JP5811406B2 - 湿度計測装置および湿度計測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高圧・高湿度環境下における湿度計測に適した湿度計測装置および湿度計測方法に関し、特に、大深度地下構造物の気密試験用の湿度計測に好適な湿度計測装置および湿度計測方法に関するものである。
従来、大深度地下構造物の気密試験では、高圧空気を封入し、その圧力低下が許容範囲内であることを合格基準としている。ここで、気密試験時の封入圧力は、高圧空気の温度、湿度などにより変化するため、封入圧力の全圧に対して水蒸気圧を差し引いた「乾き空気圧」を理想気体の状態方程式に当てはめて、圧力低下量の合格基準を設定している。
こうしたことから、大深度地下構造物の気密試験の合格基準設定のためには、湿度測定による水蒸気分圧の把握が必要である。なお、理想気体の状態方程式に当てはめるための圧力、温度の測定値も必要である。
ところで、従来の一般的な湿度測定方法としては、非特許文献1「JIS Z 8806 湿度−測定方法」に記載のものが知られているが、これによると、下記のa)〜b)のように多様である。
a)水蒸気吸収法
空気の水蒸気を吸収剤で吸収・反応させ、吸収剤の質量、または、電解電気量、または、カールフィッシャー試薬滴定により、水蒸気量を測定する方法で次の3種類がある。
1)ひょう量式吸収法
2)電解式湿度計(五酸化りん)
3)カールフィッシャー湿度測定装置
b)熱力学的平衡温度測定による方法
水で湿らせた温度計の感温部は、周辺空気から流入する熱量と、表面からの蒸発潜熱による流出熱量が平衡した温度を示す。また、感温部が露点温度になると結露して平衡した温度を示す。一方、塩の飽和水溶液の水蒸気雰囲気にある感温部は、その水蒸気圧に平衡した温度を示す。以上のように、空気との熱力学的平衡温度を測定する方法で次の9種類がある。
1)露点法
1.1)定圧冷却式
・鏡面冷却露点計
・α線式露点計
・水晶振動子露点計
1.2)定圧加熱式
・塩化リチウム露点計
1.3)定積冷却式
・定積冷却露点計
1.4)定積脱湿式
・ニューマチック・ブリッジ湿度計
1.5)定積加湿式
・加水露点計
2)水蒸気圧法
・通風乾湿計
・乾湿計
c)空気の物性測定による方法
空気の物性は、水蒸気量により、紫外線・赤外線・マイクロ波領域において電磁波の吸収量が固有の値となる。また、蛍光量、熱伝導率、屈折率、超音波伝搬速度なども同様である。以上のように、空気の物性測定により水蒸気量を測定する方法で次の6種類がある。
1)熱伝導率法
・熱伝導率式湿度計
2)電磁波吸収法
・紫外線(ライマンα/OH蛍光)湿度計
・赤外線(吸収)湿度計
・マイクロ波湿度計(誘電体共鳴器の損失)
3)音波速度法
・超音波湿度計
4)酸素濃度法
・濃淡電池(ジルコニア)式湿度計
d)吸湿性物質の物性測定による方法
空気中の水蒸気を吸湿した物質の力学的性質・電気的性質・光学的性質は、水蒸気量により固有の値となる。以上のように、吸湿性物質の物性測定により水蒸気量を測定する方法で次の10種類がある。
1)インピーダンス法(電子式湿度計)
・塩化リチウム電気抵抗式湿度計
・高分子電気抵抗式湿度計
・高分子電気容量式湿度計
・セラミックス電気抵抗式湿度計
・酸化アルミニウム皮膜湿度計
2)伸長率法
・伸縮式湿度計(毛髪、ナイロン、ゴールドビータースキン)
・バイメタル式湿度計
3)限界電流法
・限界電流式湿度計
4)色変化法
・塩化コバルト湿度計
5)弾性表面波伝搬速度法
・弾性表面波湿度計(圧電性材料の表面弾性波の伝搬)
JIS Z 8806 湿度−測定方法、日本規格協会、2001
ところで、上記の従来の湿度測定方法を、大深度地下構造物のような高圧・高湿度環境下の湿度測定に適用する場合には、以下の1)〜3)に示すような問題が生じる。
1)湿度測定値の長距離信号伝送の問題点
図2は、大深度地下構造物の気密試験で従来用いている湿度計測装置の概略構成を示したものである。図2に示すように、大深度地下構造物2内の計測対象空間4の気相部Aに気相温度センサ6a、圧力センサ6c、湿度センサ6dを配置し、水中部Wに水中温度センサ6bを配置し、伝送ケーブル7a〜7dを介して地上計測室の温度測定器8a、圧力測定器8b、湿度測定器8cと電気的に接続する。
このように、大深度地下構造物の湿度を地上計測室で観測する場合は、ケーブル延長距離が1500m程度になることが多々ある。また、上記の従来の湿度測定方法のうち、精度の高い露点計などは、室内での校正用としての用途が多く、測定値の長距離信号伝送に対応できる既製品は現在のところ見当たらない。
遠隔自動測定に対応できる湿度計の既製品としては、RS485による長距離信号伝送が可能な、塩化リチウム電気抵抗式湿度計、高分子電気抵抗式湿度計、高分子電気容量式湿度計、セラミック電気抵抗式湿度計、酸化アルミニウム皮膜湿度計などがあるが、機種が限定される上、精度面でやや劣るという問題がある。
2)高圧空気の湿度測定の問題点
高圧空気の湿度測定が可能な既製品がないため、従来の大深度地下構造物の気密試験においては、上記1)の長距離信号伝送が可能な機種(大気圧用)の湿度計を使用していたが、その精度は不明であり信頼性の面で問題がある。
3)高湿度の湿度測定の問題点
大深度地下構造物内の湿度は95[%rh]以上になるので、従来の一般の湿度計では測定不能である。また、仮に高圧空気下で長距離信号伝送可能な大気圧用の湿度計を使用する場合、大気圧状態でも次のa)、b)に示すような精度面(非直線性、ヒステリシス、繰り返し性を含む)での問題がある。
a)相対湿度が90[%rh]未満の場合:精度1〜1.7[%rh]程度
b)相対湿度が90[%rh]以上、100[%rh]未満の場合:精度1.7〜6[%rh]程度
また、既製品カタログに記載の仕様では、上記のように100[%rh]付近でも測定可能とされているが、センサが一旦結露した場合の実際の精度は不明である。
一方、高湿度環境で次のa)、b)に示すような自動動作を行なっている既製品もあるが、センサ加熱の繰り返しが生じるため、実際の精度は不明である。
a)ケミカルパージ
これは、湿度センサを数分間加熱して、周辺空気中の化学物質を蒸発させる動作である。周辺温度が復旧するまでに数分間(例えば約6分間)を要する。この動作は通常、所定時間ごと(例えば約12時間ごと)に繰り返される。
b)センサヒーティング
これは、相対湿度が所定値を超えると、湿度センサを所定温度で所定時間加熱する動作である。例えば、相対湿度が95[%rh]を超えた場合に、100℃で30秒加熱するといった動作が行われる。
したがって、高圧・高湿度環境下における湿度計測が可能で、計測値の長距離信号伝送にも対応できる湿度計測技術の開発が望まれていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高圧・高湿度環境下における湿度計測が可能で、計測値の長距離信号伝送にも対応できる湿度計測装置および湿度計測方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る湿度計測装置は、計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを備えた湿度計測装置であって、前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る湿度計測方法は、計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを用いた湿度計測方法であって、前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測することを特徴とする。
本発明に係る湿度計測装置によれば、計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを備えた湿度計測装置であって、前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測する。このため、高圧・高湿度環境下における湿度計測が可能で、計測値の長距離信号伝送にも対応できるという効果を奏する。
また、本発明に係る湿度計測方法によれば、計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを用いた湿度計測方法であって、前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測する。このため、高圧・高湿度環境下における湿度計測が可能で、計測値の長距離信号伝送にも対応できるという効果を奏する。
図1は、本発明に係る湿度計測装置の実施例を示す概略構成図である。 図2は、従来の湿度計測装置の一例を示す概略構成図である。 図3は、従来の測定方法による大深度地下構造物内のセンサ位置を示す図である。 図4は、大深度地下構造物の気密試験のイベントの一例を示す図である。 図5は、気密試験前の準備期間における気室圧と温度データを示す図である。 図6は、気密試験時の気室圧と温度データを示す図である。 図7は、気密試験前の準備期間における相対湿度推定式と湿度測定値との対比を示す図である。 図8は、図7の部分拡大図である。 図9は、相対湿度測定値と「相対湿度推定式」との相関を調べた図である。
以下に、本発明に係る湿度計測装置および湿度計測方法の実施の形態について、大深度地下構造物内の湿度を計測する場合を例にとり図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[湿度計測装置の構成]
まず、本発明に係る湿度計測装置の構成について説明する。
図1に示すように、本発明に係る湿度計測装置10は、地面GL以下に構築されるD字形状内空断面の大深度地下構造物2内の計測対象空間4の相対湿度を計測するものである。この湿度計測装置10は、空間4の気相部Aに設けた気相温度センサ12と、水中部Wに設けた水中温度センサ14と、気相部Aに設けた圧力センサ16と、水中部Wに設けた導電率センサ18とを備える。
気相温度センサ12は気相部Aの温度を検知するためのもの、水中温度センサ14は水中部Wの温度を検知するためのもの、圧力センサ16は気相部Aの圧力を検知するためのもの、導電率センサ18は水中部Wの導電率を検知するためのものである。
各センサ12、14、16、18は、伝送ケーブル22、24、32、42を通じて地上の温度測定器20、圧力測定器30、導電率測定器40とそれぞれ電気的に接続している。温度測定器20は温度センサ12,14による検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する。圧力測定器30は圧力センサ16による検知信号を受信して圧力を測定する。導電率測定器40は導電率センサ18による検知信号を受信して導電率を測定する。各測定器20、30、40による測定値はコンピュータで構成した演算処理部50に送信されるようにしてある。
ここで、気相温度センサ12、水中温度センサ14としては、白金抵抗測温体などの汎用の高精度温度計(既製品)を使用することができる。また、圧力センサ16としては、水晶発振式圧力計などの汎用の高精度圧力計(既製品)を使用することができる。導電率センサ18についても汎用の導電率計(既製品)を使用することができる。
また、測定器20、30、40としては、センサからの電流信号を電圧信号に変換し、さらに物理量として表示する汎用のマルチメータ(既製品)を使用することができる。
また、センサと測定器との間をつなぐ伝送ケーブル22、24、32、42としては、汎用のRS485ケーブル(既製品)を用いることができる。
このように、本発明では汎用の高精度温度計、高精度圧力計、導電率計などで湿度計測装置を構成することができる。そして、温度、圧力、導電率の各測定値を用いて、以下の湿度計測原理で述べる「相対湿度推定式」により相対湿度を演算する。なお、この演算は演算処理部50で実行処理されるようにしてある。
[湿度計測原理]
次に、本発明による湿度計測原理を説明する。
本発明においては、大深度地下構造物内の高圧空気の全圧、地下水の塩分、温度測定値から、次式(1)の「相対湿度推定式」により、相対湿度ψを演算する。
Figure 0005811406
ただし、上式(1)の計算結果が、ψ>100[%rh]となる場合は、ψ=100[%rh]に置き換えるものとする。
ここに、
ψ;「相対湿度推定式」による計測対象空間内の相対湿度[%rh]
ws_a;気相温度と気相圧における飽和水蒸気分圧[kPa]
ws_a=pws0_a・fs_a
ws_w;水中温度と気相圧における飽和水蒸気圧[kPa]
ws_w=pws0_w・fs_w
ws0_a;気相温度と標準大気圧における飽和水蒸気圧[kPa]
後掲の飽和水蒸気圧の基本式(2)のpws0とTをpws0_aとT_aに置き換えて計算したもの
ws_w;水中温度と標準大気圧における飽和水蒸気圧[kPa]
後掲の飽和水蒸気圧の基本式(2)のpws0とTをpws0_wとT_wに置き換えて計算したもの
s_a;気相温度と気相圧におけるenhancement factor
後掲のenhancement factorの基本式(3)のfとtとpws0を、fs_aとt_aとpws0_aに置き換える。
s_w;水中温度と気相圧におけるenhancement factor
後掲のenhancement factorの基本式(3)のfとtとpws0を、fs_wとt_wとpws0_wに置き換える。
_a;気相温度の測定値[℃]
_a;気相温度の測定値[K]
_w;水中温度の測定値[℃]
_w;水中温度の測定値[K]
kS;塩分による蒸気圧降下比
k;塩分による蒸気圧降下を考慮した下式のSverdrup(1952)の式における常数。k=0.000537
(出典:湿球温度計に付着する塩分の影響、日本気象学会機関誌「天気」1978−01、佐橋謙)
Es(θ);温度θの海水における飽和水蒸気圧[kPa]
Es(θ)=(1−kS)Ep(θ)
Ep(θ);温度θの淡水における飽和水蒸気圧[kPa]
S;実用塩分(PSS78)[psu]
実用塩分は、「海洋観測指針(第1部)(気象庁)」によると、1気圧、15℃、におけるKCl標準溶液(1kg中に32.4356gのKClを含んだ水溶液)との電気伝導度比によって定義(UNESCO 1981)されている。以下に、その定義式を示す。
S=0.0080−0.1692(R0.5+25.3851(R)+14.0941(R1.5−7.0261(R+2.7081(R2.5+△S
ここに、△S;実用塩分の温度補正値
△S={(T−15)/(1+0.0162(T−15))}(0.0005−0.0056R 0.5−0.0066R−0.0375R 1.5+0.0636R −0.0144R 2.5
=R/(R・r
=1+(2.070×10−4p−6.370×10−8
+3.989×10−12
/{1+3.426×10−2T+4.464×10−4
+(4.215×10−1−3.107×10−3T)R}
=0.6766097+2.00564×10−2
+1.104259×10−4−6.9698×10−7
+1.0031×10−9
T=1.00024T
R:1気圧、15℃のKCl標準溶液に対して、圧力、温度、塩分が異なる現場海水の地上での電気伝導度比で通常はAUTOSALサリノメータ等で現場測定される。ただし、電気伝導度から換算する場合は、R=σM15/σとする。
σ;1気圧、15℃のKCl標準溶液(PSS78、74.551g/mol、32.4356g/kg)の電気伝導度。値は、4.2933S/m(Electrical Conductivity of Seawater in S/cm as a Function of Temperature and Salinity by CRC Handbook chemistry and physics 2003)
σM25;電気伝導度の現場測定値(25℃換算)
σM15;σM25の15℃換算値である。一般の導電率計の電気伝導度測定値は、25℃換算値として出力されるので、次式により15℃に換算する。
σM15=σM25={1+0.02(t−25)}
;1気圧のKCl標準溶液に対して、同一圧力、温度で塩分が異なる現場海水の電気伝導度比
;1気圧の海水に対して、同一温度、塩分で圧力が異なる現場海水の電気伝導度比
p;1気圧(大気圧)をp=0[bar]とした海面下の圧力
p=(P−P)/P[bar]
;1気圧、15℃のKCl標準溶液に対して、同一圧力、塩分で温度が異なる現場海水の電気伝導度比
T;海水状態方程式の採用年(1981)において使用された定義の現場水温℃(IPTS−68)
;近年使用されている1990年国際温度目盛により測定された現場水温℃(PTS−90)
(飽和水蒸気圧の基本式)
次に、飽和水蒸気圧の基本式を提示する。
ln(10ws0)=−0.58002206×10/T
+0.13914993×10−0.48640239×10−1
+0.41764768×10−4−0.14452093×10−7
+0.65459673×10・ln(T) ・・・式(2)
ここに、T;気温 T=273.15+t[K]
t;気温 0.01≦t≦200[℃]
(出典:ASHRAE HANDBOOK FUNDAMENTAL(SI Edition)1997、Wexler−Hyland、0.01℃(水の三重点)以上の水と接する空気に適用)
(enhancement factorの基本式)
次に、enhancement factorの基本式を提示する。
fs:標準大気圧における飽和水蒸気圧に対する、環境圧力を考慮した飽和水蒸気圧の修正係数(enhancement factor)[−]
fs=exp[(0.000353624+0.000029328363×t
+0.00000026168979×t
+0.0000000085813609×t)×(1−pws0/p
+exp(−10.7588+0.063268134×t
−0.00025368934×t
+0.00000063405286×t)×(p/pws0−1)]
・・・式(3)
ここに、p;環境圧力[kPa]
(出典:ITS−90 FORMULATIONS FOR VAPOR PRESSURE,FROSTPOINT TEMPERATURE,DEWPOINT TEMPERATURE,AND ENHANCEMENT FACTORS IN THE RANGE
−100TO+100C,Bob Hardy,As published in The Proceedings of the Third International Symposium on Humidity & Moisture,Teddington,London,England,April 1998)
以上をまとめると、本発明では、上記の「相対湿度推定式」に基づいて計測対象空間4の相対湿度を計測する。ここで、「相対湿度推定式」の入力変数は、温度測定器20で測定された気相温度および圧力測定器30で測定された圧力における飽和水蒸気分圧pws_aと、温度測定器20で測定された水中温度および圧力測定器30で測定された圧力における飽和水蒸気圧pws_wと、導電率測定器40で測定された導電率(電気伝導度)に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比(kS)である。一方、出力変数は計測対象空間4の相対湿度ψである。
従来の湿度測定方法では、高圧空気下の測定ができなかった。また、高湿度環境における湿度測定値の長距離信号伝送は、測定環境が大気圧雰囲気に限定され、かつ、相対湿度95[%rh]以上の場合の精度が不明であった。しかしながら、本発明は、高圧空気・高湿度・長距離信号伝送の3条件下での湿度測定を可能とするものであり、従来高精度の計測が困難であった上記環境下での湿度測定を可能にするものである。しかも、既往の温度センサと圧力センサを用いて低コストに導入可能であり信頼性も高いものである。このように、本発明によれば、高圧・高湿度環境下における湿度計測が可能で、計測値の長距離信号伝送にも対応できる。
また、本発明では、従来の湿度測定方法で採用していた大気圧用の湿度測定装置を一式、導電率測定器に置き換え、気相部の圧力センサや温度センサは、従来どおりの設置個数のままでよい。したがって、ハード面の必要費用は従来の湿度測定方法と同程度と考えられる。ただし、演算処理部50において「相対湿度推定式」を演算するためのアプリケーションソフト等を導入する必要がありソフト面の費用が生じるが、演算処理内容を考慮すればハード面の費用に比べて廉価に導入可能と考えられる。
[本発明による湿度計測精度の検証]
次に、本発明の「相対湿度推定式」による湿度計測精度の検証について説明する。この検証は、2007年11月に実施した大深度地下構造物の気密試験の観測データ(温度、圧力、導電率の各測定値)を用いて、本発明の「相対湿度推定式」にて相対湿度を計算し、この計算結果と観測データ(従来の湿度計による湿度測定値)とを比較することにより行ったものである。
図3は、大深度地下構造物の気密試験におけるセンサ位置を示した断面図である。図4は、気密試験のイベントを時系列で示したものである。図5は、気密試験前の準備期間における気室圧と温度データの時間変化を示したものである。図6は、気密試験時の気密圧と温度データの時間変化を示したものである。
図3に示すように、内空断面内に温度センサと、圧力センサと、導電率センサと、湿度センサとを配置した。なお、温度センサは気相部の8T−3、8T−1、水中部の8T−Wの3箇所のみを図示している。気密試験は図4に示したイベントに沿って実施され、気密試験前から試験時を通じて各センサによる計測を行っている。この結果、図5および図6に示される観測データが得られている。
図7は、気密試験前の準備期間における相対湿度推定式と湿度測定値との対比を示したものであり、図8は図7の部分拡大図である。
図7および図8に示すように、湿度センサによる湿度測定開始後の最初の約34分間はウォーミングアップと考えられる測定値変動がみられたが、その後安定している。このウォーミングアップ終了推定時刻(11/1 10:10)から自動ケミカルパージ開始推定時刻(11/1 21:30)までの約11時間20分間は、「相対湿度推定式」による推定相対湿度と湿度センサによる湿度測定値が約1%rhの誤差範囲でほぼ一致していることがわかる。また、この時刻から約12時間ごとに自動ケミカルパージによる定期的な湿度測定値の変動が始まる。また、全期間において、95%rh以上でセンサの結露防止のためのセンサヒーティング機能が動作して微小変動が生じている。このことから、約11時間20分間の期間のみ湿度センサが正常に動作していたと推察される。
次に、相関分析による「相対湿度推定式」の評価について説明する。
図9は、上記の約11時間20分間における、湿度センサによる相対湿度測定値と「相対湿度推定式」による推定相対湿度との相関を調べた図である。図9に示すように、相関係数=0.442となり、0.5弱であることから、「相対湿度推定式」は、相対湿度測定値に対して、中程度の相関があり、「相対湿度推定式」の当てはめが妥当であると評価することができる。
本発明の「相対湿度推定式」の精度としては、上記の約11時間20分間において湿度センサが正常に動作していたものと推定し、当該湿度センサの仕様精度1.7[%rh]に、この相関分析で得たp^=0.052[%rh](ただし、^はハットを意味する)を加算して、丸めて1.8[%rh]と見積もることができる。
以上説明したように、本発明に係る湿度計測装置によれば、計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを備えた湿度計測装置であって、前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測する。このため、高圧・高湿度環境下における湿度計測が可能で、計測値の長距離信号伝送にも対応できる。
また、本発明に係る湿度計測方法によれば、計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを用いた湿度計測方法であって、前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測する。このため、高圧・高湿度環境下における湿度計測が可能で、計測値の長距離信号伝送にも対応できる。
以上のように、本発明に係る湿度計測装置および湿度計測方法は、高圧・高湿度環境下における湿度計測に有用であり、特に、測定値の長距離信号伝送を要する大深度地下構造物内などの湿度を精度良く計測する場合に適している。
2 大深度地下構造物
4 計測対象空間
10 湿度計測装置
12 気相温度センサ
14 水中温度センサ
16 圧力センサ
18 導電率センサ
20 温度測定器
30 圧力測定器
40 導電率測定器
50 演算処理部
22,24,32,42 伝送ケーブル
A 気相部
W 水中部
GL 地面

Claims (2)

  1. 計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、
    前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、
    前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを備えた湿度計測装置であって、
    前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測することを特徴とする湿度計測装置。
  2. 計測対象空間の気相部の温度を検知する気相温度センサと、前記計測対象空間に存在する水中部の温度を検知する水中温度センサと、前記温度センサによる検知信号を受信して気相温度および水中温度を測定する温度測定器と、
    前記気相部の圧力を検知する圧力センサと、前記圧力センサによる検知信号を受信して圧力を測定する圧力測定器と、
    前記水中部の導電率を検知する導電率センサと、前記導電率センサによる検知信号を受信して導電率を測定する導電率測定器とを用いた湿度計測方法であって、
    前記温度測定器で測定された気相温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気分圧と、前記温度測定器で測定された水中温度および前記圧力測定器で測定された圧力における飽和水蒸気圧と、前記導電率測定器で測定された導電率に基づいて求めた塩分による蒸気圧降下比とを入力変数とし、前記計測対象空間の相対湿度を出力変数とする相対湿度推定式に基づいて、前記計測対象空間の相対湿度を計測することを特徴とする湿度計測方法。
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