JP5772514B2 - 形態素解析装置、方法、プログラム、音声合成装置、方法、プログラム - Google Patents

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Description

開示の技術は形態素解析装置、形態素解析方法、形態素解析プログラム、音声合成装置、音声合成方法、及び、音声合成プログラムに関する。
形態素解析は、自然言語処理の基礎技術の1つであり、自然言語で記述されたテキストを、形態素(意味を有する最小の言語形態)毎に分割し、テキストの読み等を解析するものである。形態素解析を利用した技術として以下の技術が知られている(特許文献1〜4)。
例えば、テキストから有用な情報をキーワードとして抽出するテキストマイニングにおいて、形態素解析を利用し、キーワードとして複合名詞を抽出する技術が知られている。この技術は、まず、文書データを形態素解析した後、形態素の品詞情報で品詞結合規則を参照し、連続する形態素が結合規則に適合する場合に、その連続する形態素を複合名詞候補として、複合名詞候補データを得る。次に、複合名詞候補を構成する先頭の形態素、末尾の形態素それぞれについて、文字列頻度データを参照して先頭の形態素の前方スコア、末尾の形態素の後方スコアを取得する。そして、両スコアがともにスコア設定値より大きい場合に、先頭の形態素から末尾の形態素までの文字列を複合名詞として抽出する。
また、例えば、テキスト検索に用いるキーワードの抽出と絞込みを形態素解析を利用して行う技術も知られている。この技術は、テキストに形態素解析を実施して単純名詞集合を生成し、複合名詞集合やカタカナ名詞集合、名詞要素に挟まれた連体化助詞「の」が存在する場合に、それらの名詞要素を連体化助詞「の」を介して結合した連体名詞集合を生成する。
また、例えば、テキスト検索に用いるキーワードの抽出を形態素解析を利用して行う他の技術も知られている。この技術は、キーワードの抽出漏れを回避するために、入力されたテキストを形態素解析して形態素出現確率を計算し、形態素出現確率に対応する形態素の重要度に基づき、各単語の頻度情報を算出し、頻度情報付き単語集合を生成する。
また、例えばテキスト検索に用いるキーワードの抽出を形態素解析を利用して行う更に他の技術も知られている。この技術は、文字列を複数の形態素に分解し、各形態素の品詞を判定し、各形態素から連続する第1の数かつ所定品詞の形態素で構成される形態素群を各々抽出し、抽出した各形態素群を構成する各形態素と当該各形態素の各品詞との組み合わせを各々算出する。そして、算出した組み合わせのうち、複数の形態素群間で共通する組み合わせの出現頻度が所定の閾値以上の場合に、共通する組み合わせを、任意の文字列に含まれる複数の形態素を複合するための形態素複合ルールとして抽出する。
特開2011−059754号公報 特開2006−004283号公報 特開2006−243976号公報 特開2010−009355号公報
形態素解析は、単語が読み等と対応付けて登録された単語辞書を用い、解析対象のテキストを単語辞書と照合し、単語辞書に登録された単語を単位として分解した上で、解析対象のテキスト上で隣接する単語の組の接続可能性を評価する処理を含んでいる。このため、形態素解析の解析精度は単語辞書にどのような単語が登録されているかに依存する。
ここで、複数の名詞類の単語を組み合わせた複合名詞が解析対象のテキスト上に存在していた場合、当該複合名詞は、形態素解析では、単語辞書に登録された複数の単語の組み合わせとして解析される。一方、日本語等の自然言語には、テキスト上での表記が同一で読み(及び意味)が異なる単語が存在しており、このような単語は、異なる読みと対応付けされて単語辞書に重複登録される。このため、解析対象のテキスト上に存在している複合名詞が、テキスト上での表記が同一で読みが異なる単語を含む場合、形態素解析で複合名詞の読みを正しく解析できないことがある、という課題がある。
これに対し、形態素解析を利用した前述の技術は、品詞や出現頻度等に基づいて複合名詞を含むキーワードをテキストから抽出する技術であり、形態素解析における複合名詞の読みの解析精度の向上に寄与するものではない。
開示の技術は、解析対象のテキスト上で隣接し、単語辞書に分けて登録された名詞類の単語の組の読みの解析精度を向上させることが目的である。
開示の技術は、複数の単語が少なくとも個々の前記単語の品詞と対応付けて各々登録された単語辞書を第1記憶部に記憶する。また、前記単語辞書に各々登録されており、学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している、普通名詞、固有名詞、接頭語及び接尾語を含む名詞類の単語の組を、連接可能な単語の組として第2記憶部に記憶する。また、単語の組の接続可能性を表す接続評価値を前記単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせ毎に第3記憶部に記憶する。また、前記単語辞書に各々登録され、かつ解析対象のテキスト上で隣接している単語の組の接続可能性を評価する。更に、前記単語辞書に各々登録され、かつ前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組のうち、前記連接可能な単語の組として前記第2記憶部に記憶されていない前記名詞類の単語の組については、接続可能性の無い単語の組と判定する。そして、接続可能性の評価結果に基づいて、前記解析対象のテキストの形態素解析を行う。更に、前記解析対象のテキストに含まれる単語を前記単語辞書から各々抽出し、前記単語辞書より抽出した単語から前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組を各々生成する。また、生成した単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせに対応する前記接続評価値を前記第3記憶部から読み出すことで、前記単語の組の前記接続評価値を各々求める。そして、単語の組毎に求めた前記接続評価値に基づき前記解析対象のテキストに対応しかつ前記接続評価値が最大となる単語の組み合わせを求める。
開示の技術は、解析対象のテキスト上で隣接し、単語辞書に分けて登録された名詞類の単語の組の読みの解析精度が向上する、という効果を有する。
実施形態で説明した音声合成装置の機能ブロック図である。 音声合成装置として機能するコンピュータの概略ブロック図である。 第1単語辞書の一例を示す概略図である。 第2単語辞書の一例を示す概略図である。 単語品詞間接続評価値テーブルの一例を示す概略図である。 連接可能性テーブル生成処理のフローチャートである。 連接可能性テーブル生成処理を説明するための概略図である。 連接可能な単語の組の判定を説明するための概略図である。 連接可能な単語の組の判定を説明するための概略図である。 形態素解析処理のフローチャートである。 連接可能性テーブルを用いた形態素解析を説明するための概略図である。 連接可能性テーブルを用いた形態素解析を説明するための概略図である。 連接可能性テーブルを用いた形態素解析を説明するための概略図である。 連接可能性テーブルを用いた形態素解析を説明するための概略図である。 連接可能性テーブルを用いない形態素解析の問題点を説明するための概略図である。 連接可能性テーブルを用いない形態素解析の問題点を説明するための概略図である。
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る音声合成装置10が示されている。音声合成装置10はテキストから当該テキストを読み上げる音声を合成する処理を行う。音声合成装置10は形態素解析装置12、係り受け解析部38、表音文字列生成部40及び音声合成部42を備えている。形態素解析装置12は、形態素解析部14、単語連接可能性判定部16、第1単語辞書18及び第2単語辞書20を記憶する第1記憶部22、単語連接可能性テーブル24を記憶する第2記憶部26を備えている。また形態素解析装置12は、単語品詞間接続評価値テーブル28を記憶する第3記憶部30、解析対象テキスト32及び学習用テキストコーパス34を記憶する第4記憶部36を備えている。
音声合成装置10は、例えば図2に示すコンピュータ70で実現することができる。コンピュータ70はCPU72、メモリ44、不揮発性の記憶部46、キーボード48、マウス50、ディスプレイ52、スピーカ54を備え、これらはバス56を介して互いに接続されている。なお、記憶部46はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等によって実現できる。記録媒体としての記憶部46には、コンピュータ70を音声合成装置10として機能させるための音声合成プログラム58、第1単語辞書18、第2単語辞書20、単語連接可能性テーブル24、単語品詞間接続評価値テーブル28が各々記憶されている。また記憶部46には、解析対象テキスト32及び学習用テキストコーパス34も記憶されている。CPU72は、音声合成プログラム58を記憶部46から読み出してメモリ44に展開し、音声合成プログラム58が有するプロセスを順次実行する。
音声合成プログラム58は、形態素解析プロセス60、単語連接可能性判定プロセス62、係り受け解析プロセス64、表音文字列生成プロセス66及び音声合成プロセス68を有する。CPU72は、形態素解析プロセス60を実行することで、図1に示す形態素解析部14として動作する。またCPU72は、単語連接可能性判定プロセス62を実行することで、図1に示す単語連接可能性判定部16として動作する。またCPU72は、係り受け解析プロセス64を実行することで、図1に示す係り受け解析部38として動作する。またCPU72は、表音文字列生成プロセス66を実行することで、図1に示す表音文字列生成部40として動作する。またCPU72は、音声合成プロセス68を実行することで、図1に示す音声合成部42として動作する。
なお、音声合成プログラム58は開示の技術における音声合成プログラムの一例であり、音声合成プログラム58に含まれる形態素解析プロセス60は開示の技術における形態素解析プログラムの一例である。
音声合成装置10がコンピュータ70で実現される場合、第1単語辞書18及び第2単語辞書20を記憶する記憶部46は第1記憶部22として用いられ、メモリ44の一部領域は第1単語辞書18及び第2単語辞書20として用いられる。また、単語連接可能性テーブル24及び単語品詞間接続評価値テーブル28を記憶する記憶部46は第2記憶部26及び第3記憶部30として用いられ、メモリ44の一部領域は単語連接可能性テーブル24及び単語品詞間接続評価値テーブル28として用いられる。また、解析対象テキスト32及び学習用テキストコーパス34を記憶する記憶部46は第4記憶部36として用いられ、メモリ44の一部領域は解析対象テキスト32及び学習用テキストコーパス34の記憶領域として用いられる。これにより、音声合成プログラム58を実行したコンピュータ70が、音声合成装置10として機能することになる。
第1単語辞書18には、例として図3に示すように、複数の単語について「表記」「品詞」及び「読み」の各情報が対応付けて各々登録されている。なお、図3には第1単語辞書18に登録されている単語のうちの一部のみを示しており、第1単語辞書18には、後述する形態素解析の解析精度を考慮して選択された多数の単語の情報が各々登録されている。また第2単語辞書20には、例えば図4に示すように、複数の単語について「表記」「品詞」及び「読み」の各情報が対応付けて登録されている。第2単語辞書20は、第1単語辞書18に未登録の単語の情報を追加登録するための単語辞書であり、例えば学習用テキストコーパス34等に含まれるテキスト中の単語のうち、第1単語辞書18に未登録の単語の情報が追加登録される。
単語品詞間接続評価値テーブル28には、例として図5に示すように、各種品詞の単語の組み合わせについて、テキスト上での接続可能性を表す接続評価値が各々登録されている。例えば図5では、普通名詞の単語と接尾語の単語との接続評価値(テキスト上で普通名詞の単語に続いて接尾語の単語が存在している可能性の高さ)として"-100"が、接頭語の単語と普通名詞の単語との接続評価値として"-100"が設定されている。また、図5に"※"で示されている組み合わせには、接続可能性が無いことを表す接続評価値(図5では一例として"-1000000")が設定されている。
形態素解析装置12の形態素解析部14は、形態素解析対象のテキスト(解析対象テキスト32又は学習用テキストコーパス34のテキスト)に対し、以下のような形態素解析を行う。すなわち、形態素解析部14は、形態素解析対象のテキストに含まれ第1単語辞書18又は第2単語辞書20に登録されている単語を第1単語辞書18又は第2単語辞書20から抽出し、抽出した個々の単語の品詞を特定する。また形態素解析部14は、単語品詞間接続評価値テーブル28に登録された接続評価値に基づき、形態素解析対象のテキスト上で隣接している個々の単語の組の接続可能性を評価する。そして形態素解析部14は、接続可能性の評価結果に基づいて形態素解析対象のテキストの読みを判定する。形態素解析部14は開示の技術における形態素解析部の一例として機能する。
単語連接可能性判定部16は、学習用テキストコーパス34のテキストから、テキスト上で連接可能な名詞類の単語の組(一対の単語)を特定し、特定した単語の組を登録した単語連接可能性テーブル24を生成する。単語連接可能性判定部16は開示の技術における連接可能性判定部の一例として機能する。なお、単語連接可能性判定部16による処理の詳細及び単語連接可能性テーブル24の内容については後述する。
解析対象テキスト32は、形態素解析装置12の形態素解析部14によって形態素解析が行われた後に、後述する係り受け解析や表音文字列の生成を経て当該テキストを読み上げる音声の合成が行われるテキストである。本実施形態では、解析対象テキスト32が第4記憶部36に予め記憶されている態様を説明するが、解析対象テキスト32は、例えば、キーボード48を介して利用者によって入力され、メモリ44に記憶される構成であってもよい。また解析対象テキスト32は、例えば、外部の情報処理装置に設けられた入力デバイスを介して入力され、当該テキストが前記外部の情報処理装置から通信によって受信されてメモリ44に記憶される構成であってもよい。
学習用テキストコーパス34は、第1単語辞書18に未登録の単語を取得するためのテキスト群であり、第2単語辞書20に単語を登録する目的や第2単語辞書20の用途に応じたテキストが選択される。例えば、第1単語辞書18に未登録の新語や時事用語等を第2単語辞書20に登録したい場合、学習用テキストコーパス34としては、新聞記事や雑誌の記事等のテキストが選択される。また、例えば、第1単語辞書18に未登録の特定分野の用語等を第2単語辞書20に登録したい場合、学習用テキストコーパス34としては、特定分野の論文やマニュアル等のテキストが選択される。本実施形態では、学習用テキストコーパス34が第4記憶部36に予め記憶されている態様を説明するが、学習用テキストコーパス34は、例えば、外部の情報処理装置から通信によって受信されてメモリ44に記憶される構成であってもよい。また、学習用テキストコーパス34としてのテキスト群は、第4記憶部36又はメモリ44に一纏めに記憶されることに限られるものではなく、例えば個々のテキストがインターネット等のコンピュータネットワーク上に分散されて記憶されていてもよい。
係り受け解析部38は、形態素解析装置12によって解析対象テキスト32の形態素解析が行われた結果に基づき、解析対象テキスト32に対して係り受け解析を行う。係り受け解析部38は開示の技術における係り受け解析部の一例として機能する。また、表音文字列生成部40は、係り受け解析部38によって解析対象テキスト32の係り受け解析が行われた結果に基づき、解析対象テキスト32の読みを表す文字列に、少なくともアクセントやフレーズの区切りなどを表す情報を付加した表音文字列を生成する。表音文字列生成部40は開示の技術における表音文字列生成部の一例として機能する。また、音声合成部42は表音文字列生成部40によって生成された表音文字列に基づき、生成された表音文字列を読み上げる音声を合成する音声合成処理を行う。音声合成部42は開示の技術における音声合成部の一例として機能する。
次に本実施形態の作用を説明する。解析対象テキスト32から当該解析対象テキスト32を読み上げる音声を合成するにあたって読みの精度を確保するためには、解析対象テキスト32に含まれる単語を特定する形態素解析の精度の向上が重要であり、形態素解析に用いる単語辞書の充実が必須となる。しかし、単語辞書に闇雲に単語を追加していくと形態素解析の解析精度に悪影響を及ぼす場合があるので、形態素解析で適切な結果が得られるように登録単語を選択する必要があり、効率的に単語辞書を充実させることは難しい。一方で、自然言語で記述されたテキストに出現する固有名詞や専門用語などの単語は限りがなく、単語辞書に多数の単語を効率的に登録することも求められる。
上記に基づき、本実施形態では、第1単語辞書18と第2単語辞書20を設けており、第1単語辞書18には、形態素解析の解析精度を考慮して選択された単語の情報が予め各々登録され、第2単語辞書20には第1単語辞書18に未登録の単語が追加登録される。第2単語辞書20に対しては、例えば、学習用テキストコーパス34から単語の「表記」及び「読み」を自動収集し、これらの情報を自動登録する処理を適用することができる。例えば、学習用テキストコーパス34に含まれるテキストに「骨器(コッキ)」という文字列が存在していれば、これは単語の表記と読みを示している可能性が高いことから、これらを収集して第2単語辞書20に登録することができる。
但し、前述のように、第2単語辞書20に追加登録した単語が形態素解析に悪影響を及ぼすことがある。以下、図15,16を参照して具体例を説明する。なお、以下の具体例では、第1単語辞書18に図3に示した情報が登録され、第2単語辞書に図4に示した情報が登録され、単語品詞間接続評価値テーブル28に図5に示した情報が登録されているものとする。
図15はテキスト「打製骨器」に対して形態素解析を行った場合を示す。形態素解析では、まず、第1単語辞書18又は第2単語辞書20に登録され、テキスト「打製骨器」に含まれている単語が第1単語辞書18及び第2単語辞書20から全て抽出される。図15の例では、普通名詞の単語「骨器(コッキ)」のみが第2単語辞書20から抽出され、その他の単語は第1単語辞書18から抽出される。形態素解析では、次に、接続の可能性のある全ての単語の組に対し、単語品詞間接続評価値テーブル28を参照して、品詞同士の接続評価値を求める。例えば、普通名詞の単語「打製(ダセー)」と接尾語の単語「骨(ボネ)」は接続評価値=-100であり、接続可能性が比較的高いことを表している。一方、先頭と接尾語の単語「打(ダ)」は、接尾語が文頭にあることは考えにくいことから、接続評価値=-1000000となり、接続可能性が非常に低いことを表している。
全ての単語の組について接続評価値を求めたら、接続評価値の合計が最大となる単語の組み合わせ(パス)を求め、求めたパスに対応する読みを形態素解析の解析結果として出力する。図15の例では、
『先頭−普通名詞「打製(ダセー)」−普通名詞「骨器(コッキ)」−末尾』
のパスの接続評価値が最大(=-2150)となるため、このパスに対応する読み「ダセー・コッキ」が形態素解析の解析結果として出力される。
また図16は「符号化法」に対して形態素解析を行った場合を示す。まずテキスト「符号化法」に含まれる単語が第1単語辞書18及び第2単語辞書20から全て抽出される。図16の例では、普通名詞の単語「化法(ケホー)」のみが第2単語辞書20から抽出され、その他の単語は第1単語辞書18から抽出される。次に、接続の可能性のある全ての単語の組に対し、単語品詞間接続評価値テーブル28を参照して、品詞同士の接続評価値を求め、接続評価値の合計が最大となる単語の組み合わせ(パス)を求める。結果は下記の通りである。
・パス1
『先頭−普通名詞「符号(フゴー)」−普通名詞「化法(ケホー)」−末尾』
接続評価値の合計=-2150
・パス2
『先頭−普通名詞「符号(フゴー)」−接尾語「化(カ)」−接尾語「法(ホー)」−末尾』
接続評価値の合計=-2200
この場合、パス2に対応する読み「フゴー・カ・ホー」の方が正しいにも拘わらず、パス1に対応する読み「フゴー・ケホー」が形態素解析の解析結果として出力されることになる。
このように、第2単語辞書20を使用した場合、図15に示す例のような場面では形態素解析の精度を向上させることができるものの、図16に示す例のような別の場面では形態素解析の精度に悪影響を及ぼす。これを解決するために、第1単語辞書18よりも優先度を下げて第2単語辞書20を使用することも考えられるが、第2単語辞書20の優先度を低下させると第2単語辞書20を使用することによる効果も小さくなる。
一方、或るテキスト上で「の」「が」「に」「を」「な」「する」「した」等の特定単語を挟んでその前後に名詞類(普通名詞や固有名詞、接頭語、接尾語等)の単語が存在している場合、上記名詞類の単語の組は別のテキスト上で連接している可能性がある。逆に、或る名詞類の単語の組が特定単語を挟んでその前後に位置しているテキストが存在していない場合、当該単語の組は別のテキスト上で連接している可能性が乏しいと判断できる。上記を考慮して本実施形態では、第2記憶部26に単語連接可能性テーブル24を記憶させると共に、単語連接可能性テーブル24に情報を登録する単語連接可能性判定部16を設けている。以下、まず図6を参照し、形態素解析部14及び単語連接可能性判定部16によって実現される連接可能性テーブル生成処理を説明する。なお、この連接可能性テーブル生成処理は、形態素解析部14が解析対象テキスト32に対して形態素解析を行うのに先立って行われる。
連接可能性テーブル生成処理のステップ100において、形態素解析部14は、第1記憶部22に記憶されている学習用テキストコーパス34からの1単位のテキストの取得を試行する。次のステップ102において、形態素解析部14は、ステップ100で学習用テキストコーパス34から1単位のテキストを取得できたか否か判定する。ステップ100で学習用テキストコーパス34から1単位のテキストを取得できた場合、ステップ102の判定が肯定されてステップ104へ移行する。なお、ステップ102の判定が否定された場合、形態素解析部14は連接可能性テーブル生成処理を終了する。
ステップ104において、形態素解析部14は、形態素解析として、第1単語辞書18又は第2単語辞書20に登録され、ステップ100で取得したテキストに含まれている単語が第1単語辞書18及び第2単語辞書20から全て抽出する処理を行う。なお、本実施形態では、ステップ104の形態素解析で抽出された単語の総数を"N"とする。
次のステップ106において、単語連接可能性判定部16は、形態素解析部14による形態素解析の解析結果(総数N個の単語の情報)を取得した後に、個々の単語を識別するための変数iに0を代入する。ステップ108において、単語連接可能性判定部16は、変数iが、単語の総数Nから2を減じた値よりも小さいか否か判定する。ステップ108の判定が肯定された場合はステップ110へ移行し、単語連接可能性判定部16は、N個の単語のうちのi番目の単語の品詞が名詞類で、i+1番目の単語が特定単語で、i+2番目の単語の品詞が名詞類か否か判定する。なお、ステップ110の判定における特定単語としては、前述の「の」「が」「に」「を」「な」「する」「した」等の何れかが挙げられる。
ステップ110の判定が否定された場合、i番目及びi+2番目の少なくとも一方の単語の品詞が名詞類でないか、i+1番目の単語が特定単語でないので、i番目の単語とi+2番目の単語とが別のテキスト上で連接する可能性が高いとは判断できない。このため、単語連接可能性判定部16は、ステップ110の判定が否定された場合はステップ116へ移行し、変数iを1だけインクリメントしてステップ108に戻る。
また、ステップ110の判定が否定された場合、i番目及びi+2番目の単語は何れも品詞が名詞類で、かつi+1番目の単語が特定単語であるので、i番目の単語とi+2番目の単語とが別のテキスト上で連接する可能性が高いと判断できる。このため単語連接可能性判定部16は、ステップ110の判定が肯定された場合はステップ112へ移行し、i番目の単語又はi+2番目の単語が第2単語辞書20に登録されているか否かを判定する。単語連接可能性判定部16は、ステップ112の判定が肯定されるとステップ114へ移行し、i番目の単語とi+2番目の単語の組を、連接可能な単語の組として単語連接可能性テーブル24に登録する。そして単語連接可能性判定部16は、次のステップ116において変数iを1だけインクリメントしてステップ108に戻る。なお、単語連接可能性判定部16は、ステップ112の判定が否定された場合には、ステップ114をスキップしてステップ116へ移行し、変数iを1だけインクリメントしてステップ108に戻る。
上述した連接可能性テーブル生成処理について、一例を挙げて更に説明する。図7には、学習用テキストコーパス34に含まれるテキストの一例、第1単語辞書18及び第2単語辞書20に登録された単語の一例が各々示されている。また、図8には、図7に示したテキストのうち「…から打製の骨器が大量に…」の第1のテキストに対して連接可能性テーブル生成処理を行った場合が示されている。
第1のテキストに対して形態素解析部14がステップ104の形態素解析を行った場合、図8に示す各単語のうち、普通名詞の単語「骨器(コッキ)」のみが第2単語辞書20から抽出され、その他の単語は第1単語辞書18から抽出される。また、「i番目及びi+2番目の単語の品詞が名詞類で一方が第2単語辞書20に登録され、i+1番目の単語が特定単語」の条件を満たす単語列として、以下の単語列が抽出される。
『普通名詞「打製(ダセー)」−助詞「の」−普通名詞「骨器(コッキ)」』
上記条件を満たす単語列におけるi番目の単語とi+2番目の単語の組は、「打製骨器(ダセー・コッキ)」のように、別のテキスト上で連接する可能性が高いと判断できる。このため、図7に示すように、上記条件を満たす単語列のi番目の単語「打製(ダセー)」とi+2番目の単語「骨器(コッキ)」の組は単語連接可能性テーブル24に登録される。なお、この例では、i+2番目の単語「骨器(コッキ)」が第2単語辞書20に登録されているので、i番目の単語「打製(ダセー)」が先行可能単語として、i+2番目の単語「骨器(コッキ)」が当該単語として、単語連接可能性テーブル24に各々登録される。
また、図9には、図7に示したテキストのうち「…が多価の関数に…」の第2のテキストに対して連接可能性テーブル生成処理を行った場合が示されている。第2のテキストに対して形態素解析部14がステップ104の形態素解析を行った場合、図9に示す各単語のうち、普通名詞の単語「多価(タカ)」のみが第2単語辞書20から抽出され、その他の単語は第1単語辞書18から抽出される。また、「i番目及びi+2番目の単語の品詞が名詞類で一方が第2単語辞書20に登録され、i+1番目の単語が特定単語」の条件を満たす単語列として、以下の単語列が抽出される。
『普通名詞「多価(タカ)」−助詞「の」−普通名詞「関数(カンスウ)」』
上記条件を満たす単語列におけるi番目の単語とi+2番目の単語の組は、「多価関数(タカ・カンスウ)」のように、別のテキスト上で連接する可能性が高いと判断できる。このため、図7に示すように、上記条件を満たす単語列のi番目の単語「多価(タカ)」とi+2番目の単語「関数(カンスウ)」の組は単語連接可能性テーブル24に登録される。なお、この例では、i番目の単語「多価(タカ)」が第2単語辞書20に登録されているので、i番目の単語「多価(タカ)」が当該単語として、i+2番目の単語「関数(カンスウ)」が後続可能単語として、単語連接可能性テーブル24に各々登録される。
同様に、例えば図7に示した第3のテキスト「…発見された最古の骨器は…」に対して連接可能性テーブル生成処理を行うことで、「最古(サイコ)」が「骨器(コッキ)」に対応する先行可能単語として単語連接可能性テーブル24に登録される。また、例えば図7に示した第4のテキスト「…骨器の製作が行われた…」に対して連接可能性テーブル生成処理を行うことで、「製作(セイサク)」が「骨器(コッキ)」に対応する後続可能単語として単語連接可能性テーブル24に登録される。また、例えば図7に示した第5のテキスト「…甚深の化法を軽んじる…」に対して連接可能性テーブル生成処理を行うことで、「甚深(ジンシン)」が先行可能単語として「化法(ケホー)」が当該単語として単語連接可能性テーブル24に各々登録される。
続いて、上述した連接可能性テーブル生成処理が行われて単語連接可能性テーブル24が生成された後に、形態素解析部14によって行われる形態素解析処理について、図10を参照して説明する。
形態素解析処理のステップ130において、形態素解析部14は、第1記憶部22に記憶されている解析対象テキスト32から1単位のテキストの取得を試行する。次のステップ132において、形態素解析部14は、ステップ130で解析対象テキスト32から1単位のテキストを取得できたか否か判定する。ステップ130で解析対象テキスト32から1単位のテキストを取得できた場合、ステップ132の判定が肯定されてステップ134へ移行する。なお、ステップ132の判定が否定された場合は、形態素解析が解析対象テキスト32の末尾迄完了したと判断できるので、形態素解析部14は形態素解析処理を終了する。
ステップ134において、形態素解析部14は、第1単語辞書18又は第2単語辞書20に登録され、ステップ130で取得したテキストに含まれている単語が第1単語辞書18及び第2単語辞書20から全て抽出する。なお、本実施形態では、ステップ134で抽出された単語の総数を"N"とする。次のステップ136において、形態素解析部14は、個々の単語を識別するための変数iに0を代入し、次のステップ138において、単語連接可能性判定部16は、変数iが単語の総数Nよりも小さいか否か判定する。
形態素解析部14は、ステップ138の判定が肯定された場合にはステップ140へ移行し、N個の単語のうちのi番目の単語とその前後の単語(i−1番目及びi+1番目の単語)との接続評価値を単語品詞間接続評価値テーブル28より各々取得する。次のステップ142において、形態素解析部14は、i番目の単語は品詞が名詞類で、かつ第2単語辞書20に登録されているか否か判定する。形態素解析部14は、ステップ142の判定が否定された場合はステップ152へ移行し、変数iを1だけインクリメントしてステップ138に戻る。
また、形態素解析部14は、ステップ142の判定が肯定された場合はステップ144へ移行し、i番目の単語の直前の単語が、品詞が名詞類でかつi番目の単語に対応する先行可能単語として単語連接可能性テーブル24に登録されていない単語か否か判定する。ステップ144の判定が肯定された場合、i番目の単語とその直前の単語(i−1番目の単語)とはテキスト上で連接(接続)する可能性が無いと判断できる。このため、形態素解析部14は、ステップ144の判定が肯定された場合はステップ146へ移行し、i番目の単語と直前の単語(i−1番目の単語)の組について先のステップ140で取得した接続評価値を、接続不可を意味する情報で上書きして設定する。そして、ステップ146からステップ148へ移行する。
一方、i番目の単語の直前の単語の品詞が名詞類でない場合や、直前の単語がi番目の単語の先行可能単語として単語連接可能性テーブル24に登録されている場合、i番目の単語とその直前の単語とはテキスト上で連接(接続)する可能性が有ると判断できる。このため、形態素解析部14は、ステップ144の判定が否定された場合、ステップ146の処理を行うことなくステップ148へ移行する。この場合、i番目の単語と直前の単語(i−1番目の単語)の組の接続評価値は、先のステップ140で取得した接続評価値のまま維持される。
次のステップ148において、形態素解析部14は、i番目の単語の直後の単語が、品詞が名詞類でかつi番目の単語に対応する後続可能単語として単語連接可能性テーブル24に登録されていない単語か否か判定する。ステップ148の判定が肯定された場合、i番目の単語とその直後の単語(i+1番目の単語)とはテキスト上で連接(接続)する可能性が無いと判断できる。このため、形態素解析部14は、ステップ148の判定が肯定された場合はステップ150へ移行し、i番目の単語と直後の単語(i+1番目の単語)の組について先のステップ140で取得した接続評価値を、接続不可を意味する情報で上書きして設定する。そして、ステップ150からステップ152へ移行する。
一方、i番目の単語の直後の単語の品詞が名詞類でない場合や、直後の単語がi番目の単語の後続可能単語として単語連接可能性テーブル24に登録されている場合、i番目の単語とその直後の単語とはテキスト上で連接(接続)する可能性が有ると判断できる。このため、形態素解析部14は、ステップ148の判定が否定された場合、ステップ150の処理を行うことなくステップ152へ移行する。この場合、i番目の単語と直後の単語(i+1番目の単語)の組の接続評価値は、先のステップ140で取得した接続評価値のまま維持される。
形態素解析部14は、変数iの値が単語の総数N以上になってステップ138の判定が否定される迄、上述したステップ138〜ステップ152を繰り返す。ステップ138の判定が否定されるとステップ154へ移行し、形態素解析部14は、接続不可に設定した単語の組を除き、接続評価値の合計が最大になる単語の組み合わせ(パス)を抽出する。そしてステップ156において、形態素解析部14は、ステップ154で抽出した単語の組み合わせ(パス)に対応する読みを第1単語辞書18又は第2単語辞書20から単語単位で読み出し、解析結果として出力した後、ステップ130に戻る。
上述した形態素解析処理について、一例を挙げて更に説明する。図11には、解析対象テキスト32から抽出した1単位のテキスト「打製骨器」に対して上述の形態素解析処理を行った例が示されている。なお、以下では、第1単語辞書18及び第2単語辞書20には図7に示す単語が登録され、単語連接可能性テーブル24にも図7に示す単語の組が登録され、単語品詞間接続評価値テーブル28には図5に示す接続評価値が登録されているものとして説明する。
図11の例では、テキスト「打製骨器」に含まれる単語として、第1単語辞書18から普通名詞「打製(ダセー)」、接尾語「打(ダ)」、接尾語「製(セー)」、接尾語「骨(ボネ)」、接尾語「器(キ)」、普通名詞「骨(ホネ)」、普通名詞「器(ウツワ)」が抽出される。また図11の例では、テキスト「打製骨器」に含まれる単語として、第2単語辞書20から普通名詞「骨器(コッキ)」が抽出される。
次に、テキスト「打製骨器」上で隣接している全ての単語の組について、各単語の品詞に基づき、単語品詞間接続評価値テーブル28から対応する接続評価値が取得されることで、接続可能性が評価される。例えば、先頭と普通名詞「打製(ダセー)」との接続評価値は-1000、先頭と接尾語「打(ダ)」との接続評価値は-1000000、接尾語同士(「打(ダ)」と「製(セー)」、「骨(ボネ)」と「器(キ)」、「製(セー)」と「骨(ボネ)」)の接続評価値は-100となる。また、普通名詞と接尾語(「打製(ダセー)」と「骨(ボネ)」、「骨(ホネ)」と「器(キ)」)との接続評価値は-100、普通名詞同士(「打製(ダセー)」と「骨器(コッキ)」、「打製(ダセー)」と「骨(ホネ)」)の接続評価値は-150となる。
ここで第2単語辞書20から抽出された普通名詞「骨器(コッキ)」について単語連接可能性テーブル24を参照すると、先行可能単語として普通名詞「打製(ダセー)」が登録されているので「打製(ダセー)」と「骨器(コッキ)」との接続評価値は-150のままとなる。また、普通名詞「骨器(コッキ)」の先行単語としての接尾語「製(セー)」との接続可能性については、接尾語「製(セー)」の品詞は名詞類であるものの、単語連接可能性テーブル24に先行可能単語として登録されていないことから、接続不可と判断される。そして、接続評価値の合計が最大となる単語の組み合わせ(パス)は、『普通名詞「打製(ダセー)」−普通名詞「骨器(コッキ)」』の組み合わせであり、対応する正しい読み「ダセー・コッキ」が形態素解析の解析結果として出力される。
また、図12には、解析対象テキスト32から抽出した1単位のテキスト「符号化法」に対して上述の形態素解析処理を行った例が示されている。図12の例では、テキスト「符号化法」に含まれる単語として、第1単語辞書18から普通名詞「符号(フゴー)」、接尾語「符(フ)」、接尾語「号(ゴー)」、接尾語「化(カ)」、接尾語「法(ホー)」、動詞語幹「化(バ)」、普通名詞「法(ホー)」が抽出される。また図12の例では、テキスト「符号化法」に含まれる単語として第2単語辞書20から普通名詞「化法(ケホー)」が抽出される。
次に、テキスト「符号化法」上で隣接している全ての単語の組について、各単語の品詞に基づき、単語品詞間接続評価値テーブル28から対応する接続評価値が取得されることで、接続可能性が評価される。例えば、先頭と普通名詞「符号(フゴー)」との接続評価値は-1000、先頭と接尾語「符(フ)」との接続評価値は-1000000、接尾語同士(「符(フ)」と「号(ゴー)」、「号(ゴー)」と「化(カ)」、「化(カ)」と「法(ホー)」)の接続評価値は-100となる。また、例えば普通名詞「符号(フゴー)」と接尾語「化(カ)」との接続評価値は-100、普通名詞「符号(フゴー)」と普通名詞「化法(ケホー)」の接続評価値は-150となる。
ここで、第2単語辞書20から抽出された普通名詞「化法(ケホー)」の先行単語としては、普通名詞「符号(フゴー)」及び接尾語「号(ゴー)」が考えられる。普通名詞「符号(フゴー)」及び接尾語「号(ゴー)」は何れも名詞類であるものの、単語連接可能性テーブル24には普通名詞「化法(ケホー)」の先行可能単語として登録されていない。従って、普通名詞「符号(フゴー)」及び接尾語「号(ゴー)」は何れも普通名詞「化法(ケホー)」と接続不可と判断される。そして、接続評価値の合計が最大となる単語の組み合わせ(パス)は、『普通名詞「符号(フゴー)」−接尾語「化(カ)」−接尾語「法(ホー)」』の組み合わせであるので、対応する正しい読み「フゴー・カ・ホー」が形態素解析の解析結果として出力される。
また、図13には、解析対象テキスト32から抽出した1単位のテキスト「甚深化法」に対して形態素解析処理を行った例が示されている。図13の例では、テキスト「甚深化法」に含まれる単語として普通名詞「甚深(ジンシン)」、単漢字「甚(ジン)」、形容詞語幹「深(フカ)」、接尾語「化(カ)」、接尾語「法(ホー)」、動詞語幹「化(バ)」、普通名詞「法(ホー)」が第1単語辞書18から抽出される。また図13の例では、テキスト「甚深化法」に含まれる単語として第2単語辞書20から普通名詞「化法(ケホー)」が抽出される。
次に、テキスト「甚深化法」上で隣接している全ての単語の組について、各単語の品詞に基づき、単語品詞間接続評価値テーブル28から対応する接続評価値が取得されることで、接続可能性が評価される。例えば、先頭と普通名詞「甚深(ジンシン)」との接続評価値は-1000、先頭と単漢字「甚(ジン)」との接続評価値は-1000、接尾語同士(「符(フ)」と「号(ゴー)」)の接続評価値は-100となる。また、例えば普通名詞「甚深(ジンシン)」と接尾語「化(カ)」との接続評価値は-100、普通名詞「甚深(ジンシン)」と普通名詞「化法(ケホー)」の接続評価値は-150となる。
ここで、第2単語辞書20から抽出された普通名詞「化法(ケホー)」の先行単語としては、普通名詞「甚深(ジンシン)」及び形容詞語幹「深(フカ)」が考えられる。このうち、形容詞語幹「深(フカ)」は品詞が名詞類に属していないので、単語連接可能性テーブル24による判定の対象から除外される。また、普通名詞「甚深(ジンシン)」は普通名詞「化法(ケホー)」の先行可能単語として単語連接可能性テーブル24に登録されている。従って、普通名詞「甚深(ジンシン)」と普通名詞「化法(ケホー)」との接続評価値は-150のまま維持される。そして、接続評価値の合計が最大となる単語の組み合わせ(パス)は、『普通名詞「甚深(ジンシン)」−普通名詞「化法(ケホー)」』の組み合わせであるので、対応する正しい読み「ジンシン・ケホー」が形態素解析の解析結果として出力される。
また、図14には、解析対象テキスト32から抽出した1単位のテキスト「その化法には」に対して形態素解析処理を行った例が示されている。図14の例では、テキスト「その化法には」に含まれる単語として連体詞「その」、接尾語「化(カ)」、接尾語「法(ホー)」、動詞語幹「化(バ)」、普通名詞「法(ホー)」、助詞「に」、助詞「は」が第1単語辞書18から抽出される。また図14の例では、テキスト「その化法には」に含まれる単語として第2単語辞書20から普通名詞「化法(ケホー)」が抽出される。次に、テキスト「その化法には」上で隣接している全ての単語の組について、各単語の品詞に基づき、単語品詞間接続評価値テーブル28から対応する接続評価値が取得されることで、接続可能性が評価される。
ここで、第2単語辞書20から抽出された普通名詞「化法(ケホー)」の先行単語としては連体詞「その」が考えられ、後続単語としては助詞「に」が考えられる。しかし、連体詞「その」及び助詞「に」は何れも品詞が名詞類に属していないので、単語連接可能性テーブル24による判定の対象から除外される。そして、接続評価値の合計が最大となる単語の組み合わせ(パス)は、『連体詞「その」−普通名詞「化法(ケホー)」−助詞「に」−助詞「は」』の組み合わせであるので、対応する正しい読み「その・ケホー・に・は」が形態素解析の解析結果として出力される。
なお、上記では連接可能性テーブル生成処理(図6)において、単語連接可能性テーブル24の生成のみを行う態様を説明したが、開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、学習用テキストコーパス34に含まれるテキストに基づき、単語連接可能性テーブル24の生成と並行して、第2単語辞書20へ登録すべき単語の抽出及び第2単語辞書20への抽出した単語の情報の登録も併せて行うようにしてもよい。
また、上記では第2単語辞書20へ登録すべき単語の抽出と、単語連接可能性テーブル24の生成を、いずれも学習用テキストコーパス34に含まれるテキストを基に実施する態様を説明したが、開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば、第2単語辞書20へ登録すべき単語の抽出と、単語連接可能性テーブル24の生成は、異なる学習用テキストコーパスに含まれるテキストを基に実施するようにしてもよい。
また、上記では形態素解析の解析精度を考慮して選択された単語の情報が各々登録された第1単語辞書18と、第1単語辞書18に未登録の単語を追加登録するための第2単語辞書20を各々設けた態様を説明したが、開示の技術はこれに限定されるものではない。例えば単語辞書を1つのみ設け、当該単語辞書に登録した名詞類の単語の組の連接可能性を判定する態様に適用してもよい。
また、上記では解析対象テキスト32に対して形態素解析を行った結果に基づき、解析対象テキストを読み上げる音声を合成する音声合成を行う態様を説明したが、開示の技術に係る形態素解析は上記態様に限定されるものではない。例えば、形態素解析を行った結果に基づき、テキスト中の漢字に振り仮名を付加する処理を行う態様に適用してもよい。また、例えば日本語で記述されたテキストを別の言語で記述されたテキストへ翻訳する機械翻訳を行うに際し、読みに依って意味が異なる漢字の読みを判別する目的で形態素解析を実行する等の態様に適用することも可能である。
更に、上記では解析対象のテキスト及び学習用のテキストとして日本語で記述されたテキストを例に説明したが、これに限定されるものではなく、読み(及び意味)が複数存在する語を含む言語(例えば中国語等)で記述されたテキストを適用することも可能である。
また、上記では音声合成プログラム58が記憶部46に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、開示の技術における音声合成プログラム(及び形態素解析プログラム)は、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
前記単語辞書に各々登録されており、前記学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している名詞類の単語の組を前記学習用のテキストから抽出し、前記学習用のテキストから抽出した名詞類の単語の組の情報を、連接可能な単語の組を表す情報として前記第2記憶部に記憶させる連接可能性判定部を更に備えた請求項1〜請求項3の何れか1項記載の形態素解析装置。
(付記2)
前記第1記憶部は、前記単語辞書として、前記形態素解析の解析精度を考慮して選択された単語の情報が予め登録された第1単語辞書と、前記第1単語辞書に未登録の単語の情報を追加登録するための第2単語辞書と、を記憶し、
前記第2記憶部は、一方が前記第1単語辞書に登録されると共に他方が前記第2単語辞書に登録され、前記学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している名詞類の単語の組を、連接可能な単語の組として記憶し、
前記形態素解析部は、一方が前記第1単語辞書に登録されると共に他方が前記第2単語辞書に登録され、前記解析対象のテキスト上で隣接しており、前記連接可能な単語の組として前記第2記憶部に記憶されていない名詞類の単語の組を接続可能性の無い単語の組と判定する請求項1〜請求項3、付記1の何れかに記載の形態素解析装置。
(付記3)
一方が前記第1単語辞書に登録されると共に他方が前記第2単語辞書に登録され、前記学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している名詞類の単語の組を前記学習用のテキストから抽出し、前記学習用のテキストから抽出した名詞類の単語の組の情報を、連接可能な単語の組を表す情報として前記第2記憶部に記憶させる連接可能性判定部を更に備えた付記2に記載の形態素解析装置。
(付記4)
前記特定の単語は、「の」「が」「に」「を」「な」「する」「した」の何れかである請求項1〜請求項3、付記1〜付記3の何れかに記載の形態素解析装置。
10 音声合成装置
12 形態素解析装置
14 形態素解析部
16 単語連接可能性判定部
18 第1単語辞書
20 第2単語辞書
22 第1記憶部
24 単語連接可能性テーブル
26 第2記憶部
28 単語品詞間接続評価値テーブル
30 第3記憶部
32 解析対象テキスト
34 学習用テキストコーパス
36 第4記憶部
38 係り受け解析部
40 表音文字列生成部
42 音声合成部
44 メモリ
46 記憶部
58 音声合成プログラム
60 形態素解析プロセス
70 コンピュータ
72 CPU

Claims (6)

  1. 複数の単語が少なくとも個々の前記単語の品詞と対応付けて各々登録された単語辞書を記憶する第1記憶部と、
    前記単語辞書に各々登録されており、学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している、普通名詞、固有名詞、接頭語及び接尾語を含む名詞類の単語の組を、連接可能な単語の組として記憶する第2記憶部と、
    単語の組の接続可能性を表す接続評価値を前記単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせ毎に記憶する第3記憶部と、
    前記単語辞書に各々登録され、かつ解析対象のテキスト上で隣接している単語の組の接続可能性を評価すると共に、前記単語辞書に各々登録され、かつ前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組のうち、前記連接可能な単語の組として前記第2記憶部に記憶されていない前記名詞類の単語の組については、接続可能性の無い単語の組と判定し、接続可能性の評価結果に基づいて、前記解析対象のテキストの形態素解析を行う形態素解析部と、
    を含み、
    前記形態素解析部は、前記解析対象のテキストに含まれる単語を前記単語辞書から各々抽出し、前記単語辞書より抽出した単語から前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組を各々生成し、生成した単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせに対応する前記接続評価値を前記第3記憶部から読み出すことで、前記単語の組の前記接続評価値を各々求め、単語の組毎に求めた前記接続評価値に基づき前記解析対象のテキストに対応しかつ前記接続評価値が最大となる単語の組み合わせを求める形態素解析装置。
  2. 請求項記載の形態素解析装置と、
    前記形態素解析装置による前記形態素解析の結果に基づき、前記解析対象のテキストに対して係り受け解析を行う係り受け解析部と、
    前記係り受け解析部による係り受け解析の結果に基づき、前記解析対象のテキストの読みを表す文字列に、少なくとも文節の区切りを表す情報を付加した表音文字列を生成する表音文字列生成部と、
    前記表音文字列生成部によって生成された前記表音文字列に基づき、前記表音文字列を読み上げる音声を合成する音声合成部と、
    を含む音声合成装置。
  3. コンピュータが、
    複数の単語が少なくとも個々の前記単語の品詞と対応付けて各々登録され、第1記憶部に記憶された単語辞書に各々登録され、かつ解析対象のテキスト上で隣接している単語の組の接続可能性を評価すると共に、前記単語辞書に各々登録され、かつ前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組のうち、前記単語辞書に各々登録されており、学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している、普通名詞、固有名詞、接頭語及び接尾語を含む名詞類の単語の組を、連接可能な単語の組として記憶する第2記憶部に、前記連接可能な単語の組として記憶されていない前記名詞類の単語の組については、接続可能性の無い単語の組と判定し、接続可能性の評価結果に基づいて、前記解析対象のテキストの形態素解析を行う形態素解析ステップを含み、
    前記形態素解析ステップは、前記解析対象のテキストに含まれる単語を前記単語辞書から各々抽出し、前記単語辞書より抽出した単語から前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組を各々生成し、単語の組の接続可能性を表す接続評価値を前記単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせ毎に記憶する第3記憶部から、生成した単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせに対応する前記接続評価値を読み出すことで、前記単語の組の前記接続評価値を各々求め、単語の組毎に求めた前記接続評価値に基づき前記解析対象のテキストに対応しかつ前記接続評価値が最大となる単語の組み合わせを求める形態素解析方法。
  4. コンピュータが、
    複数の単語が少なくとも個々の前記単語の品詞と対応付けて各々登録され、第1記憶部に記憶された単語辞書に各々登録され、かつ解析対象のテキスト上で隣接している単語の組の接続可能性を評価すると共に、前記単語辞書に各々登録され、かつ前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組のうち、前記単語辞書に各々登録されており、学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している、普通名詞、固有名詞、接頭語及び接尾語を含む名詞類の単語の組を、連接可能な単語の組として記憶する第2記憶部に、前記連接可能な単語の組として記憶されていない前記名詞類の単語の組については、接続可能性の無い単語の組と判定し、接続可能性の評価結果に基づいて、前記解析対象のテキストの形態素解析を行う形態素解析ステップと、
    前記形態素解析ステップによる形態素解析の結果に基づき、前記解析対象のテキストに対して係り受け解析を行う係り受け解析ステップと、
    前記係り受け解析ステップによる前記係り受け解析の結果に基づき、前記解析対象のテキストの読みを表す文字列に、少なくとも文節の区切りを表す情報を付加した表音文字列を生成する表音文字列生成ステップと、
    前記表音文字列生成ステップで生成した前記表音文字列に基づき、前記表音文字列を読み上げる音声を合成する音声合成ステップと、
    を含み、
    前記形態素解析ステップは、前記解析対象のテキストに含まれる単語を前記単語辞書から各々抽出し、前記単語辞書より抽出した単語から前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組を各々生成し、単語の組の接続可能性を表す接続評価値を前記単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせ毎に記憶する第3記憶部から、生成した単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせに対応する前記接続評価値を読み出すことで、前記単語の組の前記接続評価値を各々求め、単語の組毎に求めた前記接続評価値に基づき前記解析対象のテキストに対応しかつ前記接続評価値が最大となる単語の組み合わせを求める音声合成方法。
  5. コンピュータに、
    複数の単語が少なくとも個々の前記単語の品詞と対応付けて各々登録され、第1記憶部に記憶された単語辞書に各々登録され、かつ解析対象のテキスト上で隣接している単語の組の接続可能性を評価すると共に、前記単語辞書に各々登録され、かつ前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組のうち、前記単語辞書に各々登録されており、学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している、普通名詞、固有名詞、接頭語及び接尾語を含む名詞類の単語の組を、連接可能な単語の組として記憶する第2記憶部に、前記連接可能な単語の組として記憶されていない前記名詞類の単語の組については、接続可能性の無い単語の組と判定し、接続可能性の評価結果に基づいて、前記解析対象のテキストの形態素解析を行う形態素解析ステップを含み、
    前記形態素解析ステップは、前記解析対象のテキストに含まれる単語を前記単語辞書から各々抽出し、前記単語辞書より抽出した単語から前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組を各々生成し、単語の組の接続可能性を表す接続評価値を前記単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせ毎に記憶する第3記憶部から、生成した単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせに対応する前記接続評価値を読み出すことで、前記単語の組の前記接続評価値を各々求め、単語の組毎に求めた前記接続評価値に基づき前記解析対象のテキストに対応しかつ前記接続評価値が最大となる単語の組み合わせを求める処理を実行させるための形態素解析プログラム。
  6. コンピュータに、
    複数の単語が少なくとも個々の前記単語の品詞と対応付けて各々登録され、第1記憶部に記憶された単語辞書に各々登録され、かつ解析対象のテキスト上で隣接している単語の組の接続可能性を評価すると共に、前記単語辞書に各々登録され、かつ前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組のうち、前記単語辞書に各々登録されており、学習用のテキスト上で特定の単語を挟んで前記特定の単語と隣接している、普通名詞、固有名詞、接頭語及び接尾語を含む名詞類の単語の組を、連接可能な単語の組として記憶する第2記憶部に、前記連接可能な単語の組として記憶されていない前記名詞類の単語の組については、接続可能性の無い単語の組と判定し、接続可能性の評価結果に基づいて、前記解析対象のテキストの形態素解析を行う形態素解析ステップと、
    前記形態素解析ステップによる形態素解析の結果に基づき、前記解析対象のテキストに対して係り受け解析を行う係り受け解析ステップと、
    前記係り受け解析ステップによる前記係り受け解析の結果に基づき、前記解析対象のテキストの読みを表す文字列に、少なくとも文節の区切りを表す情報を付加した表音文字列を生成する表音文字列生成ステップと、
    前記表音文字列生成ステップで生成した前記表音文字列に基づき、前記表音文字列を読み上げる音声を合成する音声合成ステップと、
    を含み、
    前記形態素解析ステップは、前記解析対象のテキストに含まれる単語を前記単語辞書から各々抽出し、前記単語辞書より抽出した単語から前記解析対象のテキスト上で隣接している単語の組を各々生成し、単語の組の接続可能性を表す接続評価値を前記単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせ毎に記憶する第3記憶部から、生成した単語の組における個々の前記単語の品詞の組み合わせに対応する前記接続評価値を読み出すことで、前記単語の組の前記接続評価値を各々求め、単語の組毎に求めた前記接続評価値に基づき前記解析対象のテキストに対応しかつ前記接続評価値が最大となる単語の組み合わせを求める処理を実行させるための音声合成プログラム。
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