以下、図面を参照して、本発明による遊技機の実施形態について説明する。なお、実施形態の説明における前後左右とは、遊技盤に向かって見た方向(遊技者から見た方向)を指すものとする。
図1は、本発明の実施の形態の遊技機1の斜視図である。
遊技機1は、島設備に固定される本体枠2にヒンジ3を介して右側部が開閉回動自在に取り付けられる開閉枠4を備える。開閉枠4は、前面枠5及びガラス枠6によって構成される。
前面枠5には、遊技盤30(図2参照)が配設されるとともに、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス6aを備えたガラス枠6が取り付けられる。前面枠5及びガラス枠6は、それぞれ個別に開放することが可能となっている。例えば、ガラス枠6のみを開放して遊技盤30の遊技領域31(図2参照)にアクセスすることができる。また、前面枠5をガラス枠6が開放されていない状態で開放することによって、遊技盤30の裏側に配置された遊技制御装置600(図3参照)等にアクセスすることができる。
ガラス枠6のカバーガラス6aの周囲には、装飾部材7が配設されている。装飾部材7の内部にはLED等によって構成された枠装飾装置21(図4参照)が収容されており、枠装飾装置21を制御することによって装飾部材7における発光状態を調整することができる。
ガラス枠6の上部には照明ユニット8が配設され、照明ユニット8の左右両側には可動式照明9が配設される。照明ユニット8は、内部にLED等の照明部材を収容しており、遊技状態に応じて発光演出を行う。可動式照明9は、LED等の照明部材と、照明部材を駆動する照明駆動モータ等から構成される枠演出装置22(図4参照)とを備える。可動式照明9の枠演出装置22は、遊技状態に応じて照明部材を駆動(例えば回転駆動)するように制御される。なお、照明ユニット8及び可動式照明9の内部に配設される照明部材も、枠装飾装置21(図4参照)の一部を構成している。
遊技機1は、効果音や警報音、報知音等を発する上スピーカ10a及び下スピーカ10bを備える。上スピーカ10aはガラス枠6の上両側部に配置され、下スピーカ10bは上皿ユニット11を構成する上皿11aの下方に配置される。
左側部に配設される可動式照明9の右上方には、遊技機1における異常を報知するための遊技状態報知LED12が設けられている。遊技機1において異常が発生した場合には、遊技状態報知LED12が点灯又は点滅するとともに、上スピーカ10a及び下スピーカ10bから異常を報知するための報知音が出力される。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施等が含まれる。不正行為には、例えば、発射された遊技球の軌道を磁石によって不正に操作する行為や遊技機1を振動させる行為等が含まれる。これらの不正行為は、磁気センサスイッチ23(図3参照)によって磁気を検出したり、振動センサスイッチ24(図3参照)によって振動を検出したりすることで検知される。
また、不正に開閉枠4を開放する行為も不正行為に含まれる。前面枠5の開閉状態は前面枠開放検出スイッチ25(図3参照)によって検出され、ガラス枠6の開閉状態はガラス枠開放検出スイッチ26(図3参照)によって検出される。
ガラス枠6の下部には、上皿11aを含む上皿ユニット11が備えられる。上皿11aに貯留された遊技球は、前面枠5の下部に設けられた球発射装置に供給される。
ガラス枠6の下方位置であって前面枠5に固定される固定パネル13には、下皿14と、球発射装置を駆動するための操作部15とが備えられる。遊技者が操作部15を回動操作することによって、球発射装置は上皿11aから供給された遊技球を遊技盤30の遊技領域31(図2参照)に発射する。下皿14には、当該下皿14に貯留された遊技球を外部へ排出するための球抜き機構16が設けられる。
上皿ユニット11には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタン17が上皿11aの手前側に配設されている。遊技者が演出ボタン17を操作することによって、変動表示装置35(図2参照)での変動表示ゲームにおいて遊技者の操作を介入させた演出を行うことができ、また通常遊技状態においては演出パターン(演出態様)を変更することができる。変動表示ゲームには、特図変動表示ゲームと普図変動表示ゲームが含まれ、本明細書では単に変動表示ゲームとした場合には特図変動表示ゲームを指すものとする。
なお、通常遊技状態とは、特定の遊技状態が発生していない遊技状態である。特定の遊技状態とは、例えば変動表示ゲームの抽選確率が高い確率の確変状態、変動表示ゲームの単位時間当たりの実行数を向上させることが可能な時短状態、大当り遊技状態(特別遊技状態)、又は小当り遊技状態等である。
ここで、確変状態は、次の大当りが発生するまで継続するもの(ループタイプ)、所定回数の変動表示ゲームが実行されるまで継続するもの(回数切りタイプ)、及び所定の確率転落抽選に当選するまで継続するもの(転落抽選タイプ)などが考えられる。
さらに、確変状態を発生させるか否かを大当り図柄乱数によって決定せずに、大当りが発生した場合に必ず確変状態を発生させるようにしてもよいし、特定領域を備える入賞装置などを設け、当該特定領域を遊技球が通過した場合に確変状態を発生させるようにしてもよい。
また、変動表示ゲームが開始された後、演出ボタン17の操作を促進するための操作促進演出が実行され、操作促進演出が実行されている間に演出ボタン17を操作することによって、始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を事前に予告する予告演出等を実行することができる。
ガラス枠6の装飾部材7の下部には、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する球貸ボタン18と、カードユニット(図示省略)からプリペイドカード等を排出させるために操作される排出ボタン19とが配設される。また、球貸ボタン18及び排出ボタン19の間には、プリペイドカード等の残高を表示する残高表示部20が設けられる。
図2を参照して、遊技機1に配設される遊技盤30について説明する。図2は、遊技機1に備えられる遊技盤30の正面図である。
遊技盤30は、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体32の表面に、区画部材としてのガイドレール33を設けることで、略円形状の遊技領域31を区画形成している。
遊技領域31には、開口部34aを有するセンターケース34が配設される。遊技盤30にはセンターケース34の外周に沿った形状の開口30aが形成され、センターケース34はその開口30aに遊技盤30の前方から嵌装される。
遊技盤30の裏面には、変動表示装置35を備える制御ベースユニットが配設される。変動表示装置35は、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示部35aを有する。制御ベースユニットは、動作演出や発光演出を実行可能な演出装置をさらに備え、当該演出装置は、センターケース34の下部に対応する位置に設けられるシーソー役物71と、センターケース34の側部及び上部に対応する位置に設けられる鎌役物500とから構成されている。
センターケース34の開口部34aは変動表示装置35の表示部35aに対応して設けられており、変動表示装置35の表示部35aはセンターケース34の開口部34aに臨むように配設される。変動表示装置35の表示部35aは任意の画像を表示可能な液晶表示器であり、表示画面上には複数の識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタ等、遊技の進行に基づく画像が表示される。変動表示装置35は、表示部35aに複数の変動表示領域(例えば、左側、中央、右側の3つの可変表示領域)を設定して、各表示領域の各々で独立した画像を表示可能に構成されている。
センターケース34の右上方の遊技領域31には、遊技球が通過した場合に普通図柄(普図)変動表示ゲームの始動条件を成立させる普図始動ゲート36が配設される。
センターケース34の下方の遊技領域31には、遊技球の入賞に基づき第1特別図柄(第1特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な第1始動入賞口37が配設される。なお、センターケース34には、遊技領域31を流下する遊技球をセンターケース34の内側に導くためのワープ通路200と、ワープ通路200を通過した遊技球が転動可能であって、転動した遊技球を第1始動入賞口37の上方の遊技領域31へと流下させるステージ部80とが設けられる。
センターケース34の右下方の遊技領域31には、遊技球の入賞に基づき第2特別図柄(第2特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な第2始動入賞口38が配設される。第2始動入賞口38は装飾板39の後方に位置しているため、図2では第2始動入賞口38の図示を省略している。第2始動入賞口38は、普図変動表示ゲームの結果が当りの場合に遊技領域31の前方に突出して、流下してくる遊技球を第2始動入賞口38へと導くことが可能な可動受入部(図示省略)を備えている。可動受入部は、通常状態においては遊技盤30の裏面側に収納され、装飾板39の後方を通過する遊技球が第2始動入賞口38に入賞不能な状態(遊技者にとって不利な状態)となり、遊技球は第2始動入賞口38に入賞することなく下方に流下する。一方、普図変動表示ゲームの結果が当りとなった場合には、可動受入部は、普電ソレノイド27(図3参照)の駆動力に基づいて遊技領域31の前方に突出し、装飾板39の後方を通過する遊技球が第2始動入賞口38に流入しやすい状態(遊技者にとって有利な状態)となる。第2始動入賞口38に備えられる可動受入部は、遊技制御装置600(図3)によって制御される。遊技制御装置600は、入賞容易状態の発生頻度を高めたり、入賞容易状態の発生時間を長くしたりすることで、特定遊技状態としての時短状態(普電サポート状態)を発生させる。
第1始動入賞口37の左右両側の遊技領域31には、遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口40が複数配設される。
第1始動入賞口37の右側方の遊技領域31には、大入賞口ソレノイド28(図3参照)によって上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカー形式の開閉扉41aを有する大入賞口を備えた変動入賞装置41が設けられる。変動入賞装置41は、第1特図変動表示ゲームの結果が大当りになると、大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換し、大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に賞球を付与するようになっている。
なお、遊技領域31には、上記した始動入賞口等のほかに、遊技球の流下方向を変える風車(図示省略)や障害釘(図示省略)等の流下方向変換部材や、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口42が配設される。
なお、遊技盤30の右下部には、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲーム)の特図の変動表示、特図入賞記憶数(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの始動記憶数)、普図変動表示ゲームの普図の変動表示、普図入賞記憶数(普図変動表示ゲームの始動記憶数)、及び大当たりの決定ラウンド数等を表示する一括表示装置50が配設される。
遊技機1では、球発射装置(図示省略)によって打ち出された遊技球は、ガイドレール33の内周壁に沿って区画された発射球案内通路43を通って遊技領域31内に発射され、方向変換部材(図示省略)によって落下方向を変えながら遊技領域31を流下する。発射球案内通路43はガイドレール33と内レール44とによって形成されており、発射球案内通路43の出口に位置する内レール44の端部には弁体400が設けられる。弁体400の下端は内レール44に固定され、弁体400は発射球案内通路43の出口を塞ぐように配設される。弁体400は、金属板からなる板ばね部材であり、発射球案内通路43から遊技領域31に発射される遊技球の通過を許容する一方、遊技領域31側から発射球案内通路43への遊技球の逆流を禁止する。
本実施形態の遊技機1は、遊技状態に応じて遊技者が左打ち又は右打ちを行うように構成されており、遊技開始直後等の通常遊技状態や大当り遊技状態後に時短状態が発生しない場合には遊技者によって左打ちが行われる。なお、遊技者が遊技状態に応じた打ち分けをしやすいように、変動表示装置35の表示部35aには左打ち又は右打ちの指示が表示される。
左打ちが行われる場合には、遊技球はセンターケース34の左側方の遊技領域31を流下して、第1始動入賞口37や第1始動入賞口37の左側に配設された一般入賞口40に入賞するか、遊技領域31の最下部に設けられたアウト口42から遊技機1の外部に排出される。ワープ通路200を通ってステージ部80に導かれた遊技球も第1始動入賞口37に入賞したり、第1始動入賞口37の左側の一般入賞口40に入賞したりする。なお、一般入賞口40や第1始動入賞口37に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。
第1始動入賞口37に遊技球が入賞すると、一括表示装置50で第1特図変動表示ゲームが実行されるとともに、第1特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが変動表示装置35で実行される。変動表示装置35では、三つの数字等で構成される識別情報が順に変動表示する飾り特図変動表示ゲームが開始され、飾り特図変動表示ゲームに関する画像が表示部35aに表示される。第1始動入賞口37への遊技球の入賞が所定タイミングでなされた場合には、第1特図変動表示ゲームの結果が特別結果態様(大当り)となり、飾り特図変動表示ゲームでは三つの表示図柄が揃った状態で停止する。この場合には、変動入賞装置41の開閉扉41aが開いて、大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。
大当り遊技状態中は、遊技球を変動入賞装置41の大入賞口へ入賞させるために、遊技者は右打ちを行うことになる。右打ちが行われる場合には、遊技球はセンターケース34の右側方の遊技領域31を流下する。変動入賞装置41の大入賞口は、所定時間経過するまで又は所定数の遊技球が大入賞口に入賞するまで、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)となる。大入賞口に遊技球が入賞することによって、遊技者には多くの遊技球を獲得可能な遊技価値が付与される。大入賞口に所定個数の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これが所定ラウンド数(例えば、15回又は2回)継続される。
ところで、大当り時の停止図柄が特定の図柄等である場合には、大当り遊技状態後の遊技状態が時短状態となる。時短状態は、例えば、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲーム)が100回行われるまで継続される。時短状態中においては、遊技機1は、遊技者が右打ちを行うように設定されている。なお、大当り遊技状態後に時短状態が発生しない場合には、変動表示装置35の表示部35aに左打ちの指示が表示され、遊技者によって左打ちが行われる。
時短状態中に右打ちが行われ、遊技球が普図始動ゲート36を通過すると、一括表示装置50で普図変動表示ゲームが開始される。普図始動ゲート36への遊技球の通過が所定のタイミングでなされた場合には普図変動表示ゲームの結果が当りとなる。この場合には、装飾板39の後方に位置する第2始動入賞口38の可動受入部が普電ソレノイド27(図3参照)の駆動力に基づいて遊技領域31の前方に突出し、第2始動入賞口38への遊技球の入賞可能性が高められる。
第2始動入賞口38に遊技球が入賞すると、一括表示装置50で第2特図変動表示ゲームが実行されるとともに、第2特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが変動表示装置35で実行される。第1特図変動表示ゲームと同様に、変動表示装置35では、三つの数字等で構成される識別情報が順に変動表示する飾り特図変動表示ゲームが開始され、飾り特図変動表示ゲームに関する画像が表示部35aに表示される。第2始動入賞口38への遊技球の入賞が所定タイミングでなされた場合には、第2特図変動表示ゲームの結果が特別結果態様(大当り)となり、飾り特図変動表示ゲームでは三つの表示図柄が揃った状態で停止する。この場合には、変動入賞装置41の開閉扉41aが開いて、大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。
なお、時短状態終了後には、変動表示装置35の表示部35aに左打ちの指示が表示され、遊技者によって左打ちが行われる。上記の通り、本実施形態の遊技機1では、遊技者が左打ち又は右打ちを行いながら遊技が進行する。
次に、図3及び図4を参照して、遊技機1に備えられる遊技制御装置600及び演出制御装置700について説明する。
図3は、遊技機1の遊技制御装置600を中心とする制御系を示すブロック構成図である。図4は、遊技機1の演出制御装置700を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
図3に示す遊技制御装置600は、遊技機1における遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)である。遊技制御装置600には、電源装置800、払出制御装置640、及び演出制御装置700が接続される。遊技制御装置600は、払出制御装置640や演出制御装置700に制御信号(コマンド)を送信し、各種処理の実行を指示する。さらに、遊技制御装置600には、各種スイッチや制御対象のソレノイド等が接続される。
遊技制御装置600は、各種演算処理を行うCPU部610と、各種信号の入力を受け付ける入力部620と、各種信号や制御信号を出力する出力部630とを備える。CPU部610、入力部620及び出力部630は、互いにデータバス680によって接続される。
入力部620は、遊技盤30等に設けられた各種スイッチから出力される信号や払出制御装置640から出力される信号を受け付ける。この入力部620は、近接インターフェース(I/F)621及び入力ポート622、623を備える。
入力ポート622、623は、近接I/F621を介して入力される信号を受け付けたり、外部から入力される信号を直接受け付けたりする。入力ポート622、623に入力した情報は、データバス680を介してCPU部610等に提供される。
近接I/F621は、各種スイッチから出力された信号を受け付け、それら入力信号を変換して入力ポート622に出力するインターフェースである。近接I/F621には、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、及びカウントスイッチ605が接続される。
第1始動口スイッチ601は、遊技球が第1始動入賞口37に入賞したことを検出するスイッチである。第2始動口スイッチ602は、遊技球が第2始動入賞口38に入賞したことを検出するスイッチである。ゲートスイッチ603は、遊技球が普図始動ゲート36を通過したことを検出するスイッチである。入賞口スイッチ604a〜604nは、遊技球が一般入賞口40に入賞したことを検出するスイッチである。
第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602の検出信号は、入力ポート622に出力されるとともに、CPU部610の反転回路612を介して遊技用マイコン611に出力される。これは、遊技用マイコン611の信号入力端子がロウレベルを有効レベルとして検知するように設計されているためである。
カウントスイッチ605は、遊技球が大入賞口に入賞したことを検出するスイッチである。カウントスイッチ605によって遊技球の入賞が検出されると、入賞した遊技球の数がカウントされ、カウントされた遊技球の数が遊技制御装置600に備えられたメモリに記憶される。
近接I/F621への入力信号の電圧は、通常時には所定範囲内となっているため、近接I/F621によれば、各種スイッチからの信号の電圧値に基づいて各種スイッチにおけるリード線の断線、ショート、電圧値異常等を検出できる。このような異常を検出すると、近接I/F621は、異常検知出力端子から異常を示す信号を出力する。
なお、近接I/F621に接続されるスイッチのコネクタの着脱によって、近接I/F621に入力される信号の出力値(ON/OFF)が切り替わるため、近接I/F621はスイッチが接続されていない場合であっても出力を一定に維持するように構成されている。
また、入力ポート622には磁気センサスイッチ23及び振動センサスイッチ24からの信号が直接入力され、入力ポート623には前面枠開放検出スイッチ(SW)25及びガラス枠開放検出スイッチ(SW)26からの信号が直接入力される。入力ポート623には、払出制御装置640からの各種信号も入力される。
磁気センサスイッチ23は、発射された遊技球の軌道を磁石によって操作する不正行為を検出するために磁力を検出する。振動センサスイッチ24は、遊技機1を振動させる不正行為を検出するために遊技機1の振動を検出する。
前面枠開放検出SW25は、前面枠5が開放されたことを検出する。前面枠開放検出SW25は、前面枠5が本体枠2から開放されるとオンに設定され、前面枠5が本体枠2に閉止されるとオフに設定される。
ガラス枠開放検出SW26は、ガラス枠6が開放されたことを検出する。ガラス枠開放検出SW26は、ガラス枠6が前面枠5から開放されるとオンに設定され、ガラス枠6が前面枠5に閉止されるとオフに設定される。
遊技制御装置600のCPU部610は、遊技用マイコン611と、反転回路612と、水晶発振器613とを備える。
遊技用マイコン611は、CPU611a、ROM611b、及びRAM611cを有しており、入力部620を介して入力された信号に基づいてROM611bに記憶されたプログラムを実行して大当り抽選等の各種処理を実行する。遊技用マイコン611は、出力部630を介して、遊技状態報知LED12や一括表示装置50等から構成される一括表示装置50、普電ソレノイド27、大入賞口ソレノイド28、演出制御装置700、及び払出制御装置640に制御信号を送信し、遊技機1を統括的に制御する。遊技用マイコン611は、チップセレクトで、信号を入力又は出力するポートを選択している。
ROM611bは、不揮発性の記憶媒体であり、遊技制御のためのプログラムやデータ等を記憶する。
RAM611cは、揮発性の記憶媒体であり、遊技制御に必要な情報(例えば、乱数値など)を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
反転回路612は、近接I/F621を介して入力された信号(第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602からの信号)の論理値を反転させて遊技用マイコン611に出力する。
水晶発振器613は、タイマ割込み、システムクロック信号、大当り抽選等を行うためのハード乱数の動作クロック源として構成されている。
遊技制御装置600の出力部630は、ポート631a〜631eと、バッファ632a、632bと、ドライバ633a〜633dと、フォトカプラ634とを備える。
ポート631a〜631eは、データバス680を介して入力された信号を受け付ける。
バッファ632a、632bは、データバス680やポート631a、631bを介して入力された信号を一時的に保持する。
ドライバ633a〜633dは、ポート631c〜631eを介して入力される信号から各種駆動信号を生成して各装置に出力する。
フォトカプラ634は、外部の検査装置670に接続可能に構成されており、入出力される各種信号からノイズを除去して各種信号の波形を整形する。フォトカプラ634と検査装置670との間は、シリアル通信によって情報が送受信される。
払出制御装置640には、ポート631aを介してパラレル通信によってCPU部610から出力された情報が送信される。払出制御装置640に対しては片方向通信を担保する必要がないため、ポート631aから払出制御装置640の払出制御基板に制御信号が直接送信される。
また、払出制御装置640は、発射制御装置690に発射許可信号を出力する。発射制御装置690は、発射許可信号が入力されている場合にのみ遊技球を遊技領域31に発射することが可能となっている。
払出制御装置640は、遊技制御装置600からの賞球指令信号に基づいて払出ユニット(図示省略)から賞球を排出させたり、カードユニット(図示省略)からの貸球要求信号に基づいて払出ユニットから貸球を排出させたりする。払出制御装置640は、球切れや故障等の障害が発生した場合に、払出異常ステータス信号やシュート球切れスイッチ信号、オーバーフロースイッチ信号を遊技制御装置600に出力する。
払出異常ステータス信号は、遊技球の払い出しが正常に行われていない場合に出力される信号である。払出シュート球切れスイッチ信号は、払い出し前の遊技球が不足している場合に出力される信号である。オーバーフロースイッチ信号は、下皿14(図1参照)に所定量以上の遊技球が貯留されている場合に出力される信号である。
演出制御装置700には、出力部630のポート631aからのデータストローブ信号(SSTB)及びポート631bからの8bitのデータ信号がバッファ632aを介して入力する。データストローブ信号(SSTB)は、データの有効又は無効を示す1bitの信号である。バッファ632aからの8+1bitの信号(サブコマンド)は、パラレル通信で出力される。バッファ632aは、演出制御装置700から遊技制御装置600に信号を送信できないようにして片方向通信を担保するために設けられている。演出制御装置700に送信されるサブコマンドには、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等の演出制御指令信号が含まれる。
大入賞口ソレノイド28及び普電ソレノイド27には、ポート631c及びドライバ633aを介して、CPU部610から出力された信号が入力する。大入賞口ソレノイド28は変動入賞装置41の開閉扉41a(図2参照)を回動させ、普電ソレノイド27は装飾板39の後方に配置される第2始動入賞口38の可動受入部を前後方向に移動させる。
一括表示装置50は、遊技状態報知LED12及び一括表示装置50等から構成されている。一括表示装置50のLEDのアノード端子はセグメント線を介してドライバ633cに接続し、このドライバ633cとポート631dとが接続している。一括表示装置50のLEDのカソード端子はデジット線を介してドライバ633bと接続し、このドライバ633bとポート631cとが接続している。一括表示装置50のLEDのアノード端子にはドライバ633cからのオン/オフ駆動信号が入力され、一括表示装置50のLEDのカソード端子からはドライバ633bにオン/オフ駆動信号が出力される。
外部情報端子660は、変動表示ゲームの開始を示すスタート信号や大当り遊技状態の発生を示す特賞信号等の遊技データを情報収集端末装置に出力するための端子である。遊技データは、ポート631e及びドライバ633dを介して外部情報端子660に出力される。
遊技制御装置600は、中継基板650を介して、外部の試射試験装置に接続可能に構成されている。試射試験装置は、所定機関において遊技機1の型式試験を行うための装置である。試射試験装置には、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、及びカウントスイッチ605からの信号や、大入賞口ソレノイド28及び普電ソレノイド27に出力される信号等、試射試験に必要な信号が入力される。
遊技制御装置600は、入力部620に設けられるシュミット回路624を介して、電源装置800に接続している。シュミット回路624は、電源の立ち上がり時や電源遮断時において遊技機1の動作が不安定になることを防ぐために、入力信号の揺らぎ(ノイズ)を除去する回路である。シュミット回路624には、電源装置800からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号が入力される。
電源装置800は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータや、DC32Vの電圧からDC12V、DC5V等のより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータを有する通常電源部810と、遊技用マイコン611の内部のRAM611cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部820と、停電監視回路や初期化スイッチを有し、遊技制御装置600に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号等の制御信号を生成して出力する制御信号生成部830とを備える。
バックアップ電源部820は、遊技用マイコン611のRAM611cに記憶された遊技データをバックアップするための電源である。遊技制御装置600は、停電復旧後、RAM611cに保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。
制御信号生成部830は、DC12V及びDC5Vを生成するスイッチングレギュレータの入力電圧(保証DC32V)を監視する。検出電圧がDC17.2V〜DC20.0Vのときに停電と判定し、制御信号生成部830から停電監視信号が出力される。停電監視信号は、シュミット回路624を経由して、入力部620の入力ポート623に入力する。停電監視信号の出力後には、停電監視回路はリセット信号を出力する。リセット信号は、シュミット回路624を経由して、遊技用マイコン611及び出力部630の各ポート631a〜631eに入力する。遊技制御装置600は、停電監視信号を受け付けると所定の停電処理を行い、リセット信号を受け付けた後にCPU部610の動作を停止させる。
制御信号生成部830は初期化スイッチ(図示省略)を備えており、電源投入時に初期化スイッチがON状態となっている場合に、制御信号生成部830から初期化スイッチ信号が出力される。初期化スイッチ信号は、シュミット回路624を介して、入力部620の入力ポート623に入力する。初期化スイッチ信号は、遊技用マイコン611のRAM611c及び払出制御装置640のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する信号である。
図4に示す演出制御装置700は、遊技制御装置600の遊技用マイコン611と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)710と、主制御用マイコン710の制御下で映像制御等を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)720と、映像制御用マイコン720からのコマンドやデータに従って変動表示装置35(図2参照)への映像表示のための画像処理を行うVDP(Video Display Processor)730と、各種メロディや効果音等を上スピーカ10a及び下スピーカ10bから再生させる音源LSI705とを備える。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(Programmable Read Only Memory)702、703がそれぞれ接続され、VDP730にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM704が接続され、音源LSI705には音声データが記憶された音声ROM706が接続されている。主制御用マイコン710は、遊技制御装置600の遊技用マイコン611からのコマンドを解析し、映像制御用マイコン720へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI705への再生音の指示、LED等の点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理等の処理を実行したりする。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720の作業領域を提供するRAM711、721は、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAM711、721はチップの外部に設けるようにしてもよい。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720との間、主制御用マイコン710と音源LSI705との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。これに対して、主制御用マイコン710とVDP730との間は、パラレル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアル方式の場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。
VDP730には、画像ROM704から読み出されたキャラクタ等の画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)731、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ732、及びLVDS(小振幅信号伝送)方式で変動表示装置35へ送信する映像信号を生成する信号変換回路733が設けられる。
VDP730から主制御用マイコン710へは、変動表示装置35の映像と、前面枠5や遊技盤30に設けられるLED等の点灯とを同期させるために垂直同期信号VSYNCが出力される。また、VDP730から映像制御用マイコン720へは、VRAM731への描画の終了等処理状況を知らせるため、割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン720からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが出力される。
映像制御用マイコン720から主制御用マイコン710へは、映像制御用マイコン720が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが出力される。
主制御用マイコン710と音源LSI705との間においては、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け信号CTSと応答信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン720には、主制御用マイコン710よりも高速なCPUが使用されている。主制御用マイコン710とは別に映像制御用マイコン720を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン710のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を変動表示装置35に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン720と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。
演出制御装置700は、遊技制御装置600から送信されるコマンドを受信するためのインタフェースチップ(コマンドI/F)701を備えている。演出制御装置700は、コマンドI/F701を介して、遊技制御装置600から送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置600の遊技用マイコン611はDC5Vで動作し、演出制御装置700の主制御用マイコン710はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F701には信号のレベル変換機能が設けられている。
演出制御装置700には、センターケース34や遊技盤30に設けられる各種演出装置の制御データ(制御信号)の出力や応答信号の入力を受け付ける盤枠装飾演出I/F回路741が備えられる。盤枠装飾演出I/F回路741は、主制御用マイコン710から送信された制御データをシリアルデータに変換するシリアルインターフェース回路である。
盤枠装飾演出I/F回路741には、センターケース34などを含む遊技盤30に備えられるLED等によって構成される盤装飾装置760、開閉枠4に設けられるLED等によって構成される枠装飾装置21、遊技盤30に備えられ、変動表示装置35における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物等によって構成される盤演出装置770、開閉枠4に備えられ、可動式照明9等を含む枠演出装置22が接続される。
盤枠装飾演出I/F回路741は、ストローブ信号(CSB)、クロック信号(SCK)及び制御データ(TxD)を、出力ポート742及び各接続線を介して各演出装置に送信する。また、盤枠装飾演出I/F回路741は、盤演出装置770及び枠演出装置22に備えられたモータの回転位置を検出する位置検出スイッチ(演出モータスイッチ752)によって検出された位置データなどの応答データを、接続線RxD及び入力ポート743を介して受信する。したがって、演出制御装置700と各演出装置との間は4本の信号線(CSB、SCK、TxD、RxD)によって接続される。なお、演出制御装置700と各演出装置とは、盤中継基板及び枠中継基板を介して接続されている。接続状態については、図5以降の図面を参照しながら説明する。
また、演出制御装置700には、演出ボタン17(図1参照)が操作されたことを検知する演出ボタンスイッチ(SW)751や各種駆動モータが駆動されたことを検知する演出モータスイッチ(SW)752a〜752nのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン710へ検出信号を送信するスイッチ(SW)入力回路750、上スピーカ10a及び下スピーカ10bを駆動するオーディオパワーアンプ等からなるアンプ回路707、708が設けられている。
電源装置800の通常電源部810は、演出制御装置700及び当該演出制御装置700によって制御される電子部品に対して所定レベルの直流電圧を供給するために、複数種類の電圧を生成可能に構成されている。具体的には、駆動モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネル等からなる変動表示装置35を駆動するためのDC12V、コマンドI/F701の電源電圧となるDC5Vの他に、上スピーカ10a及び下スピーカ10bを駆動するためのDC18Vや、これらの直流電圧の基準としたり、電源モニタランプを点灯させたりするのに使用するNDC24Vの電圧を生成することが可能となっている。
電源装置800の制御信号生成部830により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン710、映像制御用マイコン720、VDP730、音源LSI705、盤枠装飾演出I/F回路741、アンプ回路707、708に供給され、これらをリセット状態にする。電源装置800は、映像制御用マイコン720の有する汎用のポートを利用して、VDP730に対するリセット信号を生成して供給する機能を有している。これにより、映像制御用マイコン720とVDP730の動作の連携性を向上させることができる。
続いて、さらに詳細な構成について説明する。まず、遊技盤に備えられる演出装置と演出制御装置700との接続について説明する。図5は、本発明の実施の形態の演出制御装置700と盤装飾装置760及び盤演出装置770との接続形態を説明する図である。
図5では、演出制御装置700、ランプ中継基板(端子)790、盤装飾装置760及び盤演出装置770の接続について説明する。演出制御装置700は、接続線Vcc、接続線Vled、接続線Vmot、接続線Vsw、接続線CSB、接続線(タイミング信号線)SCK、接続線(送信データ信号線)TxD、接続線(受信データ信号線)RxD、接続線GNDによってランプ中継基板790に接続される。
接続線Vccは、ランプ中継基板790及び各演出装置を制御するドライバなどの制御手段にロジック用の電源を供給するための接続線である。接続線Vledは、LED(盤装飾装置760)を発光させるための電源を供給するための接続線である。接続線Vmotは、盤演出装置770に備えられるモータやソレノイドに電源を供給するための接続線である。接続線Vswは、各種センサ(盤演出装置770に含まれるモータの状態を検出する状態検出センサ)に電源を供給するための接続線である。
接続線CSBは、ストローブ信号を入出力するための接続線である。接続線CSBの信号レベルがロウレベルからハイレベルに変更されるタイミングで制御データが演出装置に反映される。接続線SCKは、接続線TxDでのデータ通信に用いられるクロック信号を入出力するための接続線であり、タイミング信号線として機能する。接続線TxDは、演出制御装置700から各演出装置の制御手段にデータ信号を送信するための接続線であり、送信データ線として機能する。接続線RxDは、各種センサによって検出された情報(例えば、モータの位置情報)を受信するための接続線であり、受信データ線として機能する。接続線GNDは、接続線Vcc、接続線Vled、接続線Vmot、及び接続線Vswで供給される電源のグランドである。
前述のように、盤装飾装置760には、LEDなどの発光演出装置が備えられ、モータなどの駆動体によって駆動される可動役物(可動演出装置)は含まれていない。そこで、ランプ中継基板790と盤装飾装置760との間は、接続線Vcc、接続線Vled、接続線CSB、接続線SCK、接続線TxD、接続線GNDによって接続される。モータなどの駆動体を駆動させるために必要な接続線Vmot、制御用の接続線Vsw、接続線Rxdは接続されないようになっている。
一方、盤演出装置770には、LEDなどの発光演出装置が備えられておらず、モータなどの駆動体によって駆動される可動役物(可動演出装置)が備えられる。そのため、ランプ中継基板790と盤演出装置770との間には、LEDなどの発光体を制御するために必要な接続線Vledは接続されていない。
次に、開閉枠4(前面枠5、遊技枠6)に備えられる演出装置と演出制御装置700との接続について説明する。図6は、本発明の実施の形態の演出制御装置700と枠装飾装置21及び枠演出装置22との接続形態を説明する図である。
図6に示すように、演出制御装置700は、前枠中継基板1(端子)791、前枠中継基板2(端子)792及び枠中継基板(端子)793を介して枠装飾装置21及び枠演出装置22に接続される。
演出制御装置700と前枠中継基板1(791)との間は、ランプ中継基板790と同様に、接続線Vcc、接続線Vled、接続線Vmot、接続線Vsw、接続線CSB、接続線SCK、接続線TxD、接続線RxD、接続線GNDによって接続され、さらに、演出ボタン17やセレクトボタンの操作に対応する信号を入出力する押しボタン信号線及びセレクトボタン信号線が接続される。また、音声をスピーカ10から出力するための信号線(スピーカ出力R(+)、スピーカ出力R(−)、スピーカ出力L(+)、スピーカ出力L(−)、スピーカ出力W(+)、スピーカ出力W(−))も接続される。
前枠中継基板1(791)及び前枠中継基板2(792)には、それぞれ、スピーカ10に接続される出力端子が備えられている。具体的には、前枠中継基板1(791)には前面枠5の下部に備えられる下スピーカ10bに接続される端子が設けられている。また、前枠中継基板2(792)には、前面枠5の上部の左右に配置された上スピーカ10aに接続される端子が設けられている。なお、枠中継基板793にすべてのスピーカ10への出力端子を設け、前枠中継基板1(791)及び前枠中継基板2(792)又はその一方を備えない構成としてもよい。
また、枠装飾装置21には、盤装飾装置760と同様に、LEDなどの発光演出装置が備えられ、モータなどの駆動体によって駆動される可動役物は含まれていない。そこで、枠中継基板793と枠装飾装置21との間は、接続線Vcc、接続線Vled、接続線CSB、接続線SCK、接続線TxD、接続線GND、押しボタン信号線、セレクトボタン信号線によって接続される。
一方、枠演出装置22は、ランプ中継基板790と盤演出装置770との間と同様に、接続線Vcc、接続線Vmot、接続線Vsw、接続線CSB、接続線SCK、接続線TxD、接続線RxD、接続線GNDによって接続される。
盤装飾装置760、盤演出装置770、枠装飾装置21及び枠演出装置22と、各演出装置は、電力を供給して作動させたり、電力を遮断して停止させたりするドライバが配置されている。本実施形態でドライバには、LEDなどの発光体に接続されるLEDドライバと、モータなどの駆動体に接続されるモータドライバとが含まれる。図7から図17を参照しながらドライバ及び当該ドライバによって制御される各演出装置について説明する。まず、遊技盤30に備えられる盤装飾装置760及び盤演出装置770を制御する構成について説明する。
図7は、本発明の実施の形態の各ドライバによって制御される遊技盤30に備えられた各演出装置の配置を説明する図である。LEDやモータなどによる演出装置は、配置などに基づいてグループ化される。そして、ドライバの制御によってグループ毎に制御信号が入力される。
図8は、本発明の実施の形態の盤装飾装置760に接続される発光演出装置の構成を説明する図である。盤装飾装置760に含まれるLED基板は、5つのグループに分けられる。各グループには、LEDドライバ1〜5を介して電力の供給及び制御信号の送信が行われる。ランプ中継基板790に接続された接続線は、図8に示すように、分岐して各LEDドライバに接続される。
図7を参照すると、LEDドライバ1は、遊技盤30の下部、第1始動入賞口37、変動入賞装置(大入賞口)41、アウト口42などを含む領域に配置されたLEDを制御する。具体的には、アタッカーLED基板(図9、図10)、左サイドLED基板、チャッカーLED基板、右サイドLED基板(図9、図10)が備えられる。
LEDドライバ2は、センターケース34の右側に配置されたLEDを制御する。LEDドライバ3は、センターケース34の右上側に配置されたLEDを制御する。LEDドライバ4は、センターケース34の内部に配置される鎌役物500の回動軸側に配置されたLEDを制御する。LEDドライバ5は、同じく鎌役物500の先端側に配置されたLEDを制御する。
ここで、さらにLEDドライバ1について説明する。図9は、本発明の実施の形態のLEDドライバ1の接続形態を説明する図である。また、図10は、本発明の実施の形態のLEDドライバ1によって制御されるアタッカーLEDが配置されている変動入賞装置(大入賞口)41付近の構成を説明する図である。(A)は、変動入賞装置(大入賞口)41を含む構成が組み立てられた状態を示し、(B)は分解された状態を示している。
図9に示すように、LEDドライバ1は、入力端子としてCSB端子、TxD端子、SCK端子、A0〜A3端子、Vcc端子、Vled端子及びGND端子を備え、出力端子として、RxD端子、PORT0〜PORT15を備える。
CSB端子は接続線CSB、SCK端子は接続線SCK、TxD端子は接続線TxDに接続される。Vcc端子には、LEDドライバ1に供給される電源が接続される。Vled端子は各ポートに接続されたLEDに供給される電源が接続される。なお、LEDドライバ1では、RxD端子から出力される信号は特に設定されていない。A0〜A3端子は、アドレス設定用端子である。
図9に示すように、LEDドライバ1には、抵抗を介してLEDに接続されるポートが16個(PORT0〜15)備えられている。具体的には、PORT0〜2には、緑(G)、赤(R)、青(B)のLEDが接続され、これらのLEDは、アタッカーLED基板41bに備えられる。また、PORT12〜14には、緑(G)、赤(R)、青(B)のLEDが備えられ、これらのLEDは、右サイドLED基板41cに備えられる。
アタッカーLED基板41bは、図10に示すように、変動入賞装置(大入賞口)41の奥側に配置されており、例えば、大当り遊技における各ラウンドで所定の態様で発光するように制御される。また、右サイドLED基板41cは、変動入賞装置(大入賞口)41の右側に配置された一般入賞口40の右奥側に配置され、演出内容に応じて所定の態様で発光するように制御される。
また、LEDドライバ1には、アドレス設定用端子A0〜A3によって固有のアドレスが設定されている。例えば、LEDドライバ1には、アドレス「0000」が設定されており、例えば、アドレスが指定された制御信号が送信された場合には、自身のアドレスと比較して制御信号の入力を受け付けるか否かを判定するようにしてもよい。
さらに、LEDドライバ2及びLEDドライバ5について説明する。図11は、本発明の実施のLEDドライバ2及びLEDドライバ5の接続形態を説明する図である。(A)はLEDドライバ2、(B)はLEDドライバ5を示している。
LEDドライバ2には、普電LED基板、左下LED基板、瞳LED基板及びロゴLED基板が接続される。普電LED基板には、赤のLEDが1個接続されており、普図始動ゲート36に遊技球が通過するたびに点灯する。ロゴLED基板は、遊技機の機種のロゴを表示するLEDを制御する。ロゴLED基板には、緑、赤、青の3種類のLEDが2組備えられている。また、アドレス設定用端子A0〜A3には、アドレス「0001」が設定されている。
LEDドライバ5には、鎌役物500の先端側に備えられるLEDが接続される。LEDドライバ5には、4組の緑、赤、青の3種類のLEDが備えられ、さらに、白色LEDがPORT12〜14にそれぞれ接続されている。
続いて、遊技盤30に備えられる盤演出装置770を制御する構成について説明する。図12は、本発明の実施の形態の盤演出装置770に接続される駆動体(モータ)の構成を説明する図である。盤演出装置770に含まれるモータ基板は、3つのグループに分けられる。各グループには、MOT(モータ)ドライバ1〜3を介して電力の供給及び制御信号の送受信が行われる。ランプ中継基板790に接続された接続線は、図12に示すように、分岐してMOTドライバに接続される。
図7を参照すると、MOTドライバ1は、鎌役物500(図13参照)を駆動させるためのステッピングモータを制御する。また、MOTドライバ1は、鎌役物500を駆動させるためのステッピングモータ771aの位置情報を取得するためのモータスイッチ1が接続される。このステッピングモータ771aと位置検出を行うモータスイッチ1とでMOT(モータ)グループ1を構成する。なお、本実施形態では、1組のMOTグループには1個の駆動体が含まれるように構成されているが、複数の駆動体を含むようにしてもよい。
MOTドライバ2は、センターケース34の下部に対応する位置に設けられるシーソー役物71を動作させるステッピングモータ771bを制御する(図14参照)。また、MOTドライバ3は、MOTドライバ2と同じく、シーソー役物71を動作させるステッピングモータ771c及びモータスイッチ3に接続される。このステッピングモータ771c及びモータスイッチ3によってMOTグループ3が構成される。
ここで、盤演出装置770に含まれるMOTドライバに接続されるモータの配置について説明する。図13は、本発明の実施の形態の盤演出装置770に含まれる駆動体(モータ)の配置を説明する図である。(A)はセンターケース34を背面側から見た図であり、(B)はセンターケース34を前面側から見た図である。
盤演出装置770に含まれる鎌役物500及びシーソー役物71は、センターケース34の開口部の外縁に沿うように収容される。鎌役物500は、センターケース34の側部及び上部に対応する位置に設けられる。シーソー役物71は、センターケース34の下部に対応する位置に設けられる。
鎌役物500では、6個の小形可動部(一部図示せず)及び1個の大形可動部が変動表示装置35の外縁寄りの初期位置と変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置との間で回動することで、役物演出が実行される。各可動部は連結されており、モータグループ1に含まれるステッピングモータ771aの駆動軸に連結された可動部が回動することによって連結された各可動部が所定の態様で回動する。
続いて、シーソー役物71について説明する。図14は、本発明の実施の形態のシーソー役物の構造を説明する図である。(A)は斜視図であり、(B)は分解斜視図である。
シーソー役物71は、前述のように、センターケース34の下部に対応する位置に設けられる(図2、図13)。シーソー役物71の前面には、ロゴ部71aが形成されている。図2を参照すると、シーソー役物71の前面は、カバー部材の後方に形成されているが、カバー部材は透明部材で形成されているので、カバー部材を介してシーソー役物71を視認することができる。
シーソー役物71は、ロゴ部71a、シーソー部71b、固定部71cによって構成される。ロゴ部71aには、固定軸71dが形成されており、シーソー部71bの挿通部71eを挿通して固定部71cの軸固定部71fに固定される。シーソー部71bには、さらに、規制溝71gが形成されており、固定部71cに形成された規制軸71hが挿通されている。このように構成することによって、規制軸71hが規制溝71gの範囲内で可動し、シーソー部71bが固定軸71dを中心に揺動させることができる。そして、シーソー部71bの両端に配置されたモータグループ2に含まれるステッピングモータ771b及びモータグループ3に含まれるステッピングモータ771cによってシーソー役物71を動作させる。
続いて、さらにMOTドライバ1について説明する。図15は、本発明の実施の形態のMOTドライバ1の接続形態を説明する図である。
MOTドライバ1は、LEDドライバ1と同様に、入力端子としてCSB端子、TxD端子、SCK端子、A0〜A3端子、Vcc端子、Vmot端子、Vsw端子及びGND端子を備え、出力端子として、RxD端子、PORT0〜PORT15を備える。さらに、入出力可能な端子としてPI端子を備える。
CSB端子は接続線CSB、SCK端子は接続線SCK、TxD端子は接続線TxDに接続される。A0〜A3端子は、アドレス設定用端子であり、MOTドライバ1ではアドレス「1010」が設定されている。
PI端子は、モータスイッチ1に接続され、位置情報の取得要求を出力したり、モータスイッチ1から出力された位置情報を入力したりする。RxD端子は、接続線(受信データ線)RxDに接続され、PI端子から取得されたモータ771aの位置情報を演出制御装置700などに対して出力する。
Vcc端子には、MOTドライバ1に供給される電源が接続される。さらに、Vcc端子には、電源ノイズを除去するコンデンサCPが接続される。Vmot端子には、モータ771aに供給される電源が接続される。Vsw端子には、モータスイッチ1に供給される電源が接続される。
前述のようにMOTドライバ1によって制御されるモータ771aは、4相駆動のステッピングモータにより構成され、ステッピングモータを駆動する各相の信号端子に、所定の電圧を順次印加することで回動する。本実施形態では、モータの各相の信号端子がPORT0端子〜PORT3端子に接続される。
そして、モータ771aに接続されているPORT0端子〜PORT3端子に接続されるトランジスタのいずれかのゲートに対して電圧が印加されると、電圧が印加されたトランジスタのドレインからソースへ電流が流れることが可能になり、PORT0端子〜PORT3端子に接続されるモータに電流が流れ、役物駆動用のモータが駆動する。
なお、各PORT0端子〜PORT3端子とモータとを接続する接続線は分岐し、分岐した一方の接続線は、モータに供給される電源にダイオードD及びツェナダイオードZDを介して接続される。
以上、遊技盤30に配置される盤装飾装置760及び盤演出装置770について説明した。続いて、開閉枠4に備えられた枠装飾装置21及び枠演出装置22について図16から図18を参照しながら説明する。
図16は、本発明の実施の形態の各ドライバによって制御される開閉枠4に備えられた各演出装置の配置を説明する図である。遊技盤30の場合と同様に、LEDやモータなどによる演出装置は、配置などに基づいてグループ化される。
図17は、本発明の実施の形態の枠装飾装置21に接続される発光演出装置の構成を説明する図である。枠装飾装置21に含まれるLED基板は、4つのグループに分けられる。各グループには、LEDドライバ6〜9を介して電力の供給及び制御信号の送信が行われる。枠中継基板793に接続された接続線は、図17に示すように、分岐して各LEDドライバに接続される。
図18は、本発明の実施の形態の枠演出装置22に接続される駆動体(モータ)の構成を説明する図である。枠演出装置22に含まれるモータ基板は、2つのグループに分けられる。各グループには、MOT(モータ)ドライバ4,5を介して電力の供給及び制御信号の送受信が行われる。枠中継基板793に接続された接続線は、図18に示すように、分岐して各MOTドライバに接続される。
図16を参照すると、LEDドライバ6は、開閉枠4(ガラス枠6)の上部に配設された照明ユニット8に備えられるLEDを制御する。また、MOTドライバ4及びMOTドライバ5は、照明ユニット8の左右両側に配設された可動式照明9を動作させるステッピングモータをそれぞれ制御する。
LEDドライバ7は、開閉枠4の左側に配置された装飾部材に含まれるLEDを制御する。LEDドライバ8は、開閉枠4の右側に配置された装飾部材に含まれるLEDを制御する。LEDドライバ9は、演出ボタン17を中心とした遊技盤30の下方に配置されたLEDを制御する。
以上、本実施形態における遊技機の構成を説明した。続いて、遊技機1における制御について説明する。
〔メイン処理(遊技制御装置)〕
まず、メイン処理について説明する。図19は、本発明の実施の形態のメイン処理の前半部のフローチャートである。図20は、本発明の実施の形態のメイン処理の後半部のフローチャートである。
メイン処理は、遊技機1の電源投入時に実行が開始される。例えば、遊技場で営業を開始するために遊技機の電源を投入する場合や停電から復帰した場合に実行される。
遊技制御装置600は、メイン処理が実行されると、まず、割込みを禁止する(A1001)。次いで、割込みが発生した場合に実行されるジャンプ先を示すベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理を実行する(A1002)。さらに、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定する(A1003)。さらに、割込み処理のモードを設定する(A1004)。
次に、遊技制御装置600は、払出制御装置(払出基板)640のプログラムが正常に起動するまで待機する(A1005)。例えば、4ミリ秒間待機する。このように制御することによって、電源投入の際に、払出制御装置640の起動が完了する前に、遊技制御装置600が先に起動してコマンドを当該払出制御装置640に送信してしまうことによって、送信されたコマンドを払出制御装置640が取りこぼすことを回避することができる。
その後、遊技制御装置600は、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ)に対するアクセスを許可する(A1006)。さらに、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(A1007)。また、遊技用マイコン611に予め搭載されているシリアルポートを使用しない状態に設定する(A1008)。本実施形態では、払出制御装置640や演出制御装置700とパラレル通信を行っているため、シリアルポートを使用しないためである。
続いて、遊技制御装置600は、電源装置800内の初期化スイッチ信号がオンに設定されているか否か判定する(A1009)。初期化スイッチ信号は、遊技機1に電源が投入された場合に、初期化された状態で遊技を開始するか否かを設定するための信号である。
例えば、閉店時などに確変状態のまま電源が切断され、翌日の開店時に電源が投入された場合には、初期化された状態で遊技が開始されるように、初期化スイッチ信号がオンに設定される。一方、停電発生後に再度電源が投入された場合には、遊技を可能な限り停電前の遊技状態に近い状態で再開するために、遊技機が初期化されないように、初期化スイッチ信号がオフに設定される。
遊技制御装置600は、初期化スイッチ信号がオフに設定されている場合には(A1009の結果が「N」)、RWM内の停電検査領域のデータが正常であるか否かをチェックする(A1010〜A1013)。さらに詳しく説明すると、停電検査領域には、停電検査領域1及び停電検査領域2が含まれている。そして、停電検査領域1には停電検査領域チェックデータ1、停電検査領域2には停電検査領域チェックデータ2が記憶される。ステップA1010及びステップA1011の処理では停電検査領域1に記憶された停電検査領域チェックデータ1が正常であるか否かをチェックする。同様に、ステップA1012及びステップA1013の処理では停電検査領域2に記憶された停電検査領域チェックデータ2が正常であるか否かをチェックする。
遊技制御装置600は、RWM内の停電検査領域の停電検査領域チェックデータが正常であると判定された場合には(A1013の結果が「Y」)、チェックサムと呼ばれる検証用データを算出するチェックサム算出処理を実行する(A1014)。
そして、遊技制御装置600は、チェックサム算出処理で算出されたチェックサムの値と、電源切断時に算出されたチェックサムの値とを比較し(A1015)、これらの値が一致するか否かを判定する(A1016)。
一方、遊技制御装置600は、初期化スイッチ信号がオンに設定されている場合(A1009の結果が「Y」)、停電検査領域の値が正常でない場合(A1011又はA1013の結果が「N」)、電源切断時のチェックサムの値とステップA1014の処理で算出されたチェックサムの値とが一致しない場合には(A1016の結果が「N」)、図20のステップA1039からステップA1043までの初期化処理を実行する。初期化処理の詳細については後述する。
遊技制御装置600は、算出されたチェックサムの値と電源切断時のチェックサムの値とが一致する場合には(A1016の結果が「Y」)、停電処理が正常に実行されたため、停電前の状態に復旧させるための処理を実行する(図20のA1017〜A1023)。まず、停電時の情報が正常に記憶されていたか否かを判定するための情報が記憶されていた、RWM(リードライトメモリ:実施例ではRAM)内の領域をクリア(初期化)する。具体的には、すべての停電検査領域をクリアし(A1017)、チェックサムが記憶されていた領域をクリアする(A1018)。さらに、エラー関連の情報、及び不正行為を監視するための情報を記憶する領域をリセットする(A1019)。
次に、遊技制御装置600は、RWM内の遊技状態を記憶する領域から停電発生時の遊技状態が高確率状態であったか否かを判定する(A1020)。高確率でないと判定された場合には(A1020の結果が「N」)、ステップA1023以降の処理を実行する。
また、遊技制御装置600は、停電発生時の遊技状態が高確率状態であったと判定された場合には(A1020の結果が「Y」)、高確率報知フラグをオンに設定して高確率報知フラグ領域にセーブ(保存)する(A1021)。続いて、一括表示装置50に設けられる高確率報知LED(第3遊技状態表示器58)をオン(点灯)に設定する(A1022)。
さらに、遊技制御装置600は、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置700に送信する(A1023)。特図ゲーム処理番号は、特図ゲームの状態を示す番号であり、停電発生時にRWMの所定の領域に記憶されている。このように、特図ゲーム処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置700に送信することによって、可能な限り停電発生前に近い状態で遊技を再開することができるのである。
ここで、初期化処理を実行する場合について説明する。前述のように、初期化処理は、正常に電源が切断された遊技機を起動する場合や停電発生前の状態に復帰できない場合に実行される。
遊技制御装置600は、初期化処理において、まず、アクセス禁止領域よりも前の全作業領域をクリアする(A1039)。さらに、アクセス禁止領域よりも後の全スタック領域をクリアする(A1040)。そして、初期化された領域に電源投入時用の初期値をセーブ(保存)する(A1041)。
続いて、遊技制御装置600は、RWMクリアに関する外部情報を出力する期間に対応する時間値を設定する(A1042)。そして、初期化処理の最後に電源投入時のコマンドを演出制御装置700に送信し(A1043)、ステップA1024以降の処理を実行する。
遊技制御装置600は、ステップA1023B又はステップA1043の処理が終了すると、遊技用マイコン611(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動させる(A1024)。
なお、CTC回路は、遊技用マイコン611内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器613からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、前述したCTC回路とを備えている。タイマ割込み信号は、分周された信号に基づいてCPU611aに所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込みを発生させるための信号である。乱数更新トリガ信号(CTC)は、分周された信号に基づいて乱数生成回路に供給され、乱数生成回路が乱数を更新するトリガとなる。
遊技制御装置600は、CTC回路を起動すると、乱数生成回路の起動設定を行う(A1025)。具体的には、CPU611aが乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)に乱数生成回路を起動させるためのコード(指定値)を設定するなどの処理を実行する。さらに、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブする(A1026)。その後、遊技制御装置600は、割込みを許可する(A1027)。
なお、本実施形態のCPU611a内の乱数生成回路では、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変更されるように構成されており、ソフト乱数レジスタの初期値に基づいて各種初期値乱数の初期値(スタート値)を設定することによって、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことが可能となり、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。各種初期値乱数には、例えば、大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図変動表示ゲームの当りを決定する乱数(当り乱数)が含まれる。
続いて、遊技制御装置600は、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を実行する(A1028)。また、本実施形態では、大当り乱数は乱数生成回路において生成される乱数を使用して生成するように構成されている。すなわち、大当り乱数はハードウェアで生成されるハード乱数であり、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数はソフトウェアで生成されるソフト乱数である。なお、各種乱数の発生源は前述の態様に限定されるわけではなく、大当り乱数がソフトウェア乱数であってもよいし、大当り図柄乱数、当り乱数、変動パターン乱数がハードウェア乱数であってもよい。
さらに、初期値乱数更新処理が実行された後、遊技制御装置600は、電源装置800から入力され、ポート及びデータバスを介して読み込まれる停電監視信号をチェックする回数を設定する(A1029)。チェック回数には、通常、2以上の値が設定される。停電監視信号をチェックすることによって停電が発生したか否かを判定することができる。遊技制御装置600は、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(A1030)。停電監視信号がオンでない場合、すなわち、停電していない場合には(A1030の結果が「N」)、ステップA1028の初期値乱数更新処理を再び実行し、ステップA1028からステップA1030までの処理を繰り返し実行する(ループ処理)。
また、初期値乱数更新処理(A1028)の前に割り込みを許可(A1027)することによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生した場合に、割込み処理を優先して実行することが可能となる。したがって、初期値乱数更新処理の実行が完了するまでタイマ割込み処理を実行できないために、割込み処理に含まれる各種処理を実行する時間が不足してしまうことを回避できる。
なお、初期値乱数更新処理(A1028)は、メイン処理の他に、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行してもよい。ただし、タイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行する場合には、両方の処理で初期値乱数更新処理が実行されることを回避するため、メイン処理における初期値乱数更新処理の実行時に割込みを禁止し、初期値乱数を更新後に割込みを解除する必要がある。しかし、本実施形態のようにタイマ割込み処理で初期値乱数更新処理を実行せず、メイン処理でのみ初期値乱数更新処理を実行すれば、初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても問題が生じることはなく、さらに、メイン処理が簡素化されるという利点がある。
一方、遊技制御装置600は、停電監視信号がオンに設定されている場合には(A1030の結果が「Y」)、停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がステップA1029の処理で設定したチェック回数に到達したか否かを判定する(A1031)。停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達していない場合には(A1031の結果が「N」)、再度、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(A1030)。すなわち、停電監視信号がオンである場合にはチェック回数分だけ停電監視信号がオンであるか否かを判定する。
遊技制御装置600は、停電監視信号がオンに設定されていることを連続して検出した回数がチェック回数に到達した場合には(A1031の結果が「Y」)、停電が発生したものと見なして停電発生時の処理を実行する(A1032〜A1038)。
遊技制御装置600は、割込みを禁止し(A1032)、全出力ポートをオフに設定する(A1033)。その後、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(A1034)、さらに、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(A1035)。
さらに、遊技制御装置600は、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出するチェックサム算出処理を実行し(A1036)、算出されたチェックサムの値をRWMのチェックサム領域にセーブ(保存)する(A1037)。最後に、RWMの内容が変更されないように、RWMへのアクセスを禁止し(A1038)、遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。このように、停電復旧検査領域にチェック用のデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出して記憶させることで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判定することが可能となる。
〔タイマ割込み処理(遊技制御装置)〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。図21は、本発明の実施の形態のタイマ割込み処理の手順を示すフローチャートである。
タイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路によって生成される周期的(例えば、1ミリ秒周期)なタイマ割込信号がCPU611aに入力されることによって開始される。
タイマ割込み処理が開始されると、遊技制御装置600は、まず、所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すことによってレジスタを退避させる(A1101)。なお、本実施形態では遊技用マイコンとしてZ80系のマイコンを使用している。Z80系のマイコンには、表レジスタと裏レジスタが備えられており、表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避させることでステップA1101の処理を実装することが可能である。
次に、遊技制御装置600は、入力部620を介して入力される各種センサやスイッチなどからの入力信号を取り込み、各入力ポートの状態を読み込む入力処理を実行する(A1102)。各種センサには、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、普図のゲートスイッチ603、カウントスイッチ605などが含まれる。また、入力処理では、入力信号にチャタリング除去等を行って入力情報を確定させる。
さらに、遊技制御装置600は、各種処理でセットされた遊技制御に関する出力データを、演出制御装置700及び払出制御装置640に送信するための出力処理を実行する(A1103)。出力データは、ソレノイド等のアクチュエータの駆動制御などを行うための情報であり、制御対象となるソレノイドには、例えば、大入賞口ソレノイド28、普電ソレノイド27が含まれる。また、出力処理では、遊技機における遊技データを収集する情報収集端末装置(図示せず)に遊技データを出力する処理も含まれる。
次に、遊技制御装置600は、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置700や払出制御装置640等に送信(出力)するコマンド送信処理を実行する(A1104)。具体的には、特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド、及び停電から復旧した場合に演出制御装置700に停電復旧処理を実行させる停電復旧コマンドを演出制御装置700に送信したり、払出装置から払い出す賞球数を指定する賞球コマンドを払出制御装置640に送信したりする。
さらに、遊技制御装置600は、大当り図柄乱数1及び大当り図柄乱数2を更新する乱数更新処理1を実行し(A1105)、続いて特図変動表示ゲームにおける変動パターンを決定するための変動パターン乱数を更新する乱数更新処理2を実行する(A1106)。乱数更新処理1及び乱数更新処理2では、各種乱数にランダム性を付与するために、各種乱数に対応するカウンタ(大当り乱数カウンタ、当り乱数カウンタ、演出決定用乱数カウンタなど)の値を1ずつ加算する。
その後、遊技制御装置600は、各種入賞口スイッチなどを監視したり、枠の不正な開放などのエラーを監視したりする入賞口スイッチ/エラー監視処理が実行される(A1107)。各種入賞口スイッチには、例えば、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、カウントスイッチ605が含まれる。入賞口スイッチ/エラー監視処理では、これらのスイッチから正常な信号が入力されているか否かを監視したりする。エラーの監視としては、前面枠5やガラス枠6が不正に開放されていないかなどを対象としている。
さらに、遊技制御装置600は、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理を実行する(A1108)。なお、特図ゲーム処理の詳細については、図22にて後述する。
続いて、遊技制御装置600は、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理を実行する(A1109)。
次に、遊技制御装置600は、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDの表示内容を制御するセグメントLED編集処理を実行する(A1110)。具体的には、特図変動表示ゲーム及び普図変動表示ゲームの結果をセグメントLED(例えば、一括表示装置50)に出力するためのパラメータを編集する。
遊技制御装置600は、磁気センサスイッチ23や振動センサスイッチ24からの検出信号をチェックし、異常があるか否かを判定する磁石エラー監視処理を実行する(A1111)。異常の発生を検出した場合には、スピーカ10から報知音を出力したり、遊技状態報知LED12を点灯させたりするなどして外部に報知する。
次に、遊技制御装置600は、外部情報端子660から出力する各種信号を編集する外部情報編集処理を実行する(A1112)。
そして、遊技制御装置600は、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する(A1113)。その後、ステップA1101の処理で一時退避されていたレジスタを復帰させ(A1114)、禁止設定されていた外部機器による割込み及びタイマ割込みを許可し(A1115)、タイマ割込み処理を終了し、メイン処理に復帰する。
〔特図ゲーム処理〕
次に、前述したタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(A1108)の詳細について説明する。図22は、本発明の実施の形態の特図ゲーム処理の手順を示すフローチャートである。
特図ゲーム処理では、第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602による入力信号の監視、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図(識別図柄、識別情報)の表示の設定を行う。
特図ゲーム処理が開始されると、遊技制御装置600は、まず、第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602の入賞を監視する始動スイッチ監視処理を実行する(A1201)。
始動口スイッチ監視処理では、第1始動入賞口37、第2始動入賞口38に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。
次に、遊技制御装置600は、カウントスイッチ監視処理を実行する(A1202)。カウントスイッチ監視処理では、変動入賞装置41内に設けられたカウントスイッチ605によって当該変動入賞装置41に入賞した遊技球を検出し、入賞した遊技球の数を監視する。
次に、遊技制御装置600は、特図ゲーム処理タイマが既にタイムアップしているか、又は、特図ゲーム処理タイマを更新(−1)した結果、当該特図ゲーム処理タイマがタイムアップしたか否かをチェックする(A1203)。なお、特図ゲーム処理タイマは、初期値として、実行される特図変動表示ゲームの変動時間がセットされ、ステップA1203の処理で当該特図ゲーム処理タイマの値を1減じる。特図ゲーム処理タイマの値が0になると、タイムアップしたと判断される。
遊技制御装置600は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない場合には(A1204の結果が「N」)、ステップA1216以降の処理を実行する。
一方、遊技制御装置600は、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした場合には(A1204の結果が「Y」)、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する(A1205)。さらに、当該テーブルに基づいて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する(A1206)。そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させ(A1207)、ゲーム処理番号に応じて処理を分岐させる(A1208)。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「0」の場合には(A1208の結果が「0」)、特図普段処理を実行する(A1209)。特図普段処理は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定、特図変動中処理を実行するために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「1」の場合には(A1208の結果が「1」)、特図変動中処理を実行する(A1210)。特図変動中処理は、特図変動表示ゲームにおける識別情報の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「2」の場合には(A1208の結果が「2」)、特図表示中処理を実行する(A1211)。特図表示中処理は、特図変動表示ゲームの結果が大当りであれば、大当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間を設定したり、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報を設定したりする。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「3」の場合には(A1208の結果が「3」)、ファンファーレ/インターバル中処理を実行する(A1212)。ファンファーレ/インターバル中処理は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「4」の場合には(A1208の結果が「4」)、大入賞口開放中処理を実行する(A1213)。大入賞口開放中処理は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定したり、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報を設定したりする。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「5」の場合には(A1208の結果が「5」)、大入賞口残存球処理を実行する(A1214)。大入賞口残存球処理は、大当りラウンドが最終ラウンドの場合に大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定したり、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行ったりする。
大入賞口残存球処理では、特別図柄の処理タイマの更新とファンファーレ/インターバル中処理、又は大当り終了処理を行うために必要な情報を設定する。また、大入賞口の最大開放時間が経過したか、又は大入賞口に遊技球が規定数(所定数)だけ入賞したかを判定し、いずれかの条件が成立した場合に開閉扉41aを閉鎖する。これが所定ラウンド数繰り返し実行された後、特図ゲーム処理番号を6に設定する。
遊技制御装置600は、ゲーム処理番号が「6」の場合には(A1208の結果が「6」)、大当り終了処理を実行する(A1215)。大当り終了処理は、ステップA1209の特図普段処理を行うために必要な情報の設定等を行う。
その後、遊技制御装置600は、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム、第2特図変動表示ゲーム)において一括表示装置50における図柄の変動を制御するためのテーブルを準備する(A1216)。続いて、一括表示装置50に係る図柄変動制御処理を実行する(A1217)。
以上、遊技制御装置600で実行される処理について説明した。続いて、演出制御装置700で実行される処理について説明する。
〔1stメイン処理(演出制御装置)〕
続いて、演出表示を行うために、演出制御装置700で実行される処理について説明する。まず、演出制御装置700によって実行されるメイン処理の詳細を説明する。図23は、本発明の実施の形態の演出制御装置700の主制御用マイコン(1stCPU)710によって実行される1stメイン処理の手順を示すフローチャートである。1stメイン処理は、遊技機1に電源が投入されると実行される。
主制御用マイコン(1stCPU)710は、1stメイン処理の実行が開始されると、まず、割込みを禁止する(B1001)。次に作業領域であるRAM711を0クリアし(B1002)、CPU初期化処理を実行する(B1003)。その後、各種処理の実行に必要な初期値をRAM711に設定し(B1004)、乱数初期化処理を実行する(B1005)。
続いて、主制御用マイコン710は、所定のタイミング(例えば、2ミリ秒)で割込みを発生させるための各種割込みタイマを起動させ(B1006)、割込みを許可する(B1007)。割込みが許可されると、遊技制御装置600から送信されたコマンドを受信するコマンド受信割込み処理を実行可能な状態となる。
次に、主制御用マイコン710は、演出装置の更新周期に合わせるために、割り込みが発生するまで待機する(B1008)。割り込み完了後(B1008の結果が「Y」)、制御データ通信処理を実行する(B1009)。制御データ通信処理は、モータの回転位置を取得して異常を修正する制御を行ったり、モータやLEDの制御データを送信したりする。制御データ通信処理の詳細については、図31にて後述する。なお、電源投入後、最初に制御データを送信する場合には所定の初期値を送信する。
主制御用マイコン710は、WDT(ウォッチドックタイマ)をクリアする(B1010)。WDTは、上述したCPU初期化処理(B1003)で起動され、CPUが正常に動作しているかどうかを監視する。WDTが一定周期を経過してもクリアされない場合は、WDTがタイムアップしてCPUがリセットされる。
次に、主制御用マイコン710は、遊技者による演出ボタン17の操作信号を検出したり、検出した信号に応じた処理を実行したりする(B1011)。さらに、遊技制御装置600から受信した遊技制御コマンドを解析する遊技制御コマンド解析処理を実行する(B1012)。
次に、主制御用マイコン710は、テストモード処理を実行する(B1013)。テストモード処理は、工場出荷時の検査の際に検査用のコマンドを受信してLEDの点灯等を検査する。したがって、テストモード処理は、工場出荷時にCPUを検査する場合に実行される。
続いて、主制御用マイコン710は、遊技制御コマンド解析処理(B1012)において解析された制御コマンドに基づき、変動表示装置35に表示させるシーン(表示内容)を制御する1stシーン制御処理を実行する(B1014)。1stシーン制御処理では、画面の表示内容を統括的に制御する。そして、大当りの期待度の高い変動表示ゲームが実行されることなどを事前に報知する先読み予告制御処理も含まれる。なお、1stシーン制御処理については、図24にて後述する。
さらに、主制御用マイコン710は、遊技機1における異常の発生を監視する遊技機エラー監視処理を実行する(B1015)。演出制御装置700に関わる異常の他に、遊技制御装置600からエラー報知を指示するコマンドを受信した場合などに、警報音の報知など所定の処理を実行する。
そして、主制御用マイコン710は、映像制御用マイコン(2ndCPU)720に送信するコマンドを編集する演出コマンド編集処理を実行する(B1016)。
また、主制御用マイコン710は、スピーカ10から出力される音を制御するサウンド制御処理を実行する(B1017)。また、LED等の装飾装置(盤装飾装置760、枠装飾装置21)を制御する装飾制御処理を実行する(B1018)。装飾制御処理の詳細については、図25にて後述する。
さらに、主制御用マイコン710は、モータで駆動される電動役物や可動式照明などの演出装置(盤演出装置770、枠演出装置22)を制御するモータ制御処理を実行する(B1019)。モータ制御処理の詳細については、図28にて後述する。さらに、主制御用マイコン710は、ソレノイドで駆動される電動役物や可動式照明などの演出装置(盤演出装置770、枠演出装置22)を制御するSOL御処理を実行する(B1020)。
最後に、主制御用マイコン710は、演出乱数などの乱数を更新するための乱数更新処理を実行して(B1021)、ステップB1008の処理に戻る。以降、ステップB1008からステップB1021までの処理を繰り返す。
〔1stシーン制御処理〕
次に、前述した1stメイン処理における1stシーン制御処理(B1012)の詳細について説明する。図24は、本発明の実施の形態の1stシーン制御処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、まず、遊技機1がテスト中モードであるか否かを判定する(B1101)。テスト中モードの場合には(B1101の結果が「Y」)、実際に演出制御を行う必要がないため、1stシーン制御処理を終了する。
主制御用マイコン710は、遊技機1がテスト中モードでない場合には(B1101の結果が「N」)、遊技制御装置600から送信されたシーン変更コマンドを受信しているか否かを判定する(B1102)。シーン変更コマンドを受信していない場合には(B1102の結果が「N」)、ステップB1107以降の処理を実行する。
主制御用マイコン710は、シーン変更コマンドを受信している場合には(B1102の結果が「Y」)、更新する(現在の)遊技状態を取得する(B1103)。さらに、有効なコマンドを受信しているか否かを判定する(B1104)。具体的には、変更先のシーンが現在の遊技状態と整合するか否かなどを判定する。主制御用マイコン710は、有効なコマンドを受信していない場合には(B1104の結果が「N」)、ステップB1107以降の処理を実行する。
主制御用マイコン710は、有効なコマンドを受信した場合には(B1104の結果が「Y」)、受信したコマンドをメモリ(RAM)の所定の領域にセーブする(B1105)。さらに、演出リクエストフラグをセットする(B1106)。演出リクエストフラグは、シーンを変更するタイミングであることを示すフラグであり、後述する変動中処理(B1111)で、演出リクエストフラグが設定されているか否かに応じた処理が実行される。
続いて、主制御用マイコン710は、受信したコマンドの識別子に応じた処理を実行する(B1107)。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「電源投入コマンド」の場合には、電源投入処理を実行する(B1108)。電源投入処理では、遊技機1の電源が投入された際に表示される画面の制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「停電復旧コマンド」の場合には、停電復旧処理を実行する(B1109)。停電復旧処理では、遊技機1が停電から復旧した際に表示される画面の制御を行う。なお、停電前に客待ち処理が実行されていた場合には特別な処理を実行しない。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「客待ちデモコマンド」の場合には、客待ち処理を実行する(B1110)。客待ち処理では、変動表示ゲームが最後に実行されてから所定時間経過した場合に表示される画面の制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「変動パターンコマンド」の場合には、変動中処理を実行する(B1111)。変動中処理では、設定された変動パターンに応じたシーンを表示するために必要な情報を取得し、設定された変動パターンに対応した演出制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「図柄停止コマンド」の場合には、図柄停止処理を実行する(B1112)。図柄停止処理では、図柄の変動表示を指定された図柄で停止させる。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「ファンファーレコマンド」の場合には、ファンファーレ処理を実行する(B1113)。ファンファーレ処理では、発生した大当りに対応するファンファーレオンをスピーカ10から出力する。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「大入開放n回目コマンド」の場合には、ラウンド中処理を実行する(B1114)。ラウンド中処理では、特別遊技状態における各ラウンド中の演出制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「インターバルコマンド」の場合には、インターバル処理を実行する(B1115)。インターバル処理では、特別遊技状態における各ラウンド間の演出制御を行う。
主制御用マイコン710は、受信したコマンドが「エンディングコマンド」の場合には、エンディング処理を実行する(B1116)。エンディング処理では、特別遊技状態が終了した際の演出制御を行う。
次に、主制御用マイコン710は、図柄コマンド受信処理を実行する(B1117)。図柄コマンドには、停止図柄を指定する情報が含まれる。
さらに、主制御用マイコン710は、保留数コマンド受信処理を実行する(B1118)。保留数コマンドは、更新された保留数を通知するコマンドである。保留数コマンド受信処理では、受信した保留数に基づいて、保留表示などを更新する。
次に、主制御用マイコン710は、先読みコマンド受信処理を実行する(B1119)。先読みコマンド受信処理は、事前演出図柄コマンドなどに基づいて、保留表示演出等を設定する処理である。
次に、主制御用マイコン710は、確率情報コマンド受信処理を実行する(B1120)。確率情報コマンド受信処理は、受信した確率情報コマンドに基づいて、内部確率等の遊技状態を設定する処理である。確率情報コマンドには、例えば、高確/時短コマンド、低確/時短コマンド、低確/サポなしコマンドなどが含まれる。
〔装飾制御処理〕
続いて、前述した1stメイン処理における装飾制御処理(B1018)の詳細について説明する。図25は、本発明の実施の形態の装飾制御処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、まず、装飾制御処理が開始されると、テストモード装飾処理を実行する(B1201)。テストモード装飾処理は、テストモードで遊技機が起動された場合に実行され、あらかじめ設定された装飾パターンで遊技機に備えられたLEDなどの装飾装置が正常に点灯するかをチェックするための処理である。なお、通常モードで遊技機が起動された場合には、テストモード装飾処理を実行する必要はない。
続いて、主制御用マイコン710は、エラー時装飾処理を実行する(B1202)。エラー時装飾処理は、遊技制御装置600からエラー関連のコマンドを受信した場合に実行され、遊技者や遊技場の従業員にエラーが発生したことを報知するための装飾パターンを実行する。
次に、主制御用マイコン710は、装飾設定処理を実行する(B1203)。装飾設定処理は、遊技状態に応じた装飾パターンを設定するための処理である。装飾設定処理の詳細については、図26にて後述する。
次に、主制御用マイコン710は、イベント装飾設定処理を実行する(B1204)。イベント装飾設定処理は、所定のイベントが発生した場合に当該イベントに応じた装飾パターンを設定するための処理である。所定のイベントとは、例えば、演出ボタンが操作された場合などである。イベント装飾設定処理の詳細については、図27にて後述する。
最後に、主制御用マイコン710は、装飾パターン制御データ設定処理を実行する(B1205)。装飾パターン制御データ設定処理は、装飾設定処理及びイベント装飾設定処理にて決定された装飾パターンを、各演出装置(盤装飾装置760、枠装飾装置21)に送信する制御データを設定するための処理である。
続いて、装飾制御処理における装飾設定処理(B1203)の詳細について説明する。図26は、本発明の実施の形態の装飾設定処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、装飾設定処理を開始すると、遊技状態に応じて処理を分岐させる(B1301)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「電源投入」の場合には、まず、装飾パターンをループ設定にする(B1302)。さらに、電源投入から遊技可能な状態(客待ち中(状態))まで実行される電源投入装飾パターンを設定する(B1303)。ループ設定とは、所定の装飾パターンを繰り返すことであり、電源投入時の場合には、遊技可能な状態になるまで電源投入装飾パターンを繰り返し実行する。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「停電復旧」の場合には、まず、装飾パターンをループ設定にする(B1304)。さらに、停電から復旧してから遊技可能な状態(客待ち中(状態))まで実行される停電復旧装飾パターンを設定する(B1305)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「客待ち中」の場合には、まず、装飾パターンをループ設定にする(B1306)。さらに、客待ち中(状態)で実行される客待ちデモ装飾設定処理を実行する(B1307)。客待ちデモ装飾設定処理では、客待ちデモに対応する装飾パターンを設定する。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「変動中」、すなわち、変動表示ゲームが実行中の場合には、実行中の変動表示ゲームの演出態様に対応する装飾パターンを設定する変動中装飾設定処理を実行する(B1308)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「図柄停止中」、すなわち、変動表示ゲームにおける識別図柄が停止している場合には、識別図柄が停止中であることを示す装飾パターンを設定する図柄停止中装飾設定処理を実行する(B1309)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「ファンファーレ中」、すなわち、変動表示ゲームの結果が大当りとなった場合には、変動表示ゲームの結果が大当りとなったことを示す装飾パターンを設定するファンファーレ中装飾設定処理を実行する(B1310)。なお、ファンファーレ中装飾設定処理で設定される装飾パターンは、大当り状態が開始されるまでの間実行される。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「ラウンド中」、すなわち、大当り状態における各ラウンドが実行されている場合には、ラウンド中であることを示す装飾パターンを設定するラウンド中装飾設定処理を実行する(B1311)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「エンディング中」、すなわち、大当り状態が終了したことを示すエンディング処理が実行されている場合には、エンディング中であることを示す装飾パターンを設定するエンディング中装飾設定処理を実行する(B1312)。
続いて、装飾制御処理におけるイベント装飾設定処理(B1204)の詳細について説明する。図27は、本発明の実施の形態のイベント装飾設定処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、イベント装飾設定処理を開始すると、イベント状態に応じて処理を分岐させる(B1401)。
主制御用マイコン710は、演出ボタン装飾フラグがオンに設定されている場合には、まず、演出ボタン装飾フラグをクリアし(B1402)、さらに、演出ボタン17の操作によって実行される演出に対応する装飾パターンを設定する演出ボタン装飾設定処理を実行する(B1403)。
主制御用マイコン710は、セレクトボタン装飾フラグがオンに設定されている場合には、まず、セレクトボタン装飾フラグをクリアし(B1404)、さらに、セレクトボタンの操作によって実行される演出に対応する装飾パターンを設定するセレクトボタン装飾設定処理を実行する(B1405)。
主制御用マイコン710は、始動口スイッチがオンに設定されている場合、すなわち、始動入賞口に遊技球が入賞した場合には、始動入賞口に遊技球が入賞したことによって実行される演出に対応する装飾パターンを設定する始動入賞用装飾設定処理を実行する(B1406)。
主制御用マイコン710は、大当り状態において変動入賞装置がオン(開放)に設定されている場合には、変動入賞装置が開放されていることを示す演出に対応する装飾パターンを設定する変動入賞装置用装飾設定処理を実行する(B1407)。例えば、変動入賞装置の奥に設置されたアタッカーLED基板を点灯させる装飾パターンが設定される。
〔モータ制御処理〕
続いて、前述した1stメイン処理におけるモータ制御処理(B1019)の詳細について説明する。図28は、本発明の実施の形態のモータ制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、以降の処理では、モータを対象として説明するが、ソレノイドなど、他の駆動体を対象としてもよく、1stメイン処理におけるSOL制御処理(B1020)も同様の処理である。
主制御用マイコン710は、まず、モータ制御処理が開始されると、テストモードモータ制御処理を実行する(B1501)。テストモードモータ制御処理は、テストモードで遊技機が起動された場合に実行され、あらかじめ設定されたパターンで遊技機に備えられたモータなどの駆動体が正常に動作するかをチェックするための処理である。なお、通常モードで遊技機が起動された場合には、テストモードモータ制御処理を実行する必要はない。
続いて、主制御用マイコン710は、エラー時モータ制御処理を実行する(B1502)。エラー時モータ制御処理は、遊技制御装置600からエラー関連のコマンドを受信した場合に実行され、モータの故障を防いだり、役物が異常な動作をしないようにしたりするために回転位置を初期化するなどの処理を実行する。
次に、主制御用マイコン710は、モータ制御設定処理を実行する(B1503)。モータ制御設定処理は、遊技状態に応じたモータの可動パターンを設定するための処理である。モータ制御設定処理の詳細については、図29にて後述する。
次に、主制御用マイコン710は、イベントモータ制御設定処理を実行する(B1504)。イベントモータ制御設定処理は、所定のイベントが発生した場合に当該イベントに応じた役物の可動パターンを設定するための処理である。イベントモータ制御設定処理の詳細については、図30にて後述する。
最後に、主制御用マイコン710は、モータ励磁データパターン設定処理を実行する(B1505)。モータ励磁データパターン設定処理は、モータ制御設定処理及びイベントモータ制御設定処理で決定された各役物を駆動させる駆動体の制御データを設定するための処理である。
続いて、モータ制御処理におけるモータ制御設定処理(B1503)の詳細について説明する。図29は、本発明の実施の形態のモータ制御設定処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、モータ制御設定処理を開始すると、遊技状態に応じて処理を分岐させる(B1601)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「電源投入」の場合には、まず、モータ制御をループ設定にする(B1602)。さらに、電源投入から遊技可能な状態(客待ち中(状態))まで実行される電源投入励磁データパターンを設定する(B1603)。ループ設定とは、LEDの場合と同様に、所定のモータ制御を繰り返すことであり、電源投入時の場合には、遊技可能な状態になるまで電源投入励磁データパターンを繰り返し実行する。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「停電復旧」の場合には、まず、モータ制御をループ設定にする(B1604)。さらに、停電から復旧してから遊技可能な状態(客待ち中(状態))まで実行される停電復旧励磁データパターンを設定する(B1605)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「客待ち中」の場合には、まず、モータ制御をループ設定にする(B1606)。さらに、客待ち中(状態)で実行される客待ちデモ励磁データパターン設定処理を実行する(B1607)。客待ちデモ励磁データパターン設定処理では、客待ちデモに対応するモータの励磁データパターンを設定する。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「変動中」、すなわち、変動表示ゲームが実行中の場合には、変動表示ゲームが実行中であることを示すモータ制御を設定する変動中励磁データパターン設定処理を実行する(B1608)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「図柄停止中」、すなわち、変動表示ゲームにおける識別図柄が停止している場合には、識別図柄が停止中であることを示すモータ制御を設定する図柄停止励磁データパターン設定処理を実行する(B1609)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「ファンファーレ中」、すなわち、変動表示ゲームの結果が大当りとなった場合には、変動表示ゲームの結果が大当りとなったことを示すモータ制御を設定するファンファーレ励磁データパターン設定処理を実行する(B1610)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「ラウンド中」、すなわち、大当り状態における各ラウンドが実行されている場合には、ラウンド中であることを示すモータ制御を設定するラウンド励磁データパターン設定処理を実行する(B1611)。
主制御用マイコン710は、遊技状態が「エンディング中」、すなわち、大当り状態が終了したことを示すエンディング処理が実行されている場合には、エンディング中であることを示すモータ制御を設定するエンディング励磁データパターン設定処理を実行する(B1612)。
続いて、モータ制御処理におけるイベントモータ制御設定処理(B1504)の詳細について説明する。図30は、本発明の実施の形態のイベントモータ制御設定処理の手順を示すフローチャートである。
主制御用マイコン710は、イベントモータ制御設定処理を開始すると、イベント状態に応じて処理を分岐させる(B1701)。
主制御用マイコン710は、演出ボタンモータ制御フラグがオンに設定されている場合には、まず、演出ボタンモータ制御フラグをクリアし(B1702)、さらに、演出ボタン17の操作によって実行される演出に対応する励磁データパターンを設定する演出ボタン励磁データパターン設定処理を実行する(B1703)。
主制御用マイコン710は、セレクトボタンモータ制御フラグがオンに設定されている場合には、まず、セレクトボタンモータ制御フラグをクリアし(B1704)、さらに、セレクトボタンの操作によって実行される演出に対応する励磁データパターンを設定するセレクトボタン励磁データパターン設定処理を実行する(B1705)。
主制御用マイコン710は、始動口スイッチがオンに設定されている場合、すなわち、始動入賞口に遊技球が入賞した場合には、始動入賞口に遊技球が入賞したことによって実行される演出に対応する励磁データパターンを設定する始動入賞励磁データパターン設定処理を実行する(B1706)。
主制御用マイコン710は、大当り状態において変動入賞装置がオン(開放)に設定されている場合には、変動入賞装置が開放されていることを示す演出に対応する励磁データパターンを設定する変動入賞装置励磁データパターン設定処理を実行する(B1706)。
〔制御データ通信処理〕
続いて、前述した1stメイン処理における制御データ通信処理(B1009)の詳細について説明する。図31は、本発明の実施の形態の制御データ通信処理の手順を示すフローチャートである。
本実施形態では、1周期内ですべてのモータ(MOTドライバ)に対して制御データを送信し、LEDの制御データについては、所定数のLEDドライバに対して制御データを送信する。具体的には、2個のLEDドライバに接続されたLEDの制御データを送信する。
主制御用マイコン710は、まず、周期Nが最大値(MAX)より大きいか否かを判定する(B1801)。周期Nが最大値よりも大きい場合には(B1801の結果が「Y」)、周期を1に設定する(B1802A)。そして、モータ初期位置フラグをオンに設定する(B1802B)。モータ初期位置フラグとは、モータの回転位置を初期位置に設定するか否かを決定するためのフラグである。周期Nが最大値よりも大きくなった場合、には、周期Nの値を初期値(1)に設定し、モータの回転位置を初期位置に設定する。
主制御用マイコン710は、周期Nが最大値以下の場合には(B1801の結果が「N」)、モータの回転位置を初期位置に戻す必要はないため、モータ初期位置フラグをクリアする(B1802C)。
モータ初期位置フラグを設定すると、主制御用マイコン710は、N周期に対応する制御データの送信準備を開始する(B1803)。
次に、主制御用マイコン710は、各モータの位置情報を取得するために、モータスイッチ情報取得命令を各MOTドライバに送信する(B1804)。そして、各モータのモータスイッチ情報を接続線RxDを介して受信し(B1805)、異常が検出されたか否かを判定する(B1806)。
主制御用マイコン710は、受信したモータスイッチ情報に基づいて異常が検出された場合には(B1806の結果が「Y」)、異常修正処理(異常修正手段)を実行する(B1807)。異常修正処理では、例えば、モータの位置情報を正常な位置となるように制御データを送信する。異常修正処理の詳細については、図38及び図39にて後述する。
このように、モータの制御データを送信する前に、異常を検出及び修正することによって、同一周期内で異常を修正して正常な制御データを送信することが可能となる。
主制御用マイコン710は、モータに異常が発見されなかった場合(B1806の結果が「N」)、又は、ステップB1807の異常修正処理が終了した後、すべてのモータに制御データを送信したか否かを判定する(B1808)。
主制御用マイコン710は、すべてのモータに制御データを送信していない場合には(B1808の結果が「N」)、モータ制御データを生成し、送信する(B1809〜B1814)。具体的には、まず、モータの制御を開始することを指示するモータ制御開始命令を設定する(B1809)。
次に、主制御用マイコン710は、制御対象のモータを制御するMOTドライバのICアドレスを設定する(B1810)。ICアドレスとは、MOTドライバを特定するためのアドレス情報である。
次に、主制御用マイコン710は、周期に対応するモータの励磁データを設定する(B1811)。本実施形態のモータは4相駆動のステッピングモータにより構成されるため、駆動させる相を指定する。具体的には、所定の電圧を印加する信号端子(相に対応)を指定する。
次に、主制御用マイコン710は、モータ停止解除を設定する(B1812)。モータ停止解除の設定は、STOP端子に所定の電圧を印加することによってモータを停止させることを可能とするか否かを設定する。さらに、主制御用マイコン710は、STOP端子を無効とするか否かを設定する(B1813)。
ステップB1809からステップB1813までのデータを設定すると、主制御用マイコン710は、生成された制御データを盤枠装飾演出I/F回路741に送信し(B1814)、その後、各演出装置に制御データが送信される。このとき、送信した制御データに対応するモータ制御データ送信フラグをオンに設定する。
一方、主制御用マイコン710は、すべてのモータに制御データの送信が完了した場合には(B1808の結果が「Y」)、すべてのモータ制御データ送信フラグをクリアする(B1815)。
次に、主制御用マイコン710は、LEDなどの装飾装置の制御データを生成及び送信するLED制御処理を実行する(B1816)。LED制御処理の詳細については、図32にて後述する。最後に、周期数Nを+1更新し(B1817)、本処理を終了する。
〔LED制御処理〕
続いて、前述した制御データ通信処理におけるLED制御処理(B1816)の詳細について説明する。図32は、本発明の実施の形態のLED制御処理の手順を示すフローチャートである。
LED制御処理では、周期毎に対応するLEDドライバに接続されるLEDの制御データを生成及び送信する。本実施形態では、前述のように、1周期で2個分のLEDドライバに接続されるLEDの制御データを生成する。したがって、必要最小限の分岐の数は、LEDドライバの数を2で除して切り上げた整数となるが、分岐の数が周期の数よりも小さい場合にはダミーデータを送信する。
主制御用マイコン710は、まず、周期に応じて処理を分岐させる(B1901)。なお、周期に応じて設定対象のLEDが異なるが、処理内容は同じであるため、以降の処理については、第1周期(A周期)についてのみ説明し、他の周期については説明を省略する。
主制御用マイコン710は、制御データの生成を開始すると、まず、LEDドライバ1に接続されるLEDの制御データを生成する(B1902a〜B1907a)。具体的には、まず、LEDの制御を開始することを指示するLED制御開始命令を設定する(B1902a)。
次に、主制御用マイコン710は、制御対象となるLEDドライバ1のICアドレスを設定する(B1903a)。
次に、主制御用マイコン710は、制御データに含まれる、“BIT”、“RW”、“ALL”のパラメータをすべて1に設定する(B1904a)。これらのパラメータの詳細については、図33にて後述する。
次に、主制御用マイコン710は、LEDラインアドレス(ドライバに接続されたLEDの個別のアドレス)の値を0に設定し(B1905a)、さらに、LEDの発光パターンを定義するLED制御データを設定する(B1906a)。そして、設定されたLED制御データを盤枠装飾演出I/F回路741に送信する(B1907a)。
同様に、主制御用マイコン710は、LEDドライバ2についてもLED制御データを生成し(B1908a〜B1912a)、生成されたLED制御データを送信する(B1913a)。その後、制御データ通信処理に戻る。
〔制御データ〕
続いて、前述したLEDやモータの制御データの具体例について説明する。図33は、本発明の実施の形態のLED発光制御通信データの一例を示す図である。
LED発光制御通信データは、「命令内容」、「インストラクション」、「ICアドレス」、「BIT」、「RW」、「ALL」、「LEDラインアドレス」が含まれる16bitのデータである。
演出制御装置700からSCK端子に接続されるシリアルクロック線(接続線SCK)を介して出力されるクロック信号がHIGHに変化するたびに、各ビットに対応して送信データ線(接続線TxD)の信号レベルが設定される。
LED発光制御通信データには、通常命令、非反映命令、ラッチ命令8、ラッチ命令4の少なくとも4種類の命令が設定可能となっており、インストラクションに設定された4bitのデータに対応する命令内容が設定される。通常命令は、演出制御装置700から制御データが送信されると、接続線CSBの信号レベルがHIGHになったタイミングで演出装置(LED)に定義された演出内容を即座に反映させる。
非反映命令は、演出制御装置700から送信された制御データを受信しても即座に演出装置に反映させず、後述するラッチ命令を受信したタイミングで装飾パターンを反映させる。ラッチ命令は、受信した装飾パターンを接続線CSBの信号レベルがHIGHになったタイミングで演出装置に反映させる命令である。非反映命令とラッチ命令を組み合わせることによって複数の演出装置の装飾パターンを同時に反映させることができる。なお、ラッチ命令8は、8bit階調PWMデータとして反映させる場合に設定される。
ICアドレスは、前述のように、特定のLEDドライバを指定するためのアドレス情報である。ICアドレスは、5bitのデータを設定することが可能となっている。なお、本実施形態ではアドレスとして4bitのデータを使用し、1bitは使用されないようになっている。
BITは、送信される制御データが8bit階調PWMデータであるか否かを指定するデータである。「1」が設定されている場合には8bit階調PWMデータとなり、「0」が設定されている場合には4bit階調PWMデータとなる。
RWは、制御データの読み書きを指定するデータである。「1」の場合は書き込みであり、装飾パターンを設定する場合に設定される。「0」は読み出し専用を示し、設定されているデータを取得する。本実施形態では「1」が設定される。
ALLは、LEDラインアドレスの設定を優先するかを指定するデータである。「1」の場合はLEDラインアドレスの設定を優先し、「0」の場合はLEDラインアドレスの設定を優先せずに、例えば、受信したデータを順次接続されたLEDに反映させる。なお、本実施形態では「1」が設定されるが、後述するように、LEDラインアドレスを無視して制御するため、いずれの値であってもよい。
LEDラインアドレスは、ドライバに接続されたLEDを指定するアドレスである。本実施形態では、シリアルデータ通信で制御データを送信するため、LEDラインアドレスには0(又は任意の値)が設定される。
続いて、LED制御データを送信する例についてさらに具体的に説明する。図34は、本発明の実施の形態のLED制御データの具体例を説明する図である。(A)は制御データ本体の前に送信されるLED発光制御通信データの例を示し、(B)はLED制御データ送信時における動作タイミングを示している。
(A)を参照すると、LED発光制御通信データのインストラクションに「1010」が設定されているため、命令内容に通常命令が設定されている。なお、本実施形態では、通常命令で制御データを送信するため、インストラクションには「1010」が設定される。
また、ICアドレスには「00000」が設定されており、LEDドライバ1が指定されている。BIT、RW、ALLにはそれぞれ「1」が設定されている。したがって、以降の制御データはLEDドライバ1に接続されたLEDに対して装飾パターンが設定される8bit階調PWMデータとなる。なお、前述のようにLEDラインアドレスの値は無視されるため、特に値は設定されていない。
(B)を参照すると、接続線CSBの信号レベルが立ち下がった状態でLED制御データの送信が開始される。まず、LEDの装飾パターンを設定する制御データを送信する前に、LED発光制御通信データが送信される。LED発光制御通信データは16bitで構成されるため、接続線SCKに出力されるクロック信号が16回変化する間に送信される。
LED発光制御通信データの送信が完了すると、制御データの送信が開始される。制御データは、ポート15に接続されるLEDの制御データから順次送信される。具体的には、クロック信号の17回目の変化でポート15に接続されたLEDに設定する装飾データの最終ビットのデータが出力される。なお、本実施形態では、図9に示したように、16ポートのうち15ポートにLEDが接続されているため、ポート15に対応する制御データとしてダミーデータが送信される。したがって、LED発光制御通信データが16bit、制御データが8bit×16ポート=128bitの合計144bitのデータが出力される。
続いて、モータ及びモータスイッチの制御データについて説明する。図35は、本発明の実施の形態のモータ制御通信データの一例を示す図である。(A)はモータ制御通信データの定義を示す図であり、(B)はモータ制御通信データの内容を説明する図である。また、(C)はモータスイッチ制御通信データの定義を示す図であり、(D)はモータスイッチ制御通信データの内容を説明する図である。まず、モータ制御通信データについて説明する。
(A)に示すように、モータ制御通信データは、「命令内容」、「インストラクション」、「ICアドレス」、「励磁データ」、「SRF」、「STI」が含まれる15bitのデータである。
LED発光制御通信データと同様に、演出制御装置700からSCK端子に接続されるシリアルクロック線(接続線SCK)を介して出力されるクロック信号がHIGHに変化するたびに、各ビットに対応して送信データ線(接続線TxD)の信号レベルが設定される。
モータ制御通信データには、インストラクションに設定された4bitのデータに対応する命令内容が設定される。本実施形態では、命令内容には簡易命令に対応する「0111」が設定される。
ICアドレスは、特定のMOTドライバを指定するためのアドレス情報である。ICアドレスは、LED発光制御通信データと同様に、5bitのデータを設定することが可能となっており、本実施形態では4bitのデータを使用し、先頭の1bitは予備用になっている。
励磁データは、電圧を印加する端子を指定するデータであり、CH1からCH4に対応する4bitのデータである。「1」が設定されている場合に対応する端子に電圧が印加される。励磁データを設定することによってモータを制御し、役物を動作させる。デフォルト値にはすべての端子に電圧が印加されない「0」が設定される。
SRFは、モータ停止解除命令の有効又は無効を設定するデータである。「1」の場合はSTOP端子に所定の電圧を印加してモータを停止させる機能を解除する。すなわち、「1」が設定されると、モータ停止解除命令が無効となる。「0」の場合にはSTOP端子に所定の電圧を印加してモータを停止させることが可能となる。デフォルト値には「0」が設定される。
STIは、STOP端子を有効とするか否かを設定するデータである。「1」の場合はSTOP端子が無効に設定されるため、SRFの設定値にかかわらず、モータ停止解除命令は無効となる。デフォルト値には「0」が設定される。
続いて、モータスイッチ制御通信データについて説明する。(C)に示すように、モータスイッチ制御通信データは、「命令内容」、「インストラクション」、「ICアドレス」が含まれる9bitのデータである。
他のデータと同様に、演出制御装置700からSCK端子に接続されるシリアルクロック線(接続線SCK)を介して出力されるクロック信号がHIGHに変化するたびに、各ビットに対応してデータ線(接続線TxD)の信号レベルが設定される。
モータスイッチ制御通信データには、P1read1命令及びP1read2命令の少なくとも2種類の命令が設定可能となっており、インストラクションに設定された4bitのデータに対応する命令内容が設定される。(D)に示すように、P1read1命令は、指定されたアドレスに対応するモータスイッチからモータの位置情報をP1端子から取得する。P1read2命令は、すべてのモータスイッチからモータの位置情報をP1端子から取得する。したがって、P1read2命令が出力される場合には、アドレスの指定は不要である。なお、本実施形態のMOTドライバにはP2端子が備えられているため、P2端子から情報を取得するコマンドを設定することも可能となっている。
ICアドレスは、モータ制御通信データのICアドレスと同じであり、P1read2命令の場合には無視される。
続いて、モータ制御データを送信する例についてさらに具体的に説明する。図36は、本発明の実施の形態のモータ制御データの具体例を説明する図である。(A)はMOTドライバ1を駆動させるためのモータ制御通信データの例であり、(B)はモータ制御データ送信時における動作タイミングを示している。
(A)を参照すると、まず、インストラクションとして「0111」(固定値)が設定されており、ICアドレスとしてMOTドライバ1のアドレスに対応する「01010」が設定される。各端子(チャンネル)に対応するデータが演出パターンに対応するように設定される。停止解除命令を無効に設定するために、SRF及びSTIの値を「1」に設定する。
(B)を参照すると、接続線CSBの信号レベルが立ち下がった状態でモータ1の制御データの送信が開始される。LEDの場合と異なり、モータ毎に制御データが送信されるため、(A)に示したモータ制御データがそのまま送信される。なお、励磁データは、前述のように、接続線CSBの信号レベルがHIGHに変化するタイミングでモータに反映される。
続いて、スイッチモータ制御データを送信する例についてさらに具体的に説明する。図37は、本発明の実施の形態のモータ制御データの具体例を説明する図である。(A)は各モータスイッチから位置情報を取得するためのモータスイッチ制御通信データの例であり、(B)はモータスイッチ制御データ送信し、各モータの位置情報を取得する動作タイミングを示している。
(A)を参照すると、まず、インストラクションとして「1110」、すなわち、全モータの位置情報を取得するP1read2命令が設定されている。全モータの位置情報を取得するため、ICアドレスの設定は不要である。
(B)を参照すると、接続線CSBの信号レベルが立ち下がった状態でモータスイッチ制御通信データの送信が開始され、まず、データ線TxDを介してインストラクションのデータが出力される。各モータスイッチは、モータスイッチ制御通信データを受信すると、モータスイッチ1から、順次、各モータスイッチの位置情報が接続線RxDを介して出力される。各モータスイッチの位置情報は、P1端子及びP2端子から各1bit、合計2bitのデータが4クロックの間隔で出力される。
〔異常修正処理〕
続いて、前述した制御データ通信処理における異常修正処理(B1807)の詳細について説明する。図38は、本発明の実施の形態の異常修正処理の手順を示すフローチャートである。異常修正処理は、モータスイッチからモータの位置情報を取得し、取得した位置情報が異常であった場合に正常な位置に修正する。
主制御用マイコン710は、まず、モータ初期位置フラグがオンに設定されているか否かを判定する(B2001)。本実施形態では、モータの回転位置が初期位置の場合にモータスイッチがオンに設定される。また、図31に示したように、モータの周期Nが1の場合にモータ初期位置フラグがオンに設定され、言い換えると、モータ初期位置フラグがオンに設定されている場合には周期Nが1に設定されていることになる。
主制御用マイコン710は、モータ初期位置フラグがオンに設定されている場合には(B2001の結果が「Y」)、モータスイッチがオンになっているか否かを判定する(B2002)。モータ初期位置フラグがオンに設定されている場合には、周期Nが1に設定されているはずであり、かつ、モータスイッチがオンになっているはずである。したがって、モータスイッチがオンになっている場合には(B2002の結果が「Y」)、正常に動作しているため、異常修正フラグをオンに設定せずに、ステップB2005以降の処理を実行する。
一方、主制御用マイコン710は、モータ初期位置フラグがオンに設定されていない場合には(B2002の結果が「N」)、モータの回転位置が初期位置でないため、後述する処理によってモータの回転位置を初期位置に戻すために、異常修正フラグをオンに設定する(B2004)。
一方、主制御用マイコン710は、モータ初期位置フラグがオンに設定されていない場合には(B2001の結果が「N」)、モータスイッチがオンになっているか否かを判定する(B2003)。この場合、モータは回転中であり、回転位置は初期位置でないはずである。そこで、モータ初期位置フラグがオンに設定されていないにもかかわらず、モータスイッチがオンになっている場合には(B2003の結果が「Y」)、モータの回転位置を修正するために、異常修正フラグをオンに設定する(B2004)。モータスイッチがオンでない場合には(B2003の結果が「N」)、正常に動作している可能性が高いため、異常修正フラグを設定せずに、ステップB2005以降の処理を実行する。
主制御用マイコン710は、モータスイッチの状態を検出した後、異常修正フラグがオンに設定されているか否かを判定する(B2005)。異常修正フラグがオンに設定されていない場合には(B2005の結果が「N」)、異常を修正するための処理を行う必要がないため、本処理を終了する。
主制御用マイコン710は、異常修正フラグがオンに設定されている場合には(B2005の結果が「N」)、周期Nが1であるか否かを判定する(B2006)。周期Nが1の場合には(B2006の結果が「Y」)、周期の最初でありながらモータの回転位置が初期位置にないため、フル稼動励磁データパターンを設定してモータを動作させる(B2007)。フル稼動励磁データパターンとは、例えば、モータの可動可能範囲全体で可動させてから初期位置に戻るように動作させるための制御データである。
また、主制御用マイコン710は、モータ位置の異常修正中に異常報知として、LEDなどの装飾装置を発光させる修正中装飾設定処理を実行する(B2008)。このとき発光される装飾装置は、通常(正常な場合)の演出で使用されるものである。そして、異常報知を行っている間は、通常とは異なる態様(異常発生態様)で発光させる。例えば、発光色を異ならせたり、点滅態様を異ならせたりする。
一方、主制御用マイコン710は、周期Nが1でない場合には(B2006の結果が「N」)、動作中のモータが戻り動作であるか否かを判定する(B2009)。本実施形態のモータは、一方向に回転を継続するのではなく、役物を動作させるために、所定の範囲を回動するように制御している。例えば、初期位置を中心に0°から180°の範囲を回動するように構成されている。この場合、初期位置から離れる方向に回動する場合と、初期位置に戻る方向に回動する場合とがある。初期位置に戻る場合が戻り動作となる。
また、例えば、16周期で一連の動作を完了させる場合には、初期位置から離れる動作(第1動作態様)を1〜8周期、初期位置に戻る動作(第2動作態様)を9〜16周期で行うことになる。したがって、ステップB2009の処理では、現在の周期Nが9以上であるか否かを判定する。そして、戻り動作(第2動作態様)においてモータスイッチがオンになった場合、すなわち、初期位置に戻った場合には異常修正が完了したと判定する。
ここで、フローチャートに基づいて説明すると、主制御用マイコン710は、戻り動作が実行されていない場合には(B2009の結果が「N」)、戻り動作が実行されるまでそのままモータの回動を継続させる。
一方、主制御用マイコン710は、戻り動作が実行されている場合には(B2009の結果が「Y」)、モータスイッチがオンになったか否か、すなわち、初期位置に戻ったか否かを判定する(B2010)。このとき、初期位置に戻っていない場合には(B2010の結果が「N」)、初期位置に戻るまで処理を継続する。
主制御用マイコン710は、モータスイッチがオンになった場合、すなわち、モータが初期位置に戻った場合には(B2010の結果が「N」)、異常修正が完了したものとして、異常修正フラグをクリアする(B2011)。そして、周期Nを最大値(この場合には16)に設定する(B2012)。ステップB2012の処理で周期Nを最大値に設定することによって、図31の制御データ通信処理で周期1から処理が開始されるように制御される。
このように、所定の可動範囲で可動させて正常な位置(初期位置)に戻すことによって異常状態から回復させることができる。なお、異常修正処理については、可動式照明9に対する具体例を図51以降にて後述する。
〔可動式照明への適用例〕
以上、本実施形態における構成、制御及びデータについて説明した。続いて、可動式照明9を例として具体的に送受信されるデータや処理について説明する。
図39は、本発明の実施の形態の照明ユニット8に含まれる左側に配設された可動式照明9の構成を説明する図である。(A)は加工レンズを取り付けた状態、(B)は加工レンズを取り外して反射レンズが露出した状態、(C)は反射レンズを取り外してLED基板が露出した状態を示している。なお、照明ユニット8の右側に配設された可動式照明9も同様の構造となっている。
可動式照明9は、前面枠5に取り付けるための縦向き円形状のベース部材91を備える。また、図39(C)に示すように、ベース部材91の前面側には、発光基板にランプやLEDなどの発光体95bを実装した光源95を配置し、該光源95の中央にはベース部材91に形成された軸受部91aの前端部が前方に突出している。そして、ベース部材91の前方には円筒状のカバー部材92が設けられる。
また、ベース部材91の後方にはモータ96を含む回動機構が設けられている。モータ96は、2相励磁ステッピングモータである。図39(C)に示すように、モータ96の出力軸に軸着した駆動ギアに噛合する回動ギアに軸着された回動軸を軸受部91aに回動自在な状態で挿通し(図51参照)、回動軸のうち軸受部91aから前方へ突出した前端部をカバー部材92に止着して、回動機構によりカバー部材92を回動できるように構成されている。さらに、回動機構には、回動位置センサ(演出モータスイッチ752d、図51参照)が備えられており、回動軸の回動位置、さらにカバー部材92の姿勢(回動位置)が検出可能になっている。
カバー部材92は、開放口が前後両端に形成された不透明の円筒状部材である。カバー部材92は、後側に配置された光源95の側方を包囲し、光源95からの光が可動式照明9の側方へ透過することを規制するとともに、前側開放口から可動式照明9の前方に向けて透過することを許容している。
図39(A)に示すように、カバー部材92には、前側開放口を閉塞可能な円形状の収束レンズ体で構成された加工レンズ部93が備えられる。加工レンズ部93は、3つの凸レンズ部93aを加工レンズ部93の中心部の周りに120度ずつ位相がずれた状態で形成している。
また、図39(B)に示すように、カバー部材92の内部のうち加工レンズ部93と光源95との間には、透明な円板状のレンズ部材である反射レンズ部94が配置されている。光源95から放射され、反射レンズ部94を透過した光は、凸レンズ部93aから前方に投光され、光源95からの光が可動式照明9の前方に透過する。
続いて、可動式照明9を稼動させるモータ96を制御するMOTドライバ4及びMOTドライバ5について説明する。図40は、本発明の実施の形態の可動式照明9を制御するMOTドライバの接続形態を説明する図である。(A)は左側の可動式照明9を駆動させるモータ96を制御するMOTドライバ4、(B)は右側の可動式照明9を駆動させるモータを制御するMOTドライバ5の構成である。
MOTドライバ4及びMOTドライバ5は、図15にて説明したMOTドライバ1と同様の構成となっている。なお、各ドライバのアドレスの設定は相違しており、MOTドライバ4のアドレスには「1101」、MOTドライバ5のアドレスには「1110」が設定されている。
図41は、本発明の実施の形態の可動式照明9を可動させる各モータの動作を説明する図である。(A)は左側の可動式照明9を可動させるモータを示し、(B)は右側の可動式照明9を可動させるモータを示している。
本実施形態のモータは、A周期〜H周期までの8周期で一連の動作を行い、2周期毎に電圧が印加される端子が切り替えられる。(A)を参照すると、左側の可動式照明9では、A周期及びB周期ではCH1及びCH2に電圧が印加され、C周期になると、CH2及びCH3に電圧が印加される。さらに、E周期になると、CH3及びCH4に電圧が印加され、G周期になると、CH4及びCH1に電圧が印加される。このように制御することによって、左側の可動式照明9を右回転させることができる。
一方、右側の可動式照明9では、(B)に示すように、A周期及びB周期ではCH4及びCH1に電圧が印加され、C周期になると、CH3及びCH4に電圧が印加される。さらに、E周期になると、CH2及びCH3に電圧が印加され、G周期になると、CH1及びCH2に電圧が印加される。このように制御することによって、右側の可動式照明9を左回転させることができる。
ここで、前述のように可動式照明9が動作している間におけるLEDの発光制御について説明する。図42は、本発明の実施の形態の可動式照明9に備えられた光源95に配置された発光体(LED)95bを制御するLEDドライバ6の構成を説明する図である。
LEDドライバ6は、図9に示したLEDドライバ1と同様の構成である。ただし、アドレスの設定は「0101」となっている。また、LEDドライバ6は、図16に示したように、開閉枠4の上部に備えられるLEDの発光制御を行う。そして、LEDドライバ6のPORT12及び13には左側の可動式照明に備えられた光源95(枠役物左LED基板)に含まれるLEDが接続される。具体的には、PORT12に赤色のLED、PORT13に白色のLEDが接続される。一方、PORT14及び15には右側の可動式照明に備えられた光源95(枠役物右LED基板)に含まれるLEDが接続される。具体的には、PORT14に赤色のLED、PORT15に白色のLEDが接続される。
図43は、本発明の実施の形態の可動式照明9に備えられた発光体(LED)の発光態様を説明する図である。(A)は赤色LEDが発光する発光パターン1、(B)は白色LEDが発光する発光パターン2を示している。
本実施形態では、A周期からH周期までの8周期で一連の動作を行い、2周期又は4周期毎に発光態様を変化させる。具体的には、(A)に示す発光パターン1では、左右の可動式照明9の赤色のLEDを4周期毎に発光させる。一方、(B)に示す発光パターン2では、左右の可動式照明9の白色のLEDを4周期毎に発光させる。したがって、白色に発光させる場合には赤色に発光させる場合よりも点滅速度が速くなるように設定されている。
図44は、本発明の実施の形態における可動式照明9を制御するMOTドライバ及びLEDドライバに送信する制御データの例を示す図である。(A)は左側の可動式照明9の励磁データ(枠役物左可動モータ励磁データ)、(B)は右側の可動式照明9の励磁データ(枠役物右可動モータ励磁データ)、(C)は可動式照明9に備えられたLEDを制御するLED制御データである。また、(A)は図41(A)に対応し、(B)は図41(B)に対応し、(C)は図43(A)に対応する。
図45及び図46は、本発明の実施の形態における周期毎に送信される制御データ及び送信順序を説明するための図である。図45はA周期からD周期、図46はE周期からH周期までを示している。
また、本実施形態では、モータの更新周期が2ミリ秒、LEDの更新周期が16ミリ秒、1秒間当りのクロック(パルス)数が500(pps)、割り込み処理の発生間隔が2ミリ秒となっており、1周期は2ミリ秒となる。また、本実施形態では、A周期からH周期までの8周期で一連のデータの送信が完結する。
各周期が開始されると、まず、モータスイッチ情報を取得するための制御データを送信する(SW1、図31のB1804)。そして各モータスイッチからモータスイッチ情報を受信する(SW2、図31のB1805)。続いて、各MOTドライバに制御データを送信する(STM1〜STM5、図31のB1808〜B1814)。これらのモータに関する制御データについては各周期で共通して送受信される。
各MOTドライバに対する制御データが送信された後、周期毎に異なるLEDドライバを対象としたLED制御データが送信される。具体的には、A周期ではLEDドライバ1及びLEDドライバ2の制御データを送信する。さらに、B周期ではLEDドライバ3及びLEDドライバ4、周期CではLEDドライバ5及びLEDドライバ6、D周期ではLEDドライバ7及びLEDドライバ8、E周期ではLEDドライバ9及びダミーデータ、F周期からH周期では2つのダミーデータが送信される。なお、LED制御データの送信に失敗した場合には、ダミーデータを送信するタイミングで、データを再送してもよい。
また、1周期で制御データを送受信する時間の合計は、余裕を持たせるために、2ミリ秒よりも短くなるように設定されている。
さらに、各周期における制御データの送信について詳細を説明する。図47から図50は、本発明の実施の形態のA周期における制御データの送信を示すタイミングチャートである。
前述のように、各周期の制御データの送信が開始されると、まず、各モータのモータスイッチ情報を取得する。具体的には、接続線CSBの信号レベルを立ち下げ、最初の4クロックで全モータの位置情報を取得するP1read2命令を示すインストラクション「1110」をデータ線TxDに出力する。そして、各モータスイッチからPI端子の出力情報であるモータスイッチ情報が接続線RxDを介して順次送信される。すべてのモータスイッチ情報を取得すると、接続線CSBの信号レベルを立ち上げる。
続いて、各MOTドライバに対してモータの制御データを送信する。接続線CSBの信号レベルを立ち下げ、最初の4クロックで簡易命令に対応する「0111」をデータ線TxDに出力する。そして、MOTドライバのアドレスに対応するICアドレス(5bit)を出力し、続いて、モータを動作させるために電圧を印加する端子を指定する励磁データ(4bit)をデータ線TxDに出力する。最後に、SRF及びSTIにそれぞれ「1」を設定してSTOP端子による停止を無効にする。その後、接続線CSBの信号レベルを立ち上げることで、設定した励磁データがモータに反映され、制御データの送信を完了する。MOTドライバ1から5について同様に処理する(図47及び図48)。
すべてのMOTドライバに制御データを送信すると、A周期なのでLEDドライバ1(図49)及びLEDドライバ2(図50)にLED制御データを送信する。LEDドライバに制御データを送信する場合、まず、LED発光制御通信データを送信し、その後、各ポートに対応する制御データを順次送信する。
LEDドライバ1に制御データを送信する場合、まず、接続線CSBの信号レベルを立ち下げ、LED発光制御通信データの送信を開始する。LED発光制御通信データの内容としては、まず、最初の4クロックで通常命令であることを示す「1010」がデータ線TxDに出力される。次に、LEDドライバ1のICアドレスを示す「00000」がデータ線TxDに出力される。そして、BIT、RW、ALLにそれぞれ「1」が出力され、LEDラインアドレスが出力される。なお、制御データはシリアルデータとして出力されるため、LEDラインアドレスは、前述のように、特に指定する必要はなく、任意の値でよい。
LED発光制御通信データの送信が完了すると、接続線CSBの信号レベルを立ち上げることなく立ち下げたままの状態で、LEDドライバ1に接続される各LEDについて、LED15から、順次、LED0までの制御データをデータ線TxDに出力する。LED0の制御データの送信が完了すると、接続線CSBの信号レベルを立ち上げて制御データをLEDに反映させる。
LEDドライバ1に接続されるLEDに制御データを反映させると、再び、接続線CSBの信号レベルを立ち下げて、LEDドライバ1の場合と同様に、LEDドライバ2に接続されるLEDの制御データを出力する。そして、出力された制御データをLEDドライバ2に接続されるLEDに反映させると、A周期の制御データの送信が終了する。以下、同様に、B周期からH周期までの制御データを送信し、各LEDに反映させる。
最後に、図38にて説明した異常修正処理を可動式照明9に適用する例について説明する。図51は、本発明の実施の形態の可動式照明9の構造を説明する図である。(A)は可動式照明9の演出モータスイッチ752dを含む分解斜視図であり、(B)は正常なモータ駆動開始時の状態、(C)はモータ駆動中の状態を示す図である。
回動機構は、図51(A)に示すように、モータブラケット97をベース部材91の裏面に止着して備え、モータブラケット97の裏面(ベース部材91とは反対面)に駆動源としてモータ96が配置される。さらに、モータ96の出力軸がカバー部材92の回動中心軸と平行、かつ、モータブラケット97の前方へ向けて突出する状態で止着し、出力軸の突出端には駆動ギア98が共回り可能な状態で軸着されている。
また、駆動ギア98の右側方には、駆動ギア98と噛合する回動ギア99が配置される。回動ギア99は軸受部91aに支持される回動軸の後端部(モータ96側)を止着し、回動ギア99と回動軸とが共回り可能となるように構成されている。そして、回動軸を軸受部91aに回動自在な状態で挿通し、回動軸の前端部(カバー部材92側)を軸受部91aから前方に突出させるとともに、反射レンズ部94の接続ボスに共回り可能な状態で止着されている。
また、モータブラケット97には演出モータスイッチ(回動位置センサ)752dが設けられ、演出モータスイッチ752dにより回動ギア99に形成された検出片99aを検出して回動軸の回動位置、ひいてはカバー部材92の姿勢(回動位置)を検出できるように構成されている。
演出モータスイッチ752dは、例えば、フォトセンサであり、中央部に回動ギア99に形成された検出片99aが通過する溝部が形成されることで、コの字状の形状を呈している。演出モータスイッチ752dの溝部には、発光部と受光部とが設けられている。そして、発光部から受光部に向けて回転軸と平行に光(赤外線)が照射されており、この光が検出片99aによって遮光されたか否かを判別することによって、回動軸の回転位相を検出する。
そして、図51(B)に示すように、検出片99aが発光部から照射された光を遮光する位置を初期位置としてモータ96の駆動を開始する(遮光状態)。モータの駆動が開始されると、図51(C)に示すように、検出片99aが発光部から照射された光を受光部によって受光することが可能となる(受光状態)。
以上のように、本発明の実施の形態によれば、更新周期の早いモータ(可動演出装置)と、更新周期の遅いLED(発光演出装置)を別個のドライバで制御することで、可動演出装置の更新周期に、使用しない発光演出装置の更新データの送信を不要にすることが可能となり、演出制御装置700の処理負担を軽減させることができる。また、演出装置に送信する制御データを各周期で均一しているため、制御データを送信するため処理を複雑化させることなく、演出制御装置700の処理負担を軽減することを可能としている。
〔異常修正処理の具体例〕
また、異常修正処理では、少なくとも1回転以上、モータ96の回転軸を回転させてから、回転位置を初期位置に戻すように制御する(フル可動励磁パターン)。このように制御することによって、モータの回転位置が意図しない回転位置になっていた場合であっても正常な状態に戻すことができる。図52及び図53を参照しながらフル可動励磁データパターンの具体的な動作について説明する。
図52は、本発明の実施の形態のフル可動励磁データパターンの具体的な動作を説明する図である。(A)はモータ駆動開始時の状態示す斜視図である。(B)は正常時におけるフル可動励磁データパターンの動作を周期毎に示す図である。
図52に示す例では、16周期で一連の動作が終了する。なお、8周期で1セット分の制御データを送信する場合には、2セット単位で制御データを送信するように構成すればよい。
図52(B)に示すように、モータ96が初期位置(B−1、N=1)から反時計回りに回転させることによって(B−2、B−3、N=2〜7)、検出片99aを180度回動させた最大位置(N=8)まで回動させる(B−4)。
検出片99aが最大位置に到達すると、その後、初期位置に戻るように戻り動作を開始する(B−5、N=9)。戻り動作は、時計回りに検出片99aを最大位置から初期位置まで回動させる動作である(B−6、B−7、N=10〜15)。そして、初期位置に検出片99aが到達すると(B−8、N=16)、一連の動作が終了する。
図53は、本発明の実施の形態のフル可動励磁データパターンの具体的な動作を説明する図である。(A)は異常時におけるフル可動励磁データパターンの動作を説明する図である。(B)はフル可動励磁データパターンの動作を示すタイムチャートである。
図53(A)には、検出片99aの位置が初期位置よりも時計回り方向にずれた位置となっている異常(1)と、検出片99aの位置が初期位置よりも反時計回り方向にずれた位置となっている異常(2)とが示されている。
異常(1)の場合において、(A−1)の状態を周期N=1の初期状態とし、フル可動励磁データパターンの動作を実行させると、周期Nが8になるまでの間、検出片99aが反時計回りの方向に回動する(A−2)。このとき、(A−1)の状態で初期位置から時計回りの方向にずれているため、周期N=8の時点で最大位置には到達しない。
そして、周期Nが9以降になると、時計回りの方向に検出片99aが周期Nが16になるまで回動するが、初期位置に到達した時点でモータの回転を停止させることによって正常な初期位置に戻すことができる。そして、次回の動作は正常な初期状態から一連の動作を行うことが可能となる。
一方、異常(2)の場合において、(A−4)の状態を周期N=1の初期状態とし、フル可動励磁データパターンの動作を実行させると、周期Nが8になるまでの間、検出片99aが反時計回りの方向に回動する(A−5)。このとき、(A−1)の状態で初期位置から反時計回りの方向にずれているため、周期Nが8になる前に最大位置には到達する。この場合、最大位置に到達してさらにモータの回転が継続されると、回動ギア99が空回りするなど、最大位置を超えて回動ギア99が回転しないように構成される。
そして、周期Nが9以降になると、時計回りの方向に検出片99aが周期Nが16になるまで回動し、周期Nが16になった時点で正常な場合と同様に、正常な初期位置に戻すことができる。そして、次回の動作は正常な初期状態から一連の動作を行うことが可能となる。
図53(B)を参照すると、正常な場合には、初期状態である周期N=1から一連の動作が開始され、周期N=16の時点で検出片99aが初期位置まで回動し、初期状態に戻る。
また、異常(1)の場合には、初期状態が検出片99aが時計回りの方向にずれた状態となっているため、一連の動作が開始されてからしばらくして検出片99aが初期位置に到達する(図では周期N=3)。その後、最大位置に到達する前に時計回りの方向にモータが回転するため、周期Nが16になる前に初期位置に到達する(図53(B)では周期Nが14)。
また、異常(2)の場合には、初期状態が検出片99aが反時計回りの方向にずれた状態となっているため、モータスイッチによって検出片99aが検出されることなく最大位置に到達する。その後、時計回りの方向にモータが回転し、周期Nが16になるタイミングで初期位置に到達する。
以上のように、本実施形態によれば、モータの初期位置がずれている場合であっても異常修正動作を行うことによって、可動役物による一連の演出を実行するまでに初期位置が修正されるため、安定した演出を実行することが可能となる。
〔修正動作〕
本実施形態では、検出片99aがモータスイッチによって検出されていれば(遮蔽状態)、モータの回転位置が初期位置にあると判定される。しかしながら、モータスイッチが検出片99aを検出可能な範囲には幅がある。そこで、初期位置のずれを考慮してモータを制御する手段について説明する。
図54は、本発明の実施の形態のモータの回転位置が初期位置にある場合におけるずれを補正する手段について説明する図である。(A)は初期位置のずれを説明する図である。(B)は初期位置のずれに応じた制御を示すタイムチャートである。
正常(1)の状態では、モータの動作が開始されるとすぐにモータスイッチが検出片99aを検出しなくなる。これに対し、正常(2)の状態では、動作が開始された後、(A)の状態になるまでモータスイッチが検出片99aの検出が継続される。
したがって、制御データを受信してから即座に演出動作を開始してしまうと、前述した初期位置のずれによって演出動作にばらつきが生じてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、モータスイッチが検出片99aを検出しなくなったタイミング、すなわち、正常(1)の状態の直後を演出動作開始タイミングとし、制御データに基づく演出動作を開始する。
例えば、正常(2)の状態で演出制御データを受信した場合には、準備動作として、正常(1)の状態になるまで反時計回りにモータを回転させ、その後、受信した制御データに基づく演出動作を開始する。このように制御することによって初期位置にずれが生じていても安定した演出を行うことができる。
しかし、初期位置のずれに応じた制御を行うことによって、演出動作にばらつきが生じてしまうおそれがある。そこで、初期位置のずれを修正する修正動作を演出動作の一部として実行させることによって遊技者に違和感を与えないようにする。
具体的には、本実施形態の変動表示ゲームにおける変動パターンは、変動開始からリーチは発生するまでの前半変動と、リーチが発生してから変動が停止するまでの後半変動に分けることができる。そこで、リーチ発生前の前半変動において、実行中の変動表示ゲームの先読み演出として動作させる。このように制御することによって、前半変動中の可動役物の動作で遊技者の期待感を大きくすることができる。そして、前半変動で修正動作を完了させることによって、後半変動において初期位置のずれが少ない状態で演出を実行することが可能となる。
図55は、本発明の実施の形態の変動表示ゲームにおける可動役物の動作を説明する図である。(A)は前半変動、(B)は後半変動を示している。
前述のように、本実施形態では、(A)に示す前半変動において実行中の変動表示ゲームの先読み演出を可動役物(鎌役物500)の動作によって行う。先読み演出は、鎌役物500が大当りの期待度に応じた動作量、回数分だけ動作するように制御される。
例えば、鎌役物500が複数回動作する場合、最初の動作時に修正動作を行うように制御してもよいし、鎌役物500の動作量を徐々に大きくするなど変化させ、修正動作が含まれていることを遊技者が気づきにくいように制御してもよい。そして、前半変動に修正動作が含まれるように制御することによって、後半変動における鎌役物500の初期位置のずれを最小限にすることが可能となる。
図56は、本発明の実施の形態の変動表示ゲームにおける演出に修正動作が含まれる場合のタイムチャートである。
図56を参照すると、変動表示ゲームが開始された後、まず、前半変動が開始される(A−1)。そして、前半変動実行中に、修正データ制御(修正動作)を実行する。このとき、前述のように、先読み演出を実行することによって修正データ制御の実行を遊技者に認識されないようにしてもよい(A−2〜4)。
修正データ制御の実行が完了すると、開始位置(初期位置)にモータの回転位置が設定される。このとき、前述のように、初期位置のずれも修正することができる。また、修正データ制御が実行されている間には、モータスイッチによって検出信号が出力されるが、修正データ制御の実行が完了してモータの開始位置の設定が終了するまでは検出信号は無視される。
その後、前半変動が終了すると、後半変動が開始され(B−1)、後半変動の実行中にモータ演出(可動役物(例えば、鎌役物500)による演出)が実行される(B−3)。そして、識別図柄の変動表示が終了し(B−4)、変動表示ゲームを終了する。
以上のように構成することによって、修正データ制御が前半変動の先読み演出において実行されるため、遊技者に違和感を与えにくくしながら初期位置の修正を行うことが可能となる。
また、特許請求の範囲に記載した以外の本発明の観点の代表的なものとして、次のものがあげられる。
(1)遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、前記遊技制御手段からの指令に対応して、遊技の演出を行う複数の演出装置を制御する演出制御手段と、を備える遊技機において、前記複数の演出装置には、駆動源により動作する可動演出装置と、発光源により発光する発光演出装置と、が含まれ、前記演出制御手段は、前記駆動源の状態を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された状態に基づいて、前記可動演出装置の状態が正常であるか異常であるかを判定する異常判定手段と、前記異常判定手段によって異常と判定された場合に、前記可動演出装置の状態が正常になるように前記可動演出装置を動作させる修正制御手段と、を備え、前記異常判定手段は、前記可動演出装置が所定の初期位置となっている場合に前記検出手段によって検出された状態と、前記可動演出装置による演出が開始されるタイミングで前記検出手段によって検出された状態とが一致する場合に正常と判定し、一致しない場合に異常と判定し、前記修正制御手段は、前記駆動源を一の方向に動作させる第1動作態様と、前記駆動源を前記一の方向とは異なる方向に動作させる第2動作態様と、に制御可能であり、前記異常判定手段によって前記可動演出装置の状態が異常と判定された場合には、前記駆動源を前記第1動作態様で動作させた後、前記可動演出装置が前記所定の初期位置となるように前記第2動作態様で動作させることによって、当該可動演出装置の状態が正常になるように制御することを特徴とする遊技機。
(2)前記修正制御手段は、前記駆動源を前記第1動作態様で動作させている間に前記異常判定手段によって正常と判定された場合であっても前記可動演出装置を停止させず、前記駆動源を前記第2動作態様で動作させている間に前記異常判定手段によって正常と判定された場合に、前記可動演出装置を前記所定の初期位置に停止させることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
(3)前記検出手段は、発光部と、前記発光部による発光を検出可能な受光部と、を備え、前記検出手段によって検出される状態には、前記発光部による発光が前記受光部によって検出されている受光状態、及び、前記駆動源の動作によって遮られることで前記発光部による発光が前記受光部によって検出されていない遮光状態が含まれることを特徴とする(2)に記載の遊技機。
(4)前記演出制御手段は、前記複数の演出装置の動作内容を規定する制御データを生成し、前記制御データは、演出内容が定義された演出データと、前記異常判定手段によって異常と判定された場合に前記修正制御手段による動作態様が定義された修正データと、を含み、前記修正データに基づく動作は、前記異常判定手段によって正常と判定された場合に停止するとともに、前記演出データに基づく動作態様を開始することを特徴とする(3)に記載の遊技機。
(5)始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示装置と、前記始動入賞領域への遊技球の入賞に基づき、前記変動表示ゲームの実行に関連する乱数を抽出し該変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動入賞記憶手段と、前記始動入賞記憶手段に始動記憶として記憶されている乱数から、該始動記憶に基づく変動表示ゲームの実行情報を当該始動記憶に基づく変動表示ゲームが実行されるよりも前に判定する事前判定手段と、前記始動入賞記憶手段に記憶されている始動記憶に対する前記事前判定手段の判定結果に応じて、該始動記憶に基づいて実行される変動表示ゲームの実行情報を前記可動演出装置によって事前報知する事前報知手段と、を備え、前記変動表示ゲームは、変動表示の開始から所定時間経過するまでに実行される前半変動と、当該前半変動が終了した後に、前記変動表示ゲームが終了するまでの間実行される後半変動を含み、前記事前報知手段は、前記前半変動が実行されている間に前記事前報知を実行し、前記修正制御手段は、前記事前報知が実行されている間に、前記可動演出装置の状態が正常になるように制御することを特徴とする(4)に記載の遊技機。
(6)前記複数の演出装置を複数グループに分割し、該分割されたグループに属する演出装置を制御するためのグループ単位制御手段を各グループに設け、前記演出制御手段を、複数の前記グループ単位制御手段を統括的に制御するグループ統括制御手段として構成し、前記グループ統括制御手段から前記グループ単位制御手段へタイミング信号を伝達するタイミング信号線と、前記グループ統括制御手段から前記グループ単位制御手段へデータ信号を送信する送信データ信号線と、によって、前記グループ統括制御手段と前記グループ単位制御手段とが接続されて、前記グループ統括制御手段と前記各グループ単位制御手段との間でデータ通信を可能とし、前記グループ統括制御手段は、前記送信データ信号線の信号レベルを前記制御データに対応する信号レベルに設定しながら前記タイミング信号線のタイミング信号に対応する信号レベルを繰り返し変化させることで、順次前記グループ単位制御手段に前記制御データを送信する送信手段と、前記送信手段による送信周期のタイミング信号を生成するタイミング信号生成手段と、を備え、前記演出データには、前記発光演出装置を制御するグループ単位制御手段に送信される第1制御データと、前記可動演出装置を制御するグループ単位制御手段に送信される第2制御データとが含まれ、前記送信手段は、前記タイミング信号生成手段が生成するタイミング信号に同期させて、前記各グループ単位制御手段に前記制御データを送信するとともに、前記第1制御データの送信周期が、前記第2制御データの送信周期よりも長く設定され、かつ、前記第1制御データと、前記第2制御データとが、同一の送信データ信号線を用いて送信されることを特徴とする(5)に記載の遊技機。
(7)前記グループ単位制御手段から前記グループ統括制御手段へデータ信号を送信する受信データ信号線と、前記受信データ信号線の信号レベルを判定することで、前記グループ単位制御手段から送信されたデータを取り込む受信手段と、を備え、前記グループ単位制御手段は、前記異常判定手段による判定結果が入力され、前記受信手段によって前記判定結果を前記グループ統括制御手段に送信し、前記グループ統括制御手段は、前記判定結果に基づいて前記修正データを生成することを特徴とする(6)に記載の遊技機。
(8)前記受信手段は、前記タイミング信号生成手段が生成するタイミングに同期させて、前記各グループ単位制御手段から前記判定結果を受信し、前記送信手段は、前記受信手段を介して前記判定結果を受信した後に、前記グループ単位制御手段に制御データを送信することを特徴とする(7)に記載の遊技機。
(1)から(8)の発明によれば、可動役物(可動演出装置)のを駆動させる駆動源の初期位置を演出動作開始前に修正することによって演出制御を安定して行うことが可能となる。