〔実施形態1〕
図1〜図2に基づいて、本発明の第1の実施の形態(実施形態1)を説明する。
(文書分析システム100の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る文書分析システム100の要部構成を示すブロック図である。文書分析システム100は、文書を分析するシステム(文書分析システム)である。なお、上記文書分析システム100は、以下で説明する処理を実行可能な機器でありさえすればよく、任意のコンピュータを用いて実現され得る。
図1に示されるように、文書分析システム100は、受信部21、制御部10(取得部11、生成部12、乗算部13、算出部14、抽出部15、要約部16、フェーズ特定部17、変化推定部18)、および、表示部50を備えている。
受信部21は、所定の通信方式にしたがう通信網を介して外部と通信することによって、外部のコンピュータから文書データ1を受信する。受信部21は、当該コンピュータとの通信を実現する本質的な機能が備わってさえいればよく、通信回線、通信方式、または通信媒体などは限定されない。受信部21は、例えばイーサネット(登録商標)アダプタなどの機器で構成できる。また、受信部21は、例えばIEEE802.11無線通信、Bluetooth(登録商標)などの通信方式や通信媒体を利用できる。
制御部10は、文書分析システム100が有する各種の機能を統括的に制御する。制御部10は、取得部11、生成部12、乗算部13、算出部14、抽出部15、要約部16、フェーズ特定部17、および変化推定部18を含む。
取得部11は、受信部21によって受信された文書データ1を取得し、当該文書データ1を生成部12に出力する。
生成部12は、文書データ(文書)1に含まれるセンテンスに所定のキーワード(形態素)が含まれるか否かを示すキーワードベクトル2を、当該センテンスごとに生成する。上記キーワードベクトル2は、当該キーワードベクトル2のそれぞれの要素が「0」または「1」の値をとることによって、当該要素に対応付けられた所定のキーワードが、上記文書データ1に含まれるか否かを示すベクトルである。
例えば、上記文書データ1に含まれる2番目のセンテンスに、「価格」というキーワードが含まれている場合、生成部12は、上記キーワードベクトル2の上記「価格」に対応する要素を「0」から「1」に変更する。生成部12は、生成したキーワードベクトル2を、乗算部13、抽出部15、要約部16、およびフェーズ特定部17にそれぞれ出力する。
乗算部13は、生成部12によって生成されたキーワードベクトル2を、上記所定のキーワードと、当該所定のキーワードとは異なる他のキーワードとの相関を示す相関マトリクスにそれぞれ乗じることによって、上記センテンスごとに相関ベクトル3を得る。上記相関マトリクスは、例えば「価格」というキーワードがセンテンスに出現した場合、当該センテンスにおいて、当該キーワードに対する他のキーワード(例えば「調整」)の出現しやすさ(すなわち、相関)を、当該相関マトリクスのそれぞれの要素において表す正方行列である。乗算部13は、上記相関ベクトル3を算出部14に出力する。
なお、上記相関マトリクスは、所定の文書データを所定数だけ含む学習用データセットを用いて、あらかじめ最適化されている。例えば、あるセンテンスにおいて「価格」というキーワードが出現する場合、当該キーワードに対する他のキーワードの出現数を0〜1の間に正規化した値(すなわち、最尤推定値)が、上記相関マトリクスのそれぞれの要素に格納されている(したがって、上記相関マトリクスの各列に対する総和は1になる)。これにより、文書分析システム100は、上記相関ベクトル3を最適に計算することができる。
算出部14は、下記の〔数1〕に示されるように、乗算部13によって得られた全ての相関ベクトル3について合算した値に基づいて、文書データ1と所定の事件との関連度を示す分別符号が、当該文書データ1と結びつく強さを示すスコア4を、当該文書データ1ごとに算出する。より具体的には、算出部14は、下記の〔数1〕に示されるように、上記合算した値(縦ベクトルで表される)と、上記所定のキーワードに対する重みを示す重みベクトルW(横ベクトルで表される)との内積を算出することによって、上記スコア4を文書ごとに算出する。
ここで、上記〔数1〕において、Cは相関マトリクスを表し、ssはs番目のキーワードベクトル2を表す。また、TFnorm(上記合算した値)は、下記の〔数2〕に示されるように計算する。
ここで、上記〔数2〕において、TFiはi番目のキーワードの出現頻度(Term Frequency)を表し、sjsは上記s番目のキーワードベクトル2のj番目の要素を表す。
上記〔数1〕および〔数2〕をまとめると、算出部14は、以下の〔数3〕を計算することによって文書ごとに上記スコア4を算出する。
ここで、上記〔数3〕において、wiは上記重みベクトルWのi番目の要素である。算出部14は、算出したスコア4をフェーズ特定部17、変化推定部18、および表示部50に出力する。
抽出部15は、上記文書データ1において、所定のキーワードが最も多く含まれることを示す上記キーワードベクトル2に対応するセンテンス(最多センテンス5)を抽出する。例えば、「企業Aが販売する製品aの価格は、企業Bが販売する製品bの価格よりも高いため、弊社で両製品の価格を調整しました」というセンテンスには、「価格」というキーワードが3回出現する。上記センテンスが「価格」というキーワードを最も多く含む場合、抽出部15は、当該センテンスを上記最多センテンス5として表示部50に出力する。なお、上記所定のキーワード(上記の例においては「価格」というキーワード)は、所定の入力機器を介して文書分析システム100に与えられてよい。
要約部16は、文書データ1において、上記所定のキーワードが含まれることを示す上記キーワードベクトル2に対応するセンテンスを列挙することによって、当該文書データ1の要約を生成する。例えば、要約部16は、上記文書データ1に含まれるセンテンスであって、「価格」というキーワードを含むセンテンスを列挙することによって、上記要約を生成し、当該要約に関する情報を含む要約情報6を表示部50に出力する。なお、前述と同様に、上記所定のキーワードは、所定の入力機器を介して文書分析システム100に与えられてよい。
フェーズ特定部17は、所定の事件(例えば、訴訟、不正調査、談合、情報漏洩、架空請求など)の原因となる所定の行為(複数人から構成される組織または個人によって行われる行為)を、当該所定の行為の進展に応じて分類するフェーズを、算出部14によって算出されたスコア4に基づいて特定する。なお、上記所定の事件は、所定の入力機器を介して文書分析システム100に与えられてよい。
ここで、上記フェーズは、上記所定の行為が進展する各段階を示す(上記所定の行為の進展に応じて分類する)指標である。例えば、上記所定の事件として「談合」が指定された場合、「Relationship Building」(顧客・競合と関係を構築するフェーズ)、「Preparation」(第三者と競合に関する情報を交換するフェーズ)、「Competition」(顧客へ価格を提示し、フィードバックを得て、当該フィードバックに関して競合とコミュニケーションを取るフェーズ)などのフェーズが存在することを仮定できる。
フェーズ特定部17は、例えば、上記スコア4が所定の値域におさまる場合、当該所定の値域に対応付けられたフェーズを特定し、当該フェーズに関する情報を含むフェーズ情報7を変化推定部18に出力してよい。または、フェーズ特定部17は、所定の行動主体(複数人から構成される組織または個人)が、上記所定の行為に至る過程を表すモデル(観測過程、尤度関数)の尤度(それぞれのフェーズに応じて上記スコアとして計算される値)を最大化するフェーズ(最尤フェーズ)を特定し、当該フェーズに関する情報を含むフェーズ情報7を変化推定部18に出力してもよい。
または、生成部12から上記キーワードベクトル2が入力された場合であって、当該キーワードベクトル2によって所定のキーワード(例えば、「価格」、「調整」など)が含まれていることが示されている場合、フェーズ特定部17は、当該所定のキーワードに対応するフェーズを特定し(「価格」および「調整」というキーワードが含まれていた場合、「Competition」のフェーズにあると特定し)、当該フェーズに関する情報を含むフェーズ情報7を変化推定部18に出力してもよい。
変化推定部18は、上記フェーズの時間的な遷移に基づいて、フェーズ特定部17によって特定されたフェーズの変化を推定する。例えば、「Relationship Building」(関係構築)というフェーズが、「Preparation」(準備)というフェーズを経て、「Competition」(競合)というフェーズに発展するという一連の遷移が、(例えば、フェーズの時間的な序列を示す時系列情報を用いることによって)明らかである場合において、現在のフェーズが「Preparation」(準備)のフェーズにあるとフェーズ特定部17によって特定された場合、変化推定部18は、次は「Competition」(競合)というフェーズに発展すると推定する。変化推定部18は、上記フェーズの変化に関する情報を含む変化情報8を表示部50に出力する。
または、変化推定部18は、算出部14によって算出されたスコア4の移動平均と、所定のパターンとの相関を計算することによって、フェーズの変化を推定してもよい。ここで、上記所定のパターンは、上記所定の事件(例えば、訴訟、不正調査、談合、情報漏洩、架空請求など)とは異なる他の事件において算出されたスコアが、時間の経過とともに変化するパターンであってよい。
例えば、過去に提起された訴訟において、証拠資料を提出するために当該訴訟に関連する分析を行い、上記スコアの移動平均が算出されていた場合、変化推定部18は、当該移動平均を上記所定のパターンとし、今回分析される文書データ1に対するスコア4の移動平均と、当該所定のパターンとの相関を計算する。言い換えれば、変化推定部18は、経過時間および/またはスコアをずらしながら、両者の一致度(相関)を計算する。両者の相関が高くなる場合、変化推定部18は、今回のスコアは将来において、上記所定のパターンに連動するように同様の値をとると推定する。
表示部50は、算出部14から入力されたスコア4、抽出部15から入力された最多センテンス5、要約部16から入力された要約情報6、および変化推定部18から入力された変化情報8を表示可能な表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)である。なお、図1は、文書分析システム100が表示部50を含む構成例を示すが、表示部50は、上記したそれぞれの情報をユーザに提示可能でありさえすればよく、例えば、文書分析システム100に通信可能に接続された外部の表示装置であってもよい。
(文書分析システム100が実行する処理)
図2は、文書分析システム100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下の説明において、カッコ書きの「〜ステップ」は、文書分析システム100の制御方法(文書分析システムの制御方法)に含まれる各ステップを表す。
まず、取得部11は、文書データ1を取得する(ステップ1、以下「ステップ」を「S」と略記する)。次に、生成部12は、上記文書データ1に含まれるセンテンスに所定のキーワードが含まれるか否かを示すキーワードベクトル2を、当該センテンスごとに生成する(S2、生成ステップ)。
次に、乗算部13は、S2において生成したキーワードベクトル2を、上記所定のキーワードと、当該所定のキーワードとは異なる他のキーワードとの相関を示す相関マトリクスにそれぞれ乗じることによって、上記センテンスごとに相関ベクトル3を得る(S3、乗算ステップ)。
最後に、算出部14は、S3において得た全ての相関ベクトル3について合算した値に基づいて、上記文書データ1と所定の事件との関連度を示す分別符号が、当該文書と結びつく強さを示すスコア4を算出する(S4、算出ステップ)。
なお、上記制御方法は、図2を参照して前述した上記処理だけでなく、取得部11、抽出部15、要約部16、フェーズ特定部17、および/または、変化推定部18において実行される処理を任意に含んでよい。
〔実施形態2〕
図3〜図18に基づいて、本発明の第2の実施の形態(実施形態2)を説明する。本実施の形態では、実施形態1に追加される構成や、実施形態1の構成とは異なる構成のみについて説明する。すなわち、実施形態1において記載された構成は、実施形態2にもすべて含まれ得る。また、実施形態1において記載された用語の定義は、実施形態2においても同じである。
(文書分析システム101の構成)
図3は、本発明の実施の形態2に係る文書分析システム101の要部構成を示すブロック図である。文書分析システム101は、所定のコンピュータまたはサーバに記録された情報を取得し、当該取得された情報に含まれる、複数の文書から構成される文書情報を分析するシステムである。
図3に示されるように、文書分析システム101は、実施の形態1において説明した制御部10(取得部11、生成部12、乗算部13、算出部14、抽出部15、要約部16、フェーズ特定部17、変化推定部18)に加えて、データ格納部108(デジタル情報格納領域102、調査基礎データベース103、キーワードデータベース104、関連用語データベース105、スコア算出データベース106、報告作成データベース107)、データベース管理部109、情報抽出部24、検索部30、文書解析部118、調査カテゴリ入力受付部20、調査種類判定部22、提示部130、カテゴリ選択部26、第1自動分別部201、第2自動分別部301、分別符号受付付与部131、および、第3自動分別部401をさらに備えている。また、文書分析システム101は、傾向情報生成部124、品質検査部501、学習部601、報告作成部701、弁護士レビュー受付部133、言語判定部120、翻訳部122をさらに備えてよい。
調査カテゴリ入力受付部20は、ユーザによるカテゴリの入力を受け付ける。カテゴリが入力された場合、調査カテゴリ入力受付部20は、当該カテゴリを調査種類判定部22およびカテゴリ選択部26に出力する。ここで、上記カテゴリは、複数の文書に含まれるそれぞれの文書を分類可能な指標である。
例えば、上記カテゴリは、訴訟または不正調査の種類(当該訴訟または不正調査に係る事件の性質を表すものであり、例えば、反トラスト、特許、海外賄賂禁止(FCPA)、製造物責任(PL)、情報漏洩、架空請求などを含む)である。または、上記カテゴリは、文書情報の属性(文書情報に含まれる情報の性質を表すものであり、例えば、競合する相手方の情報、価格、見積もりシート、金額一覧、製品など)であってもよい。あるいは、上記カテゴリは、訴訟または不正調査の原因となる所定の行為の進展に応じて分類するフェーズであってもよい。
調査種類判定部22は、上記調査カテゴリ入力受付部20によって受け付けられたカテゴリに基づいて、調査の対象とするカテゴリを判定し、調査基礎データベース103から必要な情報の種類を抽出する。例えば、上記文書情報が、電子メール、プレゼンテーション資料、表計算資料、打ち合わせ資料、契約書、組織図、または事業計画書である場合、調査種類判定部22は、それぞれを上記必要な情報の種類として情報抽出部24に出力する。したがって、文書分析システム101は、上記必要な情報の種類を抽出できる。
情報抽出部24は、文書情報から複数の文書を抽出する。具体的には、情報抽出部24は、調査種類判定部22から入力された情報(例えば、電子メール、プレゼンテーション資料、表計算資料、打ち合わせ資料、契約書、組織図、事業計画書など)から、当該情報に含まれるキーワードおよび/または文章を、訴訟または不正調査に関連する情報として抽出し、当該抽出した結果を調査基礎データベース103に格納する。また、情報抽出部24は、上記抽出した結果を文書データ1として制御部10に出力する。したがって、文書分析システム101は、上記訴訟または不正調査に関連する情報を特定し、データベースに保持することができる。
カテゴリ選択部26は、上記カテゴリを選択し、選択したカテゴリを制御部10に出力する。カテゴリが複数想定されている場合、カテゴリ選択部26は、当該複数のカテゴリから1つのカテゴリを順次選択できる。
また、調査カテゴリ入力受付部20からカテゴリが入力された場合、カテゴリ選択部26は、当該入力されたカテゴリを選択できる。これにより、文書分析システム101は、ユーザによって入力されたカテゴリを確実に選択できる。
提示部130は、制御部10(算出部14)によって算出されたスコア4を、ユーザに把握可能に提示する。提示部130は、例えば、上記スコア4を表示部50(図3において図示せず)に表示することによって、当該スコア4をユーザに提示できる。これにより、文書分析システム101は、対象とされた文書がいずれのカテゴリに適合するかを、ユーザに把握させることができる。
検索部30は、文書情報(文書データ1)に含まれるキーワードおよび/または文章を、複数の文書の中から検索する。これにより、文書分析システム101は、上記文書情報に含まれるキーワードおよび/または文章を抽出することができる。
第1自動分別部201は、検索部30によってキーワードデータベース104に格納されたキーワードが検索され、情報抽出部24によって当該キーワードを含む文書が文書情報から抽出された場合、当該抽出された文書に対して、キーワード対応情報に基づいて特定の分別符号を自動的に付与する。
第2自動分別部301は、関連用語データベースに格納された関連用語を含む文書が文書情報から抽出され、当該抽出された文書に含まれる関連用語の評価値、および当該関連用語の数に基づいて、スコアが算出された場合、上記関連用語を含む文書のうち、当該スコアが一定値を超過した文書に対して、当該スコアおよび関連用語対応情報に基づいて、所定の分別符号を自動的に付与する。
分別符号受付付与部131は、文書情報から抽出された、分別符号が付与されていない複数の文書に対して、ユーザが訴訟との関連性に基づいて付与した分別符号を受け付け、当該分別符号を付与する。
文書解析部118は、分別符号受付付与部131によって分別符号を付与された文書を解析する。また、文書解析部118は、訴訟との関連性に基づいて、ユーザから分別符号を受け付けて付与した文書に加え、第1自動分別部201および第2自動分別部301において、キーワード、関連用語、スコアに基づいて自動的に分別符号が付与された文書を解析し、ユーザから分別符号を受け付けて付与した上記文書と、自動的に分別符号が付与された上記文書とを統合して、総合的な解析結果を得てもよい。この場合、第3自動分別部401は、当該総合的な解析結果に基づいて、分別符号を自動的に付与することができる。
なお、分別および調査作業の進め方には、ワード検索による自動分別、ユーザによる分別および調査の受け付け、スコアを用いる自動分別および調査、学習過程を介在させる自動分別および調査、品質保証を介在させる自動分別および調査など、多様な進め方がある。上記多様な分別および調査作業が、どのような順序で、どのように組み合わされて進行したかを示す進行履歴とともに、分別符号が付与された複数の文書を文書解析部118が解析し、後述する報告作成部701が当該解析した結果を報告してもよい。
第3自動分別部401は、分別符号受付付与部131によって分別符号を付与された文書が、文書解析部118によって解析された結果に基づいて、文書情報から抽出された複数の文書に分別符号を自動的に付与する。
傾向情報生成部124は、文書解析部118が解析するために、各文書が含む単語の種類、出現数、単語の評価値に基づいて、各文書が持つ分別符号が付与された文書との類似の度合いを表す傾向情報を生成する。
品質検査部501は、分別符号受付付与部131によって受け付けられた分別符号と、文書解析部118によって傾向情報により付与された分別符号とを比較し、分別符号受付付与部131によって受け付けられた分別符号の妥当性を検証する。
学習部601は、文書を分別処理した結果をもとに、各キーワードまたは関連用語の重み付けを学習する。学習部601は、第1から第4の処理結果(後述)をもとに、各キーワードまたは関連用語の重みづけを式(3)により学習する。学習部601は、当該学習結果をキーワードデータベース104、関連用語データベース105、またはスコア算出データベース106に反映してもよい。
報告作成部701は、文書を分別処理した結果をもとに、訴訟案件または不正調査の調査種類に応じて、最適な調査レポートを出力する。なお、前述したように、訴訟案件には、例えば、反トラスト、特許、海外賄賂禁止(FCPA)、製造物責任(PL)などが含まれる。また、不正調査には、例えば、情報漏洩、架空請求などが含まれる。
弁護士レビュー受付部133は、分別調査と報告との質を向上させ、分別調査と報告との責任を明確にするために、主任弁護士または主任弁理士のレビューを受け付ける。
言語判定部120は、抽出された文書の言語の種類を判定する。
翻訳部122は、ユーザから指定を受け付けて、または、自動的に、抽出した文書を翻訳する。この場合、1文多言語の複合言語にも対応できるように、言語判定部における言語の区切りを、1文より小さくすることが望ましい。また、言語の判定に、プレディクティブコーディング、キャラクターコーディングのいずれか、または両方を用いてもよい。さらに、HTML(Hyper Text Markup Language)のヘッダなどを、翻訳の対象から除外する処理を行うようにしてもよい。
データ格納部108は、訴訟または不正調査の解析に利用するために、複数のコンピュータまたはサーバから取得したデジタル情報を、デジタル情報格納領域102に格納する。また、データ格納部108は、調査基礎データベース103、キーワードデータベース104、関連用語データベース105、スコア算出データベース106、および、報告作成データベース107を含む。なお、データ格納部108は、図3に示されるように、文書分析システム101の内部に含まれる記録媒体であってもよいし、当該文書分析システム101と通信可能に接続された外部の記録媒体であってもよい。
調査基礎データベース103は、例えば、反トラスト、特許、海外賄賂禁止(Foreign Corrupt Practices Act;FCPA)、製造物責任(Products Liability;PL)などを含む訴訟案件、および/または、情報漏洩、架空請求などを含む不正調査のいずれに属するかを示す事件属性、会社名、担当者、カストディアン、および、調査または分別入力画面の構成を保持する。
キーワードデータベース104は、取得されたデジタル情報に含まれる、文書の特定の分別符号、当該特定の分別符号と密接な関係を有するキーワード、および、当該特定の分別符号と当該キーワードとの対応関係を示すキーワード対応情報を保持する。
関連用語データベース105は、所定の分別符号、当該所定の分別符号が付与された文書において、出現頻度が高い単語からなる関連用語、および、当該所定の分別符号と関連用語との対応関係を示す関連用語対応情報を保持する。
スコア算出データベース106は、文書と分別符号との結びつきの強さを示すスコアを算出するために、当該文書に含まれるワードの重み付けを保持する。
報告作成データベース107は、カテゴリ、カストディアン、分別作業の内容に応じて定められる報告書の形式を保持する。
データベース管理部109は、調査基礎データベース103、キーワードデータベース104、関連用語データベース105、スコア算出データベース106、および、報告作成データベース107のデータ内容の更新を管理する。データベース管理部109は、専用接続線またはインターネット回線901を介して情報格納装置902に接続されてよい。この場合、データベース管理部109は、情報格納装置902に格納されるデータの内容に基づいて、調査基礎データベース103、キーワードデータベース104、関連用語データベース105、スコア算出データベース106、および、報告作成データベース107のデータ内容を更新してもよい。
(用語の説明)
「分別符号」は、文書を分類するために用いられる識別子であって、文書を訴訟に利用することが容易となるように、当該訴訟との関連度を示す識別子である。例えば、訴訟において文書情報を証拠として利用する場合、証拠の種類に応じて付与されてよい。
「文書」は、1つ以上の単語を含むデータであり、例えば、電子メール、プレゼンテーション資料、表計算資料、打ち合わせ資料、契約書、組織図、事業計画書などであってよい。
「単語」は、意味を有する最少の文字列のまとまりである。例えば、「文書とは、1つ以上の単語を含むデータをいう。」という文章には、「文書」、「1つ」、「以上」、「単語」、「含む」、「データ」、「いう」という単語が含まれる。
「キーワード」は、ある言語において、一定の意味を有する文字列のまとまりである。例えば、「文書を分別する」という文章からキーワードを選定すると、「文書」、「分別」とすることができる。本実施形態においては、「侵害」や「訴訟」、あるいは「特許公報○○号」などのキーワードが、重点的に選定される。なお、上記「キーワード」は、形態素を含んでよい。
「キーワード対応情報」は、キーワードと特定の分別符号との対応関係を表す情報である。例えば、訴訟において重要な文書を表す「重要」という分別符号が「侵害者」というキーワードと密接な関係を持つ場合、上記「キーワード対応情報」は分別符号「重要」とキーワード「侵害者」とを紐づけて管理する情報であってもよい。
「関連用語」は、所定の分別符号が付与された文書に共通して出現頻度が高い単語のうち、評価値が一定値以上の用語である。ここで、出現頻度は、例えば、ひとつの文書に登場する単語の総数のうち、関連用語が出現する割合であってよい。
「評価値」は、各単語がある文書において発揮する情報量を示す値である。「評価値」は、伝達情報量を基準に算出されてもよい。例えば、所定の商品名を分別符号として付与する場合、上記「関連用語」は、当該商品が属する技術分野の名称、当該商品の販売国、当該商品の類似商品名などを指してもよい。具体的には、画像符号化処理を行う装置の商品名を分別符号として付与する場合の「関連用語」は、「符号化処理」、「日本」、「エンコーダ」などが挙げられる。
「関連用語対応情報」は、関連用語と分別符号との対応関係を表す情報をいう。例えば、訴訟に係る商品名である「製品A」という分別符号が、製品Aの機能である「画像符号化」という関連用語を持つ場合、「関連用語対応情報」は、分別符号「製品A」と関連用語「画像符号化」とを紐づけて管理する情報であってもよい。
「スコア」は、前述したように、ある文書において、特定の分別符号との結びつきの強さを定量的に評価した値をいう。本発明の各実施形態においては、例えば、前述した〔数1〕〜〔数3〕にしたがってスコアが算出される。
文書分析システム101は、ユーザが付与した分別符号が共通する文書に頻出する単語を抽出してもよい。そして、文書ごとに含まれる、当該抽出した単語の種類、各単語がもつ評価値、および出現数の傾向情報を文書ごとに解析し、分別符号受付付与部131によって分別符号が受け付けられていない文書のうち、解析した傾向情報と同じ傾向をもつ文書に対して、共通の分別符号を付与してもよい。
ここで、「傾向情報」は、各文書が持つ、分別符号が付与された文書との類似の度合いを表す情報であって、各文書が含む単語の種類、出現数、単語の評価値に基づく、所定の分別符号との関連度で表される情報である。例えば、各文書が、所定の分別符号を付与された文書と、当該所定の分別符号との関連度において類似である場合に、当該2つの文書は同じ傾向情報を持つという。また、含まれる単語の種類は異なっていても、評価値が同じ単語を同じ出現数で含む文書について、同じ傾向を持つ文書としてもよい。
(文書分析システム101において実行される処理)
図4は、文書分析システム101が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、図2に示されたフローは、図4に示されるフローから独立した処理として実行されてもよいし、図4に示されるフローの任意の箇所に内包される処理として実行されてもよい。
表示部50の表示画面の表示に応じてユーザから引数の指定を受け付けて、例えば、反トラスト、特許、FCPA、PLを含む訴訟案件、又は情報漏洩、架空請求を含む不正調査から対応するカテゴリを特定することができる(S11)。特定されたカテゴリに応じて、調査基礎データベース、文書分析データベース等の使用データベースを特定することができる(S12)。使用データベースが最新のものかどうかを確認するために、最新データベースを格納する情報格納装置902にアクセスすることができる。情報格納装置902は、分別を実施する組織の内部に設置される場合と、組織の外部に設置される場合がある。情報格納装置902が組織の外部に設置される場合として、例えば、提携する法律事務所又は特許事務所に設置される場合がある。
情報格納装置902にアクセスする場合には、セキュリティーを保持するために、ID及びパスワードによる認証が行われることができる(S13)。認証が行われた後に、情報石納装置にアクセスすることが許可され、調査基礎データベース、文書分析データベース等の使用データベースが指針のデータベースに更新されることができる(S14)。更新された調査基礎データベースを検索し(S15)、表示装置の画面に会社名、担当者、カストディアンの名前が提示されることができる(S16)。表示装置の画面に表示される担当者とカストディアンの名前が実際の担当者とカストディアンの名前と異なる場合は、ユーザは表示装置の画面で担当者とカストディアンの名前を修正する。文書分析システムは、ユーザの修正入力を受け付けて、実際の担当者とカストディアンの名前を特定することができる(S17)。
次に、文書分析作業を実施するために、デジタル文書情報を抽出することができる(S18)。更新された文書分析データベースとして、更新されたキーワードデータベース、関連用語データベース、及びスコア算出データベースを検索して(S19)、抽出文書情報に分別符号を付与することができる(S20)。また、レビュアーによる分別符号を受け付けて、抽出文書情報に分別符号を付与することができる(S21)。分別結果を教師データとして、データベースを検索し、抽出文書情報に分別符号を付与することができる(S22)。主任弁護士又は弁理士によるレビューを受け付けることができる(S23)。これにより、調査の質を向上させることができる。ユーザの引数指定によりカテゴリを特定し(S24)、特定されたカテゴリに応じて報告作成データベースを特定することができる(S25)。特定された報告作成データベースにより、報告書の形式を定め、報告書を自動出力することができる(S26)。
図5は、図4に示される処理の一例における、調査種類に応じた調査および分別処理の一例を示すフローチャートである。
最初に、調査種類を入力することができる(S31)。すなわち、表示画面の表示に応じて、ユーザが、例えば、反トラスト、特許、海外賄賂禁止(FCPA)、製造物責任(PL)を含む訴訟案件又は情報漏洩、架空請求を含む不正調査から実施しようとする調査及び分別作業と対応するカテゴリを入力する。文書分析システムは、ユーザのカテゴリの入力を受け付けて、調査対象となるカテゴリを特定することができる。
特定されたカテゴリに応じて、調査及び文書分析処理の種類と使用するデータベースの種類を判定することができる(S32)。特定されたカテゴリに応じて、調査基礎データベース、文書分析データベース等の使用データベースに記憶された情報のストックにアクセスしてもよい(S33)。特定されたカテゴリに応じて調査基礎データベースにアクセスし、特定されたカテゴリに応じた各キーワード入力画面を表示することができる(S34)。特定されたカテゴリに応じて調査基礎データベースにアクセスし、特定されたカテゴリに応じた各文章入力画面を表示することができる(S35)特定されたカテゴリに応じて調査基礎データベースにアクセスし、特定されたカテゴリに応じてキーワードもしくは文書を抽出することができる(S36)。
上述の処理を実行することにより、自動分別符号付与(予測コーディング)の教師データに重み付けを追加して行うことができる(S37)。文書分析データベースをキーワード検索することにより、抽出文書及び情報の絞り込みを行うことができる(S38)。
図6は、図4に示される処理の一例における、調査種類に応じたプレディクティブコーディングの一例を示すフローチャートである。
本発明の実施形態に係る文書分析方法では、最初に、文書分析システムが調査の種類に応じてユーザに入力を求め、それに対するユーザの入力を受け付けることができる。例えば、反トラスト法と関連してカルテルについて、対象製品、関係者(氏名とメールアドレス)、関係組織(名称と部門)及び時期について、ユーザの入力を求め、それに対するユーザの入力を受け付けることができる。その他に、関係組織については、競争相手企業と顧客企業に関してユーザの入力を求め、それに対するユーザの入力を受け付けることができる(S51)。
次に、入力キーワードによって、分別符号付与に対する重み付けを行うことができる(S52)。そして、予測コーディングを行うことができる(S53)。本発明の実施形態では、一例として、図7に示すようなフローチャートに従い、第1段階〜第5段階で、登録処理、分別処理、及び検査処理を行う。
第1段階では、過去の分別処理の結果を用いて、事前にキーワードと関連用語の更新登録を行う(S100)。このとき、キーワード及び関連用語は、分別符号とキーワード又は関連用語の対応情報であるキーワード対応情報及び関連用語対応情報とともに更新登録される。
第2段階では、第1段階で更新登録されたキーワードを含む文書を全文書情報から抽出し、該文書を発見すると第1段階で記録した更新キーワード対応情報を参照し、該キーワードに対応する分別符号を付与する第1分別処理を行う(S200)。
第3段階では、第1段階で更新登録された関連用語を含む文書を、第2段階で分別符号を付与されなかった文書情報から抽出し、該関連用語を含む文書のスコアを算出する。該算出したスコアと第1段階で更新登録された関連用語対応情報を参照し、分別符号の付与を実行する第2分別処理を行う(S300)。
第4段階では、第3段階までに分別符号を付与されなかった文書情報に対して、ユーザが付与した分別符号を受け付け、該文書情報に対してユーザから受け付けた分別符号を付与する。次に、ユーザから受け付けた分別符号を付与された文書情報を解析し、解析結果に基づいて、分別符号が付与されていない文書を抽出して、抽出した文書に分別符号を付与する第3分別処理を行う。例えば、該ユーザが付与した分別符号が共通である文書中に頻出する語を抽出し、文書ごとに含まれる、抽出した単語の種類、各単語が持つ評価値及び出現数の傾向情報を文書ごとに解析し、該傾向情報と同じ傾向を持つ文書に対して、共通の分別符号の付与を行う(S400)。
第5段階では、第4段階でユーザが分別符号を付与した文書に対して、解析した傾向情報に基づいて付与すべき分別符号を決定し、該決定した分別符号とユーザの付与した分別符号を比較し、分別処理の妥当性の検証を行う(S500)。また、必要に応じて、文書分析処理の結果に基づいて学習処理を行っても良い。
第4段階及び第5段階の処理に用いられる傾向情報は、各文書が持つ、分別符号が付与された文書との類似の度合いを表すものをいい、各文書が含む単語の種類、出現数、単語の評価値に基づくものをいう。例えば、各文書が、所定の分別符号を付与された文書と、該所定の分別符号との関連度において類似である場合に、該2つの文書は同じ傾向情報を持つという。また、含まれる単語の種類は異なっていても、評価値が同じ単語を同じ出現数で含む文書について、同じ傾向を持つ文書としてもよい。
第1段階から第5段階の各段階における詳細な処理フローを以下で説明する。
<第1段階(S100)>
第1段階におけるキーワードデータベース104の詳細な処理フローを図8を用いて説明する。
キーワードデータベース104は、過去の訴訟において文書を分別した結果を踏まえ、それぞれの分別符号ごとに管理用のテーブルを作成し、各分別符号に対応するキーワードを特定する(S111)。この特定は、本発明の実施形態においては、各分別符号が付与された文書を解析し、該文書中の各キーワードの出現数及び評価値を用いて行うが、キーワードが持つ伝達情報量を用いる方法や、ユーザが手動で選択する方法等を用いてもよい。
本発明の実施形態においては、例えば、分別符号「重要」のキーワードとして「侵害」及び「弁理士」というキーワードが特定された場合、「侵害」及び「弁理士」が分別符号「重要」と密接な関係を持つキーワードであることを示すキーワード対応情報を作成する(S112)。そして、特定されたキーワードをキーワードデータベース104に登録する。この際、特定されたキーワードとキーワード対応情報を関係付けてキーワードデータベース104の分別符号「重要」の管理テーブルに記録する(S113)。
次に、関連用語データベース105の詳細な処理フローを図9を用いて説明する。関連用語データベース105は、過去の訴訟において文書を分別した結果を踏まえ、それぞれの分別符号ごとに管理用のテーブルを作成し、各分別符号に対応する関連用語を登録する(S121)。本発明の実施形態においては、例えば、「製品A」の関連用語として「符号化処理」及び「製品a」並びに「製品B」の関連用語として「復号化」及び「製品b」を登録する。
登録したそれぞれの関連用語がどの分別符号に対応するものかを示す関連用語対応情報を作成し(S122)、各管理テーブルに記録する(S123)。このとき、関連用語対応情報には、各関連用語の持つ評価値及び分別符号を決定するのに必要なスコアとなる閾値も併せて記録される。
実際に分別作業を行う前に、キーワードとキーワード対応情報、及び関連用語と関連用語対応情報を最新のものに更新登録する(S113、S123)。
<第2段階(S200)>
第2段階における第1自動分別部201の詳細な処理フローを、図10を用いて説明する。本発明の実施形態において、第2段階では、第1自動分別部201によって、分別符号「重要」を文書に付与する処理を行う。
第1自動分別部201では、第1段階(S100)でキーワードデータベース104に登録したキーワード「侵害」及び「弁理士」を含む文書を文書情報から抽出する(S211)。該抽出した文書に対して、キーワード対応情報から、該キーワードが記録されている管理テーブルを参照し(S212)、「重要」という分別符号を付与する(S213)。
<第3段階(S300)>
第3段階における第2自動分別部301の詳細な処理フローを、図11を用いて説明する。
本発明の実施形態において、第2自動分別部301では、第2段階(S200)で分別符号を付与しなかった文書情報に対して、「製品A」及び「製品B」という分別符号を付与する処理を行う。
第2自動分別部301は、該文書情報から、第1段階で関連用語データベース105に記録した関連用語「符号化処理」、「製品a」、「復号化」及び「製品b」を含む文書を抽出する(S311)。該抽出した文書に対して、記録した4つの関連用語の出現頻度、評価値に基づいて、式(1)を用いて、スコア算出部116によりスコアを算出する(S312)。該スコアは各文書と分別符号「製品A」及び「製品B」との関連度を表している。
該スコアが閾値を超過した場合、関連用語対応情報を参照し(S313)、適切な分別符号を付与する(S314)。
例えば、ある文書において関連用語「符号化処理」及び「製品a」の出現頻度並びに関連用語「符号化処理」が持つ評価値が高く、分別符号「製品A」との関連度を示すスコアが閾値を超過した際、該文書には分別符号「製品A」が付与される。
このとき、該文書に関連用語「製品b」の出現頻度も高く、分別符号「製品B」との関連度を示すスコアが閾値を超過した場合、該文書には分別符号「製品A」と併せて、「製品B」も付与される。一方、該文書に関連用語「製品b」の出現頻度が低く、分別符号「製品B」との関連度を示すスコアが閾値を超過しなかった場合には、該文書には分別符号「製品A」のみが付与される。
第2自動分別部301では、第4段階のS432において算出されるスコアを用いて以下に示す〔数4〕により、関連用語の評価値を再計算し、該評価値の重みづけを行う(S315)。
ここで、wi,LはL回目学習後のi番目の選定キーワードの重みを表し、γLはL回目学習における学習パラメータを表し、θは学習効果のしきい値を表す。例えば、「復号化」の出現頻度が非常に高いがスコアが一定値以上低い、という文書が一定数以上発生した場合、関連用語「復号化」の評価値を下げて再度、関連用語対応情報に記録する。
<第4段階(S400)>
第4段階では、図12に示すように、第3段階までの処理において、分別符号が付与されなかった文書情報から抽出した一定の割合の文書情報に対して、レビュワーからの分別符号の付与を受け付け、当該文書情報に受け付けた分別符号を付与する。次に、図13に示すように、レビュワーから受け付けた分別符号を付与された文書情報を解析し、その解析結果に基づいて、分別符号が付与されていない文書情報に分別符号を付与する。なお、本発明の実施形態においては、該文書情報に対して、第4段階では、例えば、「重要」、「製品A」及び「製品B」という分別符号を付与する処理を行う。第4段階について、更に以下に記載する。
第4段階における分別符号受付付与部131の詳細な処理フローを、図12を用いて説明する。第4段階での処理対象となる文書情報からまず情報抽出部24が、ランダムに文書をサンプリングし、表示部50上で表示する。本発明の実施形態では、処理対象となる文書情報のうち2割の文書をランダムに抽出し、レビュワーによる分別対象とする。サンプリングは、文書の作成日時順や、名称順に文書を並べ、上から3割の文書を選ぶという抽出の仕方をしてもよい。
ユーザは表示部50上に表示される図18に示す文書表示画面を閲覧し、各文書に対して付与する分別符号を選択する。分別符号受付付与部131は、該ユーザが選択した分別符号を受け付け(S411)、付与された分別符号に基づいて分別する(S412)。
次に、文書解析部118の詳細な処理フローを、図13を用いて説明する。文書解析部118では、分別符号受付付与部131で分別符号ごとに分別された文書に共通して頻出する単語を抽出する(S421)。抽出した共通の単語の評価値を式(2)により解析し(S422)、該共通の単語の文書中の出現頻度を解析する(S423)。
さらに、S422及びS423によって解析した結果を踏まえて、「重要」という分別符号が付与された文書の傾向情報を解析する(S424)。
図14は、S424によって、「重要」という分別符号が付与された文書に共通して頻出する単語を解析した結果のグラフである。
図14において、縦軸R_hotは、ユーザによって分別符号「重要」が付与された全文書のうち、分別符号「重要」に紐づく単語として選定された単語を含み、かつ分別符号「重要」が付与された文書の割合を示している。横軸は、ユーザが分別処理を実施した全文書のうち、分別符号受付付与部131によってS421で抽出された単語を含む文書の割合を示している。
本発明の実施形態において、分別符号受付付与部131では、直線R_hot=R_allよりも上部にプロットされるような単語を、分別符号「重要」における共通の単語として抽出する。
S421乃至S424の処理を、「製品A」及び「製品B」という分別符号が付与された文書に対しても実行し、該文書の傾向情報を解析する。
次に、第3自動分別部401の詳細な処理フローを、図15を用いて説明する。第3自動分別部401では、第4段階での処理対象の文書情報のうち、S411で分別符号受付付与部131によって分別符号の付与が受け付けられなかった文書に対して処理を行う。第3自動分別部401では、このような文書から、S424で解析した、分別符号「重要」、「製品A」及び「製品B」が付与された文書の傾向情報と、同じ傾向情報を持つ文書を、抽出し(S431)、抽出した文書について、傾向法をもとに式(1)を用いてスコアを算出する(S432)。また、S431で抽出した文書に対して、傾向情報に基づいて適切な分別符号を付与する(S433)。
第3自動分別部401では、さらに、S432で算出したスコアを用いて、分別結果を各データベースに反映する(S434)。具体的には、スコアの低い文書に含まれているキーワード及び関連用語の評価値を下げ、スコアの高い文書に含まれているキーワード及び関連用語の評価値を上げる処理を行っても良い。
更に、第3自動分別部401の詳細な処理フローの一例を、図16を用いて説明する。第3自動分別部401では、第4段階での処理対象の文書情報のうち、S411で分別符号受付付与部131によって分別符号の付与が受け付けられなかった文書に対して分別処理を行っても良い。第3自動分別部401では、引数が与えられなかった場合には(S441:なし)、該文書から、S424で解析した、分別符号「重要」が付与された文書の傾向情報と、同じ傾向情報を持つ文書を、抽出し(S442)、抽出した文書について、傾向情報をもとに式(1)を用いてスコアを算出する(S443)。また、S442で抽出した文書に対して、傾向情報に基づいて適切な分別符号を付与する(S444)。
第3自動分別部401では、さらに、S443で算出したスコアを用いて、分別結果を各データベースに反映する(S445)。具体的には、スコアの低い文書に含まれているキーワード及び関連用語の評価値を下げ、一方、スコアの高い文書に含まれているキーワード及び関連用語の評価値を上げる処理を行う。
上述のように第2自動分別部301と第3自動分別部401の両方でスコア算出が行われ、スコア算出の回数が多くなる場合には、スコア算出のためのデータをスコア算出データベース106に一括して格納しても良い。
<第5段階(S500)>
第5段階における品質検査部501の詳細な処理フローを図17を用いて説明する。品質検査部501では、分別符号受付付与部131が、S411で受け付けた文書に対して、文書解析部118がS424で解析した傾向情報に基づいて、付与されるべき分別符号を決定する(S511)。
分別符号受付付与部131が受け付けた分別符号とS511で決定した分別符号とを比較し(S512)、S411で受け付けた分別符号の妥当性を検証する(S513)。
本発明の実施形態に係る文書分析システム101は、学習部601を備えても良い。学習部601では、第1から第4の処理結果をもとに、各キーワード又は関連用語の重みづけを式(2)により学習する。該学習結果をキーワードデータベース104、関連用語データベース105、又はスコア算出データベース106に反映しても良い。
本発明の実施形態に係る文書分析システム101は、文書分析処理の結果をもとに、訴訟案件(例えば、訴訟であればカルテル・特許・FCPA・PLなど)又は不正調査(例えば、情報漏洩、架空請求など)の調査種類に合わせて最適な調査レポートの出力を行うための報告作成部701を備えることができる。
調査種類によって、調査する内容は異なる。
例えば、カルテル案件であれば、
1.競合の担当者がカルテルに関連する意思疎通(価格の調整)を、いつ・どのように取ったか?
2.関係者はどの組織の誰か?
がポイントになる。
また、特許侵害であれば、
1.侵害の対象となっている技術と内容が同じか?
2.誰が、いつ、どのような意図をもって(もたずに)侵害したか、もしくはしていないか?
といったことがポイントになる。
本発明の実施形態の他の実施例に係る文書調査報告システム及び文書調査報告方法並びに文書調査報告プログラムについて以下に記載する。
本発明の実施形態の他の実施例に係る文書調査報告システムでは、類似の検索情報に対応して、既に分別符号を付与した文書を解析し、解析結果に基づいて分別符号を付与する範囲を調整する。そして調整された分別符号を付与する範囲に基づいて、分別作業及び調査作業を行い、分別作業及び調査作業の結果に基づいて報告を作成する。
類似の検索情報に対応して分別符号を付与する範囲を調整する方法として、類似の検索情報に対応して類似の検索情報をクラスタリングして分別符号を付与する範囲を調整する方法と、分別結果を学習して予測分別を行う方法がある。類似の検索情報に対応して類似の検索情報をクラスタリングして分別符号を付与する範囲を調整する方法には、例えば、メタデータの共通性に着目して、原文書、原文書の返信文書、原文書の返信文書の返信文書に共通の分別符号を付与する場合がある。分別結果を学習して予測分別を行う方法では、分別結果について類似の検索情報を統合するように学習することによって、類似の検索情報について同一又は類似の分別符号を付与する。
本発明の実施形態の他の実施例では、解析の対象となる文書の件数により、解析結果の信頼性が変化する。分別の対象となる文書の全件数に対して、統計的手法を加えて、どの時点で、全文書のどの割合について、解析結果に基づいて分別符号を付与する範囲を調整するか定めても良い。
本発明の実施形態の他の実施例では、類似の検索情報に対応して分別符号を付与する範囲を調整する方法として、類似の検索情報に対応して検索情報をクラスタリングして分別符号を付与する範囲を調整する方法と、分別結果を学習して予測分別を行う方法の両方を実行して、分別符号を付与する文書の範囲を調整しても良い。
本発明の実施形態の他の実施例に係る文書調査報告システム及び文書調査報告方法並びに文書調査報告プログラムでは、これらの分別作業及び調査の結果に基づいて、報告を作成する。
これにより、本発明の実施形態の他の実施例に係る文書調査報告システム及び文書調査報告方法並びに文書調査報告プログラムでは、的確な調査報告を迅速に作成することが可能となると共に、分別作業及び報告作成作業に伴う負担を軽減することができる。
本発明の実施形態の他の実施例では、ユーザに対し、調査種類判定部が抽出した情報の種類を提示する表示画面を制御する表示画面制御部を備えることができる。
本発明の実施形態の他の実施例では、表示画面制御部に提示された情報の種類に対応した、ユーザによるキーワードおよび/または文章の入力を受け付ける入力受付部を備えることができる。
本発明の実施形態は、訴訟案件又は不正調査案件のカテゴリについてユーザの入力を受け付けることにより、カテゴリに応じて自動的にデータベースを更新する。これにより担当者、カストディアンの氏名等を入力する事務作業の負担が軽減される。また、カテゴリに応じて自動的に更新されたデータベースにより検索ワードを調整し、調整された検索ワードを用いて当該文書情報に対して分別符号を自動で付与する。これにより、訴訟又は不正調査案件に利用する文書情報の分別作業の負担が軽減される。すなわち、本発明により、訴訟に利用する文書情報の分析が容易になる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
文書分析システム100および文書分析システム101の制御ブロック(特に、制御部10)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、文書分析システム100、101は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラム(文書分析システム100、101の制御プログラム)の命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
具体的には、本発明の実施の形態に係る文書分析システムの制御プログラムは、文書を分析する文書分析システムの制御プログラムであって、コンピュータに、(文書分析システム100)に、生成機能、乗算機能、および算出機能を実現させる。
上記生成機能、乗算機能、および算出機能は、生成部12、乗算部13、および算出部14によってそれぞれ実現されることができる。詳細については、いずれも上述した通りである。
〔付記事項〕
本発明は上述したそれぞれの実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成できる。