JP5815534B2 - センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置 - Google Patents

センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5815534B2
JP5815534B2 JP2012531695A JP2012531695A JP5815534B2 JP 5815534 B2 JP5815534 B2 JP 5815534B2 JP 2012531695 A JP2012531695 A JP 2012531695A JP 2012531695 A JP2012531695 A JP 2012531695A JP 5815534 B2 JP5815534 B2 JP 5815534B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data sets
data set
measured
sensor
virtual
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012531695A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012029312A1 (ja
Inventor
今井 彰
彰 今井
佐藤 友美
友美 佐藤
プラカッシ スリダラ ムルティ
プラカッシ スリダラ ムルティ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Atonarp Inc
Original Assignee
Atonarp Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Atonarp Inc filed Critical Atonarp Inc
Priority to JP2012531695A priority Critical patent/JP5815534B2/ja
Publication of JPWO2012029312A1 publication Critical patent/JPWO2012029312A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5815534B2 publication Critical patent/JP5815534B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N27/00Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means
    • G01N27/62Investigating or analysing materials by the use of electric, electrochemical, or magnetic means by investigating the ionisation of gases, e.g. aerosols; by investigating electric discharges, e.g. emission of cathode
    • G01N27/622Ion mobility spectrometry
    • G01N27/624Differential mobility spectrometry [DMS]; Field asymmetric-waveform ion mobility spectrometry [FAIMS]
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D59/00Separation of different isotopes of the same chemical element
    • B01D59/44Separation by mass spectrography
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16CCOMPUTATIONAL CHEMISTRY; CHEMOINFORMATICS; COMPUTATIONAL MATERIALS SCIENCE
    • G16C20/00Chemoinformatics, i.e. ICT specially adapted for the handling of physicochemical or structural data of chemical particles, elements, compounds or mixtures
    • G16C20/20Identification of molecular entities, parts thereof or of chemical compositions
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16CCOMPUTATIONAL CHEMISTRY; CHEMOINFORMATICS; COMPUTATIONAL MATERIALS SCIENCE
    • G16C99/00Subject matter not provided for in other groups of this subclass
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/26Mass spectrometers or separator tubes
    • H01J49/34Dynamic spectrometers
    • H01J49/42Stability-of-path spectrometers, e.g. monopole, quadrupole, multipole, farvitrons

Description

本発明は、DIMSなどのセンサーから得られたデータにより、センサーの測定対象となった候補を見つけることに関するものである。
空気中の物質を検出するセンサーとして、非対称電界イオン移動度スペクトロメータ(FAIMS)または微分型電気移動度スペクトロメータ(DMS)が知られている。この種のスペクトロメータ(センサー、以降においては総称してDMS)は、高圧−低圧に変化する非対称電界に、イオン化した流体サンプル(例えば、ガス、液体又は蒸気)を入力し、イオンの電界移動度に基づいてそれらをフィルタリングした結果を出力する。
特表2008−508693号公報(国際公開WO2006/013396、文献1)には、物質毎のイオン移動度の差に起因する物理的現象を測定する装置が開示されている。この文献1には、特に、複数の電極を有する少なくとも1つのイオンチャネルの形状のイオンフィルタを有するイオン移動度分光計について記載されている。このイオン移動度分光計は、導電層に印加される時間変化する電位により、充填剤はイオン種を選択的に入れることができる。電位は、駆動電界成分および横電界成分を有し、好ましい実施形態において、電極のそれぞれは、駆動電界および横電界の両方の成分を生成するのに関与する。デバイスは、ドリフトガスフローがなくても用いることができる。特許文献1には、また、分光計の種々の用途であるようなマイクロスケール分光計を製作するための微細加工技術について記載されている。
特表2007−513340号公報(国際公開WO2005/052546、文献2)には、一般に、サンプル分析のためのイオン移動度ベースのシステム、方法及び装置に関する技術が開示されている。例えば、分散特性、サンプル解離、及び/又は、限定はされないがフロー・チャンネル/フィルタ電界状態中の変動のようなサンプル処理における変動を使って、サンプル収集、フィルタ、検知、測定、識別及び/又は分析を改善する幾つかの事項が開示されている。このような条件に、以下に限定はされないが、圧力、温度、湿度、電界の強さおよびデューティサイクル及び/又は周波数、電界電圧振幅および周波数及び/又はデューティサイクル、検知器バイアス電圧大きさ及び/又は極性、及び/又はフィルタ電界補償電圧の大きさ及び/又は極性を含めることが記載されている。
DMSにおいては、電界電圧Vrfに対して補償電圧Vc(Vcomp)を変化させることにより2次元のスペクトルが得られ、さらに、電界電圧Vrfを変化させることにより3次元のスペクトルが得られることが知られている。この2次元および/または3次元のスペクトルには、DMSの測定対象となったイオン化した流体サンプル(以降ではガスと総称する)の情報が含まれ、スペクトルを解析することによりガス成分が特定されるはずである。文献2においては、複数の既知の種についてのスペクトル・シグネチャのライブラリを提供し、未知の種のスペクトル・シグネチャの少なくとも一部を、ライブラリ中に保存された一つ以上のスペクトル・シグネチャの少なくとも一部と対比することによって、未知の種を識別しようとしている。
また、文献2には、スペクトル・シグネチャにはスペクトル・ピーク振幅、スペクトル・ピーク幅およびスペクトル・ピーク勾配、スペクトル・ピーク間隔、スペクトル・ピークの数、処理条件の変化によるスペクトル・ピークの相対的位置シフト、スペクトル不連続点、Vrf対Vcomp特性、又は前記条件の他の任意の特性を他の任意の一つ以上の前記条件に対してプロットしたものを含むことが記載されている。
これらの情報には、測定対象のガスまたはその成分に特有のイオン移動度の情報が含まれる。しかしながら、イオン移動度の情報の出現は圧力、温度、湿度などにより変化することも知られている。
また、情報の出現は装置に依存して変化することも知られており、文献2には複数データの各々を使い、これらの種を識別している固有の内在的移動度特性によって、検知された種の確実な識別を得ることが開示されている。一つの形態によれば、対象となる装置に特有の参照ライブラリと対比することができる。また、装置に依存しない共通的なデータセットと対比することもできる。さらに、文献2には、システムをサンプル分析に使用される前に校正することが記載されている。具体的には、特定のVcomp及びVrfにおける既知のイオン種に対するイオン強度のライブラリを作成し、メモリに保存する。一つの形態によれば、いったんシステムを校正すれば、さらなる校正の必要なく連続してこれを使用できるとしている。例えば、反応物イオンピーク(RIP)又はドーパントのピークを使ってシステムを校正することが記載されている。
さらに、文献2には、データ・オブジェクト(参照ベクトル)Pと測定値ベクトルP’との整合性の程度を判定するために、例えば、P及びP’のエレメント(Vcomp、a)がユークリッド幾何空間中のデータ・ポイントであると見なせる場合には距離を計算し、最小のユークリッド距離との対比を、最善の整合として選定することが記載されている。また、他の知られたパターン認識アルゴリズム、ニューラル・ネットワーク、又は人工知能技法を用いてP’に対する最善の整合を見出す可能性が記載されている。
DMSについてこれらの方法が開示されているにも関わらず、DMSによりガスまたはその成分を特定する技術が広く利用されているとは認め難い。
本発明の一態様は、第1のセンサーにより測定された第1の測定済みのデータセットおよび第1の測定済みのデータセットの測定環境を示す第1の環境情報を受け取るインターフェイスと、データベースから既存の複数のデータセットを第1の環境情報により制御された条件で変換して複数の仮想データセットを生成する生成ユニットと、複数の仮想データセットを含む暫定的な集合の中から第1の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補を選択して出力する出力ユニットとを有する装置である。
本発明の他の態様の1つは、第1のセンサーにより測定されたデータを処理装置が処理する方法であり以下のステップを含む。
・第1のセンサーにより測定された第1の測定済みのデータセットを受け取ること。
・既存の複数のデータセットを第1の環境情報により制御された条件で変換して複数の仮想データセットを生成すること。
・複数の仮想データセットを含む暫定的な集合の中から第1の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補を選択すること。
DMSなどの第1のセンサーにより得られるデータセットにおいて測定対象物(ガスおよびそれらの成分)の特徴の出現パターンは様々な要素の影響を受ける。したがって、既存のデータセットにそれらの要素の影響を受けた、そのもののデータセットが含まれている確率は小さい。さらに、既存のデータセットに含まれる測定対象を示すデータセットが、様々な要素の影響を受けた測定済みのデータセットに非常に近い条件で測定されたデータセットである可能性も低い。したがって、この方法においては、仮想データセットを生成することにより、測定済みのデータセットに近いデータセットを強制的に増やし、結果的に探索空間のサイズを減らし、測定されたデータより検索あるいは選択される候補が望むものである可能性を向上させる。
仮想データセットを生成する1つの方法は、既存の複数のデータセットを第1の環境情報をパラメータとするモデルにより変換することである。モデルの一例は環境情報に含まれる複数の要素をパラメータとする関数モデルである。
仮想データセットを生成する他の方法の1つは、既存の複数のデータセットを確率的に組み合わせることである。既存のデータセットに含まれる測定対象を示すデータセットの各要素による出現パターンを予想したり推定することが難しい場合や、出現パターンに影響を与えるすべての要素が事前に得られない場合や、出現パターンに影響を与える全ての要素と、それらの要素による影響が全て判明していない場合であっても、確率的に仮想データセットを生成することは可能である。
本発明の一態様の方法においては、既存の複数のデータセットを確率的に組み合わせることにより仮想的に探索対象(探索空間)を広げ、測定済みのデータセットに近い仮想(仮装)データセットを確率的に増やし、測定済みのデータセットの近くに測定対象物またはそれに近い仮想データセットが配置されるようにしている。そして、そのような探索空間を探索することにより、出現パターンに影響を与えるすべての要素が事前に得られなくても、また、出現パターンに影響を与える全ての要素と、それらの要素による影響が全て判明していなくても、測定対象物またはそれに近い候補が得られる可能性があり、測定対象物の推定確率を向上できる。
さらに、この方法においては、第1の測定済みのデータセットの測定環境を示す第1の環境情報を受け取るステップを設け、複数の仮想データセットを生成する工程は、既存の複数のデータセットを第1の環境情報により制御された確率で組み合わせて複数の仮想データセットを生成することを含むことが望ましい。第1の環境情報により仮装データセットの生成される範囲を限定できる可能性があるので、探索空間を狭くできる。
システムの概略を示すブロック図である。 図2(a)および(b)は測定データが変わる様子を示す。 システムの他の例を示すブロック図である。 推定する方法の概略を示すフローチャートである。
空気中あるいは気体中に含まれるガス成分のイオン移動度を測定するDMSの1つであるFAIMSにより得られたデータからガス成分(測定対象、オブジェクト)を推定するシステムを例に本発明をさらに説明する。
図1にFAIMSから得られたデータを解析する処理装置(システム)の概略構成を示している。この処理装置10は、センサー(FAIMS)1またはセンサー1を搭載した端末に適当な通信手段、たとえば、インターネット9により接続されたサーバーにより実現されていてもよく、端末に内蔵されていてもよく、ソフトウェア(プログラム、プログラム製品)により実現されていてもよく、LSIあるいはASICなどのハードウェア(半導体処理装置、処理装置)により一部あるいは全部が実現されていてもよい。
FAIMS1は、目標化学物質(測定対象、オブジェクト)をイオン化するイオン化ユニット1aと、イオン化された測定対象に電場の影響を与えながら移動させるドリフトチェンバー1bと、ドリフトチェンバー1bを通過したイオン化された測定対象(測定対象の電荷)を検出する検出器1cとを含む。ドリフトチェンバー1bにおいては、電極1eにより生成されるソフトウェア制御された電界が特定の周期でプラス・マイナスに変動し、その電界のフィルタリング効果により、検出目標の化学物質がフィルタリングされ、短期間、たとえば、msecレベルで検出器1cに衝突し、電流として測定される。
逆に、非測定対象の化学物質は、ドリフトチェンバー1b内の電界のパラメータをソフトウェアで変化させて、検出器1cに送らないようなフィルタリング処理が可能である。つまり、FAIMS1により、短時間での集中した検出・分析(チェック)が可能となる。また、FAIMS1のスキャンをある測定レンジで実行することで、広範囲の化学物質分析が可能となる。特に、FAIMS1は、最近のMEMS技術の進歩により、微細化が進み、最新のLC(液体クロマトグラフィ)/MS(質量スペクトロメータ)分析装置のプリ・プロセッシング部分に、実装されるようになっている。今後、ソフトウェア技術と並列処理技術を組み合わせる事により、分析装置の小型化が相当進むものと期待され、様々な産業分野・医療分野・一般家庭へと広く応用されて行くはずである。
FAIMS1の一例はオウルストーン(Owlstone)社製のセンサーであり、イオン化ユニット1aには、Ni63(555MBqのβ線源、0.1μSv/hr)を使用している。このイオン化ユニット1aによりイオン化可能な化学物質は、イオン化結合エネルギーが67KeV以下であるが、広い範囲の化学物質を検出・分析可能である。イオン化ユニット1aとしては、UV(紫外線)を用いたもの、コロナ放電を用いたものなどが検討されている。
FAIMS1は、爆発物や危険物の検出、脅威検出、化学物質の検出・分析、ターゲットの変化する環境化学物質をリアルタイムで検出する製品開発のプラットフォームとして最適である。特に、ppm/ppb/pptレベルでの微量物質の検出に優れた性能を示す。ターゲット物質が明確で、ターゲットの数が100種類以下であれば、原理的に1〜2秒での特定が可能である。しかしながら、環境条件によって、測定容易性が変化するのでバック・グラウンド条件を確認する必要がある。したがって、FAIMS1を実アプリケーション用に展開する際に重要な点の1つは、ターゲット(オブジェクト、化学物質)の検出と分析を、様々な環境変数の違いや状況によって変化するバックグラウンド・ノイズ等に対し、安定して行い、精度を向上させ、さらに、リアルタイムあるいはそれに近い速度で行うことである。
図2(a)および(b)にFAIMS1の測定結果の例を示している。同一サンプルでありながら、FAIMS1の測定結果としては、測定環境により、一見違った挙動を示すことがある。図1に示す処理装置10は、この問題をSW(ソフトウェア)処理技術により、リアルタイムあるいはそれに近い速度でデータ処理を行い解決しようというものである。処理装置10の機能は、たとえば、1または複数の半導体集積回路により提供できる。この処理装置10は、OLP(OLfaction Processor)と称されており、リアルタイムでの化学物質の検出や分析、データベース登録を実現するテクノロジーのプラットフォームとして本出願人が開発している。このOLPは、今後、拡大する新しい市場へ投入されることが期待される各社の製品開発を短期間・高効率・高品質で実現可能なプラットフォームとして期待されるものである。FAIMS1を含む様々なシステム99およびサービスを展開することができる。
OLP10は、FAIMS(センサー)1に測定条件55をセットしてセンサー1から測定済みのデータセット(第1の測定済みのデータセット、以降ではIMSデータ)51を取得するインターフェイス13と、ドライバ11とを含む。センサー1には、OLP10のドライバ11からインターフェイス13を介して測定条件55が送られる。インターフェイス13は、無線であっても有線であってもよく、デジタルであってもアナログであってもよい。センサー1が自律的に測定条件55を設定し、OLP10がインターフェイス13を介して自動的にIMSデータ51を取得できる環境であってもよい。
測定条件55には、電界電圧Vf(以降では電圧Vf)と、補償電圧Vcとが含まれる。IMSデータ51の一例は、特定の電圧Vfにおける補償電圧Vcの変動に対応して変化する電流(検出装置1cにより検出される電流)Iにより表わされるスペクトルである。IMSデータ51は、上記のスペクトルの特徴点をサンプリング(抽出)したデータであってもよく、複数の電圧Vfのスペクトルを含むものであってもよい。通信速度に依存するが、特徴点を抽出することによりスペクトルに含まれるデータ量が減る可能性があるので、OLP10が取得するIMSデータ51は、センサー1が取得したスペクトルがAD変換されたデータであることが望ましい。
OLP10は、さらに、取得したIMSデータ51を予備的に解析するユニット100と、ネットワーク9などを介してデータベース80から既存の複数のデータセット81を取得し、複数の仮想(仮装)データセット71を生成する生成ユニット200と、既存のデータセット81の中から適当な実データセット76を論理的に選択する選択ユニット40と、仮想データセット71および実データセット76を含む候補データベース79の中の候補データセット75の中からIMSデータ51に近い1つまたは複数の候補データセット75を選択する出力ユニット30と、測定済みのIMSデータ51を既存のデータセット81としてデータベース80に登録する登録ユニット300とを有する。
既存のデータセット(既知のデータセット、既得のデータセット)81のそれぞれは、過去の幾つかのタイプのIMS(イオン移動度センサー、イオン移動度スペクトロメータ)により、各成分および/また各製品(商品)を測定した結果(データ)、既存の化学データベース(化学物質データベース)からイオン移動度が計算された結果などを含み、測定に用いられるセンサー1(本例ではFAIMS)の測定結果(測定済みデータセット、IMSデータ)51と比較することができる既存のデータを示す。既存のデータセット81は、スペクトル情報82、特定の化学物質の特徴を示す識別情報83、変動情報84を含む。スペクトル情報82は、センサー1から得られるIMSデータ51に対比するスペクトル(特定の電圧Vfにおいて補償電圧Vcの変動により表わされるスペクトル)を生成するための情報であり、イオン移動度、典型的なセンサータイプの代表的な電圧Vfにおけるスペクトルサンプルなどを含む。識別情報83は、主な名称、化学的な情報(CAS登録番号、PUBCHEM、RTECS番号、化学式、モル質量、密度、その他の物性など)、製品に含まれる可能性および割合、製品であればそれに含まれる成分およびその割合などを含む。変動情報84は、IMSデータ51として出現する際の環境情報(温度、湿度、圧力、流量、電界強度、センサータイプなど)に対する理論的および/または実験的な依存性を示す情報を含む。
OLP10は、セットされたセンサーなどから、IMSデータ51が得られた測定環境を示す環境情報(第1の環境情報)60を受信する。環境情報60には、温度、湿度、圧力、流量などの物理的な情報61と、アプリケーション情報62とを含む。アプリケーション情報62は、アプリケーションを提供しているアプリケーションサービスサーバ62sや、FAIMS1が搭載されている端末などから取得できる。アプリケーション情報62には、位置情報63と、画像情報64と、ユーザー入力情報65とが含まれる。なお、OLP10が取得する環境情報60は、これらの情報の一部または全部が含まれていてもよい。
物理的な情報61は、FAIMS1の近傍あるいはFAIMS1が搭載された端末にセットされたセンサー群69から取得できる。センサー群(第2のセンサー)69には、温度、湿度、圧力、流量などの物理量を測定するのに適したセンサーが含まれる。位置情報63などのアプリケーション情報62からFAIMS1の周囲の環境情報60を、温度、湿度などを定点観測している他のシステムから間接的に取得することも可能である。さらに、環境情報60に日時が含まれていれば、日時よりある程度の温度の範囲を推定して物理的な情報61として利用することも可能である。
生成ユニット200は、モデルを用いて仮想データセット71を生成するシミュレータ210と、確率的に仮想データセット71を生成する確率的生成ユニット220とを含む。以降においては、シミュレータ210により仮想データセット71を生成する場合を主に説明する。
ドライバ11を介して取得されたIMSデータ51は、まず、予備解析ユニット100において予備解析される。予備解析ユニット100は、IMSデータ51のスペクトルに含まれるバックグランドノイズを除去したり、複数のピークを分離したり、それぞれのピークを特徴づけるパラメータを取得するなどの処理を行う前処理ユニット101を含む。予備解析ユニット100は、さらに、前処理ユニット101により得られたデータの中で、IMSデータ51を特徴づける幾つかのポイントを抽出する特徴点抽出ユニット102と、抽出された特徴点からIMSデータ51の発生源(候補)となる化学物質の特徴と思われるプロファイルを選択する特徴選択ユニット103と、IMSデータ51のバックグラウンドプロファイルを補助情報として保存するバックグラウンドプロファイリングユニット104とを含む。
特徴点抽出ユニット102は、分離されたピークの位置(電界電圧Vf、補償電圧Vcとの関係)、強度、順番などを特徴点として抽出する。特徴選択ユニット103は、幾つかの特徴点から、理論的に、実験的に、さらに経験的(学習的)にIMSデータ51の発生源(候補)となる化学物質の特徴と思われるプロファイルを選択する。バックグラウンドプロファイリングユニット104は、IMSデータ51の特徴として選択されたプロファイルをIMS51から除いたバックグラウンドプロファイルを、候補のバリエーションを拡張したり変更したりするための補助情報として保存する。
シミュレータ210は、予備解析ユニット100で得られた特徴点情報19に基づき既存のデータベース80を参照し、既存のデータセット81の中から特徴点などが共通する複数のデータセットを選択する参照ユニット211と、予備解析ユニット100で得られた特徴点情報19および環境情報60から予測モデルで使用するパラメータを生成するプロファイリングユニット212と、生成されたパラメータと予測モデルとを用いて仮想データセット71を生成するシミュレータコア213とを含む。
このOLP10は、特徴点情報19により既存データベース80から特徴点が共通する実データセット76を選択するユニット40を含む。実データセット76のみを比較する場合、実データセット同士の差が小さいときに別の特徴点を追加してデータ数を増やしたり、IMSデータ51と実データセット76とのユーグリッド距離が大きいときにそれを縮めることができない。さらに、類似性が高い化学物質でも、濃度や温度、電界強度を変更することで、イオンモビリティの差が変化することは上述した通りである。
シミュレータ210は、環境変数(環境条件)60を用いて既存のデータセット81を積極的に変化させることにより、IMSデータ51の元(候補)となる化学物質を特定するためのデータベース79を構築する。
シミュレータコア213で採用される予測モデルは、イオン移動度が各化学物質の断面積や分子構造に依存することが知られている。したがって、特徴点情報19により化学物質が属する基(ファンクショングループ)が判断できると、予測モデルの精度が向上し、探索空間を大幅に削減できる可能性がある。その他、予測モデルは、化学物質の断面積、分子量、イオン化量、濃度、温度、湿度、バックグランド物質等をパラメータとして持つことが望ましい。これらのパラメータに対し、イオンモビリティは非線形挙動を示すことが多い。したがって、予測モデルは、線形補間や外挿・内挿を含むものであってもよいが、収束の速い非線形の関数モデルを利用することが好ましい。また、予測モデルとして利用するためには、実測データとのズレを吸収しやすいものであることが望ましい。関数モデルの1つの候補は、スプライン関数を用いたものである。関数モデルは、環境条件をパラメータとするその他の非線形級数(関数)であってもよい。また、シミュレータコア213がリグレッション収束機能を備えていてもよい。また、予測モデルは、インターネット9に存在する複数の既存データベース80に含まれるデータに対して収束しうるものであることが望ましい。
このようにして、OLP10においては、生成ユニット200により生成された複数の仮想データセット71と、選択ユニット40により論理的に生成された1または複数の実データセット76との集合である複数の候補データセット75が生成され候補データベース79が作られる。生成ユニット200により生成された複数の仮想データセット71は、実データセット76よりも、IMSデータ51とのユーグリッド距離が短い可能性がある。したがって、IMSデータ51の発生源の化学物質をいっそう精度よく特定できる可能性がある。なお、確率的生成ユニット220については、以下において詳述する。
出力ユニット30は、IMSデータ51の発生源(オブジェクト)であるとある程度の確率で推定される1または複数の候補データセット75を選択する候補選択ユニット31と、センサー1の測定条件を再設定するセンサー制御ユニット32と、過去に選択された候補の履歴を保存するデータベースまたはキャッシュ39と、履歴を参照して複数の候補の中から最も確率の高いと想定される候補を選択する履歴検索ユニット38と、選択された候補データセット75を成分名または製品名に変換してユーザーの端末2に送信する表示変換ユニット33とを含む。
候補選択ユニット31は、IMSデータ51と、候補データベース79の各候補データセット75との距離を、特徴点情報19よりもさらに多くの点で判断し、IMSデータ51のオブジェクトであるとある程度の確率で推定される1または複数の候補データセット75を選択する。センサー制御ユニット32は、同等の確率(ランク)の複数の候補データセット75のランキングを変えることができるセンサー1の測定条件がある場合は、その条件55をドライバ11に戻してセンサー1に再測定させ、複数の候補から最適な候補が選択されるIMSデータ51が取得できるようにする。
履歴検索ユニット38は、キャッシュ39に記録された履歴に含まれる複数の候補データセット75の中から、直近または連続して取得されたIMSデータ51に対して選択された共通の候補データセット75を選択して出力する。履歴検索ユニット38は、たとえば、第1のIMSデータ51と第1の環境情報60とから選択された複数の候補データセット75と、第2のIMSデータ51と第2の環境情報60とから選択された複数の候補データセット75とに共通の候補データセット75を最も確からしい候補データセット75として出力する。
表示変換ユニット33は、候補データセット75に組み合わされた既存のデータセット81の識別情報83から、成分名または製品名を含むコンテンツを選択または生成し、IMSデータ51に近い候補データセット75をコンテンツとしてユーザーの端末2に提供する。表示変換ユニット33は、候補データセット75を端末2の表示装置2dに表示できる情報として端末2に提供する。表示変換ユニット33は、候補データセット75が香水のレシピなどとして、著作権、特許権あるいはその他の権利により保護されている場合は、成分名ではなく製品名で表示装置2dに表示させる。
OLP10は、さらに、IMSデータ51を既存のデータベース80に登録する登録ユニット300を含む。登録ユニット300は、IMSデータ51の元(ソース)の化学物質が未登録であると判断するユニット301を含む。このユニット301は、出力ユニット30においてIMSデータ51と候補データベース79に含まれるデータとのユーグリッド距離が所定の範囲に入らないときに、IMSデータ51を与える既存のデータセット81がデータベース80に含まれていないと判断する。未登録と判断されたIMSデータ51は、ユーグリッド距離が近い幾つかの候補データセット71および76とともに既存のデータベース80に登録され、後日、既存のデータベース80のデータ量が増加したり、シミュレータ210の予測モデルが改善されることにより解決される機会を待つ。
登録ユニット300は、さらに、IMSデータ51を特徴点データ19と関連付けしてデータベース80に登録するユニット302と、IMSデータ51を実モデルとしてデータベース80に登録するユニット303と、IMSデータ51をバックグラウンドモデルとして登録するユニット304とを含む。実モデルとして登録するユニット303は、IMSデータ51を、IMSデータ51から特定された化学物質、成分あるいは製品の代表的なデータ(実モデル)としてデータベース80に登録する。バックグランドモデルとして登録するユニット304は、IMSデータ51を、IMSデータ51から特定された化学物質、成分あるいは製品の補助的なデータとしてデータベース80に登録する。
図1に示したFAIMS1およびOLP10は、たとえば、ネットワーク9に接続された移動観測システム、定点観測システムあるいは遠隔観測システムである。表示変換ユニット33は、パーソナルコンピュータなどの端末2に対してネットワーク9を介してIMSデータ51を画像2aとして表示させ、キャッシュ39のデータを画像2bとして表示させ、さらに、コンテンツ2cを表示させる機能を含む。コンテンツ2cは、複数の候補データセット75に対応してネットワーク9にオープンされている複数の情報2xと、最も確からしい候補の情報2yと、確からしい候補の情報2yに関連する情報2zを含む。
OLP10としての機能は、既存のデータベース80のサービスを行うサーバー400に搭載することも可能であり、サーバー400がネットワーク9を介して端末2に対してコンテンツ2cを提供することも可能である。
図3に端末2にセンサー(FAIMS)1が搭載されたシステム99の概要を示している。FAIMS1のデータを解析する装置(システム)であるOLP10は、センサー1を搭載した端末2に適当な通信手段、たとえば、インターネット9により接続されたサーバーにより実現されていてもよく、端末2に内蔵されていてもよい。
端末2は、センサー1の測定条件55がOLP10のドライバ11からインターフェイス13を介して与えられるリモートセンシングできる環境であってもよい。また、端末2が自律的に測定条件55を設定し、インターフェイス13を介して自動的にOLP10がIMSデータ51および測定条件55を取得できる環境であってもよい。
OLP10は、上述したように、予備解析ユニット100と、生成ユニット200と、選択ユニット40と、登録ユニット300とを含む。生成ユニット200は、シミュレータ210と、ネットワーク9などを介してデータベース80から既存の複数のデータセット81を取得し、複数の仮想(仮装)データセット71を確率的に生成する確率的生成ユニット220を含む。以降では、確率的に仮想データセット71を生成する例を中心に説明する。
OLP10は、端末2またはその周囲にセットされたセンサーなどから、IMSデータ51が得られた測定環境を示す環境情報(第1の環境情報)60を受信する。環境情報60の、温度、湿度、圧力、流量などの物理的な情報61は、端末2に搭載されたセンサー(第2のセンサー、センサー群)69から取得できる。上記と同様に、物理的な情報61を、端末2の位置情報63に基づき、温度、湿度などを定点観測している他のシステムから間接的に取得してもよい。
アプリケーション情報62は、センサー1が測定しているオブジェクトの探索範囲を狭めるために用いられる情報である。位置情報63は、端末2に搭載されているGPS(第3のセンサー)68、基地局情報などから得られる。得られた位置情報63に基づき、センサー1により測定される可能性が高いオブジェクト(化学物質)を推定し、探索範囲を狭めることができる。画像情報64は典型的には端末2に搭載されているカメラ67から得ることができる。あるいは位置情報63から端末2の位置の周囲を示す画像を定点モニタから得ることも可能である。画像情報64はセンサー1により測定される可能性が高いオブジェクトの範囲を推定するために用いられる。
ユーザー入力情報65は、端末2のユーザインターフェイス(外部入力インターフェイス)66や、ネット上(クラウド)にあるユーザー情報などから取得できる。ユーザー入力情報65には、ユーザーが欲している情報の分野、たとえば、健康、食品、飲み物、動物などの情報を含む、様々なグレードの情報が含まれ、それらの情報を総合することにより、センサー1の測定対象となっている可能性の高いオブジェクトの範囲を推定することができる。
生成ユニット200の確率的生成ユニット220は、確率的処理ユニット20と、処理ユニット20により参照される関数、モデル、初期値などが格納されたライブラリ29と、処理ユニット20の作業エリアである仮候補データベース73とを含む。処理ユニット20は、確率的結合エンジン21と、反復アルゴリズムエンジン22とを含む。確率的生成ユニット220の処理ユニット20は、データベース80から得られる既存のデータセット81を確率的に組み合わせて仮想データセット71を生成する。この例では、処理ユニット20は、仮想データセット71を2段階で生成する。まず、確率的結合エンジン21が、複数の既存のデータセット81を環境情報60に基づき確率的に結合して反復アルゴリズムエンジン22で使用する複数の仮候補データセット72を含む仮候補データベース73を生成する。確率的結合エンジン21は、さらに、仮候補データセット72を組み合わせる1または複数の関数(初期関数)25と、1または複数の初期条件26とを生成する。
次に、反復アルゴリズムエンジン22が、予備解析ユニット100により得られたIMSデータ51の特徴点情報19をターゲットとしてメタヒューリスティクスな方法によりIMSデータ51に近い1または複数の仮想データセット71を確率的に発見する。メタヒューリスティクスな反復アルゴリズムには、シミュレーテッドアニーリング法、平均場アニーリング法、遺伝的アルゴリズム法などが含まれる。
確率的結合エンジン21は、後続の処理における探索範囲を狭めるために、環境情報60により制御された確率で既存のデータセット81を組み合わせる。具体的には、確率的結合エンジン21は、環境情報60、特に、温度などの物理的な情報61に基づき、既存のデータセット81を理論的および/または実験的に変化させて複数の仮候補データセット(第1の変換済みのデータセット)72を生成する。確率的結合エンジン21は、物理的な情報61に基づき、既存のデータセット81を理論的および/または実験的に変化させるため、既存のデータセット81の変動情報84を利用できる。
各分子のイオンの平均移動速度vdは理論的には電場の強さEに比例し以下の式(1)で与えられる。
vd=K×E・・・(1)
イオン移動度を与える移動係数Kの理論式の一例は運動量移行理論により以下のものである。
K=(3e/16N)
×(2π/μ・k・Teff)1/2((1+α)/Ωd(Teff))・・・(2)
ここでeはイオンの電荷、Nは緩衝気体の密度、kはボルツマン定数、μはイオンと緩衝気体分子の換算質量、Teffは緩衝気体のドリフトチューブ中の実効温度であり、αは補正項で通常は1より非常に小さい。Ωdは衝突断面積(衝突積分)であり以下の式(3)で与えられる。
Ωd=πr2Ω(1,1)×T・・・(3)
ここでrは分子半径であり、Ω(1,1)は分子固有の値であり、さらに、湿度、温度、緩衝気体(キャリアガス、ドリフトガス)などにより変化する。
したがって、確率的結合エンジン21は、これらの理論式、および多数の実験結果を上記の理論式に基づいて解析した結果を利用して、既存のデータセット81を環境情報60により変化させることができる。
確率的結合エンジン21は、環境情報60、特に、アプリケーション情報62に基づき、既存のデータセット81の中から複数のデータセットを相対的に確率が高くなるように組み合わせて複数の仮候補データセット(第2の変換済みデータセット)72を生成することも可能である。アプリケーション情報62により既存のデータセット81を組み合わせるため、既存のデータセット81の識別情報83を利用できる。さらに、この確率的結合エンジン21は、IMSデータ51の特徴点情報19を初期値などに組み込むことにより確率的に推定される範囲をIMSデータ51の近くに収めるようにしている。
この処理ユニット20においては、確率的結合エンジン21により、主にアプリケーション情報62に基づき既存のデータセット81を確率的に組み合わせて仮候補データセット72を生成する。次に、物理的な情報61に基づき反復アルゴリズムエンジン22において使用する初期関数25および初期条件26を生成する。さらに、反復アルゴリズムエンジン22により、仮候補データセット72を理論的および/または実験的パラメータを介して組み合わせてIMSデータ51に近い複数の仮想データセット71を確率的に発見するようにしている。
確率的結合エンジン21は1または複数の結合エンジンを含む。この例では、確率的結合エンジン21は、ベイズ結合エンジン23と、ヒューリスティック結合エンジン24とを含み、これらを個々にまたは結合して使用する。ヒューリスティック結合エンジン24は、ヒューリスティック探索手法を用いて非線形結合で任意の要素を結合するエンジンである。この例では、ヒューリスティック結合エンジン24は、論理的な規則および/または発見的な規則の任意な(確率的な)組み合わせを用いて、既存のデータセット81を組み合わせる。ヒューリスティック探索手法を用いた結合エンジンは、たとえば、国際公開WO2002/087259などに記載されている。国際公開WO2002/087259では遺伝的アルゴリズムを用いた方法が開示されている。
ベイズ結合エンジン23は、ベイズの定理(ベイジアンネットワーク)を用いて既存のデータセット81を組み合わせる。ベイジアンネットワークを用いて確率的に要素を組み合わせる方法は公知であり、たとえば、国際公開WO00/075863、WO2001/058145などに開示されている。
ベイズ結合エンジン23において用いられてよい推論、ヒューリスティック結合エンジン24において使われてよい規則などはライブラリ29に蓄積されている。ライブラリ29の内容は、反復アルゴリズムエンジン22の収束状況によりこれらのエンジン23および24により使用される優先度が更新される。
したがって、処理ユニット20においては、環境情報60と、IMSデータ51の特徴点情報19とに基づき、IMSデータ51が測定された環境またはそれに近い条件で、IMSデータ51に近い複数の仮想データセット71が生成される。そして、仮想データセット71は確率的な要素を加えて生成されているので、論理的または実験的に予測されるデータセットに対して不確定な、あるいは揺らぎを持った仮想データセット71となる。したがって、論理的または実験的に予測されるデータセットに対して、IMSデータ51にいっそう近い仮想データセット71を用意できる。
さらに、処理ユニット20では、確率的および発見的な要素を加えて仮想データセット71を生成しているので、オブジェクトの出現パターンが予測できないとき、環境情報60が変化したとき、環境情報60の変化として表れない変化があったとき、OLP10が得られる環境情報60に限りがあるとき、さらには、予測できない変化があったときであっても、IMSデータ51に近い仮想データセット71を生成できる可能性が高い。したがって、IMSデータ51のオブジェクトをいっそう高い確率で推定することが可能となる。
反復アルゴリズムエンジン22は、IMSデータ51の特徴点情報19をターゲットとて仮想データセット71を生成する。特徴点情報19は、IMSデータ51のスペクトルに含まれる主要なピークの位置、形状(半値幅、高さ、分散、角度など)、ピークの間隔などを含めることが可能であり、反復アルゴリズムエンジン22に採用されるターゲットしての情報量を制御することが可能である。したがって、確率的に生成される複数の初期関数25および初期値26と、ターゲットとなる特徴点情報19の情報量とにより、幾つかの仮想データセット71を生成することができる。すなわち、反復アルゴリズムエンジン22では、確率的結合エンジン21により生成された初期関数25および初期条件26を用い、特徴点情報19をターゲットとして反復アルゴリズムにより複数の仮候補データセット72および/または既存のデータセット81を組み合わせて仮想データセット71を生成する。したがって、IMSデータ51に近い複数の仮想データセット71を確率的に見出すことができる。
反復アルゴリズムエンジン22においては、反復アルゴリズムを繰り返し用いて仮想データセット71を増やすことも可能である。すなわち、情報量の少ない特徴点情報19をターゲットとして反復アルゴリズム(シミュレーテッドアニーリング法、平均場アニーリング、遺伝的アルゴリズムなど)により幾つかの仮想データセット71が生成されるが、反復アルゴリズムエンジン22は、さらに、その仮想データセット71を初期値として、情報量の比較的多い特徴点情報19をターゲットとして再度、同じまたは異なる反復アルゴリズムを用いて仮想データセット71を生成してもよい。
このようにして、OLP10においては、処理ユニット20により確率的に生成された複数の仮想データセット71と、選択ユニット40により論理的に生成された1または複数の実データセット76との集合である複数の候補データセット75が生成され、候補データベース79が作られる。したがって、候補データベース79にはIMSデータ51とのユーグリッド距離の近い仮想データセット71が含まれる可能性が高い。このため、出力ユニット30は、IMSデータ51と、候補データベース79の各候補データセット75との距離を、特徴点情報19よりもさらに多くの要素、たとえば、スペクトルそのものの類似性やバックグランドプロファイルなども加えて判断できる。このため、IMSデータ51のオブジェクトとなる1または複数の候補データセット75をさらに高い確率で推定できる。出力ユニット30の構成は、図1に示した装置と共通する。
候補データベース79に含まれる複数の仮想データセット71は、反復アルゴリズムエンジン22により、特徴点情報19をターゲットとしてある程度エントロピーの低い状態で安定したデータセットであり、特徴点情報19との距離(ユーグリッド的な距離)が非常に遠いデータセットは含まれていない。しかしながら、IMSデータ51に近いといっても距離のグレードが様々なデータセットが含まれる暫定的な集合である。また、データ間の距離は、比較する対象が増えたり、比較する対象が異なれば変わる情報である。したがって、特徴点情報19の範囲ではIMSデータ51に非常に近い仮想データセット71であっても、特徴点情報19には含まれていない、あるいは幾つかの仮想データセット71を確率的に生成するためにあえて特徴点情報19には含めない微小なピークや、ノイズに近いその他のスペクトルの特徴を加味してIMSデータ51との距離を再評価した場合、仮想データセット71を含む候補データセット75のIMSデータ51に対する距離(ランキング)は変化する可能性がある。選択ユニット31は、このような再評価する機能を含んでもよい。
また、OLP10は、IMSデータ51および環境情報60を、センサー1の測定インターバル(サンプリングインタバール)で次々と取得することができる。複数のセンサー1がインターフェイス13に接続されている場合は、さらに短いインターバルで複数のIMSデータ51をOLP10は取得できる。選択ユニット31は、これらの次々と取得できるIMSデータ51とそれに対応する仮想データセット71とから、さらに、オブジェクトに近い仮想データセット71をオンザフライで選択する機能を含む。
選択ユニット31で選択された1または複数の候補データセット75はキャッシュ39に格納され、履歴検索ユニット38が最も確からしい候補データセット75を選択する。キャッシュ39の情報は選択ユニット31にフィードバックされてもよい。すなわち、OLP10は、インターフェイス13からセンサー(第1のセンサー)1により測定された第2の測定済みのデータセット(第2のIMSデータ)51およびその第2のIMSデータ51の測定環境を示す第2の環境情報60を受け取り、処理ユニット20により仮想データセット71を生成する。選択ユニット31は、直前または直前までのIMSデータ51に近いと判断された仮想データセット71の履歴を加味し、新たに得られたIMSデータ51に近い仮想データセット71を選択するか、あるいは新たに得られたIMSデータ51に対する仮想データセット71のランキングを生成する。
典型的には、直前または直前までに得られたIMSデータ51に近い仮想データセット71の成分または製品(候補)と、新たに得られたIMSデータ51に近い仮想データセット71の成分または製品(候補)とが共通する仮想データセット71の候補を、オブジェクトに近い高順位にランキングする。センサー1が閉鎖的な環境に置かれている場合、OLP10が次々と取得するIMSデータ51は同じオブジェクトの測定済みのデータセットである可能性が高い。したがって、直前または直前までに得られたIMSデータ51に近い仮想データセット71の共通性はオブジェクトを選択するために重要な情報である。
一方、センサー1がオープンな環境に置かれている場合、OLP10が次々と取得するIMSデータ51が全く同じオブジェクトの測定済みデータセットである可能性はほとんどない。このOLP10においては、確率的処理ユニット20が確率的な要素を含めて仮想データセット71を生成する。したがって、仮想データセット71には、オープンな環境で含まれる可能性がある成分が含まれているデータセットが候補として含まれている可能性が高い。このため、オープンな環境にセンサー1が設置されている場合でも、直前または直前までに得られたIMSデータ51に近い仮想データセット71の共通性はオブジェクトを選択するために重要な情報になる。
センサー制御ユニット32は、OLP10により能動的にセンサー1を制御してオブジェクトの推定精度を向上する機能を含んでいてもよい。たとえば、選択ユニット31により、オブジェクトに対して同じ程度のランク(順位)として選択された候補データセット75が複数ある場合、候補データセット75を組み当てている既存のデータセット81のスペクトル情報82をサーチすることによりそれらの候補データセット75を分離するために好適な電圧Vfを1または複数選択できる可能性がある。センサー制御ユニット32は、複数の候補データセット75のランキングを変えるのに適した電圧Vfを測定条件55としてドライバ11にフィードバックし、後続のIMSデータ51を候補データセット75のランキングをさらに明確に特定するために有用なデータに変えることができる。
このように、このOLP10においては予測モデルにより、および/または確率的な要素を加えて仮想データセット71を生成し、それにより探索の対象となるデータセット71を増やし探索空間を広げる。仮想データセット71を増やすことにより、予測モデルおよび環境情報60により確率的および発見的な論理を組み込んでセンサー1のオブジェクトに近い仮想データセット71を生成することによりIMSデータ51に近い仮想データセット71を増やし、それとともに、探索空間が無限に広がるような事態を防止している。したがって、結果的には、IMSデータ51に近い仮想データセット71が増加し、実質的に探索すべき空間は大幅に縮まり、適当な時間内でオブジェクトに近い1または複数の成分または製品を選択することができ、それらをランキング表示させることができる。
図4に、センサー1により測定されたオブジェクトを推定する方法の一例をフローチャートにより示している。ステップ101において、センサー1の測定条件55をセットする。FAIMSセンサーの場合、電界電圧Vfおよびデューティーなどのセンサーの基本的な動作を決めるパラメータを設定し、補償電圧Vcの変動範囲を設定することにより、正電荷のイオンおよび負電荷のイオンの測定強度を示すスペクトルが測定結果として得られる。
測定済みのデータセット(IMSデータ)51の一例は、ある電圧Vfにおけるスペクトルである。IMSデータ51は、複数の電圧Vfにおいて得られる複数のスペクトルの組み合わせであってもよく、スペクトルの特徴がデジタルデータに変換された情報であってもよい。センサー1の測定条件55のセットは、OLP10が行ってもよく、端末2が自動的に適当な測定条件55をセットしてもよい。
ステップ102において、OLP10は、端末2からセンサー1の測定済みのデータセットであるIMSデータ51と、環境情報60とを受信する。OLP10が端末2に内蔵されていてもよいことは上述した通りである。環境情報60には、上述した物理的な情報61およびアプリケーション情報62に含まれる数多くの種類の情報が含まれていることが望ましい。しかしながら、この方法100およびOLP10においては、予測モデルを用いて仮想データセット71を生成するのに加え、確率的な手段で仮想データセット71を生成することを含む。このため、環境情報60に含まれている情報量が限られている場合、あるいは環境情報60がほとんど得られない場合であっても、センサー1が測定している環境条件にマッチした仮想データセット71を生成できる可能性がある。
まず、確率的生成ユニット220が、ステップ103において、得られた環境情報60と、既存のデータセット81とから、確率的に仮候補データセット72、初期関数25および初期値26を生成する。生成ユニット220は、端末2がセンサー群69のいずれも搭載しておらず、物理的な情報61が得られない状況であっても、アプリケーション情報62に含まれる位置情報、日時の情報などから、できる限りの物理的な情報61を推定することができる。また、OLP10は、端末2のユーザーに対して「暑い、寒い」、「何度程度」、「天候」「蒸し暑い」などの質問を行うことにより、精度は低いが物理的な情報61を得ることが可能である。
確率的生成ユニット220は、さらに、ステップ104において、仮想データセット75をメタヒューリックな反復アルゴリズムを用いて確率的および発見的に生成する。反復アルゴリズムには、シミュレーテッドアニーリング法、平均場アニーリング、遺伝的アルゴリズム、免疫的アルゴリズムなどが含まれ、これらのいずれかあるいは複数を組み合わせて用いてもよい。
ステップ103および104は、確率的生成ユニット220が仮想データセット75を確率的に求める一例である。ステップ103において、既存の複数のデータセット81の中から第1の環境情報60に適する複数のデータセットを相対的に高い確率で組み合わせて複数の第2の変換済みのデータセット(仮候補データセット)72を生成し、ステップ104において、複数の第2の変換済みのデータセット72を理論的および/または実験的パラメータを介して組み合わせて第1の測定済みのデータセット(IMSデータ)に近い特徴点情報19をターゲットに複数の仮想データセット71を確率的に発見している。
確率的に求める工程の他の例は、
・既存の複数のデータセット81を第1の環境情報60に基づき理論的および/または実験的に変化させた複数の第1の変換済みのデータセットを生成することと、
・複数の第1の変換済みのデータセットを確率的に組み合わせて複数の仮想データセット71を生成することとを含むものである。複数の仮想データセット71を生成する工程は、複数の第1の変換済みのデータセットを組み合わせて第1の測定済みのデータセットに近い複数の仮想データセット71を確率的に発見することを含んでもよい。
確率的に求める工程の他の例は、既存の複数のデータセット81の中から第1の環境情報60に適する複数のデータセットを相対的に高い確率で組み合わせて複数の仮想データセット71を生成することを含むものである。
OLP10では、さらに、シミュレータ210が、ステップ105において、既存の複数のデータセット81を第1の環境情報60をパラメータとするモデルにより変換して複数の仮想データセット71を生成する。このステップ105においては、特徴点情報19により、既存の複数のデータセット81の中から適当な1または複数のデータセットを単独で、または組み合わせて予測モデルにより変換して仮想データセット71を生成してもよい。
ステップ103および104の確率的に仮想データセット71を生成するプロセスと、ステップ105の予測モデルにより仮想データセット71を生成するプロセスとは並列して実行してもよく、いずれか一方のプロセスを選択して仮想データセット71を生成してもよい。
OLP10は、さらにステップ106において、出力ユニット30を用いて、仮想データセット71を含む1または複数の候補データセット75をオブジェクトに近い順番にランキングして表示できるようにする。ステップ105では、複数の候補データセット75を、それらが導かれる過程、たとえば、反復アルゴリズムエンジン22における収束度などの情報に基づきランキングしてもよく、新たに、特徴点だけではなく、生のあるいは生に近いIMSデータ51と候補データセット75との距離を再計算してランキング表示してもよい。
この推定方法100においては、センサー1により測定されたIMSデータ51を受け取り(ステップ102)、既得の複数のデータセット81を確率的に組み合わせて複数の仮想データセットを生成し(ステップ103および104)、複数の仮想データセット75を含む暫定的な集合の中からIMSデータ51に近い少なくとも1つの候補を選択する(ステップ105)ことを含む。
DMSなどのイオン移動度に基づく物理量を測定するセンサーに限定されないが、センサーにより得られるデータセットにおいて測定対象物の特徴の出現パターンは様々な要素の影響を受ける。したがって、既存のデータセットにそれらの要素の影響を受けたデータセットが含まれている確率は小さい。さらに、既存のデータセットに含まれる測定対象を示すデータセットが、様々な要素の影響を受けた測定済みのデータセットに最も近い可能性は低い。既存のデータセットに含まれる測定対象を示すデータセットの各要素による出現パターンを予想したり推定することは可能かもしれない。しかしながら、出現パターンに影響を与えるすべての要素が事前に得られることは少ない。また、出現パターンに影響を与える全ての要素と、それらの要素による影響が全て判明していることは少ない。
この推定方法100においては、既存の複数のデータセットを確率的に組み合わせることにより仮想的に探索対象(探索空間)を広げ、測定済みのデータセットに近い仮想(仮装)データセットを確率的に増やし、測定済みのデータセットの近くに測定対象物またはそれに近い仮想データセットが配置されるようにしている。そして、そのような探索空間を探索することにより、出現パターンに影響を与えるすべての要素が事前に得られなくても、また、出現パターンに影響を与える全ての要素と、それらの要素による影響が全て判明していなくても、測定対象物またはそれに近い候補が得られる可能性があり、測定対象物(オブジェクト)の推定確率を向上できる。
さらに、この方法においては、測定済みのデータセットの測定環境を示す環境情報60を受け取るステップを設け、複数の仮想データセットを生成する工程は、既得の複数のデータセット81を環境情報60により制御された確率で組み合わせて複数の仮想データセット71を生成することを含む。環境情報60により仮想(仮装)データセット71の生成される範囲を限定できる可能性があるので、探索空間を狭くでき、オブジェクトの推定に要する時間を短縮できる。
上記に示した処理装置10および推定方法100はFAIMSをセンサーとしたときの一例であり、センサーはFAIMSに限定されず、DMSあるいはTOF(飛行時間型)IMSなどの他の方式のIMSに対しても適用できる。さらに、幾つかの要素および/または要因が複雑に関連した系の出力を測定することの多いセンサーの測定および測定対象を推定することを要するシステムに広く適用できる。
また、処理装置10は、ネットワーク上に存在してもよく、センサー1とともに端末2などの装置に搭載されていてもよく、また、処理装置10は既存のデータセット81を含むデータベース80を搭載していてもよい。また、推定方法100および処理装置10は、ハードウェア論理としてLSIなどのハードウェアに実装することが可能である。推定方法100および処理装置10は、さらに、ソフトウェア(プログラム、プログラム製品)として適当なハードウェア資源を有するコンピュータで実行されるように適当な記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介して提供することも可能である。
この処理装置10および方法100(以降ではOLP)は、環境パラメータ(温度、湿度、圧力、フローレートなど)の変動に対して高い探索能力を持つ。したがって、セキュリティ、工程管理・監視を含む様々なアプリケーションに適用可能である。また、OLPは、新しい化学物質の登録・管理を含むデータベース管理システムも提供する。さらに、OLPは、解析・検索エンジンモジュールとしての機能を含み、常時モニタリングの異物検出などを容易に行うためのGUIベースの解析・検索エンジンを提供する。また、OLPは、検出対象物質に最適となるようにデータサンプリングポイントをカスタマイズする機能を備えたデータ収集モジュールとしての機能を含む。さらに、OLPは、プリプロセス・解析処理用の多様なアルゴリズムに対応するAPIを提供する。したがって、今後開発されるまたはユーザーが用意する解析アルゴリズムによる機能拡張が可能になる。さらに、OLPは、クラウドコンピューティングに向けたAPIを提供することも可能であり、インターネットを利用したサーバ・クライアントシステムの構築を可能にする。
OLPが適用できる分野は様々であり、リアルタイム分析や検知、脅威検出、匂い香り分析、微量化学物質の特定等には好適である。食品加工・プロセス監視、セキュリティ、匂い香りビジネス、医用・医療分野、嗅覚処理の研究分野、水処理分野、エンターテイメントのコンテンツ開発が含まれる。たとえば、飲料・食品品質管理、医薬品の品質管理の分野においては、食品にとって危険な物質や安全性上の問題のある化学物質の検出や特定が重要であり、OLPを適用することによる解決が望まれている。
セキュリティの分野では、ある程度のスピード処理とそれ以上に確実な検出が重要であり、OLPを適用することにより誤動作を少なくして、検出確度と精度を向上できる可能性がある。また、テロ対策のような爆発物質や危険物質検出は、常時最新情報に対するDB更新やDB化することにより、短時間で効率良く、登録・管理する機能が要求される。OLPは、実際のアプリケーション現場からのフィードバックを含めて柔軟性が高く、これらの要望に答えられる可能性がある。
健康管理市場、室内空調機モニタの分野、たとえば、ブレス・モニタリングでは特定の疾病や難病と生体反応の結果としての呼気との因果関係が指摘されており、OLPを適用することによりモニタリング機能を簡単に提供できる可能性がある。その他のコンシューマアプリケーションの分野では、OLPは半導体デバイス技術をベースにした製品展開およびビジネス展開が可能であり、様々なユーザーに対して手軽に利用できる分析技術を提供できる。

Claims (23)

  1. 第1のセンサーにより測定された第1の測定済みのデータセットおよび前記第1の測定済みのデータセットの測定環境を示す第1の環境情報を受け取るインターフェイスと、
    データベースから既存の複数のデータセットを前記第1の環境情報により制御された条件で変換して複数の仮想データセットを生成する生成ユニットと、
    前記複数の仮想データセットを含む暫定的な集合の中から前記第1の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補を選択して出力する出力ユニットとを有し、
    前記第1のセンサーは化学物質のイオン移動度に基づく物理量を測定するイオン移動度スペクトロメータであり、
    前記生成ユニットは、
    前記既存の複数のデータセットを、前記第1のセンサーとは異なるセンサーであって、温度、湿度、圧力、流量の少なくともいずれかを測定するセンサーにより取得される複数の異なる情報を含む前記第1の環境情報をパラメータとするモデルであって、前記既存の複数のデータセットそれぞれの化学物質のイオン移動度のモデルを用いて変換して前記複数の仮想データセットを生成するシミュレータを含む、装置。
  2. 請求項1において、前記生成ユニットは、前記データベースから取得された前記既存の複数のデータセットを前記第1の環境情報により制御された確率で組み合わせて前記複数の仮想データセットを生成するユニットを含む、装置。
  3. 請求項1または2において、前記生成ユニットは、
    前記既存の複数のデータセットを前記第1の環境情報に基づき理論的および/または実験的に変化させた複数の第1の変換済みのデータセットを生成するユニットと、
    前記複数の第1の変換済みのデータセットを組み合わせて前記第1の測定済みのデータセットに近い前記複数の仮想データセットを確率的に見出すユニットとを含む、装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記生成ユニットは、
    前記既存の複数のデータセットの中から前記第1の環境情報に適する複数のデータセットを相対的に高い確率で組み合わせて前記複数の仮想データセットを生成するユニットを含む、装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記生成ユニットは、
    前記既存の複数のデータセットの中から前記第1の環境情報に適する複数のデータセットを相対的に高い確率で組み合わせて複数の第2の変換済みのデータセットを生成するユニットと、
    前記複数の第2の変換済みのデータセットを理論的および/または実験的パラメータを介して組み合わせて前記第1の測定済みのデータセットに近い前記複数の仮想データセットを確率的に見出すユニットとを含む、装置。
  6. 請求項1において、前記シミュレータは、
    前記既存の複数のデータセットの中の前記第1の環境情報に適する複数のデータセットを前記モデルにより変換するために選択するユニットを含む、装置。
  7. 請求項1または7において、さらに
    前記第1の測定済みのデータセットの特徴点を抽出するユニットを有し、
    前記シミュレータは、前記既存の複数のデータセットの中の前記特徴点が共通する複数のデータセットを前記モデルにより変換するために選択するユニットとを含む、装置。
  8. 請求項1ないし5、7および8のいずれかにおいて、前記出力ユニットは、前記インターフェイスから前記第1のセンサーにより測定された第2の測定済みのデータセットおよび前記第2の測定済みのデータセットの測定環境を示す第2の環境情報により選択された前記第2の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補および前記第1の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補に共通する候補を出力するユニットを含む、装置。
  9. 請求項1ないし5および7ないし9のいずれかにおいて、前記第1の環境情報は、第2のセンサーにより測定された、前記第1のセンサーの測定環境を示すデータ、第3のセンサーにより測定された位置情報、カメラまたは外部入力インターフェイスを介して入力されたアプリケーション情報の少なくともいずれかを含む、装置。
  10. 請求項1ないし5および7ないし10のいずれかにおいて、前記第1のセンサーに対し測定条件を出力するセンサー制御ユニットを有する、装置。
  11. 請求項1ないし5および7ないし11のいずれかにおいて、前記第1のセンサーを有する装置。
  12. 請求項1ないし5および7ないし12のいずれかにおいて、前記データベースを有する装置。
  13. 請求項1ないし5および7ないし13のいずれかにおいて、前記出力ユニットは、前記候補の製品名を出力する、装置。
  14. 請求項1ないし5および7ないし14のいずれかに記載の装置としてコンピュータを機能させるプログラム。
  15. 第1のセンサーにより測定されたデータを処理装置が処理する方法であって、
    前記処理装置が前記第1のセンサーにより測定された第1の測定済みのデータセットを受け取ることと、
    前記処理装置が前記第1の測定済みのデータセットの測定環境を示す第1の環境情報を受け取ることと、
    前記処理装置が既存の複数のデータセットを前記第1の環境情報により制御された条件で変換して複数の仮想データセットを生成することと、
    前記処理装置が前記複数の仮想データセットを含む暫定的な集合の中から前記第1の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補を選択することとを有し、
    前記第1のセンサーは化学物質のイオン移動度に基づく物理量を測定するイオン移動度スペクトロメータであり、
    前記処理装置は、前記既存の複数のデータセットをそれぞれの化学物質のイオン移動度のモデルを用いて変換して前記複数の仮想データセットを生成するシミュレータを含み、
    前記生成することは、前記第1のセンサーとは異なるセンサーであって、温度、湿度、圧力、流量の少なくともいずれかを測定するセンサーにより取得される複数の異なる情報を含む前記第1の環境情報をパラメータとして、前記既存の複数のデータセットを前記シミュレータにより変換して前記複数の仮想データセットを生成することを含む、方法。
  16. 請求項16において、
    前記複数の仮想データセットを生成することは、前記既存の複数のデータセットを前記第1の環境情報により制御された確率で組み合わせて前記複数の仮想データセットを生成することを含む、方法。
  17. 請求項16または17において、前記複数の仮想データセットを生成することは、
    前記既存の複数のデータセットを前記第1の環境情報に基づき理論的および/または実験的に変化させた複数の第1の変換済みのデータセットを生成することと、
    前記複数の第1の変換済みのデータセットを確率的に組み合わせて前記複数の仮想データセットを生成することとを含む、方法。
  18. 請求項18において、前記複数の仮想データセットを生成することは、前記複数の第1の変換済みのデータセットを組み合わせて前記第1の測定済みのデータセットに近い前記複数の仮想データセットを確率的に見出すことを含む、方法。
  19. 請求項16ないし19のいずれかにおいて、前記複数の仮想データセットを生成することは、前記既存の複数のデータセットの中から前記第1の環境情報に適する複数のデータセットを相対的に高い確率で組み合わせて前記複数の仮想データセットを生成することを含む、方法。
  20. 請求項16ないし20のいずれかにおいて、前記複数の仮想データセットを生成することは、
    前記既存の複数のデータセットの中から前記第1の環境情報に適する複数のデータセットを相対的に高い確率で組み合わせて複数の第2の変換済みのデータセットを生成することと、
    前記複数の第2の変換済みのデータセットを理論的および/または実験的パラメータを介して組み合わせて前記第1の測定済みのデータセットに近い前記複数の仮想データセットを確率的に見出すこととを含む、方法。
  21. 請求項16において、前記モデルにより変換して複数の仮想データセットを生成することは、
    前記既存の複数のデータセットの中の前記第1の環境情報に適する複数のデータセットを前記モデルにより変換して前記複数の仮想データセットを生成することを含む、方法。
  22. 請求項16または23において、前記モデルにより変換して複数の仮想データセットを生成することは、
    前記第1の測定済みのデータセットの特徴点を抽出することと、
    前記既存の複数のデータセットの中の前記特徴点が共通する複数のデータセットを前記モデルにより変換して前記複数の仮想データセットを生成することとを含む、方法。
  23. 請求項16ないし21、23および24のいずれかにおいて、前記第1のセンサーにより測定された第2の測定済みのデータセットを受け取ることと、
    前記第2の測定済みのデータセットの測定環境を示す第2の環境情報を受け取ることと、
    既存の複数のデータセットを前記第2の環境情報により制御された条件で変換して複数の仮想データセットを生成することと、
    前記複数の仮想データセットを含む暫定的な集合の中から前記第2の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補を選択することと、
    前記第1の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補および前記第2の測定済みのデータセットに近い少なくとも1つの候補に共通する候補を選択することとを有する、方法。
JP2012531695A 2010-08-31 2011-08-31 センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置 Active JP5815534B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012531695A JP5815534B2 (ja) 2010-08-31 2011-08-31 センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010193361 2010-08-31
JP2010193382 2010-08-31
JP2010193382 2010-08-31
JP2010193361 2010-08-31
JP2012531695A JP5815534B2 (ja) 2010-08-31 2011-08-31 センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置
PCT/JP2011/004884 WO2012029312A1 (ja) 2010-08-31 2011-08-31 センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012029312A1 JPWO2012029312A1 (ja) 2013-10-28
JP5815534B2 true JP5815534B2 (ja) 2015-11-17

Family

ID=45772435

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012531695A Active JP5815534B2 (ja) 2010-08-31 2011-08-31 センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20130297276A1 (ja)
EP (1) EP2613141A4 (ja)
JP (1) JP5815534B2 (ja)
KR (1) KR20130103517A (ja)
CN (1) CN103201621B (ja)
WO (1) WO2012029312A1 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2843399B1 (en) * 2012-04-25 2019-01-16 Atonarp Inc. System which provides content
KR102224714B1 (ko) * 2013-12-03 2021-03-08 삼성전자주식회사 신규 물질 탐색 시스템 및 그 탐색 방법
HUP1300737A2 (en) * 2013-12-18 2015-06-29 Turbine Halozatelemzoe Kutatasi Fejlesztesi Kft Method, processor controlled device and program for intervention planning in a complex system
US10242388B2 (en) * 2016-01-05 2019-03-26 Amobee, Inc. Systems and methods for efficiently selecting advertisements for scoring
WO2017153726A1 (en) * 2016-03-07 2017-09-14 Micromass Uk Limited Spectrometric analysis
US10891311B2 (en) * 2016-10-14 2021-01-12 Red Hat, Inc. Method for generating synthetic data sets at scale with non-redundant partitioning
AU2018427466A1 (en) * 2018-06-11 2020-12-03 Mitsubishi Electric Corporation Environmental information management system
CN113409548B (zh) * 2021-06-19 2022-08-12 厦门大学嘉庚学院 一种基于人工免疫算法的防溺水警报器系统
CN117030828A (zh) * 2023-09-28 2023-11-10 生态环境部华南环境科学研究所(生态环境部生态环境应急研究所) 电化学传感器结合多元分析的全氟辛烷磺酸定量检测方法

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6421655B1 (en) 1999-06-04 2002-07-16 Microsoft Corporation Computer-based representations and reasoning methods for engaging users in goal-oriented conversations
US7399958B2 (en) * 1999-07-21 2008-07-15 Sionex Corporation Method and apparatus for enhanced ion mobility based sample analysis using various analyzer configurations
US7051352B1 (en) 2000-02-04 2006-05-23 Koninklijke Philips Electronics N.V. Adaptive TV program recommender
US7010159B2 (en) 2001-04-25 2006-03-07 Koninklijke Philips Electronics N.V. Apparatus and method for combining random set of video features in a non-linear scheme to best describe perceptual quality of video sequences using heuristic search methodology
EP1405065B1 (en) * 2001-06-30 2012-04-11 Dh Technologies Development Pte. Ltd. System for collection of data and identification of unknown ion species in an electric field
JP4802104B2 (ja) 2003-11-25 2011-10-26 サイオネックス コーポレイション サンプルの分析を改善するための分散特性、サンプル解離及び/又は圧力制御を用いた移動度ベースの装置及び方法
AU2005268605A1 (en) 2004-08-02 2006-02-09 Owlstone Ltd Ion mobility spectrometer
JP4491299B2 (ja) * 2004-08-11 2010-06-30 株式会社日立ハイテクノロジーズ 質量分析装置
US20120143515A1 (en) * 2006-09-28 2012-06-07 Smiths Detection Inc. Multi-detector gas identification system
CN102770758B (zh) * 2009-12-22 2015-12-16 Atonarp株式会社 检测化学物质的装置及方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR20130103517A (ko) 2013-09-23
EP2613141A1 (en) 2013-07-10
JPWO2012029312A1 (ja) 2013-10-28
EP2613141A4 (en) 2016-12-28
CN103201621A (zh) 2013-07-10
WO2012029312A1 (ja) 2012-03-08
US20130297276A1 (en) 2013-11-07
CN103201621B (zh) 2015-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5815534B2 (ja) センサーにより測定されたデータから候補を見つける方法および装置
Grossmann et al. AUDENS: a tool for automated peptide de novo sequencing
US11694769B2 (en) Systems and methods for de novo peptide sequencing from data-independent acquisition using deep learning
Kirk et al. High-resolution high kinetic energy ion mobility spectrometer based on a low-discrimination tristate ion shutter
Mo et al. MSNovo: a dynamic programming algorithm for de novo peptide sequencing via tandem mass spectrometry
JP6209511B2 (ja) コンテンツを提供するシステム
WO2020014767A1 (en) Systems and methods for de novo peptide sequencing from data-independent acquisition using deep learning
Zhang et al. A novel sensor selection using pattern recognition in electronic nose
US20170315103A1 (en) Apparatus and method for dealing with ambient smell
Shvartsburg et al. Scaling of the resolving power and sensitivity for planar FAIMS and mobility-based discrimination in flow-and field-driven analyzers
Isenberg et al. Optimization of peptide separations by differential ion mobility spectrometry
Shvartsburg et al. Pendular proteins in gases and new avenues for characterization of macromolecules by ion mobility spectrometry
WO2012056709A1 (ja) 分析装置
Wong et al. Screening unknown novel psychoactive substances using GC–MS based machine learning
Huang et al. ProteinLasso: A Lasso regression approach to protein inference problem in shotgun proteomics
WO2014125819A1 (ja) 解析装置
Attah et al. Traveling-wave-based electrodynamic switch for concurrent dual-polarity ion manipulations in structures for lossless ion manipulations
Laschober et al. Comparison of various nano-differential mobility analysers (nDMAs) applying globular proteins
Cao et al. A wavelength selection method based on random decision particle swarm optimization with attractor for near‐infrared spectral quantitative analysis
Zhao et al. BagReg: Protein inference through machine learning
Na et al. CIFTER: automated charge-state determination for peptide tandem mass spectra
Donald et al. Bagged super wavelets reduction for boosted prostate cancer classification of seldi-tof mass spectral serum profiles
Clementi et al. Size distribution of nanoparticles by dynamic light scattering. Comparison of Bayesian and Tikhonov inversion methods
Lewis et al. Peptide refinement by using a stochastic search
Barrios-Collado et al. Numerical algorithm for the accurate evaluation of ion beams in transversal modulation ion mobility spectrometry: Understanding realistic geometries

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140828

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150825

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150924

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5815534

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250