以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
(無線通信システムの概略構成)
以下、本発明の一実施形態である無線通信システム(移動体通信システム)について説明する。この無線通信システムは、「3GPP LTE(3GPP Long Term Evolution)」の仕様に準拠する好適な構成を有するが、これに限定されるものではない。図1は、本発明に係る一実施形態の無線通信システム1の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。この無線通信システム1は、マクロ基地局(macro eNBs:macro evolved Node Bs)である第1の無線基地局21,22,23と、マイクロ基地局(micro eNB)30やフェムト基地局(femto eNB)31からなる第2の無線基地局群とを含む。マイクロ基地局30やフェムト基地局31は、それぞれ、マクロ基地局21,22,23の各セル(通信エリア)とは大きさの異なる局所的で小さなセル(通信エリア)を管理する小型基地局である。この種の小型基地局は、たとえば、半径数十〜数百メートル程度の範囲をカバーする機能を有する。
マクロ基地局21,22,23は、コアネットワーク(EPC:Evolved Packet Core)8に接続されている。コアネットワーク8は、各種標準規格(たとえば、「3GPP」、「3GPP2」、「3GPP LTE」あるいは公知の無線LAN規格)に準拠したアクセスネットワークを統合的に収容するネットワークである。
コアネットワーク8は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW:enhanced MBMS Gateway)11、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE:Multi-cell/Multicast Coordination Entity)12および端末移動管理装置(MME/S−GW:Mobility Management Entity/Serving Gateway)13を収容している。ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC:enhanced Broadcast Multicast Service Centre)10は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介してコアネットワーク8と接続されている。
一方、IPネットワーク(インターネット)9は、コアネットワーク8の端末移動管理装置13と接続されている。このIPネットワーク9にブロードバンド回線(BB line)を介してフェムト基地局31が接続されている。フェムト基地局31は、IPネットワーク9とブロードバンド回線とを通じてコアネットワーク8からデータを受信することができる。
図2は、マクロ基地局21,22,23、フェムト基地局31および無線端末40を概略的に示す図である。フェムト基地局31のフェムトセル31Cの全部または一部の領域が、マクロ基地局21,22,23のうちのいずれかのマクロセルと重複している。携帯端末などの無線端末(UE:User Equipment)40は、基地局21,22,23,31のうちのいずれかの基地局に帰属し、当該基地局と通信を行う機能を有する。図3に示されるように、無線端末40は、送信器41A、受信器41B、通信制御部42および信号処理部43を有している。なお、通信制御部42と信号処理部43の位置は、互いに入れ替わってもよいし、信号処理部43は、直接、送信器41Aおよび受信器41Bに接続されていてもよい。
図4は、フェムト基地局(フェムトセル基地局)31の概略構成を示す機能ブロック図である。図4に示されるように、フェムト基地局31は、送信器51A、受信器51B、通信制御部52、信号処理部53およびインターフェース部54を有している。インターフェース部54はブロードバンド回線やイーサネット(登録商標)回線を介してIPネットワーク9に接続されており、さらにIPネットワーク9を介してコアネットワーク8(図1)に接続される。
マクロ基地局21,22,23は、それぞれ、コンテンツデータをブロードキャスト配信またはマルチキャスト配信する機能を有している。また、マクロ基地局21,22,23は、同一コンテンツのデータを同一周波数帯域で同時に送信するというMBSFN(MBMS Single Frequency Network)技術を利用してコンテンツ配信を行う機能も有する。無線端末40は、これら複数のマクロ基地局21,22,23からそれぞれ送信されたブロードキャスト信号またはマルチキャスト信号が合成された信号を受信することができるので、ユニキャスト信号を受信する場合よりも高い受信品質を実現することができる。
たとえば、無線端末40が、マルチキャスト型のMBMS配信を行うマクロ基地局21のマクロセル21Cから、MBMS配信を行わないフェムト基地局31のフェムトセル31C内に移動したとき、無線端末40は、フェムト基地局31に帰属しているので、コンテンツデータを受信することができない。かかる場合、後述するように、無線端末40の通信制御部42は、ギャップパターンを用いて通信制御を行う。無線端末40は、このギャップパターンに従ってコンテンツデータを受信することができる(第1〜第4の実施形態)。このギャップパターンは、無線端末40が帰属する基地局からの下り信号を受信する無効期間と、当該無効期間を除く有効期間とが時間的に交互に設定された周期的なパターンから構成される。受信器41Bは、この通信制御にしたがって、ギャップパターンの有効期間内に、マクロ基地局21からコンテンツデータを受信する機能を有する。
無線端末40は、ギャップパターンを利用することにより、マクロ基地局21〜23からMBMSに関する情報の送信に使用されるチャネル(以下、「MBMS関連チャネル」と呼ぶ。)を用いて送信されたMBMS制御情報やMBMSデータを、たとえフェムト基地局31に帰属していても継続的に受信することができる。
なお、無線端末40の帰属先の基地局はフェムト基地局31であり、無線端末40の非帰属先の基地局はマクロ基地局21〜23であるとし、無線端末40は、フェムト基地局31に帰属したときに、後述する各種実施形態の動作を開始すればよい。
後述するように、無線端末40に代えて、2個の受信器を内蔵する無線端末を使用することができる(第5および第6の実施形態)。この場合、この無線端末の通信制御部は、第1の受信器に帰属先の無線基地局からページングメッセージなどの下り信号を受信させるとともに、第2の受信器に非帰属先の無線基地局からコンテンツデータを受信させることができる。
無線端末40がフェムト基地局31を識別する方法としては、フェムト基地局31からBCCHを用いて送信された報知情報に含まれる情報(たとえば、セルタイプ(Cell type))に基づいた識別方法や、フェムト基地局31の物理レイヤセルID(Physical Cell Identifier)に基づいた識別方法がある。後者の識別方法は、マクロ基地局21〜23で使用される物理レイヤセルIDと、フェムト基地局31で使用される物理レイヤセルIDとが区別可能であるという事実を利用するものである。
なお、マルチキャスト配信の場合、MBMS関連チャネルとしては、たとえば、報知チャネル(BCCH)、マルチキャストコントロールチャネル(MCCH:Multicast Control Channel)、マルチキャストスケジューリングチャネル(MSCH:Multicast Scheduling Channel)あるいはマルチキャストトラフィックチャネル(MTCH:Multicast Traffic Channel)が挙げられる。無線端末40は、必要に応じて、これらMBMS関連チャネルの信号を選択的に受信することが可能である。なお、本明細書において「MBMS関連チャネルで信号を受信する」とは、MBMS関連チャネルを用いて送信された信号に復号処理を施して復号データを生成するだけでなく、その復号データの内容を監視(モニタ)することも含む。
なお、MBMS関連チャネルは、上記の各種チャネルに限定されるものではない。たとえば、MICH(MBMS notification Indicator Channel)と称するチャネルもMBMS関連チャネルに含まれる。また、マルチキャストコントロールチャネル(MCCH)、マルチキャストスケジューリングチャネル(MSCH)およびマルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)の意味は、それぞれ、MBMSコントロールチャネル(MCCH:MBMS Control Channel)、MBMSスケジューリングチャネル(MBMS Scheduling Channel)およびMBMSトラフィックチャネル(MBMS Traffic Channel)の意味と同じである。
以下、上記構成を有する無線通信システム1の種々の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図5は、第1の実施形態の無線通信システム1の通信シークエンスを概略的に示す図である。無線通信システム1の初期状態では、無線端末(UE:User Equipment)40は、アイドル状態のままマクロ基地局21,22,23のうちのいずれか1つに帰属し、その帰属先を含む複数のマクロ基地局からMBSFNによるMBMSデータを受信しているものとする。
図5に示されるように、ある時刻において、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介して、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12にMBMSサービス情報を通知する。マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSサービス情報(MBMS service information)に基づいてMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を決定し、この制御情報をブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10とマクロ基地局(macro eNBs)21〜23とに通知する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12から受信したMBSFN制御情報を、BCCHとMCCHを使用して無線端末(UE)40に送信する。
他方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介してマクロ基地局(macro eNBs)21〜23に送信する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MSCHおよびMTCHを使用して無線端末(UE)40に送信する。この結果、無線端末(UE)40は、MBSFNにより複数のマクロ基地局(macro eNBs)21〜23からMBMSデータパケットを受信する。
無線端末(UE)40の通信制御部42は、当該無線端末40自身が移動したり周辺の伝搬環境が変化したりして、自己の帰属先であるマクロ基地局21からの下り信号の受信品質よりも、自己の帰属先ではないフェムト基地局31からの下り信号の受信品質の方が高いことを検出した場合、セル再選択(Cell reselection)を実行する。これにより、無線端末(UE)40は、自己の帰属先をマクロ基地局21からフェムト基地局31へ変更する。ここで、受信品質の測定のための下り信号として、既知のパイロット信号(リフェレンス信号)を使用すればよい。
本実施形態では、フェムト基地局31はMBMSをサポートしていない。それ故、図5に示されるように、無線端末(UE)40は、新たな帰属先であるフェムト基地局(femto eNB)31から、BCCHで報知情報を受信し、この報知情報に基づいて、フェムト基地局31からMBMSデータが配信されていないことを認識する。ここで、無線端末(UE)40は、フェムト基地局(femto eNB)31から受信した報知情報がMBMSの制御情報(コンテンツデータの制御情報)を含むときにこの制御情報に基づいて、フェムト基地局(femto eNB)31がMBMSデータを配信する基地局であることを認識する。あるいは、無線端末(UE)40は、報知情報がフェムト基地局(femto eNB)31からMBMSデータ(コンテンツデータ)が配信されるか否かを示す情報を含むときにこの情報に基づいて、フェムト基地局(femto eNB)31がMBMSデータを配信する基地局であることを認識することが可能である。
次いで、無線端末(UE)40は、周期的なギャップパターン(Gap pattern)GPの設定(Gap configuration)を行う。ギャップパターンGPは、フェムト基地局31から無線端末40へPCCHを用いてページングメッセージが送信される可能性がある期間(ページング機会)を避けるような有効期間を有する。言い換えれば、ギャップパターンGPの有効期間は、ページングメッセージの受信機会(タイミング)を避けるように設定されている。また、ギャップパターンGPの有効期間は、MBMSデータパケットを受信するための期間であるので、ギャップパターンGPをMBMS受信ギャップ(MBMS Reception Gap)と呼ぶことができる。
図6は、ギャップパターンGPを説明するための図である。図6に示されるように、ギャップパターンGPは、無線端末40が帰属するフェムト基地局(femto eNB)31から、周期Tpagingで周期的に到来するページングメッセージを受信すべき期間を含む無効期間(Inactive Gap)Tinactiveと、フェムト基地局(femto eNB)31からのページングメッセージを受信しなくてもよい有効期間(Active Gap)Tactiveとで構成される。図6に示されるように、フェムト基地局(femto eNB)31は、有効期間Tactiveの間、周期TMBMSで周期的に到来するMBMSデータパケット(MBMS data packet)と、必要に応じて周期TREPETITIONで周期的に到来する変更メッセージ(modification message)とを受信し、ギャップパターンGPの無効期間Tinactiveの間は、MBMSデータパケットと変更メッセージとを受信しない。
ここで、図6中、TMODIFICATIONは、変更周期(modification period)を意味する。変更メッセージは、MCCHを用いてマクロ基地局21から送信されたMBMSの制御情報である。変更メッセージは、MCCHの変更を通知するためのメッセージであり、変更周期は、MCCHの変更の発生が起こり得る周期である。
図5を参照すると、無線端末(UE)40は、有効期間Tactiveの間は、セル再選択を実行する前にマクロ基地局21からのMBSFN制御情報およびMBMSデータパケットを受信していたときと同じ方法で、引き続き、MBSFNによるデータを受信する。すなわち、無線端末(UE)40は、BCCHとMCCHからMBSFN制御情報を、MSCHとMTCHとからMBMSデータパケットを、それぞれ受信する。これにより、アイドル状態の無線端末(UE)40は、MBMSをサポートしているマクロ基地局21から、MBMSをサポートしていないフェムト基地局31へ帰属先を変更した後も、継続してMBSFNによるサービスを受けることができる。
ただし、図6に示したように、無線端末40は、有効期間Tactiveの間に、必ずしもすべてのMBMSデータパケットを受信できるとは限らない。その理由は、無線端末40が、帰属先のフェムト基地局31からのデータ(ページングメッセージを含む。)を優先的に受信する必要があるためである。すなわち、無線端末40は、アイドル状態にあるとき(着信待ち受け中)には、帰属先であるフェムト基地局31から着信の有無を知らせる呼び出し信号(ページングメッセージ)の受信を行う必要がある。
図7(A)に示されるように、セル再選択が実行される前は、アイドル状態の無線端末40は、マクロ基地局(macro eNB)21から、BCCH、PCCH、MCCH、MSCHおよびMTCHを用いて送信された信号を受信する。ここで、無線端末40は、基本的に、フェムト基地局(femto eNB)31からBCCHおよびPCCHを用いて送信された信号を受信することはない。
一方、図7(B)に示されるように、セル再選択が実行されたとき、無線端末40は、有効期間Tactiveの間は、マクロ基地局(macro eNB)21から、BCCH、MCCH、MSCHおよびMTCHで送信された信号を受信する。一方、無効期間Tinactiveの間は、無線端末40は、フェムト基地局(femto eNB)31から、BCCHおよびPCCHを用いて送信された信号を受信する。
ここで、図7(A),(B)に示した無線端末40の受信状態の代わりに図8(A),(B)に示す受信状態を採用してもよい。すなわち、セル再選択が実行される前、図8(A)の受信状態は図7(A)の受信状態と同じである。一方、セル再選択が実行されたときは、図8(B)に示されるように、有効期間Tactiveの間、無線端末40の通信制御部42は、MBSFN制御情報を保持したまま、MSCHおよびMTCHで送信された信号のみを受信する。この場合、MBSFN制御情報が変更されたときに、無線端末40は、MBMSによるサービスを継続して受けることができなくなるが、MBSFN制御情報が変更され、MBMSによるサービスを継続的に受けることができなくなった場合であっても、無線端末40は、再び、MBSFN制御情報を受信するために、BCCHとMCCHで送信された信号を受信すればよい。
なお、上述のチャネルの名称は、「3GPP LTE」におけるロジカルチャネルの定義に基づいて例示したものであり、各チャネルを用いて送信される情報は、以下の通りである。
BCCHを用いて送信される情報としては、たとえば、MBSFNのための無線リソースの情報(MSAP:MCH Subframe Allocation Pattern)として、MBSFN用に予約された下りリンクのサブフレーム(Subframe)の情報(mbsfn-SubframeConfiguration)、このMBSFNサブフレームを含むべき無線フレーム(Radio frame)の情報(radioFrameAllocation)、および、1無線フレーム内に含まれるMBSFNサブフレームの情報(subframeAllocation)が挙げられる。
図9は、ダウンリンクの無線フレーム構造の一例を示す概略図である。各無線フレームの長さは10ミリ秒(ms)であり、各無線フレームは10個のサブフレームを有している。図9のサブフレームSFmは、MBSFN用のサブフレームであり、割り当てについてはMSAP情報を用いて通知される。また、サブフレームSFnaは、通常の下り信号送信用サブフレームであり、サブフレームSFnbは、通常の下り信号送信用のサブフレームであるが、MBSFN用サブフレームとしては使用できないサブフレームである。MSAP情報は、マイクロレベル(Micro level)とマクロレベル(Macro level)とでMBSFN用サブフレームを表す情報である。ここで、マイクロレベルは、サブフレーム(sub-frame)単位を表し、マクロレベルは、フレーム(frame = 10 sub-frames)単位を表している。
MCCHを用いて送信される情報としては、たとえば、MBSFNによるサービスのインデックスやコンテンツデータに関する情報が挙げられる。MSCHを用いて送信される情報は、たとえば、MSAPで示された無線リソースの中で各コンテンツデータがどこで送信されているかを示す情報である。そして、MTCHを用いて送信される情報は、音声データや映像データなどの実際のコンテンツデータである。なお、これらのチャネルに類似する別のチャネルを利用してもよい。
次に、図10を参照しつつ、セル再選択後の無線端末40の動作を以下に説明する。図10は、セル再選択後の無線端末40の動作手順を概略的に示すフローチャートである。
図10に示されるように、先ず、無線端末40の通信制御部42は、セル再選択前にマクロ基地局21からMBMS制御情報(MBMS Configuration)を受信し、このMBMS制御情報による設定を保持する(ステップS10)。
なお、MBMS制御情報は、MBSFN制御情報であってもよいが、必ずしも、MBSFN制御情報である必要はない。この意味で、図10のフローチャートは、MBSFNに限定されることなく、一般のMBMSに対応したものであってよい。また、MBMS制御情報による設定を維持せずに、セル再選択後に、再びMBMS制御情報を受信してもよい。
次いで、受信器41Bは、セル再選択後にマクロ基地局21からBCCHで送信された報知情報を受信し、この報知情報を復号する(ステップS11)。
その後、通信制御部42は、報知情報を送信したフェムト基地局31がMBMSをサポートしているか否かを判定する(ステップS12)。当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしている場合(ステップS12のYES)には、通常のMBMSによるサービスを受けるように、帰属先のフェムト基地局31からMBMSデータを受信する(ステップS13A)。
一方、当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしていない場合(ステップS12のNO)には、通信制御部42は、帰属するフェムト基地局31からのページングメッセージ(PCCHデータ)を受信するためのページングタイミングを計算し(ステップS13B)、この計算結果に基づいてギャップパターンGPを設定する(ステップS14)。
その後、カウンタを起動してこのカウンタのカウント値nを初期化する(ステップS15)。このカウンタは、無線端末40がサービス圏外(Out-of-service)にあると判断するためのものである。
次に、通信制御部42は、ギャップが有効(active)か否(inactive)か、すなわち、現在時間がギャップパターンGPの有効期間Tactiveか無効期間Tinactiveかを判定する(ステップS16)。ギャップが無効であるとき(ステップS16のNO)、通信制御部42は、適切なタイミングでページングメッセージを受信する(ステップS17)。
一方、ギャップが有効であるとき(ステップS16のYES)、通信制御部42は、当該無線端末40がセル再選択前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からのMBMSデータを受信する(ステップS18)。この結果、無線端末40は、セル再選択前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からMBMSデータパケットを受信することができる。
次いで、通信制御部42は、このMBMSデータの復号に成功した場合(ステップS19のYES)、MBMSデータを正常に受信したと判断してステップS16に処理を戻す。
一方、MBMSデータの復号に失敗した場合(ステップS19のNO)、カウンタはカウント値nをインクリメントし(ステップS20)、通信制御部42は、このカウント値nが設定値N未満であるか否かを判定する(ステップS21)。カウント値nが設定値Nに到達していない場合(ステップS21のYES)、通信制御部42は、ステップS16に処理を戻して通信制御を継続する。一方、カウント値nが設定値Nに到達した場合(ステップS21のNO)は、通信制御部42は、MBMS設定(MBMS configuration)をクリアし(ステップS22)、無線端末40がサービス圏外にあるとして通信制御を終了する。
なお、図10のフローチャートのステップS20でカウンタはカウント値nをインクリメントしていたが、この代わりに、カウント値nをデクリメントしてもよい。カウント値nをデクリメントする場合、ステップS21の代わりに、カウント値nが設定値Nを超えているか否かを判定するステップが採用される。また、ステップS21の代わりに、所定回数連続して復号に失敗したか否かを判定するステップを採用してもよい。さらに、カウンタ以外の方法で無線端末40がサービス圏外か否かを判定する方法を採用してもよいことはいうまでもない。たとえば、無線端末40が帰属先の基地局からページングメッセージを受信し、呼制御処理を行う必要がある場合、あるいは、セル再選択を行う必要がある場合にサービス圏外との判断がなされてもよい。
上記の通り、第1の実施形態に係る無線通信システム1では、無線端末40が、ブロードキャスト配信またはマルチキャスト配信を行うマクロ基地局21のマクロセル21Cから、ブロードキャスト配信またはマルチキャスト配信を行わない(あるいは、無線端末40にブロードキャスト配信またはマルチキャスト配信を行うことが難しい)フェムト基地局31のフェムトセル31C内に移動し、無線端末40がこのフェムト基地局31に帰属した場合であっても、無線端末40は、移動前に帰属していたマクロ基地局21や他のマクロ基地局からブロードキャストまたはマルチキャストされたコンテンツデータを受信することが可能である。
なお、本実施形態では、ギャップパターンGPの有効期間は、ページングメッセージの受信機会(タイミング)を避けるように設定されているが、ページングメッセージに限らず、報知情報や下り個別信号の受信機会を避けるようにギャップパターンGPの有効期間を設定してもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について説明する。図11は、第2の実施形態の無線通信システム1の通信シークエンスを概略的に示す図である。本実施形態の無線通信システム1の初期状態では、無線端末(UE)40は、アクティブ状態でマクロ基地局21,22,23の1つに帰属しており、この帰属先であるマクロ基地局21と通信して、マクロ基地局21から個別トラフィックチャネル(DTCH)で送信されるユニキャストデータを受信する。無線端末(UE)40は、当該マクロ基地局21とは別のマクロ基地局22,23からも、MBSFNによるサービスを受けているものとする。後述するように、本実施形態では、ギャップパターンGPは、無線端末40が設定するものではなく、フェムト基地局31が設定するものである。
図11に示されるように、ある時刻において、図1の端末移動管理装置(MME)13は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23に対して、無線端末40に送信されるべき下りデータパケット(DL unicast data packet:Down-Load unicast data packet)を送信する。マクロ基地局21〜23は、端末移動管理装置(MME)13から受信した下りデータパケットを、個別トラフィックチャネル(DTCH)を使用して無線端末(UE)40に送信する。この送信に対して無線端末(UE)40は肯定応答(ACK)を返信する。ここで、無線端末(UE)40は、ACKの代わりに否定応答(NACK)を返信してもよい。
一方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介して、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12にMBMSサービス情報を通知する。マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSサービス情報(MBMS service information)に基づいてMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を決定し、この制御情報をブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10とマクロ基地局(macro eNBs)21〜23とに通知する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12から受信したMBSFN制御情報を、BCCHとMCCHを使用して無線端末(UE)40に送信する。
他方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介してマクロ基地局(macro eNBs)21〜23に送信する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MSCHおよびMTCHを使用して無線端末(UE)40に送信する。この結果、無線端末(UE)40は、MBSFNにより複数のマクロ基地局(macro eNBs)21〜23からMBMSデータパケットを受信する。
無線端末(UE)40は、当該無線端末40自身が移動したり周辺の伝搬環境が変化したりして、現在の帰属先であるマクロ基地局21からの信号の受信品質よりも、自己の帰属先ではないフェムト基地局31からの信号の受信品質が高いことを検出した場合、ハンドオーバ(Handover)により帰属先をマクロ基地局21からフェムト基地局31へ変更する。
本実施形態では、フェムト基地局31はMBMSをサポートしていない。それ故、図11に示されるように、無線端末40は、新たな帰属先であるフェムト基地局(femto eNB)31からBCCHで送信された報知情報を受信し、この報知情報に基づいて、フェムト基地局31からMBMSデータが配信されていないことを認識する。
次いで、無線端末40は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から受けていたMBSFNによるサービスの制御情報の報告(MBSFN configuration report)とギャップパターンの要求(Gap request)とをフェムト基地局(femto eNB)31に対して行う。フェムト基地局31は、当該無線端末40に対するDLユニキャストデータ(DL Unicast data)の送信頻度や送信周期などの情報と、無線端末40が受信を所望するMBSFNによるサービスのデータ送信タイミングおよび周期などのスケジューリング情報とに基づいて、ギャップパターンGPを設定する。そして、フェムト基地局(femto eNB)31は、このギャップパターンGPの情報(MBMS reception gap configuration)を無線端末40へ通知する。
無線端末(UE)40は、当該ギャップパターンGPが有効(Active)か無効(Inactive)かに応じて、フェムト基地局31からユニキャストの信号を受信するか、あるいは、マクロ基地局21からMBSFNの信号を受信するかを決定する。ギャップパターンGPが無効のときには、図11に示されるように、無線端末(UE)40は、フェムト基地局(femto eNB)31からDTCHで送信されるDLユニキャストデータ(DL Unicast data)を受信する。一方、ギャップパターンGPが有効期間Tactiveのとき、無線端末(UE)40は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23からBCCHおよびMCCHで送信されるMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を受信し、また、MSCHおよびMTCHで送信されるMBSFNによるMBMSデータパケット(MBMS data packet)を受信する。これにより、アクティブ状態の無線端末40は、MBMSをサポートしているマクロ基地局21から、MBMSをサポートしていないフェムト基地局31へハンドオーバした後も、継続してMBSFNによるサービスを受けることができる。
図12(A)に示されるように、ハンドオーバが実行される前は、アクティブ状態の無線端末40は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から、BCCH、DCCHおよびDTCH、MCCH、MSCHおよびMTCHで送信される、報知情報、ユニキャストデータおよびMBMSデータを受信する。ここで、無線端末40は、フェムト基地局(femto eNB)31から、基本的にはBCCH、DCCHおよびDTCHで送信される信号を受信することがない。
一方、図12(B)に示されるように、ハンドオーバが実行されたとき、無線端末40は、ギャップパターンGPが有効期間Tactiveの間は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から、BCCH、MCCH、MSCHおよびMTCHで送信される信号を受信する。一方、ギャップパターンGPが無効期間Tinactiveの間は、無線端末40は、フェムト基地局(femto eNB)31から、BCCH、DCCHおよびDTCHで送信される信号を受信する。
ここで、図12(A),(B)に示した無線端末40の受信状態の代わりに図13(A),(B)に示す受信状態を採用してもよい。すなわち、ハンドオーバが実行される前は、図13(A)の受信状態は図12(A)の受信状態と同じである。一方、ハンドオーバが実行されたときは、図13(B)に示されるように、有効期間Tactiveの間、無線端末40の通信制御部42は、MBSFN制御情報を保持したまま、MSCHおよびMTCHで送信された信号のみを受信する。この場合、MBSFN制御情報が変更されたときに、無線端末40は、MBMSによるサービスを継続して受けることができなくなるが、MBSFN制御情報が変更され、MBMSによるサービスを継続的に受けることができなくなった場合であっても、無線端末40は、再び、MBSFN制御情報を受信するために、BCCHとMCCHで信号を受信すればよい。
次に、図14および図15を参照しつつ、ハンドオーバ後の無線端末40の動作とフェムト基地局31の動作を以下に説明する。図14は、ハンドオーバ後の無線端末40の動作手順を概略的に示すフローチャートであり、図15は、ハンドオーバ後のフェムト基地局31の動作手順を概略的に示すフローチャートである。なお、本実施形態では、フェムト基地局31がギャップパターンGPを設定するとともに、そのギャップパターンGPが利用可能かどうかを判定するためのギャップ割当タイマーが使用される。
図14に示されるように、先ず、無線端末40の通信制御部42は、ハンドオーバ前にマクロ基地局21からMBMS制御情報(MBMS Configuration)を受信し、このMBMS制御情報による設定を保持する(ステップS10)。次いで、受信器41Bは、ハンドオーバ後にマクロ基地局21からBCCHで送信された報知情報を受信し、この報知情報を復号する(ステップS11)。
その後、通信制御部42は、報知情報を送信したフェムト基地局31がMBMSをサポートしているか否かを判定する(ステップS12)。当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしている場合(ステップS12のYES)には、通常のMBMSによるサービスを受けるために、帰属先のフェムト基地局31からMBMSデータを受信する(ステップS13A)。
一方、当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしていない場合(ステップS12のNO)には、通信制御部42は、MBMS制御情報(MBMS configuration)による設定状態をフェムト基地局31に報告するとともに、当該フェムト基地局31にギャップ要求すなわちギャップパターンGPの要求を行う(ステップS30)。その後、無線端末40は、フェムト基地局31からギャップパターンGPの情報(MBMS reception gap configuration)とギャップ割当タイマーの値とを受信するとともに、ギャップ割当タイマーを準備する(ステップS31)。
次いで、通信制御部42は、カウンタを起動してこのカウンタのカウント値nを初期化する(ステップS15)。このカウンタは、無線端末40がサービス圏外(Out-of-service)にあるか否かを判断するためのものである。さらに、通信制御部42は、ギャップ割当タイマーを起動する(ステップS32)。これにより、ギャップ割当タイマーは、カウントを開始する。
次に、通信制御部42は、ギャップが有効(Active)か否(Inactive)か、すなわち、現在時間がギャップパターンGPの有効期間Tactiveか無効期間Tinactiveかを判定する(ステップS16)。ギャップが無効であるとき(ステップS16のNO)、通信制御部42は、帰属先のフェムト基地局31からの下り信号(DL信号)を受信する(ステップS33)。
一方、ギャップが有効であるとき(ステップS16のYES)、通信制御部42は、当該無線端末40がハンドオーバ前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からのMBMSデータを受信する(ステップS18)。この結果、無線端末40は、ハンドオーバ前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からMBMSデータパケットを受信することができる。
次いで、通信制御部42は、このMBMSデータの復号に成功した場合(ステップS19のYES)、MBMSデータを正常に受信したと判断してステップS34に処理を移行させる。
一方、MBMSデータの復号に失敗した場合(ステップS19のNO)、カウンタはカウント値nをインクリメントし(ステップS20)、通信制御部42は、このカウント値nが設定値N未満であるか否かを判定する(ステップS21)。カウント値nが設定値Nに到達していない場合(ステップS21のYES)、通信制御部42は、ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達したか否かを判定する(ステップS34)。
ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達している場合(ステップS34のNO)には、通信制御部42は、ステップS30に処理を戻す。一方、ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達していない場合(ステップS34のNO)には、通信制御部42は、ステップS16に処理を戻す。
上記ステップS21でカウント値nが設定値Nに到達していると判定された場合(ステップS21のNO)には、通信制御部42は、ギャップ割当タイマーのカウント値とMBMS設定(MBMS configuration)をクリアし(ステップS35)、無線端末40がサービス圏外にあるとして通信制御を終了する。
次に、図15を参照しつつ、フェムト基地局31の動作を以下に説明する。
図15に示されるように、先ず、フェムト基地局31は、当該フェムト基地局31に帰属する無線端末40に報知情報を送信する(ステップS40)。次いで、フェムト基地局31は、無線端末40から上述のギャップ要求を受けたか否かを判定する(ステップS41)。
フェムト基地局31が無線端末40からギャップ要求を受けていないとき(ステップS41のNO)、DLユニキャストデータ(DL Unicast data)の有無を判定する(ステップS42)。DLユニキャストデータが有ると判定した場合(ステップS42のYES)、フェムト基地局31は、スケジューリングを実行して、DTCHを用いて無線端末40にDLユニキャストデータを送信する(ステップS43)。すなわち、フェムト基地局31は、通常のユニキャストデータの送信手順と同じ手順を実行する。一方、DLユニキャストデータが無いと判定した場合(ステップS42のNO)、フェムト基地局31は、処理を終了する。
上記ステップS41において、フェムト基地局31が無線端末40からギャップ要求を受けたとき(ステップS41のYES)、この要求に応じて、フェムト基地局31は、ギャップパターンGPを設定し、このギャップパターンGPの情報を無線端末40に通知する(ステップS44)。その後、フェムト基地局31は、内蔵するギャップ割当タイマーを起動してそのカウント動作を開始させる(ステップS45)。
その後、フェムト基地局31は、ギャップが有効(Active)か否(Inactive)か、すなわち、現在時間がギャップパターンGPの有効期間Tactiveか無効期間Tinactiveかを判定する(ステップS46)。ギャップが無効であるとき(ステップS46のNO)、フェムト基地局31は、DLユニキャストデータの有無を判定する(ステップS47)。DLユニキャストデータが有るとき(ステップS47のYES)、フェムト基地局31は、スケジューリングを実行してDLユニキャストデータを無線端末40に送信する(ステップS48)。
ステップS46でギャップが有効であるとき、あるいは、ステップS47でDLユニキャストデータが無いと判定されたとき(ステップS47のNO)は、フェムト基地局31は、ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達したか否かを判定する(ステップS49)。ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達している場合(ステップS49のYES)には、フェムト基地局31は処理を終了させる。その後は、フェムト基地局31は、通常のDLユニキャストと同じ動作を行う。一方、ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達していない場合(ステップS49のNO)には、フェムト基地局31は、ステップS46に処理を戻す。
なお、図15のフローチャートでは、ギャップ割当タイマーが使用されているが、ギャップ割当タイマーを使用しない形態もあり得る。同様に、上記カウンタを用いずに、ギャップ割当タイマーだけを用いる形態もあってよい。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。図16は、第3の実施形態の無線通信システム1の通信シーケンスを概略的に示す図である。本実施形態の無線通信システム1の初期状態では、無線端末(UE)40は、アクティブ状態でマクロ基地局21,22,23の1つ(たとえば、マクロ基地局21)に帰属している。その帰属先がマクロ基地局21であるとき、無線端末(UE)40はマクロ基地局21と通信する。また、無線端末(UE)40は、ユニキャストによるサービスに加え、帰属先のマクロ基地局とその周辺のマクロ基地局からMBSFNによるサービスを受けているものとする。
第3の実施形態では、(1)フェムト基地局31は、無線端末(UE)40がハンドオーバする前の時点で、マクロ基地局21〜23からMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を受信しており、(2)無線端末(UE)40は、ハンドオーバ前に受信していた、サービスに関する部分を示す情報をフェムト基地局31に送信し、(3)フェムト基地局31は、無線端末(UE)40から送信された当該情報と、マクロ基地局21〜23から受信されたMBSFN制御情報とを利用して、ギャップパターンGPを設定する。無線端末(UE)40がフェムト基地局31に送信する情報としては、たとえば、「3GPP LTE」で使用されるMSAP(MCH Sub-frame Allocation Pattern)の情報のうち、無線端末40が実際に受信していたサービスに関係する部分を示す情報(たとえば、MSAPのインデックス)やそれに相当するものなどが挙げられる。
図16に示されるように、ある時刻において、図1の端末移動管理装置(MME)13は、マクロ基地局(macro eNBs)21に対して、無線端末40の下りデータ(DL unicast data packet)を送信する。マクロ基地局21は、端末移動管理装置(MME)13から受信した下りデータを、個別トラフィックチャネル(DTCH)を使用して無線端末40へ無線端末(UE)40に送信する。
一方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介して、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12にMBMSサービス情報を通知する。マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSサービス情報(MBMS service information)に基づいてMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を決定し、この制御情報をブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10とマクロ基地局(macro eNBs)21〜23とに通知する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12から受信したMBSFN制御情報を、BCCHとMCCHを使用して無線端末(UE)40に送信する。
このとき、フェムト基地局31は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23のBCCHでMBSFN制御情報の一部を、あるいは、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23のBCCHとMCCHの双方でMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を受信する。
他方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介してマクロ基地局(macro eNBs)21〜23に送信する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MSCHおよびMTCHを使用して無線端末(UE)40に送信する。この結果、無線端末(UE)40は、MBSFNにより複数のマクロ基地局(macro eNBs)21〜23からMBMSデータパケットを受信する。
無線端末(UE)40は、当該無線端末40自身が移動したり周辺の伝搬環境が変化したりして、現在の帰属先であるマクロ基地局21からの信号の受信品質よりも、自己の帰属先ではないフェムト基地局31からの信号の受信品質が高いことを検出した場合、ハンドオーバ(Handover)により帰属先をマクロ基地局21からフェムト基地局31へ変更する。
本実施形態では、フェムト基地局31はMBMSをサポートしていない。それ故、無線端末40は、フェムト基地局31からBCCHで送信された報知情報を受信し、この報知情報に基づいて、フェムト基地局31からMBMSデータが配信されていないことを認識する。
次いで、無線端末40は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から受けていたMBSFNによるサービスの制御情報の報告(MSAP information report)とギャップパターンの要求(Gap request)とをフェムト基地局(femto eNB)31に対して行う。フェムト基地局31は、当該無線端末40に対するDLユニキャストデータ(DL Unicast data)の送信頻度や送信周期などの情報と、無線端末40が受信を所望するMBSFNによるサービスのデータ送信周期などのスケジューリング情報とに基づいて、ギャップパターンGPを設定する。そして、フェムト基地局(femto eNB)31は、このギャップパターンGPの情報(MBMS reception gap configuration)を無線端末40へ通知する。
無線端末(UE)40は、当該ギャップパターンGPが有効期間(Active)か無効期間(Inactive)かに応じて、フェムト基地局31からユニキャストの信号を受信するか、あるいは、マクロ基地局21からMBSFNの信号を受信するかを決定する。ギャップパターンGPが無効期間のときには、図16に示されるように、無線端末(UE)40は、フェムト基地局(femto eNB)31からDTCHでDLユニキャストデータ(DL Unicast data)を受信する。一方、ギャップパターンGPが有効期間Tactiveのとき、無線端末(UE)40は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から、MBSFNによるMBMSデータパケット(MBMS data packet)を受信する。また、無線端末(UE)40は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23からBCCHおよびMCCHを使用してMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を受信している。これにより、アクティブ状態の無線端末40は、MBMSをサポートしているマクロ基地局21から、MBMSをサポートしていないフェムト基地局31へハンドオーバした後も、継続してMBSFNによるサービスを受けることができる。
上述の通り、フェムト基地局31は、ハンドオーバ前に、マクロ基地局21〜23からMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を受信しているので、無線端末40から送信されるMBSFN制御情報に関する報告の情報量を大幅に減らすことができる。
次に、図17および図18を参照しつつ、ハンドオーバ後の無線端末40の動作とフェムト基地局31の動作を以下に説明する。図17は、ハンドオーバ後の無線端末40の動作手順を概略的に示すフローチャートであり、図18は、ハンドオーバ後のフェムト基地局31の動作手順を概略的に示すフローチャートである。
なお、本実施形態では、フェムト基地局31がギャップパターンGPを設定するとともに、その有効期間を表すためのギャップ割当タイマーが使用される。また、ハンドオーバ後の無線端末40の帰属先はフェムト基地局31であることを想定しているが、フェムト基地局31でなくても、マクロ基地局21〜23からの下り信号を受信する機能を備えていれば、マイクロ基地局やピコ基地局でもよい。
図17に示されるように、先ず、無線端末40の通信制御部42は、ハンドオーバ前にマクロ基地局21からMBMS制御情報(MBMS Configuration)を受信し、このMBMS制御情報による設定を保持する(ステップS10)。次いで、受信器41Bは、ハンドオーバ後にマクロ基地局21からBCCHで送信された報知情報を受信し、この報知情報を復号する(ステップS11)。その後、通信制御部42は、報知情報を送信したフェムト基地局31がMBMSをサポートしているか否かを判定する(ステップS12)。当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしている場合(ステップS12のYES)には、通常のMBMSによるサービスを受けるために、帰属先のフェムト基地局31からMBMSデータを受信する(ステップS13A)。
一方、当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしていない場合(ステップS12のNO)には、通信制御部42は、帰属先のフェムト基地局31にMSAP情報の報告とギャップパターンの要求とを行う(ステップS40)。その後、帰属先のフェムト基地局31からギャップパターンGPの情報(MBMS reception gap configuration)とギャップ割当タイマーの情報とを受信する(ステップS31)。
その後、通信制御部42は、カウンタを起動してこのカウンタのカウント値nの初期化(n=0)を行い(ステップS32)、ギャップ割当タイマーを起動してそのカウント動作を開始させる(ステップS32)。
次に、通信制御部42は、ギャップが有効(Active)か否(Inactive)か、すなわち、現在時間がギャップパターンGPの有効期間Tactiveか無効期間Tinactiveかを判定する(ステップS16)。ギャップが無効であるとき(ステップS16のNO)、通信制御部42は、必要に応じて、帰属先のフェムト基地局31からの下り信号(DL信号)を受信する(ステップS33)。
一方、ギャップが有効であるとき(ステップS16のYES)、通信制御部42は、当該無線端末40がハンドオーバ前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からのMBMSデータを受信する(ステップS18)。この結果、無線端末40は、ハンドオーバ前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からMBMSデータパケットを受信することができる。
次いで、通信制御部42は、このMBMSデータの復号に成功した場合(ステップS19のYES)、MBMSデータを正常に受信したと判断してステップS34に処理を移行させる。
一方、MBMSデータの復号に失敗した場合(ステップS19のNO)、カウンタはカウント値nをインクリメントし(ステップS20)、通信制御部42は、このカウント値nが設定値N未満であるか否かを判定する(ステップS21)。カウント値nが設定値Nに到達していない場合(ステップS21のYES)、通信制御部42は、ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達したか否かを判定する(ステップS34)。
ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達している場合(ステップS34のNO)には、通信制御部42は、ステップS40に処理を戻す。一方、ギャップ割当タイマーのカウント値がタイムアウト値に達していない場合(ステップS34のNO)には、通信制御部42は、ステップS16に処理を戻す。
上記ステップS21でカウント値nが設定値Nに到達していると判定された場合(ステップS21のYES)には、通信制御部42は、ギャップ割当タイマーのカウント値とMBMS設定(MBMS configuration)をクリアし(ステップS35)、無線端末40がサービス圏外にあるとして通信制御を終了する。
次に、図18を参照しつつ、無線端末40のハンドオーバ先のフェムト基地局31の動作を以下に説明する。図18に示されるように、このフェムト基地局31は、無線端末40がハンドオーバするかしないかによらず、マクロ基地局21〜23からブロードキャストされたMBMS制御情報(MBMS configuration)を受信している(ステップS50)。ハンドオーバ処理(ステップS51)の後、フェムト基地局31は、通常通り報知情報を送信し(ステップS52)、無線端末40から上述のギャップ要求を受けたか否かを判定する(ステップS53)。
フェムト基地局31がマクロ基地局21のMBMS制御情報を受信する場合としては、フェムト基地局31が起動した直後に行う場合、アクティブ状態の無線端末がいないときに行う場合、あるいは、起動後にある一定周期で行う場合が挙げられる。なお、受信した情報が受信後ある一定期間経過後に無効になるなどの保護処理があってもよい。また、一定周期は、この保護処理が実行されるまでの期間よりも短くても、長くてもよい。
フェムト基地局31が無線端末40からギャップ要求を受けていないとき(ステップS53のNO)、DLユニキャストデータ(DL Unicast data)の有無を判定する(ステップS42)。DLユニキャストデータが有ると判定した場合(ステップS42のYES)、フェムト基地局31は、スケジューリングを実行して、DTCHを用いて無線端末40にDLユニキャストデータを送信する(ステップS43)。すなわち、フェムト基地局31は、通常のユニキャストデータの送信手順と同じ手順を実行する。一方、DLユニキャストデータが無いと判定した場合(ステップS42のNO)、フェムト基地局31は、処理を終了する。
上記ステップS41において、フェムト基地局31が無線端末40からギャップ要求を受けたとき(ステップS53のYES)、この要求に応じて、フェムト基地局31は、ギャップパターンGPを設定し、このギャップパターンGPの情報とギャップ割当タイマーの情報とを無線端末40に通知する(ステップS44)。その後の手順は、上記第2の実施形態の図15のステップS45〜S49の手順と同じであるので、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、MBSFNを仮定して無線端末40がMSAP情報を報告していた(ステップS40)が、MSAP情報の代わりに、無線端末40がハンドオーバ前に受けていたサービスの無線リソース情報を示す情報を報告してもよい。これにより、一般的なMBMSによるサービスの信号を受信する場合にも、本実施形態の方法を適用することが可能である。
なお、図18のフローチャートでは、ギャップ割当タイマーが使用されているが、ギャップ割当タイマーを使用しない形態もあり得る。同様に、上記カウンタを用いずに、ギャップ割当タイマーだけを用いる形態もあってよい。
LTEの場合、BCCHの基本情報(basic information)は、MIB(MasterInformationBlock)と呼ばれる最低限の必要不可欠な情報の集合と、SIB(SystemInformationBlock)と呼ばれるその他の情報の集合とに分かれる。MIBとしては、下りシステム帯域幅(dl-SystemBandwidth)、システムフレーム番号(systemFrameNumber)などが挙げられる。一方、SIBとしては、たとえば、セルアクセス制限情報(cellBarred)、システム情報タグ(systemInformationValueTag)、共通セル再選択情報(cellReselectionInfoCommon)、隣接セル情報(neighbourCellConfiguration)が挙げられる。BCCHのMBMS情報(MBMS information)としては、たとえば、MBSFNサブフレーム設定情報(mbsfn-SubframeConfiguration)、MBSFNフレーム割り当て情報(radioFrameAllocation)およびMBSFNサブフレーム割り当て情報(subframeAllocation)がある。
また、上記第3の実施形態では、フェムト基地局(femto eNB)31がマクロ基地局21からBCCHとMCCHとで送信された信号を受信し、無線端末40は、ギャップ要求(MSAP information report and gap request)を送信する。ここで、フェムト基地局31が、マクロ基地局21からBCCHとMCCHとで信号を受信していない、もしくは、当該信号を受信して保持していたが情報が古い(ある一定期間経過)場合には、無線端末40に追加情報を要求してもよい。ギャップ要求(MSAP information report and gap request)は、通常のハンドオーバの際に送信される他の情報と同じ無線リソース、あるいは、ハンドオーバ完了後に新たに要求された無線リソースを使用して送信してもよい。
(第3の実施形態の変形例)
図19は、本発明に係る第3の実施形態の変形例である通信シーケンスを示す図である。図19に示されるように、まず、フェムト基地局(femto eNB)31は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23からBCCHとMCCHとで送信されるMBMS(MBSFN)制御情報を受信する。次に、無線端末(UE)40は、ハンドオーバ後、ギャップパターンGPの要求(Gap request)をフェムト基地局31に送信する。
この要求に応じて、フェムト基地局(femto eNB)31は、ギャップパターンGPの設定に必要な情報を無線端末(UE)40に要求する(MSAP information request)。この種の情報としては、たとえば、MSAPの情報が挙げられるが、これに限定されるものではなく、MBSFNのスケジューリング情報やそれに関する情報でもよい。無線端末(UE)40は、要求された情報(たとえば、MSAPの情報)をフェムト基地局(femto eNB)31に送信する(MSAP information report)。
そして、フェムト基地局(femto eNB)31は、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から受信したMBMS(MBSFN)制御情報と、無線端末(UE)40から送信(レポート)された情報(たとえば、MSAPの情報)とに基づいて、ギャップパターンGPを設定し、その設定情報を無線端末(UE)40に送信(通知)する。
なお、ギャップ要求(MSAP information report and gap request)は、通常のハンドオーバの際に送信される他の情報と同じ無線リソース、あるいは、ハンドオーバ完了後に新たに要求された無線リソースを使用して送信してもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明に係る第4の実施形態について説明する。上述の第1〜第3の実施形態では、無線端末40がMBMSをサポートしている基地局(たとえばマクロ基地局21)から、MBMSをサポートしていない基地局(たとえばフェムト基地局31)へ帰属先を変更する場合が想定されていた。以下に説明する第4の実施形態と第5の実施形態は、ハンドオーバやセル再選択が無くとも、無線端末40がMBMSをサポートしていない基地局に帰属中に、MBMSをサポートしている周辺の基地局からMBMSによるサービスを受信し得る構成を提供するものである。
図20は、第4の実施形態の無線通信システム1の通信シークエンスを概略的に示す図である。本実施形態の無線通信システム1の初期状態では、無線端末(UE)40は、アイドル状態でフェムト基地局(femto eNB)31に帰属しており、BCCH以外のチャネルから、無線端末40に個別の情報は受信していないものとする。
一方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介して、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12にMBMSサービス情報を通知する。マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSサービス情報(MBMS service information)に基づいてMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を決定し、この制御情報をブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10とマクロ基地局(macro eNBs)21〜23とに通知する。図示しないが、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12から受信したMBSFN制御情報を、BCCHとMCCHを使用して、自己の管理下にある無線端末(UE)40に送信する。
他方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介してマクロ基地局(macro eNBs)21〜23に送信する。図示しないが、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MSCHおよびMTCHを使用して、自己の管理下にある無線端末(UE)40に送信する。
ある時刻において、無線端末(UE)40は、MBMSによるサービスを受けようと試みるが、帰属するフェムト基地局31からはMBMSデータを受信することができない("search MBMS service, but cannot monitor")。無線端末(UE)40は、報知情報に基づいて帰属先の基地局がMBMSをサポートしていないことを検知した場合("Trigger to monitor neighboring BCCH")、他の隣接基地局のBCCHで送信された報知情報を受信する。このようにして無線端末(UE)40は、周辺のマクロ基地局21〜23がMBMSをサポートしているか否かを探索する。
無線端末(UE)40は、所望のサービスがいずれかのマクロ基地局から配信されていることを検出した場合、ギャップパターンGPを設定する。無線端末(UE)40は、当該ギャップパターンGPが有効期間(Active)の間、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から提供されるMBMSによるサービスのデータ(信号)を受信する。一方、無線端末(UE)40は、ギャップパターンGPが無効期間(Inactive)の間は、フェムト基地局31のPCCHで送信された信号を受信する。これにより、無線端末40は、MBMSをサポートしていないフェムト基地局31に帰属中でも、MBMSをサポートしているマクロ基地局からMBSFNによるサービスを受信開始することができる。
なお、無線端末(UE)40が目的のサービスを見つけた時点の代わりに、マクロ基地局21〜23のいずれかがMBMSをサポートしていることを検出した時点で、ギャップパターンGPが設定されてもよい。
次に、図21を参照しつつ無線端末40の動作を以下に説明する。図21は、無線端末40の動作手順を概略的に示すフローチャートである。ここで、無線端末40の帰属先はフェムト基地局31に限らず、マイクロ基地局またはピコ基地局であってもよい。また、図21のフローチャートは、無線端末40の帰属先の基地局がMBMSをサポートしている場合にも対応したものである。
図21を参照すると、ある時刻で、無線端末40の通信制御部42は、帰属先の基地局から受信した報知情報を復号して(ステップS57)、その復号結果に基づいてMBMSがサポートされているか否かを判定する(ステップS58)。帰属先の基地局がMBMSをサポートしている場合(ステップS58のYES)には、通常のMBMSによるサービスを受けるために、帰属先の基地局からMBMSデータを受信する(ステップS59)。
帰属先の基地局がMBMSをサポートしていない場合(ステップS58のNO)には、通信制御部42は、ページング機会か否かを判定する(ステップS60)。現在時間がページング機会に該当するときは(ステップS60のYES)、通信制御部42は、帰属先の基地局から送信されたページングメッセージを受信し続ける(ステップS61)。
現在時間がページング機会に該当しないときは(ステップS60のNO)、通信制御部42は、非帰属先の周辺の基地局から受信した報知情報を復号して(ステップS62)、その復号結果に基づいてMBMSがサポートされているか否かを判定する(ステップS63)。MBMSがサポートされていない場合(ステップS63のNO)、無線端末40がサービス圏外にあると判断して通信制御部42は以上の処理を終了する。なお、MBMSがサポートされているか否かの判定は、検出可能なすべての非帰属先の基地局に対して行うことができる。
周辺の基地局のいずれかがMBMSをサポートしている場合(ステップS63のYES)には、通信制御部42は、帰属先の基地局からページングメッセージ(PCCHデータ)を受信するためのページングタイミングを計算し、この計算結果に基づいてギャップパターンGPを設定する(ステップS64)。
次に、通信制御部42は、ギャップが有効(active)か否(inactive)か、すなわち、現在時間がギャップパターンGPの有効期間Tactiveか無効期間Tinactiveかを判定する(ステップS65)。ギャップが無効であるとき(ステップS65のNO)、通信制御部42は、ページングメッセージを受信する(ステップS66)。
一方、ギャップが有効であるとき(ステップS65のYES)、通信制御部42は、周辺基地局からのMBMSデータを受信する(ステップS66)。この結果、無線端末40は、周辺基地局からMBMSデータパケットを受信することができる。
次いで、通信制御部42は、このMBMSデータの復号に成功した場合(ステップS67のYES)、MBMSデータを正常に受信したと判断してステップS65に処理を戻す。他方、MBMSデータの復号に失敗した場合(ステップS67のNO)、通信制御部42は、無線端末40がサービス圏外にあると判断して以上の処理を終了する。ここで、カウンタを使用して、合計N回または連続N回(Nは正整数)復号に失敗したときに、無線端末40がサービス圏外にあると判断してもよい。
(第5の実施形態)
次に、本発明に係る第5の実施形態について説明する。本実施形態では、図3に示した無線端末(UE)40の代わりに、図22に示す無線端末40Dが使用される。図22に示されるように、この無線端末40Dの構成は、2つの受信器(デュアルレシーバ)41B,41Cと、これに対応した通信制御部42Dおよび信号処理部43Dとを有する点で、図3に示した無線端末40の構成とは異なる。上記第1〜第4の実施形態では、無線端末(UE)40は、MBMSデータを受信するためにギャップパターンGPを使用するが、第5の実施形態と後述の第6の実施形態では、無線端末(UE)40Dは、MBMSデータを受信するために2つの受信器41B,41Cを利用する。
図23は、第5の実施形態の無線通信システム1の通信シーケンスを概略的に示す図である。本実施形態の無線通信システム1の初期状態では、無線端末(UE)40Dは、アイドル状態のままマクロ基地局21,22,23のうちのいずれか1つ(たとえば、マクロ基地局21)に帰属し、その帰属先からMBSFNによるMBMSデータを受信しているものとする。無線端末(UE)40Dは、第1受信器(1st receiver)41Bと第2受信器(2nd receiver)41Cとを有している。
図23に示されるように、ある時刻において、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介して、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12にMBMSサービス情報を通知する。マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSサービス情報(MBMS service information)に基づいてMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を決定し、この制御情報をブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10とマクロ基地局(macro eNBs)21〜23とに通知する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12から受信したMBSFN制御情報を、BCCHとMCCHを使用して無線端末(UE)40Dに送信する。このとき、無線端末(UE)40Dは、第1受信器(1st receiver)41Bを用いて、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23からMBSFN制御情報を受信する。
他方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介してマクロ基地局(macro eNBs)21〜23に送信する。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MSCHおよびMTCHを使用して無線端末(UE)40Dに送信する。無線端末(UE)40Dは、第1受信器(1st receiver)41Bを用いて、MBSFNによりマクロ基地局(macro eNBs)21〜23からMBMSデータパケットを受信する。
無線端末(UE)40Dの通信制御部42Dは、当該無線端末40D自身が移動したり周辺の伝搬環境が変化したりして、自己の帰属先であるマクロ基地局21からの下り信号の受信品質よりも、自己の帰属先ではないフェムト基地局31からの下り信号(たとえば、既知のパイロット信号)の受信品質の方が高いことを検出した場合、セル再選択(Cell reselection)を実行する。これにより、無線端末(UE)40Dは、自己の帰属先をマクロ基地局21からフェムト基地局31へ変更する。
本実施形態では、フェムト基地局31はMBMSをサポートしていない。それ故、図23に示されるように、無線端末(UE)40Dは、新たな帰属先であるフェムト基地局(femto eNB)31から、BCCHで送信された報知情報を受信し、この報知情報に基づいて、フェムト基地局31からMBMSデータが配信されていないことを認識する。ここで、無線端末(UE)40Dは、フェムト基地局(femto eNB)31から受信した報知情報がMBMSの制御情報(コンテンツデータの制御情報)を含むときにこの制御情報に基づいて、フェムト基地局(femto eNB)31がMBMSデータを配信する基地局であることを認識する。あるいは、無線端末(UE)40Dは、報知情報がフェムト基地局(femto eNB)31からMBMSデータ(コンテンツデータ)が配信されるか否かを示す情報を含むときにこの情報に基づいて、フェムト基地局(femto eNB)31がMBMSデータを配信する基地局であることを認識することが可能である。この認識に応じて、通信制御部42Dは、第2受信器(2nd receiver)41Cを起動し("2nd receiver on")、この第2受信器(2nd receiver)41Cを用いてMBSFNによるサービスを受ける。
すなわち、第2受信器(2nd receiver)41Cは、セル再選択(Cell reselection)の実行前に第1受信器(1st receiver)41Bがマクロ基地局(macro eNBs)21〜23からMBSFN制御情報とMBMSデータパケットとを受信していた場合と同様に、BCCHとMCCHを使用して送信されるMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を受信し、かつ、MSCHおよびMTCHを使用して送信されるMBMSデータパケット(MBMS data packet)を受信する。並行して、第1受信器(1st receiver)41Bは、帰属先であるフェムト基地局31からPCCHでページングメッセージを受信する。これにより、アイドル状態の無線端末(UE)40Dは、MBMSをサポートしているマクロ基地局21から、MBMSをサポートしていないフェムト基地局31へ帰属先を変更した後も、継続してMBSFNによるサービスを受けることができる。
ただし、送信器41Aと連動して動作するのは第1受信器(1st receiver)41Bであり、第2受信器(2nd receiver)41Cは、必ずしも送信器41Aと連動して動作する必要はない。たとえば、第2受信器(2nd receiver)41Cで受信された下り信号が上り信号を要求するものであっても、この要求に応じた動作を第2受信器(2nd receiver)41Cが行う必要はない。
図24(A)に示されるように、セル再選択(Cell reselection)が実行される前は、アイドル状態の無線端末40Dの第1受信器41Bは、マクロ基地局(macro eNB)21から、BCCH、PCCH、MCCH、MSCHおよびMTCHを用いて送信された信号を受信する。ここで、第1受信器41Bは、フェムト基地局(femto eNB)31から、BCCHおよびPCCHで送信された信号を受信することはない。
図24(B)に示されるように、セル再選択が実行されたときは、無線端末40Dの第1受信器41Bは、帰属先のフェムト基地局(femto eNB)31から、BCCHおよびPCCHで送信された信号を受信する。これと並行して、無線端末40Dの第2受信器41Cは、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23から、BCCH、MCCH、MSCHおよびMTCHで送信された信号を受信する。
ここで、図24(A),(B)に示した無線端末40Dの受信状態の代わりに図25(A),(B)に示す受信状態を採用してもよい。セル再選択が実行される前、図25(A)の受信状態は図24(A)の受信状態と同じである。一方、セル再選択が実行されたときは、図25(B)に示されるように、通信制御部42DはMBSFN制御情報を保持したまま、第2受信器41CはMSCHおよびMTCHで送信された信号のみを受信する。この場合、MBSFN制御情報が変更されたときに、無線端末40Dは、MBMSによるサービスを継続して受けることができなくなるが、MBSFN制御情報が変更され、MBMSによるサービスを継続的に受けることができなくなった場合であっても、無線端末40Dは、再び、MBSFN制御情報を受信するために、BCCHとMCCHとで送信される信号を受信すればよい。
なお、第1受信器41Bと第2受信器41Cの動作は互いに同期してもよいし、あるいは同期していなくてもよい。マクロ基地局(macro eNBs)21〜23からの下り信号(フレーム)と、フェムト基地局31からの下り信号(フレーム)とが同期している場合には、第1受信器41Bと第2受信器41Cとは互いに同期して動作する必要がある。一方、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23からの下り信号(フレーム)と、フェムト基地局31からの下り信号(フレーム)とが同期していない場合には、第1受信器41Bと第2受信器41Cとは互いに非同期で動作する。
次に、図26を参照しつつ、セル再選択後の無線端末40Dの動作を以下に説明する。図26は、セル再選択後の無線端末40Dの動作手順を概略的に示すフローチャートである。なお、MBMS制御情報は、MBSFN制御情報であってもよいが、必ずしも、MBSFN制御情報である必要はない。この意味で、図26のフローチャートは、MBSFNに限定されることなく、一般のMBMSに対応したものであってよい。
図26を参照すると、先ず、通信制御部42DがMBSFN制御情報を保持したまま、第1受信器41Bは、フェムト基地局31からBCCHで送信された報知情報を受信し、この報知情報を復号する(ステップS97)。その後、通信制御部42Dは、この復号結果に基づいて、報知情報を送信したフェムト基地局31がMBMSをサポートしているか否かを判定する(ステップS98)。当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしている場合(ステップS98のYES)には、通常のMBMSによるサービスを受けるために、第1受信器41Bは、帰属先のフェムト基地局31からMBMSデータを受信する(ステップS99)。
一方、当該フェムト基地局31がMBMSをサポートしていない場合(ステップS98のNO)には、通信制御部42Dは、第2受信器41Cを起動して(ステップS100)、この第2受信器41Cに、元の帰属先のマクロ基地局21などの周辺基地局を検出させ、この周辺基地局との同期を確立させる(ステップS101)。
その後、通信制御部42Dは、カウンタを起動してこのカウンタのカウント値nを初期化する(ステップS102)。このカウンタは、無線端末40Dがサービス圏外(Out-of-service)にあると判断するためのものである。
続けて、通信制御部42Dは、セル再選択前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からのMBMSデータを受信する(ステップS103)。よって、無線端末40Dは、セル再選択前に帰属していたマクロ基地局やその他周辺のマクロ基地局からMBMSデータパケットを受信することができる。
次いで、通信制御部42Dは、このMBMSデータの復号に成功した場合(ステップS104のYES)、MBMSデータを正常に受信したと判断してステップS103に処理を戻す。
一方、MBMSデータの復号に失敗した場合(ステップS104のNO)、カウンタはカウント値nをインクリメントし(ステップS105)、通信制御部42Dは、このカウント値nが設定値N未満であるか否かを判定する(ステップS106)。カウント値nが設定値Nに到達していない場合(ステップS106のYES)、通信制御部42Dは、ステップS103に処理を戻して通信制御を継続する。一方、カウント値nが設定値Nに到達した場合(ステップS106のNO)は、通信制御部42Dは、MBMS設定(MBMS configuration)をクリアし(ステップS107)、無線端末40Dがサービス圏外にあるとして、第2受信器41Cを用いた通信制御を終了する。
なお、図26のフローチャートのステップS105でカウンタはカウント値nをインクリメントしていたが、この代わりに、カウント値nをデクリメントしてもよい。カウント値nをデクリメントする場合、ステップS106の代わりに、カウント値nが設定値Nを超えているか否かを判定するステップが採用される。また、所定回数連続して復号に失敗したか否かを判定するステップを採用し、所定回数連続して復号に失敗した場合に無線端末40Dがサービス圏外にあると判定する手順を採用してもよい。さらに、カウンタ以外の方法で無線端末40Dがサービス圏外か否かを判定する方法を採用してもよいことはいうまでもない。
(第6の実施形態)
次に、本発明に係る第6の実施形態について説明する。本実施形態でも、上記第5の実施形態と同様に、図3に示した無線端末(UE)40の代わりに、図22に示す無線端末40Dが使用される。
図27は、第6の実施形態の無線通信システム1の通信シーケンスを概略的に示す図である。本実施形態の無線通信システム1の初期状態では、無線端末(UE)40Dは、アイドル状態でフェムト基地局(femto eNB)31に帰属しており、BCCH以外のチャネルから、無線端末40Dに個別の情報は受信していないものとする。図27に示されるように、フェムト基地局(femto eNB)31は、BCCHを用いて信号を送信し、無線端末40Dの第1受信器41Bはこの信号を受信する。
一方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介して、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12にMBMSサービス情報を通知する。マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSサービス情報(MBMS service information)に基づいてMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を決定し、この制御情報をブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10とマクロ基地局(macro eNBs)21〜23とに通知する。図示しないが、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、マルチセル/マルチキャスト制御装置(MCE)12から受信したMBSFN制御情報(MBSFN Configuration)を、BCCHとMCCHを使用して、自己の管理下にある無線端末(UE)40Dに送信する。
他方、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10は、MBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MBMSゲートウェイ(eMBMS GW)11を介してマクロ基地局(macro eNBs)21〜23に送信する。図示しないが、マクロ基地局(macro eNBs)21〜23は、ブロードキャスト・マルチキャストサービスセンタ(eBMSC)10から受信したMBMSデータパケット(MBMS data packet)を、MSCHおよびMTCHを使用して、自己の管理下にある無線端末(UE)40Dに送信する。
ある時刻において、無線端末40Dは、MBMSによるサービスを受信しようと試みるが、帰属するフェムト基地局31からはMBMSデータを受信することができない("search MBMS service, but cannot monitor")。無線端末40Dは、報知情報に基づいて帰属先の基地局がMBMSをサポートしていないことを検知した場合("Trigger to monitor neighboring BCCH")、第2受信器(2nd receiver)41Cを起動し("2nd receiver on")、この第2受信器41Cを用いて周辺のマクロ基地局21〜23がMBMSをサポートしているか否かを探索する。
無線端末40Dの通信制御部42Dは、目的のサービスを発見した場合("Find intended service")、第1受信器41Bを用いてフェムト基地局31のPCCHで送信される信号を受信しつつ、第2受信器41Cを用いてマクロ基地局(macro eNBs)21〜23から提供されるMBMSによるサービスを受ける。これにより、無線端末40Dは、MBMSをサポートしていないフェムト基地局31に帰属中でも、MBMSをサポートしているマクロ基地局からMBSFNによるサービスを受信開始することができる。
次に、図28を参照しつつ無線端末40Dの動作を以下に説明する。図28は、無線端末40Dの動作手順を概略的に示すフローチャートである。ここで、無線端末40Dの帰属先はフェムト基地局31に限らず、マイクロ基地局またはピコ基地局であってもよい。また、図28のフローチャートは、無線端末40Dの帰属先の基地局がMBMSをサポートしている場合にも対応したものである。
図28を参照すると、ある時刻で、無線端末40Dの通信制御部42Dは、第1受信器41Bを使用して、帰属先の基地局から受信した報知情報を復号し(ステップS116)、その復号結果に基づいてMBMSがサポートされているか否かを判定する(ステップS117)。帰属先の基地局がMBMSをサポートしている場合(ステップS117のYES)には、通常のMBMSによるサービスを受けるために、第1受信器41Bは、帰属先の基地局からMBMSデータを受信する(ステップS118)。
帰属先の基地局がMBMSをサポートしていない場合(ステップS117のNO)には、通信制御部42Dは、第2受信器41Cを起動し(ステップS119)、この第2受信器41Cを用いて、非帰属先の周辺の基地局から送信された報知情報を受信し、復号する(ステップS120)。通信制御部42Dは、この復号結果に基づいて、MBMSがサポートされているか否かを判定する(ステップS121)。MBMSがサポートされていない場合(ステップS121のNO)、無線端末40Dがサービス圏外にあると判断して通信制御部42Dは以上の処理を終了する。
周辺の基地局のいずれかがMBMSをサポートしている場合(ステップS121のYES)には、通信制御部42Dは、第2受信器41Cに周辺基地局からのMBMSデータを受信させる(ステップS122)。この結果、無線端末40Dは、周辺基地局からMBMSデータパケットを受信することができる。
次いで、通信制御部42Dは、このMBMSデータの復号に成功した場合(ステップS123のYES)、MBMSデータを正常に受信したと判断してステップS122に処理を戻す。他方、通信制御部42Dは、MBMSデータの復号に失敗した場合(ステップS122のNO)、無線端末40Dはサービス圏外にあると判断して以上の処理を終了する。ここで、カウンタを使用して、合計N回または連続N回(Nは正整数)復号に失敗したときに、無線端末40Dがサービス圏外にあると判断してもよい。
なお、通信制御部42Dは、MBMSデータを正常に受信できなかった場合は(ステップS)、無線端末40Dがサービス圏外にあると判断し、第2受信器41Cの電源をオフにする、あるいは、その動作を停止し、MBMS設定(MBMS configuration)をクリアする。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、上記実施形態の各通信シーケンスでは、主に、無線端末(UE)40がフェムト基地局31に帰属する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。フェムト基地局31の代わりに、図1のマイクロ基地局30やピコ基地局(Pico eNB)などの他の小型基地局が用いられてもよい。よって、上記セル再選択後あるいはハンドオーバ後の無線端末40の帰属先も、フェムト基地局31に限らず、マイクロ基地局やピコ基地局でもよい。無線端末40がさらに別のマクロ基地局に帰属先を変更する場合にも、上記構成を適用することが可能である。
上述の実施形態では、MBSFNによるデータ配信を想定していたが、この場合にはフェムトセルに滞在していてもマクロセルからのMBMSの信号だけは受信品質を高くすることができる。ただし、MBSFNの代わりに、通常のMBMS、たとえばLTEの「SC PTM(Single Cell Point-To-Multipoint)」を適用した形態もあり得る。
また、上記実施形態では、全て、基地局(eNB)単位でMBMSをサポートしているかどうかを区別していたが、同一基地局でもセクタ単位でMBMSをサポートするか否かを区別したり、あるいは周波数を変えてMBMSをサポートしているセルとサポートしていないセルとを区別したりする場合を上記実施形態に適用することが可能である。
上記実施形態は、「3GPP LTE」を準拠したシステム構成を有しているが、これに限定されず、たとえば「3GPP WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)」や「WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)」といった規格に準拠したシステム構成を有していてもよい。
上記ギャップパターンGPは、無線端末40が帰属する基地局からの下り信号を受信する無効期間と、当該無効期間を除く有効期間とが時間的に交互に設定された周期的なパターンである。無線端末40が下り信号を受信する期間が無効期間と呼ばれているが、これに限定されるものではない。無線端末40が下り信号を受信する期間を有効期間と呼び、当該有効期間を除く期間を無効期間と呼んでもよい。
(付記1)
無線端末と、前記無線端末が帰属する無線基地局である帰属先無線基地局と、前記無線端末が帰属しない無線基地局である非帰属先無線基地局とを含む無線通信システムであって、
前記無線端末は、前記非帰属先無線基地局からブロードキャストまたはマルチキャストされたコンテンツデータを受信することを特徴とする無線通信システム。
(付記2)
付記1に記載の無線通信システムであって、前記無線端末は、前記非帰属先無線基地局から報知情報を受信し、前記報知情報に基づいて、前記非帰属先無線基地局が前記コンテンツデータを送信する基地局であるか否かを認識することを特徴とする無線通信システム。
(付記3)
付記2に記載の無線通信システムであって、前記無線端末は、前記報知情報が前記コンテンツデータの制御情報を含むときに前記コンテンツデータの制御情報に基づいて、前記非帰属先無線基地局が前記コンテンツデータを送信する基地局であることを認識することを特徴とする無線通信システム。
(付記4)
付記2に記載の無線通信システムであって、前記無線端末は、前記報知情報が前記非帰属先無線基地局から前記コンテンツデータが送信されるか否かを示す情報を含むときに当該情報に基づいて、前記非帰属先無線基地局が前記コンテンツデータを送信する基地局であるか否かを認識することを特徴とする無線通信システム。
(付記5)
付記1から4のうちのいずれか1つに記載の無線通信システムであって、
前記無線端末は、
第1および第2の受信器と、
前記第1および第2の受信器をそれぞれ制御する通信制御部と、
を備え、
前記通信制御部は、前記第1の受信器に前記帰属先無線基地局から下り信号を受信させるとともに、前記第2の受信器に前記非帰属先無線基地局から前記コンテンツデータを受信させることを特徴とする無線通信システム。
(付記6)
付記5に記載の無線通信システムであって、前記下り信号は、ページングメッセージの信号であることを特徴とする無線通信システム。
(付記7)
付記1から6のうちのいずれか1つに記載の無線通信システムであって、前記非帰属先無線基地局は、マクロ基地局であり、前記帰属先無線基地局は、前記マクロ基地局が管理するセルよりも小さなセルを管理する小型基地局であることを特徴とする無線通信システム。
(付記8)
付記7に記載の無線通信システムであって、前記帰属先無線基地局はフェムト基地局であることを特徴とする無線通信システム。
(付記9)
付記1から8のうちのいずれか1つに記載の無線通信システムであって、前記無線端末は、ハンドオーバまたはセル再選択により自己の帰属先を変更することを特徴とする無線通信システム。
(付記10)
付記1から9のうちのいずれか1つに記載の無線通信システムであって、前記無線端末は、前記無線基地局から通知された情報に基づいて当該無線基地局に帰属先を変更することを特徴とする無線通信システム。
(付記11)
付記1から10のうちのいずれか1つに記載の無線通信システムであって、前記コンテンツデータがMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)データであることを特徴とする無線通信システム。
(付記12)
無線端末と、前記無線端末が帰属する無線基地局である帰属先無線基地局と、前記無線端末が帰属しない無線基地局である非帰属先無線基地局とを含む無線通信システムにおける前記無線端末であって、
前記非帰属先無線基地局からブロードキャストまたはマルチキャストされたコンテンツデータを受信することを特徴とする無線端末。
(付記13)
付記12に記載の無線端末であって、前記非帰属先無線基地局から報知情報を受信し、前記報知情報に基づいて、前記非帰属先無線基地局が前記コンテンツデータを送信する基地局であるか否かを認識する手段を有することを特徴とする無線端末。
(付記14)
付記13に記載の無線端末であって、前記報知情報が前記コンテンツデータの制御情報を含むときに前記コンテンツデータの制御情報に基づいて、前記非帰属先無線基地局が前記コンテンツデータを送信する基地局であることを認識することを特徴とする無線端末。
(付記15)
付記13に記載の無線端末であって、前記報知情報が前記非帰属先無線基地局から前記コンテンツデータが送信されるか否かを示す情報を含むときに当該情報に基づいて、前記非帰属先無線基地局が前記コンテンツデータを送信する基地局であるか否かを認識することを特徴とする無線端末。
(付記16)
付記12から15のうちのいずれか1つに記載の無線端末であって、
第1および第2の受信器と、
前記第1および第2の受信器をそれぞれ制御する通信制御部と、
を備え、
前記通信制御部は、前記第1の受信器に前記帰属先無線基地局から下り信号を受信させるとともに、前記第2の受信器に前記非帰属先無線基地局から前記コンテンツデータを受信させることを特徴とする無線端末。
(付記17)
付記16に記載の無線端末であって、前記下り信号は、ページングメッセージの信号であることを特徴とする無線端末。
(付記18)
付記12から17のうちのいずれか1つに記載の無線端末であって、前記コンテンツデータがMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)データであることを特徴とする無線端末。
(付記19)
無線端末と、前記無線端末が帰属する無線基地局である帰属先無線基地局と、前記無線端末が帰属しない無線基地局である非帰属先無線基地局とを含む無線通信システムにおける前記無線端末の通信制御方法であって、
(a)前記非帰属先無線基地局を選択するステップと、
(b)前記非帰属先無線基地局からブロードキャストまたはマルチキャストされたコンテンツデータを受信するステップと、
を含むことを特徴とする通信制御方法。
(付記20)
付記19に記載の通信制御方法であって、
前記無線端末は、第1および第2の受信器を備えており、
前記ステップ(b)は、前記第1の受信器に前記帰属先無線基地局から下り信号を受信させるとともに、前記第2の受信器に前記非帰属先無線基地局から前記コンテンツデータを受信させるステップを含むことを特徴とする通信制御方法。
(付記21)
付記20に記載の通信制御方法であって、前記下り信号は、ページングメッセージの信号であることを特徴とする通信制御方法。
(付記22)
付記19から21のうちのいずれか1つに記載の通信制御方法であって、前記コンテンツデータがMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)データであることを特徴とする通信制御方法。
(付記23)
無線端末と、前記無線端末が帰属する無線基地局である帰属先無線基地局と、前記無線端末が帰属しない無線基地局である非帰属先無線基地局とを含む無線通信システムにおける前記無線端末の記録媒体から読み出されてプロセッサに通信制御処理を実行させるプログラムであって、
前記通信制御処理は、
前記非帰属先無線基地局を選択する処理と、
前記非帰属先無線基地局からブロードキャストまたはマルチキャストされたコンテンツデータを受信する処理と、
を含むことを特徴とするプログラム。
(付記24)
付記23に記載のプログラムであって、
前記無線端末は、第1および第2の受信器を備えており、
前記通信制御処理は、前記第1の受信器に前記帰属先無線基地局から下り信号を受信させるとともに、前記第2の受信器に前記非帰属先無線基地局から前記ブロードキャストまたはマルチキャストされたコンテンツデータを受信させることを特徴とするプログラム。
(付記25)
付記24に記載のプログラムであって、前記下り信号は、ページングメッセージの信号であることを特徴とするプログラム。
(付記26)
付記23から25のうちのいずれか1つに記載のプログラムであって、前記コンテンツデータがMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)データであることを特徴とするプログラム。