JP5804389B2 - 運動に応答して筋肉細胞において発現変動するタンパク質及びそれらの受容体、それらをコードする遺伝子、並びにそれらを用いたスクリーニング方法 - Google Patents

運動に応答して筋肉細胞において発現変動するタンパク質及びそれらの受容体、それらをコードする遺伝子、並びにそれらを用いたスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、遺伝子の発現量を測定し、その変動に基づき、筋肉に負荷された運動刺激の強度を検出する方法、それに使用する測定キット、及び、該遺伝子又は遺伝子産物の各種利用等に関する。
適度な運動は、筋での正常な代謝を維持する上で極めて重要である。特に、近年、世界的な社会問題とまでなっている糖尿病の予防及び治療として、食事療法と共に運動療法が大きな効果を発揮することが明らかとなりつつある。
一方、これら疾病の特徴から、運動療法が効果的であると考えられる場合においても、個々人の病態や生活習慣によって運動療法を有効に活用できない場合も多い。
又、運動はよい効果を発揮すると同時に、活性酸素の産生や炎症作用などの悪い側面をも合わせ持っており、適切な運動(運動の質)と適度な強度(運動の強度)を考慮する必要がある。また、運動の悪い側面を除外することは、より効果的に運動のよい効果を招来するために重要である。
更に、このような正常時あるいは病態時における「適度な運動」及び「適度な強度」は個人差が大きく、またどのような指標で評価することが適切であるかについて、経験的な判断によるところが大きく、科学的な根拠に基づいた統一的な見解は得られていない。
現在、こうした運動の評価に有効と考えられる手段のひとつとして、運動前後の筋肉を微量採取し、その糖・脂質代謝状態を測定することで運動効果を評価する方法があるが(非特許文献1)、高侵襲性の方法であり対象への負荷が大きすぎること、また評価方法が複雑かつ熟練を要するため一般的な評価方法として用いることは困難であること、などの理由から実用化には至っていない。
また、運動効果がどのように筋肉に影響を与えるのかを解析することを目的に基礎研究を行おうとした場合、動物から採取された筋肉あるいは培養筋細胞に電気パルス刺激などを加えることで運動を模す試みは行われているものの(非特許文献2)、その運動がどの程度の強度であるのかを簡便に評価する方法や、あるいは筋肉への代謝環境への効果を簡便に評価する方法も確立されていない。
Shenk S and Horowitz JF (2007) Acute exercise increases triglyceride synthesis in skeletal muscle and prevents fatty acid-induced insulin resistance. J Clin Invest 117(6): 1690-8 Brevet A, Pinto E, Peacock J, Stockdale FE (1976) Myosin synthesis increased by electrical stimulation of skeletal muscle cell cultures. Science 193(4258): 1152-1154 Nedachi T and Kanzaki M, Am J Physiol Endocrinol Metab, 2006年, 第291巻(4号)、E817-828頁
従って、本発明の目的は上記の課題を解決することである。即ち、より具体的には、本発明の目的は、動物より採取した筋肉あるいは培養筋細胞系などを用いて、運動強度と関連して発現量が変動する酵素タンパク質、分泌タンパク質、若しくはそれらの受容体、又は、それらをコードする遺伝子を利用した、正常あるいは病態時における運動が、運動強度の評価ならびに筋エネルギー消費をはじめとする総合的な代謝状態に及ぼす影響を測定する低侵襲的かつ簡便な方法を提供すること等である。
本発明者等はこれまでに、培養筋細胞系に電気パルス刺激を与えることによって、擬似的運動刺激を観察できる特殊培養細胞系を構築してきた(特開2006−296282号公報、特開2006−340637号公報)。本発明者はこの独創的な研究をさらに発展させ、筋管細胞の粗精製方法の開発と網羅的遺伝子発現解析などの方法を駆使して、今回、特定の分泌タンパク質及び/又はその受容体をコードする遺伝子が運動依存的に発現変動することを見出し、更に、それらの中で筋の健康状態や代謝を調節するあるいは連関する遺伝子/タンパク質を同定し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は以下の態様にかかる。
[態様1]以下の54種類の遺伝子から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の発現量を測定し、その変動に基づき、筋肉に負荷された運動刺激の強度を検出する方法:
(1) C-X-C ligand 1 、(2) C-X-C receptor 7 (CXCR7) 、(3) C-X-C ligand 5 、(4) Oncostatin R 、(5) Wnt inhibitory factor-1 (WIF-1)、 (6) GPR43、 (7)VEGF-D 、(8)SCF/kit-ligand 、(9) COX2、 (10) prrx1、 (11) HDAC9 、(12) Interleukin-6 (IL-6)、 (13) FKBP11、 (14) oxysterol binding protein-like 1 (OSBPL1)、(15) SERPING、(16)Ubiquitin-conjugating enzyme E2B、(17)TBC domain family member1、(18)Ubiquitin-conjugating enzyme E2N、(19)Fibroblast growth factor 21、(20)Adaptor-related protein complex 2、(21)Ubiquitin-conjugating enzyme E2 variant 2、(22)IGFBP5、(23)Ubiquitin specific peptidase 15、(24)CD28 antigen、(25)Epsin 2、(26)Toll interacting protein、(27)von Hippel-Lindau syndrome homolog、(28)Ubiquitin specific peptidase 12、(29)SUMO/sentrin specific peptidase 2、(30)Heme oxygenase (decycling)1、(31)Dual specificity phosphatases 18、(32)Ubiquitin specific peptidase 22、(33)Ubiquitin protein ligase E3A、(34)Protein phosphatase 1、(35)Hect domain and RCC1-like domain、(36)Calpastatin、(37)RAB GTPase activating protein 1、(38)Ubiquitin-conjugating enzyme E2L3、(39)interleukin 13 receptor alpha1、(40)RAD23a homolog (S. cerevisiae)、(41)Ubiquitin specific peptidase 9、 (42) Ubiquitin fusion degradation 1 like、(43)protein phosphatases 4 catalytic subunit、(44)ubiquitin-conjugating enzyme E2D3、(45)IGFBP6、(46)Sphingosine phosphate lyase 1、(47)adaptor protein complex AP-2 alpha2 subunit、(48)RAB10、(49)HECT domain containing 1、(50)Ubiquitin specific peptidase 14、(51)Ubiquitin specific peptidase 32、(52)interleukin-1 receptor associated kinase 2、(53)ubiquitin-conjugating enzyme E2M、(52)adaptor-related protein complex 3、 (53)Ubiquitin specific peptidase 4、及び(54)Dual specificity phosphatases 4。
[態様2]以下の15種類の遺伝子から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の発現量を測定し、その亢進量に基づき、筋肉に負荷された運動刺激の強度を検出する方法:
(1) C-X-C ligand 1 、(2) C-X-C receptor 7 (CXCR7) 、(3) C-X-C ligand 5 、(4) Oncostatin R 、(5) Wnt inhibitory factor-1 (WIF-1)、 (6) GPR43、 (7)VEGF-D 、(8)SCF/kit-ligand 、(9) COX2、 (10) prrx1、 (11) HDAC9 、(12) Interleukin-6 (IL-6)、 (13) FKBP11、 (14) oxysterol binding protein-like 1 (OSBPL1)、及び(15) SERPING。
[態様3]遺伝子群が、C-X-C ligand 1及びC-X-C ligand 5から成る、態様2記載の方法。
[態様4]以下の39種類の遺伝子から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の発現量を測定し、その減弱量に基づき、筋肉に負荷された運動刺激の強度を検出する方法:
(16)Ubiquitin-conjugating enzyme E2B、 (17)TBC domain family member1、(18)Ubiquitin-conjugating enzyme E2N、(19)Fibroblast growth factor 21、(20)Adaptor-related protein complex 2、(21)Ubiquitin-conjugating enzyme E2 variant 2、(22)IGFBP5、(23)Ubiquitin specific peptidase 15、(24)CD28 antigen、(25)Epsin 2、(26)Toll interacting protein、(27)von Hippel-Lindau syndrome homolog、(28)Ubiquitin specific peptidase 12、(29)SUMO/sentrin specific peptidase 2、(30)Heme oxygenase (decycling)1、(31)Dual specificity phosphatases 18、(32)Ubiquitin specific peptidase 22、(33)Ubiquitin protein ligase E3A、(34)Protein phosphatase 1、(35)Hect domain and RCC1-like domain、(36)Calpastatin、(37)RAB GTPase activating protein 1、(38)Ubiquitin-conjugating enzyme E2L3、(39)interleukin 13 receptor alpha1、(40)RAD23a homolog (S. cerevisiae)、(41)Ubiquitin specific peptidase 9、 (42) Ubiquitin fusion degradation 1 like、(43)protein phosphatases 4 catalytic subunit、(44)ubiquitin-conjugating enzyme E2D3、(45)IGFBP6、(46)Sphingosine phosphate lyase 1、(47)adaptor protein complex AP-2 alpha2 subunit、(48)RAB10、(49)HECT domain containing 1、(50)Ubiquitin specific peptidase 14、(51)Ubiquitin specific peptidase 32、(52)interleukin-1 receptor associated kinase 2、(53)ubiquitin-conjugating enzyme E2M、(52)adaptor-related protein complex 3、 (53)Ubiquitin specific peptidase 4、及び(54)Dual specificity phosphatases 4。
[態様5]運動刺激が筋肉に負荷された擬似的運動刺激によりもたらされるものである、態様1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[態様6]擬似的運動刺激が電気パルス刺激である、態様4記載の方法。
[態様7]筋肉が培養筋管細胞である、態様1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[態様8]遺伝子の発現量を該遺伝子の転写後の段階で測定する、態様1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[態様9]遺伝子の発現量を、ノーザンブロット法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、in situ ハイブリダイゼーション法、又はマイクロアレイ法により測定する、態様8記載の方法。
[態様10]遺伝子の発現量を該遺伝子の翻訳後の段階で測定する、態様1〜7のいずれか一項に記載の方法。
[態様11]遺伝子の発現量を、ウエスタンブロット法、RIA法、ELISA法、又は、免役染色法により測定する、態様10記載の方法。
[態様12]態様1〜11記載のいずれか一項に記載の方法に使用する遺伝子発現測定キット。
[態様13]態様1記載の54種類の遺伝子から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチドまたはその一部配列を含むヌクレオチドをターゲットとしたプローブあるいはプライマーを含む、態様10記載の遺伝子発現測定キット。
[態様14]態様1記載の54種類の遺伝子から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の発現産物を有効成分として含有する、運動刺激による筋肉におけるインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量を増強又は抑制する作用を有する医薬組成物。
[態様15] C-X-C ligand 1、C-X-C ligand 4 、及びC-X-C ligand 5から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の発現産物を有効成分として含有する、運動刺激による筋肉におけるインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量を増強する作用を有する医薬組成物。
[態様16] Wnt inhibitory factor-1 (WIF-1)の発現産物を有効成分として含有する、運動刺激による筋肉におけるインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量を抑制する作用を有する医薬組成物。
[態様17]運動依存的な代謝改善効果を模すか若しくは増強する治療薬、又は予防薬である、態様14〜16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[態様18]被検物質の存在下又は非存在下で、態様1〜11のいずれか一項に記載の方法で遺伝子の発現量を測定し、発現量を変動させる物質を選択することから成る、運動刺激による筋肉へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の増強又は抑制作用を修飾する物質をスクリーニングする方法。
[態様19]遺伝子がC-X-C ligand 1、C-X-C ligand 4 、及び/又はC-X-C ligand 5である、運動刺激による筋肉へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の増強を修飾する物質をスクリーニングする、態様18記載の方法。
[態様20]遺伝子がWnt inhibitory factor-1 (WIF-1)である、運動刺激による筋肉へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の抑制を修飾する物質をスクリーニングする、態様18記載の方法。
実施例に示すように、本発明者等が開発した特殊培養筋細胞系において電気パルス刺激(擬似的運動刺激)に応答して、その発現量が変動(亢進/減弱)する遺伝子群を見出した。その中で、特に当該遺伝子群の中で、分泌タンパク質群に着目して詳細に解析した結果、インスリンや運動依存的な糖代謝のキーファクターとなるGLUT4の膜移行量が、分泌タンパク質によって正負両面の修飾を受けていることを発見した。
その結果、当該遺伝子群ならびに当該遺伝子群によって産生されるタンパク質群の発現量の変動(亢進又は減弱した量、又はそれらの程度)を定量的又は定性的に測定することによって、運動強度及び運動が筋肉の代謝に及ぼす効果等を低侵襲的に検出することが出来る。
更には、それらを有効成分として利用することによって、運動の筋代謝改善効果を模した作用あるいは運動の筋代謝改善効果をさらに増強すること等も可能である。
電気パルス刺激による運動様の効果の発現。C2C12筋管細胞に40V, 2ms, 1Hz, 24時間の条件で電気パルス刺激を行い、細胞内シグナルの変化と糖取り込み量を測定した結果を示す。 電気パルス刺激による分泌タンパク質の解析結果を示す。 電気パルス刺激依存的に増加する分泌タンパク質量の経時的変化の結果を示す。 電気パルス刺激の頻度に応答した分泌タンパク質量の変化を示す。分化したC2C12筋管細胞の培地交換を行った直後から、40V, 2ms, 24時間, 図示した頻度 (Hz)の条件で電気パルス刺激を行い、細胞培養液を回収、それぞれ産生された分泌タンパク質量を測定した。 電気パルス刺激あるいはインスリン、細胞外糖濃度に応答した分泌タンパク質量の変化を示す。 様々な阻害剤の存在下、電気パルス刺激による分泌タンパク質量の変化の解析結果を示す。 同定した電気パルス刺激によって分泌されるタンパク質が、C2C12筋管細胞のGLUT4トランスロケーションに及ぼす影響を示す。
本発明方法で発現量を測定する遺伝子自体は公知であるが、電気パルス刺激(擬似的運動刺激)等に代表される運動刺激が負荷されることにより、或いは、非運動時あるいは低運動時と比較して強運動時の筋・血中で、その発現量が亢進/減弱することは、今回、本発明者によって初めて見出されたものである。これらの遺伝子は、本明細書中の以下の実施例で示されるように、健康な筋肉を形成・維持するために貢献するだけでなく、糖や脂質などの代謝を改善する運動強度の測定に関しても、キー分子となりうる遺伝子群である。
上記の各遺伝子群は細胞外に分泌される分泌性タンパク質ならびに細胞内タンパク質(酵素)をコードする遺伝子群である。本発明で用いられる分泌タンパク質ならびに細胞内タンパク質(酵素)は、ヒト、ラット及びマウス等をはじめとする哺乳動物・脊椎動物・真核生物・原核生物の分泌タンパク質ホモログを含む。
本発明方法において、筋肉に負荷された運動刺激の強度を検出するためには、該筋肉、又はその近傍に存在する血液などを含む種々の組織、体液、又は器官等における各遺伝子の発現状況を調べる必要がある。ここで「筋肉」とは、生体筋(in vivo筋)だけでなく、初代培養筋細胞、培養筋細胞又は培養筋管細胞等の細胞株も含む概念である。また、この「筋肉」はヒトをはじめとする哺乳類由来のものを使用することが好ましいが、他の動物種の筋肉を用いることもできる。又、運動刺激は、実施例に示されたような当業者に公知の任意の方法で実施される電気パルス刺激等に代表される「擬似的運動刺激」によりもたらされるものでもよい。特に、細胞株を用いて本発明方法を実施する場合には、該細胞株にこのような擬似的運動刺激を負荷して遺伝子の発現量の変化を測定することが出来る。
このような運動刺激の強度を検出のためには、上記遺伝子群の中の少なくとも1種、好ましくは少なくとも任意の2種類の遺伝子、例えば、C-X-C ligand 1及びC-X-C ligand 5、更に好ましくは少なくとも任意の適当な数、例えば、5種類の遺伝子の組み合わせ、最も好ましくは全部の種類の遺伝子を測定すればよい。
本発明方法のスクリーニング方法において、各遺伝子の発現量は、当業者に公知の任意の方法で、転写及び翻訳等の任意の各段階において測定することが可能である。
例えば、転写後の段階における測定では、本発明のスクリーニング方法において、各遺伝子の発現量はそれをコードするmRNA又はcDNAの量により測定することも可能である。このようなmRNAの測定は各遺伝子(DNA)の塩基配列に基づき適宜設計したプライマーを使用したRT-PCR法及びリアルタイムPCR法等の各種PCR法等、ノーザンブロット法、in situ ハイブリダイゼーション法、並びにマイクロアレイ法(DNAチップ)法等の当業者に公知の方法で行うことが出来る。
或いは、翻訳後の段階における測定では、ウエスタンブロット法、RIA法、ELISA法、免役染色法等により測定することが可能である。以上、ここに挙げた方法は当業者に任意のいずれも公知の方法で行うことができる。
本発明方法に使用される遺伝子発現測定キットは、各遺伝子発現量の具体的な測定原理等に応じて、適当な構成をとることが出来る。該キットは、例えば、本発明の蛋白質を特異的に認識する抗体から成る試薬、又は、上記のmRNA又はcDNAの測定の為の、上記遺伝子のヌクレオチドまたはその一部配列を含むヌクレオチドをターゲットとした、増幅用プライマー及びハイブリダイゼーション用のプローブを含むことが出来る。これらプライマー又はプローブは、その用途に応じて、適当な長さ、例えば、10〜100個の連続した塩基配列から成る。
以上のキットに構成要素として含まれる、各種のプライマー、プローブ、又は、抗体は、当業者に公知の任意の放射性物質、蛍光物質、色素等の適当な標識物質によって標識されていても良い。更に、上記キットには、その構成・使用目的などに応じて、当業者に公知の他の要素又は成分、例えば、各種試薬、酵素、緩衝液、反応プレート(容器)等が含まれる。
ここで上記の各遺伝子は、以下の表2〜表5に記載されているような遺伝子の名称及びアクセション番号を有するものであり、それらの塩基配列情報等は各寄託機関のデータベースから容易に入手することができる。ここで、表2に示した遺伝子は運動刺激に応答して発現が亢進(上昇)するものであり、一方、表3〜表5に示した遺伝子は運動刺激に応答して発現が減弱(減少)するものである。各表のカラムは、左より、遺伝子の名称、アクセション番号、電気パルス刺激によって何倍に亢進(>1)したのか、又は減弱(<1)したのかを示している。
更に、本発明における上記各遺伝子をコードするDNA(ゲノムDNA及びcDNA)には、上記の具体的な塩基配列からなるDNAの他に、上記DNA(又は、それらに対応するcDNA)と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAであって、実質的に各遺伝子の少なくとも一つの作用を有する蛋白質をコードするDNAが含まれる。
ここで、ハイブリダイゼーションは、例えば、Molecular cloninng third.ed.(Cold Spring Harbor Lab.Press,2001)、又は、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー(Current protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al.,1987)に記載の方法等、当業界で公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って行うことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行うことができる。
本明細書において、「ストリンジェントな条件下」とは、例えば、温度60℃〜68℃において、ナトリウム濃度15〜900mM、好ましくは15〜600mM、さらに好ましくは15〜150mM、pH6〜8であるような条件を挙げることができる。
従って、上記の配列番号で表される塩基配列を含むDNAと相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、該DNAの全塩基配列との相同性の程度が、全体の平均で、約80%以上、好ましくは約95%以上、更に好ましくは99%以上である塩基配列を含有するDNA等を挙げることができる。
このようなDNAは、例えば、上記各データベースの塩基配列情報等に基づき調製した適当なプライマーを用いてPCR等により取得することが可能である。また、本発明のDNAは当業者に公知の任意の方法によって化学合成することも可能である。
又、本発明の上記遺伝子は、上記各データベースの塩基配列にコードされるポリペプチド(蛋白質)に加えて、このようなアミノ酸配列において、1個若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、若しくは付加されたアミノ酸配列(上記アミノ酸配列と配列相同性を有するアミノ酸配列)からなり、実質的に各遺伝子の少なくとも一つの作用を有する蛋白質も含まれる。
2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性を決定するために、配列は比較に最適な状態に前処理される。例えば、一方の配列にギャップを入れることにより、他方の配列とのアラインメントの最適化を行う。その後、各部位におけるアミノ酸残基又は塩基が比較される。第一の配列におけるある部位に、第二の配列の相当する部位と同じアミノ酸残基又は塩基が存在する場合、それらの配列は、その部位において同一である。2つの配列における配列相同性は、配列間での同一である部位数の全部位(全アミノ酸又は全塩基)数に対する百分率で示される。
上記の原理に従い、2つの塩基配列又はアミノ酸配列における配列相同性は、例えば、Karlin及びAltschulのアルゴリズム(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:2264−2268、1990及びProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5877、1993)により決定される。このようなアルゴリズムを用いたBLASTプログラムやFASTAプログラムは、主に与えられた配列に対し、高い配列相同性を示す配列をデータベース中から検索するために用いられる。これらは、例えば、米国National Center for Biotechnology Informationのインターネット上のウェブサイトにおいて利用可能である。
上記のような塩基配列の配列相同性又はコードするアミノ酸配列の配列相同性を示すようなDNAは、上記各データベースの塩基配列情報等に基づき、当業者が容易に設計・調製することが可能である。
更に、本明細書の実施例で示されたように、上記遺伝子の発現産物、即ち、該遺伝子がコードする各種タンパク質、特に、分泌タンパク質は、運動刺激を受けた筋肉におけるインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量を増強又は抑制する作用を有する。従って、上記の遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子産物は、運動依存的な代謝改善効果を模すか若しくは増強する治療薬、又は予防薬である医薬組成物における有効成分として有用である。このような医薬組成物中には、例えば、C-X-C ligand 1、C-X-C ligand 4 、及びC-X-C ligand 5から選ばれる上記遺伝子の少なくとも1種、好ましくは少なくとも任意の3種類を含むことが出来る。
尚、このような「タンパク質」には、分泌タンパク質の生理作用を模す目的で作製される当業者に公知の各種の組換えタンパク質・ペプチド等が含まれる。これらタンパク質は、形質転換体は、例えば、該タンパク質をコードする遺伝子(核酸分子)が発現可能に結合された適当な組換え用ベクターを用いて当業者に公知の任意の方法で容易に作製することができる。
ここで、「組換えベクター」とは、プラスミド、またはウイルスを含む。一般的には、組換えベクターは、複製開始点、プロモータ等の発現調節配列、及び、その組換えベクターが細胞に導入されたときに選択を許容する特別な遺伝子等を含んでいる。本発明のために適切なベクターとしては、哺乳動物細胞システム用には、pMSXND発現ベクター、レトロウイルスベクター、及びアデノウイルスベクター等が含まれる。また、当業者であれば、本発明の実施のために、これら以外の適当なベクターを極めて容易に選択することができる。
又、「発現可能」とは、所定のアミノ酸配列をコードした核酸分子(DNA)が、所定の条件下で、そのアミノ酸配列を有するタンパク質を発現させる能力を有するという意味である。所定のアミノ酸配列をコードしたDNAが発現可能に結合されていると、そのDNAは所定の条件下で、所定のタンパク質を発現するということになる。具体的には、そのDNAは、ベクター中で発現調節配列に結合されている。ここで、「発現調節配列」とは、他の核酸配列の発現を調節する核酸配列のことを意味しており、他の核酸配列の転写、及び、好ましくは翻訳をも制御及び調節する。発現調節配列には、適当なプロモータ、エンハンサ、転写ターミネータ、タンパク質をコードする遺伝子における開始コドン(すなわちATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル、ポリアデニル化部位、及びストップコドン等が含まれる。
「プロモータ」とは、転写を行うために必要最小限な配列のことを意味している。プロモータには、細胞タイプ特異的、組織特異的、または外部からの信号や調節剤によってプロモータ依存的に遺伝子の発現を制御するプロモータ要素も含まれる。プロモータ要素は、発現されるDNAの5'領域、または3'領域のいずれかに結合される。また、プロモータには、恒常的(構成的)又は誘導的なもののいずれも含まれるが、該恒常的活性変異体を安定的に発現させて本発明の効果をより有効に得るためには、恒常的プロモータが好ましい。
哺乳動物細胞を形質転換体の宿主細胞として使用する場合には、哺乳動物細胞由来のプロモータ(例えば、メタロチオネインプロモータ)や、哺乳動物ウイルス由来のプロモータ(例えば、レトロウイルスの末端反復配列(LTR)、アデノウイルス後期プロモータ、ワクシニアウイルス7.5Kプロモータ等)等が使用できる。
尚、宿主細胞への上記の組換えベクターの導入は当業者に公知の任意の方法で行うことができる。例えば、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション、エレクトロポレーション、リポソーム、ウイルスベクター、各種のトランスフェクション試薬等によって、所望のDNAを導入することができる。
本発明の医薬組成物は公知の製剤学的方法により製剤化することが可能である。例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、徐放剤などと適宜組み合わせて製剤化して投与することが考えられる。本発明の医薬組成物は、水溶液、錠剤、カプセル、トローチ、バッカル錠、エリキシル、懸濁液、シロップ、点鼻液、または吸入液などの形態であり得る。本発明化合物の含有率は、治療目的、投与経路、治療対象等に応じて、当業者が適宜決定することが出来る。
患者への投与は、有効成分の性質に応じて、任意の経路で局所的投与又は全身投与することができる。例えば、経皮的、筋内的、腹腔内、静脈内、脊髄腔内、または経口的に行なうことができる。例えば、筋肉あるいはその近傍組織に任意の適当な手段で導入するのが望ましい。当業者であれば、患者の年齢、体重、症状、投与方法等に応じて、適宜適当な投与量を選択することが可能である。投与量、投与方法は、本発明の医薬組成物の有効成分の組織移行性、治療目的、患者の体重や年齢、症状等に応じて、当業者であれば適宜選択することが可能である。例えば、少なくとも1nM以上、好ましくは10nM以上、より好ましくは100nM以上、より好ましくは1μM以上となるように投与することが出来る。
又、上記運動依存的な代謝改善効果を模すか若しくは増強する目的で、当業者に任意の公知の方法を用いて、上記遺伝子がコードするタンパク質、その組換えタンパク質・ペプチドの発現、導入、あるいは抑制を行うことができる。好ましくは、通常の血管内あるいは筋肉内注射による分泌タンパク質や分泌タンパク質に対する抗体の導入等を用いて行う。また、分泌タンパク質を多量に産生する内在性あるいは外在性のマクロファージをはじめとする細胞を直接導入する方法や、ウイルスベクターなどを用いた遺伝子発現系を用いた形質転換体による分泌タンパク質の筋肉あるいはその近傍組織での発現系、さらには分泌タンパク質に対する抗体などの体内での産生、分泌タンパク質に対する阻害物質、RNA干渉法を用いた分泌タンパク質の抑制なども利用することもできる。
更に、被検物質の存在下又は非存在下で、本発明の方法による上記各遺伝子の発現量を測定することによって、該遺伝子の発現量を変動させ得る物質をスクリーニングすることが可能である。この方法でスクリーニングされた物質は、運動刺激による筋肉へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の増強又は抑制作用を修飾(変化)する物質である。例えば、C-X-C ligand 1、C-X-C ligand 4 、及び/又はC-X-C ligand 5の発現を増加させる物質は、運動刺激による筋肉へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の増強を促進する作用を有する。一方で、Wnt inhibitory factor-1 (WIF-1) の発現を増加させる物質は、運動刺激による筋肉へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の抑制を促進する作用を有する。従って、このようなスクリーングによって選択された物質は上記の作用を有する活性成分として、医薬剤として有用である。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではなく、本明細書の記載に基づき、当業者が容易に想到し得る任意の変型・修飾法も本発明の範囲である。又、特に記載のない場合には、以下の実施例は、例えば、Sambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている当業者に公知の周知方法で実施した。
上記したような本発明者等によって開発された培養筋細胞系を用いて筋管細胞を形成させた。即ち、ダルベッコ改変イーグル培地に10%牛胎児血清を添加した培養液でコンフルエントになるまで培養したマウス由来筋芽細胞C2C12(ATCC No.CRL1772)を、ダルベッコ改変イーグル培地+2%牛血清+200%アミノ酸増強培養液(表1)で6日間培養することで筋管細胞を形成させた。なお、培養液の交換は24時間おきに行った。この筋管細胞に40V, 1Hz, 2ms, 24時間の電気パルス刺激を与えることで、擬似的な運動刺激を筋管細胞に与えた(24h+EP)。一方、24時間の電気パルス刺激下の培養に代えて、無血清ダルベッコ改変イーグル培地中で電気パルス刺激を与えない状態で4時間培養して得られた筋管細胞を対照群(24h -EP)とした。運動刺激効果は、AMPキナーゼのリン酸化ならびにAMPキナーゼの基質であるアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼリン酸化、伸展刺激の指標となるErk5, JNK, p38のリン酸化、ならびに糖取り込み量の増加、GLUT4膜移行量の測定を用いて確認した。
その結果、電気パルス刺激によってAMPキナーゼのリン酸化 (図1A; phospho-AMPK)、AMPキナーゼ基質であるアセチルCoAカルボキシラーゼのリン酸化(図1A; phospho-ACC)が亢進した。また、伸展刺激に応答したErk5、Erk1/2, JNKのリン酸化の上昇も観察された(図1B)。又、細胞の糖取り込み量を測定した結果、電気パルス刺激によって約1.5倍に増加することがわかった(図1C)。更に、GLUT4膜移行量を測定した結果、電気パルス刺激は基底状態でのGLUT4膜移行量を増加させるとともに、インスリン依存的なGLUT4膜移行を増強することが明らかとなった (図1D, E)。以上のことは電気パルス刺激に運動様の効果が引き起こされていることを示しており、電気パルス刺激は「擬似的運動刺激」であることが確認された。
尚、AMPキナーゼのリン酸化ならびにAMPキナーゼの基質であるアセチルコエンザイムAカルボキシラーゼリン酸化は、非特許文献3に記載の方法を用い、Phospho-ACC抗体(#07-303, Ser79, Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)とPhospho-AMPK抗体(#07-626, Thr172, Upstate Biotechnology, Lake Placid, NY)によるウエスタンブロット法による解析を行った。
又、Erk5、Erk1/2、JNK、p38のリン酸化は、それぞれAnti-phospho BMK1/Erk5 antibody (T218/Y220, Upstate #07-507, Cross react with phospho Erk1/2), Anti-JNK antibody (T183/Y185, T221/Y223, Upstate #07-175), anti-phospho p38 antibody (T180/Y182, Upstate #09-272)を用いて、非特許文献3に記載の方法を用いて行った。
更に、糖取り込み量は、従来の2−デオキシグルコースの取り込み方法(Kanzaki M and Pessin JE, J Biol Chem, 2001年、第276巻(45号), 42436-42444頁)を基に改変した、特開2006−296282号公報に記載の方法を用いた。
又、GLUT4膜移行量は、以下に記載するような特開2006−340637号公報に記載の方法を用いた。
[組換え型GLUT4の膜移行活性の測定方法]
分化型培養筋管細胞を用いて組換え型GLUT4の膜移行活性を測定するものである。具体的には、例えば、該細胞を固定した後、細胞膜上に存在する組換え型GLUT4の細胞外部位の標識物質の量、即ち、組換え型GLUT4の細胞膜への移行量、を測定することから成る。この場合には、ある時点で細胞膜上に存在する組換え型GLUT4の量を測定することになる。この方法では、例えば、当業者に公知の方法により、該標識物質に対する抗体を用いた免疫染色法により標識物質の量を測定することが出来る。より具体的には、ローダミンなどの蛍光色素を結合させた二次抗体を反応させて、その蛍光量を共焦点顕微鏡など使用して測定する。
外来の刺激などによって細胞膜上に移行したGLUT4は、その後、エンドサイトーシスによって細胞内に再び移動することが知られている。従って、組換え型GLUT4の膜移行活性を測定するための別の方法として、細胞膜上に存在する組換え型GLUT4、及び細胞膜上に移行した後に再び細胞内に取り込まれた組換え型GLUT4の細胞外部位の標識物質の量を測定することもできる。この場合には、ある一定期間中に細胞膜上に移行した組換え型GLUT4の総量を測定することが可能となる。この方法、例えば、当業者に公知の方法により、標識物質に対する抗体を適当量、例えば、0.01〜500μg/ml含む培養液中で分化型培養筋管細胞を培養し、その後、該細胞抽出液中に含まれる該抗体の量を抗原抗体反応を利用して測定することが出来る。標識物質の量は、例えば、標識物質が放射性物質である場合には、液体シンチレーションカウンター又はSDS−PAGEを用いて直接測定することができ、又、細胞免疫染色法、ELISA (Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)、免疫沈降法、及びウェスタンブロット法等の当業者に公知の任意の方法で測定することが出来る。
次に、上記のように24時間の電気パルス刺激を与えられた筋管細胞(24h+EP)と、対照群(24h-EP)の培養液を採取し、この中に含まれる分泌タンパク質量を測定した。尚、各分泌タンパク質量は、夫々、Mouse KC Quantikine ELISA kit (R&D systems, MKC00B), Mouse LIX DuoSet (R&D Biosystems, DY443), Mouse IL-6 ELISA Ready-SET-Go! (eBioscience, #88-7064)を用いて、添付プロトコール記載のELISA法で実施した。
こうして、擬似的運動刺激を与えられたC2C12筋管細胞、及び与えないC2C12筋管細胞(対照群)を、0.2%コラゲナーゼで添加して細胞培養ディッシュ底面より剥離させ、14μmのステンレスメッシュを通過させることによって、通過できない多核筋管細胞のみを採取した。この粗精製されたC2C12筋管細胞よりTrizol Reagent(Invitrogen, San Diego, CA, USA)を用いてトータルRNAを抽出、含まれる分泌タンパク質をコードする遺伝子発現を当業者に公知のDNAマイクロアレイで解析した。解析の結果、運動刺激に応答して、表2に示した遺伝子の発現は亢進(上昇)し、一方、表3〜表5に示した遺伝子の発現は減弱(減少)していることが明らかとなった。各表のカラムは、左より、遺伝子の名称、アクセション番号、電気パルス刺激によって何倍に亢進(>1)したのか、又は減弱(<1)したのかを示している。
次に、表1に示された遺伝子がコードする蛋白質の発現量について両群を比較した結果、電気パルス刺激(擬似的運動刺激)によって、インターロイキン6(IL-6;図2A)やC-X-C ligand 1 (CXCL1/KC; 図2B)、C-X-C ligand 5 (CXCL5/LIX; 図2C)等のケモカイン類の分泌量が有意に増加していることがわかった。なお、細胞を培養していない培養液にはこれらのファクターは全く含まれていない(DMEM + 2%CS)。更に、in vitroの利点を生かした詳細な解析を行った結果、CXCL1とCXCL5は電気パルス付与後1時間という極めて早い時間に産生が開始される一方、電気パルス刺激依存的なIL-6発現量増加には12時間以上の長い電気パルス刺激が必要であることがわかった(図3A-C)。
又、これらの分泌タンパク質の産生は、電気パルス頻度(Hz)依存的であることも明らかとなった。即ち、0.1 Hzの頻度では、電気パルス刺激依存的なタンパク質分泌量の増加はほとんど観察されなかったが、1 Hzでは明らかに増加していることが観察された。このことは、これらのタンパク質群の産生量は、電気パルス頻度、即ち、運動の強度に緻密に応答(正の相関)して制御されていることを示している(図4A-C)。
更に、これら分泌タンパク質の産生の詳細を解析したところ、これらのタンパク質は運動刺激によってのみ特異的に産生・分泌され、他の刺激、たとえばインスリン刺激や細胞外糖濃度の変化では産生されないことが明らかとなった。
即ち、分化したC2C12筋管細胞を、100 nMインスリンを添加又は添加していない条件下で、5 mM glucose (LG)又は22.5 mM glucose (HG)を含むDMEM+2%CSに交換し、40V, 2ms, 1Hzの条件で電気パルス刺激を行った。6時間後、あるいは24時間後に培地を回収し、含まれる分泌タンパク質の量を測定した。その結果、インスリン刺激や細胞外糖濃度の変化は、CXCL1とCXCL5の分泌量を変化させず、これらの分泌タンパク質量の変化は運動によってのみ生じていることが判った(図5A-D)。
さらに、運動刺激に応答したこれらファクターの産生機構を調べた。まず、複数存在するMAPキナーゼの関与を解析する目的で、タンパク質合成阻害剤(CHX;10μg/ml cycloheximide)やカルシウムキレーター(EGTA; 2 mM EGTA)が、電気パルス(40V, 1Hz, 2ms, 24 hours)に応答したCXCL1/KCあるいはCXCL5/LIXの産生にどのような影響を与えるかについて解析を行った。その結果、タンパク質合成阻害剤(CHX)やカルシウムキレーター(EGTA)は、電気パルス刺激が誘導するこれらケモカインの産生を抑制することが明らかとなった(図6A,B,D,E)。
次に、種々のMAPキナーゼ阻害剤が、電気パルスに応答したCXCL1/KCあるいはCXCL5/LIXの産生にどのような影響を与えるかについて解析を行った(図6C, F)。ERK1/2の活性化を阻害するPD98059(10 μM),JNKの阻害剤PHZ1264(20 μM),そしてp38阻害剤をSB203580(10 μM)の存在下、あるいは非存在下、40V,1Hz,2ms,6時間の条件で電気パルス刺激を行い、培地中に産生されたCXCL1/KCあるいはCXCL5/LIX量を測定した。結果、MAPキナーゼ阻害剤は、電気パルス刺激が誘導するこれらケモカインの産生を抑制することが明らかとなった(図6)。
また、この時のMAPキナーゼ活性化を調べたところ、ERKやJNKについては電気パルス刺激に応答した活性化が観察されたものの、p38については電気パルス刺激によって活性低下していた(図1B)。30分間のEPS処理ではp38の活性化はコントロールと比較して亢進していたことを併せると、EPSによって活性化されたMAPキナーゼは、同じくEPSによって誘導されるフィードバックシステムによって活性維持あるいは不活性化される可能性が強く示唆された。MAPキナーゼを脱リン酸化するホスファターゼ(デュアルスペシフィシティーホスファターゼ)についてEPS依存的な発現を調べたところ、DUSP4,18をはじめとする遺伝子発現が減弱していることが明らかとなった(表3〜5)このように、電気パルス刺激、すなわち疑似的な運動刺激は遺伝子発現を増加させるだけでなく、いくつかの遺伝子発現を減弱していることがわかる。したがって、MAPキナーゼ活性化やそれを制御する表3〜5に示すホスファターゼの遺伝子発現も運動効果の指標となりうることを示している。
次に、擬似的運動刺激によって発現が上昇した遺伝子がコードする蛋白質の作用について、インスリン依存的あるいは非依存的なグルコース輸送担体4(GLUT4)膜移行を指標とした糖代謝に及ぼす影響を確認した。即ち、分化したMycタグ標識GLUT4を発現するC2C12筋管細胞(特開2006−240637号に記載の方法で作製した)に10 ng/ml CXCL1/KC、50 ng/ml CXCL5/LIX、25ng/ml CXCL4/PF4、10ng/ml IL-6、10ng/ml WIF-1(以上すべてR&D Biosciencesより購入)、又はGPR43のリガンドである10 mMアセテート(和光純薬(株)より購入)で1時間あるいは4時間刺激したのち、100 nMあるいは0 nMインスリンで60分間刺激した。GLUT4膜移行量の測定は、特開2006−240637号に記載の方法で測定した。
CXCL1/KCを添加した場合、基底状態でのGLUT4膜移行量に変化はなかったがインスリン依存的なGLUT4膜移行量を増強した。またCXCL5/LIX、CXCL4/PF4、IL-6については基底状態でのGLUT4膜移行量を増加させるとともに、インスリン依存的なGLUT4膜移行量を促進した(図7A-C)。特にCXCL1とCXCL5の濃度に応答したインスリン依存性GLUT4膜移行の増強を解析した結果、約1 ng/mlのCXCL1あるいはCXCL5の添加によってインスリン依存的なGLUT4膜移行は増強されることがわかった(図7B, C)。
一方WIF-1は、基底状態のGLUT4膜移行量を増加させたもののインスリン依存的なGLUT4膜移行を阻害、即ち、インスリン抵抗性状態を呈した(図7A)。又、アセテート(GPR43のリガンド)は、1時間処理でのみ基底状態のGLUT4膜移行を促進する傾向がみられたものの、4時間処理ではこのような効果は見られず、さらにインスリン依存的なGLUT4膜移行に対しては阻害的な効果を示した(図7A)。このように、このような分泌タンパク質群及びその受容体群は運動により増加するが、細胞の代謝における役割は、促進的な作用と抑制的な作用の両方が混在していることがわかる。
運動刺激は筋肉への糖取り込みを促進することが知られているが、以上の結果から、CXCL1、CXCL5、WIF-1、GPR43などのタンパク質はその促進作用の一部を仲介していることが強く示唆される。さらに、運動刺激は一般的にインスリン依存的な糖取り込みを増強するとされており、CXCL1、CXCL5はその増強作用の一部を仲介していることも示している。一方で、運動はインスリン抵抗性を引き起こすファクター(WIF1、GPR43)をも産生していることがはじめて明らかとなり、これらの分泌タンパク質、ならびにその受容体の複合的な影響が、運動後のインスリン反応性を規定していることがわかる。従って、筋肉へのGLUT4膜移行を制御するこのような運動依存的な分泌タンパク質は、筋肉での糖取り込みや筋グリコーゲン量の調節など、筋糖代謝に極めて重要な役割を果たしているタンパク質であることがわかる。
本発明を利用することにより、ヒトをはじめとする動物の筋肉、さらにはこれらより採取した筋肉、さらにはこれらより樹立された筋細胞において、運動強度や代謝変化などを極めて簡便かつ再現性よく評価することが可能となる。
まず、ヒトをはじめとする動物の筋肉での運動を、簡便かつ低侵襲的に評価することが可能となる。これら遺伝子の発現状況の解析によって、特定の強度の運動が、正常あるいは病態時における個々人の筋代謝能をどの程度改善するのかを予測することができる。その結果、同量の運動を付加してもその効果について極めて個人差が大きい運動効果の評価などを容易にし、また病態時においても、対象個人特異的な運動療法を予測、情報提供することが可能となる。更に、糖尿病をはじめとする疾患への将来的な罹患リスクを評価することも可能となる。
又、本発明方法を利用することにより、対運動効果の評価ならびに糖尿病や肥満症などのリスク評価、また運動効果を模すあるいは運動効果を増強することで組織ならびに体全体の代謝状態を改善することが可能となる。
又、これらの分泌タンパク質ならびに/あるいは細胞内タンパク質(酵素)の血中あるいは筋近傍への投与、あるいは遺伝子治療などを用いた遺伝子発現系を利用することによって運動依存的な代謝能改善効果を模す、あるいは、さらに増強させることもできる。
又、本発明の方法によって、食肉産業において飼育される家禽動物へ及ぼす運動効果を予測することも可能となり、どのような運動が家禽動物の食材としての価値を高めるかなどを簡便に評価することが可能となり、あるいは、本発明の酵素タンパク質又は分泌タンパク質及びそれらの受容体、それらをコードする遺伝子、それらの生理作用を修飾する物質を利用することによって、食材としての価値を高めることも可能となる。
更に、培養筋細胞系を用いた運動効果のメカニズムを探索する際にも、本発明による分泌タンパク質、その受容体、その抗体、それらをコードする遺伝子、それらの生理作用を修飾する物質の利用によって、運動効果のメカニズムの一部あるいは全容が明らかになり、そのメカニズムの一部あるいは全部が、運動依存的な代謝変化を模した食品、あるいは薬品開発の一助となることも考えられる。

Claims (10)

  1. 被検物質の存在下又は非存在下で、初代培養筋細胞、培養筋細胞又は培養筋管細胞への電気パルス刺激による、C-X-C ligand 1、C-X-C ligand 5、Wnt inhibitory factor-1 (WIF-1)及びGPR43から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の該細胞における発現量の変動を測定し、その発現量を変動させる物質を選択することから成る、電気パルス刺激による該細胞へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の増強又は抑制作用を変化させる物質をスクリーニングする方法。
  2. 遺伝子がC-X-C ligand 1又はC-X-C ligand 5である、電気パルス刺激による細胞へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の増強を変化させる物質をスクリーニングする、請求項1記載の方法。
  3. 遺伝子がWnt inhibitory factor-1 (WIF-1)である、電気パルス刺激による細胞へのインスリン依存的な糖の取り込み又はGLUT4膜移行量の抑制を変化させる物質をスクリーニングする、請求項1記載の方法。
  4. 細胞が培養筋管細胞である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 遺伝子の発現量を該遺伝子の転写後の段階で測定する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 遺伝子の発現量を、ノーザンブロット法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、in situ ハイブリダイゼーション法、又はマイクロアレイ法により測定する、請求項5記載の方法。
  7. 遺伝子の発現量を該遺伝子の翻訳後の段階で測定する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
  8. 遺伝子の発現量を、ウエスタンブロット法、RIA法、ELISA法、又は、免疫染色法により測定する、請求項7記載の方法。
  9. C-X-C ligand 1、C-X-C ligand 5、Wnt inhibitory factor-1 (WIF-1)及びGPR43から成る遺伝子群から選択される少なくとも一種類の遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチドまたはその一部配列を含むヌクレオチドをターゲットとしたプローブあるいはプライマーを含む、請求項1〜8記載のいずれか一項に記載の方法に使用する遺伝子発現測定キット。
  10. C-X-C ligand 1又はC-X-C ligand 5遺伝子の発現産物を有効成分として含有する、運動依存的な代謝改善効果を模すか若しくは増強するための治療薬、又は予防薬。
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