JP5874944B2 - ニッケル酸化鉱の湿式精錬方法 - Google Patents

ニッケル酸化鉱の湿式精錬方法 Download PDF

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Description

本発明は、ニッケル酸化鉱の湿式精錬方法に関する。
ニッケルはステンレスの原料として幅広く用いられている。
しかしながら、その原料となる硫化鉱石の資源枯渇傾向に伴い、低品位の酸化鉱石を精製する技術が開発され、実用化されている。
具体的には、リモナイトやサプロライトなどのニッケル酸化鉱石を、硫酸溶液と共にオートクレーブなどの加圧装置に入れ、240〜260℃程度の高温高圧下でニッケルを浸出する、「高温加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)」と呼ばれる製造プロセスが実用化されている。
この硫酸溶液中に浸出されたニッケルは、中和剤を添加して余剰の酸を中和し、次いで固液分離して浸出残渣と分離され、その後不純物を分離して水酸化物や硫化物などの形態の中間原料として回収されている。この中間原料をさらに精錬することにより、ニッケルメタルやニッケル塩化合物などを得ている。
なお、前記の余剰の酸を中和する予備中和工程では、固液分離に適したpHに調整し、次工程の固液分離工程において、CCD(Counter Current Decantation)と呼ばれる設備で、固形分の濃縮および固液分離が行われる。通常CCDでは、連続する複数段のシックナーを使用している。
そのCCDから得られる液体成分(以下、オーバーフローという場合がある)は、硫化工程に適したpHに調整するために中和工程に回され、pHを調整することにより、発生する微細な固形物を沈殿除去した後、例えば、硫化工程に送られ、硫化処理が行われ、ニッケル・コバルトの混合硫化物という中間原料を得るのが一般的である。
この際、例えば特許文献1には、CCDで得られた固形分(以下、アンダーフローという場合がある)の一部を、中和工程に種晶として添加し、微細な沈殿の生成を促進する技術が記載されており、実操業の効率を向上させるために有効に活用されている。
このような高温加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leach)と呼ばれる製造プロセスでは、例えばニッケル酸化鉱石の場合、回収目的の有価金属が1〜2重量%以下の低品位鉱石(以下、品位に関しては「%」で表記する。)であっても、ほぼ完全にニッケルを浸出できる。
また浸出液から中間原料を製造することにより、目的金属を従来原料と同程度まで濃縮し、従来原料とほぼ同様の精錬方法および工程で目的金属を得ることができる。
また、このHPALプロセスは、ニッケル酸化鉱のみでなく、ニッケル硫化鉱石や硫化銅鉱石、酸化銅鉱石など多くの種類にも適用できる。
さらに、HPALプロセスで得られる浸出残渣の主な成分は、ヘマタイトなどの形態の酸化鉄であり、浸出残渣中の鉄分はおよそ50%程度であり、また、浸出残渣の生産量は中間原料の生産量に対しておよそ50倍から100倍である。これは原料としたニッケル酸化鉱石や銅の硫化鉱石に、いずれもニッケルや銅の含有量をはるかに超える量の鉄を含有するためである。
この浸出残渣は、高温で生成されているため化学的・環境的には安定な酸化物の形態であるが、現状では特段の利用価値もなく、残渣堆積場に積立保管されている。
このためHPALプロセスの操業に伴って発生する、膨大な量の浸出残渣を積立保管するための広大な残渣堆積場が必要である。
一方、鉄鋼製錬では、酸化鉄が含まれた鉄鉱石をコークスなどの還元剤と共に高炉に装入し、加熱して還元溶融して粗鋼を得、これを転炉で精錬して目的とする鋼を得る方法が用いられる。
その原料の酸化鉄は、限られた資源であり、しかも鋼の品質維持に必要な良質な鉄鉱石の入手は次第に難しくなっている。このため、浸出残渣を鉄鉱石として使用する検討がなされている。
しかしながら、HPALプロセスの浸出残渣は製鉄原料用に直接用いることはできなかった。
その理由に以下に示す2点が挙げられる。
(1)HPALプロセスの浸出残渣には、酸化鉄以外にも脈石や不純物、特に硫黄が含まれるため、従来の一般的な製鉄プロセスに用いる原料には適さなかった。
(2)浸出残渣から回収されるヘマタイトの平均粒径が1μm以下と非常に細かく取扱いが困難である。
ところで、鉄鉱石は塊鉱石(6.3〜31.5mm)、粉鉱石(1〜6.3mm)、微粉鉱石(0.05〜0.1mm)に分けることができ、高炉に装入される製鉄原料は、塊鉱石、焼結鉱、ペレットの三種類である。
なお、焼結鉱は粉鉱石を焼結して製造され、ペレットは微粉鉱石を焼成して得られる。
このような製鉄原料に利用できる酸化鉄中の硫黄品位は、個々の製鉄所の設備能力、生産量などによって異なるが、一般には1%未満に抑制することが必要とされている。
一方、HPLAプロセスの浸出残渣には、通常5〜8%程度の硫黄が含まれている。
この浸出残渣中の硫黄の由来は、その大部分がニッケル精製中に混入する硫酸カルシウム(石膏)である。
石膏は、高圧酸浸出で得られた浸出スラリーに残留する遊離硫酸(遊離硫酸とはHPALプロセスで十分な浸出を行うために過剰に加えた硫酸のうち、未反応で残留する硫酸のことである。)を中和する際に、一般的で安価なカルシウム系の中和剤、例えば、石灰石や消石灰を添加しており、中和剤に含まれるカルシウムと遊離硫酸とが反応することで生成し、浸出残渣中に混入することになる。
なお、浸出残渣に含有される硫黄の一部(1%程度)は、生成したヘマタイトの粒子中に取り込まれている。
そこで、添加する中和剤に石灰石や消石灰のような中和後に難溶性の澱物を形成するものでなく、溶解性の塩を生成するものを使用すれば良いと考えられる。
例えばこのような用途に適した中和剤として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどがある。
しかしながら、これらの中和剤は高価または生産量が少ないなどの理由で、HPALプロセスのような中和剤を大量消費するプロセスには適さない。
このため、全量あるいは部分的に上記のような中和後に難溶性の澱物を形成するカルシウム系の中和剤を使用せざるを得ず、硫黄の混入を避けられないことから、HPALプロセスで生成する浸出残渣をヘマタイトに加工して製鉄原料として用いることはできなかった。
一方、オートクレーブなどの加圧装置を使用して、鉄明礬石中の硫黄を分離する方法も知られている。
例えば特許文献2には、鉄明礬石含有残留物と硫化亜鉛含有物を少なくとも1000kPaの酸素分圧及び130〜170℃の温度条件で、オートクレーブ内において40〜100g/lの遊離硫酸とともに攪拌し、残留物および硫化亜鉛含有濃厚物の鉄分及び亜鉛分を実質的に溶解させ、溶液を亜鉛電解のための浸出循環路に導入して鉄を赤鉄鉱の形で沈殿させ、前記固形物から硫黄を分離し、残留物は別の用途に供給することを特徴とする方法である。
しかしこの方法は、オートクレーブのような高価な新規の装置を要し、設備コストがかさみ、さらに生産性の面でも課題があった。
そこで、鉱石自身に含有される酸化マグネシウムを中和剤として利用することが提案されている。
例えば、特許文献3は、硫酸マグネシウムのソースから酸化マグネシウムを回収するプロセスであって、金属含有鉱石または精鉱の浸出に関連したプロセスの一部から得られた溶液状態の硫酸マグネシウムのソースを用意する工程と、溶液状態の硫酸マグネシウムを固体硫酸マグネシウムに変換する工程と、固体硫酸マグネシウムを還元性雰囲気中で元素状硫黄に接触させる工程と、マグネシウムを酸化マグネシウムとして、かつ硫黄を二酸化硫黄ガスとして回収する工程とを含むプロセスである。
この方法を用いることにより、鉱石に含有されるマグネシウムを中和剤として再利用し、持ち込まれるカルシウムを抑制することができ、その結果、残渣中の酸化鉄に混入するカルシウムを減少することができる。
しかしながら特許文献3の方法は、溶液中のマグネシウムを硫酸マグネシウムとして晶析させたり、得た硫酸マグネシウムを加熱して酸化マグネシウムに変換するのに多量の熱を必要とし、経済的な方法とは言い難い。
さらに、マグネシウム含有率が高い酸化鉱石(リモナイト鉱石)を中和剤として用いる方法も提案されている。
例えば、特許文献4は、ニッケルまたはコバルトと鉄とを含む酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを回収する方法において、酸化鉱石として、第一の酸化鉱石と、この第一の酸化鉱石よりもマグネシウム含有率が高い第二の酸化鉱石とを準備する工程と、第一の酸化鉱石を、第一の小粒径酸化鉱石と、第一の大粒径酸化鉱石とに分級し、第二の酸化鉱石を第二の小粒径酸化鉱石と、第二の大粒径酸化鉱石とに分級する分級工程と、硫酸を使用して第一の大粒径酸化鉱石から、ニッケルまたはコバルトを浸出し、ニッケルまたはコバルトを含む硫酸浸出溶液と浸出残渣とを得る浸出工程と、その浸出残渣を含む硫酸浸出溶液と第二の大粒径酸化鉱石とを混合し、硫酸浸出溶液と第二の大粒径酸化鉱石に含有されるマグネシウムとを反応させてpH調整し、ニッケルまたはコバルトを含む反応液と、鉄を含む反応残渣とを得る反応工程と、その反応残渣を含む反応液を、中和剤を使用して中和し、ニッケルまたはコバルトを含む中和液と、鉄を含む中和残渣とを得る中和工程とを含むことを特徴とする回収方法である。
この方法を用いることにより、ニッケル酸化鉱石自身を中和剤として利用することができる。
しかしながら、鉱石を分級するためのコストや手間は無視できなかった。さらに、浸出残渣中には脈石成分も多く、そのままでは鉄品位が低くなり、効率的な原料とは言い難かった。
従って、HPALプロセスで使用する中和剤の全量を酸化マグネシウムで代替することは困難だった。
また、浸出残渣を産出する予備中和工程だけ、中和剤を母岩由来の酸化マグネシウムに代替して硫黄混入を防ぐ方法も容易に想起される。
しかしながら、中和工程で従来のカルシウム系中和剤を使用して、特許文献1に記載の、実操業の効率を向上する技術を利用しようとすれば、中和工程の残渣がCCDに戻し入れられるため、浸出残渣への硫黄分混入は避けられず、硫黄品位の上昇を招く問題が新たに発生してしまう。
特開2004−225120号公報 特開平03−176081号公報 特開2009−520661号公報 特許第4294685号公報
本発明は、ニッケル酸化鉱の湿式精錬における中和工程おいて、母岩を中和剤に使用することを可能とするニッケル酸化鉱の湿式精錬方法を提供するものである。
上記の課題を解決するための本発明の第1の発明は、ニッケル酸化鉱の湿式精錬方法であって、その湿式精錬方法は、中和工程を含み、その中和工程では、中和剤に母岩を使用し、母岩の粒径を調整して中和を行うことにより、小粒径側にヘマタイトが濃縮した小粒径部と、大粒径側にヘマタイト以外のニッケル酸化鉱の構成物質が濃縮した大粒径部とからなるスラリーを得て、その中和工程に続いて、前記スラリーを洗浄しながら固液分離して得た固体成分を分級してヘマタイトケーキを得る湿式分級工程と、そのヘマタイトケーキを焼成して焼成体を得る工程とが設けられていることを特徴とするニッケル酸化鉱の湿式精錬方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における焼成体を粉砕することを特徴とするニッケル酸化鉱の湿式精錬方法である。
本発明の製鉄用ヘマタイトの製造方法は、HPALプロセスで産出した微細な酸化鉄を含む浸出残渣から、第一に製鉄原料に使用できる程度に硫黄成分の低いヘマタイトを精製する実操業において、従来のCa系中和剤と母岩由来のCa系以外の非Ca系中和剤との併用を可能とする。第二に従来、使用されなかった極微粉鉱の焼結を可能とし、工業上顕著な効果を奏するものである。
本発明の製造工程フロー図である。 従来の製造工程フロー図である。
本発明では、鉄と有価金属を含有する鉱石に、鉱酸と酸化剤を添加し、高温高圧下で有価金属を浸出する製造プロセスにおけるヘマタイトの製造方法であって、以下の(1)から(9)の処理を経ることを特徴とする製鉄用(高純度)ヘマタイトの製造方法である。
(1)前記鉱石に鉱酸と酸化剤を添加し、高温高圧下で前記鉱石に含まれる有価金属を浸出して得られた浸出液を中和剤の添加により中和処理して形成した浸出スラリーを形成する高圧酸浸出工程。
(2)得られた浸出スラリーを、中和剤の添加により中和処理してNi富化成分とFe富化成分に分離した予備中和後スラリーを形成する予備中和工程。
(3)(2)の予備中和工程により形成された予備中和後スラリーを、固液分離してNi富化スラリー(液体成分)とFe富化スラリー(固体成分)に分離、洗浄する固液分離工程1。
(4)(3)の固液分離工程1により得られたNi富化スラリーを、Ca系中和剤を用いて中和する中和工程1。
(5)(3)の固液分離工程1により得られたFe富化スラリーを、非Ca系中和剤を用いて中和する中和工程2。
(6)(5)の中和工程2を経て生成された中和後Fe富化スラリーを固液分離、洗浄して固体成分としてヘマタイトを生成する固液分離工程3。
(7)(3)の固液分離工程1で得られたFe富化スラリーの一部を、Ni富化スラリーを中和する(4)の中和工程1に種晶として添加する種晶添加処理。
(8)(4)のNi富化スラリーの中和工程1から得られる沈殿を、固液分離して、硫黄化合物を含む残渣(固体成分)と硫黄を含まない液体成分に分離、洗浄する固液分離工程2。
(9)(6)の固液分離工程3で得られたヘマタイトを、1150〜1350℃で焼成する焼成工程。
さらに、(6)の固液分離工程3で得られた固体成分のヘマタイトから水分を除去して、除去後のヘマタイトの水分率を10%〜17%とする水分量調整工程(10)を経て、次いで(9)の工程により焼成しても良い。
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の製造工程フロー図である。
鉱石に含まれる有価金属は、図1の最も左側の実線矢印(中和工程からは細実線矢印)で示すフローに従って製造されていく。
一方、この製造プロセスの副生品であるヘマタイトは、図1の太実線で示されるように固液分離工程1(CCD)から右側に分岐した太実線矢印の先で得られる浸出残渣(Fe富化スラリー)に含まれ、その後、図1の最も右側の太実線矢印で示すフローに従って製造される。以下、各工程について詳細に説明する。
[中和処理]
本発明における中和処理は、「1.予備中和工程」、「2.中和工程1」、「3、中和工程2」の3工程において行われる。それぞれの工程において使用する中和剤を下記に記す。
予備中和工程における中和剤には、母岩、酸化マグネシウムもしくは水酸化マグネシウムを用いる。
中和工程1における中和剤には、Ca系の中和剤を用いることができ、安価な石灰石や消石灰を用いる。
中和工程2における中和剤には、非Ca系中和剤を使用し、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いるが、水酸化マグネシウムや酸化マグネシウムを用いても良い。
各中和工程を説明する。
1.予備中和工程
本発明の予備中和工程では、先ず中和剤に表1に成分組成の代表例を示した母岩(単位:wt%)を用いることで、カルシウムの混入を抑制しながら中和を進める。その目標とするpHは、ニッケル酸化鉱石の精錬の場合、次工程の固液分離工程1での分離効率を向上させるため、pH1〜3程度に中和する。
Figure 0005874944
2.中和工程1
固液分離工程1から得られる液体成分(Ni富化スラリー)を中和処理する中和工程1で、安価な石灰石や消石灰などのCa系中和剤を用いる。このことで、安定かつ低コストでの操業が可能となる。その目標とするpHは、ニッケル酸化鉱石の精錬の場合、後工程で不純物分離の効率を向上させるため、pH3〜5程度に中和する。
この工程で中和分離する固形分は、中和槽の底部からスラリーの状態で固液分離工程2に送られるが、石膏が主成分であるため微細な沈殿物となり中和槽内での沈降速度が小さく、沈降殿物の固体率が十分に上がらない欠点がある。
そこで、沈降速度を向上させるため、固液分離工程1(CCD)のアンダーフロー分である浸出残渣のFe富化スラリー(ヘマタイトが主成分)の一部を種晶として、添加における固形分重量を、沈殿物重量の50重量%以上、80重量%以下の範囲で添加することが好ましい。
固形分重量が50重量%未満だと、種晶としての役割を果たせず、沈降速度の向上が不充分となり、80重量%より大きいと、沈降速度の向上させる効果があまり変わらないだけでなく、Fe富化スラリーを処理して得られるヘマタイトの生産量が少なくなるので不利である。
3.中和工程2
浸出残渣(Fe富化スラリー)を中和する中和工程2では、供給不安定な水酸化マグネシウムなどは用いず、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどを用いるのが好ましい。
また、水酸化マグネシウムを中和剤として用いると、排水中のMg量が多くなり最終Mg固化処理において大量の中和剤が必要になるので好ましくない。
目標とするpHは、ヘマタイトとしては最終的な中和の工程となるため、pH6〜8程度に中和する。
[固液分離処理]
次に本発明における固液分離処理は、「固液分離工程1」、「固液分離工程2」、「固液分離工程3」の3処理にて行われる。
1.固液分離工程1
固液分離工程1では、CCD(Counter Current Decantation)などの公知の方法を用いて行い、予備中和工程の中和により形成されたNi富化成分とFe富化成分に分離した予備中和後スラリーを、Ni富化スラリー(液体成分)とFe富化スラリー(固体成分:浸出残渣)に分離する。
ここで、Ni富化スラリーとは、CCDから得られるオーバーフロー液(上澄み液)であって、わずかながら固形分が混入しているので、便宜上スラリーと称している。
Ni富化スラリーは、後工程で処理されニッケル・コバルト混合硫化物や硫酸ニッケル溶液などの中間原料となり、さらに精錬されて有価金属となる。
一方、Fe富化スラリーの浸出残渣からは、図1の最も右側の太実線矢印で示すフローに従って中和工程2、固液分離工程3を経て、製鉄用酸化鉄(高純度ヘマタイト)を回収する。
なお、この固液分離工程1に用いる固液分離法は、CCD法のような、物質(ここでは、予備中和後スラリーを指す)を、キャリア流体(ここでは、洗浄液を指す)に含ませ、運搬させる方式の固液分離法が、製造工程内において創出された洗浄液が使用可能であり、省資源の点からも好ましく、又生成されるヘマタイト中の硫黄品位を低減可能な点においても好ましく、この固液分離工程1ではCCD法が特に適している。
2.固液分離工程2
固液分離工程2では、CCD(Counter Current Decantation)などの公知の方法を用いて行い、中和工程1から得られる、石膏を主成分とする沈殿物のスラリーから液体成分を、固液分離工程1の洗浄液として回収し、残渣(固体成分)を最終処理工程に送出する。
この固液分離工程2を設けたことにより、Fe富化スラリーを生成する固液分離工程1において使用する洗浄液に石膏を除去した洗浄液を用いることができることから、分離されたFe富化スラリーに石膏が混入することがなくなり、得られるヘマタイトの硫黄品位を抑制することができる。また、新しく用意する洗浄液の量も削減可能となる。
3.固液分離工程3
固液分離工程3では、湿式分級、シックナーやフィルタープレスなど公知の方法を用いて行い、中和工程2から得られる中和後のFe富化スラリーから固形分として、硫黄分が1%未満のヘマタイトを回収する。また、得られた液体成分は、固液分離工程1の洗浄液として回収する。
なお、母岩を使用して浸出スラリー中の余剰酸の中和を行う場合、固液分離工程1を経た後、その浸出残渣(以下、区別するために中和残渣と呼ぶ)を、湿式サイクロン等を使用して分級(湿式分級)することにより、中和残渣の小粒径側(例えば、湿式サイクロンのオーバーフロー;O/F側)にヘマタイトを濃縮し、大粒径側(湿式サイクロンでのアンダーフロー:U/F側)にはヘマタイト以外の物質を濃縮することでヘマタイトの品位を高めることが好ましい。
以上説明してきたように、実操業で操業効率を向上させるために、中和工程でFe富化スラリーを添加し、中和工程で発生する残渣である沈殿を、CCDに戻し入れる場合(図2の従来の製造工程フロー図を参照)には、5〜8%程度の硫黄を含有するヘマタイトしか得ることが出来なかったが、本発明を適用することにより、硫黄分が1%未満のヘマタイトを得ることが可能となった。
一方、本発明の製造方法における固液分離工程3において得られるヘマタイトケーキ(図1中「ヘマタイト」と表記)は、その硫黄分は1%未満と低いが、水分含有率22%と比較的高い。
一般的に固体物質の運送においては、水分含有量が多いと船舶輸送中に液状化現象を引き起こし、船舶の転覆を引き起こす可能性がある。日本海事検定協会にて調査した結果、本発明ヘマタイトの運送許容水分値(TML:Transportable Moisture Limit)は17%以下であった。このため、船舶搬送する場合、当該ケーキの水分含有率を下げる必要がある。同時に当該ヘマタイトの粒子径は1μm程度と非常に細かいので、発塵の可能性が非常に高い。
この発塵は水分率が多くなると少なくなる性質を示すことから、水分率を17%から下げていくと10%程度から微細粒子が著しく多くなる傾向がみられるので、水分率は10〜17%が好ましい。ハンドリング時にフレコンを使用するなど防塵出来る場合、水分含有量はより低い方が好ましい。
そこで、水分含有量の調製を行う水分調整工程を行うと良い。本発明ではヘマタイトケーキから水分を除去する脱水が行われる。
その脱水方法には、加熱法、フィルタープレス法、遠心分離法などがあるが、水分除去効率の高さや経済性からフィルタープレス(加圧濾過)による方法が広く用いられている。
しかしながら、得られたヘマタイトは極微粒子であるため、水分量を調整したヘマタイトでも製鉄用原料として使用可能であるが、極微粒子のままでは、高炉で目詰まりを起こしやすいので、少量しか用いることが出来ない。
従って、極微粒子である本発明のヘマタイト製造工程から得られたヘマタイトケーキを焼成して、粗粒子とする。
本発明の製造方法で得られるヘマタイトは平均粒径が1μm以下であり、この粒径のヘマタイトを製鉄用原料として使用すると高炉への投入時に目詰まりを起こしてしまうが、ヘマタイトの焼成において、このヘマタイトは、平均粒径が1μm以下の極微粒子で構成されているため、容易に焼結し、従来焼成時に添加している焼結助剤の石灰なども不要である。
したがって、得られるヘマタイトの平均粒径が1μmを超える場合、そのようなヘマタイトを焼成した後に得られる焼成体の強度が低下するので、好ましくない。
このヘマタイトの焼成は、石灰などの焼結助剤を添加せずに温度1150〜1350℃で容易に行うことができ、得られたヘマタイト焼成体の密度は4.0g/cc〜5.0g/ccとなる。
ヘマタイト焼成温度が1150℃未満であると、ヘマタイト焼成体の密度が4.0g/cc未満になる。この密度が4.0g/cc以下であると焼成体の空孔が多くなり、焼成体にクラックが生じ、脆くなる原因となる。
一方、焼成温度が1350℃よりも高くなると、その密度は5.0g/ccを超えてしまう。密度が5.0g/ccを超えると焼成体の中へ還元ガスが入り難くなり、還元ガスの還元効率が悪くなるので好ましくない。
なお、上記ヘマタイトケーキに残留する硫黄の大部分は、石膏由来の硫黄ではなく、高温加圧酸浸出の工程で、ヘマタイト粒子の中に取り込まれた硫酸成分の硫黄と考えられており、本発明を適用することにより石膏由来の硫黄は実質的に、その全量を除去することが可能である。
次に、焼成後、粉砕工程を経て3〜20mmの粒子径(d50)にする。
粒子径(d50)が3mm未満であると高炉内での目詰まりの原因になり、還元ガスの流れが悪くなる。一方で、20mmを超えると、反応時間が長くなり生産性悪化の原因となる。
また、予備中和処理に用いる母岩は、その粒径を粉砕などによって最適範囲に調整することが好ましい。
具体的には、母岩の粒径が500μmを超えない範囲であれば、中和性能に差がなく、また、分級に湿式サイクロンを用いる場合、分級除去したい物質の粒径が大きいほど分級精度を上げることができることから、母岩の粒径は500μm以下となる範囲、そして設備負荷を考えると好ましくは150μm前後の平均粒径となるように調整することにより、ヘマタイト以外の脈石等をU/F側に分配させ、ヘマタイトの品位を向上させることが出来る。
以下、実施例、比較例で、本発明をより詳細に説明する。実施例、比較例において共通の条件を以下の表2に示した。
Figure 0005874944
なお、水分率は、加熱乾燥式水分計「ML−50」(株式会社エーアンドデイ製)で測定し、硫黄品位は炭素・硫黄分析装置を用いて測定した。
粒子径は、粒度分布測定装置「型番 SALD−3100」(SHIMADZU社製)で測定した。
焼結炉には炉床昇降式高温炉(丸祥電器株式会社製)を使用した。焼結温度は、焼結物の温度を熱電対で測定し、焼結温度が所定の温度に達してから所定時間保持した。
図1に示す本発明に係る製造工程フローに従い、固液分離工程2(CCD)、固液分離工程3(フィルタープレス)、中和工程2(中和剤:水酸化ナトリウム)を実施し、特に、中和工程1から得られる沈殿を固液分離工程1に戻し入れることなく、操業を実施した。
その結果、ヘマタイトの硫黄品位0.9%、平均粒径0.6μm、水分率22%のヘマタイトを得ることができた。
中和工程1にFe富化スラリーを添加して、沈殿物の沈降を促進したため従来と同様の効率で操業することができた。
得られたヘマタイトケーキ(10cm×20cm×1cm)を1350℃、10分の焼成を施した。次にジョークラッシャーを使用して粉砕した。
得られた焼成体の硫黄品位は0.01%、水分率は0%であった。また、この焼成体の密度は5.0g/cc、粒子径(d50)は3mmであった。
図1に示す本発明に係る製造工程フローに従い、固液分離工程2(CCD)、固液分離工程3(フィルタープレス)、中和工程2(中和剤:水酸化ナトリウム)を実施し、特に、中和工程1から得られる沈殿を固液分離工程1に戻し入れることなく、操業を実施した。
得られたヘマタイトケーキを高圧フィルタープレス(高圧加熱濾過装置)をすることで、ヘマタイト硫黄品位0.9%、ヘマタイトの平均粒径0.6μm、水分率13%のヘマタイトが得られた。
得られたヘマタイトケーキ(10cm×20cm×1cm)を1350℃、10分の焼成を施した。次にジョークラッシャーを使用して粉砕した。
得られた焼成体の硫黄品位は0.01%、水分率は0%であった。また、この焼成体の密度は5.0g/cc、粒子径(d50)は20mmであった。
図1に示す本発明に係る製造工程フローに従い、固液分離工程2(CCD)、固液分離工程3(フィルタープレス)、中和工程2(中和剤:水酸化ナトリウム)を実施し、特に、中和工程1から得られる沈殿を固液分離工程1に戻し入れることなく、操業を実施した。得られたヘマタイトの平均粒子は0.6μmであった。
得られたヘマタイトケーキを高圧フィルタープレス(高圧加熱濾過装置)することで、ヘマタイト硫黄品位0.9%、水分率13%のヘマタイトが得られた。
得られたヘマタイトケーキ(10cm×20cm×1cm)を1150℃、10分の焼成を施した。次にジョークラッシャーを使用して粉砕した。
得られた焼成体の硫黄品位は0.07%、水分率は0%であった。また、この焼成体の密度は4.3g/cc、粒子径(d50)は20mmであった。
(比較例1)
本発明を適用せず、図2の従来の製造工程フロー図に示すように中和工程から得られた沈殿をCCD(固液分離工程)に戻し入いれる操業を実施した。
その結果、得られたヘマタイトの硫黄品位は6.5%であり、製鉄用原料としては使用が困難なヘマタイトしか得られなかった。
(比較例2)
図1に示す本発明に係る製造工程フローに従い、固液分離工程2(CCD)、固液分離工程3(フィルタープレス)、中和工程2(中和剤:水酸化ナトリウム)を実施し、特に、中和工程1から得られる沈殿を固液分離工程1に戻し入れることなく、操業を実施した。
得られたヘマタイトの硫黄品位は0.9%、平均粒子は0.6μm、水分率は22%であった。
得られたヘマタイトケーキ(10cm×20cm×1cm)を1400℃、10分の焼成を施した。次にジョークラッシャーを使用して粉砕した。
得られた焼成体の硫黄品位は0.01%、水分率は0%であった。また、焼成体の密度は5.2g/cc、粒子径(d50)は20mmであった。
(比較例3)
図1に示す本発明に係る製造工程フローに従い、固液分離工程2(CCD)、固液分離工程3(フィルタープレス)、中和工程2(中和剤:水酸化ナトリウム)を実施し、特に、中和工程1から得られる沈殿を固液分離工程1に戻し入れることなく、操業を実施した。
得られたヘマタイトの硫黄品位は0.9%、平均粒子は0.6μm、水分率は22%であった。
得られたヘマタイトケーキ(10cm×20cm×1cm)を1050℃、10分の焼成を施した。次にジョークラッシャーを使用して粉砕した。
得られた焼成体の硫黄品位は0.2%、水分率は0%であった。また、焼成体の密度は3.8g/cc、粒子径(d50)は20mmであった。

Claims (2)

  1. ニッケル酸化鉱の湿式精錬方法であって、
    前記湿式精錬方法は、中和工程を含み、
    前記中和工程では、中和剤に母岩を使用し、
    前記母岩の粒径を調整して中和を行うことにより、小粒径側にヘマタイトが濃縮した小粒径部と、大粒径側に前記ヘマタイト以外のニッケル酸化鉱の構成物質が濃縮した大粒径部とからなるスラリーを得て、
    前記中和工程に続いて、前記スラリーを洗浄しながら固液分離して得た固体成分を、分級してヘマタイトケーキを得る湿式分級工程と、
    前記ヘマタイトケーキを焼成して焼成体を得る工程と
    が設けられていることを特徴とするニッケル酸化鉱の湿式精錬方法。
  2. 前記焼成体を粉砕することを特徴とする請求項1記載のニッケル酸化鉱の湿式精錬方法。
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