JP5880385B2 - 有機汚染物質の分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、環境(例えば、土壌、水、大気等)中や食品中の有機汚染物質のスクリーニングを行うための有機汚染物質の分析方法に関する。
近年、工場跡地の再開発に際して、あるいは廃棄物処分場の適正管理の一環として、土壌汚染調査が行われている。ここで、土壌汚染調査を行う場合、分析対象物質によって適用される法律が異なるため、分析対象物質毎に定められた方法を用いている。例えば、ダイオキシン類は非特許文献1に記載された公定法を用いて、残留農薬は非特許文献2に記載された公定法を用いて行っている。
ダイオキシン類に係わる土壌調査測定マニュアル、平成20年3月、環境省水・大気環境局土壌環境課 農薬等の環境残留実態調査分析法、平成10年10月、環境庁水質保全局土壌農薬課
非特許文献1、2に記載されているように、環境中の環境汚染物質調査に係る現行の公定法は、前処理が複雑であり、分析対象物質毎に分析法が定められているため、汚染状況を適切に評価するためには多大な時間と労力を要するという問題がある。例えば、土壌中の残留農薬の分析を公定法により行うと、土壌中から残留農薬を抽出し、更に土壌由来成分等を除去する精製を行って測定用試料を調製する前処理に要する時間は1〜2日、測定用試料を用いて残留農薬の同定及び定量を行うのに要する時間は少なくとも1日を要する。
このため、化学物質の流出事故や災害等の緊急時では、汚染の全体像を把握するのが難しく、調査が長期化するため、汚染防止等の対策が遅れるという虞がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、被汚染物から有機汚染物質の試料を調製する前処理が簡便化され、試料を用いて一度に複数の有機汚染物質の同定及び定量が可能な有機汚染物質の分析方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る有機汚染物質の分析方法は、複数の有機汚染物質で汚染された被汚染物から、前記複数の有機汚染物質中の極性有機汚染物質群を始めに回収し、次いで前記複数の有機汚染物質中の無極性有機汚染物質群を回収し、前記極性有機汚染物質群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、前記無極性有機汚染物質群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する前処理工程と、
前記試料Gから測定用試料Hを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して前記無極性有機汚染物質群の同定及び定量を行うと共に、前記試料Lから測定用試料Mを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載された液体クロマトグラフ質量分析計に供給して、前記極性有機汚染物質群の同定及び定量分析を行って、前記ガスクロマトグラフ質量分析計と前記液体クロマトグラフ質量分析計でそれぞれ得られた同定結果及び定量結果を組み合せて、前記複数の有機汚染物質の化学組成及び組成割合を求める分析工程とを有する有機汚染物質の分析方法において、
前記前処理工程は、抽出容器に入れた前記被汚染物に設定された体積の極性溶媒を加えて前記被汚染物を該極性溶媒に浸漬し、前記極性有機汚染物質群を該極性溶媒に抽出させて極性抽出液Aを作製する抽出過程と、
前記抽出容器内で前記被汚染物と分離して上層に存在する前記極性抽出液Aから分取した極性分取液を精製して前記試料Lを作製する第1の試料作製過程と、
前記抽出容器内に残留する前記被汚染物及び極性抽出液Bに、設定された体積の無極性溶媒を加えて抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って前記無極性有機汚染物質群を前記抽出溶媒の前記無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液を作製するマイクロ波抽出過程と、
前記マイクロ波加熱後の前記抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性抽出液B及び上層の前記無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、
前記抽出容器内の前記無極性抽出液から分取した無極性分取液を精製して前記試料Gを作製する第2の試料作製過程とを有する。
第1の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、前記極性溶媒は水であり、前記抽出溶媒中の前記極性溶媒に対する前記無極性溶媒の体積比率は1〜10であることが好ましい。
第1の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、前記極性溶媒は水とアルコール類からなり、水に対するアルコール類の体積比は1/20〜1であり、前記抽出溶媒中の前記極性溶媒に対する前記無極性溶媒の体積比率は1〜10とすることが好ましい。
第2の発明に係る有機汚染物質の分析方法は、複数の有機汚染物質で汚染された被汚染物から、前記複数の有機汚染物質中の極性有機汚染物質群を始めに回収し、次いで前記複数の有機汚染物質中の無極性有機汚染物質群を回収し、前記極性有機汚染物質群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、前記無極性有機汚染物質群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する前処理工程と、
前記試料Gから測定用試料Hを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して前記無極性有機汚染物質群の同定及び定量を行うと共に、前記試料Lから測定用試料Mを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載された液体クロマトグラフ質量分析計に供給して、前記極性有機汚染物質群の同定及び定量分析を行って、前記ガスクロマトグラフ質量分析計と前記液体クロマトグラフ質量分析計でそれぞれ得られた同定結果及び定量結果を組み合せて、前記複数の有機汚染物質の化学組成及び組成割合を求める分析工程とを有する有機汚染物質の分析方法において、
前記前処理工程は、抽出容器に入れた前記被汚染物に、水と該水に対する体積比が1/20〜1となる体積のアルコール類から調製された一定体積の第1の極性溶媒を加えて該被汚染物を該第1の極性溶媒に浸漬し、前記極性有機汚染物質群を該第1の極性溶媒に抽出させて極性抽出液Dを作製する抽出過程と、
前記抽出容器内で前記被汚染物と分離して上層に存在する前記極性抽出液Dから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、
前記抽出容器内に残留する前記被汚染物及び極性抽出液Eに水又は前記アルコール類を加えて、水に対する該アルコール類の体積比が1/4〜2となる第2の極性溶媒を調製して該被汚染物を浸漬すると共に、該第2の極性溶媒に対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて抽出溶媒を調製してマイクロ波加熱を行ない、前記極性有機汚染物質群の残部を前記抽出溶媒の前記第2の極性溶媒に更に抽出させて極性抽出液Fを、前記無極性有機汚染物質群を前記抽出溶媒の前記無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液をそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、
前記マイクロ波加熱後の前記抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性抽出液F及び上層の前記無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、
前記抽出容器内の前記無極性抽出液から無極性分取液を、前記極性抽出液Fから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、
前記無極性分取液を精製して前記試料Gを作製し、前記第1、第2極性分取液を合わせた極性分取液を精製して前記試料Lを作製する試料作製過程とを有する。
これによって、マイクロ波抽出過程において、抽出過程で第1の極性溶媒に抽出されなかった極性有機汚染物質群の残部を第2の極性溶媒で抽出することができ、被汚染物から極性有機汚染物質群を確実に抽出することができる。
第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法は、複数の有機汚染物質で汚染された被汚染物から、前記複数の有機汚染物質中の極性有機汚染物質群を始めに回収し、次いで前記複数の有機汚染物質中の無極性有機汚染物質群を回収し、前記極性有機汚染物質群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、前記無極性有機汚染物質群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する前処理工程と、
前記試料Gから測定用試料Hを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して前記無極性有機汚染物質群の同定及び定量を行うと共に、前記試料Lから測定用試料Mを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載された液体クロマトグラフ質量分析計に供給して、前記極性有機汚染物質群の同定及び定量分析を行って、前記ガスクロマトグラフ質量分析計と前記液体クロマトグラフ質量分析計でそれぞれ得られた同定結果及び定量結果を組み合せて、前記複数の有機汚染物質の化学組成及び組成割合を求める分析工程とを有する有機汚染物質の分析方法において、
前記前処理工程は、抽出容器に入れた前記被汚染物に設定された体積の水を加えて前記被汚染物を該水に浸漬し、前記極性有機汚染物質群を該水に抽出させて極性抽出液Pを作製する抽出過程と、
前記抽出容器内で前記被汚染物と分離して上層に存在する前記極性抽出液Pから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、
前記抽出容器内に残留する前記被汚染物及び極性抽出液Qに、該極性抽出液Qに対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて第1の抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って前記無極性有機汚染物質群を前記第1の抽出溶媒の前記無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液Vを、前記極性有機汚染物質群の残部を前記第1の抽出溶媒の前記極性抽出液Qに更に抽出させて極性抽出液Rをそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、
前記マイクロ波加熱後の前記第1の抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性抽出液R及び上層の無極性抽出液Vからなる3層状態を形成する第1の分離過程と、
前記抽出容器内の前記無極性抽出液Vから第1の無極性分取液を、前記極性抽出液Rから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、
前記抽出容器内に残留する前記被汚染物、無極性抽出液W及び極性抽出液Sに、前記第1の無極性分取液と同量の前記無極性溶媒と前記極性抽出液Sに対する体積比が1/4〜2となる体積のアルコール類をそれぞれ加えて、前記第1の無極性分取液と同量の前記無極性溶媒及び前記無極性抽出液Wからなる無極性溶媒Xと、前記極性抽出液S及び前記アルコール類からなる極性溶媒Tから構成される第2の抽出溶媒を調製して第2のマイクロ波加熱を行ない、前記無極性有機汚染物質群の残部を前記第2の抽出溶媒の前記無極性溶媒Xに更に抽出させて無極性抽出液Yを作製する第2のマイクロ波抽出過程と、
前記第2のマイクロ波加熱後の前記第2の抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性溶媒T及び上層の前記無極性抽出液Yからなる3層状態を形成する第2の分離過程と、
前記抽出容器内の前記無極性抽出液Yから第2の無極性分取液を分取する第の分取過程と、
前記第1、第2の無極性溶液を合わせた無極性分取液を精製して前記試料Gを、前記第1、第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製して前記試料Lをそれぞれ作製する試料作製過程とを有する。
これによって、マイクロ波抽出過程において、抽出過程で水によって抽出されなかった極性有機汚染物質群の残部を第1の抽出溶媒の極性抽出液Qで抽出することができ、被汚染物から極性有機汚染物質群を確実に抽出することができる。また、第2のマイクロ波抽出過程において、マイクロ波抽出過程で無極性溶媒によって抽出されなかった無極性有機汚染物質群の残部を第2の抽出溶媒の無極性溶媒Xで抽出することができ、被汚染物から無極性有機汚染物質群を確実に抽出することができる。
第1〜第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、前記アルコール類は、メタノール、エタノール、1−プロパノール又は2−プロパノールとすることができる。
また、前記無極性溶媒は、炭素数が6〜10のパラフィン炭化水素のいずれか1とすることができる。
第1〜第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、前記無極性分取液の精製は、順相系の吸着剤を用いた固相カラムを、前記極性分取液の精製は、逆相系の吸着剤を用いた固相カラムをそれぞれ使用して行うことができる。
第1〜第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法においては、被汚染物から複数の有機汚染物質を、無極性有機汚染物質群及び極性有機汚染物質群に分離してそれぞれ回収し、極性有機汚染物質群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、無極性有機汚染物質群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製するので、前処理が簡便化されると共に多検体処理が可能になる。また、複数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムがそれぞれ搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計と液体クロマトグラフ質量分析計を用いて試料L、Gからそれぞれ作製される測定用試料M、Hの同定及び定量を行うので、広範囲(無極性〜極性)の有機汚染物質の同定及び定量が一度に可能になる。これにより、被汚染物中の複数の有機汚染物質の簡便、迅速、効率的かつ安価な網羅分析が可能になる。
第1の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、前処理工程が、抽出容器に入れた被汚染物に設定された体積の極性溶媒を加えて被汚染物を極性溶媒に浸漬し、極性有機汚染物質群を極性溶媒に抽出させて極性抽出液Aを作製する抽出過程と、抽出容器内で被汚染物と分離して上層に存在する極性抽出液Aから分取した極性分取液を精製して試料Lを作製する第1の試料作製過程と、抽出容器内に残留する被汚染物及び極性抽出液Bに、設定された体積の無極性溶媒を加えて抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って無極性有機汚染物質群を抽出溶媒の無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液を作製するマイクロ波抽出過程と、マイクロ波加熱後の抽出溶媒を冷却し、抽出容器内に、下層の被汚染物、中層の極性抽出液B及び上層の無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、抽出容器内の無極性抽出液から分取した無極性分取液を精製して試料Gを作製する第2の試料作製過程とを有するので、極性有機汚染物質群を含んだ極性分取液を、次いで無極性有機汚染物質群を含んだ無極性分取液をそれぞれ容易かつ迅速に作製することができ、極性分取液及び無極性分取液をそれぞれ精製することにより迅速に試料L、Gを作製することができる。これにより、前処理の簡便化、迅速化が可能になる。
第1の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、極性溶媒が水であり、抽出溶媒中の極性溶媒に対する無極性溶媒の体積比率が1〜10である場合、抽出過程では、極性溶媒中に高極性有機汚染物質群が選択的に抽出され、マイクロ波抽出過程では、無極性溶媒中に無極性有機汚染物質群が選択的に抽出されるので、夾雑成分の少ない試料L、Gが得られる。
また、極性溶媒として水を使用するので、被汚染物が湿潤状態でも分析を行うことができ、例えば、被汚染物が土壌の場合、採取した土壌をそのまま検体として使用することができる。
第1の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、極性溶媒が水とアルコール類からなり、水に対するアルコール類の体積比が1/20〜1であり、抽出溶媒中の極性溶媒に対する無極性溶媒の体積比率が1〜10である場合、抽出過程では、極性溶媒中に極性有機汚染物質群から高極性有機汚染物質群までが抽出され、マイクロ波抽出過程では、無極性溶媒中に無極性有機汚染物質群が選択的に抽出されるので、試料L、Gを用いることにより広範囲の有機汚染物質の検出が可能になる。
また、極性溶媒として水を使用するので、被汚染物が湿潤状態でも分析を行うことができ、例えば、被汚染物が土壌の場合、採取した土壌をそのまま検体として使用することができる。
第2の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、前処理工程が、抽出容器に入れた被汚染物に、水と水に対する体積比が1/20〜1となる体積のアルコール類から調製された一定体積の第1の極性溶媒を加えて被汚染物を第1の極性溶媒に浸漬し、極性有機汚染物質群を第1の極性溶媒に抽出させて極性抽出液Dを作製する抽出過程と、抽出容器内で被汚染物と分離して上層に存在する極性抽出液Dから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、抽出容器内に残留する被汚染物及び極性抽出液Eに水又はアルコール類を加えて、水に対するアルコール類の体積比が1/4〜2となる第2の極性溶媒を調製して被汚染物を浸漬すると共に、第2の極性溶媒に対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて抽出溶媒を調製してマイクロ波加熱を行ない、極性有機汚染物質群の残部を抽出溶媒の第2の極性溶媒に更に抽出させて極性抽出液Fを、無極性有機汚染物質群を抽出溶媒の無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液をそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、マイクロ波加熱後の抽出溶媒を冷却し、抽出容器内に、下層の被汚染物、中層の極性抽出液F及び上層の無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、抽出容器内の無極性抽出液から無極性分取液を、極性抽出液Fから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、無極性分取液を精製して試料Gを作製し、第1、第2極性分取液を合わせた極性分取液を精製して試料Lを作製する試料作製過程とを有するので、抽出過程では、第1の極性溶媒中に極性有機汚染物質群から高極性有機汚染物質群までを抽出でき、マイクロ波抽出過程では、マイクロ波加熱時に無極性溶媒中にアルコール類が溶け込み無極性溶媒の抽出能力が増大することによって、無極性溶媒中に無極性有機汚染物質群及び高無極性有機汚染物質群を抽出し、第2の極性溶媒中に、抽出過程で第1の極性溶媒で抽出されなかった極性有機汚染物質群の残部を抽出することができる。その結果、第1、第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製することにより極性有機汚染物質群及び高極性有機汚染物質群を含んだ試料L、無極性分取液を精製することにより無極性有機汚染物質群及び高無極性有機汚染物質群を含んだ試料Gを、それぞれ迅速に作製することができる。これにより、前処理の簡便化、迅速化が可能になる。
第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、前処理工程が、抽出容器に入れた被汚染物に設定された体積の水を加えて被汚染物を水に浸漬し、極性有機汚染物質群を水に抽出させて極性抽出液Pを作製する抽出過程と、抽出容器内で被汚染物と分離して上層に存在する極性抽出液Pから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、抽出容器内に残留する被汚染物及び極性抽出液Qに、極性抽出液Qに対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて第1の抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って無極性有機汚染物質群を第1の抽出溶媒の無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液Vを、極性有機汚染物質群の残部を第1の抽出溶媒の極性抽出液Qに更に抽出させて極性抽出液Rをそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、マイクロ波加熱後の第1の抽出溶媒を冷却し、抽出容器内に、下層の被汚染物、中層の極性抽出液R及び上層の無極性抽出液Vからなる3層状態を形成する第1の分離過程と、抽出容器内の無極性抽出液Vから第1の無極性分取液を、極性抽出液Rから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、抽出容器内に残留する汚染物、無極性抽出液W及び極性抽出液Sに、第1の無極性分取液と同量の無極性溶媒と極性抽出液Sに対する体積比が1/4〜2となる体積のアルコール類をそれぞれ加えて、第1の無極性分取液と同量の無極性溶媒及び無極性抽出液Wからなる無極性溶媒Xと、極性抽出液S及びアルコール類からなる極性溶媒Tから構成される第2の抽出溶媒を調製して第2のマイクロ波加熱を行ない、無極性有機汚染物質群の残部を第2の抽出溶媒の無極性溶媒Xに更に抽出させて無極性抽出液Yを作製する第2のマイクロ波抽出過程と、第2のマイクロ波加熱後の第2の抽出溶媒を冷却し、抽出容器内に、下層の被汚染物、中層の極性溶媒T及び上層の無極性抽出液Yからなる3層状態を形成する第2の分離過程と、抽出容器内の無極性抽出液Yから第2の無極性分取液を分取する第の分取過程と、第1、第2の無極性溶液を合わせた無極性分取液を精製して試料Gを、第1、第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製して試料Lをそれぞれ作製する試料作製過程とを有するので、抽出過程では極性有機汚染物質群に含まれる主に親水性有機汚染物質群を水で抽出して極性抽出液Pを作製し、マイクロ波抽出過程では、極性有機汚染物質群の残部を極性抽出液Qで更に抽出して極性抽出液Rを作製すると共に、無極性有機汚染物質群を無極性溶媒に抽出して無極性抽出液Vを作製し、第2のマイクロ波抽出過程では、マイクロ波加熱時に無極性溶媒X中にアルコール類が溶け込み無極性溶媒Xの抽出能力が増大することになって、マイクロ波抽出過程で抽出されなかった無極性有機汚染物質群の残部(主に高無極性有機汚染物質群)を無極性溶媒Xで更に抽出して無極性抽出液Yを作製することができる。その結果、極性抽出液Pから分取した第1の極性分取液と極性抽出液Rから分取した第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製することにより極性有機汚染物質群及び親水性有機汚染物質群(高極性有機汚染物質群)を含んだ試料Lを、無極性抽出液Vから分取した第1の無極性分取液と無極性抽出液Yから分取した第2の無極性分取液を合わせ無極性分取液を精製することにより無極性有機汚染物質群及び高無極性有機汚染物質群を含んだ試料Gを、それぞれ迅速に作製することができる。これにより、前処理の簡便化、迅速化が可能になる。
また、極性溶媒として水を使用するので、被汚染物が湿潤状態でも分析を行うことができ、例えば、被汚染物が土壌の場合、採取した土壌をそのまま検体として使用することができる。
第1〜第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、アルコール類が、メタノール、エタノール、1−プロパノール又は2−プロパノールである場合、水に対するアルコール類の体積比を低減させることにより、極性溶媒中への極性有機汚染物質群(親水性有機汚染物質群)の分配状態を調整することができ、無極性溶媒による無極性有機汚染物質群(疎水性有機汚染物質群)の選択的抽出を行うことができる。
第1〜第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、無極性溶媒が、炭素数が6〜10のパラフィン炭化水素のいずれか1である場合、パラフィン炭化水素を選択することにより、無極性溶媒による無極性有機汚染物質群(疎水性有機汚染物質群)の選択的抽出を行うことができる。
第1〜第3の発明に係る有機汚染物質の分析方法において、無極性分取液の精製は、順相系の吸着剤を用いた固相カラムを、極性分取液の精製は、逆相系の吸着剤を用いた固相カラムをそれぞれ使用して行う場合、被汚染物自体に由来する成分、測定妨害となる成分を除去することができると共に、無極性溶液からはガスクロマトグラフ質量分析計で測定できない成分、極性溶液からは液体クロマトグラフ質量分析計で測定できない成分をそれぞれ除去することができ、有機汚染物質の同定及び定量の精度を向上させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の前段のフロー図である。 同有機汚染物質の分析方法の後段のフロー図である。 (A)、(B)はそれぞれ同有機汚染物質の分析方法における前処理工程の抽出過程、第1の試料作製過程の説明図である。 (A)、(B)はそれぞれ同有機汚染物質の分析方法における前処理工程の分離過程、第2の試料作製過程の説明図である。 本発明の第2の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の前段のフロー図である。 同有機汚染物質の分析方法の中段のフロー図である。 同有機汚染物質の分析方法の後段のフロー図である。 本発明の第3の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の前段のフロー図である。 同有機汚染物質の分析方法の後段のフロー図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法は、図1、図2に示すように、複数の農薬(複数の有機汚染物質の一例)で汚染された土壌(被汚染物の一例)から、複数の農薬中の極性農薬群(即ち親水性農薬群であって、極性有機汚染物質群の一例)を始めに回収し、次いで農薬中の無極性農薬群(即ち、疎水性農薬群であって、無極性有機汚染物質群の一例)を回収し、極性農薬群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、無極性農薬群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する前処理工程を有している。
更に、第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法は、試料Gから測定用試料Hを作製し、複数(多数)の農薬を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して無極性農薬群の同定及び定量を行うと共に、試料Lから測定用試料Mを作製し、複数(多数)の農薬を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載された液体クロマトグラフ質量分析計に供給して、極性農薬群の同定及び定量分析を行って、ガスクロマトグラフ質量分析計及び液体クロマトグラフ質量分析計でそれぞれ得られた同定結果及び定量結果を組み合せて、土壌中の複数の農薬の同定及び定量(化学組成及び組成割合)を行う分析工程を有している。以下、詳細に説明する。
前処理工程は、図3(A)に示すように、抽出容器10に入れた土壌に設定された体積の極性溶媒を加えて極性溶媒に土壌を浸漬し、土壌を汚染している農薬中の極性農薬群を極性溶媒に抽出させて極性抽出液Aを作製する抽出過程と、抽出容器10内で土壌と分離して上層に存在する極性抽出液Aから分取した極性分取液を精製して試料Lを作製する第1の試料作製過程を有している。ここで、極性溶媒として、水又は水とアルコール類との混合溶媒を使用する。なお、混合溶媒を使用する場合、水に対するアルコール類の体積比は1/20〜1であり、アルコール類として、例えば、エタノールを使用する。また、アルコール類の代わりにアセトニトリルを使用することも可能である。
極性農薬群として高い極性の(高親水性の)農薬を主に抽出する場合は、極性溶媒には水を使用し、極性農薬群として幅広い種類の農薬を抽出する場合は、極性溶媒には混合溶媒を使用する。
極性農薬群の抽出は、土壌1〜3グラムを石英ガラス製の抽出容器10に入れて密栓し(図3(A)参照)、極性溶媒を1〜10ミリリットル加えて振とうすることにより行う。また、振とう抽出は、例えば、振とう力を100〜300rpm、室温下で、振とう時間を10〜30分間として行う。
なお、振とう抽出の代わりに超音波抽出(超音波出力を50〜1200ワット、極性溶媒の温度を20〜60℃、抽出時間を10〜30分間)を行うことも可能である。
振とう抽出終了後、抽出容器10を立設状態で静置すると、図3(A)に示すように、抽出容器10の底に土壌が沈殿して、土壌と極性抽出液Aに分離するので、極性抽出液Aを、例えば、ホールピペット11で予め設定された体積、例えば5ミリリットル分取して極性分取液を作製する。土壌と極性抽出液Aの分離が不十分な場合は、遠心分離(例えば、1000〜3000rpmで10〜20分間)を行って分離する。
極性分取液は、図3(B)に示すように、逆相系の吸着剤を用いた固相カラム12を通過させる。なお、逆相系の固相カラムには、例えば、オクタデシル基を結合したシリカゲル(ODS)を基材としたものを使用する。これにより、測定妨害となる土壌由来の各種成分を除去することができる。そして、精製された極性分取液を、例えば、ロータリーエバポレータで、例えば体積が1〜3ミリリットルとなるまで濃縮し、更に、窒素気流下で、例えば体積が100〜1000マイクロリットルとなるまで濃縮することにより、試料Lが得られる。
なお、極性分取液の精製を行う際、逆相系の吸着剤を用いた固相カラム12の代わりに、イオン交換性能を持つ固相カラムを使用することもできる。
また、前処理工程は、抽出容器10内に残留する土壌及び極性抽出液Bに対して、設定された体積の無極性溶媒を加えて抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って無極性農薬群を抽出溶媒の無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液を作製するマイクロ波抽出過程と、マイクロ波加熱後の抽出溶媒を冷却し、抽出容器10内に、下層の土壌、中層の極性抽出液B及び上層の無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、抽出容器10内の無極性抽出液から分取した無極性分取液を精製して試料Gを作製する第2の試料作製過程とを有している。
ここで、無極性溶媒として、炭素数が6〜10のパラフィン炭化水素、例えば、ヘキサンを使用する。従って、抽出溶媒は、極性抽出液B(即ち、極性溶媒)と無極性溶媒との2相系となる。なお、抽出溶媒中の極性溶媒(即ち、極性抽出液B)に対する無極性溶媒の体積比率は1〜10とする。このため、極性農薬群を抽出する際に土壌に加えた極性溶媒の体積と、無極性農薬群を抽出するために使用する抽出溶媒の体積を同一にする場合、無極性溶媒の体積は、極性抽出液Aから分取した極性分取液の体積と同値となる。従って、試料Gを作製するため必要な体積の無極性分取液が分取可能なように無極性溶媒の体積を設定し、設定された無極性溶媒の体積と極性溶媒に対する無極性溶媒の体積比率とを用いて極性溶媒の体積を設定することになる。
マイクロ波抽出は、土壌と抽出溶媒を収容した抽出容器10を密栓してマイクロ波加熱器内にセットして行う。ここで、マイクロ波加熱は、抽出溶媒の温度を100〜150℃、加熱時間を10〜30分間の条件で行う。マイクロ波抽出過程終了後、マイクロ波加熱器内から抽出容器10を取り出し、立設状態で静置して冷却する。冷却完了後、図4(A)に示すように、抽出容器10内では、底に土壌が沈殿し、抽出溶媒は上側の無極性抽出液と下側の極性抽出液Bの2層状態に分離しているので、抽出容器10を開封し、上側の無極性抽出液から、例えば、ホールピペット11で予め設定された体積、例えば5ミリリットル分取して無極性分取液を作製する。上側の無極性抽出液と下側の極性抽出液Bの分離が不十分な場合は、遠心分離(例えば、1000〜3000rpmで10〜20分間)を行って分離する。無極性分取液は、図4(B)に示すように、順相系の吸着剤を用いた固相カラム、例えば、シリカゲルカラム13、アミノプロピル基結合シリカゲルカラム14及びEnvi−carbカラム15を用いて精製する。
具体的には、シリカゲルカラム13を上側、アミノプロピル基結合シリカゲルカラム14を下側として2連の連結カラムを組立て、これをバキュームマニホールドに接続し、無極性分取液をシリカゲルカラム13に通液させてその溶出液を回収した。更に、アセトンを含んだヘキサンをシリカゲルカラム13に通液して、シリカゲルカラム13及びアミノプロピル基結合シリカゲルカラム14内に残留しているものを溶出させ回収した。次に、アミノプロピル基結合シリカゲルカラム14の下側にEnvi−carbカラム15を取り付け、3連の連結カラムを構成し、アセトンを含んだヘキサンを用いてシリカゲルカラム13及びアミノプロピル基結合シリカゲルカラム14内に残留しているものを溶出させ回収した。各溶出液は1つにまとめる。これにより、測定妨害となる土壌由来の各種成分を除去することができる。
そして、精製された回収溶液を、例えば、ロータリーエバポレータで、例えば、体積が1〜3ミリリットルとなるまで濃縮し、更に、窒素気流下で、例えば、体積が100〜1000マイクロリットルとなるまで濃縮することにより、試料Gが得られる。
ここで、抽出溶媒をヘキサン−水系、又はヘキサン−エタノール0.1〜5体積%含有水系とした場合、マイクロ波抽出時(マイクロ波加熱時)にヘキサン中に無極性農薬群(疎水性農薬群)を効率的に抽出することができる。その結果、冷却された抽出溶媒のヘキサン中には、無極性農薬群(疎水性農薬群)が高い抽出効率で抽出されており、夾雑成分の少ない試料Gが得られる。
一方、抽出溶媒をヘキサン−エタノール25〜200体積%含有水系とした場合、マイクロ波抽出時(マイクロ波加熱時)にヘキサン中にエタノールが僅かに溶け込むことによりヘキサンの抽出能力が増大し、土壌から無極性農薬群(疎水性農薬群)に加えて高無極性農薬群(高疎水性農薬群)もヘキサンに抽出させることができる。そして、マイクロ波抽出後に抽出溶媒を冷却すると、ヘキサン中に溶け込んだエタノールは水に戻るため、ヘキサン中には無極性農薬群(疎水性農薬群)と高無極性農薬群(高疎水性農薬群)が残留することになって、広範囲の無極性農薬群(疎水性農薬群)を含む試料Gが得られる。
試料Gから採取した溶液にガスクロマトグラフ質量分析計用の内標準物質を添加して測定用試料Hを作製し、多数の農薬(即ち、有機汚染物質)を一斉に同定及び定量するデータベースシステム(例えば、1000種の有機汚染物質の情報が登録)が搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計、例えば、ガスクロマトグラフ四重極型質量分析計に供給して無極性農薬群の同定及び定量を行う。ここで、内標準物質は、例えば、ナフタレン−d10又はフェナントレン−d10である。
また、試料Lから採取した溶液に液体クロマトグラフ質量分析計用の内標準物質を添加して測定用試料Mを作製し、多数の農薬(即ち、有機汚染物質)を一斉に同定及び定量するデータベースシステム(例えば、500種の有機汚染物質の情報が登録)が搭載された液体クロマトグラフ質量分析計、例えば、液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計に供給して、極性農薬群の同定及び定量分析を行う。ここで、内標準物質は、例えば、シマジン−d10又はディウロン−d6である。
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の作用について説明する。
土壌から、土壌を汚染している複数の農薬を、無極性農薬群(疎水性農薬群)及び極性農薬群(親水性農薬群)に分離してそれぞれ回収し、極性農薬群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、無極性農薬群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する。ここで、試料Lは、極性溶媒に土壌を浸漬し、農薬中の極性農薬群を極性溶媒に抽出させて極性抽出液Aを作製し、極性抽出液Aから分取した極性分取液を精製することにより得られる。また、試料Gは、抽出容器10内に残留する土壌及び極性抽出液Bに無極性溶媒を加えて抽出溶媒を作製し、抽出溶媒をマイクロ波加熱して農薬中の無極性農薬群を抽出溶媒の無極性溶媒に抽出させ、抽出溶媒を冷却して抽出容器10内に、下層の土壌、中層の極性抽出液B及び上層の無極性抽出液からなる3層状態を形成し、抽出容器10内の無極性抽出液から分取した無極性分取液を精製することにより得られる。このため、多数の検体を容易かつ迅速に作製することが可能になる。
また、試料Gから作製される測定用試料Hを、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムがそれぞれ搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して無極性農薬群の同定及び定量を行い、試料Lから作製される測定用試料Mを、液体クロマトグラフ質量分析計に供給して極性農薬群の同定及び定量を行うので、広範囲(無極性〜極性)の農薬の同定及び定量が一度に可能になる。これにより、土壌中の複数の農薬の簡便、迅速、効率的かつ安価な網羅分析が可能になる。
そして、データベースシステムを拡充することにより、化学分析に関する高度な熟練作業を伴わずに、多種類の有機汚染物質の有無を即日で調べることができ、例えば、地震等の災害や工場事故に伴う二次被害防止用の土壌や水質の緊急調査、魚のへい死対策、廃棄物処理場の適正管理等にも対応できる。
図5、図6、図7に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法は、本発明の第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法と比較して、前処理工程が、抽出容器に入れた土壌に設定された体積の水を加えて土壌を水に浸漬し、極性農薬群を水に抽出させて極性抽出液Pを作製する抽出過程と、抽出容器内で土壌と分離して上層に存在する極性抽出液Pから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、抽出容器内に残留する土壌及び極性抽出液Qに、極性抽出液Qに対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて第1の抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って無極性農薬群を第1の抽出溶媒の無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液Vを、極性農薬群の残部を第1の抽出溶媒の極性抽出液Qに更に抽出させて極性抽出液Rをそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、マイクロ波加熱後の第1の抽出溶媒を冷却し、抽出容器内に、下層の土壌、中層の極性抽出液R及び上層の無極性抽出液Vからなる3層状態を形成する第1の分離過程と、抽出容器内の無極性抽出液Vから第1の無極性分取液を、極性抽出液Rから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、抽出容器内に残留する土壌、無極性抽出液W及び極性抽出液Sに、第1の無極性分取液と同量の無極性溶媒と極性抽出液Sに対する体積比が1/4〜2となる体積のアルコール類をそれぞれ加えて、第1の無極性分取液と同量の無極性溶媒及び無極性抽出液Wからなる無極性溶媒Xと、極性抽出液S及びアルコール類からなる極性溶媒Tから構成される第2の抽出溶媒を調製して第2のマイクロ波加熱を行ない、無極性農薬群の残部を第2の抽出溶媒の無極性溶媒Xに更に抽出させて無極性抽出液Yを作製する第2のマイクロ波抽出過程と、第2のマイクロ波加熱後の第2の抽出溶媒を冷却し、抽出容器内に、下層の被汚染物、中層の極性溶媒T及び上層の無極性抽出液Yからなる3層状態を形成する第2の分離過程と、抽出容器内の無極性抽出液Yから第2の無極性分取液を分取する第の分取過程と、第1、第2の無極性溶液を合わせた無極性分取液を精製して試料Gを、第1、第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製して試料Lをそれぞれ作製する試料作製過程とを有することが特徴となっている。このため、特徴部分についてのみ説明する。
抽出過程では極性農薬群に含まれる主に親水性農薬群を水で抽出して極性抽出液Pを作製し、マイクロ波抽出過程では、土壌中に残留する極性農薬群の残部を極性抽出液Qで更に抽出して極性抽出液Rを作製すると共に、無極性農薬群を無極性溶媒に抽出して無極性抽出液Vを作製し、第2のマイクロ波抽出過程では、マイクロ波加熱時に無極性溶媒X中にアルコール類が溶け込み無極性溶媒Xの抽出能力が増大することになって、マイクロ波抽出過程で抽出されず土壌中に残留する無極性農薬群の残部(主に高無極性農薬群(高疎水性農薬群))を無極性溶媒Xで更に抽出して無極性抽出液Yを作製することができる。これにより、極性抽出液Pから分取した第1の極性分取液と極性抽出液Rから分取した第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製することにより極性農薬群及び親水性農薬群(高極性農薬群)を含んだ試料Lを、無極性抽出液Vから分取した第1の無極性分取液と無極性抽出液Yから分取した第2の無極性分取液を合わせ無極性分取液を精製することにより無極性農薬群及び高無極性農薬群(高疎水性農薬群)を含んだ試料Gを、それぞれ迅速に作製することができる。その結果、試料L、Gを組み合せることで、土壌を汚染している複数の農薬を確実に抽出できたことになる。
なお、本発明の第2の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の作用は、第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の作用と同一なので、説明は省略する。
図8、図9に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法は、本発明の第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法と比較して、前処理工程が、抽出容器に入れた土壌に、水と水に対する体積比が1/20〜1となる体積のアルコール類から調製された一定体積の第1の極性溶媒を加えて土壌を第1の極性溶媒に浸漬し、極性農薬群を第1の極性溶媒に抽出させて極性抽出液Dを作製する抽出過程と、抽出容器内で土壌と分離して上層に存在する極性抽出液Dから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、抽出容器内に残留する土壌及び極性抽出液Eに水又はアルコール類を加えて、水に対するアルコール類の体積比が1/4〜2となる第2の極性溶媒を調製して土壌を浸漬すると共に、第2の極性溶媒に対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて抽出溶媒を調製してマイクロ波加熱を行ない、極性農薬群の残部を抽出溶媒の第2の極性溶媒に更に抽出させて極性抽出液Fを、無極性農薬群を抽出溶媒の無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液をそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、マイクロ波加熱後の抽出溶媒を冷却し、抽出容器内に、下層の土壌、中層の極性抽出液F及び上層の無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、抽出容器内の無極性抽出液から無極性分取液を、極性抽出液Fから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、無極性分取液を精製して試料Gを作製し、第1、第2極性分取液を合わせた極性分取液を精製して試料Lを作製する試料作製過程とを有することが特徴となっている。このため、特徴部分についてのみ説明する。
抽出過程では、第1の極性溶媒中に極性農薬群から高極性農薬群までを抽出でき、マイクロ波抽出過程では、マイクロ波加熱時に無極性溶媒中にアルコール類が溶け込み無極性溶媒の抽出能力が増大することになって、無極性溶媒中に無極性農薬群及び高無極性農薬群を、第2の極性溶媒中に、抽出過程で第1の極性溶媒で抽出されず土壌中に残留している極性農薬群の残部をそれぞれ抽出することができる。これにより、第1、第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製することにより極性農薬群及び高極性農薬群を含んだ試料L、無極性分取液を精製することにより無極性農薬群及び高無極性農薬群を含んだ試料Gを、それぞれ迅速に作製することができ、前処理の簡便化、迅速化が可能になる。その結果、試料L、Gを組み合せることで、土壌を汚染している複数の農薬を確実に抽出できたことになる。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の作用は、第1の実施の形態に係る有機汚染物質の分析方法の作用と同一なので、説明は省略する。
本発明の有機汚染物質の分析方法で得られた同定結果及び定量結果の妥当性を調べるため、公定法である農薬等の環境残留実態調査分析法(平成10年10月、環境庁水質保全局土壌農薬課)により含有される農薬の種類とその含有量が求められている汚染土壌の測定を行い、実測濃度の比較を行った。なお、濃度比較の対象となる農薬は、本発明の有機汚染物質の分析方法では、ガスクロマトグラフ質量分析計により同定及び定量を行う物質であるため、前処理工程のうち、極性溶媒による抽出過程と第1の試料作製過程は省略した。
3種類の汚染土壌(土壌1、土壌2、土壌3)2グラムを、容積50ミリリットルの石英ガラス製の抽出容器にそれぞれ入れ、これに水4ミリリットル、ヘキサン6ミリリットルの順に溶媒を加えて抽出溶媒を構成し、密栓して温度120℃、抽出時間30分間の条件でマイクロ波抽出を行った。抽出後、30分間程度冷却させた後、抽出容器を開封し、抽出溶媒が2層に分離していること、溶媒量に変化がないことを確認して、ホールピペットで上層のヘキサン抽出液(無極性抽出液)を5ミリリットル分取して無極性分取液を作製した。次いで、無極性分取液を精製した。無極性分取液の精製は、シリカゲルカラム、アミノプロピル基結合シリカゲルカラム、Envi−carbカラムを用いて、バキュームマニホールドにより処理した。
具体的には、シリカゲルカラムを上側、アミノプロピル基結合シリカゲルカラムを下側として、連結カラムを組立て、これをバキュームマニホールドに接続した。無極性分取液5ミリリットルをシリカゲルカラムに通液させてその溶出液を回収した。更に、アセトンを5体積%含んだヘキサン10ミリリットルを用いて溶出させ回収した。次に、アミノプロピル基結合シリカゲルカラムの下側にEnvi−carbカラムを取り付け、3連の連結カラムを構成し、アセトンを30体積%含んだヘキサン20ミリリットルを用いて溶出させ回収した。各溶出液(35ミリリットル)は1つにまとめ、ロータリーエバポレータで1ミリリットルまで濃縮し、更に窒素気流下で100マイクロリットルに濃縮し、試料Gとした。試料Gに内標準物質としてフェナントレン−d10を100ナノグラム添加し、100マイクロリットルにメスアップして測定用試料Hとした。
測定用試料Hを、1000種の有機汚染物質の情報がデータベースシステムとして登録されているガスクロマトグラフ四重極型質量分析計に供給して、含有される(土壌を汚染している)農薬の同定(農薬の特定)及び定量を行った。その結果を、表1に示す。
Figure 0005880385
本発明の有機汚染物質の分析方法による同定結果は、公定法による同定結果と一致した。また、本発明の有機汚染物質の分析方法による定量結果は、公定法による定量結果に対して、0.7〜1.4となり、概ね同等の値となった。
一方、本発明の有機汚染物質の分析方法による分析時間は、前処理工程で約2時間、分析工程で約2時間であり、公定法による分析時間(2〜3日間)と比較して大幅な短縮となった。更に、本発明の有機汚染物質の分析方法では、データベースシステムが登録されたガスクロマトグラフ四重極型質量分析計を使用するので、一度の分析で10種類以上の土壌の同時分析が可能である。このため、本発明の有機汚染物質の分析方法は、操作の迅速性、効率性及び農薬(物質)検出の網羅性に優れ、緊急時の土壌汚染調査として有用である。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
例えば、本実施の形態、実施例では、アルコール類としてエタノールを使用したが、アルコール類として、メタノール、1−プロパノール又は2−プロパノールを使用することができる。
また、無極性溶媒としてヘキサンを使用したが、へプタン、オクタン、ノナン又はデカンを使用することができる。
そして、本実施の形態、実施例では、有機汚染物質が農薬である場合の被汚染物を土壌としたが、水、食品、又は各種吸着剤を含む固形物を被汚染物として、含有される農薬の同定及び定量を行うことができる。
更に、被汚染物を水とした場合、有機汚染物質として、有機フッ素化合物、医薬品及び生活関連物質等の同定及び定量を、被汚染物を大気とした場合、有機汚染物質として、多環式芳香族炭化水素、ダイオキシン類等の同定及び定量を、被汚染物を土壌とした場合、有機汚染物質として、ポリ塩素化ビフェニル、臭素系難燃剤等の同定及び定量をそれぞれ行うことができる。
10:抽出容器、11:ホールピペット、12:固相カラム、13:シリカゲルカラム、14:アミノプロピル基結合シリカゲルカラム、15:Envi−carbカラム

Claims (8)

  1. 複数の有機汚染物質で汚染された被汚染物から、前記複数の有機汚染物質中の極性有機汚染物質群を始めに回収し、次いで前記複数の有機汚染物質中の無極性有機汚染物質群を回収し、前記極性有機汚染物質群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、前記無極性有機汚染物質群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する前処理工程と、
    前記試料Gから測定用試料Hを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して前記無極性有機汚染物質群の同定及び定量を行うと共に、前記試料Lから測定用試料Mを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載された液体クロマトグラフ質量分析計に供給して、前記極性有機汚染物質群の同定及び定量分析を行って、前記ガスクロマトグラフ質量分析計と前記液体クロマトグラフ質量分析計でそれぞれ得られた同定結果及び定量結果を組み合せて、前記複数の有機汚染物質の化学組成及び組成割合を求める分析工程とを有する有機汚染物質の分析方法において、
    前記前処理工程は、抽出容器に入れた前記被汚染物に設定された体積の極性溶媒を加えて前記被汚染物を該極性溶媒に浸漬し、前記極性有機汚染物質群を該極性溶媒に抽出させて極性抽出液Aを作製する抽出過程と、
    前記抽出容器内で前記被汚染物と分離して上層に存在する前記極性抽出液Aから分取した極性分取液を精製して前記試料Lを作製する第1の試料作製過程と、
    前記抽出容器内に残留する前記被汚染物及び極性抽出液Bに、設定された体積の無極性溶媒を加えて抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って前記無極性有機汚染物質群を前記抽出溶媒の前記無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液を作製するマイクロ波抽出過程と、
    前記マイクロ波加熱後の前記抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性抽出液B及び上層の前記無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、
    前記抽出容器内の前記無極性抽出液から分取した無極性分取液を精製して前記試料Gを作製する第2の試料作製過程とを有することを特徴とする有機汚染物質の分析方法
  2. 請求項記載の有機汚染物質の分析方法において、前記極性溶媒は水であり、前記抽出溶媒中の前記極性溶媒に対する前記無極性溶媒の体積比率は1〜10であることを特徴とする有機汚染物質の分析方法。
  3. 請求項記載の有機汚染物質の分析方法において、前記極性溶媒は水とアルコール類からなり、水に対するアルコール類の体積比は1/20〜1であり、前記抽出溶媒中の前記極性溶媒に対する前記無極性溶媒の体積比率は1〜10であることを特徴とする有機汚染物質の分析方法。
  4. 複数の有機汚染物質で汚染された被汚染物から、前記複数の有機汚染物質中の極性有機汚染物質群を始めに回収し、次いで前記複数の有機汚染物質中の無極性有機汚染物質群を回収し、前記極性有機汚染物質群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、前記無極性有機汚染物質群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する前処理工程と、
    前記試料Gから測定用試料Hを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して前記無極性有機汚染物質群の同定及び定量を行うと共に、前記試料Lから測定用試料Mを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載された液体クロマトグラフ質量分析計に供給して、前記極性有機汚染物質群の同定及び定量分析を行って、前記ガスクロマトグラフ質量分析計と前記液体クロマトグラフ質量分析計でそれぞれ得られた同定結果及び定量結果を組み合せて、前記複数の有機汚染物質の化学組成及び組成割合を求める分析工程とを有する有機汚染物質の分析方法において、
    前記前処理工程は、抽出容器に入れた前記被汚染物に、水と該水に対する体積比が1/20〜1となる体積のアルコール類から調製された一定体積の第1の極性溶媒を加えて該被汚染物を該第1の極性溶媒に浸漬し、前記極性有機汚染物質群を該第1の極性溶媒に抽出させて極性抽出液Dを作製する抽出過程と、
    前記抽出容器内で前記被汚染物と分離して上層に存在する前記極性抽出液Dから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、
    前記抽出容器内に残留する前記被汚染物及び極性抽出液Eに水又は前記アルコール類を加えて、水に対する該アルコール類の体積比が1/4〜2となる第2の極性溶媒を調製して該被汚染物を浸漬すると共に、該第2の極性溶媒に対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて抽出溶媒を調製してマイクロ波加熱を行ない、前記極性有機汚染物質群の残部を前記抽出溶媒の前記第2の極性溶媒に更に抽出させて極性抽出液Fを、前記無極性有機汚染物質群を前記抽出溶媒の前記無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液をそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、
    前記マイクロ波加熱後の前記抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性抽出液F及び上層の前記無極性抽出液からなる3層状態を形成する分離過程と、
    前記抽出容器内の前記無極性抽出液から無極性分取液を、前記極性抽出液Fから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、
    前記無極性分取液を精製して前記試料Gを作製し、前記第1、第2極性分取液を合わせた極性分取液を精製して前記試料Lを作製する試料作製過程とを有することを特徴とする有機汚染物質の分析方法。
  5. 複数の有機汚染物質で汚染された被汚染物から、前記複数の有機汚染物質中の極性有機汚染物質群を始めに回収し、次いで前記複数の有機汚染物質中の無極性有機汚染物質群を回収し、前記極性有機汚染物質群より液体クロマトグラフ用の試料Lを、前記無極性有機汚染物質群よりガスクロマトグラフ用の試料Gをそれぞれ作製する前処理工程と、
    前記試料Gから測定用試料Hを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載されたガスクロマトグラフ質量分析計に供給して前記無極性有機汚染物質群の同定及び定量を行うと共に、前記試料Lから測定用試料Mを作製し、多数の有機汚染物質を一斉に同定及び定量するデータベースシステムが搭載された液体クロマトグラフ質量分析計に供給して、前記極性有機汚染物質群の同定及び定量分析を行って、前記ガスクロマトグラフ質量分析計と前記液体クロマトグラフ質量分析計でそれぞれ得られた同定結果及び定量結果を組み合せて、前記複数の有機汚染物質の化学組成及び組成割合を求める分析工程とを有する有機汚染物質の分析方法において、
    前記前処理工程は、抽出容器に入れた前記被汚染物に設定された体積の水を加えて前記被汚染物を該水に浸漬し、前記極性有機汚染物質群を該水に抽出させて極性抽出液Pを作製する抽出過程と、
    前記抽出容器内で前記被汚染物と分離して上層に存在する前記極性抽出液Pから第1の極性分取液を分取する第1の分取過程と、
    前記抽出容器内に残留する前記被汚染物及び極性抽出液Qに、該極性抽出液Qに対する体積比率が1〜10となる無極性溶媒を加えて第1の抽出溶媒を作製し、マイクロ波加熱を行って前記無極性有機汚染物質群を前記第1の抽出溶媒の前記無極性溶媒に抽出させて無極性抽出液Vを、前記極性有機汚染物質群の残部を前記第1の抽出溶媒の前記極性抽出液Qに更に抽出させて極性抽出液Rをそれぞれ作製するマイクロ波抽出過程と、
    前記マイクロ波加熱後の前記第1の抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性抽出液R及び上層の無極性抽出液Vからなる3層状態を形成する第1の分離過程と、
    前記抽出容器内の前記無極性抽出液Vから第1の無極性分取液を、前記極性抽出液Rから第2の極性分取液をそれぞれ分取する第2の分取過程と、
    前記抽出容器内に残留する前記被汚染物、無極性抽出液W及び極性抽出液Sに、前記第1の無極性分取液と同量の前記無極性溶媒と前記極性抽出液Sに対する体積比が1/4〜2となる体積のアルコール類をそれぞれ加えて、前記第1の無極性分取液と同量の前記無極性溶媒及び前記無極性抽出液Wからなる無極性溶媒Xと、前記極性抽出液S及び前記アルコール類からなる極性溶媒Tから構成される第2の抽出溶媒を調製して第2のマイクロ波加熱を行ない、前記無極性有機汚染物質群の残部を前記第2の抽出溶媒の前記無極性溶媒Xに更に抽出させて無極性抽出液Yを作製する第2のマイクロ波抽出過程と、
    前記第2のマイクロ波加熱後の前記第2の抽出溶媒を冷却し、前記抽出容器内に、下層の前記被汚染物、中層の前記極性溶媒T及び上層の前記無極性抽出液Yからなる3層状態を形成する第2の分離過程と、
    前記抽出容器内の前記無極性抽出液Yから第2の無極性分取液を分取する第の分取過程と、
    前記第1、第2の無極性溶液を合わせた無極性分取液を精製して前記試料Gを、前記第1、第2の極性分取液を合わせた極性分取液を精製して前記試料Lをそれぞれ作製する試料作製過程とを有することを特徴とする有機汚染物質の分析方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の有機汚染物質の分析方法において、前記アルコール類は、メタノール、エタノール、1−プロパノール又は2−プロパノールであることを特徴とする有機汚染物質の分析方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機汚染物質の分析方法において、前記無極性溶媒は、炭素数が6〜10のパラフィン炭化水素のいずれか1であることを特徴とする有機汚染物質の分析方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機汚染物質の分析方法において、前記無極性分取液の精製は、順相系の吸着剤を用いた固相カラムを、前記極性分取液の精製は、逆相系の吸着剤を用いた固相カラムをそれぞれ使用して行うことを特徴とする有機汚染物質の分析方法。
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