JP5787257B2 - 試料内の対象構造の高空間分解能結像 - Google Patents

試料内の対象構造の高空間分解能結像 Download PDF

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Description

本発明は、請求項1の前文の特徴を含む、試料内の対象構造を高空間分解能で結像する方法に関する。
(特許文献1)には、試料内の対象構造を高空間分解能で結像する方法であって、対象構造が、いわゆる光転移可能な光学マーキングの形態の切り替え可能な蛍光染料でマーキングされる、方法が開示されている。マーキングの部分集合がそれぞれ活性化され、励起して蛍光することができる状態になる。各部分集合は、互いから、試料をセンサアレイに結像する空間分解能限界よりも大きな距離に配置されるような少数のマーキングを含む。これにより、部分集合のマーキングを励起させ蛍光させた後、試料をセンサアレイ上に結像する空間分解能に適用される回折限界よりも良好な分解能で蛍光を発する位置を特定することが可能になり、それにより、マーキングされた対象構造点のそれぞれもこの向上した分解能で記録される。信号をアクティブ化することにより、励起して蛍光を発することができる状態に切り替え可能であるという意味で光転移可能な光学マーキングが、(特許文献1)に記載されている。この活性化信号は、続けてマーキングを励起させて蛍光させる励起光と同じであり得る。(特許文献1)に開示されている光転移可能な光学マーキングのより具体的な実施形態は、排他的に、光活性化可能な蛍光タンパク質、すなわち、少なくとも1つの光子を吸収した後でのみ蛍光体になる分子を含み、又は換言すれば、分子が蛍光性を有するには、最初にオンに切り替えられる必要がある。活性化又は切り替えプロセスは、分子の分子構造の変更(原子団の位置替え又は結合の破断若しくは形成)を必要とする。(特許文献1)から既知の方法は、PALM(光活性化位置特定顕微鏡法)とも呼ばれる。
STORM(確率的光学再構築顕微鏡法)として既知であり、Rust等により(非特許文献1)に記載されている同様の方法も同様に、蛍光状態に切り替え可能な分子、すなわち、切り替え可能な蛍光染料を使用するが、これらはタンパク質ではなく、光切り替え可能な有機蛍光体、特に、蛍光染料Cy3及びCy5である。これらシアニン染料に関して、異なる配座状態間、より具体的には異性体間で切り替え可能なことが既知である。
PALM法及びSTORM法の欠点は、試料内の対象構造がいつ、分子の位置をさらに特定しても、追加の有用情報が提供されないため、情報を終了し得るような完全な程度まで記録されるかを予測不可能なことである。
PALMIRA(取得が独立して実行されるPALM)として既知の、請求項1の前文の特徴を含む、試料内の構造を高空間分解能で結像する方法が、(非特許文献2)に記載されている。この場合、試料内の対象構造は、切り替え可能な蛍光タンパク質でマーキングされる。具体的には、これは、rsFastLimeの名称のタンパク質であり、488nmの波長を有する光により、初期状態において励起して蛍光するのみならず、部分的にオフに切り替えられて非蛍光状態になり、部分的に再び非蛍光状態から元の蛍光状態に切り替えられもする。基本となるメカニズムは蛍光体の配座変更である。切り替え可能な蛍光タンパク質のこれら性質により、単一波長のみの光を使用して、蛍光分子が回折限界よりも大きな相互間隔にあるタンパク質の蛍光分子の部分集合を交互にセットアップし、蛍光可能な分子を励起させて蛍光させることが可能になる。それにより、連続して、すなわち高周波数で、蛍光分子の交互になった部分集合を登録する画像を記録することが可能であり、登録された各分子の位置を回折限界を超える精度で特定可能である。画像の組み合わせを使用して、試料内の構造は、回折限界よりも細かい空間分解能で記録される。
上記方法により使用される切り替え可能な蛍光タンパク質は、(特許文献2)及び(特許文献3)に記載されているRESOLFT(反転可能な可飽和光学蛍光遷移)と呼ばれる、試料内の対象構造を高空間分解能で結像する方法で初めて使用された。
RESOLFT、PALMIRA、PALM、及びSTORMに使用可能な切り替え可能なタンパク質及び蛍光体の範囲は、基本的に既知で入手可能な蛍光染料の総数と比較して非常に狭い。切り替え可能であり、且つ(切り替え状態のうちの1つにおいて)蛍光可能な染料は非常に希である。したがって、それら染料は、面倒な方法で合成され最適化される。これに加えて、切り替え挙動及び蛍光挙動は、分子の化学環境に非常に強く依存する。これは、切り替え可能な蛍光タンパク質及び切り替え可能な有機蛍光体の両方に対して当てはまる。この欠点は基本的なものとして見なされるべきであり、特に、分子の蛍光性及び切り替えが、同じ励起状態から互いに競合することが多い、相互に競合する分子プロセスであることに関連する。蛍光状態での切り替え可能な蛍光染料の輝度、すなわち、繰り返される励起中の分子からの蛍光の相対収量も、多くの場合、多くの非切り替え可能な有機蛍光体及び非切り替え可能な蛍光タンパク質と比較してごくわずかである。しかし、今日まで、対象構造を結像する上記方法により達成可能な高空間分解能を得るには、切り替え可能なタンパク質又は蛍光体による強力な制限に対処する必要があった。
いわゆるGSD(基底状態抑制)顕微鏡法(非特許文献3)では、試料内の蛍光染料でマーキングされた構造を結像する回折限界は、各測定点外の各蛍光染料を、励起光により励起して蛍光可能な電子基底状態から、蛍光不可能な暗電子状態に変換することにより解消される。これは、励起光と同じ波長を有する低減光(depopulating light)により測定点の残りの分子を励起させて蛍光させる前に行われる。暗電子状態は通常、三重項状態であるのに対して、蛍光染料の基底状態は一重項状態である。分子は通常、この暗状態から電子基底状態に熱的に戻り、すなわち非(光学的)に切り替えられるため、実験の実行に、単一波長の光、すなわち、励起光のみが必要である。
国際公開出願第2006/127692A2号パンフレット 米国特許出願公開第2004/0212799A1号明細書 米国特許出願公開第2006/0038993A1号明細書
Nature Methods, 3, 793−796 (2006) C. Geisler, A. Schoenle, C. von Middendorff, H. Bock, C. Eggeling, A. Egner and S. W. Hell: Resolution of λ/10 in fluorescence microscopy using fast single moledule photo−switching, Appl. Phys. A 88, 223−226 (2007) S. Bretschneider等: Breaking the diffraction barrier in fluorescence microscopy by optical shelving, Phys. Rev. Lett. 98, 218103 (2007) BioForum Europe 6, 51−59 (2005)
本発明の課題は、PALMIRA、PALM、及びSTORMとして既知の方法の分解能利点を利用するが、適した切り替え可能な蛍光染料の数が限られることに関連する欠点を回避する、請求項1の前文の特徴を含む、試料内の対象構造を高空間分解能で結像する方法を提供することである。
この課題は、独立請求項1に記載の方法により解決される。この新しい方法の好ましい実施形態が、従属請求項2〜20に定義される。
PALMIRAに関して説明した方法と本質的に同じ手順を有するにも拘わらず、本発明の方法は切り替え可能なタンパク質又は蛍光体を使用せずに行われるのは非常に驚くべきことである。切り替え可能なタンパク質又は蛍光体に代えて、この新しい方法の蛍光染料として、第1及び第2の状態が物質の異なる電子状態、すなわち、電子項のみが互いに異なる物質の状態である物質が使用される。次に、この物質は、(特許文献2)及び(特許文献3)においてマーキングに使用される物質の定義に含まれず、任意の従来の非切り替え可能な蛍光染料であり得る。励起して蛍光可能な電子基底状態の他に、実際にすべての従来の蛍光染料が電子暗状態を有し、蛍光性を励起させるために使用できる波長と同じ波長の光を使用しての励起により、妥当な速度で電子暗状態に変換することができる。これらは一般に、蛍光可能な基底状態としては一重項状態であり、暗状態としては三重項状態である。普通の蛍光顕微鏡法では、特に、高強度の励起光を使用しての、蛍光染料の、励起した一重項状態ではなく非蛍光三重項状態への部分的な変換は、欠点として知られている。その理由は、試料からの蛍光の収量が低減するためである。試料内の対象構造のマーキングに使用された物質の任意の個々の分子の位置を、分子からの蛍光を分離状態で、すなわち、近傍分子の蛍光とは別個に登録可能な場合のみ、回折限界よりも良好な分解能で記録できるため、本発明ではこの作用が特に利用される。このためには、ごく少数の分子のそれぞれが第1の状態であるべきである。
本発明の新しい方法では、多くの場合、試料内の蛍光染料の非蛍光状態の寿命を変更する対策を実施することが有利である。しかし、従来の蛍光顕微鏡法とは対照的に、これには、多くの場合、第2の非蛍光状態の寿命を短くするよりもむしろ長くすることが含まれる。そのような寿命を延長する対策としては、熱励起が衝突誘起遷移まで低減する低い温度まで試料を冷却すること、例えば、酸素に結合するグルコースオキシダーゼを使用して、又は真空内で測定することにより、又はポリマー、例えばPVA内に試料を固定若しくは埋め込むことにより、蛍光染料の三重項状態を消失させる試料内の酸素濃度を低減することが挙げられる。第2の非蛍光状態の寿命を延ばすことにより、より低強度の第1の波長の光を使用してさえも、大部分の蛍光染料を第2の非蛍光状態に保つことが可能になる。
しかし、この新しい方法では、蛍光染料の第2の非蛍光状態の寿命を意図的に低減させて、特に低い初期濃度の蛍光染料を使用して、試料から集められる蛍光の強度を増大させ、ひいては、全体の測定時間を低減することが有利な場合さえもあり得る。これは、例えば、蛍光染料の蛍光状態への戻り率を増大せる第2の波長の光を使用して試料を照明することを含み得る。
従来の蛍光染料が三重項状態から退色する既知の危険性も同様に、この新しい方法では問題を呈さない。厳密に言えば、蛍光染料の分子の大部分が、第2の非蛍光状態又は異なる蛍光性の第2の状態になった後、もう一度、第1の蛍光状態に戻るだけで十分である。このように戻った後、分子は個々に登録される。続く分子の運命は重要ではない。例えば、分子は再び三重項状態になり、三重項状態から退色され得る。
本発明のこの新しい方法では、残りの非退色分子が登録される前に、蛍光染料の部分退色さえも意図的に実行される場合もある。この新しい方法は、蛍光染料の分子が試料内で特定の空間密度を超えない場合に特に実行することができる。その理由は、特定の空間密度を超えない場合、第1の状態に残っている分子のうちの特定の割合も、特定の空間密度を超えず、これが、個々の分子を別個に登録できるようにするために重要であるためである。他方、試料内の蛍光染料の実際の密度が特定の空間密度を超える場合、分子を個々に登録することが難しくなる恐れがある。この問題を回避するために、高強度の一波長又は別の波長の光による退色により、余分な蛍光染料を永久的にオフにし得る。すなわち、第1の状態及び第2の状態と頃なる永久的な暗状態に変換し得る。蛍光染料がもはや個々の分子を登録する画像記録ステップに関わらないこの永久的な暗状態は通常、個々の分子のこの登録のために本発明により使用される第1の状態及び第2の状態から電子的のみならず、化学的にも異なる。
本発明のこの新しい方法は、ローダミン(Rhodamine)6G等の当業者にとって非切り替え可能として既知の市販の蛍光染料を使用して首尾よく実行された。この蛍光染料を使用する従来の蛍光顕微鏡法と比較して、試料準備の際の異なる好ましい詳細は別として、実行のために、画像がセンサアレイにより記録される周波数を使用して、一波長の光の強度を調整する必要があるだけである。このために必要な機器要件は、多くの蛍光顕微鏡により満たされる。本発明では、本発明による方法に従って一波長の光の強度制御を変更する必要があるだけである。代替として、センサアレイ又はセンサアレイを備えたカメラにより記録される画像の周波数が変更される。したがって、新しい蛍光顕微鏡法は、一波長の光の強度を制御する特別な設計によってのみ区別される。好ましくは、この場合、オンライン画像処理が、センサアレイにより記録された個々の画像に対して提供される。
この評価は、一波長の光の強度を、個々の画像内で互いから空間的に隔てられた個々の分子の蛍光を実際に登録できるようにするような値に調整するために役立つ。一波長の光の強度に設定される値は、一定値であり得る。これは、記録画像の画像周波数よりもはるかに高い周波数を有する非常に高速のパルスシーケンスも含む。しかし、一波長の光の強度は、例えば、第1の状態にある物質の分子の部分集合を意図的に個々の画像間でセットアップし、個々の画像の記録中に、主としてセットアップされた部分集合の分子を励起させて蛍光させるために、画像の記録順に伴って時間的に変調される強度プロファイルを有してもよい。さらに、この場合、一波長の光を各対象領域に連続して(時間変調強度プロファイルを使用して)、又は画像を記録する際に消失しないパルスで(同様に時間変調強度プロファイルを使用して)向け得る。
個々の記録画像のオンライン評価は、物質の空間的に分離不可能な蛍光分子を特定するために使用し得、その上で、そのような分離不可能な蛍光分子の密度が選択された閾値(通常、下限閾値が定義される)を下回るまで、光の強度を変更し得る。好ましい強度の範囲は、記録画像をオンライン評価し、物質の分離可能な蛍光分子を示す最高密度を決定し、そのような分離可能な蛍光分子の密度閾値に下から達するように(通常、上限閾値が定義される)光の強度を変更することにより、さらに定義し得る。これは、一方では、蛍光状態の分子が、もはや互いに分離可能に登録できなくなるほど高い密度を有さないことが重要であり、他方では、各画像の対象構造について可能な限り多くの情報を得るためには、この限度を下回る密度が可能な限り高くあるべきであるため、望ましい。また、放射光の強度は、必要なだけ高い強度であるが、潜在的なフォトダメージを回避するために、可能な限り低い強度であるべきである。
主に物質を本質的に第2の状態に変換するために使用される、一波長の光に物質を最初に曝すことは、試料内の物質のすべての蛍光の強度分布をセンサアレイにより記録するためにも使用し得る。この強度は、試料をセンサアレイ上に結像する空間分解能での試料内の物質の密度分布に対応する。
試料内の物質のこの密度分布は、試料内の物質でマーキングされた対象構造の位置の全体像を表す。それにより、例えば、マーキングされた構造の部分が実際に存在する試料の領域に集中することができるため、この新しい方法の後続ステップを簡易化する。これは通常、切り替え可能な上記すべての活性化可能な蛍光体では、最初に大半の部分で蛍光状態にあり、信号の不在により全体像が阻止されるため、不可能である。
試料内の物質の密度分布に応じて、一波長の光の強度も、より詳細に調べられる領域毎に調整し得、又は少なくとも、概ね適した値に事前設定し、後で微調整を行い得る。さらに、試料の同じ領域のさらなる画像を記録する位置特定終了基準を、試料内の物質の密度分布に基づいて定義し得る。試料のある領域の追加画像の情報内容は、各領域内の物質の密度に依存する情報内容の低減に伴って低減する。領域に物質のごく少数の分子のみが存在する場合、分子の大部分の位置を記録するには、比較的少数の画像で十分である。それ以上の画像は、これに関連して冗長情報にしか寄与しない。この状況は、領域内の物質の密度が非常に高い場合では異なる。その場合、画像が多くとも、記録されるのは試料内の物質のごくわずかな部分のみであり、さらなる各画像が新しい情報を提供する。
具体的には、この新しい方法では、連続画像に登録された分子の各位置を、試料内の対象構造の高分解能全体画像に入力し得るのみならず、センサアレイへの試料の結像のPSF(点広がり関数)又はそこから導出される関数を使用して畳み込み、初期に記録された強度分布の再構築にも入力し得る。この再構築が最初に記録される強度分布又は導出分布に特定の忠実度で似る場合、さらなる画像からのさらなる分子の位置を使用しても、対象構造についての有意の情報はそれ以上期待すべきではない。PSF又は関連する関数との畳み込みの場合、各分子の輝度を重み付け係数として考慮に入れ得る。最初に記録される強度分布に対する再構築の類似度の尺度として、様々な値、例えば、正規化された強度分布の相互相関、単純な差分、若しくは二次偏差、又は強度分布の空間周波数(フーリエ変換)間の偏差を利用し得る。
この新しい方法は特に、生物学的試料自体が非切り替え可能な蛍光染料、又は非切り替え可能な蛍光染料用若しくはそこに結合されたリンカ用の特定の結合部位を発現するように、遺伝子技術を使用して生物学的試料を改変することにより、試料の対象構造を非切り替え可能蛍光体でマーキングする場合に適する。試料内の対象構造は、FlAsh、スナップ(snap)タグ、又はハロ(halo)タグ等のいわゆる小標識(small label)又は自己標識タンパク質タグを介して、このようにして非切り替え可能な有機染料で特に有利にマーキングされる。これら及び同様の概念は基本的に、当業者に既知である。例えば、http://www.promega.com/cnotes/cn011/cn011_02.htm、http://www.covalys.com/、又は(非特許文献4)を参照のこと。これは、広範囲の従来の蛍光染料を使用して高分解能で生物学的試料内のタンパク質を結像できるようにする。
この新しい方法において利用される蛍光染料の場合、第2の電子状態が非蛍光性であること、すなわち、蛍光不可能であり、したがって全体的に暗いことは重要ではない。第2の状態は、第1の電子状態と異なる蛍光性を有してもよい。この場合、蛍光染料が、第1の電子状態と同じ光により第2の状態において励起して蛍光した場合、第1の電子状態の蛍光染料が発した蛍光を、第2の電子状態の蛍光染料が発する蛍光と区別可能なことが重要である。
この新しい方法が、特にPALM及びSTORMとして既知の方法の分野から、当業者に馴染みのある様々な対策と組み合わせ得ることを理解されたい。これらは、特に、試料内の分子の登録位置のマルチカラー結像及び三次元解像、すなわち、z方向でも同様にこれら位置の空間解像に対する対策を含む。これら対策は、一波長の励起光を各対象平面上で合焦させ、4−pi構成で高い開口数を有する2つの相互に対抗する対物レンズを使用して、試料を一波長の光に露出させ、且つ/又は試料からの蛍光を登録することにより、蛍光及び第1の状態から第2の非蛍光状態への遷移の両方のために、第1の状態の蛍光染料を多光子励起させることを含む。次に、光が平面の1つ又は複数の個々の点にのみ合焦される場合、この方法のすべてのステップ中、例えば、個々の各画像の記録中に、これら点を有する平面を走査すべきである。試料の個々の点への一波長の光の合焦は、有利なことに、試料からの蛍光の共焦点登録と組み合わせ得る。代替として、試料は、試料の結像方向に直交してセンサアレイ上に露出し得、一波長の光の光面は、例えば、円柱レンズにより形成される。この手順は、SPIM(選択的平面照明)として当業者に既知である。
この新しい方法を実行する蛍光顕微鏡は、いくつかの既知の蛍光顕微鏡と異なり、分解能を増大させるために任意の光源からの任意の光を空間的に細かく構造化する対策が必要なく、むしろ、一波長の光の光源の制御を実施することにより、この方法により一波長の光の強度を調整することで十分であることにより、回折限界よりも良好な空間分解能が達成される。
少なくとも1つの光検出器をさらに設けることができ、その光検出器上に、センサアレイの複数のピクセルに対応する試料の領域が結像されて、この領域からの個々の光子の時系列での放出が観測される。この新しい方法と併せてすでに説明したように、そのような光検出器を使用して、非常に高速に、すなわち、特にセンサアレイの読み出し前であっても、物質の1つのみ又は複数の測定信号の強度が、各領域に登録されたか否かを確立して、例えば、強度が単一分子のみからの強度であると発見されない場合、新たな試みを優先して登録を終了することが可能である。多くの場合、センサアレイの読み取りがこの新しい方法のサイクルを行う際のレート制限要因であることに限り、これは非常に重要である。この新しい方法の実行に適したセンサアレイ及び新しい蛍光顕微鏡は、従来設計のCCD及び好ましくはCMOSセンサアレイを備える。しかし、これらを選択する際に、高速読み取りが可能なことのみならず、暗雑音及び読み取り雑音が、この新しい方法を実行する際に良好な信号対雑音比を得るために十分に小さいことも保証する必要がある。
本発明は、以下の図面を参照してよりよく理解される。図面中のパーツは、必ずしも実寸を表さず、重点は、本発明の原理を明確に示すことに置かれている。図面中、同じ参照は様々な図中の同じパーツを示す。
本発明の方法による試料内の対象構造を高空間分解能で結像する蛍光顕微鏡の構造を概略的に表す。 対象構造としてのPtK2細胞の微小管の、この新しい方法により記録された全体画像を示す。 図2Aと同じ物体の分解能制限画像に対応する再構築である。 暗状態を使用して通常の非切り替え可能な蛍光体を「切り替える」方法を示す。 個々の分子回復が続く基底状態抑制顕微鏡法(GSDIM:Ground State Depletion microscopy followed by Individual Molecule return)と呼ばれる本発明による方法により記録された、回折限界を超えた(subdiffraction)分解能の画像を示す。 405nm光(a)又は671nm光(b)の追加による暗状態から明るい一重項系への蛍光体の回復の加速、ひいてはGSDIM顕微鏡法での画像取得の加速を示す。
図1は本発明の方法による試料内の対象構造を高空間分解能で結像する蛍光顕微鏡の構造を概略的に表す。
図2Aは、対象構造としてのPtK2細胞の微小管の、この新しい方法により記録された全体画像を示す。この構造はローダミン6G染料で染色される。細胞が配置される培地は、グルコースオキシダーゼ及びカタラーゼを有する水性緩衝液である(50mMトリス、pH7.5、10mM NaCl、グルコースオキシダーゼ(Sigma、G2133)、40μg/mlカタラーゼ(Roche Applied Science、106810)、10%(w/v)グルコース)。全体画像に記録された個々の画像数は、61440枚であり、露出時間は5msであった。光強度は一定で50kW/cmであった。
図2Bは、図2Aと同じ物体の分解能制限画像に対応する再構築である。この再構築は、61440枚の個々の画像を組み合わせることにより生成された。B中の右下にある小さな画像は、この新規の方法の分解能の増大を明確に見ることができるようにする、図2A及び図2Bのマーキングされた位置でのプロファイルを示す。
図3は、暗状態を使用して通常の非切り替え可能な蛍光体を「切り替える」方法を示す。(a)一重項基底状態Sを第1の励起一重項状態Sに繰り返し励起(Exc)させると、蛍光(Flu)放射が誘導され、分子が、長寿命(τ)を有する三重項状態T又は他の暗状態Dに「切り替え」られる。(b)蛍光染料Rh6G、Atto532、及びAtto532に三重項消活剤(β−メルカプトエタノール)を加えたものにより放射される蛍光強度を、従来通り、染料を励起させて蛍光させる連続励起光の強度に対する蛍光強度を増大させるために使用した。(c)最長時間、暗状態に保持した後の活性蛍光体の回復(付録表1参照)。(d)2ms時間ビン毎に検出された光子数として与えられるPVA内のAtto532単一分子の蛍光時間トレースである(I=115kW/cm)。
図4は、個々の分子回復が続く基底状態抑制顕微鏡法(GSDIM:Ground State Depletion microscopy followed by Individual Molecule return)と呼ばれる本発明による方法により記録された、回折限界を超えた(subdiffraction)分解能の画像を示す。(a、b)PVA内に埋め込まれたPtK2細胞の免疫染色(Atto532、緑又はAtto565、赤)された微小管及びペルオキシソームのGSDIM画像である。落射蛍光顕微鏡法による画像が右上角に示される。(b)中、蛍光体標識が(a)に対して復帰している。(c)水性緩衝液内のPtK2細胞の免疫染色(Rh6G)された微小管である。(d、e)細胞培地内のヒトの神経膠腫細胞のインテグリン−β−3クラスタの免疫染色(Atto532)された回折限界記録(d)及びGDSIM記録(e)である。(f、g)Citrine−Map2で標識付けられた生きているPtK2細胞の微小管の細胞骨格の落射蛍光顕微鏡法による画像(f)及びGSDIM画像(g)である。スケールバーは1μmである。カラーバーは、1スポット当たりで位置特定された事象数を示す。カメラフレーム数:72,000(a)、82,000(b)、61,000(c)、及び31,000(d〜g)。落射蛍光顕微鏡法による画像は、全フレームの全信号を加算することにより得られた。カメラフレームレート:100Hz(a、b)、200Hz(c〜g)。レーザの強度及び波長:10kW/cm(a)、20kW/cm(b)、115kW/cm(c〜e)、2.5kW/cm(f、g)、532nm(a〜e)、及び488nm(f、g)。事象総数:413,668(緑)及び39,694(赤)(a)、29,819(緑)及び176,443(赤)(b)、870,699(c)、130,117(d、e)、738,395(f、g)。
図5は、405nm光(a)又は671nm光(b)の追加による暗状態から明るい一重項系への蛍光体の回復の加速、ひいてはGSDIM顕微鏡法での画像取得の加速を示す。これら波長が染料の吸収最大外であることに留意する。
これより、図面をより詳細に参照すると、図1は、蛍光顕微鏡101を概略的に示す。蛍光顕微鏡101を使用して試料102内の対象構造を高空間分解能で結像する本発明による方法を実行する場合、光源104からの一波長(黒色の線)の光103が、ミラー132を介して提供され、レンズ135により対物レンズ136に合焦される。光103は、試料102内の対象領域全体を大域照明するために使用される。試料102内の蛍光染料からの蛍光105(グレーの線)も同様に、対物レンズ、この場合、同じ対物レンズ6により集められ、ダイクロイックミラー110により光103から分離され、必要な場合には、適した蛍光フィルタ139によりさらに精製される。対物レンズ135と併せて、レンズ109が、センサアレイ106上への蛍光染料の蛍光分子の適宜結像を保証する。
蛍光顕微鏡101を使用して本発明による方法の好ましい実施形態を実行する場合、以下のステップが実行される。
まず、試料内の対象構造が、非切り替え可能な蛍光染料で染色される。
次に、試料は適した環境内に埋め込まれる。これは、例えば、PVAであってもよく、又は代替として、酸素を抜き取った水性培地(例えば、生きている細胞)であってもよい。この対策は一般に、近代技術及び従来の蛍光染料を使用する場合、酸素濃度を低減していない水溶液内での暗三重項状態の寿命が、個々の分子事象の分離が可能なほど十分には長くないために必要である。酸素低減は、例えば、グルコースオキシダーゼ及びカタラーゼを加えることにより実行し得る。そのような水性緩衝液は、顕微鏡法の場合に広く知られている培地である。原理上、生きている細胞に適用する場合にも適する一培地は、
10mM HEPES、10%(v/v)グルコースオキシダーゼ(5mg/ml、Sigma、G2133)、2%(v/v)カタラーゼ(2mg/ml、Roche Aplied Science、106810)を有する88%(v/v)Gibco−DMEM(Invitrogen Corporation、Carlsbad、California)
である。
時折、マーキング濃度、すなわち、蛍光染料の空間密度が高すぎる場合、実際の測定を開始する前に、蛍光染料の分子の十分な部分を、試料の適宜露光により不可逆的に退色させなければならない。いかなる事象でも、センサアレイ上の蛍光状態のままの少数の分子の画像が、互いにセンサアレイの分解能限界よりも離れて存在するように、測定開始前に光を照明することにより分子の十分に大きな部分を第1の蛍光状態から第2の暗状態にしなければならない。典型的な強度は、環境及び蛍光染料に応じて1kW/cm〜100kW/cmである。光の照明開始時にセンサアレイにより記録可能な蛍光の強度分布は、対象構造の分解能制限画像を示す。これは続けて、終了基準の参照として使用することができる。実際には、対象構造の分解能制限画像を記録する場合、カメラは通常、単一分子の検出に最適化されるため、センサアレイを備えたカメラの露出時間又は倍率を調整する必要があり得るか、又は代替として、強度フィルタを使用する必要があり得る。代替として、その光信号前に、回折限界参照画像を記録するために、多数の分子を暗状態に変換するために使用される低強度の光信号を使用し得る。
実際の測定は、分子の十分な部分が暗状態になった場合に遅延なしで開始することができ、いかなる事象でも、これは、暗状態の寿命よりもはるかに短い時間内で行わなければならない。個々の画像の最適な露出時間は、第1の蛍光状態である分子が蛍光を発し、それから、再び第2の暗状態に戻るまでの平均時間によって決まる。使用される例では、これは、典型的な露出時間2ms〜10msになる。この時間中、平均して約1000個の光子が、再び暗状態に戻る前に、各分子から検出器に記録される。
測定中、分子が可逆的退色により失われた場合、例えば、光の強度を調整して、第1の状態の分子の最適な密度を達成し得る。
測定全体の持続時間は、個々の画像数及びその露出時間によって決まる。必要な個々の画像数は、選択される終了基準によって決まる。複雑な構造の場合、通常、最高で100,000枚の個々の画像が記録される。したがって、合計記録時間は約数分である。
以下において、個々の分子回復が続く基底状態抑制顕微鏡法(GSDIM)と呼ばれる本発明による方法の特定の実施形態についてより詳細に説明する。
個々の分子回復が続く基底状態抑制顕微鏡法(GSDIM)
この方法は、普通の蛍光体を使用し、蛍光体の大半を三重項等の準安定暗状態に「切り替え」、残った蛍光体又は自然に基底状態に戻った蛍光体の位置を計算することに基づく遠視野蛍光ナノ顕微鏡法に関する。(用語「切り替え」は本明細書において非常に広い意味で使用されるため、より特定的な意味での切り替え可能であることが既知の蛍光体を特に指すものではない)。単一のレーザによる連続した広視野照明及び連続動作するカメラが、ローダミン及び蛍光タンパク質で標識された(生きている)試料の二色画像をもたらし、単純であるが、それでも強力な超高分解能手法を証明する。
数十年間、いかなる遠視野光学顕微鏡の分解能も光の波長の約半分に制限されると想定されてきた。この前提は、基本蛍光遷移を回折1,2の制限作用の無効化に使用できることが発見された後、変更された。より具体的には、蛍光性をオン又はオフに切り替える遷移により、回折限界にはるかに近い物体の順次記録が可能になった。したがって、驚くことなく、これまで使用されてきた遠視野蛍光ナノ顕微鏡様式は、蛍光性切り替えの変形を使用しての時間順読み出しに頼っている。誘導放出制御(STED)顕微鏡法では、染料の蛍光能力は脱励起光線を使用して切り替えられる。基底状態抑制(GSD)顕微鏡法2,3では、蛍光体は三重項暗状態に切り替えられる。STEDとは対照的に、可飽和パターン励起顕微鏡法(SPEM又はSSIM)4,5は、蛍光体を最大に切り替える。これら戦略のすべては、光活性化可能な蛍光タンパク質及び光切り替え可能な(光互変異性)有機蛍光体の切り替えに拡張されている。これら方法はすべて、蛍光性が所与の時間点でオン又はオフである材料を定義する、空間内で変換される1つ又は複数の強度ゼロを特徴とする光分布を使用して、蛍光性を切り替える
これは、マーカの蛍光能力が空間内で分子毎に確率的に切り替えられる光活性化位置特定法(PALM)8,9又は確率的光学再構築顕微鏡法(STORM)10では異なっている。疎でランダムにオンに切り替えられる(活性化される)分子の蛍光回折パターンがカメラに記録され、〜Δ/√mの精度で分子の位置を計算することができる。ここで、Δは最大回折の幅を示し、mは検出された光子数である11。明らかに、この概念が機能するには、分子は暗状態から明状態に循環し、m個の検出可能光子をもたらし、次に暗状態に戻らなければならない。したがって、PALM及びSTORMは、分子の蛍光性能が光子の吸収により誘導される「光活性化可能な」タンパク質又は有機化合物を使用する。この「活性化」タンパク質により提供されるエネルギーは、例えば、化学結合又は異性化状態を変更することにより蛍光体をオンに切り替える。そのような化合物の例は、活性剤−発光体ペア10並びに単一の光活性化可能な標識13,14の両方として使用されてきた光活性化可能なタンパク質EosFP及びPA―GFP、ケージ化ローダミン12、並びに光異性化可能なシアニン染料Cy3及びCy5である。
これら方法は見事な画像を提供してきたが、これら光活性化可能な化合物は、生体適合性、標識性能、及び切り替え性能に関する制限を有する。さらに、これら方法は専用の活性化レーザ8〜10,12,14を必要とし得る。最後であるが、重要なこととして、「活性化可能な」化合物に対する明らかな必要性は、これら技法の範囲を狭める。本明細書において報告される結果から、確率的単分子切り替え及び位置特定による遠視野蛍光ナノ顕微鏡法を、光活性化なしで、標準マーカの基本遷移を使用して:蛍光体を三重項状態T又は別の準安定暗状態に切り替え、その間に元の状態のままの蛍光体又は基底状態Sに戻った蛍光体を記録して、実行できることが分かった。普通の蛍光体を使用して動作し、光活性化をオプション又は廃れたものにすることで、個々の分子回復が続く基底状態抑制顕微鏡法(GSDIM)は、遠視野光学ナノ顕微鏡法の概念範囲及び適用性を大幅に拡大させる。
10−3ms〜100msという寿命τを有し、略すべての蛍光体で共通することから、最も低い三重項状態Tが、分子を切り替える主な候補である.さらに、Tは、1〜10msという同様又はさらに長いτを有する他の暗状態Dへのゲートウェイとして機能する15(図3a)。期間τ後、分子はSに戻り、繰り返し励起されて蛍光状態Sになり、分子の位置の計算に必要なm個の検出可能光子のバーストをもたらすことができる。同じ繰り返し励起はまた、蛍光体をオフに切り替える。分子は典型的な確率Φisc≦0.1%でSからTになる。τがSの〜3nsの蛍光寿命(τfl)よりも〜10倍長い場合、連続波照明強度_I>I≡hv/(Φiscστ)≒1kW/cmが、S分子の部分をε≒τfl/Φiscτ<<10%に最小化する。ここで、hvは励起光子のエネルギーであり、σはS分子の光子吸収断面である。残りのS分子の最小部分εがIに依存しないことに留意する。
より多数の暗状態分子の存在により、ポリ(ビニル−アルコール)(PVA)内に埋め込まれた大半のローダミン染料、特にローダミン6G(Rh6G)及びAtto532からの信号は、使用される532nm励起光線の強度の増大に伴って低減する(図3b)。特に、活性染料の大部分は、数十ms以内に回復した(図3c)。三重項消活剤β−メルカプトエタノールの添加により、τが低減し、ひいてはεが増大した。この実験は、切り替えメカニズムにおけるTの重要な役割を実証した。単分子レベルにおいて、T又はDの遷移分子が高速の確率的オンオフ切り替えを誘導し、平均オン時間は数msであり、オフ時間はいくらか長かった(図3d)。蛍光(オン)一重項系であった時間は、合計記録時間の<10%であった。それでも、元の一重項系に一旦戻ると、蛍光体は、mの分布が1,000個の光子をピークとして明るく放射するため、2msのオン時間当たりで検出された光子数は、m>500個であった。
PVA内に埋め込まれ、ローダミン誘導体Atto532(最高放射〜550nm)及びAtto565(最高放射から590nm)で免疫染色された哺乳類細胞(PtK2線)の微小管の繊維及びペルオキシソームの二色GSDIM画像は、従来の画像では見られない細部を示した(図4a、図4b)。これら画像は、励起及び抑制の両方に532nm連続波(CW)レーザを使用すると共に、連続動作するカメラを使用して記録された。GSDIM画像の分解能は<30nmであった(付録参照)。
両染料の放射ピークの不一致は、わずか40nmであった。それにも拘わらず、短経路(<575nm)チャネル内で検出される信号分離放出体の信号を長経路16(>590nm)チャネルと比較した場合、>90%の信頼度で区別することができる。従来のバルク記録では、数学的分離が必要である。
光子バーストmが通常の染料の一重項系により提供されることが、mが500個光子を容易に超え得ることの理由を説明している。ε≒τfl/Φiscτであるため、蛍光体のτ及びΦiscの値が大きい場合、切り替えが向上するが、大きなΦiscは、ηdetΦfl/Φiscにより近似され、ひいてはIから独立しているmを低減させもする。(ηdet及びΦflは、機器及び蛍光量子収量それぞれの検出効率を示す)。したがって、Φisc<0.1%及び大きなτを有するマーカを使用した。大きなτは、三重項消活酸素の移動度を低減させ、さらなる暗状態をもたらすPVA環境により提供される15。Alexa488、Texas Red、FITC、ローダミン110、及びOregon Greenを含むPVA内にマウントされた多くの蛍光体は、ε≦10%及び数msよりも長いτをもたらし、それらすべての蛍光体がGSDIMに適する(付録表1)。真性光切り替え可能蛍光体がオフ状態になる確率は通常高いため、mは大抵、真性光切り替え可能蛍光体よりも大きくなる。GSDIMは、標準の蛍光体が大きな蛍光量子収量に向けて最適化されることの恩恵を受ける。
次に、酸素スカベンジャーを含む水溶液内に試料を浸漬させ、τを約数μsから〜10−100msに増大させることにより、ε<10%が可能になった(付録表1)。酸素スカベンジャーとしてグルコースオキシダーゼを含むトリス緩衝液内に浸漬されたRh6Gで免疫染色された微小管のGSDIM画像は、優れた分解能を示した(図2c)。特に、GSDIMは、HEPES緩衝された、酸素スカベンジャー系を有するダルベッコ改変イーグル培地(HDMEM)等の細胞培地でも可能であった。Atto532で標識されたヒトの神経膠腫細胞のインテグリン−β−3のクラスタは、従来の記録よりもGSDIMによりはるかに良好に解像された(図4d、図4e)。
蛍光タンパク質は、三重項又は異なるプロトン付加状態等の準安定暗状態に効率的に遷移することもできる17。テストされたすべての蛍光タンパク質、すなわち、EGFP、EYFP、Citrine、及びPhiYFPは、水溶液培地内でε≦10%及びτ>1msを有し、したがって、GSDIMに適した(付録表1)。微小管に関連するタンパク質Map2に溶解したCitrineを示し、微小管の細胞骨格が標識された生きているPtK2細胞のGSDIM画像は、従来の広視野画像と比較して、GSDIMにより得られる著しく高い分解能を示し(図4f、図4g)、それでも、分解能(〜40nm)及びコントラストは、免疫染色に頼る記録(図4a〜図4e)よりもいくらか低かった。これは、暗状態への切り替えが通常、有機染料の場合よりも蛍光タンパク質の場合に高速であり、領域内の光子数mを制限することに由来する(付録方法参照)。さらに、この分子構造内のCitrine分子の平均オフ時間は、むしろ長く(>1s、付録表1)、これが、不可逆的退色前のオンオフサイクル数を制限する。その結果、再構築されたGSDIM画像のコントラストも低減される。それと比較して、Rh6G分子は高速に回復し、より光安定的であり、より多くの回数、回復する。それにも拘わらず、純水環境内のこれらタンパク質の暗状態の寿命がはるかに短く(50ms)、Citrineが一般に、上記例のタンパク質よりも光安定していることを暗示するため、Citrineのより強力な退色は基本的な性質ではないと考えられる。寿命の実質的な変形は、pH又は分子酸素の濃度の変更の一因となり得る(付録表1)が、この例は、GSDIMの特定の用途での分子環境の関連性を強調している。
活性化に代えて、蛍光抑制は、従来通りの第1の画像を提供し、試料の全体像及び確率的ピクチャ組み立てをいつ停止するかの指示を与える。回折エリア内に存在が許されるのは1個未満の一重項状態分子であったため、許容される、このエリア内で使用可能な蛍光体の総数は、1/ε≒Φiscτ/τflであり、これは、染料及び環境の関数である。密に標識された試料の対応策は、結像前に蛍光体のいくつかを退色させる(図4)か、又は生きた状態で非常に長い暗状態に保持することである。同様に、少数の残っている蛍光体の回復率1/τは、後のカメラフレームでは遅すぎて、画像の取得を低速化させる恐れがある。この場合には、暗状態(T又はD)を低減させる追加の光により、暗状態吸収を介して回復を加速させることができる17(図5)。この手順は、図4aの画像フレーム番号〜20,000、図4b及び図4eの番号〜10,000から開始して、375nm光を図4の記録に追加することにより適用され、図4c及び図4gの記録では、追加の光は使用されなかった。この種類の活性化はオプションであり、通常の蛍光体にもやはり適用されることに留意する。分子を個々に記録する際、GSDIMは蛍光体をSに1回のみ回復させる必要がある。
結論として、基本的な蛍光体遷移を有する個々の放射体の切り替えに基づく遠視野蛍光ナノ顕微鏡法が実証された。励起後に、準安定三重項(暗)状態になることにより、マーカがオフに切り替わる一方で、自然に基底状態に戻ることで、再びオンに切り替わり、位置の計算に必要な光子バーストを放出する。個々の分子の位置を確率的に記録することにより、GSDIMは、GSD顕微鏡法(ゼロの切り替え光強度を使用して放射体の位置を定義する)とは実質的に異なる。それでもやはり、両方の概念は、超高分解能結像を可能にする実際の要素として、暗状態及び明状態との切り替えを特徴とすることである、同じ分子メカニズムに頼っている。
いずれの場合でも、強度ゼロ、アンサンブルに基づく手法及び確率的単分子に基づく手法は、近傍分子の位置を特定する相補的な様式であり続ける。後者の様式には、必要な切り替えサイクル数が少ないという利点があり、これは、GSDIMが現在、GSD顕微鏡法よりも容易に適用可能であるように見えることの原因の1つである。さらに、GSDIMは際立って単純であり、自在に動作可能なカメラを使用しての落射蛍光顕微鏡法による連続記録により、複数の標準染料及び蛍光タンパク質を使用してナノスケール画像を計算的に構築することが可能である。
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付録
図5は、PVA内のAtto532(黒い四角)及び酸素スカベンジャー系を含む水性緩衝液内に埋め込まれたPtK2細胞内のAtto532(白い丸)−免疫染色された微小管の基底状態抑制後に回復した蛍光信号の部分を示す。プローブ−ポンプ−プローブモードでの蛍光回復を測定した。第1のプローブパルス(532nm)は、抑制前に参照信号を確立した。抑制は、PVAの場合では、焦点強度I=1kW/cm、水溶液の場合では焦点強度I=100kW/cmの10msパルス(532nm)により行い、その後、第2のプローブパルス(532nm)が0.5ms間にわたって続き、I=100W/cmを生成する。第2のプローブパルスは、抑制パルスから10msだけ遅れた。ポンプと第2のプローブパルスとの間の期間中の強度I405nm(a)の405nm光照明及び強度I671nmの671nm光照明(b)により、上記でグラフ化したように、抑制と第2のプローブパルスとの間の時間期間中の蛍光回復部分が増大した。暗状態での染料の405nm光又は671nm光の吸収は、逆系間交差の場合に観測されるように1,2、より高い励起状態を介して暗状態低減を誘導し得る。暗状態吸収及び一重項系への逆交差がより強いことにより、且つ/又は複数の長く続く暗状態の存在により、効果はPVAにおいてより強力であり得る。
付録表1

暗状態数[D]及び回復時間τは、ポンプ−プローブ測定において染料アンサンブルで検出された蛍光信号から特定された。回復データの時間依存性は拡張指数関数(〜exp(−(t/τ)α))に従い、指数α=0.6〜0.8は、単一指数(mono−exponential)回復(α=1)から有意に逸脱しており、いくつかの暗状態を示す3,4.有機染料(Bodipyまで表を参照)の場合、PVA内の純粋な染料の測定及び酸素スカベンジャー系を含む緩衝液を有する水性環境内のPtK2細胞内の免疫染色された微小管の測定を実行した。蛍光タンパク質EGFP、EYFP、Citrine、及びPhiYFPの場合、測定は、ポリ−L−リシンによりガラス表面上に固定され、PBS緩衝液(水性)で覆われた精製タンパク質に対して実行された。Citrineの場合、細胞内で実行された測定の結果は、図2f、gに示される試料に適用して追加された。励起は532nm、488nm、及び561nmであった。純水環境と比較して、細胞内のCitrineのτの甚大な増大の理由は、pH又は分子酸素濃度の変更に起因し得、これらは両方とも、三重項状態又は異なるプロトン付加状態等の蛍光タンパク質の暗状態の性質に影響する.細胞環境内のCitrineの暗状態の寿命τがより長いことにより、退色の確率も増大する。退色の顕著な経路は、蛍光体の暗状態において光子が吸収され、それにより、反応性の高い、より高い励起エネルギーレベルに励起することである5,6
付録方法
蛍光染料。蛍光染料ローダミン6G(Rh6G)、ローダミン110(Rh110)、ローダミン123(Rh123)、Atto532、Atto565、Alexa488、Oregon Green 488、Texas Red、蛍光イソチオシアネート(FI)TC)、及びBodipy(FL)は、異なる供給業者(MoBiTec、Goettingen、Germany;AttoTec、Siegen、Germany;Sigma−Aldrich;Invitrogen;又はRadiant Dyes、Wermelskirchen、Germany)から購入された。ローダミン誘導体Rh―sart3b及びRh―sart3f(1,2,3,4―テトラヒドロキノリン−7−オールから得られる、強化キサンタン断片を有するスルホン化ローダミン)は、化合物3b及び3fとして参照[7]に提示された。ポリ(ビニル−アルコール)(PVA)でのアンサンブル測定の場合、染料の緩衝貯蔵液を(5%)PVA内で希釈して、〜10−6Mの濃度の最終染料にし、PVA試料を顕微鏡のカバーガラス上にスピンコートした。マーキングした場所に、10%(v/v)のβ−メルカプトエタノール(Fluka)をスピンコート前に添加した。
細胞培養及び免疫細胞化学。適用された哺乳類PtK2細胞線を、上述したように成長させた。細胞を標準ガラスカバースリップ上に約80%のコンフルエンスまで播種し、5%COの水飽和大気内で37°Cで成長させた。冷たいメタノール(−20°C)を使用して固定化を4分間実行し、その後、ブロッキング緩衝液(1%BSAw/vを含有するPBS)内でインキュベートした。微小管を抗βチューブリン分子マウスIgG(Sigma)及びヒツジ抗マウスIgG(Sigma)に共役結合した対応する染料で染色した。ペルオキシソームを抗PMP70ウサギIgG(Abcam)及びAtto532共役結合ヒツジ抗マウスIgG又はAtto565共役結合ヤギ抗ウサギIgGで標識した。免疫染色された細胞の結象を、PVA(3000rpmでのPBS(pH7.4)溶液内での1%PVAのスピンコート)内又は標準水性結象緩衝液(50mMトリス、pH7.5、10mM NaCl、0.5mg/mLグルコースオキシダーゼ(Sigma、G2133)、40μg/mLカタラーゼ(Roche Applied Science、106810)、及び10%(w/v)グルコース)内のいずれかで実行した。図2d、図2eの画像は、ヒトU373 MG神経膠腫細胞から撮影した。10%FBS、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、及び1mMピルビン酸ナトリウムを添加したRPMI Glutamax高グルコース(Gibco)内でヒト神経膠腫細胞線U373MGを成長させた。上述したように、細胞を播種し、固定化した。一次抗体として抗インテグリン−β−3 IgGを使用し、二次抗体としてAtto532共役結合ヒツジ抗マウスIgG抗体を使用して、インテグリン−β−3の免疫染色を実行した。10%(v/v)のグルコースオキシダーゼ(5mg/ml)及び2%(v/v)カタラーゼ(2mg/ml)を添加した標準成長培地(DMEM、高グルコース、HEPES10mM)内に試料を埋め込んだ。この培地は生きている細胞測定に適合するが、抗体ラベリングによるインテグリン−β−3のクラスタリングを回避するために、細胞の固定化が必要である。
蛍光タンパク質
タンパク質精製。蛍光タンパク質EGFP、EYFP(Clontech、Mountain View、Ca)、Citrine10、及びPhiYFP(Evrogen、Moscow、Russia)のプラスミドコードを大腸菌BL21DodonPlus RIL(Stratagene、La Jolla、CA、USA)内に転移させた。タンパク質発現のため、プラスミドを保持する細胞を、100μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地内で、OD600が0.6になるまで成長させ、1mMのイソプロピル−1−チオ−L−D−ガラクトプラノシドを使用して誘導した。25°Cで6時間インキュベートした後、生成された生物量を遠心分離によりペレット化し、プロテアーゼ阻害剤と共にPBS内に再懸濁させ、超音波処理した。遠心分離により溶菌液を除去し、Ni−ニトリロ三酢酸(NTA)−アガロースカラム(Qiagen、Hilden、Germany)の上澄みから蛍光タンパク質を精製した。アンサンブル測定のために、100μlのポリ−L−リシン溶液(Sigma−Aldrich、Steinheim、Germany)を顕微鏡カバースリップ上にコーティングした。水で手短にすすいだ後、50μlのタンパク質溶液(PBS pH7.4内)を添加した。1時間後、未結合タンパク質を水で手短にすすいで除去し、10μlのPBS(pH7.4)を添加した。最後に、試料をシリコーン接着剤で封入した。
プラスミド構築。標準の方法をクローニングに使用した。微小管に関連するタンパク質Map2のN末端をCitrineを使用して標識するために、発現プラスミドpSEMS−Citrine−Map2を、ドナーベクターpDONR223−Map211及び空のデスティネーションベクターpSEMS−Citrine、pSEMS−SNAP26m−Gateway(Covalys Biosciences、Witterswil、Switzerland)を修飾したものからのGatewayベクター変換(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)により構築した。
細胞培養、トランスフェクション、及び細胞のマウント。トランスフェクションのために、PtK2細胞をガラスカバースリップ上で一晩成長させた。〜80%のコンフルエンスに達した後、プラスミドpSEMS−Citrine−Map2を導入した(Nanofection kit、PAA、Pasching、Austria)。トランスフェクションから1日後、Citrine−Map2を発現する細胞が見られた。通常、それらを翌日以内に結像した。顕微鏡法のために、細胞をフェノールレッドなしの細胞培養媒質ですすいだ。最後に、生きている細胞を事前に暖めたリンゲル溶液(8.6g/l NaCl、0.3g/l KCl、0.33g/l CaCl)と共にマウントし、シリコーン接着剤で封入した。
蛍光体の特徴付け。488nm(Ar−Kr laser innova 70C−5、Coherent、Santa Clala、Ca)、532nm(DPSS GL−150−A3、HB Laser、Schwaebisch Gmuend、Germany)、561nm(DPSS Cobolt Jive 50、Cobolt、Stockholm、Sweden)、405nm(DPSS BCL−030−405−S、CrystaLaser、Reno、NV)、及び/又は671nm(DPSS Monolas−671−300MM、Alphalas、Goettingen、Germany)の円偏光された連続波レーザ光を使用し、油浸対物レンズ(HCX PL APO 100×/1.4油、Leica)を使用して〜2−3μmの大型励起スポットを作成し、アバランシェフォトダイオード(SPCM−AQR−13F、Perkin−Elmer Optoelectronics、CA)上で落射方向で検出して、アンサンブル測定が倒立型蛍光顕微鏡(DM IRB、Leica Microsystems、Mannheim、Germany)に対して実行された。レーザの切り替え及び電力は、音響光学調整可能フィルタ(AOTF;AA.AOTF.nC、Pegasus Optik、Wallenhorst、Germany)により制御した。蛍光の残留レベルは、分子を暗状態に保持した後、測定し、様々な強度(10〜100kW/cm)のポンプパルス(1≒ms)前後、プローブパルス(0.5ms、I=100W/cm)を使用してプローブ−ポンプ−プローブモードでの暗状態からの回復も同様に測定し、プローブパルスは、ポンプパルスの直後又は特定の時間遅延後に到達した。正規化傾向信号が、両プローブ信号レベルの比により与えられる。図3bの蛍光抑制曲線は、残留一重項状態分子の部分εの上限を表す。すなわち、実際の抑制はより効率的である。
結像。高分解能画像を上述した自作セットアップに記録した8,12。顕微鏡には、連続波532nm(VERDI V5、Coherent Inc.、Santa Clara、CA、USA)、又は連続波488nm(Ar−Kr laser Innova 70C−5、Coherent)、及び連続波375nmレーザ(iPulse−375、Toptica Photonics AG、Graefelfing、Germany)が備えられ、油浸対物レンズ(HCX PL APO 100×/1.4油、Leica)を使用して〜12μmの大型励起スポットを作成し、EM−CCDカメラ(IXON−Plus DU−860、Andor Technology、Belfast、Northern Ireland)上で落射方向で検出された。二色測定の場合、検出経路をダイクロイックミラー(z570DCXR、AHF Analysentechnik、Tuebingen、Germany)により2つの別個のカメラ部品に向けて分割した。適切なバンドパスフィルタ(585/75及び630/75のそれぞれ)により、追加の波長選択を実施した。単分子の位置特定及び色割り当て並びに回折限界画像の線形分離を、参照[8,12]で説明されるように実行した。
光子放射及び暗状態遷移の確率的性質により、単分子から検出される光子カウント数はばらつく。すなわち、カメラフレーム内で検出される異なる単一スポットの強度は等しくない。単分子を適切に割り当てるために最低限の光子事象数を導入した。そのような閾値処理により、自己蛍光又は他の背景源による誤った分子割り当てが最低限に抑えられる。タンパク質カウントの閾値は、図4a、図4bでは560であり、図4c、図4dでは400であり、図4gでは80であった。
最終的なGSDIM画像の分解能を、点のような物体のぼかしのサイズを特定することから実験的に評価した。そのような点のような物体は、最も確実的に、単一の(不明確に結合された)蛍光抗体又はタンパク質を表した。分解能の差(図4a〜図4c、図4eでの<30nm及び図4gでの<40nm)は、蛍光体の量子収量及び暗状態になる前の平均時間によって決まる単分子オン事象毎に検出される光子の平均数m(図4a、図4bでは〜1600個、図4cでは〜2000個、図4eでは〜2600個、図4gでは〜800個)の差に起因する。mの大きさは、上記光子数閾値に設定されるレベルにも影響し、GSDIM結像プロセスの予想される位置特定精度Δ/√(m/2)の理論上での推定を与え、Δ=250nmは、回折最大の幅を示す(図4a〜図4c、図4eでは<18nm、図4gでは<40nm)。(EM−CCDカメラの読み取り雑音により、理論上の位置特定精度(Δ/√(m/2)を適切に計算するために、1/2の係数を含める必要がある12)。位置特定精度の他に、信号対雑音比又はわずかな試料のずれ等の実験特徴が、画像の分解能にさらに影響を及ぼし得、実験での分解能値と理論上の位置特定精度値との差の主な原因である可能性が最も高い。
実験的分解能は、適切な特定を保証するために、10nmピクセレーションのGSDIM画像から特定された。適切な物体の解像のために、画像ピクセレーションは、所望の分解能の半分よりも小さい必要がある13。図4のGSDIM画像に提示された(免疫)標識された構造(微小管又はインテグリンクラスタ)は通常、50nmよりも大きい。したがって、20nmのピクセレーションが図示の画像に適用され、これは、本明細書において結像される物体の視覚的提示により適する。
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13.Shroff, H., Galbraith, C. G., Galbraith, J. A. & Betzig, E. Nat. Methods5, 417−423 (2008).

Claims (18)

  1. 試料内の対象構造を高空間分解能で撮像する方法であって、
    励起して蛍光可能な第1の蛍光性を有する第1の状態及び暗状態である第2の蛍光性を有する第2の状態を有し、一波長の光により励起して自然に蛍光を発することができ、前記一波長の光により前記第1の状態から前記第2の状態に変換することができ、且つ、前記第2の状態から前記第1の状態に回復することができる物質群から物質を選択するステップと、
    前記試料の対象構造を前記物質の分子でマーキングするステップと、
    前記試料を、前記試料内の前記物質の最近傍分子の平均間隔よりも大きい空間分解能限界で、センサアレイ上に結像するステップと、
    前記センサアレイ上への前記試料の結像の空間分解能限界よりも大きな寸法を有する前記試料の少なくとも1つの領域を前記少なくとも一つの領域内で略一定強度の前記一波長の光に露出させ、順次前記分子の一部を前記一波長の光で励起し自然に蛍光を放射させて前記第2の状態に変換することにより、前記第1の状態にある前記分子の割合を減らし、前記第1の状態にある前記分子のうちの少なくとも10%が前記第1の状態にある他の分子から前記空間分解能限界よりも離れているようにする、前記分子の一部を前記第2の状態に変換するステップと、
    前記試料を前記一波長の光に連続露出させている間、前記分子の前記領域から自然に発せられた蛍光を、前記センサアレイにより記録される複数の画像に記録するステップと、
    前記第1の状態にあり、且つ、前記第1の状態にある他の分子から前記空間分解能限界よりも離れている分子の前記試料内の位置を、前記センサアレイにより記録された前記画像のそれぞれから特定するステップと、
    を有し、
    前記第1の状態は前記物質の一重項状態であり、前記第2の状態は前記物質の三重項状態であり、
    前記分子の一部を前記第2の状態に変換するステップと、前記分子の一部から自然に発せられた蛍光を前記画像に記録するステップは同時に行われる、
    ことを特徴とする、方法。
  2. 前記一波長の光への前記試料の露出開始時において、前記物質の分子の90%を超える部分が前記第2の状態に変換されるように、前記一波長の光の強度を高く設定することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  3. 前記一波長の光への前記試料の露出開始時において、前記物質の略すべての分子が前記第2の状態に変換されるように、前記一波長の光の強度を高く設定することを特徴とする、請求項に記載の方法。
  4. 前記物質が、
    前記第2の状態から前記第1の状態に、自然に戻る物質、
    前記第2の状態から前記第1の状態に、前記一波長の光の動作により戻る物質、及び、
    前記第2の状態から前記第1の状態に、自然にも戻るし、前記一波長の光の動作によっても戻る物質、
    を含む物質の部分集合から選択されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記試料内の前記物質の前記第2の状態の寿命を変更する少なくとも1つの対策が実施されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記試料内の前記物質の前記第2の状態の寿命を延ばす少なくとも1つの対策が実施されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  7. 前記画像が記録される前に、前記物質の部分が、前記一波長の光及び別の波長の光から選択される高強度光による退色により、前記第1の状態及び前記第2の状態と異なる永久的な暗状態に変換されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記一波長の光の強度が、前記画像の記録中、一定値に設定されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記一波長の光の強度が、前記画像の記録中、前記画像の記録順に伴って時間変調された強度プロファイルに設定されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記一波長の光が、前記試料の領域上に連続して向けられることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記一波長の光は、前記画像の記録中に消失しない高速パルスで前記試料の領域に向けられることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  12. 記録された個々の前記画像の前記第1状態にある前記分子の各々が、前記物質の分離不可能な蛍光分子、すなわち、前記第1の状態にある他の分子から前記空間分解能限界よりも離れていない蛍光分子であるか否かに関してオンラインで評価されること、及び前記分離不可能な蛍光分子の密度が特定の閾値を下回るまで、前記一波長の光の強度が変更されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 記録された個々の前記画像の前記第1状態にある前記分子の各々が、前記物質内の分離可能な蛍光分子、すなわち、前記第1の状態にある他の分子から前記空間分解能限界よりも離れている蛍光分子であるか否かに関してオンラインで評価されること、及び前記分離可能な蛍光分子の密度が閾値に達するまで、前記一波長の光の強度が変更されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記一波長の光への前記試料の露出開始時に、前記試料内の前記物質全体の蛍光の強度分布が、前記空間分解能で前記センサアレイにより記録されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記試料の同じ領域のさらなる画像の記録の終了基準が、前記試料内の前記物質全体の蛍光の前記強度分布に基づいて定義されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 前記複数の画像の1つに登録された前記物質の分子の各位置が、前記試料を前記センサアレイ上に結像する点拡がり関数、又はそこから導出される関数を使用して畳み込まれること、及び前記畳み込みによって再構築された結果が初期記録強度分布と比較されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. 前記試料が生物学的試料であって、前記試料を遺伝子技術を使用して改変することにより、前記試料自体が前記物質の性質を発現し、前記試料の対象となる構造が前記物質でマーキングされることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記試料が生物学的試料であって、前記物質用または前記物質に結合するリンカ用の特定の結合部位を有するタンパク質を発現するように、遺伝子技術を使用して前記試料を改変することにより、前記試料の対象となる構造が、前記物質でマーキングされることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
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