JP5818111B2 - 貝類毒化軽減装置および貝類毒化軽減方法 - Google Patents

貝類毒化軽減装置および貝類毒化軽減方法 Download PDF

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Description

本発明は、毒性原因を有するプランクトン(有毒プランクトン)を食することにより、貝が毒性を有する(以下、「貝毒」という)ことを防止する貝類毒化軽減装置および貝類毒化軽減方法に関する。
我が国を始め、世界各国で食材として貝類が食されている。このような貝類には、天然で生育して採取される天然貝と、養殖(稚貝から養殖する場合、一定の成長後から養殖する場合などの種々のパターンがある)によって生育される養殖貝とがある。特に、カキ類、ホタテガイ、ヒオウギガイ、タイラギ、ハマグリ、アカガイ、トリガイ等の高級食材である貝類は、乱獲、環境破壊によって天然資源は不足しており、養殖によってその個体数を確保している。
このような需要が高く市場価値が高い貝類は、十分な販売量と単価を確保するために、適切な時期に適切な量を市場に出荷できるように、漁業関係者が様々な工夫を凝らして養殖を行っている。例えば、同じ貝であっても、漁業関係者は、より大粒になるような工夫を凝らしたり、より味のよくなるような工夫を凝らしたりして、これらの貝類の付加価値を高める工夫を行っている。
また、これらの貝類は、自然本来の有する生育時期に基づく旬を有している。しかしながら、いわゆる市場での販売の旬というものも存在する。例えば、高級食材であれば、贈答シーズン(年度末や年度初めなどの異動時期、お中元の時期、お歳暮や年末年始の時期など)に、市場としての旬が到来する。漁業関係者は、様々な工夫を凝らすことによって、自然本来の有する生育時期に基づく旬を、市場での旬に合わせこむように養殖することもある。このようにして、養殖する貝類の市場価値を高める工夫を行っている。
特に、近年では、これら貝類の輸入も増えており、安価な輸入品に押されて、日本の漁業関係者は、高い付加価値や市場の旬に合わせた供給の工夫などによって、商品価値を高める工夫を行っている。
このように養殖される貝類には(もちろん天然で漁獲されて飼育されるものでも)、二枚貝が多い。二枚貝は、その名の通り、2枚の殻に本体部である軟体部が挟まれた貝類である。二枚貝は上述した種類だけでなく、様々な種類があり、天然および養殖で漁獲され市場に供給される。
二枚貝は、その成長段階で種々のプランクトンを摂餌することで、成長していく。一般的にこれら二枚貝が摂餌するプランクトンは、植物性プランクトン、動物性プランクトンであり、自身の成長を促す食物に過ぎない。しかしながら、特定の植物プランクトンには、毒性を有するものがあり、これらは有毒プランクトンと呼ばれ、二枚貝が摂食してしまうことがある。
二枚貝にとっては、このような有毒プランクトンを摂食しても、影響がない。すなわち、二枚貝そのものは、有毒プランクトンを摂食しても、自身が病気になったり死んだりすることはない。しかしながら、有毒プランクトンの有する毒成分が二枚貝の軟体部(体組織)に蓄積され(以下、「貝毒化」と称す)、それを人が食べることによって食中毒を発症することがある。この人が食べることによって食中毒やこれに類似する症状を発症する状態となっている貝を貝毒という。
貝毒による人体への被害はその症状により、麻痺性貝毒、下痢性貝毒、記憶喪失性貝毒、神経性貝毒に分別される。特に麻痺性貝毒成分の一つは青酸カリの500倍〜1000倍程度であるといわれ、中毒患者はフグ中毒の類似の症状(神経伝達阻害を生じさせる麻痺性状態)を呈して重篤な場合には死亡する事例も過去に度々発生している。貝毒成分は耐熱性であるため、貝毒状態の貝を加熱調理(焼いたり煮たりしても)しても、毒素は分解されない。さらには、貝毒状態の貝が有する毒成分は、無味、無臭、無色であり、外観から毒の有無を判別することが困難である。もちろん、専門の検査を行えば、毒素の有無は検出できるが、貝類を購入した一般消費者が、購入した貝類が毒成分を有しているかの判断を行うことは極めて困難である。
このような貝毒を生じさせる有毒プランクトンは、近年の研究で判明しており、アレキサンドリウム・タマレンセ、アレキサンドリウム・カテネラ、アレキサンドリウム・タミヤバニッチ、ギムノディニウム・カテナータム、ディノフィシス・フォルティ、ディノフィシス・アキュミナータなどが、有毒プランクトンの一例として知られている。これらの有毒プランクトンが、世界中の様々な海域で貝毒問題を生じさせていることが分かっている。
二枚貝が、これらの有毒プランクトンを所定量以上摂食すると、毒性を有する(毒化する)ことが分かっている。また、近年の研究で、有毒プランクトンの発生密度を測定する方法も確立されてきており、二枚貝(貝類全般も含めて)の養殖海域においては、この有毒プランクトンをモニタリングする仕組みや制度が確立してきている。
例えば、これらの有毒プランクトンの発生時期は、各海域(貝類の養殖を行っている海域)で、いつごろに発生が始まり、いつごろに密度が高まっていくかということが、統計的に分かっている。このため、貝類の養殖を行っていたり、貝類の採取を行っていたりする海域においては、有毒プランクトンのモニタリングが行なわれている。この密度が所定値以上になり基準値を超過すると出荷の自粛、採取規制が当局によって設定されて、出荷ができない状態となってしまう。
出荷できなくなると、二枚貝養殖業者は貝類を販売できないことになり、漁業者にとっては、経営的な大打撃を受けることになる。
一方で、上述した通り、現在では有毒プランクトンのモニタリングが、当局や管理団体によって行われる仕組みが構築されている。このため、出荷停止の規制が発生される危険密度になることは、漁業者にとっては事前に把握できる状況にある。このため、有毒プランクトンの密度が、危険密度未満の間に、出荷を終えてしまえば、漁業者は出荷停止の被害を受けることは無い。
しかし、次の理由で、ある海域での有毒プランクトンが危険密度となる前に、当該海域で養殖や生育している貝類の全てを出荷することが難しい。
(理由1)有毒プランクトンが危険密度以上となるのを、確実的な日程で確実な精度で予測することは困難である。想定していた日程よりも早くなったり遅くなったりする可能性は、自然が相手である以上、生じうる。
(理由2)有毒プランクトンが危険密度以上に達する前に、養殖している貝類が十分に成長していない場合は出荷できない。
(理由3)有毒プランクトンが危険密度未満の時に、養殖している貝類が出荷可能な状態に成長している場合であっても、市場への供給速度や供給タイミングから、危険密度未満の間に全ての貝類を海域から引き上げて出荷することができない。
(理由4)理由3に関連して、有毒プランクトンの無い貯水槽(例えばプールや大型生簀)などに、出荷期間に渡って一時的に保管することも考えられる。しかしながら、養殖等を行っている貝類の量は大量であり、これを一時的に保管する貯水槽などを構築することは、漁業者にとっては困難である。
(理由5)理由3に関連して、仮に有毒プランクトンが危険密度以上となる前に、全てを水揚げしたとしても、市場の旬(例えば贈答シーズンなど)にあっていなければ、一気に市場に供給することは難しい。もちろん値崩れを起こしてしまう問題もある。もちろん、加工食品としてしまうことも考えられるが、上述した二枚貝は、生食で食することがその高級度を維持する必要性もあるので、これも好ましくない。
このように、有毒プランクトンの密度が危険密度以上になる間際に、海域に養殖等されている貝類を一気に水揚げして出荷することは、種々の点で、困難を伴う。このため、有毒プランクトンの密度が当該海域で危険密度以上となる場合でも、その状態となった海域に、養殖かごなどに貝類を入れた状態で出荷が完了するまで、浸しておく必要がある。もちろん、浸している間に、当該海域の有毒プランクトン密度が危険密度以上となり貝類が毒化すると、それ以降は、養殖等されている貝類は出荷できなくなってしまう。
このように、漁業者の養殖や生育の苦労や工夫に関係なく、有毒プランクトンの増加によって、出荷可能状態まで成長した貝類を、漁業者が出荷できない問題が生じるようになっている。小規模な漁業者にとっては、経営の屋台骨を揺るがす問題ともなっている。
このような状況において、有毒プランクトンの死滅や低減を考慮した飼育や、養殖や生育海域に有毒プランクトンが侵入してこないようにするなどの種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
特開昭57−119886号公報 特開2004−300032号公報 特開平7−8139号公報 特開2009−171954号公報
特許文献1は、赤潮に表面活性を有する非水溶性の活性化石炭を除く有機又は無機質粉体を添加し、赤潮成分を吸着する赤潮の処理方法を開示する。
特許文献1は、海中に発生する赤潮を除去する処理方法によって、海域での生物被害を防止することを目的としている。しかしながら、赤潮を生じさせるプランクトンは、上述した貝毒を発生させる有毒プランクトンとは同じではなく、特許文献1の方法では、問題となる有毒プランクトンを危険密度以下にまで除去したり低減したりできるものではない。加えて、貝類の通常の餌となる無毒のプランクトンも除去してしまい、貝類の成長に悪影響を及ぼす問題もある。さらには、特許文献1の処理方法で沈下した粉体が、貝類はもちろん、当該海域の他の生物や魚類に悪影響を与える問題も生じうる。
特許文献2は、赤潮原因藻などの有害プランクトン類に防除能を有する有用微生物を、吸水性樹脂または増粘剤などのゲル形成成分により包埋して、有害プランクトン防除能力を有したままで固定化し、施用環境に適した組成で製剤化した、有用微生物を赤潮形成藻類などの有害プランクトンの防除に実用的に施用できる製剤、製剤化方法、および該微生物製剤を用いて有害プランクトンを防除する技術を提供する技術を開示する。
特許文献2も、特許文献1と同様に、有用微生物を利用して有害プランクトンの除去を行うことを目的としている。
この場合も、必ずしも上述した貝毒を生じさせる有毒プランクトンに効果的であるとは限らない問題もある。貝類の餌となる必要なプランクトンを死滅させたりして、貝類の成長に悪影響を与える可能性もある。また、特許文献2では、使用される有用微生物が、海面付近で活発に活動するが、貝類の養殖においては、養殖かごが海中に投入されるので、海中においてこれら有用微生物が十分に活動せず、本来の目的を達成できない問題もある。
特許文献1、2のように、微生物や特定物質を用いて、有害プランクトンを除去したり減少させたりする技術が、生育している魚介類への有害プランクトンの影響防止を狙った技術の一つの柱である。しかしながら、このような技術では、次のような問題が共通して存在する。
(問題1)有害プランクトンを除去できても、貝毒を生じさせることが判明している特定の有毒プランクトンを除去したり死滅させたりできるかは、判然としない。
(問題2)有害プランクトンだけでなく、貝類の成長に必要なプランクトンまで除去したり死滅させたりしてしまう問題もある。
(問題3)これら微生物や特定物質の投入タイミングによっては、結局貝毒を生じさせる有毒プランクトンの密度を下げることができないままである可能性がのこる。この可能性が残る以上、養殖や生育した貝類の商品価値は下がってしまう。
(問題4)投入される微生物や物質は、自然界である海域に人工的に投入されるため、他の生物や魚介類に悪影響を与える懸念がある。もちろん、当該海域の食物連鎖にも悪影響を与える懸念もあり、根本的な解決とはいえない可能性がある。
特許文献3は、浮力を有する剛性材料で構成された浮力枠体と、この枠体から水中に吊り下げられた筒状の隔離シートと、該シートを水中で形態保持する剛性材料で構成された水中枠体とで構成されており、かつ該隔離シートが、非通水性であるか、または、通水性を有するが、汚泥、原生動物、鞭毛藻類および珪藻類は通過しない機能を有することを特徴とする水中生物生育装置を開示する。
しかしながら、特許文献3の装置は、非常に大掛かりであり、養殖等を行っている海域の全てを覆うことが求められる。当然に一般の漁業者にとってはコストや作業性の面で導入が困難である問題がある。また、常に清浄にしておくことになるため、貝類に必要なプランクトンを貝類に与えることができなくなり、結果として、成長と毒性とのバランスをとることが難しくなる。
また、特許文献3の装置は、養殖設備が浮遊している構造を想定しており、海面下に浸されている養殖設備には適さない問題を有している。
特許文献4は、システインまたはシスチンを構成アミノ酸として、合計で1.5
〜40重量%(乾燥重量)含有するタンパク質またはペプチドを含む飼料、好ましくはケラチンを主成分とするフェザーミールを生鮮貝類に給餌することにより、生鮮貝類から11位に硫酸エステル基をもつ麻痺性貝毒成分を除毒する。また、11位に硫酸エステル基をもたない麻痺性貝毒成分を、ポリフェノール溶液中、好ましくはタンニン酸、エラグ酸、クロロゲン酸、クマリン、カテキン、没食子酸、没食子酸プロピルまたはピロガロールを含む溶液、あるいはリンゴ、トマト、茶、ワインまたはブドウジュースなどのポリフェノール含有食品で分解させることにより除去する麻痺性貝毒成分の除去方法を開示する。
特許文献4も特許文献3の一つの方向と同様に、毒性を持ってしまった貝の毒性を除去することを目的としている。このため、貝毒を未然防止することには適しておらず、出荷停止となった貝の再出荷まで待たなくてはならない。待つことによる市場適合性の問題や、現実問題としての出荷が可能であるか(市場が受け入れるか)についての問題もある。
すなわち、特許文献3,4などは、貝毒の除去や海面表層を清浄化することを一つの技術の柱としているが、次のような問題を有している。
(問題5)装置が大掛かりであって、コストや手間の問題から、一般の漁業者にとっては使えるものになっていない。
(問題6)海中に浸されている養殖かごの全てに対応していない。あるいは、有毒プランクトンの侵入は防いでも、それ以外の養殖上の問題を解決できていない。
(問題7)毒性を除去しても、実際の市場への出荷は困難である。
以上のように、従来技術では、問題1〜問題7に代表される問題を有し、貝毒の未然防止が十分ではない問題があった。
本発明は、これら問題1〜問題7を解決すると共に、小規模な漁業者であっても導入容易な貝類毒化軽減装置および貝類毒化軽減方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の貝類毒化軽減装置は、養殖もしくは生育対象の貝類を収容して多段に連結する複数の養殖かごの上部を覆う上部カバー部と、複数の養殖かごの側面を覆う周囲カバー部と、複数の養殖かごの底面側を開口する開口部と、を備え、上部カバー部および周囲カバー部が有する微細な目地は、有毒プランクトンの侵入を防止可能であり、複数の養殖かごは、水面から水底に向けた方向に、多段連結され、多段連結された複数の養殖かごの上部および周囲は、上部カバー部および周囲カバー部により形成される覆いによって覆われる。
本発明の貝類毒化軽減装置は、簡易かつ簡便な構造でありながら、海中に沈められる養殖かご(特に多段の養殖かご)であっても、その周囲を十分に覆って、有毒プランクトンの侵入を防止できる。有毒プランクトンの侵入が防止できることで、養殖や生育中の貝類が、有毒プランクトンを摂食しない。こうして、貝類の毒化レベルの進行を軽減できて、貝類が毒成分を体内に所定以上に蓄積することを軽減できる。この結果、貝毒の発生を防止する。
また、本発明の貝類毒化軽減装置は、海中側の底面が開口しているので、貝類が発生する排泄物は、海中に排出される。このため、貝類が別の理由で汚損したり、健康状態を悪くしたりすることもない。
以上の結果、市場の旬に合わせた断続的もしくは連続的な出荷が可能となり、漁業者の利益に適う。
本発明における貝類によるプランクトンの捕食を示す説明図である。 本発明における有毒プランクトンの一例を示す写真である。 本発明の実施の形態1における養殖かごの側面図である。 本発明の実施の形態1における多段に連結された養殖かごの側面図である。 本発明の実施の形態1における貝類毒化軽減装置の側面図である。 本発明の実施の形態1における貝類毒化軽減装置の側面図である。 本発明の実施の形態1における貝類毒化軽減装置の取り付け前の状態の一例を示す側面図である。 本発明の実施の形態2における実験1の様子を示す写真である。 実験1におけるヒオウキガイの毒力変化を示すグラフである。 本発明の実験2の実験結果を示すグラフである。 実験2におけるヒオウキガイの軟体部(いわゆる貝殻以外の本体部)の重量変化を示すグラフである。 本発明の実験3の実験結果を示すグラフである。
本発明の第1の発明に係る貝類毒化軽減装置は、養殖もしくは生育対象の貝類を収容して多段に連結する複数の養殖かごの上部を覆う上部カバー部と、複数の養殖かごの側面を覆う周囲カバー部と、複数の養殖かごの底面側を開口する開口部と、を備え、上部カバー部および周囲カバー部が有する微細な目地は、有毒プランクトンの侵入を防止可能であり、複数の養殖かごは、水面から水底に向けた方向に、多段連結され、多段連結された複数の養殖かごの上部および周囲は、上部カバー部および周囲カバー部により形成される覆いによって覆われる。
この構成により、貝類毒化軽減装置は、養殖かごに収容されている貝類の捕食可能な範囲に、有毒プランクトンが到達することを低減できる。
本発明の第2の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第1の発明に加えて、上部カバー部および周囲カバー部は、一体である。
この構成により、貝類毒化軽減装置は、底面側の開口部以外を、ほぼ十分に閉じることができる。また、貝類毒化軽減装置が、容易に養殖かごの周囲に装着されるようになる。
本発明の第3の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第1又は第2の発明に加えて、上部カバー部および周囲カバー部は、多段連結された複数の養殖かごの上部から下部に向けて覆われ、上部カバー部の口は、縛られて閉じられる。
この構成により、貝類毒化軽減装置は、多段に連結された養殖かごの周囲を、容易に覆うことができる。
本発明の第4の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、周囲カバー部の最下端は、多段連結された複数の養殖かごの最下段より、所定距離以上、水底側に位置する。
この構成により、底面側の開口部から、有毒プランクトンが、貝類の捕食範囲に近づくことが防止できる。
本発明の第5の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第4の発明に加えて、所定距離は、最下段の養殖かごの直径である。
この構成により、有毒プランクトンが、開口部から貝類の捕食範囲に近づくことが防止できる。
本発明の第6の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、開口部は、複数の養殖かごに収容されている貝類の排泄物を、覆いから外部に排出できる。
この構成により、貝類毒化軽減装置は、養殖かごの周囲を覆うことによるデメリットを解消できる。
本発明の第7の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、上部カバー部および周囲カバー部の少なくとも一部は、透水性および通気性を有する。
この構成により、貝類毒化軽減装置は、貝類の生理現象を妨げない。
本発明の第8の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第7の発明に加えて、上部カバー部および周囲カバー部の少なくとも一部は、可視光線を透過可能である。
この構成により、貝類毒化軽減装置は、貝類が必要とする太陽光などの可視光線を、貝類に供給できる。
本発明の第9の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第7又は第8の発明に加えて、上部カバー部およびカバー部の少なくとも一部は、平滑表面を有している。
この構成により、海流および付着物の影響を受けにくくなる。
本発明の第10の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、多段に連結された複数の養殖かごにおいて、最下段(水底側)の養殖かごには、生育状態の悪い貝類および出荷未満状態の貝類の少なくとも一部が収容される。
この構成により、開口部から入り込む可能性のある有毒プランクトンの被害を、最小限に抑えることができる。
本発明の第11の発明に係る貝類毒化軽減装置では、第1から第10のいずれかの発明に加えて、覆いは、養殖かごが設置されている海域における有毒プランクトンの密度が所定値となる前に、多段連結された複数の養殖かごに被せられ、好ましくは、海域における有毒プランクトンの密度が、100細胞/Lを越える時点で、覆いが、多段連結された複数の養殖かごに被せられ、更に好ましくは、海域における有毒プランクトンの密度が、明確に増加に転じた時点で、覆いが、多段連結された複数の養殖かごに被せられる。
この構成により、貝類毒化軽減装置は、貝類の生育と毒化とのバランスを効率よく図ることができる。
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態)
実施の形態について説明する。
(貝毒の概要)
まず、有毒プランクトンによる貝類の毒化および貝毒に至る過程や背景を説明する。図1は、本発明における貝類によるプランクトンの捕食を示す説明図である。貝類1は、天然生育されているものであっても、養殖されているものであっても、ある海域において海水中にある。この海水中には様々なプランクトン2が存在し、貝類1は、これらプランクトン2を捕食して成長する。
ここで、貝類1が捕食するプランクトン2の中には、毒性を有する有毒プランクトンが含まれることがある。近年の研究で有毒プランクトンとして、アレキサンドリウム・タマレンセ、アレキサンドリウム・カテネラ、アレキサンドリウム・タミヤバニッチ、ギムノディニウム・カテナータム、ディノフィシス・フォルティ、ディノフィシス・アキュミナータなどが知られている。
図2は、本発明における有毒プランクトンの一例を示す写真である。図2には、有毒プランクトンの例として、アレキサンドリウム・タマレンセ、アレキサンドリウム・カテネラ、アレキサンドリウム・タミヤバニッチ、ギムノディニウム・カテナータムが、示されている。
貝類1は、餌としてのプランクトン2を捕食する際に、これら有毒プランクトンを通常のプランクトン2と区別せずに捕食してしまう。これら有毒プランクトンは、貝類1が捕食しても、貝類1にとっては有毒ではないとの事実があるからである。すなわち、貝類1は、自身への身体的影響がないことにより、毒性の無いプランクトンと共に、有毒プランクトンを捕食してしまう。
一方、この有毒プランクトンを捕食した貝類1は、その体内に毒性を蓄積していく。すなわち、貝類1は、有毒プランクトンを捕食することにより毒化してしまうことになる。毒化のレベルが所定値以下であれば、この貝類1を人間が食しても身体的被害は生じない。しかしながら、毒化のレベルが所定値以上となると(この状態を「貝毒」という)、この貝類1を食した人間には身体的被害が生じてしまう。
このため、背景技術でも説明した通り、有毒プランクトンの発生密度を測定する技術や仕組みが設けられており、食用とする貝類1を収穫したり養殖したりしている海域での有毒プランクトンの発生密度を測定することが可能となっている。
この有毒プランクトンの発生密度の測定の仕組みにより、貝類1の生育海域においていつごろに有毒プランクトンが発生するか、その発生数が多くなるかは、一定の予想ができるようになっている。このため、貝類1の養殖業者や漁業者にとっては、この有毒プランクトンの発生時期を考慮して、貝類1の生育を開始することができる。しかしながら、当然に有毒プランクトンが発生する詳細時期や発生量は、確実に予想できない。このため、貝類1の出荷前に、貝類1の生育海域での有毒プランクトン密度が所定値以上に増加してしまうと、当該貝類1は出荷停止などの規制が掛かってしまう。
(貝類毒化軽減装置の概要)
貝類1は、稚貝から養殖される場合でも、一定の生育後から養殖される場合でも海水中に漬けられつつ引き揚げが可能な養殖かごに入れられる。図3は、本発明の実施の形態1における養殖かごの側面図である。
養殖かご3は、養殖や収穫された貝類1を保管しつつ海水中に漬けておくための容器である。このため、養殖かご3は、ある程度の数量の貝類1を収容できる大きさを有する。加えて、貝類1が海水に浸かることができ、この海水が入れ替え可能であるように、周囲は開口部を有していることが好適である。このため、養殖かご3の周囲は、網目31を有していることが適当である。好適には、網目状の紐や金属線などで養殖かご3が形成されれば、海水の循環が可能となる。
貝類1は、この養殖かご3に収容された上で、海水中に漬けられる。当然に、養殖かご3が引き揚げられれば、養殖かご3に収容されている貝類1を収穫することができる。
実際の養殖現場では、図3に示される養殖かご3が多段に連結された上で、海水中に漬けられる。図4は、本発明の実施の形態1における多段に連結された養殖かごの側面図である。図4では、上方から養殖かご3A、養殖かご3B、養殖かご3Cの順に多段に連結されている。
連結されている養殖かご3A、養殖かご3B、養殖かご3Cのそれぞれには、養殖されている貝類1が収容されている。これら貝類1は、養殖かご3A〜3Cにより海水中に漬けられているので、貝類1は、海水中で生息できる。この海水中において、図1に示されるように貝類1は、プランクトン2を捕食する。
図5は、本発明の実施の形態1における貝類毒化軽減装置の側面図である。図6は、本発明の実施の形態1における貝類毒化軽減装置の側面図である。図5は、貝類毒化軽減装置5が取り付けられた状態において、内部の養殖かご3A〜3Cが透視された状態を示している。実際には、貝類毒化軽減装置5は、多段に連結された複数の養殖かご3A〜3Cの外部を覆うので、図6に示されるように、養殖かご3A〜3Cの外側は、筒状の袋が見えるだけになる。
貝類毒化軽減装置5は、多段に連結された複数の養殖かご3A〜3Cの上部を覆う上部カバー部51と、複数の養殖かご3A〜3Cの側面を覆う周囲カバー部52と、複数の養殖かご3A〜3Cの底面側を開口する開口部53を備える。上部カバー部51と周囲カバー部52とは最初から一体でもよいし養殖かご3A〜3Cを覆う際に一体化されてもよいが、いずれにしても一体となって、養殖かご3A〜3Cの上部と側面を覆う覆い55を形成できる。
この覆い55によって、養殖かご3A〜3Cの周囲が覆われる。但し、底面側に設けられた開口部53のみは、養殖かご3A〜3Cを覆っていない。すなわち、覆い55は、底面側の開口部53以外において、養殖かご3A〜3Cの周囲を覆うようになる。
上部カバー部51および周囲カバー部52は、種々の素材で形成されるが、微細な目地を有する。この微細な目地は、有毒プランクトンの侵入を防止可能な大きさや形状を有している。このように、貝類1が養殖等のために収容されている養殖かご3A〜3Cの周囲が、底面側の開口部53以外で覆われて、更に覆い55となる上部カバー部51および周囲カバー部52が、有毒プランクトンの侵入を防げることで、貝類1は、有毒プランクトンを捕食しない。
また、底面側は開口部53によって開口しているが、有毒プランクトンは、海中を平面方向に移動することが多く、底面側の開口部53に入り込んで、垂直方向に上昇して貝類1の収容されている養殖かご3A〜3Cに到達することは少ない。この点でも、貝類1が捕食可能な範囲に、有毒プランクトンが到達することは低減される。
一方で、有毒プランクトンだけでなく、貝類1が自身の成長のために捕食するプランクトンも貝類1の捕食可能な範囲に到達しにくくなるが、貝類1が出荷可能状態であれば、貝類1がプランクトンを捕食できなくとも問題はない。このようにして、貝類毒化軽減装置5は、貝類1の捕食可能な範囲に、有毒プランクトンを含めてプランクトンを近づけにくくできる。この結果、貝類1は、有毒プランクトンを捕食することが極めて少なくなり、毒化の度合いを軽減できる。
なお、目地の大きさは、有毒プランクトンの大きさより小さいことが必須ではない。上部カバー部51および周囲カバー部52を形成する素材の目地の大きさが、製造当初は、有毒プランクトンの大きさより大きくても問題ない場合もある。例えば、当初は目地が有毒プランクトンの大きさより大きくても、海中につけられている間に、目地に海草や藻などが張り付いて、目地の大きさを小さくすることもあるからである。こうなれば、目地の大きさは、有毒プランクトンよりも小さくなりやすくなる。
このように、貝類毒化軽減装置5は、貝類1を収容した養殖かご3A〜3Cの周囲を、開口部53を除いて覆うことで、種々のプランクトンと共に有毒プランクトンを近づけにくくできる。この結果、貝類1の毒化の進行を軽減でき、貝毒を防止できる。
ここで、底面側の開口部53は、貝類1の排泄物を覆い55の外部に排出するために必要である。また、覆い55の内部の海水の循環、外部との循環、酸素等の供給などにおいて必要である。
なお、図5,6などでは図示の都合上、3個の養殖かご3A〜3Cが多段に連結されている構造を示しているが、養殖かご3は、3個以外の個数で連結していてもよい。
(上部カバー部と周囲カバー部)
上部カバー部51と周囲カバー部52は、全体として開口部53を除いて、多段に連結された複数の養殖かご3A〜3Cを覆う。このため、上部カバー部51と周囲カバー部52とは、一体であることが好ましい。養殖かご3の周囲に取り付けられる前は、上部カバー部51と周囲カバー部52とが分離している状態でもよいが、養殖かご3の周囲に取り付けられた後では、上部カバー部51と周囲カバー部52とは一体となっていることが好ましい。例えば、上部カバー部51と周囲カバー部52とが、養殖かご3の周囲に取り付けられる際に、接続されたり、接着されたり、あるいは、ジップによって接続されたりする。
もちろん、上部カバー部51と周囲カバー部52が、最初から(製造されて、養殖かご3に取り付けられる前の段階から)一体であることもよい。
適当には、貝類毒化軽減装置5の基本要素である上部カバー部51と周囲カバー部52は、外見上において独立して把握される部材でなくともよい。例えば、貝類毒化軽減装置5は、上下に開口部を有する筒状の部材である。この筒状の部材の上部の開口部は、巾着のように縛ることのできる紐が付いており、この紐によって上部開口部が閉じられて、筒状の部材は、上部カバー部51となる部分と周囲カバー部52となる部分とを形成する。更に、上部開口部が閉じられることで、底面側となる下部の開口部のみが開口した状態となって、養殖かご3の上部および側面が覆われた状態が形成される。こうして、図5、図6のように、養殖かご3の底面側の開口部53以外が覆われた覆い55が形成される。
図7は、本発明の実施の形態1における貝類毒化軽減装置の取り付け前の状態の一例を示す側面図である。
上述のように、貝類毒化軽減装置5は、筒状の部材58で形成されている。この筒状の部材58は、上下に開口を有している。下部(底面側)は、開口部53を有しており、上部は上部開口部56を有している。まさしく筒状の部材58である。
上部開口部56の外周は、紐57を有している。例えば、上部開口部57の外周は袋状の通り道があり、この通り道の内部を紐57が通っている。すなわち、巾着状態となっている。この紐57を縛ることで、上部開口部56は閉じられる。この結果、筒状の部材58の上部は上部カバー部51となり、側面が周囲カバー部52となる。
実際には、図5に示されるように海面から海中に向けて吊るされている多段の養殖かご3の周囲に、筒状の部材58が被せられる。例えば、作業者が、下部の開口部53から養殖かご3を筒状の部材58内部に入れ、筒状の部材58をそのまま下げる。筒状の部材58が下げられることで、筒状の部材58が、多段に連結されている養殖かご3の周囲を覆う。筒状の部材58が全ての養殖かご3の周囲を覆ったところで、作業者は、紐57を縛る。紐57が縛られれば、上部開口部56が閉じられる。
上部開口部56が閉じられることで、筒状の部材58は、多段に連結されている養殖かご3の一番上の養殖かご3に引っ掛かってその位置を固定できる。この固定によって、筒状の部材58は、上部カバー部51、周囲カバー部52、開口部53と、を構成でき、養殖かご3の底面側の開口部53以外を覆う覆い55を形成できる。
これらの結果、養殖かご3に貝類毒化軽減装置5が装着される。
このように、筒状の部材58が用いられることで、養殖かご3の周囲を覆った貝類毒化軽減装置1が、簡単に構成できる。
(開口部)
開口部53は、養殖かご3を覆う覆い55において、外部と連通する部分である。開口部53は、図5,6に示されるように、底面側(海底側)に設けられて開口している。貝類毒化軽減装置5は、覆い55によって、有毒プランクトンが養殖かご3に収容されている貝類1の捕食範囲に近づくことを低減している。
しかし、貝類1は、排泄物を排泄することもあり、養殖かご3の周囲の全てが覆われてしまうと、貝類1による排泄物が覆い55内部に溜まってしまい、貝類1の健康が損なわれることもありえる。場合によっては、出荷できない状態ともなりえる。
また、養殖かご3の周囲の全てが覆われてしまうと、覆い55内部と外部との海水の循環が妨げられる。海水の循環が妨げられると、貝類1の周囲の海水の酸素濃度が不足するなどの問題もある。
これらの問題を防止するために、開口部53が底面側に設けられる。開口部53が底面側であれば、貝類1の排泄物は、覆い55から外部に放出されやすい(そのまま、海底に向けて落下していくので)。また、側面が開口している場合ほどではないが、海水の循環も実現される。
一方で、開口部53は、海底側であるので、有毒プランクトンは覆い55内部に入り込みにくい。プランクトンは、海流や波の動きに合わせるように、平面方向を主として移動するからである。このため、開口部53から養殖かご3に向けて有毒プランクトンが近づくことも低減できる。
このように、開口部53によって、養殖かご3の周囲が覆われることで生じうる問題を解決しつつ、本来の目的である有毒プランクトンの侵入低下を両立している。
ここで、開口部53となる周囲カバー部52の最下端は、連結された複数の養殖かご3の最下段より、所定距離以上、海底側(水底側)に位置することが好適である。すなわち、開口部53と多段連結された最下段の養殖かご3との間隔は、所定距離以上であることが好ましい。
図5の矢印Aは、この所定距離を示している。開口部53が、最下段の養殖かご3に近すぎる状態であると、開口部53から有毒プランクトンが覆い55内部に入り込みやすい。こうなると当然に養殖かご3に収容されている貝類1の捕食範囲に、有毒プランクトンが簡単に到達できてしまう。
このため、矢印Aに示されるように、所定距離以上の距離を持って、最下段の養殖かご3と開口部53とが離隔していることが好ましい。所定距離以上の離隔があることで、開口部53から有毒プランクトンが養殖かご3まで上昇しつつ入ってくることが難しくなり、有毒プランクトンによる貝類1の毒化が軽減される。
ここで、所定距離の一例として、所定距離は、最下段の養殖かご3の直径であることが適当である。養殖かご3の直径が所定距離であることで、最下段の養殖かご3から開口部53までの距離が十分となり、有毒プランクトンが、開口部53から侵入してくる可能性を低減できる。
もちろん、所定距離は、有毒プランクトンの実際の侵入などの経験則に基づいて定められれば良い。いずれにしても、開口部53と最下段の養殖かご3との離隔距離を所定以上とすることで、開口部53からの有毒プランクトンの侵入を低減できる。結果として、貝類1の毒化が軽減できる。
(素材)
上部カバー部51および周囲カバー部52の少なくとも一部は、透水性および通気性を有することが好適である。筒状の部材58などで形成される上部カバー部51や周囲カバー部52は、海中に漬けられる。このとき、上部カバー部51および周囲カバー部52によって多段に連結された養殖かご3が覆われる。養殖かご3は、上部カバー部51および周囲カバー部52によって周囲と遮断される。
一方で、養殖かご3に収容される貝類1は、呼吸や排泄などの生理現象を持続させる必要がある。この生理現象を持続させるために、上部カバー部51および周囲カバー部52の少なくとも一部は、透水性および通気性を有することが好ましい。もちろん、全体に渡って、透水性および通気性を有することでもよい。
また、上部カバー部51および周囲カバー部52の少なくとも一部は、可視光線を透過可能であることも好適である。貝類1は、太陽光を受けて種々の生理現象を生じさせる。自身の成長にとっても必要である。貝類毒化軽減装置5は、養殖かご3の周囲を底面側の開口部53以外ですっぽりと覆ってしまう。底面側からは太陽光は届かない。このため、上部カバー部51および周囲カバー部52の少なくとも一部は、太陽光における可視光線を透過可能であることが好適である。
可視光線が透過可能であることで、貝類1は、可視光線を必要とする生理現象を持続できる。貝類毒化軽減装置5は、貝類1が出荷可能かそれに近い状態に成育し、当該海域の有毒プランクトン濃度が所定値以上となるタイミングで、設置される。このため、貝類毒化軽減装置5が接地された後でも、貝類1の出荷までには時間が掛かることもある。この貝類毒化軽減装置5の設置から出荷までの間の、貝類1の生育や生理現象をなるべく阻害しないことが重要である。この点で、可視光線が透過可能であることが好ましい。
また、上部カバー部51および周囲カバー部52の少なくとも一部は、平滑表面を有していることが好ましい。
上部カバー部51および周囲カバー部52は、海中に漬けられる。表面の凸凹が大きすぎると、海中における海流の影響を受けやすくなる。海流の影響が大きいと、貝類毒化軽減装置5と合わせて養殖かご3が揺れやすくなる。あるいは、凸凹が大きいと、上部カバー部51や周囲カバー部52の表面に、海草や藻が付着しやすくなってしまう。付着してしまうと、可視光線の透過性や透水性が損なわれてしまい、内部の貝類1に好ましくない。
このような点から、上部カバー部51および周囲カバー部52は、平滑表面を有していることが好ましい。なお、平滑処理によって平滑表面を有してもよいし、予め平滑構造を有する素材が用いられてもよい。
以上、実施の形態1における貝類毒化軽減装置5は、養殖かご3に収容されている出荷前状態の貝類1の毒化を軽減できる。特に、有毒プランクトンが警戒レベルになる前に、貝類毒化軽減装置5が用いられることで、養殖かご3に収容されている貝類1の捕食範囲に有毒プランクトンが到達することを低減でき、貝類1による有毒プランクトンの捕食が減少し、毒化が軽減できる。
なお、漁業者は、経験的に予想される有毒プランクトンの増加時期を考慮して、貝類1の養殖等を開始しているので、貝類1が出荷可能な状態まで生育するタイミングと有毒プランクトンの増加時期とを合わせることができる。この結果、貝類毒化軽減装置5は、有毒プランクトンと合わせて通常のプランクトンの侵入を防止しても、貝類1の生育にとって問題を生じさせない。以降は、貝類1の毒化を軽減(防止)しつつ、市況に合わせた漁業者による貝類1の出荷を実現できる。
なお、ここでは貝類毒化軽減装置5を説明したが、発明は、この貝類毒化軽減装置5を用いた、貝類毒化軽減方法として把握されてもよい。
すなわち、貝類毒化軽減方法は、養殖もしくは生育対象の貝類を収容して多段連結する複数の養殖かごの上部を、上部カバー部51で覆い、多段連結する複数の養殖かご3の周囲を、周囲カバー部51で覆い、多段連結する複数の養殖かご3の水底側底面を、最下段の養殖かご3より所定距離以上はなれた位置で開口させ、上部カバー部51は、最上段の前記養殖かご3の上部で縛られ、上部カバー部51と周囲カバー部52との全体は、覆い55を形成し、上部カバー部51および周囲カバー部52は、有毒プランクトンの侵入を防止可能である。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、貝類毒化軽減装置5の設置における工夫について説明する。
(最下段の養殖かご)
貝類毒化軽減装置5の全体の中心部材である覆い55は、多段に連結された複数の養殖かご3の周囲を覆う。この結果、養殖かご3に収容されている貝類1の捕食範囲に有毒プランクトンが到達することが低減できる。
しかしながら、覆い55内部と外部との海水の循環の確保と貝類1の排泄物の排除などのために、底面側に開口部53が設けられている。開口部53と最下段の養殖かご3との離隔距離を十分にすることや、有毒プランクトンの行動態様によって、底面側の開口部53から有毒プランクトンが養殖かご3に到達することは低減できる。
しかしながら、海流の状態あるいは有毒プランクトンの密度によっては、開口部53から有毒プランクトンが侵入してくる可能性も否定できない。このような場合に備えて、多段に連結される複数の養殖かご3において、最下段の養殖かご3には、生育状態の悪い貝類1および出荷未満状態の貝類1の少なくとも一部が収容されることが適当である。
開口部53から有毒プランクトンが侵入する場合でも、この有毒プランクトンの捕食による毒化の可能性がもっとも高いのは、開口部53に最も近い最下段の養殖かご3に収容されている貝類1である。
このため、状況によっては、最下段の養殖かご3に収容されている貝類1については、有毒プランクトンによる毒化を想定して、そもそも出荷が難しそうな生育状態のものとしておくことも考えられる。
図5に示される場合であれば、最下段である養殖かご3Cに、生育状態の不十分な貝類1を収容しておき、上段である養殖かご3A、3Bには、出荷可能な生育状態の貝類1を収容しておくことが適当である。
養殖かご3に貝類毒化軽減装置5が装着されたあとでは、覆い55内部に有毒プランクトンと合わせて、普通のプランクトンも入りにくくなる。このため、貝類毒化軽減装置5が装着されたあとでは、貝類1は、生育しにくくなる。すなわち、貝類毒化軽減装置5は、既に出荷可能なレベルまで生育が終わっている貝類1の毒化を軽減・未然防止するためである。このため、生育状態の不十分な貝類1を、毒化のリスクの最も高い最下段の養殖かご3に収容することが適当である。
このようにして、生育状態においても出荷が難しそうな貝類1のみを、有毒プランクトンのリスクに対応させることで、出荷可能となっている貝類1を優先的に毒化から遠ざけることも好適である。
(貝類毒化軽減装置の設置タイミング)
貝類毒化軽減装置5は、図5,6などで説明したように、多段に連結された養殖かご3の周囲を、上部カバー部51と周囲カバー部52とからなる覆い55で覆う。貝類毒化軽減装置5が設置されると、(1)貝類1が必要とするプランクトンの捕食が難しくなる、(2)毒化の原因となる有毒プランクトンを捕食する問題が低減できる、との2つが生じる。
このため、(1)については、貝類1のそれ以上の生育が見込めなくなる問題があるので、貝類毒化軽減装置5は、貝類1が出荷可能な状態に生育した後で装着されることが好ましい。これは、経験的あるいは測定に基づく予想から、有毒プランクトンが発生を始める時期を想定して貝類1の養殖を開始することで解消される。
一方、(2)については、有毒プランクトンが発生したタイミングで、貝類毒化軽減装置5が設置されれば、実現できる。当然ながら、有毒プランクトンが発生するタイミングで、養殖かご3の周囲が覆われてしまえば、有毒プランクトンが養殖かご3に収容されている貝類1の捕食範囲に入り込む可能性が低減するからである。
しかし、有毒プランクトンが発生したタイミングで即座に貝類毒化軽減装置5を設置すると、通常のプランクトンの捕食も制限され(上述の(1))、貝類1の以降の生育が望めなくなる可能性がある。上述のように、有毒プランクトンの発生時期を予想して養殖を開始したとしても、様々な条件によって、有毒プランクトン発生のタイミングで、貝類1が十分に生育しているとは限らない。
このため、貝類毒化軽減装置5の覆い55が養殖かご3に取り付けられるのは、次の3つのタイミングのいずれかで行われるのが好適である。
(第1タイミング)
養殖かご3が設置されている海域の有毒プランクトン密度が確認され、二枚貝に毒が蓄積し始めるタイミングで、覆い55が養殖かご3に被せられる。
二枚貝の毒力は測定される仕組みが整っている。このため、有毒プランクトンの密度が確認され、二枚貝の毒が蓄積しはじめる時またはその前のタイミングで、覆い55が養殖かご3に被せられることが適当である。
毒力は麻痺性貝毒の場合には、4MU/gが、下痢性貝毒の場合には、0.05MU/gが規制値となる。このため、貝毒の種類によって養殖地域で適用される規制値(所定値)は異なる。この規制値を超過する前に、貝類毒化軽減装置5が設置されればよい。
(第2タイミング)
第1タイミングより好ましくは、養殖かご3が設置されている海域の有毒プランクトンの密度が、100細胞/Lを越えるタイミングである。この第2タイミングの基準となる100細胞/Lの有毒プランクトン密度は、貝類1が有毒プランクトンを捕食して毒化しやすくなる基準である。
この第2タイミングで養殖かご3に貝類毒化軽減装置5が設置されることで、貝類1が、毒化しやすくなるレベルでの有毒プランクトンの捕食が防止される。貝毒状態を基準とする第1タイミングは、貝毒状態の貝類1を生じさせない点では好ましい。しかしながら、貝毒状態ではないが、貝類1が毒化している状態ではある。これに対して、第2タイミングで、貝類毒化軽減装置5が設置されれば、貝類1が明確に毒化する前に、貝類1の毒化の進行を軽減(防止)できる。
このような貝類1であれば、規制値に抵触しないだけでなく、より安全との確信をもって出荷できるメリットがある。このため、第2タイミングで貝類毒化軽減装置5が設置されることは、第1タイミングよりも好適である。
(第3タイミング)
第2タイミングより更に好ましくは、養殖かご3が設置されている海域での有毒プランクトンの密度が明確に増加に転じた時点である第3タイミングである。この第3タイミングで、養殖かご3に貝類毒化軽減装置5が取り付けられることが、より好適である。
養殖かご3が設置されている海域において、有毒プランクトンが発生しても、貝類1が捕食するとは限らず、仮に僅か捕食しても貝類1は、ほとんど毒化しない。しかしながら、当該海域での有毒プランクトンの密度が、明確に増加に転じると、貝類1による捕食量が当然に明確に増加する。この明確な増加によって、貝類1の毒化が始まる可能性がある。
このため、第2タイミングより更に好ましいタイミングとして、第3タイミングで貝類毒化軽減装置が設置されれば、貝類1の毒化の開始も防止できる。こうなれば、より安全な状態での貝類1の出荷が可能となる。
以上のように、貝類毒化軽減装置5は、第1タイミング〜第3タイミングのいずれか(あるいは第3タイミングより更に前のタイミング)で、設置されることが好適である。
いずれのタイミングが選択されるかについては、貝類1の種類、貝類1の生育度合い、海域の特性、貝類1と規制値との関係、出荷時期との関係、漁業者の判断などに基づけばよい。
(実験結果の説明)
次に、実際の実験結果について説明する。
(実験1)
まず、実験1について説明する。実験1では、有毒プランクトンの密度が、100細胞/Lとなった段階で、養殖かごに貝類毒化軽減装置を取り付けた。
実験1の実験条件については次の通りである。
(実験期間)2008年2月16日〜3月16日
(実験場所)大分県猪串湾
(貝類) ヒオウキガイ
(毒力分析方法)ELISA法
(貝類毒化軽減装置取り付け時)有毒プランクトン密度が、100細胞/Lとなった段階
この実験条件に基づいて、養殖かごに収容されているヒオウキガイの毒力を測定して、貝類毒化軽減装置の効果を測定した。
図8は、本発明の実施の形態2における実験1の様子を示す写真である。多段に連結された複数の養殖かごの周囲を覆う貝類毒化軽減装置が装着された状態で、養殖かごが、海中に投入される。また、対比のために、貝類毒化軽減装置が装着されていない養殖かごも、同じ海域に投入された。
図9は、実験1におけるヒオウキガイの毒力変化を示すグラフである。図9の上段のグラフは、当該海域での有毒プランクトン(ここでは、ギムノデニウム カテナータム)の当該海域での時系列での密度変化を示している。増減変動はあるものの、日にちが経過するにつれて、当該海域では、有毒プランクトンの密度が上がっていることが分かる。
図9の下段のグラフは、貝類毒化軽減装置を装着した養殖かごに収容されているヒオウキガイの毒力と、むき出しの養殖かごに収容されているヒオウキガイの毒力の変化を示している。グラフ中の「対象区」と記載されている折れ線が、むき出しの養殖かご(貝類毒化軽減装置を備えていない養殖かご)に収容されているヒオウキガイの毒力の変化を示す。一方、グラフ中の「貝毒軽減シート」と記載されている折れ線が、貝類毒化軽減装置を装着した養殖かごに収容されているヒオウキガイの毒力の変化を示す。
図9の結果から明らかな通り、貝類毒化軽減装置を装着した養殖かごのヒオウキガイは、毒化の進行が抑えられている。特に、装着されていないヒオウキガイの毒化に比較して、その毒化は、80%の低減が実現されている。この毒化であれば、このヒオウキガイは、出荷可能なレベルである。
実験1は、実施の形態2で説明したように、第2タイミングに対応するタイミングでの処理である。このように、第2タイミングで貝類毒化軽減装置が用いられることは、非常に効果的に貝類の毒化の進行を防止できることが、実験1から確認された。
(実験2)
次に、実験2について説明する。
実験2では、2種類の有毒プランクトンが発生する場合での、貝類毒化軽減装置の効果を確認した。
(実験期間)2009年11月30日〜2010年1月25日
(実験場所)大分県猪串湾
(貝類) ヒオウキガイ
(毒力分析方法)ELISA法
(貝類毒化軽減装置取り付け時)2種類の有毒プランクトンの密度が、明確に増加に転じたことを確認できたタイミング
図10は、本発明の実験2の実験結果を示すグラフである。図10の上段のグラフは、2種類の有毒プランクトンとしてギムノディウム・カテナータム(図10では、G/カテナータムと示される)と、アレキサンドリウム・カテネラ(図10では、A・カテネラと示される)の、密度変化を示している。グラフは、実験期間の後半での密度減少も示しているが、実験開始後に、密度が上昇している事を示している。
一方、図10の下段のグラフは、貝類毒化軽減装置が装着されている養殖かごに収容されるヒオウキガイと、装着されていない養殖かごに収容されるヒオウキガイの毒力変化を示している。図中の「シート有」が装着されている場合の変化曲線で、「シート無」が装着されていない場合の変化曲線である。
このように2種類の有毒プランクトンが同時に密度を増加させる期間においても、貝類毒化軽減装置が装着されている養殖かごに収容されるヒオウキガイの毒化の進行が軽減されていることが分かる。実際には、装着されていない場合に比較して約62%の軽減が確認された。
実験2より、2種類(おそらく複数種類)の有毒プランクトンの密度増加があっても、貝類毒化軽減装置は、貝類の毒化の軽減を実現できることが分かる。加えて、実施の形態2で説明した第3タイミングでの装着が効果的であることも実証していると考えられる。
なお、図11は、実験2におけるヒオウキガイの軟体部(いわゆる貝殻以外の本体部)の重量変化を示すグラフである。図11のグラフから明らかな通り、貝類毒化軽減装置を装着したあとでは、ヒオウキガイの生育は余り進んでいないことがわかる。出荷状態であれば問題はなく、また有毒プランクトンを捕食していないことも分かる。
(実験3)
次に、実験3について説明する。
実験3では、有毒プランクトンが規制値となる程度の密度となってから、貝類毒化軽減装置を装着した場合の実験である。
(実験期間)2010年3月2日〜2010年4月27日
(実験場所)大分県猪串湾
(貝類) ヒオウキガイ
(毒力分析方法)ELISA法
(貝類毒化軽減装置取り付け時)2種類の有毒プランクトンの密度が、規制値程度に増加したタイミング
図12は、本発明の実験3の実験結果を示すグラフである。図12の上段のグラフは、2種類の有毒プランクトンであるギムノディウム・カテナータムと、アレキサンドリウム・カテネラとが、規制値程度にまで増加した時点以降の、有毒プランクトンの密度変化を示している。図12の下段のグラフは、貝類毒化軽減装置を装着していない(シート無と表記)養殖かごに収容されているヒオウキガイの毒力と、貝類毒化軽減装置を装着している(シート有と表記)養殖かごに収容されているヒオウキガイの毒力とを示している。
下段のグラフから明らかな通り、貝類毒化軽減装置が装着されていることで、貝類の毒化の進行が軽減されていることが分かる。実験3の結果から、装着されていない場合に比較して約33%の毒化の進行が軽減されていることが分かる。
しかしながら、実験1、実験2に比較すると、毒化の軽減率が少ない。すなわち、実験3における実験条件の一つである「貝類毒化軽減装置の装着タイミング」が遅いことが、この軽減率の低下の理由である。実験3の装着タイミングは、実施の形態2で説明した第1タイミングに近い。すなわち、第1タイミングでも、貝類の毒化軽減の効果はあるが、より十分な軽減効果を得るには、第2タイミングや第3タイミングが適当だと考えられる。
以上のように、実験1〜実験3の結果から、貝類毒化軽減装置の効果および装着タイミングと効果との関係が実証された。
なお、装着タイミングの基準となる有毒プランクトンの密度は、有毒プランクトンの種類によって異なる。特に、第1タイミングおよび第2タイミングのように、規制値や基準値を所定値の基準とする密度は、有毒プランクトンの種類によって異なる。
一例として、第1タイミングの所定値(規制値)もしくは第2タイミングの密度(所定体積での細胞数)の基準として、次のように決められればよい。
アレキサンドリウム・タマレンセ:1000細胞/L
アレキサンドリウム・カテネラ:1000細胞/L
アレキサンドリウム・タミヤバニッチ:1000細胞/L
ギムノディニウム・カテナータム:30細胞/L
ディノフィシス・フォルティ:50細胞/L
ディノフィシス・アキュミナータ:50細胞/L
実施の形態1、2で説明された貝類1は、様々な種類を含むが、例として、ホタテガイ、ヒオウギガイ、タイラギ、カキ類、トリガイ、アカガイ、ハマグリ、ムラサキイガイ(ムールガイ)、アサリ、イタヤガイ、ミルクイなどがある。
また、実施の形態1,2で説明された有毒プランクトンも種々の種類を含むが、例として、アレキサンドリウム・タマレンセ、アレキサンドリウム・カテネラ、アレキサンドリウム・タミヤバニッチ、ギムノディニウム・カテナータム、デノフィシス・フォルテー、デノフィシス・アキュミナータなどがある。
上述の貝類の養殖等において、これら有毒プランクトンからの毒化を軽減する効果を、実施の形態1、2の貝類毒化軽減装置、貝類毒化軽減方法は有する。
以上、実施の形態1〜2で説明された貝類毒化軽減装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。また、実施の形態1〜2から明らかな通り、貝類毒化軽減装置5は、非常に簡便な構造および素材で形成されるので、小規模な漁業者であっても、導入が容易である。この結果、普及も早期に促進される。
1 貝類
2 プランクトン
3 養殖かご
5 貝類毒化軽減装置
51 上部カバー部
52 周囲カバー部
53 開口部
55 覆い
57 紐
58 筒状の部材

Claims (16)

  1. 養殖もしくは生育対象の貝類を収容して多段に連結する複数の養殖かごの上部を覆う上部カバー部と、
    前記複数の養殖かごの側面を覆う周囲カバー部と、
    前記複数の養殖かごの底面側を開口する開口部と、を備え、
    前記上部カバー部および前記周囲カバー部が有する微細な目地は、有毒プランクトンの侵入を防止可能であり、
    前記複数の養殖かごは、水面から水底に向けた方向に、多段連結され、
    前記多段連結された前記複数の養殖かごの上部および周囲は、前記上部カバー部および前記周囲カバー部により形成される覆いによって覆われる、貝類毒化軽減装置。
  2. 前記上部カバー部および前記周囲カバー部は、一体である、請求項1記載の貝類毒化軽減装置。
  3. 前記上部カバー部および前記周囲カバー部は、多段連結された前記複数の養殖かごの上部から下部に向けて覆われ、
    前記上部カバー部の口は、縛られて閉じられる、請求項1又は2記載の貝類毒化軽減装置。
  4. 前記周囲カバー部の最下端は、多段連結された前記複数の養殖かごの最下段より、所定距離以上、水底側に位置する、請求項1から3のいずれか記載の貝類毒化軽減装置。
  5. 前記所定距離は、前記最下段の前記養殖かごの直径である、請求項4記載の貝類毒化軽減装置。
  6. 前記開口部は、前記複数の養殖かごに収容されている貝類の排泄物を、前記覆いから外部に排出できる、請求項1から5のいずれか記載の貝類毒化軽減装置。
  7. 前記上部カバー部および前記周囲カバー部の少なくとも一部は、透水性および通気性を有する、請求項1から6のいずれか記載の貝類毒化軽減装置。
  8. 前記上部カバー部および前記周囲カバー部の少なくとも一部は、可視光線を透過可能である、請求項7記載の貝類毒化軽減装置。
  9. 前記上部カバー部および前記カバー部の少なくとも一部は、平滑表面を有している、請求項7又は8記載の貝類毒化軽減装置。
  10. 前記多段に連結された前記複数の養殖かごにおいて、前記最下段(水底側)の前記養殖かごには、生育状態の悪い貝類および出荷未満状態の貝類の少なくとも一部が収容される、請求項1から9のいずれか記載の貝類毒化軽減装置。
  11. 前記覆いは、前記養殖かごが設置されている海域における有毒プランクトンの密度が所定値となる前に、前記多段連結された前記複数の養殖かごに被せられ、
    好ましくは、前記海域における有毒プランクトンの密度が、100細胞/Lを越える時点で、前記覆いが、前記多段連結された前記複数の養殖かごに被せられ、
    更に好ましくは、前記海域における有毒プランクトンの密度が、明確に増加に転じた時点で、前記覆いが、前記多段連結された複数の養殖かごに被せられる、請求項1から10のいずれか記載の貝類毒化軽減装置。
  12. 前記覆いを被せられる対象は、水面から水底に向けて直列に多段連結された複数の養殖かご全体であり、
    前記複数の養殖かごの各々は、養殖もしくは生育対象の貝類を収容しており、
    前記貝類は、ホタテガイ、ヒオウギガイ、タイラギ、カキ類、トリガイ、アカガイ、ハマグリ、ムラサキイガイ(ムールガイ)、アサリ、イタヤガイ、ミルクイの少なくとも一つである、請求項1から11のいずれか記載の貝類毒化軽減装置。
  13. 前記有毒プランクトンは、アレキサンドリウム・タマレンセ、アレキサンドリウム・カテネラ、アレキサンドリウム・タミヤバニッチ、ギムノディニウム・カテナータム、デノフィシス・フォルテー、デノフィシス・アキュミナータの少なくとも一つである、請求項1から12のいずれか記載の貝類毒化軽減装置。
  14. 養殖もしくは生育対象の貝類を収容して多段連結する複数の養殖かごの上部を、上部カバー部で覆い、
    前記多段連結する複数の養殖かごの周囲を、周囲カバー部で覆い、
    前記多段連結する複数の養殖かごの水底側底面を、最下段の前記養殖かごより所定距離以上はなれた位置で開口させ、
    前記上部カバー部は、最上段の前記養殖かごの上部で縛られ、
    前記上部カバー部と前記周囲カバー部との全体は、覆いを形成し、
    前記上部カバー部および前記周囲カバー部は、有毒プランクトンの侵入を防止可能である、貝類毒化軽減方法。
  15. 前記所定距離は、前記最下段の前記養殖かごの直径である、請求項14記載の貝類毒化軽減方法。
  16. 前記覆いは、前記養殖かごが設置されている海域における貝類の毒力が規制値以上となる前に、前記多段連結された前記複数の養殖かごに被せられ、
    好ましくは、前記海域における有毒プランクトンの密度が、所定値を越える時点で、前記覆いが、前記多段連結された前記複数の養殖かごに被せられ、
    更に好ましくは、前記海域における有毒プランクトンの密度が、明確に増加に転じた時点で、前記覆いが、前記多段連結された複数の養殖かごに被せられる、請求項14又は15記載の貝類毒化軽減方法。
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