以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機1を例に挙げて本発明の実施の最良の形態を図面に基づき説明する。図1はパチンコ遊技機1の遊技盤2の正面図、図2はパチンコ遊技機1の遊技盤2の斜視図である。図3、図4は遊技盤2をそれぞれ前方および後方から見たときの分解斜視図である。なお、図3、図4では、表示装置および入賞口やガイドレール等の遊技基板5の前面に取り付けられる部材を省略している。
パチンコ遊技機1の遊技盤2は、その前面に遊技領域3が区画形成されており、該遊技領域3の一部を構成し、遊技盤2の前面に開口部7を形成する枠体構造のセンターケース4と、該センターケース4が前面側に取り付けられ、遊技盤2のベースとなる遊技基板5と、該遊技基板5の後面(裏面)側に取り付けられた制御ベース6と、該制御ベース6の後方に取り付けられ、センターケース4の開口部7から表示部9を露出して演出表示を行う表示装置8と、遊技盤2を装飾する装飾部材と、を備えて概略構成されている。詳しく説明すると、遊技基板5の前面は、図1に示すように、表面の左側に金属帯板からなる略C字状の第1ガイドレール10を止着し、該第1ガイドレール10の内側に打球通路11となる所定の間隔を空けて円弧状の第2ガイドレール12を止着している。また、遊技基板5の上側には横長な上側サイドケース13を備え、該上側サイドケース13の下部に第1ガイドレール10の上端部分と連続する円弧面を形成している。遊技基板5の右側には縦長な右側サイドケース14を備え、該右側サイドケース14の左側の上部に上側サイドケース13の円弧面に連続する円弧面を形成している。このように第1ガイドレール10、第2ガイドレール12、上側サイドケース13の円弧面、および右側サイドケース14の円弧面で略円形に区画形成された領域が、遊技盤2の遊技領域3を形成している。本実施形態では、遊技基板5(遊技領域3)の中央部にセンターケース取付穴15(図3、図4参照)を板厚方向に貫通した状態で開口しており、このセンターケース取付穴15に前方からセンターケース4を嵌めこんで取り付けている。そして、遊技領域3の内側においてセンターケース4の周囲には、流下する遊技球を案内すると共に遊技球の流下勢を調整するための障害釘22が遊技基板5の前面に複数植設されており、この領域が遊技球の流下が可能な流下領域16の大部分を構成している。
また、図1に示すように、右側の流下領域16において、打球通路11の先端と対向する側部に、右側サイドケース14の一部をセンターケース4側へ突出させた段状部17を形成しており、この段状部17の一部には、段状部17の表面の一部(上側サイドケース13の円弧面に沿って進行してきた遊技球が衝突する箇所)を構成する緩衝部材18を配設している。この緩衝部材18は、右側の流下領域16に向かって勢いよく進行した遊技球が衝突して流下方向を変換するように、耐衝撃性のある樹脂等により形成されている。また、後述するセンターケース4の鎧部材19は、右側サイドケース14と一定の間隔を開けて配置されており、前記した右側サイドケース14の段状部17に合わせて一部を開口部7側に凹ませた鎧段部20が形成されている。これにより、右側サイドケース14と鎧部材19の間に、遊技球が通過可能な球流下通路21が形成される。さらに、緩衝部材18に対向する鎧部材19の側面には、列状に植設された複数の障害釘22からなる障害釘列23が備えられている。
また、遊技基板5の表面には、例えば、絵や文字等の模様を印刷したセルシート(表面処理層)24が貼着されている(図5参照)。さらに、センターケース4の下方には、変動表示ゲーム始動用の第1始動入賞口25を有する第1始動入賞口装飾部材26(本発明の第2の装飾部材の1つに相当。後述)が、該第1始動入賞口装飾部材26の下方には、遊技の進行に応じて遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な大入賞口(特別変動入賞装置)27が、該大入賞口27の下方であって遊技領域3の下縁部には、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口28がそれぞれ設けられている。また、第1始動入賞口25の左側(第2ガイドレール12側)の側方には、該第2ガイドレール12の側面に沿って遊技球が入賞可能な一般入賞口32が円弧状に3つ並べて設けられており、第1始動入賞口25の右側(第2ガイドレール12とは反対側)の側方には、第2始動入賞口30が設けられている。さらに、第2始動入賞口30の上方(センターケース4の右側方)には、普通図柄始動ゲート31が設けられており、第2始動入賞口30の下方には、特図表示器120及び普図表示器121(図16参照)を一体化した図柄表示ユニット29が設けられている。そして、これら第1始動入賞口25、第2始動入賞口30および普通図柄始動ゲート31に遊技球が入賞することで、パチンコ遊技機1の遊技が進行する。具体的には、遊技球が普通図柄始動ゲート31へ入賞(通過)すると、図柄表示ユニット29が普図変動表示ゲームを表示し、該普図変動表示ゲームの結果態様が「当たり」を示す状態になった場合には第2始動入賞口30の普通変動入賞装置33が開いて、遊技球が第2始動入賞口30へ入賞し易い状態に変換する。また、遊技球が第1始動入賞口25または第2始動入賞口30へ入賞すると、図柄表示ユニット29が特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲームまたは第2特図変動表示ゲーム)を行って表示を変動させる。なお、一般入賞口32への遊技球の入賞は、一般入賞口32に備えられた入賞口SW(スイッチ)32A〜32N(図16参照)によって検出され、普通図柄始動ゲート31への遊技球の通過は、普図始動SW(スイッチ)31A(図16参照)によって検出される。また、第1始動入賞口25および第2始動入賞口30への遊技球の入賞は特図始動SW(スイッチ)25A、30A(図16参照)によって検出され、大入賞口27への遊技球の入賞は、大入賞口27に備えられたカウントSW(スイッチ)27A(図16参照)によって検出される。さらに、普通変動入賞装置33の開閉は、普電ソレノイド(普電SOL)95(図16参照)への通電によって行われ、大入賞口27の状態変換は、大入賞口ソレノイド(大入賞口SOL)96(図16参照)への通電によって行われる。
一方、遊技基板5の後面(裏面)には、後述する制御ベース6を取り付ける際に、該制御ベース6の取り付け位置の目安となる目安穴35を板厚方向に貫通させずに開口している(図4参照)。本実施形態では、制御ベース6の前面に設けられた目安凸部36(後述)と対応させて、遊技基板5を後方からみたときの左側上方および右側下方に2つ設けてある。なお、制御ベース6およびセンターケース4の取り付けについては、後で説明する。また、目安穴35は、ルーター等により遊技基板5に形成される。
次に、遊技基板5に取り付けられる第1始動入賞口装飾部材26について説明する。第1始動入賞口装飾部材26は、図5に示すように、遊技盤2を装飾する装飾部材の1つであり、下方に湾曲した三日月状の板部材である。この第1始動入賞口装飾部材26の前面は、遊技球が流下する流下領域16の一部を構成しており、その裏面には、装飾が施されている。また、第1始動入賞口装飾部材26の中央部には、遊技球が入賞する第1始動入賞口25、および、第1始動入賞口25の左右両脇において前方に向けて突出した流下方向変換部材37が、それぞれ備えられている。第1始動入賞口25は、上記したように遊技球が入賞する入賞口の1つであり、その内部には、球流路が遊技盤2の後方に向けて形成されている。この球流路により、入賞した遊技球を遊技盤2の後方側に送っている。流下方向変換部材37は、大入賞口27の中央部の上方から遊技球が入賞することを防ぐ部材であり、大入賞口27の中央部の上方に向けて流下してきた遊技球を衝突させて、その流下方向を変えさせている。ここで、流下方向を変えた遊技球は、大入賞口27の端部から大入賞口27に入賞するか、あるいは、大入賞口27から外れ、アウト口28から回収される。すなわち、流下方向変換部材37によって、大入賞口27に入賞する入賞率を調節することができる。さらに、第1始動入賞口装飾部材26の下側の円弧の縁には、第1始動入賞口装飾部材26を区画して形成した第1始動入賞口線状装飾体38が備えられている。そして、第1始動入賞口装飾部材26は、流下方向変換部材37、および第1始動入賞口線状装飾体38と共に、透明(もしくは半透明)な樹脂部材により一体成型されている。このため、前方から第1始動入賞口装飾部材26の後方に施された装飾部材を視認することができるほか、後方に備えたLED等の発光源(図16における発光装置92a)からの光を透過させることができる。また、第1始動入賞口線状装飾体38も透明(もしくは半透明)な樹脂部材により形成されているため、裏面側の装飾を視認することができる。本実施形態では、第1始動入賞口線状装飾体38の裏面側に遊技基板5のセルシート24を配置し、その部分に金属光沢のある金属光沢部24aを形成している(図5参照)。これにより、第1始動入賞口線状装飾体38の前方から金属光沢のある装飾を視認することができる。
次にセンターケース4について説明する。センターケース4は、遊技盤2の前面に開口部7を形成する枠体状の部材であり、このセンターケース4の前面には、開口部7の上縁を左右に亘って延在したケース装飾部材39(本発明の第1の装飾部材に相当。)と、該ケース装飾部材39の上方からセンターケース4の右側方に亘ってセンターケース4の内側へ遊技球が流入することを防止する鎧部材19と、該鎧部材19の内側(開口部7側)を装飾する鎧装飾部材40と、ケース装飾部材39の上側の縁に沿って設けられた上方装飾部材41(本発明の第2の装飾部材の1つに相当)と、開口部7の右側の縁に設けられた文字装飾部材42と、開口部7の下縁を構成し、図示しないワープ口から流入した遊技球を前後方向あるいは左右方向へ転動させる転動面(ステージ)43と、転動面43の下方を装飾するステージ下部装飾部材44(本発明の第2の装飾部材の1つに相当)とが備えられている。開口部7には、ゲームの進行に対応して複数の識別情報を変動表示する表示装置8を後方から臨ませており、開口部7の表面には、転動面43に進入した遊技球が表示装置8側に進入しないようにクリアケースを設けている。また、転動面43上には、中央部に開口した球流入口45と、その左右両脇において溝状に凹んだ球案内部46とが設けられている(図2参照)。球流入口45は、ステージ下部装飾部材44に開口した球流出口47と内部の球流路を介して連通しており、転動面43から球流入口45に流入した遊技球を球流出口47へ導くことができる。球案内部46は、底面をその左右方向の中央部分が下方に凹んだ湾曲面で形成し、この湾曲面を前方へ向けて下り傾斜させて、遊技球が球案内部46を左右に揺動しながら前方に転動するように構成されている。
ケース装飾部材39は、遊技盤2を装飾する装飾部材の1つであり、上方の鎧部材19とともにセンターケース4の内側へ遊技球が流入することを防止できるように、前方に隆起して形成されている。このケース装飾部材39は、前面側に装飾を施した透明(もしくは半透明)な樹脂部材により形成され、後方に備えたLED等の発光源(図16における発光装置92b)からの光を透過可能に形成されている。また、ケース装飾部材39における内側(表示部9側)の縁および鎧装飾部材40に面する側の縁には、ケース装飾部材39の外形に沿ったケース線状装飾体49が区画形成されている。そして、このケース線状装飾体49の表面には、金属メッキ加工による金属層が形成されている。
鎧部材19は、ケース装飾部材39の上方から右側方に亘って前方に突設した庇状の部材であり、上側サイドケース13および右側サイドケース14の円弧面に沿って略円弧状に形成されている。また、前述したように、鎧部材19の一部には、右側サイドケース14の段に合わせて開口部7側に凹ませた鎧段部20が形成されている。この鎧段部20に右側の流下領域16を流下してきた遊技球が衝突し、流下方向を変換している。そして、鎧部材19の上方から右側方に亘って、鎧部材19の内側(開口部7側)には、鎧装飾部材40が備えられている。
鎧装飾部材40は、鎧部材19の内側を装飾する部材であり、上部の鎧部材19の内側に位置する横長な上部鎧装飾部材50と、鎧段部20から右端部に亘った鎧部材19の内側に位置する縦長な側部鎧装飾部材51と、により構成されている。すなわち、上部鎧装飾部材50は、上部の鎧部材19とケース装飾部材39との間に挟まれて形成され、側部鎧装飾部材51は、右側部の鎧部材19とケース装飾部材39と後述する文字装飾部の間に挟まれて形成されている。
上方装飾部材41は、ケース装飾部材39側の上辺がケース装飾部材39の上辺と揃えられると共に、下辺がケース装飾部材39の左上側の外縁に沿って形成された板状の部材である。本実施形態の上方装飾部材41は、透明(もしくは半透明)な樹脂部材により形成され、その後面には装飾が施されている。このため、前方からその装飾を視認することができる。また、上方装飾部材41の後方にはLED等の発光源(図16における発光装置92c)が備えられており、この発光源からの光を透過することができる。そして、上方装飾部材41の前面は、ケース装飾部材39の前面よりも後方に位置しており、遊技基板5の前面と前後方向における位置が略面一になるように揃えられている。すなわち、上方装飾部材41は遊技盤2を装飾する装飾部材の1つを構成するとともに、その前面が流下領域16の一部を区画している。さらに、上方装飾部材41の周囲(縁)のうち、上辺側(ケース装飾部材39とは反対側)の縁には、ケース線状装飾体49と同程度の幅に揃えられた上方線状装飾体52が備えられている。この上方線状装飾体52は、透明(もしくは半透明)な樹脂部材により一体成型されており、図6に示すように、その裏側の表面には、金属メッキ加工による金属層(表面処理層)53が形成されている。このため、金属層53による装飾を前方から視認可能になっている。
文字装飾部材42は、文字や記号等からなる連字(ロゴ)を表面に表した透明(もしくは半透明)な樹脂部材である。この文字装飾部材42は、後述する上部可動役物58がセンターケース4の開口部7の縁に格納された状態において、当該上部可動役物58の一部を前面側で覆うように構成しており、上部可動役物58からの光を透過可能に形成している。これにより、上部可動役物58を開口部7の縁に格納した状態において、発光させれば、文字装飾部材42が発光しているように見せることができる。
ステージ下部装飾部材44は、表面に装飾が施された透明(もしくは半透明)な樹脂部材であり、後方に備えたLED等の発光源(図16における発光装置92d)からの光を透過可能に形成している。また、ステージ下部装飾部材44の表面中央部には、球流出口47が開口しており、上記したように、球流入口45に流入した遊技球が球流路を流下して球流出口47から流出可能なように形成されている。そして、球流出口47から流出した遊技球、および転動面43の球案内部46から前方に転動した遊技球は、ステージ下部装飾部材44の前面を流下する。すなわち、ステージ下部装飾部材44は、遊技盤2を装飾する装飾部材の1つを構成するとともに、その前面が遊技球が流下可能な流下領域16の一部を構成している。なお、ステージ下部装飾部材44は、前方から見たときに下端幅が第1始動入賞口装飾部材26と同じ幅に、上端幅が後述する下部可動役物59の下端幅と同じ幅に揃えられている。本実施形態では、下端辺から上端辺に向けて僅かに先細った形状に形成されている。そして、ステージ下部装飾部材44の前面の左右両端縁には、ケース線状装飾体49(または、第1始動入賞口線状装飾体38、あるいは、後述する下部可動役物線状装飾体74)と同程度の幅に揃えられたステージ下部線状装飾体48が備えられている。このステージ下部線状装飾体48は、透明(もしくは半透明)な樹脂部材により一体成型されており、その裏側の表面には、金属メッキ加工による金属層(表面処理層)が形成されている。このため、金属層による装飾を前方から視認可能になっている。
一方、センターケース4の後面には、図4に示すように、制御ベース6の整合凹部54(後述)に係合する整合凸部55が設けられている。整合凸部55は、センターケース4の後面から後方に向けて突設された突起であり、本実施形態では、先細り形状に形成されている(図12(b)参照)。本実施形態では、図12(b)に示すように、整合凸部55の長さ(センターケース4の後面と整合凸部55の後端面との距離)は、目安凸部36の長さ(制御ベース6の前面と目安凸部36の前端面との距離)よりも長くなるように形成されている。さらに、本実施形態では、制御ベース6の前面に設けられた整合凹部54と対応させて、センターケース4を後方からみたときの上方左寄りの位置および下方右寄りの位置に2つ設けている。なお、整合凸部55の長さは、制御ベース6とセンターケース4を当接した際に、整合凹部54と係合できる程度の長さであればどのような長さでもよく、例えば、目安凸部36の長さ(制御ベース6の前面と目安凸部36の前端面との距離)と同じ程度の長さに形成することもできる(図12(c)参照)。また、制御ベース6とセンターケース4の取り付けについては、後で説明する。
次に、制御ベース6について説明する。制御ベース6は、図3、図4に示すように、表示開口部56を有する枠体構造に形成され、後面側に取り付けられる表示装置8の表示部9を、この表示開口部56に露出させている。すなわち、表示装置8の表示部9は、制御ベース6の表示開口部56およびセンターケース4の開口部7を介して露出している。また、本実施形態の制御ベース6は、透明な樹脂等により形成されている。さらに、制御ベース6の外周の前面には、遊技基板5の後面に当接してビス止めされる制御ベース取付部57が鍔状に形成されている。そして、制御ベース取付部57より後方において表示開口部56の縁には、前方から見て、右側に上部可動役物(第1可動役物の一種)58、下側に下部可動役物(第1可動役物の一種)59、左側に第1発光可動役物(第2可動役物の一種)60、上側に第2発光可動役物(第2可動役物の一種)61がそれぞれ備えられており、これらは駆動していない状態においてセンターケース4の開口部7の縁に格納されている。なお、上部可動役物58および下部可動役物59が、それぞれ所定の位置まで移動してお互いに連結する連結可動役物62である(図3、図7等参照)。また、表示開口部56の下側の縁(制御ベース6の下辺)には、ゲームの進行に関する情報を表示する小型の図柄表示部64を別個に備えている。本実施形態の図柄表示部64は、連結可動役物62、第1発光可動役物60および第2発光可動役物61の何れかが表示部内に移動した際に、それらと干渉しないように、下部可動役物59の左側における表示開口部56の縁に形成されている(図1等参照)。
また、制御ベース6の前面には、遊技基板5の目安穴35に臨ませる目安凸部36と、センターケース4の整合凸部55と係合する整合凹部54と、が設けられている。目安凸部36は、制御ベース6を遊技基板5に取り付ける際に、目安穴35との位置を合わせやすいように、制御ベース6の外周に形成されている。本実施形態の目安凸部36は、制御ベース取付部57に開口させた穴の円周状の縁を、前方に向けて突出されて形成している。また、その先端は、遊技基板5に対して制御ベース6を取り付けたときに、目安穴35の底部と当接しない程度の高さに形成されている。さらに、目安凸部36の径は、目安穴35の径よりも小さい径に形成されている。そして、本実施形態の目安凸部36は、遊技基板5の目安穴35に対応させて、制御ベース6の前方からみて左側下方および右側上方に2つ設けられている。整合凹部54は、目安穴35よりも内側(表示開口部56側)において、前面側が開口した穴である。この整合凹部54は、整合凸部55と係合可能なように、整合凸部55の形状に合わせて後方に向けて縮径させている。また、本実施形態では、センターケース4の整合凸部55に対応させて、制御ベース6を前方からみて上方右寄りの位置および下方左寄りの位置に2つ設けられている。
上部可動役物58は、中空箱体状の縦長な部材であり、その前面が装飾部材の1つを構成している。詳しく説明すると、上部可動役物58は、図8に示すように、LED等の発光源(図16における発光装置92e)を収納した箱体状の上部可動役物基礎部材65と、その前方を蓋することで上部可動役物58の前面を形成する上部可動役物装飾部材66と、それらの間であって、発光源の前方に配置された光拡散板67と、から構成されている。上部可動役物基礎部材65は、上部可動役物58の(上部可動役物58の後面)およびその周囲を囲繞した側壁を構成する部材である。光拡散板67は、発光源からの光を拡散させる部材であり、表面に光を拡散させる溝が形成された透明な樹脂部材である。上部可動役物装飾部材66は、前面に装飾を施した透明(もしくは半透明)な樹脂部材であり、光拡散板67を透過した拡散光を透過するように形成されている。そして、上部可動役物装飾部材66の左右両側には、細長い線状の上部可動役物線状装飾体68が備えられている(上部可動役物装飾部材66および上部可動役物線状装飾体68(すなわち、上部可動役物58の前面を構成する部材)が本発明の第3の装飾部材の上部に相当)。この上部可動役物線状装飾体68は、前面側の表面に金属メッキ加工による金属層53が形成され、その幅は、下部可動役物線状装飾体74およびケース線状装飾体49の幅と同程度の幅に揃えられている。本実施形態の上部可動役物線状装飾体68は、上部可動役物基礎部材65の左右に位置する側壁(底部から前方に向けて起立した起立壁)の前端において、庇状に形成されている。また、上部可動役物基礎部材65の上部には、モーター等の駆動源(図16における駆動源93a)からの動力をギヤ等を介して伝達することで揺動する揺動軸71が後面側に向けて延出しており、揺動軸71を制御ベース6の右辺の上端部に軸着している。これにより、駆動源を駆動すれば揺動軸71を中心に上部可動役物58を揺動させることができ、センターケース4の開口部7の右側の縁に待機した状態から表示装置8の表示部9の中央部を被覆する状態に変換することができる。なお、上部可動役物58は、センターケース4の開口部7の右側の縁に待機した状態において、該開口部7から一部が露出しており(図1参照)、表示部9の右側の縁の一部を構成している。また、上部可動役物基礎部材65の下側(下部可動役物59側)の面(下部可動役物59との連結面)には、下側方向に向けて先細りとなる形状の突起部69が設けられている。この突起部69は、後述する下部可動役物59の凹部70と嵌合できるように、下部可動役物59の凹部70に対応する位置に2つ設けられている。
下部可動役物59は、上部可動役物58と同様に、中空箱体状の縦長な部材であり、その前面が装飾部材の1つを構成している。詳しく説明すると、下部可動役物59は、LED等の発光源(図16における発光装置92f)を収納した箱体状の下部可動役物基礎部材72と、その前方を蓋することで下部可動役物59の前面を形成する下部可動役物装飾部材73と、それらの間であって、発光源の前方に配置された光拡散板と、から構成されている。下部可動役物基礎部材72は、下部可動役物59の底部(下部可動役物59の後面)およびその周囲を囲繞した側壁を構成する部材である。光拡散板は、発光源からの光を拡散させる部材であり、表面に光を拡散させる溝が形成された透明な樹脂部材である。下部可動役物装飾部材73は、前面に装飾を施した透明(もしくは半透明)な樹脂部材であり、光拡散板を透過した拡散光を透過するように形成されている。そして、下部可動役物装飾部材73の左右両側には、細長い線状の下部可動役物線状装飾体74が備えられている(下部可動役物装飾部材73および下部可動役物線状装飾体74(すなわち、下部可動役物59の前面を構成する部材)が本発明の第3の装飾部材の下部に相当)。この下部可動役物線状装飾体74は、前面側の表面に金属メッキ加工による金属層53が形成され、その幅は、上部可動役物線状装飾体68およびステージ下部線状装飾体48の幅と同程度の幅に揃えられている。本実施形態の下部可動役物線状装飾体74は、下部可動役物基礎部材72の左右に位置する側壁(底部から前方に向けて起立した起立壁)の前端において、庇状に形成されている。また、下部可動役物基礎部材72の底部には、モーター等の駆動源(図16における駆動源93b)からの動力をギヤ等を介して伝達するラックギヤ(図示せず)が、下部可動役物線状装飾体74(上下方向)に沿って配置されている。これにより、駆動源を駆動すれば下部可動役物59を上下に移動させることができ、センターケース4の開口部7の下側の縁に待機した状態から表示装置8の表示部9の中央下部を被覆する状態に変換することができる。また、下部可動役物基礎部材72の上側(上部可動役物58側)の面(連結面)には、突起部69と嵌合する凹部70が設けられている。凹部70は、突起部69の先細り形状に合わせて、断面V字溝状に開口している。このため、上部可動役物58および下部可動役物59が所定の位置まで移動する際に、突起部69の先端が凹部70に該凹部70の縁から滑り込んで嵌合し、両部材の連結面を合わせて連結することができる。
第1発光可動役物60は、図9に示すように、光による装飾を行うと共に所定のタイミングで揺動する、表面に装飾を施した役物であり、駆動していない状態においてセンターケース4の開口部7の左側の縁に格納されている。この第1発光可動役物60は、制御ベース6の左辺の上端部に軸着された間欠ギヤ75と、この間欠ギヤ75の歯の無い側に一端(図9(a)の上側)が接続された第1発光可動役物本体76と、から構成されている。間欠ギヤ75は、ギヤ等を介してモーター等の駆動源(図16における駆動源93c)と接続され、駆動源からの動力を伝達する。このため、駆動源を駆動すれば、第1発光可動役物60(第1発光可動役物本体76)をセンターケース4の開口部7の左側の縁から表示装置8の表示部9の中央に向けて揺動させることができる。第1発光可動役物本体76は、光を透過させない非透光性部材(着色した樹脂等)により前面一側(センターケース4の開口部7の左側の縁に格納された状態における左側の半分)を形成した非透光部77と、該非透光部77に隣接し、光が透過可能な透光性部材(透明または半透明な樹脂等)により前面他側(上記状態における右側の半分)を形成した透光部78と、透光部78および非透光部77の後方に位置し、LED79(図16における発光装置92g)が実装された電飾基板80と、電飾基板80と非透光部77との間に備えられた光を反射する反射部材81と、を備えている。LED79は、電飾基板80の前面において、反射部材81に対向する位置に実装されており、所定のタイミングで発光することができる。反射部材81は、LED79からの光を透光部78側に反射できるように、LED79に対向する部分を電飾基板80に対して斜めに形成されており、その表面には、金属または白色の樹脂等の光を反射する層が形成されている。電飾基板80は、反射部材81によって反射された光を反射しやすいように、前面側の表面のうち少なくとも透光部78に対向する箇所が、光を反射できるように形成されている。このような電飾基板80は、例えば、前面側の表面を金属光沢を有する塗料や白色の塗料により塗装したりすることで形成できる。透光部78は、非透光部77との境界を仕切る隔壁部78aと、非透光部77とは反対側に下り傾斜させながら湾曲させた、透光部78の前面を形成する前面湾曲部78bと、から構成され、それらの内面に複数の細かな溝82を形成している。この溝82によって、前面湾曲部78bおよび隔壁部78aを透過する光を拡散することができる。なお、反射部材81および電飾基板80の表面には、光を拡散反射しやすいように、粒径の大きい顔料等を塗布することもできる。また、反射部材81自体を、金属または白色の樹脂等で形成してもよく、さらに、電飾基板80自体を白色な樹脂等で形成してもよい。
このように、第1発光可動役物本体76を構成したので、LED79からの光を反射部材81によって透光部78側に反射でき、該反射された光を電飾基板80の前面によって反射できる。このため、LED79の光を透光部78の外部から間接的に視認することができる。そして、この反射された光は、前面湾曲部78b(透光部78)を透過する際に拡散され、その光を前面湾曲部78b(透光部78)の外方から視認することができる(図9(c)における実線矢印)。なお、透光部78の外方から視認可能な光には、前記した反射光(間接光)のみに限らず、反射せずに隔壁部78aおよび前面湾曲部78bを透過するLED79の直接光もわずかに含まれる(図9(c)における破線矢印)。この直接光は、隔壁部78aおよび前面湾曲部78bを透過する際に、これらに形成された溝82により2度拡散されることになる。なお、隔壁部78aおよび前面湾曲部78bに形成された溝82は、内面のみに限らず、外面、あるいは、内面と外面の両方に形成しても良い。
第2発光可動役物61は、LED(図16における発光装置92h)による光装飾を行うと共に揺動可能な第1発光可動役物60と同様の役物であるが、間欠ギヤ(図示せず)の径(歯数)、および表面の装飾形状を変えている点において、第1発光可動役物60と異なる。詳しく説明すると、第2発光可動役物61は、第1発光可動役物60に比べて間欠ギヤの径を大きく(歯数を多く)なるように形成して、モーター等の駆動源(図16における駆動源93d)にギヤ等を介して接続されているため、第1発光可動役物60に比べて減速比が低く設定されている。このため、駆動していない状態において、遊技盤2の振動等により第2発光可動役物61が下方に揺動することを抑制できる。また、第2発光可動役物61は、制御ベース6の上辺の右端部に間欠ギヤが軸着され、駆動していない状態において、上側に非透光部77′および下側に透光部78′を向けた状態でセンターケース4の開口部7の上側の縁に格納されている。なお、その他の構成については、第1発光可動役物60と装飾が異なるものの、技術的特徴については第1発光可動役物60と同じであるため、説明を省略する。
次に、上記した連結可動役物62(上部可動役物58および下部可動役物59)、第1発光可動役物60および第2発光可動役物61の駆動について説明する。これらの各可動役物は、リーチの変動パターン(遊技の進行)等に応じた遊技制御装置100から入力される信号に基づいて駆動される。なお、遊技においては、連結可動役物62と、第1発光可動役物60および第2発光可動役物61と、が同時に駆動されることがなく、表示装置8の表示部9の前面に、それぞれ別個に出現する。
まず、連結可動役物62の駆動について説明する。連結可動役物62は、遊技制御装置100(図16参照)から信号が入力されていない場合においてセンターケース4の開口部7の縁に格納されている(第1の状態)。その後、リーチの変動パターンに応じて、遊技制御装置100から演出制御装置150(図16参照)に連結可動役物62の制御信号が入力されると、まず上部可動役物58の駆動源を駆動させると共に、上部可動役物58の発光源を発光させる。これにより、上部可動役物58は、揺動軸71を中心に表示部9の中央部に向けて揺動する。そして、上部可動役物58の下端部が表示部9の中央部まで移動すると、駆動源の駆動を停止させて、上部可動役物58を静止させる。その後、下部可動役物59の駆動源を駆動させると共に、上部可動役物58の発光源を発光させる。これにより、下部可動役物59は、センターケース4の開口部7の下側の縁から上方(上部可動役物58側)に向けて移動し、上部可動役物58の突起部69に下部可動役物59の凹部70を嵌合させると共に、上部可動役物58の下端部に下部可動役物59の上端部を当接させる。このとき、例えば、駆動誤差や製造誤差等により上部可動役物58の突起部69と下部可動役物59の凹部70との位置がずれていた場合、凹部70の縁が突起部69の先細りの傾斜面に当接して押し上げることで(図7(d)における白矢印)、水平方向(下部可動役物59の移動方向に垂直な方向)に力を加えることができ(図7(d)における黒矢印)、これにより上部可動役物58を所定の位置まで移動させ、上部可動役物58と下部可動役物59をずれなく連結することができる。
そして、上部可動役物58および下部可動役物59が連結して開口部7の内側で表示部9の前面の一部を被覆する状態(第2の状態)に変換されると、各駆動源を停止し、所定の期間にわたってこの状態を維持する。このとき、上方装飾部材41、ケース装飾部材39、上部可動役物58の前面、下部可動役物59の前面、ステージ下部装飾部材44、および第1始動入賞口装飾部材26が連結して、1つの集合装飾体が形成される。本実施形態では、アラビア数字の「7」を表した装飾体を遊技盤2の前面に形成することができる(図10参照)。詳しく説明すると、上方装飾部材41、ケース装飾部材39が連結して、装飾体「7」の上横線を形成すると共に、上部可動役物58の前面、下部可動役物59の前面、ステージ下部装飾部材44、および第1始動入賞口装飾部材26が連結して、装飾体「7」の縦線を形成する。このとき、上方線状装飾体52、ケース線状装飾体49、上部可動役物線状装飾体68、下部可動役物線状装飾体74、ステージ下部線状装飾体48、および第1始動入賞口線状装飾体38が、一連となって装飾体「7」の輪郭を表し、より一体感を増すことができる。特に、本実施形態では、装飾体「7」の輪郭を表す各線状装飾体を前方から見て金属光沢を有するように、統一させているため、より一体感を増すことができる。また、上方装飾部材41、ケース装飾部材39、上部可動役物装飾部材66、下部可動役物装飾部材73、ステージ下部装飾部材44、および第1始動入賞口装飾部材26を一斉に発光(集合装飾)させることで、さらに一体感を増すことができる。なお、第1の状態においては、各部材を遊技の進行に応じて別個に発光させることもできる。また、第1の状態において、上部可動役物58は、文字装飾部材42の後面側に位置しており、この状態で発光することによって文字装飾部材42が発光しているように見せることができる。なお、ケース装飾部材39が本発明の第1の装飾部材に相当し、上方装飾部材41、ステージ下部装飾部材44、および第1始動入賞口装飾部材26が本発明の第2の装飾部材に相当し、上部可動役物58および下部可動役物59の前面を構成する部材(上部可動役物装飾部材66、上部可動役物線状装飾体68、下部可動役物装飾部材73および下部可動役物線状装飾体74)が本発明の第1可動役物に設けられた第3の装飾部材に相当する。
次に、第1発光可動役物60および第2発光可動役物61の駆動について説明する。各発光可動役物は、遊技制御装置100から信号が入力されていない場合においてセンターケース4の開口部7の縁の裏側に格納され、遊技者側から見えないように隠されている。その後、連結可動役物62の駆動させる場合と異なるリーチの変動パターンに応じて、遊技制御装置100から演出制御装置150に各発光可動役物の制御信号が入力されると、それぞれの駆動源を駆動させる。これにより、第1発光可動役物60は、表示部9の左上隅を軸として下端を中央部に向けて揺動され、第2発光可動役物61は、表示部9の右上隅を軸として下端を中央部に向けて揺動されると共に、遊技者から見える位置に出現する。その後、各発光可動役物が所定の位置まで移動すると、駆動源の駆動を停止させて、各発光可動役物を静止させる。本実施形態では、各発光可動役物を表示部9の対角線上に移動させ、第2発光可動役物61が第1発光可動役物60の前方において交差した状態で静止させている(図11参照)。このとき、各発光可動役物は、LED79を発光させて透光部78、78′(図9において、第1発光可動役物60の上側、および第2発光可動役物61の下側)を光らせて個別装飾を実行している。なお、第1発光可動役物60の表面および第2発光可動役物61の表面にそれぞれ施された装飾が本発明の第2可動役物に設けられた第3の装飾部材に相当する。
次に、上記のような遊技盤2の製造工程について説明する。まず、遊技基板5の所定の位置に障害釘22を複数植設し、この遊技基板5のセンターケース取付穴15に、前方からセンターケース4を嵌め込んで位置決めする。この状態で、ビス等を用いてセンターケース4と遊技基板5を強固に固定する。その後、第1ガイドレール10、第2ガイドレール12、上側サイドケース13、右側サイドケース14、第1始動入賞口装飾部材26、大入賞口27、アウト口28、一般入賞口32、第2始動入賞口30のほか、遊技基板5上に設置される部材を所定の位置にビス等で位置決め固定する。次に、目視により、遊技基板5の目安穴35と制御ベース6の目安凸部36の位置を確認しながら、制御ベース6を遊技基板5の後方から近づける。本実施形態では、制御ベース6を透明な樹脂等で形成しているため、制御ベース6を透して後方から目安穴35の位置を確認できる。このため、容易に目安穴35に目安凸部36を臨ませることができる。なお、制御ベース6を透して目安穴35の位置を確認できない場合でも、制御ベース6の外周部に目安凸部36を設けているため、制御ベース6の外方から目安穴35と目安凸部36の位置を容易に確認できる。そして、目安穴35に目安凸部36が近付くと、センターケース4の整合凸部55が制御ベース6の整合凹部54に挿入される。このとき、整合凸部55が先細り形状に形成されているため、整合凸部55に対する位置ズレをある程度許容し、整合凸部55を整合凹部54に挿入することができる。その後、目安穴35に目安凸部36を臨ませた状態で遊技基板5に制御ベース6を当接させれば、整合凸部55と整合凹部54とが係合する。これにより、センターケース4に対する制御ベース6の位置決めを行うことができる。そして、この状態で、制御ベース取付部57をビス等により遊技基板5に固定することで、遊技盤2を製造することができる。
このように、上記実施形態では、センターケース4の前面に設けられたケース装飾部材39と、流下領域16の一部を区画する上方装飾部材41、ステージ下部装飾部材44、および第1始動入賞口装飾部材26と、遊技領域3内を移動する連結可動役物62に設けられた上部可動役物装飾部材66および上部可動役物線状装飾体68、並びに下部可動役物装飾部材73および下部可動役物線状装飾体74と、を備え、連結可動役物62は、センターケース4の開口部7の縁の裏側に格納された第1の状態と、開口部7の内側に出現して表示部9の前面の一部を被覆する第2の状態と、に変換可能であり、第2の状態では、上記した各装飾部材が接続してアラビア数字の「7」を表した装飾体を形成するので、上部可動役物58および下部可動役物59の単独の装飾効果だけでなく、センターケース4および流下領域16の前面の一部を利用した大きな装飾体「7」による装飾効果を得ることができるため、流下領域16を確保しつつ遊技盤2の装飾効果を高めることができる。また、上記した各装飾部材には、装飾体「7」の輪郭を表す上方線状装飾体52、ケース線状装飾体49、上部可動役物線状装飾体68、下部可動役物線状装飾体74、ステージ下部線状装飾体48、および第1始動入賞口線状装飾体38が備えられたので、輪郭を強調して、より一体感のある装飾体「7」を形成することができる。その結果、遊技盤2の装飾効果を一層高めることができる。さらに、上方装飾部材41は、少なくとも一部に光を透過可能な光透過領域(本実施形態では、特に、上方線状装飾体52)を備え、該光透過領域の裏面側には、遊技盤2を装飾するセルシート24が形成されたので、上方装飾部材41の前方からセルシート24の模様を認識でき、流下領域16を装飾することができる。また、上方装飾部材41の前面を遊技球が流下しても、セルシート24が汚れたり、あるいは剥がれたり、することがない。同様に、ステージ下部装飾部材44および第1始動入賞口装飾部材26は、少なくとも一部に光を透過可能な光透過領域(本実施形態では、特に、ステージ下部線状装飾体48、および第1始動入賞口線状装飾体38)を備え、該光透過領域の裏面側には、遊技盤2を装飾する金属層が形成されたので、ステージ下部装飾部材44および第1始動入賞口装飾部材26の前方から金属層を認識でき、流下領域16を装飾することができる。また、ステージ下部装飾部材44および第1始動入賞口装飾部材26の前面を遊技球が流下しても、金属層が汚れたり、あるいは剥がれたり、することがない。
また、連結可動役物62は、所定の位置まで移動して各々が連結可能な上部可動役物58および下部可動役物59によって構成され、上部可動役物58には突起部69が設けられ、下部可動役物59には突起部69と嵌合する凹部70が設けられているので、上部可動役物58および下部可動役物59を所定の位置で強固に連結することができ、外部からの振動等による連結箇所のずれ等を防ぐことができる。また、磁石等を用いることなく、簡単な構成で上部可動役物58および下部可動役物59を連結することができるため、製造コストを減らすことができる。さらに、突起部69は、下部可動役物59に向けて先細りとなる形状であり、上部可動役物58と下部可動役物59とが所定の位置まで移動する際に、突起部69の先端が凹部70に該凹部70の縁から滑り込んで嵌合するので、一方の可動部材が正確に所定の位置で待機していなくても、他方の可動部材と連結することができ、連結不良を抑制することができる。
また、遊技盤2は、センターケース4が前面側に取り付けられた遊技基板5と、該遊技基板5の後面側に取り付けられた制御ベース6と、を備え、遊技基板5の後面には、制御ベース6の取り付け位置の目安となる目安穴35を設け、センターケース4の後面には、制御ベース6に係合する整合凸部55を設け、制御ベース6の前面には、目安穴35に臨ませる目安凸部36と、整合凸部55と係合する整合凹部54と、を設け、目安穴35に目安凸部36を臨ませると、整合凹部54が整合凸部55に係合して、制御ベース6とセンターケース4とが位置決めされるように構成したので、センターケース4を取り付けた遊技基板5に制御ベース6を取り付ける際に、目安穴35および目安凸部36を用いて大まかな位置決めの目安とすることができ、目安穴35に目安凸部36を臨ませながら取り付けることで、整合凹部54に整合凸部55を係合させて、センターケース4に対する制御ベース6の位置決めを容易に行うことができる。その結果、容易に遊技盤2を製造することができる。
さらに、制御ベース6は、光による装飾を行う第1発光可動役物60および第2発光可動役物61を有し、これらの発光可動役物は、光を透過させない非透光性部材により前面一側を形成した非透光部77と、該非透光部77に隣接し、光が透過可能な透光性部材により前面他側を形成した透光部78と、該透光部78および非透光部77の後方に位置する電飾基板80と、該電飾基板80と非透光部77との間に備えられた光を反射する反射部材81と、を備え、電飾基板80は、当該電飾基板80の前面のうち反射部材81に対向する位置にLED79を実装し、該LED79からの光を反射部材81によって透光部78側に反射すると共に、該反射された光を電飾基板80の前面によって反射して、当該光を透光部78の外方から視認可能にしたので、正面から見たときにLED79からの直接光を非透光部77により遮蔽できると共に、LED79からの反射光(間接光)を透光部77により透過できるため、発光可動役物の外部から光を視認することができ、この際に視認されるLED79の配置による光のムラを抑制することができる。また、透光部78は、光を拡散する複数の細かな溝82を少なくとも一方の表面に施したので、LED79からの光を拡散することができ、各発光可動役物の外部から視認されるLED79の配置による光のムラを一層抑制することができる。
ところで、上記実施形態の連結可動役物62は、上部可動役物58に突起部69を、下部可動役物59に凹部70をそれぞれ2つずつ設けたが、これには限られない。例えば、上部可動役物に凹部を、下部可動役物に突起部をそれぞれ3つ設けてもよい。要は、上部可動役物および下部可動役物のどちらか一方に突起部を、他方に凹部をそれぞれ対応させて1つ以上備えていればよい。また、上記した連結可動役物は、上部可動役物および下部可動役物の2つだけに限られない。例えば、移動できる可動部材を複数備え、それらを相互に連結することもできる。この場合、複数の可動部材のうち相互に連結する可動部材における一の可動部材の連結面に突起部を設け、一の可動部材と連結する他の可動部材の連結面には突起部と嵌合する凹部を設けることで、相互に連結することができる。
さらに、上記実施形態では、遊技基板5に目安穴35を、制御ベース6に目安凸部36をそれぞれ2つずつ設けたが、これには限られない。例えば、遊技基板に目安凸部を、制御ベースに目安穴をそれぞれ3つ設けてもよい。要は、遊技基板および制御ベースのどちらか一方に目安穴を、他方に目安凸部をそれぞれ対応させて1つ以上備えていればよい。同様に、センターケースに整合凸部を、制御ベースに整合凹部をそれぞれ2つずつ設けたが、これには限られない。例えば、センターケースに整合凹部を、制御ベースに整合凸部をそれぞれ3つ設けてもよい。要は、センターケースおよび制御ベースのどちらか一方に整合凸部を、他方に整合凹部をそれぞれ対応させて1つ以上備えていればよい。
さらに、上記した各装飾部材が接続して形成する装飾体は、アラビア数字の「7」に限られない。例えば、漢字、アルファベット、丸や三角等の記号等を形成することもできる。要は、複数の装飾部材が集合して形成する1つの文字、記号、図柄等、又は、これらの組み合わせであり、視覚を通じて1つの装飾体として認識される集合装飾体であればよい。
また、上記実施形態では、上方線状装飾体52およびステージ下部線状装飾体48の裏面に金属メッキ加工による金属層を設け、第1始動入賞口線状装飾体38の裏面側に位置するセルシートに金属光沢のある金属光沢部24aを設け、それぞれ前方から視認できるように構成したが、これには限られない。例えば、上方線状装飾体およびステージ下部線状装飾体の裏面側にセルシートを配置し、そこに金属光沢のある金属光沢部を設けてもよい。また、第1始動入賞口線状装飾体の裏面に金属メッキ加工による金属層を設けてもよい。さらに、金属層は、電気鍍金、溶融鍍金、真空蒸着等の方法により形成することもできる。加えて、金属光沢のある塗料を各装飾体の裏面に塗布したり、あるいは、金属光沢のあるシールを各装飾体の裏面に貼ることもできる。また、金属光沢を有する層に限らず、赤や青等の着色層を、上記のような方法で形成してもよい。要は、上方線状装飾体、ステージ下部線状装飾体、および第1始動入賞口線状装飾体の裏面側に表面処理層を設ければよい。さらに、この表面処理層は、上方線状装飾体、ステージ下部線状装飾体、および第1始動入賞口線状装飾体の裏面側に限らず、上方装飾部材、ステージ下部装飾部材、および第1始動入賞口装飾部材の裏面側に設けることもできる。
次に、第2の実施形態について、図を用いて説明する。図13は、第2の実施形態における遊技盤2の斜視図であり、図14は、第2の実施形態におけるセンターケース4から側部鎧装飾部材51を取り外した状態の斜視図である。また、図15は、第2の実施形態における鎧部材19を説明する図であり、図15(a)は鎧部材19を外側から見たときの要部拡大図、図15(b)は鎧部材19を内側から見たときの要部拡大図、図15(c)はセンターケース4に対する側部鎧装飾部材51の取り付けを説明した要部拡大図、図15(d)はセンターケース4に対する側部鎧装飾部材51の取り付けを説明した要部断面図である。第2の実施形態では、鎧部材19に調整切欠部86を形成した点、および鎧装飾部材に緩衝部84を形成した点において、上記第1の実施形態と異なる。
詳しく説明すると、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、右側の流下領域16において、打球通路11の先端と対向する側部に、右側サイドケース14の一部をセンターケース4側へ突出させた段状部17を形成しており、その表面の一部(センターケース4に対向する部分)に耐衝撃性のある樹脂等により形成された緩衝部材18を配設している。また、鎧部材19は、センターケース4の上方から右側方に亘って形成され、その一部には、右側サイドケース14の段状部17に合わせて開口部7側に凹ませた鎧段部20が形成される。この鎧段部20は、左側(流下方向上流側)から右側(流下方向下流側)に向けて下り傾斜して形成されている。さらに、鎧部材19の内側には鎧装飾部材40が形成されている。本実施形態の鎧装飾部材40は、上部の鎧部材19の内側に位置する横長な上部鎧装飾部材50と、鎧段部20から右端部に亘った鎧部材19の内側に位置する縦長な側部鎧装飾部材51と、が別個に形成され、それぞれセンターケース4(鎧部材19)に組み付けらている(図14参照)。また、本実施形態では、鎧部材19は塗料の剥がれ難いABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合合成樹脂)により形成され、側部鎧装飾部材51は耐衝撃性の高いPC(ポリカーボネート樹脂)により形成されている。そして、流下領域16(球流下通路21)に臨む部分に位置する鎧部材19(鎧段部20)の一部に切欠部83を形成すると共に、側部鎧装飾部材51に切欠部83に嵌合して流下領域16に露出する緩衝部84を形成し、流下領域16を流下する遊技球を緩衝部84に衝突させて、遊技球の衝突時に発生する衝撃を緩衝可能にしている。
詳しく説明すると、切欠部83は、鎧段部20の上面(流下領域16側の面)において、後端から前端部分にかけて前方に貫通させずに、鎧段部20の前端部分を残した状態で、段差をつけるように断面凹状に切り欠いて形成されている。言い換えると、切欠部83は、鎧段部20の前端面を残して、センターケース4の後方に向けて開放する状態に切り欠いて形成されている(図14、図15参照)。緩衝部84は、切欠部83に嵌合可能な薄板であり、側部鎧装飾部材51の上端部に一体的に形成されている。より詳しくは、緩衝部84は、鎧段部20の内側に当接する側部鎧装飾部材51の鎧部材当接部85より上方に隙間を空けた状態で、前方に向けて庇状に延出している。このため、側部鎧装飾部材51は、鎧部材当接部85と緩衝部84によって切欠部83の段差底部を挟むようにセンターケース4の後方から組み付けられる(図15(d)参照)。そして、緩衝部84は、切欠部83に嵌合して鎧段部20と共に球流下通路21の一部を構成する。また、緩衝部84は、正面から見て中央部より上流側の上面が鎧段部20の上面と揃えられるように、上流側の上面を鎧段部20の傾斜と揃えて形成されており、中央部より下流側の上面が下流端側の鎧段部20との境界において鎧段部20の上面より僅かに上方に位置するように、下流側の上面を鎧段部20の傾斜よりも緩やかな傾斜に形成されている。これにより、緩衝部84と鎧段部20との下流側の境界において逆段になることを防ぐと共に、緩衝部84に衝突して減退した遊技球の勢いを取り戻すことができるため、遊技球を下流側へスムーズに流すことができる。
次に、鎧部材19の調整切欠部86について説明する。第1の実施形態と同様に、右側サイドケース14と鎧部材19との間に形成された遊技球が通過可能な球流下通路21において、緩衝部材18に対向する鎧部材19の側面には、障害釘22を複数列状に植設して構成した障害釘列23が配置されている。ここで、この障害釘列23を構成する障害釘22は、球流下通路21を流下する遊技球を案内すると共に、その長さや傾きを変化させ、前記遊技球の球流下通路21(流下領域16)の幅を変化させることで、遊技球の流下勢を調整することができる。このため、遊技盤2を形成した後に、障害釘列23を構成する障害釘22の傾き等をペンチ等の調整道具を用いて調整することがある。第2の実施形態では、この障害釘22の調整において鎧部材19が邪魔にならないように、障害釘列23と対向する鎧部材19の一部を後方に向けて円弧状に切り欠いた調整切欠部86を形成している(図15(b)等参照)。なお、調整切欠部86の形状は、円弧状に限らず、角形状に形成しても良い。要は、障害釘22の調整において、調整道具の邪魔にならないような切欠きであれば、どのような形状でも良い。なお、その他の構成は、第1の実施形態と同じであるため、説明を省略する。
このように、第2の実施形態では、遊技盤2上に区画形成された遊技領域3の一部を構成し、遊技球が前面を流下可能な流下領域16と、遊技領域3の一部を構成するセンターケース4と、を備えたパチンコ遊技機1において、センターケース4は、当該センターケース4の内側へ遊技球が流入することを防止する鎧部材19と、該鎧部材19を装飾する側部鎧装飾部材51と、を備え、鎧部材19のうち、流下領域16に臨む位置には切欠部83を形成し、側部鎧装飾部材51には切欠部83に嵌合して流下領域16に露出する緩衝部84を形成し、流下領域16を流下する遊技球を緩衝部84に衝突させて、遊技球の衝突時に発生する衝撃を緩衝可能にしたので、遊技球により鎧部材19が破壊されることを防止できる。また、緩衝部84を別途作成する必要がなく、緩衝部84を備えたセンターケース4を容易に製造することができる。さらに、切欠部83に嵌合する緩衝部84を側部鎧装飾部材51に形成したので、美観が損なわれることを抑制することができる。
また、鎧部材19と側部鎧装飾部材51とが、特性の異なる樹脂によって形成されたので、鎧部材19および側部鎧装飾部材51を形成する樹脂をそれらの用途に応じて、それぞれ選択することができる。本実施形態では、鎧部材19を塗料の剥がれ難いABS樹脂で形成し、側部鎧装飾部材51を耐衝撃性の高いPCで形成しているため、緩衝部84による緩衝効果を確保しつつ、鎧部材19を塗装することによる装飾により装飾効果を高めることができる。さらに、鎧部材19は、切欠部83をセンターケース4の後方に向けて開放する状態に切り欠いて形成し、側部鎧装飾部材51をセンターケース4へ後方から組み付けることで、緩衝部84を切欠部83に嵌合するように構成したので、側部鎧装飾部材51をセンターケース4に組み付けるだけで緩衝部84を形成でき、緩衝部84を備えたセンターケース4を容易に製造することができる。
また、流下領域16には、遊技球の流下を案内する障害釘22が鎧部材19の一部に沿って複数植設され、鎧部材19のうち複数の障害釘22と対向する位置には、調整切欠部86が切り欠いて形成されたので、調整道具を用いて障害釘22の角度を調整する際に、鎧部材19が邪魔になることがなく、容易に障害釘22の角度を調整することができる。
なお、前記した実施形態ではパチンコ遊技機1を例に挙げたが、これには限られず、例えば雀球遊技機、アレンジボール式遊技機など遊技球を使用する遊技機であればよい。
次に、前記した各実施形態の遊技盤2を備えた遊技機(パチンコ遊技機)1の制御方法について説明する。
図16は、本実施形態の遊技機1のブロック図である。
遊技制御装置100は、遊技用マイコン(遊技用演算処理装置600)101、入力I/F(Interface)105、出力I/F(Interface)106及び検査装置接続端子107を備える。
遊技用マイコン101は、CPU102、ROM(Read Only Memory)103及びRAM(Random Access Memory)104を備える。
CPU102は、遊技を統括的に制御する主制御装置であって、遊技制御を司る。ROM103は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM104は、遊技制御時にワークエリアとして利用される。
遊技制御装置100には検査装置接続端子107が設けられており、検査装置接続端子107からは、遊技用マイコン101に一意に設定された識別番号を出力することができる。これによって、検査装置接続端子107に図示しない検査装置を接続すると、検査装置は遊技機1を識別することができる。
CPU102は、入力I/F105を介して各種検査装置(特図始動SW25A、30A、普図始動SW31A、カウントSW27A、及び入賞口SWa32A〜入賞口SWn32N、オーバーフローSW(スイッチ)109、球切れSW(スイッチ)110、及び枠開放SW(スイッチ)111)からの検出信号を受けて、大当り抽選等、種々の処理を行う。
オーバーフロースイッチ109は、遊技球を貯留および排出する機構を備えた下皿に遊技球が所定数以上貯留されていることを検出する。球切れスイッチ110は、球貯留ユニット320に配設され、球貯留ユニット320に貯留される遊技球が所定数以下になることを検出する。枠開放スイッチ111は、遊技機1の前面に開閉回動可能に組み付けられた前面枠が開いたことを検出する。
また、CPU102は、出力I/F106を介して、普図表示器121、特図表示器120、普電SOL(ソレノイド)95、大入賞口SOL(ソレノイド)96、払出制御装置210及び演出制御装置150に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
普図表示器121は、遊技球が普通図柄始動ゲート31に入賞した場合に行われる変動表示ゲームが表示される。特図表示器120には、遊技球が第1始動入賞口25または第2始動入賞口30に入賞した場合に行われる変動表示ゲームが表示される。
普電SOL95は、第2始動入賞口30に備わる普通変動入賞装置33を開放して、第2始動入賞口30への入口が所定の時間だけ開放させる。
大入賞口SOL96は、特別変動入賞装置(大入賞口)27が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)にする。
また、遊技制御装置100は、遊技機1に関する情報を、外部情報端子108を介して、遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に出力する。
遊技制御装置100は、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として、演出制御装置150へ送信する。
次に、払出制御装置210及び演出制御装置150について説明する。
演出制御装置(表示制御装置)150は、遊技制御装置100から入力される各種信号に基づいて、スピーカ94や表示装置8を制御するとともに、発光により遊技演出を行う発光装置29や、前述の可動物(第1発光可動役物60、第2発光可動役物61、連結可動役物62)を駆動するために設けられた駆動源93a〜93dを制御する。なお、演出制御装置150には、これらの可動物60〜62の位置検出を行うための位置検出センサ(図示せず)からの信号も入力される。
演出制御装置150は、遊技用マイコン(遊技用演算処理装置600)151、ドライバ155、音回路156、VDP157、及び監視回路158を備える。
遊技用マイコン151は、CPU152、ROM153及びRAM154を備える。
CPU152は、演出制御を統括的に制御する制御装置である。ROM154は、演出制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM154は、演出制御時にワークエリアとして利用される。
ドライバ155は、CPU152からの指令により、発光装置92a〜92h及び駆動源93a〜93dを制御する。音回路156は、CPU152からの指令により、効果音を生成してスピーカ94から出力する。
VDP157は、CPU152からの指令により、図示しないキャラクタROMからフォントデータを読み出して画像データを生成し、表示装置8へ出力する。監視回路158は、CPU152の動作を監視して、異常(プログラムの暴走など)が発生するとCPU152をリセットする機能を有する。
払出制御装置210は、遊技制御装置100からの賞球指令信号に基づいて、払出装置の払出モータ220を駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う装置である。また、払出制御装置210は、カードユニット97からの貸球要求信号に基づいて、遊技制御装置100が送信する払出指令信号に基づいて、払出装置の払出モータ220を駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う装置である。
払出制御装置210は、遊技用マイコン(遊技用演算処理装置600)211、入力I/F(Interface)215、入出力I/F(Interface)216及び検査装置接続端子217を備える。
遊技用マイコン211は、CPU212、ROM213及びRAM214を備える。
CPU212は、払い出しを統括的に制御する制御装置であって、払出制御を司る。ROM213は、払出制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM214は、払出制御時にワークエリアとして利用される。
CPU212は、入力I/F215を介して払出球検出センサ112、オーバーフロースイッチ109、球切れスイッチ110、エラー解除スイッチ223、税率設定スイッチ226、及び貸出料金設定スイッチ227からの入力を受ける。
エラー解除スイッチ223は、払出制御装置210にエラーが発生した場合に、遊技店の店員等が発生したエラーの原因を解消した際に、遊技店の店員等によって操作され、エラー状態を解除するためのスイッチである。
税率設定スイッチ226は、遊技球の貸し出しに対して課税される間接税の税率を設定するスイッチである。貸出料金設定スイッチ227は、貸し出される遊技球の有価価値を設定するためのスイッチである。
また、CPU212は、入出力I/F216を介して、払出モータ220、発射制御装置221、エラーナンバー表示器222、税率表示器224及び貸出料金表示器225に指令信号を送信する。また、CPU212は、入出力I/F216を介して遊技制御装置100から各種信号を受信する。
払出モータ220は、実際に払出装置で遊技球を払い出すために駆動されるモータである。具体的には、払出モータ220には、1個の遊技球を貯留可能な凹部を所定個数を有するスプロケットを回転させることによって、遊技球を払い出す。
発射制御装置221は、遊技球を遊技盤2に発射するための発射装置を制御する。エラーナンバー表示器222は、払出制御装置210の裏面側に配設され、払出制御装置210で発生したエラーの種類を特定可能に表示する。
税率表示器224は、払出制御装置210の裏面側に配設され、税率設定スイッチ226によって設定された間接税の税率を表示する。貸出料金表示器225は、払出制御装置210の裏面側に配設され、貸出料金設定スイッチ227によって設定された貸し出される遊技球の有価価値を表示する。
なお、遊技制御装置100、演出制御装置150、及び払出制御装置210は、電源装置160に接続される。
電源装置160は、バックアップ電源161、RAMクリアスイッチ162を備える。
バックアップ電源161は、停電時においても、遊技制御装置100、演出制御装置150、及び払出制御装置210に電源を供給する(演出制御装置150には供給しなくてもよい)。
RAMクリアスイッチ162は、遊技制御装置100に備わるRAM104及び払出制御装置210に備わるRAM214に記憶されている情報を初期化するスイッチである。
また、遊技機1に備わる球貸ボタン89が操作されると、カードユニット97は、プリペイドカード又は会員カード等のカードに記憶されている有価価値から貸し出される遊技球分の有価価値を減算して、減算した有価価値の値を遊技機1の残高表示部91に表示する。また、遊技機1に備わる排出ボタン90が操作されると、カードユニット97は、カード挿入口71に挿入されたカードを排出する。
遊技制御装置100に備わる遊技用マイコン101と払出制御装置210に備わる遊技用マイコン211とは、SIO接続及び暗号化信号接続により接続される。
SIO接続では暗号化されない非暗号化信号(平文データ)が通信され、暗号化信号接続では暗号化された暗号化信号(暗号化データ)が通信される。
なお、遊技制御装置100に備わる遊技用マイコン101及び払出制御装置210に備わる遊技用マイコン211は、SIO接続及び暗号化信号接続のためのポートを備える。
次に、遊技制御装置100に備わる遊技用マイコン101及び払出制御装置210に備わる遊技用マイコン211(以下、総称して遊技用演算処理装置600という)について、図17を用いて詳細に説明する。
図17は、本実施形態の遊技用演算処理装置(アミューズチップ)600のブロック図である。
遊技用演算処理装置600はいわゆるアミューズチップ用のICとして製造され、遊技制御を行う遊技領域部600Aと情報管理を行う情報領域部600Bとに区分される。
まず、遊技領域部600AはCPUコア601(図16のCPU102或いはCPU212に相当)、ユーザプログラムROM602(図16のROM103或いはROM213に相当)、HWパラメータROM603(ユーザプログラムROM602及びHWパラメータROM603を総称して、ROM(不揮発性記憶手段)という)、ユーザワークRAM604(図16のRAM104或いはRAM214に相当)、ミラードRAM605(ユーザワークRAM604及びミラードRAM605を総称して、RAM(揮発性記憶手段)という)、外部バスインターフェース(I/F)606、バス切替回路607、乱数生成回路608、クロックジェネレータ609、リセット/割込制御回路610、アドレスデコーダ611、出力制御回路612、ブートブロック613、復号化・ROM書込回路614、シリアル送受信回路615、暗号化送受信回路616、及びバス617により構成される。
CPUコア601は、遊技制御のための演算処理を行う演算処理手段として機能する。ユーザプログラムROM602は、制御プログラムを格納する。制御プログラムは、遊技用演算処理装置600が遊技制御装置100に備わる遊技用マイコン101である場合には、遊技の制御を行うための遊技制御プログラムであり、遊技用演算処理装置600が払出制御装置210に備わる遊技用マイコン211である場合には、遊技球の払い出しを行うための払出制御プログラムであり、遊技用演算処理装置600が演出制御装置150に備わる遊技用マイコン151である場合には、演出の制御を行うための演出制御プログラムである。
HWパラメータROM603は、正当性確認情報を格納する。正当性確認情報とは、遊技用演算処理装置600の正当性の簡易チェックを行う場合の情報であり、例えば、遊技機1の一意な識別子を示す固有ID、メーカコード(遊技機1の製造メーカ毎に割り振られた固有の製造メーカの一意な識別子)、遊技機1のランク(1種、2種等)を示すランクコード、製造メーカが遊技機1の種類に設定する機種コード、検査番号を示す検査コード、電源投入時にRAMをバックアップするか否かを示すRAMバックアップコード、税率設定スイッチ226によって設定された税率、貸出料金設定スイッチ227によって設定された貸出料金等である。また、HWパラメータROM603には、最初に貸出情報要求を送信した検査装置の一意な識別子である固有IDが一つのみ記憶される。
第三者機関又は遊技機1の製造メーカがユーザプログラムROM602にプログラムを書き込む際に、正当性確認情報がHWパラメータROM603に書き込まれる。
遊技用演算処理装置600の簡易チェックを行う場合、遊技用演算処理装置600の電源立ち上がり時に、遊技用演算処理装置600自身が演算した演算値と、正当性確認情報(すなわち、第三者機関等によって予め設定された結果値)とを比較判定することで、簡易的な遊技用演算処理装置600のチェックを可能にする構成になっている。
ユーザワークRAM604は、遊技領域部600Aにおけるプログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられるものである。このユーザワークRAM604には、バックアップ電源161(図16)からのバックアップ電源が供給されているので、遊技機1への電源供給が途絶えても、記憶データが保持されるように構成されている。
ミラードRAM605は、クロックの立ち下がり時にユーザワークエリアに記憶された情報を複製し、複製した情報を記憶する(CPUコアがZ80の場合には、クロックの立ち上がり時に処理を実行するため、同期して動くことがないようにしている。)。
外部バスインターフェース606は、メモリリクエスト信号MREQ、入出力リクエスト信号IORQ、メモリ書込み信号WR、メモリ読み出し信号RD及びモード信号MODEなどのインターフェースであり、また、バス切替回路607は、16ビットのアドレス信号A0〜A15や8ビットのデータ信号D0〜D7のインターフェースである。
例えば、MODE信号をハイレベルにした状態で、アドレス信号A0〜A15を順次にインクリメントしながら、データ信号D0〜D7を加えると、ユーザプログラムROM602への書き込みモードとなって遊技機1の製造メーカ又は第三者機関によるプログラムの書き込みが可能になる。
なお、書き込みモードはプログラムの書き込みを可能にするものであり、ブートブロック613に記憶されるブートプログラムを書き込みできるようにするものではない。
また、ユーザプログラムROM602へのプログラムの書き込みが終了すると、HWパラメータROM603の所定領域に書込終了コードが記録(例えば、所定のコード若しくは所定ビットを物理的に切断することで記録)されるようになっており、HWパラメータROM603に書込終了コードが記録されている場合には、ユーザプログラムROM602への新たなプログラムの書き込みができないようになっている。
乱数生成回路608は遊技の実行過程において遊技価値(例えば、大当り)を付加するか否か等に係わる乱数(乱数は、大当たりの決定や停止時の図柄の決定等に使用)を生成するもので、一様性乱数を生成する数学的手法(例えば、合同法又はM系列法等)を利用している。なお、遊技用演算処理装置600が払出制御装置210に備わる遊技用マイコン211である場合には、乱数生成回路608はなくてもよい。
クロックジェネレータ609は、所定周期(例えば、4m秒)で生成されるタイマ割込信号と、クロック信号を生成する。クロックジェネレータ609が生成したタイマ割込信号及びクロック信号はCPUコア102に入力される。CPUコア102は、タイマ割込信号が入力されると、図26に示すタイマ割込処理を実行する。
リセット/割込制御回路610は、外部からの入力されたリセット信号(RST)を検出すると、遊技用演算処理装置600の内部に備えた各回路にリセット信号を伝達する。また、所定の割り込み条件の発生を検出すると、割り込みの発生をCPUコア601に知らせる。
アドレスデコーダ611は内蔵デバイス及び内蔵コントロール/ステータスレジスタ群のロケーションをメモリマップドI/O方式及びI/OマップドI/O方式によりデコードする。
出力制御回路612はアドレスデコーダ611からの信号制御を行って外部端子より8ビットのチップセレクト信号(CS0〜CS7)を外部に出力するとともに、遊技用演算処理装置600の内部に備えた回路を選択するチップセレクト信号を発生する機能を有する。ブートブロック613は、ブートプログラムを記憶し、電源投入時に遊技用演算処理装置600の初期化に係わる処理を行う。
復号化・ROM書込回路614は、ユーザプログラムROM602及びHWパラメータROM603への書込みモードの際に使用されるもので、モード信号MODEが[H]レベルになっている間、バス切替回路607を介してアドレス信号A0〜A15やデータ信号D0〜D7を取り込み、そのデータ信号D0〜D7に含まれる情報(暗号化されたプログラム及び暗号化された変更後の固有ID)を復号化処理した後、バス617を介してユーザプログラムROM602及びHWパラメータROM603に出力する(書き込む)というものである。
シリアル送受信回路615は、SIO接続で暗号化されていない平文データを送受信するための回路である。
暗号化送受信回路616は、暗号化信号接続で暗号化された暗号化データを送受信する回路である。暗号化送受信回路616には、暗号化データの信号線が接続される。暗号化送受信回路616は、暗号化データの信号線を介してデータを送受信する。
バス617はデータバス(図18のデータバス660)、アドレスバス(図18のアドレスバス650)及び制御バスを含むものであり、情報領域部600Bまで延びている。
次に、遊技用演算処理装置600における情報管理を行う情報領域部600Bは、HPGプログラムROM618、IDプロパティメモリ619、バスモニタ回路620、HPGワークRAM621、制御回路622、外部通信制御回路623、バス624、及び遊技領域部600Aから延びるバス617の一部を含んで構成される。
HPGプログラムROM618は、各種検査動作を行うHPGプログラムが格納される。
IDプロパティメモリ619には、図示しない検査装置から外部通信制御回路623を介して受信した要求に基づいて、HWパラメータROM603に記憶されている情報を図示しない検査装置にすぐに出力できるように、遊技用演算処理装置600の電源投入時(システムリセット時)にHWパラメータに記憶されている情報を複製して記憶する。なお、IDプロパティメモリ619は、遊技領域部600A側及び情報領域部600B側の双方よりアクセスが可能な構成になっている。
バスモニタ回路620は、情報領域部600B側より遊技領域部600A側のバス617の状態監視及び制御を行う。ここでの制御とは、HWパラメータROM603の内容をIDプロパティメモリ619に複写する際のタイミング制御や、ユーザプログラムROM602に格納されたプログラムを外部に出力する際(遊技領域部600A側のバス617を開放してユーザプログラムROM602からプログラムを読み込んで情報領域部600B側より外部に出力する際)のタイミング制御である。なお、プログラムは、外部通信制御回路623で暗号化されてから出力される。
HPGワークRAM621は、情報領域部600Bにおけるプログラムに基づく処理を実行する際にワークエリア(作業領域)として用いられるものである。
制御回路622は情報領域部600B側を制御するもので、バッファメモリを有している。制御回路622は、例えば、バスモニタ回路620を介してCPUコア102の動作を監視し、非動作中に遊技領域部600AのユーザワークRAM604に記憶された内容をミラードRAM605へコピーする。
また、図示しない検査装置からの要求に応答して情報領域部600BのIDプロパティメモリ619の内容を外部へ転送したり、プログラム要求に応答してバスモニタ回路620を介してユーザプログラムROM602内のプログラムを外部へ転送したりする。制御回路622のメモリは、転送時のタイミング調節のために用いられる。
外部通信制御回路623は図示しない検査装置との通信を行うもので、例えば、外部からの指令に基づいて遊技用演算処理装置600内に格納されている情報(例えば、固有ID、プログラム、実払出数等)を暗号化した後、外部へ転送する等の処理を行う。
遊技用演算処理装置600では、遊技領域部600Aと情報領域部600Bがバスモニタ回路620を介して独立して動作する。すなわち、情報領域部600B側は遊技領域部600AにおけるCPUコア102の作動に関係なく(プログラム実行に関係なく)動作可能である。
なお、図17では図示されていないが、遊技用演算処理装置600には、図18で後述するセキュリティ回路630、RAMアクセス規制回路640を備えている。
図18は、本実施形態の遊技制御装置100に備わる遊技用演算処理装置(アミューズチップ)600とその周辺のブロック図である。
遊技用演算処理装置600は、セキュリティ回路630、CPUコア102(図17では601)、RAMアクセス規制回路640、ユーザワークRAM104(図17では604)、バス切替回路607、アドレスデコーダ611、出力制御回路612、及び、ユーザプログラムROM103(図17では603)を備える。
なお、遊技用演算処理装置600に備わるこれらの回路等は、アドレスバス650及びデータバス660を介して接続されている。
また、遊技制御装置100は、遊技用演算処理装置600の外部にて、演出制御装置150に接続される演出制御通信ポート670、及び、払出制御装置210に接続される払出制御通信ポート680を備える。
以下、演出制御通信ポート670及び払出制御通信ポート680を総称して、通信ポート670、680という。通信ポート670、680は、本実施形態における通信用ポート(指令出力手段)として機能するものであり、図16に示す出力I/F106に含まれる。
通信ポート670、680は、遊技用演算処理装置600の外部のデータバス690を介して遊技用演算処理装置600に接続される。
なお、データバス660、690は、D0〜D7の8ビットの信号線によって構成される。
遊技用演算処理装置600に電源が投入される際には、RST端子(図17)を介して電源装置160からリセット信号(起動信号)が入力され、リセット割込制御回路610(図17)が作動する。
セキュリティ回路630は、このリセット信号が入力されるとHWパラメータROM602に記憶された正当性確認情報を用いて、セキュリティチェック処理を実行する。このセキュリティチェック処理は、ユーザプログラムROM103に記憶されたプログラムの正当性の判定を行う処理である。
セキュリティ回路630は、このセキュリティチェック処理を実行している間は、CPUコア102のリセット端子(RES(負論理))にリセット信号を継続して出力することで、CPUコア102の起動を待機させる。
CPUコア102は、前述のリセット端子(RES(負論理))と、書込指令出力端子(WR(負論理))、及び読出指令出力端子(RD(負論理))を備える。リセット端子はセキュリティ回路630に接続されており、遊技用演算処理装置600にリセット信号が入力されると、前述のように、セキュリティチェック処理を実行している間に渡って、CPUコア102に対するリセット信号がリセット端子に入力される。
CPUコア102のリセット端子にリセット信号が入力されると、CPUコア102は、CPUコア102に備わるレジスタ(REG)を初期化する。
また、CPUコア102がユーザワークRAM104にデータの書き込みを指令する書込指令を出力する場合には、CPUコア1021の書込指令出力端子からは所定値よりも低い電圧のローレベルの信号が出力される。
同様に、CPUコア102がユーザワークRAM104からデータの読み出しを指令する読出指令を出力する場合には、CPUコア102の読出指令出力端子からは所定値よりも低い電圧のローレベルの信号が出力される。
つまり、書込指令出力端子及び読出指令出力端子は、通常電圧がハイレベルに維持されており、ユーザワークRAM104への読み書きを行うときにのみ電圧がローレベルになる。
まず、ユーザワークRAM104のデータの読み出しについて説明する。
CPUコア102から、ユーザワークRAM104の読出指令入力端子(RD(負論理))に読出指令が入力されると、アドレスバス650及びデータバス660を介してCPUコア102に読出データが出力される。
このとき、CPUコア102からアドレスバス650へは、ユーザワークRAM104のアドレスが出力され、アドレスデコーダ611からユーザワークRAM104のチップ選択端子(所謂CS端子に相当、図示は略)に選択信号が入力されることによって、ユーザワークRAM104が選択される。
次いで、選択されたユーザワークRAM104は、アドレスバス650が指定する記憶領域のデータをデータバス660へ出力する。次いで、CPUコア102は、データバス660へ出力されたデータを内部へ取り込む。このような手順により、CPUコア102はユーザワークRAM104からデータを読み出す。
次に、ユーザワークRAM104へのデータの書き込みについて説明する。
CPUコア102に備わる書込指令出力端子は、RAMアクセス規制回路640のORゲート回路642に備わる二つの入力端子のうち一方の入力端子に接続される。
ORゲート回路642の他方の入力端子は、RAMアクセス規制回路640のフリップフロップ回路641の出力端子(Q(負論理))に接続され、ORゲート回路642の出力端子は、ユーザワークRAM104の書込指令入力端子(WR(負論理))に接続されている。
また、ユーザワークRAM104の書込指令入力端子に所定値以下の電圧であるローレベルの信号が入力されると、ユーザワークRAM104への書き込みが許容される。
このため、ORゲート回路642の二つの入力端子にそれぞれローレベルの信号が入力されなければ、ユーザワークRAM104への書き込みが許容されない。言い換えれば、ORゲート回路642の少なくとも一方の入力端子にハイレベルの信号が入力されていると、ユーザワークRAM104への書き込みが規制(禁止)される。
ここで、RAMアクセス規制回路640のフリップフロップ回路641について説明する。
フリップフロップ回路641は、例えば、型番が74HC74のロジックICを用いる。このフリップフロップ回路641は、D型のフリップフロップ回路であり、入力端子として、データ端子(D)、クリア端子(CLR(負論理))、クロック端子(CK(正論理))、及びプリセット端子(PR(負論理))を備えるとともに、出力端子(Q(正論理),Q(負論理))を備える。
データ端子には、データバス660を構成する信号線D0〜D7のうち所定の一本の信号線(例えば、D0)が接続されている。
クリア端子には電源装置160からリセット信号線が接続され、リセット信号が入力されるとクリア端子はローレベルとなる。このとき、このときフリップフロップ回路641は、出力端子Q(正論理)からローレベルの信号を出力させ、出力端子Q(負論理)からハイレベルの信号を出力させる。出力端子Q(正論理)からの出力と、出力端子Q(負論理)からの出力は、相互に反転するレベルとなっている。
また、クロック端子は、出力制御回路612に接続されており、通常、ローレベルに維持されている。
このフリップフロップ回路641に備えた出力端子Q(負論理)からの信号レベルは、CPUコア102によって、自在に設定できるようになっている。この設定は、CPUコア102が、フリップフロップ回路641に割り当てられたアドレスの記憶領域に所定のデータを書き込むことで実現される。
具体的には、CPUコア102によってフリップフロップ回路641に割り当てられたアドレスの記憶領域にデータを書き込む処理が行われると、CPUコア102からアドレスバス650へは、フリップフロップ回路641のアドレスが出力される。次に、アドレスデコーダ611から、出力制御回路612を介して、フリップフロップ回路641のクロック端子にクロック信号が入力され、クロック端子の電圧レベルは立ち上がりハイレベルとなる。
このときフリップフロップ回路641は、データ端子に入力されている信号を取り込んで、取り込んだ信号を出力端子Q(正論理)から出力し、取り込んだ信号の反転値を出力端子Q(負論理)から出力する。
また、フリップフロップ回路641は、出力制御回路612がクロック信号の入力を終了した場合には、クロック端子の電圧レベルは立ち下がりローレベルとなり、出力端子Q(正論理)及び出力端子Q(負論理)の電圧レベルを保持する。
プリセット端子は、図示しないプルアップ抵抗に接続され、プリセット端子の電圧レベルは常にハイレベルとなる。
また、出力端子Q(負論理)は、ORゲート回路652の入力端子に信号を出力する。出力端子Q(正論理)には何も接続されない。
次に、フリップフロップ回路641の入力状態に応じた各種動作について説明する。
フリップフロップ回路641は、前述したように、クロック端子の電圧レベルの立ち上り、つまりクロック信号の入力開始時に、データ端子の電圧レベルを読み取り、読み取った電圧レベルの反転値を出力端子Q(負論理)から出力する。
一方、フリップフロップ回路641は、クロック端子の電圧レベルの立ち下がり、つまり、クロック信号の入力終了時に、クロック端子の電源レベルの立ち上がり時の出力端子Q(負論理)からの出力を保持する。
出力端子Q(負論理)からハイレベルの信号がORゲート回路642の入力端子に出力されていると、ORゲート回路642の他方の入力端子にローレベル及びハイレベルのいずれの信号が入力されても、ORゲート回路642の出力端子からはハイレベルの信号が出力される。
このため、フリップフロップ回路641の出力端子Q(負論理)からハイレベルの信号が出力されていれば、ORゲート回路642の他方の入力端子に書込指令信号が入力されても(当該他方の入力端子にローレベルの信号が入力されても)、ユーザワークRAM104の書込指令入力端子にはローレベルが入力されなくなり、RAM書込禁止状態が発生する。
RAMアクセス規制回路640をRAM書込禁止状態にするかRAM書込許可状態にするかは、クロック信号がフリップフロップ回路641に入力されたときのフリップフロップ回路641のデータ端子に入力される電圧レベル、又はリセット信号の入力の有無に基づく。
前述のようにCPUコア102は、出力制御回路612を制御してクロック信号の出力を制御でき、データバス660の信号線の出力も制御できるので、フリップフロップ回路641の出力端子Q(負論理)から出力される信号は、CPUコア102によって制御可能である。言い換えると、CPUコア102は、データバス660の信号レベルを制御することによってRAMアクセス規制回路640の書込状態を制御できる。
さらに、前述のようにフリップフロップ回路641のクリア端子にリセット信号が入力された場合には、フリップフロップ回路641は、出力端子Qの電圧レベルをローにするため、出力端子Q(負論理)の電圧レベルはハイになる。このため、フリップフロップ回路641にリセット信号が入力された場合には、RAMアクセス規制回路640では、RAM書込禁止状態が発生することになる。
次に、通信ポート670、680について説明する。
通信ポート670、680は、D型のフリップフロップ回路によって構成される。例えば、このフリップフロップ回路には、例えば、型番が74HC273のロジックICが用いられる。
このフリップフロップ回路は、D0〜D7端子(図ではD0_D7)、クロック端子(CK)、クリア端子(CLR(負論理))、及び出力端子Q0〜Q7(図ではQ0_Q7)を備える。
DO〜D7端子は、データバス690に接続され、演出制御装置150又は払出制御装置210に送信するデータをデータバス690から取得するための端子である。
クリア端子には、電源装置160からリセット信号線が接続され、リセット信号が入力されるとリセット端子の電圧レベルはローレベルとなる。このとき、通信ポート670、680は、出力端子Q0〜Q7の全てからローレベルの信号を出力させる。
この通信ポート670、680に備えた出力端子Q0〜Q7からの信号レベルは、CPUコア102によって、自在に設定できるようになっている。この設定は、CPUコア102が、通信ポート670又は通信ポート680に割り当てられたアドレスの記憶領域に所定のデータを書き込むことで実現される。
具体的には、CPUコア102によって通信ポート670(又は通信ポート680)に割り当てられたアドレスの記憶領域にデータを書き込む処理が行われると、CPUコア102からアドレスバス650へは、通信ポート670(又は通信ポート680)のアドレスが出力される。
次に、アドレスデコーダ611から、出力制御回路612を介して、通信ポート670(又は通信ポート680)のクロック端子にクロック信号が入力され、クロック端子の電圧レベルは立ち上がりハイレベルとなる。
通信ポート670、680は、クロック端子の電圧レベルの立ち上り、つまりクロック信号の入力開始時に、D0〜D7端子を介してデータバス690からデータを読み取り、読み取ったデータをQ0〜Q7端子から出力する。
また、通信ポート670、680は、クロック端子の電圧レベルの立ち下がり、つまりクロック信号の入力終了時に、Q0〜Q7端子の電圧レベルを保持する。
前述のように、出力制御回路612が払出制御装置210に接続される通信ポート680へクロック信号を入力すると、通信ポート680は、クロック信号が入力されたタイミングで、データバス690からデータを読み取り、読み取ったデータを払出制御装置210へ出力する。
また、前述のように、通信ポート670、680にリセット信号が入力されると、通信ポート670、680を初期化する。具体的には、リセット信号が入力されると、D0〜D7端子の電圧レベルに拘らず、Q0〜Q7端子の電圧レベルがローレベルとなり、通信ポート670、680が初期状態となる。
なお、前述したセキュリティ回路630、RAMアクセス規制回路640、及び通信ポート670、680の起動(リセット)は、電源装置160からのリセット信号を、前述のリセット割込制御回路610(図17)を介して受け入れた場合に実行される。
但し、電源装置160からのリセット信号は、必ずしもリセット割込制御回路610を介して各回路に入力される必要はなく、リセット割込制御回路610を経由しない別個の信号線を介して各回路に入力されるような構成でもよい。
また、払出制御装置210は、通信ポート670、680を備えてはいないが、通信ポート680からの出力信号を受け入れる図示しない受信用ポート(指令入力手段)を備えている点が、図18に示した遊技制御装置100と異なっている。その他の構成は、図18に示した遊技制御装置100と同じ構成である。
また、演出制御装置150は、通信ポート670、680を備えてはいないが、通信ポート670からの出力信号を受け入れる図示しない受信用ポート(指令入力手段)を備えている点が、図18に示した遊技制御装置100と異なっている。
さらに、遊技用演算処理装置600がRAMアクセス規制回路640を備えていない。その他の構成は、図18に示した遊技制御装置100と同じ構成である。
なお、払出制御装置210及び演出制御装置150に備えた受信用ポートは、型番が74HC244のロジックICを用いる。74HC244はスリーステートバッファであり、遊技制御装置100の通信ポート670、680からの信号を、スリーステートバッファのデータ入力側に接続し、スリーステートバッファのデータ出力側を、払出制御装置210(又は演出制御装置150)に形成したデータバス690に接続する構成となる。
図19は、本実施形態のユーザワークRAM104の説明図である。
ユーザワークRAM104は、第1停電復旧領域701、ワークエリア702、チェックサム領域703、第2停電復旧領域704、使用禁止領域705、及びスタック領域706を有する。
ユーザワークRAM104には、アドレス「2800H」〜「29FFH」が割り当てられており、第1停電復旧領域701にはアドレス「2800H」が割り当てられ、ワークエリア702にはアドレス「2801H」〜「2917H」が割り当てられ、チェックサム領域703にはアドレス「2918H」が割り当てられ、第2停電復旧領域704にはアドレス「2919H」が割り当てられ、使用禁止領域705にはアドレス「291AH」〜「297FH」が割り当てられ、スタック領域706にはアドレス「2980H」〜「29FFH」が割り当てられる。
ユーザワークRAM104の各領域について説明する。
第1停電復旧領域701及び第2停電復旧領域704は、遊技機1へ電源が供給開始されたときに参照される情報が格納されており、直前の電源供給停止のとき(停電発生や遊技機1の電源スイッチをオフにしたとき)に、電源遮断の処理が正しく実行されていたかたか否かを示す情報(電源遮断確認フラグ)が格納されている。
ワークエリア702には、遊技制御で必要な変数等が格納され、図22及び図23に示す遊技制御装置メイン処理並びに図24に示すタイマ割込処理等で、これらの変数が更新される。チェックサム領域703には、停電発生時に算出されたユーザワークRAM104の第1停電復旧領域701、ワークエリア702、チェックサム領域703、第2停電復旧領域704のチェックサムが格納される。
使用禁止領域705は使用されない記憶領域であり、当該領域へのアクセスがあると、CPUコア102がリセットされるようになっている。
スタック領域706には、CPUコア102で演算されているデータの一部を一時的に退避させる場合に、退避データが格納される。また、割込みが発生した場合の戻りアドレスや、サブルーチンや関数を呼び出す場合の戻りアドレスも格納される。
図20は、本実施形態のスタック領域706の説明図である。
図20では、スタック領域706に戻りアドレスが格納される場合について、説明する。
まず、スタック領域706に何もデータが格納されていない状態では、スタックポインタ(SP)は、スタック領域の最終領域(29FFH)に隣接する領域(2A00H)をスタックポインタ初期値として示している。
なお、このスタックポインタ初期値が示す領域は、スタック領域には含まれない領域(本実施形態では、ユーザワークRAM104の記憶領域にも含まれていない領域)である。
次に、スタック領域706に退避データが格納されたり、割込み発生やサブルーチン呼び出しによって、スタック領域706に戻りアドレスが格納されたりすると、最後にデータ(又はアドレス)が格納された領域を、スタックポインタによって示すことになる。
そして、スタック領域706から退避データが復帰したり、戻りアドレスを取り出した際(割込み処理やサブルーチンの処理が終了して呼び出し元に戻る際)には、その時点でスタックポインタが示しているデータ(又はアドレス)が取り出され、次にデータが取り出される予定の格納領域が、スタックポインタによって示される。
このようにして、スタック領域706に格納された戻りアドレスは、後に格納された戻りアドレスから先に読み出される。
なお、図20では、スタックポインタが第3戻りアドレスを指しているときに、新たに、割込みやサブルーチン呼び出しが発生して、戻りアドレスを第4戻りアドレスとして格納した様子を示している。この後、第4戻りアドレスの格納領域(29F8H)が、スタックポインタによって示されることになる。
図21は、本実施形態の各装置(遊技制御装置100、払出制御装置210、及び演出制御装置150)の電源投入時処理のフローチャートである。
具体的には、図21(A)は、遊技制御装置100の電源投入時処理のフローチャートであり、図21(B)は、払出制御装置210の電源投入時処理のフローチャートであり、図21(C)は、演出制御装置150の電源投入時処理のフローチャートである。
遊技制御装置100の電源投入時処理(図21(A))から説明する。この電源投入時処理は、最初からCPU102によって実行される処理ではなく、まず遊技制御装置100に備わる各種ハードウェアによって実行され、後にCPU102によって実行される処理である。
まず、遊技制御装置100に電源装置160からリセット信号が伝達される(901)。
このリセット信号は、電源装置160から、セキュリティ回路630(図18参照)、RAMアクセス規制回路640のフリップフロップ回路641のクリア端子(図18参照)、及び通信ポート670、680のクリア端子に入力される。
具体的には、これらのクリア端子には、電源が投入されると、所定時間所定の電圧(例えば、5V)以下の電圧が印加されることによって、リセット信号が入力され、所定時間経過後に所定の電圧が印加されることによって、リセット信号が入力されなくなる。
なお、セキュリティ回路630は、電源装置160からリセット信号が入力されると、後述のセキュリティチェック処理が終了するまでCPUコア102のリセット端子にリセット信号を出力し続けて、CPUコア102の起動を待機させる。
そして、通信ポート670、680のクリア端子にリセット信号が入力されたので、通信ポート670、680のD0〜D7端子及びQ0〜Q7端子の電圧レベルがローに制御され、各種装置(普電SOL95、大入賞口SOL96等)に接続される出力I/F106のポートをすべて0に設定することにより、通信ポート670、680、及び出力I/F106がハードウェアにより初期化される(902)。
次に、RAMアクセス規制回路640によって、ユーザワークRAM104への書き込み規制されるRAM書込禁止状態が発生する(903)。
具体的には、図18で説明したように、フリップフロップ回路641のクリア端子にはリセット信号が入力されるため、フリップフロップ回路641の出力端子Q(負論理)からハイレベルの信号が出力される状態となる。
これにより、ORゲート回路642の他方の入力端子にハイレベルの信号が入力されても、ローレベルの信号が入力されても、ユーザワークRAM104の書込指令入力端子にはハイレベルの信号が入力されることになるため、RAM書込禁止状態が発生する。
次に、リセット信号が入力された図18に示すセキュリティ回路630が自己診断処理を実行する(904)。自己診断処理は、セキュリティ回路630が初期化されているか否かを判定する処理である。
そして、自己診断処理によって、セキュリティ回路630が初期化されていると判定された判定された場合には、セキュリティ回路630は、セキュリティチェック処理を実行する(905)。
セキュリティチェック処理は、図18で説明したように、HWパラメータROM603(図17参照)に記憶された正当性確認情報を用いて、ユーザプログラムROM602(図17参照)に記憶されたプログラムの正当性の判定を行う処理である。
ステップ905の処理で、セキュリティチェック処理を実行すると、遊技制御装置100のメイン処理へ移行する。このとき、セキュリティ回路630は、CPUコア102のリセット端子に出力していたリセット信号を停止することで、CPUコア102が起動する。このため、遊技制御装置100のメイン処理は、CPUコア102によって実行される。遊技制御装置100のメイン処理は図22で説明する。
次に、払出制御装置210の電源投入時処理(図21(B))を説明する。前述したように、払出制御装置210は、通信ポート670、680の代わりに、図示しない受信用ポート(図16の入出力I/F216入力に含まれる)を備えている点以外は、図18に示した遊技制御装置100と同じ構成である。図18に示す遊技制御装置100の構成部と同じ構成部については、同じ符号を付与する。
まず、払出制御装置210に電源装置160からリセット信号が伝達される(911)。なお、ステップ911の処理の具体的な説明は、ステップ901の処理と同じである。
そして、払出制御装置210にリセット信号が入力されたので、払出制御装置210の出力ポート(図16の入出力I/F216に含まれる)の電圧レベルが0に設定され、各種装置(払出モータ220、及び発射制御装置221等)に接続される入出力I/F216のポートがすべて0に設定され、入出力I/F216がハードウェアにより初期化される(912)。
次に、払出制御装置210のRAMアクセス規制回路640によって、RAM214への書き込み規制されるRAM書込禁止状態が発生する(913)。なお、ステップ913の処理の具体的な説明は、ステップ903の処理と同じである。
次に、リセット信号が入力された払出制御装置210のセキュリティ回路630が自己診断処理を実行する(914)。なお、ステップ914の処理の具体的な説明は、ステップ904の処理と同じである。
そして、自己診断処理によって、セキュリティ回路630が初期化されていると判定された判定された場合には、セキュリティ回路630は、セキュリティチェック処理を実行する(915)。なお、ステップ915の処理の具体的な説明は、ステップ905の処理と同じである。
そして、払出制御装置210は、電源投入時の初期化処理を実行する(916)。電源投入時の初期化処理は、RAM214等を初期化する処理であって、CPU212によって実行される。また、RAM214を初期化する前に、ステップ913の処理で発生したRAM書込禁止状態が解除されて、RAM214はRAM書込可能状態となる。
次に、払出制御装置210は、前述の図示しない受信ポート(図18の遊技制御装置100の排出制御通信ポート670に接続されている)からのデータの取り込みを許可することによって、遊技制御装置100からの指令を受信可能な状態を発生させる(917)。
そして、払出制御装置210は、受信用ポートから遊技制御装置100から送信されたデータを取り込む(918)。
ステップ918の処理について、払出制御装置210の構成は遊技制御装置100の構成とほぼ同じであるため図18を用いて説明すると、払出制御装置210の出力選択回路612によって、この受信用ポート(遊技制御装置100の排出制御通信ポート670に接続されている)が選択されると、遊技制御装置100の排出制御通信ポート670から出力されているQ0〜Q7のデータを取り込み、取り込んだデータを払出制御装置210のデータバス690に出力する。
そして、払出制御装置210のCPU212は、受信用ポートによって取り込まれたデータが初期化指令であるか否かを判定する(919)。ここでは、まず、排出制御通信ポート670から出力されているQ7の信号(図29(A)で後述するSTBに相当)が立ち上がるタイミングを待つ。
そして、Q7の信号が立ち上がったタイミングにて、排出制御通信ポート670から出力されているQ0〜Q6の信号(図29(A)で後述するDATAに相当)が、予め規定されている初期化指令(図30で詳細を後述)であるか否かにより判定する。
ステップ919の処理で、通信ポートによって取り込まれたデータが初期化指令でないと判定された場合、ステップ918の処理で戻り、初期化指令が取り込まれるまで、ステップ918の処理を実行する。
一方、ステップ918の処理で、受信用ポートによって取り込まれたデータが初期化指令であると判定された場合は、払出制御装置210の初期化に必要な全ての初期化指令を受信するまでステップ918〜919の処理を繰り返した後に、通信開始時の初期化処理を実行して(920)、払出制御装置メイン処理へ移行する。
次に、演出制御装置150の電源投入時処理(図21(C))を説明する。
前述したように、演出制御装置150は、通信ポート670、680の代わりに、図示しない受信用ポートを備えている点、及び、遊技用演算処理装置600がRAMアクセス規制回路640を備えない点以外は、図18に示した遊技制御装置100と同じ構成である。図18に示す遊技制御装置100の構成部と同じ構成部については、同じ符号を付与する。
まず、演出制御装置150に電源装置160からリセット信号が伝達される(921)。なお、ステップ921の処理の具体的な説明は、ステップ901の処理と同じである。
そして、演出制御装置150にリセット信号が入力されたので、演出制御装置150の受信用ポートがハードウェアにより初期化される(922)。
そして、演出制御装置150は、電源投入時の初期化処理を実行する(923)。電源投入時の初期化処理は、RAM154等を初期化する処理であって、CPU152によって実行される。このとき、CPU152は、位置検出センサ(図示せず)からの信号入力を監視しながら、駆動源93a〜93d(前述の可動物60〜62を駆動する駆動源)を制御することで、前述の可動物60〜62を初期位置に戻す制御を開始する。
次に、演出制御装置150は、受信用ポートに対してデータの取り込みを許可することによって、遊技制御装置100からの指令を受信可能な状態を発生させる(924)。
そして、演出制御装置150は、受信用ポートから遊技制御装置100から送信されたデータを取り込む(925)。
ステップ925の処理について、演出制御装置150の構成は遊技制御装置100の構成とほぼ同じであるため図18を用いて説明すると、演出制御装置150の出力選択回路612によって、この受用信ポート(遊技制御装置100の演出制御通信ポート680に接続されている)が選択されると、遊技制御装置100の演出制御通信ポート680から出力されているQ0〜Q7のデータを取り込み、取り込んだデータを演出制御装置150のデータバス690に出力する。
そして、演出制御装置150のCPU152は、受信用ポートによって取り込まれたデータが初期化指令であるか否かを判定する(926)。ここでは、まず、演出制御通信ポート680から出力されているQ7の信号(図29(A)で後述するSTBに相当)が立ち上がるタイミングを待つ。
そして、Q7の信号が立ち上がったタイミングにて、演出制御通信ポート680から出力されているQ0〜Q6の信号(図29(A)で後述するDATAに相当)が、予め規定されている初期化指令(図31で詳細を後述)であるか否かにより判定する。
ステップ926の処理で、受信用ポートによって取り込まれたデータが初期化指令でないと判定された場合、ステップ925の処理で戻り、初期化指令が取り込まれるまで、ステップ925の処理を実行する。
但し、受信用ポートによって取り込まれたデータのパターン(Q0〜Q7のパターン)が、図34で後述する仕様特定信号となっている場合には、図34のステップ2212の仕様の確定の処理へ移行するが、これについては後述する。
一方、ステップ926の処理で、受信用ポートによって取り込まれたデータが初期化指令であると判定された場合は、演出制御装置150の初期化に必要な全ての初期化指令を受信するまでステップ925〜926の処理を繰り返した後に、通信開始時の初期化処理を実行する(927)。
ここでは、初期化指令のうち、遊技機の仕様を特定する情報(初期化時仕様特定情報)が含まれている指令に基づいて、演出制御装置150は、当該遊技機1の仕様を判別する。そして、演出制御装置150のCPU152は、RAM154に遊技機1の仕様を判別した結果の情報(遊技仕様情報)を記憶する。さらに、初期化指令に含まれる確率状態の情報に対応させて、前述の可動物60〜62の位置を変更する処理を行う。
なお、ステップ927の通信開始時の初期化処理を開始する時点において、即ち初期化指令を受信できた時点において、前述のステップ923で開始した可動物60〜62を初期位置に戻す処理が完了していないときは、位置検出センサからの信号入力により、当該可動物60〜62が初期位置に戻ったことが確認されてから、この通信開始時の初期化処理を実行する。
ステップ927の処理を終えると、演出制御装置メイン処理(図34に後述)へ移行する。
次に、遊技制御装置100のCPU102によって実行される遊技制御装置メイン処理を、図22及び図23を用いて説明する。
図22は、本実施形態の遊技制御装置メイン処理の前半部のフローチャートであり、図23は、本実施形態の遊技制御装置メイン処理の後半部のフローチャートである。
まず、遊技制御装置100は、CPU102への割込みを禁止する(1001)。
そして、遊技制御装置100は、図20に示すスタック領域706の予め設定された所定のアドレス(図20で前述したスタックポインタ初期値)にスタックポインタを設定し(1002)、割込モードを設定する(1003)。
割込モードは、CPU102が内蔵デバイスからの割込要求の処理を可能とし、また、プログラムにおいて割込要求の処理を実行する位置を設定することを可能とするものである。
次に、遊技制御装置100は、入力I/F105からRAMクリアSW信号の状態を取り込み、取り込んだRAMクリアSW信号の状態をCPU102のレジスタに記憶する(1004)。
そして、遊技制御装置100は、RAM104を使用しないディレイ処理を実行する(1005)。このディレイ処理は、所定時間処理を待機させる処理であり、具体的には、チェックサムが算出されない記憶領域にて、所定の数が0になるまでデクリメントし続ける処理である。なお、ディレイ処理については、図24及び図25で詳細を説明する。
次に、遊技制御装置100は、再度、入力I/F105からRAMクリアSW信号の状態を取り込み、取り込んだRAMクリアSW信号の状態をCPU102のレジスタに記憶する(1006)。
なお、CPU102が二つのRAMクリア信号の状態を比較できるように、ステップ1004の処理でRAMクリアSW信号の状態を記憶するレジスタの領域、及び、ステップ1006の処理でRAMクリアSW信号の状態を記憶するレジスタの領域は、異なる領域である。
次に、遊技制御装置100は、ステップ903の処理で発生したRAM書込禁止状態をRAM書込可能状態にする(1007)。
具体的には、CPU102の指令によって、フリップフロップ回路641のクロック端子にクロック信号を出力制御回路612から入力させ、かつ、フリップフロップ回路641のデータ端子に接続された信号線の信号レベルをハイレベルにする。
これにより、フリップフロップ回路641の出力端子Q(正論理)からハイレベルの信号が出力され、出力端子Q(負論理)からローレベルの信号が出力されるため、ORゲート回路652の入力端子にローレベルの信号が入力されることにより、RAM書込可能状態になる。
次に、遊技制御装置100は、スタック領域706を使用して、各種設定処理を実行する(1008)。この設定処理は、例えば、サブルーチンや関数を呼び出して、遊技制御に必要な各種記憶領域に初期データを設定する処理である。
これらのサブルーチンや関数は、遊技制御プログラムに記述した複数の箇所から呼び出される形態となっており、遊技制御プログラムの容量削減に貢献している。一方で、サブルーチンや関数を呼び出す際には、前述したように、戻りアドレスをスタック領域706に待避する処理を必要とする。
そして、遊技制御装置100は、ステップ1004の処理でレジスタに記憶されたRAMクリアSW信号の状態とステップ1008の処理でレジスタに記憶されたRAMクリアSW信号の状態とを比較して、どちらのRAMクリアSW信号の状態も、RAMクリアSW162が操作されたことを示しているか否かを判定する(1009)。
ステップ1009の処理では、異なるタイミングで取得したRAMクリア信号の状態に基づいてRAMクリアSW162が操作されたか否かを判定しているので、ノイズ等による誤判定を防止できる。
ステップ1009の処理で、RAMクリアSW162が操作されたと判定された場合、遊技制御装置100は、ユーザワークRAM104のすべての記憶領域を初期化する(1010)。
そして、遊技制御装置100は、初期化指令信号を払出制御装置210及び演出制御装置150へ送信する(1011)。ここでは、払出制御装置210を初期化させるために必要な初期化指令信号(図30で後述)を全て送信する。また、演出制御装置150を初期化させるために必要な初期化指令信号(図31で後述)を全て送信する。
この初期化指令信号を送信する際には、当該遊技機の仕様を特定する情報(初期化時仕様特定情報)を含んで送信する。当該遊技機の仕様は、遊技制御装置100のROM103に予め記憶されている。
そして、ステップ1011の処理を終えると、図23に示すステップ1017の処理に進む。
一方、ステップ1009の処理で、RAMクリアSW162が操作されていないと判定された場合、遊技制御装置100は、ユーザワークRAM104の第1停電復旧領域701及び第2停電復旧領域704に、電源遮断確認フラグが格納されているか(正確には、電源遮断確認フラグがオンとなっているか)を確認する(1012)。
そして、遊技制御装置100は、直前の電源供給停止のときに、電源遮断の処理が正しく実行されていたか否かを判定する(1013)。
具体的には、遊技制御装置100は、第1停電復旧領域701及び第2停電復旧領域704の両方に電源遮断確認フラグが格納されている場合には、電源遮断の処理が正しく実行されているものであると判定し、一方、第1停電復旧領域701及び第2停電復旧領域704の少なくとも一方に電源遮断確認フラグが格納されていない場合(少なくとも一方の電源遮断確認フラグがオフの場合)には、電源遮断の処理が正しく実行されていないと判定する。
ステップ1013の処理で電源遮断の処理が正しく実行されていたと判定された場合には、遊技制御装置100は、ユーザワークRAM104の第1停電復旧領域701、ワークエリア702、チェックサム領域703、及び第2停電復旧領域704を用いてチェックサムを算出して、算出したチェックサムがチェックサム領域703に格納されているチェックサムと一致するか否かを照合する(1014)。
なお、チェックサム領域703に格納されているチェックサムは、停電検出時のユーザワークRAM104の第1停電復旧領域701、ワークエリア702、チェックサム領域703、及び第2停電復旧領域704を用いてチェックサムを算出して、格納されたものである。
つまり、ステップ1014の処理は、停電検出時のユーザワークRAM104に格納された情報と電源投入時のユーザワークRAM104に格納された情報とが一致するか否かを照合する処理である。
そして、ステップ1014の処理の照合結果が、算出したチェックサムとチェックサム領域703に格納されたチェックサムとが一致するものであるか否かを判定する(1015)。
ステップ1014の処理で算出したチェックサムとチェックサム領域703に格納されたチェックサムとが一致しないとステップ1015の処理で判定された場合、つまり、停電検出時のユーザワークRAM104に格納された情報と電源投入時のユーザワークRAM104に格納された情報とが一致しない場合には、遊技制御装置100は、ステップ1010の処理に進み、ユーザワークRAM104のすべての領域を初期化し、ステップ1011の処理にて初期化指令を払出制御装置210及び演出制御装置150に送信する。
一方、ステップ1014の処理で、ステップ1014の処理で算出したチェックサムとチェックサム領域703に格納されたチェックサムとが一致するとステップ1015の処理で判定された場合、つまり、停電検出時のユーザワークRAM104に格納された情報と電源投入時のユーザワークRAM104に格納された情報とが一致する場合には、遊技制御装置100は、遊技制御装置100の起動に必要な領域(ユーザワークRAM104の一部の領域)を初期化する(1016)。
このとき、ユーザワークRAM104の第1停電復旧領域701及び第2停電復旧領域704の各々にて、電源遮断確認フラグが消去(正確には、各領域にて電源遮断確認フラグがオフ)される。
そして、遊技制御装置100は、初期化指令を払出制御装置210及び演出制御装置150に送信する(1011)。
これらの処理が完了すると、遊技制御装置100に関する初期化処理が完了となる。次いで、図23に示すステップ1017の処理に進む。
次に、ステップ1011の処理で初期化指令が払出制御装置210及び演出制御装置150に送信された後、遊技制御装置100は、各種時間を計測やタイマ割込みを行うためのCTC(Counter Timer Circuit)を起動し(1017)、遊技制御に関する乱数を生成する乱数回路を初期化する(1018)。そして、遊技制御装置100は、ステップ1001の処理で禁止されたCPU102への割込みを許可する(1019)。
次に、遊技制御装置100は、初期値乱数を更新する初期値乱数更新処理を実行する(1020)。初期値乱数とは、遊技制御に関する乱数のカウンタ(例えば、第1始動入賞口25または第2始動入賞口30へ入賞したタイミングで取得される乱数のカウンタ)が上限値に達した場合に初期値に戻るが、その初期値を決定するための乱数である。
そして、遊技制御装置100は、停電検出信号が入力されたか否かを確認し(1021)、ステップ1021の処理での確認結果が、停電検出信号が入力されたことを示すか否かを判定する(1022)。
ステップ1022の処理で、停電検出信号が入力されていないと判定された場合、停電は発生していないので、ステップ1020の処理に戻る。
一方、ステップ1022の処理で、停電検出信号が入力されたと判定された場合、遊技制御装置100は、CPU102への割込みを禁止し(1023)、出力I/F106に備わる出力ポートの電圧レベルをローレベルに設定する(1024)。
次に、遊技制御装置100は、ユーザワークRAM104の第1停電復旧領域701及び第2停電復旧領域704に、電源遮断確認フラグを格納(正確には、各領域にて電源遮断確認フラグをオン)し(1025)、ユーザワークRAM104の第1停電復旧領域701、ワークエリア702、チェックサム領域703、及び第2停電復旧領域704を用いてチェックサムを算出して、算出したチェックサムをチェックサム領域703に格納する(1026)。
次に、遊技制御装置100は、RAMアクセス規制回路640によってユーザワークRAM104をRAM書込禁止状態にする(1027)。
具体的には、CPU102の指令によって、フリップフロップ回路641のクロック端子にクロック信号を出力制御回路612から入力させ、かつ、フリップフロップ回路641のデータ端子に接続された信号線の信号レベルをローレベルにする。
これにより、フリップフロップ回路641の出力端子Q(正論理)からローレベルの信号が出力され、出力端子Q(負論理)からハイレベルの信号が出力されるため、ORゲート回路652の入力端子にハイレベルの信号が入力されることにより、RAM書込禁止状態になる。
そして、遊技制御装置100は、遊技機1の電源が切れるまで待機する(1028)。なお、遊技制御装置100には、バックアップ電源が接続されているので、停電が発生しても、すぐに電源が切れることはない。
なお、本実施形態では、ステップ1014の処理で電源断時のユーザワークRAM104と電源投入時のユーザワークRAM104との正当性を判定する前のステップ1007の処理でRAM書込可能状態にしたが、RAM書込可能状態にするタイミングは、遅くともステップ1014の処理の正当性に応じて行われるステップ1010又は1016の処理におけるユーザワークRAM104の初期化処理の実行直前であればよい。
このように、遊技機1にて電源供給が遮断した場合には、必要な電源遮断処理を実行した後は、ユーザワークRAM104をRAM書込禁止状態に設定し、遊技機1にて再度電源供給が復帰したときでも、すぐにユーザワークRAM104をRAM書込可能状態としないで、ハードウエアに関する初期化処理を一定時間実行し、ステップ1014の処理の正当性に応じて行われるステップ1010又は1016の処理におけるユーザワークRAM104の初期化処理の実行直前になって、ようやくRAM書込可能状態にすることによって、ユーザワークRAM104の初期化まで不用意なユーザワークRAM104の書き込みを防止できる。
そのため、ステップ1014の処理における正当性判定が行われる直前には、RAM書込禁止状態になっているので、電源投入後にユーザワークRAM104に誤った書き込みがなされ、ステップ1014の処理で誤った判定がされることを防止できる。
なお、本実施形態では、ステップ1008の処理でスタック領域706を用いた各種設定処理を実行するために、ステップ1014の処理における正当性判定処理の前のステップ1007の処理でRAM書込可能状態にしている。
これによって、正当性判定を行う前に正当性判定の対象とはならないスタック領域706を用いた各種設定処理を行うことができるようになるため、遊技制御装置100の各種設定を早い段階で行うことができるので遊技制御装置100の起動を高速化でき、また、スタック領域706を用いるので処理プログラムが共通化でき、プログラム容量を削減できる。
なお、図22では、ステップ1010又は1016の処理でユーザワークRAM104を初期化した後、ステップ1015の処理で初期化指令信号を送信しているが、ステップ1014における正当性判定の実行前のステップ1008の処理の実行後に初期化指令信号を送信してもよい。
この場合には、ステップ1014の処理における正当性判定の実行前であるので、正当性判定に寄与しないスタック領域706又はCPU102に備わるレジスタを用いて、初期化指令信号を送信する。
ステップ1010又は1016の処理では、RAM104の一部領域を初期化する処理であるステップ1016の処理が、RAM104の全領域を初期化する処理であるステップ1010の処理よりも実行時間が長いため、ステップ1010の処理を実行するかステップ1016の処理を実行するかによって、初期化指令信号が送信される時間が異なってしまう。
ステップ1014の処理における正当性判定の実行前に初期化指令信号を送信することによって、ステップ1011の処理で初期化指令信号を送信するよりも早く初期化指令信号を送信できる。また、電源投入から一定時間で初期化指令信号を送信することができる。
図24は、本実施形態のディレイ処理の説明図である。
このディレイ処理は、図22のステップ1005で実行されるが、当該ディレイ処理を実行している時点では、ユーザワークRAM104の値が更新できないようにRAM書込禁止状態となっている。これは、直前の停電発生時に格納されたチェックサムと、電源投入直後となる現時点でのチェックサムとの照合を行うためである。
このため、図22に示すステップ1005の処理のディレイ処理では、正当性の判定が行われる記憶領域が含まれたユーザワークRAM104を用いず、他の記憶領域(正当性判定の対象とならない判定対象外記憶領域)を用いてディレイ処理を実行しなければならない。したがって、本実施形態のディレイ処理は、CPUコア102に備わるレジスタ(汎用レジスタ)を用いて実行される。
以下に、レジスタを用いたディレイ処理を説明する。なお、CPUコア102として、Z80系のCPUを用いるものとするので、Z80系のCPUで使用されるレジスタ及びアセンブリ言語を用いて説明を行う
まず、行1201は、当該ディレイ処理の最初の処理に相当し、CPUコア102のレジスタ(図18参照)のHレジスタ及びLレジスタを1つのペアとして構成したHLレジスタに、「0400H」をロードする。具体的には、Hレジスタに「04H」がロードされ、Lレジスタには「00H」がロードされる。
次に、行1203に進み、行1203では、HLレジスタの値をデクリメントする。1回目に行1203が実行された場合には、HLレジスタの値は「03FFH」となる。
そして、行1204に進み、行1204では、Hレジスタに格納された値をAレジスタにロードする。
そして、行1205に進み、AレジスタとLレジスタとの論理和が算出される。行1206では、行1205で算出された論理和がゼロでなければ、行1202に戻る。従って、Hレジスタ及びLレジスタの両方が「00H」となるまで、行1203〜1206の処理を繰り返すことになる。
つまり、図24では、維持タイマとして使用されるHレジスタ及びLレジスタに格納された「0400H」が「0000H」になるまでデクリメントされるもので、合計1024回デクリメントが行われる。この間、図22に示す遊技制御装置メイン処理は、ステップ1005の処理で待機するため、遊技制御装置100の起動が遅延することとなる。
また、このディレイ処理中は、ユーザワークRAM104へのアクセスが全く行われない。即ち、正当性の判定が行われる記憶領域が含まれたユーザワークRAM104の値を書き換えることなく、ディレイ処理を実行することができる。
図25は、本実施形態の変形例のディレイ処理の説明図である。
前述の図24のディレイ処理は、ユーザワークRAM104の記憶領域を全く使用しないで処理を行うものであったが、この変形例では、ユーザワークRAM104の記憶領域のうち、正当性判定の対象となっている第1停電復旧領域701、ワークエリア702、チェックサム領域703、第2停電復旧領域704の各記憶領域にはアクセスしないが、正当性判定の対象外のスタック領域706を使用して、処理を行うようにしている。
そのため、図22のステップ1005にて、図25の手順でディレイ処理を実行する場合には、ステップ1005の実行前に、ユーザワークRAM104をRAM書込可能状態に設定しておく必要がある。例えば、図22のステップ1007のRAM書込可能状態への変更の処理を、ステップ1005の処理の直前で実行する。
以下にスタック領域706を用いたディレイ処理を説明する。
まず、行1301は、当該ディレイ処理の最初の処理に相当し、CPUコア102のレジスタのAレジスタ及びFレジスタ(フラグレジスタ)に格納されている情報を、AFレジスタペアとして、スタック領域706に退避させる。
行1302では、CPUコア102のレジスタのHレジスタ及びLレジスタに格納されている情報を、1つのペアとして構成したHLレジスタと見なして、スタック領域706に退避させる。
行1303では、このHLレジスタに、「0400H」をロードする。具体的には、Hレジスタに「04H」がロードされ、Lレジスタには「00H」がロードされる。
次に、行1305に進み、行1305では、HLレジスタの値をデクリメントする。1回目に行1305が実行された場合には、HLレジスタの値は「03FFH」となる。
そして、行1306に進み、行1306では、Hレジスタに格納された値をAレジスタにロードする。
そして、行1307に進み、AレジスタとLレジスタとの論理和が算出される。行1308では、行1307で算出された論理和がゼロでなければ、行1304に戻る。従って、Hレジスタ及びLレジスタの両方が「00H」となるまで、行1305〜1308の処理を繰り返すことになる。
また、行1308では、行1307で算出された論理和がゼロである場合には、行1309に進み、スタック領域706に退避させたHレジスタに格納された情報をCPUコア102のHレジスタに戻し、スタック領域706に退避させたLレジスタに格納された情報をCPUコア102のLレジスタに戻す。
そして、行1310に進み、スタック領域706に退避させたAレジスタに格納された情報をCPUコア102のAレジスタに戻し、スタック領域706に退避させたFレジスタに格納された情報をCPUコア102のFレジスタに戻す。
このように、図25のディレイ処理では、ディレイ処理で使用されるCPUコア102のAレジスタ、Fレジスタ、Hレジスタ、及びLレジスタに格納されていた情報を、ディレイ処理が行われる前にスタック領域706に退避させるので、Aレジスタ、Fレジスタ、Hレジスタ、及びLレジスタに格納されていた情報がディレイ処理により消失してしまうことを防止できる。
図24及び図25で説明したように、本実施形態では、ディレイ処理をハードウェアを用いずに、正当性判定に寄与しない、つまりチェックサムを算出しない領域を用いてソフトウェアにより実現(維持タイマを計時)しているので、図22に示すステップ1014の正当性判定を正確に行うことができるとともに、ハードウェアでディレイ処理を実現するよりも安価に実現することができる。
図24及び図25の各手法を比較すると、CPUコア102で使用できるレジスタの数が少ない場合には、図25の手法の方が効果的である。但し、正当性判定の対象となっている第1停電復旧領域701、ワークエリア702、チェックサム領域703、第2停電復旧領域704の各記憶領域を、ノイズ等によって書き換えてしまうことを極力防止したいのであれば、ディレイ処理中を通してユーザワークRAM104をRAM書込禁止状態としている図24の手法の方が、優れているともいえる。
図26は、本実施形態のタイマ割込処理を示すフローチャートである。このタイマ割込処理は、遊技制御装置100のCPUコア102によって実行される。
遊技機の電源が投入されると、遊技制御装置メイン処理(図22及び図23参照)が実行される。そして、ステップ1017の処理で起動させたCTCによって、所定時間周期(例えば、4ミリ秒周期)でタイマ割込みが発生すると、遊技制御装置100のCPU102によって、タイマ割込処理が繰り返し実行される。
ただし、これらの処理(1412〜1422の処理)は、割り込み発生毎に必ずしもすべて行なわれなくてもよい。例えば、入出力処理(S1412)においては、毎回入力信号を監視するが、出力処理は割り込みの発生の1回おきに実行されてもよい。つまり、1回の割り込み処理で一通りの処理をすべて完了するのではなく、この割込処理が複数回繰り返し実行されて一連の遊技制御処理が完了してもよい。
本実施形態のタイマ割込処理においては、まず、レジスタのデータを退避する(1411)。
次に、入出力処理を実行する(1412)。入出力処理は、入力処理と出力処理とを含む。入力処理は、入力I/F105を介して各種センサ(特図始動SW25A、30A、普図始動SW31A、カウントSW27A、入賞口SW32A〜32N、オーバーフローSW109、球切れSW110、枠開放SW111など)から入力される信号にチャタリング除去等の処理をし、入力情報を確定する処理である。
出力処理は、出力I/F106を介して、特図ゲーム処理(1419)及び普図ゲーム処理(1420)にて設定されたパラメータに基づいて、特図表示器120、普図表示器121、普電SOL95、及び大入賞口SOL96を制御するための信号を出力する。
なお、前述したように、入力処理と出力処理とは1回のタイマ割り込みで同時に実行されなくてもよい。
次に、各種処理で送信バッファにセットされた(コマンド)を演出制御装置150及び払出制御装置210等に出力するコマンド送信処理を行う(1413)。具体的には、演出制御装置150に特別図柄変動表示ゲームに係わる演出指令信号(演出コマンド)を出力したり、払出制御装置124に払出指令信号(払出コマンド)を出力したりする。
なお、払出コマンドについては図29で詳細を説明し、演出コマンドについては図30で詳細を説明する。
その後、特別図柄変動表示ゲームの当たりはずれを判定するための当たり乱数カウンタの値を1ずつ加算する乱数更新処理1を行う(1414)。なお、この乱数更新処理1では、特別図柄変動表示ゲームの停止図柄を決定する当たり図柄乱数カウンタの値、普通図柄変動表示ゲームの当たりはずれを判定するための普図当たり乱数にも1ずつ加算する。
次に、乱数の初期値を更新し、乱数の時間的な規則性を崩すための初期値乱数更新処理を実行する(1415)。1415の初期値乱数更新処理は、図23に示す初期値乱数更新処理(1020)と同じなので、説明を省略する。
そして、特別図柄変動表示ゲームに関連した飾り特別図柄変動表示ゲームにおける変動表示パターンを決定する乱数を更新するための変動表示パターン乱数カウンタの値を1ずつ加算する乱数更新処理2を行う(1416)。
次に、各入賞口に遊技球が入賞していないかを監視するために、入賞口監視処理を行う(1417)。具体的には、特図始動SW25A、30A、普図始動SW31A、カウントSW27A、入賞口SW32A〜32N、から信号の入力があるか否か(遊技球の検出を示す信号が入力されているか否か)を監視する。
このとき、特図始動SW25A、30Aによる遊技球の検出があれば、特図乱数カウンタ値(特別図柄変動表示ゲームの結果態様に関する乱数)が特図始動入賞記憶領域に記憶され、普図始動SW31Aによる遊技球の検出があれば、普図乱数カウンタ値(普通図柄変動表示ゲームの結果態様に関する乱数)が普図始動入賞記憶領域に記憶される。
その後、排出球の球詰まりや、各種スイッチ、センサ等の異常などを監視するエラー監視処理を行う(1418)。
その後、特別図柄変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(1419)、普通図柄変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(1420)を行う。
特図ゲーム処理(1419)は、特図始動SW25A、30Aで検出された第1始動入賞口25または第2始動入賞口30への遊技球の入賞に基づいて抽出され、特別図柄始動入賞記憶に記憶された特別図柄乱数カウンタ値(1417の処理で抽出・記憶された特別図柄変動表示ゲームの結果に関する乱数)が当たりか否か判定し、特図表示器120で特別図柄変動表示ゲームを実行する。
なお、特図始動入賞記憶には、直ちに前記変動表示ゲームを実行することができない状態で第1始動入賞口25または第2始動入賞口30へ遊技球が入賞した場合に、抽出された乱数が始動入賞記憶として記憶される。
また、特図表示器120の表示に対応する識別情報の変動表示のための処理を行う。抽出された乱数が所定の値であれば、特別図柄に関する当たり状態となり、識別情報の変動表示が当たり図柄で停止する。また、当たり状態になると、特別変動入賞装置27に遊技球を受け入れやすい開状態になる。
普図ゲーム処理(1420)は、普図始動SW31Aで検出された普通図柄始動ゲート31への遊技球の通過に基づいて抽出され、普通図柄始動入賞記憶に記憶された普通図柄乱数カウンタ値(1417の処理で抽出・記憶された普通図柄変動表示ゲームの結果に関する乱数)が当たりか否かを判定し、普図表示器121で普通図柄の変動表示ゲームを実行する。普図乱数カウンタ値が所定の値であれば、普図に関する当たり状態となり、普通図柄の変動表示が当たり状態で停止するためのパラメータを設定する。
次に、遊技制御装置100は、遊技機1に設けられ、遊技に関する各種情報を表示するセグメントLED(特図表示器120及び普図表示器121)に出力する信号を編集する処理を行う(1421)。具体的には、特別図柄変動表示ゲームが開始されると、今回開始した特別図柄変動表示ゲームの実行回数を減じた特別図柄入賞記憶数を特図表示器120の特図記憶表示部に表示するためのパラメータを編集する。
同様に、普通図柄の変動表示ゲームが開始されると、今回開始した普通図柄変動表示ゲームの実行回数を減じた普通図柄入賞記憶数を普図表示器121の普図記憶表示器に表示するためのパラメータを編集する。
その後、検査装置接続端子107を介して接続される管理用コンピュータに遊技機1の状態を出力するための外部情報を編集する外部情報編集処理を行う(1422)。外部情報には、図柄が確定したか、当たりであるか、確率変動中であるか、変動時間短縮中であるか、変動表示ゲームのスタート等、変動表示ゲームの進行状態に関連する情報が含まれる。また、エラーが発生したことを示すエラー信号も含まれる。
次に、タイマ割り込み処理の終了を宣言する(1423)。
その後、一時退避していたレジスタを復帰する復帰処理(1424)及び禁止設定されていた割り込みの許可設定をする処理を行う(1425)。そして、タイマ割り込み処理を終了し、遊技制御装置メイン処理(図22及び図23)に戻る。そして、次のタイマ割り込みが発生するまで初期値乱数更新処理等(図23のステップ1020〜1022の処理)を繰り返す。
図27は、本実施形態の電源投入時の遊技制御装置100、払出制御装置210、及び演出制御装置150が行う処理、並びに、遊技制御装置100に備わる通信ポート670、680の状態のタイミングチャートである。
リセット信号が、払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670に伝達されると、図21に示すステップ902の処理により、払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670の各々に備えられたQ0〜Q7端子の電圧レベルをすべてローレベルに設定することで、払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670を不定状態(1501)から初期状態(1502)にする。
この払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670の初期状態は、遊技制御装置100が図22に示すステップ1011の処理で初期化指令を送信するために、初期化指令が払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670に設定されるまで(1503)継続する。
一方、遊技制御装置100のセキュリティ回路630にリセット信号が伝達されると、図21に示すステップ904の処理で自己診断処理を実行し、ステップ905の処理でセキュリティチェック処理を実行する(1504)。セキュリティチェック処理の実行後にCPU102が起動し、CPU102によって遊技制御装置メイン処理(図22及び図23)が実行される。
CPU102は、ディレイ処理の実行(1506)前に1回目のRAMクリア信号の取り込み(1505)と、ディレイ処理の実行後に2回目のRAMクリア信号の取り込み(1507)と、を行う。言い換えると、1回目のRAMクリア信号取り込み(1505)と2回目のRAMクリア信号取り込み(1507)とは、ディレイ処理(1506)を挟んで実行される。
このように、1505及び1507の各時点で実行されるRAMクリア信号取り込みの間に、ディレイ処理を実行するので、ディレイ処理の間に、1回目のRAMクリア信号取り込みで取り込んだチャタリング除去等を行うことができる。
ディレイ処理(1506)で処理を待機させた後に、図22に示すステップ1016及び1010の処理でRAM104の初期化処理を行い(1508)、ステップ1011の処理で初期化指令を送信してから、通常の遊技制御を行う(1509)。
なお、通常の遊技制御を実行すると、遊技状態に応じて、払出制御指令を払出制御装置210に送信するために、払出制御指令が払出制御通信ポート680に設定される(1510)。また、通常の遊技制御の実行中には、遊技状態に応じて、演出制御指令を演出制御装置150に送信するために、演出制御指令が演出制御通信ポート670に設定される(1511)。
なお、通常の遊技制御が実行されている間は、演出制御指令が出力されていない期間を用いて、当該遊技機1の仕様を特定する仕様特定信号のビットパターン(図32の定常出力ビットパターン2003)が演出制御通信ポート670に設定される。
一方で、払出制御装置210のセキュリティ回路にリセット信号が伝達されると、払出制御装置210のセキュリティ回路は、図21に示すステップ914の処理で自己診断処理を実行し、ステップ915の処理でセキュリティチェック処理を実行する(1512)。
セキュリティチェック処理の実行後にCPU212が起動し、CPU212によって、図21のステップ916の処理で電源投入時の初期化処理を実行する(1513)。払出制御装置210の初期化処理が実行されると、払出制御装置210の受信用ポートの状態を、遊技制御装置100からの指令を受信可能な状態にする(1514)。
また、演出制御装置150にリセット信号が伝達されると、演出制御装置150は、図21のステップ923の処理で電源投入時の初期化処理を実行する(1515)。演出制御装置150の初期化処理が実行されると、演出制御装置150の受信用ポートの状態を、遊技制御装置100からの指令を受信可能な状態にする(1516)。
遊技制御装置100は、ディレイ処理を実行することで、RAM104の初期化処理の実行開始のタイミングを遅延させている。言い換えると、ディレイ処理によって、演出制御装置150や払出制御装置210へ初期化指令を送信するタイミングを遅延させている。
このため、ディレイ処理によって、払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670が初期状態を維持する時間を十分に確保し、その間に、払出制御装置210及び演出制御装置150は、初期化処理を実行し、自身の受信用ポートを遊技制御装置100からの指令を受信可能な状態にすることができる。
したがって、ディレイ処理を設けることで、図27のように、リセット信号が、遊技制御装置100、払出制御装置210及び演出制御装置150に同時に伝達される構成の遊技機であっても、ハードウェア等で構成した遅延回路を設けることなく、各制御装置が起動を開始するタイミングを適切に設定することができる。
よって、図27のように、まず、払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670が初期状態に維持され、その状態で、払出制御装置210及び演出制御装置150の受信用ポートが指令受信可能状態になり、次いで、払出制御装置210及び演出制御装置150に初期化指令を送信させることを確実に実行できるようになる。
もし仮に、遊技機1への電源投入直後において、遊技制御装置100の払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670が初期状態に維持される以前に、払出制御装置210若しくは演出制御装置150の受信用ポートが指令受信可能状態になると、払出制御通信ポート680及び演出制御通信ポート670から出力される信号レベルが不安定であるから、払出制御装置210若しくは演出制御装置150にてこの不安定な信号レベルの情報を、正規な信号であると誤って受信する恐れがあり、誤作動を引き起こす可能性がある。
また、払出制御装置210若しくは演出制御装置150の受信用ポートが指令受信可能状態になる前に、遊技制御装置100から、払出制御装置210若しくは演出制御装置150へ初期化指令を送信してしまうと、払出制御装置210や演出制御装置150で初期化指令を受信できなくなり、誤作動を引き起こす可能性がある。
特に、本実施形態の遊技機のように、遊技制御装置100から払出制御装置210へ単方向で指令を送信する構成や、遊技制御装置100から演出制御装置150へ単方向で指令を送信する構成の場合には、指令された情報が正しく送信されているかを確認する術がないことから、このような構成がとても効果的である。
また、図22及び図27では、RAMクリア信号の取り込みが2回である例を示したが、複数回であればよい。この複数回の間にディレイ処理を実行することによって、ディレイ処理実行直前のRAMクリア信号取り込みのチャタリング除去等にかかる時間をディレイ処理による遅延時間と重複させることができるので、処理が効率化する。
図28は、遊技制御装置100から、演出制御装置150及び払出制御装置210へ、指令を送信する場合の手順を説明するためのフロチャートである。
本実施の形態では、遊技制御装置100から演出制御装置150及び払出制御装置210へ、初期化指令信号を送信する場合と、遊技制御装置100から演出制御装置150及び払出制御装置210へ、通常の指令(演出指令信号、払出指令信号)を送信する場合とを比較して説明を行う。
図28の(a)は、初期化指令信号を送信する場合のフロチャートであり、図22のステップ1011の初期化指令通信処理に相当する。図28の(b)は、通常の指令(演出指令信号、払出指令信号)を送信する場合のフロチャートであり、図26のステップ1413のコマンド送信処理に相当する。
まず、図28の(a)では、演出制御装置150へ最初に送信される初期化指令信号を選択し(1601A)、選択した初期化指令信号のモード(MODE)部に対応するデータを、演出制御通信ポート670に出力し、一定時間その出力状態を維持する(1602A)。モード部については後述する。
次に、演出制御通信ポート670のストローブ(STB)信号に相当するビットをオンに設定し、一定時間その出力状態を維持し(1603A)、その後、ストローブ信号に相当する当該ビットをオフに設定して、一定時間その出力状態を維持する(1604A)。
次に、演出制御装置150へ送信される初期化指令信号のアクション(ACTION)部に対応するデータを、演出制御通信ポート670に出力し、一定時間その出力状態を維持する(1605A)。アクション部については後述する。
次に、演出制御通信ポート670のストローブ(STB)信号に相当するビットをオンに設定し、一定時間その出力状態を維持し(1606A)、その後、ストローブ信号に相当する当該ビットをオフに設定して、一定時間その出力状態を維持する(1607A)。
次に、一定時間d(詳細は後述)の待機を行い(1608A)、次に送信すべき初期化指令信号が残っていれば(1609A)、ステップ1601Aへ戻って次の初期化指令信号の送信を行うことを繰り返す(1601A〜1609A)。
なお、ステップ1609Aのときに、演出制御装置150へすべての初期化指令信号を送信し終えている場合には、ステップ1601Aに戻って払出制御装置210へ最初に送信する初期化指令信号を選択して、1602A〜1609Aの処理を繰り返す。
但し、払出制御装置210への初期化指令信号は、演出制御通信ポート670ではなく排出制御通信ポート680へ出力し、ストローブ(STB)信号も排出制御通信ポート680のビットを使用することになる。
その後、払出制御装置210へすべての初期化指令信号を送信し終えると、出力ステップ1609Aが「YES」の判定となるので、演出制御通信ポート670に仕様特定信号を出力する(1610A)。
ここでは、図32で後述する定常出力ビットパターン2003のデータを、演出制御通信ポート670のQ0〜Q7の各ビットに出力する。このビットバターンの信号(図29で後述する「TYPE」に相当)は、演出制御通信ポート670から次の指令を送信するまで継続するので、演出指令信号を送信していない間は、定常的に出力されることになる(詳細は図29で後述)。
そして、ステップ1610Aの処理を終了すると、呼び出し元(図23のステップ1011の初期化指令通信処理の次の処理)に復帰する。
一方、図28の(b)では、演出制御装置150へ演出指令信号を送信するタイミングかを判定し(1601B)、演出指令信号の送信タイミングであれば、送信する演出指令信号のモード(MODE)部に対応するデータを、演出制御通信ポート670に出力し、一定時間その出力状態を維持する(1602B)。
次に、演出制御通信ポート670のストローブ(STB)信号に相当するビットをオンに設定し、一定時間その出力状態を維持し(1603B)、その後、ストローブ信号に相当する当該ビットをオフに設定して、一定時間その出力状態を維持する(1604B)。
次に、演出制御装置150へ送信される初期化指令信号のアクション(ACTION)部に対応するデータを、演出制御通信ポート670に出力し、一定時間その出力状態を維持する(1605B)。
次に、演出制御通信ポート670のストローブ(STB)信号に相当するビットをオンに設定し、一定時間その出力状態を維持し(1606B)、その後、ストローブ信号に相当する当該ビットをオフに設定して、一定時間その出力状態を維持し(1607B)、演出制御通信ポート670に仕様特定信号を出力して(1608B)から、呼び出し元(図26のステップ1413のコマンド送信処理の次の処理)へ復帰する。
このステップ1608Bにて、演出制御通信ポート670に仕様特定信号を出力する場合でも、前述のステップ1610A同様に、図32で後述する定常出力ビットパターン2003のデータを、演出制御通信ポート670のQ0〜Q7の各ビットに出力する。
前述同様に、このビットバターンの信号(図29で後述する「TYPE」に相当)は、演出制御通信ポート670から次の指令を送信するまで継続するので、演出指令信号を送信していない間は、定常的に出力されることになる(詳細は図29で後述)。
一方、ステップ1601Bにて、演出制御装置150へ演出指令信号を送信するタイミングではないときには、排出制御装置150へ排出指令信号を送信するタイミングであるかを判定し(1609B)、排出指令信号の送信タイミングであれば、排出指令信号を送信する(1610B)。このとき、排出指令信号は、前述の1602B〜1607Bの手順と同一の手順で、排出制御通信ポート680から出力される。
ステップ1601Bにて、排出制御装置150へ排出指令信号を送信するタイミングでない場合、及びステップ1609Bの排出指令送信の処理が終了した場合は、呼び出し元(図26のステップ1413のコマンド送信処理の次の処理)へ復帰する。
図29は、本実施形態の遊技制御装置100から払出制御装置210及び演出制御装置150に送信される指令信号の説明図である。
特に、図29(A)は、本実施形態の遊技制御装置100から払出制御装置210及び演出制御装置150に送信される初期化指令信号の説明図であり、図29(B)は、本実施形態の遊技制御装置100から払出制御装置210及び演出制御装置150に送信される払出指令信号及び演出指令信号の説明図である。
まず、図29(A)を用いて初期化指令信号から説明する。これは、前述の図28(a)のフロチャートに従った手順の処理に対応する。
初期化指令信号は、モード(MODE)部とアクション(ACTION)部とからなり、図22に示すステップ1011の処理の初期化指令通信処理で送信される。
図22に示すステップ1011の処理の初期化指令通信処理は、図28(a)で前述したように、モード部及びアクション部を送信する送信処理を、初期化指令信号の送信が完了するまで複数回繰り返すループ処理である。図29(A)では3回送信処理を繰り返すことによって初期化指令信号を送信するものとする。
通信ポート670、680のQ0〜Q6端子は、モード部及びアクション部のデータを送信するために用いられ、Q7端子は、読み取り用のタイミング信号であるストローブ信号を送信するために用いられる。
各回の送信処理では、Q7端子からストローブ信号を所定時間出力し、Q0〜Q6端子からモード部及びアクション部を送信する。受信対象となる払出制御装置210又は演出制御装置150は、Q7端子からストローブ信号が入力されると、Q0〜Q6端子から入力されているモード部又はアクション部を取り込む。
図28(a)で前述したように、初期化指令通信処理では、送信処理を実行した後に、所定時間(d)だけ処理をソフトウェア的に待機させるソフトタイマディレイ処理を実行して、再度送信処理を実行する。
一方、初期化指令信号のすべてのデータを送信した場合には、初期化指令通信処理を抜けて、図22に示す遊技制御装置メイン処理に戻る。
図29(A)では、初期化指令信号を送信するたびに、時間値dのソフトウェアディレイ処理が実行されている。このため、初期化指令信号の送信周期はf1となっており、初期化指令信号のすべてのデータの送信が完了するまでの時間(3回目の送信処理が終了するまでの時間)はTとなっている。
そして、すべてのデータの送信が完了すると、図32で後述する定常出力ビットパターン2003のデータが、演出制御通信ポート670のQ0〜Q7の各ビットに出力される(図中の「TYPE」に相当)。
このビットバターンの信号は、演出制御通信ポート670から次の指令を送信するまで継続するので、演出指令信号を送信していない間は、定常的に出力されることになる。
なお、図32で後述する定常出力ビットパターン2003のデータは、「71H」「72H」「73H」なので、演出制御通信ポート670のQ7のビットは常に「0」である。従って「TYPE」のデータ(仕様特定信号)が出力されている間は、演出制御通信ポート670のSTBが立ち上がらない。
次に、図29(B)を用いて通常時に払出制御装置210又は演出制御装置150に送信される指令信号について説明する。
この通常時の指令信号は、図26に示すステップ1413の処理のコマンド送信処理で送信される。
指令信号のすべてのデータは、1回のタイマ割込によるコマンド送信処理で送信が完了せずに、複数回のタイマ割込によるコマンド送信処理で送信が完了する。言い換えると、指令信号は、複数回のタイマ割込処理にまたがって送信されるものである。図28(B)では、3回のタイマ割込によるコマンド送信処理で指令信号のすべてのデータの送信が完了するものとする。
各回のコマンド送信処理の実行周期(f2)は、タイマ割込の発生周期と同期しており、4ミリ秒周期となる。
また、通常時の指令信号は、初期化指令信号と同じく、モード部及びアクション部からなる。換言すると、通常時の指令信号と初期化指令信号とは、モード部が出力されている時間、アクション部が出力されている時間、及びストローブ信号の出力時間が共通となっており、即ちフォーマットが共通している。
従って、通信ポート670、680のQ0〜Q6端子からモード部及びアクション部のデータを送信し、Q7端子からストローブ信号を出力することも、初期化指令信号の場合と同じである。
図28(A)及び(B)において、初期化指令信号はループ処理のソフトウェアディレイ処理によるディレイ時間(d)を設定する際に、初期化指令信号の送信周期(f1)が、通常時の指令信号の送信周期(f2)よりも短くなるように設定する。
このため、初期化指令信号は通常時の指令信号よりも高速に送信することができ、初期化指令信号のすべてのデータの送信が完了するまでの時間も、一つの通常時の指令信号のすべてのデータの送信が完了するまでの時間よりも短縮できる。
したがって、電源投入時から、払出制御装置210及び演出制御装置150が通常時の指令信号に基づく制御を行うまでの時間を短縮することができる。
なお、モード部とアクション部のデータ送信が完了すると、図32で後述する定常出力ビットパターン2003のデータが、演出制御通信ポート670のQ0〜Q7の各ビットに出力される(図中の「TYPE」に相当)。このビットバターンの信号は、演出制御通信ポート670から次の指令を送信するまで継続するので、演出指令信号を送信していない間は、定常的に出力されることになる。
図30は、本実施形態の払出制御装置210に送信される信号の説明図である。
払出制御装置210に送信される信号は、初期化指令信号と通常時の指令信号である払出指令信号とがあり、これらの信号は、モード部及びアクション部からなる共通のフォーマットで送信される。
まず、初期化指令信号について説明する。
初期化指令信号は、前半の初期化指令信号と後半の初期化指令信号とからなる。
前半の初期化指令信号は、モード部が「40H」であり、アクション部は「00H〜7FH」のいずれかの値となる。前半の初期化指令信号のアクション部は、払出制御装置210に設定されている認証コードに対応する値(「00H〜7FH」のいずれかの値)となる。この払出制御装置210に設定されている認証コードに対応する値は、例えば、RAM104に設定されているものとする。
この前半の初期化指令信号の出力時期は、遊技制御装置100に電源投入時であり、具体的には、図22に示すステップ1011の処理である。
後半の初期化指令信号は、モード部が「40H」であり、アクション部は「7FH〜00H」のいずれかの値となる。後半の初期化指令信号のアクション部は、前半の初期化信号のアクション部の値の負論理となる値(反転ビット)となる。
この後半の初期化指令信号の出力時期は、前半の初期化指令信号の出力が完了した直後となる。
払出制御装置210は、前半の初期化指令信号を受信すると、受信した初期化指令信号のアクション部の値と自身に設定された認証コードとが一致するかを認証する。
受信した初期化指令信号のアクション部の値と自身に設定された認証コードとが一致しない場合には、払出制御装置210は、通常時の指令信号に基づく制御を禁止する。つまり、払出指令信号に基づく遊技媒体の払い出しを禁止する。
一方、受信した初期化指令信号のアクション部の値と自身に設定された認証コードとが一致する場合には、払出制御装置210は、後半の初期化指令信号を受信し、受信した後半の初期化指令信号のアクション部の値の負論理となる値が、自身に設定された認証コードと一致するかを認証する。
受信した後半の初期化指令信号のアクション部の値の負論理となる値が、自身に設定された認証コードと一致しない場合には、後半の初期化指令信号を正確に受信できていないため、遊技制御装置100と払出制御装置210との間で断線が生じている可能性があることから、払出制御装置210はエラーを報知する。
次に、払出指令信号について説明する。
払出制御装置210によって払い出される遊技媒体の個数に対応して、15個の払出制御指令信号が用意されている。
払出指令信号のモード部は「21H〜2FH」である。なお、このモード部の二桁目は、払出指令信号が払い出しを指令する遊技媒体の個数と一致する。また、払出指令信号のアクション部は「5EH〜50H」となる。このアクション部は、モード部の値の負論理となっている。
例えば、1個の遊技媒体の払い出しを指令する払出指令信号のモード部は「21H」であり、アクション部は「5EH」である。
なお、払出指令信号の出力時期は、一般入賞口32、第1始動入賞口25、第2始動入賞口30、特別変動入賞装置(大入賞口)27に遊技球が入賞したタイミングで出力される。
また、払出制御装置210は、払出指令信号を受信すると、受信した払出指令信号のモード部の負論理となる値が、アクション部の負論理となる値と一致しなければ、受信した払出指令信号に対応する個数の遊技媒体の払い出しを許可しない。
図31は、本実施形態の演出制御装置150に送信される信号の説明図である。
演出制御装置150に送信される信号は、初期化指令信号と通常時の指令信号である演出指令信号とがあり、これらのモード部及びアクション部からなる共通のフォーマットで送信される。
まず、初期化指令信号について説明する。
初期化指令信号には、RAM104のすべての領域が初期化されたか否かを示す電源投入通知信号と、遊技機1の仕様を特定するための指令信号(初期化時仕様特定情報を含んだ指令)とがある。
また、直前の電源遮断時における遊技機1の遊技状態(低確率状態、高確率状態、入賞抑制状態、入賞促進状態)を通知する信号や、直前の電源遮断時における特別図柄入賞記憶の数を通知する信号も、初期化指令信号に含まれる。
RAM104のすべての領域が初期化されたことを示す電源投入信号のモード部は「10H」であり、アクション部は「01H」である。RAM104のすべての領域が初期化されたこととは、図22に示すステップ1010の処理が実行されたことである。
一方、RAM104のすべての領域が初期化されていないこと、つまり、RAM104の一部の領域が初期化されたことを示す電源投入信号のモード部は「10H」であり、アクション部は「02H」である。
RAM104のすべての領域が初期化されていないこと、つまり、RAM104の一部の領域が初期化されたこととは、図22に示すステップ1014の処理が実行されたことである。
したがって、図22に示すステップ1010の処理が実行された場合には、ステップ1011の処理で、モード部が「10H」でアクション部が「01H」である初期化指令信号が送信される。図22に示すステップ1014の処理が実行された場合には、ステップ1011の処理で、モード部が「10H」でアクション部が「02H」である初期化指令信号が送信される。
演出制御装置150は、RAM104のすべての領域が初期化されたことを示す電源投入信号を受信すると、RAM104のすべての領域が初期化されたことを表示装置8に表示する。
また、演出制御装置150は、RAM104のすべての領域が初期化されていないことを示す電源投入信号を受信すると、RAM104のすべての領域が初期化されていないことを表示装置8に表示する。
また、起動時に送信される仕様を特定するための指令信号のモード部は「11H」であり、アクション部は「01H〜03H」である。アクション部は、遊技機1の仕様に対応する「01H〜03H」のいずれかの値である。なお、遊技機1の仕様に対応する値は、ROM103に設定されている。
また、遊技状態(低確率状態、高確率状態、入賞抑制状態、入賞促進状態)を通知する信号は、モード部が「20H」となっており、アクション部には、直前の電源遮断時における遊技状態別に対応付けられた値が格納される。
例えば、低確率状態であればアクション部は「01H」であり、高確率状態であればアクション部は「02H」となる。演出制御装置150は、遊技状態を通知する信号を受信すると、遊技状態を報知するための演出を行う。
また、特別図柄入賞記憶の数を通知する信号は、モード部が「28H」となっており、アクション部は「00H〜04H」のいずれかの値である。アクション部は、直前の電源遮断時における始動記憶数(0〜4)に対応した値である。
演出制御装置150は、始動記憶数演出指令信号を受信すると、表示装置8の図示しない飾り始動記憶数表示部に、受信した始動記憶数演出指令信号に対応する始動記憶数を表示する。
これらの仕様特定信号、遊技状態を通知する信号、及び特別図柄入賞記憶の数を通知する信号の出力時期は、電源投入時であり、図22に示すステップ1011の処理で送信される。
なお、これらの各信号と電源投入通知信号の出力順序は、何れが先であっても後であってもよい。さらに、電源投入時に、遊技制御装置100から演出制御装置150へ通知すべき情報が他にもあれば、初期化指令信号として一緒に送信してもよい。
このように、本実施形態では、初期化指令信号(電源投入通知信号、仕様特定信号、遊技状態を通知する信号、及び特別図柄入賞記憶の数を通知する信号)の種類が多くなっても、メイン処理のループによって初期化指令信号を順に送信するので、全ての初期化指令信号を送信するまでの時間が短縮される。
次に、各演出指令信号について説明する。
まず、表示装置8で実行される変動表示ゲームにおいて図柄の変動開始を指示する変動開始演出指令信号について説明する。
変動開始演出指令信号のモード部は「30H」であり、アクション部は「01H〜6FH」のいずれかの値である。アクション部は、図柄の変動表示を開始してから停止するまでの変動時間に対応する値である。
演出制御装置150は、変動開始演出指令信号を受信すると、表示装置8において図柄の変動表示を開始し、変動表示ゲームを開始する。
変動開始演出指令信号は、表示装置8において変動表示ゲームの図柄の変動表示を開始するタイミングで送信する。具体的には、表示装置8で変動表示ゲームが終了した場合に始動記憶がある場合、又は表示装置8で変動表示ゲームが実行されていない場合に第1始動入賞口25または第2始動入賞口30に遊技球が入賞した場合である。
表示装置8における変動表示ゲームにおける停止図柄を特定する停止図柄演出指令信号について説明する。
停止図柄演出指令信号のモード部は「31H」であり、アクション部は「01H〜6FH」のいずれかの値である。アクション部は、停止図柄に対応する値である。
演出制御装置150は、停止図柄演出指令信号を受信すると、受信した停止図柄演出指令信号に基づいて、表示装置8における変動表示ゲームの停止図柄を特定する。
停止図柄演出指令信号は、表示装置8の変動表示ゲームの変動表示を開始するときであって、変動開始演出指令信号の送信が完了した直後に送信される。
変動時間が経過し、変動表示中の図柄を停止するための停止通知演出指令信号について説明する。
停止通知演出指令信号のモード部は「40H」であり、アクション部は「01H」である。
演出制御装置150は、停止通知演出指令信号を受信すると、表示装置8で変動表示している図柄を停止させる。
停止通知演出指令信号は、変動時間が経過したタイミングで送信される。
特別遊技状態発生中に送信される大当たり関連演出指令信号について説明する。
大当たり関連演出指令信号のモード部は「48H」であり、アクション部は「01H〜6FH」のいずれかの値である。アクション部は、特別遊技状態の進行状況に応じた値である。
演出制御装置150は、大当たり関連演出指令信号を受信すると、受信した大当たり関連演出指令信号に基づいて、特別遊技状態に関連する演出を行う。
遊技機1においてエラーが発生した場合にエラーの発生を報知するためのエラー関連演出指令信号について説明する。
エラー関連演出指令信号のモード部は「50H」であり、アクション部は「01H〜6FH」のいずれかの値である。アクション部は発生したエラーに対応した値である。
演出制御装置150は、エラー関連演出指令信号を受信すると、エラー関連演出指令信号に基づいて、発生したエラーを報知するための演出を行う。
エラー関連演出指令信号は、遊技制御装置100がエラーを検出したタイミングで送信される。
なお、前述の遊技状態を通知する信号(モード部=「20H」)は、電源投入時だけでなく、通常の遊技中において遊技状態が変化した場合にも送信される。例えば、遊技中において低確率状態が発生したときに、モード部=「20H」且つアクション部=「01H」の信号が送信され、遊技中において、高確率状態が発生したときに、モード部=「20H」且つアクション部=「02H」の信号が送信される。
また、前述の特別図柄入賞記憶の数を通知する信号(モード部=「30H」)は、電源投入時だけでなく、通常の遊技中において第1始動入賞口25または第2始動入賞口30に遊技球が入賞して始動記憶数が増加した場合にも、指令信号が送信される。例えば、遊技中において第1始動入賞口25または第2始動入賞口30に遊技球が入賞して始動記憶数が「3」に変化したときには、モード部=「30H」且つアクション部=「03H」の信号が送信される。
従って、これらの遊技状態を通知する信号、及び特別図柄入賞記憶の数を通知する信号は、演出指令信号としても機能することになる。
次に、本実施形態の遊技機1の仕様について説明する。図32は、遊技機1の仕様を説明する図である。本実施形態では、遊技機1には3種類の仕様があると仮定して、説明を行う。なお、仕様の種類は、必ずしも3種類に限定されない。
まず、遊技機の仕様について説明する。遊技機1には、遊技盤2や各制御装置(遊技制御装置100、演出制御装置150)に設けた各種のハードウェアが互いに共通でありながらも、その動作態様を互いに異ならせた、所謂、シリーズ機というものが存在する。
これらのシリーズ機同士は、共通の演出制御装置150を用いるが、表示装置8に表示される画像の内容が多少異なっている。本実施の形態では、同一のシリーズ機間で、表示装置8に表示される画像の内容が異なる場合に、遊技機の仕様が異なるという扱いにする。
なお、演出制御装置150には、同一のシリーズ機の全てに仕様の画像が表示できるように、制御ROM153やキャラクタROM(図示せず)に、必要なデータが予め記憶されている。
演出制御装置150は、遊技制御装置100から送信された初期化指令信号を読み取ることにより、或いは、演出制御通信ポート670から定常的に出力されている仕様特定信号を読み取ることにより遊技機の仕様を識別し、仕様に対応する遊技演出を実行する。
図32の機種名の列2001は、各仕様に対応付けられた機種名が定義されている。ここでは、「仕様A」の遊技機であれば機種名が「CR×××」となり、「仕様B」の遊技機であれば機種名が「CR△△△」となり、「仕様C」の遊技機であれば機種名が「CR☆☆☆」となる。
初期化時ACTIONコードの列2002は、初期化指令信号(遊技機仕様の通知)の指令に含まれるACTION部の値(初期化時仕様特定情報)と、遊技機の仕様との対応関係を示している。
演出制御装置150が、遊技制御装置100からMODE部が「11H」の指令(遊技機仕様の通知)を受信すると、その指令に含まれるACTION部の値が「01H」であれば、遊技機の仕様は「仕様A」となり、ACTION部の値が「02H」であれば、遊技機の仕様は「仕様B」となり、ACTION部の値が「03H」であれば、遊技機の仕様は「仕様C」となることを示している。
定常出力ビットパターンの列2003は、演出制御通信ポート670から定常的に出力される仕様特定信号と、遊技機の仕様との対応関係を示している。
異常発生によって再起動した演出制御装置150が演出制御通信ポート670の仕様特定信号を読みとった場合において、読みとった信号のビットパターンが「71H」であれば、遊技機の仕様は「仕様A」となり、読みとった信号のビットパターンが「72H」であれば、遊技機の仕様は「仕様B」となり、読みとった信号のビットパターンが「73H」であれば、遊技機の仕様は「仕様C」となることを示している。
なお、仕様特定信号として規定されている「71H」「72H」「73H」といった値は、図31に規定する指令信号の数値とは異なる値としている。これは、静電気などの影響で演出制御装置150がリセットされ、再起動したときに、演出制御通信ポート670に出力されている信号が図31に規定する指令信号なのか仕様特定信号なのかを、明確に識別するためである。
図柄デザインの列2004は、各仕様に対応付けられている図柄のデザインが規定されている。図柄とは、表示装置8で実行される変動表示ゲームの識別情報である。当該遊技機は、どの仕様であっても、白い図柄が「通常図柄」、黒い図柄が「確変図柄」に対応することになっている。そして、各仕様毎に確率変動状態への移行頻度が異なっていることを視覚的に表現するために、変動表示ゲームで使用される識別情報の色を仕様別に異ならせている。
ここでは、「仕様A」の遊技機であれば、使用されている図柄のうちの「1」「3」「5」「7」が「確変図柄」となり、他の図柄が「通常図柄」となる。また、「仕様B」の遊技機であれば、使用されている図柄のうちの「3」「7」が「確変図柄」となり、他の図柄が「通常図柄」となる。また、「仕様C」の遊技機であれば、使用されている図柄のうちの「7」のみが「確変図柄」となり、他の図柄が「通常図柄」となる。
出現キャラクタの列2005は、各仕様に対応付けられているキャラクタが規定されている。キャラクタとは、表示装置8で実行される変動表示ゲームにて出現するものであり、詳細は図33で後述する。
ここでは、「仕様A」の遊技機であれば、図に示す飛行体がキャラクタとなり、「仕様B」の遊技機であれば、図に示す船舶がキャラクタとなり、「仕様C」の遊技機であれば、図に示す車両がキャラクタとなる。
リーチ時変動時間の列2006は、各仕様に対応付けられているリーチ時の変動時間が規定されている。表示装置8で実行される変動表示ゲームでは、2つの図柄が揃って大当りの可能性を報知するリーチ状態が発生(詳細は図33で後述)するが、このリーチ状態の時間を規定している。なお、リーチ状態の時間は3種類に区分されており、時間値が短いものから順に、「短リーチ」「中リーチ」「長リーチ」となっている。
ここでは、「短リーチ」「中リーチ」「長リーチ」の各リーチが発生した場合には、「仕様A」の遊技機のときに、それぞれ、「20秒」「25秒」「30秒」の時間に対応するリーチ状態となり、「仕様B」の遊技機のときに、それぞれ、「10秒」「15秒」「20秒」の時間に対応するリーチ状態となり、「仕様B」の遊技機のときに、それぞれ、「8秒」「12秒」「16秒」の時間に対応するリーチ状態となる。
大当り確率の列2007は、各仕様に対応付けられている大当り確率が規定されている。大当り確率とは、表示装置8で実行された変動表示ゲームが、遊技者に特典を付与する特別結果態様となる確率である。
ここでは、「仕様A」の遊技機であれば、大当り確率が「1/350」となり、「仕様B」の遊技機であれば、大当り確率が「1/250」となり、「仕様C」の遊技機であれば、大当り確率が「1/150」となる。
次に、表示装置8で実行される変動表示ゲームの進行について説明する。図33は、本実施形態の表示装置8の表示内容の説明図である。なお、図33は、遊技機1の仕様が「仕様A」のときの表示装置8の表示内容とする。
前述したように、第1始動入賞口25または第2始動入賞口30に遊技球が入賞すると、表示装置8にて変動表示ゲームが実行される。これらの始動入賞口25、30に遊技球が入賞していない状態では、図33の(a)に示すように、左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103が、表示装置8の表示領域に停止した状態で表示される。
また、表示装置8の表示領域には、機種名を表示する領域2104、変動表示ゲームの保留記憶数を表示する領域2105、変動表示ゲームの大当り確率を表示する領域2106が形成される。
ここでは、図32で前述した図柄デザインのうち、「仕様A」に対応するデザインの図柄が、左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103に表示される。また、機種名を表示する領域2104、大当り確率を表示する領域2106にも、「仕様A」に対応するものが表示される。
もし、当該遊技機1の仕様が「仕様B」や「仕様C」であれば、左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103の図柄デザインや、機種名を表示する領域2104、大当り確率を表示する領域2106の表示が、「仕様B」や「仕様C」に対応するものに変更される。
次に、第1始動入賞口25または第2始動入賞口30に遊技球が入賞すると、左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103の各々が縦方向に変動表示して、変動表示ゲームが実行される。変動表示ゲームの実行開始から、一定の時間が経過すると、左図柄2101が停止表示し、次いで、右図柄2103が停止表示する。
このとき、左図柄2101と右図柄2103とが同一の図柄で停止表示されていない場合には、直ちに、中図柄2102が停止表示されて外れが確定する。左図柄2101と右図柄2103とが同一の図柄で停止表示されているときは、リーチ状態が発生する。
図33の(b)は、リーチ状態が発生した様子を示す。リーチ状態が発生すると、中図柄2102が縦方向に通常よりもゆっくりと変動表示し、所定時間経過後に中図柄2102は停止表示する。
なお、このリーチ状態の間に、キャラクタ2107が表示装置8の表示領域に出現する場合もある。この場合、図32で前述したキャラクタのうち、「仕様A」に対応するキャラクタが選択されて表示される。
また、このリーチ状態は、遊技制御装置100から指令された時間にわたって実行される。遊技制御装置100からは、図32で前述した「短リーチ」「中リーチ」「長リーチ」のうちの何れのリーチ状態を発生すべきかの指令が、変動表示ゲームの実行開始時に伝達されるので、図32で前述したリーチ時の変動時間のうちから「仕様A」に対応するものが選択されて実行される。例えば、遊技制御装置100から「長リーチ」の実行を指令されれば、リーチ状態の時間が30秒となるように表示を行う。
もし、当該遊技機1の仕様が「仕様B」や「仕様C」であれば、キャラクタ2107は「仕様B」や「仕様C」に対応するものに変更され、リーチ状態の時間も、「仕様B」や「仕様C」に対応するものに変更さる。
そして、図33の(b)でリーチ状態が発生し、中図柄2102が、左図柄2101(右図柄2103)と同一の図柄で停止表示すると大当りとなり、特別遊技状態が発生する。中図柄2102が、左図柄2101(右図柄2103)と異なった図柄で停止表示すると、外れである。
ここで、大当り発生となったときの各停止図柄(左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103)が、黒い配色の「確変図柄」であった場合には、特別遊技状態の終了後に、変動表示ゲームの大当り確率が10倍アップする確率変動状態(高確率状態)が発生する。
一方で、大当り発生となったときの各停止図柄が、白い配色の「通常図柄」であった場合には、特別遊技状態の終了後に、変動表示ゲームの大当り確率がアップしない通常状態(低確率状態)が発生する。
なお、大当り発生となったときの各停止図柄によって、特別遊技状態の終了後の遊技状態を、高確率状態と低確率状態の何れかに設定することに限定せず、大当り発生となったときの各停止図柄によって、特別遊技状態の終了後の遊技状態を、前述の入賞抑制状態と入賞促進状態の何れかに設定するような制御をおこなってもよい。このような構成であれば、入賞抑制状態と入賞促進状態が発生する頻度を、遊技機の仕様毎に異ならせることができる。
図34は、本実施形態の演出制御装置メイン処理の後半部のフローチャートである。
演出制御装置150の制御に関しては、図21の(C)にて遊技機1への電源投入直後の処理について説明したが、初期化指令信号を受信した後の処理について、ここで説明することにする。
まず、遊技制御装置100から送信される演出指令信号を受信するまで待機する(2201)。演出指令信号を受信したら、受信した信号の種別によって分岐する(2202)。
なお、演出制御通信ポート680のQ7(STB)のビットが立ち上がったタイミングが、演出指令信号を受信したタイミングであり、その時点での演出制御通信ポート680のQ0〜Q6の値を、演出指令信号として取り込むことになる(図29等参照)。
受信した信号が、変動表示ゲームの開始や停止に関するものであれば、ステップ2203に分岐して、変動表示ゲームにて表示装置8に表示される図柄(識別情報)の変動開始の処理や変動停止の処理を行う(2203)。
具体的には、ステップ2201で受信した指令が、図柄変動開始の通知(図31のMODE部が「30H」)の場合には、ACTION部で指定される変動時間の変動パターンを乱数を用いて決定する。
この場合、図32で前述した「短リーチ」「中リーチ」「長リーチ」などの種別が指定されることもあるので、RAM154に記憶した遊技仕様情報を参照し、当該遊技機の仕様(図32の仕様A〜C)に対応したリーチ時間に対応させて、変動パターンを決定する。このときに所定の条件であれば前述の可動物60〜62を可動させる。なお、同時に発光装置92a〜92hのうち少なくとも1つ以上を適宜選択して、発光させることもできる。
また、ステップ2201で受信した指令が、停止図柄の通知(図31のMODE部が「31H」)の場合には、ACTION部で指定されるデータに対応させて、変動表示ゲームの最終結果となる停止図柄を決定する。この場合も、RAM154に記憶した遊技仕様情報を参照し、当該遊技機の仕様(図32の仕様A〜C)に対応した停止図柄を選択する。
次いで、図柄変動開始の指令の受信により決定した変動パターンに従って、表示装置8の表示領域で左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103の変動表示を行う(図33参照)。変動表示ゲームの実行中は、必要により当該遊技機の仕様(図32の仕様A〜C)に対応したキャラクタ2107を出現させる(図33参照)。
また、ステップ2201で受信した指令が、図柄変動停止の通知(図31のMODE部が「40H」)の場合には、表示装置8の表示領域で変動表示している左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103を、停止表示させる。
この場合も、RAM154に記憶した遊技仕様情報を参照し、当該遊技機の仕様(図32の仕様A〜C)に対応したデザインの停止図柄で停止表示する。
なお、ステップ2201で受信した指令が、高確率状態の発生(又は低確率状態の発生)の通知する指令(図31のMODE部が「20H」)の場合には、発生した確率状態に対応させて、表示装置8の表示領域に表示されている左図柄2101、中図柄2102、右図柄2103の背景表示を変更し、高確率状態の発生(又は低確率状態の発生)を遊技者に報知する。
このステップ2203の処理を実行したら、次の指令を受信するために、ステップ2201へ移行する。
一方、ステップ2201で受信した指令が、保留記憶表示の変更に関するものであれば、ステップ2204に分岐して、表示装置8の保留記憶数を表示する領域2105(図33)の表示を変更する。
具体的には、ステップ2201で受信した指令が、保留記憶数の通知(図31のMODE部が「28H」)の場合には、ACTION部で指定される保留記憶数の表示となるように、領域2105を変更する。ステップ2204の処理を実行したら、次の指令を受信するために、ステップ2201へ移行する。
一方、ステップ2201で受信した指令が、大当り関連の表示の変更に関するものであれば、ステップ2205に分岐して、表示装置8にて大当り時の演出に関する表示を開始する。具体的には、ステップ2201で受信した指令が、大当り関連の通知(図31のMODE部が「48H」)の場合には、ACTION部で指定される情報に対応させて、表示装置8の表示内容を変更させる。このときに所定の条件であれば前述の可動物60〜62を可動させる。なお、同時に発光装置92a〜92hのうち少なくとも1つ以上を適宜選択して、発光させることもできる。
この場合も、RAM154に記憶した遊技仕様情報を参照し、当該遊技機の仕様(図32の仕様A〜C)に対応した大当り演出を行う。ステップ2205の処理を実行したら、次の指令を受信するために、ステップ2201へ移行する。
一方、ステップ2201で受信した指令が、エラーの報知に関するものであれば、ステップ2206に分岐して、表示装置8にてエラーの報知に関する表示を開始又は終了する。
具体的には、ステップ2201で受信した指令が、エラー関連の通知(図31のMODE部が「50H」)の場合には、ACTION部で指定される情報に対応させて、表示装置8にてエラー報知を開始又は終了させる。ステップ2206の処理を実行したら、次の指令を受信するために、ステップ2201へ移行する。
なお、演出制御装置150は、ノイズ等の発生により、CPU152がプログラムの通りに動作せず、暴走する可能性も否定できない。このような場合は、監視回路158の作用によりCPU152がリセットされ、演出制御装置150が再起動する。
但し、ノイズ等の影響で演出制御装置150のみが再起動した場合であっても、遊技制御装置100が再起動していない場合は、遊技制御装置100から演出制御装置150へ初期化指令信号(遊技機仕様の通知)が送信されないので、演出制御装置150は遊技機の仕様を判別することができない。
そこで、本実施形態の遊技機では、演出制御装置150のみが再起動し、遊技制御装置100が再起動していない場合でも、演出制御装置150は、遊技制御装置100の演出制御通信ポート670から定常的に出力されている仕様特定信号を読み取って、遊技機の仕様を判別でいるように構成している。このように、演出制御装置150のみが再起動した場合の処理を、図34を用いて「不具合検出時」の処理として説明する。
まず、演出制御装置150は、ノイズ等の影響で、監視回路158によりCPU152がリセットされる(2207)と、ハードウエアによる出力ポート初期化(2208)、電源投入時の初期化処理(2209)、指令受信可能状態の発生(2210)、通信ポートのデータ取り込み(2211)の処理を行う。なお、これらの処理は、図21のステップ922〜925の処理と、同じ処理である。
このとき、遊技機1に電源投入を行った直後であれば、演出制御通信ポート670(図18)から出力されるビットのパターンは、初期状態(全ビットが0の状態)となるので、図21のステップ926のように初期化指令信号の受信を待機する状態となるが、遊技制御装置100が再起動していない場合は、演出制御通信ポート670からは仕様特定信号(定常的に出力される仕様特定信号)に対応するビットパターン(図32の2003の列)のデータが出力されている。
そこで、図34のステップ2211にて演出制御通信ポート670から取り込んだデータが、仕様特定信号(定常的に出力される仕様特定信号)に対応する場合には、その仕様特定信号に対応して遊技機の仕様を識別し、仕様に対応するデータを遊技仕様情報としてRAM154に記憶する(2212)。
この場合、図29で前述したように、仕様特定信号のビットパターンは、「71H」「72H」「73H」等に設定されており、演出制御通信ポート670のQ7のビットは常に「0」である。
従って仕様特定信号が出力されている間は、演出制御通信ポート670のSTBが立ち上がらないので、演出制御通信ポート670のQ0〜Q7のビットを読みこんで、仕様特定信号のビットパターンと一致しているかにより遊技機の仕様を識別する。
なお、演出制御通信ポート670に演出指令信号が出力されているタイミングで、或いは、演出制御通信ポート670が初期状態のときに、ステップ2211が実行されると、演出制御通信ポート670から仕様特定信号とは異なるデータを取り込む可能性がある。
そこで、ステップ2211で、一定期間に渡って初期状態のデータ(Q0〜Q7のビットが「00H」)を取りこんだ場合は、図21のステップ926へ移行して、初期化指令信号の受信を待機する。
また、ステップ2211で、初期状態でも仕様特定信号でもないビットパターンのデータ(例えば、演出指令信号に対応するデータ)を取りこんだ場合は、演出制御通信ポート670のビットパターンが、初期状態又は仕様特定信号の何れかになるまで待機すればよい。
この場合でも、図32で前述したように、仕様特定信号として規定されている「71H」「72H」「73H」といった値は、指令信号の数値とは異なる値(初期状態の「00H」とも異なる値)としているので、静電気などの影響で演出制御装置150がリセットされ、再起動したときに、演出制御通信ポート670に出力されている信号が仕様特定信号なのか否かを、明確に識別することができる。
ステップ2212の処理を終えたら、遊技制御装置100からの指令を受信するためにステップ2201へ移行する。
本実施の形態によれば、演出制御通信ポート670には、仕様特定信号が定常的に出力されているので、演出制御装置150がいつ起動を開始しても、演出制御通信ポート670から仕様特定信号を取り込んで、直ちに遊技機1の仕様を識別することが可能となる。
よって、演出制御装置150が再起動したときには、遊技制御装置100からの演出指令信号を受信する以前に、遊技機1の仕様を識別することが出来るので、演出制御装置150の再起動時でも、遊技機の仕様に合わせた演出処理を的確に行うことができる。
また、電源投入直後に演出制御通信ポート670が初期状態になって所定時間保持され、この間に演出制御装置150が指令受信可能状態になるので、電源投入時に演出制御装置150が起動したときに、演出制御通信ポート670が不安定な状態のまま誤ったデータが送信されることを防止できる。そして、遊技制御装置100から演出制御装置150へ初期化指令信号が送信され、演出制御装置150は、この初期化指令信号により遊技機の仕様を判別することができる。
従って、遊技機に電源が投入された直後においては、演出制御通信ポート670に仕様特定信号を出力しなくても、初期化指令信号によって演出制御装置150に遊技機の仕様を判別させることができる。
また、通信ポート670、680が初期状態になって所定時間保持される際には、遊技制御装置100への電源投入時において、正当性が判定されるRAM104の記憶領域を使用せずにディレイ処理を行うので、通信ポート670、680が初期状態のまま維持されている時間を延長でき、この延長時間期間中に従属制御装置(演出制御装置150、払出制御装置210)が遊技制御装置100からの指令を受信可能になる。
これによって、電源投入直後に通信ポートが初期状態になって所定時間保持され、この間に従属制御装置が指令受信可能状態になるので、従属制御装置が起動したときに、通信ポートが不安定な状態のまま誤ったデータが送信されることを防止できる。また、ソフトウェアを用いて所定時間のディレイ処理を行うことによって、通信ポートが初期状態をなっている状態を所定時間維持するため、ハードウェアを用いる方法と比較すると安価な構成で済む。また、ディレイ処理は正当性判定の記憶領域を用いずに行うので、正当性判定の処理も正確に行うことができる。
また、本実施形態によれば、初期化指令信号を遊技制御装置メイン処理のループにより送信し、通常時の従属制御装置への指令信号をタイマ割込処理で送信するので、初期化指令信号の送信周期を通常時の指令信号の送信周期よりも短くすることができる。
これによって、初期化指令をすべて送信するまでの時間も短縮されるため、電源投入時の遊技機全体の起動の遅延を防止できる。
ここで、本実施形態とは対照的な従来技術を示す。
例えば、製造コストの増大を抑制しつつシリーズ機種間で表示制御装置を流用可能な遊技機を提供することを目的として、電源が投入された際に主制御手段から表示制御手段へ遊技仕様コマンドが送信されると、表示制御手段にて遊技仕様コマンドに対応する遊技仕様情報を遊技仕様記憶手段に記憶する構成の遊技機がある。そして、特開2007−267863号公報などに示すように、表示制御手段は、その後に主制御手段から演出用コマンドを受信した場合に、どの遊技仕様に基づいて主制御手段から出力された演出用コマンドであるかを認識して、その認識に基づいて、遊技仕様に応じた演出データを演出データ記憶手段から読み出す処理を行うようになっている。
この遊技機では、シリーズ機種間において表示制御装置を流用する場合に、遊技仕様毎の演出内容に応じた演出用コマンドを設定する必要がないので、表示制御装置の記憶量の増加を抑制することができるという利点がある。
しかし、上記特許文献に記載の遊技機では、遊技球に帯電した静電気の影響で、遊技機の制御基板にて不具合が発生することが頻繁に起こりうる。このとき、制御基板ではCPUをリセットして初期化を行うことで、基板自身を再起動させる処理が行われることが多い。
ところで、静電気の影響により遊技機の制御基板が再起動する場合は、遊技機に備えた全ての制御基板が再起動するのではなく、一部の制御基板だけが再起動することもあり得る。例えば、上記特許文献に記載の遊技機においても、静電気の影響により表示制御手段のみが再起動し、主制御手段は再起動しないことも起こり得る。
従って、上記特許文献の遊技機では、遊技機に電源が投入されたときに、主制御手段から表示制御手段へ遊技仕様コマンドを送信しているので、静電気の影響により表示制御手段のみが再起動したときには、主制御手段から表示制御手段へ遊技仕様コマンドが送信されない。そのため、このような場合には、表示制御手段側で遊技機の遊技仕様を判別することが出来ないという不具合があった。
なお、上記特許文献の遊技機では、表示装置にて客待ちデモ画面が表示されるタイミングでも、主制御手段から表示制御手段へ遊技仕様コマンドが送信されるという技術内容が開示されている。しかしながら、このような構成であっても、静電気の影響により表示制御手段のみが再起動したときには、客待ちデモ画面が表示されるまで、遊技機の遊技仕様を判別することは不可能である。
このように、表示制御手段側で遊技機の遊技仕様を判別できない状態が発生した場合には、本来の遊技機とは異なった遊技仕様の画面表示を行ってしまうことがあり、遊技者に誤解を与える恐れがあった。
これに対して、本実施形態の遊技機1では、複数種類の遊技仕様に共通利用可能な表示制御装置を設けた遊技機1において、表示制御装置がどのようなタイミングで再起動しても、遊技仕様を早期に識別できる。
具体的には、本実施形態の遊技機1は、所定の始動条件が成立したことに基づき遊技領域3にて補助遊技を実行し、該補助遊技の結果に対応して遊技者に特典を付与する特別遊技状態を発生可能な遊技機1において、前記遊技領域3における遊技を統括的に制御する遊技制御装置100と、前記遊技制御装置100からの指令に対応して当該遊技機1に関わる遊技演出の制御を行う演出制御装置150と、が備えられ、前記遊技制御装置100は、前記演出制御装置150に指令を出力するための通信用ポート(演出制御通信ポート670)と、当該遊技機1の仕様を特定する仕様特定信号を前記通信用ポートから出力させる仕様特定信号出力手段と、遊技演出内容を特定する演出指令信号を前記通信用ポートから出力させる演出指令信号出力手段と、を備え、前記演出制御装置150は、前記遊技制御装置100からの仕様特定信号を取り込んで当該遊技機1の仕様を識別し、遊技仕様情報として記憶する遊技仕様情報記憶手段と、前記遊技制御装置100からの演出指令信号を取り込んで、前記遊技仕様情報記憶手段に記憶させた遊技仕様情報に対応する遊技演出を実行する遊技演出実行手段と、を備えるとともに、前記仕様特定信号出力手段は、前記演出指令信号出力手段が演出指令信号を出力していないときに、前記通信用ポートを介して仕様特定信号を定常的に出力することを特徴とする。
これによれば、通信用ポートには仕様特定信号が定常的に出力されているので、演出制御装置150がいつ起動を開始しても、通信用ポートから仕様特定信号を取り込んで、直ちに遊技機1の仕様を識別することが可能となる。
よって、演出制御装置150が再起動したときには、遊技制御装置100からの演出指令信号を受信する以前に、遊技機1の仕様を識別することが出来るので、演出制御装置150の再起動時でも、遊技機1の仕様に合わせた演出処理を的確に行うことができる。
また、前記遊技制御装置100は、所定の起動信号に対応して前記通信用ポートを初期状態にする初期化手段と、前記通信用ポートを前記初期状態にて所定時間維持する初期状態維持手段と、前記初期状態維持手段により、前記通信用ポートが前記初期状態にて所定時間維持された後に、前記演出制御装置150に初期化を指令するための初期化指令信号を送信する初期化指令信号送信手段と、を備え、且つ、該初期化指令信号には当該遊技機1の仕様が特定可能な情報が含まれる構成とし、前記演出制御装置150は、前記通信用ポートが前記初期状態を維持している間に、該通信用ポートからの指令を受信可能な指令受信可能状態となり、前記遊技仕様情報記憶手段は、前記通信用ポートが前記初期状態となって、その後、前記遊技制御装置100から初期化指令信号を受信した場合でも、当該遊技機1の仕様を識別して遊技仕様情報を記憶することを特徴とする。
これによれば、電源投入直後に通信用ポートが初期状態になって所定時間保持され、この間に演出制御装置150が指令受信可能状態になるので、電源投入時に演出制御装置150が起動したときに、通信用ポートが不安定な状態のまま誤ったデータが送信されることを防止できる。そして、遊技制御装置100から演出制御装置150へ初期化指令信号が送信され、演出制御装置150は、この初期化指令信号により遊技機1の仕様を判別することができる。
従って、遊技機1に電源が投入された直後においては、通信用ポートに仕様特定信号を出力しなくても、初期化指令信号によって演出制御装置150に遊技機1の仕様を判別させることができる。
さらに、前記遊技制御装置100は、遊技制御プログラムにより所要の演算処理を行う演算処理手段と、前記演算処理手段によって更新される情報が記憶され、当該遊技機1への電源供給が停止しても前記記憶された情報の記憶保持が可能な記憶手段と、前記起動信号の発生後に、前記記憶手段に記憶保持された情報の正当性を判定する正当性判定手段と、前記初期状態維持手段が前記通信用ポートを前記初期状態にて所定時間維持するための維持タイマを計時するタイマ計時手段と、を備え、前記タイマ計時手段は、前記正当性判定手段によって正当性が判定される前記記憶手段に記憶された情報を更新することなく、前記維持タイマを計時することを特徴とする。
また、前記遊技制御装置100には、更新可能な情報が記憶されて、且つ前記正当性判定手段による正当性判定の対象とならない判定対象外記憶領域が備えられ、前記タイマ計時手段は、該判定対象外記憶領域を用いて前記維持タイマを計時することを特徴とする。
さらに、前記判定対象外記憶領域は、前記演算処理手段に備わるレジスタであることを特徴とする。
これによれば、ハードウェアを用いなくても、電源投入直後に通信用ポートが初期状態となっている状態を維持するため、ハードウェアを用いる方法と比較すると安価な構成で済む。このとき、タイマ計時は正当性判定の記憶領域を用いずに行うので、正当性判定の処理も正確に行うことができる。
また、前記遊技制御装置100は、前記記憶手段に記憶された情報の更新を規制する更新規制手段と、前記正当性判定手段によって判定された前記正当性に応じて前記記憶手段を初期化する記憶手段初期化手段と、を備え、前記更新規制手段は、前記起動信号が発生すると前記演算処理手段による前記記憶手段の更新を規制し、前記記憶手段初期化手段によって前記記憶手段が初期化される場合には当該記憶手段の更新の規制を解除することを特徴とする。
これによれば、正当性判定を行うまでの間は、必要に応じて書込規制状態にすることができるので、記憶手段へ不用意な書き込みがなされることを防止できる。
さらに、特開2002−224394号公報などに示す従来技術では、電源が断たれた後の復帰時に、払出しの不都合な状態が解消するまで賞媒体の払出し動作を停止できるようにすること、さらに、賞媒体の払出しに関して遊技者とホール側とでトラブルが発生しないようにすることを目的として、停電からの復帰時に、払出し制御手段が主制御手段よりも先に起動して払出し制御が開始された場合、初期化スイッチが操作されていないため、払出し動作復帰処理が実行され、その後、主制御手段から払出し再開コマンドを受信するまで、払出し動作を停止して、払出し再開可能な状態で待機する遊技機が開示されている。
そして、この遊技機では、後から起動した主制御手段は補給切れ検出スイッチや満杯検出スイッチからの検出スイッチに基づいて払出しに関するエラーを検出しない場合に、主制御手段から払出し再開コマンドが送信されてくるので、払出し制御手段はその払出し再開コマンド受信を切掛けに払出し動作を再開する構成となっている。
この従来技術では、主制御手段を、払出し制御手段よりも遅延させて起動させるために、主制御手段(主制御基板39)に遅延回路90を設けて、リセット信号発生手段77からのリセット信号が、払出し制御手段(払出し制御基板46)に到達するよりも時間tだけ遅延して主制御手段に到達するように構成している(従来技術文献の段落[0051]〜[0053]、図21、図23参照)。
このため、従来技術の遊技機では、遅延回路90などのハードウェアが必要であるため、コストが高くなってしまうという問題があり、また、遅延回路90はハードウェアで構成されているため、遅延の時間値をプログラムで変更できないという問題もあった。
この場合、遅延回路90に相当する機能を、主制御手段(主制御基板39)に設けたCPUを用いてソフトウェアによって実現すれば、コスト面での課題が解決する。
しかし、CPUを用いて遅延時間を計時するためには、主制御手段(主制御基板39)のバックアップ用メモリ39bを用いなければならず、この場合、主制御手段が起動後にバックアップ用メモリ39bの正当性を確認して、バックアップ用メモリ39bが使用可能な状態になってから遅延時間を計時するので、遊技機全体の起動が遅れてしまうという課題があった。
これに対して、本実施形態では、ソフトウェアによって遊技制御装置の起動を従属制御装置の起動よりも遅延させることによってコストダウンを図りつつも、遊技機全体の起動が遅延してしまうことを防止する遊技機を提供することも目的としているので、従来技術のような遊技機の課題を解決する場合でも適用が可能である。
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。