JP5875609B2 - 雑音抑圧装置 - Google Patents
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Description
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1による雑音抑圧装置の全体構成を示すブロック図である。本実施の形態1の雑音抑圧装置は、入力端子1、フーリエ変換部2、パワースペクトル計算部3、音声・雑音区間判定部4、雑音スペクトル推定部5、SN比計算部6、確率密度関数制御部7、抑圧量計算部8、スペクトル抑圧部9、逆フーリエ変換部10、出力端子11から構成されている。
なお、本実施の形態1では音声・雑音区間判定方法として、自己相関関数法と入力信号の平均SN比を用いているが、これに限定されることは無く、ケプストラム分析など公知の手法を用いてもよい。また、当業者の自由裁量で様々な公知の手法を組み合わせることにより、判定精度を向上させることも可能である。
一方、判定フラグVflag=1の場合には、現フレームの入力信号が音声であり、前フレームの推定雑音スペクトルN(λ−1,k)を、そのまま現フレームの推定雑音スペクトルN(λ,k)として出力する。
事後SN比γ(λ,k)は、パワースペクトルY(λ,k)と推定雑音スペクトルN(λ,k)とを用いて、次の式(7)から求める。
また、事前SN比ξ(λ,k)は、前フレームのスペクトル抑圧量G(λ−1,k)と、前フレームの事後SN比γ(λ,k)とを用いて、次の式(8)から求める。
この確率密度関数制御部7は、パワースペクトル計算部3が出力するパワースペクトルY(λ,k)と、雑音スペクトル推定部5が出力する推定雑音スペクトルN(λ,k)とを用いて、入力信号の様態に応じた確率密度関数の形状を決定すると共に、抑圧量計算部8でのスペクトル抑圧量G(λ,k)を計算するために必要な第1の制御係数ν(λ,k)と第2の制御係数μ(λ,k)とを出力する。
また、上式(16)のKν(k)およびKμ(k)は、第2の事後SN比と制御係数とを対応付ける関数であり、周波数が高くなるに従って、第2の事後SN比γp(λ,k)の値に対して第1の制御係数ν(λ,k)または第2の制御係数μ(λ,k)をより大きく変化させるように動作する。こうすることにより、例えば、高域の子音などの振幅が小さい音声に対し、雑音と誤って抑圧してしまうのを防止する効果がある。
また、CνおよびCμは実験的に得られる所定の定数であり、本実施の形態での好適な一例として、Cν=0.1,Cμ=−10であるが、これらも入力信号中の音声および雑音の様態に応じて適宜変更することが可能である。
他方、第2の事後SN比γp(λ,k)が小さくなるに従って、第1の制御係数ν(λ,k)は小さくなって分散度合いが狭くなる一方、第2の制御係数μ(λ,k)は大きくなって分布の鋭さは大きくなる。その結果、確率密度関数p(|X|)の分布の形状は急峻な傾きとなり、雑音区間での音声信号の分布状態(音声が存在しないか、あるいは小振幅の音声が存在する状態)に近似する。
上記実施の形態1では、事後SN比を用いることで入力信号の様態に応じた確率密度関数の制御を行っているが、例えば、この事後SN比に対して重み付けを行うことも可能である。これは、音声信号が雑音に埋もれている場合など、音声が存在するにも関わらずSN比が低くなる場合があるが、音声が存在する可能性が高い周波数帯域に対し、その事後SN比を高くなるように重み付け補正することで、雑音に埋もれた音声信号を誤って抑圧することを防止することを狙ったものである。
図5に示す確率密度関数制御部7aにおいて、図2の確率密度関数制御部7と異なる構成としては、周期成分推定部73、重み係数計算部74、重み付きSN比計算部75である。その他の構成については図2と同様である。
スペクトルピーク探索後、周期成分推定部73は、周期性情報p(λ,k)として、パワースペクトルの極大値(スペクトルピークである)であればp(λ,k)=1とし、そうでなければp(λ,k)=0としてスペクトル番号k毎に値をセットする。なお、図6の例では、全てのスペクトルピークの抽出を行っているが、例えば、SN比の良い帯域のみなど、特定の周波数帯域に限って行ってもよい。
なお、周期性情報p(λ,k)=0の場合の重み付け定数wz(k)については通常は1.0のまま重み付け無しでよいが、必要に応じて次の式(18)のwp(k)と同様に、判定フラグVflagと事前SN比ξ(λ,k)で制御することも可能である。
一方、音声・雑音区間判定部4で入力信号が雑音と判定された場合には、重み付けを抑制する(重み付け定数wp(k)を1.0にする)と共に、SN比が高いと推定されたスペクトル成分に対して重み付けを行うことで、例えば、現フレームが音声なのに雑音であると判定フラグが誤った場合においても、重み付けを行うことができる。なお、閾値THSB_SNRは、入力信号の状態および雑音レベルに応じて適宜変更することもできる。
以上、得られた重み係数W(λ,k)を用いて推定雑音スペクトルN(λ,k)に重み付けを行い、次の式(20)のように第1の重み付き事後SN比γw1(λ,k)を算出する。
なお、図9(a)、図10(a)において、事後SN比はデシベル値で示しており、事後SN比のデシベル値が負になる場合は表示を省略してゼロにフロアリングしている。
上記実施の形態3の式(18)において、重み付けの値(重み付け定数wp(k),wz(k))を周波数方向に一定としているが、周波数別に異なる値にしても良い。重み係数計算部74は、例えば、音声の一般的な特徴として低域の方が調波構造がはっきりしている(スペクトルのピークと谷との差が大きい)ことから重み付けを大きくし、周波数が高くなるにつれて重み付けを小さくすることが可能である。
また、上記実施の形態2の式(18)において、重み付けの値(重み付け定数wp(k),wz(k))を所定の定数としているが、例えば、入力信号の音声らしさの指標に応じて複数の重み付け定数を切り替えて用いたり、所定の関数を用いて制御してもよい。
図11は、本実施の形態4に係る雑音抑圧装置の全体構成を示すブロック図である。図11に示す確率密度関数制御部7bは、パワースペクトル計算部3のパワースペクトルY(λ,k)と、音声・雑音区間判定部4の判定フラグVflagおよび正規化自己相関関数の最大値ρmax(λ)と、雑音スペクトル推定部5の推定雑音スペクトルN(λ,k)と、SN比計算部6の事前SN比ξ(λ,k)とを入力に用いる。その他の構成については図4と同様である。また、確率密度関数制御部7bは、図5と同様の内部構成である。
また、正規化自己相関関数の最大値ρmax(λ)と、音声・雑音区間の判定フラグVflagを併せて用いてもよい。
さらに、上記実施の形態3を組み合わせてもよい。
本実施の形態5の雑音抑圧装置は、上記実施の形態2の図4および図5に示す雑音抑圧装置と図面上では同様の構成であるため、以下では図4および図5を援用して説明する。
上記実施の形態2の図6の説明において、周期成分推定のために全てのスペクトルピークの検出を行っているが、例えば、SN比計算部6が出力する事前SN比ξ(λ,k)を周期成分推定部73へ入力し、その事前SN比ξ(λ,k)を用いてSN比が所定の閾値より高い帯域のみでスペクトルピークの検出を行うことも可能である。
同様に、音声・雑音区間判定部4による正規化自己相関関数ρN(λ,k)の算出においても、SN比が所定の閾値より高い帯域のみで計算を行うことも可能である。
本実施の形態6の雑音抑圧装置は、上記実施の形態2の図4および図5、または上記実施の形態4の図11に示す雑音抑圧装置と図面上では同様の構成であるため、以下では図4、図5および図11を援用して説明する。
上記実施の形態2〜5において、確率密度関数制御部7a,7bがスペクトルピークを強調するようにSN比の重み付けを行っているが、逆にスペクトルの谷部分を強調するように、即ち、スペクトルの谷においてはSN比を小さくするような重み付けも可能である。周期成分推定部73によるスペクトルの谷の検出法として、例えば、スペクトルピーク間のスペクトル番号の中央値をスペクトルの谷部分とすることが可能である。
本実施の形態7の雑音抑圧装置は、上記実施の形態1の図1、上記実施の形態2の図4、または上記実施の形態4の図11に示す雑音抑圧装置と図面上では同様の構成であるため、以下では図1、図4および図11を援用して説明する。
上記実施の形態1〜6において、確率密度関数制御部7,7a,7bがスペクトル成分毎に確率密度関数の制御を行っているが、例えば、3〜4kHzの高域についてはスペクトル成分毎の事後SN比による制御ではなく、当該帯域の事後SN比の平均値に基づく一括制御とすることも可能である。
本実施の形態8の雑音抑圧装置は、上記実施の形態1の図1、上記実施の形態2の図4または上記実施の形態4の図11に示す雑音抑圧装置と図面上では同様の構成であるため、以下では図1、図4および図11を援用して説明する。
上記実施の形態1〜7において、確率密度関数制御部7,7a,7bは、入力信号の事後SN比を第1の指標に用いて確率密度関数を制御しているが、これに限ることは無く、入力信号が音声らしいか、あるいは、雑音らしいかを示す別の指標を用いることが可能である。例えば、入力信号スペクトルの分散、入力信号スペクトルのスペクトルエントロピ、自己相関関数、ゼロ交差数などの、公知の分析手段により得られる指標を単独または複数組み合わせて用いることができる。
本実施の形態9の雑音抑圧装置は、上記実施の形態2の図4および図5、または上記実施の形態4の図11に示す雑音抑圧装置と図面上では同様の構成であるため、以下では図4および図5を援用して説明する。
上記実施の形態2において、重み係数計算部74が音声の調波構造の分析結果から調波構造重み係数を算出し、重み付きSN比計算部75がその調波構造重み係数Wh(λ,k)で事後SN比を重み付けし、制御係数計算部72が重み付けされた事後SN比を用いて確率密度関数の制御を行っていたが、例えば、音声の調波構造の分析結果から直接確率密度関数の制御を行うことも可能である。
この構成の場合には、図5の確率密度関数制御部7aのうち、重み係数計算部74および重み付きSN比計算部75が省略可能である。
Claims (11)
- 時間領域の入力信号を周波数領域の信号であるスペクトル成分およびパワースペクトルに変換し、前記パワースペクトルと前記入力信号から別途推定した推定雑音スペクトルとを用いて雑音抑圧のための抑圧量を算出し、前記抑圧量に応じて前記スペクトル成分の振幅抑圧を行い、当該振幅抑圧されたスペクトル成分を時間領域へ変換して雑音抑圧信号を得る雑音抑圧装置において、
前記入力信号のパワースペクトルと前記推定雑音スペクトルとから周波数別のSN比を 推定するSN比計算部と、
前記入力信号のパワースペクトルを分析して、前記入力信号が音声らしいか、あるいは、雑音らしいかを示す第1の指標を算出し、音声の分布状態を表す予め定義された確率密度関数を当該第1の指標に基づいて制御する確率密度関数制御部とを備え、
前記SN比計算部で推定された前記周波数別のSN比と前記確率密度関数制御部により制御される前記確率密度関数を用いて前記抑圧量を算出することを特徴とする雑音抑圧装置。 - 前記確率密度関数制御部は、
前記入力信号のパワースペクトルと前記推定雑音スペクトルとから第2のSN比を推定 する第2のSN比計算部と、
前記第2のSN比計算部で推定された第2のSN比を前記第1の指標に用いて、前記確率密度関数を制御する制御係数計算部とを有することを特徴とする請求項1記載の雑音抑圧装置。 - 前記確率密度関数制御部は、
前記入力信号のパワースペクトルと前記推定雑音スペクトルとから仮のSN比を推定し 、前記入力信号が音声らしいか、あるいは、雑音らしいかを示す、前記第1の指標とは異 なる第2の指標に基づいて前記仮のSN比を重み付けして重み付きSN比を算出する重み付きSN比計算部と、
前記重み付きSN比計算部で算出された重み付きSN比を前記第1の指標に用いて、前記確率密度関数を制御する制御係数計算部とを有することを特徴とする請求項1記載の雑音抑圧装置。 - 前記第2の指標は、前記SN比計算部で推定された前記周波数別のSN比、前記入力信号のパワースペクトルに基づき判定した音声区間と雑音区間の判定結果、前記入力信号の パワースペクトル中の音声の調波構造を分析した分析結果のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項3記載の雑音抑圧装置。
- 前記入力信号のパワースペクトルを用いて前記入力信号の音声らしさの指標となる前記 入力信号の態様を判定する音声・雑音区間判定部を備え、
前記確率密度関数制御部は、前記音声・雑音区間判定部で判定された前記入力信号の様態に応じて、前記重み付きSN比計算部の重み付けの強度を制御する重み係数計算部を有することを特徴とする請求項3記載の雑音抑圧装置。 - 前記確率密度関数制御部は、前記重み付きSN比計算部の重み付けの値として周波数別 に異なる値を用いる重み係数計算部を有することを特徴とする請求項3記載の雑音抑圧装置。
- 前記確率密度関数制御部は、
前記入力信号のパワースペクトル中の音声の調波構造を分析する周期成分推定部と、
前記周期成分推定部の分析結果を前記第1の指標に用いて、前記確率密度関数を制御する制御係数計算部とを有することを特徴とする請求項1記載の雑音抑圧装置。 - 前記SN比計算部で推定された前記周波数別のSN比が所定の閾値より高い周波数帯域 における前記第2の指標を用いることを特徴とする請求項4記載の雑音抑圧装置。
- 前記確率密度関数制御部は、
前記入力信号のパワースペクトル中の音声の調波構造を分析する周期成分推定部を有し、
前記重み付きSN比計算部は、前記周期成分推定部の分析結果を前記第2の指標に用いて、前記入力信号のパワースペクトルのピーク部分のSN比を大きくするよう重み付けするか、当該パワースペクトルの谷部分のSN比を小さくするよう重み付けするか、少なくとも何れか一方を行うことを特徴とする請求項3記載の雑音抑圧装置。 - 前記制御係数計算部は、前記第2のSN比計算部で推定された周波数別の前記第2のSN比を用いて所定の周波数帯域の平均SN比を計算し、当該平均SN比を用いて前記所定の周波数帯域一括で前記確率密度関数を制御することを特徴とする請求項2記載の雑音抑圧装置。
- 前記制御係数計算部は、前記重み付きSN比計算部で推定された周波数別の前記重み付 きSN比を用いて所定の周波数帯域の平均SN比を計算し、当該平均SN比を用いて前記所定の周波数帯域一括で前記確率密度関数を制御することを特徴とする請求項3記載の雑音抑圧装置。
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