JP5824489B2 - バリア用のトリエチルアミン官能化エラストマー - Google Patents

バリア用のトリエチルアミン官能化エラストマー Download PDF

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<発明の分野>
この発明は、空気バリア用として有用な低ガス透過性エラストマーに関し、具体的には、トリエチルアミン官能基をもつイソブチレンポリマーをベースにした組成物、方法及び物品に関する。
イソブチレン単位を多く含んだゴム状コポリマーは、ガス透過性(gas permeability)が低く、固有の減衰特性を有し、表面エネルギーが小さいことは広く知られており、これらの特性により、インナーチューブやタイヤ用インナーライナー等の用途に特に適している。これら用途における他のエラストマー部品との適合性(compatibility)又は共硬化性(co-curability)をより良好にするために、不飽和コモノマー及び/又は反応性官能基を含んだコモノマーが用いられている。イソブチレンポリマーの中でも、イソブチレン/パラメチルスチレンコポリマー(IPMS)が特に適用されている。ポリマー中のパラメチルスチレン(PMS)由来単位は、部分的に臭素化され、イソブチレン/PMS/BrPMSターポリマー(BIMS)となる。BlMSは、反応性ベンジリック臭素(benzylic bromine)により、さらに官能化され、官能化された様々なイソブチレンポリマーに変換される(米国特許第5,162,445号)。IPMSコポリマー及びBIMSターポリマーの他の利点は、完全飽和されたバックボーンにより、オゾン及び時効(aging)に対してすぐれた耐性を有することである。
タイヤ産業では、インナーチューブ及びインナーライナーに用いられるエラストマーのバリア特性を向上させたいという要請がある。例えば、エラストマーナノコンポジットが開発されている。ナノコンポジットは、少なくとも1つの次元がナノメータ範囲である無機粒子を含んだポリマー系である。これらの例は、例えば、米国特許第6,060,549号、第6,103,817号。第6,034,164号、第5,973,053号、第5,936,023号、第5,883,173号、第5,807,629号、第5,665,583号、第5,576,373号及び第5,576,372号に記載されている。ナノコンポジットに一般的に用いられる無機粒子は、フィロケイ酸塩であり、これはいわゆるナノクレイと称される一般的クラスに由来する無機材料である。理想的には、ナノコンポジットにインターカレーション(層間挿入)が起こり、ポリマーはクレイ表面間の空間又は通路の中に進入する。最終的に、剥離を有することが好ましく、ポリマーは個々にナノメートルサイズのクレイプレートレットが十分に分散されている。
しかしながら、疎水性イソブチレンエラストマーと親水性無機クレイとの不和合性が、エラストマーにおける良好なクレイ分散又は剥離の達成を非常に困難にしている。1つの方策は、有機修飾モンモリロナイトクレイを用いることであった。有機クレイは、典型的には、イオン交換反応によって生成され、このイオン交換反応では、ナトリウムモンモリロナイトの表面に存在するナトリウムイオンが、例えば、当該分野で膨潤剤又は剥離剤として知られているアルキル又はアリールアンモニウム化合物のような有機分子と置換される。これについて記載された文献として、例えば、米国特許第3,516,959号、第3,898,253号、第5,333,662号、第5,576,373号、第5,633,321号、第5,665,183号、第5,807,629号、第5,936,023号、第6,036,765号、第6,121,361号、第6,552,108号、国際公開第WO 94/2268O5号、第WO 01/85831号及び第04/058874号を挙げることができる。
ナノコンポジットに用いられるBIMSポリマーの官能化は、ポリマーの官能性とクレイ表面の官能性と間により良好な相互作用をもたらし、クレイの分散度及び剥離度を高めることができることも明らかにされている。これはまた、ナノコンポジットにさらに良好なバリア特性をもたらすことができる。BIMSポリマーの透過性向上に好ましい官能基は、アンモニウム(-NR3+)、ヒドロキシル(-OH)、エステル(-OOR)及びエーテル(-OR)であった。
しかしながら、アンモニウム基がクレイと共にポリマー及び/又はナノコンポジットの中に含まれると、ポリマーバックボーンにおける官能基のイオノマ性連繋(ionomeric associations)により、ポリマーの粘度は有意に高くなる。従来のゴム配合設備やタイヤ成形設備では、エラストマーの処理を促進するために低粘度にする必要がある。低粘度を得る方法の1つに、官能基の中により高いアルキル尾を含めることが行われており、これによりイオノマ性相互反応を抑制することができる。例えば、米国特許公開第2005/0027057号、第2005/0027058号及び第2005/0032937号には、好ましくは長鎖アルキル置換基を有する第3級アミンでBIMSを処理することが記載されている。
タイヤ産業では、空気バリア用途に用いられることができ、バリア特性の向上及び加工性の制御可能性を具えるエラストマー及びナノコンポジットに対する要請が引き続いて存在する。
<発明の要旨>
発明者らは、BIMSポリマー等のハロゲン化エラストマーの部分的トリエチルアミン(TEA)官能化は、エラストマー、特にナノコンポジット用途において、他の官能性ポリマーに勝る幾つかの利点をもたらすことができることを見出した。TEA官能化BIMSは、ナノクレイの分散を促進し、バリア特性を向上させると共に、トリエチルアミン−官能性ポリマーのムーニー粘度を改善する。それゆえ、その加工性は、ポリマーにおける官能基量を制御することによって容易に調節されることができる。
典型的には、アンモニウム官能基(ammonium functionality)がポリマーの中に組み込まれたとき、ポリマーの粘度は、ポリマーバックボーン中の官能基のイオノマ性連繋により、有意に増大する。驚いたことに、部分的に官能化されたポリマーに3つのエチル基が存在すると、官能基間のイオン相互作用を遮蔽するので、粘度の著しい上昇が防止される。TEA官能性ポリマー中の3つのエチル基は、官能基間のイオン相互作用を適正量遮蔽するので、粘度の著しい上昇が防止される。それゆえ、TEAを用いると、官能性ポリマーに対し、クレイと相互作用して良好なバリア特性が得られるのに十分な官能基を供給するだけでなく、より重要なことは、ゴム配合及びタイヤ製造に好ましい良好な加工性が維持されることである。
一実施例において、本発明は、エラストマー、充填材及びキュアパッケージ(cure package)を含む加硫ゴム組成物(vulcanizable rubber composition)を提供するものである。エラストマーは、C〜Cイソオレフィン由来単位(derived units)、パラアルキルスチレン由来単位、パラ−(ハロアルキルスチレン)由来単位、次式のエラストマーEのペンダントとしてトリエチルアンモニウムアルキル基を有するパラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位を含むことができる。
Figure 0005824489
なお、上記式中、RとRは同じでも異なるものでもどちらでもよく、水素、C〜Cアルキル、一次及び二次C〜Cアルキルハロゲン化物のうちの1つであり、好ましくは水素である。
一実施例において、エラストマーは、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)を含むことができ、ベンジリックハロゲン基の一部はトリエチルアミン官能基を有している。
複数の実施例において、エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比は、1:100〜1:1であるか、又は1:20〜1:2である。アルキルスチレン基の1〜60モルパーセントは、例えば、ハロゲン化されるか、又はトリエチルアミン官能化されている。様々な実施例において、エラストマーは、メチルスチレン0.5〜20重量%、ハロメチルスチレン0.1〜3モルパーセント、及び/又はトリエチルアンモニウムアルキルスチレン0.05〜1モルパーセントを含むことができる。一実施例において、パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位は、エラストマーの0.01〜0.5重量%存在することもできる。他の実施例において、エラストマーは、マルチオレフィン由来単位、ハロゲン化マルチオレフィン由来単位など、又はそれらの組合せをさらに含むことができる。他の実施例において、エラストマーの粘度は、ムーニー粘度(ML 1+8, 125℃)で30〜120である。
一実施例において、加硫ゴム組成物は二次ゴム(secondary rubber)を含むことができ、二次ゴムは、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、ハロゲン化イソプレン、ハロゲン化イソブチレンコポリマー、ポリクロロプレン、星型分岐したポリイソブチレンゴム、星型分岐した臭素化ブチルゴム、ポリ(イソブチレン-co-イソプレン)ゴム、ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)等及びこれらの混合物からなる群から選択される。
複数の実施例において、充填材は、カーボンブラック、改質カーボンブラック、シリカ、析出シリカ、クレイ、ナノクレイ等及びこれらの混合物の中から選択することができる。一実施例において、充填材は、剥離可能なナノクレイを含むことができる。剥離剤は、アンモニウムイオン、アルキルアミン、アルキルアンモニウムイオン(一次、二次、三次及び四次)、脂肪族、芳香族及びアリール脂肪族アミンのホスホニウム又はスルホニウム誘導体、ホスフィン、硫化物等並びにこれらの混合物からなる群から選択されることができる。一実施例において、組成物は、1-100 phrのナノクレイを含むことができる。
一実施例において、硬化剤(curing agents)は、例えば、亜鉛、ステアリン酸亜鉛、脂肪酸、硫黄等又はそれらの混合物である。
他の態様において、本発明は、インナーチューブ又はタイヤインナーライナー等の空気バリア構造を提供することができる。一実施例において、前記加硫ゴム組成物は、空気バリア構造の中に成形されることができ、空気バリア構造の形態で硬化されることができる。
本発明のさらなる態様は、エラストマー物品を調製する方法を提供することができる。本発明の方法は、部分的にイオノマー化され、部分的にハロゲン化されたエラストマー、充填材及び前記キュアパッケージの混合物を溶融処理するステップ、溶融処理された混合物をグリーン物品(green article)に成形するステップ、及び成形された物品を硬化するステップを含むことができる。一実施例において、物品は、インナーチューブであり、他の実施例においてエラストマー混合物から成形されたタイヤインナーライナーである。
一実施例において、本発明の方法は、溶融処理するステップでの混合物の粘度を制御するために、パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)の全体量を調節するステップを含むことができる。
図1は、本発明の実施例に係る割合を変化させる際、トリエチルアミンで部分的に官能化したハロゲン化イソオレフィンコポリマー(BIMS)の粘度制御性を、ジメチルエタノールアミンで官能化した同じコポリマーと比較したもので、ムーニー粘度は官能基レベルに非常に強く依存することを示しており、これはポリマーの加工を非常に困難にする。
図2は、臭素化イソブチレン-p-メチルスチレン(BIMS)とトリエチルアミン官能化BIMSポリマー(TEA-BIMS)のナノコンポジットのX線回折スペクトルの比較であり、面間隔(d-spacing)の増大、つまりクレイシート間の間隔が大きくなることを示しており、TEA-BIMSナノコンポジットにおけるインターカレーション及び/又は剥離の程度が大きくなることを示している。
図3は、図2のTEA BIMSナノコンポジットの透過型電子顕微鏡(TEM)像であり、本発明の一実施例に係るクレイ剥離の程度が大きいことを示している。
図4は、図2のBIMSナノコンポジットの比較用TEM像であり、分離しなかったクレイシートの大きな紡錘体(tactoids)を示している。
<発明の詳細な説明>
本発明は、トリエチルアミン官能化エラストマーの加硫性硬化組成物、該組成物から作られた物品、及び前記組成物を用いて物品を製造する方法について記載する。トリエチルアミンの官能化により、バリア特性が向上(透過性が低下)し、同時に、エラストマー及び組成物の粘度を制御する機構により、加工性(processability)を向上させることができる。
ここで使用する「ポリマー」は、ホモポリマー、コポリマー、インターポリマー、ターポリマー等のことを指すものとする。同様に、コポリマーは、2種以上のモノマーを含み、選択的に他のモノマーを含むポリマーのことを指すものとする。
本願明細書中で、ポリマーがモノマーを含むものを指しているとき、モノマーはポリマーの中にモノマーの重合形態又は誘導体形態で存在するものとする。同じように、官能化ポリマーを、ポリマーを官能化するのに用いられる成分又は特定の誘導体形態に言及して記載するとき、官能化成分は、実際にその成分に由来する官能基の形態で存在するものとする。例えば、トリエチルアミンによる臭素化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)(BIMS)の官能化生成物は、トリエチルアミン官能化BIMS、トリエチルアンモニウム-BIMS(TEA-BIMS)又は同様な表現を指すものとし、それは、ペンダント官能基がトリエチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウム塩又は他の誘導体を含むことができるものとして理解される。
ここで使用する「エラストマー」又は「エラストマー組成物」は、ASTM D1566の規定に該当するあらゆるポリマー又は複数ポリマーの組成物(例えば、ポリマーのブレンド)を指すものである。エラストマーは、溶融混合等のポリマーの混合ブレンド及び/又はポリマーの反応体ブレンドを含んでいる。 ここで、使用されている「エラストマー」は、「ゴム」という用語で置き換えて使用することができる。
ここで使用する「phr」は、「ゴム100部に対する割合」のことであり、エラストマー又はゴム100重量部に対し、組成物の成分を主要エラストマー成分に関して測定するもので、当該技術の分野において共通的に使用されているものである。
ここで使用する「イソブチレンベースのエラストマー」又は「イソブチレンベースのポリマー」は、イソブチレンの少なくとも70モル%の繰返し単位を有するエラストマー又はポリマーのことを言う。
ここで使用する「イソオレフィン」は、少なくとも1つのカーボンを有し、該カーボンに2つの置換を有するあらゆるオレフィンモノマーのことを言う。
ここで使用する「マルチオレフィン」は、二重結合又は三重結合を有するあらゆるモノマーのことを言う。マルチオレフィンの例として、イソプレン等の共役ジエンのような2つの共役二重結合を含むあらゆるモノマーを挙げることができる。
ここで使用する「ナノコンポジット(nanocomposite)」又は「ナノコンポジット組成物」は、ポリマーマトリックス内に少なくともナノメートルレベルの寸法を有する無機質粒状体を含むポリマーシステムのことを言う。
ここで使用する「インターカレーション(intercalation)」は、ポリマーがプレートレット型充填材の各レイヤー間に存在する組成物の状態のことである。産業界や学会で認識されているように、インターカレーションの幾つかの現象(indicia)は、例えば、X線ラインの検出が、元のプレートレット型充填材と比べて移動(shifting)及び/又は低下(weakening)することであり、バーキュライト層間の間隔が元の無機物よりも大きくなることを示す。
ここで使用する「剥離(exfoliation」は、元の無機粒子の個別層の分離を指し、剥離の結果、ポリマーは各粒子を取り囲むことになる。一実施例において、十分なポリマーが各プレートレット間に、不規則間隔にて存在する。例えば、剥離又はインターカレーションの現象として、X線ラインが存在しないことを示すプロット又はより大きな面間隔を示すプロットがあるが、これは、プレートレット層が不規則間隔であったり分離が大きくなるためである。しかしながら、産業界や学会で認識されているように、透過性試験、電子顕微鏡又は原子間力顕微鏡等では、他の現象が剥離の結果を示すのに有用なことがある。
ここで使用する「ムーニー粘度」は、特に指定しない限り、ASTM D-1646、ML 1+8、温度125℃に基づいて決定される。
一実施例において、ナノコンポジットは、C〜Cイソオレフィン由来単位を含むトリエチルアミン官能基を有するハロゲン化エラストマーを少なくとも一種含むことができる。イソオレフィンは、例えばC〜C化合物であり、一実施例において、イソブチレン、イソブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等から選択される。エラストマーはまた、他のモノマー由来単位を含んでもよい。一実施例において、ハロゲン化エラストマーは、少なくとも1種のスチレンモノマーを含んでおり、該スチレンモノマーは、あらゆる置換スチレンモノマー単位であってよく、好ましくは、パラ-アルキルスチレンから選択されることができ、ここで、アルキルはあらゆるC〜Cアルキル又は分岐鎖アルキルから選択されることができる。好ましい実施例において、スチレンモノマーは、例えば、p-メチルスチレン(PMS)である。
他の実施例において、エラストマーは、少なくとも1種のマルチオレフィンを含むことができ、該マルチオレフィンは、C〜C14ジエン(共役の如何を問わない)であってよく、一実施例において、イソプレン、ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ミルセン、6,6-ジメチル-フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ピペリレン等から選択される。
本発明の一実施例におけるハロゲン化エラストマーは、C〜Cイソオレフィン、例えばイソブチレンと、パラアルキルスチレンコモノマー、好ましくは、少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%のパラ異性体を含有するp-メチルスチレンとのランダムエラストマーコポリマーであり、ハロゲン化エラストマーはまた、官能化インターポリマーを含むことができ、スチレンモノマー単位に存在するアルキル置換基の少なくとも幾つかは、ベンジリックハロゲンや、例えばベンジリックハロゲンを通じてトリエチルアミンで官能化されたトリエチルアンモニウムを含むことができる。
好ましい材料は、ポリマー鎖に沿って不規則間隔を有し、次式で示されるモノマー単位を含んだインターポリマーとして特徴づけられることができる。
Figure 0005824489
Figure 0005824489
なお、上記式中、R10及びR11は、独立して、水素、低級アルキル、好ましくはC〜Cアルキル及び一次又は二次アルキルハロゲン化物であり、Xはハロゲン又はトリエチルアンモニウム等の官能基である。好ましくは、R10及びR11は水素である。インターポリマー構造中に存在するパラ置換スチレンの最大60モル%は、一実施例では、上記官能化構造(5)であり、他の実施例において、該官能化構造は0.1〜5モル%である。さらに他の実施例において、官能化構造の量は0.4〜1モル%である。
官能基Xは、例えば、ハロゲンとトリエチルアンモニウム官能基との組合せであり、ベンジリックハロゲンがトリエチルアミンとの求核置換によって組み入れられる。このような官能化材料の最も有用なものは、イソブチレンとパラ-メチルスチレンのエラストマーランダムインターポリマーであり、パラ-メチルスチレンを0.5〜20モル%を含み、ベンジル環に存在するメチル置換基の最大60モル%は、ハロゲン(例えば、塩素原子又は臭素原子(パラ-(ブロモメチルスチレン)))とトリエチルアンモニウムとの混合物を含んでおり、選択的にエステル及びエーテル等の他の官能基を含むことができる。ハロゲン化エラストマーは、商標名EXXPROエラストマー(ExxonMobil Chemical Company, Houston TX)、略称「BIMS」のものが商業的に入手可能である。BIMSは、準化学量論的トリエチルアミンで処理され、部分的に官能化されたトリエチルアミン-BIMSが得られる。ここでは、略して、TEA-BIMSとして記載する。
これらの官能化インターポリマーは、略一様な組成分布を有することができ、ポリマーの少なくとも95重量%は、ポリマーの平均パラ-アルキルスチレン量10%以内のパラ-アルキルスチレン含有量を有している。好ましいインターポリマーは、5未満、より好ましくは2.5未満の狭い分子量分布(Mw/Mn)、200,000〜2,000,000の好ましい粘度平均分子量、及び、ゲル透過クロマトグラフィーで測定した値が25,000〜750,000の好ましい数平均分子量によって特徴づけられることもできる。
TEA-BIMSの調製は、ルイス酸触媒を用いてモノマー混合物をスラリー重合し、次に、ハロゲンとラジカル開始剤(例えば、熱及び/又は光及び/又は化学開始剤等)とが存在する溶液中でハロゲン化、好ましくは臭素化し、次に、臭素を、トリエチルアンモニウム等の異なる官能基で求電子置換することによって行なうことができる。
望ましいTEA-BIMSポリマーは、一般に、ポリマー中のモノマー由来単位の全量に対して0.1〜5モル%の官能化メチルスチレン基を含んでいる。他の実施例において、ブロモメチル基及びTEA-メチル基の全量は、0.2〜3.0モル%の範囲、0.3〜2.8モル%の範囲、0.4〜2.5モル%の範囲、あるいは0.3〜2.0モル%の範囲にあり、好ましい範囲は任意の下限と任意の上限の任意の組合せである。 別の言い方をすれば、典型的には、望ましいコポリマーはポリマーの重量に対し、全臭素及びTEAを0.2〜10重量%、あるいは全臭素及びTEAを0.4〜7重量%、あるいは0.6〜6重量%含んでいる。他の実施例においては、このコポリマーは、ポリマーのバックボーン鎖に環状ハロゲン又はハロゲンを実質的に含んでいない。
様々な実施例において、TEA-BIMSポリマーにおけるTEA-メチルとブロモメチルのモル比の範囲は、下限が1:100、1:50、1:20又は1:10であり、上限が1:1、1:2、1:3又は1:4であり、好ましい範囲は、任意の下限と任意の上限の任意の組合せである。TEAの割合は、バリア特性を向上させるのに十分なものとすべきであり、それは、通常は、最小レベルのTEA官能性を必要とするが、必ずしも、最小又は閾レベルを超える高い割合のTEAでバリア特性を向上させる必要はない。TEA官能性が閾レベルを超えると、ムーニー粘度は、TEA官能性の追加と共に上昇し、例えば、ムーニー粘度は、TEA官能性のレベルに比例して略直線的に上昇する。TEA官能性レベルが過剰であると、ムーニー粘度はあまりにも上昇しすぎてエラストマーを化合し加工することができないため、粘度を低下させるのに、オイル、樹脂等の加工助剤(processing aids)を過剰レベルで使用する必要が生じる。一実施例において、ベンジルブロミンからアンモニウム官能性への変換は、それを用いて調製されるエラストマー及び/又は加硫性組成物の所望ムーニー粘度を標的とするのに可変な設計スペースとして用いられることができる。
本発明の一実施例において、インターポリマーは、C−Cイソオレフィン由来単位(又はイソモノオレフィン)、パラ-メチルスチレン由来単位(PMS)、パラ-(ブロモメチルスチレン)由来単位(BrPMS)及びパラ-(トリエチルアンモニウムメチルスチレン)由来単位(TEAPMS)のコポリマーであり、TEAPMS由来単位は、イソオレフィン及びPMSの全モルに対してインターポリマー中に0.1〜1.0モル%の範囲で存在し、BrPMS由来単位は、イソオレフィン及びPMSの全モルに対して0.3〜3.0モル%の範囲、PMS由来単位は、ポリマーの全重量に対して3-15重量%、あるいは4-10重量%の範囲で存在する。
所望により、TEA-BIMSは、トリエチルアミンに加えてアミンで官能化されることもできる。粘度特性の利点又はTEAのバリア特性が実質的に実現される割合又は度合いにおいて、他のアミン官能化も可能である。幾つかの実施例において、他のアミン官能化モノマー単位は、TEA官能化モノマー単位の全モルに対して、下限が0.001、0.01又は0.1モル%、上限が5、2、1又は0.5モル%であり、範囲は、任意の下限と任意の上限とすることできる。一実施例は、クレイと、C−Cイソオレフィン由来単位を含むハロゲン化エラストマーとを含むナノコンポジットであり、エラストマー中のハロゲンの第1部分はTEAと求電子置換され、第2部分はTEA以外のアミン官能基と求電子置換され、ハロゲン化エラストマーはまた、エラストマーEに対するペンダントとして次の基によって記載されるアミン官能化モノマー単位を含んでいる。
Figure 0005824489
上記式中、R及びRは、同じであるか又は異なり、水素、C−Cアルキル並びに一次及び二次アルキルハロゲン化物のうちの1種であり、R、R及びRは、同じであるか又は異なり、R、R及びRの全てがエチルでないことを条件に、水素、置換又は非置換のC〜C20アルケニル、置換又は非置換のC〜C20アリール、C〜C20脂肪族アルコール、C〜C20脂肪族エーテル、C〜C20カルボン酸、ニトリル、ポリエトキシル、アクリレート及びエステルからなる群から選択される。
アクリレートは次の化学式で記載されることができ、化学式中、R、R及びRは、同じであるか又は異なっており、水素、C〜Cアルキル及びC〜Cアルケニルの中から選択される。
Figure 0005824489
ポリエトキシルの一実施例として、BIMS中で、ベンジリックブロミンを通じて、次の構造を有するエトキシル化アミン(又は対応するアンモニウムイオン)による官能化によって得られることができ、式中、Rは、C〜C20アルキルであり、x+yは、2〜50であり、例えば、2, 5, 10, 15又は50である。
Figure 0005824489
アクリレートの一実施例として、BIMS中で、ベンジリックブロミンを通じ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレート、N-メチルアミノ-ビス-2-プロパノール、N-エチルアミノ-ビス-2-プロパノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロパノール、ジエチルエタノールアミン、ジメチルアミノ-1-プロパノール、トリプロパノールアミン、トリエタノールアミン、アミノラウリル酸、ベタイン及びそれらの組合せから選択される一員による官能化によって得られることができる。
二次ゴムつまり「汎用ゴム」成分は、本発明の組成物及び最終用途物品の中に含まれていてもよい。これらゴムの例として、限定するものではないが、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリ(イソブチレン-co-ブタジエン)ゴム(IBR)、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム(SIBR)、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ポリスルフィド、ニトリルゴム、酸化プロピレンポリマー、星型分岐したブチルゴム及びハロゲン化星型分岐したブチルゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星型分岐したポリイソブチレンゴム、星型分岐した臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム、ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)及びハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、例えば、イソブチレン由来単位のターポリマー、p-メチルスチレン由来単位、及びp-ブロモメチルスチレン由来単位並びにこれらの混合物がある。
二次ゴム成分の好ましい実施例では、天然ゴムを挙げることができる。天然ゴムについて詳細に記載された文献として、SubramaniamによるRUBBER TECHNOLOGY(Maurice Morton, Chapman & Hall 1995)がある。天然ゴムの好ましい実施例は、例えば、SMR CV, SMR5, SMR10, SMR20, SMR50及びこれらの混合物等のマレーシア産ゴムから選択されることができ、温度100℃におけるムーニー粘度(ML 1+4)は、30から120、より好ましくは40から65の範囲である。
ポリブタジエンゴム(BR)は、本発明の組成物に有用な好ましい他の二次ゴムである。ポリブタジエンゴムのムーニー粘度は、温度100℃において計測されたムーニー粘度(ML 1+4)が、35から70、あるいは40から約65、あるいは45から60の範囲にある。本発明に有用なこれら合成ゴムの市販品の例として、NATSYN,BUDENE 1207又はBR1207(Goodyear Chemical Company)がある。好ましいゴムは、高シス-ポリブタジエン(cis-BR)である。「シス-ポリブタジエン」あるいは「高シス-ポリブタジエン」では1,4-シス-ポリブタジエンが使用されており、シス成分の量は少なくとも95%である。組成物に用いられる高シス-ポリブタジエン市販品の例は、BUDENE 1207 cis-BRである。
EPM及びEPDMのようなエチレン及びプロピレン由来単位のゴムは、二次ゴムとしても適している。EPDMを製造する際に、適当なコモノマーの例として、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、その他のものがある。これらのゴムについて記載された文献として、RUBBER TECHNOLOGY 260-283(1995)がある。適当なエチレン-プロピレンゴムは、VISTALON(商標名)(ExxonMobil Chemical Company, Houston TX)として市販されている。
他の実施例として、二次ゴムは、ハロゲン化ブチルゴムでもよい。ハロゲン化ブチルゴムは、例えば、臭素化ブチルゴムであり、塩素化ブチルゴムでもよい。ハロゲン化ブチルゴムの一般的特性及び加工について記載された文献として、RUBBER TECHNOLOGY 311-321(1995)がある。ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム及び星型分岐ブチルゴムについて記載された文献として、Edward Kresge及びH.C. Wangによる 8 KIRK-OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY 934-955 (John Wiley & Sons, Inc. 4th ed. 1993)がある。
二次ゴム成分として、限定するものではないが、例えば、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、星型分岐ポリイソブチレンゴム、星型分岐臭素化ブチル(ポリイソブチレン/イソプレンコポリマー)ゴム、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)(例えば、イソブチレン由来単位、p-メチルスチレン由来単位及びp-ブロモメチルスチレン由来単位(BIMS)のターポリマー等の他、米国特許第5,162,445号、第4,074,035号及び第4,395,506号に記載されたハロメチル化芳香族インターポリマー)、ハロゲン化イソプレン及びハロゲン化イソブチレンコポリマー、ポリクロロプレン等、並びにこれらのうちの何れかの混合物を挙げることができる。ハロゲン化ゴム成分の幾つかの例は、米国特許第4,703,091号及び第4,632,963号にも記載されている。
本発明の一実施例において、いわゆる半結晶性(semi-crystalline)コポリマー(SCC)は、二次“ゴム”成分として存在することができる。半結晶性コポリマーは、WO 00/69966に記載されている。一般的に、SCCは、一実施例では、エチレン又はプロピレン由来単位と、α-オレフィン由来単位とのコポリマーであり、α-オレフィンは例えば4-16炭素原子を有しており、他の実施例では、エチレン由来単位とα-オレフィン由来単位とのコポリマーであり、α-オレフィンは、例えば4-10炭素原子を有しており、SCCはある程度の結晶性を有している。さらなる実施例において、SCCは、1-ブテン由来単位と、例えば5-16炭素原子を有する他のα-オレフィンのα-オレフィン由来単位とのコポリマーであり、SCCはある程度の結晶性を有している。SCCは、エチレンとスチレンのコポリマーでもよい。
エラストマー組成物中の二次ゴム成分は、最大90phrの範囲であってよいが、最大50phrの範囲、あるいは最大40phrの範囲、あるいは最大30phrの範囲でもよい。さらに他の実施例において、二次ゴム成分は、少なくとも2phrであってよいが、少なくとも5phr、あるいは少なくとも10phrでもよい。好ましい実施例では、任意の上限phrと任意の下限phrとの任意の組合せを含むことができる。
本発明の組成物は、炭酸カルシウム、クレイ、ナノクレイ、マイカ(雲母)、シリカ、ケイ酸塩、タルク(滑石)、二酸化チタン、カーボン・ブラック等のうちの1又は2種以上の充填材成分を含むことができる。
一実施例において、組成物は、ナノコンポジットを生成するために、膨潤性無機クレイを含むこともできる。膨潤性層状無機クレイ材料は、天然の、又は合成したフィロケイ酸塩であり、特に、スメクチッククレイ、例えば、モンモリロナイト、ノントロナイト、ベイデライト、フォルコンスコイト(volkonskoite)、ラポナイト(laponite)、ヘクトライト、サポナイト、サウコナイト(sauconite)、マガダイト(magadite)、ケニアイト(kenyaite)、ステベンサイト(stevensite)等、並びにバーミキュライト、ハロイサイト、アルミン酸塩オキシド、ハイドロタルサイト等が含まれる。これらの層状クレイは、一般的には、8〜12Åの厚みを有し、4Å以下の空間をなす層間で堅固に結合した複数のケイ酸塩の板状片(platelets)を含む粒状体からなっており、中間層表面に存在する交換可能なカチオン、例えばNa、Ca+2、K又はMg+2を含有する。
層状クレイは、水溶液中でクレイを懸濁することによって剥離されることができる。好ましくは、水中のクレイ濃度は、クレイ粒子間の相互作用を最小にし、クレイを完全に剥離できるように十分な低さである。一実施例において、クレイの水性スラリー(aqueous slurry)は、クレイ濃度が0.1-5.0重量%の範囲、あるいは0.1-3.0重量%である。有機クレイは、有機剥離材(例えば、第三級アミン、ジアミン、ポリアミン、アミン塩、他に第四級アンモニウム化合物)を用いて得られることができる。有機クレイは、例えば、商標名CLOISITEのものを商業的に入手可能である。
本発明において、ナノコンポジットに取り込まれるクレイ又は剥離クレイの量は、ナノコンポジットの機械的特性(例えば、引張強度)又はバリア特性(例えば酸素透過性)の改善をもたらすのに十分な量である。ナノコンポジット中のクレイの量は、一般的に、ナノコンポジットのポリマー含有量に対して0.5-10重量%の範囲であるが、1-5重量%の範囲でもよい。クレイ又は剥離クレイを、ゴム100部に対する割合で表すと、例えば、1-30phrであるが、2-20phrでもよく、あるいは3-10phrでもよい。
TEA-BIMSのナノクレイナノコンポジットは、一般的には、溶液混合(solution blending)、溶融混合(melt blending)、あるいはエマルジョン法などの様々なプロセスによって調製されることができる。 例えば、PCT出願第PCT/US/22714号には溶融混合が記載され、米国特許出願公報第2007/0015853号には、ゴム溶液と水性クレイのエマルジョンから、クレイ-ブチルゴムのナノコンポジットを調製する方法が開示されている。 また、2005年7月18日に出願されたW.Weng他による米国特許出願番号第11/183,361号「ナノコンポジットを製造するスプリットストリームプロセス」には、ゴムのスリップストリームから高濃度のナノコンポジットを調製し、この高濃度のナノコンポジットをメインのゴムのストリームと混合することにより、クレイ-ブチルゴムナノコンポジットを調製する方法が記載されている。
ここで使用する「充填材(fillers)」は、ナノコンポジットマトリックスの部分を形成する無機粒子、例えばナノメートル範囲の寸法を有するクレイ粒子を含むことができる。より大きなクレイ粒子は、所望により、追加の充填材としてナノコンポジットの中に用いられることができる。
一実施例において、充填材は、例えばカーボンブラックまたは改質カーボンブラックである。 好ましい充填材は、ブレンドの10〜150phr、より好ましくは30-120phrのレベルで存在する半補強グレードのカーボンブラックである。カーボンブラックの有用なグレードは、RUBBER TECHNOLOGY 59-85 (1995)に記載され、N110〜N990の範囲である。より好ましくは、例えば、タイヤトレッドに有用なカーボンブラックの例として、ASTM(D3037, Dl510及びD3765)に規定されたN229, N351, N339, N220, N234及びN110がある。例えば、側壁に有用なカーボンブラックの例として、N330, N351, N550, N650, N660及びN762がある。例えば、タイヤのインナーライナーに有用なカーボンブラックの例として、N550, N650, N660, N762及びN990がある。
組成物は、官能化エラストマーコポリマーを硬化(キュア)する能力を有する硬化剤系(curative systems)を含むことができ、これにより、加硫可能な組成物となる。適当な硬化剤系として、有機過酸化物、酸化亜鉛とステアリン酸亜鉛又はステアリン酸を併用するものがあり、所望により、促進剤又は加硫剤として、Permalux(ホウ酸ジカテコールのジ-オルト-トリルグアニジン塩)、HVA-2(m-フェニレンビスマレイミド), Zisnet(2,4,6-トリメルカプト-5トリアジン)、ZDEDC(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)及びその他のジチオカルバミン酸塩、Tetrone A(ジペンタ-メチレンチウラムヘキサスルフィド)、Vultac-5(アルキル化フェノールジスルフィド)、SP1045(フェノールホルムアルデヒド樹脂)、SP1056(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、DPPD(ジフェニルフェニレンジアミン)、サリチル酸(o-ヒドロキシ安息香酸)、ウッドロジン(アビエチン酸)、TMTDS(テトラメチルチウラムジスルフィド)と硫黄を併用するものうちの1種又は2種以上を含むことができる。
本発明の組成物は、他の公知の添加剤、例えば、染料、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、オイル、その他当該技術分野で知られた成分を含むことができる。
充填材、添加剤及び/又は硬化剤系の混合は、Bandburyミキサー、Brabenderミキサー又は好ましくはミキサー/押出機(extruder)のような適当な混合装置の中に所望成分と本発明のナノコンポジットを投入し、120℃〜300℃の温度範囲において、クレイがポリマーの中に均一に分散するように十分なせん断状態の下で混合することにより行われる。
組成物は、繊維、フィルムの他、自動車用部品、電化製品のハウジング、消費財、包装材などの産業部品を含む種々の形状物品に成形するために、押出成形、加圧成形、ブロー成形又は射出成形を適用することができる。結果としての物品は、高い衝撃強度と低い蒸気透過性を呈することができる。特に、ここに記載した組成物は、空気袋(bladders)等の空気バリア、自動車(トラック、商業車及び/又は客車)又は航空機のインナーライナー及びインナーチューブ用として有用である。
それゆえ、本発明は、次の実施態様を提供する。
A.エラストマーを含む加硫ゴム組成物であって、C〜Cイソオレフィン由来単位、パラアルキルスチレン由来単位、パラ−(ハロアルキルスチレン)由来単位、及び、前記式(I)に係るエラストマーEのペンダントとしてトリエチルアンモニウムアルキル基を有し、式(I)中、R及びRは同じであるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル、一次及び二次C〜Cアルキルハロゲン化物のうちの1種であるパラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位を含むエラストマーと、充填材と、キュアパッケージとを含んでいる。
B.実施態様Aの組成物において、エラストマーは、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)を含み、ベンジリックハロゲン基の一部はトリエチルアミン官能基を有している。
C.実施態様A又はBの組成物において、エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:100〜1:1である。
D.実施態様A乃至Cの何れかの組成物において、エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:20〜1:2である。
E.実施態様A乃至Dの何れかの組成物において、メチルスチレン基の1〜60モルパーセントは、ハロゲン化されるか、又はトリエチルアミン官能基を有している。
F.実施態様A乃至Eの何れかの組成物において、エラストマーは、0.1〜3モルパーセントのハロメチルスチレンと、0.05〜1モルパーセントのトリエチルアンモニウムメチルスチレンを含んでいる。
G.実施態様A乃至Fの何れかの組成物において、パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位は、エラストマーの中に重量率で0.01〜0.5%存在している。
H.実施態様A乃至Gの何れかの組成物において、充填材は、カーボンブラック、改質カーボンブラック、シリカ、析出シリカ、クレイ、ナノクレイ及びこれらの混合物の中から選択される。
I.実施態様A乃至Hの何れかの組成物において、充填材は、剥離されたナノクレイである。
J.実施態様A乃至Iの何れかの組成物において、エラストマーは、ムーニー粘度(ML 1+8, 125℃)が30〜120である。
K.C〜Cイソオレフィン由来単位、パラアルキルスチレン由来単位、パラ−(ハロアルキルスチレン)由来単位、及び、前記式(I)に係るエラストマーEのペンダントとしてトリエチルアンモニウムアルキル基を有し、式(I)中、R及びRは同じであるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル、一次及び二次C〜Cハロゲン化アルキルのうちの1種であるパラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位を含むエラストマーであって、該エラストマーは、ムーニー粘度(ML 1+8, 125℃)が30〜120である。
L.実施態様Kのエラストマーにおいて、エラストマーは、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)を含んでおり、ベンジリックハロゲン基は、トリエチルアミン官能化されている。
M.実施態様K又はLのエラストマーにおいて、エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:100〜1:1である。
N.実施態様K乃至Mの何れかのエラストマーにおいて、エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:20〜1:2である。
O.実施態様K乃至Nの何れかのエラストマーにおいて、メチルスチレン基の1〜60モルパーセントは、ハロゲン化されるか、又はトリエチルアミン官能化されている。
P.実施態様K乃至Oの何れかのエラストマーにおいて、エラストマーは、ハロメチルスチレンを0.1〜3モルパーセント及びトリエチルアンモニウムメチルスチレンを0.05〜1モルパーセント含んでいる。
Q.実施態様K乃至Pの何れかのエラストマーにおいて、パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位は、エラストマーの中に重量率で0.01〜0.5%存在している。
R.空気不透過層の中に、実施態様K乃至Qの何れかのエラストマーを含む物品。
S.実施態様A乃至Jの何れかの加硫ゴム組成物を含むタイヤインナーライナー。
T.エラストマー物品を調製する方法であって、(1)一部分がイオノマー化され、一部分がハロゲン化されたエラストマー、充填材及びキュアパッケージの混合物を溶融処理するステップ、(2)溶融処理された混合物をグリーン物品に成形するステップ、及び(3)成形された物品を硬化するステップを含んでおり、エラストマーは、C〜Cイソオレフィン由来単位、パラアルキルスチレン由来単位、パラ−(ハロアルキルスチレン)由来単位、及び、前記式(I)に係るエラストマーEのペンダントとしてトリエチルアミノアルキル基を有し、式(I)中、R及びRは同じであるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル、一次及び二次C〜Cアルキルハロゲン化物のうちの1種であるパラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位を含んでおり、ムーニー粘度(ML 1+8, 125℃)が30〜120である。
U.実施態様Tの方法において、エラストマーは、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)を含んでおり、ベンジリックハロゲン基の一部分は、トリエチルアミン官能化されている。
V.実施態様T又はUの方法において、エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:100〜1:1である。
W.実施態様T乃至Vの何れかの方法において、エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:20〜1:2である。
X.実施態様T乃至Wの何れかの方法において、メチルスチレン基の1〜60モルパーセントは、ハロゲン化されるか、又はトリエチルアミン官能化されている。
Y.実施態様T乃至Xの何れかの方法において、エラストマーは、メチルスチレンを0.5〜20重量%含んでいる。
Z.実施態様T乃至Yの何れかの方法において、エラストマーは、ハロメチルスチレンを0.1〜3モルパーセント、トリエチルアンモニウムメチルスチレンを0.05〜1モルパーセント含んでいる。
AA.実施態様T乃至Zの何れかの方法において、エラストマーは、マルチオレフィン由来単位、ハロゲン化マルチオレフィン由来単位又はそれらの組合せをさらに含んでいる。
BB.実施態様T乃至AAの何れかの方法において、溶融処理するステップにおける混合物は、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)ゴム、ポリ(イソプレン-co-ブタジエン)ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、臭素化ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、ハロゲン化イソプレン、ハロゲン化イソブチレンコポリマー、ポリクロロプレン、星型分岐したポリイソブチレンゴム、星型分岐した臭素化ブチルゴム、ポリ(イソブチレン-co-イソプレン)ゴム、ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)、ハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)及びそれらの混合物からなる群から選択される二次ゴムをさらに含んでいる。
CC.実施態様T乃至BBの何れかの方法において、パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位は、エラストマーの中に重量率で0.01〜0.5%存在している。
DD.実施態様T乃至CCの何れかの方法において、充填材は、カーボンブラック、改質カーボンブラック、シリカ、析出シリカ、クレイ、ナノクレイ及びこれらの混合物の中から選択される。
EE.実施態様T乃至DDの何れかの方法において、充填材はナノクレイを含んでいる。
FF.実施態様EEの方法において、ナノクレイは剥離される。
GG.実施態様FFの方法において、ナノクレイは、アンモニウムイオン、アルキルアミン、アルキルアンモニウムイオン(一次、二次、三次及び四次)、脂肪族、芳香族及びアリール脂肪族アミンのホスホニウム又はスルホニウム誘導体、ホスフィン、硫化物並びにこれらの混合物からなる群から選択される剥離剤で剥離される。
HH.実施態様EE乃至GGの何れかの方法において、ナノクレイ1-100 phrを含んでいる。
II.実施態様T乃至HHの何れかの方法において、硬化剤は、亜鉛、ステアリン酸亜鉛、脂肪酸、硫黄又はそれらの混合物を含んでいる。
JJ.実施態様T乃至IIの何れかの方法において、物品は、インナーチューブを含んでいる。
KK.実施態様T乃至JJの何れかの方法において、物品は、タイヤを含んでおり、グリーン物品は、エラストマー混合物から成形されたタイヤインナーライナーを含んでいる。
LL.実施態様T乃至KKの何れかの方法において、溶融処理するステップで混合物の粘度を制御するために、パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)の全体量を調節するステップを含んでいる。
限定するものでない以下の実施例は、本発明の例示として示すものである。
<実験例1(比較例:100-TEA-BIMS)>
商標名EXXPROの臭素化イソブチレン-パラ-メチルスチレンコポリマー(BIMS)(MDX 03-1 : 10重量%のパラ-メチルスチレン(PMS)、0.85モル%のBrPMS、ムーニー31.5)50グラムを、1-L反応器内のトルエン500 mL中で溶解させた。トリエチルアミン(TEA)(4.38g)を、150mLのイソプロピルアルコール中で溶解し、反応器に加えた。反応混合物を85-86℃に加熱し、6時間還流した。1000mLのイソプロピルアルコールをポリマーセメントに加えると、生成物が析出した。80℃の真空オーブン中で16時間乾燥させた後、析出物についてH−NMR分析を行なった。分析結果では、得られた官能ポリマー中におけるベンジリックブロミドのアンモニウム官能性への変換は100%乃至略100%であった(100-TEA-BIMS)。
<実験例2(36-TEA-BIMS)>
商標名EXXPROのBIMSポリマー(MDX 03-1 : 10重量%のパラ-メチルスチレン(PMS)、0.85モル%のBrPMS、ムーニー31.5)100グラムを、2-L反応器内のトルエン750mL中で溶解させた。TEA(1.46g)を、150mLのイソプロピルアルコール中で溶解し、反応器に加えた。反応混合物を85-86℃に加熱し、6時間還流した。1000mLのイソプロピルアルコールをポリマーセメントに加えて、生成物を析出させた。80℃の真空オーブン中で16時間乾燥させた後、析出物についてH−NMR分析を行なった。分析結果では、得られた官能ポリマー中におけるベンジリックブロミドのアンモニウムへの変換は36.5%であった(36-TEA-BIMS)。
<実験例3(21-TEA-BIMS)>
商標名EXXPROのBIMSポリマー(MDX 03-1 : 10重量%のパラ-メチルスチレン(PMS)、0.85モル%のBrPMS、ムーニー31.5)100グラムを、2-L反応器内のトルエン750mL中で溶解させた。TEA(0.73g)を、150mLのイソプロピルアルコール中で溶解し、反応器に加えた。反応混合物を85-86℃に加熱し、6時間還流した。1000mLのイソプロピルアルコールをポリマーセメントに加えて、生成物を析出させた。80℃の真空オーブン中で16時間乾燥させた後、析出物についてH−NMR分析を行なった。分析結果では、得られた官能ポリマー中におけるベンジリックブロミドのアンモニウムへの変換は21.2%であった(21-TEA-BIMS)。
<実験例4(9-TEA-BIMS)>
商標名EXXPROのBIMSポリマー(MDX 03-1 : 10重量%のパラ-メチルスチレン(PMS)、0.85モル%のBrPMS、ムーニー31.5)100グラムを、2-L反応器内のトルエン750mL中で溶解させた。TEA(0.37g)を、150mLのイソプロピルアルコール中で溶解し、反応器に加えた。反応混合物を85-86℃に加熱し、6時間還流した。1000mLのイソプロピルアルコールをポリマーセメントに加えて、生成物を析出させた。80℃の真空オーブン中で16時間乾燥させた後、析出物についてH−NMR分析を行なった。分析結果では、得られた官能ポリマー中におけるベンジリックブロミドのアンモニウムへの変換は9.4%であった(9-TEA-BIMS)。
<実験例5(6-TEA-BIMS)>
商標名EXXPROのBIMSポリマー(MDX 03-1 : 10重量%のパラ-メチルスチレン(PMS)、0.85モル%のBrPMS、ムーニー31.5)100グラムを、2-L反応器内のトルエン750mL中で溶解させた。トリエチルアミン(0.18g)を、150mLのイソプロピルアルコール中で溶解し、反応器に加えた。反応混合物を85-86℃に加熱し、6時間還流した。1000mLのイソプロピルアルコールをポリマーセメントに加えて、生成物を析出させた。80℃の真空オーブン中で16時間乾燥させた後、析出物についてH−NMR分析を行なった。分析結果では、得られた官能ポリマー中におけるベンジリックブロミドのアンモニウムへの変換は5.9%であった(6-TEA-BIMS)。
<実験例6:ムーニー粘度測定>
実験例1〜5の官能ポリマーについて、ASTM1646法により、ムーニー粘度(ML 1+8, 125℃)を測定した。試験結果は表1に示されている。
Figure 0005824489
上記の実験結果は図1に集計されており、図1を参照すると、TEAの官能化度(BrPMS変換)とムーニー粘度との間に略直線的関係にあることが示しており、これは、標的とする有効分子量を得るための配合目的に用いられることができる。また、図1では、ジメチルエタノールアミン(TEAのエチル基のうちの2つがメチル基で置換されている)で官能化されたBIMSの場合、官能性レベルの上昇によるムーニー粘度の増加は急激すぎるので、ポリマーの加工性を制御することが困難である。
<実験例7:MOCON透過性の測定>
官能性TEA-BIMSポリマーを、以下の割合にて、カーボンブラック及び硬化剤と混合した。
Figure 0005824489
TEA-BIMSポリマーを、温度130-145℃のBRABENDERミキサーの中に投入し、カーボンブラック(N660)と7分間混合した。混合物は、硬化剤パッケージ(ステアリン酸、Kadox 911、MBTS)と、40℃及び40rpmにて3分間さらに混合した。得られたゴム配合物をミリングし、圧縮成形し、170℃で硬化させた。全ての試料は、圧縮成形では徐冷して無欠陥パッドを得た。ゴム試料に対して圧縮及びキュアリングプレスを用いた。圧縮成形パッドの典型的厚さは約0.38mm(15 mil)であった。透過性試験を行なうために、アーバープレスを用いて、直径5cm(2インチ)の円板を成形パッドから打ち抜いた。これらの円板は、測定前に、60℃の真空オーブン中でコンディショニングを行なった。酸素透過性測定試験は、MOCON OX-TRAN 2/61透過率測定装置を使用して実施した。試験温度は40℃で行ない、円板の一方の面に0.07 MPa(g)(10 psig)の窒素、他方の面に0.07 MPa(g)(10 psig)の酸素が送られる。酸素が円板を通過するのに要する時間、又は窒素側の酸素濃度が一定値に達するのに要する時間を記録し、それを用いて酸素透過性を決定する。2種類の試料を同じ手順で調製し、各試料に対する透過速度の結果を表3に示している。
Figure 0005824489
これらの結果では、カーボンブラック等の充填材を配合したTEA-BIMSエラストマーの酸素透過性は、官能性試験でBrPMS変換が6-36%のTEAと比べて低いことを示している。酸素透過性は、TEAの官能化度に実質的な依存があるとは考えられない。
<実験例8:インターライナー配合物中の19-TEA-BIMS>
商標名EXXPROのBIMSポリマー(10重量%のPMS、0.85モル%のBrPMS、ムーニー31.5)150グラムを、2-L反応器内のトルエン1200 mL中で溶解させた。TEA(1.31g)を、200mLのイソプロピルアルコール中で溶解し、反応器に加えた。反応混合物を85-86℃に加熱し、6時間還流した。1000mLのイソプロピルアルコールをポリマーセメントに加えて、生成物を析出させた。80℃の真空オーブン中で16時間乾燥させた後、析出物についてH−NMR分析を行なった。分析結果では、得られた官能ポリマー中におけるベンジリックブロミドのアンモニウム官能性への変換は18.8%であった(19-TEA-BIMS)。
19-TEA-BIMSエラストマーと改質されていないBIMSエラストマーにカーボンブラックを配合し、有機クレイは表4の配合表に基づいて配合したものと配合していないものとがある。
Figure 0005824489
BIMS又はTEA-BIMSポリマーをBANBURYミキサーの中に投入し、ローターの回転速度を40 RPMとし、温度60℃にて30分間、予め素練り(premasticated)を行なった。次にローターの回転速度を60 RPMに上げて、カーボンブラック(N772)と有機クレイ(CLOISITE 20A)を加えた。100℃にて、粘着剤とステアリン酸を加えて、温度が145℃に達するまで混合を続けた。混合物をクールミルの中に入れ、ここで硬化剤を添加した。透過性試験用の試料は、次に、厚さ1.0 mmまでカレンダー加工を行ない、次に150℃で硬化させた。酸素透過速度(透過性)の測定は、前述したMOCON 2/61透過率測定装置を使用し、40℃で実施した。試料は、伸び率10%、100%及び破断点伸びで評価した。結果を表5に示している。
伸び率の測定は、ASTM D412に準拠して行ない、ASTM C試験片について、温度23℃での10%伸びと100%伸びを測定した。これらの測定は、真の割線モジュラス(true secant moduli)であり、所定伸びにおける試験片の実際の横断面積に基づいて算出されている。
伸び特性の測定は、ASTM D412に準拠して行ない、ASTM C試験片について、温度23℃での破断点伸び(%)を測定した。
Figure 0005824489
表5に示されるように、インナーライナー配合物(formulation)では、TEA官能基を有する19-TEA-BIMSは、改質されていないBIMSと比べて、有機クレイなしの配合物では、透過性は13.6%向上(減少)した。また、19-TEA-BIMSに有機クレイCLOISITE 20Aを用いた場合、ナノコンポジットはさらなる透過性の減少を示した。 驚いたことに、未硬化での加工性及び硬化後の物理的特性は、タイヤインナーライナーに適したものであった。
ナノコンポジットはまた、CuのX線管及びゲルマニウム検出器を具えたScintag XDS2000θ-θ回折システムを用いて室温にてX線回折試験を行なった。放射は、Cu Kalpha-1(1.54056オングストローム)であり、Cu-K放射は40mA、50kVで発生させたものである。回折スペクトルは、2θの範囲が2°〜10°、段階幅が0.02°、各角度位置での計数時間が3秒にて得たものである。
図2は、BIMS/CLOISITE 2OAナノコンポジットと、19-TEA-B1MSナノコンポジットとのX線回折スペクトルの比較を示している。一般に、ピーク強度の減少は、クレイ粒子の配向がよりランダムあるいはより分散していることを示している。19-TEA-BIMSナノコンポジットは、面間隔の増加、すなわちクレイシート間の間隔が増加した。これは、TEA-BlMSナノコンポジットにおけるインターカレーション及び/又は剥離の度合いが高くなることを示す。
同様に、図3は、19-TEA-BIMSナノコンポジットの透過電子顕微鏡(TEM)像であり、図4は、BIMSナノコンポジットの透過電子顕微鏡像である。19-TEA-BIMSナノコンポジットのTEM像(図3)は、クレイ剥離度の高さを示しており、BIMSナノコンポジットのTEM像(図4)は、分離しなかったシートの紡錘体(tactoids)の大きさを示している。
本発明の最終ナノコンポジットの実施例は、空気バリアとして有用であり、例えば、自動車用インナーライナーを製造するのに用いられる。特に、ナノコンポジットは、トラックタイヤ、バスタイヤ、乗用車タイヤ、オートバイタイヤ等の物品用インナーライナー及びインナーチューブに有用である。
本発明について、具体的実施例を参照して説明したが、当該分野の専門家であれば、本発明が、ここには例示されていない多くの異なる変形にも適していることは認識できるであろう。このような理由により、本発明の範囲は、添付する特許請求の範囲によってのみ定められるべきものである。
ここに記載した全ての先行技術文献について、引用を以て記載加入が認められる場合には、前掲の文献は全て引用を以て本願に記載加入されるものとする。また、ここに記載した試験方法を含む全ての文献についても、引用を以て記載加入が認められる場合には、前記文献は全て引用を以て本願に記載加入されるものとする。

Claims (6)

  1. 〜Cイソオレフィン由来単位、パラアルキルスチレン由来単位、パラ−(ハロアルキルスチレン)由来単位、及び、パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位を含んでおり、前記パラ−(トリエチルアンモニウムアルキルスチレン)由来単位は、次の式:
    Figure 0005824489
    (式中、R及びRは、同じであるか又は異なり、水素、C〜Cアルキル、一次及び二次C〜Cハロゲン化アルキルのうちの1種である)に係るエラストマーEのペンダントとしてトリエチルアンモニウムアルキル基を有し、ムーニー粘度(ML 1+8, 125℃)が30〜120であり、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:100〜1:1である、エラストマー。
  2. エラストマーは、トリエチルアミン官能基とベンジリックハロゲンのモル比が1:20〜1:2である請求項1のエラストマー。
  3. エラストマーは、ベンジリックハロゲンの一部がトリエチルアミン官能化されているハロゲン化ポリ(イソブチレン-co-p-メチルスチレン)を含んでいる請求項1又は2のエラストマー。
  4. メチルスチレン基の1〜60モルパーセントは、ハロゲン化されるか、又はトリエチルアミン官能化されている請求項3のエラストマー。
  5. エラストマーは、0.1〜3モルパーセントのハロメチルスチレンと、0.05〜1モルパーセントのトリエチルアンモニウムメチルスチレンを含んでいる請求項3のエラストマー
  6. 請求項1乃至の何れかのエラストマーを含んでなる物品であって、物品の空気不透過層の中に前記エラストマーを含んでいる、物品。
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