ここで、添付図面に図示された例といった、本発明について開示された実施形態を詳細に参照していく。
I.定義
特に表示がない限り、本明細書で用いられる全ての技術的及び科学的用語は、本発明の当業者にとっての意味と同一とする。当然のことながら、本発明は、特定の方法論やプロトコルに制限されるものではない(これらは変化していく可能性がある)。
本明細書で用いられる場合、「調節力(accommodation)」は、遠隔の物体から近接の物体へ焦点を変えるための能力をさしており、その能力は、加齢により衰えていく傾向がある。
「脈絡膜(choroid)」は、強膜(sclera)の真下の血管の多い層をさす。
本明細書で用いられる場合、「毛様体筋(ciliary muscle)」は、強膜の真下に位置する環状の筋肉組織をさし、小帯を介して水晶体と結合する。
本明細書で用いられる場合、「結膜(conjunctiva)」は、強膜の外側を覆う薄く透明な組織をさす。本発明のいくつかの実施形態では、例えば強膜といった眼球の表面構造と接触する、本発明の1以上の装置又はシステムに触れている。これらの実施形態において、本発明の装置又はシステムが、前記の命名された構造と接触し得る、又は、その構造を覆う結膜と接触し得ることは、理解されるところである。
本明細書で用いられる場合、「角膜(cornea)」は、不透明な強膜及び半透明の結膜と結合するとともに、その前面を涙液膜(tear film)又は角膜上皮(corneal epithelium)で覆われ、その後面を房水(aqueous humor)で満たされた透明な無血組織をさす。
本明細書で用いられる場合、「縁部(limbus)」は、角膜が強膜と接触する境界をさす。
本明細書で用いられる場合、「網膜(retina)」は、眼球の内部後端を覆い、視神経を通して脳へ視覚信号を送る感光性の層状組織をさす。
本明細書で用いられる場合、「眼疾患(ocular disease)」は、眼球の疾患をさし、腫瘍に限られず、例えば、黄斑変性症(macular degeneration)、網膜症(retinopathy)、網膜炎(retinitis)、網膜血管障害(retinal vasculopathy)、糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)、ブルッフ膜の疾患(disease of Bruch’s membrane)といった眼の変性(ocular degeneration)も含まれる。
本明細書で用いられる場合、「眼疾患を低減する」というときには、眼疾患の治療及び緩和をも含む。
本明細書で用いられる場合、「強膜」は、眼球の表面支持構造又は「白眼(white)」をさす。
本明細書で用いられる場合、「眼球の前面(front of the eye)」は、少なくとも角膜の中心部分をさし、例えば強膜といった周辺の構造も含む。
本明細書で用いられる場合、「被術者(subject)」は、人間、又は眼球を有するいかなる動物をもさす。
本明細書で用いられる場合、「硝子体(vitreous body)」は、水晶体よりも後方の眼球を満たし、硝子体膜によって包まれた透明無色のゼリーをさす。
本明細書で用いられる場合、「小帯(zonules)」は、その端部で水晶体に、その外側の端部で毛様体筋に結合される、半径方向に拡開する円形の膠原繊維集合体をさす。
本明細書で用いられる場合、「老眼(presbyopia)」とは、眼球が、近接する物体にはっきりと焦点を合わせることができないことをさす。老眼は加齢と関係しており、通常調節力の低下を引き起こす。例えば、レーザー切除といった、本明細書で説明されるどの実施に従う治療を導入しても、調節力の向上又は促進がもたらされ、その結果、老眼による影響を和らげることが好ましい。
「放射線力学的療法(radiodynamic therapy)」は、視準X線と、それに付随して施される全身療法との併用療法をさす。
「放射線力学物質(radiodynamic agents)」は、例えばX線といった放射線に反応する物質及び組織を放射線の影響に感作する物質を制限なく含む、という平易で単純な意味を有するものである。
「光線力学的療法(photodynamic therapy)」は、感光性物質の使用及び感光性物質を活性化させるのに十分な強さ及び波長の放射線照射の使用を含んだ治療又は診断方法をさす。活性化された感光性物質は、その後、エネルギー放射を通して治療効果を発揮し、又は放射されたエネルギーの検出を通した診断を可能にする。
「光線力学物質(photodynamic agents)」は、光に反応する物質及び組織を光の影響に感作する物質を制限なく含む、という平易で単純な意味を有するものである。
「放射線治療(radio therapy)」という用語は、広く受け入れられている意味を有するものであり、エネルギー源を伴って施されるいかなる治療をもさす。
本明細書で用いられる場合、「治療(treatment)」は、1以上の疾患又は病気の症状が改善され、あるいは良い方向に変化するいかなる方法をもさす。本明細書では、システムのいかなる治療上の使用も、治療に含まれる。
本明細書で用いられる場合、「外部座標系(external coordinate system)」という用語は、例えば、空間、又は、系成分の基準といった固定要素など、固定される座標系をさす。
それは、相互に移動しているか、又は、例えば、患者の頭部といった座標系において事前に選択した位置に精密にセットすることが不可能な装置を、レジストリ内でセットするための1組の共通座標を通常提供する。
また、診断は、本明細書で説明されるいかなるタイプのエネルギー源及び治療をも伴って施され、「放射線診断(radiation diagnostics)」と呼ばれることがある。
外部座標系において、例えば、眼球接触部材といった物体の「位置」は、物体上のいくつかの既知点の位置をいい、その座標系のその点における座標によって定義される。座標系は、例えば、物体の位置がx、y及びzの座標で定義される3次元直交座標系、又は、物体の位置が半径と角度の座標で定義される円筒座標系であってもよい。
「付勢力」は、通常、グラム質量の単位によって表される、患者の頭部(あるいは眼球)に対して及ぼされる力、すなわち、1グラムの質量に作用する地球の重力によって及ぼされる力をいう。
「ビーム配向要素(beam-directing element)」は、検出器上、又は、それ自体が、1以上のビーム検出器に照準を定められる光線などのビームを発生させることが可能な要素上において、例えば、光線、マイクロウェーブ又は超音波ビームといった作用ビームの反射を可能にする要素をさす。ビーム配向要素は、外部座標系において、ビーム配向要素の位置、及び、ひいてはビーム配向要素が取り付けられる眼球接触装置又はアセンブリの位置を決定するために、眼球接触装置又はアセンブリに取り付けられる。
「容器(reservoir)」又は「真空容器(vacuum reservoir)」は、内部チャンバー又は例えば、多くの流体供給チューブなどのチャンバーをいい、これにより眼球接触装置に印加された負圧が、眼球接触部材の接触面を越えて分配され得る。
「ピボットジョイント(pivot joint)」は、2つの機械的な要素間の結合をいい、その要素が、もう1つの要素に対して、通常角度方向に位置が変わっていくことを可能とするものである。典型的には、ピボットジョイントには、ボールジョイント又はユニバーサルジョイントが含まれ、そのいずれも、例えば、2つの要素間の角運動など、複数の自由度をもたらす。
II.眼球安定用及び眼球放射線照射実施用システム
本発明によるシステムは図1に示され、通常100のようにデザインされる。システム100は、以下の1以上の機能に有益な眼球とのインターフェースとして機能する:i.眼球の制御可能な安定化;ii.眼球位置の物理的な操作;iii.治療中における眼球運動の制限;iv.眼球、その内部組織、及びシステムのうち、少なくとも1つの表面の位置参照(例えば、外部座標系を基準として);v.眼球に対する基準、及び前記眼球に対する基準の位置決めモニタリングと施される治療とに対する基準の提供;vi.治療中における角膜の潤滑性の維持;vii.治療装置の位置合わせをするための、及び適切な位置合わせ又は位置ずれを継続的に示すための機構の提供、を有効にする眼球とのインターフェースとして機能する。実質的又は全体的に制御可能な眼球の安定化は、以下に詳細に説明されるように幅広い治療、診断、及び外科手術の少なくとも1つに有効である。
本システム100は、以下のように、1以上のシステム部品を固着させるプラットフォーム105を含み、既知の座標系(例えば、外部座標系)に対してシステム部品に関する精密な位置情報を決定することができるようにする。本システムは、システム部品が記録される参照又は外部座標系を定義して、その全ての点が、外部座標系の既知の位置で相互に位置づけられ、調整される。説明されるシステム部品は、以下に説明されるように、自動的にコンピュータ・インターフェースによって座標系に位置付けることができる。また、100の部品のいくつかは、手動で位置決め可能である。別の実施形態において、1以上のシステム100の部品は、自動的に位置決めされ、1以上のシステム100の部品は同時に手作業で配置される。
システム100は、被術者140の眼球130の前部(例えば、図2A及び2B)に係合する又は合わさる眼球接触部材又は表面120を有する眼球接触装置110を含む。接触装置110は、以下に示されるように、外部座標系内の選択位置で接触装置を位置決めするための眼球位置決めアセンブリ182のパーツである制御アーム180に接続される。好ましくは、制御アーム180は、以下に説明されるように接触装置110に回動可能に接続される。いくつかの実施形態においては、制御アームは、図4A〜4Dに関して以下に説明されるように、患者が突然動いた場合に、接触装置又は眼球接触部材から解除可能なように分離する。眼球130に係合する眼球接触部材120は、略安定化又は略固定化した位置に眼球を保つ。
以下でさらに詳細に説明されるように、接触装置110の位置合わせを可能とするレーザー装置150の使用により、眼球の位置合わせを行うことができる。図1は、上述したように、本発明に係る患者の眼球に対するインターフェースシステム100の好ましい実施形態を図示したものである。
引き続き図1を参照すると、システム100は、治療装置160を伴った眼球組織治療のための患者の眼球に対するインターフェースである。前記のように、本システムは、眼球130を略安定化した位置に保つために構成された眼球接触装置110を含む。本発明の一実施形態において、接触装置は、眼球130が、眼球の外側に配置されている装置160から治療を受けている間、実質的に第1の位置にあることをセンサに示すように構成されている。好ましい実施形態において、本システムは、接触装置110と治療装置160との間で情報の伝達を行う通信リンク185を含む。この情報は、眼球の位置を表示するものであり、治療装置160の1以上のパラメータの特性を決定する。
治療装置160は、眼球に対する治療法を提供する複数の装置のうちいずれをも含むことができる。このような治療法は以下に詳細が説明される。一般に、装置160は、電磁放射線(例えば、切除用光学エネルギー、温熱用光学エネルギー、低レベル治療用光学エネルギー、又は高周波エネルギー)、超音波、及び磁気導入の源といった、選択された軸又は経路168に沿って指向された照射源又は視準放射線である。治療装置160は、一般的な一実施形態においては、電磁レーザー(例えば、ダイオードレーザー)及び所定の波長を有する放射線源のうちの少なくとも一方、所定のパルスを有する超音波装置、眼球の所望の部分と相互に作用し合う、所定の設定を伴った焼灼装置、高周波モジュール(radiofrequency module)、超音波コンポーネント(ultrasonic component)、及びこれらの組み合わせといった、エネルギー放射源である。装置160は、さらに外科手術装置又はマニピュレータとすることもできる;例えば、眼球内又は表面の近接照射療法のための外科手術用プローブは、外科手術装置が眼球内部に位置する場合を除いて、装置160と同様の方法で適切な位置に保持される。本発明の一つの好ましい実施形態においては、治療装置160は、コリメータを通して従来のX線源から軟X線を向けることで発生する軟X線ビームの持ち運び可能な線源といった、視準放射線ビーム源である。図示のために、装置160は、視準放射線ビームの線源160として以下言及される。
装置160は、いくつかの実施形態においては、診断装置とすることができる。例えば、OCT(眼底断層撮影装置)、走査レーザー検眼鏡、CTスキャン、MRI、又は眼球内にエネルギーを送り、組織の安定性及び既知の座標基準の少なくとも一方に依存する他のいずれの装置など、眼球に関する詳細な診断情報を得るために、適切な位置に眼球を保持することが望ましい。
本システムのビーム位置決めアセンブリ162は、外部座標系におけるビーム線源160の位置決めをするために設計され、そのビームは、活性化時、患者の眼球のうち選択された標的部位に相当する外部座標系の選択位置に向けて、ビーム軸168に相当する選択された経路に沿って照準が定められる。図1に示されるように、ビーム位置決めアセンブリは、ビーム線源が、軸163について回転するように搭載される自在軸受けマウント164、及び自在軸受けマウント164が、軸167に沿って移動することができる直線ガイド166を含む。図示しないが、ビーム線源の“高さ”位置は、ビーム線源からのビームが、患者の眼球の標的部位と同じ高さとなるように、軸163に沿って調整可能である。自在軸受け164上のビーム線源の角度位置及びガイド166上の自在軸受けの線形位置は、手動で調整可能であり、又は好ましくは以下に説明されるように、コントロールユニット115によってそれ自体制御されるステッピングモータ又はサーボモータで制御される。さらに、自在軸受け164上のビーム線源は、例えばボールジョイント又はユニバーサルジョイントなどの接続具を通して搭載でき、僅かな上下角度で、ビームを眼球内へと指向させるために、ビーム線源からの視準ビーム(軸168で表される)の角度を、プラットフォーム105により表される平面に対して“上”又は“下”となるように調整することができる。
頭部支持台又は被術者140の頭部を安定化させるための支持台170は、システム100に含まれ、あご台172(図8A及び8B)を含む。頭部支持台170は、図1に示される本発明の実施形態において、例えば恒久的又は解除式の取付具によって、プラットフォーム105に取り付けられる。一実施形態において、頭部支持台170は、頭部支持台を移動及び型変更するために選択的に作動可能である、位置センサを備えたモータ付き制御アセンブリを含む。支持台のさらなる詳細は(その機能は頭部を支持することである)、図8A及び8Bに関して以下に説明される。
本システムには、眼球接触装置に対して患者の眼球を安定化させ、接触装置を選択位置へ移動した状態で、外部座標系において患者の眼球のうち選択された標的部位の位置を決定するための手段も含まれる。座標又はこのように決定された座標は、外部座標系においてビーム線源をビーム位置決めアセンブリによって移動するために用いられる。これによって、視準放射線ビームは、活性化時、外部座標系における患者眼球の選択標的部位に相当する選択眼球座標に向けて、選択された経路に沿って照準を合わされる。
第1の一般的な実施形態において、選択された眼球の標的の位置を決定するための手段は、選択された方向又は位置に眼球接触装置を配置するために、図6A〜6Cに図示される眼球位置決めアセンブリ、眼球接触装置が選択位置まで移動したときを判断するための検出器、及び、眼球位置決めアセンブリ内にある、選択された方向へ移動したとき眼球接触装置の座標を決定するための位置センサを含む。特に、図8A及び8Bは、レーザー装置150を含み、眼球をレーザー位置合わせシステム800と位置合わせするために接触装置110が用いられる機構が描かれている。また、位置合わせ機構は、例えば、放射線治療システムが、位置合わせシステムと関連して、そのエネルギーを眼球の方向に向ける放射線治療システム(図示せず)など、随意で治療システムを直接位置合わせする。レーザーポインタービーム810(いくつかの実施形態においては治療ビームと共線である)は、コリメータ開口部820を通してレーザーシステム800から放射され、接触装置110のビーム配向鏡230の表面に反射する。図8Aに表される位置合わせがされていない場合には、レーザーポインタービーム810は、コリメータ開口部820と共線的に鏡230の表面に反射せず、反射ビーム830によって示されるように、軸から外れる。レーザーシステム800及び接触装置600の少なくとも一方の方向は、反射ビーム830の位置を直接可視化することにより、又は、反射ビーム830の位置を検出して、レーザー反射ビーム830を位置合わせするようにレーザーシステム800を調整するセンサにより、手動又は自動的に調整されることが可能である。レーザーポインターが実際に調整されている場合(図8B)、レーザーポインタービーム810は反射され、レーザー反射ビーム830は、レーザーポインタービームと略共線的になる。
このように、選択された方向に眼球接触装置を位置決めするために使用される眼球位置決めアセンブリは、図6A〜6Cに図示される。これらの図は、駆動機構600のスロット610内に送り込まれる、625で示される位置決めアセンブリ内の制御アーム180に取り付けられる接触装置110の斜視図を示している。いくつかの実施形態において、本システムの接触装置110を、適切な位置に眼球を保持するための結合構成要素に取り付けることができる。結合構成要素は治療装置に取付可能であるが、図6A〜6Cに示されるように、例えば、治療装置を保持するテーブル又はプラットフォーム620に取り付けられる駆動機構600など、放射線治療装置から分離した位置で取り付けられることが好ましい。
接触装置110は、使い捨て可能なものであることが好ましく、これにより、個々の(例えば使い捨て可能な)接触装置110は、各被術者毎及び各使用毎の少なくとも一方に従って使用される。あるいは、接触装置110は、使い捨て可能なものではなく、例えば、複数の被術者の眼球に使用される前に、抗感染症薬を用いて取り扱ってもよい。ロボット制御されてもよいが、手動による制御が好ましい駆動機構600は、コネクタ640を介して基部620に固定され、既知の座標系を有する。一実施形態において、駆動機構600は、頭部位置決めシステム(図示せず)、被術者の眼球(図示せず)、及び放射線治療装置の位置決めシステムの少なくとも1つに関する既知の又は所定の位置に固定される。押しボタン630によりスロット610の内及び外の少なくとも一方への接触装置110の手動による自由な位置決めが可能となる。このため、図6Aに図示されるように、制御アーム180は、駆動機構600と係合されない。図6Bにおいて、制御アーム180は、部分的に駆動機構600と係合される。そして、図6Cにおいて、制御アーム180は、駆動機構600と完全に係合され、既知又は所定の位置に固定されるため、接触装置110が、被術者の眼球に係合すると、眼球は、既知又は所定の座標系に固定される。
図示はされていないが、眼球位置決め装置は、y方向のアーム110の移動について、外部座標系におけるアームの端部位置を検出可能にする内部位置センサを含む。
本発明の一実施形態において、空間の位置決め(registration)は、既知の基準点に対する接触装置110の3次元空間位置を常時記録、監視するシステムと組み合わせて用いられる。位置決めの1つの方法は、空間的に符号化された制御アーム180を用いて実施され、接触装置110の位置を追跡する。制御アーム180は、その一端で接触装置110を保持し、他端においてプラットフォーム620に対して機械的に安定化又は固定化される。制御アーム180は、駆動機構600と係合し、これによって、1自由度から3又はそれ以上までの自由度を可能にし、また、プラットフォームに対する接触装置110の位置及び方向を正確に決定するための符号化装置を使用してもよい。制御アーム180は接触装置110の移動及び位置決めをも可能にする。制御アーム180は、接触装置110を正確かつ再現可能に位置決めするために用いられる。接触装置110の位置情報は、それから眼球位置の位置決めのため位置確認ソフトウェアへ伝達される。制御アームの垂直又はy方向の位置は、同様にして、駆動機構600が可動に搭載される駆動部615の動きを通して調節可能であり、制御アーム、及び制御アームに取り付けられた眼球接触装置のx方向及びy方向のいずれの位置をも外部座標系において正確に決定することを可能にする。特に、本システムは、図8A及び8Bに示される機構によって、制御アームを動かして、眼球接触装置を所望の方向で位置決めするように機能し、そして、既知のアーム座標からこの方向で眼球接触装置の位置を決定する。
以下でさらに述べられるように、運動アームは、例えばバネ又は磁気的要素などの付勢機構又は要素を含み、患者に対して、アーム及びアームの端部で支持される眼球接触装置を付勢する働きをする。図2B、6A〜6C並びに8A及び8Bに矢印119の力で表される付勢要素は、例えば、好ましくは、1〜25グラム質量、通常は5〜20グラム質量の所望の付勢力を伴って患者の方向にアームを動かす電磁機構など、機構600内の、若しくは機構600に取り付けられたコイルバネ、又は磁気的付勢機構であってもよい。眼球に対して接触装置を固定し、眼球の位置を安定化させるためのこの機構は、図8A及び8Bを参照して以下に述べられる。
第2の、及び関連する一般的な実施形態において、眼球接触装置は、外部座標系内の接触装置の位置を特定するため、外部座標系に配置された検出器との組み合わせ可能な、複数の位置決定器を備えている。この種のツール追跡システム(tool-tracking system)は、イメージガイド手術で用いるために説明されてきたが、このイメージガイド手術は、可動の手術器具、そして通常は手術前の患者のイメージをも患者を含んだ共通の手術基準座標系において、位置決めするために必要である。本出願において、位置決定器は、例えば、位置既知のビーム線源から位置既知のビーム検出器までのマイクロウェーブビームといった外部の位置決めビームを反射するために設計される3又はそれ以上のビーム配向要素であってもよく、この場合、接触装置の位置は、ビーム検出器に動作可能に連結されるプロセッサーによって決定される。また、眼球接触装置内のビーム配向要素は、外部座標系における接触装置の位置座標を決定するために、例えば、複数のビームを位置既知の検出器に向ける目的で、装置上に搭載される複数のLEDを備えていてもよい。このようなツール・位置決め・システム(tool registration system)は、例えば、米国特許7,139,601号、7,302,288号、及び7,314,430号に説明されており、それらの全ては、参照によってそのまま本明細書に組み込まれる。
第3の一般的な実施形態において、位置決定手段は、レーザービームをビーム線源160によって発生する視準放射線ビームと合わせるために、例えば、レーザー光源や半透鏡などの1以上の光学構成要素を含んで、視準光線アセンブリの形をとる;これにより、2つのビームは同軸168に沿って原則的に一致する。この実施形態において、ビーム位置決めアセンブリは、レーザービームが、例えば、網膜の後部中心の黄斑部など、患者の眼球の選択された標的部位上に直接照準が合わされるまで、患者の眼球に対して移動される。理解できるように、これは、治療放射線ビームと共に、レジストリ内に眼球の選択された標的部位を認識する;レーザービームは、放射線ビームと同じ基準系(座標系)内に眼球を位置付ける機能を果たす基準ビームとして作用する。
さらに通常は、接触装置110の空間の位置決め及びガイダンス(guidance)は、光学的又は電磁的センサによる検出によりなされる。通常、カメラ又は他の検出器は、システム上か、あるいは随意的に治療室内に備え付けられ、眼球又は接触装置110の位置を追跡し、記録するために用いられる。カメラ又は検出器は、次に接触装置110の3次元位置をリアルタイムで測定、記録することができ、その結果、接触装置が位置決めされるので、眼球の位置を決定、記録することができる。校正プロセスは、任意のイメージと組み合わせて、既知の基準系に対する接触装置の相対的な空間位置を決定する為に用いられる。校正情報はコンピュータの参照ファイルに保存され、ソフトウェアプログラムにより用いられる。
引き続き図1を参照すると、システム100は、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(graphical user interface)117を有するプロセッサー又はコントロールユニット115をも含み、このグラフィカル・ユーザー・インターフェースは、コントロールユニットから指示を受け、また、例えば、位置合わせやシステムの機能性データなどの情報をコントロールユニットへ提供する。さらに、コントロールユニット115は、例えば、前述のように、ビーム位置決めアセンブリを制御するモータ、眼球位置決めアセンブリを制御するモータ、並びに、外部座標系における眼球接触装置の位置を決定するためのセンサ、検出器、及びビーム線源など、前述のシステム100の他の1以上の構成要素と電気的な通信を行っている。電気ケーブルは、追加の構成要素にコントロールユニット115を接続するために用いられる。もう1つの方法としては、コントロールユニット115とシステムの1以上の構成要素との間の接続は、ワイヤレスである。
いま、図2A〜2Bを参照すると、眼球130の角膜200、縁部、及び強膜239の少なくとも1つと可逆的かつ制御可能に結合される接触装置110のトップダウンビュー(top-down view)が、模式的に図示されている。眼球130は、角膜200及び角膜200の後部の水晶体132を含む。眼球130は、眼球130の後面の内部を覆う網膜134をも含む。角膜200は、黄斑として知られている高感度の領域をも含み、信号を受けるとともに視神経136を介して脳の視覚野に信号を伝達する。角膜200は、窩として知られる、特に高感度な点をも含む。眼球130は、虹彩138として知られる環状の着色組織をも含む。虹彩138は、瞳孔として知られる、虹彩138の開口部の大きさを制御し調節するための平滑筋を含む。眼球130は、頭蓋骨のうち眼窩140内にあり、その中で回転中心の周りに回転可能である。
眼球接触装置110は、第1の位置で眼球を安定させるように機能し、眼球が治療を受けている間、眼球との相互支持(例えば、安定化及び制御可能な移動)を提供する。接触装置110は、眼球130と接触するカップ又は眼球接部材120を含む。接触部材120は、様々な位置で眼球の位置決めをすることができ、このため、様々な種類の眼科治療法に有効である。一実施形態において、眼球接触部材は、少なくとも角膜200と部分的に接触している。好ましい実施形態において、図2Bに図示されるように、眼球接触部材は、角膜を略覆うが、操作位置にあるとき、眼球130の角膜に触れている必要はない。関連する実施形態において、眼球接触部材は、角膜を略覆うが、眼球接触部材120の表面と眼球の縁部で接触するだけであり、これにより角膜は覆われるが、眼球接触部材120の表面と直接物理的に接触しない。眼球接触部材120は、接触部材120の周辺237が、強膜239及びそれを覆う角膜200と接触した状態で、軸235上に略中心が置かれる湾曲構造であることが好ましい。このため、湾曲状接触部材120は、その部材自体と角膜との間に内部空間を生み出すよう位置付けられる。
湾曲状接触部材120は、眼球130の角膜200の前面に略一致するくぼんだ眼球接触表面を備えて形成されていることが好ましい。接触部材120の接触表面は、約5mmより大きい曲率半径を有することが好ましい。本発明の一実施形態において、眼球接触部材120の内面の曲率半径は7.38mmである。同様に、好ましい実施形態において、眼球接触部材120の外面の曲率半径は、7.38mmであることが好ましい。当然のことながら、内面と外面の曲率の比を1:1とすることで、本発明のある実施形態において、眼球接触部材120を通したエネルギーの屈折を最小化又は除去する。この実施形態において、接触部材120は眼球の単純なカップ形状である。もう1つの方法として、眼球接触部材120を通して伝達されるように、エネルギーの所望の焦点合わせ又は回折を可能にするため、内面及び外面の曲率が異なるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、接触部材120は、多様な形状で作られ、その形状の1又は複数は、患者個々の組織に応じて、その患者のために選択される。
本発明によって意図されるものとして、眼球接触部材120は当該技術分野で周知の多くの材料から作られる。本発明の例示的な実施形態において、接触部材120は、ポリ(メチルメタクリレート)又はPMMAから作られる。眼球接触部材120のある程度の剛性率又は硬度は、以下詳細に説明されるように、眼球と、及び制御アームに付随する旋回軸と物理的に結合するときに、有用である。しかし、眼球接触部材120は、ある実施形態において、ある程度の屈曲率又は柔軟度を含み、これにより、眼球接触部材120が屈曲率を有しているが、静止状態でアーチ形状を保持するようにしている。いくつかの実施形態において、眼球接触部材は、以下により詳細に説明されるように、コネクタ222に沿った所定の位置で接触装置から離脱可能である。
眼球接触部材は、生体適合性に留意しつつ、いずれの適当な材料からも作成可能である。熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂PMMAの少なくとも1つが、本発明により意図され、例えば、パースペックスシーキュー(Perspex CQ)(ICI ダービー、英)など、多数の原料により調達される。ポリテトラフルオロエチレン(商標名:テフロン)及びタンタルも知られている。眼球接触部材120の要素が生体適合性を有しない場合、生体適合性のある材料で眼球接触部材を被覆することも可能である。いくつかの実施形態において、眼球接触部材120は、顔料又は染料を含む。特定の実施形態においては、眼球接触部材120は、抗炎症薬、免疫抑制薬、及び抗感染症薬の少なくとも1つを含んだ生物活性物質で被覆又は含浸されている。特に、眼球接触部材は、X線不透過性物質、放射性物質、蛍光性物質、核磁気共鳴造影物質、又は、その他のレポーター物質を含む。
引き続き図2A及び図2Bを参照して、当然のことながら、接触部材は、接触装置の裏板121により内部容器122を形成し、これによって、真空ポート210を通して、装置に印加される負圧(部分的な真空)は、装置の接触表面全体に行きわたる。もう1つの方法として、眼球接触部材が、眼球とその環状の外面領域で接触しつつ、角膜に対して設置されると、真空ポートと連通する内部容器は、眼球接触部材の内面と眼球の角膜との間に形作られる内部空間によって形成されてもよい。この実施形態において、眼球接触部材の湾曲した内面は、眼球の曲率よりわずかに大きな曲率を有し、眼球と接触部材との間の極冠容器部を形成する一方で、接触部材の外縁と眼球との接触を可能にする。
真空ポートは、チューブ275を通して、適当な真空発生源に接続される。図2A及び2Bに図示される実施形態において、真空ポート210が眼球接触部材120を貫通して設けられることで、眼球接触部材120と眼球130の角膜200前面との間に閉じ込められた空気の可逆的な除去を可能にする空気又は流体伝達空間が、眼球接触部材120を通して形成され、これによって、眼球接触部材120を角膜200の前面に可逆的に係合することができる。図示しない別の実施形態において、真空ポート210は、眼球接触部材120を貫通して軸235に沿った中空管を含む連結具270に取り付けられ、前述のように、眼球接触部材120と角膜200の前面との間の空気を、可逆的に除去可能とする。真空又は吸引補助は、被術者の眼球130に基づいた強膜レンズを配置及び付着する、並びに、被術者の眼球130に対して接触装置110を固定するのに有用である。所望の治療位置であれば、以下に説明されるように、接触装置110は、治療中、システム100と結合可能である。治療が終了した後は、接触装置110はシステム100から分離され、被術者から取り除かれる。
好ましい一実施形態において、眼球に印加される負圧(例えば、20〜50mmHgの負圧)は、装置上の眼球の位置を安定させるのに有効、すなわち、装置に対する眼球の動きを略防止するのに有効であるが、それだけで眼球接触装置を眼球に保持しておくには不十分である。むしろ、接触装置は、装置によって眼球に印加される負圧との組み合わせで作用する、患者の眼球に対して装置を付勢する付勢力の作用によって、眼球に対して固定される。図示される実施形態において、接触装置は、アーム180を通して作用する付勢力によって眼球に固定され、接触装置に印加される負圧は、眼球が装置に対して動くことを防止するように機能する。前記のように、接触装置は通常、付勢バネ、電磁力、又はこれらと同種のものによって、約1〜25グラム質量、概して5〜25グラム質量の力で眼球に対して付勢される。このシステムの利点は、眼球に印加される負圧を、眼球に対して真空のみで装置を保持させる場合に要求される負圧よりも、大幅に低くすることができ、この大幅に低くなった負圧は、快適性を向上させ、眼球の前部の炎症及び変形を低減させる。付勢力は、矢印119によって、図、例えば図2Bに図示され、図中の力の作用方向を示している。
眼球接触部材120が眼球130に接触している場合、負圧は、接触部材に対して眼球130の位置を安定させるために、眼球と接触部材との間から空気を除去するために印加される。基礎的な真空接続(vacuum fitting)とは、通気道との流体連結である。真空ライン275は、真空ポート210に接続される。さらに、真空ポンプは、眼球接触部材120と角膜表面200との間に閉じ込められた空気を抜くために、真空ライン275と空気又は流体連結する。全体として、真空ポート210、ライン275、及びポンプ(図示せず)は、基礎的な真空サブシステムを構成する。シールするために求められる真空度は、多様であるが、好ましくは、本発明のシステムによって、制御可能かつ継続的に監視される。本発明の一実施形態において、眼球接触部材120に対して眼球の位置を安定させるのに有効な負圧を提供するために、約0.5mmHgから約50mmHgの真空が用いられる。好ましくは、真空は、約20mmHgから約50mmHgの間の値である。より好ましくは、印加される真空力は、約25mmHgであり、圧力センサ及び真空源の直接監視の少なくとも1つにより監視される。いくつかの実施形態において、圧力は、例えば、空気袋により、受動的に保持される。この空気袋は、所定の最大圧力を印加できるように作られる。
本発明の一実施形態において、1以上の圧力センサは、眼球接触部材120の接触表面上に設けられ、これによって、真空により印加される力の圧力、及び眼球接触部材120と角膜表面200との間に生ずる接触が、監視可能かつ選択的に調整可能となる。圧力の調整は自動化可能である。例えば放射線治療などの治療を通して、圧力センサからのデータは、通信リンク185を介してコントロールユニット115へ伝達可能である。図7A〜7Cに図示され、以下に詳細に述べられるように、治療及び位置決めの間、眼球接触部材120と眼球を可動的に回転させるために用いられる駆動機構との間に生ずる相互作用力は、圧力センサによって監視可能である。圧力センサによって検知される力の大きさ及び力の大きさの差は、位置決め又は治療中、眼球130に対して及ぼされる力の大きさ及び方向を決定するために用いることが可能である。この方法において、システム100の操作は、眼球の安全を確保し、眼球130に対する望ましくないダメージ又は負傷の危険性を最小限化に抑えるために監視される。具体的には、眼球130に及ぼされる力の方向または大きさのいずれかにおいて、所定の限界値に到達したときにはいつでも、被術者の眼球のさらなる動きが、コントロールユニット115によって阻止される。
動作中、主要な真空サブシステムは、真空ポート210を通して空気を排出する。空気の排出により、眼球接触部材120、角膜200及び強膜の少なくとも1つの前面とのインターフェースにおいて負圧が発生する。また、本発明は、真空が形成されているかどうかを検出するため、1以上のセンサの使用を意図している。眼球接触部材が、眼球130上に正確に位置していない場合には、部分的な真空は形成されない。この場合、エラーメッセージが、図1のコントロールユニット115のグラフィカルユーザーインターフェース117上でシステム・オペレーターに対して表示される。エラーメッセージは、音声によるメッセージ、映像によるメッセージ、又は両者の組み合わせであってもよい。本発明の一実施形態において、吸引は、接触装置110を眼球130に対して最初に係合させるために用いられ、最初の吸引の後、吸引は解除されて、治療の間中、接触装置110は眼球にとどまる。本発明の別の実施形態において、吸引は、接触装置110を眼球130に対して最初に係合させるために用いられ、最初の吸引の後、吸引力は治療の間維持される。
接触部材120を眼球130と係合させることにより、眼球130は、第1の位置に固定されるようになり、患者が眼球内の動きとともに接触部材を動かすことができなくなる。しかしながら、接触部材は、制御アーム180を使用することで移動可能である;制御アームによる動きは、眼球接触部材により眼球を回転させる。従って、本発明の一実施形態には、眼球接触部材120とともに選択された位置において眼球130を略安定化させることが含まれる。
引き続き図2A及び2Bを参照する。接触装置110は、接触部材と位置決めアーム180との間の回動に適応するピボットジョイント又はコネクタ220をも含み、これにより、そのアームが、外部座標系における所望の方向へ接触装置を移動させる。好ましい実施形態において、回動可能なコネクタ220は、3次元空間における回転を可能にする球状又はボール状のピボットジョイントである。図3A及び3Bに最もよく示されるように、位置決めアーム180は、ボールジョイント220に形成されたソケットにアーム180の端部を留めるステム及びソケットの配置により、接触装置に解除可能に結合されてもよい。
眼球接触部材110は、ビーム配向鏡230又は他の検出器若しくはセンサをも含み、レーザーシステム150との組み合わせで、外部座標系の所望の方向又は位置に置かれる眼球の位置決め及び回転を可能にする。図示されるように、鏡230は、眼球接触部材120に平行であり、眼球及び治療装置に対する接触装置110の位置合わせをするための反射面を提供する。鏡230の位置は、ある程度の真空が印加されると、眼球に接触部材を密着(fitting closely)させることにより、被術者の角膜頂部に既知の基準をも提供する。基準レーザービームを用いた眼球接触部材の位置合わせは、図8A及び8Bを参照して以下に説明される。
一実施形態において、鏡230は、少なくとも1つの波長光を反射する反射性物質を含む。いくつかの実施形態において、例えば、放射線ビームなどの治療装置160の特性は、情報により決定され、少なくとも1つの放射線ビームの軌跡及び放射又は非放射状態を含む。いくつかの実施形態において、治療装置160に対する通信リンクは、光学的なリンクである。いくつかの実施形態において、接触装置110は、治療装置160を眼球の視軸に合わせるために適合される。さらに、いくつかの実施形態では、接触装置110に対する眼球の位置を映像化するカメラが含まれる。いくつかの実施形態において、カメラは、眼球の動きを検出し、画像ソフトを用いて眼球の動きに関するデータを伝達する。
他の実施形態において、眼球接触装置は、複数の基準、及び外部座標系において、眼球接触部材の位置、及び、ひいては接触部材内で安定化される患者の眼球位置を決定可能にする複数のビーム配向要素、の少なくとも1つを含む。後述のように、多数の基準配置又は多数のビーム配向配置は、外部座標系における基準又はビーム配向要素の位置を決定するために、カメラ又はビーム感知検出器によって監視されてもよい。
いくつかの実施形態において、眼球接触部材110は眼球の外面に係合可能である。いくつかの実施形態において、眼球接触部材110は、制御アーム180を含む眼球位置決めアセンブリに機械的に連結される。いくつかの実施形態において、(例えば医師により)接触装置110を眼球130上の位置にドッキング(docking)することにより、接触装置110は眼球130に係止され、これにより、保持器の中心は、眼球縁部と共通の中心を有する。この共通の中心は、治療装置が、光学的又は幾何学的な視軸と合わさっていることを保証するための手段である。眼球モデルとの組み合わせにより縁部の中心を知れば、例えば網膜などの眼球の標的部位に対して、例えば放射線療法などの治療を施すために、治療装置160を、縁部の治療軸及び中心に向けることができる。眼球130の位置は、例えば、放射線治療システムなどの治療システム160によっても追跡可能である。
いくつかの実施形態は、接触装置110によりエネルギーの伝達が可能な材料を含む。いくつかの実施形態において、放射線ビームはレーザー光を含む。いくつかの実施形態において、放射線ビームはX線を含む。いくつかの実施形態は、接触装置110の少なくとも一部を通じ、エネルギー伝達可能な材料をさらに含む。本発明によって意図されるエネルギー源は、電波、マイクロウェーブ、赤外線光、可視光、紫外光、X線、及びガンマ線を含む。
いくつかの実施形態において、エネルギーはレーザー光を含んで構成される。いくつかの実施形態において、エネルギーはX線を含んで構成される。別の実施形態において、エネルギーは、陽子線治療に使用される陽子線、又はガンマ線治療に使用されるガンマ線を含んで構成される。いくつかの実施形態において、眼球接触部材120は、眼球の外側から内側へ第1の波長の電磁波の放射を伝達する伝達可能部を含む。
いくつかの実施形態において、第1の部分は、第2の波長の電磁放射を反射する。従って、眼球接触部材120は、1又は好ましくは複数の波長を有する電磁放射の伝達を選択的に可能としてもよい。眼球接触部材120は、1以上の波長の電磁放射を選択的に反射してもよい。本発明の一実施形態において、眼球接触部材120は、1又は好ましくは複数の第1の波長の電磁放射の伝達を選択的に可能とし、また、1以上の第2の波長の電磁放射を選択的に反射する。一実施形態において、1以上の波長の電磁放射を、選択的に反射する部分及び選択的に伝達する部分の少なくとも1つが、眼球接触部材120の中央に配置される。別の実施形態において、1以上の波長の電磁放射を、選択的に反射する部分及び選択的に伝達する部分の少なくとも1つが、眼球接触部材の中心から外れている。一実施形態において、1以上の波長の電磁放射を、選択的に反射する部分及び選択的に伝達する部分の少なくとも1つが、眼球接触部材120内及び眼球接触部材120上の少なくとも1つの周辺に配置される。いくつかの実施形態において、複数の波長の電磁放射の少なくとも1つは、レーザー光線を含んで構成される。いくつかの実施形態において、複数の波長の電磁放射の少なくとも1つは、X線ビームを含んで構成される。
図3Aは、球状の回動可能なコネクタ220の周りの制御アーム180の回動可能性を図示する、接触装置110の側面図である。制御アーム/接触装置のアセンブリは、円錐くぼみを有する、傾斜角を変えられる旋回ヘッド190又は対となって良好な嵌合をする同種のものを含む。図示される実施形態において、制御アーム180のヘッド190は、ヘッド190の円錐くぼみ内に設けられる球状コネクタ220に対して傾斜角を変えることができる。そのコネクタは、制御アーム180の端部に配置される制御ヘッド190内、又はスナップ式であり、対となるコネクタ220に回動可能に重なる他のコネクタ内の中空内部を含む。本発明の一実施形態において、旋回ヘッド190は、接触装置の質量中心と一致するようにデザインされる。球状回転軸が、制御アーム180のヘッド190の中空内部に挿入される場合、傾斜角を変えられる旋回ヘッド190により眼球接触部材120は広範な動きが可能となる。図3Aに図示されるように、X、Y及びZの少なくとも1つの方向へ制御アーム180を動かすと、接触装置を制御可能に位置決めすることが可能となる。重要なことであるが、図2に示されるように、眼球に対して接触部材120及び保持器を真空で固定したとき、球状回転軸220と制御アーム180のヘッド190との間により大きな摩擦度が生じ、これにより、真空印加後、眼球の動きがほとんどなくなる。さらに、眼球は、眼球後部に向かう位置の周りで旋回し、眼球は、この後部位置の周りに眼球を回転させる眼球内部の筋肉によって引張られる。眼球接触部材が眼球に結合されたとき、眼球及び保持器は、互いの回転中心で共に固定される。眼球内部の筋肉は、接触部材が動くことができる唯一の方法であるその回転軸の周りで、接触部材を動かすとはできない。アーム180は、球面軸受220によって接触部材120を動かすことができる。球状回転軸220のまわりに同様の動きを生じさせる患者の頭部又は胴体の移動により、患者の顔面又は頭部も同様に、眼球接触部材を動かすことができる。しかしながら、眼球の筋肉は、接触部材及び眼球がともに保持されれば、接触部材120を動かすことはできない。このような回転関節及びそれに続く結合の結果として、ヘッド190の中空内部と球状の回転可能なコネクタ220との間の摩擦を含み、接触装置120は、眼球上に位置付けられ、安定化される。接触装置の回転位置決め及び回転軸の結合により、接触装置の鏡230が、既知の座標系内のシステムとの間で照準を定められ、又は位置合わせされる。
ヘッド部材190と回転可能なコネクタ220との間の摩擦は、回転可能なコネクタ220及びヘッド部材190の少なくとも1つを表面の変化させることにより、所望通りに増加又は減少をさせることができる。例えば、回転可能なコネクタ220とヘッド部材190との間の摩擦を減少させるために、所定量を電解研磨して所望範囲の平滑度を備えた金属を使用してもよい。もう1つの方法として、回転可能なコネクタ220及びヘッド部材190の一面又は両面に、適宜摩擦を増加又は減少させる周知の表面処理又は機械加工技術を用いて、ミクロ又はマクロレベルのくぼみが形成されてもよい。さらに、例えば、グリセリンなどの液体潤滑剤が、ヘッド部材190と回転可能なコネクタ190とのインターフェースにおける摩擦を所望通りに低減するために、回転可能なコネクタ220の表面に塗布されてもよい。
制御アーム180の遠位端は、そのx−y位置が手動又は自動的に制御されるため、その自由な動きはごくわずかか、又は皆無である。しかし、保持器及び眼球が相互に結合されたなら、X−Y方向でのアーム180の位置決め、又は患者の頭部の位置決めによって、眼球を位置決めすることができる。アーム180は、Z方向にある程度の柔軟性を有して、片持ちはりとして機能し、これにより、眼球上の保持器120は、完全な剛体とはならない。別の方法として、z方向において接触部材を制御可能に調節する機構が提供される。
図3Bは、治療のために眼球を制御可能に位置決めするシステムに、接触装置310を機械的に結合するための直線状の制御アーム380を示す、接触装置310の斜視図である。一実施形態において、眼球接触部材120の眼球接触表面は、眼球130の強膜に接触する。別の実施形態において、眼球接触表面は、眼球130の角膜に接触する。更に別の実施形態において、眼球接触部材120の眼球接触表面は、角膜と強膜の両方と接触する。いくつかの実施形態において、眼球接触装置110は、少なくとも部分的にX線エネルギーを通さない、又は反射する少なくとも一部分を含む。いくつかの実施形態において、眼球接触保持器110は、X線エネルギーを少なくとも部分的に通す少なくとも一部分を含む。いくつかの実施形態において、接触装置110は、真空ポート210を通して、眼球130の吸引を行うように構成される。いくつかの実施形態は、眼球130に接触し、眼球の位置を維持するために構成される接触装置110をさらに含む。図3Bに示される、本発明の実施形態において、制御アーム180は通常円筒状である。本明細書で用いられる場合、「通常円筒状」という用語は、完全に円筒状の外見に限定されるわけではなく、代わりに、切子面のある若しくはその他の柱又は同様の構造(例えば、八角形の円筒、六角形の円筒など)を含むことが理解される。アームの材料強度は、薄いアームが厚いアームより大きな弾力を有するというように、可変である。このため、より厚いアームは、被術者が保持器120に位置したとき、眼球により大きな力を印加することができる。本発明のいくつかの実施形態において、ひずみゲージは、制御アーム180が制御装置110が位置決め又は安定化されている間に歪められるときの、抵抗及び抵抗変化の少なくとも1つを決定するために用いられる。
図3C及び3Dは、制御アーム180及び380にそれぞれ回転可能に接続される接触装置312の選択的な実施形態を図示する。図3Cからわかるように、眼球接触部材320は、接触部材320の中心から外れて位置するコネクタ302を介して、球状回転軸220に接続される。図示される実施形態において、制御アーム180のヘッド190は、ヘッド190の円錐くぼみ内に位置する球状コネクタ220に対して、傾斜している。そのコネクタは、制御アーム180の端部に配置される制御ヘッド190内、又はスナップ式であり、対となるコネクタ220に回動可能に重なる他のコネクタ内の中空内部を含む。真空ポート304は、接触装置312が被術者の眼球に設置されると、眼球と接触装置とのインターフェースにおいて空気又は流体連通する眼球接触部材320を通して形成される空間と、空気又は流体連通するコネクタ302、と空気又は流体連通する。
この実施形態において、眼球接触部材を形成する湾曲した構造は、その部材の中心を通って、その外面に対して略垂直な中心軸を有し、そのコネクタ302は、この中心軸からオフセット(offset)している。この中心軸によって交わる眼球接触部材外面の領域は、眼球を、係合する眼球接触部材に合わせるために、角膜中心からの第1のプルキンエ反射の代わりとして、接触装置の中心から反射を得るための反射面を提供する。
図4は、一実施形態の各構成要素が分離した状態の接触装置110の分解図を図示している。眼球接触部材120は、連結点228、229で鏡230に可逆的に連結される回転可能なコネクタ220に、連結点224、226において可逆的に連結される。このような連結は、連結スナップ、接着、溶接、磁石などを含んでもよい。鏡は、塗装(painted)、噴霧、又は真空蒸着プロセスで印加されてもよい。図4B〜4Cに図示されるように、コネクタは、1以上の磁石を含むことが好ましい。
さらに一般的に、図4B、4C、4D及び4Eは、眼球接触部材が、アセンブリの各構成要素に支えられる着脱可能なコネクタ部材を通して位置決めアームに着脱可能に連結される本発明の一態様に従って、眼球接触装置の2つの実施形態を図示している。図4B及び4Cにおいて、アセンブリは、422で示され、その上に第1の磁石410を有する眼球接触部材120、及びその上に第2の磁石415を備えるアーム取付部材190を含む。図4Cに示されるように、第1のコネクタ部材415を、第2のコネクタ部材410に向けて動かしたとき、眼球接触部材120がシステムに接続されるように、2つのコネクタ部材は、制御アーム180のヘッド190と結合する球状回転軸220に、眼球接触部材120を連結する。これにより、眼球接触部材120が、制御アーム180とともに動き、その結果、システムの座標内の既知の地点に位置することができる。従って、手術時には、眼球接触部材120は、2つのコネクタ部材410、415を磁気的に連結するその前に、被術者の眼球に置かれる。別の実施形態において、眼球接触部材120は、2つのコネクタ部材410、415を引き続き磁気的に連結して、被術者の眼球に置かれる。磁気的な連結は、力が、磁石に対する垂直軸と非共通線となる方向に印加されたとき、磁石が分離する安全機能として用いられることも可能である。
同じような方法で、図4D〜4Eは、眼球接触アセンブリ416の第2の実施形態における、眼球接触部材120と制御アーム180間のスナップ式の連結、又は機械的な連結を図示している。図4Dにおいて、1以上のスナップは、受け側の第2のスナップ式コネクタ部材412の1以上のスナップとスナップ式連結するために、第1のスナップ式コネクタ部材417に配設される。
図4D〜4Eに図示される実施形態において、眼球接触部材120は、作り付けのくぼみ420を含む。受け側の第2のスナップ式コネクタ部材412に取り付けられる。この実施形態において、くぼみ420は、図示される円錐凹部となるように、雌レセプタクル(female receptacle)を含む。しかしながら、本明細書で用いられる場合、くぼみは、他のいかなる雄若しくは雌レセプタクル、又は同様のものにも言及している。くぼみ420は、第1のスナップ式コネクタ部材417に連結され、対応する大きさ及び形状をした嵌合用先端430を受けることが可能であり、これにより球状回転軸220を介して制御アーム180と連結される。このような制御アーム180は、選択された治療前、間、又は後に、被術者の眼球の実際の物理的配置を記録するのに有効である。位置決めは、システム内の既知の座標を使用して、又はイメージを得ることにより、達成可能である。このようなイメージは、通常、イメージガイド治療コンピュータ・ワークステーションのメモリに保存されている。
図4Eに示されるように、第1のスナップ式コネクタ417が、第2のスナップ式受け入れコネクタ412に向かって移動すると、2つのコネクタ部材は眼球接触部材120を制御アーム180のヘッド190と結合する球状回転軸220と連結し、その結果、眼球接触部材はシステムに接続される。これにより、眼球接触部材120が、制御アーム180とともに動き、その結果、システムの座標内の既知の地点に位置することができる。従って、操作時、眼球接触部材120は、2つのコネクタ部材410、415をスナップ式連結する前に、被術者の眼球に置かれてもよい。別の実施形態において、眼球接触部材120は、2つのコネクタ部材410、415を磁気的に連結した後で、被術者の眼球に置かれる。すなわち、アセンブリ内の解除式連結部材は、通常プラスチック製の、相補的にかみ合う形状を備えた変形可能な部材である。
スナップ式又は磁気式が構造的に重要であるということだけでなく、以下に詳述されるように、被術者の眼球が、図1に示される拘束システムから解放される必要がある場合、緊急時の解除機構を提供することもできる。好ましい実施形態において、解除式連結部材が、解除力を伴って、眼球接触部材をアームに連結するが、この解除力は、装置とそこに安定化されている患者の眼球をアームで十分動かせる力であり、また、例えば、突然の眼球動作、又は、突然のアームの動作により、しきい値を超えた力が眼球に印加されたとき、相互に引き離すのに十分の力である。これにより、眼球は、眼球と接触部材との間の突然の相対的動作から生ずる負傷から保護される。解除力、すなわち、2つの構成要素を解除するために求められる力は、同じ範囲にあってもよいが、例えば、10〜100グラム質量の範囲で、患者の眼球に対して接触装置を付勢する際に用いられる付勢力よりも通常若干大きい。本発明の一実施形態において、1以上のセンサは、図4Fに図示されるように、コネクタ部材410上に置かれる。制御アーム180が機械的に眼球接触部材120と係合されたとき、第2の磁気的コネクタ部材415は、圧力センサ450、452、454が典型的な、1以上の圧力センサと接触する。第2の磁気的コネクタ部材415との接触時、圧力センサ450、452、454は、第1の磁気的コネクタ部材410の平面に略平行な平面内に位置することが好ましい。図4Fに図示されるように、圧力センサ450、452、454は、それぞれ、第1の磁気的コネクタ部材410の中心点から等距離にある。圧力センサ450、452、454の相互関係位置は、図4Fにも示される。特に、3つの圧力センサ450、452、454は、それぞれが等距離、すなわち120度離隔して位置する。本発明の別の実施形態において、複数の圧力センサは、第2の磁気的コネクタ部材415に置かれる。
本発明についての、圧力センサを含むこの実施形態の実施時、眼球接触部材120が眼球に置かれ、制御アーム120がシステム内の既知の座標に連結されたなら、制御アーム180は、ドッキング処理によって動かされ、その結果、制御アーム180は、眼球接触部材120と係合するために動かされる。このドッキング処理の間、2つの磁気的コネクタ部材410、415は、係合されている。本発明によって意図されるように、2つの磁気的コネクタ部材410、415は、それらの間に置かれた圧力センサとともに、相互に正確に適合し、可逆的に連結するように寸法が決定される。ドッキング処理の間、制御アーム180と眼球接触部材120との間に生じた相互作用力は、圧力センサ450、452、454によって監視される。圧力センサ450、452、454によって検知されるその力の大きさ、及びその力の差が、ドッキング処理の間、眼球に対して与えられる力の大きさ及び方向を決定するために用いられることは、当業者であれば理解される。このようにして、システムの操作は、患者の安全性を確保するため、及び眼球に対する望ましくない損傷の危険性を最小限にするために監視される。特に、眼球に及ぼされる力の方向又は大きさのいずれかにおいて、しきい値を超えた力に達したときにはいつでも、眼球接触部材120に対する制御アーム180のさらなる動きは、コントロールユニットによって阻止される。一実施形態において、力が所定のしきい値に達したとき、制御アーム180ができることは、眼球接触部材120から離れる方向に動くことだけである。
また別の実施形態において、例えば、被術者が適切な位置からずれたときなど、ドッキング処理の間又は治療の間にしきい力に達したとき、眼球接触部材120は、患者の安全性が保証されるように、制御アーム180から離れることができる。本発明のこの実施形態において、制御アーム180と眼球接触部材120との間に生ずる相互作用力が、所定のレベルに達した場合には、磁気連結又はスナップ式連結は、制御可能に解除され、接触装置120を制御アーム180から切り離すか、又は外すことが可能となる。同時に、相互作用力が所定レベル又は大きさに達したとき、及び接触装置120が制御アーム180から解除されたとき、治療又は診断処理を終了させてもよい。
同様の方法で、本発明の別の実施形態に従って、制御アーム180が、制御された方法で眼球を位置決め可能に回転させるために用いられる場合、圧力センサ450、452、454は、制御アーム180と眼球接触部材120との間に生じる相互作用力を監視する。圧力センサ450、452、454によって検知される力の大きさ、及びその力の大きさ間の差は、位置決め処理の間、眼球に対して及ぼされる力の大きさ及び方向を決定するために用いられる。このようにして、システムの操作は、眼球の位置決め及び安定化処理の間、患者の安全性を保証するため、及び眼球に対する望ましくないダメージの危険性を最小限に抑えるために、動的に監視される。特に、眼球に及ぼされる力の方向又は大きさのいずれかで、力が所定のしきい値に達したときはいつでも、制御アーム180のさらなる動きは、コントロールユニットにより防止され、そして、制御アーム180と接触装置120との間の、例えば、スナップ式又は磁気式連結などの連結は、解かれ、分断され、または離され、こうして患者の安全が保証される。
本発明の一実施形態において、力が上記の所定しきい値に達したとき、2つの磁気的コネクタ部材410、415の間の磁界は消され、制御アーム180から眼球接触部材120を切り離すことが可能となる。別の実施形態において、治療システムは、力が上記の所定しきい値に達したとき、電源が切られる。また別の実施形態において、力が上記の所定のしきい値に達したとき、2つの磁気的コネクタ部材410、415間の磁界は消され、眼球接触部材を制御アーム180から切り離すことが可能となる。そして、治療システム160は、電源が切られるか、または電源が入るのを阻止され、これによって眼球の位置決め又は治療処理の間、眼球の安全性が継続的に監視され、動的に維持される。
一実施形態において、全接触装置110は、単一の構成要素として形成されてもよい。接触装置110は、一実施形態において、被術者の動きを抑制することにより、システム100と眼球130との間の光学的又は他の通信手段を含む。接触装置は、いくつかの実施形態において、1以上の無線送信機、レーザーポインター、及び眼球が3次元空間において配置されるように、カメラに記録可能な機構のうち少なくとも1つを含む。
再び図4Aを参照すると、接触装置110は、いくつかの実施形態において、鏡230を含む。鏡230は、レーザー装置150又は例えば、放射線治療装置などの治療装置160の整合又は不整合を示すための、反射体として機能する。接触装置110が眼球と接触して置かれるとき、接触装置110とシステムとの間の正確な係合及び位置合わせは、達成される。この目的を達成するために、プラットフォーム上に搭載されるレーザー光源150は、正確な位置合わせを確認及び監視するために用いられる。光源から放射する光は、システム・オペレータによって、又はいくつかの実施形態においては自動化システムによって、観察可能な反射光パターンを作るために用いられる。いま図8A〜8Bを参照すると、反射光830の典型的な経路が、光源810の経路に対して示されている。重要なことだが、反射光830のパターンが、光源810の経路に沿って直接反射してかえってくるとき、接触装置110は、システムと正確に係合及び位置合わせされる。しかし、接触装置110が正確又は十分にレーザー800と位置合わせされていない場合には、反射光830の経路は、好ましい方向からそらされ、又は曲げられる。この状態において、図8Aに示されるように、レーザー800の遠位端820から放射する光源810の経路に対する反射光830の経路は、不適切な位置合わせを示している。さらに、システム・オペレータは、正しく位置合わせされていない反射光の経路を直接、又はグラフィカル・ユーザー・インターフェース上で観察することができ、正確な接触装置110の正確な位置合わせが可能となる。
例えば、鏡230は、レーザーポインタ又はLEDなどの光を反射する。その光は、レーザー装置800及び治療装置の少なくとも1つから生じ、そして、鏡230からの反射は、レーザー装置800及び治療装置の少なくとも1つに対する鏡の方向を示す。鏡230は、角膜表面に平行であり、このため、鏡に対して垂直なビームは、角膜に対しても略垂直である。例えば、図4B〜4Fに示されるように、鏡の中心を通る内腔250などの内腔が存在し、眼球接触部材120が、その中心で光の伝達を可能とする場合には、角膜に対して垂直なビームは、眼球の光軸又は幾何軸を通り、眼球の後極中心に届く。内腔が存在するにもかかわらず、鏡230から反射されるビームも、また、眼球の光軸を示す。
いくつかの実施形態において、鏡230は、いわゆる「ホットミラー(hot mirror)」又は「コールドミラー(cold mirror)」といわれ、鏡230は、ある波長を反射し、他は通過する。例えば、「ホットミラー」は、赤外線のレーザーポインタを反射し、可視光を透過する。このため、患者、治療する医師、又はカメラが、レンズを通して視認できる。「コールドミラー」は、赤外線を透過し、可視光を反射する。このため、可視レーザーポインタは、反射可能であり、一方赤外線は透過可能である。コールドミラーは、例えば、治療中、赤外線眼底カメラを使用することが求められる場合に用いられる。
前述のように、いくつかの実施形態において、接触装置110は、放射線透過性がある、又は、少なくともいくつかの放射線の通過を可能にする、材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、連結装置の放射線透過性の材料は、治療の間、治療用X線ビームを通過させるように、設定されることができる。例えば、接触装置は、眼球の位置を維持するために眼球に係合させることができ、そして、X線ビームは、接触装置110の少なくとも一部を通して通過する軌跡で、標的眼球組織に向けられることが可能である。従って、治療設計システムは、接触装置が眼球に係合又は位置決めされる場所について特に配慮せずに、X線ビームの軌跡を計画することができる。
いくつかの実施形態において、接触装置110は、放射線不透過性の材料、又は放射線の透過を低減又は制限する材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、接触装置110の放射線不透過性の材料は、例えば、X線ビームなどの放射線による材料の透過を制限するように設定されることができる。例えば、接触装置110は、眼球の位置を維持するために眼球に係合することができるが、眼球の標的組織に向けられるX線ビームは通過できないか、又は、その材料を通したX線ビームの透過は略制限される。これらの実施形態において、接触装置110は、眼球の重要構造(例えば、水晶体、視神経、角膜など)へさらす放射線を制限することにより、これらの構造のための遮蔽物として用いられ得る。
図5A〜5Bは、接触部材120、球状回転軸220、鏡230、及び真空ポート210を含んだ接触装置110の好ましい実施形態を示した、接触装置110の斜視図及び拡大図である。本発明のこの実施形態において、接触装置110は、本明細書中で説明されるように、接触装置110の形状、又は接触装置110とシステム及び眼球の少なくとも一方に付加される構成要素との間の幾何的な関係を定義する、1以上の基準マーカー240、242、244、246、248を含む。基準マーカーは、本発明の一の実形態において、接触装置110が眼球130と係合したとき、眼球の位置情報に貢献し、座標系が分かる。空間の位置決めは、既知の基準点に対する接触装置110の3次元的な空間位置を記録及び監視するために用いられる。
図5A〜5Bに図示される実施形態において、1以上の基準マーカー240、242、244、246、248は、画像形成可能な基準位置表示を含む。基準位置表示は、1以上の画像診断システムを使用することで、位置確認可能である。この実施形態において、その基準位置表示は、例えば、眼球接触部材120の外面の同一平面又は凹部のいずれかにあるように、接触部材120内又は接触部材120上に備えることが可能である。しかし、別の実施形態において、基準位置表示は、眼球接触部材120の同一平面又は凹部に備えられて構成されないことが必要とされ、眼球接触部材120から広がるように備えられることが可能である。もう1つの実施形態において、1以上の基準位置表示は、鏡230上、鏡230内、又は鏡230の周囲に置かれる。これは、接触装置110に沿って、鏡230が、縁部又は角膜組織に対して中心に置かれ、又は一直線になることを可能とする。
基準位置表示は、シールされた内部空洞に収容された液体又はゲルを含む。好ましくは、基準位置表示は、固体である。固体、ゲル又は流体は、1以上の画像診断法(例えば、MR、CTなど)により可視化可能である。一実施形態において、画像形成する基準位置表示は、眼球接触部材自体と一体化される。画像形成する基準位置は、可視化され、少なくとも1つの画像診断法により作成される画像上で良好なコントラストを提供する。一実施形態において画像形成する基準位置は、例えば、異なる画像診断法で位置確認可能である、画像形成する流体、ゲル又は固体の異種混合物を使用することにより、多様(すなわち、1より多い画像診断法により位置確認可能)である。
一実施形態において、1以上の基準マーカー240、242、244は、第1の画像診断法で可視化可能な物質を含むのに対し、1以上の基準マーカー246、248は、異なる第2の画像診断法で可視化可能である物質を含む。このように図示される一実施形態において、1以上の基準マーカー240、242、244は、CT、又は他のX線画像システム上で良好なコントラストをもたらす、高原子番号を有する物質、例えば、バリウム、チタン、ヨウ素、金、銀、白金、ステンレス鋼、酸化チタンなどが含まれ、又は添加される。この実施形態において、1以上の基準マーカー246、248は、例えば、1992年、スターク及びブラッドレーにより編集された、磁気共鳴画像法第2版の第14章に説明されているように、ガドベン酸メグルミン、ガドテリドール、塩化鉄、硫酸銅、又は他の適当なMRI造影剤を含み、参照により本明細書に組み込まれる。
別の多様な実施形態において、基準マーカーは、吸湿性のある、すなわち、例えば、画像診断法(MRI画像診断システム又は同種のもの)で可視化可能な画像形成流体などの流体を受けて保持することが可能な、略固体プラスチック又は他の材料から構成される。さらなる実施形態において、基準マーカーを形成するプラスチックには、例えば、CT又は他の放射線画像診断法などの異なる画像診断法で可視化可能である物質が、添加され、ひいては含まれる。吸湿性を備えた固体プラスチックの図示例は、特に、ポリアミド合成繊維(商標名:ナイロン)及びポリウレタンを含んでいる。吸湿性材料を使用することにより、画像形成流体を保持するシール空洞の製造に関する複雑性及び経済的負担を回避する。さらに、第1の診断法を用いた画像形成のために吸湿性固体プラスチックを適応させることで、及び、第2の診断法を用いた画像形成のために画像形成流体を使用することで、固体及び流体のそれぞれが別々に、正確な画像診断のためのより良好なコントラストの提供に合わせて調整される。
図5A〜5Bに図示される基準マーカーのさらなる実施形態において、1以上の基準マーカーの外面は、光学的又は電磁的エネルギーを反射する。結果として、それは、イメージガイド・ワークステーションに(例えば、被術者の位置決めの間)連結される光学的な位置システムのカメラによって位置確認可能である。このような基準マーカーの付加的な一の機能は決定の校正であり、基準位置間の距離が、眼球上又は眼球内の距離を校正するために用いられる。このような例の一において、球状の画像形成基準マーカーの外面は、(例えば、基準位置又は眼球接触部材120を粘着剤で覆って埋め込まれる)光反射微小球を含む。このような例の別として、基準位置の外面が、例えば、ミネソタ州セントポールのミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社(3M)により販売されているスコッチライト9810反射材多用途テープなどの、裏面粘着性の光反射テープで覆われている。
本発明の一実施形態において、球状回転軸220、鏡230、及び制御アーム180の少なくとも1つは、1以上の基準マーカーを含む。本発明の別の実施形態において、1以上の基準マーカーは、遠隔位置決めシステムと1以上の画像診断法の画像形成可能な使用によって位置確認可能となるように構成される。このような一実施形態において、眼球接触部材の外面は、例えば前述のように、光反射性を有して構成される。基準マーカーは、例えば、遠隔カメラ、又は、イメージガイド・ワークステーションに連結される光学又は他の位置決めシステムの、同様の構成要素を使用することにより、被術者の外側の位置確認が可能であるように、1以上の画像診断法(例えば、MR、CT、又は被術者内の3次元又は他の内部画像を提供する他の画像診断法)を使用して、さらに有利に位置確認が可能である。一実施形態において、これは、(光反射基準マーカーを特定するためのカメラを使用した)被術者眼球の現在位置の自動位置決めにより、付加的な画像形成ができる基準マーカーの置かれるシステム画像を、前処理することが可能になる。これは、光学的に位置確認可能な位置決め制御アームを接触装置に挿入することにより、被術者眼球を登録する必要性がなくなる。また、基準マーカー自体が、システムの前処理画像の既知位置に対して、光学的な位置確認及び登録が可能なため、他の絶対的な位置基準の必要性を排除する。
図5Bは、接触装置110に連結される制御アーム180の一実施形態を図示する。制御アーム180は、イメージガイド・ワークステーション又はプラットフォーム(図示せず)に連結される。この実施形態において、制御アーム180により、球状回転軸220への連結が可能となるため大きさ及び形状が決定される端部を含む。制御アーム180は、この実施形態において、光学位置決めシステムのカメラ又は他の同種の装置により位置確認が可能である、複数の基準マーカー520、522、524、526、528、530を含む。制御アーム180上の基準マーカー520、522、524、526、528、530は、相互に、及び制御アーム180の先端との間に、既知の空間関係で置かれる。光学的な位置決めシステムは、基準マーカーの配置を認識することにより、基準マーカーの配置と既知の空間関係にある制御アームの先端位置を計算することが可能である。これにより、制御アーム180を光学的な位置決めシステムと併用することで、被術者の眼球を登録し、さらにイメージガイド・ワークステーションを用いて治療法の計画及び実施の少なくとも一方を行うことが可能となる。イメージガイド治療のコンピュータ・ワークステーションは、事前に取得され、ロードされたシステムの前処理画像を表示することが可能である。ワークステーションに接続される光学的な位置決めシステムは、反射性基準マーカーから反射する光をもたらす、赤外線(あるいは、他のエネルギー源)を含む。これにより、制御アーム180の反射性基準マーカーが、カメラによって特定され、認識される。
図5A〜5Bに示されるように、接触装置110に追加される構成要素は、いくつかの実施形態においては、前記図4B〜4Dを参照して述べられた、接触装置110を横切り、またいくつかの実施形態においては、眼球の表面に伸びる、内腔250である。内腔250は、例えば、眼軸長を決定するため(例えば、Aスキャン)に用いられるなど、1以上のプローブを通過させるために用いられる。いくつかの実施形態においては、プローブは、被術者の眼球から離れて外側に向けることができる、レーザーポインタ・プローブ(図示せず)を含む。外側に向いたレーザーポインタは、システム内に含まれる治療装置に対して、装置、ひいては眼球の位置合わせをするために用いられる。いくつかの実施形態において、レーザーポインタは、治療装置を眼軸と一致させるために用いられ、(適切な位置において)治療装置の電源を入れ、又は(不適切な位置において)電源を切るために、用いられる。この実施形態において、被術者は、装置の電源オン・オフを行い、治療装置は、眼球がその機械に位置合わせされたとき機能し、装置が放射線治療装置と位置合わせされていないときには、電源を切る。
いくつかの実施形態において、接触装置110は、放射線透過性のある、又は少なくともいくつかの放射線の通過を可能にする材料を含む。いくつかの実施形態において、接触装置110の放射線透過性のある材料は、治療中、治療用放射線ビームの通過が可能となるように構成される。例えば、接触装置110は、眼球の位置を維持するために、眼球と係合することができ、X線ビームは、接触装置110の少なくとも一部を貫通する軌跡で、標的眼球組織に向けられることが可能である。従って、治療設計システムは、接触装置110が眼球に係合又は位置決めされる場所について特に考慮せずに、X線ビームの軌跡を計画することができる。
いくつかの実施形態において、接触装置110は、放射線不透過性の材料と放射線透過性の材料のいずれも含むことができる。いくつかの実施形態において、接触装置110の放射線不透過性の材料は、例えば、X線ビームなどの放射線が材料を透過するのを制限するように構成されることが可能であり、放射線透過性の材料は、放射線(例えば、X線ビーム)が、その材料を透過・貫通するように構成することができる。さらに、接触装置110は、X線ビームがそれに沿って標的組織を通過する軌跡の調整が可能となるように構成することもできる。いくつかの実施形態において、接触装置110は、ビームの大きさ又は形状を制限することにより、第3のコリメータとしてさらに機能することも可能である。例えば、接触装置110の放射線透過性の材料は、第2のコリメータを通る開口部としての大きさ及び形状にすることができる。このような実施形態において、X線ビームが放射線透過性の材料を通して放射されたとき、接触装置110のいかなる周縁部も、周囲の放射線不透過性の材料によって、遮蔽が可能である。いくつかの実施形態においては、放射線透過性の材料に替えて、放射線不透過性の材料に開口部が与えられてもよい。従って、接触装置110には、一層の遮蔽又は照準機能が付与される。
いくつかの実施形態において、接触装置110は、その略中心部分(例えば、眼球接触部材120の一部)を構成する放射線不透過性の材料を有することができ、中心部周辺又は端部の周囲に広がる接触装置110の一部は、放射線透過性の材料を含んで構成される。従って、その中心部分は、眼球組織に対する遮蔽物として機能することが可能であり、またX線ビームは、放射線治療中、放射線透過性の材料を貫通することができる。このため、接触装置110は、眼球に係合するための、より大きな眼球接触部材120を有することが可能となっても、X線ビームは、依然として放射線不透過性の材料に妨げられることもほとんどなく、標的組織に到達することが可能になる。
図6A〜6Cは、駆動機構600のスロット610に送り込まれる制御アーム180に取り付けられた、接触装置110の斜視図を図示している。いくつかの実施形態において、本システムの接触装置110は、適切な位置で眼球を保持する連結構成要素に取り付けることが可能である。連結構成要素は、治療装置に取り付けることが可能であるが、しかし、図6A〜6Cに示されるように、例えば、治療装置を保持するテーブル又はプラットフォームに取り付けられる駆動機構600などの、放射線治療装置から分離した位置に取り付けられることが好ましい。接触装置110は、使い捨て可能なものであることが好ましく、これにより、個々の(例えば使い捨て可能な)接触装置110は、被術者毎又は使用のたび毎使用される。あるいは、接触装置110は、使い捨て可能なものではなく、例えば、多数の被術者の眼球に使用される前に、抗感染症薬を用いてから取り扱ってもよい。ロボット制御されてもよいが、しかし、手動による制御が好ましい駆動機構600は、コネクタ640を介して基部620に固定され、既知の座標系を有する。一実施形態において、駆動機構600は、頭部位置決めシステム(図示せず)、被術者の眼球(図示せず)、及び放射線治療装置の位置決めシステムの少なくとも1つに関する既知の又は所定の位置に固定される。押しボタン630によりスロット610の内への、又は、外への接触装置110の手動による自由な位置決めが可能になる。このため、図6Aに図示されるように、制御アーム180は、駆動機構600と係合されない。図6Bにおいて、制御アーム180は、部分的に駆動機構600と係合される。そして、図6Cにおいて、制御アーム180は、完全に駆動機構600と係合されるが、これによって接触装置110が眼球に係合すると、既知の又は所定の座標系に固定される。
本発明の一実施形態において、空間の位置決めは、既知の基準点に対する接触装置110の3次元空間位置を常時記録、監視するシステムと組み合わせて用いられる。位置決めの1つの方法は、空間的に符号化された制御アーム180を用いて達成され、接触装置110の位置を追跡する。制御アーム180は、その一端で接触装置110を保持し、他端においてプラットフォーム620に対して機械的に安定化又は固定化される。制御アーム180は、駆動機構600と係合して、1自由度から3又はそれより多い自由度までを可能にし、また、プラットフォームに対する接触装置110の位置及び方向を正確に決定するための符号化装置を使用してもよい。制御アーム180は接触装置110の移動及び位置決めをも可能にする。制御アーム180は、接触装置110を正確かつ再現可能に位置決めするために用いられる。接触装置110の位置情報は、それから眼球位置の位置決めのため位置確認ソフトウェアへ伝達される。
接触装置110の空間位置決め及びガイダンスを遂行するための別の方法は、光学的又は電磁的センサによる検出を通してなされる。この技術において、カメラ又は他の接続される検出器は、システム上か、あるいは随意的に治療室内に備え付けられ、眼球又は接触装置110の位置を追跡し、登録するために用いられる。カメラ又は検出器は、接触装置110の3次元位置をリアルタイムで決定、記録することができ、その結果、接触装置が位置決めされるので、眼球の位置を決定、記録することができる。校正プロセスは、任意のイメージと組み合わせて、既知の基準系に対する接触装置の相対的な空間位置を決定する為に用いられる。校正情報はコンピュータの参照ファイルに保存され、ソフトウェアプログラムにより用いられる。
図7A〜7Cは、本発明の好ましい眼球安定化及び位置決めの実施形態を図示する。図7Aにおいて、接触装置110は、眼球接触部材120が眼球130と接触するように、矢印方向710、712に沿って眼球130に向けて動かされる。眼球接触部材120と眼球120との間に閉じ込められた略全ての空気を除去して、接触装置110が眼球130と気密に係合されるように、真空ポート210を通して、真空が、印加される。図7Bは、位置決めされ、安定化された眼球130を図示する。図7Cは、接触装置110のうち制御アーム180の、下向きの、又はY方向の動きを示している。好ましい実施形態において、制御アーム180の移動は、訓練を受けた医療従事者によって実施される。方向変位(例えば、アーム180のX−Y制御)において、眼球130の移動及び位置決めの少なくとも一方が制御可能になされるように、制御アーム180は球状回転軸220について回転する。本発明の一実施形態において、センサからのフィードバックは眼球130の位置を提供する。別の実施形態において、制御アーム180は、図6A〜6Cに示されるように、駆動機構に接続され、その移動又は位置決めがなされるので、眼球130の制御及び位置情報の自動化を可能にする。
引き続き図7A〜7Cを参照すると、本発明のシステムを利用した方法の例として、治療を開始する前の眼球回転が含まれる。眼球は、把持されて、例えば、中心点について、約1度から2度、あるいは、より広く約1度から90度の角度回転されることができる。他の実施で、回転は、異なる時点、異なる方向、及び異なる角度の少なくとも1つにおいて、約1度から約45度以上に及ぶ。このような回転に続いた後、例えば、治療のいくつか又は全てが加えられている間、眼球は回転した位置において保持され、又は保持されなくてもよい。所望の治療のいくつか又は全てが加えられた後、眼球は、それが自然に向かう方向へ最大限又は不完全に戻されること、及び、眼球がシステムからの補助なしにその自然に向かう方向へ最大限又は不完全に戻るように、解放されること、のうち少なくとも一方が可能である。
本発明のいくつかの実施形態において、所望の眼球治療のいくつか又は全てを加えた後、眼球は、例えば、反時計周りの方向に約1度から90度の回転など、それが最初に回転された範囲よりも大きな範囲で、反対方向に回転されることができる。本明細書で説明される眼球のいかなる回転の後、及びいかなる中間段階のうち少なくとも一方において、回転及び治療の少なくとも一方がなされる眼球の部分又は全部が、図7A〜7Cに図示される接触装置110に加えた手段により、(一時的又は恒久的に)把持され得る。
本発明の他の実施形態において、眼球の最初の安定化及び回転又は位置決め、並びに、
1以上の眼球治療(例えば、放射線治療)の開始後、最初に回転された範囲よりも大きな範囲で同じ方向に回転されることができる。その後、1以上の所望の眼球治療が、再び施される。この過程は、例えば、強膜が最小限の影響しか受けないように、黄斑などの一つの標的にエネルギーの照準を合わせるべく、追加的な眼球治療を形成するために、繰り返し可能である。眼球は、1以上の組織治療の施療を容易にするため、様々な角度で、(例えば、自然に向かう原方向を超えた)反対方向に回転可能である。したがって、眼球は、潜在的な強膜の損傷及び治療時間の少なくとも一方が、軽減又は排除され得るように、治療の施療を容易にするため両方向に回転されることができる。
本発明の一実施形態において、システムは、流体ディスペンサー(fluid dispenser)を含む。例えば、米国特許5,785,521号及び6,350,123号に説明され、その内容が参照により本明細書に組み込まれるものなど、水、減菌水、又は調整済み流体を含んだ流体は、治療時間の助けとし、ひいては、治療組織に役立てるために、追加されてもよい。例えば、流体は、システムに加えて、特定の場所に、又は遠く離れて置かれた容器又は点滴器などから、小型の空気噴霧器によって印加されてもよい。流体は、治療間及び治療中の少なくとも一方において、炭化を軽減又は排除するため及び血液を洗い流すために、印加されてもよい。また別の方法として、流体は、治療装置、接触装置に加えられるか、またはその他のシステムに加えられる噴霧器ライン(sprayer line)を用いて印加されてもよい。噴霧器ラインには、例えば、クリップ取付式及びシリコン基材の少なくとも一方の管類などの、システム及び流体分配ユニットに組み込まれた管類が含まれる。流体供給のための入力装置は、流体供給に対して電力供給するために、手動的又は自動的に作動されてもよい。
図7A〜7Cは、眼球位置決め処理中のアーム180による付勢力155の印加を図示している。前述のように、この付勢力は、眼球と眼球接触部材との間の負圧が(但し、相対的に低真空で)、眼球の位置を安定化するために機能することができるように、眼球の眼球接触部材を保持するために用いられる。本発明のこの実施形態において、117で示される眼球接触アセンブリは、眼球接触部材120及び患者の眼球に対して、1〜25グラム質量の力で眼球接触部材を付勢するための付勢機構を含む。図示の実施形態において、付勢機構は、アーム120内に含まれ、力の方向が矢印119によって示される。前述のように、付勢機構は、矢印119の方向にアームを付勢するコイルバネ又は電気回路により作動するソレノイドの形式をとる。
本システムの別の実施形態において、眼球接触部材は、視軸に対して略垂直な軸に沿って、眼球に向かう、及び、眼球から離れるすべり運動のレール上で支持されてもよい。レールは、例えば、患者眼球の直前にレールを配置するために、上下左右方向に位置決めする頭部支持台に備えられてもよい。この位置決めによって、その後、眼球接触部材は、患者が前方を真っすぐ見た状態で、患者眼球の前面頂部と係合させるために、移動可能である。最初の接触がなされ、眼球と接触部材とのインターフェースから空気が除去された後に、付勢力は、その後の眼球治療行為の間、眼球に対して離れないように、接触部材に印加可能である。
図8A及び8Bは、接触装置110が、眼球をレーザー位置合わせシステム800で位置合わせするために用いられることができる機構を表わしている。選択的には、位置合わせ機構は、例えば、位置合わせシステムとの関連で、そのエネルギーを眼球に向ける放射線治療システム(図示せず)などの治療システムを直接位置合わせをもする。レーザーポインタビーム810(いくつかの実施形態において治療ビームと平行である)は、コリメータの開口部820を通してレーザーシステム800から放射され、接触装置110の鏡230の表面に反射する。図8Aに表される位置合わせがされていない場合には、レーザーポインタービーム810は、コリメータ開口部820と共線的に鏡230の表面に反射せず、反射ビーム830によって示されるように、軸から外れる。レーザーシステム800及び接触装置600の少なくとも一方の方向は、反射ビーム830の位置を直接可視化することにより、又は、反射ビーム830の位置を検出して、レーザー反射ビーム830を位置合わせするようにレーザーシステム800を調整するセンサにより、手動又は自動的に調整されることが可能である。レーザーポインターが実際に調整されている場合(図8B)、レーザーポインタービーム810は反射され、レーザー反射ビーム830は、レーザーポインタービーム830と略共線的になる。システムは、いくつかの実施形態において、眼球の位置を識別し、位置決めガイドに対して眼球位置についての情報を送る識別モジュールを含む。識別モジュールは、物理的に眼球と接触する部分を含むことができ、それは、眼球の角膜に接して、又は角膜の上に位置可能な眼球接触部材120を含むことができる。識別モジュールは、いくつかの実施形態において、選択的には、例えば、レーザーで眼球の位置を識別することができる。
本発明のいくつかの実施形態は、図9〜24に示されるように、眼球接触部材が、眼球接触部材120の中心の周囲に放射状に置かれる放射線透過性の材料の1以上の開口部又は部分を有することを表している。開口部は、円状、正方形状、長方形状、楕円状、曲線状、不規則状、環状、同心円状の輪などに成形されることが可能である。いくつかの実施形態において、接触装置110は、標的組織に対して放射線の透過を可能にするため、装置の中心部分のみ放射線透過性の材料による開口部又は部分を含んで、構成される。
図9〜24は、眼球に向けて眼球接触部材を通して放射される治療エネルギー(例えば、放射線治療)を、選択的に制御するために用いられ得る眼球接触部材の多様な実施形態を図示する。図9は、眼球接触部材900の一実施形態を示す。図示されるように、眼球接触部材900は、前述したように、制御アーム(図示せず)に眼球接触部材900を連結するためのコネクタ905を含む。眼球接触部材900は、眼球の外面に置かれる。図9に示されるように、眼球接触部材900上には開口部又は孔はない。図10は、コネクタ1005を介して制御アームに連結され得る眼球接触部材1000の中心から、外れて配置される円形の開口部1010を図示している。円形開口部は、例えば、黄斑など眼球内に位置する所定の組織に対する、眼球を通した正確なエネルギー制御を可能にする放射線治療装置などの、治療装置との組み合わせで用いられるときに、被術者の眼球に対してエネルギーの透過を可能にすることが好ましい。開口部の直径は、選択された治療に適するいかなる範囲のものも可能である。本発明の具体的な実施形態において、開口部の直径は、約25×10-6mから約200×10-6mにまで及ぶ。一実施形態においては、100×10-6mの開口部が意図される。別の実施形態においては、直径200×10-6mの開口部が利用される。
図11〜18は、以下の説明を除けば、眼球接触部材1000に類似する。従って、図11〜18との関係で説明される眼球接触部材は、眼球接触部材900又は1000と同様の方式で用いられ、被術者の眼球に付けられることが可能である。例えば、図11は、コネクタ1105及び三日月状で形成された開口部1110を含む、眼球接触部材1100の実施形態を示す。図12は、コネクタ1205及び七角形状に形成された開口部1110を含む、眼球接触部材1200の別の実施形態を示す。図13は、コネクタ1305及び円形状に形成された複数の開口部1310、1312、1314を含む、眼球接触部材1300の別の実施形態を示す。図14は、コネクタ1405及びダイアモンド形状に形成された開口部1410を含む、眼球接触部材1400の別の実施形態を示す。
図15は、コネクタ1505及び眼球接触部材1500の周囲部に配置され、部分的に円形状に形成された開口部1510を含む、眼球接触部材1500の別の実施形態を示す。
図16は、コネクタ1605及び豚鼻状に形成された開口部1610を含む、眼球接触部材1600の別の実施形態を示す。図11〜12、14、16及び18に示される開口部が、単に非円形開口部を例示したものであることは理解できるであろう。他の形状及び配置が提供されてもよく、本発明の範囲内である。
図17は、コネクタ1705及び眼球接触部材1700の周囲で部分的に円形状に形成された開口部1710を含む、眼球接触部材1700の別の実施形態を示す。
図18は、コネクタ1805及び図9の眼球接触部材900に対して眼球のおよそ半分の領域を覆う全体形状を含む、眼球接触部材1800の別の実施形態を示す。このため、眼球接触部材1800は、より多くの治療エネルギー及び眼球に対するより容易なアクセスを可能にすることができる。
図9〜18の眼球接触部材は、好ましくは、一定の厚さを有する。しかしながら、いくつかの実施形態においては、眼球接触部材の厚さは、眼球接触部材の外面周囲と中心との間で変化してもよい。例えば、眼球接触部材の厚さは、中心により近い位置で眼球に入射するよりも、周辺部で入射するエネルギーの方が大きくなるようにするために、眼球接触部材の中心から周辺部に向かって徐々に減少させてもよい。眼球接触部材は、いくつかの実施形態において、少なくとも部分的、好ましくは完全に、1以上の開口領域の外側において、不透明である。眼球接触部材の不透明性は、いくつかの異なる方法のいずれにおいても実現可能である。例えば、一実施形態において、眼球接触部材を形成するために用いられる材料は、もともと不透明であってもよい。もう一つの方法として、眼球接触部材を形成するために用いられる材料は、略透明であってもよいが、眼球接触部材の一部又は全部を実質的又は全体的に不透明の状態にするために、染料又は他の色素で処理されてもよい。さらに別の実施形態において、眼球接触部材の片面又は両面は、エネルギーをほとんど透過させないようにする眼球接触部材の反射及び透過特性を変更するために、物理的又は化学的(例えばエッチング)に処理されてもよい。
さらに別の選択肢では、眼球接触部材の表面は、その上に蒸着される粒子で処理されてもよい。例えば、眼球接触部材の表面は、眼球接触部材の表面を不透明にするため、チタン、金又は炭素微粒子で蒸着されてもよい。例えば、バリウム又はフローレセントな(florescent)合成物などの放射線不透過性の材料も含めることができる。別の選択肢では、微粒子は、眼球接触部材の内部に封入されてもよい。最終的には、眼球接触部材は、一般的に図19〜図24に示されるように、エネルギー透過性を変化させる領域をもたらすためのパターンをつけて形成されてもよく、詳細は以下に説明される。
図19は、コネクタ1905、及びコネクタ1905から眼球接触部材1900の外周に広がる放射状スポークのパターンにおける複数の開口部1910、を含む眼球接触部材1900の実施形態を示す。開口部は、同一の不透明性を有してもよく、又は、選択的には、所望の通り、徐々に増加又は減少する不透明性を有してもよい。徐々に変化する不透明性は、例えば、開口部1910に対して、程度の異なる色素沈着を与えることにより、実現されてもよい。別の実施形態において、前述したタイプのエネルギー遮蔽物質は、様々な程度で、選択的に眼球接触部材1900の表面に蒸着されてもよい。
図20は、眼球接触部材の中心1905から生じて、放射状に広がる複数のスロット1910を示す図19の眼球接触部材の側面図である。
同様の方法で、図21は、コネクタ2105、及び眼球接触部材2100の中心から周囲にいくにつれて直径が大きくなる複数の円形開口部2110、2112及び2114を含む、眼球接触部材2100の実施形態を示している。
図22は、眼球接触部材2200の中心2205から大きさが大きくなり、かつ、放射状に間隔を空けた円形状の複数の開口部2110、2112、2214を示す図21の眼球接触部材の側面図である。
図23は、不透明である領域2320からエネルギーを透過する領域2310に及ぶパターン化された開口部構造を利用する眼球接触部材2305の実施形態を図示する。
図24は、眼球接触部材2300内の格子状開口部2310を示す図23の眼球接触部材の側面図である。
前述の実施形態において、選択された治療装置は、システムへの取付を通して、接触装置に間接的に連結される。例えば、前述の好ましい実施形態において、接触装置は、駆動機構を介してシステムに結合される制御アームに、連結される;選択された治療装置は、接触装置と選択された治療システムとの間の空間関係が、動的に決定されるように、システムに連結される。本発明の別の実施形態において、接触装置と選択された治療システムとの間の物理的な直接結合がある。従って、いくつかの実施形態において、物理的な結合には、治療連結装置が含まれる。連結装置は、例えば、強膜レンズ及びその表面に連結される治療装置を含むことが可能な眼球接触部材を有する。眼球接触部材は、角膜を覆うとともに、角膜に接触することが可能、又は、強膜に接触するだけで角膜を覆うことが可能である。いくつかの実施形態において、眼球接触部材は、角膜及び強膜の両方を覆うとともに接触することができる。眼球接触部材は、いくつかの実施形態においては、レンズとすることができ、また、別の実施形態においては、眼球接触部材は、反射のほとんどない、又は全くない略透明なウィンドウとすることができる。眼球接触部材は、眼球のゲルを保持するために用いられることができ、又は、眼球接触部材は、中心孔を備えた構造とすることができる。眼球接触部材は、個々の患者が、例えば、IOLマスター、光干渉断層撮影(OCT)、角膜表面マッピング、MRI、CTスキャン、及び超音波診断などの画像診断法を用いるために、カスタマイズされることができる。眼球接触部材は、弾性体、若しくは、剛体、又は、複合的なものとすることが可能である。1以上のフランジは、まぶたが離れるように保持する機能を果たすことができるとともに、治療装置のための基準として役立てることができる。
表面又は一部と連結する治療装置は、眼球接触装置と向かい合う。これらの表面は、個々に、又は、共同で連結装置を放射線治療システムに連結する。眼球接触部材が、眼球及び組織とインターフェースをとっている間、治療装置の一部は、眼球接触部材を治療システムに連結している。治療装置の一部は、様々な方法で、連結装置を治療装置に結びつけている。例えば、治療装置の一部は、レーザーポインタを用いて、赤外線連結を用いて、マイクロウェーブ連結を用いて、機械的連結を用いて、反射光を用いて、又は、高周波送信機を用いて、治療装置に連結可能である。
III.本発明の方法
本発明の装置は、広範な種類の眼球治療法に用いられてもよい。好ましい治療法には、レーザー治療及び放射線治療が含まれる。図25に図示されるように、前述の本システムを採用した好ましい方法2500には、麻酔薬の投与、上下まぶたのテーピング、眼球の拡張、例えば、軸長、角膜径などの生体パラメータの決定を含んだ、治療のための被術者眼球の準備2510が含まれる。準備の後、被術者の頭部は、システムに固定される(2520)。その後、接触部材は、参照番号2530によって参照されるように、被術者の眼球に位置づけられる。眼球に対する(前述の)保持器の位置決めは、縁部中心に対するx、y、zの動きを用いて、保持器の中心を調整することによって実現される。これは、保持器及び患者の眼球の両方を直接又はコンピュータのモニター上で観察している間、医者が接近して施されることが可能である。また、イメージングカメラは、自動的に縁部中心を決定することができ、縁部中心と一致された中心を備える保持器の位置決めを補助する。いくつかの実施形態において、保持器は、装置オペレータによる手動よりはむしろ、自動的に適切な位置に位置決めされる。
縁部に対する保持器の位置が決定されると、眼球に対して保持器を並置するために、保持器を通して吸引が行われる(2532)。保持器が眼球に対してしっかりと取り付けられた状態において、治療装置に対するシステム内の既知の座標位置に、保持器(及び眼球)を動かすことができる。保持器が反射を監視するための鏡を含む実施形態において、保持器は、鏡からの反射が適切な位置となるように、位置決めされる。眼球が適切な位置にあると、眼球の動きは、一例として、吸引により安定化される(2540)。
その後、眼球は、番号2550により示されるように、治療装置に対する所定の位置に位置決めされる。そして、治療装置は、治療を行うために、眼球に対して動かされ、あるいはその反対に位置付けられる(2560)。また、治療装置は、眼球の周囲の位置に動く。方法のステップ2550〜2560は、所望の治療が完了するまで反復可能であり、その後、被術者眼球が接触装置から解放される。
前述のように、番号2534によって示されるが、本発明のいくつかの実施形態において、クイック・レリーズは、接触装置に組み込まれる。緊急時又は疲労時、患者は、眼球接触部材が接触装置に残っている状態から離脱させるわずかな力を加えることで、保持器から解放可能である。このような場合において、方法のステップは、頭部を位置決めし、固定する前のステップに戻るか、あるいは、図25に示されるように、被術者の眼球2530上の接触装置を位置決めするステップに戻る。
システムを活用する例示的な方法を、これから説明する。方法は、位置決めのための眼球準備を含む。このような準備は、被術者の眼球に点眼麻酔薬を投与することを含む。強膜のクリアランスは、下まぶたを下方に向けてテープで固定するか、あるいは、まぶたを裏返しにすることで与えられる。治療を受けない眼球は、パッチで覆われる。眼球の頭部は、頭部支持台に位置決めされ、顎は、顎台に置かれる。頭部は、ストラップ又は同種のものを備えた頭部支持台に固定されてもよい。眼球接触部材は、強膜の上部に接触させるため、眼球接触部材の傾きを変化させることにより、角膜上に置かれる。眼球接触部材は、眼球の上部強膜領域に接触するので、眼球接触部材は、眼球との間に十分な接触をなすため、傾きを下方に変化される。それから、吸引が行われ、画像的に、及び、吸引を「保持」する真空源により、確認される。接触装置は、レーザーで、位置合わせがなされ、縁部に中心が合わされる。その後、所望の治療行為が施される。
図26に図示されるように、本発明の方法についての好ましい実施形態において、放射線治療システムからの放射線ビームで眼の眼球組織を治療する方法2600は、眼球表面を眼球接触部材に接触させて、その眼球接触部材は第1の部分を含んで構成され、眼球組織を貫通する軸は、眼球接触部材の第1の部分をも貫通すること;及び、眼球の外側に配設された放射線治療システムから眼球組織に向けて複数の放射線ビームを放射することで(2610)、複数の放射線ビームはそれぞれ、眼球組織の治療部位における軸と交差する軌跡を有し、治療部位は複数の放射線ビームの少なくとも1つによって効果的に治療可能となること、を含んで説明される。図2600に図示される実施形態において、放射線の少なくとも一部は、眼球に位置決めされている接触装置を透過する。別の実施形態において、放射線の少なくとも一部は、接触装置のいずれの部分とも接触せずに眼球に伝達される。一選択肢として、又は前述の実施形態との組み合わせで使用可能な、さらに別の実施形態において、放射線の少なくとも一部は、接触装置が眼球に位置決めされているとき、接触装置で反射される(2630)。放射線治療は、所望の効果が実現するまで継続される(2640)。
本発明の方法についての別の実施形態2700において、図27に図示されるように、角膜は、前述される本発明のシステムを用いて再形成される。この実施形態において、レーザーは、眼球の角膜に向けて放射され(2710)、角膜表面の所望の再形成に従う(2720)。本発明のいくつかの実施形態によれば、組織(例えば、結膜又は強膜)に向けた治療エネルギー(例えば、放射線治療用又は切除用光学エネルギー)の印加は、治療組織群及び治療組織群に対応する治療組織マーキングの少なくとも一方を参照することができる。治療は、1つの又は複数の集中した組織スポット;非線形及び非弓形の組織群(例えば、パターン);及び、複数の集中した組織スポット、非線形及び非弓形の組織群、の少なくとも1つに配置される2つ以上の治療組織を参照することができる。治療組織又は治療組織群は、集中したスポット、乱雑な線形状、(直線、曲線、又は別の)を含んでもよく、あるいは、組織領域にカスタマイズされる治療に基づいて、所定のパターンで形成される線形状を含んでもよい。
別の実施形態において、前述される本システムは、網膜のレーザー光凝固術の間、又は、網膜の光治療の間、眼球を安定化させるために用いられる。これらの治療において、眼球の安定化は、眼球に接触するレンズで眼球を手動で保持する医者により、容易に施される。この技術の限界は、医者が、震え及び振動の影響を受けて、極めて限られた位置決め及び安定化能力でしかレンズを保持することができないことである。前記に与えられるシステムであれば、医者は、アームを安定化させるシステム・カメラを通して安定化を確認したうえで、これらの治療を施すことが可能となる。
例えば、強膜に使用するレーザーの具体的な実施には、約2.7×10-6mから2.9×10-6mまで及ぶ例示的な波長で操作される、Er:YAGレーザー、Er:YSGGレーザー、Erレーザー、CTE:YAGレーザー、あるいはCr:YSGGレーザー;約308×10-9mの例示的な波長で操作される、XeClエキシマレーザー;約0.15×10-6mから3.2×10-6mまで及ぶ例示的な波長で操作される、周波数切換え可能な固定レーザー;約93×10-9mの波長で操作されるArFのエキシマレーザー;約190×10-9mから約220×10-9mまで及ぶ波長で操作される、Nd:YAG又はNd:YAL又はチタンサファイアレーザーにより発生する高調波;例えば、約6×10-6mの波長で操作されるCOレーザー、及び、例えば、約10.6×10-6mの波長で操作される炭酸ガスレーザー;約0.8×10-6mから約2.1×10-6mまで及ぶ例示的な波長で操作されるダイオードレーザー;約2.6×10-6mから約3.2×10-6mまで及ぶ波長で操作されるガスレーザー;及び、約0.5×10-6mから約10.6×10-6mまで及ぶ波長で操作されるフラッシュランプ励起及びダイオードレーザー励起のレーザーを含む、他のガス又は固体レーザー;及び、約2.6×10-6mから約3.2×10-6mまで及ぶ例示的な波長で操作される光パラメトリック発振(OPO)レーザー、を含んでもよい。
従って、前述の装置及び方法は、本発明のいくつかの実施形態において、被術者の眼球状態の治療に有益である。例えば、電磁エネルギー放射装置などの治療エネルギー源は、角膜及び角膜以外の少なくとも一方の処置を行うために利用される。本発明のいくつかの実施形態の構造及び技術によれば、エネルギー源、又は組み合わせて利用されるときには複数のエネルギー源が、老眼などの状態を治療するために、例えば、結膜及び強膜など、眼球の部分上及び部分内の少なくとも一方にエネルギーを向けるように作動されることが可能であり、エネルギーが、眼球の少なくとも1つの特性に影響を与え、眼球の特性を向上させる結果となる。
本発明のいくつかの実施形態において、例えば、近視及び遠視などの焦点障害が治療される。近視、又は近眼は、眼球に入射する光線が、網膜の前方で焦点を結ぶ結果、離れた物体がぼやけて見える、視覚的な反射異常に関連する。一方、遠視は、光線が網膜の後方で焦点を結ぶ結果、近くの物体が、ぼやけて又は曖昧に見える、視覚的な反射異常に関連する。
遠視の1つの種類が、老眼であり、これは、通常、近距離で焦点を合わせる人間の能力が欠如することに関係し、加齢により発症及び進行する傾向がある。この進行に関して、老眼は、眼球が、人間の加齢とともに、次第に、近接の映像に適応又は焦点を合わせる能力を失っていくために、進行すると考えられている。従って、老眼の状態とは、羅患した人間の調節幅が普遍的に減少していることを意味する。
近視及び遠視は、例えば、縁部領域の内部に配置される角膜の表面曲率の再形成などの角膜処置、及び、例えば、(縁部領域の外側に配置される)強膜、毛様筋、小帯、又は水晶体の特性変更などの角膜以外に対する処置、を含む技術を用いて、外科的に治療される。前者の治療例では、患者が近接及び遠方の物体の両方を視認することを容易にすべく、多焦点を配置(例えば、単眼視野といわれる治療計画に従って、一方の眼の映像は遠ざけるとともに、もう一方の眼で映像を読み取る)して形成するために、角膜自体の表面を変更する。後者の治療例では、強膜の部分に創口を導入して、それによって調節力を向上させることが含まれる。角膜以外に対する処置には、通常、鉗子及び鋏、並びに、1以上の外科用メス、焼灼器、プラズマ、及びレーザー方法、の少なくとも一方を用いて、被術者の結膜を一時的に除去又は剥がした後に、角膜以外に対する実際の処置(例えば、強膜内の創口形成)が続行することが含まれる。創口を形成した後、結膜は、通常、適切な位置に戻されて縫合される。
電磁的エネルギー装置は、例えば、約0.2×10-6mから約3.1×10-6mまで及ぶ波長を有するレーザーなど、広範な波長で放射するレーザーを含んでもよい。例示的なレーザービームの大きさは、約0.005×10-3mから約1.0×10-3m又は2.0×10-3mまで及ぶ範囲とすることが可能である。パルス値毎の例示的なレーザーエネルギーは、例えば、パルスの持続時間及びレーザービームのスポットサイズに依存するため、約0.1×10-3Jから約50×10-3Jまで及ぶ範囲とすることができる。通常のパルスレーザー幅、約150×10-9sから約1000×10-6sまで及ぶ範囲としてもよい。治療領域は、出血を最小限にするために、血管レーザー(vascular laser)、長パルスEr、Cr:YSGG、又は長パルスEr:YAGを用いて、予めトレースされることが可能である。
本発明の一実施形態において、放射線治療が施される。放射線治療は、特に、黄斑の変性を治療するのに有効である。黄斑の変性は、人間の眼の網膜中心付近部にある、黄斑の光感受性細胞が、機能不良を起こし、徐々に機能を停止していく状態である。黄斑変性は、50歳を超えた人が中心視野を失う最も多い原因である。黄斑変性は、ある程度まで進行するか、又は、最終的には網膜の破壊を引き起こす炎症過程をもたらすことが、臨床的及び歴史的な事実に示されている。炎症過程は、網膜の直接破壊、又は、網膜へ液体及び血液を滲出させ、急速に瘢痕化を招く、傷新生血管の血管膜形成を介した破壊をもたらす可能性がある。黄斑変性の治療において、患者の黄斑は、注目すべき標的部位としてみなされる。眼球の安定化及び位置決めの後、前述の本方法によれば、5〜45度の間で、眼球の角膜に対して垂直な軸となる角度を形成する、眼球の外側の部位を通した経路に沿って、好ましくは、眼球の水晶体を通してビームを向けることを回避する角度で、眼球の黄斑部位にビームを向けるための位置へ、軟視準X線ビーム源が移動される。一の好ましい治療方法において、ビーム源は、いかなる1経路に沿っても眼球が触れる放射線を最小限にするため、黄斑が、異なる経路に沿って放射線照射されるように、垂線に対して同一の角度で、わずかに上昇した位置から、及び、対応する低位の状態から、黄斑に向けてビームが向けられる傾斜位置へ移動される。
放射線治療は、眼球に関する他の治療法と組み合わせて用いられてもよい。放射線治療は、他の治療の副作用を制限するために用いられる、又は、他の治療法と相乗的に働くことができる。例えば、放射線治療は、網膜のレーザーによる焼灼や、眼球前面の移植若しくは手術に加えることができる。放射線治療には、1以上の調合薬、医学的治療、及び、光線力学的治療と光線力学的薬剤との少なくとも一方を組み合わせることができる。例えば、放射線治療は、抗VEGF治療、VEGF受容体、ステロイド、抗炎症薬、DNA結合分子、酸素ラジカル形成治療(oxygen radical forming therapies)、酸素運搬分子、ポルフィリン分子/療法、ガドリニウム、処方箋に基づく微粒子、腫瘍化学療法、温熱療法、超音波療法、及びレーザー療法とともに、結膜に使用されることが可能である。
いくつかの実施形態において、放射線増感剤及び放射線防護剤の少なくとも一方は、トーマス(Thomas)及びその他の著者による、放射線修飾薬:治療の概観及び未来の調査(Treatment Overview and Future Investigations)出版のヘマトル.オンコル.クリン.エヌ.エーエム.(Hematol. Oncol. Clin. N. Am.)第20号(2006年)第119〜139頁;セナン(Senan)及びその他の著者による、抗脈管形成療法を組み合わせた放射線の臨床試験案:腫瘍学者(Oncologist)第12号(2007年)第465〜477頁で述べられているように、放射線治療の効果を低下又は向上させるための治療と組み合わせることができ、これら両記事の全ては、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態は、下記の放射線増感剤及び治療のうち少なくとも1つを伴った放射線治療を含む:5−フルオロウラシル、フッ化ピリミジン代謝拮抗剤、抗S期細胞毒素(anti-S phase cytotoxin)、5−フルオロウリジン三リン酸、2−デオキシフルオロウリジン一リン酸、及び2−デオキシフルオロウリジン三リン酸のカペシタビン、シスプラチンやカルボプラチンなどの白金錯体、フルオロピリミジン、ゲムシタビン、代謝拮抗剤、タキサン、ドセタキセル、I型トポイソメラーゼ抑制剤、イリノテカン、シクロオキシゲナーゼ2抑制剤、低酸素細胞放射線増感剤、抗脈管形成療法、ベバシズマブ、組み換えモノクローナル抗体、ラス媒介(ras mediation)及び上皮成長因子受容体、腫瘍壊死因子ベクター、アデノウィルスベクターEgr−RNF(Ad5.Egr−TNF)、並びに、温熱療法。いくつかの実施形態において、実施形態は、下記の放射線防護剤及び治療の少なくとも一方を伴った放射線治療を含む:アミフォスチン、スクラルフェート、細胞保護チオール(cytoprotective thirol)、ビタミン及び抗酸化物質、ビタミンC、トコフェロール−モノグルコシド、ペントキシフィリン、α−トコフェロール、β−カロテン、並びに、ピロカルピン。
抗脈管形成物質(AAs)は、新生血管の成長を抑制することを目的としている。ベバシズマブは、血管発生を制御するシグナル伝達経路で中心的役割をもった配位子であるVEGFに、結合して中和することにより作用するヒト化単クローン抗体である。調査結果は、抗VEGF治療は、人間の組織内に、直接的な抗脈管効果を有することを示唆している。対称的に、小分子チロシンキナーゼ阻害薬(TKIs)は、VEGFRsの作用を阻害して、直接VEGFに結合するよりも、下流のシグナル伝達経路を抑制する。血管損傷物質(VDAs)は、二次的な組織の壊死になる、既存血管系の急速な停止を引き起こす。コンブレタスタチン及びZD6126を含む、不安定微小管物質、及び、5,6−ジメチルキサンテノン−4−酢酸(DMXAA)に関連する薬剤は、主に2つのVDAsのグループがある。例えば、EGFR阻害剤又は中和剤などの物質及び細胞毒性抗ガン剤を含んだ混合型阻害剤も使用可能である。
従って、本発明のシステムは、いくつかの実施形態において、放射線治療を提供するために使用されることができる。放射線ビームの印加に用いられる基準を提供する治療軸が、X線源を回転しうる、放射線治療システムのシステム軸と結合され、又は位置合わせがなされる。X線源は、X線源をその周りに回転させることができる放射線治療装置のシステム軸の周囲を回転可能である。画像診断サブシステム及びこれに対応する軸とともに、又は独立して、システム軸の周りに回転することができる。治療軸がシステム軸と位置合わせがなされた状態、かつ結合装置が眼球と係合した状態において、放射線ビームの軌跡は、放射線ビームを被術者眼球の標的部位一致するように向けるために、定められることが可能である。治療軸、システム軸、連結装置の配置、及びX線源の配置について定義された空間は、例えば、放射線ビームの方向及び照射を向けるために用いられ得る限定された座標系を、提供する。
本発明の一実施形態において、放射線力学的療法が施される。放射線力学物質は、全身に、又は硝子体内に投与される;その後、治療すべき眼球部位は、前述のように、直接放射線治療の標的にされる。標的部位は、本発明の装置の使用及び眼球ひな形との併用の少なくとも一方により、正確に配置されることが可能であり、その結果、放射線は、その標的に正確に照射可能である。約1×10-3m以下の大きさのビームは、例えば、標的がドルーゼンである場合に、眼球疾患を治療する放射線治療で用いられる可能性がある。他の例では、ビームの大きさは、約6×10-3m未満である。
さらに、本発明のシステムは、種々の眼のがんを治療するために利用されることが考えられる。典型的ながん治療については、以下に説明される。
眼球内の黒色腫は、ブドウ膜として知られる眼球部分に見られるメラニン細胞と呼ばれる色素細胞から発生する。ブドウ膜は、眼球の色の付いた部分を形成する虹彩;眼球内の水晶体の形状を変化させて焦点を合わせることを可能にする毛様体;眼球の最深層部である脈絡膜、を含む。珍しいことではあるが、ブドウ膜の黒色腫は、成人に最もよく起こる原発性眼球腫瘍である;米国では、毎年およそ1200人がこの疾患であると診断されている。この疾患の発症に関する要因には、明色皮膚、環境暴露、及び遺伝性素因が含まれる。
黒色腫が虹彩において発生する場合、眼球上に黒点として現れる可能性がある。しかし、毛様体又は脈絡膜に発生する場合、その症状は、仮に発生したとしても、視力障害として現れる。この場合に、疾患は、大抵定期診断の間に発見される。回復の可能性及び治療に対する効果は、黒色腫の位置及びそれが転移しているかどうかによる。後部ブドウ膜領域の黒色腫(それらは眼球の深部−毛様体又は脈絡膜から発生するがん)は、通常、より悪性であり、腫瘍が眼球の外側領域へ転移している場合、30%の5年死亡率である。前部ブドウ膜領域の黒色腫(それらは虹彩から発生する)については、5年を超えての死亡率が2%から3%である。従って、本発明の一実施形態において、眼球内部の黒色腫は本発明のシステムを用いて治療される。
眼球内部の黒色腫に対する標準的治療には、通常、眼球の外科的切除 、又は摘出が含まれる。患者の外見上におけるこの治療の影響、なし得る診断に関する不確実性、及びがん転移の可能性のために、別の治療法が導入されてきた。これらの治療には、放射性血小板を伴う放射線療法、レーザー光凝固療法、経瞳孔温熱療法及び凍結療法が含まれる。眼球周囲の健康な組織に対して、いかなる重大な損傷をも引き起こすことなく、正確に眼球組織に照準を合わせる能力を有する陽子線治療も考えられる。
脈絡膜転移は、胸部のように、別の原発部位から眼球の脈絡膜層に広がって起こる。この状態で、治療の目的は、視力の維持及び眼球除去の防止によって、患者の生活質を向上させることである。前述のシステムと組み合わせた化学療法、外照射療法及び陽子線療法は、脈絡膜転移の治療ために、本発明により意図され、この治療法により、眼球の保存を可能にし、高確率で局所管理を実現し、失明及び疼痛の回避を促進する。
網膜芽細胞腫は、まれな小児がんである。網膜芽細胞腫は、網膜に発生し、15歳未満の子供のがんのうち約3%、百万人に約4人の割合を占める。網膜芽細胞腫は、ほとんどの場合、2歳前に発生し、網膜芽細胞腫の95%は5歳前に診断される。腫瘍は、片眼に影響を与える(症例の約75%)か、又は両眼に影響を与える(症例の25%)。眼球から転移しない、90%を超える網膜芽細胞腫は、治癒する。網膜芽細胞腫は、時々、遺伝的な遺伝子突然変異によって引き起こされる;両眼に起こる場合、それは、常に突然変異の結果である。本発明による網膜芽細胞腫の治療は、多くの専門分野にわたるアプローチを予定し、がん治療と同時に視力維持も伴う。腫瘍が特に大きい場合、又は通常の視力を維持することがほとんど期待できない場合には、外科手術が考慮されてもよい。他の選択肢には、凍結療法、光凝固療法、化学療法、及び放射線療法が含まれる。陽子を伴う外照射療法は、腫瘍を制御するために限定的な症例で使用されてきた。本発明のシステムとの組み合わせた陽子線療法は、本発明により意図されるところである。
脈絡膜血管腫は、通常、健康的に含まれ、視覚能力の減少を引き起こす、血管の良性腫瘍である。脈絡膜血管腫の治療は、網膜下の液貯留を低減させるとともに、腫瘍の大きさを減少させることを狙いとする。標準的治療には、レーザー光凝固療法が含まれ、網膜をうまく再付着するが、常に腫瘍を完全に破壊できるわけではない。近年、放射性血小板療法及び陽子線療法が用いられている。陽子線療法は、放射性血小板の入った腫瘍を正確に狙う能力を共有し、これにより、本発明のシステムとともに使用することが意図される。
前述のがん治療方法に加えて、本発明は、眼球の外側かつ近傍の腫瘍に治療量の放射線を照射する治療軸から、重要な組織を遠ざけるために、眼球を操作することをも意図している。従って、本発明の一実施形態において、本システムは、眼球外部の疾患治療に対して、眼球を位置決めするために使用される。
本発明の一実施形態において、前述の装置は、他の眼球治療と組み合わせて利用される。例えば、凍結療法、光凝固、化学療法及び放射線療法などの1以上の治療法が、眼球の治療法を提供する本発明のシステムと併用可能である。
前記の内容から、本発明のさまざまな目的及び特徴が、いかにして満たされるかがわかる。開示内容のある面及び実施形態が説明されてきたが、これらは、ほんの一例として提示されたものであり、開示内容の範囲を限定するものではない。本明細書に説明された方法及びシステムは、それらの精神から離れることなく、他の様々な形式で具体化されてもよい。本明細書に引用される全ての出版物及び特許は、本発明に関連して用いられる可能性のあるシステム及び方法論を説明し開示するために、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。