ここで、好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。図面を通して、同様の数字は同様の要素を指す。以下の説明で使用する用語は、本発明のいくつかの所定の実施形態の詳細な説明に関連して用いられるため、単に制限するようにまたは限定するように解釈されるべきではない。さらに、本発明の実施形態は、いくつかの新規な特徴を含むことができるが、そのうちの1つが、単独でその望ましい属性をもたらすわけでも、記載される本発明を実施するのに必須であるわけでもない。本明細書で説明するいくつかのCVT実施形態は、概して、米国特許第6,241,636号明細書、同第6,419,608号明細書、同第6,689,012号明細書、同第7,011,600号明細書、同第7,166,052号明細書、米国特許出願第11/243,484号明細書、同第11/543,311号明細書、同第12/198,402号明細書、及び特許協力条約特許出願PCT/US2007/023315号、PCT/IB2006/054911号、PCT/US2008/068929号、PCT/US2007/023315号およびPCT/US2008/074496号に開示されているタイプに関連する。これら特許および特許出願の開示全体は、参照により本明細書に援用される。
本明細書で使用する「動作的に接続された」、「動作的に結合された」、「動作的に連結された」、「動作可能に接続された」、「動作可能に結合された」、「動作可能に連結された」等の用語は、1つの要素の動作によって、第2要素の、対応するか、後続するかまたは同時の動作または作動がもたらされる、要素間の関係(機械的、連結、結合等)を指す。前記用語を用いて本発明の実施形態を説明する際、要素を連結するかまたは結合する所定の構造または機構が概して説明されることが留意されたい。しかしながら、特に明記しない限り、前記用語のうちの1つが使用される場合、その用語は、実際の連結または結合が種々の形態をとることができることを示し、それは、場合によっては、関連する技術の当業者には容易に明らかとなるであろう。
説明の目的で、本明細書で使用する「軸方向」という用語は、変速機またはバリエータのメインシャフトまたは長手方向軸に対して平行な軸に沿った方向または位置を指す。本明細書では、「半径方向」という用語を用いて、変速機またはバリエータの長手方向軸に対して垂直な方向または位置を示す。明確にしかつ簡潔にするために、同様にラベル付けする同様の構成部品(たとえば、ベアリング152Aおよびベアリング152B)を、単一のラベルでまとめて参照する場合もある(たとえばベアリング152)。
本明細書で「トラクション」と言う場合、動力伝達系の主要なまたは排他的なモードが「フリクション」によるものである応用を排除するものではない。ここでトラクションドライブとフリクションドライブとの分類上の相違を明らかにするよう試みることなく、概して、これらを、動力伝達系の異なる形態として理解することができる。トラクションドライブは、通常、2つの要素間で、それらの要素間に捕らえられる薄い流体層におけるせん断力によって力を伝達することを含む。これら応用で使用される流体は、通常、従来の鉱油より大きいトラクション係数を示す。トラクション係数(μ)は、接触している構成部品の中間面において利用することができる、利用可能な最大トラクション力を表し、利用可能な最大ドライブトルクの測度である。通常、フリクションドライブは、概して、2つの要素間で、それら要素間のフリクション力によって動力を伝達することに関する。この開示の目的で、本明細書で説明するCVTは、トラクション応用およびフリクション応用の両方で動作することができることが理解されるべきである。たとえば、CVTが自転車の応用で使用される実施形態では、CVTは、動作中に存在するトルク状態および速度状態に応じて、フリクションドライブとして動作する場合もあれば、トラクションドライブとして動作する場合もある。
本明細書で開示する本発明の実施形態は、概して球状遊星を使用するバリエータおよび/またはCVTの制御に関し、遊星の各々は、動作中に入力速度の出力速度に対する所望の比を達成するように調整することができる傾斜可能な回転軸を有している。実施形態によっては、前記回転軸の調整には、第1面における遊星軸を、第2面における遊星軸の角度調整を達成するために角度変位させることを含み、ここで、第2面は実質的に第1面に対して垂直である。第1面における角度変位を、本明細書では「スキュー」、「スキュー角」および/または「スキュー状態」と呼ぶ。説明の目的で、第1面は、バリエータおよび/またはCVTの長手方向軸に対して概して平行である。第2面は、長手方向軸に対して概して垂直であり得る。一実施形態では、制御システムは、スキュー角の使用を調整して、バリエータにおけるいくつかの接触している構成部品間に、実質的に第2面における遊星の回転軸を傾斜させる力を生成する。遊星の回転軸の傾斜により、バリエータの速度比が調整される。上述したスキュー角またはスキュー状態を、たとえば図4のページ面に対して実質的に垂直な面において適用することができる。バリエータの所望の速度比を得るためにいくつかの本発明のスキュー制御システムを採用する変速機の実施形態について説明する。
本明細書で開示するトルク/速度調整装置の一態様は、原動機がさまざまな被駆動装置を駆動するドライブシステムに関する。原動機は、たとえば、電動機および/または内燃機関であり得る。本明細書において説明の目的で、補機は、原動機が動力を供給することができる任意の機械または装置を含む。限定ではなく例示の目的で、前記機械または装置は、動力取出装置(PTO)、ポンプ、コンプレッサ、ジェネレータ、補助電動機等であり得る。原動機によって駆動されるように構成される補機類はまた、オルタネータ、ウォーターポンプ、パワーステアリングポンプ、燃料ポンプ、オイルポンプ、空調コンプレッサ、冷却ファン、スーパーチャージャ、ターボチャージャ、および通常自動車エンジンが動力が供給する他の任意の装置も含むことができる。上述したように、通常、原動機の速度は、速度要件または動力要件が変化すると変化するが、多くの場合、補機類は、所与の実質的に一定速度で最適に動作する。本明細書で開示するトルク/速度調整装置の実施形態を使用して、原動機が動力を供給する補機類に供給される動力の速度を制御することができる。
たとえば、実施形態によっては、本明細書に開示する速度調整器を使用して、自動車エンジンのクランクシャフトに取り付けられたプーリによって駆動される自動車補機類の速度を制御することができる。通常、補機類は、エンジンが低速でアイドリングしている時とエンジンが高速で動作している時との両方において好適に機能しなければならない。補機類は、1つの速度では最適に動作するが、他の速度では効率が低下することが多い。さらに、補機設計は、最適化された狭い速度範囲ではなく広い速度範囲にわたって機能する必要があることによって損なわれる。多くの場合、エンジンが低速ではない速度で動作する場合、補機は、過度な動力を消費し、それにより、車両の燃料経済性が低下する。補機類によってもたらされる動力排出により、車両に動力を供給するエンジンの能力もまた低下し、場合によってはより大型のエンジンが必要となる。
他の状況では、本明細書で開示するトルク/速度調整装置の本発明の実施形態を使用して、最適なシステム性能を達成するように補機類に対して供給される速度および/またはトルクを低減または増大させることができる。状況によっては、本明細書に開示するトルク/速度調整装置の本発明の実施形態を使用して、原動機が低速で動作する時に補機類に対する速度を上昇させ、原動機が高速で動作する時に補機類に対する速度を低下させることができる。したがって、補機類を1つの実質的に好ましい速度で動作させることにより、補機類の設計および動作を最適化することができ、低速で十分な性能を提供するために、補機類を必要以上に大きくする必要はない。原動機が高速で動作する時に、トルク/速度調整装置が補機類に対する速度を低下させ、補機類が高rpmで耐えなければならない応力負荷を低減することができるため、補機類をより小さくすることも可能である。補機類が高速に晒されないため、それらの予測される耐用年数を実質的に長くすることができる。場合によっては、補機類は低速または高速で動作する必要がないため、より平滑な車両の作動がもたらされる。さらに、補機がより低速で動作するため、車両は高速時により静かに作動することができる。
本明細書に開示するトルク/速度調整器は、補機類とともに原動機のサイズおよび重量の低減を容易にすることができ、それにより、車両の重量が低減し、したがって燃料経済性が向上する。さらに、場合によっては、より小さい補機類およびより小さい原動機を使用するように選択することにより、これらの構成部品のかつ車両のコストが低減する。補機類を小さくしかつ原動機を小さくすることにより、パッケージングに柔軟性をもたらすことも可能であり、システムのサイズを低減することができる。本明細書で述べるトルク/速度調整器の実施形態により、補機類が、原動機作動範囲にわたってそれらの最も効率のよい速度で作動することができるようにすることによって、燃料経済性を向上させることも可能である。最後に、トルク/速度調整器により、補機類が低速ではない任意の速度で過度な動力を消費しないようにすることによって、燃料経済性が向上する。
ここで図1および図2を参照すると、一実施形態では、補機駆動用無段変速機(CVAD)10は、オルタネータ/ジェネレータ14に結合された無段変速機(CVT)12を有することができる。一実施形態では、オルタネータ/ジェネレータ14は、例示的な例として、C.E.Niehoff 1224−3オルタネータであり得る。一実施形態では、CVT12に、スキューベース制御システム(たとえば図25〜図29)と通信するように構成されている、スキューアクチュエータ16および一組の速度センサ18を設けることができる。CVT12には、潤滑および冷却系(図示せず)に結合するように適合されている潤滑油マニホルド20および潤滑油サンプ22を設けることができる。一実施形態では、CVT12とオルタネータ/ジェネレータ14との間に、プーリカバー23を配置することができる。プーリカバー23は、特に、オルタネータ/ジェネレータ14に対するCVT12の構造的取付けを可能にすることができる。プーリカバー23は、ドライブプーリ24を半径方向に包囲するように適合されている。ドライブプーリ24は、たとえばベルト(図示せず)から動力入力を受け取るように構成されている。実施形態によっては、プーリカバー23は、ベルトに対しプーリへのアクセスを可能にするように適合されている。
ここで図3および図4を参照すると、一実施形態では、CVT12は、ハウジングキャップ28に結合するように適合されたハウジング26を有している。ハウジング26およびハウジングキャップ28は、バリエータサブアセンブリ30に動作可能に結合しかつ実質的にそれを取り囲むように構成されている。バリエータサブアセンブリ30は、第1トラクションリング32および第2トラクションリング34に結合されている。第1トラクションリング32は、第1負荷カムローラアセンブリ36に結合されている。第2トラクションリング34を、第2負荷カムローラアセンブリ38に結合することができる。一実施形態では、第1負荷カムローラアセンブリ36は、入力カムドライバ40に結合されている。第2負荷カムローラアセンブリ38を、出力ドライバ42に結合することができる。一実施形態では、入力カムドライバ40はドライブプーリ24に結合されている。負荷カムローラアセンブリ36および38の各々に、歯付きかつ/または切欠き外周を設けることができ、それらを速度センサ18の各々に近接して配置することができる。バリエータサブアセンブリ30を、U字形部材43を介してスキューアクチュエータ16に動作可能に結合することができる。
一実施形態では、CVT12に、CVT12の長手方向軸に対して実質的に位置合せされるメインシャフト44を設けることができる。メインシャフト44に、たとえばオルタネータ/ジェネレータ14のシャフトを受け入れるように適合させることができるキー付き穴45を設けることができる。ドライブプーリ24を、メインシャフト44の一端において第1ベアリング46および第2ベアリング48により半径方向に支持することができる。実施形態によっては、ベアリング46および48の間にシム50を配置することができる。一実施形態では、CVT12に、メインシャフト44に結合されたスラストベアリング52が設けられる。スラストベアリング52をプーリ24に結合することができる。スラストベアリング52を、CVT12のいくつかの構成部品に対する軸方向の支持を提供し、かつそれらからの軸方向力に反作用するように適合させることができる。第1ベアリング46および第2ベアリング48ならびにシム50を、スラストベアリング52にもたらされる軸方向負荷の一部を共有するように構成することができる。軸方向負荷の共有により、特に、スラストベアリング52の寿命を延ばすことができ、かつスラストベアリング52の過負荷を防止することができる。
一実施形態では、バリエータサブアセンブリ30に、メインシャフト44周りに角度をつけて配置された複数のトラクション遊星アセンブリ54が設けられている。バリエータサブアセンブリ40は、メインシャフト44を中心に同軸状に配置されているトラクション太陽アセンブリ56を有することができる。トラクション太陽アセンブリ56を、トラクション遊星アセンブリ54の各々に動作可能に結合するように構成することができる。トラクション太陽アセンブリ56を、トラクション遊星アセンブリ54の各々の半径方向内側に配置することができる。実施形態によっては、トラクション太陽アセンブリ56は、メインシャフト44に沿って軸方向に移動するように適合される。一実施形態では、バリエータサブアセンブリ30は、第1キャリア部材58を有することができ、それは第2キャリア部材60に動作可能に結合されている。第1キャリア部材58および第2キャリア部材60は、トラクション遊星アセンブリ54の各々を支持するように適合されている。一実施形態では、第1キャリア部材58を、第1キャリア部材キャップ62に結合することができる。第2キャリア部材60を、第2キャリア部材キャップ64に結合することができる。キャリア部材キャップ62および64を、トラクション遊星アセンブリ54に動作可能に結合するように構成することができる。キャリア部材キャップ62、64を、CVT12のシフト中に発生する力に反作用するように構成することができる。
実施形態によっては、キャリア部材キャップ62、64は、それぞれキャリア部材58、60と一体化している。他の実施形態では、キャリア部材キャップ62、64は、キャリア部材58、60に堅固にかつ永久的に取り付けられている。一実施形態では、キャリア部材キャップ62、64は、キャリア部材58、60とは別個の構成部品であり、それによりそれら構成部品に対して異なる材料を使用することが可能になる。たとえば、キャリア部材58をアルミニウムから作製することができ、キャリア部材キャップ62を鋼鉄から作製することができる。キャリア部材キャップ62はまた、別個の構成部品として、トラクション遊星アセンブリ54のキャリア部材58との組立てを容易にすることも可能である。実施形態によっては、キャリア部材キャップ62を別個の構成部品として構成することにより、第1キャリア部材58および第2キャリア部材60の製造を簡略化することができる。
図5を参照すると、一実施形態では、バリエータサブアセンブリ30は、第1キャリア部材58および第2キャリア部材60に結合するように適合されているキャリア保持リング66を有している。キャリア保持リング66を、ハウジング26に結合することができ、かつCVT12の長手方向軸に対して実質的に回転不可能であるように構成することができる。一実施形態では、トラクション遊星アセンブリ54の各々は、遊星軸70に動作可能に結合されている少なくとも1つの脚部68を有している。脚部68の各々は、トラクション太陽アセンブリ56に動作可能に結合するように適合されている。一実施形態では、トラクション太陽アセンブリ56は、複数の回転防止インサート72を有している。回転防止インサート72を、実質的に脚部68の各々の側面に位置するように構成することができる。回転防止インサート72を、第1シフトカム74に結合することができる。実施形態によっては、回転防止インサート72を、第2シフトカム76に結合することができる。さらに他の実施形態では、回転防止インサート72を第1シフトカム74および第2シフトカム76の両方に結合することができる。回転防止インサート72は、実質的に、シフトカム74および76がCVT12の動作中に回転しないようにすることができる。
CVT12の動作中、たとえばベルトまたはチェーン(図示せず)により、ドライブプーリ24に動力入力を結合することができる。ドライブプーリ24は、動力入力を入力カムドライバ40に伝達し、入力カムドライバ40は、第1負荷カムローラアセンブリ36を介して動力を第1トラクションリング32に伝達する。第1トラクションリング32は、トラクション遊星アセンブリ54の各々に動力を伝達する。トラクション遊星アセンブリ54の各々は、動力を第2トラクションリング34に供給し、第2トラクションリング34は、第2負荷カムローラアセンブリ38を介して動力を出力カムドライバ42に伝達する。一実施形態では、出力ドライバ42は、メインシャフト44に動力を供給する。メインシャフト44を、たとえば、キー付き穴45を介してオルタネータ/ジェネレータ14に結合することができる。入力速度の出力速度に対する比のシフト、したがって入力トルクの出力トルクに対する比のシフトは、トラクション遊星アセンブリ54の回転軸を本明細書ではガンマ(γ)と呼ぶこともある傾斜角度まで傾斜させることによって達成される。トラクション遊星アセンブリ54の回転軸の傾斜は、たとえば図4のページ面において実質的に発生する。トラクション遊星アセンブリ54の回転軸の傾斜を、第2キャリア部材60を、長手方向軸を中心に第1キャリア部材58に対して回転させることによって達成することができる。この相対的な角度回転変位を、本明細書ではβと呼ぶ場合がある。第1キャリア部材58に対する第2キャリア部材60の回転により、トラクション遊星アセンブリ54の各々に、スキュー角、すなわち本明細書では「スキュー状態」と呼ぶ場合もある状態がもたらされる。スキュー角を、CVT12の長手方向軸に対して実質的に平行な面(たとえば、図4のページ面に対して垂直な面)において適用することができる。一実施形態では、スキュー角は、0度〜15度の範囲であり得る。通常、スキュー角は0度〜8度の範囲である。
ここで図6を参照すると、一実施形態では、入力カムドライバ40はドライブプーリ24に結合されている。入力カムドライバ40に複数のローラ反作用面78を設けることができ、それらを、第1負荷カムローラアセンブリ36に動作可能に結合するように適合させることができる。メインシャフト44に、中央潤滑油通路80を設けることができ、それは、複数の潤滑油分配通路82A、82B、82Cに潤滑油を供給する。潤滑油分配通路82A、82B、82Cは、中央潤滑油通路80と交差し、メインシャフト44の中心から半径方向外側に延在している。一実施形態では、メインシャフト44にスプライン部分84を設けることができ、それは、出力カムドライバ42に結合するように構成されている。メインシャフト44のスプライン部分84の一端に近接して肩部86を設けることができる。メインシャフト44のスプライン部分84の反対端に溝88を設けることができる。実施形態によっては、メインシャフトの一端にねじ穴90が設けられている。CVT12の組立中、バリエータサブアセンブリ30は、メインシャフト44と同軸状に配置される。ねじ穴90にはアセンブリツール(図示せず)が結合される。アセンブリツールは、穴90内にねじ込まれ、出力リング42に力を加えることにより出力リング42および入力リング40の所定の軸方向力までの締付を容易にする。溝88内に少なくとも1つのクリップ92(図3および図4)を配置することにより、アセンブリツールが取り除かれると軸方向予荷重設定を保持することができる。実施形態によっては、軸方向予荷重設定を保持するために、溝88内にクリップ92とともにシム(図示せず)を配置することができる。
ここで図7に移ると、一実施形態では、第1キャリア部材58は、段付きボルト94を介して第2キャリア部材60に結合するように適合されている。段付きボルト94を、キャリア保持リング66に結合するように構成することができる。一実施形態では、段付きボルト94の頭部の下にシム96を配置することができる。シム96の厚さを、段付きボルト94を締め付けた時に、第1キャリア部材58と第2キャリア部材60との間の軸方向力および/または軸方向間隙を調整するように選択することができる。一実施形態では、第1キャリア部材58と第2キャリア部材60との間の軸方向力が最小であることが望ましく、それにより、第2キャリア部材60は、第1キャリア部材58と第2キャリア部材60との間の軸方向変位または遊びが最小でありながら、長手方向軸を中心に第1キャリア部材58に対して回転することができる。実施形態によっては、キャリア保持リング66は、ハウジング26に結合され、長手方向軸を中心に実質的に回転不可能である。他の実施形態では、第1キャリア部材58と第2キャリア部材60との間にスラストベアリング(図示せず)を設けることができる。
ここで図8を参照すると、一実施形態では、キャリア保持リング66は、内周に反作用面98が形成されている実質的環状リングである。キャリア保持リング66の実質的環状リングの外周に、フランジ100を設けることができる。フランジ100を、たとえばハウジング26に結合するように構成することができる。一実施形態では、実質的にキャリア保持リング66の反作用面98とフランジ100との間に、開口部102が配置されている。実施形態によっては、反作用面98には、段付きボルト94を受け入れるように適合されている複数の締結穴104が形成されている。フランジ100に、キャリア保持リング66をハウジング24に固定するように構成することができる締結穴106を設けることができる。
ここで図9に移ると、一実施形態では、U字形部材43に少なくとも1つのフォーク110を設けることができる。フォーク110は、基部112から延在している。基部112に、止めねじランド114を設けることができる。U字形部材43を、キャリア部材58または第2キャリア部材60に結合することができる。一実施形態では、基部112は、たとえば止めねじ(図示せず)によって第1キャリア部材58または第2キャリア部材60のうちの一方に取り付けられる。フォーク110を、開口部110を通って延在するように配置することができる。CVT12の動作中、アクチュエータ16をフォーク110に結合することにより、CVT12の比の変更を容易にすることができる。一実施形態では、CVT12の比の変更は、第1キャリア部材58に対して第2キャリア部材60を回転させることによって達成される。実施形態によっては、CVT12の比の変更は、第2キャリア部材60に対して第1キャリア部材58を回転させることによって達成される。
ここで図10を参照すると、一実施形態では、キャリア部材58は、フランジ120を有する実質的ボウル状体であり得る。複数の支持指部122がフランジ120から半径方向内側に延在することにより、ボウル状体の空隙を形成することができる。各指部122に、その両側において、反作用面124が側面に位置している。各指部に、締結穴126を設けることも可能である。締結穴126は、第1キャリア部材キャップ62のキャリア部材58への結合を容易にすることができる。一実施形態では、フランジ120は複数の孔128および溝130を有している。実施形態によっては、孔128および溝130を、各孔128の側面に溝130が位置しかつその逆も同様であるように、フランジ120の周囲に配置することができる。一実施形態では、キャリア部材58およびキャリア部材60は実質的に類似している。組み立てられると、キャリア部材58の孔128は、キャリア部材60の溝130と整列することができ、その逆も同様である。フランジ120に切欠き132を設けることができる。切欠き132を、U字形部材43に結合するように適合させることができる。フランジ120に止めねじ孔134を設けることができ、それは、切欠き132およびフランジ120の外周と交差するように配置されている。止めねじ孔134は、U字形部材43の、たとえば止めねじ(図示せず)によるキャリア部材58への結合を容易にすることができる。キャリア部材58は、複数の隙間開口部140を有することができる。一実施形態では、隙間開口部140は、トラクション遊星アセンブリ54の各々と協働するように構成されている。
ここで図11〜図12Bを参照すると、一実施形態では、トラクション遊星アセンブリ54は、中心穴を有する実質的に球状のトラクション遊星150を有している。トラクション遊星150を、ベアリング152によって遊星軸70に動作可能に結合させることができる。実施形態によっては、スペーサ154を遊星軸70に動作可能に結合し、かつベアリング152の間に配置することができる。遊星軸70の各端部を脚部68に結合することができる。遊星軸70の各々にスキュー反作用ローラ156を動作可能に結合することができる。遊星軸70の各端部に形成された穴160内に、シフト反作用ボール158を押し込むことができる。各脚部68に、シフトカムローラ162を動作可能に結合することができる。シフトカムローラ162を、シフトカムローラ軸164に結合することができる。シフトカムローラ軸164を、脚部68に形成されたシフトカムローラ軸穴166に結合することができる。シフトカムローラ162を、脚部68の一端に形成された溝168に配置することができる。一実施形態では、溝168は、シフトカムローラ軸穴166に対して実質的に垂直である。脚部68に遊星軸穴170を設けることができる。遊星軸穴170を、脚部68の、溝166の端部と反対側の端部に形成することができる。脚部68に、スキュー反作用ローラ隙間肩部172を設けることができる。脚部68は、図12Bのページ面で見ると、角度テーパを有する側面174を有することができる。一実施形態では、側面174は、垂直面に対して約5度〜10度の範囲の角度176を有している。
ここで図13および図14を参照すると、一実施形態では、トラクション太陽アセンブリ56は、第1シフトカム74および第2シフトカム76に動作可能に結合されるトラクション太陽180を有している。シフトカム74および76を、トラクション太陽180の側面に実質的に位置するように配置することができる。一実施形態では、シフトカム74および76は実質的に類似している。トラクション太陽アセンブリ56は、一組のベアリング184を有することができる。各ベアリング184を、ベアリングレース186に結合することができる。ベアリングレース186は、トラクション太陽180の内径に形成された肩部188に結合するように構成されている。一実施形態では、ベアリングレース186はばね190に結合される。ばね190は、ベアリングレース186の軸方向予荷重を容易にすることができ、それによりベアリング184ならびにシフトカム74および76に軸方向予荷重力を加える。トラクション太陽アセンブリ56にベアリング192を設けることができる。ベアリング192を、トラクション太陽アセンブリ56のメインシャフト44への結合を容易にするように適合させることができる。一実施形態では、トラクション太陽アセンブリは複数の回転防止スペーサ194を有している。各回転防止スペーサ194を、シフトカム182に結合することができる。一実施形態では、シフトカム74および76に、回転防止スペーサ194に結合するように構成された複数の座部196が設けられている。各回転防止スペーサ194には孔198が設けられている。各座部196には孔200が設けられている。孔198および200は、回転防止インサート194のシフトカム74への結合を容易にするように適合されている。一実施形態では、シフトカム74は、一端から肩部202が延在している略ディスク状体であり得る。肩部202にベアリングレース204を形成することができる。ベアリングレース204を、ベアリング184に結合するように適合させることができる。実施形態によっては、シフトカム74にカム面206を設けることができる。カム面206は、図14の面の断面で見ると、実質的に湾曲した輪郭を有することができる。
ここで図15に移ると、一実施形態では、CVT1000は、ハウジングキャップ1004に結合されたハウジング1002を有することができる。ハウジング1002およびハウジングキャップ1004を、バリエータサブアセンブリ1006に動作的に結合しかつ実質的にそれを取り囲むように構成することができる。バリエータサブアセンブリ1006を、第1トラクションリング1008および第2トラクションリング1010に結合することができる。第1トラクションリング1008を、第1負荷カムローラアセンブリ1012に結合することができる。第2トラクションリング1010を第2負荷カムローラアセンブリ1014に結合することができる。一実施形態では、第1負荷カムローラアセンブリ1012は入力カムドライバ1016に結合されている。第2負荷カムローラアセンブリ1014を出力ドライバ1018に結合することができる。一実施形態では、入力カムドライバ1016をドライブプーリ24に結合することができる。負荷カムローラアセンブリ1012および1014の各々に、速度センサ18に近接するように構成することができる歯付きかつ/または切欠き外周を設けることができる。バリエータサブアセンブリ1006を、U字形部材43(図3)によりスキューアクチュエータ16に動作可能に結合することができる。一実施形態では、CVT1000にメインシャフト1020を設けることができ、それは、CVT1000の長手方向軸1022と実質的に位置合せされる。メインシャフト1020にキー付き穴1025を設けることができ、それを、たとえばオルタネータ/ジェネレータ14または他の任意の補機のシャフトを受け入れるように適合させることができる。ドライブプーリ24を、メインシャフト1020に動作可能に結合することができる。一実施形態では、ドライブプーリ24のメインシャフト1020への結合は、ドライブプーリ24のメインシャフト44への結合に実質的に類似している。
図15〜図18を参照すると、一実施形態では、バリエータサブアセンブリ1006は、長手方向軸1022周りに角度をつけて配置された複数のトラクション遊星アセンブリ1024を有することができる。バリエータサブアセンブリ1006は、メインシャフト1020を中心に同軸状に配置されたトラクション太陽アセンブリ1026を有することができる。トラクション太陽アセンブリ1026を、トラクション遊星アセンブリ1024の各々の半径方向内側に配置することができる。一実施形態では、トラクション太陽アセンブリ1026を、メインシャフト1020に沿って実質的に軸方向に固定されるように適合させることができる。一実施形態では、バリエータサブアセンブリ1006は、第2キャリア部材1030に動作可能に結合された第1キャリア部材1028を有することができる。第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030は、トラクション遊星アセンブリ1024の各々を支持するように構成されている。
一実施形態では、第1キャリア部材1028は、第1キャリア部材キャップ1032に結合されている。第2キャリア部材1030を第2キャリア部材キャップ1034に結合することができる。キャリア部材キャップ1032、1034は、トラクション遊星アセンブリ1024に動作可能に結合するように適合されている。一実施形態では、バリエータサブアセンブリ1006は、キャリア保持リング1036を有することができる。キャリア保持リング1036を、第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030に結合するように構成することができる。キャリア保持リング1036にフランジ1038を設けることができる。フランジ1038をハウジング1002に結合することができ、かつ長手方向軸1022に対して実質的に回転不可能であるように構成することができる。キャリア保持リング1036に開口部1040を設けることができ、それを通して、U字形部材43を、たとえば第2キャリア部材1030に結合するように配置することができる。複数の段付きボルト1042を、第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030をキャリア保持リング1036に動作可能に結合するように設けることができる。第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030のキャリア保持リング1036への結合を、第1キャリア部材58および第2キャリア部材60のキャリア保持リング66への結合(図7)と実質的に同様に構成することができる。
CVT100の動作中、動力入力を、たとえばベルトまたはチェーン(図示せず)によりドライブプーリ24に結合することができる。ドライブプーリ24は、動力入力を入力カムドライバ1016に伝達することができる。入力カムドライバ1016は、第1負荷カムローラアセンブリ1012を介して動力を第1トラクションリング1008に伝達することができる。第1トラクションリング1008は、トラクション遊星アセンブリ1024の各々に動力を伝達する。トラクション遊星アセンブリ1024の各々は、第2トラクションリング1010に動力を供給する。第2トラクションリング1010は、出力ドライバ1018に動力を供給する。出力ドライバ1018は、メインシャフト1020に動力を供給するように構成され、それにより、動力をCVT100から外に伝達することができる。入力速度の出力速度に対する比のシフト、したがって入力トルクの出力トルクに対する比のシフトを、トラクション遊星アセンブリ1024の回転軸を傾斜角度(γ)まで傾斜させることによって達成することができる。トラクション遊星アセンブリ1024の回転軸の傾斜を、第1キャリア部材1028を第2キャリア部材130に対して回転させることによって容易にすることができる。第1キャリア部材1028の第2キャリア部材1030に対する回転により、参照により開示全体が本明細書に援用される、2008年8月26日に出願された米国特許出願第12/198,402号明細書に概して記載されているタイプのスキュー状態が発生する。スキュー状態を、別個にまたは組み合わせて発生する2つの事象によってトラクション遊星アセンブリ1024に適用することができる。一方の事象は、キャリア部材1028の各度回転(β)の変化であり、他方の事象は、トラクション遊星アセンブリ1024の傾斜角度(γ)の変化である。キャリア部材1028の一定の角度回転(β)に対し、トラクション遊星アセンブリ1024の回転軸が傾斜するに従い、スキュー状態はゼロスキュー角状態に近づくことができる。トラクション遊星アセンブリ1024の回転軸は、ゼロスキュー状態に達すると傾斜を停止することができる。ゼロスキュー状態は、傾斜角度(γ)に対する平衡状態である。
さらに図15〜図18を参照すると、一実施形態では、トラクション太陽アセンブリ1026は、たとえばベアリングにより第1および第2トラクション太陽支持体1046に動作可能に結合されているトラクション太陽1044を有することができる。トラクション太陽支持体1046を、第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030と接触するように適合させることができる。第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030は、トラクション太陽アセンブリ1044の軸方向移動を制約かつ/または制限することができる。一実施形態では、トラクション太陽支持体1046を、トラクション太陽支持体1046と第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030との間に配置された波ばね(図示せず)に結合することができる。波ばねは、CVT1000の動作中に励磁されることにより、トラクション太陽アセンブリ1026に最小の軸方向移動をもたらすことができる。実施形態によっては、トラクション太陽支持体1046は、ねじリード(図示せず)を介して第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030に結合され、それにより、第1キャリア部材1029または第2キャリア部材1030のいずれかの回転は、トラクション太陽アセンブリ1026を軸方向に変位させる傾向がある。他の実施形態では、アクチュエータ(図示せず)をトラクション太陽アセンブリ1026に結合することにより、少なくとも部分的にCVT1000のトラクション遊星アセンブリ1024の傾斜角度(γ)に基づいて、トラクション太陽アセンブリ1026の軸方向の位置の変化を容易にすることができる。さらに他の実施形態では、アクチュエータ(図示せず)をトラクション太陽アセンブリ1026に結合することにより、トラクション遊星アセンブリ1024の傾斜角度(γ)に対して実質的にランダムであるトラクション太陽アセンブリ1026の軸方向位置の変更を容易にすることができる。トラクション太陽アセンブリ1026を軸方向に配置する上述した方法により、たとえば、トラクション太陽1044の表面の、本来達成可能であるより広い領域にわたって動作荷重を分散させることにより、トラクション太陽1044の予測される寿命を長くすることができる。
ここで図19〜図21Cを参照すると、一実施形態では、第1キャリア部材1028に複数の半径方向オフセット溝1050を設けることができる。第2キャリア部材1030に、複数の半径方向溝1052を設けることができる。半径方向溝1052を、図19では破線で示す。半径方向オフセット溝1050および半径方向溝1052は、トラクション遊星アセンブリ1024のいくつかの構成部品、たとえばスキュー反作用ローラ1100(図22)を収容するようにサイズが決められている。説明の目的で、半径方向オフセット溝1050の半径方向溝1052に対する配置を、長手方向軸1022に対して垂直な面における突出として示すことができる。長手方向軸1022は、図19のページ面に対して垂直である。長手方向軸1022に対して垂直に半径方向構造線(construction line)1054を示すことができる。構造線1054は、第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030の中心1056を半径方向に通過する。同様に、第2構造線1058は、中心1056を通過することができる。構造線1058は、半径方向溝1052を実質的に二等分する。構造線1054に対して半径方向オフセット構造線1060が平行である。半径方向オフセット構造線1060は、長手方向軸1022に対して垂直である。オフセット距離1062により、半径方向オフセット構造線1060は構造線1054から分離される。一実施形態では、オフセット距離1062は約5mm〜20mmの範囲である。実施形態によっては、オフセット距離1062は16〜18mmである。実施形態によっては、オフセット距離1062は半径方向オフセット溝1050の幅に比例している。たとえば、オフセット距離1062は、半径方向オフセット溝1050の幅にほぼ等しいことが可能である。半径方向オスセット構造線1060は、実質的に半径方向オフセット溝1050を二等分する。半径方向オフセット構造線1060は、第2構造線1058と交差することにより、角度1064(本明細書ではΨと呼ぶ場合もある)を形成する。一実施形態では、角度(Ψ)1064は、トラクション遊星サブアセンブリ1024が実質的にゼロに等しい傾斜角度(γ)である状態の場合、5度〜45度の範囲であり得る。好ましくは、角度(Ψ)1064は、トラクション遊星サブアセンブリ1024が実質的にゼロに等しい傾斜角度(γ)である場合、10度〜20度の範囲である。
さらに図19を参照すると、一実施形態では、第1キャリア部材1028に複数の隙間開口部1066を設けることができる。第2キャリア部材1030に、複数の隙間開口部1068を設けることができる。隙間開口部1066、1068を、トラクション遊星アセンブリ1024の各々に隙間を提供するように適合させることができる。一実施形態では、隙間開口部1066が隙間開口部1068より大きいことにより、CVT1000の動作中にトラクション遊星アセンブリ1024にさらなる隙間が提供される。
ここで図20A〜図20Cを参照すると、一実施形態では、第1キャリア部材1028を、実質的ボウル状体とすることができ、それは、中心穴1027とボウル状体の外周のフランジ1072とを有している。フランジ1072に、複数の孔1074および複数の溝1076を設けることができる。孔1074および溝1076を、第1キャリア部材1028を第2キャリア部材1030に、軸方向制約を提供しながらキャリア部材1028とキャリア部材1030との間の相対的な回転変位を可能にするように、たとえば段付きボルト1042によって結合するのを容易にするように適合させることができる。第1キャリア部材1028に、中心穴1070を中心に配置された反作用肩部1078を設けることができる。一実施形態では、反作用肩部1078を、トラクション太陽支持体1046と接触するように構成することができる。フランジ1072に切欠き1080を設けることができる。切欠き1080を、第1キャリア部材1028のU字形部材43への結合を容易にするように適合させることができる。第1キャリア部材1028のボウル状体の底面に複数の孔1082を配置することができる。孔1082を、第1キャリア部材キャップ1032の第1キャリア部材1028への結合を容易にするように配置することができる。一実施形態では、各半径方向溝1050には、反作用面1084が設けられている。反作用面1084は、第1キャリア部材1028のトラクション遊星アセンブリ1024への結合を容易にするように構成されている。
図21A〜図21Dを参照すると、構造線1058は、オフセット構造線1060と角度(Ψ)1064を形成することができる。CVT1000の動作中、キャリア部材1028、1030は、長手方向軸1022を中心に回転することができる。オフセット構造線1060は第1キャリア部材1028を辿り、構造線1058は第2キャリア部材1030を辿る。明確にするために、構造線1058および1060を、図21B〜図21Dではたとえば第1キャリア部材1028に対する第2キャリア部材1030の長手方向軸を中心とする3つの角度回転位置に対して示す(この相対的な角度回転位置を本明細書ではβと呼ぶ場合がある)。キャリア部材1028、1030が互いに対して回転すると、角度(Ψ)1064が変化することができ、交差位置1063が構造線1058に対して半径方向に移動することができる。たとえば、図21Bに示す角度10640は、図21Dに示す角度10641より小さい。そして、傾斜角度(γ)がゼロ未満である時、構造線1058と構造線1060との間に角度10640が形成される。傾斜角度(γ)がゼロより大きい場合、構造線1058と構造線1060との間に角度10641が形成される。実施形態によっては、CVT1000においてキャリア部材1028、1030の位置を逆転させてもよい。こうした逆転により、図21において具現化されている関係を変更することができる。交差位置1063を、オフセット構造線1060と構造線1058との間の交差部分に示すことができる。交差位置1063は、概して、一定傾斜角度(γ)におけるトラクション遊星サブアセンブリ1024に対し、ゼロに等しいスキュー角、すなわち「ゼロスキュー状態」に対応する。角度(Ψ)1064の変化の大きさは、動作中のトラクション遊星アセンブリ1024の傾斜角度(γ)の安定性を示す場合がある。角度(Ψ)1064に対する高い値は、より安定性の高い傾向にあり、より安定性が低い傾向にありかつより高速なシフトを示す低い角度より低速なシフトを示す。
ここで特に図21E〜21Hを参照すると、一実施形態では、半径方向オフセット溝1051は、概して構造線1059を辿る湾曲した輪郭を有することができる。実施形態によっては、キャリア部材1028に半径方向オフセット溝1051を設けることができる。構造線1059の湾曲、したがって半径方向オフセット溝1051の湾曲を、CVT1000の所望の制御安定性および応答を提供するように構成することができる。例示の目的で、構造線1061を、交差位置1065において構造線1059に接しているように示すことができる。交差位置1065は、概して、構造線1058と構造線1059との交差部分にある。図21Eでは、角度(Ψ)1064を、構造線1058と構造線1061との間に示す。実施形態によっては、構造線1059の湾曲を、キャリア部材1028が長手方向軸を中心にキャリア部材1030に対して角度β回転する際、構造線1058と構造線1061との間に一定角度(Ψ)1064を提供するように配置することができる。明確にするために、図21F〜図21Hでは、構造線1058、1059および1061を3つの角度回転位置(β)に対して示す。キャリア部材1028、1030が互いに対して回転する際、角度(Ψ)1064は一定のままであり、交差位置1065は構造線1058に対して半径方向に移動することができる。実施形態によっては、角度(Ψ)1064は、図21F〜図21Hに示す傾斜角度(γ)状態の間で任意に変化することができる。構造角度1064の変化を、CVT1000の制御状態を最適化するように選択することができる。構造線1059の結果としての経路を、関連技術の当業者には利用可能な技法を用いて公式化することができる。
ここで図22を参照すると、一実施形態では、トラクション遊星アセンブリ1024は、中心穴を有する実質的に球状の遊星1090を有している。遊星1090を、たとえばベアリング1094により、遊星軸1092に動作可能に結合することができる。一実施形態では、ベアリング1094の間にスペーサ1096を配置することができる。実施形態によっては、スペーサ1096はベアリング1094と一体化している。ベアリング1094を、リング1098によって遊星軸1092上に保持することができる。実施形態によっては、リング1098は、ベアリング1094と一体であり得る。一実施形態では、トラクション遊星アセンブリ1024は、遊星軸1092の各端部に結合されているスキュー反作用ローラ1100を有することができる。スキュー反作用ローラ1100を、カラー1101によって遊星軸1092上に保持することができる。一実施形態では、カラー1101を、圧入または他の好適な取付け手段によって遊星軸1092に取り付けることができる。他の実施形態では、カラー1101を、キャリアキャップ1032および1034(図15)によって拘束することができる。遊星軸1092の各端部を、シフト反作用ボール1102を受け入れるように適合させることができる。一実施形態では、シフト反作用ボール1102は、遊星軸1092の各端部に形成された孔1103内に押し込まれる。実施形態によっては、シフト反作用ボール1102は、CVT1000の動作中に第1キャリア部材キャップ1032または第2キャリア部材キャップ1034と接触することができる。
ここで図23および図24に移ると、一実施形態では、ハウジング1002を実質的ボウル状体1109とすることができ、それは、第1端部にフランジ1110が形成され、第2端部に潤滑油供給ハブ1112が形成されている。フランジ1100を、支持構造体、たとえばプーリカバー23に結合するように構成することができる。潤滑油供給ハブ1112に潤滑油通路1113を設けることができる。潤滑油通路1113を、外部ポンプ(図示せず)に結合するように適合させることができる。ハウジング1002にセンサ取付ハブ1114を設けることができ、それは、ボウル状体1009の外周に配置されている。センサ取付ハブ1114は、たとえば速度センサ18の取付を容易にすることができる。速度センサ18をアクセス穴1115内に挿入することにより、速度センサ18を負荷カムローラアセンブリ1012に近接して配置するのを容易にすることができる。一実施形態では、ハウジング1002は、取付中間面1117においてボウル状体1009の外周に取り付けられた潤滑油貯蔵器1116を有することができる。潤滑油貯蔵器1116に複数のフィン1118を設けることができる。フィン1118は、たとえばCVT12の動作中に潤滑油から周囲空気への熱の伝達を容易にすることができる。潤滑油貯蔵器1116にはまた、潤滑油通路1119を設けることも可能である。実施形態によっては、潤滑油通路1119は、外部ポンプ(図示せず)に結合するように適合されている。一実施形態では、ハウジング1002にアクチュエータ取付ハブ1120を設けることができ、それは、ボウル状体1009の外周に配置されている。アクチュエータ取付ハブ1120を、たとえばアクチュエータ16に取り付けるように構成することができる。アクチュエータ取付ハブを、アクチュエータ16のたとえばU字形部材43への結合を容易にするように適合させることができる。
ここで図25を参照すると、一実施形態では、スキューベース制御プロセス2000を、たとえばCVT1000の電力制御回路ハードウェアと通信するマイクロプロセッサで実装することができる。実施形態によっては、スキューベース制御制御プロセス2000を、CVT12または本明細書で述べた他のCVT実施形態と通信するマイクロプロセッサで実装することができる。スキューベース制御プロセス2000はブロック2002で開始する。そして、スキューベース制御プロセス2000は、ブロック2004に進み、CVT1000の所望の速度比(SR)設定値を受け取る。一実施形態では、所望のSR設定値はユーザから受け取る。実施形態によっては、所望のSR設定値を、コントローラ(たとえば図28Aを参照)のメモリに常駐する所定マップから受け取る。スキューベース制御プロセス2000はブロック2006に進み、たとえば第1キャリア部材1028に対する第2キャリア部材1030の長手方向軸を中心とする角度回転(β)を確定する。次に、スキューベース制御プロセス2000はアクチュエータサブプロセス2008に進み、たとえばキャリア部材1028に角度回転(β)を適用する。アクチュエータサブプロセス2008が完了すると、スキューベース制御プロセス200はブロック2009に進み、CVT1000の実際のSRを測定する。一実施形態では、CVT1000の実際のSRを、たとえば、負荷カムローラアセンブリ1012および1014、またはCVT1000の入力速度および出力速度を示す他の任意の構成部品の速度を測定することによって確定することができる。実施形態によっては、実際のSRを、少なくとも部分的に目標出力速度状態に基づいて、または少なくとも部分的に目標入力速度状態に基づいて計算することができる。他の実施形態では、CVT1000の実際のSRを、遊星軸1092の傾斜角度(γ)を測定することによって確定することができる。さらに他の実施形態では、CVT1000の実際のSRを、CVT1000の実際のトルク比を測定することによって確定することができる。CVT1000の実際のトルク比を、たとえばトラクションリング1008および1010、またはCVT1000に対する入力トルクおよび出力トルクを示す他の任意の構成部品のトルクを測定することによって確定することができる。実施形態によっては、入力トルクおよび出力トルクを示すトルクを、第1キャリア部材1028および第2キャリア部材1030それぞれに対して反作用するトルクを測定することによって確定することができる。次に、スキューベース制御プロセス2000は判断ブロック2010に進み、測定された速度比を所望の速度比設定値と比較することにより比較値を形成する。測定された速度比が所望の速度比設定値と等しくない場合、スキューベース制御プロセス2000はブロック2006に戻る。測定された速度比が所望の速度比設定値と等しい場合、スキューベース制御プロセス2000は終了ブロック2012に進む。スキューベース制御プロセス2000は、新たな速度比設定値を受け取るまで終了ブロック2012にとどまる。実施形態によっては、スキューベース制御プロセス2000は、開ループ式に動作するように構成され、こうした場合、ブロック2009および2010は、スキューベース制御プロセス2000に含まれない。
図26を参照すると、一実施形態では、ブロック2006は、曲線2007によって表わすことができるルックアップテーブルを使用することができる。曲線2007は、角度回転(β)とたとえばCVT1000の所望の速度比との例示的な関係を示す。ブロック2006は、スキューベース制御プロセス2000の開ループ動作中に曲線2007を使用することができる。曲線2007を、yが角度回転(β)でありxが速度比である場合、式y=Ax2−Bx+Cによって表わすことができる。一実施形態では、A、BおよびCの値は、それぞれ0.5962、4.1645および3.536である。実施形態によっては、A、BおよびCの値は、それぞれ0.5304、4.0838および3.507である。他の実施形態では、A、BおよびCの値は、CVT1000の寸法および形状、特に、たとえばキャリア部材1028および1030上の溝1050および1052の位置、遊星軸1092の長さ、ならびにトラクションリング1008および1010の寸法に関連する。一実施形態では、ブロック2006を、スキューベース制御システム2000の閉ループ動作に対して適切な既知のPID制御プロセスを含むように構成することができる。閉ループ構成では、ブロック2006は、少なくとも部分的に実際のSRとSR設定値との比較(本明細書では誤差と呼ぶ場合もある)に基づいて角度回転(β)を確定する。
図27を参照すると、一実施形態では、アクチュエータサブプロセス2008は、ブロック2014で開始し、ブロック2015に進み、角度回転(β)に対する設定値を受け取る。アクチュエータサブプロセス2008はブロック2016に進み、少なくとも部分的に角度回転(β)に基づいてアクチュエータ指令信号を確定する。一実施形態では、ルックアップテーブルを使用して、角度回転(β)設定値をアクチュエータ指令信号に変換することができる。実施形態によっては、アクチュエータ指令信号は、電圧または電流であり得る。他の実施形態では、アクチュエータ指令信号は、ケーブルまたはリンク機構の位置の変化であり得る。実施形態によっては、アルゴリズムを使用して、角度回転(β)設定値からアクチュエータ指令信号を導出することができる。次に、アクチュエータサブプロセス2008はブロック2017に進み、アクチュエータ指令信号をアクチュエータおよび関連するハードウェアに送信する。一実施形態では、標準シリアル通信プロトコルを使用して、指令信号をアクチュエータハードウェアに送信することができる。実施形態によっては、ケーブルまたはリンク機構を使用して、アクチュエータハードウェアに指令信号を送信することができる。そして、アクチュエータサブプロセス2008はブロック2018に進み、キャリア部材、たとえばキャリア部材1028を回転させる。次に、アクチュエータサブプロセス2008はブロック2019に進み、角度回転(β)を測定する。そして、アクチュエータサブプロセス2008は判断ブロック2020に進み、測定された角度回転(β)を角度回転(β)に対する設定値と比較する。測定された角度回転(β)が角度回転(β)設定値と等しくない場合、アクチュエータサブプロセス1008はブロック2016に戻る。測定された角度回転(β)が角度回転(β)設定値と等しい場合、アクチュエータサブプロセス2008はブロック2022で終了し、ブロック2009で図25に関して上述したように、スキューベース制御プロセス2000は続行することができる。実施形態によっては、アクチュエータサブプロセス2008は開ループ式に動作するように構成され、こうした場合、ブロック2019および2020はサブプロセス2008に含まれない。
ここで図28Aに移ると、一実施形態では、制御システム2050を、原動機2052および負荷2053に結合されたCVT2051を制御するように構成することができる。CVT2051を、スキューベース制御システムに対応するように構成することができる。実施形態によっては、CVT2051は、CVT12および/またはCVT1000と実質的に類似している。CVT2051をスキューアクチュエータ2054に結合することができる。一実施形態では、スキューアクチュエータ2054は、たとえばスキューアクチュエータ16と実質的に同様であり得る。実施形態によっては、スキューアクチュエータ2054はサーボアクチュエータである。他の実施形態では、スキューアクチュエータ2054は機械式レバー(図示せず)であり得る。さらに他の実施形態では、スキューアクチュエータ2054は油圧アクチュエータまたは電気油圧式アクチュエータ(図示せず)であり得る。制御システム2050は、CVT2051、制御モジュール2056およびスキュー制御モジュール2057と電気的にかつ/または機械的に連通する複数のセンサ2055を有することができる。実施形態によっては、センサ2055は、原動機2052、負荷2053および/またはアクチュエータ2054と通信することができる。センサ2055は、制御モジュール2056と通信する。一実施形態では、制御モジュール2056はスキューアクチュエータ2054と通信する。制御モジュール2056を、スキュー制御モジュール2057と通信するように構成することができる。一実施形態では、スキュー制御モジュール2057は、スキューベース制御プロセス2000を実行するように構成される。実施形態によっては、制御モジュール2056は、1つまたは複数のディスプレイおよび/または入力装置(図示せず)を使用してユーザ制御インタフェースを提供するように構成されたデータ表示モジュール2058と通信する。
当業者は、制御システム2050への参照を含む、本明細書で開示している実施形態に関連して説明するさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、回路およびアルゴリズムステップを、電子ハードウェア、コンピュータ可読媒体に格納されかつプロセッサが実行可能であるソフトウェア、または両方の組合せとして実装することができることを理解するであろう。このハードウェアおよびソフトウェアの交換可能性を明確に説明するために、さまざまな例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路およびステップについて、それらの機能に関して概略的に上述した。こうした機能がハードウェアとして実装されるかソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課される特定の応用および設計制約によって決まる。当業者は、特定の応用各々に対して異なる方法で、説明した機能を実装することができるが、こうした実装判断は、本発明の範囲からの逸脱をもたらすものとして解釈されるべきではない。たとえば、本明細書で開示する実施形態に関連して説明するさまざまな例示的な論理ブロック、モジュールおよび回路を、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、あるいは本明細書で説明する機能を実行するように設計されたそれらの任意に組合せで実装しまたは実行することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、別法として、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたは状態機械であってもよい。プロセッサを、コンピューティングデバイスの組合せ、たとえばDSPおよびマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアとともに1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは他の任意のこうした構成として実装することも可能である。こうしたモジュールに関連するソフトウェアは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または本技術分野において既知である他の任意の好適な形態の記憶媒体に存在することができる。例示的な記憶媒体はプロセッサに結合され、それによりプロセッサは、その記憶媒体から情報を読み出しかつそこに情報を書き込むことができる。別法として、記憶媒体はプロセッサに内蔵であってもよい。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICに存在することができる。たとえば、一実施形態では、制御モジュール2056はプロセッサ(図示せず)を含む。制御モジュール2056のプロセッサを、スキュー制御モジュール2057およびデータ表示モジュール2058の一方または両方に関して本明細書で説明する機能を実行するように構成することも可能である。
図28Bを参照すると、一実施形態では、スキューアクチュエータ2054は、油圧制御弁2061と連通する油圧ピストン2060を有することができる。油圧ピストン2060を、たとえばU字形部材43に結合することができる。油圧制御弁2061は、ポート2062および2063に圧力を提供することができ、ポート2062および2063は、油圧ピストン2060の移動を容易にし、それによってU字形部材43を移動させることができる。スキューアクチュエータ2054は、貯蔵器2065と流体連通するポンプ2064を有することができる。ポンプ2064は、圧力逃し弁2066および蓄圧器2067に加圧制御流体を供給することができ、それらは、油圧制御弁2061に圧力制御流体を供給するように適合されている。実施形態によっては、油圧制御弁2061は、スプールアクチュエータ2068と連通することができる四方向制御弁である。スプールアクチュエータ2068を、少なくとも部分的に、たとえばCVT1000の所望のスキュー状態に基づいて油圧制御弁2061を調整するように構成することができる。一実施形態では、スプールアクチュエータ2068は電子サーボアクチュエータ(図示せず)であり得る。実施形態によっては、スプールアクチュエータ2068は手動レバー(図示せず)であり得る。他の実施形態では、油圧制御弁2061に、内部スプール(図示せず)に対するポート2069の調整を容易にする移動可能ハウジングを設けることができる。移動可能ハウジングを、スキューアクチュエータ2054の動作中またはCVT1000の動作中に発生する可能性のある定常誤差を補償するように構成することができる。
ここで図29Aを参照すると、一実施形態では、制御モジュール2056は、制御装置2070、通信装置2072およびマイクロプロセッサ2074を有している。実施形態によっては、制御装置2070を、設定値信号2076およびフィードバック信号2078に基づく周知の比例/積分利得制御プロセス等の制御プロセスを実行するように構成することができる。一実施形態では、設定値信号2076を、所望の入力速度を表すように構成することができる。実施形態によっては、設定値信号2076を、たとえばCVT2051の所望の速度比を表すように構成することができる。他の実施形態では、設定値信号2076を、CVT2051の所望の出力速度、所望の入力トルクおよび/または所望の出力トルク、あるいは他の任意の所望の動作特性を表すように構成することができる。フィードバック信号2078を、CVT2051の現動作状態の指示を提供するように構成することができる。一実施形態では、フィードバック信号2078は、CVT2051の実際の速度を表すように構成される。実施形態によっては、フィードバック信号2078は、CVT2051の実際の速度比を表すように構成される。他の実施形態では、フィードバック信号2078は、CVT2051の実際の出力速度、実際の出力トルクおよび/または実際の入力トルクの指示を提供するように構成される。制御装置2070を、通信装置2072と協働するように構成することができる。通信装置2072は、シリアルデバイス、たとえばRS232デバイス、USBデバイスまたは他の既知の通信ハードウェア等の通信ハードウェアを含むことができる。通信装置2072を、マイクロプロセッサ2074と協働するように適合させることができる。マイクロプロセッサ2074は、少なくとも部分的に設定値信号2076および/またはフィードバック信号2078に基づいてアクチュエータ指令信号2080を生成することができる。一実施形態では、マイクロプロセッサ2074は、スキューアクチュエータ2054、CVT2051、原動機2052および/または負荷2053のうちの任意の1つまたは複数と通信する電力制御回路を作動させるように構成されたハードウェアを含む。
ここで図29Bを参照すると、一実施形態では、スキュー制御プロセス2100を、たとえば、CVT1000の電力制御回路ハードウェアと通信するマイクロプロセッサで実装することができる。実施形態によっては、スキューベース制御プロセス2100を、CVT12または本明細書で説明する他のCVT実施形態と通信するマイクロプロセッサで実装することができる。スキューベース制御プロセス2100はブロック2101で開始する。そして、スキューベース制御プロセス2100はブロック2102に進み、たとえばCVT1000のトラクション遊星アセンブリ1024に対する所望の傾斜角度(γ)設定値を受け取る。スキューベース制御プロセス2100はブロック2103に進み、スキューアクチュエータに対する指令信号を確定する。一実施形態では、指令信号を、既知の利得(「PI」または「PID」と呼ぶ場合がある)制御プロセスによって確定する。次に、スキューベース制御プロセス2100はアクチュエータサブプロセス2104に移り、指令信号をたとえばスキューアクチュエータ2054に適用する。アクチュエータサブプロセス2104が完了すると、スキューベース制御プロセス2100はブロック2105に進み、トラクション遊星アセンブリ1024の傾斜角度(γ)を測定する。一実施形態では、トラクション遊星アセンブリ1024の実際の傾斜角度(γ)を、近接センサ、またはトラクション遊星アセンブリ1024の実際の傾斜角度(γ)の指示を提供するように適合された他の装置を使用することによって確定することができる。次に、スキューベース制御プロセス2100は判断ブロック2106に進み、測定された傾斜角度(γ)を所望の傾斜角度(γ)設定値と比較することにより比較値を形成する。測定された傾斜角度(γ)が所望の傾斜角度(γ)設定値と等しくない場合、スキューベース制御プロセス2100はブロック2103に戻る。測定された傾斜角度(γ)が所望の傾斜角度(γ)設定値と等しい場合、スキューベース制御プロセス2100は終了ブロック2107に進む。スキューベース制御プロセス2100は、新たな傾斜角度(γ)設定値を受け取るまで終了ブロック2107にとどまる。実施形態によっては、スキューベース制御プロセス2100は、開ループ式に動作するように構成され、こうした場合、ブロック2105および2106はスキューベース制御プロセス2100に含まれない。
ここで図29Cを参照すると、一実施形態では、スキュー制御プロセス2110を、たとえば、CVT1000の電力制御回路ハードウェアと通信するマイクロプロセッサで実装することができる。実施形態によっては、スキューベース制御プロセス2110を、CVT12または本明細書で説明する他のCVT実施形態と通信するマイクロプロセッサで実装することができる。スキューベース制御プロセス2110はブロック2111で開始する。そして、スキューベース制御プロセス2110はブロック2112に進み、CVT1000の所望の出力速度設定値設定値を受け取る。スキューベース制御プロセス2110はブロック2113に進み、スキューアクチュエータに対する指令信号を確定する。一実施形態では、指令信号を、既知のPI制御プロセスによって確定する。次に、スキューベース制御プロセス2110はアクチュエータサブプロセス2114に移り、指令信号をたとえばスキューアクチュエータ2054に適用する。アクチュエータサブプロセス2114が完了すると、スキューベース制御プロセス2110はブロック2115に進み、CVT1000の出力速度を測定する。一実施形態では、CVT1000の出力速度を、CVT1000の出力速度を示す速度を測定するように構成された速度センサを使用することによって確定することができる。次に、スキューベース制御プロセス2110は判断ブロック2116に進み、測定された出力速度を所望の出力速度設定値と比較することにより比較値を形成する。測定された出力速度が所望の出力速度設定値と等しくない場合、スキューベース制御プロセス2110はブロック2113に戻る。測定された出力速度が所望の出力速度設定値と等しい場合、スキューベース制御プロセス2110は終了ブロック2117に進む。スキューベース制御プロセス2110は、新たな出力速度設定値を受け取るまで終了ブロック2117にとどまる。実施形態によっては、スキューベース制御プロセス2110は、開ループ式に動作するように構成され、こうした場合、ブロック2115および2116はスキューベース制御プロセス2110に含まれない。
ここで図29Dを参照すると、一実施形態では、スキュー制御プロセス2120を、たとえば、CVT1000の電力制御回路ハードウェアと通信するマイクロプロセッサで実装することができる。実施形態によっては、スキューベース制御プロセス2120を、CVT12または本明細書で説明する他のCVT実施形態と通信するマイクロプロセッサで実装することができる。スキューベース制御プロセス2120はブロック2121で開始する。そして、スキューベース制御プロセス2120はブロック2122に進み、CVT1000の所望の入力速度設定値を受け取る。スキューベース制御プロセス2120はブロック2123に進み、スキューアクチュエータに対する指令信号を確定する。一実施形態では、指令信号を、既知のPI制御プロセスによって確定する。次に、スキューベース制御プロセス2120はアクチュエータサブプロセス2124に移り、指令信号をたとえばスキューアクチュエータ2054に適用する。アクチュエータサブプロセス2124が完了すると、スキューベース制御プロセス2120はブロック2125に進み、CVT1000の入力速度を測定する。一実施形態では、CVT1000の入力速度を、CVT1000の入力速度を示す速度を測定するように構成された速度センサを使用することによって確定することができる。次に、スキューベース制御プロセス2120は判断ブロック2126に進み、測定された入力速度を所望の入力速度設定値と比較することにより比較値を形成する。測定された入力速度が所望の入力速度設定値と等しくない場合、スキューベース制御プロセス2120はブロック2123に戻る。測定された入力速度が所望の入力速度設定値と等しい場合、スキューベース制御プロセス2120は終了ブロック2127に進む。スキューベース制御プロセス2120は、新たな入力速度設定値を受け取るまで終了ブロック2127にとどまる。実施形態によっては、スキューベース制御プロセス2120は、開ループ式に動作するように構成され、こうした場合、ブロック2125および2126はスキューベース制御プロセス2120に含まれない。
ここで図30〜図33に移ると、一実施形態では、CVT3000は、第2ハウジング部材3004に結合された第1ハウジング部材3002を含むことができる。第1ハウジング部材3002の第1端部にフランジ3006を設けることができる。フランジ3006は、CVT3000のたとえば電気駆動モータ(図示せず)への結合を容易にすることができる。実施形態によっては、CVT3000は、内燃機関(図示せず)のクランクシャフトに結合することができる。CVT3000は、スキュードライバ3007に結合されたスキューアクチュエータ3005を有することができる。スキューアクチュエータ3005およびスキュードライバ3007を、スキュー状態、したがってCVT3000の動作状態の調整を容易にするように適合させることができる。実施形態によっては、スキューアクチュエータ3005は、スキュー制御システム(図示せず)と通信することができる。
一実施形態では、CVT3000に、CVT3000の長手方向軸3010と実質的に位置合せされるように構成することができるメインシャフト3008が設けられている。メインシャフト3008を、入力ドライバ3012にかつ遊星ドライバ3014に結合することができる。一実施形態では、メインシャフト3008を、ポンプ3015のいくつかの構成部品に結合するように適合させることができる。一実施形態では、ポンプ3015は周知のギアロータタイプポンプである。一例では、ポンプ3015は、メインシャフト3008によって駆動されるように構成された内歯車を有している。ポンプ3015はまた、長手方向軸3010を中心に実質的に回転不可能であるように構成されたハウジングも有することができる。ポンプ3015を、CVTに潤滑油を提供するように構成することができる。実施形態によっては、ポンプ3015を、加圧油圧流体を、たとえば航空機の制御システムに供給するように構成することができる。遊星ドライバ3014を、遊星歯車アセンブリ3016に結合するように構成することができる。一実施形態では、遊星歯車アセンブリ3016は、太陽歯車、一組の遊星歯車、キャリアおよびリング歯車を有するデュアルピニオン遊星歯車のセットであり得る。実施形態によっては、遊星ドライバ3014を、遊星歯車アセンブリ3016のキャリアに結合することができる。
さらに図30〜図33を参照すると、一実施形態では、CVT3000に、入力ドライバ3012に結合された第1トラクションリング3018が設けられる。第1トラクションリング3018は、バリエータアセンブリ3020と接触している。CVT3000に、バリエータアセンブリ3020と接触している第2トラクションリング3022を設けることができる。第2トラクションリング3022を軸方向力発生器アセンブリ3024に結合することができる。一実施形態では、軸方向力発生器アセンブリ3024は、複数の傾斜と協働してCVT3000の動作中に軸方向力を生成するように構成された複数のローラを有している。軸方向力発生器アセンブリ3024を遊星太陽ドライバ3026に結合することができる。遊星太陽ドライバ3026を、遊星歯車アセンブリ3016の太陽歯車に結合することができる。一実施形態では、遊星歯車アセンブリ3016を出力シャフト3028に結合することができる。実施形態によっては、出力シャフト3028は遊星歯車アセンブリ3016のリング歯車に結合される。
CVT3000の動作中、入力動力を、メインシャフト3008の継手を介してCVT3000に供給することができる。メインシャフト3008は、動力を入力ドライバ3012にかつ遊星ドライバ3014に伝達することができる。入力ドライバ3012を、第1トラクションリング3018に動力を伝達することによりバリエータアセンブリ3020に動力を供給するように構成することができる。バリエータアセンブリ3020は、第2トラクションリング3022に動力を伝達する。第2トラクションリング3022は遊星太陽ドライバ4026に動力を伝達する。一実施形態では、遊星ドライバ3014および遊星太陽ドライバ3026を介して遊星歯車アセンブリ3016に供給される動力は、出力シャフト3028を介してCVT3000の外に伝達される。
ここで図34および図35を参照すると、一実施形態では、バリエータアセンブリ3020は、長手方向軸3010周りに角度をつけて配置された複数のトラクション遊星アセンブリ3030を有している。各トラクション遊星アセンブリ3030は、半径方向内側の位置でトラクション太陽3032と接触するように適合されている。トラクション太陽3032は、一組のシフトカム3034に動作可能に結合されている。一実施形態では、トラクション太陽3020およびシフトカム3034は、CVT3000の動作中、長手方向軸3010に沿って軸方向に移動するように適合されている。シフトカム3034を、トラクション遊星アセンブリ3030の各々に結合するように構成することができる。一実施形態では、バリエータアセンブリ3020に第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038が設けられている。第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038は、トラクション遊星アセンブリ3030の各々を支持するように構成されている。一実施形態では、第2キャリア部材3038は、第1キャリア部材3036に対して回転するように構成されている。第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038をスキュードライバ3007に結合することができる。第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038を、それぞれ第1キャリアキャップ3040および第2キャリアキャップ3042に結合することができる。第1キャリアキャップ3040および第2キャリアキャップ3042は、トラクション遊星アセンブリ3030の各々に結合するように構成されている。第1キャリアキャップ3040および第2キャリアキャップ3042を、クリップ3044によって第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038に取り付けることができる。
ここで特に図35を参照すると、一実施形態では、バリエータアセンブリ3020には、複数のキャリアインサート3046が設けられている。キャリアインサート3046を、第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038に取り付けるように適合させることができる。組み立てられると、キャリアインサート3046は、トラクション遊星アセンブリ3030のいくつかの構成部品と接触することができる。一実施形態では、キャリアインサート3046は鋼鉄から作製され、第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038はアルミニウムから作製される。実施形態によっては、キャリアインサート3046は、第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038と一体化している。
ここで図36および図37を参照すると、一実施形態では、トラクション遊星アセンブリ3030は、遊星軸3050を受け入れるように適合された中心穴を有する実質的に球状のトラクション遊星3048を有している。トラクション遊星3048を、ベアリング3052によって遊星軸3050に結合することができる。トラクション遊星アセンブリ3030は、遊星軸3050の第1端部に結合された第1脚部3054を有することができる。トラクション遊星アセンブリ3030は、遊星軸3050の第2端部に結合された第2脚部3056を有することができ、遊星軸の第2端部は第1端部から遠い位置にある。第1脚部3054および第2脚部3056を、各々、反作用ローラ3058を受け入れるように適合させることができる。一実施形態では、反作用ローラ3058は、各脚部3054、3056に設けられた溝3060に受け入れられる。一実施形態では、第1脚部3054を、圧入によりまたは他の好適な堅固な結合方法によって遊星軸3050に取り付けることができる。ローラ3058Aを、遊星軸3050を中心に回転するように構成することができる。実施形態によっては、第2脚部3056を、遊星軸3050に対して回転するように構成することができる。ローラ3058Bを、圧入によりまたは他の好適な堅固な結合方法によって遊星軸3050に取り付けることにより、第2脚部3056を遊星軸3050上で軸方向に保持することができる。ローラ3058は、キャリア部材3036および3038に結合するように構成されている。一実施形態では、第1脚部3054および第2脚部3056の各々に、シフト反作用ローラ3062が設けられている。シフト反作用ローラ3062を、第1脚部3054および第2脚部3056の各々に形成された溝3064に受け入れることができる。一実施形態では、溝3064は、実質的に溝3060に対して垂直である。シフト反作用ローラ3062を、シフトローラ軸3066を受け入れるように適合させることができる。シフトローラ軸3066を穴3068に受け入れることができる。CVT3000の動作中、シフト反作用ローラ3062はシフトカム3034に結合する。
さらに図36および図37を参照すると、一実施形態では、第1脚部3054および第2脚部3056に、遊星軸3050を受け入れるように適合された穴3070が設けられている。穴3070は、実質的に溝3060に対して垂直であり得る。第1脚部3054および第2脚部3056に肩部3072を設けることができる。肩部3072を、実質的に穴3070と位置合せすることができ、かつ肩部3072は穴3070から延在することができる。一実施形態では、肩部3072は、ベアリング3052と協働するように構成されている。第1脚部3054および第2脚部3056に反作用面3074を設けることができる。反作用面3074は、図37のページ面で見ると湾曲した輪郭を有することができる。反作用面3074を、キャリアキャップ3040、3042と摺動係合するように適合させることができる。
ここで図38に移ると、一実施形態では、キャリアインサート3046は実質的U字体3076を有することができる。キャリアインサート3046は、U字体3076の内部に形成された反作用面3078を有することができる。反作用面3078は、CVT3000の動作中ローラ3058と接触するように構成されている。キャリアインサート3046は外面3080を有することができる。外面3080は、第1キャリア部材3036または第2キャリア部材3038に取り付けられるように適合されている。
ここで図39および図40を参照すると、一実施形態では、第2キャリア部材3038は、中心穴3084を有する実質的ボウル状体3082であり得る。ボウル状体3082に、中心穴3084周りに角度をつけて配置された複数の半径方向溝3086を設けることができる。半径方向溝3086の各々は、ローラ3058と接触するように構成されたスキュー反作用面3088を有することができる。第2キャリア部材3038に、中心穴3084から軸方向に延在する肩部3090を設けることができる。肩部3090に、クリップ3044を受け入れるように適合された溝3092を設けることができる。ボウル状体3082の外周に、実質的平坦面3094を形成することができる。面3094を、第1キャリア部材3036と第2キャリア部材3038との間に摺動中間面を提供するように構成することができる。第2キャリア部材3038に、ボウル状体3082の外周から半径方向に延在するタブ3094を設けることができる。タブ3094に、細長い孔3095を設けることができる。細長い孔3095を、スキュードライバ3007と協働して、第2キャリア部材3038を第1キャリア部材3036に対して回転させることにより、CVT3000の動作中に速度比を調整することができる。一実施形態では、第1ハウジング部材3002に、タブ3094を包囲し、かつ第1キャリア部材3036および第2キャリア部材3038のスキュードライバ3007への結合を容易にするように構成された空隙3096(図30および図31)が設けられている。実施形態によっては、第1キャリア部材3036は、第2キャリア部材3038と実質的に類似している。第1キャリア部材3036に穴3098(図34)を設けることができる。CVT3000を組み立てた時、穴3098を、細長い孔3095と実質的に整列するように配置することができ、かつスキュードライバ3007と協働するように適合させることができる。
ここで図41および図42を参照すると、一実施形態では、スキュードライバ3007は、第1端部3102および第2端部3104を有する実質的円筒状ロッド3100であり得る。第1端部3101を、スキュードライバ3007のスキューアクチュエータ3005(図30)への結合を容易にするように構成することができる。実施形態によっては、第1端部3120に、スキューアクチュエータ3005に結合するように適合されたねじ山の組が設けられている。他の実施形態では、第1端部3102に、スキューアクチュエータ3005に結合するように構成されたスプラインが設けられている。第2端部3104を、第1キャリア部材3036に結合するように適合させることができる。実施形態によっては、第2端部3104は、第1キャリア部材3036の穴3098内で回転するように構成されている。スキュードライバ3007に、第2端部3104に近接して形成されている偏心スキューカム3106を設けることができる。偏心スキューカム3106を、円筒状ロッド3100の中心3110から半径方向にずれている中心3108を有するように配置することができる。偏心スキューカム3106を、第2キャリア部材3038(図39)の細長い孔3095に結合するように構成することができる。偏心スキューカム3106は、細長い孔3095と摺動係合するように構成されている。
CVT3000の動作中、スキュードライバ3007をスキューアクチュエータ3007によって回転させることができる。スキュードライバ3007の回転は、第1キャリア部材3036に対して第2キャリア部材3038を回転させる傾向がある。第1キャリア部材3036に対する第2キャリア部材3038の回転により、トラクション遊星アセンブリ3030の各々に対するスキュー状態が引き起こされる。スキュー状態は、トラクション遊星アセンブリ3030の遊星軸3050を傾斜させる傾向がある。遊星軸3050の傾斜によりCVT3000の速度比が調整される。
ここで図43に移ると、一実施形態では、CVT4000は、長手方向軸周りに角度をつけて配置された複数のトラクション遊星4002を有することができる。CVT4000に、半径方向内側位置で各トラクション遊星4002と接触するように構成されたトラクション太陽4003を設けることができる。トラクション遊星4002の各々に、第1キャリア部材4006および第2キャリア部材4008によって支持されるように構成された傾斜可能な回転軸4004を設けることができる。実施形態によっては、第1キャリア部材3006および第2キャリア部材4008は、トラクション遊星4002の各々に対するスキュー状態を容易にするように適合されている。一実施形態では、第1キャリア部材4006は、CVT4000の長手方向軸を中心に実質的に回転不可能である。CVT4000は、トラクション遊星4002の各々と接触している第1トラクションリング4010および第2トラクションリング4012を有することができる。第1トラクションリング4010および第2トラクションリング4012を、それぞれ第1軸方向力発生器4014および第2軸方向力発生器4016に結合することができる。第1軸方向力発生器4014を入力ドライバ4018に結合することができる。第2軸方向力発生器4016を出力シャフト4020に結合することができる。一実施形態では、入力ドライバ4018はクラッチ4022に結合されている。クラッチ4022を、たとえば電動機または他の好適な原動機から入力動力を受け取るように適合させることができる。
CVT4000の動作中、入力動力を、クラッチ4022から入力ドライバ4018に伝達することができる。入力ドライバ4018は、第1軸方向力発生器4014を介して第1トラクションリング4010に動力を供給する。第1トラクションリング4010は、トラクション遊星4002の各々に動力を伝達する。トラクション遊星4002は、第2トラクションリング4012に動力を伝達する。動力は、第2トラクションリング4012から第2軸方向力発生器4016を介して出力軸4020に供給される。実施形態によっては、出力シャフト4020は負荷4024に動力を供給するように構成されている。
ここで図44を参照すると、一実施形態では、CVT4100は、長手方向軸周りに角度をつけて配置された複数のトラクション遊星4102を有することができる。CVT4100に、半径方向内側位置で各トラクション遊星4102と接触するように構成されたトラクション太陽4103を設けることができる。トラクション遊星4102の各々に、傾斜可能な回転軸4104を設けることができる。トラクション遊星4102を、第1キャリア部材4106および第2キャリア部材4108それぞれに結合するように適合させることができる。一実施形態では、第1キャリア部材4106および第2キャリア部材4108は、トラクション遊星4102の各々に対するスキュー状態を容易にするように構成されている。一実施形態では、第1キャリア部材4106および第2キャリア部材4108は、CVT4100の長手方向軸を中心に回転するように構成されている。CVT4100は、第1トラクションリング4110および第2トラクションリング4112それぞれを有することができる。第1トラクションリング4110および第2トラクションリング4112を、それぞれ第1軸方向力発生器4114および第2軸方向力発生器4116に結合することができる。一実施形態では、第1軸方向力発生器4114は、CVT4100の長手方向軸に対して実質的に回転不可能であるように構成されている。第2軸方向力発生器4116を出力軸4118に結合することができる。
CVT4100の動作中、第1キャリア部材4106を、入力シャフト4120からの動力を受け取るように適合させることができる。第1キャリア部材4106は、トラクション遊星4120の各々に動力を供給する。トラクション遊星4102は、トラクション太陽4103の周りを回り、動力を第2トラクションリング4112に伝達する。動力は、第2トラクション4112から、第2軸方向力発生器4116を介して出力シャフトに伝達される。出力シャフト4118は、負荷4122に動力を供給するように適合されている。
ここで図45〜図48に移ると、一実施形態では、バリエータ4200は、複数のトラクション遊星サブアセンブリ4202に結合されたトラクション太陽アセンブリ4202を有することができる。バリエータ4200を、たとえばCVT12、CVT1000またはCVT3000で使用されるように構成することができる。トラクション遊星サブアセンブリ4204の各々は、第1キャリア部材4206および第2キャリア部材4208に動作可能に結合されている。実施形態によっては、キャリア保持リング4210を、第1キャリア部材4206および第2キャリア部材4208に取り付けることができる。トラクション太陽サブアセンブリ4204は、トラクション太陽4212を有することができる。トラクション太陽4212は、ベアリング4216を受け入れるように適合された中心穴4214を有することができる。中心穴4214に肩部4218およびcクリップ溝4220を設けることにより、ベアリング4216の中心穴4214への結合を容易にすることができる。トラクション太陽4214に、中心穴4214から半径方向外側に延在する複数の潤滑油通路4222を設けることができる。一実施形態では、トラクション太陽4214の外周に、谷部4226から延在する第1接触面4224Aおよび第2接触面4224Bが設けられている。第1接触面4224Aおよび第2接触面4224Bは、トラクション遊星サブアセンブリ4204の各々と接触することができる。第1接触面4224Aおよび第2接触面4224Bは、図48の面において断面で見ると、角度4228で谷部4226から延在することができる。一実施形態では、角度4228は約2度〜45度の範囲である。好ましい実施形態では、角度4228は約5度〜10度である。バリエータ4200の動作中、トラクション太陽アセンブリ4204は、トラクション遊星サブアセンブリ4204が傾斜する際、トラクション遊星サブアセンブリ4204に軸方向に結合されたままであるように適合されている。実施形態によっては、太陽アセンブリ4002がそれ以上中心穴4214に結合されていないが、たとえば接触面4224を介してトラクション遊星アセンブリ4204と接触することにより、CVT1000に半径方向に結合されたままであるように、ベアリング4216を取り除くことができる。
ここで図49〜図51を参照すると、一実施形態では、歯車5000を、第1キャリア部材5002にかつ第2キャリア部材5004に結合することができる。歯車5000は、第1キャリア部材5002と第2キャリア部材5004との間の長手方向軸を中心とする回転を容易にすることができる。歯車5000にシャフト5006を設けることができる。シャフト5006は、第1キャリア部材5002および第2キャリア部材5004から半径方向外側に延在することができる。シャフト5006を、スキューアクチュエータ(図示せず)に結合するように構成することができる。実施形態によっては、歯車5000を円錐歯車とすることができ、第1キャリア部材5002および第2キャリア部材5004を、円錐歯車を適切に収容することができるように適合させることができる。動作中、スキューアクチュエータは、シャフト5006に回転を伝達することにより歯車5000を回転させることができる。歯車5000の回転は、第1キャリア部材5002を第1回転方向に回転させる傾向があり、かつ第2キャリア部材5004を、第1回転方向とは実質的に反対の第2回転方向に回転させる傾向がある。
ここで特に図50および図51を参照すると、一実施形態では、スキュードライバ5010を第1キャリア部材5012にかつ第2キャリア部材5014に結合することができる。第1キャリア部材5012および第2キャリア部材5014は、第1キャリア部材5002および第2キャリア部材5004と実質的に同様であり得る。第1キャリア部材5012に、第1ねじ中間面5016においてスキュードライバ5010と係合するようにねじ山を設けることができる。第2キャリア部材5014に、第2ねじ中間面5018においてスキュードライバ5010と係合するようにねじ山を設けることができる。第1ねじ中間面5018は、概して右巻きねじ山であり、一方、第2ねじ中間面5018は左巻きねじ山である。一実施形態では、スキュードライバ5010をスキューアクチュエータ(図示せず)に結合することができる。実施形態によっては、スキュードライバ5010は、第1キャリア部材5012および第2キャリア部材5014に接するように配置されている。動作中、スキュードライバ5010を回転させることにより、第1キャリア部材5012と第2キャリア部材5014との間に相対的な回転を引き起こすことができる。ねじ中間面5016および5018を、第1キャリア部材5012と第2キャリア部材5014の互いに対する回転を容易にするようにわずかな半径方向変位に対応するように適合させることができる。
ここで特に図52を参照すると、一実施形態では、歯車5020を第1キャリア部材5022にかつ第2キャリア部材5024に結合することができる。明確にするために、図52では、歯車5020を既知の歯がないように示している。歯車5020は、第1キャリア部材5022と第2キャリア部材5024との間の長手方向軸を中心とする回転を容易にすることができる。歯車5020にシャフト5026を設けることができる。シャフト5026を、スキューアクチュエータ(図示せず)に結合するように構成することができる。一実施形態では、シャフト5026は歯車5020から軸方向に延在している。第1キャリア部材5022に、歯車5020と接触するように適合された係合延長部5028を設けることができる。動作中、スキューアクチュエータは、シャフト5026に回転を伝達することにより歯車5020を回転させることができる。歯車5020の回転は、第1キャリア部材5022を第1回転方向に回転させる傾向があり、かつ第2キャリア部材5024を、第1回転方向と実質的に反対である第2回転方向に回転させる傾向がある。
上記説明は、いくつかの構成部品またはサブアセンブリに対する寸法を提供したことが留意されるべきである。上述した寸法または寸法範囲は、最良の形態等、いくつかの法的要件に可能な限り準拠するために提供されている。しかしながら、本明細書で説明した本発明の範囲は、特許請求の範囲の言語のみによって確定されるべきであり、したがって、いずれかの請求項が特定の寸法または寸法範囲を請求項の特徴とする限りを除き、言及した寸法のいずれも本発明の実施形態に対して限定するものとなされるべきではない。
上述した説明は、本発明のいくつかの実施形態を詳述している。しかしながら、文章において上述したものがいかに詳細に現れていても、本発明を多くの方法で実施することができることが理解されよう。先にも述べたように、本発明のいくつかの特徴または態様を説明する時の特定の用語の使用は、その用語が、その用語が関連する本発明の特徴または態様の任意の所定の特徴を含むことに制限されるように、本明細書において再定義されていることを暗示するように解釈されるべきではないことが留意されるべきである。