JP5748208B2 - 水浄化システム - Google Patents
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しかし、近年、汚染物質の種類が非常に多岐に亘っており、微生物処理では処理出来ない様な汚染物質(例えば、非常に毒性の強い汚染物質や各種放射性物質等)が水を汚染している事例が発生している。
しかし、毒性の強い汚染物質(放射性物質等も含む)の場合には、水から分離処理された後のスラリー中に高純度の汚染物質が存在するため、手作業で処理することは大変に危険である。
従って、作業員が水から分離処理された後のスラリー等に接触する危険を回避出来るような水浄化システムが望まれている。
例えば、汚染物質が(放射性物質である)セシウムである場合に、イオン交換反応剤としてフェロシアン化鉄を用いた場合には、汚染された水中で、フェロシアン化鉄はセシウムを吸着し、吸着したセシウムに代えて鉄を水中に放出する。
また、ゼオライトであれば、水中の汚染物質を吸着する。
その様な水は、汚染物質の種類、濃度、基準に基づいて、汚染された水を貯蔵している貯蔵領域に戻すこと、逆浸透膜装置の様な他の正常化装置に供給すること、河川や湖沼等に放流すること等の処理が可能である。
ここで、分離機構(凝集分離槽10)により分離された上澄液には、比重の軽い汚染物質が混入している可能性がある。本発明によれば、当該比重の軽い異物は、第1の脱水装置(13A、13B)により、上澄液から除去される。
ここで、第1の脱水装置(13A、13B)は、例えば、複数の濾過部材(例えば、バグフィルター)を有しており、当該濾過部材により清浄化された水を分離している。
また、分離機構(凝集分離槽10)により分離された沈殿物に包含される水は、第2の脱水装置(17A〜17H)により分離される。その結果、汚染物質を包含する沈殿物の含水率が低下し、廃棄或いは処分が効率的に行なわれる。それと共に、沈殿物中に含有された水から汚染物質が除去され、清浄化される。
これに対して、分離機構(10)と第1の脱水装置(13A、13B)を連通する配管系に圧力計測装置(圧力計)を介装すれば、比重の軽い汚染物質により濾過部材が目詰まりすると、当該圧力計測装置で計測される圧力値が上昇するので、濾過部材の濾過能力が限界に達しつつあることを把握することが出来る。
そして、複数の濾過部材及びその配管は分離機構(10)からの上澄液が供給される濾過部材を交換する様に構成すれば、濾過能力が限界に達しつつある濾過部材から、上澄液の濾過を行なっていない濾過部材に切り換えることにより、第1の脱水装置(13A、13B)における濾過能力が回復する。
その場合において、複数の濾過部材及びその配管は分離機構(10)からの沈殿物(スラリー)が供給される濾過部材を交換する様に構成されていれば、濾過能力が限界に達しつつある濾過部材から、未使用の濾過部材に切り換えることにより、第2の脱水装置(17A〜17H)における濾過能力を回復させることが出来る。
第2の脱水装置(17A〜17H)においても、濾過部材の切換や、濾過能力が失われた濾過部材を排出する作業を自動化することが可能であり、作業者は、濾過部材に付着した汚染物質(分離機構10で分離された沈殿物に混在する汚染物質)に直接接触する必要が無い。
そのため、作業者の安全を確保した状態で、第2の脱水装置(17A〜17H)のメンテナンス(例えば、濾過部材の交換)を行い、第2の脱水装置(17A〜17H)から汚染物質を含有するスラリーを排出することが出来る。
従って、その後の処理(放射性物質廃棄処理)が安全且つ能率的に行なわれる。
先ず、図1〜図4に基づいて、第1実施形態を説明する。
図1において、全体を符号101で示す第1実施形態に係る水浄化システムは、粗取りスクリーン攪拌調整槽2と、第1のスラリーポンプ3と、イオン交換反応攪拌槽4A、4Bと、吸着凝集反応攪拌槽7A、7Bを備えている。
また、水浄化システム101は、凝集分離槽10と、上澄調整槽11と、第4のスラリーポンプ12と、上澄濾過装置13A、13Bと、搬送ポンプ14と、処理濾過水調整槽15を備えている。
さらに、水浄化システム101は、濃縮泥スラリーポンプ(例えば、チューブポンプ)16と、濃縮泥真空濾過装置17A〜17H(図2参照)と、真空ポンプ18A、18Bと、濾過水及び補給水調整槽19A、19Bと、エアコンプレッサ20を備えている。
汚染水滞留領域1内に滞留している汚染水は、搬送ポンプP1によって取水される。搬送ポンプP1は、ラインL1を介して粗取りスクリーン攪拌調整槽2に接続されている。ラインL1における粗取りスクリーン攪拌調整槽2側には開閉弁V1が介装されている。
粗取りスクリーン攪拌調整槽2の排出側には、第1のスラリーポンプ3が配置されている。第1のスラリーポンプ3は、ラインL2を介して、第1の分岐点B1に接続されている。
ラインL3Aには開閉弁V2Aが介装され、ラインL3Bには開閉弁V2Bが介装されている。
ここで、2台のイオン交換反応攪拌槽4A、4Bは、添付図面では異なる符号が付されているが、実機の仕様は同一である。また、イオン交換反応攪拌槽を3台以上設けることもできる。
第2のスラリーポンプ6Aの吐出側は、ラインL5Aを介して、吸着凝集反応攪拌槽7Aに接続されている。第2のスラリーポンプ6Bの吐出側は、ラインL5Bを介して、吸着凝集反応攪拌槽7Bに接続されている。ラインL5Aには開閉弁V3Aが介装され、ラインL5Bには開閉弁V3Bが介装されている。
第3のスラリーポンプ9Aの吐出側は、ラインL7Aを介して第1の合流点G1に接続されている。そして第3のスラリーポンプ9Bの吐出側は、ラインL7Bを介して第1の合流点G1に接続されている。ラインL7Aには開閉弁V4Aが介装され、ラインL7Bには開閉弁V4Bが介装されている。
2台の吸着凝集反応攪拌槽7A、7Bは、添付図面では異なる符号が付されているが、実機の仕様は同じである。また、吸着凝集反応攪拌槽を3台以上設けても良い。
凝集分離槽10は、上方に上澄液を排出する上澄液排出口10o1が形成され、底部に電動モータで駆動されるスクリュー10Sを備えている。スクリュー10Sは沈殿物排出口10o2、10o3近傍まで延在しており、凝集分離槽10の底部に沈殿した沈殿物(スラリー)を沈殿物排出口10o2、10o3側に搬送する。
凝集分離槽10の上澄排出口10o1は、ラインL9を介して、上澄調整槽11に接続されている。上澄調整槽11の排出側はラインL10を介して第4のスラリーポンプ12の吸入側に接続され、第4のスラリーポンプ12の吐出側はラインL11を介して第2の合流点G2に接続されている。ラインL11には開閉弁V5が介装されている。
第2の合流点G2は、ラインL12を介して、第2の分岐点B2に接続されている。ラインL12には、圧力計PG1が介装されている。
上澄濾過装置13Aの排出側には排出弁V7Aが介装されており、上澄濾過装置13Bの排出側には排出弁V7Bが介装されている。
ラインL15は第5のスラリーポンプ14の吸入側に接続され、第5のスラリーポンプ14の吐出側は、ラインL16を介して、処理濾過水調整槽15に接続されている。
処理濾過水調整槽15の底部には搬送ポンプP3が設置され、処理濾過水調整槽15内の濾過処理済みの水は、搬送ポンプP3により、ラインL33を介して、汚染水滞留領域1に送られる。
ラインL20には開閉弁V10が介装されており、濾過装置ユニットUTに連通している。図1、図2では、図示の簡略化のために、ラインL20は濾過装置ユニットUTにおける第4の分岐点B4に接続した状態で示されている。ただし、図4を参照して後述する様に、実際には、ラインL20は、図示しない圧縮エア配管系を経由して、濾過装置ユニットUTの濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hの各々に、直接、連通している。
同様に、図1では、図示の簡略化のためにラインL19がラインL12に連通して示されているが、実機では、ラインL19は図1では図示しない圧縮エアラインを介して、直接、上澄濾過装置13A、13Bに連通している。
また、凝集分離槽10下方に設けられた沈殿物排出口10o2は、ラインL17、濃縮泥スラリーポンプ16を経由して、濾過装置ユニットUTに連通している(B4)。
図2において、濾過装置ユニットUTは、8台の濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hを有している。図2では、4台の濃縮泥真空濾過装置17A〜17Dが1つにまとめられており(グループA)、4台の濃縮泥真空濾過装置17E〜17Hも1つにまとめられている(グループE)。
8台の濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hの実機における仕様は、同一である。
なお、濾過装置ユニットUTにおける濃縮泥真空濾過装置の数量は8台に限定される訳ではなく、7台以下であっても、9台以上であっても良い。
グループE(濃縮泥真空濾過装置17E〜17Hを設けている側)において、第4の合流点G4と第6の分岐点B6が、ラインL23を介して接続されている。ラインL23には圧力計PG2Bが介装されており、第6の分岐点B6でラインL26とラインL27とに分岐している。
グループA(濃縮泥真空濾過装置17A〜17Dを設けている側)において、第5の分岐点B5と第7の分岐点B7はラインL24で接続され、第5の分岐点B5と第8の分岐点B8はラインL25で接続されている。
ラインL28Aは開閉弁V12Aを介装して濃縮泥真空濾過装置17Aの吸入側に接続されており、ラインL28Bは開閉弁V12Bを介装して濃縮泥真空濾過装置17Bの吸入側に接続されており、ラインL28Cは開閉弁V12Cを介装して濃縮泥真空濾過装置17Cの吸入側に接続されており、ラインL28Dは開閉弁V12Dを介装して濃縮泥真空濾過装置17Dの吸入口に接続されている。
ラインL29A〜ラインL29Dは、合流点G7〜G5で順次合流して、ラインL30Aに連通する。そしてラインL30Aは、濾過装置ユニットUT外の真空ポンプ18A(図1参照)の吸入口に接続される。
ラインL28Eは開閉弁V12Eを介装して濃縮泥真空濾過装置17Eの吸入口に接続され、ラインL28Fは開閉弁V12Fを介装して濃縮泥真空濾過装置17Fの吸入口に接続され、ラインL28Gは開閉弁V12Gを介装して濃縮泥真空濾過装置17Gの吸入口に接続され、ラインL28Hは開閉弁V12Hを介装して濃縮泥真空濾過装置17Hの吸入側に接続される。
ラインL29E〜ラインL29Hは、第5の合流点G8〜G10で順次合流して、ラインL30Hに連通する。ラインL30Hは、濾過装置ユニットUT外の真空ポンプ18B(図1参照)の吸入口に接続される。
図1において、濾過水及び補給水調整槽19Aの底部にはポンプP2Aが設置され、ポンプP2AはラインL32Aを介して処理濾過水調整槽15と接続されている。一方、濾過水及び補給水調整槽19Bの底部にはポンプP2Bが設置されて、ポンプP2BはラインL32Bによって処理濾過水調整槽15と接続されている。その結果、補給水調整槽19A、19Bに貯留した濾過済みの処理水は、ラインL32A、L32Bを介して処理濾過水調整槽15に移送される。
図1では示していないが、ラインL32A、L32Bの途中に分岐点を設け、当該分岐点から図示しないラインが上澄調整槽11に連通することも可能である。その様に構成すれば、補給水調整槽19A、19Bに貯留している濾過済みの処理水は、上澄調整槽11にも供給される。
汚泥水貯留領域1に設置されたポンプP1が、汚染物質を含んだ汚染水を汲み上げて、傾斜式スクリーン22に供給する。汚染水に含有される比較的大きなごみを、傾斜式スクリーン22で除去するためである。傾斜式スクリーン22で比較的大きなごみが取り除かれた汚染水は調整槽本体21に供給される。
ここで、比重が重い汚染物質は調整槽本体21内で沈殿してしまうと、下流側に供給される汚染水における汚染物質濃度が安定しなくなる恐れがある。そのため、攪拌機23を連続作動して、汚染物質が調整槽本体21内で沈殿せず、調整槽本体21から下流側領域に供給される汚染水における汚染物質濃度を均一に保っている。
イオン交換反応剤定量供給機5A、5Bから投入されるイオン交換反応材は、例えば、フェロシアン化鉄(顔料の一種)、フェロシアン化コバルト、フェロシアン化ニッケルである。価格面を考慮すれば、フェロシアン化鉄が好適である。
ここで、イオン交換反応剤定量供給機5A、5Bの容量は比較的小さいので、水浄化システム101を長時間に亘って作動する際には、イオン交換反応剤を定量供給することが難しい。これに対して、第1実施形態の変形例に係る水浄化システム101A(図3参照)によれば、供給するべきイオン交換反応剤を大量に定量供給する能力を有するイオン交換反応剤定量供給機50A、50B(図3参照)を備えており、イオン交換反応剤定量供給機5A、5Bの各々に、長時間に亘ってイオン交換反応剤を定量的に供給する能力を有している。
イオン交換反応剤定量供給機50A、50Bにより、水浄化システム101を長時間に亘って作動する際に、イオン交換反応剤の定量供給を確保することが出来る。
図1では、イオン交換反応攪拌槽4A側の開閉弁V2Aが開放される場合にはイオン交換反応攪拌槽4B側の開閉弁V2Bを閉鎖し、開閉弁V2Aが閉鎖される場合には開閉弁V2Bを開放している。イオン交換反応攪拌槽4A、4Bを交互に作動させて、イオン交換反応攪拌槽4A、4Bが同時にいわゆる「満杯」の状態になって、汚泥水貯留領域1内の汚染水が水浄化処理システム101に供給できなくなる事態を回避するためである。
イオン交換反応攪拌槽4A、4Bが「満杯」の状態であるか否かは、レベルセンサによって液位を検知することにより判断する。イオン交換反応攪拌槽4A、4Bのレベルセンサの計測結果値がしきい値を超えると、ポンプP1が停止する様に構成されている。
汚染水が供給された側のイオン交換反応攪拌槽4A、4Bでは、イオン交換反応剤定量供給機5A、5Bからイオン交換反応剤が投入され、攪拌機が作動して、汚染水中の汚染物質とイオン交換反応剤が反応する。
イオン交換反応攪拌槽4A、4Bでと、有害な汚染物質はイオン交換反応剤に吸着され、イオン交換反応剤から無害な物質が放出されるので、汚染水の汚染物質を無害な物質に置換される。例えば、汚染物質がセシウムであり、イオン交換反応剤がフェロシアン化鉄であれば、フェロシアン化鉄はセシウムを吸着し、吸着したセシウムに代えて鉄を汚染水中に放出する。また、ゼオライトであれば、汚染水中のセシウムを吸着する。
吸着凝集反応攪拌槽7A、7Bでは、吸着凝集反応剤定量供給機8A、8Bから投入される吸着凝集反応剤により、汚染物質を吸着したイオン交換反応剤は凝集する。凝集したイオン交換反応剤を水から分離すれば、汚染水を清浄化することが出来る。
図3で示す第1実施形態の変形例101Aでは、容量の大きな吸着凝集反応剤定量供給機80A、80Bを別途備えている。吸着凝集反応剤定量供給機80A、80Bは、それぞれ、吸着凝集反応剤定量供給機8A、8Bに吸着凝集反応剤を定量的に供給する様に構成されている。
吸着凝集反応剤定量供給機80A、80Bにより、水浄化システム101を長時間に亘って作動する際に、吸着凝集反応剤の定量供給を確保することが出来る。
第2のスラリーポンプ6Bが作動すれば、吸着凝集反応剤定量供給機8Bが作動して、吸着凝集反応攪拌槽7Bに所定量の吸着凝集反応剤が投入されて、吸着凝集反応攪拌槽7B中で攪拌され、汚染物質を吸着したイオン交換反応剤が凝集する。
吸着凝集反応攪拌槽7A、7Bの何れか一方において、吸着凝集反応剤定量供給機8A、8Bによる吸着凝集反応剤の供給、吸着凝集反応攪拌槽7A、7B中の攪拌が終了すると、攪拌が終了した側の第3のスラリーポンプ9A、9Bが作動して、凝集された汚染物質(汚染物質を吸着したイオン交換反応剤)と水を凝集分離槽10へ移送する。
吸着凝集反応剤の投入量を調節して、汚染物質を吸着したイオン交換反応剤の凝集反応を適宜制御するため、粗取りスクリーン攪拌調整槽2に設けた比重濃度計24によりスクリーン攪拌調整槽2内の汚染水の比重を計測し、その計測値から汚染物質濃度を決定している。そして、当該決定された汚染物質濃度に基づいて、吸着凝集反応剤定量供給機8A、8Bから投入された吸着凝集反応剤の量が決定される。
ただし、汚染水の性状が予測できる場合には、汚染水の性状の予測結果に基づいて、吸着凝集反応剤定量供給機8A、8Bから投入された吸着凝集反応剤の量をインバータ制御することも可能である。
凝集分離槽10の底部に設けられたスクリュー10Sは、電動モータで駆動される様に構成されている。スクリュー10Sは沈殿物排出口10o2、10o3近傍まで延在しており、凝集分離槽10の底部に沈殿した沈殿物(スラリー)を沈殿物排出口10o2、10o3側に搬送し、以って、凝集分離槽10内に溜まった沈殿物を沈殿物排出口10o2、10o3に押し込む機能を有している。凝集分離槽10のスクリュー10Sの回転速度或いは沈殿物搬送量は、濃度センサ10Rが検知した濃度に基づいて制御される。
図1において、沈殿物排出口10o2だけが濾過装置ユニットUTに連通しており、沈殿物排出口10o3は真空ポンプ16Sに接続されるのみである。しかし、濾過装置ユニットUTを複数備え、沈殿物排出口10o3及び真空ポンプ16Sに連通させることが可能である。なお、沈殿物排出口10o2、10o3には、それぞれ開閉弁V8、V8Sが介装されている。
図1において、イオン交換反応攪拌槽4A、4B、吸着凝集反応攪拌槽7A、7B及び処理濾過水調整槽15も、上澄調整槽11と同様にレベルセンサが装備されており、当該レベルセンサで計測された液位が上限位置よりも上方である場合に作動し、当該液位が下限位置よりも下方になると停止する様に構成されている。
上澄濾過装置13A、13Bの作動状態と停止状態の切換タイミング、或いは、開閉弁V6A、開閉弁V6Bの開閉切換タイミングは、ラインL12に介装された圧力計PG1の計測値により決定される。圧力計PG1の計測値が所定値を超えることは、その時点で作動している上澄濾過装置13A、13Bの一方で、いわゆる「目詰まり」が発生していることを意味している。その様な状態になった時点で上澄濾過装置13A、13Bの作動、停止を切り換え、「目詰まり」している側の上澄濾過装置のメンテナンスを行なう。
なお、上澄濾過装置13A、13Bの構成は、図4で示す濃縮泥真空濾過装置17A、17Bと概略同様である。
図1では、2台の上澄濾過装置13A、13Bが示されているが、上澄濾過装置を3台以上にしても良い。
処理濾過水調整槽15内の水(処理水)が所定量以上となれば、処理濾過水調整槽15内に設けた搬送ポンプP3により、汚染水滞留領域1に再び戻す。
図1では示されていないが、処理濾過水調整槽15内の濾過処理済みの水を汚染水滞留領域1に戻すことに代えて、図示しない別の浄化処理設備(例えば、逆浸透膜装置)に供給することが可能である。或いは、河川等に放流することも可能である。
凝集分離槽10における沈殿物排出口10o2の下流側には濃縮泥スラリーポンプ16が設けられている。当該スラリーポンプ16は、吐出量を加減できる様に構成されており、例えば、チューブポンプが用いられる。
図2を参照して上述した様に、濾過装置ユニットUTにおける個々の濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hは同一の仕様である。図4では、濃縮泥真空濾過装置17Aが示されている。
ここで、図1、図2では明示されていないが、個々の濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hの各々は、図4を参照して説明するように、図1、図2では示されていない圧縮エア配管系(例えば、図4におけるラインL40、L42A、開閉弁V40A)を介して濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hの各々に連通しており、エアコンプレッサ20(図1参照)から圧縮エアが濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hの各々に供給されるように構成されている。
濃縮泥真空濾過装置17Aの上流側は、図1、図2で示すのとは異なり、ラインL28Aが濃縮泥真空濾過装置17Aへ直接に接続されている訳ではない。図4で示す様に、ラインL28Aは開閉弁V12、合流点G17、ラインL44Aを介して、濃縮泥真空濾過装置17Aに連通している。
エアコンプレッサ20(図1参照)から吐出された圧縮エアが流れるラインL20は、圧縮エアラインL40(図4において、2点鎖線の矢印で示す)、開閉弁V40A、圧縮エアラインL42を介して、合流点G17に連通している。なお、圧縮エアラインL40は、図1、図2では示されていない。
図示はしないが、濃縮泥真空濾過装置17B〜17Hの上流側の配管系も、図4で示すのと同様に構成されており、エアコンプレッサ20(図1参照)から吐出された圧縮エアが流れるラインL20に連通する圧縮エアラインが、合流している。
ここで、濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hに送られる沈殿物(スラリー)は、上澄濾過装置13A、13Bに送られる上澄液に比べて汚染物質の濃度が高く、比重は大きい。そのため、バグフィルター17Afのみでは、濾過により水を分離することが困難である。そこで、図1で示すように、濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hにおいて、可能な限り沈殿物(スラリー)を脱水するため、真空ポンプ18A、18Bによって濃縮泥真空濾過装置17A〜17H内部を真空引きしている。
この場合、濃縮泥真空濾過装置17A〜17D(Aグループ)に沈殿物(スラリー)が搬送され、真空ポンプ18Aが濃縮泥真空濾過装置17A〜17D内部を真空引きする。図4において、符号MXは、濃縮泥真空濾過装置17Aのフィルター17Afで脱水された沈殿物(スラリー)を示している。
係る状態では、図4において、開閉弁V12Aが閉鎖される。そして、開閉弁V42Aが開放するので、エアコンプレッサ20(図1参照)からの圧縮エアは、圧縮エアラインL40、開閉弁V40A、圧縮エアラインL42、合流点G17、ラインL44Aを経由して、濃縮泥真空濾過装置17Aに供給される。図4では図示されていないが、濃縮泥真空濾過装置17B〜17Dにおいても、同様に、圧縮エアが供給される。
図2において、濃縮泥真空濾過装置17A〜17Dに対して沈殿物(スラリー)の供給が停止されている間は、濃縮泥真空濾過装置17E〜17H(グループE)に沈殿物(スラリー)が供給される様に切り換える。そして、真空ポンプ18Bが濃縮泥真空濾過装置17E〜17H内部を真空引きする。
濃縮泥真空濾過装置17E〜17H(グループE)に目詰まりが生じたならば、濃縮泥真空濾過装置17E〜17H(グループE)の開閉弁V12E〜V12Hを閉鎖して、図4における開閉弁V40Aに対応する開閉弁を開放して、濃縮泥真空濾過装置17E〜17H(グループE)の各々に圧縮エアを供給する。
すなわち、図2における濃縮泥真空濾過装置17A〜17D(グループA)と、濃縮泥真空濾過装置17E〜17H(グループE)は、目詰まりを起こす度毎に、運転が切り換えられる。
図1において、揚水ポンプP1を作動して、汚染水滞留領域1から汚染水を粗取りスクリーン攪拌槽2に供給する。汚染水に包含されている大きな異物(ごみ等)は、粗取りスクリーン攪拌槽2の傾斜スクリーン22で除去される。
大きな異物が除去された汚染水は、調整槽本体21に貯留される。調整槽本体21に貯留された汚染水は、攪拌機23を連続作動することによって、汚染物質が沈殿すること無く、調整槽本体21内で汚染水濃度が一定に保たれる。
調整槽本体21内の汚染水は、第1のスラリーポンプ3によってイオン交換反応攪拌槽4A、4B(開閉弁V2A、V2Bが開放している側:以下の説明では、例えばイオン交換反応攪拌槽4A)に供給される。
汚染水が供給されたイオン交換反応攪拌槽4Aには、イオン交換反応剤定量供給機5Aから定量的にイオン交換反応剤、例えば、フェロシアン化鉄が供給される。そしてタイマーによって運転時間が制御される攪拌機によって槽内の汚染水が攪拌される。
イオン交換反応剤により除去したい汚染物質が十分に除去されたならば、汚染水は第2のスラリーポンプ6Aによって吸着凝集反応攪拌槽7Aに移送される。
吸着凝集反応攪拌槽7Aに移送された汚染水には、吸着凝集反応剤定量供給機8Aから一定量の吸着凝集剤が供給される。供給された吸着凝集剤は、イオン交換反応攪拌槽4Aで有害な汚染物質を吸着したイオン交換反応剤を凝集させる。これにより、汚染物質(汚染物質を吸着したイオン交換反応剤)が汚染水から分離されて、凝集する。
汚染物質を吸着したイオン交換反応剤が凝集した状態で水中に存在する処理液は、第3のスラリーポンプ9Aを介して凝集分離槽10に移送される。
凝集分離槽10で分離された上澄液は、ラインL9を経由して上澄調整槽11に流入し、第5のスラリーポンプ12により、上澄調整槽11から上澄濾過装置13A、13Bへ移送する。
上澄濾過装置13A、13Bは、交互に作動、停止を行う。そして、上澄濾過装置13A、13Bの一方に目詰まりを生じた場合には、作動、停止を切り換えて、公知の態様で、バグフィルターを交換する。
凝集分離槽10で分離された上澄液は、上澄濾過装置13A(或いは13B)で濾過された後、第6搬送ポンプ14で処理濾過水調整槽15に供給されて、処理濾過水調整槽15内に貯留される。
濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hの各々において、目詰まりを生じた場合には、作動、停止を切り換え、公知の態様でバグフィルターを交換する。
処理濾過水調整槽15に貯留された水(浄化された汚染水)は、搬送ポンプP3によって、汚染水滞留領域1に送出する。
ここで、処理濾過水調整槽15に貯留された水を別途設けた設備(図示せず:例えば、逆浸透膜)に供給しても良いし、或いは、取水した河川等に放流することも可能である。
イオン交換反応剤による係る作用により、汚染水中の汚染物質が無害な物質に置換され、汚染水から汚染物質が除去される。
その様な水は、汚染物質の種類、濃度、基準に基づいて、汚染された水を貯蔵している貯蔵領域1に戻し、逆浸透膜装置の様な他の清浄化設備に供給し、河川や湖沼等に放流することが出来る。
ここで、凝集分離槽10により分離された上澄液には、比重の軽い汚染物質が混入している。第1実施形態によれば、当該比重の軽い異物は、上澄濾過装置13A、13Bにより、上澄液から除去される。
また、凝集分離槽10により分離された沈殿物(スラリー)は、濃縮泥真空濾過装置17A〜17H、真空ポンプ18A、18Bにより真空脱水される。その結果、汚染物質を包含する沈殿物の含水率が低下し、廃棄或いは処分が効率的に行なわれる。沈殿物から真空脱水された水は、汚染物質が除去されて、清浄化されている。
このような事態に備えて、凝集分離槽10と上澄濾過装置13A、13Bを連通する配管系には圧力計PG1が介装されており、比重の軽い汚染物質により濾過部材が目詰まりすると、圧力計PG1で計測される圧力値が上昇し、上澄濾過装置13A、13Bにおける濾過部材の濾過能力が限界に達しつつあることが検出される。
上澄濾過装置13A、13Bは、運転を切り換え可能に構成されている。従って、濾過能力が限界に達しつつある濾過部材を有する上澄濾過装置(13A、13Bの何れか一方)を停止して、濾過を行っていない濾過部材を有する上澄濾過装置(13A、13Bの他方)を作動することにより、上澄濾過装置13A、13Bにおける濾過能力が回復する。
ここで、濾過部材の切換や、濾過能力が失われた濾過部材を上澄濾過装置13A、13Bから排出する作業は、自動化することが可能であり、作業者は、濾過部材に付着した汚染物質(凝集分離槽10で分離された上澄液に混在する汚染物質)に直接接触することが無く、汚染等(汚染物質が放射性物質であれば、被爆)の恐れがない。
濃縮泥真空濾過装置17A〜17D(Aグループ)に沈殿物(スラリー)が供給され、濃縮泥真空濾過装置17E〜17H(Eグループ)には沈殿物(スラリー)が供給されていない場合において、濃縮泥真空濾過装置17A〜17Dにおける濾過部材が目詰まりを起こした場合には、圧力計PG2Aで計測される圧力が上昇する。これにより、したがって、濃縮泥真空濾過装置17A〜17D(Aグループ)における濾過部材の濾過能力が限界に達しつつあることを検出出来る。
その結果、濾過能力が限界に達しつつあるバグフィルターから、未使用のバグフィルターに切り換えられて、濃縮泥真空濾過装置(17A〜17Hの何れか)における濾過能力を回復させることが出来る。
さらに、濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hにおいて、バグフィルターの下流側が真空ポンプ18A、18Bに接続されているので、凝集分離槽10で分離された沈殿物(スラリー)中の水が、バグフィルターの下流側から真空ポンプ18A、18Bにより真空引きされる。したがって、当該沈殿物から水を分離する能力が向上する。
そのため、作業者の安全を確保した状態で、濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hのメンテナンス(例えば、バグフィルターの交換)を行い、濃縮泥真空濾過装置17A〜17Hから汚染物質を含有する沈殿物(スラリー)を排出することが出来る。
図5の第2実施形態は、処理対象の汚染物質が放射性物質(例えば、セシウム等)である場合の実施形態である。
そして、図5の第2実施形態は、図1〜図4の第1実施形態に対して、凝集分離槽10Aで分離された汚泥を含む処理物(沈殿物)を処理する構造が異なっている。
以下、図5の第2実施形態について、図1〜図4の第1実施形態に対して、相違する点を主に説明する。
一方、図5では、凝集分離槽10Aの下流側に、濃縮泥攪拌調整槽50、一軸パドル連続混練ミキサ52、吸着固化材定量供給機53が設けられている。
濃縮泥スラリーポンプ16の吐出側には開閉弁V11が介装され、ラインL49を介して、濃縮泥攪拌調整槽50の吸入側に接続されている。
濃縮泥攪拌調整槽50の排出側はラインL50を介して第2の濃縮泥スラリーポンプ51の吸入側に接続されている。第2の濃縮泥スラリーポンプ51の吐出側には開閉弁V50が介装され、ラインL51を介して、一軸パドル連続混練ミキサ52の第1の吸入口52i1に接続されている。
一軸パドル連続混練ミキサ52の排出側は、ラインL52を経由して、指定保管容器54に連通している。
また、イオン交換反応攪拌槽4A、4Bでゼオライトが投入される場合には、ゼオライトは水中の汚染物質を吸着する。
その結果、放射性物質を包含する沈殿物(スラリー)は、指定容器54内に供給された後、固化する。これにより、放射性物質を包含する汚泥(スラリー)を、放射性物質廃棄用の指定容器54に封入することが出来る。
従って、その後の処理(放射性物質廃棄処理)が安全且つ能率的に行なわれる。
図示の実施形態では、主として汚染物質を除去する場合について説明している。
しかし、本発明は、例えば、海水から塩化ナトリウムその他の成分を除去して、淡水化する場合についても適用可能である。
また、本発明は、従来は水溶液から分離することが困難であった各種溶質を、溶媒である水から分離する技術として、広く適用することが可能である。
2・・・粗取りスクリーン攪拌調整槽
3・・・第1のスラリーポンプ
4A、4B・・・イオン交換反応攪拌槽
5A、5B・・・イオン交換反応剤定量供給機
6A、6B・・・第2のスラリーポンプ
7A、7B・・・吸着凝集反応攪拌槽
8A、8B・・・吸着凝集反応剤定量供給機
9A、9B・・・第3のスラリーポンプ
10・・・凝集分離槽
11・・・上澄調整槽
12・・・第4のスラリーポンプ
13A、13B・・・上澄濾過装置/バグフィルター
14・・・第5のスラリーポンプ
15・・・処理濾過水調整槽
16・・・濃縮泥スラリーポンプ(チューブポンプ)
17A〜17H・・・濃縮泥真空濾過装置
18・・・真空ポンプ
19A、19B・・・濾過水及び補給水調整槽
20・・・エアコンプレッサ
Claims (3)
- 放射性物質を包含する水から放射性物質を除去して浄化する水浄化システムにおいて、放射性物質を包含する水にイオン交換反応剤であるフェロシアン化鉄、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、ゼオライトから選択した何れか1つを供給して混合する第1の混合機構(4A、4B;5A、5B)と、前記第1の混合機構(4A、4B;5A、5B)でイオン交換反応剤が投入された水に吸着凝集剤を供給して混合する第2の混合機構(7A、7B;8A、8B)と、前記第2の混合機構(7A、7B;8A、8B)で吸着凝集剤と混合された水を上澄液と沈殿物に分離する分離機構(10)と、分離機構(10)で分離された上澄液から水を分離する第1の脱水装置(13A、13B)と、分離機構で分離された沈殿物から水を分離する第2の脱水装置(17A〜17H)を備え、第1の脱水装置(13A、13B)は複数の交換可能な濾過部材を有して当該複数の濾過部材が切換可能に構成されており、濾過部材の下流側は搬送用ポンプ(14)に連通しており、分離機構(10)と第1の脱水装置(13A、13B)を連通する配管系には圧力計測装置(PG1)が介装される一方、第2の脱水装置(17A〜17H)は複数の交換可能な濾過部材を有して当該複数の濾過部材が切換可能に構成されており、濾過部材の下流側が真空ポンプ(18)に接続されており、分離機構(10)と第2の脱水装置(17A〜17H)を連通する配管系には圧力計測装置(PG2)が介装されていることを特徴とする水浄化システム。
- 圧縮装置(20)が設けられており、圧縮装置(20)の圧縮空気吐出口は、第1の脱水装置(13A、13B)及び第2の脱水装置(17A〜17H)の濾過部材の上流側に連通している請求項1の水浄化システム。
- 圧縮装置(20)が設けられており、圧縮装置(20)の圧縮空気吐出口は、第1の脱水装置(13A、13B)及び分離機構(10)で分離された沈殿物に固化剤を供給して混合する連続混練ミキサ(52)、固化材供給機(53)を含む固化剤混合装置を備えている請求項1の水浄化システム。
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