以下、第1の実施形態の構成を図面を参照して説明する。
図8において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、吸込風路体(風路形成体)である管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
管部12は、掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側、あるいはホース体16の先端側に選択的に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
手元操作部17には、ループ状の把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21の上部には、操作用の操作部としての設定手段である設定ボタン22が複数設けられている。
また、図2、図7および図8に示すように、掃除機本体13は、大径の走行輪23を両側に有し小径の旋回輪24を下部に有する本体ケース25を備え、この本体ケース25には、集塵部としての(第1)遠心分離部である第1分離集塵部26と集塵装置としての(第2)遠心分離部である第2分離集塵部27とを備える集塵手段28が着脱可能となっている。すなわち、集塵手段28は、前段に第1分離集塵部26を備え、後段に第2分離集塵部27を備える、多段構成となっている。なお、この集塵手段28は、本実施形態では2段構成となっているが、少なくとも2段以上に構成すればよい。そして、掃除機本体13は、走行輪23および旋回輪24によって被掃除面である床面上を少なくとも前後方向に沿って走行(移動)可能に構成されている。なお、以下、上下および左右などの方向は、掃除機本体13(本体ケース25)の走行方向を基準とする。
そして、本体ケース25は、例えば合成樹脂などにより成形されており、電動送風機31を収容した本体部32と、この本体部32の前部に突設された載置部としての突出部33とを有している。また、この本体ケース25の内部には、突出部33の内部から本体部32の内部の前部に亘って位置する(第1)ダクト部である上流側ダクト部38と、本体部32内に位置する(第2)ダクト部である下流側ダクト部39とが配設されているとともに、電源室40が区画され、後部に拡散部としての拡散室41が区画されている。
電動送風機31は、例えば遠心ファンを電動機により回転駆動させることで負圧を発生させて空気を吸い込むファンモータであり、略円筒状に設けられ、下流側ダクト部39内に位置して本体部32内に配置されており、設定ボタン22の設定操作に応じて、本体部32内に収容された例えばマイコンなどの図示しない制御手段により動作のオンオフなどが制御される。そして、この電動送風機31により、管部12、第1分離集塵部26、第2分離集塵部27および下流側ダクト部39と順次連通する風路Wが形成される。また、この電動送風機31の外周面には、吸い込んだ空気を側方へと排気するための図示しない排気口が設けられている。
また、本体部32の前部には、集塵手段28の第2分離集塵部27を着脱するための取付凹部44が突出部33に臨んで凹設されている。さらに、この本体部32の両側には、走行輪23がそれぞれ回転自在に軸支されている。
取付凹部44は、本体部32の左右幅方向の中央部の前端から前後方向に沿って凹設されている。そして、この取付凹部44の前部の両側には、一方および他方の前面部48,49が設けられている。
さらに、取付凹部44の上側後部には、下流側ダクト部39の上流端となる連通口63が開口されている。この連通口63は、例えば左右幅方向に長手状、すなわち横長に設けられており、周縁部に沿ってゴムパッキンなどの連通口シール部材64が配置されている。そして、この連通口63は、連通口シール部材64を介して第2分離集塵部27の下流端と気密に接続されるように構成されている。
また、他方の前面部49には、上流側ダクト部38の下流端となる連通開口103が上側寄りの位置に開口されている。この連通開口103には、周縁部に沿ってゴムパッキンなどの連通開口シール部材104が配置されている。そして、この連通開口103は、連通開口シール部材104を介して第1分離集塵部26の上流端と気密に接続されるように構成されている。
また、突出部33は、第1分離集塵部26を下側から支持する部分である。さらに、この突出部33の前部には、上流側ダクト部38の上流端であり管部12の接続管部15が接続される本体吸込口107が開口されている。そして、この突出部33の下部には、旋回輪24が旋回可能に軸支されている。
また、本体ケース25の上部には、掃除機本体13を持ち上げるためのハンドル108が取り付けられている。さらに、本体ケース25の後部には、拡散室41と連通して電動送風機31からの排気を本体ケース25の外部へと排出する排気孔109が略全面に亘って複数開口されている。
また、下流側ダクト部39は、拡散室41の前方でかつ第2分離集塵部27(取付凹部44)の後方、すなわち本体ケース25の後部近傍の位置において上下方向に延びる連通風路部115と、この連通風路部115の一側の前方に連通して電動送風機31を内部に収容する図示しない電動送風機室部と、この電動送風機室部の前部側面から掃除機本体13(本体ケース25)の電動送風機室部に対して他側に配置された電源室40に亘って左右幅方向に延びる風路部としての接続風路部117とを備え、後部上側から下側前部、さらには前部他側(電源室40)へと連通する連通風路を内部に区画している。さらに、接続風路部117の内部には、フィルタ119が収容されている。
また、電源室40は、例えば本体部32の内部の他側において前後方向に沿って設けられている。さらに、この電源室40の内部には、電動送風機31に給電するための電源部121が収容されている。本実施形態において、この電源部121は、例えばコードリール装置であり、先端側が本体ケース25の外部に導出されており、図示しない商用交流電源に対して先端部のプラグ部121aを接続可能となっているとともに、本体ケース25の本体部32の上部に設けられた図示しない巻取ボタンの操作により本体ケース25内に巻き取り可能となっている。
一方、集塵手段28の一部(上流側)を構成する第1分離集塵部26は、電動送風機31の駆動により吸い込んだ含塵空気を旋回させて繊維ごみなどの比較的大きい塵埃である粗塵を遠心分離(サイクロン分離)および捕集する集塵カップであり、集塵手段28の最上流に位置している。そして、この第1分離集塵部26は、有底円筒状をなすカップ部であるケース体125と、このケース体125の内部に収容された円筒状の旋回部126とを有するユニット状となっている。そして、この第1分離集塵部26は、突出部33上に載置した状態で前側下部を中心(支点)として回動することにより本体ケース25に着脱可能であり、この本体ケース25に装着された状態で、上部を後方に向けて傾斜させた状態で支持されるとともに、取付凹部44の前部を覆う。なお、この第1分離集塵部26は、図示しない第1着脱機構により本体ケース25に対して着脱可能に係止される。
ケース体125は、集塵部本体としての円筒状のケース本体131と、このケース本体131に回動可能に軸支された蓋体132と、ケース本体131の上部に取り付けられた上蓋部133とを備えている。そして、ケース本体131の後部一側には、連通開口103と気密に接続される流入口135が開口されており、この流入口135を介して含塵空気がケース体125内へと接線方向に沿って流入するように構成されている。
ケース本体131は、流入口135から流入した空気を内部で旋回させるとともに、この旋回により分離された塵埃(粗塵)を内部に収容する部分であり、例えば透光性を有する合成樹脂などの部材により設けられ内部(塵埃)を視認可能となっている。また、このケース本体131の下端部は、このケース本体131の内部に収容された塵埃を外部へと廃棄するための廃棄開口137となっている。
また、蓋体132は、ケース本体131の廃棄開口137を回動により開閉するものであり、ケース本体131よりも若干径寸法が大きい円板状の蓋体本体141と、この蓋体本体141の上側すなわちケース本体131側に配置されたシール部材142とを一体に有している。
シール部材142は、蓋体132を閉じた状態で廃棄開口137の下端部に圧接されるように、蓋体本体141上に円形状に配置されている。
また、上蓋部133は、ケース体125(ケース本体131)の上部を覆うもので、集塵部用把持部としての取手部152を一体に備え、ケース本体131に対して気密に取り付けられている。
上蓋部133は、ケース本体131を第2分離集塵部27に連通する連結風路153を内部に区画している。また、この上蓋部133の後部には、連結風路153の下流端を構成する排出口154がケース体125の後部上側に位置して設けられている。この排出口154は、第1分離集塵部26のケース体125を通過した空気を第2分離集塵部27側、すなわち下流側へと排出するものであり、周縁部に沿ってゴムパッキンなどの排出口シール部材155が取り付けられている。
また、旋回部126は、ケース体125(ケース本体131)の内部に、このケース体125(ケース本体131)と同心状(同軸状)に配置されている。この旋回部126は、円筒状の旋回部本体161と、この旋回部本体161の一端側である下端側に一体に設けられた円筒状の拡大部としての圧縮部162とを備えている。
旋回部本体161は、上端部が連結風路153と連通している。また、この旋回部本体161には、内部に連通する複数の通気開口部166が周面に開口されており、これら通気開口部166を覆ってメッシュ状の集塵フィルタ167が取り付けられている。そして、この旋回部本体161は、質量が相対的に大きい塵埃(粗塵)が遠心力により分離された空気が通気開口部166(集塵フィルタ167)を外部から内部へと通過し連結風路153へと流れるように構成されている。
また、圧縮部162は、蓋体132に対向する下側が開口しており、旋回部本体161よりも径寸法が大きく、旋回部本体161に対して段差状に連続している。さらに、この圧縮部162の中央部には、旋回部本体161の下端部と連通する連通開口部168が設けられており、この連通開口部168を覆って、メッシュ状の圧縮フィルタ169が取り付けられている。そして、この圧縮部162では、旋回部本体161の外周を旋回する空気の一部が下側から連通開口部168を旋回部本体161の内部へと通過することにより、捕集した塵埃(粗塵)が圧縮フィルタ169に押し付けられて圧縮されるように構成されている。
また、図1ないし図6に示すように、集塵手段28の他部(下流側)を構成する第2分離集塵部27は、電動送風機31(図8)の駆動により吸い込んだ含塵空気中で、第1分離集塵部26により分離できなかった粉ごみなどの比較的小さい塵埃(細塵または微細塵)、すなわち第1分離集塵部26で分離する粗塵よりも微細な塵埃を遠心分離するものであり、本実施形態では集塵手段28の最下流に位置している。そして、この第2分離集塵部27は、例えばABSなどの合成樹脂により成形されており、集塵装置本体としての第2遠心分離部本体である分離集塵部本体171と、この分離集塵部本体171とは別体でこの分離集塵部本体171の下側に位置する塵埃溜め部としての細塵溜め部である集塵ケース172とを備え、これら分離集塵部本体171と集塵ケース172とが、保持部材としてのクランプ173,173によって一体的に係止されてユニット状となり、本体ケース25の取付凹部44に対して着脱可能となっている。なお、この第2分離集塵部27は、図示しない第2着脱機構により本体ケース25に対して着脱可能に係止される。
分離集塵部本体171は、第2分離集塵部27を本体ケース25(の取付凹部44)に装着した状態で取付凹部44の上側に収容される部分であり、分離部175と、この分離部175の集塵ケース172と反対側である上側を開閉する蓋部176とを備えている。そして、これら分離部175と蓋部176との間に、第1分離集塵部26および連結風路153を通過した含塵空気が一端側である前端側から流入する流入風路部177が区画されているとともに、蓋部176の内部に、分離部175からの排気が他端側である後端側から連通口63(電動送風機31の吸込側)へと流出する流出風路部178が区画されている。
分離部175は、電動送風機31の駆動により第1分離集塵部26を通過して内部に吸い込んだ含塵空気を旋回させて塵埃を遠心分離するものであり、複数の分離室181と、これら分離室181の一方向側である上側を囲んで突設された外枠部182と、分離室181の他方向側である下側に位置する連結部183とを一体的に有している。
分離室181は、上側から下側へと、すなわち上流側から下流側へと徐々に縮径された長尺円筒状に設けられており、流入風路部177への含塵空気の流入方向の延長線上、すなわち前後方向に沿って複数、例えば4つずつで分離室列Lをなしている。この分離室列Lには、本実施形態では、例えば中央に位置する中央列L1と、この中央列L1の流入風路部177への含塵空気の流入方向と交差(直交)する両側方向、すなわち左右両側方に位置する左列L2および右列L3とが設定されている。すなわち、本実施形態では、中央列L1が中央側に位置する分離室列、左列L2および右列L3が両側に位置する分離室列となっている。したがって、分離室181は、全体として平面視で四角形状(マトリクス状)に配置されている。そして、左列L2および右列L3の各分離室181は、中央列L1の分離室181に対して下側がそれぞれ接近するように傾斜している。
また、各分離室181は、それぞれ整流部185を上部に着脱可能に備え、この整流部185を介して流入した含塵空気を内周面に沿って旋回させるように構成されている。さらに、各分離室181は、少なくとも内周面の最大径寸法が第1分離集塵部26のケース体125(ケース本体131)よりも小さく、例えばケース体125(ケース本体131)の内周面の半分以下程度の径寸法に設定されている。
また、各整流部185は、流入風路部177に対して導入開口187を介して連通する螺旋状の整流通路部188と、この整流通路部188の中心軸に沿って位置する通気部としての排気管部である通気筒部189とを一体に備えている。さらに、これら整流部185は、各分離室列Lに位置するもの同士が連結板部190を介して前後に並んで一体となっている。
各整流通路部188は、通気筒部189の周囲に沿って設けられ、含塵空気を導入開口187から分離室181内へと、この分離室181の接線方向に沿って流入させるものである。
ここで、中央列L1に位置する分離室181の導入開口187は、流入風路部177への含塵空気の流入側、すなわち前側に向けて開口している。換言すれば、この中央列L1に位置する各分離室181には、前側から含塵空気が流入する。したがって、中央列L1に位置する分離室181の導入開口187は、流入風路部177の含塵空気の通過方向に対して交差(直交)する左右幅方向に沿う面に沿って開口している。また、この中央列L1に位置する分離室181の導入開口187は、含塵空気の流入方向に沿って前側から後側へと、両側に交互に位置している。
さらに、左列L2において、流入風路部177の一端側、本実施形態では最上流、すなわち最前部に位置する分離室181の導入開口187は、流入風路部177への含塵空気の流入側、すなわち前側に向けて、かつ、両側方向の中央側(中央列L1側)、すなわち右側に開口している。換言すれば、この左列L2の最前部に位置する分離室181には、前側から含塵空気が流入する。したがって、左列L2の最前部に位置する分離室181の導入開口187は、流入風路部177の含塵空気の通過方向に対して交差(直交)する左右幅方向に沿う面に沿って開口している。また、この左列L2において、流入風路部177の他端側、本実施形態では後部側(最前部を除く位置)に位置する分離室181(前から2番目以降の分離室181)の導入開口187は、流入風路部177への含塵空気の流入側と反対側、すなわち後側に向けて、かつ、反中央側(中央列L1と反対側)である外側すなわち左側に開口している。換言すれば、この左列L2の後部側に位置する分離室181には、後側から含塵空気が流入する。
同様に、右列L3において、流入風路部177の一端側、本実施形態では最上流、すなわち最前部に位置する分離室181の導入開口187は、流入風路部177への含塵空気の流入側、すなわち前側に向けて、かつ、両側方向の中央側(中央列L1側)、すなわち左側に開口している。換言すれば、この右列L3の最前部に位置する分離室181には、前側から含塵空気が流入する。したがって、右列L3の最前部に位置する分離室181の導入開口187は、流入風路部177の含塵空気の通過方向に対して交差(直交)する左右幅方向に沿う面に沿って開口している。また、この右列L3において、流入風路部177の他端側、本実施形態では後部側(最前部を除く位置)に位置する分離室181(前から2番目以降の分離室181)の導入開口187は、流入風路部177への含塵空気の流入側と反対側、すなわち後側に向けて、かつ、反中央側(中央列L1と反対側)である外側すなわち右側に開口している。換言すれば、この右列L3の後部側に位置する分離室181には、後側から含塵空気が流入する。
さらに、左列L2および右列L3の後部側(最前部を除く位置)に位置する分離室181(前から2番目以降の分離室181)の導入開口187は、前側から後側へと、すなわち含塵空気の流入側から離間されるにしたがい、この含塵空気の流入方向(前後方向)に対して傾斜角度が小さくなるように設定されている。このため、左列L2および右列L3の後部側(最前部を除く位置)に位置する分離室181(前から2番目以降の分離室181)の導入開口187は、前側から後側へと、含塵空気の流入方向(前後方向)に対する投影面積が小さくなっている。
なお、含塵空気の流入方向(前後方向)に対する投影面積とは、導入開口187を、流入風路部177の含塵空気の流入方向に対して直交する面(左右方向および上下方向に延びる面)に投影したときの面積であり、以下、単に投影面積というものとする。
さらに、本実施形態において、左列L2と右列L3とでは、導入開口187の開口方向が左右幅方向に互いに線対称となっている。そして、このように、中央列L1、左列L2および右列L3のそれぞれの分離室181での導入開口187の投影面積や開口の向き、位置などを異ならせることにより、流入風路部177内に流入する含塵空気を、各分離室181へと、それぞれの位置に拘らず均一に分配できるようにしている。
また、各通気筒部189は、分離室181において塵埃(細塵または微細塵)が除去された空気を流出風路部178へと排気すなわち流出させるものであり、円筒状に設けられて分離室181の上端側に同軸状に配置され、上流端である下端が分離室181内に連通するとともに、下流端である上端が流出風路部178に気密に接続されるように構成されている。
また、外枠部182は、平面視で四角形状に設けられ、分離室181全体の外側を枠状に囲む箱状となっている。すなわち、この外枠部182は、分離室181の外周面と連続し整流部185が取り付けられる底面部182a、この底面部182aから立ち上げられた上流側面である前面182b、クランプ173がそれぞれ回動可能に軸支される両側面182c、および、下流側面である後面182dを備え、上側が開口されて蓋部176によって閉塞される。前面182bには、流入風路部177の上流端であり第1分離集塵部26の連結風路153の下流端と気密に接続される流入開口部182eが開口している。このため、流入風路部177は、全ての分離室181の上側寄りの位置の外側全体を囲んで前後方向に沿って長手状に設けられており、この流入風路部177においては、矢印A1ないし矢印A3に示すように、含塵空気が前端の流入開口部182eから後方に向けて直進した(矢印A1)後、流入開口部182eと対向する後面182dの内面(前側)に沿って両側面182cへと流れ(矢印A2)、さらにこれら側面182cの内面に沿って前方へと折り返す(矢印A3)ように流れる。
なお、上記の全ての分離室181の導入開口187は、本実施形態において、例えば互いに略等しい開口面積に設けられているものとする。
また、連結部183は、集塵ケース172の蓋となる部分であり、全ての分離室181の下端部が連通して前後方向に長手状に設けられている。
また、蓋部176は、各クランプ173の上側により分離部175に対して着脱可能に係止されており、分離部175に対する着脱によりこの分離部175の上側を開閉するものである。そして、この蓋部176は、流入風路部177の上側を区画する被覆部192と、この被覆部192の上側(外側)を覆う蓋部本体193とを備え、これら被覆部192と蓋部本体193とが上下に気密に接続されることによりこれら被覆部192と蓋部本体193との間に流出風路部178が区画されている。そして、これら被覆部192と蓋部本体193との後部間に、流出風路部178の下流端となる流出開口部194が開口されている。
被覆部192には、分離部175の下流側、すなわち各分離室181の下流側である各整流部185の通気筒部189の上端側と気密に接続されて各分離室181と流出風路部178とを連通する円形状の接続開口192aが複数開口されている。したがって、全ての分離室181の下流側が流出風路部178に対してそれぞれ並列に連通している。これら接続開口192aは、分離室181の個数に対応して、すなわち本実施形態では、前後方向に4つずつ、左右幅方向に3列、計12個設けられている。
また、流出風路部178は、流入風路部177の上側に沿って、前後方向に長手状に設けられている。したがって、この流出風路部178は、流入風路部177と上下二層に構成されている。さらに、この流出風路部178は、第2分離集塵部27を本体ケース25(の取付凹部44)に取り付けた状態で連通口63と気密に接続されることにより電動送風機31の吸込側に連通する。
一方、集塵ケース172は、分離集塵部本体171で分離された塵埃(細塵)を収容するものであり、各分離室181の下端部が連結部183を介してそれぞれ気密に接続される。
次に、上記第1の実施形態の作用を説明する。
図1ないし図8に示すように、掃除の際には、第1分離集塵部26および第2分離集塵部27をそれぞれ掃除機本体13の本体ケース25に予め装着しておく。
第2分離集塵部27の取り付けに際しては、取付凹部44に本体部32の前方から挿入して押し込むことで、第2分離集塵部27が第2着脱機構により本体ケース25に固定される。この状態で、流出風路部178の下流端である流出開口部194の縁部が連通口シール部材64に圧接されて連通口63と気密に接続される。
また、第1分離集塵部26の取り付けに際しては、取手部152を把持した状態で突出部33上に蓋体132の前側下部を載置し、この前側下部を中心として後方へと回動させる。すると、第1分離集塵部26が本体ケース25に対して左右幅方向に位置決めされつつ、第1着脱機構により本体ケース25に固定される。この状態で、第1分離集塵部26の流入口135の縁部が、連通開口シール部材104に圧接されて連通開口103と気密に接続されるとともに、排出口154の排出口シール部材155が第2分離集塵部27の流入開口部182eの縁部と圧接されて排出口154と流入開口部182eとが気密に接続される。
したがって、第1分離集塵部26と第2分離集塵部27とを介して、管部12と電動送風機31の吸込側とが気密に接続されて風路Wが形成される。
そして、使用者は、プラグ部121aを商用交流電源に接続して電源部121により給電可能とした状態で、把持部21を把持して所望の設定ボタン22を操作することにより、電源部121から給電された制御手段が制御素子を介して電動送風機31を位相角制御し、設定ボタン22の操作により設定された動作モードで電動送風機31を駆動させる。
電動送風機31の駆動により生じた負圧は、下流側ダクト部39の連通風路部115、連通口63、第2分離集塵部27、第1分離集塵部26、連通開口103、上流側ダクト部38および本体吸込口107を介して管部12へと作用する。そして、管部12では、ホース体16、延長管18および床ブラシ19と負圧が作用して、被掃除面に載置した床ブラシ19の先端などから、塵埃を空気とともに吸い込む。
含塵空気は、床ブラシ19、延長管18およびホース体16を介して、本体吸込口107から上流側ダクト部38の連通開口103を介して第1分離集塵部26のケース体125の内部へと流入口135を介して流入する。この流入口135から流入した含塵空気は、ケース体125(ケース本体131)と旋回部126の旋回部本体161との間で周方向に旋回し、粗塵が遠心分離されて下方へと重力落下し、第1分離集塵部26のケース体125(ケース本体131)の下部に捕集される。
この第1分離集塵部26内を旋回する含塵空気は、集塵フィルタ167を介して通気開口部166から旋回部本体161の内部へと流入する。そして、この集塵フィルタ167の通過の際には、この含塵空気中の粗塵よりも細かい塵埃が集塵フィルタ167に捕集される。また、第1分離集塵部26内を旋回する含塵空気の一部は、圧縮部162側へと流れ、圧縮フィルタ169を介して連通開口部168から旋回部本体161の内部へと流入する。そして、この圧縮フィルタ169の通過の際には、この含塵空気中の粗塵よりも細かい塵埃が圧縮フィルタ169に捕集されるとともに、ケース体125(ケース本体131)内に捕集された塵埃が圧縮フィルタ169に押し付けられて圧縮される。
旋回部本体161内を通過した含塵空気(細塵を含んだ空気)は、連結風路153を通過した後、排出口154から排出されて流入開口部182eから流入風路部177へと流入する。このとき、この含塵空気は、矢印A1ないし矢印A3(図1)に示すように、まず、流入開口部182eから後面182dへと後方に向けて中央列L1と左列L2および右列L3との間を直進する(矢印A1)。このため、中央列L1に位置する分離室181の導入開口187が前側に向けて開口し、かつ、前側から後側へと、両側に交互に位置することにより、相対的に上流側(前側)に位置する分離室181の導入開口187が、相対的に下流側(後側)に位置する分離室181の導入開口187への含塵空気の流入を妨げず、これら導入開口187が含塵空気(矢印A1)と略垂直に対向し、中央列L1に位置する各分離室181に対して、それぞれ均等に含塵空気が流入する。また、左列L2および右列L3の最上流である最前部に位置する分離室181の導入開口187が前側に向けて、かつ、両側方向の中央側に開口していることで、中央列L1と左列L2および右列L3との間に流れる含塵空気(矢印A1)に対して導入開口187を略垂直に対向させることとなり、これらの分離室181に対して、それぞれ均等に含塵空気が流入する。さらに、これら中央列L1に位置する分離室181に流入しなかった含塵空気は、後面182dに沿って左右へと流れ(矢印A2)、さらに両側面182cに沿って前方へと折り返すように流れる(矢印A3)。そのため、左列L2および右列L3において、前から2番目以降の分離室181の導入開口187は、後側に向けて、かつ、外側に開口しているとともに、これら分離室181の導入開口187は、前側から後側へと、含塵空気の流入方向(前後方向)に対する投影面積が小さくなっていることで、後面182dから折り返されてきた含塵空気(矢印A3)に対して、この折り返し方向の上流側である後側に位置する分離室181から下流側である前側に位置する分離室181へと導入開口187が徐々に大きい面積で対向することとなるので、これら分離室181に対して、それぞれ均等に含塵空気が流入する。したがって、全ての分離室181に対して均等に含塵空気が流入することとなる。
これら分離室181に流入した含塵空気は、これら分離室181の内周面に沿って周方向に、第1分離集塵部26のケース体125内での旋回の流速よりも大きな流速で旋回し、細塵(微細塵)が遠心分離されて各分離室181の下端部から連結部183を介して集塵ケース172へとそれぞれ重力落下し、この集塵ケース172内に捕集される。細塵(微細塵)が除去された澄んだ空気は、整流部185の通気筒部189を通過して流出風路部178へと抽出されて互いに合流する。
そして、流出風路部178に合流した空気は流出開口部194から連通口63を介して下流側ダクト部39の連通風路部115から電動送風機室部内の電動送風機31へと吸い込まれ、この電動送風機31内を通過してこの電動送風機31を冷却した後、この電動送風機31の前側に位置する排気口から側方へと排気されて排気風となる。この排気風は、フィルタ119を通過しつつ下流側ダクト部39の接続風路部117へと流入し、この接続風路部117から電源室40内へと流入して、この電源室40内の電源部121を冷却する。そして、この電源室40を後方へと通過した排気風は、拡散室41へと流入する際に拡散され、各排気孔109から掃除機本体13の本体ケース25の外部へと分散排気される。
掃除が終了すると、使用者が設定ボタン22を操作することで、制御手段が電動送風機31を停止させる。
そして、所定量以上の塵埃が第1分離集塵部26および第2分離集塵部27の集塵ケース172に溜まった場合には、使用者は第1分離集塵部26および第2分離集塵部27をそれぞれ本体ケース25から取り外して塵埃を廃棄することが可能である。
このように、上記第1の実施形態によれば、中央列L1の分離室181の導入開口187が、流入風路部177への含塵空気の流入側である前側に向けて、かつ、両側方向に交互に位置するとともに、この含塵空気の流入側に対して略直交する方向に沿って開口していることにより、流入風路部177へと流入した含塵空気を、中央列L1の各分離室181へと、確実に吸い込むことができる。
次に、第2の実施形態を図9を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の中央列L1の分離室181の導入開口187が、流入風路部177への含塵空気の流入側である前側から後側へと離間するに従い流入風路部177への含塵空気の流入方向(前後方向)に対する投影面積が徐々に大きくなるように形成されているものである。すなわち、中央列L1の分離室181の導入開口187は、前側から後側へと、すなわち含塵空気の流入側から離間されるにしたがい、この含塵空気の流入方向(前後方向)に対して傾斜角度が大きく小さくなるように設定されている。
そして、このように、中央列L1の分離室181の導入開口187が、流入風路部177への含塵空気の流入側である前側から後側へと離間するに従い流入風路部177への含塵空気の流入方向に対する投影面積が徐々に大きくなるようにすることで、相対的に風量が少なくなる下流側(後側)に位置する分離室181ほど導入開口187が含塵空気に対して広い面積で開口するようになるので、中央列L1の各分離室181への含塵空気の流入量をより確実に均一化できる。
そして、以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、左列L2および右列L3では、流入風路部177の前側の分離室181の導入開口187を流入風路部177への含塵空気の流入側である前側に向けて、かつ、中央側に設けるとともに、流入風路部177の後側の分離室181の導入開口187を流入風路部177への含塵空気の流入側である前側とは反対側の後側に向けて、かつ、両側方向の反中央側に設けることにより、矢印A1ないし矢印A3に示すように、流入風路部177から後方へと直進した後、後面182dから両側面182cに沿って折り返すように流れる含塵空気の流れおよび流量に対応して、各導入開口187から各分離室181へと流入する含塵空気の流入量を、分離室181の位置に拘らず均一化できる。
すなわち、上記各実施形態のように、分離室181を四角形状(マトリクス状)に配置することで、円形状に配置する場合などと比較して面積効率を向上できるものの、各分離室181への含塵空気の流入量を均一化することは容易でない。そこで、上記のように、各分離室181の導入開口187の向きを含塵空気の流れおよび流量に対応してそれぞれの位置ごとに設定することにより、面積効率を向上しつつ、各分離室181への含塵空気の流入量を均一化できる。
したがって、電気掃除機11(第2分離集塵部27)の小型化が可能になるとともに、各分離室181で遠心分離する含塵空気量のばらつきを抑制でき、塵埃の分離性能を向上できる。
また、左列L2および右列L3の流入風路部177の後側(前から2番目以降)の分離室181の導入開口187を、流入風路部177への含塵空気の流入側である前側から後側へと離間するに従い投影面積が小さくなるようにすることで、後面182d側から両側面182cに沿って折り返すように流れる含塵空気(矢印A3)に対して、相対的に風量が少なくなる下流側(前側)に位置する分離室181ほど導入開口187が含塵空気に対して広い面積で開口するようになるので、左列L2および右列L3の後側に位置する各分離室181に対して、それぞれ均等に含塵空気を流入させることができる。
さらに、中央列L1の分離室181の導入開口187を、流入風路部177への含塵空気の流入側である前側に向けて、かつ、前側から後側へと両側方向に交互に設けることにより、それぞれの導入開口187同士が含塵空気の流入を妨げることがなく、中央列L1の各分離室181への含塵空気の流入量を、より確実に均一化できる。
そして、第2分離集塵部27よりも上流側に、電動送風機31の駆動により吸い込まれた含塵空気から塵埃を遠心分離する第1分離集塵部26を備えることにより、この第1分離集塵部26と第2分離集塵部27との2段構成によって、塵埃をより確実に捕集できる。
なお、上記各実施形態において、第1分離集塵部26は、上流側ダクト部38を通過した含塵空気から繊維ごみなどの比較的大きい塵埃である粗塵を捕集できれば、任意の構成とすることができる。
また、全ての分離室181の導入開口187を互いに略等しい開口面積とし、投影面積を含塵空気の流入方向に対する傾斜角度によって調整しているが、例えば導入開口187の開口面積自体を変化させることによって投影面積を調整してもよい。
さらに、分離室列Lは、左右に3列以上備える構成であれば、上記各実施形態と同様に構成することで同様の作用効果を奏することができる。例えば左右に4列の分離室列Lを備える場合には、中央の2列を上記中央列L1と同様に構成し、左右両側の列をそれぞれ上記左列L2および右列L3と同様に構成することで、上記各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、例えば4列の分離室列Lを備える場合、両側方向の中央側とは中央の2列側をいい、反中央側(外側)とは、中央の2列側と反対側をいうものとする。
また、電気掃除機11としては、キャニスタ型に限らず、例えば上下方向に長手状の掃除機本体13の下部に床ブラシ19を接続したアップライト型、掃除機本体13に床ブラシ19などが直接接続されこの掃除機本体13を持ち運びながら掃除するハンディ型、あるいは、掃除機本体13が駆動輪(走行輪)により自走、あるいは自律走行するロボット型などでも対応して用いることができる。
そして、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。