321cから放電され主制御基板301のRAM313に対して記憶保持用電力が供給される。よって、かかる状況であっても、電断時用電源部321cから記憶保持用電力が供給されている間はRAM313に記憶された情報が消去されることなく記憶保持される。
ちなみに、電断時用電源部321cの容量は比較的大きく確保されており、電源遮断前にRAM313に記憶されていた情報は所定の期間内(例えば、1日や2日)保持される。また、電断時用電源部は、コンデンサに限定されることはなく、バッテリや非充電式電池などであってもよい。非充電式電池の場合、パチンコ機10の電源がON状態の際に電断時用電源手段への蓄電を行う必要はないが、定期的に交換する必要が生じる。
また、電源及び発射制御基板321には、上記電断時用電源部321cとは異なる停電時処理用電源部が設けられている。電源及び発射制御基板321では、直流安定24ボルトの電源が22ボルト未満になった後においても、停電時処理用電源部から放電することにより、後述する停電時処理の実行に十分な時間の間、制御系の駆動電源である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。これにより、主制御回路302などは、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
音声ランプ制御基板324は、各種ランプ部23〜25やスピーカ部26、及び表示制御装置325を制御するものである。演算装置であるCPU341は、そのCPU341により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM342と、ワークメモリ等として使用されるRAM343とを備えている。
音声ランプ制御基板324のCPU341には入出力ポートが設けられている。CPU341の入力側には中継端子板323に中継されて主制御回路302が接続されており、主制御回路302から出力される各種コマンドに基づいて、各種ランプ部23〜25、スピーカ部26、及び表示制御装置325を制御する。表示制御装置325は、音声ランプ制御基板324から入力する表示コマンドに基づいて図柄表示装置91を制御する。
次に、図柄表示装置91の表示内容について、図16に基づいて説明する。
図柄表示装置91には、左・中・右の3つの図柄列が設定されている。各図柄列は、例えば「0」〜「9」の数字を各々付した主図柄と、例えば菱形状の絵図柄からなる副図柄とにより構成されている。各主図柄及び副図柄がそれぞれ第1図柄を構成している。各図柄列では、数字の昇順又は降順に主図柄が配列されると共に各主図柄の間に副図柄が配されている。すなわち、各図柄列には、10個の主図柄及び10個の副図柄の計20個の第1図柄が備えられている。そして、図柄表示装置91には、各図柄列毎に20個の第1図柄が周期性をもって上から下へとスクロールするように変動表示されるようになっている。図柄表示装置91には、各図柄列毎に上・中・下の3段の第1図柄が表示されるようになっている。従って、図柄表示装置91には、3段×3列の計9個の第1図柄が表示される。また、図柄表示装置91には、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、左図柄列→右図柄列→中図柄列の順に変動表示が停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示されるようになっている。
次に、上記の如く構成されたパチンコ機10の動作について説明する。
本実施の形態では、主制御装置162内のCPU311は、遊技に際し各種カウンタ情報を用いて、大当たり抽選、第1特定ランプ部93の発光色の設定や、図柄表示装置91の図柄表示の設定などを行うこととしており、具体的には、図17に示すように、大当たりの抽選に使用する大当たり乱数カウンタC1と、確変大当たりや通常大当たり等の大当たり種別を判定する際に使用する大当たり種別カウンタC2と、図柄表示装置91が外れ変動する際のリーチ抽選に使用するリーチ乱数カウンタC3と、大当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する乱数初期値カウンタCINIと、図柄表示装置91の変動パターン選択に使用する第1変動種別カウンタCS1と、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間を決定する第2変動種別カウンタCS2と、左列、中列及び右列の各外れ図柄の設定に使用する左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRとを用いることとしている。
このうち、カウンタC1〜C3,CINI,CS1,CS2は、その更新の都度前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。また、外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、CPU311内のRレジスタ(リフレッシュレジスタ)を用いてレジスタ値が加算され、結果的に数値がランダムに変化する構成となっている。各カウンタは短時間間隔で更新され、その更新値がRAM313の所定領域に設定されたカウンタ用エリアに適宜格納される。RAM313には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリアが設けられており、これらの各エリアには、作動口84a,84bへの遊技球の入賞履歴に合わせて、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値が時系列的に格納されるようになっている。
各カウンタについて詳しくは、大当たり乱数カウンタC1は、例えば0〜676の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり676)に達した後0に戻る構成となっている。特に大当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の乱数初期値カウンタCINIの値が当該大当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。なお、乱数初期値カウンタCINIは、大当たり乱数カウンタC1と同様のループカウンタである(値=0〜676)。大当たり乱数カウンタC1は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84a,84bに入賞したタイミングでRAM313の
保留球格納エリアに格納される。
大当たり種別カウンタC2は、0〜49の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり49)に達した後0に戻る構成となっている。そして、本実施の形態では、大当たり種別カウンタC2によって、大当たりが終了した後に、確変状態とするか通常状態とするかを決定することとしている。大当たり種別カウンタC2は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84a,84bに入賞したタイミングでRAM313の保留球格納エリアに格納される。
リーチ乱数カウンタC3は、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。本実施の形態では、リーチ乱数カウンタC3によって、リーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後外れリーチ」と、同じくリーチ発生した後最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後外れ以外リーチ」と、リーチ発生しない「完全外れ」とを抽選することとしている。リーチ乱数カウンタC3は定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球が作動口84a,84bに入賞したタイミングでRAM313の保留球格納エリアに格納される。
第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっており、第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後0に戻る構成となっている。第1変動種別カウンタCS1によって、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、第1図柄のリーチ種別やその他大まかな図柄変動態様といった図柄表示装置91の表示態様が決定され、第2変動種別カウンタCS2によって、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行う期間としての切替表示時間が決定される。また、この切替表示時間は、図柄表示装置91の図柄の変動時間に相当する。従って、当該第2変動種別カウンタCS2によって、図柄表示装置91においてリーチが発生した後に最終停止図柄(本実施の形態では中図柄)が停止するまでの経過時間(言い換えれば、変動図柄数)などより細かな図柄変動態様も決定されることとなる。つまり、図柄表示装置91に関しては、これらの両変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。両変動種別カウンタCS1,CS2は、後述する通常処理が1回実行される毎に1回更新され、当該通常処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、第1特定ランプ部93に表示される色の切り替え開始時及び図柄表示装置91による第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際して両変動種別カウンタCS1,CS2のエリア値が取得される。
左・中・右の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、大当たり抽選が外れとなった時に左列第1図柄、中列第1図柄、右列第1図柄の外れ停止図柄を決定するためのものであり、各列では主図柄及び副図柄の合わせて20の第1図柄の何れかが表示されることから、各々に20個(0〜19)のカウンタ値が用意されている。外れ図柄カウンタCLにより左図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCMにより中図柄列の上・中・下段の各図柄が決定され、外れ図柄カウンタCRにより右図柄列の上・中・下段の各図柄が決定される。
本実施の形態では、CPU311に内蔵のRレジスタの数値を用いることにより各カウンタCL,CM,CRの値をランダムに更新する構成としている。すなわち、各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新時には、前回値にRレジスタの下位3ビットの値が加算され、その加算結果が最大値を超えた場合に20減算されて今回値が決定される。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは更新時期が重ならないようにして通常処理内で更新され、それら外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、RAM313の前後外れリーチ図柄エリア、前後外れ以外リーチ図柄エリア及び完全外れ図柄エリアの何れかに格納される。そして、第1図柄の変動開始時における変動パターン決定に際し、リーチ乱数カウンタC3の値に応じて前後外れリーチ図柄エリア、前後外れ以外リーチ図柄エリア及び完全外れ図柄エリアの何れかのエリア値が取得される。
なお、図示は省略するが、第2特定ランプ部94の抽選には第2特定ランプ乱数カウンタが用いられる。第2図柄乱数カウンタは、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。第2特定ランプ乱数カウンタは定期的に(本実施の形態ではタイマ割込み毎に1回)更新され、遊技球がスルーゲート85を通過したことが検知された時に取得される。
次に、主制御基板301のCPU311により実行される各制御処理を図18〜図22のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU311の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図18は、NMI割込み処理であり、当該処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に実行される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路303からCPU311のNMI端子に出力され、CPU311は実行中の制御を中断してNMI割込み処理を開始する。NMI割込み処理では、ステップS101にてRAM313に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグを格納し、本処理を終了する。その後、後述する通常処理にて停電フラグが格納されていることが確認されることで、停電時処理が実行される。
次に、タイマ割込み処理について図19のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS201では、読み込み処理を実行する。読み込み処理では、入賞口センサ152a〜152c、カウントセンサ153、作動口センサ154a,154b及びゲートセンサ155等といった遊技球の入賞に関するセンサからの信号読み込み処理を実行する。信号読み込み処理の詳細については後に説明する。
その後、ステップS202では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM313の該当するエリアに格納する。続くステップS203では、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の更新を実行する。具体的には、大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態ではそれぞれ、676,49,238)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM313の該当するエリアに格納する。その後、ステップS204にて始動入賞処理を実行する。
始動入賞処理では、図20のフローチャートに示すように、先ずステップS301にて、RAM313の作動口フラグ格納エリアに作動口フラグが格納されているか否かを判定することにより、遊技球が作動口84a,84bに入賞(始動入賞)したか否かを判定する。遊技球が作動口84a,84bに入賞したと判定すると、続くステップS302において、第1特定ランプ部93及び図柄表示装置91の作動保留球数Nが上限値(本実施の形態では4)未満であるか否かを判定する。作動口84a,84bへの入賞があり、且つ作動保留球数N<4であることを条件にステップS303に進み、作動保留球数Nを1加算する。なお、ステップS303の処理後に作動口フラグを消去する。続くステップS304では、前記ステップS203で更新した大当たり乱数カウンタC1、大当たり種別カウンタC2及びリーチ乱数カウンタC3の各値を、RAM313の保留球格納エリアの空き記憶エリアのうち最初のエリアに格納する。そして、始動入賞処理の後、CPU311は本タイマ割込み処理を一旦終了する。
次に、電源投入時のリセットに伴い起動されるメイン処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。
先ずステップS401では、電源投入に伴う立ち上げ処理を実行する。具体的には、従側の制御基板(払出制御基板322等)が動作可能な状態になるのを待つために例えば500msec程度待機する。
続くステップS402では、ステップS401の立ち上げ処理後から許可禁止用期間である1secが経過したか否かを判定する。1sec経過していない場合にはステップS402の処理を再度実行する。この時間の測定は、ステップS402の処理回数をカウントすることにより行われる。例えば、ステップS402にて否定判定してから再度ステップS402の処理を実行するまでに要する時間が0.1msecである場合には、カウント値が10000回となることで、ステップS401の立ち上げ処理後から1sec経過したと判定する。なお、時間の測定の具体的な構成は任意であり、例えばリアルタイムクロックを用いて時間の測定を行うようにしてもよい。ステップS402にて1sec経過したと判定した場合には、ステップS403に進む。
ステップS403では、RAM313のアクセスを許可する。その後、ステップS404では、電源及び発射制御装置243に設けたRAM消去スイッチ247がオンされているか否かを判定し、続くステップS405ではRAM313の停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS406ではRAM判定値を算出し、続くステップS407では、そのRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致するか否か、すなわち記憶保持されたデータの有効性を判定する。RAM判定値は、例えばRAM313の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。なお、RAM313の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かにより記憶保持されたデータの有効性を判断することも可能である。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ247を押しながら電源が投入される。従って、RAM消去スイッチ247が押されていれば、ステップS408〜S409の処理に移行する。また、電源遮断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)により記憶保持されたデータの異常が確認された場合も同様にステップS408〜S409の処理に移行する。
ステップS408では、RAM313の使用領域を0にクリアし、ステップS409ではRAM313の初期化処理を実行する。その後、ステップS410にて払出制御基板322に初期コマンドを出力するとともに、ステップS411にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。払出制御基板322のCPU331では主制御基板301から初期コマンドを入力することで、主制御基板301との通信が正常に行われていることを認識する。
一方、RAM消去スイッチ247が押されていない場合には、停電フラグが格納されていること、及びRAM判定値(チェックサム値等)が正常であることを条件に、ステップS412にて停電フラグ格納エリアに格納されている停電フラグをクリアする。その後、ステップS410にて初期コマンドを出力するとともにステップS411にて割込み許可を設定し、後述する通常処理に移行する。これにより、電源遮断前の状態に復帰する。
次に、通常処理について、図22のフローチャートを用いて説明する。この通常処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、ステップS501〜S509の処理が4msec周期の定期処理として実行され、その残余時間でステップS511,S512のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
通常処理において、ステップS501では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM313の該当するエリアに格納する。続くステップS502では、左図柄列、中図柄列及び右図柄列の各外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新を実行する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理では、左・中・右図柄列のいずれかの更新時期か否かを判定し、更新時期となった図柄列の外れ図柄カウンタCL,CM,CRを更新する。各外れ図柄カウンタCL,CM,CRは、重複することなく1回の通常処理で1つずつ順に更新され、通常処理を3回実行する毎に外れ図柄カウンタCL,CM,CRの1セット分が更新されるようになっている。そして、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組み合わせが、前後外れリーチとなる外れリーチ図柄の組合せである場合、前後外れ以外リーチ図柄の組合せである場合、リーチとならない完全外れ図柄の組合せである場合には、その組合せがそれぞれに対応したエリア内に格納される。なお、更新した外れ図柄カウンタCL,CM,CRの組合せが大当たり図柄の組合せである場合には、そのまま更新処理を終了する。
外れ図柄カウンタCL,CM,CRの更新処理の後は、ステップS503にて第1特定ランプ部93に表示される色の切り替えを行うための第1特定ランプ部制御処理を実行する。第1特定ランプ部制御処理では、大当たり判定や第1特定ランプ部93に配設されたLEDランプの光源スイッチのオンオフ制御などが行われる。また、第1特定ランプ部制御処理において、図柄表示装置91による第1図柄の変動表示の設定も行われる。
具体的には、大当たり乱数カウンタC1の値に基づいて大当たりか否かを判定し、さらに大当たり種別カウンタC2の値に基づいて大当たりの種類を決定する(いわゆる、確変大当たりか否かを決定する)。なお、この際、第1図柄における大当たり図柄の種類及び大当たり図柄の組合せの停止ラインも決定し、停止図柄コマンドとして設定する。また、大当たりが発生しないと判定された場合には、リーチ乱数カウンタC3の値に基づいて第1図柄における外れ図柄の組合せの態様を決定する。かかる場合に、上記外れ図柄カウンタ更新処理にて更新されエリア内に格納された図柄の組合せを停止図柄コマンドとして設定する。さらに、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいて、第1特定ランプ部93に表示される色の切替表示時間、及び第1図柄の変動表示時間を決定する。さらに、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいて第1図柄におけるリーチ種別やその大まかな図柄変動態様を決定し、変動態様コマンドとして設定する。なお、当該第1特定ランプ部制御処理にて第1特定ランプ部93のオンオフ制御が開始される毎に作動保留球数Nが1減算され、作動保留球数Nが0の場合にはオンオフ制御が開始されない。
第1特定ランプ部制御処理の後は、ステップS504にて大入賞口開閉処理を実行する。大入賞口開閉処理では、大当たり状態である場合において可変入賞装置83の大入賞口を開放又は閉鎖する。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に大入賞口を開放し、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数だけ入賞したかを判定する。この規定数だけ入賞したか否かの判定は、大入賞口用カウンタを確認することにより行われる。そして、これら何れかの条件が成立すると大入賞口を閉鎖する。
その後、ステップS505では、第2特定ランプ部94に表示される色の切り替え処理を行うための第2特定ランプ部制御処理を実行する。第2特定ランプ部制御処理では、ゲート保留球数が1以上であることを条件に第2特定ランプ部94における表示色の切り換えを開始する。この際、表示色の切り換え時間も設定する。また、既に取得されている第2特定ランプ乱数カウンタの値に基づいて停止表示する色を設定する。この停止表示される色として所定の色が設定された場合には、その色の停止表示後に、下作動口84bに付随する電動役物89が所定時間開放される。
ちなみに、本パチンコ機10では、特別遊技状態の一種として、電動役物89が開放状態となる単位時間当たりの頻度が高くなる頻度向上状態が設定されている。頻度向上状態では、下作動口84bへの入賞が発生し易くなる。換言すれば、電動役物89が開放状態となる単位時間当たりの頻度を高くする手段を有しており、当該手段により頻度が高められている状態では遊技者は下作動口84bへの入賞が発生し易くなるという利益が得られる。
頻度向上状態の具体的な内容としては、大当たり状態終了後の予め定められた遊技回数(図柄表示装置91における図柄の変動表示回数)又は次回の大当たりが発生するまで継続するものであり、頻度向上状態では、電動役物89を開放状態とするか否かの抽選間隔が通常遊技状態(頻度向上状態ではない状態)よりも短くなるとともに、抽選において当選となった場合には電動役物89が開放状態となる回数が通常遊技状態よりも多くなり、且つ開放状態となった場合の継続時間が通常遊技状態よりも長くなる。なお、頻度向上状態における条件として上記全てのものが成立している必要はなく、いずれか1つの条件又は所定の組合せの条件が成立する構成としてもよい。また、頻度向上状態における開放状態当選とするか否かの確率は、通常遊技状態における確率と同一に設定されているが、通常遊技状態よりも高く設定されていてもよい。
ステップS505の後は、ステップS506にて、遊技球発射制御処理を実行する。遊技球発射制御処理では、電源及び発射制御基板321の発射制御部321bから発射許可信号を入力していることを条件として、所定期間(例えば、0.6sec)に1回、遊技球発射機構110のソレノイド111を励磁する。これにより、発射レール112上にある遊技球が遊技領域に向けて打ち出される。
ステップS506の後は、ステップS507にて入力状態監視処理を実行し、ステップS508にて払出用出力処理を実行する。これらの処理については後に詳細に説明する。その後、ステップS509にて、RAM313に設けられた停電フラグ格納エリアに停電フラグが格納されているか否かを判定する。停電フラグが格納されていない場合は、繰り返し実行される複数の処理の最後の処理が終了したこととなるので、ステップS510にて次の通常処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回の通常処理の開始から所定時間(本実施の形態では4msec)が経過したか否かを判定する。そして、次の通常処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、乱数初期値カウンタCINI及び両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を繰り返し実行する。つまり、ステップS511では、乱数初期値カウンタCINIの更新を実行する。具体的には、乱数初期値カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施の形態では676)に達した際0にクリアする。そして、乱数初期値カウンタCINIの更新値を、RAM313の該当するエリアに格納する。また、ステップS512では、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新を実行する。具体的には、両変動種別カウンタCS1,CS2を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施の形態では198,240)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、両変動種別カウンタCS1,CS2の更新値を、RAM313の該当するエリアに格納する。
一方、ステップS509にて、停電フラグが格納されていると判定した場合は、電源遮断が発生したことになるので、ステップS513以降の停電時処理を実行する。つまり、ステップS513では、タイマ割込み処理の発生を禁止し、その後、ステップS514にてRAM判定値を算出、保存し、ステップS515にてRAM313のアクセスを禁止した後に、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。
<遊技球の払出に関する電気的構成>
次に、遊技球の払出に関する電気的構成及び処理構成について詳細に説明する。先ず、電気的構成について、図23のブロック図を参照しながら説明する。図23では、電力の供給ラインを二重線矢印で示し、信号ラインを実線矢印で示す。
主制御基板301と払出制御基板322とはハーネスなどの電気配線(信号線)を介して電気的に接続されており、主制御基板301から払出制御基板322に指令情報としてのコマンドが出力されるとともに、払出制御基板322から主制御基板301には各種の電気信号が出力される。
主制御基板301のCPU311は第1入力ポート(第1入力部)351と第2入力ポート(第2入力部)352とを備えており、これら入力ポート351,352において払出制御基板322からの電気信号を入力するとともに各種センサ等からの電気信号を入力する。ここで、第1入力ポート351の構成を、図24を用いて説明する。図24は、第1入力ポート351を説明するための説明図である。
第1入力ポート351は、各入力情報を格納するための信号入力用バッファBを備えている。信号入力用バッファBは、1バイトで構成されており、第0ビットD0〜第7ビットD7を備えている。これら第0ビットD0〜第7ビットD7は、それぞれ異なる信号出力元との間に信号経路が形成されており、これら信号出力元から入力した信号に基づいて情報が格納される。
詳細には、第0ビットD0は下作動口センサ154bとの間に信号経路が形成されており、第1ビットD1は上作動口センサ154aとの間に信号経路が形成されており、第2ビットD2はカウントセンサ153との間に信号経路が形成されており、第3ビットD3はゲートセンサ155との間に信号経路が形成されており、第4ビットD4は第1入賞口センサ152aとの間に信号経路が形成されており、第5ビットD5は第2入賞口センサ152bとの間に信号経路が形成されており、第6ビットD6は第3入賞口センサ152cとの間に信号経路が形成されており、第7ビットD7は払出制御基板322との間に信号経路が形成されている。なお、この第7ビットD7には、払出制御基板322から出力される賞球許可信号が入力される。この賞球許可信号の詳細については後に説明する。
下作動口センサ154b、上作動口センサ154a、カウントセンサ153、ゲートセンサ155及び各入賞口センサ152a〜152cは、上述したように、遊技領域を流下し下作動口84b、上作動口84a、可変入賞装置83、一般入賞口82及びスルーゲート85を通過した遊技球を検知するためのものであり、遊技球を検知していない間はHIレベル信号を出力し、遊技球を検知している間はLOWレベル信号を出力するよう構成されている。但し、主制御基板301は反転回路を有している。したがって、第0ビットD0〜第6ビットD6には、対応するセンサ154b,154a,153,155,152a〜152cからHIレベル信号が出力されている間は「0」の情報(データ0)が格納され、LOWレベル信号が出力されている間は「1」の情報(データ1)が格納される。
なお、上記センサ152〜155が遊技球を検知していない間はLOWレベル信号を出力するとともに遊技球を検知している間はHIレベル信号を出力する構成としてもよい。この場合、上記反転回路を不具備とし、さらには第0ビットD0〜第6ビットD6には、対応するセンサ152〜155からLOWレベル信号が出力されている間は「0」が格納され、HIレベル信号が出力されている間は「1」が格納されるようにする。
一方、賞球許可信号については反転回路の対象となっておらず、賞球許可信号について払出制御基板322からLOWレベル信号が出力されている間は第7ビットD7に「0」が格納され、HIレベル信号(これが、本パチンコ機10において賞球許可信号に相当する)が出力されている間は第7ビットD7に「1」が格納される。
主制御基板301のCPU311では、第1入力ポート351の各ビットD0〜D7に格納された情報に基づいて入賞の有無(遊技領域に設けられ通過検知対象の通過部を遊技球が通過したか否か)などを判定する。また、第2入力ポート352は、図示による説明は省略するが、第1入力ポート351と同様に1バイトで構成されており、各ビットには前扉枠開放スイッチ78及び本体枠開放スイッチ217からの電気信号や払出制御基板322から出力される信号のうち上記賞球許可信号以外の信号などが入力される。つまり、第2入力ポート352の各ビットにはCPU311において処理を実行する上で用いられる何らかの信号が入力される。
なお、前扉枠開放スイッチ78及び本体枠開放スイッチ217から出力された電気信号は、電源及び発射制御基板321と払出制御基板322とに中継された後に主制御基板301に入力される。この場合、払出制御基板322においては、これら前扉枠開放スイッチ78及び本体枠開放スイッチ217からの電気信号を中継するだけであり、払出制御基板322のCPU331には入力されない。これは電源及び発射制御基板321についても同様である。また、第1入力ポート351及び第2入力ポート352に代えて、第1入出力ポート及び第2入出力ポートを備え、CPUにおいて入出力が適宜変更される構成としてもよい。
また、第1入力ポート351及び第2入力ポート352がCPU311ではなく、ドライバICとしてCPU311のチップとは別に主制御基板301に設置された構成としてもよい。この場合、CPU311は、単一の入力ポート又は入出力ポートを有する構成とすればよい。
主制御基板301のRAM313の構成について説明する。なお、以下の説明では、図25を適宜参照する。図25はRAM313の構成を説明するための説明図である。
主制御基板301のRAM313には個別に情報を記憶する手段としての賞球用カウンタエリア361が設けられている。賞球用カウンタエリア361には、図25に示すように、15個賞球用カウンタエリア361aと、10個賞球用カウンタエリア361bと、4個賞球用カウンタエリア361cと、3個賞球用カウンタエリア361dとが設けられている。
ここで、本パチンコ機10には既に説明したように、賞球用入球部(又は賞払出用通過部)として、一般入賞口82、可変入賞装置83、上作動口84a及び下作動口84bが設けられており、各賞球用入球部ごとに入球に対する賞球個数(払い出される遊技球の個数)が異なっている。具体的には、一般入賞口82に入球した場合の賞球個数は10個であり、可変入賞装置83に入球した場合の賞球個数は15個であり、上作動口84aに入球した場合の賞球個数は3個であり、下作動口84bに入球した場合の賞球個数は4個である。
当該構成において、15個賞球用カウンタエリア361aは可変入賞装置83への入球に対する15個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり(可変入賞装置83への入球に対する15個賞球の未実施回数を記憶するものであり)、10個賞球用カウンタエリア361bは一般入賞口82への入球に対する10個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり(一般入賞口82への入球に対する10個賞球の未実施回数を記憶するものであり)、4個賞球用カウンタエリア361cは下作動口84bへの入球に対する4個賞球をあと何回行うかを記憶するものであり(下作動口84bへの入球に対する4個賞球の未実施回数を記憶するものであり)、3個賞球用カウンタエリア361dは上作動口84aへの入球に対する3個賞球をあと何回行うかを記憶するものである(上作動口84aへの入球に対する3個賞球の未実施回数を記憶するものである)。各賞球用カウンタエリア361a〜361dは、それぞれ1バイトで構成されており、賞球の未実施回数を最大で255回まで覚えることができる。
なお、上記賞球個数パターンは一例であり、各個数は任意である。また、賞球数のパターンも上記の4種類に限定されることはなく、2種類、3種類又は5種類以上であってもよい。また、各賞球用カウンタエリア361a〜361dは1バイトに限定されることはなく、2バイト又は3バイト以上であってもよい。さらには各賞球用カウンタエリア361a〜361dに記憶可能な賞球の未実施回数は、最大で255回であることは必須ではなく、複数回が記憶可能であれば、255回よりも少なく又は多くてもよい。
主制御基板301のCPU311では、上記各賞球用カウンタエリア361a〜361dに記憶されている情報(賞情報)に基づいて、入賞発生の有無を判定し、入賞発生有りと判定した場合にはその入賞の種類に対応した賞球コマンドを払出制御基板322に出力する。
ここで、賞球コマンドの情報形態について図25(b)を用いて説明する。
賞球コマンドは、主制御基板301のROM312のコマンド記憶エリア312aに予め記憶されている。賞球コマンドとしては、15個賞球コマンドと、10個賞球コマンドと、4個賞球コマンドと、3個賞球コマンドとが設定されている。15個賞球用カウンタエリア361aに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には15個賞球コマンドが出力され、10個賞球用カウンタエリア361bに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には10個賞球コマンドが出力され、4個賞球用カウンタエリア361cに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には4個賞球コマンドが出力され、3個賞球用カウンタエリア361dに記憶されている賞球情報に基づいて賞球コマンドが出力される場合には3個賞球コマンドが出力される。
各賞球コマンドは2バイトで構成されている。すなわち、各賞球コマンドは上位情報と下位情報とを備えており、それら各情報はそれぞれ1バイトで構成されている。つまり、上位情報と下位情報とは同数のビット数で構成されている。これら上位情報及び下位情報のうち、上位情報には払出制御基板322のCPU331において本コマンドが賞球コマンドであることを特定するための情報が設定されており、下位情報には払出制御基板322のCPU331において本賞球コマンドの賞球数の情報が設定されている。
各賞球コマンドの具体的な情報形態は図25(b)に示すとおりである。この場合に、任意の一の賞球コマンドは、上位情報と下位情報との加算を演算した場合の1バイトからなる情報の形態が16進数で「FF」となるように設定されている。例えば、15個賞球コマンドについて詳細には、上位情報が「11110000」となっており、下位情報が「00001111」となっている。そして、これらの加算を演算すると、「11111111」となる。また、3個賞球コマンドについて詳細には、上位情報が「11111100」となっており、下位情報が「00000011」となっている。そして、これらの加算を演算すると、「11111111」となる。賞球コマンドが上記のような情報形態となっていることにより、払出制御基板322のCPU331では、主制御基板301から入力した賞球コマンドが正常か否かの判定を行うことができるようになっている。
また、主制御基板301のRAM313には、図23に示すように、前回用エリア362及び前々回用エリア363が設けられている。これらのエリア362,363は、主制御基板301のCPU311において第1入力ポート351に格納された情報に基づいて入賞の有無を判定する場合に用いられる。
その他、主制御基板301のRAM313には、前扉枠カウンタエリア364、賞球許可カウンタエリア365及び各種フラグ格納エリア366が設けられている。前扉枠カウンタエリア364は、主制御基板301のCPU311において前扉枠14の開閉の有無を判定する場合に用いられる。また、賞球許可カウンタエリア365は、主制御基板301のCPU311において賞球許可信号に関する処理を実行する上で用いられる。また、各種フラグ格納エリア366は、主制御基板301のCPU311において各種の制御処理を実行する上で用いられる。
払出制御基板322は払出装置224と電気的に接続されており、払出制御基板322のCPU331は、払出モータ257に駆動信号を出力するとともに、払出球検知センサ258から遊技球の検知の有無を示す電気信号を入力する。また、払出制御基板322は球貸用接続端子板249を介して球貸装置Yと電気的に接続されており、払出制御基板322のCPU331は、球貸装置Yとの間で電気信号の入出力を行うことで貸球の制御を実行する。
また、払出制御基板322のCPU331は、満タン検知センサ59及び球無検知センサ223aから電気信号を入力し、下皿34が満タン状態となっているか否かの特定や、タンク221が球無状態となっているか否かの特定を行う。これら満タン検知センサ59及び球無検知センサ223aのうち満タン検知センサ59から出力された電気信号は、電源及び発射制御基板321に中継された後に払出制御基板322に入力される。なお、払出制御基板322のCPU331は、下皿34が満タン状態となっているか否かの特定結果を主制御基板301のCPU311に出力する。これにより、下皿34が満タン状態となっているか否かを主制御基板301のCPU311において把握することができるようになっている。
払出制御基板322のRAM333の構成について説明する。なお、以下の説明では、図26を適宜参照する。図26はRAM333の構成を説明するための説明図である。
払出制御基板322のRAM333には満タンカウンタエリア371が設けられている。満タンカウンタエリア371は、払出制御基板322のCPU331において下皿34が満タン状態であるか否かを特定する上で用いられる。また、払出制御基板322のRAM333には球無カウンタエリア372が設けられている。球無カウンタエリア372は、払出制御基板322のCPU331においてタンク221が球無状態であるか否かを特定する上で用いられる。また、払出制御基板322のRAM333にはコマンド格納エリア373が設けられている。コマンド格納エリア373は、主制御基板301のCPU311から入力した賞球コマンドを一時的に格納しておく上で用いられる。
また、払出制御基板322のRAM333には賞球数記憶エリア374が設けられている。賞球数記憶エリア374は、図26(a)に示すように複数のビット(8ビット)が列状に並べられてなる1バイトで構成されており、各ビットには「0」(データ0又は無情報)又は「1」(データ1又は有情報)が設定される。そして、賞球数記憶エリア374は、払出制御基板322のCPU331において賞球コマンドを解析することで特定した賞球数の情報を記憶しておくための機能を有している。この場合、賞球数の情報(賞球数情報又は賞払出数情報)は、所定の遊技媒体数の範囲内において各ビットのデータ1の設定パターンと遊技媒体数とが1対1で対応した情報である。具体的には、下位のビット(図26(a)において右端のビット)から上位のビット(図26(a)において左端のビット)に向けて予め定められた順序(右側のビットから左側のビットに向けて)で各ビットに「1」(データ1又は有情報)が設定され、上位側のビットに「1」が設定されているほど対応する賞球数が大きい数となるように2進数で表される情報である。
ここで、賞球コマンドから賞球数の情報を特定する場合には、払出制御基板322のROM332に設けられた賞球テーブル記憶エリア332aが参照される。賞球テーブル記憶エリア332aには、図26(d)に示すように、主制御基板301のCPU311から入力する賞球コマンドと、賞球数との対応関係が記憶されている。
また、払出制御基板322のRAM333には貸球数記憶エリア375が設けられている。貸球数記憶エリア375は、図26(b)に示すように1バイトで構成されており、払出制御基板322のCPU331において球貸装置Yから入力した貸球数の情報を記憶しておくための機能を有している。また、払出制御基板322のRAM333には払出個数カウンタエリア376が設けられている。払出個数カウンタエリア376は、図26(c)に示すように1バイトで構成されており、払出制御基板322のCPU331において遊技球の払出を実行する上での実行エリアとしての機能を有する。
なお、賞球数記憶エリア374、貸球数記憶エリア375及び払出個数カウンタエリア376は、1バイトに限定されることはなく、2バイト又は3バイト以上であってもよい。また、これら各エリア374〜376が同一のバイト数である必要はない。
その他、払出制御基板322のRAM333には各種フラグ格納エリア377が設けられている。各種フラグ格納エリア377は、払出制御基板322のCPU331において各種の制御処理を実行する上で用いられる。
なお、払出制御基板322のRAM333には、上記各エリア371〜377の他に、主制御基板301のCPU311からコマンドを入力した場合にそのコマンドを一時的に格納しておくためのリングバッファが設けられている。リングバッファは複数の記憶領域を備えているとともに、読み込みポインタと読み出しポインタとが設定されている。読み込みポインタに基づき各記憶領域にコマンドが順次読み込まれていくとともに、読み出しポインタに基づき各記憶領域に記憶されたコマンドが順次読み出されていく。
電源及び発射制御基板321の電入時用電源部321aからの電力は、主制御基板301のCPU311のVCC端子、及び払出制御基板322のCPU331のVCC端子に供給される。VCC端子に供給された電力により、外部電源からの電力供給が行われている状況において、各CPU311,331にて各種制御処理が実行されるとともに、各RAM313,333にて情報の記憶保持が行われる。
また、電源及び発射制御基板321の電断時用電源部321cからの電力は、主制御基板301のCPU311のVBB端子に供給される。つまり、電断時用電源部321cからの電力は、主制御基板301のRAM313に供給されるが、払出制御基板322のRAM333には供給されない。VBB端子に供給された電力により、外部電源からの電力供給が遮断されている状況において、主制御基板301のRAM313にて情報の記憶保持が行われる。なお、既に説明したように、電入時用電源部321a及び電断時用電源部321cから主制御基板301のCPU311に供給される電力は、停電監視回路303にて中継される。また、払出制御基板322のVBB端子(図示略)は、アースされている又はいずれの電気配線とも接続されていない。
<遊技球の払出に関する処理構成であって主制御基板301のCPU311における処理構成>
次に、遊技球の払出に関する、主制御基板301のCPU311における処理構成について説明する。なお、以下の説明において、カウンタエリアの値とは、バイト単位で構成されたカウンタエリアの値を仮想的に10進数で表現した値のことをいう。
<読み込み処理>
先ず、タイマ割込み処理(図19)のステップS201にて実行される読み込み処理について、図27のフローチャート及び図28の説明図を参照しながら説明する。
読み込み処理では、先ずステップS601にて、第1入力ポート351の情報を今回入力情報として取得する処理を実行する。当該処理について詳細に説明する。CPU311には今回用レジスタ(演算用の今回記憶手段)381が設けられている(図28参照)。この今回用レジスタ381は、第1入力ポート351と同一のビット数で構成されている。つまり、今回用レジスタ381は1バイトで構成されている。ステップS601の処理では、第1入力ポート351の第0〜第7ビットD0〜D7に格納されている「0」又は「1」の情報を、今回用レジスタ381における上記第0〜第7ビットD0〜D7に対応する各ビットに格納する。
例えば、下作動口センサ154b、カウントセンサ153、第2入賞口センサ152b及び賞球許可信号がONとなっており、それ以外がOFFとなっている場合には、今回用レジスタ381に記憶されている今回入力情報の情報形態は図28(a)に示すように、「10100101」となる。
続くステップS602では、今回入力情報のマスク処理を実行する。このマスク処理では、主制御基板301のROM312に予め記憶された入力情報用マスクと、今回用レジスタ381に記憶されている今回入力情報との論理積を演算(AND処理)し、その演算後の情報を今回用レジスタ381に更新する。具体的には、入力情報用マスクは、「01111111」となっている。つまり、入力情報用マスクは、今回入力情報のうち、入賞の有無の情報を格納するビット以外のビットを「0」クリアするためのマスクである。したがって、ステップS602の処理を実行した後は、入賞の有無の情報とは無関係である賞球許可信号の情報に対応したビット(第7番目のビット)が「0」クリアされる。
例えば、図28の例においては、ステップS602の処理後における今回入力情報の情報形態は図28(b)に示すように、「00100101」となる。
続くステップS603では、RAM313の前回用エリア362に記憶されている情報を前回入力情報として取得するとともに、及びRAM313の前々回用エリア363に記憶されている情報を前々回入力情報として取得する処理を実行する。
ここで、前回入力情報とは、前回の読み込み処理において、第1入力ポート351に格納されていた情報のことをいい、前々回入力情報とは、前々回の読み込み処理において、第1入力ポート351に格納されていた情報のことをいう。但し、上記のとおりステップS602の処理が実行されているため、入賞の有無の情報とは無関係である情報については「0」クリアされている。
ステップS603の処理について詳細に説明する。CPU311には、今回用レジスタの他に、前回用レジスタ(演算用の前回記憶手段)382が設けられているとともに、前々回用レジスタ(演算用の前々回記憶手段)383が設けられている。前回用レジスタ382は、今回用レジスタ381及びRAM313の前回用エリア362と同一のビット数で構成されている。つまり、前回用レジスタ382は1バイトで構成されている。また、前々回用レジスタ383は、今回用レジスタ381、前回用レジスタ382及びRAM313の前々回用エリア363と同一のビット数で構成されている。つまり、前々回用レジスタ383は1バイトで構成されている。ステップS603の処理では、前回用エリア362の各ビットに格納されている「0」又は「1」の情報を、前回用レジスタ382における対応する各ビットに格納する。また、前々回用エリア363の各ビットに格納されている「0」又は「1」の情報を、前々回用レジスタ383における対応する各ビットに格納する。
例えば、前回の読み込み処理において、下作動口センサ154b、カウントセンサ153、第2入賞口センサ152b及び第3入賞口センサ152cがONとなっており、それ以外がOFFとなっていた場合には、前回用レジスタ382に記憶されている前回入力情報の情報形態は図28(c)に示すように、「01100101」となる。また、前々回の読み込み処理において、第2入賞口センサ152bがONとなっており、それ以外がOFFとなっていた場合には、前々回用レジスタ383に記憶されている前々回入力情報の情報形態は図28(d)に示すように、「00100000」となる。
続くステップS604では、次回用書き込み処理を実行する。次回用書き込み処理では、次回の読み込み処理のために、RAM313の前回用エリア362及び前々回用エリア363を更新する処理を実行する。つまり、前回用エリア362の情報を、今回用レジスタ381に記憶されている情報に更新するとともに、前々回用エリア363の情報を、前回用レジスタ382に記憶されている情報に更新する。
続くステップS605では、前々回入力情報の反転処理を実行する。具体的には、前々回用レジスタ383の各ビットの値を反転させる。例えば、前々回入力情報が図28(d)に示すように「00100000」である場合には、反転させた情報は図28(e)に示すように「11011111」となる。
続くステップS606では、ステップS605にて反転させた前々回用レジスタ383の情報と、前回用レジスタ382に記憶されている前回入力情報とのAND処理を実行する。つまり、ステップS605にて反転させた前々回用レジスタ383の情報と、前回用レジスタ382に記憶されている前回入力情報との論理積を演算する。そして、その演算結果の情報を、前回用レジスタ382の情報として更新する。
例えば、反転させた情報が図28(e)に示すように「11011111」であり、前回入力情報が図28(c)に示すように「01100101」である場合には、ステップS606にてAND処理した結果の情報は図28(f)に示すように「01000101」となる。
なお、演算結果の情報を、前々回用レジスタ383の情報として更新してもよい。但し、この場合、ステップS607の処理では、前々回用レジスタ383に記憶されている情報を用いる必要がある。
続くステップS607では、ステップS606にてAND処理した結果の情報と、今回用レジスタ381に記憶されているマスク処理後の今回入力情報とのAND処理を実行する。つまり、ステップS606にて得た前回用レジスタ382の情報と、ステップS602にて得た今回用レジスタ381の情報との論理積を演算する。そして、その演算の結果を、今回用レジスタ381の情報として更新する。
例えば、ステップS606にて得た前回用レジスタ382の情報が図28(f)に示すように「01000101」であり、ステップS602にて得た今回用レジスタ381の情報が図28(b)に示すように「00100101」である場合には、ステップS607にてAND処理した結果の情報は図28(g)に示すように「00000101」となる。
続くステップS608では、情報判定処理を実行する。ここで、情報判定処理について、図29のフローチャートを参照しながら説明する。
情報判定処理では、先ずステップS701にて、今回用レジスタ381の第0ビットW0に入賞情報があるか否か、すなわち、第0ビットW0に「1」が格納されているか否かを判定する。第0ビットW0に入賞情報がない場合(「0」が格納されている場合)には、そのままステップS703に進む。第0ビットW0に入賞情報がある場合(「1」が格納されている場合)には、ステップS702にて第1格納処理を実行した後に、ステップS703に進む。第1格納処理では、RAM313の賞球用カウンタエリア361における4個賞球用カウンタエリア361cの値を1加算する。情報判定処理の段階において今回用レジスタ381の第0ビットW0に入賞情報があるということは、下作動口84bへの入賞が発生したことを意味するからである。
ちなみに、第1格納処理では、RAM313の作動口フラグ格納エリア(抽選契機情報記憶手段)に作動口フラグ(抽選契機情報)を格納する。この作動口フラグは、上述した始動入賞処理(図20)において下作動口84bへの入賞が発生したか否かを判定する上で用いられる。なお、作動口として上作動口84a及び下作動口84bの2つが設けられているため、作動口フラグ格納エリアは各作動口84a,84bに1対1で対応させて設けられている。つまり、抽選契機情報記憶手段として第1抽選契機情報記憶手段と第2抽選契機情報記憶手段とが設けられている。
例えば、今回用レジスタ381の情報が図28(g)に示すように「00000101」である場合には、第0ビットW0に「1」が格納されているため、4個賞球用カウンタエリア361cの値を1加算する。また、作動口フラグを格納する。
続くステップS703では、今回用レジスタ381の第1ビットW1に入賞情報があるか否か、すなわち、第1ビットW1に「1」が格納されているか否かを判定する。第1ビットW1に入賞情報がない場合(「0」が格納されている場合)には、そのままステップS705に進む。第1ビットW1に入賞情報がある場合(「1」が格納されている場合)には、ステップS704にて第2格納処理を実行した後に、ステップS705に進む。第2格納処理では、RAM313の賞球用カウンタエリア361における3個賞球用カウンタエリア361dの値を1加算する。情報判定処理の段階において今回用レジスタ381の第1ビットW1に入賞情報があるということは、上作動口84aへの入賞が発生したことを意味するからである。ちなみに、第2格納処理では、RAM313における上作動口84aに対応した作動口フラグ格納エリアに作動口フラグを格納する。
例えば、今回用レジスタ381の情報が図28(g)に示すように「00000101」である場合には、第1ビットW1に「0」が格納されているため、3個賞球用カウンタエリア361dの値の加算は行わない。また、作動口フラグの格納は行わない。
続くステップS705では、今回用レジスタ381の第2ビットW2に入賞情報があるか否か、すなわち、第2ビットW2に「1」が格納されているか否かを判定する。第2ビットW2に入賞情報がない場合(「0」が格納されている場合)には、そのままステップS707に進む。第2ビットW2に入賞情報がある場合(「1」が格納されている場合)には、ステップS706にて第3格納処理を実行した後に、ステップS707に進む。第3格納処理では、RAM313の賞球用カウンタエリア361における15個賞球用カウンタエリア361aの値を1加算する。情報判定処理の段階において今回用レジスタ381の第2ビットW2に入賞情報があるということは、可変入賞装置83への入賞が発生したことを意味するからである。ちなみに、第3格納処理では、RAM313に設けられた大入賞口フラグ格納エリア(特別入賞情報記憶手段)に大入賞口フラグ(特別入賞情報)を格納する。この大入賞口フラグは、上述した大入賞口開閉処理(図22のステップS504)において可変入賞装置83への入賞が発生したか否かを判定する上で用いられる。
例えば、今回用レジスタ381の情報が図28(g)に示すように「00000101」である場合には、第2ビットW2に「1」が格納されているため、15個賞球用カウンタエリア361aの値を1加算する。
続くステップS707では、今回用レジスタ381の第3ビットW3に入賞情報があるか否か、すなわち、第3ビットW3に「1」が格納されているか否かを判定する。第3ビットW3に入賞情報がない場合(「0」が格納されている場合)には、そのままステップS709に進む。第3ビットW3に入賞情報がある場合(「1」が格納されている場合)には、ステップS708にて第4格納処理を実行した後に、ステップS709に進む。第4格納処理では、RAM313に設けられたスルーフラグ格納エリアにスルーフラグを格納する。このスルーフラグは、上述した第2特定ランプ部制御処理(図22のステップS505)においてスルーゲート85を遊技球が通過したか否かを判定する上で用いられる。情報判定処理の段階において今回用レジスタ381の第3ビットW3に入賞情報があるということは、スルーゲート85を遊技球が通過したことを意味するからである。
例えば、今回用レジスタ381の情報が図28(g)に示すように「00000101」である場合には、第3ビットW3に「0」が格納されているため、スルーフラグの格納は行わない。
続くステップS709では、今回用レジスタ381の第4ビットW4に入賞情報があるか否か、すなわち、第4ビットW4に「1」が格納されているか否かを判定する。第4ビットW4に入賞情報がない場合(「0」が格納されている場合)には、そのままステップS711に進む。第4ビットW4に入賞情報がある場合(「1」が格納されている場合)には、ステップS710にて第5格納処理を実行した後に、ステップS711に進む。第5格納処理では、RAM313の賞球用カウンタエリア361における10個賞球用カウンタエリア361bの値を1加算する。情報判定処理の段階において今回用レジスタ381の第4ビットW4に入賞情報があるということは、複数ある一般入賞口82のうちの1の一般入賞口82への入賞が発生したことを意味するからである。
例えば、今回用レジスタ381の情報が図28(g)に示すように「00000101」である場合には、第4ビットW4に「0」が格納されているため、10個賞球用カウンタエリア361bの値の加算は行わない。
続くステップS711では、今回用レジスタ381の第5ビットW5に入賞情報があるか否か、すなわち、第5ビットW5に「1」が格納されているか否かを判定する。第5ビットW5に入賞情報がない場合(「0」が格納されている場合)には、そのままステップS713に進む。第5ビットW5に入賞情報がある場合(「1」が格納されている場合)には、ステップS712にて第5格納処理を実行した後に、ステップS713に進む。第5格納処理については、既に説明したとおりである。情報判定処理の段階において今回用レジスタ381の第5ビットW5に入賞情報があるということは、複数ある一般入賞口82のうちの1の一般入賞口82への入賞が発生したことを意味するからである。
例えば、今回用レジスタ381の情報が図28(g)に示すように「00000101」である場合には、第5ビットW5に「0」が格納されているため、10個賞球用カウンタエリア361bの値の加算は行わない。
続くステップS713では、今回用レジスタ381の第6ビットW6に入賞情報があるか否か、すなわち、第6ビットW6に「1」が格納されているか否かを判定する。第6ビットW6に入賞情報がない場合(「0」が格納されている場合)には、そのまま本情報判定処理を終了する。第6ビットW6に入賞情報がある場合(「1」が格納されている場合)には、ステップS714にて第5格納処理を実行した後に、情報判定処理を終了する。第5格納処理については、既に説明したとおりである。情報判定処理の段階において今回用レジスタ381の第6ビットW6に入賞情報があるということは、複数ある一般入賞口82のうちの1の一般入賞口82への入賞が発生したことを意味するからである。
例えば、今回用レジスタ381の情報が図28(g)に示すように「00000101」である場合には、第6ビットW6に「0」が格納されているため、10個賞球用カウンタエリア361bの値の加算は行わない。
以上のように、本パチンコ機10では、一般入賞口82、可変入賞装置83、上作動口84a、下作動口84b及びスルーゲート85といった通過部(遊技領域に設けられた賞球用入球部と非賞球用ゲート部とを含めたもの)における入賞発生の有無の判定は、予め定められた周期(具体的には、2msec)で実行される読み込み処理において第1入力ポート351を確認することにより行われる。
この場合に、入賞発生有りと判定される条件(以下、入賞判定条件ともいう)は、複数回として設定された基準連続回数の範囲内において、球検知センサから遊技球を検知していない旨を示す非検知情報が出力されていることが確認された後に、球検知センサから遊技球を検知している旨を示す検知情報が出力されていることが複数回として設定された入賞基準回数だけ連続して確認された場合となっている。具体的には、図28に示すように、本パチンコ機10では基準連続回数が3回として設定されており、各種演算処理の前の状態で、前々回用レジスタ383の第0ビットに非検知情報である「0」が格納されており、前回用レジスタ382の第0ビットに検知情報である「1」が格納されており、今回用レジスタ381の第0ビットに検知情報である「1」が格納されている場合に、各種演算処理後の今回用レジスタ381の第0ビットW0には入賞情報である「1」が格納されている。
上記入賞判定条件とすることで、CPU311において入賞の発生を正確に把握することができる。つまり、遊技球を検知する各種センサ152〜155が所定の検知範囲を有しているのに対して、CPU311の処理実行タイミングはセンサ152〜155が遊技球の検知を開始してから終了するまでの間に多数回発生するように設定されている。そうすると、1回の入賞の発生に対して既に入賞有りの判定をしたにも関わらず、その後もCPU311において検知情報を確認することで、再度、入賞有りの判定をしてしまうことが懸念される。これに対して、上記入賞判定条件では判定基準数回数の範囲内において非検知情報の後に検知情報を確認する必要があるため、1回の入賞の発生に対して入賞有りの判定を1度行った後に、その入賞について再度、入賞有りの判定をすることがない。
図28の場合を例にとって説明すると、第2入賞口センサ152bの検知結果に対応した各レジスタ381〜383の第5ビットには、各種演算処理の前の状態で全てに「1」が格納されている。この場合、前回及び今回において検知情報を確認することとなるが、前々回においても検知情報を確認しているため、入賞発生有りとは判定されない。ちなみに、これは前々回入力情報の各ビットを反転させた上で、各入力情報の論理積を演算するという比較的負荷の少ない処理にて実現されている。
また、検知情報が入賞基準回数連続して確認されることを入賞判定条件として設定したことにより、ノイズなどによって第1入力ポート351のビットD0〜D7に単発的に検知情報が格納されたとしても、それに対してCPU311が入賞有りと判定しないようにすることができる。
図28の場合を例にとって説明すると、第3入賞口センサ152cの検知結果に対応した前回用レジスタ382の第6ビットには、各種演算処理の前の状態で、「1」が格納されている。しかしながら、今回用レジスタ381及び前々回用レジスタ383の第6ビットには、各種演算処理の前の状態で、「0」が格納されている。この場合、前回用レジスタ382の第6ビットには、ノイズなどの原因で「1」が格納されていることとなり、CPU311において入賞有りとは判定されない。ちなみに、これは前々回入力情報の各ビットを反転させた上で、各入力情報の論理積を演算するという比較的負荷の少ない処理にて実現されている。
また、第1入力ポート351及び各レジスタ381〜383は同一のバイト単位で構成されており、それらには入賞判定用の球検知センサ152〜155からの情報が全て入力される。そして、入賞発生の有無の判定に際しては、各レジスタ381〜383のバイト単位の入力情報について各種演算処理が実行される。これにより、各球検知センサ152〜155について、入賞発生の有無を判定するための入賞情報の生成をまとめて行うことができる。パチンコ機10においては、同一の遊技領域内に一般入賞口82、可変入賞装置83、上作動口84a、下作動口84b及びスルーゲート85が設置されているとともに、遊技領域を多数の遊技球が同時に流下することとなるため、各通過部への入賞が同時に発生することがある。この場合に入賞情報の生成を行うための処理を、各球検知センサ152〜155ごとに個別に行わなければならないとすると、その処理負荷は相当過大なものとなってしまう。また、例えば、入賞判定用のカウンタを設け、読み込み処理が実行される度にカウントすることで入賞情報の生成を行う構成を想定すると、上記カウンタを各球検知センサ152〜155ごとに個別に設け、読み込み処理を実行する度に全てのカウンタの加算及びリセット用の処理を実行する必要が生じる。これに対して、本構成によれば、入賞情報の生成をまとめて行うことができるため、CPU311の処理負荷及び記憶容量の増加を抑えつつ、上記優れた効果を得ることができる。
また、第1入力ポート351には、球検知センサ152〜155からの信号だけでなく払出制御基板322からの賞球許可信号も入力するようにした。本パチンコ機10では球検知センサ152〜155の数が7個であるのに対して、第1入力ポート351は8ビットで構成されている。そうすると、第1入力ポート351において1ビット分、入賞判定用以外の領域として使用することが可能であり、当該ビットに対して賞球許可信号を入力することでその領域を有効活用することができる。この場合に、読み込み処理においてはステップS602にて今回入力情報のマスク処理が実行されるため、入賞発生の有無の判定に際してはその賞球許可信号の情報を無視することができる。
<入力状態監視処理>
次に、通常処理(図22)のステップS507にて実行される入力状態監視処理について、図30のフローチャートを参照しながら説明する。
入力状態監視処理では、先ずステップS801にて、第2入力ポート352から入力情報を取得する。具体的には、CPU311に設けられた1バイト単位の汎用レジスタに、第2入力ポート352の入力情報を格納する。
続くステップS802では、遊技球の払出に関して異常が発生しているか否かを特定するための払出異常信号監視処理を実行する。詳細には、払出異常信号監視処理では、払出制御基板322から異常信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、払出異常の発生を主制御基板301のCPU311において特定する。そして、払出異常の発生を特定した場合には、音声ランプ制御基板324に払出異常コマンド(払出異常情報)を出力し、異常報知を実行させる。この異常報知の態様は任意であり、例えば、エラー表示ランプ部24の点灯や、スピーカ部26からの報知音の出力や、図柄表示装置91の表示画面における報知表示などが考えられる。また、外部端子板213を通じて遊技ホールの管理コンピュータ(ホールコンピュータ)に異常信号を出力するようにしてもよい。なお、ここでいう払出異常には、タンク221の球無状態や、払出装置224の故障などが含まれる。
続くステップS803では、下皿34が満タン状態となっているか否かを特定するための満タン信号監視処理を実行する。詳細には、満タン信号監視処理では、払出制御基板322から満タン信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、下皿34が満タン状態であることを主制御基板301のCPU311において特定する。そして、下皿34が満タン状態であることを特定した場合には、音声ランプ制御基板324に満タン状態コマンド(満タン状態情報)を出力し、満タン報知を実行させる。この満タン報知の態様は任意であり、例えば、エラー表示ランプ部24の点灯や、スピーカ部26からの報知音の出力や、図柄表示装置91の表示画面における報知表示などが考えられる。また、外部端子板213を通じて遊技ホールの管理コンピュータ(ホールコンピュータ)に満タン信号を出力するようにしてもよい。
続くステップS804では、本体枠13が開放状態となっているか否かを特定するための本体枠開放信号監視処理を実行する。詳細には、本体枠開放信号監視処理では、本体枠開放スイッチ217から本体枠開放信号を入力している旨の情報が汎用レジスタに格納されている場合に、本体枠13が開放状態であることを主制御基板301のCPU311において特定する。そして、本体枠13が開放状態であることを特定した場合には、音声ランプ制御基板324に本体枠開放状態コマンド(本体開放報知用情報)を出力し、本体開放報知を実行させる。この本体開放報知の態様は任意であり、例えば、エラー表示ランプ部24の点灯や、スピーカ部26からの報知音の出力や、図柄表示装置91の表示画面における報知表示などが考えられる。また、外部端子板213を通じて遊技ホールの管理コンピュータ(ホールコンピュータ)に本体開放信号を出力するようにしてもよい。
その後、ステップS805にて前扉枠開放信号監視処理を実行するとともに、ステップS806にて賞球許可信号監視処理を実行した後に、本入力状態監視処理を終了する。
<前扉枠開放信号監視処理>
次に、上記ステップS805の前扉枠開放信号監視処理について、図31のフローチャートを参照しながら説明する。
ここで、前扉枠開放信号監視処理は、(1)前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合の処理、(2)前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理、(3)前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合の処理、(4)前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでの処理、に大別される。そこで、これら状況の処理を個別に説明する。
先ず、上記(1)の前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合の処理について説明する。
先ずステップS901では、前扉枠14が開放状態であることを示す前扉枠開放信号を入力している旨の前扉枠開放情報が汎用レジスタに格納されているか否かを判定する。今回は前扉枠14が閉鎖状態である場合であるため、ステップS901にて否定判定をし、ステップS902に進む。
ステップS902では、RAM313の前扉枠カウンタエリア364における第1前扉枠カウンタエリア(開放特定契機把握用手段)に、開放特定基準回数を格納する。具体的には、前扉枠カウンタエリア364に「3」を格納する。第1前扉枠カウンタエリアは、閉鎖状態の前扉枠14が開放状態となった場合に、CPU311において前扉枠14が開放状態となったことを特定する場合に用いられるカウンタである。
続くステップS903では、RAM313の前扉枠カウンタエリア364における第2前扉枠カウンタエリア(閉鎖特定契機把握用手段)が「0」となっているか否かを判定する。第2前扉枠カウンタエリアは、開放状態の前扉枠14が閉鎖状態となった場合に、CPU311において前扉枠14が閉鎖状態となったことを特定する場合に用いられるカウンタである。当該第2前扉枠カウンタエリアは、前扉枠14が閉鎖状態となったことを特定した後は、「0」の状態で維持される。したがって、前扉枠14が閉鎖状態であることが特定された後であって当該閉鎖状態が継続されている場合には、第2前扉枠カウンタエリアは「0」であり、ステップS903にて肯定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
次に、上記(2)の前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理について説明する。
今回は前扉枠14が開放状態である場合であるため、ステップS901に肯定判定をし、ステップS911に進む。ステップS911では、RAM313の第2前扉枠カウンタエリアに、閉鎖特定基準値情報を格納する。具体的には、第2前扉枠カウンタエリアに「250」を格納する。
続くステップS912では、第1前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は、前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでの処理であるため、前扉枠14が閉鎖状態の場合にステップS902にて第1前扉枠カウンタエリアに格納された開放特定基準値情報が未だ「0」となっていない状態である。したがって、ステップS912にて否定判定をし、ステップS913に進む。
ステップS913では、第1前扉枠カウンタエリアの値を1減算する。続くステップS914では、第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。つまり、前扉枠14が閉鎖状態から開放状態となった場合であって開放状態であることが特定されるまでは、前扉枠開放信号監視処理が実行される度に第1前扉枠カウンタエリアの値が1減算される。また、前扉枠開放信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。また、前扉枠14が閉鎖状態の場合には、ステップS902にて第1前扉枠カウンタエリアに「3」が格納される。したがって、ステップS914では、前扉枠14が開放操作され閉鎖状態から開放状態となった時点(前扉枠開放スイッチ78から前扉枠開放信号が出力された時点)から12msecが経過したか否かを判定していることとなる。
第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」でない場合には、ステップS914にて否定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。第1前扉枠カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS914にて肯定判定をし、ステップS915に進む。ステップS915では、RAM313の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS916に進む。
ステップS916では、前扉枠開放フラグ格納エリア(前面体開放情報記憶手段)に前扉枠開放フラグ(前面体開放情報)を格納する。これにより、CPU311において前扉枠14が開放状態であることが特定される。続くステップS917では、RAM313の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグを格納する。これにより、CPU311において前扉枠14が開放状態であることを特定したタイミングであることが特定される。続くステップS918では、前扉枠開放コマンドをセットする。当該前扉枠開放コマンドは、後述する払出用出力処理にて払出制御基板322に出力され、払出制御基板322のCPU331では前扉枠開放コマンドを入力することで、前扉枠14が開放状態であることを特定する。
その後、ステップS910ではサブコマンド設定処理を実行する。サブコマンド設定処理では、音声ランプ制御基板324に前扉枠開放状態コマンド(前面体開放報知用情報)を出力し、前面体開放報知を実行させる。この前面体開放報知の態様は任意であり、例えば、エラー表示ランプ部24の点灯や、スピーカ部26からの報知音の出力や、図柄表示装置91の表示画面における報知表示などが考えられる。また、外部端子板213を通じて遊技ホールの管理コンピュータ(ホールコンピュータ)に前面体開放信号を出力するようにしてもよい。その後、本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
以上のように、本パチンコ機10では、CPU311の汎用レジスタに前扉枠開放情報が格納されていたとしても、前扉枠14が開放状態となったと即座に判定することはなく、複数回として設定された開放特定基準回数だけ連続して前扉枠開放情報が確認された場合、すなわち、開放特定基準期間に亘って前扉枠開放情報が確認された場合に、前扉枠14が開放状態となったと判定する。これにより、前扉枠14が開放状態ではないにも関わらず、ノイズなどにより第2入力ポート352又は汎用レジスタに前扉枠開放情報が格納された場合に、CPU311において前扉枠14が開放状態となったと特定してしまうことが防止される。
本パチンコ機10では、前扉枠14に対して窓部21、上皿33及び下皿34が一体化されていることに伴って、前扉枠14が開放された場合には遊技球の払出を停止するようにしている。払出を停止しないと本体枠13の開閉部材124の位置から払出装置224の位置まで遊技球が連なり、払出装置224の故障が懸念されるからである。この場合に、実際には前扉枠14が開放状態となっていないにも関わらず、CPU311において前扉枠14が開放状態であると特定されるのは好ましくない。また、ノイズ等の影響で前扉枠開放コマンドが払出制御基板322に出力されると、それを解除するためのコマンドは出力されない。そうすると遊技球の払出が停止された状態が維持され続けてしまうこととなり、遊技者に不利益を及ぼしてしまうおそれがある。これに対して、本構成によれば、このような不都合が発生する可能性を低減することができる。
次に、上記(3)の前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合の処理について説明する。
今回は前扉枠14が開放状態である場合であるため、ステップS901にて肯定判定をし、ステップS911に進み、RAM313の第2前扉枠カウンタエリアに「250」を格納する。続くステップS912では、第1前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は前扉枠14が開放状態であることが特定された後であって当該開放状態が継続されている場合であるため、第1前扉枠カウンタエリアが「0」の状態が維持されている。したがって、ステップS912にて肯定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
次に、上記(4)の前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでの処理について説明する。
今回は前扉枠14が閉鎖状態である場合であるため、ステップS901にて否定判定をし、ステップS902に進み、RAM313の第1前扉枠カウンタエリアに「3」を格納する。
続くステップS903では、RAM313の第2前扉枠カウンタエリアが「0」となっているか否かを判定する。今回は、前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態が特定されるまでの処理であるため、前扉枠14が開放状態の場合にステップS911にて第2前扉枠カウンタエリアに格納された閉鎖特定基準回数が未だ「0」となっていない状態である。したがって、ステップS903にて否定判定をし、ステップS904に進む。
ステップS904では、第2前扉枠カウンタエリアの値を1減算する。続くステップS905では、第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」か否かを判定する。つまり、前扉枠14が開放状態から閉鎖状態となった場合であって閉鎖状態であることが特定されるまでは、前扉枠開放信号監視処理が実行される度に第2前扉枠カウンタエリアの値が1減算される。また、前扉枠開放信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。また、前扉枠14が開放状態の場合には、ステップS911にて第2前扉枠カウンタエリアに「250」が格納される。したがって、ステップS905では、前扉枠14が閉鎖操作され開放状態から閉鎖状態となった時点(前扉枠開放スイッチ78からの前扉枠開放信号の出力が停止された時点)から1secが経過したか否かを判定していることとなる。
第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」でない場合には、ステップS905にて否定判定をし、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。第2前扉枠カウンタエリアの値が「0」である場合には、ステップS905にて肯定判定をし、ステップS906に進む。ステップS906では、RAM313の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、そのまま本前扉枠開放信号監視処理を終了する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、ステップS907に進む。
ステップS907では、前扉枠開放フラグ格納エリアに格納されている前扉枠開放フラグを消去する。これにより、CPU311において前扉枠14が閉鎖状態であることが特定される。続くステップS908では、RAM313の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグを格納する。これにより、CPU311において前扉枠14が閉鎖状態であることを特定したタイミングであることが特定される。続くステップS909では、前扉枠閉鎖コマンドをセットする。当該前扉枠閉鎖コマンドは、後述する払出用出力処理にて払出制御基板322に出力され、払出制御基板322のCPU331では前扉枠閉鎖コマンドを入力することで、前扉枠14が閉鎖状態であることを特定する。
その後、ステップS910ではサブコマンド設定処理を実行する。今回のサブコマンド設定処理では、音声ランプ制御基板324に前扉枠閉鎖状態コマンド(前面体閉鎖報知用情報)を出力し、前面体開放報知を終了させる。その後、本前扉枠開放信号監視処理を終了する。
以上のように、本パチンコ機10では、CPU311の汎用レジスタから前扉枠開放情報が消去されたとしても、前扉枠14が閉鎖状態となったと即座に判定することはなく、複数回として設定された閉鎖基準連続回数だけ連続して前扉枠開放情報のない状態が確認された場合、すなわち、閉鎖特定基準期間に亘って前扉枠開放情報のない状態が確認された場合に、前扉枠14が閉鎖状態となったと特定する。これにより、前扉枠14が閉鎖状態となっていないにも関わらず、ノイズなどにより第2入力ポート352又は汎用レジスタから前扉枠開放情報が消去された場合に、CPU311において前扉枠14が閉鎖状態となったと特定してしまうことが防止される。
本パチンコ機10は前扉枠14が開放状態となると遊技球の払出が停止されるとともに前扉枠14が閉鎖状態となると遊技球の払出が再開される構成であるため、実際には前扉枠14が閉鎖状態となっていないにも関わらず、CPU311において前扉枠14が閉鎖状態であると特定されるのは好ましくない。また、ノイズ等の影響で前扉枠閉鎖コマンドが払出制御基板322に出力されると、前扉枠14が開放状態であるにも関わらず遊技球の払出が再開されてしまうこととなる。そうすると、本体枠13の開閉部材124の位置から払出装置224の位置まで遊技球が連なり、払出装置224の故障が懸念される。これに対して、本構成によれば、このような不都合が発生する可能性が低減される。
また、前扉枠14が閉鎖されたと特定されるまでの期間(具体的には、1sec)は、開放されたと判定されるまでの期間(具体的には、12msec)よりも長くなっている。これは、以下の理由による。つまり、本パチンコ機10では、既に説明したように、前扉枠14に対して窓部21、上皿33及び下皿34が一体化されていることに伴って、上記のとおり前扉枠14が開放された場合には遊技球の払出を停止するようにしている。払出を停止しないと本体枠13に設けられた開閉部材124の位置から払出装置224の位置まで遊技球が連なり、払出装置224の故障が懸念されるからである。したがって、前扉枠14が開放された場合には払出装置224からの遊技球の払出を極力早い段階で停止する必要がある。その一方、前扉枠14を開放状態から閉鎖状態とする場合、例えば、前扉枠14と本体枠13との間に遊技球が挟まった場合などには、前扉枠14の開閉を繰り返し行うことが考えられる。この場合に、前扉枠14が閉鎖されたと特定されるまでの期間が短いと、繰り返し開閉される度に、払出装置224に設けられた払出モータ257の駆動の開始及び停止を繰り返す必要が生じ、球詰まりや払出モータ257の故障の原因となりかねない。これに対して、上記構成とすることにより、このような不都合が発生する可能性が低減される。
また、入賞発生の有無の判定については、図27及び図28に示すように、バイト単位の各入力情報を演算することにより行うようにしたのに対して、前扉枠14が開放状態となったか否かの判定及び閉鎖状態となったか否かの判定に関しては前扉枠カウンタエリア364を用いて開放特定基準期間及び閉鎖特定基準期間の経過を判定することにより行うようにした。これは以下の理由による。つまり、本パチンコ機10では、開放特定基準期間及び閉鎖特定基準期間の方が入賞発生有りと判定されるまでの期間よりも長く設定されている。この場合に、前扉枠14の開放状態及び閉鎖状態の判定に関して入賞発生有無の判定方法を適用すると、今回用レジスタ381といった判定用の記憶領域を多く設ける必要が生じる。そうすると記憶容量の極端な増大化を招くこととなり、好ましくない。特に、CPU311のレジスタの記憶容量は比較的小さいため、当該レジスタを用いて行うことは困難である。さらには、読み込み処理(図27)のステップS604に示すように情報のシフト処理を行う必要があるため、判定用の記憶領域を多く設けると、それだけシフト処理に際しての処理負荷が増大してしまう。これに対して、開放特定基準期間及び閉鎖特定基準期間の経過の判定に関して、前扉枠カウンタエリア364を用いるようにすることで、開放特定基準期間及び閉鎖特定基準期間の経過の判定を良好に行うことができる。
なお、ステップS804の本体枠開放信号監視処理では、本体枠13の開放状態及び閉鎖状態の特定を行うための具体的な処理内容の説明を省略したが、基本的に前扉枠開放信号監視処理と同様の処理を実行する。
<賞球許可信号監視処理>
次に、上記ステップS806の賞球許可信号監視処理について、図32のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず賞球許可信号について説明する。
本パチンコ機10では、既に説明したように、電源及び発射制御基板321の電断時用電源部321cからの電力は、主制御基板301のRAM313に供給されるが、払出制御基板322のRAM333には供給されない。当該構成とすることにより、電断時用電源部321cの小容量化が図られ、それに伴ってパチンコ機10のコストの削減が図られる。
但し、当該構成においては、外部電源からのパチンコ機10への電力供給が停止されると、払出制御基板322のRAM333に記憶されている情報は全て消去されてしまう(破壊されてしまう)。この場合、従来のパチンコ機のように未払出の賞球数の情報を全て払出制御基板322のRAM333に記憶しておく構成とすると、未払出の賞球数がある状況でパチンコ機10への電力供給が停止された場合にはその未払出の賞球数の全てが払い出されることなく消去されてしまう。そうすると、遊技者に多大な不利益を及ぼすこととなってしまう。
これに対して、本パチンコ機10では、未払出の賞球情報は基本的に主制御基板301のRAM313の賞球用カウンタエリア361に記憶し、主制御基板301のCPU311は払出制御基板322のCPU331から賞球許可信号を入力している場合に当該CPU331に対して賞球コマンドを出力する。そして、払出制御基板322のCPU331では、RAM333の賞球数記憶エリア374に記憶される賞球数の情報が、最大でも、1回の入賞に対する最大賞球数(15個賞球)と、後述する許可基準数との和となるように賞球許可信号の出力開始タイミング及び出力停止タイミングを設定する。なお、この許可基準数は、1回の入賞に対する最小賞球数又はそれ未満となっている。これにより、未払出の賞球数が多数残っている状況でパチンコ機10への電力供給が停止されたとしても、その際に消去される賞球数を極力少なくすることが可能となる。つまり、賞球許可信号とは、主制御基板301のCPU311において賞球コマンドの出力タイミングを特定するために、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311に出力される情報である。
さて、賞球許可信号監視処理では先ずステップS1001にて、賞球許可信号を入力している旨の賞球許可情報が第1入力ポート351の第7ビットD7に格納されているか否かを判定する。なお、賞球許可信号監視処理に際して、第1入力ポート351の情報をCPU311の汎用レジスタや専用レジスタに格納する構成としてもよく、この場合、そのレジスタに賞球許可情報が格納されているか否かを判定する構成とする。
賞球許可情報が格納されている場合には、ステップS1002にて、主制御基板301のRAM313の賞球許可カウンタエリア(許可契機把握用手段)365に格納されている値が「5」であるか否かを判定する。賞球許可カウンタエリア365とは、第1入力ポート351に賞球許可情報が格納されている場合に、それが払出制御基板322から実際に賞球許可信号が出力されていることに起因して格納されたものか、ノイズなどの原因により格納されたものかをCPU311において特定するためのものである。
賞球許可カウンタエリア365の値が「5」以上の場合には、ステップS1002にて肯定判定をし、そのまま本賞球許可信号監視処理を終了する。一方、賞球許可カウンタエリア365の値が「5」未満の場合には、ステップS1002にて否定判定をし、ステップS1003に進む。ステップS1003では、賞球許可カウンタエリア365の値を1加算した後に、本賞球許可信号監視処理を終了する。
ここで、賞球許可信号監視処理は、通常処理の一部の処理として実行されるため、その実行周期は約4msecである。したがって、払出制御基板322から賞球許可信号が出力されており、且つ賞球許可カウンタエリア365の値が「5」未満の場合には、約4msec周期で賞球許可カウンタエリア365の値が1加算される。また、ステップS1002の処理が実行されることにより、払出制御基板322からの賞球許可信号の出力が継続されている状況であっても賞球許可カウンタエリア365の値が「5」以上となった場合には、当該賞球許可カウンタエリア365の値の加算処理は実行しない。
また、ステップS1002にて、賞球許可情報が格納されていないと判定した場合には、ステップS1004にて賞球許可カウンタエリア365の値を「0」クリアした後に、本賞球許可信号監視処理を終了する。つまり、払出制御基板322から賞球許可信号が出力されていない状況では、賞球許可カウンタエリア365の値は「0」に維持される。
<払出用出力処理>
次に、通常処理(図22)のステップS508にて実行される払出用出力処理について、図33のフローチャートを参照しながら説明する。払出用出力処理とは、主制御基板301のCPU311から払出制御基板322のCPU331に各種コマンドを出力するための処理である。
払出用出力処理では、先ずステップS1101にて、主制御基板301のRAM313の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠状態変化フラグが格納されている場合には、ステップS1102にて前扉枠状態変化フラグを消去するとともに、ステップS1103にて前扉枠開放コマンド又は前扉枠閉鎖コマンドを払出制御基板322に出力した後に本払出用出力処理を終了する。
一方、ステップS1101において、RAM313の前扉枠状態変化フラグ格納エリアに前扉枠状態変化フラグが格納されていない場合には否定判定をし、ステップS1104に進む。ステップS1104では、RAM313の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定する。前扉枠開放フラグが格納されている場合には、そのまま払出用出力処理を終了する。
前扉枠開放フラグが格納されていない場合には、ステップS1105にて、RAM313の賞球許可カウンタエリア365の値が出力許可基準回数としての「5」となっているか否かを判定する。ここで、上記のとおり、賞球許可カウンタエリア365の値は、払出制御基板322のCPU331から賞球許可信号が出力されており、且つ賞球許可カウンタエリア365の値が「5」未満の場合には、約4msec周期で1加算される。また、賞球許可カウンタエリア365の値は、払出制御基板322のCPU331からの賞球許可信号の出力が停止された場合には「0」クリアされる。したがって、ステップS1105では、払出制御基板322のCPU331からの賞球許可信号の出力が継続して出力許可継続期間としての20msecとなったか否かを判定している。
賞球許可カウンタエリア365の値が「5」でない場合には、そのまま本払出用出力処理を終了する。賞球許可カウンタエリア365の値が「5」である場合には、ステップS1106にて、RAM313の賞球用カウンタエリア361における各種カウンタエリア361a〜361dのいずれかに賞球情報が記憶されているか否かを判定する。いずれにも賞球情報が記憶されていない場合には、そのまま本払出用出力処理を終了する。
各種賞球用カウンタエリア361a〜361dのいずれかに賞球情報が記憶されている場合には、ステップS1107にて賞球許可カウンタエリア365の値を「0」クリアする。その後、ステップS1108にて賞球コマンド出力処理を実行し、本払出用出力処理を終了する。
ここで、賞球コマンド出力処理について、図34のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS1201では、RAM313の15個賞球用カウンタエリア361aの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、15個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1202にて、15個賞球コマンドを払出制御基板322のCPU331に出力するとともに、15個賞球用カウンタエリア361aの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1201において、15個賞球用カウンタエリア361aの値が「0」である場合には、ステップS1203に進む。ステップS1203では、RAM313の4個賞球用カウンタエリア361cの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、4個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1204にて、4個賞球コマンドを払出制御基板322のCPU331に出力するとともに、4個賞球用カウンタエリア361cの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1203において、4個賞球用カウンタエリア361cの値が「0」である場合には、ステップS1205に進む。ステップS1205では、RAM313の3個賞球用カウンタエリア361dの値が「0」か否かを判定する。「0」でない場合には、3個賞球について賞球の未実施情報が記憶されていることを意味するため、ステップS1206にて、3個賞球コマンドを払出制御基板322のCPU331に出力するとともに、3個賞球用カウンタエリア361dの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
ステップS1205において、3個賞球用カウンタエリア361dの値が「0」である場合には、ステップS1207に進む。ステップS1207では、10個賞球コマンドを払出制御基板322のCPU331に出力するとともに、10個賞球用カウンタエリア361bの値を1減算する。その後、本賞球コマンド出力処理を終了する。
以上のように、主制御基板301のCPU311は、第1入力ポート351に賞球許可情報が格納されたとしても、払出制御基板322において賞球コマンドの出力が許可されたと即座に特定することはなく、複数回として設定された出力許可基準回数だけ連続して賞球許可情報が確認された場合、すなわち、出力許可基準期間である20msecに亘って賞球許可信号が出力されている状態が確認された場合に、賞球コマンドの出力が許可されたと特定する(出力許可状態であると特定する)。そして、賞球コマンドの出力が許可されたと特定することで、払出制御基板322のCPU331に1回の入賞に対応した1個の賞球コマンドを出力する。このように出力許可基準期間が設定されていることにより、既に説明したように、第1入力ポート351に賞球許可情報が格納されている場合に、それが払出制御基板322から賞球許可信号が出力されていることに起因して格納されたものか、ノイズなどの原因により格納されたものかをCPU311において特定することができる。よって、ノイズなどの原因で賞球許可情報が格納された場合に、それに対して賞球コマンドが出力されてしまうことを阻止することができる。
特に、後述するように払出制御基板322のRAM333の賞球数記憶エリア374には、予め定められた最大基準数を超える賞球数を記憶することができないようになっている。この場合に、ノイズなどの原因で賞球許可情報が格納され、それに対して賞球コマンドが出力されてしまうと、その賞球コマンドに対応した賞球数は実際に払い出されることなく消去されてしまう。そうすると、遊技者に不利益を及ぼすこととなってしまう。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を防止することができる。
ここで、入賞発生の有無の判定については、図27及び図28に示すように、バイト単位の各入力情報を演算することにより行うようにしたのに対して、賞球コマンドを出力するか否かの判定に関しては賞球許可カウンタエリア365を用いて出力許可基準期間の経過を判定することにより行うようにした。これは以下の理由による。つまり、本パチンコ機10では、出力許可基準期間の方が入賞発生有りと判定されるまでの期間よりも長く設定されている。この場合に、賞球許可信号に関して入賞発生有無の判定方法を適用すると、今回用レジスタ381といった判定用の記憶領域を多く設ける必要が生じる。そうすると記憶容量の極端な増大化を招くこととなり、好ましくない。特に、CPU311のレジスタの記憶容量は比較的小さいため、当該レジスタを用いて行うことは困難である。さらには、読み込み処理(図27)のステップS604に示すように情報のシフト処理を行う必要があるため、判定用の記憶領域を多く設けると、それだけシフト処理に際しての処理負荷が増大してしまう。これに対して、出力許可基準期間の経過の判定に際しては、賞球許可カウンタエリア365を用いるようにすることで、出力許可基準期間の経過の判定を良好に行うことができる。
また、払出用出力処理(図33)においてステップS1104の処理が実行されることにより、前扉枠14が開放状態の場合には賞球許可信号を入力している期間が出力許可基準期間に達しているとしても賞球コマンドは出力されない。本パチンコ機10では、前扉枠14が開放状態である場合には遊技球の払出は停止される。この場合、前扉枠14が開放状態である場合に賞球コマンドを出力しないようにすることで、遊技球の払出が停止されている状況において新たに賞球コマンドが出力されないようにすることが可能となる。
本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出制御基板322のRAM333に記憶されている情報は消去されてしまうため、遊技球の払出が停止されている状況において賞球コマンドが出力されると、前扉枠14を開放状態としたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。なお、前扉枠14が開放状態の場合に賞球コマンドの出力を禁止することは必須の構成ではなく、前扉枠14が開放状態の場合に賞球コマンドを出力するようにしてもよい。
また、賞球コマンド出力処理(図34)においては、複数種類設定された賞球情報についてコマンド出力に関して以下のように優先度を設定した。つまり、(1)15個賞球情報→(2)4個賞球情報→(3)3個賞球情報→(4)10個賞球情報の順序で優先度を設定した((1)が最も優先度が高く、(4)が最も優先度が低い)。
本パチンコ機10では、主制御基板301のRAM313の賞球用カウンタエリア361a〜361dは、1バイトで構成されており、記憶可能な賞球情報の数には上限があり、各上限数は一定となっている。その一方、前扉枠14が開放状態となった場合のように、賞球コマンドの出力が禁止されることがある。これに対して、上記のように賞球コマンドの出力に関して優先度を設定することで、入賞が発生したにも関わらずその入賞に対応した賞球情報が賞球用カウンタエリア361a〜361dに加算されないまま消去されてしまうといった不都合が発生する可能性が低減される。
つまり、一般入賞口82、可変入賞装置83、上作動口84a及び下作動口84bのうち、短時間で多数の入賞が発生する可能性が高いのは、可変入賞装置83→下作動口84b→上作動口84a→一般入賞口82である(可変入賞装置83の可能性が最も高く、一般入賞口82の可能性が最も低い)。そして、短時間で多数の入賞が発生する可能性が高いものほど、上記のような不都合が発生する可能性が高いと言える。これに対して、上記のように優先度を設定することで、短時間で多数の入賞が発生する可能性が高い入賞に対応した賞球情報から優先して賞球コマンドとして出力されることとなり、上記のような不都合が発生する可能性が低減される。
なお、可変入賞装置83は、大当たり状態の場合に開放状態となるものであり、開放状態となると短時間で多数の入賞が発生する。また、下作動口84bは、頻度向上状態の場合に開放状態となるものであり、開放状態となると短時間で多数の入賞が発生する。但し、開放状態となった場合の単位時間当たりの入賞数は、可変入賞装置83の方が多くなっている。また、上作動口84aは、常に入賞が可能な状態となっているが、可変入賞装置83や下作動口84bのように入賞をサポートする部材は不具備であり、可変入賞装置83や下作動口84bが開放状態となった場合の単位時間当たりの入賞数は、これら可変入賞装置83及び下作動口84bよりも上作動口84aの方が少なくなっている。さらには、一般入賞口82は、常に入賞が可能な状態となっているが、釘88により上作動口84aよりも入賞しづらい状態となっている。
<払出制御基板322のCPU331における処理構成>
次に、払出制御基板322のCPU331における処理構成について説明する。かかるCPU331の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、主制御基板301のCPU311からのコマンドの入力により起動される入力時割込み処理と、定期的に(本実施の形態では2msec周期で)起動されるタイマ割込み処理とがある。
<メイン処理>
メイン処理について、図35のフローチャートを参照しながら説明する。このメイン処理は、電源投入時のリセットに伴い起動される。
先ず、ステップS1301では、電源投入に伴う初期設定を実行する。続くステップS1302では、初期表示処理を実行する。初期表示処理では、払出制御基板322に設けられた7セグ表示器242aに初期表示として「0」を表示させる。
続くステップS1303では、RAMアクセスを許可すると共に、ステップS1304で外部割込みベクタの設定を行う。その後、ステップS1305にてRAM333の全領域を「0」にクリアし、ステップS1306にてCPU周辺デバイスの初期設定を行う。続くステップS1307では割込みを許可する。以上のステップS1301〜ステップS1307の一連の処理が払出制御基板322のCPU331における立ち上げ処理に該当し、当該立ち上げ処理が完了するまでに、例えば300msecを要する。なお、この立ち上げ処理に要する時間は300msecに限定されることはなく、主制御基板301のCPU311において立ち上げ処理に要する時間よりも短いのであれば任意である。
その後、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで、ステップS1307の処理を繰り返し実行する。なお、このようにステップS1307の割込み許可の設定処理を繰り返し実行することで、仮にノイズ等の影響で割込み許可の設定が解除されて不許可の設定となったとしても、割込み許可の状態に再度設定しなおすことができる。
<入力時割込み処理>
次に、払出制御基板322のCPU331により実行される入力時割込み処理について、図36のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、入力時割込み処理は、上記のとおり主制御基板301のCPU311からのコマンドの入力により起動されるものである。この場合に、CPU311から入力したコマンドは、払出制御基板322のRAM333に設けられたリングバッファに一時的に記憶されている。入力時割込み処理では、リングバッファに記憶されているコマンドを読み出し、その読み出したコマンドに対応した処理を実行する。
さて、入力時割込み処理では、先ずステップS1401にて入力したコマンドが初期コマンドか否かを判定する。初期コマンドである場合には、ステップS1402にて初期表示解除処理を実行した後に、本入力時割込み処理を終了する。初期表示解除処理では、7セグ表示器242aにおける初期表示を終了させる。
入力したコマンドが初期コマンドでない場合には、ステップS1403にて賞球コマンドか否かを判定する。賞球コマンドである場合には、ステップS1404にてコマンド格納処理を実行した後に、本入力時割込み処理を終了する。コマンド格納処理では、払出制御基板322のRAM333のコマンド格納エリア373に、今回入力した賞球コマンドを格納する。
入力したコマンドが賞球コマンドでない場合には、ステップS1405にて前扉枠開放コマンドか否かを判定する。前扉枠開放コマンドである場合には、ステップS1406にてRAM333の前扉枠開放フラグ格納エリア(払出側の前面体開放情報記憶手段)に前扉枠開放フラグ(払出側の前面体開放情報)を格納した後に、本入力時割込み処理を終了する。
入力したコマンドが前扉枠開放コマンドでない場合には、ステップS1407にて前扉枠閉鎖コマンドか否かを判定する。前扉枠閉鎖コマンドである場合には、ステップS1408にてRAM333の前扉枠開放フラグ格納エリアから前扉枠開放フラグを消去した後に、本入力時割込み処理を終了する。前扉枠開放コマンドでない場合には、そのまま本入力時割込み処理を終了する。
なお、入力時割込み処理の処理内容を、後述するタイマ割込み処理においてコマンド判定処理として実行し、入力時割込み処理ではリングバッファへのコマンドの読み込みのみを行う構成としてもよい。
<タイマ割込み処理>
次に、払出制御基板322のCPU331により例えば2msec毎に起動されるタイマ割込み処理について、図37のフローチャートを参照しながら説明する。
先ずステップS1501にて状態復帰スイッチ245をチェックして、状態復帰動作開始と判定した場合に状態復帰動作を実行する。その後、ステップS1502にて下皿34の満タン状態に関する処理として満タン用処理を実行し、ステップS1503にてタンク221の球無状態に関する処理として球無用処理を実行し、ステップS1504にて賞球数の設定に関する処理として賞球設定処理を実行し、ステップS1505にて貸球の設定に関する処理として貸球設定処理を実行し、ステップS1506にて払出個数の設定に関する処理として払出個数設定処理を実行し、ステップS1507にて遊技球の払出に関する処理として払出制御処理を実行し、ステップS1508にて賞球許可信号の設定に関する処理として賞球許可信号設定処理を実行した後に、本タイマ割込み処理を終了する。
以下、ステップS1502の満タン用処理、ステップS1503の球無用処理、ステップS1504の賞球設定処理、ステップS1505の貸球設定処理、ステップS1506の払出個数設定処理、ステップS1507の払出制御処理及びステップS1508の賞球許可信号設定処理を詳細に説明する。
<満タン用処理>
先ずステップS1502の満タン用処理について、図38のフローチャートを参照しながら説明する。満タン用処理では、下皿34への前扉側下皿通路52に設けられた満タン検知センサ59の検知結果に基づいて下皿34が満タン状態か否かが判定され各種処理が実行される。そして、満タン検知センサ59にて遊技球が検知されていない場合にはステップS1602以降の処理が実行され、遊技球が検知されている場合にはステップS1609以降の処理が実行される。以下の説明では、便宜上、ステップS1609以降の処理を説明した後にステップS1602以降の処理を説明する。
満タン用処理において先ずステップS1601では、満タン検知センサ59から満タン検知信号を入力しているか否かを判定する。具体的には、払出制御基板322のCPU331の入力ポートに満タン検知信号を入力している旨を示す満タン検知情報が格納されているか否かを判定する。
満タン検知信号を入力している場合には、ステップS1609にて、払出制御基板322のRAM333の満タンカウンタエリア371における第2満タンカウンタエリアを「0」クリアする。第2満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ59から満タン検知信号を継続して入力していない期間を計測するためのカウンタである。その後、ステップS1610にて、満タンカウンタエリア371における第1満タンカウンタエリアの値を1加算する。第1満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ59から満タン検知信号を継続して入力している期間を計測するためのカウンタである。
ステップS1610の後は、ステップS1611にて第1満タンカウンタエリアが第1満タン特定基準期間に対応したカウント値としての「850」となっているか否かを特定する。ここで、本満タン用処理はタイマ割込み処理の一部の処理として実行され、タイマ割込み処理は上記のとおり2msec周期で起動される。よって、満タン検知センサ59から満タン検知信号を入力している場合には第1満タンカウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1611では満タン検知信号を約1.7sec(第1満タン特定基準期間)に亘って継続しているか否かを判定している。
第1満タンカウンタエリアが「850」の場合には、下皿34が満タン状態であると特定しステップS1612に進む。つまり、下皿34が満タン状態である場合には前扉側下皿通路52内にて遊技球が並ぶため、満タン検知センサ59によって遊技球が継続して検知され満タン検知信号の出力が継続される。そして、この状態で約1.7secが継続することにより、下皿34が満タン状態であると特定される。このように、下皿34が満タン状態であると特定される期間を1.7secと設定したのは、当該期間が極端に長いと払出装置224の位置まで遊技球が連なり払出モータ257などが故障してしまうおそれがあるからであり、当該期間が極端に短いと下皿34が満タン状態でないにも関わらず満タン状態であると特定されるおそれがあるからである。
ステップS1612では、RAM333の満タンフラグ格納エリア(満タン状態情報記憶手段)に満タンフラグ(満タン状態情報)が格納されているか否かを判定する。満タンフラグが格納されている場合には、そのまま本満タン用処理を終了する。満タンフラグが格納されていない場合には、ステップS1613にて満タンフラグを格納するとともに満タン状態に設定した後に本満タン用処理を終了する。満タン状態が設定されることにより、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311に満タン信号の出力が開始されるとともに、満タン状態が設定されている間は満タン信号の出力状態が維持される。
一方、ステップS1611にて、第1満タンカウンタエリアの値が「850」でない場合には、ステップS1614にて第1満タンカウンタエリアが第2満タン特定基準期間に対応したカウント値としての「400」となっているか否かを判定する。上述したとおり、第1満タンカウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1614では満タン検知信号を継続して約0.8sec(第2満タン特定基準期間)入力しているか否かを判定している。
第1満タンカウンタエリアが「400」でない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。第1満タンカウンタエリアが「400」の場合には、下皿34が満タン状態であるおそれがあると特定し、ステップS1615に進む。ステップS1615では、RAM333の満タン低速フラグ格納エリア(満タン低速情報記憶手段)に満タン低速フラグ(満タン低速情報)を格納する。その後、本満タン用処理を終了する。
満タン低速フラグが格納されることにより、CPU331では後述するように払出モータ257の払出速度の設定を、それまでの通常周期(具体的には、60msec間隔で遊技球を払い出す)から低速周期(具体的には、1200msec間隔で遊技球を払い出す)に変更する。
このように払出モータ257の払出速度を低速周期に切り換えるのは以下の理由による。すなわち、満タン検知センサ59は遊技球を検知している間は継続して満タン検知信号を出力する構成であるため、連続して払い出される遊技球の間隔が狭くなると、満タン検知センサ59から見ると、1の遊技球の検知期間の終期が次の遊技球の検知期間の始期よりも後となる。そうすると、下皿34が満タン状態となっていないにも関わらず満タン検知センサ59から継続して満タン検知信号が出力されることとなる。そして、この状態が継続すると下皿34が満タン状態であると特定されてしまう。
これに対して、上記のとおり、払出モータ257の払出速度を低速周期に切り換えることで、前扉側下皿通路52内を連続して通過する各遊技球の間隔が広くなる。より詳細には、この間隔は満タン検知センサ59の検知範囲を越える間隔となる。よって、継続されていた満タン検知信号の出力が途切れるため、下皿34が満タン状態となっていないにも関わらず満タン状態となっていると特定されることを防止することができる。
満タン用処理の説明に戻り、ステップS1601にて満タン検知センサ59から満タン検知信号を入力していない場合には、ステップS1602にて第1満タンカウンタエリアを「0」クリアする。その後、ステップS1603にて、RAM333の満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定する。満タン低速フラグが格納されていない場合には、そのままステップS1605に進み、満タン低速フラグが格納されている場合には、ステップS1604にて満タン低速フラグを消去した後にステップS1605に進む。
満タン低速フラグが消去されることにより、CPU331では基本的に払出モータ257の払出速度の設定を、低速周期から通常周期に変更する。つまり、満タン検知センサ59から継続して満タン検知信号が出力されている状況下において払出モータ257の払出速度を低速周期に変更することで満タン検知信号の出力が途切れた場合には、即座に払出速度が通常周期に復帰する。これにより、払出モータ257の払出速度を必要に応じて低速周期に変更するようにした構成において、遊技球の払出に要する時間が極端に長くなることが防止される。
続くステップS1605では、第2満タンカウンタエリアを1加算する。その後、ステップS1606にて第2満タンカウンタエリアが「250」となっているか否かを判定する。ここで、第2満タンカウンタエリアは、満タン検知センサ59から満タン検知信号を入力していない場合には約2msec周期で1加算される。よって、ステップS1606では満タン検知信号を入力していない状態が継続して約0.5secとなっているか否かを判定している。
第2満タンカウンタエリアが「250」でない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。一方、第2満タンカウンタエリアが「250」である場合には、ステップS1607にてRAM333の満タンフラグ格納エリアに満タンフラグが格納されているか否かを判定する。満タンフラグが格納されていない場合にはそのまま本満タン用処理を終了する。満タンフラグが格納されている場合には、ステップS1608にて満タンフラグを消去するとともに満タン解除状態を設定した後に本満タン用処理を終了する。満タン解除状態が設定されることにより、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311への満タン信号の出力が停止されるとともに、満タン解除状態が設定されている間は満タン信号の出力停止状態が維持される。
ここで、ステップS1606にて満タン検知センサ59からの満タン検知信号の出力が停止されてから約0.5sec経過するのを待ってステップS1608の処理を実行するようにしたことで、ノイズなどの影響で実際には満タン検知センサ59の検知範囲に遊技球が待機しているのに満タン状態が解除されたと判定されないようにことができる。
なお、ステップS1606、ステップS1611及びステップS1614において、それぞれ判定値以上であるか否かを判定する構成としてもよい。
<球無用処理>
次に、ステップS1503の球無用処理について、図39のフローチャートを参照しながら説明する。球無用処理では、ケースレール223に設けられた球無検知センサ223aの検知結果に基づいてタンク221が球無状態か否かが判定され各種処理が実行される。そして、球無検知センサ223aにて遊技球が検知されている場合にはステップS1702以降の処理が実行され、遊技球が検知されていない場合にはステップS1708以降の処理が実行される。以下の説明では、便宜上、ステップS1708以降の処理を説明した後にステップS1702以降の処理を説明する。
球無用処理において先ずステップS1701では、球無検知センサ223aから球無検知信号を入力しているか否かを判定する。具体的には、払出制御基板322のCPU331の入力ポートに球無検知信号を入力している旨を示す球無検知情報が格納されているか否かを判定する。
球無検知信号を入力している場合には、ステップS1708にて、払出制御基板322のRAM333の球無カウンタエリア372における第2球無カウンタエリアを「0」クリアする。第2球無カウンタエリアは、球無検知センサ223aから球無検知信号を継続して入力していない期間を計測するためのカウンタである。その後、ステップS1709にて、球無カウンタエリア372における第1球無カウンタエリアの値を1加算する。第1球無カウンタエリアは、球無検知センサ223aから球無検知信号を継続して入力している期間を計測するためのカウンタである。
ステップS1709の後は、ステップS1710にて第1球無カウンタエリアが第1球無特定基準期間に対応したカウント値としての「5000」となっているか否かを特定する。ここで、本球無用処理はタイマ割込み処理の一部の処理として実行され、タイマ割込み処理は上記のとおり2msec周期で起動される。よって、球無検知センサ223aから球無検知信号を入力している場合には第1球無カウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1710では球無検知信号を約10sec(第1球無特定基準期間)に亘って継続しているか否かを判定している。
第1満球無カウンタエリアが「5000」の場合には、タンク221が球無状態であると特定しステップS1711に進む。つまり、タンク221が球無状態である場合にはケースレール223内にて遊技球が並ばなくなるため、球無検知センサ223aによって遊技球が継続して検知されなくなり球無検知信号の出力が継続される。そして、この状態で約10secが継続することにより、タンク221が球無状態であると特定される。
ステップS1711では、RAM333の球無フラグ格納エリア(球無状態情報記憶手段)に球無フラグ(球無状態情報)が格納されているか否かを判定する。球無フラグが格納されている場合には、そのまま本球無用処理を終了する。球無フラグが格納されていない場合には、ステップS1712にて球無フラグを格納するとともに球無状態に設定した後に本球無用処理を終了する。球無状態が設定されることにより、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311に払出異常信号の出力が開始されるとともに、球無状態が設定されている間は払出異常信号の出力状態が維持される。
一方、ステップS1710にて、第1球無カウンタエリアの値が「5000」でない場合には、ステップS1713にて第1球無カウンタエリアが第2球無特定基準期間に対応したカウント値としての「500」となっているか否かを判定する。上述したとおり、第1球無カウンタエリアは約2msec周期で1加算されるため、ステップS1713では球無検知信号を継続して約1.0sec(第2球無特定基準期間)入力しているか否かを判定している。
第1球無カウンタエリアが「500」でない場合にはそのまま本球無用処理を終了する。第1球無カウンタエリアが「500」である場合には、タンク221が球無状態であるおそれがあると特定し、ステップS1714に進む。ステップS1714では、RAM333の球無低速フラグ格納エリア(球無低速情報記憶手段)に球無低速フラグ(球無低速情報)を格納する。その後、本球無用処理を終了する。
球無低速フラグが格納されることにより、CPU331では後述するように払出モータ257の払出速度の設定を、それまでの通常周期(具体的には、60msec間隔で遊技球を払い出す)から低速周期(具体的には、1200msec間隔で遊技球を払い出す)に変更する。
このように払出モータ257の払出速度を低速周期に切り換えるのは以下の理由による。すなわち、タンク221においては球詰まりが発生することがある。これに対して、タンク221には、上記球詰まりが発生した際に当該球詰まりを解消すべく、タンク221を振動させるための振動モータが設けられている。球詰まりが重度のものでなければ、振動モータによりタンク221を振動させることで当該球詰まりは解消する。そして、この球詰まりの解消は10sec以内に完了するものと考えられる。
当該事情において、球無検知センサ223aにて遊技球を検知していない期間が第1球無特定基準期間である約1.0secが経過した時点で、払出モータ257の払出速度を低速周期に切り換えることで、払出装置224の回転体256よりも上流側に待機している遊技球が全てなくなってしまう前のタイミングで球詰まりが解消される可能性が高められる。払出装置224の回転体256よりも上流側に待機している遊技球が全てなくなってしまうと、再度、タンク221側から回転体256に向けて遊技球が補充された際に、その遊技球がケースレール223を通じて落下し回転体256に直接衝突することとなり、回転体256の故障の発生等が懸念される。これに対して、上記のように払出速度を低速周期に切り換えることで、このような不都合が発生する可能性が低減される。
球無用処理の説明に戻り、ステップS1701にて球無検知センサ223aから球無検知信号を入力していない場合には、ステップS1702にて第1球無カウンタエリアを「0」クリアする。その後、ステップS1703にて、第2球無カウンタエリアを1加算する。その後、ステップS1704にて第2球無カウンタエリアが「1500」となっているか否かを判定する。ここで、第2球無カウンタエリアは、球無検知センサ223aから球無検知信号を入力していない場合には約2msec周期で1加算される。よって、ステップS1704では球無検知信号を入力していない状態が継続して約3.0secとなっているか否かを判定している。
第2球無カウンタエリアが「1500」でない場合にはそのまま本球無用処理を終了する。一方、第2球無カウンタエリアが「1500」である場合には、ステップS1705にてRAM333の球無低速フラグ格納エリアから球無低速フラグを消去する。球無低速フラグが消去されることにより、CPU331では基本的に払出モータ257の払出速度の設定を、低速周期から通常周期に変更する。
続くステップS1706では、RAM333の球無フラグ格納エリアに球無フラグが格納されているか否かを判定する。球無フラグが格納されていない場合にはそのまま本球無用処理を終了する。球無フラグが格納されている場合には、ステップS1707にて球無フラグを消去するとともに球無解除状態を設定した後に本球無用処理を終了する。球無解除状態が設定されることにより、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311への払出異常信号の出力が停止されるとともに、球無解除状態が設定されている間は払出異常信号の出力停止状態が維持される。
ここで、ステップS1704にて球無検知センサ223aからの球無検知信号の出力が停止されてから約3.0sec経過するのを待ってステップS1705及びステップS1707の処理を実行するようにしたことで、ノイズなどの影響で実際には球無検知センサ223aの検知範囲に遊技球が待機していないのに球無状態が解除されたと判定されないようにことができる。
<賞球設定処理>
次に、ステップS1504の賞球設定処理について、図40のフローチャートを参照しながら説明する。賞球設定処理では、主制御基板301のCPU331から入力した賞球コマンドから賞球数を特定し、その特定した賞球数を払出制御基板322のRAM333の賞球数記憶エリア374に加算する処理が実行される。
賞球設定処理では先ずステップS1801にて、RAM333のコマンド格納エリア373に賞球コマンドが格納されているか否かを判定する。賞球コマンドが格納されていない場合には、そのまま本賞球設定処理を終了する。賞球コマンドが格納されている場合には、ステップS1802に進む。
ステップS1802では、賞球コマンド用の演算処理を実行する。ここで、既に説明したように賞球コマンドは、3個賞球コマンド、4個賞球コマンド、10個賞球コマンド、15個賞球コマンドの4種類が設定されており、これら各賞球コマンドは、図25(b)に示すように、上位情報と下位情報とからなる2バイトで構成されている。そして、各賞球コマンドは、上位情報と下位情報との加算を演算した場合の1バイトからなる情報の形態が「FF」となるように設定されている。ステップS1802では、RAM333のコマンド格納エリア373に格納されている賞球コマンドについて、上記加算の演算を実行する。なお、加算の演算結果は、CPU331の汎用レジスタに格納される。
続くステップS1803では、コマンド格納エリア373に格納されている賞球コマンドを消去する。続くステップS1804では、ステップS1802にて演算した結果が正常であるか否かを判定する。具体的には、16進数で「FF」となっているか否かを判定する。「FF」となっている場合には、今回の賞球コマンドが正常なものであることを意味するため、ステップS1805に進む。
一方、「FF」となっていない場合には、今回の賞球コマンドは、主制御基板301のCPU311から払出制御基板322のCPU331へのコマンド伝送経路の途中でノイズ等の影響で書き換えられてしまったことを意味するため、そのまま本賞球設定処理を終了する。この場合、今回の賞球コマンドは、賞球数の情報としてRAM333の賞球数記憶エリア374に加算されることなく消去される。これにより、ノイズ等の影響で賞球コマンドが書き換えられてしまった場合に、遊技ホール等が受ける被害を低減することができる。つまり、賞球コマンドは下位情報が賞球数の情報に相当しているが、当該下位情報が書き換えられ、例えば、本来なら賞球数が3個であるはずなのに賞球数が100個となってしまうおそれがある。これに対して、上記のように当該賞球コマンドを賞球数の情報としてRAM333の賞球数記憶エリア374に加算しないようにすることで、上記ノイズ等で書き換えられてしまった情報が加算されなくなり、遊技ホール等が受ける被害が低減される。
ちなみに、上記のように賞球コマンドの加算の演算結果が16進数で「FF」とならなかった場合には、予め定められた補正用賞球数をRAM333の賞球数記憶エリア374に加算するようにしてもよい。この補正用賞球数としては、例えば、入賞に対する賞球数として実際に設定されているもののうちの最大賞球数(本パチンコ機10では15個)とする構成が考えられる。この場合、賞球コマンドがノイズ等の影響で書き換えられてしまった場合に遊技者が不利益を受けないようにすることができる。また、入賞に対する賞球数として設定されているもののうちの最小賞球数(本パチンコ機10では3個)とする構成が考えられる。この場合、賞球コマンドがノイズ等の影響で書き換えられてしまった場合に遊技者の不利益に対して、最低限の補償をすることができる。さらには、入賞に対する賞球数として設定されているもののうちの平均賞球数とする構成としてもよく、この平均賞球数とする場合、遊技状態毎に異なる補正用賞球数を設定しておいてもよい。
賞球設定処理の説明に戻り、ステップS1805では、賞球数特定処理を実行する。具体的には、ROM332の賞球テーブル記憶エリア332aに記憶されている情報に基づいて、今回入力した賞球コマンドがいずれの賞球数に対応しているかを特定する。この場合、賞球コマンドの下位情報と賞球テーブル記憶エリア332aとが照らし合わされ、賞球数の特定が行われる。ここで特定された賞球数は、賞球コマンドの情報に代えて、CPU331の汎用レジスタに格納される。
ここで、ノイズ等の影響で賞球コマンドの情報が賞球テーブル記憶エリア332aのいずれの情報とも一致しないことがある。これに対処すべく、賞球数特定処理では、賞球コマンドの下位情報における2進数の情報から賞球数を特定する構成としてもよい。また、本構成において、特定した賞球数が最大遊技媒体数である15個以上である場合には、15個とし、14個〜10個である場合には10個とし、9個〜4個である場合には4個とし、3個〜1個である場合には3個とする構成としてもよい。
続くステップS1806では、加算時マスク処理を実行する。当該加算時マスク処理では、RAM333の賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が予め定められた加算時修正用賞球数以下となるように論理積の演算を実行する。
ここで、後述するように払出制御基板322のCPU331は、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が許可基準数としての3個以下となることで賞球許可信号の出力を開始し、それに対する賞球コマンドを主制御基板301のCPU311から入力して賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が4個以上となることにより賞球許可信号の出力を停止する。したがって、主制御基板301のCPU311から賞球コマンドを入力し、賞球数記憶エリア374に賞球数の情報を加算する際には、賞球数記憶エリア374に記憶されている許可基準数以下(具体的には、3個以下)となっているはずである。
但し、パチンコ機10においては様々なタイミングでノイズ等が発生する可能性があり、払出制御基板322のCPU331において賞球許可信号の出力を開始してから賞球数の加算処理を実行するまでに賞球数記憶エリア374の情報が書き換えられてしまうおそれがある。そして、例えば、賞球数記憶エリア374の情報が本来は3個であったのに対して、131個などに書き換えられてしまった場合には遊技ホールに多大な不利益を及ぼすこととなってしまう。
これに対して、ステップS1806の加算時マスク処理では、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が加算時修正用賞球数としての3個以下となるように論理積の演算を実行する。なお、本構成では、加算時修正用賞球数は、許可基準数と一致している。
具体的には、払出制御基板322のROM332には、賞球数記憶エリア374と同一のバイト単位である1バイトで構成された加算時修正用情報が予め記憶されている。加算時修正用情報は、「00000011」となっている。これを10進数で表すと「3」である。加算時マスク処理では、1バイト構成の賞球数記憶エリア374の情報をCPU331におけるマスク処理用の専用レジスタに呼び出し、その呼び出した情報について上記加算時修正用情報との論理積を演算する。そして、その演算結果を、賞球数記憶エリア374に記憶させる。
この場合、例えば、賞球数記憶エリア374に記憶されていた賞球数の情報が3個に相当する「00000011」である場合には、加算時修正用情報との論理積の演算結果は「000000011」となり3個のままである。また、賞球数記憶エリア374に記憶されていた賞球数の情報が2個に相当する「00000010」である場合には、加算時修正用情報との論理積の演算結果は「00000010」となり2個のままである。このように賞球数記憶エリア374に記憶されていた賞球数の情報がそのまま維持されるのは、1個及び0個の場合も同様である。つまり、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が許可基準数以下である場合には、加算時マスク処理の前に記憶されていた賞球数の情報がそのまま維持される。
一方、例えば、賞球数記憶エリア374に記憶されていた3個に相当する賞球数の情報(「00000011」)についてノイズ等の影響で最上位のビットに「1」(データ1)が設定され、131個に相当する「10000011」となることが考えられる。この場合であっても、加算時修正用情報との論理積の演算を行うことで、「00000011」となる。この情報は、ノイズにより書き換えられる前に記憶されていた賞球数の情報と同一である。
以上のように、賞球数の加算を行う場合に、ノイズの影響で賞球数記憶エリア374に記憶されている情報が許可基準数を超えていたとしても、それを許可基準数以下であってノイズの影響で書き換えられてしまう前の情報に戻すことが可能となる。よって、遊技ホールが不利益を被ってしまうことを抑制できるとともに、遊技者が不利益を被ってしまうことも抑制できる。
賞球設定処理の説明に戻り、ステップS1806にて加算時マスク処理を実行した後は、ステップS1807にて加算すべき賞球数の情報、すなわち、ステップS1805にて特定した賞球数の情報が1以上か否かを判定する。加算すべき賞球数の情報が「0」である場合には、そのまま本賞球設定処理を終了する。加算すべき賞球数の情報が「0」でない場合には、ステップS1808に進む。
ステップS1808では、上記加算すべき賞球数の情報が「16」未満であるか否かを判定する。加算すべき賞球数の情報が「16」以上である場合には、そのまま本賞球設定処理を終了する。加算すべき賞球数の情報が「16」未満である場合には、ステップS1809に進む。上記のようにステップS1807及びステップS1808の処理を実行することにより、加算すべき賞球数の情報が異常である場合には、それを無効化することができる。
続くステップS1809では、賞球数の加算処理を実行する。当該加算処理では、ステップS1805にて特定した賞球数の情報を、ステップS1806の加算時マスク処理後の賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報に加算する。
続くステップS1810では、ステップS1809にて加算処理を実行した後の賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が、払出制御基板322のROM332に予め記憶された賞球数記憶エリア374の上限賞球数を超えているか否かを判定する。具体的には、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が「19」以上であるか否かを判定する。
賞球数の情報が「19」未満である場合には、そのままステップS1812に進む。賞球数の情報が「19」以上である場合には、ステップS1811に進む。ステップS1811では、加算後修正処理を実行する。具体的には、賞球数記憶エリア374の賞球数の情報を「18」に修正する。これにより、ノイズ等の影響で賞球数記憶エリア374に記憶されている情報が上限賞球数を超えている場合には、それを上限賞球数に修正することができる。よって、遊技ホールが不利益を被ってしまうことを抑制できる。また、上限賞球数を超えた場合にそれを無効とする(すなわち、「0」とする)のではなく、上限賞球数に修正することで、遊技者が不利益を被ってしまうこともない。
なお、ステップS1806、ステップS1807、ステップS1808及びステップS1811の各処理を実行することで、賞球数の異常を入念に解消することができる。但し、これら全ての処理を実行することは必須のことではなく、例えば、ステップS1807及びステップS1808の処理を実行しなくともよい。この場合であっても、ステップS1806及びステップS1811の処理が実行されることで、賞球数の異常を解消することができる。
続くステップS1812では、RAM333の賞球低速フラグ格納エリア(賞球低速情報記憶手段)に賞球低速フラグ(賞球低速情報)が格納されているか否かを判定する。賞球低速フラグとは、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が、払出制御基板322のROM332に予め記憶された切換基準数(具体的には、「2」)となった場合に格納され、切換基準数を超えることにより消去されるフラグである。
ここで、本パチンコ機10は、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となった場合には、払出モータ257の払出速度の設定をそれまでの通常周期から低速周期に変更するように構成されている。これは以下の理由による。つまり、賞球数記憶エリア374に賞球数の情報が記憶されていない状況では、払出モータ257の駆動は停止される。この場合に、単発的な入賞が所定の間隔を置いて繰り返し発生すると、払出モータ257の駆動開始及び駆動停止を繰り返し行う必要が生じる。払出モータ257の駆動開始には払出モータ257の駆動状態を維持する場合よりも大きな駆動力を必要とするため、上記のように払出モータ257の駆動開始及び駆動停止が繰り返し行われることは好ましくない。これに対して、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となった場合に、払出モータ257の払出速度を低速周期に切り換えることで、単発的な入賞が所定の間隔を置いて繰り返し発生したとしても、切換基準数の賞球を低速周期で実行している間に次の入賞が発生する可能性が高まり、払出モータ257の駆動開始及び駆動停止が繰り返し行われてしまう可能性が低減される。
なお、払出モータ257の払出速度を常に低速とする構成も考えられるが、この場合、遊技球の払出速度が慢性的に遅くなり、遊技者にとっては入賞が発生したにも関わらずそれに対する賞球を受けるのに相当な時間を要することとなり好ましくない。
ステップS1812にて、賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されていない場合には、そのままステップS1814に進む。一方、賞球低速フラグが格納されている場合には、ステップS1813にて賞球低速フラグ格納エリアから賞球低速フラグを消去した後に、ステップS1814に進む。賞球低速フラグが消去されることで、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が切換基準数となることで低速周期に設定された払出モータ257の払出速度が通常周期に復帰することとなる。
ステップS1814では、エラーフラグの消去処理を実行する。エラーフラグは、例えば、主制御基板301のCPU311から解析不能なコマンドを入力した場合等に格納されるフラグである。当該エラーフラグは、賞球コマンドを正常に入力し、その賞球コマンドに対する賞球設定処理が実行されることで、ステップS1814にて消去される。ステップS1814にてエラーフラグの消去処理を実行した後は本賞球設定処理を終了する。
<貸球設定処理>
次に、ステップS1505の貸球設定処理について、図41のフローチャートを参照しながら説明する。貸球設定処理では、球貸用接続端子板249を通じて球貸装置Yから入力した貸球要求信号に基づいて貸球数を特定し、その特定した貸球数を払出制御基板322のRAM333の貸球数記憶エリア375に加算する処理が実行される。
貸球設定処理では先ずステップS1901にて、RAM333の貸球状態フラグ格納エリア(貸球状態情報記憶手段)に貸球状態フラグ(貸球状態情報)が格納されているか否かを判定する。貸球状態フラグは、払出制御基板322のCPU331において、球貸装置Yからの貸球要求信号の入力待機状態であるか否かを特定する上で用いられるフラグであり、入力待機状態となることで格納され、貸球要求信号を受ける必要がなくなった場合に消去される。
貸球状態フラグが格納されていない場合には、ステップS1902〜ステップS1906の貸球状態設定用処理を実行し、貸球状態フラグが格納されている場合には、ステップS1907〜ステップS1911の貸球状態中処理を実行する。
貸球状態設定用処理では、先ずステップS1902にて、球貸装置Yから接続確認用信号及び貸球待機信号を入力しているか否かを判定する。接続確認用信号は、球貸装置Yにおいて払出制御基板322との間で通信可能な状態を示す信号である。また、貸球待機信号は、球貸装置Yに未払出の貸球の情報が保持されている(具体的には、未払出の貸球の情報が記憶保持されたカードが球貸装置Yに挿入されている)状況において、球貸操作装置36の球貸ボタン37が操作されていることを、払出制御基板322にて把握させるための信号である。なお、接続確認用信号を不具備としてもよい。
接続確認用信号及び貸球待機信号のいずれか一方でも入力していない場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。一方、接続確認用信号及び貸球待機信号の両方を入力している場合には、ステップS1903にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態とは、前扉枠開放状態、下皿満タン状態、タンク球無状態又は払出装置異常状態のいずれかに該当している状態のことである。
当該判定は、前扉枠開放状態についてはRAM333の前扉枠開放フラグ格納エリアに前扉枠開放フラグが格納されているか否かを判定することで行われ、下皿満タン状態についてはRAM333の満タンフラグ格納エリアに満タンフラグが格納されているか否かを判定することで行われ、タンク球無状態についてはRAM333の球無フラグ格納エリアに球無フラグが格納されているか否かを判定することで行われ、払出装置異常状態についてはRAM333の払出装置異常フラグ格納エリアに払出装置異常フラグが格納されているか否かを判定することで行われる。
払出エラー状態である場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。払出エラー状態でない場合には、ステップS1904にて払出動作中か否かを判定する。具体的には、払出モータ257が停止中か否かを判定する。貸球状態フラグが格納されていない状況であって払出モータ257が動作中である状況は、賞球の払出が実行されている状況であることを意味する。つまり、ステップS1904では賞球動作中であるか否かを判定していると言える。
払出動作中である場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。払出動作中でない場合には、ステップS1905にて貸球許可信号の出力状態を設定する。これにより、払出制御基板322のCPU331から球貸装置Yに貸球許可信号の出力が開始され、球貸装置Yでは貸球許可信号を入力することで、球貸ボタン37の1回の操作に基づく貸球要求信号の出力を行う。その後、ステップS1906にてRAM333の貸球状態フラグ格納エリアに貸球状態フラグを格納した後に、本貸球設定処理を終了する。なお、球貸装置Yは、貸球待機信号を出力した後に所定の期間(例えば、2sec)に亘って貸球許可信号を入力しなかった場合には、球貸ボタン37の操作がなかったものとして扱う。
ステップS1907〜ステップS1911の貸球状態中処理では、先ずステップS1907にて、球貸装置Yから貸球要求信号を入力しているか否かを判定する。貸球要求信号は球貸装置Yから貸球の払出を要求する場合に出力される信号である。貸球要求信号を入力していない場合には、そのままステップS1909に進む。貸球要求信号を入力している場合には、ステップS1908にて、RAM333の貸球数記憶エリア375への加算処理を実行した後に、ステップS1909に進む。当該加算処理では、100円分に相当する25個に相当する貸球数の情報を貸球数記憶エリア375に加算する。つまり、球貸装置Yは、貸球状態においては球貸操作に応じて貸球要求信号を定期的に出力し、払出制御基板322のCPU331は貸球要求信号を入力するごとに予め定められた単位数に相当する貸球数の情報を貸球数記憶エリア375に加算する。
ステップS1909では、球貸装置Yから終了信号を入力しているか否かを判定する。終了信号は、一の球貸操作が行われ貸球要求信号が5回出力された場合に出力される信号であり、一の球貸操作に対する貸球要求信号の出力が終了したことを払出制御基板322のCPU331において認識させるための信号である。終了信号を入力していない場合には、そのまま本貸球設定処理を終了する。終了信号を入力している場合には、ステップS1910にてRAM333の貸球状態フラグ格納エリアから貸球状態フラグを消去するとともに、ステップS1911にて貸球許可信号の出力停止状態を設定した後に、本貸球設定処理を終了する。
以上のように、払出制御基板322のCPU331は、球貸装置Yから貸球待機信号を入力している状況において、払出エラー状態でなく且つ払出動作中でない場合に、貸球状態に設定される。特に、払出動作中においては貸球状態への設定が行われないようにすることで、賞球の払出が実行されている間は仮に球貸操作装置36において球貸操作が行われたとしても賞球の払出を優先させることができる。
賞球の払出が実行されている状況で球貸操作が行われた場合に当該球貸を優先させる構成を想定すると、払出制御基板322のRAM333の賞球数記憶エリア374に賞球数の情報が記憶されているにも関わらず、賞球の払出を停止させる必要が生じる。この場合に、パチンコ機10が電源遮断状態となると、既に説明したように払出制御基板322のRAM333に電断時用電力が供給されないことに伴って、賞球数の情報は消去されてしまう。その一方、球貸装置Yは独自に情報の電断時保持機能を有している(すなわち、未払出の貸球の情報はカードにて記憶保持される)ため、賞球の払出が実行されている状況では球貸装置Yから貸球要求信号を入力しないようにすることで、貸球数の情報は球貸装置Yにて保持され、パチンコ機10が電源遮断状態となったとしても貸球数の情報が消去されることはない。上記事情において、賞球の払出が実行されている状況で球貸操作が行われたとしても賞球の払出を優先させることで、賞球数の情報が実際に払い出されないまま消去されてしまうことが防止される。
<払出個数設定処理>
次に、ステップS1506の払出個数設定処理について、図42のフローチャートを参照しながら説明する。払出個数設定処理では、RAM333の賞球数記憶エリア374又は貸球数記憶エリア375に記憶されている情報を、遊技球の払出に際しての実行エリアであるRAM333の払出個数カウンタエリアに格納する処理が実行される。
払出個数設定処理では先ずステップS2001にて、払出設定時マスク処理を実行する。当該払出設定時マスク処理では、RAM333の賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が予め定められた払出時修正用賞球数以下となるように論理積の演算を実行する。
ここで、後述するように払出制御基板322のCPU331は、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下となることで賞球許可信号の出力を開始し、それに対する賞球コマンドを主制御基板301のCPU311から入力して賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が不許可基準数としての4個以上となることにより賞球許可信号の出力を停止する。また、本パチンコ機10では、1の入賞に対する最大賞球数は15個となっている。上記構成においては、賞球数記憶エリア374の上限賞球数は、許可基準数と入賞対応最大賞球数との和である18個となる。
但し、パチンコ機10においては様々なタイミングでノイズ等が発生する可能性があり、賞球設定処理(図40)にてRAM333の賞球数記憶エリア374に賞球数の情報を設定した後であってその賞球数分の遊技球の払出が完了する前の段階で賞球数記憶エリア374の情報が書き換えられてしまうおそれがある。そして、例えば、賞球数記憶エリア374の情報が本来は10個であったのに対して、131個などに書き換えられてしまった場合には遊技ホールに多大な不利益を及ぼすこととなってしまう。
これに対して、ステップS2001の払出設定時マスク処理では、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が払出時修正用賞球数としての31個以下となるように論理積の演算を実行する。
具体的には、払出制御基板322のROM332には、賞球数記憶エリア374と同一のバイト単位である1バイトで構成された払出時修正用情報が予め記憶されている。払出時修正用情報は、「00011111」となっている。これを10進数で表すと「31」である。払出設定時マスク処理では、1バイト構成の賞球数記憶エリア374の情報をCPU331におけるマスク処理用の専用レジスタに呼び出し、その呼び出した情報について上記払出時修正用情報との論理積を演算する。そして、その演算結果を、賞球数記憶エリア374に記憶させる。
この場合、例えば、賞球数記憶エリア374に記憶されていた賞球数の情報が17個に相当する「00010001」である場合には、払出時修正用情報との論理積の演算結果は「00010001」となり17個のままである。また、賞球数記憶エリア374に記憶されていた賞球数の情報が5個に相当する「00000101」である場合には、払出時修正用情報との論理積の演算結果は「00000101」となり5個のままである。このように賞球数記憶エリア374に記憶されていた賞球数の情報がそのまま維持されるのは、上限賞球数である18個以下全てについて同様である。
一方、例えば、賞球数記憶エリア374に記憶されていた賞球数の情報がノイズ等の影響で書き換えられ、131個に相当する「10000011」となったとしても、払出時修正用情報との論理積の演算を行うことで「00000011」となる。
以上のように、払出個数カウンタエリア376への設定を行う場合に、ノイズの影響で賞球数記憶エリア374に記憶されている情報が払出時修正用情報を超えていたとしても、それを払出時修正用情報以下とすることができる。よって、遊技ホールが多大な不利益を被ってしまうことを抑制できる。また、上限賞球数を超えた場合にそれを無効とする(すなわち、「0」とする)のではなく、払出時修正用情報と論理積の演算をした数となるため、遊技者が不利益を被ってしまうことも抑制できる。
ちなみに、タイマ割込み処理は払出制御基板322のCPU331により2msec毎に起動され、払出設定時マスク処理はタイマ割込み処理の一部の処理として実行される。したがって、払出設定時マスク処理は、2msec毎に実行されることとなる。つまり、払出設定時マスク処理は、定期的に実行されることとなる。また、遊技球の払出は基本的に60msec周期で実行されるのに対して、払出設定時マスク処理は上記のとおり2msec毎に実行される。したがって、遊技球が払い出される場合、1個の遊技球が払い出されるまでに払出設定時マスク処理は複数回実行されることとなり、ノイズの影響を良好に低減することができる。また、払出設定時マスク処理は、遊技球の払出が実行されている状況か否かに関係なく実行される。
払出個数設定処理の説明に戻り、続くステップS2002では、球抜き動作中か否かを判定する。球抜き動作とは、タンク221に貯留されている遊技球をパチンコ機10外部に排出するための動作のことをいう。
ここで、球抜き動作の手順について説明する。先ず島設備からタンク221への補給を止める。その後、前扉枠14を開放状態とし、可変入賞装置83内に多数の遊技球を手で入れる。その後、前扉枠14を閉鎖状態とすることで、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311に賞球許可信号が出力されるのに応じて主制御基板301のCPU311から払出制御基板322のCPU331に賞球コマンドが出力され、払出装置224による遊技球の払出が実行される。
その後、タンク221に貯留されている遊技球が無くなることで、球無検知センサ223aから球無検知信号が出力され、払出装置224による遊技球の払出が停止される。この場合に、ケースレール223に設けられた球抜き操作スイッチ223bを操作することで、払出制御基板322のCPU331において球抜き状態に設定される。具体的には、RAM333の球抜き状態フラグ格納エリアに球抜き状態フラグを格納する。これにより、球無検知センサ223aから球無検知信号が出力されている状況であっても払出装置224による遊技球の払出が再開され、球抜き操作スイッチ223bよりも下流側であって払出装置224の払出モータ257の位置まで連なっている遊技球の排出が行われる。そして、当該遊技球の排出が行われることで、タンク221の球抜きが完了する。この際、球抜き状態の設定が解除される。すなわち、RAM333の球抜き状態フラグ格納エリアに格納されている球抜き状態フラグが消去される。
ステップS2002では、上記球抜き状態が設定されているか否かを判定する。球抜き状態が設定されていない場合には、ステップS2003にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態については既に説明したとおりである。払出エラー状態である場合には、そのまま本払出個数設定処理を終了する。これにより、払出エラー状態において遊技球の払出が実行されることが阻止される。
払出エラー状態でない場合には、ステップS2004にてリトライ動作中か否かを判定する。リトライ動作とは、払出装置224において遊技球の球詰まりが発生した場合などにおいて回転体256を通常とは逆に回転させたりする処理である。リトライ動作中である場合にはそのまま本払出個数設定処理を終了し、リトライ動作中でない場合にはステップS2005に進む。
ステップS2005では、貸球動作中か否かを判定する。貸球動作中とは、RAM333の貸球状態フラグ格納エリアに貸球状態フラグが格納されている状態、又はRAM333の貸球数記憶エリア375に貸球数の情報が記憶されている状態のことをいう。貸球状態フラグが格納されている又は貸球数記憶エリア375に貸球数の情報が記憶されている場合には、ステップS2006にて、貸球数記憶エリア375の情報をRAM333の払出個数カウンタエリア376に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。
一方、貸球状態フラグが格納されておらず且つ貸球数記憶エリア375に貸球数の情報が記憶されていない場合には、ステップS2007にて、RAM333の賞球数記憶エリア374の情報をRAM333の払出個数カウンタエリア376に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。また、ステップS2002において、球抜き状態が設定されている場合にも、ステップS2007にて、RAM333の賞球数記憶エリア374の情報をRAM333の払出個数カウンタエリア376に更新した後に、本払出個数設定処理を終了する。
<払出制御処理>
次に、ステップS1507の払出制御処理について、図43のフローチャートを参照しながら説明する。払出制御処理では、RAM333の払出個数カウンタエリア376に記憶されている情報に基づいて遊技球の払出を行う処理が実行される。
払出制御処理では先ずステップS2101にて、払出状態設定処理を実行する。続くステップS2102にて駆動信号出力処理を実行する。ここで、払出状態設定処理及び駆動信号出力処理について説明する。先ず、払出状態設定処理について、図44のフローチャートを参照しながら説明する。
払出状態設定処理では、先ずステップS2201にて、払出エラー状態か否かを判定する。払出エラー状態については既に説明したとおりである。払出エラー状態である場合には、ステップS2207にて、払出モータ257を停止状態に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。これにより、払出制御基板322のCPU331から払出モータ257への駆動信号の出力が停止され、払出装置224による遊技球の払出が停止される。なお、既に遊技球の払出が停止されている場合にはその状態が維持される。
ステップS2201にて、払出エラー状態でない場合には、ステップS2202にて、RAM333の払出個数カウンタエリア376の値が「0」か否かを判定する。払出個数カウンタエリア376の値が「0」である場合には、払出を実行すべき遊技球が存在しないことを意味するため、ステップS2207にて払出モータ257を停止状態に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。
ステップS2202にて、払出個数カウンタエリア376の値が「0」でない場合には、ステップS2203にて、リトライ状態か否かを判定する。具体的には、RAM333に設けられたリトライフラグ格納エリアにリトライフラグが格納されているか否かを判定する。リトライ状態では、遊技球の払い出しが正常に行われていない場合に、回転体256を所定の態様にて回転させる。例えば、球詰まり等に起因して遊技球が払い出されていない場合、リトライ状態が設定されることで球詰まりを解消し、遊技球の払い出しが正常に行われる。
リトライ状態である場合には、払出モータ257にてリトライ状態専用の動作が実行されるため、それ以降の処理を実行することなく本払出状態設定処理を終了する。リトライ状態でない場合には、ステップS2204にて、RAM333のいずれかの低速フラグ格納エリアに低速フラグが格納されているか否かを判定する。すなわち、満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定し、球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されているか否かを判定し、賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されているか否かを判定する。
いずれの低速フラグも格納されていない場合には、ステップS2206にて、払出モータ257の払出速度を通常周期に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。払出モータ257の払出速度が通常周期に設定されることで、払出装置224から60msec毎に1個の遊技球が払い出される。なお、既に通常周期に設定されている場合にはその状態が維持される。
一方、いずれかの低速フラグが格納されている場合には、ステップS2205にて、払出モータ257の払出速度を低速周期に設定した後に、本払出状態設定処理を終了する。払出モータ257の払出速度が低速周期に設定されることで、払出装置224から1200msec毎に1個の遊技球が払い出される。なお、既に低速周期に設定されている場合にはその状態が維持される。
次に、駆動信号出力処理について、図45のフローチャートを参照しながら説明する。駆動信号出力処理は、上記払出状態設定処理の結果に基づいて、CPU331からモータドライバ334に1パルスの駆動信号を出力し、払出モータ257を駆動制御する処理である。
駆動信号出力処理では、先ずステップS2301にて、停止状態か否かを判定する。停止状態である場合には、そのまま本駆動信号出力処理を終了する。停止状態でない場合には、ステップS2302にて、リトライ状態か否かを判定する。リトライ状態でない場合には、ステップS2303にて、通常状態か否かを判定する。
通常状態である場合には、ステップS2304にて1パルスの駆動信号をモータドライバ334に出力する。ここで、駆動信号出力処理を有する払出制御処理は、タイマ割込み処理(図37)の一部の処理として実行され、当該タイマ割込み処理は2msec周期で起動されるため、駆動信号出力処理における各処理も約2msec周期で起動される。したがって、通常状態に設定されている場合には、1パルスの駆動信号は約2msec周期で出力される。
既に説明したとおり、CPU331から120パルスの駆動信号が出力されることにより回転体256が120step進んで1回転し、当該回転体256が1回転することにより2個の遊技球が下流側へ導出される。また、上記のとおり、回転体256は、90度ずれた状態にて合計2個設置されている。これにより、30パルスの駆動信号が出力されることで1個の遊技球が払い出される。通常状態では、上記のとおり1パルスの駆動信号が約2msec周期で出力されるため、払出装置224からは60msec周期で1個の遊技球が払い出されることとなる。
なお、通常状態における駆動信号の出力周期は2msecに限定されることはなく任意である。この場合に、例えば当該出力周期を6msecといったように2msecよりも遅い周期に設定した場合には、ステップS2303にて肯定判定した後に、通常状態用の出力タイミングか否かを判定する構成とするとよい。
ステップS2304にて、1パルスの駆動信号を出力した後は、ステップS2305に進み、RAM333の駆動カウンタエリア378の情報を更新する。具体的には、駆動カウンタエリア378の値を1加算する。その後、本駆動信号出力処理を終了する。
ステップS2303において、通常状態でない場合には、ステップS2306にて、低速状態用の出力タイミングか否かを判定する。低速状態用の出力タイミングでない場合には、そのまま本駆動信号出力処理を終了し、低速状態用の出力タイミングである場合には、ステップS2304にて1パルスの駆動信号をモータドライバ334に出力する。
この場合、低速状態用の出力タイミングであるか否かは、低速状態の設定が行われた後に、当該ステップS2306にて否定判定が20回行われたか否かを判定することにより行われる。上記のとおり駆動信号出力処理における各処理は約2msec周期で起動されるため、ステップS2306では実質的に40msec経過したか否かを判定しており、1パルスの駆動信号は約40msec周期で出力される。
既に説明したとおり、CPU331から30パルスの駆動信号が出力されることで1個の遊技球が払い出される。低速状態では、上記のとおり1パルスの駆動信号が約40msec周期で出力されるため、払出装置224からは1200msec周期で1個の遊技球が払い出されることとなる。
ステップS2304にて、1パルスの駆動信号を出力した後は、上記のとおりステップS2305に進み、RAM333の駆動カウンタエリア378の情報を更新する。その後、本駆動信号出力処理を終了する。
ここで、それぞれ1パルスの駆動信号の出力周期が異なる通常状態及び低速状態のいずれであっても、1パルスの駆動信号が出力された後に、駆動カウンタエリア378の情報が更新される、すなわち駆動カウンタエリア378の値が1加算される。当該駆動カウンタエリア378は、払出制御基板322のCPU331において払出モータ257を駆動制御する上で用いられるものであり、払出モータ257を通じた払出動作の異常を特定する上で用いられる。このような機能を有する駆動カウンタエリア378に対して、通常状態及び低速状態のいずれであっても1パルスの駆動信号を出力した場合に、駆動カウンタエリア378の値を1加算することで、CPU331における払出モータ257の駆動に関する処理及び払出動作の異常の特定に関する処理を、同一の電気的な構成及び処理構成を用いながら、払出装置224からの払出速度(払出周期)に対応させたものとすることが可能となる。
駆動信号出力処理の説明に戻り、ステップS2302において、リトライ状態である場合には、ステップS2307にてリトライ動作用処理を実行した後に、本駆動信号出力処理を終了する。リトライ動作用処理については後述する。
払出制御処理(図43)の説明に戻り、ステップS2102にて駆動信号出力処理を実行した後は、ステップS2103に進む。ステップS2103では、球検知処理を実行する。球検知処理では、払出装置224の払出球検知センサ258にて遊技球を検知しているか否かを判定する。具体的には、払出球検知センサ258から払出球検知信号を入力しているか否かを判定する。
球検知処理を実行した後は、ステップS2104にて、球検知処理の処理結果が1個の遊技球の払出を特定した旨の処理結果であるか否かを判定する。遊技球の払出を特定していない場合ステップS2105にて、払出監視処理を実行した後に、本払出制御処理を終了する。払出監視処理では、払出装置224が正常であるか否かを判定する処理を実行する。当該払出監視処理の詳細については後に説明する。
球検知処理にて遊技球の払出を特定している場合には、ステップS2106に進み、初期化処理を実行する。初期化処理では、リトライ動作用処理を実行する上で用いられる情報の初期化などを実行する。当該初期化処理の詳細については後に説明する。
続くステップS2107では、貸球動作中か否かを判定する。貸球動作中でない場合には、ステップS2108〜ステップS2112の賞球用減算処理を実行した後に、本払出制御処理を終了する。一方、貸球動作中である場合には、ステップS2113〜ステップS2114の貸球用減算処理を実行した後に、本払出制御処理を終了する。
賞球用減算処理では、先ずステップS2108にて、RAM333の賞球数記憶エリア374の値を1減算し、続くステップS2109にて、RAM333の払出個数カウンタエリア376の値を1減算する。その後、ステップS2110では、賞球数記憶エリア374の値が「2」以下か否かを判定する。「2」以下でない場合には、そのまま本払出制御処理を終了する。「2」以下である場合には、ステップS2111にて、RAM333の賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグが格納されているか否かを判定する。賞球低速フラグが格納されている場合にはそのまま本払出制御処理を終了し、賞球低速フラグが格納されていない場合にはステップS2112にて賞球低速フラグ格納エリアに賞球低速フラグを格納した後に本払出制御処理を終了する。
また、貸球用減算処理では、先ずステップS2113にて、RAM333の貸球数記憶エリア375の値を1減算し、続くステップS2114にて、RAM333の払出個数カウンタエリア376の値を1減算した後に、本払出制御処理を終了する。
<賞球許可信号設定処理>
次に、ステップS1508の賞球許可信号設定処理について、図46のフローチャートを参照しながら説明する。賞球許可信号設定処理では、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311への賞球許可信号の出力停止及び出力開始の設定を行う処理が実行される。
賞球許可信号設定処理では、先ずステップS2401にて、RAM333の賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下か否かを判定する。4個以上である場合には、ステップS2407にて賞球不許可状態(出力不許可状態)の設定をした後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。
賞球不許可状態の設定について具体的には、RAM333の賞球許可状態フラグ格納エリア(賞球許可情報記憶手段又は出力許可情報記憶手段)に賞球許可状態フラグ(賞球許可情報又は出力許可情報)が格納されている場合に、その賞球許可状態フラグを消去して、賞球許可信号の出力を停止する(賞球許可信号を出力するための出力手段からの賞球許可信号の出力を停止させる)。賞球許可状態フラグが消去されている状態では、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311への賞球許可信号の出力が停止され、その状態が維持される。
なお、本パチンコ機10では、賞球許可信号が出力されている状態がHIレベル信号の出力状態であるため、賞球許可信号の出力が停止されている状態はLOWレベル信号の出力状態となる。但し、賞球許可信号が出力されている状態がLOWレベル信号の出力状態とした場合には、賞球許可信号の出力が停止されている状態をHIレベル信号の出力状態としてもよい。さらには、賞球許可信号の出力が停止されている状態を、当該信号経路について何ら信号が出力されていない状態としてもよい。
一方、ステップS2401にて、賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下である場合には、ステップS2402にて、球抜き動作中か否かを判定する。球抜き動作中でない場合には、ステップS2403にて、払出エラー状態か否かを判定する。
払出エラー状態である場合には、ステップS2407にて賞球不許可状態を設定した後に本賞球許可信号設定処理を終了する。このように払出エラー状態である場合に賞球不許可状態を設定することで、払出エラー状態では賞球許可信号の出力が停止され、賞球コマンドの出力が禁止される。
既に説明したように、払出エラー状態では遊技球の払出が停止される。また、本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出制御基板322のRAM333に記憶されている情報は消去されてしまう。したがって、払出エラー状態において賞球コマンドが出力されると、払出エラー状態が継続されたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。つまり、払出エラー状態において賞球コマンドが出力される構成では、それだけ賞球コマンドに対応した賞球が払い出されることなく消去されてしまう可能性が高くなる。これに対して、本構成によれば、このような不都合の発生を阻止することができる。
ステップS2403において、払出エラー状態でない場合には、ステップS2404にて、RAM333の満タン低速フラグ格納エリアに満タン低速フラグが格納されているか否かを判定する。また、ステップS2405では、RAM333の球無低速フラグ格納エリアに球無低速フラグが格納されているか否かを判定する。
満タン低速フラグ又は球無低速フラグのいずれかが格納されている場合には、ステップS2407にて賞球不許可状態を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。このように満タン低速状態又は球無低速状態である場合に賞球不許可状態を設定することで、満タン低速状態又は球無低速状態では賞球許可信号の出力が停止され、賞球コマンドの出力が禁止される。
既に説明したように、満タン低速状態又は球無低速状態は、その後、払出エラー状態となる可能性が高い場合にその前段階として設定される状態である。そして、払出エラー状態では遊技球の払出が停止される。また、本パチンコ機10では外部電源からの電力供給が停止されると払出制御基板322のRAM333に記憶されている情報は消去されてしまう。したがって、払出エラー状態において賞球コマンドが出力されると、払出エラー状態が継続されたまま電力供給が停止された場合にはその賞球コマンドに対応した賞球は払い出されることなく消去されてしまう。つまり、払出エラー状態において賞球コマンドが出力される構成では、それだけ賞球コマンドに対応した賞球が払い出されることなく消去されてしまう可能性が高くなる。これに対して、本構成のように、払出エラー状態となる可能性が高いと判定した段階で、賞球許可信号の出力を停止して賞球コマンドの出力を禁止することで、払出エラー状態となる前に賞球コマンドの出力を禁止することができ、上記のような不都合が発生する可能性が飛躍的に低減される。
ステップS2404にて満タン低速フラグが格納されておらず、さらにはステップS2405にて球無低速フラグが格納されていない場合には、ステップS2406にて賞球許可状態(出力許可状態)を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。また、ステップS2403にて球抜き動作中である場合にも、ステップS2406にて賞球許可状態を設定した後に、本賞球許可信号設定処理を終了する。
賞球許可状態の設定について具体的には、RAM333の賞球許可状態フラグ格納エリアに賞球許可状態フラグが格納されていない場合に、賞球許可状態フラグを格納し、賞球許可信号の出力を開始する(賞球許可信号を出力するための出力手段からの賞球許可信号の出力を開始させる)。賞球許可状態フラグが格納されている状態では、払出制御基板322のCPU331から主制御基板301のCPU311への賞球許可信号の出力が開始され、その状態が維持される。つまり、球抜き動作中でない状態においては、RAM333の賞球数記憶エリア374に記憶されている賞球数の情報が許可基準数である3個以下であり、さらには払出エラー状態、満タン低速状態及び球無低速状態でない場合に、賞球許可信号の出力が継続される。
<賞球許可信号に対する賞球コマンドの出力の様子について>
次に、賞球許可信号に対する賞球コマンドの出力の様子について、図47のタイムチャートを参照して説明する。なお、以下のタイムチャートを用いた説明では、主制御基板301のCPU311を主側CPU311といい、払出制御基板322のCPU331を払出側CPU331という。また、主制御基板301のRAM313を主側RAM313といい、払出制御基板322のRAM333を払出側RAM333という。また、図47を用いた説明においては、説明の便宜上、複数種ある入賞のうち4個賞球に対応した入賞のみが発生するものとする。
先ず、単発的に入賞が発生する場合について説明する。
払出側CPU331から主側CPU311に既に賞球許可信号が出力されている状況において、t1のタイミングで入賞が発生することにより、主側CPU311から払出側CPU331に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM333に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えること(不許可基準数に達すること)により賞球許可信号の出力が停止されるとともに、遊技球の払出が開始される。
その後、t2のタイミングで1個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。その後、t3のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となる。これにより、払出モータ257の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。その後、t4のタイミングまでに2個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は0個となる。これにより、払出モータ257への駆動信号の出力が停止され、賞球の払出が終了される。
次に、単発的な入賞が発生した後に、払出モータ257の払出速度が低速周期である状況で再度、入賞が発生する場合について説明する。
払出側CPU331から主側CPU311に既に賞球許可信号が出力されている状況において、t5のタイミングで入賞が発生することにより、主側CPU311から払出側CPU331に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM333に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えることにより賞球許可信号の出力が停止されるとともに、遊技球の払出が開始される。
その後、t6のタイミングで1個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。その後、t7のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となる。これにより、払出モータ257の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。
その後、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報が0個とならない範囲内であるt8のタイミングで、新たな入賞が発生することにより、主側CPU311から払出側CPU331に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM333に4個の賞球数の情報が記憶されて許可基準数を超えることにより賞球許可信号の出力が停止されるとともに、切換基準数を超えることにより払出モータ257の払出速度が低速周期から通常周期に復帰される。
次に、入賞が連続して発生した場合について説明する。
上記のようにt8のタイミングで、新たな入賞が発生することにより、主側CPU311から払出側CPU331に4個賞球コマンドが出力される。これにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は、それまで記憶されていた賞球数に対して新たな賞球数が加算されることで5個となる。
その後、t9のタイミングまでに2個の遊技球の払出が実行されることにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となる。これにより、賞球許可信号の出力が開始される。この場合に、t9のタイミングまでに入賞が連続して発生しており、主側RAM313には4個賞球の情報が複数記憶されている。その後、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングであるt10のタイミングで、主側CPU311から払出側CPU331に4個賞球コマンドが出力される。また、t11のタイミングで払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となり、賞球許可信号の出力が開始される。その後、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングであるt12のタイミングで、主側CPU311から払出側CPU331に4個賞球コマンドが出力される。
つまり、主側RAM313に既に賞球情報が記憶されている状況において、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となり賞球許可信号の出力が開始された場合には、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングで主側CPU311から払出側CPU331に賞球コマンドが出力され、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は許可基準数を超えることとなる。
これは以下の理由による。払出モータ257の通常周期による払出速度は60msec間隔で1個の遊技球の払出が実行されるように設定されている。これに対して、払出側CPU331において、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となり賞球許可信号の出力が開始されるまでに要する時間は、タイマ割込み処理の実行時間の範囲内である2msecの範囲内である。また、主側CPU311において、賞球許可信号の入力に基づいて賞球コマンドの出力が許可されていると特定される賞球コマンドが出力されるまでに要する時間は20msec〜24msecの範囲内である。また、払出側CPU331において、主側CPU311から賞球コマンドを入力し、その賞球コマンドに対応した賞球数の情報が払出側RAM333に加算されるまでに要する時間は、タイマ割込み処理の実行時間の範囲内である2msecの範囲内である。その他、賞球許可信号及び賞球コマンドの伝送に要する時間や処理時間の誤差等を含めても、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報が許可基準数となってから、その後の賞球コマンドの入力により払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報が許可基準数を超えるまでに要する時間は最大でも40msec程度である。これは1個の遊技球の払出が実行されるまでに要する時間である60msecよりも短い。すなわち、主側RAM313に既に賞球情報が記憶されている状況において賞球許可信号の出力が開始された場合には、新たな遊技球の払出が実行される前のタイミングで賞球コマンドが出力され払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報が許可基準数を超えるように、主側CPU311及び払出側CPU331における賞球に関する処理時間が設定されている。
また、以上のような構成において、払出側CPU331から主側CPU311への賞球許可信号の出力開始契機となる許可基準数は、払出モータ257の払出速度を通常周期から低速周期へ切り換える契機となる切換基準数よりも、遊技球1個分多く設定されている。これにより、主側RAM313に賞球情報が複数記憶されている状況においては、それら賞球情報に対応した各賞球コマンドの出力が全て実行されるまでは、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報が切換基準数に達することはない。よって、払出側CPU331から主側CPU311へ賞球許可信号を出力するとともに、それに対して主側CPU311から払出側CPU331へ1回の入賞に対応した1個の賞球コマンドのみを出力するようにした構成において、主側RAM313に賞球情報が記憶されているにも関わらず払出モータ257の払出速度が通常周期から低速周期に切り換えられてしまうことを防止することができ、遊技球の払出を円滑に行うことができる。
図47の説明に戻り、その後、t13のタイミングで払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は許可基準数の3個となり、賞球許可信号の出力が開始される。また、t14のタイミングで1個の遊技球の払出がさらに実行されることにより、払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は切換基準数の2個となり、払出モータ257の払出速度がそれまでの通常周期から低速周期に切り換えられる。その後、t15のタイミングで払出側RAM333に記憶されている賞球数の情報は0個となり、払出モータ257への駆動信号の出力が停止され、賞球の払出が終了される。
<払出監視処理>
次に、払出制御処理(図43)におけるステップS2105の払出監視処理について図48のフローチャートを参照して説明する。
ステップS2501では、払出装置異常状態であるか否かを判定する。具体的には、払出側RAM333に設けられた払出装置異常状態フラグ格納エリアに払出装置異常状態フラグが格納されているか否かを判定することで行われる。払出装置異常状態とは、後述するリトライ状態が終了するまでに、遊技球が正常に払い出されなかった場合に設定される状態である。払出装置異常状態の設定が行われることにより、払出エラー状態であるとして、払出モータ257の状態を停止状態に設定する。これにより、遊技球の払出が停止される。
ステップS2501にて払出装置異常状態でないと判定した場合、ステップS2502に進む。ステップS2502では、リトライ状態であるか否かを判定する。具体的には、払出側RAM333に設けられたリトライフラグ格納エリアにリトライフラグが格納されているか否かを判定する。リトライ状態である場合、本払出監視処理を終了する。
ステップS2502にてリトライ状態でないと判定した場合、ステップS2503に進む。ステップS2503では、駆動カウンタエリア378の値が「30」であるか否かを判定する。駆動カウンタエリア378の値が「30」でない場合、本払出監視処理を終了する。
ステップS2503にて駆動カウンタエリア378の値が「30」である場合、ステップS2504に進む。ステップS2504では、リトライ状態に設定する。具体的には払出側RAM333に設けられたリトライフラグ格納エリアにリトライフラグを格納する。リトライフラグを格納したら本払出監視処理を終了する。
上述したように、払出監視処理は、払出制御処理(図43)におけるステップS2104にて払出球が検知できなかった場合に実行される。ここで、リトライ状態には、駆動カウンタエリア378の値が「30」となった場合に設定される。駆動カウンタエリア378の値が「30」となる場合とは、本来遊技球が払い出されるべきstep数(30step)分回転体256が進んだ場合である。したがって、本払出監視処理においては、本来遊技球が払い出されるべきstep数分回転体256が回転したにも関わらず、遊技球が払い出されていない場合に、リトライ状態が設定される。
一方、ステップS2501にて払出装置異常状態であると判定した場合、ステップS2505に進む。ステップS2505では、異常解除操作有りか否かを判定する。ここで、異常解除操作とは、払出制御装置242における異常解除操作部としての機能を有する状態復帰スイッチ245が所定期間(例えば、20msec)に亘って操作されることである。状態復帰スイッチ245が所定期間に亘って操作された場合、回転体256が16step分逆転した後に44step分正転する。この動作において遊技球の払出が検知された場合に異常解除操作有りと判定する。
なお、異常解除操作は、上記のものに限定されることはなく、例えば、専用の異常解除操作部や、RAM消去スイッチ247が操作されることとしてもよい。また、異常解除操作に際して、払出側RAM333に記憶された少なくとも遊技球の払出に関する情報が消去される構成としてもよい。
異常解除操作がなされていない場合には、そのまま本払出監視処理を終了する。異常解除操作がなされている場合には、ステップS2506の処理を実行した後に、本払出監視処理を終了する。ステップS2506では、払出装置異常状態の解除として払出装置異常フラグを消去する。また、ステップS2506では各種初期化処理を実行する。各種初期化処理では、リトライ状態にて格納されるフラグや、リトライ状態にて用いられるカウンタの値等を初期化する。
<リトライ動作用処理>
駆動信号出力処理(図45)におけるリトライ動作用処理について図49のフローチャートを参照して説明する。リトライ動作用処理には、低速にて回転体256を正転させる低速処理と、低速処理が終了した後に正転及び逆転を低速にて繰り返す交互動作用処理とが設定されている。
先ずステップS2601では、低速開始フラグが格納されているか否かを判定する。具体的には、払出側RAM333に設けられた低速開始フラグ格納エリアに低速開始フラグが格納されているか否かを判定する。低速開始フラグは、リトライ動作用処理における低速処理が開始される場合に格納されるものである。
ステップS2601にて低速開始フラグが格納されていない場合、リトライ状態が設定された後、低速処理が開始されていないことを意味する。この場合、ステップS2602に進む。ステップS2602では、駆動カウンタエリア378の値を「0」にクリアする。続くステップS2603にて低速開始フラグを低速開始フラグ格納エリアに格納する。低速開始フラグを格納したら本リトライ動作用処理を終了する。
一方、ステップS2601にて低速開始フラグが格納されている場合、ステップS2604に進む。ステップS2604では、払出側RAM333に設けられた交互フラグ格納エリアに交互フラグが格納されているか否かを判定する。交互フラグは、交互動作用処理が実行される場合に格納されるフラグである。交互フラグが格納されていない場合、ステップS2605に進む。
ステップS2605では、低速状態用の出力タイミングか否かを判定する。低速状態用の出力タイミングである場合、ステップS2606に進む。ステップS2606では、1パルスの駆動信号をモータドライバ334に出力する。この場合、低速状態用の出力タイミングであるか否かは、低速状態の設定が行われた後に、ステップS2605にて否定判定が20回行われたか否かを判定することにより行われる。上記のとおり駆動信号出力処理における各処理は約2msec周期で起動されるため、ステップS2606では実質的に40msec経過したか否かを判定しており、1パルスの駆動信号は約40msec周期で出力される。
ステップS2606にて駆動信号を出力した場合、ステップS2607に進む。ステップS2607では、駆動カウンタエリア378の値を更新する。具体的には駆動カウンタエリア378の値を1インクリメントする。
ステップS2605にて低速状態用の出力タイミングでないと判定した場合、又はステップS2607にて駆動カウンタエリア378の値を更新した場合、ステップS2608に進む。ステップS2608では、駆動カウンタエリア378の値が「10」であるか否かを判定する。駆動カウンタエリア378の値が「10」でない場合、本リトライ動作用処理を終了する。
ステップS2608にて駆動カウンタエリア378の値が「10」である場合、ステップS2609に進む。ステップS2609では、駆動カウンタエリア378の値を「0」にクリアする。続くステップS2610では、払出側RAM333に設けられた交互フラグ格納エリアに交互フラグを格納する。その後、本リトライ動作用処理を終了する。
ここで、ステップS2608にて駆動カウンタエリア378の値が「10」か否かと判定することは、リトライ動作用処理における低速処理の終了タイミングであるか否かを判定しており、駆動カウンタエリア378の値が「10」である場合に、低速処理を終了し交互動作用処理を開始する。上述したように、駆動カウンタエリア378の値は、駆動信号が出力された場合に1インクリメントされる。このため、駆動カウンタエリアの値が「10」であるか否か判定することは、駆動信号を10回出力したか、すなわち、回転体256が10step進んだか否かを判定することである。これにより、低速処理が実行された場合、遊技球を1個払い出すstep数よりも少ない10step回転体256が正転する。
ステップS2610にて交互フラグが格納されることにより、ステップS2604にて肯定判定される。この場合、ステップS2611に進む。ステップS2611では、交互動作用処理を実行する。交互動作用処理を実行したら本リトライ動作用処理を終了する。
交互動作用処理について図50のフローチャートを参照して説明する。
先ず、ステップS2701では、払出側RAM333に設けられた交互開始フラグ格納エリアに交互開始フラグが格納されているか否かを判定する。交互開始フラグが格納されていない場合、ステップS2702に進む。ステップS2702では、交互開始フラグ格納エリアに交互開始フラグを格納する。続くステップS2703では、払出側RAM333に設けられた逆転フラグ格納エリアに逆転フラグを格納する。逆転フラグを格納したら本交互動作用処理を終了する。逆転フラグが格納されることにより、回転体256を逆転させる逆転状態が設定される。
ステップS2701にて交互開始フラグが格納されていると判定した場合、ステップS2704に進む。ステップS2704では、逆転フラグが格納されているか否かを判定する。逆転フラグが格納されている場合、ステップS2705に進む。
ステップS2705では、逆転状態用の駆動信号の出力タイミングであるか否かを判定する。逆転状態用の駆動信号の出力タイミングである場合、ステップS2706に進む。ステップS2706では、回転体256を1パルス逆転させるための駆動信号をモータドライバ334に出力する。この場合、逆転状態用の出力タイミングであるか否かは、ステップS2706にて否定判定が20回行われたか否かを判定することにより行われる。上記のとおり駆動信号出力処理における各処理は約2msec周期で起動されるため、ステップS2706では実質的に40msec経過したか否かを判定しており、1パルスの駆動信号は約40msec周期で出力される。
ステップS2706にて駆動信号を出力した場合、ステップS2707に進む。ステップS2707では、駆動カウンタエリア378の値を更新する。具体的には、駆動カウンタエリア378の値を1インクリメントする。
ステップS2705にて逆転状態用の出力タイミングでないと判定した場合、又はステップS2707の処理を実行した場合、ステップS2708に進む。ステップS2708では、駆動カウンタエリア378の値が「50」であるか否かを判定する。駆動カウンタエリア378の値が「50」であるか否かを判定することは逆転状態を終了するタイミングであるか否かを判定している。駆動カウンタエリア378の値が「50」でない場合、本交互動作用処理を終了する。
駆動カウンタエリア378の値が「50」である場合、ステップS2709に進む。ステップS2709では、駆動カウンタエリア378の値を「0」にクリアする。続くステップS2710では、逆転フラグ格納エリアに格納された逆転フラグを消去する。ステップS2710の処理を実行したら本交互動作用処理を終了する。
ここで、駆動信号は上記のとおり、40msec周期にて出力される。このため、逆転状態においては、低速状態と同じ状態にて逆転していくこととなる。また、駆動カウンタエリア378の値が「50」である場合に逆転状態が終了する。このため、逆転状態が設定された場合には、回転体256が50step分逆転することとなる。
ステップS2704にて逆転フラグが格納されていない場合、ステップS2711に進む。以下、ステップS2711〜ステップS2718では、交互動作用処理において回転体256を正転させる場合の処理を実行する。
ステップS2711では、正転状態用の駆動信号の出力タイミングであるか否かを判定する。正転状態用の出力タイミングであると判定した場合、ステップS2712に進む。ステップS2712では、回転体256を正転させるための1パルスの駆動信号をモータドライバ334に出力する。この場合、正転状態用の出力タイミングであるか否かは、正転状態の設定が行われた後に、ステップS2711にて否定判定が20回行われたか否かを判定することにより行われる。上記のとおり駆動信号出力処理における各処理は約2msec周期で起動されるため、ステップS2711では実質的に40msec経過したか否かを判定しており、1パルスの駆動信号は約40msec周期で出力される。続くステップS2712では、駆動カウンタエリア378の値を更新する。具体的には、駆動カウンタエリア378の値を1インクリメントする。
ステップS2711にて正転状態用の出力タイミングでないと判定した場合、又はステップS2713にて駆動カウンタエリア378の値を更新した場合、ステップS2714に進む。ステップS2714では、駆動カウンタエリア378の値が「50」であるか否かを判定する。駆動カウンタエリア378の値が「50」であるか否かを判定することは正転状態を終了するタイミングであるか否かを判定している。駆動カウンタエリア378の値が「50」でない場合、本交互動作用処理を終了する。
駆動カウンタエリア378の値が「50」である場合、ステップS2715に進む。ステップS2715では、駆動カウンタエリア378の値を「0」にクリアする。続くステップS2716では、正転カウンタ更新処理を実行する。正転カウンタ更新処理では、払出側RAM333に設けられた正転カウンタエリアの値を1インクリメントする。正転カウンタエリアの値は、交互動作用処理において、正転状態が終了した回数を把握するためのものである。
ステップS2717では、正転カウンタエリアの値が「3」であるか否かを判定する。正転カウンタエリアの値が「3」でない場合、ステップS2718に進む。ステップS2718では、逆転フラグ格納エリアに逆転フラグを格納する。逆転フラグを格納したら本交互動作用処理を終了する。
ステップS2718にて逆転フラグが格納されることにより、ステップS2704にて肯定判定され、ステップS2705〜ステップS2710の処理が実行される。これにより、正転状態が終了した後に逆転状態が設定される。
ステップS2717にて正転カウンタエリアの値が「3」である場合、ステップS2719に進む。ステップS2719では、払出装置異常状態に設定する。具体的には、払出装置異常フラグ格納エリアに払出装置異常フラグを格納する。これにより、払出モータ257の状態が停止状態に設定される。払出装置異常状態を設定したら本交互動作用処理を終了する。
ステップS2717では、正転カウンタエリアの値が「3」である場合に肯定判定される。すなわち、逆転状態→正転状態の流れを3回繰り返した場合に肯定判定され、ステップS2719にて払出装置異常状態が設定される。払出装置異常状態が設定された場合、上記払出監視処理(図48)におけるステップS2505にて異常解除操作有りと判定されるまで、払出装置異常状態が維持される。
また、逆転状態→正転状態が繰り返されている場合の個々の状態においては、回転体256が50step回転する。これは、遊技球1個の払出に対応したstep数よりも多いstep数であり、リトライ状態において低速制御が実行された場合に回転体256が正転するstep数よりも多くなっている。さらに、逆転状態と正転状態とのそれぞれにおいて回転体256が回転する回転量が等しくなるように設定されている。
正転及び逆転が行われる場合について説明を補足する。本実施の形態では、回転体256が50step逆転した場合、凹部256aに遊技球が到達するように、遊技球通路253及び収容部255が形成されている。具体的には、遊技球通路253と収容部255との境界が遊技球1個分よりも大きく開放されており、回転体256が逆転した場合に凹部256aに遊技球が到達し易くなっている。その後、回転体256が50step正転し、遊技球が下流側に導出されることで、正転及び逆転が行われる場合に遊技球が払い出されることとなる。
<初期化処理>
払出制御処理(図43)におけるステップS2106にて実行される初期化処理について図51のフローチャートを参照して説明する。
ステップS2801では、駆動カウンタエリア378の値を「0」にクリアする。続くステップS2802では、各種初期化処理を実行する。この各種初期化処理では、リトライ状態において遊技球の払出が検知された場合に、リトライ状態を解除する処理を実行する。具体的には、リトライ状態を解除するようリトライフラグ格納エリアをクリアする。また、リトライ状態にて設定され得る低速開始フラグ、交互フラグ、交互開始フラグ、逆転フラグを格納する格納エリアのそれぞれをクリアする。さらに、正転カウンタエリアの値を「0」にクリアする。各種初期化処理を実行したら本初期化処理を終了する。なお、フラグが格納されていない状態にてフラグ格納エリアをクリアした場合、そのフラグが格納されていない状態が維持される。
<リトライ状態が設定される場合の様子について>
リトライ状態が設定される場合の様子について図52のタイミングチャートを参照して説明する。
先ず、t21のタイミングで遊技球が払い出される。そして、回転体256が30step回転したt22のタイミングで遊技球が払い出されなかった場合、リトライ状態が設定される。
t22のタイミングでリトライ状態が設定された場合、払出モータ257の回転速度が高速から低速に切り換えられる。そして、低速に切り換えられた状態にて回転体256が正転する状態がt23のタイミングまで維持される。回転体256は、t22のタイミングからt23のタイミングまでの期間において10step回転する。
ここで、t21のタイミングからt22のタイミングまでの期間よりも、t22のタイミングからt23のタイミングまでの期間の方が長くなっている。より詳細には、t21のタイミングからt22のタイミングまでの期間が60msecであるのに対して、t22のタイミングからt23のタイミングまでの期間が400msecとなっている。したがって、t22のタイミングからt23のタイミングまでの期間は、回転体256が高速にて回転している状態にて遊技球が1個払い出されるまでの期間よりも長くなっている。また、t22のタイミングからt23のタイミングまでの期間では、回転体256は10step回転するのみで、遊技球が払い出されるよう設定された30stepよりも回転する量が少なくなっている。
t24のタイミングで回転体256が低速にて50step逆転し、交互動作用処理における逆転状態が終了する。そして、交互動作用処理における正転状態が設定される。このt23のタイミングからt24のタイミングまでの期間は、t21のタイミングからt22のタイミングまでの期間よりも長く、t22のタイミングからt23のタイミングまでの期間よりも長い。さらに、t21のタイミングからt23のタイミングまでの期間よりも長くなっている。
t25のタイミングで回転体256が低速にて50step正転し、交互動作用処理における正転状態が終了する。そして、交互動作用処理における逆転状態が再び設定される。このt24のタイミングからt25のタイミングまでの期間は、t21のタイミングからt22のタイミングまでの期間よりも長く、t22のタイミングからt23のタイミングまでの期間よりも長い。さらに、t21のタイミングからt23のタイミングまでの期間よりも長くなっている。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
パチンコ機10においては、回転体256の払出動作が行われる際に、又は行われている状況で、払出球検知センサ258にて遊技球の検知を正常に行えないようにすることで、RAM333の払出個数カウンタエリア376(又は賞球数記憶エリア374若しくは貸球数記憶エリア375)に記憶されている情報に対応した個数よりも多くの遊技球の払出を行わせる不正行為が想定される。
当該不正行為について具体的には、例えば下皿34側などから払出球検知センサ258の位置に不正用治具を配置する。不正用治具は磁界を発生させることができるものであり、例えば、不正用治具から払出球検知センサ258に遊技球が留まっていることに対応した磁界を発生させることにより、払出球検知センサ258を遊技球が通過しているにも関わらず、遊技球が留まっていると払出球検知センサ258が誤検知することとなる。また、例えば、払出球検知センサ258を遊技球が通っていないことに対応した磁界を不正用治具から発生させることにより、遊技球が通過しているにも関わらず遊技球が通っていないと払出球検知センサ258が誤検知することとなる。
これに対して、本実施の形態では、遊技球1個に対応したstep数分回転体256が回転した状況において遊技球が払い出されなかった場合、回転体256の回転速度がそれまでの回転速度よりも遅くなる。これにより、不正用治具を用いて多数の遊技球の払出を受けようとする不正行為が行われたとしても、単位時間あたりに遊技球が払い出される個数を少なくすることができる。この結果、上記不正行為が行われた場合に、パチンコ機10を設置する遊技ホール等に発生する被害を最小限にできる。
特に、大当たりとなった場合には多量の遊技球が払い出されるため、大当たりとなった状況において上記不正行為が行われた場合、当該不正行為によって多量の遊技球が払い出されたとしても、その不正行為の発見が困難となる。これに対して本実施の形態では、上記不正行為が行われた場合、遊技球が払い出される速度を遅くすることができる。この結果、上記不正行為が行われた場合、大当たりが終了した後に通常よりも過度に長い時間に亘って遊技球が払い出されることとなる。したがって、遊技球が払い出される時間が過度に長いことから上記不正行為が行われたことを発見することができる。
以上のように、本実施の形態では、遊技球の払出を不正に受けようとする行為を防止できる。また、上記不正行為を防止する上で、遊技球が払い出されなった場合に、都度回転体256の回転を停止させる必要がなくなる。
また、遊技球1個に対応したstep数分回転体256が回転した場合に遊技球が払い出されなかった場合に、回転体256の回転速度をそれまでの回転速度よりも遅くする構成とした。これにより、遊技球が2個払い出される前には、上記不正行為に対応することができる。この結果、上記不正行為に対応するタイミングを早くすることができる。
また、リトライ状態における低速処理が実行された場合、回転体256の正転を継続させる。リトライ状態は、回転体256が30step回転した場合に遊技球が払い出されなかったことに基づいて設定される。また、正常に遊技球が払い出される場合、回転体256が30step回転するごとに遊技球が払い出されていく。ここで、振動によって回転体256が若干逆転する等、駆動信号が30回出力された場合に、回転体256が30step回転した状態となっていない不具合が発生することが想定される。この場合、実際には回転体256が30step回転していないにも関わらず、回転体256が30step回転したのに遊技球が払い出されていないと判定されてしまう。この点、本実施の形態では、リトライ状態が設定された場合、交互動作用処理よりも先に低速処理を実行することにより、上記不具合が発生したとしても、低速処理が実行されているうちに遊技球が払い出されることが考えられる。したがって、上述した低速処理を実行し単位時間あたりに払い出される遊技球数を少なくすることによる効果を得つつ、上記不具合が発生した場合にも円滑に遊技球を払い出すことが可能となる。
さらに、遊技球が払い出された後、リトライ状態における交互動作用処理が開始されるまでに回転体256が回転するstep数(30step+低速処理が実行された場合の10step=40step)を、遊技球が2個払い出されるためのstep数よりも少なくした。これにより、上記不正行為が行われたとしても、遊技球が2個払い出される前にリトライ状態における交互動作用処理が開始される。また、交互動作用処理が実行された場合、回転体256が低速にて逆転するため、仮に交互動作用処理が実行されている場合に遊技球が払い出されていくとしても、交互動作用処理における逆転状態が設定される分、単位時間あたりに払い出される遊技球数を低速処理が実行されている場合よりも少なくすることができる。この結果、上記不正行為が行われた場合に、単位時間あたりに遊技球が払い出される個数を少なくする効果を高めることができる。したがって、上記不正行為が行われた場合に、パチンコ機10を設置する遊技ホール等に発生する被害を一層小さくできる。
交互動作用処理が実行される前には、低速処理が実行される。低速処理が実行された場合、回転体256が低速にて回転するため、上記不正行為が行われた場合に単位時間あたりに払い出される遊技球数を少なくすることができる。また、低速処理が実行された後には、上記のとおり交互用処理が実行される。この結果、リトライ状態が設定された場合には単位時間あたりに払い出される遊技球数を通常状態よりも少なくできる。さらに、低速処理が実行された場合に回転体256が回転するstep数を、遊技球が1個払い出されるまでのstep数よりも少なくした。これにより、上記不正行為が実行された場合に、交互動作用処理が開始されるまでに複数の遊技球が払い出されることを防止できる。以上より、上記不正行為が行われた場合の上記被害を小さくする効果を高めることができる。
以上のように、本実施の形態では、リトライ状態が設定されることにより、上記不正行為が行われ続けた場合の上記被害を小さくできる。ここで、リトライ状態が設定される前に上記不正行為を中止し、遊技球が正常に払い出された場合に再び上記不正行為が行われることが想定される。この点、本実施の形態では、リトライ状態が設定されるまでの回転体256の回転量では遊技球1個が払い出されるのみである。このため、リトライ状態が設定される前に、上記不正行為を行おうとする不正行為者が上記不正行為を中断したとしても、不正に払い出される遊技球は1個のみとなる。したがって、不正行為者が上記不正行為を行うタイミングに関わらず、上記被害を小さくする効果を得ることができる。
交互動作用処理が実行された場合に遊技球が払い出された場合、リトライ状態を解除する構成とした。例えば球詰まりが起きている状況においては、交互動作用処理によって球詰まりが解消されることが期待される。この結果、不正行為が行われていない状況において遊技球が払い出されなかった場合に、遊技球の払出を停止することなく遊技球の払出が行われる状況を維持することが可能となる。したがって、上記遊技球の円滑な払出を担保する効果を高めることができる。
また、交互動作用処理における逆転状態及び正転状態が設定される場合の個々の状態における回転体256の回転量を遊技球1個の払出に対応した回転量よりも多くした。これにより、交互動作用処理における各状態が設定された場合に遊技球が払い出されることが期待される。この結果、球詰まり等によって遊技球が払い出されなかった場合、遊技球が払い出される状況に好適に復帰し易い。したがって、上記不正行為を抑制しつつ、遊技球の円滑な払出を担保する効果を高めることができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能である。例えば以下のように変更してもよい。ちなみに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態の構成に対して、個別に適用してもよく、組み合わせて適用してもよい。
(1)リトライ状態が設定されるまでの回転体256の回転量を変更してもよい。例えば、リトライ状態が設定されるまでの回転体256の回転量を31step以上としてもよい。この場合、望ましくはリトライ状態が設定されるまでの回転体256の回転量を遊技球が2個払い出されるまでの回転量よりも少なくするとよい。例えば、リトライ状態が設定されるまでの回転量を35stepとするとよい。
(2)交互動作用処理が実行される場合の正転状態と逆転状態とで、回転体256が回転するstep数が等しいものとしたが、かかる構成に限定されない。例えば、逆転状態が設定された場合よりも、正転状態が設定された場合の方が、回転体256の回転量が多くなるようにしてもよい。具体的には、逆転状態が設定された場合の回転体256の回転量を25stepとし、正転状態が設定された場合の回転体256の回転量を50stepとしてもよい。本構成においては、逆転状態が設定されている場合と、正転状態が設定されている場合とで、正転状態が設定されている場合の方が回転体256の回転量が多くなる。したがって、交互動作用処理が行われる場合の単位期間あたりに払い出される遊技球数を少なくしつつ、交互動作用処理が実行された場合の遊技球の円滑な払出を担保できる。
また、交互動作用処理が実行される場合の回転体256が回転する速度を低速処理が実行されている場合よりも遅くしてもよい。本構成においても、交互動作用処理が実行された場合に単位時間あたりに払い出される遊技球数を少なくできる。
(3)リトライ状態が設定された場合の低速処理における回転体256の回転量を変更してもよい。例えば、低速処理が実行された場合に回転体256が20step回転するようにしてもよい。低速処理における回転体256の回転量を変更する場合、リトライ状態が設定されるまでの回転体256の回転量と、低速処理が行われた場合の回転体256の回転量との合計が、遊技球2個の払出に対応した回転量より少なくするとよい。
(4)交互動作用処理が実行された場合の回転体256が回転する態様を変更してもよい。例えば、交互動作用処理が実行された場合、最初に回転体256が正転してもよい。また、例えば、交互動作用処理が実行された場合に、正転状態及び逆転状態が設定される回数を変更してもよく、正転状態及び逆転状態が5回繰り返されるようにしてもよい。また、正転状態と、逆転状態とが設定される回数が同数である必要はなく、一方の状態が他方の状態よりも多く設定されるようにしてもよい。
(5)リトライ状態において回転体256が回転する速度をそれぞれ変更してもよい。例えば、回転体256の回転速度として、高速、中速、低速が設定されている遊技機においては、高速にて遊技球の払出が行われており、リトライ状態が設定された場合に中速が設定されるようにしてもよい。
また、リトライ状態において低速処理、正転状態、逆転状態が設定される場合の速度をそれぞれ変更してもよく、例えば、低速処理が実行されている場合よりも正転状態及び逆転状態が繰り返されている場合の方が、速度が遅くなるようにしてもよい。また、正転状態及び逆転状態における回転体256の速度が異なるようにしてもよい。
(6)回転体256が設けられている数を変更してもよく、1のみの回転体256が設けられていてもよいし、3以上の回転体256が設けられていてもよい。
(7)回転体256が30step回転した場合に遊技球が払い出されるものとしたが、遊技球が払い出されるために回転体256が回転するstep数を変更してもよい。例えば、回転体256が50step回転するごとに遊技球が払い出されるものが考えられる。この場合、回転体256が50step回転した場合に遊技球が払い出されなかったことに基づいてリトライ状態が設定されるようにすればよい。
(8)リトライ状態の中途にて遊技球が払い出された場合、リトライ状態の中途にてそのリトライ状態が解除されるものとしたが、かかる構成に限定されない。リトライ状態の中途にて遊技球が払い出されたとしても、リトライ状態における交互動作用処理が終了するまでリトライ状態が解除されなくともよい。
(9)リトライ状態において交互動作用処理が実行されている場合、遊技球が払い出され得る構成としたが、交互動作用処理が実行されている場合に遊技球が払い出されることがないようにしてもよい。この場合、不正行為者により不正行為が行われたとしても、リトライ状態となった場合に遊技球が払い出されることを防止できる。また、本構成においても、交互動作用処理が実行されることで、球詰まりの発生により遊技球が払い出されていない場合には当該球詰まりを解消できる。
(10)交互動作用処理が設定された場合、交互動作用処理において遊技球が払い出されたか否かに関わらず、払出装置異常状態となるようにしてもよい。本構成においては、不正行為が行われた場合に不正に払い出される遊技球を一層少なくできる。さらに、払出装置異常状態が設定されることで、不正行為が行われた場合に当該不正行為を早期発見し易くなる効果が得られる。
(11)リトライ状態における低速処理が実行された場合、交互動作用処理が実行されないようにしてもよい。この場合、低速処理が実行された場合に遊技球が払い出されなかったことに基づいて払出装置異常状態が設定されるようにしてもよいし、低速処理が実行された場合に遊技球が払い出されたか否かに関わらず払出装置異常状態が設定されるようにしてもよい。
(12)遊技球が払い出されたことに対応した信号と、大当たりが設定されていることに対応した信号と、をそれぞれ遊技ホールに出力するようにしてもよい。上記のとおり、大当たりにおいては遊技者に多量の遊技球が付与され易い。このため、不正に遊技球が払い出されたとしてもその払出が目立ちにくく、大当たりにおいて不正行為が行われ易い。この点、本構成では、遊技球が払い出されたことに対応した信号と、大当たりが設定されていることに対応した信号と、がそれぞれ出力される。このため、大当たりが終了したにも関わらず遊技球が長期間に亘って払い出されていることで、上記不正行為が行われていることを遊技ホール側にて発見できる。すなわち、遊技球が払い出されなかった場合、単位時間あたりの遊技球の払出数が少なくなるように回転体256を制御することで、大当たりにおける不正行為を発見することが可能となる。
(13)遊技球とは異なる遊技媒体を使用する構成としてもよい。例えば、遊技媒体として遊技メダルを使用したものが考えられる。遊技メダルを使用する場合、遊技メダルを払い出す機構として、メダル払出用回転板が回転することにより遊技メダルが払い出されるものが考えられる。本構成においては、所定期間内にてメダルが払い出されなかった場合、メダル払出用回転板の回転速度がそれまでの速度よりも遅くなるようにするとよい。
(14)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも本発明を適用できる。
(15)弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
また、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した各実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
なお、以下の各特徴に記載した発明は、「遊技機の一種であるパチンコ遊技機は、例えばパチンコ遊技機内部にて遊技球を貯留するための貯留タンクを備えている。貯留タンクに貯留されている遊技球は、誘導通路部を通じて、遊技機前面部の球受け皿へ誘導される。また、誘導通路部の途中位置には回転体などの払出実行手段が設けられており、誘導通路部により誘導される遊技球は払出実行手段により一旦停止される。払出実行手段は制御装置と電気的に接続されている。そして、遊技領域に設けられた入球部へ遊技球が入球したこと又はCRユニットといった貸球装置が設けられた構成においては当該貸球装置に対して貸出操作が行われたことに基づいて、制御装置に払出数情報が記憶され、払出動作を実行するように制御装置により払出実行手段が駆動制御されることで、上記一旦停止されていた遊技球は球受け皿に払い出される。また、例えば、特開2007−14660号公報に示すパチンコ遊技機では、払出実行手段よりも下流側に払出検知センサ(払出検知手段)が設けられており、払出実行手段の払出動作により下流側へ導出された遊技球は払出検知センサにて検知される。制御装置では当該払出検知センサの検知結果に基づいて、払い出された遊技球の個数を把握し、上記払出数情報に対応した数の遊技球が払い出された場合に払出実行手段の払出動作を終了させる。」という背景技術について、「ここで、上記パチンコ遊技機においては、払出実行手段の払出動作が行われる際に又は行われている状況で、払出検知センサにて遊技球の検知を正常に行えないようにすることで、制御装置に記憶されている払出数情報に対応した個数よりも多くの遊技球の払出を行わせる不正行為が想定される。当該不正行為について、検知部を遊技球が通過したことによる磁界の変化を電気信号に変換して出力する近接センサが、払出検知センサとして用いられている場合を例に挙げて説明する。本不正行為では、例えば球受け皿側などから払出検知センサの位置に不正用治具を配置する。不正用治具は磁界を発生させることができるものであり、不正用治具にて磁界が発生させられることにより、検知部を遊技球が通過しているにも関わらず検知部に遊技球が留まっていると払出検知センサが誤検知することとなる。ここで、制御装置が、払出検知センサにて遊技球の検知を開始したタイミングの電気信号の変化(例えば電気信号の立ち上がり)又は払出検知センサにて遊技球の検知を終了したタイミングの電気信号の変化(例えば電気信号の立ち下り)によって1個の遊技球が払い出されたと特定する構成においては、払出検知センサの検知状態が不正用治具により上記のように設定されてしまうと、実際に検知部を多数の遊技球が通過しているにも関わらず制御装置ではそれら多数の遊技球の通過を把握することができず、払出実行手段の払出動作が継続されることとなる。なお、以上の課題は、パチンコ遊技機に限定されることはなく、払出実行手段を通じて遊技媒体の払出が行われるとともにその遊技媒体が払出検知手段により検知される他の遊技機においても同様のものである。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴1.特定方向(正転方向)に回転することにより、遊技機前面部に設けられた貯留部(上皿33、下皿34)に向けて遊技媒体を払い出すための回転体(回転体256)と、
当該回転体により前記貯留部に向けて払い出される遊技媒体を検知することで特定検知結果となる払出検知手段(払出球検知センサ258)と、
払い出すべき遊技媒体数の情報に対応した払出情報を記憶する払出情報記憶手段(賞球数記憶エリア374、貸球数記憶エリア375)と、
当該払出情報記憶手段に記憶されている前記払出情報に対応した数の遊技媒体が払い出されるように前記回転体を駆動制御する駆動制御手段(払出制御基板322のCPU331の駆動信号出力処理などを実行する機能)と、
前記払出検知手段の検知結果が前記特定検知結果となったことに基づいて遊技媒体が払い出されたことを特定し、その特定した遊技媒体数が前記払出情報に反映されるように当該払出情報を更新する払出実行更新手段(払出制御基板322のCPU331におけるステップS2104、ステップS2108、ステップS2113などの処理を実行する機能)と、
遊技媒体を払い出すよう前記回転体が駆動制御されている状況で、予め定められた特定タイミングとなったにも関わらず前記払出検知手段の検知結果が前記特定検知結果とならない状況が発生している場合に、前記回転体の前記特定方向への回転を継続させながら、当該回転体の回転速度をそれまでの速度よりも遅くさせる減速制御を実行する速度切換手段(払出制御基板322のCPU331におけるリトライ動作用処理を実行する機能、払出制御基板322のCPU331におけるリトライ動作用処理のステップS2605〜ステップS2610の処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、払出情報記憶手段に記憶されている払出情報に対応した数の遊技媒体が払い出されるように回転体が駆動制御され、当該回転体から払い出された遊技媒体は遊技機前面部に設けられた貯留部にて貯留される。また、回転体から貯留部に向けて払い出される遊技媒体は払出検知手段にて検知され、払出検知手段の検知結果に基づいて遊技媒体の払出が特定された場合には、その特定された遊技媒体数が上記払出情報に反映される。
ここで、不正用治具として、払出検知手段にて遊技媒体の検知を正確に行えないようにする動作状態と検知を正確に行えるようにする非動作状態とに切換設定可能なものが用いられることが想定される。この場合、多数の遊技媒体の払出を不正に行わせる行為が繰り返されてしまう不正行為が行われることが懸念される。この点、本特徴では、払出動作を行うように回転体が駆動制御されている状況で、特定タイミングとなったにも関わらず払出検知手段の検知結果が特定検知結果とならない状況が発生している場合には、回転体の回転速度が減速される。回転体の回転速度が減速されることにより、上記不正行為が行われたとしても、単位時間あたりに遊技媒体が払い出される個数を少なくすることができる。この結果、上記不正行為が行われた場合に、遊技機を設置する遊技ホール等に発生する被害を最小限にできる。したがって、遊技媒体の払出を不正に受けようとする行為を抑制できる。
また、遊技媒体の払出速度が遅くなることにより、上記不正行為が行われ、大量の遊技媒体が払い出される場合、その遊技媒体の払出にかかる時間を長くすることができる。遊技媒体の払出にかかる時間を長くすることで、遊技媒体の払出が異常に行われていることを発見し易くする効果も期待できる。
さらに、減速制御を開始する場合、回転体の特定方向への回転を継続させる構成であるため、上記のような不正行為を原因とするのではなく回転体の回転位置のずれを原因として特定タイミングまでに遊技媒体の払出が行われていない場合に、逆回転の動作や停止操作を行わせることなく遊技媒体の払出を行わせることが可能となる。これにより、特定タイミングとなった場合に逆回転の動作や停止操作を即座に行う構成に比べて、上記のような回転位置のずれによる払出異常が解消された場合における正規の払出動作への復帰を良好に行うことが可能となる。
特徴2.前記速度切換手段による前記減速制御が実行されたにも関わらず前記払出検知手段が前記特定検知結果とならない場合、当該減速制御よりも遊技媒体の払出が制限された状態となる構成であり、
前記速度切換手段は、前記回転速度を減速させた状態にて前記回転体の回転方向を前記特定方向に継続させる場合の当該回転体の回転量を、遊技媒体を1個払い出すための回転量よりも少なくするものであることを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、減速制御が実行されたにも関わらず払出検知手段が特定検知結果とならない場合、遊技媒体の払出がより制限された状態となる。この場合、不正行為者は、払出検知手段にて遊技媒体の検知を正確に行えないようにする動作状態を減速制御が実行されている状況における回転体の回転量が遊技媒体1個を払い出すための回転量よりも少ない。よって、上記動作状態を減速制御が実行されている範囲で解除する行為が行われたとしても、減速制御が完了するまでの範囲で複数の遊技媒体が払い出されることが抑制される。
特徴3.前記速度切換手段は、前記特定検知結果となっていない状況における前記回転体の回転量(30step)が、遊技媒体2個を払い出すための回転量(60step)となるまでに前記減速制御を実行するものであることを特徴とする特徴1又は2に記載の遊技機。
特徴3によれば、上記不正行為が行われたとしても、遊技媒体が2個不正に払い出される前には、駆動モータの駆動速度を減速することができる。これにより、上記不正行為を抑制するために、駆動モータの駆動速度を減速するタイミングを早くすることができる。この結果、上記不正行為が実行された場合に遊技ホールに発生する被害を小さくすることができる。
特徴4.前記速度切換手段による前記減速制御が実行されたにも関わらず前記払出検知手段が前記特定検知結果とならない場合に、それ以降も前記回転体を回転させ、且つ前記減速制御を継続させて遊技媒体の払出を行わせる場合よりも遊技媒体の払出を行うのに要する時間が長くなる制限状態とする制限手段(払出制御基板322のCPU331における交互動作用処理を実行する機能)を備えていることを特徴とする特徴1乃至3のいずれか1に記載の遊技機。
特徴4によれば、不正行為を原因とするのではなく正規の異常を原因として払出検知手段における遊技媒体の検知が行われていない状況であって、減速制御ではその異常を解消できない場合であっても回転体の回転が継続されるため、回転体の回転を通じて上記異常が解消される可能性が高められる。この場合に、減速制御の後において回転体の回転を継続させる場合には、減速制御を継続させて遊技媒体の払出を行わせる場合よりも遊技媒体の払出を行うのに要する時間が長くなる制限状態とする。これにより、回転体の回転を継続させたとしても、遊技媒体の払出が行われるのに要する時間を長くすることができ、遊技媒体の払出を不正に受けようとする行為を抑制することが可能となる。
特徴5.前記制限手段は、前記特定方向とは反対方向に前記回転体を回転させ、その後において前記特定方向に前記回転体を回転させることにより、前記減速制御の後において前記回転体を回転させる場合に、前記減速制御を継続させて遊技媒体の払出を行わせる場合よりも遊技媒体の払出を要する時間が長くなるようにするものであることを特徴とする特徴4に記載の遊技機。
特徴5によれば、不正行為を原因とするのではなく正規の異常を原因として払出検知手段における遊技媒体の検知が行われていない状況であって、減速制御ではその異常を解消できない場合であっても回転体が特定方向とは反対方向に回転するとともに、その後において特定方向に回転体が回転するため、当該動作を通じて上記異常が解消される可能性が高められる。この場合に、減速制御の後において回転体の回転を継続させる場合には、減速制御を継続させて遊技媒体の払出を行わせる場合よりも遊技媒体の払出を行うのに要する時間が長くなる制限状態とする。これにより、回転体の回転を継続させたとしても、遊技媒体の払出が行われるのに要する時間を長くすることができ、遊技媒体の払出を不正に受けようとする行為を抑制することが可能となる。
特徴6.特定方向(正転方向)に回転することにより、遊技機前面に設けられた貯留部(上皿33、下皿34)に向けて遊技媒体を払い出すための回転体(回転体256)と、
当該回転体により前記貯留部に向けて払い出される遊技媒体を検知することで特定検知結果となる払出検知手段(払出球検知センサ258)と、
払い出すべき遊技媒体数の情報に対応した払出情報を記憶する払出情報記憶手段(賞球数記憶エリア374、貸球数記憶エリア375)と、
当該払出情報記憶手段に記憶されている前記払出情報に対応した数の遊技媒体が払い出されるように前記回転体を駆動制御する駆動制御手段(払出制御基板322のCPU331の駆動信号出力処理などを実行する機能)と、
前記払出検知手段の検知結果が前記特定検知結果となったことに基づいて遊技媒体が払い出されたことを特定し、その特定した遊技媒体数が前記払出情報に反映されるように当該払出情報を更新する払出実行更新手段(払出制御基板322のCPU331におけるステップS2104、ステップS2108、ステップS2113などの処理を実行する機能)と、
前記払出検知手段の検知結果が前記特定検知結果とならない状況で、前記回転体の回転量が、1つの遊技媒体の払出に対応した回転量以上であって、2つの遊技媒体の払出に対応した回転量未満である特定回転量(30step)となった場合に、それまでよりも遊技媒体の払出が制限された状態とする払出制限手段(払出制御基板322のCPU331におけるリトライ動作用処理を実行する機能)と、
を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴6によれば、払出情報記憶手段に記憶されている払出情報に対応した数の遊技媒体が払い出されるように回転体が駆動制御され、当該払出実行手段から払い出された遊技媒体は遊技機前面部に設けられた貯留部にて貯留される。また、払出実行手段から貯留部に向けて払い出される遊技媒体は払出検知手段にて検知され、払出検知手段の検知結果に基づいて遊技媒体の払出が特定された場合には、その特定された遊技媒体数が上記払出情報に反映される。
ここで、不正用治具として、払出検知手段にて遊技媒体の検知を正確に行えないようにする動作状態と検知を正確に行えるようにする非動作状態とに切換設定可能なものが用いられることが想定される。この場合、多数の遊技媒体の払出を不正に行わせる行為が繰り返されてしまう不正行為が行われることが懸念される。この点、本特徴では、払出動作を行うように回転体が駆動制御されている状況で、特定検知結果となることなく、遊技媒体1個以上に対応した回転量であり、且つ遊技媒体2個未満に対応した回転量である特定駆動量に回転体の回転量がなった場合に、遊技媒体が正常に払い出されていないことに対応した払出異常処理が実行される。これにより、上記不正行為が行われた場合には、遊技媒体が2個払い出されるまでに当該不正行為に対応することが可能となる。この結果、上記不正行為に対応するタイミングを早くすることができる。したがって、上記不正行為を抑制することが可能となる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に起因して前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。